商工委員会 第4号
- 発言数
- 374 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/02/28
会議録
○浦野委員長代理 これより会議を開きます。 本日は委員長が都合により出席できませんので、その指名により、私が委員長の職務を行ないます。 去る二十六日付託になりました内閣提出、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○浦野委員長代理 まず、本案の提案理由の説明を聴取いたします。大平通産大臣。
○大平国務大臣 ただいま議題になりました中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。 最近の中小企業をめぐる経済環境は、対外的には、発展途上国の追い上げと特恵関税制度の実施、資本自由化措置の進展等により国際競争が激化し、対内的には、賃金コストの上昇、労働力需給の逼迫を見る等一段ときびしさを加えつつございます。中小企業のわが国経済に占める重要性にかんがみ、わが国の中小企業が、これらの激動する内外の経済情勢に対処してその競争力を強化していくためには、企業の合理化、近代化とともに、業種業態に即した構造改善を進めてまいることが緊要であります。 政府といたしましても、かねてからかかる見地に立ちまして中小企業の構造改善を促進するための施策の実施につとめてまいりましたが、この際、中小企業近代化施策の根幹となっている中小企業近代化促進法に、中小企業の構造改善に関する所要の規定を加え、これに関する施策を総合的かつ重点的に講じようとするものでございます。 次に、改正の要旨につきまして、御説明申し上げます。 第一は、中小企業近代化促進法の指定業種のうちから、その構造改善をはかることが国際競争力を強化するため緊急に必要であると認められるものを特定業種として指定することといたしていることであります。 第二は、この特定業種に属する事業を行なう中小企業者を構成員とする商工組合等は、その構成員たる中小企業者の事業にかかる生産規模の適正化、取引関係の改善等の構造改善に関する事業につきまして、自主的に構造改善計画を作成し、これを主務大臣に提出して、その計画が適当である旨の承認を受けることができるものとしていることであります。 第三は、この承認を受けた計画に従って実施される構造改善事業につきまして、政府は、資金の確保と融通のあっせんにつとめるとともに、租税特別措置法で定めるところにより、課税の特別措置を講ずることといたしていることでございます。 以上が今回の改正の主要点であります。 何とぞ慎重に御審議の上、御賛同賜わりますようお願い申し上げます。
○浦野委員長代理 本案の質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○浦野委員長代理 通商産業の基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤山治君。
○武藤(山)委員 いま毎日、新聞に出ないことはないほど国民的関心が寄せられている八幡、富士の合併をめぐる諸問題について、通産省あるいは公取それぞれの担当局にお尋ねをしたいと思います。 最初に、今度の取り扱いをめぐって、どうも私たち理解に苦しむ点がございます。昨日も社会党は正式に公取委員長に政審会長を通じて申し入れをして、委員長のお答えも新聞にけさ出ております。 まず最初に梅田さん、法律の専門家のようでありますから、あなたにお尋ねをいたしますが、合併しようとする場合には公正取引委員会に届け出なければならぬということが十五条二項に書いてある。今回の合併をめぐって八幡、富士から公取に届け出があったのですか、なかったのですか。
○梅田説明員 まだ正式な届け出はございません。
○武藤(山)委員 正式な届け出ではない。しからばどういう正式でない届け出があったのですか。
○梅田説明員 公正取引委員会におきましては、独禁法に関する相談業務を行なっております。現に独禁法相談所という表示を掲げて、官房がその業務を行なっておるのでございますが、その精神は、違反になったものを見つけたりして是正措置を命ずるという仕事のほかに、違反にならないようにする。もしこれが違反であるかどうかということを相談してきた場合に、それは違反の予防という意味でいろいろな相談業務を行なっておるのでございますが、やはりその一環として本相談があったものと私は理解しておる次第でございます。
○武藤(山)委員 梅田委員のおっしゃる相談所でいろいろチェックしたり指導するという場合は、再販維持価格なりあるいは過度の集中なりという現実に行なわれている姿を、国民から不満や苦情があったり、あるいは当事者からこの程度のことはいかがだろうかという相談があった場合ならいざ知らず、これからどういう被害が起こるかわからない、また国民にどういうマイナスを与えるかわからない大企業の合併の富士、八幡の問題について、その相談所を設置した精神と同じ精神で届け出のないものを公取が先に協議をするということは、私は違法行為だと思うのですよ。こういう合併の問題を届け出がないうちに審査をするという法律的根拠は何ですか。法律上の何に基づいてそういうことができるのですか。明らかにしてください。
○梅田説明員 法律上の根拠というまことに鋭い御質問と思います。それは直接の条文は、私、ないと思います。しかし、公取の行政事務として違反を予防するという仕事は、これは公取の職務の中に属すると私は考えております。そういう意味におきましての理談、こう私は理解しておる次第でございます。
○武藤(山)委員 法律的根拠がないのにこういう大合併の問題を事前に協議するということは、これはしろうと考えでいうならこういうことじゃないですか、梅田さん。大学受験生がいよいよ試験が明日だ、その場合、前の晩暮夜ひそかにあしたの答案はこういう中身だぞと教えてやるにひとしいような行為じゃないですか。今度の場合はそうじゃないですか。やみ取引じゃありませんか。あなたはどう思いますか。
○梅田説明員 入学試験の前に問題を漏らすという場合と本件の場合とは同じではないかという御趣旨と思いますが、予防という意味で、こういうことをやりたいのだけれども、全部資料を添えまして、これが違反になるかどうかということを教えてもらいたい、公取といたしまして、違反であれば違反である、違反であるものを違反でないというふうにお答えするわけではございませんので、おあげになりました例と本件の場合とではいささか違うのではないか、こう理解するわけでございます。
○武藤(山)委員 私はその精神のことを言っているのです。それはものごとの性質が全く違う問題ですから、違うという答えは正しいと思う。しかし、そういう場合のケースに当てはめて国民は判断しますよ。たとえば届け出が正式にないのでしょう。ないのにもかかわらず、こういう点とこういう点とこういう点をこうすれば君は合格だよということを事前に教える、事前に教えるわけでしょう、新聞を見ていると。しかも二十四日に公取委員長は、事前に教えた内容を国民に明らかにした。しかもそれはあなたのいまの答弁では法的に別に基づいていない。それではやみ取引じゃないですか。しかも事は小さな問題じゃないのです。とにかく日本の産業界あるいは国民の生活、物価の問題、いろいろな角度から国民が関心を持っている大問題なんです。そういう大問題をそういう軽率な取り扱いで一体法的にいいのかどうかということです。あなたは検事正までやった人で法律の専門家だが、経済の問題を全く無視した形でこの問題が委員会の中で議論されるとたいへんだから私は聞いているわけです。法律の専門家が法律上きちっとした根拠がないのにこういうことで委員会をどんどん進めていっているというこの態度は私は間違いだと思うのです。あなた全く間違いないとここでもって大みえを切れるのですか。先ほどは法律的根拠は、はっきりしたものは説明できないわけでしょう。だからこれはどうもやみ答案を指示している。これは公取として自殺行為ですよ。やるべきでない行為ですよ。どうですか。
○梅田説明員 当事会社が内相談の結果に基づきまして直ちに合併ができるわけではございません。合併をするためには、御承知のように届け出を必要といたします。届け出がありますれば、これは正式の独禁法の手続にのるわけでございます。それで、三十日以内に公取が何らの意思表示をしなければ合併が有効に成立するわけでありますが、その際に公取といたしましては、各種の手続を経まして結論を出すわけでございますから、それが正式の公取の決定ということになるわけでございます。ですから、ただいまの内相談に対する内示と申しますか、答えは、これはあくまでも合併してもよろしいという最終的な決定ではないのでございます。
○武藤(山)委員 そんな形式論は、私は法律を見れば、届け出をして審査を正式に受けなければ最終決定でないくらいのことはわかっております。そういう最終決定が出る前に一定の予見を持って、合併を認めていくんだという方向で、しかも事前審査でもってそういう結論を国民に明らかにするような態度は、公取としてはとるべきでないと思うのです。今後もこういう方向をとるのですか。こういう方針は間違いで、こういうやり方は間違いだったという反省の気持ちは全くないのですか。今後もこういう方向で、事前審査で、君のところはこれとこれをこうやってくればこれは審査で通るよと、そういう答案を教えてやるのですか、今後も合併の審査は。
○山田政府委員 先ほど来お尋ねでございますが、入学試験と比較してお話がございましたが、入学試験の問題とは本質的に違う問題である、私はかように考えております。と申しますのは、もしもかりに公正取引委員会におきまして、何かカルテルの疑いがあることを探知いたしました場合に、それを立ち入り調査をいたす前にこういう問題点があるというようなことをかりに漏らすようなことがございますれば、それは証拠を隠したりするようなことになりましょうから、入学試験のたとえばこれと合致いたすと思うのでございます。ところが、合併の申請、これはいわば——卑近な例で必ずしも適当でないかもしれませんが、環境衛生立法によりまして、ある一定の飲食店などを営みます者はこういうような調理場の設備がなければならないということが定められております場合に、初めから認可の申請をいたすというと、設計や何かすっかりやってしまってから法律に触れるということでは困るので、事前に、大体こういうような設計では触れるでしょうか、触れないでしょうかと、こういうような相談があるのに対して回答を与えるというのは、これは行政上自然なことであります。それで私どもが内審査ということを考えておりますのは、そういうような行政相談の意味合いと、それからもう一つは、法律上の、第四十条に、公正取引委員会は、法律に抵触するおそれがあるということを探知いたしました場合には、積極的に調査をいたします権限及び責任を持っておるのでございます。この二重の意味合いにおいて内審査なるものをいたしておるのでございます。それから何か予断を持って、こういうことをなにしてくれば合併を認めてあげましょうなどというような気持ちは全然ございません。正式な届け出があったときにだけ、正式な手続において判断をいたすというたてまえでございます。何ら予断を持っておるものではないということをはっきり申し上げておきます。
○武藤(山)委員 予断を持っている云々の問題については、二月二十五日のあなたの新聞記者会見で語った問題についてまた少し質問いたしますから、あとでひとつやりますが、今度は行政上のそういう相談に入ったのだというが、要請があったわけですね。いつ幾日どこから要請があったか、またどういう要請があったか。
○山田政府委員 日付は忘れましたが、八幡、富士の両社長が公正取引委員会に参りまして、こういうような合併をいたしたいと思うがいかがであろうか、こういう相談を受けたわけでございます。
○武藤(山)委員 そうすると、その要請を受けて以来、先ほどの梅田さんの答弁ではあまりはっきりしないのでありますが、八幡、富士の両社から資料の提出を求め、資料を提出させたのか。それから四十三年八月の何日でしたか、「合併について」という文書を八幡、富士で発表しておりますね。この文書程度でそれ以上詳しい資料というのは事前審査の段階では両社から何も取り寄せていないのですか、それとも資料を取り寄せて検討したのですか。
○山田政府委員 昨年の六月二十四日に両社に対しまして関係資料の提出を申しつけました。その資料が提出されましたのが七月二十五日でございます。なお、両社からの資料にとどまりませんで、私どものほうでは関連競争業者、それから当該商品を需要するところのユーザーの意見も徹底的に調査をいたしたわけでございます。
○武藤(山)委員 通産大臣、この合併問題をめぐっていろいろ新聞に論評や、あるいはきのうあたりの夕刊では、鉄は国家なりということばがいまでも通用するような今回の取扱いの態度だという皮肉の記事も出ておりますが、通産官僚で八幡、富士関係に再就職している人数はどのくらいありますか。
○大平国務大臣 ちょっと調べまして御報告いたします。
○武藤(山)委員 いろいろ話によりますと、八幡、富士に通産官僚でいままで行っている役員のかなりの数がおるように承っておりますが、これはあとで一覧表にして、どういう役職についていて、通産省ではどういう地位におったか、それをひとつ明らかにしてもらいたい。 それから大臣、この問題については通産省がかなり合併させようという既定方針で会社側にまた公取に要請をしておるのではないか、同時に、大会社であるために公取がどうも気がねし過ぎて必要以上に会社側のぺースでものを考えておるのではないか、ある新聞などでは、単なる圧力だけではないじゃないかとまで報道しておるのもありますが、そういう誤解をこの際解かないでそのまま結論を出すということは、国民に非常な疑惑を与えると思うのであります。通産大臣は、そういううわさについて、新聞で書いているようなことについてどういうお考えを持っておりますか。
○大平国務大臣 独占禁止法の運用は公正取引委員会の御所管でございまして、私どもがとやかく言うべき筋合いのものではありません。私どもは、仰せのように八幡製鉄、富士製鉄と産業行政をやっている立場で関係を持っておりますがゆえに、もしこの問題について私どもが何かの発言をするというようなことになりますと、いま武藤さんのおっしゃるように、あらぬうわさや誤解を招くおそれがありますので、私をはじめとして通産省は、非常に神経質なまでに注意をいたしまして、こういう問題につきまして一切意見を申し上げない、それがほんとうの礼儀でもありますし、そのように終始してきたつもりでございます。その点非常に慎んできたつもりでございまして、もしそういう厘毫たりとも誤解がございますならば、それはひとつお解きをいただきたいと思うのであります。
○武藤(山)委員 通産大臣は、二十五日の新聞に報道されておりますように、二十四日の午前九時次のような談話を発表した。この前堀先生もちょっとこれを指摘しましたが、その中で、公取から指摘された問題点について考えるべき点は何かを「至急検討し、」——至急検討する、もう四、五日たっていますから至急の中に入っていると思うのです、きょうは。さらに「前向きに取り組んでいきたい。」この場合の至急というのはいつごろまでで、前向きとは何を意味しているか。前向きというのは合併ができるような姿勢でという意味なのか、それとも消費者やいまの価格の問題に悪影響を与えるか与えないかということについて、与えないという意味が前向きなのか、この「前向きに取り組んでいきたい」という意味がよくわからないのであります。それともう一つは、至急に検討するというのですか、どういう検討をなされたか、ちょっとその結果を発表してください。
○大平国務大臣 御指摘の日に公正取引委員会から一つの判断がもたらされた、そういう通告も私どものほうへ受けました。そこで指摘された問題点につきまして、第一は、まず当事者である八幡、富士両社が指摘された問題点の解消策をお考えになるべき性質のものであろうと思います。そうしてそれを行なう上におきまして、通産行政にかかわる面があるかないか、つまり私がそこで申し上げているのは、あるかないかを至急検討しというのは、指摘された問題点について両社が解消策をいろいろお考えになる場合に、当然のこととして、私どもの産業行政にかかわるものがあるかないかを至急検討するという意味でございます。 それから前向きということでございますが、うしろ向きに検討することはないのでございまして、すべての問題は前向きでございます。それはどういう意味かと申しますと、私の気持ちは、公取から示された判断に対しまして両社がきびしく解消策を講ずることを期待しております。で、こういう独占禁止法という基本の秩序を守る法規でございますから、それからまたこれだけ世上問題になっておる問題でございますから、したがって、両社も真剣に誠実に対応策をお考えになることでございますから、私どもも、その対応策をお考えになるにあたりまして、もし通産省側で産業行政にかかわるものがございますれば、当然前向きに誠実に考えるのが私どもの責任であろう、そういう考え方を談話で発表したわけでございます。
○武藤(山)委員 そうすると、産業行政の中でかかわるものがあるかないかということの検討は、いつごろまでに一応結論を出すのですか、調査が終わるのですか。
○大平国務大臣 当日事務当局にそのように命令をいたしておきましたから、せっかくいま検討しておることと思いますが、目下私は、もう国会に全部の時間を吸収されておりますので、まだ報告を受けていないのでございますが、いつごろまでのめどで考えたらいいかという点については、いまの時点では私はまだはっきりとした判断を持っておりませんで、報告を受けた上でひとつ判断をしてみたいと思っております。
○武藤(山)委員 大臣は両者がきびしく解消策をとることを期待してああいう談話を発表したのだという。そうすると大臣の御判断は、公取が指摘したあの三つの品目について、ああいう解消策がとられれば、鉄鋼のいまの業界の状態から見て大型合併したほうがいいのだ、そういう個人的な見解でしょうが、八幡、富士が合併したほうが鉄鋼業界のためにいいのだという御判断なんですか、大臣個人の見解は。
○大平国務大臣 個人の見解と申しますよりは、通産行政をあずかる責任者としまして、いろいろな面を考えておかなければいかぬと思うのでございまして、率直に申しますならば、一般論としてたびたび私も本委員会で申し上げておるのでございますけれども、わが国の企業の体質強化、これは私どもが鋭意努力していかなければならない政策目標でございます。これは合併ばかりで届く、分離もありましょうし、いろいろな形の、構造改善、協業化、共同化、あるいは業界ぐるみでやる場合も、個々の企業でやる場合も、非常に多面的な、そしてメーカーばかりでなく流通界におきましても、そういう体質の改善強化、これが私どもの任務であろうと思っておるわけでございます。ただし、こういう産業の体質改善政策を推進してまいりますためには、いまの独占禁止法をはじめ、その他わが国の法制の限界の中でやらなければいかぬわけでございます。野放図にやっていいというわけでないので、その点は十分心得て、そのワク内において鋭意やってまいらねばいかぬわけでございます。したがって、この両社の合併が、そういう意味で独占禁止法の秩序の中で許されますことは、私として望ましいと思うております。 それから第二点といたしまして、合併をするにしても分離をするにいたしましても、どうするにいたしましても、産業界は産業界として自主的にいろいろな考え方があるだろうと思うのでございます。自分のほうは合併したらいいとか、自分のほうは分離して専門化していったほうがいいとか、各産業界にはいろいろ自主的な創意があって、私は、行政の基本はやはり産業界の創意を尊重して、ダイナミックな展開を保障するような産業行政でありたいと思っておりますから、そういう意味で、両社の意見がたまたま合意して、そういう方向にみんなでやろうというような機運に向いたならば、それが与えられた法的規制の中で許されるものでありますならば、それが実りある結実を見ることは望ましいことではないかというように考えております。
○武藤(山)委員 そうすると、大臣の論理を進めていくと、業界が大型合併をしようという希望があればそれを支持していく、尊重する、業界の自主的判断というものに通産省はあまり差し出がましいことはしたくない、尊重するということはこういう意味なんですね。そうなると、八幡、富士が合併をし、やがて川鉄や住金がそれぞれ合併をして、日本には超大型製鉄会社が二つくらいになるほうがよりいいのだ、こういう議論にまで発展をしていく、いまの大臣の見解を推し進めていくとそういうことですか。そういうことまでも、業界が望めば通産省としては尊重する、こういうことですか。
○大平国務大臣 なかなかそういうぐあいにはならぬと思いますけれどもね。合併に踏み切るなんというのは容易ならぬ決断であるし、それだけの固有の条件がそれぞれのケースにおいてあると思うのでございまして、武藤さんがおっしゃるように、この合併がかりに認められた場合に、せきを切ったようにとうとうとそういう傾向が出るとかいう議論も、この委員会でも、そういう懸念がありはしないかというのでありましたけれども、私は、そんなに甘く見ていない。私は、そんなことはないだろうと思います。 それから、私がいま申し上げたのは、業界の自主的な創意を原則としてできるだけ尊重する、それは、与えられたいまの法制のワク内におきまして、また私どもの産業政策上の見地から申しまして、公益を守っていかなければならぬわけでございますから、産業行政上いろいろ制肘を加えなければならぬ場合もそれは当然あるわけでございますけれども、そういういろいろの条件はありますけれども、基本的には業界の自主的な創意というものは尊重して考えますことが、経済の効率を維持していく上において賢明な策である、そういう考えを申し上げたわけです。
○武藤(山)委員 あとで占有率の問題には論及しますから、いまこういう手続的な大ざっぱな質問をしているわけでありますが、もしこの富士、八幡が合併を認められるというような事態になると、もしアメリカのGMなりフォードなりの大会社が日本の大企業と合併をするというような希望が出てきた場合、また業界もそれを望んだ場合は、もうそれは、八幡、富士の合併と同様に、大型化は国際開放経済体制の中では当然なんだからと、こういうことでチェックできない、こういうことになりますか。それとも、それはチェックする法律は別にあるのですか。
○大平国務大臣 直ちにはそういうことにはならぬのでございまして、外資法という法律によりまして外資が日本に入ってくる場合を規制いたしております。そこで、その関門をくぐりまして日本に入ってきた外資等につきましては、これは日本の内資と同様に国内法規の規制を受けることになると思うのです。 そこで、合併が体質強化のために望ましいからというて、それじゃ沖繩は外資がどんどん入ってくるのを認めるのがいいと思うのか、おまえはそう思うのかということですが、私はそんなに乱暴には考えておりませんで、日本の産業の実態をよく見ながら、外資の提携は認めてもいいという種類の、そして程度のものであれば認めていいと思いますけれども、これは外資法の堅牢な関門がございまして、十分そこで吟味すべき問題であろうと思います。
○武藤(山)委員 しかし、その外資法の規制も、やがて完全資本自由化になってくれば、そういうものをチェックするということがだんだん許されなくなってくる。それで、八幡、富士のようなシェアの高い企業が合併することを国内法でチェックできないということになれば、これはやはり国内法が当然適用されるようになるのでしょうから、私はこれはたいへんな前例をつくることになると思うのですよ。そういう点で、この合併というのはほんとうに慎重を期さなければならぬ。大体大臣の判断が間違っているのですよ。八幡、富士が合併すれば体質が強化される、改善される、こう一口に言うのでありますが、それはどういう具体的な見通しがあるのですか。どういう点からそういうことが言えるのですか。
○大平国務大臣 それはまあ両者が合意して合併という意向を固めたと思うのでございますが、それはおそらく一つには、技術開発力の強化、あるいは重複輸送を整理するとか、あるいは管理コストを下げるとか、設備投資の効率を上げるとか、いろいろなことを彼らとしては頭に置いてそういう決意を固めたのではないかと思うのでございまして、その限りにおきまして体質の強化につながるということは、私だけでなくて、武藤さんも御理解いただけるんじゃないかと思います。
○武藤(山)委員 いや、それは八幡、富士の出した「合併について」という四十三年八月の文章ではそう書いてある。しかし、この文章を一つ一つ中身を吟味したら、そんな簡単にその会社が言うようなことをうのみに承知するわけにいかぬ項目ですよ、これはみんな。それについてはもうすでに経済学者も何人もが一つ一つこれに対する論証をしていますよね。反証もあげていますよ。かえってそれだけの大型化になることによって非常なロスが起き、しかもいまの八幡、富士という規模で十分国際競争の中でも太刀打ちできるんだ。 局長にひとつお尋ねしますが、八幡、富士は世界じゅうの製鉄会社と比較して何番目ぐらいにあるのですか。八幡は何番で富士は何番目ぐらいなんですか。
○吉光政府委員 統計の比較が非常にむずかしいわけでございますけれども、日本の場合は最近の統計によりまして、なおアメリカ、ヨーロッパ等の場合におきましては入手し得た一番近い時期というところで比較さしていただきます。八幡が全粗綱生産の順序でいきまして世界の中での第四位でございます。それから富士が第五位でございます。
○武藤(山)委員 通産大臣、八幡、富士は合併をしなくとも世界の四位、五位の企業ですよね。たとえば電機メーカーにしたって、東芝や日立やナショナルや、日本独自のそれぞれの企業で十分とにかく採算ベースに合い、体質も強化し、非常に合理的な経営をやって、収益率も非常に高い。現実に日本にそういう企業はあるわけですよね。日本の企業の中で、世界四位、五位の規模を持ち、生産量を持ち、そういうものがさらに合併をすれば、さらにさらによくなるんだという保証はないんですよ。今度の合併の動機でこの会社が書いている文章というのは全く矛盾の多い文章で、最初のほうで言っていることとうしろのほうで言っていることとは全く矛盾撞着している。前のほうでは、合併を決意した背景の中では、国際競争にたえられる大型化が国際上のいま要請なんだ、趨勢なんだ、だからやるんだ。今度はうしろのほうで、管理価格が生まれやせぬかという心配については、川鉄や住金があるから心配ないんだ、これが十分われわれと競争する相手なんだ。小規模ですよね、二つの合併した企業からいえば非常に小規模ですよ。そういう自分たちの都合のいいような文章にしてこの「合併について」というものがつくられている。こんなものをこのまま検証しないでうのみにするような通産省であったら、私はもう通産省の存在意義はなくなるのじゃないかと思うのですよ。そこまで極論したいのです。だから、これは一つ一つ十分実態を検討して、この文章が事実に合致するのかしないのかということを十分ひとつ見通されて通産省の見解を出してもらいたいのです。これがなるほど会社の言うとおりならとおりで、そういう証拠を一応文章にしてこの委員会に出してもらいたい。これから公取でもって審査をされる段階が長く続きますから、われわれの討議材料にひとつお出しいただきたいと思いますが、いかがですか。
○大平国務大臣 言論、報道の自由が保障されているわが国でございますから、この問題につきましても論壇でいろいろ議論がかわされておることを承知しておりますし、それはまたいいことだと思うのです。活発に議論されて、武藤さんの御指摘のようにいろいろな批判があることは、これは非常に有意義なことだと思います。われわれは産業政策の上からどのように評価するか、その答えを出せということでございますから、それは私として用意いたしてみたいと思います。ただ、武藤さんに私申し上げておきたいのですけれども、あなたのお話を聞いておりますと、大型の合併は悪である、よくないことじゃないかというようなお考え方がどこかにひそんでおるのじゃなかろうかと拝察するわけです。しかし、日本のいまの法制のもとで、大きな合併はいけない、小さいのだったらいいというような法制はないのでございます。お互いが了解して、いまその秩序の中で生きておるわけでありますから、したがって大きかろうが小さかろうが、いまの法制に触れない限り、合併の権利はあるのだと思うわけでございまして、それの最終的な判断はやはり株主総会その他企業を所有した機関がいろいろ判断すべきものでございまして、官庁にいたしましてもまた論壇にいたしましても、いろいろな評価を加えたり論評をしたりいたしますけれども、いまの許された法制の中での最終的な決意は、やはり株主総会がきめられるというのが私は秩序じゃないかと思います。
○武藤(山)委員 それは大臣、程度の問題です。なぜ八幡、富士の問題をこれほどわれわれが問題にするかというと、やはりシェアの問題なんですよ。大臣、一体八幡、富士のいまの生産品のシェアなんというものは幾らか頭に入れてあるのですか。それからもう一つ、私は、委員の中の梅田さんは法律家として出ておるようですが、これは法律的な立場だけでこの合併問題を審査するとしたら、たいへんなあやまちをおかすと思うのです。シェアのことなんかは幾らかあなた自身の頭の中にあるのですか。八幡、富士が合併すれば、いまのシェアよりさらにずっと高くなるということをあなたは頭に置いてこの問題を考えておりますか。
○大平国務大臣 シェアの話がございましたが、幾ら幾らのシェア以上であると合併がいけないとかいいとかいうようなことがないことはあなたよく御承知のとおりで、これはあなたが程度の問題だというその程度は、結局の判断の基準は、独占禁止法十五条の判断に待たなければいけない。そのことがまさに公正取引委員会がいま衆知をしぼって判断をしておるところだと承知をしておるわけでございまして、どの程度かという基準というのは、いまの法制のもとではそこにあると私は承知しておるわけでございます。どの品目がどれだけのシェアであるか、幾ら幾らの、何%以上のシェアはいけないというような法律はどこにもな いわけでございまして、これは法治国家でございますから、論議は公明にやらなければいかぬと私は思います。
○武藤(山)委員 法律で何%という規定はないけれども、公取というのはいままでの指導の判断の基準は大体三〇%をこえるものくらいをややのめどにしておいて議論してきた。しかしこの間山田委員長は、必ずしも三〇%にこだわるものじゃないと言われた。その幾らかの上がり下がりはあるでしょう。しかし八幡、富士がいまの状態で合併した場合のシェアはどうなるかということは、私が言うより局長に言わしたほうがいいと思うのでありますが、局長、主力製品のシェアが合併した場合にはいまよりもずっと上がる。かりに四十二年度ベースでもいいですから、どういうことになるか、ちょっと明らかにしてください。
○吉光政府委員 粗鋼生産全体でのシェアで御説明申し上げたいと思います。 四十二年度におきまして、八幡の粗鋼生産シェア一八・六%、富士が一七%でございます。日本鋼管が一一・四%、川鉄二・六%、住友金属一一・六%、神戸製鋼五・四%、以上一貫メーカー六社の合計で七五・六%でございます。あとは他のメーカーがつくっておるものでございます。したがいまして、全体の中で八幡、富士の粗鋼生産に占めますシェアは三五・六%というのが四十二年度の実績でございます。
○武藤(山)委員 粗鋼では三五・六%ですね。それでは従来の、四十二年度の生産実績で見た場合——資料はありますね。鋼矢板、冷延電気鋼帯、ブリキ、レール、大型形鋼、これは一体どういうシェアになっていますか。さらにそれが合併した場合はどうなるかも聞きますから、それもちょっと発表しておいてください。
○吉光政府委員 まず重軌条ということになっておりますが、重軌条という統計の中で八幡が六六・八%、富士が二〇・一%、合わせまして八六・九%、ただしこれは重軌条という範疇でございますので、そのうち国鉄、私鉄向けの本もののレールにつきましては、両社で一〇〇%生産しております。 それから鋼矢板でございますが、八幡が六一・二%、富士が三四・八%、合わせまして九六%のシェアでございます。 それからブリキでございますが、八幡が三九・五%、富士が二四%、合わせまして六三・五%でございます。 鋳物銑でございますが、鋳物銑につきましては、両社計の資料だけ持っておりますから、両社計だけ御披露させていただきますが、五一.五%でございます。
○武藤(山)委員 いまの数字を聞いただけでも、大臣、これはたいへんな占有率ですよ。レールに至っては一〇〇%、鋼矢板が九六%、さらに鋳物が五一・五%、それ以外に大型形鋼そういうものをずっと見ると、みんな六〇%以上です、これでも独占といわぬかどうか。 さらにこれに下請、系列の会社ですね。系列の会社を含めて富士、八幡の独占率、これは発表できますか。現在系列会社をも含めた占有率はどうなるのかということを調べてありますか。
○吉光政府委員 私どもでいまの系列ということをどこまで判断するのかというふうな点もございまして、むしろ今回の審査にあたりまして公正取引委員会のほうで詳細な調査をお持ちだと思います。通産省と公正取引委員会で数字の突き合わせをやっておりませんので、したがいまして、最終的に判断されるに至りました数字等につきましては、私のほうでは私のほうの独自の立場の数字でございますので、必ずしも一致しない点があるかと思います。
○武藤(山)委員 公正取引委員会では、系列会社を含めたシェアはわかりますか。
○山田政府委員 現在まだ正式の届け出が出ておりませんので、はっきり申し上げるわけにはまいらないと思います。
○武藤(山)委員 それでは系列会社と思われる会社の名前をちょっと言いますから、それは系列に入っておらぬというものだけ指摘してください。それであとでぼくのほうで数字を申し上げます。 日新製鋼、大阪製鋼、愛知製鋼、大谷重工、大谷製鋼、トピー工業、昭和製鋼、中部鋼板、東海鋼業、日本砂鉄鋼業、三菱製鋼、関西製鋼、国光製鋼、大同製鋼、大鉄工業、大阪造船、大日鋼板、大洋製鋼、東洋鋼板、淀川製鋼、この中で系列会社でないと思われるものがございましたたら、ちょっと指摘してください。
○柿沼政府委員 何を系列会社と申すかということにつきましては、系列会社を判定する各種の指標があろうかと思います。ある場合は、資本金、ある場合は役員派遣、ある場合には原料の供給というような各種資料があるかと思うわけでございますが、今回の合併審査にあたりましては、ある程度そういった関連の調査もいたしておりますけれども、これは先ほど委員長も申しましたように、当事会社の任意に提供した資料、ないしは好意をもって他の関連企業から提出された資料でございまして、中には非常に営業上の秘密に属する資料が含まれておるわけでございますので、現段階において私どもから申し上げるのは適当ではないというふうに考えております。
○武藤(山)委員 これは通産省でもわかるわけですから、あとで富士の系列会社、八幡の系列会社、資本金、生産高を一覧表にして早急に作成して委員会に配付を願いたい。事務当局どうですか。シェアもその一覧表に入るようにしてください。
○吉光政府委員 資料は取りまとめまして御提出いたしますけれども、ただ、いまの御質問の中の系列というのを出資会社というふうにいたしますと、実は出資会社は八幡につきましては三百九十二社あるわけでございます。これはもちろん銀行なんかも入っておるわけでございます。富士にありましては三百三十五社出資をいたしておりまして、その出資会社のうち出資比率が五〇%以上のもの、これが八幡につきましては二十八社ございます。それから富士につきましては十八社ございます。系列会社というのをどういうふうな形でつかまえてお出しするかという点につきまして、後ほどまた御指示をいただきたいと思います。
○武藤(山)委員 それはあとでひとつ資料の項目は相談をしてお願いしますから、ぜひ出してもらいたい。 大臣、いま私が読み上げたわずか二十社がかりに系列会社だと学者の調査で明らかにしている数字でいっても、この系列会社を含めますと、冷延鋼板とコイルは六三・二%、大型形鋼が七五%、厚板が四三・六、レールに至っては一〇〇%だ。こういう状態では独占的製品をつくる会社になるということはあり得ませんか。独占的製品をつくる会社になってしまうということだけは言えるでしょう。どうですか、大臣。
○大平国務大臣 そういう問題であるからこそいま公取のほうで御審査をいただいておると承知しております。
○武藤(山)委員 したがって、これほどの大きい合併、八幡、富士の問題が、初めから合併が好ましいんだという前提に立って審議をするということは非常に危険だということを私は最初から言わんとしているわけです。大臣は何か業界の自主的な意見で、それは尊重して産業行政をやっていけばいいんだ、こういう判断のようだけれども、それよりか、こういう実態がわかっていれば、必ずしも山高きがゆえにとうとからずと同じように、企業大なるがゆえにいいのだという単純な判断で合併を認めるようなことは間違いなんだ。とにかくこういう独占的製品をつくる会社になることは明らかなんだ。しかも二位以下のメーカーとの差が非常に大きくなる。二位以下との差が非常に大きくなりますね。それは認めますね。二位と、今度の八幡、富士の格差は非常に大きくなるということは大臣認めますか。
○大平国務大臣 それは当然そういう数字になると思いますが、それが実質的に競争の制限になるかならぬかということについて公取の御審査をいただいておると承知しております。
○武藤(山)委員 そうなれば、一位と二位の差が非常に大きくなれば、価格に対する管理能力というか管理力というか、その大会社のほうが価格を決定する管理力というものを持つということは経済の原則だと思うが、大臣それはどうですか。
○大平国務大臣 その点はこの前から予算委員会でもずいぶん議論しておるところでございますが、もともと管理価格理論というものが確立したものでないことはあなたも御承知のとおりだと思いますし、それから現実に日本の経済の実態の中で、あなたが言う傾向がそのままそういう姿において働いておるかどうかという実態の究明がまずなされなければならぬじゃないか。われわれは科学的な実証精神をもって、この間堀委員の指摘されたように、やらなければいかぬとするならば、実態究明を手間をかけてやらなければいかぬのではないかと私は思うのでございまして、私どものほうでもいろいろそういう点を勉強した者がおりまして、必ずしも寡占形態になると管理価格になるという傾向は読み取れないばかりか、皮肉にも寡占形態になればなるほど、超寡占形態に移れば移るほど価格が下がっておるというような傾向が——これはそれがお気に召すかどうかは別として、事実ですからそういうことを申し上げておるので、現実にそういうことで実質的に競争の制限になるかならぬかという実際的な判断がなさるべきじゃないかとぼくは考えるもので、賛成とか賛成でないとかいうのではないのです。
○武藤(山)委員 公取のほうと大臣と、あとでそういう科学的な調査の結果をまた委員会に出してもらって、堀さんがこの前ここで自然科学的な究明方針と社会科学的なものの把握のしかたに触れられて、大臣は、自然科学的な把握のしかたが少々足りなかった、今後はそういう方向でやらなければいかぬと思うという見解をここで述べた。堀さんの言うような自然科学的な調査をしたい。その調査の結果をわれわれは待って十分ひとつ大臣とは論争したいと思いますが、きょうは時間がありませんから、公取のほうにその次にお尋ねします。 梅田さん、法律家として、独禁法第一条に書いてある事業支配力の過度の集中を防止するという法のねらいはどういう意味だと理解されますか。
○梅田説明員 「事業支配力の過度の集中を防止して、」ということは、結局その次の「結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、」云々というところにつながるものと私は理解いたしております。
○武藤(山)委員 それは確かに法律的な解釈が、刑法でいってもあなたは専門家ですから、かりに犯罪が起こっても犯意がなければこれは免責されるというような解釈で、純粋の法律の解釈だけでいけば、法律の目的の理解のしかたというものは、私は非常に曲がった解釈が行なわれると思うのです。問題は、ここは経済的な側面から合併の問題というものを、この法律を忠実に生かすという観点でものを見ないと、大きな誤りをおかす。そこで私は、この第一条の「事業支配力の過度の集中を防止して、」このこともとにかく一つの目的なんですよ。同時にそれが結果として、その次のあなたがいま言う「生産、販売、価格、技術等の不当な制限」になるかならぬかということとセットになって解釈するのが法の解釈でしょう。しかし、いま私が指摘し、局長が答えた筋から見ても、事業支配力というものが非常に集中されることだけは明らかでしょう。この点はあなた、認めますか。
○梅田説明員 集中されるかどうか、これは判断の問題でございますが、ただいまお話のありましたように、いわゆるシェアでございますか、それがかなり高くなっておるということは歴然たる事実でございます。
○武藤(山)委員 そうすると、シェアがべらぼうに高くなって二位との間に非常な格差が生まれると、経済学的にあるいは経済の実際の動きから見て、価格に対する管理力というものがつくことはあなた認めますか、認めませんか。やる、やらないじゃないですよ。管理価格をつくって操作している、していないという事実の問題ではなくて、管理力というものが八幡、富士につくことは認めるか認めないか。
○梅田説明員 管理力がつくかつかないか、管理ということにつきまして、その管理をどう見るか、どう位置づけるかによって私のお答えが変わってくると思うのでございますが、一般に管理価格と申されておるのを、私の理解によりますれば、価格が自然と動かない、そういう状態を管理価格、こういうふうに読み直しておるんじゃないか、私はこう理解するわけでございます。それにはいろいろ原因がございましょうけれども、そういう状態ができるかできないかということにつきましては、これは公取といたしましては、価格を管理するという観点では考えはいたしませんので、やはり実質的制限になるかという、そういう角度から考えておるわけでございます。その結果、実質的制限になるその状態、それが一種のあるいは管理価格かもしれません。ちょっと考え方が逆でございますが、その程度で……。
○武藤(山)委員 問題は、たとえば高位安定的価格、低位安定的価格、価格にいろいろありますね。ところが、いままで八幡製鉄の製品は非常に価格の変動が少ないのですね。いわゆる安定しているわけですよ。労働生産性が非常に高くなり、コストダウンができるにもかかわらず、生産費が下がったにもかかわらず、値段の点は非常に動きが小幅である。いわゆる安定的に推移している。これはやはり管理力があるからじゃないですか。これがもし競争がうんとあるなら、そういう変動幅というのは非常に大きくなるわけです。だから、たとえば二十五日の新聞に一斉に八幡、富士の需要業界の意見がずっと出ています。たとえば自動車業界あるいは製かん、かん詰め、鉄道、みなこう出ております。あなた、おそらくお読みになったと思います。これを読んでみると、いずれにしてもみなとにかく少しずつ心配している。たとえば製かんメーカーに対する食かん用ブリキの販売価格がいまの輸出価格より国内のほうが高い現状だ、こうはっきりいっている。これをまずどう改善してくれるか。その価格差はまだまだ縮まっていない。それからレールの場合も、私鉄協会では、二社が寡占の状態にある現在——寡占の状態にあるとはっきりこうきめつけている。問題は、価格に急にこの問題が合併したからといって影響することはないかもしれないが、一社独占になってくるといろいろレールの価格が上昇するような場合も考えられる。そのときには公取に提訴することなどの対抗手段を講じたい。これは私鉄ですね。提訴する、こう言っている。それから機械屋のほうは、長期的に見ると高位安定になるおそれもあると思う。一時はそう変動はなくとも、長期的に見ていくと高位安定という値段で鋼材を買わなければならぬようになるだろうという心配をそれぞれみなしている。ということは、価格に対する管理力というものが一社が非常に強くなるわけですよ。だからそういう心配が出てくるわけです。単なる法律だけの見地でこの合併問題を、法に違反しなければいいのだというような解釈で法律専門家の委員がこの合併を論じたとしたら、大きな禍根を将来に残すと私は思うんですよ。あなたはどう思いますか、梅田さん。
○梅田説明員 先ほど申しましたように、私どもは独禁法の合併に関します十五条第一項を中心にして考えておるわけでございます。もちろんその中に単なる法律的な解釈だけか、それとも経済的な理論と申しますか考え方も入っておるのかという点が御質問の中心と私は理解してお答え申し上げるわけでございますが、われわれが解しまする十五条の合併の規定は、条文を見ますと御承知のようにはなはだ簡単でございます。「合併によって一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」は合併してはいかぬ。結局問題は、実質的に競争を制限するということは何かということになると思うのでございますが、それにつきまして、単にこの文字だけを読むわけではなく、できるだけ経済的な考え方をこれに取り入れなければならないということも私は当然だろうと思うのでございます。ただ、それにつきまして、これはちょっと話が先になるかもしれませんけれども、十六条において営業の譲り受けあるいは賃貸借、それと合併と似ておる場合の規制をする条文がございますが、それにつきましてかつて東京高裁及び最高裁におきまして競争の実質的制限ということについての判例が出たことはもう先刻御承知のところであろうと思うのです。それによりまして、その後やはり同趣旨の判決が二件、合わせて三件出ておるわけでございます。それをいろいろ検討いたしました結果、やはり相当、判決全体を通読いたしますと、この中にも経済的な考え方をしなければならぬということが懇々と書いてあるわけでございます。それによりまして、あとう限り経済的な観点に立ってわれわれはこの条文を解釈したつもりでございます。もちろん経済的に考えると申しましても、これは私専門家でございませんから、経済実務家あるいは経済の学者の言っておられるそういうものをいろいろ委員として考え合わせた結果、一応の考えをまとめ上げたわけでございます。具体的に関連事業者あるいは需要者に対してもし合併が成立したならばどういう影響があるかということは、これは当然この実質的制限の解釈の際に入ってくるわけでございます。これは十分考察したつもりでございます。それで、合併がかりにでございますが、成立したとして、なおそういう需要者あるいは関連事業者にいろいろな不利益をこうむらせるという場合はどうするかという、さらに仮定の問題になるわけでございますが、そのときにはやはり独禁法の不公正な取引方法を禁止する条項がございます。それの活用というようなことによって、ある程度防止、その結果経済的に優越した会社の地位乱用力を規制することも不可能ではございません。以上でございます。
○武藤(山)委員 不公正な取引があったからといって、八幡、富士が合併した大企業に公取が勇気をもって断固処置するなんということは、いままでの例からいってこれはできませんよ。そこまでいくと力の問題なんですよ。だからそういうおそれが出た場合にはこうするのだからというような手当てを先に考えて合併を承認するということは、最初私が言ったように、予見をもってこの問題を協議することになる。だからそういう考え方は、国民が心配している独占禁止法の精神というものをじゅうりんをし、公取みずからがみずからの権能というものを放棄する道に将来つながる。だから職組までが、皆さんの部下までがこの問題は反対だといって決議文を委員長に出しておるでしょう。そういうことをやはり委員は将来の長い展望にも立って、独禁法ができたそのときの情勢や趣旨も十分頭に入れて、五人の委員がただ単に多数決できめて、この合併問題で不公正な取引が行なわれたら、あとでチェックできるのだというなまやさしい問題ではない。鉄は国家なりという、相手はとにかく強い立場に立っているのです。だから私は、そんな甘い考えでこの問題を審議する梅田さんのような委員がいるということは、これは公正取引委員会が骨抜きにされてしまうと思うのです。それを非常に心配しておるのです。あなたにはそういう点ひとつしっかり、経済問題についてもいまの占有率の問題についても、あるいは一位と二位の会社の格差が非常に大きいときには経済的にどういうことが起こり得るのか、そういう可能性についても、専門分野でないことだけれども、あなたは法律のことだけでこの問題を議論すればいいという立場を放棄して、もっと国民的な広い視野に立って審理に臨んでほしいと思いますが、あなたのその決意のほどはいかがですか。
○梅田説明員 私は、ただいま法律専門家とおっしゃいましたが、私が先ほども申しましたように、ただ法律の条文上文字の解釈とかあるいは隣の条文と合わせてこれはこうだろうというような解釈をすべきものではない、やはりそれはこういう法律でございますから、できる限り経済的なものの考え方というものを取り込んで理解すべきものであるということは、私先ほども申し上げた次第でございます。ただしかし、ある経済理論が、こういう場合はこうなるといった場合、もちろんこれは学説でございますから、それは当然学説として尊重すべきでございましょう。しかし、それだからといって、その考え方をすぐ十五条の実質的制限の解釈の中に入れるということははなはだ私は危険であると思うのであります。やはりどなたが考えても、これは学説の違いはございましょうけれども、しかし経済実務に携わっておいでの方、あるいは一般社会通念に照らしまして、こういうお考えならばまあまあという何か線があると思うのです。そういう線を取り入れるというならば、まあ具体的の適用におきましてそう実情に離れたことではないだろうと私は思いまして、そういう意味におきまして、私は、ただいま御指摘になりましたように、単に法律だけではなしに、あとう限り経済的な知識を吸収いたしまして、それと十五条の実質的制限との融合をはかる、そういう態度で前々からおります。また今後もそうつとめたいと思っておるわけでございます。
○武藤(山)委員 私の割り当てられた時間が迫ってきましたから、残りはまたあとでやることにして、公取委員長、まず第一に、今回の合併問題で届け出が正式にあれば、公取として強制調査、職権調査ですね、こういうものをきちっとおやりになりますか、どうですか。
○山田政府委員 法律の手続に従いまして成規の手続をいたしたい、かように考えております。 それから、なお一つふえんさせていただいてよろしゅうございますか。
○武藤(山)委員 ええ。
○山田政府委員 先ほど来の御意見を承っておりますると、シェアと、それから企業問題の格差ということで数学的に価格管理力とおっしゃいましたかが出てくるというような御意見のように拝聴いたしましたのでございますが、私どもの立場からといたしましては、なるほどかつて横田元委員長が国会において、三〇%を一応の警戒ラインとする、こういうように申し上げたと記憶いたしておるのでございます。私ども三〇%を一応の警戒ライン、三〇%にならなければそう詳しく調査をしないでもよろしいという考えは持っておりますが、それはどこまでも一応の警戒ラインでございまして、三〇%をこせばすぐいかぬとか、こういう算術的、機械的には判断をいたさないわけでございます。同業者の競争業者の牽制力と申しますか、チェック・アンド・バランスの関係に立ちます牽制力の大小、それから新規に参入いたしてまいります蓋然性、それから当該品種の特質、あるいはその当該品種の需要の伸び方、こういうような点を十分総合的に勘案いたしまして判断をいたしておるわけでございます。ことにいわんや一定の年度、四十二年度だけのシェア、こういうものをとることは非常に危険である、過去におけるシェアの消長、伸びてまいってきておるのか、あるいは全く固定いたしておるのか、あるいは低下いたしておるのか、こういうような要素を十分に勘案いたしまして判断をする、こういう立場をとっておりますので、御了解をいただきたいと存じます。
○武藤(山)委員 私のきょう述べたことは、四十二年度を基準にしてやったのですね。何か難くせをつけられたようですから、ひとつ局長、資料として過去十年間くらいのシェア表をずっと出してください。いいですね。もし公取で出せるなら公取で出してもらいたい。いいですね、その資料……。 それからもう一つ、公取委員長、その審査を通じて公聴会のような、十分専門家からも関係者からも意見を聴取する機会は持ちますか、持ちませんか。
○山田政府委員 これは委員会の合議によって決定いたすことでございます。法律に従って処置をいたしたいと考えております。 それからなお、先刻大企業に対しては不公正な取引方法でも手が出せないではないかというようなおことばがございましたが、私どもは、大企業であろうと中小企業であろうと、これを差別する気持ちは全然ございません。法を厳正に適用いたしてまいりたい。一流大企業でも審判に付されておる例が現にあるわけでございます。私どもはどこまでも法を厳正に運用してまいる決意でございますことをはっきりと申し上げておきます。
○武藤(山)委員 委員長は、顔は柔和だが心の中は非常に剛毅で、勇気と決断のある男のように私は見受ける。しかし公取というのはあなた一人で動かないのですね。そういう大きなものが目の前にくると、どうも腰抜けさむらいがいるんじゃないかと思うのです。それがやはり一番問題なんですよ。これはあなたにここで言ったところでしかたがないけれども、個人個人の持ち味があるので、しようがないのだけれども、やはり公取としては国民が期待するようなき然とした態度がとれる、しかも公平無私、重役が暮夜ひそかに家庭を訪れても玄関で拒否をするくらいな、そういう委員がずらっといなければならぬと思うのです。そういう者がいないために職組がこういう文章を出さざるを得ないのだ。これを国民で読んだらどう思うでしょう。おそらく、どうも委員の中に怪しいのがいるという疑問を持つんじゃないでしょうか。「ところが昨年からの審議で各種の不当な圧力があり、公取委の公正な判断が妨害されるおそれが生じている。」これは何を意味するか。やはりこの裏には、委員長のようにき然とした態度をとる委員ばかりでないということを意味しておると思うのですよ。国民はそう思いますよ。やはり公取が圧力に、あるいは大資本に屈服したんだという印象を与えてはいかぬ。それは日本の今後の消費行政にも、今後の国民の経済に対する信頼度にも、非常に大きな影響を与える問題になる。そういう国民的立場でものを見てほしいということで私はいまの問題を例に出したんです。それからあなたが八幡、富士に指摘した、こういう点とこういう点を競争制限にならないように手当てをすれば合併ができるという新聞記者会見のときの意味は、今度正式に届けられたら、全く新しい角度から、三品目以外にも、占有率と管理価格の問題や、寡占化における価格の問題や、過去における価格の推移や、全く白紙にして、この合併問題が価格問題にどういう影響を与えるかということを一歩から全部洗い直して審査をいたしますか、どうですか。
○山田政府委員 ただいまの御発言の中に、こういう点を問題点をなにすれば認めるというようなことを私が新聞記者に申したようにおことばがございましたが、さようなことは全然申した覚えがございません。むしろ逆に、いままで内相談のあったのと全く同じ内容で届け出があれば、これは認めるわけにはいかないというふうに申したわけでございます。 それから次の、新しく届け出があった場合において、初めから審査をやり直すか、こういうお尋ねでございましたと思いますが、いままで相当の期間をかけて事前審査をいたしております。したがいまして、新しい届け出があるかどうか私の関知するところでございませんけれども、かりに届け出がございました場合に、前と同じ内容のものであれば、新しく調査をいたす必要はないと思います。違っております点がございますれば、十分厳正に調査をいたしてまいりたいと思います。 それから、なお一言つけ加えさしていただきたいのでございますが、組合の決議のことについて御指摘がございましたが、これはこの合併を認めろとか認めるなとか、そういうようなことは一言も言っておるのではございません。ただ職員が心配をいたしまして、何か不当な圧力があっては困るということで私に申してまいりましたので、さような事実は全くないということを説明いたしまして、よく理解をしてくれておるわけでございます。
○武藤(山)委員 そうすると、事前審査の経過などについても、決着がつけば公表するわけですか。事前審査の内容を公表するというのは一切しないのですか。
○山田政府委員 いずれにいたせ、決着がつけば、その理由はおそらく申し上げることになると思います。
○武藤(山)委員 そうすると、事前審査の審議内容、審議経過というものは一切秘密ですか。
○山田政府委員 これは事前審査だから正式審査だからというわけでございませんで、たとえば需要業界、これの営業上の機密に属することもございます。そういうことは発表するわけにまいらないと思います。これはかりにでございますが、かりに審判を開始いたしましても、法律の条文にはっきりと、関係者の業務上の秘密に属することの場合には傍聴を禁止するということになっております。したがいまして、その法律の範囲内において申し上げることになるかと思うのでございます。
○武藤(山)委員 法律の範囲内で審判のときには傍聴は認められる、こう理解していいわけですね。原則的には公開なんですね。
○山田政府委員 審判云々というのは、かりにということを申し上げたことを御了承いただきたいと思います。
○武藤(山)委員 かりにであっても、これが審判に入れば、公開を原則としますね。
○山田政府委員 それは法律の定めるところでございます。
○武藤(山)委員 局長のほうに少し資料を要求しておきたいのでございますが、先ほどのシェアの問題については、ここ十年間くらいを、グラフでも数字でもけっこうですから、ひとつずっと出してみていただきたい。二位の会社についてもひとつ出しておいてください。それから今度の「合併の背景と動機」というこの文章はどうもこじつけであるという私の断定ですが、それは論じてもしかたがありませんが、八幡製鉄がなぜ収益率が低いのか。この前の決算の状況を見ると、ここに八幡製鉄が出ておりますが、各社のをずっと見てみますと、八幡製鉄の場合は増減収率が一・〇ですね。富士の場合は二・四、住友が四・八、これは四十三年の上期です。こういう数字をずっと見て八幡のほうが少しあわて出したのじゃないですか。自分のところの収益率がどうも落ちている。これは他社と比較しても、どうも経営自体をこの辺で直さないと八幡はたいへんなことになるというあせりがあるんじゃないですか。通産省はどう見ていますか。
○吉光政府委員 いろいろ見方はあると思いますけれども、少なくともそういう理由から合併を決意したというふうには了解いたしておりません。
○武藤(山)委員 動機の中の一つにそういうものがあると私は思う。そこで、過去の会社の業績、生産量、収益率、労働生産性、これらを各社別にひとつ資料として御提出を願いたい。
○吉光政府委員 各社別のいまの非常に詳細なものになりますと、各社の機密に関するような事項もあるかと思われますので、事項等につきましては後ほど御相談をさせていただきまして、そこで整理された形で御提出申し上げたいと思います。
○武藤(山)委員 しかし、これは上場会社ですからね。大蔵省の証券局に全部公表して出ているわけですからね。ですから私は、その中から拾えば簡単にできると思うんですよ。
○吉光政府委員 いまの有価証券報告書で提出されておる限りにおきましては、これは調べまして御提出申し上げます。 ただ、この際一言お断わりしたいのでございますが、専業高炉メーカーの四社についてのみに限定さしていただきたいと思うのでございます。他の兼業をやっておりますところは全部ごっちゃになっております。機械部門だとか造船部門だとか、いろんなものが全部ごっちゃになっておりますので、専業の銑鋼一貫メーカー四社だけ、そうすると全部専業でございますので、はっきりした比較ができるかと思います。
○武藤(山)委員 割り当て時間になりましたからやめますが、八幡の収益率の動向、これはどうも経営者の責任なんですね。経営者があまりにもずさんな経営をしており、内部の体質改善も、あるいは近代化も合理化も、ほかがとにかくきちっとやれることを八幡がやれないということは、経営能力の問題だと思うのです。その責任を合併によって転嫁し、経営者としての責任を果たそうという内部における努力が欠けている。こういう点について私は、通産省としてもし行政指導としてきちっとやろうというならば、もうちょっと八幡について経営者の姿勢をきちっとさせる必要があると思いますが、最後に大臣の見解を聞いて終わりたいと思います。
○大平国務大臣 八幡製鉄ばかりでなく、そういう緊張した企業経営精神で終始していただかなければならぬと思います。
○武藤(山)委員 終わります。
○浦野委員長代理 本会議散会後直ちに再開することとし、この際休憩をいたします。 午後零時十一分休憩 ————◇————— 午後二時五十一分開議
○浦野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について質疑を続行いたします。塚本三郎君。
○塚本委員 先日来、鉄鋼の両社の合併に対する公取の具体的な表明がございましてから、が然大きな反響を呼んでおりますこの問題につきまして、私も質問をしてみたいと存じております。 私ども民社党は、この両社の合併につきましては、条件をつけて賛成の立場をとっておりますることは御承知のとおりでございます。しかし、それにもかかわらず、公取のほうからの見解が出されますると、新聞論調等におきましてはきわめて大きな反響を呼んでおりますが、その反響のおもなるものは、公取のこの態度は独禁法そのものをあまりにも広く解釈し過ぎたのではないか、あるいは極端な表現を用いますると、この両社の合併が許されるならばもはや独禁法はなきにひとしい、こんな意見さえも新聞の論調の中にちらほら見えておるような次第でございます。もしそのような事態が真実でありまするならば、私どもはきわめて遺憾なことだといわざるを得ません。しかし、察しまするところ、これは新聞の一部の論調にも出ておりましたように、独禁政策と独禁法とには幅があってしかるべきだということを委員長の口からも述べられておるようでございます。しかし素朴な国民大衆の立場からいいますと、独禁政策と独禁法に幅があるとは一体どういうことなのかということにつきまして、もう少し解明を試みる必要があるのではないかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、この点につきまして山田委員長のほうから具体的にどう幅があるのか、説明願いたいと思います。
○山田政府委員 お答え申し上げます。新聞紙上などで、これが認められれば云々という記事が載っておるわけでございますが、これは認められたわけではございません。これから正式の手続をするということでございまして、私どもといたしましては、あくまでも独禁法の規定に従いまして厳正に判断をいたしてまいりたい、こういう考えにおいて少しも変わっておらないわけでございます。 それから、独禁法と独禁政策の間に幅がある云々ということが出ましたわけでございますが、これは理念として理想としての独禁政策というものと、それから現実の法の運用というものの間にはある程度の差はある、こういうふうに申しましたわけでございます。それはほかの政策でもいずれも同じかと存じますが、他のことを申し上げては何でございますが、労働政策におきましても、理念として理想としての労働政策、それから現在の法律としての労働政策に多少の差はあるかと存ずるわけでございます。
○塚本委員 理想的な独禁政策の立場からいって、もし今日の法とに相当の開きがあるということがあるとするならば、それは法改正をする必要が出てくるのではないかと裏面からも受け取れる節があるわけでございますが、それほどまでにする必要はないか、あるいは現在の法のもとにおいてはある程度、これだけの解釈しかやむを得ないので、独禁政策としては理想的にいくわけにはいかないという見解があるのか、その点はどうでしょうか。
○山田政府委員 政策は、そのときの客観情勢に適応して常に具体的、妥当でなければならないと考えますので、御承知のように昨年末から学界、業界、消費者、各方面の方にお願いいたしまして独占禁止懇話会なるものをつくりまして、当面のいろいろな政策の対象になる問題について各方面の御意見を十分に承っておるわけでございます。それによりまして常に独禁政策はそのときの情勢に適合したものにいたしてまいりたい、こういう努力をいたしてまいるつもりでございます。
○塚本委員 先ほど委員長から、まだ許可したわけではない、そのとおりでございます。しかし、事前審査の段階におきまして、これこれの三品種について危険があるというような判断が長い日月かかって大体なされたようでございます。そうであるといたしまするならば、この三品種及び〇・五と表現されております鋼矢板でございますか、この三・五に対しての対処さえするならば認められるという可能性は当然のごとく、一覧しただけではなくて、実にこまかい検討をなされた、そうして相当な時日を重ねられたという経緯からいたしますると、判断をなされる委員会のメンバーは同じであり、かつまたその申請をしようとしております両社の首脳部も一致しておるといたしますと、三・五品種に対していわゆる対応策が講ぜられたならば認められるということは大体常識として受け取られておる。したがって、両会社におきましても直ちに対応策をとるというような空気も紙上に発表されておるようでございます。そうであるとするならば、まだそうではないけれどもということではなくして、おたくのそういう結論からいいますと、もはやそこに導き得られる結果だと私は思うわけでございます。そういたしますると、やはり世間では、先ほど表現いたしましたような、独禁法はなきにひとしいというような表現が推定されるわけでございます。万が一そういうようなことが結果としてあらわれたら、私どもは独禁法がなきにひとしいような結果になったらたいへんなことだと思います。そのことは新聞における無責任な表現というふうにも打ち消すわけにはいかないのではないか。そうだといたしまするならば、やはり独禁政策というものと独禁法との間において相当の幅があるということをここで明確にしておかなければ、おたくの立場もそれは無責任になるのではなかろうかという感じがいたしますが、どうですか。
○山田政府委員 ただいまのお話でございましたが、むしろこれは当初いわゆる内相談のございました内容の届け出がございますれば、これは法律第十五条に抵触するということでございます。いわゆる対応策云々ということは、先方がいかように考えますのか、私どもの関知するところではないのでございます。それが新しい届け出がありますかどうか、これもまた関知するところではございませんが、かりに内容の変わった届け出がございました場合には、その届け出についての内容にしたがいまして法律を厳正に適用してまいりたい、こういう考えでございます。
○塚本委員 委員長の言われるのは裏から言われただけで、そういうことだと思うのですが、そうだとすると、その三・五品種を除いては、いわゆるおたくのほうに相談がありましたその内容であるならば、それはこの法には抵触しないと受け取っておるわけであります。世間もそう受け取っておる。おそらく会社もそう受け取っておるだろうと思うのです。そのこと自身、実は世間ではいろいろな風評が立っておる。それが新聞記事になっておるということだと思うのです。その点はどうでしょう。
○山田政府委員 私どもは独禁法を忠実に厳正に適用してまいる、これに尽きるわけでございます。
○塚本委員 私も、この委員会におきまして委員長が実に厳正な態度で臨んでおられることを個人的にも敬意を表しております。そのことは、今後とも厳正に運営していただくことであろうと、私はそういう意味では非常に期待をいたしておるわけでございます。にもかかわらず、これまた私ども懸念をいたしておりますのは、新聞紙上等におきまして、公取の事務局員の中で、おたくのほうから結論が発表されましたとき反抗的な態度で臨んだような、だれだれ事務局員がやけ酒を飲んで、もうこれでおしまいだとかなんとかいうような表現まである新聞には載せられておりました。そういたしますと、せっかく委員長が厳正な態度でとおっしゃっても、あなたのうちの中からそういうことが漏れてくると、何かしら黒い取引がなされたのではないか——委員長に限って絶対そんなことはあり得ないと思うし、今後も、いずれのほうからの圧力が来ても、それをはねつけられぬ人柄ではないという確信を持っておりますが、にもかかわらず、そういう事務局の内部の反抗的な態度が新聞記事に載るということは、やはりわれわれの立場からいうと釈然としないものがある。これはおたくにとっても、やはりある程度の責任を感じて、そのような問題に対しては、やはり五人の委員だけではなくて、事務局に対する委員長としての態度からもとにかく責任ある統括をしていただく必要があるというふうに判断をいたしますが、どうでしょうか。
○山田政府委員 事務局の職員から云々というお話がございました。この内容は、決して本件合併を否認せよとか、あるいは肯定せよとか、こういうことは一言も含まれておらないのでございます。ただ、世上とかくいろいろのことがいわれるものでございますから、外界からの圧力に屈しないでやってくれという趣旨の私どもに対するいわば激励があったわけであります。私がこの職員の代表に会いまして、何らの圧力の事実はないということを十分説明いたしまして、納得したわけでございます。
○塚本委員 納得したという表面的な形ですけれども、事実、結論が出されたときにやけ酒を飲んだとかなんとかいうようなこと、事務局員の一部の中で捨てぜりふを残してうさを晴らしておるという記事を読んでおるわけであります。まさか今日の権威ある新聞の中で、そういうようなことが単なるやじ馬的な記事として出されたわけではない。独禁法に対するこの全国民的な注視の中に、ある程度のいわゆる事前審査の結論が発表になった、その同じ報道記事の中に並べ立てられておるということでございますね。このことは、私は、あなたが厳正な態度にもかかわらず、公取の中における統括者としての態度でこれを留意していただかないと、その判断自身をも疑われるような形になってくる。このことはきわめて残念です。だから、そうなると、国会においても何しているんだというふうな声がまた出てくると思うのであります。そういう意味で、再度そういうことに対する見解を聞かしていただきたいと思います。
○山田政府委員 相当長期間にわたる非常にヘビーな作業のあとでございますから、それは酒を飲んで何かのことを口走るということもあったかもしれません。しかし、私はかねがね、事務局と委員会というものは相互に信頼関係がなければいけないのだということを強調いたしておりまして、その努力はさらにいままでよりも——いままでもいたしておりましたが、さらに一そう続ける決意でございますことを申し上げておきます。
○塚本委員 十五条の解釈でございますが、競争制限という問題になりますとき、今度もし二社が合併になった、またその意思表示をおたくのほうは受けてこれを事前審査をなさったわけですが、一位が巨大になる。そうすると、その競争制限というのは、一位になったものについて好むと好まざるにかかわらず追随させられるという結果が出る場合、ようございますか。それからもう一つの見解では、そういう好むと好まざるとではないけれども、いわゆる一位の巨大な会社がプライスリーダーとなって独占的な価格を設定をいたしますとき、二位以下が自由意思でもって安く売ればそれでもいいんだけれども、しかしそんなことする必要はない、利潤幅を確保するために一位に二位以下が追随するということと二つの場合が一応想定されるわけでございます。もちろん、この一位について好むと好まざるとにかかわらず追随せざるを得ないというときは、当然競争制限ということは、これはもう客観的にも主観的にも見られるわけでございます。しかし、私は、あとで申し上げた、追随したほうが二位以下も得なんだということですね。客観的にいわゆる競争制限にはなっておっても主観的には自由意思があったんだけれども、受け取る消費者から見るとこれは競争制限になってしまっておる。こういう二つの場合がありますね。ここが私は一番大きな独占禁止の問題の分かれ道になってくると思うのでございますが、追随したほうが得だという自由意思に基づいて高い価格を独占的に形成される場合、これは競争制限になると消費者は受け取るだろうと思うのです。この点、どうでしょうか。
○山田政府委員 経済合理的に考えまして必然的に追随することになる、経済合理的に考えました場合に追随することになる、これが市場支配というふうに理解をいたしております。
○塚本委員 そうすると、経済合理的にという表現は、自由意思でもってでも、第一位に二位以下が追随していったほうが得だということによって、結果的にいわゆる市場支配という結果が生まれるというようなことは、経済合理的な立場でこういう形が導き出されるのではないか。そうすると、私が後段で述べたような、いわゆる二位以下が自由意思で一位に追随するという結果も、これは競争制限になると判断してよろしいものでしょうか。
○山田政府委員 全く自由意思で追随するというお話でございますが、全く自由意思であれば、追随することも追随しないことも自由であるはずでございまして、これは競争制限にはならないかと心得るわけでございます。ただし、両者の間に意思の疎通がございましてカルテルになる場合、これは当然独禁法の対象になるわけでございます。
○塚本委員 私、微妙な問題だと思いますので再度お聞きいたしますが、経済合理的ということは、追随を自由意思でもってしたほうが、だれだって利幅は大きいほうがいいにきまっておりますから、そういう意味でいわゆる自由意思で追随をするということが、すなわち経済合理性のためにということで、委員長の見解から言いますならば、これは競争制限になるように私には受け取れるわけでございますが、その場合、追随せざる自由意思もある、そのとおりですね。その場合でも、経済合理性という形からいくならば、やはり将来のシェア拡大のためには、追随しなくても安売りでもってシェア拡大をするという方法もあるとは思いまするが、しかし経済合理性という表現だけの場合には競争制限になる心配を私は持つのですが、もう一度お答えいただきたいと思います。
○山田政府委員 これは抽象的には持てないと思います。各業界の競争者の牽制力と申しますか、お互いのチェック・アンド・バランスの関係、それらの状態を十分慎重に検討いたしませんと、にわかに結論は下せない。どこまでも考え方は、経済合理的に行動する場合、これに追随せざるを得なくなるかどうか、こういう判断をいたすわけでございます。
○塚本委員 この議論はやめにしておきます。追随せざるを得ないということが基本になっているわけですね。 それではもう一つお尋ねいたしますが、この独禁法の十五条の中に規定してあります競争制限というもの、私は公取の皆さま方がこの事前審査に入られる直前にお尋ねをしたことがございます。その当時は委員長は明確なお答えを避けておったと存じますが、いわゆる独禁法のできた当時は、資本取引の自由化という要素は全く考えられないときでございました。にもかかわらず、今日は資本取引の全くの自由化、けた違いの外資が入ってくるということをやはり競争制限の一つの要素として考慮すべきではないかということを、開放経済体制下における日本経済の宿命という立場で私は提起をしてきたわけでございますが、今回の事前審査の段階で、公取におきましては、この十五条を解釈なさる場合、この資本取引自由化という今日の国際的な経済体制を加味なさったかどうか、このことを、うしろ向きのような意見でございますけれども、ひとつお聞きしておきたいと思います。
○山田政府委員 私どもは、第十五条を適用いたしまするにあたりましては、いわゆるシェアのみならず、各種の競争業者、同業者の牽制力でございますとか、ユーザー、需要者側、それから代替品の関係、新規参人の有無あるいは輸入の関係、これらを総合的に勘案いたしまして判断をいたすわけでございます。したがいまして、資本自由化という現状を踏まえていま申し上げましたような諸点を勘案する、こういう形になっております。
○塚本委員 今度は通産大臣にお尋ねいたしまするが、いまも公取の委員長のほうから資本自由化という意見が出てまいりました。おそらく通産省におきましても、そのようなことはより痛切に強く意見が出されてきたのではなかろうかと私どもは推察をいたします。ところが、特に鉄鋼業界は、逆にアメリカの業界に、俗に表現いたしまするならばなぐり込みをかけておるという。アメリカにおきましては、ニクソン政権において再び鉄鋼に対する輸入制限をすべき雲行きが出ておる。それほどまでに、今日の六社は、国内における自由競争の中におきまして、すでに世界における最も生産性の高い、いわゆる力を持っておるはずでございます。にもかかわらず、強い上にもなおよけい強くという考え方は、経済には際限はないと思いまするが、この与える影響力からいたしまするとき、それを進めることについて、もはや必要性を持たないような感じが事鉄鋼に関する限りいたすわけでございますが、その点はどうでしょう。
○大平国務大臣 いまの時点で常識的に判断すれば、塚本さんのおっしゃったようなことも一応うなずけるのでございます。ただ現在、なるほど日本鉄鋼業は強い競争力を持っておりますけれども、アメリカにいたしましても、EEC諸国、英国にいたしましても、設備の更新、近代化、大型化というのが非常に進んでおりますということ、それからこれからの勝負はどうしても技術水準を競うということになると思います。技術開発力の強弱ということがたいへん大きな課題になるんじゃないかと思います。そういう意味で、英国でも国有化ということになってみたり、独仏におきましても二、三のグループにまとまるという傾向が見られる趨勢の中でいろいろ考えますと、日本の鉄鋼業もいまのあり方で安住しておっていいかというと、必ずしもそうでないという判断でこういう企てがもくろまれたのではないかと判断します。
○塚本委員 公取の事前審査の内容を新聞等で散見いたしますると、個別品種についてのいわゆる審査がなされたようにうかがいます。ところが、これは通産大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、なるほど個別においては確かにそういう見解が出ることは、数字の上では過去の実績から私どもも納得がいくわけであります。にもかかわらず、八幡、富士という両社の総合力という点になりますと、また他の四社とは比較にならない巨大な重圧感を与えておるということに受け取られるわけでございます。法律の適用としては、公取の見解でございますので、私もこれは避けていきたいと思いますが、しかし、個別品種になりまするとそうですが、やはり何といっても、国民の素朴な受け取り方の中には、鉄全体に対する総合的な実力、こういう立場になったときに、この八幡、富士の巨大な合併というものは、何としてでもやはり競争制限になると受け取られることは素朴な国民感情だと思うわけでございます。それを進めるということは、法律のたてまえからは阻止する道があるいはないかもしれませんが、しかし、何かしら通産省はそれを推し進めることに対してうしろめたい気持ちがありはしないか。われわれ素朴な国民感情からいたしますると、やはり巨大な圧力を国民に与えた気がいたすわけでございます。通産大臣、そうは思いませんでしょうか。
○大平国務大臣 私はあまりそういうことを感じないのです。
○吉光政府委員 日本とヨーロッパあるいはアメリカ等の最近までの需要の伸びでございますけれども、またその需要の伸びに対応いたしました生産力の伸びの関係でございますが、格段の差があったわけでございます。日本は、過去十年間の平均の伸びは、年率にいたしまして一七%、したがいまして、過去十年間のうちに五倍の大きさになっております。ところがアメリカにおきましては、過去十年間の年率の平均の伸びは一・四%でございまして、したがいまして、十年前に比べまして粗鋼生産が一・二倍ということでございます。それからEEC五カ国につきましては、年率の伸び率が四・二%でございまして、したがって生産全体で一・五倍、五割くらいでございます。イギリスは一番伸び率が低うございまして、年率に換算いたしまして〇・五%、約一・一倍、十年前に比べまして一割だけ増加があるというふうな状況でございまして、結局、日本の鉄鋼業をささえております需要が非常に旺盛であった、それが日本の鉄鋼業の今日をもたらした唯一の非常に強い要因ではないだろうか、こう考えるわけでございます。 また、これらの伸び率の関係をここ当分の間に限って考えてみますと、実は現在の一人当たりの消費量あるいはまたストック量等から判断いたしまして、従前ほどの大きな伸び率はもはや期待できないというふうに考えますけれども、ただヨーロッパ、アメリカあるいはイギリス等の伸びに比べますれば、まだかなり大きな伸び率が将来予想されるのではないであろうかというふうに判断いたしておるわけでございます。したがいまして、設備の大型化等を通じまして、いろいろとまだ鉄鋼各社間には激しいシェア争いが依然として続いていくのではないだろうかというふうに実は予測いたしておるわけでございます。と同時に、日本の大型設備は、実はどちらかといいますと、借入金に依存してつくっておるわけでございます。そうなりますと、こういう装置産業でございますので、各社とも自分の持っておる設備をできるだけフル操業させたい、こういう衝動にかられることは当然予想されるわけでございまして、過去のシェア競争も実はそういうところに根源があったと思いますが、こういう傾向というものはさらに続いていくのではないであろうか。要するに、全体で見ました場合の鉄鋼各社間の競争要因というものは、依然として需要の成長の中に相当部分残っておるのではないであろうか、このように判断しております。
○塚本委員 現実は、私も、いまの局長の説明で、そうだというふうに思うのでございます。しかし一面考えてみなければならぬことは、確かに設備産業でございますね。設備産業であるならば、もう少ししっかりしたものをつくっておけばいいんだけれども、次から次へと、またこれも無限のいわゆる技術革新の波の中に立たされるということばが返ってくるとは私も思います。しかし、いずれにいたしましても、金もないくせにとにかく借金をどんどんして、そして設備をするというような形になってきておる。これは私、調べたわけではございませんが、製鉄会社などは人件費といわゆる銀行に払う利息ととんとんくらいじゃないかというような表現さえもしろうとなりにする人があるほどに、とにかく設備に金が、しかも自己資本ではなくして、借り入れの金によっている。だからまるきり製鉄会社というのは銀行屋さんに利息を払うために営業しておるようなものだ。しょせんそれはわれわれ消費者のもとに返ってくる。価格となって利息を背負わされる形になる。それでは設備をしなくていわゆる古い設備のままでいったほうがいいのか、利息をかけてでも新しい設備でいったほうがいいのかという、この問題が論点になろうと思いまするが、しかし私は、過去の歴史を見ておりまするとき、通産省が、何らかの意味で、もっともっとこういうむだをなくするような指導が今日にもあってしかるべきじゃないか。しかも、ただいまの局長の言に従いますと、今後ともその競争はなくならないんだということになりますると、まるきり消費者は利息を背負わされて、そして銀行屋さんだけ町のかどにりっぱなビルをつくらせるというような形のためにこれもなされておるのだというふうな受け取り方までされてしまうわけでございます。この設備競争に対する指導という点では、通産大臣、見解はどうでしょうか。
○大平国務大臣 そこが非常に日本的なところでして、それがあったからこそ日本がここまで伸びてきたと思うのです。一たん設備をいたしましたら、それを大事に十分に償却して、次の投資を考えるまでに時間をおいて、十分のリザーブを持って自己資金でやるという手がたいやり方、それは一面非常にいいところもあると思いますけれども、日本は、鉄鋼ばかりじゃないのです、ほかの産業もおしなべて非常に若い成長力を持っておるというのは、いまあなたが御指摘のような手法で設備投資を果敢にやってきたわけでございまして、それだからこそこのような異例な成長が記録されたのだと思います。そして、そのことは消費者のためによかったか悪かったかという判断、あなたは利息の負担が製品にかかってくるじゃないか、それは仰せのとおりでございますけれども、そういう設備の投資によりまして生産性がうんと上がって、そういう装置産業、大規模産業になるほど、その製品の価格がほかのものに比べて下がっておる、あるいは上がり方が少ない、そういう状況にあることは、やはり過去のたくましい設備投資のもたらしたものだと思うのです。ですから、一つのことは、いいことばかりがないので、光があれば影があるようなもので、それは設備投資につきましても、メリットもあればデメリットもあると思いますけれども、私は、それだからというて、いまデメリットがあるからということで、設備投資について権力が介入していって、何らかモデレートな程度で押えて調節をしていこうというようなことはやるべきでない、そういうことをやりますことは賢明でない、日本の経済のためにも消費者のためにも、国際的な経済の伸長を期するためにも賢明でないと判断しております。
○塚本委員 けがの功名ということばがございますが、通産大臣おおこりになるといけませんけれども、通産省がりっぱな指導、きちっとした鉄鋼に対するむだな投資をさせないような指導方法があったならば、価格も安定して、そしてこんなことをせずに、むだな投資をせずに済んだであろう。にもかかわらず、通産省のきちっとした、歴代通産大臣の指導がなされておらなかった。きわめてルーズであった。そのために乱立して、そうして借金をした。そのことがおかげでよかった。アメリカの場合は実にそういうことがなくて安定したし、そうしてまた自己資本率も高いということから乱売もせずに済んだ、借り入れ金の返済には追われなかったというようなところから、設備に対する四〇%の稼働率でも、なお価格を動かさずに済んだというような形、日本の場合は八〇%から八五%稼働しておかなかったならば、それ以下は損をしてでも乱売をしなければとにかく返済金が回っていかないのだというようなことから、お互いに競争を刺激して、そしてむだな競争のために技術革新ができた、こういうふうに言う人さえもあります。まさに、そんな表現は通産大臣としてはおこられるかもしれませんが、けがの功名で日本経済が伸びてきた。しかしそんなことは、いわゆる経済政策の立場からいうならばいい話ではない。だからこの際、過去にそういうふうなむだをしてきた、それをこれからはせずに、そのような能率をあげる方法について考えていただかなければ困るのじゃないかというふうに思いますが、どうでしょう。
○大平国務大臣 政府というのは、何をやるか何をやらないかが非常に大事なんでして、やらないという判断も大事なんです。いつも何かやって、いろいろ文章を書いて、いろいろな報告をとって、気のきいた政策を発表しておるというような政府がいいかというと、私はそう思わない。 〔浦野委員長代理退席、小宮山委員長代理着席〕 日本画を見ても、木や鳥をかいてありますけれども、白地のところがあって初めてくっきりと絵が出てくるようなものでございまして、やることはやる、やらないことはやってはいけないのでありまして、私はけがの功名というのではなくて、私どもの政策の理念からいたしまして当然のことであると考えておるので、いまこうずいぶん伸びてきたから、このあたりで一服して政策的な調整を、整合のとれた調整をやるべきじゃないかというあなたのせっかくの御提言でございますけれども、私はまだそんなことをやるべきじゃないと考えます。
○塚本委員 私は調整せよと言っているわけではございませんが、何らかの形で今日までの設備のむだというものをもう少しなくする方法はないか。たいへんな競争によるむだというもの、設備競争を各社がしておるように見受けられるわけでございます。そうしてあの五社なり六社なりの設備と能率を見てみますと、どうしてもあとでつくったほうが格段に、飛躍的に能率の高い、生産性の高い設備をこしらえていきつつあるようでございます。そういうものを比較してみまするとき、これだけ人手不足のときには、だれだって新鋭設備をつくりたいという形がわれもわれもとこれからも続いてくると見なければなりません。そうすることが国際競争力としてはますます大きな実力になることは私たちも一面において認めつつも、何らかの形でそういうものを制限するという結論を私は提案しておるわけではございませんが、何かしら——それは通産省としては、自由経済というものは設備力にすべて帰するんだという結論を導き出されるようなのが製鉄の実態になっておるという統計を見るときに、こんなのは、いつまでも強いものだけにいわゆるむだな投資をさせておくという形は、何かここらで再検討——そのことが即設備調整だとか、そういうことに結びつけられると、私もまだ結論を持っておりませんから残念ですけれども、何か手を打つべきじゃないかと思う。この姿は、ちょうど中小企業が全く同じような姿になっておるわけでございますね。ある企業でございますけれども、もうこのあたりで、もうかる部分だけにして、全製品にして売り出すよりも、工賃かせぎの一つの分野だけにしたほうがどれだけもうかるかしれないというふうに中小企業者は思っておっても、工賃かせぎの一分野では受け取る金額がきわめて少ない。だからもうからない全製品にしてでも売って、そして多額の金を手に入れることによって手形の期限に支払いをしておかなければならないんだ、こういう形が中小企業の中にも一ずいぶんたくさんあるわけでございます。結局のところ、中小企業の場合には、そういう形で仲間同士がいわゆる過重設備によって、手形を落とすために、またより大量の生産をすることによって、みずからの利幅を少なくし、そしてみずからの首を締めておる。中小企業者の立たされた宿命という立場から言いますならば、この点は私はある程度やむを得ないというふうに思うのでございまするが、全くこの巨大な製鉄会社が、私たちが中小企業が悩んでおるのを見ておると同じようないわばぶざまな姿、これが大企業の中に、今度は逆に自由に金融界から金が借りられるといういわゆる安易感のために、このようなむだとぶざまがあるのではないかというふうな全くふしぎな——片一方は金がないためにむだな設備、そしてまた生産の増大という形を中小企業においてやっておる、大企業においては、金が自由に銀行、金融機関から引っぱり出せるがためにこのむだをしておるということでございますが、これを何とか通産省のほうでもう検討なさるべきじゃないか、こういうふうに私は着想を申し上げただけでございます。どうでしょうか、その点の見解は。
○大平国務大臣 たびたびのお話でございますけれども、そこは私と考え方がちょっと違うのでございます。私は、あなたがむだだと言う、何がむだかということが究明されなければいかぬと思うのです。私はいまのような状態のほうが——設備調整を、政府も介入しながら、むだでないように調整をとりながらやったほうが資源の配分のあり方としてむだがないようにあなたは考えられる。私はそのほうがむだだと思うのです。そういう一つの計画性をつけるということ、神さまがやれば格別でございますけれども、計画当局がやるという場合、もうわれわれの経験でいろいろやってみて、なかなか、各部門にいろんなアンバランスが起き、そこにいろんな非能率も起き、いろんなモラルのコラプションも起き、いろいろな経験をしたわけでございます。しかしできるだけ自由にやらしておくほうが非常にむだがない。確かにむだもございますけれども、相対的にどちらがより少なくむだがあるかということになると、私は、へたなことをしないで活発な競争にさらしておく、経済はきびしいと思うのでございます。大企業であろうと中小企業であろうと、ほんとうに真剣に対処していくには主体的な真実性をぎりぎり込められて運営されていくところに、ほんとうの経済のダイナミックな成長があるわけでございまして、なるべくならば、政府が介入するというようなことは私はやりたくないという気持ちでございますが、これはものごとの考え方でございまして、塚本さんの場合と私の場合とのフィロソフィーの違いでございますから、私に聞かれれば、私はそう答えざるを得ないと思います。
○塚本委員 どうしても大臣は、設備の調整という形をいわゆる設備制限のほうの形にまで気が走ってしまいますが、私もいまその点で大臣と同じように、これを設備を制限してみたり、あるいは規格をつくるというやり方はよくないというふうに思っているのです。しかし私ども中小企業対策という立場からしますとき、確かに大企業の今日の国際経済の中に立たされておる産業界のきびしさというもの、これは私も全く同感でございます。にもかかわらず、中小企業の諸君は全く金がないために、みずからその日の手形を落とすために実はこのような乱売合戦もしなければならない。それは、利潤よりも、つぶれないための、いわゆるあすへ生き延びるための乱売をし、安く売ることによってお金を得て、その金でもって手形を落とすという形になっておる。ところが、この鉄の場合には、反対に、設備の金が容易に入ってくるものだから、どんどん設備競争ができ、そのことが需要の伸びをはるかに上回る生産の伸びとなってくる。したがって販売シェアを獲得するために熾烈な競争が行なわれておる。いわば、あまりにも気の毒な競争と、あまりにもぜいたくな競争なんだ。同じ国家の中で、同じ政府の中におきましてこの違いがある。しかも、そのことがお互いに自由経済の中だから許されるということに、きわめて大きな矛盾を感ずるわけでございます。 合併することによって両者の一番得策なるものは何かといいますと、それは販売に対する力が出てくるということではないかということ、私どもの集めた資料の中では、第一に合併におけるメリットは、販売の力が大きくなってくるということなんです。実はいま鉄鋼業界が激烈な争いをしております。先ほどから大臣が説明しておられるように、一にも二にも、競争することによって生産が高まり安いコストになる、そのとおりだと思うのです。そうなるがゆえにこそ、需要の伸びをはるかに上回るところの生産になってくる。そのことがシェア拡大のためのあらゆる競争となってきておる。だからそういう意味では、私は公取の委員長の出されたような競争制限になると思っておりません。だけれども、このことによるむだというものが、同じ政府の中における中小企業の苦しさと、大企業——大企業といってもこの場合は鉄でございますが、ぜいたくな苦しさとの違い、同じ政府の中で、同じ通産大臣の管轄のもとにおいて、結果としてプラスになったとしても、やはり同じ産業界をあずかる立場から、これに対しては何らかの形で手が下されてしかるべきだ。そのことは決して競争制限をするための具体的な設備調整をせよと私は結論申し上げるわけではございませんが、通産大臣はこの際そういうことに対して何らか対処なさる道を検討していただきたい。これは私は具体策を持っておるわけじゃございませんから、問題を投げかけるわけでございますけれども、どうでしょうか。
○大平国務大臣 先ほどの答弁、まあ考え方を述べたのでございます。現実には、それじゃ政府が全然手を考えていないかというと、そうではないのでございまして、相当の調整は現実にいろいろやっております。産業構造審議会ですか、鉄鋼部会にしょっちゅうはかりまして、そこで調整をやっておりますけれども、私どもはそれを強化していこうというような頭はないわけで、しかし、それを全然はずしてしまったらいいとは考えていないので、そういう調整は、景気調整の立場もありますけれども、全体の資金、これは蓄積の乏しい日本といたしまして、あなたが仰せのようにどこも金がほしいところでございますから、そのあたりの見当はつけてハンドルをとっていかなければいかぬ、そういう意味の調整は現実にやっておるわけでございます。
○塚本委員 常に引き合いに出されるのは、USスチールの問題が出されるわけです。飛び抜けた巨大な会社になったために有力な競争相手がなくなった。そのことによって、いわば独占的な形の上にあぐらをかいておるうちに、いつしかその中身は日本に追い越されつつあるという状態になっておる。最近はヨーロッパにまで追いつかれる形になってきたということがいわれております。今度の場合、富士、八幡が国際競争力に勝ち得るという大義名分のもとにこれがもし実現したといたしましても、そのことはかえってその力を弱めてしまうような結果になりはしないか、これは八幡、富士に対しても決してあたたかい措置ではない、きびしい状態の中に立たしておいたほうがいいのではないか、こういう意見も、これはこの議会の中でもかつてそういう発言をなさった同僚議員もございますし、新聞紙上においてもしばしばこの例が出されておるわけでございます。私もそうした記事等を読んでみますときに、なるほど私ども産業経済を担当する者としては、せっかくの親心が結果としてかえってその企業をして弱くしてしまいはしないかという危惧が一まつ残っておるわけでございます。この点どうでしょうか、重工業局長。USスチールの例も今回の場合大きく他山の石として見るべきだという声がありますが、いかがでしょうか。
○吉光政府委員 確かにいろいろの角度から研究してみる必要があると思うわけでございますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、日本とアメリカとの鉄鋼の需要構造と申しますか市場構造が相当異なっておりますこと、あるいは将来の需要の伸びと申しますか、そこらの生産力の増強の伸び率というふうなものにおきましても相当大きな開きが現にございますし、したがって、そういう競争すべき余地と申しますか、アメリカと日本とでは相当大きな開きがある、このように考えるわけでございます。したがいまして、アメリカにおけるそういう停滞的な鉄鋼生産を前提に置きました中でのUSスチールの動きと、日本のように伸び率の激しい中での六社間の競争というものは、必ずしも平面的に比較できないのではないだろうか、このように考えております。
○塚本委員 巨大企業ということで私たち頭に浮かびますことは、国鉄、専売公社、これはもちろん性格は全く違っております。国鉄は、その販売、売り上げ金額からいたしますると、おそらく両社を合併した売り上げよりもはるかに多い数字が出ておるのではなかろうか。専売公社もそれと似たくらいの金額になっておるように私たちは考えております。巨大になればなるほどずうたいが大きくなって、そうしてその中身が云々されるような形になってくる心配がある。だから国鉄を私鉄に比べたとき、サービスの悪い全く役所仕事だという表現を無責任になさる方もずいぶんあるわけでございます。専売公社も民間に移行したらばどうなんだ、そうして品種ごとに会社を分けてやったらどうなんだというような声等もかつて聞かれたことがございます。私は、こういう巨大な企業というものと比較してみると、全く世間さまから言われるような非難が、同じ形で、実はこの巨大な製鉄会社ができたときにまた言われるような形になってしまって、かえって大臣が先ほどから言ってみえる国際競争力に対する最も大きなメリットというものがそのことにより失われてしまいはしないかという点がいよいよ心配されるわけでございます。もう一つは、逆にそれとよく似たところで分かれております私鉄であるとかあるいは九電力であるとか、こういうものがやはりこれを契機にして合併を進めてきて一もちろんこれは半ば私企業とは違いますから、そう簡単にはいかぬでしょうけれども、これを突破口として、これに誘われて、そんな機運になって独占的な体系に進むことがありはしないか。この二つの危惧があるわけでございますが、重工業局長どうでしょうか。
○吉光政府委員 確かに企業が巨大になればなるほど管理能力につきましていろいろの問題が生ずるであろうということは想像されるところでございます。ただ、最近経営管理能力につきましても、その経営技術というものがだんだんと進歩いたしております。したがいまして、そういう意味から、過去に比べまして経営管理能力の限界がだんだんと引き上げられておるというのが現状ではないだろうかと思うわけでございます。もちろんこれは、将来の世界になってまいりますと、コンピューターが全面的に採用されるというようなことになりました場合には、相当大きな経営組織でございましても、経営技術的に経営を改善する道というふうなものがそれをカバーいたしますから、したがいまして、そういう意味では、ただ単に規模が大きくなったということからくる経営管理上の限界というものもだんだんと変化していくのではないだろうか、こう考えるわけでございます。したがいまして、むしろこれは経営者の経営態度いかんというものが相当大きく作用してまいるのではないだろうか、このように考えます。
○塚本委員 私は、経営態度いかんにかかわらず、そういうふうないわゆる政府が意図したものあるいは会社が意図したものと違った形が出てきはしないか。企業というものは一面そういう要素を持っておるような気がいたすわけでございます。といいまするのは、たとえば巨大な五つの会社の中を調べてみましても、それは会社の指導者でも聞かれたらたいへんまゆをひそめられるかもしれませんが、最も大きな八幡がだんだんと能率が落ちてきつつある。その次が富士鉄というような形で、順番に大きいところほど生産性が低くなってきつつある。利益率も悪くなってくる。投下資本に対する売り上げも低くなってくる。いわゆる現在ある五社の中でさえもそういうような形で、大きいものほど生産量や販売量は大きいけれども、その率からいいますとだんだんと悪くなってきておる。統計を見ますると、そういう状態が出てきております。もちろんそれはどこどこの新鋭工場がこれから稼働するとかいろんなことをいわれるでしょうが、しかし、やはり大きいということは、能率が、ある限界効用といいますが、ある一定まではずっと伸びるが、しかし一定過ぎると伸び率が非常に悪くなってくる。私はかつて繊維の諸君と話し合ったときに、一工場当たり七百人だ、それより少いと能率が悪い、それより大きいとまた管理者が二人、三人ふえてくるというようなケースから、一定の限界というものが伸びにある。こんないわゆる基準というものも製鉄関係に当てはめられて、だからこそ、一番大きな八幡が最も悪く、その次に大きい富士が次によくないというような一もちろんあの工場が稼働し出したら、この工場が閉鎖したらという説明はいろいろなさるでしょうが、結果、二つがこうなってみたら、もちろん相対的には大きいでしょうけれども、率からいったらかえってよくないという形があらわれてきてしまって、せっかくのそういうような外資に対抗する能力といってみたものの、中身はどんがらな形になりはしないかというふうな、素朴な受け取り方を私はしないでもございません。そういうふうな見解はいかがでしょうか。
○吉光政府委員 いろいろのお考えがあると思うわけでございます。ただ現実に八幡が一番悪い一番大きな原因と申しますのは、新しくこの企業に参加しましたいわゆるニューカマー等に比べまして、古い設備をたくさん持っているということが一番の大きな要因ではないだろうかと思うわけでございます。特に三十年から四十年、最近までの間の技術の進歩というのは非常に激しいものがあります。古くから鉄鋼業をやっております企業、特に八幡でございますとか富士でございますとかいうものは、旧式の設備を相当かかえておるのでございまして、もちろんその後の需要増に対応いたしまして新しい高炉も建てておりますけれども、その後新しく一貫メーカーに加入いたしました各社は全部新しい高炉、要するに非常に技術の進んだ高炉だけで仕事をやっておるというふうな、基本的な差がその中にあるのではないだろうか、このように考えておるわけでございます。
○塚本委員 その点はわかるのでございますが、そういうふうな説明をなさっておられても、このことは今度もっともっと合併が進んでまいりますると、そういう要素がまた深まってくるのじゃないかというふうに私どもは考えます。それはもうこういうものを切り捨てて、新しい生産体制中心にいくのだ、富士においては名古屋製鉄所ができ、八幡においては君津が今度秋には動いていくというような形で、彼らに負けない能率をあげるという説明を聞かれると思うのです。にもかかわらず、こういう大きな企業になればなるほど、たとえば古い工場を整理しようといたしまするとき、この委員会の中でも、参考人として稲山さんと永野さんがおいでになったとき、同僚の議員から質問いたしました。たとえば釜石が廃止になるのではないか。古いのを何とかやめて新しいのにいこうといたしますと、もちろん巨大な企業としては、単なる経済問題だけじゃない、社会的な責任が伴ってくるわけですね。だからそんなことできやしない。だからいたしません、こういうふうなことを稲山さんも言われたはずでございます。そんなことはおそらくできないだろう。そうすると、そういうものをいつまでも引きずっていかなければならない形が出てくるということでございますね。逆にまた、いわゆる中小の製鉄会社あるいは製鋼会社等で経営不振になったものを、これは社会的に責任があるから、どうにもならないからだいてやってくれと政府に言われる。また政府も、指導の責任上どこかにだかせたい、そうして倒産のところがないような、何かの始末をしていきたいというふうに思われるでしょう。そうすると、それもやはり国家的責任上といって、最も大きいこれがかかえてしまうというようなことから、もちろんそれは必要なことではありまするが、小さな他社よりもこの両社のほうが公共的な必要性に迫られて、その地方行政体からの協力関係等で、いわゆる直接生産に必要のない資本の投下もしていかざるを得ない。やはり社会的な国家的な責任を持つということになると、いつまでもこういうものがこの企業自身の中には背負わされていく宿命をこの新会社は持つことになるのではないかと思うわけでございます。それはいけないと申し上げるわけではございません。私たちも、この際、開放経済体制下における日本の産業のあり方からするならば、最も高い能率、そういうもので外資には負けないというものをわれわれは期待をするわけでございます。だが、しょせんそういう目的とははずれた形になってしまって、それを補うべきものは販売の実力だけということになってしまう。販売だけは実力ができてくると思う。結局販売の実力とは何だといったら競争制限というような形になってきて、すべて競争制限をして価格を独占するということにおいて、それぞれのいろいろな非能率的なものも何とかかかえていかれるという形になって、一方においてはいいことでありまするが、一方においては社会的には非常に非難を受けなければならぬ結果を生みはしないか、こういうふうなことが想定されるわけでございます。この点は通産大臣と公取委員長、双方から見解をお聞きしたいと思います。
○大平国務大臣 大きくなりましても、ぼんやりしておったら競争に負けますから、あなたが御指摘のように、規模が大きくなったことに安住しておったらたいへんだと思います。それからまた、大きくなりますと、管理上いろいろ不経済、非能率が起こりはしないかという御指摘でございます。そういうことは十分考えられると思いますが、先ほど局長からお答え申し上げましたように、コンピューティングパワーなどの導入によってそういう点は補えるのではないかということでございます。それからまた、長い目で見ますると、八幡、富士が合併して永久に王座を占めるというのでなくてもいいのでございまして、次々と新鋭の業者がみずからのメリットでのし上がってくるということは望ましいことでございますから、問題は、結局生き生きとした競争力がその経済の中にあるという状態が根本的に何より大事なのじゃないか。合併がそういう競争力を制約するものになりはしないかという点が、まさにいまの問題として御審議が行なわれておるものと承知いたしております。
○山田政府委員 ただいま御指摘のような競争制限がございませんように、一定の取引分野における競争が実質的に制限されることがないように、十分審議いたしておるわけであります。
○塚本委員 今度は乙竹長官にお伺いしますが、もしこの合併がなされた場合、中小企業に対する影響力はどういう形になってくるのかということでございます。といいまするのは、前にも私申し上げたと思いまするが、いわゆる鉄工場の人たちに、いま景気はどうだと聞きますと、いま鉄が安いからもうかっておるよと、こう言うのでございますね。ということは、中小企業の諸君は原材料の安いということが一つの大きな魅力になってきておるということにもなってくるわけでございます。ところが、合併することによって高くなるというような——いまはならぬでしょうけれども、そういうふうな心配等も実は新聞紙上でも出ております。この点はどうでしょう。
○乙竹政府委員 大型企業が合併をいたしました場合に、中小企業がいろいろの影響を受けると思います。いま先生の御指摘は、中小企業が大型企業の製品の購入者である場合のお話だと思います。具体的な問題については、重工業局長が責任をもって中小企業者には迷惑をかけない、いろいろ指導してくれるということで、われわれ安心しておるわけでございます。特に鋳物の問題等もあるようでございますけれども、それ以外に、いままで非常に競争が行なわれていたことは事実でございますし、今後も競争は行なわれると思いますが、一面安定した供給を受けられるというメリットもあるだろうと思います。 なおこのほかに、大型合併が起きますと——それ以外にこの会社に原料や設備を納めておった非常にたくさんの人もございます。またそれから、特に下請関係で工場にくっついておる零細な中小企業者がたくさんあるわけでございます。何しろ大型合併というのは、それの及ぼす影響というのは非常に大きいと思いますので、私たち中小企業行政を担当しております者としては、この成り行き、影響については十分に注視をしていかなければならないというふうに考えております。
○塚本委員 私も、これも事前審査に入られる前に論じたことでございますが、中小企業にとっては、まさに工賃かせぎ、だから安定した工賃が得られるということが最も必要なことだと思うわけです。その場合、価格変動が非常に大きい鉄鋼業界においては、まず安定させてくれということは一番の大きな願いであろう。この点、これが合併されることによって安定されるということは一つの救いにあるいはなるかもしれないと私は想定されますが、一面において、そのせっかくの安定が高位安定であってはならないと思うのです。 実は私の友だちで、ある小さな鉄屋さんが、塚本さん、今度の合併は反対と出るだろうな、こう言うのですね。反対と出れば乱売をするから実は値が下がる、だから、いまのうちに売っておいたほうがいいからおれは売っておいたぞ、間違いなくこれはノーと出るだろうな、こういうことを小さな鉄屋が言っているわけでございます。わからぬぞ、私はともかく安定したほうがいいんで、君たちみたいにそんな、いわゆる投機的に商売をしておるようなやり方は反対だぞ。高い安いということは、安いにこしたことはないが、しかし中小企業界においてはまず安定するということによって——これだけ人手不足ですから、工賃だけは大体は最近の中小企業はとることができるのです。にもかかわらず、この原材料のほうが占める比重が大きいから、これが動くことが一番困るということがいわれておるわけです。だからそういう意味で、事前審査にお入りになる前も、むしろ合併することに賛成だ、そうして今日もその基本的な考え方は変わっておりません。にもかかわらず、そういう小さい鉄屋さんたちの受け取っておるのは、合併ができれば値が上がる、できなければ乱売になって値が下がるから、いまのうちに売っておいたほうがいいからおれは売りとしておいた、だから、これがノーと出るとトン当たり三千円ずつ損をするんだけれどもな、こう言っておったわけです。だからそのことは一零細な、いわゆる小さな業者の素朴な声として私たちは聞いて、政治の上に反映させていかなければならないというふうに思うわけでございます。安定はするけれども、高位安定になる心配はありはしないか、こういうことを私は心配をいたすわけでございます。長官どうでしょうか。
○乙竹政府委員 先生の御指摘の点、私たちも非常に関心と申しますか、大事なポイントとして考えておる点でございまして、中小製造業者が価格変動によります、特に原材料の価格変動によります商業利潤と申しますか、こういうものを当てにするということではほんとうの体質改善にならないんで、どうしても製造技術、製造コストという面で競争をして体質改善をしていくという面で努力を傾けていかなければならないと思うわけでございます。そういう立場から申しますと、大型合併によりまして価格が低位に安定するということを私たちは期待をしておるわけであります。特に公取で御審査がございますので、御審査の結果もし合併となりますならば、これはおそらく実質的に競争制限にならないということで合併になるということでございましょうから、高位に安定することはあり得ないと思っております。
○塚本委員 通産大臣にお尋ねしますが、いま低位に安定するというふうな長官の考え方で、そうなればたいへんけっこうなことですが、しかし一面、私どもの心配をいたしますことは、これは中小企業者の例を一つ申し上げただけですが、中小企業だけじゃない。たとえば大企業においても、やはりこのことは大きな問題になってくると思うのです。造船会社で言ってみますると、三十二万トンというような巨大な船は、全く船を売るのではなくして鉄を売っているのだという印象を前回も申し上げたのでございまするが、すべての工賃は、原料価格の安定がなければ投機的な仕事になってしまうのではないかというように思うわけでございます。この際、この巨大な、いわゆるトップクラスの二社が合併することに、他の三社ないし四社が賛成をして、反対をしていないということ、これは悪く解釈するならば、これがプライスリーダーとなって高位に値をつけることによって、おれたちも一緒にそのいわゆる管理価格らしきものの恩恵を受けようとしておる魂胆で彼らは反対しないというふうな疑義を持つわけでございます。いや、そうじゃない、そういうことをしたときに、そのすきにおれたちは安く売って、 シェアを拡大して足元を脅かしてやるのだという意見もありまするが、しかしいずれにしても、普通ならば反対の声が上がっていいと素朴な私たちは思うわけでございまするが、これが黙っておるだけじゃない、むしろ賛成のようなそぶりに見えるということが、実は高位安定ということに対する疑念を抱くわけでございます。そういう心配はないでしょうか。通産大臣、どうでしょうか。
○大平国務大臣 これは先のことでありまして、実験してみるわけにいきませんけれども、われわれが考える以上にいままでいろいろ競争が激しかったし、もう少し安定してもらいたいと願っても、なかなかそのように市況はならないほどのけわしい競争力を鉄鋼業は持っておったと私は思います。今度の合併によってにわかにそういう競争力が減退して、高位安定的な方向に固まっていくというように私は甘く事態を見ておりません。
○塚本委員 そうしますると、逆にプライスリーダーとして少しでも高く価格を上げていこうとすると、そのすきにシェアを拡大して、いまに追いついてみせると、住金でしたかどこかの社長がそんなことをうそぶいたということをちらっと私は耳にしたことがあるのでございます。そのすきにおれたちはシェアを拡大して、五年か十年先には追いついてみせるのだというような放言まで私ども耳に入ってまいりまするが、そうなれば、これは公取が御心配なされるようなことにはならぬと思うわけです。しかしその反面、何がために合併なさったのであろうか。合併というものが、そんなに両社が大騒ぎをしなければならぬような、国際競争力というような重大な問題という状態の中において、そんなことがあとから来たところのものにすぐ追いつかれてしまうというような、いってみればずうたいだけが大きいという形ならば、あえて会社がそんなことをする必要がないのにかかわらず、どうしてこんな御苦労をなさるのであろうかというふうなことも考えられるわけでございます。心配がないということは、他の会社がそういうときにこそシェアを拡大するという意味で高位安定にはならないという見解に落ちつくものでしょうか。その点はどうでしょうか。
○大平国務大臣 依然競争力は強いと私は思います。
○塚本委員 この点は、公取委員長、どうでしょうか。
○山田政府委員 同業者の牽制力、これは十分検討、審議してまいるつもりでおります。
○塚本委員 もう一つ最後に、これはあまり大きな金額ではないようでございますけれども、鉄鋼の場合きわめて波が大きいのですね。これを商品取引の舞台に乗せて、民間の資金を導入して安定をはかるというような声は出ないのかどうか。中小の鉄鋼屋さんというものは、実は問屋さんとしてのいわゆる供給の仕事、流通の仕事に携わるよりも、今日の場合きわめて大きな投機的な仕事になってしまっておる。だから、もはや大きなそういう在庫をかかえて資金力を持つものはそれだけでもうかるんだというふうな形になってしまっておるということで、それは鉄全体から見るならば、自動車や造船や電機産業や、こういうものが安定してありますからいいようなものの、にもかかわらずこれがあまりにも変動が激しい。この変動の波に中小企業があふられてしまっておるということでございますね。だからそれならば商品市況にでも出して、そしていわゆる民間資金を入れることによって、ある程度の変動をならすということも一つの方法ではないかというふうに考えられますが、この点はいかがでしょうか。
○大慈彌政府委員 御指摘いただきました鋼材を商品取引所の対象の上場商品にするかどうかということでございますが、これは非常に基礎的な資材でございますので、取引所の対象の商品としては適当なものじゃないのではあるまいか、こう考えます。取引所に上場いたしますことが価格安定になるか、上下の幅を大きくするか、いろいろ問題がございます。どうもあまり適当でないのではないかというふうに考えます。
○塚本委員 中小企業庁の長官にお尋ねしますが、これが市況を安定させるような、何らかこれはというような具体策でもございますか。中小企業の諸君の立場としては、まずとにかく価格安定、こういうことがきわめて大きな叫びになっておると思いますが、どうでしょう。
○乙竹政府委員 具体的な鉄の問題になりますると、私の立場としては重工業局長にお願いをするということでございまして、重工業局にはあらかじめこういう動きがありましてから密接に連絡をとってお願いをしておるわけでございます。重工業局としてはその点は自信があるということでございますので、安心をしておるわけでございます。
○塚本委員 もちろん将来に向かってのことでございますから、すべてが予測でございます。私の質問はこれで終わりたいと思いまするが、いずれにいたしましても、くれぐれも鉄鋼の低位安定価格を目ざして進んでいただきたい。このことを責任者の皆さま方に強く上要求いたしまして、質問を終わらしていただきます。
○小宮山委員長代理 中谷君。
○中谷委員 委員長にお尋ねをいたしたいと思いますが、行政相談としての事前審査ということでございますが、これは行政相談という非常に軽やかなことばですが、軽やかにしてはずいぶん不眠不休の努力をされたということであります。そこで、行政相談としての事前審査ということは一体どういう法根拠に基づくのか、そのあたりからひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○山田政府委員 いわゆる内審査は二つの面から考えることができるかと存じます。一つの面は、ただいま御指摘のありましたいわゆる行政相談、これはどこのお役所でも、窓口でもって一般国民から相談がございますれば懇切丁寧にその相談に応ずるというのが公務員としての義務であろうと存じます。現に私どもの役所の中にも独占禁止相談所という窓口を設けておりまして、そこでこういうような計画は法律に抵触するおそれがあろうかなかろうかという相談に応じているわけでございます。 もう一つの面から申しますと、独占禁止法第四十条により、公正取引委員会は法律に触れるおそれのある事実を探知したときには進んで調査をいたす権限及び責任があるわけでございます。この両面からいわゆる内相談、この内相談に基づく審議をいたしたわけでございます。
○中谷委員 そうすると、行政相談というのは、全体の奉仕者である公務員が、その公務員としての仕事をおやりになる上であたりまえのことなんだ、そして国民だれでも気軽に相談にいらっしゃいということでございますね。そうすると、公正取引委員会の行政相談というのは、先ほど委員長特に御答弁がありましたが、法律相談も含むんだということは、別に特に公正取引委員会の姿勢としては、合併申請をした人だとか、何か不当表示で現に訴えを受けている人たちだとかいうのでなしに、独禁法のあり方その他について相談をしたいというような人、教えてもらいたいという人も行政相談の権利があるわけなんですね。
○山田政府委員 ただいまの御質問の意味がよくわかりかねましたが、たとえば学生などが独占禁止の勉強をいたしておりまして相談に参ることがございます。必要な参考になるようなものがあれば教えてあげる次第でございます。
○中谷委員 私は、この合併の論議というのは、委員長自身が事前審査だということをおっしゃっているし、かなり長くこの委員会でも続くと思うのです。そうすると、行政相談という非常に軽やかなことばの中で十カ月近く、四十条との関係もありましたが、たいへんな審査をされた。そして特に昨年の四月十七日からことしの二月二十四日までにおけるおもなできごとの一つの中には、いろいろなことがずいぶんたくさんありましたけれども、いわゆる近代経済学者グループの諸君が大型合併には反対だという声明を出したことは、私は一つの着目すべき事実だったと思っています。国民もそのことを注視しました。ところが、結局公正取引委員会はこの問題については別に特別の反論をされるわけでもなし、だから結局国民は、近代経済学者グループ、いうてみれば体制内の学者の人たちのそういう意見が発表されたときに、どちらが正しくてどうなんだろうということについてすれ違いになっていると私は思うのです。そうすると、私はこういうことを言ってこの近代経済学者の諸君にしかられるかもしれないし、公取委員長のほうでも迷惑に思われるかもしれないけれども、行政相談ということは非常に軽やかなものだけれども、実際は非常に力を入れておやりになった。そうすると、いわゆる富士、八幡の合併について、これこれの点について問題があるのでという点について、独禁法上の見解を承りたいということが、近経グループの諸君のほうから行政相談の形式で、しかしあるいは国民はそれを論争と受け取るかもしれないが、内容は行政相談ですね、ということで詳細なものが出てきた場合には、十カ月もおやりになったんだから、これはひとつそれについての詳細な法律的な行政相談、国民のほうから見れば一つの論争ですが、論点の反論あるいはそれについての受け答えということは、公取委員長としては当然公務員であればやらなければならぬことだということに相なりますね。
○山田政府委員 これは仮定の問題でございますが、いずれにいたせ、これから正式の届け出がございますのかございませんのか、私どもの関知するところでございませんけれども、かりに正式の届け出がございますれば、法律に従った審議をいたしまして一つの結論に到達いたす、そのときにはその結論の理由、これは当然説明をいたすことに相なるか、かように考えております。
○中谷委員 そのことじゃないのです。行政相談としての事前審査をおやりになりましたね。そして二月二十四日に問題点をお出しになりました。それが四十条の規定に基づいて調査をおやりになった面もある。国民は注視しているわけです。そうすると、それらの論点について、問題品種等について二月の二十四日公取委員長は発表されたけれども、発表されていない点について問題点を指摘している人たちが多いわけですね。問題品種じゃないといわれておるものについて、問題だ、公取の見解について納得してない人たちがいるわけですね。それは形式的には行政相談、あるいはそれは公取に対する行政相談という公開質問になるのかもしれません、どんなかっこうだって行政相談ということに集約せざるを得ないと思うが、そういうことがあった場合に、届け出があれば見解を示すということは、十カ月お調べになったことについて、法に規定されて、言ってはいけないこと以外のことについて行政相談という論争が別個にあった場合には、公取としてはそれを拒否することはできませんね。それは、行政相談というものはそういう非常に軽やかなものだとおっしゃっているのだし、軽やかであるといいながら、十カ月も不眠不休でおやりになったその実績があるのだから、当然そういうことはおやりになりますね。私はきょうこの一点をお聞きしたがった。いかがでしょう。
○山田政府委員 非常に長期間審議をいたしましたのは、先ほど来申し上げましたごとく、第四十条の規定に基づきましてやっておるわけでございます。 窓口相談というのは先ほど来御指摘のように、窓口で国民に対する親切という意味で相談にあずかっております。したがいまして、もし具体的にどういう点に疑問があるというような御質問がございますれば、でき得る限りお答えを申し上げたいと存じております。ただし、ただいま御指摘のございましたように、法律によって公開することを適当としないこともございますから、その辺のところは御承知おきをいただきたいと思います。
○中谷委員 そういうふうな委員長の御答弁があれば、学生についても親切にということなんだから、学生じゃない学者の諸君が、公取の見解を法に許された範囲内において聞きたいということであれば、委員長もそういうふうにお約束になったわけだから、当然そういうふうな論争が行なわれるだろう、私自身も国民の一人としてそのことを期待いたします。 そこで、第二の点についてお尋ねをいたしたいのですけれども、率直に申しまして、私は、独占禁止法の構造の中で、次のような点について、これは一体どういうふうに理解したらいいのだろうかという疑問と申しますか、納得のいかない点を持ちました。と申しますのは、私の非常に印象に残っていることばですが、前回の中村先輩の質問に答えて委員長は、とにかく俯仰天地に恥じない下調査、事前審査をやったのだと言われました。私そのことばは非常にりっぱだと思います。ただしかし法律の構造上、届け出をして合併が認められなかった場合には、合併申請者は裁判所へ持ち込むことができますね。そうすると、公取御自身がかりに合併を認めないという判断をしたら、裁判所においてさらに二回目の審査を受けるわけですね。いうてみれば、五人の委員ごりっぱな方だろうと思いますけれども、合併を認めてしまえば、国会において批判を受け、国民からその点についての批判を受けることはあっても、どんな資料とどんな材料に基づいて合併を承認したのですかということについて、公取はその判断を示されるというけれども、詳細、微細に公取自身が判断あるいは批判をされることがない。逆に言うと、合併を認めたときにおいては、もう公取はオールマイティー、合併を認めないときに限って批判の対象になる、そういうふうな法構造になっている。これは行政委員会というのはそんなものなんだよと言ってしまえばそれまでですけれども、私はどうもそれが納得いかない。 それで公取委員長、今後いろいろな点で御努力いただいて、かりに合併を認めないというなら、当然公取の判断が正しかったか正しくなかったかについては、われわれはさらに別の機関においてそれを判断すること、見ることができるけれども、合併がいいんだということについてはもうそれっきりになってしまう。こんなことについて公取委員長、非常にお仕事については御熱心だし、自信をお持ちなんですけれども、謙虚に御反省いただいたことはないのでしょうか。こういう言い方は非常に失礼ですけれども、私こわいと思うのです。いうてみれば、自転車どろぼうだって三回裁判を受ける権利がある。しかし逆に被害者の立場から言うと、自転車をとったんじゃないよとどこかで言ってしまえば、自転車をとられたんだと言いに行くところはないというようなかっこうの問題でもありますね。そのあたりを国民としてどう理解したらいいでしょうか。法律がそうなっているんだからしかたがないじゃないかといえばそれまでです。そこで私は、届け出があっていつの間にか合併承認になってしまったらおかしいんで、審判を開いてくださいという国民の要求はきわめてもっともだと思うのです。いかがでしょうか。
○山田政府委員 御指摘のとおり、私どもの判断というものは非常に影響が大きいのでございます。そのためにこそ、ほかの官庁と違いまして、一人の長官が決定するということでなしに、日本では例の少ない行政委員会の制度を設けまして、十分慎重に厳正に合議をして結論を出すということになっております。したがって、それだけに私どもの責務はきわめて重大である、かように存じておるのでございます。
○中谷委員 これは何べんも委員長の決意としてお伺いしたのですけれども、しかし逆に言うと、私率直に申しまして、一人でやられたんじゃたまったものじゃないですよ、五人でおやりになるのはあたりまえだなんというくらいに思っているのです。しかし、法律にはそうなっているからといって、何らかの形において利害関係人が異議申し立てできるような制度があるべきじゃないか、これはそういう制度としてはあり得ないのですが。委員長としては五人一生懸命に審査するんだとおっしゃるけれども、行政委員会が俯仰天地に恥じない審査をやったけれども、みずからの審査について誤りがあるかもしれないという一歩下がった、より謙虚な、よりごりっぱな態度をもってされるならば、一体チェックするものは何なのか、公取の御判断について、合併を認めた場合に、それについてチェックできるのはどんな方法があるのか。制度的にないとすれば、どういう方法が考えられる可能な方法だろうか。たとえば公聴会の問題だとか、それもひとつ大々的に公聴会をやるとか、いろいろな方法があると思うのですけれども、何か午前中のお話では法に従ってということですけれども、これは委員長の決意のほどにも関連して私はその点をお聞きしたいと思うのです。
○山田政府委員 午前中も申し上げましたごとく、法の定めるところによりまして厳正に判断をいたしたいと存じます。 ただいま御指摘のございました公聴会、これも委員会において開くことを適当と認めますれば、当然いたすことになる、こう思います。
○中谷委員 ずいぶん委員長十カ月御勉強になりまして問題を掘り下げられたのですけれども、昨年の四月二十四日、私が委員長に合併の問題が起こったころに質問をさせていただきましたが、そのときには「当然公聴会を開く必要があるかと想像をいたしております。」こういう御答弁でございますね。いまの御答弁の趣旨、ちょっとお聞きしますと、昨年の四月二十四日の御答弁のほうが、まだ公聴会を開くのがあたりまえという趣旨に聞こえるでしょう。この点いかがでしょうか。
○山田政府委員 四月二十四日のときには、私個人の考えとしては従来からの例に照らして開くことになるでございましょうと申し上げたと記憶いたしております。
○中谷委員 次に、梅田委員さんと亀岡委員さんにおいでいただきましたので、私一つだけ非常に疑問に感ずる点があるのです。あるいはこの点は疑問でも何でもないのだということになるのかもしれませんけれども、一体どういうことなのかお尋ねをいたします。と申しますのは行政相談の受理というのは一体いつだったのだろうか。これは午前中御答弁があったようですが、お答えをもう一度いただきたい。梅田さんのほうにひとつお尋ねをいたします。行政相談なんですね。そうして二月の二十四日に、午前中通産大臣の御答弁の中にありましたが、公取からとにかく通知を受けたという御答弁がございましたですね。通知を受けたというのは一体どういう根拠で公取が通産省に通知をなさったんですか。いうてみれば、通産省というのは八幡、富士の応援団みたいだと国民は思っています。そこへ通知をされた根拠は一体何か。梅田さんにひとつお答えいただきたい。
○山田政府委員 二十四日に御通知申し上げたということはございません。ただ二十四日でございましたか——両社長が見えましたのは四月の三十日でございます。
○中谷委員 失礼しました。私の説明が悪かったのですね。また話が最近に飛んでしまったのです。二月の二十四日に事前審査の内示をして、結論を出して両社に通告をして、そしてそれを通産省に通知をした。大臣は午前中通知があったとおっしゃったというふうに私聞いたのですが、それは一体何なんでしょうか梅田さん、とこう聞いているのです。
○梅田説明員 二月二十五日に、内相談の結果、その時点における公取の判断を通産大臣に連絡をしたという事実はございますけれども、それの根拠というお尋ねでありますが、これは単なる政府機関同士の連絡にすぎないと私は存じておる次第でございます。
○中谷委員 亀岡委員にお尋ねをいたします。そういった通知をしなければならない法律上の根拠はあるのでしょうか。それからその通知は、では委員会のいつの合議に基づいてその通知をおやりになったのでしょうか、まずこの点。
○亀岡説明員 いまの御質問の点ですが、通産大臣に御通知申し上げる法律上の根拠というのはございません。ただ通産大臣は産業行政の主管大臣でいらっしゃいますので、われわれの決定について御連絡申し上げた、こういうことでございます。 それから委員会のどの段階の決定かというお尋ねでございますが、これはたしか二月の二十四日の委員会で最終決定をいたしました。その結果を通産大臣に御連絡申し上げた。事実はこういうことでございます。
○中谷委員 どうもそうすると私納得がいかなくなってきました。不当な圧力に屈しない、断じてそんなばかなことはありませんよという。実は不当な圧力に屈したというようなことをみだりに私言うというようなことは、たいへん失礼なことだし、いけないことだと思うのです。私はそういうことばを慎みたいと思います。そうして委員長が何べんも強調しておられるのは、公正取引委員会というのは独立の行政委員会なんだ。これはとにかく通産省の外局でも何でもありませんわね。むしろ、官庁名簿を見れば、総理府のところに出てきている。法律上の根拠もないことを、しかもこの点について通産省は国民の立場からいえば富士、八幡合併の応援団だといわれている。そこへ何で委員会が通知をしたのでしょうか。その経過は、そうすると、通知を早くしてくれよというふうな連絡がいつあったのでしょうか、それとも、そんな連絡はなかったけれども、通知をしたら今後のためにいいだろうと思って通知をされたのかどうか。ひとつ事務局長、事務的な問題としてお答えをいただきたい。
○柿沼政府委員 公正取引委員会は、法律に基づく権限については、ただいま御指摘のとおり、独立して権限の行使を行なっている官庁でございます。ただ独立して権限の行使を行なっている官庁であるということは、孤立して権限の行使を行なっている官庁ということとはおのずから違うと思います。関係官庁との間には常時事務連絡というかっこうで密接な連絡を保っております。
○中谷委員 私もこういう問題についてあまり不毛の議論をすべきでないと思いますので、話を進めますが、そうすると、経済企画庁、運輸省その他考えられる官庁がありますが、二十五日に全部そういうところには御通知をされたわけでございますね。
○山田政府委員 先ほど来のお尋ねでございますが、私どもは委員会としての意思を決定いたす前に通産省さんなりなんなりの御意向を伺ったという事実は全然ございません。公正取引委員会においてはっきりと二月の二十四日に意思決定をいたしました。そこではっきりきまったわけでございます。それを直接鉄鋼の所轄官庁であるところの通産大臣にただ事後に御連絡をしたということでございます。そのほか関係のあるところには御連絡をいたしたわけでございます。こういうふうに委員会の意思を決定いたしましたということを御連絡した、こういうことでございます。
○中谷委員 四月の二十四日の会議録には、通産省の意見は十分に聞く、こうなっておりますが、これは別として、そうすると、鉄鋼の所管官庁が通産省だということはよくわかります。そのことが、公取という独立した行政委員会がなぜ通産省が鉄鋼の所轄官庁であることで通知をしなければならないのか。その点について所轄官庁だから通知をした、通知をするのはあたりまえじゃないかと言わんばかしの御答弁でございますけれども、どうも私、その点については納得がいかないのです。何かしなくてもいいことをされたのではないか。そういうことは法律上の根拠はないということは、先ほど何べんも御答弁をいただきました。そうすると、法律上の根拠がないことについて——大体行政相談というのが私は非常におかしいと思っているのですけれども、行政相談の対象になっているのは八幡、富士の両社ですね。そのことについて所轄官庁だから通産省へ連絡したという、そのあたりの論理構成がよくわかりません。
○山田政府委員 所轄官庁であるのみならず、通産省の御所轄に属する産業構造審議会においても、合併に関する御意見が出ておりますのです。したがって、私どもがある結論に到達したときに御連絡申し上げることは少しも差しつかえないことだろうと存じます。
○中谷委員 次にお尋ねをいたしたいと思います。 どういうことに相なっていくのでしょうか。要するに、問題品種の指摘をなされましたですね。そうしてこれはあくまで行政相談としての事前審査の結果であると注釈をお加えになっておられる。そうして委員長の従来までの答弁によりますと、届けが出てくるか出てこないかは、公正取引委員会の知ったことではないとおっしゃっている。それでいいのですか。そうすると結局、対応策——対応策ということばも私よくわからないのだけれども、対応策なるものを講じて、そして届け出はしないで、あらためて行政相談に来る。そうしたらそこでまた問題品種の一つは白になったぞ、あと二つはまだ灰色だ。さらにこの点については問題だという指摘をする。またそれを持って帰る。今度はもう二つとも白になったぞ、あとは一つだけ灰色だ。ではまたということで持って帰る。結局、そういう届け出をせずに行政相談ということは、届け出が出てくるか出てこないかわからない。行政相談にまた来るか来ないかもわからないけれども、行政相談に来れば気長く行政相談に応じて、その点についての対応策なるものを持ってきたら、相談という形でそれをまた検討される、そういうことになるのでしょうか。率直な感想を申し上げさしていただきましたら、とにかくできの悪い子供が試験を受けてもなかなか合格しない、模擬テストのペーパーテストをやって、とにかく五十点しかいかぬ、もう一ぺん試験をやり直した、今度は五十一点までいった、もう一度試験を君だけ特にやってやろうというふうなことで届け出をしたときにはもうとにかく何もかも終わりというふうなかっこうの経過をたどる場合だって、そうするとあり得るわけなのでございますね。
○山田政府委員 模擬テストのたとえをお引きになりましたけれども、これは本質的に違うのではないかと思います。たとえば、カルテルの疑いがあって、ある会社あるいは事業者団体に立ち入り検査をいたしますときに、事前にこういう問題点が、疑いがあるのだというようなことを漏らしでもしましたら、これは証拠を隠滅するでございましょうから、とんでもないことでございまして、そういうことの絶対にあり得べからざることは当然であると思います。しかしこれは模擬テストとは全く質的に違う問題ではないかと存じます。要するに、私どもが最終的に正式な法律に従った判断をいたしますときは、届け出書に基づきましてその内容を審議をいたす、かようなことになっております。
○中谷委員 それはわかるのです。それは何べんも委員長の御答弁を聞きましたが、そうすると、届け出はさっぱり出さない、そうしてとにかくブリキ、鋳物用銑鉄などについての問題点が指摘されていましたね。それについて八幡、富士のほうでは修正をする、対応策をとる。そうしてあらためて行政相談ということで持ってくる。そうすると、公取としては行政相談に応ずるわけなんですね。
○山田政府委員 これは限界がございまして、普通の行政相談という域でございますれば応ずると思います。これでもって適合するかしないかということは応ずると思います。ただ何べんも何べんもするというようなことをする考えはございません。
○中谷委員 私はそんなことになるのじゃないかという点について疑義を感じたのです。要するに、行政相談というのは問題点の指摘を出した、この日をもって行政相談にはピリオドを打たれる、あとは正式な届け出が来るか来ないか、これはひとつ公取としてはそれを待つ——待つといえば期待しているようなかっこうになるから、届け出が出た段階において判断をする。そうすると、とにかくこういうふうに対応策を講じましたけれども、これでよろしいかというふうな相談があっても、そういう相談には応じない。——これはひとつ私にとっては大事な点だと思いますし、問題点だと思われますので、念のためにお聞きしておきますが、こういう理解でよろしいでしょうか。
○山田政府委員 対応策云々ということは私どもの関知するところではないのでございまして、届け出についての内容が法律に適合するかしないか、これを委員会において正式に審議をいたす、かようなことに相なると存じます。
○中谷委員 それでは私、少ししつこいようですけれども質問の言い方を変えます。八幡、富士のほうから合併に関して届け出というものがあるかないかはわからないけれども、行政相談というかっこうで八幡、富士の合併についての相談があっても、これはもう相談には応じないわけなんですね。
○山田政府委員 新しい内容につきまして相談がございますれば、それは応ずることがあると存じます。ただし、それはどこまでも委員会において審議いたしまして、相談に応ずる、こういうことでございます。
○中谷委員 それはわかっているのです。現在までは委員会でおやりになったのですからわかっておるのです。新しいということは、従来問題品種として指摘されたことについて、こういうことに事情が変わりました、そういうことだったならば結局相談に応ずることになるのですか。
○山田政府委員 問題点が全然なくなっておるか、なくなっておらないのか、これは委員会において十分審議をいたしたいと存じます。
○中谷委員 そうじゃないのです。私の聞き万が少し悪いのかもしれませんが、八幡、富士のほうが、指摘された問題点と思われる点がなくなったと私のほうは思いますといって相談にくれば、相談に応ずるのですかと聞いているのです。
○山田政府委員 問題点があるかないかを、委員会において審議をいたしてお答えを出すつもりでおります。
○中谷委員 では私が最初にお聞きした点と同じになるのじゃないでしょうか。限界があるとおっしゃいますけれども、問題点を指摘した。新しい問題が出てきたら、さらに相談に応ずるとおっしゃるのだから、自分のほうはこういう新しい事情になりました、新しいか新しくないか委員会のほうで見てください、行政相談してくださいといって持ってくれば、結局行政相談というかっこうの繰り返しで、私のたとえが悪かったかもしれませんが、できの悪いところがとにかく直っていって、そして結局正式の届け出を出したときには、全部白になっておる、こういうことに結果として当然なるじゃないでしょうか。だからそんなことを一体独禁法の十五条が予想しておったのでしょうかどうでしょうかと私は思うのです。それなら結局、行政相談という名の合併をさしてあげるための——四十条ということをおっしゃっていますけれども、合併をさしてあげるためにとにかく気長く寛容と忍耐を持って調査をされるということ以外の何ものでもない。それが公取としての姿勢として正しいのだとおっしゃればともかく、そうすると今後そういうふうな大きな会社の合併というのはどれだけ出てくるか、堀先生なんかは専門ですが、私よくわかりませんけれども、とにかくそんな要領悪く正式の届け出を出すような会社なんて、これから一件もなくなりますね。全部行政相談で一年ほどやってもらって、そして問題点を指摘してもらって、そうすれば公正取引委員会というのは、十五条によって合併を承認するか承認しないかという、そういうお役所ではなしに、合併するにはこうしたらいいのですよという行政指導のお役所だということにもなりかねないじゃないでしょうか。私が言っているのはそういうことなんです。何べんも繰り返し繰り返し行政相談をやっていたら、そうなるじゃありませんか。いいかげんに行政相談は切って、正式の届け出が出るか出ないか待ったらどうですか。新しい事情がありました、とにかくここの答案がちょっと書き方がまずいと思うのですが、先生直してくれませんか。ここを直しておけよ。また持って帰る。またあくる日になったら、また直してください、教えてください。君、考えよ。はいと言ってまた帰って、あっちこっちで相談してきて、またはいと持ってくるということは、私は全く素朴にそういうことを感じますけれども、いかがでしょうか。
○山田政府委員 法律に照らしまして認められない合併はどこまでも認められないのであります。どうも試験問題の例は私は本質的に違うと思います。
○中谷委員 何か私、きょう聞き方が非常に、何でしょうか、間違っているのでしょうか。いつも委員長の頭の中にはもう少しすらっと私の質問が入っていただいたと思うのですけれども、こうなんです。法律に認めない合併は認めないと委員長のおっしゃることは、当然そのとおりなんです。おっしゃるとおりなんです。ただ、いわゆる事前審査ということで、そんなことでは問題がありますよという指摘を、繰り返し繰り返し行政相談という形で、今後ともおやりになるのですか。それなら結局行政相談という名の、合併を成就させるための、承認するための行政指導以外の何ものでもないじゃありませんか。しかも委員長御自身おっしゃったように、不眠不休でおやりになった。私はおそらく、ほかの、行政委員会としての公正取引委員会のお仕事はずいぶん停滞しただろうと思うのです。事務局だってたいへんだったと思う。私、ほかの事務が停滞したと思うのですよ。しかし、そんなことをいつまでも幾ら鉄の問題だからといって繰り返し繰り返しおやりになるのですか。結局、そういうことで届け出があって、法律に反した合併は認めない、こんなことは私わかるのですよ。その以前の、法律に反しているか反してないかについて、ここは問題だよという指摘を何べんでもお繰り返しになるのですか、そういうことを聞いているのです。聞き方が悪いのか、何かその点についてどうもお答えがすっきりしてないような気がしますが、私の質問はそういう趣旨なんです。
○山田政府委員 さようなことを繰り返す意思はございません。
○堀委員 関連して。実はいまの問題は、ここで一応公取としては事前審査の回答をお出しになりましたね。そうしますと、行政相談という問題はそれじゃこれでおしまいかというと、事前審査はおしまいでございましょう、行政相談は残るということになるのではないのかとわれわれは心配しておるわけです。そこで、たとえばレールについては独禁法にかかるおそれがある、こういうふうにお答えになったのですね。そうすると企業側としては、ここをこう直しましたらこれで通るのでしょうか、こういうことになりますね。行政相談にくる。それはまだだめです。それじゃ次はここまでこうしたらよろしいでしょうか。それもだめです。それじゃここまでしてきたらどうでしょうか。それならよろしい、という行政相談がこれからもし行なわれるとするならば、要するに独禁法というのは、大体において審判を開始して処理するというのがたてまえだと私どもは思うのです。結局審判をしなくても行政委員会の意思というものを、そういう試行錯誤の繰り返しの中でこれから行なわれたのでは、私どもは法が適正に運用されているという感じがしない。だからその点をいま中谷君は試験問題に例をとって実は伺っておると思うのです。ですから、その限りにおいて対応策というものを持ってくる、何回もこれを往復していれば、要するに公取の限界というものがだんだん審判によらず何にもよらずでわかるわけですね。だから、審判を行なわずして行政相談だけで独禁法十五条がすべて運営され尽くすということになることは、法の精神から見ていかがであろうかというのが、中谷君が伺っている趣旨だと思うのです。いま委員長のおっしゃったことは、もう 一ぺん事前審査が来ても、これはやりません。おっしゃるとおりだろうと思うのですが、個別ではそういう行政相談的なものは、私どもの考えでは、もうお受けをいただかないで、あとの問題はあげて正式に届け出があってから審判によって処理をしていただくということが独禁法の適正な法の運用ではないか、こういう考えに立っておるのでそういう質問が出たのです。そういうふうに理解をしていただきたいと思うのです。
○山田政府委員 何か何べんも相談がありますと、いわゆるネゴシエーションのような感じをお持ちかと思いますけれども、私どもは全然そういう気持ちはございません。法に触れるか触れないかということで厳然たる態度をとってまいるつもりでございます。
○中谷委員 どうもよくわからないのです。厳然たる態度というのは、何べんも相談を受けるのが厳然たる態度になりませんよ。だから受けるのか受けないのか、その点だけを答えていただいたらいいわけですけれども、どうも御答弁と私の質問とがすれ違うんです。しかしあまりしつこくこのことばかりやっていてもいけませんから、次の問題に移りますが、法律問題といいますか、独禁法の解釈の問題としてお尋ねをいたしたいと思います。 審判ということになって、審決といいますかお書きになる場合、その場合は委員の少数意見というのは当然その審決にお書きになるということは、独禁法の禁ずるところではございませんね。
○山田政府委員 そのとおりでございます。
○中谷委員 少数意見をお書きになるかならないかは別に委員会の合議で縛ることではなしに、委員が書くと言えば少数意見は書けるわけですね。
○山田政府委員 そのとおりのたてまえでございます。
○中谷委員 合議の次に、ちょっとこれもひとつお尋ねをしておきたいと思います。 公取委員会の結論といわれているこの内示は、もちろん行政委員会としての公取委員会の合議に基づいたものだと思いますが、合議は公開しないということが法に規定されております。合議を公開しないというのは、合議の場所を見せないという趣旨に承っていいのでしょうか。それとも合議が、どのような少数意見の保留者がいたかどうか、あるいは全会一致だったかというようなことは、合議は公開しないということとは関係ないことである、ということであれば、この公取委員の公取結論の全容、要するに公取の事前審査の段階における結論というものは、少数意見の方があったのかどうか、これはお答えいただけますか。
○山田政府委員 委員会の議事を公開しないと申しますのは、委員が一人一人独立して職権を行なうたてまえになっておるのです。したがって、だれがどういう意見で、かれがこういう意見でということを申しますことは、その独立性を害するおそれがあるので、法がさように定めておるものと考えております。
○中谷委員 審決については少数意見の記載が当然許されますね。そうすると、国民の立場からいいますと、もう十カ月もみにもんだ事前審査の結論について、どなたがどんな意見であったのか、これは全会一致であったか、くらいのことは知りたいと思うのです。要するに、全会一致であるということになれば、これはまあ、公取もそういうことだったんだろうということになるし、三対二というようなことであれば、これじゃかなり問題があるんだなということにもなるでしょうし、そういうことも法によって——そういうようなことも御答弁はいただけないのでしょうか。審決に少数意見が記載できるということとの関連においては一体どうなんでしょう。
○山田政府委員 先ほど来申し上げましたごとく、各委員が独立してその権限を行使いたしてまいります。それを保障いたす必要上、委員会の審議の内容は申し上げることができない、かように考えております。
○中谷委員 問題点だけを指摘さしていただきます。審決については、審議の内容ではなしに、だれがどんな発言をしたということでなしに、結論が出た場合に、自分はこういう少数意見を持っているということは記載できますね。そうするとこれは一つの、審決ではないけれども、そういうふうな文章として出てきておりますね。それについて私はこういう少数意見を持っているんだと言うことは、独禁法の違反になるのでしょうかならないのでしょうか。
○山田政府委員 三十八条に「委員長、委員及び公正取引委員会の職員は、事件に関する事実の有無又は法令の適用について、意見を外部に発表してはならない。」こういう規定がございます。
○中谷委員 その規定は承知した上で聞いているのです。そうしたら、その審決の場合に少数意見を書けるということは、その規定との関係においてはどうなんでしょうか。ひとつ梅田さん、お詳しいようですから。
○梅田説明員 三十八条のただし書きに「但し、この法律に規定する場合又はこの法律に関する研究の結果を発表する場合は、この限りでない。」
○中谷委員 「この法律」がどこへ飛ぶのでしょうね。審決に書けるというのはどこへ飛んでいくのですか。
○梅田説明員 五十七条の第二項でございます。
○中谷委員 五十七条の二項でございますね。だから、審決書については少数意見を付することができる。しかし審決以外の意見については少数意見は言えない、これはどういうふうな立法根拠になっているのでしょうか。梅田さんにひとつ。
○梅田説明員 私、立法の経緯は研究しておりませんので、経緯は申し上げられませんけれども、おそらくこれは、たてまえは発表すべきものではございませんけれども、最高裁判所の判決、それに従ったのではないかと一応考える次第でございます。
○中谷委員 質問は一回で終わりませんので、じゃ私のほうもよくこの点検討させていただいて、あらためて質問させていただきます。 最後に、私、十五条の統一解釈についてお尋ねをいたしておきたいと思います。 問題は、私の見るところでは、この統一解釈というのが出された段階が、すでに今度の事前審査の内示に重大な影響があったと思うのですけれども、十五条の統一解釈の最後のほうからお尋ねをいたします。「「こととなる場合」は、単に可能性があるだけでなく、合理的に予想できることが必要」とございます。これは合理的に見てそうなると予想できるというふうに分けて読んでいいんだと私は思いますが、そうすると、この統一解釈の中でお聞きいたしたいのは、単に可能性があるということではないんだということですから、今度の事前審査の中で単に可能性があったという場合の品種というのはかなりあったということになるのでしょうか。その点についてはお答えいただけますか。ここに三品種の御指摘がありましたが、そうすると、単に可能性があるだけでなく、合理的に見てそうなると予想できることが必要なんだ、これは前回公取委員長は私に確実性、蓋然性というようなおことばで御答弁いただきました。あのころはかなり公取委員長の御議論も荒っぽかったと思うのですけれども、今度はこういうことになってきたんですが、私がこの統一解釈の一番最後のほうでお聞きいたしたいのは、単に可能性があるということでなく、とあるのだから、可能性があった場合というのは、今度の御調査の中でかなりあったのでしょうか。
○山田政府委員 単に可能性があるということでは、これは法律に申しますところの「競争を実質的に制限することとなる場合」には該当いたしません。したがって、その点の調査はいたしておりません。
○中谷委員 御調査というのは、合理的に見てそうなると予想できることの調査をされるんだから、当然にそこまでに至らない、単に可能性があるという調査がまずあって、仕分けをされたと私は思うのです。合理的に見てそうなると予想ができる場合というものを認定されたということは、当然可能性のある品種というものの認定も私はあったと思うのです。そうではないでしょうか。要するに、三品種はとにかく統一解釈の項に触れるのですよ。それがすなわち合理的に見てそうなると予想できるという御認定をされたんだから、逆に言うと、そうでないというものについてどんどん積み上げていかれたんだから、可能性があるという品種も御調査の段階では出てきたと思うのです。出てこなければ私はおかしいと思うのです。ですから、これはその点についての将来の集中度の調査なども公取はおやりになっているのですから、この合併承認とかということと別にして、可能性があるということの品種は一体どの程度ありましたかというお尋ねなんです。逆に言いますと、学説とか一つの主張によれば、可能性があるで十分なんだ、それで合併はできないのだという説もありますし、私は二つの観点から、そういう可能性がある品種は一体どれだったか、これをひとつ御答弁いただきたい。
○山田政府委員 私どもの基準は、どこまでも可能性には置いておらないのでございまして、経済合理的に見て蓋然性がはっきりとある、こういうことを判断の基準にいたしておりますので、この蓋然性のある品目をピックアップした、こういうことでございます。
○中谷委員 しかし、ピックアップされたとおっしゃるのですけれども、そういうように引き出される前提としては、仕分けの作業があるわけでございましょう。AかBかCか、とあって、これがそういうふうにとにかく一番黒だというふうに引くのは、灰色があって、白があって黒というのが出てくるわけで、ですからこれは黒じゃなかったけれども灰色でした、白でしたというのが私はあったと思うのです。問題品種を指定されたということについては、その問題品種でなかったものについては、こういうふうな問題点はあったけれどもというのは全部御調査になったわけでございましょう。だから、可能性があるという品種は一体何品種あったのですか。
○山田政府委員 そのほかのものは蓋然性がなかったということでございます。
○中谷委員 蓋然性がないということはお聞きしました。可能性があることと蓋然性とは違うということを口がすっぱくなるくらい委員長からお聞きしたのです。蓋然性はなかったけれども可能性があった品種はあったのですか、なかったのですか、こう聞いているのです。
○山田政府委員 その詳細になりますと、第三十八条によりまして、事実の有無について意見を外部に発表してはならないという規定がございますので、遺憾ながら申し上げかねるわけでございます。
○中谷委員 「委員長、委員及び公正取引委員会の職員は、事件に関する事実の有無又は法令の適用について、意見を外部に発表してはならない。但し、この法律に規定する場合又はこの法律に関する研究の結果を発表する場合は、この限りでない。」そうすると、一体どうなるんでしょうか。にわかに独禁法第十五条に抵触しないとは言えないなんというのもこれですね。三十八条についての意見の発表になりかねないじゃないですか。蓋然性のあるものについては発表していいけれども、可能性については——集中度の調査などもおやりになっているのだけれども、いわゆる寡占問題とか価格問題とか、そういうことがわれわれにとっては非常に関心があるし、そのことを知ることが大事だからという観点からお聞きするのですけれども、三十八条でどうしてくくれるのでしょうか。梅田さん三十八条というメモをお渡しになったけれども、納得できません。委員長答えていただきたい。
○山田政府委員 個々の品種につきまして申し上げることは「事実の有無」これに該当すると思います。
○中谷委員 次に、統一解釈の二番目ですが、合併した企業という問題でございますね。これは従来の判例の変更というふうにお伺いせざるを得ないのでしょうか。午前中梅田委員、判例をお引きになって、判例の立場に立って御答弁されたような気が私いたしますが、要するに、特定の事業者または事業者集団が、その意思である程度自由に価格、品質、数量その他各般の条件を左右することによって云々という、この点の指摘、あとずっと判例を詳しく私のほうも申し上げなければなりませんけれども、このような点との関連において合併した企業が、とおくくりになった点は、従来の判例の立場を変更されたことになるのか。統一解釈というものはそういうものかというのが一点。 それから、第二項についてもう一点お聞きしたい点は次の点です。要するに、好むと好まざるとにかかわらずこれに追随せざるを得ない状態をさすと統一見解ではお述べになっています。そうすると、好んで追随せざるを得ない、好まないけれども追随せざるを得ない、いま一つは、先ほど塚本君もそういうことを言っていましたけれども、好んで追随するのだという場合、要するに自由意思によって追随という場合はこの統一解釈の二項からははずれているのでしょうかという点を、二項については二つだけお尋ねをいたします。
○山田政府委員 第一点につきましては判例の考え方と少しも変わっていない、かように考えます。 それから、第二点につきましては、好むと好まざるとにかかわらずというのは、これこそ必然的にこれに追随せざるを得ない、こういうことであると理解いたしております。
○中谷委員 もう最後、最後といって、あまり続けてもいけませんので、もう一点だけにいたします。 十五条の統一解釈の中で、一定の取引分野は、粗鋼のような中間製品では判断しない、これは特に統一解釈の中でお出しになったわけでございますね。そしてこの統一解釈というものが出たのは一月二十七日でございますから、この点については粗鋼のような中間製品ではない、粗鋼がいわゆる中間製品であるのかどうかという問題も若干あると思いますけれども、そういうふうなことは大体常識でいえばそういうことだと思ったのですが、特にこの統一解釈の中で、粗鋼のような中間製品では判断をしない、「一定の取引分野」というのはしないということを、一月二十七日になりまして、統一解釈を練り上げられた上でこういうふうにお出しになった、その経緯ですね。要するに、そういうふうな粗鋼というものの占めている位置が「一定の取引分野」ということに関連をして相当いろいろな見解があったと思うのですが、それらの見解について、結局統一解釈に至るまでのいろいろな見解についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○山田政府委員 ただいまお読みになりましたのは、おそらく新聞記事でないかと存じます。私どもは何も発表しておらないのでございまして、これが統一解釈だといって発表したことはないのでございます。
○中谷委員 そうすると、一月二十七日に、統一解釈だというふうなことについて、十五条についての見解ですね。これもとにかく委員長がお話しになったことはないわけですか。
○山田政府委員 私は全然話したことはございません。
○中谷委員 そうすると、十五条の解釈については、われわれとしてはいまなお委員会がどんなふうにお考えになっているのかということを知り得ないままで、とにかく十五条の統一解釈と出ているから、そういうことだと思ってこの問題についてこういうふうな解釈をお持ちになったのだと思っているけれども、委員会としては、十五条についての有権的な解釈を示されたことはいまだかつてない。そうすると十五条について委員会がどういうふうにお考えになっているかも、われわれとしては理解ができない。そうすると、あらためてこの機会にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、十五条については統一解釈なるものは発表したことはないというわけですけれども、委員さん皆さんの中で、十五条についての解釈を統一された事実はあるわけですか。もしあるとすれば、それを、ここに統一解釈というものが出て、これは公知の事実として私たち理解しているわけですから、委員会としては十五条をこのように理解するという点を最後に御答弁をいただきたいと思います。
○山田政府委員 これは議事の内容にわたりますので申し上げかねると思います。何も事新しく解釈をきめたというわけではございませんで、従来の考え方、これをまとめたにすぎないわけでございます。
○中谷委員 従来の考え方をまとめられたとおっしゃいまするけれども、そのまとめられたものは、そうすると公正取引委員会としてはお持ちになっている、それについてはしかし有権解釈としてでも外部には言えないということなんでしょうか。法律の解釈について発表されることは当然のことであって、この機会に、有権解釈として、十五条についての有権解釈は資料としていただけるわけですね。
○山田政府委員 これは正式の審査をいたしました結果を通じておわかりになることだと思いますが、あらかじめ提出いたすということは、これは議事の内容に属しまするので、残念ながら申し上げるわけにまいらない、かように考えております。
○中谷委員 最後に一点だけ。私、いまの点について見解を異にするということを申し上げて質問を終わりたいと思います。 十五条についての有権解釈を示さるべきだと申し上げているのです。いうてみれば、具体的事案についての十五条の適用を示せとは言っているのじゃないのです。十五条についての有権解釈を示されたい。それでなければ公取が十五条についてどうお考えになっているのかということがきまらなければ論議はしにくい。十五条については、従来この点についてはこうです、経済的合理性ですということをいろいろ答弁しておられます。それをまとめておっしゃることは何も差しつかえないでしょう。十五条の有権解釈を示されたい。各委員のほうから、この点についてはどうだ、一体「一定の取引分野」というのは何かというようなかっこうの質問が出たり、またある議員のほうからは「こととなる場合」というのはどうなるのか、それとどう違うんだという質問があったりして、かなり質問も多岐にわたるし、各所で質問もされておる。この機会に十五条の有権解釈を示されることは適切だし必要ではないか。何も鉄鋼合併との関連において示せというのではありませんということを申し上げている。そういう有権解釈は示されますね。
○山田政府委員 委員会で合議いたしまして、適当な方法でお示ししたいと思います。
○中谷委員 これはそうでなければ私のほうも次に質問ができませんから、いつ合議していただけますか。
○山田政府委員 できるだけすみやかにいたしたいと存じます。
○中谷委員 では終わります。
○堀委員 関連して。 事務局長にお伺いをいたしますけれども、今度の事前審査の届け出があったのは何月何日でしょうか。
○柿沼政府委員 昨年の四月三十日に両社の社長が委員長のところに見えまして、口頭で申し出があったわけでございます。
○堀委員 これを主として担当した部は、皆さんのほうの事務局ではどこの部が担当したのでしょう。
○柿沼政府委員 経済部でございます。
○堀委員 事務局としては、経済部もいろんな仕事があるんだと思うのですが、昨年の四月三十日といいますか、五月から今日までの間に、経済部の仕事の全体のいろいろなもののウエートを一〇〇といたしまして、この期間は大体どのくらい事前審査に経済部のスタッフが仕事をしたのか、大体の感触でけっこうですからお答えいただきたいと思います。
○柿沼政府委員 経済部には幾つか課がございます。その課の中に合併問題を扱っております企業課という課がございます。その企業課の中に本件合併を担当する者を数人専任といたしまして、その者がもっぱら当ったという形になっております。ですから、経済部全体の人数から申しますと、ごく一部の者が当たったということでございます。
○堀委員 そこで、私先ほどから委員長のお話を承っておりますと、この行政相談は法律の四十条によって行なった、こういうふうにおっしゃっておるわけですが、四十条は「公正取引委員会は、その職務を行うために必要があるときは、」こう書いてあるわけです。そこで、この公正取引委員会の職務というのは、当然その前に実はいろいろと規定が法律であるわけでございますから、その前の規定を、経済部のところを見ますと、第三十五条の四「経済部においては、左の各号に掲げる事務をつかさどる。 一 事業活動又び経済実態の調査に関すること。 二 認可、同意、協議及び処分の請求に関すること。 三 経済法令等の調整に関すること。」こういうふうに実は書かれておりますね。それじゃ公正取引委員会のそういう仕事というのはどこに規定をされておるのかといえば、これは総理府設置法第十八条に「前条の規定による外局の組織、所掌事務及び権限に関しては、他の法律に別段の定のあるものを除く外、それぞれ次の表の下欄の法律の定めるところによる。」こう書いてあります。けさからお話を伺っておりますと、要するに事前相談をする法律的な根拠そのものはないというのが実は梅田委員の御答弁でございました。ですから、そのことは、いま私が総理府設置法十八条にいう公正取引委員会の所掌事務というものは、すべてこの私的独占の法律に掲げてあるものの範囲内でなければならないわけですから、法律に根拠が正確に明示をされていないことを行なうということは、本来的には一いまの行政相談、たとえば窓口相談のような程度のことは、常識の範囲として認められておりますけれども、本来の業務としては、法律的には公正取引委員会に課せられておる業務ではない、こういうふうに私はいまの問題を理解いたしておりますし、特に第四十条の規定は、実はいまおっしゃるようなことをあらわしておるのではなくて、上に肩書きがついておりまして、調査のための強制権限ということが実は肩書きになっておるわけでございます。ですから、私はちょっとお伺いをしたいのは、四十条による「その職務」という職務は、私は総理府設置法十八条にいうところの所掌事務の範囲を越えてはならない、こう考えますが、委員長いかがでございましょうか。
○山田政府委員 所掌事務の範囲に属すると私どもは考えております。
○堀委員 それではこの法律の根拠をお出しいただきたい。四十条の根拠は、そういう形に書かれていないのです。だから、根拠法を出してもらわなければ困るわけです。要するに設置法は、「所掌事務及び権限に関しては、」「下欄の法律の定めるところによる。」とあるわけですから、だから法律の条項を出していただかなければ、あなたがかってにおっしゃっても、それはここでは通りませんね。
○山田政府委員 十五条に触れるおそれのある事実を探知いたしました場合には、私どもは調査をする義務がある、かように考えております。
○堀委員 そういたしますと、皆さんの調査は、今度行なわれた場合については、四十条の調査権を発動して調査をなすったと理解してよろしいのでございますか。
○山田政府委員 先ほど来申し上げましたごとく、両面から考えることができるのではないか。四十条によります分と、行政相談によります分と、この両面からいたしましたわけでございます。
○堀委員 そうすると、いまのお話を聞いておりまして、事前相談ということで私は了解をしておったのですが、事前相談ではない部分があったということでございますね。要するに私は、事前相談である限りは四十条の処理ができないと理解をしておるわけであります。強制調査権は、審判を行なう等固有の業務を行なっていらっしゃるなら強制権はあります。職務に関してですからね。しかし、そうでない。私は、行政相談というものはそういうものではないから、強制権がないのだ、こう理解しておったのですが、そうしますと、独禁法の何条でしたか、独禁法に触れる疑いのある場合はということに関連した調査もあわせて行なった、こういうことになってきたわけでございますね。
○山田政府委員 四十条を背景といたしまして任意の調査をいたしたわけでございます。
○堀委員 そうしますと、今度皆さんのほうで八幡、富士に対して資料の提出を要求をなさいまして、拒否されたことは一回もございませんか。
○山田政府委員 これは、資料は八幡、富士だけからではございません。関連の競争業者、それからユーザー、各方面から資料の提供を受けております。
○堀委員 伺っておるのは、皆さんがこういう資料を出してくれとおっしゃって、断わられたことはないかと伺っておるわけです。
○山田政府委員 多少はございます。
○堀委員 そうすると、おかしいですね。拒否された事実があるのに、あなたは四十条によってこれを行なったというのなら——ここには明らかに強制的に職務に関しては、あなた職務とおっしゃったのですから、職務なら当然強制権限に基づいて立ち入り検査をするなり、そして強制的に出させられるのに、なぜおとりにならなかったのですか。そこは、いままでお話しになっておる論理とちょっと食い違いがあると私は思うのです。だから、この事前審査に対する皆さんの見解は法律的にはきわめてあいまいではないのか。要するにどちらかきちんとしていただかないと、事前相談というのは単なる行政相談であるから、いうなれば固有の業務として行なっておるのではなくて、さっきからお話しのような、たとえば何とか相談所というのをつくっていらっしゃる、その相談行為をやや拡大をされたというようにわれわれはいままで理解しておったわけです。しかしいまの御答弁からいきますと両面がある、こうおっしゃっている。その四十条の両面の一部分は明らかに強制権限をもたらすところの職務とみなしておやりになったのだ、独禁法に違反をするおそれがあるから、任意調査だ、こういうことになれば、その部分についての資料は、当然これは公取の業務ですから、この強制権限に基づいてやっているのであって、それを拒否されてそのままで済むというのはおかしいと思うのですが、どうでございましょうか。
○山田政府委員 正式の届け出がございますれば、第四十条に基づきましてはっきりといたします。
○堀委員 しかしあなたがここで、少なくとも最も公的な場所での法律に関する御答弁の中で、四十条によってやったとおっしゃっておるのなら、正式な届け出がなくてもやっていらっしゃらなければおかしいのじゃないですか。あなたのほうでは都合のいいところはそういう答弁をするけれども、実態としてはやっていないということでは、これは論理としては首尾一貫しないのじゃないか、こう私は判断をするわけですが、いかがでございますか。
○山田政府委員 先ほど申し上げましたごとく、四十条を背景として事前相談をいたしておる、こういうことでございます。
○堀委員 委員長、私、こういうことを申し上げたくないのですけれども、法律の適用は背景としてなんというようなことは行政上としてわれわれは理解できないのですよ。やはり行政官庁は、少なくとも立法者の定めた法律に基づいて行動をしていただくということが行政官庁としての当然の任務であろう。ですから、ここに総理府設置法は、公正取引委員会は独禁法の法律に基づいて所掌事務を行なう、こういうふうに明記をしておるわけでございますから、背景としてという表現は抽象的表現でして、私は法律的用語だと思わないのです。法律ならばその法律に基づくということにならなければならないし、基づく以上はその権限が行使されなければならない、こういうのが法律の常識ではないかと私は思うのですが、いまその点がきわめてあいまいもことしておるのでございますが、いかがでございましょうか。
○山田政府委員 正式の届け出がございますれば、法律の定めるところに従いましてはっきりと処分をいたすつもりでございます。
○堀委員 私は、いまお話しになったことで、ひとついまの問題はペンディングにしておきたいと思うのです。これは今後における事前相談の性格という点においては非常に大きな問題でございますから、私はいまは関連質問でございまして時間がありませんから、残しておきます。 そうしますと、いまのお話では、正式な届け出がありましたならば、これは税務調査その他でもそうでありますけれども、ともかく当事者が出してきたものを認めるかどうかということは、これは相対の問題でありますから、いまさっきお話しになったようなユーザーその他が確実にその価格で買ったかどうかということを税務署は反面調査というかっこうでいたします。当然今度はそういうことの信憑性の問題については、特に問題になる業種については、そういう反面調査的な調査を必要があれば強制権で四十条に基づいて正確におやりになる、こういうことになるわけでございますね。
○山田政府委員 必要と認めればそのような手続をいたします。
○堀委員 そこで、いまのお話の点で、その必要と認めるということが、これはきわめて主観の問題になってくるわけでございますね。ですから私どもは、もちろん皆さんの合議による判断でけっこうでございますけれども、やはり一般の国民の場合には、こういう場合にはやや疑いの目をもって見ておるというのが一般的な問題だろうと思うのであります。少なくとも、そういう国民が感じておることが払拭できるような挙証をやはりきちんとしていただきたいということを特につけ加えておきたいと思います。 それから、せっかく亀岡委員がおいでになっておりますから、ちょっと私お伺いをいたしたいのでありますけれども、亀岡さんは、実は私も長いこと法制局にいらしたときからいろいろ議論させていただいておりますから、法律についてたいへんお詳しい方でもあるし、同時に大蔵省の御出身でもありますから、経済問題についても非常にお詳しい方だと思うのでありますけれども、亀岡さんはこの問題をごらんになっていて——私どもちょっと午前中シェアの論争をだいぶいたしましたが、この合併によってシェアはたいへんふえるわけですね。私は何も固定的なシェアというものを重要視はいたしません。しかし、そのシェアがどう動いていくかという過程の中で、価格が一体どうなるのかということは非常に問題があろうかと思っておるわけでございます。実は二十五日の日に私この問題についていろいろ議論いたしてみまして、そこで公取のほうに資料をお願いいたしました。資料をお願いいたしまして、非常に顕著に明らかになった例が一つございます。それは、御承知のように、特にレールについては一〇〇%二社の独占になっておるわけですね。一〇〇%二社の独占になっておるレールについては、グラフを見ましても、まさに昭和三十三年から四十二年までほぼ直線的に推移をしておるわけでございます。よろしゅうございますか。あなたはこれを一体どういうふうに御理解になるか。要するに、二社で独占をしておるようなレールの価格というものが、昭和三十三年から四十二年までの間、ここでは最高が上に二・二%上がって、最低が下に一・八%しか動いていない。まず大数としてはずっと横ばい。私はこれを国鉄に資料要求をして調べてみますと、四十一年度はトン当たり四万三千百円、四十二年度はトン当たり四万三千二百円、四十三年度はトン当たり四万三千二百円、価格は硬直——謬着いたしております。あなたは一体そういう事実についてはどういう御判断をなさるのか。時間がありませんから、亀岡委員にこれだけお伺いいたしたいと思います。
○亀岡説明員 お答え申し上げます。これはいままでの経済実態について法律的にどういうふうに判断するかというふうに問題を置かせていただきますと、御承知のように、国鉄用のレールというのは八幡と富士が生産をしておることは、これは公知の事実でございまして、価格がそれに対してどういうふうになるかという点、これは確かに仰せのとおり硬直的な価格であろう、これはまた実数がございますのでそうかと思います。 ところで、この点を法律的に判断する場合にどういう角度から判断いたすかと申しますと、まず生産者である八幡、富士両会社、それからその生産いたしたレールを買っております国鉄、こう対比をいたしまして、そして国鉄が八幡なり富士なりに相対するその関係において八幡、富士がどういう関係にあったか、こういう問題になるかと思います。したがって、ここで問題を考えます場合に、確かに仰せのように価格が三十何年からこういう価格であったというようなこと、これはもちろん考慮の一つの材料ではございますが、問題は、国鉄が八幡と富士の両社から買います場合にどういう態度でそれを買うか、法律的に評価します場合にはそういう角度で考えるということになるかと思います。 これ以上は、具体的にあまり事件の内容に入ってまいりますので、この程度で、ものの考え方について一応答弁させていただきます。
○堀委員 わかりました。法律的にはそういうことでしょう。経済的にはどうでしょうか。
○亀岡説明員 経済的に申しますと、たとえばレールを生産している会社が現在八幡と富士しかない。ことばをかえて言いますと、経済学上の用語を使いますと、複占と申しますか、そういう形じゃないか。そうしますと、経済理論として、私から申し上げるまでもないのですが、いわゆる複占理論、これは何と申しますか、経済用語で言いますと、一つのある市場構造をモデルとして考えた場合に、複占という前提でものが考えられておると思います。したがって、そういう経済実態について経済理論的にそれをどういうふうに考えるか、こういう問題になるのじゃないかと思います。しかし、これはあくまで経済理論としての一つのものの考え方でございまして、先ほど申し上げました法律的観点から考える場合にはどうなるかということとは別問題じゃなかろうかと思っております。
○堀委員 私は、次回ここで質問するときには国鉄にも入ってもらって問題を提起したいのですが、国鉄は、通産大臣御承知のように、たいへんな赤字経営をしておりますから、本来合理化を進めなければならぬ立場にあるわけですね。当然合理化を進めなければならぬ立場にあるものが、年間八十八億六千五百万円から、最近は九十四億一千六百万円、約百億円に近いレールを買いながら、他の品種のものは価格が低下しておるにもかかわらず、全然価格の変動のないようなことで国鉄がレールを買っておるということは、まず第一に、国鉄の赤字問題などというものはたいへんごまかしだ。国民のためになるための公社なら、まず他の品種の値下がり状態に応じて当然値下げを要求しないで国鉄の合理化などはないと私は思うのです。これはあなたに申し上げていることじゃなしに、国鉄に言わなければいかぬ。運輸省の監督が不十分であるし、これは重大な問題なんですから、これは私はひとつ明らかにしておきたいと思う。 もう一つ、時間がありませんからあれですけれども、鋼矢板についても、これは独占状態、九六%と非常に高いわけですが、これもちょうだいした資料では、完全に横ばいです。そうして、生産量は昭和三十三年から今日まで十二倍以上に達しておるわけです。鋼矢板については建設省ではこういう話があるわけですよ。この問題が出たときに、鋼矢板の購入について少しも値段が下がらぬなどということが今日まで行なわれておるにもかかわらず、一体これが合併されていいのかどうかということについては、事務当局にはかなり強い意見があったというふうに私は承知をいたしております。要するに、いわば国もユーザーなんですよ。そういう意味では建設省もそうであるし、国鉄もそうであるし、国もユーザーであるものが、一体こういう安易なかっこうで、国民の税金なりあるいはきびしく値上げをしてきている運賃によってこのような不当な買い方をすることが認められておるような事実が鉄鋼の中にあるということは、これは私はゆゆしき問題だと思うのです。きょうは関連質問でございますからこれで終わりますけれども、この問題が国民的関心の的にならなければならぬという理由は、ここらに私はきわめて明らかだ、こういうふうな感じがいたしますので、自後は次回にまた皆さんに御出席をいただいてやらしていただくことにして、本日はこれにて終わります。
○小宮山委員長代理 岡本君。
○岡本(富)委員 時間がおそくなりましたから、ひとつ明確にお答え願いたいと思います。 最初に、二十六日にわが党の近江委員がこの大型合併について質問をしておりますので、それについて若干関連して申し上げておきますけれども、食かん用ブリキあるいは鉄道用レール、鋳物用銑鉄、この三種類が独禁法十五条に抵触するという結論を出しておる、こういうように答えておりますけれども、これに対して、今後この大型合併がもしも認められた場合は、そういう製品に対しては、寡占化すなわち独占しないように公正取引委員会のほうでちゃんとそれを処置する方法があるのですかどうですか、これをひとつ委員長から……。
○山田政府委員 三品目につきましては、当初提起されました内容では合併を認めるわけにはまいらない、かように考えております。
○岡本(富)委員 そうしますと、当初提示されたということは、これが八幡、富士から出てきた、それでは合併を認められない、これが審判でありますね。要するに合併してはいけない、こういう結論なんですね。
○山田政府委員 これはどこまでも内相談でございますから、法第十五条に触れるおそれがある、かような指摘をしたわけであります。
○岡本(富)委員 先ほども論議の的になっておりましたけれども、公取の態度として、この審判をするについては、これは違反になる、これは違反になりませんと、徐々にそういう相談をしてくれば、将来はその違反のやつは全然申請は抜いていくということにすれば、ちゃんと公取が認められるようなそういう姿にして、それで認める。どっちかといえばそういう誘導をしておるのではないか、こういう姿に見れるわけです。ですから、それについての委員長のはっきりした見解をお願いしたいのですが、どうですか。
○山田政府委員 合併を認めるように誘導するという気持ちは全然持っておりません。どこまでも法に照らして抵触するのかしないのか、こういう判断をいたすつもりでおります。
○岡本(富)委員 下相談、内相談、そのときは、十五条に違反しますよ。ではこういうようにしたらだいじょうぶですか。こうなってくれば、ではもう鉄道用レールはやめます、それから食かん用ブリキもやめます。そうするとちゃんと合併できるようになる。こういうことになるじゃないですか。したがって、先ほどからちょっと聞いておりまして、この公取の態度というものが非常に明らかでない。あなたはいまそういうことはしませんと言うけれども、事実いままでの経過を見ましたら、はっきり独禁法違反になる、それをはずしていけばだいじょうぶなんだ、こういうことなんじゃないですか、どうですか。
○山田政府委員 この点は十五条に触れるということを指摘しておるわけでありまして、それ以上の何ものもないわけでございます。
○岡本(富)委員 そうしますと、そう言うと、また中のことは知らしてはいけないなんて言うかもわかりませんけれども、八幡や富士は、ではこの三品目は製造を中止します、こう言っておるのですか、どうですか。
○山田政府委員 そのような話はまだ一度も聞いたことがございません。
○岡本(富)委員 そうしますと、この三品目を製造する間は合併はできない、こういうことになるわけですね。
○山田政府委員 問題点が残っております限り合併はできないと思います。
○岡本(富)委員 それだけ聞きまして、きょうの本論はそれじゃありませんので、大臣にひとつお聞きしたいのですが、さいぜんからちょっと聞いておりますと、だいぶ大型合併推進委員のような感じがするわけです、それは私の誤解かもわかりませんが。 そこで、報道によりますと、八幡、富士がもしも合併する、こういうことになれば、アメリカのほうではその報復として輸入制限をする、こういう報道をなされておりますけれども、そうすると、八幡、富士は合併して、なるほどよかったかもしれませんが、わが国の他産業に及ぼす影響は非常に大きい。こういうことが考えられるのですが、大臣どうでしょうか。
○大平国務大臣 鉄鋼の対米輸出につきましては、日米両業界の間で話がつきまして、自主規制——これは同じ分量においてEECともやっておりますけれども、そういう話し合いがついて、現在そのラインで進められておると承知しておりまして、いま御指摘のそういう方式でなくて、輸入制限措置が新たにとられるということにつきましてはまだ承知いたしておりません。
○岡本(富)委員 こういう報道を聞き、またそういう空気だということを聞きましたが、大平通産大臣はもと外務大臣もやっておりましたからよくおわかりだと思いますけれども、先ほどから聞いておると、こういう大型合併にだいぶ進んでおるような感じもするのです、これは私どもは反対でありますけれども。もしもそうなった場合、アメリカからそれを理由にして、その報復としての輸入制限をする、こういうことになったときに、あなたはその輸入制限を撤回させるだけの何らかの手段あるいは方法あるいはそういう外交のあれはありますか、どうですか。
○大平国務大臣 アメリカからそういう交渉を受けておりませんので、そういうことがもしありましたら、その時点で考えます。
○岡本(富)委員 じゃその時点でその輸入制限を撤回させる何らかの方法はありますかどうですか。
○大平国務大臣 そういうこともあるのかないのかわからぬわけでございまして、万一そういうことがあったときには、そういうことを踏まえた上で、その時点で考えるということでございます。
○岡本(富)委員 大体、事が起こってからそれから考えてやる、こんなことでは外交はおそいですよ。したがいまして、もしも米国からこういう報復として輸入制限がある、こういうことをちょっとでも聞いたら、あなたは閣僚の一人として、日本の政府の首脳の一人として、その場合こういうふうに手を打つのだ、こういうふうにして切り抜けていくのだ、そうでなければ、わが国の産業界の人たちは安心してものができないじゃないですか、その時点になって考えますでは。課徴金問題みたいに、その時点になったら、皆さん行ってひとつやってくれ、あとからついて行きます、こういう考えですかどうですか。
○大平国務大臣 水鳥の音にあわてるような措置はやはり大国日本としてとるべきじゃないので、もしこういうときに、あなたがおっしゃるように、私がまたあわてふためいたことをやりますと、かえって国民の信頼を裏切るのではないかと思います。
○岡本(富)委員 あなたは大国日本と言っていますが、アメリカへ行くと小国日本みたいなものです。いずれにしましても、あなたは閣僚の一人とし、またもと外務大臣もやったのでありますから、その腹案が何かなければいけない。何か起こったらそれによってぱっと行動を起こす、作戦は絶えず組んで、そうしてこそ初めてまかしておきなさい、その場合こういうようにもやるんだというような腹案がないといけないと思うのです。その時点になってからまた考えます、これでは国民が不安でしかたがない、また産業界が不安でしかたがない、こう私は思うのですが、どうですか。
○大平国務大臣 アメリカばかりでなく、海外の経済界の動きについては、私の立場で絶えず緊張した姿勢で注視していなければならぬことは当然でございます。
○岡本(富)委員 実力ある大平通産大臣のことでありますから、その点はよく検討して、そのときになってからあわてふためくことのないように、ひとつ腹案を考えていただきたい、これを要望しておきます。 次に、今度は国内問題でありますけれども、現在の日本の企業の九九・四%までは中小企業でありまして、この中小企業の消長は非常にわが国の経済に影響を及ぼすものである、このように思いますけれども、いま中小企業が一番困っている問題、これは大平通産大臣としてどういうことだとお思いでしょうか。
○大平国務大臣 まず何と申しましても、労働力、とりわけ若年労働力の不足が第一でございましょうし、それから内外の非常に変革期にある経済に対する適応力と申しますか、対応力が十分でない。これは金融力、技術力、経営力、いろいろな点から見まして、たいへん足らないものがあると感じております。
○岡本(富)委員 いま中小企業としては人手不足、これも非常に困難な問題でありますけれども、一番中小企業として悩んでいることは納入代金の支払いの遅延。中小企業は下請企業でありますから、どうしても大企業からどんどん値段を下げられているわけです。そうしますと利幅というものが非常に少なくなっている。金を借りたらいいじゃないかといいますけれども、金利を払わなければいけません。そこで、下請代金、この問題でいま一番苦労しているわけです。一つの例を申し上げますと、大体日本精工、こういうような関係では、納入いたしましてから検収まで二カ月、それから支払いまでに、支払い手形が大体六カ月、したがって八カ月たたないと金が入らない。二カ月日に支払い手形をもらうのも大体総額の三〇%くらいずつもらう。非常におそいです。電機関係でございますと、一流電機関係で納入後一カ月で検収になって、三カ月くらいの手形になって、四カ月、大体これだったら回る。二流の電機会社になると今度はどうかと申しますと、納入後三カ月日に手形で六カ月から七カ月、したがって約十カ月かかる。それから繊維関係ですと、検収後一カ月目に、大体百七十日、四カ月、こういうような実情なんです。ですから一つの資本が一回転するためには一年に一ぺん、十カ月あるいは八カ月、早いので四カ月、こういうような状態でありますが、この点について、下請代金支払遅延等防止法というものがありまして、公取のほうで管理しているわけですけれども、事実画一にこういう姿をはっきり見てきているわけです。いまの下請代金支払遅延等防止法、これはざる法である、こういうようにいわれておりますけれども、どの点をどういうように改正したら、こういうことがなくて中小企業を守ってやることができるか、この点をひとつお聞きしたいと思いますが、どうでしょうか。
○山田政府委員 私どもといたしましては、下請代金の支払い遅延防止につきまして、あらゆる努力をいたしております。 幾つか方法がございますが、第一には書一面調査、これを十分にやっておるわけでございまして、毎年七千件程度の書面調査をいたしております。それからこまかい内容につきましては、協力団体、これを設けまして、その積極的な協力のもとに下請代金の支払いの遅延がないかどうかということを監視をいたしておるわけでございます。また手形期限の短縮措置もいたしておりまして、標準手形期間というものを定めておる業種がすでに幾つかございまして、今後も逐次そのほうを充実してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○岡本(富)委員 そうしますと、大企業はどれくらいあって、中小企業はどれくらいあるわけですか。どれくらいを対象でやっているわけですか。
○山田政府委員 親企業の数は必ずしも正確ではございませんが、約二万くらいあるかと存じますが、そのうち毎年七千件程度を調査報告を求めて調べておるわけでございます。
○岡本(富)委員 そうすると、あなたの考えでは、約三年たったら全部いけるというわけですね。
○山田政府委員 そのとおりでございます。
○岡本(富)委員 事実は、書面調査、要するに大企業に対してあなたのほうがどれくらいの手形の振り出しをしているか、あるいはどれくらいの支払いをしているか、書面でもって報告を受けるやつはこれはどうでも書けますよ。それに対する立ち入り検査、こういうことまでやっておりますか、どうですか。
○山田政府委員 必要に応じて現地に出向いて調査をいたしております。
○岡本(富)委員 必要に応じて……。今度はその下請企業のほうから、どうなっているかという調査報告をとる。しかしもしも、うちの得意先はこういう状態です、このことがはっきりわかったら、これは今度注文をくれなくなる。だからみんな隠すわけです。そこがざる法であるゆえんなんです。その点についてあなたはどういうような調査をやっておるか。
○山田政府委員 お説のような点がございますので、とかく下請業者からの名前をはっきりいたしました申告は、遺憾ながら数が少ないのでございます。匿名の申告もございまして、それに基づいて十分な調査をいたしておりますほか、先ほど申し上げました下請協力者団体、それから下請の協力者、これをそれぞれ定めまして、一般的な問題としてその意見を聴取いたしまして、われわれの調査の手がかりといたしておるわけでございます。
○岡本(富)委員 そうしますと、公取委員長は、現在の下請代金支払遅延等防止法で完全である、こういうふうに断定しているわけですね。どうですか。
○山田政府委員 完全であるとは申しませんが、私どもとして調べましたところでは、最近における下請代金の支払い状況は、昭和四十三年の八月を調査時点として見ました限りにおいては、大体において、幾らかずつではございますが、改善の方向に向かっておる、かように考えておるわけでございます。
○岡本(富)委員 そうしますと、いま完全であるとは言えない。不完全なところは、どこなんですか。
○山田政府委員 これは定期調査の回数がまだ十分でないとか、そういう点はございますが、ただいまのところ、あらゆる努力を払っておる。なお中小企業庁からも十分緊密な御連絡のもとに御援助をも得まして、万全を期しておるわけでございます。
○岡本(富)委員 いまあなたのおっしゃいましたように、一生懸命やっているのはよくわかりますが、不完全なところはどこかということを聞いているのです。
○山田政府委員 調査の回数がもう少しひんぱんに行なえるようにしたい、かような点は考えております。
○岡本(富)委員 そうしますと、現在のこの下請代金支払遅延等防止法をあなたが施行しまして完全にいけるか。調査の数が少ないということはお認めになりましたけれども、調査をもう少しふやしていく、あるいはまた完全にしていくためには何と何と何が不足しているわけですか。
○山田政府委員 先ほど、年間の調査件数が七千件余りと申し上げましたが、これは最近の数字を申し上げたのでありまして、ここ数年来、飛躍的にその数はふえております。今後もその数をさらにさらにふやしていこう、こういう努力をいたしたいと存じます。
○岡本(富)委員 いまあなたのお話では、匿名の調査依頼もあればする、これははっきりしたわけですね。そうしますと、中小企業庁としては下請代金に対してどういう施策をとっているか、これをひとつ明らかにしてもらいたい。
○乙竹政府委員 下請というは、日本の経済構造で非常に大事な役目をしておりまして、製造業では約六〇%が下請でございます。これは日本の特色でございます。ところが、親企業と下請企業との間の勢力バランスが非常に狂っておるといいますか、十分バランスがとれておらぬということがもともと下請問題の原因でございますので、中小企業庁といたしましては、まず下請業者の親企業者に対する立場を強めるということを第一に政策として掲げております。これがために必要なる合理化資金の投入でございますとか、あるいはまた団体協約の締結の促進でございますとか、あるいは中小企業振興事業団を使う方策でございますとか、こういういわゆる合理化路線、構造改善路線をまず引いております。 第二に、このさしあたりの下請代金支払遅延等防止法の運用でございますが、委員長がお話しになりましたように、中小企業庁と公正取引委員会とは密接に協力をしておりまして、公正取引委員会は年間に八千件お調べになりましたが、私たちのほうは一万件を調べております。したがいまして、先ほど先生御指摘の二万件の下請業者の中で年間に一万八千件調べられる、こういうことになるわけでございますけれども、従来ばらばらと申しますか、両当局で別々にやっておりましたのを、今度は分野を分けまして、ことしは中小企業庁がやる、来年はその分を公正取引委員会がやる、それからまた調査に着手してから一年間で片をつけよう、こういうことでございますが、両事務当局が密接に協力をしておりますので、この下請代金支払遅延等防止法の運用は非常に強化されるというように考えております。
○岡本(富)委員 いまの長官の話では、二年たったら全部解決する、こういう見通しだと感じます。 それでは、長官は約束があるそうですから行ってください。公取委員長もよろしゅうございます。 次に質問したいことは、最近わが国の公害が非常に顕著に出てまいりまして、このまま推移しますと、経済はなるほど発展いたしますけれども、国民の健康というものが保持できなくなって、そしてかえって住みづらい、またいまの間に何とかしませんと、これはわが国は住めなくなってくる。住めなくなるというのは相当オーバーな話でありますけれども、私はきょうはちょっと公害問題についてお聞きしたいのですが、群馬県の安中市におきましてカドミウムあるいはまた亜硫酸ガスで非常に困っておる。ここに東邦亜鉛という会社がありますが、この問題について通産大臣はお聞きになっておりますか。
○大平国務大臣 聞いております。
○岡本(富)委員 この問題はいつごろから発生し、またどういうふうな処置をとったのか、これについてひとつお聞きしたいのです。
○橋本政府委員 この安中のカドミウムの問題につきましては、四十一年の終わりごろから実は話が出ておりました。もともとそれより以前に小林教授がそういう問題があるのではないかというふうなことで提案はされたことはございますけれども、正確にこの問題に取り組む形になりましたのは、大体四十一年の終わりころというふうに考えております。それで通産省といたしましては、この安中に対しまして数次にわたる水質の検査、それから鉱煙の検査をいたしまして、そのつど検査の結果思わしくない数値が出ますれば、施設の改善命令を指示いたしまして、今日では順次それが改善をされ、大体現在の段階におきましては国際的な水準以下の水質になっておるというふうに考えております。
○岡本(富)委員 ちょっと農林省のほうに伺いますが、あなたのほうではこの安中市の東邦亜鉛の付近の蚕の問題、あるいは農産物の被害、これはいつごろからあったのですか。
○田所説明員 安中の鉱害でございますが、これにつきましては、昭和二十五、六年ころから農作物に被害があったというような報告は聞いております。
○岡本(富)委員 あとでその被害状況を聞きますけれども、こうした被害状況を通産省のほうには連絡はしなかったわけでしょうか、どうですか。
○田所説明員 この問題につきましては、県のほうで処置しておりまして、農林省のほうとしては、それほど大きな被害面積でも当時なかったということで、聞いておらなかったと思います。
○橋本政府委員 それにつけ加えまして、お話し申し上げたい点は、本来こういった鉱山並びに製錬所につきましての鉱煙からくる、いわゆるばいじんからくる被害という問題は、かなり以前からあるわけでございます。そういった点につきましては、十分な施設を施しまして、できるだけそういったものが出ないようにということで鉱山保安法に基づきまして施設をやっておりますが、それでもなお出た場合におきましては、農業関係の人とそれから会社側とにおきまして、従来から補償金というような形において処理をしてまいっておるわけでございます。ただ、その中にカドミウムがあるのではないかというふうなのが問題になりましたのは、ごく最近でございます。
○岡本(富)委員 あなたのほうでは、この会社に対してカドミウムは排出基準何PPMということを指示しましたですか。
○橋本政府委員 これは国際的な基準が現在〇・〇一PPMでございますので、これを厳守、これ以下に押えるというようなことで指示いたしております。
○岡本(富)委員 それはいつごろですか。いつごろそういう指示をしたのですか。
○橋本政府委員 この〇・〇一PPMといいますのは、これは前からある基準でございますが、具体的にこういう指示をし施設改善命令を出しましたのは去年の七月からでございます。
○岡本(富)委員 去年の七月ということは、四十三年の七月ですね。私はこの会社へ現実に行ってまいりました。そうしますと、鉱山保安局のほうから指示を受けておるのは〇・一PPMまではいいのだと、こういうように私たちは指示を受けておりました、しかし最近になってそれではいけないのだということになりまして、いま施設をやっておるところです、こういうような向こうの副所長の話でありました。だから〇・一PPMというのはあなたのほうで指示なさったのですか、どうですか。
○橋本政府委員 〇・一PPMという数字はつまびらかではございませんが、実はこういったカドミウムにつきましての〇・〇一PPMというところまでの分析をいたしますためには、電子吸光分光器という分析機械によらなければ困難なのでございます。こういう機械が開発されましたのがつい二、三年前でございまして、その結果、わが国におきましてもカドミウムの分析が非常に微量なところまでできるようになったわけでございます。したがいまして、各方面におきましていろいろな問題が起きておりますので、安中につきましても、昨年の七月に水質調査をし、同時に〇・〇一PPMにするような指示をしたわけでございます。
○岡本(富)委員 じゃ、その煙と一緒に大気中に出ていくところのカドミウムの量あるいは亜硫酸ガスの量、これについてはどういう排出基準を指示しておりますか。
○橋本政府委員 煙につきましては、亜硫酸ガスが〇・二PPM以下でなければならないというふうなことを指示しております。それから煙の中のカドミウムでございますが、これは煙の中にカドミウムが介在するということ自体、実は理論的には非常にあり得ないのじゃないかというふうなことで、特にカドミウムにつきまして、煙の中のカドミウムという問題は出していないわけでございます。しかし鉱煙の中にあるいは何らかの方法によってそれが含まれるかもしれないというふうなことで、昨年の十一月から十二月にかけまして鉱煙を二カ月間調査をして、現在分析しておる最中でございます。本来ならば煙というものの中には、亜硫酸ガスはございましても、カドミウムというのは介在しないのが普通でございますが、なおその調査結果を待ちまして、万一カドミウムが介在しておる場合には、それを除去するための施設を設置させなければならないというふうに考えております。
○岡本(富)委員 これは亜鉛工場、ここでカドミウムが製造されているわけです。どんどんとっているわけですが、それは加熱をしたり、あるいはまた凝結させたり、いろいろとやっているわけです。そうすると、そこから亜硫酸ガスあるいは煙と一緒にどんどん出ていることは、これはしろうと考えでもわかる。そこで私は会社へ行きまして調べますと、落雷、すなわち雷が落ちた場合、あるいは電圧がドロップした場合、こういうときにはどうしても設備が爆発するのです、そのときにはこれは多量に出る場合があるのです、これは不可能なんです、こういうような説明を副所長がしておりましたけれども、あなたのほうでそのことを御存じなんですか。
○橋本政府委員 私もその点は承知しておりますが、落雷等によりまして停電等がございました場合には、再開する段階におきまして、煙の排出量は通常の場合よりもたくさん出るのは事実でございます。したがいまして、それについて予防策はないかというふうなことで現在検討さしておりますが、いまのところそれについての明確な予防方法というのは出てないわけでございます。しかしこれは何らか技術的に解明しなければならないということで、さらに検討するように指示をしておるわけでございます。
○岡本(富)委員 富山県の神通川のイタイイタイ病の問題も、私ども行きまして、やっと鉱害の認定を受けるようになりました。そして現地の人は非常に喜んでおるわけでありますが、鉱山保安局として、もっと力を入れて、あの付近に住んでいる人たちの被害、こういう面に思いをいたして、そしてもっともっと強力な行政指導と申しますか、あるいはまた研究をして、会社のほうにそれをさしていく——会社のほうにもう少しうまくやれよ、こういうようなことでは、これはとても鉱害問題は解決しないと思う。被害が起こってから追いかけていって設備改善させる、あるいはどうする、こういうことでは何か非常に手ぬるいような感じも受けるわけです。したがって強力な行政指導だけではなくして、さらに一体となってこの鉱害問題に取り組んでいく、この姿勢があなたにはないのじゃないかと思うのですが、どうですか。
○橋本政府委員 実はこのカドミウムにつきましても、神通川で非常に大きな問題を起こしておりますことは事実でございます。それで実はカドミウムの発生源は、鉛、亜鉛を産出する鉱山におきましてはその中に当然要素として含まれるわけでございます。そういった鉱山は現在全国で五十五ございます。そこで昨年来、特にこの点につきましては、各監督局におきまして一斉検査をいたしまして、大体予定といたしましては、この三月末までに全部その検査の結果の資料が来るわけでございますが、そのつど分析した結果いわゆる〇・〇一PPM以上のカドミウムが検出された場合におきましては、有効な施設改善命令を鉱山保安法によりましてやっております。現に幾つかの鉱山につきましてはそういった命令を出し、こういった問題の事前に予防されるようにというふうなことで、その予防策には積極的に取り組んでおる次第でございます。
○岡本(富)委員 それではもう一ぺん戻りますけれども、大気中、すなわち煙突あるいはその施設から出るところのカドミウムに対しては、どこを許容限度として制限しておるのか、しようとしておるのか、これをひとつ聞きたい。
○橋本政府委員 その点につきましては、現在のところ、昨年の十一月、十二月に安中におきまして鉱煙をとりまして、それを現在分析しておるわけでございます。どの程度の数字がその中に入ってくるかというふうなこと、これはまだわかりません。 それからもう一つ、カドミウムにつきましてのそういった基準というのは、飲料水についてだけの国際的な基準があるわけでございまして、日本でははたしてその〇・〇一というのが適正であるかどうかという根拠も実はございません。飲料水については基準がございますけれども、鉱煙については基準がないわけでございます。したがいまして、本来ならば鉱煙は、これを焼却されまして、カドミウムはなくなるはずでございますが、もし安中の件につきましてそういったものが検出されますれば、これを科学的に、学界その他とも相談いたしまして、どの程度の排出基準というものを鉱煙の中に設けるべきかというふうなことを十分検討したいと思っております。
○岡本(富)委員 一九四〇年にフランスでこういう亜鉛工場あるいはまたカドミウムなんかを加工するところにおきまして、大気中からからだに入って非常に骨折をしておる、こういう文献はあなたは御存じだと思うのです。そこで厚生省はいま現在大気中におけるところのカドミウムの許容限度、これを何ぼに見ていま押えてやっておりますか、どうでしょう。
○橋本説明員 大気中のカドミウムの濃度につきましては、現在のところはまだ環境基準的なものは世界各国ともありません。現在ありますのは労働衛生の場におきましていま先生お話のありました職業的に暴露される人につきましては一立方メートル中〇・一ミリグラムというのがございます。しかしながら、いままでの実績をはかってみますと、アメリカの都市で最もあるものでも〇・二マイクログラム・パー立方メートルしかない。日本の都市では〇・〇〇二マイクログラム・パー立方メートル以下ということになっております。大気中の基準を設けてやるということは実は非常にむずかしいことではないかというふうに考えておりますが、一日大体二十立方メートルの空気を吸いますので、その辺から逆算していきましても、かなり小さくなることは事実でございますから、大気中のカドミウムとしてそこまでのリスクは現在の段階ではなかろうと思っております。
○岡本(富)委員 私、この数値についてはこの前公害委員会において聞いている。なぜ聞いたかといいますと、電圧がドロップしたりいろいろなことが出てくる、これを考えて言うておるのです。通産省として全然こういうものを考慮に入れずに、これはどうしようもありません——私は現実に聞いてきておるのです。そうしますと、全然出ないことないのです。そうしますと、この大気中におけるところのカドミウムの数値というものはどのくらいに押えていけばいいのだろう。それから向こうの検査と合わせて、これは多過ぎるとか少な過ぎるとか、だいじょうぶだとか、こうなるのじゃないですか。あなたのほうでは何の基準もなくて、出てきたやつを検査しましてから、一ぺんモルモットみたいに人間を試験して、それからきめるというのは非常に手ぬるい。要するに、あなたのほうは保安行政でないのです。ぼくはこう思うのですが、大臣どうでしょうか。これはいままでの水俣病にしましても、阿賀野川の問題にしましても、あるいはまたイタイイタイ病にしましても、また現在出ておるところの対馬の厳原、あそこの問題にしましても、鉱山保安局に何としてでも国民の健康を守らなければならぬという態度がほんとうにない。大気中から出るのは、そんなのはあまり考えてませんというが、事実、私あそこに行きましてたくさんの被害を見てきました。農林省のほうから、どのくらいの被害が出たというのは、あとで聞いてもよろしいですけれども、まず桑にそれがかかって、そしてその桑を蚕に食べさせますと、蚕が小さい間にみな青い汁を出して死んじゃうのです。遠方から桑を持ってくると蚕は育つ。上州のあそこは養蚕地でありまして、昔は非常に盛んだった。東邦亜鉛が来てから蚕が全部絶滅していく。これはいまから十二、三年も前からこういう状態です。それに対して、通産省として関知しない、また聞いてない、そんなことは私言えないと思うのです。おそらく県やあるいはまた農林省からもいろんな話があったと思う。なるほど企業は守らなければいけません。しかし、そうした人命を守るところのそれに対して、また四十一年の十二月に一般の学者からわいわい言われてはじめて四十三年の七月に改善命令を出している。こんなことでは後手後手ばかり。カドミウムの総点検を、前の園田厚生大臣ですか、こういうように申し出たのが去年だったと思いますが、私ずっとこれから通産省としてももっと強力に公害防止に力を入れてもらわなかったらいけないと思うのです。大臣の所信演説にもなかなかりっぱなことが書かれておる。しかし、これを見ますと、保安局のほうは、働いておる人たちの事故防止、こういう面にはあるいは力を入れていらっしゃるかもしれぬけれども、外に対する、付近の住民に対するところの公害問題、この取り組み方というものが非常にまずいのじゃないか、あるいはやってないのじゃないか、はっきりいえば、こういうように言われてもしかたがない、こう思うのですが、大臣。
○大平国務大臣 そうですね、いままで公害問題というのは、概して、仰せのように企業の発展にとって阻害しない範囲内においておつき合いをしておけばいいんじゃないかというような感じがないでもなかったと私は思います。だけれども、経済がだんだん発展をし、重化学工業化してまいって公害問題がこのように深刻な課題になってきた今日、いま日本の産業家で、私がいま申し上げたような感覚で公害問題を受けとめておる、そういうゆうちょうな産業家はいないと思います。産業存立の要素というか柱というか、その一つになってきたと思います。 それから第二点は、あなたが御指摘のように、公害が起こってからあたふたとその防除につとめるということではいけないのでありまして、やっぱり起こらないように未然に防止することに力点が置かれなければならぬと思います。また、公害政策の重点もそこに置いて、この間環境基準は政府のほうで亜硫酸ガスについて、御承知のようにきまりましたけれども、あれとても、いまから鹿島であるとか水島であるとかいう大工業地帯になるであろうというようなところへ工場を持っていく前に、そこに据えつけるべき機械から、工場の立地からして、公害防除を頭に置いて、未然に防止するというかまえでいこうじゃないかという思想が歴然と出ておると思うのであります。据えつけられた機械が害毒を流したらどう始末するかというのではなくて、そこに据えつけるべき機械そのものを初めからもう無害なものにするということでいこうじゃないかというようになってきておるのでございまして、私は公害政策が実質的におかげさまでたいへん前進してきておるように思うのでございます。したがって、ただこのカドミウムでございますとかその他個々の問題につきましては、科学的に十分究明がまだ足りないところもあるようでございますし、原因の究明につきましても、まだ至らないところがいろいろあると思いますが、そういうような点は十分究明を続けてまいらなければなりませんけれども、私どもは、従来予想いたしておりました以上に公害政策というものはいま官民の間に定着しつつある、したがって、国会におきましても、御鞭撻をいただきまして、強力に御推進を賜わりたいと思うのでございます。ただ、国会の論議を聞いておりますと、産業家はあまり公害防除に熱心じゃない、通産省がそのしり馬に乗って非常に産業の利益を守るというほうに傾きやすいというような先入観がどうも国会の中の論議にときどき出てくるので、私は非常に残念に思っておるのでございますけれども、いまの日本の産業家というものは、そういうゆうちょうな考えじゃなく、非常に真剣に公害に取り組んでおるのであるということでございますので、この上ともおしかりと同時に御鞭撻を賜わりたいと思います。
○岡本(富)委員 大臣、そんな答弁では私納得しないです。いいですか。なぜ私こういうような一つの例を取り上げたかといいますと、まだたくさんあるのですが、こういうように大気中に含まれておるところのカドミウムに対してはどうするか、事実文献なんかさがすとあるわけですから。そのことも保安局のほうでは何も考えていないわけですよ。ただ水の〇・〇一PPM、それだけ話しておるだけですよ。したがって、いままで公害の被害にかかってほんとうに困っておる人たち、こういう人たちをほんとうに見守っていこう。いま大臣おっしゃったように、通産省は住民のことは考えない、ただ産業だけを守っておるんだ、私はそうは思わない、そういうこともあったかもしれないけれども。これはあなたおっしゃっておるのですけれども、私はそうじゃなくて、もっと前向きに公害問題について、大平さんが大臣になったときからほんとうに視点が変わってくるのだ、こういうような答弁をひとつほしいのですよ。いままでずっと手おくれ手おくれ。一つの例を見たってそうでしょう。大平大臣になってからこういうようにひとつ公害問題にがっちり取り組んで、そして国民の健康を守っていくのだ、こういう決意を述べてもらいたい。
○大平国務大臣 いままで岡本先生御期待のような、究明が足らないところがなかったと私は言いわけをするわけじゃ決してございませんで、鉱山保安局におきましての仕事が間然するところがなかったと強弁いたしておるわけじゃ決してございませんけれども、公害について非常に熱心になって、あなたのおっしゃるように非常に前向きになって、それから予防マインドになってきておる。今度御質問いただくときにはたいへんおほめをいただくようなぐあいになるのじゃないかと思います。
○岡本(富)委員 ではそういうように決意をされたと了解いたしまして、大臣はひとつ……。
○小宮山委員長代理 岡本先生、大臣のほかに重工業局長、企業局長よろしゅうございますか、御質問なければ。
○岡本(富)委員 ちょっと残ってください。 重工業局長、企業局長、これはいま大臣に話をしましたけれども、今後許可条件あるいはまたいろいろなこうした企業の監視にあたっては、ただ保安局にまかしてあるんだ、こういうのじゃなくして、ひとつ十分配慮をして、そして日本の国から公害をなくしていく、ひとつあなた方もこういう頭になってもらわなければならぬ。だから残ってもらったのです。 次に厚生省に、今度の調査団を編成して、私はその報告をもらっておるのですけれども、聞くところによると水と土、これだけの検査だけしかやらないようになっている。こういうように思うのですが、大気中のカドミウムあるいはまたついでだから亜硫酸ガス、これもやるのですか。
○橋本説明員 いまの御質問の点でございますが、今回の調査団では、工場の排水のほうと、それから河川の水質と、それから民家の井戸水を調査しております。それから土壌につきましても調査をいたしております。また米につきましても調査をいたして出しております。それから大気中のものにつきましては、私どもある非常に短い期間でございますが、大気のサンプルをとりまして分析をいたしておりますが、これにつきましては、なお四十四年度以降においてがっちりした継続調査をしたいというように考えております。 人体影響につきましては、厚生省が十分めんどうを見ることができませんでしたので、県独自の立場で調査をいたしておりますが、十分相談に乗りながら調査を進めたいというように思っております。
○岡本(富)委員 そうすると、大体大気中の検査が抜けている。聞くところによると、小林教授がこの状態ではぐあいが悪いというので大気のほうの検査もしたらしいということを伺ったわけでありますけれども、このデータはやっぱりひとつ出してもらいたいと思うのです。 そこで鉱山保安局の局長さん、あなたはかわってきてまだ間がないところで、あまり責めてもいけませんけれども、あなたが答弁のあれですから。前の西家さんのときには、私どもほんとうに真剣にやりまして、あの人は真剣に戦った。ですから、この被害状況をまず農林省から発表してもらいます。まず農地局は現在土地あるいはかんがい用水、そういうところの試験をしたかどうか。それから農政局は、どれくらいの被害が出ているか。それから蚕糸園芸局のほうも、ひとつどれくらいの被害が出ているのか。これをひとつそれぞれから発表してもらいます。
○上田説明員 四十年四月一日現在における実態調査によりますと、水田の被害面積は安中市で四十四ヘクタール、高崎市で二百六十五ヘクタール、合計三百九ヘクタールでございました。
○田所説明員 いま農地局の方から災害を受けた面積の発表をやったのでございますが、農政局関係の作物につきましては、大体水稲と麦が被害を受けているのでございます。それで、この被害面積につきましては、関係面積が約三百ヘクタール程度あるということでございますが、実際の被害面積は県のほうでも十分把握しておりませんので、はっきりわからないわけでございます。 いまのは大体関係水田面積でございますが、あと煙害と申しますか、亜硫酸ガスで被害を受けておるのが大体水稲二十ヘクタール、それから麦で三十五ヘクタールという程度の被害を受けておるというふうに報告がまいっております。
○千野説明員 蚕糸園芸局関係の被害状況を申し上げますと、安中市のうち特に公害発生のひどい野殿、岩井、中宿、この三部落につきましては県の推定で桑がおおむね五十ヘクタール、それから自家用の野菜でありますネギが五ヘクタールほど被害を受けておる、こういうことであります。被害金額につきましては、工場と被害農家の間で自主的に協議が成立しておりまして、第三者の介入が許されておらないということで、県としてもちょっとつまびらかにいたしておりません。
○岡本(富)委員 農政局はオカボのほうはどうですか。
○田所説明員 オカボの被害につきましては、まだ報告は聞いておらないのでありますが……。
○岡本(富)委員 この一つを見ましても、いかに農林省はあいまいかということです。これは十四、五年ですよ。こういうような現地の人たちの話を聞きますと、まだいまだに、大体夜の十時ごろ、朝の大体八時ごろこの道を通ると、ものすごい煙がきて、鼻をもうこうして通らなければならぬ。あるいは夏なんかだったら寝られないくらい、すごい煙が入る。こういう状態であると同時に、今度はこうした農産物の被害がすごい。もうみんな、こんなところに住めぬからというわけでどんどん出ていくわけです。この前の富山県の神通川のときもそうでありましたが、どのくらいの被害が出ておりますかといっても、県からあんまり報告が出ておりませんので、なかなか農政局では出さなかった。農林省はこういうのは全部県まかせ。農林省のほうから直接行ってあるいはまた直接聞いて被害を調査して、通産省のほうに報告してまたは連絡して、何としてもこういうような被害のないようにしていこうというようなことはしてはいけないのですか、どうですか。ぼくはそういうように感じますよ。
○田所説明員 国がしてはいけないということはないと思いますが、大体こういう被害、特に局地的な被害につきましては、県のほうにそれぞれの機関がございまして、そこで大体調査した結果の報告をとっておるわけでございます。 なお水稲等におきまして、いままで県のほうで特別にこれにつきましての調査なり対策についての協力の依頼があれば、国としてもこれについて協力をするということで参っております。
○岡本(富)委員 私のほうからひとつどんなくらいの被害が出ているのだということを聞いてから、県のほうに連絡してどんなことだ。この被害状況をぼくはもっと調べてきておりますけれども、あなた方はどっちかというと答弁用の被害調査をとった。そうした行政のあり方といいますか、農林大臣はここの出身ですから聞かなければいけないと思うのです。何か公害問題は局地的だ、こういう話がありますよ。あなたいまおっしゃったように、局地的には違いないけれども、こうしていま私たちは米や農林関係をやっているだけでいいんだというけれども、日本の国の現在の世論としましても、各所でこうした被害が起こっているということはテレビやあるいは新聞報道でだいぶ聞いているはずです。それに対してもっと熱心に、どういうふうになっているんだ、どうなんだ——現地の人たちの意見を聞きますと、なるほどそこに過去十年間から公害対策というような審議会みたいのをつくっておる。しかしそのボスというのが全然話にならないような人であるのです。会社から金をもらってきて、ほとんど交際費に使ったとかなんとかいって、結局一般の人は泣き寝入り。そこへ皆さんが手をかけてはいけないということは私はないと思うのですよ。公平な農林行政をつかさどるあなた方であれば、一体どうなっているんだ——今度の問題が初めてと違うのです。あの富山県の問題を私は前にずいぶん公害委員会において皆さんに来てもらって話したはずです。やっぱりこれも同じことです。そんなことしてはいけないというように私は思うしかない。もう少しあたたかい、住民の立場に立って、おそらく皆さん方がここで園芸をやったりあるいはまた米をつくっておったら黙っておらぬと思うのですよ。そこまでせぬでもいいといえばおしまいですけれども、県のほうはなぜできないか、県のほうはなぜ隠そうとするか。それは会社から相当な固定資産税だとかあるいはまた事業税が出ますから、どうしても企業に押えられてしまうわけです。公害審議会をつくったって向こうの所長がその、審議会の一員に入っている、こんなことをやっていたらいつまでたっても日本の公害というものはなくならぬ。そして国民の健康を守ることはできないと私は思うのです。あなた方に言ってもしかたがないけれども、これはひとつ大臣に強力に言っておいてください。いいですか。あとで聞きますからね。
○上田説明員 先生から米についての被害という御指摘がありましたので、これに関してのみ申し上げますと、御指摘のように二十三年ごろから水田作物についての被害が激増しておったわけであります。それで三十五年から三十八年にかけまして、耕地復旧事業、水質変更事業、延長放水路工事を行ないまして、その被害の軽減をはかったという事実がございます。その結果、四十年四月一日現在の調査によっては、先ほど申し上げましたような被害の状況になったということでございます。しかしその時点の被害の状況は、いま申し上げました三つの工事を行ないました以前の被害から見ますと、だいぶ軽減されているように見受けられます。
○岡本(富)委員 もう一点。農地局でこの土地の問題もやっていると思うのですが、その畑あるいはたんぼの土なんかをとって、カドミウムの含有量あるいはまたいろいろな調査をして、通産省のほうに強力に申し入れたことがありますか、どうですか。
○上田説明員 ただいま申し上げました三つの事業を行ないました時点において考えておりましたのは、亜鉛の被害だというふうに感じとっておったのであります。カドミウムのことにつきましては、最近になりましてそれが原因の一半をなしているのではないかというふうに思っている次第であります。
○岡本(富)委員 結局わからなかったからというようなことでは相ならぬと思うのです。ここで論議してもしかたがないのですが、もっと強力に、たとえば神通川でああいうようにカドミウムの問題によって米がとれなくなった。そこへモチ米を植えたらモチ米はよくできた。要するにモチ米はよくカドミウムを吸うんだということはもうすでにわかっているはずなんです。したがってそれからの時点において、この安中市における東邦亜鉛もカドミウムをつくっている、これもわかっているのです。それもひとつ調査していただかなければいかぬというような一歩進んだ農政と申しますか、そして付近の住民を守っていこうという立場、いままではそういう考えでない。だからただ水がよく入るようにとか、あるいはまたいま言ったようなわずかな工事でごまかしてやったんだやったんだ。ところがその一般の付近の人たちは、何もやってもらっていない。全然そういうことがわからないわけです。なるほど会社は、放水については豊岡というところまでずっと引っぱったりいろいろしていますよ。しかし農作物についてはいまのところ、私行きまして、ほんとうの行政が行なわれていない、こういうように非常に感じたわけです。したがって、もっと抜本策をとるように今後の農林省のあり方を変えていただきたい。これを大臣に要求しておいてください。 そこで、もう大体時間ですからあれしますが、厚生省の検査につきまして、厚生省がほんとうに安中市のカドミウム禍をちゃんと公正に調査して全貌が明らかになるように、鉱山保安局、通産省の関係局は協力されますか。たとえば、最初行ったら、厚生省だったら入れてくれない、あるいはあの学者は入ったら困るとか、あの学者はいいとか、そういうような立場ではいつまでたっても公害行政ははっきりしないと私は思うのです。そうして、会社をつぶしたりするのじゃなくて、公害がなくなるようにしたほうが会社も非常にいいんじゃないか、安心して企業ができるのじゃないか、私はこういうふうに思うのですが、保安局長さん、その点は責任持てますか。
○橋本政府委員 従来からもこのカドミウム調査につきましては、通産省だけでとうていできない分野もございますので、昨年の八月におきましても厚生省と共同調査をやったりしております。それからまた県の力も借りなければなりませんので、県とも共同の調査をやるというふうなことでやっておりまして、相互に資料の交換等も行ない、調査につきましても十分各省協力体制ができるように私は努力してまいりたいというふうに考えております。
○岡本(富)委員 最後に一点、もう一ぺん申し上げておきますよ。いままでは協力体制がなかったじゃないですか。ですから、厚生省が直接行っただけでは入れてくれなかったり、やかましゅう言うて入れたり、そういう面があるから、だからいままでの分を一歩前進して、そして会社に対しては、厚生省が来てもちゃんと検査できるように、あなたのほうから注意もし、また申し入れして、そしてりっぱな調査ができるように協力をしていただけるかどうか、もう一ぺん聞いておきます。
○橋本政府委員 この問題につきましては、それぞれの分野がございますので、それぞれの分野に応じて、十分その会社に対して分野ごとの調査につきましては協力をするように、われわれのほうは以前から会社には連絡をしておりますし、たとえば土質の調査等につきまして資料その他が必要だというような場合には会社からも資料を提出させております。したがいまして、いままでも各省間における協力体制はやっておりますけれども、今後はより一そうの協力体制の上に、この問題の除去につとめていきたいという考えでございます。
○岡本(富)委員 いままでも協力体制といいますけれども、あなたそんなことを言うているけれども、そうじゃない。ぼくはたくさん証拠を持っているのだから。そんなことを言わずに、これからほんとうにひとつ協力体制で、厚生省が行ってもあるいはあの学者はいやだとは言わず、ちゃんとひとつりっぱに鉱害を防止できる調査をさせるように会社にも申し入れるかどうか、これを聞いているのです。いまのはだめですよ。
○橋本政府委員 その点につきましては、各省のそれぞれの所管に応じまして問題の研究をする場合におきましては、会社に対しまして十分協力をするように伝えてもおりますし、また今後もその体制で指導してまいりたいと考えております。
○岡本(富)委員 どうもはっきりしない。それぞれの分野、それぞれの分野というのは、ちょっとこれは気に入りませんね。たとえば厚生省がよく調査するときにオープンにして、きちんと見てもらって、われわれは防止を言うているのですから、ここからは厚生省の分野、ここからは通産省の分野と、まだそれだったらそういう考えを持っているじゃないですか。私がいま言うているのは、こうして事故が起こっているのだから、今後事故がないように、ここら付近の住民を守るために、ほんとうに間違いのない調査をして、そうして悪いところは直していく、こういう協力体制を、おそらくいま会社はそういう気持ちになっていると思うのです。さらにあなたのほうから強力に、オープンで、全部見ていくように、来た人には全部見せて、そうして互いに協力してやっていくように、こういうように一歩前進した要請を会社にちゃんとするかどうか、それを聞いているのですよ。いままでやっています、やっていますと言うが、いままでやっていないから聞いているのです。
○橋本政府委員 こういった鉱害の問題につきましては、安中市に限らず、すべての工場につきまして十分各省間の協力が得られるような体制は敷いてまいりたいというふうに考えております。
○岡本(富)委員 会社にちゃんと言いますね、この東邦亜鉛のほうは。どうですか。
○橋本政府委員 もちろんこの点につきましては、会社の社長に対しまして十分なそういう趣旨の徹底をするようにははかりたいと思っております。
○岡本(富)委員 終わります。
○小宮山委員長代理 本日の議事はこの程度にとどめます。 次回は、来たる三月四日火曜午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時七分散会