商工委員会 第12号
- 発言数
- 132 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/03/25
会議録
○大久保委員長 これより会議を開きます。 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりをいたします。 すなわち、先ほどの理事会で協議いたしましたとおり、通商に関する件、特に繊維製品の輸出振興問題について参考人から意見を求めることとし、参考人の人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――◇―――――
○大久保委員長 公益事業に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
○中村(重)委員 二十日未明に起こった板橋のガス爆発事件についてお尋ねをいたします。詳細は適当な機会に東京瓦斯の責任者を本委員会に出てもらって質問をいたしたいと思いますが、新聞で報道されておるとおりに、まことに悲惨な惨事が引き起こされた、一家五人焼死なんという、たいへんな事故であります。いつごろこの原因が明らかになるのか、またどうしてこうした事故が起こってきたのか、その点について御説明を願いたいと存じます。
○藤尾政府委員 お答えをいたします。 昨日、東京瓦斯の社長をはじめ技術担当重役その他を呼びまして、原因の究明をいたしました。なお、その際の東京瓦斯責任者におかれまする御返答で十二分の理解ができませんので、大臣の御命令によりまして、昨日から急遽ガス管の爆発をいたしました周辺百二十メートルを掘らせまして、その原因を究明をいたさせましたところが、大体その原因であると思われるところ、推測のできるものがわかってまいりました。なお、本日さらにこれを続けさせまして、そのガス爆発事故地区の工事者の担当いたしました工事地域一千メートル全部を掘らせまして、そしてこの問題に対しまする原因を徹底的に究明をいたさせることにいたしております。おそらく明日までにはしっかりした原因が出てくるのではないか、かように考えております。
○中村(重)委員 新聞の報道するところによりますと、東京瓦斯は、これまでたびたび起こったいわゆるガス漏れとは違うのだ、この通報のあった直前に中圧管が折れたので、何カ月もかかって割れたものではない、こういうふうに語っておる。このことは、東京瓦斯としては、その原因というものはわかっているのだということをここで語っておる、こう思われる。これは事実と相違いたしますか。
○藤尾政府委員 東京瓦斯があらかじめその原因がわかっておったのだという新聞報道は、新聞報道自体にも多少の聞き違いがあると思います。しかしながら、いままでのガス漏れといいまするものは、その前に約四カ所その周辺であったわけでございまするけれども、これはいずれもその継ぎ目に起こりましたもの、あるいはバルブの取りつけ口のゆるみましたもの、そういったものに基因をいたしておりまするが、今回の場合には、その現場だけをその当日試掘をいたしましたときには、もうすでに坑木が折れ、いままでのガス漏れ事故と全く違った様相を呈しておったということがはっきりと判明をいたしておりまするので、そのことだけをもって、従前のガス漏れ事故とは違うのであるということを、当面をいたしました出頭責任者がさよう意見を申したのである、かように思います。しかしながら、そういった簡単なものではございませんで、現在なお慎重に調査をいたさせておるわけでございます。
○中村(重)委員 私は、この問題は、この惨事を引き起こした東京瓦斯としては、きわめて無責任な談話だと思っている。しかし、いずれ東京瓦斯に来てもらって追及してまいりたいと思っております。 私がここで非常に関心というのか問題点として考えますのは、どうして一家五人焼死するという悲惨な事故にまで発展をしたのかということです。板橋署は、われわれに連絡があれば、住民を避難させて、人命だけでも救うことができただろう、こう語っている。この事実です。通産省が特に関心を持たなければならぬ点はここだろうと私は思う。しかも、ガス漏れがあるのだということを数回にわたって住民は東京瓦斯に、東京都にも連絡をした。東京都はどこへ連絡をしたのか、結果がどうなったかということを承知してない。私は、この点にかんがみて、どうも行政上、保安上の手落ちというものがあったのだ、こう思う。この点を、公益事業局としても、重大な問題としてこの後の対策も立てていかなければならないのではないかと思います。局長、ひとつ責任あるお答えを願いたい。
○本田政府委員 導管の維持管理につきましては、工事の方法、導管の工事の実施につきまして、ガス会社の直接の場合の規定がございますが、今回のごとく、地下鉄の工事を行ない、それの埋め戻しを地下鉄工事者の責任においてやるという際の管理の方法につきましては、御指摘のように必ずしも適切な規定がない。規定はそれぞれございますけれども、かなり抽象的な規定になっておりまして、胴締めを完全にして入念につき固めなければならないとかいうことで、現実にも東京都の交通局との間に協議書をつくっておりますが、その協議書におきましても、必ずしも十分な方法が示されていないという点につきまして、われわれといたしましても、今後の、これを称して他の人のやる工事で他工事と称しておりますが、他工事による導管の埋設工事につきましては、両者で適切な保安の体制を整備する必要がある、こういうふうに考えておる次第であります。
○中村(重)委員 いまお答えになった導管の埋設工事ですね。これはガス事業法の中にも、省令によって具体的にこれをきめるということになっている。省令がどういうことになっているのか。省令から見て、この埋設工事に、また指導監督の面において手落ちがなかったのかどうかという点が問題点であると私は思うのであります。この導管の工事の際、請負にまかせた、監督一人ついていないということが報道されておるという事実です。 それから、時間の関係がございますから続いて申し上げますが、共同溝というのが、いまこの現場の近くに完成をしておる。この共同溝に東京瓦斯もひとつ参加してもらいたいということを要請をしているのです。ところが、東京瓦斯は計画がないというので、これを拒否しているのです。共同溝に参加をしておったならば、いわゆる導管の亀裂なんということも起こってこない。ガス漏れがございましても、これを事前に探知するような機能を果たすわけでありますから、今回のような事故は起こらなかった。通産省は、こうした保安面から、完全に近いかどうかは、そこまで言えるのかどうかわかりませんけれども、少なくとも現段階においては、事故を防止するという最善の措置でありますところのこの共同溝、これに最優先に入ってこなければならぬのはこうしたガス管であろうと私は思う。せっかくそういうものができた。そして参加をしろというのに、計画がないのだというので東京ガスがこれを拒否する。通産省としては、こういった共同溝に参加させるということについては、積極的にこれを指導していくということでなければならないのではないか。この点は、どのようにあなたはお考えになりますか。
○本田政府委員 最初の御指摘の導管工事について監督がいなかったではないかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、地下鉄工事に関連する監督権は東京都の交通局にございますが、東京都の交通局との間の協議書によりまして、今後この工事の完全を期すことについてさらに検討を要する、こういう事情になっております。 それから共同溝につきましては、ガス導管の維持管理も容易になりますし、この種の事故発生を防止し得る点で効果があるという点については、御指摘のとおりで、われわれもさように考えます。ただ、共同溝内で震動等によってガス漏れがした際に発火するという点からいきますと、災害が大きくなるというような事情もございますので、この点についての技術的な解決が必要であるという点が一つございますのと、今回の点は、実はあの導管についてはさらに太い導管の埋設がえが必要だというような事情、それから、地上から四メートルも下で、かなりあの辺には地域開発の事情がございまして、枝管を取り出す必要がある、枝管を取り出すための方法等についてなお問題が残っておったというような事情とからんで、あの地区の共同溝には参加していなかったという事情でございます。 ただ、御指摘のように、通産省として、今後こういう過密都市におけるガス管の災害防止の点からいきまして、共同溝への参加につきましては、各種の事情を調査し、技術的な問題の解決をはかって、できるだけこれを促進してまいるということにいたしたいというふうに考える次第であります。
○中村(重)委員 局長の答弁、まことに私は不満です。むしろ、今度東京瓦斯がこれに参加しなかったということについては批判的な立場に立たなければならぬ。これを弁解するというようなことは、私はどうかと思うのです。そういうことでは、東京都民だって非常な憤りを感ずるのではないか。東京瓦斯はそういうことを言ってないのです。計画がないから参加しなかったと、こう言っているのです。あなたは、むしろ参加しなかったことが当然であるかのようなことを言っているということは、私は問題だと思うのです。しかし、きょうは時間の関係があるから議論いたしません。あらためて、あなたのそういうような態度に対してはお尋ねをしてまいりたい、こう思います。 四十二年に、御承知のとおり、東京瓦斯は大惨事を引き起こしておる。その際に、東京瓦斯の社長にここへ来ていただきまして、私どもは老朽管の取りかえの問題等々について質疑を続けてまいりました。ところが、このガスの導管事故というのが最近非常にふえてきている。三十九年から四十二年までに年間四十件程度、ところが四十三年は五十件前後に達しておるというのですね。だから、これはどういうところにそういう原因があるのか、この点をお尋ねしなければならぬと私は思いますが、あらためてお答えを願うことにいたしまして、ひとつ資料として、東京瓦斯の老朽管の取りかえがどの程度進んでおるのか、それから四十二年の大惨事を引き起こした事故以来どのような改善措置を講じたのか、これは簡単にお答えができましょうから、ひとつお答えを願いたいと思います。詳細にわたっては、資料として御提出を願いたいと思います。 それから、被害者対策はどうしておるのか、今後の事故防止対策をどうしようとお考えになっておられるのか、それぞれお答えを願います。
○本田政府委員 老朽管の取りかえにつきましては、四十二年度に六十五キロメートル、四十三年度には八十五キロメートル、今後さらに百十、百三十七、百六十六ということで、四十六年度までに全管を取りかえるということになっておりますが、かような事情を考えますと、これがさらに促進を必要とするというふうに考えるわけでございます。 それから被害者に対する救済措置でございますが、これは現在、東京瓦斯におきまして幹部が積極的に話し合いをいたしまして、御満足をいただくような措置をとりますということで、御葬儀のほうは先般お済ましをしたという事情になっておりますが、なくなられた方が一家なくなられておりますので、御親戚の方々と話し合いをいたしておる現状でございます。
○中村(重)委員 今後の事故防止対策は。
○本田政府委員 今後の事故防止につきましては、御指摘のように、最近のガス管の事故が、自分でやる工事よりは他の人の工事との関連において起こるというケースが多うございますので、他工事との関係での事故の発生を防止するための措置を従来かなり抽象的なやり方でやっておりますけれども、かようなことでは不備でございますので、この点についての具体的な方法を、それぞれのケースを検討しながら整理いたしまして、相互の連携によって事故の事前防止を確保してまいりたい、こういうふうに考えております。
○藤尾政府委員 ただいま局長がお答えを申し上げましたが、なお私が不備と思われまする点について補足をしてお答えを申し上げます。 東京瓦斯の共同溝利用につきましては、すでに東京都の中枢におきましてはその導管は全部共同溝に入れておるわけであります。ところが、新しく伸びておりまする地域、これにつきまして、なおその導管が過去において非常に細かった、あるいはそれからの枝管を引っぱってまいらなければならぬというような事情がございまして、新しく発展をいたしまする地域についての共同溝導入ということを、まだ、共同溝からどうして枝管を引っぱるかというような技術的な問題もございまして、この場合共同溝埋設に参加をいたしておらなかったという実情でございます。そこで、私ども、こういった惨事を再び繰り返されたのでは、これは監督官庁といたしましても国民の皆さまにまことに申しわけがない。そこで、昨日も社長以下みんな呼びまして、共同溝に早急に入れることを考えろ、もし共同溝がだめな場合には、別に支出をして、特別の防護壁をつくるというような措置をしてでもいいではないかということを厳重に申し入れてございます。もちろん東京瓦斯といたしましても、私どものこういった申し出に対しましては、全部が全部隔壁をつくるといろわけにもなかなかいかぬと思いますけれども、趣旨は十二分に体して前向きにやっていきたいということをはっきり申しておりますから、おそらく今後はこういうことのないような措置ができると思います。 なお、ただいま局長が申し上げましたように、導管の取りかえの計画は、四十二年の事故以来、もうすでに計画を立てておるわけでありますけれども、そのような計画ではなおわれわれは満足ができぬということで、これをもっと促進をし、もっと保安を第一にやってもらわなければいかぬということをきのうもきびしく大臣からの命令で申し渡してございます。したがいまして、この導管の埋設計画も、私どもといたしましては、計画よりもうんと早く進むのではないかというように期待をいたしておりまするし、またさようにさせたいと思っております。どうかさようなことで御了承願いたいと思います。
○中村(重)委員 これで終わりますけれども、ただいま政務次官が声を大にしてお答えになったのですが、その声を大にしたのは大にしただけではなくして、責任ある対策を講じてもらいたい。再びこのような事故が起こらないことを誓ってもらわなければならぬと思うのです。私は、公益事業局長の答弁に対しましても、非常に無責任というか不満に思う点が多々あります。この導管の埋設工事にいたしましても、一・五メートルの下にやぐらを組んでおった。しかもその支柱はこれは鉄ではなくして丸太だったのですよ。そしてその丸太が折れて導管が亀裂を生ずる。それは上の外圧によってそうなったのか、あるいは埋め戻し工事に手落ちがあったのか、それらの点についても、これはあなたのほうでは重大な関心を持って対処しなければなりませんが、地下鉄の工事に基因するということになってまいりますと、東京都内は地下鉄工事のために掘り返しているでしょう。いつどこで再びこうした事故が起こるかわからない。だから、いまの共同溝の問題は、将来の対策としてこれを促進をしていかなければなりませんが、当面きょうでも起こるかもしれぬこの事故防止のためにどうするのかということ。さらにまた、ガス漏れがあった、住民はさっそくこれを連絡をした。何回やっても来ない。四、五回連絡してようやく来た。検査をした。しかしその検査は、修理という形をとったが、それは点検程度にすぎなかった。さらに私が先ほど指摘いたしましたように、東京都はそういうことを聞いたが、そのことが結果としてどういうふうに措置されたか知らないと言う。非常に問題であると思うのであります。 それから、被害者の対策にいたしましても、もちろん焼死されたその被害者に対しましては丁重な対策を講じていかなければなりません。だがしかし、それだけでは、私は、被害者対策として万全を尽くしたということにならないと思う。多くの人家が、しかもその周辺の人たちは大きなショックを受けている。大なり小なりの被害というものを受けておると私は思うから、広い範囲にわたって被害者対策として措置をしていくようにしなければならぬと思います。 まだいろいろ申し上げたいことがありますが、以上の点についてひとつ責任あるお答えを願いたいと思う。
○藤尾政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、私は、今回の問題につきまして、全責任は、もちろん工事の担当者であります工事担当者、鹿島建設あるいはその下請、あるいはこれと関連をいたしまする東京瓦斯、あるいは地下鉄工事の当事者である東京都の交通局、これを監督の責任にある通産省並びに政府、全体が責任を負わなければならぬ重大な事故である、かように私は考えております。 それから、いままでの御指摘のとおり、このパイプをささえておりますやぐらは、これは全部松丸太で組んでおるわけでございます。大体六メートルの松丸太を地下鉄の工事の天井からやぐらを組みまして、それを一メートル二十の間隔ごとに立てておる。そうしてその上へ導管を通しておる。その間に良質の砂をかたく埋める、こういう規則になっておるわけであります。ところが、今回の場合には、調べてみますると、試掘の結果では、松の六尺の丸太を使わなければならないところが四尺で切れておったり、あるいはその折れておるところを添え木で補完をしておったり、あるいは松の角材を使うべきところを杉の板で代替をしておったり、あるいは砂を十二分に埋めなければならぬところをいろいろな角材やその他の石を雑然とほうり込んでおったりというようなことで、まことに、保安的に見まして、こんなことではほんとうに何が起こるかわからぬというような、りつ然とするようなおそるべき実情でございます。したがいまして、ただいま掘らしておりまして、とりあえず百二十メートル、この現場から掘らせました写真その他の資料を持ってきておりますから、どうぞひとつこれをごらんをいただきまして、そうして委員の皆さま方におかれましても、厳重に、こういったことの再び起こらないように私どもも一生懸命やりまするが、また諸先生方におかれましても、こういった実態が那辺にあったか、また、これに対処するためにどのように措置すべきかというような点について、厳重な御監督と御叱正をちょうだいいたしたい、かように考えておるわけであります。 なお、御指摘の弔慰につきまして、ただ単に傷つかれた方々に対しまして、それぞれの担当会社あるいは団体が弔慰をするというようなことで済むような問題ではない、かように考えまするので、先生御指摘のとおり、広範な十二分の弔意があらわせまするように私どもも監督をし指導をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 私は委員長に、後刻理事会を開いてこの後の扱いについてひとつ御協議を願いたいということを提案をいたしておきたいと思います。現場の調査をやる、あるいは関係者を当委員会に参考人として出席を求め、再びこのような事故が起こらないように通産省その他に対しても厳重に注意を喚起していかなければならぬと思いますので、そうしたお取り計らいを願いたいと思います。
○大久保委員長 本件は、あらためて理事会を開いて十分協議いたします。
○堀委員 ちょっと関連して。いまの答弁ずっと聞いておりますと、直接の監督の責任というのは事務当局にあるんだろうと思う。事務当局はまことに無責任な答弁をしておる。そうしてかわって政務次官が、本来事務当局が行なわなければならぬような答弁を一生懸命やっているというようなことは、一体通産省事務当局というのは何をしているのですか。私はきょうの答弁は全く納得できない。最近の一連の状態を見ると、通産省という役所は全然たががゆるんでおる。あなた方は一体だれのための省なんですか。国民は一般にいま何と言っているかといえば、企業のためにある通産省だと言っている。私は当委員会に来てから、企業のためにある通産省であってはならぬと思うから、一生懸命とにかくいろいろな配慮をしながらやってきておるけれども、こういうときにおけるあなた方の答弁は、全然きょうは私は納得できない。姿勢を改めてやるか、それでなければ、局長、あなた責任とりなさい。終わり。
○本田政府委員 御叱正まことにおそれ入りますが、御指摘の気持ちで公益事業行政をやる決意でおりますので、御指摘の線に沿って今後の公益事業行政をやってまいる決意であることをあらためて申し上げまして、決意のほどを御理解願いたいと思います。 〔岡本(富)委員「委員長、関連」と呼ぶ〕
○大久保委員長 岡本さんに申し上げますが、参考人がお待ちでございますから、いずれ本件は、あらためて理事会を開きまして、先ほど申し上げましたように委員長もとっくりと質問時間を差し上げますから、きょうは質問を御遠慮願います。 ――――◇―――――
○大久保委員長 内閣提出、特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案審査のため、参考人として日本メリヤス工業組合連合会理事長戸谷舎人君、日本靴下工業組合連合会理事長西村信次郎君、日本経編メリヤス工業組合連合会会長堀田捨吉君、日本横編メリヤス工業組合連合会理事長山田皐治郎君、日本染色協会会長浜野茂君、同専務理事及川逸平君、以上六名の方に御出席を願っております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 参考人各位には、御多用の中を本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本日はそれぞれのお立場から忌憚のない御意見を承り、もって本委員会の審査の参考に資したいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。 なお、申し合わせによりまして、初めの御意見はメリヤス業界を代表して山田参考人から、次いで染色協会の浜野参考人にそれぞれ十分程度の御陳述をお願い申し上げ、しかる後、参考人各位に対し委員から質疑がありますので、さよう御了承を願います。 それではまず、山田参考人にお願いをいたします。
○山田参考人 私は、ただいま御指名をいただきました日本横編メリヤス工業組合連合会の山田でございます。 商工委員会の諸先生方におかれましては、連日の御審議まことにありがとう存じます。国民の一人といたしましても重ねて感謝申し上げる次第でございます。 私どもメリヤス製造業界は、その業者数は約一万四千、また従業員数は約二十万人を擁しております。これは織布業に匹敵する規模を持つ業界であるとも申されます。現在、繊維製品の中でメリヤス製品の比重は世界的にも高まっていく傾向にありまして、ちなみに欧米諸国におきましてはすでにわが国よりもはるかに高い比重を占めるに至っております。英国におきましては四七%、わが国におきましては一六%というふうな数字が示されております。このように将来伸びていくべき産業として約束されているにもかかわりませず、わが国のメリヤス製造業界は、業者の大部分が零細企業でございまして、従業員九人以下が約六五%を占めている現状でございます。また生産面及び取引面におきましても、有機的な結合の点で合理化が極度におくれております。また設備面での近代化のおくれは大きく、なお労働面におきましては、労働力の不足と賃金の上昇によるコストアップ等がからみ合い、低収益性を示しております。賃金の面を御参考に申し上げますると、私ども業界では、三十五年に平均賃金一万百六十六円、四十年におきましては二万一千百六十七円、四十二年、一昨年におきまして二万四千九百七十円、かような平均賃金を示しているのでございます。そのため倒産件数は年々増加している事実など、きわめて深刻な事態に直面をいたしております。さらにこれに加うるに、昨今韓国、台湾など発展途上国の台頭は著しく、これに伴い輸出先での競合は激しくなっております。またわが国へのメリヤス製品の輸入は急激に増加いたしまして、いまのところ絶対額では僅少ではございまするが、最近の二年間に約十倍程度になっております。 これを数字で申し上げますると、昭和四十年におきましては、金額にして一億二千万円、それから一年おきまして四十二年度におきましては、十一億四千万と急激に伸びているのでございます。われわれメリヤス業界の成長は、こういった意味でも大きく阻害されておる現状でございます。 かくのごとく、危急存亡の状況下にあるわが国メリヤス製造業界の国際競争力、この点を強化するためには、もはや思い切った抜本的対策が必要だ、すなわち構造改善対策をすみやかに実行する以外に方法はないという段階に立ち至りました。私ども一万四千の同志は、かかる深刻なる情勢にいかに対処すべきか、このことにつきまして、昭和四十二年以来研究に研究を重ね、また慎重に討議を行なってまいりました。その結果、今回の構造改善は、われわれメリヤス製造業にとって起死回生の施策として最後に与えられた機会である、この認識を深めまして、重大な覚悟をもってこれに当たる決意を固めた次第でございます。 しかしながら、私どもメリヤス製造業界は、前にも申し上げましたように、私たちだけで相寄り相助け一丸となって大事業をみずからの手で推進しようとの熱意に燃えましても、私たちの力の及ばない諸問題がたくさんございます。これらの諸問題の解決につきましては、国の御指導、御援助にたよる以外にございません。 そのお願いしたい事項につきましては、まず第一番に、事態の緊急性に伴い、特定繊維工業構造改善臨時措置法一部改正法案の早急な成立を見まするよう、あたたかい御配慮を特にお願いを申し上げたいと存じます。 二番目に、今後の構造改善予算につきましても、質及び量の両面の確保をぜひ先生方にお願い申し上げたい。これは、質のほうにおきましては金利の点、二分六厘というこの線を御継続を願いたい。それから予算折衝の本年度にあたりましても、大蔵省のほうで若干金利の訂正ということもございましたが、業界の実情からしまして、大体二分六厘というふうに承っております。それから初年度の予算の量につきましても、これは非常に厳選をいたしましてグルーピングが推進される関係上、最もいいグルーピングを取り上げていくという意味でございまするが、二年、三年、今後の五年計画につきましての波及効果をこれで私どもはねらってまいりたい、かように考えます。 それから三番目に、設備ビルドの自己調達分については、できるだけ商工中金等の政府系金融機関からあたたかい気持ちでめんどうを見ていただきたい。 その次には、構造改善業種に対しては、特に小規模企業の多い同族会社に対する留保課税の軽減について御配慮をお願い申し上げたい。 それから、その他零細企業に対する金融、税制面での施策の拡充強化、このほうにもひとつ御留意をぜひお願い申し上げたい。 六番目には、現行助成制度の優先活用でございまするが、これは福利厚生関係の点でもすでに明らかにされておりまするが、厚生年金の還元融資、近代化資金の助成等、こういう面を優先的に活用できますようにお考えをいただきたい。 それから、構造改善実施計画に伴う診断の迅速化、これも業界でいろいろな形で計画がなされておりまするが、この正式申請後の診断についてひとつできるだけ迅速にお願いを申し上げたいということでございます。 それから、アメリカのメリヤス製品に対しまする輸入制限の措置は、阻止できまするようにぜひお願いを申し上げたい。 その次に、特恵関税あるいは付加価値関税につきましては、構造改善業種はその計画期間中はぜひ対象外にしていただきたい。 次に、団体法の設備制限命令の継続も、また、この計画の進められている間五年間はぜひ認めていただきたい。 今日私どもが抜本的な構造改善対策を実行いたしますならば、対策が完了いたしました暁には、必ずや世界に君臨するニット王国を建設することができるものと自信に満ちておる次第でございます。また、それだけに努力、死力を傾注しようとしている次第でございます。つきましては、私どもの熱意と努力をおくみ取りくださいまして、大きな目標を達成させるために、一万四千の企業を代表いたしまして、御支援と御指導をお願い申し上げる次第でございます。 なお、本日は、委員長さんのお話しのとおり、各工連の代表者が参っておりますので、ただいま申し上げました内容につきまして、いろいろと御意見あるいは御質問ございましたならば、それぞれの立場でお答えをさしていただきたいと存じます。 どうもありがとうございました。(拍手)
○大久保委員長 次に、浜野参考人にお願いいたします。
○浜野参考人 日本染色協会の会長をいたしております浜野茂でございます。 本日は、特繊法の改正に関連いたしまして、私ども染色業界の意見を申し述べる機会をお与えいただきましたことをまことに厚く御礼を申し上げます。 さて、いまさら申し上げるまでもないこととは存じまするが、私どもの営んでおりまする染色整理と申しますものは、広幅の織物を精練し、漂白いたしまして純白といたしましたり、染色によりまして色を染め上げたり、あるいは捺染と申しまして各種の柄を染めつける等々の加工を加えまして、需要者の好みにかない、また使いやすい商品に仕上げる繊維工業の最終のお化粧をする重要な工程を担当しておるものでございます。かようなわけで、染色加工を経なければ、衣料はもちろんのこと、すべて商品とならないのでありまして、したがいまして、染色が繊維製品の商品価値を決定するものであると言いましても過言でないかと存じます。 このような仕事に携わっておりまする業者は全国でおよそ五百社ございます。京都、大阪、和歌山、愛知、北陸等約三十地区にまたがっております。従業員の数も約六万人に達しております現状でございます。 しからば一年間にどのくらいの仕事をしているのかと申しますと、数量にいたしまして約五十五億平方メートル、またその加工金額も約一千二百四十億円にのぼっておるような次第でございます。これを輸出の面から見ますると、数量で約二十億平方メートル、金額にいたしまして約五百億円というばく大なる数量と金額とにのぼっておりますわけでございまして、輸出される繊維製品のほとんどすべてが染色整理の手を経ないものはないような現状でございます。そういうわけで私どもは、国民の豊かな衣料をささえると同時に、輸出によりまするところの国際収支におきましてもまたいささか貢献いたしておるものと考えております。 しかし現在私ども業界といたしましては深刻な悩みを持っております。それは、対外的にはいわゆる開発途上国からの追い上げでございます。また先進諸国との競争がございます。そのほか対内的には企業が多過ぎるのでございまして、したがいまして過激なる過当競争が行なわれ、若年労働力の不足、賃金の上昇等々ございます。また私ども業界の特殊性といたしまして、受託産業であるということが一つございます。つまり私どもは、原料である織物を購入いたしまして、これを加工して、さらに自分で販売するという体制ではないのでございます。紡績、化繊等のメーカーや商社等から原反をお預かりいたしまして、これに染色加工をするという、いわゆる委託加工という体制になっておりますために、どうしても委託会社に対して力が弱く、そのために取引体制にも不利な点が多々あるのでございます。さらに技術面におきましても、染色加工においての専門的の技術はもちろんのこと、デザインその他、色合い、風合いというようなことが非常に大切になってまいるのでございます。そういうことのほかに、加工工程のスピード化でございますとか省力化という点におきまして先進国にはまだ立ちおくれておるようなありさまでございます。 以上申し上げました業界の幾つかの弱点を今後いかにして改善してまいりまするか、これが現在私どもに課せられました重要なる課題でございます。それと同時に、この体質改善、構造改善が成功するかいなかは、ただ私ども業界のみならず、繊維産業全体に重大なる影響を及ぼすものであります。何ゆえならば、繊維産業がわが国経済の全体に占めるところの割合は、現在におきましても約十七億ドルの輸出実績を持っております。また六十億ドルにのぼる重要国内産業であるからでございます。しかも繊維産業は、紡績が糸を紡ぎ、機屋さんが織物をつくっただけではまだ商品にはなっておりません。どうしてもわれわれ染色業者の手にかけまして、りっぱな商品をつくり、消費者のお好みにかなうような良質なる製品をつくる、いわば私どもは、繊維工業の最後の仕上げ工程によりまして商品の優劣を決定する最も重要なる役割りを持っております産業であると自負いたしております。この意味におきまして、私どもの構造改善事業は、紡績や織布とともに歩調を合わせて実施しなければならないもので、いわばその盛衰を共にする共同体産業であると私は考えております。 構造改善の内容につきましては、諸先生方もすでに御承知のとおりでございまするが、その内容は、昨年八月二十一日に繊維工業審議会及び産業構造審議会から通産大臣に答申いたされましたとおりでございます。それによりますると、第一に、個々ばらばらの企業体制ではなかなか到達困難なる生産性向上、取引の地位の向上、専門技術開発力の強化等を期するために、どうしても業界内部においてのグルーピングを推進することであり、第二には、設備の老朽化、陳腐化の現状をいかに急速に打開するか、また逼迫した労務面の条件変化に耐えるため、高能率設備、付加価値増大のための設備の積極的なる導入でございます。第三には、現在行なわれている不合理な取引慣行を是正することであり、第四には、労務対策において適切なる対策を講じ、若年労務者の確保や賃金上昇に対応する措置を講ずることでございます。 なおまた専門的な技術開発、デザイン開発についても、関連業界や公設の研究機関等とも常に密接なる連係を保つこと、さらに今後、輸出をさらに一そう増進するためにコストを引き下げる、このコストダウンに努力することもちろんでございますが、海外市場の動向に即応して、高級品へと転換していくことも、これまた非常に重要なる問題であるということを指摘されております。私どもといたしましては、この答申は全くりっぱな内容であると心から確信いたしまして、業界一同、この目標に向かって一生懸命努力いたす覚悟でございます。幸いに初年度の構造改善に必要な予算の確保について、各政党や先生方から多大の御尽力を賜わり、お力をかしていただきましたことは、私ども業界の深く深く感謝いたすところでございますが、なお特繊法を改正し、染色及びメリヤス両業種をその中に追加していただくことは、今後構造改善を実施する上におきまして、そのバックボーンになるものと思われますので、何とぞ諸先生方には慎重に御審議の上、格別の御支持と御支援を賜わりまするように、この機会に心からお願い申し上げる次第でございます。 なお、構造改善実施にあたりまして、開発銀行や中小企業振興事業団から融資を受けることになっておりますが、それ以外に多額の自己資金を必要といたします。これらの資金が円滑に入手できまするよう、協調融資につきましても、何とぞ格段の御配慮を賜わりまするよう、重ねてお願い申し上げまして、参考人としての意見を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ―――――――――――――
○大久保委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
○佐野(進)委員 いまメリヤスの代表の方と染色の代表の方からそれぞれ御意見をお伺いいたしたわけでありますが、私どもも、この案が当委員会に上程されましてから、いま皆さん方が述べられましたようなことにつきましては、それぞれの角度で慎重に審議を続けてきておるわけであります。なおまたきょう以降審議を続けるわけでありますが、そういう意味において、若干の点、私どもの考えをまじえながら御質問をしてみたいと思います。あと、ほかの委員の方々もおられますので、時間もそうございませんから、三点にしぼりまして御質問をしてみたいと思います。 いま、メリヤス、染色両方の方とも、それぞれの立場におかれてのお話がありましたが、集約的に私どもが判断いたしますると、一番大きな問題は国際競争力をどうやって強化していくか、そのために国内の体制、あるいは国外の体制をどう見るか、あるいはそれに対してどういう手を打つかということに帰着するように私どもお伺いをいたしておるわけであります。そこで、皆さん方の対内的な問題について、今度の構造改善の対策と関連して質問をしてみたいと思います。 第一点は、いわゆる振興事業団から六割、それから都道府県から一割、計七割の金が融資の対象として出るのだ、構造改善対策案ではこういうことになっておるわけでありますが、私は実は過日の委員会でも御質問したのです。この六割の政府出資ということについてはそれほど問題はないと思うのですが、一割の都道府県負担というものが、大体お話をお伺いしても、それぞれの企業が、全国にまんべんなくあるということでなく、業態によっては地域に非常に偏在しておる、こういうことが私ども調査してわかるわけですが、そういう形になりますと、はたして都道府県がその一割の負担金に耐え得られるかどうかということについて、若干疑問がございましたから、この前通産大臣にも質問しておいたのですが、皆さん方は、この一割の都道府県負担ということがそう無理なく、構造改善事業として今後五カ年間相当多額な資金を要するわけですが、その負担に耐え得られると御判断になり、何ら心配ないと考えられておるか、これを両業者の代表から、時間がございませんから簡単にお答えを願いたいと思います。
○山田参考人 お答えいたします。ただいまの佐野先生からの御質問で、助成の面で国が六〇%、都道府県が一〇%ということでございますが、確かに業者が全国的に拡散いたしておりますし、それから東京都なら東京都内だけの業者がグルーピングするような場合はまだ比較的よろしいのでございますが、たとえば東京、千葉、茨城、こういったようなものがグルーピングいたします場合、多分に御指摘のような面がございますけれども、私どもは、これが法改正がなされまして、実際問題の計画を立てていく途上におきましては、早期に関係する都府県に対しまして御相談を申し上げ、積極的に御説明をしてまいる。今日までもすでにそういうふうなことで内々御意見あるいは私たちの要望を申し上げておりますので、心配はない、かように考えております。
○及川参考人 染色の関係でございますが、ただいま山田参考人からもお話がございましたように、私どもも、この一割負担につきましては、県によりましていろいろ財政上の差はございますでしょうが、可能なものというふうに考えております。
○佐野(進)委員 両業者の方がそうおっしゃるのですから、私どもあえて心配をする必要はないのですが、これはいわゆる国家的な事業を遂行するのですから、私どもは通産大臣に、できる限り政府は直接めんどうを見なさいということを強く主張しておいたわけです。そうすれば、地域的に問題が起こる形の中で、皆さん方の事業が阻害されるということがなくて、構造改善対策が順調に進行するのじゃないか、こう思っておるわけですが、問題がないということですから……。しかし、ここらの点については、さらに取り組みをなさる際、よく御配慮をなさることがいいのではないか、こう考えております。 そこで、七割はそういう形の中で確保されますが、あとの三割については、法律的にこの改善対策案の中で何ら触れていないわけです。結論的に言うならば、自己調達だということになるわけです。自己調達であるということになると、三割という金額は、たとえば初年度の計画案の中におきましても、振興事業団の中でメリヤス業界に対してだけでも十六億五千万円という、非常に巨額な資金を要するわけです。これは初年度でありますから、さっき山田さんからお話がございましたように、将来さらに飛躍的に増大してくる。一台の機械を購入するについても何百万という多額な資金を要するわけですから、たいへんなものになるわけですが、その三分の一ということになればこれはなかなか負担し切れないということで、この前中小企業庁長官に対して私ども強くその点について政府は無責任ではないのかという形の中に追及をいたしまして、商工中金等において措置をすることを約束いたしますという答弁を得ておるわけですけれども、これは皆さんのほうでは商工中金という融資のワクの中で融資の責任を持ってくれるという形の中で、このいわゆる利子負担、いうなれば商工中金とこの二分六厘の政府融資といいますか、そういうものとは結局においては金利におけるところの差が出るということになろうと思うのです。商工中金の融資、こういう形があればこの構造改善対策を進める上について何ら支障がない、いまの御意見ではぜひひとつそうしてくれというような御意見があったようにお伺いしておるわけです。私どもそう判断していいかどうか、この点をひとつお聞きしておきたいと思います。
○山田参考人 ただいまの国の六〇%、都道府県の一〇%の残りの三〇%、これが一応対策上は自己調達ということになっております。これにつきましては多分にここで、業界におきましても寄り寄り相談をいたしまして、そっくり、たとえば一億という資金を要する計画に対して三千万の自己調達ということは、現状におきましては多分に無理でございます。しかしながら、商工中金はじめ政府関係の金融機関、あるいはまた自己の取引の市中銀行等に、常に、計画を立てて推進しようというグループにおきましては、事前打ち合わせと申しまするか、どうだろうということで相談をいたしておりますし、現在までの時点では非常に協力的でございます。またお役所のほうにおきましても、この点は非常に、いい意味におきまする御指導も常に申し上げてお願いしてございますし、それから繊維工業構造改善事業協会の債務保証ということにつきましても、予算面で政府関係の信用基金が出されておる、こういう点で事業協会といたしましては、計画を進めるグループに対しては、相当な、もちろん厳選をされますでしょうけれども、自己調達を含めた企業規模の拡大に伴う資金等につきましても、かなり御配慮がいただけるもの、かように考えております。ですからそういう点では、安易な考え方は絶対禁物ではございますけれども、慎重に計画を進める上においては、何とか私どもの要望をいれていただけるもの、さように考えております。自分自身の努力はもちろん何よりも大切であることは申し上げるまでもございません。
○佐野(進)委員 第二点目の質問に入りたいと思います。 第二点目は、いわゆる低開発国の追い上げが今日繊維産業、特にメリヤス、染色の構造改善対策を進めなければならぬ非常に大きな条件の一つである、こういわれておるわけですが、その中で低開発国と協力する、競争する、そういう形の中でいろいろな条件があるわけです。たとえば特恵関税が繊維製品においては特にメリヤスや染色においてこれが供与されるということになれば、爆発的に低開発国の追い上げが行なわれて、日本の現在の状況の中にこれが供与されれば、もう日本のメリヤス業あるいは染色業の存在はないであろうとさえ極論されるような条件があるわけです。これについては通産大臣も、この部面におけるところの特恵供与はしないとはっきりは言い切れない情勢だが、腹はそうだというようなことを言っておるので、私はそう心配なく政府はその取り組みをするであろうということを考えることができるわけです。 さて、そこで、いま行なわれつつあるいわゆる保税加工貿易といいますか、そういうようなことについて、これは現実の面として、大企業が、中小企業の現状にマッチせず自己の利益を追求するという部面から積極的に行なわんとしておるし、またいま行なわれつつあるわけですが、これをこのままの状況で放置するということになると、いかに国内的に構造改善が行なわれても、外国の低労賃に対して日本の機械をどんどん輸出する、あるいは外国のすぐれた機械をそれぞれの低開発国に配置する、そういう形の中でそういうような生産がどんどん行なわれて、逆輸入されるという形になれば、いかにわが国の内部においての構造改善対策を進めたとしても、これは有名無実に終わるのではないかという心配を私ども強く持っておるわけです。そういう点非常に心配するだけでなく、そういう点に対する対策を、この構造改善対策に伴って措置しなければ、やったはいいけれども、競争にうちかちますよ、国内的にもだいじょうぶですよ、といったところが、それよりもさらに進んだ状況の中に、さらに特恵関税は供与されないけれども、保税加工貿易というような形の中で日本製品を国内において圧倒していく、こういうような条件が大企業のいわゆるエゴイズムによって発生してくるのじゃないか、こういう心配があるわけですが、そういう点についての対策を皆さん方はどのようにお考えになっておられますか、私どもこれから審議する上に必要でありますので、この際お聞かせ願いたい。
○堀田参考人 ちょっとお答え申し上げます。ただいまの御質問は、われわれの一番の悩みをつかれた重大な問題でございまして、御説のとおりに発展途上国の技術の長足な進歩と、低廉なしかも豊富な労働力をもってわが国に対処してきておるわけでありまして、これらに対する対策を誤つならば、われわれメリヤス業界も壊滅の瀕死の状態になるということは明らかなことでございまして、ただいま御心配になりましたように、大企業が保税関税方式、その他投資を行ないまして、合弁会社というようなことも出てはおりますが、大企業が直接やるのではなく、技術面あるいは生産面におきましてはわれわれ中小企業を介しましてやっていこう、こういったような計画が多いのでございます。これに対する私どもの考え方といたしましては、発展途上国の進歩ということは、世界人類の幸福というような意味からいきまして、これを阻止することはでき得ないと考えるのであります。かかる意味からいたしまして、われわれ日本は現在先進国といわれておるのでございまして、われわれのつくる製品を高級化していく。発展途上国が技術的な進歩を遂げていきますが、それ以上の能力をわれわれ大和民族は持っておる。これに対して政府が適切なる施策をしていただくならば、必ずや彼らに負け得ないところの高級化ができるのです。これに対処していきます上におきましては、われわれのつくり得るところの製品を高級化していくということが最も大事である。次には、保税関税の措置によるところの発展途上国における生産体制とか、あるいは資金の合同によりまして、低開発国において生産を行なっていくというようなこともございますが、これらもなおざりにはできませんが、一番大事なことは、われわれメリヤス業界といたしましては、高級化をはかっていく、こういうことにあるんじゃないか。これは完全になし得る。戦後から考えまして、今日までに急速な高級化が行なわれておるわけでございまして、これに政府の適切なる御配慮があり、われわれがこれに対して真剣に取り組んでまいりますならば、必ずやこれらの発展途上国の製品に決して負けないところの競争力を持って、さっき山田参考人から発言がありましたように、この構造改善が終了いたします五年後には、世界に冠たるメリヤス王国を建設することができ得るだろう。これはわれわれも必死の覚悟でやりますが、これに対する適切な諸先生方の御施策また政府の御施策によりまして、この高級化というものをぜひとも強力に推進していただく。これが三〇%、五〇%、八〇%というようなことじゃだめなんです、二〇%足らなくとも。高級化ということは、一〇〇%になって初めて高級化が成り立つわけです。八〇%では高級化じゃないんです。これでは競争力ができない。だから、こういう資金につきましては思い切った金を出す。無用な金は一銭も要りませんが、必要と感じられることについては徹底的に出してやる、この金を出したならば、絶対に高級化ができる、日本のメリヤス業界は世界のメリヤス王国となり得るんだというような点に、五カ年にわたります特段なる御配慮をいただきたい。また、われわれは、国家並びに諸先生方の御好意に対してこたえるところの決意を十分に持っており、またこれを必ず実現するという自信を持っておるのでございます。一言申し上げました。
○佐野(進)委員 時間がなくなってきましたから、あともう一点質問いたします。御答弁は簡単でけっこうでございます。 第三点目は、私はこの構造改善対策をいろいろな角度から検討してみたのですが、結局、国内的な立場から、今日繊維産業、染色産業が非常に苦しい立場に追い込まれた最大の条件の一つに、労働力の不足、いわゆる賃金コストの上昇、こういうのが日本の経済構造の中における一つのしわ寄せ的な形の中で、零細企業を持つメリヤス産業あるいは染色産業には特に多くあらわれてきているんじゃないか。特にこの分析をすればするほどそういう結果が出てきているわけです。ところが、私は今度の構造改善事業をずっと見ていると、その設備ビルドとかあるいはグルーピングだとか、そういうような対策ということは相当程度力を入れて立てられておるわけですね。ところが、肝心の今日の苦境におとしいれた条件をつくっておる労働力の不足問題、これを解消する対策並びに賃金上昇に対する対策、こういう面におけるところの対策は非常におくれておる、なきにひとしい今度の構造対策案じゃないかと思うのです。したがって、設備を近代化し、製品を高度化するということは必要なことなんだけれども、それは人がなければ、いかに設備を近代化したところで、高度化してもだめなんです。だから、高度の技術を持つ労務者が、長期に安定してその職場に働き、安定した生活が営めるような条件をどうやってつくるかということは、たいへん大切なことじゃないかと思うのです。ところが、それらの面については、皆さんの御意見の中でも、労働力不足対策、若年労働力確保という抽象的な表現での御要望はあるのですが、それらについて具体的に、たとえば共同設備ビルドをする、あるいはグルーピングの組織はできた、こういうような形の中に、それに付帯する労働力はこうだ、賃金対策についてはこうだというような点が出てこなければ仏つくって魂入れずで、結果的にむしろ設備が遊んでしまう。あるいはまた国際環境の中におけるいまの日本のメリヤス業界、染色業界というものは――ともかく低開発国は低賃金で長時間働いて、そしてきわめて不利な環境の中において耐えられる条件を持つわけですから、それに対していわゆる近代化した日本の経済の中において、そういうような条件に匹敵するような労働力を集めようとしたところで、これは絶対不可能です。したがって日本の国にふさわしい労働条件、労働環境、賃金、そういうものを当然この構造改善対策の中で取り上げていかなければならぬじゃないか、そういう面にもっと積極的に政府も取り組まなければならぬじゃないか、こういうふうに私どもは考えて主張しておるのです。皆さんのほうでも設備を新しくするということにきゅうきゅうとされて、その点についてはあまり目を向けられておらないのではないかという気がいたしますので、簡単でけっこうですが、この点お聞きして、時間が来ましたので私の質問を終わりたいと思います。
○大久保委員長 堀田参考人、なるべく簡単に。
○堀田参考人 ただいま適切な御意見がございました。確かに低賃金でございまして、それで労働力は集まるか。集まりません。それがために構造改善を行なっていくということでございます。設備の高度化によって生産性を上げるということだけではだめなんです。もろもろの構造的な欠陥があり過ぎて、低賃金に甘んじておる。したがって人が集まらぬ。これが現状でございます。これを諸先生の御賛成によって構造改善によって――これらの諸問題は一気にはなかなか理想的な改善はできませんが、諸先生方の御賛同を得たことによりまして、これから五年後において、いま御質問のありましたような高賃金の払えるようなものをやる。ただ設備をよくして生産能率を上げるだけではだめなんです。あらゆるところに幾多の構造的欠陥があるから、これもあわせて直していこう。御承知のように、電機産業は一分間十円というようなあれになっておるわけでありますが、私は、もう五年たったら、一秒幾ら、一秒五円、十円という賃金になると思うのです。そういう時代でありますから、軽電機の賃金に負けないようにわれわれのほうがやるにはどうしたらよいか、こういうふうに考えてやっておりますので、いま先生の御質問の御趣旨に沿って努力いたしていきたいと思います。
○佐野(進)委員 ともかく私ども、この法案が出されていろいろ審議をする過程の中で、たいへんな仕事だ、こう思います。したがって、法律は法律として通すということについては、われわれも十分な努力はいたしますけれども、法律が通っただけではどうにもなりませんので、関係業界の奮起を望み、私どもも今後努力をするということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○大久保委員長 武藤山治君。
○武藤(山)委員 すでに佐野さんから御質問がありましたし、一人往復で二十五分の持ち時間でございますから、ほんのわずかしかお尋ねができません。そういう点を御配慮の上、お答えをいただきたいと思います。 何といっても、構造改善事業がうまく進むかどうかというのは、今度の法律の精神は業界の自主的な調整、申請、そういう計画に基づいて通産省はできるだけの指導援助をしよう、こういうたてまえになっておるのでありますから、業界自身がどういう計画とビジョン、また業界内の調整が可能であるか、これがやはり私はこの法律が生きるか死ぬかという分かれ道になると思うのであります。 そこで、まず最初にお尋ねをいたしたいのは、昭和四十年ごろから繊維の問題についてはいろいろ議論をされ、また審議会でもかなり突っ込んだ検討がなされたわけでありますから、いよいよ法律が今月国会を通過するというこの段階では、業界はもうかなり突っ込んだ計画をそれぞれきめていると思うのですよ。そこで、本年度の申請は業界として大体いつごろ出せるのか、何月ごろ出せる準備ができているのか、これをまず最初にお尋ねしておきたいと思います。山田参考人 ただいま武藤先生からのお尋ねで、法案が通ればあとは業界が相当急いで努力しなければならぬ時期じゃないかということで、計画は、仰せのとおり着々進んでおりまするが、まだ正式な申請としてはなされていない現状でございます。その点では、この法案が先生方の御努力で成立いたしますと、もう四月に入りましたら私どもといたしましては正式な申請書によって行ないたい、こういったようなのが、まずメリヤスは四業種ございますけれども、私は横のほうだけでお答えさしていただきますると、現状では六件ないし七件くらいでございますけれども、正式にこまかい指示等が出されましたならば、初年度十のグループが申請をなさるんじゃなかろうか、そういうふうに予想いたしております。
○武藤(山)委員 他のほうの、堀田さんのほうですね、それからくつ下、丸編みですか、これらのほうは大体どんなぐあいでございましょうか、見通しでございます。ここで答えたことが必ずそのとおりいかなければならぬというきちっとしたものじゃありませんから、一応ことしじゅうにできそうな構想はどんなものか。
○戸谷参考人 お答えいたします。私のほうは丸編みでございますが、大体、いま計画いたしまして請申をしようとしておりますのは七件ございます。なお詳細な実施要領とか、そういう問題等がはっきりしてまいりましたら、次々と出てまいると思います。これは、一に武藤先生のおっしゃいましたように、業界並びに企業自身でやっていくべき問題ではございますので、非常にみな熱意を持ってやっております。もっと多くなると思いますが、ただいまのところは七件くらいございます。
○西村参考人 くつ下のほうの関係で現在までの概況を御報告申し上げますと、現在までの申請は六グループでございます。これはすべて協業組合あるいは完全合併ということで案が出てまいっておるわけでございまして、おそらくこれらの内容を調査いたしますと、個々のグループに参加する方々の非常に力強い、企業としての存続する力の関係がございますので、おそらく私はこの法案を通過さしていただきましたならば、このグループは完全に成功するものというふうに確信をいたしておるわけでございます。
○堀田参考人 現在のところ確定いたしておりますのが五グループでございまして、これは四月から五月にかけてでございます。それからあと三グループ、まだ確定ではございませんが、五月いっぱいまでに申請が出る、こういうように考えております。関係法案がまだ確定しておりませんので、連合会としては強力に押していくということができないという実情をひとつ御賢察いただきたい、かように考えております。
○及川参考人 染色業界におきましては、大体計画の申請は四月ないし五月にかかるかと思います。と申しますのは、私どものほうは社団法人を新たにつくらなければいけませんので、その関係もございますので、四月ないし五月になると思います。計画を考えておりますのは、大体事業団関係で三グループ、開発銀行関係で三グループ、合わせて六つのグループが本年度の計画に乗るものと考えております。着々準備を進めております。
○武藤(山)委員 ただいまの計画をお聞きして、われわれは早くこの法案を通そうということで、理事間の話では明日あたり衆議院は委員会を通過するんじゃないかと思うのでありますが、せっかくひとつその計画がうまく推進できるような準備体制を強く期待をいたしておきます。 第二に、それだけの計画が初年度はあるのに、予算措置ではたいへんわずかで、今度の振興事業団融資分が四十四年度は十六億五千万円でございますね。染色のほうは七億五千万円、額にしてみるとほんのわずかでありますが、この程度で、それぞれいま責任者の方が御発表された計画は、このワクに大体当てはまる程度ですか。それともこれではとても足りぬという姿ですか。ちょっと感じでけっこうですが、十六億五千万円がメリヤス、染色の七億五千万円で、大体ことしこう申請されるものは全部ワクに入るだろうかどうだろうか、それはどうですか。
○堀田参考人 染色、メリヤス、ともに大体同じだと思うのでございますが、いま武藤先生がおっしゃったように償却率、金額が少ないのでとてもできません。だからこれは御承知のとおりに五カ年計画でございますので、初年度はこれ、三年、四年、五年、五年後にはこういうふうになります、こういうような計画をわれわれは指導しておりますので、初年度はほんとうに金額は少ないのじゃないか。経編はそういうような方法でやっております。他の方面はわかりませんが……。
○武藤(山)委員 どうですか、他のほうの染色とか……。
○戸谷参考人 いま堀田参考人から申し上げましたことと同じようなことですが、五カ年計画でございますので、初年度かりにグループができましても、その金額は初年度に全額投入させるということは、機械、設備その他発注して期間もかかりますので、やはり一グループごとに五カ年計画が出てくると思います。したがって次年度からは軌道に乗りますので、いわゆる来年の三月三十一日を過ぎましたら四十五年度になりますので、四月一日は四十五年度になる。そういうような時間的のズレがなくて済む、自動的につながっていきますので、多く出ましたら、ある程度四十五年度に回ることになりますが、ほとんど時間的には差がなくていける。それから各企業グループごとに次年度に全額投入することは、企業経営上からもちょっと不合理な点がございますので、うまくやっていける、かように存じております。
○武藤(山)委員 時間がないから全部答えられないが、大体感触でわかりますから。というのは、なぜそういう質問をしたかというと、この間紡績と織布の実態をいろいろ繊維局長からお答えをいただいたのでありますが、なかなか通産省で考えているような、あるいは答申に盛られているような計画に進まぬわけですね。そこで、その資金が紡績と織布は余っていた。では、たまたま余っていたから新規事業でも今回のメリヤスと染色を入れてやろう、こういうことで実は大蔵省の主計局あたりも――予算が余っていたということがどだい私としてはかなり気になるわけなんですよ。だから今度メリヤスや染色がまたこれ初年度うんと余らしてしまうような形では、あと今度縫製も出てくる、あるいは手捺染も出てくる、いろいろなものが出てきた場合に、結局それに食い込むだけでは業界全体としてはたいした前進にならないのではないか、こういう心配が一つあるから、そこでいまの質問をしたのですから、その気持ちをよく御理解しておいていただいて、ひとつ初年度もきちっとした計画を早めに通産省に出さなければ、われわれがここで審議した本意が実現しない、こういうことをひとつぜひお含みいただきたいと思うのであります。 それからもう一つ、この答申を見ると、五年間のビジョンがありますね。ほんとうの簡単なビジョンでございますが、このビジョンを見ると、大体メリヤスでは五年後には七万八千台の編立機にするのだ。この場合の七万八千台というのは、現状は丸編だけで四万四千ありますね。それから経編が二千六百二十八台、横編が九万六千七百十一台、くつ下が三万二千百九十一台。そうすると、現状でこれだけの台数があるのを全部ひっくるめてこの答申では七万八千台としているのでしょうか。それともくつ下だけは除いて五年後の姿は七万八千台にするほうがいいという考え方なんでしょうか。 もう一つは、全体で十七万台ばかりあるこの機械のうち、七万八千台だけを近代化して、あとのは古いままの、耐用年数の過ぎたぼろ機械でもいいんだという考え方なんでしょうか。そこらはどういう考え方を業界ではとっておるのですか、五年後の。
○山田参考人 それはいまあとでおっしゃったような意味でございまして、十七万何がしの機械を七万八千台にしてしまうのじゃございません。その総合数の中で丸とかあるいは経編、横編、くつ下という各業界から五年間にこれだけは自動化なりあるいは精密な機械に取りかえていかなければならぬだろうというのが七万八千台でございます。ですからあとはまたここで対策以外に、個人の力あるいは考えで改善をしていくということでございます。
○武藤(山)委員 それから、お手数で恐縮ですが、この答申を読んでみると、五年間にいまの七万八千台を近代化するためには三千九百億円の金が必要なんだ、そうすると初年度でも最低七百八十億円はかかるだろう、こういう見通しをこの審議会では答申の中に書いているのですね。そうすると、ことしの予算はあまりにも小さ過ぎるのですよ、この七百八十億と比較してみると。構造改善政策がすべり出しても、これはほんとうに象のからだにノミがたかった程度のことで、とても五年間でこのビジョンが実現するとは思えないのですよ、これを読んだ限りでは。そこで、これからこの五団体の皆さんが考えられるそれぞれの業界のビジョンは、大体この程度に五年後にはする、そのためにはこれだけの資金量というものを確保したい、そういう案をひとつ参考資料にいただきたいと思うのでありますが、差しつかえなかったらぜひ団体側からの案を示していただきたいと思うのであります。通産省側のはいただいておりますから、今度は業界側の自主的な、皆さんのそういう計画を資料でいただきたいと思いますが、いかがですか。
○山田参考人 それでは、いまの武藤先生の御意見につきまする資料は、できるだけ急ぎまして提出するようにいたします。
○武藤(山)委員 次に、先ほど浜野さんのお話の中で、染色の場合には少々過剰な点があるというようなお話がちょっとあったと思うのでありますが、そこで設備の近代化をはかる、同時に廃業していくもの、転業するもの、そういうものは現在染色業界にはあらわれておるのでしょうか。それとも現在需要にちょうど見合ったぐらいの染色業界の姿と見ていいのか。染色業の場合はいかがでございます。
○及川参考人 染色業界におきまして現在過剰だと思われます設備は、ローラー捺染機がございます。 〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕 このローラー捺染の過剰というのは、実は過剰投資の結果と申しますよりは、消費者の好みがだんだん高級化してまいりまして――ローラー捺染の製品は一般に高級品というよりは中級品というような形でございまして、そういう消費者の好みが変わってまいりましたので、ローラー捺染機があまり動かなくなったというような意味で過剰でございます。そういうようなものは今度の構造改善を機会に業界内部で自主的に適正規模まで整理しよう、こういうことになっておるのでございます。
○武藤(山)委員 その整理する場合、紡織と織布の場合はやはり法律的な保護があるわけですね。たとえば上乗せ廃棄の場合でも、転廃業者の設備買取補助金でも、そういう国の補助金があるわけですね。ところが、今回のメリヤスと染色の場合にはその規定がないわけですね。そこで私が皆さんに伺いたいと思ったのは、いまは過剰でないが、一体五年後は、これだけ近代化していけば過剰ぎみになるのかならないのか、それによって行く行くはメリヤスも染色も紡織、紡績と同じように廃棄の場合の補助金が出るという制度にすべきなのかどうかということの判断の基礎にしたがったわけなんですが、そこいらはいかがですか。今回載ってないのは、全く業界としてはいまの段階では載ってないのが至当だ、こういう考えなのか、それとも載せようとしたけれども載らなかったのか、ここいらはどうなんです。
○及川参考人 染色業の場合を申し上げますと、ローラー捺染につきましては、当初から業界の自主的廃棄ということで、これの負担のために必要とするお金も大体業界で負担しよう。ただし、これは業界が一度にお金を出すということはなかなかたいへんでございますので、銀行から一時借りなければいかぬわけですが、その場合に構造改善事業協会の保証を政府からお願いする、こういうことに相なっております。 それからもう一つ、過剰の問題にからみまして申し上げたいと思いますのは、今後五年間に設備の近代化をどんどんやってまいりますると、旧来の設備をそのままにしておきますと、やはり業界としては全体の設備が余ってまいります。こういう設備につきましては、スクラップ・アンド・ビルドという方式で、新鋭機械を入れた場合には差しつかえない範囲で古い機械を一定の比率でスクラップ化していく、こういうようなことによって過剰設備を生ぜしめないような対策をとってまいりたい、かように考えております。
○武藤(山)委員 メリヤスのほうはいかがですか、ちょっと聞かしてください。
○山田参考人 織布と違いまして、いわゆる補助金というものが載ってない理由は、五年後成長する産業であるから、その時点でというふうなことも一部考えられます。一昨年の秋実施されました実態調査の結果によりましても、転業する、廃業するという組合員業者が一人もいなかったということでございます。それで、成長させなければならない業種であると同時に、現状の、たとえば私どものほうで横の九万六千七百台という機械、その半分を新鋭機に取りかえていく。一台当たりの生産能力というものは伸びますし、五年後といえども機械が不足するというふうな事態はあり得ないように考えます。その意味で補助金というのを申請申し上げなかったということでございます。
○武藤(山)委員 それから山田さんのほうは、特に九万六千七百十一台というのは非常に台数が多いですね。それからくつ下の理事長さん、三万二千百九十一台も非常に零細な、先ほどいった九人以下ですね。まさにとうちゃん社長、かあちゃん専務の小規模企業ですね。これが圧倒的に多い業種が横メリとくつ下の中にあると思うのです。ところが、こういう近代化するために中小企業金融公庫は融資をしよう、あるいは振興事業団は出そうという制度になっても、当てはまらないのがこの業者の中にたくさん入るような気がするのです、台数の多いのをちょっと数字を見て。これはやはり何か――中小企業金融公庫の場合は法人でなければだめですからね、個人の場合は融資対象にしてくれませんから。商工中金の場合は協同組合でなければだめでしょう。そうすると網から落ちてしまうわけです、小さいのが。これをやはり業界としてどう指導するかというのはたいへん重要な問題だと思うのですよ。特に私は、ここに繊維局長いらっしゃいますから、繊維局長も政務次官も聞いていただきたいのは、そういう零細なものに対する資金というものをどう調達するのが一番いいのか、効率的なのか、またコストの面でも有利なのか、これをやはり構造改善とからませて考えてやる必要があると思うのですよ。いまは魚屋さんや八百屋さん、パーマ屋さんから床屋さんまで特別融資を受けているわけですね、特別ワクをつくって、国民金融公庫から。ですから当然そういうくつ下とか、零細な企業者の場合にも、何かやはり交通整理をしておいてやる必要が資金的にあるのではないか、こう思うのです。繊維局長、そこらは今後検討に値すると思うかどうか、見解をちょっと明らかにしておいてください。
○高橋(淑)政府委員 御趣旨はよくわかります。ただ中小企業庁との関係も非常に深うございますので、いま御質問の点はさっそく中小企業庁ともよく相談をさせていただきたい、とりあえずこのようにお答えしておきます。
○武藤(山)委員 十分ひとつ相談をして、そういう実態を明らかにして、できるだけコストの低い、しかも効率的な運用のできるそういう資金を零細業者に行き渡るように、そうしないと構造改善政策がややともすると中小企業の中の大きいところだけに日が当たってしまって、小さいところは利用できないといううらみが出てきやせぬかという心配があるわけであります。その点はひとつ行政当局で十分これから検討していただきたいと思います。 もう時間でありますからやめますが、最後に、通産省の資料やあるいは調査室の資料などを見ますと、近代化率が非常に進んでいる団体と進んでいないところがありますね、近代化率を見ますと。特に丸編は二五・四、横編は二四、くつ下が五三%という近代化率なんです。ところが経メリヤスは一九・九、一番低いのですね、近代化率が。何で経メリヤスだけがこんなに低いのか。私の判断では逆に経メリヤスは比較的中小の中ではいいほうの、中以上の規模の業者なんですね。それが一番近代化率が低いというのは一体どういうわけなのか。いままで利益率が非常によかったので、近代化しないでも済んだ、あるいは労働力も確保できたので、近代化をそう進めなくとも何とかやれた、こういう環境のせいなのか、それとも業者自身の怠慢なのか。ここらは、一九・九という比率がほかと比較してちょっと低いものですが、原因は何だとお考えでしょうか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○堀田参考人 ごもっともな御質問でございますが、御承知のように経編は戦後の企業でございまして、しかも装置産業ということで比較的新鋭機が装備された、他の企業は何十年あるいは何百年の歴史を持っておって、老朽化したものが多かった、こういうことでございます。それからいま一つ、新興産業で、しかも時代の流れに乗ったということで、五年ぐらい前までは相当の成績をあげた、こういうことで、自力で新鋭機をどんどん導入した、こういう関係から比率が少ないのでございます。しかし、最近急速な新鋭機具が続出いたしましたので、現在の不況と相まって、どうしてもここで最新鋭機を導入しなければならないという事態になったことは間違いございませんが、比率の少ない点はそういう点にございます。御了承いただきます。
○武藤(山)委員 最後に一分間。染色の浜田さんに伺います。 先ほど、染色業界は自宅産業だ、いうなれば工賃取りだ、加工賃でかせぐ商売だ、しかしそれは、最も重要なこれからの日本の繊維産業にとっては、付加価値生産をしなければ国際競争に勝てないのだ、高級品で、特に価値をうんと付加しなければ、原反のままの輸出なんというものは問題にならぬのだ、こういう認識を明らかにされました。そのとおりだと思うのです。そこで、親会社なりあるいは原糸メーカーなり、そういうところの品物を預かって染色をする。ところがひどいのは品物を倉庫一ぱい預かっておき、座敷にまで一ぱい預かっておくのに、逆にその品物が盗難にあったり紛失したり、火災にあったりする心配があるというので、家屋敷を全部担保に入れておかなければならぬ、染色屋のほうが逆に親会社なり商社なりメーカーに。これは話はさかさまなんですね。だから私は、そういう弱い立場に染色業者が置かれるといういまの慣行を改善しなければいかぬ。それには基本契約を業界でもきちっとしたものを指導する。同時に通産省もこの基本契約のひな形をきちっときめて、それに従わないような大資本というものについては、やはり通産省はある程度きちっと介入をしていく、そういう慣行をつくっていかないと、たいへんな――ぼくはいま染色屋さんは預かっている負担だけでもたいへんだと思う。この間ぼくの友だちのところに遊びに行ったら、おまえ金を借りる方法はないかと言うから、いや、家屋敷が担保にあるならだいじょうぶだよと言ったら、いや、実は品物を預かっているので、盗難や何かのための保証に全部家屋敷を親会社のほうに担保に持っていってあるのだ、それでとてもおれのところは担保がないという話なんです。染色の場合そういう契約がたくさんあると思うのです。それで、いま言った基本契約のひな形を通産省と業界で詰めているという答弁をこの前事務当局がここでしたわけなんです。それは早急に詰めて、やはり構造改善がすべり出すと同時に基本契約書というものをきちっと定めて、通産省にもそれを十分指導してもらう、こういう方針をとるべきだと思いますが、作業の進み状況と考え方をちょっと明らかにしていただきたい、それで終わります。
○及川参考人 ただいまのお話、非常にごもっともでございまして、私ども業界といたしましても、現在の取引条件と申しますか、取引慣行に非常な不備がある、これを、この構造改善を機会に何とか是正したいということで、いまお話がありましたような基本契約と申しますか、モデル的な契約条件等もつくりたいし、また取引慣行で不合理な点をいろいろ直したいということで、私どもの協会の中に現在取引改善委員会というのがございまして、各地区から代表者が出まして、いろいろとその状況を調査し、その方式を研究中でございますので、今後そういう取引の面において大いに改善してまいりたい、そういうふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○武藤(山)委員 それでは、どうもありがとうございました。
○堀田参考人 一分間だけ。 諸先生方のお話の中で、ごもっともな点がたくさんございますが、零細企業のグルーピング、これについては、資金がない、現在どういうような関連法令ができますかわかりませんが、織物の場合、原糸メーカー、商社が保証をとっておく、とんでもないわけだ。国家機関じゃないですか。国家の金融機関ともあろうものが、グルーピングのものは、冗談じゃない、へたに行ったら全財産なくなってしまう。これが、全部の保証をいたします、こういって、必死の努力をやって、私は完全に成功すると思います。万々一不成功に終わりましても、与えた保証を取って、足らなかったものは国が保証すべきじゃないですか。これは、普通の銀行じゃないのですよ。国家金融機関と称しておる中金が、そういうところからの保証を取るということは、結局その下請になるということじゃないですか。こういう矛盾をこの際絶対に排除していただきたい。われわれグルーピングは全財産をあげて保証する、それで十分だと思います。そういうようにぜひ御配慮を願いたい。
○武藤(嘉)委員長代理 中村君。
○中村(重)委員 山田参考人にお尋ねいたしますが、先ほど賃金のことについてお述べいただいた。四十二年が二万一千百六十二円、四十三年が二万四千九百六十四円ということでしたね。これの男女別の比率、それから勤続年限、その二点についてひとつお聞かせいただけませんか。
○山田参考人 先ほど冒頭の陳述の中で申し上げました平均賃金、これは男女平均でございます。 性別について資料がございますので申し上げます。 三十五年におきまして男子の場合が一万五千五十二円、それから女子の場合が七千八百七十七円、その平均が一万百六十六円ということでございます。それから四十年におきましては、男子が三万一千三百十四円、それから女子の場合が一万六千五百四十四円。四十二年におきまして、男子の場合が三万七千三百九十一円、女子の場合が一万九千三百一円、平均が二万四千九百七十四円ということでございます。
○中村(重)委員 いろいろお尋ねしたいことがあるのですが、二十五分程度の割り当てになっていますので、いま武藤委員からいろいろお尋ねをいたしましたことと関連をしてお尋ねいたしますが、零細企業が、自己資金の三〇%の調達ということがたいへんであるために、事実上この計画の対象外になるだろう。いま一つは、アウトサイダーがこの計画の対象外になるわけであります。そうした対象の中に入らないものが足を引っ張って、構造改善そのものの障害ということにならないのかどうか。その点はどんなふうにお思いでしょうか。
○山田参考人 いま先生御指摘の問題につきましては、私どもの考え方は、平均いたしますと、非常に小零細業者が多い。今回の構造改善を推進いたしますにつきましても、当初から生産関係の取引が長い間なされ、親企業というものと下請企業というものの結びつきは非常に密接なものでございますので、いわゆる先導的中核企業というふうにもいわれておりますが、リーダーになる企業がそういうところを十分考慮いたしまして、できるだけ小零細業者をともどもグループの中に入れて、そうして大きな、いわゆる適正な生産規模にまで持っていく、そうしていろいろ法律的その他の助成を受けたい、そういうことでございます。ただグルーピングの態様の中にも近促法の八条、承認合併のようなこともございますし、それから新しい共同出資による新会社というのもございますが、現在業界で考えられておりますのはやはり協業組合制度を利用されてこの制度によって進もうという計画のほうが多いように存じます。そういう関係でアウトサイダーについては、現在のところ私ども業界自体といたしますと、やはり構造改善計画の中にはそれはいけませんということで、ただし、ただいけませんということだけではなくて、組合への加入の道は開いてあるのでございますから、その点は支障なく現在ずっと組合員としてのいわゆる月々の負担をいたしまして、全体から見ると協力的な業者に対して、やはり幾らかの差をつけるのがいいんじゃなかろうかという考えでおります。しかし現在アウトサイダーは組合に入れないかといいますと、絶対そんなわけじゃございませんので、加入の道はもちろん開かれておりますから、つとめてこの際加入を勧めまして、業界ぐるみの構造改善ということに持っていきたい、そういう考えでございます。
○中村(重)委員 加入、脱退の自由というものがある。いろいろな問題で脱退したり加入しなかったりするんだろうと思うのです。しかしこうした業者ぐるみの構造改善計画を進めていこうとしますと、いろいろな面で障害が出てくるのではないかと私は思うんですよ。だから、むしろこれは業界の方の努力というものは最優先になるわけですけれども、通産省としてもこうしたアウトサイダーであるとか小零細企業がこの対象から事実上離れる、落ちてしまうということについては、何としても構造改善計画そのものを成功させるという観点から慎重な対策を講じなくてはならないと思うんだけれども、その点はどうお考えですか。
○高橋(淑)政府委員 この点は、いま山田参考人からお答えのありましたように、やはり極力組合の中に入っていただく、そうして一緒になってやっていただく、これが一番基本ではないかと思いますので、そういう方向で今後ともせっかく努力をさせていただきたい、このように思います。
○中村(重)委員 私は、アウトサイダーの存在というものが好ましいものではない、アウトサイダーがあることが、組合側の運営よろしきを得なかったからアウトサイダーが出たんだというふうには決して言わないのです。ただ、いま局長がお答えのように、極力入ってもらうことを期待するという消極的なことではだめなんです。これは繊維業界だけではない、あらゆる業界にアウトサイダーというものがあるわけだ。このアウトサイダーの存在というもの、それからいま言う対象から落ちてしまう零細業者、これをどうするのかということについては、もっと積極的な対策というものを講じなくてはならぬと私は思う。こうした前向きの事業を行なっていく場合に、いまお答えのような消極的な取り組みということでは、いつまでたっても問題の解決にはならぬと思うのですね。そういう点はひとつ十分配慮してもらいたいと思う。 それからいま一つ、さっき山田参考人、堀田参考人その他御意見があったわけですが、私も全くそのとおりだと思うのです。自己資金の調達が非常に苦しい。そこでいろいろ施策を講じておるものの、肝心なところで一つの突破することのできない関門、先ほど堀田参考人がお触れになりましたように、この保証というものをむしろ公的機関といわれるようなところでも要求してくるとか、それからグループ化、専門化というものをさらに強めていこうということを主張しながら、親企業に依存をしなければ何もできないというような状態では、これは専門化もできない、組織化というものもできない。いわゆる系列化の中に生き延びていかなくてはならぬと思いますね。そういう点についても、これは通産省としてはそうした事態を改善する努力というものがなされなければならぬと思う。それから先ほど山田参考人が、いまの構造改善計画の中において六〇%、それから都道府県の一〇%と、七〇%ですね、それから金利は二分六厘、これでひとつやってもらいたいという御意見があったのです。まあ非常に苦しいから、あなたはそういう御意見となってあらわれたのだと私は思うのです。私はこれには非常な不満を持っているのです。中小企業振興事業団が六五%なんですね。自己調達がなるほど二五%あるわけです。金利は今度若干上がりました。ところが繊維構造改善事業というものはきわめて重要な役割りを果たしている事業であるということですね。こういう場合においては、二分六厘というような金利はもっと引き下げていくということでなければならないのじゃないかと思うのです。中小企業振興事業団の金利は、今度上がって二分七厘になったわけですね。ところが繊維の構造改善事業の場合においては前から二分六厘であったわけですね。これに私は問題を感じておったのです。どうしてより重要な役割りを果たす繊維構造改善計画の中において金利が二分六厘であるのかということです。だから、今度は二分七厘に一方がなったから、一厘安いのだからそれでいいじゃないかというようなことに私はならぬと思うのです。いまあなたが二分六厘でぜひ押えてほしいというのは、中小企業振興事業団が二分二厘から五厘上がって二分七厘になったから、そういうことでこの金利を引き上げられることもあり得るのではないか、そういうことで御意見のような形になってあらわれたのだと私は思うのです。だから、政府としては二分六厘の金利というものを引き上げるような方向ではなくて、むしろこれを改善をしていくというような形でなければならない、こう思うのです。 それから三〇%の自己資金の調達にいたしましても、織布の場合においては、これはほとんど繊維工業事業協会の債務保証というものがあるわけですね。ところがメリヤスの場合と染色の場合においては、取引関係の改善資金とそれから染色の場合過剰ローラーの捺染というのですか、これだけに債務保証が限っているということです。これは明らかに不合理だ。なぜに織布の場合と同じように、全面的に繊維工業事業協会の債務保証という対象にしないのかということです。この点については参考人がどう思っていらっしゃるのか、ひとつ御意見を伺ってみたいと思います。
○山田参考人 先ほど二分六厘を今後も引き続きその線で質量ともにひとつ確保をいたしたいと存じますからと申し上げましたが、現行でいままで私どもは振興事業団のビルド資金の金利は年利二分六厘だ、かように信じておりました。だからその点はそのままひとつ行っていただきたい、できましたならば続けていただきたいということでございますが、しかしいま中村先生のおっしゃるように、ちょっと高過ぎるから安くしてやれというような、そういうお考えでございましたら、もう決して異論を申し上げるものではございません。
○中村(重)委員 私が言ったのは、それもあるのですよ。しかしもっと引き下げろと言ってもらいたいのです。それは重要な役割りです。いままでは四厘高かった。一方が今度上がったから一厘安くなった、こういうことで胸をなでおろすということだろうけれども、私は下げてもらわなければ胸をなでおろすことにはならぬと思う。だからあなた方には、これはもっと引き下げるべきだということを強調される権利があるだろうと思うのです。またそれでなければならぬと思う。構造改善計画を進めていく事業なんですからね。 いま一つ私が御意見を伺いたかったのは、繊維工事構造改善事業協会の債務保証です。織布と同じように全面的な債務保証というものを当然やるべきだというのですよ。あなた方だけ差別して特定なものに限って債務保証をやる。だから、あとは商工中金の融資を何とかひとつ確保されるように努力をしていただきたいという皆さんの御意見になってあらわれたと思うのです。これとても一〇〇%の融資が確保されるのかどうか問題なんですね。その場合でも金利の問題がまずひとつ出てまいります。いわゆる負担がそれだけ過重になりますね。それからいわゆる保証であるとか、商工中金の場合は、手数料がどうだの出資金がどうだの、いろいろな要求に皆さま方応じなければならぬのですね。実質金利というものがずっと高くなるのですよ。これでは私はいけないと思う。したがって、繊維工業構造改善事業協会の債務保証というものは織布と同じように差別をしないように、いわゆる全面的な債務保証を当然やるべきだ。この点ひとつ政務次官、単に答弁ではなくて、そのとおりにいたしますという確信の上に立ったお答えを願いたい。
○藤尾政府委員 中村先生の御指摘でございますので、私のような非常に知識の浅い者が申し上げるのはきわめてむずかしゅうございますけれども、いまの金利制度といいますものも、私どもといたしましては、できるだけ業界の方々が御便宜なようにというつもりでいままでやってまいって、大蔵との間にも折衝をいたしてまいったわけで、したがいまして、これをさらに一段と下げたいという意欲は十二分に持っておりますけれども、ここで私が必ず下げるということを申し上げますと、これはそれをほんとうに実行しなければなりませんから、予算をもう一ぺんひっくり返してみなければならぬということにもなりますので、当面はひとつぜひともさようなことで御了承を願って、将来さらに来年度予算あるいは再来年度予算というような場合に、御趣旨をできるだけ盛り込ましていただく努力をさせていただく、こういうことで御了承をいただきたいと思います。
○中村(重)委員 来年まではいたし方ないとしても、再来年まではあまりに気の長い話だ。来年はそれは当然一緒にすべきです。再来年なんというそんな気が長いようなことでは、重要な役割りを果たしていただくことはできない。 この点はそういたしますとはっきり約束していただけるだろうと私は思う。自己資金三〇%の調達、ちょうど先ほど堀田参考人から中小企業の専門化の話が出た。そういうことを通産省は主張し、これを指導してきた。だがしかし、債務保証を受けるための系列化の方向にある。 〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕 これは大きな弊害となってあらわれてきているんだ。だからそういうものをなくするためには、いわゆる独自でもって自己資金の調達というものができる体制が確立されなければならぬ。それは先ほど来各参考人から御意見がございましたように、政府関係金融機関において、自己資金のいわゆる三〇%を確保してやるということです。今度中小企業振興事業団において高度化事業を行なっていきます場合六五%、残りの自己資金の三五%は政府関係金融機関において全面的にこの融資を確保するということがこの制度をつくる際の政府の核になっているのですね。だから、この場合も、商工中金を中心とする政府関係金融機関において自己資金三〇%は必ず確保いたします、これはあなたのほうの所管なんだから、それは約束はできるはずです。その点はどうですか。
○藤尾政府委員 この問題につきましては、もちろん何といいましても、この構造改善の大事業を完遂をしていただくということは国際的にも非常に大事なことでございまするけれども、同時に、これは私は業界におかれましてもその十二分の責任を負っていただかなければならぬ、かように考えております。したがいまして、まず残る三〇%に対しまして業界のあらゆる努力をしていただく、そうしてその上においてなお足らざるところがあるというような場合には、政府関係の一切のものを動員いたしましてその補完をいたすということは当然のことでございますから、やらせるようにいたします。
○中村(重)委員 それはいまの答弁はことばのあやだろうと思うけれども、自分で努力をしろといって、どこから金を持ってくるのですか。そうでしょう。政府関係金融機関のほうは補助金じゃないのですよ。借金なんですよ。だから努力というのはそういうことが努力なんです。まず政府関係金融機関において三〇%の分はこれを融資する、それを保証する、そういうこと。保証ということは融資を確保することの意味の保証です。それはその努力をしてもどうしてもだめなときにそれで考えましょうということであってはならぬと思うのです。少なくともあなたがお答えになりましたように国家的な事業、一〇〇%これは構造改善事業の中で資金の確保をしなくちゃならぬけれども、大蔵省との関係その他によって、これは国家の財政上の関係もありますから、都道府県も入って七〇%にした。残りの三〇%は、これは自己資金を持っておられればけっこうなんです。ない場合、民間の金融機関から借りるということはいろいろな条件がつくわけです。負担が加重されます。そのことはこの事業を成功させるために足を引っぱることになる。だから、そういうむずかしい条件のつかない、融資条件が非常にいいところの政府関係金融機関においてその資金を確保していく、そういうかまえがなければならない。そうして皆さんには最大限努力をしていただいて自己資金をひとつそこで留保してもらって、そうしてあとはできるだけ自己資金でやっていただく、そういうことでなければならぬと思います。だから、あなたの答弁はことばの一つのあやとしてのお答えであったのだろうと思う。訂正をしていただければなおけっこうなんですけれども、それじゃ皆さんが銭をどこからか持っていらっしゃい、そして足らぬ場合には政府関係金融機関から考えますよ、こういうことではだめですよ、そういう姿勢では。そういうことでは通産政務次官としての役目を果たすことにはならぬ。いかがですか。
○藤尾政府委員 御趣旨のとおりでございまして、私が申し上げましたものも、ただ単にもうすべて国におんぶするんだというようなことがあってはならない、そういった意味合いで申し上げたわけであります。私どもも当然国の事業として、一つの産業の興廃をかけました仕事でございますから、ありとあらゆる私どものできますること一切いたす覚悟であることはもちろんでございます。
○中村(重)委員 それからお尋ねいたしますが、今度信用基金に出指金というのがこの事業の中で皆さん方に要求されてまいりますが、この出指金の拠出は重荷にならないかどうか。それからこの出指金は損金扱いにするのか、これは局長からでけっこうです。先に参考人から、出捐金の拠出というものが相当な負担になってくるのじゃないか、その点いかがでしょう。
○山田参考人 政府のほうから出していただいた一億六千万の信用基金に対して、業界としてはそれの二〇%、三千二百万という出指金が必要だという段階でございますが、まだこのことについての詳細な打ち合わせをいたしておりませんので、今後法改正がなされて正式にスタートする段階になりますと、この点についても十分最善の方法をとらなければならぬ。その出すのはどうして出すんだというところにまだ研究を残しておりますので、いましばらく時間をちょうだいいたしたいと思います。
○堀田参考人 中村先生からたいへんいいことをおっしゃっていただいたので、一分間だけお聞きを願いたい。 私の考えでは、織物は新しい分野の開拓によりましてまだ成長すると思いますが、現在のいろいろの資料からいきまして、伸び率が三〇%、四〇%というような低率の伸び率を考えておりますが、私は衣料に関する限り八〇%の伸び率がある。八〇%はメリヤスになる、いわゆるニットになる、これはおそらく十年後にはそうなる、こういうように考えておるわけであります。そこで、通産省はこういったようなことをよく御存じなんです。それでそういう構造改善の政策を立てられたのであります。悪いのは大蔵省であります。大蔵省が全然聞かない。成長するメリヤスと――織物も成長はいたしますが、これから長足に成長するところのメリヤスの構造改善に対して、織物並ひに紡績に与えた構造改善の政府の助成というものよりはメリヤスが悪いなんということはなっていないということなんです。なってないのは大蔵省なんです。三年前から通産省ではどんどんやっていただいたわけなんですが、だめだというようなことでございまして、しかし予算がきまっておることでございますから、ことしはがまんしまして、来年ぜひひとつ先生お願いいたします。
○高橋(淑)政府委員 ただいまの出指金の損金扱いができるかどうかという点につきましては、これは国税庁と話し合いをしなければなりませんので、損金扱いが可能なように国税庁と話し合っていきたい。まだ実施段階に入っておりませんので……。
○中村(重)委員 確信を持って当たってください。でなければ、不合理、不公平になります。いいですか。保証協会に対する銀行の出指金、これは損金扱いにしたのです。私どもは徹底的にこれは要求をして成功いたしております。業者の方々の出指金が損金扱いにならないで、銀行のだけ損金扱いになるなんて、そんなばかな話はないでしょう。これから折衝する、手続的にはそうでしょう。しかし当然損金扱いになるべきものであるという確信の上に立って折衝してもらわなければなりません。そうせぬと、皆さんに対してたいへんな負担をかけることになる。金融資本に対しては特別な扱いをする、そして中小企業の皆さん方に対しては非常な負担を加重させるというような扱いをしてはなりません。これだけは確信を持って当たっていただきたい。
○藤尾政府委員 まことにごもっともな御意見でございますので、私ども全力をあげまして、そのように対国税庁との間の折衝を進めます。
○中村(重)委員 じゃ、時間がありませんから……。
○大久保委員長 玉置一徳君。
○玉置委員 染色、メリヤスの皆さんにきょうはおいでいただきまして、貴重な御意見を拝聴しまして、厚くお礼申し上げます。 そこで、日本の紡績、繊維業界全般の構造改善をやらなければ、これは後進国に追い上げられるということで始めたわけでありますが、やってまいりますと、染色もやらなければいかぬ、織布あるいはメリヤスその他各般にわたるまで行き届かなければ日本の繊維業界が生きていけないというようなことで、皆さんの番にこれは来ているわけでありますが、そこで、たとえば審議会の資料によりましても、メリヤスの国際比較ですが、いまのままで非近代化工場は八十一、近代化工場四十四といたしますと、台湾が五十一、韓国が六十六になっておりますが、五年後に非近代化工場は九十七、台湾六十一、韓国七十四、十年後には非近代化工場が百三十四で、台湾が六十八、韓国が八十四、それに比べて近代化工場の日本のほうは五十三となっております。こういうぐあいでやらざるを得ないというところへ追い上げられてきているということは事実だと思いますが、そこで先ほど来お話しのグループ化ということは、言うべくして皆さんなかなか御苦心のあるところだとぼくは思うのです。そういう御苦心のあるグループ化をやらなければ――やりたいという選手だけにやらすわけにも国策としていきにくいというようなことで、こういう方式をとらざるを得ないと思うのですが、御苦心をいただいていることがよくわかりますので、二、三その点について御質問申し上げたいと思います。 まず最初に染色のほうで申し上げたいと思いますが、グループのやっていただいております中で、経系列のものはいいといたしまして、横系列の問題でございますが、中にやはり中心リーダーというものがどうしてもできるのじゃないだろうか、その中心リーダーを中心にものをやっていくわけでありますので、その中心リーダーがものをやってまいりますときに、最後の協業化を目ざしてというような、役所のほうはどうしてもやかましいことを言うだろうと思いますが、そこらの弾力的な扱いをどうしてほしいというような御意見がございましたら、ひとつ率直にお聞かせいただきたいと思います。
○及川参考人 染色におきまして、先ほど申し上げましたように、現在グループを計画中のものは横系列で大体三つございます。そして現在は、そのグループに参加する企業がみんな寄りまして、いろいろとその中心のリーダーの人もございますが、その人を中心といたしまして、どういう設備をするか、どれだけの金をかけるか、そうして自分たちの負担の割合をどうしよう、それから将来の運営をどうしようかというようなことにつきまして、いろいろと協議をやっております。現在私の見るところによりますと、いずれのグループにおきましても和気あいあいのうちに、独裁的と申しますかそういう独断的なこともなくて、円満に話し合いが行なおれている。なおかつ、このグループ化につきましては、各府県がまた熱心に御指導をしておりますので、この調子でまいりまするならば所期の目的のグループ化ができるのじゃなかろうかというふうに私は考えております。
○玉置委員 そこで繊維局にお伺いしておきたいと思うのですが、このグループ化でありますが、相望むらくは完全な協業形態にいくような形までほしいわけでありましょうけれども、私は、初歩の段階にある程度の部分的な協業というものを段階的に認めてもらわないと進めにくいようなぐあいもあるのじゃないだろうかというようなことを感じるのですが、そういうことについて弾力的な扱いをおやりになるかどうか、繊維局のお考えをただしておきたいと思います。
○高橋(淑)政府委員 初めてやることでありますし、参考人各位からも非常にかたい決意を披瀝されました。やはり最初にやるケースは一番波及効果の多いりっぱなグループでなければならない、このように私思います。ただし、その形態といたしまして、合併とかあるいは協業組合というものの中で、全部協業でなければいかぬとまでは考えておりません。一部協業の場合でもりっぱなものであればよろしかろう、そういう意味合いにおきまして弾力的に運用をはかっていくことも考えさせていただきたい、このように思います。
○玉置委員 そこで数年かかりまして、五年ぐらいかかりまして段階的に善後処理から順番に入っていくというようなものも、一つのケースとして、まずそれだけの熱意があり得ると認められるようなものは、ひとつ弾力的な運営をやっていただきたいと思うのです。 次に、中小企業のグループでありますが、六百人以上五千万円以上の親企業がおると、そのまわりに中小企業のグループができますね。その全部のグループをいわゆる中小企業のグループとして扱われるかどうか、重ねてひとつ繊維局のお考えをただしておきたいと思います。
○高橋(淑)政府委員 協業組合の場合を例にとりますと、協業組合をつくります要件がございますが、その要件に合致する限り、いま申されました六百人以上あるいは五千万円以上の企業が、たとえば一つリーダー格としてあっても可能でございます。
○玉置委員 先ほど来参考人の御意見を聞いておりますと、こういった措置をやるにつきましても、結局一生懸命五年間でがんばるわけでありますが、困難を克服しながらやってまいりますその際に、アメリカその他の輸入制限措置というものがあったのでは全く計画も画餅に帰する、あるいは特恵関税問題をその間にやられてしまったのでは手がつかないのだということもございますが、まことにごもっともなことと思います。 もう一つは、設備制限措置をどうしてもこの間だけはやってもらいたいということが、私も各地を回りまして構造改善の実態を見てまいりましたときに、このことだけは非常にみんなの御希望として、いまさらこんなときにやるものはないではないだろうかというのですけれども、心理的な影響として非常に大きなような感じがいたしました。このことは、参考人のおっしゃることはごもっともだと思うのですが、この三点について繊維局の考え方をこの際ただしておきたいと思います。
○高橋(淑)政府委員 メリヤスにつきましては、現在団体法に基づきます命令で設備の設置制限をいたしております。この命令はこの構造改善対策が完成する五年間は引き続き存続するように、私たちとしては最大の努力を尽くしていきたい、このように思います。
○玉置委員 染色については……。
○及川参考人 染色の関係の設備制限につきましては、私どもの業界で特に問題になりますのはローラー捺染機でございます。これにつきましては、率直に申しまして二つの意見がございます。やはりお金を出して整理するからには設備制限をすべきだという考え方と、実際問題としてローラー捺染は過剰なんで、しかも需要見通しから申しましても、将来稼働する率というものは非常に低い、そういうものを新たに設置するものはないのだから設備制限はする必要がないのだ、こういう二つの考え方が実は業界の中にございます。そこで、私どもはこの二つの議論を見ながら、大体においてはまあ法的な制限は必要はないのじゃなかろうかというような線でただいま研究中でございます。
○玉置委員 それでは輸入制限措置の問題は次の委員会でかためてやる問題でありますので、特恵関税の問題も、通産省も大体その方針でやっていただいておるのだと思いますけれども、政務次官から、もう一度、この際、あらためてこうした構造改善が行なわれるまでの間を、特恵関税でこの業界に混乱を起こさせないように努力するということを、ひとつ御誓約いただきたいと思います。
○藤尾政府委員 前委員会において大臣からもうすでに申し上げてございますように、私どもといたしましては、この構造改善が進行中に、特恵関税の問題でこの構造改善事業が阻害をせられるというようなことは許しがたいことでございますので、そういうことのないようにできるだけの努力はいたします。ただ御案内のとおり、この特恵関税問題といいますものは、他の先進諸国あるいは後進諸国との間の問題もございますので、いま私が申し上げましたことは、どこまでも主体的にわが国として主張できる最大限のところまで主張して、その意見を貫徹したいという決意でございます。さように御了承いただきたいと思います。
○玉置委員 それから参考人から御意見がございました保税関税でございますが、もともとこれは後進国の追い上げに対処するようにがんばっておるわけでありますので、それができるまでの間は、保税関係の問題だけは、こうした中小企業を守るために、ぜひとも通産省のほうで善処してもらいたい、こう思うのですが、いかがでございますか。
○藤尾政府委員 これは善処いたします。
○玉置委員 繊維局長にお伺いするのですが、この構造改善によりますすべての機械装置につきましての償却の措置はどういうふうになっているのですか、税制上の優遇措置は。
○高橋(淑)政府委員 現在近促法によりまして三分の一の割り増し償却の制度の適用がございます。二分の一割り増し償却制度の適用については、今後その実現がはかられますように努力をいたしたい、このように思います。
○玉置委員 と申しますのは、このくらい技術の革新が日進月歩でありますと、従来のような機械の耐用年数の償却では、もうほんとうは経済的な運用としてはなってないのじゃないかというように考えますので、特にこういった努力をお払いいただくわけでありますので、特別の優遇措置を講ずることによって、そういう意欲を深めていただきたい、こう思うのです。 参考人の皆さんにお願いをしたいのは、各地を回りまして、ほんとうにいまごろからそのくらい思い切ったことをやらなければいかぬのか、初めて伺ったというように、県の理事長その他の方は、東京の会議からお帰りなさっておっしゃっていただいておるのでありますけれども、もう一度われわれが行きまして申しますと、いよいよやらざるを得ないのか、もうあきらめたというような顔、だから、やらなければいかぬというところへ出てお行きになるわけですが、初年度のことでありますので、数グループを完全にりっぱにやらして、それで生産の能率のあがったものを見せてみんなを連れていこうというお考えであることも私はよくわかりますけれども、一つ脱落したものは永遠にこの業界から去らざるを得ないのが自然の経済の法則だ、こう思います。首切り論というような言い方もございますけれども、能率があがらぬことは事実であります。人間の労働力の充足という点からも、自然、染色その他にも非常にきびしいのだろうと私は思います。つきましては、こういったところへ出なければ近代産業として残り得ないということも事実だと思いますので、業界の各位に納得さすまでひとつPRをしていただきまして、これに乗り得ない人は、乗り得ない根性を持っておるのですから、これは別としても、救えるだけグループの中に救ってあげていただけるPRを今後におきまして十分にしていただきたい。 それから、皆さんの御希望に対する国の助成というものも思い切ってやらなければいかぬことでありますけれども、だからといって、やるのは業界自体である、自分の企業であるという意識もひとつ徹底していただいて、何ですか、審議会その他でこういうようにお考えいただいておるけれども、実際にやってみるとこういうところが一番困難だから、こういうものにこういう措置をしてもらいたいということを――ことしまずやり始めただけでありますから、やり始めた経験に基づいてひとつどんどん政府に申し上げ、あるいは国会にも言ってきていただきまして、みんなでほんとうに日本の繊維産業が将来とも輝かしい存在になり得るように、ひとつ皆さんが中心になってお気張りいただきたいということをお願いいたしまして、時間も昼過ぎておりますので、この辺で御遠慮申し上げたいと思います。ありがとうございました。
○大久保委員長 岡本富夫君。
○岡本(富)委員 きょうおいでくださいました参考人の方、私でしまいですから、もうしばらくごしんぼう願います。 最初に、一昨年織布業あるいは紡績業を中心として、本法の指定業種として構造改善をしておるのですが、それがあまり進捗してない、進捗率が悪いというような面も出ております。その点について、まあお調べになったと思うのですが、今後どういうところを条件を変えなければいかぬ、まあ条件がきびしくて借りたい人が借りられないというような面も出ておりますが、その御意見がございましたらまず最初にお聞かせ願いたいのです。メリヤスのほうから……。
○戸谷参考人 まことに大事な御意見でありまして、実は織布、紡績も、始まりましたときと、その後いよいよこの構造改善が動きましたときの期間は、ごくわずかでございますが、経済情勢が非常に急速に変わりました。ということは、賃金が非常に上がって人が非常に少なくなったということで問題点があって、進捗率が若干悪い、私はそういうふうに考えておるのです。われわれのほうも、実はその後昨年からいろいろとお役所にお願いしてこういうことにしていただいておるのですが、その間だんだん急速にテンポが早くなってきた。一番問題は従業員をいかにして確保していくか、こういう問題が一番焦点でございまして、かりに集中生産をいたすということで、工場を一カ所新設する場合でも、従業員の問題で一番頭を痛めております。したがって、よくグルーピングするメンバーの中で十分に話し合いをいたしまして、一番従業員が定着のよい、また新しく採用できるような地点も考えまして、思い切った近代化をいたして、生産性を高めると同時に、片やいわゆるメリヤスのようなものは安いだけでは売れないという事態にまさに至っておりまして、一種の嗜好品になっておりまして、デザインとかそういうものを大いに勉強いたしますと同時に、生産、規格、販売機構等もやっていく必要もあると思いますので、今後次から次とそういう新しい事態に直面をしてまいると思いまして、その場合、一つ一つその難局を、あらゆる従来の機関にも御助力を願いまして、われわれ自身も真剣に取り組んでやっていきたいということでございますので、お金を貸していただくのもたいへんありがたいのですが、そのお金をいかにして有効に活用していくかということで実はいま頭が一ぱいでございまして、また皆さま、先生方にいろいろと御指導もぜひお願いせんならぬことがあると思いますが、よろしくひとつお願いいたします。
○岡本(富)委員 確かにそうした労働力の問題でお困りだろうと思うのです。これは私も中小企業をやりましたからよくわかるのです。 そこで、ちょっと通産省にお聞きしたいのですが、政府の中小企業に対するこういった労働力不足に対する施策と申しますか、抜本的な施策はどういうようにお考えになっているか、ひとつこれを政府次官から……。
○藤尾政府委員 いままでもるるいろいろ参考人各位からのお説がございましたように、いまの現況といいまするものが世界的な技術革新というものに沿っていない。したがいまして、そこに問題があって、企業自体の存亡にかかってくるということでございますので、この労務の問題にいたしましても、労務だけを切り離して問題にするということでございません。全部一括をいたしまして、この構造改善計画の中に入れて、そうして他のいかなる国との競争にもうちかてるという確信を持っていただくというようなことが今回の私どもの考えであります。そういった考えのもとに、業界で、私ども門外漢でわかりませんから、一番御精通なすっておられます各業界におかれまして、自主的にこれでやれるんだ、これでいいんだ、これがいま考え得る最高のものだというお手本をひとつお出しをいただいて、そのお手本の計画といいまするものが完全に実施できますように御援助さしていただくというのが私どもの態度である、かように御承知おきをいただきたいと思います。
○岡本(富)委員 ちょっと答えがもう一つはっきりしないように思うのですが、これは業界の方も労働者を集めるためには相当苦労なさっておると思うのです。この間も兵庫県などの、あそこの西の方でしたが、東洋紡さんが人を集めるので何か変なことをやったというようなことが新聞に出ておりましたけれども、こういった点についてもやはり政府のほうでよく見ていかなければいけませんのと、それから一つは、やはり福利厚生設備ですか、これを潤沢にやりませんと、中小企業のところには人が集まらない。大企業のほうには相当なそうしたものが自己資金でできますが、中小企業ではそれができない。したがって、同じ宿舎にしましても、きたないところよりもきれいなところ、大体このごろはそういった福利厚生設備を見てから工場に就職する、こういうところが非常に多いと思うので、そういう面について通産省は、そっちのほうに十分ひとつ意を用いてやっていただきたい。これは要求しておきます。 次に、時間もあまりありませんので、先ほどからずっとお聞きしておったのですが、中小企業のグルーピングですね、この合併または協業化、これが、中小企業主は一国一城のあるじといいますか、なかなかむずかしいと思うのですが、よほど腹を据えてこの計画を実施しなければ構造改善は進まない、ほんの一部で終わってしまう、こういう懸念があるのですが、それについての確信と申しますか、これは十分私どもでやっていけるんだ、こういう御意見を持っていらっしゃると思うのですが、ではどういうように具体的にやっていくのか、これをちょっとお聞かせいただきたいと思うのですが、どうでしょうか。これはどなたでもけっこうです。
○戸谷参考人 まことに御指摘の点、一番の問題点でございます。どうしてやっていくかという問題でございますが、これは先生のおっしゃるとおり、一国一城のあるじという意識が非常に強うございまして、これが一つの非常な長所であると同時にまた短所でございます。こういうグルーピングをやる場合は、短所のほうが多くあらわれてくるというのが事実でございます。われわれ業界といたしましては、御承知のようにいわゆる後進型といいますか、人の安く多い時代の経営をずっと今日までやってまいりまして、ここで急速に先進型といいますか、人の足らない先進型に入りましたので、まず経営者自体の頭の切りかえが一番先決であると存じます。それで、私どものほうの業界でいろいろPRをやっておるのですが、まず、いままでやってきた、きょうもやれておる、これがあすからもやれるという保障はありませんよ、だからここで思い切って経営者自身の頭の切りかえをやるべきだ、これがなかったら、グルーピングは先生がおっしゃるようになかなか前に進んでまいりません。大体、いままではまあまあ何とかというような一国一城のあるじの意識が強うございましたが、ここへきて急速におしりに火がついたということになってまいりまして、実は本年あたりの新卒の若年労働者の採用はほとんど至難になってまいりましたので、もう頭の切りかえは客観情勢からせざるを得ないという事態に追い込まれましたので、私は今後は案外うまくいくのではないか。どうにかこうにかやれている間はなかなか中小企業はおらが大将という気持ちが強うございますので、客観情勢の変化ということが大きくグルーピングの進捗に影響をいたしてまいると思っております。それがどうにもしんぼうできない、やめるかグルーピングするかという場面に追い込まれまして、これはたいへんしあわせかふしあわせかわかりませんが、グルーピングをやるというチャンスとしては非常に熟してまいった、さように存じておりますので、案外、案ずるよりも、やはり生きるためにはグルーピングをやるんだという、そういう気分が盛り上がってまいりましたので、うまくいくのではないか、そういうように私は考えております。
○岡本(富)委員 それで、実はいままで福井県の繊維のこういう団地をつくるというような問題、これもやはり失敗したような状態。それから千葉の船橋でしたか、あそこにも私調査に行きましたけれども、初めははなやかに出発するのです。ものすごくはなやかで、一挙に出発するのですが、途中でみんな脱落したり、あるいはうまくいかないで、あるいは中小企業が離れてしまって、そうしてあとがたがたして、結局政府から相当お金を出しても、それが効果が出ない、こういうような問題がございますので、その点はひとつよく検討していただいて、それで初めはいい調子なんですが、途中でぼうっとなってだめにならないようにお願いしたい。それにつきまして、一つは途中のアフターケアといいますか、金融措置、こういう面ができないために脱落したり、あるいはまた中には大企業にそれを売ってやめてしまう、そして迷惑をこうむっておる、こういうような例がずいぶんございますが、このアフターケアについて、特に今後どういうような考えを持っているか、これをひとつ通産当局からお伺いしておきたいと思うのですが、どうでしょうか。
○高橋(淑)政府委員 メリヤス、染色に例をとりますと、先ほど来申し述べておりますように、初年度ひとつ模範的なりっぱなものをつくって、これを一つのいい例として、たとえば零細の企業の方もまとまったらこういうりっぱなことができるということで、周知徹底を全国的にしたい、こう考えておりますので、そういう貴重な資金を使ってやる事業については、これは常時よく注意をし、むだなことの一切起こらないように十分気をつけて、運用ないし指導をいたしてまいりたい、このように考えております。
○岡本(富)委員 これについて何か御意見がございましたら、参考人の方から……。
○堀田参考人 いま熱烈な御意見が出ましたので補足いたしますが、現在のところ染色もメリヤスも現状のままではだめだという認識は一〇〇%持っておると思います。ただし、どうしたらいいかということ、これだけが問題であるのであります。それについてはいろいろわれわれも考えまして、最善の方法を考慮しておるわけでございますが、先ほど繊維局長さんからお話がございましたように、完全合同――近代化促進法による合同というような完全合同を一気にやろう、こういうようなことを第一条件としております場合には、やはり完全な経営をやっているものと負債を負っているものとあります。これを一緒にするということは、もうやらなければならないということはわかっておりますが、これはできないことなんです。だから漸進的にいきますという先ほどの繊維局長の御趣旨によりまして、二年かかるか三年かかるか、そういう期間を経まして完全な合同に持っていきたい、かようにいま考えておる次第でございます。 それからちょっと委員長にお許しをいただきたいと思いますが、先ほど大蔵省がなってないと申しました。私、こういうところへ出たのは初めてで、さっきだれか思ったことは全部言え、そういうお話でいろいろ申し上げましたが、私が申しましたことは一応取り消します。私が申しましたことは、織物、染色も成長しますが、織物、染色以上に大いに成長をはかり、五年後、十年後には世界のニット王国になるというような、そういう成長性のあるものが、なぜ紡績、織布の条件よりは悪くなるのか、これは常識で考えたって、われわれどうしても納得ができないのです。そういう意味からして通産省でそういう先見を考えて出していただいたものを削ったのは大蔵省だから、大蔵省はなっていない、こういうふうに言いましたのですが、これは言い過ぎであったかもしれませんから、取り消します。委員長どうぞひとつよろしくお願いいたします。 〔「ほんとうだ」 「いいんだ」と呼ぶ者あり〕
○及川参考人 グルーピングを結成した後のアフターケアにつきまして、染色業界としてどうするかということについてお答えを申し上げます。 私はグルーピングのアフターケアも大切でございまするけれども、まず最初にりっぱなグルーピングを結成するというその段階で、まずわれわれとして大いに努力しなければならない、そういうことで実は私ども現在日本染色協会が中心になりまして、各グルーピングの結成についての協力をいたしております。グルーピングが結成されました後におきましては、やはり生みの親と申しますか、中心になりましたのが協会でございますので、結成後といえども、われわれとしてはこういうグルーピングと十分に連絡をとりながら適時適切な指導もし、かつまたお願いするようなことがございましたならば、通産省のほうにもよくお願いをしまして、金融面なり経営面なり、あるいは技術の面なりその他において十分な協力をして、りっぱなグルーピングが最終的に完成するように大いに努力を傾倒するつもりでございますので、その決意のほどを御披露申し上げておきます。
○岡本(富)委員 これで大体時間でございますので終わりたいと思いますが、今度の改善臨時措置法でもってメリヤス業界あるいは染色業界を育成していく。そうすると今度は消費者に対してどういうメリットが出るか、これが一つ。それからもう一つは、実は染色業界の方にお聞きしたいのですが、兵庫県の西脇のほうでは非常に多いのですが、これはちょっと方向が違うのですけれども、加古川の水が汚くて、これをきれいにすると、西脇の染色業界の方が困るというので非常に押し合いをしているわけですが、この見通し、この二点について最後にお聞きをしたいと思うのです。
○及川参考人 消費者に対するメリットでございますが、私どもといたしましては、やはり構造改善を強力に実施いたしまして、できるだけ価格が安いものを供給したい。それでなおかつ最近の消費動向を見てまいりますと、消費者の好みというのは非常に高級品を好むようになっております。そういう面におきまして現在のデザインなり、あるいは技術開発というものを将来さらに押し進める必要が非常にあると思います。そういう意味でわれわれとしましては、消費者の好みに十分応じられるようなものをつくる。それから賃金上昇その他に伴いまして、ともすれば価格が上がりがちでございますけれども、この点も極力押える。場合によりましたら値下げもする。そこまで可能であるかどうかわかりませんけれども、そういうことも考えております。 それからまたもう一つは、品質表示と申しますか、染色堅牢度、たとえば日光堅牢度とかいろいろございますが、そういう品質表示の面におきましても、将来消費者のためにサービスをしなければならぬということで、私どもの協会内において現在研究中でございますので、あらゆる意味において業界のみんなが力を合わせまして、国民の皆さま方、あるいは輸出の面において大いにお国のためになるように努力したい、かように考えております。
○堀田参考人 お答え申し上げます。消費者に対するメリットというお話がありました。これは経編メリヤスの例でございますが、三十八年に経編の編み立て工賃は、メーター六十円であります。それが現在四十三年は、二十四円に下がっております。物価の高騰なんということは、地球上には繊維製品にはないのです。これは月の世界にあるのかもしれないが、値下げ値下げで、賃金は上がる、経費は上がる。六十円のものが二十四円に下がったのですよ。われわれは、こういうように下がっておりますから、これから値段を下げますということは申し上げられません。少なくとも物価指数は年間五%、六%と上がっている。繊維製品は反対に値が下がっておる。だから多少は値は上がっていくと思います。またそうしていただかなければ全部つぶれてしまいます。やれなくなってしまいます。だから大幅な値上げはありませんが、値段は五%なり六%なりは上げていただいて、少なくとも六十円の工賃までに――これは値上げじゃないのですよ。そうでしょう。その程度までは、年限はかかるか知れませんが、上げていって、労働者に対しては、他の一般の好況産業の労働賃金にちなんだところの、これに負けないところの賃金を払わなければ人が来ないのですよ。労働問題をどう考えますかという御質問もありましたが、賃金の安いところには人が来ないのです。それからさっきおっしゃったように、いろいろの厚生施設の悪いところには人が来ない。これはごもっともなんです。そういう面に努力をしていきます。 メリットと申しますと、値を上げますが製品が高級化すということです。高級化すということはすなわち消費者に対するところの大きなるサービスであると考えます。それからまた、消費者がこの製品がほしいと言っておりますが、現在消費者が飛びつくような製品は全体の二〇%しかありませんよ。あとは、しかたないから買っておこう、こういうことになるので、高級化になりますれば飛びついて、なるほどいいなと思って自己満足のできる製品ができてくるということは、大なるサービスであります。私はこれは大きなるサービスであると考えます。そういう面に構造改善の方向を持っていきたい、そして消費者に対してもサービスをしていきたい、かように考えております。
○及川参考人 先ほど私が申しました中で、賃金の上昇を押えてということを言うたそうでありますが、実はそれは間違いでございまして、設備の合理化その他によりまして賃金の上昇を合理化過程で吸収して、消費者の皆さまにはできるだけそういう高いものにならないように努力する、こういう意味でございますので、誤解ないようにお願いいたします。
○岡本(富)委員 時間ですから、西脇のことはまたあとで聞きましょう。
○大久保委員長 藤井勝志君。
○藤井委員 外部からおいでになった参考人にはたいへん長時間まことに恐縮でございますが、先ほど来御意見並びに各委員の質疑を通じまして、特にぜひ繊維局長並びに染色協会の方々にひとつ精力的な御努力を願いたい、私この場においてこのことを確認しておきたいために発言をちょっとさしていただきたいと思います。 それは、一口に申しまして、取引関係の改善に関する件でございまして、先般来織物関係ではずっと構革が進んでおります。しかしながら、今度新たに染色整理加工が構革の対象になるわけでございますけれども、現在ところによっていろいろ幅は違い、様子は多少違いますけれども、いわゆる加工賃、織物屋で言えば繊維製品のメーカーからの下請加工、こういった加工賃、特に合繊地帯にそういう傾向が強いわけでございますけれども、工賃はほとんど横ばい、変わらない、しかし年々労働賃金は当然時代の要請として上がらなければならない、このような板ばさみの上に立って構革を進めなければならないというこの状態を考えると、幾ら機械設備を新鋭化しても構革事業計画の限界がある、こういう感じがいたすわけでございまして、この点は、染色整理加工は、機屋さん、織物屋さんのまた、また請でございますから、ここに本来のいわゆるプロダクションチームとよくいわれますけれども、その名に値するような取引関係の改善対策が、この際染色整理加工並びに織物関係にはぜひ必要である。これは角度を変えて申し上げますならば、端的に申しまして、大企業の労使においてはしかるべく利益の分配がなされる。ところが大多数を占める中小企業の労使においては分配すべき分け前がほとんど残らないという、こういう事態を政治はいかに解決したらいいかという問題にも関連をするわけでございますから、この点については私はまず政府当局である繊維局においていわゆる仲立ちの役をし、染色協会、ここら辺が――きょうは染色の問題だけですから染色を申し上げますが、この取引関係の改善という点については、構革を進めると同時に積極的に取り組むべき重大な問題である。こうしなければ、せっかく設備はしたけれども、構造改善のための構造改善ではなくて、それに携わる関係業者の発展並びに消費者のためにもなる、こういうところに問題がつながってこなければならぬわけでございますから、先ほどからお話が出ておりましたけれども、事が非常に重大だというふうに思いますので、そういうものの考え方の上に立って関係者の精力的な御善処を願いたい。これに対してひとつ関係者から決意のほどをお伺いいたしたい、このように思います。
○高橋(淑)政府委員 いま例示されました染色業の構造改善の大きな柱の一つが取引条件の改善あるいはその地位の向上ということでございますから、御指摘のように、この取引改善問題については積極的に取り組む所存でございます。
○浜野参考人 本日は私、参考人として伺っております。にもかかわらず、皆さま方、諸先生からいろいろのお話を伺いまして、たいへん私は参考になって、どっちがどっちかわらぬ。私は非常に心に深く感じるところが多いのでございます。 ちょっと二言三言申し上げさせていただきたいと思いますが、構造改善は非常にむずかしいことだ、私は一口に申し上げてそう思います。しかし、私初めて染色業を始めましたのは五十九年前でございます。当時の日本では、機械は一つも日本でできません。全部外国から買っておりました。私ども染色工場ではマザープラットから機械を全部買いました。技術は全部外国から教わりました。染料のごときは一つも日本でできません。ソーダ工業はございませんから、ソーダ灰のようなものまで外国から買っておったのでございます。ただ一つ熱心にやってかち得たものは何かと申しますと、ただ一生懸命にやって、工賃が安かったものだから、その当時、一九三〇年ごろに非常に物が出たということでございます。そのことを今日考えますと、工賃においてはとうてい考えられることのできない時代でございました。しからばどうして追い上げ国に対して対抗できるかといいますと、私が思いますのに、低開発国におきましては化学工業が進んでおらないのでございます。それが今日になるまでに、だんだんなってくるのにはまだたいへんな時間がかかると思うのでございます。その間にわれわれはどうしても構造改善をいたしまして、立ち直ったところの新しい――この間審議会で答申を得られました、あの中に盛り込んでございました幾多の施策、いまのグルーピングもございますし、いろいろございますが、そういうものを新たに取り入れましてやってまいったならば、戦後十五年の間に何も知らなかった海外に合繊、化繊がたいへんな勢いで出てまいったのでございますが、それをも克服して今日になったのでございますから、私は必ずやっていけると思うのでございます。 そこに一ついま申し上げたいことは、契約の問題でございます。私がこれを長年やっております中で一番感じられますることは、要するに契約が不完全であったということでございます。私思いますに、これはこれまでの形が悪かったので、構造改善によりまして五分と五分の立場におきましてやりますならば、必ずこの契約の改善ができ得るのじゃないか。その意味におきましても、構造改善をどうしてもやり遂げなければならないのではないか、こう私は考えます。で、私は不平等条約だと言っておるのでございます。そういうものは多々ございます。ということは、これまでの系列というものがございましたが、この系列はそろばん玉の上の系列でございまして、決して技術上の提携とかいろいろなものの提携というものばかりと言えないのでございます。そこで、どうしてもそろばん玉の系列ではならないので、構造改善の上に立ちました公明正大なる技術の開発、低開発国に対していかなる施策によって対抗するかという施策を考えることが目下の問題でありますが、それには契約が一番大事なんです。ただいま御指摘を受けましたので、特に私はそれを感ずるわけでございますが、ここに構造改善が成り立ちましたならば、私はグルーピングにおいて新たなる公正なる契約が行なわれると思います。これらはやはり御当局の御指示を得なければできないことだと思います。 今日はいろいろとありがたいおことばを承りまして、まことにありがとうございました。ちょっと一言申し上げました。
○藤井委員 グルーピングの場合、府県単位ということばがありましたが、これはやはり経済圏単位といった配慮でグルーピングは考えるべきだ。念のため、県単位ということばがちょっとあったのですが、それはそういうふうに解釈していいですね。
○及川参考人 県単位のグルーピングという、そういう県のワクというものは一応考えておりません。ですから、場合によりますと、府県をまたがってのグルーピングもございます。
○大久保委員長 参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。 参考人各位には、御多用中長時間にわたり御出席いただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。 次回は、明二十六日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十五分散会