社会労働委員会 第25号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/06/10
会議録
○森田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、労働保険の保険料の徴収等に関する法律案、及び、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 法律案の審議に入る前に、前回の委員会、五月の二十日に、日本の労働問題の中では雇用問題と並んで賃金問題が非常に大きな問題でありまするから、この賃金、雇用の両面が、それぞれ並行的に進展をすることが望ましいという観点で、今次の春闘にからんで、公共企業体等労働関係法の適用を受ける労働者、並びに国家公務員、地方公務員等の賃金問題に対する政府の見解をただしてまいったのでありますが、審議が中断をいたしましたので、きわめて短時間でありますが、このことに対してまずもってお聞きをいたしたいと思います。 さきの質問の中で、今次の春闘における民間の賃金引き上げは、高物価を反映をいたしまして非常に高いものがあったことは、すでに御案内のとおりであります。その後の調査で、一体どのくらいの賃金引き上げが現状として結果的に報告をされるのか、労政局長からお答えをいただきたいと思います。
○松永政府委員 ただいまの御質問の本年の春季賃上げの結果でございますが、民間大手の百五十社につきまして調査をいたしましたところにおきましては、本年度賃上げ額におきまして平均六千七百六十八円、率におきまして一五・八%というのが最近の数字でございます。
○田邊委員 これは六月一日の新聞によりますると、当時の中間集計では六千七百四十四円、一五・七%という形でありますから、春闘妥結がおくれておるものを逐次加えていきますると、その額がやや漸増の方向にいっておる形であろうと思うのです。したがって、いまお話しの六千七百六十八円、一五・八%という結果が出ておるわけですが、大体この程度で今次春闘は妥結をするもの、こういうふうにお考えでございますか。
○松永政府委員 大体そのようなことだと御理解願ってけっこうだと思います。
○田邊委員 大体そういう確認の上に立って政府は今後に対処をされていくだろうと思うわけであります。先日の委員会における質問では、仲裁裁定の実施はどうかという質問に対して、極力その完全実施に向かって努力をするという労働大臣から答弁がございました。その後完全実施をはかられるということに閣議決定をされたのでありまして、当然のことでありますけれども、私は努力に対して敬意を表したいと思っておるわけでございます。 さて、例年民間の賃金がきまり、仲裁裁定が出されまして、そのあとの出されるものは公務員に対する人事院勧告、そして人事院勧告を受けてこれを実施する政府の立場がこれから残されてくるわけであります。 人事院にお聞きをしたいのでありますが、いまお話のありましたように、民間賃金が非常に大幅な値上がりをいたしております。この理由はゆえなしとしないわけでございまするが、私どもがやはり予測したように、非常に大幅であることはいま御報告のあったとおりでございます。といたしまするならば、人事院は例年民間賃金との比較において勧告をなされるわけでございまするけれども、今年の勧告の作業は、どの程度まで進んでおられまするのか、いまの予測では、勧告は一体いつごろ出されようといたしまするのか、その点に対するお答えをひとついただくと同時に、勧告の出される方式については、昨年までの方式を大体踏襲をされて勧告を出されようとするのか、あるいはまた新たな観点に立った勧告を用意されようとするのか、この二点に対してまずお答えを願いたいと思います。
○尾崎政府委員 ただいま人事院といたしましては、例年のとおり、例年と同じたてまえで民間給与調査をやっております。それで、六月中旬を締め切りといたしまして調査をするということで、現在やっておるわけでございます。したがいまして、調査のしかたも原則として昨年どおりでございます。現在の状況は整正と行なわれておりますので、昨年と同じように八月中旬には御勧告できるんではないかというふうに考えております。
○田邊委員 したがって、例年の民間賃金との格差是正を主体としながらいま調査を進められておるのでありまするから、当然いまの労政局長からの答弁によりまして、今年の大幅賃上げの状態というものを見合ったときには、私は、昨年の人事院勧告実質八%をかなり上回るものにならざるを得ないだろう、こういうふうに考えておるわけであります。七・一%にプラス諸手当を含めまして、いま申し上げましたような状態になっておるわけでありまするけれども、いま人事院の側として、にわかにこの程度になるだろうという予測は、もちろん発表できないだろうと思います。しかし当然、いま私が申し上げた理由からいいますならば、昨年をかなり上回るだろう、こういう予測は成り立つだろうと思うのですが、この点に対する現在の、ただいまの状態におけるお考え方はいかがでございますか。
○尾崎政府委員 申すまでもなく、現在の段階では、結果待ちということになるわけでございますけれども、私どもの調査は、非常にこまかくやっておりますので、民間の情勢を十分反映するというたてまえになっておるわけでございます。そういうことで、一応調査をしました結果につきまして、民間の格差に追いつかせていただくということにお願いをしたいというふうに考えております。
○田邊委員 もう一つ給与局長にお聞きしたいのは、例年勧告が五月実施をその中身とされておるわけでございまするけれども、私はたびたび当委員会で質問をいたしておるわけでありまするが、民間賃金の引き上げは、これは四月にその実施時期をおおむね集中しておるというのが現状であります。したがって、これに見合う人事院勧告という形に根拠を置きまするならば、人事院勧告も当然四月実施を勧告の中身とすべきであるという理論的根拠は、これはもうだれしも疑うことができないんじゃないかと思いまするが、その点に対するひとつ慎重な考慮を私はなさるべきだ、このように思いますけれども、いかがでございますか。
○尾崎政府委員 勧告の実施時期が、期日をいつからにするか、四月にするか五月にするかという点につきましては、私どもは五月としておりますのは、いわば従前からのいろんないきさつがございましてやっておるわけでございます。もちろん、四月についても理由ありというふうに考えて、両論あり得るというふうに検討はいたしてきておりますけれども、現在の段階では、従前のあり方で考えておるということでございます。
○田邊委員 きょうは主とした質問でございませんので、実は民間賃金との比較の問題についても、われわれは、その対象企業、産業の数の問題、労働者の数の問題、いろいろと意見があるわけでございまするし、中身についていろいろお聞きをしたい点がございまするけれども、これは後の機会に譲りたいと思います。ひとつ厳正な調査の結果、なるべく早い時期に勧告を出されるように、この際希望をしておきたいと思います。 さて労働大臣、いま人事院からのお話がありましたように、例年の例にならって人事院勧告が出されるという予測は成り立つわけでございまするが、民間の賃金の引き上げ、仲裁裁定の実施、そういう状態から見て、人事院勧告が出された場合においては、当然これを実施する、こういう政府の立場を堅持されることは、これまた当然の措置であろうと私は思うのであります。さきに、労働大臣の非常な努力もあって、仲裁裁定の完全実施を決定をされた。こういうことから見て、よもや人事院勧告に対してなしくずしをするようなことは今年はないだろうと実は考えておるわけでありますけれども、どうでしょう、この際ひとつ、原さん、あなたのやはり政治的な感覚、それから私どもの長い間の先輩としての立場からいって、人事院勧告を出された際にはこれを完全に実施をする、こういうたてまえを貫いていただくように私は期待をいたしておるわけですけれども、この際ひとつ大臣の御決意を承っておきたいと思うのであります。
○原国務大臣 いま、御承知のように、人事院勧告は、この制度が設けられた趣旨から見ましても、これはできる限り尊重すべきは当然でございます。それで、実は去る一月二十八日に、給与関係閣僚会議というのを開きまして、そこにも相談いたしました。そのときにおきましても、これを完全実施するよう努力するという基本方針を再確認いたしております。それで予算委員会等にも臨んだような次第であります。 政府は、このような基本的態度に立って、当面今年度予算については、五%程度を給与費に計上いたしております。それから、それをこえる内容についての勧告がもし出された場合には、予備費をもって対処するというところまで、いままでよりもはるかに前進した姿勢、準備をいたしておる次第であります。 お説のように、今年どのような内容の人事院勧告が出されるか、いまも人事院給与局長からお話しがありました、八月中ごろだそうでありますが、それまではどういう勧告が出るかちょっと予測できませんが、もし勧告が出された時点においては、関係閣僚会議を開いて十分協議の上に完全実施をするように最善の努力をいたす考えでございます。
○田邊委員 いま大臣のそういう決意を私はさらに具体化していただきたいと思っておるわけでありまして、大蔵省お見えでございませんから、後ほど大蔵省のこれに対する考え方もお聞きをする予定でございまするが、総理並びに大蔵大臣は、衆参の委員会においてしばしば発言をいたしておるのでございますが、特に福田大蔵大臣は、衆議院の大蔵委員会におきまして、この公務員給与の改定に対しては七月実施の線で予算措置をしてある、したがって、七月以前の実施は財政的にはむずかしいという答弁をいたしておるのでありまするが、これはまことにけしからぬ話でありまして、いまから七月以前の実施は困難であるような予防線を張られることは、これはきわめて政治的な意図明らかでございますだけに、私どもとしては断じて了承できないのであります。したがって、ひとつこの際、そういった大蔵省の考え方がありましょうとも、私は、昨年の前進をした姿もあるわけでございまするから、さらにこれを一歩踏み越えて、完全実施の線にいっていただくことが何よりも大切なことだろう、こういうように思っておるわけでございまして、ひとつ労働大臣の立場からするこれに対する最善の努力を私はお願いしておきたい、こういうように思っておるわけでございます。
○森田委員長 後藤俊男君。
○後藤委員 ただいま、公務員の人事院勧告につきまして、質問があったわけでございますけれども、寒冷地手当の問題について、人事院として、昨年は昨年として勧告があったわけです。しかし、昨年の勧告は級地の是正ということが中心ではなしに、中身の制度の改善ということが中心になって勧告されたと思いますが、そうしますと、全国的に見て、現在級地の不合理というのがかなりあると思うのです。そこで、人事院勧告も昨年は賃金の勧告と同時にこれは出されたわけでございますが、ことしあたりは、寒冷地の級地の是正ということを中心に人事院勧告があってしかるべきだと考えておるわけでございますが、人事院としてどうお考えになっておるか、御説明をいただきたいと思います。
○尾崎政府委員 寒冷地手当につきましては、昨年の御勧告を申し上げましたときに、いわゆるベースアップの勧告とあわせまして、寒冷地手当のいわば二十年来の改正を行なったわけでございます。それに合わせまして、いろいろ問題になっておりました級地格づけの問題につきましてもいろいろ検討したわけでございまして、従前のいわゆる格づけ基準というものを修正をいたしまして、原則としまして新しい基準でやるということで昨年の地域改正は行なったわけでございます。たとえば、寒冷地になるかならないかという区分の基準は、積雪量で申しますれば四十センチ、気温で申しますたば摂氏一度という点で寒冷地区分の基準にしたわけでございます。そのような新しい基準に基づきまして格づけをいたしたわけでございますけれども、なお従前の、いわゆる戦争直後の格づけを踏襲してきておりますそういった関係もございまして、たとえば福島県の浜通りといったような地域につきましては、そういうかなりの地域におきまして、新しい基準によりますと引き下げせざるを得ないというところがございます。そういう意味合いにおきまして、現行の、昨年の級地改正の結果はやや問題がございます。しかし、それを一挙に引き下げるという点もなかなか問題がございましたものですから、昨年はその点は引き下げにつきましては、なお今後の検討に待つということにいたしたわけでございます。そういう点につきまして、級地の改正につきましてはなお問題があるというふうに考えております。 なお、他の地域におきましては、新しい寒冷気象条件というもののデータにつきましてよく検討した結果、新しいものが出ますれば、さらにそれによって検討するということを今後いたしたいというふうに考えておるのでございます。
○後藤委員 そうしますと、いまの御説明がありましたように、戦争から去年までは、ある基準によって勧告をされてきた。昨年度からは新しい基準によって一応勧告を行なった。その結果につきまして、矛盾のできておるところもあります。こういう御説明をいま聞いたわけでございますが、そこで、先ほど言いましたように、昨年の寒冷地の勧告は、級地の是正が第一義的ではなしに、中身における定率定額制ということに変更することで第一番の勧告が出たと思うのです。そうなってまいりますと、全国で三十三カ所でございますか、級地の是正が行なわれたわけでございますけれども、その結果として、矛盾が出ておると思うわけです。先ほども言われましたように、甘いところもある。基準からいうと引き下げなければいけないところもある、こういうふうな説明もあったわけでございますが、そうなってまいりますと、ことしも当然賃金の勧告と少なくとも同時に、寒冷地手当の級地の是正に対する勧告が行なわれてしかるべきだ、こう考えておるわけでございますが、ことしは寒冷地手当の勧告をどのような方向で行なわれようといたしておるのか。さらに先ほど言われました新しい基準ができた、こういわれましたけれども、その新しい基準というのは一体どういうものであるか、これを御説明いただきたいと思います。
○尾崎政府委員 昨年の寒冷地手当の改正につきましては、ただいま御説明申し上げましたように、二つの大きなポイントがございます。 一つは、やはり大きな制度改正という点がございます。 それからもう一つは、地域の格づけにあたりまして、従前の基準によりますと、何といいますか非常に各地の現在格づけされております級地との間に矛盾がございましたので、−矛盾と申しますか、非常に差がある。その基準にふさわしくない地域が非常に多いという点がございましたので、そういう関係を考慮しまして基準の改正をして、調整をしたわけでございます。それをすることによって、相当な地域を救うと同時に、全国的な公平感という点を一そうここではっきりさせるという点が昨年の地域基準の改正のポイントでございます。 その改正の内容につきましては、たとえば寒冷地にするかしないかという点の境目におきましては、最深積雪量で申しますと、従前の基準によりますと五十センチというのでございましたけれども、それを四十センチに引き下げたわけでございます。それから寒冷の寒さの基準といたしましては、一月の平均気温摂氏零度というのを一度に引き下げまして、全国に相当広範な引き下げ地域を調整をするというようなことをいたしまして、新しい基準に直したわけでございます。それによりまして、厳格に調整をするということを昨年の基準の改正において行なったのでございまして、その結果、引き上げるべきところは引き上げる、それから引き下げるべきところは引き下げるということで昨年の改正を行なったのでございますが、その結果、上げるべきところという点としましては三十数カ所ということになったのでございまして、ただ、引き下げるべきところにつきましては、かなりございますけれども、この引き下げる方法については現在検討をいたしておるというのが現状でございます。 なお、引き上げるべきところにつきまして、境目その他につきまして問題が若干あり得るということはございますけれども、それは第一には気象資料につきまして、やはり信頼すべき気象資料が得られるということが必要でございます。 それからもう一つは、格づけのしかたが町村単位で現在格づけておりますけれども、その中で、従前よりも現在は非常に広い市町村区域になっておるものでございますから、市町村内の地域によりましては、かなり寒いところがあるというところがございます。そういう点につきまして、国家公務員の場合には、特に寒いところにおきましては、官署指定ということによって官署による格づけを行なっておりますけれども、地方の公署その他におきましての格づけのしかたについて、問題のあるところもあるのではないかというふうに考えられるわけでございます。そういう点につきましては、現在検討をしておりますけれども、また地方において措置すべきところもあるというように考えておりますけれども、基本的には去年のやりました内容につきましては、去年得られました資料として一応上げるべきところは上げたというのが現在の段階でございます。
○後藤委員 ことしはどうですか。
○尾崎政府委員 その後の気象資料につきましては、新しい資料を収集いたしておりますけれども、それによって、その後得られます資料というのはやはり限られたものでございますから、今後その資料を検討していくということになろうというように考えております。
○後藤委員 非常に詳細に御説明いただいてありがたいわけですけれども、ことしは一体寒冷地に対する勧告を行なうのか行なわぬのか、いまも御説明がありましたように、五十センチを四十センチ、零度を一度、いわば基準を甘くしたわけですね。そうしましても甘過ぎて下げなければいけないところもあるし、その基準でいくと寒冷地のついておらぬところもつけなければいけないところも出てくる。そのことを考えながら昨年は勧告が行なわれたわけです。 その結果として、やはり級地の矛盾というのは残っておると思うわけなんです。残っておれば、ことしも当然寒冷地の勧告をしていただいて、先ほど局長が言われましたように、全国的に不公平にならないような扱いにするのが当然だと私は考えるわけでございますが、そうなってまいりますと、昨年は賃金の人事院の勧告と同時に、寒冷地の勧告が行なわれたわけでございますけれども、ことしもやはりおそくとも人事院の賃金勧告と同時には寒冷地の問題も、あなたが言っておられるように級地の格づけに矛盾があるとするならば、当然これは是正すべきである、こう考えるわけでございますが、人事院として寒冷地の勧告を行なうのか行なわないのか、行なわないとするなら一体なぜ行なわないのか、その点の御説明をいただきたいと思います。
○尾崎政府委員 昨年の地域区分につきましては、ただいま御説明申し上げましたとおりでございます。したがいまして、その後におけるこの一年間における新しい資料がどれだけ得られるか。これは気象庁の関係としまして新しい資料でございますから、この一年間の資料によってやるのではございませんで、たとえば二十何年間、ずっと観測をいたしました期間を平均してやるというたてまえになっておりますので、新しい一年間の資料がつけ加わったということでございますので、それによって非常に従来の資料が変わるということは原則としてなかろうというふうに考えております。したがって、去年からの新しい資料によって非常に変わるという、制度的に適用しなければならないということは現在の段階ではまだないんじゃないかというふうに私は思っております。 ただ、昨年の格づけのしかたにつきましては、端的に申しますと基準をやや甘くしまして、これによって厳格に適用する、下げるべきところは下げるというふうな方針に切りかえたいというふうに考えておりますので、当面やるとすれば、かなり広範な地域における引き下げという問題がどうしても中心にならざるを得ないという点になりますので、当面の問題といたしましては、その引き下げ方法その他について、さらに慎重に検討したいというのが現在の段階でございます。
○後藤委員 ことし勧告をやるのかやらぬのか、どういうことだ。
○尾崎政府委員 やるかやらないかということを、端的に申し上げるのは非常に困難でございますけれども、いまのような内容を持っておりますので、当面のかなり近い機会に勧告を行なうということは、作業的にも非常にむずかしいというふうに考えております。
○後藤委員 そうすると、当面近い機会に勧告を行なうのは困難である、こういうことでございますね。 それと同時に、もう一つ私お尋ねいたしたいのは、去年の寒冷地の——先ほど言われた定額制と定率制とあるわけなのですが、定額部分につきましては、物価の高騰、いわゆる物価が上がるたびに定額制については上げていくんだ、こういうような内容も含んでおったように私は記憶しておるわけでございます。これだけ毎年毎年物価が五%、六%上昇していく、そこで寒冷地手当の定額部分だけはそのままやりっぱなされたのでは、毎年毎年貨幣価値の低下とともに下がっていくのと同じ計算になるわけでございますが、その定額部分の物価スライドによる是正については人事院勧告としてどう考えておられるか、この点が一つと、それから、いまあなたが言われましたように、近いうちにやるのは非常に困難だ、こう言われますけれども、現在全国的に見ますと、矛盾しておる級地の格づけというのはたくさんあると思うのです。ある県に行きますと、非常に甘いところでも寒冷地手当がついておる、またある県に行きますと、当然つくべきところがついておらぬ。これはもう私がとやかく言うまでもなく、専門的にやっておられるあなたのほうとしては十分御了承のことだと思うわけですが、それだったら、一ぺんに不合理を是正するということがむずかしいというのなら、毎年毎年少しずつでも、いわゆる予算の許す範囲において、最大限不合理を是正する方向の勧告をなしてしかるべきだ、こう私は考えておるわけなんです。非常に困難だ、どうだというようなことではなしに、とにかく不合理を早く直す、級地の格づけを、だれが見たって正しい方向へ順次直していく、こういうことでことしも勧告をやっていただいて、これは当然のことじゃないか、こう思うわけでございますが、重ねて、勧告をどうするかという問題と、定額制の物価上昇に伴うスライドの問題についてはどう考えておるか、この二つについて御説明いただきたいと思います。
○尾崎政府委員 地域区分の問題につきましては、ただいま申し上げましたように新しい資料の内容を検討しつつ、いま御指摘になりましたような、私どもとしましては、むしろ引き下げ中心ということにどうしてもなりかねないと考えておりますけれども、そういう内容の改正というものを、今後事務的にやはり用意いたしたいというように考えているわけでございます。 なおその際に、新しい資料によって、上げるべきところがあれば引き上げるということをもちろん含んだ内容を今後できるだけ整備することに努力いたしたいというふうに考えておりますが、ことし直ちにこれをやるということについてはなかなかむずかしい状況があるということを申し上げたわけでございます。 それから、去年制度的な改正をいたしまして、いわゆる定率部分を、半分を定額化するということを講じたわけでございますが、この趣旨は、先般、昨年の御勧告のときに御説明申し上げましたように、給与にスライドしてどんどん寒冷地手当が上がっていくという点は、いかにも寒冷地手当の性格上おかしい、寒冷地手当というのは、そもそも生活の寒冷増高費に即しまして手当を支給していくというのがたてまえだというように考えますので、従来の制度のあり方というのが、どうも少し、いわゆる職務給的になり過ぎているというふうな考え方から、制度改正を、一部を定額化するという点を行なったわけでございます。もちろん残っている定率部分におきましても、また定額化しました部分におきましても、両方合わせましていわゆる寒冷増高費に対応させる手当でございます。そういう内容を含みます寒冷地手当の今後の取り扱いといたしましては、やはり生活における寒冷増高費がどのように高くなってきつつあるかという点に注目をいたしまして措置していくということが、筋だろうというように考えます。そういう意味合いにおきまして、今後における寒冷増高費というものを注目をしてまいりたいというように考えます。
○後藤委員 そうしますと、この定額部分についてはそのままだということですか。
○尾崎政府委員 いわゆる昨年改正いたしました結果、定額部分と定率部分と両方になったわけでございます。残っている定率部分につきましては、いわゆるベースアップがございますれば、それにスライドしていくという点がございます。そういうものを含めまして、定額部分を含めまして寒冷地手当というのがだんだんふえてくる、実質的にふえていっているわけでございますけれども、それに対応させるものは何かと申しますと、やはりこれは寒冷増高費の動向、あるいは物価の動向とか、そういったものだろうというように考えます。そういう点の相互比較をいたしまして、必要な措置を講ずべきだというように考える場合には、やはり勧告をしなければならないというように考えているわけでございます。
○後藤委員 この辺で終わりますけれども、問題は定率によって寒冷地手当を支給されておった場合には、いわゆる春闘における、先ほどの話じゃございませんが、ベースアップがあるたびに、定率支給でございますから寒冷地手当の金額は上がったと思うのです。ところが、去年からは約半分が定率で、半分が定額。なるほど半分の定率部分はベースアップによって上がると思いますけれども、定額部分はそのまま置かれるという形になると私は思うわけなのです。だから去年のこの実施の場合にも、物価のスライドによって定額部分は一体どうするのだ、当然物価の上昇に基づいて定額部分も引き上げてしかるべきだ、またそういうふうな内容における確認といいましょうか、何かがついておったのじゃないかと私も記憶しておるわけですけれども、物価が上がれば当然寒冷地に住んでおられる人々の経費も膨張してくる、これは間違いないわけなのです。 これを逆に定額部分だけそのまま据え置きますと、去年まことにかっこうのいいようなことを言うてやったけれども、定率部分だけは上がるけれども、定額部分だけはそのままに残されてしまう、そういう悪い点だけが残っていくような気がするわけです。そうなると改正じゃなくして改悪というような方向にこれは進んでまいりますので、ぜひひとつこの定額部分の問題につきましても間違いのないように、いわゆるマイナスにならぬ方向で人事院としても十分考えていただきたいと思いますし、さらに級地の是正の勧告の問題につきましても、もうそれ以上の返答は、きょう現在には局長さんといたしましてもできないと思いますが、そういう矛盾の地域がたくさんございますから、早くその是正をしていただく方向の勧告を、人事院としても作業を急いでいただきたい、このことをお願いいたしまして、関連質問を終わります。
○田邊委員 今回の失業保険法の改正は、かなり法の根本に触れる改正であるというように私は思うわけであります。したがって、その与える影響も非常に大きいと見ざるを得ないのでありまして、その観点から、私どもは慎重な対処をしなければならないと思っているわけであります。法の根本に触れる改正でもありまするから、私はこの際、失業保険法の持つ意味合い、その目的等に対して、まずもって大臣にお聞きをいたしたいと思うのであります。 一体、この失業保険法の持つ性格というものは何でございましょうか、端的にいいまして、大臣どのようにお考えでございますか。
○原国務大臣 局長から答弁させます。——(田邊委員「大臣だよ、大臣と言っているじゃないか」と呼ぶ)失業者の出ることはまことに好ましくないので、失業を予防することが第一点でございます。これが非常に重要なことで、その成果もあげつつあります。 第二は、やはり雇用の安定をはかる、こういうことにおいて、この保険法が非常にいままで役立っておるし、全面的に改正をやって、そういう方向に進めていきたい、こういうように考えておる次第であります。
○田邊委員 大臣のお答えのとおり、本来の目的とするところは、日本の雇用を安定させること、そしてまたそのことによって失業者をできるだけ少なくして、それぞれの職場につかせること、そういったことに私は究極の目標はあると思うのであります。したがって、言うなればこの失業保険法も、日本の雇用政策の一環として見なければなりませんし、そういった立場から見た場合には、これはいわば補完的な意味を持つものである、こういうふうにも私は見られると思うのであります。本来の目標がそこにあるといたしますならば、やはり雇用政策に対する考え方というものを明確にしておかなければ、私は、この失業保険法の中身に対して論ずることはできないだろうと思うのでございます。 そこで、この法律の中身に対する問題としては、やはりいま申し上げたような観点から見ますと、労働者が失業した場合には、失業保険金を支給をして生活の安定をはかるということであります。被保険者ということになっておりますけれども、言うなれば労働者であります。その見方からいたしまして、大臣のお答えになった、雇用の安定をはかり失業者をなくすという立場からいいますならば、労働者たる者はすべてこの失業保険法の適用を受けるものである、その権利を持っている、労働者は被保険著たり得るものである、私はこういうふうに考えることが最も至当だろうと思いますが、この点は局長からでけっこうでありますが、ひとつお答えいただきたいと思います。
○住政府委員 労働者が失業した場合に、保険金を支給してその生活の安定をはかる、この失業保険法の目的は、やはり全労働者に当てはまる原則だと考えます。しかしながら、これは失業保険でございますので、保険の原理から考えて、たとえば現在の法制のもとにおきましては、五人未満の事業所に働く労働者は強制適用されないことになっております。それは現在保険を実施するための、たとえば事務能力の問題だとか、雇用関係が必ずしも明確でないとか、あるいは賃金の関係も明確でない、他の社会保険との関係等もあったりしまして、現在任意適用になっておる。 そこで、そういうようなことで任意適用になっておるわけでございますが、今回の改正案におきましては、そういう諸般の点を考慮しまして、できるだけすみやかにその適用をはかっていこう、こういう方向で進んでおるわけでございます。 さらに、農林水産業のように、産業自体に一般的に季節性のあるものにつきましては、そこに働く労働者がその産業の持つ季節性のゆえに、毎年一定の時期に失業を繰り返す、こういうように、保険事故というものが確定しているような関係にある業種につきましては、やはり保険事故の偶然性という問題ともからみ合いまして、これまた任意適用になっておるわけでございますが、そういう意味で、現在必ずしも全部の労働者に保険が適用されていないのでございますが、その適用されていない原因を克服しながら、最初申し上げました全面適用の方向に向かって進んでいきたい、これが今回の改正の趣旨にもなっておるわけでございます。
○田邊委員 局長、だいぶいろいろと御説明ありましたが、私がまず聞きたかったのは、労働者は保険金をもらい得る資格を持っているのではないかと言ったのではないのです。労働者はすべて被保険者たり得る資格を持っているだろう、さっきの大臣の答弁を受けて、そういう法の趣旨ではないかということをお聞きしたがったのでありまして、現実の法律の規定が、大体全労働者に及んでおらないことは私も承知いたしておりますし、今度の法改正に対する中身に対しましても、逐次お聞きいたしたいのでありますけれども、まず、法の根幹をなす思想というものは、労働者すべてが被保険著たり得るという考え方に立っているものだ、このことは間違いないだろうと思うのですが、いかがでございますか。
○住政府委員 最初に申し上げましたとおり、原則的にはそのとおりであります。
○田邊委員 そこで私は、いま大臣の御発言を受けて、この失業保険法というものが目ざすものは、日本の雇用の安定をはかることである、その補完的な役割りを果たすのがこの法律ではないかというふうに考えておるのでございますが、雇用政策そのものが一体どうなっているのか、現状は一体どうなっているか、将来への展望は一体どうなのかということが国民に示されなければ、この法律のほんとうの目的を達成することにもならないだろうと私は思うわけでありまして、政府に確固たる雇用政策があるのかどうかということに対して、実は非常に危惧をいたしておるのであります。 したがって、いま大臣おっしゃられました、雇用政策というものは一体何であるかということを突き詰めて考えてまいりますならば、一つには完全雇用であり、そしてまた完全雇用の中身としては安定雇用である、こういうように私は考えなければならぬと思うわけでございまして、雇用政策の目標というのは、いま私が申し上げた点に帰着させなければならぬのではないか、こういうように思いまするけれども、一体大臣はいかがお考えですか。
○原国務大臣 まことにお説のとおりに、完全雇用であり、また安定雇用であることがその第一義であろうと思います。私どもといたしましても、雇用政策はやはり各人がおのおの適性に応じた仕事において、しかもその能力を十分発揮できるようにいたしたい、こういう考え方からやっております。その結果、完全雇用となり安定雇用と発展していきますが、そういう観点に立って基本的に進めておる次第でございます。
○田邊委員 大臣はこの通常国会の冒頭において、当委員会に労働行政の諸般に問題に対する所信を表明さたましたが、その中でも、雇用問題を第一に取り上げて、これを積極的に推進することを言明されておるのであります。しかし、いま申し上げたように、雇用政策のいわば目標は完全雇用であり、そしてまた安定的なものであるということが望ましいのでありますけれども、さて、それならば、一体最近の雇用の動向はどうであるかということを考えていく際に、必ずしもいまの目標に達しておるとは言いがたいのでありまして、その内容としては各種の障害があり、各種の不均衡があり、そしてまたそれらがかなり複雑に入り組んで完全属用を現在阻害しておる、こういうように私は見受けられるのであります。したがって、その中身に対して私どもは注目をしなければならぬと思うわけでございますけれども、これは私は大きく分けまして幾つかに分かれると思うのであります。 いま申し上げたように、最近の雇用の動向というものは必ずしも均衡のとれたものでない、こういうことがいわれておるのでありまするけれども、その特徴的なものは一体何でございましょうか。大臣でも局長でもけっこうでございますからお答えをいただきたいと思います。
○住政府委員 御指摘のように雇用の問題、大まかに申し上げまして人手不足に進んでおるのでございますが、その中にいろいろな不均衡な問題がございます。 たとえば若年労働力に対しては非常に求人が多い、にもかかわらず、中高年齢層の就職は、よくなってきておるとはいうものの、非常に困難であるというような年齢別の不均衡の問題がございます。 さらには、たとえば新規労働力をとってみましても、ホワイトカラーに対する供給はあるけれども、ブルーカラーないしは技能労働力、そういう面に不足があるというようなこと、あるいは地域的に見ますと、大都市ないしその近郊におきましては、人手不足が非常に深刻でございますけれども、いわゆる過疎地帯ということで典型的に表明されておりますように、農村地域等におきましては、なかなか就職の機会がないという意味での地域的な不均衡の問題がございます。 大体、典型的な不均衡の問題としましては以上のようなところかと思いますが、その他婦人の雇用の問題とか、身体障害者の雇用の問題とか、あるいは季節出かせぎの問題とか、臨時日雇い雇用の問題、そういったことが先ほど大臣が申し上げました完全雇用の問題、雇用の安定という観点から見て、非常に多くの問題、不均衡を残しておると考えております。
○田邊委員 いま局長の御答弁のように、最近は労働力が非常に不足をしておるということがいわれております。その現象は、若年労働力の面からうかがい知れるのでありますけれども、さらにはいまの御答弁にありましたとおり、婦人や中高年齢層に対しては、求人と求職の割合は、たとえば中高年齢層については、三十五歳以上大体一対二ということがいわれておるわけでございまして、きわめて求職難でございます。あるいはまた転職難でございます。婦人の場合も、私はきわめて不安定な状態というものが現在続いておるのじゃないかと思うのであります。 さらに三番目には、地域の格差が非常にひどくなってきておる。あとでこの点に対して、時間がありまするならば私は解明をいたしたいのでありますけれども、首都圏をとってみても、現在大体首都圏百キロの間において、二十キロから三十キロ圏までの間は実はかなりの労働力が集中しておりますけれども、これが五十キロから百キロ圏に広がるにつれて非常に落差が出てきておる、こういうことを考えるのであります。人口の密度からいいますると、いまや五十キロ圏までかなり集中をいたしておるのでありますけれども、労働力の集中の度合いとの差というものはいまだに著しい、こういうことが実はわかるのであります。 そういたしますると、過疎地帯に対する対策というのは、私は今後の雇用政策からいってゆるがせにならない問題だと実は思うのでありまして、このポイントに対してあとでまたお聞きをいたします。これは法律案の中身の問題ときわめて密接に関連をいたしまするから取り出してまたお伺いいたしまするので、あとに譲りますけれども、さらには技術労働者に対する伝統的な軽視というものが今日も響いておるのじゃないかという気が私はいたします。産業や職種の形態によってこれまた大きな落差がある、これをひとつやはり私は直視しなければならぬのじゃないかというように思います。 最後には、局長は漏らしましたけれども、やはり日本の労働力の状態を見たときに、各産業において臨時労働者が依然として多い。このいわば産業予備軍と思われるような臨時労働者の介在というものが、全体的な雇用の安定を妨げておる大きな要因であることも私は見のがせない事実じゃないかと思うのであります。これらがからみ合って、いわば現在安定的な雇用というところにいっておらないファクターをなしておるのじゃないかと思うのでございます。 いま御答弁がありましたこととうらはらの問題を私は申し上げたのでありますが、これは、個々についていろいろと検討することは私は時間の関係で避けまするけれども、全体的に見て、一体どこにその要因があるとお考えでございますか。この安定的な雇用に向かわない各種の障害、これがただ単に日本の伝統的な一つのものとして感じられるのか、やはり産業の配置や近代化その他産業の基本に流れる仕組みにあるとお考えでございますか。さらには政治の舞台においては、経済の高度成長がもたらしたひずみというものがやはりこの雇用安定を妨げる一つの要因になっておるとお考えでございますか。その点に対してお考えがございましたらひとつ明確にお教えをいただきたいと思います。
○住政府委員 このような雇用構造に見られる不均衡は、実は御指摘のようにいろいろな原因があると思います。やはりわが国の雇用の慣行と申しますか、そういうものには長年の労働力過剰時代の観念がまだ残っておるのではないだろうかという気が一つはいたします。つまり若年労働力が豊富であったために、若年労働力を毎年定期に採用いたしまして、企業内で訓練して、そうして定年まで生涯雇用をするというようなこと、あるいは学歴なり勤続年数によりまして職場配置を考えたり、あるいは昇給、昇進を行なうという、いわゆる年功序列的な賃金雇用関係、こういうような面が、わが国の雇用の均衡を妨げているということが言えるかと思います。 それから、御指摘の第二番目の産業構造との関係でどうだろうかという御指摘でございますが、この点につきましても、わが国の産業構造はやはり第一次、第二次、第三次部門というように見ますと、最近は第一次産業部門のウエートが非常に低まってきておりますけれども、なお西欧諸国に比べて割合が高い。あるいは企業の規模を見ましても、たとえば、わが国の場合に、中小零細企業が非常に多い、こういうことが指摘できるかと思うのです。労働力不足と申しましても、ほんとの意味での労働力不足か、いわゆる安定した雇用ということを考えた上で、なお労働力不足なのかというような観点から考えてみますと、そういう部門において、産業構造なり規模間の構造におきまして、非常に問題があるのではなかろうかというように考えます。 それから、経済成長との関係でございますが、これは高度の経済成長をむしろささえたものが豊富な労働力であったというように考えるのでございますが、それが急激であったかどうか。要するに雇用に悪い影響を及ぼしたのではないかという御指摘につきましては、必ずしもそうではなくて、かえってわが国の経済の成長というものが不安定な雇用を解消させるのに役立ってきたのではないか。しかし、今後そういう成長が、はたして雇用に対していい影響を与えるかどうか、これはいろいろ問題があるところではないかというようにも考えております。
○森田委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時七分休憩 ————◇————— 午後一時四十八分開議
○森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。田遊誠君。
○田邊委員 雇用の現状に対して先ほど答弁がございましたが、いろいろな原因をはさみながら、不安定な雇用を解消するという方向に政府は一そうの努力をしなければならぬと考えるのであります。特に最近の労働力不足の動向等もある現状から見まして、この際、やはりこの不均衡なりあるいは各種の障害というものを取り除くには、絶好の機会であることは間違いないと思います。言うなれば、この機をのがしてこれらの要因というものを除去することはでき得ないのではないかと思うのでありまして、一そうの安定雇用に向かう方策に対して御努力をいただきたいと思うのであります。 私は、労働省が閣議決定によって出されました「雇用対策基本計画」、一昨年春のものを拝見をいたしましたが、いわば問題点を羅列しているということについては、現状分析に役立つものはございまするけれども、しかし、その今後の見通しなり、それから今後に対処する政府の態度なりについては、私はきわめて抽象的であるというふうに考えざるを得ないのでありまして、これをもってして万能薬だというふうには何としても言いがたいと思うのであります。あるいはまた昨年、「日米両国の雇用政策」として「日米雇用共同研究報告書」なるものを出しておりまするけれども、これは対外的な一つのPR雑誌でもありまするから、そういう面で割り引きして見なければならぬかもしれないけれども、それにしてもきわめて楽観的な見通しを載せておるのでございまして、こういった形だけではたして今後の雇用計画が足れりとするならば、私は非常に危険ではないかと思うのでございます。 そこで、実は幾つかの特徴的なものをとらえて質問をいたしたかったのでありまするが、だんだんと時間が切迫をいたしておりまするので、私はその中でも特に、一つは中高年齢層の問題、もう一つは季節的な労働者、農業からの転職者といわれる労働者の状態、このことに対してひとつぜひお伺いをいたしたいと思うのであります。女子労働者の問題もきわめて重要な問題ですが、またいずれ機会を見てお伺いをいたしたいと思います。 そこで、この「雇用対策基本計画」の七ぺ−ジに季節出かせぎ労働者の問題が提起をされておりまするけれども、今後長期的に見た場合には、この供給源はますます減っていくんじゃないか。季節出かせぎ労働者は、今後長期的に見た場合には漸減の方向にいくんではないかという、こういうことが書かれておるのでございまするけれども、あなた方の見方は、一体こういう見方をされた上に立って対処されようといたしておるのか、ひとつあらかじめお伺いしたいと思います。
○住政府委員 農業からの季節出かせぎ者の数字につきましては、昭和三十五年の数字を見ますと、農林省の調査によりますと十七万五千ということになっておりますが、以降逐年ふえてまいりまして、たとえば四十一年にはこれが二十三万五千、四十二年にはやや減りまして二十一万九千、こういうような傾向になっておりまして、四十年までは大体その数が増加の一途をたどっておったのでございますけれども、最近その傾向がおさまりまして、大体二十二万前後と横ばいになっておる。これは御承知のように、たとえば昭和三十年の初めごろには日本の農業の人口が千五百万、それが最近では千万というように、農業就業人口も減ってまいってきておりますし、将来こういった傾向が続くと考えておりますので、私どもとしましては、大体現在が最高の水準のところでなかろうか、こういうように考えておる次第でございます。
○田邊委員 したがって私は、多少の減少はあると思いまするけれども、現在の農村の兼業化の状態あるいは核家族化の現状、そういったいろいろの要素というものが急速に解消するということがないといたしますならば、この季節出かせぎを中心とした農村からの労働者群の流出というのは、やはり当分続くと見なければならないと考えるわけであります。それは、季節的なものであるか、あるいは通年雇用的なものになるか、あるいはまた定着をして労働者として雇用の中に入るものかという、そういったいろいろ分類はありましょうけれども、私はやはり、農村からの流出、そういった供給源というものはかなり続くものと見なければならぬと思うのでございます。そういう点から言いますと、先ほど申し上げたこの「日米両国の雇用政策」の一一ページに「雇用構造」として、日本においては非近代的な家族経営農業が広範に残存しておった、非農林部門においても生産性の低い零細企業が広範に存在していた、ところがこれが戦後の高度成長によって急速に解消に向かってきた、雇用構造も大いに改善された、こうなっておるのでございまするけれども、これは、これだけの文言ですべてを律することは早計であるにいたしましても、これだけで現状を正しく分析をしておるというふうにはどうしても私は考えられないのでございまして、農村におけるところの労働者の流出状態というのはやはり今後も続くという認識がまず正しいのではないか、このように思うのでありまして、これは念のために一言お答え願いたい。
○住政府委員 私、先ほども申し上げましたように、農業就業人口は今後減少傾向をたどる、したがってそれは農村地帯からの流出というかっこうになってあらわれる、こういうように考えております。
○田邊委員 それが、やはり雇用の安定という面から見たときには、非常に不安定雇用の要素になっておるのじゃないか、私はこういう感じがいたすのであります。 その問題、引き続きお聞きしたいと思ったのですが、一つだけその間にはさましていただきたいのは、不安定雇用のもう一つの原因は、さっき申し上げた臨時の労働者の問題もありまするけれども、企業的に見た場合に、中小企業の現状というものがこれに拍車をかけるということがいわれておるわけであります。中小企業の倒産の状態というものは、これは主題ではございませんから、ここでもって私は特に申し上げることはないのでありまするけれども、倒産の状態というものが、ここ十年の間に倒産件数においても約十倍、負債の金額にいたしまして約十五倍以上の状態というものを現出をしておる、こういうことを私どもは非常に危惧するわけでございます。しかもその主要な業種というものが、たとえば飲食業であるとか、あるいは雑貨販売であるとか、そういうきわめて零細な中小企業あるいは商店なり、こういう第三次の産業部門に非常に多いということ。あるいはまた、現在の花形といわれる電気器具の零細な販売会社なりあるいは部分品の製造会社なり、そういったところが非常に多いということ。さらにはまた、建築関係の下請関係中小企業、あるいはまた、木材の搬出やその他の製品をつくっている中小企業、こういうところに非常に倒産が多いということ。これは私は、何といっても日本の特徴的な現象ではありまするけれども、これらが逐年減少しているんじゃなくて、非常にふえておるという状態。一方において大企業が栄え、非常な伸びを示しておるといわれる高度経済成長の中で取り残されつつあるところの、これらの企業の倒産の状態というものが及ぼす影響というのは非常に大きいと思いまするし、私どもがいま主題にいたしておりまする雇用問題に限ってみても、この中小企業の倒産によるところの失業やあるいは転業、転職というものの事態が発生していることに対しては、非常に私は危惧するわけでございまするけれども、これらに対して、一体、雇用の安定という面から見て、どういうようなぐあいにこれを見られて、その対策を講じられようといたしておりまするか、この際ひとつあわせてお聞きいたしておきたいと思うのであります。
○住政府委員 中小企業の倒産の原因につきましては、これは販売不振とか放漫経営、あるいは売り掛け金の回収困難とか、こういうようなことが原因になって、御指摘のように倒産件数が増加傾向を示しておるというのが現状だと思います。と同時に、中小企業におきましては、非常に人手不足を訴える声も多いわけでございます。何よりもまず私ども、先生御指摘のように、雇用の安定という観点から考えますと、中小企業そのものの体質の強化が必要であるというように考えております。中小企業そのものの体質が非常に弱くて、非常に不安な企業経営であるならば、そこにあらわれる雇用関係も当然不安定なものにならざるを得ないわけでございまして、そういう意味で、中小企業の体質の強化あるいは中小企業の近代化促進ということが大前提になると思うのでございます。と同時に、労働面におきましては、やはり十分な労働条件あるいは魅力ある雇用関係、こういうことが必要なのでございます。こういう面への配慮も十分いたしまして、中小企業の雇用の安定に努力すべきものだと思います。
○田邊委員 そこでひとつ、中小企業の問題が出ましたので、私は最初の質問に戻りたいと思うのでございますが、安定雇用を目ざし、そしてそれによって完全雇用を目標とする雇用政策の面からいって、この中小企業の倒産等の状態というものを踏まえたときに、この企業に対する体質改善なり強化なりということが必要だといういまのお答えを、私どもはやはり政府が着実に実施をしてもらいたいと思うと同時に、そこに働く労働者の不安定な状態というものを、われわれは正しく見詰めなければならぬと思うのであります。これをどうやってカバーをしていくか、どうやってこれを救っていくかということが、私は当面政治に課せられた大きな任務であることは間違いない事実だろうと思うわけでございまして、そういった点から見て、同じ働く才能を持ち、その意欲を持ち、そしてまじめに働いている労働者が、たまたま中小企業におったことによって起こる失業、転職の悲劇というものを、私どもはこれを何らかの面でカバーすることは、これはもう当面ないがしろにできない急務であると思うわけであります。私は失業保険の適用ということを考えるときに、今度の法改正の中で一つの大きな柱である五人未満の事業所に対してこれを適用せんとする考え方というものを、私どもはそういう面から見なければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。 そこでお伺いいたしまするけれども、今回の適用範囲の拡大という法改正の趣旨をいまの観点からとらえた場合に、五人未満の事業所への適用拡大というのは、これはもう急速にして、しかもきわめて重点的な施策として取り上げていかなければならないことではないか。失業保険の持つ本来の性格から言いましても、当然すべての事業所に働く労働者をこの失業保険の被保険者、適用者にするという観点から、われわれはながめなければならぬと思うわけです。この考え方から見ますると、今回の法改正はきわめて微温的な立場をとっているのじゃないかと私は思うのです。私はあとでもってお伺いをいたしますけれども、その作業的な面、事務的な面である程度の年数が必要であるということについての現状は、私は否定することはいたしません。しかし、いずれにいたしましても、いま申し上げた日本の企業の体質を改善するという観点から、その労働者を救うという観点から、この五人未満の事業所に対するところの適用は、何か微温的な形で段階的にこれを行なうというようなことは許されぬではないか、こういうように私は考えるのでありますが、ひとつこの適用拡大の問題に対する基本的なかまえをこの際明確にしておいていただきたい、こういうように思うのであります。
○住政府委員 御指摘のように、中小零細企業そのものが不安定であって、したがって当然雇用も不安定で、失業の機会も大企業労働者に比べて非常に多い。そういうような観点から、すみやかに五人未満の事業所に対する当然適用を行なうべきものと考えるわけでございますが、御承知のように、五人未満事業所は約百二十五万、現在失業保険が当然適用、強制適用になっている事業所が約六十万。とにかく五人未満の事業所について申し上げますと、二倍以上の事業所になるわけでございます。趣旨としてはすみやかに当然適用すべきものと考えるのでございますが、こういった事業所の把握に必要な事務体制その他の関係から見まして、やはり一挙にこれを直ちに適用するということは非常に困難がございます。そういう意味で、今回の改正法案におきましては、たてまえとして全面適用、こういうことにいたしておるわけでございますけれども、附則におきまして、政令でもって適用業種を逐次きめましてすみやかに全面適用をはかる、こういうかまえにいたしておるわけでございます。
○田邊委員 それならば、あなた方が当面考えられている適用企業というものは、一体どういうものを考えていらっしゃいますか。
○住政府委員 私ども、法を改正後、当然適用の準備をいたしまして、さしあたりまして四十六年の四月から、製造業、建設業、電気・ガス・水道業あるいは運輸通信業、こういうものにつきまして当然適用をはかりたいというように考えておるわけでございます。
○田邊委員 一番の問題は、そういった適用事業所をこれから拡大をするわけでありまするけれども、いろいろな事務的な面の支障があるというような話もございまするが、これは一つの心がまえと順序さえ間違えなければ、当然その拡大は早期にできるものと私は判断をいたすのでありまするけれども、とりあえずいまお話しのあったような適用事業所の完全適用をはかるとすれば、一体その部分については何年ぐらいかかると見込まれますか。
○住政府委員 私ども、先ほど申し上げました四業種につきまして四十六年度から当然適用の実施をはかるわけでございますが、さらに三年後をめどといたしまして、全業種の適用をはかっていくつもりでございます。そういう観点からいたしまして、やはりその計画が実施できるためにも、先ほど申し上げました四業種の適用ということが、大体その期間内に完全に適用し得るという前提に立ちまして、さらにその他の業種の当然適用を考えておりますので、大体そういうめどで進んでまいりたいというように考えておるわけでございます。
○田邊委員 そこで、残されたいろいろな企業に対して一体どういう措置をとるかということは、当然私どもはこの際考慮しなければならない重大な問題であろうと思うのです。農林業なり水産業なり、あるいはその中におけるたとえば畜産業なり、そういったものがかなり企業的な色彩を帯びてきたことは、近来見のがせない事実であります。したがって、そこに働く労働者も、ただ単に季節的なもの、あるいは寄りかかり的なものではなくて、きわめて独立をし、それによって生活を維持し、通年的に雇用されるという状態というものが出てきていることは、これは間違いない事実であろうと思うのでありまして、この部分を除外することは許されないことではないかと私は思うのでございまするけれども、これらの面に対してこの適用をはかるということに対しては、一体、どういうような見込みで、どういうような見通しの上に立ってこれを考えていらっしゃるのですか、この点をひとつ明確にお聞きいたしたいと思います。
○住政府委員 私ども、当然適用をどのように計画的に進めていくかということにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、しかしながら、当然適用の問題を離れまして、任意適用の余地もあるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました四業種につきましても、四十六年度まで放置しておく、あるいはその他の産業につきましてはさらに放置しておくということではございませんので、その間任意適用の範囲を推し進めていくことによりまして実質的な適用の拡大をはかっていく、これを基本原則にいたしまして、全面適用が容易になるような体制をつくっていかなければならぬというように考えております。と同時に、いま御指摘のように、たとえば農林水産業につきましては、改正法案におきましては任意適用ということになっておるのでございますけれども、この点につきまして、たとえば施設園芸とかのように、あるいは畜産業のように、季節性のない業種と申しますか、事業が当然ございます。それから林業につきましても、通年雇用が行ない得る業態もございます。そういうように、季節性の克服されている事業につきましては、当然任意適用を行ないまして、そういったところに働いている労働者に対する失業保険の加入を認めていかなければならない、こういうように考えております。
○田邊委員 ひとつ質問に正確にお答えをいただきたいのでありますが、私は、その間における暫定措置としての任意適用の問題はまたあらためてお聞きをしたいと思っているのです。しかし、私どもが先ほどから問題として詰めておりまする五人未満の事業所に対するところの当然な適用は、これはひとつ早期に全業種にわたってなさなければならない、これがやはりこの失業保険法の持つ意味からいって当然のことである、こういう観点から、いま直ちに適用範囲に入っておらない農林業なり水産業なり、そういったものをとらえて、あなた方は一体どういう構想で、どういう決意で今後この適用をしていこうとするのか。これに対するところの態度がやはり明確でなければ、私は、その問における任意適用をしているということについても、これを正しく受け取るわけにいかない、こういうように思うのでありまして、それに対するところのこれから先の決意を明らかにしていただきたい、見通しを明らかにしていただきたい、こういう質問でありまするから、ひとつ正確にお答えをいただきたいと思います。
○住政府委員 第一段階といたしまして、四十六年度を目標にいたしまして、製造業、建設業、気・ガス・水道業、運輸通信業、こういうものを当然適用にいたしていく。そこで、それらの業種に対する当然適用事業所把握の状況等を考えまして、その後三年前後のめどで農林水産業を除く業種についての全面適用をはかってまいりたい、それから後に農林水産業の適用問題を考えてまいりたい、こういうように現在考えておるわけでございます。
○田邊委員 そこで、さっき申し上げたような観点から言いまして、局長からお答えいただきました四業種ばかりの適用拡大をはかっていくというお答えだけでは、これはどうしてもやはり十分ではないと私は思うのであります。たとえば海運、水産業関係にいたしましても、いま船員法の適用を受けておらない五トン以下の小型船舶の人たちに対しても、これは通年雇用であって季節的なものでないというのが、もうほとんどになってきているということは疑いない事実であります。あるいはまた、特に私どもの山間僻地では、木材の搬出が非常に盛んでありまするけれども、製材工場などについても、五人未満の小規模のものがかなりございまするけれども、もう季節的な企業体ではないことは御案内のとおりであります。一体こういうものをこの範疇に含めるのか、あるいは農林業なり水産業としてそれはやはり三年後の適用という中に含めないのかということを明らかにしていただかないと、これらの業種に携わる人たちは、一体いつになったならばこの適用を受けるのかということに対して非常に不安と疑念を持っていると思うのでありまして、これらに対しては一体どういうお考えでございますか。
○住政府委員 いま御指摘の林業の木材の製材等に関しましては、これはもう製造業で当然に適用になるというように考えておりますが、植林だとか苗の植え付けその他、そういった種類のほんとうの林業あるいは農業につきましては、まだ季節性があるというように考えておりますので、そういうものに対する適用は最後の段階で考えていきたい、こういうように考えております。
○田邊委員 そこで、その次の段階についてのお話もございましたから、ひとつこれに対しては政府側がさらに明確な態度を示していただきまして、全職種に対するところの適用を一体どの時点でされようとするのか、やはり明らかにしてもらう必要があると私は思いまするが、これに対してさらに突っ込んだ質問をあらためていたす予定でございます。 いまは局長から、農林業や水産業等については、この間において、当然適用の前の段階において任意適用制をひとつ活用していきたい、こういうお話がございました。これはもう当然のことであります。私が言いましたように、これはあくまでも暫定的であるという御認識はお持ちいただきたいと思うのです。それはいいですね。しかし、任意適用というけれども、一体いままで、この農業や林業に携わっておる者に対するところの任意適用については、ほんとうに適切な活用方法をとっていらっしゃったのかどうか。私は逆じゃないかと思うのです。かなりの制限を加えておったのではないかと思うのでありますけれども、その点いかがでございますか。
○住政府委員 農林水産業が任意適用になっておりまして、失業保険の適用を受けますためには認可が要るわけであります。その認可の基準につきまして、現在、三十九年度までに認可された事業につきましては、離職者の全労働者に占める率が五〇%以内、それから三十九年度以降、つまり四十年度からは、率が二五%以下のものについて任意適用として認可をする、こういう基準によりまして認可をいたしておるわけであります。
○田邊委員 一体、新規の申請がどのくらいございまして、どのくらいその中で認められておりますか。
○住政府委員 昨年九月現在におきまして、適用事業所の数は六千八百九事業所、被保険者の数にいたしまして八万七千三百人、こういう状況になっております。
○田邊委員 最近、新規の申請を認めないというようなことはございませんか。
○住政府委員 先ほど申し上げました基準に従って、その基準に合致するものについては認めております。
○田邊委員 そこで私は、それはもう非常に何か相手のいまの状態というものを危険視し、疑問視し、危惧の念を持って対処しているんじゃないかと思うんですね。五〇%といい二五%といいまするけれども、私はやはり、それらの制限を加えるくらいなら、これはいままでの適用事業所についてもそういった制限が加えられるということになってくるのじゃないかと思うのですけれども、この農林業なりその他、現在強制適用というものをはずされておる職種についてだけこの離職率をきめたり制限をしたりというようなことは、私はあまり見方としては賛成できないのじゃないかと思うのです。今後、そういった企業の性格というものがだんだんと通年雇用に傾いてきている現状を考えたときに、できるだけ進んで任意適用を与えるような措置というものが必要ではないか、それが将来にわたって企業分布を働かせ、あるいは通年雇用を促進させ、雇用の安定をはかるという道につながるのじゃないかと私は思うのでありまして、そういった一つの離職率等の制限を加えておることに対して、私は今後さらに再検討の必要があるのじゃないか、こういうように考えますけれども、いかがでございますか。
○住政府委員 一般的に、強制適用でない部門につきましては、任意適用を極力推進して、できるだけ失業保険の制定が利用できるように、いろいろ努力をいたしておるわけでございます。農林水産業のように季節性のある産業につきましては、そこに働く労働者は一定の時期に毎年繰り返して失業をする、こういう事態に対して失業保険を適用するということは、失業保険の保険の原理から考えましても、あるいはこれは労使が保険料を拠出し合っておるわけでございますが、そういった意味で、負担なり給付の公平という観点からいっても妥当でない点があるというように考えまして、従来この基準によって農林水産業に対する任意適用の基準といたしてきておるわけでございまして、季節性の点についてはっきりした自信がない限り、こういうような基準はある程度避けられないのではなかろうかというように考えております。
○田邊委員 ですから私は、そういう離職率の制限を加えるような形でものを見ていくというところに、大きな疑問を持っているのです。それじゃ、中小企業なりその他の、いままで当然適用を受けている部門についても、そういうことはあるいはあり得るかもしれぬですね。そういったことでなくて、あくまでもやはり失業保険の適用については、それぞれ資格の範囲は明確になっておるわけでございますから、そういったいわば制限なり規制というものはその面で加えられておるということを考えたときに、これらの企業に対して一定の離職率等の制限を加えることは、やはり法の精神から言いまして決して適切なものでない。ただ、それがいまの事務上一つの危険防止という形で皆さん方が見られているということについて、私は全然否定するものではないけれども、あくまでも法の根幹を流れる精神からいけば、通年的に働く労働者がおれば、それに対しては当然被保険者としての資格を与える、失業した場合には失業保険の適用を与える、失業保険金を支給し得るという、そういう可能性というものをなるべくたくさんつくっておくことが必要ではないか、私はこういうように思うのでありまして、ただ単に、一つのそういったものを包括的に見て、給付率を掛けてその範囲でものを処理するという、こういうやり方だけが正しいというふうに認識をされることについては、私はどうしてもがえんじることができないのでありまして、私の考え方が間違いであれば、その点に対して一つの反発をしていただくと同時に、今後さらにこれに対するところの慎重な配慮と検討が必要ではないか、私はこういうように思うのでありますけれども、ひとつ最後の御答弁をいただきたいと思うのです。
○住政府委員 前の結論を繰り返すようでたいへん恐縮でございますけれども、保険という制度である以上、その事故というものが確実に予見される、こういう事故は保険という制度になじまない。やはり保険の対象となる事故が非常に蓋然性のあるものでなければならないと思うのでございますが、そういう意味で農林水産業は、まだ毎年毎年一定の時期の失業を繰り返すという状態がある限り、現在の失業保険制度のたてまえから申し上げまして、一つの基準もやむを得ないかと考えておる次第でございます。
○田邊委員 そういう考え方というものがいわゆる保険主義といいますけれども、これは健康保険その他のことも同じだと私は思うのです。その適用事業についても、そういった危険なり——あなたの考え方に立てば、それを除去するような考え方におちいると思うのです。しかし、それは時代の進展なり、言うなれば、この法の持つ本来の精神からいいまして、だんだんに変えていかなければならぬ時代が来たと私は思うのです。ただ単に、何かそういったものが非常にあぶないものであり、企業体として成り立ち得ないものであるから、したがってこれを全的に入れることはいかがか、こういう考え方でなくて、本来は労働者に対して、失業した際に、能力がありまた働く意思があれば、その期間だけは生活のめんどうを見てやろう、生活の安定をはかってやろうというのが法の精神であると思います。そういった点に対して、やはりなるべく適用できるような考え方を持つべきじゃないか、こう言っているのでありまして、いわゆる企業だけを主として見て、その企業体のあり方だけをながめていくということは、その目標を失うおそれあり、こういうように考えて、ものの考え方としては、私の言っているような考え方があるべき姿ではないか、こういうふうに言っているのであります。したがって、全部いまの状態を否定して、そのワクを取っ払えということをいま直ちにやれということを私が言っているのではないのでありますから、そういう点に対してはお間違いないようにしていただくと同時に、この点はやはり基本的な問題でありますから、あなたのいわゆる現実的な、表面的なお答えだけでなくして、もう少しその底に流れるものまで含んだお答えをいただかなければ、私はどうもがえんずることができないのです。こういうように思うのです。
○住政府委員 これはさきに申し上げましたように、やはりすべての労働者が被保険者たり得る、これは先生の御指摘にお答えして私申し上げたところでございます。それは将来、農林水産業といえどもやはり当然適用の対象になる業種と考えております。先ほども申し上げましたように、いろいろの観点から二段がまえで今回の改正案を実施していこうということを申し上げたのでございますが、その後に考えられますものは当然農林水産業でございます。そういう意味で、農林水産業に対する当然適用について否定は申し上げているわけではございませんけれども、なお現在の段階においては、先ほど申し上げました季節性の観点から、任意適用で臨まざるを得ない、こういうように申し上げておるわけでございます。
○田邊委員 大体理解の点ではある程度理解し合ったのではないかと思うのでありますが、やはりいろいろな事務的な面やいろいろな作業の面から段階的な適用拡大をする、こういう状態に対して私は非常に不満であるけれども、それはそれなりのやむを得ざるものもある程度認めておるのでありますが、これは、全的に適用できるようなことは早期に計らうことが何といっても望ましいことでありますから、その点に立ってやはり作業を強力に進めていただくことがあくまでも必要であろうと思いますし、その間における任意適用も、その前途を考えてみたときに、やはりできるだけそのワクを広げ、適用ができるような状態というものをつくり上げることがその次のステップになるであろう、私はこういうように考えてややしつこく質問をいたしたのでありまして、そういった観点でひとつ今後に対処していただきたいと思います。 大臣、いまお聞きでもって大体おわかりのとおりでありますが、当然五人未満の適用事業者については、将来これが全業種に及ぶように配慮しなければならぬと同時に、その作業はひとつなるべく早期にやっていただくことがどうしても必要である。これは、この次お話を申し上げる季節労働者の資格、受給制限とのからみも当然出てくるものでございますだけに、これに対しては一つの決断と配慮をお願いしたい、こういうふうに思っておるわけでありますが、大臣のほうからあらためてひとつこれに対するお答えをいただきたいと思います。
○原国務大臣 田邊さんの御趣旨まことに同感でございます。御承知のごとく、すべての労働者が保険を受けられる被保険者になれるということは当然でありまして、そういう趣旨でこの法律案も提出いたしておりますので、御趣旨のように、いろいろ事務的にも促進させまして、作業を急がせて御期待に沿うように万全の措置をやりたいと思っております。
○田邊委員 ぜひひとつ、その間におけるいろいろな任意適用等についても十分な配慮をいただきたいことを、私は特にお願いしておきたいと思います。職安審議会においても、可及的すみやかに全面的な適用をするようにという答申が出ておるわけでございますから、この趣旨もひとつぜひお忘れなく、これが具体化に推進をしてもらいたいということを特にお願いしておきたいと思います。 これに対して、あるいはあらためてまた再度いろいろとお聞きをする機会もあろうかと存じますので、ちょっとここでお聞きをしておきたいのでございますけれども、実は、職安審議会に諮問をする前のあなた方の考え方を聞いたときには、国や地方公共団体の職員の適用除外をする、こういうことでございます。これを審議会に諮問したのでありますけれども、提出された法案では削除されておるのでございますが、今後の取り扱いは一体どういうようにされるおつもりでございますか。これに対しては林野庁や自治省の考え方もお聞きになっておるのではないかと思うのでありますけれども、これは、公務員の場合におけるこれらの問題は、退職手当法の適用によるのか、失業保険法の適用によるのか、ひとつこの点の見解を明らかにしておいていただきたい。あわせてこれらの職員に対するところのいままでの既得権は当然確保さるべきである、こういうふうに思っておりますので、今後の取り扱いに対するお考え方をお聞きをしておきたい。
○住政府委員 過程におきまして、いま御指摘のようなことがあったことは事実でございます。いろいろこの点につきまして関係各省なり内部で検討いたしました結果、この点についての改正は今回しないということで法案が提出されておるわけでございます。したがいまして、今後の問題としまして、現状に変わりがないわけでございますから、いままで受けておりました措置については今後も同様な措置を受ける、こういうことになるわけでございます。なお、この問題につきましては、より以上の方法があれば何も失業保険の適用はなくてもいいわけでございます。そういう点につきましてはさらに関係各省とも相談していきたい、こういうように思っております。
○田邊委員 問題を進めてまいりたいと思うのでありますが、いまわれわれが一番問題にいたしておりまするのは、何といっても農村の出かせぎ労働者といわれる人たちに対してどういうように対処をするかということでございます。そこでひとつ、この季節出かせぎ労働者の現状に対して少しくお伺いしておきたいと思うのでございますけれども、現在、兼業農家といわれるもの、この兼業農業に従事しておるところの人たちというものは、一体どのくらいあるとお考えでございますか。これは農林省のほうからお答えをいただきたいと思います。
○剣持説明員 ただいまの御質問は、兼業農家の率ということですか、それとも出かせぎ……。
○田邊委員 いや兼業農家の率。
○剣持説明員 兼業農家の率は、大体現在七十数%が兼業農家ということになっております。
○田邊委員 それに従事する人の数はどのくらいでございますか。
○剣持説明員 兼業農家、専業農家別の就業人口は必ずしも明確ではございませんが、四十一年の数字を申しますと、兼業従事者が七百六十五万程度ということになっております。
○田邊委員 四十一年の兼業従事者は大体七百六十四万六千人というあなたのほうの統計でございますが、この内訳で、いわゆる雇われ兼業といわれるものと私営兼業といわれるものの割合は、一体どのくらいでございますか。表としてはここに出ておるようでございますけれども、割合は一体どのくらいでございますか。
○剣持説明員 雇われ兼業が大体七八%、それから残りが私営兼業と申しますか……。
○田邊委員 雇われ兼業といわれるものが五百八十四万八千人で約八〇%近いのでありますが、これを、いわゆる恒常的な勤務者と、人夫、日雇い等をやる者と、出かせぎの者と、こういうふうに分類をされておるようでございまするけれども、この中で出かせぎの人たちというものは、一体どのくらいの率になっておりましょうか。
○剣持説明員 出かせぎは大体四%程度でございます。
○田邊委員 兼業農家は、今後の状態としては、一体増加をするというふうに見込まれておるのでございましょうか。あるいは現状維持という形に考えられておるのでございましょうか。
○剣持説明員 兼業に従事するものは将来ふえるのではないかというふうに見ております。
○田邊委員 あなたのほうの出かせぎ関係統計資料というのは、いまあなたがお持ちのは四十三年一月の資料でございますか。
○剣持説明員 四十四年一月でございます。
○田邊委員 四十四年じゃ私のは古いから、もうちょっと新しい正確なのをひとついただきたいと思います。 私が拝見しております資料によりますと、兼業農家は増加をするという傾向にあるようであります。その中で、さらに内訳として考えられる雇われ兼業というのは、一体どういう傾向でしょうか。
○剣持説明員 雇われ兼業の中には、恒常的な勤務をする者、出かせぎ人夫、日雇いというように、安定したもの、それから不安定なもの、両方含んでおりますけれども、人夫、日雇い、出かせぎ等は……。
○田邊委員 総括して……。
○剣持説明員 総括しますと、ややふえるのではないかというふうに考えております。
○田邊委員 たたみかけて恐縮でございますが、その中で季節出かせぎ労働者は、一体どういう傾向にございましょうか。
○剣持説明員 出かせぎに限って言いますと、近年の傾向といたしましては、若干横ばいあるいは減少ということになっております。
○田邊委員 それをひとつ、年度別にもう少し詳しく御説明願いたい。
○剣持説明員 統計の資料といたしまして、出かせぎ関係で一番整備されておりますのが農家就業労働調査というものでございますが、その数字を昭和三十五年ごろからのものを申し上げますと、三十五年が十七万五千人でございましたが、それから次第にふえまして、三十八年に二十九万八千人となりました。これが大体いままでのピークでございまして、それ以降若干ずつ減少いたしておりまして、四十年以降二十三万程度で横ばいということになっております。
○田邊委員 大体十年前あたりから比べますと、非常にふえてきているという現状でございますね。 そこで農林省にお聞きしておきたいのです。私の資料で見ますと、特に生活の状態がどうなっているかということに私は一番の関心を持つのでありますが、その中で農業に従事する人たちの家計のおもな収入というものを拾ってみた場合に、出かせぎによるところの収入というのがかなりのウエートを占めているように思うのでございますが、この私の資料では、農業関係のおもな収入は、青森県の例がここにあるようでございますが、青森県の出かせぎ労働者実態調査中間報告というものによりますと、一年間に農業の全収入が一人当たり五十八万六千二百円という中で、出かせぎによるところの収入が二十七万五千百円で四六・九%になっているということを聞くのであります。それで、これからひとつ結論に近いことを言うのですが、失業保険による収入が五万二千五百円で約九%。一割に近いものが失業保険の適用によって収入源となっている、こういう調査表があるようでございますけれども、これは大体そのとおりでございましょうか。
○剣持説明員 ただいま先生がおっしゃいましたのは、昭和四十一年ですか、青森県だけにつきまして実態調査を行ないました結果の数字だと思いますが、その限りにおいては、実態調査ですので、そういう結果が出ていると思います。
○田邊委員 これはたいへんごめんどうな質問をして恐縮でございますが、青森県は、当委員会にも青森県出身の委員がおるのでございまして、失業保険法の改正にたいへんな関心を持っていらっしゃる。さきの委員会におきましても、この失業保険法の改悪には反対の意思表示をされた青森県出身の議員もおるやに伺っておりますので、特に関心を持って実は調査をさしていただいたのですが、生活状態が非常に悪いのでございますね。この青森県の例で所得階層別出かせぎの世帯数から言いますると、被保護者が一・三%、住民税非課税のものが三・五%、住民税均等割り課税のものが七八・七%、住民税所得割り課税のものが一六・五%ということですから、ようやく均等割りの住民税を払っておるものが圧倒的に多いという、こういう状態のようであります。これらの人々の生活状態というものは非常に悪い。必ずしもその地場の農業だけによって生活を維持することができておらない、こういうことが統計上からいわれておるのでありますが、そういった点から私どもはひとつお伺いいたしたいのであります。 このような状態の中で、季節の出かせぎ労働者への対策というものは一体どういうふうになされておるのか。まず農林省の側から見た場合において、これらのいわば兼業農家、雇われ兼業の中における——人夫もありまするけれども、出かせぎの労働者になっておるところの農業従事者に対する対策というものは一体どういうものであるか。これは農業の基本に関することですから、当委員会で詳しくお聞きをすることは私は避けたいと思います。ごく概括的でけっこうでありますから、実は、あなた方のほうの方針に対して、この際法律案の審議とからんでおりますので、お伺いしておきたいと思います。
○剣持説明員 農業から他産業に就業をする者全体につきまして、農業就業近代化対策事業というのを一これは従来からやっておりましたが、四十四年度に強化いたしまして、農業就業近代化対策事業といたしまして、農業委員会を中心にいたしまして、出かせぎも恒常的な勤務も全部含めまして、そういうような就業相談活動を中心にやっております。それからなお、出かせぎ家庭につきましては、その残された家族の生活とか営農等についていろいろ問題もありますので、これは生活改良普及員の普及組織を通じまして、出かせぎ留守家族の援護措置といいますか、指導を生活、農業面両方にわたって実施いたしております。特に、他産業就業者についての農林省といたしまして現在やっております対策は、大体そういったようなものであります。
○田邊委員 私は突き詰めてお聞きをすることはこの際いたしませんが、これは釈迦に説法でありまするけれども、基本的には農業の安定的な発展がはかられなければ、これはどうしても兼業農家を含めてこれらの人たちに対する安定はないのでありまして、本来、出かせぎをしたいとか人夫に出たいという、こういう形でもって出ているわけではございませんでしょうから、何といっても農業のそういった安定というものが、いわば今後に対処する基本であることだけは間違いないわけでありまして、これに対して、私は郷党の先輩である長谷川農林大臣に機会を改めてお聞きいたしますから、あなたのほうに対する御質問を突き詰めていくことは避けたいと思います。ありがとうございました。 そこで、大臣なり職安局長、いま農林省の側から見た、こういった出かせぎ労働者に対するいろいろな統計なり、生活の状態なり、それに対処する方策なりについてお聞きをしたのでありますけれども、また一面、出かせぎをしておる労働者の雇用の安定というものが非常に重要な問題でございますることは、先ほど来の論議でおわかりのとおりであります。これは企業的に見た場合に、一体どういうところにこの不安定な要素があり、それからまた、どういった対策を講ずることが焦眉の問題であるかということに対して、ひとつあなたのお考えをお聞きしておきたいと思うのであります。
○住政府委員 いまも農林省のほうからいろいろ実態の説明があったのでございますけれども、農業からの出かせぎにつきましては、一つはたとえば農閑期を利用する出かせぎ、それから、そうでなくて専業的な出かせぎ、分け方はいろいろあると思いますが、そういう分け方もできると思うのでございます。専業的な出かせぎにつきましては、これはできるだけ通年雇用をはかりまして雇用を安定させる。これはでき得るわけでございまして、そういう意味での援助を労働者なりそれを雇う事業主に対してしていきたいというように考えておるわけでございます。それから副業的な出かせぎにつきましては、これは農業が本業でございますので、何よりもまず農業によって安定した生活ができるということが理想だろうと思うわけでございます。しかしながら、そういう理想はなかなかできないとするならば、それに合わせまして、たとえば遠隔地への出かせぎではなくてできるだけ居住地に近い場所における雇用機会をつくり出すというようなことによりまして、農業と出かせぎによる労働が両立し得るような体制をつくっていくことが必要かと考えております。
○田邊委員 一般的に言えば、いまお話のあったようなことがその要素として並べられるだろうと思うのです。私は、企業の側から見たときに、これらの出かせぎ労働者なり、あるいは臨時工もそうでありまするけれども、そういったものに対するところの企業の観念、考え方というものがやはり改まらなければ、何としてもこれを安定雇用に向けていくことはできないのじゃないかと思うのです。たとえば安い賃金でもって雇用できるという、こういうことに対する考え方、あるいはまた、そもそもがこれは季節的な労働者であるから、そう長いこと雇えないのだから、ある期間だけ雇っておればそれでよろしいのだ、あとはどうなってもかまわぬということですね。あるいはまた、こういった労働者を雇うことをやむなくするという要素も私はあると思うのです。それは言うまでもなく、大企業が下請企業に対するところの安い下請代金をしいておる、こういう現状というものが安い労賃によって労働者を雇わなければならぬ大きな原因になっておることも、これはもう疑いない事実であります。したがって、こういういわば企業の側からする考え方というものを逐次改めていかなければ、この人たちを安定的な雇用に向けることはでき得ないのじゃないか、そういう障害がそこにあるのじゃないかということも、一面の真実ではないかというように私は思っておるのでありまするけれども、その点に対しては一体どういうお考えでありますか。
○住政府委員 田邊先生の御指摘のとおりでございまして、常用労働者の労働条件よりも低い労働条件で雇うために、これを利用したり、あるいは、解雇ができやすい、こういう観点で労働者を雇い入れる、これは非常に問題のある雇用管理であろうかと思います。私ども、かつての労働力過剰時代におきます臨時工、社外工のようなことであの出かせぎ労働者の雇用を考えてはいけないというように考えております。
○田邊委員 この問題は、またいろいろな実態をよく熟知しておる人たちから、さらにいろいろな突っ込んだ御意見がかわされると思いますので、私はきわめて概括的な質問だけにとどめておきたいと思いますけれども、大臣お聞きになったように、先ほど私が論議をいたしましたのはそれにつながるのでありますが、農林業や水産業に対して、私どもはこの当然適用をいたすべきであるという考え方であります。ところが、現状ではなかなかそれがすぐでき得ない、こういうお話がさっきございました。ところが一方において、季節労働者に対するところのいわば措置ということは非常に不安定であります。どこで働いてもほんとうに安定してそこに雇用されるというようなことはなかなかでき得ておらない、こういう現状であります。この二つを私どもが関連をさせて考えたときに、この失業保険法の適用というものが、それらの農林業や水産業に携わる人たちに全的に適用されるならば、まだその地元において落ちついて農業なりそれに類する企業に携わることもできるのじゃないか、私はこういうふうに思うのでありまして、それがいま現在でき得ないという状態の中で、この季節出かせぎ労働者に対してさらにこれを締めつけていこうという考え方は、私は何としてもこれは排除しなければならないことではないかと思っておるのでございます。 受給資格の期間の延長の問題に対しては、この法案の中に占める役割りは非常に大きいのでございますから、きょう私がここで質問したということではございません。これはあらためて十分質問をしなければならぬことでございますけれども、いずれにいたしましても、その期間の延長等の措置は、いま申し上げた農林業、水産業等の五人米満の事業所に全的適用ができるという時期とのからみ合いということは、当然私は考慮さるべきではないかと実は思っておるのでございまして、この点に対してはやはり相当の配慮があってしかるべきである、こういうように私は思うのでありますけれども、この際ひとつ大臣から、これに対するところの態度を明らかにしておいていただきたい、このように思うのであります。
○原国務大臣 期間の問題については、いろいろ御意見私どもも拝聴いたしております。しかし、現行失業保険制度における季節労働者の実態にかんがみて、制度の健全性を確保するために必要やむを得ない措置として、通常の労務者に期待し得る満六カ月の雇用期間を受給資格要件としようとしておるような次第でございます。御意見の点はよくわかるのでございますが、一応制度の健全な運営のためにこういうふうにいたしました。ただし、再度就職される場合には、その期限を通算することになっておりますので、期限の延長、拡大ということは、他に就職した場合、通算するということで一応補われるのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、御趣旨の点はよくわかっております。
○田邊委員 私の質問に対する御理解の点で少しく不足をされておると思いますから、この点はひとつあらためてお伺いいたしましょう。 私はもうちょっとこの点に対する突っ込んだ質問をいたしたいと思っておりますが、他の委員さんの質問もあると思いますから、私の申し上げたいのは、農林業、水産業等に対して当然適用をすることが現在されておらない。今回の措置によっても、五人未満の適用範囲の拡大についても、当面すぐその措置がとられ得ないという状態であれば、季節出かせぎ労働者に対するところの受給資格の期間延長の問題についても、これとの関連の中で判断をさるべきものがあるのではないかということを申し上げているのでございまして、期間そのものに対する是非については、まだ実は論じておらないのであります。これはさらに後ほどの機会に私は譲りたいと思っておりますけれども、私の課題については、大臣ひとつよく御理解をいただきまして、あらためて答弁を要求いたしますので、それに対して対処しておいてたいだきたい、こういうふうに思います。 そこで、今回の改正の中でいろいろな問題点がございますが、私は特に、これを失業保険特別会計の分野からながめたときに、いろいろと越えなければならない一つの課題があると思っておるのであります。 特に、失業保険特別会計のあり方を私どもが考えたときに、この主要の目的は、もう繰り返しお話しいたしておりますように、失業保険法第一条にいうところの、失業した際における被保険者、すなわち労働者に対して失業保険金を支給をして、生活の安定をはかるということ、これが大目標であります。大目的であります。したがって、この目的に合致する形で当然失業保険の特別会計というものはその骨格を形成さるべきものであるというように思っておるわけでございますから、この目的規定による失業保険金の支給というものにこの事業支出というものは原則的には限らるべきものであるというように私は認識をいたしておるのでございますけれども、余分なことを言わなくてもいいですから、私の認識が誤りであるかどうかだけひとつお伺いしたいと思います。
○原国務大臣 田邊さんの御意見、全然同感でございます。賛成でございます。
○田邊委員 大臣、非常に心強い御発言がありましたけれども、しかし実際にはなかなか大臣の御発言のようになっておらないのではないかと思うので、実はそのおことばをお忘れなく覚えておいていただきまして、以下質問に対してお答えいただきたいと思います。 失業保険金の支給というものがやはり事業支出の主要な目的である、したがって、これにまつわるいろいろな事業というものは、これはいわば直接的なものではない、間接的なものである、こういう認識は一応したのではないかと私は思うのでございますけれども、この中に福祉施設という事項がございます。これに対する法律的な論争は、去る本会議において加藤委員と法制局長官の間でなされたのをもっても明らかでございますけれども、いわゆるこの福祉施設と称する支出というものは、これはやはり事業支出の中における主目的ではない、したがって、あくまでもこれは間接的なものであるというように思っておるのでございますが、何か失業の予防や就職の促進のためと称して、福祉施設の中身にいろいろな支出をいたしておるようでございますけれども、このおもなものは一体何でございますか。
○住政府委員 福祉施設の内容といたしまして、まず雇用促進のための移転就職者用の住宅がございます。これに支出しております金額が百二十七億でございます。それから次は、職業訓練のためにいろいろな経費を支出しておるわけでございますが、これに関する経費合わせまして八十八億円、その他の、たとえば労働者のためのレクリエーションセンターその他の福祉施設といたしまして約五十五億、それからいわゆる就職支度金その他の一種の給付に当てております費用が約百六十億、こういうことで福祉施設の予算を計上いたしております。
○田邊委員 これらの福祉施設の支出というものは、言うなれば、失業を予防すること、あるいは就職を促進すること、こういうことに役立てるということでなされておることは事実でございますが、私は、これらの失業を予防したり就職を促進するというようなことは、本来国の雇用政策としてやるべきことではないかと思うのであります。したがって、これは当然国庫の負担でまかなうことが大前提でなければならぬ、こういうふうに思っておるのでありますけれども、そういう私の考え方に対してあなたは一体どうお考えでございますか。現状はそういうことになっておらないようでありまして、四十三年度二百二十億、四十四年度は四百二十七億円の支出をこれにいたしておるのでございますが、これは当然私は国庫の支出でまかなうべき性質のものではないかと思うのでありますけれども、ひとつお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○住政府委員 一般雇用政策のために、いろいろな雇用促進の援助等につきまして労働者、使用者に措置をいたしておりますが、これにつきましてはそれぞれ一般会計からも支出がされております。と同時に、失業保険受給者のそういった失業の予防なりあるいは就職の促進につきましては、それが失業保険の被保険者であり、かつまた受給者であるという観点から、失業保険の費用からそういった方々の失業の予防なり再就職の促進のための費用といたしまして支出いたしておるわけでございます。そういう意味で、失業保険受給者、被保険者のための施設であるという考えでやっておるわけでございます。
○田邊委員 これは、私は重大な認識の間違いだろうと思うのです。失業保険特別会計というものは、そもそも労働者が、自分が失業した際において、失業保険金をもらって生活の安定に資するという法の趣旨に基づいて積み立てておるのであります。この保険料を積み立てておってまかなっておる失業保険特別会計でありますから、これはいわば労働者から預かった金だろうと思うのです。したがって、失業保険金の支給というのが本来の大目的であることは、さっき大臣の答弁からも明らかであります。これに間接的にまつわるような失業を予防する問題、就職を促進するようなものは、当然雇用対策として政府がやるべき仕事である。労働者が積み立てたこの失業保険の特別会計の中からこれを支出するということではない、そうあるべきでない、こういうふうに私は実は考えておるのでありますが、現在この福祉施設に流用いたしておりますところの失保会計からの支出は、全体の特別会計の中において一体どのくらいを占めておりますか。
○住政府委員 全体に対する割合は、先ほど申し上げました金額の全体に対する割合でございますが、二二%になっております。
○田邊委員 この二、三年の割合はどうですか。
○住政府委員 四十年度が一三・五%、四十一年度が一二・八%、四十二年度が一一・九%、四十三年度が一二・六%、それから四十四年度が先ほど申し上げました二二%でございますが、実は……。
○田邊委員 そこまででいい。あなたはあとで言いわけをしようと思ったんだろうが、全体に占める割合というのは今年度急速にふえておる。この部面は国庫負担がない。ものの考え方はいろいろありましょうけれども、これはさっき私が申し上げたように、労働者が積み立てておる金を政府は預かって特別会計として構成しておるのでありますから、そういったものを福祉施設に回すとすれば、あなた方のほうは、失業保険の支給をする、それのいわば一環としての予防措置やら就職促進やらという、そういった意味合いで回すことは誤りでないとおっしゃるのでありますが、私は、これは本来の目的からはずれておる、合致していないというように実は考えておるのであります。 そういった点から言いますならば、この失保会計からの福祉施設への支出というものは、あなた方の裁量でふえたり減ったり、特に四十四年度の場合は、あとで申し上げるような新たなものを、就職支度金、移転費等を保険給付からはずしておるわけでありますから、そういったものを科目を変えて福祉施設のほうに回すということによって、国庫支出なしにこれらのものをまかない得るという、こういう自由裁量をまかされておるということは、私は断じて許されないと思うのです。そんな形でもって労働者は積み立てているのではない。何といっても失業保険金をたくさんもらいたい、これを長くもらいたい、そして就職するまでの生活の手だてにしたいというのが願望であり、これが法の趣旨でありますから、したがって、そういった観点からいって、福祉施設に対して自由裁量でもってそれを認める、しかも今度は科目をふやして就職支度金、移転費もふやしているということは、これは何といっても労働者に対するところの裏切りじゃないか、こう思うのでありまして、これに対する歯どめは当然つけなければならぬと思うのです。私はこれをいまゼロにせよとは言いませんけれども、しかし、これに対するところの支出をする場合には、当然これに対してある程度の歯どめをする、ある一定の基準を示す必要がある、こういうように思うのであります。その基準を示した上に立って、でき得るならば第三者機関、諮問機関である職安審議会等において、これに対するところの意見を聞き同意を求めるという措置ぐらいは、これは最低の歯どめとしてしていかなければならぬと思うのでありますけれども、これはひとつあなたのほうでぜひ私の意見に同意をされて、これに対するところの御答弁を明確にいただきたいと思います。
○住政府委員 御指摘のように、失業保険は失業者の失業中の生活の安定に資するためにつくられておる制度でございます。失業の予防なりあるいは失業者の再就職の促進ということは、これは究極的には労働者の生活の安定ということで、失業保険の究極の目的に合致するものと考えますけれども、あくまでもそれは従たる立場にあると思います。そういう意味で福祉施設の運用は節度をもって行なわなければならない。現にそういう趣旨の御意見を職業安定審議会の答申においてもいただいておりますので、私どもとしましては、そういった御意見の趣旨に沿いまして、節度をもって福祉施設の運営をはかっていかなければならない、こういうように考えております。
○田邊委員 あなたは節度をもってと言うけれども、節度は一体どこにあるのかということが、これは明らかでない。何か割合にいたしましても、一〇%ぐらいから急速にふえていって、ここ一二、三%であったものが二〇%をこえる割合になっておる。これは節度なんかないじゃありませんか。そういった形では困るのでありまして、あなたの言う節度がいかなるものであるかを私は存じませんけれども、やはりそれに対しては一つの歯どめをつくる必要がある。あなたのほうで節度ありと認識をされただけではなくて、当然の外的に歯どめをつくる必要がある。したがって、いま考えられるのは、たとえば職安審議会においてこれに対するところの意見を聞き、同意を求めるということは、これは当然最低のものとしてなされてもいいのじゃないか。それで公に認められるということになれば、あなたのほうは正々堂々と福祉施設に対するところの支出はできるわけですからね。これはいかがですか。
○住政府委員 先ほども申し上げましたように、職業安定審議会の御答申もいただいております。いまの御指摘のような御意見、非常に貴重な意見だと思いますので、いろいろ検討をいたしてみたいと思います。
○田邊委員 これはいま具体的に法律案の審議をしているわけでございますから、私はきょうは、これ以上あなたのほうを追い詰めて何としても口を割らせようという、そんな不届きなことはいたしませんけれども、これはやはりこれから先法律案の審議を議了するまでの間において、さらに具体的に私は答弁をいただかなければ納得はいたしません。したがって、そういった意味合いで保留をいたしておきたいと思うのであります。 この福祉施設に対しては、いま申し上げたように、今回百五十九億ばかりのものをふやしていったわけでありまするから、したがって、普通ならばいままで保険給付でまかなっておったものを、失業支度金と移転費については、四分の一の約四十億というものが国の負担が要らなくなった、そういう勘定になるわけですね。したがって、そういう面から言いますると、これは一般会計からの支出が少なくて済んでいるのですね。事実、四十三年度一般会計からの支出は三百九十六億円、四十四年度は三百九十億で、六億減少をしておるのですね。そうすると、悪くとりまするならば、この就職支度金や移転費を保険給付からはずして福祉施設に持っていったのは、国庫負担を減少する目的じゃないか。あなたのほうは、そうじゃない、使う目的があるのだと言うけれども、会計的に、財政的に見た場合には国の負担を減らしているわけだから、これはどうなんですか。
○住政府委員 就職支度金及び移転費を福祉施設に持っていきましたのは、これは他の失業給付と違いまして、失業者が再就職をした場合に支給する金でございまして、そういう意味で失業中に与える給付とは違った性質のものでございます。そういう意味で、先ほど来申し上げておりますように、失業者の再就職の促進という観点からこれを福祉施設に移したのでございますが、その結果御指摘のとおり一般会計からの負担が減少した、それは結果として減少したと考えております。
○田邊委員 本来は先ほどの質問の趣旨でございますから、この現象だけをとらえて私はさらに言うわけでございませんけれども、ひとつそういう趣旨で理解をしていただいて、それに対する対処をしていただくことを、あらためて要求しておきます。 もう一つ、ついでに聞きますけれども、業務運営費というのがございますね、百十二億。その中で一般会計からの支出は、これに対してどのくらいやっておるわけですか、この部門では。
○住政府委員 一億五千万円でございます。
○田邊委員 百十二億円の業務運営費の中で一般会計からの支出は一億五千万、これはちょっと私もあいた口がふさがらないのでございますが、そうすると、あとは失業保険会計でまかなっているわけですね。失業保険料の積み立て金でまかなっているわけですね。ところがこの中に施設整備費というのがございますね。これは何ですか。
○住政府委員 安定所の庁舎とか安定所の職員の宿舎等でございます。
○田邊委員 庁舎の建設と新営、公務員の宿舎の施設だというのですね。私は、これをこの失業保険会計からまかなっているということは、どうもやはり法の趣旨から言いますならばいかがかと思います。しかも、百十二億円のうち一般会計からの支出は一億五千万、公務員の宿舎や庁舎の新設にいわゆる保険料の積み立て金が使われているということは、これは法の本来の趣旨から見て、私は必ずしも適切だというように考えるのはいかがか、こういうふうに思うのでありますけれども、どうですか。
○住政府委員 いろいろ御意見があるかと思いますが、失業保険の支給等の業務は、職業紹介の業務と並びまして安定所の最も大きな業務でございます。そういう意味で、安定所の庁舎の新築なり改築につきましては、一般会計と並んでやはり一部失業保険の特別会計において負担しても差しつかえないのではないだろうか。職員の宿舎につきましても、一般会計で建てる宿舎と並びまして、一部失業保険の特別会計によって宿舎を建設いたしまして職員に供するということも、同様な意味でまあやむを得ないというように考えております。
○田邊委員 私は、そこまで考え方を広げていくということになれば、これは何をか言わんやでございますけれども、問題は、本来の目標である失業保険金の支給をどうするか、ここにあるとすれば、当然これらのものは一般会計から支出をしてまかなうべき性質のものですよ。公務員の宿舎まで失業保険金でまかなって、それで失業保険金の支給がいまだ改善されないというようなことは、いろいろな締めつけをやるというようなことは、私は本末転倒もはなはだしいと思うのです。こういった支出ができるとすれば、何で保険給付の引き上げをしませんか。六割を八割に引き上げることは可能じゃありませんか。扶養加算を何か二十円を三十円にするとかいうことになっております。第二子以下十円を二十円にするということになっております。こんなみみっちい改善でなくて、もっと給付の改善を全的に、これは六割を八割にできますよ。できるはずです。そういう方向に当然向かわなければならぬ。それを福祉施設費の中でまかないをする、業務運営費の中で公務員の宿舎まで建てるということは、これは零細な労働者の積み立て金を流用しておると言っても過言ではないのであります。どうして、給付の改善のこの大目標に目を向けて、それに向かって全力投球をしないのか。これに対する考え方をぜひひとつ明らかにしていただきたい、こう思うのでありまして、何か年間二百億から三百億、累計二千億ばかりの黒字に失保会計はなっておる。健保のことを言っては悪いけれども、健保のほうは会計が赤字だから、これのほうはまたひとつ何かしようというのでありますが、ところが黒字のほうは、給付の改善等はほっておいて、それでもってほかのほうに流用していろいろな施設をつくろう、これはあまりにも虫がよ過ぎるのではないかと私は思うのでありまして、これは、ここでもって厚生関係のことは言わないことにいたしまして、この黒字になってきつつある失保会計の現状から見まするならば、これは何といってもそちらのほうの流用等に目を向けるのではなくて、これは給付の改善という大目標に向かって邁進してもらわなければならぬ、こういうふうに思うのでありまするけれども、給付の改善はできますね。できるでしょう。
○住政府委員 今回の改正案には、給付の改善につきましても、いろいろ御指摘のように加えております。それと同時に、失業保険の業務に必要な経費、あるいは福祉施設については先ほど申し上げましたけれども、そういうようなことにつきましても、従来の考え方で対処をいたしておるわけでございます。
○田邊委員 したがって、この失保会計における福祉施設の問題、業務運営費の問題、これに対しては、私はいまのお答えでもって満足しません。当然これに対しては、大目的である給付の改善——あなたもさっき何かちょっと給付の改善をやったようなことを言うけれども、そんなことを私は聞いているのじゃない。扶養加算なんかの給付の改善、そんなみみっちいことを聞いているわけではなくて、大体六割を八割にできるじゃないか、こういうことを聞いているのでありますから、これに対してはひとつこの際、福祉施設に対するところの流用措置等については、これは私は取りやめるべきだと思うのです。しかし、取りやめができるできないという判断をここであなたに求めませんが、これに対してはやはり歯どめが必要である。したがって、先ほど検討するという答弁がございましたから、これを受けて私はこの問題に対する締めくくりの質問をあらためていたしますから、その際にあわせてひとつこの点に対してはお答えをいただきたいというふうに思うのであります。 その次の問題に入りたいのですが、ちょうどたまたまいわゆる職安関係の私の質問でございまして、いわゆる雇用の安定等に関する問題をいまやっておりましたので、後藤委員から関連質問があるそうですからその関連質問を終えてから私はその次の問題に入りたい、こういうふうに思うのであります。
○森田委員長 後藤俊男君。
○後藤委員 これは失業保険にも関係のある問題でございますからお尋ねいたすわけですが、九州の佐賀に伊万里という職業安定所があるわけです。この伊万里の職業安定所におきまして、これは地元のその場における組合の情報でも発表されておるわけでございますが、職業安定所の課長さんあたりが——名前は東洋プライウッドの工場の関係でございますが、市内なり、あるいは県内なり、多くの人が親元を離れて京阪神等に勤務をしておった。ところがいま申し上げましたところの、九州の地元に一つの大きな会社ができるというようなことで、遠方に働きにいっておりました労働者の皆さんが、地元に会社ができるなら地元で就職したい、そういうことで帰ってまいって、伊万里安定所のほうにかなり申し込みを行なった。ところがこの安定所はそれを受け付けておきながら、まだ現在でも採用をされておらぬようなかっこうになっておるそうです。 ところが、この東洋プライウッドという会社は、九州にあり、名古屋にあり、あるいは春日井にありということで、あちこちに工場があるわけですけれども、もう長い間、昨年以来闘争が続いておりまして、いわば第二組合の結成ということで不当労働行為の連続で、会社側からかなり圧力がかかってきておる。それに基づいて伊万里職業安定所は、表現のしかたはおかしいかもしれませんけれども、第二組合の結成に声援するような形の職業紹介を行なっている。 〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕 これはどこまで事実かわかりませんけれども、この東洋プライウッドというのは合板をつくる会社で、この合板をつくる会社から伊万里安定所の課長さんあたりが、この合板をただでもらって、そうしていろいろと会社当局の考え方に協力するようなかっこうで行なわれてきた、こういうようなことも、九州の佐賀におきましてはかなり問題になっておるわけです。 そこで、あなたのほうとしましても、いま申し上げました伊万里職業安定所の内容なり、それらに関連する事項につきましては調査をしていただいたと思いますので、この組合あたりが言っておりますところの内容が事実とするなら、職安行政としてこれはたいへんな問題だと私は考えるわけです。このことにつきましてできるだけ詳細に御説明をいただきたいと思います。
○住政府委員 実は、そういうことがございましたので、私のほうで詳細に調査をいたしたのでございますが、実は手元にその資料を持ち合わせていないので、さっそく取り寄せたいと思うのでございますが、御指摘のように、第一点は伊万里の職業安定所が東洋プライウッドから求人を受けた、これは事実でございまして、それに対して人を紹介もいたしております。現にたしか二百数十名の採用がきまっておったかと思うのでございますが、そういう状況でございます。さらに、紹介をいたしましてもなお採否未確定の者につきましては、安定所から会社のほうへ連絡をいたしましてその事情について調査をいたしておる段階でございます。 それからもう一つ。この東洋プライウッドの製品である合板を安定所のほうでもらった、こういう御指摘でございますが、実は安定所の受付関係のたなを整備するために、この合板を会社から買ったというのが真相でございます。ただでもらったという事実はございません。いずれにいたしましても、御指摘のような、いろいろ労使の紛争のある会社に対します安定所の態度といたしまして、やや誤解を招くような点もなきにしもあらずというように考えておりますので、その点につきましても、今後そういうことがないように、十分注意するようにいたしておる次第であります。
○後藤委員 そうしますと、いま御説明になりましたように、私の持っておりますこの情報によりましても、伊万里の職業安定所は半年も前から就職の受付をしておきながら、現在も採用せずにくぎづけになっておる。しかも一方では、地元の職業安定所を通ぜずしてかなり採用をしておる、こういうやり方をやられておるわけなんです。安定所で受付をしておきながら、それはそのまま採用せずにくぎづけにしておく、一方では地元のほうからどんどんと採用していく、こういうふうなやり方については一体正しいのか正しくないのか。そこへ、いま私が申しましたように、疑おうと思えば疑われぬこともないような、合板あたりを課長さんが白昼堂々と自動車で積み出していく。これは私も確固たる根拠は持っておりませんけれども、その会社の正門を出るときには、何というのですか、持ち出し許可証にははっきりと贈呈と書いてあるわけなんです。贈呈ということは、お金をもらわずに差し上げるということだと私は思うわけなんです。少なくとも職業安定所の課長さんが、白昼堂々とそんな、人に疑われるようなことをやってみたり、ほかに何も問題がなくとも、それだけ考えても私はこれはたいへんな問題だと思うのです。ところが、これはあとから問題になるといかぬから、やはりお金を払ったことにせなければいかぬということになっておるかどうか、その内容まで私はわかりませんけれども、地元ではそういう批判の声が非常に多いわけなんです。これはこのことだけじゃございません。まだまだほかに出してこいといえば、これはたくさんあるわけなんです。これが職安行政の、しかも九州の佐賀における現実の問題として今日出てきておるわけなんです。だから、現在職安で受け付けたところの就職希望の人がくぎづけになって、そのまま就職もされておらぬ。一方におきましては、地元のほうの、右も左もわからぬような人をどんどんと採用してきておる。そのことは一体何を意味し、どういうことでそういうふうにやられておるのかというところが私は聞きたいわけなんです。 それと同時に、これは九州の問題でございますけれども、御承知のように名古屋の熱田における東洋プライウッドの会社の闘争の問題です。これは去年から続いております。われわれ社会党といたしましても、党の調査団として調査にも行ってまいりました。ところが、現在におきましてもやはり三六協定を全然結ばずに、いわゆる無協定で毎日毎日超勤が行なわれておるわけなんです。地元の基準監督署なり基準局長あたりは、質問をして詰め寄りますと、はっきりした答えがない。とにかく労働基準法の三十六条に基づく三六協定がないのに超勤をやるということは、違反でございます、違反でございますと言いながら、そのまま毎日毎日、ずっと三月から今日に至ってもやられておるわけなんです。このことは、いま申し上げました九州佐賀における伊万里の職安問題と直接は結びついておりませんけれども、間接的にずっとつながった一連の動きになっておるわけなんです。だから、ぜひひとつ伊万里の職安の問題につきましては、あなたのほうとしてもそういうことをやってもおらぬのに、やっているがごとく吹聴されては御迷惑でございますから、これは事実いま調査中という問題もあろうと思いますので、徹底してこれは調査をしていただいて、こういうことはやっておらぬ、こうこうこういうようなんだということをはっきりしていただきたいし、さらに地元のほうにつきましても、少なくとも職安行政が、物品の贈呈によってゆがめられようとしておるようなかっこうに見受けるようなことをやっておられること自体が、私は問題があろうと思うわけです。調査の結果、この問題をきちっとしていただきたいと思います。 さらにこれに関連して、名古屋の東洋プライウッドの闘争につきまして現在そういう違反行為が行なわれておるが、今日一体どうなっておるのだ、これをお尋ねいたしたいと思います。
○住政府委員 伊万里の職安の件につきましては、先ほど申し上げましたように、一つは会社が直接募集をしたということにつきましては、地元の新卒その他でございまして、これは法律的には問題はございません。その会社の門前募集に応じて会社に来た者を採用しております。 それからもう一つは、安定所に対する求人申し込みによりまして、安定所は先ほど申し上げましたように職業紹介をいたしました。その職業紹介の結果、会社で採用された者もございます。しかし、紹介した者すべてについて採用されたわけではございません。その点につきましては、先ほど申し上げましたように、採否の確認ということについて若干事務上の手抜かりがあったということがございますので、そういう点につきましては、至急実情をはっきりさせるように指示をいたしております。 それから合板の問題につきましては、先ほど申し上げましたような事情でございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、非常に誤解を招く行為であることは、これは申し上げるまでもございません。そういう意味で非常に遺憾に存じておる次第でございます。
○和田政府委員 名古屋の熱田区にあります東洋プライウッドの工場の紛争でございますが、これは三六協定、いわゆる基準法の俗にいう三六協定の期限が、昨年六月一ぱいで切れまして、それ以後無協定の状態でございますので、残業ということはできないわけでございますが、これは組合が二つできまして、その組合二つと会社側との紛争が重なっております。いろいろと愛知の基準局及び地元の名古屋の東署としては、労使双方に協定の結べるように、正常な形で残業ができるような努力をいたしてきておりますが、今日までその成果が必ずしもあがっていない、こういうことでございます。ただ、そのいろいろの仲立ち的なことはやりましたが、結局うまくいっておりません。 ただ、その間におきます、三六協定がないところにおきます残業につきましては、三月の中旬に一つの組合のほうから告訴のありました件につきましては、四月の十二日に検察庁のほうに送検をいたしました。その後、四月にまた告訴が出てまいりまして、それも捜査の結果その事実が確認できましたので、つい最近これも送検をいたしました。過去二回、残業事犯については送検をいたしておるわけでございます。
○後藤委員 そこで、送検までは私も聞いておるわけですけれども、その前に組合が二つできたと言われましたね。これは二つできておるのですか、熱田区において。
○和田政府委員 私どものほうで承知いたしておりますところでは、一つの組合があり、もう一つの組合がある。三十六条協定につきましては、あとからできました組合のほうの代表と協定を結んで、監督署に残業協定、三十六条協定として持ってまいりました。監督署のほうは、過去三回にわたりまして、その過半数制に疑問がございますので、却下をしております。
○後藤委員 二つ組合がある、一つの組合があって、もう一つの組合がある、これはもうあたりまえのことでございますが、いま言われましたように、もう一つの組合というのは、組合のていをなしておらぬということなんです。 そこで、いまあなたのおっしゃいましたように、五月十二日に労働基準局に一ぺん出したわけなんです。本来の組合があって、もう一つの組合をつくったのですということで、三十六条協定を基準局へ届けたわけです。そうしましたら基準局のほうは、六月六日の日に返却しておるわけなんです。これはあきまへん、通りません、法的に見ても、あなたの組合はりっぱな労働組合と認めるわけにまいりませんということで、返しておるわけなんです。そういうふうなことが一、二回繰り返されまして、現在もやはり三六協定は無協定なのです。そうなってまいりますと、去年の七月から無協定で残業をやっておった、これは事実です。三六協定がないときに残業の指令をするというのは、やはりこれは違反だと思います。 さらに、これが問題になって、ことしの三月からこれまた五人首切られた。最近において一人首切られまして、六名が不当解雇を受けた。いわば労使の間で紛争がだんだん激しくなってきておるわけです。その間におきましても、私は一々申し上げませんけれども、不当労働行為が次から次へと行なわれているわけなんです。現在におきましても、もうあなたも御承知だと思いますけれども、第二組合だといわれる粛正委員会でございますか、そういうかっこうのものを会社がつくって、これで組合があるのだということでかっこうだけはつくったわけです。しかも、三六協定は無協定で超過勤務をやっている。その超過勤務を指令するのは、いま言いました粛正委員会のほうだけに超過勤務をさせて、本来の労働組合の組合員には超過勤務を一切させておらぬわけです。これははっきりした不当労働行為です。これはもう言うまでもないと思います。いわばこういうふうな会社当局のやりたいほうだいのことが、今日行なわれているといっても私は間違いないと思うわけです。これは去年から、ことしの初めから今日六月になりましても、一番はっきりしております。三六協定がないのに超勤を毎日毎日どんどんやっておる。これを手をこまねいて見ておるようなかっこうに労働基準局としてはなっておるのじゃないか。 実は私名古屋の労働基準監督署の現場へ行きまして、あなた方こんなことでうろうろしておらずに——うろうろといってはあれですけれども、会社へ行って、君たち三六協定がないのに超勤をやっている、法律でいうと違反だから、超過勤務はやめなさい、残業をやめなさいといって、現場で指示するぐらいなことはできるでしょう。なぜそこまでおやりにならぬのですか、こういうところまで詰め寄ったわけですけれども、いや、一ぺんいろいろ相談いたします、善処いたします、ということであった。帰ってみるとそのままで、もうこれは善処も何もないわけなんです。その点を一体労働基準局あたりとしては——半月や一カ月前からの問題なら、それはまた解決に日時がかかるだろうと思いますけれども、去年からの問題で、しかも労使の間でますます紛争が激しくなる。不当解雇が六名も出る。その中で三六協定なしで超過勤務をやらせる。しかも、その残業のやらせ方も、区別して残業をやらせる。こういうふうなやり方を、一体あなたのほうとしてはどうお考えになっておるのだろうか。どうこの問題を指導されておるのだろうか、こう私は思うわけです。これに対しては、とにかく長い間の闘争でもございますし、しかもかなり大きな会社でございますから、一刻も早く正常に戻らなければいかぬということで、労働組合のほうは真剣になっておるわけですが、どうも会社側のほうは誠意がない。なかなか国会の正常化のようにうまくいかぬのが今日の東洋プライウッドの紛争の情勢です。この情勢をどう結末をつけよう、どういうふうに指導しようと考えておられるか。長い問の問題ですから、検討いたしますということではもう今日通らぬと思います。お考えをもう一ぺん聞かしていただきたいと思います。
○和田政府委員 愛知の局及び名古屋の東署が関与するようになりましたのは、ことしの三月ごろからでございます。先生がいま御指摘のように、監督署としましては、三十六条協定が円満に締結できるならばそういう状態が一番いいことで、だいぶん仲に入りまして努力をいたしました。過去二、三回だいぶんいいところまでいってはくずれる。会社側も呼び、また組合側にも出てきてもらいまして、局長あるいは監督課長あたりが相当善処をしておったようであります。局でやりますと、ではこういうことで四月一日からこうしましょう、そういう話になりますが、その後また会社の内部で、ガラスが割れたとか、第二組合といいますか、組合のていをなさないという先生のお説でございますが、第二組合所属の者に対してだけしか残業をさせないとか、できるとかできないとか、そういうようなことが労使の間の話し合いでもつれまして三十六条協定ができない、こういうような状況でございますので、愛知の局としましてはいろいろと世話をいたしましてもどうもうまくいかないということでございますが、残業が行なわれていることも事実でございます。それで、過去二回、残業につきまして検察庁のほうに、労働時間違反ありということで送検をいたして、検察庁のほうの手元で、現在その捜査が行なわれている。しかし、労働紛争議が根っこにありましての問題でございますので、不当労働行為の問題その他があるようでありますが、そちらの紛争議のほうがまとまらないとなかなかむずかしい問題があるようでございます。しかし、基準局としましては、会社側に、無協定で時間外勤務をやらせることはいけないからやらせないようにということで、何回警告をしても、あるいは送検をしてもおさまらない、こういうのが実態でございまして、私は愛知の局及び名古屋の監督署はよくやっていると思いますけれども、紛争議関係の問題が片づかないと、何回送検をいたしましてもなかなか正常な状態にはなりにくいようなところにいまあるのじゃないか、かように考えます。
○後藤委員 そこで、いま大体おっしゃったような情勢は、これは間違いないと思うのです。労使の間でいろいろな問題がある、これはあたりまえだと思うのです。それはそれとしておいて、少なくとも労働基準法できまっておる三六協定なしの残業というものが、目の前で長い間行なわれておるわけですから、これだけはひとつ正常化して、その上に立って労使の問題があれば、団体交渉なりでいろいろ解決のほうへ進めていく、これなら私は話がわかるわけなんです。会社のほうは、三六協定があろうとなかろうと、とにかくおれのところの会社は、残業をやらぬといかぬのでやるのだやるのだということで、自分の言うことを聞くグループだけに残業をやらせて、こっちのほうには残業をやらさぬ。そのこと自体不当労働行為でありますけれども、そういうようなかって気ままなやり方を今日会社がやっておるのだといっても大体間違いないと思うわけなんです。だから私が申し上げますのは、少なくとも三六協定がない以上は、一応残業をきれいにやめてもらう。その上に立って労使の間で団体交渉をやって三六協定を締結して、そのほかいろいろな諸要求があろうと思いますが、労使の関係で進めていっていただく、こういうかっこうに両方ともすわり直す必要があるのじゃないかと私は思うわけでございます。 ただ、私聞きたいのは、労働基準法あたりに違反したところで罰金さえ納めればいいのだ、そんなものはたいしたことないんだからやり得だというようなかっこうに会社当局が私には見えるわけなんです。会社の方針その他につきましては、基準局長なり皆さんに聞いても、これはわからぬと思いますけれども、ただ、私がわからぬところは、こういう法律がありながら、白昼堂々と違反をして、小さい会社ならともかくも、千数百名の会社がやられておるということについて、半年も、一年にもならんとするのに、いまだに解決もされておらぬ。何べん言いましても、あきまへんのや。まとまりかけてはくずれるのです。——それは事実はそうだとしたところで、これは法律の三十六条、いわゆる労働基準法の権威も何もないと思います。この点どうお考えでしょうか。
○和田政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、愛知の局としましては、違法な状態が継続されることはおもしろくございませんので、それで会社の者を呼びましたり、あるいは組合の者を呼びまして、ぜひ適法な状態で残業が行なわれるようということで話をしてまいりました。また会社側も、それならば、たとえば四月十二日以降は、残業協定ができなければ一切残業はさせません、こういうことを言って帰るわけでございます。得所でいろいろなことを話しておりますときには、会社側も組合側も納得するのですが、帰りましてから、どういうのかまた意見が食い違ってしまう、それでどうしても協定ができない。会社は、いまお話がございましたように、会社としては協定のつくりやすいようなところと協定を結んでは、過去三回届け出て、これが残業協定ですと持ってくる。しかし、中身を審査しますと、どうも過半数代表の問題に疑点がございますので、監督署としては過去三回却下をしておる。そして、これでは困るから正確なものを持ってくるように、こういう言い方をしております。 それからもう一つは、違法状態でございますが、先ほど申しましたように、労使の紛争議がある。片一方の組合員には残業を命じない、片一方には残業を命じますと、片一方は、自分たちは協定を届けるくらいの熱意を持っているから残業をやりたいのだ、これは収入の関係もあるので残業をやる。そういうことで、三者の間でいろいろの動きがある。 監督署は、しかしいずれにしましても、適法な状態でございませんので、何べんも努力をいたしております。そして、呼んでは注意をし、あるいは不適法な協定届けに対してはこれを却下するという努力をしております。御推察と思いますが、こういう二つの組合があって、片一方がやる、片一方がやらないというような状況で、その間にはすでに感情の問題も入っておるように愛知の局あたりでは観察しておりますが、局といたしましては、そういう違法状態でありますから、会社側には十分にその趣旨を言い、会社のほうも、もう違法であることはよくわかっております。したがいまして、監督署としては、これは司法事件としてやる以外には手がないということで、過去二回も司法事件で検察庁に送致しておる。検察庁のほうでは、いまはっきり私どもはわかりませんが、会社の中のそういう動きを見ながら捜査を続けておる、こういうところであろうと思います。
○後藤委員 そこで、いまあなたは二つの組合、二つの組合と言われますけれども、私は別に労働組合をひいきして、労働組合を有利に言おうということでうそを言う気持ちは毛頭ございませんけれども、あそこの会社は大体千名余りおいでになるのですね。そこで、会社側の子飼いの組合のようなものができたわけなんです。前は、粛正委員会とか、何とか委員会という名前でできたわけなんです。ところが、最近三六協定がないと残業ができぬのだというようなことで、やかましくなってまいりましたから、これはやっぱり結ばなければいかぬということで、粛正委員会を労働組合のようなかっこうにして、労働基準局へ持っていったわけです。その人方は、本来の労働組合を脱退しておらぬわけなんです。労働金庫の借金もそのままならば、そのほかのことも全部そのままの姿で、こっちの粛正委員会か、何とか委員会のほうに入っているわけなんです。脱退届けも全然事務上やられておらぬのです。こっちの組合としては脱退しておらぬ、自分の組合だと言っておるのです。こっちのほうは、脱退してこっちでやっておるんだ、おれのほうが数が多いので第一組合だというものの言い方で、三六協定の案を労働基準局へ何べんも持っていくわけです。そうしますと、労働基準局のほうは、おまえのほうは検査が通らぬのであかんぞ、あかんぞ、一ぺん持っていってあかん、二へん持っていってまたあかん、三べん持っていってまたあかん、三回持っていってあかんのですから、これはほんとにあかんのです。そのあかん姿の中で残業がどんどん行なわれておるわけなんです。 で、局長もいま言われたように、会社も不法であるということを知っておりながらやっておる、こう言われましたね。知っておりながらやっておってこれはいいのですか。これは何ともやりようがないのですか。法律があって、この法律に間違ったことをやっておるということを会社が知っておりながら、違法の立場で労働者にいま残業をやらしておるのは事実なんです。これはきのうやおとといの話ではない、三カ月も四カ月もさかのぼって、去年の七月からです。こんなことを捨てておいていいのかどうかということなんです。あなたに質問しましても、まとまりかけてはつぶれるので何ともしょうがございませんと、何べん聞いてもそういうお答えだろうと思いますから、お尋ねいたしません。 こんなことがずっと、しかも名古屋の大都会のまん中で白昼堂々と、法律があろうとなかろうと、とにかく会社のためになるんならやるんだ、こういうスタイルのもとにやられておるわけなんです。これは労働大臣も薄々は聞いておられるかどうかはわかりませんが、いままでいろいろしゃべりましたので、大体わかったと思います。こういうことが名古屋の都会で去年の七月ごろからやられておるわけなんです。これに対して大臣はどういうふうにお考えになっておるか、どうこれを指導すべきであるか。いままでのようなやり方をしていたんじゃ、あの社長さんますます強くなるわけなんです。その点をひとつお尋ねいたしたいと思います。
○原国務大臣 この東洋プライウッドの紛争事件は、さいぜんからよく拝聴しまして、なかなか複雑になっておる事情もわかりました。 それで、第一に紛争をやはり解決しないことにはどうも話がうまくいきませんので、現地の基準局長にも指示を与えて、すみやかに紛争解決、そして正常な労働行為に移るように善処させたいと思っております。
○後藤委員 大臣、いま大臣が言われましたことは、何べんもやりました。だけど、結局違法のスタイルというのは現在でも直らぬわけなんです。 そこで、ぜひひとつ委員長を通じてお願いしたいわけですが、東洋プライウッドの社長さんは阿部広三郎さんです。これは名古屋の財界でもかなり重要な地位におられる人だと私は思うわけです。そういう重要な地位におられる人であればこそ、こういうふうな会社の経営、やり方というものは大問題だと思うわけなんです。だから、ぜひひとつ次の機会にこの阿部広三郎社長にここへ御出席いただいて、法律がどうあろうとこうあろうと、現在こういうふうになっておる、これは事実そうなんですが、それに対する社長さんの考え方なり、あるいは労働問題に対する扱いなり、あるいはいままでの経過等につきまして、ほかの人にお尋ねいたしておりましても、ちっともこれはわかりませんので、直接やっておられる阿部社長から、いろいろお尋ねいたしたいと思いますので、ぜひひとつ理事会で御検討いただいて、近い時期に御出席いただくようにお願いをして終わります。
○澁谷委員長代理 理事会で相談をいたします。
○田邊委員 次の問題に移るのでありますが、その前に、これはひとつ大臣にお聞きをしておきたいのですが、今年の一月十八日労働省職業安定局失業保険課長の名前で、各都道府県の主管課長あてに文書が出ておりますけれども、この中身を御存じでございますか、大臣。
○原国務大臣 まだそのことを聞いておりません。
○田邊委員 この中にはいろいろな問題がございますけれども、非常に重要な中身がございます。私はきょうそのすべてをここで言いませんけれども、特にこういうことが書いてございます。「特に最近、一、二の県議会において反対決議に類したことが行なわれたことはまことに遺憾であるので、都道府県又は市町村等において議会による反対決議をするような動きをつかんだときは、特にこれらの地方公共団体等の議会に対してその趣旨を正確に伝え、できる限り反対決議等の行なわれないよう又は、少なくとも審議会から答申が出され、あるいは国会提出の政府案が作成される以前に決議が行なわれることのないように務められたいこと。なお、反対決議等の動きがあった場合には、決議等が行なわれる前に緊急に電話等により本省に連絡されたいこと。」こういう文書が実は出ておるのでございます。大臣、これは地方自治体の自主的な決議に対して、一官僚が、これに対して反対をされないように、反対決議の行なわれないように、こんな書面を出されて抑制するような動きがあることは、これはとんでもない官僚介入であります。これに対して大臣、どういうようにお考えですか。
○原国務大臣 ただいまその文書をお読みいただいて非常にびっくりしているわけですが、大体趣旨としては失業保険のPR、通したいという一念の趣旨で、たまたまそこにあらわれているように、都道府県において反対決議などしないようにというところは非常に行き過ぎで、誤解を招くおそれのある文書である、こう思いますので、はなはだ遺憾に存じております。
○田邊委員 それは大臣、あなたがただ通り一ぺんにここでお答えいただいても済む問題ではございません。現に東北の地方議会において、この失業保険法に対していろいろな決議がなされているのは御案内のとおりであります。これを抑制するようなことを労働省から地方に出されるような、そういった権限を越えた措置に対して、われわれは了解するわけにいきません。そういったことをやっている中で失業保険法の審議を今後続けることは、断じてできない。したがって、これはあらためて理事会でもって正規に取り上げていただいて、これに対して政府側から何らかの措置があるまでは、私どもは審議はこれ以上続行できないので、委員長において善処されたい。
○澁谷委員長代理 暫時休憩します。 午後四時十四分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕