商工委員会 第26号
- 発言数
- 158 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/05/14
会議録
○大久保委員長 これより会議を開きます。 特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。中谷鉄也君。
○中谷委員 本日、次のような順序で質問をいたしたいと思います。 特許法等の一部を改正する法律案は、柱が二本あります。一つは出願の早期公開制度の採用、一つは審査請求制度であります。そこで本日は、早期公開制度とそれに伴う補償金請求権の問題を中心にいたしまして、予想される諸問題についてお尋ねをいたします。ただ、その前後に、沖繩と特許の問題についてお尋ねをいたしたい。そうしてその後、補償金請求権の問題をお尋ねし、本日新聞に報道されておりますが、インドネシアの研修生が産業スパイを行なったということで逮捕されたという問題をも含めて、ノーハウの問題、最後に防衛と特許との関連について。したがいまして、本日は、改正法案の問題点としては、第一点の柱、これを質問するということになります。 そこで、最初の沖繩と特許の問題というのは、質問は簡単であります。パリ条約において沖繩はどのような地位にあるのか、長官の御答弁をいただきたい。
○荒玉政府委員 特許法体系から見まして、沖繩は全く別でございます。したがいまして、日本の国の特許法が沖繩に効力を持つという関係は全然ございません。全く別個でございます。
○中谷委員 質問は、こうなんです。パリ条約の関係において沖繩は、アメリカとの関係においてどのようなかかわり合いを持つかという質問です。沖繩に日本の特許法が適用されていないということは、いまさらお答えをいただくには及びません。この点をお答えをいただきたい。
○荒玉政府委員 アメリカの国の法律が沖繩に及ぶかどうかというのも、これは全く別でございまして、沖繩は沖繩の特許法の体系ということではないか、このように考えております。
○中谷委員 問題の所在について明確に把握しておられないと思います。パリ条約十六条の二において、アメリカとの関係において、沖繩はどのようなものなのかというふうにお尋ねをすればお答えがいただけますね。
○荒玉政府委員 恐縮でございますが、私、条約との関係ではっきり申し上げられません。後日、外務省と協議いたしまして答弁さしていただきます。
○中谷委員 沖繩が返ってこなければ戦後は終わらないというのは佐藤総理の名言であるとされております。そこで沖繩の本土返還ということが政治的な日程に上がっている。「第十六條ノ二」によりますと、「各同盟国ハ本條約が其ノ殖民地、保護領、委任統治地域若ハ其ノ権力ノ下ニ在ル他ノ一切ノ地域又ハ宗主権ノ下ニ在ル一切ノ地域ノ全部又ハ一部ニ適用セラルル旨ヲ」とあります。沖繩はアメリカとの関係において、十六条の二のどこに当たるのか。むしろ外務大臣をおつとめになった大臣にお尋ねしたほうがいいのかもしれませんが、長官の御答弁をいただきたい。
○荒玉政府委員 先ほども申し上げましたように、残念でございますが私はっきり見解を——外務省と相談いたしまして、後日答弁さしていただければ幸いかと思います。
○中谷委員 そこで昨年政府は、政府関係各省から選んだところの人たちで団を構成いたしまして、沖繩・本土一体化調査をされました。この点について特許庁としては、沖繩・本土一体化の問題について、どのような調査項目を設けられましたか。
○荒玉政府委員 昨年というより前から、沖繩政府からの要請がございまして、沖繩で独自の工業所有権体系をつくるかどうかというのでたびたび相談を受けまして、われわれ絶えず接触をいたしております。したがいまして、そういう形で沖繩政府の自主的なそういう立法努力等を体して、われわれがアドバイスといいますか助言等をずっとやってまいった次第でございます。
○中谷委員 あまり問題意識をお持ちになっていない問題についてお尋ねをするのも時間がむだですから、質問をまとめていたしますが、本土一体化調査報告書によれば、琉球政府から特許庁は工業所有権法体系についての相談を受けているということでありまするけれども、当委員会においても与党の沖繩問題について御専門の委員が御出席になっておられまするけれども、本土一体化調査報告書の中には、特許行政の改革については何ら触れられておらないということは、長官御存じでしょうか。 なおそういう前提でお尋ねをいたします。パリ条約十六条の二によれば、スイス連邦政府に通告をした場合にはパリ条約の適用を受けられることになっております。異民族支配二十余年ということが叫ばれて長いのですけれども、そういうふうな書面による通告をアメリカは沖繩についてスイス連邦政府にした事実はあるでしょうか。この点いかがですか。
○荒玉政府委員 通告した事実はございません。
○中谷委員 そうすると、日本国民である沖繩県民百万は、日本の特許法の適用も受けない、さらにパリ条約によるところの保護も受けない。同じ日本国民でありながら、結局特許法のきわめて保護をされない状態の中に放置されている。はたしてしからば特許庁は、沖繩がパリ条約の適用を受けられるべきであるという趣旨の特許庁としての見解を外務省に対してお述べになった事実はあるかどうか。
○荒玉政府委員 さような事実はございません。
○中谷委員 非常に遺憾なことであると考えます。 そこで、そういう前提の中で、現在沖繩県民が特許法のもとにおいてどのような取り扱いを受けているかという点については、次のようになっているわけであります。すなわち、日本国と平和条約により米国の施政権下にある地域に本籍を有し、かつ居住している者の出願については、特許法第八条に基づく特許管理人によらなければならないという取りきめになっているわけです。このようなことが、すでに沖繩返還が日程にのぼっている今日、はたして適当な取り扱いなのかどうか。本土一体化という立場と前提においては、そのような特許管理人によらなければならないなどという取りきめ、内規は廃止さるべきであると私は考えます。 まず前提としてお尋ねをいたしたいが、特許管理人を置かなければならないというふうな取りきめになっているかどうか。なお、この問題についての特許庁の御見解はどうか。
○荒玉政府委員 先生おっしゃったような取りきめになっております。おそらくあれは、御承知のように、外国から来た場合に在外者代理人を置かなければならないということで、いわば外国扱いにしておるわけでございます。ただそれは、おそらく従来から施政権が日本にないということで、いわば特許法でいう外国扱いという姿になっておるんじゃないかと思います。
○中谷委員 長官、あなたの御所管の問題でございますから、人ごとのように、なっているんだと思うというようなお答えは、ひとつあとの答弁のときに御訂正をいただきたい。 沖繩は外国なんでしょうか。沖繩は固有の日本国領土であり、沖繩県民は日本国民でございますね。なぜ外国人扱いをしなければならないのか。平和条約三条が有効という立場に立って、かりにアメリカに施政権があるとしても、特許管理人を設けなければならないということが、特許法の法体系と法実務の上においてくつがえすことのできないものなのかどうか。そんなことを一つ一つ訂正し、打ちくずし、そういうものについて修正をしていくことが本土・沖繩の一体化なのではないのか。実務上も問題はないし、法律上も私はさしたる難点はないと思う。沖繩からの出願について特許管理人を置かなければならないということが内規であるとするならば、即刻そのような内規は改めていただきたい。この点についての御所見を承りたい。
○荒玉政府委員 ただいまおっしゃった規定その他は、もちろん特許法でございます。したがいましてわれわれの運用の範囲でございますが、いろいろ沖繩以外にそういった対外的な問題といいますのは、絶えず特許法の解釈と同時にやはり全体の国の考え方、いわば外務省等と協議いたしまして、そうして特許法の運用をわれわれも考えておる次第でございます。したがいまして、ただいまおっしゃった点につきましては、そういう意味で特許庁のみならず全体の国の考え方というものを背景に描いた一つの解釈、運用というようにわれわれは考えておる次第でございます。御指摘の点は、今後われわれといたしまして検討はしてまいりますが、ただ特許法プロパーで特許庁運用というだけでなくて、先ほど言いましたような全体の問題の一環としてやはり解釈、運用すべき点があるんじゃないか、かように私は思っております。
○中谷委員 補償金請求権の問題に入りたいので、沖繩と特許の関連についてそれほどかかわりたくはありませんが、指摘をしておきます。 全体の問題だとおっしゃいましたね。全体の問題であるのに、特許庁だけが沖繩に対するアプローチ、沖繩と特許との関係において大きくおくれているということを私は指摘をしているのです。何がそんなに全体の関係において検討しなければならないのか。全体の関係において検討するならば、特許管理人を置かなければならないなんという規定は即刻廃止さるべきであります。すなわち本国会においても、資格、免許等に関する本土と沖繩の私権の一体化の法律はすでに通過をしたではありませんか。要するに、沖繩と本土との一体化ということは、沖繩県民に対して本土並みにするんだということでございましょう。それは政府の金看板であり、政府の方針なんです。私たちは、そのような政府の本土一体化の方針というのは、真の一体化ではないといって指摘をしておりますけれども、政府は政府なりの本土一体化を進めている。全体の関係においては特許管理人を置かなければならないなんという規定は、要するに外国人並みにするんだというふうな規定は、この場で、それは気がつかないことだった、訂正すべきことだという答弁がなければ、あとから補償金請求権のかなりこまかい質問が出るわけですから、質問が進みません。全体との関連においては、まさに即刻訂正するのを忘れておった問題だということの御答弁があることを私は期待しておった。いかがでしょう。
○荒玉政府委員 ただいま先生御指摘の点、私としても早急に検討いたしまして、一つのその取りきめの持つ意味、あるいは今後どうしたらいいか、至急検討さしていただきたいと思います。
○中谷委員 昭和四十三年十月五日発行の「特許庁公報」「四三——五四」というのをたまたま手に入れまして拝見をいたしました。別に四十三年十月五日ということに意味があるわけではありません。これによりますと、都道府県別出願件数表というのがありますね。さらに外国人の日本への特許出願及び特許件数表というのがございます。沖繩はこの特許庁公報によれば、どのような分類をされているのでしょうか。もう時間がありませんから、私のほうから質問をいたします。要するに、都道府県別出願件数表の中には沖繩県というのは出てきておりませんね。本土と一体化なんということを言いながら、特許庁の行政の中においてはこのような恥ずかしいような特許庁公報がつくられている。遺憾であります。要するに沖繩の特許に関する私の質問というのは、まず最初に特許行政というもののいろいろな姿勢が問題だ、こういうふうに考える。そこで、沖繩は特許公報の中でどの分類をされているのか、これからひとつお答えをいただきたい。
○荒玉政府委員 出願がございます場合には、四十三年十月五日の、先生がお持ちのものと同じですが、それの九一ページでございますが、ここで佐賀県ですか、その下に沖繩特許一件という表示がございまして、公報では佐賀の下に出しておるわけでございます。
○中谷委員 それで、いよいよ私は次の改正案についての質問をいたしますが、沖繩の早期公開をされた場合に、公開公報は沖繩に対してはどういうことになるのでしょうか。公開公報を各発明協会の支部のほうへお渡しになるということを聞いていますが、沖繩に対してはどのようなお取り扱いをされますか。この点はいかがでしょうか。
○荒玉政府委員 一般論で恐縮でございますが、現在出願公告をいたしまして、いわゆる公開公報が出ております。したがいまして、公開公報も大体公衆閲覧所が完備したところには配付するつもりでございます。したがいまして、沖繩政府からの要請がございまして、要請といいますのは、施設その他が問題でございますので、ぜひということ、もちろんわれわれも連絡しますが、そういう形になれば、公開公報は配付するというつもりでございます。
○中谷委員 いまの御答弁で私はいいと思いますが、沖繩県についても、公開公報については本土並みにするというふうにお伺いをしてよろしいのですね。
○荒玉政府委員 全くさように考えております。
○中谷委員 次に、今度の改正案の中で一番問題だといわれている補償金請求権の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 早期公開をするということの利益が重複研究と重複投資の抑制に有効であるということを早期公開の理由にあげておられます。 そこで、あらためてこの機会に、早期公開の利益と、早期公開という制度の持つ危険性ないしは不利益、この二つについて、予想される利益、不利益をまず最初にお述べいただきたいと思います。
○荒玉政府委員 利益のほうから先に申し上げます。 特許制度といいますのは、御承知のように技術を公開する、その代償として独占権を与える、技術を公開いたしますと、それを基礎にいたしまして開発を進めていく、こういうことでございます。現在は、御承知のように、いわば技術のテンポが早い、こう言っておりますのは、先生御承知のように、重要な発明も、アイデアから製品の完成までにだんだん時間が短縮されている、こういうのがいわば技術テンポが早いということで言われているわけでございます。開発をする場合におきましては、企業はやみくもに開発するわけではございません。既存のものが何があったか、こういうことをまず調査するわけでございます。そうして、その場合におきましても、特に特許文献のウエートは高うございます。といいますのは、開発というものは非常に危険でございます。危険なものをあえてやるといいますのは、やはりそれだけの投下したコストが回収できる、こういう意味におきましては、特許文献というものが非常にウエートを持ってまいります。したがいまして、開発する段階におきましては、一体既存にどういうものがあるかということは、開発に着手する場合大きなウエートが——あるいはマーケットがあるかということも同時にございますが、そういった企業が開発する場合には、やはり何といいましても、情報、特に特許情報というものは相当ウエートを持っているということは先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、そういう事態におきましては、どういったものが将来特許になるだろうかということをできるだけ公開すること自身がやはり二重の研究を避ける、こういう意味から最も必要になってまいる。したがいまして、研究の二重投資、あるいは今度は実際事業をやるという重複投資、こういったものはどうしても避けていかなければいけないというのが、何といいましても早期公開の一つの大きなメリットだと思います。 反面、これは発明者といたしましては、創業者はできるだけ発明を秘密にしておいて、創業者の一つの優位性を持ちたいということも、本能でございます。したがいまして、早期公開いたしますと、そういった意味の発明者の不利益というものは予想されるわけでございます。 大体利益、不利益という二つの点から申しますと、以上のとおりでございます。
○中谷委員 まず予想される不利益としては、発明者は発明を特許権によって完全に法的保護をされるまでは秘密にしておきたいということは、発明者の本能であるというよりも、私は権利であると思うのです。そうでございますね。そういうふうなことが早期公開の不利益であると同時に、発明者にとってはきわめて危険なことです。そういうふうな不利益がある。ところが政府の考え方は、二重投資、二重研究の防止という利益がある、その利益が発明者の不利益よりも総和においてまさるのだ、だから早期公開制度に踏み切ったのだ。前回の同僚委員の質問によりましても、早期公開制度というものが、審理の促進とは論理的にも実務的にも必ずしもつながらない。むしろ早期公開制度というものを導入したことによって、審理の過重を来たすことはいえるだろう。ですから審理の促進という点からいうと、早期公開というのはむしろマイナス面である。しかしそのことは、私、別の機会にお聞きしますが、そうすると、早期公開制度が一つの危険を伴っている。そういう危険があるにかかわらず、早期公開に踏み切ったところの理由というのは、二重投資、二重研究の防止である。だとするならば、二重研究、二重投資というものがどんな構造や内容を持ち、早期公開によってどの程度防止できるのかということが、さらに掘り下げて説明されなければならないと私は思う。発明者の権利を侵害する危険を伴っているところの制度でありまするから、この利益が明確な形において説明されなければならないと私は思います。 そこで、科学技術庁の振興局長さんおいでいただいておると思いますが、科学技術庁に私はお尋ねをいたしたいと思います。 現在の経済社会というのは、言うまでもなしに競争原理が確保されていなければならないところの社会でございます。そういたしますと、たとえばAという企業が一つの研究開発をやっている、その研究開発が成功したとするならば、その企業の業績というものは飛躍的に伸びるだろうというようなことが予想される。それと同業種の、同分野の同じくBという企業は、これまた企業の命運をかけて同種の研究開発に全力を投入するだろう。これは現在の経済社会においては、私は当然のことだと思うのです。そういう競争原理を基本とする社会においては、二重研究というのはあり得ることである。むしろ好ましい面さえも持っている。二重研究が直ちに悪だという評価はできないと私は思いますが、いわゆる二重研究、二重投資といわれているものについての科学技術庁のとりあえずの御見解をひとつ承りたいと思います。
○佐々木(学)政府委員 二重研究あるいは重複研究の、科学技術進歩の上における功罪と申しますか、そういうことであろうと思いますけれども、実際問題として、ある程度の研究の場合に二重研究は避けられないかと思うのでございます。またその研究の過程においてノーハウといいますか、そういった技術も身につけることができると思うのでございます。しかし、すでに効果といいますか研究成果が完全にできてしまった研究についてあらためて二重研究をするということは、研究投資の効率化という面から、あまり好ましいことではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○中谷委員 科学技術庁に引き続いての質問をいたします。 早期公開制度というものが二重研究の防止に役立つのだということを特許庁は力説をされます。そこで科学技術白書等にも、われわれが理解できるように、企業における特許管理であるとか、あるいは重複研究の防止だとかについての科学技術庁の見解がまとめられておりますが、要するに科学技術の開発研究という観点からまいりますと、早期に公開された公報というのは研究の情報でございますね。そういたしますと、二重研究を防止するための情報源は主としてどこに研究者、企業は求めているのか。また全体としての二重研究防止のための科学技術行政の立場からの方策は一体何なのか。早期公開というものが、しかもそういう二重研究の防止にそれほど有効なのか。もちろん二重研究の防止に全く有害であるとか、全然意味がないということは言えないだろうけれども、二重研究の防止ということは、早期公開というふうなことが二重研究防止のにしきの御旗だなんということは特許庁もおっしゃっておらないし、どの程度の価値を持つものなのか。この点はいかがでございましょうか。
○佐々木(学)政府委員 先生おっしゃいました科学技術白書における二重研究の調査でございますけれども、これは四十三年度にアンケート調査で行ないました調査でございますけれども、これはすでに発表された研究があるにもかかわらず、二重研究をやったという実績で、その調査のねらいは、科学技術情報の流通をいかにして円滑にしたらよいかという問題意識から調査したものでございます。 そこで、早期公開が行なわれた場合に、これが二重研究の防止にどの程度役立つかということにつきましては、残念ながら調査したことはございませんけれども、少なくとも新しい技術が情報源として得られる、それによってさらに情報流通方策を改善いたしまして、もう少し情報流通を迅速化していくということによって、二重研究の防止ということに役立てられるのではないかというふうに考えておるのでございます。科学技術庁におきましては、現在日本情報センターを設けておるのでございますけれども、ここにおきましても、この早期公開があった場合に、いかにしてこれを迅速に流通できるかということにつきまして、現在検討しておるような現状でございます。
○中谷委員 日本科学技術情報センターあるいは国会図書館その他学会等の研究発表、いろいろな情報源がございます。むしろ特許公報の早期公開による二重研究防止に果たす役割りというというのは、それほど大きなものではないのではないか。発明者の権利との関係において、それほど大きなものでないとするならば、はたして早期公開の理由は許容される正当な理由、合理性というものを見出すことができるものだろうか、これが私の、本改正案の第一の柱である早期公開制度に対する疑問であります。 そこで、特許庁のほうでは試算をされたことがあるでしょうか。現在どの程度の二重投資、二重研究が行なわれているか、数量的にでございますね。そうして早期公開によってどの程度の二重研究の防止ができるか。逆に言うと、それを二重投資と言う限りは、これはお金で換算できるわけですから、早期公開による二重投資の防止ということによる金銭的な利益というのは、投資額の減というのは数量的にどの程度予想されるのか。このあたりについての明確な数字的な分析というものが予測としてでも出てこない限りは、発明者の権利をそこなう。あと以下申し述べますけれども、早期公開制度というものを国民に対して説得することは不可能ではなかろうか。数量的にお示しいただけるかどうか。お示しいただきたい。これが私の質問であります。
○荒玉政府委員 ただいまの中谷先生の質問、多岐にわたっておりますが、第一点の二重研究という問題でございますが、これは科学技術庁の調査でございまして、大体すでに発表している事実を知らないで研究したというそれぞれのデータが出ておりますが、全体で大体四七%という数字が出ておりますが、それ以外にわれわれとしては大体こういったものを前提で考えておる次第でございます。 第二の、公開によってどの程度避けられるかという数量的な面でございますが、これは将来の問題でございます。つまり公開されるといいますのは、いまはないわけでございます。したがって将来の問題でございますし、あるいは企業から言いますと、いまの金額等につきましては、これは相当実は企業の秘密事項に属すると私は思います。したがいまして、公開によってどうかというあたりになりますと、現在われわれとして数量的な把握はしておりません。 ただ、先ほどちょっと問題になりました公開公報がほかの情報とどう違うか、少し見解を申し述べさせていただきますが、御承知のように、先ほど言いましたように、企業といたしましては研究というのは膨大な金がかかるわけでございます。もちろん一般の学術文献も情報でございます。その他も情報でございますが、あと投資を回収するという意味におきましては、やはり特許文献というものは相当ウエートを持ってまいる。したがいまして、他人がやっておるものをやるということは、特許文献におきましては将来特許性がないものに投資するということでございますので、一般文献とは別な角度の価値があると私は思っております。
○中谷委員 要するに、結局数量的には御説明いただけないし、資料の持ち合わせもないということですね。しかも、企業の秘密ということばが出てまいりますけれども、これが私は問題だと思うのですよ。ノーハウの問題について、企業秘密の壁というのはそれほど強いものであっていいのかどうか、これは私はあとでお尋ねをいたしますが、問題はしかし制度改正でございますからね。それがどの程度の早期公開による二重投資を防止できるのかというところの数量的な説明がない限りは説得性を持たないということは、長官はお認めにならざるを得ないだろうと私は思うのです。ことに、先ほどの四十三年の科学技術庁が行なった情報利用の実態調査によれば、なるほど長官おっしゃっておるように、四一%が重複研究を経験しておるということですけれども、すでに発表されている技術情報に対する調査が不十分だったということもあるわけですね。そして問題は、公開公報により二重投資を防止する寄与率ですね。これが全然予測できないのだ、説明できないのだということでは、町の発明家のみならず出願者すべてが、早期公開はやむを得ません、それほどそのことが二重研究の防止あるいは二重投資の防止に役立つなら、私の権利が裸にされてもしんぼういたしますということを言うはずがないと私は思うのです。しかもその御答弁の中に、企業秘密がある、企業秘密があるから、そういうことについては予想はできるけれども、予測の実態については説明ができないといったようなことでは、早期公開制度そのものを国民に説得をする材料に欠けているのではないでしょうか、こういうふうに私は考えます。 もう一度お尋ねをいたしますけれども、企業別、規模別、業種別の二重研究、二重投資がどの程度行なわれているかというふうな実態などは把握はしておられないのでしょうね。しかも二重研究、二重投資の防止に早期公開がどの規模、どの業種、どの企業に一番有効に作用するかというふうなことの定性的な分析というものも、あなたのほうではお持ち合わせがあるのでしょうか、いかがでしょうか。
○荒玉政府委員 先ほどおっしゃいましたのは、要するに早期公開によりそれがどの程度除去できるかということの御質問だったと思います。その業種別ということでございますが、早期公開によってどうなるか、将来の問題でございます。現在は早期公開でないわけでございます。したがって、将来早期公開すればどうなるかといいましても、おそらくそういった数量的な把握は私きわめて困難じゃないかというふうに考えています。将来早期公開をやってということですから、あくまで企業といたしましては、過去にどうかというのはこれは科学技術庁の調査でございますが、将来早期公開によってどうかというあたりは、おそらく今後の問題じゃないかと私は思います。
○中谷委員 そうではないと思うのです。研究に着手をしますね。出願をします。一年半たったら早期公開をしますね。その一年半たたなければ、逆にいうと早期公開をしないのだから、研究の着手が早期出願の四年前、五年前であったといたしますると、その間における二重研究の防止ということは、防止のしようがないわけですね。二重投資も防止のしようがありませんね。従前どおりでございますね。一年半たって公開をしますね。そうして拒絶されるものもあるでしょうけれども、公告されるものも出てまいりますね。一年半たって公開公報が出されて、それを研究者や企業は索引をしますね。そういたしますと、結局出願から一律半たって公開をされるということは、制度ですからこれはもう動きませんね。そういたしますと、現在の実態としては、研究に着手して出願するまでどの程度投資があり、日数を要し、あるいは二重研究があり、研究の競合があるのだろうという実態をまず把握されなければなりません。それが一年半たって公開されたときに、そこで公開されるのですから、そこで二重研究が防止されるのだとおっしゃるなら、それも情報源としては、いろいろな、学会の発表だとか科学技術情報センターだとか国会図書館というものがある、その公開公報の寄与率は、先のことだからわかりませんではなしに、一年半たてば公開されるなら、予測としてはこういう数量的な予測ができるはずですということは出てこなければおかしいのではないでしょうか。公開公報をどの程度利用するという問題もあるでしょうし、どの程度の値打ちがあるという問題もあるでしょうし、いろいろなファクターはあるでしょうけれども、先のことだからわかりません、寄与率は言えませんというのではなしに、寄与率を研究してみようとか、寄与率を検算してみようとか、そういう研究をしてみようという意欲はないのじゃないですか。だから、先のことだからわからぬではなしに、先のことだからこそ聞いているのですよ。予測はどうかということを聞いているのですよ。それは先のことだからわからぬというのではなしに——私はこの前の質問のときにびっくりしましたけれども、制度だから一ぺんやってみるのだというふうな考え方で特許法という国民の権利、義務に関するものが制度改正されてはたまったものじゃない。かりに五億の金を行政上何かに使ったがうまくいかなかったというなら、まだこの問題については、いけないことですけれども、修正の方法はありまするけれども、制度というものは、うまくいかなかったら来年もう一ぺん改正しましょうというわけにはいかぬでしょう。それについて予測をしようとしない、研究をしようとしない。見通しがなくて、何とかいけるだろう、早期公開は効果があるだろう、ついてきなさいということでは、発明家は承知しないと思いますよ。予測についての御努力をしておられないのじゃないか。
○荒玉政府委員 先ほど申し上げましたのは、長期研究のデータはもちろん科学技術庁調査、その他ございます。ただ、いまおっしゃいましたのは、要するに早期公開ということが何割そのうちカバーされるかという、そういった数量調査といいますのは、これは、数量的に現在そのうちの何割だというのが予測困難ではないかという意味で申し上げたわけでございます。したがいまして、ある前提を置きまして、過去においての長期研究を、年次別に、各企業の秘密を全部出して、そうして、それをやればもちろん可能かと思いますが、そう言ったのは、私はやはり各企業自身の秘密というものもそこにはありまして、そういう意味で、早期公開がそのうち何割かというあたりの数量的な把握がないという意味で申し上げたわけでございます。
○中谷委員 御答弁、正確じゃないと思うのです。予測が立っていないのですから、何割なんていうことは正確じゃないと思います。一%かもしれませんよ、寄与率は。何割というのは、少なくとも一〇%以上のことを割と言うのでしょう。そうでございますね。ですから、予測をお立てになってないのだから、早期公開のいわゆる寄与率は一分かもしれませんよ。何割なんていうようなことは、私はおっしゃっていただきたくないと思うのです。ですから、寄与率は一分かもしれません。そういうふうな、一分か何割か、わけのわからぬものについて、実態もなしに、早期公開は二重研究、二重投資の防止に役立つのだということで発明家を裸にしてしまうことに問題がある。だから、私は、この長官の御答弁で、もはや早期公開という一本の柱についての国民に対する説得性が欠けていると思います。思いますが、質問を続けます。 〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕 要するに、早期公開というものは、発明家が秘密にしておきたいという、そういう気持ち、本能、それはしかし、秘密にするのだ、秘密にできるのだという権利でもあると私は思います。それを強制的に裸にしてしまって公開をするわけでございますね。そこで、それではあまりにもひど過ぎるではないかという議論の中から補償金請求制度というものが生まれてきたと思います。 そこでまずお尋ねをいたしますが、補償金請求権という制度、改正法案六十五条の三の補償金請求制度というものを設けなかったとした場合に、憲法上の問題としては、憲法の何条との関係において早期公開制度は生ずる可能性がありますか。憲法問題としてお尋ねしたい。
○大平国務大臣 補償金請求権の問題につきましては、あとから長官から答弁させますが、ちょうど改正法案の重要な論点でございまする早期公開制度の説得性、効用、メリット、デメリットについての御質疑が先ほどから続けられておったわけでございますので、私の理解を申し上げて、さらに御批判をいただきたいと思います。 たいへん初歩的なことを申し上げて恐縮ですけれども、国はその能力におきまして、国民の権利、財産、安全、健康、しあわせ、そういったものを守る責任があります。欲を言えば、これが完ぺきでありたいと思うのでございますけれども、現実の国家という場合を具体的に考えてみますと、おのずからその政府の適応能力に限界がございますことは、御理解いただけると思うのでございます。この特許制度の問題について申し上げますと、中谷先生のおっしゃることを聞いておりますと、それなりに私は理解できると思うのです、あなたのお考えは。それは、国は発明者の権利の保護について非常に厳格で、かつ周到な配慮がなければならぬという思想が根底にあると思います。それは私はとうといことであると思います。そうあらねばならぬと思います。しかし、冒頭に申しましたように、国が現実に持ち得る特許制度の能力から申しまして、どこまで国がその責任にこたえ得るかという具体的な限界があると思います。今日、御案内のように、未処理の案件が数十万ある。権利がむなしく五年間も未処理のまま眠っておるということは、一面、国にとりましても耐えられないことでございます。あなたの論法をもってすれば、国の適応能力を拡大充実いたしまして、権利の保全ということに対して万全の措置をとる、こうすればこういう改正案は要らないのでございまして、特許庁の能力を何倍もに拡充いたしまして、間然するところなく適応力を発揮して、国民の権利を保全してまいれば、それでいいわけでございます。今日ただいまわれわれに与えられておる能力というのは、行政組織全体から申しまして、特許庁はこれだけの能力である、これだけの範囲において与えられた責任を果たせ、こういうことでございまして、せっかくいろいろなくふうをこらしましてやりましても、今日ずいぶん未処理の案件が長い間未処理のままで滞積されておるという悲しい現実でございます。そこで、完全に特許庁の能力を充実させるかというと、それも相対的な問題といたしまして、特許庁だけに強大な能力を付与するということ、国全体の能力の配分から申しましてそれが期待できないということでございますれば、次善の策といたしまして、この事態に対してどう対応するかという次善の策を私どもは考えなければいかぬ。そこで何年間も権利になるべき卵が眠っておるというようなことでは申しわけないから、一つの方法として、いま問題の早期公開制度というようなものを考えておるわけでございます。これはまことにあなたから言うと穴だらけだという。穴だらけでございましょう。しかしながら、現在このままの状態で推移していくよりは改善になるということで私どもは改正に踏み切ったわけでございます。四年も五年も権利が眠っておる状態でございますれば、いまあなたが御指摘の重複研究というようなものも、それだけの期間において、それだけの分量において行なわれる蓋然性があるわけでございます。一年半で早期公開に踏み切るということによって、その早期公開で公報に掲載して周知徹底がどこまできくかの具体的な事実問題はございますけれども、そこでいまの事態をかなり改善できるという予想を持ちまして、私どもはこういう制度改正というものを考えたわけでございます。したがいまして、先ほど長官が答弁いたしまして、どのぐらいの重複研究が避けられるかの予想も立たぬでというような御指摘でございますけれども、それはどれだけのメリットをこれが生産いたしますか、それはまさに予想の問題でございまして、いまかりに特許庁長官が、何割ぐらいは予想できますなんと言うたら、今度は逆にあなたのほうからおしかりを受けるだろうと思うのです、そういう大ざっぱなことではだめじゃないかと。事は国会でございますから、議論は正確でなければいかぬ。そういう意味で予想について何%でございますなんということはどうも申し上げられませんというのが私は正直な答弁じゃないか、そう考えておるのでございます。繰り返して申し上げますけれども、これは私があなたに申し上げるまでもないことでございますけれども、先ほどから拝聴いたしておりますと、われわれの苦悶のありかはそういうところにあるのだということでございまして、百点満点とれるなんということは考えていないのでございまして、五十点とか六十点とか、そのあたりの境のところで、現在よりどれだけ改善できるかというところで大平以下みな苦心しておるのだということに対しまして御理解をいただきたいと思います。
○中谷委員 大臣から非常に御熱心な御答弁をいただきましたが、実は昨日特許法の質問をやる予定でおりましたが、委員会がありませんでしたので、一日勉強した。そうしてやはり問題は基本に返らなければいかぬと思いまして、あらためて提案理由説明を読んでみました。大臣の御答弁、二つだけ不正確な点がありますので、失礼ながら指摘しておきます。 まず、早期公開制度というのは、審理の促進とは無縁のことだということは提案理由に書いてございますね。だから、大臣がここで滞貨がたくさんあるので苦しんでいるのだと言うことは、これは審査請求制度の採用、審査前置制度の採用、それから私たちのほうから言っておるのは登録料の値上げによって抑止力があるのではないか、この三つの出願件数を減らしたり、審査の促進に役立つ、その柱でございますね。早期公開というのは、何も滞貨を減少するための制度ではないわけでございますね。そう提案理由には書いておりません、それが一点。 いま一点。国会での答弁は正確でなければならないとおっしゃいましたが、大臣、提案理由にこうありますよ。「審査請求制度を採用」いたしましたとありまして、「そうしますと何割かの出願は審査をする必要がなくなり」ます、こう書いてあります。何割かですよ。これは提案理由に書いてあるのです。ですから、審査請求制度については何割か減ります、こう書いてあるのです。だから、私がさっきから言っておるのは、いわゆる早期公開が二重研究の防止に寄与するというのが何点何%までか言えということを言っておるのではないのです。それが一〇%くらいでしょうとかなんとかというふうな答弁の予測はひとつしてください。前回の委員会の質疑の中で、審査請求制度について、オランダでは四五%、日本では安全率八〇%でしたというような答弁がありました。審査請求制度についてはそういう答弁があるわけでございましょう。だから早期公開についても同じ寄与率というものをパーセンテージであらわしてくださいよ、そうでなければ国民は納得しませんよということを私は繰り返し聞いておるのです。それについて何とかなるであろう、何とかなりますよという御答弁だから、納得しないと言っておるのです。 もう一度私は指摘をいたしますけれども、大臣が本改正案についての何べんかの御答弁の中で述べられた、非常に苦しんでおるのだ、このことはよくわかります。 〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕 ただしかし、一つの柱である早期公開制度、二本目の柱であるところの審査請求制度、これが私は二本柱であると思いますけれども、そうしてその次の大事な柱というのが審査前置制度だと思いますが、滞貨の処理、さらにいわゆる早期審理、審理促進は第二の柱においてまかなわれることであって、早期公開というのは審理の促進とイコールに結びつく制度改正ではない、こういうことは、本委員会の特許法改正におけるときの質疑の冒頭においてわれわれが確認をしたことなんです。ですから、いかにして審理を促進するかという考え方についても、私は次に言います。きょうは、早期公開という発明者保護の問題について申し上げておるので、大臣の御答弁はこの二つの点において遺憾ながら必ずしも精緻でなかったと私は思いますが、いかがでございましょうか。
○大平国務大臣 私は審議促進との関連において早期公開制度をいま御答弁した覚えがないので、あなたが指摘されたように、重複研究というようなことについての御指摘がございましたから、それの関連において早期公開制度の持つメリットというものについて御理解をいただこうという趣旨で第一点は申し上げたのです。 それから第二点の、何割かという表現と一〇%という表現とどちらが国会に対して誠実かというと、私は何割かという表現のほうが誠実だと思うのです。何となれば、事は予想の範囲に属することでございますから、一〇パーセント程度なんという自信はないのでございまして、何割かということで申し上げることのほうが私は誠実だと考えます。
○中谷委員 それではもう一度長官にお尋ねいたします。 提案理由説明によりますと、審査請求制度についてはいろいろな効果試算をお出しになりまして、「そうしますと何割かの出願は審査をする必要がなくなり」ます、こうなりますね。そうすると、二重研究、重複研究、重複投資の行なわれる要因を防止できる割合は何割かあるのですか。それとも何割とは言えない、何分かもしれないのですか。そういう予測の計算の根拠は何ですかという質問に変えておきましょう。
○荒玉政府委員 請求率につきましては、関連でございますから、ちょっと申しました。これも一つの予測でございます。しかし、少なくとも現実にある企業の出願が係属しております。それをどういう理由で請求しないかということで、もちろん条件がございます。請求料をどうするか、あるいはその他の条件がございますが、そういう形でおおむねの感触といいますかが客観的にあらわれておる。したがいまして、先般の質疑におきまして、おおむねどのくらいだ、特許八〇%、実用新案七〇%、これももっと正確に言えば程度でございます。おおむねそういうことで申し上げておるわけであります。こちらの重複研究のほうでは、そういったそれに匹敵する根拠があるものは、先ほど申し上げた御説明でその程度のものはございませんということを先ほど申し上げたわけであります。
○中谷委員 補償金請求権の予想されると思われる問題点は全部きょうはひとつ出したいというつもりで出てきましたが、かなり時間を食いますが……。 質問をもとへ戻します。補償金請求権を認めないで早期公開をしたとするならば、どのような憲法問題が起こり得るでしょうか。
○荒玉政府委員 われわれ一応考えていますのは、憲法の御承知のように二十九条でございまして、やはり発明というのは一つの財産権でございます。したがいまして、公開するということは、その発明者の利益を害するというふうな考え方で補償金でございますので、大体憲法二十九条から基づいたものではないかと思います。
○中谷委員 憲法第二十九条「財産権は、これを侵してはならない。財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。私有財産は、正当な補償の下に、これを公共の福祉のために用ひることができる。」とあります。 そこで、まずお尋ねをいたしたいのですが、そうすると、出願をして公開をされた、その段階における、大臣のおことばによれば特許権の卵、特許権の卵は権利なのでございますね。二十九条問題が生ずるということは、特許権の卵は権利なんですね。権利だとすれば、それは一体何権というべき権利なのでしょうか。
○荒玉政府委員 あと補償金請求権の前提条件だと思うのでございますが、要するに特許権といいまする権利は、国の審査という行政処分によって発生するという基本的なときを考えております。したがいまして、出願公告という段階、これは一応の審査でございます。その前におきましては、一種の発明者の持っております利益ということで、それはもちろん財産的価値があるということでございます。したがいまして、特許権そのものではなくて、一種の発明者の持つ利益というふうに考えております。
○中谷委員 補償金請求権は長官の最も得意とされるところだというふうにお伺いをしておりますので、この問題については詰めてお聞きしますが、発明者の持っている利益というのは、利益ということばは権利ということばとイコールにつながりませんね。特許権というものでないことはわかります。しかし発明者の持っている利益、その利益は一体何から生ずるのか。何らかの形において権利、どんな権利かという表現がなければいけないのではないでしょうか。ひとつこの点については長官でなくてもお答えいただいてけっこうです。要するに、しかし二十九条問題があるというのですが、二十九条は、「財産権は、これを侵してはならない。」とありますね。少なくとも二十九条の関係においては財産権だとおっしゃるわけでしょう。財産権があるから利益が権利に基づいて生ずるわけでしょう。権利から流れ出てくるものが利益でございましょう。そうすると、一体この権利は、特許権の卵は、適切なことばとしては特許権の期待権なのでしょうか。それとも特許権には至らないけれども、特許権に近い、特許権になり得る権利の可能性を持った権利なのか、あるいはそういう権利状態だとか、いろいろな言い方があると思います。判例は別として、学説などもかなり拝見をしてまいりましたけれども、利益という御表現で学説としても通説としての御説明になるのでしょうか。
○荒玉政府委員 一般的には御承知のように特許を受くる権利というのがございます。したがいまして、たとえば譲渡した場合に、それは特許を受くる権利を譲渡するという形でございます。そういう意味で権利であることは間違いございません。ただ、公開との関係で、先ほど特許権との差異で申し上げたわけでございますが、通常は、普通のことばは特許を受くる権利という中身かと思います。
○中谷委員 「財産権は、これを侵してはならない。」という規定との関係で問題になってくるわけでございますね。そうすると、早期公開が財産権を侵す危険を持っている。早期公開というのは行政処分なのでしょうか、行政行為なのでしょうか。いずれにしても行政庁が、とにかくいやだ、いやだと言っていても裸にしてしまうわけですね。かんにんしてくれないわけですね。そういうふうなことだとすると、財産権は侵してはならないというのに、早期公開は国家、政府が国民の権利を侵すことになるのですか。
○荒玉政府委員 憲法の二十九条の二項で「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」したがいまして、そういった発明者の権利それ自身がどういう段階で公開されるかどうかということは、むしろ当該法律つまり特許法でそれが適合するように中身を定めていく。しかし定めていくけれども、それは先ほど言いましたように、やはりある程度の補償のもとで定めていくというのがいまの法律の考え方でございます。
○中谷委員 財産権の内容に関する規定が二十九条の二項でございます。それで二十九条の一項は「財産権は、これを侵してはならない。」という規定です。早期公開が補償金請求権制度を設けないとすれば、「財産権は、これを侵してはならない。」という規定において問題になるのですか、あるいは問題にならないのですか。逆に言いますと、二項を突如としてお引きになりましたけれども、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」という規定にぴったりくるのは早期公開であるというなら、補償金請求権制度というのは設ける必要がないのだということになってきますね。要するに一項の問題なのですか、二項の問題なのですかという質問をもう少し詰めてやりたいと思います。私は憲法問題があると思う。ドイツでもありましたね。ドイツの憲法十四条との関係ですね。オランダ憲法にも、ちょっと条文を失念いたしましたけれども、ありました。要するに、そういう憲法問題を含んでいるというような制度改正でございますから、補償金請求権というものはぎりぎり一ぱいに掘り下げてみたいと思います。 ところが、委員長にお願いしたいのですが、十二時に休憩だというふうに理事会できまったそうですので、午後あらためてこの問題で以下の質問をさせていただくことをお願いいたしまして、御答弁を整理をしていただきたい。一項についてお聞きをしているわけですから、二項に飛んできたり、二項を聞き出したら三項に飛んだりしないでください。そういうふうにお答えいただかないで、憲法問題ならずっと統一して整理して答えてください。会議録そのものが一つのレポートになるような御答弁をいただきたい。そういうふうに御答弁いただければ、私のほうもそういうふうな質問をいたしますから、ひとつそういうことで午後からの再開後質問を許していただくということで、一応私の質問を留保いたします。
○大久保委員長 午後二時より再開することとし、この際休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ————◇————— 午後二時二十八分開議
○大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。中谷鉄也君。
○中谷委員 憲法第二十九条について午前中質問いたしましたが、要するに憲法意識といいますか、憲法感覚というか憲法感情というか、そういうようなものが早期公開制度の中では問題になってまいります。ただ、休憩中に私検討いたしましたが、憲法二十九条と早期公開制度のかかわり合いについては、たとえば二十九条第一項の財産権の中に公開から公告までのいわゆる特許権の卵が入るのかどうか、それは私権なのか公権なのかなどというふうな問題、公開がそれを侵されることになるのかどうか、あるいはまた「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」とありますが、公開ということが財産権の内容を規定することになるのかどうか、そうしてまた公開ということが公共のために用いるということになるのかどうかなどの法律問題は当然予想されるところでありますが、この問題についてはさらに緻密な論議が必要だと思いますので、あらためて私は法制局長官か何かの御出席をいただきまして論議をいたしたいと思います。ただ、予想される問題として、憲法三十一条との関係について、問題ははたしてないのだろうかという問題の提起だけは、私しておきたいと思うのです。御承知のとおり憲法三十一条は次のような条文であります。すなわち「何人も、法律の定める手續によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」とあります。これは言うまでもなしに法定手続の保障に関する規定でございまして、刑罪法定主義ないしは刑罰権に関するところの規定であると一般に理解されてはおりますけれども、行政手続に関する規定としても、三十一条は、最近行政法学者の中では問題ある規定だとして問題を提起していると私は聞いております。といたしますと、いわゆる「法律の定める手続によらなければ、」とありますが、この場合、午前中比喩的に申しましたけれども、いやだいやだと言っていても強制公開をする。強制公開をされることについて何らの異議申し立て権を認めていないということが、憲法三十一条との関連において問題を生ずるのではないか、私はこういうふうな疑問を持ちます。この点についても緻密な議論を展開するだけの準備が現在ありませんが、長官のほうにおいてはこの問題についてはどのように現在お考えになっておられるかどうか。三十一条問題についての意識をお持ちになったかどうか。そして意識をお持ちになったとすれば、三十一条の問題の異議申し立てを認めないということが、要するに、いやだいやだと言っても強制公開されるということが憲法違反の問題を生ずるおそれがないのかどうか。違反をするおそれがないとすればどのような理由なのか等についてひとつ問題提起をいたしましたので、やはり考え方の端緒をお示しいただく程度の御答弁をいただきたい。
○荒玉政府委員 先ほど憲法二十九条の問題、保留された問題の中で、私いまの問題は二十九条第二項という答弁をしたと思います。したがいまして、いま三十一条の問題とは私関係ないと思っております。したがいまして、要するに財産権の内容は、いま公開の場合に「公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」というそちらの二項の問題でございまして、三十一条は関係ないんじゃないか、かように考えております。
○中谷委員 財産権の侵害に関する、財産権の保護に関する規定が二十九条でございますね。そういうふうな法律の手続が、発明者である、出願人であるところの国民の不服を申し立てる、そういうふうな機会を何ら与えなくて、とにかくいやだと言っても何と言っても公開をしてしまうということが法律の手続によらないという問題を生ずるのではないか。早期公開ということが財産権を侵すことになるのではないかという問題と同時に、公開という行為そのものに対する国民のほうからの異議申し立て権が法律六十五条の三には認められておりませんが、そのことは一体何らの問題を生じないか。要するに、異議申し立て権を認めていないことは明らかでありますけれども、それはではどのような理由に基づくものなのか。強制公開をされることをいやですよと言うことについての異議申し立て権を認めるということが、何か逆に言いますと、異議申し立て権を認める必要がないということであるかのように……。異議申し立て権を認めるということは立法論として当然あり得ますね。しかし、それは立法論としてとどまるのではなしに、異議申し立て権を認めないことに問題があるのじゃないかという趣旨の質問なのですから、二十九条問題と混同をしていただきたくないのです。
○荒玉政府委員 私、考えますのは、財産権の内容といいますのは、特許権の内容、つまり特許権が出願してからあとどういう手続なりどういう効果を持っていくかというのが二十九条の二項の問題だと思います。したがいまして、出願をしない人を強制公開するという問題がもしあるとするならば、それは場合によれば三十一条の問題かとも思いますが、いまの場合は、出願してあとどうなるかということは、全体の財産権の内容にも——私、三十一条をあるいは正解していないかも知れませんが、いまのところ私はそう考えております。
○中谷委員 そうじゃないのです。公開をされたくなければ出願しないということはあたりまえのことなんです。出願をしたら、いやでもおうでも、いやだいやだ、かんにんしてくれと言っても公開されちゃうということについての、何らそのことについての異議申し立て権を認めないというのは、三十一条その他の問題を生ずるのではないでしょうかという問題の提起なんです。どうもしかし長官の御答弁をお聞きしておりますと、そのあたりについては審議会におけるところの論議がどういうものであったか、そういうふうな御論議があったのかどうかについても若干私は拝見をいたしておりますけれども、ただ強制公開をきめたのだ、だからそれについてはもうついてこいという態度は、出願人の立場からいって非常に私は不満が生ずる第一点だろうと思うのです。たとえば、そういたしますと、裁判所に対してある人のごときは公開されることはいやだというところの公開禁止の仮処分申請ということを、通るか通らないかは別として、出すことだってあり得るわけでございましょう。要するにノーハウというものはあるのだし、自分は特許権はもらいたいけれども、公開するのはいやだという場合はある。何も公開ということは現行特許法の制度ではないわけです。だから私はきょうは問題の提起にとどめますが、三十一条問題になるかどうかについて、手続について、無理やりにそれに対する異議申し立て権を認めずに全部公開してしまうのだ、それについては公開だけはかんにんしてくれということについての手続も認めていないということ、公開されるのはいやだったら出願するなというふうな言い方は、少し私のほうの立場から言いますと乱暴な議論だと思うのです。その問題についても問題の提起をいたしておきますから、ひとつこの点について御検討いただきたい。この問題も、私はあらためて法制局長官の御出席を求めまして、憲法問題でありますから、問題を分析させていただきたい。憲法問題でございますので、きょうはこの程度にしておきまして、次の質問に移ります。ただしかし二十九条問題というのは頭に置いて以下御答弁をいただきたいと思います。 大きな質問をたくさん準備してきましたけれども、時間の都合もありますから、質問をかなり制約をいたします。 まず、公開された、それをとにかく模倣する人がいる。模倣する人は公開をしたから模倣するわけですね。公開をしなければ模倣というものは生じませんね。そうすると、国が模倣の機会を与えているわけですね。そうすると、公開されたから模倣されたのだから、国に対して損害賠償なり補償金なりを請求できる。模倣を実施した人に対して請求すると同時に、国に対しても実施できるという議論だってあり得ると思う。国に対しては実施できないのだという法律的な見解はどういうところから出てくるのでしょうか。国に対して実施して、国から補償金を巻き上げたら国が破産してしまうというのは、これは財政論です。法律論として、国は請求の対象にはならないのだという法律論はどういうところから出てくるのでしょうか。
○荒玉政府委員 いまの補償金の考え方は、法律的に言いますと、大体現在の出願公告と非常に似ておると思います。つまり特許権を得る代償として出願公告をする。公開はその途中の手続として公開していく。したがいまして、第三者が実施した場合には、やはり利益を受ける第三者が相当のものを払っていくというのが全体の特許法の考え方だと私は思います。まさしく今度の補償金もその意味では、御同様にお考え願いたいと思います。
○中谷委員 非常に比喩的なことを申し上げて恐縮ですが、どろぼうがいたとします。ある家に入りたい。だれかがそこの家に入るとびらのかぎをはずした、それがAとします。とびらのかぎがはずれていたのでBが入って物を盗んだ。最初のAは利益を得ておりませんね。非常に失礼なことを申し上げますけれども、早期公開というのは、逆に模倣者の立場から言いますと、模倣しやすいようにとびらのかぎをはずして家の中に入っていってもいいですよというかっこう、入りやすくするというふうなかっこうであるということは比喩的には言えるでしょう。その場合、とにかく物はとらなかったけれども、国が模倣するということはありませんけれども、とびらのかぎをはずして家の中に入ってもいいですよと入れるような状態をつくった人が免責されるはずがございませんね。利益を受けた人に対して請求するのは妥当だろうということはわかります。国は補償金請求権の対象としては理論的になり得ないんだ、立法政策の問題として理論的になり得ないんだ、利益を受けた者から取るべきだろうということは御説明としてはわかります。しかし、国が免責されるということの理由の御説明にはなっていないと思う。いかがでしょうか。
○荒玉政府委員 国が公開いたしますのは、要するにそれが国全体の技術進歩に役立つという、それが公共の福祉という観念から私は公開していくのだろうと思います。したがいまして、盗みなさいということでなくて、やはりそれが全体の利益につながるという趣旨ではないかと思います。
○中谷委員 公共の福祉に役立つためならば、発明者、出願者に対してどんな不利益を与えてもいいという理論はどこからも出てまいりませんね。東名高速道路をつくる、もう一本つくろうじゃないか、それは当然公共の福祉なんです。だから、とにかくそこのけそこのけということで、全部の土地をただで取り上げて道路をつくるなどということは考えられもしませんね。土地収用法による補償理論はそういうものではございませんね。だから、公共の福祉に役立つということについての数量的な分析をしてくださいということを午前中にお願いをしました。この点について説得力がないということで、特に大臣の御答弁をいただきましたけれども、公開が公共の福祉に役立つんだということは、何も国の早期公開によって発明者が受ける損害が補償されなくてもいいということにはならないでしょう。国は公共の福祉というにしきの御旗、公共の安全というにしきの御旗のためには何でもできるんだという考え方は現在近代法のとらないところですね。ですから、先ほど言ったような比喩的なことを申し上げて恐縮ですけれども、国が公開したからこそ模倣が行なわれたという場合に、国に対して補償金請求が理論的にできないんだということの御説明にはなっていないと思うのです。公共の福祉のために用いられるから国は払わなくてもいいんだなどとなれば、公共の福祉というたいへんな武器によって、道路をつくるためには土地も取り上げられる、あるいは公共の福祉のために、おまえは顔つきが悪いから刑務所へ行けというようなことも言えますよ、それだったら。そんなものじゃないでしょう。早期公開ということは公共の福祉のためだとしても、そのことによって模倣されたとなれば、国に対して補償請求権があるんじゃないかという議論は当然起こってくると思うし、そういうことは理論的には成り立たないんだということは学者も言っていませんね。私もとにかく文献を見てみましたけれども、そんなことをされたら国が破産するんだ、だからかんにんしてくれというような言い方の議論だと私は拝見しました。かんにんしてくれというなら話は別ですけれども、かんにんしてくれと言ったって、かんにんしないという人はかんにんできないでしょう。私はかんにんしないと言えば終わりでしょう。だからこの機会に、国に対しては請求できないんだという理論構成がもう少し法律問題として理論構成されなければいけないのじゃないでしょうか。いかがでしょう。
○荒玉政府委員 先ほど申し上げましたように、出願公告の場合と私は法律論としては非常に類似であると思います。なぜなら、御承知のように出願公告をいたします。第三者は中身を知ります。第三者がやった場合には仮保護の権利侵害ということで第三者が損害を払わなければいかぬ。それと同様に今度の場合はそれが補償金という形に変わったというわけでございます。したがいまして、国がそういう補償をするということは、いまの出願公告の場合と公開の場合はその点においては同じ法律構成だと考えております。
○中谷委員 議論を発展をさせていきます。結局公開をしまして裸なんだ。要するに公告になって初めて補償金請求権の行使ができるわけですね。ですから、全く裸の状態にその出願人はほうり出されるわけでございましょう。そうすると、特許法の差しとめ請求権その他の権利を認めるべきではないか、公開から公告の間の補償金請求権と同時に認めるべきでないかという議論もありましたですね。この点について認めるべきではないんだということになったということも承知をしております。 そこで、私のほうからその次の問題を提起をいたしますが、認めるべきでないのだということですけれども、単に補償金請求権だけでは保護が足らないのではないか。そうすると、前回長官の御答弁はこうでございましたね。公開から公告までの間には拒絶が五〇%くらいある。要するに玉石混淆なんだ、こうおっしゃいましたね。私はこう思うのです。玉石混淆といいますけれども、まさに最初から石は石ですね。宝石は最初から宝石でしょう。ですから、将来補償金請求ができるようなものは、最初からまざっておるけれども、石が宝石になったり、宝石が石になったりするわけじゃございませんね。それらについて差しとめ請求権も認めない、それからということについては権利の保護に欠けるのじゃないかということなんです。ですから、公告後に限って補償金請求権を行使させるという議論は、拒絶率が五〇%だということでは必ずしも説得力がある御答弁にはならないのじゃないか。この点いかがでしょうか。
○荒玉政府委員 問題は二つございまして、一つは請求権の権利行使の時期をいつからやるかという問題と、差しとめ請求、ちょっと分けて御説明申し上げます。 実はこの点につきましては審議会でもいろいろな議論がございました。御承知のようにドイツの法制は、これは公開から補償請求権の行使ができる、こういう制度でございます。オランダの場合はむしろ特許権が発生してからいける。日本はちょうどまん中の出願公告ということでしたが、なぜそういたしましたかという背景を申し上げます。これは制度的にはドイツのようなやり方も私可能だろうと思いますが、日本の場合は業界の実態が一つと、それから訴訟制度の関係、二つの面から原案のように考えました。業界といいますのは、ドイツの場合と違って日本の場合には、いろいろ大企業同士あるいは中小企業同士同じものを生産して、いい面もありますが、いわば相当競争激甚だ、こういう場合に、先ほど言いましたように、玉石混淆、もちろん初めから特許になるものもございますが、そういった状態で、むしろ権利乱用というものが少し激しくなるのではないか。これはもちろん発明者でない反対の側からの業界が実態を一つ判断いたします。もう一つは、御承知のようにドイツも公開から直ちに請求権行使ができますが、訴訟の場で裁判所が、それは特許性がないと言えば中止するわけでございます。日本の制度でございますと、現在裁判所で侵害訴訟がありますと、普通の場合でございますが、特許権侵害という場合に、特許は無効になるかどうかということは特許庁の審判事項でございます。つまり、そういった特許性の判断というものは、むしろ日本の場合やはり裁判所と特許庁が受け持っておる、こういうことがございます。これは諸外国によりまして、裁判所自身が侵害訴訟の場合無効かどうかを判断する制度がございますが、日本の場合は、裁判所と特許庁では、できるだけ専門分野の事項は特許庁が専決的に判断していくという全体の体制がございます。したがいまして、そういった場合に、裁判所に公開から公告までに訴訟提起した場合に、そういった裁判所で専決問題を判断するということに実際上非常に困難な面がある。両者の面から考えまして、やはり一応出願公告の時期まで待っていただきたいというのがいまの制度でございます。ただし、そういたしますと、公開から出願公告まで非常に時間がかかる。権利者の利益というものが害されます。したがいまして、これは審議会でも議論になっております。われわれも、やはりそういった第三者との権利の競合という問題が起こった場合には、通常のものに優先して白か黒か、つまり出願公告するかどうかということを迅速にやっていきたいというところで調整を考えていきたい、かように考えております。
○中谷委員 問題はたいへん裁判の基本にかかる問題だと思うのです。要するに、長官のおっしゃりたいことはこうなんでございましょう。裁判所は、公開から公告までの間に訴訟を起こされたら特許になり得るかどうかの判断をしなければならないから、裁判所はそういうふうなことで迷惑だ、とてもそんなことは裁判所の現在の体制でできるものじゃない、こういうふうに私いまお聞きしたんですけれども、私は、裁判所の現状から言いまして確かにそういう面はあると思うのです。しかし、それならたとえば新宿であばれた学生諸君が東京地方裁判所へ千人近く起訴されている。裁判所はたいへん迷惑ですよ。しかし、起訴してきた以上は、裁判所は泣きながらでも裁判しなければなりませんね。ですから、早期公開ということで、特許庁のほうで制度改正をされて、発明者がそれによって裸にされちゃって、そうして裁判所と特許庁でお話しされて、おれのところへとにかく公開から公告までの間の訴訟を持ってこられてはたいへんだよということで、それだったら発明者にしんぼうしてもらって公告後に訴訟を起こすようにしてやろう、そういうふうにしようじゃないかというふうなことは、とにかく国民に対してしわ寄せがきているというふうにいわれてもしかたがないですね。ですから私は、裁判所がその判断をするのはたいへんだというふうなことは、公開後訴訟の提起ができるということを発明者諸君、出願人諸君が望んでいるということを抑止する理論にはならないと思うのです。だから私は、これを強く指摘しておきます。 ドイツのような特許裁判所が日本の裁判所に設けられていないということはよくわかります。特許をおやりになっている裁判官の数も非常に少ないということは私よくわかっております。しかし、裁判官が少ない、受け入れ態勢がないからといって、まず公告後だとおっしゃるその趣旨は、私は非常に理解に苦しみます。逆に言いますと、国の予算について特許庁の増員をやらない、予算の飛躍的な増額をおやりにならないで、滞貨がたまったことについて出願人が迷惑をこうむっている。これと同じことだと思うのです。そういうことについては、やはり予算を飛躍的に増額していただいて、審査官を飛躍的に増員していただいてということが本質ではなかろうかと思うわけです。ですから私は、裁判所が迷惑だということで公告後とされた点については、これは発明者、出願人の立場から言いますと、著しく説得性を欠くというよりも、国民に対して裁判を受ける権利を結局奪うものだというふうに申し上げたいと思うのです。 それから業界の事情ということを申されましたね。それではその点について質問をいたしますが、先ほどの点についてはもう理由にならないと思うのです。業界の事情ということについては、私のほうが暗いから、ひとつお聞きいたしたいと思いますが、そうすると、この早期公開制度を設けて補償金請求権制度を設けたことによって、公告後、たとえば昭和四十六年なら四十六年、また、これは予測の問題になりますけれども、どの程度補償金請求権訴訟あるいは補償金請求権の行使が行なわれるというふうに考えられますか。業界が過当競争だということで、もし公開後に行使させることにしたら、それの何割、何%補償金請求権行使がふえるという予測のもとに公開公告後だというふうにされたのか。業界が非常に激甚な競争をやっているからということでありますけれども、そうすると、そのあたり分析が必要でございましょうね。いかがでしょうか。
○荒玉政府委員 公開後紛争がどういう件数かというのは残念ながらちょっとわかりません。もちろん現在侵害訴訟の件数はわかりますが、公開後というのはちょっと数字がございません。
○中谷委員 こうなんです。補償金請求権制度というものを設けたことによって補償金請求権を行使することができる、そうして業界が激甚な競争をしておるということで公告後にすべきだとおっしゃったのだから、公開直後から請求権を行使できるとした場合には、公告後よりもどれだけ数が多く出てくるだろうということの予測もひとつお立てになっていただかなければ、公告後において理由の二つのうちの後者の理由だって説得性を持たない。この点について予測は立っていないわけですね。
○荒玉政府委員 計数的に幾らという予測は立っておりません。審議会のほうでいろいろ各界の意見という意味で、先ほどの理由を申し上げたわけでございまして、何割幾らがどうだというようなその数字的なものはございません。
○中谷委員 では、公開後直接行使させることが公告後よりも混乱を生ずるなどということになるのかならないのかもわからないわけでしょう。わからないというふうにお答えいただけることになると思うのです。その点だけは大事な点でございますから確認をしておきます。
○荒玉政府委員 計数的にはないというわけでございますが、もちろんこの問題については、われわれ審議会なり外部その他いろいろ御説明いたしまして、両方の立場からの議論がございます。したがいまして、主として審議会の答申に基づいた結果でございます。
○中谷委員 審議会の答申はいいんですが、要するに、審議会でも、その点について公開後ならふえるとか減るとか、公告後より公開後がたくさん出てくるんだ——一年半たって公開して公告の間に期間があるのですからふえるのかもしれませんけれども、あるいはその間にまたかえって和解ができるのかもしれません。ですからそれについては、いまの御答弁で重ねてお答えをいただきませんけれども、どうも二つとも、裁判所の問題と業界の競争という問題について、公告後に補償金請求権を行使しなければならない、どうしてもそういうふうにしなければならないという理由というのは見当たらないように思います。 どんどん質問をしていきます。 そこで次に問題になるのは、補償金請求権というのは一体法律的な性格は何なのかという問題でございますね。補償金請求権というのは一体何なのでしょうか。もとの話に戻りますけれども、これは請求権ですから、補償金請求権の前提となる実体権は一体何なのか。特許権の卵——またもとの午前中の議論に少し戻りましたけれども、補償金請求権の性質は一体何なのでしょうか。現行法には補償金請求権ということばは見当たりませんね。
○荒玉政府委員 この法律が創設した一種の債権と考えています。
○中谷委員 これは生まれてきた経過なんです。創設されたものですが、では補償金請求権というのはどんな性質の権利なんでしょうか。
○荒玉政府委員 先ほどの憲法論に返って恐縮でございますが、やはり発明者といたしましては一つの先発したといいますか創業者的な利益がございます。したがいまして、今度法律によりまして公開をいたすわけです。それが公開されての不利益をこうむるわけです。そうしますと、やはり発明者の利益という問題から見て、補償金請求権を与えるということによってそのあたりの利益を調節したい、こういう意味で法律が設けた新しい権利だと考えています。
○中谷委員 ちょっと正確じゃないですね。不利益をこうむる、そこで補償金請求権というのは、模倣したという事実がなければ発生しないのでございましょう。だから、公開したから設けたのだとなってしまうと、国に対して請求しますよということになりますよね。
○荒玉政府委員 特許法の一般論をまず申し上げますが、現在の特許権侵害という場合でも、出願公告で中身を知ってということだけでは何もございません。御承知のように中身を審査さすというのが特許制度の使命でございます。したがって、ただ研究のためにやったということになれば特許権侵害ではもちろんない。それと同じように、この場合も公開した中身を知ったというだけでなくて、現実にそれによって利益を受けたというところで発生する一般の特許権の場合とその点は同じじゃないかと思います。
○中谷委員 ですから、補償金請求権の発生というのは、公開されたから直ちに発生するものではないわけですよ。いろいろな警告だとかいろいろな条件もついてきますし、行使の条件もついてきますからね。 では、法務省にお尋ねをいたしますが、私が先ほどから言っているように、公告後補償金請求権を行使させるということは、民法のたしか百二十八条、条件附権利の不可侵のような、何か条件つき権利のような感じがするわけですけれども、それはさておいて、私が法務省に聞きたいのは、一般事件がありますね、借地だとか借家だとかあるいは貸し金だとか、そういう一般事件の原告の勝訴率というのは一体どの程度統計上出ておりますか。
○宮脇説明員 お答え申し上げます。事前に御連絡いただいた範囲を少し越えておりますものですから、残念ながら用意いたしておりません。私の推測では三〇%から四〇%くらいと思いますが、ただ実質的な勝訴率あるいは敗訴率を考えます場合には、和解で終了した事件とか、取り下げで終了した事件も考慮に入れなければなりませんので、現在私が申し上げた数字は判決だけを前提にした数字と御理解願いたいと思います。正確にはまたあらためて申し上げます。
○中谷委員 そこで私は、なぜ勝訴率なんということをお聞きしたかと申しますと、宮脇参事官のお話はちょっと低い。私はもっと高かったと思いますよ。七〇%くらいの勝訴率だったと思います。いまの御答弁は私にとって利益な答弁なんです。と申しますのは、拒絶率は五〇%だというんでしょう。そうすると補償金請求権の額はともかくとして、逆に言いますと五〇%は最低勝つということでしょう。そうでございますね。公開があってすぐ補償金請求権の行使をしても、宝石とがらくたと一緒になっておったとしましても、拒絶率の関係からいっても半分は勝つわけですね。まして補償金請求をする前提になる模倣するというようなものはかなりの値打ちのあるものだということになれば、要するに公開から訴訟を起こしたって一般事件の勝訴率よりも高いじゃないかということになってくると、私のほうからのそういう問題提起といいますか、指摘から言いますと、公開後補償金請求権を行使さしても一般事件よりも勝訴率が高いものを、何で公告後まで条件つき権利として待たすのかという問題が出てまいりますね。勝訴率の関係において述べてください。
○荒玉政府委員 勝訴率をストレートに——御承知のようにこの事件においては、いわゆる補償金の前に特許になるかどうか、あるいは第三者がやっておるのは特許に触れるかどうか、こういう二つのファクターがございます。したがいまして、いま勝訴率、特許になるかどうかは、先ほど申し上げましたように、特許が五〇%で、いま先生がおっしゃったように問題になるのはいいほうじゃないか、それならばむしろ五割以上じゃないか、その判断は、そういう見解も成り立つという程度の感じでおります。
○中谷委員 逆に言いますと、なるほど勝った勝ったといったって一部しか勝っていない場合がありますね、ことに補償金請求権の行使ですから、金額にして大幅に減額される場合だってありますけれども、いずれにしても、何らかの金が入ってくる率というのは一般訴訟事件よりも、宮脇参事官の答弁が正しいとすれば、補償金請求権のほうが公開後行使したとしても高いということになる。それを公告後まで待たすのは政府と裁判所の都合じゃないか、これはおかしいというのが私の論理なんです。そこで逆に言いますと、公告後請求権を行使した場合の予想される勝訴率というのはほとんど一〇〇%に近いわけですね。公告後異議の申し立てがあって特許権をもらえないという場合もあり得るでしょうけれども、ほとんどそういう場合がないとすると、少なくとも公告後であれば一〇〇%の確実さをもって勝つ事件だ、一〇〇%勝つまで待たすのは残酷じゃないかという論理なんです。金額についての算定は別ですね。この点いかがですか。
○荒玉政府委員 先ほど言いましたように、論議の過程で業界全体としてもちろんそれぞれの立場はございますが、一番心配は、先ほど先生おっしゃったように、本来特許になるものが出てくるということよりも、むしろ権利乱用というのは、特許になるかどうかの確率じゃなくて、むしろ特許にならないものが特許だ特許だといってやってくる、こういうことをさっき権利乱用という面で——もちろんそれだけじゃございませんですが、そういうことの日本の業界の実情といいますか、そういう意味でございます。したがいまして、特許になる確率というものといま権利乱用という問題は必ずしも私は合わないというふうに考えております。
○中谷委員 特許だ特許だと言いにきてもいいじゃないですか。そのことを判断するためにこそ裁判所があるのでしょう。何も言われたからといったってお金を出す必要はないのでしょう。そのための判断をしていただくのが裁判所でございましょう。逆に言いますと、差しとめ請求権を認めたとしても、公開後、特許権の卵に差しとめ請求権を認めたとしても、その差しとめ請求権を認容するかどうかということは、裁判所が判断していただけることなんでございますからね。業界の人たちといって、どの辺の業界か私よくわかりませんが、特許だ特許だと言うてくるから、とにかく公告後にしろなんという議論は、私は少し乱暴な議論と申しますか、発明者の立場を無視した議論ではないのでしょうか、と思います。特許だ特許だと言うことは、何も裁判所がそのことによって認容することとはつながりませんよね。われわれは裁判所を信用しているのですよ。
○荒玉政府委員 先生の御質問に対して全部いままでこの原案を提出する際に考えた議論はそういうことでございます。 もう一つ、先ほどちょっと私差しとめ請求の問題を忘れましたのですが、差しとめ請求といいますとやはり権利構成、権利という形をもって、権利といいますのは排他的、その場合にこれは現行法は御承知のように出願公告でなくて、特許権が発生してから差しとめ請求という構成をしておりまして、今度は出願公告から差しとめ請求というふうに現行法を変えております。その場合に公開で一体差しとめ請求できるかどうかといった場合に、これは明らかに第三者を排除するというところまで公開に対する権利というわけにはどうも特許法の構成ではいきません。これはドイツなりオランダ、全部そういった構成をとっております。したがいまして、あれはやはり審査をして、そして国の処分というものを契機に差しとめ請求が出てくるというふうに考えております。
○中谷委員 いま私が質問したことと御答弁と若干ずれたような感じがしますが、問題を残しておきます。 そこで、次はこういう質問をしたいのです。答申の場合には「一切の事情を考慮して」ということばがたしか入っておりましたね。ところが今度は「その発明が特許発明である場合にその実施に対して通常受けるべき金銭の額に相当する額の補償金」というふうに六十五条の三はなっておりますね。これは念のためにお聞きしておきますけれども、一切の事情は考慮されることになるのでしょうか。
○荒玉政府委員 答申と実態を変えたつもりはございません。ただし変えました表現でございますが、一つは審議会の審議の過程で、通常受けるべき金銭の額といいますと、一定額ぴしっときまるという感じがございまして、やはり「通常受けるべき」という「通常」というのはもっと幅が広うございます。したがいまして、答申にある一切の事情というものは、当然この表現の中に入るだろう、現行法の百二条に実は同じ表現があるわけであります。損害賠償の場合に最小限度とれる額としての全く同じ表現がございます。それと、今度「一切」を入れた場合にどこが違うかというような議論でございまして、一切の事情をとったから実態が変わるというふうに法律構成していないつもりでございます。
○中谷委員 実務家はその点はかなり関心があるだろうと思いますので、こまかい議論になってきましたがお聞きしておきます。 そうすると、通常受けるべき金銭の額の「通常」というのは、一切の事情を考慮さるべきなんだ、その考慮さるべき一切の事情とはどんなものでしょうか。
○荒玉政府委員 たとえばどの程度実施がされておるとか、実施の規模あるいはどの程度利益をあげておるのか、そういった事項を含んで、通常受けるというのが算定されるのじゃないかと思います。
○中谷委員 そうすると、実施の規模とか、どれだけ利益を受けているか、この二点だけでしょうか。ほかに一切の事情というものはどんなものが考えられますか。
○荒玉政府委員 ほかにあるかと思いますが、一応重大なファクターとしてはそういった事項ではないかと考えております。
○中谷委員 そうすると、その実施に対して通常受けるべき金銭の額ということについての算定は、最終的には裁判所がおやりになるわけでありますけれども、これは出願人あるいはその出願人の代理人である弁理士などは非常に困ると私は思うのです。その訴訟を起こす場合に、その実施に対し通常受けるべき金銭の額ということで訴訟を起こさなければなりませんね。その場合の訴訟というのは、おそらく私は見込み訴訟になると思うのです。その計算というのが、はたして出願人、発明者のほうでできるかどうか。この点について、その実施に対し通常受けるべき金銭の額の算定等の基準というのは、特許庁でおつくりになっておられますか。
○荒玉政府委員 現在つくっておりますのは、国有特許の場合に、これは一応国が管理しております。したがいまして、現在ありますこれは、国自身の問題でございます。ただ、これは世の中の取引なりあるいは訴訟その他に対する基準ずばりではございません。将来やはり特許庁として、広く、一つのモデルといいますか、そういった実施例の算定に対する——これはいろいろ技術によってそれぞれ違うと思いますが、そういったモデルを将来つくって公表したいと思っております。現在ありますのは国有特許の基準でございます。
○中谷委員 その点は法解釈上はもう問題がないのかもしれませんけれども、一応明確にしておきたいと思います。その実施が、「特許発明である場合にその実施に対し通常受けるべき金銭の額に相当する額」とありますね。そうすると、公開がありまして公告がある、公開と公告の間にそういう模倣があって実施された。そうすると、公開と公告の間は、まだ特許発明にかかるというか特許権の与えられたものではございませんね。そうすると、その公開があったのが昭和四十六年の一月一日、そうして公告があったのがそれから二年ぐらい先ということになれば非常に早いのですが、四十八年の十二月三十一日としますね。そうしたら、その間には特許権はないわけです。その間に模倣をしたという場合に、その特許発明である場合にその実施に対し通常受けるべき金銭の額というのは、特許権のない模倣期間をどういうふうに算定をするのですか。特許発明にかかるというふうにお書きになっているから、この点はもう法解釈上争えない、明確だと思うのですけれども、ひとつお答えいただきたいと思います。
○荒玉政府委員 いま先生、明確になっているとおっしゃいました。そのとおりでございます。ですから、あとで出願公告になったときに、前に特許になったであろうということでロイアルティーの算定をするということに実はなるわけであります。
○中谷委員 とにかく特許というものは技術の進歩によってどんどん特許の値打ちが下がってまいります。模倣されているとき、公開から公告までの間は非常に値打ちがあった、特許権ではないけれども値打ちがあった。その場合の算定は一体いつの時期を基準にして算定するのですか。
○荒玉政府委員 したがって補償金算定の場合には、公開の時期に特許になったのであるならばどういうことになるだろうということになるかと思います。
○中谷委員 公開の時期にでございますか、模倣したときにではないのですね。もう一度その点。公開のときに特許があったらということであって——そうすると、公開のときに百億円の値打ちがあった。模倣のときに一億円であっても、百億円で算定してくださるんですね。
○荒玉政府委員 したがって、普通の特許権の場合と同じように考えていただければいいと思います。特許権は存続期間十五年でございますから、したがって十五年間に発明の価値は下がるという場合がございます。したがいまして、公開のときに特許が発生したと同じです。もっと厳密に申しますと、先生のおっしゃったように、特許権は十五年間の最初にやるか五年後にやるか、それと全く同じというふうに考えております。
○中谷委員 そういうふうに公告があってしまってから補償金請求権の行使をする、公開から公告までの実施に対して通常受けるべき金銭の額ということの算定はそれほど困難ではないのだ——私はとにかく過去のそういうものを算定するのはどうもむずかしそうに思います。しかも公開のときに特許があったとみなすとおっしゃるわけでしょう。そういうふうな算定を、モデルをおつくりになるとおっしゃいますけれども、容易なんでしょうか、いかがでしょうか。
○荒玉政府委員 モデルといいますのは、大体ロイアルティーの算定基礎です。いま先生のおっしゃっているのは、おそらく技術の陳腐化の度合いをどうファクターに入れるかということに関係するのじゃないかと思います。したがって通常の実施料の場合も、陳腐化の程度がどの程度かということは当然ファクターに入ってくる。したがいまして、普通の特許権の場合と論理的にはそう変わらないのじゃないかというように私考えております。
○中谷委員 それから次に、私は法務省にお尋ねをしておきたいと思いますが、補償金請求権ですから、事物管轄としては全国の簡易裁判所、地方裁判所へ全部係属することになりますね。その点はもうあたりまえのことでしょうが、確認をしておきます。 いま一つ、裁判の補償金請求権は損害賠償請求権ではないといわれているわけですけれども、損害賠償請求権であれば民訴の十五条で、不法行為のあった他の裁判所でございますね。適法行為、とにかく補償金請求権と見た場合には義務履行地の裁判所になりますね。民訴の五条。これは一体どちらに訴えを提起したらいいのでしょうか。
○宮脇説明員 先ほど間違ったことを申し上げましたので、はなはだ失礼ですが訂正させていただきます。昭和四十二年の既済事件をもとにして申し上げますが、通常訴訟事件総数が七万四千八百七十九件でございまして、そのうちで判決が終了したものが三万六百五十五件、原告勝訴のものがこのうち二万六千三百六十六件ございます。これは全部勝訴、一部勝訴を含んでおりますが、原告勝訴率が八六%でございます。私は大きな間違いをいたしましたので、訂正させていただきます。 なお、ただいまお尋ねの点でございますけれども、補償金請求権に関する訴訟は、一般の例によりますと、その発明を実施した者の住所地や営業所に対して起こす、いわゆる普通裁判籍所在地の裁判所に起こすというのは当然でありますけれども、そのほかこの補償金請求権がいわゆる持参債務であります関係上、ただいま中谷委員の仰せのとおりに、原告すなわち発明者の住所地や営業所の所在地の裁判所にも起こせるわけであります。そしてその請求の価額が十万円以下であれば簡易裁判所に、それをこえる場合には地方裁判所にというふうに、事物管轄の定めももちろん一般の例によるわけでありまして、その点はいささかも特則を設けてありません。なお補償金請求権が行使できますのは、この法案によりますと、出願公告後でありますから、第三者が出願公告後引き続きその発明の実施を継続しております場合には、出願公告後のいわゆる仮保護の権利に基づく損害賠償あるいは不当利得の訴訟と併合して提起することができまして、そこで初めていま仰せのような不法行為地の裁判請求権が出てまいるわけであります。もちろんこの場合は併合して提起することができます結果、先ほどの補償金請求権と不当利得ないしは損害賠償の請求権と併合して提起できるという結論に相なります。
○中谷委員 それからこの点は相当論争のあった点ですが、一応こういうふうにお聞きをしておきます。 補償金請求権を創設したとおっしゃるのですね。ただしかし、この補償金請求権を創設したということは、公開から公告までの間損害賠償請求権あるいは不当利得返還請求権を否定した趣旨ではないと私は思います。要するに公開があって公告までの間においても、ある一定の場合には損害賠償請求や不当利得返還訴訟だって起こせるのだというふうに私は思いますが、補償金請求権を創設したことによって、損害賠償請求権や不当利得返還請求権を全く否定してしまった趣旨なのかどうか、いかがでしょうか。
○荒玉政府委員 あるいは法務省の答弁があるかと思いますが、私、立案者側からいたしますれば、非常に極端な場合、たとえば加害者にきわめて悪意があって相手の会社をつぶすというような場合には、民法七百九条は働く余地があるというふうに考えております。ただし不当利得の場合は全部補償金でいく。不法行為の場合は働く余地があるのではないかというふうに考えております。
○中谷委員 もう一度お尋ねしますが、相手の会社をつぶしてしまってやろうというのは、これは少しディスカッションした点ですがね。相手の会社をつぶしてしまってやろうというので相手の会社をつぶしたのは、経営権の侵害とか、しにせを奪うとか、そういうことの不法行為として不法行為理論、損害賠償請求権が発生するのではないかということを言う人もあるかもしれないと思うのですが、そうではないのですね。したがって、それは比喩としておっしゃったのであって、悪意の程度がうんと高いときには、補償金請求権以外の損害賠償請求権の発生もあり得る、こういうふうにお伺いしてよろしいのですね。
○荒玉政府委員 さよう考えております。
○中谷委員 そうすると補償金請求権というものを、いってみれば麗々しく認めたわけですけれども、公開があって、悪意があって、その悪意が極端であった場合には、損害賠償請求権も認められるということであれば、むしろこの場合にはこの補償金請求権の条文を除いて、法解釈として損害賠償請求権はできるというふうに明確にしておいたほうがむしろ発明者保護になるのじゃないかという議論だってあり得ると思いますが、いかがでしょうか。
○荒玉政府委員 その点は、いずれをとるかという議論はございます。いわば通常の権利侵害、したがってずばり民法七百九条につながるという考え方もございます。両者いろいろございますが、一応いまの制度は、通常の場合にいわゆる権利侵害という形を構成するにしてはまだ以前の段階ではないか。ただ民法七百九条を排除する意味ではないというふうに構成したわけでございます。
○中谷委員 しかし損害賠償請求権というのは特許庁に与えていただく権利ではないと思うのです。本来、民法の基本法に戻って不法行為の規定があるわけで、この種の場合に、民法の不法行為の規定を行使できるかどうかという問題でございますから、そうすると立法論としても、いわゆる創設的な意味ではなしに、訓示的な意味において公開から公告までの間に損害賠償請求権の行使は妨げないんだという規定を入れておいていただいたら、法文としては非常にめちゃくちゃな法文になってしまいますね。補償金請求権というものを創設し、公告しなければ行使できないんだと書いておきながら、片一方で、公開から公告までの間損害賠償請求権の行使を妨げないんだということを書かれたら、とにかく法文としてはこれほど拙劣な法文はないでしょうけれども、本来しかし特許庁から損害賠償請求権を与えてもらうものでもないので、本来的に発明者にそういう請求権があるならば、補償金請求権というものを書いたために、何か国民は損害賠償請求権がないんじゃないかというふうな不安を持つのではないか。この点いかがでしょうか。
○荒玉政府委員 問題は、さっき言いましたように、どう最初に構成するか、特許庁が特許法の体系の中で、どう権利の地位を、それぞれ同じにするか違うかという価値評価じゃないかと思います。したがいまして、ただ、法文は民法を排除したというふうにとれるのではないかという点は、こういった論議を通じましてやはり国民に知っていただくということも一つの方法じゃないかと考えております。
○中谷委員 裁判所は国民から信頼を非常に受けていると思うのです。それで、裁判所の国民に対する権利保護はどんどん伸展していると思うのです。極端な悪意の場合に限って認められるだろうと特許庁のほうでは法律解釈をしておられますけれども、いわゆる民法の故意、過失の場合、軽微の過失の場合だって損害賠償請求権を認めるという裁判例の出てくる可能性だって充分ありますよ。そうすると補償金請求権を創設したということもそれほど意味がなくて、ただ問題になるのは早期公開のデメリットだけが大きく浮かび上がってくるのではないかと思います。 次に私、次のような質問を、時間もだいぶ取っておるようですのでしたいと思いますが、「特許出願に係る発明であることを知って」こういう条文についてお答えをいただきたいと思います。挙証責任は出願人のほうにまずあるわけでございますね。そうしてさらに挙証責任は出願人のほうにあるということを確認をしておきますが、同時に「発明であることを知って」ということの立証責任を果たすためには、たとえば一体どういうことを出願人のほうでしたらいいのでしょうか。
○荒玉政府委員 具体的に、普通の場合は本文の警告を発するというところが大部分働いてくるだろうと思います。警告状は発しないけれども、知った場合、こういう場合でございますが、たとえばどういう場合か。たとえば公開公報もとっておる、あるいは相当スタッフも持っておるといったようなこと、あるいは中で知っておるという事実の証人もおるといったような立証で知ったということを立証していくのではないかと思います。
○中谷委員 法務省にお尋ねをいたしますけれども、法文の解釈で恐縮ですが、「警告をしたときは」とあるその警告は書面を提示してなさねばならないとありますが、訴状は警告になりますか。この場合の書面に入るのでしょうか。
○宮脇説明員 ただいまの御質問でございますけれども、原則としては、ここで言います警告状にならないと思います。たまたまその訴状の中に発明の内容をすべて掲げてありまして、いわばこの警告状を兼ねております場合だけ例外的にこれに当たるということに解釈されるはずだと考えます。
○中谷委員 同じく法務省に対しての質問です。模倣している人がいる。その人の居所がわからない。転々ととにかく逃げ回っているというふうな場合、警告状は相手に送達されませんね。そういうふうな場合の権利保護は、この六十五条の三はどうして権利保護がされるのでしょうか。
○宮脇説明員 この規定によりますと、発明を実施しておる者が他人の発明を利用しておるという事実を要するに知らなければならないということになっておりますので、警告状は確かに到達しない。公示による催告の方法が民法に設けられておりますけれども、これでは知ったことにはなりませんので、結局のところ相手方が具体的に知っておるという立証をするほかはなくなると思います。その場合かなり原告側がむずかしい立場に立たされるということは、まことに御質問のとおりと思います。
○中谷委員 とにかくしかし模倣は適法行為だとおっしゃるんですね。特許庁は奨励はしないけれども適法行為だ。ほんとうに盗むつもりで模倣して逃げ回っておれば、とにかく模倣しほうだいですね。たとえば私の住んでいる和歌山県で出願人がいた。北海道のほうで逃げ回られてどんどん品物をつくられたら、これはどうにもなりませんね。これはあきらめろと言われるわけですか。警告状が着かないわけです。
○荒玉政府委員 したがいまして、警告状が着かないですけれども、そういう人は知っただろうということによって、補償金請求権の要件にしていく。むしろいまおっしゃったのは後段のほうに該当するのではないかと思います。
○中谷委員 後段のほうに該当してくれたら非常にいいんですけれども、どうも該当するかしないかはっきりしない場合がありますね、法律論としては。ですから警告状をどうしても条件にしなければならないのかどうか。要するに過失理論というのを入れてくれば、警告を発しなくてもやれるわけですね。この警告を発するという議論の前提には、模倣は適法なり、奨励しないけれども適法なりという考え方があるわけなんでしょう。いかがなんでしょうか。
○荒玉政府委員 むしろ現在の出願公告の場合と対比して考えたほうがあるいは問題がはっきりするかと思います。現在の出願公告でございますと、一応審査して、先生さっきおっしゃったように玉石混淆はっきりしろといった場合には、当該者は知り得る義務がある。しかし今度の場合は、いずれにしてもそこまで第三者に義務を課すということが出願公告の場合と少し実態が違うんじゃないかというふうに考えまして、公開公報の段階で出願公告と同じような価値を持っていないことも現実でございます。したがって、それは少し差があるんじゃないかというふうに考えたのが、公開の場合の主観的要件、ただいま議論になった点でございます。
○中谷委員 かなりこまかい問題ばかり質問しましたが、あと、ではひとつ設例をいたしまして、補償金請求権の問題についてお答えいただきたいと思います。 これは、この前検討しておいていただいたと思いますからお答えいただけると思いますが、こういう問題はどうなるのでしょうか。AとBとを反応させてCをつくるという方法が公開時の請求範囲、そして公告時及び設定登録時が、AとBを反応させてCをつくって、さらにCとDを反応させてEをつくる製法の場合に、AとBを反応させてCをつくる方法の実施というのは、一体こういう場合は補償金請求権の対象となるのでしょうかという質問です。
○荒玉政府委員 実はこれは設例の場合ですと非常に誤解を招くわけでございます。つまりAとBをというのは、延長増大するのか、あるいは減縮になるのか。いま先生の設例でプラスというところが、場合によればどちらにも解釈でき、ちょっと私設例で答えかねますが、よろしゅうございますか。
○中谷委員 次の質問者も待っていますから、私、この補償金請求権の問題はあと一、二問して終わりましょう。そしてあとの防衛問題と特許の関係というのとノーハウの問題を質問させていただきますが、問題になる緊急審査制度ですね、これについては私一点だけまとめて質問いたします。 補償金請求権の紛争が起こる可能性がある、要するに紛争のあるものについてはとにかく緊急審査制度で前に回すというのですね。そうしたら、とにかくこれだけ滞貨があるのですから、紛争を起こしたら得ですね、逆に言いますと。要するに私は、もうすぐこの緊急審査制度というものをやるということを聞きまして、これは汚職の原因になるんだと思いましたよ。とにかく、じゃ私のところは紛争があるんですから前に回してくださいと言えば前に回すということになれば、たいへんな得になりますね。それと労働過重の問題が当然出てくると思うのです。逆に言いますと、じゃ特許庁の能力をもってして、AとBとがとにかく公開から公告までの間がたがた争っていますよ、模倣とかなんとかがたがた争って、警告状を発しましたよという場合、そのAとBがなれ合いで警告状を発したり警告状を受け取っておるということを見破る能力はありますか。
○荒玉政府委員 ですから、実はどういう場合に緊急審査をやるかという要件の問題になるんだと思います。ただ言ってきたときでやるのか、あるいは事実関係を疎明して、ある程度事実が確定した段階でやるのか、いろいろやり方によると思いますが、ただ両当事者が争ったからというのでなくて、ある程度その事実関係を疎明した段階で緊急審査をやるというふうに、もちろんこれから——どういう要件かということでございます。で、労働強化というのは別に関係ございませんので、いま言いましたのは、火のついたものは早くさばいていくということでございますので、いつかはやるということでございますから、全体としてはむしろ、それをやったから労働強化になるという問題は起こらないのじゃないか。ただ、いま先生のおっしゃったような乱用ができないようなどういう要件にするかということは今後の問題だと思います。
○中谷委員 要するに、警告状を発するということが補償金請求権の要件になっていますからね。AとBとがなれ合いで警告状を発しますね。それはもう一つの一番重要な疎明ですね。そしてAが侵害されました、Bは私のほうは侵害していないという疎明が出てきた場合、なれ合いだなんということを疎明する方法は絶対に考えられませんね。どんな運用基準をつくったって、緊急審査制度の運用に合わすような条件というものは容易につくれると思います。そういうものを見破る方法というのはあり得ないでしょう。逆に言いますと、要領よくやればとにかく緊急審査で先回りできる。だれもかれも緊急審査を申し立ててくると私思いますよ。だから緊急審査をやらないことになるのか、やることになるのか。早くやってもらいたいということでみんな一生懸命になっておるのだから、運用基準をおつくりになったといっても、その運用基準に合うような疎明なんというのはきわめて容易につくれると私は思います。この点についての防止方法というのはお考えになったことがありますか。
○荒玉政府委員 その争いがあるという事実以外に、出願人自身がある程度自己で調査をするという義務を並行的に課していきたいと思っております。もちろん、いまからでございます。したがって、要件を疎明すると同時に、やはり出願の権利者のほうである程度自分でサーチしたかどうかといったあたりの義務を並行的に課していきたい。したがいまして、いま先生おっしゃったのは脱法行為かどうかという問題でございますが、そういう要件と同時に、そういった本人に義務を課すということによってできるだけそういう弊害を除去していきたい、かように考えております。
○中谷委員 次の質問に移ります。補償金請求権は特許庁一番がんばって研究されたものだというので、私もずいぶん問題をつくってきましたけれども、この程度にしまして、ノーハウの問題を簡単にやります。 まず、きょうの新聞の報道によりますと、「インドネシアの元留学生勤め先の情報を流す」「ソ連と契約 産業スパイ」という記事が載っております。 そこで、現行法で、早期公開にまた関連をしてくるのですけれども、ノーハウを盗めば窃盗罪になるわけですね。盗むというのは不法に侵入してというんだけれども、盗めば窃盗罪になりますね。そして特許に値するものとして早期公開されたものを模倣すれば、それは適法行為だから、盗むなんということばを使うことはさらさら間違いだということになるわけですね。その調整は一体どうなるのかという問題は一つ残ります。もう少し、これは詰めたほうがいいのですけれども、時間がないから飛ばしますが、一体それはどうなるのでしょうか。要するに、出願をした、出願をして特許権というのはとにかく独占権で公開を予想するんだというけれども、ノーハウであるときには盗んだら窃盗罪になる。それがとにかく特許に値するものとして早期公開で公開されたら適法行為になってしまう。これは一体理論的につながってどういうふうに説明するのですか。逆に言いますと、早期公開というのは、ある意味ではノーハウをどんどんふやしていく、二重投資もどんどんふやす。逆に言うと、早期公開するからおそろしくて、とにかく早期公開されたらたいへんだ、ノーハウのままで置いておいたら現行法でどろぼうでつかまえてくれるという一つの傾向だって生ずるかと思いますが、いまの点についてはいかがでしょうか。
○荒玉政府委員 ノーハウ、実はちょっと私誤解があるかもしれませんが、ノーハウというのは、ノーハウを実施したという場合には、現行法で刑罰規定はないと私は思います。ただ金庫をあけて書類をとった。したがって、いま比較さるべきは、ノーハウを盗んだ、実施したという場合とでございます。したがいまして、こちらは補償金請求権がある、向こうは法律的な保護はないという意味ではバランスがとれていくのではないかと思います。
○中谷委員 そこで、おっしゃる点は半分は納得できるのですが、少なくともこういうことは言えますね。公開公報を持っていくということは、とにかく幾らでも公開公報を読みなさい、こういうふうに特許庁はおっしゃるのでしょう。ノーハウの書類をとれば警察が来てその人をつかまえますね。 〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕 それからまた裁判所は、そのノーハウの書類をどこへ持っていってはいかぬ、返しなさいという仮処分だって打てますね。一種の差しとめ請求ですね。それが公開公報として出てしまったら、ノーハウのときよりも保護が至らなくなりますね。とにかく実施ということを除いて、一ぺん公開されたところの公開公報と、ノーハウとしての書類との比較については、現行法のほうが保護されていますね。ノーハウのほうが現行法においては保護されていますね。
○荒玉政府委員 けさほどの議論で、やはり前提の考え方の差ではないかと思います。つまり、中谷先生のように、国がどろぼうのお手伝いだというふうにわれわれは公開を考えてないわけです。したがいまして、いまの私のノーハウの比較とはちょっと違うのじゃないかと思います。
○中谷委員 そうじゃないのです。私はこういうことを言うのです。同じ書面でも、それが公開公報になれば適法にそれを見ることができる。ノーハウとして机の引き出しに入れている限りは、それは持っていけばとにかくどろぼうになりますね、どろぼうになるでしょう。だからそういうものについては警察がとにかくそれを取り返してくれますね。それから裁判所は仮処分でそれを差し押さえたり、返還をしてくれますね。その点だけ一点をとらえれば——何も公開公報をどろぼうのお手伝いだと言ったことを気にしていただくことはないのです。気にするようなことを言ったかも知れませんけれども、その一点だけをとらえたら、現行法のノーハウのほうが、ノーハウを表現している書面のほうが保護されている。また書面の所持者のほうが出願人よりも現行法によって保護されておりますね。こう聞いているのです。
○荒玉政府委員 したがいまして、書面は、今度は公開でもっと手に届く範囲にあるということでございます。それは先ほどから言いましたように、全体の新しい要請に応ずる一つの措置だということでやるわけでございますので、ちょっと比較になるかどうか疑問じゃないかと思います。
○中谷委員 保護されておるかどうかという点だけにしぼってお答えをいただいたらいいのです。保護されていることは間違いないと思うのです。そういうふうな設例でいけば、保護されておることは間違いないのです。 そこで、新聞は、「ソ連と契約産業スパイ」ということでずいぶん大きな記事として出しておりますね。早期公開ということになってしまうと、逆に言うと、あたりまえのことなんですね。だからこんなものは早期公開したら、インドネシアの留学生が早期公開公報を全部ソビエトへ持っていった、インドネシアへ持っていったとしても、これは何ら法律的には防止できませんね。
○荒玉政府委員 普通の場合ですと、大体特許と関連を持ちますのは特許発明になる、特許発明になりましてその実施例の中できわめていいものが——大体、特許範囲というのは、御承知のように、そのあたりの点はずばり書いてある場合はきわめて少ないわけです。権利としては一つの実施例という形で書いてくるわけです。したがいまして、きょう問題になっておるのですが、全部明細書にあるものかどうかという点につきましては、事実関係を私存じませんが、必ずしも保護さるべきノーハウが全部公開になるというふうなのは一般的じゃないのじゃないかと思います。
○中谷委員 聞いておるのはこういうことなんです。ノーハウを隠そうとすることはわかるのですが、ノーハウだって出願のときにある部分は付随してきます。私はそのことを言っておるのじゃない。ずばり聞いておる。特許公報を二十万枚なら二十万枚、とにかく日本人が——日本人がそういうことをするとは考えませんが、外国人が外国へ持っていったって、これは税関でとめるわけにはいきませんね、こう聞いておるのです。とめることができませんとだけ言っていただいたらいいのです。
○荒玉政府委員 もちろんとめることはできません。
○中谷委員 そうすると、この事実関係で、「ソ連と契約 産業スパイ」というのは、何かたいした書類じゃないと書いてありますね。この新聞によりますと、社内秘扱いの書類だというのです。こんなものさえも——とにかく人の家に入ったということはたいへんですけれども、どろぼうになる。公開公報になれば、とにかく全部外国へ持っていったって、それは適法行為なんだ。だから公開公報の早期公開というのは私は問題があるように思うのです。二重研究、二重投資の防止ということから、なまなましいものを、とにかくもう外国へ持っていってしまうということはいえるのですから。 それはさておいて、企業局長おいでいただいていますね。——企業局関係の方にお尋ねいたしますが、ノーハウの保護についての民事的な保護、こういうふうな「ソ連と契約 産業スパイ」というような問題について民事的な保護、刑事的な保護についてはどういうふうにあるべきかということについて企業局、通産省はどうお考えですか。——これは課長から大臣に飛んで恐縮ですけれども、大臣に御答弁いただきたいのです。ノーハウの保護について通産大臣としては、こういう「ソ連と契約 産業スパイ、インドネシアの元留学生、勤め先の情報を流す」こういうことですが、ノーハウの保護について大臣はどのようにお考えになっておられるか、この点についてお答えいただけませんでしょうか。
○大平国務大臣 われわれは自由企業体制をとっておるわけでありまして、企業主体が自主的な責任と危険を負担してみずからの経営をやっていくという自由を認める仕組み、そういう経済体制をとっておるわけでございまして、したがってノーハウの処置につきましては、第一義的には、その企業主体がみずからの問題として適正に管理していくということが第一の原則であると思います。 〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕 いまあなたがおっしゃるのは、国が公益の立場でそれに介入すると申しますか、保護を加えるべきかどうか、加えるとすればどういうようにすべきかという御質問であろうと思いますが、もちろんいま設例にありましたように、盗むとか窃取する、そういうことは産業行政とはまた別な問題として国が処置すべきことだと思いますが、産業行政の問題といたしまして、このように情報化社会と申しますか、情報ができるだけ豊富に円滑に収集されて活用されるというような社会になってまいりました場合、いたずらにこれを規制してまいるということもいかがかと思いますが、公益的な立場から何らか介入する必要があるのか、そういった点につきまして私どもも深く検討したことは、正直言ってありません。しかしこの問題、一つの課題として勉強させていただきたいと思います。
○中谷委員 大臣に重ねてお尋ねをいたしますが、産業スパイ罪などといわれている、秘密漏示に関する罪というようなものを刑法の中に入れようじゃないかという動きがありますね。しかし、これは企業秘密の壁ということで非常な問題もあるわけなんです。たとえば私、ある委員会で発言をいたしましたけれども、福沢というレーサーが死亡いたしましたね。そのときに、とにかく警察の現場検証をさせなかったとか妨害したとかいうようなことでたいへん問題になりました。そういうような秘密漏示の罪なんというものを設けることは、通産行政を御所管になっておる通産大臣としてはお考えになっていない、そうだとすると、私は国民の人権の立場から非常に安心をするのですが、そういうふうにおうかがいしてよろしいでしょうか。
○大平国務大臣 先ほど申しましたように、インテリジェンスができるだけ円滑に利用されて、われわれのしあわせにつながるようなことが望ましいわけでございます。したがって立法政策といたしまして、そういう場合に政府が国のほうで何か規制を加えるのがいいのか、それとも角をためて牛を殺すようになってはいけないという判断に立つか、このあたり、産業スパイ罪という罪はまだ法制化されていないようでございますけれども、確かに立法政策上問題であるとは思います。しかし、いま私が簡単に、これはこうすべきじゃないかというような簡便な結論はなかなか出ない重大な問題でございますので、検討させていただきます。
○中谷委員 法務省の刑事局参事官は、産業スパイ罪についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○鈴木説明員 法務省のほうといたしましても、いわゆる産業スパイと申しますか、企業の秘密を漏らすという罪につきまして、現在刑法の全面改正をやっております法制審議会のほうでは、刑法を全面改正する場合にはそういう犯罪を今度新しく設けたほうがいいのではないかというような意見でございまして、昨年の末の会議で一応そういう方向が出ておるわけでございます。しかし、この点につきましては、ただいま御指摘のような問題もいろいろございますし、さらにこの刑法の全面改正の作業が終わりました段階で政府としての最終的な態度をきめたい、こういうふうに考えております。
○中谷委員 法務省の宮脇参事官はどういうようにお考えでしょうか。ノーハウの民事的な保護、ノーハウというのは全く無力なんだ、民事的な保護はないのだというように特許庁長官おっしゃいましたけれども、民事的な保護について、特に公開から公告までの間に補償金請求権は認めたということの関連において、ノーハウについては全く通説いわれているように無力なのかどうか。たとえば損害賠償請求権が成立しないのかどうか、この点はいかがでしょうか。 なお、そういうふうなノーハウ保護についてのいわゆる民事的な作業というものはどのようにお考えになりますか。
○宮脇説明員 現在の通説的な考え方、したがって判例もまた、ノーハウにつきましては、差しとめ請求権はもちろん、不法行為などによる損害賠償請求権も認めておらない点は、中谷委員御指摘のとおりでございます。はたしてそれでいいのかどうかにつきましては、もちろん学界などにおきましても議論のあるところでございまして、もし問題がそのような方向で解決されるのが不適当でありますれば、もちろん前向きで検討いたすという方向になるかと存じます。ただ、私個人で当然検討されるべきであるということは申しかねますけれども、事態いかんによってはおそらくそうなるであろうというふうには申し上げられると思います。
○中谷委員 企業局の商務課長さんおいでいただいておりますけれども、企業局としては、ノーハウの民事的な保護についてはどのようにお考えになりますか。
○小山説明員 お答え申し上げます。非常にむずかしい問題でございまして、私どもまだはっきりした結論を持っておるわけではございません。どの程度のものを財産権として認めるか、それに対する侵害について民事的な保護を与えるかというのは、各方面の観点から考慮して、非常に慎重に考えなければならない問題だと思っております。
○中谷委員 あと質問は一問だけにいたしておきますが、じゃ、私、特許庁の長官にお尋ねしたいと思いますが、早期公開というのは、何べんも申しているように、補償金請求権という突っかい棒はつくったけれども、裸にしてしまったわけですね。いやだと言っても公開されるわけでしょう。ということは、そうするとノーハウという形で現行法のほうがまだそれを刑事的に保護してくれるということで、出願をしないという傾向が出てくる。逆に言うと、大事なものについてはノーハウとして置いておくことによって結局二重研究、二重投資は早期公開をかえって促進する側面を持っているというふうなことはあり得ると思いますが、いかがでしょうか。
○荒玉政府委員 その点、私率直に申し上げますと、やはり特許という独占権を経なければ最終的なノーハウ自身も確保されないわけでございます。したがいまして、いまノーハウは、実際上大事なのは特許になる場合がきわめて多うございます。したがってそれはやはり特許という独占権を経ることによってノーハウの保護を完全にするわけでございます。したがって公開したからその面で出願が減るというふうにはわれわれは考えておりません。
○中谷委員 考えておらないとおっしゃいますけれども、考えておらないということは、何か確信があってそういうことを——また先ほどの予測の話になりますけれども、絶対にそういうことはあり得ないのだという——いわゆる調査などにはあるわけなんでしょうが、要するに早期公開ということは企業はおそれますよ。おそれる面があるでしょう。危険だという面があるのでしょう。それならとにかく企業秘密というものを注意力を完ぺきにして保護をしておこう、自分のところでとにかく自衛しようというふうなやり方というものはある。そういう傾向が出てくるということは、私は理屈としては予想できるのだけれども、長官がそういうことはないということをおっしゃることは実はおかしいのです。実は早期公開について次のようなことを私たち同僚委員と話をしたことがあるのです。早期公開がこわいということになってくると、極端な場合をいいますと、先願は確保しなければならぬ、だから出願してから一年半の間毎日出願して、夜の十一時五十九分に取り下げて、あくる日の零時一分にもう一度出願して、出願権だけは確保しておくけれども、公開されないように、一年半毎日とにかく取り下げと出願とを繰り返すというふうなことをする、こういう極端な場合だって出てくるのじゃないか。公開は避けたいわ、とにかく特許権はとりたいわということになってくると、そんな方法だって出てくるのじゃないかというふうな話をしました。いずれにいたしましても、長官のおっしゃるように、早期公開というものは、私自身はとにかくノーハウの保護、企業がその企業秘密を自衛する中において出願をしないというふうな傾向、だから出願をしないとそれが公開されないから、二重研究が一そう激烈になっていくという傾向に拍車をかけるのじゃないかという一面だってあると思いますが、もう一度見解を承りたい。
○荒玉政府委員 ノーハウが特許に出てまいりますのは、いわば実施の態様といいますか、実施例の中に出てくるわけであります。その場合には、実施例で権利として保護されるという場合が大部分かと思います。したがいまして、それは出願公告になり、将来権利として保護されるという場合でございますので、真のノーハウを保護するためには、特許出願しなければいかぬ。むしろ問題は、過去において議論になっておりますのは、特許にはならない、いわゆる拒絶査定になるものであります。現在では拒絶になったものはずっと秘密にされるわけであります。そういう例をこの前の委員会で申し上げましたように、われわれ審議会でも議論をいたし、特許にはならない、つまり拒絶になるノーハウがどの程度あるかという面につきましていろいろ検討いたしました。これは私絶対ないとは申しませんが、きわめて例外的な場合ではないか。したがいまして、いまおっしゃった大部分は特許になる場合でございますので、特許をとってノーハウも同時に保護するという形がむしろ通常じゃないかと考えておる次第でございます。
○中谷委員 実は私、政府委員の方、特に防衛庁の方と外務省の方にお待ちいただいたのですけれども、その質問を私は保留させていただきます。 それからもう一つの柱の審査請求制度、これはほかの方がおやりになればいいのですが、ノーハウの問題についても私かなり問題を飛ばしましたし、いま一つは、補償金請求権の問題についてももう少し詰めなければいかぬ問題があるわけです。そこで、それらの問題をやらしていただくということにしまして、私きょうは終わりたいと思いますが、前に申し上げました資料要求を今日もいたしておきたいと思います。それだけさしていただきたいと思います。要するに前回要求をさせていただいた資料の補足資料です。 最近十年間の主要国における内外国人別出願件数の統計(外国人の出願件数の内訳は、日本及び上位五カ国の国別件数とする。)という資料。 出願件数及び権利現存数における上位二十社の特許相当部門の機構及び人員の過去五年間の変遷表。一々理由は申し上げませんけれども、それぞれ意味があります。要求の趣旨と目的はもう時間がありませんから説明しません。 それから三としては、公序良俗違反による拒絶の統計。これはちょっと説明が要りますね。公序良俗違反によって早期公開されないものがどの程度あるかを見るためで、これは公序良俗違反ということの判断が場合によっては検閲にひっかかってくることだってあり得ますから。そういうことです。 四は、現存権利上位二十社の社名、件数一覧表。 五は、複合企業の特許管理の特徴と各国政府及び企業の対策。 それから、創立以来の特許庁長官の任期一覧。 次に、石川委員が御質問になりまして、一番むずかしい問題だというふうに指摘されました補正制限関係の資料の要求です。 四十一条ただし書きの補正制限規定につき、産業部門ごとの運用基準。 四十一条ただし書きの規定を適用した場合の、補正の可否の判断を示す実例。 それから、四十一条ただし書きの規定と、四十一条本文及び六十四条の補正制限規定の相違を示す実例。 四つ目は、四十一条ただし書きにおける補正前後の二発明と、三十八条ただし書き第一号における二発明との相違を明確にする実例。 五つ目は、補正基準発明に対し、四十一条ただし書きによる補正が可能か不可能かの限界を示す実例。 六つ目は、補正制限規定の改正による審査負担増加分の算出根拠及びこれに関連して他の負担増原因ごとの算出根拠。 その他といたしましては、制度の基本問題に関する工業所有権審議会等の審議経過を示す議事録。議事録は一応非公開になっているということでありますので、議事録ということではなしに要旨だけをひとつお書きをいただきたい。そのうち私どもでお願いしている部分についての要旨その他メモに書いてありますところの資料、これを要求をいたしたいと思います。 そこで、一点だけ資料要求について私問題点を指摘しておきたいと思うのです。前回の資料について一つだけ申し上げておきますけれども、各企業別の登録と拒絶との比率の数について資料を要求いたしましたね。これについては資料の中に出てきておりませんね。それで、先ほどから言っている企業秘密とかいう問題と私関連があると思うのです。要するに、なぜ登録と拒絶の比率というものが資料として出せないのか。それは特許法に規定があるのかどうか。規定がないとすれば一体どういうことなのか。また再び問題をもとに戻しますけれども、早期公開をやろうという改正案を出そうとしておりながら、こういうふうな登録と拒絶の比率を出さないという根拠だけを最後にひとつこの機会に答弁をしておいていただきたいと思うのです。 そのほかずいぶん出てこなかった資料がありますが、これはなぜこういう資料が出せなかったのですかということは次回にあらためて私のほうからお聞きしますが、この一点だけはどうしても私は聞いておきたい。特許行政というものが企業秘密というものによって押し流さるべきではないと思うのです。
○荒玉政府委員 ただいま中谷先生おっしゃいましたのは、出願につきまして、各企業、それぞれの会社ごとの出願件数、処理あるいは成績表といいますか、どういうふうに拒絶になったか、こういう意味だと思います。これは何も特許法の問題ではございません。ただし、具体的に社名をあげて、いわば特許の公開をするような形というのが会社にとっていかがかという判断から申し上げたわけでございます。ただそれをABCその他でやるかという点につきましてはくふうをこらしていきたい、かように思っております。趣旨はその程度でございます。
○中谷委員 では、委員長、私は本日はこの程度で終わりたいと思います。
○大久保委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十三分散会