社会労働委員会 第9号
- 発言数
- 163 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/04/15
会議録
○森田委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。山本政弘君。
○山本(政)委員 昨今いろいろと事件がございます。荒川、それから茂尻炭鉱、そしてせんだっては人命に死傷はなかったけれども、日航のオーバーラン事件がありました。 せんだって竹内委員の質問で、安全の哲学観というものを労働大臣にお尋ねいたしましたけれども、私は大臣のお答えにちょっとばかり疑問があるわけです。というのは、安全に対する哲学というのは、私は、一般的には安全というものは絶対に守らなければいかぬのだし、それは確率が何分の一だとか、そういうことであるものではないだろうと思う。むしろある場合には、過剰とさえ言える安全というものが必要ではないだろうか。特にオーバーラン事件など見まして、これは人命に事故がなかったけれども、もしあれが条件が若干違っておれば、私はこれはたいへんな事故になったと思うのです。 そういう意味で、たいへん申しかねますけれども、大臣の安全に対するお考え方というものを再度御質問いたしたい、こう思います。
○原国務大臣 山本さんにお答え申し上げますが、いわゆる飛行場でも交通でも、あらゆる場所において安全が第一であることはいうまでもございません。佐藤内閣におきましても、人間尊重を旗じるしにいたしておりますし、人命尊重ということはもう第一でございます。でございますから、私どもといたしましても人間尊重、これがもう最高至上の旗じるしでございまして、その経済性とか、あるいは生産性というようなことは、第二義的なものでございます。 そのように考えまして、今後とも人命を尊重し、人命を尊重する精神を高く掲げて実践していきたい、こういう決意でございますので、御了承願います。
○山本(政)委員 私は、この事故率が何百万分の一とか、あるいは何千万分の一とかいうことは、一つ基準にはなり得ると思うのです。基準にはなり得るけれども、そういうものになれ過ぎるといいますか、つまり安全の規定とか、あるいは安全に対する考え方というものがなれ過ぎると、事故を起こしがちである。そういうことで、あのオーバーラン事件というのは、事故としては人命に何もなくて幸いであったのですけれども、つまりなれ過ぎると申しますか、そういうことになるとこれはたいへんなことになるのじゃないか。 そこで、運輸省の方にお伺いしますが、あのオーバーラン事件は、一つの新聞によりますと七十メートル、オーバーランしたという記事があります。もう一つの新聞によりますと二百メートル、オーバーランした、こういうことですけれども、これは一体どちらがほんとうなのか、その点ひとつお伺いしたいと思います。
○手塚政府委員 先般の伊丹の空港におきますコンベア880のオーバーランの問題でございますが、そのときにおきまして、オーバーランをいたしました状態は、目下調査中でございますので正確なところはいまだ出ておりませんが、いま先生御質問のオーバランした距離といいますか、それはランウエー末端から約五十メートル程度のところ、その近くに最近開通をいたしました地下道がございまして、その地下道の工事のあとのぬかるみでうまくとまったというので、大体その近傍がいま申し上げた点に該当します。
○山本(政)委員 最近の航空機の事故を申し上げますと、四十三年十一月にサンフランシスコ空港における事件がございました。それから四十四年の一月にオークランドの航空事故があった。それから今度の大阪空港の四十四年四月五日というふうになって、大体二カ月おきに事故が出てきている。幸いにこの三つの事故というのは、先ほど申し上げましたように、人身の事故にはならなくて済んだけれども、一体、二カ月に一ぺんずつこういう事故が起きるということは、将来二カ月もしくは三カ月ごとに事故の起きる可能性、同時にそれは、人身の事故が起こる可能性というものを内包している、私はそういうふうに思うのですけれども、その点についてどうお考えでしょうか。
○手塚政府委員 航空事業におきまして最も大切なことは、先ほど労働大臣からの御説明にもございましたように、やはり安全が一番の基礎であるというふうに考えております。したがいまして、この安全確保のために、乗員の訓練あるいは機材の整備、そういったものについて、経費の面、あるいは労働力の面、あらゆる面につきまして、常日ごろ十全なる体制と検討を加えておるわけでございます。 御指摘の、昨年十一月のサンフランシスコの海岸べりの不時着水の事故、あるいは続きましてことしの一月のオークランドの事故、あるいは今度の事故、ここのところ非常に事故が続いておりますが、前二者につきましては、私ども考えますのに、この使用いたしました機材が、最近導入をいたしましたいわゆるDC8の長胴型、62型という、従来の50シリーズよりは少し長い長胴型でございます。これについております計器類の配置等につきまして、従来と変わった内容を持っておる、そういうことからこの二回の事故が同様な原因で、相似たような姿で発生したものだと考えております。 なお、これにつきましても、現在アメリカサイドにおける事故調査団が鋭意調査いたしておりますので、結論はよくわかりません。はっきり申し上げるわけにはまいらないわけですが、われわれといたしましては、たぶんそういうことではなかろうかということで、この二件に対しましては直ちに航空局におきまして、会社に対する注意を文書をもって出し、会社におきましても、訓練内容についてさらに再訓練をする、あるいはマニュアルという規程の再検討、整備を徹底させる、あるいは長胴型に対する特別な時間をかけての再訓練、これは定期を一部切りまして時間の余裕を持たせまして、そうしてこの機種に乗るところのパイロットの訓練をいたします。大阪のときは、これはコンベアの880でございまして、気象条件が、御承知のように雨上がり等の条件もございましたが、こういったことで、これに対しても、現在鋭意そういう問題の解決、原因究明ということに当たっております。
○山本(政)委員 DC8−62型ということについて、長胴型であり、計器類が複雑になっている、あるいは変わっている、だからそういうことについてふなれであったのではないだろうか、こういうお話でございますけれども、私が調べた結果については、型式が変わった場合に訓練をする場合、乗務員については地上三日間、実地訓練については二時間の訓練しかしないで型式の変わったものを運航させておる、こういうことを私は聞いております。型式が変わった場合に、車の場合のことを私は車の運転の方々に聞いてみましたら、三十分や一時間は実際に乗って回らないとい車の場合ですらその車になれることができないのだ、こう言っておったけれども、実地訓練が二時間で、しかも、あなたのおっしゃったように長胴型で、計器も非常に複雑になっておる場合に、そういうものが運航できるのかどうか、そういうことを運輸省は許可をされているのかどうか、御存知なのかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思う。
○手塚政府委員 原則的に、飛行機の機種が変わります場合には、パイロットの運航資格につきましては、航空法上、資格の限定変更ということで試験をして、これの乗務を認めるというていさいをとっております。その前に、会社におきましては、そういうことに受かるような訓練をやるわけでございます。 ただいまのDC8の62型という型につきましては、その会社におきます訓練としては、まず地上訓練が二日間、十三時間半という時間で行ないます。それから今度実機の訓練を、機長につきましてはただいま御指摘の二時間半、副操縦士につきましては四十五分間というのを実施いたしております。この基準は、飛行機を運航いたしております外国エアラインあるいはメーカー等から、従来の実績をもとにしたデータをわれわれ収集いたしまして、それをもとにいたしまして一応の判定を下したわけでございます。もちろん、われわれはこれを認めておるわけです。 ちなみに外国会社の例で申しますと、デルタというエアライン、あるいはユナイテッドというエアライン、こういうところにおきましては、地上訓練はそれぞれ八時間、四時間、実機の訓練は、機長の場合に一時間、ユナイテッドの場合に離着陸が二回というのが、この長胴型に対する訓練として行なわれております。しかしながら、先ほども申し上げました二回の事故にかんがみまして、私どもはこれをさらにもう少し訓練を延ばす、充実すべきだというような見地で勧告をし、会社もそういうことを受け入れまして、訓練時間を充実をいたすことにいたしました。先ほど申し上げました事故直後における訓練のときからそういうふうにいたしました。それは地上訓練時間を三日間二十一時間三十分、実機の訓練時間につきましては、機長が二時間ということ、それから副操士は一時間、こういうふうにいたしたわけでございます。 この長胴型につきましては、確かに機体は長くなりました。約二メートルくらい長くなりましたが、実際の飛行機の運航の観点からは、そういう意味ではたいした相違はない、要するに離着陸時の勘の問題だというふうにいわれておりまして、その意味からはこの訓練は従来の面、まず先ほど申し上げました外国会社の例等から見ましても大体よかろうということでございましたが、さらにそういう充実を考える。 それから中の装備の器械類の問題でございますが、これは複雑になるといいますか、従来よりはある意味ではコンパクトになって、使いやすいようにということでございますが、これがやはりふなれでは、使いやすいものが使いやすくはならないということになりますので、これはやはり訓練を充実するということでそういうふうなことにしたわけでございますが、全般を通じまして、私どももこういった事故が二回もあったということから、こういう訓練は徹底をしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○山本(政)委員 サンフランシスコとオークランドで事故がございましたそのときに、運輸省のほうから日航に対して通達といいますか、指示といいますか、そういうのはいつごろお出しになったのですか。
○手塚政府委員 十二月十二日付で私のほうから、訓練方法あるいは乗務管理ということにつきまして、改善の指示の文書を出しました。この指示に基づきまして、日航では直ちに改善措置を行なっております。 さらに、一月のオークランドの事故の発生を見ましたので、再度当局では、一月十八日付でこれまた文書で改善勧告を行なっております。
○山本(政)委員 私は技術的なことはよくわかりませんが、十二月十二日にお出しになって、日航が、たしか十二月の十八日の日に、それに基づいてたぶん出したのだと思うのですけれども、オート・カップルド・アプローチに対する制限について出していますね。オート・カップルド・アプローチというのは、一体どんなあれでしょうか。
○手塚政府委員 ILSという自動着陸計器、着陸誘導装置が飛行場についております。これは天候、気象状態が非常に悪いときに、一定のビームを無線で出しまして、そのビームに乗っかって——飛行機にはその受信機がついている、こういう機械でございます。それからこれに自動操縦装置がございます。その自動のものと、そのおりるやっと一つに結びつけるということで、自動的にそれに乗っかっておりられる。こういうようなシステムだと理解しております。なお、詳細でございましたら技術部長がおりますから説明いたします。
○山本(政)委員 その事故があったあとに、航空局のほうからお出しになって、そうしてそれに基づいてたぶん日航がやったんだと思いますけれども、これはことしの三月十八日に解除されていますね。制限解除をやっている。オークランドの事故というのは、四十四年の一月の七日、そして解除が三月の十八日とすると、二カ月ちょっとですか、そういう段階で新しいそういう計器とかなんとかということで、非常にコンパクトされていると、こうおっしゃるけれども、二カ月くらいでそういうことを制限解除していいのかどうか。この辺は航空局のお考えですね。これをひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
○手塚政府委員 このオート・カップラー自体は、本来的にはむしろ操縦の助けになるというような趣旨のものであると理解していますが、先ほどの長胴型の器機の装置等にも見られますように、便利になると、それに対する訓練が行き届かないと便利なものが活用できないというような感じであるわけです。このオート・カップラー自体につきましては、そもそも複雑なものではないというふうに私どもは聞いております。これ自体に故障というような問題が当時は考えられたわけではございませんで、これはむしろ極力使うという方向が安全上望ましいというたてまえで会社がとっておりましたが、ただいまの事故で、いろいろパイロットとして配慮をすることが、一ぺんに多いということではまずいのではないかということで、一時これを中止いたしたということでございまして、これ自体について、いまの短期に解除したという、その時間的な長さというのが、私ども現在のところ不適当だとは考えておりません。その事故直後にとりました訓練等で、十分こういった問題についての配慮が払われている。現在におきましては、十分な運用慣熟ができたと考えております。
○山本(政)委員 たいへん万全を期しておられるようなお答えですけれども、それじゃお伺いいたします。 この「フライト・オペレーションズ・インフォーメーション」という中には、そのあとに続いて「DC8−30シリーズ、50シリーズ、 60シリーズ及びB727におけるオート・カップルド・アプローチの」これは「カテゴリー一」というのですか、「実施のためには最近の一カ月以内に少なくとも一回以上のオート・カップルド・アプローチを経験しなければならない。」これはお客さんを乗せているわけでしょう。お客さんを乗せて実施をしているのだと思いますけれども、「但し、チェックの際、オート・カップルド・アプローチを実施させたチェッカーについても」その実施の結果「一回の経験と見なすことができる。」つまり計器を一回やっただけでいいのだというような感覚というのは、私は技術屋ではありませんからよくわかりません。しかし、常識的に考えて、計器の取り扱いについて、実地の訓練が、一回の着陸の訓練をやったということによって、そうしてそこに添乗しておるチェッカーも、それによって実地訓練を終えたというような考え方というものは常識的に妥当かどうか、この点をお伺いしたいと思うのです。
○手塚政府委員 若干内容が技術的でございますので、当方の技術部長に説明させたいと思います。
○松本説明員 お答えいたします。 先生ただいまチェッカーとしての一回経験といいますのは、チェッカーとして十分技量を保持しておりますけれども、最近の飛行経験として、一カ月に一回の経験がなくちゃならないという意味でございます。
○山本(政)委員 最近の一カ月の何ですか。
○松本説明員 最近一カ月以内に一回の飛行経験がなければならないということを規定したものでございます。
○山本(政)委員 いいですか、よく読みますよ。「最近の一カ月以内に少なくとも一回以上のオート・カップルド・アプローチ」自動着陸装置というのですか、「オート・カップルド・アプローチを経験しなければならない。」一回以上というのですから、一回で、もうそれでいいのだという見解は成り立ちますね。事実私が聞いたところでは、一回でそれの資格といいますか、訓練を受けたというふうに考えられておるようなんです。そういうことが、常識的に考えていいのかどうか。 同時に、これを実施する場合には、私はお客さんが乗っていると思うのです。お客さんを乗せた上でそういう実施をしている。 そうしてもう一つは、「チェックの際、オート・カップルド・アプローチを実施させたチェッカー」これは審査官というか何というか、専門語ですから私もよくわかりませんが、しかしチェッカーというのは指示しているだけで、自分が実地に、つまり操縦かんか何か知りませんけれども、そういうものを握ってやるわけじゃないでしょう。審査ですから、おそらく指示するだけでしょう。その人も「そのチェックを一回の経験とみなすことができる。」というのです。自分自身は実施をやらないで、そばにすわっておって、おそらくいろいろ口頭で指示したり何かするのでしょう。その人たちもチェックをしたことになるかどうか。そういう見解というものが、安全性というものからあなた方はどういうふうにお考えになっているかというのです。地上訓練とか、実地訓練とかということをあなた方はおっしゃった。そして時間も延ばしたとおっしゃっておられる。しかし、航空機ほど安全性というものが要請されるものはないでしょう。そのときに、ただそばに乗って指示をした、審査官であるがゆえに、実地訓練をしなくてもチェックをした、つまり実施をしたという資格が与えられるのかどうか、そんなことが常識的に考えられるのかどうか。
○松本説明員 お答えいたします。 先生おっしゃるチェッカーは、査察操縦士だと思います。査察操縦士は、ベテランの技量のパイロットの方が指名されるわけでございます。ですから、査察操縦士になりますには、普通のパイロット以上の、機長以上の技量を持っている者が指名されるわけでございます。この場合に、先生の一カ月一回というお話は、たまにそのチェッカーが、たとえば一カ月半とか二カ月飛行機に乗っておりまして、そのあと一カ月とか二カ月後に飛行機に乗ってチェックするのでは、相当飛行機に乗らない時間が長くなっておりますので技量が問題であろうというので、査察操縦士は自分が都合のいいとき査察してはいけない、必ず一カ月に一度は技量保持の意味もありまして、またパイロットの現状の技量を保持する意味におきましても、一カ月に少なくとも一度は査察操縦士は乗っていなければならない、そういう意味でございます。
○山本(政)委員 この文章はそういうふうに受け取れますか。つまり自動着陸装置の「カテゴリー一実施のためには最近の一カ月以内に少なくとも一回以上」と書いておることが、あなたのおっしゃるようにとれますか、そういうふうに理解されますか。そういうふうにあなた方が理解されるのだったら、私は文章としての読み方というのが少しおかしいと思うのですけれども、「最近の一カ月以内に少なくとも一回以上」ということばは、とにかく一カ月に一ぺんやればそれでいいのだ、こういうことでしょう。「毎月」と書いていないですよ、「毎月一回以上」とは書いていないですよ。
○松本説明員 お答えいたします。 いまの御趣旨は、「毎月」とは書いてございませんが、一カ月に一回乗りまして、そのあと次のチェックをするときは少なくとも一カ月以内でなくちゃならない、飛行経験として一カ月以内でなければならない、そういう意味だと了解しております。
○山本(政)委員 それではDC8−62型というものに、いまあなたのおっしゃった計器がついているのは何機あるのですか。
○松本説明員 お答えいたします。 先生のおっしゃいました62型は、現在四機あるいは五機だと思っております。
○山本(政)委員 それでは、乗務員ですね、要するに操縦をしている人は全部で何人いるのですか、キャプテンとパイロットを入れて。
○手塚政府委員 三月一日現在で、いわゆる操縦士というパイロットが、訓練生も含めまして、日本人五百七十八名、それ以外に外人が七十九名、ナビゲーター、航空士、これが日本人六十四名、外人十六名、機関士を含めまして全体で八百六十八名でございます。
○山本(政)委員 つまり八百六十八名という、操縦士だけとっても五百七十八名プラスの外人七十九名、この方々が、あなた方四機か五機とおっしゃったけれども、五機なんですよ。計器を備えた五機に、その人たちを、最近の一カ月以内に少なくとも一回、常識的に乗せられますか。六百人をはるかにこす人たちを、そういうことでチェックさせられますか、おなた方、そうお考えですか。
○手塚政府委員 五百七十八名おりますが、問題の飛行機に対応いたしますDC8クラスに乗りますパイロットは二百九名、あとコンベアとか、ボーイング727、あるいは教官、訓練生、こういうことになっております。 そこで、さらにDC8でいまの62に乗り得る者というのにつきましては、いまここにあげてあります総員ではございませんで、たしか、この二割程度くらいではなかろうかと考えております。
○山本(政)委員 DC8−62型というのは、西欧その他の国々でも使われていると思うのですね。これには事故がないわけです、何でわが国においてだけ二回、最近にその事故があったのだろうか、その辺が私は実は疑問なんですよ。あなた方は、安全を再点検せよということを、運輸省が日航に勧告していますね。その中で、アメリカと西欧の民間の同型機には装備されているが、事故は起きていないと言っているのです。だけれども、日本においては一回ならず二回起きている事実というものが、私には理解できないのです。何で起きているのだろうか、単にふなれだけではないでしょう。あなた方の先ほどの議論からするならば、時間も、実地訓練、あるいは学科、あるいは地上訓練についても、少なくとも米国あるいは西欧以上の訓練を十分にやっているとこうおっしゃっているにもかかわらず、外国ではゼロのやつが、何で日本で二回起きているのだろうかということが私は疑問なんですよ。それはあな方がおっしゃっているような、こういう「フライト・オペレーションズ・インフォーメーション」に出ておるような点に、手抜かりがあったのではなかろうか。つまりそういう考え方の基礎、ある一定の水準を越えたらそれでいいのだということで、それ以上のことは過剰安全に属するのだというように、あなた方はお考えになっているのではないだろうか。あなた方に対して、失礼ですけれども、日航はお考えになっているのではないだろうか。それをあえて航空局は許容しているのではないかということをお伺いしたいのですよ。その辺はいかがですか。
○手塚政府委員 日本の場合にあって、外国にはないというところにどういう問題があるかは、私どもは現在この二つの事故の事故原因調査の結果を待ちませんと、決定的な断定を下すことはできないと思います。しかしながら、先ほども申し上げましたように、私どものほうから気づきましたことについて、とりあえずこういうことをやったらどうだということで指示を出しました内容については、所定の飛行手続の確実な順守、それからDC8−62のフライト・ディレクター・システムの的確な用法及び故障の探知法の実際的な訓練、それから機長及び副操縦士の連携の強化、こういった三点をとりあえず日本航空に対して指示をいたしました。日本航空はこの指示によって、さっそくさらにこれを具体化した内容を実施いたしておるわけでございます。
○山本(政)委員 あとでそのことにちょっと触れさせていただきますが、時間の関係がありますので先に進みますけれども、エンジンオーバーホールタイムというものがありますね。これは前に参議院の委員会で木村さんがお尋ねになっているけれども、問題のDC8のJT3Dエンジンというのは、昭和三十七年に一千時間たったらオーバーホールしているのです。それが昭和四十三年には一万時間たたないとオーバーホールしていないのですね。三十七年から四十三年の間にオーバーホールの時間は十倍になっている。そしてそのときの局長の御答弁は、DC8のJT3Dについて申し上げれば、千時間ということでぐっと押えられておる、その実績を勘案しながら、徐々にゆるめてきたのだ、こういうようなお答えをしているのですけれども、一体外国では、DC8のJT3Dというエンジンについてのオーバーホールタイムというのは、どのくらいなのですか。
○手塚政府委員 エンジンのオーバーホール時間につきましては、私どもは、おっしゃいます外国エアラインの同型式のものについての実績、それから日本航空自体におきますこの機械の故障率、そういったものを総合判定いたしまして、これを改定いたしておるわけです。いまお話ございましたように、当初これをきめます場合には、一応メーカーのほうから指示のございます時間につきまして、これをぐっと短縮をいたしましたが、いま申し上げたような点についてのその後の事態の推移を見た上で、これを延ばしていくというような方向をとっているわけです。 具体的な時間数につきましては、現在TWAというところで、同型式のJT3D型の最高時間は、一万六千時間という時間をとっております。
○山本(政)委員 それではB727のエンジンのJT8Dというのは、昭和四十年に千二百時間たったらオーバーホールしていますね。これが昭和四十三年には七千時間たたないとオーバーホールしていないのです。つまり三年間のうちにオーバーホール時間が千二百時間から七千時間になっている。それからいま申し上げたように、DC8のJT3Dのエンジンは、三十七年の千時間から四十三年には一万時間になっている。それで、あなたは、TWAのそのことを参照にされて——時間をいまお伺いいたしましたけれども、あなたがおっしゃるように徐々に延ばしてはおらないのですよ。JT3Dのエンジンのオーバーホールタイムというのは、四十二年には五回変更して一挙に千八百時間延ばしているでしょう。四十三年にはもっと激しくて、変更が五回あって四千時間延ばしているのですよ。どこに徐々に延ばしていますか。 航空機というのは、一ぺん事故があったら——私は大阪の空港の場合には、まことに日航にとっても、運輸省にとっても、幸運だったと思うのです。あそこに土盛りがなかったら、クッションにならないで、そのまま飛び出して行ったでしょう。そうしたら、地下道の上のほうにぶつかっているかどうかして、おそらく人身事故が起きていますよ。それと同じように、エンジンのオーバーホールの間隔にしても、あなた方は徐々に延ばしておると言われるけれども、私は技術的なことはわかりませんよ。わかりませんけれども、四十三年一年間で変更が五回あって、そして四千時間一挙にオーバーホールの時間を延ばしているということは、徐々にでは決してないと私は思うのです。急激に延ばしていることになるでしょう。つまり一千時間から一万時間の間に対して、四十三年だけで四千時間延ばしているということは、何も徐々じゃありませんよ。まことに急激に延ばしていると私は思うのです。そういうことで、一ぺん飛び上がったら、これはどうにもならぬ。それで事故が起きたら、これは一〇〇%乗客は死にますよ。そういうことに対して、一挙に四千時間も延ばすような考え方というのは、はたして妥当なのかどうか。常識的に私は非常にふしぎに感ずるのですけれども、あなた方は、技術関係の方だと思うのですけれども、技術屋さんから見ても、それは一体妥当なのかどうか。私は納得がいかないのですけれども、その点ひとつ納得がいくような説明を願いたいと思います。
○松本説明員 お答えいたします。 ただいま先生お話のJT8Dのエンジンのオーバーホールのタイムの延長でございますが、先ほど局長からもお話がございましたように、オーバーホールタイムを延長いたしますときは、サンプリングエンジンと称しまして、数台のエンジンをとって、そのエンジンのオーバーホールと故障の状況、あるいはその会社の使用状況を調べまして、お話にありますようにオーバーホールタイムを定めております。これは整備規程できめております。この場合、先生御存じだと思いますが、最近のジェットエンジンにつきましては、昔のプロペラ機のレシプロエンジンと非常に変わってまいりまして、簡単にいいますと、これは構造の主要部分は回転部分になりますが、構造はレシプロエンジンに比べて簡単であると思います。ピストンエンジンは、往復するピストンによるエンジンで、構造が複雑でございます。最初ジェットエンジンを購入いたしました場合には、先ほど申しましたように大事をとりまして、最初は八百時間あるいは千時間使用するようにしておりましたが、その後の使用状況によりまして、先ほど申しましたように、オーバーホール時間を延長しております。その場合に、ジェットエンジンにつきましては、ホット・セクション・インスペクションと称します燃料室が先に一番まいるわけでございます。その一番弱い部分が確認されれば、あとの部分はある程度従来の統計等によりまして推定できるわけでございます。エンジンによりましては、オーバーホールの時間は七千時間でございますけれども、第一段のホット・セクション・インスベクション、HSIと一応称しておりますが、二千八百時間でここを分解して見ております。さらに二千六百時間使いますと、第二段のホット・セクション・インスペクション、HSIですが、そこで合計して五千四百時間で分解し、その後六千時間、七千時間になるとオーバーホールするということですが、事実上はオーバーホールするかわりに、このHSIをする。一番弱いところを分解して見るわけでございます。したがいまして、二千六百時間、二千八百時間ということで一番弱いところを分解して、それ以外のところを統計的に見てやっているわけでございます。
○山本(政)委員 私よくわかりませんが、大阪空港のコンベア880、これはジェットですか。
○松本説明員 ジェットエンジンでございます。
○山本(政)委員 いま部長さんの御説明になったホット・セクション・インスペクション、熱い部分の検査というのは、あなたはそうおっしゃっているけれども、JT8Dについては、一・五年間で二千時間から二千六百時間になっている。それからJT3Dについては、約二年間で三千時間から四千五百時間になっている。これはちょうど昭和四十年当時のオーバーホールタイムと同じ時間ですよ。オーバーホールが、構造が簡単になったからホットの部分だけをインスペクションすればいいのだとあなた方はおっしゃるかもしれないが、それすら長くなっておるのじゃありませんか。四十年当時のオーバーホールの時間とまさに同じじゃありませんか。だから、検査の時間というのは、だんだん延ばしてきているんですよ。そうではありませんか。
○松本説明員 お答えいたします。 エンジンの名前は同じでございますが、エンジンが、使用中にいろいろ故障が起きますと、その部分の改造なり改良を行ないます。ですから、たとえばホット・セクションで見ますと、この部分の一番の問題は材料でございますが、この部分が、おそらく当然材料の質が改良されていく。したがいまして、エンジンは同じ形でございますが、数年前に三千時間であったものが、先生御承知のように内部はどんどん改良されて、材質なり性能が上がっているわけでございます。そういう点を十分確かめて時間延長をやっているわけでございます。われわれとしましては、さらにたとえば重大な故障が起きますと、この点を十分参考にいたしましてエンジンの時間延長ということを考えているつもりでございます。
○山本(政)委員 ちょっとお伺いしますけれども、日航で一番稼働率の高い飛行機というのは、どういう型ですか。
○手塚政府委員 国内線は御承知の、幹線を727というジェットが飛んでおります。国際線におきましてはDC8とコンベア880というのでやっておるわけですが、ただいま手元ですぐに一番高いという時間が的確に出ませんので、私の推定でございますが、おそらく727が一番高いのではなかろうかというふうに考えております。
○山本(政)委員 稼働率の高い順番から申し上げましょうか。DC8型が一番高いんですよ。それからボーイング727、一番稼働率が低いのが大阪であったCV880、一番稼働率の高いDC8型が、一番エンジンのオーバーホールの時間が長いんですよ。これはどういうことを意味するのでしょう。動かして動かして一番くたびれているエンジンが、オーバーホールの時間が一番長いということは、私はやはり経済主義といいますか、そういうものに走っていると思うのです。そうじゃありませんか。DC8型が一番高い、そしてそのエンジンであるJT3Dがオーバーホールの間隔の時間が一万時間ですか、そうしてB727のエンジンのJT8Dが七千時間、一番稼働率の低いコンベア880のエンジンはCJ805、これが四千五百時間ですよ。そうしたら稼働率の高いものから順番にオーバーホールの時間というものが長くなっているということじゃありませんか。そんなばかげたことが常識的に考えられますか。稼働率の高いエンジンほどオーバーホールの時間というものは短かくてしかるべきでしょう。
○松本説明員 先生御承知のように、オーバーホール時間は、飛行時間で規定しております。ですから、もしも飛行時間がほかの飛行機よりも長ければ、短い暦日で、すなわちカレンダータイムでオーバーホールに入る。これは先ほど先生からお話しございましたコンベアが一番オーバーホール時間が短い。それから8が一番長いという話でございましたが、8につきましては、一番飛行経験を持っている、一番データが集まってきている、故障の状況とか——たいへん、長く飛べば長く飛ぶほど、故障の状況なりエンジンの信頼性のデータが、たくさん集まっているわけでございます。したがいまして、一番そのデータが集まるから長くなっているということも考えられます。
○山本(政)委員 それは詭弁ですよ。稼働率が高いということは、飛行時間が長いということですよ。飛行時間が長いということは、それだけ材料なり何なり疲労するということでしょう。材質なり、疲労度が高いということでしょう。そうじゃありませんか。それならオーバーホールをきちんとやるのがあたりまえですよ。常識的に考えてごらんなさい。私はしろうとです。あなたは専門家かもわからぬ。だけれども、一般的に考えた場合には、材質についても、使用時間が長ければ長いほど、その疲労度は高いと見なければならぬでしょう。そうしたらそれは、たとえば一般的にはそこの部品というのは、疲労度が高い部品というものは取りかえるのがほんとうでしょう、常識的に言えば。それが一番長いということは、私にはどうも理解のつかぬところです。かりにデータがあろうがなかろうが、部分的な故障というものでなくて全部ばらしてみて、材質から何から全部検査してみるのがあたりまえじゃありませんか。事故が起こったら、起こったときに、あなた方はどうにもならぬですよ、これだけのことは。しかも、今度はジャンボも入れるというのでしょう。航空事故というものは、事故が起こったときには全員が死ぬんですよ。これは皆さんに聞いてごらんなさい。一番使っているものの機械が、一番、点検が、時間が長いなんて、そんなばかなことありますか。私には少なくとも常識的には考えられない、そんなことは。もう一ぺん答弁してください。データが集まったとかなんとかいうことだけでは済まされぬでしょう。全部エンジンをばらしてみて、オーバーホールしてみて、構造から材質から点検することがあたりまえでしょう。つまり単純計算やれば、しろうとの計算ですけれども、サンフランシスコに六十回往復してやっておったものが、三百五十回往復しないとエンジンのオーバーホールやらぬということでしょう。このことを乗客にちゃんと言ってごらんなさい、乗客はあぶなくて乗れぬと言いますよ、ほんとうに、最近の飛行機には乗れないといって。冒頭に私は労働大臣に聞いたのもそれなんですよ。安全率とかなんとかいう問題で何百万分の一だからこれはいいんですということは、一つの基準としては成り立ち得るかもわからない。だけれども、安全というものは過剰過ぎる安全であっていいはずでしょう。そうじゃございませんか。
○手塚政府委員 安全につきましていろいろ御指示をいただきますのは非常にありがたいわけで、私どもも冒頭申し上げましたとおり、過剰過ぎるくらいな安全ということは、常時考えておるわけでございます。先般四十一年に、非常に残念ではございますが、五大事故というのが起こりまして、その直後における航空界の現状というのはきわめて惨たんたる状態でございまして、一般の皆さんから、全く交通機関として体をなさないという御批判を受けるような状態になりました。それ以来というものは、そういった安全に対しましては、極端過ぎるくらいに私どもは監督をやっておるつもりでおるわけです。 ただいまの時間数の問題につきましては、私も実はほんとうの専門家でございませんが、先ほど申し上げましたとおり、それぞれの飛行機につきまして、それぞれのエンジンについてやはり使用の状態が違っておる。稼働時間で見ますといまおっしゃいましたような状態でございますが、それに離着陸の状態であるとか、あるいは満載をする状態がどの程度あるかとか、いろいろな条件がその稼働の時間の中に、さらに分析すると加味されてくるわけでございます。そういうものを総合いたしました結果として、いろいろな意味のスクァークその他の実績があがってまいります。そういうあがってまいります実績等をもとにし、かつまたメーカーのほうからなどは、絶えず飛行機、これはエンジンだけではございませんが、飛行機について、ここの部分はこういうふうに改善したらどうだ、改善すべきであるというようなリコメンデーション等も常時参るわけです。そういうものを総合いたし、かつまた、外国でいろいろなそういったスクァークのデータが出ますし、同じ型を使っておる外国エアライン等から、やはりそういった資料が得られるということから、それらを総合して、それぞれのエンジンについて、日本の現状で最も適当だと思う時間が定められていくということであるわけです。おっしゃいます、8と727を比べた場合の違いというのは、もちろんございますが、この場合等については、私の考えますのは、むしろ727等については国内で使っております関係上、非常に離発着回数等が多いし、そういう意味におきまして、やはりエンジンの負荷が高いということから、スクァークが多いということから、稼働時間をあまり延ばさないということで、シビアに締めておるというふうに考えます。
○山本(政)委員 それじゃ申し上げましょう。昭和四十一年の十一月十三日に、松山沖で全日空機が事故を起こしたそのときに、日航の、いまでは重役ですよ。その方がおっしゃったことばがちゃんとここにある。「私どもでは、乗員や整備員の訓練をする場合、一定の線まではあげますが、」いいですか、「一定の線まではあげますが、この線より出ている所は過剰安全性として、これを切り下げ、合理化にふり向けております。」航空機に対してこういう考え方の持ち主がおるということです。しかも、重役陣におるということですよ。あなた方、手この事態についてどうお考えになります。ニアミスがとにかく月に二、三回いまあるでしょう。現実にあるはずですよ。そういう考え方に対して、それではあなた方は一体どうお考えになっているのか。
○手塚政府委員 ニアミスと、いまのエンジンのオーバーホールの問題は、安全という面についての共通点はございますが、それぞれまた理由は別だと考えます。ニアミスに対しましては、またニアミスとして、われわれ航空局直接の責任ある航空保安施設なり、管制との問題が、非常に多うございますので、そういう面については、それとしての別途の措置を考えております。 いま前段にお話のございました過剰なほどの状態を考えるべきだというような会社の方の御発言という点、この松山事故の直後におきまして、これまた私どものほうで社内の監査を全日空に対して行ないました。それで、監査の結果についての勧告という、いままで一度も出していない異例のことをやったわけでありますが、その勧告にもございますように、私どもも当時の全日空の状態としては、いささか膨張をし過ぎたといいますか、いまの安全面において欠けるところがあったのではないかというようなことを感じまして、いわゆる営業第一主義というのを切りかえるべきであるというふうな勧告を、当時出した次第でございまして、現在のところ、そういう線に沿って、会社としても十分安全を考慮してやっておると思っております。
○山本(政)委員 私がお伺いしたのと答弁が少し的がはずれておると思うのです。「私どもでは、乗員や整備員の訓練をする場合、一定の線まではあげますが、この線より出ている所は過剰安全性として、これを切り下げ、合理化にふり向けております。」こう言っているのですね。これは日本航空の経営に参加している、ある程度の責任ある方の御発言だが、そのことについてあなたはどうお考えになっておるのかということから付言して、ニアミスのこともお話ししたのですよ。経営に参加している人たちが、そういう考えをお持ちになっておることについて、監督官庁としてどうお考えになっておるかということをお伺いしているのですよ。
○手塚政府委員 私の先ほど来申し上げております趣旨もあまり変わりはないだろうと思いますが、DC8の長胴型等のあとにおきます訓練の内容等につきましても、余裕を持った訓練をやり、一定限度以上の過剰な労働をさせないというような趣旨のもとで、十分な安全の配慮をするべきだというような趣旨で申し上げておるわけで、内容的にはいまどなたかの発言を御引用になっている趣旨と、全く同じではないかと考えております。
○山本(政)委員 ちょっと待ってください。それではあなたの御発言というのは、もう一ぺん確かめますけれども、一定の線までは上げて、その線から出ているところは過剰安全性として切り下げていいというお考えですね。
○手塚政府委員 過剰安全ということばは、われわれ通常使うことばでございませんので、若干誤解をした御返答を申し上げましたが、いまのように安全の線をむしろ合理化に向けるというような趣旨に理解をいたしますと、そういうことは適当ではないというふうに私どもも考えます。
○山本(政)委員 日航が出していることしの三月号の「おおぞら」という雑誌があります。そこに「平均四時間五十分への挑戦」というのを書いております。あなたは先ほど、国際的に比較をして、オーバーホールの時間というものは、安全というものを非常に慎重に考慮している、こうおっしゃったのですけれども、全部申し上げましょう。ここには「ジェット機のエンジンを交換するには、外国航空会社の実績をみても、平均して八時間ちかくかかっている。わが社のライン整備工場では、これを何と四時間五十分にまで縮めようという目標を設定し、」「そして、昨年九月にはわずか三時間でチェンジを完了するという驚異的な記録を」残したというのですよ。私は記録は記録として、記録への挑戦はいいだろうと思うけれども、冒頭のあなたの御発言からいけば、エンジンは十分に注意をして、八時間以上の時間をとるべきだというふうに私は理解をするのです。しかし、少なくとも外国で八時間やっておるものを、三時間でエンジンを交換するということは、いいことなのか悪いことなのか。つまり合理化ということで三時間になったのかどうか知りません。しかし、ある程度の目標を設定して、八時間のものが三時間で完了したといって、そしてそれを業績といったらいいのか、何といったらいいのか、そういうことでPRをしているという感じ方を私は実は理解できないのですよ。八時間外国ではかかるのだということになれば、あなた方のおっしゃりようからするならば、九時間ぐらい十分に時間をかけておやりなさいという指導が、むしろ安全に対する考え方じゃありませんか。オーバーホールのときの時間については、外国でもかなり慎重にやっている、あなた方はこうおっしゃった。そうしたら、エンジンの交換についても、外国と同等もしくはそれ以上の慎重さがあってほしいと思うのですけれども、これは八時間が三時間になっておるのですよ。そういうことについてのあなた方のお考えはどうなんです。
○手塚政府委員 整備士自体の整備の時間につきましても、これは非常に限定された一定時間内で行なうようにやっております。この時間の中における労働をもとにいたしまして整備をできるだけ能率よくやるということは、企業としてはまた必要かと思います。それが過度におちいって合理化されるということは、先ほどお話し申し上げたような観点から適当ではないと思いますけれども、やはり外国エアラインと猛烈な国際競争をやっておる最近のパシフィックケースのような状態が出てまいることでありますので、企業としてもやはりそういうものに対処する対策は一方で立てなければならないという課題があるわけでございます。そういった意味では諸種の研究をし、実力を養成し、訓練をし、そしてその能率をあげていくということでなければならぬと思うわけであります。単に時間数を切る、それをいま言った背景なしに、強硬なやり方でやるというだけでは、おっしゃるとおり安全性には欠けるところがあると思います。他方、ただいま申し上げるような意味合いにおけるほんとうの意味のむだを省いていくということは、私は必要だと思うわけであります。
○山本(政)委員 私もいま局長のおっしゃった、パシフィックケースということについては理解ができます。理解ができるのだけれども、八時間が平均四時間五十分というふうなことになるた、といへん経済性だけに目を奪われて、安全性というものがなおざりにされておるのじゃないかと実は危惧するわけです。と申し上げますのは、昭和三十八年四月には、たとえばジェット機は十機でした。それが四十三年には三十七機になっているのですね。そうするとこれは三・七倍です。レシプロのほうは三十一機が三十九機になっている、——少なくともジェット機については、それだけ多くなっているんだけれども……。それから運航回数からいけば、三年間に国際線が四・二倍、国内線は約二倍になっているというような状況の中で、整備人員というのはそんなにふえておりません。六百九十六名から九百名ちょっと、オーバーホール関係からいけば五百十一名が六百八十八名になっている。運航回数それからジェット機の機数のふえ方からすれば、少なくとも整備、あるいはオーバーホールの部門の人たちが、ふえていないということになると、この人たちが、かなり無理をして整備をやっていると思うのです。これも経済性ということと関連があるでしょう。あるだろうけれども、そういう比率の上に、八時間のものが四時間五十分にエンジンの取りかえがなっているというところに、過度の経済性というものが要請されているんじゃないだろうか。そうして、それだけ安全性というものが、ネグレクトされてきているんじゃないだろうか、こういう感じがするのです。その点については一体どうお考えになっていますか。
○手塚政府委員 三十八年の稼働機数をおあげになりましたが、私のほうで最近時のものを調べてみますと、四十二年からこの両三年間の稼働機材は三十九、四十三、四十八、四十二年を一〇〇といたしますと一二三というふえ方になっております。これに対応いたしまして整備士の数でございますが、四十二年が二千三十名、四十三年に二千二百二十五名、四十四年二千四百四十五名というような数字で、同様指数で四十二年を一〇〇に置きますと、四十四年というのは一二一というような状態になっておりまして、まず機材のふえ方と整備の状態とは、数の上からは一応比例的にのぼっておるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。 さらにまた、こういった整備士につきましては、御承知のとおり、その勤務時間を厳重に規制しておりまして、月間の時間数、それから週間の時間数、それから、それが夜間と昼間というふうにまた分かれて、一定の勤務時間数で押えるというふうにしてございまして、現在までのところ、’こういった勤務時間数内に全部おさまっておりまして、その意味における格別な労働強化をもって、いま整備をがむしゃらにやっておるということではないと考えております。
○山本(政)委員 ちょっとお伺いしますけれども、運航回数というものは、よくわかりませんけれども、大体発着陸の回数と比例しますか。
○手塚政府委員 比例いたします。
○山本(政)委員 そうすると、技術部長さんですか、あなたいまさっき発着回数云々で、飛行距離数というものとは別だというふうなお話があったのですけれども、国際線は週間百十四回の運航回数がありますね。そうしてこれが主としてDC8—62でしょう。そうすると、あなたが冒頭に言われたように、距離数というものと発着回数というものとは、別に考えていいんだというようなお答えがあったと思うのですけれども、運航回数というものが発着回数に比例するんだとするならば、百十四というのはけたはずれに大きいわけですね。そうすると、いまさっきのオーバーホールの問題に戻りますけれども、その点は一体どうなるのでしょう、私、ちょっと理解がつかないのですけれども。 つまり、もう一ぺん説明しますと、飛行距離数だけには限らないんだ、オーバーホールの時間というのは。発着回数というものも考慮に入れなければいかぬ。つまりそれだけ負荷がかかるんだという意味に私は理解したのですよ。そうしたら、運航回数というものが——国際線では非常に距離というものが遠いということは、あなたは是認されたと思うのです。しかし、発着陸のそういう負荷についての問題があるから、必ずしもそうはいかぬのだ、オーバーホールの時間が長くてもいい、こうおっしゃったと思うのです、お答えとしては。しかし、いまの局長の話で申し上げますと、運航回数が多いということは、発着回数と比例するのだということだったら、あなたの言っておることは、根本からくずれるじゃありませんか、議論としては。
○松本説明員 お答えいたします。 先生のおっしゃいました運航回数と離発着の回数、これは、たとえば東京−ホノルル間を一運航としておりますれば、運航回数がふえますれば、それに比例いたしまして離発着回数がふえるわけであります。ところが、先ほど申し上げましたエンジンオーバーホールタイムの場合に、離発着回数を考えると申しますのは、飛行時間も考えなければならぬわけであります。たとえば東京−ホノルル間を七時間くらいで飛んでおります。その間の離発着回数は、東京を出ましてホノルルへ着く、わずか離陸一回、着陸一回であります。しかし、その間に七時間を飛んでおります。ところが、国内線につきましては、東京−大阪がわずか一時間足らず、しかし、その間に飛行機のエンジン、飛行機に対して非常に過酷な条件を与えます。離陸、上昇——降下はあれではありませんが、離陸、上昇であります。そういう意味で、回数だけではないので、やはり飛行機がどういう飛行状態にあるか、したがって、極端に言いましたら、運航状態が非常に長ければ、飛行機の使い方は非常に楽になるわけであります、時間が長くても。しかし、東京−大阪のように、飛び上がりまして、上昇してすぐおりるというようなところは、エンジンの取り扱いが非常にシビアになるわけであります。したがいまして、そういうことを考えましてエンジンのオーバーホールタイムをきめておるということでございます。
○山本(政)委員 それでは、ちょっとお伺いしますけれども、日本人の操縦士の給与と、外国人の操縦士の給与というものは、データありますか。あったらお知らせ願いたいと思います。
○手塚政府委員 操縦士と申しましても、年齢の差、あるいは飛んだ差、あるいは飛行機の機種等々によりまして、端的にいえば、たとえば乗務手当なども変わってまいりますので、簡単に出ませんけれども、一応手元にございます資料で申し上げますと、日本航空の場合DC8の機長は、月額平均給与八十八万七千円、コンベア880、先ほどの大阪の、問題の飛行機の機長が八十三万九千円、国内線の幹線を飛んでおりますボーイング727の機長の場合は、七十八万三千円というような状態が、一応月額の平均給与かと思います。 〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕 いまのは外国人ですが、日本人はこれに対応するものがなかなかデータがとりにくいのでございますが、一応この比較の対象になりますものを考えますと約四十万円程度で、外人のパイロットに比べますと、半分ぐらいと御理解願えばいかがかと思います。
○山本(政)委員 DC8の外人の給与が八十八万七千円というお話ですけれども、佐藤総理が議長をやられている貿易外輸出会議というものがありますね。これの航空部門は、もとの航空局長の飯野毅夫さんが担当されております。これによりますと、外人の乗務員に対する外貨の支払い額というのは、昭和四十二年は一人当たり三万四千七百七十五ドルです。そうすると、これは幾らになりますかね、千二百五十一万九千円ですね。これは年間ですから、月平均にしますと百四万二千円強になる。あなたのおっしゃることと数字がきわめて違うのです。 それから日本人の場合には、これは税金が取られますね。外人の場合には、おそらく私は税金が取られていないと思うのですけれども、その点いかがでしょう。
○手塚政府委員 私が申し上げました先ほどの数字で、いろいろな給与体系がございますが、八十八万七千円というのは、基本給と乗務手当ということでございますので、あとの手当なり何なりを全部ひっくるめての数字かと思いますが、それの根拠につきましてはいまさだかではございません。
○山本(政)委員 これは一日の新聞に出ておったのですが、私、切り抜きを持っておりますけれども、BOACがストをやって、羽田空港で乗客が乗れなくなったという記事がありましたね。そのときの記事に、日本航空は機長は三十三万三千六百円、これは税金が引かれるのです。米人の機長の平均給与は八十八万七千円、あなたのおっしゃった数字ですよ。これは乗務手当も入っているわけですね。 それで、ちょっとお伺いしたいのですけれども、これは税金がかかっているのですか、かかっていないのですか。これはあなた方ではおわかりになりませんか。
○手塚政府委員 その点、ちょっといま数字との関連では、よくわかりません。
○山本(政)委員 とにかく貿易外輸出会議、これはおそらく今月の中旬に行なわれると思います。重ねて申し上げますが、総理が議長ですよ。その四十二年の機長の平均が百四万二千円、これは税金がかかっておらないのですよ。なぜかといったら、六十日に一回外国に飛べば、その人は外国籍があるということになっているそうです、よく私はわかりませんけれども。そしてまるまるそれだけの金が外貨として出ていくわけです。日本人のほうの機長の方々は、いま申し上げたように、三十三万三千六百円から税金を引かれるのですよ。手取り二十万になっていないはずです。この辺を見たって、私は待遇を改善する必要があるだろうと思うのです。しかし、何よりもかによりも、一人の機長に百四万円も出して外人から持ってくるのだったら、乗員の不足が唱えられている今日、なぜもっと計画を立てて乗員の養成をおやりにならないのですか。むだな金がたくさん出ているわけですよ。先ほどのお話ですと、外人の操縦士というのはずいぶんいましたね。その人たちはほとんど平均百四万円持っていっているわけだ、外貨として。それだけのものを出しながら、あなた方は乗員の養成に関しては、私をして言わしむれば、これはあとから申し上げますけれども、きわめて消極的であるような気がするのです。この点いかがでしょう。
○手塚政府委員 乗員のソースといたしまして、航空局直轄の航空大学校というのが一つ、これで従来毎年、おととしまで三十名の規模でやっておりましたが、これを昨年から規模を九十名に改定いたしまして、目下その訓練を実施いたしておるわけであります。全体の需要から見ますと、大体年間百七十名程度の乗員が必要だと考えておりますので、いまの九十名規模の場合でもその約半数しか満たし得ないというような状態でございます。そのあとの半数をどうしておるかといいますと、航空会社が自社養成をしておる。それから防衛庁等のパイロット等を割愛していただくという面、さらに防衛庁に訓練の委託をお願いしておるというような面、そういうのを総合いたしますと、大体こういった数字に見合うことになっておるわけです。私ども国の立場におきましては、できるだけ航空大学校の規模を広げて、こういったいろいろなソースによる、言うなれば異質のパイロットというのを当てないように、良質の航大生をもとにしたパイロットを養成していきたいというふうに考えております。しかしながら、こういう教育行政といいますか、パイロットの養成自体時間もかかることでございますので、この計画時期と、実際に卒業する時期との時点がずれるというようなこと等で、急激な航空事業の伸びに直ちになかなかマッチできないというのが実情でございます。 そこで、いまのような諸種のソースをもとにしながら進めざるを得ないというのが現状でございますが、航空大学校を極力拡大して、こういった数字に見合うようにする。それからあとは会社の、自社の養成というのにやはり依存して、できればこの二つのソースをもとにしたパイロットというふうにやっていきたいと考えております。
○山本(政)委員 それでもなおいまあなたがおっしゃったように不足だから、外人のパイロットを雇っているわけでしょう。外人は、六十日以上滞在した場合には、外国人登録法によって登録しなければならない。そして六十日以上滞在したら税金を取られるから、外人のパイロットは六十日に一回は必ず外国へ飛ぶわけですよ。韓国あるいは香港に飛んでいく。これをビザフライトといっている。そして、全部ドルでまるまる向こうへ持っていくわけですね。だから、日本の操縦士の人たちから、給与が少ないという文句が出るのはあたりまえだと私は思うのです。BOACだって、これは大阪発の北極回りで、日本人の招待客をたくさん集めておったのが、ベースアップの闘争でそのままになったわけだ。流れたわけですね。そのBOACの人たちの要求額というのは、いまは四十何万円ですけれども——正確には四十二万円です。これは四〇%値上げの回答を出したにもかかわらず、それをけった。そしてそういう状況になったのだそうですけれども、ジェット機の操縦士が不足だから外国人を雇うというのは、これはある場合にはやむを得ないと思うのです。だけれども、プロペラ機の操縦士をやっておった外国人を、ジェット機の操縦士に訓練をしてまで、何でこれだけの高給を払わなければならないのか、平均百四万円も。その辺、私は実に納得がいかぬわけですよ。国を守るという愛国心があるなら、少なくとも日本人の乗務員を優遇し、日本人の乗務員を養成するように航空局は指導すべきでしょう。そうじゃありませんか。
○手塚政府委員 外人パイロットを、先ほど申し上げたように日本航空で雇い入れておりますが、外人パイロットにつきましても、現在なかなか逼迫をいたしております。優秀なその機種ずばりのレーティングを持っておるというような人はいま引っぱりだこでございまして、ヨーロッパあたりからアメリカなどに、そういうスカウトが行なわれているというような状態になりつつあります。それから、やはり外人パイロットにいたしましても、できるだけ社風になれて、またコーパイロットなどとの連携を、十分にやり得るようなパイロットが望ましいわけでありますので、若干、一つの機種から次の機種へ移るために、訓練を必要といたしましても、そういった意味における会社の社風になれ、あるいは副操縦士との連携がよろしいというパイロット等につきましては、若干のレーティングを取らせる訓練をしてあげるというようなことを考えて実施をしていると考えます。仰せのごとく、外貨の観点からいたしますと、日本人でやり得て外貨の流出を防止すべきだという点においては、会社自体も十分留意をいたしておりますが、先ほど来申し上げましたように、飛行機のほうの伸びと、ある一時期のギャップの目というような観点で、やむを得ずこういうような事態になっておるというのが実情でございます。
○山本(政)委員 サーベイフライトというのはどういうものですか。
○手塚政府委員 いろいろなことばの意味がございますが、おそらく先生のおっしゃる意味は、通常の場合がまたそうでございますが、新しい路線のいわゆる試験飛行的な飛行を、われわれ普通サーベイフライトと呼んでおります。
○山本(政)委員 サーベイフライトという試験飛行をやる場合には、お客さんを乗せてやるわけですか。
○手塚政府委員 通常の場合、私どもが聞き及びます範囲では、関係の会社内の方々が一団となって、その飛行機に乗って、各種の観点からサーベイをされるというのが、通常の形態と考えております。
○山本(政)委員 そうすると、試験飛行というのは、期間的には別に定めがないわけですね。一カ月間とか二カ月間という定めはないわけですか。
○手塚政府委員 いま私の申し上げたような意味におけるサーベイフライトでございますと、初めて、ある特定路線を開始しようかというときに、行なわれる姿でございますので、それは当初一回限り、あるいはそれで不十分な場合にはさらに二回、三回と続けられる場合もあるかと思いますが、原則的にはそう多数行なわれるものではない、一番当初の間、試験的に行なわれるという内容でございます。
○山本(政)委員 東京−サンフランシスコの直行便というのは、いまでもサーベイフライトであると私は理解しておりますが、そうではありませんか。
○手塚政府委員 これはすでに御承知のとおりのタリフも出し、時間もきめて手続を実施いたしておりますので、先ほど来申し上げている意味でのサーベイフライトではございません。
○山本(政)委員 労政局長にちょっとお伺いしたいのですけれども、法外組合というのがありますね。法外組合というのはおかしいけれども、組合に入っていない一つのグループがある。そういうグループと、それから使用者側との覚え書きといいますか、協定というものは、法的な効果というものはあるのですかないのですか、私はよくわからないのだけれども……。
○松永政府委員 官公庁等の組合におきましては、たとえば登録要件等がきまっておりまして、これに合わない場合には登録の資格がないということがございます。民間の場合には、一般的には組合法の五条でございますか、労働組合の資格につきましての規定がございまして、この資格に合ったものが法人登記ができる、あるいは労働委員会の救済の請求ができるというような規定になっておりますが、おっしゃいましたような法外組合というふうに、一般的にはそのような表現はあまりないのではないかと思うのでありますが、一般的な場合に、多数組合と少数組合とございまして、多数組合との間に結びました協定と、少数組合との関係が、どうなるかという問題は、民間の場合におきましてもしばしば起こる問題でございますが、そういうケースについての御質問でございましょうか。 〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕
○山本(政)委員 日航に機長会という会があるのですよ。これはキャプテンパイロットでございますか、そういうグループと会社側との協定というのは、法的に有効性を持っておるのか持ってないのか。これは組合員ではないと思うのです。第一組合、第二組合にも所属をしていないと思うのです。あるいは所属しているかもわからないが、独自に、組合とは別個にあるのです。そういう機長会というのが、交渉の結果、日本航空と結んだ協定といいますか、あるいは覚え書きというものは、法的に有効性があるのかないのか。
○松永政府委員 労働組合法によりますと、まず労働組合といたしましては第二条で定義がございまして、労働者が主体となって、自主的に労働条件の維持改善その他の目的の団体であるという定義がございます。そのような、労働者が主体的になるということと、自主的なものであるということから、いわゆる会社側といいますか、雇用の条件についての監督的地位にある者が入ってはならないというような規定がございます。それからまた経費、運営等の面につきまして、不当労働行為の規定がございますが、それの裏のような規定として、経営者側から経費の援助を受けておるというようなものも、むろん労働組合ではないというような規定がございます。それから共済事業を主たる目的とするものもそうでございます。このような組合法の規定に合致するかどうかというところが第一の問題だと思います。 いまおっしゃいましたような、たとえば機長というような地位にある人たちがっくりました組合が、労働組合であるかどうかということになりますと、この規定に合致するかどうかということになるかと思います。 それからもう一つの観点は、そのような労働組合であれば、それによりまして組合法上のいろいろな保護も受けますし、それから締結されたものが労働協約の条件を具備していれば協約としての効力を発する、たとえば労働条件については直律強行性というものがあるといったような効果が出てまいります。そのような効果が出るか出ないか。それからいまおっしゃいましたような会社内の機長等の団体といいますか、そういうものとの間に結びましたものが、たとえば労働組合でないといたしましても、その間の契約といいますか、そういうものが、契約としてあるいはそれぞれの当事者の間の約束としての効果というものは、契約自由の原則で、あるかと思いますが、それが労働協約としての効力を発揮する、こういう違いが出てくるわけであります。
○山本(政)委員 わかりました。 それでは時間がないようですけれども、もうすでに御承知だと思いますけれども、四人ですか、解雇されて、それがいま係争中である。この四人の解雇事件に対して、簡単な経過と、それからそれについての労政局長のお考えをひとつお伺いしたいと思うのです。
○松永政府委員 私どもの調べましたところでは、この解雇事件は三十九年に端を発しておりまして、乗務員のストが行なわれたのをきっかけにいたしまして、会社側がその役員の処分をいたしまして、いまおっしゃいましたような解雇が行なわれたわけでございます。この解雇につきましては、組合側から東京地裁に対しまして地位保全、賃金支払いの仮処分の申請をいたしました。これが昭和四十年でございますが、これに対しまして、東京地裁のほうは、この地位保全、賃金支払いの仮処分の申請を容認をいたしました決定を出しております。 これと並行いたしまして、組合側から、東京地労委に不当労働行為の申し立てをいたしました。これに対しまして、東京地労委は四十二年に救済命令を出しております。また、これと並行をいたしまして、いまの東京地労委の救済命令に対しましては、会社側のほうから、再審査の申し立てをいたしまして、現在中労委でこれを審査をしておる、係属中ということでございますが、これと並行をいたしまして、組合側から裁判所に対しまして、今度は本訴提起をいたしておりまして、雇用関係の存続確認の訴え、そこで、東京地裁におきまして、この本訴が現在審理中であるということでございます。 それから先ほど申し上げました仮処分が出ましたので、会社側は——この仮処分に従いまして、この解雇された方に対しましてバックペイを命じました。賃金の、その時点に至るまでのバックぺイを命じまして、その以後の将来に対しましては、判決確定に至るまで毎月十万円ずつ払え、これは賃金よりやや低いわけでございますが、十万円を払えという命令をいたしておりまして、現在会社は、このバックペイは、仮処分の命令どおりに支払い、それからその後毎月十万円ずつ支払っておる。しかし、一方におきまして、東京地労委の決定に対しましては、中労委に再審査申し立てをいたしておりますので、中労委の段階におきまして、会社側の主張を述べて、ここで審査をしておる。それから東京地裁の面におきましては、本訴として、雇用契約の問題そのものにつきまして争っておる、こういう状況でございます。
○山本(政)委員 そうすると、そういう事態に対しての労政局長としてのお考えはどうですか。つまり、その経過に基づいてあなたのお考えは、やはり復帰させるべきだというお考えなのかどうかということです。
○松永政府委員 ただいま中労委で争っている最中でございます。それから裁判所におきましても争っている最中でございますので、当該権限を持ちました中労委なり、あるいは裁判所で決定を下すということになろうと思いますので、この際、どちらがいい、どうすべきだということにつきましての具体的な決断は、差し控えたいと考えるわけでございますが、われわれといたしまして考えますことは、先ほど来御質問がありましたように、航空事業、特に大ぜいの乗客の安全という面から見ますと、何と申しましても、労使関係が安定しているということも、非常に重要な、必要なファクターだと思いますので、このような事件が、日本航空というような重要な会社におきまして起こることは、望ましくない、これは明確に申し上げられると思うのでありますが、具体的な個々のケースにつきましては、目下そのような状況になっておりますので、どちらが正しいという軍配をあげるような判断は、いま出すべきではないというふうに考えます。
○山本(政)委員 今月の一日に就航されることになっていた英国の海外航空、BOACの北極回りロンドン−東京・大阪の一番機が、ベア闘争中に急にストに突入して、招待客が全部乗ることができなくなって、そうして闘争中、いまやっておるわけですね。こういう状況の中でもやはり一応——私は詳しくは聞きませんでしたが、漏れ聞くところによると、会社側としては、交渉に応じながら、何とか解決をしようとされておるのですね。つまりそういう会社の態度から見ますと、今回の事件についての日本航空の態度というものは、やはり狭量じゃないだろうかという感じがするのですよ。しかも、地裁ですか、そういう決定が出た段階で、上級の裁判があろうとも、客観的に見て、あなたのおっしゃるように、特に航空機の場合には、労使の間の意思の疎通というものが必要だと思う。そうすると、これは持っていっておるのは会社側なんですね、上訴というのですか、上告というのですか。中労委にしてもそうですね。そうすると、むしろこのことについて円満なる疎通をはかろうという心がまえを持っていないのは、私は会社であるような気も実はするわけです。そういう点について、労政局長として、あるいは労働大臣でもけっこうですけれども、何かうまい——うまいと言うと申しわけないのですけれども、皆さん方のほうで指導なり解決の方法なりというものを指示するということはできないものか。 そうして、再度お尋ねいたしますけれども、いま申し上げたような事例の中から一体どう考えるのか。私は、上のほうに、たとえば中労委でとか、あるいは上告しておるからということだけではなくて、結論が出ないとわからぬというようなことだったら、十年戦争になりますよ、率直に言って。あるいは十五年戦争になりますよ。しかし、労政局長としては、当然早期解決ということで事態を収拾する責任もあると私は思うのですが、その点についてどうお考えでしょうか。
○松永政府委員 通常の、たとえば賃金問題等をめぐる紛争議につきまして、これは両当事者の話し合いということになるわけでございまして、これは非常に幅のある問題でございます。ところが、この解雇事件あるいは不当労働行為案件というようなものになりますと、法律の規定に基づきまして黒白を明らかにするということになるわけでございまして、そういう意味におきましては、労使双方で話し合って、話のついたところでということにはなかなかいかないケースが多うございます。ただ、労使関係というものは、生きものでございますので、将来の労使関係のためにもよかれということを考えまして、地労委の段階におきましても、また中労委の段階におきましても、いろいろ審査をいたしました後に事態が判然といたしてまいりまして、いよいよ中労委等が決定を出すというような場合にも、できるだけ両者の和解ということを進めるやり方になっておりまして、おそらくこの日航の事件につきましても、中労委段階におきまして、適当な段階になりますと和解の勧告ということが行なわれると思うのであります。私ども、法律の規定にのっとりまして、そうして労使の間で和解ができるということが一番望ましいというふうに考えられますが、従来の実績から見ますと、大体こういう案件は、ちょっと記憶は正確でございませんが、七割くらい和解成立の実績もございますので、中労委段階におきましてどうしても両者の意見が一致しなければやむを得ませんけれども、和解というものの可能性もある、そういう線が望ましいというふうに考えております。
○山本(政)委員 ひとつその点について労働省としても積極的に御指導をお願いしたいのですけれども、築野という操縦士、この人は、学科試験は通ったけれども実地試験を受けさせてくれないということで、せっかく学科試験を通ったにもかかわらず、そういうチャンスを与えられなかった。一般的に日本航空の場合には、学科試験を通った人は実地試験を受けられるという慣行といいますか、不文律が私はあったような気がするわけです。築野さんだけに関してなぜ実地試験を受けさせなかったのか、私にはちょっと理解できないのですけれども、そういうあり方に対して、局長として一体どうお考えなのですか。
○松永政府委員 これは先ほどの解雇の事件とは逆でございまして、実はこの問題につきましては、東京地裁に対しまして、仮処分の申請をこの築野という方のほうからいたしまして、これに対しましては、東京地裁は仮処分の申請を却下をいたしております。したがって、裁判所の判断としましては、先ほどの解雇問題とは逆に、築野氏の申請が認められていないというケースでございます。 事柄といたしましては、学科試験を受かりました人が実地試験を受けませんと機長になれないということは、詳しくは存じませんが、そういう制度があるようでございまして、この主張としては、学科試験が受かっておるのであるから、通常、実地試験について会社がいろいろな便宜を供与してくれるのが普通であるので、その供与をしてもらいたいということであります。これに対して裁判所としては、雇用契約上当然そのようなことを主張する権利はないという理由で申請を却下をいたしておるのでございますが、会社側と組合側の争点といたしましては、当然差別をせずにこの人についてもやってくれるべきだというのが組合側の主張でありますし、会社側の主張といたしましては、実地試験を受ける際の便宜供与には非常に経費もかかるし、飛行機も使わせるというようなことで、会社のほうで委員会を組織いたしまして、その委員会におきまして、一定の基準に合致したということでパスをした者でないとそういう便宜供与はしないのだという観点から、この築野氏については、そのような基準から見て適格でないというようなことを主張をいたしまして、これを断わっておるという問題でございます。 この点につきまして、会社経営上、また訓練というような面からの問題としましては、まあ、そのような問題をどう処理するかということでございますが、労働法上の問題といたしましては、そのような取り扱いが差別扱いであるということから、不当労働行為に該当するかどうかという議論がございますが、その点につきましては、この築野氏の事件については、東京都労委への提訴等もございませんので、そういう観点から争っておられるのではないというふうに思われまして、会社の中におきます訓練便宜供与という問題ではないかと思います。
○山本(政)委員 労政局長こういうことなのです。 ほかの人たちについては便宜供与をやっているのだけれども、一人だけなぜ便宜供与をやっていないかということに、実は私は不審を抱くわけです。課程からいえば、学科も通っているし、その前段である実地試験についてもベリーグッドという判定があるわけですよ。そういう場合でなおさら、ほかの人たちは便宜供与をやられているのに、その人だけがどうしてやられていないのかということについて私は疑問を持つ。私は局長に、あなた個人の見解でもいいのですが、要するに、そういう慣行なりあるいは不文律なりが行なわれている段階に、特定の人だけを除外をするということが、常識的に正しいとお考えになるのかどうか。簡単でいいです、時間がありませんから。
○松永政府委員 学科試験を受かった者は、だれでも例外なく全部やってやるという体制になっておるとすれば、それはおかしいというふうに考えます。
○山本(政)委員 航空局長にお尋ねしますが、四十三年十二月十日の、これは社内の機関紙か何かですが、ここにこういうことを書いているんですよ。「現在「マルクス・レーニン主義の立場に立つ」という国、団体、或は個人がいる。周知のように中国、ソ連、ユーゴスラビア、チェコのいずれもこの主義に立っていると言いながら対立関係にある。日本はこの主義に立ってはいないが、少数乍ら存在する団体、或は個人の間では右と同様に対立関係が起こっている。「今日、この主義に基づくと言っても具体的にはなんの意味もないのに、それをまかり通らせようとする。」ところに無理があり対立が生ずる。」これは先ほど申し上げた方が原稿としてお書きになっていることなのです。先ほど私が、経営の衝に当たっておられると申し上げましたね、初めのところで。そういう方がこういう記事を書いておられる。同じようにその方は、四十四年の一月二十五日に、「之に反し、作為的に科学の発達を否定し、独善的な事象の分析により事々に反対する乗員の風上にも置けぬ人々が極めて僅かであるが、社内に数人残っている事は遺憾の極みである。」こう言っている。私は、組合の中にいろいろな思想とかなんとかの持ち主があると思うのです。あるけれども、それを結局包含しているのが組合だと思うのですけれども、そういういうことを理解しようとしない言動というものが、ここにあらわれているのじゃないだろうか。そしてそれが、審査という社内の中における機構の中で、築野さんが除外をされていっているのじゃないか。学科試験を通っているのに——私は、築野さんという人がどういう思想の持ち主であるか知りません。知らないけれども、少なくとも学科試験も通り、いままでの課程は全部パスをしてきた人が、実地試験だけをなぜ受けられないのか。それを逃げているのは、ただ社内の審査ということだけで逃げておられるわけですよ。そういうことがはたして一体許されるのかどうかということ、これは両方の局長からお伺いしたいと思います。
○手塚政府委員 その築野さんの事件は、先ほど申されたとおりでございますが、この社内の審査の体制は、運航乗務員査定会議で、まず技量、それから一般的な諸能力というものを判定する。この査定会議におきましては、運航部長を長にして、十五名のベテランのパイロット等がこの構成員になっておるわけです。この会議にはしばしば不合格という状態の方が出るわけでございまして、この築野さんが最初やはり四十一年八月二十二日の査定会議にかかっておられますけれども、このときに昇格候補者として適当でないという判定を受けられたのは、築野さん一人ではございません。この際は十一名おられます。その後において、四十二年にまたさらに再度不十分との判定が下されて、現在に至っておるわけでございますが、私どもの聞く限りにおきましては、先ほどの言動云々の問題もございますが、やはり技量的な面、さらに機長としての判断力、統率力、そういった総合的な判定において、いまだその時期ではないというふうな状態であって、いずれそういうのに適合されるような事態になれば、当然機長候補者にあがってこられるものというふうに私どもは理解しております。
○森田委員長 山本さん、お約束の時間が来ておりますから……。
○山本(政)委員 筑野さんと同じころ入社して、ほぼ同様の航空機乗員として経歴を持っている者は、特別の事情がない限り、すでに全部機長に昇格しておりますよ。そして、築野さんよりも入社もおそくて経験の少ない人も、多数機長に昇格しておりますよ。ただ築野さんだけが同期の人の中ではるかにおくれているという事実なんですよ。一回の試験で一緒に受けた人が試験に通らなかった、それはそれでいいと思うのです。けれども、同期生として入った人がほとんどみんな機長になって、それからあとに入社してみんな機長になっている。そうしたら、どこに欠陥があるのかということを本人に話しておりますか。してないはずですよ。あるいは、かくかくしかじかの問題があるからこれを改めなさいということは出ておりますか。出ておったら教えてください。
○手塚政府委員 私どものほうでは、そういった個別の具体的な指示、内容等について詳細に伺っておりません。これは会社で処置されておることなので、どういうふうな審議をしておるのか、よくわかりません。ただ、局自体の関係しておる面もございますが、その面におきましては、私どものほうではきわめて公平にやっておるつもりでございまして、私どもで行ないます学科試験に合格しておられるというのも事実でございますし、さらに第一回目の四十二年の九月の二十九日に実地試験を受けるという期日が到来しておりましたけれども、飛行機の関係でその時期に受験できないということから、十月の七日まで期限を延期をしておるというようなことなどで、できるだけ、そういった便宜なり、あるいは公平に受験のできるような立場に置きたいというような措置は、われわれとしてはとっておるつもりでございます。
○山本(政)委員 運輸省が学科試験に対してきわめて公平な態度をおとりになっているということについては、私も聞き及んでおります。学科試験が通った者は、ほかの人たちは全部実地試験を受けられるチャンスを会社によって与えられておるのですよ。なぜ築野さんだけに会社によって与えられないのだろうか。与えていいじゃありませんか。与えて、機長になる資格があるかないかということは、その後に会社が判断していいはずなんですよ。しかし、実地試験の機会すら与えないという、そんなばかなことはないはずでしょう。学科試験が通ったら、当然実地試験というものは順序として受けられるはずじゃありませんか。その実地試験の当落は別ですよ。実地試験を受けた結果がなおかつ欠陥があるというんだったら、その欠陥はどこにあるかということでやらすのが、私は公平な態度だと思うのです。 私の申し上げたいのは、学科試験については公平にやっているけれども——あなた方は確かに公平にやっているが、監督官庁として、この事実を知っておるならば、もっとやるべき方法があったでしょう。当然とるべきことがあるでしょう。学科試験を通ったんだから実地試験を一緒に受けさせなさい、そういうことがあり得るはずじゃありませんか。実地試験の結果が適不適ということは別問題ですよ。しかし、本人に無理をさせて、ほかの飛行機を借りてきてまで実地試験を受けさせよう——その飛行機が結局は借りられなかった事実もあるわけです。それはあなた方が知らないということはないはずなんですよ。その点はっきりしてください。
○手塚政府委員 御本人で機材を借用して実地訓練に合格の準備をされたというような事実は、私どもも了解しております。ただ、この定期操縦士、機長という資格を獲得しますには、やはり航空機材の使用あるいはパイロットの指導、そういったことで経費的な面等も相当かかるということで、事前にまず、先ほど申し上げました査定会議なるもので適格性——これは技量その他全人的な意味における適格性というものを判定する制度をとって、それに合格することによって操縦士試験を受けるという慣例をしいておるわけでございまして、この慣例を私どもはやはり適当かと考えておりますので、この慣例に従って現在までまだ出てこられないという姿について、私どものほうでどうこうということではなしに、やはり技量をみがかれることをおやり願った上で合格して出てこられることを期待しておるという実情でございます。
○山本(政)委員 築野さんが、四十一年以降非常に少数になっております第一組合の組合員としてまだ残っておられるということ——私は率直に申し上げますよ。そのことが、実地試験を受けさせることを阻害しているのではないだろうか。なぜそんなことを申し上げるかというと、取締役の小田切春雄さんですよ。「作為的に科学の発達を否定し」——否定しているわけはない。だれだって科学の発達を否定していないから、もっといい飛行機に乗りたい、学科試験を受けたいという気持ちがあったでしょう。「独善的な事象の分折により事々に反対する乗員の風上にも置けぬ」、こういうものを平然と書くこの神経が、社内審査によって築野さんの受験というものを阻害しているのですよ、私に言わせると。あなたに申し上げてもしょうがない。しかし監督官庁だから、これはやむを得ないから私は申し上げているのです。あなた方は、日航にはそれだけのことを指導すべきです。機関紙か何か知りませんが、こんなばかなことを書く取締役というのはそうざらにおりませんよ、大きな会社を見たって。私はこういうことを書く神経を疑うのですよ。 同時に、時間がないから結論を急ぎますけれども、女子の労働者に対しては、たとえば、これは専門語で私もよく知りませんが、S5、S6、S7とかいって、夕方から三十分刻みに勤務させて、夜十時半ごろまでずっと刻んで出勤をさせている。一括して八時間、朝の九時から晩の五時まで働かすという働かせ方ではない。三十分刻みに、とにかく忙しいということで、業務に合わして女子の従業者をずっと出しているのです。三十分刻みに八時間たったら帰しているわけだ。帰る人たちは、ある場合にはもう深夜近くなっているのですよ。そういうものを帰していっているのですよ。夜の夜中に女性が一人で帰っていくことをあなた方は考えてごらんなさいよ。そういう労働政策というものがどこにありますか、そういうことを私は申し上げたいのです。 それじゃ最後にお伺いいたしますが、運航規程というものがたしかあると思うのです。その運航規程というのは、運輸省の認可ですか、これを得てきまるわけでしょう。そうすると、それは一体、たいへん申しわけないのですが、その許認可の条文というのはどこにあるのですか。
○手塚政府委員 航空法の百四条に「運航規程及び整備規程の認可」というのがございます。この条文に基づいて各エアラインから出してきた運航規程を認可いたしております。
○山本(政)委員 そうすると、その条文によって詳しい運航規程というものが日本航空にはあるはずですね。あなた方はいまそれをお持ちですか。
○手塚政府委員 日本航空に運航規程はございます。全体ではございませんが、その中の一冊がここにきております。
○山本(政)委員 航空法の施行規則の二百十六条に、いまあなたのおっしゃった第百四条第一項についての詳細な規定がありますけれども、「航空機乗組員の職務」ということで、その運航規程の中に、飛行前、飛行中及び飛行後の各段階における航空機乗り組み員の職務の範囲及び内容が、明確に、そして詳細に定められておりますか。
○手塚政府委員 職種ごとに、資格ごとに、責任及び任務、やるべき仕事の内容、そういったものがずっと並べてございます。しかも、飛行前あるいは飛行中、そういう区別にもなっております。
○山本(政)委員 基準が書いてないでしょう、そこには。そこにきちんとした基準が書いてありますか。
○手塚政府委員 基準とおっしゃいます意味がちょっとよくわかりませんが、乗務の時間とか、あるいは勤務の時間とか着陸回数とかいう意味でございますと、この中には書いてございます。
○山本(政)委員 部長さんにお伺いしますけれども、飛行機は、飛んでいる間はそんなにエンジンに負担がかからない、離着陸のときにかかるんだ、こうおっしゃいましたね。特に離陸するときにかかる。これはしかし乗務員についても同じことが言えませんか。飛行中には乗務員は比較的楽だ。離着陸のときに非常に神経を使うんじゃありませんか。
○松本説明員 お答えいたします。 飛行機は飛んでいるときにロードがかからぬ、そういう意味じゃございませんが、巡航しておりますときには、離陸する場合よりも、飛行機のエンジンについてはロードがかからないという向ききもございますが、確かに飛行機の場合についてもそうでございますが、離陸の場合には最も力も大きく出しますし、エンジンをシビアに過酷に使うわけでございます。パイロットの場合にも、先生御指摘のように、離陸、着陸の場合は、一般的には、巡航しております場合よりも非常に神経を使いますし、また技量的にもむずかしいと考えております。ただこれは一般的な話でございまして、たとえば巡航しておりましても、タービュレントといいますか、乱流に入りましたり、雲の中に入りましたり、気象条件が非常に悪いというような場合には、また機材に故障を起こすというような特殊な場合がございますが、一般的に申しましたら、離陸、着陸の場合が、最も神経を使う彼らとしては大事なときでございます。事故の状況を見ましても、先生御存じのように、離陸、特に着陸の場合に、事故が空中におります場合よりも非常に多いということでございます。
○山本(政)委員 だから本来ならば、離着陸の回数によって、特に着陸の回数によって飛行時間あるいは勤務時間というものが規制さるべきなんですよ。だけれども、会社のものは着陸の回数に関係がないわけだ。そして飛行時間、勤務時間というものが、離着陸回数に関係がなくきめられておるのです。これはあなた方の言い方からすれば、仕事の負担とか神経を使うとか判断力、そういうものについて全く無視した運航規程になりませんか。
○手塚政府委員 先ほどの基準のお話で申し上げました着陸回数というのは、日航の運航規程の中に、ジェットの飛行機の操縦士あるいは航空機関士につきまして、連続二十四時間中に乗務時間は八時間、勤務時間は十三時間、着陸回数は六回、これは国内線。国際線につきましては、乗務時間十時間、勤務時間十五時間、着陸回数は五回。さらに一暦月の間の乗務時間を八十五時間、それから三暦月になりますと二百五十五時間、一年になりますと九百時間、こういうふうに詳細にきめてございまして、これらがすべて満たされるというような飛行中の乗務配分というのが限定されております。
○山本(政)委員 だから、着陸回数が国内線で六、飛行時間が八時間ですか、そういうふうになっているけれども、これは先ほどからの話に戻りますけれども、部長さんのおっしゃるようなことから言うのだったらば、離着陸の回数が多いほど飛行乗務時間というものは少なくすべきでしょう、本来の考え方なら。たとえば着陸回数が六回だったら、八時間乗務ではなくて、むしろ六時間乗務とか七時間乗務とかにするのがあたりまえじゃないですか。非常な判断力を要するのだし、つまり離着陸するというのが、飛行時間よりかはるかにオーバーワークになるわけだ。とするならば、そういう段階的なものを考えていいはずなんですよ。だけれどもなぜそれをやらないかといったら、それはよくわかります。経済性というものをお考え なっておるのだと思うんですよ。経済性を考えなければならぬということも私はよくわかります。しかし、もしあなた方の言うように、一律にそういうお考えでもってやっていったときに、かりに安全性ということを考えたらこれは大きな事故の——乗員、特に操縦士の疲労というものが大きな問題になりますよ、こういうことを私は申し上げたいのです。そのことに対して乗務員たちが、そういう条件というものをもっと緩和しなさい、あるいはよくしてくれという要求に対してばっさりやる、そして受けられる試験も受けさせないということは、これはおかしいじゃありませんかと私は申し上げたいのですよ。
○手塚政府委員 この時間のきめております内容で、先ほど具体的に申しました、国内線で乗務時間八時間、勤務時間十三時間。この勤務時間のほうが長くなっておりますのは、その間からだを拘束して、地上におりましても、待機室におりましても、拘束をされますので、そういった待機の時間を含めて拘束十三時間、実際に乗務をいたしますのが八時間、そうしてその間に着陸回数が六回という制限を設けてやっておるわけでございます。こういう取りきめにつきまして、さらに時間数の適不適ということが労使の間にはあるかと思います。これらをきめますにつきましても、先ほどのオーバーホールの場合とやや相似て、各国の実情、それから実際の疲労度の調査、そういったものをもとにいたしましてこういうものはきめられて、今日に至っておるわけでございます。これに格別の築野さんの関連はないのではないかと考えております。
○山本(政)委員 私はそういうことを言っているのではないのですよ。そういう労働強化という面がある。つまり、それに対して批判なり何なりをした場合に、それが会社の感情になってはね返っては困るということを私は申し上げたいのです。局長は、国際的な条件というものを考えてと言っているけれども、あなたの答弁の中には、これは参議院の運輸委員会の記録の第七号ですが、木村さんの御質問に対しては、会社の言っていることを結果的にはほぼ承認していますと、あなたはおっしゃっているじゃありませんか。運航規程に対する変更については、終局的には木村美智男さんの言っている結果になりますねということを、ここに明確に発言されています。読んでみましょうか。そういう監督というものがありますかと言うのです。つまり来たからそれをそのまま最終的には認めた。十分な調査をあなたはやっておるとおっしゃっても、あなたのおことばを読んでみれば、最終的には会社から出たのをそのままパスさせているのですよ。オーバーホールのことにしたって、乗務員の規程にしたって、運航規程にしたって、そこに問題があるんじゃありませんか。それがずっと続いていったときには築野さんの問題になるのですよ。日航が言ってきたから、これはこれの報告のままでということになるんじゃありませんか。私は監督官庁としては、そんなものじゃつまらぬと思うのです。監督官庁なら、もっと是は是なり非は非なりと言って、指導することが必要でしょう。国際条件に適合するんだというのだったら、国内条件というものを考えなければならぬという点はあると思いますよ。そういうことをひとつぜひお考えを願いたい、こう言っているのです。
○手塚政府委員 参議院のその文段のところは、おそらく一万時間のオーバーホールの時間の問題だと思います。その時間のときに、御質問の往復はちょっと忘れましたが、要するに一万時間というのを会社が出してきて、それをそのまま認めたのではないか、端的に申し上げればこういう御趣旨ではなかったかと思います。それを私は、結論として会社の申請をそのまま認めたという結果になったというような趣旨でお答えしておるかと思います。それは、申請と結果という関係でそういうようになった事実は事実でございまして、しかしその間、申請を受けまして、私どもで検討いたしました内容につきましては十分あるわけでございまして、先ほど来申し上げておりますようなポイントをいろいろ検討した結果、まず申請と合致して、それがよろしいという結論になったということでございまして、出てきたからそのままうのみということではないつもりでやっておるわけでございます。安全ということは、しばしば申し上げますように、私どもも一番に痛感いたしておる問題でございますので、そういった技術的な整備の問題等については、できるだけシビアサイドをとって検討しておるつもりでございます。
○山本(政)委員 同じ二百十六条の条項の中に「整備規程」というのがありますね。「航空機の整備に従事する者の職務」ということで、ずっと列挙しております。そのあとに「職務の範囲及び内容並びに業務の引き継ぎの方法その他の勤務の交替の要領が明確に定められていること。」こういうことが書いてあるけれども、それについても、私はたいへん不備な点があるような気がするわけです。ですからもう少し——局長さんのおっしゃることもよくわかります。しかしどう考えても、日航のいまの何人かの人たちに対する対処のしかたというものに割り切れないものを感じます。したがって、そういうチャンスというものをやはり与えるべきだと思いますし、そうしてそれが労使間の意思疎通を円満にさせる方法だと思うのです。と同時に、安全の問題というのはもう極限まで追及されてしかるべき問題で、何百分の一というような確率で律せられるべき問題ではないと思うのです。それもあわせてお考えを願いたい。乗務員が疲労すれば、結局は人命にかかわる問題なんです。そういうこともひとつぜひお考えを願って、十分な指導をしていただき、あるいは解雇をされた四人の者について、あるいは築野さんの問題についても、ひとつ配慮していただきたい。これは労働省についてもそういう指導をしていただきたいということをお願いいたしまして、たいへん時間が過ぎて申しわけございませんですけれども、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
○森田委員長 森義=君。
○森委員 私は民有林の労働者の業務上の災害を中心にお尋ねをしたいと思うわけです。 日本の林業が現在直面いたしております最も重要な問題は、需要の拡大に対してどう生産を対応させていくか、こういうことであります。御承知のように、需要に対して生産がついていけないために、外材の輸入によってその不足分を穴埋めしているというのが現状であります。すでに外材は必要材の四〇%も入ってきている。ところが現状は、その生産のにない手である林業労働者がますます老齢化し、都市へ流出してきている、こういう問題をかかえているわけです。生産の飛躍的な増大を要望されておるのに、そのにない手である林業労務者が都会に流出をし、老齢化がいよいよ顕著になってきて、若い新卒の優秀な労働力が林業において確保できないということが、今日の日本林業が直面しておる最大の課題であります。なぜ林業労働者が都会に流出をするのか。いろいろ原因があります。労働条件の問題、あるいは社会保険、社会保障の問題、生活環境の問題、いろいろ原因がありますが、その一つの中に林業労働者の災害の問題がございます。林業白書でも示しておりますように、林業労働者の業務上の災害というのは、いわゆる金へんの鉱業に次いで、あるいは土建業に次いで、常に高い水準を保持し続けております。 私は、最初にお伺いしたいのは、この林業災害の実態、ずっと長い間高位にランクされ続けてきたその実態に対して、どういう対応策を講じてこられたのか。また今後において、これが減少のための対応策をどう講じようとしておられるのか。特に講じてこられた対応策の中で、どういう対応策が具体的な成果と効果をあらわしたのか、そういうことについて、担当の基準局長から、さらに補足をして林政部長のほうから、お答えいただきたいと思うわけです。
○和田政府委員 お答え申し上げます。 林業におきましては、災害の発生状況は、他産業との関係におきましては、先生御指摘のように、高いほうでございます。そういうこともございまして、労働省といたしましては、林業労働災害防止協会、こういう職業別の協会を特別法人として設立をいたしまして、業界一般に災害防止に対する機運を自主的に盛り上げるような措置も講じました。こういうようなことも関連をいたしまして、その減少度合いは必ずしも高いとは申せませんが、たとえば昭和三十四年ごろは、度数率におきまして二五・一五というようなのが、四十二年になりますと一五・四四というように、漸次減少を来たしております。 やっておりますものの大きなものといたしましては、危険な集運材作業、要するに切り出したものの運搬作業、それから伐木造材作業、こういうところ 重点を置きまして、その間におきます機械の導入がこのごろ盛んでございますので、そういう機械設備の安全性の確保、あるいは機械を使用する労働者の安全に関する作業訓練というようなことを重点といたしまして、現在、指導及び監督をいたしておるところでございます。
○大山説明員 いま労働省のほうから申し上げたようなことでございますが、林野庁といたしましては、労働省と協力いたしまして、各種の施策は講じているわけでございます。それで、労災防止団体等に関する法律に基づきます、労働大臣が作成いたします災害防止計画、この中におきましても、伐木災害と集運材災害を規定しているわけでございます。そして林野庁におきましては、林業労働力対策の一環といたしまして、安全衛生施設の助成でありますとか、あるいは技能研修の拡充でありますとかいったようなことを行ないますほか、先ほどもお話にありましたような林業労働災害防止協会、これが実施しております災害防止活動に対しまして、積極的に指導助成を行なうというようなことをやっているわけでございます。 現在のところ、災害は逐次減少を見つつあるわけでございますが、やはり機械化というようなことと関係いたしまして、動力運転災害というものがふえつつある、この点につきましては、今後とも、先ほど申しましたような協会等を通じまして、さらに積極的に助成指導をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○森委員 大臣、いまお聞きのように、林業災害が他の産業に比較して、たいへん高い水準を保っておる。それに対して、労働行政あるいは林野行政の部面からいろいろと減少の対策を講じておるけれども、その数字は横ばい状態であって、一向に激減するというふうな有効な対策は講じられてない、こういう回答であります。 そこで、若い人々が新しい仕事につく場合に、このような山村僻地で、しかも災害の多い林業労働につくというのは、これはもう能力のない人以外はとうてい忍びがたい仕事であるわけです。だから、能力のある人は全部都会に流出をしていく。したがって、今日、山村における就業労働者の平均年齢というのは、年々、一年ごとに変わっているわけです。若い人が入ってまいりますと、新陳代謝が行なわれて、いわゆる平均年齢というのは常にあまり変わらない。ところが、一年ごとに平均年齢が上回っていっておる、これが実態であります。特に奈良県のように民有林の多い地帯で、四十五歳から四十七、八歳まで、もうどんどんと平均年齢が高まっておる。こういう状態では、十年たてば山村に林業労働者がおらずに年寄りばかりになってしまう、私はこういう不安すら感ずるわけです。いまにしてこの林業の災害対策について抜本的な施策を講じなければ、そういう危機すら感ずるわけなんです。 そこで、林業災害の問題について、まず予防をどう考えるか、それから災害を受けた場合に、それに対して十分な手当をどう考えるか、この二つの道があると思うのですが、予防の問題については、先ほどからの答弁では、一向に抜本的な予防措置というものがなさそうであります。せめて災害にかかった労働者に対して十分な施策を考える、このことがやり得る可能なことだと私は思うのです。ところが現実においては、林業労働者の災害に対する施策というのはきわめて不十分であります。そこで私は、林業労働者の災害の問題について、時間の関係もございますので、これから集中してお尋ねをしたい、こういうふうに思います。 まず最初に、労働者災害補償保険法が、従来の三者構成の審査会、いわゆる地方基準局に設けられておった決議権を持っておる審査会が、現在のような労使の参与制度として、単なる意見を聞くというふうに変わったのは昭和三十一年であります。このような労、公、使三者の代表による決議権を持っておる審査機関が、単なる意見を述べるだけの参与機関に変わったのはどういう理由によるものなのか、この点、私はまず最初に担当の労働大臣からお答えを願いたいと思います。
○和田政府委員 審査につきましては、先生がいまもお述べになりましたように、厳重に公正でなければならぬということは、もう申すまでもないことでございます。そういう意味からいたしまして、たとえば労働委員会あたりでも、争議そのものにつきましては、三者構成の斡旋あるいは調停委員会というものがありまして、不当労働行為につきましては中立だけで決定をするというようなシステムも持っておりますが、おおむね戦後におきますものは、最初三者構成からだんだん変わってまいりまして、公正、厳正な立場でやるという意味で、中立妥当なものでやるということで、そういうようなものに変わってまいっております。 ただ、もちろんその間におきまして、労使の方にはそれぞれの御主張があるわけでありますし、それぞれの御意見があるわけであります。それが審査に十分に反映する必要があるということでございまして、そういう意味で、審決をいたす者自身はそういう公正中立な立場の者でありますが、それに対して、具体的な事情等を十分に聞き取るために、労使の方に参与というかっこうで御参加をいただいておる、こういうのが先生御指摘のときの改正の趣旨でございまして、これは単に労災だけでなく、失業保険につきましても、あるいはその他の社会保険につきましても、同じような形になっておる次第でございます。
○森委員 私は地方労働委員を連続十六期つとめておりました。全国最古参の労働委員であります。したがって、いま基準局長が、労働委員会制度もいわゆる判定違反については公益側でやるように変わってきた、こういうふうにおっしゃいました。それでははたして、そういう制度になって実質的に労働者が救済されたのか。いわゆる三者構成のときには、確かに労使の意見が対立をしてたいへんむずかしい問題を提起したことは、私も経験として知っているところでありますが、それなりにやはり実質的に労働者が救われてまいりました。ところが、今日の三者構成制度から、公益側のみにおいて担当するという判定違反に対する労働委員会制度の切りかえが、実質上不当労働行為の救済を無能にしてしまったのが現状であります。私はそういう考え方から申し上げますならば、この労災の問題につきましても、単なる意見を聞くだけであって、審査官が意見を聞いてもそれに従う義務はないわけです。したがって独自の方法で一方的に決定をしてしまう。その審査官が、たまたま林業労働について経験を持ち、あるいは深い知識と造詣を持っておられる方がそろっておるとは限らないわけです。ただ法のたてまえ上、その番犬的な立場で労使の意見だけを聞いて、意見はなるほどかくかくしかじかであるけれども、法のたてまえからいって、あるいは中央の意見を聞いて、その意見に従ってこういう決定をする、そういう場合が往々にしてあるわけです。私はそういうことが、やはり真の意味における林業労働者の労務災害について救済の道に通じないのではないか、こういう不安と心配を持つわけです。したがって、こういうふうに三十一年に法改正が行なわれたのは、当時の流行であります。判定違反は、三者構成でもみ抜いて問題の結論が出ないからというだけで、一者の問題で解決をしてしまう、こういう方向は、当時における法の流行でありましたけれども、それから今日にかけて実際に労働者の救済になったのかどうかということを考えてみますと、必ずしもそうではないということが実例として示されているわけです。したがって、これは労働者の意見をほんとうにこの労働者災害補償保険法に反映するという考え方から言うならば、やはり大きな後退であった。こういう制度から、労働者の災害に対する救済というものが後退してきておるのが現状ではないか、こういうように思うわけですが、局長のいまの答弁では、一応いままでどこでも答弁されておる方法の答弁であります。私は、現状のこういう実態というものを踏まえながら、はたしてその制度がいいのかどうなのか、こういう点について再度お尋ねをしたいわけです。
○和田政府委員 先生の御指摘のように、法律の判断を事実と結びつける、具体的にその方法につきましては、確かにいろいろの考え方がありますことは、お説のとおりでございます。保険の審査につきましても、純粋に中立的な立場で行なわれなければならぬことは、先生御指摘のとおりでございますし、それがよく実情を理解をした上で正確な判断がなされる、こういうことがどうしても必要でございます。審査官につきましては、私どもとしては、その人選につきましては、できるだけそういう業務に精通をしておる者の中から審査官の任命をいたします。審査官はそういう意味におきまして独任官でございます。決して普通の業務の者からの指示、命令を受けるというような形のものでは全くございませんで、審査官独自の判断の上に立って行なうことにいたしております。しかし、その中におきましても、どうしても労働者側の意見及び使用者側のほうの意見というものを十分に聞きませんと、具体的な事件の判断について手抜かりの出てくることも十分に予想されます。そういう意味からいたしまして、審査官には、それぞれ参与という形で、労働者側の代表の方、使用者側の代表の方に御参加をいただいて、十分に意見を述べていただいているわけであります。審査官が審査決定をいたします場合には、参与からこういう意見が出たというようなことを審決の中に十分書きますことも、ずいぶんしばしばでございまして、参与の方の御意見というものを貴重なものとして、参考として審決をいたしておるということでございまして、現在のところ、大体審査官のところの審決、それが第二次としましては審査会というかっこうで中央に出てまいりますが、審査会の審決というものにつきましても、だんだんと一般の方の御理解をいただいておると、私ども現在のところ考えております。
○森委員 時間がなさそうですから、なるべく簡単に要点をお尋ねしたいと思います。 いまの問題につきましては、これは論議をしておったら切りがないわけです、制度上の問題ですから。だから一応私たちは、いまの参与制度では十分に労働者の意見は反映しない、やはり決定権を持っておる審査会というものが真の意味における労働者の意思が反映するのではないか、そういうふうにいまも考えているわけです。 そこで、林業労働者の場合の労働者の災害の認定でございますが、これは御承知のように、「業務上の事由による労働者の負傷、疾病」云々と書かれておりますが、「業務上の事由」というのをどういうふうに認定するかということが常に問題になるわけです。これは国家公務員の場合におきましては、すでに基準というものが人事院の通達で大体明らかにされておりますが、民間の場合においては、そのことがケース・バイ・ケースで考えられているというふうに私たちは理解をしております。そこで、林業労働者の場合に、どういう範囲を業務上における事由の中に入れるかということが当面の重要な問題であります。 時間を詰める意味におきまして、具体的に奈良県に起きました林業労働者の業務上の災害でありますが、冬、山に働きに行く。ところが、林道上に架設された木馬道の中で、雪で足をすべらせて谷底に落ちて死んだ、こういう事例があるわけです。ところが審査官の判定は、これは業務外の災害である、こういうふうに判定をされておるわけです。参与の意見は、当初労使四名の意見が一致して、いわゆる仕事に行く途中、木馬道という特別な業務上で使う施設の上で足をすべらせて倒れて死んだのだから、これは業務上の災害である、こういう意見が出ておりましたが、何回か繰り返している中で、審査官の意見が強引に貫かれて、その経過の中では、中央の基準局の意見も聞いて、大体こういう事案についてはどういう取り扱いをしてきたのか、そういう過去の判例だけで、現地を見ずに頭の中で理解をし、そうして参与の四名の意見を押えてしまって、最終的に業務外の死亡にしてしまった、こういう事案であります。 そこで、私は先ほどの問題に触れて申し上げたいのは、いわゆる参与委員というのは、あくまでも単なる意見の開陳者であって、審査官の考え方というものをどうにもできないということで、三回にもわたって業務上の死亡であるということを参与委員が主張しておるにもかかわらず、ついに審査官の意見がこれを押えてしまって、業務外の災害にしてしまった。こういう事例を見ても、私は、その力の弱さというものが、いまの制度の改悪によって出てきたのだということを冒頭に知っていただくために、先ほど時間をかけて申し上げたわけなんです。そういうことで具体的に業務外の災害という形で葬られてしまっております。もちろん中央に対する、審査会に対する上申は、手続はとっております。しかし私は、審査会に対する手続をとって、そこで最終的な結論を出していただくのでありますけれども、事務当局の考え方が重要だと思うわけであります。事務当局がどう考えるかによって、そういう第三者構成の審査会というものはどうにでもなるといえば言い過ぎでありますけれども、大体方向づけられるという過去の経験を持っているわけです。したがって、そういう意味から、最終的には審査会の決定を待つにいたしましても、その事務担当省である——これは基準局の皆さんが担当されるのか、たぶんそうだと思いますが、その方々に実態というものを知っていただきたい、こういう意味で実はお尋ねをするわけでありますが、いわゆる民有林労働者の場合に、どの範囲を業務上の事由の中に入れるのかどうか、その基準はございません。そこで、どう考えておられるのかということについて、確たるお答えをいただきたいわけです。
○和田政府委員 業務上の事故であるかどうかという問題は、法律問題としては非常にむずかしいものを持っておりますので、ここでは抽象的にお答えを申し上げさせていただきたいと思います。 それは一つは、業務を遂行するという形の上で出てきたけがであるかどうか。私ども俗に、業務を遂行するというので遂行性というようなことばを使いますが、そういうこと。それからもう一つは、それが業務を行なっていることから出た、起因性ということばを使いますが、そういうものであるかどうか。大体、抽象的にいいましてこの二つを考えまして、そういうことであるかどうかを具体的な事案に当てて判断をするというのが、労働省の事務当局がとっておりますものの考え方でございます。
○森委員 たいへん明確な答弁をいただきました。 そこで、業務上の事由による災害というものの認定は、いわゆる遂行性と起因性によって二面からとらまえて判断するのだ、こういうことであります。そうしますと、具体的に私が先ほど申しました奈良県の事例を取り上げてこれからお尋ねいたしますから、それは遂行性と起因性から見てはずれておるのかどうかということを、明確に答弁していただきたいと思います。 その労働者は二人の共同請負労働で、ある山の地明け作業、いわゆる植林する前に山を清掃する地明け作業、それを請け負ったわけです。それで毎日二人が山へ働きに行っておる。それはその道路しか通れない。それを通っていかなければその作業場へ行けない道路を通って二人が通っておったわけです。ところが、二人が共同で行けないというのは、一人は心臓が弱いものだから、途中で何回か休憩しなければならないので、朝若干早く出る。そして途中で休憩をしながら作業場へ行く。作業場へ着く時間は同じであるけれども、途中は同行しないわけです。したがって一人ずつ行っているわけです。山に働く場合においては、山林労働者の七つ道具を身につけております。地下たびをはき、のこを持ち、なたを持ち、ちゃんとロープを持って、そういう作業道具は身につけて家を出て、一人が先に行って一人はあとで行く、こういう形でその作業場へ毎日通っておったわけです。ところが、雪の降った日、その作業場へ行く途中の木馬道のところで、足をすべらして下の岩に頭を打って死んだ。これは、自分の請け負った仕事をするための遂行性からいって、当然その仕事のために行くのであって、遊びに行く、ハイギングに行く労働者ではないわけです。あるいは酒を一ぱい飲みに行く労働者ではないわけです。自分の作業場へ向かって働きに行く、自分の仕事を遂行するために行くのです。遂行性の点から見て、また起因性の面から見て、この労働者が死んだのは、業務を遂行するという、そういう任務を原因にして死んだわけです。そうでしょう。そうすると、遂行性と起因性の両面から見て、この林業労働者は当然業務によるところの災害に入れらるべきだ、そう判定されるべきだと考えるのですが、通勤途上であるからということではずされておるわけです。局長の先ほどの答弁のように、業務上の事由による災害であるかどうかというのは遂行性と起因性の両面から判断するのだといえば、これは業務上の遂行以外の何ものでもないわけです。遊びに行ったのでも、酒を飲み行ったのでもないのですね。ちゃんとした服装をして、そうして林業の施設の木馬道という林業労働者しか通らない道を通って、そこで転落したわけです。それにそういう判断が下されたという、このことについて局長はどうお考えになりますか。
○和田政府委員 先生の御指摘によりますと、この事案が審査会にかかるような模様でございますので、先生も具体的な名前を言っていらっしゃいませんからけっこうでございますが、もし具体的なことでありますと、私がここでお答えしたことが審査会に影響しますことは、制度のたてまえ上感心をいたしませんので、某氏ということでお答えさせていただきたいと思います。 いまのお話の点で問題点になりますのは、いわゆる通勤途上であるかどうかという問題がどうもあるように思います。通常の場合、通勤につきましては、私どもは業務上ということからは否定的な考え方で臨んでおります。これは単にわれわれだけでなくて、一般的にそういうことはいわれておる。ただ、この通勤の場合におきましても、会社側がバスを用意して迎えに来た上でそのバスの事故というように、会社側が具体的に支配管理するような体制下において事故が起きたような場合には、これは業務上、こういう判定をいたしております。 ただいまの、木馬道を通って具体的な自分の職場に行かれるということでありますが、木馬道が、使っておる側の方の、普通工場でいいますれば構内みたいなものであるかどうかという問題が、一つの判断の材料になるのではないか。いまの御質問の中では、木馬道についての具体的な御指摘がございませんでしたので、その点をにわかに判断をいたしますことはいかがかと思いますが、問題点としては、この木馬道を通って、あるいはその木馬道については、使用者側が具体的に支配管理をする力を持っておるかどうか、こういうようなところも、一つの問題意識として私どもとしては考えていかなければならないのではないか、かように考えております。 先ほど申し上げました遂行性でございますが、これはその前提として、使用者側の支配管理の中において仕事を行なっておるかどうかということが遂行性の一つの意味でございまして、使用者側の支配管理が全然及ばないところ、あるいはその命令によって行なわれないところでの業務の行ない方というものは、一応遂行性からは除外をいたしておりますので、念のためにつけ加えさせていただきます。
○森委員 業務上の事由による災害であるかどうかを判断するのは遂行性と起因性だ、私が具体的にそう言うと、今度はことばをかえて、通勤途上というのはいわゆる業務上の災害に入れないのだ、あるいはその通勤途上の木馬道というのは、一般の会社でいわれる構内的なものであったかどうかということによってきまるのだ、さらには業務上の遂行性や起因性というものが支配管理下にあるかどうか、そういうことばでいま逃げておられるわけです。 そこで、そのことについて私は少し掘り下げて申し上げたいわけですが、まず支配管理の問題であります。林業労働者の実態というのは、常に林業労働者の作業場へ行って使用者が支配管理する、そういうものではないのです。たとえば一つの山を七十区で日給千六百円で地明け作業をするといえば、これはもう同じ作業をしに行くのですから、何もそこへ行って経営者が、毎日地明け作業を契約どおりやっておるかどうか見に行かぬでも、大体何月ごろまでに終わってくれよ。そうしますと、ことしはいま雪が多いから、ちょっと日にちを延ばしてもらわなければできないなというくらいの話はございます。しかし、ある期間においてきめられたら、地明け作業というのは単純な作業ですから、そんなものを山の現場の作業場に行って支配管理をするということはないわけです。そういう支配管理が作業現場においてなければ業務上災害に入らないのだというのだったら、林業労働者は入りませんよ。それは林業労働者の作業実態というものを知らない人のことばなんです。林業労働者というのは、毎日支配管理をしたければ仕事ができない、そんな作業ではありません。したがって、そういう観点から言うならば、林業労働者というのは、そういう支配管理に入っていない労働者である、それが林業労働の実態であるということです。そのことをやはり実態として認めてもらわなければならないということであります。 次に木馬道の問題であります。これは、一つのある作業場に行く場合、その途中の林道なり木馬道というものは、その沿線、周辺の森林所有者が、それぞれ造材なり伐木なり植林なり、そういう場合に共同で使うわけです。したがって、そういう林道あるいは木馬道がつくられる場合には、その周辺の山持ちがその分に応じて負担をしているわけです。したがって、これは森林所有者の共同管理の施設である、こういうふうに考えます。自分の山に行くのに、そこだけ道をつくっても、途中がなかったら行けないわけですから、共同の林道があり、共同の木馬道というものがあるわけなんです。その付近の谷から全部出てくる、Aという所有者、Bという所有者、Cという所有者が、それぞれDという木馬道を通って材木を搬出する、こういうことになっているわけです。したがって、工場内とかそういう感覚で見る場合より、山の作業場は、林業の場合は、もっと広範な視野で作業場であるかどうかというものを判定する基準をお考えいただかなければ、実情に合わないと思うわけです。現に、先ほどの某事件のその通った木馬道というのは、その周辺の森林所有者が、その木馬道をつくる場合において、経費の分担をしているわけです。したがって、その地域における林業の共同施設であるというふうに考えるのが正しいのじゃないか、こういうふうに思います。 それから通勤途中の問題でございますけれども、林業の通勤というのは、家を一歩出ますと、もうすでに作業場に入ったと同じ姿勢でいるわけです。たとえば、途中でせびろを着ていって、作業場に入って作業着に着がえて作業をする、こういう作業ではないわけです。家を出たときから、作業服を着、地下たびをはき、七つ道具を持っていくわけです。途中でパチンコ屋に行ったり、一ぱい飲みに行ったり、そんなことをしているわけではないのです。だから林業労働者の場合は、門口から仕事場に入る、こういう気がまえで行くのであって、したがって、普通いうところの通勤途上、こういう考え方ははずして考えるのが正しいのではないか。通勤途上における災害は業務上災害に入れないとおっしゃっていますが、これはILOの百二十一号条約でも、いわゆる通勤途上は、今日のような交通戦争の中では、業務上災害に入れようということがはっきりしているわけです。これはただ日本がそれを批准していないだけであります。だから通勤途上という考え方は、これから通勤途上の事故が業務上の災害になり得る条件が、国際的にも国内的にもどんどん発展していくだろうということを前提にしながら、山林の場合には特殊な通勤途上である、いわゆる作業服を着て仕事をする、通勤それ自体が一つの仕事の場の中で歩いていることである、こういうことで理解されるならば、先ほどの支配管理の問題、いわゆる林業の実態、それから木馬道というものが共同管理施設であるということ、そういう点から考えまして、あなたが先ほどからおっしゃっています遂行性、起因性の問題を、一歩後退して業務上を否定されたが、そういういろいろな要因を再考をしていただくならば、これは業務内に入り得るのではないか、こう私は思います。その考え方の基礎に、林業労働者がただ一つ強制適用を受けておるこの社会保険の労災保償保険、そんなものを何とかしてはずしてやろうというふうな意地悪な問題で考えられたら困りますよ。何とかして林業労働者の災害を救う道がないだろうかという観点で考えてもらわないと、何とかけちをつけて業務上の災害からはずそうということを根底に置きながらものを考える——頭のいい役人の皆さんが、法律の一字一句をたてにとりながら考えているならば、私はそれは政策じゃないと思うのです。今日林労働者の災害の問題については、何よりも先んじて政府が真剣に考えなければならない重大な課題であることは、先ほどの林業が当面している問題からいっても明らかであります。ただ一つ強制適用を受けておるこの社会保険が、皆さんのような、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うで逃げまくるというような考え方では、私はもう議論をする必要はないと思うのです。何とかしてこれを拡大解釈してでも適用し、救済をする道がないだろうか、そういう姿勢でものを考えてもらうのでなければ、私は当面している林業労働者のこういう重大な課題を解決できないと思うのですが、その点について大臣いかがですか。
○原国務大臣 ILOの規定の問題、それからいま森さんからいろいろ主張がございましたが、現在労働省といたしましては労災保険審議会に答申を求めております。それで、その審議会におきましては、諸外国の例、わが国の社会保障の取り扱い等いろいろ勘案しまして、今年一ぱいには答申を出してもらうよう要求いたしておりますので、その答申が出ました段階におきまして、前向きに労働省としてもお説の点を検討していきたい、こう思っております。
○森委員 確かに、最終的には中央の審査会が業務上か業務外かの決定権を持っておりますので、いま大臣の御答弁のようなことがあると思います。そこで、先ほどからお願いしておりますのは、そういう審査会の事務当局である皆さんがどうお考えになるかということが審査会の決定を大きく左右する、こういうように実は考えるわけなんです。そこでひとつお聞かせ願いたいわけですが、この審査会は当然現地に調査に行かれると思いますが、その点はいかがですか。
○和田政府委員 実は先生すでに御存じだろうと思いますが、審査会は基準局とは別個な組織でございます。まあ、しいて言いますれば、官房の総務課が事務を整理いたしておる。そういう意味で、業務執行の責任を持っておる基準局とは別個の組織で役所の中でも動いておりまして、事務の整理のしかたも、決して私どもの影響を受けておやりになるというようなことではございませんことを申し上げておきたいと思います。そういうことでございますので、審査会がどういう審査の方式をおとりになるかにつきまして、私のほうから責任をもってお答えする立場ではございませんが、いま御指摘のありましたような問題は、林業の特性、具体的なその地域の具体性というものが、どうしても審査の上で浮かび上がってこなければならない問題だと思います。そういう意味で、森先生のほうからぜひ現地について実地調査をしろという御要求であるように伺いましたので、そういう趣旨を審査会のほうにお伝えをいたしておきたいと考えます。
○森田委員長 森君、お約束の時間が来たようですから、なるべく簡潔に願います。
○森委員 官房の総務課がそういう現地調査に行けるような機構を持っておるのですか。
○和田政府委員 これは公式の機関でございませんが、審査会事務室というような名称のものがございまして、それだけに専任の事務な整理しておる者が、失業保険と労災と合わせまして二十人ぐらいおります。ただし実地調査をいたしますのは、委員みずからがおやりになるのじゃないかと思います。
○森委員 そこで私は、確かにこういう疑義がある場合においては、特に特殊な林業労働というような場合においては、審査官の頭だけで判断されますとたいへんあやまちを繰り返しますので、ぜひ現地へ行っていただきたい。と同時に、これを決定した現在の審査官の意見を聞きますと、中央からも、こういう場合においてはいわゆる業務外の災害にしかできないという指示があったので、そういう決定をしたのだ、こういうことを言っておるわけですが、そうなりと、やはり基準局自体に、最終的な決定をした審査官の決定の意思をそういうふうに織り込んだ責任があると思うのです。そういう立場から、やはりこの問題は、いや私たちと関係のないところでやるのだというふうに逃げられてしまわれると、たいへん困るわけなんです。その点どうですか。
○和田政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、審査官にいたしましても、審査会にいたしましても、それぞれ独立性を持っております。したがいまして、審査会といえども、審査官に具体的な問題に対しての指示はできない立場にございます。ましてや私どものほうから審査官に、その審決はかくかくすべきであると指示することは、法律的にもできないシステムになっております。ただ、従来のいろいろの解釈例あるいは判断例はどういうようなことになっておるかという照会を、審査官のほうから受けることはもちろんございますが具体的な事件についての審決の指示をいたすことは、法律的にも全くできないことになっておるので、そういう点はなかろうと考えております。
○森委員 ここで私は審査官に直接聞いてきたのです。そうすると、確かに指令は受けておりません。しかし、おたくのほうは判例としてのアドバイスをしておられるわけです。そうなりますと、判例としてのアドバイスをする以上は、林業労働者の、特に民有林労働者の、特に奈良県の現場の実態というものを知らなかったら、そんな軽率に判例を言ってもらったら困るわけです。林業労働の場合においても、場所によっていろいろ違う。だからそういう判例を示したことが審査官の審査を決定づけた。というのは、現地の参与委員は全部業務上災害だと言っておるのですよ。それを審査官一人が業務外だと決定するについては、本省からのそういうアドバイスがあったからだ、こう言っておる。そうすると、その審査官の意思決定を左右した重大な責任は、アドバイスしたあなたたちにあると思うのです。そういう場合に、民有林の林業労働者の実態というものを知らずに、ただ単なる従来の取り扱いの判例だけを示されたのでは困るし、その判例だけで審査官が自分の意思決定の資料にするのも間違いだと思うのです。そういう意味から言うならば、私はやはり、そういう重大な決定をさした皆さんのアドバイスというものが軽率であったと同時に、今後のこの再審査の過程において、皆さんが現状というものを明らかにしてもらう。そのためには、基準局の労災課があるのですから、そこで現状というものを十分検討調査をしてもらう。そうして、皆さんが直接タッチできなくても、この審査会に現場の調査の結果こうだという一つの資料を出してもらう、と同時に、審査会みずからが事務局を使って、あるいはみずからが出ていって現地で調査をする、こういう形で、せっかくの中央におけるところの再審制度というものがほんとうに効果をあらわすような方法を講じてもらわないと、審査官の顔をつぶしたらいかぬというだけで書類審査をやって、そうして皆さんから、判例がこうであるというようなことだけでこんな問題を決定されてしまうと、たいへんなことになるわけなんです。その点についてもう一回、今後の取り扱いについての決意のほどを承りたいと思うのです。
○和田政府委員 先生の御趣旨は私ども全く同感でございまして、決して審査というものはだれだれの顔を立てるということで行なわれるべきものでもございませんし、具体的な事案につきましては具体的なことに即して判断をすべきことは、先生の御説のとおりでございます。そういうことでございまして、労働省にあります審査会も、従来からの審査のやり方を私ども拝見しておりますと、大体先生のお話しになっておるのと同じような態度で審査が行なわれておりますので、今回の問題につきましては、特にいま御指摘もあったことでございますので、そういうことが国会で論議をされ、そういう御意見が出たことを、審査会のほうにお伝えをいたしたいと思います。
○森委員 もちろん審査会には労働者側代表も出ておりますので、労働者側委員に対しては私のほうからも、現地を十分調査をして、いわゆる審査官の決定に左右されないで独自の立場から現状に即した判断をいただくような要請をいたします。そこで皆さんのほうからも、そういう点について——これはほんとうに公平に行なわれるということ、今後林業労働者の労働災害をまずなくするということ、そういう事態に陥っても十分な救済がされるということ、そういうことが山村に労働者が固定化して労働に従事でき得る条件をつくる一つの大きな目安であるという観点から強く要請をしておるわけです。その点について、いま基準局長が御答弁されましたように、これは地方の審査会で十分に審査して、できるだけ早い機会に結論を出したい、その審査は実情に合うように、現地の審査官の決定に拘束されずにやりたい、こういう意思があったわけでございますが、その点について林野庁の立場からも、日本の林業を守るという立場から、たまたま不幸にして業務上の災害を負わされた皆さんに対するこの法の適用についてどういうふうにお考えになっておるのか。私は先ほどから繰り返し申し上げておりますように、日本の林業労働者を救済するのはこの労働者災害補償保険法ただ一つ。その災害補償保険法ですら、何とかして適用しないようにしようという強い動きが見られるような矢先に、林野庁としてのこの法律の取り扱いについての御決意のほどを承りたいと思います。
○大山説明員 労働災害といいますか、労働保険審査会、こういった関係につきましては、これは労働省関係の特別な機関において実施されておるわけでございます。ただ、ただいまのお話にもありましたように、林業労働というものが、現在におきましてはいまだ雇用契約が近代化していないといったような問題が基本的な原因ではないだろうか、こういうふうに思っております。したがいまして、われわれといたしましては、労働契約といいますか、雇用関係の近代化といったようなことについてさらに積極的に指導をしてまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。 なお、現地におきます労働関係と、それから林業関係地方庁におきましても、十分な連絡のもとにおいて、実態についての意思の疎通にそそうのないように、今後とも連絡を密にしていきたい。それから中央におきましても、労働省並びに農林省間におきまして、今後とも意思の疎通に欠けることがないようにしてまいりたい、こういうふうに思います。
○森委員 黙っていようと思っておったけれども、林政部長、そんなピントのはずれた答弁をしてもだめだよ。この点については、時間がありませんので、農林水産委員会でまたあらためて審議をいたしますが、労働大臣、実はきょうは、基準法の林業労働者に対する適用の問題なり、この間から問題になっております白ろう病の問題なり、いろいろお尋ねしたいことがあったのでありますが、一時半が私の持ち時間でございますので、時間が参りました。 要は、林業労働者と他の労働者と違う。社会保険の問題についていろいろな差別をされておるわけです。そういう問題について、林業労働者のそういう労働条件なり、あるいは社会保険なり社会保障の問題については、急速に整備をし充足するということを、この間の本会議の私の林業白書の質問に対して大臣は答弁しておられましたし、あらゆる機会にそういう答弁をいただいておるわけでございますが、具体的には一歩も前進せずに、現在ある法律すら、いま申し上げておりますように、解釈を曲げて、そうして林業労働者を救済する道をさらに遠のかすような現象すらあらわれておるわけです。だから、そういう林業労働者と都市労働者との間にある大きな社会保険その他に関する格差の問題について、いま一度最後に大臣から、林業労働者に対する差別的な社会保障制度の問題について改善する方向への決意を承って、私の質問を終わりたいと思います。
○原国務大臣 過般来、本会議場等におきましても、森さんから、林業の特殊性、林業労働者の特異性等々よく説明いただきまして、われわれもしろうとなりにその実態を把握することができたような次第でございます。 それで、いまいろいろ森さんの御説もありましたが、そういうことも考えまして、現行法においても、そういう実情に沿うように考慮をいたしたいし、それから本質的には、さいぜんも申しましたように、労災保険審議会にも答申を求めておりますので、その答申が出ましたら抜本的に改正をして御期待に沿いたい、こういう考えでございますので、どうぞよろしく。
○森委員 質問を終わります。 ————◇—————
○森田委員長 内閣提出の職業訓練法案を議題として審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。増岡博之君。
○増岡委員 今度の職業訓練法の改正の背景でございまするが、日本の経済情勢を考えながら御質問を申し上げたいと思うわけでございます。 戦後、特に昭和三十年に入りましてから、日本の経済がたいへん発展をいたしました根拠の一つとして、労働力が量においても質においても相当優秀であったということがあるわけでございます。しかし、今後日本の経済がますます発展をいたしますにつきまして、量の面ももちろんでございますが、質の面において、いままでの学校教育、いわゆる基本的な教育に加うる技能的な訓練が非常に必要になってくるわけでございますし、また量の面におきましても、よく、農業の就労者が現在千万人でございますけれども、五百万人くらいに減るんじゃないかということがいわれておるわけでございます。したがって、産業別に考えました場合の就労者の数というものが、相当変化をしてくるはずでございます。文字どおり五百万人という数が実現されるかどうかは別としましも、少なくとも数百万人というものが産業間において動いていかなければならない、あるいは同じ企業の中でも新しい仕事をしていかなければならないという実情になると思うわけでございまして、これをどういうふうに解決するかは、一つには転職の問題がございますし、また一つには、新しい就労者を需要の多い産業に投入するということが考えられるわけでございます。しかし転職はそう簡単でもございませんので、おそらく、新規就労者を新しい産業に投入するということが、現実には主体になってくるのではないかというふうに思われるわけでございます。したがって、その際に新しい需要を起こす産業というものがどういうものであるか、あるいはどういう職種が新しく必要になってくるかということを考えながら、この職業訓練の制度を整え、また実施していかなければならないわけでございます。したがって、そういう考え方でこの法律の内容につきましてお尋ね申し上げたいと思うわけでございますが、先ほどから時間がだいぶ狂っておりまして長くなりましたので、たくさんな用意をしてきておりますけれども、また大臣の御都合もおありのようでございますので、少しはしょってお尋ね申し上げたいと思うわけでございます。 まず、法案によりますと、職業訓練の目的が文句が変わっておるわけでございます。この趣旨と、それから先ほど申し上げた非常に多くの技能者を必要とするということから、今後職業訓練を受けることを国民に義務化する、あるいは半ば強制的にするというようなことが必要ではないかというふうに考えますので、その点を大臣からお答え願いたいと思うわけであります。
○原国務大臣 増岡さんにお答え申し上げますが、今度の訓練法は、御承知のように、近代における日本の産業の非常な発展、経済の伸展は、お説のごとく、日本の労働力の質、量の優秀によることは、もう言うまでもございません。それが、だんだん量のほうは、もうやはり不足をいたしてまいりました。それで、その量が不足いたしますと、それを補うためにも質を向上させねばならない。そういう意味において、今度訓練法を改正して、単なる労働力におきましても、質のいい労働力としてやっていきたい、そういう趣旨で今度訓練法の改正法案を提出したような次第でございます。 それで、いままででしたら、単なる技能労働者を養成するという目的でありましたが、今度は腕と頭を兼ね備え、生産技術の変化に適応するような、判断力や応用力に富んだ新しいタイプの技能労働者をつくり上げたい。また、いわば職業人として有為な労働者を養成することが必要であり、また、単なる職業人としてではなく、他面、社会人としても十分尊重に価するような人材をつくり上げたい、こう思っております。 それから、いままででしたら、職業人として有為な労働者を養成する、訓練する、そして経済の発展だけに寄与させればよろしい、生産増強に役立てばいいということでしたが、今度は、社会の発展にも寄与することを目的にするように幅広く訓練をいたしたい、そういうふうに思っております。 それから第二の御質問の点は、義務づけるくらいにやったほうがよろしいということでございますが、強制というところまではいっておりませんけれども、公共訓練施設の業務の内容、設置主体を拡充する等いたしまして、また事業主の雇用労働者に対する職業訓練実施の努力義務を付しております。また、国とか都道府県等の援助義務等についても規定いたしておるところでございまして、なるべく多数の人が訓練を受けて優秀な技能者になることを念願して、この改正法案を出したような次第でございます。
○増岡委員 先ほど申し上げましたように、学校教育との関係があるわけでございますけれども、これはまた後ほどほかの問題とあわせてお答え願いたいと思うわけでございますが、養成訓練につきまして、今度専修訓練と高等訓練課程という二つに分離せられたわけでございます。この中で特に訓練課程については省令をもって定めるというふうになっておるわけでございます。二つに区分せられたねらいをごく簡単に御説明願いまして、訓練課程を省令で定める場合に何を基準にしてなさるのか、あるいはそれに対するいろんな訓練課程の研究方法をどういうふうにお考えになっておるのか、大臣または局長のほうからお答え願いたいと思います。
○石黒政府委員 養成訓練課程を専修課程と高等課程に分けましたのは、これは職種及び技能養成の実態に応ずるという考えでございまして、高等課程のほうは、大体二年ないし三年という長期間をかけまして、多能工的な熟練労働工の素地をつくるというのがねらいでございます。専修課程は、それに比べまして比較的短期で、大体中卒の場合一年程度を考えております。で、一般的な技能工をつくるということで、職種にもよりますけれども、また養成される労働者の種類にも若干の違いが出てくるというふうに考えておるわけでございます。 省令で定めますそのほかの課程は、たとえば向上訓練につきまして、御承知のごとく、監督者訓練であるとかいろいろな訓練がございます。こういうものにつきましていろいろな経験を積みまして、ある程度の世間の評価も固まってまいりましたらば、そのつど省令をもって正式の課程として定めるようにいたしたい。その際には、もちろん中央職業訓練審議会に諮問いたしまして、その定める基準に従って実情に応ずる課程を逐次つくりたいと考えておる次第でございます。
○増岡委員 先ほどもちょっと触れましたけれども、他産業からの工業に対する移転と申しますか、転職と申しますか、相当大幅なものがあると思うわけでございまして、将来十年ないし十五年間に数百万人というものがかわってくる。そのかわり方はいろいろなかわり方があると思いますけれども、それについて特に大臣に、この職業訓練制度を通じてどういうふうに対処せられようとしておるか、お尋ねいたしたいと思います。
○原国務大臣 御承知のように、これからだんだん日本も工業化し、また輸出貿易の振興等と相まってまいりますので、人口移動がお説のごとくだんだん増大してくることは、想像できるところでございます。それで、農林漁業とか商業等から転職を希望されるような方がだんだんふえてまいりますので、それに対応するために大いに技能訓練等をやりたい、こう思っております。従来から、この就職促進措置の一環として、必要な場合には訓練手当を支給いたしております。また、公共職業訓練施設において行なうだけでなく、他の適当な施設に委託等もいたしておる次第であります。 それから、今後こうした方々に対する職業訓練の充実は、人的能力の有効発揮という観点から一そう重要になってくることは、御指摘のとおりでございまして、このため、新しい法律におきましては、能力再開発訓練として、職業訓練体系の主要な一環として、規定にこのための特別の職業訓練基準を設けております。また効率的かつ積極的に推進してまいることにいたしたいと思っております。そうして職業訓練を通して転職者を技能労働者のほうへスムーズに移るように指導いたしていきたい、こういう方針でございます。
○増岡委員 そのような制度を大いにやっていただきたいと思うわけでございますけれども、その裏づけになりますのが、何と申しましても予算でございまして、その充実、予算措置に対します大臣のお気持ちをお伺いいたしたいのと、これは局長に御答弁願いたいと思いますけれども、企業内訓練所の設備に対する融資制度があるわけでございます。それが聞くところによりますと、大体希望するところは順調に融資を受けておるそうでございますけれども、しかし総額としてはまだ残っておるような状態のように聞いておるわけであります。その点について、もっと企業内訓練所を経営される方々に対するPR、せっかく十分な予算がついても使い切れないというようなことがないような方法をお考えいただきたいという、この二点を御説明願いたいと思います。
○原国務大臣 お尋ねの職業訓練の振興のために制度の整備をやる、それに対する予算でございますが、四十四年度予算におきましては、この改正法を出すということもございまして、政府としても非常にこの認識を高めておりまして、職業訓練関係の予算は、ここ数年間、労働省の関係予算の中では一番大幅に伸びておるものでございます。四十四年度は対前年度比で一七・一%増でございます。予算にいたしますと約百三十四億八千万円となっております。 そのおもな内容を申しますと、第一は、事業内職業訓練の振興で、前年度に比し二倍をこえる増加となっております。特に、中小企業の事業主の行なう共同職業訓練の運営費補助金を、訓練生一人当たり六千四百円と倍増し、対象人員も増加いたしておる、これは非常に近来にないヒットでございます。第二は、公共職業訓練の充実のため訓練施設十三カ所の新設を行ないます。第三は、職業訓練指導員の資質向上と養成確保のため職業訓練大学校を移転する考えでございまして、拡充する準備をいま整えておるところでございます。第四は、今回の法改正の要点の一つである技能検定の拡大実施のため、中央と各都道府県に技能検定協会を設立することでございます。その他予算的にも、いま申し上げましたとおり非常に増大いたしておりますので、法改正と予算とをもって十分御期待に沿いたい、こう思っておる次第でございます。
○増岡委員 大臣がお急ぎのようでございますから、ただいまの局長の答弁は後ほどに回していただきたいと思いますが、もう一つ大臣にお尋ねいたしておきたいと思いますのは、新しい職種や新しい訓練課程を取り入れる、何が必要であるかということについては、だれが一番詳しいかというと、やはり会社や工場の現場で働いておる人が一番詳しいわけでございます。その人たちがこの制度の中でどこに顔を出してくるかということも考えてみなければならないと思うわけであります。もちろん訓練法人もございますし、指導員もございますし、審議会もあるわけでございますが、ただいま大臣が話をされた技能検定協会、これに比較的なじみがやすくて、みずから進んで入ってくる可能性があるというふうに私は思っておるわけでございます。したがって、今後訓練課程あるいは訓練の内容を新しく変更する場合のルートとして、この技能検定協会を利用することができるのかできないのか、もし制度上できないとすれば、そういうことをもう少し早く大臣のところまで通ずるような方法を考えていただかないことには、この新しい、どんどん進んでおります技術革新についていけないおそれがありはしないかということでございます。その点ちょっとお考えをお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
○原国務大臣 技能検定協会に企業者を入れていろいろ意見を反映さす、その点は賛成でございます。しかし、ほんとうに決定するのは、中央職業訓練審議会というのがございまして、そこでやることになっておりますから、御期待に沿うように善処いたしたいと思います。
○増岡委員 それでは局長、先ほどの予算のところをお答え願いたいと思います。
○石黒政府委員 職業訓練のための融資につきましては、御指摘のごとく、四十二年度三億円余りの融資ワクがございましたけれども、実質は一億円前後の消化しかございません。その第一の問題点は、これはPRの問題もございますけれども、融資条件がかなり厳格にきめられておりますために、零細企業では借りにくいというようなことがあったのではないかと思います。したがいまして目下理財局と鋭意折衝いたしまして、融資条件を中小企業の実情に合うように緩和するように努力中でございます。さらにPRの問題につきましては、雇用促進融資全般のPRを、労働省全体として積極的にいたして、何とか消化残のないように努力いたしたいと考えております。
○増岡委員 ただいま話がございましたように、比較的条件がむずかしいとか、あるいは知らないとかいうようなことがあり得ると思うのですけれども、いずれこの職業訓練制度が、中心は事業内訓練施設に依存をすべきであるというのが私どもの考え方であるわけでございますが、その際に、今度訓練法人ができるわけで、法人格もはっきりしてくるわけでございますが、先ほどお尋ね申し上げた財政的な援助というものを大幅に取り入れていただきたいということを、お願い申し上げておきたいと思うわけでございます。 いま一つお尋ねいたしたいのは、訓練制度ができましても、ほんとうに訓練をするのは指導員でございますから、この指導員の素質の向上ということが、現実的な面といたしましては、従来は中卒であったのがだんだん高卒に変わって、指導員が同じであればもう教育ができないというのが現状ではないかと思うわけであります。したがって、その資質の向上あるいは待遇の改善というものをやっていかなければならない。その資質の向上のためには、職業訓練大学校をもう少し数多くつくったり、あるいは各都道府県ごとにその分校のようなものをつくる必要があるのじゃないかというふうに考えておりますが、労働省の御方針を承りたいと思う。
○石黒政府委員 指導員の資質の向上が職業訓練の振興のために非常に重要であるということは、御指摘のとおりでございます。そのためにはいろいろな方策がございますけれども、訓練大学校の拡充ということが一番中心になると思います。そのために、四十四年度予算におきましては、現存の東京の訓練大学校が非常に手狭になってきておりますので、これを拡充するための土地購入費の予算をとっております。それから関西に訓練大学校の分校を設けるように予算措置を講じております。将来の問題といたしましては、訓練大学校を関西にももう一つつくる。また分校は各県一つまでいくかどうかわかりませんが、分校の数もさらにふやすように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
○増岡委員 それから職業訓練審議会のことでございますが、今度各都道府県に必ず置くようにという義務づけが行なわれてまいったわけでございます。そのことにつきまして、今度は労働省のほうから、その財政負担をかけないような措置が講じられる必要があるのじゃないか。というのは、従来任意性であったために、審議会をつくっても、一年に一回開くか開かないというような審議会が多いのじゃないかというふうに考えられるわけでございまして、せっかくこういう必置機関にせられる場合には、そういうものをうんと財政的な負担をなくして財政措置を講じてあげるということが必要ではないかということと、その運用について、特に人員の構成についていろいろ問題があろうと思うわけでございまして、この点についてお尋ねいたしたいと思いますけれども、これは大臣がお見えになりませんので留保させていただきたいと思うわけでございますが、先ほどの財政負担の問題について局長の御答弁を伺いたい。
○石黒政府委員 財政負担につきましては、現在三十ほどの都道府県ではすでに地方の職業訓練審議会を設けておりまして、残る七、八県の問題でございますが、いずれにいたしましても、これに必要な経費は地方交付税のうちの基準財政需要額のうちに算入されておりますので、特に地方に過大な負担をかけることには相ならないと考えております。
○増岡委員 まだお尋ねしたいことが残っておるわけでございますが、本会議の時間も差し迫ったようでございますので、また後日あらためて承りたいと思います。
○森田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十八分散会