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61回国会衆議院1969/03/11

商工委員会 第8号

発言数
388
登壇者
15
会派数
3
開催日
1969/03/11

会議録

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 これより会議を開きます。  通商産業の基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 前回に引き続きまして、数点をただしたいと思いますが、その前に委員長に次のようなことをお尋ねをいたしたいと思います。

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 ちょっと質問者に申し上げますが、委員長という場合は、山田委員長というふうに御発言願います。私も委員長ですから……。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 なるほどそうですね。公取委員長に質問をいたします。以下、委員長というのは公取委員長でございまして、本日は大久保委員長に質問の予定は全然ございません。  委員長は、三月二十人目の商工委員会で、同僚委員の質疑に対して、次のような御答弁をされました。この点を最初にお尋ねをしたいのです。速記録が現在でき上がっておりませんが、要旨は次のとおりでございます。  質問に対する委員長のお答えは、独禁法と独禁政策の間に幅があると申しましたのは、これは理念として、理想としての独禁政策というものと、それから現実の法の運用というものの間にはある程度の差はある、こういうふうに申したわけでございます。それはほかの政策でも、いずれも同じかと存じます。ほかのことは何でございますが、労働政策におきましても、理念として理想としての労働政策、それから現在の法律としての労働政策に多少の差はあるかと存ずるわけでございます。これが、委員長の商工委員会における御答弁であります。同趣旨の御答弁をたしか予算委員会等においても御答弁になっておられるかに私は拝見をいたしました。そうして、やはりその中で、労働法の理想としての労働政策と、現在の法律としての労働政策に差があるということを引例として特にお引きになっておられるわけです。実は、私自身、本来独禁法については全く素朴な理解しか持っておりませんが、労働法についてはかなり私自身理解があるわけなんです。  そこで、独禁法と独禁政策とについて差があるということをおっしゃったわけで、特に労働法についてお引きになっておられるので、委員長二回もそういうふうな御引用になっておられるので、まず現実にこの問題を掘り下げるために、委員長御自身、あるべき労働政策と現実の労働法との間に差があるのだとおっしゃっているが、これは委員長の頭の中で具体的にどういうことをお考えになって言っておられるのでしょうか。その点をひとつお答えをいただきたい。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 労働政策を引用いたしましたのは、私は労働政策ないし労働法につきまして、別に深く研究いたしておるわけではございませんので、その例を引きましたのは不穏当であったかとも存じます。ごく一般論として申し上げたつもりでございます。要は、理念としてあるいは学説としての政策論と、それから現実の法律との間にはある程度の幅があるのではないか、ということを申し上げたくて申した次第でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 一般論としてお答えをください。理念としてというのは、あるべき姿としての労働政策と現実の労働政策の中には、委員長はどのような差があるとして一般的にお考えになっておられるのでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ただいま申し上げましたごとく、私特に労働法について研究いたしておるわけではございません。ただし、労働時間なりあるいは労働日数なりということについて、政策としてあるいは理念としてあるいは学説としてはいろいろな考え方があると存じますけれども、現行法のそれらの定め方というものには、場合によって差があるのではないか、かようなつもりで申し上げた次第でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうすると、委員長のおっしゃっておられるあるべき独禁政策、理想として、理念としてというのは、あるべき独禁政策というふうに理解してよろしいのでございますね。その独禁政策と、現実の実定法としての独禁法、さらにその運用との間には差がある、そうすると、差というのは、矛盾とか乖離とかズレとか、あるいは理念に合わない現実だとかいうふうに理解してもあながち間違いではないと思うのです。まさに独禁法については最高の責任者のお立場にあるわけですから、はたしてしからば、現実の独禁政策と、またあるべき独禁政策としての独禁法と、それから現実の独禁法との間には、どんなズレ、矛盾、理念に合わない現実というふうなものがあるでしょうか。それを一般論としてではなしに、十五条の問題の中で、あるべき独禁政策の立場から見た合併についてのあるべき規定と、そうして現実の実定法の十五条との間にはズレがあるのかないのか、ある程度差があるということをお認めになっておるのですから、これはあるはずでございますね。では一体その差は何か、これをひとつお答えいただきたい。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 学説なりあるいは理想論としての独禁政策と、それから現行法、現実の実定法としての独禁政策との間に若干の幅があるのではないかということを申し上げた次第でございまして、理念あるいは理想としてのイデアール・ティープスのようなものは、今後私どもとして十分検討してまいらなければならぬ、時勢の進運に応じまして十分検討してまいらなければならない、かように考えておる次第でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 要するに、学説と理念ということを並べておっしゃったわけですけれども、いうてみれば、学説の中には、何と申しまするか、現実を肯定している学説もあるでしょう。ですから、委員長御自身がお考えになっておられる独禁政策の理念と独禁法の現実との間にはズレがあるとおっしゃっているわけです。そうすると、その独禁政策全体についての理念と現実のズレをお聞きするということになれば時間も食いますので、十五条、すなわち合併に関する問題――独禁政策としてのあるべき合併のあり方と、委員長がお考えになっているあるべき合併の姿と、現実の実定法としての十五条との間にはズレがあるでしょうか。あるんだというふうに委員長の御答弁からうかがわれますが、あるとすればどこにズレがあるのでしょうか。特に昭和二十四年、昭和二十八年に独禁法の十五条については改正があったことについても委員長の御答弁の中にあらわれております。そういたしますると、あるべき理念としての合併に関する独禁政策と、そうして現実の十五条との間にはズレがある、そのズレとは一体どの点にズレがあるか、現在確定的なお答えでないにしても委員長はどのようにお考えになりますか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 御指摘のように、学説なりあるいは各方面の御意見はいろいろのものがございます。それと実定法との間には幅があるでございましょうということを申し上げたのでございまして、したがって、その理念としてあるいは理想としてあるいは学説としての各種の御意見に対しましては、私どもは心をむなしくして十分御意見を拝聴しまして、常に適正な法の運用というものを考えていかなければならない、かように考えている次第でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 しつこいでしょうけれども、もう少し伺いますが、あるでしょうとは委員長はおっしゃっていない。差があるのでありますとお答えになっております。しからば、学説とか各方面の意見ではなしに、委員長がお考えになっておられる合併に関するあるべき想定される法と、現実の実定法としての十五条とは現在の委員長のお考えでは全く一致しているのですか。それともあるべき合併の姿としてはかくあったほうがいいと委員長はお思いなのでしょうか。各方面の意見とか学説ではなしに、あるとおっしゃっているんですから、十五条についての委員長の御見解を承りたい、こういうことでございます。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 私として現在の時点においてこれが理想であるというはっきりしたものは持っておりません。ただいまも申し上げましたごとく、心をむなしゅうして各方面の御意見を伺って、今後十分に検討を重ねていきたい、かような考えでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうすると、現実にある十五条というのが、あるべき理念としての独禁政策の合併のためのつくられるべき実定法との間に差がないんだというふうに委員長はおっしゃらないわけなんです。要するに、心をむなしゅうして運用に当たりたいとおっしゃるわけでございますから、現実のこの十五条というのが、委員長のお考えになっておられるあるべき独禁政策から見て、端的にいえば、二十四年のときの条文のほうがよかったとか、二十八年のほうがよかったとか、あるいはそのほかのもっと厳格な規定のほうがいいとかということではないんだ、現実の十五条でもう十分いいんだというふうなことは断定されない。いうてみれば、現実の十五条についても委員長は差があると言う。どこが差があるんですかと私が何べんお聞きしてもお答えいただけないのだけれども、では理念と現実というのは十五条についてもズレがある、矛盾がある。しかしその点についてはどの程度の矛盾があるのかということは御指摘にならないけれども、逆にいうと、矛盾がないんだ、ズレがないんだ、理念と現実のズレがないんだとはおっしゃらない。十五条についてもそういう問題はあるんだということをおっしゃるわけでございましようか。そういうお答えに理解してよろしいのでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 二十四年、二十八年の改正は、それらの時点におきましてそれ相当の理由があって国会において御改正になったものと考えております。私どもといたしましては、現在与えられておりますところの法律、これを厳正に公正に適用をしてまいる、これが私どもの職務である、かように考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 当然です。そのことをお聞きしているわけではないんです。実は、先日梅田委員にお尋ねをいたしました。そうすると結局悪法も法ということになるのですか、こうお聞きしました。この前の質問のしかたが非常に乱暴だったと思うのですけれども、そういう端的な質問については、そういうふうにぶつ切りをして質問があればそういうふうに答えざるを得ないというふうなお答えがあったと思うのです。まさに梅田委員の御答弁というのは、私の理解では、現実の独禁法とあるべき独禁政策との間に矛盾があった場合でも実定法がある場合にはやむを得ないんだという面からお答えになったのだろうと私は思うのです。  もう一度念のために伺っておきますが、そうすると委員長の御答弁としては、公平、厳正に十五条を運用される、その点はもちろん当然のことです。しかし、その公正、厳正に運用される十五条というのがあるべき独禁政策との間に全然乖離、矛盾、ズレというふうなものがないとは断定されない。矛盾があるとすれば矛盾点を御指摘いただきたいと私は先ほどから何べんもお尋ねしたんですが、その点については各方面の意見を聞くというお答えでした。ではしからば、矛盾がないというふうな断定はされるのですかされないのですか。あるべき独禁政策と十五条との間には矛盾がないとお答えになるのか、それとも矛盾があるとお答えになるのか、いかがでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 矛盾があるとは考えておりません。ある程度のズレ、これはあるかもしれないということを申し上げておるわけでございまして、これは私どもといたしまして、法を運用する立場におきまして、その日その日の情勢の進展に応じまして研究課題として常に考えていかなければならないものだ、かように考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 現実にお考えになっているある程度のズレというのは具体的にどういう点なのでしょうか。そしてそれは埋めることができるというお立場でしょうか。実定法の拡大解釈だとか縮小解釈ということでそれは埋めることができるんだというふうにお考えでしょうか。それとも埋めることのできないほどのズレがあるとお考えでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 埋めることができない矛盾が赤るというふうには考えておりません。現在の法律を適正に公正に運用することによって妥当な結果をもたらし得るもの、かように考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうすると、埋めることができないとは思わないということは、もうすでに委員長の頭の中には、あるべき独禁政策とそうして現実の十五条との間のズレというものを御認識になってお話しでございますね。結局埋めることはできるとおっしゃるんだから、それじゃその埋められるというズレは一体何がズレなんですか、ズレというものが委員長の頭の中でおありになればこそ埋めることができるとおっしゃっているんだから、では一体そのズレとは十五条については何なんですか。埋めることができるとおっしゃる以上は、そのズレがあるということを委員長お認めになったわけでございますね。それじゃその十五条についてのズレとは何ですか。埋めることができるとおっしゃる以上は、実定法の十五条と独禁政策のズレがあることはお認めになった。埋めることができるとおっしゃる。埋めなければならないものは一体何ですか、お答えをいただきたい。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 御承知のように十五条の条文というものは非常に抽象的でございますから、それを適正に運用いたすことによって適正な結果が期待できる、かようなことでございまして、ズレと申しますと、それは解釈の幅と申しますか、十分にこれは活用できるもの、かように考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 独禁法が弾力的解釈をすべき法律であるということはよくわかっております。しかし、弾力的に解釈をして埋めるんだとおっしゃる。しからばどういうふうに埋めるんですか。その埋めるというのは一体何を埋めるんですかということが問題になるのじゃないでしょうか。どうもとの点は委員長、何か御答弁をお避けになっていられるんじゃないかと私は思うんです。ですから、埋めるとおっしゃるのだったら、一体どの点を埋めるんですか。それは埋める方法は、弾力的なとはおっしゃらなかったけれども、この法律は抽象的な規定だから、これはとにかく十分に事実に合うように事実認定等においても幅広く解釈してとおっしゃったけれども、その方法は一体何なんですか。あるべき独禁政策とそうして現実の実定法との間にあるズレ、それはすでに方向が若干違っておるということなんです。そうして角度の違っているものを合わさなければならぬ、それは一体何なんですか。埋めることができるとおっしゃるのだから、一体左に三十度傾いているものを右に三十度回せば一致しますとか、それはこういうことなんですというお話をしていただかなければ、法律解釈の手段とか方法とか、やり方一般の法学通論的なお話を伺うだけでは話が進まないし、御答弁いただいて私が納得する答弁だとは委員長自身もおそらく思われないと思うのです。いかがでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 三十度開いておるというふうなことになりますと相当開いておるような感触を受けるわけでございますけれども、さようには考えておりません。これはやはり個々の案件の特質によりまして適切な適用をはかってまいる、かような意味に私は考えて発言をいたしておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 公取の事務局長さんにお尋ねをいたします。  一月二十七日にいわゆる世間でいわれている十五条の統一解釈なるものが発表されたとされておりますね。これは前回も引用いたしましたけれども、一月二十七日に公正取引委員会の終了後、事務局長さんが質問に答えながら明らかにされたのだということですね。そうすると、この事務局長のお立場からいいますと、統一解釈と世間でいわれているものは一体何に基づいて発表をされたわけなんでしょうか。要するにこの十五条というものを世間では統一解釈といっています。統一解釈につては、本日おいでいただいておる菊池委員は統一解釈はあるのですよ、統一解釈がなくて何でこういう結論が出せたかという返事、お話は先日ありましたし、統一解釈がないというお話もありましたし、それは各委員の間で御答弁に食い違いがあったと思うのですが、事務局長にお尋ねいたしたのは、統一解釈といわれているものは、事務局長さん、一体どういう経過で発表されたもの、これはどういう性格のものなのか、これをひとつこの機会に局長さんのほうから明らかにしていただきたい。

柿沼幸一郎公正取引委員会事務局長

○柿沼政府委員 これは新聞関係でございますけれども、本件の合併について非常に大きな関心を寄せられておりまして、毎回委員会が行なわれるごとに、その委員会で何が審議されたかということについての記者会見を事務局長として要求されておったわけでございます。ただ、委員会はずっと継続して行なわれているものでございまして、その一々の審議内容についてお話しするのは必ずしも適当でないということで、私といたしましては、そのときの委員会で何が題目になったかという程度のことと、それから委員会の空気をお伝えするというような程度でもって、毎回委員会後に記者会見をいたしたわけでございますけれども、一月二十七日の委員会におきましては、十五条の解釈につきまして、委員会としてほぼこの解釈についての議論の取りまとめが行なわれたということで、それを記者会見で申した次第でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうすると、申されたというのは、この十五条の解釈は、事務局長がお話しになったことは、事実関係として間違いがないということでございますね。

柿沼幸一郎公正取引委員会事務局長

○柿沼政府委員 これは用語の問題といたしまして、委員会で議論している間に、非常に厳密に申しますとことばづかいについていろいろやかましい制約がございます。これは私流の分け方でございますけれども、法律家が判決や審決を書く場合に使う非常に厳密な法律的な用語、それから私ども行政事務をいたします場合に、公式の文書に使います行政的なことばづかい、それから新聞社の方が、できるだけ広い方に御理解願えるように、できるだけ明快に表現するような用語の使い方、それらに私相当の違いがあるような印象を持っておるわけでございますけれども、この日の私の話といたしましては、どちらかと申しますと、委員会でその日どういう項目が話があったという程度のことを話しまして、あとは、それだけで終わりませんで、いろいろ記者から質問があるわけでございます。質問に応じまして、日常使われることばで私が話しましたことを、それぞれの新聞社で適宜おまとめになったのが新聞紙上に報道されたことばであり、それからその新聞紙上からおそらく孫引きしたのが「エコノミスト」なり何なり雑誌に載っていることばではないかというふうに私は受け取っております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 要するに私がお聞きしているのは、そうすると、このときに事務局長がお話しになったその統一解釈というのは、前回も私発言をいたしましたが、この発言で八幡、富士の社長はやれやれこれで合併ができるといって胸をなでおろしたといわれている、いわくつきのものでございますね。そういうことがいわれております。一体そうすると、この統一解釈として事務局長がお話しになったのは、事務局長のあるいは事務局長個人の見解なのですか、公取委員会とは無縁のものなのですか。それとも公取委員会の意を受けたお話なのですか。事務局としての取りまとめなのですか。性格をこの機会に明確にしていただきたい。

柿沼幸一郎公正取引委員会事務局長

○柿沼政府委員 私のところには、会社側からも事務的な連絡の窓口になっている面がございます。それでただいまこの統一解釈について両社長が胸をなでおろしたというようなおことばが御質問の中にございましたけれども、私としてはそういう連絡は特に受けてはおりません。  それから内容につきましては、私といたしましては、当日そういった解釈問題について委員会があったということは申し上げまして、あとは質問に応じて、私が委員会の議論として理解しておりますことをある程度申し上げたわけでございますけれども、そういう意味におきまして、十五条の解釈については、前回にも申しましたように、いろいろな文書にいろいろな解釈がございます。それで、それらの中で委員会の議論といたしまして、ほぼこういう方向で議論が行なわれたということを私のことばでお伝えしたということでございます。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 先ほど来のおことばでございますが、統一解釈というのは、これは俗語ではないかと存じます。私どもといたしましては、これは従来合併の案件を年間一千件以上も処理いたしてまいりました、その線を再確認をいたした、こういうことでございます。端的に申し上げますならば、昭和二十八年の判例、これは再確認をいたした、かようなことでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうでしょうか。粗鋼などという中間製品なんということが、何千件もおやりになっている合併の中で、そういうことばが出てくるはずはございませんね。ですから、そういうふうなことを私はお聞きしても、そうですかとは言えないわけなんです。もう一度、では事務局長にお尋ねしますが、そうすると事務局長は、この統一見解なるものは、委員会におけるほぼ論議された解釈の方向を述べたのだということですから、そうすると、ほぼということは、逆にいいますと、ほぼ委員会の意思どおりのもの、しかも委員長のお話は、前からこんなことはあったのだよとおっしゃるけれども、事務局長のお話は、その議論ざれたこと、この鉄鋼合併についての十五条をどう理解するかといって議論されたこと、それでほぼ方向が固まった、そのほぼ固まったことを同席しておられた事務局長が述べられた、要するにそうすると、事務局長の個人的な見解ではなくて委員会の討議の結果なんだということになるわけですか。

柿沼幸一郎公正取引委員会事務局長

○柿沼政府委員 いまの御質問の中で例に引かれました粗鋼の問題でございますけれども、これは私から当時空気を伝えた中には、おそらくそういうことばは一切使ってないと思います。その点だけ私、ちょっと除外いたしておきますけれども、あとの一般的な統一解釈といわれるようなことばは、当時の委員会の議論のございましたところについて、私がその空気を伝えたというふうに御理解願ってけっこうだと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 法律解釈に空気とかムードとかいうふうなものはないわけですよ。空気を伝えたとかいうふうなのはおかしいと思います。ですから要するに、委員会としては統一解釈としてこのころおきめになったわけですね。きめたとかきめないとかというふうなことは別として、このあたりでそういう腹をきめられた、それで事務局長は発表されたということなんですか。それともそうではないのですか。

柿沼幸一郎公正取引委員会事務局長

○柿沼政府委員 私の会見いたします記者の方は、独禁法に非常に詳しい方がございます。特に本件問題に関係いたす方々は、独禁法について、特に十五条関連の条文について非常な勉強をされておられるわけでございます。私といたしましては、その日の委員会の空気を伝えたわけでございまして、そういたしますと、やはり独禁法の知識に基づいてその辺を受け取って、それぞれの新聞社がまとめておるということかと存じます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 その日の空気を伝えたというその日の空気というのは、ではまず何をお話しになったのですか。

柿沼幸一郎公正取引委員会事務局長

○柿沼政府委員 私として申し上げましたのは、十五条の解釈についていろいろな解釈があるけれども、おおむね十五条は現段階においてこう解釈すべきであるというような議論があったということを伝えたわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 委員長にお尋ねいたしますが、そうすると事務局長が一月二十七日に解釈について発表したというのは、公取の空気を察して、公取の空気に基づいて十五条の解釈を述べたのだ、ほぼそのころその方向が固まったのだという趣旨の御答弁だったと私は理解しますが、そうすると、この十五条についてのいわゆる俗にいわれている統一解釈というのは公取の見解になるのでしょうか、ならないのでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 先ほど申し上げましたごとく、十五条の解釈を再確認いたしたということでございまして、固まったということばをお使いでございましたが、固まったとかきまったとか申しますると、それまでなかったものがはっきりときまったというふうに受け取られますけれども、さようなわけではございません。再確認をした、こういうことでございます。  それから空気云々ということでございますが、これは解釈について空気とかなんとかいうことがないのは当然御指摘のとおりでございまして、委員会における話の空気を伝えた、こういうことでございます。十五条につきましては、くどいようでございますけれども、再確認をいたしたということでございまして、新しく固まったとかきまったとか、さようなことはないわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 十五条について、公正取引委員会で近く合議をして統一解釈をきめますという御答弁をされましたね。前回、二月二十八日の委員会であったと私記憶をしますが、統一解釈はないのだ、こうおっしゃったから、じゃどうされるのですかと聞いたら、近く委員会で合議をして――合議をされますか。します、統一解釈を出します、こういうふうに委員長お答えになったわけです。私の質問です。そうすると統一解釈というふうなものをお出しになるという前回の御答弁。統一解釈というようなものはありません。そうしたいわゆる十五条の解釈については、じゃ出しましょうというお話があったのですけれども、この点と、いまの再確認したのだということ――再確認だということになれば、もうそういうものはあった、そしてそれを確認した――じゃ再確認された日は一体いつなんでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 日付ははっきり記憶いたしておりませんが、おそらく一月二十七日ごろではなかったかと私記憶いたしておるわけであります。したがって二十八日の委員会で私は統一解釈がないということを申し上げた記憶は全然ないのでございますが、速記録を調べてみたいと存じます。要するに、私どもは解釈を再確認をいたしたということでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 合併の相談があったのが去年の五月ですね。そして一月の二十七日まで足かけ何カ月になるでしょうか。一月の二十七日にならなければ再確認できないということは、そうすると、十五条の解釈についてはそれほど論議があったということなんでしょうか。御承知のとおり合併が十五条の違反になるかならないかということは事実認定でございますね。そうすると、法律解釈というのが前提にあって、法律と事実を証拠によって認定していくということだろうと思うのです。梅田委員の御専門で、こういうことを申し上げて恐縮ですけれども、そういうことですね。その法律解釈がどたんばの一月二十七日に再確認された。そうすると委員の皆さんは二十七日まではてんでんばらばらでお話が進んできた。私よくわかりませんけれども、客観的な事実、富士、八幡の市場シェアがどうだという一定の事実関係がある。それを資料とか証拠をさがしてくる、そういう客観的な事実を証拠によって認定をする、それが法律に違反するのかしないのかということを確定をする、皆さんがおやりになった作業というのはそういう作業をお進めになったわけでしょう。それでは、ずいぶん御努力して、不眠不休の御努力をいただいたけれども、やはりわれわれが心配しておったように、二十七日まで最初は十五条の解釈について確定せず、前提となる適用すべき法律についての態度が確定せずに、時日が経過していって、そして最後に一月二十七日に確認をした。順序としてはしかしおかしいですね。数千件あるのだから、こういう法律解釈でいくのだという法律解釈は最初にはっきりしているのですよというのじゃなしに、どだんばの一月二十七日になって確認をした――委員長のおっしゃるように本来法律解釈としてはもう問題ないのならば、何も一月二十七日というどだんばの日において確認するというのはおかしいことなんです。そうすると、やはり一月二十七日の統一解釈なるものは、ずいぶんいろいろな激論があって、狭く解釈する立場、広く解釈する立場があって、そしてほぼ固まったというふうなことで、事実認定よりも、法律をどうしぼるかという点が一番最後にきてしまった、こういう事前審査をおやりになったわけですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 法律の解釈につきましてそれほど委員会の中でてんでんばらばらであったとは思いません。  それから、ただいま御指摘のように、調査をいたしてまいります順序といたしましては、これは審決書でもさようでございますが、事実の認定が先にございまして、最後にいきまして法の適用ということになるわけでございます。したがって、十五条を踏まえまして、各種の事実の認定、くどく申し上げるようでございますが、私どもといたしましては、シェアのみならず競争業者の地位でございますとか、あるいはユーザーの地位、同業者の牽制力、それから代替品の関係とか、輸入の関係とか、新規参入の問題とか、かような点の事実の認定を積み重ねてまいりまして、いよいよ法の適用というところで一応再確認をいたした、かようなことでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 私は、とにかく委員長のおっしゃっていることはおかしいと思うのですよ。事実の認定といって、富士、八幡の問題を調査してくれといって公取にお願いしておるのじゃないのですよ。富士、八幡の合併に関する事実の認定なんです。いってみれば、目的的な事実の認定でございましょう。とにかく、東京の町を調べてこいというのじゃなしに、東京の町のスモッグならスモッグを調べなさいということ。そうしたら、その前提として、スモッグに関する規制の条例というものがあって、法律があって、それに合うか合わないかを調べるわけでございましょう、事実の認定というのは。むやみにやりちらかすような事実の認定ではない。初めに法ありきでしょう。事実の認定というのは、新規参入の有無だとか、可能性だとかいうようなことも、あくまで法というものが大前提になって、そして客観的事実というものがあって、客観的事実に合うかどうかは別として、四十条の強制調査権も発動されなかったようでございますから、証拠も拒否ざれたらしいけれども、御認定になった事実というものと客観的事実が一致するかどうかはまた別の問題ですけれども、それを解釈された。法と事実とを合わされたわけでしょう。そして最後に法の条文をお引きになっているわけでしょう。だから、事実の認定の前提というのは、認定する事実というものはあくまで法の解釈の鋳型にはまるかはまらないかということで事実の認定をやっていくわけでしょう。むやみやたらに事実の認定をやるわけじゃないでしょう。従業員に一体どんなのがおるか、色の黒い人が何人おるかとか、色の白い人が何人おるかというのは何も八幡の合併に関係ないでしょう。合併に関する事実の認定でしょう。事実の認定に当たるのは十五条でしょう。その十五条についての法律解釈を一月二十七日にやったというふうなことは一体どういうことなんでしょうか。ほぼ固まったなどということをおっしゃるけれども、ほぼ固まったなんということが一月二十七日に、私の理解では、どうもどんでん返しみたいなかっこうでそういう統一解釈が出たことは理解できない。なぜ一月二十七日に統一解釈が出たのですか。世間でいわれる統一解釈、委員長はそういうものは巷間伝えられるもので俗語とおっしゃるけれども、まさにそういう俗語が、国民大衆は統一解釈ということばでとることは正しいと思います。そんなものがなぜ一月二十七日に出たんでしょうか。あらためてお聞きしたい。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 初めに公害云々のお話がございましたが、これは公害の場合は亜硫酸ガスが何PPM以上というようなことで機械的に定めるものだと思います。  十五条につきましては、くどいようでございますが、先ほど申し上げました競争者の地位とかあるいは需要者とか、そういうようなことについて、それを踏まえまして十五条を適用してまいる、これはもう初めから定まったことでございます。したがってそれに基づいた事実の調査をいたしました。やれ従業員の中に色の黒い者とか白い者とか、さようなことは一切調べたことはございません。十五条に関連する範囲内において調査をいたしました。最後に法の適用をいたす場合におきまして従来の線を再確認をした、かようなことでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 再確認をしなければならなかった理由は何でしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 最終的な結論を出しますにあたりましては、これは当然再確認をしておく必要がある、かように考えたわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 では事務局長、「エコノミスト」をお持ちいただいていると思うのです。再確認された十五条の解釈ですね。これをひとつこの機会に御答弁いただきたいと思います。私が御答弁いただきたいというのは、従来の判例の趣旨に沿ってというふうなそういう御答弁ではなしに、十五条の統一解釈として一、二、三にわたって「エコノミスト」は書いているし、これは孫引きだとおっしゃるんですね。ですから、事務局長のほうからまず十五条についてのほぼ固まった統一解釈というのを御答弁ください。それから、これはひとつ判例の立場に沿ってということもあるんですから、かなり長く詳しい御答弁をいただきたいと思います。しかも問題点はもうたくさんございますよね。要するに、「一定の取引分野」だとか「競争を実質的に制限することとなる場合」あるとか、あるいはそのほか一つ一つの場合について論争点がありますよ。これはこういうふうにほぼ固まったんだということをひとつ御答弁いただきたいと思います。ちょっと私も筆記をいたしたいと思いますので、恐縮ですが、ゆっくりと御答弁ください。

柿沼幸一郎公正取引委員会事務局長

○柿沼政府委員 私、先ほど空気と申し上げたのですけれども、各新聞紙上に報道されております表現、それから雑誌といたしましては「東洋経済」あるいは「エコノミスト」に表現されております表現、これはそれぞれ専門家が見ますと相当違いを持った表現があろうかと思います。その件につきましては、本委員会でも資料要求がございましたし、それから衆議院の物価関係の委員会からも資料要求がございましたので、その辺のところを間違いのないような形でもって取りまとめたものを別途文書をもって提出するということでただいま準備中でございます。ここでまた私がやや空気めいたお話をいたしますと、さらに従来の混乱に混乱を重ねる形になると思いますので、この段階で私が口頭でお答えすることは控えさせていただきたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 もう混乱し過ぎてしまっているのですよ。そうしておっしゃるのは従来の判例の立場だということだけなんですよ。私は前回菊池さんと梅田さんにお尋ねしたのは、ある程度自由にというようなことだけにしぼって、ずいぶん議論を蒸し返すような質問をして、非常に自分でも恐縮しているのですけれども、新聞記者諸君にお話をされた、そういうことでけっこうですから言ってください。何もきょうおっしゃったことを絶対唯一無二のものとして確定的なものとは思いません。要するに、そういうことでお話しをいただきたい。たとえば、もうこの十五条の解釈の一点にかかるわけですから、十五条については正田さんの本でいえば四八八ページから五一二ページまで、結局二十四ページくらい使っていますよ。だから、その点をひとつ相当詳しく話をしてください。問題点、数点ありますからね。それで私は決して唯一絶対のものとはしませんから……。もう混乱し過ぎているんですからね。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 関連。さっきからお話を聞いておりますと、要するに委員長も再確認をしたとおっしゃっています。委員長が再確認をなすったということは、何か再確認をしたものがあるはずでございましょうね。これはやはりいま国民としてはものさしなんですから、法律は法律でございますけれども、その法律の解釈についてのものさしを――まあいろいろな角度でこれまで判例もありましたでしょうし、取り扱いをなすった形の中であったんだと思いますから、それをある程度集約をなすって、そしてひとつ再確認をなすった、こういうふうにいままでのお話の経過で私は理解をいたしましたので、それならば、やはり国民の前に、事務局長が新聞記者会見でおっしゃったことが、何かやりとりの中で何となくでき上がったというようなことで、それが真偽のほどといいまずか、これは公取側の問題ではなくて、もし責任があるとすればそれは新聞社側の問題なんですよというような程度のことでこの問題が前へ行くことは、私は、国民の側にいろいろ疑惑が残るもとになるんではないか、こう思いますから、私は、そのことの善悪とかそういうことの問題ではなくて、やはりものさしというのは国民の前に明らかにする必要はあるのじゃないか。そうして、委員長がそこで再確認をいたしましたとおっしゃっておることですから、その再確認の中身については、ひとつ委員長のほうからでもやはり国民の前にある程度はっきりしたかっこうで――短いことばで抽象的におっしゃると、十五条とたいして変わりがなくなりますので、それを少し具体的に――まあ具体的といっても、問題の法律の解釈のあり方でございますから限度があろうと思いますけれども、その再確認をなされた考え方なり中身なりをここでひとつ明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 いわゆる解釈の確認につきましては、大体において三つの内容がございます。  先ほど御指摘になりましたような、第一点は「一定の取引分野」とは何か、それから第二点が「競争を実質的に制限すること」とは何か、それから「こととなる」、この三カ点に要約をされるかと思うのであります。  第一点の「一定の取引分野」につきましては、これは要するに独禁法の適用の上での一定の取引分野でございますから、これは裏を返せば、競争の行なわれる場というふうに理解すべきものと考えるわけでございます。したがって、競争の行なわれる場とは、市場において売買される商品、これで一定の取引分野を画してまいるべきだ、こういうことでございます。  それから第二点の「競争を実質的に制限すること」とは何か、これは、判例の線ではっきりと参ろうということでございます。簡単に読み上げますと、判例では、「競争を実質的に制限するとは、競争自体が減少して、特定の事業者又は事業者集団がその意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによつて、市場を支配することができる状態をもたらすことをいうのであって、いいかえれば、かかる状態においては、当該事業者又は事業者集団に対する他の競争者は、それらの者の意思に拘りなく、自らの自由な選択によって価格、品質、数量等を決定して事業活動を行い、これによって十分な利潤を収めその存在を維持するということは、もはや望み得ないということになるのである。」こういうのが判例の文句でございます。  それから、「こととなる」というのにつきましては、二つ内容がございますが、これは合併との因果関係、合併に関係のないことでありますならばこれは「こととなる」にはならない。因果関係がなければならない。それから「こととなる」の第二の要因といたしましては、合理的蓋然性-可能性でもなし、必然性でもなし、合理的蓋然性、こういうことがその内容でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 三点に要約されましたが、まだまだ十五条については問題点があると思われます。それらの問題について、そうするとこういうふうに理解するのでしょうか。三点だけが問題なんですよと……。たとえば「当該合併によつて」ということばについてだって、ずいぶん今度の合併を認めるか認めないかについては論議が分かれるんだというふうにわれわれは理解をいたしております。じゃ、もう一点おつけ加えをください。「当該合併によつて」とはどういう意味なんでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これは「こととなる」のところで申し上げましたように、その因果関係ということに尽きると思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうすると「当該合併によって」という高裁判決の中の「特定の事業者又は事業者集団がその意思で」というふうに理解してよろしいのですね。「当該合併によって」というその合併は、単に合併会社だけじゃないのだ、「特定の事業者又は事業者集団」というふうに理解してよろしいんですね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 「当該合併によって」というのは、結局、因果関係に尽きるわけであります。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そこで有賀委員にお尋ねいたします。  前回たいへん突然質問をいたしまして失礼いたしましたが、私がお尋ねをいたしたのは次のようなことでございましたですね。委員長がお読み上げになりましたその実質的制限に関する判例ですね。これは審決集(五)に登載されている判例でございますね。(五)でございます。間違いございません。それで、要するに審決集(五)の判例を受けて審決集(五)の判例が出てきたわけでございますね。その判例というのは、もはやこういうふうなことを一々申し上げなくてもいいと思うのですけれども、要するに垂水さんがお書きになった判例でございますね。そこで私がこの前、有賀委員にお聞きしたのは、私はどうもこの判例はおかしいと思うのです、と。どこがおかしいかというと、審決集(三)の判例を審決集(五)の判例は引いているわけですね。まず同じ文章を引いておって、そうしてその次に「いいかえれば」ということばをつけておりますね。そこで私がこの前お聞きしたのは、次のようなことでした。もう一度読み上げますが委員長が判例を読み上げて私も判例を読み上げるのは恐縮ですが、「競争を実質的に制限するとは、競争自体が減少して、特定の事業者又は事業者集団がその意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによつて、市場を支配することができる状態をもたらすことをいう」これが従来の判例の立場ですね。そうでございますね。そうなってきまして、「いう」とあって、そして「いいかえれば」と続くわけですね。だから、その「いいかえれば」ということに続くのか。はたして「いいかえれば」で、イコールで結ばれるのかどうか。――亀岡さん、いま何か手を振っておられたのでお答えいただきたい。何か、私の言っていること、間違っておりますか。

亀岡康夫公正取引委員会委員

○亀岡説明員 お答え申し上げます。これはちょっと正確に申し上げないと誤解があるかと思いますので、正確に申し上げますと、判例は確かにいま仰せのとおり、昭和二十六年九月十九日でございましたか、東宝、スバルの事件の判例がございまして、それを受けまして、いまお読み上げになりました昭和二十八年十二月七日の東宝、新東宝に関する東京高裁の判決、そこでちょっと両方の判決の内容についての違いを申し上げておきたいと思います。  違いのまず第一点は、いま昭和二十六年の九月十九日でございますかの判例では、特定の事業者または事業者集団が、その意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他の諸般の条件を左右することにより、市場を支配する形態があらわれているか、またはかかる形態があらわれる状態をいう、と、ちょっとことばは正確でなかったかと思いますけれども……

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 いまの点に関連してちょっとお聞きしたいのですが、亀岡さんお引きになられました審決集の日、実は私も持ってきておりますから、正確に御引用いただきたいと思います。

亀岡康夫公正取引委員会委員

○亀岡説明員 一言一句間違いないようにお読み上げいたします。  いま申し上げましたのは、昭和二十六年九月十九日の判決の、競争の実質的制限の東京高裁の引用の個所でございます。もう少しことばを正確に申し上げる意味で、前から申しますと、「法第十五条第一項第二号にいうところの競争の実質的制限(第二条第三項、第四項等についても同じである)とは、原告のいうような個々の行為そのものをいうのではなく、競争自体が減少して、特定の事業者または事業者集団が、その意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる形態が現われているか、または少くとも現われようとする程度に至っている状態をいうのである。」あとは競争の減少の説明でございますから省略いたします。  そこでもう一度、昭和二十八年十二月七日の判決をお読みいたします。ここで判決がいっておりますのは、「競争を実質的に制限するとは、競争自体が減少して、特定の事業者又は事業者団体がその意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる状態をもたらすことをいうのであって、(当庁昭和二五年(行ナ)第二百号、昭和二十六年九月十九日言渡東宝株式会社対公正取引委員会間審決取消請求事件判決参照)、いいかえればかかる状態においては、当該事業者又は事業者集団に対する他の競争者は、それらの者の意思に拘りなく、自らの自由な選択によって価格、品質、数量等を決定して事業活動を行い、これによって十分な利潤を収めてその存在を維持するということは、もはや望み得ないということになるのである。」あとの個所は、これはまた御質問がございましたらお答えいたしますが、一応そこで切っておきます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そこで、いずれにいたしましてもこういうことでございますね。前回も申し上げましたが、判決文にも明示しておりますように、昭和二十六年九月十九日の判決は、その後の判決、昭和二十八年十二月七日言い渡しの判決にほとんど全文引用されたかっこうで、参照してくださいと、こう書いてあるわけですね。そこで有賀委員にお尋ねいたしたいのは、だからその昭和二十六年と二十八年の判決については若干、法その他の関係においてなにはあるけれども、その点については、いま亀岡委員がお読み上げになられた点、私も前回何べんも申し上げたこの二つについては変わってない、大ざっぱにいって変わってない。ただ「いいかえれば」ということで、二十八年十二月七日の垂水判決については、あと書いているわけですね。そうすると、私のお聞きいたしたいのは、判例の立場だとおっしゃいますが、実際に「ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる状態をもたらす」ということは、イコールで「いいかえれば」につながるのかどうか。「ある程度自由に、」「市場を支配することができる状態をもたらす」ということが、イコールで、「いいかえれば」「もはや望み得ないということになるのである。」ということに結びつくんだろうか。要するに、そういう状態になりますよ、なりそうですよというふうに読めることが、「いいかえれば」もう絶対に望み得ないんだ、絶望的なんだということで、「いいかえれば」で結びついているこの判決というものは、判例の立場だとおっしゃるけれども、「いいかえれば」イコールで結びついてしまっていいのだろうか。垂水さんの判決は、結びつかないものを「いいかえれば」でイコールで結んでいる判決ではないのか。そういうふうな判例の立場をおとりになることははなはだ危険じゃないか、こう私は有賀委員にこの前お尋ねしたのですけれども、突然の質問であったので、有賀委員のほうから十分にお答えいただけなかったのですけれども、きょうはその点について、前回の質問の続きですので、「いいかえれば」で結びつかない、「いいかえれば」以下の文章と前後の文章とは、書いてあることが違うのじゃないか。この判例は、だから違うことを書いておると思いますよという私の趣旨なんです。それを公取の皆さんは、「いいかえれば」ということでずっとつながっていくとおっしゃっているのは、私はどう考えても文意的に見て、きわめて素朴な立場から見て、結びつかないものをこの判例は結びつけておられる、おかしいというふうに思いますが、いかがでしょうかという質問なんです。

有賀美智子公正取引委員会委員

○有賀説明員 お答えいたします。前回も申し上げましたように、私は「いいかえれば」以下のことは、前段の場合も、それから前の二十六年の判例も同じく続くものというふうに考えます。ただし、この「いいかえれば」というところの読み方にいろいろあるのかも存じませんけれども、私は前段から後段へそのまま続き、後段から前段へそのまま包摂されるというふうに考えます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 委員長、私の質問は非常にこまかい質問になってきたのですけれども、「いいかえれば」ということで、さっと――「いいかえれば」というのは、別のことばで表現すればということでしたね。別のことばで表現すればということですけれども、一点だけとっていうのはおかしいのですけれども、「もはや望み得ないということになるのである。」というような評価と、「市場を支配することができる状態をもたらす」というようなその前段とが「いいかえれば」で結びつくのかどうか。いってみれば、「いいかえれば」のほうがずいぶんきつい言い方をしている。前段のほうは非常にゆるいといいますか、ある程度の可能性というふうなものを言っている。ところが、その前段と後段と分けなければならないんじゃないのか。それを結びつくとおっしゃるのですか。委員長、結びつくとおっしゃるなら、どういうわけで結びつくのかということをひとつ御説明いただきたいと思うのです。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これは、前段は特定の事業者または事業者集団の立場から言っておるのでございます。「いいかえれば」以下は他の競争者の立場から、すなわち表から言ったのと裏から言ったことでありまして、これはイコールでつながるもの、かように考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 「ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによつて、市場を支配することができる状態をもたらす」という場合には、裏から返せば、そうすると他の競争者はもはや望み得ないということになる。「それらの者の意思に拘りなく、自らの自由な選択によって価格、品質、数量等を決定して事業活動を行い、」以下省略をいたしますけれども、望み得ないことになるということは、イコールでほんとうに結びつくのですか。裏から言っている、表から言っているということは、私ももうよくわかっています。しかし、そういうふうに結びつくんだというふうに公取はお考えになっているのですか。これは十五条の解釈ですね。そういうふうにお考えになっているのですかという質問なんです。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これは結びつくものと考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ちょっと関連して。いまの話は、結びつくという問題と同じであるということとは別の問題があるんじゃないかと私は思うのですね。要するに、ある一つの問題を取り上げましたときに、表から見るということと裏から見るということは確かに結びついておりますね。しかし、結びついたということは同じであるということかどうかということについては、ちょっと問題があるのですね。表は表であって、裏はあくまで裏なんですね。だから、表と裏が結びついておるのは、これはだれが見ても当然ですけれども、表と裏とはものごとの事象が違うわけですから、結びついてはいるけれども同じではない、そういうことじゃないでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 同じということばの使い方でございますが、全く同一ということではないと思います。しかし、内容的にはひとしいものと考えます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 内容的にひとしいものなら、二つあげる必要がないと私は思うのですよ。内容的にひとしいものなら一つでいい。表だけ出しておけばいい。それを裏で書いたということは、それをある程度ふえんをするといいますか、そういう意味で出ておるわけですから、いまおっしゃるようにひとしいんじゃなくて、あるいは場合によっては範囲を、最初のほうには五という範囲が書かれておる場合に、裏からそれをあと三補強する場合もあるかもしれませんし、あり方はいろいろでしょうけれども、前とあととは本来的な問題としては完全にひとしいということにならないんじゃないか。いまのこの問題は、それがきわめて象徴的に出ていると思うのです。表から言っておることを、それは裏から同一の形にできない性格のものではないのか。ということは、事実の問題は、片方がどういう意見であるかどうかということを同一の意思として片方が理解するかどうかということには問題があると思うのです。片方の意思としては、それだけははっきりしておると思いますよ。事業を支配する側の意思は、支配する側としてははっきりしておる。しかし、その支配する者の意思をそのとおりにひとしく支配される側の者が理解したかどうかという点には、何らひとしく理解をしたということの保証はないんであって、支配する側の意思と支配される側のそれを理解した理解のしかたは、私は差があってしかるべきだと思う。ですから、その差があるということは、常にひとしいということにはならないんじゃないか。だから表と裏の問題は、一つの紙のようなものであるとか、非常に物理的なものであるとか、そういうような問題――かねて私がここでよく言いますところの自然科学的なものであるならば、これは検証ができますから、表がこうで裏がこうで、これはひとしいかひとしくないか検証ができる。しかし、こういう事業に関係し、競争を制限するとか、いろいろなことは、これは社会的な事象ですし、それを運営する人間の意思がその中には介入してきますから、その意思のあり方をどうやって比べるかといったら、本来論理的に比べられないものではないのか。比べられないけれども、一応そういうかっこうで、裁判官はそう思ったのでしょうね。そのときにそう思ったからそう書いたのだろうと思います。しかし、趣旨はあくまで表に出したことが主体であって、裏側のほうは、結びついてはおるけれども、やや従属的に、補強する意見であるという理解をするのが私はいまのこの問題の正当な理解のしかたではないかと思いますが、その点いかがですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これは、後段は必ずしも従属的なものではなくて、先ほども申し上げましたが、前段は特定事業者の立場、支配者の立場、それから後段は支配を受けるところの他の競争事業者、こういうふうに書き分けたものであって、それが「いいかえれば」という結びを書かせた理由である、こういうふうに考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それはしかし、もしいま委員長がおっしゃるようなことなら、「いいかえれば」でなくて、前段で競争の支配する側を書いて、あわせて、言いかえる必要はないのですね。言いかえなくて、一、こう書いて、二、こう書いて、両方とも表ですね。そうなれば、問題提起のしかたとしては表ですから、一と二と並べて書いてあるのが私は当然なんじゃないだろうか。支配する側と支配される側を並べて書いたってこの場合ちっともかまわないのですから、それを、支配する側を書いて「いいかえれば」という表現を使ったことは、やはりこれは前段を補強するというか、ふえんするというか、だから前段が先に立って、それに続いて、「いいかえれば」というのが続いて出てきたものごとの説明だ、こう理解するのが私は正当じゃないかと思うのですが、ちょっとその点について、亀岡さんどうでしょうか。それをあなたはどうお考えになりますか。

亀岡康夫公正取引委員会委員

○亀岡説明員 お答えいたします。いま昭和二十八年十二月七日の判決の引用文についての御議論なんでございますが、前段と後段の関係の問題でございます。私はいろいろ先生の御意見、よくわかるのでございますが、私の理解している考え方を申し上げますと、いずれにいたしましても、競争の実質的制限ということを考える場合に、どういう事態を捕捉すればいいか、考えればいいかということに尽きる。そうしますと、まず考えられることは、昭和二十八年十二月七日の判例で申しますと、まず前段のようなことが頭に出てくる。それからその次に、その特定の事業者なり事業者集団に対する競争者、これらのことをまず頭に浮かべてみる必要があるのではないかということで後段のようなことが考えられてくる。したがいまして、いずれにしましても、これは競争の実質的制限を判断する場合における経済実態における――これはことばが非常にむずかしいことばになるかと思いますが、徴表、こういうふうに私は理解しております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 このあたりが法律解釈としては山なんですので、さらにお尋ねをしていきますが、では、こういうふうに聞きましょう。別の質問になりますが、昭和二十八年十二月七日の判例、いまから十六年、足かけ十七年前の判例でございますが、要するに高度経済成長の以前の判例と見ていいと思うのです。そこでこの判例の趣旨を踏まえてということですが、私も私自身の質問に、判例の立場に立ってということで、ずいぶん判例を引用したのが私のほうなので非常に恐縮ですが、先ほど委員長が言われた「競争を実質的に制限する」というこのことについては、そうするとこの十七年前の判例と全く一致するのですか。それとも若干のズレはあるのですか。その点はいかがですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 競争の実質的制限という意義につきましては、年数がたちましても同じことであると私は考えます。ただ、事実を認定するにあたりましては、これはそのときそのときの状況に応じて変化があるのは当然であると思いますが、法律上の競争の実質的制限という概念は変わりがないもの、かように考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうすると、実質的制限というものが何かという対象とする事実については変わってくるけれども、それに当てはまるか当てはまらないかという入れものである法律解釈は、全く変えないというふうにお伺いしてよろしいのですか。それでほんとうにいいのでしょうか。その点について、十七年もたっているのにという問題が一点あると思いますが、判例の立場を厳守せよという言う人もおるし、あるいはどうも判例の立場をくずしたのはけしからぬと言う人もいますけれども、これは全くそういう立場を離れてお聞きしますが、じゃその入れものは全然変えない、その入れものにどんなものを入れるかということは変えるけれども、対象とする認定する事実は変えても、解釈の態度――定義というふうにおっしゃったので、定義と概念ということはちょっとズレがあると思うのです。解釈はこれでいくのだ、変える必要がない。十七年たっても変える必要がないわけを、じゃ言ってください。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 概念としては変える必要がない、私はかように考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 概念ということばは私はとらないのです。事実を認定されるときの解釈として判例の立場と公取の立場とは全く一致するのですか。概念じゃないのです。解釈そのものが一致するのですか、こうです。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 解釈として一致いたすと考えます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 私ばかり質問していてもなんですので、別の質問に変えます。  お尋ねしたいことは次の点です。もうすでにこの点はあまりにも大ぜいの人が質問をしましたけれども、事前審査についての梅田委員の御答弁の中にありましたのは、組織法か何かをお引きになって梅田委員は御説明になりましたが、行政相談だという御説明、それから四十一条だという御説明、いろいろなものがございました。だから一体事前審査といわれているものの性格はどうも三つあるじゃないかという説もあるのですね。だから梅田委員と委員長の御答弁が食い違うということを言う人もいるわけです。梅田委員が御答弁されたことは委員長はお聞きいただいていると思いますから、あらためて事前審査の性格について御答弁をいただきたい。同時に、梅田委員が御答弁になったことについては、それは一体それでいいのかどうかということもひとつこの機会に御答弁をいただきたい。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 事前相談につきましては、前回梅田委員から御説明申し上げましたごとく、公正取引委員会事務局組織令第八条第一項第四号によりますと、事務局の企業課は会社の合併等に関する届け出の受理に関することをつかさどることになっておりますので、事前相談はこの届け出に関することと見ることができる。なおこの組織令第八条第四号の根拠法は国家行政組織法第七条であるということでございまして、そのとおりであると存じます。  なお第四十条関係は公正取引委員会の強制調査権でございまして、それを踏まえまして事前に調査するという意味合い、かように申し上げたわけでございまして、その間に矛盾はないと存じます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 事務局長にひとつお尋ねをいたします。事務局長はそのつどそのつど委員会の審議の内容の空気、問題点を発表されたということですね。そうすると、質問にあたっての一つの壁は法の三十八条ということで、これは言うまでもなしに意見公表の禁止の規定で、これは秘密です、言えませんということで、ずいぶん質問が途中でとまったのがございましたね。そうすると、委員会の審議のテーマ、内容、空気、方向については外部に発表してもよかったわけなんですね。そうすると、資料要求ですが、昨年の五月からお開きになった委員会のそのつどそのつどのテーマ、内容、論議された問題点、それは資料として次の委員会までにお出しいただけますね。

柿沼幸一郎公正取引委員会事務局長

○柿沼政府委員 それはたぶん出せると思います。出すように検討いたしたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 検討しないと出世ないとするのは、言いっぱなしでメモをとってないからとでもおっしゃるのでしょうか。そうじゃないのですね、法律問題としてですね。しかし三十八条だとおっしゃっていたのは――事務局長は委員会での討議の空気、テーマ、問題点、それはそのつどそのつど外部に発表したんだとおっしゃったですね。そうすると三十八条の規定というのは、そういうことはできるのですよ。そうしたら、速記録をもう一度検討しますが、従来から三十八条ですと言って御答弁を避けられた点についても、各委員の方々もう一度御検討をいただきたい。委員会の空気や内容や論点を、三十八条があると当委員会ではおっしゃっておられながら、先ほどの統一解釈の話ではそういうようにされたというのだから、当然私は、順を追うて問題点とテーマと、どんな発言があってどういうふうに取りまとめになったか全部出していただきたい。そこで、検討するとおっしゃったけれども、一体何の検討点になるのですか。

柿沼幸一郎公正取引委員会事務局長

○柿沼政府委員 いまの御質問のうちでだんだん詳しくなってきたのですけれども、私が記者会見で申し上げた事項というのは、その日の委員会で何の品目について検討したかという程度で、もっとしぼられた点であったという点が一点と、毎委員会ごとに報告を求められるようになりましたのは、実はいまの御質問に御指摘になった時期からではなしに、昨年の秋からだというふうに私了解しております。その辺の関連で、資料をどういうふうに調製していいかということを若干検討させていただきたいという意味で申し上げました。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 ほぼ固まった統一解釈について外部に発表されたのだから、逆にいいますと三品種黒、一品種灰色、その事実認定の過程の中には、これは白だというふうに落としていったという過程もあるし、粗鋼は中間製品だからといって落とした過程もある。白だというのも、そうするとどういろ過程で白になっていったということも、三十八条の壁はすでにはずれたんだから、この委員会ではこれが問題になってこういうわけで白にしたということも当然資料要求として、ほぼきまった内容として、法律解釈としてお出しになるのだから、事実認定の問題については三十八条の壁はすでにはずれた。お出しいただけますね。

柿沼幸一郎公正取引委員会事務局長

○柿沼政府委員 ただいま御質問のような内容については、当然記者会見としては話してございません。  それから三十八条についてのいままでの答弁についての私なりの理解のしかたでございますけれども、一つは、やはり業界の秘密なり何なりについてお話しできないという点があろうかと思うのでございますけれども、もう一つ、現段階において話ができないという問題がいままでの答弁の中には含まれているように思います。実は、これから正式届け出を受けて、それから正式の審査に入るわけでございますけれども、その段階であらかじめ委員会としての見解を申し述べますことは、やはり今後の正式審査にも影響を与えることになるので、そういう意味においても、現段階において申し述べるのはあまり適当ではないんじゃないかというふうに私は理解しておるわけでございます。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 先ほど来のお話を承っておりますと、十五条のいわゆる統一解釈でございますね、私は俗語だと思うのですけれども、これについて事務局長が新聞記者諸君に話をしたということが例にあがっておりますが、法律の一般的解釈ということは、特定の事件に関係のないことでありまして、これはよろしいと思うのでございますが、特定の事件に関する事実の有無とか、それからそれに対してどういうふうに具体的に法令を適用したかということについては三十八条がかぶってくる、かように考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 もう一度お尋ねしますが、各委員会におけるテーマについてはそのつど話をした。たとえば、鋼矢板が問題になった日には鋼矢板の話をした。そうしてそれについてはその空気を伝えた。法律解釈、統一解釈についても、ほぼこういう解釈でまとまりましたという空気を伝えた。先ほど事務局長は、私そんなことは発表していませんとかなんとか言いましたけれども、私が申し上げているのは、国会がそのことを資料要求しているんだということをあらためて私は申し上げたいと思うのです。要するに問題は、法律の適正な運用、事業者の秘密という問題と、いま一つは国会の審議という、この三つのバランスだと私は思うのです。それを公取が、三十八条だとか、四十三条だとかいうことで、事業者の秘密がオールマイティーなんだ、法律の公正な適用がすべてだ、国会の審議というものはどうでもいいんだというふうな態度では私は承知できない。だから、さっきそんなことは新聞記者に発表していませんとお話があったのは、私はことばじりをとらえて言うのは性格からいってきらいなほうですが、新聞記者に発表してないから国会議員にも言えませんというのはとんでもないことなんで、私はことばじりをとらえるのはいやですから言いませんが、もう一度聞きますけれども、委員会の空気、何がテーマになったか、どんな点が論議になったかという点については、資料要求しますから、資料としてはお出しになりますね。

柿沼幸一郎公正取引委員会事務局長

○柿沼政府委員 私が委員会の空気と申し上げましたのは、一月二十七日の点に関連して申し上げたわけでございます。そのほか、委員会の開かれた日にち、それからそこで何のテーマで行なわれたかという程度のものは、私は資料として提出できると思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 したがって、あなたはほぼその空気をそのつど伝えてきたんだから、ほぼ空気を伝えたということは、審議の内容をちょろっと漏らしているということなんですよ。そうでしょう。三十八条の壁をお破りになっているんですよ。なぜか、それは結局事業者の秘密ということもあるだろう、あるいはまた法の適正な運用ということもあるだろう。しかし国民がそのことを知りたがっているという目的のために言われることは当然だし、正しい態度だったと思うのです。だから、私はお話しになったことはりっぱなことだったと思うのですよ。だから、委員会の審議の過程について、どんなことがテーマになり、そのときの議論はこうであった、そしてそのときの問題点はほぼこう固まったということをお知らせになるということは、国会審議のために必要じゃありませんか。事業者の秘密は決してオールマイティーじゃないはずです。それからまた法の適正な運用というのも、それだけがここの問題ではないでしょう。国会においてそのことが論議されることも、その三つのバランスをとらなければいけないでしょう。だからその三つのバランスの中でできるだけのものは、委員会の現在までの足取りを資料としてお出しになることは当然でしょう、このことを私は申し上げているのです。  委員長にお尋ねしますけれども、三十八条にしろ四十三条にしろ、国会審議との関係においてはある程度の制約があるということはお認めになりますか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 事務局長が空気を云々と申し上げましたのは、これは十五条のいわゆる解釈の再確認についての空気ということでございまして、そのほかはきょうは食かん用ブリキが議題にのぼったということだけ言っておりまして、それについて空気云々ということは申し上げておらないのでございます。  それから三十八条は、これははっきりと定められておるわけでございます。国会の御審議との関係は、これは十分尊重しなければならないところと考えますが、現在行政行為が進行中であるという場合に、しかも公正取引委員会といたしましては各委員が独立してその職務を行なうと定められております関係上、これは十分慎重に考えてみたい、かように考えます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 三十八条は、公正取引委員会の委員長、委員及び公正取引委員会の職員は漏らしてはならないと書いてありますね。私が要求しているのは、公正取引委員会に対して事務局がそれを補佐して資料をよこしてくださいと言っているのです。三十八条は、委員長は、個人的には漏らしてはいけませんよ、委員は漏らしてはいけませんよ、事務局員は漏らしてはいけませんよと書いてありますね。公正取引委員会が外部に漏らしてはいけないと書いてはありませんよ。そうでしょう。公正取引委員会と国会との関係を私は論議をしている。一体外部というふうなことばに国会も入るのか、その外部の中に入るとしても、それはある程度の制約がある外部でしょう。ですから、私は申し上げているんです。外部に入るとしても、それは制約のある外部なんだ、国会審議という大きな目的のためには制約があるんだ、いずれにしても三十八条には公正取引委員会は漏らしてはいかぬと書いてありません。この点はいかがでしょうか。  また一点お聞きしたいけれども、「事件に関する」とありますね。いわゆる事前審査は事件だったのですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 事件ということばは方々に使われておりますが、これは違反事件ばかりではございませんで、公正取引委員会が取り扱う案件のすべてをいうものと、広く事件ということばが使ってある、かように考えておる次第でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そんな解釈は一体どこから出てくるんでしょうか。じゃ、そういうふうに、案件のすべてを事件というというふうな法律条文は一体何条でしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 方々に出ておるわけでございますが、積極的に広く解釈いたします根拠は、三十八条は第八章第一節「組織及び権限」のところに規定されておるのでございまして、違反事件についての手続を定めた第二節の規定ではない、これがあると思います。したがって、組織、権限の問題として考えますれば、事件というのは広く理解すべきものと、かように考えておる次第でございます。また、第一節におきましては、違反事件を示す場合には特に違反事件と明示しております。たとえば三十五条の五の第一号がそういうように規定をしておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうすると、たとえば事件というものが案件すべてを含むというふうなことではたしていいのかどうか。要するに、たとえば三十五条の五をお引きになりましたけれども、「勧告及び審判開始決定に関すること。」「告発及び裁判所に対する緊急停止命令の申立等に関すること。」などというふうなこと。これは違反事件――違反事件に入るかもしれませんけれども、事件がイコール案件だなんて、これは委員長、聞こえません。  もう一度お尋ねします。素朴な質問です。  三十八条の「事件」とは一体何ですか。いままで事件としてやっておられたのですか。いわゆる事前審査は三十八条の事件なんですか。その事件というのは一体どの条文で事件ということになるのか、もう一度言ってください。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これは先刻も申し上げましたごとく、その定められました三十八条の置かれた場所が、「組織及び権限」というところにございますので、これは当然いわゆる違反事件のみならず公正取引委員会の取り扱いました事案、広く事案全般を含むもの、かように解釈をいたしておる次第でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 組織、権限のところに出てくるからとおっしゃいますが、そうしたら組織、権限のところに出てくるから、事件というのは全般だ。そんなことを言うなら、違反事件と事件との違いは一体何ですかとかいう問題だって出てきますよ。事件と案件という委員長がお使いになったこれは法律用語でございましょう。案件と事件というのは違うわけでございましょう。それでは、相談というのは事件なんですか。おやりになること全部事件だとおっしゃいましたね、いま。そうしたら組織及び権限で、委員長が談話を発表されることも事件なんですか、というようなことになってきますよ。ですからやはり委員長、幾ら何でもいまのはちょっとひどいですよ。公正取引委員会の第一節「組織及び権限」のところに書いてあるから事件だ。やはり法律の説明というのは、事件というのは何条に書いてあるというふうに言われないと、こまかい話をしているときに大まかな話をしてきて、それじゃ御答弁としてはおかしいじゃないですか。三十八条の事件というのはここにこういう条文があるぞ、だから、とおっしゃっていただかなければ、違反事件ということばがあるから事件は案件全部だなんというのは、どう言ったらいいのでしょうか、比喩があまり出ませんが、どうもおかしいじゃないですか、委員長。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これが、かりに三十八条が手続のところに書いてございますと、御指摘のように違反事件ということになるかもしれないのでございますが、何ゆえにこの「組織及び権限」のところに置かれておるか。この立法理由から判断いたしますと、事案、広く事案、かように解釈すべきものと私は考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうしますと、委員長、非常に恐縮ですけれども、案件全部とおっしゃいましたね。そうしたら、どこのだれが相談に来た、たとえば中谷というこの私が不当表示の問題について相談に行ったということも事件なんですね。案件ですから事件ですね。そのことも外部に発表してはならない。学生さんが法律相談に行った、独禁法研究グループというのが法律相談に行った、親切にしてあげた、むしろ新聞記者の諸君にPRしたいことですよ。それも三十八条の壁の事件ですから、取り扱い事項なんですから、それも言えない。三十八条というのは全くがんじがらめなんですね、委員長がおっしゃると。もう少し事件というのは確定しなければおかしいじゃないですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 三十八条ではさように網がかぶせてあるわけでございますが、四十三条におきまして、「公正取引委員会は、この法律の適正な運用を図るため、事業者の秘密を除いて、必要な事項を一般に公表することができる。」と書いてございます。公表することが適当であると判断をいたしました場合には例外になる、かように存じます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 委員長、違います。要するに必要な事項を公表することができるわけですね。それは事業者の秘密についての制約があるわけなんでしょう。三十八条というのは、結局「委員長、委員及び公正取引委員会の職員は、」ということですね。私はさっきから何べんも言っているように、三十八条の事件という事件なんですかどうですかという質問は、そのときに四十三条をまずお引きになったことは私はおかしいと思う。委員長は頭がいいからわかっていただきましたね。要するに二つあるのです。公正取引委員会があまり御答弁にならない点があるのも、公正取引委員会としては三十八条の制約は受けませんねという点が一点。それから三十八条の関係では事件じゃないのだから、委員長、委員及び公正取引委員会の職員は意見を発表することもできますね。三十八条については二つ言ったのです。だから三十八条の壁は私は破りますよ、破る努力をしますよ。公正取引委員会ががんばらなければ私は必ず破る努力をしますよ。しかも公取の事務局長は、ちょろっと空気を伝えたというようなことをおっしゃるから、資料要求をしますということを言ったのです。三十八条の問題点は二つです。  四十三条の問題点は、公正取引委員会が主体ですね。委員会は事業者の秘密ということはあるけれども、事業者の秘密というのはでは一体――四十三条はあとでいきましょう。三十八条からいきましょう。いきましょうというのはおかしいですね。三十八条からお尋ねいたします。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 三十八条はおっしゃいますとおり、委員長、委員及び公正取引委員会の職員は意見を外部に発表してはならないということでございますが、事件ということばにつきましては、先刻来るる申し上げておりますように、私は広い事案というふうに解釈しておる次第であります。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 ですから三十八条については、公正取引委員会としては三十八条によって規制されませんね、これが一点。  それからいま一つは、見解の相違になるようでありますが、あとから同僚委員がこれを質問いたしますが、事件というふうなことを、条文の章のところをお引きになった説明というのはいかにもまずい説明だと私は思います。案件イコール事件などということは、いまの委員長の御答弁でも、どうもこれは通らないと思う。これはひとつ答弁を整理してください。私は納得しません。その答弁でいいというのなら、私はあとで機会をあらためてお尋ねしますけれども、どう考えたってそれはおかしい。  それから、では四十三条にいきます。答弁をしていただきたい。資料の要求は、テーマと問題点と論議された内容を私は出していただきたいということですが、「事業者の秘密」というのは一体何なんですか。「事業者の秘密を除いて」公正取引委員会は云々とあります。「事業者の秘密」ということについてはあまりこの委員会で論議されませんでした。私はどんどんあからさまにしてもらいたいという立場から、「事業者の秘密」というのをお聞きしたい。委員長いかがですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 「事業者の秘密」と申しますのは、関係事業者の秘密というふうに考えておるわけでございまして、何も合併を希望しておるところの当事者だけではございません。広い意味でございまして、競争者の地位を評価いたすとかそういう場合には、これは競争者として有力であるとかあるいは無力であるとかいうことは、これは競争事業者の秘密に属することではないか、かように考えます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 秘密というのは何ですか。というのは、委員長すでに御承知のとおり、秘密論議というのはものすごくやっています。たいへんな秘密性ということで大論文もたくさん出ております。もう十分委員長御存じだと思いますが、委員長のお考えになっている「事業者の秘密」とは一体何かお答えいただきたい。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これはただいま申し上げましたごとく、競争事業者なりあるいはユーザーの営業上に重大な影響を及ぼすような事項、かように考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 重大な影響を及ぼすべき事項なんですね。逆にいうと、そのことが発表されたならば救うことのできない、取り返しのつかない、救済することのあとうべからざるような内容を秘密というんですね。世間でいっている公然の秘密だとか、要するに軽度の秘密は秘密じゃないんですね。逆に言うと、役所でいう部外秘などというのはここでいう秘密には入らないのですね。委員長の御答弁から伺いましたが、重大な秘密なんですね。この場合に秘密とは、委員長のおっしゃったように、軽微な秘密ではないのですね。重大な秘密というふうに理解して、軽微な秘密については、だから報告をしてもらわなければいけないのですね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 重要な影響を及ぼすおそれのあることは重要な秘密だ、かように考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 だから、重大な影響を及ぼすおそれというのは可能性なんですか、蓋然性なんですか、確実性なんですかという問題はありますけれども、もうそれでけっこうです。こんなことを言っていてもしようがないからけっこうですけれども、重大な影響を及ぼすおそれですから、重大な影響というのは、そのことが発表されることによって償うことのできなくなるような秘密が秘密であって、公然の秘密だとか隠しておきたいことだとか、それからある程度知られたくないこととかというのは四十三条の秘密でないということを、じゃ委員長はお答えになったわけですね。そうですね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ある程度知られたくないという程度のものは秘密には属さない、かように考えます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 事務局長にお願いをいたしますが、委員長がおっしゃっているのは、ある程度知られたくないというふうなものは秘密じゃないということなんです。重大な内容を持ったもの、可能性を持ったもの、重大な影響を及ぼすもの、償うことのできない、そのことが発表ざれたら企業の存亡にかかわるようなもの、そんなことは言ってはいけません、それ以外のことはいいんです。業界の人が知っている、逆に言うと、産業スパイのような人がおって、一部ではみんな知っているんだというようなことなら出してもいいんですよというふうに私は理解する。そういうことで、委員会の内容について、あるいはまた白に落としている品種についてもあらためて資料を提出いただけますね。

柿沼幸一郎公正取引委員会事務局長

○柿沼政府委員 私は、先ほど申しましたように、現在の事件の審査がいま審査の途中にございまして、正式な届け出もまだなされておらない段階で、公正取引委員長の見解を述べることはやはり適当ではないんじゃないかという点の配慮が一つございます。それでございますので、いまの最後の資料要求については留保させていただきたいと思います。  それから秘密の議論でございますけれども、秘密についてはなかなかむずかしい議論がいろいろございます。その点につきまして、本件についての差しつかえない資料はできるだけ国会審議の参考にいたすために提供したいと存じておりますけれども、そこの限界はどこにあるかという点については、なお十分慎重に検討させていただきたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 では、質問をまとめていたしまして、終わります。  秘密というものについては事務局長、もちろん委員長と同意見でございますね。重大な秘密以外は秘密ではない。したがいまして、私、あとで同僚委員、先輩委員と相談をしまして、重大であるかないかということについては、この点については資料の提供をいただけないのですかどうですかということについては、少なくとも四十三条の関係については、重大であるということについての御疎明はいただけますね。この点については重大だから言えないんだ――いろいろな問題をずんずん出していきますけれども、言っていただけますね。そして三十八条の関係では、公正取引委員会としてはくくられないということ、事件という問題の解釈については質問を保留するということ、それが一つ。  それから通産省にお尋ねいたします……。

柿沼幸一郎公正取引委員会事務局長

○柿沼政府委員 その前にちょっと……。  いまの委員長の答弁に対しまして、重大という点に非常にアクセントを置いての御質問でございますが、本件についての秘密の限界をどこに置くかという点につきましては、やはり具体的に検討しなくてはならない問題を含んでいると思いますので、その点は留保させていただきたいと存じます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 通産省にお尋ねをいたします。  通産省は先日の御答弁で、要するに消費者とかユーザーの立場に立っていろいろなことの配慮と措置をしたい、こういうことでございましたね。きょうもあとで詳しく皆さんのほうから質問が出ると思うのですけれども、たとえばレールなどについては、通産、運輸が共管で苦情処理機関を設けるというふうなことが新聞に報道されておるのですけれども、こういうふうな事実はあるのかないのか。そして前回の御答弁で、かりに合併が承認されたならば、その後における措置としていろいろなことを考えたいということは、逆に言うと、合併が承認されるためのいわゆるいろいろな対応策などというものは通産省としては考えないというふうに理解してよろしいのですね。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 先回もお答え申し上げましたように、合併が承認されるかされないかということにつきましては、独禁法の条項に照らしまして公正取引委員会で御判断されるわけでございます。いま通産省で考えておりますのは、この先般公正取引委員会から指摘された問題点に対する解消策は、これは指摘を受けた両会社が出すべきものである、このように理解いたしておるわけでございます。  ただ、通産省といたしましては、いろいろな事態に対応いたしまして、競争条件が確保されるような、たとえば行政措置で従来設備調整でございますとかあるいはまた公販制度でございますとかやっておりましたものについて、それぞれの情勢に対応して競争が確保できるような措置と申しますか、こういう点について一方において検討いたしておりますと同時に、他方におきまして、先般お尋ねございましたレールのような、供給が独占されるような品物につきまして、何らかの措置で消費者の利益がそこなわれないようにするための手当てが必要であるかどうか、いまの一の問題、二の問題一緒にひっくるめまして現在勉強をいたしておるという状況でございまして、いま一お話しの、新聞に出ておりました苦情処理機構でございますか、どういうことばが使ってございましたか、そういうふうな苦情処理機関がどうであるとかこうであるとかいうふうな形じゃなくて、いま申し上げましたような趣旨での勉強をいたしておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 これがもう最後の質問ですが、委員長にお尋ねしますが、公取としては対応策などというふうなものについて、通産とか運輸とか建設とか国鉄などと相談をするとか、またそういうふうなところが相談に来たからといっても――要するに、よその省のそういう行政相談にも応ずるのですか。公取と各省の間に対応策についての相談なんということはあるのでしょうかどうか。これが一点です。  いま一つは、実はきょうはこの質問をずいぶんしたがったのですけれども、鋼矢板についてはにわかに独禁法には触れないとは言えないということになっていますね。この鋼矢板についてにわかに独禁法に触れないとは言えないということは、このままで推移して届け出があったということになれば、要するに審判の対象になるということなんですか。世間でいう灰色とか半分とか二分の一とかいうのは、これは一体どういうことなんでしょうか。これだけで、もうどんな御答弁があっても、時間の都合がありますので、質問を打ち切って、あとの質問者に譲りますから、御答弁をいただきたい。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ただいまの御質問の第一点でございますが、これは独占禁止法に触れるかどうかということは、私どもの役所といたしまして独立して判断をいたす事柄でございまして、違反するかどうかということに関する御意見を拝聴するということはないわけでございます。しかしながら、産業界の実態なり何なりにつきまして、私どもの参考になりますことあるいは業界の実態等につきまして御意見を拝聴するということは当然あり得ることと思います。  それから第二点の問題でございますが、これはあの段階においてにわかに判断をいたしかねるということでございまして、これは引き続き調査をしなければならない、かように考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 終わります。      ――――◇―――――

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりをいたします。  すなわち、先ほどの理事会で協議いたしましたとおり、通商産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件、特に鉄鋼企業の合併問題について参考人から意見を求めることとし、参考人の人選、日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      ――――◇―――――    午後二時二十九分開議

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 委員長にお尋ねします。新聞の報ずるところによりますと、対応策は明日あたり出るのではないかといわれますが、見通しとしてはどうですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 全然存じておりません。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 内示をなさって、対応策を出す前に両社側から相談があれば、内相談には応ずると委員長は記者会見で語っておられた。いままで内示後何回かそういう内相談がありましたか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ございません。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 委員長が内相談まであったら受けよう、そうした意向を表明なさった。いままで内相談もなくて、あすは自信たっぷりで百点満点というような自信のほどを示しておるようでありますが、このことに対して委員長はどのようにお考えになりますか。私どもは公取の事前審査が実は筒抜けだということを申し上げてきたのであります。委員長にもそうした意味のことを私は申し上げたこともあると思います。先日委員長が御病気で休んでおられた日に、四名の委員の方にお集まり願って、そこでいろいろとお尋ねをしたわけですが、ただ一片の、何というのか、どの程度の分厚い内示の内容であったかは承知いたしておりませんけれども、その内示の内容を読んだだけで、公取のほうに少しも解釈について意見を求めたり、あるいは対応策について何か相談をしたりしないということは、やはり一般に伝えられておったように、内容が両者側に筒抜けになっておったんではないかといったような疑いというようなものをお感じになりませんか、どうですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 事前相談の経緯が先方に漏れておったのではないかというおことばでございましたが、さような事実はないと確信をいたします。先方に知れましたのは、先月二十四日でございましたか、問題点を内示いたしました。これは先方ははっきりとキャッチをいたしたと存じます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 ないと確信されるのは、どういうところから言えますか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 私どもの役所の事務取り扱いから見まして、さようなことはないと確信をいたします。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 委員の方々であるとか事務局を信用なさるということは、それはいいことだと思います。ですけれども、新聞等を通じて相当深い、何というのか、事前審査の内容にわたっての、詳細といっていいのかどうか――申し上げたように、どの程度のものか、私どもは承知いたしておりませんから言えないわけですけれども、あれほど報道をされておるということについては、何かやはりそうしたことが漏れておるのではないかという疑念をお持ちになるということが、これはもう常識じゃないかと思いますがね。役所の機構から確信が持てるというようなことで委員長が言い切られるのですけれども、その態度は、信頼されるということはいいことですよ。しかし、やはり国民がこの問題について関心を持っておるということについては、国民に正式に知らせるということは、これは当然でありますけれども、知らせないままいろいろなことが伝えられてきている。それが正確であればいいわけですけれども、正確でないということになってくると、国民を惑わすことにもなってきますね。だから、それらの点については、十分な注意を払っていくということが委員長としては当然の態度ではないかと思いますが、そうあなたはお考えになりませんか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 私どもから漏れておるということは絶対にないと確信をいたしております。新聞紙上などで報道されましたり、または当事会社のほうでいろいろな意見が出ますのは、これは先方の当事会社においても法律、経済の相当の専門家をかかえておるわけでございますから、一つの予測としていろいろな見方が出てまいるのではないかと存じます。現在の段階においてかような事実はないと確信をいたしておりますが、今後とも引き続き十分注意をいたしてまいる考えでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 先ほど同僚中谷委員の質問に対してお答えになっておった点ですけれども、これは先日の委員会でもお答えになっておったようでございましたが、この事前審査については、公正取引委員会事務局組織令第八条四号でやったということのお答えであったわけですが、この四号から事前審査の扱いということをこれでやるということが適当だとお考えになりますか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 行政相談といたしまして行政相談に応じるということは適当なことであると考えます。しかも根拠は、ただいま御指摘がありました組織令第八条第四号にございますので、これは当然いたしてよろしいことと、かように考えます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 数回この問題に対して委員長にお尋ねをいたしましたが、あなたはそれほど頭のいい方ですべてに精通しておられる、そのあなたがお答えにならなかったことです。他の委員が思いつきみたいにお答えになったんだなというように私は実は感じたわけです。ところが、この四号を見ますと、「会社の合併等に関する届出の受理並びに合併等をしてはならない期間の短縮及び延長に関すること。」とあります。これは明らかに正式に届け出をする場合この組織令によって受理するということをここに規定しているのであって、事前審査の段階にこの四号を適用したということは、これは私は適当なお答えではないと思います。どうですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 届け出の受理に関することがございますので、届け出の受理の準備、手続というものも含まれるのではないかと存じます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 あなたは、私どもの質問に対して、内相談はあったけれども、これは正式に届け出てくるかどうかわからないんだ、そういうお答えに終始されたんです。そうすると、これは届け出が正式になされるのだということを予見してやったということは、いままでの答弁とはちょっとおかしくなってまいりませんか。私はそう感じますよ。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 先般来申し上げておりますように、内相談の段階では、先方が正式の届け出をいたしますか、あるいはいたしませんか、これは私どもの関知するととろでございませんし、また予見できないところでございます。しかし、先方が届け出をするかもしれないということで事前相談に参りますれば、その予備的な調査、これをいたしても差しつかえない、かように考えます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 あなたは法律相談のようなものだとお答えになったんですよ。議事録を読んだらわかりますよ。だから、正式な届け出があるかどうかということは、これは問題は別だ、そういうことで答弁を終始しておきながら、いま法律根拠としては八条四号をもってやったということは、これは他の委員がそういう答弁をしたから、あなたは無理にこれに合わせようとしているんじゃありませんか。私はそういうような態度はよろしくないと思う。あなたがおられないところで、それは独立した権限を各委員は持っておられるわけですが、そういう答弁をなさった。しかし、それが間違いであったというならば、少なくともその統一見解というものをお出しになればよろしいわけです。あなた自身がいままで御答弁なさったことと違っておるから、私はあえてこのことを申し上げているのです。法律相談、公取はそういうことはあり得るんだ、こう言ってきた。法律相談ということは、合併問題だけでなくていろいろあるでしょう。そういうことでやってきたという形であなたは私どもの質問をかわしてきたんですよ。そうして、ほかの委員が八条四号でやったという答弁をしたから、無理にこれをねじ曲げて、これでやったというようなお答えをなさるということは、私は無責任だと思う。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 私、法律相談と申し上げた覚えはないのでございますが、行政相談という性格においては少しも変わっておらないと存じます。ただ、行政相談をしいて法律的に根拠を求めますれば、先ほど申し上げました点になる、かようなことでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 あなたは次から次へいろんな用語をお使いになる。行政相談を受けた。行政ということは広い意味で合併の届け出などということもその中に入るんだ。そういうことをおっしゃろうとして考えておられるんだろうと思うのですけれども、すなおにこの条文を解釈したらどうですか。あまり拡大解釈したり狭く――いまあなた方がやっておられる十五条のように狭く解釈したり、ものさしを縮めたり延ばしたり、公取といえどもそういうかって気ままなことをやってはいけませんよ。職員の重要性から考えてもう少し真剣に、まじめに対処してもらいたいと私は思う。だれが考えみても、いままであなたが答弁してこられた法律相談であるとか行政相談であるとか、そういう形で軽く私どもの答弁をかわしておいて、いま法律の根拠というのを八条四号に求めるということは私は当たらないと思うのです。何とねじ曲げて読んでみたところで、「会社の合併等に関する届出の受理並びに合併等をしてはならない期間の短縮及び延長に関すること。」とこれは明確に書いてあるではありませんか。この次に出てくる問題ですよ。これは正式の届け出がこの組織令八条によってやるということになるんじゃありませんか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 行政相談である点においては私ははっきりと行政相談であると存じます、ただ、行政相談としても法律上の根拠がなければいけないではないかというお尋ねが前回ありましたようで、それがこの八条四号、かようなことに相なったものと考えます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 少し怪しくなってまいりましたけれども、これはまたあとで議論をすることにいたしまして、ほかの問題をお尋ねします。  この内示という扱いについて各界から強い批判と意見というものが向けられておるわけですね。この点に対してあなたはやはりいままでの扱いというものは適当でなかったというように、反省と申し上げてよろしいか、何かそういったような感じはお持ちになりませんか。たとえば十五条の問題に対して狭く解釈し過ぎたんじゃないか。いろんなことをあなたはお感じになるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 内示という段階におきましては、これは法律相談として適当なやり方であったと考えます。また、法律の解釈につきましては、私どもはどこまでも拡張解釈とか狭く解釈するとかいうことでなしに、厳正にして公正な解釈をいたしてまいりたい、かような決意でおる次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 あげ足は取りませんけれども、いまあなたは法律相談とおっしゃった。頭の中にあるのですよ。あなたはいままで法律相談なんて言ったことはない、行政相談と言ったんだというが、何回も耳にタコができるように法律相談とおっしゃった。いいです、それは、法律相談であろうと行政相談であろうと。いま、あなたは一つずつの条文によって進めた、こうおっしゃるのですね。しかし、少なくとも人間ですからあやまちだって私はあると思う。近代経済学者だけではありません。この委員会においても、私どもは必死にこの八幡、富士の合併ということがもたらす影響ということを、日本の産業経済の上にあるいは国民経済の上に大きな問題をもたらしてくるであろうと思うから、実は真剣にあらゆる角度からお尋ねもし、意見も実は申し上げておるのです。少なくともあなた方も並んで私どもの言うことをお聞きになって、なるほどと耳を傾ける価値がある、若干問題があったんじゃないかというようにお感じにならないでしょうか。だから委員の方々の答弁の食い違いがたくさん出てきたのです、良心があるから。それほど各界において十五条の解釈の問題、一条というものをほとんど念頭に置いていないような扱い、そういうことから、木を見て森を見ないというような批判であるとか、具体的な批判が出てきているわけです。意見もあるわけです。それについて耳を傾けて、若干やはり扱い上問題があったというようにお感じになることは当然のような気がいたしますがね。私どもが言っていることは問題にならないような意見でしょうか、いかがでしょう。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 各方面から承ります御意見は、私どもといたしましては心をむなしくして十分に拝聴いたしまして、今後私どもが判断をしていきます上においてこれを生かしてまいりたい、かようなつもりでおります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 どういう点をお感じになりましたか。そういうことを耳にして、拝聴した、それを生かしていきたい、具体的に一つ。私どもがこれほど真剣に取り組んでいるのですから、その程度はひとつお答え願って、私どもも確信を持たなければなりませんから、どういうことですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 正式な届け出がございました暁におきまして、各方面の御意見を十分考えに入れまして、法律に従った厳正、公正な判断をいたしてまいりたい、かような覚悟でおります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 正式な届け出のあるなしにかかわらず、あなた方は十カ月に及ぶ長期間にわたってこの問題に取り組んでこられたのです。そうして内示ということをされたのです。その内示に対していろいろな批判とか意見というものがあるわけです。正式の届け出があったからということではなくて、いままで取り扱ってきたことに対して、確かにそうした各界の意見というものは耳を傾ける価値がある、いろいろと勉強させられた、そういったことを具体的にお感じにならないのでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 各方面の御意見は、今後この種の行政相談の扱いにおいて十分に取り入れてまいりたい、かように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 今後それを生かしていきたい、こうおっしゃるのですが、私どもは、正式の届け出があったならば審判をやるべしということを主張しておるわけです。それはおっしゃるように正式な届け出が出てからの問題になってまいりますから、いまのお答えでけっこうであると私は思います。しかしその点は、これから委員長並びに委員のお考え方を聞かしていただくことになるわけです。  委員長が私の質問に対してお答えになった点ですけれども、法律相談、そういったことでいままで進めてこられた。したがって内示という扱いをされたということに対して、私は答弁の速記録を読んでみたのです。積極的な態度をとらぬというお答えがあった。実はほかの委員――菊池委員だと思いますが、先般お尋ねしているのですが、この事前相談をおやりになって、あなたが言う法律相談、そして内示で、こういう点がいけないのだ、独禁法十五条に触れるのだ、こういうことで問題点を指摘なさった。それに対して両社側は対応策というものを出してくることになるわけですね。そういった積極的な態度をおとりになったということに対しては、若干あなたの心境が変わられたのか、あるいは五人の委員の方々がそれぞれ議論をされて決定をされたわけでございましょうから、あなたのそうした意思、考え方というものが他の委員の意思によって変えられたということだってあり得ると思うのですけれども、どうしてこう積極的な態度をおとりになったのでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 積極的な態度をとったとは考えておりません。内相談に対しまして、これは法律に触れるおそれがあるがということを申したのでありまして、ただ、これは法律に触れるおそれがあると言いっぱなしではいけませんので、その理由として、この法律に抵触する点を内示をいたしました。かようなことであります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 あなたはそういうことで答弁になると思いますか。どうして積極的ではないのですか。合併についての内相談を両社がやった。それに対してあなたは、これとこれとこれといわゆる三品目についてこれは黒だ、一品目、鋼矢板については灰色だ、他の五品目については白、まあ白のほうはあまり触れてはおられないようですけれども。それに対して対応策が出てくるのですよ。そうしてあなたは、その対応策が出てきて、内容について独禁法に触れるような点を直してくるならば――実はそこまであなたのほうは詳細にお答えにはなっていないのですけれども、あなたのお気持ちの上ではそうだったのだと思います。そういう点が解消されておるならば別にあらためて審査をする必要はない、もし違っておる内容が出てきたならば厳正に審査をやるというお答えがあったのです。そうすると、内示に対して対応策が出てくる。そこで合併を事実上承認をする。法律的には承認というようなことはないとか、事前認可、いや条件つき認可というものはあり得ない。法律の条文にはなるほどそうした認可という形ではない。それは私も承知しておりますけれども、そういう形式的なことよりも実体で議論したほうがいいと思ったものですから、私は認可とか承認とかいうことばを使ってお尋ねをしたわけです。ところが、いま私が申し上げましたように、公取が内示をしたことについて問題点を解消してきたならば事実上合併は認められるわけですよ。このくらい積極的な態度というものはないと私は思いますが、それで積極的でないのでしょうか。どういうことが積極的というのですか。あなたが私の質問に答えられた積極的な態度をとらないということは、どういうことがあなたの頭の中にあってああいう御答弁になったのですか。議事録がありますから読んでいただいてけっこうですよ。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 積極的な態度をとらないと申し上げましたのは、いわゆる世上で伝えられておるような対応策、これを私どものほうからどうしろこうしろ、かようなことは一切申しません。対応策云々は先方の責任において先方が考えることである。私どもは、抵触するか抵触しないか、それだけのことを内示をするのである、この意味で申し上げたわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 そういうことはわかり切ったことじゃありませんか。対応策をああしろこうしろと言わなくたって、またあなたは法律には詳しいかもしらぬけれども、そうした経営の実態について、これをこうやったらいいんだというような、それほどの詳しいことは知識としてお持ちじゃないと思う、失礼な言い方ですけれども。しかしこの点がいけないのだということになってくると、それを解消するような措置を両社がやらない限りはこの合併というのは事実上行なわれないわけですからね。それなら同じことじゃありませんか。その対応策ということについて具体的にあなたがああしろこうしろと言わなくたって、積極的だということについては変わらないじゃありませんか。あなたの常識と私の常識ではそこがだいぶ違うのでしょうかね。積極的ということについての非常に狭い範囲に限定された中での議論ですがね。そんなに解釈というものが広くはないと思いますけれども、いかがでしょう。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 たしかだいぶ前のこの委員会で私申し上げたと思うのでございますが、ただいま御指摘のように、経営者としてどういう考え方があるか、それは私どもも全然関知するところでございませんし、また経験も知識もないわけでございますけれども、対応策云々は先方の責任において先方が考えることでございます。私どもはただ、法に触れる点はかような点、こういう理由によって法に触れる、こういうことを指摘をいたしたということでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 内示、それから対応策ということから条件つき認可ということ、あなたも記者会見の中で条件つき認可はあり得ないとおっしゃったし、私どもの質問に対してもそうした御答弁が実はあったわけですね。この条件つき認可はあり得ないということは、法律上いわゆる認可という扱いではない、だから条件つき認可ということはあり得ないという意味でしょうか、あるいはあなたがおっしゃった条件つき認可というのは何か別の意味があるのでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 認可ではないということが一つでございまして、それから、認可云々は別といたしまして、私どもが内相談の段階で示します回答というものは何も条件つきのものではない、イエスかノーのいずれかしかない、この二つの意味で条件つき認可はない、かように申し上げたわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 条件つき認可はあり得ない。認可ということは法律上の問題が一つあるわけですね。だからいろんな条件というものをあなた方のほうで示すということはないのだ、いわゆる合併について内容を見てイエスかノーかだけだ、こういうことですね。その点について正式届け出があった場合に、問題点があればノー、問題点がなければイエスということになるのですね。そこでイエスかノーか。ところがその前に問題点を指摘して、これを直してきたならばこの合併は公取としては問題はないのですよ、こうおっしゃっておられるのですね。だから事実上これは条件つきという形になるのじゃないでしょうか。その条件つきというものがなければ、裏取引でしょうか。あなたが条件つきということを否定なさるならば、私はあえて裏取引を公取はしたということを申し上げたい。そうではありませんか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 どこまでも私ども内相談に対する答えというものは、これこれの理由によって法律に抵触するということを申したのでございまして、直してきたらどうするとかこうするとか、届け出が出た場合どうするとかこうするとか、さようなことは一切申しておらないのでございまして、いま御指摘の裏取引というようなことは毛頭ございませんことをここではっきり申し上げたいと存じます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それはあなた方のほうでこれほど大きい問題を十カ月間もいろいろと議論もしてこられたのです。ものごとに真剣に取り組むということを私は否定するものではありません。しかし事柄によるのです。八幡、富士の合併の問題は、世界における鉄鋼業界においては第二位になるのですね。そして超大型企業がここに実現をするのです。いままでレールにいたしましても鋼矢板にいたしましても、非常に価格が硬直化しているのです。これが合併したらどうなるだろうか。さらにこの市場支配は強まって価格は硬直化していくであろう。このことを私どもも心配しているのですよ。すべての国会議員もまた国民も、すべての人がと私はあえて申し上げたいが、心配をしている。だからしていろんな意見というものも出るわけです。したがって、いまあなた方が進めてこられたその扱い方に対してとかくの批判と意見というものが強く出されている。だからして堂々と正式に申請をさせて、四十九条による審判を開始して、国民の前でガラス張りの中で議論をし検討していく、そのことが一番正しかったのではないか。中小企業の、市場支配なんという関係の全く起こってこないような、そうした合併と同一次元の中において扱うべきではなかったのではないか。そういうことをあなた方がお感じにならないということに対して、私は公取の存在というものに実は疑問を感じるのです。だから、条件つきということはあり得ないとおっしゃるが、あなたは、内容について外には全く漏れていない、会社側にもそういうことは全然通じてないのだとおっしゃるけれども、私は現実はそうではないと思っています。これがそういう事前相談なんという扱いじゃなかったならば、正式の申請ということであったならば、当然審判を開始しなければならないのでありますから、いろいろな正しくない動きというものが介入してくる余地というものは非常に狭められてくると思うのです。それだけに、この条件つき認可とか、あるいはそれでなければ裏取引かということをあえて申し上げなければならない、そういうことで私はこのことについてあえて言及をいたしておるわけです。あなた方はこの後も、こうした大型合併について事前相談というような扱いは、これは全く正しい、こういうことでやらなければならぬとお感じになっていらっしゃるのでしょうか、やはりこういうことはやるべきじゃない、すっきりした形でやらなければならぬとお感じにはなっていらっしゃらないのでしょうか。私があえて、各界の批判とか意見がある、何か感じとったものはないかと申し上げましたのは、そういうことを含めて実はあなたの考え方をただしたわけです。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これは私ども決してやみ取引とかそういうようなことは絶対にないことを断言できるわけでございますが、世上でいろいろな批判を招きましたことははなはだ遺憾なことであると存じまして、そういうような疑惑は、私どもの全力をあげて払拭していかなければならないところと考えます。それから、当該合併を認めるか認めないかということは、どこまでも正式の法に従いました手続によって決定をいたすことでございます。今後内相談をやるかやらないかというお尋ねでございましたが、いわゆる行政相談の範囲においていたすことは、これは世上の誤解を避ける努力をいたすことは当然でございますが、差しつかえないこと、どこまでも手続は正式の手続においていたしますが、事前にある程度の行政相談がありましても差しつかえない、かように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 八幡、富士はこの合併について非常に真剣のようでございます。いまでも競争力を持っている八幡、富士の両社がどうしてこの合併をやろうとするのでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 それは当事者の意向は、合併の趣意書に書いております以上に私ども存じませんわけでございますが、私どもといたしましては、それがどこまでも独占禁止法第十五条に抵触するかしないか、その点を厳正に公正に判断をいたす、かような立場にあるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 王子三社の合併のときにおとりになった態度、これも正式申請でございませんでしたが、事前相談の段階でこれはノーになるということを見越して正式の申請という運びに至らなかった。今度の場合は、少なくともあなた方の両社に対して対応してこられた態度というものは王子の場合と違っておった。どこかにやはり認めてやらなければならない、そうした感じというものが委員の方々の気持ちを支配しておったのではないか。そのことが内示という形となってあらわれ、具体化し、そして対応策というものが出てくることは間違いないわけですから、特にこの合併を認めてやらなければならぬという気持ちになられた点はどういう点でございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 合併を認めてやろうとかあるいは認めてやるまいとか、かような予断をもって調査をいたしたことは全然ございません。全く白紙の立場で、法律に触れるか触れないかという点を検討いたした次第でございまして、これを認めよう、そういう前提のもとに、あるいは認めまいという前提のために調査をいたしたものでは全然ございません。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 まあ、そういう御答弁をなさるだろうということは私は予想して、あえてお尋ねしたわけです。法律に基づいてやるとおっしゃる。正式の届け出がなされた場合、あなたは法律に基づいて措置するというお答えで、非常に抽象的でして、もうこの段階ではそういう抽象的ではなくて、ひとつ具体的にお答えを願いたいのです。法律的な規定に従ってこれを取り扱っていくということは、具体的にはどういうことでございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 独占禁止法四十八条にございますとおり、ほかの条項は省略いたしますが、「第十五条第一項の」 「規定に違反する行為があると認める場合には、当該違反行為をしているものに対し、適当な措置をとるべきことを勧告することができる。」云々、第二項、第三項がございます。それから第四十九条、「前条第一項の場合において、事件を審判手続に付することが公共の利益に適合すると認めるときは、公正取引委員会は、当該事件について審判手続を開始することができる。」かような規定がございますので、それに従いまして公正な取り扱いをいたしたい、かようなことでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 四十八条、四十九条、「公共の利益に適合すると認めるときは、」云々ですが、いわゆる審判手続の開始をやるというように理解をしてよろしゅうございますね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これは四十八条、四十九条の関連において、成規の、法律に定めた手続をとる、かようなことでございまして、審判手続をするかしないかということは第四十九条によって判断いたすところ、かように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 四十八条と四十九条の関連において。四十九条は「前条第一項の場合において」ということになっているわけでして、だから四十八条の第一項ということが前提になっているようですね。あとの「公共の利益に適合すると認めるときには、」というのは、あくまで前段を受けて理解すべきか、そうでなくて、やはり「公共の利益に適合する」という点に相当弾力的な解釈を持って、その法律的な措置ということは、ここでは審判手続の開始と、実はこうなっているわけですが、そういうことでなければいけないのじゃないでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これは「前条第一項の場合において、」とはっきり書いてございますので、第四十八条の第一項を受けてのこと、かように考えておる次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 四十八条第一項を受けて、とこういうことになってまいりますと、四十八条のそれぞれの条項というのがあるわけですね。これを見てみると、何か四十九条による審判開始ということでぴったりくるものがあるのかどうか。この法律の条文からだけ見ると、これは狭くも広くも解釈される。だから弾力的に、事柄の性質上、あなた方がここにこれを受けてとおっしゃるわけですけれども、「公共の利益に適合する」という点に相当なウエートを持っていくということになってくると、第四十八条のそれぞれの条文の解釈も広く解釈できるというふうに思われるのですよ。だから、議論の分かれるところは、この両社が合併をするという場合、あなたのほうで問題点を指摘なさいましたね。それがそのままであるならば、明らかにこれは四十九条、四十八条違反であるし、十五条違反になるわけですね。だから文句はない。これは当然審判開始をしなければならない。ところが、これが解消されておったならば、いわゆる十五条違反ではないから、四十八条を受けた四十九条の審判開始には問題があるのだ、そのままぴったり当てはまらないのだというようないままでのお答えであったわけですね。ところが、議論の分かれるところだと私が申し上げましたように、対応策が出てまいりましても、それで問題がすべて解決をしているということにはならないと思うのです。紙の上に書いてきたのでは解決にならないのです。まだすべての手続が終わらなければならぬ。ほんとうに黒と指摘された点が完全に解消し得るのかということは、私は将来における期待という形になっていくのだろうと思います。ところが、そういう将来にわたる期待でもってこの合併を認められて、これをまた分割命令でも出せるというようなことでありますと、若干考え方もありますけれども、十五条の二十八年の改正ということからそういう問題は非常にむずかしくなってきたわけですね。やりにくくなってきた。そういうことですから、この対応策というものが、はっきりそこで問題はないということにはならない。やはり将来における期待ということになってくるわけです。やはりあなた方が、合併をする場合にこの三品目に対しては明らかに黒だ、そして一品目、鋼矢板に対しても問題があるということを指摘なさったわけですから、それがほんとうにできるのかどうか、これに関心を持っている国民はどういう意見を持っているのか、そういったようなことを、私は、審判開始という手続をおとりになって、国民の前で堂々とこの問題について議論をしていくということでなければならぬと思います。あなたはそうお考えになりませんか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 先ほど内相談と全く同じ内容で何かの対応策もなしに出てきたという場合には必然的に審判開始になるであろうという御指摘でございましたが、これは四十八条によりまして勧告をいたすということもあるのでございます。必然的に四十九条になるとは考えません。これは公正取引委員会において適当と認めるか認めないか、かような判断によってきまるものであると存じます。それから、対応策というものは先方の考えることでございまして、どのようなものが出てまいりますか、私どもとして全然関知するところでございませんので、それが出てまいりました暁において正式な手続において審議をいたすというようなことが適当であろうというふうに考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 ずいぶん前でありましたけれども、私の質問に対してあなたがお答えになった。条件つき認可というような点を否定をされて、何か会社のほうで、想像もできないような妙手というようなことばでお答えなったと思いますが、そういうものが出れば別だが、おそらく出ることは期待できないというような御答弁であったわけです。そこで、いまもお答えがございましたように、対応策というものは、どういうものが出てくるか、あすかあさってか出てまいりましても、その紙に書いたものを見ただけでは、あなた方が問題点として指摘されている点が完全に解消したものが出てくるとは考えられない。将来におけるところの期待という形に私はなっていくのであろうと思うのです。したがって、それらの点に対しては、公取の職責からいたしましても、国民に疑惑を持たれることがないように、国民の前でできるだけの議論をするとか、この真相を明らかにしていくとかいう扱いをしなければならないというようにあなたはお感じになっていらっしゃるのでございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 くどいようでございますが、対応策というのがいかなるものが出てまいるのか、私どもには全然想像もできないわけでございまして、仮定のもとにどうこうということはお答えすることができないのでありますが、要するに、正式の届け出がございますれば、法律に定めた正式の手続――先ほど申し落としましたが、四十二条に公聴会の規定がございますので、必要な手続をとりましてこれを処理いたしてまいりたい、かように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それでは確認をいたします。その正式な届け出が出てまいりましたならば、四十八条、四十九条、いまお答えになりました四十二条、それらの法律の条文に従ってできるだけ――できるだけじゃない、国民の疑惑というものがないような扱いをしていきたい、そういう考え方であるというように理解してよろしゅうございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 そのとおりでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 次にお尋ねをいたしますが、この三品目については何回も申し上げましたように黒、鋼矢板は灰色、五品目については白だ、こういうような考え方の上に立って内示をしておられるように思うのですが、この独禁法の精神、第一条の目的と十五条の解釈という点からいたしまして、そうした個別審査、商品別の審査ということを中心とした内示というようなことについては問題があるように私は感じますが、その点はいかがでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これは御指摘のように独禁法の精神、目的、第一条、第十五条等に基づきまして判断をいたすわけでございます。したがいまして、これらを総合いたしました判断をいたしていくわけでございます。   〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 午前中統一解釈の問題については中谷委員からお尋ねがあったようでございますから、くどくなりますので私から申し上げませんが、この十五条の統一解釈という点からいたしますと、いまあなたが総合した判断の上に立ってこの問題を扱って、そうして内示のようなことになったのだと言われたことについて、私は総合した判断ということにはあまり重点を置いておられないように思うんですよ。十五条を非常に狭く解釈をしておられるということは間違いないのではないでしょうか。どうしてその総合した判断の上に立って内示のような形になったということに理解ができましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これは競争者の牽制力でございますとか、そういうことを考慮いたします場合には、当然総合的な判断を踏まえて判断をいたしておるのでございます。ただ、午前中も申し上げましたが、第十五条の「一定の取引分野」は、どこまでも競争の行なわれる場、言いかえれば市場において売買される商品、こういう見地から個々の品目の選定をいたしている、こういうことでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 総合的な判断をしなければならないということは当然でございます。そうあるべきなんですけれども、何度も申し上げているけれども、そうなっていない。そのことは、この統一解釈ということが明らかに私が指摘いたしているような形になっていく、総合した判断ということにはならないということですね。三つの個別商品に対して問題点を指摘しておられるわけですからね。八幡、富士が合併したその結果はどういう影響をもたらすのか。いわゆる市場支配力ですね。わが国の産業経済に与える影響です。それからUSスチールの場合におきましても、これは大合同をやりましたね。その結果は、最近は非常にシェアが下がってはおるようでございますけれども、価格が硬直化して、インフレの一因になっておる。この合併は失敗であったとさえもいわれておるのです。アメリカにおいては、大型大合同はガンになっておるとさえいわれておる。そのことを考えてみましても、この八幡、富士の合併というものは、ただ個別品種のシェアということだけにしぼって限定して、この合併に対しての問題点ということで三つの品目は黒であるというようにいわれておるということは、総合判断ということにならないのじゃないでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ただいまも申し上げましたごとく、総合的判断を踏まえて、個々の品種について判断をいたした、かようなことでございます。  なお、アメリカのUSスチールのお話がございましたが、これはどこまでもわが国における競争の現状というものを前提にいたしまして第十五条を考えてまいる、かようなことであろうかと存じます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いまあなたから、四十条の問題にいたしましても、これを背景としてとか、踏まえてとかというようなお答えがあったのですけれども、踏まえてというのは抽象的でして、なかなかわかりにくいのです。先般、たしか堀委員の質問に対しましても、この合併の事前審査というものを四十条を踏まえて、背景にしてやったんだ、こういうことをおっしゃる。そういうことは答弁にならないのです。特に、法律的にすべてを処理していこうとお考えになっておられるあなたにはふさわしくないのです、そういう点は。やはり第一条の目的をどう総合的に判断していったか。十五条の解釈は、東京高裁の判例というものがどうなんだ、横田元委員長の解釈というものはこうあったけれども、この解釈は当たらない、われわれはこの点はこう解釈するのだというように、やはり明確にお答えにならなければいけないんではないか。踏まえてというような抽象的な表現でお答えになりましても、私の質問に具体的に答えたということにはならないと思うのです。いかがでしょう。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 横田元委員長の解釈というおことばでございましたが、横田元委員長が昔、だいぶ以前でございますが、国会において申し上げましたのは、シェア三〇%を一応の警戒ラインとして判断を進める、かように申し上げたと記憶いたしておるのでございまして、その点においては現在少しも変わっておらない、こういうことでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 横田元委員長の解釈というのは、二十四年の改正、競争を実質的に制限するおそれがあるという場合、このおそれがあるということは、「当該合併によって一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」というんです。おそれがある場合と同じように読めるということを言っているのです。ほかのことも、いまあなたがお答えになったような点もあるのですけれども、これは議事録に載っているわけですが、そういうことで、おそれある場合というように、これを削除した点は、これは削除しても同一に読めるということを言っている。しかし、私はこれが完全だと思いません。ほんとうに、実質的に制限することとなる場合、精神はわかりますね。しかし、そのおそれある場合とは同一に読めるのかどうかということについては、若干、横田さんの言われることでありますけれども、問題があるようには感じます。しかし、少なくとも私が申し上げたのは、横田元委員長がそういうことを言っているんだが、あなたはその点をどうお考えになるかということで私はお尋ねしたわけです。東京高裁の判例の問題については午前中議論がされておりましたから、重ねてここでお答えを聞こうとは思いませんけれども、ともかく従来の解釈というものを、八幡、富士なんというものの合併の重要性から考えて、できるだけ狭く解釈をしないで、あなたが言われたように、総合的判断、そういう上に立って取り組もうとするならば、私は広く解釈をしていくということでなければならなかったと思います。非常に狭く解釈をした。だがしかし、正式な申請が出てきてから真剣にこの法律にのっとってやるとおっしゃるのでございますから、それを期待いたしたいと思います。この統一解釈というようなものは狭く解釈されておるように思いますけれども、この点は正式の申請が出ましたあとにおきましても、動かないものであるかどうか。私どもがいろいろと申し上げておること、あるいは各界におけるいろいろな批判、意見というような本の等を耳に入れて、先ほどお答えになりましたように、正式申請が出てきたならば、そういうものを生かしていきたいということは、いま私が申し上げているようなことも含めてのお答えであったのかどうか、お答えを願いたい。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 先ほども申し上げましたごとく、各方面の御意見、十分これを拝聴いたしまして、もしかりに正式の届け出がございました場合においては、法律の定めるところによって厳正に、公正に判断をいたしてまいりたい、かような覚悟でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それでは、いままで公取の一つの統一解釈とかあるいは公取の考え方ということで新聞紙上に伝えられておる、これは真相であるかどうかわかりませんけれども、いま伝えられ、報道されているそういうような問題、それにとらわれるということではなくて、いまお答えになりましたように、各界の意見を十分聞いて、それで法律に基づいてやっていく、こういうことでございますね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 第十五条の解釈は、これはいろいろなことが伝えられておりますが、私どもの再確認いたしました線は、午前中申し上げましたとおりでございまして、これに基づいて厳正に、また公正な判断をいたしてまいる、かようなつもりでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 その点、私は中谷委員の質問の際、ほかの委員会に実は行っておりまして、それを聞いていないのです。それではっきりしない点があるので、その点は重ねてお尋ねをいたしたのです。  次にお尋ねをいたしますが、鋼矢板について先ほど中谷委員の質問に対するあなたのお答えは、いま直ちに問題があるということは言えないが、引き続き調査をするというようにお答えになったように記憶いたします。そのとおりでございますね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 そのとおりでございまして、もし、かりに届け出がございますれば、十分調査いたしてまいりたい、かような考えでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 そこで、私は鋼矢板についての扱いに問題を感じます。これは御承知のとおりシェア九六%でしょう。これが灰色になった。問題がないということではないが、いま直ちに問題があるということは言えない。これも抽象的でして非常にわかりにくいのですけれども、問題が確かにある。これはシェアからいっても当然そういうことであろうと思うのです。そこで引き続き調査をしなければならないということになってまいりますと、かりに合併の届け出が出てまいりました際に、調査をした結果でなければ、私はこの鋼矢板に対する態度はきめられないと思うが、その点はいかがでございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これはひとり鋼矢板のみならず、正式の届け出がかりにあるといたしましたならば、成規の調査をいたしまして判断を下す、かようなことでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 正規の届け出が出てきたといたしまして、これは一カ月、それから合併当事者の同意を得て二カ月延長することができる、こういうことで九十日以内ということになっていますね。だから、その点が実は扱い上問題があるように思うのです。それからまた灰色ということでお出しになったことにも、問題があるように思います。いま直ちに問題があるということは言えないが、これは引き続き調査しなければならぬ。そういうことだから灰色だ、そういうことだろうと思うのですけれども、しかし問題があるということだけは間違いないのですね。ならば、こういう問題が解明されなければ私は合併というものは認められてはならぬと思うのです。いわゆる疑わしきはこれを問題にしないということであってはならないと思います。やはり疑わしいことであることは間違いないのです。疑わしきものをいささかでもそのままにしておいて合併を認めるということはやってはならないことだと思うのです。したがってそれが完全に解消する、そういうことでなければならぬと思いますが、その点はいかがでございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 要は法律の第十五条に抵触するかしないか、この判断にかかることだと考えます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 九六%のシェアが合併によってある場合、十五条に抵触しないということが考えられましょうか。シェアだけではないのだとおっしゃる。それは個別品目のシェアだけであってはならぬということはわかります。しかしそのことも重要なんですね。だから九六%のシェアが合併によってそのままであるという場合、私は十五条に触れないということにはならぬと思います。その点はいかがでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 再三申し上げますごとく、シニアということも一つの大きな要素でございますが、それだけではなく、他の競争事業者の牽制力でございますとか、代替品、輸入の関係、あるいはユーザー側の地位、あるいは新規参入等を総合的に判断をいたす、かようなことにいたしておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 総合的判断をされるのですが、九六%の問題はそのままである。ほかの点についてはどういうことか。いま言うユーザーの関係とか、それから新規参入ということも一つの要素としてお考えになっていらっしゃるようでございます。そういうことは将来に対する予見という形になりますね。あなた方がお考えになっておられるとおり将来そうなるかどうかということはわからないのです。そうして考えますと、九六%というシェアというものがどうしても現実的な問題として出てくるのですよ。あなたがこれほど真剣に法律的な点から問題に対処しておられるのでございますから、将来の予見ということでこの合併を認めていくというような態度をおとりにならないだろうと思うのです。いつか私が申し上げましたが、いわゆる新規参入等の問題で将来を予見ずることでこの合併を認めていく、そうなってくると、この十五条による解釈の中で合併を認められないのは、一社になる場合以外にないのではないかというように私は感じておるんです。それらの点はいかがでございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 単なる可能性とかあるいは予想とかということでは適当でないと存じます。これは結局合理的蓋然性としてこれが認められるかどうかということであろうかと存じまして、その辺が判断のきわめてむずかしいところであります、かように考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 鋼矢板の場合におきましても、珪素鋼板の場合におきましても、あるいはその他の品目の場合でもそうでございますが、相当なシェアがあるのですね。これはあとで一つ一つお尋ねをしてみたいと考えているのでございますけれども、そういうことが短時日の間に、いまあなたが言われた合理的な蓋然性、そういうことで問題点というものが解消してしまうということが期待されましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これは全然仮定の問題でございまして、いかなる対応策というものが出てくるのか私ども存じませんので、仮定のもとにとやかく申し上げることは差し控えさしていただきたい、かように考えます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それでは三品目に対する対応策が出てまいりましても、あなた方が問題点として指摘していないようなその点に対しても、正式の届け出があったならば当然メスを入れて十分検討していかなければならぬ、こういうように理解をしていま検討していくのか。そうして問題点があればこれはやはり認めないのか。こういう態度であると理解をしてよろしゅうございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 そのとおりでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 そういうことであるから、私は確認をしましたから、あえてこの点はお答えをいただかなくてもよろしいのですけれども、堂々といわゆる審判をやって、三品目というものが黒といったのはこういう理由であった、鋼矢板の場合の灰色といったのはこうなんだ、それから他の五品目についてはこうだ、一条の問題はこういう解釈で、目的はこういうことで実はやった、十五条の解釈はこうだということをあなた方だけがお考えになるのではなくて、国民の中にこれを公表していくということ、そうして国民がこれに対してなるほどと理解をする、そういうことが大切である、こう思うのです。公取が国民と遊離した形でその存在というものはあり得ない。ほんとうに国民の心からの支持と支援の中に公取のこの重要な職責というものは果たし得ると思う。だからいまお答えになりました点を必ず実行していただきたいということを要望しておきたいと思います。  実は堀委員が参りましたので、この九品目全部についていろいろとお尋ねをしたかったのでございますけれども――またこの「エコノミスト」に九品目全体についてシェアが出ているわけです。これはいわゆる市場構造というものが合併によって動いていくということですね。これはもうこれを見ますと全部が実は問題になるように私は感じております。だからこの一つ一つについてお尋ねをしたかったのです。しかし堀委員がここで質問されるでございましょうから、これは残しておきたいと思います。  それでは次に通産省にお尋ねをいたしますが、八幡、富士が合併をいたしますと交際費がどの程度になるのか。それから合併しない前の交際費はいままで八幡、富士はどの程度出しておったのか。交際費それから献金ですねそういうようなものを実はお尋ねしたいのですが、もし従来の実績がおわかりでこざいませんでしたらば、この合併によって交際費なりあるいは献金というのがどの程度認められるのか、これをひとつ御説明願いたいと思います。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 四十三年度の上期につきまして申し上げますと、法律上の交際費の限度額、これは実際に支出した額は現在手元にございませんが、法律上の交際費の限度額は、八幡につきましては一億九千八百万円、富士につきましては一億七千九百万円、これは四十三年度上期の法定の限度額でございます。したがいまして、これを合わせました三億七千七百万円、これは上期だけ半期でございますが、これが法定の交際費の限度額になろうかと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 恐縮ですがもう一度お答えを願いたいのですが、合併前の御説明がございましたね。これは合併になりますと資本金三千億くらいになりますね。したがって、利益に対して、いわゆる所得に対しての百分の二・五になるわけでしょう。それから資本金に対しては千分の二・五、こういうことでございましょうから、合併していない現段階においてのいわゆる法定の限度額というものは幾らになるのか、その金額を合計して、それから合併したあと、その限度額は幾らか、いまお答えになったのでしょうけれども、ちょっと聞き漏らしましたから……。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 ただいまお答え申し上げましたのは、四十三年度の上期の数字を申し上げたわけでございまして、これは自己資本にいまお話しございましたように千分の二・五かけまして、それに四百万円の基礎のものを足し算いたしました。資本金の額が合併前でございますと、八幡につきましては千二百七十三億でございます。それから富士につきましては千二十億でございます。この資本金にさらに、自己資本でございますので、資本準備金と、それに再評価積み立て金がこれにプラスされまして、これが計算の基礎としての自己資本ということになるわけでございます。それで計算いたしましたところ、四十三年度の上期におきましては、八幡が一億九千八百万円、それから富士が一億七千九百万円というのが交際費の限度額でございます。これは合併いたしましても、いまの資本金なりあるいは資本準備金、再評価積み立て金等大きな異動はないものと思われますので、これを合算いたしましたところ三億七千七百万円、これは半期でございます。年間ではなくて半期でございますが、これが法定の限度額に相応するものになるのではないかと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 そうはならないのじゃないでしょうか。合併をしますと資本金がぐっと大きくなりますでしょう。これは所得というものはどうなるかわからないということになるのでしょうけれども。合併しますと、その率が累進的に大きくなっていくのじゃなかったですかね。五億になるのじゃありませんか。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 いまの税法上の交際費の無税限度額の算定上は同じでございます。自己資本にかけますところの千分の二・五というふうに規定いたされております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 資本金が三千億になりますね、合併をいたしますと。それによって数字ははじき出されるわけでございますから、だから、所得はこれはわからないということになる。そこで累進的になっていなければ、いまお答えになるとおり。累進的にはなっていなかったのですかね。五億という数字にはなりませんかね。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 現在の税法で申し上げたのでございまして、累進的には――交際費の場合には四百万円というのが基礎にございまして、それに先ほどお答え申し上げました自己資本かける千分の二・五、こういうものがそのまま足し算されておるのが税法上の交際費の限度額でございます。したがいまして、自己資本のほうが先ほど申し上げましたそれぞれの両社の資本金の合計額でございますところの二千二百九十三億円になるわけでございます。合併いたしましてもこれが累増するというふうには税法上なっておらないわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 その点よろしいです。私の理解と若干違うようですから、あとでまた調べましてから適当な機会にお尋ねをすることにいたします。  時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、先ほど来委員長にお尋ねをしてまいりましたし、またこれから先の公取としての対処する、取り組み方と申しましょうか態度ということになりましょうか、そういうことに対しましても強く御要請を実は申し上げてきたわけです。公取が合併という問題を法律的な観点から対処していくということは、これは当然であると思います。ですけれども、この法律的な観点だけにとらわれていくということになってまいりますと、木を見て森を見ないという批判がありますように、私はほんとうの国民の期待にこたえることにはならないと思います。ですけれども、正式な届け出が出ましたら、そうした国民の期待にこたえるように十分対処していきたいというお答えをひとつ信頼をして、きょうの質問は終わりたいと思います。  各委員それぞれ独立した権限を行使されるわけでございますから、お答えを実は伺いたかった。ですけれども、これは非常に重要な委員長のお答えでもございましたし、きょうせっかく五人おそろいでございますから、簡単にひとつ、いま公取の委員長のお答えになりましたことと変わらないのかどうか、それをひとつお聞かせ願いまして私の質問を終わりたいと思います。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 どこまでも法律の厳正にして公正な運用をはかってまいる考えでございます。  ただ、先ほど審判をぜひやってというお話でございました。これは御意見として拝聴いたしますが、法律の定めるところによって調査を進めてまいりたい、かように考えます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いままたそういうことにお答えがあったわけですが、先ほど具体的にお答えになりました点は、それを訂正されるわけではないのでしょう。あなたがお答えになった点は……。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 先ほど来申し上げておるところと少しも変わりはございません。

菊池淳一公正取引委員会委員

○菊池説明員 ただいま委員長が答弁されたところと全く同感でございます。

亀岡康夫公正取引委員会委員

○亀岡説明員 委員長と同様でございますが、まさに法に従って厳正に運用してまいりたいと思います。

梅田孝久公正取引委員会委員

○梅田説明員 委員長と同意見でございます。

有賀美智子公正取引委員会委員

○有賀説明員 委員長と全く同意見でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それではこれで終わります。

小宮山重四郎自由民主党

○小宮山委員長代理 堀君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は、これまでかなり経済的な効果といいますか、そういう面の角度からの論議をやらしていただいてきたわけでありますけれども、きょうは、先ほど中谷委員も指摘をいたしましたけれども、やはり公取の皆さんのほうでは、経済的な諸問題もさることながら、法律的な関係にかなり比重を強くおかけになっておるという感じがいたしておりますので、少し法律的な観点を含めてお伺いをしてみたいと思います。  そこで最初に、実はこの前山田委員長と梅田委員が御出席になりましたときに、私は事前審査の問題について二、三お伺いをしたわけです。そのときは総理府設置法その他から、一体法的根拠は何ですかと伺ったのですが、当日梅田委員は法的根拠はないとお答えになり、委員長は四十条を背景としてというふうにお答えになった。ところが、この前の委員会で梅田委員は、それを御訂正になって、そうして公正取引委員会の事務局組織令を御引用になったのです。きょうは法制局の吉國次長に来ていただきましたのは、私はこの前梅田さんのおっしゃった八条四号の解釈がちょっと納得いかないものですからお伺いをしたいのです。  第八条の四号に「会社の合併等に関する届出の受理並びに合併等をしてはならない期間の短縮及び延長に関すること。」こういうふうに書かれておりまして、そこで私は、これは「会社の合併等に関する届出の受理」というところまでが一つの文章だ、こう理解をしておるわけです。ですからここに書かれておることは、会社の合併等に関する届け出の受理ということが一つ、それから「並びに」として「合併等をしてはならない期間の短縮及び延長に」ということが二つ目、「に関すること」と両方にかかっている、実は私は八条四号をこう理解をするものですから、そうしますと、届け出がされてないのですから、実はするかしないかわからないのですね。届け出に関するということは、届け出ということがあってからでないと、届け出るかどうかまだわからない。「届出の受理」ですから、届け出の受理ということは――届け出に関することと書いてあればこれはかなり広く解釈できますけれども、ここは「会社の合併等に関する届出の受理」に関することというのが第一項の読み方だ、私はこう読むのですが、吉國さん、これはどういうふうに理解すればいいのでしょうか。

吉國一郎内閣法制次長

○吉國(一)政府委員 いま堀委員の仰せられましたように、第八条の第四号は、まさに「会社の合併等に関する届出の受理」に関することが一つ、「合併等をしてはならない期間の短縮及び延長」に関することが二つ、そういうふうに読むわけでございますが、ここで「届出の受理に関すること」と規定いたしました趣旨は、公正取引委員会の法律上の権限といたしまして出てまいりますのは届け出の受理ということであるということに着目いたしまして、その届け出の受理という――これは行政事務でございますが、その行政事務にまつわるもろもろの事務ということで、「に関すること。」という規定をいたしたものと存じます。したがいまして、その受理という字があることによって、いま堀委員の仰せられましたような趣旨がにじみ出ることは間違いございませんが、「届出の受理」に関することという文言からは、届け出の受理の前提である届け出、その届け出にまつわるもろもろの事象が全く含まれないということにも相なるまいと思いますけれども、どこまで入るかということは、具体的な問題に即して考えてみなければわからないと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 解釈はいま次長おっしゃったとおりだと思うのですけれども、たてまえはやはり届け出の受理というところが非常にウエートが高いのであって、それは拡張解釈をすれば、届け出の受理という文脈の中で、そのほかに届け出に関することも少しはある。あっても、これは主たる書き方はやはり届け出の受理が主体になっていく、それに関することなのであって、だから比重からいえば、あとのことは非常に小さい問題じゃないかと思うのですがね。ちょっと相対的な理解の問題になりますけれども、このことを解釈するというだけでは、あとの届け出に関することと、届け出の受理に関することということに対しての比重の置き方は、何と申しましても届け出の受理のほうが大半を占めている。いまの届け出に関することというふうに、拡張的に解釈できなくもないと思いますが、それは小部分になるのじゃないかと思いますが、そこはどうでしょうか。

吉國一郎内閣法制次長

○吉國(一)政府委員 そこまで意識して各省の組織令が書いてあるかどうか、私どもも各省の組織令を過去において審議をいたしました責任がございますので、明確な御答弁をほんとうは申し上げなければなるまいと思いますが、この組織令と申しますものは、何と申しましても、各省の内部の部局の所掌事務は、御承知のように法律で定められております。そのさらに局の内部において課なり課に準ずる室等の分配がいかにあるべきかということをきめるものでございますので、各課なり室なりの事務の重複ということもいとわず書いてございます。権限が重複しております場合には、両方の課長の話し合いによってきめるとかいうことによって、ある場合には両方で処理をいたしますし、ある場合には、A課、B課あります場合に、この問題はB課、他の問題はA課で処理いたすというような取り扱いも間々あることでございまして、それほど厳格にはしておらないつもりでございますが、原則論、原理論として申し上げれば、いま堀委員が仰せられたことが妥当すると思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 この前伺ったときは法律的な具体的な根拠がないとおっしゃった。私の率直な感じでは、いまの事前相談というのは実はそういう感じがするのです。ただ、行政相談というのは、何も法律が書いてなくても行政相談を役所がして悪いことはないのですから、行政相談の範囲にわたることはちっとも問題ないと私は思うのですが、どうも今度の事前審査というものがはたして行政相談の範囲なのか。いまここで書かれておるのは受理に関する仕事ですね。受理に関する仕事というならこれは別ですけれども、私が比重が小さいという言い方をしておることですね、その部分が延々として十カ月も行なわれる。特に委員会では昨年の十月以来ずいぶん精力的に御勉強になったということは、そういう行政相談だとか、ここでいう「関すること」とかいう法律的根拠を越えて、私はまさに公正取引委員会の業務の本来の、ここに総理府設置法が書いておるような公正取引委員会は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律に定めるところによるという、どうもこの本来の業務のようなふうに国民も受け取っているだろうし、私も実は受け取っているわけなんですね。私はなぜこんなことを言っているかといいますと、この事前相談という仕組みは実は今後ちょっと検討する必要があるのじゃないだろうかということなんです。やはり本来の業務として少しやっていただくことが必要なんじゃないだろうか。これは実は私の意見だけじゃないのです。これは通産省の「通産ジャーナル」の五月号というのですか、これにちゃんと通産省の方もそう言っておられる。大臣官房企画室長天谷直弘さんという方がここにこういうふうに言っておられるのです。これはだいぶ手きびしいですがね、ちょっとこれを読んでみましょう。「第三の例。合併問題審査の場合、もし、公取委がノーといえば、法律的には、審判、高裁裁判に持ちこまれる。さらに独禁法が違憲立法であるか否かを争う場合には、最高裁に行くこととなる。この間、数年の歳月が費されることとなろう。しかし、合併の成否が数年間不明のまま、二つの会社は営業活動を継続できるであろうか。答は、常識的に明らかである。とすると、独禁法十五条は聖域にあり、その違憲性を争うことは不可能で、公取委の行政的判断は、事実上、神聖不可侵ということになるおそれがある。ついでながら、以上のような疑問を念頭におきつつ、八幡富士合併問題の審理について若干の希望を付記しておく。王子三社の合併問題は最悪の結末をとげた。何となれば、独禁法十五条の解釈について、何ひとつ明らかにされることなく、今後の大型合併を志向する企業に対して、独禁法の壁の厚さを心理的にイムプレスし、同法十五条の聖域性を高める結果に終ったからである。私見によれば、王子の場合も八幡富士の場合も事前審査などという段階は省略して、株主総会で合併決議をし、これを公取委に届け出るという正式手続をすべきであったと思う。そうすれば、王子の場合、ああいう非条理な幕切れにはならなかったはずである。鉄の場合には、結論がイエスであれノーであれ、その結論を出す基礎となった事実認識、採用された証拠ないし証言、「公共の福祉」に対する考え方および事実を組み立てて結論を出すに至った過程の論理について、公取委は、これを明確詳細に天下に公表して頂きたいものである。それが明らかにされないと、聖域はいつまでも神秘の霞にとざされたままになり、秘密裁判が行なわれるのと等しい結果になる。」こういうふうに、これは通産省のお役人が書かれたものとしてはたいへん手きびしいですね。この問題は、きょうは公取委員来ていらっしゃるから、また大臣といろいろ――この「通産ジャーナル」というのは、これは通産省が出しておる広報誌ですからね。通産省の責任において出されておる。この中に書かれておることに私はちょっと引っかかる問題がたくさんあるので、これはあとでじっくり通産大臣とやらせていただきます。しかし、こういうことが書かれておるということですね。どうも私の感触では、天谷さんというのは私とはやや立場が違うらしいんだけれども、立場の違う者がこう二ついて、しかしまん中に公取がいる場合に、両方ともやはり事前審査というのはあまりうまくないなということになっておるとすると、私はやはり今後の問題としては、事前審査のあり方というのは検討を要する問題じゃないかと思うのですが、委員長どうでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 行政相談の範囲内においては、これは一向やって差しつかえないことと存じます。この事案が非常に大きいものでございますから、意外に時間がかかったという点が各方面のいろいろの誤解を招いたというふうに考えますが、今後はそのような誤解のないように十分つとめてまいりたい。今回の問題につきましても、誤解は誤解として、これを解くようにいたしてまいりたい、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 しかし、いま委員長のおっしゃることはわかりますけれども、こういう式のものが行政相談という形で出されても、皆さんとして行政相談にまじめにこたえようとなされば、やはりこういうことになるんじゃないでしょうか。私は、皆さんが決してサボっておられるとも思わないし、まじめにやられたと思うのです。責任のある行政官庁として行政相談にまじめに取り組めばこういうことになる。どうも行政相談にまじめに取り組むことが――中身の問題は別です。誤解を生じるかどうかも別ですが、そのこと自体が、実はきょう午前中の事件という問題にも関連するわけですけれども、私どもはどうも何かもう事件の取り扱いがあったような感じを受けるのですね。実際はこれは案件であって事件ではなかっただろうと私は思うのですが、しかし受ける側は、やはりもう事件の処理がされたようなふうに理解をする。それは誤解だとおっしゃれば誤解かもしれませんけれども、やはり私は、民主主義の世の中というものは、大多数の者の常識的な判断というのが優先をしませんと、一部特定の者がそうじゃないといってがんばってみても、民主主義の世の中というものは、全体の者の判断が、どうもあれは少し長過ぎる、あれだけのことをやるというならやはり固有の業務の上でやるべきじゃないだろうかという素朴な感じというのは、私は、今後も同じようなことが事前審査、相談という形で出されると避けられないんじゃないか、こういう感じがします。ですから、私はそういう意味では、この前委員長が御出席のときに皆さんにも申し上げたのですが、やはり一番問題なのは――そのことがどうきまったっていいのですよ。きまり方はどうきまったっていいのですが、いかなることでどうきまったかといろ経過が、ここでも非常に主張されたのですが、国民の前に明らかになるかならないかが一番大事なんですね、民主主義の世の中では。ですから、私はこの前もちょっと裁判に触れた。裁判公開の原則というのは民主主義の社会における一つの原理だと思うのですけれども、同じように、これは第一審と同じことだということを、との前も勧告の問題について審判についてはおっしゃっているわけですが、私はここのところが非常に重要なところじゃないだろうか、こう思うのです。だから、行政相談ということで、長い間何だかわからないように、国民の前からはわからないかっこうで処理がされて、そして今度は、届け出が出たら、もうそのままで問題なかった、済んじゃったというなら、本来やはり公取委員会が正式の形でやられたとして、事前相談を受けてないとすれば、届け出をされて、それからいろいろと調査をされて、いまのままならばこの勧告がされているわけですよね、この三つについてはうまくないという勧告が。もしかりにいまのままでさっと届け出がされた、最初の事前相談の形のままで届け出がされたとすれば、二十四日段階で公取委員会からは、独禁法十五条に触れますよと、そこで勧告がされて、そこから今度は審判が行なわれるということになるというのが実は形だろうと思うのですね。ところがそうなってないもんだから、どうも不安でしかたがないということに私はなるのです。今度の問題はもう済んでおりますから、いまさらどうこう言うことはあれなんですが、今後の問題の取り扱いは、やはりこれを契機にしてお考えをいただく必要があるのじゃないかという気がして私はしかたがないのです。その点ひとつ、委員長はいかがお考えか、もう一ぺん伺います。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ただいまその行政相談に対する内示というものが勧告に該当するというふうなおことばがございましたが、これはどこまでも行政相談であると存じます。行政相談が非常に長期間にわたりまして、各方面の誤解を招いたということははなはだ遺憾でございまして、先般来申し上げますように、誤解を解くようにつとめてまいりたい。それから、今後行政相談のございました場合には、できるだけすみやかに行政相談としての処理をつけてまいりたい、かように思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 だから、要するに私は、実は行政相談が非常に何かきちっとしたところまでやらなければならぬものかどうかという疑問なんですね。行政相談が、要するに届け出がなされた後において行なわれる公正取引委員会のいろいろな協議というのですか、調査というのですか、それと同じほどに精密に行なわれるのなら、こっちは要らなくなっちゃいますね、行政相談なんですから。あらましのことについては大体はこういうことですよという話ならわかりますよね。大体はこういうことですよというなら、次には精密な審査があるということになるべきなんでして、どうもそこが私どもが理解しておるところでは――まあ法律的根拠なんというつまらぬことをわれわれがここに引っぱり出しているのも、一体その事前相談という問題と、ほんとうに公取に届け出がされたあとの問題というのは、同じような精度が必要なのかどうか。私はそうじゃないだろうと思うのですね。届け出がされてからは固有の業務ですから、これはもう精度のあるものでなければならぬと思いますけれども、事前のものは幅があって、大体はこういうことでしょう、あとは向こうが考えてどうするかは、その企業側の責任ですからね。その企業側として、まあ大体そんなところなら、それじゃここまではちゃんとして届け出をしなければいかぬなということになるのがこの行政相談のあり方でしょうから。ところがどうもそうでないような感じがわれわれしているのです。一般にこれは私たちと同じ反対の側の立場に立っている人がみんなそう言っている。私は、反対の立場に立っている者だけがそう言っておるのかと思ったら、どうやら賛成の立場の人たちもわれわれよりもっとたいへん手きびしい。こういうことを言っておるということになると、ややあれなんで、今後のいわゆる行政相談というものは、行政相談と固有の業務というものの――まあ行政相談も固有の業務でないと言えないかもしれませんけれども、届け出があってからの仕事というものと行政相談というものとは違うのだ、精度その他でも違いがある、こういうことなのかどうか、そこをちょっと伺っておきたい。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 御指摘のとおり、行政相談に対する回答といたしましては、抵触するおそれがあるという回答をいたしておるのでございまして、抵触すると断言をしておるわけではないわけでございます。それはどこまでもその時点における行政相談に対する判断の内示でございます。もしかりに届け出がございますれば、それに従いました法律の定め、ただいま精度というおことばがございましたが、詳しい調査をしてその結論を出す、かようなことに相なると存じます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで今度は、その次にひとつ進めさしていただきたいと思いますけれども、ちょっとさっきから議論をいたしてまいりました中で、公正取引委員会審決集の日の百八十三ページでございますが、「法第十五条第一項第二号にいうところの競争の実質的制限(第二条第三項、第四項等についても同じである)とは、原告のいうような個々の行為そのものをいうのではなく、競争自体が減少して、特定の事業者または事業者集団が、その意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる形態が現われているか、または少くとも現われようとする程度に至っている状態をいうのである。」こういうふうに裁判所は言っておるのでございますね。  そこで、個別の問題について伺うと公正取引委員会もお困りでございましょうから、一般抽象論としてちょっとお伺いをしたいと思うのですけれども、ある二つのAとBという企業がありて、ある品種について、AとBという企業の生産しておる品種が一〇〇%占有率があるという場合には、明らかにここでいった「市場を支配することができる形態が現われている」と読むべきだ、こう私は思うのです。この点はどうでございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ただいまお読み上げになりました判例は、東宝、スバルの古いほうのケースではないかと存じます。新しい昭和二十八年の十二月七日の判例では、前のほうは大体同じでございますが、「市場を支配することができる状態をもたらすことをいうのであって、」というふうに書いておりますので、その点は若干違うかと存じます。  それから、AとBと両企業合わせて一〇〇%、こういう御発言でございましたね、このような場合には、一応シェアでは非常に大きなものがございます。しかし先ほど来申し上げておりますように、これに対する競争事業者の牽制力あるいは需要家側の地位それから新規参入の可能性、可能性と申しますか蓋然性、それから代替関係、輸入関係等を総合して判断いたすわけでございまして、ただ数学的に架空の問題として判断をするのはいかがか、かように考えて、具体的な事情に即して判断いたすべきではないかと存じます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまおっしゃったそのとおりですが、そうすると、公正取引委員会ではこっちのほうは古いから――さっきから過去の判決例というお話がございましたけれども、判決例は二つございますね。いまのこれともう一つあるわけですが、判決例はやはり参考になさるだけで、何も判決例がそのまま生きてくるということじゃないと私は思うのです。だから、これも参考になるし、こっちも参考になる、こういうことじゃないでしょうか。ちょっとそこを先に伺っておきたいと思うのです。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 二十八年の十二月七日の判例によろうということに確認をいたしたわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それではこっちにしましょう。  それでは、「競争を実質的に制限するとは、競争自体が減少して、」とありますね。一つずついきますが、まず最初に、競争があるというのは、一〇〇%のほかはゼロですから、競争がないと私は思うのです。まず第一点として、「競争を実質的に制限するとは、競争自体が減少して、」とこう書いてあります。これは競争があるという前提での話ですね。一〇〇%というのは競争がないということじゃないでしょうか。やはりそれでもなおかつ競争というのはあるのでしょうか、いまの設例の場合。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ただいまのお尋ねは、Aが一〇〇%という意味でいらっしゃいますか、A、B合わせて……。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私が申しているのはAとB合わせて一〇〇%、これが合併でA’になるという場合がございますね。ですから、いま私が申しておるのは、ここで替われておることは、競争があるというのは、いまは何%ずつかわかりませんが、AとBは分かれていますから、これはいまは競争があります。しかし合併すると競争が減少してじゃないですね、なくなるのですね、競争は、その限りにおいてほかにないのですから。そういう場合に私が言うのは、ここでは、「減少して、」とこう書いてある。「減少して、特定の事業者又は事業者団体がその意思で、」云々とこうなっているのですが、「減少して、」というのは、まだ他に競争があるということが前提になっていると思うのですね。だから減少なんですね。それはたとえば、四〇、四〇、二〇という競争がある場合を考えてみると、四〇と四〇が一緒になって八〇になりますと、その八〇と二〇の間には明らかに競争関係はある。しかし、四〇、四〇、二〇の場合、八〇と二〇の場合には競争は「減少して、」こういう表現になると思うのです。しかし、少なくとも五〇と五〇とゼロという状態のときに、五〇と五〇が一緒になって一〇〇になったら競争はなくなるんだから、もうこの問題のワクの外の議論になってくるのではないか、こういうふうな感じがするのです。というのは、当然、十五条の問題というのは、も与論のいかんを問わず該当する、十五条の二の問題になるというふうに――まず私は一つずついきたいから、こういう感じがするのですが、これはどんなものでしょうか。これは公正取引委員会じゃなくて、きょう吉國さんに来ていただいて、法律解釈の問題ですから、十五条の二項の法律解釈の問題として、判例との関連で、私はいまそういう設例をしながら、吉國さんのほうの法制局としてはどういう見解をなさるのでございましょうか。

吉國一郎内閣法制次長

○吉國(一)政府委員 どうもそういう具体的なケースにつきまして先にお答えを申し上げるのは不適当かと思いますし、これはまさに実質的な政策にわたる問題でもございますので、私が申し上げるのはやや僭越かと思いますが、一応抽象的な法律解釈論として申し上げるならば、いまの設例の場合、A会社とB会社とがかりにそれぞれが五〇なら五〇ずつの占有率があった、そして合わせて一〇〇%になった、それで競争はなくなるのではないかというお話でございますが、私、経済のことは暗いので、そういう例があるかどうかよくわかりませんが、A会社とB会社それぞれが五〇形を占有しておる品種と申しますか、製品と申しますか、そういうものについては一〇〇%ということになりましても、それによってさらにその品種と今度は他の品種との間に潜在的な競争というものが考えられるのではないかというようなことから、単にある品種だけをとらえまして一〇〇%になったらその十五条の一項の一号に該当するということにおそらく最終的に決し得ない問題が残るのではないかということを申し上げたいと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 吉國さんにいろいろ伺うと、吉國さんも御迷惑があるかもしれませんが、私はきょうは法律の解釈の議論をしておるのです。ですから、やはり専門家である私の尊敬する吉國次長の法律的解釈を伺うことが勉強になると思うから、たいへん申しわけけれども少し伺いたいのですが、第十五条の一は、「当該合併によって一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」こうありますから、「一定の取引分野」というのは、われわれは経済問題でいくと非常に幅広く考えていたのですが、どうやら公正取引委員会はかなりしぼって品種別にお考えになっておるというふうに感じたのです。実はああいうふうな品種別におそれがある、おそれがある、おそれがあるとお出しになったことは、品種別に一定の取引分野というものをお考えになったんだろう、こう私は理解したわけです。品種別に理解すると、いま吉國さんがおっしゃるように、代替性のある品種があれば、一〇〇%であってもこれは競争はなくならないと思いますが、きわめて特殊な品種のもので直接には代替ができないという前提があった場合には、次長、どうでしょうか、どうなりましょうか、今度は。

吉國一郎内閣法制次長

○吉國(一)政府委員 そういう製品があるかどうか存じませんが、全く隔絶された要素であるというようなものについて、先ほど堀委員のおあげになりましたような設例がございますと、当面その合併によって一〇〇%の市場支配という外形は呈するということはまさにそのとおりだと思います。しかし、それに対して他の業者がまたその市場に参入する可能性というものもあると存じますので、先ほど申し上げましたような潜在的競争の可能性というようなものを考慮に入れて解釈すべきではないかと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 たいへんしつこいようですが、いま吉國さんが新規参入の可能性を、潜在的にそこでもう一ぺん考えておかなければならないとおっしゃった。ところが、いま仮定の議論をしておりますからあれですが、もう一つ前に進めて、そういうこともないという前提、新規参入の可能性がないという前提でこれを考えると、十五条の一の適用について次長、どうなりましょうか。――ちょっと、そこの間の協議はやらないでお答えをいただきたいと思うのです。法制局独自の見解をひとつ……。

吉國一郎内閣法制次長

○吉國(一)政府委員 それは全く条件を仮定いたしまして――先ほど全く隔絶されたような製品と申し上げましたが、その隔絶される程度というものが、ちょうど地球から隔絶されたどこかの天体に一つあるような感じで隔絶をされていて、全然他の国からも輸入がない、それから新規参入も全く考えられないというようなものは、絶対的なそういうものがあるとすれば、十五条の一項一号に当たる場合もあるかもしれませんが、そういうものがあるかどうか、私経済的知識が不十分でございますので、ちょっと考えられませんが、そういう絶対的に隔絶されたような例というものがあれば、そういうことになるかもしれません。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 公正取引委員会の方がたくさんいらっしゃるから、たいへん遠慮して、かもしれないとか、非常に消極的な御発言なんですが、仮定の事実ですから、そういうような場合という前提が置いてある限り、やはり私はなるのならなると言っていただきたいのです。これは仮定の事実です。それからいろいろ前提があるわけですね。その前提を置いて、なおかつかもしれないと言われると、一体どこまでいったら十五条の一項は守られるのか、それほど十五条の一項という法律はどうにでもなる法律なのかというふうに国民は疑惑を持つと思うのです。これは現行法として、厳然としてある法律ですから、厳然としてある法律を内閣法制局の次長が、何か消極的に消極的に理解するかっこうを積み上げられますと、これは公正取引委員会の業務にも支障を来たすんじゃないかという心配がありますし、法制局の見解としてはちょっといかがかと思いますので、もうちょっと胸を張って、内閣法制局の権威に基づいて現行法についてお答えをいただきたいと思うのです。

吉國一郎内閣法制次長

○吉國(一)政府委員 堀委員も御承知のように、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律は、全体といたしまして、いわば制定のときから予想をいたしまして、非常に抽象的な規定のしかたをいたしております。その抽象的な規定を具体的に適用する場合に、審決例と申しますか、あるいは認可その他の処分もございますので、行政実例によって次第々々に解釈が固められていって、ちょうどあの判例が積み重ねられるように、実例によってこの法律の解釈運用が固まっていくということをこの法律自体が予想しているものと思います。したがって、十五条の一項の一号あるいは二号にいたしましても、その解釈自体が私的独占禁止法の精神全体を非常に踏まえまして、そのためにこそ独立して職権を行なう五人の委員が国会の同意を得て任命をせられておりまして、この委員の合議によって初めてこの抽象的な規定を具体化するように、法律自体が構成されているわけでございます。そのことにつきまして、抽象的な立言をされておりますものを、直接権限を有しません私ごときが具体的な解釈をいたしますことは非常に問題もございますので、先ほどのような答弁をいたした次第でございまして、その点はひとつ御了承をお願いしたいと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 しかし内閣法制局というのは、本来置かれておりますのは、現行法の法律の解釈をする部局でございましょう。どうでございましょうか。

吉國一郎内閣法制次長

○吉國(一)政府委員 内閣法制局設置法によりまして、現行の国内法令の解釈及び閣議に提出をせられます法律案の審議、立案、閣議に提出されます条約の審査、立案及び閣議に提出されます政令の審査、立案の仕事をやっております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ですから、私はそれをさらっと受けて、法制局としてだって独禁法十五条の解釈があっていいと思うのですね。独禁法十五条は解釈できませんということでしょうか。独禁法十五条云々については、法制局なりの解釈があるということで私はいいんじゃないかと思うのです。これもやはり国内法じゃないですか。アメリカの法律ですか。

吉國一郎内閣法制次長

○吉國(一)政府委員 先ほど申し上げましたような事情がございますが、十五条の一項の一号について申し上げまするならば、ある合併によりまして一定の取引分野――この一定の取引分野をとういう観点から判断をするかということについては、おそらく公正取引委員会の委員長からるるお話があったと思いますが、そのような前提をもって考えられた一定の取引分野におきまする競争が、実質的に制限されるような合理的な蓋然性というものを公正取引委員会が判断をいたしまして、そのような判断によって、実質的な制限が生ずるという場合には十五条の一項の一号に該当するということでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それはいまおっしゃるとおりですが、いまのは単なる抽象的解釈ですから、われわれではなかなかよくわからないので、少し具体的な設例をもって、いうならばコンメンタールのような解釈を私は法律的に求めておる。その法律的に求めておる土台としておるのはこの高裁の判決、いま公正取引委員長がおっしゃったように、昭和二十八年のこの判例を、公取としては一種の再確認をされてこれを使っておるとおっしゃっておるから、私はその判例に基づいてある一つのシェーマを出して――抽象論でわかりにくいからシェーマを出して、それの理解について法制局の見解を聞いておるわけですから、これは法制局設置法にあるところの、法律の解釈をやや詳細に伺っておるというだけであって、法制局は抽象的な解釈しかしてはならぬということに私はならぬと思うのですが、どうでしょうか、そこは。お答え願います。

吉國一郎内閣法制次長

○吉國(一)政府委員 先ほど申し上げましたように、この法律を具体的な事例に適用いたします場合には、この法律全体の精神を背後に背負いまして、職権行使の独立性を認められました、国会の承認を得て内閣が任命をいたしました五人の委員が合議をいたしまして、その結果として各条の具体的な適用の内容がきまるわけでございます。そういうような問題でございますので、一般の行政法規あるいは全く内閣の指揮監督のもとにございます、たとえば通商産業省と申します独任制の官庁、その官庁の所掌をいたします特定の法律、たとえば商工委員会関係でございまするならば電気事業法でございますとか中小企業等協同組合法というような問題につきましては、具体的な適用の問題については、通商産業省当局で判断に困ります場合には、内閣法制局に意見の開陳を求めてまいるわけでございます。これに対しましては、内閣のいわば法律的な顧問の立場にございます私どもは、具体的な法令の適用について解釈をいたしまして、回答をいたしております。しかしながら、私的独占禁止法の解釈の問題でありますとか、あるいはその他国家公務員法のように、人事院というこれまた独任制、独立して職権の行使を認められております官庁の所掌しております事項、あるいはまた会計検査院の所掌しております事項につきましては、それぞれの法律についての解釈なり運用なりは、その当該行政委員会なりその他の官庁がいわば最終的な権限を持っておるわけでございます。そういう問題につきまして参考的な意見を申すことはございましょうし、非公式に私どもが研究の結果を発表することもそれはあり得ると思いますが、公式にこれはこう解釈すべきであるということを断定的に申すことは、やはり問題があるのではないかと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それじゃ参考的な解釈でけっこうですから、ひとつお答えいただきたい。いま私が言った設例によってもう少し話を進めてもいいのですが、「競争を実質的に制限するとは、競争自体が減少して、特定の事業者又は事業者団体がその意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる状態をもたらすことをいう」こう書かれておるわけですね。ですからいま私が設例をしたことは、まず前段で五〇と五〇を足して一〇〇になって、ですから他との競争はなくなるから第一段階として競争が減少をしてなどというなまやさしいことではない。第二段階に入ってきて、特定の事業者が「その意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる状態」このほうはさっき公取委員長がお話しになったように、需要家との関係というのが一つ入りますけれども、その需要家との関係を取り除くならば、一〇〇%の商品を生産をするものはこれはいまの「ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる状態をもたらす」ということになると私は思うのです。これはシェーマの上の話ですから、参考意見として伺っておきますが、そう思われますか。

吉國一郎内閣法制次長

○吉國(一)政府委員 第二段目でかりに一〇〇%になりました場合には、いま堀委員の仰せられたとおりになると思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ですから私はまずここで――さっき「いいかえれば」論議をしたのですけれども、一〇〇%の場合には、「いいかえれば」からうしろはないように思うのです。公正取引委員長、ここはいかがでございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ただいま堀委員がたくさんの前提をお置きになりましたその前提が全部入っておればさようなことになると思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ですから私が置きました前提というのは、まずその品種は直ちに代替できないということが第一点。第二点は、新規参入が期待できないということが第二点。この二つの前提を置いて、かりに五〇%と五〇%とその二つが一緒になって一〇〇%だという場合には前段で、後段の「いいかえれば」は出てこないということについては、いまのお答えをそういうふうに理解してよろしゅうございますね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 さようでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ですから今度は、やはり前段だけに問題がしぼられた中で問題が出てまいりますのは、おっしゃったように特定の事業者が「ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を」と、こうある。ここはやはり需要家との関係では必ずしもいま私が申したようなことにはなりません。需要家を阻害すればという条件があればそのまま該当することですけれども、ここには需要家からの立場というものが確かに一つ出てくるわけですけれども、ものを判断する場合には、要するに社会的現象でございますから、社会的現象は今日いまの時点だけということではなくて、当然過去からの歴史的な経過というものがその判断の一つの基礎になるだろうと思いますね。歴史的な基礎によって事実関係が確認をされてきて、その事実関係においていまの需要者側の様態が――たとえば、かりに前提を置くとして、要するに需要独占の形がもし逆にあったとしても、事実的な認識と過去の歴史的な経過から見て、いまの特定の事業者が「その意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右」しているという判断がもしかりに起きたといたしますならば、これはいま私が申しておるように前段だけの問題として問題が生じてくるというふうに思いますが、それはどうでございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 さように考えます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 その次にもう一つ設例をしたいのですが、今度はいまの一〇〇%の問題から少し次元を下げて、二つの会社が九六%の占有率になるという場合、これは今度は四%実はその他の占有率がありますから、ここでは「競争自体が減少して、」ということになってくると私は思います。そうして競争自体が減少しているということは、もう一つは新規参入もあり得るという問題を前提として加えていきたいと思います。さっきは新規参入がないという前提の議論をしましたが、新規参入があり得るという前提、今度はそういうふうに最初の設例の条件より少し条件が変わってきております。ところが、さっきの場合にはきわめて絶対的なものの話でございますね。一〇〇%だとかゼロだとかいうことですから絶対的ですが、これからはやや相対的ということになってまいりますけれども、相対的ということは、要するに判断をされる場合にも、たとえばAという判断もあるがBという判断も起こり得るという条件ができてくる。ただ判断のAとBの比率は、いろいろな前提となる諸条件によって、Aが非常に大きくてBが少し小さいという場合もありますし、Aがだいぶ小さくなって、Bは相対的にいうと六〇と四〇ぐらいなことになるという場合もあるということになってくる。ですから問題の性格としては、そこで初めていまの後段の問題が入ってくる。「いいかえれば、かかる状態においては、当該事業者又は事業者集団に対する他の競争者は、それらの者の意思に拘りなく、自らの自由な選択によって、価格、品質、数量等を決定して事業活動を行い、これによって十分な利潤を収めその存在を維持するということは、もはや望み得ないということになるのである。」こう書かれているのですけれども、ただ、ここで私は一つ問題があると思いますのは、さっきも私関連質問で事業者の意思の問題ということをここでちょっと取り上げたわけでございます。事業者の意思の問題というものの中には――こういうのは社会的現象ですから、この問題はここの関係では意思をどう判断するかということは、あとの設例が非常にむずかしくなると私は思うのです。前段は意思があまり入らないかっこうで判断できるのですが、後段の書き方は非常にむずかしい。「当該事業者又は事業者集団に対する他の競争者は、それらの者の意思に拘りなく、」と書いてあります。   〔小宮山委員長代理退席、藤井委員長代理着席〕 「意思に拘りなく、」ということだったら、非常に機械的な問題になるのですが、こう書いてありますけれども、しかし他の事業者は意思があったらどうなるのかということですね。意思がある場合とない場合があるでしょうね。「意思に拘りなく、」ということはそういうことなんでしょうけれども、要するにいまの資本主義社会の機構は――こういろ表現がされておりましても、実態の関係がちょっと違いますのは、たとえばビール三社の値上げの場合をとりますと、麒麟麦酒が値上げをいたしますということになると、それではあとのやつは値上げをしなかったら「意思に拘りなく」どうにもならないのかといったら、実はビールの値上げのようなことはそうでもないのですね。要するに三円上げないでいこうと思うならばいけるのですけれども、資本主義という仕組みの中では、利潤を最大に取りたいということのほうが先になっているものですから、どうしてもそういう場合には意思にかかわりなくもうけちゃうという-本来ならシェアを拡大するほうに意思が働く可能性がありますね。しかし、そういう可能性のほうよりも当面の目の先のもうけるほうに働くということになるとするならば、こういうような書き方で書かれておりましても、実際のその運用のあり方についてちょっと問題が生じてくるのではないか。だから私は、さっきから申し上げたその前段と後段の主と従といいますか、判断のもとというのは、そういう実態的な関係から見まして多分にそういう感じがしてならない。というのは、たとえば九六%のシェアになっておるところがある価格をきめる、その価格より下で売ってはならぬ、意思のいかんにかかわらず、ここに書かれているように「これによって十分な利潤を収めその存在を維持するということは、もはや望み得ないということになる」なんというようなことは、事実関係の問題として見ますと一体起こり得るのかどうかということですね。前段はよくわかるのですが、後段は私全然よくわからないのです。ですから、そういう意味でこういう点を公正取引委員長はどう御理解になっておるか。ここに書かれておることは、前段は非常にはっきりしておりますからよくわかりますけれども、後段のほうはよくわからない。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ただいまお読みになりましたところのあとに続いておるのをちょっと読ましていただきますが、「もはや望み得ないということになるのである。いかなる状況にいたってこのような市場支配が成立するものかは、相対的な問題であり、一律には決し難くその際の経済的諸条件と不可分である。」かように書いてございますので、「その際の経済的諸条件というものと不可分」で考えていかなければならない。何か経済法則としてそういう一定の法則が確立されておれば別でございますけれども、現在実証的にそういう法則が確立されておるとは申しかねるわけでありますので、このうしろに書いてありますように「一律には決し難くその際の経済的諸条件と不可分」に考えて判断をする、かようなことではないかと存じます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 わかりました。そうすると、ちょっと私前段のほうに比重がかかり過ぎておりましたから、非常に論議がはっきりしなかったわけですが、そうしますと、要するに、言いかえれば、いま委員長が御指摘になったように、やや後段のほうにも比重がかかっておるという理解になり得るということなんですね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 前段と後段とは……。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ちょっと失礼しました。前段というのは、言いかえれば、私が最初に言った前といまおっしゃったあとですね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これは両方に比重をかけて読むべきではないかと考えております。   〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕

堀昌雄日本社会党

○堀委員 その点はこの後段と前段でなくて、うしろのほう「いかなる状況にいたってこのような市場支配が成立するものかは、相対的な問題であり、一律には決し難くその際の経済的諸条件と不可分である。たんに市場におけるその者の供給(又は需要)の分量だけからは決定し得ないのである。」云々と書いてありますからあれですが、要するに私が言いたかったのも、いまのうしろの部分のところの問題、これがやはりこの際非常に重要なファクターになる。ですから、いまの九六%というような設例の問題の場合には、まさにいまの後段の前の部分の問題よりはうしろの部分の問題がこの問題においては非常に問題になるところという感じが私はしているわけです。ですから、ずっとこういうように判例をここに読んでおりますと、いまいろいろ言われております対応策というのが、何か弊害が除去されたらいいというようなものではなくて、法律の書いておることあるいはこの判例が書いておること、これが具体的に確実に守られるということが前にあって、その結果として弊害が除去されるならそれはいいとしても、何か弊害だけ除去ざれたら、こっちの私が言った肝心のもののほうはどうでもいいんだということではないんだというふうに理解をしてよろしいのですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 経済的、合理的に考えて競争阻害要因がなくなるということでなければならないと存じます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私、だいぶいろいろ伺って少し問題がはっきりしてきたと思います。特に私ははっきりしてきたという感じがいたしておりますのは、私も占有率だけに実はこだわらないのです。占有率だけにこだわらないのですけれども、しかし占有率が低いからといって競争制限するものも実はあるんですね。占有率が高いから競争の制限が絶対なものもある。しかしそうでないものもある。しかし占有率がやや低くくても、いま書かれておるようなこういうかっこうの中では競争制限になるというものもある。ちょっとこれまでの議論がやや占有率だけが非常にものさしみたいだったのですが、その点では公正取引委員会としては必ずしも占有率にはこだわらないけれども、ここに書かれたようなかっこうの結果を生ずるということには非常に比重がかかっておるというふうに理解をしてよろしいということでございますね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 一番おしまいのここに書かれたことに何とおっしゃいましたか。ちょっと聞き取れませんでしたが。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 要するに、ここの判例に書かれておる趣旨、このことのほうが実は占有率ということよりも大事なのであって、こちらの中身ですね、いまずっと前段、後段の前うしろとこまかくやってきたわけですが、これが非常に中心だ。だから要するにこれが明らかになくなるということになったとき初めて問題がない、十五条の二項の問題はなくなるという理解をしていいんだというふうに考えてよろしいかどうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 この判例の線に沿いまして判断をいたしてまいりたいと存じます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ですからその場合には、私ちょっとこの前も事前審査のことを触れましたけれども、当事者間の問題としてそれも理解をする。要するに政府の行政措置だとかいろいろな手助けをして弊害は除去しましょう。しかしそれは出てきた弊害の除去であって、前段の競争制限の問題と因果関係はありますけれども、競争制限は私は行政措置で実は防げない問題だと思うのです。だから行政措置によって競争制限をしておることが、競争制限でなくなるなどということにはならなくて、弊害の除去には行政的な措置がある程度役に立つかもしれないけれども、それは弊害の除去の範囲であって、問題が先に起きてしまっておることは私は行政措置では改善されない、実はこういうふうに判断したいわけなんです。その点はそういう判断でよろしいでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 まだ対応策なるものは全然出ておりませんので、いかなるものか判断のしようもございません。したがって仮定の問題でもってお答えいたすことは適当でないんじゃないか、かように考えます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私が伺っておりますのは、八幡、富士の問題ではないのです。ずっとさっきから何か八幡、富士についてやっておるように聞こえてもらっては恐縮なんですが、私は法律一般論、抽象論の話をずっとしておるわけでございますから、そういう場合に、要するに法律一般論、抽象論として行政的に弊害が除去されればいいんだというのでは、この判例のすなおな解釈にはならないんじゃないか。要するに競争制限を除くということが先ですね。競争制限になることを除いた結果としては弊害が除去されるでしょうけれども、私は競争制限を除くことは行政措置でできないと思うのです、実は一般的な問題の場合は。そういう行政措置というものは国がやることですから、私的独占の問題ではないわけです。だから弊害が除去できても、原因となる部分の競争制限が除去できない限りは、行政措置というものは、一般的にいって、この問題とは無縁のものである、こう私は理解をしておるものですから、そういうふうに理解をすべきじゃないかということをちょっと伺ったわけなんです。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 行政措置というのがいかなる行政措置でございますのか、それからその行政措置の根拠がどこにございますのか、その辺のところをはっきりと確認いたしませんと、何とも申し上げかねるかと存じます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 しかしここにこうずっと判例が書いておりますことは、これは当事者間の問題を規定しておるんだと私は理解をしておるわけなんですね。ですから、国というのは当事者ではございませんから、国がどんな処置をしようと、それは当事者間のいろいろな問題にかぶさらない。当事者間の問題はあくまで当事者間の問題で処理されるべきものなんです。だから、法律のたてまえは私的独占の禁止なんですね。国が入ってきて何かするんなら、これは場合によっては私的独占じゃなく、公的独占になるかもしれませんね。そんなことはわれわれはここで聞いておりませんが、あくまで私的独占という問題である限りは、民間における当事者間の問題として問題は判断をするというのが原則であって、何らか国が弊害除去のための手助けをしましょうなどといってみても、それはこの問題とは本質的には無縁だ。何をするかわかりませんよ。私も、どういう根拠に基づいて何をするかということはわかりませんけれども、そういうことがもしかりに起きたという場合には、ものの判断の基礎としては、それはこの次元の問題ではないということがこの法律の正しい解釈ではないか、こう考えておりますが、その点はいかがでございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 行政措置の内容がいかなるものであるのか、私ども想像の限りでございませんので、何とも申し上げかねるのでございますが、行政措置の内容が全く競争を維持いたしたのと同じ効果になるものであるのかどうか、その辺を見きわめませんと、抽象的には何とも申し上げかねるかと存じます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 これはちょっと架空の議論をしておりますから、非常にこれはむずかしいのですけれども、国が介入をして、民間におけるそういう競争状態をつくり出したりすることは、大体これは理論的に見てあり得ないことだ、これは理論上の問題でございますけれどもね。だって、片や民間企業でございましょう。民間の企業が競争するということは、資本主義という仕組みの中でなぜ競争しておるかといえば、より多くの利潤を得たいということの競争が起きているのだと思います。それ以外に資本主義社会での競争の原理はないから、より高く利潤をいかにして求めるかということの競争が起きておるときに、国が介入をしてその企業たちにより高い利潤を何らか保証できるというようなことが資本主義社会で行なわれるとすると、これはすでに正常な競争状態でないと思います。私は、ここでいう競争というのは、そういう国が介入をして、一枚かんで競争をするというようなことでなしに、私的な企業間における利潤追求概念からくるところの競争というものをここでは競争といっているんだと私は思っているわけです。ですから、その限りにおいては、この法律が差し示しておるところは、国のいろいろな問題、それは行政措置であるか何であるかは別としても、いろいろな問題と、いまの民間の特定事業の競争という問題とは別の次元の問題ではないかと思うのですが、ちょっとその点、いろいろ専門家がいらっしゃるから梅田さん、法律的にはそれはどうでしょうかね。いま私が申していることについてはどうお考えでしょうか、法律的な見解をひとつ……。

梅田孝久公正取引委員会委員

○梅田説明員 法律解釈についてどうかというお尋ねでございますので、その角度からお答えいたします。その前提といたしましては、先ほど来引用されておりまする二十八年の判例によってお答えをいたします。  結局その前段は、「ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる状態をもたらす」、そういう状態のできるのがいけないのである。でありまするから、そのことで実質的制限になる。ですから、その結果、支配することができる状態の後、その力を使うか使わないかということは、その違反の成立に関係のないことだということでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまのお話で私は十分だと思うのです。ですから、使った結果弊害が起きて、その弊害が起きたことを行政措置で取り除くということは、いまおっしゃることで私は非常に明快になったと思うのですね。使うか使わないかはもう一つ前の段階だと解明されましたので、いまの問題は非常にはっきりしたと思うのですが、もう一つ、これは前段の問題でそうなったのですが、後段のほうをとりましても、ここで「いかなる状況にいたつてこのような市場支配が成立するものかは相対的な問題であり、一律には決し難くその際の経済的諸条件と不可分である。」というこの後段のほうの問題も、私はいまの国の関係とこれまた無関係の問題じゃないか。両方とも無関係というよりも、はっきりしておきたいと思うのは、前段は非常にはっきりしたと思うのですが、この後段のほうもやはりずっといまのあれから見ますと、国が介入することによってどうにもなる問題じゃないように思いますので、どうも私は、国の介入というのは前段のほうだけの問題だろうという感じはしますけれども、あわせて後段もやはり国の介入とは無関係な判断をすべきものじゃないか、こう思いますが、この点委員長いかがでございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ここにもはっきり書いてございますように、「その際の経済的諸条件と不可分」と書いてございますむこの経済的諸条件が官庁の行政指導によってどの程度変わるのか、よその省庁でもっていかなる行政指導をなさるのか、これは私の想像の限りでございませんので、その辺が経済的諸条件の変化になるのかならないのか、その辺を考え合わせる必要がある、かように考えます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 通産省にちょっとお伺いいたしますが、いまのお話の後段のようなことについて、何か通産省で――これは一般論ですから一般論として答えてもらいたいのですけれども、何かそういう市場支配の問題が起きたときに、後段の経済的条件を変えることによって、いまの後段のようなことの起きないように処置できるような、そんな行政的な手段というのはあるでしょうか。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 実は私その審決集をしさいに読んでおらないのでございます。したがいまして、そういうふうな解釈問題につきましてはすべて公正取引委員会の御判断に従う、こういうつもりでおりまして、あるいは見当違いのことになるかとも思いますが、やはり産業政策の目的というのは、公正な競争が確保されるということを前提に考えるべきものであるというふうに考えるわけでございます。これが前提でございます。したがいまして、いろいろな経済の事態の変化に対応いたしまして、そういう公正な競争を確保する前提が阻害されておるようであれば、これを取り除くようにつとめるというのが産業政策の目標であろうかと思うわけでございます。あるいはまたその供給形態いかんによりまして、消費者あるいは使用者の利益を損ずるような結果が予見されるというふうな場合におきまして、それに対する対応措置をとってまいる、これもやはり産業政策の一つの目標ではないかと思うわけでございます。  一般的なお答えを申し上げまして恐縮でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまの局長の御答弁は、きわめて的確で私はいいと思います。要するに、この場合は、公正取引委員会が先に出ておられるわけですから、公正取引委員会の判断が正しければ、私は、通産省がいまのような、要するに、産業政策上やらなければならぬような行政措置は必要がなくなる。もし公正取引委員会の判断に誤りがあった結果がもたらされたときに、公正な競争が阻害されるようなことが起きたり、消費者の利益が守られなくなるから、そこで通産省としてはそういう条件を正しい条件に変えるためには行政的に対応しなければならぬ、こういうふうに私はいまの答弁を理解をしたのですが、それでいいですね、局長。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 法律上の解釈といたしましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、公正取引委員会の御見解に従うことを前提にして申し上げたわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それはいいんですよ。法律の解釈は公正取引委員会独自の業務ですから、そのことを私は聞いていないのです。ただ要するに、ものの順序を言っているわけです。通産省が、何か競争が制限されるということが起こりそうだから、公正取引委員会の決定の前に先に出て、競争制限の起きないような経済条件をつくって、その経済条件が先にそういうふうになってできておるから、今度は公正取引委員会が経済条件ができておるから心配がないというこの前後関係の話を私はしているわけです。だから前後関係では、あくまで公正取引委員会の決定が先にあって、通産省の行政的な問題というのは、公正取引委員会の決定があった結果、何か起こるわけですよ。結果があって起こってきたときに、競争制限がここにかりに起きたとすれば、それは通産省の産業政策の目的に反しておるから配慮しなければならぬ。あるいは消費者の利益に反することが、かりに公正取引委員会の決定の結果起きてきたとしたら、それには行政的に対処しなければならぬけれども、あくまでもそれは公正取引委員会の決定によってもたらされた事態の結果に対応する行政的な処置である、こういう順序でいいじゃないかということを聞いているのですが、そういうことでしょう。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 先ほど申し上げておりますのは、実は一般論で申し上げております。したがいまして、合併問題であれ、あるいは合併問題でなかれ、常にそういう事態に対応して、先ほど申し上げましたようなことを考えていくというのが産業政策の目標である、このようにお答え申し上げたわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ちょっと答弁がそこでとまったわけですね。とまったというのは、私はよくわからないのだけれども、要するに、そういう行政的な通産省の産業政策というものは、あなたの言われるとおり私はよくわかっているわけですよ。しかし、前後関係はこれははっきりしておきませんと、非常にこういう場合は複雑になるものだから、前後関係だけちょっといま触れているわけです。だから、かりに合併というような問題の場合、公正取引委員会がある決定をされて、しかし経済はその後動いていった結果、公正な競争が行なわれなくなった、その結果として消費者の利益が阻害をされておるというときには、産業政策としてそれに対する対応の行政措置がとられるのは私は当然だと思いますね。だからそういう順序になるのか、いまあなたの発言をすなおに理解すれば、そうなるんじゃないか、こう私は理解したわけです。要するに、何でそんなことにこだわっているかというと、経済的諸条件という問題について公取委員長がお答えになった中に、やはり行政的な部分が重なってくるような感じをちょっと私は理解したものですから、公正取引委員会が判断をきれるときに、行政的な問題がその経済的諸条件の中に介入をしてきたりするというのでは、これは非常におかしな問題じゃないのか。だから、産業政策はこういう問題については補完的な問題なんであって、それが先行的に経済的諸条件を何かするということでは、本末転倒ではないのかという感じがするものだから、ちょっとそこを伺っているのですがね。たいへんくどいようだけれども、もう一ぺんちょっと。私の言っていることはわかりますか。――では、言っていることがわかったらすなおに一ぺんそれに答えてくれませんか。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 いまの阻害するような事項が出ました場合という結果的な問題もございますし、あるいはまた阻害されるような事態が起こる可能性を事前に防止するというふうな場合にも、そこらの措置を検討してまいるということも必要になってまいりますし、これは一般論でお答えを申し上げておりますが、両方の場合があるように思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、産業政策というのは、公正取引委員会が補完でなくて、公正取引委員会が先に前に出て、要するに競争制限の起こるおそれがあったらさっさと行政措置をやって条件を変えて、そして公取の判断を有利に導く性格を持ち得るのですか。ちょっと私はそこは問題があると思うのです。

吉光久通商産業省重工業局長

○吉光政府委員 先ほど来申し上げておりますように、客観的な事態の判断は公正取引委員会でおやりになるべきものだと思います。したがいまして、通産省の立場で公正取引委員会の判断を狂わせるとか、あるいはそれに何らかの影響を与えるような、そういう立場はとるべきではないというふうに考えるわけでございまして、この点ははっきりと申し上げたいと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 わかりました。それでいいのです。いまの問題は次官の御答弁を承るまでもなく、適切な答弁をいただきましたから、そういうことに理解をさせていただきたいと思います。  私の割り当てられておりました時間が大体参りましたから、本日は大体以上にしておきたいのですけれども、きょう、さきの中谷君の質問の中で再確認をざれた問題の基本的部分を伺って、その再確認をされた問題の中でのいまの一定取引分野の制限関係のところを、この法律との関係で伺ったわけですけれども、ちょっとまだあと三つありまして、要するに商品の関係ですね。特に合併と因果関係の問題、それから合理的な蓋然性の問題というのは、ちょっと時間がなくてまだ触れられなくて、まん中のところだけを触れさせていただいたわけですが、次回に委員長のお話しになった確認の問題の一項一項について、シェーマをもって、このほうが理解がしやすいものですから、抽象的政策論のようでございますけれども、シェーマをもってひとつお話を伺いたいということで保留をさせていただいて、本日の私の質問をこれで終わらしていただきたいと思います。

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 岡本富夫君。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 いま大体一般論をお話しになりましたので、今度私はこの大型合併について若干不審のある点を国民の前に明らかにしたい、こういうわけです。  今回のこの公正取引委員会の大型合併に対する、富士、八幡に対する内示につきましては、非常に国民が注目しているところでありまして、もしもこれが間違いますと、将来日本の国の公正取引委員会に対するところの国民の不信、これに通ずると思いますので、慎重にやっていただきたい、こう思うのであります。  最初にお聞きしたいのは、レールそれから食かん用ブリキあるいは鋼矢板、あるいはまた特殊銑鉄、こういうものについては問題がある。しかしその他の五品目、これについては委員会であまり論議されなかった、こういうように聞いておるわけでありますが、この指摘されなかった五品目について、これは独禁法第十五条に触れない、つまり一定の取引分野において競争を実質的に制限することとならない、こういうような結論になったと了解してよろしいでしょうか。この前は山田委員長にいろいろとお聞きしましたので、きょうは委員の方にちょっとお伺いしたいと思います。  まず最初にレディーファーストですから、有賀さんにひとつお聞きしたいのでございますけれども、どうでございましょう。

有賀美智子公正取引委員会委員

○有賀説明員 お答えいたします。先般公正取引委員会がいたしました内示の中に問題のある品目を掲げましたけれども、掲げなかったものについて、それが全く十五条に違反しないということを明らかにはしていないのでございます。それは、先ほど委員長がお答えになりましたように、届け出のありました暁には十分に調査がされることと存じます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうしますと、この五つの品目についてはまだ全然触れてない、要するに白とも黒ともわからない、こういうことでございましょうか。もう一ぺん有賀さんお願い、いたします。

有賀美智子公正取引委員会委員

○有賀説明員 それについて特に指摘をしなかったということでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 それではこの五品目、大型形鋼、それから厚板、薄板、珪素鋼板、線材、これが五つの品目でありますけれども、これを要約いたしますと、この二つの富士、八幡製鉄が合併いたしますと相当大きなシェアを持つ。一つ例をとりますと、大型形鋼は二社で第三位の日本鋼管とのシェアの差が二・五ないし三倍である。したがって、合併後その格差は五倍に開く。合併会社としては五五%、系列会社を入れると六六・五%に達する。こういうような市場構造の大きな変化、こういうことが人為的に一夜にして発生するということは、いままでの観点から独禁法第十五条に違反はしないのでしょうか。これをちょっとお聞きしたいのです。――ちょっと待ってください。有賀さんにお願いします。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ただいまのお話でございますが、私が委員会を代表いたしまして申し上げたいと存じます。  先ほど来るる申し上げておりますように、シェアというのは一つの要素ではございますけれども、シェアだけでものごとを判断するということはいたしておらないのでございまして、先般来るる申し上げましたような各種の諸条件、諸要素を勘案いたして判断をいたしてまいりたい、こういう考えでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 国民は公正取引委員会の中のこの方に聞きたい、こういうわけで聞いているのです。あなたの答弁はこの前で私知っているのですから、あなたはじゃませずに、国民の要求を受け入れてもらいたい。  ところで、ひとつ有賀さんにこのことをお答え願いたいと思うのですが、いかがでございましょう。

有賀美智子公正取引委員会委員

○有賀説明員 お答え申し上げます。いろいろ御指摘いただきました品目につきましての考え方については、私は三十八条によりまして「事実の有無」並びに「法令の適用」にかかわることでございますので、お返事を差し控えさせていただきたいと思います。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 この私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、この中で第一条には「公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ」る、こういうように目的にあるわけです。したがいまして公正取引委員会は自由に競争させる、これが目的なんです。あなたは、私は発言を差し控えます、こういうようにおっしゃっておりますけれども、第四十五条に「何人も、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、公正取引委員会に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めるととができる。」こういうことがあるのです。ましてこの国会におけるところの論議は差し控えないで、まず有賀さんに、一般常識として、こういうようにシェアが三三彩あるいは六六・五%、こういう場合は独禁法第十五条に違反になるのではないか、私はこういう疑いを持っているのでございますが、あなたの御意見はどうでございましょうか。――山田さん、ちょっと待ってください。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ちょっと一言……。公正取引委員会の委員長、各委員はそれぞれ独立して職権を行なうことになっておりますので、個々の委員は三十八条によりまして、具体的な事実につきまして事実の有無または法令の適用について意見を開陳してはならないということになっておるのでございます。したがいまして、私は公正取引委員会を代表いたしましてお答えを申し上げたい、かように考えるのでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 この前の委員会だったか、私一人では答えられぬというようなお話をちょっとお伺いしました。それで、こういうようにシェアだけでは判断ができない、こういうようなことをおっしゃっておりますけれども、先ほどからだれかも話がありましたように、昭和三十年当時横田前公取委員長が、国会の答弁の中で、シェアが三〇%、これを一応の基準として危険線、こういうようにしたいと表明しておりますが、これはまず委員長に聞きましょう。今日やはりその前横田委員長の方針をおとりになっておられましょうか、どうでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 三〇%を基準としてとは申されておらないと思います。一応の警戒ラインとして考えてまいるというふうに発言をいたしておると承知いたしておるのでございます。その点におきましては現在も何ら変わっておりません。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 シェア三〇%が一応の基準として危険なる線というふうにしている、こういうふうにはっきり言っております。そこでちょっともとへ戻りますけれども、大型形鋼あるいは厚板というようなこの五品目につきましては、聞きますとまだ白とも黒ともわからないということでありますが、これは菊池さんどうでございましょう。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ただいま申し上げましたように、各委員は独立して職権を行なっておりますので、委員個人としての意見を申し上げることは適当でないのではないかと存じます。委員会において意思の決定をいたしております事項については私にお尋ねをいただきたい、かように存ずるのであります。

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 岡本さんに申し上げますが、けさほどの委員会で、取りまとめができるものは委員長にお尋ねするという申し合わせをいたしておりますから、お含みを願います。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 個々の品目につきましては、まだ正式の手続をいたしておらないのでございますから、お答え申し上げることを差し控えたいと存じます。いずれもしもかりに届け出がございました場合においては、それらについて十分調査をいたしました上ではっきりとこれを明らかにさせたい、かように考えております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 これはこの間からの委員会で菊池さん、梅田さん、亀岡さん、この人たちは個々にお答えになっていらっしゃる。その状態をすでに議事録に載せておりますし、見ているわけでありまして、必要なときはやはり聞いていきたい、こういうように思うわけでありますので、さようにひとつ取り計らっていただきたい、こう思います。  そこで、これは山田委員長に聞きますけれども、そうしますと、この五品目についてはまだ白とも黒ともわからない、こういうように解してよろしゅうございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 内示をいたしましたその当時の時点におきましては、疑いの濃いものは三品目、こういうことでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 内示なさったときは、御承知のように、いまおっしゃったように三品目に疑いが濃くて、一品目は灰色だ、こういうように内示を聞いております。そういうように伺っておりますけれども、あとのこの五品目については白とも黒ともおっしゃらなかったように思うのですが、三品目についてはこれは問題があるということになると、五品目についてはどうだということになるわけです。だからひとつその五品目についてはなぜ触れられなかったのか、この点をお聞きしたいと思います。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 どこまでもその時点における判断でございまして、くどいようでございますが、かりに届け出がございました場合におきましては、それらのものにつきましても十分調査をいたすつもりでおります。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 非常に私心配しますのは、今度のこの大型合併でもしも国民あるいはまた心ある人たちの不審なことが行なわれますと、委員会自体がこわれてしまう、こういうような懸念を抱いている人もいるのです。三対二というようなところまで非常に心配している人もいる。それでもって私どもは何としても公正な結論を出していただきたいし、またそうしなければならない、こういう意味の上からきょうは御質問を申し上げておるのであります。  ではちょっと戻りまして、ただシェア三〇%だけにこだわらない、こういうようなお話でございましたが、かりに合併した会社が六二・三%、これが第一位、第二位が三四・七%、これは珪素鋼板の場合を一つ例にとりますが、こういうような大きな格差が開いても、そういう線でもこの第一位、第二位というものを有力な競争相手とみなすのだ、こういうようなことを先般の委員会で、これはたしか菊池さんでしたか、お話があったと思うのですが、その見解をひとつ委員長からお聞きしたいと思います。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 先般来申し上げておりますように、シェアだけで算術的にものごとを判断するというわけにはまいらないと存ずるのでございます。これは判例にもはっきりとあらわれておるのでございまして、先般来申し上げましたごとく、競争事業者の牽制力、それから新規参入でございますとか、くどいようでございますが、代替品とかあるいは需要者の地位、これらを総合判断いたしまして、競争が実質的に維持されるのかどうか、こういう判断をいたすわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 では公正取引委員会の使命と申しますのは競争制限ではない、競争させるほう、したがって判断の基準といたしましては、少なくとも富士、八幡二つの会社が大型合併しましたときに、たとえば珪素鋼板一つとりましても六二・三%と三四・七%でありまして、ただ数字だけではというようにあなたはおっしゃっておりますけれども、事実私もこの珪素鋼板を使ったことがある。私もこの仕事をやっておる。現在も私の知っている会社が使っている。事実を私見てきまして、そして話しているわけですが、たくさんな生産をするところにおきましてはそこがどうしてもプライスリーダーシップをとってしまう、こういうことは明らかなんです、机上計算の上ではどうか知りませんけれども。したがいまして、そうしたシェアが非常に高いというのと低いのとこれだけで競争制限にならない、こういう根拠をではひとつ明らかにしていただきたいと思います。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 ただいま珪素鋼板の御指摘がございましたが、価格はそれほど硬直化しておらないように私たちは調査の結果出ております。たとえば昭和三十三年から四十二年までの間におきまして、高いところと安いところでは約二六・七彩の格差がございまして、趨勢的には下がる方向にございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 現在におきまして、あなたいま何年からおっしゃったか知りませんが、ではひとつ例をとりますと、鉄道用のレール、これはちょっと話が違いますけれども、過去五年間どれだけ下がっておりますか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これはほぼ横ばいでございますが、これは需要がきわめて限られておるものでございまして、年々それほどの需要の伸びはないわけでありますので、その結果であるかと存じます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 需要の伸びがないから下がらない。かりにまたこのレールをつくるところが出てさましたら、やはり競争しますから、これは下がる。しかしいま二社しかできない。だから若干協定したら下がらない。伸びがないから下がらない、そういうことではない。それだったら一応そうしておきましょう。  独禁法は、公正かつ自由な競争の促進を目的としておる。したがって、このシェアが非常に大幅に開きますと、この寡占状態が起こって競争が阻害される。すなわち第一条に違反してくるということは考えられるんじゃないでしょうか、どうでしょうか、その中の一つは。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 どこまでも第一条の定めるところによりまして、公正にして自由な競争を確保いたしますために、一定の取引分野において競争を実質的に制限することとなるような事態を防ぐ、これが私どもの使命である、かように存ずる次第であります。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうしますと、このシェアというものは非常に大きなファクターを占めてくる。したがって、このシェアというものをやはり一番に念頭に置かなければならぬ、こういうように考えるわけであります。ただシェアだけでは、こうおっしゃいますけれども、事実上多量につくるところと、そしてほんとうに少ないところ、こうなりますと、これは多量につくるところに押されてしまう。要するに入ってくる鉄というもの、その品物が、これは事実を申しますと、富士鉄あるいは八幡、これによってみな問屋さんが左右されているのです。出さぬでおったらしまいになる。非常に気にしているのです。ですから、ただ机上の調査、それだけではこのシェアは関係ない、こういうようにおっしゃいますけれども、非常に大きなファクターを持っているということを私は申し上げたわけです。したがって、公正取引委員会としましては、このシェアというものは相当重く見なければならぬ、こういうように思うのですが、どうでございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 先般来申し上げておりますように、シェアが一つの要素ではございますが、これを算術的、機械的に運用いたすという気持ちはございません。  先ほど来申し上げましたいろいろのファクターを総合的に勘案いたしまして、判断をいたしたいと考えております。  それから、いま御指摘のございました問屋でございますとか、あるいは直接需要者、これらからも好意的に資料の提供を求めまして、それらを判断の資料といたしておるわけでございまして、単に机上の計算とか机上の判断とかいうことのないように十分努力をいたしておるつもりでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 この問題をあなたといまここでやり合いしてもしようがないから、次に進みますけれども、合併について市場独占率あるいは企業規模、こういうような順位のほかに、次のような該当業界の競争の状況を十分考慮する云々、こういうような通産省と公正取引委員会の申し合わせと申しますか、四十一年十一月、合併に関する通産、公正間の了解文書、こういうものをお出しになっておる。この文書は両官庁のだれとだれの間で調印されたものなのか。あるいはまた現在これが生きておるのか。これをひとつお聞きしたいのです。

柿沼幸一郎公正取引委員会事務局長

○柿沼政府委員 当時の通産事務次官と公正取引委員会の事務局長の間で取りかわされた覚え書きだというふうに伺っております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 この取りかわし書によって、今度の大型合併あるいはまた今後のいろいろな合併についても拘束されるのでしょうか、どうでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これはいろいろな内容を含んでおるわけでございますが、合併に関する限り、先ほど来私がるる申し上げましたごとく、それらの要素を総合的に勘案して判断をいたしていくという点において、私どもの考えはその覚え書きと一致を現在いたしております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そこで、この交換した了解文書ですか、この中の一番最初のところに、競争企業との事業能力の比較、こういうようにはっきり出ておりますけれども、これについての見解はどうでありますか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 その文言、的確には記憶いたしておりませんが、それらも一つの要素になる。先ほど来申し上げておりますように、競争事業者の牽制力、チェック。アンド・バランスをいたす力がどの程度あるか、これを判断いたすときには、むろん基準になるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうすると、この第一の市場占拠率といいますか、この比重、三〇%を危険なる線とすると横田委員長が話しておりましたが、判例を見ますと、たとえば昭和二十六年九月に東京高裁の判決で、貸借契約が銀座地区の映画館総座席数の五七・九%を支配する、そのために実質的に競争を制限することになるとして不許可になっております。こういうことになりますと、この判例で見ますと、シェアを相当な判決の要素にしておるのじゃないかというふうに思うのですが、どうでございしますか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 一つの要素とは相なっておると存じますけれども、それが絶対的なものではございませんで、映画館であると存じましたけれども、その品格でございますとか、上映いたします映画の種類とかいうようなものも要素として勘案をいたしてきめておるわけでございます。先ほど私が引用いたしました昭和二十八年の判例におきましても、いかなる状況に至ってこのような市場支配が成立するものかは相対的な問題で、一律には決しがたしということになっておりまして、逆に申せば、三〇%をこせば当然市場支配になる、そういう判断は適当でないということが判例の骨子であるように存じます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうすると、シェア三〇%というものは危険ラインであるということは、そういう考えがいけない、そういう考えは捨てるのだとおっしゃったのですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 シェア三〇%はどこまでも一応の警戒ラインとして考えるというようなことでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうしますと、この問題はもうすでにこの判例に出たものでございますので、これから大型合併に関係ないわけです。ちょっと各委員の御意見を伺いたいと思うのですが、有賀さん、この辺の御意見をお願いします。二十六年九月の東京高裁の銀座地区において総座席中の五七・九%を支配してしまうからこれはだめだというような判決ですね。そうしますと、こういう大きなシェアを占めるからだめであるというふうに理解するわけですが、どうでございましょうか。

有賀美智子公正取引委員会委員

○有賀説明員 御指摘にありました判例については、その特殊な事情においてのシェアであると私は考えます。特定の事案における――そのシェアは映画館でございますので、先ほど委員長が申されましたように、それの持つ意味が、この場合はその数字に加わっておりまして、フィルムの優秀性であるとか、それから施設の優秀性であるとかということを加味されております特異なケースでございまして、いま一つのケースのほうは、委員長の申されましたのと全く同意見でございまして、たとえ警戒ラインを突破しているからといって、それを一般論として実質的制限になるというように判断することはいけないという高裁の判決も、そういうふうな指示だと思いますので、前後いたしますけれども、前の判例が五七%のシェアというものが三〇%をこしておりますけれども、そのことをもって直ちにいえない、またあとのほうは三〇%をこえているからといって、やはりそれは直ちにいうことはできないので、その特定の状況に置かれた経済の実質、性格から判断をすべきだというふうな指示だと思いますので、そういうふうにいずれの場合でもシェアだけの数字にこだわることは無理ではないかと存じます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 菊池さんのほうはいかがですか。

菊池淳一公正取引委員会委員

○菊池説明員 先ほど来公取委員長が御答弁申し上げていることと同感でございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 この了解文書の中に、企業規模の順位ということがございますけれども、この企業規模の順位というものはどういうものをもってどういう判断でもってきめるのか、こういうことをお聞きいたしたい。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 企業規模の順位と申します場合には、言いかえれば企業力を判断いたす、かように考えております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 企業力というものをもう少し深く立ち入りますとどういうことになるのでしょうか。たとえば資本、売り上げ、その他、当然そういうものが入ってくると思いますけれども、こういうような検討がなされたのかどうか、これをお聞きしたいのです。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 それらの点につきましてはむろん調査をいたしております。当該企業の実力と申しますか、先ほど申し上げました競争事業者としての牽制力がどの程度あるか、こういう点を総合的に判断をいたしておるのでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうすると、わが国で一位、二位といわれるような大きな企業規模の会社が合併するということは相当問題になってくるのではないかというふうに思われるわけでありますが、いかがでございましょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 一位、二位というような算術的機械的なところでは判断ができないと存じます。下位ではございましても有力な企業もむろんあるのでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 欧州の例をとりますと、欧州では案外合併を許しているが、アメリカの例をとりますと、一位と五位というのは合併を許さなかった。したがって、あのアメリカの大きな経済成長があったが、欧州のほうはいささかストップしている。こういう面を考えますと、こうした大きな二つの会社の合併というものによって、今後日本の国の経済成長が阻害されてくるのではないかという懸念もございますが、それはそれとして、次に、ここにございますように競争企業と事業能力、この比較についてはどういう尺度をもってはかられるのかということを聞きたいのですが、どうですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 競争事業者の競争力というお尋ねであると存じますが、これは総合的に競争力を判断いたす、かようなことでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そこで事業による能力、それからこの格差が非常に大きく開いているということは、やはり独禁法第十五条に違反するのではないですか。   〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 私どもの判断の基準は、どこまでも一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるかいなか、この点にしぼって判断をいたしておるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そこで、冒頭に言いましたように、公正取引委員会の使命というものは、自由かつ公正な競争を促進するのだ、これが公取の仕事である、責務である、こういうようにいわれておりますが、あなたもそういうようにお答えになったのですけれども、シェアの問題あるいはまたいろいろの競争力の問題、こういうようないろいろな問題を加味してこれをひとつ――私あまり時間もありませんから、ただ抽象的でなくして、この内示をされておる大型合併、二社大体よろしいという内示をしておるのは、どういう点とどういう点とどういう点がだいじょうぶだから内示したんだと、ここをひとつ明らかにしていただきたいのです。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 合併してよろしいなどという内示をいたしたことは全然ございません。これらの点が法律に触れるということを内示をいたしたのでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうすると、何と何と何が触れるか。要するにこれはひるがえったら、これとこれとこれが触れるのだ、それ以外は触れないのだ、こうなるのです。だからこのひっかかるところの品目というものは、先ほど話があったように三品目、一つは灰色、これが今度の大型合併に対して十五条にひっかかるんだと、こういうふうに内示された。それからその他のはだいじょうぶなのか、こういうことをお聞きしたいのですが、どうでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 これらの品目が法律に抵触いたす疑いが顕著であるということを内示をいたしたのでございまして、その他については何も申しておらないのでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうしますと、今度の内示は、これとこれがぐあいが悪いという内示だけであって、あとの品目についてはこれは内示しない、あるいはまたひっかからない、こうは言えないわけなんですね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 かりに正式の届け出がございますれば、それらについて十分調査をいたすつもりでおります。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 まず私、時間もあれですから、ひとつ結論だけ先に申し上げて、それからお答えいただきたいのです。  公正取引委員会自身は、通産省と公式にかわされた運用基準、これを無視することはいけない、こういうように私は思うのですが、先ほどちょっとお聞きするところによりますと、そういうような条項があったやに思われるとか、通産省とそれから公正取引委員会でかわされた了解文書といいますか、それに対してお答え方が、それはこうだからこうだ、こういうようにお答えがはっきりしていなかったように思います。そういうふうなことがあったやに思われるということは、この通産省と公正取引委員会におけるところの了解文書、これは参考であって、これは別に守らなくていい、こういうことになるのでしょうか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 先ほど私がそういうようなこともあったかに聞いておりますと申し上げましたのは、当時私在官しておりませんで、記録によって承知をいたしましただけでございますので、その辺の事情等をつまびらかにいたしておりませんので、さようなお答えをいたしたのでございます。独禁政策を運用いたしていく上におきましては、それにあえて拘束されるものではございませんが、それと趣旨が同じであります限りにおいてはどこまでも尊重してまいりたい、かように考えております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 じゃ、ここで明らかになりましたことは、一つは昭和四十一年十一月の通産省と公正取引委員会との了解文書、時の通産次官と事務局長ですか、これが調印をしてつくった、こういうことでありますけれども、これはもう参考にするだけであって全然拘束はされない、こういうことなんですね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 当時の時点において取りかわされたものでございまして、その後の状況が変化をいたすならば、これもまた変化をするのが当然ではございましょうけれども、ただ、繰り返して申し上げるようでございますが、独占禁止法を運用いたしていきます上においては、私どもは独立してその職権を行なっておるわけでございます。趣旨が共通である限りにおいてこれを尊重いたしてまいりたい、かようなことでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 じゃ、この運用方針というものは、現在の公取自身の立場に立って考えていることとその当時の四十一年十一月の時点と違う場合、これは必ずしも通産省と公正取引委員会との了解文書というものは尊重しなくていい、こういうことになるわけですね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 先ほども申し上げましたごとく、合併に関して判断をいたします基準については全く同感でございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうしますと、結論として、一応内示をなさった、その内示につきましては、この前私当委員会で、ちょうど学校の先生が問題を教えるみたいなものだというような幼稚な例を引いて申し上げておいたわけでありますけれども、こうした内示というものは、今後の合併について、また承認について、大きな力を持つのか、それともそれはもう全部白紙なんだ、ただ内示しただけなんだ、この点をちょっとお聞かせ願いたいのですが、どうでしょう。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 先般も申し上げましたごとく、入学試験問題を漏らすという例をおあげになりましたが、これは本質的に違う問題であると私は考えておるわけでございます。したがいまして、内示をいたしたということは、当該時点においてはこれらのものは法律に触れるということを指摘いたしたのでございまして、これをどうしろとかこうしろとか、さようなことは一切申しておらないわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 その点はいま明確にお答えいただいたので、よくわかりました。ただし三点目についてはこれはひっかかるぞ――ちょっと戻って悪いですけれども、五品目についてはほおかぶり――ほおかぶりと言っては悪いですが、全然まだ審査してない、こういうように解していいわけですね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 全然調査をしていないということではございませんが、三品目は明らかに法に抵触するおそれがある、かような指摘をいたしたわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 私その点がちょっと納得いかないのです。なぜかといいますと、この三品目については、たとえばレール、こういうのは、富士鉄の釜石工場、これを独立さしてしまう、あるいはどこかの会社にくっつけてしまう、そうしたらこれはひっかからない、こうした作業を容易ならしめていく。これは富士鉄の労組あたりも反対すると思いますけれども、それは別として。したがって、たとえばひとつレールをとりましても、聞くところによると、私鉄の関係もあるから苦情処理も考えておるとか、こういうようなことを考えますと、あの内示というものは、この合併をするための大きな助成といいますか手助けといいますか、そういうようになっておる。そうすると、かりに、あなたが言ったように、それは何とかしてきた、これはひっかからないように何とか整理してきた、ただあとの五品目についてはまだはっきりしていない、これは内示していないわけですね。そうすると、今度はそのうちの三品目がこうなった、次にその五品目のうち二品目はひっかかる、これはあとの五品目はこの二社の一番大きな生産のもとになっておりますから、なかなかすぐにはいかぬと思いますけれども、レールとかほかのものは、はっきり言うとつけたりみたいなものです。私はこの内示というものは非常に今度の合併というものについて大きな手助けになっておる、こういうように思われるわけでございまして、ひとつこの点について公取委員長の御見解をお伺いしたい。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 先ほど来繰り返し申し上げておりますごとく、いわゆる対応策云々は、当事会社が経営責任者として考えることでございまして、私ども公正取引委員会の一切関知するところではございません。したがいまして、内示をいたしました段階において、合併をさせてやりたいとか、あるいは合併をさせてやりたくないからとかいう、かような予断をもって判断いたしたわけではございまん。ただ、こういう点は法律に触れる疑いが顕著である、こういう判断をいたしたわけでありまして、決して合併を容易ならしめるとか、助長とおっしゃいましたか助成とおっしゃいましたか、さような意図は毛頭ございませんということをはっきり申し上げておきます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そういうふうにお答えになると思いましたが……。  そこで、過去に合併を許可いたしました中央繊維と帝国製麻あるいは北海道におけるところの雪印乳業とクローバー乳業、こういうふうなものに対しても内示を過去に与えた例はだいぶございますか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 それらの点はだいぶ古いことでございますので、私その辺の事情についてつまびらかにいたしておらないのでございますが、従来いわゆる行政相談で処理をいたしたケースというものは少なからずあるように承知いたしております。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 それでは、この内示というのは、過去にどれだけの件数があって――これをあなたは、古いことですからいま承知していないと言われたが、これをひとつ出してもらいたい。過去にどれとどれと合併した、そういうときにどれとどれとどれとは内示をした、どれとどれとは行政相談をしたんだ、これをひとつ、一ぺんはっきりしてもらいたいのです。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 いわゆる行政相談のございましたケースはたくさんございます。少なからずございますが、内示というところの段階にまでいきましたのは今回のケースが初めてのようでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 確かにそうでしょうね。だいぶぼくも調べましたけれども、公正取引委員会で内示なさったのは、日本の歴史始まって以来なんても言えませんけれども、ない。したがって、こういう点を見ますと、何らかちょっといままでと違ったケース、こういうように国民が疑惑を持つのは無理がなかろうと私は思うのです。したがいまして、私きょう申し上げたい。いままで全然内示なんかやってない。行政相談をやっている。ですから、この際、この内示というようなことばは、これはもとに戻して白紙にしたらどうですか。行政相談ならいままでと同じ話で、わかると思うのですが、いかがですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 従来行政相談の結果合併を取りやめたケースが少なからずあるので、内示というのも――要するに、内示と申しますと非常にことごとしく聞こえますけれども、行政相談に対する回答というだけの意味でございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そうすると、内示というのは撤回ですね。行政相談の結果を出したというだけであって、内示というのは撤回ですね。どうですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 撤回というのはどういう意味かちょっとわからないのでございますが、要するに行政相談に対する回答でございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 先ほどから委員長のことばの中に、ことばじりをとって悪いのですが、私のほうでは三品目、これは違反になりますよと内示をいたしました、たびたびこのおことばが出ていますね。みな聞いています。あとで速記録を読んでください、出ていますからね。ですから、いまのことばは、あなたを責めて悪いのですけれども、ただ行政相談に対するところの回答だ、いままでと同じだ、こういうようにとって、要するに内示ということばはお取り消しになりますね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 内示ということばは、法律用語でもございませんし、俗に使われておりますので、内示と申し上げておるのでございまして、その意味は要するに行政相談に対する回答という意味である、かようなことでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 いままでの合併についてのことばの中では内示というものは全然なかったのです。今度初めて内示ということばを出した。いままでと全然変わらない、要するに合併に対する行政相談の回答だったのです。そうすると、この件に対しては内示と言うたのは、これはちょっといままでとことばが違うわけですね。だから、内示ということばは一応取り消して、それで行政相談の報告といいますか回答といいますか、こういうようになるわけで、内示ではなかった、結論としてはこうなるわけですね。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 内示という用語を取り消す気持ちは全然ございません。ただ内示とはどういうことかというお尋ねでございましたから、これは行政相談に対する回答の意味でございますと申し上げたのでございます。便宜内示という用語を使ってまいりたいと思います。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 私ごとばにひっかかって悪いのですけれども、内示、内を示す、これは日本語です。大型合併の申請が出た。それに対して内を示した。こうしたらいける、これはぐあいが悪い、これはぐあいが悪いからこうしたらいけるというように示した、内示した、こういうようにみんなとっているわけです。いままで皆さんが公正取引委員会でたくさん審議して、そして行政の回答をした、これとの意味というものは大きな違いなんです。内示ですから、要するに公正取引委員会の、この合併に対するところの、中の状態を示した、こういうように国民は皆とっている。ですからいままでと同じように行政相談に対する回答と、こう言うならば、これは私はこんなに騒がないと思うのです。あなた取り消す考えはありませんなんて言いましたけれどもね。これだけ大きな騒ぎをして、国民がまた物価が上がるのではないか、これによって独占されて。ミルクのかんが、一般の人から言いますと、下がらない。いまもそういう声がある。それになおまた大型合併によってまた上がるのじゃないか。こういうように国民はみんな不安を持っている。だからそんな不安を解消するために、たとえば公正取引委員会というのは国民の味方なんです。要するに競争さして、ものを下げる。国民の立場なんです。もういまのところ国民は公正取引委員会だけが唯一のたよりみたいなもんです。そこが国民の疑惑を持つような内示をしたということばを出した。これを明らかに取り消す――そうではありませんよ、いまあなたから話があったように、あなたがこれはひっかかりますよというような意見を開陳したにすぎない、すなわち回答したにすぎないのだ、こういう先ほどからのあなたの意見ですから、これはひとつはっきりしてもらわないと、ちょっと国民の疑惑は晴れないと思うのですが、いかがでしょう。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 内示ということばを何か内輪を示したというふうに御理解いただいたとすれば、これはたいへんな誤解ではないかと存じます。日本語の普通の用例といたしまして、内示というのは非公式に回答をしたということでございまして、たとえばほかの法律の関係で認可事項がございます場合に、内認可ということばを使っておりますが、これは決してその当該官庁の内輪を示したということではございませんで、非公式な表明をした、こう理解するのが常識ではないか。内示ということばはその意味で非公式な回答、こういうふうに御理解をいただくように、誤解を払拭していくようにしていきたいと思います。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 じゃ、これで最後にあれして終わりますけれども、やれやれと思わぬといてください。いままであなたのほうで審議して回答したものには、内示を与えるとは言わなかったのですよ。今度の分に関しては特別に内示という日本語を使われたわけです。そうすると、大型合併に対する内示だ、こう国民はとる。一般の人はとるにきまっておる。ですから、ただ内示というのは非公式で回答したんだ、どんな非公式な回答をしたのか、こうなります。いままでは非公式の回答というのはなかったはずですよ。いろいろ行政に対するところの相談を回答をした。これだけであって、非公式な回答をした、そんなことはなかった。見てください。ですからそういうあやふやなことを言わぬと、言えば言うほどおかしくなってくる。山田さんのほうも国民の味方やと思う。私も知っています。ですから、もしも内示というようなことを言ったために国民が非常に心配している、こういうのなら、はっきりいままでと同じように、内示ではありません、行政相談に対する回答だったのですよ、これは内示ではありませんよ、こうはっきりしたほうがいいと思うのですが、どうですか。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 従来内示ということばがなかったと申し上げましたのは、非公式な回答を出す段階まで至りませんで、相談の途中において、相談に参りましたものが合併をあきらめて相談を取り下げているために、内示の段階に至らなかった、かようなことでございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 そんなことを言われたらこれはやめられない。いままで全然合併していない、そんな見えすいたことを言っちゃあかんですよ。見てください。ちゃんと出ていますよ。たとえば昭和三十三年十一月一日、雪印乳業とクローバー乳業、この二つが合併している。それ以来この価格は一定ですよ。下がらない。下がらぬのは別として、合併しています。中央繊維と帝国製麻、これも合併しています。いままで合併していなかったからそんな内示を与えるところまでいかなかった、途中で相談に来たのをあきらめた、そんなことを言うものではありませんよ。ひとつこれははっきりしてください。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 私のことばが足らなかったかもしれませんが、合併をしたケースは年間一千件以上にのぼる合併件数がございます。ただ行政相談に参りまして、しかも内示を与える前にやめてしまったというケースが少なからずある、かようなことを申し上げたのでございまして、全部が合併をやめてしまった、かようなふうにおとりいただくと、これは私のことばが足らなかったかもわかりません。合併件数は一年間に一千件をこすほどの件数がございます。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 じゃ、いまのは内示ではなくて、一般の行政相談に対する結局あれだったのだ、回答であったのだ、こういうふうに解してよろしいですね。これを詰めておかぬとちょっとぐあいが悪い。

山田精一公正取引委員会委員長

○山田政府委員 内示という表現はどこまでも、内輪を示したと、かようなことではございませんで、非公式な回答である、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

岡本富夫公明党

○岡本(富)委員 次にもう一ぺん――これはだいぶ残りました。委員長がちょっとやめてくれと言うからこれでやめます、皆さんに迷惑をかけましたから。  また次にもう一度この点は、近江委員か私かでまた何とかして詰めていきたい、こう思います。これできょうは終わります。

浦野幸男自由民主党

○浦野委員長代理 本日の議事はこの程度にとどめます。  次回は、明十二日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時十八分散会

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