商工委員会産業構造並びに貿易対策に関する小委員会 第1号
- 発言数
- 47 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/07/10
会議録
○小宮山小委員長 これより会議を開きます。 私、このたび産業構造並びに貿易対策に関する小委員長に選任されました。各位の格別の御協力をお願い申し上げます。 産業構造並びに貿易対策に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、これを許します。増岡博之君。
○増岡小委員 大蔵省からお三方お見えいただいておりまして、どなたからお答えいただいてもけっこうだと思うのでございますが、戦後、国際通貨基金の制度が、貿易の拡大、均衡、助成のために、主として為替の面でいろんな作業をしてきておられるわけでございますけれども、そのことにつきまして、また特に特別引き出し権の問題につきまして、後ほどお尋ねいたしたいと思うわけでございます。 最近の状況が、世界じゅうが高金利であるということがいわれておりますし、米国のプライムレートも上がったわけでございまして、きのうの夕刊を見ておりますとさっそく日本の商社にも金利の引げの要請が米国の銀行からあったというような状況でございます。この金利を上げたという米国の政策、あるいは今後の見通し、また現在のところ短期資金のみであるように思うわけでございますけれども、これが長く続いた場合に、長期資金にも波及することがあるのではないかということも心配せられるわけでございますが、その点の概括的なところを次長さんからちょっとお話しいただければと思うのでございますが。
○奥村説明員 先ほど世界的な高金利のお話がございましたが、去年の暮れと現在と比べてみますと、世界の主要国の中で公定歩合の上がってない国は日本だけでございます。それほど高金利がいま世界じゅうを支配しているわけでございます。その原因は何かと申しますと、まず第一は、アメリカの財政金融政策に基づくのではないかと私どもは考えております。すでに先般来、アメリカの国際収支が非常に問題になっております。アメリカの国際収支の問題というのは、ひとりアメリカの問題だけではなくて、国際基軸通貨であるドルの信認に非常に影響がある。そういう意味において、何とか早くアメリカの国際収支を健全な方向にもっていかなければならぬ。そのためには、波打ちぎわで貿易制限その他の直接統制に訴えることなく、財政金融政策をもって正攻法で経済の過熱を修正するということが必要ではないか。私ども非常にアメリカの経済と関係の深い国といたしましては、あまりアメリカの経済が急激に冷却するということになりますと、日本の輸出あるいは世界全体の貿易に響いてまいります。したがって、徐々にアメリカ経済が過熱状態からさめるということが、国際通過体制の安定の上から申しましても、あるいは世界経済の順調な成長の上から申しましても必要ではないかというふうに考えているわけであります。 そういうものの一環といたしまして、いま金融が引き締まっておりますアメリカの銀行は、ヨーロッパでユーロダラーをずいぶん取り入れておるわけであります。これがユーロダラーの金利を引き上げる大きな要因となっております。 もう少し詳しく申しますと、ヨーロッパの主要国の商業銀行は、国内で資金を運用するよりも、ドルを中央の通貨当局から買い入れまして、あるいは中央通貨当局にドルを売らないで自分で持っておりまして、これをユーロダラー市場に放出する。そうすれば、御存じのように現在一一%幾らというような高い金利がかせげるということで、ユーロダラー市場は非常に活況を呈し、しかも金利は高くなっているというのが現状であります。 ところが、そういうふうな状況がここ数カ月続いてまいりましたので、たとえばベルギー、イタリア、フランスなどもその一つに入ると思いますが、銀行が外国に対して持つ債権の残高について統制をするというような措置をとるに至っておるわけであります。言いかえれば、ユーロダラーに流出するために外貨準備が減っていっている国があるわけです。そういう国においてはユーロダラーにあまり金を出さないように統制をするというような事態がたくさん出てきている。これがまたユーロダラーの資金量に影響いたしまして金利が上がるということになる。特にこの六月という月は一年のまん中の月でございますので、決算期の一つに当たるわけであります。そういう意味でユーロダラーを引き上げる国もかなり出ておるということで、振り返ってみますと、六月じゅうというのはユーロダラーの非常に高い月でございまして、これを受けて、先ほど申しましたように各国は、ユーロダラーの放出を政府が統制するという手段に訴えるものあり、また公定歩合を引き上げるという手段に訴えるものがあり、いろいろな方策をもって高金利に対処する、みずからを守るというかっこうに出ているわけであります。これはいろいろの点でいろいろな議論があると思いますが、アメリカの経済の規律をしっかりさせるということについては、ヨーロッパ諸国の一致した意見でございますので、このように金利が上がっている点について、あるいはユーロダラーという形で中央準備が流出している点については、いろいろと問題があるのでありますけれども、しかしやむを得ない一つの状態であるというふうに見ている。もちろんアメリカもこれに対して、先般発表されましたように、準備率というものを本支店関係のユーロダラの取引にも適用するという手段をとっておりますけれども、しかし、これはそれほど大きな効果がいますぐ出てくると私どもは思っておりません、アメリカの金融問題は、やはり現在あるインフレ心理というものが鎮静する、それによって高い金利で金を借りるという気分がだんだんとなくなっていくということによって、アメリカの資金取り扱いというものが少なくなり、ユーロ金利というものが下がり、安定した状態に進んでいく、これはこれからの一つの懸案でございまして、金融だけに重荷をかけるというのは問題でございますので、例の付加税というものをぜひともやりたいということで、アメリカ政府はいま非常な努力をしているように私どもは聞いているわけであります。この高金利というものはやはり正常な状態でございません。世界が順調な成長を遂げるためには、こういうふうな異常な状態というのは望ましくないわけでありす。日本は幸いにいたしまして、先ほど申しましたように、公定歩合を上げるような必要性にいま立ち至っていないわけでありますが、これは日本銀行当局が国内の円の流動性というものをあまりふやさないような政策をとっております。昭和四十一年ごろに起こりましたようないわゆる多額の円シフトというものは起こっておらぬわけであります。そういふ意味でわれわれの外貨準備には、内外の単純な金利の高さの比較からくるような、そういう円シフトというものは起こっていないのでありますが、先ほど御指摘になりましたように、鉄鋼業界その他業界においては、輸入のユーザンス金融を外貨によらないで、円でやってもらいたいという要求があるわけであります。内外の金利というものはときによって円が高くなり、ときによって円が安くなるというのが通常でございます。現在は確かに外貨ユーザンスの金利は高くなっている。円のほうは一般並手金利も、優遇金利というものも安いわけであります。こういうものを絶えず安いほうの金利を採用してほしい、安いほうの金利によって金融を受けたいということは、やはり経済人として当然望むことではございますが、しかし先ほど申しましたように、一般的に円の流動性について、非常にきつく締めてはおりませんが、かなり注意深い態度をとっておる日銀当局としては、外貨を返し円を使うことについて、完全な流動性を与える、流動性の増加を認めるというところまではいっていないわけであります。したがって、この円シフトの問題は、言い分はいろいろとわかるわけでありますが、ひとつ各銀行と商社、メーカーその他が話し合うことによりまして、外貨準備に急激な影響を及ぼすことなく、漸進的な形で、しかもそのときどきの事態に合うような方向でうまく処理が行なわれるということを、日本銀行も期待しておりますし、大蔵省も期待しておるわけであります。おそらく問題は基本的にはどちらかの明快な形で解決できるというか、快刀乱麻を断つような形で解決はしないと思いますが、しかし問題は幾分いい方向でうまく処理をし、この際若干の計画的な円シフトというものは行なわれるのではないかというふうに考えております。
○増岡小委員 次長さんは何かお急ぎですか。
○奥村説明員 十二時から別の国会関係がありますので、それまでございましたら、いかようにでも、ここにおりますから、ひとつ御質問いただきたいと存じます。
○増岡小委員 米国のいわゆる過熱を冷やそうという政策はもちろんわかるわけでありますが、日本といたしましては、あまり長くこの高金利状態が続くと、向こうの投資意欲が減退するというようなことから、輸出が減少するのではあるまいかという、産業界の遠い先の心配であるわけでありますけれども、米国がそういう政策をとるに至りました経過といいますか、とるに至った事情といいますか、国際通貨基金のいわゆるSDRの合意に達する前に、いわゆる赤字国がそれぞれ努力をしろという意見があったように聞いておるわけでありますが、そのことと今度の増税その他の米国の政策というものが、かなり関係があるのではないか。関係があるとしますと、SDRを今後どんどんとふやしていきたいというのが日本側の立場であろうと思いますけれども、そのことについて相当抵抗があって、非常にむずかしい問題が出てくるのではないかというような感じを持っておるわけであります。 またユーロダラーの現状、その分析といいますか、ごくかいつまんで簡単に御説明いただきたいと思うのであります。
○奥村説明員 初めに御質問のございました件は、流動性と経済運営の節度との関係いかんということであろうと思います。実は五年前に十カ国蔵相会議というものが開かれました。日本もその一員でございますが、国際的な主要工業国が最初から議論いたしましたことは、通貨体制の安定というものは、何といいましても一番大事なのは経済運営の節度であるということでありました。特に赤字の国は財政金融政策等によって、みずから規律ある経済の運営をしなければいかぬ、それに対して黒字国というのはどうあるべきかと申しますと、黒字国があるから赤字国あり、赤字国があるから黒字国があるのでありますから、協調的な態勢をとってもらわなければいかぬというような議論があったわけであります。そういうようなことで、アメリカのこれまでとってまいりました政策は、節度ある経済政策をとるということが、アメリカが国際通貨制度の中で基軸通貨国でありますので、その必要性は特に大であるということの結果当然であると私どもも思うのであります。SDRというのは流動性をふやすという問題であります。一見この両者の間には矛盾があるようでありますけれども、過去十数年間をとってながめますと、現在は世界じゅうの公的準備資産というものは七百六十数億ドルあるのでありますが、しかし過去において毎年公的準備資産というのは二・五%くらいずつ伸びてきている。それに対して貿易は八%くらい伸びてきているわけでございます。二・五%であれ各国の通貨準備が伸びてきたということは、これは一つは金が増産せられ、毎年生産せられてこれが工業用あるいは保蔵用、中にはスペキュレーションもございますが、そういうことで全体としての国際流動性のプラスになってきたということもございましょう。もう一つに、アメリカその他の主要基軸通貨国が赤字を出してきたということが一つあると思うのです。赤字を出すについては、最初はマーシャルプランその他によって出してきた時代もございますが、しかし国際収支をまっかにして出したという事態が最近の情勢でございます。ところが、金のほうは御存知のようになかなかいろいろな問題がございまして、二重価格制度というものを現在とるに至ったわけであります。そういう意味で新しく中央準備の中に金が入ってこない。アメリカは、先ほど申しましたように規律を立ててまいりますから、アメリカから赤字をこれから期待する、それによってドルが中央準備をふやすという形をわれわれ期待するということはむずかしくなってくる。そこでSDRというものをつくって——このSDRというものは世界経済がインフレにもデフレにもならないようなそういうふうな量をみんなが相談してつくっていこうじゃないか、こういうことでSDR制度が生まれる前夜に現在あるわけでございます。 最後にお尋ねありましたユーロ市場の問題でございますが、ユーロ市場は、現在いろいろ金額の推定はございまして、二百数十億ドルはあるんじゃないかというふうにいわれております。これはやはりヨーロッパその他の国が経済力がふえましてドルを持つようになった、その結果、ヨーロッパにおいてドルの市場がだんだんと大きくなってきて今日に至ったわけであります。私どもは、ユーロ市場の功罪についてはいろいろ議論はございますが、ユーロ市場というものが悪いものだというふうには考えておりません。ただ、こういうものに対して日本との関係を特に考えますときには、やはり短期資金でございますので、節度のあるユーロ資金の取り入れ方というものを考えていかなければならぬということで、われわれの国際収支問題の眼目は輸出の振興によって経常収支をふやす、短期資本はできるだけそのウエートを高めないようにこれから持っていくということでございます。したがって、ユーロ市場に対するわれわれの関係について申し上げれば、すでに去年以来その残高については増加せしめないように努力してまいりましたし、最近は金利が高くて、むしろ更新をすることが利益でないという状態でございますが、これは現在までとってまいりました政策の結果、あまり急激な日本の為替銀行に対する衝撃にはなっていない、幸いにしてそういうふうな状況でございます。
○増岡小委員 ちょっといまのお話の中に出ました黒字国と赤字国との関係が非常に重大な問題になると思うわけでありまして、世界で、何といいますか、いまの極端なことばを申しますと、英国がまあ日本の国内の更生会社みたいなかっこうになりつつある状態である。それからフランスのフランも相当あぶなくなって、現に三十億ドルを流出してしまったというようなこともあるわけで、それを救済するためには当然黒字国に犠牲がかかってくるのはあたりまえの話だというふうに思うわけでございますけれども、ところが、赤字国であるか黒字国であるかという一般的な標準というものは、結局ドルの保有残高といいますか、それがふえていっておるか、あるいはふえが多いとか少ないとかいう、そういうところが政治家が判断する場合の基準になると思うのでございます。したがって、もしいまの日本の状態でドルが続けてふえていく、三月で三十億ドル、年末に四十億ドルというようなことが予測せられておるといたしますと、それをそのまま続けておったのでは、今度は、もしマルクの切り上げの話が出ました際には、マルクだけではないのではないか、オランダも、リラもあるのではないか、スイスも日本もどうだというような道連れにされるおそれがあるのではないかということで、ドルを減らせという議論ではないわけでございますけれども、保有高をふやすことにのみあまり努力しなくてもいいのではないかというような気がしておるわけでございますが、その点につきまして、実は私の持ち時間に三、四十分ということになっておりますので、簡単にお答え願いたいと思いす。
○奥村説明員 端的に、マルクの平価調整のときに円は一体どうあるべきかという御質問——ほんとうは大臣がお答えすべきと思いますが、そういうお話だと思うのですが、私どもは端的に申しまして、日本がいま外貨準備はふえております。これは日本の貿易規模から見ますと、そう大きな額じゃないのです。ただ、そのふえ方のスピードが、過去一年間を見ると、かなり早かったように思います。それに対しては私どもは、先ほど申しましたことと関連があるのですが、短期資金を相当借りておるわけです。これは会社の経営でもそうでございますけれども、現金がふえれば債務のほうを返す、そうしていつでもまた借りられるように浮揚力をつけておくということも必要かと思いますので、急激な変化を起こさない範囲内においてそういうふうな短期債務の整理ということを一つ考えておるわけでございます。もう一つ、日本と西欧諸国と違う点は、日本はまだ蓄積が少ないという点であろうかと思います。これは詳しく申し上げる必要はないと思います。もう一つ、日本はまだいろいろと社会的、構造的な問題がございまして、輸入制限その他の方法に訴えておるわけであります。平価の調整以前にいろいろとやるべき問題、努力すべき問題があるわけであります。そういう点をいろいろと考えてまいりますと、私どもは黒字国としていろいろと協力すべき問題があるということは自覚しておりますけれども、平価の変更というところまで追い込まれるような客観的な事態には現在ないしまだまだ努力をしていかなければいかぬというふうに思うわけであります。
○増岡小委員 現在の程度のドルのふえ方であれば、あるいは額であれば、マルクの道連れにされる心配はないだろう、そういう意味じゃないかと思うわけでございますが、しかし、それとは全然別の問題でございますけれども、現在のフランを考えました場合には、あれだけのドルや金をため込んでしまって生産性の向上の努力をしなかったということが経済破綻の因だろうというふうに私ども考えておるわけでございます。したがって、三十億ドルがいいのか四十億ドルがいいのかという議論ではなくして、これ以上積極的にふやすというような、いわゆる帳じりを合わせてうまくふやすというようなことは絶対やっていただきたくない。あまりふやしておりますと、つい米国のほうから日本もどうだというような圧力がかかってくるおそれがありはしないか、その為替の帳じりの面と、それから生産性向上のためにもう少し使ったほうがいいのではないかということで、今後あまりドルの保有高というものにこだわっていただきたくないという感じを持っておるわけでございます。 そこで、国際通貨基金の組織でございますけれども、国際通貨基金の中で、たしか上位五カ国、出資高の多い五つの国が当然理事として任命されるというような制度があったと思うわけでございますけれども、日本の経済がここまで発展してきて、自由圏では二番目だといわれておるわけですから、ぼつぼつその範囲に迫る必要がありはしないか、あるのかないのか、あるいは外国からそういうことに対して抵抗があるのかないのかということをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○奥村説明員 二つお話があったと思うのですが、最初は、外貨準備をむやみやたらにふやすということは問題がある、これは私どももむやみやたらにふやすということは問題があると思います。やはり生産性の向上という方面についても外貨準備を活用するということも大事でございますし、あるいはそうかといって経済の動向というものが過熱ぎみになっても、これはまた問題があると思うわけでございます。なかなかむずかしい面があると思いますが、このところは微妙な調整を要する点であろうかと思います。 第二は、国際通貨基金の中で日本の占める地位でございますけれども、これは去年のIMFの総会がございまして、ちょうど当時の水田大蔵大臣が病気でございましたので、宇佐美日銀総裁が出かけたわけであります。そのときに、日本は最近の情勢にかんがみてIMFに対する出資の率をふやしてもらいたい、こういう希望をもってお話をしたわけであります。大体五年ごとぐらいにIMFのクォータが改定せられるわけでありますが、ちょうどことし、来年あたりはその時期にめぐり合わせてまいりました。私どもも、去年の総会以後各国に対して、日本のクォータは三・五%でございますが、これは非常に日本の経済の成長が早いために時代おくれになった、経済力というものも反映していない。そういう意味において、日本は全体の七番目でございますけれども、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスその次に日本というような程度の順番が適当ではないかなと現在のところは考えております。もちろんIMFのクォータがふえるということは、各国に対する援助をいたしますときにそれだけ責任がふえることでありますが、また同時に、日本の国際収支が悪くなったときに借り入れる額がふえるわけでございます。両刃の剣でございますが、できるだけ日本経済の世界の中に占める実勢を反映したようなクォータであることが望ましいというふうに私考えているわけであります。ということで、御指摘の点については現在非常な努力中でございまして、おそらくことしでございますかあるいは来年でございますか国会における審議を通じて、このクォータの増額をおはかりを申し上げるということになるのじゃないかと思いますが、まだいまのところは非公式の段階でございまして、私どものいまある現状について感触を申し上げたというふうに御理解いただきたいと思います。
○増岡小委員 そこで、例の特別引き出し権のことでございますけれども、先ほどお話がございましたように、これは国際決済手段の量的増加をはかるということでございまして、何年もかかったわけでございますけれども、いよいよ今秋その額と時期とが決定をするという状態になっておるやに聞いておるわけでございます。聞くところによりますと、アメリカは五十億ドル程度というようなことを言っておるそうでございますし、また金に固執する国は逆な考え方を持っておるようでございまして、仄聞するところ二十億ドルぐらいできまるのじゃないかというようなお話でございますけれども、これはもちろん国際間の各国の国益に関することでございますから、いろいろな意見が出て妥協の産物になるということは間違いのないことだろうと思うわけで、その見通しをお聞きしたいというのは非常に無理なような気がいたすわけでございますけれども、ちょっとお触れいただきたいと思います。
○奥村説明員 SDRの額を幾らにきめるかということは、おそらくことしの秋ワシントンで行なわれますIMFの総会のときあたりには大体の輪郭が出るのではないかと思います。その前に金額は幾らにきまるかということは、まさにいま御指摘のありましたように、国によっていろいろとニュアンスの違う考え方を持っているわけでありますが、二十億ドルくらいから四十五億ドルくらいまでの間でいろいろな考え方があります。これは一年に創出される額でございまして、IMF、SDRの基本期間と申しますのは通常の場合は五年間でございます。それを二年にするか三年にするか五年にするかという問題もあわせていまの金額の問題との関係であるわけであります。今後おそらく来月あたりにも会議がございまして、各国の考え方をだんだんとまとめていくという段階であろうかと思いますが、日本としては、この金額はなかなか科学的にぴったりと算出できる金額でもございませんので、この辺のところは一番近い状態での世界経済の状況をよく見て、とにかくSDRをつくるということがこの数年間の大きな目標であったわけでありますから、円滑に話が進むように、日本はSDRを利用することもあり、またSDRによって協力することもある、両方の立場があるわけであります。そういうこともいろいろ考えながら金額をきめていきたいと思いますが、いまの感じでは、二十億ドルでなくて、もうちょっと大きい金額がいいのではないかと思っております。ただ、これが一体五年間同じ金額をいま定めるのがいいのか、あるいは二年あるいは三年間くらいをまず何十億ドルということで定めるのがいいのかという点については、全体の期間を定めるのはちょっと早過ぎるのかなということをいまの段階では感じている状況でございます。それ以上は、今後またいろいろと各国が御相談して話が進んでいくということになろうと思います。
○増岡小委員 ただいまの五年間に二十億ドル画一的ということは、私もちょっと問題があろうと思うわけでございまして、二十億ドルそれ以上ということになれば、ますますそういうことでございますけれども、そのSDRができましたいきさつ、論争というものを考えてみますと、どうも第一次大戦以降の金本位制の失敗、それに対する反省の立場の人と、やはり金に執着しようという考え方を持つ国、あるいはまたドゴールあたりのアングロサクソンに対する反感が加わって、非常に困難であったというように見ておるわけであります。たまたま日本がその任命理事団になることができるということになりますと、もちろんクォータがふえるわけでございまして、たしか拒否権といいますか、八五%の賛成がなければ大事なことが行なえないというふうにも聞いておりますので、そういうような面でうんと力を伸ばしていただくように大蔵省全体として考えていただきたいというふうに思うわけでございます。 そこで、最終的にはまたアメリカとフランスのけんかになってくるんだろうと思うのでありますけれども、日本の立場というものがそういうふうにだんだん通貨基金の中でも上向いてきておる時期でもありますし、また国民総生産自体といたしましても自由圏で二番目になっておるということから、ひとつアメリカとフランスとの間にあって仲介に立つくらいの気がまえを持ってほしいと思うわけでございますけれども、それをいま次長さんにお答え願いたいというのもちょっと無理のような感じがいたすわけでございまして、次のことに移らしていただきたいと思うわけでございます。 現在、日本の総生産の伸び率が非常に議論されておるわけでございます。大蔵大臣あたりは一〇%ぐらいここ何年間か続けたいというようなことを言っておられるようでございますけれども、かりに四十三年度の総生産が、端数を除きまして千四百億ドルと仮定いたしますと、一〇%ですと、年間百四十億ドルの金額になるわけでざざいます。ところが米国は八千億ドルでございますから、三%、四%ということを言われておりますけれども、かりに四%といたしましても三百二十億ドルということになるわけでございます。日本の人口が向こうの約半分でございますから、それを頭に入れて計算しましても、三百二十億ドルと二百八十億ドルということになるので、これはしろうと考えで、まことに恐縮な質問でございますけれども、そういうことになると、国の富の蓄積というものは一向に差が縮まらないのではないかというような気がいたしておるわけでございます。したがって国民総生産が一〇%程度に押えられるということは、今後日本が世界で一番になるかどうか知りませんけれども、そういうことがいわれておる時代にふさわしくない数字であるように思うわけでございます。そういうことで、もっと成長しなければならぬということでございますけれども、そういうことがわかっておって一〇%と言ったほうがよろしいという判断でおっしゃっておるのなら、まことに適切な御判断であると思うわけでございます。また今度はドイツと比べますと、御承知のようにドイツと日本とは国民総生産がほとんど同じでございますけれも、人口は向こうのほうが約半分くらいでございます。したがって一人当たりに直しますと五十何%ということになるでございます。したがって、これも是正をしていくということになると、非常に高度な成長が相当長期間続かなければならないのではないかというふうに考えますし、また将来の黒字国として赤字国の救済に乗り出す、乗り出すといえばオーバーな表現ですけれども、黒字国の仲間入りをしてやっていくという場合には、どうしたってその際問題なのは、国民総生産、国の年間における力ではないかというふうに判断をいたしておるわけでございます。そういう判断からも、最初のころ申し上げました、これ以上ドルの保有高を積極的にふやす必要はない、もっと先に利潤を生むものに投資するとか、これは外国でも国内でもしかりでございます、そういう方法をとってほしいという気持が強くいたしておるのでございます。しかし、新聞その他で仄聞いたしますと、どうも大蔵省は五十億ドルぐらいは持ったほうがいいのではないかという意見を持っておられるということでございます。しかし私どもは、そこまでいきますと、完全に早い時期に黒字国の仲間入りをいたしまして、先ほど申し上げたマルクの巻き添えあるいはその他の日本にとっては好ましくない状態ができてくるのではないかというふうに思うわけでございます。大蔵省、統一的な意見がおありになるのかどうか知りませんけれども、五十億ドルということがときどきささやかれておりますので、その点についてお話し願いたいと思います。
○奥村説明員 外貨準備の目標らしきものについては、去年の初めの国会、おととしの暮れの国会で一体幾らくらいあったらいいかというお話がございまして、少なくとも三十億ドルくらいはほしいということを当時の大臣が大蔵委員会その他でお答えをしたと記憶しております。現在の外貨準備の推移については御存じのとおりでございますが、この数カ月は三十億ドル程度で横ばいをしておるわけであります。先ほど申し上げましたから重ねてはお話しいたしませんが、短期債務の返済ということを行なうことによって、外貨準備が急速なスピードでふえていくということをとめているわけであります。日本としては、過去の例を顧みてまいりますと、外貨準備が少な過ぎる、経済の成長は非常に激しい、そのためにしばしば外貨準備、国際収支というものが天井になりまして、国内経済の調整を余儀なくさせられた思い出があるわけであります。現在はその日本経済の体質が変わったという説がございますけれども、いかなる国でも景気変動を免れることはむずかしい現在の世の中でございますので、やはり国際収支の天井というものはある程度高くしてまいりませんと国内経済の運営はむずかしくなるという面は否定できないかと思います。しかしそれにいたしましても、先ほどからお話がありましたようなSDR制度に参加するとか、あるいは国際的なスワップ網その他の助けを借りるとか、あるいはIMFに対する日本のクォータをふやすとかいうかっこうで、かたがた日本の国際収支の天井を高くするということをも考えているわけであります。したがって、こういうものは幾らと申しましても、いつまでにということが必ず必要でございまして、五十億ドルという話は実は私は今日初めて伺ったのでございますが、そういうような目標をかりに立てるといたしましても、時期的な関係をどうするかということもございます。外貨準備というものは、一定の目標を立てて、それに向かってほかのあらゆるものを犠牲にしてまでその目標達成のために努力すべきものではございませんので、いろいろと充足し、奉仕しなければならない項目があるわけでございます。その中にあってどういうふうに持っていくべきかということを私どもは考えるべきものだと思います。したがって、いまこの段階において明確な数字を時期の限定なしにつくり上げるということはむずかしかろうと思います。国際経済の環境も非常に流動的でございます。資本取引も、最初御指摘の金利問題その他がございまして、非常にむずかしゅうございます。こういうむずかしい時期でございますから、私どもは慎重に問題を扱っていかなければいかぬ。単純に目標を定めてそれに向かって邁進するというかっこうでは、あまりにも問題が単純な扱いに過ぎるのじゃないかと思います。
○増岡小委員 御趣旨はたいへんよくわかりました。そういうことでやっていただきたいと思うわけでございます。 そこで、今度国際通貨基金のこまかいことになるわけでございますけれども、本来、通貨基金は自由無差別な多角的取引に主眼を置いているわけでございますけれども、日本がここまで来ますと、為替制限について相当な圧力があるのではないかというふうに思うわけでございます。この間三十万ドルまでは外国へ投資してもよろしいということをおきめになったとかいうようなことを聞いておるわけでございまけれども、そういうふうな圧力があるのかないのかお聞きいたしたいと思います。
○奥村説明員 現在われわれ持っております為替制限にはいろいろな種類があるのでありますが、一つは経常取引の制限であると思います。他の一つは資本取引関係であると思います。経常取引につきましては、これは先般、海外渡航について為替銀行限りで認めることのできる一回分の滞在費の金額、これを五百ドルから七百ドルに上げまして、これをOECDに通告いたしましたので、この問題については解決したわけであります。かねてから私どもは、経常的な取引については、国際収支のいいときにいままで付してまいりました留保を撤回するというふうに考えてきたのでありますが、近くもう少しのものについて経常的な為替取引の自由化を進めたいと思っております。たとえば外国人が日本で働いております場合の日本での所得の送金の問題などがそれでございます。 もう一つの問題は、いまのお尋ねで御指摘があった対外投資等の問題であります。これは資本取引でございます。日本の国際収支がよくなってまいりますと、輸入制限、いま百二十数カ項目あるわけでありますが、これを廃止してほしいという話もあり、それは通産省のほうが所管しておられるわけでありますが、そのほか外資導入について、もう少しアメリカその他の国が関心のある産業を自由化してほしいという話もございます。これらの問題は国際収支の問題でなくして、経済構造的な問題であるというふうに私どもはしばしば答えておりますが、内外の情勢のいいときにやるのがいいではないかという反論も非常に強いわけであります。こういう問題等は取り組み方がだんだんとむずかしくなってまいります。その一つの問題として、対外投資の問題について申し上げますと、これは実はまだ三十万ドルというような結論は出ておりませんので、私ども対外投資の許可をいたします場合に、現在では累積五万ドルまでは日本銀行の窓口限りで許可をしておるわけであります。政府としては、だんだんと対外投資の仕事もふえてまいりますし、人間をふやさないで能率的に仕事をするということは、国民の出す税金を有効に使うゆえんでもございます。したがって、この際、収支の状況もよろしいわけでありますので、将来どういうふうに政策を変更されるか存じませんけれども、この際としては、五万ドルでなくて、もう少し高い金額を日本銀行限りで許可するようにしてはどうかというふうに考えておりますが、もちろんこの対外投資につきましては、いろいろな条件がございますし、私がアメリカで株を買いたいとか、アメリカの銀行に預金をしたいとか、スイスの銀行に預金をしたいとかいうのも対外投資でございますが、こういうものは間接投資というふうに呼んでおりますが、これはやるつもりはないのです。直接投資を自由化する、それも金額のわずかなもので、件数が非常に多いものの事務を簡素化したいというのが私どもの願いでございます。主務大臣は大蔵大臣でございますが、通産大臣、農林大臣、その他関係諸官庁がございます。その意見も聞きながらやりませんと、産業の実態とそごする点もありますので、いま関係各省庁の間でいろいろな相談をしている最中でございます。
○増岡小委員 時間もだいぶたってまいりましたので、あとの質問はだいぶ省略させていただきたいと思うわけでございますけれども、だんだん日本の産業構造が変わってくるということが考えられるわけでございます。したがって、日本と主たる取引関係のございました東南アジアがどういうふうに経済成長していってくれたらいいのかということがよくいま議論されておるわけでございまして、これについては、いろいろな二国間の経済援助でございますとか、アジア開発銀行の立場での開発資金の融資ということもあるわけでございますけれども、二国間の方式は当然政治的な判断に基づいて行なわれることになると思いますので、アジアの開発銀行のことでちょっとお尋ねいたしたいと思うわけでございますが、アジア開発銀行は、せっかく日本の総裁が出ておることでございますし、まず相当な出資予約額があるわけでございますが、実際の払い込み額は案外低いわけでございまして、それで間に合っているのかどうかということをお伺いいたしたいと思います。
○奥村説明員 アジア開発銀行は、御存知のように、一九六三年の暮れに銀行設立の決議が採択されたわけでございます。それで、実際に仕事が始まりましたのは、これはほかの全世界的な国際機関よりも早いわけでありますが、一九六八年、去年からでございます。去年は融資七件、金額にいたしまして四千百六十万ドル、そのほか技術援助をやったわけであります。ことしは六月末現在で融資が五件、金額にいたしまして三千四百八十万ドル、そのほか技術援助を四件やっており、特別基金の融資も一件やっているという事情でございますが、片やこの払い込みのほうでございますが、これは授権資本が十一億ドルでございます。ただ、その払い込みも毎年分割して行なうことになっておりますので、今年の三月末現在で二億九千百五十万ドルの払い込みをしておるわけであります。この中で交換性のある通貨というものが特に必要でありますが、二億五千万ぐらいの金額があったと思っております。先ほど申しましたように、六八年には約四千万ドル、本年に入りましては約三千五百万ドルということで、これから先はさらに活動は本格化すると思いますが、こういうアジア地域の開発機関といたしましては、私どもは、やはり政治的な貸し付けをしないで健全な銀行の運営というものを心がけながら、しかもほんとうに効果のある開発に役立つような融資をしていかなければいかぬというふうに考えておるわけであります。したがって、最初に御指摘になりましたような東南アジアの経済成長は大事だと思っておるわけであります。いま私どもに与えられた一つの使命は、出した金をいかに効果あらしめるかということではないかと思いますが、幾ら金を出しましても、それがうしろ向き、食いつぶしに推移するということになりますと、私どもの税金が相当の部分を占めるわけでありますから、せっかくやりましても国民に対して申しわけない。こういうことで、アジア開発銀行の今後の運営方針は、日本人が総裁でございますが、日本政府の指示によって動くという機関ではございません。ございませんが、あくまでもそういう立場で今後とも運営が行なわれるということを私どもは期待しております。総裁もそういうふうな考えでおられるように聞いておるわけでございます。
○増岡小委員 開発銀行の性格からして、日本人であるから日本の立場をどうとかこうとかいうことはもちろんできないことであろうと思うわけでございます。純粋に経済的な問題で投資に見合う効果が出てこなければならないということでございますけれども、ざっくばらんに申しまして、当面東南アジアにおいてそれだけの計画をつくって実行してやっていく能力があるかないかということは非常に問題があろうと思うわけでございます。その面での何か別の機関がございまして、それを指導する、あるいは二国間の技術援助その他のことでいろいろな計画をつくってやってその計画をその国が開発銀行に持っていくというようなかっこうになろうと思うわけでございますけれども、それがほんとうにいますぐ急いで必要であるだろうと私は思うのです。日本の経済成長が早いだけに、向こうがうんとおくれるばかりでございまして、また、農業開発ばかりやっておりますと、東南アジアで米が余ってしまうような事態にすぐなるだろうということもございますので、その点につきまして直接の御担当ではないかもしれませんが、いい方法があるとお気づきの点がありましたらお話し願いたいと思います。
○奥村説明員 御指摘のように、東南アジアの開発について一番大事だと思うことは、国民に利益の及ぶ経済の成長発展というものに役立つようなプロジェクトを見出し、それをどういうふうにしてやればいいかということを打ち立てると申しますか、つくり上げるということだと思います。幸いに総裁は日本から出ておりますので、そういう点についてしばしば話をする機会があるわけでありますけれども、アジア開発銀行としてはそれが一番大事だろうと考えております。いままでもそうでございますけれども、今後もいいプロジェクトを見出し、それでどうすればそのプロジェクトがうまくいくかということをアジア開発銀行として助言をしていくというところに重点を置きたいということを言っております。私どももその方向は非常に傾聴に値する点であると思います。また、日本も、そういうことをやるについて日本のエキスパートが必要であるならば、必要に応じてそれを出すというふうな姿勢をとっておるわけでございますが、何ぶん設立後日が浅うございまして、いまそういうことをやっている最中でございまして、お耳にとまる経緯も少ないと思いますけれども、これから成果があがっていくということを私どもは期待しております。
○増岡小委員 せっかくできた機関でございまして、それだけの組織があり、陣容がおるわけでございますから、これをうまく活用していただくように指導といっては語弊があると思いますけれども、お考えいただきたいというふうに思うわけでございまして、そういったことができまして、東南アジアが日本にだんだん近づいてきてくれることが、日本の産業構造が今後工業社会から情報社会に変わるのだということまで言われておることに適合するように思うわけでございまして、せっかくの御努力をお願い申し上げまして、時間もございませんので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○武藤(山)小委員 ちょっと関連して。せっかく国際金融局の次長がおいでですから、非常に常識的なことをちょっと二、三点。 一つはニューギニア、これは一体アジア開発銀行の対象地域に入っているのですか。ニューギニアといっても東パプア民族と西パプア民族と二つありますが、これは入るのですか、入らぬのですか。
○奥村説明員 ニューギニアについて、もう少し関心を持って勉強すべきであったと思うのでございますが、いまその資料を持っておりませんので、あとで正確なところを御連絡申し上げたいと思います。
○武藤(山)小委員 実はニューギニアはいまパプア民族が独立運動をやっておりまして、独立評議会の議長、その人が日本に亡命してきているわけです。特に日本のかつての軍隊に非常に好感を持ったというので、日本の技術と、日本の国との提携によって開発をしたい、こういうことを彼らみずから文書にしてわれわれのところへ陳情しているわけです。ところが、インドネシアが西のほうの管理権をこの六月まで——この七月が住民投票ですけれども、この後におけるニューギニアの開発ということは日本にとって大いに関心を持ってしかるべきだ。オーストラリアもやがて東ニューギニアを近いうちに独立させよう、こういうことを正式に国連でもしゃべっていますし、そうなると、ニューギニア本島は日本の三倍もあるのですから、この島の開発ということについてかなり私自身関心を寄せているわけなんです。これに開発銀行の活用ができるのかどうかといことも、日本政府として十分ひとつ検討すべき段階がきたような気がするので、これはせっかくひとつ御検討いただきたいと思うのです。 それからもう一つ、金価格がいま二重価格制になっていますね。この二重価格制というのは、専門家として、何年ぐらいこういう規制が続いていくだろうと見ているのか、それとも近々に一オンス三十五ドルという公定価格の市場売買の情勢がくると見ているのか、この点が一つ。それからとどのつまり何年になるかわからぬが——とどのつまりという表現も正確な表現ではありませんが、一オンス三十五ドルという公定価格が維持できるのかどうか、とどのつまり。そこらは専門家として遠い見通しになると思いますが、本質的にはどう考えておりますか。
○奥村説明員 非常にむずかしい御質問が含まれているのでございますが、二重価格制度は発足以来まだ数年もたったという状況ではございません。ございませんが、いままで見る限りでは、かなりうまく動いておる、一部でいわれておったのよりもはるかにうまく動いておるというふうに考えたいと思います。日本も二重価格制度をとってきたわけであります。これは一体いつまで続くかということは、二重価格制度というものは、ほかにいろいろと要因があって、その中の一つでございますから、これだけを取り出していつまで続くかという予言をすることは非常にむずかしいと思うのです。しかし、少なくともいままでうまくいっているし、いまはうまくいっている最中であると考えたいと思います。特にアフリカが、御存じのとおりでございますが、やはり国際収支は非常にむずかしくなってまいりました。自由市場に金を放出せざるを得ないというような状態が続いておりますので、これも一つプラスになる。それからユーロダラーが非常に強くなっておりますので、そのユーロダラーを借りて金を買って勝負をするということも非常にむずかしい。またアメリカの公的決済じりを見ましても、流動性のほうは赤が出ておるわけですが、公的のほうは黒なものですから、言いかえれば、各国の中央当局が金にかえてくれと要求し得るような、そういうドルは減っているわけであります。そう意味からしても、金の問題はどちらかといえば安定した状態にあるということが言えるのじゃないかと思います。これは現在の状況でございます。 それから三十五ドルというのは、一体これはいつまで続くか、とことんどうなるのかという御質問でございます。これは、先の予言をいたしまして、それがうまく当たればよろしゅうございますが、なかなかそれはむずかしいわけで、だれもそういう予言をしておらぬわけであります。ただ申し上げられることは、どちらを期待するかということだと思います。私どもは、国際通貨体制というものが安定することを期待しなければならぬ立場にあると思います。これは日本の貿易を伸ばし、日本の国民生活を高めるゆえんでございます。したがってそちらのほうを期待する、そうでないような、いろいろな混乱を起こすことは期待しないわけでございます。しかし、万一の場合をおまえたちはどう考えておるかということでございますが、これはやはり国際競争によって、あるいはSDRというふうな制度をつくることによって、うまい経済の運営を世界じゅうでやっていかなければいかぬ、これも私どもの期待でございますが、同時にまた努力すべき目標でございます。そういうことでやっていかなければいかぬというふうに考えております。
○武藤(山)小委員 しかし、その総合的な施策を進めるのに非常に注意しなければならぬ問題ですね。アメリカでも、有名な、ケネディ当時のブレーンの経済学者などは、一オンス三十五ドルは最終的にできなくなるだろう、結局金の価格を引き上げるほかに手が打てなくなるだろう、SDRの発動をやっても、行く行くはそうならざるを得ないだらうということを「エコノミスト」や何かに発表していますね。だから私は、そういう期待と現実の金の価格というようなものを考えると、どうも無理なんで、その期待どおりにいかないような面がかなり濃厚になってくるのじゃないか。こういう点をここで論争してもしかたありませんけれども、やはりそういう両方を十分大蔵省としては見ておかぬと、たいへんな国益の損失を生むようなことになりはせぬかということを危惧している点も私ども幾らかあるのです。したがって、そういう点はひとつまたあとで、十分専門的には金融小委員会の中で御質問いたしますが、きょうは関連で簡単にちょっと意見を述べて終わります。
○奥村説明員 適切な御助言をいただきました。私どもとしては、平素から何ごとも裏と表と両方考えて進めなければならぬのが私どもの立場でございますので、よくそういう御趣旨を体しまして、間違いのない方向に進めるように努力いたしてまいりたいと思います。
○小宮山小委員長 この際、繊維機械の現状について政府の説明を求めます。高橋繊維雑貨局長。
○高橋(淑)政府委員 繊維機械の現状につきましてお話し申し上げます前に、特定紡績業、特定織布業の構造改善の実施状況について、その概略を御説明させていただきたいと思います。お許し願いたいと思います。 特定紡績業につきましては、まず設備の近代化状況を見ますと、省力化投資の進捗に伴いまして、計画当初綿糸一コリ当たりの所要人員が五・一人でありましたのが、四十二年度の実績は四・五人、四十三年度末には四・二人になりまして、四十四年度においては三人台になる見込みでございます。四十六年度の目標である二・九人に向かって順調に推移しておると見ております。また省力設備を前提といたしました三交代制の導入につきましては、計画当初七万錘にすぎなかったのでありますが、四十二年度末には三十四万錘、四十三年度末には百五十万錘というように推移しておりまして、四十六年度の目標であります二百五十万錘は、このような状況のもとに推移いたしましたならば目標年度以前に達成することも可能と見込まれます。 次に、企業規模の適正化につきましては、中小紡績の集約化、規模適正化の重要性にかんがみまして、開発銀行の融資にあたりましては、グループ化をする企業への融資を優先的に行なうなど、いろいろとその促進のための指導を行なってまいりました結果、業界にもようやくグルーピングの機運が生まれまして、四十二年度中に三グループ、四十三年度には二グループ、さらに現在二グループが結成を準備中でございます。 過剰設備の処理につきましては、繊維新法に基づきますスクラップ・アンド・ビルドの進捗が順調になされまして、かつまた四十三年度末に終了いたしました特繊法に基づきます一律廃棄及び任意処理あわせての一括処理の実施によりまして、繊維旧法時代から長く残っておりました構造的な過剰設備はまずまず解消されたのではないかと考えております。 次に、特定織布業の構造改善の実施状況について御説明申し上げます。 まず、綿・スフ及び絹・人繊両分野合わせまして八十八の産地があるわけでございます。そのうち、四十四年度を含めまして三十九の産地が構造改善に参加いたしておりまして、これは生産量のシェアで見ますと約七割に達しております。それから、業種全体の計画に対してどの程度の進捗ぶりを示しているかと申しますと、四十四年度の見込みを含めまして、織機のビルドそれから準備機のビルドを合わせまして全体計画の三六%を消化することになります。 次は織機のビルドの内訳を見てみますと、全体計画で考えておりますのに比べまして、いままでの実績を見ますと、自動職機及び超自動織機の比率が大幅に高まっているということが特徴でございます。 それから、これは一例でございますが、構造改善を行なってまいりました効果につきまして、先般、綿・スフ分野につきまして、設備ビルドを行ないました企業三百三十社について抜き取り調査をしてみました。その結果、従業員の減少、織機の減少にもかかわらず、生産並びに付加価値が上昇いたしまして、物的生産性が二割、付加価値の生産性が三割程度上昇しているというような結果も出ております。 また、本年度から実施に移りますメリヤス製造業及び特定染色業につきましては、その実施要領を定め、目下計画の承認申請を関係業界において準備中でございます。 ごく概略を御説明さしていただきました。
○小宮山小委員長 次に、吉光重工業局長。
○吉光政府委員 ただいまの繊維局長の説明に関連いたしまして、繊維機械製造業の現状と問題点につきまして簡単に御説明を申し上げたいと思います。 もう申し上げるまでもないわけでございますけれども、繊維機械は紡機、織機、準備機等から始まりまして染色整理仕上げ機あるいは編み組み機、部・用品等、いろいろな分野に分かれておるわけでございまして、昭和四十年に行なわれました工業センサスによりますと、これらの各種繊維機械製造業、この企業の数は二千二百十三企業でございまして、そのうち資本金五千万円以上という企業はわずかに三十五企業でございます。中小企業が非常に強いウエートを持っておる部門でございます。 それから生産のほうでございますけれども、逐次生産実績はあがっておるわけでございますが、これを金額で申し上げますと、四十一年に八百三十億、四十二年に千九十三億、四十三年に千三百六十四億というふうに逐次生産はあがっておりますけれども、他の一般機械の生産の上昇に比べますれば、やや成長性は低い部類に入っておるのではないかと考えます。 それから輸出の状況でございますけれども、大体先ほどの四十一年からの数字に見合う数字で申し上げますと、四十一年が約三百四十四億、四十二年が三百五十十八億、四十三年が三百九十億というふうな状況でございまして、輸出比率なべて考えますれば、大体三割程度が輸出されておるというのが現状でございます。 他方、輸入のほうでございますけれども、これも四十一年から御説明申し上げますと、四十一年に百二億、四十二年に百三十九億、四十三年に急増いたしまして二百二億というふうになっております。一般的には、三十七年にこれは自由化されたわけでございますけれども、三十七年の自由化後しばらく趨勢的には減少を続けておりましたけれども、この四十二年を境にいたしまして輸入が増勢に転じておるわけでございます。 それから製造技術の技術水準の問題でございますが、一部の機種では技術輸出が行なわれておるものもございますけれども、総じて考えますと、やはり技術導入によって欧米先進国の技術レベルへ現在キャッチアップしておるというふうな状況でございます。総じて言えば、そういうふうに、技術水準といたしましては、現状におきましては欧米の水準のほうが進んでおるのでございまして、したがいまして、むしろそれを導入することによってキャッチアップの努力を続けておるというのが現状でございます。 それから、いままでとっておりました振興措置でございますけれども、一つは機械工業振興臨時措置法の特定業種の対象にいたしておるという点が一点でございますと同時に、中小企業関係の分野も非常に多うございますので、中小企業近代化促進法のほうでも一部振興策について負担をしてもらっておるという状況でございまして、機振法のほうの適用対象といたしましては、準備機のうち糸巻き機とメリヤス機械、染色整理仕上げ機械、それから部品といたしましははスピンドル、リング、あるいは筋ローラー、トップローラー、紡績針というようなものにつきまして四十五年度を目標といたしました基本計画を作成いたしまして、できるだけ欧米諸国の同種の製造業の事情を勘案いたしまして適正生産規模を策定いたしまして、これへの達成につとめておるわけでございます。また織機やあるいはメリヤス機械の消耗部品のうろで特に重要と見られております金おさ、ワイヤーヘルド、シャットル、メリヤス針、これは例外なしにメーカーが中小企業でございますので、近代化促進法の指定業種といたしまして、四十七年度を目標年度とする基本計画を策定いたしまして、近代化、合理化を進めておる段階でございます。 ただいま申し上げました中から問題点を拾ってまいりますと、何と申しましても、技術開発ということの点におきましてまだまだウィークであるという点であろうかと思うわけでございまして、先ほど御説明ありました繊維工業におきます省力化の要請というものは、ますます強くなっておるわけでございまして、したがって、こういう省力化の要請にこたえ得るような革新的な機械の開発というものに現在各メーカーとも努力はいたしておりますけれども、必ずしも十分でない、もっともっとやるべき点がたくさんあるというふうに考えられるわけであります。 この技術開発の問題に関連いたしまして、試みに外国のトップ企業と日本のトップ企業の研究開発費が売り上げ高に占める比率を比較してみますと、外国のトップ企業でございますと、大体二ないし四%程度が研究開発費に充てられておりますけれども、日本の場合には〇・五ないし一%というふうな割合でございまして、遺憾ながら低位の段階にあるわけでございます。 それから輸出の問題でございますけれども、先ほど輸出比率の問題として約三割というふうに申し上げたわけでございまして、わりあい比率としては高いほうでございますけれども、輸出先が主として東南アジア等を中心にしたものでございます。早く先進国の技術レベルにキャッチアップいたしまして、むしろそういう国々にも繊維機械を輸出される体制を生産の中にビルドインする必要があるのではないかというふうに考えるわけでございます。特にこの技術開発問題につきましては、先般の法案の御審議の際におきましても附帯決議があったわけでございますけれども、こういう技術開発をどう助成してまいるかというふうなことにつきまして、私ども現在あれこれ関係業界の方々とも御相談申し上げながら、いい方法を見つけようということで努力いたしておりますけれども、なかなかきめ手になるような手段が現在ではないというふうな状況でございまして、当委員会の御意見をいただきながら積極的にさらに進めてまいりたいと考えております。
○小宮山小委員長 加藤君。
○加藤(清)小委員 私ども日本社会党は、平和産業をこよなく愛します。わけても繊維産業につきましてはたいへんな熱の入れ方でございまして、中央執行委員会のもとに特別委員会を設置しております。すなわち繊維対策特別委員会でございまして、その事務局長がいま武藤先生でいらっしゃるわけでございます。これができましてからすでに十年近い日数を経てありますが、それはさきに行なわれました構造改善、これを完全に推進すると同時に、新しき機械化時代に備えなければ、日本の繊維産業は世界の繊維産業に立ちおくれるであろうということが十年前からもう言われていたからでございます。 ところで、幸い日本の繊維産業も第二回の構造改善を迎えまして一大エポックを築かなければならぬという状況に相なり、ただいま御説明にもありけしたように、先年構造改善法が通過したわけです。私どもも一生懸命になりました。しかし、その法案を通過させる場合に、かくすればかくなるものということは想定ができまするがゆえに、実はいま重工業局長もおっしゃられましたように、各党一致したところの附帯決議をつけたわけでございます。法案の進行状況は、いま繊維局長がおっしゃられましたように、わりあいにスムーズにいっているようでございますけれども、肝心の附帯決議につけましたほうが遅々として進んでいない。ある程度は進んでおりますけれども、思うようにいっていない。そのことはやがて日本の繊維構造改善をスムーズに進捗させない原因になっている。そこで、私どもは与党の皆さんともよく相談をいたしまして、この際これを何とかせんければならないというので、小委員会にこれを持ち込み、はなばなしくでなくて地道によく検討をして、附帯決議が完全に実行されるように、日本の繊維産業が外国先進諸国の繊維産業に負けないように、あるいはまた発展途上にございます諸国の追い上げに追い越されないように努力しようということで、小委員会が設けられたわけでございます。したがって私は具体的にこの際お尋ねしてまいりますが、第一番は、せっかく機械の重工業局長が来ておられますのでお尋ねしたい。附帯決議の五に、「紡織機械等繊維機械の性能の向上を促進するため、研究開発等に関する援助を行なうこと。」こうなっているのですね。これはこの法案通過後一体どの程度行なわれたでございましょうか。
○吉光政府委員 研究開発に関します援助かどういう形で行なうかという点につきまして、関係業界ともいろいろ連絡をとりながら協議を進めておる段階でございまして、したがいまして、具体的にどれだけのものについてどういう援助をしたという実績をまだ持っておらないわけでございます。
○加藤(清)小委員 第一回の構造改善のおりには、時の大臣も時の重工業局も、これは非常に熱心でございまして、小室繊維局長と並行に、つまり構造改善と並行に機械に対する検討が行なわれ、法の発効と同時に機械関係に対する手当てが行なわれたわけでございます。機械の研究のみならず、材料の手当てまでが行なわれたのでございます。もちろん研究費とか、補助金とか、いろいろ行なわれたのでございます。ところが今度の繊維構造改善法のおりに、私は再三このことに助言を申し上げたつもりでございまするが、一向に機械のほうと申しましょうか、重工業局と申しましょうか、相呼応してこなかった。その結果は法案が通過して二年もたつのに、まだ何も行なわれていない。この法律は時限法でございます。したがって、五年の間に一体ほんとうに設備改善が新鋭の機械によって行なわれるか行なわれないかはいまや非常に危惧をしなければならぬ段階に立ち至っておると思います。なぜかならば、いわゆる新鋭紡機でありますナス、キャス、タス、これはまだ工業化の段階になっていないですね。それからジェットルーム方式によるところの織機、これもまだ研究の段階でございまして、工業化に至っていない。一体これがいつできるのか。私も、メーカー、業界、あまねく広く当たってみました。会社の機密に属することもございまするので、ここでその期日を、たとえば豊田がいつとか、豊和がいつということは発表いたしませんけれども、いずれにいたしましても、この構造改善の期限に十二分に間に合うとはどう考えても考えられない。たいへんな問題だと思います。この結果は、構造改善法の期限を延ばすか、あるいは機械のほうを目下のところ促進させて、この期限に合わせるか、どっちかでございまするが、さしあたってやらなければならぬことは、まず構造改善の期限に合わせるべく努力するということが最も大切なことだと思います。この点について重工業局長の御所見を承りたい。
○吉光政府委員 お話しのとおりでございまして、機械関係の新しい開発というものがおくれておること、ほんとうに遺憾でございます。メーカーのほうでも、いまお話がございましたように、ある程度新しい高性能織機の国産化に努力はいたしておりますけれども、その主たる部分はまだ現在開発過程中にあるというふうな状況でございます。したがいまして、この開発過程中におきますところの新鋭機械というものができるだけ早く生産体制に入れるような、そういうふうな措置が必要になってまいるわけでございます。そういう意味で、私どもといたしましても、それらの開発途上にありますそれぞれのメーカーとも密接な連絡をとりながら、それが早く市場に出されることについてお話をいたしておるわけでございますけれども、申し上げるまでもなく、新しい機械の開発には相当の時日を要するというふうなことでございまして、結局そのしわが輸入機械のほうの増加ということになってあらわれてまいっておるわけでございまして、これは需要者サイドから見ました場合には、かえって割り高な機械を輸入して使うというふうな不利益を含んでおる問題でございますので、先ほどもお答え申し上げましたように、一歩進んだうまい手段はないものかどうかというふうなことで、ひざを突き合わせた形での懇談をいまやっておるわけでございます。その中から何らかのものをつかみ取りたいということで努力いたしておるところでございます。
○加藤(清)小委員 重工業局長はじめ産業機械課長がこの問題についてほんとうに正面から取り組んで努力していらっしゃるその努力については、私は野党といえども高く評価するものでございます。しかし、どんなに高く評価いたしましても、期限がきめられておりますこの構造改善法、これに間に合わせようとすれば輸入にまたなければなりません。輸入にまてばたいへん高価なものになります。御案内のとおり、紡績といえどもそれほど利益率が上がっていない。いわんや機屋のほうは中小零細企業が多い。中小零細企業が輸入の高い機械を求めようとすれば、いま行なわれております構造改善の予算ないしは中小企業振興事業団の計画、これに当てはまらない。あとでペイするしないよりも、その結果買うことができない。買って新しく設備しようと思っても、外国にはあるけれどもこれは買うことができない。では内地で安くてよい機械をと求められば、これは研究途上である。これは困ったことですね。目下の状況ですと、とてもじゃないがあと四年間とか三年間でうまく構造改善、特に設備の構造改善が完了するとは、だれがどうそろばんをはじいても、とてもできない相談でございます。しかし、まあいまからでもおそくないので、日本の新鋭機械を一日も早く開発して、この構造改善——構造改善とは世界の繊維戦争に日本が勝つべく準備をするということですね。これをしなければならぬと思います。そこで、今日のこの事態を惹起したところの原因を究明して、その原因を除去していくことがまず第一のなさねばならぬ仕事だと思います。幸い重工業局においては大かた大綱をキャッチしていらっしゃるようでございます。 第一番、同じ会社が、繊維機械と自動車、繊維機械と建設機械などと、繊維以外の仕事をやっております。それは、第一回の繊維構造改善のおりに通産省がそのように指導していただいた。なぜ。法律によって生産を制限される結果になったからです。つまり繊稚機械を。別な仕事を指導していただいて、今度は、別な仕事の利益率のほうがはるかに大きいのです。先ほどあなたもおっしゃいましたように、繊稚機械は成長性が低い。下世話にいう、もうからぬということなんです。もからぬ機械をつくって、それに研究費を投入するなんというあほうはどこにもいない。注文があればつくる。それでなければもうやめておこう。こういうことなんです。もうかる仕事をやったほうがいい、こういうことなんです。世界一日本の繊維機械が優秀であった。だから繊維機械は日本が世界じゃうを席巻していた。特許も一つの会社で二十七カ国も持っていた。それがいまや、ここ十年の間に逆転してしまった。すっかり逆転いたしました。本人みずからの努力も足りないかもしれませんけれども、事ここに至ったゆえんは政府にも責任があると思います。どういう責任があるか。特に繊維機械は、日本の機械産業からいけば、ずっと先へ進んでいた。だから一人歩きができた。一人歩きのできるものには援助をせぬでもよろしいということで、戦後放置されていた。ところが、電気器具にしても自動車にしても、あとから追いかけてきた後進性の諸機械は、ぐんぐん伸びた。なぜ。あの手この手で温室で育てたからだ。ここに問題がある。本人たち、機械メーカーたちが努力を怠ったことは認めまするけれども、頭がないのかというと、同じ会社が別の機械についてはぐんぐん進んで、いまや世界的に注目されるようになっております。軽電機にしてもあるいは自動車にしても。だから日本の当該機械メーカーの頭の問題ではないのです。政府の援助、自力の限界、これをまともに見せつけられたような気がするわけなんです。 これだけ申し上げると、さてしからばどうしなければならないかという対策がおのずからそこへ起きてまいります。その対策の第一を申し上げますと、いまの研究のまま、いまのままの機械でも、なお輸出は行なわれております。なぜ。それは発展途上国はその程度の機械にとりつくことのほうが能率があがるからなんです。したがって、輸出は、先ほどお話のありましたように、三百億から四百億程度行なわれておる。この輸出に対して、日本の政府は何ぞ御援助なさっていらっしゃるのですか。これはもうメーカーが営々努力した結果の、汗とあぶらの結晶です。先進諸外国、イギリス、特にイタリアのごときは、国家が、繊維機械を発展途上国へ輸出するにあたって、あの手この手の援助を行なっております。たとえて申しますと、決済の面でクレジット。日本が五年でいこうといえば、向こうは十年でいきましょうという。七年でいきましょうといえば、十五年でいきましょうという。けんかにならぬですね。おまけに、頭金を二割なり三割日本は要求する。これとの競争国は、頭金は要りませんという。日本が、裏保証をほしいという。ところが、先進諸国は後進国に対して、そんなものは要りませんという。どっちの機械が売れますか。同じ程度の性能の機械であれば、機械そのものは圧倒的に日本のほうが質がよくて値段が安い、耐久力も多い。そのことは買い手国も知っておる。しかし残念なことに、決済の面で先進国は国家援助があり、日本のほうは国家援助が、あっても少ない。ほとんどなきにひとしい。この点について、通商関係の局長の原田さん、あなた、ひとつ見解を述べていただきたい。きょうは内輪の会議ですから、おとなしムードでやりますから。
○原田政府委員 先生御指摘のように、なかなかむずかしい問題でございます。輸出につきましては、決済条件といったようなものが商売のきめ手になることが非常に多いわけであります。したがいまして、そういう点で負けないように、輸銀の金融、その他国際的に認められましたような助成措置というようなものは十分に拡張していかなければならないのでございます。 現在のところでは、一般的な国際的支払い条件、これも先生御指摘のように、かなりほかの先進国はやっているようでございますが、頭金が五〇%期間が十年程度、金利も三・七五%から六%ぐらいというのが通常のようでございます。わが国も大体これに競争できるようにという趣旨ではございますけれども、現実的には頭金が一〇ないし一五%、期間が六年から十年ぐらい、金利は五・五%から六%ぐらいというのが多いような現状でございます。
○加藤(清)小委員 原田さんのおっしゃられたとおりでして、発展途上国に輸出するときの条件が、まず日本は先進諸外国の倍ぐらいのきびしさですね。これじゃ、ちょっとけんかにならないですね。それでもなお四百億近い輸出が行なわれているということは、メーカーたちのたいへんな努力、出血しても生きていかなければならないという努力がそうさせているし、実は他の仕事である程度利益を上げて、その利益をこちらへつぎ込んでいる。こういう状況ですね。したがって、大蔵省のいうところの一人歩きのできるものに援助をする必要はないという繊維機械に対する過去の観念は、今日はもはや払拭していただかなければならないですね。それでひとり歩きができない業界に対しては温室で育ててやるというあたたかい施策が行なわれているとするならば、今度はその施策を繊維機械に適用しなければならぬという状況になったと思いますが、いかがでございますか。
○吉光政府委員 御指摘のとおりでございまして、先ほど来のお話の中にもございましたように、昭和三十年ぐらいからユーザー業界の不振ということのために、繊維機械業界といたしましても先行きいささか暗いというところが、相当繊維機械業界自身の企業意欲というものにも影響を与えまして。わずかに在来技術による機械設備を東南アジアを中心にして輸出していく、あるいはまた他の工作機械あるいは自動車その他の、当時成長産業であると目される方向の事業に相当の主力を注ぐということから、新しい機械に対する開発意欲というものもだんだん衰えてまいったという状況でございまして、わずかに今度の四十二年度から始まりました構造改善事業が実は繊維機械業界に対する一つの需要についての刺激剤ということになったわけでございまして、これを前提として新しい機械の開発に取っ組んでまいることになったわけでございますが、いまお話がございましたように、時期的におそい立ち上がりを示しておるというのが現状でございます。したがいまして、現在の繊維機械業界の立場というのは、ほんとうにひとり歩きが自分でできるという堂々たる企業ではなくて、むしろこの際積極的にこういう技術開発等について国の援助等を必要とする、そういう分野に属しておる企業が多いというふうに言えると思うわけでございます。ところが、研究補助金等の問題にいたしましても、現在もいろんな打ち合わせをやっておりますが、補助金を申請するとしても、手続が非常に複雑である。あるいはまた研究体制について共同研究体制がとれないかどうかという点につきましては、やはり企業の新しい技術開発に対する秘密と申しますか、そういうふうなものについて、ともするとそれが漏洩しがちであるということから、そういう意味での団結もなかなかむずかしいといういろいろな事情が重なり合っています。したがいまして、そこらの点については、やはりいまお話ございました大手を振って歩けるひとり歩きの姿ではないのだということを前提にした上での応援のしかた、たとえば、これはもう私ども中で工業技術院のほうと相談しなければならない問題でございますけれども、そういう技術開発に対する金の出し方について、先ほど申し上げましたような手続面でさらにもっと簡素化される方法はないものかどうか。あるいはまた技術問題について、企業が開発しようと思っている方向と国の試験研究機関その他で持っておる知識とをそこらで何かの形で統合するようなことは考えられないかどうかというふうな、あらゆる手段方法等についていま研究をいたしておるわけでございます。
○加藤(清)小委員 いま私は、機械メーカーに援助をするといおうか、自力をつけさせるといいましょうか、その問題の一つを提起しているわけです。それはいままでの研究の蓄積だけでもって売れる場所があるが、それを売ろうとすると、競争相手国があって、競争相手国のほうがはるかに楽な、程度の低い決済条件で契約を結びにくる。だから日本の機械メーカーが注文をとったそのあと、先進諸国が行って決済条件でもって甘い汁を吸わせるものですからこちらのとった注文までみなとられてしまう。こういう状況下にあってどんな手だてをしたら日本の安くてよい機械がまともに売られていくであろうか、こういう問題について検討を進めておるわけなんです。そこで、これはぞひひとつ輸銀その他大蔵省関係ともよく御相談をいただきまして——大蔵省の人はそういうことを認識していないんじゃないかと思うのです。この認識を新たにしていただいて、ひとり歩きできない業界に対して、しかもそれが将来性もあり、あらねばならない業態であるとするならば、当然これに救いの手を差し伸べてしかるべきだと私は思います。したがって、早急に輸出振興対策を立てていただきたいと思いますがいかがでございますか、原田さん。
○原田政府委員 確かに繊維機械の輸出は西ドイツその他ヨーロッパの諸国にだいぶ食われてまいりまして、日本のシェアがふえない、むしろ減りつつある状況でございます。コマーシャルの契約につきましては、輸出入銀行は一応安い金利の金を供給するたてまえになっておりますけれども、実際には輸銀の資金繰りがかななか苦しいというような理由その他で契約が他の先進諸国と同じような条件でできにくい状況もございます。またクレジットラインといったような形でインドやパキスタンというようなところに売っておりますときの条件は先ほど申し上げましたような条件のものが多いのでございます。今後御趣旨を体しまして、こういう決済条件の面で不利な立場にならない、競争できるようなかっこうに持っていくように、大蔵省あるいは輸出入銀行御当局の方に十分お話をいたしまして努力をしてまいりたいと思います。
○加藤(清)小委員 その答えでけっこうでございます。実は、これはやればできるのです。高碕先生が経済企画庁の長官、通産大臣をなさっていらしたところには、いまと同じような状況がインド、パキスタンをはじめとして発展途上の国で盛んに行なわれました。特に一番競争の激しかったのはエジプトでごいざます。エジプトの場合も、日本がとりました注文をあとから来たイタリアとイギリスに一度はとられてしまいました。しかし、それでは相ならぬからというので、時の大臣の高碕先生がたいへんな努力をなさいました。関係局が一致協力をいたしました。その結果は、エジプトの新しい繊維産業設備は全部日本の設備で行なわれたわけでございます。ナセルと直接交渉をもつ行なわれたことを私はまだきのうのように覚えております。この際、これは与党、野党の問題でございませんので、社会党も先頭を切って支援体制をとったわけでございます。このようなことが、いま東南アジア諸国において南米諸国において、あるいはアフリカ諸国においても行なわれておるわけでございます。この商業戦争にもし負けたとするならば、日本の今後の繊維構造改善は諸外国の輸入機械に待たなければならぬということになってしまいます。いまや自動車は先進諸国へさえも輸出ができております。もとより、先進諸国に輸出しておりました日本の繊維機械が発展途上の国においても負けいくさであるなどということは、日本の繊維機械史に対してたいへんな汚点を残すことになる。それはやがて当時の政治家、当時の行政府担当の高官の責任を問われることになります。ここらあたりもよく御検討の上、早急にこの問題について御善処を要望してやみません。つきましては、本委員会に関係の機械メーカを呼びまして、これに対する打開策などを聞くというのも一つの方法かと存じます。自動車産業においては何度もそれを行なっております。幸い自民党のほうにも繊維対策特別委員会ができまして、与党さんのほうもこの問題についてはたいへん御熱心でいらっしゃいますから、これもできると思います。公明さん、民社さんは熱がないせいか御出席がないようでありますけれども、話せばわかると思います。ぜひ直接当該機械メーカーさんと立法府並びに行政府と話し合い、そこからひとつ早急に打開策をはかるという糸口をつくっていただきたいと存じます。委員長さんに、この点は要望しておきます。 次に、いまや日本の繊維機械は諸外国の要望にもこたえ切らない、さりとて日本の構造改善にもこたえ切らないといま重化学局長はおっしゃられました。日本の構造改善にこたえるようにするには、いまの機械を輸出振興させて、ある程度機械メーカーに栄養を与えるだけでは足りないようでございます。研究費が、いみじくもおっしゃられました、日本はわずか〇・五%だとおっしゃいました。これはなけなしの財布をはたいているからですね。ところが、欧米諸国は少なくとも二%から三%。いえいえ、これはもっと多いのです、私の調査では。そこで日本の構革に耐え得るようにするには、先ほど申し上げましたナス、キャス、タス、織機のジェットルーム、これを工業化するところの手段を講じなければならぬと存じます。その点について鋭意重工業局では努力をしていらっしゃるようですが、それの具体策というものはもうでき上がったのですか。実は本件に関しては通産大臣もたいへん熱心で、社会党の繊維対策特別委員会でもこれに対するところの原案をひとつつくってくれ、よい案があればこれは全部のみ込むから、こういう話ももう二カ月も前にあったわけであります。その後私は産業機械課長にこのことを話しまして、あなたのほうも努力しなさい、私のほうも検討します。同時に自民党の繊維対策特別委員会の福田さんにも私はこのことを話してございます。あなたのほうでもひとつ研究をしておいてくれ、立法府、政党、行政府が一致結束してこれに当たろうではないかということで、私のほうも着々準備を進めておるのです。したがっていまの段階で何かこれに対する具体策が重工業局のほうでもう生まれておりましたら、お漏らし願いたいと存じます。
○吉光政府委員 ナス、キャス、タスの関係でございますけれども、まだわずかな普及しか見ていないわけでございまして、こういう省力設備というものが早急に普及がはかられるということは、きわめて重要な問題であるわけでございます。手持ちの資料によりますと、これらの自動連続装置、現在普及率といたしまして十三万七千五百錘、その程度のもののようでございまして、メーカーのほうの問題と同時にこれを受け入れますとユーザーサイドの問題、両方一緒に合わさってやるべき仕事というふうなものもあろうかと思うわけでございまして、こういう新鋭装置は、せっかくできることになりましても、なかなかすぐには普及しにくい事情もございますし、そこらはユーザーとメーカーとの懇談会の席で取り上げるわけでございますけれども、早急な普及というふうな点につきまして私どもあれこれつとめてはおりますけれども、現在のところ具体的にこうしたらいいというふうな確信のある案をまだ持ち得ない段階でございます。
○加藤(清)小委員 それではこの小委員会が完了するまでにはわがほうの原案を出す用意があります。それまでに行政府のほうとしましても鋭意検討をいただきまして、何らかの案をひとつ出していただきますように、そのために、これまたこの関係の業界を参考人としてここへ呼んでいただくことが促進のきっかけになると思います。これを委員長さんのほうでよろしく御検討を願います。 紡績業界並びに綿工連、機屋さんの業界、織布部門の業界等々の意見をいままであれこれ聴取してまいりました。合繊業界の意見も聴取してまいりましたが、ここ数年の間に新鋭機が生まれてくるとするならば、それまで構造の改善を待ちたいという意見が多いのでございます。なぜかならば、自動車のように減価償却が一年か二年で終わる、モデルチェンジが毎年のように行なわれるというものであれば、これはことし買ってまた来年買えばよろしい、こういうことになるでございましょうが、重工業局長御存知のとおり、繊維機械は減価償却が非常に長い。二十年、三十年、こたえます。しかも法的なこれに対する減価償却は、長きは二十五年でございます。短きが十五年でございます。一度いまこれを設備いたしますと、三年先に新鋭機ができたからといって、それを取りかえっこはできない状況です。いわんや、御存じのように豊田佐吉翁時代にできた機械がいま動いておるのです、部品をかえさえすれば。これは当時の鋳物の研究が非常に進んで、耐久力の強い世界一の鋳物ができたからでございます。この鋳物はやがて今日の自動車のエンジンにその技術が応用されまして、日本のエンジンはたいへんに強いということでアメリカの自動車業界へも日本の自動車が輸出される状況になった一つの大きな原因に相なっております。それほど日本の鋳物は耐久力が強い。したがって、二、三年先に新鋭機ができるということがわかった今日、紡績業界としても機屋業界としても、古い設備でしんぼうして、できた後に新しいのを買いたいというのは当然の理でございます。そうなりますと、先ほど繊維局長は構造改善が順調に進んでおるようにお話がございましたけれども、千二、三百万錘のうち十二、三万錘から十五、六万錘ということは、百分の一ということなんです。新鋭機は、紡機に至っては百分の一しかかわっていないということなんです。これでは、すでにこれを完了いたしましたアメリカ、イギリス、特にランカシア、イタリア、フランス等々との機械のけんかでなしに、繊維製品のけんかができなくなってくる。だからこの際、この新しい新鋭機を早急に工業化することが必要だと存じます。すでに機械の新鋭化の研究が進みまして、チェコその他からプラント輸入をいたしましたけれども、これに日本式の知識と技能を加えた結果は、いまやその新鋭機を先進諸外国が逆に日本へ注文をいたしてきておる。これは御存じでございましょう。そういう状況ですから、日本が新しく開発した新鋭の繊維機械というのは世界じゅうが注目しておる。これに対して政府が援助をしないという手はない。政府が援助をしさえすれば、この機械は、やがてまた戦前行なわれていた日本の繊維機械と同じように、アメリカにもイギリスにもフランスにもイタリアにも、繊維の先進諸国へ輸出されることは、もう火を見るより明らかです、すでにその国々から注文が来ているのですから。そういう新鋭機は日本の誇りであります。それが日本の繊維構造改善に取り入れられて、この機械が動くということは、やがて日本の繊維産業をより強くする原因になる。それはやがて繊維構造改善法の趣旨に全く合致する問題でありまするので、重工業局長、いまからでもおそくございませんから、ひとつ早急にこの対策を樹立いただきたい。そのための一つの手段として、関係業界を呼んでいただいて本委員会でじっくりと話し合う、これらを提起いたしまして、私の本日の質問は終わります。
○小宮山小委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十六分散会