商工委員会 第32号
- 発言数
- 88 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/06/13
会議録
○大久保委員長 これより会議を開きます。 公益事業に関する件について調査を進めます。 荒川区のガス爆発事故について政府より説明を求めます。大平通産大臣。
○大平国務大臣 六月十一日四時ごろ荒川区町屋二丁目二番地の地下鉄九号線の工事現場で発生いたしましたガス漏洩事故によりまして、付近の住民等に被害を与えましたことは、まことに遺憾でございます。この問題の詳細につきまして、公益事業局長から御説明を申し上げます。
○本田政府委員 六月十一日の町屋のガス事故につきまして、お手元に資料を差し上げておりますので、資料に基づいて御説明をさしていただきたいと存じます。 ただいま大臣から申しましたように、六月十一日の未明に荒川区町屋の地下鉄工事現場におきましてガス爆発事故を起こしまして、周辺の住民並びに人家に損傷を与えますとともに、通行中の人にも傷害を及ぼしましたことは、まことに遺憾に存ずる次第でございます。 今回の事故の概要を申し上げたいと存じます。 事故発生の場所は、荒川区町屋二丁目二番地先の通称尾竹橋通りの路上でございます。発生の日時は、四十四年六月十一日の午前四時ごろでございまして、お手元にリコピーの資料がございますので、リコピーの資料の地図をごらん願いますと、京成電車の町屋停留所、それから三ノ輪−王子線の町屋二丁目電停の近辺の路上で爆発事故が起こりました。その次のページをごらん願いますと、今回のガス工事は、道路を横断する鋳鉄管を鋼管にかえるため、ABの鋼管と道路に沿うCDの管を交換しようとした工事でございまして、当日の作業はAB点を結合し、CD点は翌日作業するために、CDの部分は第三図のようなカップをしてあったわけでございます。カップはその図面のようにガス管の末端にカップの中に麻肌を入れ、ゴム輪を入れまして、押し輪とカップの間をボールトナットで締めつけるという方法でカップをするものでございます。かような工事をいたすことになっておったわけでございます。 本文に帰りまして、事故の概要を御説明申し上げます。 事故現場は首都高速度交通営団の地下鉄九号線の建設工事現場であります。従来ガス供給のための導管として、鋳鉄管が埋設されておりましたが、東京瓦斯株式会社では、地下鉄工事後の地盤が軟弱なことが予想されたため、保安上鋼管に入れかえることが必要であると考えまして、増田組を下請として入れかえ工事を行ないました。工事の概要は、先ほど申し上げましたように、AB管及びこれと交差するCD管の鋼管をA、B、C、D点においてそれぞれ旧管に結びかえることになっていました。そのため、まずA、B点における結びかえを六月十一日午前三時五十分ごろ完了し、引き続いて新管中に入っている空気を放散するための作業中でありました。この間C、D点は結びかえが行なわれるまでガスが漏洩しないよう先ほど御説明いたしましたカップを施してありましたが、D点からガスが漏洩し、地下鉄工事の覆工板の下の空洞部に充満したガスが何らかの原因により引火、爆発したものであります。このため付近の住民及び通行者六名、導管工事従業者二名が負傷し、家屋の被害は、冠水したもの四戸、柱、壁等家屋の一部の破損したもの二戸、シャッター、商品等の損傷したもの二十七一尺窓、ショーウインドー等のガラスの破損したもの三十六戸合計六十九戸でございます。その他現場を通過中の自動車二台がその一部を損壊するという被害が生じました。 事故に対する応急措置でございますが、八名の負傷者は、もよりの病院において診察、加療しましたところ、自動車運転手山野井敬三氏以外は、即日退院されまして、翌日から勤務通学に支障がない模様であります。山野井氏は、一応退院はしたが、二週間くらい休養の必要があり、本人の希望によっては、再入院等の所要の措置をとるようにしてあります。 事故発生時は、早朝で炊飯時にかかっておりましたが、付近需要家に対しては各戸ごとに点火試験等により安全を確認した上、逐次ガスの使用を開始しました。 また、付近の家屋に生じたシャッター、窓ガラス等の被害については、大部分を当日中に復旧しましたが、残余のものも特殊規格のものを除き昨日中に全部復旧しました。 付近は商店街であるため、地元町会、商店会とも十分打ち合わせの上、被災商品について優先的に補償を実施し、営業補償等については話し合いを続けて、十分納得のいく解決をはかるよう指示してあります。 なお、当日東京瓦斯では、事故発生後直ちに工作車四台、作業員十四名を緊急出動させ、その後さらに社内から緊急車六台、工事下請業者の工事組二組を出動させ、現場において所要の措置をとりました。 今回の事故の原因でございますが、現在警察において究明中でありますので、その結果を待たなければ、詳細ははっきりいたしませんが、通商産業省としては現在次のように考えております。 一つは漏洩個所に使用されていたカップは、正しく取りつけられておれば、構造的にきわめて強度が強く、従来の使用経験においても、事故発生のないことから判断して、カップの取りつけが不完全であったと考えられます。 さらに、新管にガスを入れ始めた際、ガスの漏洩の有無について十分確認しなかったことも原因の一つと考えられます。 このようなことから、下請業者の作業基準の順守態度、これに対する監督体制等について不備があったものといわざるを得ません。 事故の対策といたしましては、今回の事故は、カップの取りつけが不充分であったこと、作業に伴なうガス漏洩についてのチェックのしかたが不十分であったことによるもので、通常の責任感を有する作業員であれば、まず起り得ないきわめて初歩的かつ残念な事故でありまして、まことに申しわけないことと深く反省いたしております。 東京瓦斯会社においては三カ月前に仲宿事故を起こしておりますので、その対策として、会社をあげて保安体制の整備強化をはかっている際に、この種の事故を再発いたしましたことは、いまだ従業員一人一人にまで保安の自覚が浸透していないものと考えざるを得ないと存じます。 この意味において、昨日通商産業大臣は、東京瓦斯会社社長に対しまして、全従業員一人一人に、保安の意識を徹底せしめるとともに、全作業現場における保安の総点検を命じました。 われわれのほうにおきましても、仲宿事故に際して決定いたしました諸対策を強力に推進中でありますが、東京瓦斯に対しましては、保安監督を強化いたしまして、再びこの種事故の発生を防止するようにいたしたいと考えておる次第でございます。 お手元には当日の時間の経過と、作業の手順、並びに先般の仲宿事故以降の当省としてとった措置につきまして、日程的に御報告をするようにお届け申し上げております。 以上でございます。 ————◇—————
○大久保委員長 特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。千葉佳男君。
○千葉(佳)委員 先日保留しておきました分につきまして御質問いたしたいと思います。 先日は処理五カ年計画のうち主として出願件数にからむ動向の調査、こういうところに焦点を当ててお尋ねしたわけであります。その後特許庁から、なぜ四%が四・五%になったのか、九五%が八五%になったのかという説明はあったわけですが、依然として釈然としない面も残ってはおりますけれども、それにかかずらわっておると前に進めませんので、きょうは主として人の問題についてお尋ねしたいと思います。 説明の中にあります一人当たりの処理件数並びにそれを処理する人の問題について主としてきょうはお尋ねしたいと思うのでありますが、現在アメリカが一人当たりの処理件数が八十、日本が約三百件以上ということについて、これを行く行くはダウンをさせていくんだというような計画のようでございますけれども、これについて最初に三百三十二件と八十件との違いを大まかに説明していただきたいと思います。
○荒玉政府委員 三百三十二件といいますのは、審査官一人当たりの年間の処理でございますが、ただその場合に、人間のとり方がいろいろございます。たとえば実際審査に従事しておる実際の人間をとる場合と、それから内部の計画で恐縮でございますが、三百三十二件、たとえば学校を卒業して一年間はフルではございません。たとえばそれは一割だ、成長といいますか一人前になった審査官の一割しかやれない。したがって実際は一人でございますが、十分の一の仕事しかやれない、いわゆる換算人員とわれわれ申し上げました。そういった換算人員で実際に処理した件数を割りますと、三百三十二件というわけでございます。ところが、実際の審査官の人間の数で割りますと、二百四十件でございます。二百四十件の中には先ほど先生アメリカの例でお話がございましたが、アメリカは実用新案はございません。特許一本でございます。そういった難易度と申しますか、これも内部の話で恐縮でございますが、たとえば実用新案は非常に簡易でございますから、一般的にはかりに〇・五の難易度、それから国内特許は一、外国特許は四、こういったいわば内部の計画面における難易度というのがございますが、そういった点を考えますと、実用新案がどのくらいのウエートかといいますと、特許一に対しまして三・六二分、つまり一のロードがかかりませんから、三・六二分、こういった意味の換算をいたしますと、大体二百四十件に該当いたしますのは、難易度を入れますと百四十三件でございます。そういったいろいろ計算いたしますと、大体三百三十二件という数字がこれはおおむねで恐縮でございますが、大体百四十件くらいの値打ちに相当するというふうにわれわれは考えるわけでございます。そうしますと、大体百四十と八十はどういう差かでございますが、非常に大きな制度の差がございます。アメリカの場合には御承知のように、一つの発明に対しまして大体複数の請求範囲が認められております。そうしますと、やはり請求範囲というのは御承知のように権利の範囲を確定いたします実際の大事な事項でございますが、日本は一発明は一つの請求範囲、そこらあたりの差がやはり難易度にあらわれてくるというふうにわれわれは考えます。もちろんアメリカのクレームが大体どのくらいあるか、これはいろいろございますが、これは全部調査したわけでございませんが、少なくともこれは平均して大体十くらいございますが、もちろん十と日本は一だから、アメリカが十倍、日本は十分の一だとは私考えませんが、そういった制度の差、主としてクレームの差というのが百四十対八十ということの大きな差ではないかと思います。したがいまして、三百三十二と八十というのは、いわゆる単純に比較するということについてはやはり問題がございまして、したがいまして、全体の感じで恐縮でございますが、アメリカと日本の場合に、そう大きな実質的な差があるとはわれわれは考えておりません。 —————————————
○大久保委員長 この際、公聴会開会承認要求の件についておはかりをいたします。 ただいま本委員会において審査中の特許法等の一部を改正する法律案について、公聴会を開きたいと存じます。 つきましては、公聴会開会につき、議長の承認を求めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、公聴会の開会日時、公述人の選定その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○大久保委員長 千葉佳男君。
○千葉(佳)委員 いま長官が言ったように、結論部分で、三百三十二件と八十件という表面上の数字から見ると、労働強化がしいられているけれども、いま言われたような、正確にはわからないが、その差は実質的に見て決して大きなものじゃない、こういうふうに断言しておられるわけですね。ここで特許庁の数字を私は全面的に信用したいと思うのですが、ひとつ問題をはっきりさせるために、予算定員は何人で、現在処理に従事しておる実人員は何名で、換算人員が何名であるか、この三つをはっきりさせていただきたいと思います。
○荒玉政府委員 一番新しい現在で申し上げますと、総定員法のもとにおきまして、特許庁の全定員は千八百名でございます。審査官の定員は七百九十七名でございます。実員は六百四名でございます。換算人員は五百九・九五、これは先ほど出ました換算の率は、たとえば在職年限で一年、二年、三年、四年、五年、六年——七年以上の審査官が一〇〇%という意味の換算でございます。
○千葉(佳)委員 つかぬことをお尋ねするようですが、この処理計画案の四十三年度の件数嘆この間から論議しているように確定したわけですね。二十一万七千九百七十三件と確定したわけですが、このときの換算人員は四百五十七となっているのですが、いま長官の言われたのは四十四年度分の五百九・九五という数字を言われましたが、この辺はどうなんですか。
○荒玉政府委員 ちょっと恐縮でございますが、一部、先ほどアメリカの比較の場合に六百四というのを使いましたが、四十三年度でございます。訂正いたします。四十四年度は六百五十四。したがいまして先ほど換算で五百九・九五というものに見合います実員は六百五十四でございます。その点訂正させていただきます。
○千葉(佳)委員 訂正されるのはいいのですが、そうしますと、資料でいただいておる審査官一人当たりの説明のうち、十四万五千ですか割るところの五、これは六百四十というのはミスだとこの前言われまして、六百四となっていましたが、これもやはり六百五十四に変わるわけですか。
○荒玉政府委員 一番新しいので申し上げます。 四十三年度換算人員が四百五十七・五に見合いますのが、実人員が六百四でございます。それで先ほど四十四年度が五百九・九五、これに見合いますのが六百五十四、こういうふうに換算と実人員が合う数字でございます。
○千葉(佳)委員 換算と実人員が合うというのですが、いまの四十四年度に入った四月現在の数字はどっちなんですか。
○荒玉政府委員 四十三年度の換算の人員はこれは実績でございます。それから四十四年度、これは四月一日現在の換算人員でございます。
○千葉(佳)委員 多少数字の変動はあっても、だんだん確定してきたわけですが、先ほど言ったように、結論部分としては八十件対三百三十二件でそうたいした差はないと言われるのですが、もう少しこまかく数字を追ってみたいと思うのです。 〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕 この説明の中にある、難易度が外国特許の四、内国が一、実用新案が〇・五とこう書いてありますが、その下に実用新案一件を処理するのと、それと特許との対比でさらに三・六二という数字を出しておられますが、これは私もいろいろ考えてみたのですが、どうしてこういうふうなことをあらためて導入されるのか、ひとつ根拠といいますか、どういうふうなことを意味するか、もう一ぺんお知らせいただきたいと思います。
○荒玉政府委員 難易度と申しますのは、われわれ内部で計画を立てて実際審査をしていく場合でございますが、そうしますと、たとえば外国出願と日本特許と実用新案、それぞれが難易度が非常に違うわけです。そうしますと、やはり内部で計画をつくる場合には、その難易度を考慮してやりませんと、たとえば各審査官で表面上の数字ばかり言いますと、むずかしいところは件数も少ないけれども実際はよけい仕事をやっておるといったようなことで、やはり内部でそういった労働の質を考慮して計画を立てていくというのがきわめて実際的だというので、われわれ内部は長年そういった換算でものを考えておるわけであります。その際に、先ほど言いましたように実用新案が〇・五、国内特許が一、外国は四だ、これが大体労働の質を評価する場合の一つのよりどころだというふうに長年考えておるわけでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、やはりアメリカと日本の場合には、実用新案制度があるかないかということは非常に差があるわけでございます。したがって、実用新案を一件だというふうに、アメリカと比較する場合一件というわけにはまいらないというので、先ほど、内部で難易度を使ったケースを当てはめてみますと、実用新案は実際一ではなくて、〇・三六ぐらいの労働ではないかという意味で申し上げておるわけでございます。
○千葉(佳)委員 私は、こういう処理件数に関する計算方法としては、単純な計算をされたほうがいいのじゃないか。せっかく外国特許が四、内国特許が一、それから実用新案が〇・五、こういうふうに難易度を——これは正確だ、こういうふうに見ます。そうしたら、その場合単純な計算をされて累積されたほうがいいのじゃないか。たとえば四十三年度ですか、これに書いてある十四万五千のうち、実用新案が八万一千件だとしたら、残る特許のうち二七%が外国で、内国出願が七三%とありますから、その外国分は外国分の難易度で計算し、それから内国は内国で一の係数でやって、実用新案部分は〇・五でやって、その三つをあらためて足して、それを六百四ですかという実人員で割ったほうが、そういう単純計算をしたほうが、ものの考え方としては私は正しいのじゃないかと思うわけです。特許庁のこの計算ですと、あらためて特許部分を内国、外国一つにして、それで実用新案部分を一つにして、これは一つですからいいですが、これに三・六二という妙な数字をはじき出して、ワンクッションつけて計算されておりますけれども、私は単純計算のほうがむしろ真実に近いのじゃないか、このように思うわけですが、この点についていかがですか。
○荒玉政府委員 先ほどから申し上げておるわけでございますが、要するにアメリカと比較される場合におきましては、実用新案というところはまず特殊事情でございます。これは、一般特許よりは容易である。こうした場合に実際実用新案が全体のロードから見てどの程度のものかという試みの計算でございます。そのとき、やはり先ほどから言いましたように、内部でロード換算をいろいろやっておるわけですから、そういったロード換算を頭に描きますと、実際に実用新案にかかったロードが出てくるわけです。つまりあくまで、ここで申し上げておりますのは実用新案はどの程度のウェートか、こういう数字を考える場合の一つの試算でございます。したがいまして、外国、内国実用新案はロード換算して実用新案のウェートがどうかという意味でございます。こういった試算が一応の目安として考えられるという意味の数字かと思います。
○千葉(佳)委員 どうもその辺が私には納得がいかないわけですよ。内国出願一に対して外国出願四というロードをすでにきめているのですから、それに対して実用新案が〇・五という数字をさらにはじき出しているわけですね。これだけで単純に計算したほうがいいのではないか。それを今度あらためて内国と外国と一括したものに対するロードというふうに一からげしたものに対して、三・六二分の一というのですか、そういうふうな数字を出しておりますけれども、そうする場合には四と一というふうにきめた意味がなくなるのではないかと私は思う。
○荒玉政府委員 先生の御質問の趣旨を全部わかっていないかもしれませんが、違いますのは、アメリカに実用新案はないということです。これはわかっていただけるかと思います。全部をグロスでいきますと実用新案も同じような価値になる。それではアメリカの比較とはまず妥当でない。その前提は御了解いただけると思います。そういった場合には実用新案のロードがどの程度になるかという計算を先ほど申し上げましたような形でしておるわけでございます。それともう一つは、おそらくわれわれが審査する場合外国出願と国内特許は違うという前提に立っております、一対四でございますから。そういったそれぞれの出願の難易度が違うという前提をもし認めていただくならば、外国特許はどう、国内特許はどう、実用新案、特許をやりましても、私は結果の数字はひとしいのではないか、かように考えております。
○千葉(佳)委員 私は、この場合アメリカの実用新案、特許が一本立てになっているということを論じているのではないのです。それはそれであとから触れるとしましても、それは切り離して単純な処理件数でものを考えよう、そういう場合に難易度は四、一、〇・五ときめているのではないか。総体の件数もある。総体の件数のうち特許が幾ら、実用新案が幾ら、しかもそのうち内国が幾ら、外国が幾ら、こういうふうにして何%ときまっているわけです。それに四をかけたり一をかけたりするわけですから、それを単純に三つのブロックに分けて計算して、その難易度のトータルを実人員の六百四で割るというそういう方法が、純粋な一人当たりの処理件数をはじき出す根拠になるのじゃないか、こういうことを言っているわけです。だからこの場合アメリカのことは論じてないわけです。
○荒玉政府委員 最後に先生おっしゃいましたように、アメリカが審査する場合に、かりに外国出願の難易度というものがあるとするならば、そういった先生のおっしゃる計算と合うのではないかと思います。アメリカは単純に——ですからわれわれが難易度という計算をするならば、アメリカも難易度ということで両者が比較されるというふうに考えられるわけでございます。ですからいま先生のおっしゃったような計算をすることも一つの方法でしょうが、その場合にはあくまで先ほど言いましたようなアメリカの八十をどう分析していくか。つまりわれわれの分析の対象と同じような分析の対象が可能かということまで詰めていきますと、あるいは結果としてはそう差がないんではないかというふうにも考えられるわけでございます。
○千葉(佳)委員 実はそこから差が出てくるわけですよ。これは私の計算によりますと——ちょっと長官書いていただきたいと思うのですがね。この方程式が正しいかどうか、あとからひとつ判定願うとして、64179×(4×0.27+1×0.73)+81132×0.5/604=156730/604=259.5となる。こういうふうに単純に計算すると、そうすると私から言わせればワンクッションですが三・六二という数字をはじき出して計算されると百四十三件、こういうふうになりますがね。私もいま単純に計算したところによると二百五十九件となるわけですよ。三百三十二件という数字にやや近い数字が出てくるわけです。ですからおそらく長官の意図する三・六二という複雑な作業をしてはじき出した数は、いま言いましたように百四十三・三ですから、なるほど八十件というものに非常に近いような数字に見えてきますけれども、いま私が単純に計算したところによると、依然として二百五十九・五という数字にとどまっている。そうすると八十件と隔たること非常に遠い、こういう印象をあくまでも受けるわけです。この点についていかがお考えですか。
○荒玉政府委員 ちょっといまの方程式の全部を私いま理解してないかどうか知りません。ちょっと感じで気がつきましたのは、結局いま先生おっしゃった数字をもっと端的に言いますと、実用新案は〇・五じゃないか、したがって、それだけ加味すればいいんじゃないか、こういうふうな式と理解してよろしゅうございますか。——その意味でございましたら、先ほど言いましたように、われわれの換算しますのは、あくまで外国はむずかしい、事実そうでございます。こういう意味からの一つのポイントがあるわけでございます。大体、いま出願の内外比は、特許の場合三分の一でございますが、加重平均いたしますと、大体半分くらいのロードがかかってくるわけです。そういった前提でわれわれは内部でいろいろ計画しておる。だから実用新案が半分だというだけではなくて、やはり外国はむずかしい。その場合にアメリカにおきましても日本と同じかどうか知りませんが、やはり内外比というのは、相当むずかしいわけでございます。したがいまして、同じ八十件の中には、われわれがむずかしいという面もアメリカでも入っておるわけです。したがって、先ほど申し上げました向こうのそういった難易度その他を含めた意味の数字を比較して初めて実際の姿がわかると思います。先生先ほどおっしゃったのは私わかりますが、それは実用新案が半分だということだけの係数には、実際のロードとしては、それだけで比較するのはいかがか、かように思っています。
○千葉(佳)委員 だいぶ長官もがんばるようですから、観点を変えまして、ではアメリカの八十件という中には、いま先ほどから言われているように実用新案の特許も一緒だ、日本でいえば一緒だということになると、当然実用新案部分に相当する何がしかは入っておるわけですね、難易度の非常に簡単なやつですね。そうすれば、八十件という数字は、日本だったら実用新案〇・五に相当する部分も相当数含まれているとするなら、アメリカの一人当たりの処理件数というのをどういうふうに計算するかわかりませんけれども、少なくともそういう実用新案部分が入っているというふうに予想されるならば、八十件から、件数としては日本流に換算すればますます落ちてくるのじゃないかと私は思う。おそらく七十五件なり六十件というふうに落ちてくるのじゃないかと思う。それは全部ネグレクトしておいて、無視しておいて、八十件という数字だけを表面に出してだいぶがんばっておられるようですが、その点についての見解はどうですか。
○荒玉政府委員 私はいまの数字は一つの数字で、いま先生おっしゃられましたアメリカの中でも日本の実用新案的なものがあると思います、ないとは私申し上げません。ただ、したがいまして、ほんとうに比較するためには一件一件やるのでないと、いま先生がおっしゃったように実用新案的なものも私はアメリカにあると思います。ですからそういう意味では一つの見方のせいでございます。そういう意味ではいま先生おっしゃったように、実用新案的なものは現にあるわけでございますが、ただそれは少ないことも先生御承知かと思います。あるいは発明ごとに、たとえば発明の質が、基本的なものが多くなればなるほどロードがかかるわけです。応用的なものが多ければ多いほど、同じ特許でもこれは時間はかからないわけでございます。そういった発明の質とか、いろいろ比較すればいろいろな問題があるかと思いますが、先ほどから私申し上げましたのは、そういうロード換算して一つの見方ということで申し上げておるわけでございます。先生のおっしゃる点があるとも思いますが、そういう意味で先ほどから申し上げておる次第であります。
○千葉(佳)委員 どうも最後の辺が聞き取れなかったのですが、ずばりいま流に計算したら、八十件から下がりますか、上がりますか。
○荒玉政府委員 八十件が下がるかどうかというのは、これはアメリカの事情でございますので、たとえば換算すれば、内外比は、アメリカでもむずかしいということになれば八十は上がると思います。八十が下がるかどうか——私たちが言っておりますのは、私たち内部で特許庁が計画しておる、実際にそういう仕事のしかたをしておるということでございまして、アメリカの八十が下がるとか下がらぬとかいうのは、アメリカの事情ではないかと思いまして、ちょっとイエス、ノーということを申し上げるべき問題でないと私は思います。
○千葉(佳)委員 いや、これはアメリカの八十件と比較して、先ほど言ったように、実質的に結論部分でそう大きな差がない、こういうように断言しておるから、私も、そうまで断言されるならやはり真実をただしておかなければならぬ、こういう態度で言っておるわけですが、何せこまかい数字ですから、なかなかそうかみ合わないのですが、私が先ほど長官に言った方程式ですね、あの方程式とここに書いておられる百四十三・三という数字を出した方程式と、しからばどこが正しくてどこが正しくないか、私の立てた方程式のどこが正しくないか、長官の立てたこの百四十三という数字の方程式のどこがそれと違って正しいというふうに、数字をはっきり言っていただきたいと思います。
○荒玉政府委員 どこが正しくないというのではなくて、見方がどうかということではないかと思います。先ほどから言いますように、われわれは実用新案のロードを見ます場合に、あくまで外国特許、国内特許、実用新案、こういう三本立ての ロードを考えておるわけでございます。考えるというか、実際にそういう目標でいろいろな計画を立てておるわけであります。したがいまして、実用新案がアメリカと違うといった場合の、まずロードとしては外国特許、国内特許、実用新案三本立てで価値判断する、したがいまして、アメリカの場合は、もう実際の、これはおそらく内部でどういうやり方をしておるか、私知りませんが、統計数字はあくまで難易度を含めた実際の処理量でございますから、したがって、同じ比較をする場合には、アメリカにおきましてもわれわれと同じような換算をすればぴたり数字は合うかと思います。したがいまして、そういう意味での差がここにあるのではないか、どちらがどうかという問題でありませんですが、そういう見方で先生のおっしゃった方程式とわれわれの持っておるのは、そういう前提の差ではないかというふうに考えております。
○千葉(佳)委員 いや、長官は多少誤解——ぼくのほうが誤解しておるのか、長官のほうが誤解しておるのか、三本立てというのは、繰り返して言っておるように、一対四対〇・五というものを大前提としていま言った方程式を立てたわけです。それが二百五十九・五件ということになっておるわけです。ですから、見方が違うといいますけれども、見方が違うことによって百四十三・三件と二百五十九件という非常に大きな開きが出ているわけですね。しかも表題には三百三十二件と書いてあります。ですから見方が違うだけではこの際済まされない問題ではなかい。一人当たりの処理件数ですが、これがつまりは要処理期間二・六というところにびんぴんと響いてくるわけですから、見方が違うというだけでそういうふうに見過ごしてしまうのもどうかと思う。やはり二百五十九と私がはじき出した方程式、これをもう一ぺん御検討——優秀なスタッフもおられるようですから、ひとつどこが正しくないから二百五十九件になったという指摘をしていただかないと、私としても一人当たりの処理件数について納得することはできないわけです。具体的に数字は厳格な数字として出てきているわけですから、百四十三というのと私がやった二百五十九というやつ、こういう数字が出てきているわけですから、ものの見方、考え方などというのではなくて、具体的にこの数字が間違いだというものを指摘してもらわぬと困る問題じゃないかと思うのです。
○荒玉政府委員 ですから先生のおっしゃっておりますのは、実用新案が〇・五だけの面を見ればいいじゃないか、われわれはその中に外国と国内特許のウエートを入れておるわけでございます。国内特許が一でそれから外国特許は四だ、そういう全部の換算を考えて、実用新案のウエートを出しておるわけです。〇・三六というのはそういう意味で全体のロードを見て、そして実用新案が一人前ではございません、〇・三六でございます、こういう数字でございます。だから千葉先生のは外国特許のウエートの四を国内特許と同じようなウエートで考えられた方程式だと思います。それならばアメリカの八十というのは——われわれはロード換算、つまり同じ一件一件じゃないわけですが、アメリカは突っ込みでございますから、内外一本の価値で、それは八十でございます。うちの場合は価値がロードからいえば違います。それが実用新案のほんとうのロードをあらわすファクターというふうに、そこのあたりが先生のおっしゃった方程式との差ではないか、かように考えております。
○千葉(佳)委員 依然として私の疑問は消えません。繰り返して申し上げるようですが、一と四と〇・五とちゃんと出しているのですからね。ちゃんと出して、さらにまた三・六二というふうにあらためて出すということは、どうも私はこの辺に数字のマジックがあるような気がしてならぬわけです。ですから、あとからでもいいですが、ひとつ私が出した方程式、これは非常に単純で、すなおな考え方だと思う。これは大前提の四と一と〇・五というのをそっくりそのまま取り入れてはじき出した数字ですから、そういう意味では、非常に単純であると同時に、より明快な数字だと思うのです。それと同時に、そこからはじき出した二百五十九というのは、三百三十二にやや近い数字で、私としては信用できるのじゃないか。これを無理に三・六二という数字を導入したがために、なるほど百四十三という非常に大幅なダウンをしまして、八十件との差が縮まったような説明ですけれども、そういう説明は説明で、長官流に言うとものの見方でできるのかもしれませんが、一般国民を納得させるに足る数字じゃないと私は思う。現実に三百三十二件という三百件以上の件数を処理しているのが、いや、実は計算方式によっては百四十三件に該当するのですよというようなぐあいにおそらく特許庁としては言いたいところなんでしょうが、しかしそれはあまりに人の目先をごまかし過ぎる無理な方程式を立てたがための、そういう人を非常に驚かす数字になってきているのではないか。ですから、この場合はこの場合でいいですから、ひとつ私の立てた方程式のどこが悪いという点と、だから長官がここで立てた数字が正しいのだという数字をあとからでいいですから……。これは厳密な数字ですからね。お互いに数字にごまかしはないと思う。ですから、どっちが正しければどっちが正しくないということになるのだろうと思うので、ひとつ二百五十九件と百四十三件との差を明確にしていただきたい、このように思うわけです。この点はこれぐらいにしておきます。 一人当たりの処理件数、処理計画の中で、これはアメリカとの比較でないというふうにおそらくおっしゃりたいところでしょうが、三百三十七から始まって三百七十六というところまで数字が落ちてきておりますね、初めのころに出された資料は。したがって、要処理期間が二年六カ月というふうに言われておるのですが、一人当たりの処理件数をこういうふうに計画的にダウンをさせて、二年六カ月という所期の目的は、いまの長官の計画として完全に持っていけるだけの自信がおありですか。端的に聞きます。
○荒玉政府委員 処理計画につきましては、出願が幾ら伸びるか、あるいは人員が幾ら伸びるか、請求率が幾らになるか、あるいは一人当たりの処理がどうなるかという意味の不確定要素がございます。しかしいずれにいたしましても、そういう不確定要素があるわけでございますので、かりに出願がどうなるかということはすぐに影響がありますが、一応与えられた与件のもとにおいてこういった計画を実施して、所期の目的を果たすという確信のもとに考えておる次第でございます。
○千葉(佳)委員 どうも長官の表現が不確定要素がいろいろある、そのとおりでしょう。そのとおりでしょうが、私が初めからこの出願動向のパーセントからいろいろ疑問を持ったように、あまりに不確定要素というのが大き過ぎはしないか。ですから、これまでの十年間の宿弊を今後もまた改善されずに累積して、これはかりの話ですが、かりに法改正されても、出願動向の見方からいまの処理件数、これはアメリカとの対比でいったこの数字のはじき出し方から、どうも不確定要素というよりも、不安定な計算の上になっているような気がしてならないわけです。そういう点で、ひとつあくまでも科学的な見方をされるように希望しておきます。 それから、先ほど冒頭に予算定員と実人員をお尋ねしたわけですが、最初のお話ですと、予算定員が七夏十七名筆人員が六百四名、その差百九十三名という差があったのです。これは最後にお聞きしますが、どんなことを意味しておりますか。
○荒玉政府委員 先ほどの数字は一年ずれておりますので、ちょっと訂正いたします。先ほど実員が六百四名というのはあくまで四十三年度でございまして、四十四年度は六百五十四名でございます。そして審査官の定員が七百九十七名、その差でございます。 特許庁、これは当委員会でもいろいろ御指摘がありますが、全体がきびしい中でも大体百名近い——これは年度によりますが、過去十年以降大体百名近い増員をはかってまいったわけでございます。その際に、これはいろいろ査定その他ございまして、いわば審査官重点主義ということで定員がついてまいりました。御承知のように特許庁の仕事といいますのは、審査官だけふやしたのでは十分でございません。出願書類を受け付けて、そして審査官のもとに回していく。そうしていろいろ事務がまた審査官のところから出てくる。あるいはわれわれは一般の閲覧もございます。あるいは公報発行その他、つまり審査官以外の職員の面がございまして、できれば審査官と見合った増員というものがわれわれは望ましいと思いますが、過去におきまして絶対額は同じでございますが、審査官に傾斜して定員がふえてくるという事実がございます。われわれとしてはできるだけそういったことのないように努力してまいったわけでございます。いずれにしても、審査事務に従事する職員と一般事務の現実のアンバランスがございます。そういう意味でやむを得ず審査官の定員を借りまして、そうして一般事務に充当したという事実がございます。予算定員と実員の差がありましたのはそういった事由に基づくわけでございます。われわれとしては、できるだけ実際の仕事に合うような人員要求なりは当然すべきであると同時に、最終段階においてもそういった方向でやはり考えていきたいと思いますが、少なくとも過去においてはそういうことは事実ございました。その累積がその差になってあらわれている次第でございます。
○千葉(佳)委員 最後になりますが、先ほど私の言った方程式が正しいか正しくないか、この次の委員会まででいいですから、ひとつ出していただくように要望します。 それから、いまの定員に関する問題ですが、滞貨が七十万件もできておるというふうなことをいいながら実際は審査官の数が少なかった、逆から言うとこういうこともあるわけですね。そういう点、特許庁が当然なすべくしてでき得なかったという職務怠慢のそしりが、七十万件の中の何がしかはあるということを、この際官側としても十分肝に銘じていただくようにお願いしまして、私の質問を終わります。
○浦野委員長代理 岡田利春君。
○岡田(利)委員 いま同僚千葉委員から質問もありましたし、なお人事院の関係が、時間の都合があるそうですから、初めに関連して質問いたしたいと存じます。 審査官の確保の問題、また部門別の審査官の養成、また審査官の待遇問題は、どのように制度を改正しても、非常に重要なポイントであると私は考えるわけです。今度の法律改正は、オランダ特許法の改正をも大きく参考にしたように見受けるわけですが、オランダでは審査官の待遇は非常に注意深く、しかもその待遇を引き上げることに努力をいたしておるわけです。オランダの場合、審査官はその勤務時間は七時間で、昼食時間は一時間四十五分、また昇進、待遇等についても特別な配慮を払っておるわけです。こういう面がなぜ一体参考にされなかったのか、また審査体制というものを充実するという場合に、これらの問題についても審議会で十分検討すべきではなかったのか、こういう感じを私は非常に強くいたすわけです。 〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕 そういう意味で、人事院では大体審査官はそれぞれの号俸の八%増し、また官補については四%増しという形で処理をいたしておりますけれども、今日の特許行政の現状から考えます場合に、これらについても徹底的なメスを入れて、これにふさわしい待遇、労働条件というものを定めていかなければならないのではないか。特に経済の発展と技術の高度化に備えて、非常にこの問題は私は本法を改正しても重大なポイントになると思いますので、この点について人事院はどういう認識を持たれておるのか、あるいはまた国際的にそういう調査を十分されておったかどうか、また、これらの待遇の改善についての要求は非常に大きいものがあるわけですが、従来どういう考え方でこれに対処してまいったのか、こういう点について人事院からひとつ御答弁を願いたいと思うわけです。
○尾崎政府委員 お答えいたします。特許庁の審査官、審査官の処遇の問題でございますけれども、これらの方々の職務の特殊性といたしましては、御承知のとおり非常に自己責任的な仕事をなさっておられますし、かつ仕事の対象が非常に技術的であるというところが公務員の中で特徴的な点だというふうに考えております。私どもとしましては、そういう仕事の特殊性ということから、いま御指摘のように、ほかの審査、審判関係とは違いまして、調整額を支給するということで対処をしてまいっておりますが、さらに職務の評価といたしまして、つまり等級評価という関係がございますので、その関係につきましては、毎年等級別定数の上でできるだけの改善をしてきておるという点が私どもとして対処してきている内容でございます。 なお、これらの方々の採用関係が、たとえば三十年の場合には六人採用でございましたのに、三十一、二年の場合には四十人も採用する、三十三年にはまた十七人になるといったように非常に採用のしかたが弾力的に、必要に応じて採用されておるという関係もございまして、制度の上で対処のしかたがなかなかむずかしい問題が若干ございます。そういう関係もございますけれども、定数の上で他の行政機関との関係は十分考慮しつつ、いま申し上げましたような点で対処をしてきておる次第でございます。
○岡田(利)委員 審査官、審判官は特殊性と独立性を持っておると私は思うわけです。したがって、これに対応する消化のしかた、このことはやはりその実態に即したものでなければなりませんし、また人事院としても特別なものでなければどうしてもこの制度と適合しないのではないか。さらに労働時間についても画一的でございますけれども、審査業務の内容から見れば、むしろ休息時間をある程度プラスしてとる、こういう前進的な姿勢で受けとめるべきではないか。このことは、単に日本の国家公務員制度のみならず、他の国の先例も実はあるわけですから、そういう点の積極的な研究が進められて当然じゃなかろうか、こう思うのですが、これらの点についてはどうですか。
○尾崎政府委員 審査・審判官の勤務の規律と申しますか勤務態様の問題につきましては、現在ほかの公務員と同様なたてまえになっていることは御承知のとおりでございますけれども、その関係は、やはりほんとうのあり方としましては、たとえば研究職員につきまして言えば、四十四時間で縛る、いわば四十四時間以内で勤務をし、そうしてそれを終わればそれでおしまいといったようなパターンとしましては、やはりちょっと問題があるところはほかの職種にもございます。そういう研究とか審判とかいう関係は若干そういう問題があるというふうに存じておりますけれども、この問題はほかの職種との関連もございますので、十分慎重に検討する必要があると考えます。 外国公務員、特に当面の審査・審判官の外国における処遇関係につきましては、私どもといたしまして、仕事の関係も人数の関係もございまして、十分調査をするというわけにはまいりませんけれども、特許庁からもいろいろ承っておりますし、今後もできるだけそういう調査をさせていただきまして、参考にすべきところはいたしたいというふうに考えます。
○岡田(利)委員 ぜひひとつこの面については特許庁としても十分調査をされ、研究をされてこれからの問題に対処すべきだと思うわけです。たとえば電算機を導入してキーパンチャーが定員化される、しかし民間は労働組合がありますから、その労働条件について多様な協定をしているわけです。しかしどうも政府の場合には画一的な労働条件になる。これが現状から大きくくずれておる場合が非常に多いわけです。電話交換手のように、休息時間を十二分に与えながらその環境を整備をする、こういう協定は随所に見られるわけですから、もう労働条件の協定についても日進月歩の時代でありますので、そういう点を敏感に把握されて、機能的に能率があがるように、しかも健康が管理できる、そういう体制でこれらの問題が消化されなければならぬと思うわけです。まして今日の特許庁の環境は十二分に審査でき得る環境にはないと思います。新館ができれば環境も改善されるでしょうし、休息のできるような休息室もできるのでしょうけれども、長く放置をされておるあの環境では、決して十二分な審査ができ得る環境にはないし、審査官が次々とやめていくことも私はわかるような気がするわけです。こういう点の改善も積極的に進めていかなければならない。こういう一つ一つの問題が滞貨を生み出しておる原因にもなっておる、かように考えるわけです。この点について通産大臣の所見を承っておきたいと思います。
○大平国務大臣 岡田さんのおっしゃること私もよく理解できます。ただ、職務の分析、格づけという問題は、いま人事院からもお話がありましたように、たいへんむずかしい問題でございますばかりでなく、実際のケースといたしましては、ひとしからざるを憂えると申しますか、職務の内容、格づけが違うからペイもまた違うんだということが一般に了承されて、そういう制度が安定性を持つようになると、岡田さんが言われた趣旨が制度的に生きてまいるわけでありますけれども、現実には、特殊性を認めて高いペイが与えられたならば、その他の者がまた均衡化を求めるという動きが自然に出てくるわけでございまして、そこらあたりに人事行政、給与行政の非常な御苦心があるのだと思います。しかし、私は、このような変革期にありまして、日本が今後生きていく上におきましては、技術といいますか知識といいますか、そういったものが日本の生命線であろうと思いますも技術国家というか知識国家というか、そういった姿のものに日本がこれから伸びていかなければ日本の活路はない。資源がない、領土の狭いところで日本が伸びていこうとすれば、そういう活路しかないわけでございますから、われわれの国が国民的なコンセンサスとして知識国家になろうじゃないか、技術国家になろうじゃないかというようなコンセンサスができてくるということに政治はつとめて、それであなたが言われたような趣旨が制度の中で生かされて、しかもそれが定着性を持ってくるというように、全体として政治は誘導しなければならぬものと思います。現実にいろいろな制約がございますけれども、私は、おっしゃった方向は正しい方向でございまするし、建設的な方向でございまするし、またわれわれが追求しなければならぬ道標であると思います。
○岡田(利)委員 行管からも参っておりますので、他の省の関係で一つだけ聞いておきたいと思います。 先ほども千葉議員が質問いたしておりましたがが、調査室で出した資料に基づきましても、出願件数、定員のいわば国際比較から見まして——もちろん出願件数の内容そのものは違いがあるわけです。アメリカなどの場合には非常にオリジナルなものが多いでしょうし、日本の場合は派生技術、応用技術が出願に多うございますし、実用新案の特殊性もあろう、こういう点も私ども十分理解をいたしておるわけです。それにしても、業務の内容と定員の問題は非常に問題がある。また定員が定められても定員が充足できないという問題がある。しかも今日七十万件に及ぶ滞貨がある。わが国の特許行政はまさしく破産寸前にあると、こういわれているわけです。行政管理庁としても当然これに対しては無関心ではおられないはずであります。しかも三十五年以降逐年滞貨がふえてまいっておりますし、最近特に急激な滞貨が生まれておるわけですから、行管としても当然これに対処する姿勢がなければならないと思うのです。特に審査官の確保がむずかしゅうございますから、先ほど述べておるように、新規採用された者が換算で一〇%だ、いうなればこれは予備定員、予備審査官、こう申し上げてもいいのであって、研修過程と理解してもいいのではないかと思うのです。しかも国際的にどこの特許庁を見ても審査官の確保は非常にむずかしいのでありますから、そういう意味では、新たな制度なり新たなくふうをむしろすべきではないか。予備定員的な研修制度、こういうものを持って常に供給ができ得る体制というものをつくるとか、もちろん待遇改善と相またなければなりませんけれども、そういう点についてやはりくふうしなければならぬのではないか。残念ながら今日百数十名の定員と実員との差があって、この面については事務その他定年退職者、こういういろいろなくふうでこれを埋め合わしておるという不安定な状態にあることは論をまたないのでありまして、こういう面についても、特に行管としてはこの定員問題についてどう見られておるか、またこの運用について先ほど長官から述べられましたけれども、どのように把握され、どのように対処されておるのか、この際ひとつ見解を承っておきたいと思います。
○石原説明員 先生御指摘のように、特許庁職員の方々の非常な高能率と申しますか、非常な御努力にもかかわらず、四十三年度で七十万近い未処理案件と申しますか、滞貨を見ておるという行政実態というものは、これは好ましくないと申しますよりは、いささか異常ではないかということだと思います。そういう実態の上に立ちまして、今回特許庁も制度の改正の面から何とか打開の道をお考えになっていることかと思うのでございますが、行政管理庁といたしましても、そういった実態を十分踏まえまして、所掌事務の定員の管理の面から特許庁のお考えになっております計画に積極的に協力してまいりたい。 実は特許庁の問題につきましては、先生御承知の臨時行政調査会におきましても強い意見が出ておりまして、自来定員は、細部につきましては非常に御不満の面もあるかとも思うのでございますが、大勢としましてはずっと百名内外の定員をつけていっておるわけでございます。特許庁のお考えになっております計画にもあるのでございますが、私どもとしましても、一人当たりの処理件数の数字を下げながら、しかも平均処理期間を下げていくということを基本的な考えとしまして、今後も定員の管理の面から十分特許庁に協力をしてまいりたい、かように存じておるわけであります。
○岡田(利)委員 私は、今回のこの制度の改正というものは、どうも聞いておりますと、審理の促進がなされるということにあまりウェートがかけられておるのではないか、こういう感じがするわけです。私は、今度の改正というものは、そうではなくして、質的なものだという理解をしているわけです。そういう意味で、制度の改正で審理が促進されるということにあまり期待をかけ過ぎることは、今度の法改正の趣旨の本質からいって、ちょっと問題があるような気がするわけです。そういう意味で、そこに期待をするというのではなくて、審査官、審判官の持つ先ほど申し上げました特殊性や独立性あるいは環境、また国際的にも非常に確保がむずかしくなっている現状、まして部門別の審査官が強化をされなければならぬという情勢、こういうものに対応して、この定員の問題につきましても、確保の問題につきましても、それに適切な対応策が検討されなければならないのではないか。もちろんこれは特許庁自体で考えることでもありましょうけれども、行管自体としても、やはりこれに対する理解が必要だと私は思うわけです。 この際、お聞きいたしておきますけれども、今日衆議院を通過しました総定員法とこういう定員の関係についてどういう考え方を持っておられるか。当面、定員については、四十八年ですか、特許庁が定員についての構想を出されているわけですが、これを一応了として、実情を見てこれに対応ずるという考え方を持たれておるのかどうか、こういう点について伺っておきたいと思います。
○石原説明員 総定員法そのものと、現在の特許庁が直面しておられる問題自体、直接の関係はないかと存ずるのでございますが、総定員法の趣旨というものは、定められました最高限度内におきまして行政需要、つまり特許庁の場合などはまさしくそうでありますが、そういう方面に人を振り向けて弾力的にやっていこうという基本的な精神でございますから、今後特許庁——いま五カ年計画をお考えになっておりますが、これが進行途中でいろいろ、どういう実態からくる問題が出るかわかりませんが、いずれにいたしましても、そういう諸問題について定員の面から弾力的に対応しようということでございますし、私どももその総定員法の基本的な考えを受けまして、特許庁の御計画の推進に協力をしてまいりたい、こういうことであります。
○岡田(利)委員 私は、きょう若干角度を変えて質問いたしたいと思うのですが、それは今度の特許法の改正案が出されてまいりました環境といいますか、背景といいますか、そういう角度から若干質問いたしてみたいと思うわけです。 先ほど大臣も触れられましたけれども、わが国の経済発展はいわば技術導入によってささえられていたと言っても過言ではないと思います。そしてその技術導入というのは戦中、戦後のいわば空白時代を縮小させた、埋めた、こう考えることができると思います。調査によりますと、その七〇%は特許権の実施許諾によるものでありますが、しかし反面、今日わが国の技術開発の面ではやはり立ちおくれを来たして大きな技術格差が生まれておる、このように理解しなければなりません、大体出願内容等を見ましても、この技術導入によってわが国お得意の応用技術あるいは派生技術の開発によって、いわば今日の産業構造を先進国型に変えてきた、こういう理解を私はいたしておるわけです。しかし、わが国が当面している開放経済体制の時代を迎えてまいりますと、外国の企業の行動の自由化時代に入ってまいるわけです。そういたしますと、結局特許によって裏づけられた技術の独占機能というものが強く復活しつつある、私はこういう理解をせざるを得ないと思います。これがさらに進んでまいりますと、むしろ逆に封鎖経済時代のように、技術の導入というものは非常に私はむずかしくなってくるのではないか、こういう認識をいたしておるのでありますけれども、この認識について大臣としてどう思われるか、またこの認識が正しいとするならば、当面これにどう対応されていこうとされておるか、こういう点について見解を承っておきたいと思いますす。
○大平国務大臣 自由化と申しますのは資本、物、それから仰せの技術、そういったものの自由化を意味するものでございまして、わが国といたしましても、世界的な潮流でございまする自由化にさおさしまして、できるだけ早く各分野におきましての自由化を進めていくべくスケジュールを持ちまして、いま鋭意進めておりますことは御案内のとおりでございます。そのことは、いま御指摘のように、外国の技術が権利化されたものが入ってきて、それでわが国の市場に対しまして独占的な影響力を持ってまいるというようなことは当然起こることでございまして、仰せのとおり、開放経済下にありましての技術の自由化ということに対しまして、相当技術格差——技術水準それから技術の開発力がおくれておる日本といたしましては、それだけの影響力を受けなければならぬことは御指摘のとおりでございます。これに対する対応策でございますが、第一は、何と申しましても自前の技術の開発を急がなければならぬわけでございます。ようやくわが国の研究投資もヨーロッパ並みくらいのところまで参っておりまするけれども、いままである格差を埋めてまいりますためには、一段と官民の研究投資を増額いたしまて、みずからの固有の技術を開発して、これに対抗してまいるということが一番オーソドックスの対応策であると思います。 第二といたしましては、しかしながらわが国が独立国家として配慮しなければならぬいろいろな政策要請がございますので、兵器であるとか、原子力であるとか、その他特殊な分野につきましては、いま直ちに自由化に踏み切るとかいうようなことは危険でございまして、政府の賢明な対応措置をあわせて講じながら、態勢といたしましては自由化に立ち向かっていくだけのポジティブな姿勢を固めてまいるということでなければならぬと思っております。
○岡田(利)委員 最近の外国の投資家は、その保有する特許その他の技術を一〇〇%の子会社以外には全く提供しない、こういう傾向が日本のみならずヨーロッパでも強まっていると思います。また、技術を導入したわが国の企業がその再実施権の譲渡を拒否するという傾向も漸次私は強まりつつあると、こう見ておるわけです。特にヨーロッパ、日本に対するアメリカの企業の場合には、国内向けの販売を主にいたしておりますから、ほとんどその企業の生産するものの輸出というものは微々たるものである。特にわが国の場合には最低である。ヨーロッパにおいても比較にならないわけです。多いところで三〇%、大体二〇%前後というのが非常に多いように見受けられるわけです。 したがって、そういう観点から考えますと、いま大臣が触れられました技術の自由化政策というものは、わが国として特に輸出型の経済でありますから、慎重に配慮していかなければならない。このことは私は当然かと思います。 しかし、いま触れられたように、それぞれの部門における指定特許の自由化の方向というものはまた避けられない立場にあるという理解もできるわけです。ですから、そういう意味で私は具体的に技術の自由化政策、すでに百六十八くらいのうち二十種くらいの自由化を日銀の指定特許として通産省はこれを取り上げた経過もあるわけですが、今後、一体どういう政策を持っておるのか、この点は企業局からでもけっこうですから、お聞かせ願いたいと思います。 それと同時に、ノーハウ契約がともすれば輸出地域の制限あるいは原材料の輸入義務などの拘束事項が必ずつく、こういう傾向がまた非常に強いわけです。したがって、この個別審査はやはり依然として厳格にしなければならぬという立場に私はまだあると思うわけです。独禁法との関係もございますけれども、これらについて当面どういう具体的な対応策を持っておるのか、この点についてお聞かせ願いたいと思います。
○大慈彌政府委員 技術の導入の問題でございますが、すでに数次にわたって規制の緩和を従来からいたしておりまして、その間ほとんどの申請案件は認可をされてきております。そういう状況を踏まえまして、昨年の六月一日から外資審議会の審議を経まして、ほぼ全面的な自由化に踏み切ったわけでございます。でございますが、原子力であるとか、宇宙開発であるとか、あるいは電子計算機、石油化学、そういう特殊な先端技術の分野におきましては、なお政府がその導入の調整を行なう必要がある、こういう考えから自由化をしておりません。個別に審査をすることにいたしております。 それから、すでに自由化をしました分野においても、日本の経済に重大な悪影響を及ぼすという場合には、個別にチェックができる。こういう安全弁といいますか、チェックできるシステムを残しております。 そういうことでございまして、それから先ほど御指摘いただきましたように、資本と結びついて入ってくる、あるいはさらにクロスライセンスを要求する、こういう事態もいろいろ考えられますが、現状においては若干そういう事例もございますが、昨年の自由化以来、従来どおりの形で入ってくる件数が非常にふえておりまして、それ以前のほとんど倍に近い形で技術導入が行なわれております。 それから輸出地域を制限するというような点でございますが、これは独占禁止法の分野になるわけでございますが、独占禁止法の第六条によりまして、不当な取引制限、または不公正な取引方法に該当する事項を内容とする技術の導入契約というものはチェックをするということになっておりまして、こういう場合が該当するのだという認定基準が公正取引委員会のほうで発表されております。その中に輸出地域を規制するものというのは当然入っている状況でございます。
○岡田(利)委員 技術の自由化政策を進めていく場合に、ブロック別に分けますと、わが国がいわば外国に格差をつけているグループ、それから大体格差が縮小しつつあって、ほぼ近づいているグループ、それと依然として格差をつけられておるグループ、大体大別してこの三つのグループに分けられるのではないかと思うのです。いま触れられたように、厳然として格差をつけられておるグループの中には、航空機とか、特殊船舶とか、電算機とか、いろいろあると思うのですが、大体厳然として差をつけられているグループの代表的なものは、私いま三つあげたのですが、それ以外にどういう業種、産業がございますか。
○大慈彌政府委員 現在自由化しておりません業種を申し上げますと、ただいまお話のございました航空機、それから武器火薬、この辺は若干目的が違いますが、それから原子力、宇宙開発、電子計算機、石油化学、以上でございます。
○岡田(利)委員 ソビエトは新しい五カ年計画を実施するにあたって、いわば自国の技術の水準というものを国際的な位置を確保しなければならぬということで、パリ条約に加盟いたしたわけです。このことは米ソといえども、今日巨大な科学から生まれる巨大な技術、こういうものをみずから開発することは有利でも可能でもなくなってきている、こういうことを意味している非常に象徴的なできごとではないか、私はこう考えるわけです。わが国の国民総生産が米ソに次いで第三位という五十兆をこえたわけですが、技術開発の面から見て、わが国は国際的に一体どういう位置にあるか、国民総生産は自由諸国では第二位であるけれども、技術開発の面から見てどういう位置にあるのか、こういう点についてはどういう認識でありますか。見解を承っておきたいと思います。
○大慈彌政府委員 私からお答えするのが適当かどうか、工業技術院の院長が来ておりますと非常に適当だと思いますが、来ておりませんので、ほんとうのしろうと考えで恐縮でございますが、わが国の技術というのは相当なスピードで向上してきていると思います。ただし、先ほど大臣からお話がございましたように、技術に対して国が支出する金額というのは圧倒的な差がございます。したがいまして、全体をひっくるめた研究投資額というのも大きな差がございます。アメリカでの研究開発費でございますが、よく言われますが、国民所得比で三・六%、日本は一・八%ということで、ちょうど半分でございますが、全体の国民所得の差が大幅にございますから、アメリカでは八兆五千六百億という研究開発費でございますが、日本では六千億ちょっと、こういうことでございますから、技術的には相当な差があるのはやむを得ないというのがいまの現状だと思います。これは、アメリカの資本がヨーロッパに出た場合に、アメリカの挑戦ということで、技術のギャップが一番大きいということであったわけでございますが、しかし、国が支出する比率につきましても、国民所得比につきましても、ヨーロッパの段階まではだんだん近づいてきたという状況であろうかと思います。したがいまして、技術の点についても相当な段階に来ているというふうに見るべきではあるまいかと考えますが、どうもしろうと考えでございますから、お許しを願いたいと思います。
○岡田(利)委員 内外の大企業間の特許技術をめぐる攻防が最近はさらにエスカレートいたしておると思うわけです。したがって特許戦争というのは、内外の大企業を軸として技術の独占化にしのぎを削っている、このことをずばり特許戦争ということばであらわしているのではなかろうか、こう思うわけです。しかし、特許法の国際化という面から、特許協力協定についても、わが国は四十八年から五十年の間にこれに参加をする、あるいはアイシレパットという情報機関もある。さらにまた地域特許制度という面を見のがしてはならないと思うわけです。たとえば一九六二年ですか、発表になりましたEECにおける特許法の草案、またアフリカ諸国で協定された一九六三年のマダガスカル協定あるいは北欧四国における北欧特許制度、四カ国が北欧特許制度を採用いたしておるわけです。こういう点についても私どもは重大な関心を払わなければならぬと思うわけです。もちろんアジアにおける工業水準というものは極端な開きはございますけれども、このアジア経済圏における特許関係の国際協調というものは、当然わが国として、徐々にではありましょうけれども考えてまいらなければならないのではないか、こう思うわけですが、こういう点についてはいまわが国は一体どういう対処をされておるのか。さらにまたASPACの中でも、技術援助ということが強く期待をわが国はされておるわけですが、この技術協力の基本になるものは一体何なのか、そういう点から、これからわが国として、特にアジアにおける技術協力あるいはまた特許関係の国際協調、協力、こういう面についてお考え方をお聞かせ願いたいと思うわけです。
○荒玉政府委員 特許関係の国際化というのは、先生御指摘のように一年一年急速に進んでおりますと同時に、もはや思想の段階でなくて、実行の段階というわけでございます。それに対しまして大体三つの角度からわれわれは考えていくべきではないか。 第一にPCTを中心といたします相互の審査協力、この問題でございます。御承知のように審査をいたしまして——各国ともやはり審査主義はとらなければいけないけれども、その負担に耐えかねておるというのが、これは日本だけでございません世界的共通な現象でございます。その場合に、どうしてその負担を軽減すべきか。御承知のように、一つの発明につきまして、日本でもそうでございますが、大体数カ国同じ発明について出願をするわけでございます。日本でいえば、日本、アメリカ、西独あるいは場合によりますとソビエトあるいはオランダ等々、こういった形のそれぞれの出願をどうしたら合理的に処理できるかというのが、いわゆるPCTのねらいでございます。具体的に申しますと、まず一国がサーチ機関になりまして、これがいわゆる下ふるいの審査いわゆるサーチをやる。それをもとにいたしまして、出願人は各国に出願するかどうかをきめていく。そうしますと、現在はそういったものがございませんから、同じものを数カ国に出していく。各国は二重に審査していく。これでは能率が悪いから、先ほど言いましたようなPCTをつくりまして、そして効率のよい審査をやっていく。これは当然わが国といたしましても重大な関心を持つと同時に、やはり国際化の波に乗って国際的な協調もはかると同時に、われわれの負担も軽減していきたい。これは当然われわれとして前向きに処理したいと思います。アイシレパットというのは御承知のようにお互いの審査資料を最も合理的に共通に使っていくということでございますので、当然われわれとしては進んでいくべきだと思います。 それからその次はEECの特許という問題でございます。これは御承知のように現在の特許はそれぞれの国が主権を持っております。したがって、特許はそれぞれの国で別な特許でございます。特にEECの場合は御承知のような長年の方向づけがございます。したがいまして、できるだけ一本化していこう、こういう態度でございます。ただ、日本の場合にEECの中に飛び込むとどれだけのメリットがあるかという問題がございまして、やはり国際化はPCTを中心に今後を考えていけばいい。EECに飛び込むというメリット、デメリットはあるのかないのかという意味では、直ちにそちらに入っていく必要はない。 最後に、アジアの問題でございます。端的に申しますと、やはりアジアは一本、特に工業所有権の面で一本だというにはやはり今後時間がかかると思います。御承知のように、アジアの国は工業的に申しまして日本と比べますと相当の開きがございます。それと、それぞれの国内の事情がございます。したがいまして、おそらく一本化していくということは近き将来にあるとは私考えておりません。また、日本といたしましては、これはやはり何といいましてもその面におきましてはアジアの先達でございます。毎年われわれは数多くの留学生を受け入れまして、そしてできるだけ日本の歩んだ姿をアジア地域に広げていく、そういう努力が現在としては一番効果的だと思います。それと同時に、御承知のように一番近隣の韓国との間におきましても、昨年商標の保護が終わったばかりでございます。特許等の保護は依然としてそう保護されていないという状況でございますので、その地域におきましては、お互いの事情を理解しながら、われわれとしては、先ほど言いますように日本の歩んだ姿をたびたび実際の目で見ていただき、それを広げることによりましてできるだけ工業化が進んでいく、ひいては、遠い将来にはお互いに工業所有権を保護し合って、できるだけ効率のいい制度にするということを、将来の問題として考えていくという方向でありますのが現在の状況かと思います。
○岡田(利)委員 オランダの特許法の改正並びに西ドイツの特許法の改正、EECの特許草案に根ざした改正である、こういわれてもおるわけです。端的に申し上げまして世界の特許の流れでありますけれども、ヨーロッパ型にいま大きく流れておる、こう言う方もおりますし、いや、そうじゃない、特許法のあり方からいって、日本のように厳格な審査主義を徹底してとるべきであるという説もあります。国際的に見て当局はどういう認識をいたしておりますか。
○荒玉政府委員 大勢といたしまして、やはり審査主義は維持していく方向だと私は考えております。御承知のように工業国としていわば世界で有数な国は大体審査主義でございます。アメリカ、西独あるいはソビエト、ヨーロッパ諸国。御承知のようにラテン系の国は無審査でございます。ただ無審査にいたしますと、特許というのは御承知のように、その上に膨大な投資をいたしまして、そうして研究開発し、利益を回収するわけでございます。そういたしますと、無審査では権利が不安定でございますので、思い切った投資ができないということで、そういう無審査国でも、すでに一部の業種につきましてはやはり審査をしなければいかぬ——一部といいますのは、たとえばその国で重要産業、スイスで言いますならば時計とか織物とか、そういう産業はやはり審査主義をとっておるという意味におきましては、やはり今後の方向も審査主義という方向にあると私は思います。ただし先ほど言いましたように、審査主義を維持いたしますと、どうしても審査能力という面から見まして各国とも共通の悩みを持っておるわけであります。それをできるだけ国際協調の場においてその負担を軽減していくという意味では、全く同じ方向に歩んでいくというふうに、少なくともここ当分はそういうふうに予想される次第でございます。
○岡田(利)委員 これは昭和四十一年のあれですが、わが国のトップ企業である日立製作所は、本社、工場、研究所に特許部を設けて、十人ぐらいの弁理士を置いて、含めて二百人程度の陣容をかかえて、年間三千件、今日では四千件をおそらくこえておると思いますけれども、そういう体制をつくっておるわけです。またイギリスのICI、化学会社では本国出願は大体四十一年で八百件ございます。しかし外国に対する出願は四千件程度に達しているわけです。また日本の特許庁に対しても外国企業は昭和四十一年度でおそらく四千件程度の異議申し立てがあった、こう聞いておるわけです。またわが国の大企業も外国会社の特許に対して非常にきびしく警戒をし、いろいろな形で異議の申し立てもしておるわけですが、特に外国特許機関に対するわが国企業の異議申し立てあるいは出願の動向について、この際承っておきたいと思うわけです。
○荒玉政府委員 日本の企業が外国に対してどの程度異議をやっているか、その点は恐縮でございますが資料がございません。ただ逐次外国出願は年々ふえております。一年一年日本から外国へ出願するのは件数はふえております。
○岡田(利)委員 私は今度の法改正で、未審査の滞貨の原因は、端的にいえば出願件数と審査能力のバランスが大きくくずれたということが滞貨の原因であると思うのですが、ただ単にこれは算術的な意味における出願件数が増加をしたという理解ではちょっとおかしいのではないか。それはやはり今日の日本の経済力から申しましても、技術の内容というものが高度化してきて、いわゆる量的な把握よりも質的な把握、こういう点についてわれわれはいろいろ検討しなければならないのではないか。そういう質的な変化ということが早期公開、請求制度の採用ということになっておるのであって、審査の促進、滞貨を解消する量的な把握という立場を主張することはどうも本質的におかしいのではないか。むしろ質的な把握、そこに量的な面というものが従的に考えらるべきものだ、でないと、この早期公開、請求制度の採用というものはおかしいのではないか、私はこう思うわけです。こういう点の認識についてはいかがですか。
○荒玉政府委員 結局、量、質はからみ合った問題かと私思います。といいますのは、大体審査は一年一年むずかしくなっていく、それは処理件数の低下になってあらわれておるわけでございます。といいますのは、御承知のように中身を読んで、そうして過去に同じものがあったかどうかを調べて、特許するかどうかということであります。いま先生おっしゃる中身を読むという中身は一年一年むずかしくなっており、対照すべき資料は減ることはございません。判断もやはりむずかしくなっている。それが一人当たりの処理件数の低下になってあらわれてきておるわけでございます。したがいまして、量、質は実際的には同じものでございまして、やはり質と量、両者から見て、現在の状況では、もちろん先ほどからいろいろ議論があったかと思いますが、人員その他を拡充する必要はあると思いますが、それだけにたよるには不十分だという意味の改正でございますので、そういった意味では私は量、質含まっておるのではないか、かように考えております。
○岡田(利)委員 私は長官のいまの説明には納得しないわけです。私は、量的なものを同様に把握するとするならばまだ方法があるんだ、こう思うのです。しかし量的なものは従であって質的なものが主なんだ、今日の経済発展、技術開発の傾向から見てそういう認識であるならば、この制度という問題を本質的にわれわれは考えなければならぬと思うのです。量的なものであるならば、これは処理する方法はあるわけです。まして特許庁の予算は黒字でありますし、要するに処理能力というものを別途に考える、あるいはさらに強化拡充する、あるいは全体の審査の事務、総体的な体制を整備する、こういう思い切った画期的な方法で、ある程度滞貨の処理というものは可能だと思うわけです。そういう意味では、残念ながら長官の認識とは多少違うわけです。むしろそういう点でなければ、この改正案の趣旨というものはほんとうに説明として生きてこないのではないか、私はこういう認識を持っています。 そこで処理の五カ年計画について、先ほど千葉委員も質問いたしておりましたけれども、計画でありますから、計画は予定にしてしばしば変更されることがあるというのが一般的な通例のように思いますけれども、この計画をずっと検討してみますと、千葉議員もいろいろ質問しておりましたが、この確信というものがほんとうにあるのかどうかという点について私は疑義を持たざるを得ないわけです。むしろこういう計画であるけれども、機能的に対応でき得るむしろ弾力的な体制、こういうものをやはり十分考えておかないといけないのではないか。単に法改正するしないにかかわらず、基本的にそのことが必要であるような気がするわけです。そういう点についてはどういうお考えであるか、この際お聞かせ願いたいと思いますし、確信の度合いについて端的に聞いておきたいと思うのです。
○荒玉政府委員 この改正の中には法改正をした場合としない場合とどういう差があるか、実はそれがまず法改正の問題といたしましては大事な点でございます。四十八年度で、改正をした場合には一応二年六カ月、しない場合には四年一カ月、差が一年六カ月、ここにまず改正プロパーの問題といたしましては一番最大な点があるかと思います。ただ、いま岡田先生もおっしゃいましたように、法改正以前の問題も法改正と同様に重大な問題がございます。この計画でもやはり人員はふやさなければならぬ。もちろん先ほどから議論ございましたように、人員、量的拡大のみならず、質的な素質の向上、こういったものを含めた問題、これは現行法でももちろん必要でございます。改正いたしましてもその価値はいささかも変わらない、むしろ今後の問題といたしましてはわれわれとしてはきわめて重大でございます。そういった全体を含めてやはりわれわれが技術革新に即応し、新しい処理体制をつくっていく、そういう意味を含めてこういった目標の達成にわれわれは努力をしなければならぬという意味では、むしろ法改正以前の問題自身を私自身も法改正と同様に重大に考え、またそういった理想——理想といいますか、そういった審査官増員あるいは資質の向上というのもぜひやるべきである、かように考えております。
○岡田(利)委員 ドイツの特許法の改正にあたって、その前に一九六八年一月一日より物質特許制度というものを採用し、今度の改正に踏み切った、こういういきさつがあるわけです。あるいはまたイギリスやアメリカでは古くから物質特許制度が採用されて効果をあげておることも御存じのとおりです。わが国においてこの法改正にあたって、物質特許の問題について、審議会でもこれは審議されていないようでありますし、なぜこれが取り上げられなかったか、また今後物質特許制度を採用するかどうか、こういう点について端的にお聞かせ願いたいと思います。
○荒玉政府委員 化学物質の特許あるいは医薬の特許をおそらく含めた御質問かと思いますが、この問題につきましては、三十四年法の改正のときも長期にわたって議論をしてまいったわけです。そのときには、まだ日本の化学工業界が自信がなかったということでございます。御承知のように、物質特許にいたしますと、新しい方法が出てきた場合におきましても物質特許の制約を受けるわけです。そういうことで、この前の改正はいたしませんでした。最近にいたしましてもその問題、実は論議しなければならぬ、ただドイツが昨年改正いたしましても実は長年の——たとえば同じ物質特許と言いましてもどの段階の物質特許であるかというあたり、そういった実は問題がいろいろございますので、そういった専門的な問題をいま詰めております。したがいまして、化学業界が十年前と今日とは格段の差があるというのも事実でございます。ただ、これはやはり化学工業界の研究体制その他と関係ありますので、化学業界といま共同研究しております。そういったことでで、やり得るということになりましたら、私としては早い機会に物質特許、医薬特許を認める方向で考えるべきではないか、かように思っております。
○岡田(利)委員 このめどは、PCTにわが国が加盟する前ですか、あとですか。
○荒玉政府委員 私のいまの考えでございますと、PCTそのものは、化学物質特許は問題ございません。一番問題になりますのは、しばしば本委員会で申し上げましたように、多項制を採用するかどうかという問題でございます。物質特許の場合もやはり多項その他の相関関係もございますので、おおむねの心がまえといたしましては、多項制を含めて、やはりPCT発効時期までには態度をきわめていきたい、かように思っておりますす。
○岡田(利)委員 審査請求が大体七五%くらいを見ておるようですが、これが大きくくずれるとすれば、長官がずいぶん固執しておる審査の促進にはならないのではないかと私は思うわけです。大体従来の経験からその程度になるだろう、こういう想定を審査能力の面からいって想定するがゆえに審査の促進になる、こういわれておるのだろうと思うのですが、この点について、逆にこれがあまり件数が変わらないとするならば、審査の促進ということにはならないのではないか、こういう問題点が一つあろうと私は思うわけです。それと同時に、公開公報を今度出すわけですが、わが国の出願ののうち大体四〇%から五〇%が公告をされる、またそれが実施に移されるのはわずか四%程度であるというのが傾向のようであります。しかし早期公開というものは、これは全部公開するわけでありますから、その点のロスは当然あるわけです。したがって、管理については相当な事務量になってくるだろうと思います。そういたしますと、出願の選択の管理、そういう点について支障を来たすのではなかろうか、こういう問題点もあろうと思うのです。あるいはまた今日の長官の説明からいきますと、審査が非常に弾力性を持つことはけっこうでありましょうけれども、いわば審査がラフになっていくのではなかろうか、こういう心配も実は出されておるわけであります。これらの諸点についての見解を承りたいと思います。
○荒玉政府委員 新しい請求制度が成功するかどうかは、おっしゃいましたように、請求率いかんにかかっております。これはしばしば本委員会で申し上げましたように、一応特許が八割請求率、実用新案が七割といっております。と申しますのは、業界に対するアンケートの結果を参酌して、過去に防衛出願がどの程度あったかという両者を含めて一応の見通しは立てておるわけでございます。したがいまして、確かに請求率が幾らあるかという見方は、一〇〇%近いという意見も私は聞いております。私たちは、先ほど言いましたように、業界のアンケートの結果——これは見方によりますとまた別の見方がございます。といいますのは、大体請求制度で実績が出ておりますのはオランダでございます。オランダは五年間の実績が出ています。ドイツは昨年の十月でございますので、まだ明らかな実績だとは言えません。大体オランダの場合は六割請求率、その中でもっと大事なことは、外国出願の請求率がきわめて低うございます。約四割でございます。われわれの特許庁のロードから申しますと、先ほどの換算係数を使わしていただきますと、数は大体特許の三分の一でございますが、あの換算でいきますと、約五割のロードでございます。オランダの場合の請求率と日本の請求率は私はほぼひとしいと思います。だから半分のロードが四割になれば、七割、八割はもっと下がるはずでございます。これも一つの見通しでございますが、そういう意味では私、七割、八割は、ロードから見れば結果はもっと下がってくるのではないか、かように考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたように請求率の見方、この見方が当てにならぬとおっしゃられれば別でありますが、私はいまの傾向よりもっと下がっていく、かように考えておる次第でございます。
○岡田(利)委員 オランダの場合は非常に外国出願特許が多いわけですね。わが国とは今日時点で比較しますと事情にずいぶん違いがある。こういう点が判断の場合に十分入れられなければならぬ問題だと思います。またオランダの場合は、予備審査されたもののうち本審査請求があるものが大体二〇%と聞いておるわけです。いわゆる制度的に予備審査の制度を取り入れている。西ドイツの特許法の改正にあたっても同様の制度が入っておるわけです。したがって、請求率を下げることを期待する場合には、予備審査の制度というものが当然採用されなければならないのではないか。先般通産省の回答も文書でいただいておりますけれども、しかしこの制度が一体なぜ日本の場合採用されなかったのか。人員と資金の関係だけなのか、または準備が間に合わないということで、ロングランで見ればこういう制度を採用するという含みを持っておるのか、あるいはまた意見が出されておるようにかわる機能として政府、民間の出資による公団、こういうものをつくる考えがあるのかどうか、方向がまとまっているのかどうか、こういう点について疑心を持たざるを得ないわけです。この点についてはどうですか。
○荒玉政府委員 オランダの先ほどの請求率は、いわば予備審査請求率であります。本審査請求率はもっと下がっておるわけでございます。いまおっしゃいましたのは、あらかじめ予備的なものを出してくればどうか、たとえば新規性調査機関というようなものをなぜつくらないのか、こういうことだと思います。オランダの請求率は先ほど言いましたようにいわば予備でございますので、実は新規性調査機関に対する審査請求と大体似ておると思いますが、私はこの新規性調査機関があったほうが望ましいと思います。しかし、なければならないかということでございまして、御承知のように請求率が下がるかどうかという問題は、私は発明の特色からきておると思います。その点ではあるいは質の問題になると思いますが、御承知のように、出願人から見れば価値は全部違うわけです。発明の中には、防衛的なものもあれば、あるいは一応出したけれどもその後開発できないという場合もある。そういった発明の特性を出願人が考えていただきたい。したがって、現在のように何でも一〇〇%審査するということではなくて、その質を考慮して選択していただきたいというのが審査請求制度の趣旨でございます。それは一番よく事情を知っておりますのは出願人でございます。したがいまして、出願人が判断してセレクトするわけでございます。その際に、先ほど言いました新規性調査機関というものは望ましいと思いますが、それがなければ請求制度は成り立たぬという制度じゃないと私は思います。ただし、御承知のように、日本の中でもそういった新規性調査機関が何らかの形で出現することは、おそらく業界それ自身も待望しておる面もございます。それらを含めて一本の新規性調査機関なのか、あるいは業種に応じてものを考えていくのか、そのあたりはわれわれとしても真剣に将来考えるべき事項かと、かように考えております。
○岡田(利)委員 大体わが国の特許法はドイツ特許法の流れを伝統的にくんでおるといわれておるわけですが、そういう面から考えても、いま長官の答弁から見れば、この点についてどうもはっきりしない。もちろん不可欠な問題でないとしても、大体制度の改正の流れから見れば、当然新規性の調査機関というものは考えなければならない。それをどういう形で考えるのか。政府と業界の協力で考えるのか、あるいは将来法改正で考えるのか、こういう考え方がなくて今度の法改正をするという点については多少無理があるのではないか、こう思うわけですが、再度この点について方向をお聞かせ願いたいと思います。
○荒玉政府委員 そういった意味で、方向ということで私の見解を御理解いただきたいと思います。私は、やはり将来の方向としては、民間主導型でそういった機関ができるようなことを考えていくべきだと思います。といいますのは、ドイツでも御承知のように、あれはベルリンに長年ございまして、法改正前はあれは民間機関でございました。それを今度は特許法の場合には吸収して公の機関にしたということでございますが、日本の場合には、これは先ほど言いましたように、民間でもそれぞれの要望を私は聞いておりますし、民間主導型でわれわれが何らかの形で援助していくという方向でこういった問題を考えていく必要があるのじゃないか、そういうふうに御理解願いたいと思います。
○岡田(利)委員 私は、今度の法改正の不可欠な要件ではないけれども、この制度の方向として考えれば、体系的にはやはり必要なものである、こういう点です。いま述べられた見解について私はどうこう申し上げません。 もう一つ端的にお聞きいたしておきますが、PCT加盟時まで発明の多項制の問題は、先ほど長官も言いましたけれども、今度の改正の部分あるいは改正されなかった部分の法改正というものは当然それまでにはあると、先ほどの答弁からも判断されるわけです。この点についていかがですか。
○荒玉政府委員 いま残された問題を含めまして、化学特許を含めまして、私はPCTと並行して、実施はPCTで含めてやればいいのではないか、かように考えております。といいますのは、先ほども言いましたように、物質特許一つをとりましても、法律は一号削除だけでございますが、そういった民間の今後の研究体制そのものにもきわめて大きな影響を持ってまいります。あるいは審査実務から言いましても、どういう物質の範囲にするかということもきわめて大事です。そういったことを考え合わせますと、多項制その他の研究と含めて同じタイミングで進めば進んでいいのじゃないかと思っておりますので、残された問題を含めてPCTと並行でございますから、その前にほかの問題だけを改正するというふうにはいまのところ私は考えておりません。
○岡田(利)委員 三十五年以降の歴代長官は、大体通産省内の調整人事かあるいはまた次官待機人事の長官が多かったわけでありまして、荒玉長官は本法改正の使命感に燃えて、任務を持って長官になられて本改正案を出されたと思うわけです。しかし、私はいろいろ質問してまいりまして、長官からも答弁をいただきましたけれども、新規性調査機関の問題、これを明らかにするということ、それとやはり基本的にはわが国の特殊性である実用新案法の基本を一体どうするのか、あるいはいま述べられた物質特許の問題、発明の多項制の問題、こういう問題はやはりわが国の特許体系を完全に整備するまでにはすべてこれを解決しなければならないことは当然のことであります。そういたしますと、この際抜本的にわが国の特許体系というものを一挙に整備するという観点に立てば、むしろ本改正案はもう一度審議会のほうに差し戻して、総合的な審議をしてもらう、そうしてわが国の特許制度の総合的な体系的な抜本的な改正を行なう、こういう改正のほうがより望ましいのではないか、私はこういう考え方を持つのでありますが、この際大臣の見解を承っておきたいと思います。
○大平国務大臣 いま御指摘の問題、実用新案の基本問題でございます物質特許の問題等を御指摘になった重要な問題でございまして、これは特許庁としても今後十分検討を重ねなければばらない問題だと思います。しかし、その結論を出しますまでには相当長期間を要するのではないかと私は判断いたします。また御指摘のPCTの加盟に伴う国内法の改正問題、これも見当といたしましては昭和五十年ごろが目途になるのではなかろうかと思います。しかしながら、審査の処理を促進いたしまして、技術革新下の工業所有権制度の本来の機能を発揮させるということは、寸刻の懈怠も許されない問題であると思います。さればこそ、工業所有権審議会におきましても、まず第一にこの当面の問題を取り上げていただきまして、二年にわたる審議の結果、答申が行なわれて、早急な制度の改正がとりあえず必要であるという御答申を受けておるわけでございます。したがって、御指摘の問題はまことに重要な問題でございまするし、またこれに真剣な検討を加えばければならないのは当然のことでございますが、ただいまの問題とはやや次元を異にする問題であろうと私どもは判断いたしておるのでございまして、別途の検討の余裕を認めていただきまして、今回の改正につきましては特段の御理解をいただきたいと思います。
○岡田(利)委員 時間がありませんし、同僚委員に迷惑をかけますから、最後に私は要請いたしておきます。 本法の改正がなろうとなるまいと、いわば政府は勇断をもって改革するものは改革しなければならぬ面があるわけです。それは、先ほど来私が質問いたしておりましたように、審査官の職務の特殊性と独立性に対応して、この待遇の問題は十分検討されなければならない。あるいはまたこの確保の問題、審査官、審判官を一体どう安定的に確保するのかという点についても、いろいろな制度的な面が基本的に検討されなければなりません。また今日の特許法、特許行政を考えますと、事務職員、いわゆる事務体制の整備という点について、やはり改革するところは思い切って改革していくという点で整備を促進しなければなりませんし、また充実をさせなければならないと思うわけです。何といっても現実に多くの間違いも出ておるわけですから、そういう意味でこの点については勇断をもって体制の整備を行なう、こういう点が私は必要だと思うわけです。特にこの点について強く要請をし、大臣の決意のほどを聞いて、本日の質問は終わりたいと思います。
○大平国務大臣 御指摘の点につきましては、私も全く同感でございまして、御指摘の方向に鋭意努力しなければならぬと考えております。 —————————————
○大久保委員長 この際、おはかりいたします。すなわち、本案審査について参考人から意見を求めることとし、その日時、人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 本会議散会後再開することとし、これにて休憩いたします。 午後一時二十分休憩 ————◇————— 〔休憩後に会議を開くに至らなかった〕