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61回国会衆議院1969/04/16

石炭対策特別委員会 第9号

発言数
109
登壇者
10
会派数
4
開催日
1969/04/16

会議録

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員長 これより会議を開きます。  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案及び石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 経理規制臨時措置法の問題についてお尋ねをいたしますが、今度は指定会社の追加、さらに法律の廃止期限の延長ということが改正の内容になっておるようでございますが、再建整備法が制定されて、特に経理規制法の対象になっておった業種が——二社だけを除いて再建整備の対象になったわけですね。  そこで四十一年以降の大手並びに中小の出炭状況とか経理状況というのは、一体どういうことになっているか、一応その状況についてお聞かせ願いたい。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 四十一年度以降の大手の出炭状況並びに経理状況いかんという御質問でございますけれども、先に出炭実績を申し上げますが、昭和四十一年度の大手の出炭量は三千五百十万トン、四十二年度が三千二百八十七万トン、四十三年度の見込みが三千三百五十二万トンと相なっております。  ちなみに、このそれぞれの年度における中小を込めた総出炭額は、四十一年度で五千五十五万トン、四十二年度で四千七百六万トン、四十三年度の見通しで約四千六百万トンということに相なっております。  それから四十一年度以降の大手の経理状況でございますが、四十一年度について申しますと、自産炭損益で二百八億千五百万円の赤字、これをトン当たりで申しますと、六百三十二円の赤字ということに相なっておりますが、購入炭損益、その他事業損益、営業外特別損益というもので、さらに全体の収支状況を計算いたしますと、純損益といたしましては、四十一年度百六十六億三百万円の赤字、トン当たりで五百四円の赤字ということに相なっております。四十二年度について申しますと、自産炭損益ベースでは二百四十五億七千百万円の赤字、これはトン当たりで七百二十六円でございます。最終的な純損益では百六十九億千七百万円、トン当たりで約五百円の赤字。四十三年度、これは想定でございますが、見込み数字をとりますと、自産炭損益で二百八十七億七千六百万円、トン当たりで八百六十一円の赤字、これは純損益ベースでは二百十三億六千七百万円、トン当たりで六百三十九円の赤字。こういうふうに統計を出しております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いまの御説明を伺いましても、過去三回にわたって石炭に対する手厚い措置を講じてまいりましたが、経理状況は少しも好転しない。この点に対しては通産大臣から先日の委員会で原因についてお答えを願ったこともあるのですけれども、この法律案を審議してまいりますと、特にそうした、どうして経理が好転しないのだろうか、ただ通産大臣が先般お答えになったような石油との関係であるとか、また人件費の上昇、あるいは資材が非常に高くなったというようなことだけが原因と言えるであろうか、それらの点については、すでに石炭対策を樹立する上に当然考えてきたことであったわけですね。そのことを考えてみると、やはり根本的な原因というものは他にあるのではなかろうかという感じがいたします。いま一度通産大臣からざっくばらんに、いまあなたが今次の石炭政策の抜本的な対策ということで取り組んでいらっしゃるわけですから、いろいろと将来のことについてもお考えになっておられるところであろうと思いますから、省みて、経理が好転しなかった、いままで繰り返してきた石炭対策というものが失敗をしたということについて、どのような反省ということになりましょうか、お考えを持っておられるのか、将来の関係等もございますので、お聞かせを願いたいと思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 第一次、第二次、第三次の石炭政策の実行の過程におきまして、一応生産性は相当の上昇を見たのでございます。しかし、それも当初もくろみました水準にまでは達しなかった。賃金の面におきましては、ある程度の上昇を当初に見込んでありましたけれども、他産業との比較におきまして、その昔王座を占めておりました炭鉱関係がだんだんと転落をしてまいりまして、バランスの失墜を来たした。労使の間でいろいろの交渉が行なわれまして、困難な状況でございましたけれども、多少の、予定されました水準以上の賃上げが実際上労使交渉の結果行なわれたということ、そういった事情はこの前に申し上げたのでございます。一方競合のエネルギーのほうの価格は漸次下押しになってきた。したがって、石炭の売炭価格なるものを引き上げるというような客観情勢ではなかったということで、どうしても赤字を記録せざるを得なかった事情にありますことは、万人が見て一応の了解が願えるのではないかと思います。ただ、御指摘のように、そういうような客観的な物理的な要因以外に何かこういう趨勢をもたらした内在的な原因がありはしないかという御質問でございます。これは、各企業の最終の責任を持たれておる経営者の企業意識というものに弛緩があったかどうか。これは目に見えないことでございまして、第三者から見てとやかくの批判はできないわけでございましょうけれども、全然そういった面がなかったということは言えないのではないかと思います。そこで、私どもといたしましては、新しい政策の作案にあたりまして考えましたことは、まず労使双方が本気になって再建を考えていただかなければならぬ。こういう恵まれない客観情勢の中で、しかも再建の意欲を燃やしていただく上におきましては、政府が相当思い切った助成の措置を講ずるという柱がないと、神ならぬ身でございますから、再建の糸口をつかむことがむずかしかろうと判断いたしまして、相当の政策効果を期待できる助成措置を講じたわけでございます。これを提示いたしまして、それを踏まえた上で採炭を継続してかかるか、それとも閉山に踏み切るか、そのぎりぎりの厳粛な判断を労使双方に求めておるのが今度の政策の前提になっておるわけでございます。採炭の客観条件は、ますます、深層採掘ということになりまするし、むずかしくなることはあっても楽になることはないと思います。しかし、なお各企業内部あるいは企業相互の間あるいは流通面等の体制の整備等にすきを入れる余地がございますならば、それも積極的に入れまして、そうして何とか再建の目安を立てていただくという運びにいたしたいというのがわれわれの考えでございます。私どもはこれまでの新政策を提示いたしましてからの動きを見ておりますと、私どものねらいは必ずしも不可能でない。みんな関係労使とも真剣になってきていただいておりますので、必ずや再建の糸口を、これを契機にしてつかんでいただけるものと思っておるわけでございます。いろいろ客観情勢はむずかしい情勢でございますから、労使双方ばかりに期待することなく、石炭行政の上におきましても十分親身になって相談いたしまして、このけわしい環境を乗り切っていきたいものだと念願しておる次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大臣のいまのお答えの再建の見通しについては、私は必ずしも大臣と同じような解釈というか見通しについて同意できない面があるのですが、どうして経理が好転しなかったかという点については、私は全く大臣のいまのお答えのとおりであろうと思っています。  そこで一番最後にお答えになりました経営者の企業意識が弛緩していたかいなかったかという点、この点についてはそういうことがなかったとはいえないということ、私はこの点が一番重大な問題点ではなかろうか、こう思うのであります。労働者がほんとうに第三次にわたる石炭政策に対して満足をしておったかというと、非常な不満であったということは御承知のとおりであります。ところが労働者のこの不満というものは間違いであったのかということをながめてみますと、そうではなかった。炭労の労働者が政転闘争というのを必死にがんばり抜いてきたということにつきましても、第三次の石炭政策の失敗を振り返ってみますとき、やはりそうであったということを感じるのは私一人ではないのではなかろうかという感じがいたします。いま大臣お答えになりましたように、石炭の再建というものは労使が一体となって、再建の意欲を持って取り組んでいかなければならない、そのとおりだと思う。それならば、ほんとうに労働者が魅力ある職場として、安心して働く職場環境をつくっていくというところに最重点が置かれるべきではなかろうかと私は思うのであります。その点が欠けていた。さらに経営者も石炭はもうかる仕事ではない、もうからない、これは経営者が一番知っておったと思う。したがって、石炭再建のための意欲を燃やしてきたというようには私は考えない。何かもうかる仕事をさがし求め、そしてそのほうに資金を投入していくというような違った方向に意欲を燃やしてきたのではないだろうか。労働者に対しては賃金をできるだけ低く押えていくとか、あるいは保安対策に対し労働者の命を守るというところに精魂を打ち込んでいくのではなくて保安をサボってきた。そういうことから相次ぐ山の事故というものが起こってきた。低賃金、悪い職場環境、さらに命を失うということになってくると、労働者の離山ムードというものが高まってくることは私は当然だと思う。そういうことでは生産意欲というものが盛り上がるはずはございません。再建の意欲、労使が一体となって何とかしなければならないのだというようなそうした気持ちの高まりというものを期待することは無理ではなかろうかと私は思うのであります。過去三回とってまいりました石炭政策に肝心かなめのそうした根本的な対策が欠けておったということをいまにして考えなければ、大臣がこれからは何とか労使と、そして政府はじめその他のものが一体となって石炭再建をはかるならば何とかなるのではなかろうか、なるほどそうでありますけれども、そのためにはいままで失敗をしたその欠陥を埋めていくということでなければ、いま大臣のお答えになったいわゆる再建の成功というものはあり得ない、このように考えるのであります。いま私が申し上げておることは、押しつけがましくなるかもしれませんけれども、観念論ではないと思います。だからほんとうに大臣が、あなたにして労働者のほんとうの声に耳を傾け、そして労働者が安んじて魅力を持って働き得る職場というものを再建をしていくということでなければならぬと思います。労働者の労働賃金も、なるほどもくろみよりも上がったかもしれません。しかし類似の鉄鋼関係の労働者の賃金と比較いたしますとき、はるかにこれが低いというこの現実を無視しては問題の解決にはならないのではないでしょうか。  端的に私は申し上げる。労働者の離山ムードを鎮静をしなければならない、労働者の命を、暮らしを守る職場をつくっていかなければ再建はできないのだということを大臣の肝に銘じて、そうした決意の上に立って取り組んでもらわなければならないのだ、私はそのように思うのであります。この際、ひとつあらためて大臣のお答えと決意を伺ってみたいと思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、再建の肝心かなめの柱は労働者の定着と勤労意欲にあると思います。その前提といたしましては、何としても保安の環境が十分整備されていなければならぬと思います。昭和四十年ころに比べまして、保安の状況も全体としてそう悪くなったとは決して思いません。延べ百万人の稼働に対しまして、六人ないし七人という死亡率が記録されたわけでございますが、それ自体は四十年、四十一年ころに比べまして、ずいぶん改善されたと思うのでございます。しかしそれにいたしましても、なお依然として最近みたいなような大きな事故が起こるというようなことは、再建整備の前に、保安意識の弛緩という点が、先ほどの企業意識の弛緩につながる問題が伏在しておったのではないかと思うのでございます。そこで今度の石炭政策の一番基本には、中央鉱山保安協議会のほうで御答申いただきましたことを文字どおり忠実に実行に移そうじゃないか、再建の前提といたしまして、長期の保安体制の整備ということを前提に踏まえた上で、それができなければ再建を認めないというくらいの強い姿勢でいこうじゃないか、したがって、予算的にも思い切った増額を保安のために割愛したという点は、中村委員におかれましても御理解いただけると思うのでございます。  それから賃金の問題でございますが、過去の記録をずっとトレースしてみますと、確かに炭鉱労働者が上位の水準の賃金を享受いたしておったのでございます。が、だんだんだんだん他産業に比較して相対的におくれをとってきた。地下深く日の目を見ないところの労働でございまして、しかもその条件がますます悪化するところでございまして、そういう経過をたどってきたということは、私どもから判断いたしましても、耐えられないことであったと思うのでございます。したがいましてこの処遇の問題につきましては、新政策において特に力点を置いて考えなければならないことだと思いまして、従来のベースをこえて賃金水準の上昇を見込んだわけでございます。しかし、これは一応の予算的な見積もりでございまして、これから労使双方もっと努力をしていただいて生産性をあげていただくことによって、その水準はさらに好転が期待できるわけでございます。したがいまして、そういった保安と処遇の問題あるいは生活環境の整備、そういった点に周到の配慮をいたし、あわせまして離職した場合の措置、退職時の処遇、そういったことにも十分の配慮がなければ、現に就労いたしておる方々の定着性を保証することができない関連にありますので、そういった点にもできるだけ配慮を加えようということで精一ぱい努力をいたしておるところでございます。万事が万事満足すべき状況にあるなどとうぬぼれておるわけでは決してございませんで、足りないようなところもございますけれども、一応新政策の考え方の一番根底に保安の整備、保安体制の整備という点をベースに置きまして、それから賃金あるいは生活環境の充実という点を加えて、さらに退職後の問題につきましての措置を誤らないようにするというようなことを通じまして、いま御指摘の点について対応策を考えておるわけでございます。大方の御理解を得ましてこの政策が成果をあげることができますように祈っておるわけでございまするし、その成果をあげるにつきまして十分行政的にも協力を惜しまない決意でおります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大臣、いまお答えのとおり、退職金の問題等々見るごとく、大臣が、いわゆる石炭の再建をはかっていくためには労働者が魅力ある職場をつくっていかなければならないのだという気持ちで取り組もうとしておられる意欲は、率直に私は認めたいと思います。ですけれども、大臣、労働者が今度の再建案にも大きな不満を漏らしておる。いわゆる反対であると言っておる。国有化でなければならないのだ、こう言っておるのです。私もそう思っています。しかし、いまストレートに自民党政権下の中において国有化が実現をするとも考えていません。しかし、そういう方向でなければならないということは、社会党であるとかあるいは炭労だけではないのだろうと思うのです。何か現在の政策から一歩前進した、ほんとうに石炭の山が再建し得る体制、そういうものをつくってもらわなければならないのだ。そうしたならば、労働者も国有化を目ざすけれども、やはり再建のために取り組んでいこう、そういうような意欲が私は高まってくるのではなかろうかと思うのですよ。そこを大臣がどうお考えになっておられるか。いま大臣がお答えになりましたようなことは何回か伺っておりますし、そのことは労働者にも伝わっておると思います。大平通産大臣のそうした意欲というものを承知しながら、なおかつ石炭の労働者はそれでも石炭産業は再建できないのだ、こう言っているのです。そこを考えてみなければならないのじゃないでしょうか。私はいまほんとうに石炭の山を愛しているものは、労働者が一番愛しておると思います。石炭の経営者がほんとうに労働者ほど石炭の山を愛しているでしょうか。山ぐるみの閉山ということで特別交付金をとってやめようというような意欲が相当強く働いているのじゃないでしょうか。石炭よりも他の産業へ、他の事業へ手を出していこうというそうした気持ちが強く働いているのじゃないでしょうか。私はそれでは石炭の再建というものは、通産大臣のそうした意欲にもかかわらず、成功しないと思います。だから大臣がそのような熱意を持っておられる以上は、やはり労働者のそうした声にほんとうに耳を傾けて石炭の再建のための抜本策をこの際考えていかなければならないのだ、しかもそれはいつかはやろうというのではなくて、できるだけすみやかに、困難はありましょうけれども克服して、問題の解決をはからなければならぬ、そういうことが私は必要ではなかろうかと思います。その点に対する大臣のお考え方を伺ってみたいと思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 この新政策を打ち出したときに、世間からの批判といたしまして、石炭のエネルギー資源の中における位づけというようなものがはっきりしないという点に一つの論議が集中したと思います。それは仰せのとおりだと思うのでございます。われわれは原料炭として、あるいは電力用炭として将来を展望いたしまして、この程度の需要は安定的に確保できる、日本の固有のエネルギー資源でございますから、これは政府が腰を入れてお助けして再建をはかる値打ちがあるんだというような反応でお答えをいたしたわけでございます。しかしいま中村さんがおっしゃるように、もう一歩進めまして、この点をもっと掘り下げて、海外でわれわれが期待いたしております石油でございますとか原料炭でございますとか、そういった資源の手当ての見通し、国内の需要の見通し、そういった点から見て、国内にある石炭資源というものの評価をもっと克明にやって、国内の石炭資源の位置づけというものをはっきり示すこと、そのことは単なる一応の見込みであるというようなことでなくて、もっとはっきりとしたものを提示しなければならぬと私は思います。われわれの任務であると思います。  それから第二点として体制問題でございますが、私は石炭政策は別名でいえば体制の問題であると思います。結局つまるところ体制の問題に帰一してくると思うのでございまして、体制問題を、われわれの受けとめ方は、石炭鉱業審議会に体制部会を設けて、そこで鉱区の調整でございますとか流通の問題でございますとか、そういったものをケース・バイ・ケースで取り上げて処理していきましょう、それに対して政府は勧告権を留保しておきましょうというような受けとめ方であったわけでございますが、これもいま御指摘のように、それだけではどうもいけないじゃないか、一方において国営案が出ておるというような緊張した課題を前にして、石炭鉱業審議会のすみっこに体制部会を設けてケース・バイ・ケースで処理していきましょうというのは、いかにもバランスがとれない受けとめ方じゃないかという御指摘、これももっともだと思うのでございます。したがいまして、前段申し上げましたような石炭資源の位置づけの作業を進めつつ、一方におきまして体制問題の処理というものをもう少し長期的に腰を落ちつけた検討に入らないといけないのではないかと存ずるのでございまして、私どもはこの政策を発表いたしまして以来、国会等の御論議等も十分承り、新たな反省を加えまして、この体制問題の処理をもっと大きな、大がかりなものに、かつ長期的なものにして、真に石炭産業のすわるべきいすというものをちゃんときめて差し上げる。そのことが労使双方の再建意欲というものにつながる問題である。と同時に石炭産業の近代化、合理化、生産性の向上、そういうことを結果するものであると承知しておるのでございまして、新たなくふうをこらしまして体制問題に本格的に取り組むという姿勢を確立いたすべく、目下具体的な仕組みを考案中でございまして、国会方面の御指導、御鞭撻をお願いする次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私がお尋ねしたい体制問題の核心に入ってまいりましたが、商工委員会におきましての質問の時間の関係もございますし、岡田委員をはじめ、同僚委員からひとつその点に対しては掘り下げて御質疑を願うことにいたしまして、経理の問題についてお尋ねをしてみたいと思います。  この経理監査あるいは監督をやっておられると思うのですが、どういう方法で監査、監督をやっておられるのか。年に何回くらいやっておるのですか。それから立ち入り検査というのはどの程度やっておられるか、伺ってみたいと思います。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 御承知のように経理規制法、それから再建整備法、両法におきましていろいろと経理の規制をやっておるわけでございます。ことに元利補給契約という新しい制度を国がとりました以降、再建整備法のほうではより強い経理規制をやっておるわけでございますが、お尋ねの監査につきましては、再建整備法について申しますと法の第十六条に「監査をしなければならない。」ということで通産省の任務に相なっておるわけでございます。一年一回は確実に監査をいたしておるということで実施をいたしております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私も十六条による監査をしなければならぬということになっておることは承知いたしておりますが、何と申しましても多額の財政投資をやっておるわけでありますから、法律にそう書いてあるからそれで一年に一回やればいいのだというようなことだけでは足りないのではないか。特殊法人か何かの監査ではございます。しかも石炭がそうした政府の財政投資と他の私企業に見られないような手厚い措置をやっておる。にもかかわらず、経理が好転をしてないという実態の上から、監査、監督というものをきびしくやっていく。しかも問題点を、何かミスをやってないかというようなそういう監査よりも、ともかく経理を好転させる。石炭産業を再建させるのだ。せっかく投じた金がむだにならないようにしなければならぬのだというその考え方の上に立って、私は監査、監督というものは積極的にいわゆる前向きでやっていくということでなければならない。単なる監査ではない、この監査の目的というものを十分私はわきまえて取り組んでいくということでなければならぬ。それをやってきたのかどうかということをお尋ねしておるわけです。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 たいへんよくわかりました。全くおっしゃるとおりでございまして、会計検査院が検査するというような検査というものであってはいけないのでございまして、経理規制法をごらんいただきますとおわかりをいただけると思うわけでございますが、経理規制法では、先ほどは再建整備法の条文を申し上げましたが、経理規制法では監査の規定は第六条に書いてあるわけでございますけれども、その前の第四条に、指定会社は事業計画と資金計画を届け出しなければいけないということで、毎年どういう事業を考えておるか、それに対する資金裏打ちの計画はどうするということを事前に届け出ることに相なっております。私どもはしたがいまして、この届け出段階で一回、会社の考えておることがほんとうに石炭会社のまじめな経営というものの上で十分なものであり、適当なものであるかどうかということを、この届け出によって一応審査をいたしておるわけでございます。事後監査にあたりましても事前チェックの事業計画と資金計画の届け出の面から見て、そのとおりにやっておるかどうかということでやるということでございますので、一般的に事後に何か間違いが起こっていやしないか、不正が行なわれていやしないかという、消極的なエラー防止という意味での監査というよりは、積極的に考えた事業計画、資金計画とマッチした適当な事業運営をやっておるかどうかという意味で監査をいたしておるわけでございます。先生の御指摘どおりの気持ちで仕事をいたしておるつもりでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 お尋ねしました立ち入り検査はやっていますか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 これは私ども監査班という特別のものを設けておりまして、巡回いたしまして、立ち入り検査をやっております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 これほど、この経理規制の対象としている企業でも、松島、宇部、太平洋、日鉄とあるわけですね。それから再建整備法によるところの企業というものがある。それがどの程度の規模で、人数にいたしましても何人ぐらいでこのような大規模の監査をおやりになっておりますか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 監査につきましても、ただいま中村委員御指摘のとおり、おのずと軽重がございまして、俗称でいう肩がわりを受けている会社と、先ほど仰せられました宇部興産のような一般的な規制法の対象という程度の会社と、おのずと私どもも重点の置き場所を変えなければいかぬわけでございます。今回の政策に従って申し上げるならば、再建交付金の交付を受ける会社というようなものにはより厳正な監査をやるべきである、こう考えております。  対象がこれだけあるのでございますから、どのくらいの陣容で監査業務を行なっておるかという御指摘でございますが、いまちょっと正確な数字を私持っておりませんけれども、監査班は、この仕事の重要性から見ますと、定員の関係で私ども不満な状態でございまして、四、五名ぐらいしかおらないはずでございますが、片方炭政課に資金班というものを設けており、これは先ほどお答えいたしました資金計画の段階で逐一この計画をフォローしておる班でございますので、実行部隊といたしましては、この資金班の六名を含めました十名程度の人間の中で、対象会社の大小、これを考えまして適当な編成で出しておるわけでございます。先ほどお答えいたしましたように、現地に出向いて行なうことが多うございますので、この際には通産当局の職員を共同作業をさせるという意味で、人員不足を補っておりますし、それから場合によりましては、計画課、炭業課等の事業計画のほうについての採炭のエキスパートを加えまして、大手、中小の度合いに応じ、かつ肩がわりを受けておるかおらないかという度合いに応じた編成をそのつどとっておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大臣、お聞きのとおりでございますが、私がお尋ねをして、何人だろうかと言って、炭政課長と相談をして尋ねてみなければならないという程度です。だから熱意不足だとは私は言わないのです。現在ですら経理規制法、再建整備法、対象企業は多いです。おそらく立ち入り検査というものをほとんどやっておられないと私は思う。消極的なエラー防止の監査であってはならぬ。ほんとうに財政投資をやって石炭を再建させなければならぬという積極的な意味の監査、監督、指導というものがなされなければならない。これは炭政課長はじめ炭政課の人たち、その他関係方面がやろうという意欲を持っておられるだろうということは、私は疑いたくはございません。しかし、金がない、人がないではどうにもならないです。機構の面においてもほんとうにこの目的を達成するための体制を、まず通産省から確立をしていくことが必要だろうと私は思う。これからは全部の山が安定補給金を受ける、再建整備法の対象になる、そこらあたりのかまえというものが大きな問題点になるのではなかろうかと私は思います。それらの点に対して大臣はどう対処していこうとお考えになりますか、お聞かせを願いたい。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 巨額の国費を投入いたしまして再建を期する以上、仰せのように、私どものほうで、事前事後にわたって十分の監督、監査を怠ってはならないと思います。先ほど申しましたように、大前提は、何と申しましても、労使の協力と再建への意欲でございまして、その点特段の御奮発をお願いいたしますとともに、役所側におきましても、新政策の実行と並行いたしまして、監査班の整備充実、その監査事務の活発化、そういった点については、私自身も特に留意してまいるつもりでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いままで監査をおやりになりまして、処分を受けた企業がございますか。利益金の処分であるとか、その他の処分をやった企業はございますか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 監査は、私ども相当熱心にやっておるつもりでございますが、法律に基づきまして処分をするというようなことはいたしておりません。結果としては相なっておりません。むしろ不適当なことになるのではないかと思われる事項は、事前に、事実上の行為といたしまして、指導を加えまして、直させておるということでございます。法律上に基づきまして直接な処分をいたしたということはございません。ただ、中村委員おっしゃいましたように、先ほどちょっと私理解しにくかったのでございますが、利益金処分というお話がございましたが、これは、御承知のように、事前に通産大臣の認可を受けなければ利益金処分の効果が出ないのであります。この段階では、十分に法律の条項に照らし、目的に照らしまして、正確なる認可をいたしておるつもりでございます。  なお、大きく問題になりがちでございますのは、他部門経営との関係におきましての社外投融資といった問題でございます。これにつきましても、再建整備法ではきわめて厳格な規定を置いておりまして、事前に私どもが十分チェックを加え得る仕組みに相なっております。  この段階で会社がこういうことをしたいと言ってきておるものを指導で差しとめさしたということはしばしばございます。したがって、監査段階でものをいうというよりも、より重要な事項については事前に指導を加えておる次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私がお尋ねしました処分というのは、いま後段でお答えになった点をお尋ねしたわけです。法律に基づいての処分というものを、これはあったかどうかということはお答え願ったのですから、それも必要だったわけですが、むしろ後段の処分、いわゆる利益金の処分あるいは社外投資等、当然問題になる点が多々あるだろうと私は思う。だがしかし、それは事前にチェックして、そういうことが起こらないようにしたというが、しかし、限られた人員で十分チェックし得たかどうか。巧妙なやり方というものをやって、社外投資をやったりしておる事実もないとは言えないと私は思う。いまあなたがお答えになったように、相当厳格な監査をやっているというならば、その監査の中で、この利益金処分、この社外投資は間違いであるという指摘、処分というものがあるのではなかろうか、そう思うのです。それがなかったということについて、事前にチェックしておったのだから、ないのがあたりまえだというようなことだったのでしょうが、疑念というものが起こらなかったということが私はふしぎにたえない。その点どうですか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 経理規制法は御承知のように、昭和三十八年度から行なわれておる法律でございます。それから再建整備法は、御承知のように、元利補給契約制度というものを、前回の答申に基づきまして、政策として採用いたしましたことにからみましてつくられた法律でございますので、四十二年の法律でございます。そこで、率直にお答えいたしますと、私、三十七、八年時点の責任者ではございませんから、あるいは差しさわりがあるかとも思いますけれども、前の時点におきましては、従業員の転職その他の観点から、石炭企業が石炭の赤字を埋めるために、あるいは閉山に伴って従業員の転職先を見出してやるためにというかっこうで、兼業事業というものにつきましての考え方というものは、比較的実情に応じてやることが望ましい場合もあるという感じで処理をしてきております。といったところが実態ではなかろうかと思います。しかしながら、一千億の元利補給契約をいたしました時点におきましては、国がこれだけ財政資金を使いまして、石炭鉱業の再建のために力をつぎ込むということに相なりました以上、従来のような社外投融資というものの考え方そのままではいけないであろうということが、再建整備法の中に厳格な社外投融資の規制条項が入ったゆえんでございまして、これ以降につきましては、この法律が施行されましたのと、私が石炭を担当いたしましたのは大体同一時点でございます。この際、従来の多少甘いかもしれないという考え方を払拭して、社外投融資については、私のほうは厳重に考えますということを、協会側にも私たびたび出向いて話をいたしまして、それ以降、届け出の社外投融資につきましては、重要案件はすべて私自身直接内容を聞いて、所要の修正をさせるというようなことをやってきたつもりでございますので、四十二年度以降におきましては、監査でもそのような答えが出ておりませんのは、それをくぐってなおかつやっておるということはないものと私は信じております。会社側におきましても、一千億の肩がわりを受けた以降の役所側の行政指導の方針というものは、十分浸透いたしておるはずでございます。にもかかわらず、最近やはり会社側が届け出の下相談にくる案件の中には、私としては賛成できないものも間々ございまして、これは事前段階で訂正をさせておるという状況でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 お答えがございましたように、離職者対策事業ということで、むしろ石炭局のほうから積極的にこれを奨励をしてきたという事実は私も認めます。また、その必要もあったろうと思うのです。しかし、だからといってその事業に元利補給で財政投資をしたものを投入しろということは、これはやってもいないだろうし、やるべきではない。またその金がむしろ銀行のほうへ行ってしまったということにもなるわけでして、だからその金が、直接社外投資であるとか、離職者対策もある意味においては社外投融資になるわけですが、それに直接行ったとはいえないのです。しかし、あくまでそれは補完的なものであった、石炭再建のために、そうですね。だからやはり石炭企業の企業努力というものを求められた。銀行融資もあるだろう、あるいは開銀資金その他事業団、あらゆる資金というものを企業は努力して融資を受けて、あるいは節約をやって再建をはかっていかなければならない。ところがそういう金を石炭のほうにつぎ込むのではなくて、ほかのほうへつぎ込んでいったという事実は否定できないだろう。監査というものはそういう多岐にわたってやっていくのでなければならない。先ほどお答えになりましたように、法律に基づくところの監査をやって、それに基づいて処分をするといっても、直接的に財政投融資をやっている金をほかに流用していない限り、ひっかからないかもしれない。しかしそれでは狭い。やはりほんとうに再建目的というものを達成させるためには、監査と指導というものが必要になるということを私が強調したのは、そういう点にあるわけです。だから、やはり法律に基づいて処分の対象にならないにしても、再建目的という観点からは、いろいろと事前チェックだけではなくて、監査の中で注意をする、そしてそれを是正させる、そういうことがあるべきである、私はこう強調しておるのであります。だから、今度は安定補給金の支給が拡大される、全体に及ぼすことになってまいりますと、これからはどうするのか、配当金なんかの問題も当然考えなければならないと思うのですが、そういうこともこの際これをどうチェックし、これを押えていこうとするのか、そこらをどうお考えになるのか、お聞かせを願いたいと思います。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 先ほどお答えいたしましたことに若干補足を加えますと、現在の私どもの考え方におきましても、適当な事柄であり、かつ石炭鉱業の再建というものに支障がない限りにおいて、全面的に他事業を禁止しようという気持ちは持っておりませんけれども、先生御指摘のように、財政資金がそちらのほうにいかないということはもとよりのこと、財政資金と関係のない、石炭事業で出入りする金というものが、そちらのほうにいかないということ、やはり相なるべくはそうあるべきである。そこで、四十二年度以降と申しましても他事業を認めているものがございます。そういう場合のおおむねの状況はどういうことかということを御理解いただいたほうがよろしいのではないかと思うのですが、私ども事前段階で相談を受けまして、やはり石炭会社の収支損益面において貢献するような事業であって、石炭側の資金が流出しないということであれば、これは認めるにやぶさかでない。その場合、私がいままでぶつかりました事項で、よろしかろうと言っておるのは、おおむねこういうケースでございます。たとえば石炭会社が土地を持っておる、これを、経営が苦しい状況でございますから他人に売って、赤字の補てんをしておるということがあるわけでございますが、他人に売っては安くしか買ってもらえないというような状況がある。他面、その土地を利用して会社で何かやるということであれば、具体的な計画としてものが考え得るという状況もございます。そのときに、土地その他を現物出資という形で新しい会社をつくりまして、その会社の所要資金をその事業のためにということで、その事業の収益性に着目して取引銀行が融資をしてくれるという状態であれば、これはかまわない。いわば石炭の経営に関係する金の出入りと無縁に、その事業のために銀行が貸してくれるという場合やむを得ないであろうと申しますか、差しつかえないではないかというような考え方で処理をしておりますので、もしそういうことで構想しておりながら、結果として石炭の金を出しておるようなことがあってはいかぬから、それは監査を十分やるべきではないかという御指摘であれば、十分初めの構想どおり、約束どおりのことをやっておるかどうか、今後の問題といたしましても厳重に監査の実施をさせたいと思っております。  それから、お尋ねの利益金処分でございますが、私どもは、今回の政策で、石炭鉱業の再建というために大きな額の支出をいたすわけでございます。国民の立場から、国の立場から見まして、利益金処分というものについては厳重な規制を加えたいと考えておるわけでございます。  安定補給金の交付に関連いたしまして、利益金処分を今後どのようなものとして考えておるかということでございますが、規則法の適用に対しての利益金処分の考え方といたしましては、一割をこえて配当するような場合、これはもはや安定補給金を交付する必要はないという考え方に立たざるを得ないものとしていま準備をいたしておるわけであります。  なお、こう申しましても、そのような事態になる企業がはたしてあるかないかということになりますと、きわめて少なかろうということだけは、誤解のないように申し添えておきたいと思います。ほとんど配当できるものというのはそうはない、こう考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 まあ中小炭鉱は黒字の企業があるわけですから、配当金というものがあるであろうということが予想される。これはなかなかむずかしいんで、利益が上がった、これは全然その配当もないんだというようなことになると、そういう面から意欲をそぐことにもなってくる。かといって、国民の税金をそこへ投入していくという、そこらあたりが一番むずかしいところだろう。まあ、常識的にこの点は考えて、いま一割ということをお答えになったわけですが、私は、それには、配当金を出しているものは一切規制の対象にしろとか、そこまで言い切ることにはいろいろ問題もありましょうから、石炭の山を再建する、かといって、企業を甘やかすというようなことであってはならぬという点を十分ひとつ考えて、実情に即した規制なり指導をおやりになるということが必要だろう。隠れたことは絶対に許さぬ、そこいらが一番問題点だろうと思うのです。案外持っているところに相当大きいむだが出てくるであろうということになってまいりますから、そういう意味の監査指導ということを十分やってもらいたいということをお願いをするわけであります。  それから、十五万トン以下の企業は、これは経理規制法の対象にしないで、今度、財務準則か何かをおつくりになるということを伺っておるわけでありますが、どういう方法でこれはおやりになりますか。野放しにするということには問題があるように感じるのですが、どういうことですか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 御指摘のように、十五万トン以下の炭鉱と申しますものは、間々株式会社組織もとっていないという形態のものが多いわけでございまして、これを規制対象に加えますことは、実際上私どもが、先ほどお話しのございました、監査その他という観点からいたしましてもやりにくい、やっても無意味だという場合が多うございますので、むしろ十五万トン以下の小炭鉱につきましては、法規制の対象にするというよりは、いまおっしゃいましたように、経理処理の準則といったようなものを会社側にきちんとさせてもらうというようなことから進んでいかなければいかぬのではなかろうかと考えておる次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それから、区分経理の問題でお尋ねいたしますが、答申では、区分経理がだいぶ問題になったようでございますが、今度はこの石炭部門と兼業部門とを区分する、こういうことになるのではないかと思いますが、この点は答申にあったが、必ずしも方針としては明らかでないわけですが、その点はどうお考えになっていらっしゃいますか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 勘定区分を設けて、石炭部門と兼業部門との区分を明らかにする。それから、新しい政策適用前の会社の経理内容の実態と政策実施後の経理の内容というものを明らかにする必要があるという議論を、審議会において行ないましたゆえんのものは、いろいろ御批判もあったんでございますけれども、今回重ねて再建交付金を出すということにからんで出てまいりました問題でございます。したがいまして、私どもは、この区分経理問題は、再建交付金の交付に直接関連づけさしたものとして考えておるわけでございます。  経理規制法は、御承知のように、再建交付金の交付を受ける対象会社ではなくて、そうでない、一般の会社を規律する形に相なっておりますので、私どもは、この区分経理、勘定区分の問題は再建交付金の交付を受ける会社に対しての問題ということで処理をいたすつもりでございます。  なお、本法経理規制法の指定会社となる会社についても、区分経理などを含む経理基準の準則を定めて、これに従うことを義務づけるかどうかということにつきましては、まず取り急ぎは、いまの再建交付金の交付対象ということで考えておりますけれども、本法につきましても、こういうことを考えるべきかどうかということは、目下鋭意検討をいたしておるという状況でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 この答申では、区分経理を十分やらなかった場合は是正勧告を行なうべきだということになっておったようですね。そうすると、やはり経理規制法の改正案をお出しになります以上は、やはりこの点を明確にすべきではなかったんでしょうか。いま検討するとおっしゃったんだけれども、私は、まず当然、この答申の趣旨からいっても、再建整備法だけではなくて、経理規制法の中でもその点を明らかにすべきであった、こう思うのですが、そう思いませんか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 先ほど私、お答えいたしました審議会の議論は、再建交付金を中心にして経理区分問題が出てきておるということでございますが、ただいまの御意見もございまして、勘定区分問題、区分経理についての経理処理の準則というものにつきましては、規制法の中でも考えられるように検討いたしたい。これは法文そのものではございませんで、法文を受けた準則ということで十分処理できると思いますので、御意見を頭の中に入れて処理をいたしたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 あとの質問者もあるようでありますから、これでやめますが、最後に重ねて大臣にひとつ注意を喚起したいと私は思いますのは、やはり社外投資の問題を十分ひとつ把握する必要がある。これから財政投資四千二百億円、五年間にわたってばく大な資金が投入される。いま質疑応答の中で、大臣もいろいろとお考えになった点もあるのではなかろうか、こう思います。石炭の山の再建をはかるというためには、大臣お答えになったとおりに、労使がほんとうに意欲を燃やしていく。その経営者の意欲というのは、ほんとうに事業でございますから、金のもうかる事業をやらなければならないでしょう、事業家としては。だが、しかし、少なくとも、石炭の山の再建をはかっていかなければならぬ。貴重な国民の税金から財政投資というものがなされておるのだ。その責任というものを十分ひとつ認識をさしていくということが私はきわめて重要であると思うわけです。いま四十三年九月末で、私の調査によりますと八百六十二億円の社外投資がなされておるということでございます。ですから、その点に対しては申し上げましたように監査の機構の問題、それから意欲の問題通産省自体の責任の問題、その点を十分徹底をして、ほんとうに体制再建問題とあわせて石炭の再建を、大臣いま確信を持っておられるようでありますが、その確信がほんとうに実りあるものになるようにひとつ対処してもらわなければならない、このように思うのでありますが、最後にひとつ決意を伺って私の質疑を終わりたいと思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 御指摘の点につきましては新政策の趣旨、法律の示す準則にのっとりまして厳正かつ周到に配慮してまいる所存です。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員長 田畑金光君。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 事務的にまずお尋ねいたしますが、時間の制約もありますので、ひとつ問題点だけをお尋ねしてまいりたいと思いますが、この経理規制法の第二条に規定してありますいわゆる指定会社は現在幾つありましようか。どの会社とどの会社なのか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 改正前の現状では四社であります。個別名称をあげますと宇部興産、日鉄鉱業、松島炭鉱、太平洋炭鉱、これだけでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 今回の法律改正によれば、いままでの指定会社を指定する条件に対しまして、新たに安定補給金を受けた会社にしてまた年産十五万トン以上の出炭量の山を指定する、こういうことになるわけであります。今度のこの法改正によって指定会社が幾ら追加になるのかお尋ねします。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 今回の改正によりまして、安定補給金を受けている会社を指定の対象として追加いたしますところから、これによりまして指定会社は二十社程度になるものと考えております。なお経理規制全体の対象になりますのは、先ほどの再建整備法による規制対象というものを考えますと、これが二十七社くらいという予想でございますので、適用法規は違いまするけれども、経理規制の対象になる社数は四十七社程度というふうに考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 いまの御答弁は、経理規制法に基づいて新しく追加指定を受ける会社まで入れると二十社、再建整備法に基づく指定会社が二十七社、計四十七社にのぼるであろう、こういうことと承りましたが、それでこの経理規制法の改正に関連して、安定補給金を受ける会社にして年産十五万トン以上の会社は追加指定をする、こうなっておりますが、この安定補給金の金額についてはたとえば五億以上であるとか、十億以上であるとか、こういうワクを設定してないのはどういうわけなのか。と申しますことは、従来の指定会社は政府機関からの借り入れ残高が五億という金額の制限があるわけですね。五億以上残額がある。それに十五万トン以上、こうなっているわけでありますが、今回の安定補給金についてはいわば五億なら五億に相当する金額というものはないわけですが、これはどういうわけでワクを設けなかったのか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 現行法では御承知のように財政資金の融資を受けておるということが指定会社になる要件でございましたので、開銀、合理化事業団等から金を借りるといっております場合、これは直接の補給ではございませんので、普通の意味における政策的優遇は行なわれておりますけれども、金融を受けているということだけで指定会社にするという以上は、やはり相当額の融資を受けているという必要があろうということで金額の制限をいたした次第でございますが、どちらかと申しますと、今回の改正はむしろ性格的な問題でございまして、安定補給金という全くの補助金を受けるわけでございますので、これを経理規制の対象に加える、こう考えたわけでございますが、その際、お尋ねは安定補給金であっても融資の場合と同じように受ける額の大小があるのだから、これについても限度をつけたらどうかということでございますが、御承知のように安定補給金は出炭量にリンクいたしておりますので、現行法にございます十五万トンというシーリングがございます限りにおきましては、これを金額表現をいたしましても重複になるだけでございまして、十五万トン以下を対象にしないということは、逆にいいますと十五万トン以上のものにいま定めております安定補給金をかけた金額以上の安定補給金を受けたものということと同一意味でございますので、出炭量による限定を加えておけばあえて安定補給金の額の規定を置く必要はないもの、こう考えた次第でございます。  なお、先ほどの説明で若干補足をいたしますと、指定会社の数をお答えいたしましたが、今回の改正によりまして再建整備法による規制と相並びまして政府の経理規制を受ける会社の数は四十七でございますけれども、出炭量から見ますと大体総出炭量の九三%をこれらの会社が担当いたしておりますので、大部分について経理規制の対象にしたというふうに御理解いただいてよろしいのではないかと思います。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 安定補給金というのはいままでもありましたね。中小炭鉱と再建会社ですね。中小炭鉱あるいは再建会社等についてみますならば、安定補給金、そして年産十五万トン以上、こういう会社が現実にあったわけですが、これはいままで経理規制の対象として安定補給金については考慮の外に置いてきたわけですが、今度新しく出てきた。こういうことはどういうように解釈すればよろしいわけですか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 提案理由のところで大臣から御説明いただきましたように、従来百円ないし百五十円というような程度の安定補給金であって、かつ対象も再建会社と中小炭鉱だけに限定しておったという状況でもございますし、安定補給金の使途につきましても、交付規則によりまして限定を加えておったということをもってすれば、従来程度の安定補給金であれば現行法で差しつかえない、こう考えておったわけでありますが、提案理由に際しまして御説明いたしましたように、三百円、五百円という大幅な安定補給金の増額をいたすことでもございますし、この対象も今回は大手にも均てんさせる、こういうことにいたしたわけでございます。これらのことを考え合わせますと、この際安定補給金のウエートというものが政策の中でも非常に高いものとして位置づけました以上、政策的な平仄という意味合いにおいて経理規制の対象にいたす。ただ事務的な便宜がございますので、十五万トン以下のものは従来どおり対象にしないということで考えた次第でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 いまの局長の論理からいうならば、先ほどの質疑応答の中にも出ておりましたが、答申の中にあります経理区分を明確にすべしという点は、ことしの予算措置を見ましても、元利補給金については百十二億、再建交付金が三十六億余、安定補給金が百二十億余にのぼっておるわけでありまして、したがって経理区分勘定を明確にすべしという答申の趣旨からいうならば、経理規制法の適用を受ける対象企業と、再建整備法の規制を受ける対象企業との問に甲乙の差別をつける理由はなくなると思うのです。だから、そういう意味からするならば、やはりこの際経理区分を厳格にして経理の規制を強化するということは、答申の趣旨から見ても当然の措置であり、それはまた政府としてもなさねばならぬ方向だと考えるわけでありますが、この点についていま一度ひとつ御答弁を願います。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 おっしゃるとおりだと存じます。沿革的に申しますと、再建交付金をめぐって経理区分の議論が行なわれたということではございますけれども、ただいまのお考えのように、経理区分の問題につきましてはこの際根拠法をたがえておりますけれども、双方につきましてこれを義務づけるということを早急に検討いたしたいと思います。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 本法の第三条によれば、利益金の処分について規定しておりまして、利益金の処分の場合は通産大臣の認可を受けなければならない。認可の申請があった場合には、以下かくのごとき条件を備える場合でなければ認可しない、こうなっておりますが、この条文の第三条の適用を現実に受けておる会社というものがあるのかないのか、あるとすれば、幾つあるのか、どういう会符なのか、これを御説明いただきたいと思います。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 二つに分けてお答えをいたします。現在の指定会社で利益を計上しておるものと、今回の改正の追加によりまして新たに指定会社になる予定の会社で現に利益をあげておるものはどれくらいあるかという二つに分けて申します。  前者のほうは、これはもう石炭ウエートがきわめて小さくて、むしろ他事業の兼営で石炭があるという形でしかない宇部興産と日鉄鉱業があります。この二社でございまして、現在の配当はたしか一割だと承知しております。それから新たに指定されることになるはずの会社で現に利益をあげておるものは四社ないし五社という状況でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 今度の新政策によって対策効果がどの程度あるかということに対して、大平通産大臣はこの間の衆議院本会議の中で、大手、中小を問わず、トン当たり九百円前後のプラス面が出てくるであろう、こういうお話がございましたが、そのような政策効果があがったとしてもなおかつ配当のできる会社は新しい今後の指定会社で四ないし五社程度にすぎないという見通しなんですか。私はもっとあるような感じ、まあ初年度あたりはもっと出てもいいんじゃないか、こう思うのですが、どうなんでしょうか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 先ほどお答えしました四ないし五社というのは、現に利益をあげており、したがって法律改正によって対象になることによって、利益金処分の対象になるであろうという会社は四ないし五だ、こう申し上げたわけでございまして、新しい政策による助成策によりまして、今後この政策による助成を受けることによりまして経営状況が好転することに伴いまして、指定予定の会社で現在は利益をあげていないけれども利益をあげることになるかもしれないという会社がどれくらいあるかということでございますと、私どもは的確にはいま把握しておりませんけれども、さほど多いとは考えておりません。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 抽象的な議論になるわけでございますから、そのあたりはやってみなければこれはわからぬということだと思います。そこでこの経理規制法によれば、第三条で利益金の処分について通産大臣の認可、また再建整備法によれば、十二条で利益金の処分について認可、こういうことになるわけでありますが、先ほどの答弁を聞いておりますと、再建整備法については利益金の処分は認めない、経理規制法についてはおおよそ一割を基準にして認めてもよろしい、こういう御答弁であったように承りましたが、経理規制法の三条にも利益金の処分について認可によってできるようになっておるし、同じように再建整備法においても、十二条によれば同様に利益金の処分については通産大臣の認可によってできるのだ、こうなっておるわけですが、にもかかわらずその行政運用の面で、指導の面で、両方の法律について取り扱いを別々になさるという根拠は何なのか。法律的にはこれは同じように取り扱うことができるようになっておるが、実際面の取り扱いとして差別をつける根拠は何なのか、これを明らかにしていただきたいと思います。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 その前にお答えをいたしておきますが、現行の再建整備法によりますと、利益が出る状態に相なってまいりますと、元利補給契約そのものが解除される、肩がわりはそこで打ち切られるという制度でございます。今回施策を定めますにあたりまして、石炭の先行きというものを考えますと、大臣もおっしゃっておりますように、なかなか予測しがたいものはあるのでございますけれども、いろいろの困難が想定される。再建交付金の交付を受ける時点において赤字であることを要件にいたしますと、そのときに受けた肩がわりの効果等のある時点で黒字になった、しかしまた困難性に逢着して赤字になったというようなことも想定されるわけでございます。この黒字になったときに再建交付金の交付を打ち切るということにいたしますと、将来の石炭鉱業の再建を私どもがになわせるべきものと期待しておる会社が特に悪い状態になるということに結果として相なりますので、今回は御案内のように赤字要件を加えておりませんし、再建交付金の交付の進行期間において利益を生む状態になっても、交付金を打ち切るというようなことはいたさないというつもりで、今回の政策をきめたわけでございます。したがいまして、そのような観点からいたしますと、前の再建整備法よりはゆるい形で再建のために政策を考えたという状況でございますので、少なくとも前の法律との関連からいたしましても、国の支出によりまして負債の始末をしてもらうという以上、これはまあ一般的な安定補給金をもらうというような状況とはかなり国の庇護状態が異なっておりますので、これにさらに利益処分をさせるということは適当ではないのではなかろうか。あればむしろ蓄積していただいて、その後起こるかもしれない赤字の用意にしていただくとか、あるいは労働者に対する待遇改善に使ってもらうとか、さらには骨格構造の本格的な形成というものに資本投下してもらうとかいうようなことをすべきじゃないかという考えで、規制法によります利益金処分の認可基準というものと、再建整備法によります今回の再建交付金を受ける対象になります会社に対する利益金処分の認可基準というものは、おのずとそこに差等があってしかるべきではないかというのが現在の考えでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 そういう理屈の立て方もあると思いますが、安定補給金でもこれは国の補助政策であるし、今回の場合の再建交付金というのは、赤字の山であろうとなかろうとすべての山に、希望すれば一定の条件を備える限り適用されるし、また再建交付金を受ける山は安定補給金はそれだけ差っ引かれるということにもなっておるし、今回の安定補給金による援助施策と再建交付金の援助施策を受ける山については、それぞれ均衡のとれた援助施策というものがなされておるわけでありますから、そういう点について見るならば、経理規制法の利益金処分の規制と再建整備法の利益金処分の規制について甲乙があっていいという理論的な根拠はだいぶ薄くなった、私はこういうような感じがするわけであります。まあしかし、その点はもっと私は検討の余地があるような感じもいたしますが、ひとつまたこの点は後日お尋ねすることもあろうと思っておりますので、これは取りやめます。  そこで、先ほど来いろいろ社外投資の問題が出ておるわけです。この点については、経理規制法によれば、事業計画、資金計画の届け出ということを四条に規定しておるので、その段階で規制することもできましょうし、また再建整備法では十三条で、投資及び重要な財産の処分について計画の届け出、これによって事前の規制ができるということはよく理解できるわけであります。  ただ一般論として心配されることは、せっかく国がこれだけの経理上の援助措置をやるが、にもかかわらずそのお金が、その援助がほんとうに石炭の再建のために前向きに生かされないで、別の企業に流れるという心配が、当然これは予想されるわけでございますが、この点については断じてそのようなことは、行政指導なりいろいろな監視あるいは検査等によって防止できるんだ、こういうことが断言できるのかどうか、いま一度ひとつ明確にお答えいただきたいと思います。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 先ほど中村委員にもお答えいたしましたように、国から直接出ます金につきましては、各種補助金は補助金についての一般的な定めに従いまして使途の規制を受けますし、安定補給金等につきましても、交付規則によりまして厳重な規制を加えております。それから元利補給契約に基づきますものは、これは仕組みそのものとして会社に滞留することなく、直接銀行等に払われるということに相なっておりまして、直接の財政資金が他部門に使われるということはあり得ない仕組みになっておりますし、またその仕組みの実効を確保する監査あるいは事前届け出という事柄についても、私は十分できると考えております。  問題はそうではなくして、石炭経営に伴いまして出入りする、いわば売り買いによって生じてくる金というもののフォローというものができるかできないかということでございますが、これはいま先生御指摘のように、規制法におきましては事業計画及び資金計画の届け出ということでございますし、再建整備法におきましては投資等の計画の届け出ということで、十三条によりまして一定金額以上の社外投資あるいは一定価値以上の重要な資産の処分というものにつきましては、計画を作成して通産大臣に届け出るということに相なっておりますので、この実効は、先ほどお答えいたしましたような方針によりまして具体的に処理していくのでございますならば、他から新たに他事業のために金を借り入れるというような事態を除きます限りにおきまして、石炭政策が意図しております石炭鉱業の再建のための諸施策というものが、何らか違った道に流用されるというようなことは起こり得ないというふうに判断をいたしております。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 まあ心配されることは、いま答弁の中にありましたような、炭鉱会社が将来に備えて優良の資産を処分し、あるいは炭鉱から生み出す資金を別会社に流用して、そうして炭鉱から逃避する、そういうようなこともこれは従来はあり得たと思うし、またそれを一から十まで政府の行政監督で規制できるかというと、必ずしもそれはできない面もあろうと考えておりまするが、また逆に石炭の経営を安定させるために、そしてまた石炭の近代化、合理化のために、雇用問題の処理のため等を考慮して系列の会社をつくり、しかも系列会社の出資は炭鉱が握って、そして系列を含んで炭鉱全体の安定をはかっていこう、こういう会社も現にあるわけです。私は常盤におりますので、常盤炭田のただ一つの大手である常盤炭鉱の例を見ますと、十幾つかの系列会社を持っているわけです。一トンの石炭を出すのに四十トンの温泉を排水しなければならない。その排水の温泉を利用して観光会社をつくっておる。そして毎年お湯代として二億円を親会社である石炭会社に入れさせておる。あるいはまた、十幾つかの系列会社はいまやほとんど黒字で、平均七%ないし八%の配当金を親会社の石炭会社に納入させる、そういう形で、石炭そのものの安定、そしてまた雇用の解決、地域社会の経済的な発展を維持する、そういう行き方の会社もあるわけです。ですから、一がいに炭鉱が他の会社に出資してはならぬとかいうようなことは言えない、こう思うのです。こういう点等については、やはり石炭の安定をはかるという立場に立って、そして石炭の資本が系列企業に投資されて、その全体が発展することによって石炭も生きていく、こういうやり方については、また助長すべきことだと考えるわけでありますが、こういう問題についてどのような取り扱いをなされておるのか、これをひとつお尋ねしておきたいと思うのです。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 おっしゃるとおり、抽象的に申しますと、従業員の転職先ですとか、石炭会社の収支に貢献するような形、つまり配当金というような形で石炭の赤字を埋めるとか、あるいはいま御指摘の常盤炭鉱のハワイアンセンターの例のように、保安上あるいは生産上必要な温度の高い水の処理をしなければならない事柄を、逆に収益を生むものとして利用する、いろいろなケースがあるわけでございまして、これは、そういう趣旨に合致して、そういう効果をあげてくれれば、その限りにおいては差しつかえない、こう言わざるを得ないのでございますけれども、よかれと思った事業が失敗するということもございまして、その事柄の成否がどうなるかという判定を私どもがするということは、なかなかむずかしい事柄に相なります。他事業が成功するかしないかという判断は、なかなか私どもとしてはつかみがたい。  そこで、一つの考え方といたしまして、先ほど中村委員にもお答えいたしましたように、かりに他事業のために子会社をつくるといった場合に、その事業をやっていきます上には相当のお金が要ることは、どのような事業をお始めになりましても必ず要るわけでございますので、会社がノーマルな資本金の出資をする、場合によっては現物出資をするということでとどまっており、その事業に対して銀行が金を貸してくれるというのであれば、その事業の将来性というものを、金融機関という、いわば非常に保守的な立場での審査に耐え得たものというふうに考え得ることができるわけでございますし、また、私どもの立場から言いましても、大部分のものがその事業のために金融機関等から援助を受けて始めるのだということであれば、これは差しつかえないわけでございますから、会社側が持ち出すものの大きさと、他からその事業のために借り入れるという形で受け入れるものの大きさのバランスを見ていけば、一つの判断になるのじゃなかろうか。その事業が成功するかどうかという実態的な判断よりも、金融機関——ことばは悪いですけれども、渋い銀行でも貸すというのであれば、よほど収益性があるものと判断していいというような考え方もございますので、私どもは、石炭企業からの資本の投資という形ではなくて、他からの借り入れによって緊要事業が行なわれるということであれば、これは先ほど御指摘のような、成功した場合にいろいろなメリットがあるわけでございますので、これをしも拒否する理由はない、これは大いにしてあげていいのじゃないかと考えております。その辺のかね合いがなかなかむずかしいところでございます。状況によりまして、届け出段階でよく話を聞き、金融機関の判断等も承って処理をするということにいたしたいと思っておる次第であります。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 金融ベースに乗るか乗らぬかということは、企業が信用が置けるかどうかという一番大事な尺度であることは当然のことだと思います。同時に、経営態度なり、あるいは経営者を取り巻く諸般の状況等を顧慮して、ケース・バイ・ケースで善処することが、石炭の安定という見地から見ても必要なことだ、私はこのことだけを申し上げておきたいと思います。  私は、この際、鉱山保安局長もおいでになっておりますので、一つだけお尋ねしておきたいのですが、本年度の保安予算というものが、前年度に比べて大幅に伸びて、十六億七千七十四万九千円、特にこの中で、石炭鉱山保安確保費が十四億二千六百四十二万六千円、その内訳を見ますと、保安専用の機器整備拡充、あるいはガス抜き促進、あるいは密閉促進等々となっておるわけでありますが、特に最近、保安確保あるいは鉱害の未然防止、こういう観点に立って、完全な充てん払いをして採炭がなされておる、こういうような企業のまじめな経営については、当然密閉促進という今度の保安対象の補助の中に入れても差しつかえないんじゃないか、私はこういうふうに考えるわけでありますが、この密閉促進というのは、そういう内容を含んでおるのかどうか、今後通産省としては、保安確保の見地から、いま言ったような問題についてどういう態度で臨んでいこうとするのか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。

橋本徳男通商産業省鉱山保安局長

○橋本政府委員 保安確保の点につきまして、先生おっしゃいましたように、密閉並びにこういった充てん払いということがきわめて必要であるということは、先般いただきました保安の答申にも明らかにされておるわけでございまして、保安上は確かに、こういった払いあとを充てんしていくということが自然発火あるいは山はねの防止といったものに非常に大きく寄与するというようなことで、考え方といたしましては、こういった密閉とあわせて、本来ならば、そういう予算を取るべきであるということは重々承知しておるわけでございます。ただ、密閉と充てんとの違いは、いわゆる充てんの場合に、現段階におきましては工事量を的確に把握することが技術的に困難でございます。したがいまして、密閉の場合におきますれば、密閉の形においての工事量というものが的確に把握し得ますので、補助対象というふうな形にし得たわけでございますが、残念ながら、現段階におきまして、充てんについての工事量の把握が非常に困難であり、これは技術的な問題でございますので、一年間研究をいたしまして、そういった技術的な充てんの工事量把握の方法を見出し得ますれば、明年度以降は何としてもこういったものにもわれわれは助成をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。ただ、この密閉促進という金の中には、そういった意味におきまして充てん工事についての補助金は含まれておりません。しかし最近行なわれております機械充てん等につきましては、かなりな段階まで工事量も把握できるというふうに聞いておりますので、さらに機械充てんその他の充てんを含めまして、工事量の的確なる把握がし得る方法を考えまして、明年度以降はできるだけそういった趣旨に合う政策をとってまいりたいというふうに考えております。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 通産大臣はちと居眠りなさっておられるようだが、私がいま鉱山保安局長に念を押した問題は非常に大事な問題です。今回の予算で保安の予算が大幅にふえたということは、これは保安と生涯の一体的な——これはもう生産の前提として保安の確保、こういう点から申しますれば当然のことだと思います。最近特に近代化の進んだ山において、いま鉱山保安局長がお話しのように、機械による完全充てん払い、こういうことで採炭しておりますが、これは保安の面からだけでなく、地上の鉱害の発生を未然に防止するという意味から申しましても非常に大きな役割りを果たしておるわけで、私はこういうような企業経営についてはそれなりの善処を予算の面からも顧慮されるべきが至当だと考えますが、いま鉱山保安局長の答弁がありますように、今回の予算措置にはないけれども、来年以降については十分顧慮したい、こういう答弁がありましたが、大臣の見解をこの際承っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 これは石炭ばかりでなくて、日本の産業全体を通じまして、技術の水準がだいぶおくれをとっておるということが非常に弱点になっております。とりわけすべての産業を通じまして、機械の開発という問題がたいへん重要な課題になってきておるわけでございます。石炭産業につきましてはいま仰せのとおりでございまするが、さらに大陸だな資源の開発というようなことになってまいりすと、その開発機器の問題が最大のネックになるのじゃないかと思いますので、私どもといたしましては、これからの通産行政の一つの方向といたしまして、いま御指摘の石炭産業ばかりでなく、そういった機器の開発、その普及、そういった点について、保安の観点からも、また生産性向上の観点からも特に力点を置いて、予算上、行政上の措置を講じなければならぬといま心組んでおる次第でございまして、何ぷんとも御鞭撻を願いたいと思います。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 ここで労働大臣にお尋ねしたいわけですが、ちょうど通産大臣もおられますので、鉱山保安行政について四月三日の参議院の社会労働委員会、四月七日の参議院の本会議において労働大臣は、小野明議員の質問に対し、保安は労働省で見るのが労働災害全般とのつり合いから見ても適当であると思う、そういう方向で通産大臣と話し合ってみたい、保安行政を生産官庁である通産省が握っていることについては異例である、こういう趣旨の発言がございましたが、この点について、この答弁にいまでも心境は変わりがないのかどうか、労働大臣のお考えをひとつ承っておきたいと思います。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 お説のとおりでございまして、元来労働災害を担当すべき役所は労働省でございます。ただ異例として鉱山、炭鉱の保安関係が通産省に、これはどういういきさつであったか知りませんが、多年そういうことになっております。それで、本質的にはそうでございますが、多年の慣例で通産省にそれがなって今日に至っておる、こういう次第でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 ただ、労働大臣は異例とおっしゃいますけれども、一体炭鉱について生産行政と保安行政を区別しておる国はどこであろうか、こう思っていろいろ調べてみたところ、アメリカを見ましてもイギリスを見てもフランスを見ても西独を見てもカナダを見ても、石炭の生産と保安とは同じ生産官庁が実はやっているのですね。生産行政と保安行政を分けておる国が実は異例なんです。それは逆なんですね。生産官庁とその保安行政が別々の国はどこかと調べてみたら、インドだけなんですね。だから労働大臣が異例だ、異例だと言われるのは、実はインド一国しかないのです。どうも異例というのは、実は大臣の御答弁が異例な答弁でして、この点はちょっと事実に反する。このことをちょっと考えておいていただきたいと思うのですね。  だから私は、労働大臣としてやっていただきたいことは、鉱山保安法五十四条によれば、労働大臣は通産大臣に鉱山保安の行政について勧告できる、あるいはまた、労働省の基準局長は鉱山保安局長に勧告できる、このあたりで精一ぱい御努力なさったらどうかと思うのですね。  それから御存じのように、石炭鉱業というのは地下産業ですから、生産と保安とは一体なんです。生産技術と保安技術は一体であって、したがって生産施設は即保安施設であり、保安施設は即生産施設なんですよ。そういうことを考えたとき、ただ観念論で生産と保安とは分けたほうがいいのだ、労働災害は全部労働省が握っておるのだから、炭鉱保安も労働省が握ったほうがいいのだというのは私は観念論だと思うのです。私は、その観念論にさすがの労働大臣も引っかかって、やはり生産と保安とは分けたほうがいい、前向きにひとつ通産大臣と話をしてみたほうがいい、こういうように引っかかったのじゃないかという感じがするわけでありますが、自信がありますか。実際労働省が坑内の保安行政を握るということは一体できますか、自信がありますか、私はそのことをお尋ねしたいのです。  特に私は——基準局長うしろで一生懸命大臣に耳打ちをしておるが、何を答弁なさるのかそれはわかりませんが、実はこれは参考までに調べてみたのですよ。採石業というのは、これの労働災害等については基準法に基づいて労働省の所管なんですね。ところで石灰石だとか、もちろん石炭、金属、非金属、こういう産業における災害、特に死亡率などを見ますと、皮肉なことには、労働基準法に基づいて労働省が労働災害を見なければならぬ採石業等がむしろ死亡率は高いし、ふえているわけですよ。逆に通産省が鉱山保安として見ておる業種のほうが災害は減少の傾向にあるわけです。もちろん私はかく申すからといって、ついこの問の茂尻炭鉱の災害など、最近の炭鉱の災害の頻発を見たときにこれはゆゆしい問題である、私はそのことを糾弾することについては人後に落ちないですよ。落ちないが、ただ通産省がいまやっておる保安行政を労働省が持っていったら、その災害が直ちに減少するなどということはこれはたかなか考えられぬことじゃないか。いま指摘したように、労働省が握っておる採石業自体においてむしろ災害率が多いし、そうして死亡率もふえておる、こういうことなどを考えたときに、私は労働大臣が簡単にああいう答弁を参議院の社会労働委員会やほかの会議でおそらく気を張って答弁されたんじゃないかと思いますけれども、いささか実態に即さないものじゃないか、こう思うのですが、もう一度ひとつ大臣の御見解を率直にお聞かせいただければありがたいと思います。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 いま先生のおっしゃったような議論は、私は労働大臣になってから初めて聞くんで、ほかの各委員、ことごとくそうおっしゃるものだから、どうもそういう意見が多いんだなと思って、それほど御希望があるのなら一ぺんひとつ相談してみましょうというだけで、それをどうするかというような決定のことは私は言うておりません。そういう御意見が多いものですから、そういう意見を無視するわけにもいきませんし、多数の委員の方の熱望が本会議でも委員会でもありますから、それでは一応相談をいたしましょう、そこまででございまして、どうするかということは言うておりません。ことにいま所管が通産省にございますので、私がもし労働省へ持ってこようと思っても、それは簡単に自分だけの意向ではできませんので、通産大臣と相談してみましょう、こういうことまででございまして、自信とかなんとかいうのはまだ全然、これからの話です。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 私、労働大臣すなおに言われたからこの辺で追及するのはやめますが、私はこの問題をお尋ねすると相当な時間が必要なんですよ。そうしてまたたくさんの資料も持っておるんです。私はお願いしたいことは、労働災害というのは実に頻発しているわけですね。ところが、その労働基準監督官の数はどうかということになってきますと、たとえば、昭和四十三年を例にとりますと、適用事業者は二百五十三万九千、適用労働者が三千二十四万四千、監督官の数はどうかと申しますと、二千六百五十三名ですね。昭和二十三年度と四十三年度、この二十年問の比較をいたしますと、適用事業者数では五倍ふえているのです。適用労働者については三倍ふえているんです。ところが監督官の数は昭和二十二年度が二千四百八十一名、昭和四十三年度二千六百五十三名、一〇七%、わずか七%しかふえていないということですね。ところがこの産業災害というのはもう言われなくても、おわかりのとおり非常に多いわけです。それで東京などを見ますると、十年間に一つの事業所を監督官が一回回ればいいほうだ、こういうことなんです。だから、労働省としてまず大いにやっていただかなければならぬことは、この労働災害についてもっと実情に即するように御努力を払われることが私は先決じゃないか。ことに、私はこの間の茂尻炭鉱の災害を見に行って、ある家族の人方に対する労災補償の前払い一時金の問題を見ても、葬祭料を見ても、あまりにも現実に即さぬいまの労災保険法の実態、幸いに労災保険審議会においてこの問題についてはいま検討中でありますが、すみやかに結論を得られて、こういう問題について実情に即するような法改正を急いでいただきたい、このように私は希望するわけでありますが、この点について労働大臣の所見だけを承っておきたいと思います。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 御説ごもっともでございまして、私のほうの資料も同じような結果が出ておりまして、災害が案外ふえるし、多いし、それに労働基準監督官の数が少ない。で、これを急にほんとうはふやしたいという希望を持っておるんですが、そう簡単に——今度定員法ができますとなおさらむずかしくなります。そこで、災害の起こりやすいところに、災害のわりあい少ないようなところから労働基準監督官を移すとか、能率をあげてやらすとか、配置転換等をやって善処いたしたいと思っております。  第二の御質問の労災に対する措置がよくないという意見ですが、私どもも災害の際の保険金額が少ないとか、たくさんいろいろ問題がございますので、御説のごとくこれを改正いたしたいと思って、いま労災審議会に答申を求めております。そのうちに答申が出ましたらそれを踏まえまして、改正法案を提出いたしたいと思っておりますから、どうぞよろしくお願いいたします。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 私は時間の関係もありますので、大臣に大まかな点だけをお尋ねしておきたいと思うのですが、現在審議されておる炭鉱離職者臨時措置法の一部改正法案、労働省の予算を見ますと四十三年度は五十億九千万円、四十四年度は七十六億三千六百五十万円、差し引き二十五億四千六百万円ふえているわけです。五割ふえているわけですね。これは石炭予算の伸び率から見ますと、労働省の離職者予算というのが一番ふえ方は大きいわけです。ところが、この二十五億四千六百万の増の中で、産炭地域開発就労事業費補助金、二十五億二千三百万円でありまするから、したがって、労働省の予算のふえ方は、産炭地の開発就労事業の予算がふえた、こういうことなんですね。ところが、この事業予算は、この問社会党の岡田委員の質問に対する御答弁を聞いておりますと、純然たる公共事業でもなければ、緊急就労事業でもなければ、失対事業とも異なるのだというような答弁で、事業性格は一体どういう内容の事業なのか、われわれとしては理解ができぬわけでありまするが、この点についてひとつどんな事業なのか、何をやろうとするのか、何をねらっておるのか、このあたりをひとつ御説明いただきたいと思うのです。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 これを新たにやることになりまして、いまだんだんこまかいところを労働省でも煮詰めてまいっておる最中でございまして、詳細は局長から……。

住榮作労働省職業安定局長

○住政府委員 この事業の目的でございますが、現在産炭地域におきましては、御承知のように従来の炭鉱閉山に伴う失業者が滞留しておる。それから今後も閉山の進展に伴いまして多数の離職者が出るということを考えまして、そういう地域においてこの事業を実施して、そして産炭地域の地域開発に資していこう、こういうような考え方でやっておるわけでございますが、事業の内容といたしましては特にそういう地域の公共事業等の状態、その他の産炭地域の開発関係の事業との関連も考慮いたしまして、当該地域の生活基盤の整備等に必要な事業を実施してみたい。それからそこに就労する労働者につきましては石炭産業の離職者及び関連産業の離職者、こういう方々を中心にして働いてもらうというように大体考えております。  なお、こまかい基準につきましてはいろいろ検討をいたしておる最中でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 これは局長、幾ら聞いても聞くだけの答弁は引き出せないかと思うのですが、これは事業効果に重点を置くのか、雇用の解決に重点を置こうとするのか、いまお話しの滞留者が多いという、その滞留者というのは言うまでもなく若手労働力の不足なのですね。中高年齢層以上の人だと思うのですよ。そういうことを考えてみたならば、いままでの緊急就労事業でどうして処理できないのか。緊急就労事業はだんだん減らしてきておるでしょう。一般の失対事業についても減らしておるでしょう。特別失対事業についても減らしておるでしょう。そういうときに新たに三千二百名ですか、そうして事業単価を相当いままでよりも上げて、こういう事業を持ってこなければならぬという理由がわからないのです。労働省の中でも相当これはいろいろ議論があった予算だと私は聞いておりますが、これは何に重点を置いた予算なのですか。

住榮作労働省職業安定局長

○住政府委員 御指摘のとおり、どちらかと申しますと緊急就労対策事業はもっぱら離職者の吸収ということに主眼を置いている事業でございますが、今回のこの就労事業は、一つは地域開発に資するという目的と、それとあわせて体力のある失業者の暫定的な就労の場を提供する、この二つの目的、五分五分のところで実施しようという事業でございます。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 まことに苦しい答弁で、聞いておるほうがはらはらするのですよ。  そこで、実は昨年の十二月に例の第四次答申が出た直後、われわれは地方公聴会——公聴会というのが正確な呼び名ではないかもしれませんが、県並びに市町村あるいは炭鉱の関係者に集まっていただいていろいろ話を伺ったわけでありますが、福岡県からもらった資料として「筑豊の再開発と特に雇用安定のための開発事業の実施について」これを見ますと、労働省がいま出しておられる予算措置というのは、福岡県がつくった案をそっくりそのまま取り入れてやっているのですね。だから公共事業、緊急就労事業、一般失対事業、こうあげていずれにも該当しない第四の事業として、これを福岡のほうでは福岡の知事が考えられたかどうか知らぬが、知事も副知事も議長も労働省の出身ですから、エキスパートの人が集まっているからこれぐらいのことはできたのか知らぬが、福岡県でつくったものがたまたまこういう法律となって出てきたのか、それとも労働省がつくって、考え方がたまたま福岡県のほうも同音をしてこういうような案になったのか、どっちなのですか。

住榮作労働省職業安定局長

○住政府委員 御承知のように、産炭地域で非常に深刻な地域の一つは福岡県、これは御承知のとおりだろうと思うのですが、いろいろ福岡県でも構想なり、今後の石炭離職者対策あるいは開発計策をお考えになったことも事実でございます。と同時に、今回の石炭の答申案におきまして、緊急就労事業とかあるいは失業対策事業というようなことではなくて、やはり地域開発をも考えた事業というものを考えてもいいのではないか、このような内容の答申もあるのであります。従来の緊就の経験その他産炭地の実情等もいろいろ考慮いたしまして、こういう事業を労働省として考えまして行政要求をいたして今後実施する予定にいたしておるのでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 労働大臣に端的にお尋ねいたしますが、いまの局長の御答弁を聞いておりますと、その種事業であるならばせっかく産炭地域振興事業団というものができているわけですから、これは通産省の監督だなどというようなけちなことをおっしゃらないで、産炭地域の振興ということならば事業団にやらしても一向差しつかえないのではないか。また事業団としても相当歴史を持って実績をあげてきているわけだから、こういうようなところでやらしたほうがより効果的ではないかと思うのですが、しかしせっかく予算として出ているわけでありますから、またそれなりに労働省は労働省の立場で努力をされることにより妙味も出てこようと思っておりますが、この予算の運用についてはこの間念は押しましたが、単に筑豊というような考え方ではなくて産炭地域全体を対象として考慮しておられるものと考えておりますが、この点についていま一度大臣の見解を承りたい。  時間の関係がございますので、第二にお尋ねしたいのは、二十五億余の予算がとられておりますが、各炭田別あるいは各産炭地域についてもうすでに金額の配分等についても事務局内ではなされているのかどうか、後段については局長から御答弁をいただきます。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 この間も申し上げたとおりでございまして、この炭鉱の離職者その他等とこういう事業を労働省がやりたい、それでこれを単なる福岡だけでなくて、筑豊だけでなくて、全国に及ぼすのかどうかという質問でございますが、いま労働省で一定の基準をきめまして、その基準にはまるかどうか、それからはまったところはやろうじゃないか、こういうところでだんだん話を進めておるところでございます。

住榮作労働省職業安定局長

○住政府委員 先生の後段の点でございますが、いま大臣が申し上げましたように、大体六条地域に実施するということを考えておりますが、その地域のうちでどの地域に実施するかということにつきましては、一定の基準を立てまして、その基準に合致する地域、さらにその合致した地域であっても、事業効果あるいは労働者の就労効果等を見て事業の実施をきめていきたいと考えておりますが、現在その基準を検討中でございまして、どの地域にどうするということは全然きまっておりません。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 私は大臣にもう一度お答え願いたいと思うのですが、基準のとり方いかんによっては筑豊だけになることもあり得るのですね。しかし、私はこの予算のよって出てきた経緯と、また先般来大臣はじめ局長の答弁の精神から見まするならば、いみじくもこの間、井手委員が言われたように、法のもとの平等、こういうことばで指摘されましたが、十分この辺は配慮すべきであると考えますが、いま一度大臣の御見解を承りたい。  さらに、基準もこれからきめるのだというお話でありますが、まああまり言いたくもないのでありまするが、この予算はすでにわが地方にこれだけきますよという発表をなさった先輩代議士もおられるわけでありまするが、まだきまっていないのですか、この点どうなんです。もう新聞では、福島の場合などは、何ぼ予算がくるということでもうちゃんと報道されているので、じゃ、ひとつ今度はこっちに予算を回してもらおうか、そっちに回してもらおうかということで、市町村当局はそれぞれ作業を始めておるんですが、事務当局の中ではできておるのでしょう。この国会では答弁できないということなんですか、どうなんですか。まず最初に大臣の御答弁、その次局長……。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 筑豊だけにきまっておって、基準を適当にこしらえて筑豊だけにきめるのであるかというようなことでございましたが、いま先生のおしやったような観点から万事考えて善処いたしたい、こう思っております。

住榮作労働省職業安定局長

○住政府委員 私、いま先生からのお話、初めてでございまして、先ほども申し上げましたように基準の検討中でございまして、その基準すらできていない、決定してない段階で、地域あるいは金額等はきまりようはずがないわけでございます。

田畑金光民主社会党

○田畑委員 質問を終わります。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員長 大橋君。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 ただいま田畑委員が質問しておりました産炭地域開発就労事業の問題は、私もかなり疑問を持っておるわけでありますが、大体労働省としてその具体案を出すのがあまりにもおそ過ぎると思うのです。そのためにかえって不信、疑惑を抱かしているのじゃないか、もっとすっきりしたほうがいいんじゃないか、まずそれを要望して法案の質問に移りたいと思います。  新石炭政策の方向と、それに加えまして最近炭鉱災害が相次いで発生しております。いよいよ従業員の離山ムードに拍車がかかってきたというような感じを受けるわけであります。事実、明治、杵島、麻生などの大手炭鉱の閉山問題が炭鉱界を大きくゆらしているわけでありますが、かなりの閉山は予想せねばならないだろうし、また覚悟せねばならないだろうと私も考えます。このような現状に際しまして、労働省としてはいわゆる離職者対策に万全を期されていると思いますけれども、そのことについてはあとでゆっくりお伺いしますが、まず初めに通産省にお尋ねいたします。  明治、杵島、麻生など、閉山問題がたいへんこじれているように感ずるわけでありますが、通産省の御意見をまず聞かしていただきたいと思います。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 御指摘のとおり会社単位で解散せざるを得ない状況に逢着しております数社につきまして、会社側が労働組合に提案をいたしました時点での閉山ないし解雇という問題の話し合いが、十分にまだ落着を見ておらないというのは御指摘のとおりでございます。この問題には、全部ではございませんけれども、一部には山の存続をめぐっての見解の違いがございます。労働者側としては、山を閉ざされては困る、この山はまだやりようによって再建可能なんだという観点で、閉山をがえんじない。これに対して経営者のほうでは、やりようがないということから閉山提案をしている。こういう問題が一つございます。これはもちろん問題になっております会社の全部じゃございません、一部についてそういう問題がある。二番目の問題は、閉山の場合の労働者の処遇についての問題でございます。最も労働者諸君にとって関心の高い退職金の問題について、まださだかでないというところが、一つ問題点であります。そこで後者につきましては、実は会社が払える退職金というものは、御案内のようにほとんどゼロにひとしい状況でございます。帰するところ、国が今回の企業ぐるみ閉山というときに、労働者債権に対してどういう処遇が与えられるかというところがポイントでございます。いままでのところ、私どもも中小商工業者を中心にする一般債権あるいは鉱害債務、金融債務というものよりもより高い処遇を労働者債権に与えたいということで、大ざっぱに七五%と五〇%ということで、国会等で御返事をいたしてまいった次第でございますけれども、具体的に閉山、解雇ということになりますと、自分は一体どういう計算でどれくらいのものをもらえるかということが問題にならざるを得ない。またその気持ちは無理からぬものがあろうかと思っております。法律問題を別にいたしまして、実はどういう労働者債権に対して国の交付金を出すか、特別交付金の場合でございますので、内容といたしましては政省令段階に入る内容をまだ私ども実はごく最近まできめていなかったという実態が、この労使の話し合いをむずかしくしておるというのが本質だろうと考えております。最近私のほうではいろいろ労働組合側の意見も徴しまして、かつ交付金にかかわることでございますので、財政当局とも相談をいたさなければならぬところがございまして、鋭意詰めてまいりまして、ようやくいま成案に近いものを持っておる状況であります。ごく微妙な段階でございますが、これを明らかにする時点が非常に近いと考えておりますので、これを提示することによって急速に話し合いが妥結するということを期待をいたしておる状況でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 局長の答弁では、そういういろいろの問題をまとめるための成案が近くまとまり、それを公表する段階に来つつあるということでありますので、それはそれにおまかせしますが、とにかく炭鉱労働者は、いま言われましたとおり、特に退職金あるいは賃金、社内預金等、要するに自分自身の当然もらえる賃金債権のことについては異常なほどの関心もありますし、またそれを解決することが大きなポイントではないか。私もその点は同感であります。  もう一つの心配は、この大手三山が閉山になるということで、なだれ現象を起こすのではないかというのがもっぱらうわさされておりますが、そのような懸念はありませんか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 これはなだれ現象ということのとりようでございますけれども、どういう事態をなだれ的な現象と見るか見ないかということでございますが、三社の解散を契機にして、存続可能な会社あるいは炭鉱が、あの辺がやめるのであればもうわれわれも長期的に無理な努力はしたくないということで、相次いで閉山の決意をするということになるということをなだれ現象だと考えますと、私はさようなことにはならぬのではなかろうかと思っております。しかし実際問題といたしまして、この四月以降にかなりの量の閉山が起こるということがなだれ現象であるというふうにもし理解をいたしますならば、これは私はある程度の閉山は起こる、こう考えざるを得ないわけであります。と申しますのは、先生方御承知のように、昨年の春以来石炭鉱業審議会で、四十四年度をスタートとする新しい石炭対策というものの審議を去年の暮れまでかかりまして答申が出、政府がそれを受けまして予算と法律の準備をしていま国会に臨んでお願いをしておる、こういう状況でございますので、その問小一年と申しますものは、閉山につきましてどれくらいの助成になるのか、あるいは再建のためにどのような助成策が講ぜられるのかということが未決定であったわけでございますので、もう少し前の時点から申しますと、私の感じでは約一年半、新しい政策が出ることは必至であるけれども、その中身がわからないということで、経営者が進退を決しかねる状況の時間というものが一年半あったわけでございます。そこで同じ閉山必至であるという前提におりましても、社会的な摩擦を回避する、従業員にできればより多い退職金を差し上げ、長年取引で御迷惑をかけた取引先、中小企業者に幾らかでもいい条件で山を締めたいというのは、良心的な経営者としては当然のことでございますので、閉山措置についての新しい政策を待っておったというものがかなりございます。そういうものが出てくることは事実でございまして、予算で私どもが予定しております四十四年度三百八十万トン前後の閉山は、これは予定もいたしておりましたとおりおそらく出てくるものと思っております。このことをなだれ現象だ、こうお受け取りになりますと、実は私どもの気持ちからいたしますとたいへん事柄が違うのでございまして、やめることをやむを得ないと労使が考えておったものが表面に出るということでございまして、数社大手の会社に引っ込まれて精神的にまいってしまって、やれるものも元気を失って解散にいくというようなことは私はないものと信じております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 今度の新石炭政策は内容には多少疑義がありますけれども、いずれにしましても今度の再建整備法、合理化法等の中に組み込まれて近く審議され、それが実施されるものと私は思っておりますが、閉山通告の時期によりましてこの新政策の恩典に浴するといいますか、その時期がきめられると思うのです。その分岐点といいますか、それはいつに当たるのでしょうか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 ちょっと私いま該当条文がすぐ出てまいりませんので後ほど調べてお答えいたしますが、ある時点遡及を認めておりますので、所定をいたしておりましたものが新しい政策の助成を受け得ないということは実態的にはないように実は措置をいたしておるのでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それじゃ具体的にお尋ねしますが、筑豊の古河鉱業ですか、ここに二つの山があるわけですが、何かとうわさがなされておるのであります。これはこの新政策の恩典を受けられるか受けられないのかというようなうわさもありますし、そのまま延びるのか延びないのかということもいわれておりますが、そういう点についてお答えできれば……。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 具体的なお尋ねでございますので、私は二山というのは直ちに思い起こせないのでございますけれども、目尾でございますと、これは四月の二十七日でございますか、たしか労使間の話し合いがその時点での閉山ということに相なっておりまして、これは会社側も労働組合側も当然のこととして新しい政策での閉山ということを期待いたしておりますし、そのとおりなわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 下山田のほうはまだだいじょうぶなんでしょうね。これはこまかいことであれですけれども。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○中川(理)政府委員 下山田のほうは私どもまだ承知はいたしておりません。  なお先ほどすぐお答えができなかったのでございますが、本年二月十五日以降一般閉山交付金の交付を申請した企業にはすべて新しい炭価が適用できることにいたしております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは労働省にお尋ねしますが、いよいよこのように炭鉱離職者が続発することが予想されますが、まず炭鉱離職者は産業保護の立場からも産業内転換といいますか、これに強力な措置をとらねばならない、私はこのように思うのです。さらに身体障害者、未亡人などの方々に対してきめこまかい配慮が必要だと思いますが、こういう点について、労働省としてはどのような考えを持っているか、お尋ねいたします。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 方々の炭鉱が閉山されるに伴いまして、離職者も出てまいりますので、私ども非常に心痛いたしておるところでございます。それでお説のごとく、そういう離職者が出ましたならば、まず他の炭鉱のほうへ就職をあっせんする、これが第一でございます。  第二はその他の企業へあっせんをいたします。さらにもし職業訓練を必要とされる向きがございましたら、年齢その他によりますが、職業訓練もいたしたい。その他身体障害者を採用する等々万般の手配をいたしたい。かなりの離職者が予想されるのでございますが、過去五年間の調査をしてみますと、離職者の九〇何%、ほとんど全員再就職をいたしておりますので、その経験を生かして、今後とも離職者が必ず再就職するように万般の手配をいたしておるところでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いまの九〇何%ほとんど再就職したという話ですが、これは再就職してまたすぐやめた人は入ってないのでしょう。これは非常に問題点ですから、これはあとで、時間がございませんので次に移ります。  炭鉱離職者の転職訓練として雇用促進事業団による総合職業訓練所がありますが、現在どの程度の効果をあげているのか、訓練効果ですが、その点をひとつお願いします。  また大量離職者の受け入れ体制は計画的にできているかどうかということ。

塩田晋労働省職業訓練局訓練政策課長

○塩田説明員 御説明申し上げます。  炭鉱離職者に対します転職訓練につきましては、石炭鉱業審議会の答申の、離職者に対する雇用対策の趣旨を尊重いたしまして、訓練の実施に当たりましては、離職者の希望、適性、労働市場の状況等を十分考慮いたしまして実施しております。公共職業訓練所における訓練のほか、民間にございます、たとえば自動車教習所といったようなところにも訓練を委託しております。このようにいたしまして、希望者に対しましては、適時適切な実情に即した訓練を行ないまして、離職者の安定した就職に資するようにつとめておるところでございます。  計画の面におきましては、四十四年度四千百六十人という計画数でございます。昨年同様でございますが、昨年の実績から見ますと、この計画を若干下回っておりまして、今後に予想されます大量の離職者に対します対策といたしましては、まだまだ余裕がございますので、対処できると考えております。なお、それ以上に大量に離職者がありました場合にも、職業転換給付金等の制度もございますので、十分に活用して、これに対処できるものと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 実例をあげますと、ことしの飯塚の総合職業訓練所に四月に入所しているわけでありますが、たとえば炭鉱関係だけ申し上げますと、自動車整備科に、定数が二十名なんですけれども、応募者は十四名、そして入所者は八名だったというのです。塗装科は定数が二十名で応募者は三十五、そして入所者が二十九、また建設機械科は定数が三十で、これは応募者も三十、そして入所者は二十三。所長さんの話によれば、四月中にはこの定数は埋まるのだという話ではございましたけれども、なんだか離職者がたくさんいるわりにこうした定数を下回るような入所の実態を見ますと、またその訓練所のあり方、内容等、PRが足りないのじゃないか、こういうふうに感ずるのですけれども、そういう点はどう思われますか。

塩田晋労働省職業訓練局訓練政策課長

○塩田説明員 飯塚の総合訓練所におきましては、先生御指摘のとおりの状況でございます。ただ、炭鉱離職者であって転職訓練を受講することを希望する者に対しましては、十分に対策ができておるというふうに考えているわけですが、ただ一つ問題点は、入所時期の問題がございます。四月及び十月という二つの時期に入所するというたてまえになっておりまして、その点で、炭鉱の閉山の時期が十月ないし四月と合わないという問題につきまして、若干の待機をしなければならないという問題がございます。これらに対しましても、実情に応じまして適切な措置をするように、いろいろ配慮をしておるところでございます。たとえば入所時期につきましての等差循環方式というものを検討いたしておりまして、その指導をしておるところでございます。また、待機期間中につきましては、マル炭手帳の所持者につきましては、もちろん就職促進手当が支給されますので、これによりまして入所時期に合わせるということが考えられておるわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 入所時期がきまっているために閉山と符合しない場合、ある程度滞留期間が起こるという話でございますが、やはりこれから大量に出てくるわけですから、いわゆる臨時入所といいますか、つまり、等差循環方式というものが研究されているというお話でありましたけれども、これは大いに研究を進めて実施しなければならぬ。現にこれを事実やっているところがありますか。等差循環方式というものをやった経験はあるのですか。

塩田晋労働省職業訓練局訓練政策課長

○塩田説明員 これはまだ研究段階でございまして、実際炭鉱離職者を対象として行なっておるところは目下のところございません。過去においてはテスト的にやったケースもございます。これは大量の失業者が出たものにつきまして一時行なったこともございますが、その後、先ほど申し上げましたような計画数をかなり下回るような状況でございますので、目下のところ行なっているところはございません。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 そうした状態に備えまして、指導員の増員とか、あるいは教室の増設など必要になってくるのではないか。いま、計画よりもまだ下回っているから大丈夫だというような話ですけれども、実際の炭鉱離職者の予想から、それ以上に上回るのではないかという懸念もありますので、その点私はお尋ねしているわけですが、現在訓練所の教室というものは一職種一教室になっております。これは別の総合訓練所でありますけれども、実際に見てきますと、総合の訓練所は八職種ありましたが、ところが、クラスは二十二クラスあるのです。八教室ではとても勉強ができない。そういうようにたいへん不合理を感じながら訓練を受けている事実を見てきたわけですが、一クラス一教室、このような方向へ進むべきではないかと思うのですが、この点についてはどうですか。

塩田晋労働省職業訓練局訓練政策課長

○塩田説明員 先生御指摘のとおり、一クラス一教室というのが最も望ましい姿ではございますが、全国的にはまだ十分これが実現されていないという状況でございます。これに対しましては、先生御指摘のとおり、その実現のために——予算を伴う問題でございますので、毎年予算の増額をはかっていただきまして、漸次整備が行なわれておるところでございます。総合訓練所につきましては、今年度七カ所の新増設でございます。また、一般訓練所におきましても、五訓練所の増設が認められております。また、その他、既存の訓練所の設備の増設あるいは職種の増加につきましても、毎年相当のものが増加を認められております。  こういたしまして、漸次そういったあるべき姿に近づけるように努力いたしたいと思っているわけであります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いまの局長の答弁のとおりに、大臣もそれは賛成ですね。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 賛成でございまして、来年度予算要求をいたす考えでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 予算調整の問題ですけれども、毎年いわゆる予算の調整が行なわれるわけですが、その訓練所の場合、人件費は別としましても、実習教材費あるいは機構維持費などはその年の実習収入ですね。実習収入の額に見合ったものが配分されるということを私は聞いたのですがね。これは非常に問題点があろうと思います。つまり、訓練所というものは営利会社ではないわけですから、そうしたことで予算がきめられていくということは問題点ではないか。といって、一面そうした実習収入というものが全くなくなるというようなことでも、研究、就業の意欲といいますか、そういうものがなくなることも考えられますし、非常にこれは微妙な問題だと思いますが、この点どう考えられますか。

塩田晋労働省職業訓練局訓練政策課長

○塩田説明員 御説明申し上げます。  職業訓練は先生も御承知のとおり実技実習に重点を置いて行なっておるところに職業訓練と学校教育との大きな違いがあるわけでございます。職業訓練が、実技実習に重点を置いている点に大きな特色があるわけでございます。実技実習の中でも豊富な経験を持たすためには、たくさんの種類の製品を製作する等の応用的な実技実習、これに訓練時間の多くを当てているわけでございます。これらの実技実習によりまして、製品価値があるものをつくっておるわけでございまして、その処分によりまして、当然製品の売り払い代金等が入ってくるわけでございます。これが実習収入の一部に充てられておるわけでございます。こういった実習収入にあまり過大に依存いたしますと、先生御指摘のような弊害も出てまいりまして、職業訓練の本来の性格がゆがめられるという点がございます。そういったことのないように、十分に注意いたしまして運営をしていく。また現に行なわれておるところでございまして、今後とも実習経費の増額につきまして、これも予算的な問題でございますので、漸次努力いたしたい、かように考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 時間がございませんので、次に移りますが、たまたま八幡と飯塚の総合職業訓練所のパンフレットを手にすることができました。ここに入所案内の内容がずっと列記されておりますが、非常に不可解と思うことは、同じ訓練所の案内でありながら、名称がまちまちなんです。たとえばAという訓練所のほうは職業転換訓練生とか、あるいは特別訓練生、この訓練を受けている者には、一日について百五十円、それから「(近距離百十円)の技能習得手当が支給」される。こうあるのですが、もう一つのBのパンフレットを見ますと、「訓練受講手当が一日につき百三十五円支給」、それから「通所手当が月額最高二千円まで支給される。」このように、よく似た表現でありながら金額が違うし、また全然違ったものではないかなと思うような表現があるのです。このほかにもいろいろあるのですが、こういう点はどうなんですか。  まず最初に聞きたいことは、片方は特別訓練生、職業転換訓練生、これについて一日に百五十円支給される。また片方は、訓練受講手当というのは、一日に百三十五円とあるのですが、これは同じですか、違うのですか。

塩田晋労働省職業訓練局訓練政策課長

○塩田説明員 御説明申し上げます。  訓練手当の額につきましては、基本手当、技能習得手当、通所手当といった種類がございまして、これによりまして今年度の場合には二万一千四百五十円支給される。これが月平均の手当であります。この額につきましては、法律によりまして支給されるところでございまして、支給対象者によりまして額は違う場合もございますが、これは全国一律の法律に基づく支給手当でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いま「通所手当が月額最高二千円まで支給される。」とBの訓練所では表現をしてあるのです。ところが、Aの訓練所は「(近距離百十円)の技能習得手当」とあるのですよ。近距離というのですから、距離も問題ですが、通所手当の中に含まれるのではないかという感じを受けるのですが、これは別ですか。

塩田晋労働省職業訓練局訓練政策課長

○塩田説明員 そのパンフレットの中に具体的にどう書いておりますか、いま手元にございませんので、後ほど調査いたしまして御説明申し上げたいと思いますが、ごく近距離の場合は通所手当というのが出ないのが原則でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 きょうは次の委員会が待っているそうで時間がないようですから、この問題は留保しまして、あしたの委員会で続いて行ないたいと思いますので、委員長にそのことをお願いします。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員長 次回は、明十七日木曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十七分散会

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