産業公害対策特別委員会 第12号
- 発言数
- 262 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/05/07
会議録
○赤路委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案及び公害紛争処理法案、角屋堅次郎君外十二名提出の公害に係る被害の救済に関する特別措置法案及び公害紛争処理法案、予備審査のため本委員会に付託されました小平芳平君外一名提出の公害に係る健康上の被害の救済に関する法律案、公害に係る紛争等の処理に関する法律案及び公害委員会及び都道府県公害審査会法案並びに内閣提出の公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますのでこれを許します。加藤万吉君。
○加藤(万)委員 きょうは、紛争処理法案の中で、基地公害問題を中心にして、今回の提案の公害紛争処理法案から基地公害を除外した問題、これを中心にして、いかに政府案が基地公害を除外したことが不合理であるかという問題点を追及してみたいというふうに思います。できるならば、そういう論議の中から、この公害紛争処理法案に基地公害を含ませるという方向に本法案が提起をされていけば、非常に幸いだというふうに思うわけです。 最初に、総理府がまだ見えておりませんが、橋口さんに、公害紛争処理法案から基地公害が除かれた経過についてお聞きしておきたいというふうに思います。
○橋口政府委員 公害紛争処理法案第五十条の規定によりまして、防衛施設に関する障害につきましては、公害紛争処理法案の法律の体系の中には取り込んでおりますが、障害に対する措置としましては、別の法律で具体的に定めるということにいたしたわけでございます。その理由といたしましては、防衛施設に関する障害の特殊性、並びに防衛施設に関する障害につきましてはすでに既存の法律で手厚い保護の措置が講じられておるわけでございます。そういう防衛施設に関する障害の特殊性等にかんがみまして、その障害に関する措置につきましては、別の法律で具体的内容を定めることが適当だというふうに考えたわけでございます。
○加藤(万)委員 基地周辺の公害問題について手厚い保護ということですが、おそらく基地周辺整備法に基づくものだろうというふうに私は推察するわけです。それから、いま、別の法案で、ということばがありましたが、これは一体何をさしているのですか。たとえば基地周辺整備法に基づく施行令であるとか、あるいは政令であるとかいうものをさしているのか。それとも、基地周辺整備法なり、あるいは先般運輸委員会ですか、当委員会ですか、問題になりました公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律等で補足をするのか、それとも全く別の形で、この公害紛争処理法案に対応するような基地紛争処理法案というものをつくろうとされているのか、いずれの形態をこれからとろうとされているのですか。
○鐘江政府委員 別の法律であるところの実定法を申し上げますと、いま先生が申されましたところの防衛施設周辺の整備等に関する法律、それから、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律、これはいわゆる特損法と申します。それから民法あるいは民事特別法、あるいは国家賠償法、そういうものを言っております。
○加藤(万)委員 これはあとでまた御説明いただきますが、そうしますと、基地周辺ないしは防衛施設周辺の整備の一つの特例法をつくるのではなくして、それぞれ既存する民法なり、特損法なり、防衛施設周辺整備法なり、そういうものに附則をして――附則といいますか、付加して新しい法案をつくろうとされているわけですか、いわゆる別の法案とは。
○鐘江政府委員 ただいま申し上げました周辺整備法をはじめとしますところのいろいろな法律によりまして、従来基地周辺で生ずるところの障害、こういうものの除去、緩和、そういうものを未然に、あるいは事後でも、早急に処置しておるということでございまして、こういう見方から、いま直ちに改正案を提案するという考えはございません。
○加藤(万)委員 これは鐘江さんは御承知のように、防衛施設の周辺整備に関する法律あるいは特損法でもそうですけれども、周辺整備法の第四条関係の補償ですね。これは物的条件に対する補償条件はいろいろあるわけです。ここに防衛施設庁の広報がありますけれども、これに、四条関係事案紹介、施設周辺整備法関係という文章がありますが、これをずっと見ましても、たとえば学校の施設であるとか、あるいはプールであるとか、道路であるとかあるいはし尿施設であるとかいろいろあります。いわゆる基地周辺における物的条件に対する補償ないしはそれに対する損害賠償等はありますけれども、人的なものに対するものは何もないわけですね。たとえば学校にしましても、学校の防音なり防湿なりそういう設備に対しての補償はありますけれども、それでは、学校の生徒そのものに起き得る身体的条件、あるいは基地周辺における人に起き得る条件、人間に与える条件、それに対する補償というものはこの周辺整備法ではないわけです。私は公害紛争の場合に、これは公害基本法でも問題になりましたが、確かに公害から生まれてくる物的なものに対する補償ないしはそれの損害の賠償の紛争の処理、こういう問題はあるけれども、同時にそれが侵かしている社会的環境、環境の中に住む人間、それに対する補償というものは、あるいは公害紛争というものは一体どうするのかということが、基本法の段階でも非常に問題になったわけです。私は今日基地の周辺における住民の環境ないしは基地から起きる公害というものが、単に物的条件に限るわけにいかないと思う。これから幾つか事例を申し上げて、その内容についてどうお考えになるか、御説明いただきたいと思いますけれども、いわば基地周辺ということによって起きるすべての条件、またそれにおけるいわゆる基地公害の紛争、そういうものの処理が、いま言いました周辺整備法にいたしましても、あるいは特損法にいたしましても、あるいは国家賠償法ですと、相当これは範囲が広くなりますから、これは多少法律的な法廷闘争の段階では問題があるかもしれませんけれども、少なくともいまある防衛施設周辺における整備法あるいは特損法では、この被害を紛争の処理として解決することは私はできないのではないかというように思うのですが、その見解についてはいかがでしょう。
○鐘江政府委員 いま先生は主として騒音の例を取り出して御質問があったように伺いましたが、騒音から、いろいろ人の健康といいますか、もろもろの障害が起こる、こういったものに対しての処理制度が整備法では確立されておらないじゃないかというような御質問と伺いましたので、四条で申し上げますならば、学習等共用施設なるものに、助成金を交付いたしまして、当該飛行場なら飛行場の周辺の市町村等がそういう施設を新設する際に、定額補助をやっております。それの内容といたしましては、学童が昼間は防音工事を施した学校において勉強して、うちに帰ってくるとうるさい、騒音がうるさくて勉強ができないというような場合に、この学習等共用施設に行きまして、そうして防音工事を施した施設の中で勉強する、あるいは老人で騒音に耐えられないというような方がおられた場合にも、この施設に行きまして、十分の休養をとるというような考え方で、学習等共用施設の助成を行なっております。さらに、整備法五条におきましては、この飛行場の周辺で非常にうるさいあるいは危険感があってどうにも居住に向かないというような方がおられる場合には、家屋の移転補償あるいは敷地の買収等を行ないまして、飛行場より遠く離れたところに移っていただくというような措置も実は講じておるわけでございまして、先生のおっしゃるように、整備法は物だけに関しての周辺整備といいますか、周辺対策といいますか、そういうものではないということが言えようかと思います。
○加藤(万)委員 騒音の問題がまた提起されましたから、騒音の問題に限って少し論議を煮詰めてみたいと思うのです。騒音による身体的影響に対する調査は各所でやっておりますね。防衛施設庁が先般発表されました、板付基地でしょうか、人身影響調査報告書、九大に依頼して調査をまとめた書類が、わが党の楢崎代議士から予算委員会の前後に発表されました。私は非常に遺憾に思ったのですが、これだけの調査が防衛庁の手元にあって、なぜわが党から提起をしなければこの問題が社会的な問題にならなかったのでしょうか。私は実は非常に遺憾に思っておるのです。その後社会的な問題になって初めて、防衛施設庁が本問題を発表されたということを聞いて、そういう意味できわめて遺憾に思います。騒音に関する身体的影響に関する調査は横田でもやっております。横田の基地を中心にして、たとえば拝島小中学校ですか、これの調査、それから神奈川県の大和市でも同じような調査が行なわれております。私は比較的といいましょうか――あるいは防衛施設庁自身がこの際調査をされました板付の問題を中心にして、おそらく統一的な条件というものは、それぞれ基地周辺にあるというように推察されますから、これを中心にして、問題の提起を行なってみたいというように思うわけですけれども、大和の場合でもそれから拝島、横田の場合でもそうですけれども、結論を申し上げますと、学校の施設を改善することだけでは、実は騒音による身体的障害の除去はできない。むしろ、極端なことばですけれども、たとえば拝島小学校の調査の結論の段階では、こういう騒音になれること、そういういわゆる中毒症状になること自身が実は自衛であるというようなことを最終的には述べているのですね。いわゆる騒音防止なり環境の多少の整備を行なっても、それは身体的障害をほんとうの意味で除去することはできない。結果的には今日の段階ではそういう中毒症状、いわゆる騒音に対する中毒症状ないしはそれになれること自身が自衛であるなどという、人間的な立場からいけば、きわめてそらぞらしいようなことばでもって結ばざるを得ないというような状況が率直に言ってあるようですね。今回の防衛施設庁が依頼をされました人身影響調査、これをこまかに申し上げればたくさんありましょうけれども、大きく拾ってみれば、たとえば騒音の被害地区には高血圧が非常に多い。騒音が学童期の心理的な面の発達をゆがめている。あるいはからだの形、いわゆる背の高さであるとかあるいは体重であるとかという、そういうものだけではなくして、精神的影響、ないしは本来十五歳なら十五歳に到達すればそれだけの能力が発達をしなければならないものが、そういう面で阻害をされている、あるいは聴力の低下が明らかである、いわゆる耳が非常に遠い、そのことによって起きるいろいろな問題が出ているようです。これは拝島の第二小学校の例をとってみますと、たとえば聴力の低下というものが一体どういう影響であらわれているかといいますと、低音地区では、たとえば今日レコード、あるいは音楽でいいますならば、非常にパンチのきいたビートルズが歌うような歌が非常に好まれる。ところが高騒音地区へ行きますと、そういう音楽は嫌悪感をもって迎えられる。ですから、子供の正常な、たとえば音楽を鑑賞する耳の聴力というものが正常に保たれていない高音地区では、結局のところクラシック的な要素の音楽が好まれ、今日一般社会にあるような、パンチのきいたビートルズの音楽というものが嫌悪感をもって迎えられる。そういう精神的状態あるいは肉体的状態に実はおちいっている、こう報告しているわけです。 そこで、私はいま一つ、実は防衛施設庁の人身影響調査報告書を読みまして、非常に心しておかなくてはならないと思ったことは、騒音による被害だけじゃないのですね。騒音によってもたらされている環境的被害というものが、そこに住む住民のあらゆる面、たとえば先ほどの高血圧の問題もありましたし、あるいは女の人ですと、月経の不順の問題であるとか、そういう面も実はあらわれているわけです。逆に言うならば、先ほど総務部長が言われましたように、騒音に対してはこういう手当てをしています、あるいはその基地周辺についてはこういう物的な整備をしています、だけではなくて、騒音とその社会的環境が同時に伴って次の問題を発生している。たとえばこの文書の各所に出てまいりますけれども、これは母乳の分泌に対して報告書が出ていますが、最も問題になるのは、「画地区の文化的環境の差」ということが出ておるわけですね。それから、同じようなことが今度は、七歳-十歳の低学年における騒音の問題についても、「これは主として両地区の文化的環境の差に原因する」「学童の身長・体重の発育が」云々、こういうふうに出ているわけです。いわゆる文化的環境ということでいろいろな面が出ているわけです。私は、文化的環境というものは、この場合単にたとえばスラム地区であるとか、あるいは中流家庭が住んでいる家庭の環境だけとは理解できない。いわゆる基地という環境ですね。単に騒音による障害だけではなくて、その中から生まれてくるものが、いろいろな社会的な、人間的な公害を与えておる。こんなように理解をしているわけです。 たくさんの問題点がありますけれども、いま少し摘出して申し上げてみますと、「結果として言えることは、騒音地区と対照地区との間に、ある点に関して有意差があり、しかもそれは専ら男児に見られたということである。調査の信頼性、両地区の文化的環境の差異等の点を考慮すると、この差を直ちに爆音と結びつけることは不可能である。この調査によって今後追求すべき重要な問題点が発見されたということができる。」これは先ほど提起をいたしました女子の月経の初潮の問題であるとか、あるいは幼児、児童の身長、体力の問題等の中で出てくるのですが、この調査報告書の中の文化的環境によっての差異が、あるところには生じておる。この文化的な差というのは、いわゆる低額所得者の住む場所あるいは中流家庭の住む場所というものも含まれているでしょうし、あるいは所によっては米軍基地ないしは防衛施設の基地があるということによって起きておる文化的環境の差、そういうものも指摘しているわけです。この二つを、今度は私どもの立場で裏返して考えてみますと、こういうことが言われるのではないでしょうか。いわゆる基地公害というものは、基地から直接生ずる公害、たとえば爆音であるとかあるいはあとで問題にいたしますけれども、軍人、軍属の市民生活の問題であるとか、そういう基地から直接出てくる公害という問題もありますけれども、同時に基地が置かれていることによって起きてくる社会的環境と複合した次の公害、こういう問題が、この人身影響調査報告書の中に各所に見られるのではないか。こういうふうに見てまいりますと、いわゆる防衛施設周辺の基地公害は、別の法律として立てるあるいは別途に法案として用意をするということと、わが党が提出をしておりますように、基地公害も含めて今日の公害全般の紛争を一つの法律で処理をするというその立て方と、いずれが正しいかといえば、わが党が提起をしている、いわゆる公害紛争については、基地公害というものは基地だけから発するものではない、基地があることによって起きてくる環境その他を含めての次の次元の公害紛争処理、こういう問題が当然配慮されてしかるべきじゃないか。したがって、先ほど室長が言いましたように、基地公害は基地として別なんです、こういう理解はどうしても私どもはできないのですが、この辺は、総理府副長官まだ見えておりませんね。それじゃ総理府の審議室長と防衛庁のほうから御答弁をいただきたいと思うのです。一体この環境を分離できるものかどうか。たとえば防衛庁の場合には、この人身影響調査報告書は防衛施設庁が出された資料ですから、これを中心として、基地公害というものは、一般社会公害というものと基地公害が複合した公害というものとを分離して、今日の基地公害紛争を処理することができるものでしょうかどうか、お聞きしたいと思います。
○橋口政府委員 基地に関する諸問題について、広範の問題点の御指摘をいただいたわけでございますが、法律解釈の点だけに限定して一応申し上げますと、公害紛争処理法案第五十条で申しております「別に法律で定めるところによる。」ということばの意味といたしましては、現存の法律で定める内容のものと、将来法律の改正なりあるいは別の新しい法律の制定なり、両方を含んだ意味でございます。したがいまして、現在の政府の考え方といたしましては、先ほど防衛施設庁のほうからるる御説明ございましたように、基地周辺整備法その他の現存の法律の措置によって十分対処できるという考え方を持っておるわけでございます。ただ御指摘がございましたような広範な問題がございますが、ただそれが全部いわゆる公害対策基本法にいう公害であるかどうかという点につきましては、多少問題があろうかと思いますが、基地に関する公害に対する対策全体と、それから一般産業の発する公害に対する対策全般とを比較いたしまして、どっちが手厚いかということは、これは確かにむずかしい問題を含んでおると思います。しかしながら現在の周辺整備法その他の法律体系を検討いたしますと、一般産業公害に比べて、手厚い法律なりあるいはそれの裏づけとしての予算措置があるということは、これまた事実であろうかと思います。したがいまして、問題は現存の法律の運用なりあるいは運用の改善によりまして十分措置を講じて、なおかつ不十分な点があるかどうかの検討になるわけでございまして、現存の段階におきましては、政府といたしまして、現存の法律の運用なりあるいは運用の改善で十分対処できるというふうに考えておるわけでございます。
○鶴崎政府委員 先生からただいま板付の人身影響調査の問題について触れられましたので、これについて私から簡単に御説明しますと、この調査は、防衛施設庁が福岡市に委託をして実施させたわけでございますが、実際には福岡市がさらに九大に委託をしてやった、こういう形になっておりまして、これをなぜ発表しなかったかという問題につきましては、学術的な調査はかなり慎重にやらなくてはならないというようなこと。したがってそのはっきりした結論が出るまでは、その内容を一々発表することは、かえっていろいろ誤解を招くおそれがあるというようなことで、そのはっきりした成果が出るまでは発表をしないという方針できておったわけでございますが、九大側の事情によりまして、この調査を打ち切らざるを得なくなったということになりましたので、これまでの結果を一応取りまとめて発表した、こういうことでございます。 そのこれまでの調査結果につきましては、一般健康状態の調査、あるいは母乳分泌、乳幼児の発育、学童の一般健康状態の調査、あるいは聴覚についての調査、精神疲労度についての調査、こういった項目について、それぞれかなり長い期間にわたって研究をしたわけでございますが、遺憾ながら、現段階においては、学問的に見てはっきりこうだという結論が出ていない。もちろんいろいろ問題点として指摘されておるものはございますが、これらについても今後の研究に待たなければ結論が出ないというような、いわば中途半端な形で終わったようなことになっておるわけでございます。 そこで、こういった基地があることによる影響につきましては、先ほど先生が申されましたように、直接的なものと、直接的ではないけれども、基地があるという社会的な環境と複合した公害といいますか、被害、こういったものと二種類確かにあるわけでございますが、私どもとしましては、この直接的な障害につきましては、周辺整備法の三条によりまして、この障害の防止、軽減につとめる。それから直接的ではないけれども、何らかの間接的な因果関係からいろいろ周辺に支障を与えておるというようなものにつきましては、周辺の環境を整備するような事業、あるいは農林漁業といったような事業の経営を安定化するというための事業、こういったものに対して一定の割合で補助をして、こういった間接的な障害についてもできるだけ救済をしていこう、こういう考え方で進んできておるわけでございます。 もちろん、現在この周辺整備法によっていろいろ実施しておる事業によって、完全に基地による障害が除去されておるということまでは申し上げませんけれども、従来ともかなり努力をしておる、しかも今後も新しい事業等を実施する必要があれば、これらについても積極的に検討し、範囲の拡大等をはかっていきたい、このように考えておるわけでございます。
○加藤(万)委員 橋口さん、私が言っていることは、民間と基地周辺の間の公害に対する補償、保護が手厚いか手厚くないかということを言っているのじゃないですよ。それは日米関係の問題がありますから、基地周辺については手厚くなっていることは私も承知です。しかも公害基本法は昨年制定されたばかりですから、そういう面から、これから公害に対する民間側の、いわばあなた方のことばでいう手厚い保護といいましょうか、われわれからいうと当然の措置、これが行なわれるのは当たりまえなんです。私はそこを問題にしているのじゃないです。実は基地周辺というもの、あるいは防衛施設周辺というものを、本来ある公害紛争と分離することができないのではないですか。たとえばいま言った騒音の問題、防衛施設庁のこの問題を一つ取り上げても、そういうことになるじゃないですかということを実は言っているわけなんですよ。したがってそれを分離して別の法律をつくるということには、どうも私は納得がいきません。それについて分離ができるとお考えですかどうですかということを実は聞いているわけです。 それからいま施設庁の方が、この報告書――確かに率直に言って学者の研究結果でありますから、あいまいな点がありますよ。しかし中には、きわめてその問題点を指摘しておるところもあるわけですね。たとえば、読み上げてみましょうか。「過去二十年に近い間、すなわち六十歳台の人はその四十歳台から、また、四十歳台の人はその二十歳台から、対照地区の人たちよりも明らかに余分に基地騒音にさらされ続けてきたために起こったことであるといえる。」きちっと言っているじゃないですか。これは一六ページの後段のほうです。これなんか明確に言っていますよ。基地騒音が、四十歳の人あるいは二十歳の人の、基地騒音による難聴条件になっておるということを明らかにいえますということは言っているのです。ですからいわゆる御指摘のように中間発表ではありますけれども、中間発表の段階でこうこうこういう問題は基地の周辺によって問題が起きているのです、こういうことをいっているのです。私は実はこのことを問題にしているのではないのです。この中全体に含まれている表現の中に、基地から直接起きる障害、それから基地があることによって起こっている文化的、社会的障害、そういうものが相互に重なり合って因果関係を起こして次の障害が起きる、あるいは公害が起きる可能性を指摘しているわけです。文化的環境の整備の差が、あるいは学力の高い低いをゆがめているかもしれない、こういっていますね、騒音だけではなくして。それでは文化的環境の差とは何か。先ほど申したスラム街と中流家庭の環境の差もあるでしょう。しかしそうではなくして、基地があることによって起きてくる環境の文化的な差というものも私は指摘していると思うのです。明確にそうはいっていませんけれども。そうなってくると、その基地があることによって起きてくる社会的環境の障害、それが因果関係を保ち、次の、基地とある意味においては少し離れた次元の障害あるいは公害を提起しておるのではなかろうか。そういうことをこの中では指摘しておるのではなかろうか。ということになれば、基地周辺なり防衛施設の周辺の問題だけを切り離して別途に法律をつくるというのでなくて、基地公害も含めて、基地公害の中における――それからそれが一番源泉となって起きてくる次の障害、公害に対する紛争処理も、当然今回の紛争処理法案の中に含まれていかなくてはいけないのではないか。そういうことを実は指摘しておるわけです。どうでしょうか。総理府の副長官もお見えになりましたけれども、総理府の立法段階において、その因果関係をどうとらえられたのか。あるいはいま私の御指摘申し上げました施設庁のこの調査報告書について、施設庁でどういうふうにお考えになっておるか、もう一ぺんお聞きしたい。
○鐘江政府委員 いま先生が橋口室長に御質問なさった点につきまして、私からお答えさしていただきます。 先ほどちょっと私も触れたかと思いますが、いやしくもこの自衛隊等――自衛隊あるいは米軍の特殊性のある行為から生ずるところのもろもろの障害、こういうものにつきましては、一般産業公害の紛争処理制度にまつまでもなく、国が積極的に問題解決のため調査もいたしますし、それから防止あるいは損失補償等によって迅速かつ適切に救済対策を講じておるわけでございます。いま御審議になっておりますところの紛争処理法にいうところの六公害、これ以外にも、実は周辺環境整備としまして、私どものほうとしましては道路の整備等もやっております。いわゆる六公害以外の環境整備と申しますか、そういったことも実はやっておるわけでございます。先生は、それ以外にいろいろな問題があるではないか、基地があるために税金の問題があるじゃないか、あるいは土地が値下がりする問題があるじゃないか。こういったような問題も確かにございます。しかし、その問題はまたその問題といたしまして、税金の問題につきましては自治省と協議して、何らかいい解決策がないかということをよりより協議中でございます。それから土地の値下がりという問題、これにつきましても、直接防衛施設の基地を維持するために問題がある場合、たとえば土地を買収する際に、飛行場周辺であるがために土地が非常に安く評価されるといったような問題、こういった場合にも、私どもはそういった影響といいますか、そういう客観的な情勢を勘案しつつ、買収等あるいは借り上げ料の支払いもやっておるということでございまして、この紛争処理法にいうところの六公害につきましては、一般産業公害の紛争処理制度に待つまでもなく、非常に私どもは前向きにやっておるということがお話しできるのじゃないかというふうに考えております。
○橋口政府委員 先ほど一般公害、それから基地公害について、余分なことを申し上げて恐縮でございますが、第五十条によりまして、「別に法律で定めるところによる。」と、別の法律体系に委任をいたしたわけでございます。その内容につきましては、いわば白紙委任と申しますか、どういう内容をきめるか、これは現存の法律は明らかでございますが、将来検討され考慮される法律内容につきましては、いわば白紙委任をいたしておるわけでございます。この公害紛争処理法案の直接の対象としなかった理由としましては、先ほど申し上げましたように、防衛施設としての特殊性がございます。したがってその特殊性に相応する行為につきまして、第三者機関がこれを調停したり、あるいは仲裁するということに必ずしもなじまない面がございます。したがいまして、基地に関する障害につきましては、別途基地の公害にふさわしい制定なり、あるいは対策を考慮すべきじゃないか。そういう観点から、いわば先生のおことばを拝借いたしますと、分離をいたしたわけでございます。ただ、繰り返しまして恐縮でございますが、分離をいたしまして何もしないという趣旨ではございません。現存の法律でも、先ほど来るる御説明申し上げましたような対策もございます。さらにそれの裏づけ措置としての予算もございます。さらに予算の拡充、運用の改善ということも、防衛庁当局で用意をいたしておるように承知いたしておるわけでございます。さらにその運用いかんによりましては、将来立法措置も考慮するということでございます。分離いたしました趣旨といたしましては、先ほど申し上げましたように、防衛施設の特殊性とそれにふさわしい対策についての配慮ということが一番必要じゃなかろうか、したがってこの公害紛争処理法案の直接の対象にするよりも、むしろ別の法律体系によってやって、具体的なまたケースに適合した措置をとることが適当じゃないか、こういうふうに考えて、いわゆる分離の措置をとったわけでございます。
○加藤(万)委員 別の法律の問題については、後ほどその展望なり内容を、もし明らかになれば教えていただきたいというふうに思います。 鐘江さん、私が言っておるのは、確かに先ほども私申し上げましたように、基地周辺の整備は、他の民間の今日起きておる公害よりも、そういう意味では手厚いということはわかるのです。公害基本法ができましたのは一昨年ですから、具体法が今日議題になっておりますから、そういう意味では、一般民間産業の公害の保護措置というものは、これからが実際の問題になっていくわけですね。しかしいままで公害でずっと問題になっておりましたのは、それは海水の油濁の問題もありましょうし、あるいは水の汚染の問題もありましょう。しかし今日当委員会でも、あるいは公害関係で社会的に一番問題になってきたのは人体的影響なんです。たとえば水俣病にいたしましても、あるいは神通川のイタイイタイ病にいたしましても、いわばその公害が与えた人体に対する影響、それをどう処理するか、物的条件に対する処理は比較的容易にできるのです。たとえば亜硫酸ガスで稻が腐ったといえば、それに対する補償はできるでしょう。あるいは屋根がそれによってさびついて困ったといえば、その補償もできるでしょう。紛争としては、その額の問題はございましょう。しかし物的問題に対しては比較的容易にできることなんです。ところが人体的影響に対しては非常に紛争があるところなんです。神通川のイタイイタイ病一つとってみても、一体それがあそこの鉱山かどうかという問題、あるいは水俣病にいたしましても、日本窒素の工場の廃液が原因かどうかということは、もう多年問題になってきたところなんです。基地周辺を見ましても、いわゆる基地周辺の、たとえばいまの土地の値下がりであるとか、道路の整備であるとかあるいはし尿処理であるとか、いろいろやっておることはわかりますけれども、それの処理は、今日曲がりなりにも他のどの分野より進んでおることは私自身も認めておるのです。しかし人体に対する影響、先ほど何回も抽象的な文句で私は触れましたけれども、これは今日でも何ら補償的要素がないわけですよ。その起きてくる原因に対して、たとえば学校の場合には、騒音に対しては防音施設をつくるとか、そういうことはできるでしょう。しかしこれも東京の昭島の調査でも明らかになっておりますように、そういう防音施設をつくったにしても、拝島第二小学校の三、四、五年を対象にして調査した結果が私の手元にありますけれども、たとえば音楽ですと、学校でいう1、2、3、4、5という評価ですか、それが非常に悪い1、2というのが、低騒音地区では二〇%、高騒音地区では三二%そういう人がおるとか、あるいは学校の理科で言いますと、低騒音地区では二二%、高騒音地区では三二%おるとかいう。いわば人体的影響に対する基地周辺の保護政策というものが、私の知る範囲では出ていないわけです。またそういうものがもっぱら公害紛争の最も対象になり、しかも紛争として解決しにくい課題ではなかろうか。とすれば、これは本来の公害、いわゆる基地公害に対する紛争処理条件としてこの法案の中に入れられて、その地域の住民のそういう条件を紛争処理委員会として解決をする、仲裁をしていく、そういう処置が今日の段階でも必要ではなかろうかということを実は言っているわけですが、この辺は、くどいようですけれども、どういうふうにお考えになりますか、もう一ぺん……。
○鐘江政府委員 先ほどから騒音の問題を取り上げてお答え申し上げてきたわけですが、六公害に言うところの水質の汚濁といったものにも逐次対策を講じております。対策としましては、上下水道を設置するとか、あるいはし尿処理、ごみ処理施設をつくるとか、これは悪臭の防止対策ということであろうかと思いますが、そういうことで、私どもは何も物の関係だけでなくて、人の関係に関する障害防止工事あるいは補償、こういったものを逐次積極的に処理しておったわけでございまして、先生のおことばをお返ししてまことに恐縮でございますが、和解の仲介あるいは調停といった制度にかけて処理するということよりも、先ほど来私どもが申し上げておりますように、国みずからが、いかにしたらばなるべく早くその障害の緩和をはかることができるかというようなことに常に意を用いておるわけでございまして、あえてそういう紛争処理制度にかけるまでもなく、国みずからが積極的に処理しておる。ただこの騒音の問題、先ほど先生からございましたが、現在の段階では、公共用施設に対する騒音の防止工事といったものが、優先順位からいって急を要することだということで、従来そういう公共用施設に対する防音工事なるものを積極的に国が措置を講じてきたわけでございまして、騒音の人身に及ぼす影響というものが、今後調査の結果因果関係がありというようなことになりますれば、そのときはまたその対策というものを当然考えなければならない、かように考えております。
○浜田委員 基地公害等につきまして、関連してお伺いしますが、ここへ配付いただきました資料は何ですか。「範囲でまとめたものである。」と書いてありますが、直接被害による資料ですか。
○鐘江政府委員 ちょっと御質問の趣旨が……。
○浜田委員 配付された資料は、直接被害による資料ですかと、こう聞いておるのです。
○鐘江政府委員 当委員会に配付いたしましたこの「防衛施設の運用に伴い生ずる障害の処理一覧」、これは現在防衛施設庁で把握しておる、わかった範囲においての処理済みのもの、それと、わかっておるけれども、手持ちであるがまだ未処理のものという、二つの分類に分けて御報告したわけでございます。
○浜田委員 そのようにして出されたのが、直接被害というように分類されて出された資料ですかと、こう聞いておるのだから、そうじゃない、間接被害も含まっておるなら含まっておると、そういうどっちかの答弁をしてくれればいいのだ。答弁になっておらぬ。
○鐘江政府委員 主として直接の被害――どうも先生のおっしゃる、お聞きになった意味がよくわかりませんけれども……。
○浜田委員 わからないことがあるか、こんな見やすい質問をしているのに。この資料は直接被害による資料なんですか。いまの答弁だと、主としてそれだがというと、間接被害も含まれておると、このように理解していいのですか。
○鐘江政府委員 たとえて申し上げますと、この騒音の関係では、未処理件数が三百三十一件とございますが、これは一応防音工事をやってほしいという陳情、苦情等が出ておるわけでございますが、はたしてそこの学校に対して防音工事をやるべきかどうかということをまだ調査をしておらないという段階もございます。したがいまして、先生のいま御質問になりました直接被害であるかどうかということにつきましては、調査した結果、そうたいした騒音の強度、頻度がないという場合には、これは直接の被害ではないというふうに私は考えまして、主としてこの処理したものはもちろん直接被害でございますが、未処理のものの中にはそういった事案もあるということをお答えしたわけでございます。
○浜田委員 そういたしますと、処理済みの分については、直接被害であるから処理しておる。未処理事項については、これから調査せなければわからぬから、直接被害か間接被害かわからない、こういうことだと思いますから、それはそれなりに理解いたします。 そういたしますと、いまさっきも加藤委員のほうから御質問がございましたが、この基地公害、そして一般公害との取り扱いの問題ですが、今日まで周辺整備法によっていろいろ基地公害等も対処してきておるから、こういうのが政府の金科玉条のような答弁。これは本来、軍相手のことについては、問題処理が、この公害だけでなくても、いろいろ困難な場合がしばしばある。それで、そういう意味では、私はそういう政府の答弁には合点がいかないのですがね。 ここで資料にも出ておりますが、異議の申し立てがゼロになっている。これは異議の申し立てをするような内容がないのか、困難性があるのかという点で、過去のいろいろな事例から見て、私は疑問を持っている。たとえば労務管理等の問題についても、国内法でいろいろ監督権、処理する権限が与えられておっても処理できなかった例がたくさんある。そういう点で、異議の申請等は、軍相手の場合に、出してもだめだという国民の考え方があるのではなかろうか。したがって、一般公害として扱ったほうが、国民をそういう基地公害から、これは意見のようになるけれども、擁護できるようにぼくは思う。そういう点、どういうお考えを持っておられますか。
○鐘江政府委員 お配りいたしました公害障害に関する処理一覧表は、先ほど来申し上げておりますように、一応紛争処理法にいうところの騒音等の六公害、それに類似するところの公害につきまして、処理したものは何件でありまして、未処理のものが何件でございますという処理の一覧表をつくって提出いたしましたものでございまして、いま浜田先生の御質問の駐留軍労務者の関係につきましては、この表の中には掲示をいたしておりません。
○浜田委員 ないのは知っておる。例を引いたのであって、そのように国内法で権限を与えられておっても、基地対象の問題、軍対象の問題は処理されなかった問題がたくさんある。したがって、一般国内法で処理するようにすることが、国民を基地公害から少しでも守るためになる法律にならぬか、こういう意見を持っておるのです。これは意見だが、そういう意味で、区別するのは考えものだ、そういうことを言っているのです。それを、労務関係を基地公害として云々、こう言っているわけですが、わからぬかな。まあ、いいわ。 続いて質問しますが、そういう意味で、この異議の申し立てばないのではないか、ないから出ておらぬのではないか、こういうことを言っているのだが、わかったかな。そこで、これを見てみますると、「水質の汚濁に係るもの」と「悪臭等に係るもの」、こうなっているのですが、そうすると、漁業制限はどこに入るのですか。海面制限ですね。
○鶴崎政府委員 この表は、いわゆる公害に類するものについて、各項目別にいままでの実績を表にしたわけでございまして、漁船の操業制限法によって、一定の水域について操業を制限する場合の補償は、いわゆる公害とは性格を異にするものである。要するに、お互いの契約によって話が成立する問題であるというようなことから、この表には入っておりません。
○浜田委員 お互いの契約を結んでいるから基地公害に入っておらぬ、こういうわけですね。それは、契約しておる範囲ならまだしも、私から言えば、それしも異論があるのですよ。それは公害でないというならば、何が基地公害かと言いたくなる。しかし、そういう契約を結ぶ以前の問題でもしばしば紛争が起きる。さらに、基地と海面は、北緯何度、東経何度、きちっとしておる。それに関連してやはり被害が起きている。そういうのはどういう扱いをしておるのか。
○鶴崎政府委員 水域の操業制限につきましては二つの態様がございまして、いわゆる公海上の一定の水域の漁業を制限する場合、それから陸上の施設に付帯して、その周辺の一定の範囲の水域がやはり漁業等の操業が制限される場合、いわゆる地先制限といいますが、この二つの態様があるわけですが、このいずれも、契約処理の態様としましては、あくまでも権利者あるいは自由漁業者との契約によりまして補償契約を締結し、操業をしたならば得られたであろう漁業収益というものを補償するという形でやっております。いわゆる一方的な行為によって障害を与えるたとえば騒音のような、こういうものとは性格も違いますし、処理の態様もおのずから異なっている、このように考えます。
○赤路委員長 浜田君にちょっと申し上げます。関連質問ですし、もう十二分になるから、要領よく、ぴたっと問題点を押えていただきたい。問題が相当多岐にわたれば、あらためて質問をしていただくようにしますから、関連質問は関連質問らしく、かちっとやっていただきたい。
○浜田委員 あらためて質問時間をいただいて質問することにいたしますが、いま部長はそう言うけれども、具体的に言えば数限りなくある。あなたのところは、海面制限をされると面積はきちっときまっておる。ところが、それに関連していろいろな公害が起きてくるわけです。漁業が非常に支障を来たしておるところがたくさんある。さらに想定できるのは、そういう制限で軍の船が出入りするから、区画漁業権の設定等についても、県当局あるいは市当局等が、これは政府に対しても、われわれのほうで取り上げることはぐあいが悪いから、こういう申請は取り下げてもらいたいということをしばしば言う。これが関連して、つぶし合いが起きるのです。当然そういうところに基地がなければ文句ないんですから、一番いいのは。そういうものはどういうように処置するかということになる。これも、みっちり時間をやるからと言われるから、あらためて防衛大臣や山上長官、みんな来てもらって質問することにしますから、よく研究しておいてもらいたい。
○加藤(万)委員 いま鐘江さんが御答弁になったことは、非常に重要なことがあるのですね。いわゆる基地周辺の整備については、公共施設については、ないしは物的条件については、今日他の公害に対してよりも保護条件は非常にいい。しかし人的条件に対する補償――公害補償あるいは公害の処理、これについてはこれから考える、あるいは対策を立てたい、こう言っているわけです。今度はこの法案では、五十条によって、基地公害処理は別の法案でつくるということになっておるわけです。そうなりますと、いま言った基地があることによって起きてくる無過失責任ですね、この問題は、当然次の法律、別の法律の中では処理をされていかなければならない問題なんですよ。これはぜひ記憶にとどめておいていただきたいと思う。次に、別の法案という際には、この問題は当然防衛施設庁のほうでもお考えになるでしょうけれども、同時に、基地から起きる無過失責任に対する善後措置というものは、別の法案で用意をされていかなくちゃならない、こういうことを、逆にいえば裏づけることになるわけですから、しっかりと記憶にとどめて、法案に対処していただきたいと私は思うのです。 そこで、社会党の提案の中にも、本問題が含まれておりますから、一体この基地公害に対する社会党の案の場合には、基地公害紛争処理をどのように扱うのか、この法案の中の御説明をいただきたいと思うのです。
○角屋議員 先ほど来加藤委員の御質疑を通じて、第五十条の政府案に関連する基地公害の問題を、公害紛争処理法案として、この法案の中に含めるか別途措置するかというようなことが、御承知のように議論になっておるわけですが、これは私ども想起いたしますと、一昨年の公害対策基本法の議論をいたしました際に、いわゆる公害の対象になる大気汚染あるいは水質汚濁、騒音その他の公害基本法できめたそういう公害による人的被害、物的被害というふうなものの紛争処理制度については、これは野党の要請によって、特に基本法の中でも修正をして新しい制度を設ける、この議論をした際には、今日第五十条で除外するような考え方というものは、政府からも与党からも何も出ていなかった。したがって、紛争処理制度あるいは救済制度というものを設けるときには、公害基本法で想定をしておる公害による人的被害あるいは物的被害についての紛争あるいは救済については、基地たると、あるいは産業公害、都市公害といわれるものたるとを問わず、いわゆる紛争処理制度の中で本来処理される、こういうことをお互いに考えておったと思うのです。私どもはそういう点で、今度の紛争処理法案を考える場合にも、基地公害というものを特別に取り扱うという考え方をとらなかった。これは基本法制定以来の経緯から見ても、一つはそのことが言えると思うのです。 同時に、たとえばこれは政府、与党内の基地公害を特に除外するということを設けた経緯というものを若干想起しましても、当初総理府なりあるいは厚生省が、紛争なり救済処理の法案を考えました当時は、成案を得るまでにはそのことが議論には出てきていなかったと、私どもは部外的には承知しておるわけです。ところが、最終政府案を取りきめる段階になって、たとえば自民党の国防部会であるとか、あるいは防衛庁であるとか、いろんなところから、基地公害は除外すべきであるという強い要請が出て、相当すったもんだの末、結局除外になったという経緯があるように私ども承知しておるわけです。したがって、最終的には第五十条で除外することになりましたけれども、政府自身も、あるいは各省の成案の段階では、一緒に取り扱おうという気は、一般論として強かったと思う。そういう経緯もこの政府案の中にあったように承知しております。結局、公害紛争処理法案というのは、政府案の場合でも私どもの場合でも、要するに最終的には裁判でもって処理をするという、いわゆる立法、司法、行政の三権分立という考え方は前提に置いておるわけですけれども、しかし、公害の今日までの現状や特殊性から見て、できればやはり行政的に、和解仲介あるいは調停、あるいは政府案でいえば仲裁、わが党案でいえば裁定、こういうことを通じて、できるだけ住民の公害の苦情というものを迅速、適確に、訴訟に訴えない段階において措置しよう、こういうところに紛争処理法案の意味があると思うのです。したがって、私どもの場合でも、裁定という準司法的なそういう制度をとりましたけれども、しかし、これは訴訟への道というものを閉ざしておるわけではない。そういう点で基地公害というものを考えた場合に、先ほど基地の特殊性あるいは紛争処理制度になじまぬという、そういう政府委員の説明というものは、私は十分納得できない。和解仲介にせよ、あるいは調停にせよ、あるいは政府案でいう仲裁にせよ、行政的にそういう基地公害を処理するということは十分可能であるし、特に除外しなければならぬという特別の理由はない。たとえば立ち入り検査というふうなものを実施する場合でも、これは公害の発生源になっておる状態を的確にとらえるということで、立ち入り検査等が行なわれるということになりますけれども、しかし、基地公害の場合には、騒音といえば原因ははっきりしているわけです。あるいはその他の場合でも、特に緻密に立ち入り検査しなければ原因究明ができないということは、多くの場合、基地の段階ではないのではないか。むしろ一般の産業公害の場合に、水俣とかイタイイタイで考えられるように、直接被害でなしに、間接に長期にわたる隠微な侵害によってずっと継続的にきて健康障害を生ずる。そういう原因究明の場合には、やはり工場の内部の実態を十分調査して、因果関係をきわめなければならぬ、こういうことがむしろ産業公害の場合に多い。基地公害の場合には、騒音といえば飛行機だ、振動も飛行機が主である。その他のことももちろん起こると思いますけれども、特に綿密な立ち入り検査その他をやらなければ因果関係が明らかにならないということは、逆に言えば、基地公害の場合には少ない場合が多いのではないかと思います。そういう点で、防衛上の特殊性とかあるいは基地の特殊性とかというのはためにする説明であって、何も紛争処理にあたって和解の仲介、調停、あるいは仲裁――われわれのいう裁定をやる場合に、基地なるがゆえに特に排除しなければならぬということは、紛争処理の過程では多くの場合起こらない。もしそういうことが特に考えられる場合には、そういう処理をする場合にあたって排除すればいいと私どもは思っておるわけです。 したがって、いずれにいたしましても、基本法制定当時の経過、あるいは政府案が基地公害を除いたところの経過というものを踏まえながら、しかも政府自身が御説明になりましたいろいろな問題の御答弁を私ども聞いておりましても、なるほど基地公害というものは特に除かなければならぬという実感は、率直に言ってわいてこない。特に自衛隊の場合といいあるいは米軍の場合といい、御承知のように基地をめぐる公害というものは、日本の国内でも相当起こってきている。これはやはり紛争処理の舞台を通じて処理をするということが、基地の正しいあり方というものをつくり上げるために必要であろうと思います。基地そのものあるいは自衛隊そのもの、米軍の駐留そのものに対する政党の見解は別としても、基地をめぐって起こっている公害紛争というものは、十分公害紛争処理法案の中にはまり込み得るというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○加藤(万)委員 いま社会党案の御説明をいただきましたけれども、私もその見解と全く同一であります。先ほどの御答弁を聞いておりましても、きわめて歯切れが悪い御答弁でして、私どもその面では非常に不満に思います。おそらく人間の尊重、人間の回復を行政の中心とされる厚生省の側では、基地公害を本法案の紛争処理あるいは救済措置から除外されたことは、おそらく不満が多かったのではないかと私は推測するわけです。そういう意味で、厚生省の本問題に対する、紛争処理法案に対する、ないしは事案に対しての、国民の生活環境、生命財産を守る上から、より以上の御奮起を私は要望しておきたいと思います。 そこで、いま一ぺん防衛施設庁に聞きますが、百歩譲りまして、今日の騒音が市民――学童や乳幼児を含めての市民でありますが、これに非常に影響を与えておるということは、この調査報告書でも明らかであります。そこで、騒音防止事業費は、昭和四十四年度、すなわち今年度の予算では幾ら組まれておりますか。
○鶴崎政府委員 昭和四十四年度の防音関係の予算は、学校防音、それから病院の防音その他で、約七十六億になっております。
○加藤(万)委員 その中の教育関係予算は何ぼですか。
○鶴崎政府委員 学校関係の防音工事の予算は、約四十八億になっております。
○加藤(万)委員 先ほど私は、騒音によって一般社会環境にもたいへんな影響がある、こういうことを申し上げました。この報告書は、東京の公害研究所が出されました調査で、横田基地周辺の飛行機の通過台数とか、東西六キロ、東北七・五キロをとりましたその被害状況等が明らかになっております。 そこで、私はそういう一般市民の騒音の問題をさらにいま少しく求心的に詰めていって、学校における問題、児童が騒音によってどういう障害を受けているかということを、先ほど二、三の例を申し上げました。たとえば先ほど申し上げましたように、拝島第二小学校の場合には、いわゆる評価が一、二、三、四、五とありますけれども、その評価の成績の低い1、2という人が高音地域では三二%もいる。音楽の場合あるいは社会の場合には他の地域が二〇%に比べて三〇%もいる。さらに大和市、綾瀬町で調べた男子、女子小中学校の生徒の体位、胸囲は県の平均よりも非常に劣っているという調査等が出ておるわけです。 そこでいま御説明ありました昭和四十四年度における教育関係の騒音防止事業費は四十八億、その四十八億によって、いま申し上げたような調査の実態から児童が抜け出すことができるのでしょうか。たとえば防音装置を施すことによって、いままで学童の知能の低下あるいはクラシック音楽が聞きたいというのが、多少でもパンチのきいたビートルズの音楽を好むような方向に、先ほどの四十八億の防音装置の予算を伴うことによって、上昇することができるのですかどうでしょうか。
○鶴崎政府委員 従来、学校の防音工事につきましては、いろいろな周辺対策の中でも最も力を入れてやってきておるわけでありますが、四十四年度におきましても、いま申し上げたように、約四十八億の予算をもちまして、学校防音工事の推進をはかりたい、このように考えておるわけでございます。 そこで、この防音工事をやった場合の効果はどの程度あがるのかということでございますが、大体教室において授業をする場合に、先生の声が最後列の生徒まで聞こえるというのは七十ホン程度である。これは声の大きい先生もありますし、小さい先生もありますが、平均的には大体七十ホンである。したがって、外部から入ってくる騒音をそれより以下にとどめれば、まず大体聞こえるというようなことで、七十ホン以上を一応防音工事の対象にしております。しかし、お話のありました横田飛行場のごときは――ビートルズにおいては百ホン以上の非常に大きな音があるというようなことですので、いわゆる一級防音工事――木造の建物を鉄筋コンクリートに改築をし、窓、天井、壁等に必要な防音工事を施すという工事をやっておるわけでありまして、これを実施しますと、通常の授業につきましては騒音による障害がなくなる。これはもちろん各工事ごとに、竣工しましたならばその効果を測定しまして、確認をしておるわけでございますが、通常の授業の場合における障害がなくなる。したがって、従来ありましたような教育上の障害もこれによって解消できる、このように考えております。
○加藤(万)委員 確かにそういう状況は起きるわけですけれども、私の質問は、もっと具体的にすればよかったと実はいま思っておるわけですが、防衛施設庁の広報ですか、これに昭和四十三年度の除湿試験工事の結果についてという報告があります。これは横田の光華小学校、小牧の豊山中学校あるいは岩国の愛宕小学校の除湿改造工事、この結果は非常にいい結果だとしておそらく載せておられるのだろうと思うのです。文部省の青江さん、見えておりますね。――これによりますと、たとえばこの除湿工事を行なったことによって起こる不快指数、感覚温度、気温というものが、それぞれ載っておるわけです。除湿工事を行なう前にあった当時の――騒音を遮蔽しますから、防音工事によって密閉をしますから、それによって起きる不快指数であるとか、あるいは気温とかが載っておるわけですね。それから、その後いわゆる除湿工事、温度保持装置等をつけた結果がここに載っておるわけです。たとえば温度でいきますと、防音教室では、防音工事だけでは三十二、三度になりましょうか。ところが除湿教室の場合では二十五度ないし二十六度と、この発表では出ておるわけです。どうでしょう、その結果、いま防音工事によって七十ホンくらいの程度で教室の向こうには聞える。ところが、いま言ったように温度、不快指数を除くと、より学童の環境はよくなるわけですね。その場合に、たとえば温度でいけば二十五度ないし二十六度というのが、学童が勉強するのに一番いい温度、文部省がこのくらいの温度がいいのだという――いろいろなものが重なるでしょうけれども、その基準といいましょうか、その規格についてはどうですか、適合できるでしょうか。
○青江説明員 教室内の環境は、もちろん防音だけでなく、室内の空気、温度、湿度の条件が非常に快適であることが望ましいわけであります。二十五、六度というお話がありましたが、そのくらいであったら、湿度との関係がございますので一がいに言えませんが、湿度が低ければ二十五、六度でも非常に快適ではないか、かように考えております。
○加藤(万)委員 もう一ぺん施設庁に聞きますが、いまの四十八億――せっかく四十三年度に試験結果の発表があったわけですね。もし防音だけでなくして、除湿であるとかあるいは温度処置等を行なえば、各所でやられておる学童に対する調査結果はずいぶん変わると思うんですよ。どうでしょうか、今度の四十八億の予算の中には、これを具体的に各市町村、いわゆる基地周辺の市町村に行なうという、そういう予算関係は含まれているのですか、含まれていないのですか。
○鶴崎政府委員 学校防音工事につきましては、御承知と思いますが、音を遮蔽するというふうなことで、窓をしめ切るわけでございます。そのために、夏季におきましては非常にむし暑くなる。音は遮断できても、そのむし暑さのために非常に授業効果が下がるというような難点があったわけでございます。そこで、四十三年度に、試験的に数校におきまして除湿工事というのを実施したわけでございます。この除湿工事といいますのは、平たく言えば冷房工事ということでございます。その結果が非常に成績がよろしいということでございましたので、四十四年度におきましては、一級防音工事を施行する地域におきまして十一校、金額にしまして約三億二千万円程度の除湿工事を計画いたしております。
○加藤(万)委員 いま一つ。実はこの板付の報告書、これを見ましてもそのことが出ておるわけですね。いわゆる病院の患者が騒音防止によって密閉されます。そうすると、患者にしてみれば、高温のためないしは換気が悪いために不快指数が上がって、われわれの言ういらいらという病気でしょうけれども、それが既成の病気の治療をおくらしているという結果が、この報告書の中にあらわれておるわけです。どうでしょうか、いま学校の問題を聞きましたけれども、病院についても同じ処置を講じられますか。
○鶴崎政府委員 学校と同時に、病院のほうにつきましても、いま申し上げた除湿工事を実施するように計画しております。ただ、病院の場合には、まだ学校ほどの個所について実施する計画にはなっておりませんが、一、二カ所程度については実施したい、このように考えております。
○加藤(万)委員 四十三年度にこの四校をテストケースとしてやられた結果が、おそらく今年度十一校、三億二千万の予算の裏づけになってきたと私は見ているのです。そうしますと、四十四年度では、先ほど鐘江さんのお話にありましたように、公共施設はとにかく優先的にと、こういうことですから、そういう意味では、病院の除湿工事ないしは空気の環流のテストをこの際思い切ってやられる必要があると私は思うのです。いま一、二カ所という話がありましたけれども、一、二カ所はテストケースとしてやられるのですか、それともテストケースの範囲をもう少し拡大して、たとえば気温が東西南北違うわけですから、そういう意味では、基地がある南、北、中というような、そういう位置をもってテストケースでやられるという考えがおありなんですか。
○鶴崎政府委員 病院のほうの除湿工事につきましては、予算の関係もございまして、できれば各大きな地区ごとぐらいに一カ所ずつやりたいと存じますが、全体としてのワクに制約がございますので、ただいま申し上げましたように、せいぜい一、二カ所程度しか四十四年度においては実施できないのではないか、このように考えております。
○加藤(万)委員 先ほど私は、いわゆる基地周辺の場合、物的条件に対しては補償がある、人間的条件についてはなかなかない。その人間的条件と物的条件がちょうど一致するのが実は病院だと思う。もちろん学校はありますよ。ありますけれども、生徒の心理状況という問題はありましょうけれども、一番身近な問題は病院ですね。病人の治療について、たとえば一般公害でいいますと、イタイイタイ病でもそうですが、魚に対しては被害の救済が行なわれます。ところが、イタイイタイ病の治療についてはどうかということになると、いろいろ問題があったところです。したがって、その一番もとになる病院を防衛施設庁がより拡大をされることは、いわば私がきょうずっと前から指摘をしましたその接点を、防衛施設周辺の問題として解決するということになると思う。そういう意味では、四十四年度の財政が許す限りテストケースを行なわれて、少なくとも四十五年度のいわゆる基地周辺の病院の施設については――今回の場合、学校の場合には十一校四十四年度にできるわけですが、病院の場合には対象病院はそんなにないわけです。したがって、その処置をぜひとも講じていただくように、来年度の場合には配慮していただきたい。このことを申し上げておきたいというふうに思うわけです。 次に、これは騒音の問題に著しく関係があるわけですけれども、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、これが前国会ですか成立をいたしました。これはごらんのように、審議の経過にも明らかにありますように、いわゆる民間の航空機騒音に対する問題の紛争処理ないしは公害処理を中心にした法律なのです。実はこの十一条ないし十二条に、騒音処理に対する異議申し立てと、その異議の申し立てに対する処理の条項がそれぞれあります。 この場合、私は二つ問題があると思う。一つは、この民間航空機の騒音に対する障害除去の申請ないしは紛争の処理と今回のこの紛争処理法案との関係、公共用飛行場周辺における航空機騒音の防止等に関する法律の十一条、十二条との関係はどのようになっているのでしょうか。たとえば、ちょっと読んでみますと、損失の補償については、「書面を当該申請書に添えて、これを運輸大臣に送付しなければならない。」とあります。これは十一条です。それを受けて「補償金の額を決定し、遅滞なく、これを都道府県知事を経由して当該申請者に通知しなければならない。」とあります。それから十二条には、「三十日以内に、運輸省令で定める手続に従い、運輸大臣に対して異議を申し出ることができる。」ことになっております。そして「三十日以内にあらためて補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には補償金の額を決定し、これを申出人に通知しなければならない。」となっております。私はいわゆる公害紛争処理法案と運輸省の公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律のことだけを申しましたが、おそらく各省にまたがってこういう法律があるのではないかと推定をされるわけです。したがって、紛争処理の方向が、あるいは公害に対する補償の問題等の申し出が他の法律と重複するような場合には、一体どちらの法律が優先をし、またこの紛争処理法案との関係はどうなるのでしょうかということが第一の問題であります。 それから第二の問題は、これまた基地の問題と関係するわけですが、御承知のように東京国際空港は民間空港です。しかし同時に軍用機の発着が非常に多いわけです。おそらく今日、板付と千歳を除いては、防衛関係の基地を民間航空機が使用しておるのはないわけです。しかし新しい東京国際空港ができますと、これは新聞で見た限りでありますが、米軍の飛行機の乗り入れもある程度やむを得ないというような発表があったかに伺っておるわけであります。こうなってきますと、その騒音というものは区分けがつかないわけです。たとえばテレビの受信等について基地周辺ではたいへん問題になっております。羽田周辺ではテレビ受信についてはたいへん問題になるわけですね。こういう一つの飛行場を民間と軍用と両方で使う場合に紛争が起きた場合には、先ほど法律のたてまえからいえば云々ということでありましたけれども、別建ての法律でいくのか、それともこの公害紛争処理でいくのかという二つの問題が実はあるわけですが、これについての御見解を、これは公害部長からお聞きいたしましょうか。
○橋口政府委員 最初の御質問は、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の第十条以下の御質問だと思いますが、この法律の規定によりまして、第十一条で損失補償の申請をいたしまして、これに対して運輸大臣が決定をいたすわけでございます。その決定に対する異議の申し出、その決定に対して争いがある場合には、これは第十五条に規定がございますが、第十二条による異議の申し出及び第十四条の増額請求の訴え、この二つによってのみ争うことができることになっておるわけでございます。こういう規定は、防衛施設周辺整備法にも同じような規定がございます。御質問の点は、公害紛争処理法の紛争処理とこれとの関係であろうと思いますが、理論上は累積的に適用があるというふうに考えております。ただ現実問題としましては、運輸大臣に対して損失補償の申請をし、それに対して決定がある。それについて増額の場合は請求の訴えをして、それで十五条の措置で切れるわけでございます。したがいまして、理屈の上では、ただいま申し上げましたように、この規定による損失補償の申請のほか、紛争処理法によって調停等の申請が理論的にはできるというふうに考えます。ただ実際問題としては、この規定によって十分満足し得るような措置が講ぜられる。したがって実質的には紛争処理法の処理の対象にはならないのじゃないかというふうに考えております。
○加藤(万)委員 実質的な処理にならないから聞いておるのですよ。この法案ができるときに一番問題になりましたのは、騒音指定地域を何ホンまでとるかが問題になった。基地周辺整備法では、転移表面というのですか、滑走路から二キロ、一キロをとっておりますね。それではいけない。たとえば騒音は、発進するときもそうだろうし、発進して上空に急上昇する場合のホンのほうが高いという場合がある。その場合にはそのキロ数に入らない。いわばそのキロ数をこえた範囲で次の高音が発せられる。その場合にはその周囲も対象地域にすべきではないか。あるいは伊丹の場合には、これは民間空港ですが、飛行機の発進、旋回というのですか、あるいは飛行場から飛び立つときの回り方といいましょうか、それがそのときの風向きによって違うわけです。したがって、ある一定の距離で上昇していきますけれども、ときには風向きによっては非常に広範囲に出てくる等々の場合があって、いわゆるどの地点を押えて騒音地域とするか等々のことが非常に問題になっておるわけです。地点の設定がむずかしいわけです。現実には、たとえばテレビの受信がおれのところは非常に悪い。むしろ直線のところは時間が短いからいいけれども、おれのところは旋回関係があるので、テレビに影響する時間が長い等々があって、具体的な処理にはならないわけです。テレビの受信についてはNHKと防衛庁の間で今日お話し合いなさっておりますけれども、NHKの側は被害者だと言っておる。NHKは異常な電波を送っておるわけじゃありません、防衛施設庁のほうがかってに飛行機を飛ばしますから、それによって私どもの電波が乱れるのであって、本来その責任は防衛施設庁が負うべきであると言っておるわけです。ところが被害者の立場からいけば、テレビが見えないのは被害者である。米軍であろうがあるいはNHKであろうが、一定のこの地域は免除します、この地域は二分の一の聴視料を取ります等々がありますよ。しかしそれが先ほど言いましたように、時によっては変わるものですから、紛争の状態になって、事実上の解決が行なわれていないわけです。これはテレビの受信の問題を取り上げてみましたけれども、あるいは騒音の問題を取り上げてみましたけれども、そういう場合に一体、運輸大臣によってたとえば損害の補償をいたしますね、あるいは運輸大臣が、テレビの受信の場合にはNHKと話し合いをして、ある一定の距離はいたしましょう、それから先はどうするんだという問題が紛争処理条件になった場合には、この紛争処理法案のほうに移行されて、そこで問題が処理できるようになるのですかどうですか。
○橋口政府委員 法律第九条の規定によりますと、飛行機の離着陸によりまして事業の経営上損失をこうむった場合の損失補償の規定でございますが、先生が御指摘になりましたような一般的な騒音、騒音によってうるさくて眠れないとか、したがってそれによって飛行機の飛ぶ時間を深夜はやめてくれとか、あるいは高度を変更してくれとか、スピードを変えてくれ、そういうような紛争も当然あり得るわけでございます。そういうものについては、先ほどちょっと申し上げましたように、公害紛争の処理の対象に当然なる、こういうふうに考えております。
○加藤(万)委員 これも一つの例で、いま公共用飛行場を取り上げたわけですが、その場合に、たとえば東京空港のように軍用機と民間機とが併用されている場合は、いわゆる民間飛行場として扱い、先ほどの防衛施設等にかかわるという別の法律建てにはならないわけですね。基地周辺あるいは防衛施設の周辺については別の法律をつくる、それによって紛争の処理条件は別な法律で行なう、先ほどこう言いましたけれども、主として民間の飛行機が中心になっている場合には、それはならないわけですね、たとえそれが軍用機による騒音被害であっても。これはどうでしょう。
○橋口政府委員 お尋ねの点は、民間機と自衛隊機の共用の場合どういう法律が適用になるかということだろうと思いますが、共用の場合につきましては、防衛施設周辺整備法第十五条の規定がございまして、自衛隊機以外の航空機が離着陸する場合につきましても、これは防衛施設として取り扱うという規定がございます。したがいまして、いまおあげになりました民間機と自衛隊機が共用の場合の飛行場の取り扱いにつきましては、防衛施設周辺整備法第十五条の適用があるというふうに考えております。
○加藤(万)委員 それはおかしいですよ。それはたいへんおかしいです。私は当初断わったでしょう。自衛隊や米軍が持っている飛行場を民間が使う場合にも問題がある。これはあとで言いますけれども、しかし民間が本来使用しているものを自衛隊軍用機が使った場合にも、防衛施設周辺整備法が適用されるんだというなら、これはどこまでいくのだかわかりませんよ。公害紛争処理法案が適用される、たとえば騒音について、飛行場周辺については適用されるものはなくなっちゃうじゃないですか。
○鐘江政府委員 ただいま先生の御質問の、民間と自衛隊等の飛行機が共用している場合の質問かと解釈いたしますが、いま自衛隊の施設、これを民間が共用しておる施設は帯広、仙台、新潟、名古屋、八尾、熊本、大村、以上の七つの飛行場がございますが、これはいずれも防衛施設でございまして、これは公害紛争処理法でいうところの五十条の防衛施設でございます。したがいまして、これらの施設を民間航空機が共用しておる場合、そういう場合に一々これを区別するということは、非常にその処理が複雑かつ煩瑣になるものですから、従来から防衛施設に離着陸するこれらの民間機につきましては、自衛隊機等とみなして処理いたしております。したがいまして、先ほど御質問のありました羽田あるいは伊丹、これらにつきましては、防衛施設ではございませんので、これは別個の扱いというふうに解釈しております。
○加藤(万)委員 官房のほうもいいですか。――そうしますと、当然そこに起きてくる騒音による紛争ですね。先ほどの運輸大臣で済めばいいですよ。ところがいろいろの条件によって、運輸大臣でなくて、紛争処理として提起をされた場合に、これは紛争処理委員会の問題として、この防衛施設周辺、航空機騒音の障害の法律から公害紛争処理法案のほうに、問題としては提起し、移行できるわけですね。
○鐘江政府委員 羽田と伊丹につきましては、先ほど申し上げましたとおり、防衛施設ではございませんので、通常の紛争処理手続が適用されまして、設置者であるところの運輸大臣がこの処理に当たるというふうに解釈いたします。
○加藤(万)委員 それで明らかになりました。実は私は率直に申し上げて、その辺もごまかされるのじゃないかと思っておったのです。先ほどいみじくも御答弁が違いましたけれども、おそらくそういう考えがあったのじゃないかと思うのですね。いわゆる防衛施設というものは、国内のあらゆる分野に、たとえば民間と併用される場合にそれが拡大をされて、それ自身が基地周辺整備法の問題であるから、本公害問題とは切り離して別な法律になっていく、そういうような一つの例として、いま飛行場の問題を取り上げてみましたけれども、どうも起きる可能性があるわけです。あるいは実際の問題といたしましても、民間航空機と軍用機との区分けを、被害者の立場でいまの場合は見ることもできないわけですね、飛んでおる飛行機が軍用機であるか民間機であるかという区分けが。先ほどテレビの問題を言いましたけれども、あるいは乳牛ですね、牛のお乳が騒音によって非常に少量になった。そういうあれも区分けすることはできないわけです。私はこの一つを見ても、いわゆる基地公害というもの、これは民間航空機の飛行場であるということが前提になれば、それは公害紛争処理の問題です、こう防衛庁が言われましたから解決はしましたようなものの、そういう、どちらが従であるか主であるかということがややわからないような条件が幾つか私はあると思うのです。その場合に、先ほど同僚の議員が関連質問しましたように、たとえば公海上の操業の問題ですね。海上の操業の問題と基地の関係、そういうきわめて基地と因果関係を持ち、あるいは基地は直接の被害関係はないにしても、それによってくる無過失責任という問題等がどうしても起きてくる可能性があると思う。したがって、私はさらに言うようでありますけれども、基地公害というものを本法案からはずすことは、国民の生活の環境を維持する、ないしはそれを守るという立場からいっても、きわめて遺憾な条件を起こすのじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。 それじゃ、最後にいま一点質問をさせていただきます。 これは地方行政委員会でしばしば問題になっておることでありますが、いわゆる基地に住む米軍の軍人、軍属及びその家族の税金の問題、基地があることによって、地方自治体、たとえば私の周辺ですと大和市ですが、この場合には基地があることによって国が補償している面が幾つかあるわけです。ところが大和市に住む約五千人の軍人、軍属、家族、おおむね千二百世帯でありますけれども、大和市の人口の比率からいきますと、約八%、これらの人の市民生活における財政負担というのは、地方自治体で全部負っているわけですよ。基地交付税は基地の建物、物件に対する交付として行なわれております。あるいは地方交付税、これは一般的な、各市町村に与えている地方交付税、それから特別交付税がありますね。特別交付税も、基地があることによって起きている地方自治体への交付税です。ところが基地にある軍人、軍属、家族に対する一般市民生活、たとえばし尿処理であるとか、あるいは消防であるとか、あるいはその他もろもろの条件がありますけれども、それに対して国が財政的に援助をしているという面は、率直にいってないわけですね。これはしばしば地方行政委員会でも問題になりました、いわゆる市町村における人頭割りの所得課税、こういうものが市町村ではないので、本来この責任はどこにあるのだろうかということが問題になっているわけです。私ども地方自治体を見てみますと、基地周辺整備法によって、公共施設その他については、それぞれ補償ないしは交付金、補助金等が出ているわけですが、一体この市民生活における人頭割り税に匹敵するものは今日の財政の中ではどこから支出をされ、どういう補てん状況になっているのでしょうか。これは地方自治体ですから、自治省の横手さんにお聞きしておきたいと思います。
○横手説明員 基地の市町村の財政需要に対しましては、いまお話しのとおりでございますが、特に一般的な市民生活の関連で、財政需要が増高します面に対しましては、現在特別交付税で措置するというような仕組みになっています。
○加藤(万)委員 特別交付税は、いわゆる人頭割り税に匹敵するのですか、これは税法上からいって。
○横手説明員 人頭割り税と見合いのものではございません。ただ特別交付税の算定にあたりまして、米国軍人の数等も参酌しながら配分を行なっております。
○加藤(万)委員 その地域に住むことによって負担をする、いわゆる負担分任の制度ですね。これが人頭割りでしょう。特別交付税は、基地があることによって起きる地方自治体の特別交付でしょう。私は違うと思うのですよ、性格が、質が。たとえば米国の軍人、軍属のし尿処理についても、あるいは消防についても、一切が、本来ならば負担分任制度の中から徴収さるべき税金によってまかなわれるべき性質のものです。 私は先ほど何回も言いましたけれども、基地があることによって環境の整備が悪い、あるいはいろいろな状況が起きる。それに対しては特別交付税は交付されません。そういうことと、市民生活の中における、たとえば一つの極端な例ですけれども、消防に対して、火事が起きた場合に、米軍の家族だから別にそれを燃やしっぱなしでおっていいというわけにはいかないでしょう。そういうものに対する税の交付というものは、直接にはないわけでしょう。どうですか。
○横手説明員 現行の地方税の仕組みからいきますと、先生のおっしゃられるようなものはございません。ただお話にもありましたように、一般的に財政需要の増高という面が見られるわけでございます。これをほうっておくわけにはまいらないという面がございますので、一部そうした措置をしておる、こう申し上げておるのでございます。
○加藤(万)委員 財政需要の不均衡を是正するというのは、基地周辺整備にもありますし、ほかに地方交付税にもありますし、特別交付税にもありますよ、確かに。しかし、私が申し上げているのは、その地に住む住民として、当然負担をしなければならない人頭割りの、いわゆる負担分任の制度を一体どうお考えなのか。いまお話がありましたように、それに匹敵するものはないのです。私は広義の地方自治体に対する公害だと思うのです。広い意味でいえば基地公害だと思うのです。いまこの問題をめぐって、政府を相手に訴訟を起こそうという動きがありますね。地方財政法十二条その他の関係を中心にして、政府を相手にして訴訟を起こそう。もし訴訟が起きた場合、たとえばこういうような場合に、紛争処理法案には提起をされるものでしょうか。
○横手説明員 おそらく先生のおっしゃられました訟訴の関係は、超過負担の問題に関連してだと思います。これは現在御提案申し上げております今回のこの法案の対象外になってまいります。地方財政法の規定によりまして処理される、こういう仕組みになっております。
○加藤(万)委員 超過負担の問題は地方交付税の問題なんですよ。調布の市長さんなんかが提起をしておりますけれども、これは地方交付税ないしは国が本来行なうべき学校の設備その他に対して、その単価がきわめて安いということを中心にした訴訟、そうしたことではなしに、本来基地周辺の都市に住む米国の軍人、軍属、家族が負担をすべき負担分任制度、それがない。それに対しては日米行政協定なり、あるいは安保条約の関係で国がそれを免除しているわけですから、本来国が負担すべきではないか、国の負担分は、先ほど言ったように、いわゆる特別交付税で見ておりますと言うけれども、私の質問に対してあなたがお答えになりましたように、人頭割りに匹敵したものが実はないわけです。自治大臣は、そういうものも実は一部に含まれておるのでありますと言っておるけれども、本来それは税制のたてまえからいってもおかしいですよ。それは当然、基地周辺の自治体としては、そこに住んでいる米国の軍人、軍属、家族の所得に対して人頭割りを行なう、たとえば大和の例でいけば、これは米軍の給与所得がどのくらいあるかということは知ることができませんから推定ですが、一億円くらいあるだろう。かりに大和市民の平均的な所得に直しても、五千人の家族、それから千二百世帯を、市民一人当たりの平均を基礎にしても、二千六百五十万円くらいのものが、いわゆる大和市の市民税として入ってくる性格のものであろう。これが入らないということによる地方自治体の負担、そういうものがやはり地方自治体対国との紛争になるでしょう。あるいは直接的にいえば、駐留軍の軍人、軍属、家族に対しての直接的な要求になるかもしれません。これは基地の周辺に起きてくる、いわば自治体の被害です。公害ということばはどうかわかりませんが、被害ですね。したがって、そういうものをこの際、政府を相手にして訴訟をやってみようじゃないかという動きも一部にはあるわけです。これは先ほどわが党の提出者が言いましたように、公害問題を訴訟で争うというよりも、むしろ調停なり、あるいは委員会等で、実情調査の上で適切な処理をするのが正しい本来のあるべき姿ではないかという御答弁がありましたけれども、そういうたてまえから見ても、そういう事案は、この公害紛争処理法案の中の紛争処理の条件の中に入って審議をされるべき対象の課題であろうかどうかということを私は聞いているのです、どうでしょうか。
○横手説明員 結論のほうから申し上げますと、対象にはなるまいと思います。 なお、先生のいまのお話からいたしますと、地方団体の負担につきまして、もっぱら収入の面から申しておりますが、裏を返せば、財政需要の面からこれを見るということもできると思います。財政需要の面から見ますと、そうした軍人、軍属がおりますことによりまして、関係市町村では財政需要が減る一方、収入はそれに見合って入ってくる、こういうことになってまいりますので、その財政需要に対しましていかなる財源措置を講ずるかということの問題になってまいろうかと思います。現在、それに対して地方税をもって充てるということが、いろいろの問題がございまして、現行の仕組みになっておることは御承知のとおりでございますが、これにかわるものとして、いわゆる事業によりましては、地方債とかあるいは一般的な財源である地方交付税、あるいは特別な財政需要に対しては特別交付税でもって措置するということが行なわれております。もちろん、現在の措置だけで十分であるかどうかにつきましては、非常な御議論、御批判があろうかと存じますが、こうした市町村に対する財政措置につきまして、今後とも、十分な仕事ができるように、私どもも考えていきたい、かように考えております。
○加藤(万)委員 ことばを返すようですが、米軍の軍人家族のしりぬぐいを地方債でやったらたまらぬですよ、地方市民が借金を背負うのですから。基地があることによって、住んでいるアメリカの軍人軍属のしりぬぐいを地方市民が借金という形でしりぬぐいするのですよ。こんなばかなことが考えられてたまったもんじゃないです。地方交付税にいたしましても、私はあまり専門家じゃございませんけれども、一般的に地方交付税には基準がありますね。その基準によって、それぞれ地方自治体には交付税がなされているわけでしょう。私は、それから飛び離れてあるとは思わないのですよ。あるとすれば、特別交付税ですね。いわゆる基地があることによって補てんされなければならない特別交付税であると私は思うのです。あるいは基地周辺整備法に基づく財政援助でしょうね。しかし、それとても、一般市民生活に与える損害を補償するにはとても足りないわけですよ。そういう意味で、私は、この人頭割りの問題、いわゆる負担分任の問題というものをもっと自治省ではシビアーにお考えになる必要があろうかと思うのです。 これは、今度は防衛庁にあるいは政府側にお聞きするわけですけれども、いま私は幾つか実は基地公害と市民生活、あるいは基地公害と生活環境、あるいは基地公害と健康保持の問題等を並べて例証してみました。いずれをとってみても、いわゆる基地から起きる公害というものが、基地公害だけを別個に離して法律体系としてつくることが困難だという事実以外にはないのです。もし内閣官房が言われるように、別途の法律をつくらんとすれば、それこそその分野まで見た法律というものを特別法でつくらなければいけない。それが結果的には、この公害紛争処理法案の中に含まれるべき性格の法案しかないと思うのです、かりに、別個に特別法をつくったにしても。もし当初に御説明がありましたように、それは国家損害賠償法の中に入れますとか、あるいは民法の中に入れますとか、あるいは基地周辺整備法の中に入れますという形をとれば、これはまさにばらばらな形で、私が幾つか基地から起きる公害あるいは無過失責任の問題、それから起きる次の段階の公害を処理するには、適当な法案の体系にはなっていかない。したがって、私は、何としても基地の公害というものを、この際、この公害紛争処理法案の中に含めて、この問題の取り扱いを行なうべきである。これ以外には、どう見ても、これは基地の存在の是非、あるいはイデオロギーの是非を除いても、それ以外には方法が見つからない。どうでしょうか。きょうは大臣が見えませんから、厚生政務次官に、いまの私が幾つか申し上げた列挙の中から見て、基地公害というものを、次の法案を用意されるといいますが、一体、その次の法案等はそういうものが包含できるようなものになるんでしょうか、それとも、そうではなくて、単に、何といいましょうか、基地周辺整備法であるとか、あるいは特損法であるとか、あるいは国家賠償法の中でこの問題の始末をつけようとされて、それが別個の法案といわれるのですか、その辺をもう一ぺんお聞きしておきたいと思います。
○粟山政府委員 基地公害にかかわる健康の被害、こういう問題になりますと、わが省は、これは基地であるから別個である、そういうふうには考えられない、そう思います。まあ救済制度の関係ということになりますと、これは御審議をお願いしておる救済に関する特別措置法、あの中でははずされておりませんから、問題は入る仕組みにはなっております。ただ、いまの問題は、基地の騒音ということがおもになっていますから、それで先ほどからいろいろと問題が提起なされ、政府委員側のお答えなどがあるようでございますが、いまの健康被害の救済に関する特別措置法案では入る仕組みである、かように考えております。
○加藤(万)委員 まあきわめて歯切れの悪い答弁で、率直に言って歓迎をしません。ぜひこの問題は閣議の中でも、大臣から、基地公害というものと一般社会環境、文化的な環境というもの、あるいは人間の生命財産というものは密接不可分の関係にあるということをとくと御理解をいただいて、基地公害処理に対する適切な施策をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○赤路委員長 防衛庁のほうに委員長からちょっと一つだけ御質問申し上げますが、先ほど加藤委員が質問の中で述べておられました騒音公害についての中間報告ですね、これは、防衛庁のほうから九州大学のほうへ調査を委託しておったように思うのですが、これは中間報告で、もうそれでいいのか、それとも、あと継続してこの騒音公害についての基地調査をおやりになるのか、そこのところはどうですか。
○鶴崎政府委員 九大のほうで実施してきましたこの人身影響調査の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、九大の都合で中止という形になりましたけれども、仄聞するところによりますと、九大においては、せっかくこれまでやってきた研究であるし、ぜひこれは今後も継続して何とか完結を見たい、こういう希望を持っておるようです。ただし、従来のように、防衛施設庁のほうからの委託という形ではやらない、独自の立場でやる、こういうお話のようです。したがいまして、今後も継続して、一応成果があがるものと、私どもとしては期待をしておる状態です。
○角屋議員 先ほどの加藤委員の質問に関連して、厚生政務次官から御答弁があったのですけれども、私は、別に厚生政務次官の御答弁のあげ足をとるつもりではございませんが、ただ、法案上、政府の救済法案では、いわゆる大気汚染、水質汚濁ということによる健康被害についての救済措置を講ずるというのが第一条の目的に明らかであって、加藤委員の御指摘の基地公害等の騒音に対する救済の問題は、少なくとも政府の現行法案の中には含まれていない、こういうふうに見るべきだ。ただ、厚生省が、やはり人間の生命、健康を至上命令として尊重する立場から、本来はそうあるべきだという形で御答弁あったものと私は判断したので、法理上はそこまで政府案は含まれていない、ごく限定したものについてこの救済法案がなっているというところに基本的に私は問題があると思います。われわれのほうからも救済立法を提出しておりますので、少しく触れておきたいと思います。
○島本委員 議事進行について。 午後引き続いて行なわれる質問の順番が私であります。文部関係並びにその他の関係について、私も政府委員の出席を要求しておりませんでした。しかしいま加藤委員並びに委員長からの質問によりまして、またここに重大な事実が出てまいりましたので、引き続いてこの方面にも言及しますので、きょう出た委員の人、あわせて全員今後出てもらいたい、委員長から適宜の措置を取り計らわれんことの動議を提出いたします。
○赤路委員長 さように連絡をいたします。 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後二時に再開することとし、暫時休憩をいたします。 午後零時四十一分休憩 ――――――――――――― 午後二時八分開議
○赤路委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。島本虎三君。
○島本委員 きょうは前回に引き続きまして、公害紛争処理法案の内容等について伺いたい、こういうふうに思っておりますが、その前に、前々回資料の提出の要求をしておきました「防衛施設の運用に伴い生ずる障害(公害又は公害に類似するもの)」、これはもう過去十年間の統計も、以上の統計もほしかったのでありますけれども、特に昭和三十五年以降のものをお願いしたわけでありますが、その出てまいりましたこのデータだけでは簡単にわかりません。特に公害紛争処理法案の中で、防衛施設に関するいわゆる基地公害と思われるものについては、あるいは防衛施設周辺の整備に関する法律その他の法律にこれをゆだねてあるのでありまして、基本的にそれが国民に対してどのような影響を与えるかは、まことに重要な問題をはらんでおるのであります。この点は明確にしなければなりません。私は、その点で少し時間を要しますけれども、この資料に基づいて具体的に伺いたい、こういうふうに思っている次第であります。 先般要求した資料について、紙きれ一枚では、私のようなばかな頭には理解しがたいのであります。これ以上の説明資料がないのか、あるならば、この際はっきり口頭をもってこの場所で説明してもらいたいと思います。
○鐘江政府委員 それでは、お手元の防衛施設の運用に伴い生ずる障害の処理一覧表につきまして御説明いたしたいと思います。これは昭和三十五年から四十三年度までの分でございまして、防衛施設庁本庁で作成時にわかっておる範囲でまとめたものでございます。 まず、騒音にかかわるものといたしまして、補助金関係で処理済み六百三十一件、未処理三百三十一件とございますが、この内訳を申し上げますと、処理済みの六百三十一件のうち、学校防音関係につきましては五百四十四件、病院の防音工事につきましては三十二件、それから保育所等の防音関係につきましては十八件、診療所の防音関係につきましては六件、学習等共用施設の設置が二十八件、老人ホーム等の設置が三件、以上六百三十一件でございます。これはすでに先生も御承知であると思いますが、学校防音工事等につきましては、単年度で処理できない事案もございますが、ここで処理済みという件数にあげましたのは、すでに手をつけたもの、すなわち三年計画でやるということでも、四十三年度に三分の一やったという学校につきましては、この処理済みの件数にあげております。そういうことでございますので、以下……(島本委員「合計何ぼですか。」と呼ぶ)六百三十一件でございます。最初に申し上げましたとおり、補助金関係で合計が六百三十一件処理済み、これは手をつけたものをすべて処理件数にあげております。それから同じく補助金関係で未処理のものは、学校防音関係が百六十八件、病院の防音関係が十五件、保育所等の防音関係が二十七件、診療所の防音工事関係が六件、学習等共同施設が五十八件、その他四十七件、合計三百三十一件に相なっております。そこで、このその他の四十七件のおもなものは、関係市町村の庁舎に防音工事をやってもらいたいという陳情、要望、あるいは市民体育館に防音工事をしてくれあるいは集会施設について防音工事を施してくれというようないろいろな要望事案がその内容になっております。 次は、補償の関係でございますが、処理済みが三件、未処理が四件ということに相なっております。この処理済みの三件と申します内容は、島松演習場周辺におけるところの乳牛の搾乳量の低下に伴うところの補償金、これを払ってもらいたいという問題、そういうことで三件処理しております。その他未処理につきましては、三沢の対地射爆撃場あるいは横田の飛行場等の飛行場周辺におけるところの同じく乳牛の搾乳量が減少した、この問題について補償してほしいという陳情を受けておりまして、これは現在検討中でございます。 それから、同じく騒音にかかわる見舞金でございますが、これは三沢の対地射爆難場周辺におけるところのジェット機の騒音による魚群の逃避に伴う漁獲量の減少被害等でございまして、これは特別損失補償法の見舞金として七件を処理いたしております。未処理の案件につきましては、小松の飛行場の防音畜舎の建設または畜舎の移転の費用、こういったものを補償してくれという事案ほか、三沢で魚群の逃避に伴うところの補償金、見舞金、これをぜひ支払ってほしいという事案がございまして、これは現在検討中でございます。 それから、次は、騒音関係で賠償金を支払いましたものが一件ございます。これは三沢飛行場におけるところのジェット機の爆音によって馬車の馬がはねまして、それによって人が傷害を受けた、それの賠償金を一件払っております。 それから同じく騒音にかかわるもので、移転等補償につきましてすでに十八件の処理をいたしておりますが、これは行政措置ないしは整備法によりまして、飛行場周辺の民家の移転あるいは敷地の買収、農地の買収、こういったものを処理いたしまして、それが十八件ございます。同様の申請が、鹿屋の飛行場あるいは芦屋の対地射爆撃場等で四件ございまして、これは現在検討中ということでございます。それから未処理の五件のうち同じく――民家の移転ではございませんが、千歳基地の周辺における末広小学校と青葉中学校がございます。これは滑走路の直下約二千メートルの付近にある学校でございまして、非常に騒音が激しいし、危険感もあるということで、ぜひこの学校の移転をしたいという陳情を受けておりまして、これは現在検討中でございますが、明年度あたり、四十五年度の予算要求におきまして計上するかどうかについて、現在検討中ということでございます。したがいまして、移転等補償につきましては、処理済みが十八件、未処理が五件ということに相なっております。 それから、その他の事項で、処理済み十二件、未処理件数七件、こういうことに相なっておりますが、この内容を申し上げますと、芦屋基地の騒音にかかわる飛行経路の変更、ともかく民家の密集地帯を通ってうるさい、あるいはあぶないということから、陳情等を受けまして、飛行の経路を変えるとか、そういう経路の変更を行なった事案がございます。これが自衛隊関係では浜松飛行場ほか七件、それから米軍関係におきましては、横田の周辺における騒音の緩和ということで、同じく騒音の規制あるいは経路の変更、そういったことを措置しまして、これが米軍関係では五件ございます。騒音の緩和の規制措置で未処理の問題が一件手持ちでございますが、これは赤坂プレスセンターでヘリコプターが離発着いたしますので、東京大学から、これをぜひどこかへ移設してもらいたいという要望がございまして、現在この移転先につきまして検討中ということでございます。それから、非常に騒音がうるさくて電話がよく聞けない、電話料の減免をしてくれという陳情が横田基地ほか五カ所の飛行場等から持ち込まれております。これは現在六件ございますが、検討中ということで、未処理にあがっております。以上申し上げました件数を総計いたしますと、処理件数が六百七十二件、それから未処理件数が三百四十九件、かように相なります。 それから次は水質の汚濁にかかわる問題でございますが、まず補助金関係から申しますと、処理件数が四十件、未処理件数が同じく四十件ございます。 内容を申し上げますと、演習場等が荒れて周辺の河川が濁った、あるいは場合によっては井戸水まで濁るというような問題に発展いたしまして、そのために水道施設を設置してくれという要望、陳情がございました。それに対しまして処理済みが十四件、現在未処理の案件が十一件ございます。それから、同じく演習場の周辺等で、河川が濁るあるいは海岸が使えないということで、プールを設置してもらいたいという要望がございました。それに対しましてすでに補助金で設置いたしましたのが十三件、それから未処理件数が二十一件、こういうことに相なっております。それから饗庭野の演習場に関するところの漁業用施設の設置その他一件が未処理としまして二件計上いたしております。それから千歳基地に関するところの汚水排水施設設置等の要望がございまして、このうち処理したものが十三件、未処理が六件、かように相なっております。 それから次は補償関係でございますが、処理済みが八件の未処理がゼロ。この八件の内容を申しますと、三沢飛行場におけるところの水稲等の被害、こういった問題が三沢飛行場外七件に生じまして、これに対する補償を特損補償によって処理済みでございます。 それから次は見舞い金でございますが、岩国飛行場において水が濁りまして、飛行場から流れ出た水によってノリに被害があった、これに対する補償をしてくれということで、見舞い金としまして二件払っております。 それから損害賠償といたしましては、横田の飛行場で油送管の施設の管理が不十分であったために周辺の井戸水が汚染されたということで、賠償金を一件払っております。それから神奈川県の小柴の貯油施設におけるところのノリ等の漁業被害、こういったものも発生いたしまして、これに対して賠償金で処理した、これが七件ございます。 それから、その他といたしまして、入間基地内で排水の施設が悪いために――これはすべて自衛隊の施設でございますが、浄化貯留槽を新たに設置いたしまして、施設の改善を行なって、そういう障害の防止措置を講じたということでございます。 以上の件数を合計いたしますと、処理済みが六十二件、未処理が四十件ございます。 さらにその次に異議の申し立てという事案がございますが、これは三沢基地の周辺におけるところの稲の減収補償、これの陳情、そういったものを受けまして、一たん特損補償によって補償いたしましたが、その額に不服があって異議の申し立てがありました。しかし再度話し合いの上、島松演習場におけるところの水稲の減収補償以外は、当初当庁できめました補償金で納得してもらいましたし、島松につきましては、昭和三十四年度末に被害者からの陳情を受けまして、増額によって処理いたしております。したがいまして、これは異議の申し立てが五件ありましたが、五件とも処理済みということでございまして、水質の汚濁にかかわるものは合計処理済みが六十七件、未処理件数が四十件ということに相なります。 それから悪臭等にかかわるもの、これは三沢飛行場に関するところのごみ処理施設の設置という要望の事案がございまして、一件は処理しましたが、他の一件、江田島の術科学校周辺におけるそういう陳情についてはまだ未処理でございます。 それから次の損害賠償でございますが、三沢飛行場周辺における塩素ガス等によるところの農作物の被害、これは損害賠償金を払っております。それからグラントハイツにかかるところの汚水の処理の施設が不十分であるので周辺が非常に悪臭で困っておるということで、これは米軍と折衝いたしました結果、米軍のほうで施設の改善を行なっておりまして、どうやらこの問題も処理されておるということでございます。それから大宮駐とん地のじんあい焼却場の改善等につきまして地元から陳情がございましたが、これらの施設につきましては、自衛隊みずから施設の改善を行ないまして問題を解決したということでございます。 それから振動にかかわるものにつきましては賠償で六件ございますが、これは千歳基地周辺におけるところのジェット機の衝撃波によるところの放牧馬等の損害でございまして、千歳以外に板付、厚木、横田等の基地がございますが、これは賠償金で六件処理しております。 それから補助金といたしましては日出生台演習場の出入路の戦車その他の重車両が通行する際に振動を生じまして、家屋の屋根がわらがずれるということで、これは道路を舗装するということで補助金で処理してほしいということで、現在これは検討中でございます。 それから見舞い金といたしましては、三沢飛行場の射爆場周辺におけるところのジェット機の衝撃波による窓ガラスが割れたという問題、これにつきまして見舞い金で処理しております。 それから地盤沈下にかかわるものでございますが、これは輪島のレーダーサイトの出入路の設置のため、地すべりが頻発いたしまして農家や農地を損壊したということで、これも善後措置としまして、地すべりの防止工事の補助金を交付しております。それによって処理しております。それから同じくその農家等に地すべりによって損害が起きましたので、特損法によりまして見舞い金を支給して、これも処理済みということでございます。 それから、テレビジョンの受信障害にかかわるものといたしましては、横田の飛行場ほか八件の飛行場の周辺でテレビジョンの受信料の減免区域の拡大という要望がございまして、これは目下NHKと協議中ということで未処理でございます。ただ当初要望が出ましたところの周辺におけるテレビ受信料の減免、これは千歳飛行場ほか二十カ所の飛行場周辺でそういった陳情を受けましたが、それは一キロ、二キロの長さにおいてテレビの受信料を減免するということで、その部分につきましては、昭和三十九年の四月に一応解決しておりますが、さらに区域を拡大してくれという陳情、これがまだ未処理であるということであります。 最後に、土ぼこりにかかわるもの、これは北海道演習場におけるタンク等の通行に伴いまして、農作物に土ぼこりがかぶって被害があるから何とかしてくれという陳情、要望がございまして、これにつきましては、道路の舗装を行なうことによって処理済みでございます。それから未処理の案件といたしましては、六カ所の対空射撃場におけるところの井戸水が土ぼこりによって汚染されるので水道を設置してくれという地元からの陳情等がございますので、これを現在検討中ということでございます。 以上の件数を合計いたしますと、処理済みの件数が七百七十七件、未処理の件数が四百五件ということに相なろうかと思います。
○島本委員 大体わかりましたが、そういたしますと、先ほど総理府の橋口審議室長から、いろいろ前の加藤委員の質問に対する答弁がありましたが、周辺に対しては、いわゆる整備法またはいわゆる特損法、民法または民事特例法、国家賠償法、いろいろ法律があるが、周辺は手厚い保護をしておる、そして周辺の関係はその措置法で十分対処できるものである、こういうような報告があったわけであります。そういたしますと、いま聞いてみますと、これは橋口さんといま申し上げましたけれども、これは御両名からあったわけで、鐘江さんからもあったわけであります。そうすると、この周辺法ができたのはいつでございましょうか。
○鐘江政府委員 昭和四十一年の七月でございます。
○島本委員 昭和四十一年にそれがはっきりできておるのに、本年は四十四年でありますが、いまあなたの口からはっきりと処理済みのものは、公害と、類されるものだけで、それもいまあなたが土ぼこりにかかわるものという一つの項目をおあげになりましたが、これとて、土ぼこりでも粉じんでも、いわゆるばい煙といわなくても空気の汚染には相違ない、七百七十七件のうち四百五件が未処理じゃありませんか。四百五件も未処理にしておいて、これは手厚い保護が加えられておるのだから――これは橋口さんがおっしゃいましたが、これが手厚い保護の三年間の実態ということになりましょうか。この問題に対しては少しデータによって調べた点だけでも、こういうようになっているわけです。ところが、まだこれほど残しておきながらも、この法律があるから手厚い保護をやっている、これによってまかしておいてもらいたい、だいじょうぶだといっても、いまデータを見ても七百七十七件のうち四百五件残っておる、これは過半数残っているというわけですね。こういうような状態にしておいて、口だけでいろいろなことを言っても、これはちょっと、公害特別委員会の委員の人はそれぞれ勉強しておりますから、あなたの答弁そのものは全部に響く答弁ですから、うそ言ってはいけません。こういうような点についても……。そういうような状態ではいけませんので、先ほどの答弁のとおりなんですから、これは私としては理解しかねる。
○鐘江政府委員 確かにこの表をごらんになりますと、未処理件数四百五件ありますが、そのうち大半は騒音にかかわるところの補助金等の案件でございます。この問題につきましては、午前中ある委員の御質問に私お答えいたしました際に、この未処理件数というのは、ともかく陳情あるいは要望を受けた件数をそのままここに掲示をしたものが相当ございます。たとえば防音工事の補助金等につきましても、飛行場あるいは射爆撃場から相当遠方にある学校でも、防音工事をしてくれないかという要望も出ておりました。そういった例は全部、私どものほうとしましては、手持ち案件ということでここに計上いたしたわけでございまして、今後私どものほうといたしましては、その申請のあがっておる学校なら学校につきまして、騒音の強度あるいは頻度、こういったものを測定いたしまして、はたしてその学校に補助金を交付するかどうかということも調べた上で、強度、頻度とも防音工事を施すに適当であるという結論が出ました際には、それを逐次補助していくということでございまして、ここの未処理というものは一応の手持ちの案件でございまして、まだ、やるかやらないかわからないという事案も相当あるということ、これは午前中にもお答えいたしましたが、そういうことで御了解願いたいと思います。
○島本委員 だから了解できないのですよ。手持ちの案件であるから、これはまだはっきりついていない、そういうようなのを含めて四百五件もあるんだ、過半数を占めているんだ、まあこういうようなことで、これがはたして、周辺には手厚い保護を加えられておりますからだいじょうぶです、それから周辺措置法で十分対処できております、こういうようなことの一つの証左になりましょうか。これは何年かかったらやれるのです。公害というものは、特に三条委員会にしなければならない、国家行政組織法の。これを言っているのは、あまり長くかかり過ぎるし、被害者があまりにも恵まれない階層の人が多数であるし、公害という一つの特質からして、これは急いでやらなければならない、その権限を持たなければならないからこそ、三条委員会にして、いわば公害紛争処理に当たらせろ、こういうようなのがかねての主張であり、この点には皆さんも異議なかった。ところが皆さんのほうは、皆さんといっても防衛施設庁のほうでは、そうじゃありません、防衛施設庁のほうは何か特権的な一つの場所である、したがって立ち入り検査その他はすべきじゃない、陳情によってわれわれは処理してある、そのためにはりっぱな法律もあるから、その法律によって周辺は手厚く保護をするんだ、そうして十分対処できているんだ、こういうような答弁もあったのです。ところが依然としてあなたの、手持ちを入れてなおかつこんなに四百五件も残っておる。これでは、あなたたち二人は、公害対策特別委員会をペテンにかけているようなものだ。この点は橋口君、あなたははっきりおっしゃったのですが、このいまの理由から、あなたもう一回、周辺は手厚く保護をしている、このことばを私の耳に聞かしてもらいたい。
○橋口政府委員 防衛施設庁の計数につきましては、私どものほうから特にコメント申し上げるほどの材料を持ち合わせておりませんが、これはごらんいただきますとおわかりになりますように、総計千百件のうち七百七十七件が処理済みになっておるわけでございます。手持ちの案件が四百五件ということで、処理件数が過半数になっておるというふうに私は理解をいたしたわけであります。 まあ、基地に関する公害につきまして、手厚い保護の措置があると申し上げましたのは、現在ございます周辺整備法その他の関係法律あるいはその運用の現状、さらにその裏づけとしての予算措置、年々相当の金額がふえておるわけでございます。他の一般産業公害、あるいは午前中の質疑にもありましたが、民間飛行場に対する措置と比較いたしますと、これはやはり、基地に関する公害に対する措置はかなり手厚いものがあるということを申し上げたわけでございます。これは私のみが申し上げているわけではございません。政府としてそういう考え方をとっておるわけでございます。ただ具体的な問題点の指摘あるいはその解明等につきましては、防衛施設庁のほうで御検討願っているわけでございますが、先ほど来申し上げましたように、現存の法律及びその裏づけ措置としての予算の現状、他の法律措置との比較におきまして、かなり手厚い措置が講ぜられておるというふうに申し上げたわけでございます。
○島本委員 あとから大臣が来ても、二人だけは最後までずっと聞いていてもらいたい。はたしてそれが手厚い保護であるのかどうか、これははっきりと一つ一つの事象によってやらなければ、やはり永久にいまあなたの言うことを、うそのままにこれを認めざるを得ないような状態になりますので、具体的な例によってこれを指摘する以外には方法がないと思います。逐次これをやらしてもらいたいと思います。 まず、総理府の橋口審議室長にお伺いいたしますが、公害の対処すべき特質というものをわれわれは常に声を大にして言っているのです。普通の原因と結果、こういう因果関係がわかった場合には、これはわれわれとしてわりあいに対処しやすい、こういうふうに思っておるが、こういう問題でもいままで長くかかっていたんです。この公害の特質というものを、総理府のほうではどういうふうに考えておられましょうか。
○橋口政府委員 公害現象も、御承知のように経済の発展に付随して生ずる現象でありまして、比較的最近に生じた問題でございます。その特質についてのお尋ねでございますが、これは島本委員よく御承知のとおりでございまして、因果関係の究明にかなり困難な問題がある、さらに関係者が相当多数にわたる性格を持つ、それから、新しい現象でございますから、従来の既成概念ではなかなか対処できないという特質がございます。それから先ほどもちょっと触れましたように、関係者が多数になる。したがいまして、そういう公害現象の特質から申しまして、公害による被害者に対する援護措置としましては、従来の訴訟あるいは裁判という制度のみでは必ずしもその保護が十分しかも適切かつ迅速に行ない得ないということで、公害対策基本法で、紛争処理の制度を設けるべきことが明らかにされておるわけであります。したがいまして、公害紛争に関する処理の制度を考えます場合には、先ほど来申し上げましたような公害の特質、公害現象の特殊な性格にかんがみまして、それにふさわしい措置をとるべきである、こういう考え方で、紛争処理法案を立案したわけでございます。
○島本委員 この問題は前からいろいろと皆さんの御意見を拝聴しておりました。いま言った中でも、公害の特質を完全に把握しておらないということは残念です。しかしこれはあえてここで抗議する必要もありませんから、もっとこの点は当局として、もう少し深く、この特質があるからこそ、今回のこの対処する紛争処理法案が必要なんだ、これが出てまいるわけでありますから、十分もっともっと検討してもらわなければ、特に手厚い保護を加えられるからいいんだとか、またこれに十分対処できるとか、こういうような答弁は出てこないと思う。 それで、なお鐘江さんにお伺いいたしたいと思います。基地で騒音被害の因果関係がはっきりした場合の対処のしかたはどのようになさいますか。
○鐘江政府委員 先生のお尋ね、ちょっと範囲がつかめないわけでございますが、たとえば……。
○島本委員 ちょっと待って、もう一回言う。騒音の被害で因果関係がはっきりわかった場合にいかように対処するかというのです、基地公害の中でです。
○鐘江政府委員 先ほど騒音に関する事案で御説明いたしましたことでございますが、補助金を交付するといった場合には、当該施設におけるところの騒音の強度、頻度という問題が前提になると思います。その一定の強度、頻度を越える学校等あるいは病院とかいろいろ施設がございますが、そういう施設についての防音工事の補助金の申請があった際には、そういう強度、頻度等を測定した結果、適当であるという結論が出ました際には補助金を交付する、まず補助金で申し上げますならば、そういうことにしております。 それからさらに騒音の関係で申しますならば……。
○島本委員 いや、先ほどあなたが答弁したとおり、いま聞いたんですよ。あなたが言ったとおり、因果関係があれば適確に処置いたします、このことばでいいじゃありませんか。なぜいろいろなことを言うのですか。あなたが言ったとおりいま聞いてみても、私が聞けば同じことが言えないのですか。それだけどこかに邪心があるのじゃないかな。だめですよ、そういう態度じゃ。これは加藤委員に先ほど答弁したあなたのことばのとおり聞いてみただけです。騒音被害があって因果関係があったら処置すると言ったでしょう。それを聞いていて、いま騒音被害があって因果関係がはっきりわかった場合にどうするのですかと聞いた。適確に処置しますと言えばそれでいいです。なぜああでもないこうでもないと言わなければならないのですか。何かをおもんぱかって考えておるから、はっきりしたことばが出てこないのと違いますか。これでは困るのです。念のために私はもう一ぺん聞いておくが、この資料そのものは、ちょうだいして、皆さんの努力をここに多といたします。しかしこれだけの資料では残念ながら私まだ納得できない。納得できないうちで、この移転補償の問題で、先般われわれは千歳へ参ってみました。プロペラのある飛行機が飛んでおったころには、滑走場から出ていったらすぐ方向転換できた。いまはジェット機で、その当時何でもないところでも、学校の真上を飛んでいるのです。以前補償の対象になったから、いまもうやらなくてもいい、そう言う前に、もう一ぺん全部プロペラに変えたほうがいいのです。そういうような不毛の議論はしないでおいて、やはりなった以上、これは適確に補償してやるのがほんとうです。それと、この騒音の被害をまともに受けている小学校、中学校があるとするならば、いままで何年間もこれに対して折衝しておるようだけれども、ようやく四十五年度の予算要求をするかどうか検討中である、これも何ですか。これは手厚い保護があるというなら、これくらい、四十五年度でやりますと、なぜはっきり言えないのか。やるかどうかいまだ検討中、こんなことばかり言っておって、何が手厚い保護ですか。これではやはりいけませんよ。
○鐘江政府委員 いま先生のおっしゃいますのは、具体的には末広小学校と青葉中学校の移転の問題だと思いますが、その問題につきましては、実はいままでにも何回も陳情を受けておりますが、いろいろ調査をいたしておりますと、地元の皆さまが全部希望しておられないやに聞く面もあるわけでございます。そこで私どものほうとしましては、そういう学校移設をした際に、移設反対という方がおられるとするならば、逆の結果を生むことも懸念されますので、その点につきまして現在詰めておるという段階でございまして、そういう問題がなければ、これは私といたしましては、積極的に四十五年度には予算要求をすべきではないかというふうに考えておる次第でございまして、その辺のところを……。
○島本委員 詭弁じゃありませんか。市長はじめ教育委員会から議会まで、いいと言っておるのに、そこにより近いほうの人が、自分の持っている土地の値段が下がるから反対だと言っておる。なぜそういう声だけ取り上げるのです。市はじめやっているでしょう。教育委員会があなたのところに何回も陳情に行っているでしょう。自分の土地を持っておるのが、学校に去られたら自分の地価が下がるから反対だというのは、何人います。ほんの数えるほどしかいないでしょう。なぜこういう声を取り上げて、こういうようなことをやるのか。これが手厚い保護ですか。だめですよ、そんなやり方じゃ。もう一回検討しなさいよ。
○鐘江政府委員 その点につきまして、もう一回再検討いたします。
○島本委員 それでは、この点については、あなたより、もう一回聞かしていただきます。 それと同じように、補償の額は十分だ、こういうようなことでございましたから、私は一応それはそれで聞いておいて、次に米軍によるところのいわば事故損害、こういうようなものはどういうような方法によって補償しておりますか。
○鐘江政府委員 この米軍の不法行為によりますところの障害、それにつきましては財産被害と人身被害の二つに分かれますが、財産被害につきましては、原状回復に要する賠償金を支払っております。それから人身被害につきましては、ある人が米軍の車両にひき殺された、こういった場合には、被害者の平均の収入日額にホフマン係数を乗じて得た金額を賠償金として支払っておりますし、傷害を受けた場合には、医療に対する実費、これを賠償金として支払っております。さらに後遺症がある場合には、その症状に応ずるところの労働力の喪失率に応じまして、ホフマン係数を乗じまして得た額を賠償金として支払っております。
○島本委員 そういうような行き方は、やはり手厚い保護が加えられている、その中にアメリカ軍人の不法行為によるところの損害、この事故補償、こういうものは十分だ、こういうように、お考えでしょうか。
○鐘江政府委員 私どもが現在賠償金を支払っておりますところの措置というものは、たとえば先生も御承知のとおり、自動車損害賠償保障法なるものがございまして、これによって、民間の方が自動車事故を起こしておなくなりになった、あるいは傷害を受けたという場合の補償の算定方式にならいまして、従来処理しておりますので、完全に十分だとは申し上げませんが、ともかく相当の措置をしておるということは言えるかと存じます。
○島本委員 あくまでもこれは先ほどあなたの口から出た答弁、周辺に対しては手厚い保護が加えられているという前提に立って聞いているのです。決してこれは手厚い保護じゃありませんよ。具体的に言うと、昭和三十五年十二月十四日米軍ジェット機の補助タンクが空から落ちてきて、その下敷きになって死亡した稲敷郡美浦村茂呂、そこの農業根本達氏の長男秀一、当時六歳、これに対する補償が調達庁で当時三十万円ときまって遺族に通達された。これはいはらき新聞にはっきり出ておったのです。何もない子供をやって、頭から、おまえの賠償は三十万円でいいのだというが、これで十分なんですか。手厚い保護だ、こう考えられますか。
○山上(信)政府委員 ただいま御質問のございました茂呂の事件につきましては、当時の補償方式は、先ほども御説明したかと思いますが、現在のようなホフマン方式に改定する前の補償方式であるかと思います。その後におきましては、その人の生命に関する問題につきましては、その人の生涯の収入その他を勘案いたしまして、いわば合理的に推定される収入等を考え、またそのほかに補償金等を加味したものを補償するというようなことになっております。当時におきましてはホフマン方式に至らない方式でございましたので、必ずしも十分でないようなということが、その後に改正されたゆえんでございますので、現在におきましては、そういう方法に変えているということを申し上げたいのでございます。
○島本委員 それは昭和三十九年三月までで、現在、三十九年六月二十三日の閣議決定で、いわば新しい方式を採用される。しかしこれで十分であるならば、私、まずいままでの答弁でいいと思うのです。ただこれでいっても、ホフマン方式によるところの算定によっても、東富士演習場でアメリカ兵に射撃された勝又ゆきさん、この人の賠償額は百三万円じゃありませんか。誤まって撃たれて百三万円じゃありませんか。これで十分ですか。自動車ではね殺されたよりももっとひどいじゃありませんか。こういう少額で、これで十分なんですか。それもそのうち二五%は日本でしょう。七五%が米軍の負担でしょう。勝又ゆきさん、こういうような人が、地位協定の十八条の6の米軍支払いの義務、これによって公務事故としての措置を受けて払われている事件でありませんか。おそらくこれで十分だという考えで、手厚い保護だというならば、私としては日本人として異議があるのです。山上長官、これで十分ですか。成人の女子ですよ。
○山上(信)政府委員 ちょうど労災補償保険方式からホフマン方式に切りかえる時期であったと思います。したがいまして、先生のおっしゃる点につきまして、現在の方式で計算したのか、労災補償方式であったか、いまちょっと具体的な事案につきまして、一度さらに調べました上でお答え申し上げたいと存じますので、お許しを願いたいと思います。
○島本委員 一応これは私のほうで急遽――午前中に、基地周辺に対しては、米軍と自衛隊とを問わず、これは紛争処理によらなくても、現行法律その他によって十分措置できるし、手厚い保護が加えられているという答弁があったので、したがって調べたのです。ところが三十九年三月まで、いまおっしゃったように――これはとんでもないことです。実収のない主婦は四十万円が最高だったのです、皆さんの算定が。それから大学生で三十五万、児童生徒が三十万、幼児で二十五万、これがホフマン式の計算法に変えられて、ようやく今度は勝又ゆきさんが東富士の演習場のアメリカ兵により射殺されたこの賠償額が百三万円だというのです。調べなくても、私のほうで調べました。四十万円から百三万円に上がったというだけです。それが現行じゃありませんか。自動車ではねられても、現在これ以上やっておるのに、基地周辺に手厚い保護が加えられている――それも特損法によってもこれほどしか行っていない。これによって基地周辺は十分手厚い保護が加えられている、こういうようなことは私は了承できないのです。 せっかく大臣が来ましたから、この問題についてはこのあとでまたやりますから、よろしくお願いしたいと思います。 大臣、きょうあなたにちょっと聞いてみたいことがございました。それは昭和四十四年三月三日九時から開かれた閣議で、有田防衛庁長官も床次総理府長官もみな出ておりました。そこで、基地公害に関しては別な法律を制定して行なう、こういうようなことがはっきりきまった、ということが報ぜられており、当時これはもう閣議の決定で――これは私のほうで調べました。しかし、その後になりまして、総理が先般の本会議答弁で、せっかくこの別な法律を制定して行なうときめておきながら、現在法律を改正する意思はない、これは現行法でやっていける――はっきりした答弁がなされたわけであります。そういたしますと、せっかく閣議でこうきめて、日にちもはっきりしているのです。その閣僚会議の方針が、えてして突然、こういうふうにぱっと総理によって変えられてしまう。閣僚会議の決定がくつがえされてしまう。こういうようなことではもうほんとうに困るじゃないか、こう思うのです。あなたが出席してきまったこの閣議の、いわゆるこの基地公害に関しては別な法律を制定して行なう、これが、それを制定しなくても現行法でやる、こういうふうにいつお変わりになったのですか。これは、結局閣議の決定に対して少しおかしいではありませんか。この点、あなたも出ておりましたから、はっきり聞かしてもらいたいと思います。
○有田国務大臣 閣議でこの公害紛争処理法案が出ましたときは、五十条でございましたか、いわゆる基地公害は別の法律の定むるところによる、こういういまの原案が閣議で出ました。したがいまして、その決定によって、そのとおりにこの国会に上程されておるわけです。そこで、法律の条項をここに持っておりませんが、別な法律の定むるところによるというその法律は、法制局の解釈によりますと、いわゆる防衛施設周辺整備法、これがそれに該当する、こういうことであります。総理が御答弁になったのは、周辺整備法等のものがあるから、それによって運用していくのだから、別に新しく法律を出す考えはない、こういうように答弁されたわけであります。閣議の方針どおりの次第であります。
○島本委員 それは長官、違っているのです。三月三日には、基地公害に関しては別な法律を制定してこれを行なう、これがきまった。この点ははっきり新聞にも出ておるのです。これはちょっと私も興味がございますから、当時のものを全部集めてみたのです。有田防衛庁長官は二十八日に――これはあなたははっきりおっしゃっております。これは予算委員会に出て、そして、基地公害は一般の公害と異なり特別の配慮が必要だと思っている、将来基地周辺整備法を改正するなどで、基地公害対策に万全を期する必要があります。あなたはこういうふうにしてはっきり答弁しております。この点は間違いない。あなたがそう言うかたわら、今度は床次総理府長官が同日にはっきり言っているのです。基地公害の救済についてはいますぐ新しい法案をつくる考えはない、現行の防衛施設周辺整備法を積極的に活用していけばいいとの内閣法制局の見解が出ており、改正は今国会には考えない、こういうふうに言っているのです。ちょうど同じ日に、あなたが言っていることと別々なことを総務長官は言っている。これはちょっとおかしいんじゃないですか。閣議では、これははっきりと三月三日には、別な法律を制定していく、閣議のとおりあなたは言っているのですよ。総理府長官は、今度はその意思がない、これはまた総理が答弁したとおり言っているわけです。閣議の決定というのはこうまで権威のないものなんですか。それはちょっと少しこの点については、閣議の決定とあなたが言っているのは同じだというのです。総理が言っているのと総理府長官が言っているのと同じなんです。同じ日に別々なことを出されたら不一致じゃありませんか。
○有田国務大臣 閣議の決定は、先ほど申しましたように、いわゆる本案の五十条に書いてあるとおりであります。「別に法律で定めるところによる。」というのは、これは法制局の見解でございますが、先ほど申しました防衛施設周辺の整備等に関する法律、これを意味するものだ、こういうことであります。 私が、予算分科会だと思っておりますが、そのときに答弁したのは、まだ閣議決定の前でございまして、したがいまして……(島本委員「二十八日です」と呼ぶ)二十八日かどうか知らぬが、答弁要領で見てみると、これは政府の方針がきまっていないのでとやかく言うことは言えないが、という前提に立って、私見を述べた。その私見も、いまの防衛施設周辺整備法でいけると思うが、しかしこの運用をやってみて、万が一十分でないという事態があれば、これは将来においてその改正をするにやぶさかでない、こういうことを言ったのです。将来とはいつをさしますか、いますぐも将来だし、数年先も将来だ、こういう重ねての質問がありました。そのときの私の答弁は、いまの国会に出すというような考えは持ちません、直ちに出すという考えは持ちません、しかし十年も先かというと、それは実施をして、予算的措置とか、いまの周辺整備法の運用を十分やって、そしてもっと予算も将来しっかりとっていって、そういう面から万全を期したいと思うが、しかしもし法律的な欠陥が――これでは何ぼ予算をとり運用をやってもいかぬという事態になれば、これは改正するにやぶさかではない、こういうようなことを言って、そんなにいま直ちに出すとか、そういうことは言ってないはずなんです。それは速記録をごらんくださればよくわかると思います。そういう答弁をしておるのでありまして、決して総理や総務長官の言っていることと私の言っていることと矛盾はしていない、こういう見解を持っております。
○島本委員 矛盾はしていないけれども、別々なことを言っているんです。それでなければ、新聞社はうそを書いているのです。まさか新聞社はうそを書くなんということはないでしょう。またニュアンスの違いがありましても、それはもう防衛庁長官、あなたの考え方、私はせめてその辺まで考えて措置されるというならばまずまずと思っていたのです。いいとは言いません。しかし総理も総理府長官も、現在の法律をそのまま活用するとすべてできるから改正する意思はありませんと言っているのです。そうすると、あなたの考え方と違うのです。変えても措置していくというのと、変える意思はないというのと違うでしょう。ですからそこを言うのです。この点では少しあなたをほめているのです。 これで、私のほうでは次に聞いておきたいのですが、そうすると運用の方法で、いわゆる基地周辺整備法といっておりますが、この改正でやらないとこれはやれないのです。現行法だけでやると相当これは困難な問題と――逆に陳情的なものになりますから、国民を抑圧するようになる。抑圧しなくとも、被害を受けても、黙っていれば補償してくれないことになる。いろいろ法の不備があります。これも改正しないでそのままやるとしたら、もっともっとその方面にりっぱな事務局やりっぱな組織を置いて、常時この監視活動も監視していないと、これは運用の面で措置できない。それも現行法どおりにやる、こうなれば、私としてはこの紛争処理、これを通すことによってなおさら紛争が高まる、こういうような心配を持つ。せめてこれを改正して、全面的に意に沿うということならばわかる。これをしなくてもやっていける、これはおそらくは高辻法制局長官の考えじゃなかったかと私は憶測するのですが、そうだとすると、もう少し具体的にあとから詰めますから、これじゃ困るというところまでなりますから、それに対して大臣も率直にその点では賛意を表して、望むらくはせっかく公害紛争処理法案がここに画期的に出るのですから、自衛隊といえども防衛庁といえども、国民を守る立場にあって、少なくとも自衛隊あるがために犠牲を受ける国民は一人でも存在を許さない、こういうようなことまで考えてやっていいじゃありませんか。当然じゃありませんか。私はそれでいいと思っている。そこまでいくならば、当然この公害紛争処理法案の中に十分この問題も含めて、それに対する特別な方法がたとえあっても、この中で一緒に解決します、こういうのでないと出てこないのです。私がそういうように言っても何でしょうが、あなたの考え方と総理府長官、佐藤総理、その三人の考え方が、三月三日の九時からの閣議できまった基地公害に対する方針とは別々な考え方で終始した。まことにこれは遺憾だ。しかし今後の問題ですから、具体的にこの問題をやっていくとするならば、長官、一つずつ聞かしてもらいたいと思うのです。いままでずっと資料が防衛庁から出されました。そのトータルで千百八十二件、昭和三十五年以降四十四年四月二十三日までいろいろ調査してもらいました。そのうち、騒音だとか水質汚濁だとか悪臭だとか振動とか地盤沈下、テレビジョンの受信障害だとか、土ぼこりが立つものだとか、こういうようなものを入れて千百八十二件のうち七百七十七件解決して四百五件未解決だ。それは基地周辺整備法を適用してもまだこれだけ残っている。あの法律ができてから三年間もたっているのです。それでもまだこれだけ出ているのです。この公害の特殊性は、長引くということが一つあることは十分わかっている。ですからこれを早くやるために、救済を早めるために、紛争処理を適確にやらなければならない。そのためにも国家行政組織法第三条によらなければだめなんだということを力説してきているのです。ところが、これもなお除外して、では、やった結果は現行法の中でどうなんだ。これは米軍のものを除かないでも、千百八十二件のうち七百七十七件しか解決しておらないし、まだ四百五件残っておるのですけれども、こういうようにして見ますと、現行法のままではこれは解決がなかなか至難じゃございませんか。これで十分手厚く処理ができます、こういうように言っていなさるのです。だからだいじょうぶだから、これはやっていけると、あなたの部下は言っているのです。私は、これじゃやっていけないぞ、やっていけるというなら具体的にいま例をあげますぞ、こういうようなことまで言っているのです。そしてこのデータの中で、先般われわれも調査してこれはひどいと思った事件で、大臣もこの点知っている点があるでしょう。あの千歳は自衛隊の飛行場になるのですか。――あの自衛隊の風行場に民間航空機も着陸さしてもらっている。あのちょうど発進進路の真下に小学校と中学校があるのですけれども、それが建ったのは以前ですから、プロペラのころです。そのころはすぐ方向転換していましたから遠かったのです。いまはまっすぐそのまま行きますから真下になるのです。あぶないこともこの上ないのです。あぶないこともこの上ないけれども、それに対する補償がいろいろ言われたりしていますが、若干反対もあるからというようなことで、まだこれが取り上げられておらない。市長も、教育委員会も、市の議会の人たちも、みんな陳情に来ている。だれが反対したといったら、学校が移転されたならば地価が下がるから困るという地主が反対なんです。これを防衛庁はまだ取り上げてないそうじゃありませんか。これはいけませんよ。それを四十五年度の予算に移転の点を盛るか盛らないかどうするかは検討中でありますということになっている。これでは手厚い保護とはいえません。だから、これはやるならやるとはっきり言わないといけません。 大臣、この問題は何回も質問されている問題ですが、検討中ですか。すぐやらないとだめなんじゃありませんか。
○有田国務大臣 まず島本さん御理解願いたいのですが、さっきの五十条の問題につきまして、総理、総務長官、私、食い違いがあるということですが、決して閣議の決定後の食い違いはないのでございます。その点はひとつ御了承願いたい。 それから、未処理の件数、千百八十二件のうちで四百五件未処理であるという御指摘でございます。これは一日も早く処理しなくちゃならぬのですが、周辺整備法ができてその後に起こった問題もありまして、三年くらいのやつが未処理でそのままにしてあるわけでもない。わがほうとしましては、施設庁をしてすみやかに調査をやらしまして、この未処理件数を一日も早く解決するように善処いたしたい、かように考えております。 それから、さっきの千歳の学校の問題ですが、あの学校に対していろいろ騒音防止の施設をやってくれという陳情は受けました。それはたしかしておるはずだと思いますが、その移転の問題は、私は、あの千歳全体としての要望がこうだということははっきりいたしておりませんが、その詳細は施設庁長官をして答弁せしめたい、かように思います。御了承願います。
○山上(信)政府委員 千歳の学校の移転の問題につきましては、いろいろ問題もございまするが、四十五年度に実施をするという考え方の前提で、検討をいたしておる次第でございます。
○島本委員 山上施設庁長官も来ておられますし防衛庁長官もおりますから、ちょうどいいのですが、私はあくまでも、これは公害紛争処理法案の中で解決するのが正しいし、はずしたらこれは少しおかしくなりますよ。そして、午前中の答弁で、周辺は手厚い保護が加えられているから、その周辺整備法で十分だ、こういうことなんです。ただしこれには米軍の問題もあるわけです。米軍の問題に対しては、あれはいわゆる特損法で措置している。そうでしょう。これでやっているから十分だ、こういうふうにおっしゃいます。はたしてそれで十分だかどうか。これはこの適用の過程で十分に住民を保護しているんだ、こういうようなことがいえるかどうか。まず第一番に救済のこの対象職業がどうなっているのか、この点をひとつはっきりさしてもらいたいと思います。
○鐘江政府委員 ただいま先生のおっしゃいました特損法なるものは、無過失責任に伴うところの補償、米軍の行為に伴う補償金によって処理するということで、先ほど私が申し上げましたところの補助金あるいは飛行場周辺の民家の移設あるいは民生安定施設に対する助成金、こういったものは、米軍並びに自衛隊の施設の周辺に対してそういう措置をするということでございまして、この特損法によって補償しておる事案につきましては、ある程度範囲は原始産業に限られておるという点は、先生おっしゃるとおりでございます。
○島本委員 じゃ、これは手厚い保護が加えられておることになりませんよ。これは救済の対象職業が制限されていることは、調べればすぐわかるわけです。私のデータでも第一条で、これは「農業、林業、漁業又は政令で定めるその他の事業」。じゃどういうふうに政令できまっているか、学校教育事業、医療保健業等を営んでおる者がその事業の経営上損失をこうむったときは、国がその損失を補償する、こうですね。それならば商店だとか、またはサラリーマンだとか、こういうような人が飛行機の騒音で悩まされても、特損法によるところの移転補償、こういうようなものはできないということになるじゃありませんか。これはできるのですか。
○鐘江政府委員 現在、周辺整備法におきましては、自衛隊並びに米軍の飛行場の周辺――周辺と申しますか、正確に申し上げますと進入表面の投影下、今回政令を改正しまして、ある飛行場につきましては二千メートルの範囲まで家屋を移転するということに政令を改正いたしましたが、それと転移表面に居住しておられる皆さんが非常に騒音でうるさい、あるいは危険感を感ずるといったような場合で申請があった場合には、家屋の移転補償金もお支払いいたしますし、その敷地についても買収しまして、そして騒音のあまり激しくないところに移転していただいておるというのが実情でございます。
○島本委員 その場合に、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律、昭和二十八年法律二百四十六号による、これですね。これによってやりますと、いろいろ中に解釈上の問題がたくさん出てきて、これによって不利益をこうむる、こういうような点が意外に多いということです。これはどうなんですか。従来適法に農業を営んでおる者、こういうような者に対しては、その損害を賠償する、補償する場合には、基地内で乳牛を飼っておった、飼っておったけれどもそれが十年間に十頭になったならば、その場合には十頭の補償はよろしい、しかしながら当時はやっていなかった、農業改善事業の指導によってその後それをやった、しかしいろいろ乳牛、こういうようなものの被害を受けたので、これを申請しても、はたしてこの場合は対象になるのかならないのか、この解釈の範囲、具体的には農民に及ぼす問題ですが、これはどんなものになりますか。
○鐘江政府委員 乳牛の搾乳量の減少に伴う補償金の問題は、先ほどその一覧表で御説明いたしましたとおり、現実にいままで補償金で支払ったものが三件、未処理の案件が四件あるという次第でございまして、この三件につきましては、特損法によって処理いたした次第でございます。
○島本委員 特損法によってこれは全部処理済みですか。
○鐘江政府委員 三件が処理済みで、四件が未処理ということでございます。
○島本委員 それの未処理の内容をちょっとお知らせ願いたい。
○鐘江政府委員 未処理の案件といたしましては、これも先ほど御説明いたしたかと思いますが、三沢の対地射爆撃場、横田の飛行場、築城の飛行場、それから新田原の飛行場、その周辺の乳牛の搾乳量が低下したので、その低下分について補償してもらいたいという案件が、現在検討中の事案でございます。 処理済みの案件といたしましては、島松演習場、芦屋の対地射爆撃場、それから板付の飛行場、これらの周辺の補償の陳情を受けまして、それを処理しております。
○赤路委員長 島本君にちょっと申し上げますが、総務長官に来てもらったのだが、四時三十分まで一時間、これを考慮の中に入れてやってください。
○島本委員 それでは床次長官に。 いまも防衛庁長官にちょっと聞いたのですが、この公害紛争処理法案ができるまでのいきさつがいろいろあったようです。まあどのようないきさつがあっても、それがすっきりして、今後国民のためにこの法の制定の効果が十分発揮されれば、それでいいと思います。しかしながら、残念ながら、その結果において、防衛関係、基地関係は除かれたというようなことになっており、また、三転四転したかもしれませんが、私の手元にある資料によると、四十四年三月三日九時からの閣議で、ちょうど有田防衛庁長官も出ております。それから床次総理府長官も出ております。その中で、基地公害に関しては別な法律を制定してこれを行なうのだという決定がその席でなされておるわけであります。ところが、その後、総理は、法律は新たにつくらないで、現行の法律を適用してこれをやっていく、こういうように言っているわけです。そして大臣は、二十八日の日と思いますけれども、やはり総理と同じように、法律はあらためてつくらないで、現行の法律でこれをやっていくということを言明されているようです。有田防衛庁長官は、基地周辺整備法を改正してこれをやっていく、こういうふうに言っているわけです。一日、二日のズレはありますけれども、しかしながら、三月三日には――いま二人がおっしゃったのは二十七日と八日なんです。三月三日には、これはもうはっきりと、基地公害に関しては別な法律を制定していくと閣議できまっているわけです。こういうようなことがきまって、すぐまた別な発言をされたり、きまってすぐまた本会議で総理が、思いつきではないと思いますが、法律を改正しないで現行法でやっていこうと、こういうふうに言ったり、どうも閣議の決定というものがあいまいじゃないか、権威がないんじゃないか、私としてはこう思わざるを得ないわけです。私の手元には、当時の新聞の切り抜きもあるわけです。各社のやつもあるわけです。有田大臣のいままでの答弁は、これによってうかがえました。総理府長官として、この公害紛争処理法案を提案される立場に立って、あなたの態度もまことにあいまいだと言わざるを得ないわけです。これは一体どういうことになりますか。
○床次国務大臣 本法を制定する過程におきましては、いろいろ検討しておるわけでありますが、しかし、いわゆる基地公害に対しましても十分な措置を講ずるという方針は一貫しておるわけであります。ただ、法律の書き方等におきまして、いろいろ検討いたしました結果、最終的にお手元にありまする案のようにきまったのでありますが、ただいま引用になりました新聞記事の、別な法律をもって定めるということに対しまして、新しい立法をするというふうにお解しになっておられるのでありますが、そうではなくて、周辺整備法という法律がありますので、その運用でもって十分に間に合うという考え方だったわけであります。しかも、今日私どもがこの法律をつくりますにあたりまして、一般公害との関係におきましては、いろいろと比較検討いたしたのでありますが、どちらも本法の対象にするということにつきましては明らかで、本法から除外したわけではないのであります。本法の対象としての公害のうちに当然考えておるわけです。ただ、その処理方法におきまして、防衛施設に関しましては、現在周辺整備法がありますので、その周辺整備法を十分に活用して、そうして遺憾なきを期してまいるという方針でございます。 なお、法文の規定におきまして、別に法律をもって定めると書いてありますのは、防衛施設周辺整備法のことでございます。
○島本委員 いわゆる防衛施設周辺整備法ですか、これをいろいろ検討してみると、不十分であって、どうしてもこれによっては不備である、こういうようなことが本委員会ではっきりわかった場合には、これは法担当の大臣として、即刻何らかの措置をしなければならないと思います。その場合には、一般の公害紛争処理法案の中に入れてこれを行なう、こういうようなふうに当然考えるべきであり、これは言明すべきであり、そうしなければならない、こう思います。審議の過程で、まだわかりませんが、これがはっきりした場合には、一つの鉄棒をのんだような考えじゃなく、これはゆるやかに考えているものである、改正してもよろしい、こういうふうなお考えでしょうか。それとも絶対これでなければだめなんだ、こういうふうなお考えでしょうか。一応考え方を伺っておきたいと思います。
○床次国務大臣 考え方の中に二つの問題があると思います。一つの問題は、基地公害というものは一般産業公害とは違って特殊性があるという点に対しまして、まずお考えをいただきたいと思うのでございます。これはすでに御説明申し上げたかと思うのでありますが、その公害の原因が、自衛隊等のいわゆる行為の特殊性にかんがみて、この点は産業公害と同じ取り扱いをするということは不適当であるということが第一点であります。 それから第二点におきましては、現在すでに防衛施設に関しましては、周辺整備法によりまして、障害防止工事の助成、あるいは民生安定施設の助成、あるいは損失の補償等につきまして実効をあげておるという点であります。なお、いわゆる紛争処理に類するものにつきましては異議の申し立ての制度がありまして、そして現在運用しており、この点が一般産業公害とは非常に違うということであります。 それから、第二の考え方におきまして申し上げたいのは、今日の周辺整備法というものがなかなか広く運用されておりまして、実績をいろいろにあげておるのであります。したがって、今後本法によって講じようとするところの紛争の処理と比べまして決して劣るものではない、十二分に同じような効果をあげ得るものではないかということであります。今後周辺整備法の運用、なおこの紛争処理法案によります運用等を十分に検討してまいって、御意見のようなことがありますならば、研究する余地があると思いますが、今日におきましては、期待いたしました効果をあげ得るものと考えております。
○島本委員 期待したような効果があがらぬのです。あなた、じゃ最後までゆっくり聞いてください。まず一つ、これで伺いたいのですが、これはいかがなものでしょうか。政府提案によるところの法の仲裁の意義、効力です。この公害紛争処理法案において、仲裁に移行した場合、仲裁に行ってしまったあと司法裁判にこれは行けるのですか、行けないのですか。この点に対しても、私は多分に疑義があるのです。この点まずはっきりしておいてもらいたいと思います。
○床次国務大臣 法律的な問題につきましては、あとで政府委員から申し上げますが、仲裁によりまして裁定いたしました場合におきましては、民事訴訟と同じような効果があがっていくというふうに考えます。
○橋口政府委員 仲裁の法律的効果について御説明申し上げます。 総務長官から概略お答えがありましたように、仲裁につきましては、紛争の当事者が、仲裁に付するという合意をして、第三者の判断にその解決をゆだねるわけでございます。したがいまして、当事者といたしましては、訴権を放棄いたしまして、私設裁判官としての第三者の判断に最終的に従う、こういう合意によりまして仲裁を申し立てるわけでございます。したがいまして、仲裁判断が下りますと、これは民事訴訟法の規定によりまして、確定判決と同様の効力を持つわけであります。したがいまして、最終的に当事者を拘束するということになるわけでございます。
○島本委員 少なくともこれは公害の紛争処理制度として、裁判所は一切の法律上の紛争を裁判する権限を持つものであるし、すべての司法権は裁判所に属するものであるし、行政機関は終審として裁判することはできないということは、これは憲法の七十六条。「何人も、裁判所において裁判を受ける權利を奪はれない。」これは憲法の三十二条。こういうような規定からすると、裁判所は人権保障の保塁として、最終的な審判機関として、これは確保されなければならない、こういうようなことになるのじゃないか、こう思うわけなんです。むしろこれを侵すことや、これを無視することは憲法違反のおそれがある。こういうようなことをここにきめんとするのじゃないか。これは大臣、私は重大だと思っております。それで、最終的な裁判機関としてこれが完全であるのに近い状態というと、これは裁判しなくても、ほぼそれによって能力的にも、結果的にも、その辺までやれる、こういうような状態でなければならないはずだし、そういうような状態がどうしてかもし出されるか、これはやはり行政組織法第三条、この機関によって、十分なる調査活動、これもできるような事務局を持っておる、下部機関を持っておる、そして平常から監視機関も十分働かしておる、合わせて研究機関も持っておる、そして整備された状態の中でこれを実施していって、これでまずほぼやれるのじゃないか。しかし、いまの法律案の中では、総理府のかたすみにサービス的に置く事務局があるにすぎない。こういうようなものであって、今度最終的に仲裁が、それを受けるならばもうはっきり裁判の道も閉ざし、シャットアウトするのだ、こういうようなことだとすると、私は重大な、憲法違反のおそれがある。そういうようなことまで強力にやるのだったら、なぜ三条機関にしてやらぬのだ。三条機関にしないで、不十分なままにして、最終的な裁判権も否定するということになったら、これはとんでもないことになるのじゃないか。私はこれだけはどうも優秀なるあなたにしては、こういうようなことがいまのままで出されてきたということは、私は残念でしょうがないのです。三条機関にして十分やるから、もうその点はいいのだというなら話はわかる。八条機関にして、付属機関的なものにしてやって、事務局のその権能も、いわば口で何と言っても、三条機関ほども整備されない。まして、この中で、なければならない立法、監視や審判、こういうようなものの実をあげるだけの有力な調査機関もない。それでいながら、やったものに対してはもう裁判権も放棄しなければならないのだ、この道を閉ざすのだ、これじゃ少し行き過ぎもいいところです。憲法違反です。これは大臣十分考えなければいけませんよ。
○床次国務大臣 ただいまの御意見は、これは三条機関であると八条機関であるとによってできるものではないのでありまして、いわゆる仲裁ということ、この行為そのものの持っている特質であると思います。先ほど政府委員からお答え申し上げましたように、仲裁を受けようという者は、みずから最終的な裁判訴訟というものを放棄して仲裁に入っておりますので、仲裁という行為ができる。これは三条機関であろうと、八条機関であろうと、これはむしろ別なものであろうと考えております。したがって先生のお考えになっておられますことは、今度の紛争処理機関におきまして、いわゆる裁判所類似の裁定と申しますか、判決的な行為ができるようにしたならばどうかという御意見であろうと思うのでありまして、この点は一番骨子になる点だと考えているわけで、したがって私どもこの紛争処理機関を考えました際におきましても、いろいろと研究されたのでありますが、沿革的に申し上げますと、すでに当初におきましても、政府におきまして行政機関としてつくるものにつきましては、その裁判所類似の裁定と申しますか、判決的な行為をすることは、行政機構としては行き過ぎではないかというふうに考えられまして、審議会の答申におきましても、そういう機関を置くということは考えておらなくて、本案に規定しております程度のものになっているわけであります。したがって、本案でもって政府が予想しておりますところの紛争処理機関でありますならば、この内容にふさわしいところの権限を持っておるのでありまして、そういう権限でありますならば、もちろん八条機関でもって十分に目的を達し得るということになっております。元来八条機関と三条機関との関係でありますが、三条機関であるから裁判所類似の最終的な権限を持っているというわけではないのでありまして、権限はやはりそれぞれの処理法に規定せられましたところの権限によって考えるべきでありまして、ここの紛争処理法案に書いてありますところの職務権限と申しますか、処理機関の特質というもの、私はこれが今日の時代においては紛争処理におきまして適切なものであろうと思っておりまして、まず一般的に申しますと、この運用を十分やってまいりまして、そうしてさらに本質的な、先生のおっしゃるような裁定機関になれるかどうかということは、なお今後におきまして研究すべき問題ではないかと思っているのでありまして、ただいまの段階におきましては、いきなりそこまでの強力なものにまではなし得なかった、またなすのが適当でないと考えているのと、なお、お話がありましたごとく、最終的に裁判訴訟によって判断を――裁判所の判断を得るということが憲法的な問題でありますので、やはりこの問題は依然として行政機関になれば残るわけでありまして、はたして行政機関でもって、相当強力なものをと申しますか、裁判的なことをやらせることがいいかどうかということも問題点であるわけであります。言いかえますならば、今日政府が予想いたしておりますところの処理機関といたしましては、一通り十分なる性格を持っているのでありまして、すなわちこの中央公害審査委員会の任務の遂行、事務を遂行するのに必要な独立性、また権限というものを十分に持っておって、そうして運用ができるわけであります。すなわち、この独立性のためには、委員長並びに委員というものが職権を独立して行使できるようにできております。なお、その委員長及び委員の身分保障というものも十分規定してあります。中立性も確保してあります。また調停、中裁等を行なう場合に必要な出頭命令権あるいは立ち入り権等の権限も持っておるのでありまして、今日におきましては、この八条機関で足りるところの権限を持っておるのであります。 なお、別項、事務局等の問題、八条機関と三条機関とのお話でありまするが、これはそれぞれの八条機関、三条機関で設置されておりますところの審査会等の種類等を参考にお目にかけてあるのでありまして、大小いろいろのものがあります。また事務局等におきましても、あるもの、ないもの、それぞれありまするが、これは三条機関と、八条機関であるから権限が行使できない、今日、政府が予想したような紛争処理ができないというのではなくて、今日、政府案におきまして検討いたしましたものには、やはりそれがふさわしい権限であり、このためには八条の機関でよろしいというふうに考える次第であります。
○島本委員 公害の持つ特殊性ということは、いままで十分言ってまいりましたし、いままでのような単なる行政指導でもできない。裁判でやったら、百年裁判のように長引いたということもある。現在起こっている事例でさえも、裁判に移行した場合には、いろいろな問題をはらんだまま一つの悲劇的な要素さえも構成している状態であります。これは大臣知ってのとおりです。したがって、それを公害基本法によって、はっきり何らか措置せいというのが今回のこの実施法で、この実施法によって、いませっかく公害基本法にのっとってやるという以上、三条機関がいいか八条機関がいいか、これは世をあげて三条機関が正しいと言っている。しかし政府は、それを認めてくれない。しかしながら、八条機関で三条機関以上にこれはやれるのだ、少なくとも、それに劣らないくらいやれるというのならば、やはりそれに対して、われわれが納得するだけの十分な説明と根拠がないと私はだめだと思います。それで、この違反者に対して、もし八条機関でやった場合、改善命令や原状回復命令や差しとめ命令や除害設備の設定命令や、こういうようなことに対して、いかようにして今後この機関が処置されるものであるかどうか。あえて言うと、この差しとめ命令や委員会が裁定した損害賠償の命令、こういうようなものにも強制力があるのかないのか。相手方の任意の履行に待つ、こういうような程度であるならば、これはいかに口では何と言っても、無力だということになってしまう。この点でもはっきりしておりますから、これは絶対安全だという保証がいまや必要なのであります。大臣、この点は無力なものですか、有力なものですか。三条機関と八条機関、それにこだわらないでりっぱにやっていけるものであるということの証明を願いたいと思います。
○床次国務大臣 ただいまのような無力なものか強力なものかという考え方の基礎は、三条機関か八条機関かによってきまるのではなくして、そもそも本法において予想しておりますところの紛争処理機関の性格は、調停、仲裁ということで考えておりますが、前提といたしましては、あくまで両当事者の互譲の精神というものを基礎にやっておるのであります。どうしても争うという立場に立って、それを強制的に結論づけるということになれば、今日の制度におきましては、どうしても裁判所まで行かざるを得ないのではないかということになるわけであります。なお裁判所に参りました際におきましては、ただいまおことばにもありましたごとく、非常に手間がかかるし、解決までに非常に長い道程を要するために、関係者の苦痛が多い、これが現状であるかと思います。しかし、それではやはりいけないので、社会的に申しまして、できるだけすみやかに、円滑に結論を出せるものなら出していきたいという意味におきまして、今度の処理法案ができたのであります。すなわち、その点は普通の訴訟と考え方は変わっておりまして、あくまで互譲の精神で、お互いに話し合って了解のもとに進める、したがって、調停とか仲裁という形にとどまっておるのであります。したがって、そういう意味におきまして、調停、仲裁ができ上がったならば、その実施につきましては、裁判所の裏づけによりまして十分な効果を上げることができる。しかしそれに従わなくて、どうしても争うのだということになれば、それはどうしてももとに返って、裁判訴訟の手続でもってやらざるを得ないということになるわけであります。言いかえますならば、裁判訴訟の手続によって紛争を処理するかわりに、別個の道によって円滑に早目に結論を出して、そして社会の需要に応じようというのがこの考え方であります。 なお、本調停処理機関におきまして、円満に結論が出ました場合におきましては、どういう手続によって執行するかということにつきましては、政府委員からお答えを申し上げます。
○橋口政府委員 仲裁の判断が下りまして、当事者が仲裁判断に従うということになりました場合には、先ほど申し上げました確定判決と同じ効力を持つわけでございます。それに基づいて執行判決の付与の裁判を受けて強制執行、こういうことになるわけでございます。 さらに調停の場合、調停案を当事者が受諾いたしました場合におきまして、当事者がその調停案の内容をすぐ実行すれば、それで問題が解消するわけでございますが、ただ必ずしもすぐ実行しないということも予想されますので、その場合には、民法上の和解契約を締結するということになるわけでございます。和解契約が締結されまして、その履行につきましては、民事訴訟法に定められた手続きによって、その強制執行を行なうということになるわけでございます。
○島本委員 大臣、基本的にこれは互譲の精神によってというようなことばですが、公害そのものが発生して――今後の問題は、まだよくわかりませんが、いままでの経過によると、互譲の精神によって解決したものがありますか、公害紛争で。ないですよ。いまあらわれている大きい公害の被害者と加害者――これは加害者というと差しさわりがありますが、原因者、こういうふうに思われる人たちの間で、ほとんどもう学術的にも、政府自身も、これをはっきり認めておっても、やはり話し合いの点になると、どうしてもだめなのが水俣病の例じゃありませんか。イタイイタイ病のあの富山の例じゃありませんか。互譲の精神をもって話し合うといっても解決できなかったのが、いままでのいきさつじゃありませんか。今度あらためて、またそれをうたってきて、解決の一つのポイントにする、基本にする、こういうような考えでは、やはり三条機関ではなく八条機関にしておく、いやだったら、みんな裁判へ行ってやりなさい、こういうようなことになってしまって、せっかくこの公害紛争処理法案が公害基本法によってできても、そういうような精神で運営するとしたならば、これは仏つくって魂入れないようなたぐいにすぎない。そういうようなことになってはたいへんですよ。もしそういうように長い問かかっても処理できなかったものを、これによって今度処理するのだ、そうするならば、いろいろと方法があるはずです。そしてその場合に、立ち入り権の問題ですが、これ対しては、今後十分できる、こういうように大臣は考えておられるようですが、この立ち入り審査権、調査権といいますか、この点について、三条機関のほうにおいての立ち入り審査、八条機関のほうにおいての立ち入り審査、この法律で行なおうとする立ち入り審査は、同じものですか、違うものですか。
○床次国務大臣 今日まで両当事者の互譲の精神によって解決したものはないというお話でありまするが、そういうたぐいの実は規則、機構がなかったことが一つの大きな原因だろう、それで今回そういう機構をつくって、従来訴訟に移行しておったものを、別途に処理できるのではないかという意味におきまして、こういう処理法案ができたので、今後お互いに産業公害というのは、なかなかむずかしいものだ、そういう立場に立って、互譲の精神でもって結論を出していく、その方はこの処理法案を使って十分効果があがるのではないかと思っておるのであります。あくまでけんか腰でもって訴訟へ行かなければおさまらないという人でありますならば、やはり従来の訴訟の道を通らざるを得ないのでありますが、しかし訴訟の道を通ったならば非常に手間のかかることは御指摘のとおり、過去においてなかなか訴訟というもので難渋しておったことはいまさら申し上げるまでもないと思うのであります。 なお最近の例におきましては、水俣ですか、いわゆる本法によりませんけれども、仲裁形式に話を持っていこうということにもなっているかとも伺っておりますが、ものごとの解決、特に公害紛争のごとき非常に複雑なものにつきましては、必ずしも全部が訴訟でなければならないというふうには、今後一般の方は考えずに、やはり本法のような処理法があるならば、これによって解決を求めようという人も出てくるのではないか。むしろ多くの方がそういう考え方でもって解決していただくことが本法の目的であると私は考えておるのであります。したがって、今後の運用状況と申しますか、利用状況と申しますか、本法がどの程度まで効果があがるかということは、やはり国民の産業公害に対する認識とそれから本法の処理方式に対する御理解というものが伴って十分な効果があがるものと思っておりますが、私ども、はたしてどの程度までこれが動いてまいるかということにつきましては、今後の実施の状況を見まして、十分検討してまいりたいと思います。根本的には、先生が考えておられることは、やはりこの紛争処理の中において裁判類似の行為をやれ、そうしてやはり十分な判断を下して結論を出していけというお考えのようでありますが、それをやるとなると、審査その他に対しましても、従来裁判所でもって苦労しておったものと同じ程度の苦労をしなければならないことになると思うのであります。行政機構においてそういう仕事をすることがはたしていいかどうか。しかもそれがまずかった場合には、やはり憲法のたてまえからいって、裁判所に行かなければならぬという経過をとることになります。それがはたして実情に合うのかどうかということに対して、私は非常に疑問であると考えておるのであります。さような立場から、本法におきましては、互譲の精神を中心とするところの紛争処理機関としての性格でもって組まれておる。それ以外の裁判所的な紛争処理機構は、やはり審議会等におきましてもお考えにならなかった。したがってその答申を受けまして、政府におきましても、そういう機関につきましてはまだ十分に検討を要するというふうに考えましたので、ここには取り入れなかったのであります。もちろんこの点につきまして、先ほどから繰り返し申し上げましたが、三条機関だからそうなんだ、あるいは八条機関だからそうなんだという、三条機関と八条機関の性格問題でもってそうなるのではなくして、そもそも紛争処理のためにどの程度のことをさせるかという前提でもってその性格がきまってきて、その必要な任務を遂行するにふさわしいところの行政組織上の一つの体系の位置づけを行なうべきものだと私は考えております。
○島本委員 前回のあなたと私のやりとりまでまた戻ってきたのです。だいぶ進んだはずだったのですが、また戻ってきたのは残念なんですけれども、それは公害の持っておるほんとうの困難性、特殊性を十分理解したならば、いま普通のような状態で普通の裁判をやっても長引くし、だめなんです。したがって、行政的にこれを実施し、最後には裁判に移行することまで認めながらも、専門的な知識、それから高度の技術、それから経験、こういうようなものを持ってそれに当たらなければ、この解決にならないのです。実際いままで調停をやっても何をやってもだめだ。実際処理していたのは市町村または県の行政担当官だったのです。そっちのほうへいくと、長い問の経験といわばこの技術的なまた専門的な知識もあったりして、その点ではうまくできた。しかし行政機関ですから、それはもう裁定するような、こういうようなところまではとうていいけなかった。したがって実際はそこまでいかないうちに処理していたのは行政機関です。こういうようにして見ますと、やはりそれに類するような公害担当の行政官、こういうようなもとで苦情が処理された。それで相当のデータも集めた。そしてもちろんこの経験がありますから、相当それに対してはなじんだ解決の方法もこれを行なう、そうしてこういうような行政指導のもとに、まあ相当の実効をあげてきたというようなのが、いままでのやり方だった。それじゃだめだから、もう一回それを御破算にして、この紛争処理機関によって、今度はやわらかに八条機関、いわば付属機関的なもので、事務局も総理府の片すみにある程度のもので、来るならばやってあげましょう、来ないならばもうあなたたちはかってにやりなさい、こういうようなやり方で、いまのような複雑なこの公害の解決にはならない。したがってここでこれを提起する以上、下部機関の中にも相当な権限を持ったものでないと、これの実効をあげることはできないのだ。これはもう世界の一つの通見ですよ。そういうようにして、じゃ試みにそうまでしてやって、複雑多岐な公害処理の実をあげる、このために監視機関がなくてもよろしい、常時下部組織として持たぬでもよろしい、調査機関を持たぬでもよろしい、まして研究機関なんか持たなくても、これはりっぱにやっていけるのだ、こういうようなことであるならばまずまずいいでしょうけれども、普通の八条機関ならば、このような整備した調査、それから監視、それから研究、こういうようなものを持てないでしょう。したがって持てるようにするためには三条機関のほうがいいということ、これが充実させなければならない理由の一つ。そうでなければこれは有名無実になりますよ。こういうようなことなんです。私のほうではもうそういうようなことからして、進んで監視したり違反者を摘発したり、そして改善命令やそういうようなものに類するものはじゃんじゃん出してやって、そして解決をはからせるようにして、そしてそこで大部分迅速にこれを行なわせるようにして、いまの複雑な公害の状態を解決する一助になるのです。したがって三条機関が必要だというのです。私は、これが八条機関でもいいんだ、互譲の精神がないやつは裁判まで持っていけばいいんだ――床次さん、あなたの答弁はまた振り出しへ戻ってしまって、それでは今度のこれをわざわざ一生懸命になってやる必要はないです。三条機関だからやれるのだ、やれる機関を積極的にとるのだ、それでも最終的には裁判をやる、これだけの自由も与えているのだ、憲法にちゃんとのっとっているのだ、これでいいのです。ところが最後、仲裁へいったならば、もうそれで全部、あとは裁判でやるのはストップさせておいて、そうしてそこで、不十分な調査機関しかない、監視機関もない、研究機関もない、こういうような状態の中で、裁定をしてやろう、裁定をしたら絶対のみなさいよ、いやだったら最初から裁判に出しなさい、これじゃ何にもならぬじゃありませんか。これで実効をあげられるというならば、むしろもう一回私は一つ一つ聞かなければならないわけですがね。これは立ち入り検査をすることができるのですか、できないのですか。
○床次国務大臣 立ち入り検査について申し上げる前に、少し私の説明に付加したいと思いますが、先生が先ほど来お話しになりました今日まで効果をあげて結論を出しているというのは、行政機関が働いてそうして効果をあげて解決しているのだ、私は全くそのとおりだと思う。そういう行政機関の効果をあげました処理というもの、それを合理化したのがむしろこの紛争処理機関である。行政機関として十分な権限を持ち、そしてその効果をあげるための機構がこの機関であるというふうに考えておるわけであります。もちろんこの機関でありましても、やはり今日までの政府が持っております必要な機関の意見を十分に利用し活用することはできるわけでありますし、またみずからも専門的な調査員を持ちまして調査をすることができるわけでありまして、この点におきましては、その職責を果たすには私はまず十分だと思っておりまするが、ただ先生がお話しになりました監視機関その他の問題につきましては、私は単なる公害紛争処理の問題ではなくして、公害対策そのものとして、基本的な問題として充実すべきものがまずたくさんあるのではないか。この処理法案において解決するものではなくして、公害防止そのものの対策におきまして、公害の対策等を監視し、またふだんから調査も十分やるというような施設が相伴っていく必要があるのではないか。そういうものの一環として紛争処理機関というものがほんとうに効果をあげるべきものだと考えておるのであります。 第二に、最初にお尋ねのありました立ち入り検査の問題でありますが、この紛争処理機関におきましては、立ち入り検査権というものは、仲裁のごとき当事者が第三者調停仲裁機関を信任して、そうしてまかせるという場合におきましては、立ち入り検査権を行使して行なえる。また調停にありましても、中央公害審査委員会におきまして、非常に重要なる問題に対しましては、やはりその調停をいたします際におきまして調査が十分に整いますがごとく、立ち入り検査権をもちまして、そうして判断を下し得るようにいたしておるわけでありまして、今日予想いたしましたところの調停、仲裁ということに対しましては、必要な権限を行使することができるわけであります。 なお、立ち入り検査権その他に対しまして、みずからこれを拒否するというような場合におきましては、相手方はそれだけ、何と申しますか、事実上不利な立場におちいるわけであります。また、したがってこの点は、調停という立場から申しますると、やはり快くそういう立場に応じて、そうして結論を出してもらうような態度になるべきであると考えておるのでありまして、この点はいわゆる裁判所の立ち入りとは著しく内容的にはあり方が違っておる。しかし効果におきましては、本法におきましては、いわゆる裁判所的な最終的な裁決というものはここでは予想しておりませんので、本法に考えられましたところの立ち入り検査権あるいは出頭命令権によりまして十分に効果があがるというふうに、私ども考えておるわけであります。 なお、もう一つ例として申し上げまするが、行政機関におきまして、今日たとえば公取委員会のごときものもあります。ああいうものは御承知のごとく独占禁止法というような一つの法律がありまして、その法律の施行だけの問題でありまして、比較的窓口が簡単で、専門的なもの一筋にやりますので、行政機関でやっても、これはそれなりの効果があがっている。今日行政機関において、裁定に近いと申しますか、一つの行為をやっておりますものは、そういう判断でいたしますものに大体限られておるのであります。公害のごとき、先ほどから御指摘のごとく非常に広範な、その種類、内容等におきまして本法におきまして六種類持っておりますが、原因も非常にたくさんあるわけですね。そういう広範なものに対しまして、行政機関がタッチして調べ切れるかということにつきましては、これはなかなか問題点が多いのでありまして、窓口が広いだけに、普通の三条機関ではなかなか容易なことではないということを私は考えておるのであります。むしろ徹底的にやるならば、どうしてもそこまでいくと、争う人はどうしても訴訟まで持っていくおそれがあるのだ。しかしお話しのように、訴訟までいかなくても実際は解決はできております。訴訟までいかなくても解決できておることを合理的に――いままでは、先生のお話しの行政機関がそれぞれ中に立って話をつけておったと思いますが、しかし中に立って話をつけておったのは、何ら法的背景と申しますか、権限を持たずにやっておった。それをある程度まで合理的な背景のもとに、また国家的組織の中において解決するようになるのでありますから、先生が引用されたことがすでにそのままむしろ法律化されているのだ、しかし他の残された部分がたくさんあることは私ども認めております。今日の公害の問題というものは、すこぶるまだ未解決、まだ知られない面が確かにあることは事実なんです。それに対しまして、私どもはほうっておいていいというのではありません。しかし現在の紛争処理機関としては、今日この程度のものでもってまず発足することが適当なのではなかろうか、かように考えております。
○島本委員 だめなんです。行政機関がそうやらざるを得なくなり、またその結果効果をあげておった、そのとおりなんです。ただ行政機関ですから、最後になったならば、できないところまでやらなければならなくなった場合にはどうするか、あと手が出ないということでしょう。すなわち、もっとやりたいのだけれども、裁定権はないのです、行政機関は。審判権がないのですよ。ですから、もういままである程度までいったけれども、それより先は出なかったのです。そこまではいいというのです。したがって、全部いいところまではいいのですけれども、だからあとこれでいいのだではないのです。あとそれに対して専門的な知識と経験と、これによってせめて準司法的な、裁判権まで与えてやって、そしてまた憲法によって上訴権まで与えてやる、二段、三段にいいじゃありませんか。いままで一生懸命やっても限度があった、それより一歩上に出てやるのが行政組織法三条によるところのこの方法だ、それによってまず解決をはからせるべきだ、そのためには事務局も必要だ、整備しなさい、十分な事務局がなくては、これはいかに口先で言っても、これはどうにもならないことなんです。これをやれ、いままでより一歩前に出て、もっとりっぱな解決をせい、それでなければ公害の解決にならないぞ、ということなんです。ですから、これまではいいのだから、あと裁判によってやれ、これでは大臣だめです。私はこの点は社会党の立案の精神と、いまあなたの言ったのは天と地の違いになってしまう。この三条機関を最高限生かしなさい、これが現在の最高の道だと言っている。あなたの場合は八条機関でやっていく、これでも三条機関以上にできるぞと言っておる。したがって、三条機関以上の方法は何だといっても出てこない。やはり最後には裁判のほうに行け、互譲の精神だというからわからない。この点は、この辺で社会党の立案者である角屋議員のほうから、三条機関に対する確固たる社会党の提案者としての意見も聞いておきたい。参考に聞かしてもらいたい。
○床次国務大臣 先ほどもちょっと申し上げたのですが、三条機関なるがゆえにできるというのではなくして、本来置こうとするところの紛争処理機関の権限をいかようにするかが本質の問題。その結果、三条にするか八条にするかということになるわけです。政府の案におきましては、調停、仲裁ということを中心としておりますので、今日の八条機関でよろしいというように考えておるのであります。なお社会党案の中に盛られておりますような裁判所、準裁判所的なと申しますか、裁定行為までやらせるならば、これは政府の案以上のものになっておるのでありまして、私どもはそこまでのことを今日行政機関としてやることは、現実においてはたして適当であるかどうかということに対して疑問を持っておる。すでに公害審議会の答申におきまして、紛争処理機関を置く場合の考え方におきましても、この点におきましては触れておらないのでありまして、今日の仲裁、調停という限度において機関を置けという意味の答申を得ておるのでありまして、これが現実的なものである、さような立場で考えますと、八条の設置法によりまして、十分に目的を達し得るということになる。 なお、お手元にたしか八条機関、三条機関の各種の例を差し上げてありますので、実際の現に置かれております実態についておわかりだと思います。 なお、最後の、御心配になりましたところの事務機構を十分整備しろ、この点に対しましては、まことにごもっともであります。私ども最初の出発でありますので、とりあえずこの程度で発足してまいりますが、今後の利用状況等によりましては、相当大きくなることもあり得るかと思いますが、この点はやはり発足してみてからの状況によりまして判断をいたしたいと思っておる次第であります。なお現在事務局と称しておりましても、八条機関で設けます審査室よりも小さな機構でもって発足しておるものもあることは、例によっておわかりだと思います。
○角屋議員 いま紛争処理の機関として、国家行政組織法の三条機関をとるかあるいは八条機関をとるかということが、総務長官と島本委員との間に議論がなされておるわけでございます。私ども社会党の公害紛争処理法案は、言うまでもなく、国家行政組織法の三条機関をとったことは御承知のとおりであります。さかのぼって考えてみますと、一昨年公害対策基本法の議論がなされた段階、あるいはそれ以前の公害基本法制定のためのほうはいたる世論が起こっておりました段階において、公害の予防あるいは公害の排除あるいは公害の救済といった公害行政全般の問題については、公害基本法制定の際に、国家行政組織法第三条の機関が統一的に行なうということが望ましい、十何省にわたるような各省ばらばらの形では、これらの問題に対して実効があがらないというふうな各種機関からの強力な意見が出たことは、島本委員御承知のとおりであります。したがいまして、一昨年の公害対策基本法の議論の際に、公害行政を一元的に取り扱うために、公害対策委員会というものを、党の基本法の中には考えたわけでございます。同時に、これは公害対策基本法を最終的に本特別委員会で処理する際に、その趣旨を生かして、一元的運営という問題について今後積極的な検討を行なうべきだという趣旨の附帯決議をつけたことも、経過として御承知のことかと思うのであります。したがいまして、今回の紛争処理法案を考えます場合にも、基本法制定当時の議論あるいは世論の背景というふうなものを考えて、いずれが公害紛争処理のために、被害者の立場から見て望ましい機構のあり方であるかということで検討した結果、島本委員も言われますように、独立権限を持った第三条機関ということになれば、独立の事務局を持ちあるいは規則制定権を持つ、あるいはまたその下に、わが党案でいうならば、自然科学者、いわゆる権威者を網羅した公害専門調査会というものを設けて、専門的な検討を行なうというものも、中央の公害審査委員会の中に置くというふうなことも可能になるわけでありまして、そういうことで、今日国際的にも問題になり、日本でも社会的にも非常に大きな問題になっております公害を、簡明直截に、被害者の立場に立ってさばいていくということが望ましい。そして、公害紛争の第三者機関としてそういうものができた場合に、行政機関との関係ということは、わが党案の中でも条文の関係で書いてありますし、さらにまた、行政機関の公害紛争処理機関に対する協力ということも、条文の中に明記してあるわけでありますが、本来紛争処理そのものは、第三条機関が強力な機構と権限を持ってやっていくということが望ましいというふうに思っておるのでありまして、三条機関によるか八条機関によるかということは、議論の存するところだと思いますけれども、私どもは被害者の立場に立ってこれをさばいていく。しかも、日本においては、残念ながら、いまだ公害の問題については資本の圧力というものが非常に強いということは、否定できない現実の姿だと思います。今日まで基本法の問題にしろ、環境基準の問題にしろ、あるいはこの種公害二法案の政府案作成過程でも、大衆の声よりもむしろ資本の圧力あるいは資本の要望というものが相当な影響力を与えたのではないかという感じもできないわけではありません。そういう日本の企業の倫理観、責任感というものが、公害の絶滅ということについていまだしというふうな実態等も考えます場合には、公正、客観的なさばきをやるために、行政的な権限の範囲内において、できるだけ最高度のものをつくり上げていくということが望ましいのじゃないか、こう考えておるわけでございます。 なお、また、先ほど議論になりました仲裁とかあるいはわが党がとっております裁定の点について、床次総務長官からも、今後の問題としての検討ということを言われましたが、当面の問題としては、訴訟との関連で意見を述べられたように承知をいたしております。これは申し上げるまでもなく、島本委員も取り上げられましたように、いわゆる公害の特殊性あるいは公害紛争をさばく場合の非常に複雑困難な実態というのがあります。訴訟にいけばいいじゃないかといいましても、訴訟の場合には、御承知のようにいわゆる弁論主義をとっておりますし、証拠等の問題については、訴を起こした者自身が整備して、口頭弁論を通じて争うというような一応のたてまえになっておるわけであります。しかし因果関係の非常に複雑な問題について、訴を起こした者がすべてのものを網羅して整備するということは事実上困難であります。公害の場合に多くのケースとして、年寄りであるとかあるいは子供であるとかいうものまで被害者の中に含むわけでありますから、水俣の裁判にしろあるいはイタイイタイの裁判にしろ、四日市のぜんそくの裁判にしろ、多くの善意の人々にささえられて初めて訴訟が成り立っておる。しかもその訴訟は非常に長期にわたっているという実態にあることを考えます場合に、行政権限の-範囲内において、単にいわゆる互譲の精神ということだけで、この和解の仲介あるいは調停、仲裁というものでやっていくだけで、紛争処理というものを考える場合に十分であろうかということを、私どもは党として立案の過程でいろいろ検討してみました。訴訟にいった場合の今日の訴訟の-たてまえあるいは実態、それを行政権限の中でどういうふうにカバーするかというふうに考えてまいりますと、もちろん和解の仲介とか調停というのは、わが党の場合でも、本来双方の互譲の精神で話し合いをまとめていくということが基本になるわけでありますけれども、裁定ということになりますと――これは政府案のように仲裁の場合には、一方もしくは双方から申し立てをやる場合でも、他方の合意が必要であるというたてまえをとっておりまして、合意がなければ仲裁が発動しない。したがって仲裁がはたして実効をあらわすかどうかということにもわれわれは疑問を呈したわけであります。立ち入り検査権の問題はありますけれども、そういうものが仲裁を通じて発動されるという場合はきわめて限定されるのではないかということも、議論の中で、問題提起としては申し上げております。したがって裁定というのは、今日の公害の実態から見て、訴にいった場合でも、また訴訟のたてまえから見て、やはり行政権限の中で科学的な基礎に基づいて、むずかしい因果関係のものについては、特に生命、健康に影響のある大気汚染とか水質汚濁というような問題については、訴を裁定の前に起こすことができないという方法までとって、裁定の権威を高からしめる。また裁定の権威を高からしめるための機構人員を整備するというあり方をわが党案としてはとったわけであります。これは実際の運営上から見て、公害絶滅の今後の展望の中でいずれが有効に働くかということについては、それぞれ議論があろうかと思いますけれども、私どもは、今日の日本の公害の実態、あるいは日本の企業が持っておる体質的な弱点、あるいはまた、被害者の今日の非常に悲惨な状態というものを冷静、客観的に見る場合には、この際やはりわが党案のような考え方で臨んでいくことが、政府案よりもより効果的であり、また被害者の立場から見て望ましい方向であろうというふうにかたく信じておるわけでございます。
○島本委員 大体、両案のいろいろな考え方とその実施する面の分岐点というものもわかったわけであります。それで、いまいろいろな御答弁の中でございましたけれども、当事者の申し立てがなければ調停、仲裁ができないという、公害対策に対して、当事者主義でなければならないという理由について、ひとつ大臣から……。当事者主義以外には解決の妙手はないのですか。
○床次国務大臣 これは今日の状態から見まして、先ほども申し上げましたように、職権をもちましてやるということには、まだ問題は残されておるというふうに考えておるのであります。もっとも現在の公害の問題に対しましては、まずこの段階におきまして解決の道を講じていくということを考えてまいる。そして裁定という問題も、確かに角屋案におきましては考慮しておられるのでありますが、傾聴すべき問題でありますが、政府におきましては、今日の段階におきましては、その裁定のところまで具体化することにつきましてはいろいろと問題がありますので、ちゅうちょいたしておるのでありまして、先ほども申し上げました当初案におきましても、そこまでのことはまだ考えておらなかったように私ども考えております。
○島本委員 その当事者主義をとって、そしてこれが万全だというようなところまでまだ考えないとすると、当然これはいまの中労委が行なっているように、これは緊急であり必要であると認める場合には、どっちかの申し出じゃなくて、進んで入っていって、そしてそれを調停、職権によるところの行使、こういうようなものは当然必要になる。公害の場合には特にその点が顕著なんです。ここを忘れたいろいろな調停なり仲裁なりというものがあるとしたならば、やっぱりこれも絵にかいたぼたもちになってしまうんではないか。せめてこれでもいいから中労委のような職権による調停あっせんの道は何かつけておかないと、必要があっても、当事者主義ですから、言ってこないとどうにもならないんだ。善意があっても施せない。それで必要があってもやれない。緊急性があると認めても、双方から言ってこないとやれない。これでははっきりした解決ができない。三条機関でもできない。八条機関ではなおさらできない。これでは優秀なる公害紛争処理であるということにはならないと私は思う。これは当然、職権によるところの調停、こういうものは必要じゃないか。現にそういう点では、労働委員会関係では効果をあげているじゃありませんか。なぜこのような緊急な、必要な公害対策がとれないのでしょう。
○床次国務大臣 確かに、いま公労委等におけるところの裁定の問題を御引用になりましたが、それらの裁定というものは、かなり具体的な窓口の狭い問題で、特殊の問題だけいちずに取り扱っておりまするから、これは行政機関におきましても、比較的効果をあげ得ているのだと思うのであります。しかし、公害に関しましては、まことに広範なものでございまして、それを今日行政機関でやるということにつきましては容易ではないばかりでなしに、なお訴訟、裁判――最終的にはこういう争いは裁判の問題がありますので、問題は残されておる。十分この点は検討いたしたいと思っておるわけであります。ただし、御意見によりまして、なかなか当事者がこれを利用しないじゃないかという御心配でありまするが、私は今後こういう種類の調停機構と申しますか、紛争処理機関ができたということに対しましては、十分政府におきましても周知をはかってまいりたいし、公害関係者におきましても、私はその点はいち早く理解するのではないかと考えておるのであります。中央におきまして審査委員会が東京にありますばかりでなしに、府県におきましてもそれぞれの機構を通じまして、一般に周知徹底をはかりますと同時に、町村段階におきましても、いわゆる公害の苦情、あっせん等の相談機関というものを設けまして、そして自分のところでもって処理できるものは処理するし、あと府県の審査会へ持って行くものは審査会へ持って行くように指導をする。なお中央機構に持って行くものは中央に持って行けるように、それぞれ十分に努力いたしてまいりますならば、関係者がこの問題を知らずに看過するということはあり得ない。しかもこの機構におきましては、きわめてわずかな経費、軽い負担をもちまして紛争処理の解決に訴えることができるようにしてありますので、当事者におきまして、その意思あるならばどんどん利用する。ただし相手方が応じないという場合におきましては、結局これは訴訟にならざるを得ないんじゃないか。しかし訴訟にならずに、お互いに互譲の精神がありますならば、解決しようという人はやはり相当あり得るのではないか、私はかように考えまして、この機関をつくったわけであります。十分にひとつ本機関を、今日の時代においてはまず利用して、実施してみて、その上で御批判を仰ぎたいと思っている次第であります。
○島本委員 事務局も不十分であって、調査機関も研究機関も不十分であって、これによってやれといったって、これによる効果を、結果を予測されたならば、これはまたあまり有利な判定も出ないし、ただ単に説教程度に終わるのではないか。これならば初めからこんなものをやらないで、裁判にいったほうがいい、こういうことをおそれるのです。だからここに権威のあるりっぱな調査機関なり研究機関なりはっきりした機関を確立しておいて、だれが何といっても権威があるのだ、この権威の前におまえどうにもならぬじゃないかと、双方ともに説得できるようなりっぱな調査機関でなくて何の解決になるのですか。これはなりませんよ。それでこういうような機関をちゃんとしておいてこそ、その機関にたよるということができるのですが、いま言ったように、片すみにしょんぼりあるようなこういう機関では、たいした実力もないじゃありませんか。はっきりしたこういう機関を持っておって、いずれから出ても、原因者の方にも被害者の方にも、この点の判定はこういうものだぞという、こういうりっぱなものを持たないと、あまり信頼されないじゃないですか。これが常識だと思うのです。私はやるより前にまずつくってみなさいと言うのです。あなたのは、まず来てみてくれ、これがあたなの行き方ですよ。まず使ってみてください。どこへ行けばいいんだ。総理府の片すみだ。一人だ。これじゃ幾ら信用せいといっても無理じゃありませんか。まして立ち入り権なんか、あなたなぜ地方に認めないのですか。この立ち入り権だって本物じゃないですよ。いまあなたが考えているのは、だめですと言われたら、それ以上やれないのですよ。まして軍事基地やそれがあるから、このほうからはずせなんて言っておるけれども、防衛庁もいますけれども、だめだと言われて、八条機関によってどうして入っていくのですか、調査できるのですか。道義的な反省に訴えるよりしようがないでしょう。そんな立ち入り権ですよ。試みに、それが拒否されたらそのあとどうするか、あなた言ってみてくださいよ。私はどうにもできない。そうなんです。
○床次国務大臣 調査機関、研究機関に対してだいぶ御心配のようでありまするが、本紛争処理法におきましても、政府の各機関というものが十分に利用できまして、協力させることができますようになっております。なお、委員会自体におきましても専門者を置きまして、そうして事件の究明に当たらしむるようになっておることを申し上げておきたいと思います。 なお、最終的には、繰り返し申し上げまするが、角屋議員の案にありまするごとく、いわゆる裁定ということを加えまするならば、それに応じたところの施設をしなければならぬことは当然だと思っておるわけであります。しかしその場合には、少なくとも行政組織法上におきましては三条機関にならざるを得なかろうということも一応推測はできるわけでありますが、私どもといたしまして、この点本法に予想しておりまするものの限度におきましては、やはりこれで適当だろうと考えております。 なお、かように申し上げましたことは、いまの立ち入り権の問題でありまするが、本法におきましては、たてまえとして互譲の精神によって処理する。したがって仲裁のときには当然これは立ち入りはできるわけです。調停の場合におきましては、いわゆる中央の段階におきまして、重要なる紛争処理に関しまして、これが立ち入り検査ができるというふうに重要なる事件にだけ限っておるわけでありまするが、この点は相手方におきまして、やはり十分な互譲の精神がない場合におきましては成り立たない。しかしこれに十分応じようという場合におきましては結論が出し得るわけでありまして、私は、予想いたしました本法におきましては、やはりそれなりの効果があがってくるというふうに考えております。
○島本委員 そこが違うのです。互譲の精神、そうして相手を信じて、私はわかるのだし、私もきれいだから、あなたもきれい、大臣、そのきれいな気持ちはわかるけれども、公害という特殊性はそんなものは許さない。三井のあの神岡鉱山から出すカドミウム、もうすでに公害病として認定して、水溶性のこれが流れて、高原川から神通川に入っていって、それが長年蓄積して米に入って、それを飲んだり、食ったりすることによって、多産系の婦人が、貧富にかかわらず全部病気にかかってしまった。これがすでに公害病と認定されて、わかっておる。わかっておるのに、半期で七億も利潤をあげても、六億の損害賠償に応じない。こういうようなのが実態です。それで、本人はだめだ――いま立ち入り検査じゃありません。被害者がそこに行って、弁護士もちょっと調べたいからと行っても、中に入ろうと思っても、入るのはだめだ、現在つくっておらなくても、だめだと言う。いまどうしているかというと、三十一年以降ありませんよ。いま日本のカドミウムの生産量の二〇%は神岡鉱山で出しておるのです。そうして原子力の開発のために必要な中性子制御材になっておるのです。それがわかれば開発してもうける。わからぬうちにはたれ流しにしている。そうしてそれによって被害を与えている。裁判になっても争っておるじゃありませんか。半期に七億の利潤をあげても、六億の損害賠償に応じられないじゃありませんか。これがいわゆる公害紛争の複雑なところなんです、大臣。実際こうなんです。したがってあなたのような気持ちはわかるけれども、そのきれいな気持ちでは、いまのような複雑多岐な公害紛争の考え方のポイントにはなりません。もっとあなた、具体的に考えて、そうして互譲の精神なんて、こればかりうたい文句にしてはだめなんです。それよりもっと緻密な科学性とそれから合理性とそれからはっきりした経験がないと、これに対する判定なんか下せない。このりっぱな機関をつくらないで、ほんの片すみにあるような事務局で完全にやれるか。一回使ってみてください、あまりにも性善なりですよ、これじゃ。いまの複雑な公害じゃ、これはもう対処できません。そうなんです。阿賀野川だってそうじゃありませんか。いまの熊本の水俣だってそうじゃありませんか、具体的に。全部これは公害病なりと認定している。ことに熊本ではチッソさんや、あなたが、出すのだといわれている。それでも、裁判でまだけりがつかない。もうつくでしょう。こういうようなものなんです。まして足尾銅山、百年でしょう。百年やっても、そんなに被害を出したのは山だ、鉱山だとなっても、被害を受けている農民は、いまその畑を改良事業でやる受益者負担さえも取られているのです。この複雑な根の深い公害には、あなたのような善良な考え方だけじゃやっていけません。立ち入り検査の問題だってです。一たん拒否されたらもう入れないですよ。だから、防衛庁なんか遠慮しないで、よろしゅうございますと、この中に入ったっていいんだ、拒否されたらもうやれないのだから。あなた、やれるような幻想を持っているのですか。労働基準法という法律があるんです。労働関係の基本法です。この中に使用者側の違反、こういうようなものに対しては裁判にもやることもできるのです。それをちゃんともうあなた、これだけ罰金を科するぞ、科料にも処せられるようになっておるんです。平気で罰金を払って違反を犯しているのが実情じゃありませんか。法律はこんなところにも抜け道があるんです。いかに法律がりっぱでも、罰金を払っても、それ以上もうかると思えば、平気で違反を犯すのです、払ってしまえばそれでいいんですから。こういうようなことが運営の実態なんです。これでやれますかというんです。やれません。立ち入り権はどこまで立ち入ってやるんです。どうして地方のほうへそういうところまでやらないんですか。こういう点にも疑義があります。
○床次国務大臣 立ち入り権の問題でありますが、先ほどもちょっと触れたのでありまするが、中央委員会において取り扱うところの調停事件のうち、重大なる健康被害にかかわる紛争等のものが、いわゆる特別事件といたしまして、これは社会に重大な影響を与えることにかんがみまして、立ち入り権を認めておるわけなんでありますが、この点は、先生が御指摘になりました数個の事例につきましては、大体この立ち入り権を認められるケースとして、私ども予想しておる次第であります。こういうケースにつきましては、具体的に政令をもって示すつもりで、そうしていわゆる調停の効果をあげたいと考えております。この政令による指定等につきましては、政府委員からお答え申し上げます。
○島本委員 政府委員のほうにはあとからゆっくり聞きますから……。 そうして、立ち入り権なんて、こういうものはほんとうに無力なものなんです。それでさえもおそれている。防衛庁のほうも、大臣、こんなもの関係ないから、あなたのほうで進んで、これは防衛庁のほうもこれの適用を受けますと言ったほうがいいんです。だめだと言われたら入れないんだから、八条機関では。だから三条機関にして強力にせいというのですが、大臣はこれを八条機関にするというのです。これは入れないのですよ。だめだと言われたら。それじゃ罰金払って、罰金払ったからそれでおしまい、こうなるのです。あとは道義的な制裁に待つよりしようがないのです。これはだめですよ。 それと、どうなんですか、調停、仲裁の内容については、はっきりこの問題に対しては世論に訴えてもやるのが正しいと思うのです。非公開のみが正しいと考えた原則をお聞かせ願いたいのです。民主主義の原則に反します。
○床次国務大臣 この処理機関におきましては、非公開をたてまえといたしております。なぜ非公開としておるかということにつきましては、先ほど本処理機関の基本的性格でありますところの互譲機関ということを申し上げたのでありますが、その考え方から出てまいるのでありまして、両当事者がお互いに胸襟を開いて、そうして話し合って、そうして公平なる第三者のもとにおいて、中立的な第三者の結論を出してもらって、そうして結論を得たいという立場に立っております。したがって、これは非公開にいたしておるのであります。途中でもって公開して、当事者がどう言った、こう言ったということがすぐ相手方に聞こえて、そして相手方がこれに反論するというようないろいろな形において影響力があった場合におきましては、順調な話し合いの結論というものは出にくい。いわゆる調停の精神から申しまして、これは困難であると考えておるわけであります。したがって非公開をたてまえといたしまして、そうして十分な結論が出ますように、妥結ということを目標にいたしまして、審査委員会が十二分の機能を発揮できるようにいたしてあるわけであります。 なお審査委員自体は、先ほど申し上げましたように身分保障し、その中立性を確保してあるわけでありまして、他からの影響力というもの――一部においては、企業家から影響を受けるのじゃないかという御心配もあるかと思いますが、そういう影響力のないような立場に立って、審査、調停、仲裁を行なうというふうになっておるわけであります。
○島本委員 それではほんとうの解決にはなりません。やはりないしょでやって、そうして熊本の例でそれははっきりしているのです。調停してこれはないしょだぞといって、第五条によって、協定です、今後一度払ったものは二度と請求いたしませんぞ――。だれも知らないうちに、こういうようなものに判こを押されていたじゃありませんか。そういうようなものをないしょにしておけば、そういうようなものさえもだれもわからぬ。そうしてぱっと見てみたら、これはたいへんだ、いまもう一回仲裁委員ですか、こういうものをやって、熊本の問題をもう一回やろうとしているのです。その際には、いままでのこれはもう一切関係しない、会社側もよろしい、いままで払ったものはよろしい、新たな裁定を待つという態度だった。むしろ初めからこういうようなものをやらないで、正当にさばきを受けたならば、また機関の決定を受けたならば、私はあれなどもっと早く解決していると思うのです。こそこそとないしょでこういうようなことをやって、発表しないままでこっそりやっていたから、発表してみたら、もうこれより請求できないのだ、一たん金を受け取っちゃったらもうものをしゃべれないのだ、こういうことが身かせ、口かせ全部はめられてしまっている。これじゃだめなんです。非公開の弊害ですよ。少なくともいま民主主義の世の中に、非公開が原則だ――原則は原則でも、あとから運用の点でやれるならばいいですけれども、これによっても、やはり世論の判断を求めるというような、ガラス張りの調停、仲裁、こういうようなやり方、これが正しいんじゃありませんか。そうでないと、データなんか一体どうなります。中のデータ、これさえも一切不問に付してしまう、こうしてしまったら、わからない人がそれをもとにして、また今度は裁判にいきたいといっても、そのデータさえも利用してもらえない、こういうようなことになったらまた長引くことになるでしょう。どうせやった以上、どっちへいってもいいように、ちゃんとしておかないとだめなはずだと思うのです。いまのお考え、非公開で正しいというけれども、これが案外にガンになってしまうおそれがあるのです。この点について、角屋議員、社会党の見解をちょっと私は参考に承りたいんですが、非公開の原則は正しいと思いますか。党のほうでは――私は社会党のほうの提出者じゃないのですけれども、これに賛成もしておりませんですけれども、これは公開が原則のように承っておりますが、党のほうでは、この調停、仲裁の内容の非公開の原則というような点を、やはり十分考えておられましたでしょうかどうか。
○角屋議員 いま島本委員は御質問の中で――社会党案の提案者ではないわけですが、賛成者です。よく内容は御承知だと思うのであります。 そこで、この公開の問題でありますが、各条項を具体的に取り上げて説明するのが本来でありますが、原則的に申し上げますと、社会党案の場合、和解の仲介それから調停、裁定、この三つの方法で紛争処理を考えておるわけですが、その最後の裁定は、これはいわば訴訟の場合と同じように公開をたてまえとして、当然お互いに議論し合う、またそういう中で、第三条機関が証拠調べとかあるいは職権探知とか、いろいろなことをやりながら、最終的な裁定を下す、これはたてまえとしてオープンという形になっております。しかし、先ほど総務長官も御答弁になりましたが、わが党案といえども、和解の仲介とか調停というものは、本来互譲の精神ということをやはり基本に考えておりまして、話し合いがまとまるということに基本を置いておるわけでありますから、条文の中でもうたってありますが、非公開主義をとりましても、必要に応じて傍聴を許すとか、あるいは調停案についてはこれを公表するとかという、全くの秘密主義はとっておりませんけれども、しかし話し合いそのものについては双方で話し合うという形を、やはりわが党案といえどもたてまえにしております。これは条文的に具体的に申し上げれば十分納得いくと思いますが、原則的にいえば、前段の二つについては秘密主義というものをとりながら、必要に応じて公開の導入をしていく、裁定についてはやはり公開をたてまえとしてやっていく、こういう考え方をとっておるわけでございます。
○島本委員 これは総務長官に…。法の十三条にありましたようですが、任意的な機関ということで、公害多発地帯でない場合には、何か審査会は、都道府県には置かなくてもいいようになっていると思うのですが、この考え方はどうなんでしょうか。現在日本が公害に悩んでいるということ、また過疎地帯には、悩んでおらぬところがある。しかしながら公害のないほどいいじゃありませんか。したがって、ないところには積極的に今後過密地帯のような公害がないように、こういうようなものをいろいろ導入しても、工場が来ても、いろいろな施設が来ても、会社が来ても、現在あるような公害を排出しないように、事前にそれを準備さしておくためには、予防的な見地から、これは全部一斉にやっておかなければならぬはずのものじゃありませんか。つくってもつくらなくてもいいような考え方があるようですが、これなんか重大な間違いじゃありませんか。
○床次国務大臣 御意見の前半は、私も全く同様の考え方であります。公害というものが起こらないところにおきましては、これを防止すべきものだと思う。その防止をいたしますのに、紛争処理機関でもって防止をすることは、私は適当でないと思う。この防止には防止に必要な措置を拡充すべきであります。これは公害基本法というものがもっともっと拡充されていくべきものであると考えておるのでありまして、防止が力及ばずして公害が発生する場合に、紛争処理にかかってくる。私は、最終的な段階でできるだけわれわれの紛争処理まで来ないうちに公害を押えるべきものだ、今後公害に対する基本的な態度は、さような態度でしかるべきものと思って、前半の御意見は私は賛成であります。したがって、現在におけるところの府県の実情によりましては、やはり審査会が必要になっております府県も相当あるわけであります。そういうところには、やはり審査会を置いてもらいたいと思います。しかし審査会とまでいかなくても、必要に応じまして処理ができますように、ここにいわゆる委員会、委員という制度を設けまして、そうして必要があった場合におきましては、その意見によって処理ができますように、第十八条以下に準備をいたしておる次第であります。現在、公害というものは地方団体におきまして相当大事なことでありますので、私は必要を自覚いたしました公共団体におきましては、当然置くところにおきましては委員会を置くものと思っておるわけであります。
○島本委員 したがって、そういうような審査会なり、公害が起きたならばそれに対処するこの機関は、起きないうちにそれに対処する、このほうが完全なんです。いまの医療関係でも、予防から治療からアフターケア、この三つが一緒になって一つの医療なんです。いまの場合も、やはり起きたからこれに対処するじゃだめでして、これは起きないうちに、同じ機関で、地方でも起こさないように対処さして、起きた場合にはそれに対するはっきりした紛争の処理をさせる、あとは起こらないように行政的な指導をする、なぜこれだけやらぬのですか。これをやったらいいです。
○床次国務大臣 島本先生のお考えは、紛争処理機関が予防行為をあわせてやればいいじゃないかという御意見のように、ただいまの御発言ではっきりしておるのでありますが、私どもは、紛争処理はあくまで紛争処理でありまして、予防行為は、やはり予防措置としてそれぞれ必要な機関が設けらるべきである。この点は、今日、本法だけはできましたが、まだまだ本法の肉づけというものが足らない。今後政府といたしまして、公害の予防並びにその監視等に対しましては十分な努力をしなければならぬ。もちろん研究機関等も、私は整備しなければならないと思っておりまするが、しかし今日紛争の生じておることは事実でございますので、紛争の機関、最終段階のものをこの法案におきまして受け入れて、対応できますようにつくっておる次第であります。
○島本委員 この独立した事務局の問題等についても、やはりこれからの基本になる問題等について、まだまだ項目別にやらなければならないのがありますけれども、五時までということが二枚も来ておりますから、きょうは御苦労さんでした。しかしこれで終わったんじゃありません。全面的に留保して、この次まで舌戦に備えて、きょうはこれであなたとお別れいたします。あとは防衛庁の長官に伺います。
○赤路委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○赤路委員長 速記を始めて。
○島本委員 防衛庁に、先ほどの件に関連してですが、周辺は手厚い保護を加えておるから現行法でだいじょうぶだ、これにはどうも抵抗を感ずるのであります。手厚い保護をはたして加えられているかどうか、この点はもっと的確にこれを把握しなければならないと思います。以前、同じ騒音の問題で憲法論議にまで発展していった、北海道の千歳の恵庭町で野崎事件というものが発生いたしましたが、この野崎事件についてどういうような経過で、どうなったのか、この説明を願いたいと思います。
○鶴崎政府委員 北海道の千歳演習場のそばにございます野崎牧場その他周辺の牧場から、飛行機の騒音による乳牛の泌乳量の減少といったような被害があるので、これについてひとつ補償してもらいたいという要望がございました。これにつきましては北海道庁のほうにも依頼をいたしまして、飛行機が飛ぶ以前の状態と、飛ぶようになってからの泌乳量、こういったものをいろいろ比較検討いたしまして、確かに飛行機が飛ぶようになってから泌乳量が減っておる。あるいはそのほか早産といったような被害が出ておるというようなことで、支払いをしたわけでございますが、野崎牧場につきましては、当初施設庁のほうで審査をし通知をしました額に異議がございました。これは昭和三十四年の十二月に異議の申し立てがございました。そこでさらに慎重に検討いたしました結果、これに対して訂正の増額をいたしまして、最終的には三十五年の三月二十一日付で百十八万ばかりの補償額を決定いたしまして、これについて野崎牧場の経営者からは同意書が出まして、それによって問題は落着しております。
○島本委員 落着を見るまでの間、何年かかりましたか。
○鶴崎政府委員 ただいま申し上げましたように三十四年の十二月に異議の申し立てが出まして、三十五年の三月に同意書を取りつけておりますので、一年ちょっとの期間がかかっております。
○島本委員 去年裁判終結したのじゃありませんか。去年は三十五年ですか。
○鶴崎政府委員 それは乳牛の被害の問題でなくて、演習のときの電話線か何か切った問題じゃなかろうかと思います。
○島本委員 野崎事件は、それと全然別な問題ですか。
○鶴崎政府委員 ただいまの乳牛の問題は、異議の申し立てがございまして、同意書をいただき、円満に解決をしておりまして、訴訟にはなっておりません。
○島本委員 その人はどなたですか。
○鶴崎政府委員 千歳市の恵庭町に住んでおられる野崎健之助という方でございます。
○島本委員 そのあとで、憲法違反問題で裁判に移った人はどなたですか。
○江藤政府委員 一般にいわれます恵庭事件の原告の野崎さんは、いま施設部長からお話がありました野崎健之助氏のむすこさんの健美、美晴の両氏でございます。
○島本委員 それでいいのですか。私の考えが間違いならばここで訂正してもらいたいが、あの自衛隊違憲論で札幌地裁で争われて、去年判決が出たのは、やはり野崎事件なんじゃありませんか。三十五年に解決しておったのですか。去年のは幽霊ですか。これは私の考えに錯誤があれば訂正しなければなりませんですが、これはどういうようなことになっていますか。
○鶴崎政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、乳牛の被害に関しましては、三十五年の三月に増額をいたしまして、問題は落着をしておりますが、その後自衛隊の演習の際に、野崎健之助氏のむすこさんたちが電線を切ったという別の問題が起こりまして、これが訴訟になったわけでございます。
○島本委員 この問題についてはちょっと私もわかりませんけれども、わかりませんままに、これはそうですかというわけにもまいらぬのであります。それは島松演習場において、自衛隊の実弾射撃による爆音による被害から酪農と生活を守るために、実弾射撃をやめさせるために通信線を切断した、ここから始まったわけなんですね。これが裁判になってしまったわけなんです。裁判と実際上の補償とは別々に解決してしまったのでしょうか。私はどうもこの点ではわかりません。というのは、これは昭和三十五年ではありません。「昭和三七年十二月一一日午前一〇時ごろ、野崎家の牛舎から約二キロはなれた二翁台において事前連絡なく一五〇ミリ砲の演習が開始された。さっそく野崎健美氏が現場にいって射撃部隊が北千歳部隊であることをたしかめたうえ、島松演習場の管理部隊である北恵庭部隊にいき、演習をやめてほしいと申し入れた。そして、午後からの演習は総監部と連絡をとり話しあいがつくまで中止してほしい、そうでなければ生活権を守るために実力で阻止する、ことを伝えるように責任者に要望して帰宅した。しかし、午後一時すぎ、なんの連絡もなしにまた大砲をうちはじめたので健美氏が電話で総監部に抗議し、美晴氏はさらに現地にいって演習中止を要求したがとりあわない。午後二時ごろになって、なおはげしくうちつづけるので、美晴氏と妹の和子さんが二人ででかけて小田原二尉にあい、「二翁台での演習は生活をおびやかされるので、すぐやめてほしい」と申し入れたが「上官の命令だからやめるわけにはゆかない」との返事であった。しばらく言いあったがラチがあかないので、美晴氏と和子さんが砲の前にたってやめさせようとすると、小田原二尉は「二人を砲のそばに近寄らせるな」と命令し、約四〇名の隊員がスクラムを組んで、二人の行動をはばんだ。そして、ふたたび大砲をうつ準備をはじめたので、美晴氏は、野崎牧場ほか一帯の牧場の牛群を爆音から守るため、また話しあいのいとぐちをつかむためにはもはや他に手段はないと考え、隊員の見ているまえで着弾地点との連絡用の電話線を切断して砲撃を中止させた。帰途さらに電話線二カ所を切断して砲撃再開をふせいだが、数名の隊員があとから追いかけてきて「百姓のくせに生意気だ。やっつけろ」と、隊員によって組織的な暴力がくわえられた。この一五分にもおよぶ暴力行為は、和子さんと、和子さんに説得されてようやく理性をとりもどした一人の隊員とがなかにはいってやっとやめさせることができた。そして、いちおうお互いの立場を説明し、「隊の上官が明日野崎宅へきて話しあう」という約束でわかれた。だが隊の責任者は翌日もこなかった。」「翌十二月十二日午前九時ごろ、朝日新聞の記者がきて現場にいっしょにいきたいとのことで、でかけようとするときにまた演習がはじまった。野崎兄妹三人と記者が二翁台にむかい、演習の場所が前日とおなじであることを確認したうえで電話線を切った。ついで小田原二尉にあい、連絡せずに大砲をうったことに抗議したが、受けいれないので、電話線を数カ所切断した。まもなく警務がきたので、前日に暴力をふるった四名の隊員を処罰するよう、処罰しなければいっさいの話しあいにおうじない旨を告げて引きあげた。」こういうような事件だ。三十七年の十二月だ。これは三十五年に解決してしまっていた。どうもこの辺が合わないじゃありませんか。
○鶴崎政府委員 先ほど申し上げましたのは、乳牛の被害補償でございますが、当時は米軍がこの島松の演習場を使用しておりまして、これに伴う補償についての問題でございます。その後米軍はこの施設を返還しまして、自衛隊がこれを引き継いだわけでございますが、自衛隊が引き継ぎましてから以後は、飛行コースの変更等によりまして、乳牛の被害が起こらないような方策を講じまして、自衛隊になりましてからはこの補償をしておりません。したがっていまの訴訟事件は、自衛隊が引き継いでから起こった問題でございます。
○赤路委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○赤路委員長 速記を始めて。
○島本委員 そうすると、米軍のときにはちゃんと補償を払って、自衛隊になったら払わないというようなことがいまだに行なわれていいものなんですか。これはどうなんですか。
○江藤政府委員 現在は防衛施設周辺整備法の規定によりまして、自衛隊の行為につきましては、米軍の場合と同じように特損法の適用をするということになっておりますが、周辺整備法ができまする前は、いわゆる特損法のような規定は自衛隊の場合にはございません。したがってこの恵庭事件が起きました当時におきましては、自衛隊としては特損法のような補償をすることはできないということになっておったわけでございます。したがいましてその当時におきましては、なるべく地元の方に迷惑をかけないように、射撃方法を変えるとか、あるいはいろいろ演習方法に検討を加えまして、できるだけ地元住民の要望に沿うようにいたしてまいったという経緯でございます。
○島本委員 施設庁長官、よう聞いておいてくださいよ。そういうふうなことになっているんですよ。どういうことで、この周辺には手厚い保護が加えられているからだいじょうぶだということになるのですか。前の米軍でやった場合のほうがあたりまえにいって、それが今度周辺整備法になってなお悪くなって、これが手厚い措置なんですか。全然それは違いますよ。 もう少し前に言うと、これは厚生政務次官、よう聞いておいてください。これは被告の母の寿美さんの陳述書で、基地農民の被害状況を言っている中の一部分なんです。それによると、いま言ったように「昭和三十年九月から、三十二年七月まで続けられた米空軍ジェット機の爆撃演習による騒音の被害は、日本の斯界の権威者達によって、牛の早流産・乳量減の被害が認められ、三十四年の暮に、特損法によって日本ではじめて補償金が支払われた」――ここのとこまではいいのです。ですからこれを言っているんじゃないのです。問題はこのあとなんです。そしてこの母親の寿美さんが続けているのです。「私達の経験したジェット機の爆撃演習は、最高の時は一日延千数百機に達し、あたかも「じゅうたんばくげき」に類似していました、当牧場の隣家の橋本さんの御宅では丁度赤ちゃんが生れて居りましたが、ジェット機が三十米の低空で飛んで来ると、いつも、おびえて、おばあちゃんにだきついてはなれない。また昼寝をしていても、ジェット機の爆音がすると、とびおきて、だきつき泣いて離れない、と何回もきいています。強い世論の支持で、演習が一時中止された時、「この孫を死なせてしまうのではないかと、随分心配したが死なせずにすんだ、助かってよかった」と喜んで居られました。」「なお、三十二年八月以降は、米軍が撤退し、自衛隊が演習をはじめましたが、種々交渉の結果、標的が演習場の奥に移動されたために、だいぶ静かになりましたが、その頃から徐々に激しさを増した自衛隊の大口径の大砲の音は病人のある家庭や乳幼児のある家庭をほんとうに困らせております。橋本さんのおじさんは、長いこと病床にあり、三十七年の六月、なくなられましたが「大砲の音で早く死なせたようなものだ」とおばあさんは、なげいていました。」「私は、米空軍のジェット機が演習をはじめた当時は牧場で働いて居りました。激しい騒音の中に暮した二カ年の生きるための真剣な努力は、徹底的に私をつかれさせ、疲労の極、遂に私はたおれました。当町近藤医師の往診を求め、診察して戴きましたが、別に異状はないとのこと、一週間の絶対安静の後、爆音を避けて出札、飯室医師に診察して貰いました。レントゲン検査異状なし、赤血球沈降速度二十二、極端な疲労の状態とのことで、通院治療を続けました。来客の応接にも不自由する程度の難聴は、それ以来なおることなく、私の場合かりに(お年のせいでしょう)と軽く片付ける事ができても、私の二番目の息子の場合、まだ二十歳台ですが、これもまた難聴になやまされて居りますが、一〇〇フォンを越える騒音の中で暮した結果だと言い切れると思います。(長男は当時在学中のため札幌に居りました)以来七カ年の間、私は札幌で静養して居りましたが、到底昔のような健康体にもどることはできません。」これが陳述書に見られておりますところの被害状況なわけです。 こういうようにして見ますと、前はちゃんとやってもらった。今度自衛隊になってから有無を言わせなくなった。この方面の補償については一体どういうようになっておるのですか。手厚い保護をしているというなら、この辺の補償についてははっきりとしたデータがあるはずですが、お知らせ願いたいと思います。
○江藤政府委員 先ほど御説明が足らなかったかと思いますが、現在の防衛施設周辺整備法におきましては、第九条におきまして、米軍の場合の特損法の規定をそのまま挿入しまして、自衛隊の場合におきましても、特損法と全く同じような補償ができるようになっております。しかしながら、それ以前におきましては、自衛隊の行為による特損法のような補償というものは、無過失責任に基づく補償という考え方はとっておりません。その趣旨としましてはいろいろあったわけでございますが、大体において、現在におきましても、自衛隊はせいぜい年間六千トンの訓練弾しか撃っておりません。これは米軍の実際の訓練演習の基準量に比べますとはるかに低いものでございまして、これはもっぱら予算的な面もございまして、実際にわずかしか訓練弾を撃っていない。そういうような訓練の頻度等の面もございまして、具体的に地元の陳情、苦情がございました場合には、できるだけ射撃方法を変更するとか、あるいは着弾地の場所を変えるとかというようなことによりまして、地元との話し合いを十分いたしながら実施していけば、何とかやっていけるのじゃないかというような趣旨もございまして、やってまいったわけでございます。しかしながら、やはり米軍の実際の訓練と自衛隊の訓練というものは、それほど実質的に結果としてはあまり差がないというようなことに着目しまして、周辺整備法ができます際に、自衛隊の行為についても特損法と同じような適用をするということになっておりまして、現在は全く同じ基準で、実際の補償なりその他の補助金につきましては、補償金とかあるいは見舞い金につきましては、防衛施設庁のほうで全く同一の基準で実施いたしております。
○島本委員 したがって、いま私が読み上げたこの事件について、どのような手厚い補償をなさいましたかというのです。
○江藤政府委員 ただいま先生の御指摘になりました件は、これは昭和三十七年十二月十一日から三日間、北部方面隊の特科団が行ないました射撃訓練の際に、野崎きょうだいが自衛隊の電線を切断した。これが自衛隊法の規定に抵触するということで、方面総監より検察庁へ、検察庁から公訴を提起したという経緯の刑事事件でございまして、事件の性質はもっぱら刑事事件でございまして、その野崎きょうだいに対しまして、具体的な民事上の補償金とかあるいは見舞い金という問題はございません。先ほどから申し上げますように、その当時におきましては、自衛隊としては特撮法のような規定がございませんので、特別に補償金とか見舞い金というものは出しておりません。
○島本委員 すると、これは、特損法で一回やったならば、その後自衛隊に移行されておっても、それはやらなくてもいいというようなことになるのですか。
○山上(信)政府委員 先生のお尋ねの件は、自衛隊になってから、むしろ米軍時代より悪くなったのじゃないかという御趣旨の御質問だと思いますが、いろいろちぐはぐな答弁がございましたので、御理解いただけなかったかと思いますが、米軍時代に騒音が相当ございました。そのために乳牛等に被害があった。これについては、答弁いたしましたように解決いたしたわけでございまして、その後自衛隊になりました以後、自衛隊のほうの演習につきましては、ただいま江藤参事官から説明のありましたように、射撃方法とかその他をいろいろ改善して音のしないようにしておる。ところが、たまたま三十七年のころにそういった事案がございまして、この電線を切ったというような事件になっておるわけでございます。したがいまして、そういった刑事事件が発生いたしておりまするが、具体的にそういった騒音によって乳牛等に被害が現実に発生しているということでございますれば、自衛隊でありましても、これは現在の整備法九条によりまするところの補償をいたす考えでございます。ただ、現在までのところ、さようなことになっておらぬので、現在まで補償いたしておりません。ただ、自衛隊といたしましては、この騒音その他が被害を及ぼさないような演習方法その他を持っておるということと、それから片方から、さような被害についての補償の御要求がございますれば、それを具体的に審査いたしまして、そうして因果関係がほんとうにあるというようなことでございますれば、これについて補償するのにやぶさかでない、こういうように考えておる次第でございます。
○島本委員 それは、山上施設庁長官はあとから来ましたから、午前中の答弁と午後のいろいろな答弁のいきさつについて聞いておらないから、いまのようなことが言えるわけです。というのは、総理府の橋口審議室長から、この紛争処理法案から基地を離した理由について、前の加藤委員からのいろいろな質問に答えて、離したことは問題ではない、基地周辺には手厚い保護が加えられております、そうして周辺整備法で十分措置ができております――まあ、こういうようなことなわけです。それと同時に、鐘江部長のほうからは、騒音の被害が、因果関係がわかれば適確に処置いたします、こういうふうな答弁もあったわけです。一審最後の答弁は、これはいい答弁ですからいいとします。ただ、いま言ったように、手厚い保護が加えられておる、現行法でも十分これをやっておる、したがってこれ以上必要はない、と言うから、それじゃこれができて以後のこういう問題はもう全部解決しているかと、データによってみたところが、千百幾つかのあのデータのうち、解決されていないのが四百幾つもあるのです。四百何件もあるのです。それはあなたも御存じのとおりなんです。ですから、これは手厚い保護にもならぬじゃないか。いわゆる基地の特殊性じゃないか。これこそ、騒音でも、水質汚濁でも、受けるのは国民だから、あくまでもこれは紛争処理によって適確に処理しなければならぬのじゃないか、こういうようなことです。しかしながら、これはあくまでも手厚い保護が加えられるのだ、こう言うから、いま具体的に聞いているのがこの問題なんです。この問題は初めから自衛隊法違反でやったのじゃないのです。私がいま読んだとおりじゃありませんか。これは陳述書です。あるいは初めからうるさい、乳が少なくなる、だから撃つ場合には――やめろというのじゃないのです、連絡してからやれというのを、無警告にやっているじゃないですか。そしてそれを何回やっても、抗議を受け入れないじゃありませんか。そして最後には切ってしまったじゃないですか。これが手厚い保護かというのです。こういうような特権に対してそのまま泣き寝入りしなければならないのかというのです。自衛隊には特権ありますか。国民でしょう、自衛隊員も。軍隊ではないでしょう。どうなんですか。あれは国民として一票の行使権があるんでしょう。昔、軍人といったら、なかったでしょう。いまはシビリアンでしょう。そこに特権か何かあって、そこから発する公害のために国民は泣き寝入りしなければならないのか。こんなばかなことがあってはだめだ。現にこの法律ができた以後だってあるじゃないか。ここなんです。わかったでしょう。いまいろいろ答弁が混迷したのは、こういうようないきさつもあることなんです。やはりこれがあっても根本的な解決にはなりませんね、周辺整備法だけでは。それでできるというならば、いまのこの問題に対して何ぼ補償したのか、はっきりさしてみてください。
○山上(信)政府委員 自衛隊の行為等に基づきますところの影響によりましていろいろな損失ができる、農林水産業等に障害ができるというような場合には、そういった補償をする道を現在の周辺整備法で用意いたしております。したがいまして、さようなことが具体的にはっきりいたしますれば、私のほうでもさような措置をいたします。さらに私どもが整備法等でいろいろな手厚い措置をいたしておりますと言うのは、補償だけのことをさしておるばかりでもございませんで、障害防止のためのさまざまな施設をいたすとか、あるいは障害の防止までに至らなくとも、障害の緩和のために民生安定施設をやるとか、あるいは音が非常にやかましいから移転をしてほしいというものに対しては移転の措置をするとかいったような各種の措置も、あわせてこの整備法で講じております。さような法をわれわれは適切に運用することによって、国民の皆さまに御迷惑のかからないように、少なくともわれわれとしては最大限の努力をいたしたいということを先ほどから申しておる次第でございます。これらにつきまして、手厚いということが完全であるかというふうにおっしゃられますと、私どもこれをもって完ぺきであるというふうに必ずしも申し上げかねるかとは思いまするが、他の措置に比べてははるかに手厚い措置を講じておりますということを申し上げ、かつ防衛施設の特殊性から、かような整備法の運用によってこういうような問題の処理をいたしてまいりたい、かように考えておるということを申し上げたいと思います。
○島本委員 他の措置よりも手厚いのをやっているのに、なぜこんなに未処理のものがたくさんあるのですか。手厚い保護を講じてないから未処理のものが残るのじゃありませんか。三十五年から七百件やって四百件残っておる。これで手厚い保護を加えておるということになるのですか。きょうは口先だけではだめです。
○山上(信)政府委員 現在、お手元に差し上げました資料によりまして、残っておりますというのは、これから今後処理をいたすつもりのものがほとんどでございまして、今日まですべての事案が解決したということではございませんが、解決の方向に向かってすべて処理をいたしておるということでございます。三十五年以来そのまま未解決で残っておるというものではございませんで、三十五年以来の事件がこういうふうにあり、こういうふうに処理され、今日なお残っておるものはこれだけあるというふうに、資料で差し上げたつもりでございます。今後もこの問題の解決について積極的に努力してまいる、こういうつもりでございます。
○島本委員 積極的に努力しないなんという答弁をした人は一人もない。事故が起きると、再び事故は起こしませんという答弁は、どの大臣でもしているのです。しかしながら依然として事故が起きておるのが、いまの炭鉱やそのほか交通関係の事故の通弊なんです。いまあなたがおっしゃったように、もうそのようなことはしません、優遇していますと、これほどはっきり言うならば、いまの四百件はいつまでに解決してしまいますか。
○鐘江政府委員 本件につきましては、先ほど私から御答弁申し上げましたとおり、未処理の約四百件の中には、途中で陳情書なり要望書なりをいただきまして、まだやるかやらないか、たとえば防音工事については、調査をしてみないと、整備法によって実施できるかどうかわからない案件もあるということでございまして、現にちょうだいしておるところのそういう要望書なり陳情書なりをここに計上したわけでございまして、この四百件なるものがすべて実施しなければならない案件かどうかということはわからない、そういうことで御了解願います。
○島本委員 防衛庁関係のものは、ただ単にそれだけ言って、了解してくれといってもだめなんです。初め言ったとおり、これは手厚い措置をしておるからだいじょうぶだということにならぬじゃないですか。これからやっても、中には没にしてしまうものもあるでしょう。それが手厚いやり方だとは考えられない。それに、いま言ったような事故の補償については申請主義でありましょう。申請していかないと、これは取り合わないんでしょう。そういうような一つの矛盾というのか、事故が発生しても、この申請ルートに乗らないと補償がない、こういうような矛盾だって中にはあるじゃありませんか。おそらくは事故が発生しても、被害者から補償の請求が申請されない限りにおいては、慰謝料というのですか見舞い金というのですか、この補償のルートには乗ってこないので、実際どれだけ起きたのかわからない。これは米軍関係の基地の調査によりますけれども、実際三沢基地では、昭和三十七年四月から十月までの七カ月の間に、公務上の事故が二十四件、公務外の事故が五十件あったのを、補償請求をしたのは公務上が十件、四一%、公務外が五十件のうち五件、一〇%、こういうことで、被害者の補償請求について、どうなんだと調べたところが、どういうふうにしていいか手続も知らなかった、それで黙っていた、こういうような人もおるのです。それだけじゃないのです。手続が難解で繁雑であるからどうにもしようがないといって、あきらめた人もあるのです。これは私、ここにあるデータの中にもありますが、衆議院の外務委員会の議事録の中にもはっきりその例があるのです。神奈川県の茅ケ崎の漁業の損害補償の手続の申請書類が、半紙で一間半ぐらい積み上げられて、半紙の購入費だけで四十八万三千円もかかったというような例さえもあったわけでしょう。したがって、これはどうしても手続の難解、煩瑣のために、もう全然取り合わないのもだいぶある。それだけじゃないのです。補償請求しても時間が長くて間に合わない。また補償金額も少な過ぎる。たとえばバーの器物を破損したやつだとか、また交通事故だとか、公務外のけんかによる損害、こんなのは補償請求しないのが多い。そのほかにも、公務外の事故は、加害者と被害者で示談で済ませるために、これに乗ってこないのが多い。たとえば自動車事故の場合なんか、保険会社が中に入って示談にしてしまうので、事故としてのってこないというのがあるわけです。したがって、公務上、七カ月の間に二十四件のうち十件しか来ない。公務外七件のものが五件しか来ない。こういうようなことは、やはりお互いにやるルートの中に乗って、申請主義をはっきり知っている人だけがやるのです。知らない人は泣き寝入りになるのです。いまの野崎さんの問題でも、母親はあれほど苦衷を訴えているでしょう。病気になっておる。難聴でしょう。子供は二十代で難聴になっているでしょう。そうまでして、いろいろ事故が起きても、米軍のほうは補償してもらっておって、自衛隊になってからはしておらない、こういうようなことなんです。この事故補償についての厳格な申請主義がある限りにおいては、これはやはり徹底的な優遇措置だ、こういうようなことにはならないではありませんか。私はそういうような点についても補償金額ないしこの慰謝料額、こういうようなものの査定の問題については一体どうなっているのか、この辺まではっきりしてやらないといけないのじゃなかろうか、こういうように思うわけなんですけれども、周辺には手厚い保護を加えられていると言う以上、これはやはり米軍基地であろうとも、自衛隊基地であろうとも、こういうような問題が解決されない以上、これは同等に扱った、または手厚い扱いをしたということにならないと思います。現にデータはこういうことになっておりますが、この点等はいかがですか。
○鐘江政府委員 ただいま先生の申された補償の問題につきましては二つあろうかと思います。一つは先ほど来議論されておりますところの特損法による米軍の適法行為に基づくところの損失の補償、これの処理の問題。それからもう一つは米軍の不法行為に基づくところの損害賠償の問題、こういうふうに二つに分けられるかと思います。第一の特損法に基づくところの損失の補償の問題につきましては、幸い、当方におきましては、大きな基地の周辺あるいは隣接地帯に防衛施設事務所がございます。局もございます。そういうことで、そういう被害があった場合には、こういうふうにして申請書を出してくださいということを、事務所、あるいは局の係官が、そういう被害者の方々の指導を申し上げております。さらに、この不法行為に基づくところの損害賠償金の問題につきましても、先ほど来非常に申請書が繁雑であるというお話もございましたが、これにつきましても障害を受けた場合の医療について、あるいは後遺症があった場合の障害補償について、こういう問題につきましては、一々私どもの施設事務所あるいは局の担当官がその被害者の自宅に訪問いたしまして、そしてこういうふうに申請書を書いてくださいということを御指導申し上げておるというのが現状でございまして、私どものほうとしましては、申請が来ないからほったらかしておくというような態度では決してございませんので、その点ひとつ御了解願いたいと思います。
○島本委員 特損法によっても、この基地周辺法によっても、これはいままで業種別にいろいろ補償される範囲がありましたが、今後これ以上だとすると、被害を受けた人がそれに対して救済を求めていく。これには、本法にはあっせんから仲介からずっとある、仲裁まであるわけです。この被害を受けた人は、業種にかかわらずどういうような人でも、その問題に対して今度は被害救済申請はできる、個々でも全部やれる、こういうようなことにならないといけないはずですが、これはすべて個々においても、これは被害の救済についての措置はできる、こういうようなことですね。
○鐘江政府委員 従来この特損法に基づきます補償につきましては、一応、先ほどお答えいたしましたとおり、原則として農林漁業の事業経営の方を対象にしておったわけでございますが、一概にそういうことで補償の対象者をしぼっているわけではございません。一般の人家に対しても、あるいは相当因果関係が不明確な場合でも、補償するということが実際的に適正であるという場合には、従来も見舞金を支払っているというのが実情でございます。
○島本委員 その補償ですか、見舞い金ですか、いま言っているのは申請された場合に補償をやっているのですよ。いまあなたの言ったのは見舞金ではありませんか。涙金ではありませんか。そんなことで手厚い保護なんですか。
○鐘江政府委員 ただいま申し上げましたのは、特損法に基づく補償金としては支払えない、さりとてこれを全然お支払いしないというわけにもいかないということで、補償算定額の約五〇%の補償金を見舞い金としてお支払いしているというのが実情でございます。
○島本委員 今度その方面に対しては、いわゆる個々のいろいろな救済を求める措置が新たに紛争処理の法律の中に盛られるわけです。救済を求めるのです。それと同様に、それ以上に、特損法によっても、周辺整備法によってもできる。これは被害者がだれでもやれるのです。特損法によっても、農林漁業等の業種を問わず、万民すべて被害を受けた人は損失の補償を請求することができる。これでないと、手厚い優遇措置を講じているなんて言えないと思うのです。これではもっといい法律だとは言えないと思うのです。こういうようなことですね。
○山上(信)政府委員 ただいま鐘江部長から御説明申し上げましたように、周辺整備法もしくは特損法の規定によりますものは、農林水産業等を主体にした補償でございます。しかしながら、私が先ほど御回答申し上げましたように、これらにつきましては、単に補償ということだけで問題を解決するというよりも、むしろ予防的にいろいろなそういうような障害が起きないようにしようということで、障害防止の措置とかあるいはまたそういった障害を緩和するために障害の緩和に必要な民生安定のいろいろな施策、福祉の施策がございます。そういったようなものを講じるというようなことによって、単に補償というようなことだけでなく、いろいろな施策を総合したものが、この整備法の精神でございます。また人の被害に対する問題につきましては、事業経営の場合につきましては、農林水産業等を主体にして個々の規定ができておりますが、ただいま現実にそういったような問題が主体であるがゆえに、こういう規定になっているのでございます。したがいまして、規定はこういうふうになっておりますが、かりにそういった以外の問題が起きた場合におきましては、これらに相当因果関係が認められる場合には、これまた見舞い金等の措置によって、この運用をはかっているというのが現状であるということを申し上げた次第であります。したがいまして、今後こういったような問題が一般的に起きてくるというような場合におきましては、これは法律の運用あるいは法の改正というような問題もあろうかと思います。これらについては、実際にそういった問題が生じた場合に考えてまいりたい、かように考えております。
○島本委員 では、これは起きるまでは考えないということをはっきり言ってしまったわけですね、初めからこういうような点は考えておかなければいけないはずなんですけれども。それでは予防措置にならない。起きてから考えるのでは、予防ではないのです。まして、いま野崎さんの問題をちょっと先ほど言ったけれども、子供さんまでもああいうふうに不具になる、もう引きつけを起こしているということですよ。大砲のたま、着弾距離を離してもらったけれども、今度もどこから飛んでくるかわからぬし、そのために神経衰弱になっているという話です。子供の教育にまで影響してきているのです。まして乳牛の搾乳量なんかも激減しますから、これは以前の特損法では話がついたけれども、今度自衛隊法になってやっておらないのですよ、野崎さんの場合は。しかし、人の被害なんて見るにたえないじゃありませんか。こういうようなのを黙っているのは厚生省としてもおかしいのだ。むしろそういうような被害は、母親だとか子供だとか、または動物というもの、乳をしぼられるほうの乳牛の立場だって、演習のための被害なんです。それだってもっと話をつけてやればいいはずなんです。退避させる余裕くらい与えてやってもいいのです。それをしないでどんどんやっている事件なんですよ。そして、そういうことをされるものだから――そこは民有地ですよ。民有地でそういうことが起きた、これではやはり手厚い保護だなんて言っておられないですよ。これは事人権に関する問題ですよ。これから生まれる子供、それからいまの子供たちは二十一世紀をになうところの人材ですよ。そういう人をそういう状態にして育ててやるということは、すでに生きているわれわれ親としては恥ですよ。厚生政務次官としても、こういう問題があってはならないと思うのだが、現にあって、補償さえも十分ではないままに裁判になって、いいと言ったのは昭和三十五年の話で、昭和四十三年にようやくこの問題が解決した、こういうようなケースですよ。やっぱりもっともっと内容的に考えなければならない軍事基地の被害というような問題があるのです。厚生省としても、この問題は自分のほうじゃないから、施設庁のほうだから、われ関せずという、こういう態度じゃなくて、少なくとも被害が公害という名ではね返ってくる以上、窓口は厚生省だと言ったのは園田前厚生大臣です。それをあなたは受け継いでいるんですから、今後こういう問題に十分対処しておかなければいけないのですけれども、幸いに佐藤総理はヒューマニストだから、あなたもそういうような点十分説得してやってください。いまのような事件を再々これから起こしてはならない。これに対する厚生省側の意見もあわせてお伺いしておきたいと思います。
○粟山政府委員 先ほどから手厚いということば、たいへん伺っております。事の内容にもよりますけれども、厚生省の問題ということから考えますと、公害にあって病気になる、あるいは健康がそこなわれるというような問題に対しては、手厚いというのはよほどのことでなければ、手厚い保護、補償がなされたと言い得るためには、よほどのことがなされなければならない。手厚いということばはなかなか使えないのじゃないか、それほどに思います。この公害対策基本法ができまして、それに関連して目下公害二法案を御審議いただいているわけでございますけれども、これからますます公害の問題は複雑になってくるとも思いますが、これは十分に法の精神に従って、実効あるそういう法律ができ上がりますように期待いたしますし、そういう問題についてまた法案ができまして、法律が成立しましてからも、やはりいろいろとまた不備な点ができれば、早急にも研究し、考えもしなければなりませんし、公害の起きないように、起きましたならば早急にその被害を受けた方たちに対する救済ができますように、保護ができますように、というようないろいろな公害の問題あるいは予見されることをも研究、考えまして、それが起きないようにという問題も重大であろうと思います。そういうことをひっくるめまして、今後も厚生省としては大いに研究もし、考えなければならないという、実効ある法案ができることに努力をし、期待するものであります。
○島本委員 それで、重ねて念を押してはっきり防衛庁のほうにお尋ねしておきたいのですが、これは周辺整備法と同様に、もしくはそれ以上に扱うとするならば、いろいろな点でそれができない点は、法を改正しなければならないのじゃないか。特撮法によるにしても、現在やはり農業、林業、漁業または政令で定めるその他の事業とあって、政令でもこれは学校教育事業とか医療保健事業とかいろいろはっきりきまっておる。その対象だけでは、商店主やサラリーマンやこういうものは入らないけれども、いままでの答弁によって、そういうものの特損法による適用も考えていくというお話のようですが、そうすると、被害者全員はすべて、業種を問わず、米軍基地による被害救済の対象になる、こういうようなことをはっきりここで確認しておきたいと思います。違いますか。
○山上(信)政府委員 先ほどからたびたび御答弁申し上げておりますように、周辺整備法におきましては、補償の対象といたしまするものは、農林漁業等を主体にしたそれらの事業経営上の損失ということを法のたてまえといたしておるのでございます。この運用にあたりまして、現実に相当因果関係が認められた場合におきましては、かようなものの範囲を、それ以外の場合におきましても、見舞い金として処理いたしておるのが実情でございます。したがいまして、今後これらの運用によって適正を期してまいりたい、かように考えておるわけでございます。 なお、先ほどから申し上げまするように、いろいろな被害につきましては、単に補償とか見舞い金というような措置でなくて、予防措置、障害防止の措置あるいは民生安定の措置等について、先ほどから申し上げておるような、他の施策に比べれば手厚い施策をいたす、それらによって基地周辺のこういった問題の処理に当たってまいりたい、かように考えております。
○島本委員 適法に農業を営んでおる者、それは漁業、林業にも当てはまるわけですけれども、これは一切問題にしないで、それは今後やっていける、こういうふうに解釈してもよろしゅうございますか。
○山上(信)政府委員 先ほどから御答弁申し上げておりますように、整備法の第九条には、農業、林業、漁業その他政令で定める事業ということでございまして、その事業の経営上損失をこうむった者が、九条に定めるような事項による損失を生じたときに損失を補償するということになっております。したがいまして、これらが主体となるのが現在の法制のたてまえであるということは、たびたび申し上げたとおりでございます。ただこの実際の運用にあたりまして、相当因果関係が認められる場合におきましては、この法のサイドとして、いわば見舞い金というような措置によって、現実に具体的に起きた問題を処理いたしておる。結局現実問題としては、さような問題が、今日までにおきましてはそう多くを予想され、あるいはさような問題が、相当因果関係が生ずるような大きな問題がないということが大前提になっております。将来かような問題が非常に出てくる可能性があれば、その際において、防衛庁において考えなければならぬと考えておるということを先ほどから申し上げている次第でございます。
○島本委員 先ほどから申し上げていることは、先ほどから聞いておるのであります。ですから、その中で疑問な点をまた聞いているのですけれども、概略、網をかけるようにさっとかけるだけで、私はそれだけじゃ心配だから、不安だから、その内容等について、補償の対象になっている、いわば従来適法に農業や漁業や水産業を営んでいるもの、これは解釈を狭くしたら全部はずれるから、そういうようなことはないんだろうなということを含んで、適法にという解釈はどうなんですかということを聞いているのですよ。ところが、それとかみ合わないんだけれども、これは適法云々を問わず、すべての業を営む人は、補償や見舞い金や、こういうものの対象になり得る、こういうようなことですね。どうなんですか。
○山上(信)政府委員 補償というものは、農林漁業その他、政令で定める業種という範囲にとどめるのが当然だと考えております。
○島本委員 そうしたら、農林業や漁業以外のものに対しては、どういうふうにいたしますか。
○山上(信)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、さような場合において、相当因果関係が認められている場合には、見舞い金等の処理によって事を解決してまいっておるということを申し上げております。
○島本委員 その見舞い金の算定または補償額の算定の数値、こういうようなものは何によってお立てになっておりますか。
○鶴崎政府委員 兄舞い金の算定につきましては、これは事案によってそれぞれ内容が非常に違うものですから、画一的な基準というものはございませんが、考え方としましては、自衛隊等の行為との相当因果関係の範囲内において発生した被害につきまして、なるべく客観的な資料その他を利用いたしまして、被害額を算定する。ただし、この場合は普通の損失補償と違いますので、これもケース・バイ・ケースでございます。一番低い場合はその算定額の五割、しかし事案によっては一〇〇%に近いものを支払うようなやり方で従来やっております。
○島本委員 金額の算定について、数値の置き方によっていろいろ違ってまいりますが、これに対してはっきりした科学的な基準、依拠する基準というものはあるはずです。いつでもかってに変更してやるということはないと思うのです。その数値はどうなんですかと言っておるのですよ。これはないのですか。
○鶴崎政府委員 たとえば農林漁業関係の被害につきましては、農林省で出しておるところの農林統計、あるいは各都道府県で出しておる同様の資料がございます。そういった客観的な資料を利用して、なるべく公平に算定ができるようにつとめております。また、これが建物その他工作物の場合には、物価版というものがございますし、労務についても職種別賃金表というようなものがございますので、そういった資料によって算定をいたしております。
○島本委員 私の質問がたぶん悪いのでしょう。どうも私が理解できるように答えてくれない。それは補償額の算定の数値、こういうようなことはいかがですか。具体的に申し上げます。三沢基地では、航空機進入表面の投影下補償の場合、当局側は一機一回離着陸のときの農耕労働阻害時間一分、それに一日の飛行回数平均二百二十回ならば二百二十回、そういう過去平均投影労働量並びに労働単価を乗ずるやり方である、こういうふうに私のところに来ているのです。その補償額は数値をどこにとるか、これによって三沢では補償額が大きく異なってくる。防衛施設庁で、PW、一般職種別賃金で土工のものをとって、昭和三十七年に四百八十五円としたけれども、地元の県では県の統計によって今度は六百五十円を主張し、これが折り合わないでおった。数値の取り方でこう違ってくる、したがって数値はどこに置いているんだと聞いているのです。いま私が言ったのは間違いでしょうか。
○鶴崎政府委員 ただいまお話しのありました飛行場の進入表面下におきます農耕阻害の補償の算定でございますが、要するに飛行機が離発着するために農耕が阻害される、それは一回につき一分であるという前提で、飛行回数によってその損失の時間を計算し、これを労務費に換算しているわけでございますが、労務費に換算する場合、過去におきましては職種別賃金表によっての土工ということでやったこともございますが、現在におきましては、農業委員会の協定賃金といいますか、そういうもの、あるいは農林統計というようなものによって、なるべく実情に合うように是正をしてきておるということでございます。
○島本委員 地元県では県の統計をはっきり主張し、それによって納得してもらいたいと出した。当時あなたのほうでは、これはいわゆるPWの土工の算定によってこれを出して、折り合わなかった。折り合わなかったということはどういうようなことなんですか。これはやらなかったということじゃないですか。全部終わったのですか。これは、高いほうが出たならば、県当局が知事の名において自信を持って統計表を出したのですから、それをとるのがいわゆる手厚い保護のやり方じゃないですか。下のほうをとって折り合わなかったということになれば、これは手厚い保護なんか何もやってませんよ。その数値の置き方をどこに立てているんだ、これによって違いますぞ、ということを言っているんですよ。
○鶴崎政府委員 ただいまお話し申し上げましたように、過去においてはPWの土工でやったこともございますが、その後県当局等との話し合い等もございまして、それをやめまして、県の協定賃金あるいは農林統計、そういったものによってやっておりますので、現在においてはこちらの過去のやり方を是正しておりますということでございます。
○島本委員 したがって、私が言ったような懸念は一切ありません、数値は高いところに置いてありますと、はっきり言ったらいいじゃありませんか。言えないところがおかしいと言うんだよ。
○鶴崎政府委員 そのような趣旨を、具体的な事実で御説明したつもりでございます。
○島本委員 公害紛争の文字の使い方は、専門家が読んでもわからないといって、日弁連のほうから政府は指摘されている。あなたの答弁は、はっきり言えばいいのに、だれが聞いてもわかるのかわからないのかわからないような日本語で、りっぱに答弁なさっておられる。そういうのが官僚答弁の粋でございましょうか、私は不敏にして、それだけはわかりませんけれども、ひとつ今後そういうようなことのないように、私にわかる日本語で御答弁願いたい。 漁業補償の問題はどういうふうになっておりますか。
○鶴崎政府委員 漁業補償には二種類ございまして、ただいまもお話に出ましたいわゆる特損法あるいは周辺整備法による漁業補償、それから米軍の場合は操業制限法による漁業補償、自衛隊の場合は自衛隊法の百五条による漁業制限の補償、こういう種類がございますが、特損法並びに周辺整備法による漁業補償につきましては、たとえば基地から汚水が流れるというようなことによって、ノリとかあるいは漁業に被害が出た場合に、その実態を調査しまして、周辺の被害を受けていないようなところとの比較をしまして、通常ならばこれだけの漁獲であるであろうという推定をしまして、それとの差額を金に換算して補償しておるということで、できるだけ実態に沿うよう努力しておるつもりでございます。 それから漁業の操業制限法、米軍の関係、それから自衛隊法の百五条によりまして、水面の一定の区域を漁船の操業を制限するという場合に、この操業制限に対する補償につきましては、これもやはり基本的にはその漁区における水揚げ高というものを、水揚げ台帳その他により算定をしまして、こういった漁業組合の資料をもとに、欠損額を算定し、補償額を計算しておるという実態になっております。
○島本委員 漁区漁業と自由漁業の操業制限の場合、これはやはり昭和二十七年の法第二百四十三号によって、総理大臣、農林大臣の意見を聞いて、一定の期間、区域をきめて漁業の操業を制限し、禁止することができる、こういうような法律によるんじゃないか、こう思われまするけれども、これにも、やはり従来適法に漁業を営んでいた者が漁業経営上こうむった損失の補償、こういうようなことになって、「適法に漁業を営んでいた者」というような一項があるのはちょっと抵抗を感ずるんですが、こういう制限はいまはないのですか。
○鶴崎政府委員 漁業の操業制限法、あるいは自衛隊法の百五条による漁業の操業制限につきましては、基本的な考え方としましては、その制限を開始した時点において、制限にかかる水域で現に漁業を営んでいた者が対象になるということでございます。しかしながら、これについても、その後漁業者が逐次ふえてくるというような問題もございますので、それぞれの特殊事情を配慮しながら、なるべく弾力的に運用していきたい、こういうふうに努力をしております。
○島本委員 漁業のほうは、これは委員長のほうが最も得意とするところでありますから、少しその点では、私ども不敏にしてこの問題の要点を得ることができないのが残念です。しかし、それにしても、生産力の発展に応じて、漁法がだいぶ変わってきておりますから、適法に漁業を営んでいる者の漁業経営上こうむった損失補償ということばがもしあるとすると、今後変わった者に対しては、そんなのは見舞金程度で、法にもとるんだから、もう慈愛のお示し程度だ、こういうようなことになっちまっては困るのです。あくまでも実情に沿うような解決の方法だ、こういうようなことをいま聞いたわけでありまするけれども、これはもう何年もたっているし、漁法も変わる。何せやり方なんかほとんど変わっちまう。それでも何年も前の、十年前のことを言って、おまえはもう適法にやっていないじゃないか、かってなことをやっているじゃないか、こう言われたならば、ほんの涙金の見舞金ぐらいでおしまいになってしまう、こういうようなことになってはいけない。老婆心なんですが、こういうようなことは一切心配ありませんか。
○鶴崎政府委員 この漁業補償の対象の範囲につきましては、ただいま申し上げましたように、原則としては、その制限開始時に当該水域で漁業を営んでおった者ということでございますが、たとえば二、三男が分家をするというような場合もございます。そういった場合も、当時適法に漁業を営んでいないからこれは対象外であるといって、はたしていいのかどうかという問題もございますので、こういった特殊の場合につきましては、できるだけ弾力的に配慮をし、補償の対象とするように努力をしてきておるという実情でございます。
○島本委員 努力してきておるということは、全部これを救済してきている、こういうように解釈していいですか。一つも漏れておりませんか。
○鶴崎政府委員 いまのような問題は、すべてのところについて、要望として強く出されておるわけでもございませんので、逆に漁業者が当時より総体的に減ってしまっておるというところもございます。したがって、これはケース・バイ・ケースで処理しておりまして、おしなべて全部やっておるということは申し上げかねるわけでございます。
○島本委員 いかなる答弁ですか。それは減っておるのだから、申請された人が少ないなら、なおさら少ない人について全部だということになるのではないですか。減っているから、これはもうおしなべて全部とは言いがたいというのは、私にはどうもわからぬな。減ったなら、減ったものについては一〇〇%全部補償してあります、逆に多くて心配なさるでしょうけれども、減っているのだから全然心配ありません、全部やっています、ということだと思って聞いているんですよ。どうもあなたの言うことははっきりしなくて悪いなあ。
○鶴崎政府委員 減っているときには問題がないということでございます。減っているから、その場合にはもちろん一〇〇%、したがって、新規に対象者を考える必要がないということでございます。ふえている場合に、それではどうするかというときに、たとえば二、三男が分家をしたというようなときには、弾力的になるべく考えるようにしています、こういうことでございます。
○島本委員 少しわかりましたよ。しかし、やはり一〇〇%ですということを言ってくれれば、一回でいいんですがね。 それから学校教育に対する騒音の被害というのは、これは一〇〇%うまくいっていますか。たとえば、以前、昭和三十七年のころだったと思いますけれども、板付の飛行場周辺と周辺でないところと、中学校から高校に行く進学率が約九%かそれ以上だったか下がっているというデータが、市当局か県当局の教育委員会から発表され、当時において、これは防衛庁ではそれを知っておったわけです。林政府委員がこれに対して、はっきりその事実はあります、困ったことです、これに対しては今後いろいろ防音装置その他において善処したいと思います、こういうような答弁をしてあるわけです。なぜかというと、質問したのは私だからであります。それ以後、九州のそういうような基地に対しては、どういうような措置をしてありますか。
○鶴崎政府委員 ただいまのような飛行場における航空機の騒音というものにつきましては、もう御承知と存じますが、学校教育の阻害をなるべく軽減するという趣旨で、防音工事を年度別に計画を立てまして、着々と実施をしてきておるという状況でございまして、板付飛行場の周辺につきましては、まずいわゆる一級防音工事というものは完了しております。二級防音工事、一級のところよりもやや音の低いところでございますが、これについても、現在防音工事を実施中でございます。
○島本委員 文部省は……。
○青江説明員 進学率の問題をいま御指摘になりましたが、進学率の問題は、ただいまお話しになった資料が私のほうにございませんので、ちょっとわかりませんが、文部省でも、昭和四十二年に基地周辺の高校の進学率を調べたものがございます。全国で五カ所の基地につきまして、昭和四十年度と四十一年度、この二年度につきまして比較をいたしました。進学率は基地周辺の二、三校をとってサンプル調査したのでございますが、必ずしも全部が下がっているわけではございませんで、中には進学率の上がっているものもございます。この関係につきましては、まだいろいろ検討すべき問題がございますので、現在文部省でも会議を持ちまして、この騒音と学習結果との関係を十分調査している次第でございます。
○島本委員 学習の場合には、多分に学校の設備、それから校外のいろいろな勉強の方法なんかにもよると思います。おもに学校におる際の騒音、これによっての影響ということになりますと、これはやはり教育上重大な問題だと思っております。いろいろ前の委員からも質問がありましたけれども、防音壁を設けさしてやるということになると、通気、換気が悪くなる。それだったら環境が悪くなる。それと同時に、今度ほとんど音が聞こえないように完全に防音してしまう。逆に他の換気状態のための衛生的な見地をもっと拡充しなければならぬということになると、現在それをやっておる施設でいいということにはならないと思う。防音装置だけはやった、換気装置が悪くなった、あとはどうするか。この辺のいろいろな補助だとか、こういうような問題が、やはり基地周辺の学校ではいつも問題になるのじゃなかろうかと思うわけです。おそらく防音装置を完全にやると、環境が悪くなるでしょう。それに対して換気装置なり、こういうようなものは、完全にしなければならぬし、防音装置の中に換気装置もそれらも全部入るのですが、入らないで、文部省と地方の自治体との間で補助の問題で、いろいろとトラブル等ございませんか。なければけっこうなんです。
○山上(信)政府委員 基地周辺の問題でございますから、まず私のほうから答えさしていただきたいと思いますが、九州方面におきまして、防音工事をやる、そういったような場合に、換気が悪くなるというような問題が生ずるということは、過去においてそういう話もございましたので、これはあちらの方面におきましては、防湿という表現でございますが、いわば換気並びに温度が高くなることを防ぎ、湿度を発生するのを防ぐ装置を、当庁におきまして、いわゆる防音工事の補助率と同じ方式でやるようにいたすことになっております。
○島本委員 九州はそうであっても、これは寒冷積雪地帯はどうなりますか。
○鐘江政府委員 北海道、東北地方の寒冷地帯におきましては、温風暖房装置を取りつけることにしております。
○島本委員 温風暖房によって、もうすでに実施した地域はありますか。
○鶴崎政府委員 温風暖房装置をこれまでに実施しましたところとしましては、千歳飛行場の関係の学校等は温風暖房を実施しております。
○島本委員 温風暖房というのは、ストーブじゃないでしょう。どういう方式で温風暖房を実施しているのですか。
○鶴崎政府委員 防音工事を実施します場合には、外部の音の侵入を遮断するために、窓の工事その他をやって、部屋を締め切ってしまうわけです。そこで空気の流通が非常に悪くなるということで、当然これに伴いまして、換気装置というのを設置しております。これは当初からやっておりますが、ただ北海道のような寒冷地におきましては、冬期間において、この換気装置を作動しますと、外の冷い空気がなまで入ってくる、こういうことで、今度は非常に温度が下がって、授業を阻害するということで、この換気装置に併置しまして、空気をあたためる装置を設け、あたためた空気を各部屋に送るというふうにしたのを温風暖房装置こういうふうに言っております。
○島本委員 それは全部実施しておりますか。北海道では……。
○鶴崎政府委員 実施しております。
○島本委員 実施している市はどことどこですか。
○鶴崎政府委員 千歳飛行場の関係の千歳市、恵庭町、広島村、こういったところの防音工事を実施した学校につきましては、すべて温風暖房装置を実施してございます。
○島本委員 実は私は、温風暖房というものをまだ見たことがないのです。つい先般、千歳の中学校と小学校の点検に参りました。そこを私不敏にして見ないできたのです。これから行ってよく点検してまいりたいと思います。そういうふうなことで成果があがるなら、それは基地全体の問題ですから、寒いところには温風暖房による換気装置、それからあたたかい方面には完全な通気、こういうようなことによって、いい環境をつくってやってほしいと思うわけです。教育関係だけは、文部省も来ておりますから、よく聞いておられたと思いますので、善処してもらいたいと思います。 それで、もうすでにいろいろあると思いますが、今後基地関係でそれによって被害を受けると思われる人は、いまの特損法によってきまった業種、それに限らず、各種の人たち、たとえばサラリーマンでも商店主でも、どなたでもが、対等に今度は請求することができる、こうでなければ手厚い保護にはならない、こういうふうなことですが、最後に、こういうようなことだけは気にかかるのですけれども、これをはっきり、特損法の問題でもそのとおり、周辺整備法の問題でもそのとおり、少なくとも被害を受けておるという人ならば、いかなる立場の人でも、これをやったならば、補償の対象になり得るのである、こういうふうに理解しなければならないと思うのです。そうでなければ当然同じじゃありませんね。これは再三にわたってくどいようですが、もう一回念のためにお聞かせを願いたい。
○赤路委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○赤路委員長 速記を始めて。
○山上(信)政府委員 ただいまの点については、再々お答え申し上げましたとおり、損失補償というのは、法によってこの範囲というふうに規定されておりますので、申し上げたとおり、「従来適法に農業、林業、漁業又は政令で定めるその他の事業を営んでいた者がその事業の経営上損失をこうむったときは、」というふうに考えられております。先ほど申し上げましたとおり、この運用によって、現実に因果関係のある損失があった場合には、これを見舞い金等の処置で、その他の場合でも考えておる、こういうことを申し上げます。
○島本委員 ようやく適法によって云々というのが出てきたけれども、その場合に、見舞い金の場合には正式な補償額より下がるんでしょう。見舞い金であろうと補償金であろうと、下がらないで同じようにして、適法の方法によって、それくらいちゃんと見てあるんだ、こういうのならわかるけれども、見舞い金という涙金くらいで済ます、こういう態度では困るという心配なんです。いままでやっておるのはみんなそうです。あんたのほう、ようやくいま適法にして云々ということばが出たが、これだって皆さんの解釈が狭いのです。今度上げると言うから、それはもう信用しておきます。 そのほかにも、新規提供施設の補償だとか中間補償だとか返還財産の補償だとか特別損失補償、漁業補償、さらにこの行政協定によるところのいろいろな補償もあるわけです。こういうようなものに対しても、いろいろそれぞれきめられたルールがあって、それからちょっとでもはずれたらだめで、中には米軍のほうの本国の法律の解釈と日本の解釈が違うために、いわゆる見舞いという、われわれが普通いう慰謝というやつ、こういうようなのは、お互いにもうどこかに過失、過失、過失、過失だから、そういうようなものに対しては、全然考える余地がない。精神的な慰謝、これはもう考える余地がない、こういうような判例さえも過去にたくさんありましたから、今度そういうようなのを見舞い金で処理してやったという実例もある。正式な補償だとか正式に出すべきもの、こういうものが出せなくて、苦肉のはて、今度見舞い金にしてお茶を濁す、こういうことをとられるのじゃ困る。お互い補償の金額だけやる。これだけはちゃんとやらなければならないけれども、その名目はむずかしいから、見舞い金にして、それだけのものは認めてやるのだ、こういう考えならばわりあいにわかるのだ。そうではなくて、それではむずかしいから、ほんの小さい見舞い金というような――見舞い金というのがあるでしょう、いろいろ範囲の中に。この中に何もできないものは日本政府の責任においてやるものですよ。全部駐留軍の責任だとか何かでやったらめんどうくさくてだめだから、見舞い金という、日本政府の肩がわりによるところの涙金だけで済ましてしまう。これが手厚いような補償にならないということなんだ。ことばではいろいろ言っているけれども、何か突っかかる。いままでの見舞い金、それも正規の額によるところの補償を下回るものではない、こういうふうにはっきりわれわれはここに理解していいですか。
○山上(信)政府委員 いまの考え方におきましては、補償という考え方に近い考え方をわれわれ持ってやっておるということを申し上げておきたいと思います。
○島本委員 それから、これを請求する場合には、いわゆる基地周辺整備法ですか、これの場合には、正規に要求できるのですか。陳情するのですか。それからもしそれに不満だった場合は、二度三度やはり請求できるのですか。一回で目をつぶらないとだめなんですか。これは陳情なのですか、請求なのですか、いずれなのですか。
○鐘江政府委員 ただいま先生御質問の趣は、特損法による補償並びに整備法九条によるところの補償金についての御質問だと思いますが、それはあくまでも請求でございます。それから、かりに当庁できめました額に被害者のほうが不満であるという場合には、異議の申し立てができる措置が講ぜられておるということであります。
○島本委員 異議の申し立てによって、それがどのような考慮が払われることになりますか。一回却下しておいて、異議の申し立てがきて、それをどういうような手続によってまた生かしてやることができますか。
○鐘江政府委員 異議の申し立てにつきましては、午前中でしたか、私がちょっとお話し申し上げましたとおり、その異議の申し立てをなさった方からよく事情を聴取いたしまして、それから私どものほうといたしましては、かくかくしかじかでこういう算定の方法によって補償金が積み上がってできたのであるということをよくお話し合いをいたしまして、そしてそれで納得される場合には、その金額でお支払いをする。また当方でさらに異議の内容を再調査再検討いたしまして、さらに増額できるといった場合には、増額をして処理した例もございます。
○島本委員 それで不満な場合は、これは防衛庁の場合には裁判という手段に訴えることが可能でしたか。
○鐘江政府委員 可能でございます。
○島本委員 損害補償の場合、請求ですね。これがだめで裁判にいったという例がいままでございましたか。
○鐘江政府委員 いままでございません。
○島本委員 これで、いろいろいままでの質問の経過については、十分というまではいきませんけれども、私は理解することができました。しかしこの中に出てくる、特損法に対しての適正なる云々という、それからまた、補償金、慰謝料、見舞い金、これはたてまえと実際、こういうような点において、まだ防衛庁のほうではこれを自由自在に使いこなしておるようです。たとえば補償金、こういうようなものについて、できなければ見舞い金ですぐ出してやるようにこれを取り計らうのだ、こういうようなことですけれども、それは補償金、それの額に近いまで上げて処置するということを聞いて、まずこの点では私は了解した。しかしながら、依然としてその内容等についてははっきりしたルールがあって、それに近づきがたいものもあるし、乗るものは優遇され、乗らないものは見舞い金で済まされる、こういうようなおそれもあるわけです。それと同時に、自衛隊のほうとのトラブル、これはまだまだ私のほうでは例がある。最近でもちょっと調べてもらったのもあるわけですけれども、きょうはもう時間の関係で、これはできません。しかしながら自衛隊とのトラブル、これに対しての解決が、おそらく公害によると思われるのは騒音と水質汚濁です。野崎事件のような、こういう重大な問題さえも起きておることは皆さんも知っておるとおりなんです。これは島松の演習場だけの問題ではなしに、各地の基地に見られる共通の問題です。このような被害に対しても十分な補償措置がとられていないという事実がよくわかりました。以前はとられておった。特に自衛隊の基地周辺の被害について、いわゆる特損法が適用されない基地住民の場合には、これはやはりいまのような泣き寝入りの事態があったわけであります。これは私は了解できません。自衛隊の基地周辺の住民が被害をこうむりながらも、補償されないままに放置されるような理由は、いまの場合は全くあってはならないのです。まさに人権の重大な侵害といわなければならない問題だと思います。これは国家による人権侵害に対する国民の抵抗権、こういうようなものはやはりあるわけでありますから、こういうような点においては、立法的にもあるいは解釈論的にも、この問題は十分解明し考えて善処していかなければならない、こういうように思うわけです。損失補償法のいろいろな問題等もありました。まだこれが完全だと思われません。私はやはり、現在のような紛争処理をこれから除外してもいいというならば、それ以上どこへ出してもりっぱな手続も考えるべきだ。こういうようなものを出して、それをはっきりこういうような委員会で明言してもらいたい。せっかく厚生省も来ておるのであります。今後厚生省がその窓口である、こういうようなことになれば、これはやはり手続が煩瑣であればあるほど、今後重大な要素をかもし出すおそれがありますから、私としてはこの問題についてはもっとこの次に整理してきて、この問題に対する最後の結論を個条書きにしてお伺いしたいと思います。 きょうはこの程度にして、この点を保留したまま終わらしてもらいたいと思います。
○赤路委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時四十分散会