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61回国会衆議院1969/05/08

社会労働委員会 第16号

発言数
99
登壇者
11
会派数
5
開催日
1969/05/08

会議録

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。本島百合子君。

本島百合子民主社会党

○本島委員 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、質疑を行ないます。  被爆者救援の手が差し伸べられましたのは、大体昭和三十二年の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律が提出されてからでございますが、私その前にたびたび広島、長崎に参りまして、特に被爆者などの病院等にお見舞いに参りました。そのとき、切々と被爆者に訴えられ、何とか自分たちに対する援護の手を差し伸べてもらいたい。それはもう非常な悲願であり、まあ厚生大臣も御存じであろうかと思いますが、あの千羽鶴が非常にたくさん折られて自分たちのまくら元にも置かれておるし、また町にも千羽鶴が非常にたくさん出ておりまして、そして原水禁の大会などに来た人などが、それを買い求めて帰られることも見受けられたわけであります。あの当時の被爆者の心境というものは、全く自分たちが非戦闘員としてあんなみじめな残虐な目にあおうとは、だれしもが思っていなかった。そしてそれが直接自分たちに降りかかってきた災難、しかも、そのための援護の手というものはあまりなされていなかった当時のことですから、それはそれは、あのときの被爆者たちの話をされたことをいま思い出してもあわれであります。それから国会におきまして、御承知のとおり三十二年の医療に関するところの援助の手が差し伸べられてきたけれども、この給付が非常に低いということで、これまた被爆者たちに、何とかせっかく見てくれるならばという意見等もあったわけであります。それからまた長い間を経まして、三十九年に衆議院、参議院におきましてこの援護強化の決議がなされて、やっと昭和四十年にこの被爆者の実態調査が行なわれた。そして四十三年の五月にこの原子爆弾被爆者に対する特別措置法が出て、やっと愁眉を開いた。こういう経過であるということ、このことを考えますときに、ほかの軍人軍属の人たちであれば、たびたびの法改正によりまして、また物価にスライドしたところの援助金等が出されてきておるにもかかわらず、被爆者の場合にのみこうした冷淡な待遇がなされてきたということ、これは戦争の痛手というものが、あの被爆者の中で私どもは忘れることができない。昨日も参考人が言われたことばの中に、あの悲惨なる原爆の実態を知っておるところの現在の国会議員が、真にこの人たちに対する救援の手を差し伸べてくれない限り、この被爆者たちの気持ちはおさまらないだろうし、またこの人々がほんとうにみじめに死んでいくのじゃないか、こういうような発言もあったわけでありますが、このことばは味わうべきことばであると私は感じたわけであります。  そこで厚生大臣にお伺いいたしますが、昨年も非常に問題にされて、同僚の議員さんたちが、葬祭料については何とか見てほしいということと同時に、いままでの方々でなくなった人、こういう人々に対しては何の手も差し伸べないのか。遺族のはっきりしておる方々に対しては、遺族もあるわけですから、こうした被爆者はわかる限りにおいては、いままで法律が制定されない以前になくなられた方々に対しても、その手を伸ばすべきだということが切々と訴えられておったわけであります。こういう点について大臣としてどのようにお考えになるかということと同時に、今回の予算措置としては大体どのくらいの人がなくなると見積もられているのか、その葬祭料がどの程度に支払っていかなければならぬと踏まえていられるのか、この点をまずお尋ねいたしたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいま本島さんの切々たる御意見は私も同感に存じます。私も実は、原爆の落ちた三日目でありましたが、広島に視察に参りまして、そして実際あの暑い道ばたで、傷あとにウジがわいて、頭の毛も抜けようとしている患者さんが満ちあふれておられる様子もうかがって、いまもなお私の脳裏に残っております。普通の戦災の被害とはこれは比べものにならないものだという印象は当初から私は持っております。その後も原爆の被害について、幸いにそこで即死をされなかったお方についても、非常な苦痛が残っている。これはたとえば焼夷弾で、東京でも、御承知のように下町の江東区のほうで相当なくなられて、死屍が累々としておりました姿も私は見ておりますが、当時なくなられた方々にとっては同じことだと私は思います。ただ幸いに生き残られたお方が原爆病で悩まれるというのが一つ残っているわけです。したがって、できるだけ手厚い援護を国からやるのが至当だと当初から私は思っておりましたし、四十三年、昨年にまとまった特別措置法ができましたのは一つの段階だ、こう思っているわけでありますが、それで十分とは思っておりません。できるだけ御迷惑のないように、またお気持ちのやわらぐようにということが必要であろう、かように思っておるわけであります。したがって葬祭料というのも、そういう意味から今度立法化をいたしたい。昨年の決議にもありました。総理も言明をいたしました。ただ、これをなくなられた方にまでさかのぼるかどうかという問題。ただ葬祭料だけでなしに、なくなられた方に対する慰謝料のようなものも差し上げるかどうか、遺族の方に対してもどうするかという問題になりますと、原爆の被害は一般の戦災被害とは違って、これは国家補償という形で見るべきだ、こういう観点に立ちますると、そういうことはしなければならぬということになってくる。また、それはどうしてもしなければならぬということになれば、そういう立場に持っていかなければならぬわけであります。  そこで、昨年成立を見ましたこの特別措置は、生きておられる方にできるだけ手厚くしようという、いわゆる社会保障的な援護措置でございますから、その法律の性格をそのままにとってまいりますると、これからなくなられる方に対して差し上げるという以外に道がないというのがいまの法律のたてまえでございます。そこで、その法律のたてまえを変えてしまうかどうかという問題これはおそらく昨年の審議の際にもいろいろ御議論のあったことだと思います。いままでもあっておることだろうと思います。したがって、そういう点につきましてはさらに検討をいたしてまいらなければならぬ問題だと思いますが、昨年成立いたしました法律を、性格まで変えてことし出すというところまで私は検討が済みませんので、また政府部内でもその検討はできておりません。なくなられた方に対しての慰謝料、あるいは遺族に対しての慰謝料というような問題になりますと、他の焼夷弾や爆弾によってなくなられた民間の方と違うのかという議論をどこにつけるかという問題が、まだ残っておると思います。そういう問題は、私は政党政派を離れて御検討をいただく、また政府部内でも検討いたしまして、そして適当な解決に進んでまいりたい、かように思っておるわけであります。  それから、これから差し上げる葬祭料、今後どれだけなくなられるであろうかという数字は、ある程度の推測は事務当局でも持っておると思いますが、しかし公な場でどうでありましょうか。一般になくなられる方よりも死亡率は高いのではないかという程度で申し上げておくほうが私はいいんじゃないかと思いますが、しいてとおっしゃれば数字を申し上げますけれども、これは被爆者の方にはどういうふうにお感じになられるか、かように思うわけでございます。

本島百合子民主社会党

○本島委員 いま大臣が懇切に御説明いただきまして、葬祭料の数等についてはということでございますので、私もそれはそうだという気がいたしますので、あえてお聞きいたしません。  私は、あの当時、私どもの妹夫婦がちょうど広島の原爆の中心地に近いところにおったわけで、そして帰ってきましてから、あのときの状況等ずいぶん話に聞かされて、これはたいへんなことだ、こういう被爆されて生き残られた方々、この人たちをほんとうに大切にしてあげなければならぬ。同時に、その医療については、おそらく世界じゅうないことでしょうから、これから日本が立ち上がってその医療問題については研究をしてなおしていかなければならぬ、こういうふうに考えておったわけであります。そのときのみじめさの話はもうしなくても、大臣も三日目においでになって、いまの話を聞いてもおわかりになるとおりで、ほんとうに日本にとってあれだけの被害を受けるとは、だれしもが想像をしなかった。それだけに、この被爆者に対するところの治療というもの、これに対して政府はどの程度の援助をされてこられたのか。たとえば、いろいろの種類がありますということが昨日の参考人からも申され、また広島原爆病院の先生にも伺ったわけですが、どの程度に全治させることができるかという、そういう進歩の状況についてはまだお答えができませんなんて言われたのですけれども、しかし、この被爆というものについては、やはり国家的な投資が行なわれて、研究もされ治療もされてきたと思うのですが、そういう点は、自信を持ってこの程度まではいっているのですということが言えるかどうか。予算上では、私これは原爆病院に出されるお金と思い込んでおったのですが、三百万円という数字が上がっておったのですが、きのうお聞きいたしましたところそうではない。これは、そういう医療に対する研究をしておられる団体の方々、それが十二、三のグループがある、そのグループに対してのお金でございます、こう言われたのですけれども、それにしてもこれはえらい少ない金であって、そしてその程度のことで、これだけの大きな被害と、新しい放射能によるところの難病というものが、どの程度研究され、そして治療がうまくいくのかという、そうした不安を持ったわけなんで、この点をひとつお尋ねいたします。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 結論から申し上げますと、現在広島、長崎を中心にして行なわれています被爆者に対する医療の内容については、私は国際水準より劣るものではない、遜色はないというふうに判断いたしております。  なお、四十四年度の予算書にも計上いたしておりますが、保険で支払われる医療費を除いて、国の公費という形で支払われる予算は合計四十四億ございます。これは現在の被爆者の治療の面からして、ほぼ適当な予算であるというふうに考えています。  なお研究の問題でございますが、昨日も参考人のお話もございましたけれども、一応被爆者の後障害研究会というグループをつくりまして、ここに対しては、お話のように、年間、本年も約三百万円の補助金を計上いたしております。ただ、こういうグループのほかに、御承知のとおり広島、長崎の両大学に付設の原爆の研究機関がございます。さらに放射能の全般的な総合研究施設としては、科学技術庁が千葉県に放射線医学総合研究所、さらにまた広島には国立予防衛生研究所の支所を設置いたしまして、現地にございますABCCと共同の研究、これは大体年間七千万ぐらいの支所の経費を日本政府で計上して実施しておる。これらの研究が総合的に徐々に成果があがってまいって、新しい成果を取り入れて治療の面に反映させていくというのが、現在の私どもの被爆者に対する医療研究の面でございます。

本島百合子民主社会党

○本島委員 いまのお答えでは、ある程度国際水準まで治療の効果は上がってきている、こう言われたのですが、とにかく今回の法律の提出によりまして葬祭料を出されるようになり、その数ははっきりしないけれども、こう言われるのですが、とにかく被爆を受けた人々は非常に老齢化が早い、そしていろいろ病気を併発してなくなる率も高い、こう言われておるのです。さすれば、国際水準というものがどの程度か私にはわかりませんけれども、やはり日本の特質的な被爆者のこの現状を見ていきますときに、こうした問題の水準というものはまだ低いのだなという気がするのです。やはりこの方々の病苦の苦しみというものを一刻も早く取り除いてやるということが、私どものつとめじゃなくちゃなりませんし、その被爆者の人の訴えることのできない悲しみ、こういう問題等については特段の措置をしてほしい、こう思うわけなんです。  そこで私、昔のことを思い出したのですが、ケロイド症状の娘さんがアメリカに呼ばれて、アメリカの好意で整形手術をなさったのが大々的にテレビにも出ましたし、新聞にも出たことがあるのです。あのとき思ったことは、どうして日本の医学でこれができないでアメリカまで行かなければならないだろうか。アメリカはあの当時の気持ちから言わせれば、敵さんだという気持ちが強かった。そういうところへ行ってなおしても、向こうが落としてこうなったのだからという気が強かったのですが、好意で行かれたのだと思いますけれども、そういう整形手術的な面についてはどうなんでしょうか。写真なども、この間まぼろしのフィルムですか、あれを国会の映写室で見せていただきまして、あれはほんとうにひどいところは、抜粋してあって私どもに見せてないのだということがいわれますが、あれだけのものを見ても、かなりひどいものだという気がいたしたわけなんです。そういうような点についても、技術的な進歩というのはどういうふうになっておりましょうか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 私も新聞で、ケロイド症状を持った被爆者がアメリカで整形手術を受けた話を拝見をいたしております。私は、これも昨日参考人の方の発言にもございましたけれども、医療を受けるために医療機関を選択するというのは、これは患者の自由にゆだねられている、自由を尊重されているというのが一点ございまして、どういう前後の事情で被爆者の方がアメリカへ渡られたかはよく存じませんけれども、私の判断では、特にアメリカで治療を受けたいということがこのケロイド患者の御希望だったのじゃないかというふうに考えておりまして、このことによって、日本の整形手術の技術がよその国より劣っているのだというふうに判断するのは、やや当を失しているのじゃないかというふうな感じもいたしております。  とにかく私が一般的にここで申し上げられますことは、医療技術の水準というのは、日本は国際水準に十分上回るだけの力を持っている。ただ一点私が端的に申し上げたいと思いますことは、放射能及びこの原子爆弾の被爆というふうな関連の医学の進歩というものが非常に浅うございます。これは国際的に浅いわけです。そういうことで、いろいろと医学の面、科学的に解明の余地をたくさん持っているわけでございます。そういう点を考えますと、現在の国際的な、あるいは日本のこの面のレベルが、もうすでに目標に達しているのだというふうには判断いたしておりませんで、ますます研究が進んでまいりまして、高いレベルの治療あるいは医学的な成果が被爆者に反映されることを私も心から期待をいたしております。

本島百合子民主社会党

○本島委員 それではお尋ねいたしますが、現在、そういうケロイド症状の方々に対して、相当整形外科的な手術なんかはされておりましょうか。そしてその費用等はどうなりましょうか。かなりの費用が取られると思うのですけれども、それは全部国家が負担してやっていただいておるものでしょうか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 はっきりした数字を手元に持ち合わせておりませんが、ケロイド及び放射能に起因するけが、外傷でございますが、これは個々のケースにもよりますけれども、一応認定疾病患者の対象になります。対象になりましたものは、御承知のとおり全額公費で負担いたします。そのほかのケロイド患者の整形その他の問題につきましては、特別被爆者という中で保険で処置をされまして、その残りの分については公費で負担をする、患者の御本人についてはほとんど自費の負担というものがないというふうな形で現在処理しております。

本島百合子民主社会党

○本島委員 この場合に所得制限があると思いますけれども、そういう国の責任において被爆された人、国の責任においてなおすべき人、こういう人に何で所得制限をつけなければならぬのかという疑問が出てくるわけなんですが、その点はどうなりますでしょうか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 若干被爆者の対策の全般に触れたいと存じますけれども、御承知のとおり、現在、被爆者対策は日本の二つの法律によってやっております。後者のほうは昨年の特別措置法。これは、精神的にあるいは経済的に、被爆をこうむったということに原因をして不安定な被爆者の状態にある、こういう方々の精神的な安定をできるだけ確保したい。さらに、保健薬を使う場合もあるでしょうし、その他の精神的な慰安に使われる場合もあるでしょう。そういうことのために、措置法の中でいろいろな手当を創設いたしておりますが、これは厳密な意味では、医療の面もありますけれども、反面生活の一部に使われるという場合も出てまいります。こういうふうなものにつきましては、生活的に安定のある、経済的にゆとりのあるこういう被爆者の方々については、自分のお力でやっていただくというふうな形で所得制限が設けられております。いまの御質問の医療を受けるという場合には、これは所得制限の対象からはずれておりまして、そのことによって所得制限があって自己負担が出てくるというふうなことは、医療の分についてはないわけでございます。

本島百合子民主社会党

○本島委員 厚生大臣に伺いますが、いま御答弁を聞いておりましても、この被爆によっていろいろの障害を起こした人、外科手術的なことばかりでなく、内臓的にも、外から見てわからない、どのような進行状況でどこがおかされたかわからないという放射能による被害というもの、これは全部の人々がもう所得制限なしでその治療が受けられる、あるいはまた通院その他についても全額を見てもらえる、こういうことにすることこそが、あの初めて投下された原爆というものに対して、そして非戦闘員であった当時の人々のあのみじめな状態、これに対して報いる道ではないか、こう思うわけなのですが、この点、厚生大臣どうでございましょうか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 その点は、先ほど私が申し上げましたように、この原爆被害を国家補償として取り扱うべきだという考え方に通ずるお考えであり、また、そうすべきだというお考えにもごもっともの点がある、かようにも思うわけであります。ただ戦後、戦争被害というものに対しては国家補償をしてはいけないといういわゆる進駐軍の指令によって、そういう必要があるならばどこまでも社会保障としてやるべきだという考え方で、日本が独立するまでは進んできておりましたために、そういうものが一切できなかった。独立後、二十七年以降は、その考え方が自由になったわけでありますが、さて自由になった場合に、いわゆる援護法あるいは恩給法の改正等ができて、戦争犠牲者に対する国家補償という考え方がまた復活をいたしました。そこで、この原爆被害をその国家補償の中に入れるか入れないかという、先ほど申しましたことに通ずると思うわけでありますが、したがって、そこまで踏み切るということになれば、いまおっしゃるように、国家補償としてやるべきだと思います。社会保障としてやるべきだという現行のたてまえに立ちますと、そこまでもいかない。いま局長が御答弁になったとおりでございますので、そういった補償の根本的問題に触れる問題でございますので、先ほども申しましたように、今後ともこれは政府部内におきましても、また党派を超越した戦後のそういったものの扱い方だ、私はかように考えますので、いろいろ御検討もいただけることだと思いますし、私のほうでも検討してまいりたい、かように思うわけであります。

本島百合子民主社会党

○本島委員 一応前向きの御答弁をいただきましたが、今後こういう点については、ひとつ特段にお考えをいただきたいということを要望しておきます。  次にお尋ねしますのは、原爆被爆者の医療審議会についてでございますが、昨日の参考人のうちにお一人、審議委員の方がいらっしゃったのですが、その方は審議会についての御意見をあまりお述べにならなかった。私がお尋ねいたしましたのは、たしか山梨大学の先生だったと思いますが、その先生の御意見の中にも、この審議会があまりに医学的な基準に寄り過ぎて、その認定がきびし過ぎる、多少疑わしいものでもこれは入れてやるべきではないだろうかというような御意見を切々と申されたわけです。私どもも、数字の上から見てそんなような気がいたしますし、またこの審議会の改組にあたってはいろいろな問題がある、とにかくこれは改革すべき時期にきていると思う、こういうようなお話であったわけでありますが、私どももいろいろのものを拝見し、またお話を聞いておりますと、そういう感じがいたしますが、この点については、どういうふうにお考えになりましょうか。とにかく、お医者さんの見地からということになれば、いろいろの基準があって認められないなんていうことも強く言われると思うのですけれども、そればかりが被爆者に対する態度ではなかろうか、こういうふうに私ども考えるわけであります。  そういう意味で、その内容についてはかなり長くお答えがあったのでございますから、速記録ができましたときに、あらためて見ていただくことにいたしまして、一応のお考え方を聞かせていただきたいと思います。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 従来も、審議会の審議につきまして、いろいろ御意見をいただいておりまして、私も実際に審議会の開かれるときには、できるだけ参加をいたしまして、いろいろ審議の様子について拝聴いたしております。この設置せられております審議会の目的からまいりますと、現行の審議会のあり方につきましては、そう問題はないのではないかというふうに考えます。なぜかと申し上げますと、御承知のとおり、審議会の仕事の大きな問題は、被爆に起因しているという判定を審議会がきめまして、そういう判定が下された患者については認定疾病患者という扱いで、いわゆる認定被爆者のいろいろな対策が出てまいります。現在の医療審議会の目的は、そのような出てまいりました認定疾病患者がはたして原爆に起因しているかどうかということの判定が審議会の仕事になっております。そういう意味では、きわめて科学的に、また新しい学問を十分取り入れて専門家の方々が大所高所から検討をされて、これは認定疾病を持っているかどうかという判定を下すのでありまして、この限りにおいては、現在構成されております委員の方々については、非常に熱心に非常に適切にやっていただいていると私は信じています。  ただ、いろいろ従来も御意見のありました点は、そういう医療審議会の顔ぶれの中に、実際に現場で病院を預かって、そこで被爆者の方々の医療に当たっている現地の専門家の参加もぜひ考える必要があるのではないかというふうな御意見がございまして、これは私ももっともだと判断をいたしております。さらにまた審議会についての御意見の中には、疾病だけではなくてもっと被爆者の援護的な面についてもいろいろ意見を出す、そういうことのための適当な方々をこの審議会に参加させる、あるいは審議会の性格を再検討してそういう目的に沿った審議会にすべきではないかというふうな御意見がいろいろ出てまいっております。私自身も、大臣からいろいろ指示を受けまして、今後この問題については取り組んでまいりたいと思いますが、現在の医療審議会については、適切に専門家の方々が熱心に御検討いただいているという点が一点と、もう一つは、現地の実際に被爆者を扱っていらっしゃる方々の参加を考える必要があるのではないか、こういう点については私も今後ぜひ検討してまいりたい、こう思っております。

本島百合子民主社会党

○本島委員 あまり時間がございませんので、まだ三問ばかりお尋ねしたいものですから、少しはしょってまいります。いまの審議会の問題ですけれども、この前社会党の委員さんたちの御質問のときにも聞いておりまして、同じような御答弁をいただいたので、少し腹の虫がおさまらぬみたいな気がしておるのです。ということは、認定の基準だとか方法についてはもうちょっと考えてもらいたい、こういう要望も出ておるわけですね。だから、その認定の基準が少しきびし過ぎるために、数もずっと減らされておるのじゃないか。三十一万からの被爆者が現在生存されておりながらも、その認定がされないというような形であるとか、あるいはまたいろいろの手続がめんどうなために手続をしない方があるというようなことを聞いておりますし、また昨年のこの法案に対する委員会のときに、大原先生でしたか、書類の書き方の違う点で否決になってみたり、あとで書きかえて持っていったならば合格したりということがあるなんていうことを言われておるのですが、かりにそんなことがあるとしたら、これはえらいことだと思うのですね。これは被爆によって精神的な苦痛と生活的な苦痛を味わっている人々に、二度も三度もそんなことをさせること自身がおかしいのであって、むしろ治療に重点が置かれなければならない。そういう人々に対して、書類上のことでこんな差が出てくるなんということはと、私は昨年からこの点を非常に不審に思い、またこういう点はどうなっているのかというような気がしておったのです。その点どうなんでしょうか。昨年の委員会での質問にそれが出ておるわけなんですから。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 認定疾病患者の申請の問題についての御質問でありますが、昨日も申し上げましたとおり、認定の審査にあたりまして問題になります一点は、出てまいりましたケースが、どういう地点で被爆しておるか。言いかえますと、申請された被爆者が受けている放射線の線量がどの程度のものであるかという判定が第一であります。さらに、出てまいりました診断書の内容につきまして、被爆に起因しているという判定のできる臨床的な調査項目が検査をされて添付されているかどうかという問題。さらにもう一つは、疫学的な判断が出てまいる。これらのものを医学的に検討いたしまして、たとえばこれは一つの例でございますけれども、造血機能の障害というふうなことで認定の申請をしてまいった。いろいろ出てまいった診断書の検討の中で、その被爆者の被爆の状況がよくわからない、あるいは一番大切な血液の検査の経過がどうなっているかわからないような状態で書類が出てまいるというふうな場合には、事務的に判断をして、たとえば血液の検査がどうなっているか至急データを持ってきていただきたい、あるいは被爆地の爆心地からの距離が不明だけれども、これはどうなっているかというふうな形の照会を従来もいたしております。さらに専門の委員の方が審査する中で、こういう検査もぜひやっていただきたい、それの結果によってこのケースは認定疾患という判断ができる場合があるというようなことで、それぞれの書類の審査の内容によりまして、さらにつけ加えていただくような事項が出てまいる。こういうことが、手間どるとか手続上煩瑣だというふうなことの一つにもなりますし、もっと端的に申し上げますと、添付される資料の数が多過ぎて、もっともっと減らしてもいいのじゃないかというふうな問題も出てまいるわけでございまして、あとの問題につきましては、これは私どもの局内でいろいろ事務的に検討いたしまして、できるだけ不要不急の書類というものは添付しなくてもよいというふうな方向へ検討は進めてまいっております。  ただ問題は、放射能に起因するという判定自身が、先ほど申し上げましたけれども、医学的な研究の進歩というものとの見合いが出てまいりまして、御承知のとおり、かつては小頭症というのが認定疾病の中に入っておりませんでしたが、その後の調査研究によって、疫学的な成績から判定いたしまして、現在では認定疾患の中に加えられるような場面が出てくる。あるいは白内障というような疾病につきましても、従来は特別被爆者の認定の中に入らない疾病でありましたが、これなどにつきましても、場合によっては認定疾患あるいは特別被爆者の対象というふうな形で取り上げられるようになってまいりまして、この点は今後とも研究を即時に取り入れるような形で、そういう意味でも、専門家の方々から構成されております審議会というものは、きわめて権威のある、医学的なレベルの高い、そういう審議の場としたいと考えております。

本島百合子民主社会党

○本島委員 少し飛ばさなければならないので、聞きたいこと一ぱいで困っておるのですが、きのうもお尋ねいたしました問題の中で、健康管理手当について、六十五歳以上のものに対しとあるところを、年齢引き下げをしてほしい、こういう意見も出ましたし、私もそう思っておったものですから、どのくらいに下げたいのですか、こういうことに対しまして、大体四十歳、こうおつしゃたのです。法律でいきますと六十五歳以上となっておるのですが、ずいぶん開きがあるわけなんですね。答弁された方の気持ちの中には、早期発見、早期治療という考え方が非常に強かったと思います。被爆者の老齢化が非常に早いというようなことからしても、内部障害等はどういう形で出てくるかわからぬから、こういうことの配慮もあったと思うのですが、この点の年齢の引き下げ——あなたの御答弁を聞いておりましたところ、それは、いろいろの年金やその他の問題とあわせまして六十五歳できまりましたと言っておられるのですが、医学的見地からと言われると、私は下げてやるべきが至当ではないかと思うのですが、その点もう一度考え直して年齢を下げる気があるかないか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいまの点は、私、昨日も他の委員さんにお答えをいたしましたとおり、他の法律にありますものとは、ものが違うようにも私は感じます。またそういう御趣旨であろう、かように考えます。したがいまして、そういう点を十分踏んまえまして、いまの六十五歳は必ずしも適当ではないのではなかろうかと私も考えますから、そこで、四十五歳がよろしいか、年齢に制限のないのがいいか、五十歳がよろしいか、いろいろの点から検討をいたしてまいりたい、かように思います。

本島百合子民主社会党

○本島委員 ぜひその点御検討願って、とにかく年齢の引き下げによって、早期発見、早期治療、こういう形での措置をしていただきたいと心から願うわけであります。  また、昨日も言われた介護手当の三百円、これはどう考えましても、ちょっとこの金では介護人というものは得られないと思うのですね。たとえば家庭のお手伝いさんでもいまは二万円以上になっておりますし、ちょっと専門的な看護の心得  のある人ということになれば、三万円以下なんて絶対来ません。三万円でも、病院に行ったほうがもっととれるのですから、そっちに行ったほうがいいということで、たいてい病院のほうに登録しておって、こういう介護ということはやっていただけないと思うのです。これは大蔵省のほうにお尋ねするのですけれども、これも何かとの見合いで三百円ということにおきめになったのかどうか。この点昨日も、大原先生でしたか、さんざんおっしゃっておったのですが、聞いておって私も、そんなばかな、いまどき通用しない値段というものを国がきめるというのはおかしいと思ったものですから、お尋ねするわけなんです。  それともう一つは、母子世帯あるいは身体障害者等に出されるお金も大体三千円。これも、ほかの法律と見合ってこういうことになっているんだろうと思うのですが、障害者にしても、母子世帯の被爆者にしても、精神的にも経済的にも、ほんとうに普通の病人と違った、それ以上の苦痛を持っている人たちですが、こういう程度で暮らし、が成り立つものかどうか、こういう点が非常に心配になるのですが、この点もう一度御見解を聞かしていただきたいと思います。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○辻説明員 介護手当の額につきましては、きのうも申し上げましたが、生活保護制度におきます介護加算など、類似の制度とバランスをとりましてきめたわけでございます。支給の趣旨は、御承知のように日常生活の身のまわりの世話をしてもらうということでございますので、必ずしも特別な心得でございますとか専門的な経験を必要とするものではございませんし、また必ずしも一日じゅう雇うという場合ばかりではございません。半日なりパートタイムの場合もございます。したがいまして、そういう点を勘案いたしまして、いまの額をきめたわけでございます、なお健康管理手当の三千円の額につきましては、特別手当の一万円ございますとか、医療手当の五千円の額でありますとか、そういう被爆者対策の他の制度の額、あるいはそのほかの福祉年金その他の制度とのバランスを考えましてきめたわけでございます。

本島百合子民主社会党

○本島委員 他の法案とのバランスとか他の措置とのバランスとかいうことをいつも言われますけれども、成り立たない保障ということはあり得ないのですから、やはり時宜に適した措置ということになってくると思います。こういう点については大蔵省は、こればかりでなくその他の関連した問題とのバランスとおっしゃるのですから、全部改正されたらどうか、こう思うわけですが、改正される意思があるかどうか。またその時期に来ていると思うのです。物価が年々上がっておりまして、おきめになった最初の基準のときとは、いまはほんとうに物価とのつり合いがとれていない時世ですから、そういう意味では当然改正してほしいと思いますが、この点大蔵省のほうでその意思がおありになるかどうか。大蔵大臣にそれだけ強く要求される、大蔵大臣を動かすだけあなたが言えるかどうかということを、もう一度お聞きしたと思います。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○辻説明員 各種手当の額につきましては、私どもといたしましては、ただいまの段階ではそれなりにバランスのとれておる適切な額である、かように考えておるわけであります。  ただ、先ほど御指摘のございました介護手当の実行上の問題につきましては、これはむしろ実施官庁である厚生省の問題であるかとも思いますけれども、ある程度弾力的に配慮する余地があるのではないかという気もいたしますので、そういう点は厚生省から相談がございますれば十分検討してまいりたい、かように考えております。

本島百合子民主社会党

○本島委員 厚生省から御相談がありましたら、こうおっしゃったので、厚生大臣、とくとこの点は今後折衝していただきたいと思うわけです。  もう時間がありませんので、それはお願いしておきまして、最後に、私この相談を受けて困ったわけなんですが、あの被爆当時に朝鮮の人が広島にも長崎にも相当いたはずなんです。朝鮮の人ばかりでなく、先ごろは台湾の人に私言われたのですけれども、日本の国での治療は相当進んでいる——先ほど御自慢になったのですが、台湾にしても、朝鮮にしても、こういう点は名が通っているのかもしれませんが、自分たちも被爆して非常に心配にもなっているし、また多少のケロイドもあるし、何とかしてなおしてもらいたいと思っても、出てくるときに、観光という目的でなければ出してもらえないから、観光手続で来る。そうすると、病院に行っても全然受け付けてくれないのでどうしようもない。何とか日本の国で治療が受けられるように、日本にいて日本のために働いていたために被爆したわけだから、自分たちも日本人と同じような資格で措置をしてもらえないか、こういう御相談を受けて困ったことがあるのですが、こういう場合に何らかの措置ができるものかどうか。まず第一番に、日本の病院でそういう方々の治療を引き受けましょうということができるかどうか。そうすると、二カ月や三カ月の観光のパスポートではとてもできないということになるのですが、そうした場合における入国するための手続、そして治療の長い期間における措置、それから、それに対する昨年法律案が通りました援護措置、こういうものがどういう関連性をもって行なわれていくものか。これが私どもにわからぬものですから、その方にも、観光で来たんだから、それ以上いると取っつかまって大村に送られてしまうから今回はお帰りになってと言ったりしたのですが、こういう場合はどういうことになっておりましょうか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 韓国を含めまして、外国人が日本国内の医療機関で被爆の手当てを受けるということについて、段階を分けて御説明を申し上げたいと思います。  第一点の、国内で医療が受けられるかどうか、これは受けられます。韓国には、私も十分に承知いたしておりませんが、日本の原爆病院に相当するような、技術者を豊富に備えた、施設の整った、そういう病院が数多くないというふうに聞いておりまして、韓国の被爆者が自国内で適切な手当てを受けられなくて、そのために日本の医療機関で治療を受けたいというふうなことについては、これは日本の医療機関はいつでも受け入れる体制にある。ただ、御指摘の後段のほうにございました、そういう場合に、現在国内で適用しております原子爆弾の被爆者の医療に関する法律、もう一つは昨年の特別措置法、この法の適用がそういう場合になるかどうかという点についてでございますが、これは関係の省とも一応事務的な打ち合わせをいたしましたら、法のたてまえが地域社会の福祉の維持と増進を目的とする社会保障立法である、したがって、この法の適用を日本人以外が受けられないという排除はないけれども、国内で生業を営んでおる、すなわち居住の本拠が日本にあるというふうなことが前提条件になっている。言いかえますと、この法律は属人主義ではなくて属地主義のたてまえをとっておるというふうなことで、たとえば一時的に日本を訪れたというふうな外国人に対しては適用にならないわけであります。  ただ、今後の問題といたしまして、現実に韓国あるいは台湾に被爆者がいる。そういう方々が自国内で適当な医療を受けられない、そういった問題については、日本としてはどういう態度をとるのかというふうな問題が出てまいるかと存じます。これについては、現在海外技術協力事業団というものがございますが、ここで医療に対する東南アジア方面に対する援助をいたしております。もしも韓国の医師の中で、原子爆弾の被爆の医療を専門的に研修を受けたり修得をしたいというふうな希望者がある場合、この事業団を通じまして私どもは受け入れることを検討してまいることは十分可能性があるというふうに考えております。

平野文夫法務省入国管理局入国審査課長

○平野説明員 原爆症の治療のために入国します外国人は二つに分けられております。一つは原爆医療法の適用を受けるために入ってきておる人たち、もう一つは自費で治療したいという人でございます。初めのほうは、ただいま厚生省から御説明ありましたとおり、そういう人には適用がないわけでございますから、入国の目的を達成されないわけでございますので、入国の許可をいまのところおろしておりません。それであとの場合でございますが、自費治療をしたい、こういった場合に、それがほんとうの自費治療であり、費用であり、費用の負担もちゃんとしてある場合には考慮の余地があるかと思いますので、そういった場合にはケースバイケースで検討したいと考えております。

金沢正雄外務省アジア局外務参事官

○金沢説明員 外務省といたしましては、特に韓国の原爆被害者でございますが、先ほど厚生省からも御回答がありましたように、原爆治療は非常に長期間を要するものでございますから、むしろ韓国政府の治療に協力するということのほうが必要じゃないか、こういう考えから、海外医療協力の一環といたしまして、韓国から原爆治療についての研修生を受け入れまして、その研修生が韓国へ帰って原爆の被害者の方の治療に当たられる、こういうことを厚生省とも御相談申し上げまして、韓国に昨年の十一月に、そういうことを日本としては受け入れる用意があるということを申し入れてございます。それについて、それじゃ研修生を送るから日本側でそのプログラムに従ってやっていただきたい、こういう申し入れがまだ先方からない現状でございます。われわれとしてはそういう申し入れをして、先方の回答を待っておるという状況でございます。

本島百合子民主社会党

○本島委員 これが最後でございますが、厚生大臣に要望とあわせて御質問いたします。  私、戦争の犠牲として一つ残っておる問題として、これは厚生省の問題ではないのですが、外国の捕虜になっていまだに帰ってこない台湾の人、朝鮮の人の問題で、かつて大平さんが外務大臣のときに、日本のために働いてやられた人たちだから、この人たちの釈放願いは日本政府がやるのがあたりまえじゃないですかと言ったら、国際法がどうだこうだとおっしゃったので、そんなばかなことはない、日本に協力してやられた人ですよ、こう言ったのです。やれるだけやってみますとおっしゃったのですが、うまくいっていないのです。この問題と似たり寄ったりじゃないかと思うのです。日本にいて、当時の朝鮮の人なんか特に日本人として協力をされたわけなんですから、そういう人々のそういう要求があれば、韓国また北鮮のほうの方とも話し合って、日本で治療を受けたいという人は日本で受けてやり、またその措置にいたしましても、医療あるいはまた援護ともども二つの法律の適用が受けられるようにしてやるということ、それこそが国際親善の最も顕著なことではないだろうか、こう思うのです。それを国際法上できないとかできるとか、むずかしいことばかり外務省ではおっしゃるものですから、そういうことでなしに、もうざっくばらんに、おたくにもいるはずだから日本ではこうこうして引き受けますと言うくらいの度量を示して外交折衝に当たり、そうしてそういう人たちの治療も日本人と同じようにしてやれる、こういう道を開いてやることができないか。そういう点についてはむずかしいことだろうと思うけれども、ひとつ考えてみていただきたいと思うのですが、厚生大臣の御所見を承って終わりたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 本島さん自身も、たいへんむずかしいというお考えのもとに私に対するお尋ねでございますが、私から申し上げるまでもなく、戦争終了とともに、またその後国交回復と同時に、日本にいた外国人の国籍の問題、韓国人の国籍の問題、それに付随するいろんな権利義務の問題というものがきめられているわけですね。それで、その原則に反してこれだけはということになりますと、またその国とも特別の交渉をしなければならぬということにもなる問題だと思うのであります。人道上あるいは道義上考えますとおっしゃるとおりでございますが、そういった国籍問題に付属する、戦争中にあった日本における被害、それらの問題の処理というようなものが、いわゆる講和条約その他によって処理をされておりますので、そこまでさかのぼって考えないと非常にむずかしい問題だと存じます。しかし、おことばの次第もございますから、何らかの道がないかと私も考えてみたいと思いますが、そういう問題だと思います。

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 月日のたつのは早いもので、終戦以来四分の一世紀という時が流れたわけであります。原爆が広島、長崎に投下されまして間もなく、いわゆる占領軍が進駐してきたわけであります。その占領軍のプレスコードによって、占領軍の利益に反する一切の報道というものが禁圧されました。原爆被害の調査も報道も、また完全に抹殺されたわけであります。関係者は、この時代のことを暗黒時代と呼んでおるそうでありますが、幸いに生命を取りとめた被害者たちも、結局はアメリカのまた日本政府の援助もなく、まるで見放された立場で、十分な治療も、また看護も受けられないまま、次々と死んでいったわけであります。私は、原爆被害者に限って、ほんとうに戦後は終わっていない、こう感ずるわけです。佐藤総理は、沖繩返還なくして戦後は終わらないと言っておりますが、まさしく原爆被害者は、そのことばどおりであります。昨日も参考人の御意見を伺ったわけでありますが、その発言の中に、原爆対策については、原爆のあの悲惨なおそろしい事実を、身で感じている人々が対策を立てる以外にない、とにかくそれをやるのは現在の議員さんにお願いする以外にない、このような切実な叫びがありました。私はそれを聞きながら、非常に胸迫る思いがしたわけでございます。  いままで申し上げました事柄を前提といたしまして、若干質問を申し上げます。  そこで、三人の参考人の御意見の共通点というものは、現在の政府の原爆被爆者対策というものは非常に弱い、その姿勢は根本的に改めるべきではないか、つまり、公衆衛生当局によって、被爆者特別措置法というものまでできまして、その対策は講じられているとはいうものの、国家が国家責任で行なった戦争でひどい被害を受けた国民に対して、当然国家補償という立場から、援護法という強力な制度でこれを補っていくべきである、そういう観点から考えた場合、政府はとにかく弱い、このような強い意見があったわけでありますが、まずこれに対して大臣の御意見を伺いたいと思います。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 昨日も、またきょうも、各委員さんから、御意見をまじえて私に御質問がございましたが、私は、問題は、原爆被害を国家補償で処理すべきか、また社会保障で処理すべきかという問題に帰一すると考えます。私は、原爆被害はちょうどその中間にあるようなものじゃないか。先ほど申しますように、当時その被害も、つぶさに調査を私は当時の職責上いたした関係もございます、またそのみじめな状態も聞知いたしております。  そこで、昨年この特別措置法ができました際にも、相当御議論があったのじゃなかろうかと思うわけでありますが、昨年とにかく特別措置法としてまとまった、しかもその考え方は、社会保障あるいは福祉政策として立案をされました。それが実施をされてまだ半年にならないわけでございますので、私はこの際の、葬祭料をさらに支給するというのも、現行法をもとにして出したわけでございますが、しかし、各委員さんから、非常に切々たる御議論がございまするし、私もかねてこれはどちらにすべきものであろうかと、個人的には考えておった問題でございます。  先ほども申しますように、戦争被害を受けた国民は、まだ他にたくさんいるわけでございますが、それらのうちで、これだけを戦争被害として、国家補償に持っていくべきだというように踏み切るか踏み切らないか、まあいろいろ他の問題もあるだろうと思います。これだけを考えますと、まことにもっとものように思います。私としましては、さらに政府部内の意見の調整をいたしたいと思いまするし、また政府だけで法律ができるわけではございませんので、はなはだおこがましい次第でございますけれども、各党派でお考えをいただいて、そしてこれは社会保障としてするべきでなくて、むしろ国家補償というたてまえにすべきだというように御意見がまとまれば、それに従っていきたいと思います。ただいまはその程度にお答えをさせていただきたいと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 公衆衛生当局の努力を私たちは評価しないわけではありません。これはたいした努力だろうと考えておりますが、現状の対策だけを考えるならば、これは従来のままで私はよろしいと思います。しかし、被爆者問題、その本質論からいきますと、いま大臣も悩んでおられますように、社会保障かあるいは国家補償かという、その問題点に差しかかるわけであります。  そこで、昨日の参考人の御意見を、あわせて私は申し上げるわけでございますが、これまでの原爆対策というものは、身体的な後遺症に対する原爆医療法と、それから生活困窮者に対する生活保護法の二つの方向で考えられてきた、これはいわゆる救貧原理方式である、こう指摘しておられました。これは改めるべきである、すなわち特別措置法の対象者となる被爆者は、単に原爆による被害を受けた者としての資格ではない、つまり現在貧困にある者としての資格において認定されるということである、ここが問題だと思うんですね。確かに被爆者のほとんどの人が、貧困にあえいでいることは現実問題であるけれども、被爆者の真の叫びというものは、その貧困の原因はあくまでも原爆のせいによるものである、ここがはっきりしなければならぬという強い意見がありました。原爆のせいによるものである、それによって貧乏しているんだということですね。すなわち原爆被害による労働力の喪失、減退に対する補償というものが、主体にならなければならないんだ、だから、あくまでも原爆対策は、補償原理を基調として促進されねばならない、このような御意見であったわけですが、これに対して大臣はどのように受けとめられますか。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 先ほど救貧対策、きのうもそういうおことばが出ましたが、私は救貧対策というよりは、社会福祉対策と理解をしていただきたいと思うわけでございます。ことばがどう違うか、まあニュアンスでございましょうが、私たちは社会福祉対策、かように考えてこの法案が立案されておる、かように思っておるのであります。  そこで、国家補償原理に基づくべきか、あるいは社会福祉対策の原理に基づくべきか。先ほどお答えいたしましたとおり、おそらく患者の心情になってみれば、これは国家補償でしてもらうべきだというお考えはもっともだ、かように思います。同様に、戦災でなくなった、直撃弾を受けてなくなったその遺族の人たちも、同じような考えを持っておられるのじゃないだろうか。それらの問をどう考えて、今後そういったもっと幅広い戦争被害に対する国家補償というものを、さらに考え直したらどうかという問題に通じる問題だと思うわけです。ただ、原爆は現に生きておられる方は、他の戦争被害を受けた人よりも、一そうはなはだしいという点があるから、それだけを国家補償に持っていく、こうするか、あるいは福祉政策としてもっと手厚くやっていくかという問題であろうというように思います。先ほどお答えいたしましたとおり、私も検討いたしたいと思いますが、各党におかれましても御検討いただきたい。私は現実の一つの戦争処理の残された問題だ、かように思うわけであります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 原爆被爆者が常に主張していることは、われわれの苦悩というものは原爆のせいであって自分のせいではないのである、ここが非常に重要な分岐点になるわけであります。この問題の解決は、単にものの考え方ではない。事実の問題であって、この事実をいかに正しく掌握するか、ここにその解決の重要なかぎがある、このこともきのうの参考人のお話の中にありました。すなわち被害者の実態調査の実施、またその調査内容というものが非常に大事な事柄になるわけでございます。  この実態調査についてお尋ねいたしますけれども、昭和四十年の秋に厚生省の実態調査が行なわれたそうでございますが、その成果はきわめてお粗末であるという印象を与えているそうでございます。一体、どんな調査をなさったのか、簡単でけっこうですが、骨子だけ説明していただきたいと思います。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 昭和四十年に実施いたしました被爆者の実態調査は、十一月一日を時点といたしまして、昨日もお話が出ましたが、全国を横断した形で健康調査と生活調査を実施いたしました。この生活調査の中では、個人の生活と家族の生活というふうな分け方をしていたしました。その大まとめとして、ただいま最初に申し上げました一日の時点で、基本調査を被爆者全員に対して実施いたしました。あとのほうの健康調査と生活調査は、これは被爆者の二十分の一抽出法というランダムサンプリングの方式で実施いたしました。  その結果につきまして、先ほど来御意見が出てまいっておりますが、健康に対する認識の度合いというものが、六十五歳を線に引きますと、それ以上の高年齢層では健康に対して自信がないというのが相当高い。元気だと答えた者が三分の一程度です。これは全国の一般の老人調査に比べると、倍までまいりませんが、倍近くの実態であるというふうなところから、高年齢者に対する対策というものが欠けている、あるいは生活保護の受給者が若干多いというふうな問題も出てまいりました、あるいは二十年たった現時点でも、なおケロイドその他の被爆のつめあとが残っている。  これに対してはやはり疾病の対策というのを、従来の認定被爆者からもっと範囲を広げて、そういう方々に対する医療の面だけではなくて、精神的な、また生活の面の安定もある程度はかれるような、そういう対策をとる必要があるではないかというふうなことが原因で、御承知のとおり特別手当、あるいは健康管理手当の創設に踏み切った、あるいはまた原爆コロニー、相当の高年齢者の方で、身寄りがないというふうな方々の特殊な収容施設を考える必要があるだろう、こういうふうな問題の処理も、実は実態調査の結果をある程度考慮に入れまして、さらにまた国会、あるいは関係団体の御意見を十分拝聴した上で、この問題に取り組んだわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 原爆被爆者対策が、国家補償という立場をとるか、先ほど大臣がおっしゃったような社会福祉対策の立場をとっていくかというのは、ものの考え方ではなくて、事実の問題をとらえることが重要なかぎである、そういうことから実態調査の重要性があったわけでございますけれども、当時の実態調査にあたって、被爆時の状態と、現在の状態と関連させることが重要な事柄であるとして、その関係者から、調査票の中に被爆時の家庭状況と、それら家族員の被爆状況を記入する欄を設けてあったということでありますが、発表された生活調査の概要の中では、この点が全く脱落していたというようなことを聞くわけでございます。これはどういう理由によるものでしょうか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 先ほども申し上げましたとおり、被爆の影響の把握に、ある時点を限って横断的な断面から判断をいたしておるというのが一点と、ただいまお話の出ましたように、ある期間を定めて、その期間の経過の中で生活状態がどんなふうに変化していったかという面の調査と二通り、ライフヒストリーというふうな昨日参考人から御発言があったと思うのですが、そういう形の調査と二通り出てまいりました。  後段の、被爆後相当の期間についての被爆者の方々の生活状態の調査ということにつきましては、これも主として社会学の、御参加いただきました専門委員の方々を中心に、調査の方法をデザインいたしたわけでございますが、結論といたしましては広島と長崎に専門委員の方にお越しいただきまして、特に対象をきめて、数字をはっきり記憶しておりませんが、たしか三百世帯をちょっと切れたのではないかと思いますけれども、そういう家庭に実際に調査員が訪れまして、そこで被爆当時とその後と、どんなふうに生活状態が変化してまいったかというふうなライフヒストリーをつくっていただいたわけで、これをどういう形で集計するかということについても、いろいろ御意見も伺いましたが、結論的には一部の御報告をいただいておりますが、まだ一部の御報告については未提出というふうな状態になっておりまして、これをどういう形で集計するかということは、御提出を願ったあとで、それに参加された専門委員の方々と御協議をして方法を考えていきたい、こう思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 被爆者問題の本質を明らかにするという点からは、いま言いました被爆時の家庭状況と、それら家族員の被爆状況というのが非常に重要な事柄になっておるわけでございますので、厚生省は、今後再び実態調査の内容の最終的な報告をなさると思いますけれども、その時点には、こういう問題を含めて再び発表なさるのかどうか、その点をもう一度お尋ねいたします。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 ただいま申し上げましたように、まだ御報告をいただいていない向きもございますし、報告がそろったところで、どういう形でそれを集計するかというふうな統計の技術上の問題も出てまいろうかと思います。そういうことで、統計ができ上がった暁には、これを公表いたしたい、こう考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いま申し上げました事柄は、不可欠の要件だ、条項だと思いますので、ぜひともそれを含めた実態調査の内容の発表を要望しておきます。  それから、認定被爆者制度の問題でございますが、広島大学の放射能研究所の調査によりますと、認定されるまでの期間は平均五カ月、長いものは二年もかかっているそうであります。そのうちに死亡してしまって、死亡後に認定されたなんという人が六人もいたということでありますけれども、おそらく手続上の繁雑さが問題ではないか。これもきのう参考人が非常に重要な事柄として意見を述べておりましたが、この認定制度について御意見をお伺いしたいと思います。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 先ほど本島委員にも、この点につきましては御説明を申し上げたわけでございますが、認定制度についても幾つかの従来指摘された問題がございます。第一点は、認定が非常にきつすぎるのではないかというきわめて率直な御意見でございます。第二点は、手続が非常にめんどうだという点の御指摘でございます。さらに、認定を受けるということは、被爆者にとっては、精神的に非常に苦痛であるというふうな判断から、認定についての該当者がなかなか手続の上に乗っかってこない、結果的には認定患者がふえてまいらないというふうな問題など、いろいろ出てまいっております。  第一点の、認定が非常にきついという点については、これも先ほど申し上げましたように、きわめて医学的な現在の研究成果を土台にいたしまして、それが原爆に起因するかどうかという判定を、出てまいった資料に基づいていたすわけでございまして、そういう臨床検査の成績があれば、原爆に起因するという判定がしやすくなるというふうなこともからみまして、そういう検討に手間をとっているということもありますが、そのことによって認定が当然されるものがされないというふうなことにはなっておらないのでございます。     〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕  第二点の、手続が非常に煩瑣であるというふうな点につきましては、御指摘もございますし、従来もいろいろ御議論をいただいておりますが、今回の措置法の中で、特別手当の問題なども出てまいりまして、その辺は、同一の審議会で認定される対象についての事項でございますので、同じ書類が二度出ないというふうな配慮は私どもできるだけしてまいっておりますが、こういう点についての改善は今後もやってまいりたい、こう思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 大臣もお聞きであったと思いますが、広島大学の調査発表にもありますように、この認定制度が非常に不合理だ、つまり平均五カ月もかかるし、長いものは二年だ、死亡されて認定された者が六人だ、ほんとうにこのことを知っただけでも、一体何をやっているのだろうか、こういうような疑問を持ちます。そこで、大臣も、この認定制度の事実について本気になって調査してもらいたい。いま局長のほうからは、改善していく意思が表明されましたけれども、これはもう早急に改善しなければならぬ、こう思うわけです。どの点が問題なのか、大臣みずからその事柄を掌握して改善されることを望むわけであります。その点について……。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 いまおっしゃいますように、認定の手続その他で、時間があまりかかり過ぎるように私も思います。事実をよく調べまして、そしてどれをどうすればもっと早くできるのか、少なくとも書類が出たら一、二カ月の間には処理できるように改善をはかりたいと存じます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 時間がないので次に移りますが、健康管理の問題について、その厚生省の実態調査でも明らかに示されておりますように、被爆者と一般国民の健康の格差、特に老齢層にいくに従ってそれが顕著にあらわれている。その理由は、若いうちからの健康管理が不十分である、そういうことに基づいているように思うということですね。したがいまして、青壮年期から予防的な健康管理の目的を持たなければならないが、しかし、現在の健康管理制度というのは、それにそぐわないのじゃないか。つまり六十五歳、それも病気にかかって、初めてその適用が受けられる。これを大幅に改めて、むしろ若いときに、青年期、壮年期のときに健康管理をして、それを予防していく、これがほんとうの意味の健康管理じゃないでしょうか。そういう意味で健康管理の現状を大幅に改められる御意思はないかということをお尋ねいたします。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 被爆者の健康管理につきましては、御承知のとおり、疾病の早期発見というふうなたてまえの中で、年に二回の定期的な健康診断をいたしております。一般国民の健康診断につきましては、これも御承知のとおり、結核あるいは母子等いろいろございますが、これらの健康診断も、おしなべて異常の早期発見というところに重点が置かれている、そういう意味からまいりますと、現在制度的に被爆者に適用されております定期の健康診断というのは、健康管理上きわめて大事な、意味のある問題だと思います。ただ、御指摘の健康管理の手当というのがございまして、この手当を健康管理という中でどんなふうに考えていくのかという問題が出てまいります。  これは余談になりますけれども、先般も新聞をにぎわしておりましたが、どうも私どもある年齢に達しますと薬にたよるというきらいが出てくる。これは国民の健康調査についても出ている数字でございますが、現在手持ちがございませんので、はっきりした数字は申し上げられませんが、二〇%ないし三〇%くらい、二、三割くらいは一般国民が、ある年齢に達すると薬を使う。薬を使う弊害というのが、やはり学者の間では議論されている。  それとこれとは別に、被爆者についても、健康管理体制の一番の要点は、健康を常時打診しながら、もしも不健康な状態があれば、早く医学的な管理の中に乗せていくというふうなことこそ本論だと思います。ただ調子が悪い、しかも医者にかかるほどでもない、あるいは一年ほど前にこういう疾病があった、自分は被爆者だ、したがって、また蒸し返すのではないかというふうな懸念のあるような方々が相当あるようであります。こういう方々を対象にいたしまして、先ほど来御説明申し上げておりますように、疾病があって医学的な管理を必要とする、そういう特別被爆者については、特別な対象について健康管理手当を支給していくというのが現在の手当の制度、健康管理の体制、制度というのは、申しましたように基本は定期の健康診断である、こういうふうに考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いずれにしましても、この健康管理手当の内容は、矛盾がたくさんあるように感ずるわけです。今後改善の事柄の中に、大きな問題としてこれを検討してもらいたいと要望しておきます。  次に、きのうの参考人にお尋ねしたわけですが、精密検査を受ける方に、人間ドック方式の適用拡大をすべきではないか、こう私は聞いたわけです。それに対して石田定参考人のお答えは、それはいいことだけれども、それを受け入れる医者が足りないのだ、医者が足りないということを嘆いておられました。広島原爆病院の医師が現在定数に満たない、また広島日赤病院の医師の助けを借りる状況だということだそうです。  ここで問題はちょっと変わりますけれども、若い医師が来ないというその理由ですが、その一つは、患者が老齢層の被害者で病気が直りにくいということから、医師としての満足感が得られないというところに問題があるそうですね。これはちょっと私もいたし方ないなという気がするのですけれども。  二つ目の問題は、研究発表する条件が整っていないというのですね。これは手が打てると思うのです。事情は長崎原爆病院も同様だと思うというお話でありました。また、一方北海道等の辺地や沖繩、さらには外国、外国といっても韓国や米国などからも、専門医の派遣を望む声が非常に強いそうであります。しかし、日本の患者を捨ててそちらに行くわけにはいかない。  そこで私は、特に厚生大臣に答弁していただきたいわけですが、待遇改善、特に研究発表の条件を整えるなどの特別な措置を講じて、緊急に被爆者医療の中心機関である、原爆病院のスタッフを充足する考えはないかどうかということです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいまの御意見、ごもっともに存じます。研究発表の条件が整っていないというのはどういう事柄か、私は不敏にしてまだ承知をいたしておりません。実情をよく確かめまして、そうしてこういった原爆治療に関して、お医者さんもできるだけ喜んで来てもらえるような体制づくりが必要であろうと存じますので、できるだけ実現に努力いたしたいと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 同僚委員の質問とダブりますけれども、介護手当の問題ですね。私はきのうこのことをお尋ねしましたらば、現行の三百円なんということは全く話にならない。それではどの程度が適当であると思いますか、率直に言ってくれと言ったら、少なくとも現行の十倍くらい必要じゃないか。しかしながら、ほかの制度との関連もあるので、そこは十分検討してもらいたいところであるというようなお答えがありました。すなわち、二千五百円から三千円くらいは現状からいえば必要だ、こういう話でありましたけれども、この点について、先ほどのお話では改善に努力していくというお話もありましたけれども、もっと具体的に答えてもらいたいと思います。     〔澁谷委員長代理退席、委員長着席〕

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 介護手当の支給につきましては、私どももまだ経験をいたして日が浅いわけでございまして、これがどういう点に問題があるのか、あるいは今後改善するとすれば、どういう点の改善が必要なのかというふうな検討については、全く現在いたしておりません。ただ、昨日からいろいろ御議論のありました、一日三百円の介護手当が高いか安いかという点についてでございますが、これも昨日もお答え申し上げましたように、私は私なりの判断を実はいたしております。これは昨日も御意見、御批判がございましたが、私ども保健所で、医師をパートでお願いしております。この医師の雇い上げが一日二千五百円で、一体これが高いのか安いのかという問題が出てまいります。あまり安過ぎるから、ますます保健所に医師が集まらなくなるという御議論も多分にあろうかと思います。この三百円の介護手当の日額の問題につきましては、今後の物価の変動、あるいはその他の手当とのからみの中で検討いたしたいと思いますけれども、やや、半年程度の期間しか経過いたしておりませんので、支給の方法なり、手続なり、いろいろまた介護手当の制度そのものについての問題もあろうかと思います。それらを一緒に考えてまいりたい、こう存じております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 時間がございませんので次に進みますが、特別被爆者と一般被爆者との差別といいますか、全被爆者に手帳を交付せよという声が非常に強いのです。というのは、一般被爆者も特別被爆者も、要するに被爆の人体に及ぼす影響というものは変わりはないというのですね。最近遠距離被爆者も、また残留放射能被爆者も、原爆症の発生が非常に多く見られるようになったということは、一般被爆者も特別被爆者もないという裏づけではないかと思うのです。こういう立場から、私もその差別を廃止して、全被爆者に手帳を交付すべきではないかと思うのですけれども、これはいかがですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 これも昨日いろいろ御意見を拝聴いたしておりますが、現在の特別被爆者は三十五年に制度ができましたが、それから今日まで四回にわたりまして物理学的な専門家の御意見を伺いながら被爆の線量を判定して改定しております。現在の医学的な判断、物理学的な判断では、この辺が適当ではないだろうかというふうに考えております。ただ距離的な被爆線量は別にいたしまして、私ども政令で三号疾病という名称を使っておりますが、七つの疾病、四十四年から白内障が加わって八つになりましたが、こういう三号疾病の患者につきましては、一般被爆者も特別被爆者の中に入れるというふうな措置を現在とっておりまして、特別被爆者はそういう意味では今後次第にふえてくるのではないかというふうに考えております。  繰り返しますけれども、放射能の被爆線量、それから医学的な障害の現状、こういった現在の科学の判断の上に立っては、この程度の特別被爆者の範囲でよろしいのではないかというふうに思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 大臣にお尋ねしますが、いまの問題ですが、国家補償原理に基づくならば、これはやっぱり廃止していくべきである、差別をなくして全員に手帳を交付していくべきであるというのがみなの声ですから、これはぜひ実現してもらいたい。これについて大臣の御意見をお伺いします。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 原爆手帳は、御承知のように要件の整った者については全部支給するということになって、実は私も原爆手帳をもらえる資格があるらしい、まだ申請しておりませんけれども。その中で特別被爆者、これが約三十二万の八割は特別被爆者として原爆手帳を交付しているそうでございます。しかし、その条件がきびし過ぎるならば、これは緩和しなければならぬと思いますが、実情を勘案いたしまして……。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 最後に、後遺症のうちでまだ明らかにされていない一つの問題とされておりますブラブラ病というのですか、このブラブラ病に対して、政府としては今後どのような対策をもって当たられようとなさっているのか、その点をお伺いして終わりたいと思います。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 原爆の人体に対する影響については、まだ私は不明な点が幾つかあると思いますが、御指摘の、一般にいわれております原爆ブラブラ病というふうなものが、医学的な判断で一つの疾病として成り立つかどうかというふうな議論が一方にあるわけでございます。これは昨日も参考人の専門の方からいろいろお話があったと思います。私も、これはきわめて個人的な見解で恐縮でございますが、やはり精神医学的な面からも、原爆被爆者、いわゆる原爆ブラブラ病というふうな問題については究明をしていく必要があるというふうに考えまして、これは私もう少し考えた上で、方法が頭の中に出てまいりましたら、専門家の方にも御相談をしてまいりたい、こう考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 以上で終わります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 谷口善太郎君。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 今度の改正案で葬祭料の一万円、それから若干の所得制限の緩和というところがありますから、このこと自体についてはあえて反対する必要はないように私ども思います。ただ、こういう小刻みな改正では、被爆者の要求から見まして、とても応じられておるものではないという点で、まことに貧弱な対策だといわざるを得ませんが、被爆者の要求を基本的に反映させるために、二、三の問題を御質問したいと思います。  最初に、私簡単な言い方をしますから、政府側もひとつ簡単にお答え願いたい。  最初にお聞きしたいのは、被爆をしている人たち、ほとんどの人、あるいは全部に反映できるように、いまの政府の統計では、大体被爆した人で手帳を申請している人、これが出ているわけなんですが、それ以外にまだ相当被爆者が実在するだろうというふうに私どもは考えるわけですが、この点はどうでしょう。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 昭和四十年に行ないました実態調査では手帳交付者が対象の八割です。残りの二割が手帳交付を受けなかったけれども、実態調査に参加をしたというふうなことでございまして、これは統計的に見ましても、対策が進むにつれて次第にふえてまいると思います。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 四十年のこの手帳交付状況の数字を見ますと、全体で二十八万千五百九十五名、これの大体八〇%に相当するわけですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 たしか四十年の実態調査で申し上げますと、調査に応じた者の中で手帳の交付を受けていたのが二十三万ちょっと、それから手帳の交付を受けないで調査に応じた者が四万五千、合わせて約二十七万五千人が調査に応じたということでございまして、それから以降、御承知の特別措置法あるいは先ほど来お話の出ました特別被爆者の範囲の拡大というふうな問題などが出てまいりまして、そういうことも若干影響があると思いますが、だんだんふえていまのような数字になっておる、こう考えます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 ふえておるのは、政府の資料を見ますと毎年ふえておりますね。これはわかっておるのですよ。しかし、このふえていくという事実から見ても、まだ手帳の交付を受けない人、もしくは政府の四十年度の調査に対象漏れになった人、現実に被爆した人の数は、ここにあらわれておる数よりももっと潜在している、そういうふうに見るべきじゃないかという問題です。その点どうです。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 私は、先ほど申し上げましたように、四十年当時の調査の数字をもとにいたしますと、一割ないし一割五分程度、そういうものがまだ手帳漏れになっておるというふうに想像をいたしますが、これは想像でございまして、はっきりした数字はまだわかっておりません。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 いま局長のおっしゃるような推定をいたしましても約二十八万二千名、これが手帳を申請をした数、これを大体八〇%としますと、なお四万余りというものは手帳を申請しないで潜在しているという推定になるわけですけれども、各府県によってもちろん違うと思いますけれども、きのうの伊東参考人のお話では、東京都で見ると、東京都は大体現在七千余りの手帳交付者がおるが、その三倍くらいあるだろうというふうにいっております。東京に全部集まってきまずから、そういうふうになるのだろうと思いますが、いずれにいたしましても、統計にあらわれておる手帳を持っておる人以外に潜在している人がかなりおるということですね。これはお認めになるわけですな、いまおっしゃったとおり。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 かなりという表現の問題ございますが、先ほどから繰り返しますように、大体一割ないし一割五分くらいというふうに考えております。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 アメリカの機関でありますABCCが、当時すぐにかなり精密な調査をやって、そうして被爆者の住所録を、約六十万といわれておりますものを持っておるとわれわれ聞いておりますが、政府はこの資料の公開要求をされましたか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 いまの御発言の内容、私承知をいたしておりませんし、公開の要求もいたしておりません。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 ABCCが資料を持っておることを政府は知らぬ、こういうことですね。大臣、どうです。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 私はそういう点につきまして、まだ何も知識がございません。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 それでは、時間が私は非常に制限されておりますから、この点につきましては、一応統計にあらわれておる申請者以外にまだ被爆者がおるということをお認めになっている。その資料としてアメリカは完全なものを持っている。それを持っていることを日本政府は知らぬ、こういうことを確認して次に移ります。  東京で、昨年ですか、こういう事実があるのですね。原爆被爆者であった場合、東京都の建てている住宅に優先入居させることをきめました。そうしますと、どんと手帳申請が出てくる。つまり手帳を申請したのにはいろいろ理由があります。その理由も、ここに資料として持っておりますが、詳しいことは申しませんが、その一つに重要な理由がある。手帳を持っておりましても、原爆被爆者であるということを世間に知らせるだけであって、たいした恩恵がない。たとえば住居に優先入居させるというようなささいなことでも、それだけでも、手帳申請をするということに意欲的になってくるというような一事を見ましても、そういう問題があるように私ども思うのですが、これはどうです。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 私どもとしては、被爆対策が始まって今日まで、相当の予算をこれに投入してやっております。新年度で計上いたしました予算は六十億をこえております。  内容につきましては、いろいろ対策をやってまいりましたが、一番大きな問題といたしましては、昨年から実施しております特別措置法による諸手当の創設でございます。これらの手当の制度あるいは新年度に新しく予算化いたしました仕事の内容につきましては、決して貧弱なものではないというように考えております。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 貧弱であるかないかの問題は、これは単なる相対的な問題ではなくて——きのうからずっと皆さんの御発言を聞いておったし、参考人のお話も伺ったのですが、いまの政府の対策ではとても話にならぬというのが結論です。しかし相対的な問題もありますが、根本的な考え方にも問題があることはきのうからずいぶん皆さん御論議なさいましたので、政府とわれわれの考え方は基本的に違っておることははっきりしておりますが、この点については申しません。いずれにしましても、被爆者が、おれは被爆者であるということを天下に公表して、手帳を持とうという意欲を持つためには、政府の現在の施策だけではなくて、手帳を持っていることによって恩恵がある、これが前提にならなければならぬということはこの一つの事実を見ても非常にはっきりすると思うのです。  私、次に伺いたいことは、この資料を見ますと、特別被爆者が毎年ふえてくる。ところが、一般被爆者はどんと減ってきておる。これは四十年度に御案内のとおり特別被爆者の条件につきまして条件緩和をした。その地域のキロ数だとか、あるいはいつまでに入ったというような日数だとかいうような点についての緩和があった。その結果、一般被爆者が特別被爆者に認定されたということがあると思うのですが、それだけではないように思うのです。計算してみますと、それ以上あるように思います。ですから政府が、制度上特別被爆者に認定する条件を緩和したということ以外に、特別被爆者がふえた条件が何かあるように思うのですが、これはどうでしょう。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 大ざっぱに申し上げますと、先ほど来話が出ております七つの大臣の定める特別疾病を持っている場合、これは一般被爆者であっても特別被爆者の対象の中に入れております。そのほかに昭和三十六年から四回にわたりまして特別被爆者のワクの拡大をいたしております。そういうことがからみ合いまして、しかもこの制度に対する関心があって、だんだん特別被爆者の対象もふえてまいっておるというふうに考えております。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 私、どうも抽象的に聞いたから、御答弁も抽象的になったと思うのですが、この特別被爆者に認定するという条件の中に、政令の六条の二号及び三号の問題がありますね。つまり病気でなかった人が発病したというような人々は、その病気の種類が法定されておる範囲であれば特別被爆者になるわけですね。そういう人がかなりあるのじゃないかということを聞きたいわけです。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 ちょっと数字的なことを申し上げますと、いわゆる認定疾病患者、これが三十七年には四千九百六十一名、四十二年には四千二百九十三名、それから先ほど申し上げました特定疾病を持つ、このために特別被爆者の対象になり得る、そういう患者の対象が昭和三十七年には一千三百十三名、四十二年には三千八百五十三名。これは三号疾病のほうが二千名ほどふえておりますが、認定疾病患者のほうは大体変わりがないと思います。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 認定疾病患者のほうでは一応減っている、それから特定疾病の場合はふえている、こういうことになりますね。  そこで問題になるのは、先ほどから皆さんも問題にしていらっしゃるし、私もしょうと思ったが、時間がないからやめますが、認定の条件がかなり大きな障害になっている。条件が過酷だ、あるいは認定するほうの考え方と認定してもらいたい者の考え方との相違、そういう問題があるように思います。いずれにしましても、新しく病気になるとかなんとかいうことは、この点でも非常にはっきりしている。そういうことから特別被爆者、あるいは認定疾病被爆者に認定されるということは明らかだと思うのですが、そこで大臣に具体的なことを伺っておきたいと思います。  これは昨年の十一月ですが、尾道市原田町大字小原、農業の桑原忠男さんという人が認定疾病被爆者に認定申請して、これが拒否された。その拒否の理由は何ら書いてないので、いろいろやった後にいま厚生大臣を相手に訴訟を起こしている。これは大臣御承知ですか。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 たしか申請されてまいりまして、審議会でいろいろ検討いたしまして、添付の必要な検査成績、こういったものの再提出を求めたのが一点と、もう一点は、被爆の時点の状況が明らかでなくて、これをもう少し詳しく知りたいということで資料の再提出を求めまして、それらのものを総合判定の結果、認定疾病の患者としては該当しないものという判断をしたケースだと存じております。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 これは非常にはっきりしているのですよ。政府が回答しておりますのは、「原爆医療法第八条一項に該当するものと認定しがたい」、こういって理由を示しておりません。だから、どういう理由で該当しないのか、具体的な例ですから、これをここではっきりしてもらいたい。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 たしか被爆の当時、外傷を受けて歩行が非常に困難になった、その状態が今日まで続いているというふうな患者ではなかったかと考えます。それでよろしゅうございますか。そのケースとは違いますか。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 いやいや、私はあなたに聞いている。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中政府委員 そういう状態で認定申請の手続がとられまして、途中で申請をした医師の診断書の添付がございました。その後県に照会をいたしまして、内容についての調査をいたしました。調査の結果、どうも被爆の当時の外傷の実態がはっきりしないというふうなことで、たしか別な医師の診断も受けました。それらの資料を素材といたしまして、申し上げましたような認定の疾病とは認められないというふうな判定が出たものだと考えております。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 時間が一時までということで、私の時間は全くないからしかたがないのですが、尾道市では去年一年だけでも十二人申請して認可を受けたのは二人です。これはいずれ法廷で大臣相手に争いますからはっきりしますが、一例を申し上げますと、こういう状況で認定には非常にきびしいものがある。医療機関が、当然法律の上から見ても、これは認定される患者だということで申請手続をとる。ところが実際は、十二名申請しても二名ぐらいしか認可されないというような状況があるのですな。つまり認定問題では、先ほどから非常に問題になっておりますが、非常にきびしい条件があって、そしてこれは認定しないというやり方なんですな。これはやはり相当問題があると思いますけれども、深く立ち入る時間がないから、この点に一応触れておきまして、訴訟のときにはっきりしたい、こういうふうに思います。  そこで、大臣、先ほどから聞いてみたところでも、普通の統計にあらわれている数よりも、現実に被爆者が多くいるだろう。それから手帳をもらって、申告し認定された一般被爆者の中でも、やはり原爆の影響によって新しく疾病にかかるという人間も出てくるから、特別被爆者の数が多くなっているということですね。このこと自体、原子爆弾の被爆者というものは、これは常にいっその影響によって悪性の疾病にかかるかわからない条件の中におるということを示しておると思うのです。このことは非常に大事なことでありまして、先ほどからいろいろ皆さまのおっしゃっているとおりに、被爆者の現状、実態ですな、特にその数全体を政府がつかむために、当然四十年の調査を発表される必要がありますし、それから新しく全国の中から被爆を受けた人をさがし出すという仕事、これが非常に大切だ。そしてもちろん病気になった人に対しては特別被爆者とか、あるいは認定被爆者だとかいう認定をしまして、特別な対策はもちろん必要であります。しかし被爆者はその状況からいいまして、いつ悪性の病気になるかわからないという危険な状態におかれているというこの事実を重視しまして、これに対する対策こそ大事じゃないか。現在の一般被爆者というのは、法律の恩典からいえば年二回の定期診断、本人が請求すればもう二回診断する、特別の何か状況があればこれを精密検査するというふうなことだけでありますが、こういう点だけではなくて、全被爆者を対象にした被爆者援護対策というものが大事なのだろう、これはきのうからみんな言っているところです。大臣も先ほど大橋君かの御答弁の中で、社会保障としてやるべきか、あるいは国家補償としてやるべきか、自分としてはその中間くらいにあるのじゃないかということを言っていらした。しかし、いろいろ意見があるし、皆さんの意見も聞いたから、今後この点については検討を加えたいということをお答えになっていらっしゃるのですが、ここにやはり問題があるように思う。  もうやめろというあれが来ておりますが、これは大臣、笑いごとではないのですね。日本が初めて受けた、これは日本だけですね。それから原爆という人類始まって以来の大量殺戮兵器、これの犠牲になった。しかも、当時の日本の国策、帝国主義的侵略戦争の中で、こういう悲惨な状態が引き起こされているという問題がある。ですから、この被爆者全体に対する行き届いた対策というものが、絶対に必要になるのじゃないかということであります。この点がつまり私どもが言っております国家補償という立場をとるべきだ、私どももっと強いことばでいえば、国家補償の対象となるというふうに考えておりますが、この補償というものは社会保障の保障とは違うわけですからね。こういう点から被爆者対策をやるべきではないかというふうに私どもは考えておりますし、その内容につきましても私どもは考えておりますが、時間がないから申し上げません。これは根本です。  同時にこれは、皆さんおっしゃったから繰り返す必要はないけれども、具体的に内容も考えてきておりますが、やはり当面、たとえば健康管理手当の範囲内にあの特別手当を広げる、それから健康管理手当の対象者をもっと広げていくというふうなこと、それから一般被爆者に対する健康管理、あるいはこれに対する生活保障、こういう点、もっと積極的に現行法の中でも改正できると私どもは思う。それにやはり積極的に取り組む必要があるように思うのです。このことを強調して、私はそれでは時間が来ましたからやめます。

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 ただいま委員長の手元に、谷垣專一君、田邊誠君、田畑金光君及び大橋敏雄君から本案に対する修正案が提出されております。     —————————————    原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する    法律の一部を改正する法律案に対する修正    案  原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  附則を次のように改める。    附 則1 この法律は、公布の日から施行する。2 この法律による改正後の原子爆弾被爆者に対  する特別措置に関する法律第九条の二の規定  は、昭和四十四年四月一日から適用する。     —————————————

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。谷垣專一君。

谷垣專一自由民主党

○谷垣委員 私は、ただいま議題となっております原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派共同提案にかかる修正案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  お手元に修正案が配付してありますので朗読は省略いたしますが、その要旨は、施行期日を修正しようとするものでございます。  何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 この際、修正案について御発言はありませんか。     —————————————

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 御発言がなければ、これより原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 起立総員。よって、谷垣專一君外三名提出の本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 起立総員。よって、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案は、谷垣專一君外三名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。     —————————————

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 この際、澁谷直藏君、山田耻目君、田畑金光君及び大橋敏雄君から、本案について附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。山田耻目君。

山田耻目日本社会党

○山田(耻)委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。    原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、本法の施行に当たり次の事項について、その実現に努めること。  一、最近における被爆者の疾病状況にかんがみ、被爆者対策の根本的改善を促進するため、すみやかに関係者を含む原爆被爆者援護審議会を設置するなど所要の措置を講ずること。  二、認定疾病の認定に当たっては最近の被爆者医療の実情に即応するよう検討すること。  三、特別被爆者に対する健康管理手当については、支給対象の拡大、支給条件の緩和に努めること。  四、特別手当及び介護手当の金額を大幅に増額すること。  五、葬祭料の金額を大幅に増額するとともに、過去の死没者にも遡及して支給することを検討すること。  六、被爆時の気象、地理的条件等を考慮し、特別被爆者の範囲を合理的に拡大すること。  七、原爆死没者を含む被爆実態の調査(地方調査を含む。)を明年度中に実施すること。  八、昭和四十年に政府が行なった被爆者実態調査の最終報告をすみやかに発表すること。  九、沖繩在住の原子爆弾被爆者に対しては、本土なみの措置を行なうこと。  十、旧防空法による犠牲者に対し、戦争犠牲者救済の公平を確保するようすみやかに施策を講ずること。 以上であります。何とぞ本委員会各位の御賛同をお願いいたします。

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 本動議について採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 起立総員。よって、本案については、澁谷直藏君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。厚生大臣斎藤昇君。

斎藤昇自由民主党厚生大臣

○斎藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に今後ともなお一そう努力いたしたいと存じます。     —————————————

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

森田重次郎自由民主党

○森田委員長 この際暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

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