社会労働委員会 第36号
- 発言数
- 177 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/07/09
会議録
○森田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。枝村要作君。
○枝村委員 私は、特例法による影響と抜本改正に関する諸問題について、質問いたしたいと思います。 先週からわが党の委員の質問によりまして、抜本改正にいまからどういう姿勢で取り組むか、そのスケジュールの点について若干明らかにされたと思うのであります。しかし、ただそういう意味の明らかなことだけでありまして、基本的な厚生省の態度、その内容については、まだわれわれの知るところではありません。そこで私は、それらの問題にも当然触れてまいりますが、厚生大臣がそういうスケジュールを明らかにしたからということで、いままでなまけてきた抜本改正に対する責任を免れるというものでは絶対ないと私は思うのであります。厚生大臣はもちろん、そういうことを言ったからこれでいっぱしの責任をのがれたなんて、私は一つも思っておらないと思います。 そこで、先週大臣がお答えになりました点を、もう一度確かめておきたいと私は思います。いわゆる抜本改正については、先週の答弁でありますが、今週中に事務当局の意見をまとめ上げて、そして中旬に閣僚級レベルの意見調整を行ない、月末にはその大綱でもいわゆる関係各審議会に諮問したい、こういう答弁であったと思うのであります。これに対して間違いはないでしょうか、お答え願いたいと思います。
○斎藤国務大臣 先般の当委員会におきまして、私はさようにお答えをいたしました。先週中に事務当局の調整の意見を聞いて、そして私は大体意見をきめて、今週中にひとつ最高首脳部のところで話し合いを進めたい、かように申しておりました。事務当局ではいろいろ関係各省の間に意見があった模様でございます。その様子を聞きまして、なかなかむずかしい問題で、関係各省どういうようなことを事務当局は考えているのであるかという点は一応聞きました。それをもとにいたしまして、私ただいま最高レベルのところに持ち出す案をいろいろと検討中でございまして、でき得れば今週中に最高首脳部のところで話し合いを進めたい、かように思っております。
○枝村委員 そうすると、事務当局のいわゆる試案と申しますか、そういうものは大体でき上がった、こういうふうに理解していいのですね。
○斎藤国務大臣 事務当局同士の試案はできません。いろいろ話し合いましたが、意見が分かれている。関係省の事務当局はどういうように言うているか、こちらの事務当局はこう言っているという、そういうやりとりの事情を聞いたわけでございます。
○枝村委員 事務当局試案がまとまらずに、中旬におけるいわゆる閣僚級のレベルの意見調整というやつは、そういう運びがはたして実際の問題解決のために役立つのですか。まとまり得ることなんですか。いわゆるたたき台、意見がまとまらないものをもって閣僚級のレベルの意見調整だなんていったって、これはナンセンスじゃありませんか。そうなりませんか。
○斎藤国務大臣 事務当局の意見がまとまってしまえば、これはもう最高首脳部で云々ということは不必要になります。これはただ顔合わせだけになります。事務当局の意見のまとまらぬところを、最高のところで集まってどうまとめていくかということになるわけでございますから、したがって、私が最高首脳のところに持ち出す場合にも、他の省ではどういう点が難点になっているということを聞くけれども、それはこうしてもらったらどうかということを持ち出す以外に道はないと私は思います。もう一つは、最後、こういうものを最高レベルに出すから事務当局のところで一応見た上で首脳会議に臨んでくれ、これが一番常道の行き方だ、かように私は思っております。各省の意見の合致しない点を聞いておりますから、それをもとにして、どういう案が一番いいかということをいま専心検討中でございます。
○枝村委員 事務当局の試案というものが一本にまとまらないと言われる。まあそれはおきましょう。しかし、まとまらないというのは、幾つかの考え方があり、また意見があるからまとまらないということなんでしょうから・そうすれば、その幾つかの意見のある事実はやはり明らかにしておかなければならぬ。その点についてはあとからまた質問いたしてみますけれども、とにかく、山田委員の質問にあなたがお答えになったとおりのスケジュールで、方針でこの抜本改正というものは取り扱われていく、大臣はその自信があると私は判断しているんですけれども、それに間違いございませんか。
○斎藤国務大臣 私は自信があるとは申しておりません。最善の努力をいたしたい、最大の努力をいたしたい、かように思っております。
○枝村委員 この前の委員会におけるあなたの答弁は、努力ということばはなかったように私は思うのです。本会議における答弁では努力ということで、どうもニュアンスが違うような気がいたしたのですが、もう一ぺん、どういうふうにお答えになったか、どういうふうに委員会でお答えになったのか。最初は努力ということで、それではいけないということで追及が重なって、理事会も開かれて最終的な答弁になったのです。その答弁は、そういうあいまいな努力目標ではなかったような気が私はするのですよ。ひとつ議事録を読んでください。
○斎藤国務大臣 当委員会におきまして、理事会後私は答弁をいたしましたのは、山田委員から、この抜本改正案を審議中に関係審議会に諮問ができないか、それが当然ではないかというお話がありました。というのは、私は予算委員会で、この国会中にぜひ抜本対策の要綱をまとめて関係審議会に諮問をいたすように努力をいたします、こう申し上げた。その努力をするというのは、当該法案が、この特例法案が本委員会にかかっている間にという、こういう趣旨ではないかと強く御意見が述べられました。そこで私は、この委員会の開会中に諮問をするということは、これは非常にむずかしいと思います、非常に困難だと思いますけれども、まあ御趣旨を体しましてできるだけ努力をいたします、こうお答えをいたしたわけであります。
○枝村委員 まあ、そういう私とあなたのやりとりでは明らかにされませんので、ひとつ議事録を調べさしていただきたいと思うのです。議事録できてますか。
○山田(耻)委員 関連して。いま私に対する答弁が食い違っているように思います。いずれ議事録を見ていただいたらわかると思いますが、大臣は、大綱については必ずまとめます、大綱については審議会に案を提示をいたします、こういうお約束になっております。ですから、努力目標というよりか、どういう大綱になるか別として、大綱についてはお出しになることをお約束いただいておるわけですから、これはひとつ枝村君の質問に対して明確に答えていただきたいと思う。
○斎藤国務大臣 大綱についてこの国会中に出したい、私は最善の努力をいたしておりますと、かように申し上げたのであります。それをさらにこの委員会、本法案審議中にというお話でございましたから、それは非常にむずかしいと思いますけれども、せっかくの御要望でございますから、できるだけ努力をいたしてみますと、こう申し上げております。
○枝村委員 しかし、違うといい、違わぬといい、こういう意見が出てくるようなあいまいな答弁であるならば、それはそういう受け取り方もあるでしょうけれども、いま山田委員が言われましたように、その当時のそういう経緯を通じて、出すということをはっきり約束させたということになっておるのです。私は、そういうふうに受け取ってあの場の収拾があったと思っておる。ところが本会議では、努力と、いまお答えになったような調子のものをお答えになった。これはおかしいと私は思いましたけれども、そういうことで、ここで再びあなたに再確認の意味で質問をしておるのですから、そうなりますと、この前といまとはだいぶん違いますので、これはやはり重要なことだと思います。そういう意味で、それを明らかにするためには、やっぱり、あなたがそういうことばでここで返答するというよりも、事実に基づいて調べるということが一番いいでしょう。そうすれば議事録以外にないと思うのですね。だから、議事録があればひとつそれをもって明らかにしていただいて、私どもの受け取り方が間違っておれば、それはそれでしょうがないでしょうけれども、そういう不信を私は持っておりますからこういうふうに質問をしておるのです。
○田邊委員 関連質問。いま枝村委員から、山田質問を受けて、抜本改正に向ける政府の努力を確かめておるわけですね。この前の委員会における大臣なり政府委員の答弁では、先週中に事務レベルの折衝を終える、中旬には閣僚間における折衝をして、最初は大臣から、月末に大綱を関係審議会に諮問したい。しかし、それをなお委員から発言があって、やはり特例法の審議と抜本改革というのは不離一体のものであるから、したがってこの審議中に抜本改革についての政府の考え方を明らかにするのが当然ではないかという質問がありまして、私どもも関連質問をしたのでありますが、これを受けて、いま大臣も言われたように、非常に困難だけれどもひとつこの点に対しては最善の努力をしたい、こういう御答弁があったと思うのです。それは間違いない事実なんですね。その点だけちょっと確かめておきます。
○斎藤国務大臣 そのとおりでございます。
○田邊委員 そこで私は、政府委員にお伺いしたいのでありますけれども、先週事務当局の間で折衝をいたした、これを完了するというお約束でありました。したがって、事務当局で折衝した中身は一体どういうことですか。そしてその中で一致した点は一体どういう点でございますか。事務当局の折衝の中で一致をしなかった点は一体どういうことでありますか。ひとつこの点を明らかにしていただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 事務当局の意見は、関係各省においても、おそらく最後の大臣まで相談をしたところではないだろう、かように思います。したがいまして、そこで私は、事務当局の折衝状況を聞いて、そうして最後に、これでというものをきめたいと思っておるわけでありますから、事務当局でどういうやりとりがあったかどうかということは、これは省としては非常にむずかしいこと、言いにくいこと、内輪のことでありますから、それは私は、ひとつごかんべんを願ったほうがいいのではないかと思います。
○田邊委員 私は、委員会の中で問題にならなかったならば、事務レベルにおけるところの折衝の経過をあえてお聞きすることは避けたいと思います。しかし、大臣から当委員会において、その段階、段階について御説明があったわけです。先週は事務当局で折衝を完了する、中旬には閣僚間における折衝を行なう、こういうことであります。したがって、その一つ一つがこの特例法審議にかかわりのある問題であるという認識で、山田質問に対して大臣が、この質疑中に、困難であるけれども最大限の努力をし、大綱を示そうじゃないか、こういうお話があったわけでありますから、したがって、そういうお約束に基づいて、先週事務当局で折衝をいたしましたその大綱は一体何か。その中で一致したものは何か。一致しなかった点は何か。 抜本改革ですから、自民党の医療大綱につきましても、医療保険のいわゆる抜本改革の案についても、それぞれ柱があるわけであります。私はきのう参考人に対して、その大きな柱について実はお伺いしたのでありますけれども。したがってその点に対して、たとえば例をあげれば、医療保険制度の問題について、自民党の案に対して二様の意見があります。家族を地域保険に統合するという案もあったし、それに反対する意見もあります。たとえば例を申し上げれば、これらが、いわば事務当局はもちろん、閣僚間における折衝、最終的な政府案に至るところの一つの大きな問題点であると思うのです。したがって、そういう点に対していまどのようになっておるかということをただすのは、私は、大臣答弁、政府答弁を受けて当委員会としての責任だろうと思う。こう思うものですから、したがって、そういう点に対するところの、先週中に完了する予定でありましたところの、事務レベルにおける折衝の経過に対してとりあえずお答えをいただくのは当然であると思うのです。これは大臣の答弁を受けて私は質問しておるのです。したがって、これはひとつ政府委員から御答弁をいただくと同時に、ひとつ筋書きでいいですよ、先週の事務レベルにおけるところの意見の一致した大綱、意見の一致しなかった問題点について、抜粋でいいですから、簡単でいいですから、当委員会に資料を提出していただくことを要求いたします。委員長からはかってください。
○斎藤国務大臣 私は、事務当局間の折衝を一応先週中に終わって、その模様を聞いてあれをいたしますと申し上げたわけでありまして、事務当局間でどういう折衝があり、何省の事務当局はどれに賛成をしどれに反対しておるかということは、これは事務当局といたしましては、その省の最終の意見ではございませんから、この委員会においてそれをいまの段階で言えとおっしゃるのは、ちょっと私は——言えとおっしゃるのはごもっともかもしれませんが、申し上げることは、これは差し控えさせていただきたい、かように考えます。
○森田委員長 田邊君、枝村さんが主たる質問者でございまして、あなたは関連質問者でございますから、なるべく枝村さんに花を持たせるようにひとつ願います。
○田邊委員 私は資料の要求をしておるのですから……。
○森田委員長 やってください、その範囲で。
○田邊委員 大臣そうおっしゃるけれども、大臣のほうでその段階、段階についてのいわゆる説明がおありになったのを受けて、したがって、先週の段階で事務折衝された筋書きを、中身を——私は全貌を知らせろと言っておるのではないのです。しかも自民党の医療大綱は、われわれは外部的に承知をしておるのです。したがって、その中の問題点について、一体どういう段階であるか、これは一つ一つお聞きしてもいいのですよ。枝村さんはもちろんあとでお聞きすると思うのです。したがって、さっき申し上げたような保険制度の問題、いわば医療機関の問題、診療報酬体系の問題、そういう各種の問題に対して、いろいろと問題点を出されているわけですから、これに対して、いま現在一体どのような状況になっているか、これはこの審議をする一つのたたき台にするわけですね。大綱が出されるならいいですよ。大綱がきょう直ちに委員会に提案をされるならばそれもけっこうですよ。しかしそれもできぬと言うのでしょう。だから私どもは百歩下がって、いまの段階であなたのほうでまずまとめられた点は何か、まとめられ得なかった問題点は何か、これを示してもらいたいということを私は言っているのでありますから、政府のほうでいますぐ答弁ができなければ、明日の朝まででけっこうですから、その筋書きについてお示しをいただくように、ひとつ委員長にお取り計らいをいただきたいというように要求いたします。
○斎藤国務大臣 繰り返して申し上げておりますように、事務当局の意見は将来も変わり得るものだ、かように考えます。公の場におきまして、事務当局同士はこういう意見の相違がある、それが今度はこう変わってきたと言うことは、私は省を率いている大臣としては差し控えるべきであろうと思いますし、ここで事務当局の意見の違っているところを明瞭にせいと言われることも、これは差し控えたい、かように思います。最終的に省の方針はこうだとなった場合に、ここでいろいろと御説明を申し上げることもできるでありましょう。いま中間報告的にここで御報告をして、こういうように事務当局の意見は違っておりますがいかがいたしましょうと言うて御相談を申し上げて進めていくものなら格別、これはそういう筋合いのものではない。最後になったところで意見を申し上げて、そして御了承を得たい、かように思います。 〔田邊委員「委員長、正式の要求だからちゃんと理事会にはかってください」と呼び、その他発言する者あり〕
○森田委員長 お静かに願います。 田邊委員の発言については、厚生省のほうで善処するよう希望いたします。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○森田委員長 速記を始めて。 この際、午後零時三十分まで休憩いたします。 午前十一時二十四分休憩 ————◇————— 午後零時五十一分開議
○森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 先ほどの田邊委員の質疑に対し厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。斎藤厚生大臣。
○斎藤国務大臣 先ほど田邊委員から御質問のございました事務レベルにおける折衝の様子は、政府委員から答弁いたさせます。
○梅本政府委員 事務当局の折衝の点でございますが、去る六月五日に与党でございます自由民主党より国民医療対策大綱を受け取りまして、それ以来、事務当局といたしましては、大綱に示されました考え方を基本といたしまして具体案を作成するという方針を立てまして、問題点として指摘されました五項目を主として中心といたしまして、関係各省と意見の調整を行なったわけでございます。担当局長の間におきまして、数回ずつにわたり個別に折衝を行ない、さらに各省の合同会議を開いたわけでございます。しかし、なかなかむずかしい問題でございまして、事務レベルの折衝におきましても、折衝の過程におきまして、いろいろ計算その他の問題がございまして、引き続きこまかい点まで詰めるという作業を続行しております。 ただし、この前大臣が御答弁申し上げましたように、いつまでも事務折衝をいたしておりましてもものごとが解決しない、いわば高度のレベルでないと解決しにくい問題がございますので、私といたしましては、関係局長との間の折衝におきまして、大臣折衝に上げて折衝をしていただかなければ解決しない問題をできるだけ整理するという観点でも折衝をいたしたわけでありまして、現在のところ、大臣折衝に移すべき項目といたしまして考えておりますのは、第一点は、被用者の家族に対する医療給付を国民保険制度の中で行なうという点につきましては、国庫負担のあり方、そういうものとも関連をいたしますので、この点は政治的な大臣折衝の重要な項目で、事務当局レベルにおきましては、関係局長ともなかなか断を下しがたい、こういう状況でございます。 それから第二点におきましては、この間御議論がございましたいわゆる労災と健康保険との関係でございまして、勤労者につきましての疾病について業務上外を問わず窓口で一本化するという問題につきましては、いろいろの考え方もございまして、またこの問題につきましては、御指摘のありました労働基準法との関連もからんでまいりまして、この問題につきましては、やはり大臣同士の折衝でやっていただきたいというふうに考えております。 その他につきましては、老人保険制度でございますが、老人医療の問題につきまして、今後は厚生省といたしましては前向きの姿勢で検討していかなければならない重要問題でございますが、この老人医療の解決問題につきまして、大綱に示されておりますような、老人保険制度というような制度の創設の問題につきまして、やはりこれは新しい制度をつくるわけでございますので、大臣折衝の一つのおぜん立ての点で、事務的にはできるだけ詰めた形に持っていきたいと思っておりますが、最後の判断は大臣同士の折衝に移してきめていただきたい。 申し上げました主として大きな項目といたしましては、そういう点でございまして、あとの点につきましては、できるだけわれわれの事務当局間で数字を計算し、いろいろ事務手続を検討いたしまして結論を出したいというふうに考えております。
○森田委員長 質疑を続けます。枝村要作君。
○枝村委員 いま保険局長から田邊委員の質問に対する答弁がありましたが、いま三項目だけの答弁のようでありましたが、あとの二項目、これはどうなっておるのか明らかにしていただきたいと思います。
○梅本政府委員 ただいま申し述べましたように、ただいま三項目等と申し上げましたのは、大臣折衝で最終的に断を下していただかなければ、ちょっと事務当局同士の話では話がまとまりにくいという問題でございまして、そのあとの問題につきましては、できるだけ事務当局レベルで問題を解決したいというふうに考えております。
○枝村委員 そうすると、あとの二項目は事務レベルで解決ができる、こういう確信があってのそういう措置だということに考えてよろしいですか。
○梅本政府委員 われわれも、できるだけ大臣をわずらわさないようにいたしまして、先ほど申しましたように、鋭意検討いたしましたので、あまりいろいろの項目ということもなんでございますので、先ほどの大きな項目につきましては、やはり事務レベルの判断ではなかなかきめがたいので、それ以外の問題につきましては、私としては全力をあげて大臣をわずらわさないで話をつけたいというふうに考えております。
○枝村委員 それでは、具体的な点についてはあとから私ないしは同僚から質問をして、その中で明らかにしていただきたいと思います。 冒頭申し上げましたように、一応大臣も姿勢を明らかにしたことによって、前向きの形がとられようとしております。しかし、まだまだ内容については海のものとも山のものともわからないような印象を私ども受けておりますので、その点についても逐次質問の中で明確にしていただきたいと思います。 問題はそういうことで、いまからの方針、態度というものは若干明らかにされて、それなりに一つの責任を一部果たそうという決意は見受けられるのでありますけれども、しかし、だからといって、四十二年から今日までで二年の間に厚生省当局、政府がとった態度については、それによって責任を免れたということにはならぬ、そういう意味で、その間における政府、厚生省のやり方について、私は若干質問をしておく必要があろうと思います。 そういう意味でいまからお伺いいたすわけでありますが、この特例法が二年間の臨時立法とされたいわゆる経緯とか理由とかいうものにつきましては、当時の関係の審議会の審議、あるいは国会の中におけるいろいろな状況などから明らかにされておりますが、ひとつこの際あらためて政府の見解を明らかにしていただきたいと思います。それは、どのような理由で、どのような事情でいわゆる二年間の時限立法にしたかという、この点であります。ひとつ説明していただきたいと思います。
○梅本政府委員 前の健康保険法におきまして政府側から提案をいたしました法律案は、当分の間という臨時、暫定の法律でお願いをいたしました。しかし国会の、しかも本会議におきまして二年間という修正が付せられたわけでございまして、それの御趣旨は、二年間のうちに抜本改正の案をまとめるようにという御趣旨であるというふうに了解いたしております。
○枝村委員 それではあまり明らかになりませんが、もう少しはっきり言ってもらいたいのでありますが、ただ、私ども聞いておるところによれば、当初四十二年の厚生省の基本的な考え方、これをつくり上げるときの基本的な考え方は、これは健康保険法の本法でこれをやり変える、改正する、そういう腹であったと聞いておる。ところがその後、審議会でたたかれ、あるいは一般の関係者からいろいろ突き上げられて、三年間という時限立法に改める。それが今度国会ではああいう大きな混乱の中でこの健保問題が取り扱われて、最終的には二年というようなものに引き下げていった、こういう事情があることは私どもよく知っておる。しかし、その中で一番大切なことは、この時限立法をつくるにあたりまして、いろいろ大きな問題をやはり健保の問題として含んでおりますので、臨時の応急の措置として、近い将来における抜本的な改革の実施が不可欠の前提として、この特例法というものがそういう時限立法として取り扱われて、そういう決定をしたということに明らかにされておるわけでありますが、その点間違いないでしょうか。
○梅本政府委員 ちょっと、三年というお話が出ましたので、私のほうから申し上げますと、私のほうが社会保険審議会に御提出をいたしましたときには、健康保険法の改正でお願いをいたしました。ところが、先生おっしゃいますのは、社会保障制度審議会の答申におきまして、その立法形式につきまして、時限的な臨時立法とするなどのくふうを加えるということが一つと、それから低所得者対策としまして、継続給付の者について薬剤の一部負担を免除したらどうか、こういうふうな答申をいただいたわけでございます。私のほうとしましては、社会保障制度審議会の答申を尊重しまして、そして法律の性格を時限立法にする意味におきまして、国会に提出をいたしますときには、当分の間という法形式にし、臨時特例に関する法律ということで、本法の法律改正から臨時特例法にかえたわけでございます。その三年とおっしゃいました点につきましては、われわれのほうの政府といたしましては、全然関知しない数字でございまして、先ほど申しましたように、二年というのは、国会の御修正で二年という時限立法になったわけでございます。そういう事情でございます。
○枝村委員 当分の間ということで、どこから三年ということが出たか知りませんけれども、これは三年以上も考えられますし、少なくとも二年と規定される前までの厚生省の考え方は、当分といえば無期限にも値する。もともと本法で改正していこうというのですから、その腹であったと思うのです。それをなぜ二年の期限立法にしたか。厚生省の腹がどうあろうとも、やはりそういう国民的な要請、国会での要請は明らかにその目的があると思うのです。これは先ほど言いましたように、抜本改正をその間にやるという強い不可欠の前提条件でありましょうけれども、それと同時に、この時限立法そのものがいわゆる当面の赤字の対策としてとられたものであるというように、その当時の客観情勢は受け取っておるわけなんです。それに間違いありませんか。
○梅本政府委員 臨時応急の財政対策でございますというのは、当初からそういう趣旨の説明で一貫いたしておりました。
○枝村委員 審議会の中における政府に対するきつい要請、あるいは勧告は、皆さんが知っていらっしゃいますから私は言うことはありませんが、そういう意味で、この被保険者の負担で赤字対策をとることが当面のねらいである、これは客観的な事実であるし、それから厚生省もそう思っておった。そういうものは期限を二年にとどめなければならぬ。そしてその間、先ほどから言いますように、国民のすべてが適正なる医療を軽い負担で受けられるよう、政府はいわゆる抜本的な対策というものを立案する義務を負わされておると私は思う。そのとおりですか。
○梅本政府委員 先生のおっしゃいました点で、患者負担ということでございますが、特例法におきましては、これだけの当時におきまする相当の赤字がございますので、それにつきまして、患者さんにも負担をしていただく、被保険者の保険料においても負担していただく、それから国も応分の国庫負担をいたしますというので、その前まで百五十億でありました国庫負担を五割増にしまして、二百二十五億の国庫負担を入れ、その関係でそれぞれ応分の分担をしていただく。健康保険制度が、まさに赤字が増大をして危機に頻しておりますので、それの救済をお願いしたいという趣旨のものでございまして、健康保険法におきます患者負担だけでこの赤字を解消しようというふうな意図ではございませんでした。
○枝村委員 それはそれとして聞きおきますが、いわゆるこの期間において、厚生省は抜本改正のためにいかなる努力をしたか、これをひとつ率直にお伺いいたしたいと思う。
○梅本政府委員 特例法が国会で、しかも臨時国会で成立をいただきましたのが四十二年の八月でございましたが、最終の本会議におきまして、先ほどお話の出ました二年という時限が限られましたその趣旨は、われわれ解するところ、二年以内に抜本改正の法律を施行するようにというふうな御趣旨であったというふうに考えまして、事務当局といたしましては、四十二年の十一月、特例法が終わりまして数カ月の間に、事務当局試案というものを作成をいたしまして、これを自民党の医療基本問題調査会に提出したわけでございます。 それで、われわれとしましては、やはり現在のわが国の政治行政機構におきましては、議員要請でもございますし、これだけの政治問題、特例法ですらあれだけの問題になりましたので、上からの御指示もございまして、与党との関係におきまして、たとえ関係審議会に諮問する諮問案であっても、十分与党との意思の疎通をするようにというふうな御指示もございまして、先ほど申しました医療基本問題調査会に事務当局試案を提出をしたわけでございます。その後調査会におかれましては、関係団体の意見を十三団体にわたってお聞きになったわけでございますが、この十団体——三医師会の点は別でございますが、十団体の御意見の場合にも、私も一緒にお聞きをいたしまして、その関係団体の意向を十分検討し、事務当局試案に対する御批判も十分承ったわけでございます。その後党のほうにおきまして、いろいろ党内の意見を調整されますにつきましては、私としまして、計算の点、あるいは事務的な点、その他いろいろ考え方の点につきまして、調査会の先生方とは十分の意思の疎通をはかりながら、あるいは御相談に乗りながら努力をしてまいった次第でございます。
○枝村委員 そういう経緯はいまやだれも知らない者はおらぬのでありますが、そのほかに何か別に厚生省として努力した事実はありますか。
○梅本政府委員 その抜本改正が、ただいま申しました線以外にという先生の御質問、ちょっと私も了解しかねますが、私といたしましては、この抜本改正をやはり一日も早くやり遂げるということにつきまして、それに専心をいたしておりまして、横道にそれるというふうな点につきましては、先生の御質問がよくわかりませんけれども、ほかにございません。
○枝村委員 あなたが、自民党との間でいろいろ橋渡し、あるいは説明、それから相談に応ずるという努力をされたということですが、これはあくまでも事務局試案に基づくそういう努力でありまして、私の質問しておるのは、それ以外に、この抜本改正をつくる上げるための何らかのほかの方法でもとられたかということなんです。それはないということなんですけれども。 それで、この厚生省の事務局試案は、いまあなたのお話を聞くと、国会の決議に基づいて、国民の期待に沿うべくつくり上げたと言っておるのですけれども、しかしこの性格の中で明らかにされておりますように、これはあくまで自民党の医療基本問題調査会の要請によってつくったのだというようになっておるのですね。それでは要請がなかったらどうだったかということになるのです。それでそのあと、あなた自身は努力されたのでしょうけれども、実際に政府あげて抜本改正をつくり上げる——困難ではありましょうが、つくり上げるという努力は、どうも見られないような気がするのです。あなた自身はおやりになったかもしれませんけれども。一切自民党にまかせるという態度しかやはり見られぬというのが、一般的な見方であるような気がするわけなんです。そうじゃありませんか。この「要請により」ということは一体どういうことなんです。
○梅本政府委員 御承知かと思いますが、抜本改正の問題につきまして、厚生省といたしましては、この事務当局試案を出しました四十二年十一月以前から、相当われわれのほうでは研究をいたしておりました。そして、御承知かと思いますが、事務次官を中心にして関係局長のメンバーをつくりまして、これが相当の回数にわたって厚生省として抜本改正を検討をいたしておったわけでございます。これがいわゆる牛丸委員会と世間にいわれておる委員会でございますが、一定の案を持っておったわけでございます。しかし、やはり、先ほど申しましたように、特例法でもあれだけの問題がございますので、やはり事前によく党と話をするようにというふうなお話もございましたので、それで特例法が通りまして二、三カ月たって、できるだけ早く調査会を開いて党としての御意見をまとめていただきたいというふうに大臣からお願いをいたしましたところが、党としていろいろやるについては、やはり話の一つのポイントがなければ、議論が、これだけのむずかしい問題であるから、多岐にわたってしまうので、事務当局で長年研究しているという案があるというふうに聞いておるから、いわゆる党は党としての考えをまとめるについて事務当局の試案というものを出してくれ、それをたたき台にしたほうが議論が効果的であろうという意味で御要請がございましたので、急遽提出をしたということでございます。
○枝村委員 自民党の党として厚生省にそういう要請をするのは、これはあることでありますから、これはいいといたしまして、厚生省が、先ほど言いました国会、国民の要請によって責任を負わされているのですから、その立場で、党との関係もありましょうけれども、抜本改正のために努力をし、そして責任をもってそれを遂行していくという姿勢は、少なくともその当時の段階では見られぬような気がする。だから、自民党から要請があったから、いままでいろいろ研究したものを、じゃ差し上げましょうということで出していく。そうしてその段階では、ここにも書いてありますように、「関係各省あるいは与党との意見調整は未だ行なわれていない。」だから、いまから「早急に政府としての正式の改革案をまとめることとする」、こういうことがやはり「性格」の中でうたわれているのです。そうなりますと、その段階においてすら、政府、厚生省としての独自の案、いわゆる責任を果たすという、その詰めが怠られておるし、そしてその後政府案としてまとめていくという努力も全然放棄されて、自由民主党の調査会にすべてを一任するという態度をとっておられるのではないかというように見られてもしかたがないのではないか、そういうふうに思いませんか。 保険局長、あなたの御努力は感謝はいたしますけれども、先ほど言いましたように、厚生省全体、政府として、いわゆる一生懸命になって取り組んだということは少なくとも言われないし、そして厚生省自身が出した「本試案の性格」の中を見ましても、そういうことが明らかにされていない。いまからするということは言っておりますけれども、それから二年の間何もされておらないということが、皆さん自身の中でも明らかにしておる、暴露しておるということが言えるのではないか、そういうふうに思います。それと、この試案を自民党の要請によって出すことは出した、この一面がありますけれども、これをやはり公表しておるということなんです。公表するということは、単に自民党にそういう資料を提供するということではなしに、一般国民にも明らかにするということを意味するものだと思うのです。そうすると、あなた方のほんとうの考え方は、自民党にも出すが、同時に一般国民にもこれを発表して見てもらって、そして検討願うというものであるかどうかという点について質問をしておきたいと思います。
○梅本政府委員 率直にこの際申し上げておきますが、この抜本改正の問題につきましての手続は、厚生省が案をつくりまして、それから社会保険審議会なり社会保障制度審議会にかけまして、そしてそれを与党の関係の機関に持っていきまして、そして閣議決定を経て国会に提出するというのが大体のルールでございます。しかし、先ほど申しましたように、特例法ですらこの前の臨時国会まで開いてという問題でございましたので、やはり事前に与党といろいろお話をして、たとえ諮問する案であっても、よく意思を疎通するようにということでそういう手続になったわけでございまして、やはりこの抜本改正につきましてはいろいろの案がございますし、たとえ非常にりっぱな案でございましても、結局は法律にして国会の議決をいただかなければ日の目を見ないものでございます。私の机の上にいかに名論卓説がございましても、やはり法律にしなければ実現しないわけであります。ということで、事務当局試案につきましても、事前に与党の考えを調整し、それから関係各省とも折衝し、そういうことでございますので、その点、普通の法律の取り扱いと違いました形でものごとが進んでおる。これはよかれあしかれ、昨日参考人もおっしゃっておりましたように、相当の政治問題となっておりますので、そういう手続をとったわけでございます。 それから、第二点の公表の点でございますが、これは調査会長の御意思で、たたき台であってもやはりこれを一ぺん天下に明らかにして、そして関係方面からのいろいろの御批判も出てくるであろうという意味で、調査会長のほうで公表したらどうかという形で公表したものでございます。その後、御承知のように、そういう公表しながら、そしてそれについて関係十三団体の御意見を聞かれるということを、相当長期にわたって調査会としては行なわれたわけでございます。
○枝村委員 天下に明らかにして御批判を仰ぐということはいいですが、それを、自民党の調査会長が言われるから厚生省はそうしたというようにおっしゃるのですけれども、それは、先ほどから言いますように、厚生省が抜本改正に本格的に取り組もうという姿勢じゃないということが、この点でも明らかになるのではないですか。
○梅本政府委員 ちょっとことばが足りなかったと思いますが、調査会長の要請により発表したというわけではございませんで、やはり私のほうと向こうの調査会と御相談をいたしまして、これが御承知のように事務当局の試案でございます。厚生省の試案というところまで固まっておりません。したがいまして、これは先ほど申しましたように、党の意向をきめる一つの試案として研究の結果があれば出してくれという意味で出しましたので、最初、発表を少しはばかりましたけれども、向こうと協議をいたしまして、天下に明らかにして御批判を得れば、この案の調査会としての審議にも、あるいは今後われわれのほうが党と調整していく上におきましても、いろいろの御批判が聞けるのではないか、こういう立場で調査会と協議して公表したのでございます。
○枝村委員 その点でも、まだまだ厚生省が本気の姿勢でない、弱いということが言える。協議もへったくれもありゃせぬじゃないですか。きめたものはきちっと責任をもって遂行していくという努力をする。もちろん与党との間では、いろいろの関係あるいは意見の調整なんかを保つべきでありましょうけれども、そういうところにもやっぱり問題があるような気がしてならぬのです。 そこで、大臣にお伺いいたしますが、このいわゆる事務局試案なるものは、次官以下のレベルということでございますか。大臣が全然知らないものではないだろうと私は思うのですが、どうですか。
○斎藤国務大臣 私、就任いたしまして以来、いままでの経過の説明を受けました。その際に、こういう事務局試案をつくって、そして世間にも知れ渡っている、また党の調査会においてもそれを提供いたしておる、党のほうでは早くやるからということで一生懸命やっていただいているという状況も私は知っております。また就任以来、党のほうに、自民党の意向をまとめていただきたいということを、もう再三にわたりお願い申し上げて今日までまいり、六月五日にやっとその報告をいただいたという経過になっているわけでございます。
○枝村委員 あなたは、四十二年十一月ごろには就任されておりませんからなにですが、普通、省内におけるそういう重要な問題を取り扱う場合に、大臣に全然相談なくかってに事務局レベルで事を運ぶということは、あるのかないのか私は知りませんけれども、あってはならぬと思っているのですよ。とりわけこういうふうな大問題になりました、しかも国民の健康と命を守る法を根本的に改正してよい法にするという、こういう取り扱いについて、単に事務局試案ということだけで、大臣は、おれは知らぬのだということでは、これは許されぬと思うのです。あなた自身は、その後就任されてからは——これはもう全然話を別に変えていきましょう。あなたが就任されて以後、この抜本改正についてどのような努力を大臣としてされたか。それ以前には、こういう問題が公表され、自民党の中にもいろいろ審議が進められておった段階でありましょうけれども、あなた自身が就任されてから今日までどういう努力をされたか、この点をひとつ率直にお伺いしておきたい。
○斎藤国務大臣 私は、党のほうに対しまして、早く意見をまとめてもらいたいということをしょっちゅうお願いをいたしておったわけであります。したがって、党でいろいろと調査研究をしておられます段階において、私がまた別の活動をするというわけにもまいりませんので、そこで、党の調査のすみやかに進むことを念願をし、また、それをお願いをいたしておりました。もちろん個人といたしましてはいろいろ意見がありますから、私自身も事務局試案も検討すると同時に、党の御検討くだすっている段階もいろいろ聞いておりましたし、いろんな団体からいろいろ意見も持ってこられますから、その意見も聞き、私なりの意見も言いまして今日までまいりました。私は、党の御意見は二月中あるいは一月中にでもいただきたいと言ってお願いをいたしておったわけでありますが、問題が問題でございますので、六月の五日までかかったというのが実情でございます。
○枝村委員 大臣もやはり党にすべてをまかしておく、そういうことに終始しておるようでありまして、厚生省として何らかの努力をして、日の目を見るようにするという努力は、一切行なわなかったというように理解していいと思います。そういうことでしょう。ただ事務当局に早くやれやれとせかすことはせかしたというだけでありまして、それ以外に何も手を打っていないというふうに理解してもいいような今日までの態度であった、こういうふうに理解してよろしいですね。
○斎藤国務大臣 党と政府は一体でございますから、形は分かれておりますけれども、ことにこの問題は一体になって考えていこう。そこで、党のほうでは検討をするからというので検討をしてもらっておったわけで、ほったらかしておったというわけではございません。
○枝村委員 これは私どもが野党の立場で言うのではなくして、社会保険審議会の答申の中にも、そういう厚生省、政府のとった態度に対して明らかに指摘されております。これを読んでみますと、「試案を公表したまま一切を自由民主党に委ね、責任を回避して無為のうちに二年間を過し」云々と、こうあるのですね。そうして「この間にいかなる事情があったにせよ、政府及び自由民主党の怠慢は強く責められるべきであるとともに、極めて遺憾といわなければならない。」審議会の中で、こういう答申をされておるのは、無理からぬものだと私ども考えております。 〔委員長退席、谷垣委員長代理着席〕 そういう意味で厚生省の皆さん方の責任は強く責められる。責任を感じるためにはどうしたらいいかということになれば、やめるということもありましょうし、その次には、やめずして、国民、国会の要請に基づく健保というものを、医療保険全体をよくするためにつくりかえていくということに全力をあげるべきだと思うのです。それが責任を感ずる一つでもあろうと考えております。そのどちらをとるかということになりますれば、それは今日の段階では、過去を責めてどうかということはいたしませんけれども、それと同じような気持ちで、やめるようなやはり強い責任を感じて、そうして将来のためにりっぱなものをつくっていくということに全力を注いでいただきたい。そのために、先週から山田委員あたりの質問に対して大臣が、今月の末までには関係審議会に諮問すると約束されたんだと私は思うのです。それを午前中の大臣の答弁のように、以前から言われております、努力、善処するというような表現だけで逃げられぬようにやってもらいたいということを重ねて申し上げておかなければならぬ、このように思います。 そこで、自民党調査会の要請によって厚生省の事務局試案を提出したということなんですが、これは政府・与党は一体でありますからという、そういうことではそれなりにまた了解をいたしましょうが、その自民党と厚生省との関係ですね。具体的に言うならば、試案を出す責任——法的な責任はないでしょうけれども、与党である自民党の要請に基づいて政府の一つである厚生省が出すという、そういう関係でありましょうが、何かの強いつながりというものがこれから出てくるのかどうか。拘束されるのかどうか。こういうことは、法的にはないと思うのですけれども、気持ちの上でどういう関係に当局のあなた方は考えておるかという質問、——むずかしいですか。むずかしくなかったら答えてください。
○梅本政府委員 事務当局試案の要請という点、先ほど申しましたように、普通のルールでなしに、調査会のほうへたとえ諮問する案であっても、与党とよく意思を疎通しておかないと、答申が出てきて法律になる前に与党へ持ってきても、また議論があっても法律としてなりにくい、そういう意味で与党との調整を始めたわけでありますが、この要請といいますのは、先ほど申しましたように、党のほうで意向をまとめるについて、何もなしで、たたき台なしで議論をしても多岐にわたってしまうので、聞くところによると厚生省では、牛丸委員会まで設けて相当研究をしておるということであるから、事務当局試案でもいいから一という意味は、やはり厚生省の案ということでありますと、関係各省と話を全部つけて持っていかなければなりませんから、そういう意味では試案でもいいから、ひとつ出してくれないか、それをもととして党としての意見を固めたい、こういう趣旨のものでございます。
○枝村委員 そのような説明では、どうにもこれは一方的な、政治的な言い回しなんですけれどもね。出す、たたき台にするということでありますか。自民党の要請に基づいてあなた方が自民党調査会へ出す、そうして今度自民党がそれをいろいろ参考にして自民党案が出る、そうして政府に提出するかどこへ提出するかしれませんが、はね返ってくる。そういう関係というものは、やっぱり生きてくるのですか。どういう位置関係にあるのかというその点は、私は解釈がよくわからぬですが……。
○梅本政府委員 先ほど申しましたように、たとえばいま抜本改正の案ができたといたしますと、手続といたしまして、厚生大臣の諮問機関である社会保険審議会、それから総理大臣の諮問機関である社会保障制度審議会に諮問をいたしまして、その答申をいただいて、それをもとにしていわゆる厚生省試案をつくりまして、そして与党のほうでいろいろ社会部会、あるいは政策審議会、総務会という正規の機関でいろいろ与党との意思の疎通をやりまして、それで了解ということになれば、法律案として閣議決定して国会へ出すというのが現状になっております。 ところが、この医療保険の問題につきましては、一昨年の健保国会といわれました臨時国会もございましたように、やはりこの案を一つ出すにいたしましても非常に政治的な問題がある。だから、先ほど申しましたように、審議会のところまでこちらが独自の案で持っていきまして、いよいよ法律にするというときに、政府と与党との間でいろいろ意思の疎通ができない場合には、そういうことであればまた法律として日の目を見ない、こういう形でございますので、非常に政治的なむずかしい問題でありますから、たとえ厚生省が関係審議会に諮問するその案であっても、やはり大体の方向は、与党と政府のほうで方向を間違えないように意思の疎通をしておこう、こういう趣旨のものでございます。その点はそういう経路で政府・与党で事前に十分話し合いをしておきまして、その案をもって諮問いたしました場合には、あとはもうスムーズに行くということでございますが、せっかく、第三者を入れました審議会の答申を持っていきましても、法律にしますときに政府と与党とが完全に意見が違ってしまう、こういうことでは審議会の審議をいただいたのもむだになってしまいますし、そういう点で、おのおの立場が違いますからなんですが、政府・与党の間におきましては、やはり大体の方向を、諮問する前に、事前に十分打ち合わせていって混乱を避ける、こういう趣旨でございます。
○枝村委員 それはいいんです。しかし、政府・与党が、話し合いが円満についていけばスムーズに事が成るなんて、そういうふうに簡単にはいかぬです。そういう軽い気持ちで、いわゆる一党一派だけに偏して事を処理しようというところに、それこそ特例法もああいう大問題になったのですから。 そこで、いまのやつは、少し私は重大だと思うのです。単に与党、自民党と話し合いがつけば、何でも、どんなものでも国会を通り、国民が許すとでも思っているのですか。大臣、答弁してください。
○斎藤国務大臣 そんな大それたことは考えておりません。
○枝村委員 その大臣の教えが、いつもそういうふうに厚生省官僚にあると思うのですね。ですから、不用意に保険局長が答えたんではないというふうに私は思います。ですからそういうことは、もう思っておっても口に出さぬようにせぬと私はいかぬと思いますね。 それでは端的に質問いたしますが、この厚生省の事務局試案というものは、今日まだ生きておるものか、あるいは死んでおるものか、あるいは死んだ遺骸も何もなくなって、消滅したものかどうか、こういうことを聞きたいと思います。
○梅本政府委員 先ほど申しましたように、事務当局試案も、一つの、党として御検討になりますときの参考案になってきております。国民医療対策大綱になりましたときに、事務当局試案と比べてみました場合には、相当の変更がございます。しかし、この事務当局試案は、事務当局の案でございます。いろいろ政治的な点は不十分でございますし、やはり当時の財政計算におきましても千分の七十、特例法でおきめ願いました料率を動かさないというような考え方を中心にいたしまして、そして財政配分を、最も事務当局としていいと思う配分を考えるというふうな趣旨で考えてあるわけでございまして、そういう点につきまして、国民医療対策大綱につきましては、事務当局試案の考え方というものが取り入れられておる部面もございますし、取り入れられていない部面もある、こういう状況でございます。溶け込んでおると申したら適当だろうと思います。
○枝村委員 歴史的には死んでおろうが何だろうが、これは残っていくのですけれどもね。今日の段階で溶け込んでおると言っても、これは生きておるから溶け込んだので、死んだものはくそにもならぬということになる。 そうすると、この厚生省試案というものは、公表もされた、秘密裏の取り扱いではございませんので、国民に公表されたものでもありますし、そして今日までいろいろないきさつをもっておるけれども、結局は、生き生きとはしておらぬけれども、生きてはおるというように理解してよろしいですか。
○梅本政府委員 私のほうでるくりましたので、私としては中に相当生きておるというふうに考えております。
○枝村委員 そうすると、死んだものでも、もちろんこれは論議の対象にはなっていくのですけれども、生きておるとすれば、厚生省の事務局試案について私どもはいろいろ聞いてみる必要がある。そういう意味で、いまから若干の質問を行ないたいと思います。 厚生省試案のこの「改革の考え方」としては、これは「制度の体系」、「財政調整」、それから「給付の範囲及び医療給付の割合」、それから「償還制の制限の緩和」、「保険財政の長期的安定」、それから「医療制度等医療保険に関連する諸制度の整備近代化」、こういうのを主としておもにあげておるわけですね。 で、私どもがその中で二、三点これは重要だと思う点をひとつお尋ねいたします。しかも、端的にお尋ねいたしますので、そのつもりでお答えを願いたいと思います。 まず第一に、「給付の範囲及び医療給付の割合」についてでありますが、この中で、最初の割合の問題ですが、被用者保険と地域保険における医療給付の割合を同じにする、こういうことから「給付の割合は、七割とするが、被用者保険の本人及び地域保険の世帯主については、その者の家計中心者としての役割を考慮して、その入院について十割給付を行なう。この場合、普通給食費相当額(二百三十円)を一部負担とする。」こういうふうな内容になっておると思うのですね。 それで、現行の政管健保、一部負担ではありますが、本人は十割なんであります。そして家族は五割。これを七割給付に引き下げると、数字の文字どおりいけば、三割の自己負担になります。そうすると本人が外来にかかった場合、全国平均一回最低三百円は必要とするというようにいわれております。ですから検査、手術をやれば、この何十倍もかかるというのは当然なことなんですね。 それから本人の入院は十割給付だといっておりますけれども、これは食事代を月に七千円、一日二百三十円ですからそういう計算になりますが、これを自己負担するのでありますから、実質的には大体八割からそれ以上の給付に下がっていくということになるわけです。このようにとうていわれわれはじめ国民が納得することができないいわゆる改悪案を、どういう理由で一体考え出したのか、そういう点について、まず第一にお尋ねしたいと思うのです。
○梅本政府委員 給付の割合の点でございますが、これは全体に関連をいたしております。それで、この事務当局試案で給付の割合を一つの案を出しましたのは、先ほどもちょっと申しましたように、その当時二、三カ月前に特例法で御審議を願った千分の七十という暫定料率でございますが、七十というのがきめられました。したがいまして、案を立てますにつきましては、千分の七十というのを一応前提にいたしました。それでそれを中心に置きまして与えられました医療費のワクを、どういう点に配分したほうが最も医療保険として保障することになるかというふうに考えまして、一応給付の割合は七割というふうにそろえるという考え方をまずとったわけでございます。 それとともに、考え方といたしましては、重い、長い病気に医療費が回るように、反対に、語弊があるかもしれませんが、軽い、短い病気につきましては、やはり一定の負担をいていただくという考え方をとったわけでございます。 それで、具体的なあらわれといたしましては、入院につきましてはひとつできるだけ十割という形に持っていこうという考え方と、重い、長いという病気の具象化したものとして、入院というものをとらまえましたのと、それからやはり被保険者の中には、扶養者本人と被扶養者とございますが、被扶養者は、扶養者本人があって被扶養者という形になりますので、やはり生計中心者である被用者本人、地域保険でございました場合には世帯主と、こういうふうになるわけでございますが、まず、できるだけ与えられた医療費につき議しては、生計中心である本人の入院ということで、生計中心の本人の入院につきましては、一番手厚い医療費の配分をしたらどうか、こういうふうな考え方をとりまして、そして一番問題になりましたのは、従来からございました被用者本人の外来につきまして七割に下げた点でございます。 で、そういう考え方で七割に下げまして、従来十割でございましたものが外来については七割になった。この考え方につきましては、軽くて短い病気につきましては、一応先ほど申しました生計中心者の本人と、入院の長い、重い病気に重点を置きますために、そちらのほうは一歩後退をする。率直に申しますとそういう考え方をとりまして、われわれの考え方としましては、低所得者対策は別にとるといたしまして、中級以上のサラリーマンにまで全部十割の給付を保障するというよりも、保険は一歩七割まで下がりまして、残りの三割の自己負担分については、事務当局試案の中で別に書いておりますように、公費負担の医療、それから福祉サービスに伴う医療、そういうことで、身体障害者なり、あるいは肢体不自由児なり、あるいは低所得者なり、そういう者は、福祉施策なり、そういうもので自己負担分はできるだけ軽減をしていただいて、そして必要な医療につきましては、実質十割になるような方策をとったほうが一番効率的ではなかろうか、こういうことで給付の割合をきめたわけでございます。
○枝村委員 少なくとも、現行のいわゆる給付の割合には格差がございますので、これを是正していくということについてはわれわれも異論はございませんけれども、しかし、たとえば十割あったものを七割に下げるとか、そういうことはやはり断じて行なってはならぬと思うのです。それからその十割になったのは、結局政府あるいは当局から与えられたものじゃないのですからね。これは今日権利としてわれわれが要求して、そうしてそれが積み重なってこういう既得権になっているのですから、そういうものを下げて是正をするという、こういうやり方は、どんなことがあってもやはりやるべきでないというのが国民多くの意見だと思う。そういう国民的な大多数の意見があるにもかかわらず、いろいろな口実を設けて七割に引き下げる、こういうことは普通の考え方では考えられないことだと思うのです。一体なぜ十割を七割に引き下げなければならぬかという、そういう理由を単なる財政上の問題として、その対策として取り上げていくということであれば、これはお粗末しごくだと思う。そういうふうにお考えになりませんか。
○梅本政府委員 先生のおっしゃる議論、事務当局試案を発表いたしましてから、相当の強い御批判をいただいたわけでございます。ただいまの時点におきましては、国民医療対策大綱におきましては、その点は政治間の御判断もありまして、七割という点はもとへ戻っております。その意味におきましては事務当局試案は死んでおる、この部面につきましては死んでおります。 現在申し上げておりますのは、当時の考え方を申し上げておるわけでございまして、当時考えました考え方といたしましては、やはり財政が十分豊かであれば話は別といたしまして、先ほども前提を置きましたように、千分の七十を上げないという一つの前提のもとに、もう一回、皆保険以来全然手をつけておらなかったこの医療給付につきまして、まず、スタートを整理するという形から、生計の中心である本人と、しかも、本人の長い、重い病気である入院というものを優先し、そして軽い、短い病気というものにつきましては、三割の自己負担をしていただくという考え方をとり、自己負担分につきましては、むずかしい社会的な肢体不自由児問題、身体障害者問題、そういうような問題は、別途公費負担の医療なり、福祉サービスなりと合わせまして、実質十割にすれば最も効率的であろう、こういう考え方で関係・審議会の御意見を聞いて、そして進めていこう、こういう考え方で立案したものでございます。
○枝村委員 いまは死にかかっておるのですか、ら、それはそれでいいのですけれども、しかし、権力を握っているあなた方でありますから、これはいつ息を吹き返すかわかりませんので、そういう意味でやはりはっきり聞いておきたいと思ったのであります。 そうすると、当時の厚生省試案は、死んだ生きたというのじゃありませんけれども、いま全然考えておらぬということですね。
○梅本政府委員 冒頭に申し上げましたように、相当の年月をかけまして与党との関係を調整してきておりまして、国民医療対策大綱の中におきましてそういう線が出てきておりますので、私たちとしましては、先ほど手続を申しましたように、こういう案でいろいろ審議会へ出しまして、これでたとえ答申をいただいても、党でああいうふうになる、それも事前に調整ができましたのは、党の意向もわかっておりますので、この点は国民医療対策大綱の線に沿っていくのが至当ではなかろうかというふうに私は考えております。
○枝村委員 そこで、もう一つ重要なことは、これも死んだ生きたじゃありませんが、保険で給付する対象をいわゆる「給付の範囲」ですか、わざわざ「診療の領域に限る」とも明記しておるわけですね。これはどうもわれわれは心配でありますので、この点をひとつどういう意味でこういうふうにしたのか、書いたのか、これを明らかにしてもらいたいと思います。
○梅本政府委員 当時の試案の点でございますので、率直に申し上げますと、やはり今後の国民の医療を保障していく考え方につきまして、この疾病の部門につきましては社会保険の方式でやっていくという考え方が、いろいろ検討いたしましたが、最も有効であるというふうに考えております。 その立場に立ちまして、わが国の今後の医療保障におきましては、医療保険を中核といたしまして、その社会防衛的な疾病、並びに公共的、社会的処理を要するような疾病につきましては、公費負担の医療を充実していく、それからまた、福祉医療サービス的な行政につきましては、おのおの行政機構、指導機構、管理機構との関係もございますので、できるだけ公費負担なり、あるいは補助金の行政なり、そういうことでやっていくのが最も効率的であるというふうに考えたわけでございまして、やはり医療保険の扱いますのは、いわゆる疾病という範囲に限定をいたしまして、保険という原則でございますので、不測の事故、保険事故というものを対象にするという意味におきまして、個別的に処理をしなければならない疾病につきましては、社会保険である医療保険が受け持ちまして、その他の疾病につきましては、公費負担医療なり、サービス医療で受け持っていくというような考え方をとったわけでございます。この点は、現在におきましてもやはり最も効率的で適切ではないかというふうに思っております。
○枝村委員 そうすると、たとえば傷病手当とか分べん・出産手当とか、育児手当、それから埋葬料、こういうのはいわゆる法定給付からはずしていくということなんですね。
○梅本政府委員 まことに失礼でございますが、先生の御質問の観点、私、全然違っておりまして、いまおっしゃいましたのは保険の現金給付でございますが、私がお答えいたしましたのは、医療という概念の中に、予防的なもの、それから治療的なもの、リハビリテーション、こういうふうに分けまして、治療的なものを保険が受け持つというふうに申し上げたわけで、観点が違っておりましたら失礼いたしました。 先生申されました現金給付の点につきましては、われわれのほうといたしまして、従来の考え方を変える考えはございません。むしろ先国会から問題になっております分べんの関係につきまして、そういうふうなものも現在は現金給付でございますけれども、できるだけ財政基盤を強化しておきまして、現物給付の方向にやるように、鋭意検討いたしておるという形でございます。
○枝村委員 しかし、ここのあなた方の試案の中に「診療の領域に限る」と明記されておるのは、私がいま質問したようなことははずされるということになるわけなんでしょう。そうじゃありませんか。
○梅本政府委員 全然解点が違う問題でございまして、その点はそういうはずすという意図はございませんし今回の分べんの問題につきましても、国民健康保険、そういうものの問題も、むしろ徐々に、任意給付から法定給付の方向に行くように将来は検討していきたいというふうに考えておるほどでございます。
○枝村委員 大体わかりました。 その次に「財政調整」の問題でありますが、これはあとからも出ると思うのですけれども、自民党の大綱にもこれが生かされておると思うのですが、これは現行の制度そのままにして、その上に立って、いわゆる小集団方式の長所を生かしつつ、保険料負担の公平をはかるために、医療費の二分の一について財政調整を行なうことにしている、こういうことになっておるわけなんです。これはまず第一に、それぞれ保険者に責任を押しつけて国の責任を回避しようとする、黒字の制度の財源から、赤字の保険に回して財政調整を進めるという、こういうことになるのではないかと思うのです。そうすると、政府にとってはまことに都合のよい、いわゆる国庫負担を免れるようになる、そういう責任をのがれる、こういう策であるというように一般的に見られておるわけなんです。この点はどういうように説明されますか。
○梅本政府委員 抜本改正の一つの問題は、各団体の御意見を、どれを見ましてもこれはもう間違いのない一つの柱は、各保険者におきましての保険料負担が、各制度、保険者間に不均衡があるからこれを是正する。三十六年に皆保険ができまして、国民のすべてが被保険者、何らかの保険に加入いたしておりす。こういうのは世界各国でも珍しい点でございまして、模範にいたしましたドイツにおきましても、八割程度しか保険によってカバーをされていない状況でございます。しかし、その皆保険ができましたあとにおきまして、八つの制度に分かれておりますために保険料負担が非常に不均衡だ、それから現在におきまして、政府管掌の保険では千分の七十でございますけれども、健康保険組合では千分の五十幾つかでやっておる、こういうような点がございます。そういう点で先ほど申しましたように、先生のおっしゃる観点はよくわかりますけれども、やはりわれわれの形で、社会保険というワク内でこの問題を解決していこう、社会保険の保険料で調達するか、税金で調達して一般会計の金でまかなうかということにつきましては、非常に議論があろうかと思いますけれども、やはり保険料でこの医療費をまかなっていくということにつきましては、各種の利点がございますので、そういう方式をとっていこう、そういう立場に立ちました場合に、たとえば千分の七十というのが全部の被用者保険に適用されますならば、おそらく保険といたしましては、一挙に黒字になるであろうと思います。ただし、歴史的に各制度が分かれておりますので……。一挙に黒字になるだろうというふうに考えられます。しかし、各制度が八つに分かれておりますけれども、それぞれ歴史的な沿革もございますので、やはりわれわれの被用者保険につきましては、標準報酬制をとり、それが三十六等級に分かれて法定されております。そういう制度をとっております以上、やはり同じような標準報酬の型につきましては、皆保険下におきましては、同じような料率で保険料を負担していただくというのが理論的には究極の理想であろうと思いますけれども、そういう点を歴史的な沿革のある各制度につきまして緩和いたしまして、一定の率によりましてできるだけこの差を少なくしていく。やはり標準報酬の高いところの保険の団体からは、一定の率で供出していただいて、そして余った分はプールをしておいて、そして石炭山その他政府管掌保険、あるいは日雇保険、そういうふうなやはり脆弱な保険のほうに、そのプールした金を回していくということによりまして、全国的に見て被保険者の保険料負担がぴったり一定にはなりませんが、非常に負担が均衝してくるというふうな考え方と、一方においてやはり自主的な経営の努力というものも残しておきまして、そして相互連帯によりまして、お互いの健康を注意していただいて、医療費が少なくて済むように努力をしていただけるような機構を残して、そういう従来からのいい点を残していこうという考えで、この事務当局試案は、二分の一財政調整というふうな考え方をいたしておる次第でございます。
○枝村委員 私の質問に答えてないのですが、いまのいわゆる階層別、規模別、七つか八つありますが、これはこのままに置いておいて、そして先ほど言ったような二分の一の金を財政調整に使う。私はあんまり詳しいことはわかりませんけれども、こういうやり方をしていけば、国の国庫負担も若干減るでしょうけれども、やっぱり国の負担というものはしなくても済むように、そういう方向になっていくんじゃないかという質問をしているのです。そのことは、先ほど言いましたように、結局、いわゆる保険者に全部の責任を押しつけるということになってくる。それは政府とすればたいへんけっこうなやり方なんですね。やはりそういうねらいになっているのじゃないか。相互扶助ということをますます強化していこうという、その保険主義に立脚したあなた方の試案ではなかろうか、こういうふうに言っているのです。 これをもしあなた方が実行した場合に、政府はいままでより以上に大きな国庫負担を負うのかどうかということを、反対の質問をしてみると、おそらくそういうふうにはならぬと思います。最初私が質問した方向にやっぱりなっていく。そういうのがねらいではないかということを質問しているのです。
○梅本政府委員 先生のお考えで、やはりどうしても一緒になりませんのは、われわれのほうは国民の医療費をまかなうのに、一般の税金でなしに、やはり使途の明確である保険料でまかなっていったほうが適切であるという考え方に立っておりますので、いつまでも御了解願えないかと思いますが、保険料でまかなうという立場をとりまして、いまかりに全国一本の保険料で千分の七十なら七十で、皆保険下であり、三十六等級に標準報酬が分かれておりますので、それに千分の七十を全部かけますと、一挙に黒字になるであろうというふうに考えられるわけでございますけれども、やはりその点は歴史がございますので、半分だけそういう調整をいたしますということで、やはり現在千分の五十で済んでおる、非常に大企業の、標準報酬の高い人ばかりが集まっておる健康保険組合がありましたとすれば、それも一定の千分の五十を、千分の六十くらいに上げていただいて、五十で済んでおるわけですから、千分の十分はプール資金としてプール基金に出していただいて、そして一方において石炭山のように、千分の八十に近い料率をとっても、なおかつ赤字であるというふうな組合もございます。そういうのをまた上げなければならぬという場合には、先ほどプールしました千分の十分を、そちらのほうに半分回すと同時に、その足らぬ分につきましては、この案では国庫負担も一緒につけましょう。したがって、考え方を申し上げますれば、標準報酬からきております財政力の裕福な組合から、弱少な組合にプール資金が回るときに、国と共同して、半分で、国費と両方合わせまして弱小の組合を助けていこう、こういうふうな考え方になるわけでございます。 そういうことによりまして、皆保険下におきまする被用者保険の保険料負担が、ぴったりとは一定にはなりませんけれども、アンバランスがある、格差があるという点につきましては、相当ならされていくのではないか、こういう考え方でございまして、決して国庫負担が軽くなるというふうな形でなしに、本来は保険でございますが、現在の政府管掌保険は、国庫負担という形のものが、赤字対策という意味で入っております。しかし、この事務局試案でございました場合には、財政調整につきまして、当然に国庫負担がつく、こういう考え方をとっておるわけでございます。法律的にそういう形をとろう、こういう考え方でございます。
○枝村委員 もうあなたの意見とわれわれの脅え方は、基本的に相違があるようですから、その問題もどなたかおやりになると思いますから、やはりわれわれの不安は、いまあなたの答弁によっては解消されずに、ますます濃いものになってきておるというふうに思います。赤字が増大されるような組合では、どんどん調整額を引き上げていくことによって、それによってそれを埋めていくということになる。先ほど言いましたように、黒字のところから赤字のところに持っていくことになるのですから、それはなんぼ言ってみても、要するにおまえたちでかってにそれはやりなさいということになっていかざるを得ぬのです。もちろん、国庫負担は全然まかなわぬということにはならぬでしょうけれども、そういうあり方では国民は納得せぬのじゃないかと思うのです。きのうでも、健保連の代表者が言っておりましたけれども、組合健保はそれぞれの立場にある人たちが、非常に努力して今日を築き上げてきたのです。それを全く無視して、先ほど言いました既得権を無視してふんだくる。そしてなまけておると言ってはいかぬのですけれども、そういうところにやるということはいけないということを言っております。なまけたという点については、われわれも承服できませんけれども、しかし、赤字のところを黒字に持っていくといっても、赤字のものがそれによって解消されるとは絶対に言えないのでありまして、赤字のところはどんどん保険料その他を引き上げていくということになっていくと思うのです。そういう心配のある財政調整では、われわれはそういうプール方式には賛成するわけにはいかないわけであります。厚生省試案の中で、これは明らかにされておるし、自民党の大綱の中にも、これは若干のぞかしておりますので、これはいまからのいろいろな審議、討議を通じて、そういう国民が不安に思うような、それから現在の保険者がやはり非常に心配しておるようなそういうことにならないように、皆さんの、当局の考え方を改めていただきたいと思います。これは私の要望ですから、そういうふうにしていただきたいと思います。 それから三番目に、保険料が一方的に引き上げられる、こういう考え方がどうも明らかにされておるようであります。いわゆる費用負担の問題です。先ほどの財政プールのあれと関連するのですけれども、いわゆる全労働者の法定医療給付費の半分をまかなう料率、これは調整料率ですね。それと保険加入者が必要とする法定医療給付費の半分をまかなう料率、これは自前分料率ですが、それ以外の付加給付に必要な料率を総計したものが保険料率となって、これを労使がいわゆる折半するということになるわけです。 そこで、調整料率は、年度の実績とその伸び率に応じて、厚生大臣の一方的ないわゆる告示で定められるということになっておる。そうですから、赤字と推計されれば幾らでも引き上げられる、そういう仕組みになっておると思われるのでありますが、これは間違いございませんか。
○梅本政府委員 先生おっしゃること間違いございませんが、もう少しはっきり申し上げておきますと、先生のおっしゃる方式を、われわれのほうといたしましては、過去三カ年なら三カ年の決算というものをはっきりとりまして、決算からいわゆる医療費の伸び率を見る、それから標準報酬の伸び率というものを見まして、そして来年度はどういう推計になるかということをやって料率を計算して、厚生大臣が告示を出す、そういう計算方法を法定していただこうという趣旨でございまして、現在お願いしているような千分の七十というものを、法律できめて御承認を願うという形じゃなくて、その千分の七十を出す方程式を法律で法定をしていただこうという考え方でございます。 ちなみに申し上げておきますと、四十一年ごろまでにおきましては、御承知かと思いますが、たとえば二十四年ごろからでございますと、政府管掌の健康保険につきましては、千分の四十五から千分の五十五までの間において、厚生大臣が法律的にいえば、社会保険審議会の意見を聞いて、自由にきめてよろしいということになっております。また二十六年ごろからは、千分の五十五から千分の六十五の範囲内におきまして、社会保険審議会において経理の状況を見て、厚生大臣がきめてよろしいというふうな制度になっておるわけでございます。特例法をお願いしましたころから、こういう幅のある形でなしに、相当赤字が出てまいりましたので、やはりストレートの料率を整えまして、国会で御審議を得てきめていただくというふうな制度に、特例法、暫定法の際にしたわけでございます。したがいまして、この前の答弁、先日もいたしましたように、やはり扱っておる事業所も六十万をこえておりますし、被保険者も相当数がございます。やはりできるだけ事務簡素化の観点で標準報酬制をとり、そして向こう一年間料率を固定する、あるいは余裕がありました場合には、積み立て金を一定の形に持ってよろしい、また一定のとき、足りなければ積み立て金を吐き出して、というような弾力的な運用をするという制度でございますので、やはり恒久的な法律としてお願いいたしますときには、ずっとやってきておりますような形にいたしたいと思いますけれども、これではあまりになんでございますので、方程式を法定して、その結果として出てきたものを厚生大臣が告示する、こういう趣旨でございます。
○枝村委員 そういうような方程式をこしらえるということでございますけれども、しかし、私の質問に対しては間違いないでしょう、そういうふうになっているということは。
○梅本政府委員 先生のお話が、厚生大臣が自由にきめられるようにおっしゃいましたので、自由にきめられません——方程式が法定されておりますれば、結果だけをただ告示の形式をとるというだけでございまして、決して自由にきめられませんで、過去の決算に両方を縛られる、こういう形であります。
○枝村委員 ですが、いままでやっていたものとは違うわけでしょう。
○梅本政府委員 先ほど申しましたような、一定の幅で厚生大臣がきめる場合には、社会保険審議会だけの御意見を聞けばよかったわけでございますが、やはりこれだけいろいろ問題になってまいりましたので、従来のこういう一定の幅で厚生大臣がきめられるという形よりも、むしろはっきりと、その方程式を法定していただいて、その答えだけをただ形式的に厚生大臣が告示するという方法にしたほうがはっきりするであろう、こういうふうに一歩進めておるつもりでございます。
○枝村委員 しかし、平均標準報酬の低い保険やら、病人を非常にたくさんかかえておる保険、あるいは現金給付を行なう場合など、そういうところはいやでも自前分の料率を高くしなければやっていけないことになる、そういう場合には、やはり一方的告示とはいいながら、上げるためには、私、内容をよく知りませんけれども、やはり厚生大臣の告示によっていわゆる値上げをすることができるというようになっていくのではないですか。そういうことからすれば、先ほど言いましたように、これは厚生大臣の一方的な告示で値上げをするのだ、こういうことになってくるのではないでしょうか。
○梅本政府委員 ただいま申し上げましたのは、全国一本で示されます調整料率という問題でございまして、先生おっしゃいますように、調整料率というものは、千分の六十というものを仮定しますと、線が出ます。調整料率より低いところはやはり上げていただいて、半分を吐き出してもらわなければいけないから、確かに先生のおっしゃるとおりであります。ただし、こっちの調整料率よりも高い料率を取らなければならぬところは、一定の条件はありますけれども、その半分は裕福な、こちらで上げてもらった分がこちらに回ってくる、そして回ってきた分に相当する国庫負担がついていく、こういう形になるわけでございます。だから、したがって上がるところもあり、その金をもらい、国庫負担をもらうところも出てくる、こういう状況でございます。
○枝村委員 それから国保も、やはり厚生大臣によってこれはきめられるわけでしょう、保険料は。
○梅本政府委員 国保のほうの標準保険料率といいますのは、これは国民健康保険につきましては現在市町村がおのおのの条例でやっておるわけでございまして、この辺が、標準保険料というもので、先ほど申しました標準保険料率、それとは全然性格が違っておるわけでございます。その辺は現在財政調整交付金を流します一つの基準的な考え方のものも一つございますが、国保関係者の御要望というものは、標準保険料というものをつくれという考え方がございますので、これは現在の国民医療対策大綱その他の検討をやります場合にも、一番むずかしい問題といたしまして、われわれのほうとしてもいま鋭意検討をいたしております。 いずれにいたしましても、結論を出さなければなりませんので、やっておりますが、やはり三千三百に余ります市町村の固有の、従来からやってきておりました条例で料率をきめるという権限、それとの関係、それから全国的に保険料をきめる場合に、どの程度の標準になるか、全国一本か、あるいは各地域ごとか、あるいは市町村ごとか、こういう問題がございまして、この点はいずれにしましても、先ほどの被用者保険の標準保険料率とは全然性格の違うものでございます。 〔谷垣委員長代理退席、竹内委員長代理着席〕
○枝村委員 しかし、これもやはり厚生大臣の告示によって標準保険料率というものを定めるのでしょう。
○梅本政府委員 事務当局試案におきましては、一定の料率が過去の実績からきまりました場合には、法定されました方程式によりましたものが出ましたら告示するということになっておるのでございます。
○枝村委員 そうすれば、保険料も一方的に引き上げられることになるじゃないですか。
○梅本政府委員 先ほど申しましたように、やはり過去の実績の決算でございますから、これは客観的な数字を用いまして、そしてその方程式によって割り返した場合には答えが出てまいります。それを形式的に全国的に示すというだけの操作で済むだろうと思っております。
○枝村委員 ぼくら形式的ではないような気がするのですがね。やはり厚生大臣がそのときどきの状況に応じ、あるいは要請に応じとかいうことは別にして、やはり一定のものをこしらえる以上は、その権限で事が行なわれるのですから、厚生大臣が一方的に保険料を引き上げられるのだというように理解されるのです。それで、こういう保険料の引き上げなんかは、やはり民法上の相互行為、契約と見ていいと思うのです。そうすると、やはりこれは契約に違反していると思うのですね。そういう問題を引き出してはなんですけれども、契約は、まあ相対立する二個以上の意思表示の合致によって成立する、そういう行為であるということになっているのですけれども、この保険料は、だから保険料を納める人と取る人との間に、そういう意思が合致して、初めてこれは何ぼにするということをきめるべきだと思う。それを厚生大臣が告示によって引き上げるというようなこういうやり方は、民法上の契約という、これに対して違反する行為であるというようにも見られるのです。これはここで言うと理屈になって、あまりいいことはないかもしれませんけれどもね。 そういうふうな観点から見ても、この問題はやはりわれわれとすれば納得しにくいし、それからこれは、なんでしょう、今度自民党の大綱案の中にもこういうのは触れていない。ですから、これは生きるのでしょう。どうなりますか。
○梅本政府委員 自民党の国民医療大綱が、非常に抽象的な、大綱だけの部分もございますので、われわれのほうの、実施官庁といたしましては、具体的にどう実施するかということで、やはり相当の検討をしなければならぬというふうに考えて、先ほど申しましたように、特にこの標準保険料なり、その辺の関連は、非常にむずかしい問題でございますので、そういう観点からいたしまして、いま鋭意検討いたしておるところでございます。まあ先生の御指摘が、これは生きていくのかどうかということでございますが、これは一応われわれとして研究しました一つの線でございますので、できるだけこういう線を中心にいたしまして検討してまいりたいというふうに考えております。
○大原委員 関連。つまり厚生大臣の告示で、いろいろなへ理屈をつけるけれども、一方的に保険料を簡単に上げることができれば、国会でこんなに大もめをしなくてもよろしい、そういうことが一つある。 それからこのたびのあなたたちのほうで出している法律案にあるように、分娩費にかこつけて千分の一の保険料を上げておる、そういう考えでいろいろなことを考えながら安易に保険料を上げている、こういうこともできる、非常に政策的に都合がよろしい、こういうことじゃないですか。 それからもう一つは、私は関連質問だから根本的な議論は別にするが、財政法三条違反じゃないか、団体協約にも関係するが、財政法三条違反じゃないか。
○梅本政府委員 先ほどの料率の点でございますが、これは一方的に大臣が上げるという、事務局試案はそういうことでございませんで、過去の三年間のたとえば医療費がどういうふうにがかったかということで、来年の医療費をまかなう保険料をいかにきめるかという問題でございます。だから、過去三年の医療費の実績を見、標準報酬の、実績を見、そしてそれの伸び率を両方やりまして、それで割れば答えが出ます。それを計算するわけであります。そういう答えを出して、それを告示するということでございますので、厚生大臣が恣意的に保険料率を上げ下げしないで、過去の実績に基づいて、来年度まかなうべき医療費について必要な調整料率を告示するというだけでございまして、その点は一つございます。 財政法三条という御質問でございましたが、いま調べましたら、財政法三条は公共料金に関する規定でございます。保険料が公共料金なりやいなや。あるいはまた財政法によってその方式をきめればいいというふうになっておりますので、その点、先生御指摘のような違反の問題は起こらないのではないかというふうに考えます。
○大原委員 それはたばことか、鉄道料金とか、郵便料金とか、電話料、こういうふうなのは財政法第三条の特例で規定してあるのです。 〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕 これは法律できめなければならぬことになっている。だから公共料金は税金と同じように、一方的に徴収するものだ、そういう精神ですよ、第三条は。あなた読んでごらんなさい。
○梅本政府委員 法律解釈の問題でございますので、あまりあいまいな答えをしましても何でございますので、今後十分検討いたしたいと思っております。
○大原委員 それはだめだ、いまの枝村委員の発言のように、これは、いずるをはかって入るをきめるで、そういう意味において出るのと入るのは一体の関係ですから、一方的に出たからといって入る保険料率を自動的にきめるということはおかしいのだよ、議論としても、法律論としても。 それからいま枝村委員の指摘された、いわゆる団体間の協約なんです。ですから、それを一方的に大臣の告示できめるということはいけないんですよ。国会の審議でこういう議論がないから、ばんばんばんときめておけばいい、こういうことだろうと思うけれども、それは便宜主義である。そういうことはだめですよ。しかも、自民党の案に生きるとかいうふうなことだから、それは看過できないですよ。財政法第三条を読んでごらんなさい。
○梅本政府委員 財政法第三条は「租税を除く外、国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」こういうふうになっております。したがって、この料率につきましては、そのきめます根底におきまして、その計算の方法その他の関係につきまして答えが出るということをはっきり法定をしていただきました場合におきましては、この辺は問題がないのではないか、こういうふうに考えております。
○大原委員 関連質問ですが、四十一年の四月に改正をした健康保険法ですよ。四十一年の四月のときには千分の五十五から千分の六十五の間において、赤字が出た場合にはその間において保険料率をスライド的に処理する、黒字が出たならばスライド的にマイナスにする、そういうことで当時千分の六十三にきまっておったわけだ。だからあなたは方程式をきめておると言うたって、出るほうの方程式だけであって、今度保険料率を巻き上げるというほうだけについて、一方的にきめるということについては理由にならぬ。財政法違反だ。 もう一つ私は指摘しておきますよ。財政法第三条の特例をきめた法律があるんだ。その中に入っていないからよろしいという答弁をするかもしれぬ。その中に入っておるのは国鉄運賃その他の問題だ。しかし、これは皆保険ですよ。それで、払わなかったら強制徴収できるんですよ。国民健康保険税だってそうじゃないですか。滞納処分ができるんですよ。そういうものを法律できめないで、厚生大臣の告示できめるというふうな横着な考えというものは、これは財政法第三条の精神に違反をするんですよ。いまの、双方の意思の合致があるか、というのは枝村委員が指摘されたとおり。それであれば法律上の根拠があるか、こういうことが明確でなければだめですよ。皆保険は三十六年ですよ。財政法はいつきまったかというと、昭和二十三年だ。だから、そういうずさんな検討を出して事務局が案を出し、そして自民党の抜本改正でも固執する、こういうことはおかしいですよ。
○梅本政府委員 ただいま御質問を受けておりますのは、当時の事務当局試案についてでございまして、その点、急に財政法との関係が出てまいりましたが、これで法律を出すということでもございませんので、先生の御意見は十分含みまして、今後抜本改正を立案するときには検討いたしたい、こういうふうに考えます。
○大原委員 関連質問ですがね、大臣、どうですか。ずさんきわまる案じゃないですか。あなたは、事務局の試案は知っておるか知らぬかわからぬような顔をして、自民党へ実はまかして、それも知らないような顔をして、そういうことはだれが責任をもってやっているのですか。厚生大臣、どうですか。
○斎藤国務大臣 保険間の財政調整をどういうようにやるか、またやらないか、保険料率のきめ方をどういうふうにやるかやらないか、まだ政府案としてはきめておりません。ただ、ただいまのは、厚生省試案についてのお尋ねでございましたから、事務当局は答えておりましたが、このやり方は法律に基づいてやるわけでございますから、私は法律違反ではないと思いますし、財政法違反でもない、かように考えます。 ことに、いかに法律が通ったとしても、厚生大臣がフリーに定めることができるというようなことは、これは精神的に違反でございまして、私は明らかに法律違反であると思う。しかし、明細な方程式を立てて、その方程式によってただ計算だけをすればよいということであるならば、私は、法律に基づいてやることであるから——したがって、そこで厚生大臣が、財政の都合その他によって左右できるという文章が入ってくるなら、それはいけません。ただ与えられた規定の数字を計算尺で計算すれば出てくるというだけのことであるなら、私は法律違反ではないだろうと思います。それを採用するということを言っておるのではありません。端数をどうするというお話でございますが、それもたとえば必要があるなら千分の一以下の端数が出た場合には切り捨てるとか、あるいは四捨五入するとか、それも法律にうたっておけばよろしいので、厚生大臣がいろいろな事情で自由に裁量ができるという余地が絶対ないということであるなら、私は、法律違反でない、法律論としてはさように考えます。しかし、そういう方式を採用するかしないかということはまだきめておりません。
○大原委員 あなたはきめてないと言われたから、私は一応五分の一ぐらい了承はするけれども、いままでの議論の中では、事務当局の試案の中に出ておって、枝村委員の質疑応答によって明らかなように、これは生きております、こう言うのであります、生きておるか死んでおるかの議論で。これは死んだはずであるのに生きておる、こう言うのです。そうして自民党案にもこれは生きておると思うし、その考えを通すと言う。この答弁は重要ですよ。厚生大臣の答弁だって十分の八ぐらい悪い。あなた、税金だって、どれだけかかったからと、今度、次に自動的に税金をきめることできますか。そんなことないでしょう。税法がちゃんと要るでしょうが。鉄道運賃だって、たばこの料金だって、財政法の特例でそういうふうにきめるようになっているのですよ。昭和三十六年から皆保険じゃないですか。公共料金と同じじゃないですか。滞納処分ができるのじゃないですか。国会がうるさいとか、簡単だとか、今回の措置だって、分娩費は千分の〇・七でいい、こういっておる。実際計算してみれば、名目賃金が上がって標準報酬が上がりますから、考えてみれば千分の〇・五も要らぬわけです。それでこれは便宜的にやったのではありませんと言い張ったらこれが通る、こういうことでしょうが。だから、双方ともこれが国会において議論できるようにできなかったならば、枝村委員の質問のとおりに、契約なんだから——あなたも保険だ保険だと言っておるじゃないか。それならば保険契約なんだから、そうすれば契約が成立しなければできないはずだ。それを一方的に厚生大臣がやるというようなことはおかしいじゃないか。そんなことはだめだから、白紙に返して検討いたします、こういうように答弁しなさい。私は関連質問だから、それ以上のことは言わぬが…。
○斎藤国務大臣 契約論かどうかということは、これは御承知のように現在の保険法は契約論ではありません。法定主義でありますから、したがって、団体契約でも何でもない。法律できめる。法律のきめ方でございます。そういうきめ方がよろしいかどうかという点にはそれは御議論もございましょう。私も検討をいたします。そういうやり方がいいのでそれをやりますと申し上げているわけではない。そういうきめ方をした場合に、法律違反になるかならぬかといういまの議論でございますから、法律違反にならないような法律もあり得るということを申し上げただけで、そういうやり方をやるということを申し上げておるわけではないのです。
○大原委員 もう一つ。あなたは、それじゃそういう方針でやるということ。私が言っておるのは、少なくとも、保険主義だ保険主義だというならば、保険契約だ、でないならば保険料率を法律できめないということ、国会の議決を経ないということは、財政法三条の精神をはっきりじゅうりんする。皆保険のもとにおいては、これは明らかに公共料金である。それをあなた、法律的に反論してみなさいよ。
○梅本政府委員 ちょっと私、先ほど勘違いいたしました。保険料率を……
○大原委員 あなたがやったら関連質問が長くなるからだめだ。
○斎藤国務大臣 私はどういうやり方をやるかというそのこまかい点までは、まだきめておりません。きめておりませんが、少なくとも法律違反というそしりを受けるよらな法律は出すつもりは毛頭ございません。それで御了承いただきたい。
○大原委員 これで最後です。これは関連質問ですから。しかし、大臣のいまの答弁は非常に抽象的だから、これは逆転するおそれがある答弁だ。だから、審議は時間をかけるだけじゃないから、審議はかみ合ってやっておるのですから……。この問題については非常に重要な問題だ。これからの重要な問題です。これがもし通るということになれば、これは非常に安易なシステムになってくるんだ。支出についての歯どめがないんだ。それでなくてもいまないでしょう。聞きよるのは全部そうでしょう。要ったものは全部保険料でかぶれというばかな法律をいまきめるわけにいかない。そういう答弁を見のがすわけにいかない。それは法律違反だとぼくは言っておるのです。財政法第三条の特例に関する法律にあげてある項目ではないが、しかし、三条に明らかにこれは該当する問題であって、第三条の精神には明らかに違反をする、こういうことを指摘したのですから、これは責任を持って検討してくださいよ。大臣いかがですか。
○斎藤国務大臣 責任を持って検討をいたします。私は、たぶんそういう法律を出せば、いまおっしゃるような議論は出てくるだろうと思います。四十一年までには最高料率をきめておりまして、この最高料率の範囲内では、ある程度の条件をもって大臣がきめることができる、いま政府委員が説明いたしましたのは最高料率の、という点は言っておりませんが、考えておったのであろうと思うわけでありますが、少なくともそれはっけなければならない。それにいたしましても、要ったものだけは必ずまかなうということにつきましては、歳出の部分においてこういうむだがあるじゃないか、ああじゃないかという御議論、御批判はやはりいただかなければならない、かように思いますから、天井のない、ただ要ったものが幾らでもとれるという行き方は、これは正しいものではない、かように私は考えております。 ただ先ほど、法律違反かどうかというお話がありましたから申し上げただけであって、そういう実質的な点まで考えまして十分皆さんに賛成をしていただける案を出したいと思います。
○枝村委員 その次に、支払い方式についてお尋ねいたしますが、これは現金を前払いする制度を広げていくというやり方なんですが、これはわれわれとすればたいへんな問題だと思うのです。実際問題として、これが沖繩で実際に実施されておりますね。その結果がどうなっておるかということは皆さんよく知っておると思うのです。こういうことをやりますと、病気になった人が医者にかかりたいと思っておっても、全然現金がないからかかれないということになってまいります。また手続が非常にめんどうになっていくということになれば、与えられていた権利そのものも放棄しなければならぬということになるかもしれない。そういう意味で、この方式も、自民党の大綱の中にはこれは触れてないようでありますから、厚生省の考え方は、これは貫いていっている、いこうとしておるものだというふうに考えられます。ですから、最初にお尋ねいたしたいのは、先ほど言いましたように、沖繩でこれが実施されておる結果どうなっておるかということをひとつ説明してもらいたいと思います。
○梅本政府委員 沖繩におきますいわゆる償還制、あるいは療養費払いと言っておりますけれども、そういう制度につきましては、向こうの状況で聞いております範囲におきましては、やはりお医者さんの分布、あるいは医療機関の分布、そういうところの諸条件がかみ合いまして、やはり受診の機会の問題につきましていろいろ問題があり、財政的におきましても、当初予定した財政からは相当の黒字になっておるというふうな報告を受けております。
○枝村委員 それは黒字になるようになっておるのですよ。沖繩の健保は、一昨年の七月にできたわけなんです。一昨年十一月の保険料の収入が四億八千万円、それから給付額はわずか二千五百万円、ですからこれを見れば大黒ですよ。そういう財政になっておる。ところが、それだけ見てあなたはいま報告されたのですけれども、それはまっかな裏の偽りがあるのでありまして、そうなった原因は、まず第一にあげられるのが、医療費現金払いのためだということになりますと同時に、それがために患者は現金を持たねば医者にかかれぬということ、たとえかかっても査定がひどく、その上給付率が本人が七割、家族が五割、こういうことであれば給付額が二千五百万円というわずかな金でありますから、大黒字の財政になっておるというのはあたりまえのことなんですね。だから厚生省試案で提案しておる支払い方式は、そういう方向に持っていこうという内容のものです。ですから、もしそうなるとすれば、先ほど私が言いましたように、これは患者どころではない、もうお医者さんも含めてやはりたいへんなことになっていくのだというように思うのです。そう思いませんか。
○梅本政府委員 今後の方針につきましては、大臣も再三答弁しておりますように、今後いろいろ政府案をきめていく段階でございます。 いま御質問の事務当局試案の点についてどういうことかということでございますが、お答えいたしますと、事務当局試案はお読みになったと思いますが、原則として現物給付をするというたてまえをとっております。ただ一定の条件のもとに償還制によるか、現物給付と償還制を併用する、または併用することができるものとするというので、この点は検討事項という形になっておるわけでございます。 「一定の条件のもと」といいますのは、御承知のように、現在の制度におきましては、保険できめられました一定のもの以外のものをやりました場合におきましては、根っこから自費になるという現在の健康保険制度でございます。そういう点は、やはり今後の問題としまして相当緩和する必要があるのではないか、こういうふうな点が少なくとも最低限度の問題であろうというふうに考えております。そういう点を含めましてこういう表現になっておりますけれども、この国民医療対策大綱との関係におきまして今後十分に検討いたしていきたいというふうに考えております。
○枝村委員 大学病院は、たてまえとしてこの制度でやるというのでしょう。それから現物給付はくずさないというけれども、医療機関の申し出があれば一定の条件をつけて許すということなんです。そうなってくると、やはりよく考えた医師であるならばこれに反対をするでしょう。それは先ほど沖繩で例をあげましたように、医者そのものが、患者さんが少なくなって受診抑制になっていくからということになるでしょうけれども、しかし、やはり現金をもらうということは一つの魅力ですから、特に病院経営あたりでは、実際の問題としてそれを必要とする場合があるかもしれぬ、そういうことでやはり医療機関からそういう意味での申し出が多くなると思うのです。そうすれば、やはり現金払い制度ということにどんどん変わっていくのではないかという心配がされる。そういう道をここであけておるのですから、先ほど言いましたように、これはたいへんなことになる。しかも、差額徴収が広がっていけば、事実上保険制度はくずれていく、いわゆる自由料金制に逆戻りする、そういうふうに言われてもしかたがないと思うのです。病気にかかっても医者にはかかれないという医療制度がまかり通っていくということになる危険性がここでは生まれてくるというように私は考える。そういう意味で、いま局長は、これは海のものとも山のものともわからない、今後検討していく問題だとは言っておりますが、私どもは、いま言いましたように、医療制度全体についても大きな影響を与える問題でありますから、それこそ白紙に——白紙撤回、こういう意味ですか、白紙に戻ってやり直していただきたい、こういうふうに思いますが、大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
○斎藤国務大臣 償還制を採用するか、どの程度に採用するか、ただいまおっしゃる点は十分に考慮をしなければならない問題だと脅えておりますので、これは慎重に検討をしなければならないと存じます。
○枝村委員 まだたくさんありますが、もうあまり時間がないようでありますから、この部分の結論を急ぎたいと思うのです。 厚生省は、医療保険の抜本対策基本方針として、先ほど言いましたものを含めて、先ほど言いました五つの項目を言っているのでありますが、これは一言で言うならば労働者や国民の相互扶助制の強化と国庫負担の減少をねらっているものであると言えるのではないかと私は思うのです。この基本的なねらいのために、よくいわれるように、格差是正という名の給付率の引き下げをやろうとしておる、そして負担均衡という名の保険料を引き上げようとしておる、それから、適正化という名のもとに、医療格差の拡大を実施するということであると私は思います。このように見られる試案ですから、二年前から今日まで関係団体をはじめ、国民の各階層の間からさんざんにたたかれて悪い評判を受けておる、いわゆる間に合わせのつけ焼き刃と言えるのではないかといわれるのであります。 しかし、そうは言ってみましても、先ほどから論議がありましたように、政府という権力の機関が事務当局試案といいながら作成しておるのですから、これは常に生きておるし、たとえ仮死の状態であっても、また蘇生する、そういうものであると思います。常に動いておるものであるというように見ていいのではないかと私どもは思います。ですから、いっどういう機会に、どういう方法でとるかは知りませんけれども、これをもとに政策というもの、施策というものが行なわれる、そういうことをやり抜こうというこの根性は、常にそういう政府権力が持っておるというふうに私は思っておるのです。ですから先ほど、上すべりでありましたけれども、若干の質問をしてこれの取り扱いに対する当局の方向を明らかにしてもらったわけでありますが、まあ大臣も、いまの世論がこの試案に対してどのように考えておるかということはよく知っていらっしゃると思いますから、そういう国民の声を十分聞きながら、いまからいろいろ作業を進められるでありましょうけれども、いいところは生かしてもらうけれども、悪いところは切り捨てていって、そうしてほんとうの意味の抜本改正をしていただくようにお願いいたしたいと思います。 この事務局試案の質問を終わるにあたりまして、その点についての大臣の考え方を明らかにしていただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 厚生省試案には、非常に欠点もある、それだけでは十分な改正とは言えないというので、党のほうで抜本的な意見を出していただいたわけでございます。もしかりにいい点があるといたしますなら、そういった考え方を取り入れることもありましょうが、私はそれに拘泥することなく、最善の案をつくりたいと考えております。少なくとも現状よりも給付を悪くするというものがあるというようなことは考えておりません。 保険料の公平な負担、そして保険給付は最上にということ、これが抜本改正のまず第一のモットーでございます。さよう御了承いただきたいと思います。
○八木(一)委員 関連質問。いま同僚の枝村さんからの御質問で、償還制、療養費払いのことについて厚生大臣が応答されました。慎重に検討するとかなんとか言われました。慎重に検討するということは、あなたの考えでは、はっきり方向がきまっていないということ、療養費払いというようなものが、医療保障という観点から見たら、最悪の問題であるということくらいは厚生大臣がわからないで、このような抜本改正に取り組めますか。療養費払いというものは、どういうところによいところがあるのか、厚生大臣言ってください。
○斎藤国務大臣 先ほど政府委員も、その試案について申し上げましたように、療養費全部を償還制にしよう。そんな考えは持っておらぬということを申しておりました。いまおっしゃいますように、そういう点については私は全く同意見でございます。ただ、これから新しい給付をやるという場合に、そういうものを取り入れるかどうかという点を考えているわけで、現在の出来高払いといいますか、現物給付を、償還制に全面的に切りかえることもあるかもわからぬというような考え方は毛頭ございませんから、間違いのないようにお願いいたしたいと思います。
○八木(一)委員 それでは、別な観点から、療養費払いというのにはどういう欠点があるか、厚生大臣の考え方を明確に聞かせていただきたい。
○斎藤国務大臣 不当に療養を抑制するという点が悪いと思います。
○八木(一)委員 簡単でなしに、もう少し詳しく述べてください。
○斎藤国務大臣 いま払う現金がないという人は病院に行けない、これが一番簡単にわかりやすいことだと思います。
○八木(一)委員 それは根本的な、非常に悪い点であるということを確認されますね。
○斎藤国務大臣 申し上げるまでもございません。
○八木(一)委員 いま厚生省のほうの試案の文書をここに手に入れました。そこでは療養費払いについて、「保険医療機関における給付は原則として現物給付とするが、特に医療機関より申出のあった場合には、一定の条件のもとに、償還制によるか、又は現物給付と償還制とを併用することができるものとする。なお、大学附属病院については、教育研究機関としての特殊性にかんがみ、償還制によることを建前とする。」これは厚生省試案の中に、「支払方式」の第二項として明記をされておるわけなんです。 そこで、さっき保険局長が答弁をいたしましたけれども、これはそういうような趣旨が読み取れるものではありません。療養費払い、償還制についての欠点について、一番世論が沸騰しておるときに、こういう書き方である。ということは、書き方をわからないようにして、この世の中の反対しておることを何とか取り入れようというような凶悪な、ほんとうに凶悪な考え方が厚生省の中にひそんでおるという証拠であります。このような重大な問題を、「一定の条件のもとに」というようなぼやかした考え方でこれを通していこうというところには、どんな反論があっても——そのような国民が、金に困って療養が受けられないというような凶悪な改悪を、ただ健保の金を少なくして、そうして財政のつじつまを合わさせるという、国民の命よりも、健康よりも、独占資本のための金が大事だというような考え方、そういう考え方を厚生省が持っておるか、大蔵省が持っておるか、大蔵省から圧迫を受けるのかどうか知らぬけれども、そういう背景のもとにこれを巧妙に療養費払いを取り入れようという考え方がこの表現にあらわれている。このような考え方をとってはならぬと思う。厚生大臣は療養費払いの欠点が、ほんとうに重大な欠点であるということを確認をされて、そのような考え方を厚生省から一切払拭をするという決心を、いま表明していただかなければ、厚生大臣としての適格性はないと思う。大臣、勇敢に、療養費払いについては断じてそういう考え方は改める、事務局がどんなことを言ってもそれは食いとめる、そのような意見を表明してもらいたいと思う。
○斎藤国務大臣 厚生省も、大蔵省も、さような凶悪な考え方は毛頭持っておりません。いずれにいたしましても法律はガラス張りでございますから、そんな凶悪な思想を隠して法律が通るわけはございませんし、いまおっしゃいます点は、十分みな承知をいたしておるわけであります。皆さんの御了承をいただけないようなものを出すはずはございません。
○八木(一)委員 そこで、いまの中で保険は一番……。(発言する者あり)審議を妨害する発言はとめてくれ。委員長、質問を激励するようなものはいいけれども、何かわからぬようなことを言うのはやめさしてくれ。 そこで、厚生省の考え方の中で、たとえば保険を根元から全部自費負担にするのでは具体的に非常に事象に合わないから、そういうような考え方があってということを保険局長が言われた。それを厚生大臣はその部分だけを受けとめられて、先ほどの枝村さんや私の最初の質問に答弁があったと思う。これも問題なんですよ。ほんとうに必要な療養、ここまでは保険できまっている。それ以外のものをやったら、根っこから負担しなければならぬからこれだけ分だとかという考え方が、再生大臣は具体的に対処する考え方のように思っておられる。この上の療養、この上の医療が、これは特別な人だけでなくて、全国民に必要なんだ。保険医療の内容が制限をされていない、必要なところまで全部きていれば、そのような問題は起こらない。制約をされているから、それ以外のものを何かしたい。そのときに根っこから全部自費負担じゃ気の毒だというような考え方が、低次元では通るかもしれませんが、ほんとうに保険医療というものは、国民の命と健康を守るという立場からいえば、その上の、金を負担できる人だけではなしに、貧乏な人でも命の貴重さは同じだ。健康の大事さは同じだ。この頂点まで保険給付ができるようにしなければいけない。そういうことを厚生大臣はしっかり考えてもらわなければならぬと思う。それについて、保険給付の制限をつけない、国民の命と健康を守るために、頂点までいくという考え方で抜本改正の準備に当たる、そういう厚生大臣の考え方をはっきりと表明をしてもらいたい。
○斎藤国務大臣 現在の給付を悪くしたり、また現在やっているものを根っこまで戻って償還方式にするとか、そんな考え方は毛頭持っておりません。御趣旨の点は十分肝に銘じて立案をいたします。
○八木(一)委員 それは具体的には、根っこまで自費負担じゃないほうが関係者は喜ぶでしょう。けれどもそういうことじゃない。その上の積み上げの部分が、金のある人だけができるんじゃなしに、全部保険給付で受けられて、一番いい方法で病気がなおる、命が助かる、そういうところに持っていかなければならないときに、そういうような低次元の考え方で終始をしていてはいけないということです。そういうことをよく理解して、そして、国民の医療の責任者ですから、対処をしてもらわなければならない。いままで事務局は事務局なりに熱心に努力されたかもしれないけれども、不十分な点を、まあまあこれぐらいしかいけませんということではなしに、ほんとうにいいところに前進をさす、そういう考え方のもとに、抜本改正ということと本気に取り組まれるならば、全部、上まで保険給付ができるという考え方のもとに、その抜本改正の準備をされなければならないということであります。それについてもう一回明確な御答弁を願いたい。
○斎藤国務大臣 たいへんいい御意見を伺わしていただきました。あるいは気がつかなかったかもしれないところを、気をつけるようにしていただいたことを感謝いたします。
○森田委員長 八木委員に申し上げます。関連質問でありますから、なるべく簡潔にお願いいたします。 〔発言する者あり〕
○八木(一)委員 簡潔になるたけやりますけれども、妨害を制止していただきたいし、委員長も早く済むように御協力を願いたい。(発言する者あり)枝村先生が一再おっしゃったら私はやめます。御本人が何も言っていないのにほかの人ががあがあ言うことはない。 ところで、療養費払いの関係で、たとえば国民健康保険がありますが、国民健康保険は市町村単位で行なわれている。たとえば斎藤厚生大臣は、国民健康保険の被保険者であろうと思いますが、そのときに、三重県で病気にならないで、東京で病気になったときにはどういうふうになりますか、保険局長、支払いの方式についてちょっと伺っておきます。
○梅本政府委員 国民健康保険の保険証の治療の範囲は、一応都道府県となっております。東京に参られましたときに、関係機関といろいろその指定の関係がうまくいっております場合は別といたしまして、大体都道府県限りしか通用できないということになっております。
○八木(一)委員 だから、実際上うまくいっていない場合には療養費払いになる。非常に困ることです。斎藤さんは飛び切り金持ち議員でもないでしょう、歳費をある程度われわれと同じにもらっておられますから。お金持ちだったら、お金持ちとおっしゃっていただいてけっこうです。だから、そうお困りにならないと思うけれども、そうじゃない。金の余裕の少ない人が、何か緊急な用事で東京に来た。旅費かつかつで来た。そこで病気になったときに、やはり金を払わなければならない、こういう欠陥がある、療養費払いは。いまの政府の制度の欠陥のために、あらゆるところで、現実に沖繩は猛烈に出ておりますが、沖繩県以外の府県でもある。(発言する者あり)委員長、妨害をとめてください。さっき約束したでしょう。妨害をとめてくれなければ質問を続けられぬ。
○森田委員長 やめましたから……。
○八木(一)委員 それで、そういうことをなくしていかなければならない。療養費払いというものは絶対にとってはいけないし、現物給付の原則を、いまも不十分なところは徹底的に全部に均等するようにやらなければならない、そのような考え方で抜本改正に取り組む、妙なところの雑音は一切受け入れない、前進をするという表明をしていただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 できるだけ欠点のないようにしてまいりたいと思います。
○枝村委員 次に、自民党の国民医療対策の大綱についてお伺いいたしますが、これはすでに先ほどの経過から、政府にこれは提示した段階になっておるのです。政府はこれをどういう性格を持つものとして受理されたものか。これは先ほどちょっとおっしゃいましたので、わかっておるようですけれども、一応その関係を明らかにしてもらいたいと思います。
○梅本政府委員 先ほどもるる申し上げましたように、この抜本改正を進めます手順として厚生大臣が関係委員会に諮問するわけでございますが、諮問する案でありましても、党と十分に意思の疎通をはかるという意味で、その党のほうのお考えというものがはっきりこれで示されてきておりますので、その点につきまして、私のほうで細部の点について具体案をつくっております。しかし、冒頭に申し上げましたように、五項目にわたる問題点がございますので、関係各省と鋭意検討しておる、こういう状況でございます。
○枝村委員 そうすると、この自民党の大綱は、あくまでも政府案をつくるための一つの参考意見ですか。一つの単なるたたき台としてこれを利用する、こういう意味のものであるかどうかということです。
○梅本政府委員 実施官庁といたしまして、どうしても実施不可能なものでありましたら格別でございますけれども、先ほど手続を率直に申し上げましたように、これと全然方向の違うものを法律にして党へ持っていきました場合には通りません。そういう関係からいきまして、やはりこの線に沿いまして実施官庁として具体案をつくっていくという考え方でございます。
○枝村委員 ようわかりませんがね。はっきりわかりませんが、政府と与党との間をうまくやるという、そういう意味の取り扱いならそれなりにわかるのですけれども、一つの自由民主党という政党の示した大綱案は、もともと、最初からお話がありましたような、そういう手続で始められて結論が出た。もちろん結論の中には五項目の付記事項がありまして、きわめて重要な部面があります。そういうものを、厚生省がどういう位置づけをしてこれを取り扱うかということは、これは私は重要だと思うのです。あなたは最初不用意な発言をされました。自民党とうまいことやっておれば何でも法律は通るというようなことを言っておりましたが、少なくともこういう国民医療の問題については、あまねく国民各階層との間の意思の疎通をやはりすべきだ。その上に成り立つ抜本改正でなければならぬと思います。そうすれば、一自民党、確かに国会では多数を占めておりますけれども、その多数の与党だけの意見を聞くということ、それだけの大綱をたたき台としていまから政府案をつくり上げていくということであっていいのかどうかということです。国会では自民党だけじゃありません。日本社会党もあれば、民社党、公明党、共産党もあります。院外では各種の保険団体があるのですから、自民党だけのものを聞くということより、やはり国民的な意向を尊重して、そして政府案をつくるというのが、あなた方の基本的な態度でなければならぬと思うのです。にもかかわらず、あなたの発言からすれば、単に自民党と政府との間の調整をして、そしてそれによって抜本改正をつくろう、そうしたらするすると通るというような考えを持っておるということになれば、これはきわめて国会軽視、国民軽視のあらわれであるというふうに思うのです。そういう意味から、自民党大綱と政府、特に厚生省との関係について、もう一度やはり明らかにしてもらいたいと思います。
○梅本政府委員 私は先ほど、党と話をしておけば法律が安易に通るということは申し上げませんで、法律を国会に提出いたしますまでの手続を申し述べたわけでございます。それにつきましても、普通の法律案でございましたら、先ほど言いましたように、厚生省のほうで関係審議会の意見を聞いて、そしてそれに基づきましていろいろ与党と相談をして法律を出す手続をやるということになっておりますけれども、この問題が非常に政治的でございますので、これから関係審議会に諮問するわけでございます。関係審議会に諮問する案であっても、やはり与党との関係におきまして、方向が違わないようにという趣旨で調整をやってきたわけでございます。それから、関係審議会に諮問します場合にも、関係審議会は、被保険者の代表九名、それから事業主の代表九名、公益委員九名というふうな三者構成の審議会になっておることは御承知のとおりでございまして、日経連、健保連、国保連というような保険者団体に属するもの、それから総評、同盟、海員組合、中立労連、全日自労、全建総連、こういうような関係の被保険者の代表も委員に入っておられるわけであります。そういう審議会の御意見を聞き、それからもう一つ社会保障制度審議会の御意見も聞き、それからいよいよその答申との関係におきましてまた関係方面と十分に調整の上法律案として出していくわけでございます。その点は、やはり従来のすべての別の法律案の取り扱いとは全然違った形で、事前に党との関係で調整をしたというものでございますので、その点、先ほど先生の申されましたのは、もう法律案として出てきたものの感じのようなお話でございましたけれども、もっとそれ以前の問題でございますので、この点は御了承いただきたいと存じます。
○枝村委員 私は法律案として出てきた時点のものの言い方を言っているのじゃないのです。普通でありましたら、やはりあなたの言われるような手続で審議会の民主的な審議を経て国会に提出される、そんなことはわかっている。しかしそういうことでは、あなた方はやはり、特例法でもああだったから今度抜本改正ならたいへんなことになる、そういう意味で自民党の要請に従って提出した。あなた方はむしろ先に出しておるのか、それはわかりませんけれども、そういう従来にない慎重な態度をとろうとしたのでしょう。とろうとするならば、単にそれは自民党、与党との関係でなく、やはり審議会で民主的に徹底的な分析、審議をするにしても、異例ではないかもしれませんが、そういう一自民党の案を参考にして政府案をつくろうとする——いままでなかったことを慎重にやろうとしておるのだから、そういう段階におけるあなた方の思慮、考え方、態度というものは、もう少し一党一派に偏せずあまねく団体に対して意向を聞いて、その上に立って——まとまらないことがあるかもしれません。基本的な意見の対立もあるかもしれませんが、しかしそこを何とかしてやるという、そういう関係を持とうとする努力は、いままでなかったのだが、いまからあるかないかということを聞いてみてもしかたがありませんが、そういう関係を、そういう態度を持っていかなくては、これはあなた方心配されることは決して払拭できぬというように私は言っているのです。 そういう意味で、厚生省試案と自民党の大綱との関係、そして今後の取り扱いについて質問したわけですから、そういう配慮があればあるほど、もう少しあなた方、前向きの幅広い国民的な意向を確かめて、その上に立っての努力を進められればいいのじゃないかという、私は、きわめて私の思想には合わぬようなことまで、あなた方に言っておるのです。これは階級的には誤りかもしれませんけれども、そういう意味のことをあなた方に言っておるのでございまして、厚生大臣はそういう意味から、大筋、方針というものはほぼ明らかにされましたけれども、いまからほんとうに取り組むのだったら、ひとつ私がいま言ったようなこともいろいろ考えて、先ほどからの審議の中の国民的な意向、意見というものを十分参酌して進めてもらいたいということを要望したいのであります。
○斎藤国務大臣 枝村さんのおっしゃいますことは、決して段級的な御意見ではないと私は思います。まことにごもっともな御意見でございます。私は大臣を拝命いたしまして以来、党の方針も十分伺わなければならぬが、できたら野党の方々の御意見も伺いたい、こう思って二、三打診もしてみたのでありますが、これから社会党の御意見、民社党の御意見、公明党の御意見、それをまとめていただいて、そして伺って、そうしてやるのが一番いいといまでも実は思っているのでありますが、しかしそれには非常に時間がなかろう、こう思って、非常に残念に思いながらやっております。 先般、社会党での大綱、御意見を御発表になったのを拝見いたしましたが、社会党の御意見だけを一緒に伺ってというわけにもまいりませんし——もちろん参考にさしていただきます。参考にさしていただきますが、しかし社会党の御意見も、抜本改正は各党共同でひとつ大綱をきめようという御意見で、各党そういうようにおなりいただいたら、私は非常にいい案もできるのではなかろうかと思うのでありますが、しかし、これは言うてもなかなかむずかしいであろう、そう思って実は言い出さないでおったわけでありますが、幸い枝村さんからそういう御発言でありますので、ひとつそういうようにおまとめをいただけるならば、私は非常にありがたいと思うのであります。
○枝村委員 自民党の大綱は、自民党の手のうちで審議が進められておる段階であれば、われわれはここでそれを取り上げていくことはないと思うのでありますが、今日すでに政府に提出し、それを政府は受理したという段階になります。しかも、政府がこれをやはりたたき台にするということははっきりしておりますし、しかも、自民党大綱の中の五項目の付記事項については、いま問題になっているものについては、大臣折衝の中で解決したいという問題がその中に三つあるというふうに言われましたのは、若干ですから、私どもは、ここで触れる資格がある、触れておかなければならぬと思います。そういう意味で、具体的には言いませんけれども、大体の問題だけをちょっとお伺いいたしたいと思います。 自民党の大綱は、これもあまり評判がよくないようであります。われわれは、医師会の武見案と同じような三本立てにするということになっておって、医師会もこれに賛成するものだというふうに——全体はわかりませんが、ほぼ医師会の意向は聞き入れたと考えておった。ところが医師会の声明によれば、これまたぼろくそです。武見会長から言わせれば、厚生官僚の作文だ、こういうふうにこきおろしているのでありますが、あの人がああいうふうに言うのはあたりまえかもしれませんけれども、それにしても非常なきつい批判をしております。健保でももちろんだが、総評ももちろんだ。だが、日本薬剤師会が医薬分業の長期的——中期くらいですか、によってはっきりさせるという、こういう案であるときに、非常にありがたがっておほめのことばを述べておるのでありますが、それ以外には、どう見ても、この大綱案に対して、いいという意見は見当たらないようであります。そして全体的に見れば、いわゆる医療保険制度の改革という部面だけは、その中の一部分についてはだいぶ明らかにされておりますけれども、大体ほかは作文のような気がいたします。 そういう批判を持っておるのでありますが、先ほど保険局長からお話がありましたように、家族の分離の問題など、これに対する厚生省の取り扱いについては、すでに六月二十七日の新聞にはそういうことが明らかにされておるのです。それはどこから漏れたのか知りませんけれども、おそらく厚生省の官僚の筋からだろうと思うのですけれども、あなたが先ほどおっしゃいましたとおりの方向に動くであろうということが、新聞にみなすっぱ抜かれておるわけです。その時点でわがほうの山田委員が質問いたしましたにもかかわらず、知らぬ存ぜぬということで逃げたということに対しては、これはやはり改めなければいけないことであって、新聞にはもうどんどん流されておって委員会の質問に対しては答弁を拒む。しかも、午前中の私の質問や田邊委員の質問に対して、強い要求がなければ黙っておこう、こういう態度をとられたのです。幸い大臣が参議院の本会議に出席することを一つの契機に休憩されて、その間の委員長の計らいで、先ほど言いましたような三つの問題についての答弁をされたのですが、それがなかったら、あくまでも知らぬ存ぜぬでやろうとしたとしかわれわれには思えぬのです。これはあなた方ばかりを責めてもしかたがありませんけれども、そういう意味でもう一度お尋ねいたしますが、家族の分離については国庫負担の問題もあるから、とりわけ大蔵省との関係だと思うのですが、これは取りやめるという意向のようにお受け取りいたしました。これは主としてお金の関係で、いわゆる国家負担が多過ぎる、そういうことから、ちょうどいいことだとして分離をしないという方向にあなた方考えたのかどうか、これをまず一点お聞きしたいと思います。
○斎藤国務大臣 家族分離の点をお答えする前に、私は決して各党の御意見を伺うことを避けているわけではございませんので、したがって、各党意見を出すからそれまで待てとこうおっしゃっていただいて御検討をいただくなら非常にありがたい、私はさように思いますから、ぜひひとつそういう方向であれをしていただきたい。 また、家族分離の点につきましては、社会党の二、三日前に御発表になったあれにも、何にも触れておられなかったように思います。こういう点についても出していただきたいと思うわけでございます。私は家族分離という点は——分離というとおかしいのでありますが、やはり保険は各地域の国民の健康管理体制というものとマッチをするような行き方がいいという基本方針は、私は非常に賛成でございます。そういう基本方針でやってまいりたいと、このように思います。しかし、いま直ちにたとえば組合保険を解体をして、そして勤労者と家族は国民保険に全部分けてしまうことがすぐできるかというと、若干私は時日を要するんじゃないだろうか。それから、地域の国民の健康管理体制というものを整えるのにも、まだ若干時日を要すると思います。しかしながら、基本方針はそこに置いて、そうしてまずどこから着手をしていくかという点を十分考えていかなければならぬ、私はかようにいま思って、その点は検討いたしておるわけでございます。
○枝村委員 あまり多くは言いませんが、老人の問題については十分検討せねばならぬと言っておりますし、医師会あたりやその他のところにいろいろ意見があるようでありますが、しかし政府がこれはと思ったものは、それが国民のためになり、それが国庫負担を非常に大きく、たとえばこの大綱のためにやはり千五百億も必要とするという、それをどこに回すかということはまた別にいたしましても、大蔵省に気がねなしに断固国民の立場に立って国民医療、これを確立していくという立場に立って要求、戦いをしていく、こういう姿勢が必要だろうと思うのです。自民党の大綱の第五項で、「本対策大綱の実施のための財政的措置については、なお検討を加える必要がある。」とあるのですが、これは何を意味するかよくわかりません。たくさん国庫負担をするような、そういう措置なら検討せいという意味か、それとも少ないからもう少し出せというのか、それはよくわかりませんけれども、少なくとも、先ほど言いましたような方向で厚生省が今日では閣僚のレベルにおいて意見調整をすると言っております。最終的には、どうにもならなければ、一番えらい人がきめるかもしれません。そこにおいては、そういう意味の国民の期待する方向における結論というものをやはり出していただきたい。いろいろありますけれども、私は多くは申しません。ただ、勇気をふるって、先ほどから言いますように、自民党の大綱ももちろんたたき台にしていただいてもいいし、そのほかいろいろな意見を民主的な討議の上に立ってつくり上げていく、こういうふうにお願いいたしたいものだと思います。それで、抜本とは一体何かという問題もありますが、今日いろいろある欠陥や矛盾、そういうものをなくして、そうしてよりよい医療制度というものがつくられていく。きのうの参考人の話じゃありませんが、どこを入れる、どこを抜かすといういろいろな問題があるかもしれませんが、少なくとも逆戻りをするようなことのないように、ひとつ一生懸命やってもらいたいということを申し上げまして、自民党の大綱に対する質問にはなりませんけれども、終わりたいと思います。 その次に、先ほど言いましたように、特例法による影響、これについての私の質問があとに残されておりますので、進めていきたいと思います。 午前中からいままでかけまして、健保特例法が国民の反対を全く無視して強行されてなったということは明らかにされました。当時われわれは、各方面の関係者から、この特例法が実施されると、関係者だけではなく国民全体に非常に影響を与える、たとえば基本的な健康と生命を脅かす、そういうことになるんではないかというような警告を発しました。とりわけ低所得者や労働者や患者には重い負担となっていくんではないかという心配をいたしました。そしてこれが、悪く言うならば、ゆゆしき人道問題にも発展していくのではないか、こういう心配をいたしたのでありますが、今日になって、数字的には目に見えてあらわれておりません。統計上もはっきりはしておりませんが、しかし私の調べたところによれば、そういう危惧したことがこの特例法ができたために起きているということがあるのです。ですから、その問題については、私どもやっぱり見のがすわけにいきません。ですから、いまからそういう問題について私のほうから若干質問をしていきたいと思いますので、ひとつ率直な答弁をお願いいたしたいと思います。 まず第一に、政管健保に加入しておる者は約千三百万人、特に中小企業の労働者が中心になって入っておるということなんですが、それらに対する負担の増というのは、これは隠し切れない事実だと私は思うのです。毎月給料から差し引かれるいわゆる保険料、これは千分の五に増になったわけですから、これは計算してみればすぐわかるのですが、大体四万円のいわゆる平均標準報酬月額の者はどれぐらい上がったかということですが、これは割ってみればわかるわけです。千三百円が千四百円となっております。それから初診料、入院料、外来投薬時の一部負担、こういうものから見ていきますと、これは労働者に非常に負担となっておることは事実でありますが、あなた方の統計、計算の上から一体どれくらいふえておるか、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
○加藤(威)政府委員 特例法の負担増でありますが、一つは、先生御指摘のとおり、保険料の千分の五の増、これは一人当たり平均いたしますと、月給から差っ引かれる分が百円ずつふえておるということでございます。それから一部負担金は、初診時、入院時、それから投薬時三つございますが、これをひっくるめまして、一人一カ月の負担増が平均いたしまして五十八円、こういうことでございます。
○枝村委員 そのほか給付率の低下が、実際納めるということでなくして・あるのでしょう。たとえばかぜで一剤三日分の薬をもらって、なおった場合の実質的な給付率というものが明らかにされておりますね。説明してください。
○加藤(威)政府委員 給付率につきましては、被保険者本人について、特例法以前では九八・四%あったわけでございますが、それが特例法によりまして、給付率が二・五%ばかり下がりまして九五・九%。若干給付率が下がっておるということでございます。
○枝村委員 詳しいことは一言いませんけれども、実際には〇・四五二の給付率になっておるのでして、先ほど言いましたかぜの場合の医療給付は四百四十七円、そのうち一部負担は二百四十五円ですね。これなんかも負担増の中に入れられるべきだ、こういうふうにわれわれは思います。それから四十二、四十三年度合計五百四十六億、これは特例法により収入があるのです。したがって、被保険者一人が年間に四千三百円も余分に負担させられておる、こういうように理論的に言えるのではないかと思います。それから、これは被保険者全体に対するものでありますし、計数的に言いますと、被保険者全体に対しては、保険料の増徴によって四十二年度は百四十五億円。これは八月実施でありますから。四十三年度は二百七十五億、こういう数字をしております。それ以外に、負担金の精神的な影響によって受診減が当然出てきておりますが、これは統計の上にはあらわれてきておりません。そういうものもございます。それから、受診者、被保険者、患者に対してはあとから申し上げますけれども、免除対象者であるのに、マル免の証明書が交付されずに薬代負担金を徴収されたものがあります。それから、マル免の証明書は交付されていても、低所得であることを知られることが恥ずかしいために、これを出さずに薬一代負担金を徴収されたもの、こういうのがあります。また外来投薬時の一部負担、これが四十二年では十八億、四十三年は五十億、初診料、入院料一負担が四十二年二十二億、四十三年三十九億、これらは精神的なものは数字にあらわれてきておりませんが、計数的に合計してみますと、四十二年では百八十五億、四十三年が三百六十四億、やはりこういうふうに負担増になっておるとわれわれは見ておるのです。間違いありませんか。
○加藤(威)政府委員 全体の数字は確かに先生御指摘のとおりでございまして、たとえば四十三年度につきましては、保険料の増徴分が二百七十五億、それから一部負担分が八十九億、合計三百六十四億、四十二年度におきましては保険料が百四十五億、それから一部負担分が三十七億、合計百八十二億というような負担になっております。もちろん保険料につきましては半分が事業主負担ということでございますが、確かにそういう意味では被保険者の負担がふえるということは事実でございます。
○枝村委員 ですからわれわれは、これが一人一人にすれば、ある人から見ればわずかかもしれませんけれども、しかしこれは重要な問題だと思うのです。これが、そういう労働者の生計、家庭生活を中心とする限度であるかないかという点についても議論はあるかもしれませんが、やはり負担金というものはぎりぎりのところに来ておるのではないか、このように思いますし、特例法によってそういうふうに負担増が重なってきたという事実は、これは明らかにしておかなければならぬと思います。 これはどうも私、一方的な演説のようになっていけませんが、その次に、受診の抑制、受診率の低下についてお伺いいたしますが、全体として、特例法が施行されてからずうっと、統計的にどのような状況を示しておるかという点をひとつ説明してください。
○加藤(威)政府委員 受診率の点でございますが、確かに、特例法が実施されましてからしばらくは、受診率が低下いたしております。 それから、先般のこの社労委員会の御審議で、私も、その受診率の伸び方がすでに特例法実施以前から鈍化しているということを申し上げたのでございますが、四十二年の十月以降、特に薬の一部負担実施以後、受診率は若干低下しております。また、その受診率の低下ということでこの特例法が一番響きますのは本人の一般の医科の外来でございますが、たとえば歯科につきましては、薬の一部負担というようなことが、若干はありますけれども、ほとんど影響しないと思いますが、そういう歯科も受診率が減っている。それから入院につきましては一日三十円の一カ月という負担がふえました。しかしこれも私は、一日三十円の負担でございますから、そう薬の一部負担ほどは響かないと思いますが、その入院の受診率も減っている。こういうことでございまして、すべて特例法の影響によって非常にこれが減少したというぐあいには考えられない。全般的に最近非常に伸びておりました被保険者本人の受診率というものが、四十一年の後半あたりからやや伸び方が鈍化している、そういう傾向がたまたま特例法の実施と重なった。特例法の実施によって受診率が全然減少しないということは申しませんけれども、その減少にはそういうものも加わって、両々相まって若干下がった、こういうことでございます。
○枝村委員 すべてが特例法だと言い切れない事情もあったかもしれませんけれども、しかし特例法の実施によって、医者にかかりたい人も、たいへん高くなるらしいぞというような、精神的なそういう影響も受けてここに数字となってあらわれてきたことは、これはあなた方の陣営に属する人たちでも認めておるところでございます。ですから、そうじゃない、そうじゃないという一方的なあなた方の否定だけでは、これは許されぬと思います。全国的な数字は、いまあなたがおっしゃいましたように明らかにされておりますけれども、個人的な開業医の例を見ましても、とりわけはっきりしておるのです。それは私ども資料を持っておりますけれども、ここでは明らかにいたしませんが、とにかく特例法のために受診抑制の影響をやはり与えておる。それから受診率も下がっておると思います。 それともう一つは、その後どういう経過で今日まで来ておるか。それはもう明らかにされておりますけれども、私どもの一番重視するのは、初めのころは確かにそれのために大きな影響を与えて、受診率が極端に低下していたが、その後ふえておるではないかという意見に対して、それは日本の国民性といいますか、どこの国民でも同じかもしれませんが、やはり病気には勝てないということなんです。病気になったら、初めのうちは薬代を一部負担せねばならぬ、金を取られるから行かぬということで行かなかったという人も、病気にはしょせん勝てませんから行くようになる。それは、そういう気持ちで来た者を別個に統計上はじき出すという作業はないわけなんでありますから、これは明らかにされませんけれども、貧乏人になればなるほど、そういう傾向、気持ちに今日なっておるところから、統計上いわゆる受診率が引き続いてずっと下がらぬというだけのものであって、何らかの形でそういう人たちには影響を与える。それが高い薬代になればなるほど極端にあらわれてくるのではないかというように思います。そこからは、いわゆる途中で治療を中止するというような問題も起きてくるわけです。ですから、むしろ私どもは、統計にあらわれないそういう人たち、あらわれても、いわゆる少々借金してでも医者にかからなければならぬという、そういう心理的な影響がありながらもお医者にかかるという人たちは見ていかなくてはならぬ。それがやはり政治家だと思うのですけれども、そういう意味で受診抑制、受診率の低下の問題から来る率直ないまの国民の医療に対する考え方、患者の診察に行こうとする、そういう考え方に対する影響度を、十分やはり分析する必要があるのではないかと思います。そういうように思うのですが、間違いですか。答弁してください。
○加藤(威)政府委員 受診率が若干低下しているということを数字をあげて申し上げますが、たとえば四十一年は、本人の外来の受診率、これは四・八四でございました。それで前年に対しまして四・六%の増となっております。それが四十二年度は全く同様に年間四・八四でございます。対前年比が一。四十一年度は前年に比べまして四%ぐらい伸びていたのが、全く前年と同じになった、こういうことでございます。四十三年度は受診率が四・七四、若干低下しております。約二%ばかり前年より低下。こういう傾向でございます。(「都合のいいことばかり言っちゃだめだ。ことしの三月ぐらいまで見せろ」と呼ぶ者あり)おそれ入りますが、受診率はことしの二月までしか統計が出ておりません。二月は〇・四〇八でございます。一月が〇・四一ということで、四十三年の二月は〇・三八でございますから、それに比べますと四十四年の二月は〇・四〇ということで受診率はややふえている、こういうことでございまして、特例法による一部負担によって若干受診率の伸びがとどまっておりますけれども、ことに四十二年の後半においてその下がり方は若干きつかったわけでございますが、四十三年ないし四十四年の当初に至りましてややまた伸びかかってきている、こういうような現状であります。
○枝村委員 次に移ります。 先ほどちょっと言いましたように、治療の中断という問題が人道上の問題としてあらわれてきております。あるところでは、このために死亡したのではないかという事例も出てきておるわけなんでありますが、政管保険の中で五十五歳以上の老人の数は、組合健保のそれとどれくらいの比率にあるかということでありますが、教えてもらいたいと思います。
○森田委員長 いますぐ答弁できますか。——すぐできるそうですから……。
○枝村委員 先ほど言いました受診率の年次移行の問題、それからいまの数字、統計、それと年齢別な構成、各健康保険別に……。 〔私語する者あり〕
○森田委員長 静粛に願います。 もう一ぺんやってください。
○枝村委員 各健康保険別に年齢別な構成の比較、その資料を出してもらいたい。それから受診率の年次推移。あなたのほうではことしの二月までだと言われました。それだけですか。三月、四月はございませんか。あればそれも出してください。前のやつはいいですから、ごく最近のやつがわかれば、概数を資料として出してもらいたい。
○加藤(威)政府委員 ただいま枝村先生御質問の点だけお答えいたしておきますが、政管健保と組合健保の五十五歳以上がどのくらいおるかというそのパーセントでありますが、政管健保の五十五歳以上が男女合わせて八・八三%でございます。それに対して組合のほうの五十五歳以上は四・七四%。したがって老人は政管のほうに多いということでございます。
○枝村委員 早くいえば、大体倍以上おるということですね。組合健保よりも政管の健保のほうが、大方倍近い五十五歳以上の老人がおるということになるわけです。そうすれば、いわゆる老人病といわれる病気、長期にわたる病気の保持者が多いということになる。それはいろいろあるでしょうけれども、早くいえば、高血圧とか心臓疾患、糖尿病、こういう人たち。しかもそういう人たちは長い期間にわたって治療しますが、主として薬を飲む、服薬によって加療する、そういうことの病人だ。それで必ずなおるとは言いませんけれども、悪くはならない、それで療養を保つ、そういうことになる。そういう年齢の人たちということになるわけです。しかもこういう人たちは、主として低所得者が多いということがある。これも資料があれば出してもらいたいのですが、そういう人たちがどれくらいの収入を得ておるかということがわかればひとつ出してもらいたい。そういう人たちがやはり特例法によって薬代が非常に高くなる。いわゆる一剤十五円ではなくして、多様な薬を飲みますから高くなる。そうすると、低所得者であるし、長期にそういう療養する人でありますだけに、高くなれば途中でやめるか、一月に四回一週間ずつそういう薬をもらっておる人たちが、一月に一回とか二回に減らすということになってくる。これはしかし統計の上ではあらわれてきませんですね。そこに問題がある。そこに特例法による悲劇が生まれてくるのです。その例は、私はここに新聞がありますから読んでもいいのですけれども、非常に悲しむべき事故が起こっているということは言えるのです。先ほど私が言いましたように、そのことはゆゆしき人道上の問題だ。特例法をつくるときに、われわれはそういう問題が起きてくることをしばしば警告した。それが事実になって今日あらわれてきておる、こういうふうに見ていいのではないかと思います。 そういうことで、この治療の中断による問題につきましてまだたくさん質問もあります。まだ以後にも残されておりますが、ここで先ほど私が資料要求をしたのがどういう手続でなされるか、委員長からひとつ言ってください。
○森田委員長 ただいま枝村委員から要求のありました資料は、明日の朝までに委員会に御提出を願います。 この際、暫時休憩いたします。 午後四時二分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕