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61回国会衆議院1969/06/24

商工委員会 第35号

発言数
134
登壇者
15
会派数
4
開催日
1969/06/24

会議録

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  去る二十日の商工委員打合会の記録につきましては、本日の会議録に参照として掲載することといたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 この際、来たる二十七日開会する商工委員会公聴会における公述人の件について御報告申し上げます。  特許法等の一部を改正する法律案についての公述人の人選等につきましては、さきに委員長に御一任願っておりましたが、理事各位との協議により、次のとおり決定いたしました。  すなわち、公述人の方は、株式会社名機製作所取締役第二技術部長篠田米三郎君、株式会社グレース代表取締役・日本発明婦人連盟副会長大橋摂子君、水沢化学工業株式会社取締役社長菅原勇次郎君、君島技術研究所所長・社団法人発明協会東京支部理事君嶋武彦君、弁理士中島信一君、三井経営経済研究所所長・経営評論家佐藤得二郎君、株式会社孝安産業代表取締役桝屋好昭君、弁理士志賀武一君、日本商工会議所常務理事三輪包信君、全国発明コンクール受賞者連盟総務白石国彦君、吉村科学院長・技術士吉村昌光君、株式会社海光社取締役社長林寿君、以上十二名に決定いたしましたので、御報告申し上げます。      ————◇—————

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 内閣提出、参議院送付、軽機械の輸出の振興に関する法律を廃止する等の法律案を議題といたします。  本案は、去る四月十五日提案理由の説明を聴取いたしております。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石川次夫君。

石川次夫日本社会党

○石川委員 この法案は過ぐる三十九年五月の十三日に衆議院の商工委員会におきまして附帯決議がつけられておるわけでありますけれども、その第五項目に「期限内といえども速やかに本法を廃止するよう努めること。」こういう趣旨に基づいて今回廃止することになったわけでありますので、われわれといたしましては、もちろんこれに反対する理由はないわけであります。ただ、問題点が若干ありますので、念のためにお伺いしておきたいと思うのでありますけれども、軽機械といえば、時計、カメラ、電子部品、トランジスターその他いろいろあるわけでありますが、ミシンと双眼鏡に限ってこの法案を出したというその理由について一応御説明を願いたいと思うのです。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 この法律の別表に、家庭用ミシンと双眼鏡が併記されておるわけでございますけれども、もともとこの軽機械という定義を下しましたのは、ミシンあるいは双眼鏡のように、アセンブル方式によりまして製品を製造してまいる、しかもそのアセンブラーの中核になって事業をやっておるものが中小企業が多数である、そして同時にまたその製品が相当輸出市場で売られている、そういう製品に着目いたしたわけでございます。したがいまして、法制定当時におきましては、この家庭用ミシン、それから双眼鏡のほかに、あるいはカメラでございますとか、あるいはトランジスターラジオでございますとか、その他の軽機械類についても検討が加えられたわけでございます。その後、法施行過程中におきますこれらの業界の態様につきましては、たとえばカメラにつきましては大企業だけが生産しておる、これはアセンブラーとして生産しておるというふうな実態、あるいはまたトランジスターラジオにつきましても、相当部分が大企業によって生産せられており、輸出されておるというふうな現実の実態、この法が当初想定しておりましたような中小企業を主体とするアセンブラー業界の範疇からだんだんと離れていったというような現状に着目いたしまして、結局、法施行中現在に至るまで、現在の家庭用ミシン及び双眼鏡の二業種に限定せられて今日に至っておるわけでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 それで輸出振興のための輸出振興事業協会、これはミシンと双眼鏡別々にできておるようでありますけれども、それを登録制をしく、あるいは調整命令で行なうというようなことで、成立をいたしましてから五年、さらに延長して五年、合わせて十年の間に相当の成果をあげて、これなら廃止をしてもいいという見通しをつけることになったわけでありましょうけれども、成立後十年間にどういうような効果、成果というものがあがったかという点について、簡単でけっこうでございますから御説明願いたいと思うのです。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 法施行後の成果の問題でございますけれども、まずミシンにつきましては、品質が非常に向上いたしまして、輸出検査の合格率が格段の向上を見ております。たとえて申し上げますと、直線縫いミシンの頭部につきまして、検査の不合格の率が、法施行当時の三十四年におきまして大体百分の三・〇六というふうなものであったわけでございますけれども、昨今に至りましては、この四十四年の一月では一・四四、二月におきましては〇・一八、三月におきましては〇・二七、これは一例でございますけれども、というふうに相当検査の不合格率が少なくなってまいっております。と申しますのは、逆に申し上げますと合格率が非常にふえておるわけでございます。これは結局、この制度の運用の成果によりまして検査制度その他の体制が内部で確立されたことの証左ではないかと考えるわけでございます。  また、双眼鏡におきましては、鏡体がダイキャスト化する、これが相当程度進展いたしておるわけでございまして、法施行当時におきまして、あるいは延長時でございます三十八年に二〇%程度のダイキャスト製品のウエートがあったものが、四十三年に至りますと九六%はダイキャスト製品のほうに転化しておるというふうな状況でございますし、あるいはまた、双眼鏡の品種が非常に多様化してまいっておるというふうな、品質の向上が現実に見られておるわけでございます。  それから、輸出につきましても、家庭用ミシンあるいはまた双眼鏡につきましても着実に伸展いたしております。もちろんこれは、他の機械類の伸びが非常に大きな伸び方を示しておりますのに比べますと、それほど大きな伸びというわけにはまいらないわけでございますけれども、たとえばミシンにつきましては約二倍、それから双眼鏡につきましては約六割増というふうな伸び方でございます。  と同時にまた、こういう法律をバックにいたしまして、業界の体制、特にこの法制定当時心配されておりました国際市場は、いわばこの業界にとりましてはめくら貿易の状況であったわけでございますけれども、昨今におきましては、ミシンにつきまして製造業者から輸出業者へ、そしてまた外国の輸入業者へというふうな点がきわめて秩序化されておるわけでございます。安定した市場に秩序よく輸出する、こういう体制が出てまいりましたし、あるいはまた業界内部のグループ化と申しますか、ミシンにつきましての集約化、あるいはまた双眼鏡につきまして全国八事業協同組合への集約化というふうな業界の体制の整備も、この法律をバックにいたしまして着々と進展いたしておる状況でございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 まあ私もその成果はそれなりに評価いたします。過当競争の防止というような点、業界の内部体制も整備ができたという点、これはこの法律が相当あずかって力があるのじゃないかと思いますけれども、それだけにこの法律の廃止された後に再び過当競争あるいは品質の低下ということの出るようなおそれがあるのかどうか。あるいはそういうおそれがあるという場合には、輸出入取引法あるいは中小企業近代化促進法というようなもので対処をするということにはなるのでありましょうけれども、それだけで十分なのかどうか。この法律が廃止された後に、ミシンのほうでは日本家庭用ミシン工業会、あるいは双眼鏡のほうでは日本輸出双眼鏡協同組合連合会というようなものがいままでの輸出振興事業協会というものにかわって継承団体として残るというようなことは明らかにされておるわけでありますけれども、過当競争の心配をそれだけでいままでと同じように食いとめることができるのかどうか、品質の低下というものが起こらないで済むかどうかという一まつの不安がないでもない。  それから、これは中小企業の団体だけが入っておるわけでございまして、たとえば双眼鏡などは旭光学とか日本光学というような大メーカーは入っておらない。したがって、いままで非常に調整がうまくいっておったものが、この法律を廃止することによって、大企業が出て中小企業が脱落をする、設備の調整関係なんかの規定も廃止になるというようなこともありますので、そういう点、一まつの不安がないでもない。この点をどうお考えになっておるかちょっと伺いたい。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 二点御質問いただいたわけでございますけれども、最初のほうの、この法律が廃止されました後に、過去に繰り返した過当競争がさらに同じような形で繰り返される心配はないであろうかどうかという御質問でございます。先ほどお答え申し上げましたように、この法律の施行の過程におきまして、ミシン業界あるいは双眼鏡業界におきまして、それぞれ集約化、グループ化等が行なわれ、業界の体制はほぼ整ったものだというふうに私どもは理解しておるわけでございます。その成果として、かつてありましたような輸出市場におきます過当競争というふうなものもだんだんなくなってまいりましたし、そしてまた国内におきますいろいろな事業、これらは主として輸出品でございますので、輸出市場における過当競争が一番問題になるわけでございますけれども、国内における体制もだんだん整備されてまいっておりまして、この段階でこの法律が廃止されましても、十年前にございましたような苛烈な過当競争というふうなものが出てまいる心配はないものだというふうに判断をいたしておるわけでございます。  それから第二の大企業と中小企業との関連でございます。確かにこのアセンブラーメーカーの中に大手企業もございますし、また中小企業もございます。これは家庭用ミシンの場合と双眼鏡の場合に応じましてそれぞれ違った面はございますけれども、やはり大企業が核となってグループ化が進んでおるもの、これはミシンの場合でございますが、そのほかに、さらにまた中小企業だけでグループ化を進めておるもの、そういうふうなものの二つのグループに分けることが可能だと思うわけでございますけれども、現状におきましては、現にございます輸出入取引法の運用あるいはまた中小企業関係につきましては中小企業団体法の運用、この二つの法律を柱にいたしまして適切なる措置がとられてまいるならば、このような特例措置を設けなくとも、他の企業並みに秩序よくやっていけるものだというふうに判断いたしております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 それで、具体的に、たとえばいままでの法律でありますと、調整命令によりまして新規参入を禁止するということができたし、それから設備の調整関係の規定というものもいまの法律にはあるわけでございますけれども、これも廃止になるというようなことで、具体的にどう対処するかという点でひとつお伺いしたいのです。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 現在の軽機械の輸出の振興に関する法律でございますけれども、これはすでに御承知のように現在ございます輸出入取引法あるいはまた中小企業団体法、協同組合法等に対する一つの特例措置を家庭用ミシン業界及び双眼鏡業界について設定いたしたものでございます。したがいまして、こういう業界がすみやかに他の業界と同じように団体法あるいはまた輸出入取引法の普通にございます体制の中で秩序よく発展してまいるということが一番必要なわけでございます。この法律の施行過程を通じまして、先ほどお答え申し上げましたように、家庭用ミシンにつきましては取引秩序がきわめて安定的になってまいりました。したがいまして、この法律を廃止いたしましても、そういう意味からの輸出市場での不当な競争というふうなことは起こり得ないものだというふうに私どもは判断いたしておるわけでございます。  御質問の設備調整問題等につきましても、これは特に多額の設備投資を伴なわないで事業ができるというところに特徴がございましたので、団体法の設備調整命令以外の形で一つの強い規制措置が講じられておったわけでございますけれども、特に双眼鏡等につきましては八事業協同組合が結成され、また双眼鏡関連業界との体制整備協議会というふうなものも結成され、自主的に企業内部でそれぞれ話し合いをしてまいるというふうな制度もだんだんと充実してまいっております。したがいまして、いまこの段階でこれを廃止いたしましても、そういう点からの業界秩序がにわかにくずれ去るというふうなことにはならないのではないか、このように判断いたしております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 それからあと一つ、先ほど御説明がありましたように、たいへん輸出品の合格率も上がり、輸出も大いに伸びたというような成果があるわけでありますけれども、輸出振興事業協会というものはいままで市場調査あるいは製品のPRというようなものを直接やっておったわけでございますが、今度はジェトロのニューヨーク、ロンドン、バンコク、ジュッセルドルフ、こういうところに置いてある軽機械センターを通じて行なうことになるわけであります。この軽機械センターというのは、先ほどもちょっと申し上げましたように、時計とか事務機械とか顕微鏡、テープレコーダー、こういうものが十種類ばかり含まれておるわけです。いままではこの二つについては個個の団体がそれぞれ双眼鏡、ミシンというものについて特に力を入れておったわけでありますけれども、このジェトロの軽機械センターの中に統合することによってその力が弱められはしないかという懸念なしとしないわけでありますが、その点はどうお考えになっておりますか。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 この法律に基づきますところの輸出振興事業協会でございますけれども、この輸出振興事業協会が特殊な法人としてこの法律に基づきまして設けられました一番大きな理由は財源対策にあったわけでございます。この現行法にも規定してございますように、輸出したメーカーは輸出の一定割合につきまして強制的に振興事業協会に負担金を納付する、こういう制度があったわけでございます。要するに強制的に負担金を徴収することによりまして輸出振興事業を伸ばしてまいる、こういう構想であったわけでございます。そして輸出振興事業協会の海外ブランチといたしましては、ジェトロを通じまして、いまお話のございましたような他の品種と一緒に軽機械センターというものを在外四カ所に設けておったわけでございます。したがいまして、今後この法律が廃止されて変わります点は国内の機構でございます。国内の機構が、この法律に基づいて設けられておりましたミシンあるいは双眼鏡につきましての輸出振興事業協会が廃止されまして、それにかわるものといたしまして、ミシンにつきましては日本家庭用ミシンの協会、それから双眼鏡につきましてはやはり事業協同組合の連合会としてこの国内における仕事を承継いたしますと同時に、海外の軽機械センターにつきましては従来どおりこれを存置いたしまして、従来と同じ活動方式で活動してまいるということになるわけでございます。過去におきまして強制的に負担金としてとっておりました納付金制度というものは、この法律の廃止に伴ってなくなりまして、あとは業界内における任意拠出というふうな形で事業資金の一部がまかなわれるという体制になるわけでございます。したがいまして、この法律がなくなりましても、海外の軽機械センター等を通ずる輸出振興業務はそれぞれ他の団体に引き継がれ、従前どおりの活動を続けてまいる、こういうことになっておるわけでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 それではミシンと双眼鏡について若干伺いたいのでありますが、ミシンはこの法を最初に十年前に制定をするときには百六十あったものが、法制定のときに百二十に減っておる、さらに最近では六十社に減っておる。これは概して喜ぶべき傾向ではあろうと思うのでありますけれども、その百六十社もあったものが、法制定と同時に百二十社になり、最近六十社になっておるということの原因、大体わかっておるのでありますけれども、その経緯というものを御説明願いたい。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 法制定時におきまして相当数の企業の減少があるわけでありますけれども、結局これは、この法律を制定いたしましたときに、設備の登録基準その他のいろいろの規制を設けたわけでございます。従来こういうアセンブラーメーカーでございますし、元手がなくても商売できると申しますか、そういう地盤があったようでございまして、それまでございましたところの工業組合の数量規制を利用いたしまして、その数量ワクをワクだけもらって、自分で生産しないで他に転売するというふうな企業が相当数あったものと思われるわけでございますが、この制度が確立いたすことによりまして、そういう事業者がこの登録制度から排除されました。したがいまして、法制定当時相当数の企業が減少いたしておるわけでございます。いわば幽霊企業と申しますか、自分で現実に生産活動をやらないで、数量ワクの売買で成立していた企業、いわば不健全な企業でございますけれども、これがこの登録制度によりまして排除されたというのが法制定当時におきます大量の事業者がなくなった原因でございます。  それからさらに、昭和三十八年、二十八の企業が転業いたしておりますけれども、これは業界内の体制整備を進めてまいるというときに、業界内部で相談いたしまして、転廃業する人に対して、転廃業資金をお互いに融通することによって体制整備を続けてまいったわけでございまして、それらの企業が二十八昭和三十八年にこの数から減っておるわけでございます。  したがいまして、そういうふうな事情が中心でございまして、この法律自身を軸にして積極的に企業をつぶしたというふうな背景ではなくて、いま申し上げましたような事情のもとに登録事業者数が減少してまいったというのが現状でございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 ミシンの関係では、アメリカに輸出された日本のミシンが大体向こうへ行っても一〇%から安いというようなこともあって、アメリカ、カナダでは日本品が六〇%から占めておる。逆にシンガーがあれだけ日本の市場を風摩したわけでありますけれども、パインミシンが継承しておりますが、日本のシェアは五%以下というようなことで、非常に成長のあとは著しいと思うのでありますけれども、このミシン業界は双眼鏡と違いまして、大企業と中小企業との格差が相当あると思うのです。その点先ほど若干御説明を受けたわけでありますけれども、この差がこの法律を廃止することを通じてかなり拡大をするのではなかろうかという懸念と、あと一つ伺いたいのでありますけれども、ヨーロッパではEECの共通通商政策としてミシンの輸入というものを考えておるようでありますが、フランス、西ドイツ、ベネルックスなどは自由に日本のミシンが入っておりますけれども、イタリアのほうではネッキというイタリアの中の企業を保護するという意味で日本製品は輸入禁止になっておる。ところがEECは、いま申し上げましたように共通通商政策として考慮をするという場合に、イタリア側の方向ではなくて、日本の製品が輸入制限を受けることなしに自由に輸出できるという方向にいってもらいたいと思うので、そういうふうな方向で交渉をしておると思うのでありますけれども、現状と見通し等についてあわせて伺いたいと思うのです。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 アメリカ市場におきましては日本製品のシェアは非常に高いわけでございますけれども、残念ながらアメリカに比べますとヨーロッパ諸国では非常に低いシェアになっております。低いと申しましてもまだ相当数量のものは出ておるわけでございますけれども、たとえばミシンにつきまして数量ベースで計算いたしました場合に、西独の総輸入額に対しまして四三・五%は日本品でございます。またイギリスにつきましては四四・七%が日本品でございます。また双眼鏡につきましては、西独で約八〇%、イギリスで五六%というふうな非常に高いシェアを占めておるわけでございます。ヨーロッパの場合にこういうふうにシェアの低いいろいろの原因があるわけでございますけれども、特にそれぞれの国でこういうミシンなり双眼鏡なりのメーカーの実力と申しますか、生産数量はおのずと限度がございまして、それに伴いまして日本からの輸出がふえておるわけでございますけれども、特にいま御指摘がございましたように、かつてEECで混合関税制度というふうな制度が提案されまして、日本からのこういう軽機械類につきましての輸入を抑制する動きがございました。これに対処いたしましては、いわゆる政府でやります経済外交あるいは民間の軽機械センター、輸出振興事業協会を通ずる民間ベースでの話というふうなものでこの混合関税制度につきましてはうまく解決することができたわけでございますけれども、現にミシンにつきましてはイタリアにおきまして輸入制限がされております。それから双眼鏡につきましてはフランスにおいて輸入制限が行なわれておるわけでございます。その他の国々もそれぞれの制限がありましたけれども、過去数年の間にそれぞれ輸入制限が撤廃されてまいったわけでございます。ただ、このイタリアの輸入制限をしておるということが現在、いま御指摘がございましたようにEECの対日共通通商政策という中でどのように影響を与えていくか、非常に重要な微妙な問題でございます。したがいまして、イタリアにつきましては個別的な対伊交渉を通じまして、過去におきましても輸入制限の撤廃につきまして善処方を要望いたしておったわけでございますけれども、このEECの対日共通政策との関連におきましてもさらに強力に折衝を続けてまいりたい、このように考えるわけであります。また双眼鏡につきましては、現在フランスが行なっておるわけでございますけれども、このフランスにつきましても個別的な交渉を通じまして——これはフランスにおきましては輸入ワクと申しますかワクを設定いたしておりますと同時に、このワクの運用につきまして非常に使用しにくいようないろいろな方法が加味されております。したがいまして、これもフランスとの個別交渉を通じまして、できるだけ早い時期にこういう輸入制限を撤廃してもらいたいというふうなことを過去におきましても強調いたしておるわけでございますけれども、さらに将来におきましても、この輸入制限の自由化につきまして、他の物資との見合いの問題もございますけれども、強力に進めてまいりたい、このように考えるわけでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 このヨーロッパの輸入制限問題は、これだけの問題ではなくて、たいへん多岐にわたる問題でありますので、これはまとめて一応問題にしなければならぬときがあると思うのであります。  双眼鏡のことで若干聞きたいのでありますけれども、これは八つの協同組合というもので百六十社を含めまして、この法案によってかなり成果を上げておるわけでありますけれども、実は後進国からの追い上げ、これは非常に単純な作業というと語弊があるかもしれませんけれども、非常に後進国でも取り組みやすい品目になっておると思うので、日本におきましても非常な零細な中小企業が多いというふうなこともそれを暗示しておると思うのであります。そういうことで、たとえば香港では宝源光学というようなものが二千人の従業員で一貫作業を行なっておるというようなことが一つ今後のわれわれの競争に相当な脅威を与えるのではないかというような懸念も含めまして、後進国からの追い上げ、特恵問題とからんで、双眼鏡の今後の対策、見通しというものについて伺いたいと思います。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 双眼鏡につきましては、特に香港、マカオ、台湾、韓国、これらがいわゆる発展途上国といたしまして双眼鏡の生産をあげておる国国でございます。ただ、これらの国々の産品でございますけれども、品質等に対する信頼力と申しますか、そういう点がまだ十分でございません。いずれかといえば品質的に日本品よりか少し程度の落ちると申しましょうか、程度の低い品物を主として生産いたしておるようでございます。また生産能力にも現在限度がございます。したがいまして、当面の問題といたしましては、すぐにこれらの影響が出てくるというふうには考えられないわけでございますけれども、ただ、いま御指摘の中にございましたように、香港におきますところの宝源光学儀器金属有限公司という大きな会社がございますけれども、そこらの競争力等将来を見越しました場合、特に非常に安い労働力を使って製品をつくっております関係上、品質的にいささか劣りはいたしますものの、やはり将来の強敵として私どもは頭のうちに描いておく必要はあろうというふうに考えるわけでございます。特にこれらの長期的な対策といたしましては、何と申しましてもやはり日本の品物、品質によってこれらの国国が簡単に追いつけないものをつくってまいるということが第一ではないかと思うわけでございます。そのために、いまも双眼鏡につきましてダイキャスト化の進展の問題あるいはまた非常に多種類にわたります広範な双眼鏡というふうなものが日本で開発されております。将来ともこういう方向で、高技術のもの、高性能のもの、そういうふうなものの生産をやはり重点にしていくということがこの低開発国対策として必要ではないかと思うわけでございます。  なお、いま特恵問題について御質問があったわけでございます。特恵問題につきましては、現在国際会議の場で、そのやり方等についてそれぞれ打ち合わせが行なわれておるわけでございますけれども、この双眼鏡につきましては、少なくとも日本に直接上陸してまいるという意味での市場競合はあまり考えられませんけれども、特にアメリカ市場、ヨーロッパ市場等での競争力の付与のしかたの問題といたしまして、特恵問題の成果いかんによりましては、他の市場で一部競合が出てまいるというふうなことになるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、少なくとも双眼鏡につきましては、そういう対外市場で特恵の特例となるよう努力いたしてまいりたいと考えるわけでございます。   〔委員長退席、宇野委員長代理着席〕

石川次夫日本社会党

○石川委員 時間が大体来たようでありますので、非常に有効裏にこの法案が成果をあげてきたという過去の経緯から見て、これが廃止をされた後の適当な対応策、すなわち輸出入取引法あるいは中小企業団体法、輸出の関係におきましては日本家庭用ミシン工業会あるいは日本輸出双眼鏡協同組合連合会、こういったものがそれぞれ継承して万遺憾なきを期すようにしてもらいたいという希望をしまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員長代理 佐野進君。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 軽機械の輸出の振興に関する法律を廃止する等の法律案、これについてはいま石川先生からそれぞれの立場に立って御質問があったわけでありますので、私は重複する面を避けまして、若干大臣並びに重工業局長あるいは関係者に質問をしてみたいと思うわけであります。  まず第一に、軽機械の輸出の振興に関する法律を廃止する等の法律案の趣旨の説明の中で、「軽機械の輸出の振興に関する法律は、軽機械製造業における過当競争を防止し、健全な輸出の伸長をはかるため」云々ということで説明がなされておるわけでありますが、この中で、軽機械製造業というものの定義を、「家庭用ミシン、双眼鏡及びこれら部品の製造業者について」云々、こういうように説明をなされておるわけです。軽機械という概念から申し上げますならば、いわゆる過当競争を防止するという、そういうような概念に当てはまる業種、こういうものは、単に家庭用ミシンや双眼鏡だけではないと思うのであります。これら業種の対象となるべき業種が、いまこの法律を廃止するという現時点の中において、なおどの程度想定されるのかどうか、この点、原則的な問題として御質問を申し上げたいと思うのであります。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 現行の軽機械の輸出の振興に関する法律の第二条に、軽機械の定義が規定されておるわけでございますけれども、いま御質問の中にございましように、この定義で、「「軽機械」とは、小型軽量の機械」、小型でしかも軽量というふうにいっておるわけでございますけれども、「小型軽量の機械であつて、その製造業者の大部分が中小企業者であり、主として他の者から購入した部品を組み立てることによつて製造され、かつ、その相当部分が輸出向に出荷されるものについて、別表で定めるものをいう。」というふうに定義されておるわけでございます。これが制定されましたときに、別表で定められましたのが、家庭用ミシンと双眼鏡でございます。このように、いわば中小企業、要するに製造業者の大部分が中小企業者であり、しかもこれがアセンブル方式をもって生産をしてまいるということ、しかもその生産されました相当部分が輸出向けに出荷される、この形態に似通っております機械類というのが、実はトランジスターラジオであり、カメラであり、時計でありというふうな、そういうふうなものが実はこれに非常によく似通った形態を持っておったわけでございます。したがいまして、これは法制定当時から御議論をいただいたわけでございますけれども、結局法制定当時におきましては、家庭用ミシンと双眼鏡というふうな二つにしぼられたわけでございまして、その後残りました他の軽機械類につきまして、この指定対象とするかどうかという点についてしばしば議論が行なわれたようでございますけれども、結局、たとえば時計にいたしましても、主たる製造業者が、中小企業者が相当部分ではなくて、大企業が相当部分になっておる。あるいはトランジスターラジオ等につきましても、いわゆる低級品のトランジスターラジオは別でございますけれども、相当高級なトランジスターラジオになりますと、すべて大企業中心で製品が製造されておるというふうな、実はこの二条の定義にいささかそぐいかねると申しますか、適合しかねるような現状になってまいったわけでございます。したがいまして、現在残っておりますこの法律の適用対象として考慮すべきではなかったかというように考えられる業種は、この家庭用ミシンと双眼鏡を除きましては考えられぬわけでございますし、同時にまた、この法律の適用対象としてぜひともやってもらいたいという意味での業界の積極的な発意もないままで実は十年間が終わったというのが現状でございまして、この定義に相当いたしておりますものとしましては、いま申し上げました二品目のみではないかというふうに考えるわけでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 原則的な面ですから、大臣に御質問申し上げておきます。  いま局長から御説明ありましたように、軽機械の輸出の振興に関する法律については廃止すべき時期にきているということで、いま廃止案が提案されておるわけであります。そこで、この法律案が提案された当時の事情に基づいて、昭和三十四年の時点で「家庭用ミシン、双眼鏡及びこれらの部品の製造業者」云々ということで、その対象業種にきめられておるわけでありますが、昭和三十四年から十年たった今日の時点の中で、いま局長が説明された、第二条に示されておる定義に基づいて、軽機械業界における認識は、トランジスターであるとか時計であるとか、いろいろあるけれども、今日におけるところの認識は、いま局長の示された程度のワク内においてすべてが定義づけられるものであるかどうか。あるいはまた、国際競争力を強化しなければならないと大臣がかねて表明されておる今日の日本の置かれておる経済情勢の中において、軽機械というこの定義の中に入れられるべき業種が、今日この法律を必要とする状態の中に存在しないと断言することができるかということになると、私は相当程度——いま、やや経済界においても輸出が振興し、あるいはまた景気も上向いておるけれども、この軽機械という範疇の中に入れられてもしかるべきと思われる業界の中において、なおこれらについて対策を必要とする業種というものは存在するのではないか、こういうぐあいに考えられる点があるのです。この法律が施行されて約十年たった今日、廃止される。定義の中に示された家庭用ミシンと双眼鏡は一応この対策の中において成果があがったから廃止するのだ、こういわれておるけれども、法律そのものを廃止する、こういうことについては若干飛躍しておるのではないかという気もするわけです。家庭用ミシンと双眼鏡だけが軽機械ではないわけですから、そういう点では、今日の時点で廃止を提案するということについては、現状の軽機械工業界全体における情勢と関連して、ちょっと時期が尚早であるという認識もまた——これは附帯決議等がありますから、この附帯決議の精神に基づいてやったのだということになるかもしれませんけれども、そういう認識は、大臣、いかがお持ちになるか、この際、次の質問を続ける上に必要でありますので、御見解を承りたいのであります。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 佐野委員のおっしゃること、一応理解できますけれども、この法律は、御案内のように、第一は、登録をやって過当競争の道を断って体制を整備しようという点が一点と、それから第二点は、輸出振興について団体を結成して振興策を講ずるというような点にあると私も思うのでございますが、軽機械産業の体制整備、育成、こういう大きな観点から申しますと、技術の水準にいたしましても、体制の整備にいたしましても、税制、金融その他いろいろな措置があり得るわけでございますが、この法律はいま申し上げましたような、非常に限定された振興手段を規定した法律でありまして、その限りにおきましては一応目的を達した。ただ輸出振興の部面におきましては、従来の団体が自発的な拠出のファンドを財源といたしまして活動は継続するということでございますが、そういうことで必要にして十分じゃないかという判断でございますので、こういう法律の仕組みから申しまして、このフレームをほかの業体にそのまま当てはめて施策を必要とするものがあるかという判断になりますると、あるいは非常にしさいに検討するとそういうものがあるのかもしれませんけれども、いま私ども通産省といたしましては、一般の普通の産業政策、輸出政策のたてまえでいろいろなことはやるが、特にこういう法律的な手段によって振興を考えなければならぬという業体はいまないというように考えておるわけでございます。つまりこの法律が非常に限定された目的、手段を規定したものである、そういうものを特に必要とするものが、ほかにあなたの言われる大きな意味の軽機械産業の中にあるかと問われるならば、まずいまのところ一応われわれとしてはほかの手段でやれるのであって、こういう手段でやる必要は特に認めない、こういう判断でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 私はこの法律が制定された当時の経過はよく存じませんが、話を聞いて理解をしておるわけですけれども、その制定された目的が、当時における家庭用ミシン並びに双眼鏡業界の過当競争がもたらした弊害、そういうものが業界の存続ないしは外国に対する信用その他いろいろな問題を発生した、それを政府が法律として救済というか対策を立てられたということでありますから、名称が軽機械の輸出の振興という形になっても、対象業種はあらかじめ限定されておった、そういう意味において理解をすれば、大臣のいま説明されたような形の、その目的が達したから法律は必要でないから廃止をするということもいいと思うのですが、ただしかし、軽機械の輸出振興に関する法律という名称と第一条の目的、第二条の定義、こういうことから関連すると、いま日本の国の置かれておる軽機械工業界におけるそれぞれ持っておる問題点、果たさなければならぬ課題、それから言うと、何も法律を廃止しなくても、むしろこの法律は法律としての目的を達した、その部面における役割りを終わったならば新しい状態に即応するような法律を生かしていく努力、そういうものが現在の中において必要ではないかと、この法律の条文を読めば読むほどそういうように感ずるわけです。いま大臣が言われたのは、そういうことはいまの中で必要ないのだという説明ですけれども、法律をつくったり廃止したりする——もちろんそれは一業種間のその時点の中におけるところの必要性に応じて対策を立てるということも必要でしょうけれども、法律を運営していく上に、その対策を立てていく上においての問題としては、やはりせっかくできた法律なんですから、広範な業種に当てはめて軽機械を振興する、輸出の振興に関するそれぞれの対策を立ててやるという、そういう配慮はそれぞれの時点の中でやはり相当考えていかなければならぬのじゃないか。いわゆるきわものでなくて、長期的な展望に立ってこれを生かしていく必要があるのじゃないか、私はこの廃止法案を検討する中でそういう点を強く感じたわけですが、これから質問いたしまして、その最後にその点についてさらに大臣いかがですかと、こう聞いてみたいと思うわけです。一応そういう点で質問を申し上げるということを申し上げて重工業局長にひとつ質問を移したいと思うわけです。  そこで、いま軽機械工業ということについて廃止法案が出されておるわけですが、日本の機械工業全体、軽機械と限定しないで、この持つ役割りというか、果たしつつある役割りが日本の産業、経済にどのようなウエートを占めているか、いわゆる重工業当局のわが国産業の中における機械工業に対してどのような措置というか対策、その一環に軽機械が存在するわけですが、機械工業全体としてどう位置づけ、どのように将来発展させていくか、現在までの発展の状況はどのようであったかということについて概括的にひとつ御説明を願いたいと思います。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 機械工業は戦後非常に急速に発展をいたしておるわけでございまして、付加価値額で見ましても、昭和二十五年に千二百六十八億円の生産額であったわけでございますけれども、それが昭和四十年になりますと、すでに二兆八千七百十四億円というふうに、非常に飛躍的に増加いたしておるわけでございます。何と申しましても、機械工業は外貨の獲得率の面から申しましても、あるいは付加価値率から申しましても、国の基幹産業として、あるいは輸出産業として、わが国の将来をになうべき最も期待された産業ではないかというふうに考えられるわけでございますけれども、残念ながらわが国におきましては、船舶その他の一部の機械を除きましては、いずれかといえば歴史が浅うございまして、したがいまして、老朽した設備等を非常に多く使っておるというのがかつての状態であったわけでございます。こういう面から、機械工業全体につきましてやはり積極的な振興策をはかる必要があるという観点から、昭和三十一年に機械工業振興臨時措置法の制定を見るに至ったわけでございまして、その後、これは三十六年、四十一年二回延長が行なわれて今日に至っておるわけでございますけれども、このねらいといたしておりまするところは、あくまでも設備の近代化、技術の向上、あるいはまた業界秩序の整備、業界体制の整備というふうなことをねらっておるわけでございまして、そのときどきの態様に応じまして、あるいは貿易の自由化、あるいは最近では資本の自由化というふうな開放経済体制にふさわしい体制の骨組みをこの機振法を軸といたしまして展開してまいっておるわけでございます。昨年度この機械工業振興法の対象業種につきまして全面的な見直しを行ないまして、現在三十三業種がこの機振法の指定の対象業種になっておるわけでございまして、この改定に際しましての基本計画の基本的な骨組みといたしまして、昨年の機械工業審議会で御答申をいただいたわけでございますけれども、一方におきましては専門生産体制を強化してまいるということを柱とし、同時にまた企業規模等、適正生産規模をそれぞれの業種に応じまして求めまして、そこから業界内の、業界全体としての集約化、グループ化への方向の新しい施策が答申されたわけでございます。そういう答申に基づきまして、現在ではすでに工作機械でございますとか、油圧機械でございますとか、かなりの業種につきましてグループ化が進展しておるわけでございまして、将来とも、この法律は四十五年度末までということになっておるわけでございますけれども、少なくともこの法律の有効期間中に、この法律をバックにいたしまして、そういう意味での競争力強化ということに努力してまいりたいと考えます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 機振法の運用の妙をはかって機械工業全体の発展のために努力するといういまの答弁でありますが、そうすると、今度の法律が輸出の振興ということで、これはもうその役割りを果たしたからということで廃案ということになるわけですが、機械工業全体として、輸出産業といいますか輸出の中に占めるウエート、役割り、こういうものはわが国の機械産業としてはどの程度のものがあるか。たとえばけさの新聞では二つの面が報道されておったわけです。一つには中国向けは機械産業の輸出面においては思ったより伸びないではないかというような報道があったと思うと、いわゆる欧米向けについては相当程度ことしは伸びる見通しだというような、これがまた、私もよく注意してここのところ見ておるのですが、それぞれの場合によって、そういう新聞報道というものも逆な立場で報道されたものもたびたびあるわけです。いずれにしろ、日本産業の中において機械産業の輸出面における役割り、こういうものは非常に高く評価されておるということは、そういうような面からも私ども知ることができるわけですが、いわゆる中国と社会主義圏、あるいはまたアメリカと資本主義圏、この両方に対してどのような輸出状況になっておるのか、概略でいいですからひとつ御説明を願いたいと思うのです。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 機械工業の輸出額でございますけれども、昭和三十四年全体の日本の輸出額が三十四億五千五百万ドルの段階のときに、機械類全般、これは船舶、その他の機械類すべて入っておりますけれども、機械類は九億五百万ドルであったのでございますけれども、昨年昭和四十三年全体は、百二十九億七千三百万ドルと伸びました段階で、機械類の伸び方は非常に大きゅうございまして五十六億五千六百万ドル、これは全輸出額がこの期間に、三十四年から四十三年、十年間に三・七五倍伸びた段階におきまして、これをささえました大きな柱といたしまして、機械類は六・二四倍の伸び率を示したわけでございまして、機械類の輸出が全輸出額に相当大きな比重を占め、また年々このウエートを増してまいっておるわけであります。したがいまして、何と申しましても、基本的にこういう機械類というものが付加価値額は非常に高いものでございますし、やはり輸出産業としての中核をになうべきそういう産業であるというふうに考えるわけでございます。これはただし、品物別に見ました場合には、やはりそこにおのずと伸びについて差があるわけでございまして、大体船舶につきましては平均値の三・七五より少し少ない三倍程度、それから自動車につきましては、もう十二倍というふうなこの十年間の輸出額の伸びでございます。それから広い意味での軽機械と申しましょうか、ミシン、双眼鏡のほかに、トランジスターラジオ、カメラ、時計、テレビその他のものを含めました広い意味での軽機械類で、これが六倍強の伸びを示しておるわけでございます。  ただ、御質問の中にありました市場別の構成といたしまして、いわゆる共産圏とその他の国に対する輸出の伸びという御質問をいただいたわけでございますけれども、この数字はただいま手元に持っておりませんので、すぐに電話で照会いたしまして、後ほどお答えさしていただきたいと思います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 それはそれでいいです。  そこで、いまのように、機械工業の輸出に果たす役割りが非常に大きい、こういうような御説明があったわけですが、私もそういうぐあいに見ておったわけでありますけれども、輸出に対する伸びが非常に大きいということは、同時に、いま問題になっているいわゆる資本の自由化に対してやはり大きな影響を受ける、そういう業界である、こういうぐあいに判断しなければならないと思うわけであります。いわゆる資本自由化に対して機械工業がどのように対応策を立ててこれに臨もうとするのかという面が、対外的な問題として、機械工業全体の置かれておる立場としては非常に重要であると同時に、もう一つは、いわゆる労働力不足というか、人手不足の中におきながら、需要が非常に多くなりつつある段階の中で、これに対する対策、結論的に言うならば、いまはやりのことばで、省力化産業というのですか、こういうものとの取り組み、これはいま非常に大きく問題化されておるようであります。   〔宇野委員長代理退席、委員長着席〕 いわゆる私たち一般国民にとっては耳なれないことばが、耳なれないながらも、機械工業界あるいは一般産業界においてはやはり重要なウエートを占めつつ、この問題との取り組みは避け得られない状況になりつつあるわけであります。こういうような資本の自由化ないし省力化、こういう原則的な問題について、これは大臣、答弁するつもりはないところで答弁ということになったのではたいへん申しわけないけれども、いま輸出産業に占める非常に大きな役割り、そういうものを果たしつつある機械工業の現況に対して、資本の自由化との取り組みの問題、それから日本の産業として、不可避的、避けることのできない条件下にある労働力不足をはじめ一連の産業構造変化と申しますか、そういうことに対する省力化産業、こういうものに対してどう取り組まんとするのか、この二つの面について、原則的にひとつ通産当局としての御見解をお示し願いたいと思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 佐野さんのとらえ方とはちょっと違うのですけれども、いま吉光局長からお話がありましたのは、総じて機械の輸出の伸びが顕著であったということなんでございますが、そしてあなたは、機械産業、重軽含めまして機械産業の国際的な競争力、それから国内の労働力不足に対する対応力、そういったものについてのお尋ねでございました。私は、たとえば繊維にいたしましても、それから化学製品にいたしましても、また素材としての鉄鋼なんか、たいへんな輸出になっておりますけれども、ほんとうの競争力は、やはり勝負は機械だと思うのですよ。そういう意味で、機械産業だけでなくて全産業の自由化問題を考える場合において、あなたの御指摘のとおり機械の開発が最大の課題だ、そういうとらえ方をばくはしておるわけでございます。それは御同感いただけると思うのでございます。  そこで自由化の問題でございますが、これは各業種別に、自由化するかしないか、いつするか、どういうやり方をするかというようなことをきめておるわけでございます。その場合の判断は、それぞれの業種が持っておる技術水準、とりわけ機械力というものが競争にたえるかどうかというようなところを目安にしてやるわけでございまして、いままで、二百四業種について第二次までに全部または半分の自由化をいたしたことは御案内のとおりでございます。今後も、そういう判断を各業態に当てはめまして第三次、第四次と、どこまでやっていけるか、できるだけ多くを拾いたいというような考え方でいっておるわけでございます。  で、あなたの御指摘の機械産業自体の自由化でございますが、ただいままでのところ、機振法の対象になっておるものについてはまだ自由化しておりませんで、いろいろ検討しておるところでございまして、問題は、私が申し上げましたように、要するにすべての産業に共通の問題として機械問題を取り上げなければいかぬという認識に立ちまして、自由化の問題も、したがってまた国内の省力化の問題も、省力化設備、労働力の不足に対応したやり方につきましても、そこに焦点を合わせまして配慮してまいるというつもりでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 私は、以上、この軽機械の輸出の振興に関する法律を廃止する法律案の審議についての原則的な面について質問を申し上げたわけでありますが、以下ひとつ具体的に、法律案の内容に直接関係ございませんが、いわゆる機械産業、なかんずく軽機械を中心としたこれら産業界における諸課題を幾つか取り上げて、この法律案の趣旨が中小企業と限定されておりますので、特に中小企業問題をからめながら何点か質問をしてみたいと思うわけであります。  いま大臣の御説明にもありましたように、機械産業はもちろんでありますが、中小企業としての立場からいまの現存する課題を取り上げてみると、一番大きな問題は、何といっても労働力不足に対する対策、いわゆる機械という面から見たときの中小企業の当面する課題の中で一番深刻な問題は労働力不足の問題があると思うのであります。それからもう一つは、輸出の振興という方面から見た場合においてはいわゆる低開発国の追い上げ、この二つの面は中小企業問題を論ずる際避けて通ることのでき得ない課題だと思うのです。もちろん金融、税制、その他いろいろありますが、きょうの課題とは直接関係はございませんから……。私は、したがってこの二つの課題をどう処理するのかということと、きょうのその目的が達したから法律をもう廃止するんだと言われた家庭用ミシンと双眼鏡業界、こういう業界以外にも対策を立てなければならぬ業界があるのではないかということを冒頭御質問を申し上げたのですが、そういうような面から見た場合、いわゆる労働力不足の問題や低開発国の追い上げ、いうならばこの対策、こういう面から、この法律の中でどう処理しなければならないかというような問題点について質問をしてみたいと思うわけでありますが、原則的に労働力不足の面とこの低開発国の対策、競合業種といいますか、そういう対策について通産当局は、特に中小企業対策の見地から機械産業を中心にしてどのような対策をお持ちになっておるか、原則的な面についてひとつ局長のほうから御説明願いたいと思います。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 いろいろとからみ合いが出てまいる御質問だと思うわけでございますが、労働力不足問題に関連いたしましては、何と申しましても、機械工業はいずれかといえば他の業種に比べまして労働集約的な面が多いわけでございます。したがいまして、先ほどの御質問にもございましたように、まず機械工業自身が省力化設備を自分で導入しなければならない、こういう問題が一つあろうかと思うわけでございます。もちろん、機械工業は非常に広範な部面にわたっておりますので、それぞれの業種、業態に応じまして持ち込む設備等につきましても特徴があるかと思うわけでございますけれども、何と申しましても、製造工程の中におきます自動化の問題あるいは連続化の問題、手っとり早いところから申し上げますれば、そういうふうなことにつきまして、できるだけそれにふさわしい、機械工業はまたそれを生産しなければならない立場にもあるわけでございますけれども、そういういわゆる省力機械といわれておりますような装置につきまして、たとえば農業を機械化してまいる、そういう意味での自動耕うん機等につきましての技術的進歩は相当進んでおるというふうに考えるわけでございますけれども、これは他の分野での話でございます。また、NC工作機械等につきましても、だんだんと国産化できるようになりましたし、また需要もだんだんと旺盛になりつつあります。こういうふうな省力化機械をまずいい技術で生産する体制を整えること、そしてまたそれを採用できるような条件を与えてやること、こういうふうなことが一番必要になってまいるのではないかと思うわけでございます。ただ、この労働力不足の問題に関連いたしまして、長期的に見ました場合に、場合によってはある部品の一部が海外の低開発国等の豊富な労働力が利用できないかどうか、もちろんこれは長期的な問題でございます、すぐにどうこうということでなく。利用いたしました場合には、逆にこれが日本に上陸してまいって、日本の中小企業に相当の圧迫を与えるというふうなことも反面考慮しなければならない問題でございますので、日本の企業自身の対抗力というふうなものを、いまの機振法を中心とした観点から強力にグループ化等を進めてまいりたいと思っておるわけでございますけれども、長期的にはやはりこういう国々との関係をどう調整してまいるかというふうなことも、政策の頭の中にはなくてはならないのではないかというふうに考えるわけでございます。ただ、いまの低開発国におきます追い上げに対抗するために、日本の機械工業自身も品質の高級化あるいは製造技術につきましての革新化と申しますか、そういう過程をたどらなければならないわけでございますけれども、それらの過程を一方に踏まえながら、同時にまた他方におきまして、長期的な目から見ました総合的な労働対策と申しますか、産業対策と申しますか、そういうふうな観点からも検討しなければならない事項もまた多く残されておるのではないかというふうに考えます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 私は、考えますということは考えることだろうと思うから、考えることがいけないとは言わないのだけれども、考えることよりも、やはりどう対策を立てて実行するかということが大切なことではないかと思うのです。したがって、そのことについてはもう前から、議論が中小企業問題という議論になってくると必ずといっていいほど労働力不足対策をどうするのか、それにはいわゆる福祉施設をつくれとか、中小企業者が定着するような退職金制度をつくれとか、そういういろいろな問題についての指導、人を大切にする面からする議論が何回も何回も出ておるわけです。同時に、機械の力をもって働きやすい環境と、そういうような条件をつくり出すための技術革新というか何というか、そういうものについて積極的に取り組む必要があるということはわかっていても、中小企業問題について労働力不足問題を議論するときには、なかなか一緒に出てこないわけです。私は、重工業局はこれらの問題について、機械工業を振興するという面において当然十分対策を立てられておると思っておったからいま質問を申し上げたわけですけれども、考えておるということだけであっては足らぬと思うのです。したがって、今後中小企業における労働力問題が、単なる中小企業庁におけるところの取り組みの一つとして人を集めるということ——人を集めるということだって、実際上の問題として、これから若年労働者を集めることが非常にむずかしい状況が予見されるとき、機械力によってそれらの面をカバーするということは必然的に必要な対策だと思うのです。そういう面についてもう少し積極的な意味における御説明がいただけるものと思っておったのですが、考えることはだれでも考えるわけですけれども、そういう点についていま少しく対策があるならば聞かしていただきたい。ないならないでけっこうです。  それから低開発国対策というものは、この前加藤先生が繊維問題のとき、韓国製品と日本製品とを比較して、この委員会で大臣にどちらが韓国製品であるか、日本製品であるかといってお聞きになったとき、大臣もわからなかったですね。われわれも実際上わからないで戸惑った。ところが、それが日本の技術で向こうで生産されて、こちらへ持ってきたときには、同じような形になる。しかし、向こうはいわゆる低賃金で長時間労働、こういうことになり、かつ施設費に非常に金がかからないということになってくれば、これは競争に勝ち得ないのが当然で、そういう面においては当然機械力、わが国の持つ特殊な機械力で——この前の特許問題については技術革新ということばで言われましたけれども、そういうことが非常に重要になってくると思う。そういう部面において、中小企業対策として重工業局の果たさなければならぬ役割りは、中小企業庁と別の立場において非常に大きいのではないかと考えて私は質問したわけなんですが、もう一度局長の答弁をお聞きして次へ進みたいと思います。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 機械工業はすべての産業に対しまして機械を供給する重大な任務を負っておるわけでございます。そういう観点から、先ほどの省力化機械等につきましての問題でございますけれども、現に具体的にやっております制度といたしましては、先ほどお答え申し上げました機械工業振興臨時措置法を通じまして、年間数十億の財政資金を機械工業振興のためにつぎ込んでおるわけでございますけれども、同時にまた、工業技術院で持っております重要技術の研究補助金等につきましては、そういう新しい省力化のための機械の開発というものにも相当の重点を置いてもらっておるわけでございます。あるいはまた中小公庫等における融資というものも、こういう省力化機械の問題につきましては相当優先的に扱ってもらうというふうな基本的な態度で現在行政を進めておるわけでございます。  と同時に、開発されました機械類がユーザーにほんとうに利用されやすい形で利用されていくということも検討いたしておるわけでございまして、たとえばNC工作機械等につきまして、特に中小企業がこれを採用するというふうなことになりますと、割賦制度がうまくこの中に当てはまらないものかどうか、これは具体的なテーマとしてすでに検討を開始いたしております。もし何らかの形でこれが制度化することができれば、このNC工作機械も中小のユーザーのほうで非常に利用しやすくなるのではないかという意味から、そういう具体的な角度から現在積極的な検討を進めてまいっております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 それでは次の質問に進みたいと思うのです。  機械工業の面でいま局長が御説明になったような点をお聞きしておっても、いろいろな立場でそれぞれ重要な部面が存在すると思うのです。いまユーザーの話が出ましたけれども、いわゆるメーカー、ディーラー、ユーザー、こうなっていくわけですが、この流通関係についてこの際ひとつ質問をしてみたいと思うのです。いわゆる機械産業の中で工作機械部門について問題を取り上げて質問をしてみたいと思うのですが、日本の産業の中で、工作機械工業の現在の非常に高度化した技術と、その精密機械として果たしておる役割り、こういうものは非常に高く評価されておるし、これもまた輸出産業の中に占める役割りも非常に大きいと思うのです。私はしかし、その占める役割りが大きいにもかかわらず、さて流通部門としてこの部面を見たとき、いわゆる資本の自由化に対応するための流通近代化が今日非常に大きな役割りを持っておるにもかかわらず、工作機械産業面におけるところの流通近代化というものについての対策が十分行なわれておる、こういうぐあいには考えられないわけであります。そこで、こういう機械関係におけるメーカーと中間において取引をする商人、いわゆるディーラーとそれから一般消費者というか、購入者であるユーザーとの関係における流通機構の面に対してどのような対策をお立てになっておられるか。こういう面における、いわゆる流通部門におけるところの近代化というか対策というものも機械産業の中においては非常に大きな意味を持っていなければならないし、今後持つべき立場にあると思うのですが、これに対する取り組みについて御説明を願いたいと思うのです。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 御指摘のように、機械類の流通機構それぞれによりまして、それぞれメーカーの代理店あるいはまた総合商社その他、あるいは古い機械になりますとまた違ったルートというふうなことで、非常に錯綜いたしております。ただ、これらのものを一元的にどうするかという非常に困難な課題でございまして、現実の政策といたしましては、むしろ生産された機械、特に工作機械等につきましては、これがよりたやすくユーザーに利用されるということが一番先決である。同時に、それがまたユーザー業界における機械設備の更新と申しますか、新しい設備と据えかえるというふうなことにもつながる問題でございまして、具体的な政府の政策といたしましては、機械類の、例の御存じのとおりの賦払い保険制度というふうなものによりまして、特に中小企業の使用する機械類に重点を置きまして、いまの流通問題に対処いたしておるわけでございますけれども、問題はこれだけにとどまらず、やはりいろいろの流通面につきましては、従来の慣行、制度等があるわけでございます。これらのものを総括的に現在拾い上げておりまして、どういうふうな対策を講じていくべきであるかどうかというふうなことにつきまして、現在資料を集めておる段階でございまして、非常に具体的な流通対策というものを賦払い制度以外に現在持っておらないわけでございまして、これは積極的に検討を進めてまいりたいと考えます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 積極的に検討を進めるということでありますから、一つの問題点を提起して御質問申し上げたいと思うのであります。  まず第一に、今日工作機械面におけるところの販売の形態を見るとき、いまお話しのように、メーカーが直接ユーザーに対して販路を開拓する、あるいは商社等を介する場合がありますけれども、直接販路を開拓するという形の中で、本来流通機構として存在すべきその中間的な、いわゆる問屋的なそういうようなものを介さない形の中で工作機械を提供する、こういうような場合もあるし、あるいは既存のルートを経由した形の中でその機能を果たしておる場合もあるし、いろいろあるわけですが、それらのことは、いま産業機械が飛躍的にその生産が増大され、需要が増大する形の中において、一つの混乱というか、その機能が果たし得ない状況も幾多の面で見られておるわけです。そういう面について、業界に対する指導というものが通産当局のほうでは比較的行なわれていない。比較的ということばが適切であるかどうか、全然と言っていいほど行なわれていない。したがって、その業界における困難というか混乱というか、今日たとえば大都市がそういう機械の購入あるいは売却等、その他いろいろ中心的な条件にあるわけですけれども、これが交通その他いろいろな条件の中でその機能を発揮されないで、メーカーなり大商社の圧迫の中で今日存在の基盤さえ失われようとする条件ができつつあるわけです。したがって、これらは流通近代化の今日、はたしてそれでいいのか悪いのかという議論になると、いろいろ議論があろうと思うのですが、私は中小企業対策の立場からすれば、これらの業界といえどもそれを存続させ、適切なる指導育成をしていかなければならぬ。そういう指導育成する上において何が一番大切かということになって、私も工作機械関係におけるこういう業界の実情について研究をさせていただきました。その結果、やはり一番問題なのは、その業界としてまとまった指導、それを他のそれぞれの業界に対応するように通産当局としてやはり親切に指導してやる、いわゆる相談相手になってやる、こういうことが一つ必要ではないか。  いま一つは、いわゆる独自の狭い場所の中においてそれぞれ店舗を張り販売を行なうという形の中で、日進月歩の新しい機械が購入され生産されるとき、それらをユーザーに対して親切に提供してやることができ得ないで、いわゆる大メーカー、大商社等のカタログによる販売ということが行なわれて、いずれも不便を感じておる。したがって、こういう面については、政府なり公共団体のほうで特別の指導の中に、機械産業の展示場、こういうようなものを設置する中で、新しく生産され開発された機械は、そこの場所へ行くことによって、ユーザーが一目にして、いわゆるカタログ上においてそれがわかるのでなくして、その現品を見る形の中においてそれらの機械を購入することができるような、総合的な展示場を大都市においてはつくってやるというような対策が必要になってくるのではないか、こういう点を二つ目には私は考えるわけです。  もう一つは、きょうは警察庁の方がお見えになっておりますから御見解をお聞きしたいと思うのですが、先ほど来通産当局からそれぞれ御説明があったとおり、機械産業が日本経済に果たしておる役割りは非常に大きいし、これの流通部門において果たす役割りも非常にまた大きいわけです。ところが、この流通部門におけるところの取り扱い者は、これらの問題に関しては古物商としての鑑札を持たなければならぬ。この日進月歩の新しい技術を取り入れた機械を販売しあるいは移動するということをやるのに、古物商としての資格を持たなければこの業に携わることができ得ないという何十年も前にできた規則に基づいて、機械とは大体古いものを販売するのであって、その古いものを販売するということから、盗難その他が起きたとき明らかにその事情がわかる形になっていなければならぬということで鑑札が付与された。その鑑札を持たざる限り、この業に従事することができないというような状態が現在あるというふうに私どもは聞いておるわけですが、これは時代にそぐわないような措置ではないか、こう思うわけでありますので、これらの部門におけるところの近代化をはかる意味においても、こういう措置は廃止すべきである、こう考えるが、その御見解をひとつお示し願いたいと思います。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 工作機械につきましての流通対策の御指摘でございます。実は木工機械につきましては、先般日本木工機械商業組合というふうなものが成立を見まして、こういう流通関係につきましての全国的な組織ができたわけでございます。木工機械は、もちろんユーザーが企業である場合もございますし、あるいはまた一般の家庭である場合もあるわけでございますけれども、この範囲によりまして、非常に消費者の層が広いと申しますか、そういう企業でありますだけに、流通問題についての関心が非常に高かったのだというふうに感じますけれども、これは中小企業庁及び私のほうでいろいろと御相談にあずかりながら現在こういう全国組織ができたわけでございます。機械類につきましての商業組合としては、最近こういうふうな面に関心が持たれ、同時にまた、積極的にそういう全国組織をつくって流通の近代化をはかってまいろうという意味で、非常に歓迎される傾向だと思っておるわけでございます。工作機械につきましては、またこれの中でいろいろな機械類があるわけでございますけれども、そういうふうな組織ができるのかどうか、これは積極的に検討してみたいと思うわけでございます。  それから第二の常設展示場でございますけれども、残念ながら現在そういうものはないわけでございます。ただ東京及び大阪におきまして、工作機械専門の見本市と申しますか、こういうものを開いておるわけでございます。と同時に、また国際見本市等を晴海でやる場合におきましても、工作機械等を積極的に常に展示いたしております。そういう見本市の場所で展示いたしておるというのが現状でございます。何ぶんにもこういう機械類の技術進歩というものは年々激しゅうございます。したがいまして、現在のところ常設館というふうなものまで持っていないわけでございますけれども、積極的にこういう見本市に参加いたしまして、そしてその製品を展示するというふうな意味の努力は現在のところやっておるわけでございますが、さらにこれを一歩進めるというふうな点につきましては、工作機械の種類によってまたそれぞれいろいろ違った事情もあろうかと思うわけでございますので、そこらあたりのところをよく検討いたしまして、常設の展示場が必要であるかどうかというふうなことにつきまして、さらに具体案を求めたいと考えます。

海江田鶴造警察庁刑事局保安部長

○海江田政府委員 御質問の流通過程における問題でございますが、先ほどの御質問の中で営業の鑑礼、これはいまの法律では許可証でございますけれども、許可がなければ営業してはならないのは古物を扱う業だけでございます。したがってもし新品を扱われるだけでございますれば、こういう許可は必要ないわけでございます。  そこで、なぜ古物を扱う場合に許可が要るかということでございますが、これは長い間、先ほど御指摘のあったように、犯罪予防上の必要から最小限度の義務を課しておるということでございます。  そこで古物とは何かということでございますが、これは三つございまして、一つは一度使用されたことのある物品でございます。もう一つは、使用はされてないけれども、一度使用の目的で取引をされた物品、それから第三が、そういう物品で若干の手入れ、これは修理加工でございますが、それを施されたもの、大体こういうふうになっております。したがって、先ほどの機械等で、これが新品であってこれの売買であるということであれば、何ら許可は必要としないわけでございます。ただ、現在そういう新しい機械を売り買いする段階では、古い機械を下取りするということが自動車をはじめ、いろいろな機械で出ております。そういう場合に、その古いものを下取りしてそれをスクラップにするということであれば、私は許可の必要はないと存じますけれども、現実には新品を扱いながら、一方では古いものも扱って、これの売買もしておるということがあるようでございます。したがってやはり、いやしくも古物を扱う場合においては、売買をすることがあるならば古物営業法の許可をとっておくべきである、現行法ではそうなっております。  ただ、いま御指摘のあったように、営業者の義務について、やや課せられておる範囲が昔のままと申しますか古めかしいと申しますか、幅が広いようでございますので、この点につきましては本年の初めから関係の業者と協議いたしまして、この義務を法律の許す範囲内においてできるだけ緩和する、近代的な要請に基づいてこの義務を緩和するという方向で、具体的に申し上げますと総理府令の改正の作業を進めておりまして、本年内には完成する予定でございます。そうなれば、営業の許可は受けておっても、その負担といいますか義務というものはきわめて少ないものになるということで、業者の了解も得ている状況でございます。

佐野進日本社会党

○佐野委員 次に質問を進めます。次は公害の問題と工作機械といいますか、機械産業全体の関連について若干質問してみたいと思うのです。  今日、産業の高度成長はいわゆる公害問題を引き起こし、非常にやかましい問題になりつつあることは御承知のとおりであります。その中で大気の汚染あるいは公害病、そういうものが一番問題になりますが、日常生活の中で快適なる市民生活を営む上に障害になっておる問題はやはり騒音の問題であると思うのです。その騒音も、近ごろは御承知のとおり自動車だとか汽車だとかあるいは飛行機、そういうような騒音が非常に大きくなっておりますが、工場騒音もその中における非常に大きな公害問題の一つであろうと思うのであります。この場合、中小企業の立場から騒音規制という問題に取り組まざるを得ない中小規模の企業者にとって、これらの公害対策は非常に頭の痛い重要な問題の一つになりつつあるわけです。これに対して、ではこれをどうやって除去するかということになってくれば、除去する方法についてもいろいろ対策を立てられておると思うのでありますが、事実上、大都市の密集地域における小工場の中においては設備だけではどうにもならない地域的な、地理的な条件の中における騒音もあるわけです。したがって、こういうような小規模工場におけるいわゆる騒音防止条例に抵触するような振動、音を発生する機械、あるいはその機械をどういうような形で騒音を発生しないような設備をさせるかという指導、こういうことは今日たいへん重大な問題になっていると思うのですが、通産当局は、これら密集地域、いわゆる小規模企業の存在する地域の中における騒音対策について、機械設備としての面からどのような対策をお考えになっておられるか、あるいはどうやってこられたかという面について、この際お伺いしておきたいと思うのです。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 騒音関係が特に機械関係の製造業につきましていろいろと問題になっておりますと同時に、建設作業等で使います機械につきましての騒音もいろいろと問題になっておるわけでございますが、いま御指摘の問題は、機械工業、特に中小企業で使っております機械の騒音対策というふうな御質問だと思うわけでございますけれども、機械工業関係で一番騒音で悩んでおりますのは、特に中小企業形態で製造いたしますネジの製造用の鍛造機から出てくる騒音、これが一番対策に苦慮いたしておるようでございます。現実の問題といたしまして、ネジ工場におきましては、現在ネジの協同組合の事務局員がそれぞれ傘下のメーカーのところを巡回して、騒音指示計によりまして測定をすでに実施いたしておるわけでございまして、その際基準を上回るものにつきましては、個別指導といたしまして、まず防音壁の設置でございますとか、あるいは機械の据えつけ基礎の部分につきましてこれを補強いたしますとかいうふうな、そういう立地条件をそのままにしたかっこうでの騒音対策の問題と、それからネジは現在千葉県、埼玉県あるいは羽田工場団地等の工場団地への移転計画も積極的に組んでおりまして、具体的に協同組合活動を中心にしてこの騒音対策に当たっておるわけでございます。政府といたしましても、もちろん騒音対策は非常に重要な問題でございますので、これらの積極的に防音施設をつくる、そういう行為に対しまして、金融あるいは公害防止事業団等のいろいろな援助手段で積極的にこれを支援してまいりたいと考えておるわけでございます。  いま一例をネジにとってお答え申し上げたわけでございますけれども、ただ単にネジのみにとどまらず、鍛造機等を使う場合におきましては相当大きな騒音が考えられるわけでございまして、業種別に、いまネジ工場でやっておりますような、特に中小企業への対策といたしましてはかなりきめのこまかなそういう指導をしてまいりたいと考えるわけでございます。

佐野進日本社会党

○佐野委員 いま公害問題の中で、工作機械部門の中小企業者としては十年も十五年も二十年も前に許可を受けて仕事をやった、仕事を始めたときはまだ過疎地帯であったが過密地帯になった、こういうような形の中で近所から迷惑だということで、迷惑を何とか直そうとすれば、結局設備に金をかけなければいけない、あるいはその場所を離れてどこかに行かなければいけないということで、現実の上ではどうにもならない。しかし近所の迷惑を考えると、いても立ってもいられないというようなことが、これはもう至るところにあると思うのです。したがって、こういうような問題に対してどう取り組んでやるかということは、これはもうどうしても通産省が積極的に、いわゆる機械設備の近代化ということと関連して、そういういま局長の言われたような部面におけるところのもっと幅広い対策、こういうものを立ててやらなければならぬ。承るところによると、今度通産行政の基本方針は変わったんだということが四、五日前の新聞に出ておったようでありますが、単に物をつくればいいということでなく、やはり周囲の環境というか、物をつくる中においてもいろいろ公害問題を発生させない配慮、こういうものが必要だというぐあいに通産行政も転換するんだというようにいわれておるようでございますが、そういうようなところからいうと、いま中小企業者がどうしても長い時間働かなければ大企業にうちかっことができない、きめられた短い時間でも騒音でうるさくて困るといわれておる中で、長時間働かなければ大企業に対抗することができない、そんなことは付近の人たちにとっては耐えがたいことだ、こういうようなことになってくるわけでありますから、これらの問題、特に機械産業の部面における騒音問題というものは、大都市の中の過密地域における小規模企業、中小といってもむしろ小規模企業者を多く持つ地域においては重大な問題であると私ども思うわけですが、これは大臣、どうですか。こういう問題についての公害対策について、いわゆる協業化その他一連の施策は、構造改善その他としては進められておりますが、小規模企業の中における機械産業の発生する公害としての騒音問題についてどうお取り組みいただけるか、いまの私の質問に関連して、ひとつ御見解をお聞かせ願いたいと思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 それより前に、先ほどの機械の流通政策、私はあなたの話を聞いておりながら感じたのは、あなたは単品としての機械を頭に置かれての流通対策の問題を言われておったと思うのです。しかし実際は、いまプラントのように一つのユニットになりましたものの取引形態が非常に支配的になりつつあります。したがって、メーカーがアフターケアもせねばならぬということで、ずいぶん流通面に入ってきておる。総合商社におきましては、セールスエンジニアが非常に幅広い活動力ができてきた結果、その取り扱う機械の形態によりまして、流通形態も変わってきますし、また金融措置も変わってくるという意味で、流通問題といいましても、非常にいろいろな多彩な内容を持つようになるだろうということは十分御承知でございましょうけれども、念のために、それだけにむずかしい問題であるということを私からお断わり申し上げておきます。  それから公害問題でございますが、いま政府がやっておりますことは、第一は、工技院を中心にいたしまして、各方面の協力を得まして、事前の公害防止技術の開発をやらなければいかぬ、それを実用化せねばならぬ、そういう設備に対する融資、税制等の支援をやってきておるわけでございます。それと同時に、地域的に申しますと、非常に過密地帯については、直接の排出基準を設けて規制する、しかしいまから新しく工場地帯になろうとするもの、また将来そういうポテンシャルを持った地域、そういう点につきましては、総合事前調査をやりまして、もともと立地のしょっぱなから公害が起こらぬようなぐあいに指導していかなければいかぬという意味で、せっかく各方面の要請にこたえて事前調査を進めておりますことは御案内のとおりでございます。  いま御指摘の零細企業の場合、非常に頭の痛い、また切実な問題でございますが、公団をつくりまして、そういったものに対する特利融資の道を開きまして、できるだけ事業者の御負担を軽減しつつ、公害防止の実をあげなければならぬという点に、もっと突き進んだ、周到な配慮が要るのではないかと思います。これは根本的には、冒頭に申しました、つまり技術の開発によりましてしょっぱなから防止を考えてまいるということもあわせて探求しながら、政府の助成措置をこまかくそろえて御心配申し上げるというようなことでいかなければならぬのじゃないかと私は考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 まだ何点か質問申し上げたいと思ったのですが、時間がきてしまいましたから、おいでを願っている建設省の方、たいへん御苦労さまでしたが、質問する時間がありませんので、お帰り願ってけっこうです。  質問を続けてまいりましたけれども、結局、この法律を廃止するということは、その目的を達したからということで、私はこれはいいと思うのです。あとはまた相談をして結論を出すことになると思うのです。しかし、先ほど来申し上げておるとおり、機械工業の置かれておる立場、特に中小企業対策という面からすれば、この家庭用ミシンあるいは双眼鏡ということだけでなく、もっとその対象を広げて処置しなければならない業種も数え上げてくれば、どことどこだといわれれば、私でも一つや二つ言うことができるだろうと思うのですが、この法律をつくったときの趣旨からして、その目的を達したから廃止するということであればやむを得ないと思うのですが、いずれにしても、この法律をつくり、成果をあげられた、その精神を今後も、資本の自由化あるいは低開発国の追い上げ、その他いろいろな課題を持つ日本の中小企業界において、できる限りあたたかい思いやりの手を差し伸べて措置することができるということも前提に置いて、こういうようなことがやられ、かつ廃止されようとしているのだ、こういうぐあいに理解しておきたいと思うのです。  私は以上の点を申し上げて、一時になりましたので、質問を終わりたいと思います。

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 武藤山治君。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 せっかく大臣おいでの席でございますから、冒頭にひとつ要望申し上げておきたいのですが、それは、国民金融公庫の融資限度が今度三百万円から五百万円に七月一日から引き上げられます。それから中小企業金融公庫も五千万円限度に引き上げになります。これは私どもも長い間要望してきたことでありますから、非常にけっこうな、好ましいことであります。問題は、貸し出し限度額を引き上げたが、絶対額は動かない。予算はすでにきまってしまった。そうなりますと、比較的零細な人が借りようとしたときに、資金額がもうない。おそらく第四・四半期ごろになると、たいへんな選別融資みたいな形になるのではないかという心配が持たれるわけであります。そこで、限度額を引き上げた措置に呼応して、第四・四半期ごろには当然額も財投のほうからふやすような努力をしなければならぬと思うのでありますが、大臣の所見を承っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党通商産業大臣

○大平国務大臣 例年、年度末を待つまでもなく、年末金融対策として各方面の御要請にこたえて原資をふやす措置は例年やってきたわけでございますし、またそれだから第四・四半期がへこむというわけではなくて、第四・四半期の融資所要額は確保するように配慮してきたつもりでございますが、いま御指摘の限度額が引き上げられたという新しい条件が出てきたわけでございますから、ことしから来年にかけまして御鞭撻を得まして、精一ぱい馬力をかけて、それに照応しただけの原資は何とか確保するように私どもも努力するつもりでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 というのは、大臣も御承知のように、国民金融公庫や中小公庫では四半期別に融資額を分けちゃうのですよ。だから三カ月三カ月この範囲内でという融資額の絶対額がきまっておるわけです。そこのところへ限度額が上がれば、比較的大きいものがたくさん借りれば、零細なものが借りようとしたときには、その期別に分けておりますから、借りられぬわけですよ。だから本来ならば、どんぴしゃり言いたいのは、いますぐ財投からふやせということを要求したいのです。しかしそれを言うと、大臣が、むずかしい、非常識だとおっしゃると思ったから、とにかくその四半期別に分けていくやり方自体が問題なんです。これを一応はずさないことには、選別融資をしないで貸すということは実際はできない。そこらをひとつ大臣も、この限度額引き上げに呼応して業界の希望というものも十分ひとつ把握をして、そして検討すると言いますから、ひとつ御検討願いたいと思います。  それから、先ほど大臣御答弁の中で、ミシンと双眼鏡は自由化はまだされていないがということですが、いつごろ完全な資本自由化にミシンや双眼鏡というのは入りそうですか。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 先ほどお答えございましたように、家庭用ミシン、双眼鏡につきましては、第一次、第二次の資本自由化の対象といたさなかったわけでございます。と申しますのは、すでに御承知のとおり、ミシンにつきましてはシンガー、あるいは双眼鏡につきましてはツァイスその他世界的な企業があるというふうなことがあるというふうなことが前提でございまして、したがいまして、そういうふうな世界的企業を前提にいたしました場合に、一次、二次の段階におきましては、やはり自由化するには早過ぎるというふうな判断を持ったわけでございます。ミシンにつきましては、これは家庭用のミシンに関する限りにおきましては、日本のミシンは相当世界的にも輸出されておりますし、非常に強い競争力を持っておるわけでございます。ただ工業用のミシンにつきまして、いささかまだシンガーその他のところに劣っておる点もあるわけでございまして、せっかく現在その技術力を上げるよう努力をいたしておるところでございます。したがいまして、この現在の輸出振興に関する臨時の法律が廃止されました後におきます関係業界の現実の秩序がどのようにして安定してまいるか、その点をも見きわめながら、特に競争力の強い、たとえば家庭用ミシンというふうな競争力の強い部面等から逐次自由化してまいる。もちろんこれは法律を廃止した後の姿の業界の現実の安定の姿というものをやはり見守る必要もございますので、その成果を見ながら慎重に判断してまいりたいと考えるわけでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 そうすると、まだいつごろがめどかということの目鼻はつかない、こういう受け取り方でよろしゅうございますね。局長、何年度ごろになるかは、まだここではちょっと言明できそうもない、こういう時期だと。ミシンの場合、自動車の場合よりも早いですか、おそいですか。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 特に家庭用ミシンにつきましては、先ほどお答え申し上げましたように、それぞれの外国市場で相当大きな輸出シェアを持っておるわけでございます。したがいまして、この中で並べてみました場合には、家庭用ミシンはすでに相当国際競争力がついておるというふうに判断してよかろうかと思うわけでございますけれども、現在ここで制度の切りかえがございまするので、したがいまして、その落ちつきぐあいを慎重に見守りたいというふうにお答え申し上げたわけでございます。おそらく家庭用ミシンにつきましては、そう大きな動きがこの法律を廃止しました直後に出てくるというふうにも考えられませんので、相当早い時期に自由化できるのではないかというふうに考えております。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 三十分の時間しかないから、いつというめどを切らせるのは質疑時間が惜しいからやめますが、次に、いま日本の国内にシンガーとパインミシンですか、提携をして生産をしておりますね。そのシェアはどのくらいになるのですか。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 現在シンガー、これはパインで製造しましたシンガーミシンでございますけれども、国内の占拠率は約四・三%でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 この通産省から配った輸出額あるいは台数の中には、当然、シンガーのミシンを日本の国内でつくって、それをさらにアメリカに輸出した部分も、そのパーセンテージも含まれているわけですね。大体いまのシェアの四・三%程度、輸出に占める割合もその程度でございますか。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 御指摘のとおりでございまして、アメリカとの関係をちょっと心配いたしたのでございますけれども、アメリカにも同じように輸出されておるようでございまして、大体同じくらいの比率だというふうに判断していただきましてけっこうだと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 この前、新聞でちらっと見たのですが、シンガーと日本のミシンとの何かいざこざがあって、アメリカ国内で何か日本のミシンに対する輸入制限みたいな動き、こういう動きは目下はどうですか。全く感知されないようになったのか、まだこれから輸入制限の動きが持ち上がるような傾向というのは幾らか残っているのかどうか、その辺はいかがですか。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 このシンガーミシンにつきまして、アメリカ市場では戦後ずっと長い間、むしろ日本のミシンをアメリカ市場から追い出すというふうなところ、締め出すと申しましょうか、というふうな観点からいろいろな紛争が続いたわけでございますけれども、特にダンピング法による提訴あるいはまた特許の侵害の訴え等が行なわれたわけでございますけれども、いずれもシンガー側の不成功に終わっておるわけでございます。現在、その後の状況といたしまして、イギリスのシンガー、あるいはイタリアのシンガー会社自身、これが日本品に対抗できるような価格の、何と申しましょうか中級品のミシンをつくるというふうなことに専門化いたしておりますけれども、かつて行なわれましたようなダンピング提訴、あるいはまた特許侵害事件等による訴えというふうなものは、現在では全然見られておりません。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 この輸出の伸びなり生産の伸びをちょっと見ますと、ジグザグミシンが十年間に金題でも五倍、台数で五倍、十年間に五倍に生産量が伸びたわけですね。これは結局ジグザグミシンというのが優秀性がある、あるいは特許が、ほとんど日本がジグザグミシンの特許というものは独占をしている、何かそういう特殊の事情からジグザグミシンというものの生産なり輸出というものがずっと伸びたのですか。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 輸出の中心が直線縫いミシンからジグザグミシンのほうにだんだんとウエートが移り変わっておるわけでございます。結局、低開発国の製品等に対抗いたしますためにも、そしてまた他の国々の製品に対抗いたしますためにも、やはり品質のいいジグザグミシンのほうに生産のウエートも置かれておりますし、また輸出の重点も置かれておるわけでございます。結局結論的に申し上げますと、特別の特許等で独占しておるという事実はないのでございますけれども、要するに品質とそして価格の面につきまして競争力を十分持つに至っておるということがこの輸出をだんだんと促進いたしております最大の原因ではないかと考えます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 そうしますとあれですか、発展途上国でもジグザグミシンはすでに生産できる——参考にちょっと聞きますが、ジグザグミシン関連部門のカムや内部構造で日本が特許を持っているのはどのくらいあるのですか。それと、発展途上国ではまだできないのかできるのか、ジグザグミシンは。これはどうですか。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 発展途上国におきましては、主として直線縫いミシンをつくっておるわけでございますけれども、ジグザグの方向へ一部動き始めておりまして、いわば半ジグザグと申しましょうか、セミジグザグミシンと申しておりますけれども、この一部をわずかに生産し始めておるというのが現状でございまして、日本のほうの長年の歴史と、そこで積み重ねましたところの技術開発力と申しますか、これが相当発展途上国を上回っておるということの証左ではないかと思うわけでございます。同時に、ジグザグミシンの主たる輸出先は、やはりアメリカあるいはヨーロッパでございまして、直線ミシンのほうの輸出も大体そういうところでございますけれども、ジグザグにつきましてもやはり主として欧米市場を中心にして輸出されておるのが現状でございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 アメリカでできるジグザグミシンと日本でできるジグザグミシンでは、アメリカの消費者の手に渡るときの価格はどのくらい開きがありますか。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 アメリカ市場で出回っております国内産というのがシンガーミシンでございますので、シンガーミシンと、それから日本から輸出されましたミシンとの価格差でございますけれども、大体一割前後の価格差で日本のほうが安いようでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 次に、双眼鏡の輸出額と生産額の問題ですが、この通産省からくれた表を見ると、双眼鏡の生産額よりも輸出額のほうが多いのですね。これは一体どういうわけなのか、よく理解できない。日本じゅうでできた生産額より輸出額のほうが多いのは一体どういうわけなのか、これをちょっと説明してください。——ちょっとつけ足しますが、皆さんのくれたこの表の一ページ、これを見ると、昭和四十一年の双眼鏡の生産金額七十八億六千六百万、輸出が百十四億四千万、四十二年が生産が六十八億四千九百万、輸出が九十九億五千六百万、四十三年が生産が七十八億五百万、輸出が百十三億一千二百万、これは一体どういうことなのかという意味がわからない。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 この資料は、実は生産のほうの金額面でございますけれども、これは工場出荷額で金額をはじいておるわけでございますが、輸出額になりますと、これにさらに皮のケースをつけまして、そうしてそれが売られるわけでございます。この輸出金額のほうは、工場出荷額プラス皮ケースつきというふうなことでございまして、このウエートが相当大きいものでございますので、輸出金額としては工場出荷額の生産額より大きい数字が出ておるわけでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 局長、こういう資料を出すときに、そういうことをどこにも書いてないのだ。「ミシンは工業統計」、それから「協会資料」こう書いてある。二十五億円も差があるのだ、生産額と輸出額が。こんなのは不親切きわまる資料だね。こういう資料は陳謝に値する。どうですか。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 私気がつきませんで非常に恐縮でございました。ここにはっきりと備考を入れて、その根拠を示すべきであったと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 局長が率直に、入れるべきであったという陳謝の意を表明したから、これ以上言いませんが、私はこれを見て、輸出額のほうが生産より多いというのは何としても納得いかなかったから、これは、アメリカで何か税金でも途中でうんと取られるのか、どういうわけかなと思って実は迷ったわけなんです。大体二十五億の差は皮ケースの金額だということがわかったからこれでやめますが、双眼鏡の場合も、これはどうですか、予想として、もし資本自由化した場合に、アメリカの資本なり、よその先進国の資本が入ってくるというような可能性というのは考えられるのですか。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 世界的企業といたしまして、ドイツのツァイスその他のものがあるわけでございますけれども、いま直ちに双眼鏡について対日進出をするというふうな様子はうかがえないわけでございますが、何ぶんにも、双眼鏡業界というのは圧倒的に中小企業でございます。したがいまして、この圧倒的に多い中小企業で現在八事業協同組合をつくりまして、全国八つの事業協同組合で集約化され、そうしてその中の内容をいま充実させようとしておる最中でございます。したがいまして、やはりこれは中小企業、しかも零細企業を含めた中小企業の協同組合のグループができ上がって、現に内容を充実させつつある過程でございます。したがいまして、この法律が廃止されました後その八事業協同組合がどういうふうに育ってまいるか、やはりそのあたりを見定めました上で資本自由化問題を判断いたしたいと考えておるわけでございまして、特に中小企業のうちの零細企業が圧倒的に多い、そういう業界であるというところに、この業界のほんとうに特徴的な点もあろうかと思うわけでございまして、したがいまして、そういう点さらに詳細に慎重に検討してまいりたいと考えるわけでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 それから先ほど佐野委員から機械工場の省力化、近代化、労力を省く方法、こういうような提起がされておったのでありますが、通産省の調べでは、ミシンの場合、旋盤工程が非常に多いのですね。たとえばカムなんというのは旋盤オンリーです、ギアカムにしても。そういう工程を省力化するという場合に、目下通産省として指導する何かうまい方法というのはあるのですか。それがあったらひとつお示し願いたいと思うのです。——話がこまかくて、ちょっと局長にはこまか過ぎると思うのですが、しかしほんとうは、局長はこういうことを知っておらぬと、機械工場はこう近代化することが一番いいんだということをここで言えるくらいでないと、ほんとうの指導はできぬと思うのです。いつもあと追いかけている通産行政になってしまう。私はこの間、日野ディーゼルの機械専門部門の工場見学に一人で行ってみたのです。それで感心したのは、一人で旋盤八台を見ている。ところが町工場へ行ったら、旋盤というのは一人で大体一台、これを見て実はびっくりした。おたくでこれを一つ考案するのに幾らかかりましたかと聞いたら、全部自動にするのに二千万円。確かに長期的には人件費はえらく減らせるけれども、その設備費がたいへんなんですな。一切自動でデータが出るようになって、ロスができれば、失敗すればばたっととまるようになっている。そういうものを入れればいま言った旋盤の省力化もできるけれども、これは町工場の中小企業に省力化をやれ、労力対策でやれといったって、持ちあがらぬと思うのです。そういうものをどう中小企業に導入するかというのが私の聞きたい点なんです。局長にひとつ見解を聞かしてもらいましょう。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 工作機械の中で典型的な自動化、省力化機械として、現在NC工作機械が、相当需要も伸び始めましたし、生産力も急増いたしておるわけでございます。ただ普通の工作機械に比べまして、何ぶんにもあらかじめ準備しました人間の頭脳と申しますか、そういう準備をした上でこの工作機械を動かすそうでございますので、価格的にやはり割り高でございます。したがいまして、一番手っとり早い普及対策は、やはりこの割り高な製品を何らか分割払いその他の手段によって業界、特にこれは中小企業が対象になると思いますけれども、に普及させるということではないかと思うわけでございまして、実はそういう点に力点を置きまして、新しい来年度施策の問題といたしまして、たとえばでございますけれども、興長銀債の引き受け等によるそういう長期割賦資金が確保できないかどうかというふうなことにつきまして、現在積極的に検討いたしておるところでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 積極的に検討しているというから、検討の結果を見て、もう一年くらい商工委員会に残ってお手並みをひとつ拝見さしていただきますから、ひとつ真剣に取り組んで、特に中小企業に対しては、モデルを通産省が示してやるくらいな指導性を持たぬとやはりいかぬと思うのです。どこかモデル的な工場をほかにきちっと調べて、施盤を五台置く、十台を一人で動かす——そういう工場が現にある。それにはこういう金がかかる、しかしそれをもっと簡易化すればこういう方法も可能です、そういうモデルを通産省でつくって、それを中小企業の指導の教科書に出すような、そういう努力を来年はひとつやってもらいたいと思うのです。せっかく検討のようですから、ひとつ期待をしております。  それからあと五分ですから、だんだんやめますが、今回、振興事業協会を廃止する、さらに登録制を廃止する、輸出競争の力は十分ある、さらに流通の混乱もない、こういうことでこの法案を廃止するということでありますが、従来の協会にどのくらい金が出ておるか。きのう課長に聞いたら、年間四千万の予算です。それで実は市場調査やPRをやってきた。この四千万のお金でやってきた協会がなくなった場合に、今度はどうなるのか。そうなったら、軽機械センターで、ジェトロが半分さらに業界が半分お金を出す。幾らずつ出すのかといったら二千万円ずつ四千万ですね。軽機械センターの年間予算は四千万円。これでPRと市場調査をやっていくということであります。それ以外に家庭用ミシン工業会と双眼鏡協組連合会はどのくらいこれから年々資金を出す予定なのか、市場調査やPRの予算をどのくらい出すつもりか、この二つの団体が自主的に出すのは。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 現在、軽機械センターとして海外に設置されております在外施設が四カ所あるわけでありますが、この軽機械センターの運営費のうちの五割はジェトロを通じまして国庫補助をいたしておるわけでございます。したがいまして、残り五割につきまして、センターに加入しております八団体でこの経費を負担しておるわけでございまして、その八団体の輸出比率に応じておのおの負担率がきまっておるわけでございまして、したがいまして、ミシン関係につきましてはおおむね二千万円程度、それから双眼鏡関係はこれより少なくなると思うわけでございますけれども、これをいままで振興事業協会から出しておったわけでございます。先ほど御指摘ございましたようなミシンにつきましては、財団法人の日本ミシン工業組合、あるいはまた双眼鏡につきましては八協同組合の連合体のほうでこれを負担いたすということになるわけでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 そういたしますと、工業会や協組連合会は、直接市場調査やPRは海外ではやらない。全部軽機械センターがやる。そうすると、そのセンターでやるのは、いままで協会が出していたのを、この二つの団体が直接今度は軽機械センターへ二千万円を出す、こういうことですか、今度の改正で変わるのは。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 従来とも海外におきまして主たる活動は軽機械センターを通じてやっておったわけでございまして、こちらの振興事業協会が直接海外でやるということはまれにしかなかったわけでございます。これは今後もまた同じことになると思うわけでございますけれども、センターの職員と先方の業界で自主的に交渉します場合、たとえばEECの混合関税問題が起きました場合、センター中心に動きましたけれども、同時にまた、場合によりましては、本部の振興協会自身が先方に出向きまして先方と交渉するというふうなことも行なわれたわけでございます。おそらく今後におきましても同じような運営方式がとられるものと思っておるわけでございます。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 これで、ちょうどあと一分ですから、最後にします。  これからの輸出の見通しですね。大体年率何%くらいずつ成長していくという見通しを立てておるのか。当面、ここ四、五年まででしょうね、中期経済計画、それで大体見ると、どの程度伸びていくと見ていますか。それともこれからはいよいよ苦難の道で横ばいということになるのか、今後ともまだ四、五年はミシン、双眼鏡とも輸出の動向というものは年間何%くらいずつは伸びるのだという確信が持てるのか、その辺の見通しをはっきり伺って、質問をやめたいと思います。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 ミシン、双眼鏡等につきまして低開発国からの追い上げが非常に出てまいっておるわけでございます。と同時に、これは一定の需要層をねらっての追い上げが一番強いと思うわけでございますけれども、ともあれ、いままでいずれかと申しますと、日本の特産品的に考えられておりましたこういう品物が、低開発国の追い上げのムードの中に現在乗っておるわけでございます。そういう点から考えますと、輸出の前途はいままでのような状況では動かない、むしろもっと品質の向上、市場開拓その他に努力しなければならない面がきわめて多いのではないかと考えるわけでございます。ただ他方、それぞれの国の国民所得が少しずつ上がっております。国民所得が少しずつ上がるということは、需要開拓面での一つのプラスの要素でございます。そういう点から考えまして、相当けわしい前途ではございますけれども、しかし単純な横ばいではなくて、アップ率は少のうございますが、せいぜい五%を中心にした前後のアップ率で少しずつ伸びていくのではないかと思っております。

武藤山治日本社会党

○武藤(山)委員 終わります。

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 次回は明二十五日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。午後一時三十二分散会      ————◇—————   〔参照〕 昭和四十四年六月二十日(金曜日)  商工委員打合会    午前十一時五分開会

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 これより商工委員打合会を開きます。  公益事業に関する件について調査を進めます。  本日は、荒川区のガス爆発事故問題について、東京瓦斯株式会社取締役副社長村井繁雄君、同常務取締役荒木豪太君及び帝都高速度交通営団理事市村益夫君、以上三名の方に御出席を願っております。  各位には、御多用の中を本打合会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。本日はそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、初めに村井君から十分程度の御意見をお願い申し上げ、しかる後、各位に対し委員から質疑がありますので、さよう御了承を願います。  それでは村井君にお願いをいたします。

村井繁雄東京瓦斯株式会社取締役副社長

○村井繁雄君 東京瓦斯の村井でございます。  去る六月十一日の未明に荒川区町屋の地下鉄工事現場においてガス爆発事故を起こしまして、周辺の方々にはおけがをさせますし、家屋に損傷を及ぼし、諸先生方をはじめ、皆さまに多大の御迷惑をおかけいたしましたことは、まことに申しわけなく、全くおわびを申し上げることばもございません。  今回の事故につきましては、導管の入れかえ工事における作業上の不手ぎわから生じたものでございまして、私どもの責任はまことに大きく、深く反省をいたしております。  さきの仲宿事故以来、保安体制の強化をはかってまいったのでございますが、今回の町屋事故にかんがみまして、これに加えて非常保安体策本部を設置いたしまして、組織を動員してその対策の検討をいたしております。すなわち、保安に関する抜本的な総点検をはじめといたしまして、社員及び工事業者の再教育、緊急時における非常体制整備等でございます。これらのうちすでに実施に移しているものもございます。  もとより、当社にとりまして、保安が万全であってはじめて社会の皆さまから信頼を得られるものでございまして、それが会社の経営そのものであると考えているのでございます。私どもは現在全社一丸となって真剣にこの問題に取り組んでいる最中でございます。しかし仲宿事故に引き続き、いままたかような事故を引き起こしましたことは、当社の重大な責任でございまして、重ねて心からおわびを申し上げる次第でございます。     —————————————

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 これより質疑に入ります。佐野進君。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 いま東京瓦斯の副社長の村井さんからおわびを申し上げるという意味における若干の経過の報告がなされたわけでありますが、実はこの商工委員会におきましても、爆発事故が起きた直後、通産省のほうから公益事業局長がこの事故の内容について当委員会に詳細なる報告をしておりますし、私どもまたその内容をお聞きしておるわけであります。  いま、御承知だと思うのでありますが、ガス事業法の一部を改正する法律案として、保安の強化並びに簡易ガス事業、こういうような内容を含む改正案が国会に提案され、私もこれに対する本会議における通産大臣の趣旨説明に対して質問をいたしておるのであります。  そういうように、近時、都市ガス事業、なかんずく家庭燃料部門における保安面あるいは供給面、そういうことについては社会的な関心が非常に高まりつつある段階の中で、板橋における事故に引き続き今回町屋における事故が発生したということは、公益事業に直接関係する当委員会の委員といたしまして、私どもたいへん残念に思わざるを得ないし、残念に思うということだけでなく、胸の痛む思いがしてならないわけであります。したがいまして、私どもは事故を防止し、消費者に安全にして低廉なるガス、家庭燃料が供給されるためにどうしたらいいかということについて目下真剣に努力を続けておりますが、今回発生した町屋における事故については、通産当局の説明によってその内容は知っておりまするし、さらに私どもも現地の事情等も詳しく調査して、その内容を知っておるのでありますが、直接責任者であり、またいま申しわけないと言われた東京瓦斯の会社側として、この原因をどのようにとらえられておるか、技術的な面もございますから、どなたでもけっこうでございますが、ひとつ原因の内容について御説明を願いたいと思うのであります。

村井繁雄東京瓦斯株式会社取締役副社長

○村井繁雄君 ただいまの件につきましては、うちの現場の責任者をしております荒木常務からお答えをしてよろしゅうございましょうか。

荒木豪太東京瓦斯株式会社取締役

○荒木豪太君 ただいま佐野先生から町屋事故の原因について報告するようにというお話がございましたので、私、東京瓦斯の技術のほうを担当しておりますので、私から御報告申し上げたいと思いますが、その前に、ただいま副社長が申しましたように、まことにたび重なる事故を起こしまして、技術責任者としても非常に申しわけなく思っている次第であります。何とおわび申し上げてもおわびの申し上げようもないのでございますが、今後の対策によって、いままでと同じような事故を起こさぬようにという決心をしておる次第でございます。  それでは、御報告をさせていただきます。  先般起きました町屋の事故の現場は、この前大きな事故を起こしました板橋区の仲宿の事故にかんがみまして、ちょうど地下鉄を横断いたしております鋳鉄管を鋼管に入れかえるという作業を行なっておりました。直径百ミリ——四インチでございますが、百ミリの鋼管の先端に取りつけました、われわれのほうではカップと申しますが、ふたでございますが、これを十分締めつけていないにもかかわらず、締めつけたものと錯覚をいたしまして、次の段階としてその管の中にガスを通しましたために、そのカップのすき間からガスが漏洩いたしまして、そのガスに何らかの原因で引火、爆発したというものでございまして、まことに責任感の欠除と申しますか、こういうことによって起きました事故でございまして、作業基準の順守態度あるいは監督体制に不満があったと申すほかはないのでありまして、これはただ一監督者とかあるいは一作業従事者という問題でなく、ガス会社全体として責任を感じている次第でございまして、ほんとうに申しわけなく、おわびを申し上げる次第でございます。  簡単でございますが、大体そのような経過で起きた事故でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 事故が起きた直後、各新聞をはじめ報道機関から、その内容について詳しく報道せられておるわけでありますが、どの報道機関においての内容も、ひとしく会社当局の監督の不行き届き、こういうことについて強く指摘をしておるし、住民が激しい批判をこれに浴びせておるわけであります。監督の不行き届きという面になりますと、いまお二方から言われたように、この前の仲宿事故におけるところのガス爆発事故は、いわゆる埋設されておったガス管が、何らかの原因によって亀裂を生じ、その亀裂を生じ漏れたガスに、何らかの原因によって爆発を誘発する、そういうような形の中でとうとい人命が失われた。その原因をたどれば、いろいろ責任を追及しなければならぬ面が一ぱいあるわけですけれども、いうなれば不測の事故だといって説明をすることもまた不可能でない一面があったわけであります。しかし今度の場合は、そういうような見地から見ると全く工事上の手抜かり、直接的な原因は、その工事をするやり方のまずさによって今度の災害が発生した。こういうことになれば、先ほど来お話のあるように、申しわけないという低姿勢というか、お互いに責任をなすりつけるというようなこの前の条件とは違うわけですから、私どもも事故が起きたということについて、今後起きないという立場に立っての追及をしなければならぬけれども、会社側のいまとりつつある態度について、それがいけないとかいけるとかいうことは、この前に比べると比較的善意に受けとめることができると思うのであります。しかし、だからといって、それが善意に受けとめられるからといって、この状態が再び発生しないという保証はどこにもないわけであります。  したがって、私はここで御質問を申し上げたいことは、この町屋における事故は、いまのお話のように、やるべきことをやらなかったということで、いわゆる手抜き工事だ、こういうようなことが直接的な原因であり、その直接的な原因である手抜き工事を行なった現場責任者を、業務上重過失傷害の疑いで書類送検をしておるということで、目下検察当局でこれらについての取り調べが行なわれておる、こういうことになっておるわけでありますが、それでは、この重過失傷害罪を起こした現場責任者に対する直接的な工事を監督するその監督体制はどうなっていたのかということが問題になろうかと思うのです。その監督体制がどうなっていたのかということと、これら地下鉄工事に関連して、ガス管の入れかえ工事というものはこれからも頻発して行なわれるだろうと思うのでありますが、これらの工事を行なうに際しての作業基準、どういうような基準をもって作業を行なわさせようとしておるのか。いろいろ下請にまかしたならば、下請にまかしたその会社の独自の判断においてこれらの工事が行なわれるのかどうか、この点についてひとつ御説明願いたいと思います。

荒木豪太東京瓦斯株式会社取締役

○荒木豪太君 お答えいたします。現場の監督体制につきまして御報告いたしますが、社内の監督立ち会いの体制といたしましては、まず立ち会いの基準を設けております。そうして原則としまして、当社の監督員が係長の指示に基づいて立ち会うことになっております。また作業基準としましては、工事の命令をする場合に、その工事の内容その他につきましていろいろな指示を与えます仕様書、そうしてまた当社の作業要綱、それから道路を使用することでございますので、その道路使用の許可条件、こういったようなものを十分よく認識しまして施工することを当社では義務づけておりまして、こまかい点につきましては、そのつど当社の監督員と、それからその施工業者の監督員とが協議をして日々の仕事をやっていく、こういうふうになっておりまして、ただいまも御説明申し上げましたように、今回の事故の原因となりました結び工事、これは生きている管に新しい管を結びつける工事でございますが、この結び工事につきましても、三日前にこういうふうにやるのだということを打ち合わせが終わっておりまして、そしてこれは担当係長の承認を得て実施しております。いろんなその当日の仕事もございまして、大体火気を使う状態までの仕事が午前三時ごろに終わりまして、そこでその仕事の監督に当たっておりました当社の監督員は、ちょうどたまたまその日は別の現場にもう一つ立ち会いをしなければならぬということがございまして、これからあとで行なうべき作業の要点の指示をいたしまして、施工業者のほうの監督とかわって現場を離れた次第でありまして、事故が発生しました四時ごろには当社の監督は立ち会っておりませんでした。いろいろわれわれもあとで原因の究明その他をやりましたが、事故を引き起こしたことを反省してみますと、当社の社員の指示した内容が、業者の作業員全体に周知徹底していなかったのではないかというふうにも考えられ、当社の監督の体制の上に不備があったもの、こういうふうに考えまして、われわれ先ほども申しましたように、そういう社員とかその作業員とかいうのでなく、われわれ全体が反省しなければならぬことだ、こういうふうに考えております。この不備な点につきましては、直ちに立ち会いの見直しということを行ないまして、現在その新しい方法によって工事をやっておる状態でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 この際、参考人として御出席を願っておる営団の方に御質問申し上げたいと思うのですが、仲宿事故が発生いたしました当時、これは地下鉄建設に伴うガス爆発事故であるということで、当委員会においても参考人を招致いたしまして、地下鉄を建設する当事者である仲宿関係の東京都交通局の当事者に対してきびしい追及を行なったことは、営団当局としても御承知のとおりだろうと思うのであります。近時、地下鉄建設は首都の交通事情を打開するために最大の力を注がなければならない緊急事業であるということはだれしもが認識しておるところでありますが、しかしその認識しておることと、それに伴う災害の発生ということは、当然これは大事なことであるだけに、災害が伴って発生するということはできるだけ避けなければならない、こういうことは当然のことであろうと思うのであります。したがって、当時交通局は施主として十分なる責任が果たされておったかどうかということについて、直接的な責任がないであろうと判断された部面にわたってまできびしい追及を受けたことは、営団当局としてもよく御承知になっておられると思う。そういうような事故が起きてわずか三月足らずの間に、また地下鉄に関連した工事としてのガス爆発事故が起きておるわけです。これについては当然営団当局としても、東京都の交通局のとってきたった措置と関連して万全の対策を立てられておらなければならなかった、こう私どもは判断するわけですが、今度町屋における事故発生に対して、営団が具体的に関連されたガス管のそれぞれの配置その他についてこういう対策を立てられたというようなことは、私ども寡聞にして聞いておらないわけであります。非常に怠慢ではないかという気さえするわけであります。営団当局は、これら地下鉄埋設物に対して、地下鉄工事と関連してどのような対策をとられておるのか、今回のこの事故に対してどのような措置をとられたのか、この際お伺いしておきたいと思うのです。

市村益夫帝都高速交通営団理事

○市村益夫君 私、交通営団の建設を担当しております市村でございます。ただいまの御質問にお答えいたします。  過日、私どもと同じような仕事をやっております都の交通局におきまして起こした事故の内容はよく承知いたしております。それにかんがみまして、私どものほうも大体似たような工法をやっておりますので、そのガスの受け台その他については一そう念を入れて、万全の注意を払ってやるように関係方面にも指示をし、またそれに努力いたしております。  それから、今回の町屋の爆発事故につきましては、私どものほうは全部地面を掘りまして、埋設物を裸にいたしますので、その際に、今回のように管を交換しようとか、水道、下水、電気関係いろいろございますので、私どものほうは工事現場を一切責任をもって管理しております関係上、大体御承知のとおり、道路の交通の用に供するために上に鉄板が張ってございます、あれがボルト締めになっておりますので、そのボルトをはずさなければ鉄板ははずれないというようなことで、あの鉄板をいじるときには必ず管理者のほうに連絡をとってもらいたいということにして、今回もガス会社のほうから連絡をいただいたのでございます。仲宿の事故にかんがみましても、埋め戻しの前にじょうぶな鋼管にかえていただくということは、私のほうも望ましいので、それではぜひやっていただきたい。ただし、鋼板をとれば、上は一般の交通の用に供しておるのでございますから、第三者に危害を加えないように十分注意してもらいたい。それから鋼板のボルトはずしにいたしましても、かってにガス会社にはずされては困るのでございまして、これは、あそこの現場は清水建設が請負っておる現場でございますが、清水建設とよく連絡をとって鉄板の取りはずしはやってもらいたいということを念を入れて、それで、では交換けっこうですと現場のほうで交換を事前に認めた事実がございます。それで、当日は夜中でございますし、私のほうとしてはそう重要な仕事がなかったので、現場付近には私どものほうの従業員はおりませんでした。しかし、あのような事故が起こりまして、私もすぐ報告を受けたのでございますが、何ぶん検証が済むまでは現場に手をつけてはいかぬというお話だったのでございまして、手がつけられるようになれば、すぐに他の埋設物、あそこにはまだ電電その他の埋設物も並行して入っておりますので、それをよく注意して、修理すべきものは修理し、それから鉄板が約五百平米と申しますから、百五十坪くらい全部飛んだりずれたりしてしまいましたので、もし自動車でも落ちるような事故があったら困るというので、よく綿密に鉄板の配置がえをして厳重に取りつけて、それで交通遮断を回復しろ、こういう指示を与えまして、あの日の夕方、四時ごろと思いますが、ただいま交通が復旧しましたという報告を受けた次第でございます。  それに関連いたしまして、従来ともあのような仕事をするときには、現場を管理しております工事区に連絡をとっていただくようになっておるのでございますが、今後は事前に書面ではっきり時刻あるいは工事の内容その他について連絡をとっていただく、口頭では困るということで、自後は書面で連絡をとって、それで私どものほうも特に関心を持って注意するというような方法をとっております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 この際、公益事業局長にひとつ質問しておきたいと思うのですけれども、あなたがこの前この委員会で事故についての報告をなされておるわけであります。この前の仲宿事故においては、あなたの報告は、私ども委員としての立場から聞いておると、きわめて不満な点の多い報告をなされました。しかし今回のこの町屋事故に関係する報告は、公益事業局長として、私ども聞いておっても、通産当局として住民の安全、いわゆる保安を確保するためにとられた措置として非常に積極的な姿勢を示したということで、いい感じを持ったなんというのは適切ではないかわかりませんが、この前ほど腹が立たなかったわけであります。しかし腹が立たないということと、あの三月における事故に引き続いてわずか三月の間に同じような事故、考え方によってはもっと何か原因が端的に把握されるような事故が起こったということについては、あなた方がガス事業法の改正に際していろいろな説明をもって私たちに説明しておる内容があるわけですが、この文と相比較いたしましても、私どもはたいへん不満を感ぜざるを得ない内容が一ぱいあるわけです。  そこで、この前の説明内容の中にもあるように、こういうことをあなたのほうではこの前説明しておるわけです。いわゆる事故対策として、今後は、一人一人に保安の自覚が浸透していないものと考えざるを得ないし、そういうようにしなければならない、こういうことをあなたのほうでは言っておるわけですが、具体的に仲宿事故以降におけるところの保安の確保について、いわゆるガス管工事に関係していろいろ御指導をなされたと思うのでありまするが、御指導をなされたにもかかわらずこういう事故が起きたという現在の時点において、はたしてこういう事故を絶滅するために通産当局としてはどのような措置をとることが必要か。ここにはただ抽象的に書いてあるわけであります。いまガス事業法の改正に関連して、出されている法案の内容以外の具体的な面にわたることになると思うのですが、そういう面について当然対策を立て指導されておると思うのですが、どういう対策を立てておられるか、この際ひとつお聞かせ願いたいと思います。

本田早苗通商産業省公益事業課長

○本田政府委員 お答えいたします。御指摘のように、三月二十日に板橋で地下鉄工事現場において非常に大きなガス爆発事故を起こしまして、また先般六月十一日に荒川区町屋におきましてガス爆発事故を再び起こして、地域住民の方々に非常な不安を与えましたことにつきましては、まことに遺憾に存じておるわけでございます。  御指摘のように、先般のガス爆発事故に伴いまして、保安体制の強化が急務であるということで、板橋事故の直後に、東京瓦斯をはじめ地下鉄関連工事のある名古屋、大阪の三者に対しまして口頭で厳重に注意をいたしますとともに、地下鉄工事現場のガス漏洩検査の実施並びに地下鉄工事現場におけるガス管の埋設状況調査を指示いたしました。  さらに四月一日には、全ガス事業者に他工事関係の導管防護の改善あるいは緊急出動体制の改善、他工事業者との間の連絡の方法の改善等につきまして、全ガス事業者並びに各通産局長に指示をすると同時に、他工事業者の主であります東京都あるいは営団、大阪市、名古屋市の当局に対して協力方を要請したわけでございます。  さらにその後四月七日には、ガス事業の保安強化につきまして、通産省として改善すべき事項を決定いたしまして、これをガス協会並びに所管のガス事業者に対して通知をいたしたわけでございますが、対策としてきめましたことは、ガス導管防護対策会議を設けまして、導管の防護方法についての検討並びに共同溝に参加することについての技術問題の解決をはかるために二分科会を設けまして、十月末までに結論を得て、その結論に基づいて実施に移したいということを考えております。  それから日本ガス協会に対しましては、保安責任者会議を設けまして、事故例につきまして保安の不備な点につきましてそれぞれ検討して改善するということ、そしてその改善方法を徹底するということを行ないました。  それからガス事業者に対する指導監督の強化、それから通産当局の保安担当者会議を行ないまして、今後の保安についての指導監督の強化の具体的な打ち合わせを行なうということをいたしました。また、ガス協会におきましては、ガス工作物技術基準委員会を設けまして、具体的な作業の技術的な基準について再検討するということを行なわしめております。  それからさらに御指摘の点でございますが、保安の確保につきましては、保安の工事に従事する各人各人が保安の必要性についての認識を十分持ちまして、保安意識に基づいて工事を行なうということが必要だということで、各事業者に保安教育の徹底とその教育計画を作成して提出するということを求めておりまして、本省所管のガス事業者からはすでに教育計画が出ております。今後はこの教育計画の実施状況等を業務監査の際に的確に確認してまいりたいというふうに考えておる次第であります。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 このガス爆発事故によって、今後起きない対策をいろいろ立てられておるということが明らかになったわけでありますが、それでは一体この事故はどういう条件のもとに起きて、その起きた事故の責任はだれが負うのか。責任を負うのかということは、必然的にいうならば犠牲者があるわけですね、この犠牲者に対してどういうような取り組みをするのか。具体的にいえば補償の問題も関連いたしますが、そういうことが次への問題として出てくるわけです。どんなに起こすまい起こすまいとしても、わずか三月の間に二つの事件が続いて起きておるわけですから、これからも起きないということは保証されないし、起きないようにしなければならない。そのためにわれわれもこうやっていま真剣に論議しているわけですが、そこで、起きないようにするために、その事故の発生した責任に対する追及と、事故が起きた場合におけるところの万全の対策、これら二つの面についてやはり関係者の確固たる発言、対策がなければならぬと思うのです。この前安西社長がおいでになって、私は四キロやせましたというような形の中で、その責任を追及するということがるる申し述べられました。その申し述べられてわずかの時間の中でまた再び起きているわけです。社長さんさぞかしおやせになったことと思うわけですが、それはそれとして、こういうことがけさの新聞に出ておったわけで、非常に胸打たれる感じを深くしたわけでありまして、そういう面について、皆さん方どうお考えになっておるか、直接の犠牲者でありますので、読み上げて、あなた方のお考えをお聞きしたいと思うのです。これは三者のお考えをお聞きしたいと思うのです。これは「検査係にも責任 荒川のガス工事爆発事故タクシー運転手・山野井敬三42」——本人が投書したのが新聞に出ているわけです。この中で「何が何だかさっぱりわからなかった。大音響とともに炎の柱、無意識でふんだブレーキで、危うく車は工事現場に前部を突っこんだかっこうでふみとどまった。もし私の車が何分の一秒かでも先を走っていたらどうなっていただろう。いうまでもなく、こうしてこの世に生存していないことだけは確かだ。そうです。私は十一日未明、東京・荒川区のガス爆発現場を通りかかり、災難にあった運転手です。幸いケガは一週間ほどのものだった。だがその後、事故原因を新聞で知り、腹が立って仕方がない。警視庁の調べだと、原因は現場の下請け業者が、ガス管を取りかえるとき、ガス漏れを防ぐための麻ナワを使わなかったことと、ボルト締めが不十分だったそうだ。つまり業者が手抜きをしたためらしい。たしかに直接の原因はそうなんだろう。しかし、だからといって必ず事故が起こるというものでもない。なぜならば、そんな手抜きは、工事のあとの検査ですぐわかるものだからだ。だから検査係にも責任があるといいたい。これは以前配管の仕事をしていた経験からいっているのだが、こんなずさんな検査はおよそ考えられないことだ。  私がやっていたときは、どんな工事でも必ず二回以上の検査をし、それに合格しなければ使わせない。こんどの場合、全然検査もせず、しかもガスを通した後、事故の二時間も前にガスもれしているのに気づきながら、何の措置もとらなかったというからあきれる。これは明らかに下請けだけの責任ではない。」こういうことを投書欄に出しております。たまたま投書欄に出したその記事が載せられたから、被害者であるこの人の気持ちがこういう公開の場所で発表される、あるいは新聞紙上を通じて一般に発表されておるのですが、こういうような思いでいる犠牲者というものは、こういう事故が起これば必ず多く存在すると思うのです。こういう声を出さないであの周辺の人たちががまんしている実情というものは一ぱいあると思うのです。これに対して社長さんをはじめ会社側あるいは監督官庁である通産当局、さらにはこの工事の直接の原因である営団、こういうような方方は、申しわけないという形の中で言えば済むかもしれないけれども、これは申しわけないということだけでは済まされない問題だと思うのです。私は、だからといって何も検査係なりそこに働いている労働者の責任を追及しなさいというのではないのですよ。労働者も一生懸命おやりになったでしょう。手抜き工事をするということも、その手抜き工事をしなければならない必然的な条件もあったかもしれない。ただしかし、それは私ども即断することはできない。しかしいずれにしろ、それによって犠牲者が出たということだけは否定することができないわけです。こういう面における責任ということについて、一体どう措置をされるお考えなのか。それぞれみな公益事業です。公益事業というたてまえにおいてその責任をどう果たされるお考えなのか。直接的な面と間接的ないわゆる補償という面がありますが、その二つの面について御見解を一つお示し願いたいと思うのです。

村井繁雄東京瓦斯株式会社取締役副社長

○村井繁雄君 ただいまのお話についてお答えを申し上げます。  確かに現場はおっしゃったとおりの状態でございます。また請け負いましたものは東京瓦斯の下請業者でございます。しかしながら、この仕事はどこまでもうちの責任でやっている仕事でございまして、われわれといたしましては、先ほど荒木常務から御報告申し上げましたように、その爆発の時点において、うちの監督が下請の監督と交代をして、いなかったというようなことは、どこまでもうちの監督の不備でございまして、この点につきましては深く反省をし、それ以後そういうことのないような措置をとっております。もちろんお話のございましたように、人はあやまちがあるものでございます。これは監督の点検によってそのあやまちは直すという方法を今後とも十分とっていくつもりでございます。  またたいへん御迷惑をおかけした方々に対する補償の問題につきましては、これは全く誠意をもっておこたえをして、少しでも満足をしていただけるようなものに近づけたい、そう考えております。

市村益夫帝都高速交通営団理事

○市村益夫君 ただいまの御質問は、今回のガスだけに限らず、そのほかの公害をどうするかというような御趣旨も含まれていると解釈いたしますので、簡単にお答えいたします。  何ぶん町屋付近は道幅も狭うございますし、地質が非常に悪いので、私どもは万全の注意を払って工事をやっているのでございますが、沿線の方方にはある程度の御迷惑をかけているということは想像いたしております。それで随時係官も沿線の方々のところをおたずねしておりますし、また町会長あるいは商店会の幹部の方々とは随時会合を持ちまして、いろいろ御不満の点も伺って、改めるべきは改めておるのでございますが、全然影響なしに工事をやるということは、私どもの努力では現在のところちょっと無理なんでございまして、実情は多少傾いた家も出ているということも承知いたしております。ただし、現在、土木工事はおおむね八分ないし九分は済んでおりますが、まだ完全に済んでおりませんので、それまでは応急的の修理をいたしまして、完成をいたしまして土の安定するのを待って、少なくとも原形までは直すということは私どもも覚悟しておりますし、現地の方々にもお約束しております。また過去にも原形復旧までは必ずやっておるのでございます。ただ非常に遺憾でございますのは、音がやかましくなったとか、あるいは商店の環境が悪くなったので売れ行きが多少減ったとかいうような点で御要求が出た例もございますが、これはいわゆる無形の抽象的の損害なんでございますが、私どものほうだけでございませんで、道路で工事いたしますのは、他の地下鉄もございますし、電電、ガス、道路そのものの工事もございますので、それにつきましては現在までは遺憾ながら補償はまだいたしておりません。その他、水がかれたとか家が傾いたとかいう有形的なものは、誠意をもって、少なくとも満足いくまでは修復しているつもりでございます。  以上で大体終わります。

本田早苗通商産業省公益事業課長

○本田政府委員 先般も御説明申し上げましたように、今回の事故はカップ取りつけが不完全であったということと同時に、ガスを通す際にガス漏洩の有無を確認しなかったという監督体制の不備が原因であるというふうに考えております。その意味で、今後作業手順、監督手順につきまして詳細にきめ、これを確実に実施するようにいたしたいと思っておりまして、現在東京瓦斯では、その作業手順につきましては詳細な手順をきめつつございますが、この手順に従って、さらに行動するということの意味で、保安意識を明確にして、手順を確実に行なうというふうに指導してまいりたいと考えておる次第でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 営団とガス会社の方にお伺いしたいのですが、いまの問題の前段の措置については、私も、深刻に反省せられておりますから、今後このようなことは、通産当局としても一生懸命やるということでありますから、おそらく発生しないと思うのでありますが、問題は後段のいわゆる補償問題ということになるわけです。この補償問題については、いま営団当局のほうでは、有形なものについては十分なる補償をする。しかしこの地域は非常に狭隘な道路を対象にして掘さく工事を行なっておるために、周辺に与える影響が他の工事の場合と比較すると非常に何か悪い影響が大きい。私も現場をたびたび通りますから、そういうように感じておったわけです。要すれば地下を通すというような事情がある場合においては、地上に対する補償があるわけですが、この場合補償ということもそうやらないで工事をやる。しかし狭隘な道路であるがゆえにどうしても傾く。その傾いたという有形的な損害に対しては補償するけれども、しかし有形的な損害でない、見えざる苦痛というか、その中で有形的な損害に転移していくような条件のあるもの、そういうような被害というものが相当存在しておるわけです。これは現実にいまの段階で発生してないけれども、いまから何カ月、何日という形の中において発生するかもわからない。単に騒音におけるところの苦痛ということだけでなく、発生するかもわからないというような条件が多々あるわけです。こういうような面についての配慮がある程度行なわれないと、付近住民としても、これら工事に対する協力に対しての熱意というのは非常に薄くなってくる。幸いあの地域は地下鉄がそう通っていないということから、付近住民のこの地下鉄工事に対する協力は、他の地域に比較して非常に積極的ないい面があるように私どもは見受けておる、地盤が軟弱で条件が悪いにもかかわらず。しかしそういう面については、これらの問題とも関連して、営団当局としてもひとつ地域住民の意見を十分取り入れた形の中で、いま言われたような単なる消極的な取り組みということでなく、これらの問題に関連もしながら積極的に取り組んでもらいたい。これは要望として申し上げておきます。  それから東京瓦斯のほうは、この事件が発生して以降、いわゆる仲宿問題に比較すると、比較にならないほど積極的な取り組みをされたということを、私ども地域の住民の方々から全部聞いておりますから、よくわかっております。したがって、その誠意についてはこれを認めるにはやぶさかではありません。しかし、認めるにやぶさかではないけれども、いまだその補償その他の問題に関して万全だとは言いがたいものがあります。補償というのは消極的な面だから、これをやったからいいということにはなりませんけれども、しかしこれらについてはさらに一段と努力を続けてもらいたいと思うわけでありますが、これらに関連して、前回の委員会で私ども強く要求をいたしました仲宿における被害者に対する補償問題、これがそのまま私ども報告を聞いておりませんが、どうなっておるか、この際ひとつお聞かせ願いたいと思うわけです。

荒木豪太東京瓦斯株式会社取締役

○荒木豪太君 ただいま先生からおっしゃいました仲宿事故の補償の問題につきまして御報告申し上げます。  三月二十日のあの痛ましい仲宿事故は、東京瓦斯としましても非常に大きな事故と考えておりましたが、この被災者の方々とのお話し合いはいまも続けております。家屋を焼失されました方々の建築はすでに完了いたしまして、営業の再開資金あるいは当座の費用、こういうものはそれぞれ御要求のとおりにお渡ししてございます。そして先月の上旬から下旬にかけまして、それぞれの方が営業を開始されておられます。  またあの事故でなくなられました石井様のおにいさまがおられまして、このおにいさまが同じ場所で弟さんがおやりになっておったと同じテントのお仕事を継がれるということになりましたので、家屋を建築させていただきまして、先月からおにいさまがテントの仕事を始めておられます。  補償のお話し合いにつきましても、私どもは誠意をもって当たっておりますが、なくなられました石井様及びその家屋に被害を受けられました八軒の方々につきましては、今月上旬に損害額に関する資料がそろいまして、現在鹿島建設さんと東京都交通局さんと私どもで具体的な御回答についての検討をいたしておる段階でございまして、大体今週末かあるいは来週の初めにかけまして、御遺族の方、並びに他の家屋を焼失された八軒の方に御回答を申し上げる予定になっております。いずれにいたしましても、一日も早くできるだけ円満に解決させていただくという所存でございます。  そのほかのいろいろな被災者の方々はすべて誠意をもって解決させていただいております。  以上でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 時間が来たようでありますから、私の質問は終わりにしたいと思うわけであります。  そこで、最後に締めくくりの意味においてガス当局と営団と通産当局に対して質問をしてみたいと思うわけであります。  東京瓦斯については、いまいわゆるガス事業法改正ということは、簡易ガス事業をどう位置づけるかということだけでなく、近時頻発するガス災害に対して、これをどう防止するかというところにも一つの大きなねらいがあることは、私どもその提案の趣旨の中に盛られておる内容でよく理解しておるわけですが、それにもかかわらず、そういうことが大事だ大夢だといわれておるにもかかわらず、当然そういうことについては解決をすることができる範囲の問題においてこうやってガス事故が起きておるわけです。私どもはたいへん残念だと思うのです。しかも東京瓦斯という大きな企業、いわゆる都市ガス会社の中では最大の企業である東京瓦斯の経営の中でこのような、これは仲宿と違って、今度の場合には全く不注意といっていいような条件の中でこのような事故が起きたということは、何といっても公益事業という名において深刻に反省してもらわなければならぬ事件だと思うのです。したがって、これらいわゆる大都市における都市ガスがその事業を遂行する上に、公益事業として、こういうことを再びまたこの場であなた方に質問することがないように私どもとしては心から願うわけです。これらについて、最高責任者であるあなた方がもう再び起こさないという決意を、この前社長さんが来てそう言ったのだけれどもまた起きちゃったわけですから、それを今度は、何か注意の足りないという面においてはこの前よりもっと追及しなければならぬ内容を持つわけです。これらについてやはりガス会社全体として、公共事業としての使命に徹してその仕事をやってもらわなければならぬわけでありますから、その決意をこの際お伺いしておきたい。その決意いかんによっては、われわれこの次審議しなければならぬガス事業法の内容の審議にあたっては、これをいろいろな角度で参考にしなければなりませんので、そういう意味においてひとつ決意をお聞きしたいと思うのです。  それから営団の当局者には——実はこの前、仲宿のガス爆発事故に関しては交通局当局に対してきびしい責任追及をこの委員会でやっておるわけです。きびしい責任追及をやったというのは、施主である営団、地下鉄建設を行なっておる営団、当時は交通局でありますが、営団の責任は、単に地下鉄を掘ればいい、あとは下請にまかせればいい、それに関連した仕事はそれぞれかってにやればいいということでは済まされない内容を持つと思うからこそ、そういう責任追及が交通局にはあったわけであります。したがって、そういう追及があったということは、営団当局も同じ立場にあるものとして当然、他山の石どころじゃなくて自分たちの問題とし取り上げなければならなかったにもかかわらず、あなたが先ほど言われているように、それらの工事が行なわれている場合に担当者が直接行っていなかったという事実の中に、やはり何かよそごとのように思われて、仕事に対する責任感というか緊張感が欠けておったといわれてもしかた、がないものがあるのじゃないか。これからまだまだ東京は多くの地下鉄を建設していかなければならぬ状態にあるわけでありますから、私どももまた地下鉄を大いにつくっていかなければならぬということでその政策を進めることについては推進をしておるものの立場として、これから地下鉄建設に関連して、またあちらでもガスによる犠牲が出たというようなことがあったのでは困るわけです。そういう意味において慎重なる配慮のもとに積極的なこれら事故発生を防ぐ措置を講じてもらいたいと思うのですが、これに対するお考えを最後にお聞きしておきたいと思うのです。  それから通産当局については、私はこれは法案審議の際に十分やりたいと思っておりますから、きょうはあまりやらないほうがいいと思っておるわけなんです。たまたまガス会社並びに営団が来ておるので、通産当局の責任を追及するという形の中でやはり関係者の注意も喚起したい、こういうような気持ちで質問をしておるわけですが、通産当局としてはこういう事故が起こるたびにどろなわ式で、こうやります、ああやりますとこうやるんですね。事故が起きない前に予測してその対策を立てるのが通産当局の立場であろうと思うのです。今度の場合においても、いろいろ対策は立てられておったわけです。おったわけだけれどもこういうのが出た。それは想像できない事故が起きたんだといわれればそれっきりですけれども、しかしあらゆる可能性を想定して対策に万全を期し、指導するのが、公益事業局として果たさなければならぬ責任だと思う。そういう面から言えば通産当局というのは、業者を育成するほうに熱意があって、消費者の利益を守るほうには熱意がないんだというような、この前はそういう追及も行なわれました。今度はそうじゃないという姿勢も若干示されておりますけれども、今度の事件を契機にして、今後これらの事件に対応する対策をどう措置されるか、先ほど説明した以上に、基本的な原則、腹がまえだけでもけっこうですから、公益事業局長の見解をここでお聞かせ願いたい。  以上、御見解を承って私の質問を終わりたいと思います。

村井繁雄東京瓦斯株式会社取締役副社長

○村井繁雄君 今後の会社の決意ということについてお話がございました。このたびの事故につきましては、前から御説明申し上げましたように、作業基準を適確に守り、監督体制がしっかり進んでいれば起こらなかった事故でございます。このことは、しっかり守れなかったということは、まさに責任観念の欠除でございまして、この点につきましては社長以下会社全員が心を改めて、一作業員、一従業員という問題でなしに、会社全体として責任観念をこの際もう一ぺん考え直して、心を引き締めてやる所存でございます。  以上、会社の決意を申し述べさせていただきました。

市村益夫帝都高速交通営団理事

○市村益夫君 ただいまの御忠告まことにごもっともでございまして、ただいま仰せのとおり東京の地下鉄は、まだまだこれから工事を続ける計画でございますので、ただいまの御忠告の旨をよく体しまして、一そう細心の注意を払いまして、事故の絶滅を期する覚悟でございます。

本田早苗通商産業省公益事業課長

○本田政府委員 お答えいたします。御指摘のように、公益事業として危険なガスの供給を行なうという事業の性質から申しまして、保安の確保がきわめて重要な項目になっております。そういう意味で今回のガス事業法の改正の一つの柱として、保安規制の強化を御審議願うことにいたしておりますが、内容はいずれまた後の機会に御審議願いたいと存じますが、おっしゃるように保安の確保について最も大事だとわれわれ考えておりますのは、従業員の各人各人が保安の必要性についての認識を基礎にしまして行動するということであろうと思います。そういう意味で保安意識の高揚というものを徹底いたしたいということで、各社に教育計画の提出を求め、その実行を求めておるわけでございます。今後は、まだ計画を実施に移しつつある段階でございますが、その成果を十分にあげるように指導してまいりたいというふうに存ずる次第でございます。

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 関連をして二、三お尋ねをいたしますが、公益事業局から報告書をいただいておるわけですし、またいまの佐野委員の質問に対してそれぞれお答えを願ったんですが、今回の事故というのは監督体制の不備とか、これから事故が起こらないように保安体制を強化していくという、そうした対策上の問題ということよりも、あまりにも常識的なことから今回の事故が引き起こされた、だから私は重大な過失だと思っている。社会的な責任というものではなくて、むしろ私は刑事罰を関係者は受けなければならないことが、今回の事故の原因として指摘できると思うんですよ。この報告書を見ると、一部は完了をして、支管というんですか、横の管ですね、それは空気を抜いて、それからガスを充満させる、こういうことになるわけですね。ですから、これは作業中であったと書いておるんですが、作業は完了をして、そこで空気を抜いてしまう、こういうことになるんだと思うんですが、そのカップを締めてなかったというんですね。ところが警察の調べによると、麻を巻かなければならない、その麻を巻いてなかった。これは新聞の報道によると、手抜き工事だというようなことをいっておるようですけれども、手抜きであったかどうかということは、これは麻を巻くくらいのことは、そのことによる利益なんということはたいしたことじゃないんだから、私は特別に手抜き、だったというようには思わない。だからきわめて重大な過失をおかしたんだというように思っておるんですよ。先ほど、監督は他の現場に行って、その爆発が起こった時点ではいなかったんだと言う。そこで夜間工事というのは、これはお互いからだも疲れる。また夜間であるからなおさら目が届かないという点もあるわけだ。だから、その監督体制というものは昼間以上に夜間は強めていかなければならぬということだ。そういった意味のいわゆる監督体制は昼夜間の関係ではどうしておるのかということをお尋ねしなければならぬということですね。  それから、これは下請が作業中であって事故を起こした、その点では下請に責任を全面的に持たせるということよりも、これは会社自体の監督体制の不備なんだ、あげて会社の責任というものを痛感しておられる、そういう意味の御答弁があった。私はそれはそれでよろしいと思うのだけれども、ところが、空気を抜いた、ガスが充満する、そうしてカップを締めておるか締めてないかというようなことは、当然常識として会社がそういう要点要点は検査をする、これでオーライという形でガスを通す、こういうことでなければならぬと思うのです。それをやらないでおった、そうして爆発を引き起こした、こういうことです。だから、いろいろ保安体制をどうするか、保安体制の中に監督体制というものがあるの、だけれども、そういった監着体制について不備があったのだから、これをこう補っていかなければならないというようなことでなくて、きわめて常識的なことをやらないでおったということなんだから、その点に対してどうお考えになっておられるのかということですよ。  それから、前回もああいった大きな事故を引きおこした。だから会社の責任者をはじめとして処分をもちろんしなければならないのだが、そういった点はどうしておるのか。今回のことについて、私がいま申し上げたようなきわめて重大な過失を引き起こしたのだが、これに対してはどのように処分をしなければならぬとお考えになっておられるか。まずそれらの点について考え方を聞かしていただきたいと思います。

村井繁雄東京瓦斯株式会社取締役副社長

○村井繁雄君 お答え申し上げます。ただいま御指摘がございましたように、今度の事故につきましては作業基準そのもの、監督体制そのものの見直しより前に、当然やらなければならないものがやってなかったという事態でございます。この時点につきましては、実は先ほど申し上げましたように、会社全員が責任観念もない、自分の当然やるべきことをやっていないという状況であると考えますので、社員全員がその面につきまして、今後はしっかり緊張をするという方向の教育づけをいたしたいと考えております。  処分につきましては、これは申しわけない話でございますが、実はその後の体制づくりを急ぎまして、処分はあと回しになっておりますが、この点につきましても、相当広範囲に処分はしていかなければならないと思っております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 横浜の飛鳥田市長は、工業用水を飲料水ということで飲ましておった、その責任を感じて一カ月分の給与の五〇%をみずからカットした、そういう処分をやられた、電光石火ですね。この前の板橋の事件に対してはまだ処分すらやっていない、そして今回の事故を引き起こした。しかも今度の事故は、板橋の場合の事故とたいへん違ったところがある。やるべきことをやっていなかったということ、これは私が申し上げたように常識だ。ともかくカップを締めておるか締めておらぬか、麻を巻いておるか巻いておらぬか、これを下請がやって、会社自体の監督が行ってそれを点検するというのはあたりまえじゃありませんか。まず監督体制なんというものは、もっと高度な形においていろいろあるだろと思う。しかしガスを通すときにカップを締めていなかったということは、早く言えば、栓を通さないで何か管に水を入れたりガスを通したりする、そうすると抜けてしまうということはあたりまえの話でしょう。だからその責任というものはきわめて私は重大だと思うのですよ。これはむずかしいことではないです。下請の責任はもちろんあるだろうが、これは下請が当然やらなければならぬ仕事だけれども、むしろそういうポイントポイントは会社みずからやる、そのくらいのかまえがなければならぬと私は思う。そういう意味で今回の事故というものは、下請の責任はもちろん追及しなければならないけれども、おまえはけしからぬから作業量をカットしていく——増田組というのですか、これは三百人ぐらいの従業員をかかえて、あなたのところに九〇%か九五%か依存している。おそらく干名以下の人たちがこれで生活をしているのだろうと思う。だから、いたずらに処分という意味で、おまえのほうはけしからぬから作業量を減していくのだ、そういうような形の処分をすべきではない。今回の事故はもう簡単明瞭、会社の幹部の人たちその他監督体制の立場にある人、そういう方がみずから重大な反省をやって、そうしてこの後再びそのような弛緩したやり方、これはもう不備ということよりも職務怠慢である、体制が弛緩してますよ。私はどこかに欠陥があるのだろうと思う。そういう点に対してどう考えておりますか。

村井繁雄東京瓦斯株式会社取締役副社長

○村井繁雄君 仰せのとおり、今度の事故に関しましては、下請工事云々の問題でございませんで、会社全体として、おっしゃるとおり緊張を欠いているものがあるということは、われわれも深く反省をしております。したがいまして、その点につきまして今後十分な反省をし、教育面に力を入れたいと思っております。

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 塚本三郎君。

塚本三郎民主社会党

○塚本委員 関連いたしまして一、二点お尋ねいたします。  実は、私、この前の板橋の事故の際に現地を視察いたしました。そして今回のこの事故を拝見いたしまして、またやったという感じがいたしたわけで、このことはおそらく私以上に、本日恐縮しておいでになる会社の皆さま方は、よけいその気持ちが強かっただろうと思うわけです。私はこの事故の経緯を見まして、実は地下鉄工事に対する危険度から、鋳鉄管が埋没されておったのを鋼管に入れかえた、このことは前向きの姿勢として大きく評価していくべきだと思っております。しかしそれがために事故になってしまった。逆に言うなら、ほっておけばこんなことがなかったのではないかということも言われるのです。だからそういう意味で、私はこの問題に関する限り、強く責めることは差し控えてみたい、前向きの姿勢に大きく期待してみたいと思っております。これがために会社側が萎縮をしてしまったのではかえって困ると私は思っております。特に最近、ガスの発生いたします製鉄会社や製鋼会社等、いわゆる設備産業で十分万全の措置をとり得る工場内においても爆発事故が頻発をしておるわけでございます。にもかかわらず、このガス、特に都市ガス等におきましては、交通ひんぱんな道路で、しかも夜中に、上を車が通っておって、そうして下では徹夜の作業が続けられておるという、これはきわめて因難な作業だ。一般のそういう設備産業の中においてすらも実は事故が頻発しておるとき、全く同じような作業が最悪の都市の交通の道路の下で行なわれておるということであります。私はそういう意味で会社の立場に立っても同情申し上げなければならぬと思うのです。しかし、そのことは事故責任をどうしてもいいということでないと思うわけです。だからこれに対して積極的に取り組んでおるときに、ただ観念的に恐縮しておりますとか、あるいはまた責任をとるんだ、広範にとりますというようなお話が副社長からありましたが、もっと市民の期待いたしますのは、これから前向きに具体的にどうするのかということが——おそらく会社がこういう困難なことに携わっておるということはもうほとんど都民も認識しておると思うのです。だからその困難な立場に立って具体的にどうするのか。この事故を契機としてこうするような方策をきめましたというようなことがありましたら、特徴的なのを二、三会社側から説明していただきたいと思うわけです。

荒木豪太東京瓦斯株式会社取締役

○荒木豪太君 ただいま先生からたいへん御激励やらいろいろな点につきましてのおことばをいただきまして、ありがとうございます。  われわれは、もちろんこの仲宿の事故以来、どうすればこの東京における夜間なり昼間のあの交通量の多いところで、しかも大工事のいろいろ行なわれている中でガス管を守っていけるかということを、いろいろと検討に検討を重ねて今日にまいったわけでございますが、その効果の出ないうちに再びああいう事故になりましたことは、われわれとしましても、先ほど申し上げましているように、全くわれわれの責任でございまして、この点につきましてはわれわれもいろいろと反省をしている次第でございますが、仲宿の事故がありましてから、まず早く行くこと、現場に早くいかなければいかぬ、そういうことで従来の緊急出動要員も二百八名を約二割強増しまして二百四十七名にいたしました。また車両も、こういう場合には車で飛んでいくということが一番の緊急事でございまして、車もそれまで五十六台使っておりましたのを八十七台にする、こういうふうにいたしましたし、また災害が起きたときに、大きくなる可能性の多い圧力の高い高圧ガス導管線あるいはまた中正のガス導管埋設街路、こういうところの巡回を、それまでは二週間に一回——これは大体二千キロメーターくらいございます。二週間に一回回っておりましたが、これを仲宿の事故以来は一週間に一回全部回って、その道路の状態とかあるいは道路の横における工事、他の工事の状態、こういうものを逐次調べまして、その調べた結果によりまして、係がその現場に行きましていろいろな必要な指示を与える、こういうふうなことをやっております。また下請工事の見回りとか、あるいは立ち会い基準の見直し、こういうものを見直しを行なって、カードを作成して、要点要点についてさらに強固に実施さしておる次第でございます。  それから、この前の仲宿事故でも問題になりましたいろんな防護の方法、これもただいま通産御当局のほうの会議がございまして、そこで活発にいろいろと学者の諸先生方から議論が出ておりますが、その結論が出るまでは、われわれなりにいろいろな学識経験者に御相談申し上げて、いままでよりも強固な方法をもって工事に当たっております。現場の方法はこういうふうでございますが、なおそういういろんな監督その他の衝に当たります者についても、教育、訓練、こういうことにもいままで以上に全般的にいろいろなことを教える、というよりも、こういう工事のポイントはどこにあるか、こういうポイントは必ず調べるようにというような方法によりまして教育をしてきたわけでございます。  なお、今度の事故のあと、さらにこの対策を反省いたしまして、これは本社といわず事業所といわず、とにかくわれわれ技術担当の幹部の者と事業所の者とが一丸になって、そういう防護なり工事なりに当たらなければいかぬというふうにわれわれは感じまして、非常保安対策本部をつくりまして、私が本部長を命ぜられまして、他に会社の幹部級の技術者を動員しまして、とにかく過去のいろいろないままである規定とか基準を見直す。同時に、ただいま申し上げましたような、そういう監督者の教育を徹底する。と同時にそれより大切なことは、われわれが現場に行って、現場の作業をやっている人たちと一緒になって、その作業のやり方その他を研究し、また指導し、監督していく、こういう体制を打ち出して、現在すでに実行に入っている次第でございまして、こういうふうな状態で、われわれはさらに前向きで事故の撲滅、保安の維持については懸命に努力する次第でございますので、何ぶん御了承願いたいと思います。

塚本三郎民主社会党

○塚本委員 通産省にお尋ねいたしますが、国鉄の建設されておりますところと交差するようなトンネルやあるいは陸橋、そういうことに対する事故というものは、それがための工事関係で事故が起こったということはあまり聞いておりません。にもかかわらずガスの事故だけがこういう形で起こってくるということは、相当に私は検討すべきものがあるのではなかろうか。私は仲宿の先般の事故のとき、実は安西社長と鹿島の社長とがその意見のやりとりをしておいでになったところを拝聴いたしておりました。国鉄の場合ですと、列車が通っていく場合、下をトンネルを掘るとかあるいは橋脚を広げるとか移動させるとか、こんな工事が行なわれまする場合には、常に国鉄がすべてイニシアをとって、国鉄のいわゆる予算の中で、すべて工事は国鉄自身が責任者として行なわせておる。だからこそ国鉄は全責任をとるのだという形が国鉄においては行なわれておるようでございます。幸いにして、それがいいか悪いかは別にいたしまして、国鉄にまつわるそれらの交差するところの工事についての事故ということは問題になったことはほとんどないわけでございます。その点、実は先回の仲宿の事故等を聞いておりますときに、埋め戻し作業に対して、これは建設会社と東京都がタッチするので、事故の心配のあるときそれに対する応急の措置をするだけであって、いわゆるガス会社自身はそれに対して監督権も十分ないし、能動的に指導することができない。もちろんそのことが事故の原因に結びつくというわけではございせんけれども、やはり国鉄の交通の問題、あるいはそれ以上にいわゆる危険性のあるガスに対してそういうふうな万全の措置をとらせるというふうな方策がない限り、次から次へとこういうふうな——今度の事故は、実はこの事故と直接関係はございませんが、やはり交差する問題で事故が起きております。そういうときに安上がりにやろうとする。そういうところからどうしてもそういう形が出てきますから、第一の原因が他者にある場合においても、ガスをくぐったり、あるいはまたいだり、そういうときには、ガスの設計のもとに万全の責任をとらせるような対策を講ずるという抜本的な基本を打ち出さない限りは、事故の絶滅ははかり得ないのではないか、こういうふうな感じがいたすわけでございます。もちろん国鉄の問題とガスの問題を同一視するわけにいきませんけれども、私はしろうととして、そんな感じがいたしますが、通産省の見解はどうでしょう。

本田早苗通商産業省公益事業課長

○本田政府委員 お答えいたします。先ほども申し上げましたガス導管防護対策会議を設置いたしまして、その中にガス導管工事分科会というのを設けておりまして、この分科会で導管の安全性を確保するための工事方法について、いま研究をいたしております。現在、先般のやぐら式のささえでガス導管を防護するという方法が適正かどうかということについて基本的に考えるという考え方をとっております。これがもし適当でないということになりますと、他の道に一たん埋設いたしまして、道路の締まったあとでもう一ぺん戻すというような方法をとることもあり得るわけでございますが、一応御指摘のような点も含めて、ガス導管防護対策会議で現在検討いたしておる次第でございます。

塚本三郎民主社会党

○塚本委員 時間がございませんから要望だけ申し上げておきますが、列車もとめるわけにはいかない、走っておりながら工事をやっておりますね。ガスは、ほんの瞬時においてはとめることができましても、半日以上とめることはきわめてむずかしい、こういう関係でございますから、移動させたり、こういうときには、万全の措置をとらなければならない。ところが、どうしても安上がりにやろうとしますから、下請の下請の孫請、こういう形になっておる。しかも監督者は一人で、何カ所かで行なわれる、こういうことから起こるところの事故でございます。ですから、これは心を引き締めて、気を引き締めて、緊張する、いろいろと会社はおっしゃいますけれども、物理的にそういう形で追い込まれてしまうから、やはりそういう工事をする場合、国鉄はがんとして、おれたちの認可の、おれたちの予算のきめた範囲内で、おれたちの工事の指令がなければ通させないんだ、こういう形でがんばっております。だからこそ、その国鉄をまたいだり、あるいはくぐったりすると、たいへんな費用がかかるらしい。しかし、それがために、一度として工事にまつわる事故は起きたことがないと私は記憶しております。だから、ガスについてそうせよということを私も言うわけじゃございませんが、そこまで基本的に考えてみないと、安上がりに徹夜でということになりますと、どうしても下請、孫請という形から監督不十分——この前のときも、ここにおいでになる加藤先輩からお話がありましたけれども、監督一人で、その監督距離はどれくらいで、埋め戻しの車は百何十台、こんなことでは目の届くはずがないのです。結局のところ、そういうことについての基本的な問題を検討しないと事故の絶滅をはかれないんじゃないかというふうな気がいたしますので、このことは通産省に要望として十分御検討いただきたい。  最後に、私は会社のほうに、実は前回のときも緊急車の出動がおくれました。おくれたことはいろいろな事情があったようです。しかし、バルブを操作をしてガスを完全に締め切るまでに、たしか二十分かかっておりたはずでございます。今度の事故については、そのことは明記されておりませんが、事故発生が四時、そして消火完了が四時四十九分と約五十分かかっておりますね。これでは、あまりにも消火に手間どったということよりも、ガスの、いわゆる燃えることですから、ガスをとめるのにやはり相当の時間がかかっておるというふうに見られるわけであります。昼間ならば、とめることによって関連する事故があるかもしれませんけれども、真夜中のことです。だから、おたくの訓練体制がとれておれば、こんなに時間はかからなくても、もっと早く消火作業ができたのじゃないか。前回も、このことは一委員も指摘されたところだと思います。今度も五十分も消火にかかっておるということは、私たちしろうとにとっては解せぬことです。どうしてでしょうか。もっと早くこれを消火させる方法がなければならぬと思います。この一点だけをお尋ねしたいと思います。

荒木豪太東京瓦斯株式会社取締役

○荒木豪太君 時間のかかりましたことは先生の御指摘のとおりでございまして、ちょうどガスの漏れましたところは、歩道に車を通すために通常使われております大きな鉄板が敷いてあるその下でございます。したがいまして、その鉄板をとる、それが一枚何百キロという重さがある。それと、あの爆発によりまして、その場所にレッカーが行けないように方々の鉄板が飛びました。そういうことがあのときのおくれた原因でございますが、とにかく事故が起きても早く処置するということのためには、先ほど先生がおっしゃいましたように、まずガスをとめるということが先決でございますので、われわれも、その点についてはなお一そう早く行くことと、早くガスをとめることに今後とも専念いたしまして、絶えず訓練に訓練を重ねまして、御期待に沿うようにいたしたい、こういうように考えております。

塚本三郎民主社会党

○塚本委員 十分ひとつ訓練していただくように。作業を始めてから二十分もかかっておったんでは仕事にならぬという感じが私はするわけです。その点だけ強く要望申し上げまして、質問を終わります。

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 近江君。

近江巳記夫公明党

○近江委員 今回の事故は、前回に引き続いて、われわれとしてもことばをどう表現していいか、事人命に関することであります。強い怒りというか、そういう押えがたい気持ちにある現在であります。  今度の事故におきましても、民家が三十軒、七人がけが、通行の車が三台吹っ飛んでおる。しかもタクシー、トラック、いかに爆発力がすごいかということをあらわしておるわけであります。しかも、商店街のどまん中である。もしもこれが昼であったならばどれほどの犠牲者が出ておったか、ぞっとするわけです。事が人命に関するだけに、われわれとしても、いままでの事故の際にも、再々事故を起こさないように、万全の対策をとるように話してきたわけです。先ほどから、ほかの委員からもいろいろな話が出ておりますので、あまり時間もありませんから、できるだけ簡単に済ませたいと思いますが、実際今回の事故の原因を見ていきますと、これはほんとうに怠慢としか言いようがないわけです。  そこで、これはどんなしろうとが考えてもわかるわけですが、麻肌を巻かない、あるいはボルトを手で締めておる、こういう事実を見たときに、下請で働いておるような人たちがはたしてほんとうの組の人であるかどうかということなんです。その日だけどこかから寄せ集めてきた人であるかどうか、その辺ちょっとでも知識があるのかどうかということを非常に疑問を持つわけです。その辺のところを聞きたいのです。

荒木豪太東京瓦斯株式会社取締役

○荒木豪太君 お答えいたします。実際に起きました事故の原因になっているものは、ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございます。それで、われわれも、あり得ないことが起きたということで、本人が警察から帰りましてからいろいろ問いただしたわけでございます。その前に、両方が端になっておりまして、こちらの端とこちらの端がございまして、こちらの端はきちんと所定どおりです。ところが、こちら側がいま先生御指摘のような形でガスが出たわけでございますが、本人は、五年間その会社につとめました。増田組でございますが、増田組につとめるようになってから教育を受けております。毎年配管工の教育を当社の技術員が教習所において指導してやっておりますが、そういう講習会にもすでに出席をして、いままで数多くのいろいろな仕事をしてきて、技術的にはかなり評価していいはずのものでございました。それでわれわれも、一体どういうわけでこういうふうになったのかというふうなことをいろいろ本人にも、別にしかるというのではなしに、そういう状態が起きたのはどういうわけかということで、いろいろ聞いたわけですが、初めのうちは非常に興奮をしておりまして、はっきりしたことがつかめなかったのですが、だんだん冷静になりましてから、何か、自分はここで工事をやるために麻肌がなかったので、それを取りに、ちょうど地下鉄の覆工の中でございますので、上がって、そしてそういう材料を置いているところのほうへ行って、たまたまそこにまた何かほかのちょっと自分がやったほうがいいという仕事があったので、そういう仕事をやって、そのうちにこちらもすっかりやって、上がったような錯覚をおこしたというようにも考えられるような答弁をしておったような次第でございまして、われわれとしても、あれだけの経験を持った者がどうしてそういう状態においてそういう失念をして、そしてそのままそれが自分ではこちらと同じようにきちんとやっておるのだというふうな錯覚を起こしたのか、その原因がはっきりつかめませんが、大体こういうふうな状態であったようでございます。いずれにいたしましても、理由のいかんを問わず、われわれのほうのチェックポイントがもう少し厳重であったならば、そういうのはガスを通す前に発見されたことでございますので、そういう点につきまして、われわれとしては今後一そう現場の監督というものにつきましては強化していく所存でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 多分に自分は仕事をやったという錯覚というような点もあったと思うのです。しかし、いまあなたがおっしゃったようにチェックをすれば、これは防げた事故である。こういう点から作業員自体の、一人一人のそういう自覚というか、やはり緊張した、一たん事故があれば人命に関する事故である、それに携わっておるという、そういう自覚、さらに豊富な知識、またそうした活動、それからまた監督体制、要するに中枢から指の先まで神経が行き届いた状態でなければこれからも事故というのは考えられるわけです。そういう点、いつもこれから注意をしますと言いながらこういう事故を起こしておる。いつになったら末端神経にまでぴりぴりとした、そういうような体制にいくか、この点なんです。  それから高速営団ですか、あなたもそのボルトを締めるということについては言うておった。だけれども当日は清水建設もたいした工事もなかったのでおらなかったのじゃないですか。ボルトは締めてなかったのでしょう、そのときは。その辺のところは徹底がちゃんとできていたのですか。

市村益夫帝都高速交通営団理事

○市村益夫君 お答えいたします。私の先ほどの説明があるいは不十分だったかと思いますけれども、平素は全部ボルトでとめております。それでガスの工事をやりますときにはボルトを一応はずすわけでございます。それで現場の管理は清水建設がやっておりますので、ふたをあけたということだけはこちらに連絡を受けておりますので、よく清水建設と相談してそれでボルトをはずして中で仕事をしてください、こうガス会社のほうに申し上げたと現場のほうは言っております。ですから、はずしたのはおそらく清水建設がその部分だけははずしていると思います。  以上でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 おそらくというそこに問題があると思うのですね。これだけ事故があったときに、あなたはもう一回チェックして、清水建設なら清水建設のだれがその辺に立ち会ったかという辺のチェックはしていないのですか。

市村益夫帝都高速交通営団理事

○市村益夫君 平素ガスだけではなくて、夜中はコンクリートを打つのでも材料を出すのでも、全部はずしてやります。もちろんはずすときは清水建設の者が立ち会っております。あとは、柵をつくりますと、そこに作業している者の責任者がその柵を管理しているわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 工事のときには担当の責任者はおったのですか。

市村益夫帝都高速交通営団理事

○市村益夫君 おそらく清水建設の責任者はおったと思います。私どものほうの営団の職員はおりませんでした。

近江巳記夫公明党

○近江委員 おそらくとか、思いますとか、あなた方は、国会で言うことについて、今後はこうします、ああしますなんと言う。ここは私たちがここだけで言うているのとは違いますよ。これだけの事故があったことについて、当然これが一番の根本です。地下鉄工事をやられた。直接はそのガスの工事のそういうミスによって爆発があったわけですけれども、この前の事故も地下鉄工事から起きているわけですよ。そうしたならば、ガス工事等の関連についてはあらゆる注意をしなければいけない。それはあなたも通達はした、それはわかります。しかし一たん事故があった以上は、あらゆる点において再度どうであったかということについてのチェックはすべきじゃないですか。

市村益夫帝都高速交通営団理事

○市村益夫君 先ほど申し上げましたように、今後は注意いたすつもりでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 今後今後と言うて、私は今後今後というのは何回も聞いてきている。これだけの犠牲者が出ている。もちろんことばのやりとりではそうなると思うのですが、要するに、あなた方最高首脳部の考え方が無責任だ。人の生命を何と考えているのですか。ここだけでおさまる問題じゃない。人の生命は宇宙よりも重いと言われている。そういう点の注意ということにほんとうに責任を持った、そこまでやってもらわなければ困る。だから末端にまで神経が届かないというのは、結局あなた方の責任として自分の範囲内でやらなければならないことだってチェックはできていない。要するに問題は首脳部にある。あなた方がそこまで責任を持ってやっていくなら下までぴりぴり通ずる。その辺、首脳部の皆さんに自覚と決意を私は促したい。  それから、先ほど塚本さんから話がありましたが、爆発があって消えるまで五十分かかっている。私は昨年の事故においても、この三月の事故においても、そのことをずっと一貫して主張してきた。起こさないという体制と同時に、起きてからどうするか。万全の処置をとります。いつも同じように時間がかかっている。こんなことでは国民の不安を去ることはできませんよ。言い出せばきりがありませんからこのぐらいでやめますが、いずれにしても事人命に関することです。人命の尊重という立場から、私も非常にことばが荒くなって失礼なこともあったと思いますけれども、いずれにしても人命に関することだけに、すみませんでしたでは済まないことです。今後のいろいろな対策について先ほどから発表がありました。くどいですからこれはもう聞きませんけれども、それをここで言うだけではなくて、ほんとうに皆さん方ここでおっしゃったことを下の下まで徹底して、最近営団にしてもあるいはまたガス会社にしてもほんとうに真剣に取っ組んでいる、そういうことがありありとわかるような、そこまでのこれからの皆さんの態度であってもらいたいと思うのです。両方からその決意を聞かしてください。

村井繁雄東京瓦斯株式会社取締役副社長

○村井繁雄君 お答え申し上げます。いま仰せくださいましたとおりでございまして、どうも同じことを繰り返してたいへん恐縮でございますけれども、われわれ、社長以下会社の全員が考えを改めまして、みずからの職責を十分果たすという信念に燃え、そしていまお話しいただきましたように、われわれの仕事は直接人命にかかわるものであるということについて、十分な自覚を持つように今後やってまいりたいと存じます。

市村益夫帝都高速交通営団理事

○市村益夫君 先ほど申し上げましたとおり、今後は事故の絶滅を期して努力いたすつもりでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 これで終わりますが、公益事業局長、事故を連続して起こしておる。先ほどからいろいろこのように通産省としてはやってきたと言っておるけれども、要するに一切の責任は通産省ですよ。また、その中にあって、あなたです。いろいろといままでそうした通達等もした。いろいろな連絡会議もやっておる。しかしながら、現実にそれが不徹底でこういう事故が起きておるわけです。もうくどいことは私は申し上げませんけれども、どうか今後は最高責任者として心して、言ってあるからそれでいいんだ、そうではなくて、あなた自身が現場にでもどこにでも乗り込んで、これからもあらゆる、自分としてできる精一ぱいの誠意をもって、国民の皆さんに今後あなたの態度をもって示してもらいたいと思う。こんな人命に関する事故を次々に起こしたのでは責任問題ですよ。最後にあなたの決意を聞いて終わりたいと思います。

本田早苗通商産業省公益事業課長

○本田政府委員 先ほど来御説明申し上げました対策は、目下進行中でございまして、あれでわれわれは保安の体制ができたとは思っておりません。今後もこの対策を進めまして、実効のあがることを確認できるように、業務監査におきまして確認いたしたいというふうに考えておる次第でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 終わります。

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 質疑はこの程度にとどめます。  各位には御多用中御出席いただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  これにて商工委員打合会を閉じます。    午後零時五十三分散会

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