商工委員会 第29号
- 発言数
- 33 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/06/04
会議録
○大久保委員長 これより会議を開きます。 この際、理事の補欠選任についておはかりをいたします。 すなわち、委員の異動に伴い、現在理事が一人欠員になっております。この補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、玉置一徳君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○大久保委員長 特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。千葉佳男君。
○千葉(佳)委員 法案の質疑に入ります前に一言ちょっとお尋ねしておきたいと思うのですが、特許法に関する答申案を受けられて、それはこの骨子になっていると思うのですが、それと同時に、特許庁内部に働く人たち、審査官といいますか審判官といいますか、そういう人たちの意見をどのような形で特許庁としてはとられたか、ひとつ法案の質疑に入ります前にお尋ねしておきたいと思います。
○荒玉政府委員 今回の法案は答申を骨子にしてございます。実は答申そのままでございます。答申は、まず中間報告が昨年の四月十九日に出まして、最終は十一月でございますが、実際中間報告が大部分そのまま踏襲されたことになっております。 われわれは、もちろん中間報告前におきまして実は内部では積み上げといいますか、内部の意見を集約して、企画委員会というのがございますが、そこで審議会の審議と並行いたしまして、どういう内容のものにするかということを企画委員会でやっておるわけであります。その過程におきまして、各部に、あるいは審査部、審判部それぞれにもちろん専門家のグループがございます、そういったグループの意見を吸い上げて企画委員会で審議をする、それをわれわれの事務的には最高の庁議にかけて、そうして審議会にわれわれの意見を出すという、つまりつくる過程において各部の専門家の意見を吸収するというのが第一でございます。 で、中間報告が出てまいりまして、特許法というのは御承知のように特許庁全職員が施行する立場でございます。したがいまして、内部にはたびたび説明をする、意見を聞くということでまいったわけでございます。もちろん、そういった一般に周知さすと同時に、それぞれの部局におきまして、それぞれの専門家の意見を聞いていく、もちろん専門家の意見を聞く過程におきましては、各審査長グループそれぞれの内部で議論を重ねて、それを吸収するという形で現在までまいった次第でございます。したがいまして、先ほど言いましたように、事前事後にわたりまして、できるだけそういった内部の組織を通じまして意見を聞いてまいった次第でございます。
○千葉(佳)委員 いま長官言われたように、実際に施行するのは特許庁内部であるから、十分意見を聞きたい、こういうふうな、事前事後にわたって十分聞いておるという話ですが、四月二十二日付の特許審査二部、三部、四部、五部、審査官の決議というものですね、これがあるわけですが、こういうものについてはどのようにお考えですか。
○荒玉政府委員 その点につきましては、本委員会におきましてたびたび申し上げたかと思いますが、決議の内容につきましては、われわれ承知しておりますのは、審査官の有志諸君が集まって決議をしたということでございます。もちろんどの程度の諸君が署名したかということにつきましては、私も重大な関心を持っておりまして、現に具体的に言ってもらいたいという話を申し上げておるわけでございますが、現在に至りましても、具体的にどの諸君がこれに署名したかということは私承知しておりません。しかし、いずれにいたしましても、有志諸君がそういった意見を持っておるということは、私は慎重に反省しておる次第でございますが、ただ私自身がたびたび諸君と話した場合におきまして、本法案につきましては各方面それぞれの意見があるということは、私、承知しております。ただ基本的には、現行法でやれるかどうかという点につきまして、いろいろ私も組合諸君と議論いたしたわけでございますが、どうもその点につきまして、現行法ではいまの事態を解決することがきわめて困難である、その点につきまして意見の一致を見なかったということがいまの動きになっておるかと思います。その点は十分御審議していただきまして、はたして現行法でやれるかどうかという点が、私、一番諸君と見解を異にしたポイントかと思いますが、いずれにいたしましても、そういう事態につきましては、われわれとしてなすべきことを将来にわたってもやる必要があるというふうには感じておりますが、その点ひとつ十分御審議していただけば幸いかと思います。
○千葉(佳)委員 見解を異にすることについて反省しておる、こういう話がありましたが、この前そういう諸君の代表に対して長官が何か厳重注意をした、こういう話を聞いておるのですが、これはどういうふうな法律行為に当たるか、反省した代償としてその審査官の人たちに厳重に注意をしたということなのか、これが一体どういうふうな法律行為に当たるか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○荒玉政府委員 私が諸君に話したのは、組合諸君が組合活動としてやるというのと違いまして、審査官という一つの組織の一員として、組織の一員そのものがそういった見解を外部に表明するということは適当でないので、諸君の良識に対する反省を求めたという意味でございます。したがいまして、先生おっしゃったように公務員法第何条違反だからという意味で私は諸君に話したのではございません。やはり普通の個人とは違う、審査官といいますのは、御承知のように一つの権限行使の機関でございます。その機関の、やはりそういった一員としての行動にはおのずから限界があるのではないか。これは、私、長官といたしまして、諸君の良識に訴えた次第でございます。したがいまして、いまおっしゃいましたように、何条違反だからどうということを私は言っておるつもりはございません。 〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
○千葉(佳)委員 これについてひとつ大臣のお考えをお聞かせ願いたいのです。いま長官といろいろ問答したように、実際特許庁の内部に働いておる審査官の人たちが今回の法改正についていろいろ意見を持っておる、この意見を持っておるのが形としては反対決議となってあらわれたわけですが、それについては長官のほうも十分反省はしながらも、先ほど言ったような厳重注意をするという、これは行政処分ではないと思います、行政処分のような厳密な意味の処分じゃないと思いますが、それに類ずることをやっているわけです。これは今後、将来にわたる特許庁内部の問題として、非常に事態は深刻になるのではないか、このようなぐあいに私は考えるのですが、この点について総括責任を持つ大臣が、特許庁内部でそういうふうな事態が起きておるということについてどのようにお考えになっておるか、そうしてまた、そういうふうなことがあればどういうふうに御処置なさるつもりか、一言お聞かせ願いたいと思います。
○大平国務大臣 行政府といたしましては、法律の執行、運用に当たっておる責任を持っておるわけでございまして、立法の仕事は国会に専属しておるものと思います。私どもは、その御審議いただく案を国会に提出して、御審議をいただいて、きまりました法律を施行するという任務を持っておるわけでございます。現実に行政府の中で働く者が、立法につきましていろいろな意見を持つことはあり得ることでございますし、また、ある意味において自然なことだと思います。そういったことは、行政組織の中におきまして立法の素材をつくっておりますそれぞれの手順に応じて表明されて、行政府として国会に対して責任を持っておるわけでございますから、そういう手順を踏んでやってもらいたいと思うのでございまして、行政府におる者が、行政府の手順によらずに、別個の行動をとられるということは、行政の秩序から申しまして好ましくないことと私は考えております。 それから第二といたしまして、今度の特許法の問題につきまして私が念願いたしておりますことは、かりに、われわれが考えておりまする改正法案というものに対していろいろな意見がある、これはあっていいことだし、ある意味においてなければならぬこととも思います。しかし同時に、それは、いま長官からもお答え申し上げましたように、現行法で十分こなせるということでございますならば、それはりっぱな一つの態度であろうかと思いますけれども、今日、特許庁の状況を見ますと、一日もこれを放置しておけるような状態にないことも歴然たる事実であろうと思います。したがって、これを改正することについて、こういう改正案が望ましい、あるいはいま政府が考えておる改正案よりは、こういう改正案が望ましいのではないかという建設的な御提案がございますならば、私どももいろいろ謙虚にこれを聴取していきたいと思うのでございますけれども、いま政府が考えておる改正案は必ずしも賛成でないという意見は聞いておるのでございますけれども、それじゃどうすれば現状を改善できるかという建設的な御提案は、まだ十分私どもも聞いていないことを非常に遺憾といたしておるのであります。そういう意味で、行政府の中に働く方々が、そういう建設的な意見を具して、行政の組織の秩序に従いまして意見を述べられてまいりますことは歓迎すべきことでございますけれども、そのうちの一部の者が、行政府の組織を離れまして、外で第三者に対しまして云々されるというようなことは、行政の秩序から申しまして望ましいことでないと私は考えています。
○千葉(佳)委員 この件に関して最後に長官に再びお尋ねしますが、平たく言えば、自分のうちを治められないやつが外へ出て何ができるか、こういう昔からの卑俗なたとえがあるわけですが、特許庁内部で実際にこの法を執行する審査官が、今回の法改正について疑義を持つ、そしてそれに対して特許庁内部で十分にそれを説得できなかったということは、これは非常に大きな問題ではなかろうか、将来にわたって。先ほど長官は、だからひとつこの国会で審議してくれというふうな、とりようによっては非常に無責任な言い方をされたようでありますが、しかしそういうふうに内部でいろいろな問題があるということは、今後将来、かりにこの法改正をしても、それを厳密な執行をするにあたって、今回のそういう見解の違いというものは非常に大きな問題になるというふうに思うわけです。そういう点で、あとは法改正は国会で審議してくれ、こういうふうな言い方をするのじゃなくて、やはり内部で働く人たちとの関係で、これとこれが、こういう点が不必要だったんだというふうな、やはり内部の実情を正しく報告されることが、むしろ今後の法改正後の行政事務というものをスムーズに行なう最も大きなものになるのじゃないか。ですから、やはりそういう意味で、かりに意見が合わないところは合わないにしても、それを十分内部で深めるという態度が必要じゃないか。意見が合わなかったからということに対するに厳重注意だという、これは広い意味の処分だろうと思うのですが、そういうふうなことをするというのは、今回の場合、はなはだ穏当を欠いているのではないか。基本的な姿勢において、一体だれをたよりに、今後法改正後の事務といいますか、そういうものを行なおうとしておるのか、そういう基本的な点で非常に欠けるところがある、この処分問題に関してそういうふうな特許庁のとった態度に欠けるところがある、このように考えるわけですが、最後にそういう点について長官の、反省するなら反省するという、そのことを聞いて質問を前に進めたいと思います。
○荒玉政府委員 先ほどおっしゃいましたように、内部を全部説得できなかったということは私の責任だと深く感じております。私は、先ほどちょっと申し上げましたが、具体的にこうすればいいということで、たびたび組合諸君と事前に話を進めてまいったわけです。したがいまして、お互いに特許庁の将来のために、具体的にこうするということにつきましては、もちろん私自身従来も虚心に諸君と話し合いを進めてまいりました。今後もそういった形で私としてはやるべきだと思っております。したがいまして、いま先生のおっしゃったような姿勢自身は私はとりたい、またとるべきだと思っております。ただ、先ほどの点につきまして、あくまで、われわれといたしましては、具体的な建設的な、そういう討議の場が欠けておったかどうかという点につきましては、私も反省いたしますが、そういうつもりで今後ともやるべきだし、やっていきたい、かように思っております。
○千葉(佳)委員 それでは処分問題についてはそれくらいにしまして、法案の中身に入っていきたいと思います。 今回の法改正の一つの大きな柱であります滞貨処理の将来の見通しという点でお尋ねしたいと思うのですが、特許庁がことしの一月発表された文書と、この間、急速渡された資料との間に非常に大きな食い違いが出ておる点が目立つわけです。滞貨の処理については、件数が何件あるか、それを処理する人員はどうか、こういうのが二つの大きな柱になると思いますが、この出願件数の見通しという問題は非常に大きな要素になろうと思うのです。ことし一月に出された数字を見ますと、昭和四十三年度は二十万三千六百七十七件、こういうふうに推定しておるようですが、この間確定した数字を見ますと、二十一万七千九百七十三件、ことしの一月に推定した数字と、先月渡された、近々四カ月の違いで、二十一万七千九百件ですから、もうすでに約一万四千件が見通しとして違っておるわけです。こういう点、一体どのような基準に基づいてそういうふうな将来起こり得べき件数というものを予測されておるのか非常に不可解なので、まず最初にこの昭和四十三年度の件数、これから質問していきたいと思います。
○荒玉政府委員 ただいま先生のおっしゃった数字は、基礎になった数字でございます。そのときは、過去五年間平均とりますと四%というので、一応の件数を出しまして経費を算定いたしました。四十三年度というのは、予算のときは推定でございますが、今度の場合は実績が出たわけです。したがいまして、ふえたわけでございます。ただ問題は、出願の傾向といいますと、単年度で見ますと非常に誤差が多らございます。たとえば、前年度と比べて減った年もございます。そういったわけで、ロングランに見ていく。その場合に、予算はさっき言いましたように、過去五年間の平均をとりまして四%。ただ、先ほど言いましたように、四十三年度の実績が出ましたので、それを入れまして過去五年といたしますと、四・五%という数字が出ます。したがいまして、新たなる実績を組み入れて一応いま計画を考えておるというところに差があるかと思います。
○千葉(佳)委員 予算要求のときは件数が二十万三千六百七十七件だった、実績としては二十一万七千九百七十三件出てきた、単に予算のときはこらだった、実績はこういうふうになった、これだけの説明ではこれは棒にもはしにもかからないのじゃないか、このように思うわけであります。近々四カ月間の違いで一万五千件も違いが出たということは、審査官の処理の能力が二百八十件ですか、かりに三百件としても、審査官の数が、これだけをとってみても約五十人も違いが出るのです。ですから、予算のときはこれだった、実績はこういうふうに出てきたというその一万五千件の違いなんというのは、本来は起こり得べきではない数字じゃなかろうかと思うのですが、どうにも棒にもはしにもかからない、何ら科学的な根拠もないような見通しじゃなかったかというふうな、非常に初歩的な疑問を私は感ずるわけです。そういう説明ではとても問題にならないと思うのですが、どうですか。
○荒玉政府委員 出願の予測につきましては、部内でいろいろ検討を続けてまいっております。それで、一体どういったファクターが一番出願件数に合っているのか、あるいは鉱工業生産の指数なのか、あるいは研究費の指数なのか、いろいろ出願の予測につきましては検討いたしますけれども、ぴたっと合うケースというものは残念ながらないわけでございます。最近の例を申しましても、かりに四十一年度と四十二年度を比べますと、逆に下がっておるわけです。四十一年度は御承知のように約二十万件、四十二年度は十九万五千件、逆にダウンしているわけでございます。したがいまして、どういったケースが一番当たるかということにつきましては、いま先生いろいろ疑問がありましたけれども、いろいろやりましてもはっきりした計数というものは実際なかなかむずかしい。そういう場合に、いわば過去何年平均で一応計画をつくるということにならざるを得ないと思います。したがいまして、予算は、先ほど言いましたように、過去五年間の平均ということでございます。あるいは将来の技術の予測とかなんかが入って、あるいは出願人の動向その他もっと精密を確保すれば確かな計数が出るかどうか、いろいろ検討してまいったわけでありますが、先ほど言いましたように、どうも最近の状況でございますと、一応過去の平均をとるということが一つの基準として使わざるを得ないという状態でございます。したがって、先ほど言いましたように、四十三年度は急激にふえておりますけれども、四十二年度はむしろダウンしておるわけでございます。したがいまして、それはやはり長期的に一つの平均で見ていかざるを得ない、かように考えております。
○千葉(佳)委員 いまも言ったように、四十三年度の見通しと実績というのが非常に大きく食い違ったわけですね。そのことについてはこれ以上は触れませんけれども、同時に出された、このときの出願増というのですか、将来の出願増といろのは、ことしの一月はこの資料によると四%と踏んでおりますね。ところがこの間出されたものを見ると四・五%、過去五年間の平均値、こうなっておるのですが、前の一月のものは四%とはじき出されたときは、過去何年間の平均値をもって出されたのか。これはちゃんと過去五年間と断わってありますからいいですが、四%と四・五%、これはパーセンテージは少ないですが、実際の件数になると非常に多くなるわけです。そういう点で私は将来予測される増のパーセントというのは非常に重要な要素を持つと思うのです。この間の四%とはじき出されたときの根拠をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○荒玉政府委員 いずれも過去五年をとっておりますが、四%の場合ですと、四十三年度の実績がそのまま出ていないわけであります。四十三年度は非常に上がっておるわけです。前年度が十九万五千件、それに対して二十一万七千件ですから、四十三年度というのは非常に上がっております。したがって、上がった年を入れますと、過去同じ五年でございましても、四・五%になるということでございます。ですから、最近上がった四十三年度の実績をフルに見ておるというのが四・五%になった理由かと思います。
○千葉(佳)委員 長官は確かにそういうふうに答えるだろうと思ったのです。なるほどつじつまは合っているのですが、しからば、ことしまた法改正があると、俗に言うところのかけ込み出願というものがもしあるとするならば、ことしはまた非常に急増して、来年あたりになれば、これが過去五年間の実績をとれば、今度は四・五%から五%になるということになるのじゃないか。そうなりますと、こういう出願動向の予測というのが、去年は四%、ことしは四・五彩、来年はあるいは五%になるかもしれぬというのですね。ネコの目のように変わる予測では、これは大号令をかけて将来は眠れる権利を保護するためにできるだけ時間を短くして権利を与えてやるというような大臣の親心があったにしても、その事務をつかさどる特許庁の出願動向の見通しがネコの目のように変わるんじゃ、とてもじゃないが法改正の大きな柱がくずれるんじゃないか、このように思うわけですが、いかがですか。
○荒玉政府委員 かけ込み出願というのは現に過去の例でもございます。たとえば料金が上がるとなりますと、何カ月の先走りがあるかどうか知りませんが、出てくることは事実でございます。ただロングランに見ますと、それだけ発明活動が旺盛になったわけではないわけです。したがいまして、単年度で見るかあるいは長期で見るかということになりますが、その点の御心配は私は要らないと思います。ただ、全体の出願の伸び自身は、実はわれわれ処理計画をつくる場合に一番問題でございますが、先ほど言いましたように、日本の状態は先進国の状態でございません。先進国は大体わずかながらやや伸びておる。日本は急激に伸びておるわけでございます。ただ、その場合に、過去のケースに見合った予測のほうがいいかということでございますが、いつまでも同じ率で伸びるかどうかという点も問題でございます。したがいまして出願予測ということは、先ほど言いましたようにそう簡単なことでは私はないと思います。ただ、ネコの目のように変わるかとおっしゃいますのは、それはいま申し上げましたように、どの程度の実積を入れるかということでございます。したがいましてロングランに見れば、私はそんなに大きな差があるとは思いません。ただ、当たらぬじゃないかとおっしゃればそれまでですが、当たる方法というのは、残念ながら私はきわめて困難じゃないかと思います。
○千葉(佳)委員 これに私がこだわるというのは、たしか前回は三十四年でしたかに改正したわけですね。三十四年に改正されるときにも、おそらくこの種の出願動向についての論議はあったと思うのですが、そのときに立てられた計画が当たらないがために、七十万に近い現在の滞貨を生んでおるのが実態だと思うのです。今度はたまったからということで法改正をやるわけです。ですから、動向をどのように科学的にはじき出すかという点はやはり非常に大きな重要な問題であると思う。それが、長官の言うように、科学的にはなかなかむずかしい、当たるか当たらないかわからないような話をするのでは、処理計画というのをこのように麗々しく表にしても、これが一朝にしてくずれていく可能性があるのじゃないか、こういう心配がある。前回の法改正のときと現在までのやつを比べてみて、出願動向の正確な測定がいかに重要か、こういう点から、私は非常に大きな疑問を感ずるわけです。ネコの目のように変わるといわれてもしかたがないんじゃないかと私は思うのですが、もう一ぺんどうですか。
○荒玉政府委員 法改正と関連して考えました場合には、たとえば出願の伸びがどうなるかということよりか、請求制度をとった場合にどの程度早くなるかどうかという点に私は主眼があるかと思います。出願件数そのものに影響いたしますのは、むしろ将来の人員拡充をどういう形でやっていただけるか、あるいは資料整備その他をどういうことでやればいいか、制度改正と同時にそういった大事な事項に直接関連するかと思います。したがいまして、処理計画といいますのは、そのすべてを含んだものではございますが、改正自身の目から見ますと、やはりどの程度メリットがあるかという問題に還元されるのではないかと思います。ただ、いずれにいたしましても、出願の予測といいますのは、われわれが長期計画を考える場合にはきわめて大事な問題ではございます。したがいまして、いろいろ科学的な分析をしなければいかぬかと思いますが、先ほど言いましたように、いろいろ方法をやりましても、やはりある程度過去の平均値ということがどうしても基準になっていく。したがいまして、新しい実績に応じまして絶えず修正をしていくということが一つのとり得るいまの方法ではないかと申し上げておるわけでございます。
○千葉(佳)委員 新しい実績を見ながら絶えず修正をしていくといういまの答弁、これは非常にけっこうな話ですが、しからばことしの一月に出したこの資料を見ますと、現在滞貨しておる分についての請求率は九五%とはじいておりますね。最近出されたこれを見ますと、滞貨分の請求率は八五%と踏んでおる。この一〇%の食い違いはどうなんですか。
○荒玉政府委員 現在係属中のものにつきまして一応九五%を考えましたのは、これは予算要求前の段階でございまして、そういうのと、それから審議会の過程でいろいろ議論がございまして、新しいものは新しい請求制度になって、しかも特許で申しますれば請求料を八千円支払うということになっております。過去のものは、これは既得権の問題でございますので、一応手続はしていただく、ただし請求料八千円は徴収しない、こういう制度になっております。その段階で、やはり過去のものは多いんじゃないかというようなことで、一応九五%と考えたわけであります。ただその後——現在御承知のように出願料は特許でいえば二千円でございますが、まだその既納の出願料をどうするかという議論がないときでございますが、やはり過去のものは特に産業界が非常に整理に協力しようというふうなムードで、逐次産業界の協力体制ができつつありますけれども、いま九五%を一応考えましたのは、その以前のケースでございます。したがいまして、金もそのままだということになれば、なかなか落ちぬじゃないかということでございますが、その後、やはり大企業を中心といたしまして、この際、ある程度新たなる事態に即応して協力体制をしきつつあるというふうな状況を考えまして、九五%というのはやはりもう少し下がるんじゃないかというふうなことで一応修正いたした次第でございます。したがいまして、九五%といいますのは、資料は恐縮で一月になっておりますが、大体昨年の予算を請求する準備段階、つまり審議会がまだ審議が全部終わっていないそのとき、一応九五と考えた。それが予算概算要求のベースの数字で、先ほど言いましたように、新たなる事態を考慮いたしまして八五%というふうな一応の見通しに現在おる次第でございます。
○千葉(佳)委員 その新たなる事態というのは、荒玉さんだからそんなことを言えるわけじゃないと思うのですが、新たなる事態というのは非常にあいまいにして抽象的でわからぬ。大体先ほど言いましたように、過去の実績を見ながら修正する、これは修正するにやぶさかじゃないのですから、たいへんけっこうだと私は最初から断わっておる。ですが、その滞貨分についての請求の予測というのは、これは実績でも何でもないんですよ、これからの話ですから。これからの話を一月に測定したときには九五%だった、今度は八五%に一〇%ダウンするということがどうにもふに落ちない、ふに落ちないというよりも、むしろこの表の一番うしろのところにある要処理期間の二年六カ月、これにぎりぎり合わせるためにこういうふうなダウンをしたんじゃないか、帳面ずらだけの数字の操作をするためにそういうふうなことをやったんじゃないか。それを新たなる事態ができて産業界がこれに協力するからなどというのはどうも私はふに落ちないが、どらですか。
○荒玉政府委員 この長期の見通しの場合におきまして、二年六カ月そのものが待ったなしで、あとは逆算だというふうにわれわれは計画を考えておりません。といいますのは、やはり請求率自身は今度の請求制度の一つの骨子にはなると思いますが、やる場合とやらない場合がどういうふうに差があるかというところが一つの問題でございます。したがいまして、二年六カ月待ったなしといいましても、先ほど言いましたように、出願が今後四・五%がどうなるのかという不確定要素がございます。あるいは審査官が何人充員されるか、そういったすべてのケースが相関関係になっておるわけでございますから、二年六カ月待ったなしというふうには——これは一応見通しでございますが、そういうふうに待ったなしで逆算するとは考えておりません。
○千葉(佳)委員 それは二年六カ月ということを言ったからそこにこだわって、そこだけをお話しになったんだと思うのですけれども、その一〇%おろしたという、それを新たなる産業界の協力という一言だけでは、私どもとしてはどうしても納得いかない。これは先ほども言いましたように、いずれも過去の実績を見ながら修正するんだったら、私もこれは百歩譲ってそれで修正されることにやぶさかじゃないし、それはいいと思うのです。先ほどから言っておりますのは、これから先の話で、あるときは九五%、あるときは八五%、こういうふうに一〇%もおろしたということです。しかも一〇%といいますと、現在滞貨約七十万件といたしますと七万件ですか、七万件をかりに一人当たりの処理能力三百件といたしましたならば、一体何人の審査官の補充をするか、非常に膨大な誤差になると思いますが、そういう誤差の出るものを平然として、こういうふうにして予測見積もりの数字を変えるというのは、先ほども言いましたように、出願動向の推定が四%になったり四・五%になったり、私から言わせればでたらめだ。同時に、今度の将来の滞貨分の推定でさえも九五%になったり八五%になったり非常にでたらめではないか。科学的な根拠を欠いているというふうな印象を強く受けるわけですが、新たなる産業界の動向などという、そういう抽象的なことではなく——それだけでは私も質問をやめて引っ込むわけにいかぬのです。一〇%のもう少し具体的な根拠というか積算の基礎というものをもらわなければどうしても引っ込むわけにはいかないのですが、どうですか。 〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
○荒玉政府委員 先ほど申しましたように、九五といいますのは、審議会の途中で、料金は先ほど言いましたように二千円を全然返さない、つまり請求しない人にも返さないというふうなときに一応考えた数字でございます。したがいまして、去年の夏ごろでございます。その後新しい制度で——新しいといいますか、現在の二千円は請求しないという人には、協力分としてといっては失礼でございますが、一応半分は返納するということでございます。それをベースに、産業界といたしまして、この際、全体の方向に協力していただきまして、できるだけ請求しないものをふやしていき協力していただくというふうな方向で、一応九五%よりさらにダウンするというふうなことで考えた次第でございます。したがいまして、新案の場合は、一応過去でそれぞれの条件、たとえば請求料が幾らならどうなるかということで一応のアンケートの結果、特許八〇%、実用新案七〇%ということでございますが、過去のものはもちろん新しいものとは事情が異なりますが、先ほど言いましたような既納の出願料を半分返す、あるいは産業界は協力するということを加味いたしまして、一応八五というふうに現在推定している次第でございます。
○千葉(佳)委員 そういうお話を聞いていると、特許そのものに対する長官の認識という点で非常な疑問を持つわけです。現在の特許を出願する人たちの立場、考え方は、ある面についてはしのぎをけずるような競争をし合いながら、この件については早く特許をとるという権利を押えて、それによってもうけようという人もあるでしょうし、発明の快感を味わう人もいろいろあるでしょうけれども、そういう動機は別にして、しのぎを削って権利を確保したいという、そういう人たちが出願するわけです。ところが、そういう人たち、しかも産業スパイなどを使いながらお互いに競争し合っている中で、今回法改正になったから特許庁に御協力願ってそれは全部取り下げてもらいましょうなどという、それほど世の中は一体甘いものかどうか、私も少しからだが大きくてずいぶん甘いといわれるのですが、長官もからだが大きくて少し甘過ぎるような感じがする。特許そのものに対する認識といいますか、この点ひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
○荒玉政府委員 私、すべての出願人の方々に協力を要請する意味じゃございません。いま大手、かりに日本で一番よげい出願しておる大体三社ぐらい、少し概数で申しますが、大体三社で七、八万から八、九万という数がございます。ですから、そのうち何割か、三社だけでございます。そういう形でこの際全体をもう一回振り返っていただきまして、そして緊急度をきめていただきまして、できるだけ請求しないようにお願いする、経団連を通じまして、そういう形で私いま進めておる次第でございます。ただ何割各社でおたくは協力していただくかということにつきましては、これは改正後でありませんとはっきりいたしません。したがいまして、いま先生のおっしゃったように、三社でそれだけの出願があるわけであります。そのうち、もちろんみんな重要だといえば重要でございますが、やはりこの際もう一ぺん整理していただけるという体制づくりというものによりまして、所期の目的、つまり八五%以内にとどめるようにわれわれとしては産業界と話を進めてまいりたい、こういうことを申し上げておる次第でございます。したがいまして、いま三社と申し上げましたが、出願というものは、そういう大どころだけでも相当な数でございます。協力体制をつくっていきたい、かように思っております。
○千葉(佳)委員 先ほどから出願動向をめぐって私の疑問点をお尋ねしているわけですが、時間でもございますので、今後、そのほかにもいろいろ具体的な処理、一人当たりの処理件数とか、要処理期間の問題についても疑問があるわけですが、そういう点で質問を保留しておきたいと思うのです。 最後に、いままでの総括として、さっきも言ったように出願動向の推定が四%から四・五%というふうに変わった、それから現在の滞貨分の請求率が九五%から八五%に変わった、この二つの点が、私の印象としては、特許庁の推定がある点では甘かったり、ある点ではネコの目のように変わるというそしりをどうしても免れ得ない。そこで最後にお願いするのは、一〇%ですね、いま各産業界の協力によって、三社ということを言われたようでありますが、これをひとつこの委員会後でもいいですから、具体的に、一〇%になったのだという、私を説得できるだけの根拠を私のところに持ってきていただきまして、私がそれで納得すれば、このパーセントについてはこれ以上は言わぬつもりですが、質問を保留したまま、きょうは時間でありますので、これで終わりたいと思います。
○大久保委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時四十六分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕