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61回国会衆議院1969/05/29

石炭対策特別委員会 第13号

発言数
3
登壇者
2
会派数
2
開催日
1969/05/29

会議録

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  住友石炭鉱業株式会社歌志内炭鉱の災害の実情調査を行ないました派遣委員から報告を聴取いたします。田畑金光君。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 去る五月十六日、住友石炭鉱業株式会社歌志内炭鉱において発生したガス突出災害について、現地における実情調査の概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、平岡忠次郎委員長、佐藤文生君、武藤山治君、大橋敏雄君及び私の五名でありますが、このほか現地において篠田弘作君、岡田春夫君及び渡辺惣蔵君が参加されました。  私ども一行は、五月二十日夕刻、羽田空港を出発して現地に向かい、千歳を経て札幌の宿舎に到着、直ちに札幌通商産業局長、札幌鉱山保安監督局長及び北海道労働基準局長よりそれぞれ説明を聴取し、同夜は札幌に一泊、翌二十一日早朝札幌を出発して歌志内に向かいました。歌志内におきましては、市内住友幼稚園体育館において順次、住友石炭鉱業株式会社社長、住友歌志内炭鉱労働組合委員長、住友石炭鉱業赤平鉱業所職員労働組合委員長、歌志内市長等よりそれぞれ説明並びに要望を聴取し、当日とり行なわれました犠牲者の合同葬儀に参列して生花を供え、平岡委員長より弔辞を呈して犠牲者の御冥福を祈念した後、歌志内を出発、同夜半羽田空港に帰着いたしました。  住友石炭鉱業歌志内炭鉱は、明治三十八年に開坑され、昭和初年に住友の経営に移り、昭和三十九年、歌志内鉱業所として歌志内炭鉱と通洞炭鉱を擁しておりましたが、四十二年十一月、昨年九月閉山した通洞炭鉱を分離し、原料炭山として体質改善をはかり、四十三年四月赤平鉱業所に所属して現在に至っております。  歌志内炭鉱は鉱山保安法によって甲種炭鉱に指定されており、従来よりガス突出の頻度が高く、昭和九年以降現在までの間に七百九十九回のガス突出が発生しております。会社においては、このような状況に対処して以前よりガス突出に関する研究を進め、三十九年には技術研究所を設置し、四十年度から四十三年度までは千二百万円の政府補助を受けてガス突出予知のための基礎研究を行なう等、ガス突出の予知及び防止について対策を進めておりまして、この関係の技術経験はわが国の炭鉱において最も高い水準に達しておると目されております。現に最近の実績を見ましても、三十九年度に八十八件、四十年度に九十五件であったガス突出件数が、四十一年度には六十一件、四十二年度には四十七件、四十三年度には三十三件と漸次減少の傾向を示していたのであります。  現在歌志内炭鉱は、登川夾炭層を稼行しておる登川区域、美唄夾炭層を稼行しておる一斜坑区域と文珠区域の三区域に分かれておりますが、今回災害の発生を見たのは登川区域であります。生産の状況は、良質の原料炭と一般炭を六〇%、四〇%の比率で出炭しており、四十一年度には七十七万二千トン、四十二年度には六十二万四千トン、四十三年度には四十七万六千トン、本年四月には四万一千五百トンの生産を見ております。生産が減少している理由は、通洞炭鉱の分離閉山によって原料炭区域に生産体制を集約したためであり、災害の発生した登川区域はほとんど原料炭であります。なお出炭能率は、四十一年度が四十三トン、四十二年度及び四十二年度が四十二トンとなっております。また労働者数は、四月末現在で千二百九十三人、うち百三十五人が請負組夫であり、保安技術職員は二百十四人であります。  次に、災害の状況について申し上げます。  災害の発生個所は、中央斜坑坑口より二千六百八十メートルの距離にあるマイナス四百二十五レベル登川八番東坑道引っ立てでありますが、この坑道は、マイナス四百二十五レベル〇八登川八番東払いの片盤坑道として、払いより約百メートル先行して掘進中のものであります。さきにも申し上げましたように、歌志内炭鉱はガス突出の頻度が高いのでありますが、特に登川八番層はそのおそれが強いため、ガス突出対策としてガス抜きを行ない、安全係員立ち会いのもとで誘導ハッパを施行し、点火位置を約百メートル後方の地点に置く等、諸般の災害防止の措置をとりつつ掘進作業が進められておりました。当時、全坑内には三番方として二百三十人が配番され、そのうち登川区域には六十一人が入坑しておりましたが、五月十六日午前一時五十分ごろ、ガス突出災害が発生し、突出炭または突出ガスによる窒息のため、十七人のとうとい生命が失われたのであります。今回のガス突出はきわめて大規模なものであり、突出炭の総量は約二千立方メートル、トン数にして二千数百トンに達し、突出ガスの総量は、札幌市の家庭用ガス使用量の三日ないし五日分に相当する十万立方メートルないし十五万立方メートルに及ぶと推定されております。ガス突出災害の防止について諸般の措置を講じていたにもかかわらず、多数の犠牲者を生じた原因は、ガス突出の規模が従来の技術経験をはるかに越える大きなものであったためでありますが、このような大規模なガス突出がどうして発生したかについては、災害個所が突出炭で埋まっているため、その取り明けを待たなければならない状況であります。  爆発直後、当局は歌志内炭鉱の全面的操業停止を命じ、ガス突出災害防止対策の再検討を指示しており、自来、会社、労働組合、職員組合も一体となって保安の総点検に取り組んでおります。  死亡者の遺族に対する労災保険による遺族補償は、前払い一時金で最高九十五万三千二百円、最低五十六万二千八百円、総額千二百九十九万円であり、年金額では最高三十五万一千四百九十五円、最低十五万八千九百九十四円、総額四百四十八万二千九百九十九円でありますが、ベースアップによる給付基礎日額の変更がある見込みであります。  なお、葬祭料は、総額百五十六万九千二百五十円であります。退職金は、最高二百六十五が九千円、最低は勤続六カ月未満のためゼロの者が二人、総額千四百二十九万二千円であり、弔慰金は、協定による二百三十万円のほか、今後の交渉により上積みが予定されております。  次に、現地において要望された事項等について申し上げます。  まず、会社からは、今後のガス突出災害の防止をはじめとする保安対策、特に登川八番層のガス突出対策について、今回の規模以上のものがあることを計算に入れ、絶対に人身災害を惹起しない方策を考究する旨、反省と決意が述べられたほか、一斜坑区域、文珠区域の早期操業再開について要望がありました。  労働組合と職員組合で構成している歌志内災害対策委員会からは、学術的にも未知の分野であるガス突出に対する根本的究明と対策の確立について、国として検討されたいこと、ガス突出その他保安対策確立についての資金対策について配慮されたいこと、遺族対策の万全をはかるよう特段の配慮をされたいこと、組合員、家族等の不安を除去するため、保安上の点検を十分行なった上、すみやかに一斜坑、文珠両区域の操業を再開されたいこと等の要望がありました。  歌志内市及び同市議会からは、ガス突出の原因究明と保安全般に対する対策の強化について、国の強い行政指導と裏づけ資金の援助を講ぜられたいこと、歌志内炭鉱の早期再建について特別に配慮されたいこと等について要望がありました。  最後に、今回の災害調査にあたり、感じました点を二、三申し上げたいと思います。  第一は、今回の災害の特異性についてであります。すでに申し上げましたように、今回のガス突出災害は、従来の技術経験をはかるに越えた大規模のものであり、わが国においてはもちろん最大のものであり、国際的にも最大のクラスに属するものであります。歌志内炭鉱において実施されていたガス突出対策は、従来の技術経験に照らすならば十分のアローアンスを見たものであり、その限りにおいては非難の余地はないといって差しつかえないものであります。それだけに、関係者に与えたショックはきわめて大きいものがあります。ガス突出に関しては、いまだに学問的にも定説がない実情であるといわれておりますが、この際、政府、業界あげてその究明に努力するとともに、このような事実を前にして、保安体制の抜本的な再検討を行なうことが喫緊の要務であります。  第二は、このような根本的な対策とともに、当面行なうべきことがあるという点であります。会社側、組合側も指摘し、私どもも同様に感じたところでありますが、ガス抜きボーリングの数、その深さ、非常戸門のあり方、ハッパ点火位置の設定のしかた、誘導ハッパの際の退避等、直ちに今回の貴重な教訓を生かす改善策が考えられるのであります。今後においても、ガス突出そのものを避けることは不可能であるとするならば、少なくとも人身災害を惹起しないことを至上命令とし、徹底した措置を講ずることが必要であります。  第三は、労災保険による遺族補償についてであります。今回の事例を見ましても、従来から指摘されているとおり、遺族補償給付の額は必ずしも十分であるとはいえない実情であります。政府は、労災保険審議会の答申を待って処置する方針をとっておりますが、頻発する炭鉱災害による遺族補償の実態に接するとき、その改善は焦眉の急と考えざるを得ないのであります。もとより、基本的には全体的な社会保障制度の拡充によって解決すべき問題ではありますが、当面、労災補償給付の改善は早急に行なわれる必要があります。  終わりに、歌志内炭鉱は、去る五月十三日、昭和四十四年度全国鉱山保安表彰式において表彰を受けた炭鉱でありますが、このような優秀な炭鉱が、新石炭対策の実施がようやく緒についたこの時期に災害を起こしたことは、まことに遺憾であるといわざるを得ません。今後、石炭関係者はもとより、政府においてもさらに決意を新たにし、保安の確保に万全を期して取り組むよう強く要請して報告を終わります。(拍手)

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員長 これにて派遣委員の報告は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時十七分散会

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