社会労働委員会 第26号
- 発言数
- 49 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/06/12
会議録
○森田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。山本政弘君。
○山本(政)委員 まず年金局長にお伺いいたしますけれども、年金の給付というのは、いままでは、二百円掛け、加入年数二十五年の場合には五千円だったわけですね。それが今度の改正によって三百二十円で二十五年、そして八千円になるというわけですね。それでお伺いしたいのは、給付が二百円から三百二十円に上がる。これは百二十円上がったことになりますね。しかし保険料は三百円から四百五十円に上がる。これは百五十円上がるわけですね。そうすると、この三十円の差というのは一体どこから持ってきたのか。つまり給付と保険料の差額のこの三十円というのは、一体どういう理由で出てきたのか、この辺をひとつ説明をいただきたいと思います。
○伊部政府委員 ただいま御指摘のように、今般の国民年金法改正法案におきまして、定額部分の二百円を三百二十円に引き上げるのでございます。そこで、これらに伴う保険料を計算いたしますと八百四十円程度に見込まれるのでございますが、大幅な保険料の引き上げになりますので、諸般の状況を考慮いたし、国民の所得の伸び等を考慮いたしまして、ただいま御指摘のように、三百円から四百五十円に保険料の引き上げを実施する、かような引き上げ方を行なう次第でございます。
○山本(政)委員 私がお伺いしているのは、二百円を三百二十円に引き上げるということは、これは百二十円の引き上げになるわけですね。ところが保険料は百五十円の引き上げになっておるわけですよ。そうすると、保険料は百五十円取っておって支給の場合には百二十円しか支給しないということになれば、一体どういう根拠から三十円という差額が出てきたのか。定額部分を百二十円上げるのだったら、保険料は百二十円上げるだけで済むのではなかろうか。つまり事務的な手続とかなんとかということを勘案すれば、これは経費としてはふえないはずですね。与えるときには百二十円、しかし取り上げるときには百五十円、その三十円の差をつけたというのは一体どういう根拠があるか。 それから、もう一つお伺いしますけれども、三十円上げることによって収入増というのは一体どのくらいになるか。
○伊部政府委員 国民年金は昭和三十六年に始まりまして、当時の給付水準といいますものは、四十年で三千五百円といったような水準でございます。その当時の保険料は百円、百五十円でございます。その後四十一年に引き上げを実施し、さらに今度の引き上げを実施する。そこで、いままでのいわば非常な大幅な整理資源が出てきておるわけでございます。そういう整理資源の要素。それからさらに国民年金の場合は、御案内のとおり、母子年金あるいは障害年金、そういった給付もあるわけでございます。さらに今度の改正法案におきましては、昭和四十六年から始まります十年年金、これは法律が制定されました当時は年額九千六百円でございますけれども、これを今度の改正法案におきましては六万円に引き上げる、つまり月五千円に引き上げる、こういう意味で一万円に引き上げるという次第でございまして、そういう諸般のコストを計算いたしまして八百四十円程度ということを申し上げたのでございますが、しかしながら、年金制度全体につきまして、御案内のとおり、完全積み立て方式は採用いたさないで、いわゆる修正積み立て方式によっておるわけでございまして、この点は国民年金、厚生年金の修正率等を勘案いたしまして、御案内のとおり、今回の案は四百五十円ということにいたそう、かように考えておる次第でございます。
○山本(政)委員 要するに三十円の差があるわけでしょう。三十円の差による収入増というものは全然ないわけですか。
○伊部政府委員 四十四年度の保険料収入の見込みが六百五十億でございます。明年度この法律が施行されまして以後は九百六十億円でございますので、保険料引き上げに伴います収入増が三百十億円に相なる次第でございます。
○山本(政)委員 そうすると、いま伊部さんは、十年年金が昭和四十六年から始まる、そうして一万円年金がそこから実施されるのだ、こういうお話ですけれども、三十円上げたことによって年間三百十億円というものが増収になる。一万円年金が四十六年から始まるとするなら、これはおつりが来るのじゃありませんか。つまり私が申し上げたいのは、国民年金の積み立て金がたくさんあるわけですよ。何もいま保険料というものを三十円の差額をとってまで上げる必要があるだろうか、その辺が私にはよくわからないのです。実際にあなた方は二万円年金ということをおっしゃっておられるけれども、これは二十五年先の話でしょう。現実には二十五年先のことに対する用意なのかどうなのか。毎年三百十億円というものがふえていくなら、私は原資としてはかなりたくさんな金額になるはずだと思うのだけれども、その辺がはっきりしないからお伺いをしているわけであります。
○伊部政府委員 年金制度は長期にわたる制度でございますので、将来の給付の増を見込みまして必要な保険料を徴収するわけでございますが、制度の発足当初は保険給付が比較的少のうございますので、その間は積み立て金がたまるというわけでございますが、しかしながら、全体としての保険給付の見込みを立てた上で保険料を計算いたすのでございます。 なお受給者は、四十六年まで老齢年金は発生をいたしませんが、その後急速に増加をいたすのでございまして、たとえば昭和四十六年度の老齢年金受給者八万七千が昭和五十年度になりますと七十四万三千、通算老齢年金は同じく四十六年度二万六千が十二万二千、かような状況で増加をいたすわけでございます。
○山本(政)委員 二百円が三百二十円になることによって、保険料率の引き上げは千分の幾らになりますか。つまり保険料の三百円が四百五十円になりますね。これはそういう引き上げ率からいえば千分のどれくらいになりますか。
○伊部政府委員 三百円に対しまして一・五倍の引き上げになります。
○山本(政)委員 三百円が四百五十円に上がるんですよ。一・五倍ですね。そうすると、これは料率の引き上げ方としては、たとえば健保の場合だって千分の一上げるのにすったもんだしているわけですよ。保険料を一・五倍上げるに際して、あなた方は非常な引き上げ額と思っておるのかおらないのか、これはこのくらい上がって当然なのかどうか、どうお考えなのか。
○伊部政府委員 国民年金につきましては、さきに四十一年におきまして、いわゆる夫婦一万円年金という大幅な実施をいたしたのでありますが、その後、各方面から厚生年金並みの年金がほしいという御要望の声があったのでございます。そこで、われわれといたしましては、関係審議会におきましていろいろ御意見をいただきますとともに、また国民年金改善調査等を実施をいたしまして…… 〔私語する者あり〕
○森田委員長 静粛に願います。
○伊部政府委員 はたしてどの程度の保険料負担を納得していただけるかということにつきまして、一昨年調査を実施したのでございます。その調査によりますと、年金給付につきましては、おおむねただいま提案をいたしております内容程度の希望が多かったのでございます。つまり一万円程度をめどとするという回答が多かったのでございますが、これに対して、どの程度の保険料を払ってよろしいかというアンケートに対しまして、四百円ないし五百円という数字が最も多かったのでございます。それから、さらにその後、最近四年間の農家所得等の伸びが、農家所得が一・七六倍、三十八年から四十三年まで一人当たり農家所得も一・八七倍というようなことでそれぞれ伸びておる。あるいは厚生年金並みの給付といいます場合におきましては、やはり負担も厚生年金というものを念頭に置いていただく必要があるのではなかろうか。そこで、厚生年金でどの程度の保険料負担があるかということもやはり一つの要素であろうと思うのでございまして、こういった点を勘案をいたしまして、現在の所得状況におきまして、明年の七月から実施をする保険料の引き上げといたしましては、四百五十円程度はやむを得ない。かつ給付も、二百円から三百二十円と申しますと、これで六割でございます。さらに、当面発生をする十年年金は月額二千円から五千円でございます。二倍半でございます。そういった引き上げ率を考慮いたしますと、相当の引き上げではございますが、実施の面におきまして被保険者の御了解をいただけるものと考えておる次第でございます。
○山本(政)委員 大臣、ちょっとお伺いしたいのですが、これは大臣の趣旨説明です。この三ページに、「この改正によりまして、二十五年納付の場合、夫婦で受給する年金の月額は、通常、夫の定額分八千円、今回導入される所得比例分四千五百円、妻の定額分八千円をあわせますと月額二万五百円となり、いわゆる夫婦二万円年金」と、こうなっているわけです。そうしますと、昭和四十五年の七月から四百五十円に保険料が上がるわけですね。それから四十七年の七月からこれが五百五十円になる。国庫負担がこれで五〇%。その上に立って八千円という金額が出るわけですね。だから夫婦の場合は一万六千円。そしてさらに任意加入といいますか、その場合に所得比例分というものを考えて三百五十円の保険料を取るのだ、こういうことになるわけですね。そうすると、実態は二万円年金じゃないでしょう。実態は二万円年金じゃなくて一万六千円の年金になるのじゃありませんか。つまり、政府が言っている二万円年金というのは、実態としては一万六千円の年金でしかないということになるのじゃないかと私は理解するのです。その点はいかがお考えでしょうか。
○斎藤国務大臣 ちょっと御質問の御趣旨がよくわからなかったのですが、所得比例を除けば一万六千円じゃないかと、こういうことでございますか。——これは所得比例も入れてのあれでございますから、したがって、掛け金をどういうようにやるかということを除いて、とにかく年金としてはそれだけ来る、こういう趣旨で申し上げておるわけでございます。
○山本(政)委員 だから私が申し上げたいのは、所得比例分というものを出し得る家庭というのが、一体あなた方はどれだけあるとお考えになっておるのか。つまり私が申し上げたいのは、お金を持っている人、つまり金を出せる人は所得比例分を出せるのですよ。しかし、所得比例分を出せないという人についての国民年金の考え方というものは、ここには出ていないわけでしょう。つまり、所得比例分を出し得る人が、国民年金をかけている人たちのどれだけの割合を占めておるのか。私はよく知りませんけれども、大部分の人たちは所得比例分というものを出し得ない人ではないのだろうか。そうすると、あなた方のおっしゃっている国民年金夫婦二万円というのは羊頭狗肉じゃないだろうか、私はこういう感じがするわけです。その点をはっきりしていただきたいのです。
○伊部政府委員 今回の改正法案におきましては、国民年金に所得比例部分を加えることとなっておるのでございます。この経緯につきまして御説明申し上げたいと思いますが、この所得比例部分を国民年金に加えるかどうかというのは、実は国民年金の始まったときからの問題であったのでございます。必ずしも、国民年金といたしまして定額部分一本が正しい、絶対正しいということで出発したのではなかったのでございますが、当面、制度が新しい、あるいは所得を認定することが非常に困難だ、こういった事情を考慮いたしまして、定額部分だけで今日までやってまいったのでございます。 ところが、最近、国民年金の被保険者の方々から、厚生年金並みの年金給付がほしい、また農業者に関しましては所得比例部分をぜひやってもらいたいという御要望が非常に強く出ておるのでございます。そういった事情を考慮をいたしまして、今度所得比例部分を加えたのでございますが、この所得比例は、別に所得が非常に高い方を念頭に置いておるわけではないのでございまして、おおむね厚生年金の平均標準報酬四万円程度に見合う方々を念頭に置いておるのでございます。しかしながら、なお制度も新しゅうございますし、直ちに強制的に適用するということは問題があるということで、この案では任意適用ということになっておるわけでございます。たてまえとしては将来厚生年金のような所得比例を強制的に行なっていくべきであると考えておるのでございますが、当初でございますので、任意で出発をするという次第でございます。 なお、厚生年金におきましていわゆる二万円年金といわれておりますのも、やはり所得比例を加えてのことでございますので、標準報酬の低い方方につきましては二万円にならないのでございまして、その点については同じ筋合いになろう、かように考えております。
○山本(政)委員 あなた方が所得比例分の対象としてお考えになったのは年額七十万円以上の人ですよ。そういう人たちを対象にして三百五十円をお考えになっているのでしょう。月四万円ということになれば年収四十八万円ですよ。あなた方がお考えになったのは七十万円でお考えになっているはずですよ。四十八万円といり数字はどこから出てきたのですか。七十万円と四十八万円では二十二万円違うのです。少なくとも、国民年金の所得比例分をお考えになったときには、年収七十万円以上を対象にしてお考えになったと私は思いますよ。そうじゃありませんか。いまのお話では、年収四十八万そこそこでしょう。その食い違いは一体どうなるのですか。
○伊部政府委員 所得比例は任意加入でございますので、所得のある方は入られるのでございます。七十万円以上の方が入るという趣旨ではないのでございます。
○山本(政)委員 そんなことはわかっているのですよ。年収七十万円以上の人は、所得比例分の対象として、大体お金を出せるだろうというのがあなた方の考え方ではなかったのだろうかということを私はお伺いしているわけです。 それと一緒に、所得のある人は出せるというのはあたりまえですよ。所得のない人が国民年金を受け取れるような制度でなければ、国民年金制度と言えないでしょう。そのことを、あなた方は一体どうお考えになっているかということをお伺いしているのです。
○伊部政府委員 四万円と申し上げましたのは、保険料負担、あるいは給付等を、どの辺でバランスをとるかという意味合いにおいて申し上げたのでございますが、なお、標準報酬制をとります場合には、いわゆるボーナスが入りませんので、所得に換算する場合は相当違ってくるのでございますけれども、ともかくわれわれといたしましては、国民年金の最も大きい対象であります農業者の方々から、所得比例分を年金制度の中に導入してもらいたいという御要望がありましたこと、あるいは農家の所得も最近の数字でまいりますと、たとえば二戸あたり百二万円といったような数字も出ておる状況でございますので、やはり所得比例になじむ状況になりつつある、こういった点を考えつつ、しかし、制度発足の当初でございますので、任意加入として発足をした、かような次第でございます。
○山本(政)委員 大臣にもう一ぺんお尋ねしたいのですけれども、とにかく月収四万円あるというのだったら、これは年配の方で生活的には小づかいというよりか、かなりな額だと思うのですよ。そういう人たちが所得比例分というものについて出し得る、それと月収四万円以下の人たちについて一体どうお考えになっておるか、これは定額分だけで、所得比例分というのはなくていいというお考えなんでしょうか。つまり私が申し上げたいのは、所得がある人は所得比例分で老後は送れるのだ、しかし、所得のない人は定額分でがまんしなさい、こういうお考えなのかどうか、この辺の大臣のお考えをお伺いしたい。
○斎藤国務大臣 私は、今日の制度のもとにおきましては、強制的なものにつきましては、これは定額でございますから、それだけは強制しても差しつかえない。そしてあとの所得比例分は、それだけよけい年金をもらえるということであるなら、このくらいの所得比例分としての支出をしょう、そこは任意になっているわけでございます。 そこで、所得比例分を出せる人が、また、出したいと思う人が、一体何%くらい、どのくらいあるかというお尋ねだと思うのです。 政府として、あるいは強制的にここまではどうしてもというものは、これは一万六千円になって、二万円年金にはなりませんが、しかし、いまのいわゆる国民年金を掛ける人たちの状態を考えてみますると、私は、三百五十円の所得比例分を出しても月々五千円の年金をもらったほうがいい、こう考える人が過半数あるのじゃないか、かように思います。自営業者の方々の所得というものは、税務署で調べれば非常に少ないでありましょうけれども、しかし月三百五十円掛けて五千円もらえるということになれば、相当どこかから出てくるのではないか、出てくる人のほうが多いのではないか、(山本(政)委員「掛ける人ですか」と呼ぶ)掛ける人のほうが、かような見方をいたしておるのであります。
○山本(政)委員 定額分は五〇%国庫負担、それから所得比例分は二五%国庫負担。そうしますと二五%の国庫負担というのは、いま負担をするわけではないでしょうから、そうすると三百五十円の所得比例分を今度掛けることによって年収を一体——これもあれですが、つまり増収というのですか、これは幾ら、額として見込んでおられるわけですか。
○伊部政府委員 所得比例分は任意加入でありますので、どの程度入ってくるかということは、今後PR、あるいは被保険者方の考え方ということできまってまいると思いますので、ただいまのところ、正確な見通しは申し上げにくいと思いますけれども、当初は比較的少ない、漸次ふえてくるであろう、こういうふうに考えております。
○山本(政)委員 つまり初年度どれだけ見込んでおるかということです。
○伊部政府委員 四十五年の十月実施でございますので、今後、法律が制定、通過いたしましたらPRし、その上で見通しを立てる、かように思っております。
○山本(政)委員 そうすると、全然計画性がなくて、そうして要するに三百五十円を所得比例分として取るということなんですか、任意加入というものをさがし出して。そういう意味なんですか。つまりあなた方は、四十五年に長期的な見通しというものがあるのだという伊部さんのお話なら、初年度には大体これくらい入るだろうという見通しがなければ現実には三百五十円取れないでしょう。大体どれくらいだろうかという予想もつかないのですか。予想もつかなくてこんなことをやるわけですか。そんなばかなことはないとぼくは思うのです。
○伊部政府委員 この制度は任意加入でございますので、正確な見通しを申しますのは、現時点においては立ちにくいのでありますが、われわれの腹づもりはございます。腹づもりはございますが、今後いろいろなPR、あるいは末端までおろしてのいろいろな被保険者の感触等を伺って確たる数字を立てたい、かように思っておるわけであります。
○山本(政)委員 だから、腹づもりでけっこうでありますから、どれくらいになりますかということを伺いたいのです。
○伊部政府委員 国民年金には、任意加入の方が別にございます。労働者の妻でございますが、そういう方々を除きまして、おおむね三割程度の方方を念頭に置いておるわけでございます。
○山本(政)委員 金額でどれくらいですか。
○伊部政府委員 ちょっとただいま数字を検討いたします。
○山本(政)委員 私が申し上げたいのは、所得比例制というものは任意加入だというところに、あなた方はやはりこれが認められれば云々ということをお話しになるけれども、私はどうもその辺にまやかしがあるのではないかという気がするわけです。と申し上げますのは、夫婦二万円年金ということをいまおっしゃっておる、おっしゃっておるけれども、現実には、初年度は、つまり四十五年ですか、三割、三割だということになれば、残りの七割の人たちは、これはもちろんあなた方のPRが徹底すれば漸次ふえていくかもわからないけれども、しかし、ともかくもあなた方がおっしゃっておる夫婦二万円ということにはつまりならぬわけでしょう。そういう意味で夫婦二万円制度ができるということを制度として考えた場合に、一般の人たちが受ける印象というのは、この法律が通ったら四十五年度から二万円もらえるんだという、そういう錯覚を起こしますよ、現実には。任意加入した場合には二万円になりますということをもっとあなた方がわかりやすく話さないと。正確にいえば、夫婦一万六千円の国民年金だというほうがむしろ正しいと思うのですよ。その辺、あなた方が、何か政府の政策が国民の福祉にたいへん貢献をしているかのごとくおっしゃっていることについて、どうも納得がいかぬわけです。夫婦一万六千円年金だということになれば、これは話が通ると思うのですよ。だけれども、二万円年金があすからでもできるように国民に感じさせることは、どうも納得できないのです。もっと正確に事家を伝えるべきだと思うのですけれども、同時にいま申し上げたように、伊部さんのことばをそのまま受け取るとして、月収四万円以下の人についての対策は、今後一体どうするつもりなのか、そのことについて、大臣のお考えをあわせてお伺いしたいのです。
○伊部政府委員 年金の給付水準をどのように申し上げるかということは、なかなかむずかしい問題でございますけれども、定額部分は、もちろんただいま御指摘のように二十五年で八千円、夫婦で一万六千円でございます。しかしながら、今度の制度で所得比例制を導入いたします以上、やはりそれを加えて年金水準を申し上げるのは適当な表現であろうと考えるのでございます。また、二十五年を基準に申し上げておるのでございますが、国民年金は四十年まで拠出ができるのでございますが、四十年の場合を考えますと、夫婦で二万五千六百円、これに所得比例を加えますと、三万二千八百円という数字になるのでございますが、この四十年という数字はなお相当あとのことになりますので、当面二十五年というものを基準に申し上げておるのでございまして、制度として所得比例制を導入いたします以上、やはり年金の水準としてはそれを加えたものが適当な表現ではなかろうか、かように考える次第でございます。
○山本(政)委員 あまりすっきりしないですけれども、時間がありませんから、先へ進みますが、国民年金の積み立て金というのがありますね。これは一体どういうふうに——つまりその機能といいますか、三つほどあると思うのですよ。これ一度、大臣でも局長でもいいですからお聞かせを願いたいのです。
○伊部政府委員 年金制度におきましては、長期にわたる制度でございますので、制度発足当初におきましては、積み立て金が相当できるわけでございます。この積み立て金は将来の給付を見込んだものでございます。将来の給付はこれから出てまいります利子収入を、相当大きな部分に見込んで財政収支が成り立つのでございます。 そこで、いわば将来の被保険者、将来の受給者の負担、世帯間の負担を、この積み立て金というものにより平均化しておるのでございます。
○山本(政)委員 つまり積み立て金の機能というのは、一つはあなたのおっしゃるように、長期の給付の財源ですね。そういうことが一つあると思うのです。 もう一つは、そういう意味で世帯間の均衡をはかるということがあると思うのです。 三番目に、被保険者の福祉増進のための機能というのがあるでしょう。これが還元されているわけですね。 そこで、私はお伺いをしたいのですけれども、率直に言って、積み立て金を火葬場に出していることは、国民の福祉に役立っているのかどうかということですよ。そういう積み立て金の流用のしかたがあるのだろうかどうだろうか。あるいは屠殺場に出しておる。年金を出すのは、老後のために、幾らかでもそれで楽になって生活をしていくということに使われるのだろうけれども、死んだあとの始末までするというようなところに資金を出していいのかどうか。火葬場や、屠殺場ですね。そういうことについて、あなた方は厳格に監督をされているのか、指導をされているのか。屠殺場とか、火葬場というのは、私はよく知らぬけれども、自治省あたりが当然やるべき問題じゃないでしょうか。あるいは農林省ですか。そういうものが厚生省のほうの積み立て金の中から出されているということに、私はたいへん疑問を感ずるのですよ。その点一体どうなんですか。
○伊部政府委員 ただいま御指摘のように、積み立て金の大きな機能といたしまして、将来の給付に備えるということのほかに、積み立て金の運用といたしましては、つとめて有利であると同時に、被保険者の福祉に還元をするという性質のものであり得るのは当然でありますが、国民年金につきましては対象が自営業者でございまして、主として町村が中心となって徴収をいたしておるといったような状況から、特に町村の起債でございます特別地方債が大きな割合を占めておるのでございます。 その中で、たとえば福祉センターとか、あるいは市民会館、あるいは社会福祉施設といったようなものが対象になっているのでございますが、最近御指摘のような、火葬場あるいは屠場も入ってきております。これは、実は御指摘のように、われわれとしてもいろいろ問題はあるということで、相当慎重に考えておったのでございますが、町村側からの御要望が非常に強いのでございます。一般財源におきましては、こういった施設はなかなか整備できない、しかも、たとえば火葬場で申しますと、いわば野焼きといったような状況のところもあるのでございます。したがいまして、この点ぜひお願いをしたいという強い要望がございまして、最近火葬場を加えることになったのでございますが、これはただいま数字を出しておりませんけれども、相当町村から要望がございます。各県二つ、ないし三つ程度の要望がございます。そういう状況でございまして、先生の御指摘のような考え方で、その対象が乱に流れないよう、引き続き考えてまいりたいと思います。
○山本(政)委員 年金の積み立て金は、昭和二十七年に住宅、病院、休養施設、それから会館、体育施設、養老施設、母子施設、こうなっているのですよ。それがほとんど毎年支出の対象というものが広がってきている。私は、そのあとの、児童福祉施設とか、そういうものに使われるのは一向かまいませんけれども、しかし、少なくとも火葬場に使うというのは納得がいきませんよ。こんなものは、幾ら地方自治体が必要だといわれても——屠殺場にそれを使われるということも私は納得がいかない。限界があるはずですよ。それは大蔵省と厚生省との間の折衝の中で、あなた方は積み立て金についての運用のしかたについて、以前は協定もやったでしょう。そしておのおの各省についての取りきめもあっただろうし、主張もあったはずなんです。そして、それは少なくとも厚生施設、福利施設に使うべきだということで、あなた方主張されておるはずじゃありませんか。直接、間接の福祉施設というのは、正確に言えばそういうことばであったと私は記憶しているのです。けれども、火葬場も屠殺場も、考えてみれば、この福祉施設というものに入るのかどうか。風が吹けばおけ屋がもうかる式に、そういうふうに対象の範囲を拡大していっていいのかどうか、大臣、答えていただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 厚生省といたしましては、直接福祉施設につながるものということで、私から言うと少し狭過ぎるのじゃないかというくらいにやっているわけでありますが、いろいろ陳情等も受けて聞いてみますと、それはどうも福祉施設としては当たらないというようなことで、はねられる場合が非常に多い。 そこで、いまおっしゃいます火葬場とそれから屠殺場でございますが、私は殺屠場は、ちょっと考え直してもいいのではないかと思いますが、できたら屠殺場は、今後そういうことのないようにいたしていきたい。しかし火葬場は、やはり自分らが死んだ場合に、りっぱな火葬をしてもらいたいというて年金をかけている人もあって、安心していかれるというわけですから、広い意味において火葬場は、これはやむを得ないんじゃないか、かように考えておるわけでございます。
○山本(政)委員 正確に言いますよ。被保険者等の生活向上に直接、間接に寄与する分野に支出する、たとえば私は、看護婦養成所が少ないから、そこへ融資をするというのは、これは話がわかるのですよ。だけれども、少なくとも火葬場なんということは、自治省が担当すべきことじゃありませんか。地方自治体に対して、自治省というものが責任を持ってやるべきですよ、そんなことは。しかも、屠殺場というのは、四十三年に初めて対象になっているはずですよ。もう一ぺん御答弁ください。
○斎藤国務大臣 お話を伺って、私は屠殺場は考え直す必要がある、かように思っておりますが、しかし、火葬場は被保険者に間接的につながるものじゃないか。自治体の当然支弁すべきものとおっしゃいますが、福祉施設は、大体原則としては公共団体が出すべきもので、国がこれを補助したり、援助しているわけでございますから、火葬場くらいは間接的な福祉につながる、私はさように考えているわけでございます。
○山本(政)委員 それでは、屠殺場については、これはもう取り消しますね。そういうふうに確認をしていいですか。
○斎藤国務大臣 屠殺場は、ひとつよく検討いたします。これは環境衛生の面から見ますと、やはり屠殺場もきちんとしないと、いろいろ環境衛生に害がある。環境衛生も国民の福祉に大きく役立つということでいたしておりますが、御意見もございますから、これはよく検討いたしてみたいと思います。
○山本(政)委員 つまり風吹けばおけ屋がもうかるだったら、拡大は幾らでもできますよ。しかし私は、厚生省の積み立て金として使うものには、おのずから限界があると思うのです。その辺の限界というものをどの辺に置くかということは、常識的な範囲というものはあるわけですよ。これは最初は六つか七つのものが、およそここには三十くらいの対象が出ているわけですよ。年々それがふえているわけですよ。——それでは、これについては、この次にお答えをいただきます。
○森田委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十五分散会