商工委員会 第49号
- 発言数
- 200 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1969/10/08
会議録
○宇野委員長代理 これより会議を開きます。 本日は、委員長所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。 通商産業の基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤山治君。
○武藤(山)委員 通産関係の、特に今日緊急課題になっている幾つかの問題がございます。その一つは、アメリカの繊維の輸入制限的動き、すなわち自主規制の要請、さらに残存輸入制限の撤廃あるいは資本自由化の問題、これは大平通産大臣の双肩にかかった重大な問題であると思うのであります。このいずれをとってみても、大平さんがどういう姿勢でどういう処理をするかということを、国民あげて注視をいたしているわけであります。特に繊維輸入制限の問題については、きょうあたりから全国各地で業者大会が開かれ、通産省の姿勢に非常な関心を示していることは、大臣も御承知のとおりでございます。 私は特に感じますことは、繊維の輸入自主規制の交渉を提起したアメリカの態度は、何といっても保護貿易主義に立っている。また片方、それと全く矛盾する残存輸入制限や資本の自由化は、貿易自由化の理論に立っている。こういう相矛盾した考え方をアメリカ政府が同時に日本に押しつけてくるという、この矛盾と動揺と混迷はどこから出てきているのか。アメリカは自由貿易主義でいくのか、保護貿易主義を強く前面に出すのか。すなわち、ドル防衛に非常にウエートをかけて、筋の通らないがむしゃらなやり方を大国の力にまかせて押しつけてくるような感じがしないでもないのであります。昨今の繊維輸入制限をめぐるアメリカの姿勢について、大臣はどのように判断されておりますか、冒頭に大臣の見解をちょっと承っておきたいと思います。
○大平国務大臣 武藤さんの御指摘のとおり、アメリカがわが国に対して一億の魅力ある市場の開放を迫るということは、私は十分理解できます。また日本の経済の実力から申しましても、また日本の利益から申しましても、自由化への道を歩んでいかなければならない筋合いのものでありますから、アメリカの要求というようなものも十分理解できるわけでございます。しかしながら、あなたの御指摘のとおり、繊維の自主規制の要求は、本来自由であるべき貿易に逆行する措置であることはまぎれもない事実でございます。私はたいへんアメリカのために残念に思っております。
○武藤(山)委員 そこで大臣は、七月の日米貿易経済合同委員会で、事実調査なら派遣してもいい、応じてもいい、こういうことで、事実調査団を派遣したわけです。高橋局長はその調査団の責任者としておいでになったわけですが、あなたが率直に見たアメリカの繊維業界の実態というものはどういう実情であり、そういう実情から考えてアメリカの言い分は無理があるのかないのか、あなたの御判断はどのようにお感じになってきたかをちょっと報告願いたいと思います。
○高橋説明員 現在アメリカから提示されました統計資料に基づきまして、またワシントンにおきまして先方から口頭でいろいろ説明を受けまして、それに対してこちらから質問を行ないました、そういうすべての質疑のやりとりの内容を、現在、鋭意分析、検討中でございます。 ただ、とりあえずどういうような感じかということでございますと、経済的側面から見ますと、米国の繊維産業が、繊維の輸入、なかんずく日本からの輸入によって直接重大な被害を現在受けておるということは、どうも直ちには客観的に立証できないのではなかろうか、しかし取りこぼしがあってはいけませんので、いま十分念を入れて検討いたしておる、こういうことでございます。
○武藤(山)委員 いま念を入れて検討しているとおっしゃいますが、新聞報道によると、大平通産大臣は十七日ごろ東欧のほうへ出かける、こういう報道がありますが、それ以前にこの調査団の結果報告はまとめて大臣に提出をし、政府の態度をきめますか。それとも、大臣が十七日以降海外からお帰りになってから、その結論を出し決断をするという段階ですか。それはどのようになりますか。それとも、全く調査団の報告書には関係なしに、政治的な次元でこの問題の最終決断をしようとしておるのか、それはどのような取り扱いになりますか。
○大平国務大臣 調査団の携行した資料、アメリカ側との討議の内容、そういったものは引き続きずっと検討してまいるつもりであります。しかし、これは日本側が結論を出して公表するという性質のものではございません。あくまでも、日本政府が繊維問題に対処する場合の資料といたしまして、私どもが持っておればいいものであると考えておりますから、これを公表するというようなことはいたさないつもりであります。しかし、アメリカ側から二国間協定の申し入れを外交ルートを通じて受けておるわけでございますから、これに対しましては、できるだけ早く一応の御返事はしなければならないと思うておりますが、その場合に、高橋ミッションの携行してまいりました資料の検討を通じて得た心証は、十分われわれも参考にしながらやってまいるつもりです。
○武藤(山)委員 通産大臣、いまアメリカは、六日からの協議の中で、たいへん乱暴な議事の提案のしかたをしておるような気がするのであります。たとえば、通産省が繊維自主規制についてあまり応じないというような態度だというので、今度新たに工業品目、四十品目ですか、全部をひとつ自由化せいと言ってきてみたり、急に議案をふやしてくるようなアメリカの態度、こういう点から見ると、アメリカという国は非常にドライですね。だから、かりに資本の自由化や輸入制限を日本側が撤廃をしても、残存輸入制限にかなり応じていっても、アメリカは、それと繊維は別だ、資本の自由化は迫る、残存輸入制限の撤廃は迫る。日本がそれにある程度応じていって、じゃ応じたからといって繊維のほうの問題はたな上げになるかというと、それはそれとしてまた別だという保護主義の立場は捨てないのじゃないだろうか、私はこういう見通しに立つのでありますが、その辺は大平さんはどのような認識に立たれておりますか。
○大平国務大臣 私はアメリカ側のマナーについてことあげをすることは差し控えたいと思います。問題は、日本側がどのように対処するかの問題であろうと思います。残存品目の自由化の問題は、すでに御案内のように、日本が自主的な立場でスケジュールをきめまして、鋭意進めておるわけでございます。これは対米関係ばかりじゃないのでありまして、グローバリーに自由化するわけでございまして、日本はそういう立場で一定のスケジュールを持って進めておるわけでございます。その過程におきまして、日米間の交渉が持たれておるわけでございます。すなわち、いまのように残存輸入制限品目の自由化の問題は、そういうすでに確立した自由化の方針に基づいて日本が自主的にやっておるものについて、アメリカ側がみずからの関心品目について日本側の理解を求めてきておるにすぎないわけでございますから、私どもは、われわれのスケジュールに従いまして着実にこれを進めていきつつ、アメリカの関心品目についても、可能なものにつきましては処置をしてまいるというようにいたしていくべきでございます。それから、仰せのようにそれと繊維の問題とは別な問題でございまして、これがこうだから、繊維の問題はその成り行きいかんによってはこうするという、そういう問題ではないと思うので、仰せのとおり全然別なことだと考えております。
○武藤(山)委員 アメリカは、他との取引材料にそういうものをしようという、また片方、資本自由化や残存輸入制限の解決が一歩々々進めば繊維はあきらめるという態度は、私はとらぬと思うのです。私は、今回のアメリカが非常に強腰で繊維規制の問題を迫ってきている、そういう重大な段階に、福田大蔵大臣が、十月三日ですか、アメリカに渡ってワシントンで記者会見をやっておりますね。そのときに、いよいよ六日から日本と協議が始まるという重大な段階のときに、福田大蔵大臣は、二国間協定を時間をかけて検討したい、こういうことを記者会見でしゃべっていますね。これは各新聞がだあっと報じているのですから、おそらくしゃべったに間違いないと思うのですよ。そうすると、一国の同じ閣僚が、しかも大蔵大臣という非常な力を持った閣僚が、アメリカに行って二国間協定を時間をかけて検討したいとしゃべっている。もう一点重要なことは、佐藤首相が訪米前に解決に向かっている必要がある。繊維問題をめぐって福田さんが記者会見でしゃべったのはこの二点ですね。このことが、アメリカ側に沖繩問題と経済問題とからみ合わせ、日本に対する攻撃の方向をからませて持ってくる一つのきっかけを大蔵大臣がつくったのじゃないかと私は思うのです。あなたはこの記事をおそらくお読みになったと思うのです。福田さんがえらいことをしゃべったなと感じましたか。二国間協定を時間をかけて検討するという表現は、まあまあしかたのないところだと受け取りましたか。この発言、どうお感じになりましたか。
○大平国務大臣 福田さんと私と前もって打ち合わせての問題ではございませんから、その場面に私がいませんでしたから、それをコメント申し上げるということはいかがかと思うのでございますが、私の理解するところを申し上げて御参考にいたしたいと思います。 二国間協定と一口に言いますけれども、私どもはガットの体制の中で、日米両国ともこのメンバー国として加盟いたしてその権利を享受し、義務を負担しておるわけでございます。したがって貿易上のいろいろな問題は、こういうすでに世界的に確立した舞台、マシナリーがあるわけでございますから、それに応じてやるべきものでございます。そのガットの場でいろいろやりまして、それが多国間の話し合いになるか、二国間の話し合いになるか。まあ論理的にはそういうことはあり得ると思うのでございます。武藤さんの懸念は、おそらく、そういう土俵をはずした二国間協定というものであっては困るという趣旨だろうと思いますが、福田さんともあろう方がそんなことを言われたはずはないと私は考えております。つまり福田さんの言われた趣旨は、そういう前提で御理解をいただいたほうがよろしいのではないかと私は思います。 それから、佐藤訪米の前に云尺の問題でございますが、率直に申しまして、繊維の問題も沖繩の問題も、残存品目の自由化、資本の自由化等の問題も、日米間に横たわる当面の問題であるという共通的性格はあると思うのでございます。そういう接点において共通性を持っておりますけれども、問題の性格が全然違うわけでございまして、これをこうするからこれはこうするんだというようなバーゲンになる性質のものではないと思っております。ただ、日米間のトップレベルの会談が行なわれるわけでございますから、私も一閣僚といたしまして、おそらく福田さんも同感だろうと思いますけれども、日米関係というものが穏やかな中で最高の会談が行なわれることが望ましいということは、佐藤内閣の閣僚として共通の願望である、そういうことを言われたように私は受け取っております。
○武藤(山)委員 大臣のその受け取り方は全く、新聞報道の事実——文字どおりに読み、雰囲気を文字からくみ取るという読み方をするならば、全く事実に反しますね。福田さんは記者会見で、二国間協定を時間をかけて検討したい、こうはっきり言っておるのですよ。ということは、ガットの場でとか、あるいは多数国家間でとかという柱はないのですよ。だから、六日から始まった交渉でアメリカ側に非常な力を得せしめた、私はこういう感じがするのですよ、こういうことを閣僚がしゃべったということは。そのことは、ひいては通産省の努力が、姿勢がやはり欠陥があるんじゃなかろうか。大蔵大臣なり外務大臣に、通産大臣はこの問題について、こちら側の態度、姿勢を十分頭に入れさしておかなければいかぬ。そういうことをしないから、私は、同じ閣僚の一人がアメリカへ行って、こういう言わなくてもいいようなことをしゃべってしまうということになるんだと思うのですね。 さらに、愛知外務大臣も、訪米をしているその際に、自主規制を受けるかどうかは別だが、交渉に応ずる。そうすると、二国間の交渉には応ずる、こういう態度ですね。ところが、通産省は一体二国間の交渉には応ずるのか応じないのかということを新聞でいろいろさがしてみると、二国間では応ずる意思はない。これは、多国間ならば、あるいはガットの場ならば、そういう前提で話し合いを煮詰めるなら通産省はよろしい、こういう姿勢のようですね。そうすると、どうも愛知外務大臣のアメリカにおける発言も、大蔵大臣の発言も、通産省の真意をあらわしていない、こういう感じがするのです。真意を伝えておりますか。大臣はどのようにお考えになりますか。
○大平国務大臣 新聞報道というのは、得てしてあんこの部分だけが出るわけでございまして、いろんな前提とか条件とかいうものが正確には出ない場合が往々にしてあるわけでございます。つまり外交というのは交渉でございますから、いつも交渉というものは拒否したらいかぬと思うのでございますが、私どもが国会与野党、業界方面から強くたがを入れられておりますのは、自主規制を前提にした交渉はすべきでないということでございますから、そういう交渉はわれわれは応ずる用意はないわけでございまして、それは大蔵大臣もよく御承知のことと思うのでございます。問題は、にもかかわらず日米間に繊維問題というやっかいな問題がございますから、これについて二国間でいろんな交渉の場を持つということは、もう外交のABCだろうと思うのでございます。そこを、そういうニュアンスがその談話に出ていないようでございますけれども、そういう認識におきましては、われわれの閣僚間に軒輊はないと私は考えているのでございます。
○武藤(山)委員 割り当てられた時間に制限がありますから。 大臣の意思統一が三、四人、たとえば通産、企画、外務、大蔵、こういうようなところが、きちっとこういう場合には姿勢をそろえておかないと、足並みがばらばらで、何か業界が感じている印象、国民が感じている印象は、最終的には佐藤総理大臣に一任をして何か政治的な取引の具に繊維問題が扱われる、こういう感じが非常に強いですね。いろいろ、官房長官の談話を読んでみたり、大蔵大臣がしゃべった、外務大臣がしゃべった——そこで、大平さんがきのうになってようやく、通産大臣の談話を新聞記者会見で、きのうの夕刊ですが、多国間なら応じる——初めて通産大臣が追い詰められて発言をしたというような印象なんですね。それまでに外堀がずっと埋められ切ってきたような感じがしないでもない。 そういう点で私は、閣僚間において、この問題はやはりもっとしっかり意思統一をしておく必要がある、こういう感じなんです。これは単なる条約の書きかえや外交上の折衝という問題ではなくて、その裏に、アメリカは筋の通らない保護貿易という立場に立って、ニクソンが業界の圧力で選挙公約をしたということが土台になっておる。これは政治問題なんです。日本だって、結局、繊維業者にしてみれば死活の問題で、自民党政府がこれをどうさばくかということについての突き上げがあるのですから、これも政治問題なんです。それを普通の外交ルートのようなことで、ギブ・アンド・テークでものを解決しようというような姿勢をとったら、これはたいへんな禍根を残す問題だろうと私は思うのであります。そういう点から、やはり三閣僚の意見がばらばらであるということが、この交渉に非常な影響を与えている。この点は今後十分配慮すべきではないか、こう私は思います。あなたはいま、意思のそういう懸隔はない、もう完全に一致されているという弁解でありますが、どうもこれは弁解にすぎないような気がしますから、もっと外務、大蔵等に十分通産省の態度をのみ込ませる、こういう姿勢が望ましいと思うのです。それはひとつそういう努力をしますか。それともいまのままで、最終的には政治的な判断で、高度なからみ合いで結論が出てしまうというような可能性がありますか。
○大平国務大臣 事柄の筋は、仰せのように日米合同委員会がございまして、この問題について日本側は自主規制というようなことに応ずるつもりはない、先方は二国間で何とか話にならぬかという相談で、平行線のままでございまして、そこで問題は、一体対米輸出によってアメリカの業界に現実にどれだけインジュリーがあるかないか。私どもはないと思うけれども、取りこぼしがあってはいかぬから、念のためにエキスパートを派遣しましょうというところで高橋ミッションが行かれて、帰ってきてその結果を分析検討中である、そういうところへ、正式に二国間協定の申し込みがあったわけでございまして、これにどのようにこたえるかということが次の場面の問題になるわけでございますから、そこまでの事柄しか行なわれていないわけでございます。武藤さんのいまの御質問は、何か政府部内におきまして取り乱した態度であるようにお受け取りでありますけれども、それはもっとずっと経過を見てからにしていただきたいと思うのです。いまはまだそこまでしかやっていないわけでございまして、これから返事をしようという段階でございますから、いろいろな報道がございますようですし、いろいろな御批判もあるようでございますけれども、私どもはいま申しましたように、いままで国会に対して私が申し上げておりまする態度、それをくずしていないわけでございますから、もしそれをくずしたんでございましたら大いにおしかりを受けていいんでございますけれども、鋭意そのラインでやっておるわけでございますから、いやもうおまえの足元はだめじゃないかという、そういう、もう日本の国内からそんなことを言われることは、私はたいへん心外なんで、私どもをひとつ御鞭撻いただきまして、誤りなきようにひとつ御指導を願いたいと思います。
○武藤(山)委員 私はその間違いのない鞭撻をしたいから、三閣僚の意思統一をせい、こう言っているわけなんだ。逆なんです。あなたの力を信頼しているし、りっぱな通産大臣で実力のある人だと信頼をするからこれはやっておるんで、これが信頼できない大臣だったら質問しませんよ。もう通産省負けじゃと思って投げますよ。まだ可能性がある、こう思っているから一生懸命叱咤激励しているわけなんだ。 そこで、私ちょっと伺いますが、繊維局長、四日の日に通産省で何か通産省の首脳会議をやったという報道がございます。幹部会議ですね。この問題をめぐって、やったかやらぬかの事実を——中身はこれから聞きます。じゃないと、新聞はと、こう逃げられますから、四日の日にこの問題をめぐって幹部会議をやりましたか。
○高橋説明員 通産省でいう幹部会という形式のものはやりませんでした。ただし、次官室で関係の二、三の局長が集まって話をいたしました。
○武藤(山)委員 その二、三の局長が集まって会議をやったのが、新聞では幹部会議でと、こうなっていると思うのです。高橋繊維雑貨局長が、さきの専門家会議におけるこの調査結果の中間報告を行なった。それで、これのいろんな評価を議論をした。それを三つにまとめましたね。新聞記者会見では三つにまとめて報道されている。ちょっと読んでみましょうか。 その一つは、「政府首脳の間で、繊維と沖繩の返還など政治問題を一括して取り引きずる考えが出ている事実は無視できない」。だから、沖繩と取引するというような、そういうニュアンスが出てきた事実があるというんですね。これは無視できないぞと、これが第一点。第二は、「最悪の場合、選択規制にもちこむ可能性がまったくないとはいえない」。第三に、「佐藤首相訪米前に専門家会議以前の状態に立ち戻るようなかたくなな態度はとれないなどの空気も出てきた」と新聞は報じているわけなんです。この三点を一応二、三の局長が集まって、幹部会議ではないんだろうが、この繊維自主規制問題をめぐっての会議でそういう三つの集約された意思統一、見解の統一が出されたんですか。
○高橋説明員 私もいろいろな新聞を読んでおりますが、各紙の報道ぶりはまちまちでありますし、全然出ていない新聞もございます。いまおっしゃいましたような三点に要約されたような結論が出されたというようには、私、考えておりません。
○武藤(山)委員 いまの記事は日本経済の十月五日朝刊号、これにかなり詳しく出ている。そうしてその見出しは「通産省軟化のきざし」と、こうなっている。これはますますもって心配になるのです、こういうのを見ると。これはやはり最終的には、通産省の局長やあるいは次官あたりの判断ではどうにもならぬ段階が来ちゃったのだ。結局、沖繩問題とのからみ合い、これが持ってこられて最高政治決断の問題になりそうだという危惧がありありと読み取れるわけなんです。だから私は、そういうことから先ほどの大蔵大臣の発言や外務大臣の発言というものを通産当局がかなり気にして、通産省ペースではだあっと進めなくなっちゃったという意識が、こういう形になってあらわれたのじゃなかろうか、こういう感じがしたわけです。 そこで、四日の日にそういうことの意思が表明されて、これが決議ではないにしても、こういう雰囲気が大体幹部の考え方であるのかないのか、もしこの報道が誤りだというならば、局長、通産省として第三の道はいまの時点でこういくのだ、その第三の道というのが、きのう大平通産大臣が記者会見をやってお話しした、多国間の話し合いならば応ずる、これ以外の方法についてはわが政府としては応ずる意思は全くない、こうはっきりしているのですか、通産省の態度は。
○大平国務大臣 通産省の態度ですから私から御答弁申し上げますが、私は、いま武藤さんが読み上げられたような幹部の意思の統一があるというようなことは、全然承知しておりません。それは全然寝耳に水でございます。 通産省といたしまして私がいま申し上げた趣旨は、インジュリーがあったかなかったかの究明をいたしておるということでございまして、ただしインジュリーの究明というのは、対米輸出国は日本ばかりではございませんから、ほかの国もあることでございましょうから、もしアメリカのほうでインジュリーの究明について関係国で話し合いをするというようなことでもあれば、それにも応じないなんというかたくなな態度ではありませんよという、きわめてあたりまえなことを申し上げたのでございまして、多国間協定なんというおおそれたものではないのです。それは誤解のないようにお願いしたいと思いまして、またそういう段階なんでございまして、たいへん先走ったお話のようでございますが、そんなにおおそれたことは私ども考えていないので、皆さんにお約束申し上げましたように、じみちにこれを取り運んでおるつもりでございます。
○武藤(山)委員 そうすると、協定という表現はしないが、多国間の話し合い、多国が同席をして会議を持つ、そういうことならば通産省は応じていこう、こういうことですか。
○大平国務大臣 自主規制を前提としたような会議であれば、二国間であろうと多国間であろうと、私どもは応じないという態度には変わりはございません。ただ、インジュリーの究明という点につきまして多国間で話し合いが行なわれるような場合、そういう場合には日本として弾力的な態度でおりたい、そういうにすぎないのであります。
○武藤(山)委員 時間があと十分という通告が参りましたので、これはとても質問ができなくなったのでありますが、繊維の自主規制問題については、いま大臣が、多国間であろうと自主規制というのを前提にする会議には応じられない、こういうはっきりしたお答えがありましたから、せっかくひとつ政府首脳の見解がまちまちになることのないように、最後まで私はこれは筋を通すべきだと思っております。やはり貿易の合理主義に徹すべきであるし、日本は特に自由貿易主義に賛成をして、ケネディラウンドにも率先賛成をし、大いに自由化の方向へ進めつつあるわけですが、アメリカは自由貿易の国のようなことを、世界にはリーダーシップがあるようなことを言うけれども、いろいろなこまかい規則をつくって事実上の輸入規制をいろいろな製品についてやっているわけですよ。時間がありませんから言いませんけれども、そういう大国のエゴイズムというものについては、やはり筋を通して最後までがんばり抜くという姿勢が今日最も必要ではないか。小国だからといって、敗戦国だからといって、経済的な問題を政治的な問題と切りかえたり、取引したり、犠牲にしたり、そういう姿勢というものは断固はねのけるという強い大臣の姿勢を期待をして、この問題を終わりたいと思います。 次に五、六分でありますが、九月一日から公定歩合が引き上げられ、徐々に引き締めがきいてまいるだろう。この十二月から年度末、三月ころまでの間に中小企業はかなりいかれるのじゃなかろうか。また倒産の現象が激しくなってくるんじゃないか。というのは、前回の引き締めのときには、生保の資金やあるいは信託の資金、農林系統の資金、こういうものが非常に余裕があった。さらに内部留保、手元流動性、そういうものも高かった。ところが今回の引き締め時は、こういう条件がなくなりつつあるんじゃなかろうかと私は思う。したがって、中小企業に対する圧迫というものは、前回の引き締め時とは違った意味の影響が、今度は出てきそうな気がするわけなんであります。そういう点について銀行局長はどのような情勢認識をされているかをまず伺って、次の対策についてちょっと述べたいと思います。
○青山説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生から御指摘がございましたように、確かに四十二年にいたしました金融引き締めの場合と、全体の金融機関の金融環境は相当差があると存じます。ただその中で、相互銀行、信用金庫等は非常にその後も順調に伸びておりまして、このほうの資金量は相当豊かになっておるということは事実であろうと思います。私のほうも、政府関係の国民公庫、中小公庫あるいは商工中金等を通じまして、その後どういうふうな動きがあるかということについては、向こうからいろいろな情勢を把握するようにつとめておりますが、九月一日から措置をとったばかりでございますので、九月中にはそう顕著な姿はまだ出ておりません。今後十月以降、先生の御指摘のように、だんだん月のたつとともにそういう傾向はあらわれてくるのではないかという意味で、われわれは非常にその点は慎重に見守って実情を把握しなければならない。特に私のほうは、そういう意味におきまして、第一線である財務局に、この間財務局長会議がございましたので、十分現地の通産局あるいは各金融機関と連絡をとって、中小企業に対する影響がどういうふうになっているか、金融機関から的確にかつすみやかに把握してほしい、それによってあるいはまた必要な措置は関係方面と打ち合わせてとっていかなければならないからということで、この点は強く示達をいたしてございます。なお、先般の措置に際しましても、各金融機関に対しては、とかくこういう措置がございますと、中小企業に影響が及びやすいものでございますので、そういうことのないようにあらかじめ十分な注意はいたしておきました。
○武藤(山)委員 大臣、今度の引き締めがじわじわと十二月ごろから中小企業にかなり圧力になると思うのですね。やはり資本主義の一番アキレス腱は、金融引き締めをやられて中小企業がまいるということですね。これを克服できれば資本主義というものは、無計画生産、大量生産、薄利多売の体制というものは非常な優位な経済システムになると思うのでありますが、そういう金融の波動の中で中小企業というものがやられる。 そこで、大臣に最後に注文をしておきたいのは、こういう段階になると、何といってもまず資金量が非常に苦しくなることと、歩積み・両建てが裏で非常にふえていくという傾向になるわけであります。だから中小企業の金融対策として、歩積み・両建て、それから資金量の確保、これにやはり万全を尽くさなければならぬと思うのであります。例年なら年末融資のワクを一千億円くらい年々広げるわけですね。ところがことしは、年末融資の一千億円を三機関に増額しただけでは例年と同じですから、何にも上積みしたことにはならない。手当てしたことにはならない。ことしのそういう特別な環境にあるということを考慮するならば、年末融資に含めて、金融引き締めの対応策としての三機関に対する資金の増額をすべきである。現在通産省は、例年なら千三十億円、一千億円程度ですね、それを千六百三十億円大蔵省に要求をしているということは、いま申し上げたような、いろいろなそういう条件がことしは前回と違う、だから事が起こってからでは間に合わぬ、こういうことで例年よりも六〇%上のせした要望が出ているわけですね。これを削られるようなことにならぬように、ひとつ三機関の資金量は一兆億円をこすという、その線にまで今度はがんばり通さなければならぬと思うのです。大臣の御見解はいかがですか。
○大平国務大臣 先ほど銀行局長から御答弁ありましたように、この金融引き締め後の状況は、ただいまのところ顕著な影響が読み取れるところまでまいっておりません。設備投資も、省力投資を中心にいたしましてなかなか旺盛でございまして、前年度対比におきまして、大企業よりも上回った投資がいま行なわれておるような状況でございます。 ただ、先ほどもあなたから、また銀行局長からお話がありましたように、生保筋、信託、長銀筋その他、資金ポジションが以前とは変わってきておりますので、この引き締めが行なわれる前に、前もって財政当局には私からお願いをしておいたのでありまして、第一は、いまあなたが御指摘の歩積み・両建て。だいぶ改善のきざしが見えかけておるやさき、これがまたもとのもくあみになるというようなことは困るから、これに十全な配慮が望ましい。それから年末金融につきまして特段の配慮をお願いしておかないといかぬ。その他要望すべきものは要望いたしたのでございます。そしてそのラインに沿いまして、いま財政当局に年末金融の申し込みをいたしてございまして、十一月の上旬にはきめていただくという手はずで、いま鋭意進めていただいておるわけでございます。仰せのように、こういう状況でございますので、遺憾のないように必要にして十分な資金の確保に努力してまいるつもりでございます。
○武藤(山)委員 大臣はお約束の時間ですから、どうぞけっこうでございます。 最後に銀行局長、いま大臣からも大蔵当局にいろいろ強い要望をしておる。せっかくの努力でありますし、やはり日本の金融の流れ、金融の姿、あるいは中小企業の健全な資金確保、こういう問題は、大きな見地からやはり銀行局長の守備範囲だと私は思うのであります。ですから、三機関に対する今回の通産省の千六百三十億程度は、ひとつぜがひでも実現せよということを銀行局長からも大いに主張してもらいたい。同時に歩積み・両建てが一歩でも後退しないように、ひとつ十分の配慮を期待をするのでありますが、あなたの決意のほどを伺ってこの問題を終わりたいと思います。
○青山説明員 お答え申し上げます。 第一点の政府関係機関の資金量の問題でございますが、これにつきましては、通産省から現在要求が出ております。私のほうでその積算根拠等をいま御説明を承って、内部で検討いたしておりますが、銀行局はある意味ではやはり要求的な立場に立つわけでございまして、今後の中小企業への影響等を十分考えまして、関係当局と十分に話し合って必要かつ適正な資金量の確保につとめたい、こう考えております。 それから第二の歩積み・両建ての問題でございますが、これはかねがね問題になりまして、幾度か大蔵省としてもこの改善に努力いたしておるわけでございます。しかし、こういうものは絶えず繰り返しその改善の努力を重ねていかなければならないものでございまして、特に金融引き締め時には、とかくまた両建て・歩積みがふえる傾向がございます。こういう点を考えまして、九月十三日に私のほうから各金融機関に対しまして、歩積み・両建ての改善についてさらに積極的に取り組むよう指示をいたしましたし、同時に、中旬に行なわれました各業界の例会におきまして、私のほうからこの点については積極的に改善するよう指示いたしたわけでございます。 なお、これにつきましても、やはり個々の問題についていろいろまだ不備がございますので、そういう点を的確にとらえまして、さらに改善の努力を重ねてまいりたい、こういうふうに考えております。
○武藤(山)委員 次に企画庁長官にお尋ねをいたします。 長官、この間も、物価対策を強力に推進しようという経済関係閣僚協月例報告承認のときに、物価問題などもやっておりますね。大臣、昭和四十年を一〇〇としてこの統計資料がずっと出されておるわけですが、まだ八月までしか正確な数字はわかっておりませんが、昭和四十年からことしの八月まで、物価は何%ぐらい上がったと認識されておりますか。
○菅野国務大臣 ちょっと数字的なものですから、局長から答えさせます。
○八塚説明員 お答え申し上げます。 昭和四十暦年を一〇〇といたしまして、昭和四十三年で、これは暦年でございますが、一一五・一。なお四十四年の七月で一二一・六ということになっております。したがいまして、暦年でございますが、四十年を基準にいたしまして二割ということでございます。
○武藤(山)委員 大臣、いまお聞きになりましたように、大ざっぱに二割ですね。この八月になると二割をこえて二二・九%、これはあなたのほうで出している、経済企画庁の「日本経済指標」という資料ですよ。そうすると、一年平均にして年々何%上がっていますか、大臣わかるでしょう。大臣、そういう認識をしっかり踏まえていなければ、閣僚会議であなたが物価問題を提唱しても、実のある、何か力の入った提案にならぬのです。抽象的な、あれもこれもという総花的な物価対策で、あれでは国民は新聞を読んでも、今度は菅野さん物価安定さしてくれるわと感じない。それはやはり大臣自体が、物価上昇というものが国民生活にどういう悪い影響を与えているかということの認識をしっかり持ってもらいたい。そこで大臣に、意地が悪いようだけれども、いま数字の質問をしてみたわけなんです。 そうすると、年平均にして五・七%ぐらいずつ上がっているのです。この調子で十年たったらどういうことになりますか。十年前に百万円貯金した人が、十年後には——十年前に買えた財貨と十年後に買える財貨とでは、おそらく半分の値打ちのものしか買えなくなってしまう。そういう比較をしてみると、国民の財産は知らない間にインフレによってかすめ取られてしまってしるわけです。 大臣、去年の八月とことしの八月と、前年同月比でどのくらい物価が上がっておりますか。
○八塚説明員 ことしの七月、八月は、御承知のように季節性商品が比較的値上がりをいたしまして、八月、全国では七・二ということでございます。これは御質問にないわけでございますが、先行指標的に見られます東京都の区部の数字は九月で五・二ということで、やや小康を見せております。したがいまして、私ども、全国の九月は、八月のような高水準にはならないのではないかというふうに考えております。
○武藤(山)委員 大臣、去年の八月とことしの八月のベースを比較すると、七・二%物価が上がってしまっている。これはたいへんなことですね。あなたはテレビに出て対談や座談会をやっているが、主婦連の人たちとの話を聞いていると、物価が上がるのは困った困ったという説明はする。物価がなぜ上がるか。構造の問題だ、季節商品の問題だとはいう。あるいは消費者が金を使い過ぎるからだという。大体三つの点を物価が上がる原因として大臣は言っている。しかし国民の聞きたいのは物価が上がる原因じゃない。どうすれば物価を上がらぬようにさせられるかということを聞きたい。それについてはさっぱり答えていない。いままで大臣の出るテレビなどをよく見ておるのですが、こうすれば安定できるんだという答えがない。残念ですね。経済学博士で優秀な企画庁長官のはずなのに、何も国民に提案が出せないというのは歯がゆくてしようがないのでありますが、あなたの知恵をしぼってもブレーンの知恵をしぼっても、具体的にこうしたらいいというものが出ないものですか。これはあとで議論していきますが……。 そこで大臣は、ことしの経済見通しは五%で押えるんだ、五%は危機ラインなんだ、これ以上は何としても上昇させないんだと言っていますね。非常にけっこうなことを言っているのですが、五%で押えられますか。押えられるためには今後の月々は何%程度の上昇で押えなければ五%のワクにおさまらぬと思いますか。大臣のお考えを……。
○菅野国務大臣 物価の問題の根本問題はまたあとで御質問があるそうですから、そのときにお答えしますが、五%で本年度の消費者物価を押えようという基本方針はわれわれあくまで堅持したい、こう考えております。しかしながら、六月、七月、八月の季節的商品が予想以上に高くなったために、この五%を堅持することについては非常な困難を覚えております。並みたいていのやり方では五%の堅持は困難だと考えております。しかしながら、まだ半年ありますから——昨年あたりも、御承知のとおり、予想外に年末から暖冬異変のために一月は三%の上昇率になったのでありまして、これが初め五%ぐらいな上昇率と考えておったのが、一月は三%というようなこともあるのでありますから、ことしは季節的商品の関係で六月、七月、八月は上がりましたが、しかしながら、まだ半年の間においてわれわれはできるだけ努力して、ことに公共料金などは押え、あるいは高くなった商品についてはできるだけ安い外国品の輸入というようなことで、五%はあくまで堅持する方針でやっておる次第であります。
○武藤(山)委員 大臣、五%で押えるためには、九月以降明年三月まで八カ月間、月率にして〇・二%でずっと推移しないと五%でおさまらぬですね。これは神わざです。不可能と言ってもいいんじゃないかと思うのです。どうですか、月率で〇・二%で推移できるという見通しはあるのですか。
○菅野国務大臣 このままで進行すれば〇・二%で押えなければならぬということはお話のとおりでありますが、しかしながら、われわれはあくまでも五%を堅持しなければ、先ほどもお話がありましたとおり、定期預金の利率との関係もありますので、したがいまして、どうしても五%で押えるような方策をいろいろいま考えておるのでありまして、この問題につきましては、しばしば閣議を開きまして、各大臣にも、あくまで五%で押えるという方針だから御協力をお願いしたいということもお願いしておるのでありますからして、内閣は一致して五%を堅持するという方針で進んでおる次第であります。
○武藤(山)委員 方針は決意ですからいいでしょうね。目標ですからね。しかし、現実は経済というのは、大臣の意図するように簡単に決意のとおりに動かない。そこで何か刺激が必要なわけですね。対策が必要なわけなんです。 大臣、いま卸売り物価が七カ月間ずっと連続高騰を続けた。そこで企画庁や日銀や大蔵省は、これは金融引き締めをやる以外にない、景気の過熱を少し押えよう、物価をとにかくできるだけ抑制しよう、こういうねらいから今回公定歩合の引き上げがあった。従来なら、国際収支が赤字になりそうだから、あるいは赤字になったからということで引き締めをやるんですが、今回はそうじゃないですね。物価の問題と景気過熱の問題を押えるというのが、公定歩合の引き上げのねらいでしょう。だとすると、この卸売り物価の問題、七カ月間ずっと上がってきた問題を金融引き締めでどう押えられるのか、効果がどう出るのか。 この物価の値上がりの状況をちょっと見ると、卸売り物価総平均一〇〇としてみますと、食料品がそのうちの二二・四、鉄鋼関係が三五・六のウエート、非鉄金属が三一、この三品目で九〇%近いですね。そうすると、この鉄鋼と非鉄金属は、原料が全部輸入です。そうすると、海外のインフレが日本の卸売り物価に影響してきている。そういうものを、国内均衡という立場から公定歩合の引き上げをやり、引き締めをやって過熱を押えていくということで、一体この卸売り物価の安定ということが期せられるのかどうか、この辺は経済学博士としてどう認識されておられるのか、ひとつお聞かせを願いたいのであります。
○菅野国務大臣 お話のとおり、卸売り物価は海外からの輸入品の値上がりがおもな原因であります。そこで、幸い海外の物価が上がっておりますからして、したがいまして、日本の国内の卸売り物価は上がりましても、輸出価格は海外の商品に比較して安いです。だからして輸出は依然として旺盛であります。したがいまして輸出は超過いたしております。というのは、海外の物価が高いために、日本の商品の輸出が依然として盛んに行なわれておるのでありますからして、一例を申し上げれば、たとえば鉄の問題、これはどんどん売れています。鉄鉱石の原価は高くなっておりますから、製品は高くなっておりますけれども、海外に比べると安いということで売れておるのでありますからして、その点はそう御心配にならないでよいと、こう考えておる次第であります。
○武藤(山)委員 御心配しているわけじゃなくて、そういういまの公定歩合の引き上げ、過熱を押えるという施策で、はたしてこの卸売り物価が横ばいになるようになるのか。海外市況の関係で値上がりしているという原因がある。それを国内経済の均衡、安定成長という観点から、この卸売り物価が経済論理的に押えられるのか。これを一体経済学説的に、論理的に大臣はどんな説明をするかと思って、実は聞いているわけなんです。 〔宇野委員長代理退席、藤井委員長代理着席〕 私は企画庁長官じゃないから、心配するなと言われれば、責任は企画庁長官や大蔵大臣や総理大臣にあるのですから。私はただ国民の立場から、国民の被害をいかにして少なくするかという立場から政府の見解をただしているのですから。私は、効果ないと思うのですよ。どうですか。
○菅野国務大臣 私へのお尋ねは、海外からの輸入物資が高くなったから卸売り物価が上がった、それが経済に影響をどのように及ぼすかということでありましたから、輸出という観点からいまお答えしたわけです。 いまのお尋ねは、国内の問題についてのお尋ねと思いますが、そこで、先般公定歩合の引き上げをしましたのは、これが直接的に物価にすぐ影響するというものではないと私も考えております。しかしこれも、あのとき日銀総裁が発表いたしておりますとおり、警戒的、予防的な意味で公定歩合を引き上げた。現在の経済情勢から申しますと、卸売り物価は高いし、そして銀行の貸し出しも非常にふえているし、民間設備投資も非常にふえているということで、いままでの考え方からすれば、これはある意味の過熱状態だと思います。しかし、幸いに輸出が盛んであるために、したがって国際収支は黒字であります。従来であればこれは当然赤字になるべきところが黒字でありますので、したがって、その点において日銀総裁が、公定歩合を引き上げることによって物価に直接影響するかどうかということについては非常に苦心をされたと思うのでありますが、私も、直接的に直ちにこれに影響するとは考えておりません。しかしながら、これで警戒を与えたということによって、民間設備投資も、これで多少いままでのやり方について、企業者が従来よりもその企業マインドをあるいは弱くするとかというようなことで、多少そういう点についてのにぶりが起こってきはせぬかということからして、物価にも影響を及ぼすことになるのじゃないか。しかしそういうような影響は、これは一月や二月で影響があるものではありません。でありますからして、この公定歩合の引き上げでもって直ちに物価が下がるということではありませんけれども、一応国民に警戒を与えたほうが、国民に対してやはり親切であるし、また政府としても、その点においてわれわれは大いに賛成をした次第であります。
○武藤(山)委員 効果はないけれども精神的、心理的な作用をねらっている、こういうことで一応この論争はやめましょう。 次に、大臣、経済の成長率と通貨の発行量というものを見ると、何か通貨のほうが適正な伸びにいってないのですね。この間、大蔵大臣がいないのであなたが大蔵大臣代理をつとめて、十月三日に日銀券の発行限度額をきめましたね。前年と比較して、発行限度額を何%の伸びにきめたんですか。
○菅野国務大臣 限度額を、今度は四兆一千億円にきめました。それまでの三兆四千億円であったのを四兆一千億円にきめたのでありまして、引き上げ率は二〇・六%であります。
○武藤(山)委員 とにかく一年に日銀券発行額を二〇・六%もばあっと引き上げているわけですね。これは、そうしなければならないという最大原因はどこにあると思っているのですか。二〇・六%も一挙に上げなければならない。片方は物価は五%以下で押えなければならぬ。本来なら三%以下でなければならぬのですよ、物価だって。それを五%だといって、預金金利に匹敵するような物価高を平気で政府が見通して国民を麻痺させちゃっている。実際は、資本主義をうまく運営していかれる者は、国民にこんな犠牲を与えるような考え方ではいかぬですよ。ほんとうは三%以下でなければならない。それを一応五%以下と政府が見積もって、何とか押える、押えると言っている。片方は、通貨のほうは二〇・六%ばあっと——これはつり合いがとれているんですか、日本の経済成長と。どうなんですか。
○菅野国務大臣 これは一言にして申し上げれば、経済が拡大した結果、取引量がふえましたから、したがってその間に通用するところの通貨量というものをふやさなければならぬということになっておるのでありまして、決して通貨をより多くふやしたわけではありません。その点は経済の拡大の限度に応じて通貨量をふやしたということになるのであります。
○武藤(山)委員 そうすると、資本主義の企業というのは無計画生産だ。だれかが買うだろう、つくれば売れるだろう。だろう生産ですよ。だろう生産だから、そのだろうのために、手形はどんどん出る、土地を担保にして当座預金を組んで小切手はじゃんじゃん書く。通貨でないものが、土地なり不動産が裏づけになって新しい信用がどんどんつくられますね。これが結局回りめぐって、日本銀行に全部最終的には通貨の交換になっていくわけですね。だから、二〇・六%もお金をふやさないことには決済がつかなくなってくる。こういう循環をしておると私は思うのです。 そこで大臣、インフレの元凶には、それは佐藤内閣の無能というものが一つ犯人の中に入ると思いますが、企業のそういう無計画な信用創造というものが、今日の物価高の大きな原因になっていると思いませんか。あとで数字を申しますが、どう思われますか。預金とインフレの関係、これは経済学者はわかると思うのですが、ひとつ教えてくれませんか。
○菅野国務大臣 数字についてはいま事務当局からお答えさせますが、今日までの状況では、通貨がふえたがために物価が上がったというようにはなっておりません。したがいまして、普通であれば、通貨が増発されれば物価が上がります。これが普通の状態でありますが、今日の状態ではそうではなくて、通貨もふえておりますけれども、経済活動が拡大しておりますから、その間のつり合いやバランスはよくとれていると思うのであります。 しかしながら、先ほどから物価は大体三%以内が至当ではないかというお話、それはわれわれもそのとおりと考えております。しかし御承知のとおり、国民所得倍増計画で高度の成長を遂げたことがそもそもの原因でありまして、それまではそう物価は上がらなかった。高度成長したがために物価が上がってまいったのでありまして、佐藤内閣はその間の事情をよく知っておりますからして、物価の安定ということを重要政策にしたのであります。したがいまして、われわれといたしましては、五%以内で押えようということで、いままでからの情勢からすれば五%以上の情勢になりそうであるから、五%程度で押えようということでありますが、実際われわれの理想からいえば、三%以内で物価を上昇せしめることが一番いいというように考えておりますから、今後はそういう方針ですべての経済政策をとっていきたい、こう考えておる次第であります。
○武藤(山)委員 企画庁長官はミクロでものを見て——いつ大臣の首が飛ぶかわからない、いまの内閣改造のテンポの早いときですからね。私がいま言っているのは、かなり長い観点から通貨というものが物価に与えている影響を述べているわけです。そこに食い違いがあるから、当面五%で押えればいいんだということに集中しておりますが、ちょっと大臣、数字を申し上げてみますと、現金通貨、いわゆる日本銀行券の発行状況というのは昭和四十年年末で二兆五千億、その次の四十一年が二兆九千億、四十二年が三兆四千億、四十三年が四兆。現在が、今度は四兆一千億円の限度にしましたから、おそらく年末には、あとを追っかけて四兆一千億円ぐらいになると思うのです。去年の数字を見てことし四兆一千億円にしたのです、この間上げたのは。事実去年の十二月、四兆四百九億円になっている。これは違法行為なんだ、いまごろいじったのは。去年も、現実離れした、限度額をオーバーしたものが出ているのです。それはいずれにしても、いままでの銀行券の増というのは、大体年間四千億から四千五百億、この程度でずっと推移してふえてきた。ことしは七千億とばっとふえましたね。 預金通貨のほうは、三十八年五兆五千億円、四十年七兆四千億円。それが四十四年、ことしの六月には十二兆円になっている。これが銀行を通じない信用拡大になっているわけですね、信用膨張の原因に。これが決済に回っていくわけです。だから、現金通貨と預金通貨のインフレに与える影響というものを、ぼくらはもっともっと研究しなければならないし、政府はもっと関心を持たなければならないと思うのです。こういうものについて政府自体がもっと適切な何か施策を考え出さなければいかぬと思うのです。十二兆円も預金通貨が出てしまう。年間の成長率は、絶対額でいくと一兆円以上ですよ。一兆一千億円、一兆二千億円、一兆三千億円、年々このくらいずつ預金通貨のほうがふえている。ところが、昭和三十五年以前は預金通化というのはほとんどない。統計上見ても三百五十億くらいしかない。それが今日、高度経済成長になって以来預金通貨というものがべらぼうにふくれ上ってきている。これが通貨の価値をかなり下落させている大きな原因の一つになっているような気が私はするのです。大臣、この点どうですか。
○菅野国務大臣 通貨の量だけ見れば、それだけ増加いたしておりますが、しかし通貨に相対応する生産はやはりそれに応じてふえておりますからして、したがいまして、今日まではその間のバランスがとれていると私は思うのです。しかし今日では、通貨の問題を考えて、いわゆる需給の関係を少し検討すべき時期にきている、こう私は考えております。でありますからして、物価対策も、いままでは通貨と金融ということについては、どっちかといえば第二次的に考えておりましたが、今後は金融財政という面からして、需要供給の関係、総需要というものをいかにすべきかということを考えて物価対策を講じたい、こう考えておる次第であります。
○武藤(山)委員 あなた、いま生産も伸びたと言うけれども、預金通貨と現金通貨を合計して生産の伸びや賃金の伸びを計算してみますと、びっくりする数字になるのですよ。生産は十年間で四・五倍、預金通貨と現金通貨を含めると十四・七倍、信用拡大が十四・七倍、賃金が大体三倍から三倍半、この通貨の動きというものは今日の物価にえらい影響をしていると私は思うのです。そうでなかったら、政府がほかの部分をいじれば物価が安定するというなら、十年も経過しているのですから、保守党内閣は個別対策で安定していなければいかぬのですよ。個別対策でこれが収拾つかないというのは、真犯人が別にいるのです。それに手当てをしなければ、高度成長が続く限りどんなに明晰な企画庁長官が出てきても、五年も十年もずっと物価というのは安定しないのですよ。ぼくはそう見ている。どうですか。それとも、企画庁長官が出、大蔵大臣が出てくれば、やはりいまのようなシステムで安定ができるとあなたは本気で考えておりますか。
○菅野国務大臣 高度成長と申し上げてよいと思いますが、たとえば西ドイツの場合には物価が二%単位であります。でありますからして、ドイツ式でいけば、ドイツ式が非常にうまく成功している、こうわれわれは考えておるのであります。したがいまして、日本においてそれが五%以上の消費者物価になったということについては、今日までに日本のとった政策についてわれわれは反省しなければならないものがある、こう考えております。 そこで、今後はそういう点を反省して、物価を上げないという方針でいきたいということで、いままでは成長、成長ということばかりやっておりましたからして、すべての経済政策が成長本位できたのでありますが、今後は物価ということも考えて国民の生活安定ということでいくべきだ、それには物価を安定させなければいかぬということで、いままでにとってきた政策自体をわれわれも反省して、そして新しい政策を今後とるべきであるということで、先般は国民生活白書にもそういう意味を書いてありますし、経済白書にもそういう意味を書いてあるのでありまして、今後は物価を押える、できれば三%以内に押えて、そして同時に経済の成長も依然として持続させようということでいきたいと思っております。 しかしながら、経済の成長を依然として持続さすということと物価を安定せしめるということについては、両立しないというのがいままでの考え方でありますが、しかし私は両立できないものではないという考えをしておりますので、これを両立させるというところに今後の日本の経済政策の基本がある、私はこう考えておるのでありまして、そういう意味でいまいろいろ私どもでも苦心をいたしておりまして、いままでの政策について、反省すべきものあるいは修正すべきものは修正して、そして新しい観点から、経済の成長も、依然として一四%、一五%も成長すること自体は、あるいは成長し過ぎていやせぬかという感じを私は持っておりますが、その点もいま私どものほうでもいろいろ調査、研究しておりまして、日本の経済において何パーセント成長するのが最も妥当であるかということを考えてみたい、こう考えておりますし、同時に物価も、それに応じてどのようにすれば安定するかということをあわせ考えて今後の政策をとっていきたいということで、来年度の予算についてはそういう点を示したいということでいま苦心をいたしておる次第であります。
○武藤(山)委員 それではこれから、ミクロとマクロで見た——あなたは両立させ得るとおっしゃいましたが、どういう政策をとったら両立させ得るのか、国民が一番聞きたいのはそれなんですね。観念ではなくて、では具体的にどういう施策をどうすれば両立ができて、物価の被害を国民は受けない、こういうことになるかということ、これを聞かせてもらいたい。その場合、先ほどの預金通貨の問題についても、企画庁もひとつ大蔵省と十分分析、研究をしてもらって、これがインフレにどういうかかわり合いを持ち、どうすればいいかという問題についても、ひとつ次の機会に局長からでも十分明快な分析結果を報告願いたいと思うのです。 それから、大臣、それでは具体的に物価問題を当面どうしようとするのですか。ことしは予算もちゃんとつけているはずですが、何にもききめがない。どうすればいいんですか。
○菅野国務大臣 物価問題についての即効薬はありませんが、即効薬をやろうと思えばできますよ。デフレをやれば一ぺんにできます。しかしそれは日本の経済を破壊することになります。そこで、日本の経済は依然として成長せしめながら物価を安定せしめたいという考えをしておりますからして——ただ単に物価ということを考えれば、デフレ政策をとれば一ぺんに下がります。しかし国民に非常な大迷惑をかけるし、経済的な大混乱を来たします。そこにわれわれは苦心しておるのであって、いまアメリカはどっちかというと、経済の成長を押えて物価を押えるという政策をとっております。それではたして物価が下がるかということ自身は、私自身はまだ疑問を持っております。でありますが、アメリカはそういう方針でやっていって、年末ごろには多少物価は下がるのではないか、そういうことをアメリカ側は言っておりますが、これは疑問を持っております。西ドイツも数年前にそういう政策をとりました。そして物価を押えるために成長を押えるという政策をとったが、しかしそれがために非常に経済的な混乱におちいって、失業者が続出するというようなことで、御承知のとおり前内閣はそれで倒れたのであります。でありますからして、簡単に物価、物価というだけでわれわれはものごとを見てはいかぬので、同時に経済が成長して、われわれの経済生活をよくすると同時に、できるだけ物価を押えて安定した生活ができるようにするというのが経済政策の基本だ、こう私は考えておるのであります。 そこで、即効薬というものは、いま申し上げましたとおりありません。がしかし、日本の物価がどうして高いかということは、これはたびたび私が申し上げておるとおり、日本の経済機構、構造上の問題、これが外国と違いまして、大企業と中小企業あるいは農業との生産性の違うという点、これがその構造上の問題でありまして、この問題を直すのには、これは一年、二年では直るものではありません。 〔藤井委員長代理退席、宇野委員長代理着席〕 その問題については、数年政府がいろいろと苦心をいたしておるのでありまして、先ほど中小企業の問題について御質問がありましたが、中小企業の構造上の——何とかして中小企業をよくしたいというような考え方で御質問があったと思うのでありまして、そういうことで中小企業自体の生産性、農業の生産性を高めるということが、これがやはり基本です。そこで、それをやるのには数年かかりますが、しかし最近中小企業の方も非常に近代的な経営をやるようになりましたからして、したがって、それが物価に非常な影響を及ぼすということは、これは一度皆さん方も見学していただきたいと思うのでありますが、新大阪駅の近くに最近繊維センターを設けました。あそこへ行きましたら、なるほど近代化をやっておりました。これは流通コストが非常に安くなるのです。したがって、当然商品の値段が安くなるということを業者自体が言っております。だからして、そういうことで近代化をはかることによって、この価格を、物価を上げないようにするというのがやはり基本です。 しかし、それまでにまだ打つべき手があります。それは、たとえば日本のある商品の価格が高いときには、安い外国品を輸入するとかというような方法。あるいは、ことに最近において問題になりますのは、大体日本の消費者物価の値上がりは政府が主導しておるのだというようにいわれておりますからして、政府主導型の物価上昇を押えようということで、公共料金を抑制するという方針をとったのでありまして、その最近の最もいい例は、生産者米価を据え置いたことであります。これについては各方面からいろいろ反対がありましたけれども、政府は押し切って生産者米価を押えたのでありまして、これがやはりこの物価騰貴に対して非常に影響をしております。物価の抑制について非常に好影響を与えておると思うのでありまして、そういうように、われわれのほうでは、まず政府としては公共料金を抑制するというような対策を今後も堅持していくという方針でおるのであります。それから、たとえば生産性が高まったために余剰価値が非常にふえたような商品、これは売り値を安くしてもらうというようなことは、企業者側にもわれわれは要望しておるのでありまして、これは配当を増加したり何かせずして、企業者自体もそういう点についてはひとつ考えてほしい、そういうことをお願いしておるのであります。 そういうことで、われわれは打つだけの手はいろいろ打っておるし、打つつもりでありますが、しかし、われわれから申しますと、この物価という問題は、もちろん政府もやりますが、企業も協調してもらいたいし、国民も協調してもらいたい。そして国民が一体となって物価を下げようということをこの際やっていきたいということで、消費者側の消費生活自体についてもひとつ考えてもらいたいということをお願いしておるのであります。そういうことで、ひとつ国民自身でわれわれの生活を安定するという気持ちを持ってもらいたい。先ほど私、ドイツの例を申し上げましたが、ドイツが物価が上がらないというのは、ドイツ国民の消費生活が日本人と非常に違うということです。そういう点についてわれわれ学ばなければならない点が多々あると思うのでありまして、そういうことからして、政府も一生懸命やるし、企業も考えてもらうし、国民一般もひとつ考えてもらって、そして物価を安定して、生活を安定せしめていくという方針で今後進んでいきたい、こう考えておる次第であります。
○武藤(山)委員 大臣はいつも口を開くと、上の問題の解決、総需要、消費者の消費が旺盛過ぎるからこれを何とかひとつみんなで少なくしようじゃないか、これが第二。第三は、輸入政策を根本的に改めて、農産物などももっと安いものをどんどん、足りないものをどんどん輸入する、この三つが大臣がいつも話している柱だと思うのです。 ところが、いまのお話の中で、第一の構造上の問題は、これは百年河清を待つような問題ですね。農業近代化、生産性の向上というけれども、これはなかなかむずかしい。というのは、生産性の向上をやってどんどんでき過ぎたのが米。鶏がいいというからどんどんつくる。えさはさっぱり下がらない。卵は上がらない。農民の所得はふえない。あほらしくてやめちゃえ。去年は今度野菜の値段がべらぼうに安くなったものだから、もう来年もそういうひどい目にあったんじゃかなわぬというので、冬野菜を農民が投げたちゃった。そのためにことしの冬は値が高くなる、なくなる。そういう個々の高品別に見ると、農民は豊作貧之になるのですよ。特に野菜などはたくさんできれば安くなっちゃうし、少なくなれば値が上がるというけれども、すぐ補充できない。需要供給のバランスが、農業の場合にもすぐそこでとれない。そういうものを生産性を上げて構造上の欠陥を除去するんだと口では言うが、具体的にほんとうにやり得るのか、やる姿勢がまた政府にあるのか、非常に疑問ですよ。私、自分でも百姓ですが、百姓に対する政府の適切な指導なんというのは、近代化とか生産性の向上でコストダウンするなんということをいま農民に求めても、全くできない相談です。そうすると、これは百年河清を待つような問題だね、農業のこういう問題で物価にはね返る状況は、いまの政府の状態では。 あなたのほうで、ことしの二月ですか、「物価対策関連予算」というのを、物価政策課で国民生活局と共同出版のを私どもに配りました。これを見ても、この予算の中で何がほんとうに物価対策としてきき目があるのかということがわからない。総花的に、とにかく間接的に関連のある予算をみんな書き上げて、物価対策に何千億円金を使いましたというようなことをいっている。これじゃ物価は安定しないですよ。構造上の欠陥も解決できないです。大臣、私、持論なんでありますが、農業の生鮮品。野菜類、くだもの類ですね。こういうものは、ヨーロッパの農業を見ても、国の責任で非常に大きな冷蔵庫をつくっていますよ。貨車までちゃんと入るように、大きな冷蔵庫がもう町々にあるですね。おそらく長官はブルガリアへも行ったことがあると思うのですが、ブルガリアへ行っても、ハンガリーへ行っても、そういう大きな国営の倉庫に適当な温度に調整して、リンゴでも、あるいは玉菜でもキノコでもぎっしり詰めてある。野菜類まで、その温度に適したやつで一週間やそこらの調整はできるわけですから。いまのあれでいったら、二十日くらいは平気なわけですからね、温度の調整さえきちっとしてあれば。冷蔵庫をつくる技術なんて、日本は世界的に進んでいるのですから、国が本気で生鮮食料品の安定をはかり、需要供給の流れをいつもコンスタントにしようということになればできるはずなんです。やらないのですね、政府は。こういうのをもっと企画庁というのは、頭脳センターで計画だけぱっぱっと立てるのじゃなくて、実施させるまで各省に、ではこれは各省の予算でひとつ農林省にぴちっとやらせようとか、これはひとつ通産省にやらせよう、そういう具体的な手だてをしないと、生鮮食料品のいまの状況というものはおさまりがつかないのじゃないですか。どうですか大臣、何か名案があるのですか。
○菅野国務大臣 日本の消費者物価が、お話のとおり季節的商品の上下によって上下すること自体が、私は喜ばしい現象じゃないと思います。だからして、野菜ができ過ぎて値が安くなるとか、できなければ値が高くなるということではいかぬのであって、常時必要な量を供給するというような方法を講じなければならぬということでありまして、その点において、お話のとおり、いままでいろいろ政府の施策としても手抜かりがあったと思いまするし、これはやはり農民自体にもそういうことを考えてもらうべきでなかったかと思うのであります。そういう点については、先般来、今後われわれも、季節的商品によって物価の上下するようなことは決して喜ばしいことじゃないから、これをまずなくするように考えていかなければならぬということを私は発言いたしたのでありまして、そういう点においては、今後農林省ともよく相談して、ひとつ進捗するように努力いたしたいと、こう考えております。
○武藤(山)委員 これは大臣、農民にやれといってもできないことなんです。農協にやれといってもだめなんです。できるけれどもだめなんです。というのは、農協はいま完全な経済合理性に基づいたコストを考えている。だから、倉庫の建設費が三億かかった、それを取り戻す管理費をどうする、そういうようなことで、結局倉庫に入れることによってコストが上がってしまう。これでは意味がない。やはり国営のそういう倉庫を必要とすると私は思う。この問題については、私は国民生活局長にも二年前に物価委員会でかなり詳しく提言をしたのですよ。企画庁、力がなくてさっぱり推進できない。農協団体も、去年ですか、大宮の在に初めて、私が何回も提案をして農協団体で一つつくった。ことしあたりからようやく始まったのでしょう。しかし、それはみんな保管料を取るからだめなんですよ。私はもう国で大きなものを、ただでブロック別に大都市の近くにばあんとつくって、そういうところでこの安定供給ができるような装置というものは、いまの科学の時代ならやれると思いますね。簡単にできると思う。これをひとつ大臣、来年度の予算の中で真剣に取り組んで生鮮食料品関係の物価安定の大きな施策としてぶち出そう、このくらいな気持ちに国がなれませんか。もう農民と相談して農林省にまかしてなんて、だめなんです。金の出ばが農業団体ではだめ。政府がやらなければだめ。どうですか。
○菅野国務大臣 私は、農民からやはりきついそういう要望があってほしいと思うからお願いしたのであって、そういう強い要望があれば、したがって政府もまた、それによって要望にこたえてやることになりますから、国民も要望するし、政府もその必要を感じてやるということでやれば、すべてがスムーズにいくのではないか、こう考えておる次第でありまして、もういまのお話のとおり、それがほんとうに農産物の価格安定のために絶対必要であるということであれば、私のほうから強く農林省に——そういう予算か出ておるかどうか私はっきりいたしませんが、ひとつ検討してみたい、こう考えております。
○武藤(山)委員 約束の時間はあと十五分でありますから次へ進みますが、せっかく大臣、来年度予算には具体的に、生鮮食料品のこの需給変動をどうしたら調整がとれるかを、企画庁として国民の前に、こういう道筋でこうなんだということを、ひとつあなたが大臣在任中に青写真を明らかにしてください。期待をしておきます。 次に、軍需産業、防衛産業の問題でこの前長官にここでお尋ねしましたね。そのときに長官は、国内に余力のある場合には輸出を認めてもよい、こういう答弁をしておるのですよ。国内に軍需産業の余力があれば輸出してもよい。そうすると、余力という意味は、防衛庁から生産注文を受けた期限に楽に納品ができて、まだ期限というか、働く日数が余った。その場合にはそういう兵器をつくって海外へ売ってもいいということなのか。余力とは一体どういう意味なのか。ちょっと私もあのときにはぼやっとしておって、大臣にべらべらっと、余力があればと逃げられたのですが、その余力とはどういうことを意味するのですか。
○菅野国務大臣 大体、武器の製造は日本の自衛隊向きにつくるということが原則でありまして、海外へ輸出するのは、御承知のとおり、これは輸出禁止の条項が三項あります。それに反せざる場合は、余力あれば輸出してもいいということになっておりますが、その余力というのは、販売先と数量がある場合、海外へ販売する数量がある場合には売ってもいいということになるのでありまして、そこの工場が製造しておる物量がすべて自衛隊向きの要求に応ずるものであれば、もちろん余力はありません。がしかし、同じものを五十つくるよりも百つくったほうが安くつくという場合があります。そういう場合には、国内の自衛隊へ売る場合それだけ価格を安くすることができますから、そういう場合には——あるいは製造メーカーというものはそういうことを考えるものでありますから、そういう場合には、同じつくるのであれば、そういうように安くつくったほうがいいというようなことで、あるいはつくった場合もあり得ると思うのです。そういう場合には、三原則に反せざる場合にはそれは売ってもいいということを申し上げておる次第であります。
○武藤(山)委員 そうすると大臣、余力というのは解釈のしようによってはどんどん広がるのではないですか。たとえば自衛隊でF4Eファントムをかりにことしじゅうに五十機つくらなければならぬ。ところが、実際には技術がもう完全にマスターできて一年に七十機つくれる、あるいは百機つくれる。その場合に企業はどこかの国と何らかの契約を結んで、ひとつうちの飛行機を買ってくれ、うちの軍艦を買ってくれ、うちの戦車を買ってくれるか、できるなら買いましょう。そうなれば、自衛隊へ納める量よりも余分に生産体制さえふくらましていけば、余力ができちゃうじゃないですか。そうすると、何も歯どめはないじゃないですか、余力というのは。企業が相手方との貿易契約を結んで、あとは自分のほうの生産体制さえふくらませれば、余力になるんでしょう。自衛隊へ納める以上につくれるのですから。そうすると、これは全く歯どめがないですね。どうですか。
○菅野国務大臣 初めから海外へ輸出するという目的での生産拡張はわれわれは認めないのであって、自衛隊の注文に応じて製造する場合に、いま申し上げたとおり、機械の設備や何かの関係で七十つくるところを百つくっても、つくったほうが割り安になるというようなことは、メーカーでも当然考えられると思うのです。そういう場合には、それだけの余力があれば販売してもいいという意味で申し上げているので、初めから海外へ売るつもりで製造するということ自体は、これは問題である、こう考えております。
○武藤(山)委員 しかし、いまのあなたの議論でいっても同じ結論なんですね。じゃ日本政府に、この戦車五百台つくるよりか七百台つくるほうがコストがこう安くなります、そうすると防衛庁から納める金もそれだけ減るからひとつ七百台にしたいから、とこう言われた場合断われないじゃないですか、いまのあなたの議論でいくと。そうでしょう。コストが下がって、日本政府がそれだけ支払いが得するんだということになればいいということになるのだったら、余力あるということは、どういう便法でもつくって拡大されるんじゃないですか。
○菅野国務大臣 そのときのその量によるわけであって、余力ですからして、初めから海外へ輸出するという目的でつくったのじゃないので、自衛隊向きでつくったときで余ったものということになるのですからして、余力ですから、その点をひとつお考え願えればいいと思うのです。初めからどんどん海外へ売るためにつくるという場合は、おそらくそれは認めないんじゃないか、こう考えておる次第です。
○武藤(山)委員 私がなぜこれを取り上げ言っておるかというと、この間自民党の安全保障調査会長、自民党の大御所船田中代議士がテレビ、新聞で記者会見をやって、二つの提案を私案として出しましたね。一つは百万人の郷土防衛隊をつくったらどうか。第二は兵器の輸出を認むべきだ。これが第二の柱。しかも自民党の安保調査会長がこういうことを言い出してきたというところに、私は非常な関心を持たざるを得ない。これは政府・与党でありますから、この意見が外交調査会なり安保調査会の意見として正式に政府を動かし、企画庁や通産省を動かし、皆さんの考え方自体が転換をされはせぬかという心配もある。この船田発言について、大臣は現職の大臣としてどのようにお受け取りになっておりますか、あの意見を。
○菅野国務大臣 私は新聞でその内容を見たにすぎないのでありますが、これは船田氏個人の私見だと私は考えております。まだ自民党自体が取り上げておる問題ではない、こう考えておりますからして、これはもう私見ですからして、いろいろの人がいろいろの意見を言うことは、これはもうあり得ることですから、私自身はこの問題についていまとやかくの批判をする考えは持っておりません。
○武藤(山)委員 批判をする考えは持ってないが、兵器の輸出を認むべきだということは、あなたがこの前言った三原則以外で余力があれば認めるということで、船田発言とは矛盾しない、大臣の考え方と大体同じような考え方だと受け取っていますか。それとも、船田さんの言う兵器の輸出を認むべきだということは、三原則を取っ払って——たとえば現在の紛争当事国、国連が輸出してはならぬと決議をしておる国、第三には共産圏、これが三原則ですね。この三原則とは全く別に、船田さんは全部そういうものは取っ払って、国連の決議したやつくらいが禁止国で、あとはどこへでも売っていいじゃないか、こういう考え方じゃないと思うんですよ。船田さんはやはり、共産圏には売るな、国連決議のある国には売るな、紛争国には売るなという三原則を認めた上で兵器の輸出を認めたらどうかというのがその真意だと思うんですね。そういう意見がもし大きな声になってきても、企画庁長官としては、それは拒否する、そういうことはまずいと拒否する勇気はありますか。
○菅野国務大臣 船田さんの意見の真意については私もわかりませんが、いまあなたの言われたようなことであるとすれば私の考えとは違う、こう考えております。私はいま申し上げましたとおり、余力のある場合には売っていいという考えでありますからして、どんどん海外へ武器を輸出するために製造をやったらいいじゃないかという考えではありませんからして、その点はひとつ誤解のないようにしてもらいたい。
○武藤(山)委員 防衛庁来ていますね。防衛庁は今度SSMの開発体制を整備する、こういうことが実は新聞に大きく出ておったわけですね。これの真偽のほどはどうなんでしょうか、開発体制に入るんですか。
○大西説明員 お答え申し上げます。 先生御承知のように、ただいま第三次防衛力整備計画のちょうど半ばに差しかかっておりまして、次期防衛力整備計画の準備にこれから取りかかろうという段階でございます。近くこれにつきまして着手するようにという長官の指示が出る予定でございますが、そのような事情でございますので、まだ新聞等で報ぜられておりますような内容については、全く作業をいたしておりません。
○武藤(山)委員 そうすると、新聞による、「防衛庁は方針を固め、このほど海上幕僚監部を通じ、同庁技術研究本部に開発に着手するよう指示した」、これはうそですね。
○大西説明員 そういう事実はございません。
○武藤(山)委員 そうすると、これはSSMを第四次防ではひとつ装備をしよう、こういう考え方はやや固っているんですか。
○大西説明員 SSMにつきましては、第三次防衛力整備計画におきましても、研究開発のテーマとして目下研究開発を進めておる段階であります。したがって、それが引き続いて進められるということでございます。
○武藤(山)委員 その研究開発は現在どこでやっておるんですか。
○栗林説明員 現在開発中のSSMでございますが、対上陸用舟艇及び対戦車兼用の射程が数キロメートル、これの短距離のものを四十一年度から研究開発を実施いたしております。四十一年度から現在までの予算は約三億四千万でございます。で、主契約会社は川崎重工でございます。ここで研究開発を実施しているという段階でございます。
○武藤(山)委員 それはいま私が取り上げた新しいSSMの艦艇攻撃用ミサイルとは違うものですね、いまあなたが説明したものは。私がいま聞かんとしているのは、艦艇攻撃用ミサイルSSMのことですね。これは射程距離百キロまで、かなりの長距離まで行くミサイルですね。これを本気で自衛隊が装備しようとしているのかどうかということを私はいま伺っておるわけです。本気で荷キロ飛んでいくこのミサイルを国産でつくろうとしておるのか。
○大西説明員 ただいま自衛隊が百キロ飛ぶミサイルの開発を本気で進めておるかという御質問でございますが、自衛隊の装備というものは憲法の許容する範囲内でいたすものでございます。したがって、そういう条件を考え、これから具体的内容につきましては今後検討をいたさなければなりませんが、憲法の範囲内でやるということにつきましては、今後とも何ら変わるところはございません。
○武藤(山)委員 憲法の範囲内というのは、射程距離でいうならば、兵器でどれくらいの射程距離までは憲法に反しないのですか、あなたの見解では。
○大西説明員 兵器の発達その他の条件を考えますと、具体的にどこまでがわが国が持ち得る兵器であるかということを一がいに申すことはできませんけれども、少なくとも従来政府の答弁しているところで御承知のことと思いますけれども、他国に攻撃的脅威を与えるような装備は持つことはできないということでございます。
○武藤(山)委員 どうも抽象的で、他国に脅威を与えるか与えないかというのが判断の基準のようでありますが、自分のほうが、いまの科学の時代で、より性能のいい、より破壊力のある兵器を持たなければ防衛ができないという議論にだんだんと巻き込まれていって、これも際限なく兵器というものは拡大、開発をされていくものなんですね。そこで、このSSMというものがほんとうに自衛隊に装備されてくると、その次の段階は、もっと先へ、もっと射程距離を伸ばそう、そういう形に軍拡というものはどんどん雪だるま式に大きくなるのですね。この辺で私たちは、やはりミサイル兵器についても限度というものをしっかりと踏まえて、これ以上はとにかく絶対やらぬ、そういう姿勢を示すことが脅威というものを拡大しない方向だと思うのですよ。だけれども、きょうは時間がないから、これらの問題についての議論は省きますが、いずれにしてもSSM体制というものをほんとうに強化していくということは危険な方向である、脅威の拡大の方向である、アジアの平和を持続させる方向ではない、われわれはそういう見解に達し、平和憲法の精神からいっても、日本の防衛を拡大をどんどんしていくというやり方については、われわれは納得いかぬ。こういう立場から、この次は事務当局ではなくて大臣に出てもらって、じっくりひとつ議論をしてみたいと思います。 企画庁長官に幾つかの注文をつけましたので、せっかくひとつ御努力を期待いたしまして、持ち時間でありますから質問を終わりたいと思います。
○宇野委員長代理 午後一時三十分から再開することとし、この際休憩いたします。 午後零時三十三分休憩 ————◇————— 午後一時四十分開議
○武藤(嘉)委員長代理 休憩前に引き続きまして会議を開きます。 質疑を続行いたします。宇野宗佑君。
○宇野委員 繊維に関しまして、二、三大臣の所見を伺っておきたいと思います。 午前中、武藤委員に対しまして非常にはっきりと大臣は言明なさいましたので、われわれといたしましても力強く思っておるような次第であります。すなわち、二国間であろうが多数国間であろうが、自主規制というものをテーマといたした交渉には一切応じません、こういう言明でございましたので、われわれといたしましても非常に心強い感じを抱きました。ついこの間までは何かしらもやもやした空気が流れておりましたので、非常に心配しておったような次第でありますが、しかし今後とも予断は許されないような気もいたします。したがいまして、むしろ私は大臣をエンカレッジするような意味合いの質問になるかもしれませんが、三点ばかり伺っておきたいと思うのであります。 第一点は、これはアメリカに対しましてわが国が今後も強く主張していったほうがいいのではないかと思われる問題でありますが、いわゆるガット第十九条、これをこの際アメリカが十二分に適用されてはどうか。先ほどの、ガットの場においてこうした話を進めるべきであるという大臣の所見は、おそらくそうしたことをさしておるのだろうと思うのでありますが、仄聞いたしますと、スタンズ長官が来ましたときにも、大臣はこの問題を取り上げて、言うならばアドバイスしておられます。また、過般高橋ミッションが訪米いたしました節にも、これまたうわさではございますが、下田大使がミルズ議員に出会ったときにこの問題を提案したと聞いております。ところが、そのときのミルズ議員の答弁は、わが国としては考えられない、こういうふうな答弁になっておると聞いておるわけでございますが、この辺の事情を、簡単でけっこうでございますからひとつお話しいただきまして、そうして今後もこの十九条というものを、もしそういうような話が、立ち話であろうがどこかであった場合には、わが国としてむしろこれを強くアドバイスしていくべきではなかろうかと思いますので、それについての大胆の所見を伺っておきたいと思います。
○大平国務大臣 ガットは国際間に定立いたしました仕組みでございますから、そうして日米両国ともその光栄あるメンバーでございますから、仰せのように、トラブルが起こった場合は、そのアーティクルが示す方向で問題を処理してまいることが出然の道行きであると私はいまなお考えております。それにガット十九条、これはアメリカンクローズといわれておりますだけに、私は、アメリカがこのクローズによって問題を処理されることが、アメリカのためにも世界のためにも望ましいと考えて、そのように先方に申し上げたことも再三ではないのでありますが、宇野委員御指摘のように、先方はいまなおこれに対しまして肯定的な返事はされておりません。十九条がいけないのでありますならば、他の条章に依拠いたしまして処理する道がないものか。これなども、アメリカの場合においても十分お考えになる必要がありはしないかと考えております。 私は、この問題を公正に解決していく、そうして各利害関係者はもとよりでございますけれども、国会その他御心配の向きに対しましても、やはりガットのマシナリーを通じて問題を解決するということが一番適切であるといまなお考えておりますし、今後ともその方向で最善を尽くさなければならないと考えております。
○宇野委員 第二番目にお尋ねいたしたいのは、これは私は決してそのような結果を望むものではございませんが、いま大臣がおっしゃったとおりに、ガットに対しましては、アメリカがかたくなに何か今日色よい返事をしないということであれば、わが国においても、いろいろそうした法律上の問題もあろうかと考えられますので、あえて仮定の問題でございますが質問をいたして、大臣の御所見を承っておきたいと存ずるものであります。 ということは、万一かりそめにもやっちゃならないわけでありますが、何かの拍子に、たとえば政府間において、やむを得ぬからわが国においても自主規制をさせましょうというような取りきめがなされたときであります。なされたときに、政府はそのような自主規制を引き受けたといたしましても、おそらく今日の状況では業界は承知いたしますまい。アメリカの業界が非常に危殆に瀕して、そしてこれだけの被害が出たからガットに訴えたのだというのであるならば、また話は別でございましょうが、ガット十九条に訴える道すらも考えておらないという状況においては、当然わが国の業界も、あまりにもアメリカのエゴイズムに対しまして、そう簡単にイエスとは言いますまい。そういう状況を判断いたしますると、政府は自主規制を認めたが、わが国の業界は認めなかった、こういうような場面が仮定されるわけであります。そうしたときに、政府は一体全体業界に対しましていかなる方法によって自主規制というものを実現さすことができるのでしょうか。私はできないと思う。たとえば輸取によって業界が自主的に輸出組合をつくりまして、われわれの輸出を規制いたしましょうというのならば話は別であります。あるいはまた輸出貿易管理令によりまして、政府が思い切って強硬な手段をとって輸出を規制するというのならば別であります。しかし、アメリカの今日の繊維業界そのもの自体に経済的な合理性がない以上、おそらく政府は自分の国民をいじめるというようなことは、私はまさかできないと思うのであります。したがいまして、いろいろあの手この手でやってまいりまするアメリカに対しましても、実はたとえ政府がそのようなことを考えても、わが国においてはその実現は不可能である、こうしたことを知らしめるためにも、私はいま申し上げたような仮定の問題を提起したわけでございまするが、たとえば政府が自主規制を認めても業界がそれに応じなかった場合、いかにして業界を自主規制の方向に導くか、そのような手があるのかないのか、この辺をはっきりされておいたほうがいいのではないか、こう思いまするから、ひとつこの辺の大臣の御所見を承っておきたいと思います。
○大平国務大臣 先ほど申しましたように、ガットの条章に照らしまして、現実にインジュリーがあるという事実が明らかに証明されて、それに対して加盟国であるアメリカが権利を行使されるというような道行きをとってきた場合、これは政府として業界を説得することができるであろうと思います。しかし、そういう前提がなくて、ゴリ押しに政府が業界に強要するなどということはすべきことでもございませんし、できることでないと考えております。
○宇野委員 つまりは、いま御答弁で明らかなとおり、わが国においても、そのようなアメリカのゴリ押しの一点ばりの方策に対しましては、とてもじゃないが、政府の力をもってしてもできないのである、これが明らかになりました。これはひとつ声を大にして、われわれはアメリカの国会にも、日本の国会としてこのことを伝えておく必要があると思うのであります。 なおかつ、もう一点、よけいなことではございましょうが、先年取りきめられました綿製品の国際貿易に関する長期取りきめにおいて明らかになっておりますとおり、「これらの措置が綿製品の特定の問題について処理することを目的とするものであるから、他の分野には適用されるべきではないと考えることを確認する」、こういうふうに、取りきめ書の冒頭に、第一条に書かれております。これはもうわれわれといたしましても、今回の輸入制限問題に対しまして、アメリカには現にこういうことがあるじゃないか、したがいまして、相手が、いかに二国間の協定の話し合いをしようの、あるいは交渉しようのと申しましても、私は、先年取りきめられましたいわゆるLTAに基づきまして、これを拒否することができると思うのでありますが、この辺の大臣の御所見をひとつこの際承っておきたいと思います。
○大平国務大臣 あなたと同じような見解を持っております。
○宇野委員 では最後に、これまた武藤君も指摘いたしましたが、私も次のような考え方を抱いておりますので、その考え方を明らかにいたしまして、大臣の御決意のほどを再度確認いたしておきたいと思うのであります。 それはつまり、この繊維が沖繩問題といろいろとからみ合ってきたというこのムードについてであります。私は非常に残念なことだと思います。わが国には昔から雪月花というような三題話がありますが、この沖繩と繊維とかあるいはグレープフルーツなどというものは、およそそのような三題話の対象にもならないと思うのであります。そこで言いたいことは、大臣がこの所管大臣でございますから、先ほどからの強い決意を持ってやはり閣議というものをリードされる必要がある。特に外務省をリードされる必要もあろう。あるいは福田大蔵大臣がもし先ほどの質問のような考え方に基づいて発言されたとするのならば、帰国後直ちにお出会いになって、正しい方向において大臣がやはりリードされる必要がある、私はこう考えます。 思うに沖繩という問題は、わが国にとりましても、また米国にとりましても、この領土返還、施政権返還問題は最も重要な話でありまして、戦争によって奪い奪われた領土を、戦争によらずして返し返してもらうということは、私は、これは人類の歴史の上から申し上げましても、輝かしい一ページではないか、こう思うのであります。すなわち、その外交は非常に次元の高い外交ではないかと思うのであります。そういう次元の高い外交なればこそ、国民はその返還を待ちこがれ、また大いに称賛するのでございましょう。にもかかわらず、その次元の高い外交の中に、選挙区の事情がからんだというようなことがあっては、これはアメリカはいざ知らず、わが国においては、その選挙区の事情がからんでそれをやむなくのんだんだということが万々一ありましては、それは沖繩の祖国復帰という輝かしい一ページに汚点を残すものだと思うのであります。これならだれでもできます、そのようなギブ・アンド・テークの外交なら。われわれが今日まで叫んでまいった、アメリカもそれを了解してくれたゆえんのものは、先ほど申したように、戦争によって奪われたその領土が、戦争によらずして返ってくる、ここにわれわれとしても輝かしい歴史の一ページをつづるわけでございますので、それを安易に相手方の選挙区の事情のため何か汚点を残すようなことがあっては、私はたいへんだと思うのであります。この点われわれはそういう考え方を持っております。したがいまして、先般、当委員会におきましても、あるいは衆議院の本会議におきましても、御承知のとおりの決議をいたしたような次第であります。この決議が存続する以上、この決議がある以上、私は、政府といたしましても安易な妥協はできないものと思います。もしそれ安易な妥協をなさった場合には、私はやはりそこに国会としての問題も起こってくるのではないかと思います。 そういうような見解でございますから、何としても沖繩の祖国復帰は、それ自体の問題として、いやしくもこのような問題にからめられることのないように、一段の努力をしていただきたいと思うのであります。向こうはからめてきておりますが、われわれといたしましてはからめてもらいたくない、また政府はそれくらいの誇りを持ってこの問題に対処していただきたい、かように思いますので、最後に大臣のそれに対する御所見を承りまして、私の質問はこれで終了いたします。
○大平国務大臣 沖繩問題と繊維規制問題とは全然別だと考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、日米間に横たわる問題としてあるという、日米間の問題であるという共通項は持っておりますけれども、一方がこうだから一方はこうするのだという、そういう性質のものではないと心得ておりますし、私はアメリカ当局もそのように考えておるものと確信しております。 〔武藤(嘉)委員長代理退席、宇野委員長代理 着席〕
○宇野委員長代理 武藤嘉文君。
○武藤(嘉)委員 私は、きょうは与えられた時間がたいへん少ないですから、すでに二回この繊維の問題につきましては続いてこの委員会で発言をさせていただいておりますし、あまり私はかり発言してはいけないという私語も承っておりますので、なるべく簡単明瞭にきょうはお尋ねを申し上げたいと思います。 先ほど武藤山治委員の御質問に対していろいろとお話がございましたわけですが、いま宇野委員も御指摘をいたされましたように、あくまで自主規制を前提とした交渉には一切応じない、こういうことをはっきりおっしゃっていただいたわけでございます。そこで、現在アメリカから具体的に提示を受けましたいわゆる二国間協定、これについては、先ほどのお答えは、一応の返事をしなければならない、それにはこの間の高橋ミッションのいろいろな持って帰った資料も参考にしてお答えをしなければいけない、こういうような御答弁があったと思います。その点につきまして、それでは大体資料の分析はいつごろできて、いつ二国間協定というものに対する申し入れに対して回答ができるのか、まずそれから承らせていただきたいと思います。
○大平国務大臣 それは先ほどもお答え申し上げましたように、この資料の検討はずっと続けてまいるつもりでおりますが、二国間協定の御提案に対しまして一応の返事をすることは急がなければならぬと思っております。したがって、いままで受けた感じを基礎にいたしまして、なるべく早くこのほうの返事はいたそうと思っております。資料の検討は今後もなおずっと続けてまいるつもりです。
○武藤(嘉)委員 そうすると、資料の検討は続けながら、それより前に御返事が出されるということでございますね。大臣が外国へ行かれる予定を承っておりますが、そうすると、その前にこの御返事が出されるわけでございますか。
○大平国務大臣 政府部内で相談をしなければなりませんけれども、私自身としては、できるだけそのようにいたしたいといまのところ考えております。
○武藤(嘉)委員 もう一つ、この三国間協定の返事につきまして、私、承りたいと思いますのは、いままでのこの流れといたしましては、今日の自由貿易というたてまえからいっても、そういう輸出の自主規制はあくまで応じられないということからいきますと、私よくわかりませんが、高橋ミッションの資料の中でいろいろな問題が検討されて、多少なりとも、先ほどからおっしゃっておられますアメリカの繊維産業の中にインジュリーがあったとして——これは仮定でございます。私どもはないだろうというふうに感じておるのですけれども、万が一出た場合でも、二国間協定を結ぶということは、先ほどの宇野委員のお話にもございましたように、ガットの場でこういうものがあれば検討すべきであって、少なくとも二国間協定というものについては、たとえそういう分析の結果があったとしても、これは拒否すべきではないか、こういう考え方を持っておるのでございますけれども、その点について大臣の御見解をひとつ承りたいと思います。
○大平国務大臣 ガットの土俵でやるべきものと考えておりまして、その土俵をはずしてやるということについては、私は全然自信がありません。
○武藤(嘉)委員 そうすると、結論としては、ガットの場以外では自信がない、またガットの場でやるべきだという大臣のお考え方だと私は思うのでございますが、そうなれば、二国間協定というものは少なくとも筋の通らないものであるということになれば、私は返事はノーと解釈していいんじゃないかと思うのですけれども、いかがなものでございましょうか。
○大平国務大臣 目下、返事のことについては部内で検討いたしておりまして、関係方面とも相談せなければなりませんので、ここでまだ申し上げる段階ではないと思いますけれども、私のいま御答弁申し上げておるような基本的な態度に変わりはありません。
○武藤(嘉)委員 決して私は、大臣を責めようとか、あるいは大臣から言質を取ろうというような気持ちを持って御質問しておるわけではございませんけれども、そうすると、考え方としては、あくまでも自由貿易というたてまえ、それがどうしても何かアメリカの繊維産業界に打撃が与えられておるということがあったならばガットの場でやる、こういうたてまえからいけば、ノーという返事が出てくる、こういうふうに私は考えまして、大臣からそういうお答えがいただければ非常に幸いだと思って質問をしたわけでございますけれども、現在の時点ではっきりとそれを大臣から承るということはたいへんむずかしい問題かと思いますが、私は、私の考え方と大臣の考え方は同じである、こういうふうに判断をさしていただいておきますので、その点はよろしくお願いを申し上げたいと思います。 それから次に、いまいろいろ分析をしていただいておるというその調査団の資料の内容でございますけれども、これは事務的な問題でございますが、私は今後にいろいろと問題が出てくると思う点があるわけでございます。それを一つ指摘をしておきたいわけでございますが、それはどういうことかと申しますと、けさほどの武藤山治委員に対する局長の御答弁にも、いま現在の時点ではアメリカの繊維産業に害がある、こういう結論は全く出ないだろう、こういうお話であったわけです。私は、このいま現在はというところに一つひっかかるものがあるわけでございまして、私どものいろいろ聞いておる範囲でも、確かにいま現在はほとんど被害が出ていない。ということは、少なくとも今日アメリカからいろいろの自主規制を求められておるわけでございますから、私どもは現在のアメリカの繊維産業のことを考えればいいのであって、将来の向こうさまの産業がどうなっていくであろうかというようなことまで私どもが心配をして、それに応じていろいろの話し合いをするということは、少なくとも私は必要ないのではなかろうか。私が前の委員会でも御指摘したと思いますけれども、アメリカの繊維産業内部にいろいろ問題がなきにしもあらずだ。しかも、ちょうど日本でいま繊維の構革が行なわれておるように、アメリカの繊維産業においても努力すべき点はあるのではなかろうか、こういうことを私は御指摘をした記憶がございますけれども、私はそういう観点に立ちますと、少なくとも現在のアメリカの繊維産業の状況を十分に検討していただくことは、われわれは決してこれをいけないとは申し上げませんけれども、先ほどの話の、いま現在はというところに、私は実はちょっとこだわるのでございますが、その辺の現在の調査の結果の分析は、一体どういうところまでおやりになっておられるのか、承れれば承りたいと思います。局長からお願いしたい。
○高橋説明員 いま武藤先生からお話しのように、私たちの観点は、現在までの状態、いわゆる輸出が国外の当該産業にどういう直接的な重大な影響を与えているか、あるいは被害を与えているかということに視点を置いて考えておるわけでございます。アメリカ側の考え方は、それプラス、いまお話しのように将来に対する強い不安の念、懸念というものをやはり抱いておるわけでございますから、そういう点をどう評価するかということは一つのポイントであると思います。 それから、どこまで作業が進んでおるかということにつきましては、経済的な側面につきましてお話をし出すと非常に長くなりますので……。いろいろな角度から先方は説明がございました。また、われわれはそれに対して向こうの説明ぶりに合わして質問をいたしました。それをいろいろ取りまとめておるわけでございますが、ただアメリカ側は、いわゆる統計とかデータとか、そういう数字の面にあらわれたものだけでなくて、それ以外の、いわゆる輸入がどんどん増加すると、もしそういうことが続けば、それは当該企業を経営している人たちあるいはそこに働く人たちに対して心理的な影響を与える、それがまた社会的な問題ひいては国内の政治的な問題にもはね返ってくる、こういうような面も一つの事実であるというような説明もございました。こういうような点もいろいろわれわれとしては考えて、これをどう評価するかということを考えております。とりあえずこの辺で……。
○武藤(嘉)委員 そこで、いまの最後の後段のお話の、今後いろいろ社会的に、たとえば、雇用の問題とかあるいは賃金の問題とかいろいろ出てくる、そういうところまで向こうから説明があったので、それも一応含めて御検討いただいておるということでございますが、検討されるのは私はかまわないと思いますけれども、そこまでこの調査の資料に基づいて御検討いただくということは、私は、経済問題から一応政治問題にまで入ってくるのではないか、こういう感じがするわけでございます。そういう経済的な問題以外の要素、こういうものまで考えるようになりますと、これは繊維産業だけにとどまらなくて、もし、今後ほかのあらゆる日本から輸出されておる商品に対して、すべてそういうようなことで、この産業はいまは非常に無気がいい、しかしながら、将来においては人が足りなくなるとかあるいは労働力不足から賃金が上がるとかいうことで圧迫を受けるから、それではこの商品についても同じように検討してほしい、こう言われると、繊維で一つの先例をつくってしまいますと、私は、日本はこれからとも、より多くの貿易をして初めて日本の経済が発展すると思うのでございますけれども、そういう面において、今後の日本の輸出にいわゆるブレーキをかけることになるんじゃなかろうか。だから、くどいようでございますが、私はあくまでも現在の時点をとらえて、しかも将来の問題も、あくまで一つの経済的な問題なら別でございますが、そういう社会的な問題にまで立ち入って調査をし、その結果を尊重するということは、たいへん将来において日本が一つの足かせを受ける形になるような感じがしておるわけでございますけれども、この点についてひとつ大臣のお考え方を承れれば幸いだと思います。
○大平国務大臣 高橋ミッションの報告を承りましてさしあたって感じておりますのは、一つは、いま武藤さんが御指摘のように、この現実の被害にプラスして、将来にわたり潜在的不安というようなものを持ち出しておることが一つ。それからまた、あなたの御指摘のように、経済的な事実にとどまらず、社会的、政治的なことも、これは事実であるというような点を持ち出されておることでございます。われわれが従来ガット体制の中で問題を処理する場合は、あくまでもこれは経済の問題として現実にどういう被害があるか。また、あなたが御指摘のように、将来もきわめて合理的な蓋然性、経済的な蓋然性がなければ被害とは言えないというような考え方でガット体制を運用してきたと思うのでございまして、したがって、いまアメリカ側が主張されるようなところまでふろしきを広げますと、これは従来のものさしと変わってくる重大な問題でございますから、仰せのように、この取り扱いはきわめて神経質でなければならぬと考えて、私どもといたしましては、仰せのとおり、きわめて慎重に取り扱うつもりでおります。
○武藤(嘉)委員 たいへんありがたいおことばで、慎重にお取り扱いをいただいて、なおかつ私、希望を申し述べさしていただけば、あくまでも、そういう将来の少なくとも経済ベースでない社会的な問題まで取り上げて、それを参考資料になさるということだけは、いまお話のとおりで、たいへんにいままでのものさしと違ってくるわけでございますから、せっかく現在日本の貿易も伸びて、日本側にももちろん反省しなければならぬ点はあると思いますけれども、少なくとも、いま日本の貿易が伸び、そうして国際自由化体制、こういう方向へ向っておるときでございますから、いわゆる一番リーダーであるべきアメリカからそういうものが出されてきて、それによって、一つの社会的な、そういう将来の政治的なものまでからみ合ったものを考えなければならないというようなことになりますと、これはほんとうにわれわれ日本だけの問題じゃなくして、大きく言えば、今日の世界経済の動きあるいは国際貿易の動き、こういうものにも私は非常な変化が起きると思いますので、十分この点はひとつ絶対に——そういうことを参考にしていただくのはいいけれども、それを基礎にしていろいろの協定を結ぶとか、いろいろな話し合いに応ずるとか、こういうことのないようにお願い申し上げたいと思います。 それから最後に、結論的にひとつお話を承りたいと思いますのは、アメリカ側は、繊維の自主規制は佐藤総理の訪米前に解決をするのだ、こういうことがしきりに流されてきておるわけでございます。そういう点で、先ほどのお話のように、何か沖繩の問題とからまされている感じがするのでございますけれども、わが国としてはあくまで沖繩問題とはからめないという形でいま終始をしておるわけでございます。そういう意味合いからいって、二国間協定、私は先ほどノーとおっしゃるだろうと期待をしておるということを申し上げましたが、いろいろこれからまだまだ話題は出てくると思うのでございますけれども、ひとつ、筋の通らない問題であるならば、沖繩返還のための佐藤訪米はもう一月とわずかでございます。その間にいろいろな問題が出てきても、あくまで、筋の通らない問題は拒否と、はっきりとした態度で、き然とした態度で臨んでいただきたいと思うのでございますけれども、その辺の御決意をひとつ承らしていただければありがたいと思います。
○大平国務大臣 先ほど申しましたように、沖繩問題と繊維問題とは全然別個の問題であると私は心得ておるというところから御理解をいただきた いと思います。
○宇野委員長代理 玉置一徳君。
○玉置委員 大平通産大臣に御質問申し上げたいと思います。 繊維製品の輸入規制の問題、まことに執拗なあの手この手で持ってこられまして、まことに御苦労に存ずるわけでございますが、そこで、自主規制をやれとか二国間協定を締結しろというような要求は、もちろんガットの精神に反する。それから一九六〇年に締結されました国際間の協定であります綿製品の協定にも、他の繊維製品には及ぼさないということを確認をしておるというような点で、私はこれは心配はしていないのですけれども、何回も何回もこれは将来とも執拗にこられるだろうと思いますので、いろいろな問題で不安を醸成しておることは事実であります。こういう意味で、先ほど武藤さんの質問にお答えになりましたけれども、高橋ミッションがお行きになって、その資料をいま調査中とはいいながら、アメリカのいうような具体的な事実が向こうでどのように感知できたかどうか。いや、そうじゃなかったとお思いになったかどうか。それから、きょうまで作業を続けておいでになります間に、ほぼ中間の考え方としてどのくらいの報告ができるか。と申しますのは、なかなかデリケートな問題があると思いますけれども、せっかくこうやって商工委員会が開かれまして、みんなで心配しておるときでありますので、高橋ミッションから言いにくいことがございましたら、再度繰り返して申しわけございませんが、大臣から、高橋ミッションから報告を受けられたことでもけっこうでございますので、ひとつ簡単明瞭に御答弁をいただきたい、こう思います。
○大平国務大臣 高橋ミッションの携行した資料は、われわれのほうで鋭意精査いたしておる最中でございます。今後とも続けてまいるつもりでございますが、ただいままで私が報告をちょうだいしての感じといたしましては、現在、対米繊維輸出がアメリカの繊維産業に非常に重大なインジュリーを与えておるというようにはどうも受け取れません。このことはアメリカ側も、現在はヘルシーな状態であると思うというように言われておるところから見ましても、アメリカ側も肯定されておるのではないかと思います。さしあたって感じを言えといえば、そういう感じでございます。
○玉置委員 多くの委員諸君から質問がございましたので、ひとつ私のほうも簡単明瞭に質問しますので、そのようなお答えをいただければけっこうだと思います。 そこで、もう一度確認いたします。自主規制をするように日本の業界に勧告することもなければ、政府間の二国間協定の申し出に対しましても、それを応諾する意思はないかどうか、ここで御確認をいただきたいと思います。
○大平国務大臣 すべてのこういう問題のトラブルの解決につきましては、われわれが加盟いたしておりまするガットの仕組み、そこに書いてある手順を踏みまして探求すべきものでございまして、それの土俵の外でかってなことをするというようなことは毛頭考えておりません。
○玉置委員 午前中の武藤さんの質疑に対しまして、大臣は、もちろん沖繩問題等の政治問題とは関係はないけれども、日米相互間の問題点であるということだけは事実であると、こういうお答えになりましたが、外務大臣あるいは大蔵大臣等の滞米中の言動が、ニュアンスは若干違うのかわかりませんけれども、伝わることによりまして、国内的に非常に不安を醸成したりしておることも事実であります。何しろ窓口が外務省であります。そういう意味で、通産大臣並びに通産省はかなりしっかりしているのだけれども、どうも外務省がふらふらしているような感じを持つのが一般の考え方じゃないか、こう思います。窓口は外務省であっても、内容に関しては一切通産省がやるのだということを、ひとつ明言していただきたいのです。
○大平国務大臣 政府は一つでございますから、外務省も通産省もないわけでございますが、少なくとも私どもは外務省との間に非常に緊密な協議をしながら事を運んでおるわけでございまして、相互の間に意見の相違というようなものはないのであります。何かそういった間隙があるかのように伝えられておることは、たいへん残念でございますが、そういうことは私を御信頼していただきたいと思います。
○玉置委員 委員長にお願いします。私たちは大平通産大臣を信頼するのでありますが、一般の不安を除去するために、きょう理事会で提案いたしましたとおり、外務大臣は明日も出席でき得ないという話でありますので、理事会を早朝開いていただきまして、外務大臣と時間を合わせていただいて、理事会にだけでも出席できるような手配をひとつすみやかに講じていただきたい、このことを御提案申しておきます。 次に通産大臣にお伺いいたします。過般の新聞の報ずるところによりますと、二国間協定は絶対応諾はでき得ないけれども、多国間協定を申し入れられた場合は懇談的な場に出席せざるを得ない、こういう通産大臣のお話がございましたが、御承知のとおり、そういう場合におきましても、一九六二年の綿製品のあの協定の際に、他の繊維産業には及ぼさないということを明記しておりますから、その場に出席をされましても、その方針を堅持しておいきになるかどうか、お答え願いたいと思います。
○大平国務大臣 いま二国間協定だとか多国間協定だとかいうことを云々するのは早いのでございまして、私どもがいまやっておりますことは、一体繊維の対米輸出によって向こうの繊維産業に被害があるのかないのか。すべてのことの初めにインジュリーの所在が究明されなければいけないと思うのです。何もないのに何かやるというわけにまいらぬわけでありますから、その事実の究明をいたしておる段階でございます。それで、高橋ミッションが行かれまして、日米間ではそういうことを一応やったわけで、私どもはなお継続して検討しておるということでございます。ところが、この被害の究明という問題は、日本ばかりではございません。ほかにもあるわけでありますから、私が新聞に申し上げたのは、日本だけがこういうことをやっておるようだけれども、ほかの輸出国もあることだし、インジュリーの究明というような問題は、本来ならばアメリカのほうで、ほかの輸出国ともやってみようとか、いろいろなことを考えられてもふしぎはないじゃないか、そういう場合には、われわれもそれにまで出ませんなんていうやぼなことは言いませんということでありまして、あなたの御質問のおことばの中に、多国間協定であったらというおことばがありましたが、私はそういうことは一つも言うてないつもりでございます。協定なんという問題でありませんで、いまのインジュリーの有無というものの究明の段階であるというように御承知を願いたいと思います。
○玉置委員 私も、多国間協定でなしに、多国間の懇談会の席上にと、こういうように申し上げたのです。 そこでもう一つ、よけいな仮定を申し上げまして恐縮なんですが、一般の不安を一掃するために御質問申し上げておくだけでございますので、お答えいただきたいのですが、多国間協定ということは、結局ガットだと思います。ガットの場になるということになるのじゃないかと思います。ガットの場になりますと、ガットの精神から申し上げまして、二国間なり数国間の協定を結びなさい、そうして規制をしなさいというようなことは、その精神、その性格から見て言い得ないと思いますが、どうお思いになりますか。勧告をすべき性格のものじゃない、こう思うが、大臣もしくは当局でもけっこうですから……。
○大平国務大臣 御質問の御趣旨はどういうところにあるのか、ちょっと憶測しかねますが、私は、ガットが何をやるにいたしましても、事実関係が究明されなければいかぬと思うのでございまして、それを土台にして手続が出てくると思うのでございます。それで、その事実関係という問題は非常に客観的なことでございますから、それが明らかにならないと何とも言えないと思います。
○玉置委員 私は、いろいろな場合を想定いたしまして、その場においてはどうなんだということも入れまして御答弁をいただく、それによって一般の不安を一掃したい、こういう意味で申し上げておるのですが、もちろん本質は、大臣のおっしゃったように、ものの実態ということが問題であることはよくわかっておるわけですが、ガットの場ということになると、こういうものは問題にならないということだと思います。 そこで、間々新聞に報じておりますように、自主規制をしなければ、輸入制限の立法がずいぶん出てきておるのだというようなことを報じて、一つの圧力を加えてきたような感じがするのですが、私は、ガットの精神に反するような輸入規制の立法をアメリカの国会がするようなことはまずあり得ない。しかもそういう場合には直ちに報復手段を講じられるわけでありますが、それがために、執拗に自主規制もしくは二国間協定を締結してもらいたいということを反復してやっているのだ、こう思うわけでありますが、このことも御心配の向きが多いと思いますので、他国のことをこっちが考えてみてもしようがございませんけれども、そういう場合というものはほとんど考えられないかどうか。どういうようにお考えになっておりますか、ひとつお考えをお述べいただきたいと思います。
○大平国務大臣 私は、伝統的にアメリカ政府、アメリカン・アドミニストレーションというのは、たいへん自由貿易を推進してきた貴重な存在であったと思うのでございます。コングレスのほうにいろいろな立法が出ましても、鋭意政府がより重要な貿易のために努力をいたしまして、そういったことが上程、成立するというようなことなく、事態が収捨されてきたわけでございますから、私は、アメリカの政府が変わらない努力を今後も続けられるであろうということを期待もし、また希望もいたしております。しかし、これはあくまでもアメリカ側の問題でございまして、たくさんの規制、保護主義的な立法の取り扱いは、私どもが容喙すべき性質のものではないと思うのでございまして、私どもは、当面出てきておりまする日本に対する要請について、正しく反応することに終始しなければならないと考えております。
○玉置委員 この際、ついでにお伺いしておきたいのですが、一九六二年に締結されました綿製品に関する国際貿易協定は、御承知のとおり来年の十月に期限が切れるわけであります。そのときに日本の政府はどういう態度で臨むかということをいまからお答えをいただけるかどうか、どうお考えになっておいでになるか。
○大平国務大臣 原則的に申しますと、綿製品協定の延長には反対でございます。こういった種類の措置はないに越したことはないと思います。ただ、関係国が多いわけでございますから、現にジュネーブできょうあたりから第一回の顔合わせが行なわれておるという段階でございまして、各国の出方もよく注目しながら善処したいと思っています。
○玉置委員 要するに、繊維製品の輸入規制に関しましては、アメリカの申し出ているごとき実態があるかどうかということを調べることがまず第一でありまして、その次は、ガットの精神に反するようなことをアメリカも無理を押してはこないだろう。事実がなければ、こちらはそれに応諾しないだけだ。その他いろんな懇談の場等があれば逃げるわけにもいかぬだろうというお話でございましたが、過般の国会の決議もあることでございますので、その国会の決議を尊重されて慎重に御行動いただきたいのですが、最後にひとつ取りまとめてこの問題の大臣のお考え方を開陳願いたいと思います。
○大平国務大臣 仰せのとおり、インジュリーがあるかないかという問題がまず究明せられなければならぬと思うのでございまして、それがなければけっこうでございます。万一ございますことが実証されてまいりますならば、ガットの仕組みで、ガットのルールに従ってこの解決はやってまいるという以外に私には分別はありません。
○玉置委員 そこで、委員長にもう一度お願いします。 こういう執拗な申し入れその他を何回も繰り返しながら、最後に沖繩問題の処理に佐藤総理の訪米を期待して、その解決を期待しておるというように、一般国民は非常に不安に思っておるということは事実であります。こういう意味で、先ほど、外務大臣にしっかりやってくれ、しゃんとしてくれということをはっきり言うために、明日十時ごろからの委員会は無理だとしても、朝の八時でもいい、七時でもいいから、むこうに時間を合わすから理事会に出席願いたいということを申し上げたと同じような意味で、官房長官も実はきょう要請しておったのですが、勲記その他の問題で無理だ、こういうことでありますので、同様に明朝おいでいただけるように、なお要すれば通産大臣お気の毒だけれども、そのときにお顔を一緒に出していただければありがたい、こう思います。 それから、時節柄また同じことを申し上げて恐縮ですが、委員長代理は商工委員長として、商工委員会の決議に基づき、ひとつ政府は国会の決議に基づいてがんばっていただきたいということを申し入れしていただきたい、かように思います。 それで綿製品の通産大臣に対する質問を終わりまして、一点通産大臣に御質問申し上げておきたいのですが、お門違いで恐縮なんですが、運輸省の管轄でございますけれども、中小企業のトラック運送業者は、十年ないし十五年ほど料金の値上げがないわけであります。これは公共料金の——隣りの大臣は非常にきびしく押えるほうでありますけれども、中小企業問題として一回御検討いただくように中小企業庁長官にひとつ勉強させていただきたい。中小企業の問題としてとらえることも私は必要じゃないだろうかというような感じがいたします。数年間これの人件費は上がりっぱなしでございます。その他の物価も同じことでありますが、十年、十五年間にわたりまして、公共料金であるというような意味で料金値上げを押えられておる。それが非常に零細なものが多いので、経営的にパンクと申しますか、が多いと思いますので、そういう観点からひとつ大臣としては御検討いただくように御要望申し上げたいと思うのです。
○大平国務大臣 お尋ねの件につきましては、まだ運輸省から御連絡がございませんから何とも申し上げかねますけれども、御指摘の、中小企業対策の一還として検討をしろ、こういう御要請でございまして、そのように私どもも検討を命じてみたいと思います。
○玉置委員 それでは、経済企画庁長官に自動車損害賠償保険の問題につきまして御質問申し上げたい。 この間、物価問題の経済閣僚会議がございまして、今年度の目標のとおり消費者物価を五%に値上げを押えるということは非常にむずかしい、一そうの努力をするということを申し合わせされまして、そのぬくぬくでここへお見えいただきましたのに私は質問申し上げたわけですが、千四百万台、三千万人のドライバーですから、その六割は大体自家用車だ、こういうことになれば、当然公共料金に準ずべき扱いをするかと言ったら、する、だからしたがって値上げはせない、こういうことに帰結するわけですが、伝えられるところによりますと、審議会の答申が一・九九倍になったとか。これは審議会の答申ですが、政府としてはどうするかという問題につきましてお伺いしたい、こう思います。 そこで自賠責の赤字でございますが、本年度千三百億円、累積赤字を入れまして千七百億円、こういうようにいわれますが、これは五年向こうまで予想いたしまして、いま払い込んだものが五年向こうまで支払いが続くだろうというようなことで予想してきめるそうであります。今日も、来年度も現金勘定は黒字であります。こういうようなことで、一般国民は保険というようなことに弱うございますので、何のために一挙にそのような大幅な引き上げがあるのか、非常に納得しにくいというのが現状だと思います。そういうような関係で、この赤字問題、それから自賠責は一体だれを救うためにあるのか。五%の加害者、ことばはよくありませんが、事故を起こした人を相互救済するのか、あるいは重点は被害者である国民諸君を救済するのか、ここらが非常にあいまいであります。 いま、問題点が非常にたくさんあります。警察庁のほうからの試案によりますと、千四百が台の自動車そのものにかけていることが間違いで、今後事故を少なくしようと思ったら、二千三百万人あるいは三千万人ともいわれる免許証保持者に何らかの責任を持ってもらうということのほうが好ましいじゃないかというようなことで、今回の自賠責の一挙値上げということにつきまして反対の意思を表しておいでになっている。千四百万台よりも二千三百万人になれば、ほんとうは四割くらいは値下げしなければならぬわけでございます。そうなれば赤字の問題なんかは一挙に片づくわけであります。先ほど申しましたように、赤字というものは、現在現金勘定は黒字であるのにかかわらず、五年後のことを想定したやつであるとすれば、なぜそれだけの問題点の検討がなされないのか。あるいは、十年間無事故の者と一年に三回事故を起こす者と同じ料金でやるというところに、保険という思想がはたしてあり得るのかどうか。それから、大臣の管轄でありますが、いわゆる医療に対するチェックが全然できてない。そういうことでは、はたして体質改善ということを一生懸命にやっておるのかどうか。こういう幾多の問題がございます。三百万円を五百万円に上げるだけですと、二割三分幾らというものを上げるだけで済むわけです。五百万を後遺症のところまでもっていくにいたしましても、四割三分幾らで済むわけであります。したがって、当面その四割三分幾らを上げておいて、問題点の非常に多いものをすみやかに一年くらいかかって検討する。その検討した結果、法律の改正すべきものは改正しまして、そこで出てくる赤字というものを幾らということにすると、国民諸君は非常にわかりやすいのじゃないか。どうお思いになりますか。いまのままで一割九分何ぼ、ただし、ものによっては三倍も値上がりするものがあるから、それはこの三月末までは二倍半にとどめるんだというようなことで済ましておおきになるつもりかどうか。 お答えにならぬからもう一つついでに。いま一番大事な物価問題について、一挙に五割以上の値上げというようなことは、これはどこでももってのほかなんです。商工委員会で公共料金ですと言い切られた大臣は、どういうようにしようとお思いになっているか、ひとつ責任をもってお答えいただきたいと思います。
○菅野国務大臣 自賠責の保険の問題につきまして、これは審議会を十一回開きまして結論を得たのでありますが、その審議会の模様につきましては、玉置委員の言われることについて、事務当局から詳細にお答えしたいと思います。 ただ私として、これが公共料金だからというお尋ねでありましたから、そこで、これは公共料金でありますからして、したがって、かってに審議会できめてもらっちゃ困るということを申し入れたのでありまして、元来であれば——どういう計算か、そこらは私はよくわかりませんが、何でも平均して現在の四倍くらいな料金になるという話でありましたが、それがあまり高過ぎるじゃないか。平均して二倍の料金の値上げになるのでありますが、最高のものは三倍以上のものもありますし、低いものは二倍にもならないものがありますが、平均して二倍であります。そこで、特にタクシーとかなんとかいうのは三倍以上の料金になりますので、それではわれわれは公共料金としてはそれを認めるわけにいかない、物価に影響するところ非常に大きいのでありますから、したがって、これは何とかしてもらいたいということで、大体きまっておった審議をもう一度やり直していただいたのであります。そこで大体四倍になるところを、審議会のほうも物価ということを考慮しまして大体二倍ということにしていただいたのであるが、しかし一部では、いま申し上げましたように三倍になるし、その現在の料金の三倍ということはちょっとわれわれから見ると物価に影響するところ大きいのでありますからして、それを何とかしてほしいということでずいぶんいろいろ折衝いたしまして、そこで二倍半ということで一応話が折れ合うたのであります。もちろんこれによって物価に影響を及ぼすところ多少あります。しかしながら、これによってタクシー料金に対しての影響というものはそれほど多くはわれわれは考えていないのでありまして、まあ二倍半でやむを得ないじゃないか。 それから、もともと三百万円を五百万円にしたということは、これは被害者のためでもあるし、同時に加害者のためなんです。被害をこうむった人が今日治療や何かで——三百万円ぐらいではとても治療あるいはその他の損害を補うわけにいかないということで五百万円にしたのであります。それで、加害者のほうでそれだけの能力のない場合には、被害者がそれだけ損害を受けるということになりますので、この保険というものは被害者を救うと同時に加害者を救うという意味の保険であります。でありますからして、加害者もできるだけ保険料金を軽くしてあげたいというのがわれわれの初めからの念願でありますが、その金額を三百万円を五百万円にしたということによって料金を上げなければならぬということになったのでありますが、その前にいまお話もありましたが、この治療の問題、これについてもう少し再検討してほしいということを私のほうで申し入れております。この問題については、今後あるいは医者のほうとの折衝でいろいろ話がきまるのじゃないか。これは運輸省の仕事ですが、運輸省と医師会とのほうでこの治療の問題についての折衝があるんじゃないか、こう考えて、またそれをわれわれは期待いたしておる次第であります。
○玉置委員 生活局長から聞きたいのですが、時間がございませんので……。 審議会とか事務当局は事務的にすればいいわけです。政治でありますから、大臣がやはり、そういう物価の値上げというのはだめなんだ——あなたのほうのおやりになっていることは、これは保険会社のようなでかいやつは、医療保険なんかの追及もチェックも何にもしていない。そういうことを直さずに、しかも一番力のある大蔵省のしよることをだれもチェックせずに、それで小さいトラックやタクシー業界が値上げしてくれといったら、一年でも二年でも据え置いて、何やかや言うてごまかしてしまう。これは政治としてあまり好ましい政治だとは思いませんがね。どうですか大臣。大蔵省を押えられるのはもう経済企画庁だけですよ、この問題は。馬力をここで出してもらわなければ、馬力を違うところに出してしまうのではないかということを心配します。三百万から五百万、しかも後遺症を入れましても四割三分幾らで済むのです。あとは問題点が一ばいあるわけです。その問題点を直すことによって、来年から出るべき三千七百億円という赤字の問題は、赤字ではなくなるという可能性が非常に多いわけです。もしそれ警察庁が言っておりますような、免許証保持者に幾らかでも持たすということになれば、かえって値下げをしなければならぬような問題までこの問題はあるわけです。大蔵省が、しかも大蔵サイドの人たちばかりを集めてやったような審議会に経済企画庁が気張ってやらなければ、気張る者がないというのが現実なんです。事務当局の話を聞きたいのじゃないのです。経済企画庁長官というのは、そういう意味では副総理なんですよ。先生が気張っていただかなければ、気張る者がないのです。だから、きょうは自民党が最後の折衝をしておりますが、そこへ出ていって、そんなことじゃいかぬということをひとつ大臣もっと気張っていただきたいと思うのですが、どうですか。
○菅野国務大臣 私はただいま大蔵大臣の代理をいたしております。そこで、もし私が大蔵大臣の代理をしていなかったならば、おそらく二倍半にはならなかっただろう、私が経済企画庁長官であるがために、大蔵省としてはそれだけ一歩退いていただいたと思うのです。私は大蔵大臣としては答申を受けましたが、経済企画庁長官としては、料金の引き下げということを極力主張いたしたので、そこで私の顔を立てて二倍半ということに相なったので、もし私が大蔵大臣でなければ、おそらく三倍で押し通されただろうと思う次第であります。
○玉置委員 私は、あなたが大蔵大臣を兼任しなかったら、もっと言いたいことをはっきり言えたのに、不幸にしてこの機会に大蔵大臣を兼任されたことが私は非常に残念だ。経済企画庁長官、やはり筋の太い菅野経企庁長官として、絶対いかぬ、それはタクシーやトラック業界に、あなたが中小私鉄におやりなすっているような図太さでもってこの問題を処理していただかないと、政府の機関だけが、しかも大業者のやつだけは大蔵省の、しかもむずかしい、国民にほとんど納得のいかぬ計算をしいられて、それで一般の者がどえらい目にあう。それからタクシーの値上げあるいはトラックの値上げ、その前にまた泣かすほうを先にやるというようなことでは、善政とは言いかねると思うのです。 それから大臣にお伺いします。強制のものじゃなしに、任意の保険になるべく加入していただくことが、この法の精神からいいましても絶対必要だと思うのです。それが現にトラック等の任意保険の加入を拒否しておる保険会社が非常に多うございます。名前をあげよと言われますとあげますが、そういう現象をどうお思いになっておるか。私はこういう問題は、被害者の保護ということを主にいたしまして、国が直接管掌する社会保険にしなければならないと思っておるのです。現にこういう問題が起こっておるのにつきまして、経済企画庁長官としてはどういう処置をされるか。大蔵大臣の代理を兼ねておいでになる大臣としては、これをどのように措置されるか、お伺いしたいと思います。名前をあげよといわれたらすぐあげます。そんなもの知りませんというようなことは言わさぬぞ。
○八塚説明員 大蔵省の保険のかなり純粋な業務のようでございますから、私がお答えするのは必ずしも適当でございませんが、ただいま大蔵省の担当官のほうから聞きますと、今年の初めにそういう問題がたくさんありまして、したがいまして、一律にどういう業種であるから、たとえば砂利トラックであるから保険会社のほうで断わるというようなことはいけないという意味の指導をいたしておるようでございます。現実に保険会社のほうが断わるのは、おそらく現在の保険料率から見て、とてもその会社の事故率が高過ぎて、まあこれは私企業でございますから、保険金がなかなか払えないという場合にやはり断わるということは、これは現在の——いま玉置先生が、そういうことだから社会保険にしろというふうに御指摘になったわけでございますが、任意保険の性質上は、おのずからそこに限度があるだろうと思います。したがいまして、そういう事故率の多いところは、事故を幾らやっても何とか社会的に、公共的に見てやるということは、確かに被害者のほうから見ればこれはけっこうな制度だと思いますが、一面やはり通常の事故率以上に、保険も断わられる程度に事故を起こすようないわば状態、あるいは会社というものは、これはやはりおのずから自粛をしてもらわなければバランスがとれないのではないだろうかというふうに考えるわけであります。 いずれにいたしましても、ちょっと私、担当ではございませんが、いま御質問の御趣旨については、なお大蔵省のほうへよく伝えておきたいと思います。
○玉置委員 これは事実ですからね、生活局長。事実だから、したがってそういうものが一切なくなるまで値上げはやめておきなさい。値上げをするための条件として、巷間こういうことが非常にやかましい。そういうことでは、私企業にそんなものをまかしておくことが間違っておる。人命はとうといのです。五百万というのは被害者を救済するための最低の金額ですから、この相場が五百万で済むものじゃないのです。それに保険を値上げしたって、任意保険を拒否するような会社には一切やらせない。それも、たくさんそういうことがあれば社会保険にするというようなことを、やはり企画庁のほうとしては申し入れていただきたい、こう思いますが、大臣どうですか。
○菅野国務大臣 私は保険のことは弱いからして、保険自体についてお答えはできませんが、いまの玉置委員のお話の点は、私も合点されることがありますからして、なお大蔵省の保険のほうの事務当局によく申し伝えて、善処さしたいと思います。
○玉置委員 経済企画庁長官の答弁は不満でありますけれども、またこれは別の機会に徹底的に時間をかけてやるということにいたしまして終わりたいと思いますが、先ほど申し上げました外務大臣、官房長官、でき得れば通産大臣、それを早朝に来ていただくということを措置されるかどうか、お答えいただきたい。
○宇野委員長代理 措置いたします。いま連絡さしております。後ほどお知らせいたします。
○玉置委員 時間が参りましたので、終わります。
○宇野委員長代理 加藤清二君。
○加藤(清)委員 私の答弁者、おそろいですか。外務大臣、アメリカ局長、条約局長、経済局長。そっちが問題ですよ。腹くくって来てくださいよ。 本日は繊維デーともいうべき日のようでございます。朝から晩まで繊維、繊維で日が暮れるようでございます。それほど重大な問題だからでございます。 御案内のとおり、ここ十日前後というものは、山にカラスのかあと鳴かない日はあっても、新聞に繊維問題の出ない日はございません。論説も出ております。記事も出ております。それほど重大だからでございます。特に業界には激しい怒りがわき起こっております。たいへんな騒動が持ち上がろうとしております。外務省ははたしてそれを御認識でございましょうか。すなわち、新聞で御案内のとおり、業界が非常事態を宣言するとまで、こう大きく取り上げているのでございます。これをごらんください。それほど重大な問題であればこそ、国会においては本委員会で決議もし、また本会議において決議もしたことなのです。にもかかわりませず、ちらりほらり聞くところによりますと、外務省筋では本会議決議、本委員会決議に違反するような言動が行なわれているようでございます。一体これは法第何条の権限によってそのようなことをなさっていらっしゃるのか、まず承りたいのです。
○平原説明員 御指摘の点でございますけれども、外務省といたしましては、通産省の従来述べられております、けさも先ほども申されましたことと同じ考えで行動いたしております。
○加藤(清)委員 同じ行動をしているにもかかわらず、なぜ外務省のほうに本会議決議違反の疑いがあるかのごとき印象を受ける記事がたくさんに出てまいるのでございますか。これは記事だけではございませんですよ。各社の論説にまでそれが出ている。各社の論説とは、各社の最高責任者、責任ある論説の主幹が監査をして出したものなんです。そこに外務省の言動がどうも怪しいということが出ておる。その怪しさは決議違反の疑いがあるわけなんです。一体なぜそんなことを出さなければならないのか。なぜそんなことを言わなければならないのか。だから私は責任ある答弁のできる人に出席してもらいたいと言うておいた。同じことをやっていてこんな記事が出るはずがない。私の言うことがうそだとおぼしめすなら、私は切り抜きを全部印刷して持ってきているから見てごらんなさい。
○平原説明員 御指摘の点でございますけれども、外務省、私どもの同僚に関しましては、従来も通産省とよく連絡をとりまして、考え方も通産省と一緒でございます。
○加藤(清)委員 今後も一緒の行動がとれるとおっしゃるんですか。一カ月前この席で私は外務省の不信を鳴らした、おかしいと言うて。そうしたら、あとで藤山情報文化局長が異例の記者会見をなさって、そのようなことはございませんから御心配なくという発表をなさった。したらまたその後、何度も何度も出ておるじゃございませんか。高橋ミッションが外国へ行かれる直前にも、帰ってこられたその後においても、きのうきょう、また六日から行なわれている会議の行なわれる前後においても、なぜアメリカ側に有利な印象を受けるような言動をしなければならないのかと言うんです。私にはこれがわからない。が、過去においてそういうことがなかったとおっしゃるならば、じゃ新聞記事を打ち消してもらいたい。できますか。論説も打ち消してもらいたい。
○平原説明員 藤山情報局長がおっしゃったとおりでございまして、その後も外務省が、いわゆる日本政府の統一歩調を乱すような発言をしたということはない、こういうふうに私は考えております。
○加藤(清)委員 それは、あなたはこの場では当然そうお答えになるでしょうけれども、同じ政府が同じ時期に同じ案件について、それはもう考え方の違いはあるにしろ、それを麗々しく新聞に発表するなんということは、良識ある外交官のなさるわざではないと思う。将来はどうなんです。
○平原説明員 将来も従来と全く同様、日本政府としての考えはもう常に一つでございますから、そのようにいたします。
○加藤(清)委員 私は質疑を簡潔にするために、私の、というよりはわが党の本件について抱いているところの感懐を、かいつまんで先に申し上げておきます。 この繊維のアメリカ貿易に関する限り、戦後これは制限の歴史なんです。なおかつオキュパイドジャパンが続いている。その桎梏のもとに、鎖につながれたという姿のもとに、日本のアメリカへの繊維輸出は耐え忍んで行なわれてきたんです。ところで、きのうきょうますますその圧迫が強くなっているという感じがするんです。私はここにたいへんな矛盾を感じている。アメリカ側は、シップアメリカン、バイアメリカンに見るごとく、日本との貿易を拡大というよりも、日本人に対してはアメリカのものを買えとこうおっしゃる、わかりやすく言うと。日本からアメリカに売る場合には、制限をするぞよとおっしゃる。現に綿製品だけでもって六十四品目の制限を受けておる。あれこれ合わせると、百八十品目余の、名目はそれこそ違いまするが、制限を受けている。片や、それなれば別の国に自由に貿易してよろしいかというと、チンコム、ココムで共産圏はいけないとおっしゃる。共産圏に対してもいけない。きのうきょうでは、アメリカに輸出することも制限と、こうなる。一体わが国の工業製品はどこへ売るといいんですか。外務省に教えてもらいたい。これが大国の倫理だろうか。これが大国の意識だろうか。 いろいろ考えてみるまでもなく、下世話でいうと、これは嫁いびりという感じなんです。こういう感懐を持っているのは私一人じゃない。ただ外務省や通産省のおえらいお方の前で、そういうことをよう言い得ないだけなんです、日本国民は。歴史家はこれをアメリカのモンロー主義と言っている。日本の経済学者たちは新モンロー主義だと言っている。これはそのとおりなんです。だからこの新モンロー主義、保護貿易主義は、日米友好通商航海条約にいうところの互恵平等ではない。その具体的事実を順番に申し上げていきまするけれども、明らかにこれはいくさに勝った国が負けた国に対するところの態度なんです。それがずっと行なわれている。それをなぜ日本は甘受しなければならないのか、大きな矛盾だと思う。 第二番目の矛盾、ケネディさんは貿易拡大のために関税障壁を少なくしようという趣旨で、ケネディラウンドを提唱して日本もそのワクの中に入れていった。また関税関係のガット、これもアメリカが提唱してつくった国際法なんです。今度、相手国アメリカが日本に申し入れてきている繊維規制の問題は、明らかにこれはケネディラウンド違反であり、ガット違反のおそれが十二分にある。しかも、繊維の制限の先例であるところのLTA、この第一条にも違反しておるわけなんです。この問題については、けさほどから御三方ばかりがおっしゃられましたから避けて通りまするが、これはLTAの破壊なんです。やがてそれはアメリカ貿易に対する不信感を世界じゅうから浴びなければならぬという結果になるでしょう。それは日米友好通商航海条約の精神にもとって、日本国民のうちの親米派をもだんだんと離れさせていくことを私はおそれるものでございます。 一体、日本はそれではどうしたらいいのだろう。市場転換をせざるを得ないじゃございませんか。アメリカ大使館の中でさえも、日本をだんだんにあれこれでがんじがらめに圧迫すれば、アメリカのコットン、つまり綿花、小麦、鉄等々を日本へ売り出すときに困る結果になる。すなわち、日本が市場転換をし自衛のために報復手段をとれば、そうならざるを得ない。アメリカ大使館の中にもそれをおそれている先見の明ある人がいらっしゃることを私は知っております。 そういうやさきに、なぜ外務省だけは一方的なゴリ押しに阿諛迎合をしなければならないのだろうか。やがてこれが進んでいきますと、そうなれば、保護貿易主義が進めば、自給自足の道にいがなければならぬ。それなれば昔の大東亜共栄圏の復活というところにいかざるを得ない。だから新聞の論説では、これは逆行もはなはだしく、やがて戦争への道行きである、この道はいつか来た道である、こういう論説まで出ておることもあなたも御案内でしょう。私はその方向を望むものではございません。憂うるがゆえに声を大にしてものを申し上げておる。 そこで、第一番にお尋ねしたいことは、ときあたかもこの繊維規制の先駆であったLTAの問題がいまジュネーブで開かれておるはずでございます。ここへはあなたたちの先輩の中山EEC大使も御出席の予定でございます。きょうから向こう三日間開かれておるはずでございます。これに対するところの態度を通産省の側から承りたい。
○高橋説明員 先ほど大臣からお答え申し上げましたが、基本的には、再延長に対して反対の立場をとっております。 その理由は、そもそもこのLTAは、先進輸入国綿業の産業調整に必要な立ち直りの猶予を与えるために認められた例外的な、暫定的な措置であるということ、それが再び延長されれば、半恒久的な様相を帯びるということで、これはわれわれとしてはとうてい受け入れがたいことである。また望ましくないことである。二番目は、そもそもこのLTAをつくりましたときに、その目的として、綿製品貿易の合理的かつ秩序ある発展を目的とするとしていたわけでございますが、実際の運用ぶりは非常に制限的に推移してきた、こういうことが理由でございます。ただし、関係国が三十数カ国もございますし、延長に賛成の国もたくさんございましょう。これから三日間会議が行なわれるわけでございますが、結論を出すということを急ぐことなく、いろいろと時間をかけて、各国の動きもよく見きわめた上で対処していくべきものである、このように考えております。
○加藤(清)委員 外務省の御意見。
○平原説明員 いま高橋局長のおっしゃいましたのと、全く同意見でございます。
○加藤(清)委員 きょうからスイスで向こう三日間行なわれますガット綿製品委員会、CTCと申しましょうか、これはいま高橋局長のおっしゃられましたように、三十二カ国が集まるようでございます。日本の場合は外務省、通産省、特にEEC大使でいらせられる中山さんが御出席のようでございます。このCTCの目標は、いわゆるLTAを解消するか存続するかというところにポイントがあると存じます。これは当然解消されるべきものだと思います。LTAの発生の精神からいけば、またガットの精神からいっても、当然解消してしかるべきものだ。一九六三年から六七年まで当初は五年間という約束でできたものなんです。ところが、六七年になりますると一九七〇年まで、すなわち三年また延長、こうきたのです。どうやらアメリカさんは、自分の都合のいいことには延長がお好きのようでございます。安保もそのようでございます。日米友好通商航海条約もそのようでございます。自分の都合のいいことだけは、延長、延長がお好きのようでございます。もうこれで一九七〇年、来年九月、ちょうどあと一年、このときに日本の意思表示をすることが、国際上常識ではないかと思われます。したがって、これについて日本は、即時廃棄という趣旨で臨まれているのか、それとも場当たりで臨んでいらっしゃるのか、通産大臣に承りたい。
○大平国務大臣 いま局長がお答え申し上げましたとおりの態度で交渉に臨んでおります。
○加藤(清)委員 では、廃棄という態度と受け取ってよろしゅうございますか。
○大平国務大臣 基本的にはそういう考えでおります。
○加藤(清)委員 では、アメリカ側が修正延長という趣旨でゴリ押してきたら、外務省はどうなさいますか。
○平原説明員 先生おっしゃいました今回のCTCで、LTAを延長するかどうかということは、御存じのように、正式にまだきめるということにはなっておりませんし、そういう場合のことは、目下まだ検討中でございます。基本的にはさっき大臣がおっしゃったとおりでございます。
○加藤(清)委員 お説のとおり、ことしは前夜祭というようなもので決定する時期じゃありませんから、いまの御答弁のとおりになるだろうと思いますが、アメリカ側は、私がというよりは、わが党が集めましたあまたの情報によりますと、決して廃棄は望んでいないようでございます。むしろ修正延長をいうやに承っております。 私がなぜこれを言わなければならないかと申しますると、これがウール、合繊に影響があるからでございます。いま日本に二国間協定、品目別制限、こう言うているが、それがいけない場合は、こっちの手でこの二品目を制限しようという野心はあるはずです。私のアメリカの知人からはそういう情報が入っております。そこで、このCTCを変えて、この中へウール、化合繊を入れて、もそっとやわらかいものにして、これでどうだというてくる公算は大でございます。したがって、そういうみやげ、そういう報告を持って帰られましたら、外務省としては、はあそれはまたけっこうでございましたというて、また笛や太鼓でちょうちんを持たれますか。
○平原説明員 将来のことでございますけれども、はっきり申しまして、従来もそのような申し出に阿諛迎合したことは外務省としてございませんので、今後も同じような態度で、日本政府とよく内部で話し合いまして、はっきりした立場をきめるわけでございます。
○加藤(清)委員 いまここでおっしゃられました言や、まことにけっこうでございます。それをずっと継続なされば、新聞もあれこれ取りざたをしなかったはずでございます。これは今後長きにわたる日米間の友好通商を進める場合の基本路線でございます。したがって、とるべき態度をよほど気をつけていただきませんと、アメリカだけにはよかったけれども、他の連合国に対して、あるいは発展途上国に対して、たいへんな悪影響をコットンのときには及ぼしたわけでございます。それがいまだに流れてきておるわけでございます。その報復手段は、やがてガット三十五条第二項の援用ということで、EEC諸国は日本のかの地に向ける輸出品に対して差別待遇を与えているのでございます。いまだに解消されません。ここらあたりをよほどよくお考えいただかないと、いずれが国益であるか、何をすることがほんとうの国益を将来に伸ばすことであるか、ひとつ先をよく読んで対策を練っていただきたいと存じます。 次に、先の問題でなくして一番期近の問題についてお尋ねいたします。 先般行なわれましたスタンズさんの発言、これは通産大臣と経済問答をなさったはずでございますが、そのおりに、アメリカから提出されましたデータに誤りがなかったですか。
○高橋説明員 私の記憶に誤りがございませんでしたら、スタンズ長官が七月日米貿易経済合同委員会のときに述べられました数字は、たしか二つくらいしかございませんでした。それは何か非常に増加率の高いものだけをとった数字であったように覚えております。
○加藤(清)委員 あなたがそれだけよく認識していらっしゃれば、何をか言わんやでございます。 通産大臣、日本のアメリカへの化合繊の輸出増加率と申しましょうか、伸び率はどのくらいだと踏んでいらっしゃいますか。あなたがお話し合いになったのですよ。あなたがお聞きになっているのですよ。
○高橋説明員 最新のデータでいきますと、六九年の一月から七月まで化合繊の伸びは三〇%であります。
○加藤(清)委員 そのとおりでございます。大体三〇%台でございます。それに対して、スタンズさんは八三%アップしたとお述べになっていらっしゃる。私もほんとうにそうかと思って、国内のいろいろのデータ、アメリカ国の商務省、農務省その他のデータをとってみました。どこにもそういう数字がありません。 そこで、アメリカ局長せっかくいらっしゃったのでございます。あなたはニューヨークでりっぱに総領事としての任務を完遂なさった方でございます。かの地には三百社くらいの日本商社がいるはずでございます。したがって、日本の繊維がどのくらいアメリカに輸出され、どの程度の影響を及ぼし、どの程度の伸び率を持っているかについては、よく御案内だと思います。ここでお述べいただきたい。
○東郷説明員 私、確かにニューヨークに三年前まで三年間おりましたが、最近はもっぱら沖繩、沖繩でやっておるものでございますので、まことに申しわけございませんが、伸び率等につきましては、私の同僚の経済局の諸君あるいは通産省の方々がやっていらっしゃり、私から特に足して申し上げることはごかんべん願います。
○加藤(清)委員 それでは、時間を節約するために私が持っておりまする——私というより、わが党が集めましたデータを一ぺん皆さんに紹介してみます。それが正しいか正しくないかを判定していただきましょう。 これはアメリカの統計でございます。日本の統計ではございません。アメリカの全繊維の綿換算、ポンド換算でございます。ポンドとは通貨でなくて目方のことでございます。一九六四年から六九年に至るデータを私は持っております。繊維だけを見ますと、アメリカは輸入もふえておりまするが、輸出もまた伸びております。あとでこれをごらんいただきますから走って読みますと、何よりもふえているのは見かけ消費でございます。消費がふえておるのでございます。逐年増加している。これが輸入の増加と大体比例しているのでございます。見合っている。全消費、言いかえればアメリカのオール生産と申しましょうか、オール生産に対する輸入の率は伸びていないのでございます。私は、この問題をかつて通常国会のときに大きな図表にして皆さんに見ていただいた。これはその続きの統計でございます。 さて、それじゃどれだけ占めているか。オール消費といいましょうか、オール生産——ミル消費と見かけ消費と両方ございますが、それをごっちゃにして、それに対して輸入のパーセンテージはどれだけか。一九六四年で六・二%でございます。ほんのわずかです。六五年で六・八%、六六年で八・二%、六七年で七・五%、六八年で七・七%で、六九年上半期では、その上半期間に八・四%の伸び、こういうことになっておるようでございます。 ところで、これを衣料品だけ抽出してみます。衣料品が伸びた伸びたという先方さまの御言い分でございます。衣料品とは第二次布帛加工品のことでございます。これをとってみますると、おかしいですね。目方にして、ポンド換算にしまして、伸び率は、一九六四年から逐次申し上げます。四・五%、五・一%、五・一%、六%、七・七%、七・七%、こういうことになっております。これは伸び率ではございません。いま私が伸び率と言ったのは間違いで、オール生産、オール消費に対してアメリカがどれだけ輸入しておるかという問題であります。問題は、輸入が多過ぎる、ラッシュすると、こうおっしゃられますが、わずか最高でもって七・七%でございます。その七%はオール輸入でございます。日本の輸出量ではございません。コットンでいえば三十二カ国から輸入した。それがこの率でございます。では、アメリカの総輸入量に対する日本の占拠率は一体どれだけあるかといえば、化合繊にしても三%ありません。日にちに換算すれば、三百六十五日分の十日以下でございます。これがアメリカ経済に影響を及ぼすとなると、アメリカの繊維業界は何とちっこい、何と弱い業界でございましょうか。これは不可解きわまることでございます。 次に、平方ヤード換算をしてみました。そうしますると、これは一九六八年と一九六九年を比較してみますると、なるほど化合繊は輸出量が伸びております。衣料、つまり第二次布帛加工品にして三七・七%、化合繊のその他の製品を合わせて一三・四%伸びております。しかし、この間にコットンの糸はマイナス二八%の減少でございます。毛製品、ウールもマイナス七%でございます。二国間協定あるいはLTAを結ぶと、どのような結果になるかがだんだんおわかりだと存じます。確かに化合繊は三七・七%、一三・四%と伸びておりまするけれども、これは伸び率でございます。伸び率だけを問題にするということは、これは統計上正確な答えを抽出することの不可能なファクターでございます。なぜかならば、ゼロから出発しておりますから、ゼロから出発すれば伸び率は大きいにきまっている。称してこれをタケノコ成長と申します。ある程度までは伸び率がばっと伸びますけれども、そこから先へは伸びていかないのです。ウールの例をごらんになればよくおわかりになると存じます。むしろ今日では減少です。 こういう状況下において、では、この日本の相手方に占めている占拠率の伸び縮みはどうなったか。コットンの場合最高の占拠率は、二国間協定のなかったとき、これはいわゆる日本にとってよき日、それでもアメリカのオール輸入の二八%以上伸びたことはございません。コットンで数量に換算すれば、ヤード換算にして三億スクエア以上伸びたためしはございません。しかし、二国間協定の結果はどうなったか、いまごらんのとおりです。きのうきょう、ことしあたりでは一〇%以下に減っておるのでございます。ウールもまたこれに似たり寄ったりでございます。いかに条約の第一条、第二条にうまいことが書かれておっても、これは、うまいこと言いのええことしいだと関西の業界の人たちがおっしゃるのは、無理からぬことでございます。だんだん減っている。うまいこと言いのええことしいで、向こうはええことしいだが、こっちにとってはたいへん悪いことだ。これが今日の実態なんです。 では、合繊はどうなっておりますか。合繊は、日本は何もアメリカにだけ伸ばしておるのではございません。合繊のことしの一−六の伸びは——合繊だけではない、全繊維二〇・三%アップでございます。ことしの一−六では、アメリカに対しては一九・九%で全体平均より少ないのでございます。いわんや一−八になってまいりますと、これが一−八を加えた場合に二〇・三から一七・七に減りましたから、減少の傾向でございます。 では、化合繊だけをとったらどういうことになるか。世界の輸出は伸びが二七・四%で、アメリカに対しては一三・五%の伸びでございます。では、一番伸びた、伸びた、けしからぬといわれるところの第二次布帛衣料品と称するものがどれだけ伸びたか。世界に対しては二〇・七%伸びているにもかかわらず、これだけが、それこそ先ほど繊維雑貨局長がおっしゃった、アメリカに三二%伸びておるのでございます。ここだけでございます。それ以外は伸びておりません。平均値よりも少ないのでございます。ここでもって言えることは、何か伸び率の少ないところからクレームをつけられて、はい、そうですかと言って言うことを聞いたら、もっと伸び率の多いところは何と言うてくるでございましょうか。 そこでお尋ねしたい。日本だけではないが、日本のアメリカへの輸出の率は、どの繊維をとってもアメリカの総消費量の三%か四%なんです。なぜそんなことでおこられなければならないのか。 では、日本がアメリカから輸入しているものは一体何%か、これを聞きたい。鉄は何%、小麦は何%、コットンは何%でございますか。
○高橋説明員 詳細に覚えておりませんけれども、たいへん大きな市場占拠率でございます。メーカーの場合でも三分の一くらいではないかと思います。
○加藤(清)委員 けたが違うのでございます。日本がアメリカから買っている原料、加工品の日本の生産に占める率はけた違いです。コットンにしても、小麦にしても、鉄鉱石にしても、石炭にしても、アメリカに売れてこそ買えるのです。アメリカに売ることができなかったらどうしてこの材料を買うことができるでしょうか。コットン加工業者を守る政策は、やがてコットンファーマーをいじめる結果になるじゃございませんか。これをアメリカの高官筋によく御認識いただきたいと存じます。 もう一つお尋ねしたいことがある。資本の自由化が叫ばれております。通産省ではフィフティ・フィフティと言っておられます。なぜ三%でとめなさらぬですか。なぜ三%でクォータ制をしきなさらぬですか。アメリカは現にやっておるじゃありませんか。しかるに大久保委員長がアメリカへ行かれますると、フォードさんは何とおっしゃったか。五〇%・五〇%ではまどろっこしい、一〇〇%フォードの会社を日本につくらせよう、こういう申し入れのようでございます。何とみごとな外交じゃございませんか。日本の外交官はこのくらいのことがアメリカに言えないのですか。日本のフィルムはどうなっておるのです。新聞を見てごらんなさい。よくわかります。映画輸入フィルム、日本はクォータ制をどれだけにしいておりますか、お尋ねいたします。
○楠岡説明員 ただいま手元に資料がございませんで、申しわけございませんがお答えしかねます。
○加藤(清)委員 想定でどうです。
○楠岡説明員 想定で間違っておりますとあとで非常に申しわけございませんので、かんべんさせていただきます。
○加藤(清)委員 これは人物は違いまするが、アメリカのジョンソンというどえらい映画界の大ものが参りまして、日本でもクォータ制をしがなければ、日本のプロダクションが倒れてしまうということで、永田ラッパさん以下、国会にたいへん御陳情になったことがございます。 では、そのころにクォータ制をとるアメリカの申し入れはどうだったか。そのとき、日本のオール生産とアメリカ、メジャー九社の日本への輸出量がとんとんになった。それ以上に輸入がふえたらクォータ制をしきなさい、しからずんばしくな、これを当時の外務省はおのみになりました。アメリカから買う場合ならば五〇%以上にならなければいかぬ、日本の場合は三%か四%でクォータ制、何と矛盾した友好通商でございましょう。これでも内国人と同等の待遇でございましょうか。矛盾を感ずるのは私一人じゃございません。新聞をごらんなさい。テレビ欄、ラジオ欄。特にテレビ欄、映画の宣伝をしてあるページを読んでみてください。かたかなのほうが多いですよ、そのおかげで。 結果はどうなりました。日本のプロダクションはだんだんと倒れていきました。ついに持ちこたえられなくなって、いまではエロダクションといわれている。エロ映画で生き延びなければならなくなってきた。この二の舞いをやってはいけないのです。日本がアメリカから買いまするおりには、五〇%も六〇%も買わされて、唯々諾々としてこれをのんで、うちのプロダクションは倒れてもなおメージャー九社の言うことならやむを得ぬといって買わせる。ついでに欧州映画を輸入する場合にでも、その輸入権は、グローバル制と称してメージャー九社に全部渡されてしまう。そういうばかげたことをおやりになって、唯々諾々としているものだから、今度はこれがバナナに飛び火して、バナナの輸入が百万ドルからいまや二千万ドルに伸びているけれども、輸入商はほとんど日本人でなくなってしまった。台湾人がアメリカ人のまねをやっちゃった。そうでしょう、通商局長。なぜ日米友好通商航海条約があるにもかかわりませず、最恵国待遇である内国人と同等の待遇を条約上与えられているにもかかわりませず、日本が売るときは三%でチョン、日本が買うときは五〇%をこえてもチョンができない。これが互恵平等でございますか、条約局長に承りたい。
○佐藤説明員 御承知のとおり、条約上は最恵国待遇、内国民待遇とそれぞれ規定しておりますが、実際上の問題は、法律的な違反がございますれば、それは法律的な向こうに対する抗議ということはできますが、法律的に見まして、たとえばいま御指摘の輸入制限の問題はやはり最恵国待遇だけでございますし、したがって、ほかの国と同様の制限をやりますときには、通商航海条約自体において違法ということはできない。そういう面がいろいろ出てくると思うのであります。
○加藤(清)委員 私にというより、頭の悪い私に理解のできるような御回答をお願いしたい。いまの答弁ではわからない。 交渉をなさるときに、日米友好通商航海条約を利用してアメリカに交渉なさったことがございますか。
○大平国務大臣 加藤さんの非常に該博な知識と豊富な傍証でいろいろお話を承っておりますと、たいへん印象的に映るのでございますけれども、あなたは日米貿易全体をよくごらんいただきたいと私は思います。われわれは、あなたが御指摘のように、アメリカからたくさんの原材料を買っておりまするし、それは御指摘のとおり、わが国の輸入におけるアメリカのシェアは非常に高いと思います。これは御指摘のとおりだと思います。しかし、アメリカに日本の輸出が一定限度で押えられておるというようなものでは決してないのでありまして、御承知のように、ずいぶん高い市場占拠率を日本が占めておるものもあります。テレビジョンレシーバーのように、九四%まで日本の品物でオキュパイしておるというものもあるわけでございますし、資本につきましては、完全にアメリカ側は自由な門戸を開いておるわけでございまして、私どものいまとっておる資本の規制は、相当窮屈に相なっておるわけでございまして、公正に見まして、確かに御不満のところもいろいろあろうと思います。あなたにとりまして、アメリカ側の措置がかんにさわるところがたくさんあるでございましょうが、またアメリカ側から見ましても、日本のとっておる姿勢についてはがまんならぬところはたくさんある。したがっていろんなトラブルが起こるわけでございますから、その点は、事柄の実態に即して判断しながら、しんぼう強く解決してまいらなければならない。外務省も、私どものほうも、不当な強要のもとで城下の誓いをするというような不心得な根性ではやっていないということを、ひとつ御承知願いたいと思います。
○加藤(清)委員 通産大臣、私は、ほんとうはあなたと一問一答ではなくして、外務大臣といたしたかったわけであります。しかし、あなたは通産大臣でいらっしゃると同時に、外務大臣の経験者でもいらっしゃいますし、なお財政関係についてはその道一筋でみえたベテランでいらっしゃいまするから、これは打ってつけのお方だと思って一問一答を続けたいと思いますが、私の言いたいことは、なるほどあなたはいまテレビのことをおっしゃられましたが、それはアメリカの生産の足らざるところを補っているのであって、もう一つは、日本のテレビと競合する諸外国、アメリカへ輸出しようとする諸外国、そこに日本ほど優秀で、日本ほど出血輸出といいましょうか、FOBを安く切り下げて売る国がないから、日本のテレビがアメリカの市場に対して占拠率を多く持っているのでございます。しかし、その例は決して憎むべき現象ではなくて、歓迎すべき現象だと私は思っております。あくまで、日本の輸出はアメリカの産業を侵したり汚したりするのではなくて、アメリカの需要を満たすための輸出しか行なわれていないということを言いたい。これはひとつ認めていただきたい。ときにラッシュとかなんとかクレームがつきますけれども、注文もしないものを売り出すはずはございません。どっちの意思でラッシュしたかはおのずから明らかなんです。その責任の所在をここで明らかにしようとは思いません。が、私があなたに申し上げたいことは、あなた自体はそれをよくわきまえて交渉に臨んでいらっしゃるようですが、外務省筋、大蔵省筋には必ずしもそうでない考え方があるようでございます。それだから業界が騒然としてくるわけでございます。それでなければ、全国大会を、あるいは全県下大会を産地でやる必要はないのです。この点をよく御認識いただきたい。 だんだん与えられた時間が参りましたから結論にしたいと存じまするけれども、最後に承りたいことは、高橋ミッションがアメリカに行かれましたときに、トレザイス代表から会議の目的なり向こうの希望なりを言われたはずでございますね。米国側の繊維事情の究明である、しかし早期かつ適切な解決を希望する、こう言っておられたようです。早期、適切な解決を希望されたようですが、その解決策の日時の約束はなさったのですか、なさいませんですか。
○高橋説明員 冒頭のあいさつの中でそういう趣旨のことはございました。私ははっきり、今度アメリカに来た目的は繊維産業の事情の調査あるいは究明にあるということを述べました。なおトレザイス代表のあいさつされた中には、私の与えられた任務から考えてお答えできない点も含まれておるように思う、このように申しました。結論的には、先方からアメリカの繊維産業が当面している問題に対してどう対処したいかという大ざっぱな考え方が示されただけでございまして、私たちの調査団の任務から、その点に関しては一切質問、討議を行ないませんでした。したがって日時云々ということも触れるはずがございません。
○加藤(清)委員 そうすると、今度トレザイスさんがいらっしゃったのは、期日を約束の上で来られたのでなしに、一方的に来られた、こういうことでございますか。
○高橋説明員 トレザイスさんは残存制限に関する交渉のために来られた、このように承知いたしております。
○加藤(清)委員 そのとおりでございまするが、事繊維のことにも言及していらっしゃるようでございますね。繊維の関係については期日を約束されずに見えた、こういうことですね。
○高橋説明員 私どもがワシントンにおります間に、トレザイスさんが私たちの参りましたことに関連して日本に来られるというような話は一切出ませんでした。
○加藤(清)委員 わかりました。 私がなぜいままでのようなことを言わなければならなかったかというと、先ほど大臣もちょっと触れられましたので、いままでに述べたような趣旨を外務省の方によく認識してもらいたいために言っているのですが、なぜ認識してもらいたいかという理由を申し上げます。 いま東郷さんが帰られましたが、東郷さんがまだニューヨーク総領事でいらしたとき、東郷さんのお世話で、私はかの地でいろいろな方に会いました。フルブライト外交委員長やパストーレさん、経済委員長であるとともに繊維対策特別委員長です。ところがワシントンポスト、ニューヨークタイムズの編集長に会いましたそのおりに、いまの話をやったわけなんです。日本の繊維をたいへん制限したい、したいといっておられるようだが、その量はほんの一週間分足らずですよ、なぜそれを制限しなければならないのか、アメリカの映画は毎日かかっていますよ、量は日本の生産量と同等まで輸入されているのですよ、これじゃ互恵平等じゃないじゃないですかという話をしたら、そんないい材料をなぜ早く言ってくれなかったか、いままで私は大ぜいの方、日本の財界代表、ガバメントオフィスの代表に会ったが、そんな話はだれ一人もしてくれなかった。これはうそかほんとうか知りませんけれども、そういう言いようであった。そこで認識を改められて、なるほどこれは一方的な意見であった、あなたのほうがゴリ押しに押すとおっしゃる意味がわかると言われたことがあるのです。そこで外務省の皆さんもよくこのことを認識しておいて、交渉のおりにそのつどこれを材料にしていただきたい、こう思ったればこそです。 いまもまた、トレザイスさんとは事情の調査、究明に当たることは話し合いが行なわれたけれども、この解決を相手方が希望したことまではわかりましたが、しかしその期日は約束してない、にもかかわらず追い打ちをかけてきて要求をなさる、この態度が私にはわからない。そこで承りまするが、高橋さんの調査の結果はまとまっておりますか、おりませんか。まとまらないのに返事することはできないと思いますが……。
○高橋説明員 鋭意調査の結果を分析中でございますので、まとまっておりません。これは再度大臣からお答えされたとおりでございます。
○加藤(清)委員 いつごろまとまる予定ですか。
○高橋説明員 実は急いで、しかも見落としのないようにやれ、こういうことでございますので、まだしばらくかかるかと思います。
○加藤(清)委員 ところが通産大臣は、トレザイスさんがお帰りになるまでに何がしかの返事をするというようなことをおっしゃられたように新聞に出ていますが、これはうそですか。
○高橋説明員 新聞では拝見いたしておりますけれども、大臣から直接伺っておりません。
○加藤(清)委員 それでは、これはあす御出席のときに承りたいと思いまするが、トレザイスさんは今回も回答を迫っていらっしゃるようですね。ところが調査の結果はまだまとまっていない。そういうやさきに外務省のほうで交渉受け入れやむなし論が出ているというのは、どうもわからないのです。交渉を受け入れることもまたやむなしという論が出ているというのですが、それは出ていないのですか。
○平原説明員 出ておりません。
○加藤(清)委員 はい、わかりました。 それでは、トレザイスさんは幾日までいらっしゃいますか。
○平原説明員 私の承知している限りでは、十一日の土曜日までは少なくとも東京におるようでございます。
○加藤(清)委員 繊維局長さん、十一日までにあなたの調査結果はまとまりますか。
○高橋説明員 できるだけ急いでおりますけれども、まとまるかどうかわかりません。ただし、先ほど、これまた大臣が答弁申し上げましたように、私たちは大臣に対して随時御報告はいたしております。
○加藤(清)委員 少なくともアメリカの繊維事情悪化のゆえに日本の繊維製品を制限したいというのがアメリカの趣旨でございます。日本からアメリカに輸出されているところの数量が問題ではない。数量は消費量から見ればわずか一週間分足るや足らずなんです。そんなものが影響を及ぼすはずはない。にもかかわらず、アメリカの繊維事情が困っている、だから調査にきてくれ。そこでお行きになったその調査の結果がまだできてないうちに、調査の結果を待たずに結論を急いで、二国間協定を前進させるような答えは出す必要ないと思いますが、高橋さんどう思われますか。
○高橋説明員 これは基本論でございますので、さっき大臣が明確に御答弁になりましたので、それでぜひおわかりいただきたいと思います。
○加藤(清)委員 大臣の答弁は、安保、沖繩とは関連させない、二国間協定を前提としたものには臨まない、もし多国間において共通の問題で会議を行なうといえば参加する用意がある、同時にインジュリーの問題で問題がありとするならば、今後も調査検討はする、以上が大臣の答弁のまとめだと思いますが、違いますか、私の認識が。
○高橋説明員 いまお話しになりました中で、自主規制を前提とした二国間取りきめ云々というところと、それからガットルールに従ってということばをつけ加えさせていただけば、大体大臣の御答弁になると思います。
○加藤(清)委員 わかりました。外務省さんのお答えは先ほど来通産省と一致しているとおっしゃられましたが、いま集約した点をもう一度検討していただいて、もう一度お答え願いたい。
○平原説明員 常時通産省と連携、連絡を保っております。したがって考え方は同様でございます。
○加藤(清)委員 最後に、先ほど大臣は、あなたは局所的にものを見ずに全体的に見よ、こうおっしゃられた。私もそのとおりだと思う。そこで全体的にこの問題を見れば、そのおことばはそっくりそのままアメリカ側へ返上したいと思います。なぜかならば、アメリカの今度の制限を申し入れているもう一つの原因に経済状況の悪化ということがございます。国際収支の悪化を招くであろう、こういうことがございます。冗談じゃないですよ。日米の貿易の帳じりは戦後二十年間の余日本の赤字が連続的だった。経済を総合的に見れば、帳じりを見ればわかる。戦後日米貿易の帳じりは、日本のほうの赤字が、少ないときで一億二、三千万ドルから、多いときには十一、二億ドル、これが慢性的だった。ただ、きのうきょう、ここ一、二年ちょっと日本が黒字になってきただけの話だ。この立場から言えば、将来国際収支が云々、これはおかしいと思う。アメリカさんの言いようは国際収支とおっしゃるが、貿易収支ではアメリカさんも黒なんです。総合収支で赤になる。それはベトナムで道楽なさるからなんだ。貿易収支は常に黒なんです。にもかかわらず、それをなぜそれでは糸へんにしわを寄せなければならないのか。アメリカに対して糸へんがどれだけの犯罪を犯しておるのです。繊維がどれだけの犯罪を犯しているのです。よしアメリカの総合収支が赤だからそれを直すということならば、それはわかる。しかし、それをなぜ糸へんが責任を負わなければならないのかわからない。それこそ総合的にドル防衛を考えるべきであって、総合的にものを見てくれということばは通産大臣から私にいただきましたが、それをそっくりそのまま通産省と外務省にお返ししますから、これをひとつトレザイスさんのおみやげに差し上げてもらいたい。いずれ高橋さんお会いになる。外務省の幹部の方々もお会いになるでしょうが、そっくりそのまま向こうへ差し上げてもらいたい。しかも日本はアメトカの総合収支の赤を黒にするために、すなわちドル防衛のためにあれこれとずいぶん貢献をさせられ、ずいぶん海外援助に至るまで肩がわりをさせられているのでございますから、何がゆえに合繊やウールが一身にその責任を負わなければならないのか、ここを総合的に御答弁願いたい。
○高橋説明員 いろいろと貴重な御意見を賜わりまして、また御鞭撻いただきましてありがとうございました。所管局長としましてできるだけのことをいたすつもりでございます。
○宇野委員長代理 次回は明九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十一分散会