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61回国会衆議院1969/05/15

社会労働委員会 第18号

発言数
156
登壇者
12
会派数
3
開催日
1969/05/15

会議録

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部を改正する法律案、及び、国民年金法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。広川シズエ君。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 児童扶養手当についてお伺い申し上げます。  児童扶養手当の支給は、母子世帯に支給されますことは現状のとおりでございますが、この母子世帯の、非常に恵まれない家庭の環境と実態について、お伺い申し上げたいと思います。  その中で、特に最近交通戦争におきまして、家庭の中心である夫を失うというような母子家庭が、非常にふえておるのではないかと思います。このような経済的にも、そしてまた社会的にも非常に不遇である子供、しかも、母子福祉対策についてどのような現状であるか、このことにつきましてもあわせて御質問申し上げます。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 実態に関する問題でございますので、私からお答えをさしていただきます。  御質問のございました母子世帯の数でございますが、母子世帯と申しますのは二十歳未満の子供をお持ちの、父と離別しております世帯ということになっておりますが、この母子世帯の数は、昭和四十二年の八月の厚生省で行ないました実態調査によりますと、約五十二万世帯、かように推定されるところでございます。  なお、最近の母子世帯になりまする原因につきましては、御指摘のように、従来のような戦争未亡人という方々の数が相当減ってまいりまして、新たに病気で死別された方々、あるいは交通事故で御主人をなくされた方々、こういうふうな数が相当多くなってきておることも事実でございます。  こういった母子世帯に対します福祉施策といたしましては、御承知のように母子福祉法によります母子福祉資金の貸し付け、その他たとえば母子相談員によりますところの生活相談でございますとか、母子寮に入所させるというふうな措置、それからいま提案されております児童扶養手当によりますところの家庭への援護対策、さらに生活保護の世帯に対しましては母子加算制度、このようないろいろな関連施策を行なっておりますが、こういった施策の内容をさらに充実してまいりたい、かように考えておるところでございます。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 大体母子世帯におきましては、谷間というような状態が続くように考えますので、この問題につきましては、ほんとうにあたたかい愛情を差し伸べていただくことを常にお忘れにならないようにしていただきたいと思います。  次に、局長に特別児童扶養手当のことにつきましてお伺い申し上げます。  重度の心身障害を受けます子供たちに対する福祉施策は一つの大きな問題だと思いますが、この重度の心身障害児に該当する子供が、全国的にどのくらいおるか、そしてまた、それに対する福祉対策が、十分に行なわれていない面が多々あるやに考えますけれども、この心身障害児に対する福祉対策の実態を伺わせていただきたい。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 わが国におきますところの心身障害児対策は、比較的最近になりまして、精力的にその施策を伸ばしておるところでございますが、御指摘の心身障害児のうち、特に重度の者に対しましても、いま懸命に努力をしているところでございます。  実態といたしましては、昭和四十年に身体障害児の実態調査を実施いたしました。それから昭和四十一年に精神薄弱児の実態調査をいたしたのでございますが、これらの実態調査の結果によりますると、身体障害児で施設収容その他訪問指導等の対策を必要としますところの子供たちの数は、全国で十一万六千人となっております。このうち特別児童扶養手当の対象となるような重度の子供につきましては三万四千五百人という数字が推定されております。  次に、精神薄弱児の数でございますが、これも施設に収容するとか、あるいはまた訪問指導その他の指導をする必要のある子供たちの数は、全国で約二十二万人と推定されますが、そのうち特に重度の者につきましては五万二千三百人という数字が推定されておるわけでございます。  なお、この両方の、つまり身体障害と精神薄弱ともに重度でありまするいわゆる重症心身障害児の方々の数は一万七千三百名と推定されるのでございます。こういった心身障害児に対する施策といたしましては、先ほど触れましたように、施設の拡充でございますとか、あるいはこれらの子供たちの早期発見、早期処置、したがって、そのための健康の審査、保健指導というものも実施しております。さらに、これらの早期発見、早期指導につきましては、御承知のように保健所におきますところの三歳児一斉検診という方法もとっておるところでございます。なお、身体障害児につきましては補装具の交付でございますとか、育成医療の給付ということもやっております。  しかしながら、このような心身障害児の成因の研究、どうしてこのような子供になるかということについての医学的の研究、あるいは治療研究、こういった基礎的な研究にも着手しております。  いずれにいたしましても心身障害児対策はこれからもさらに大きな努力を傾けまして前進させなければならない、かように考えておるところでございます。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 ただいまのお答えによりますと、重度の心身障害者が全国で一万七千三百人、精薄を合わせてということでございますが、このたび新聞に出ております八王子の中央学園の精薄のお子さまに対する非情なる、酷なるあの状態を拝見いたしまして、ことばでは、非常にその施設に対しまして、あるいは心身障害のお子さんに対して愛情を注いでいるかのように御答弁いただきますけれども、この実態につきまして、もちろん都道府県に依頼していることであるが、この実態の指導というものを、厚生省はどのようにしておられますか。その点につきまして、この八王子の中央学園が、きょうの新聞によりますと、閉鎖ということになっておりますけれども、今後厚生省におきまして、全国的にこういう学園がもし出た場合に、どのようにするかということは、よくお考えになっておられることと思います。  そこで、厚生省の大臣にお伺いしたいことは、このようなことが全国に二度と起きないように、どのような通達を出し、そしてさらにその通達に対しての積極的な厚生省の動きというものを、お教えいただきたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 お尋ねの中央学園の問題は、まことに残念と申しますか、言いようのない問題だと思います。いままで、おそらく全国にもああいったような、われわれから言えば、法令違反、児童の虐待、また会計経理のごまかしといったようなふうに東京都からも報告を受けておるのでありますが、こういった事件は、きわめて希有の事件だ、かように思います。しかし、そういったような事柄は、他にないと信じますけれども、こういうような学園もとにかく存在したということは、まことに残念なことでございまするので、各府県等にも通牒をいたしまして、さらに監査を厳重にやって、そしてせっかく児童福祉のためにという施設が、看板を掲げてそして狗肉を売るようなことのないように指導をいたしたい、その手配はいたしたわけでございます。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 ただいま大臣のおことばによりますと、もうすでに各市町村には通達が出ておるかのごとくお伺いをいたしましたので、この資料を集めた上、マークをすべきであるという考えに立ちましたところには、積極的に厚生省が指導をするように希望しておきます。  それからただいまの重度の心身障害児を家庭に一人持っているということは、非常な親にとっては負担でございますけれども、この毎日の生活がどんなにたいへんであるかということは、男性の方にはようわからないかもしれませんけれども、一人のこういう子供をかかえて御苦労しているというこの問題については、もう全く家庭のすべてがそこに集中するわけでございまして、このように重症の子供を持っている家庭の両親が万が一この世を去ったときには、この子供はどうなるであろうかということを非常に考える一人でございます。この場合には、保護者がなくなった場合について、どのような処置が行なわれておりますか。このことについてお伺い申し上げます。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 心身障害児を持つ両親の方々の御苦労は、たいへんなことと思います。昭和四十三年度から、そういうふうな在宅の方々に対しましては、全国的に精神薄弱者相談員という制度をもちまして、家庭におきますところの御相談なり、あるいは助言なり、こういうことも始めたところでございます。  さらに、そういった親御さんがおなくなりになったあとの問題でございますが、このためには、いろいろな現行の制度も活用をいたす必要があると思いますけれども、特に本年度におきましては、全国的に心身障害児扶養保険制度という制度をつくりまして、都道府県あるいは市等が行なっておりますところの心身障害児の親のなくなったあとに対しますいわゆる年金的なものの給付を、全国的に普及するようにいたして、そのために国費をもって社会福祉事業振興会にその事務をやらせる、これはいまの予定では十月一日からそのような対策を講ずる、こういうことにいたしているわけでございます。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 ただいまの御報告によりまして、年金的な保険制度というものが確立しているというお話を伺いましたが、どうかこの重症の子供たちに対しまして、最もあたたかい愛情を長い間持ち続けられますように、切に希望いたしまして次の質問に移ります。  このたびの両制度の改正につきまして、この両制度の手当の額の改善がはかられております。今回の改正法案において、手当の月額が約二百円引き上げられるということは、たいへん望ましいことでございますが、私ども考えますのに、ただいま生活の水準が一般的に非常に向上してまいっております。そして、その二百円を引き上げたと仮定いたしましても、児童一人の月に支給されます額は二千百円でございます。これで十分とは言えないと私ども考えるのでございますが、今後このような制度改善をさらに進められるかどうか、その御意思をお伺いいたしたいと思います。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 先生御承知のとおり、特別児童扶養手当の額の引き上げ問題でございますけれども、この制度ができまして以来、毎回のようにその給付額を引き上げてまいっておりまして、本年昭和四十四年度におきましては二百円ということが予算で決定されたのでございます。もちろん御指摘のように、この二百円というものが実情に合わないのではないかというふうな御指摘もあろうと思います。ただ、この特別児童扶養手当の手当額の引き上げの幅につきましては、母子福祉年金の額と従来から歩調をそろえてまいったといういきさつもございまして、今回はその二百円ということにとどまらざるを得なかったのでございます。もちろん、今後の問題といたしましては、この手当額の引き上げについては、さらに努力を続けてまいりたい、かように考えているところでございます。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 ただいま御報告のとおり、さらにこれからの額を進めてまいるという御決意を伺いましたが、こういうような不自由な、そしてかわいそうなお子さまを持っておる御家庭の御発言力が少ないというところで、ややもすれば精神的な圧迫、その上にさらに物質面も加えられるということになりますと、これこそ非常なる——私ども考えますのに、こういうお子さまを持っているおうちほど厚くしてあげなければならないと考えますので、今後さらに改善をする場合には、微力でございますが、私どももこぞってこの問題について取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞ厚生省におきましても、この問題に飽きずに、ほんとうに毎年毎年、順序よくしてあげてほしい。そしてこういう子供を持っている御家庭の方に、少しでも愛情の手を差し伸べるように御配慮いただきたいと思います。  次に、児童扶養手当及び特別児童扶養手当の所得による支給制限についても、昨年の改正でも改善がはかられたところでございますが、今回の改正法案では、所得による支給制限を政令で定めるやに伺っておりますが、これはどのような改善をはかる御予定であるか、お伺いいたしとうございます。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 今回、支給制限の限度額につきまして、政令で定めるというふうに改正案を御審議いただいているわけでございますが、その政令で定めますところの内容につきましては、次のようになっております。  第一は、支給対象者本人の所得制限についてでございますが、この限度額を、現行が二十八万円でございますのを三十万円に引き上げる。生計を維持する児童一人の加算額、限度額にさらに加算をいたすわけでございますが、その加算額を、現行七万円のものを八万円に引き上げるというのが第一点でございます。  第二点といたしましては、扶養義務者等の所得制限についてでございますが、たとえば扶養親族がゼロという場合におきましては、現行が年間六十四万円でございますのを七十二万五千円に、それからたとえば扶養親族が五人の場合でございますと、現行が百五万五千円でございますのを、百十九万二千五百円というふうに制限を緩和して計算をしておるところでございます。この所得制限の額につきましては、先ほども触れましたように、いずれも母子福祉年金の場合と同じでございまして、この考え方といたしましては、所得の伸び等の事情を考慮いたしまして緩和をはかったということに相なっておるわけでございます。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 ただいまの政令のお考えにつきましては、よくわかりましたけれども、不幸な母子家庭のような方が多いわけですから、この点はよく勘案なさいまして、実際にいたします場合には、引き上げ率を多くするかどうか、そういう問題についても、お考えいただきまして、できるだけ不幸な御家庭に対して皆さまの、厚生省における考え方をよく考慮されまして、実態をはかりながら、この問題についてはぜひ取り上げていただきたい。ただ、母子年金に類似して上げるというようなことではなく、いろいろの実態調査の上におはかりいただくようにお願い申し上げたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいまの御意見、まことにごもっともでございます。生活保護をはじめといたしまして、あるいは年金、またこういった扶養手当というようなものも、物価の上昇、国民の生活水準の向上に伴って見合って、実はわれわれとしては、それ以上に引き上げたい、かように思っておるのでございます。生活保護費につきましては、約十三%の引き上げをいたしましたが、先ほども申し上げましたように、大体これらに関係をいたしますようなものは、これに見合って引き上げるということをいたしておるわけであります。毎年、国民の経済の発展に伴って、その引き上げをはかってまいりたい、かように思います。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 特別児童扶養手当の中に、病気の原因が結核と心臓病であった場合には、これが対象に含まれないということにつきまして、その実態をどのようにお考えになるか。やはり現実にこれが原因で身障児になっているお子さんがたいへん多いように伺っておりますが、この問題につきまして、第五十八回国会の附帯決議において、特別児童扶養手当の支給対象の障害の範囲を拡大すべきであるという趣旨が述べられてあるわけでございますが、これを障害の対象に含めるというお考えはいかがでございましょうか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 御指摘のいわゆる内部障害の子供さん方に対しまして、特別児童扶養手当を支給する対象に含めるべきではなかろうか、こういう御意見でございますが、私どもも、その問題は確かに重要であるという意識を持っているわけでございます。ただ、御指摘の結核の子供さん、あるいは先天性心臓疾患の子供さんに対しましては、別に児童福祉法等におきまして、小児の結核医療の給付でございますとか、育成医療の給付という別の制度もございまして、その制度によりまして医療的な措置ができる面も相当多うございます。そういうような観点もありまして、昭和四十四年度におきましては、いわゆる内部障害につきましては、これを適用することを取りやめたのでございます。しかしながら、こういったような場合でありましても、たとえば長期間休んでいる、したがって、筋肉等が衰退いたしまして、外部的にその機能が障害を受けてくる、こういうふうな場合におきましては、これはこの特別児童扶養手当の支給の対象とはいたしているわけでございます。  いずれにいたしましても、こういった内部障害のある子供さんに対しましての特別児童扶養手当の支給の問題は、冒頭申し上げましたように、大きな問題点でございますので、今後ともさらに検討を続けたい、かように考えているわけでございます。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 ただいまの内部障害のお子さんに対しては、さらに検討を続けられるという御意思を、たいへんおそれ入りますが、もう一度大臣のほうからお伺いさせていただきます。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいま局長が申し述べましたように、内部的な障害の者に対しましては、さらに検討を続けまして、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたい、かように思います。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 では、この問題に関連しまして、児童手当のことにつきまして御質問申し上げたいと思います。  わが国の社会保障がだんだん整備されているということは、その実態が証明しておりますが、その中に、児童手当制度を欠くということは、何か非常に遜色があるように考えるわけでございますけれども、諸外国における社会保障と日本のそれとの対比をお示しいただきたいと思います。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○首尾木説明員 社会保障の国際比較でございますけれども、わが国の場合には、大きな制度の中で欠けておりますものが、ただいま仰せのございました児童手当制度でございまして、制度的には児童手当制度が創設されますと、全体としての体系としましては、一応整うというような形になると考えております。  なお諸外国との比較でございますが、社会保障給付費につきましてILOが社会保障の費用ということで出しました資料によりますと、一九六三年の数字でございますけれども、フランスが国民所得に対しまして一九・二%、西ドイツが二〇・〇%、イタリアが一六・四%、イギリスが十三・八%、これに対しましてわが国の場合には、年金制度が成熟していないこと、あるいは児童手当制度が設けられていないこと等の理由がございまして、大体現在で六・二%程度になっておると思います。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 ただいまの次に、外国における児童手当制度の社会保障に占める地位ということを、もう一度御質問申し上げます。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○首尾木説明員 児童手当制度がどの程度のウエートを占めておるかということでございますけれども、これは国によりましてそれぞれでございまして、たとえば、非常に大きなウエートを占めておりますのはフランスでございますが、ここでは約二一%程度でございます。それから西ドイツが全体の二・六%ぐらい、イタリアが一五・五%ぐらい、イギリスが四・三%ぐらいというような現状になっております。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 ただいま諸外国の、二、三の外国における児童手当制度の社会保障に占める地位をお伺いいたしまして、さらに、わが国における地方公共団体が、最近におきまして、この四月より新たに四十二、そうして以前のと合わせますと計八十自治体が、この児童手当を実施するということに踏み切っておるやに伺っておりますが、いわゆる支給対象が、まことに救貧対策の色彩が濃厚でございまして、しかも、単なる救貧対策にとどまることでなくて、児童福祉法の第一条にうたってあるように、将来をになうべき児童の健全な育成をはかり、現在深刻な問題となっております人口問題にも対処し得るよう、本格的な制度として実現を目ざすべきだ、このように考えますけれども、大臣の御所見を承りたいと存じます。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 児童手当制度の創設は、昨今の日本にとりましては、まことに喫緊の要務になってきたように感じます。前国会におきましても、その前々国会におきましても、そういった御要望も非常に強く、また政府も、総理大臣とせられましても、また所管厚生大臣といたしましても、児童手当の創設を早急に検討して実現をいたしたい、かように答弁をいたしておりますのも、いまおっしゃいますようなお趣旨によるものだ、かように思うわけでございます。したがいまして、厚生省におきましては、児童手当懇談会を設け、すでにその答申も得ましたので、さらに児童手当審議会を法律の上に設けていただいて、そうして、でき得れば来年にでも実施のできるように進めたいと精力的に考えているわけでございます。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 ただいま大臣の御答弁のように、過日、五月五日に大臣が、各新聞に報道されましたように、四十五年には何が何でも児童手当を実施してまいるという御決意を披瀝いたしまして、子を持つ母の一人といたしまして、非常に喜んでおる次第でございますが、これがほんとうに大臣のおっしゃるように、大臣の任期もあろうかと思いますけれども、これは何が何でも実現していただきたい、このように考える次第でございます。大臣のお気持ちを伺いたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 歴代の厚生大臣の公約でもございまするし、自民党といたしましても、選挙のたびに公約をいたしております。総理も公約をいたしておられますので、私は、在任の期間はいつまでかわからぬにいたしましても、いまおっしゃいますように、とにかくその基礎をつくり、ぜひ実現をするように最善の努力をいたしたい、かように思っているわけでございます。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 ただいま大臣の心強い御発言でございましたので、御信頼申し上げまして、私ども協力いたしますが、ぜひこれを実現可能にしていただきたいものと考える次第でございます。  ただいま大臣のおことばの中にすでに申されておりましたが、児童手当懇談会というおことばがございましたが、その児童手当懇談会の概要について御説明をお願いしたいと思います。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○首尾木説明員 昨年末、児童手当懇談会から、児童手当の基本的な考え方、それから構想の案につきまして大臣に対しまして報告がございました。  その内容といたしましては、児童手当を必要とする理由、それから児童手当の構想の骨子というべきものを示されておるわけでございます。  まず、児童手当懇談会は、児童手当制度の意義につきまして、わが国の現状において、重い家計負担となっている児童の養育費の負担の軽減をはかる。このことを通じまして、児童福祉それから児童の健全な育成に資することができる。かつまた、次代の児童を健全に育成するというようなことをその意義とされておるわけでございますが、その内容としましては、制度の立て方といたしまして、一応、現在の被用者を対象とする児童手当、それ以外の対象というものの二部門に分けまして実施するということを一応の案として考えられておるわけでございます。  制度といたしましては、拠出制を原則にするという考え方でございまして、被用者に対する制度といたしましては、事業主の拠出ということを主といたしまして制度を構成をする。それから、自営業者、農民等被用者以外の者につきましては、やはり拠出制の本格的な制度が望ましいけれども、これについては、費用負担の問題等から見まして、暫定的に無拠出制で発足をすべきであるということを申しておられるわけでございます。  なお、給付につきましては、児童手当の支給対象児童は義務教育終了前の全子に対して支給をするという案でございまして、手当の額は、月額一人当たり三千円、ただし、先ほど申し上げました暫定的な無拠出児童手当制度につきましては、これは一応全額国庫負担であるということを考慮いたしまして、児童一人当たり千五百円とし、所得による支給制限を行なうということを申されておるわけでございます。これは先ほども申し上げましたように、暫定的な制度であって、将来は全体、被用者に対する制度と均衡のあるような拠出制の児童手当制度を設けるべきであるということのお考え方でございます。  なお、財源につきましては、先ほども申し上げましたが、拠出制の児童手当でございます被用者のものにつきましては、事業主の拠出を主といたしまして国庫負担を行なう。なお、この際に、本人負担ということも検討をする必要があるということを言っておられます。  なお、国庫負担の額は、他の社会保険の例を考慮しまして、一応給付所要額の二割程度が妥当ではないかという案でございます。  無拠出制の児童手当の財源は、これは先ほども申し上げましたが、一応全額国庫負担という形でございます。  これによりましておおよそ児童手当の給付総額は、この案によりますと五千七百二十三億でございまして、そのうち国庫負担額が一千七百六十三億円になります。  なお、この児童手当制度を実施するにつきましては、関連制度との調整、あるいは制度の細目等につきまして、検討すべき事項がなお多いわけでございまして、たとえば税制の問題でございますとか、あるいは各種の年金における扶養の加給でございますとか、そういったものとの調整をどうするかというような問題がたくさん残されておりまして、今後公的な審議会を設けるなどの措置によりまして、早急にこの児童手当制度の実現することを要望する、これが児童手当懇談会の出されました報告のおおよその概要でございます。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 児童手当懇談会を、児童手当審議会に切りかえたという、その理由を御説明願いたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 児童手当懇談会は、厚生大臣の私的な懇談会のような形でございましたので、これを法律上のものにいたしたい。しかしながら、児童手当懇談会の御答申そのまま採用できるというのであれば、そういうこともあるいは必要ではないかとも実際は考えますが、懇談会の答申の中に、やはり法律に基づく審議会でとっくり審議する必要があるという答申ももちろんいただいておるわけでございます。そういう答申もありますとともに、さらに法的な審議会で十分審議をしていただくという必要があるのじゃないか、かように思いまして、法律に基づく審議会の設置をお願いするように法案をいま提出いたしておるようなわけでございます。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 たいへん重ね重ねの同じようなことになりますけれども、大臣にお伺いしたいことは、児童手当制度のねらいをいかがにお考えでいらっしゃるかということを一言お聞きいたしたいと思うのでございます。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 児童手当のねらいは、やはり次代を背負う児童が健全に育成をされるということが一つの大きな柱でございます。同時に、国民所得が相当向上してまいりましたけれども、しかし児童の健全な育成ということが、やはり各家庭の経済を相当圧迫しておるということも事実でございます。したがいまして、そういう観点から考えまして、やはり所得の再配分という考え方も取り入れて、そして時代の要求する児童手当制度というものを確立することが必要ではないか。日本の福祉制度の一つの柱として、児童手当制度がないというようなこともいわれておるのでございますが、そういった観念的なものよりも、現実の日本の現状から見まして、ことにいままでは日本は非常に多産であるといわれておったのでありますけれども、今日はむしろ人口の減少傾向にさえ向かっているという状況から考えまして、児童を育てていくということが、家庭の非常に重荷になってきているという現状は、このまま捨てておけないというのが児童手当制度のねらいではなかろうか、かように思っているわけでございます。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 児童手当制度が発足した場合に、児童扶養手当及び特別児童扶養手当の両制度の間に、何らかの調整を行なっていかなければならないではないか、このように考えますけれども、この考え方につきまして御意見を伺いたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 これは児童手当制度そのものの内容と関係をいたすわけでありますが、多かれ少なかれ直接関係をするわけでございます。そこで、いまの扶養手当はそのままにして、その上に手当というものをずっと及ぼすか、またその内容を幾らか変更するかというのは、児童手当制度及び児童手当の額の問題、いろいろと関係をいたしますので、したがいまして、まず児童手当制度のあり方をはっきりさせて、そして重複するなら重複する限度において、重複を避けるようにいたし、重複しないなら重複しないようにしていくというようにやっていきたいと思います。

広川シズエ自由民主党

○広川委員 ただいまの大臣のお考え、よくわかりました。ただし心身障害児の場合には、本人が御不幸なのはもちろんでございますが、家族の負担が非常に大きくなっていることは事実で、また母子家庭の場合には、生計を維持していくそのかたわら、子供の養育という、社会的にも経済的にも非常に弱い場に置かれていると思うのでございます。どうかこの児童手当制度を発足する場合には、そういう実情をよくお考えいただきまして、この制度に重く考えていただけますように切にお願い申し上げまして、質問を終わりにいたします。

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 西風勲君。

西風勲日本社会党

○西風委員 児童扶養手当の問題の質問をさせていただく前に、この問題と関連をいたしまして、先ほど広川委員からも触れられました中央学院の問題について若干質問したいと思うわけです。  中央学院の問題は、もう常識で考えることのできない非常に不幸なできごとであります。ここに収容されていた四十九人の子供たちの人生にとって、またとない大きな傷を負わしたのではないか。私どもはこの四十九人の長い生涯の中で、この事件が不幸な、精神的な障害にならないことを祈るものでありますけれども、この事件に対して、厚生省としてはどういう積極的な事後処理をやったかということを、まず簡単に御報告いただきたいと思うのです。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 中央学院の問題につきましては、私どもといたしましてもまことに遺憾なことでございまして、いままでの監督指導等につきまして不行き届きな点があったのじゃないか、かように反省をしておるところでございます。  御承知のように、中央学院は、昭和三十六年に社会福祉法人全和会の経営主体のもとに設立認可されました施設でございまして、その後児童福祉法の規定によりまして、征年のように東京都におきましても監査を実施してまいったのでございますけれども、最近に至りまして、その経営に問題があるというふうなことで、東京都におきまして本年の四月十七日をはじめといたしまして、五月十二日、五月十三日、第二次にわたりますところの特別監査を実施したのでございます。その結果、児童福祉法及び厚生省令等におきまして法令違反の事実があるというふうなことが非常に明白になりましたので、とりあえず改善命令を東京都におきまして出したのでございますが、さらに昨日におきましては東京都におきまして施設設置の認可の取り消しを行なったということになっております。国におきましても、これら東京都が行ないますところのいろいろな監督につきましては、いろいろと内面的にも連絡を密にいたしまして指導はしてまいったのでございます。  今後の問題といたしましては、この中央学院の施設設置の認可の取り消しがあった以上、この事業が行なわれなくなる。しかも、この社会福祉法人全和会におきましては、この精神薄弱児施設の経営だけがその目的でございますので、こういった社会福祉法人自体をどうするかという問題が出てくるわけでございます。いわゆる社会福祉法人の設立の基礎をどうするか、つまり解散をするかどうか、こういうふうな問題があるわけでございまして、この点につきましては、さらに東京都の行ないました設置認可の取り消しの内容等につきましても十分調査いたしますし、また、厚生省自体におきましても、法人自体の運営等につきましても事情を聴取いたしまして、その社会福祉法人の解散につきまして態度を決する段階にきておるのではなかろうか、かように考えておるところでございます。

西風勲日本社会党

○西風委員 どうも答弁の歯切れが悪いですね。むしろ東京都がやって、役所の上下の関係でこういう問題が起こった場合には、問題を処理するのではなしに、厚生省として、もっと積極的な指導性を出してもらわなければいかぬと思うのです。そのためには、東京都の今度の認可の取り消しの内容を検討した上で、法人についても厚生省として態度をきめたい、その答弁の裏には取り消したいという意思があるのでしょうけれども、こういうものについては、むしろ東京都と一緒になって、こういう正しくない社会福祉法人が存在しているということは問題なんですから、すみやかにそれが取り消されるように積極的な監督、指導をやるべきだと思うのです。  同時に、社会福祉法人の設立にあたって、私どもは具体的な例を残念ながらまだ持ち合わせていないわけですけれども、いろいろ世間にうわさがあるわけです。社会福祉法人の認可を受けて、実際は売名行為に利用したり、あるいは労働力不足の中で、そこから利潤を生み出すようなさまざまな疑惑がある仕事をしているとかいうような例が、各県で幾つかすでにいわれているわけですね。だから、そういう点では、この事件が起こったのをきっかけにして、厚生省としては社会福祉法人に対して、全国幾つかのケースに分かれて抜き打ち監査というんですか、抜き打ち監督指導というんですか、そういうものをやはりやってみる必要があるのじゃないかと思うのです。おそらく中央学院がこれだけのことをやっているのですから、これほどのことはやっていないにしても、このうちの何項目かをやっているといううわさのあるところも世間では伝えられているわけですから、そういう点は、厚生省がきわめて短い時間の間に準備を整えて、抜き打ち的に幾つかのケースに分けて検査をするというようなこと、大体従来の行政のやり方というのは、事件が起こったときはそういうことをやるけれども、事件のほとぼりがさめると、もうそういう問題については関心も持たないということになるわけですから、半年に一回くらいは抜き打ち検査をやって、さまざまな内容について、厚生省やそれぞれの都道府県が、十分な指導を行なうことができるようにする必要があるのではないかと思うのです。こういう点について厚生大臣の決意をこの際お伺いしたいと思うのです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 私もふだんから、いま西風さんのおっしゃるような気持ちを持っておるわけでございます。いままでも厚生省は都道府県を指導をいたしまして、そうしていまおっしゃったような事柄のないように監査は十分やっておったと思うのでございますが、しかし、こういう事件にかんがみましても、またいわゆる社会福祉法人というようなものを食いものにしているのではないか、こういうようなものも絶無とは言えないというような、いまおっしゃいますような感じもいたすわけであります。全部が全部そうではもちろんございませんが、中にそういうものが一つでもあるということであれば、これは容易ならぬことだと存じますので、今後一そう監督を厳重にいたしまして、そして抜き打ち的な検査も必要であろう、かように思っております。中央学院にいたしましても、東京都がいままで監査をいたしましたが、そのたびにその監査の結果は非常にいいという報告になっております。そこに大きな欠陥があったのじゃないか、やはり抜き打ち検査ということも必要ではないだろうか、かように思いますので、今後そういうことのないように監査を十分気をつけてやりたい、こう思います。

西風勲日本社会党

○西風委員 大体、ことばが適切でないかもしれませんけれども、厚生省は社会福祉法人に弱いといわれているのです。なぜ弱いかというと、退職した厚生省の役人の逃げ場、次の就職の場所——高級官吏はもっといいところに行きますけれども、厚生省の中でも、あまり出世できなかった人のおば捨て山みたいなかっこうになっておるというので、社会福祉法人については、どうも厚生省はつばのつけ方が弱いというように世間で言う人もあるわけです。私はそうは思っておりませんけれども、そう言う向きがあるわけです。だからそういう点で、社会福祉法人の認可基準その他について、どうも厳正でない点があるのではないか、もう一回再検討を加える必要があるのではないかというふうに思うのですけれども、社会福祉法人の認可基準、あるいは認可した以後の監督のしかた、あるいは報告のさせ方というような点について、若干御報告いただきたいと思うのです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 具体的なこまかい問題、必要があれば局長からお答えをいたしますが、私は大きな理由といたしましては、これはさようにはっきり考えているかどうか知りませんけれども、一般のムードといたしましては、社会福祉法人でいろいろ社会福祉の施設をやっていただくと、これは非常にありがたいことだ、こういう感じがあるわけであります。国の予算が十分であって、そして十分な措置費も出せるというのであれば、相当いばってやれるのでありますけれども、これは私の感じなのでありますが、どうも十分な措置費も出せない、よくもやってもらっている、ありがたいという感じがあるものですから、そこで、いまおっしゃいますようなムードみたいなものが感じられるのじゃないだろうか、かように思うわけであります。中には、社会福祉法人には事業の認可の申請があってもどうもきびし過ぎるじゃないか、この程度のものなら許してもいいのじゃないか、いや規格に合わないとか、ああだとかいってやっておって、しゃくし定木過ぎるのではないかと思えるほど厳重な点もありますけれども、しかし全体といたしましては、そういうような感じが一般に起こってくるんじゃないだろうか。どうしても措置費なり、国の出すべき金は十分に出す、そしてやっていけるという体制がまず必要ではないかという感じがいたすわけでございます。

西風勲日本社会党

○西風委員 たとえば、今度の中央学院の事件でも、これはあとでわかったとも言えぬわけです。たとえば豊丸商会ですか、電気部品をつくる豊丸商会というのをつくって、それからもう一つは古鉄を集めるための東谷商会ですか、というのをつくって、この二つを車の両輪にして、そのまん中に位置しているのが全和会・中央学院というような図式にこれはなっておるわけです。こういうふうなことがはっきりしているのに、なぜこんなものが社会福祉法人として認可されたのか、われわれには了解できないわけです。にわかに起こった事件というふうに考えられない節があるわけです、こういう点については。したがって社会福祉法人の認可の方法ですね、認可の基準、先ほど言いましたように、認可後もどういう監督をしているのかということです。もちろん斎藤厚生大臣が言われましたように、私どもも申し上げたいと思っていたんですけれども、本来政府自体がやるべきことでありまして、ほんとうはこういう人々にやってもらうことは、国や自治体が重大な責任を感じなければならない点なんですけれども、だからといって、認可されたこれらの人々に対しては、十分な監督をしないということにはならぬわけで、預かっておられる子供というような点について、十分愛情のある処置をする必要があるわけですから、そういう点では確かに社会福祉法人をやってくれる方々に対しては、感謝の気持ちを持たなければなりませんし、だからこそ逆にわれわれは先ほど申し上げましたような点に、十分留意する必要があるんではないかと思うのです。そういう点について渥美局長はどういうお考えをお持ちか、今後どういうふうに対処されるかお尋ねしたいと思うのです。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 社会福祉法人の認可につきましては、先生御承知のように、社会福祉事業法によりまして厳格な基準が設けられております。その基準に従いまして、その運営なり、あるいは財産なり、そういった点を審査いたしまして決定されるのでございます。しかしながら問題は、その内容の評価の問題でございますが、このような例が出てきてしまったのでございますので、今後その認可にあたりましても、さらに内容的にももっと厳格に、あるいは内容をもっと精査いたしまして進めてまいらなければならない、かように考えております。  それから、いま御質問にございました職業指導に関連いたしますところの子供の労働の酷使の問題でございますけれども、これはつまり精神薄弱児施設の運営の問題でございます。実は、児童福祉法に基づきますところの児童福祉施設最低基準におきましては、このような子供を労働に従事させるという場合におきましては、その省令によりまして都道府県知事にそのことを届け出て認可を受けましてさせなければならないのでございますが、この施設自体が、そのような認可の手続を経てなかったという問題もございまして、実はその点の確認が足りなかったことは事実であろうと思います。またそのような監査が年に一回というふうなことで、しかも比較的形式的な、あるいは帳簿上の監査であったというようなところにも問題があろうと思います。したがいまして、今後はそういった形式的な、あるいは帳簿上の監査にとどまらず、その運営内容につきまして、じっくりと監査をするように、また内容の指導といいますか、そういった点にも十分気をつけて実施いたしたいと思っております。東京都の報告によりますれば、今後は児童福祉施設の監査は年に二回程度実施したい、かようにもいっておるわけでございますので、今後の監査につきましてはそのような内面的な、内容的な指導という点にも重点を置かなければならない、かように考えております。  それから同時に、この施設につきましては、施設の自主的な動きにおきまして、他の同じような精神薄弱児事業を行なっておりますところの方々との連絡が、うまくいってないというふうな点も考えられるところでございます。同じような児童福祉事業をやっておる者たちが、同じ問題をいろいろと議論をしながら、自分の施設の経営という点につきましても、相互に切磋琢磨していくということが必要であろうと思うのございますが、この点につきましては、この施設自体が非常に孤立いたしまして、自分自身の道を歩んでいってしまったというふうな点も見受けられます。したがいまして、今後はこのような施設の運営につきましては、施設長あるいは施設職員相互の研修会とか、あるいは研究会、討論会、こういうふうな点につきましても自主的にそういった会に参加するように、こういった点につきましても東京都を通じまして、このような施設があるとすれば、そのような方途によりまして勉強をしていただくように、今後とも注意しなくてはいけないと思います。  総じまして、今回の事件につきましては、いろいろ問題が出てまいりました。したがいまして、厚生省におきましても、各都道府県に対しまして、いま申し上げましたような内容の通達を出しまして、十分な指導、監督、協力ということができるような措置をしたい、かように考えておるところでございます。

西風勲日本社会党

○西風委員 監査、監督に行ったときに、どういうことをやるかという内容の問題ですね。これも私どもそれがすべてじゃないと思いますけれども、いままで監査しているのでは、何か来て一時間か二時間いて、めしを食って、じょうだんのような笑い話をして帰っていくというようなケースが非常に多い。全部だとは言いません。まじめな監査もあるでしょうけれども、どうも何か車で回ってくるだけで、実際監査をしない。たとえば児童の生活状態とか、児童の学習状態とか、あるいは作業の内容とか、それからこれらの施設に収容されている子供にとって一番大きい問題は、食事の内容の問題ですね。これは、子供たちにとって一番楽しみは、勉強や作業であることはもちろんですけれども、どういう食事をさせてくれるかということが、精神状態に与える影響をも考慮するならば、こういう内容が非常に大きいのです。だから、こうした内容について、十分な監督や指導というようなことを行なっているのかどうか、お伺いしたいと思うのです。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 施設の監査の場合におきまする監査内容でございますが、この点につきましては監査要領をつくっておりまして、それによって実施をするわけでございます。したがいまして、一時間、二時間で簡単に施設の監査が終わるというふうなことには相なっておらないと思います。特に、給食の問題につきまして御指摘がございましたけれども、給食の内容等につきましても、適当な栄養、カロリー、こういった点が確保できるように指導していることはもちろんでございます。今回の中央学院におきましては、その献立とその内容とが違っておったというふうな大きな問題もございます。そういった点もやはり法令に違反するというふうなことになるわけでございますが、ともかく今後は、先ほど申し上げましたように、監査の方法、その内容等につきましても、十分督励ができますようにしてまいりたい、かように考えておるところでございます。

西風勲日本社会党

○西風委員 一つは、先ほど申し上げましたように、抜き打ち検査をここ一カ月くらいの間にやって——特徴的なのがありますね。大きなのとか、小さなのとか、あるいは症状とか、環境とかというような点によって違うのがあるのですから、ぜひこれはやって、社会福祉法人をやっている人が——抜き打ちだけがもちろん心を引き締める手段ではありませんけれども、世の中がこういう問題で非常にやかましくなってきているときですから、こういう波に乗って、社会福祉法人をやっていることは非常にありがたい点もあるわけですけれども、同時に、自分がりっぱなことをやっているのだという気持ちだけでは問題にならぬわけです。中身が伴っていなければ話にならぬわけですから、そういう内容になるように、抜き打ち検査といいますか、もっと積極的な指導といいますか、それをぜひやってもらいたいというふうに思うわけです。  それからもう一つは、これはたいへん困難はあると思いますけれども、社会福祉法人をやっている方々で、自分が事業をやっている人ですね、どういう事業をやっているかということは、ほとんどわかっていないのだろうと思うのです。やはりどういう事業をやっているか報告さして、事業の内容によっては——最近御承知のように労働力が不足してきて、なかなかその工場の運用が困難であるというような条件の中で、つい最初は軽い気持ちで子供を使う、せかれた仕事に使う、そのうちにそれが慣習化するというようなことがあるわけですから、条文ではどういうふうになっているのか知りませんけれども、社会福祉法人をやっている主宰者が、どういうふうな仕事をやっているか。そこで一体子供がどういう形で使われているかという点について、全国的な調査といいますか、もう一回そういう内容について点検するといいますか、そういうことをやっていただきたいと思うのですけれども、こういうことをやられる御意思があるかどうかですね。おやりになるとしたらどういう方法でやるのか、お尋ねしたいと思うのです。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 社会福祉法人の理事と、関係している方々の職業について、それが子供たちの職業指導との関連におきまして、いろいろと御指摘を受けたわけでございますが、社会福祉法人を認可いたしますときに、その理事長である者、あるいは理事である者が、どういう職業につかれておるかというふうな問題も一つの問題ではございますが、むしろ今回の事件によりますところの反省といたしましては、その施設がどういう職業指導をやっているかという問題であろうかと思うわけでございます。この点につきましては、児童福祉法に基づきますところの児童福祉施設最低基準という省令によりまして、こういった職業指導あるいは職業訓練等に子供を当たらせるという場合には都道府県知事の認可を受けることに相なっておるわけでございます。  先ほども御説明いたしましたように、この中央学院におきましては、その認可の手続を経てないという問題がございます。したがいまして、今後はそういうふうな事情がある場合におきましては、当然前もって都道府県知事の認可を受けさせるとともに、そのような職業指導等につきましては、それらを大毒な重点項目といたしまして、監査、指導をするということにいたしたいと思います。

西風勲日本社会党

○西風委員 では、ほかの質問に移らなければなりませんから、最後に大臣、こういうふうな事件が再び起こらないように、万全の処置を整えるということですね。まず、万全の処置を整える前提は、先ほども厚生大臣が言われたように、国がこれらの施設に対してもっと積極的な、しぼって集中的にいえば、財政援助をすることができるかどうかということにかかっていると思うのです。そういうふうな努力をもちろんしなければならぬわけですけれども、そういうものを前提にしながら、今度起こったような不幸な事件が再び起こらないように、厚生省としては全機能をあげて監査、監督あるいは教育その他の指導について十分配慮と注意を払っていくという決意をこの際お伺いして、この問題に関する質問は終わりたいと思うのです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 先ほども申しましたように、こういうようなことが一つでもないように、きめこまかい配慮をいたしまして、そして絶無を期したいと思います。  ただ、こういうことが一つありましたので、そこで、おそらくこういった社会福祉事業をやっておられる方々は、何といいますか、非常に全体の誇りを傷つけられたように思っておられるだろうと私は思うのであります。したがって、一人の不心得な経営者があったためにそういうようなことになったことは、私は、全社会事業関係者の方々の非常な御不満あるいは怒りであろう、かように思います。したがって、社会福祉事業をやっておられるお方を、頭から疑ってかかるというような態度でないようにしながら、全体の方々の名誉を傷つける、自尊心を傷つけるというようなことのないような方法で、そして完全を期してまいりたい、むずかしいことではございますが、そういう気持ちでやってまいりたい、かように思います。

西風勲日本社会党

○西風委員 厚生大臣のいま言われた意見に同意見ですから、そういう点で十分な処置をしていただきたい。  次に、最近新聞に出ております内容によりますと、千葉大学の病院で、献血に来た人に対して処置が十分でなかったために——十分でなかったどころか、たいへんなミスをいたしまして、血管に空気を入れてしまうというような事件が起こったわけです。  最近、厚生省の努力もあるでしょうし、民間団体の努力もあって、かなり献血運動が盛り上がって、大きな事故にあったり、大きな病気にあったときに、みんなが出し合った血で日本人全体が助け合うようにしようというので、献血運動が非常に盛り上がっているわけです。そのときにこういうふうな事件が起こったわけです。私は、ミスをした看護婦さんが、一方的に悪いとは思っておりません。これは本委員会でたびたび論議されておりますように、看護婦さんの定数不足、非常な過重な労働に携わっているというような点なども原因にあったのだろうとは思うのですけれども、しかし、こうした事件が起こりますと、せっかく盛り上がっている献血運動その他に対して、非常に大きな好ましくない影響力が出てくるのではないかというふうに考えるわけです。ましてや、小さな民間の病院あるいは診療所というようなものではなくて、千葉県では名だたる千葉大学の病院ということでありますから、こうした点について、厚生省としてはどういうお考えでこの問題を処理しようとされているのか、あるいはこういう事件が起こらないようにするために、どうした処置をされようとしているか、この際、お伺いしたいと思うのです。

黒木延厚生省医務局医事課長

○黒木説明員 ただいま御指摘のとおり、四月二十七日に千葉大で、採血にからみまして事故が起こったわけでございますが、その状況につきまして、いろいろ調査いたしておるところでございますけれども、採血吸引器の接続関係の事故ということで、大体新聞の発表のとおりの事故でございます。それにつきまして、当然医師と看護婦がそれぞれ分担し合って担当しておる事故でございますので、現在警察のほうでの調べも進んでおることと思いますが、さらにいろいろ状況を把握するとともに、今後こういうことが起こらないように関係者の注意を喚起したい、そういうぐあいに考えております。

西風勲日本社会党

○西風委員 こういう事件が起こらぬように関係者に喚起を促すなんて、そんなことは答弁しないのと同じことですよ、私どもが言っているのは、こういうことが起こるのは、もちろん医師と看護婦の本人の不注意というような点もあるけれども、たびたび申し上げますように、本委員会で議論されているように、看護婦さんの不足とか医師の不足とかというような点にむしろ本質的な問題があるわけだから、災いを転じて福となすということわざがあるように、こういうものを契機にして、そういう点についてどういう積極的な指導をされようとしているか、特に献血の問題について、どういうような正しい指導の方法をとられようとしておるかということを聞いているわけですから、御意見尊重、そのとおりやりますというような答弁なら、してもらわぬでもいいです。もっとまともな答弁をしてください。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○坂元政府委員 献血を推進する立場から申し上げますと、まことにいま御指摘のとおりでございまして、献血運動が非常に国民的な運動として盛り上がっている現段階におきまして、新聞に報道されておりますような採血時のミスによる今回の事件等が、献血運動にマイナスの影響を与えるということは、われわれとしても当然憂慮しているわけでございます。したがいまして、私ども薬務当局としましては、いまや国民運動として大いに盛り上がっている献血運動が、今回の事件によって逆に国民の間に、あるいは一般の供血者の間に、不安感を与えるようであってはならぬわけでございますので、さっそく私のほうで、今回の事件が起きました直後、日赤の責任者、それから都道府県等に対して、口頭の注意、それから文書による指導等についての通達を出しましたわけでございます。  と同時に、いま御指摘のように、全国的に見ますと、今回の事件が大きな不安感を与えるということも予想されますので、今後日赤センター等において採血いたします際、特に保存血液の場合の採血方式というものは、現段階においては非常に安全な方式であるということを、供血者の方を含めて一般の国民にPRしていく、これは窓口等で採血の際にPRすると同時に、一般の宣伝活動の方式を用いまして国民等にPRしていく、と同時に、またこの際、今回のような事件が二度と起こらないように、日赤センター等におきます医師、看護婦等の採血担当者に対する技術研修というものを、従来もやっておりますが、さらにこれを充実強化してまいりたい、こういうことにつきましても、日赤なり都道府県に、早急に指示をいたしたわけでございます。  それで結論から申し上げますと、御指摘のように、献血運動の盛り上がりがこの事件によってマイナス面に働かないように、いろいろの万全の対策を今後も考えてまいりたい、かように思っているわけでございます。

西風勲日本社会党

○西風委員 たいへん御苦労さんですけれども、薬務局長、医事課長さんですね、こういう事件がむしろ契機になって献血運動が広がり、もっといい結果になるというように御努力いただくようにお願いしたい。  それでは次に法案の質疑に入りたいと思います。去年、国会で児童扶養手当あるいは特別児童扶養手当法の一部を、国民年金法の問題とともに改正したわけですね。その際、五項目の附帯決議がついているわけですね。この附帯決議がこの法案の中に、あるいはその後の厚生省の行政の中で、どうように尊重され、実施されてきたか、まずお尋ねしたいと思うのです。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 昨年の五月十七日に、衆議院におきまして、国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議が出されております。この中で五つの項目にわたりまして掲げられておるわけでございますが、そのうち今回提案を申し上げておりますところの、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法につきましては、その附帯決議の第二項の「手当の額の引き上げ」あるいは「所得制限の緩和」という点につきまして一段の進展をなした、かように考えられるところでございます。その他児童手当の問題につきましてはいろいろな審議会、委員会におきまして御答弁を申し上げておるように、目下積極的に準備に取りかかっているということでございます。

西風勲日本社会党

○西風委員 どうもこの附帯決議を見ますと、厚生省はあまりこの決議を尊重しているというように見受けられませんね。現にこの審議に入る前に、冗談で、去年と同じ附帯決議をつけて通そうじゃないかというような話が出るほど、ここに出された附帯決議の扱いというものは、たびたび本委員会に限らず、国会の委員会、本会議でも問題になりますように、附帯決議の扱いというのが法案を通すための手練手管ということになっていて、附帯決議について誠意のある処置をしないという形になっておるわけです。  たとえば去年の附帯決議の第一項の「児童手当に関する法律を昭和四十四年度から実現に努めること。」つとめることというところで問題にするのでしょうけれども、四十一年以来ずっと政府は、たとえば児童手当について来年からやるという公約を繰り返してきているわけです。私どもは、児童扶養手当の今回の改正については、たとえ二百円でも上がることですから、別に反対じゃない。しかし、厚生省の善意にもかかわらず、二百円の値上げというのは、別に不幸な家庭にあるこの子供たちに対して数字が上がったという程度の価値はあるけれども、精神的にも物質的にも、何にもプラスを与えないのですよ。失礼ですが、こういうことだ。そういう点では問題を根本的に解決する必要があるわけです。問題を根本的に解決するためには、やっぱり児童扶養手当というような日陰者の扱いではなしに、児童手当というようなかっこうで、もっと本格的に子供全体の問題とも関連して、これらの不幸な子供たちの問題も解決していくというようにしなければいかぬわけです。そこで、たとえば児童手当について、政府は尊重してないじゃないですか、そういう点について厚生大臣、どういうようにお考えですか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 児童手当につきましては、先ほども広川さんにお答えいたしましたし、またあらゆる機会にお答えをいたしておりますが、四十四年度から実現を見ませんことはまことに遺憾でございますけれども、しかし、その趣旨に従いまして着実に検討を続け、そして前進を進めておりますことはお認めをいただけるのではないだろうかと思います。児童手当懇談会の答申を昨年の十二月の二十日にいただきまして、これを直ちに予算化して本年度から実施ができるということであれば非常によかったと思うのでありますけれども、しかし、この御答申の内容につきましても、これを実施するのにはさらに検討しなければならない幾多の問題をはらんでおりましたし、また十二月二十日になって多額の国費を要求するということも不可能でありというようなことで、延びてまいりました。しかし、一歩一歩前進をして、そして着実に実施の方向に向かって努力をしておるということだけはお認めいただきたいと思います。

西風勲日本社会党

○西風委員 児童扶養手当及び特別児童扶養手当に対して、厚生省は大蔵省に予算折衝の中でどういう要求をされたか、お伺いしたいと思うのです。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 まず、手当の額の問題、あるいは所得制限緩和の問題、こういった問題につきましては、先生も御承知のように、従来から福祉年金、母子福祉年金などとずっと歩調がそろってまいっておりますので、その歩調によりまして要求したのでありまして、これは昨年の附帯決議の第二項にもそのようになっておるわけでございます。  それから内部障害の問題でございますけれども、この点につきましては、先ほど広川先生にも御答弁申し上げたように、私どもは問題点として認識しておりますので、この点につきましては要求をしたのでございますが、やはり他の児童福祉法によりますところの養育医療だとか、育成医療でございますとか、こういった公的な援護策との関係もございまして、それは実現を見なかったのでございます。  それからなお、特別児童扶養手当につきましての他の年金との併給の問題がございます。この点につきましては、やはりこの特別児童扶養手当が、児童手当の実施に関連いたしましてそれとの調整が必要であるという問題もあるわけでございます。したがいまして、児童手当の正式の発足の時期に関連いたしまして、この併給の問題につきましてもこの実現を見送ったということに相なっておるわけでございます。

西風勲日本社会党

○西風委員 私の聞くところでは、二百円ではなくて五百円要求した。格上げですね。  もう一つは、いま渥美局長からお話がありました内部障害についても、これに適用するようにということを——併給をいま見送ったと言われたところ、それを要求したというように聞いておるのですが、それは間違いありませんか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 額の点につきましては、先ほども触れましたように、母子福祉年金の引き上げ額と歩調を合わせたのでございます。  それから内部疾患につきましては、いまお話のあったところと同じようなことでございます。

西風勲日本社会党

○西風委員 先ほども言いましたように、金額について二百円上げるのですから、いいか悪いかといわれればいいにきまっておりますけれども、しかし、遊んでおる子供でも、二百円やるから使いに行ってくれといったら、喜んで行く子供はあまりいませんよ。だから、二百円を上げることによって、厚生省の役人が精神的自慰を感じておられるならば、二百円もりっぱな金額かもわかりませんが、ほんとうに子供に愛情を持って、不幸な子供が立ち直るように勇気づける、力づけるという点からいえば、これはやらぬよりやったほうがましということば以外に何もない。たとえば上げるならば、まず第一に物価値上げやインフレ経済成長に見合うような額でなければならぬわけです。基礎額は別としまして、二百円の額に限定して言いますと、一体この一年間の間に政府が中心にした経済政策で、どの程度物価が上がり、それによってインフレが起こされ、どうした経済成長があったのかという、この経済成長、物価値上げというようなものと見合う額かどうかということが、まず第一に検討されなければならぬと思うのです。それから第二は、子供の生命と健康を守っていく上でどの程度の費用が必要なのかという点の問題ですね。それから三番目は、世間並みの子供と同じように育てていくために、世間並みの、子供に劣等感を持たせないような生活をさせるために、この子供達に対してどういうふうな手の差し伸べ方をする必要があるのかというような角度ですね。あるいは重度障害を持っている子供に対しては、生きていてよかったと、これから子供を育てていく上で親が勇気づけられ、力づけられ、政治にすがるというような気持ちを持つような内容のものでなければならぬわけです。F4Eファントムに二十億円もかけるような政府が、これはたしか年額で言いますと全部で四億円ぐらいでしょう。何か大体そういうことだと思います。そういうようなことを考えましても、いま言われるような角度というか、観点、そういう点に立って引き上げの問題というものが考えられなければならぬと思うのですけれども、どうですか。先ほど、いつも同じようなことを言うというやじがありましたけれども、いつも同じようなことをやっているのは政府のほうなんで、政府がいつも同じことをやっているから、私たちは残念ながら同じことを言わなければならぬのですから、いまこういう点について御答弁願いたいと思います。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 手当額の引き上げの算定でございますが、先生が御指摘のように、いろいろな要素を考えまして、検討して、子供を健全に育成するということは必要であろう、かように考えるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、今回の児童扶養手当及び特別児童扶養手当の引き上げにつきましては、母子福祉年金の引き上げに呼応したのでございまして、従来からの一つのやり方と方法に沿ったのでございます。母子福祉年金の引き上げにつきましても、一一%の引き上げをしておるわけでございますが、この引き上げの額の参考といたしましては、たとえば昭和四十二年から昭和四十三年におきまする消費者物価の指数の伸び率は五・三%、あるいは所得制限の改善率一三%、それから労働者一人当たりの平均給与月額の伸びが、昭和四十一年から四十二年につきましては一〇・九%、このような幾つかの資料がございまして、こういった点を勘案いたしまして、今回の二百円の引き上げにいたしたというのが結論でございました。

西風勲日本社会党

○西風委員 だから二百円を上げるということにした理論的根拠、なぜ二百円になったのか、それをひとつ教えてください。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 ただいま申し上げましたように、母子福祉年金額が月額二百円の引き上げを行なうように予算上きめられておるわけでございますが、これらは、従来の考え方と同じように、たとえば消費者物価指数の伸びあるいは一人当たりの平均給与月額の伸び、こういうふうな点を勘案いたしまして決定した、こういうことでございます。

西風勲日本社会党

○西風委員 さらに私、先ほど言いましたように、その中で一番大事なことは、世間並みの、子供に劣等感を持たせないように生活をさせるということが、やはり一番重要ではないか。劣等感を持つような生活状況になっていますと、やはり人生の上で様々な好ましくない傾向があらわれてくるわけです。そういう点で二百円上げられる根拠を示してもらいたいと私言っているんですけれども、たまたま大蔵省と折衝したら、大蔵省と厚生省との力関係で二百円という数字になったという程度にしか考えることのできないような——少し言い方があなた方に気に入るか、気に入らぬかしりませんけれども、そういうようになったと思わざるを得ないわけですね。  たとえば、厚生省が昭和四十二年十月、この間やったわけですね。昭和四十二年十月、全国にわたって実施した実態調査によれば、義務教育終了前の児童が二人いる世帯の家計では、家計現金支出五万五千八百八円に対して児童養育費は一万七千二百八十三円です。四十二年の厚生省調査です。まだいまから二年前です。現金支出五万五千八百八円に対して、児童二人のために要る費用が一万七千二百八十三円です。その家計全体に占める割合は三一%、こういうことになっておるわけですね。それから義務教育終了前の児童が三人いる世帯の家計では、家計現金支出五万八千五百四十九円に対して児童養育費は二万二千七百十六円、その割合は三八・八%、こういうふうになっておるわけですね。厚生省が二年前にやられた調査です。これらの調査とこの二百円の実態との間に——二百円といっても、二千幾らというのがあるのですけれども、それと合計しまして、格差がひど過ぎるのではないか。と言うと、お金がないというのがすぐはね返ってくるでしょうが、これは大蔵省やあるいは全体の政治のウエートをどこに置くか。大体私どもから言わせれば、厚生省のウエートがどの程度に日本の政治の中でなっていくか。各省の序列の中で、序列というのは適当なことばかどうか知りませんが、厚生省の序列が相当な上位にランクされ——、大臣は相当な上位にランクされておりますけれども、大臣の地位と厚生省の地位と違うからあれですけれども、厚生省の序列が相当な地位になるというときに日本の政治は前進するのではないかというように思うのですよ。そういう点から言いますと、二百円ではなしはもっと積極的に、厚生省が調査した実態に合うようにやられる必要があったんじゃないか。こうした点について、大蔵省その他政府部内で十分な努力をされたのかどうか、十分な交渉をされたのかどうかということをお伺いしたいと思います。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 御指摘のように、子供の育成というのは非常に重要なことでございます。したがいまして、私どもも全力をあげまして折衝をいたしたつもりでございます。

西風勲日本社会党

○西風委員 厚生大臣どうですか。もうちょっと親切なる答弁ひとつ頼みます。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 本質的に現在の上げる前の千九百円が——たとえば昨年御審議をいただいたときに、まあいろいろ附帯条件もつきましたけれども、生活扶助のほかに児童扶養手当としてつける額はどの程度が適当かという基本的なものがある。そこで私は私なりに、まず生活扶助費の引き上げ、これは大体物価の上昇とそれから生活水準の向上に見合った率として、しかも生活扶助の水準がいままで低過ぎるということであるので、若干でもいままでの水準を上げるようにということを配慮して、最後折衝で、まずやむを得なかろう、ここまでということで一三%と決定をいたしました。で、それに見合って他のこれに類似する既存の扶助費等の引き上げをやるということで、まああとは大体事務的に運んだものと、私はさように了解をいたしておるわけであります。そこで、一三%アップの中には、扶助の水準の、これはごくわずかでありますが、上昇も見込んであったわけでありますが、そこで、他のいろいろ付随をいたします社会福祉あるいは扶助費というようなもののアップは、一〇%から十二、三%アップというのを事務的にセットをいたしたというのが経過でございます。  そこで、基本的に現在の千九百円というものが適当かどうかということについては、また異論があるであろうと思います。予算折衝の際には、そこまで根本的に掘り下げてやっているいとまがございませんでして、それは申しわけなかったのでありますが、いろいろ御意見等も伺いまして、来年度の要求には根本的に考えてみたい、かように思います。同時に、児童手当の額とのかね合いもありますから、それらも考えてまいりたい。先ほどおっしゃいました、家庭における児童の養育費の割合三〇%あるいは四〇%、これをまるまる扶養手当として出すのが適当かどうかというところにも、これは議論がございましょう。生活扶助といたしまして、すでに児童の生活扶助費もその中に見ているわけでありますから、そこで、そういうような点は根本的にはなかなかむずかしい問題だろうと思いますが、よく検討をいたしてまいりたいと思います。

西風勲日本社会党

○西風委員 今度児童扶養手当を二百円上げるわけですけれども、その性格というのがどうもはっきりわからぬわけですね。たとえば所得保障というような方法なのか、あるいは介護的な性格なのか、これがはっきりしないわけです。だから、先ほどから議論いたしておりますように、所得保障なら、額についてもっと十分な配慮が行なわれるということが必要であります。所得保障なら、所得保障にふさわしい質、量が整わなければならぬわけですね。残念ながらその点については、この案はどうも所得保障ということに考えにくい。  それから第二に、介護的なものということになりますと、先ほど若干渥美局長から御答弁もありましたけれども、公的な年金と併給するというのが、当然もう一方の極として出てこなければならぬわけですね。ところが、このほうもどうも十分な処置ができないということになりますと、せっかくお出しになった、また、いままで続けて出しております児童扶養手当というものが、一体どういう性格と根拠の中で出されてきているのかということが明らかではないような気がするわけですね。この点について、一体どちらなのか、あるいはどういう考え方をしているのかということをお伺いしたいと思います。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 児童扶養手当と特別児童扶養手当はそれぞれ目的が違いますので、まず児童扶養手当から申し上げますと、児童扶養手当は、御承知のように、公的年金でございますところの母子福祉年金を補完する、いわば生別母子世帯に対します母子福祉年金という性格でございますので、そういった考え方から申し上げますれば、やはり一種の所得保障というふうな性格であろうと思います。次に特別児童扶養手当につきましては、これもお話のように、いろいろと議論がございますけれども、所得保障であるとともに介護料的な性格を持つというふうなことになろうか、そのように考えられるわけでございます。

西風勲日本社会党

○西風委員 これは他の年金その他とも関連もありますから、一がいには言えないかもしれませんけれども、金額としては非常に低いということを認めますね。したがって、金額が非常に低いから、この法案に対してどういう態度をとるかはまだ若干時間の要ることでしょうけれども、それから児童手当との関連もあるわけですけれども、もっと大幅に引き上げるように——四十五年度には、二百円というような金額ではなくて、経済成長や生活に、所得に、もっとプラスになるような大幅な引き上げを行なうというような附帯決議がついたときに、その附帯決議に賛成すると同時に、来年に向けて大蔵省と積極的な交渉をやって、今回のような二百円というような小さい額ではなくて、もっと大きな、不幸な家庭を力づけるような金額にするというような御決意があるかどうか、お伺いしたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 事務当局がお答えいたしておくほうが確実かもわかりませんが、私といたしましては、ここで皆さま方の御論議を承りまして、そうしてここで決議をせられますことはどこまでも尊重いたしてまいりたい、かように思います。

西風勲日本社会党

○西風委員 渥美局長も賛成ですね。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、児童扶養手当のほうは、新しくできるでありましょうところの児童手当との関係がきわめて密接でございます。したがいまして、児童手当の制度の発足に関連いたしましてその額も考えて検討をしなければならない、かように考えております。それから特別児童扶養手当につきましては、これは児童手当懇談会におきましても、児童手当と併給する性質のものではないか、かようにも言っております。これは介護料的な性格があるからである、こういうふうに述べられております。したがいまして、そういった趣旨に従いまして検討しなくてはいけないと思います。いずれにいたしましても、国会におきまして決議されました附帯決議につきましては、厚生省、大臣をはじめ私どもも十分に尊重しなければならないということは言うまでもございません。

西風勲日本社会党

○西風委員 私は決議を尊重してくれということだけ言っているわけじゃないのです。尊重して、来年は二百円というようなことにならぬように、幾らという金額まで明示することはできぬだろうけれども、もっと全体の経済水準に合うような引き上げにするように努力してくれるか、そういうことを約束してもらえるかということを聞いているわけですから。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 いまのままでまいりますれば、私は、来年は二百円では済まない、また済まさせない、かようにお答えをいたしておきます。

西風勲日本社会党

○西風委員 来年は二百円ではない——まあ二百円でないということだけでは安心できないわけで、三百円になったって大した意味はないわけですから。高度成長政策をおとりになっている自民党ですから、おそらく二百円は高度成長に累進成長するのではないかという期待を込めて次の問題に移ります。  国民年金法による母子福祉年金によって、死別母子世帯は高い給付が受けられるのに、同じ母子世帯でありながら、その対象から取り残された生別母子世帯、父親不在の世帯に支給されている児童扶養手当との間に格差が存在している、差があるというのは一体どういうわけかということについてお尋ねいたします。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 御指摘のように、母子福祉年金と児童扶養手当の手当額の間におきまして、児童扶養手当の場合におきましては、第一子につきまして、母子福祉年金と三百円の開きがあるのでございます。この点につきましては、母子福祉年金の発足いたしましたあとにおきまして、生別母子世帯におきましての児童扶養手当が発足したという関係もございますし、また生別と死別との間におきましても相違がある。いろいろ家庭環境その他で相違がある。児童扶養手当におきましては、子供に着目してお金を支払うというふうな点もある。こういうふうないろいろの観点から、この三百円の差というものが当初から存在して現在に至っているわけでございます。したがいまして、この点につきましても確かに大きな問題であるということは私自身自覚しておりまして、今後これは直していかなくてはいけない、かように考えているところでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、児童手当の発足に関連いたしまして、この問題も一緒に解決するように検討しなければいけない、かように思っているところでございます。

西風勲日本社会党

○西風委員 同じ子供でありながら、生別と死別で三百円の差があるというようなことは、これは考えられないことですよ。こういう間違いは、来年まで待たぬでも、ことしだって修正せなければいかぬと思うのです。金額もたいした金額じゃないのですから、予備費その他流用したらいけるわけですから、今度の国会で、この点は当然同額になるということが、理論的にも実践的にも正しいわけですから、同額にするという点でひとつ思い切った答弁を大臣してもらえませんか。これは予算を流用したって簡単ですよ。厚生省の予備費——その前に、三百円同額にしたときにどの程度の原資が要るかということを、その前提としてまずお尋ねしたい。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 第一子児童一人の場合の手当額を母子福祉年金の額と同額にする場合におきましては、積算をいたしてみますと約三億二千五百万円くらいに相なる、かように思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 生別と死別と同じように取り扱うべきかどうかという問題につきましては、子供から見れば、親が生別しようと死別しようと区別はないかもわかりません。しかしながら、やはり生別というものには、親がそれだけの責任を負うべき何ものかがあるだろうと思うのです。これは金額に見積もれないものがあるかもしれません。てて親が死んだというのと離婚したというのと同じ扱いにして、そして政府から援護の手をやるべきかどうかと言いますと、私は、離婚は、それはすべき場合はするのが当然であり、これを抑制しようという気は毛頭ございませんけれども、そこに何らか社会的な道徳的な感じの違いというものがあらわれているのじゃないだろうかと判断をいたすわけであります。したがいまして、いま直ちに、生別の場合も死別の場合も同額だということに御返事を申し上げるのを、私はちょっと留保さしていただきたいと思うのです。

西風勲日本社会党

○西風委員 渥美局長、さっき言ったのは全額じゃないのですよ。三百円だけふやしたときに、三百円というあれで幾らになるか、四億幾らもならぬでしょう。幾らになるかということです。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 児童扶養手当の総額が四十五億七百万円でございます。これは児童扶養手当の受給者が十六万三千人、こういうふうになっておりまして、したがって来年度の予算といたしましては四十五億でございます。児童一人の場合の三百円かさ上げ分といいますか、その分は、積算いたしますと三億二千五百万円くらいになる、こういうことでございます。

西風勲日本社会党

○西風委員 大臣、附帯決議と違うことを言うてもらったら困ります。それは、去年はかっこうのいい園田さん、ことしは慎重な現大臣ということですから、違いが出るのはやむを得ないですけれども、死別、生別のいかんを問わず母子家庭の援護に差別をつけるようなことはしないという明確な附帯決議がありますので、したがって、こういうのをお読みにならずに答弁してもらったら困るわけです。そういうことになっているわけです。この程度の附帯決議くらい政府が野党に対して順守をするということによって、今日のような国会のさまざまな紛争が処理されていく一つの道がついていくわけです。そういう点でひとつ大英断をふるって、死別、生別については母子家庭の援護に差別をつけないという点で、今国会でこの法案が成立するまで積極的な努力をやって、予備費でも何でも流用してそういうことをしないということですね。これはできませんか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 政府はすでに予算を決定し、国会において認めていただいたわけでございます。したがいまして、できるだけ政府の提案のようにお認めをいただきたいと思います。私は附帯決議は尊重はいたしますし、もし附帯決議をいただきますならば、そういう考え方に立って実現するように努力いたしたいと思います。  いま意見を聞かれましたから、やはり生別と死別の場合に、親として子供に対する考え方というものに区別があってしかるべきだというので現行法ができているのではないだろうか。しかし、その考え方をどうしても変えろということでありますれば、これは私の個人的な考え方で左右されるものではございませんから、国会の最高権威として御決議をいただき、それで決定していただければそれに従う必要があると思いますが、いま、おまえの考えはどうだとおっしゃいましたから、そんな感じがいたしますので、もうちょっと考えさせていただきたいと申し上げたわけであります。

西風勲日本社会党

○西風委員 私どもは、ただの一回も斎藤さん個人の意見なんか聞いたことはないですよ。これは大臣をおやめになったら聞きに行きますけれども、厚生大臣としての斎藤先生に聞いているわけですから、したがって渥美局長、やっぱり附帯決議の内容をちゃんと先に説明していただかなければいけないですよ。大臣に対して進講のしかたが足らぬですよ。そういう点で、これは必ずやる、ことしやれないのは予算その他の関係で百歩譲ってやむを得ないとしても、来年は必ずやるという、この点だけは責任をもって答弁してください。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美政府委員 いろいろと、生別、死別、その制度の基本の考え方によりまして、このような三百円という差ができているわけでございますが、ただもう少し大きな見地から考えますれば、ここに差というものがあることは、はなはだ疑問であると思っております。ただ、先ほど申し上げましたように、児童手当が創設されるのを控えております現在でございます。しかも児童手当懇談会におきましては、この児童扶養手当は児童手当の中に吸収されることがいいのではなかろうか、こういうふうな御議論も出ているわけでございますので、この児童手当制度の具体的な構想の中で検討すべきだろうと思います。いずれにいたしましても、私といたしましても、このような差別が一刻も早くなくなるように全力を尽くしたい、かように考えます。

西風勲日本社会党

○西風委員 一刻も早くなくしたいというのは国会の答弁です。これは国会の答弁ではやらぬということになるのですよ。しつこいようですが、大臣の個人的なお考えは別として、附帯決議でことしもこの中にまたつくわけで、残念ながら二年も同じことを言うわけです。だから、それがつこうとつくまいと、来年三百円の差というものは責任をもってなくするという答弁くらい、していただけませんか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 十分努力をいたしたいと思います。

西風勲日本社会党

○西風委員 どうもあまりぴんとこぬけれども、しかし斎藤さんの人柄のなせるわざだろうと思いますので、私どもとしては、来年はこういうことはなくするというふうに受け取りたいと思います。受け取るだけでなくて、表情から見ましたならば、われわれが確信を持てるような表情のようでありますから、そういうことにぜひしてもらいたいと思うのです。  もっと質問したいと思うのですけれども、あと公明党もやられるそうですから、私の質問を留保いたしまして、公明党と質問を交代します。   〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 次に、厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 私は、ただいま議題になっております法律とは直接関係ございませんが、北九州における環境衛生に関連いたしまして、若干質問をいたしたいと思います。  現在、北九州市には五カ所の大気汚染自動測定機が備わっておりますが、そのうち八幡区の黒崎保健所以外の四カ所が、亜硫酸ガス、濃度が〇・二PPMから〇・三PPMとなったという、近年にないばい煙公害が発生したわけであります。それも五月の八日、九日、十日と、三日間も連続しましてスモッグ警報が発令されたという重大な公害が発生したわけでありますが、まずその原因は何だったのか、お尋ねしたいと思います。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 ただいま先生の御指摘になりました三日間のスモッグ警報の原因は、気象的な原因と、それから最近硫黄酸化物が問題になっております石油の消費量がだんだん伸びてまいりまして、そういう原因でこの三日間のスモッグ警報発令があったというふうに考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いまのお話では、気象状況の変化による。私も現地でいろいろ状況を聞きましたときに、異例中の異例だといわれる気象の逆転層、しかもその日は非常に無風状態で好天気であったがために、その逆転層を持続させる悪条件が備わったためだ、こういうことであったわけですが、北九州の市民は、今回のスモッグ警報を受けまして、想像以上に恐怖と不安を抱いております。そしてまた、ばい煙による公害に対して極度の警戒心を寄せているわけでございますが、九州で現行の大気汚染防止法による地域指定を受けているのは、北九州市と大牟田市であります。この両市とも、昨年はスモッグ注意報程度が出ただけで、今回のスモッグ警報というのは九州では初めてのことであったわけであります。先ほど言いますように、その恐怖はきわめて深いものであります。  そこで、ここでお尋ねしたいわけですが、今回の北九州市のスモッグ警報は、その発令の時期が非常におそかったというわけです。その理由は一体何であったのか、これをお尋ねします。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 いわゆる発令の警報がおそかったというような御指摘がございましたけれども、私どもは、特におそかったということを当局からは聞いておりませんけれども、先生も御承知のように、同地域の測定個所が、いわゆるテレメーターによりまして一カ所でコントロールしてそれを見るという装置がまだできておりませんので、そういう点が、現実的にやはりほかの地域よりもおそいという状況があったのじゃなかろうかと考えます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 本会議の予鈴も鳴りましたことですので、本会議後に質問を続行させていただきたいと思いますが……。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。    午後一時五十四分休憩      ————◇—————    午後二時十九分開議

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続けます。大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 質問に入る前に委員長に一言お願いいたします。  それは、ただいま内閣委員会におきまして、またまた強行採決が行なわれました。こういう不届きな採決を当委員会に限って絶対にしない、このような約束をしていただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 私から申し上げますが、他の委員会がどのような方法をおとりになったかは存じません。当委員会においては、野党が審議に協力なさる限りそのような行為はいたさないと、はっきり申し上げておきます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは質問を続行いたします。   〔橋本(龍)委員長代理退席、委員長着席〕  先ほど北九州市のスモッグ警報に関連いたしまして、その原因等についてお尋ねしたわけでございますが、先ほども申し上げましたように、市民のこれに対する恐怖、不安、警戒心というものは一方ではございません。また、この指定地域におきましては、ぜんそくの患者が近年ものすごく増大している。こういうこともあわせまして、スモッグ対策に対する政府の強力な措置を望んでいるわけであります。  そこで、今回のスモッグ警報の発令が非常におそかったという理由をお尋ねしたわけでございますが、先ほどの御答弁では、その情報収集の一貫性がなかったためだということであります。この点について、私は多少疑問を持つわけでございます。とにかく八日、九日、十日と三日間の警報が続いたわけでございますけれども、八日の朝、もう早くから警報発令状態にあったわけであります。にもかかわらずやっと正午になりまして発令が出された。そのおくれた大きな原因は——ただいまの大気汚染防止法によれば、発令権等の一切の権限は県知事にあるわけでございます。福岡県の実情を申し上げますと、県庁の所在地とばい煙禁止の法令の指定地域の北九州市とは、かなり距離が離れているわけであります。したがいまして、現地のほうでは、見るからにスモッグの状態が感じられる状態であっても、福岡市のほうは晴れていて、そのような状態はなかなかはだで感じ得ない。それに加えまして、連絡などが非常にあいまいであってみたりすることから、そういう不十分さからこのように適切な処置がおくれるのではないか。つまり、法令に基づく許可だとか、あるいは届け出受理などが、遠く離れている別個の機関、福岡でいえば県庁が福岡市にあるということから、そのような行政がそういう立場で行なわれているところに大きな問題があるのではないか、私はこのように思うのです。これについてどのような考えをお持ちか、お尋ねをいたします。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 北九州市と福岡の県庁の所在地が離れているので、いろいろな点で問題があるのではないか、こういう御指摘だと思います。現行法では、スモッグ警報等の問題につきましては、御指摘のように県知事が権限を持っております。これは、大気汚染の問題が広域的な問題でございますので、現行法上そういうことになっているわけでございます。しかしながら、先生御指摘のように、特に福岡におきましては距離的な関係がございますので、そういう点につきましては検討をいたしたいと思います。  ただ、北九州市の場合は、ほかの府県と違う点は、実は先ほど申しましたようにテレメーターの方式、つまり各地にあります自動測定記録を集中的に管理して一目で状況がわかるという装置が、たとえば千葉、大阪その他では全部できておりますが、その点、私どもとしては、北九州市につきましては昨年度からこれを実施するように助言いたしておりますが、市のいろいろの御都合で昨年度は見送られました。できれば私どもとしては、今年度からこれを着手していただくようにお願いをするつもりでおります。そういう点が完備いたしますと、先生が御指摘のような問題は多少解除されるのではなかろうか、かように考えます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いま、テレメーター装置が北九州市ではおくれているのは、何だか北九州の市長がそれをやらなかったみたいな印象を受けたわけでございますが、この点については、地元の市長と私も会って、いろいろとその内容を確かめてみたいと思います。私がいま言っていることは、そのことも重大なことだと思いますので、これはぜひともテレメーター装置を実現してもらいたい。  以上申し上げましたいろいろな問題点は、何回も言うようですけれども、行政の一貫性が欠ける、つまり二重行政の弊害を生じている、そのために結果的には市民の利便をきわめて低下させているということから、地元の市民は、一切の権限を握っている県知事のその立場、事務委任を、むしろ北九州市に大幅に委譲すべきである、このように言っているわけです。これについて大臣はどうお考えになりますか、お尋ねいたします。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 いずれにいたしましても、大気が相当汚染をされている、許容限度を越えているという場合に、即刻警報が発せられ、そして必要な措置が直ちに行なえる、いわば自動的に行なえるくらいにすべきものだ、私はかように思います。それが、警報の発令権が知事にあって、その県庁が福岡にある、現場は北九州市だということで、その間のギャップを埋めることができないというようなことであれば、これは権限のことも考えなければならぬと思います。ただ御承知のように、スモッグの警報は非常に広域にわたるわけでございますから、そうでなくても、北九州市自身においては、その煙が遠くへいって、そのほうでまたという問題もあろうと思います。先般の川崎と東京のごときは、県だけでは地域が狭過ぎるという問題を提供いたしたわけでございます。いずれにいたしましても、そういうことを勘案をいたしまして、そうして場合によれば、県の出店を北九州市に置いて、臨機の措置を誤りなくやるという手もあるでありましょうし、また権限の委譲という点もございましょう。全部含めまして、ただいまおっしゃいますような不都合が将来起こらないように検討をいたして、必ず善処をいたしたい、かように思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 大臣の答弁はなかなか前向きの答弁でございますが、それを実質的に早急に実現してもらいたい。名古屋とか大阪、神戸などは、いわゆる公害の指定地とその県庁の所在地が一致しているので非常にスムーズである、こういう実態が明らかにされております。北九州市の場合は、御承知と思いますけれども、そのスモッグ状態も年々に悪化の状態をたどっていると思うのであります。以上のような実態にかんがみまして、この際、いわゆる指定都市の長に事務委任を大幅に委譲する、この方向で前進してもらいたい。また福岡県の場合、県知事自身が、委譲するのが至当である、このような考えからその作業、準備に当たっているということも聞いているわけでございますが、それがなかなか進まないのは、厚生省、通産省、建設省等の関係各省の調整がなかなかつきにくいために委譲がスムーズに行なわれない、このような話も聞くわけでございますが、こういう点どんなものでしょうか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 すべて行政は国民のためにあり、大衆のためにあるものでございますので、そういう見地から、省の権限争いとか、なわ張り争いとか、あるいは意見の相違とかという点もなきにしもあらずと思いますが、そういう点は、やはり国民のためということで統一をしてまいらなければなりませんので、そういう見地に立ちまして、ただいまおっしゃいますような不便、不都合のないようにいたしたい、かように存じます。  私の出身県は三重県でございますが、四日市と県庁の所在地の津は相当離れておるのでございますが、これはいまのところ非常にうまくいっているようでもございますので、要すればあるいは権限の委譲ということも考えなければならぬかもわかりませんが、事実上のくふうによってそういうことのないようにいたすこともできるかとも思います。先ほど申しますように、前向きに、大衆の人たちが大気汚染のために悩むことのないようにいたしたいと、お約束を申し上げたいと思います。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 制度的な問題は、ただいま大臣が前向きの御答弁をなさいましたように、早急に検討いたしたい、かように考えておりますが、福岡県のほうでは、とりあえずそういう問題が解決できるまでの間、たとえば市の職員を県の職員に補職いたしまして、事実上市のほうで何でもできるということを現在考えておるようでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 ただいま、その充実は前向きで行なわれるということですので、それを深く信頼してまいりますが、大気汚染防止法が制定されまして、業務の体制の大幅強化がはかられることは当然考えられるわけでございます。   〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 ただいまの北九州の公害対策の直接の係官、職員はわずか八名である。しかもその八名のうち一名は長期欠席だそうです。病気か何かでしょう。したがいまして、実質的には七名なのですね。ただいま大臣がおっしゃったように、地元の大衆、市民を安全ならしめるための公害対策の責任ある状態に持っていくためには、最低二十二名は必要だということを現地の職員の方から聞いてきたわけでございますが、いまの局長さんの話では、かなり充実されて当たっているというようなお話を聞いたわけですが、だいぶその点開きがあるようですけれども、お答え願います。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 公害関係の職員はどこの府県でもいま力を入れて増員いたしておりますけれども、まだなかなか十分ではない実情でございます。特に北九州市の場合は、御承知のようにタコの足のようにいろいろ地域が分かれておりますので、この点はほかの地域よりもむしろ人員の増加をはかる必要がある、かように考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 多少じゃなくて、これは地元の直接公害対策に当たっている職員あるいは係官の切実な要望ですので、そういう線をとらまえた上で人員の増加、拡充をはかってもらいたいと強く要望をしておきます。  それから現行の大気汚染防止法では、〇・二PPMの状態が三時間以上、〇・三PPMが二時間以上、〇・五PPMが一時間以上の状態になったときに緊急の措置を講じなければならない、こうなっていると思うのですが、その点は間違いないでしょうか。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 御説明のとおりでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 先ほども言いましたように、スモッグ警報の発令が非常におくれたということは、単なる行政の問題だけではなくて、これは人体に及ぼす影響がきわめて大きいということから、こういう点は深く検討を要する問題じゃないか。というのは、これは厚生白書の中にあるのでございますけれども、昭和四十三年の二月、生活環境審議会の環境基準専門委員会は、人の健康に対する安全の立場から、亜硫酸ガス濃度の時間平均値としては〇・一PPMを答申している。つまり人体に悪影響を及ぼす健康に対する安全の立場から、亜硫酸ガスの濃度は〇・一PPMからである。今回の場合は〇・二から〇・三というきわめて濃い状態にあったわけですね。それが発令がおくれたということは非常に残念でなりません。こういう点で、この点も今後の対策にあたって深く考慮をし、配慮をしてもらいたい。  そこで、今回の事態発生に即してどのような措置が講ぜられたのか、これをお尋ねいたします。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 警報が出ますと、関係企業、特に大量の重油を消費しております工場に対しまして、低硫黄の重油をたく、あるいはその他操業等について可能な限り石油をたかないで済むような措置をとることの協力を要請することができます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)政府委員 この十七条を見ますと、発生原因者に対して排出量の減少について協力を求めることになっている。あるいは最後のほうには、「勧告することができる。」、このようにうたってあるわけでございますが、今回の北九州の状態に対して県知事が実際にどのような措置をしたか、御承知ではないでしょうか。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 協力要請をしたという報告を受けております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 その問題についてはあとでさらに触れてみたいと思いますが、それと、また十七条の一項に、緊急事態発生時は一般に周知徹底させるということにもなっておりますが、これは行なわれたのかどうかということです。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 この状態になりますと、ラジオあるいはテレビ等を通じまして住民にこれを周知徹底するというのが慣例でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 では、最初のほうの質問に対してちょっと深く聞いてみたいと思うのですが、亜硫酸ガスの排出規制を命令権者である県知事が指示をしたわけですね。その指示をされた工場が二十八工場あったそうです。これはまだ警報が発令されている十日のことであります。ところが、その指示に従ったと思われる工場は、わずか十工場だったそうです。残りの十八工場は平常どおりの操業をやった。そのあくる日などは、警報は解除はなされておりますけれども、十一日の日はいま言ったような状態であったわけです。したがいまして、県知事のそうした指示を受けても、実際にはほとんどの会社、工場がその指示に従っていないという実態があるわけです。これは単なる努力的な目的なのか、その指示を受けなかったときはどのようになるのか、そういう点もあわせてお答え願いたいと思います。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 県知事の協力要請は、いわゆる命令、指示をしまして罰則によって担保するというような強いものではございません。しかし、他の地域におきましては、この協力要請がなされますと、当然工場はその勧告に従うというのが通例でございます。ただいま先生がおっしゃいました、二十八工場のうち約半数は従来のどおりやったということでございますが、この点につきましては、なぜそうであったのか、さらによく調査をいたしたい。私の推測でございますけれども、北九州地域は警報がこんなに続いたのは初めてであって、おそらく工場自体としても、こういう事態のときのいろいろの準備があるいは対応できなかった点もあろうかと思います。この点につきましても詳細調査いたしたい、かように考えます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 大気汚染防止法から感じられることですけれども、工場あるいは会社等からこの減少計画が知事あてに出された場合、減少計画をもとに、知事と地元の通産局と、そしてその関係の会社と三者が立ち会いの上その問題を検討し云々とあるように思うのですが、その点はいかがなものでしょうか。

矢島嗣郎通商産業省企業局立地公害部長

○矢島政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、そういう趣旨は大気汚染防止法に基づく、厚生、通産両省の通達にうたっているわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 今回それが実際なされていたかどうかですが、それは御承知ないでしょうか。

矢島嗣郎通商産業省企業局立地公害部長

○矢島政府委員 今回の件につきましては、そのとおりやったかどうか、まだ詳細を承知しておりません。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 私の知るところでは、これがなされていなかったというのですね。先ほどの御答弁の中に、おそらく北九州市では初めてこういう状態だったので、いろいろと戸惑ったためにそうした減少計画が実施できなかったんじゃないか、このような話がありましたけれども、いま言った三者の話し合い自体がなされていなかった。これは非常に大きな問題だと思います。こういう点については大臣から強い指導をしていただきたい、こう思うのです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 十分御趣旨を体しまして、あやまちないように指導をいたしてまいりたいと存じます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは、先ほどの質問の二番目のほうですけれども、緊急事態発生のときは一般に周知徹底させるということなんですが、これは今回なされなかったのですよ。というのは、ただ単にスモッグ警戒警報が発令されましたよというだけでは市民は戸惑うと思うのですよ。そういう場合はどうやればいいのかということだと思うのですね。そういう具体的な指示はなされていない、周知徹底はされていないということですが、これについてどうお考えになりますか。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 具体的に周知徹底方法がラジオその他で北九州地域に放送されたか、あるいは伝達されたか、そこまで私承知しておりませんけれども、普通の場合は、たとえばいままでの例で申しますと、法律の適用を受けていない中小企業等、あるいはその他の事業所等でも、それに協力をして、いわゆる重油等の消費についてもいろいろ協力をするという意味も加えて、周知徹底をはかるわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 私がいま聞こうとしているのは、こういう状態だからこういうふうな立場をとりなさい、たとえば風下に行きなさいとか、そういうこまかい指示等はやらないのでしょうか。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 スモッグ警報の周知徹底は、特に大衆に対しまして、いま先生がおっしゃいましたようなことを考慮して周知徹底をするという趣旨ではございませんで、私が申しましたような、工場等へのたとえば協力要請が漏れてはいないか、あるいはその他の一般工場あるいは事業所等に協力を求めるという意味で周知徹底をはかるわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 今度の北九州の場合、一般に対する周知徹底が非常に弱かったというのは、北九州全体がそういう状態になって、むしろそういうことを指示すること自体が混乱を招くのではないか、こういう心配から周知徹底を欠いた、こういうことを現地の係官の人は言っておりました。これも今後の公害対策にあたっては重要な事柄ではないか、今後の対策、改善について検討の重要事項としていただきたいと思います。これを強く要望して次に移ります。  北九州市における大気汚染による人体に対する影響の実態調査といいますか、これは行なわれているのでしょうか。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 国直接あるいは県等で調査をやったことはございませんけれども、大学で汚染地域の調査をやった報告を聞いております。この結果によりますと、普通の地域よりも慢性気管支炎の症状者が約倍程度である。つまりおそらく五%程度じゃなかろうかと考えます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 とにかく四日市ぜんそくみたいに顕著な状態になってからではこれまた手落ちだということであります。いま北九州あるいは大牟田方面では、いま言われたとおりに、非指定地域に比べると倍のぜんそく患者が出ていることは、確かにこのような亜硫酸ガスによる障害であろうとわれわれは感ずるわけであります。厚生省としてこのような実態調査を至急なさる意思があるかどうか、またあれば、いつごろ、どのような方法でされようとなさるのか、御答弁をお願いします。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 実態調査につきましては、十分地元の市、県の意向等を尊重して、できるだけ早く実施するように指導したい、かように考えます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いまの答弁にありますように、大臣もその気で、おくれないように、ひとつすみやかにその指示をしていただきたい、このように思います。  それから、環境衛生についてですけれども、これは常時の調査、訓練といいますか、これがきわめて肝心ではないかと思うのです。たとえば、煙突はどこどこにあって、どこの工場の煙突からはどの程度の亜硫酸ガスが出ているか、これは日ごろから調査をやる必要がある。つまり、いろいろな立場から考え合わせてみても、常時調査といいますか、そうした訓練といいますか、そういうものが大事だと思うのですけれども、現実は行なわれておりません。このことについてどのようにお考えになっているか、お答え願います。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 大気汚染防止法で、ばい煙発生施設は会社自体に測定義務がございます。これをやはり地方公共団体の監視員が見回りまして、それをチェックするというたてまえになっておりますので、その点の励行をはかれば、先生のおっしゃるとおり実現できる。ただ、先ほど御指摘になりましたように、人が非常に少ないので、はたして会社がきめられたとおりの状況にあるかどうかという点のチェックは、もう少し十分監視する必要がある、かように考えます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 地元の環境衛生の係員というものはきわめて少人数なんですよ。言いにくい話ですけれども、野犬狩りのときも部長からすべてかり出されるような現状です。だから、いまの法律のたてまえ、そうした趣旨を実現するためには、強力な人的配置ですか、その体制整備の拡充強化を要望しておきます。  それでは次に移りますが、これは通産局の方に特にお願いしますけれども、亜硫酸ガス濃度の増加は、言うまでもなく重油の使用量の増加によるものであるわけですが、特にその大部分を硫黄の含有率の高い中近東方面の原油の輸入に依存しているということを聞いておりますが、亜硫酸ガス濃度の増加にこれが拍車をかけているのだということで、最近低硫黄分の重油の配給制度を確立してもらいたい、このような強い要望があるのですが、これに対してはどのようにお考えでしょうか。

矢島嗣郎通商産業省企業局立地公害部長

○矢島政府委員 先生御指摘のとおり、現在日本の輸入原油のソースといたしましては、中近東が一番大きく、九〇%を若干上回る程度を中近東から輸入しておるわけでございます。それがもちろん中近東は硫黄分が高いので、亜硫酸ガスの減少のためには非常に問題となっておる点は十分通産省自身認識いたしまして、その点は解決いたしたいと思っておりますが、それが、先生のおっしゃった重油の配給制度を直ちにとる必要があるかどうかは、また検討を要するところでございまして、ただいまのところまだそこまでは来ておりませんで、その前の段階でいろいろな施策があるわけでございまして、たとえば、いまの中近東に九割以上も依存するような原油の輸入構成というものを相当変えまして、もっと硫黄分の少ないものを輸入する。さらに石油開発公団等を活用いたしまして、みずから低硫黄の原油を開発して輸入する、そういう方策もまず考えなければいかぬ、かように考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 時間の関係もありますので……。さっきの問題にちょっと返るようですけれども、北九州の場合、公害対策、特にスモッグ対策はもう無防備だ、大気汚染防止体制じゃないといわれることがあるのです。それは、現在北九州には五カ所の測定所があるわけでございますが、八幡と黒崎と戸畑と若松の四つの保健所は、日曜、祭日は警備員がいるだけで、測定機が自動的にその状態をチェックしていくわけですけれども、大気汚染度のチェックされた数値を読み取り切れる専門家はいないというのですね。だから、機械は働いていても、日曜、祭日というのは、いま言ったような状態ですので、もう無防備だといわれるわけですね。また小倉にある朝日ケ丘の厚生省の大気汚染測定所は、日曜日はだれもいないというのです。こういうことでいいのでしょうかね。これについてお答え願います。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、私先ほどからたびたび申しておりますように、早くテレメーター装置で一カ所でそれが自動的にわかるようにいたすのが先決であろうと思います。  それから、お話になりました厚生省の国設の大気測定記録のところは、日曜のみならず、ふだんでもだれもいないわけでございまして、この点は自動的に記録が装置できるようになっております。したがいまして、必要なときにそれを読み取るという職員がおれば、それで状況がわかるわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 小倉の測定所の無人は、日ごろからいないということでなお驚いたわけですが、この公害というのは、予測し得ない状態——戦争時代だったら空襲警報と同じですからね。だから、常時専門家がそれを確認していくという体制が大事ではないかと思うのですが、その点はいかがなものでしょうかね。

武藤き一郎厚生省環境衛生局公害部長

○武藤(き)政府委員 自動化しておりまして、全然見回りにも行かないというわけではございませんで、週二回程度は行っているようでございますが、その点はやはり人の問題がございますので、なるべく増員いたしまして、自動化しておりましても、絶えずそれが判断できるという状況にいたしたい、かように考えます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 では大臣に、いまの点どのようなお考えか、答弁をお願いいたします。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 機械が自動的に観測をし記録をする、そうしてその記録の読み取りをどこでやってどうしておるのか、私まだ具体的にそこの機械の装置の内容を存じません。したがって、動いている機械を使って、そうして大気汚染が生じたら、先ほどいろいろお話しになっておられるような措置のできるように、人が足りないならどうしても増してまいらなければならぬ、さように思いますので、技術的によく検討いたしたいと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 このように、スモッグというのは、朝に夜に人体に悪影響を及ぼす亜硫酸ガスが含まれて出ているわけでありますので、真剣にこの問題と取り組んで、大幅な改善を要望いたします。  以上をもちまして、きょうの質問を終わりたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 大橋委員に私から申し上げます。  先刻再開壁頭に、内閣委員会において自由民主党が防衛二法を強行採決をしたことはけしからぬという趣旨の御発言がございました。調べてみますると、防衛二法の強行採決を内閣委員会で行なっておりません。先ほどの御発言を訂正せられる御意思はございますか。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 強行採決がなされたということを聞たいのですが、また私も現場に行ってその騒ぎを見てきたわけです。いつもの強行採決をなさるその状態をこの目で見たわけですが、それが趣旨説明であったか、採決であったか、その点私自身が確認しないまま話したことについては、これは軽率であったと思いますが、いずれにしましても強行をやったことは事実であります。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 先ほど大橋委員の御発言は強行採決と言われましたので……。強行採決ではございません。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 その点は認めましょう。ただし、過去において、今国会においても、国鉄運賞の強行採決、それから総定員法の強行採決、地方公務員法の法律等も、まことに嘆かわしい状態で進んできました。今後も、防衛二法とかあるいは健保等も、そのようなことがなされるのではないかという予測がちまたに飛んでおります。それだけに私は開会冒頭に委員長に要望したわけでありまして、何も自民党のあらを申し上げたわけじゃありません。あくまでも……。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 大橋委員に申し上げますが、強行採決と言われた御発言を訂正される御意思はございませんかと申し上げております。後段のお話については……。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 強行採決ではなかったという事実をおつかみになったそうですが、じゃ、その騒ぎは一体何だったでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 趣旨説明を行なったようであります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 じゃ、そういうことで理解してけっこうだと思います。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 最初に言われました点については、最初にお答えを申し上げましたとおりに、野党の審議に御協力があります限りは、当委員会においてはそうした事態はないものと私は理解をいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時一分散会

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