産業公害対策特別委員会 第11号
- 発言数
- 49 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/04/23
会議録
○赤路委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案及び公害紛争処理法案、角屋堅次郎君外十二名提出の公害に係る被害の救済に関する特別措置法案及び公害紛争処理法案、予備審査のため本委員会に付託されました小平芳平君外一名提出の公害に係る健康上の被害の救済に関する法律案、公害に係る紛争等の処理に関する法律案及び公害委員会及び都道府県公害審査会法案並びに内閣提出の公共用水域の水質の保全に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。島本虎三君。
○島本委員 だいぶ、きょうの質疑に対しては、時間の制約とそれぞれの部署の繁忙によるところの調整も必要なようであります。おもにきょうは紛争処理についての基本的な問題について、いままでいろいろ委員との間にそれぞれ解明のための論争がありましたが、深くその問題について入ってみたい、こういうように思っているわけであります。 その前に、特に先般渡良瀬川の問題についてうんちくを披露していただきました藤尾正行政務次官には、現在若干の時間、忙しさをさいて出席してくださいました。私はこの中で、やはり今後改正した上で、再びあの足尾銅山の廃水についてのような事件を起こしてはいけない、こういうような観点に立ちまして、いまここに再び皆さんに対してはっきりとお願いを申し上げておきたい、こういうようなことが一つあるのであります。 今回の水質関係の改正法案、これによって今後このような廃水による被害は、絶対に紛争として起き得ない、この辺までの改正であるというふうに考えてよろしゅうございますかどうか。渡良瀬川の問題は百年裁判である、このように藤尾政務次官のほうからも冒頭説明もあったとおりなのであります。これは現在の高度経済成長に対しての一つのひずみであり、こういうようなことが今後の日本に許されていいはずはありません。したがって足尾銅山の廃水について、この四十二年に水質の指定をした。しかしその以後においてさえもまだ不完全であるということを聞いておるわけです。今回改正法案が出されましたが、これが可決された以後は、こういうような事態は一切起きないということをわれわれとしては考えて、この問題の審議にあたりたい、こう思いますが、この問題についてはいかがでございましょうか。
○八塚政府委員 足尾銅山あるいは渡良瀬川の問題につきましては、確かに非常に長い期間の紛争でございまして、そういう長い間にいろいろな問題があったにもかかわらず、ようやく昨年水質規制をかけ得たということは、私どもとしても残念なことであると考えております。従来とも水質保全法に基づきまして、そういうことのないように、被害が発生してから、場合によっては発生のおそれのある場合に基準をかけてまいりました。今後とも今回の改正を機といたしまして、さらに一そうそういう公害、水質汚濁の問題、それに端を発した紛争ということがないように運用してまいりたいと考えております。ただ、紛争というのはどういう形でか出ないとは限りませんので、その場合には、もちろん現在では水質保全法の中に紛争処理のやり方の条文がございますが、今回紛争処理法案が幸いにして成立いたしますならば、その線でやっていくということはあるわけでございます。しかし紛争そのものが起こること自体が、すでに行政としては決してうまい行政ではございませんので、水質の汚濁に関しましては、そういうことのないように運用を強化してまいりたいというふうに考えております。
○藤尾政府委員 ただいま水質保全法に関しまして、企画庁から答弁があったわけでありますけれども、私どもといたしましても、これは水質保全法の紛争処理ということでやるだけでございませんで、必要とあらば、当然鉱山保安法に基づきます行政指導もいたしまして、十二分にそういうことが起こらないようにやってまいりたい、かように考えております。
○島本委員 これは藤尾政務次官も、前回の質疑に対しましてはっきり言明されたことがございまして、いわば足尾銅山の廃水については、自分の選挙区である、したがってこの問題については、もう百年裁判を通じて、今後受益者負担を押しつけるような行政は排除しなければならない、こういう強い決意を示されましたことは、私は心から称賛しておきたいのです。 それで、私は特にお聞きしておきたいと思ったのは、そのあとで、水質審議会としての権限事項に入っておりませんでしたが、土地改良事業という問題で、これを農林省として施行するような状態になった際に、農民に対する受益者負担分徴収ということが、地方行政委員会で問題になったわけです。農林省のほうでは、現行法ではこれは農民にどうしても受益者負担をやってもらわないといけないのだという答弁に終始したそうでありますが、これはまことに遺憾であります。もっとも鉱山がこの原因をつくったことはもうすでにはっきりしている。しかしながらこの鉱山がどのようにして金を出したかは、いままで私は承知しておりません。しかし現在それによってよごされた田畑を整備するのに、土地改良事業を実施しようとしたら受益者負担だといって、今度は農民から取り上げる、こういうようなことがあってはならないし、これはもうおそらく次官もああいうふうにおっしゃった以上、いかに地方行政委員会で責任ある局長がそれを言明されても、課長が申されましても、この点だけははっきり責任をもって是正させなければならないと思います。この点はよろしゅうございますか。
○藤尾政府委員 私は通産政務次官として、農林省の行政あるいは自治省の行政にどうこうという立場はございませんけれども、私自体は、その地区におきまする一代議士といたしまして、私が申し上げましたことを貫徹いたしますように全力を傾けます。
○島本委員 この点だけは、ひとつ政府の責任者として、強力に要請しておきます。なおこれに対して私も十分調べますから、次官も関係当局とよく話し合いの上で、善処されるようにしていただきたいと思います。後日また法案審議の際に、その経過等についての報告を求めることがあろうかと思いますから、その節はよろしく御調査願いたいと思います。 それで、水の問題に限って、また前回の点について補足的にお伺いしておきたいと思うのですけれども、委員会、審査会、こういうようなものを今後強力に実施しようといたしますと、当然それに対しましては委員会事務局というものがなければ、その全きを期することができないわけです。水質保全法の関係で皆さんの強い決意はわかりました。しかしながら依然として、紛争処理は国家行政組織法三条によらないで、八条による。この問題について後ほど十分に質疑してまいりたいと思いまするけれども、まず独立した完備された機能を持つ事務局を付置して、その機能の整備をはからなければ、いかに次官なり大臣なりがりっぱにやりますと言っても、これは画餅に帰するおそれがあると思います。水の場合には特に独立した整備された事務局を付置し、機能を十分整備し、これに当たらせる準備があるのかどうか、あるとしたならば、その構想を発表願いたい。
○八塚政府委員 御承知のように、今回の私どもの水質保全法の改正そのものにおきましては、従来のとおりに、「水質の汚濁に関する紛争の解決に資するため、」云々ということで、紛争処理体制がそのまま残っておりますけれども、すでに御審議をいただいております公害紛争処理法案が成立いたしますならば、そちらのほうで統一的に他の公害紛争と同様扱われるということになるわけでございます。したがいまして、その点については、一般的に紛争処理法案を所管されます当局から御説明いただくことがよろしいかと存じます。 私ども、それとは若干問題がそれるかと存じますが、従来水質保全のためには審議会を設け、そして企画庁の保全課、調査課、二課が水質保全のための事務局として働いてまいったわけでございます。もちろん問題の性質上、企画庁だけで全部をこなしておるわけではございませんで、通産省、農林省等々の関係各省のきわめて技術的な、あるいは事務的な、あるいは行政的な協力を得てやっているわけでございます。ただいまの段階では、もちろん人が多ければ多いのに越したことはございませんけれども、まずまず私どもとしては、その任務を現在の機構で果たしておるというふうに考えております。
○島本委員 したがって、この水質保全関係は、法改正をしても、これを扱っている経済企画庁では、紛争が起きるまでの間はただ窓口だけであって、あとは紛争が起きるのを待って、一切紛争処理機関のほうでこれを行なえばよろしいのだ、こういうことのように承りましたが、初めからそういうような態度でこの改正法案をお出しになったのですか。
○八塚政府委員 私のことばがはなはだ不十分でございましたが、先ほども申し上げましたように、形式的にきちっとしてと申しますと、あれでございますが、紛争になりますならば、そういう手続を経た上でやるわけでございますが、紛争そのものの生じること自体がないようにするというのが、まず行政の眼目であろうと思います。そういう意味におきましては、問題が発生する、あるいは発生するおそれがありそうなところは、紛争に至らないうちに、できるだけ早目に基準をかけていく、そして紛争を未然に防止していくということが、まず最初の姿勢であるというふうに考えております。しかし、そうはいいましても、いろいろな形で問題が複雑化いたしまして、いわゆる実質上の紛争的な状態になることも、場合によってはもちろんあり得るわけでございます。そういう場合には、関係各省あるいは県庁等にも十分御連絡をいたしまして、そういうことが大事に至らないうちに、事前に指導をしていくということで従来もやってまいっておるわけであります。そういう意味におきまして、御指摘になりましたように、紛争は紛争で、公害紛争処理法案のほうに流していくのだ。われわれは、ただこれを、技術的に水質基準をかければ、それでいいのだというような態度では毛頭ございません。水質保全につきましては、十分に実態上の行政もやってまいるというふうな考えを持っております。
○島本委員 念のためにお伺いします。以前から、公害に関するような、水も空気もそれから騒音も、これは厚生省のほうで窓口を一つにしたらどうだ、こういうような意見が巷間あったわけであります。当然、当委員会においても、そういうような議論がなされました。しかし厚生省一つで窓口を扱うよりも、それぞれ水の場合は経済企画庁なり、紛争の場合は総理府なり、それからまたその他の公害の場合には、これは厚生省なり、また厚生省を窓口にしても、これはもう機関そのものは、内閣総理大臣を長にして強力にこれを実施し得るものであるから、事どの部分に関しても、公害に関する限り、これは完全に行政能力が発揮できるものである、以前こういうような考え方に立ってこれを進められてきたのです。いまこの水に関して、おっしゃるとおり水質保全法の改正法案が出た。その場合には、今後あらゆる問題を、想起して、問題がまず起きないよう、紛争が起きないようにするのが主じゃありませんか。起きたならば、紛争処理機関によってこれを今後完全に処理をする、これが主じゃありませんか。すべていままでと同じようにして、起きた場合にのみ紛争処理機関でやるということは、これは片手落ちであります。この事務局を完全にし、監視機関も機能を十分発揮させるようにして、紛争が起きないように、あらかじめこういうような行政を実施しておくのが主管庁のたてまえであるはずです。それが、どうもいま聞いてみますと、ことばはそういうような答弁でございますけれども、何かないように思われるのです。いままでと同じような機構でやっていけばいい、法律だけ改正すればいい、こういうようなことのように思われます。これに当たる事務局の人員の数だとか、それから何の部のどこにどういう機構があって、それは常時どういうような活動をしているのか、この際念のために、それもはっきりしておいてもらいたいと思います。
○八塚政府委員 私、先ほど来お答え申し上げております気持ちは、実はただいま島本先生がお話しになりましたような気持ちなり姿勢でやりますということを言っているつもりでございますが、ことばが足りませんで、なお御疑念がおありのようでございますけれども、私どもは従来とも水質保全につきましては、紛争は紛争、基準は基準というような態度ではやってまいらずに、実態上の指導もやってまいったつもりでございますが、とにかくこの改正を機会に、そういう点についてはさらに努力をしてまいるというつもりにいたしております。 なお、経済企画庁で水質保全をやっておりますのは、御承知のように昨年の六月までは水資源局でやっておりましたが、昨年の六月十五日以降、国民生活局の中に入りまして、水質保全課あるいは水質調査課という二課、参事官あるいは両課長、課員等でこなしているわけでございます。現在は水質保全課が八名、水質調査課が十五名ということでやっておるのでございます。 なお水質の汚濁につきましては、いろいろな態様で発生してまいります。たとえば水産についても問題があるが、これは農林省、水産庁等がいろいろ指導もされ、あるいは窓口になっている。その他水質汚濁の原因なり対策は、諸般の問題がございますので、全部が全部私のところでこなし得るということではなくて、関係各省がそれぞれ窓口になったり、指導をしていただくということは必要でありますけれども、何と申しましても、水質保全法をお預かりしているいわば最終的な責任者という立場で私どもは責任があるというようなことで、いまのような体制でやっておるのでございます。
○島本委員 それは、もうわかるのでありますが、私の質問が無理ならば指摘をしてください。少なくとも保全法を出す窓口として、責任ある官庁として、今後水のよごれる問題については、自治省にわたるところの家庭用水の問題であろうと、厚生省にわたるところのいろいろな汚水の問題であろうと、窓口になる水はおたくさんのほうなんです。そうである以上、他のほうにまかせるのではなくて、自分のほうが強力にこれを指導するなり権限を発揮するのでなければ、これは法律、だけつくっても、紛争は絶えないですよ。いままで議論がそこに集中して、やってきたのだけれども、依然としてそういうような態度では困りますということを言っているのです。ですから、整備をされた事務局がありますかと聞いたら、それはないじゃありませんか。いままでと同じような状態ではまた起きるんですよ。起きないという確証が私はほしいのです。そうしたならば、私は若干は不備であっても、この水質保全法の改正に対しては賛意を表して、これを通してやるのにやぶさかではありません。しかし、これを通しても、依然として水産関係のこういうような被害はまた起きてくるのだ、家庭用水の関係も、これはどうしてもやれないのだ、こういうようなことだったら、せっかくこれをやってもどうにもならない。では、どうすればいいのだ、これが当然問題になってまいりましょうが、いまの事務局の体制でこれは十分やっていけますか。今後やはりこれでいいとお考えですか。だめだったら、この際ですから、はっきり確信あるような皆さんの答弁を願っておいたほうがいいと思うのです。あえて私は、皆さんを激励する質問かもしれません。
○八塚政府委員 この法律の仕組みをいまさら御説明申し上げるまでもないことと存じますが、この水質保全法に基づきまして基準をかければ、その基準に対応して、関係各省が御所管になっているそれぞれの法律に基づいて、ほぼ自動的にその対策がとられるということになっておるわけでございます。したがいまして、まず基準をかけます前の過程においても、関係各省のそれぞれの御意見なりを伺った上でという過程は当然必要になってまいりますが、しかし私どもが、そういう被害を防止するという意味において、こういうことであるべきであるということを申し上げますと、現在までいろいろな紆余曲折と申しますか、過程はございましたが、大体最近におきましては、関係各省いずれも、それぞれの立場において私どもの考え方を了解されて、水質保全法の基準から、各関係法の対策に迅速に移っていくという体制になっておるわけであります。ただあるいは、それにしても、その基準自体が立場によってゆるくなっておる、そういうようなところについては、企画庁の態度がなまぬるいので、あるいは関係各省を拘束する力が非常に弱いので、したがってどうも水質基準というものが有力に働いていないじゃないかというふうな実態的な御指摘かと存じます。私どもといたしましては、十分に技術的に水質基準というものを詰めましてやってまいっておりますから、そういうことは通常の場合にはあまりないわけであります。しかしあるいは調査等におきます不備等がございまして、そういう問題が起きておるということはございます。これはやはりさらに調査の基本にさかのぼってやっていくというようなことで解決すべき問題であろう、こう存じます。いずれにいたしましても、関係各省――こういう席で言うのは何でございますが、ここ二、三年来きわめて企画庁と協力的と申しますか、でございますので、今後ともその協力関係を一そう緊密にしてやっていきたいというふうに考えております。
○島本委員 それは意気込みは十分わかりました。しかし私はまだまずいと思います。 最近の報道によりますと、水質汚濁の場合に、家庭排水に負うところが多い。それから下水道の関係の問題も、いわばこれは重大な影響を与えている。そうなりますと、あながちこれは経済企画庁だけでやる問題でもなくて、厚生省に自治省に、これは十分一体になって、逆にそれを実施させるのがおたくさんでなければならないはずなんです。この家庭排水の問題、おそらく未規制ではありませんか。規制されていますか。それから下水道、こういうようなものに対しても、今後やはり強力に考えていかないと、水質汚濁はいつの日に解決するかわからぬ状態である、こういうような状態でありませんか。同じこれをやるにしても、それはまかせ切りだというから解決にならぬのですよ。たとえば農林省に行ってみなさい。責任ある課長が、たとえば北海道ででん粉の廃液を流すような指導はだめじゃないかというと、これをやると農民資本による中小企業はつぶれます、それでなければ、それをやらせると農民が困ります、こういうようなことで、あえて公害という問題とまっ正面に取り組んでおらないじゃありませんか。名前をあげろといえば、その課長の名前もあげられるのです。農業関係です。でん粉関係です。そういうようなことをやって、同じ官庁内で、これはきれいにしますとあなたのほうではおっしゃっている。一方はよごすのはやむを得ないといっている。だから、あなたのほうに強力な機関を置いて連絡をするなり指導するなり、これを完全にやらないとだめだというのです。念のために、綱走川のあの廃水、以前から問題になっておりました。常呂川の水質汚濁、これも以前から問題になっておりました。ようやく水質の基準が出ました。出たとたんに、これが今度おかしい基準を出して、これもまた北海道関係の水産試験場で出したのと北海道関係の衛生研究所で出したデータが違っておった、こういうようなまことに残念な結果を招来したことは御存じのとおりなのです。そういうようなものがあるから困るのです。あれは国際問題にもなる問題ですが、サケのふ化をどうしますか。こういうようなことになれば、日ソの漁業条約にまで重大な影響のある問題なのです。これをいまおやりになっておる皆さんですから、調査を含めて事務機構を完全にしておかないとだめですぞ。いままでのようなやり方では農林省に振り回される、こういうような状態になってしまうじゃありませんか、そこを言っておるのです。あなただけに言わしたら困るのだ。関係大臣はおられましょうか。おられましたならば御答弁を願いたいと思います。
○八塚政府委員 まず家庭下水の問題でございますが、家庭下水は確かに最近の汚濁源としてはウエートが大きくなっております。ただ個々の家庭の排水をそれぞれ規制するということは事実上できません。結局、問題は下水道をそれぞれの都市で整備してもらうということが必要になるわけでございます。下水道につきましては、すでに規制対象になっております。ただ残念ながら、御承知のように日本の都市はまだ下水道が不十分でございます。たとえば私どもがある川について基準をかけますと、それに基づきまして建設省等はその地帯の下水道の整備をやるというようなことで、私どもの水質基準と下水道の整備とは、現在のところいわばタイアップしてやっておるわけであります。したがいまして逆に申しますと、ある都市で下水道を整備したいというふうな希望があります場合には、逆にまず企画庁で水質規制をやってくれ、そうしてその水質規制があって初めて、下水道のいわば事業に対する補助があるというような関係になっておりまして、全体としては下水道そのものはまだ不十分でございますが、水質汚濁との関係では、そういう形で緊密にやっておるのであります。 それから網走川の問題でございますが、実は農林省の中にも、いわば加害者の立場の工業、食料加工業を所管しておるところと、それから被害を受ける水産側をもちろん水産庁で所管しておるのでありまして、一応省内におきまして、それぞれの立場を考慮した一つの考え方を持っておったわけであります。私どももそういう意見を聞きながら、水質規制の案をつくったわけでございますが、残念ながらいまお話がございました調査上の問題で、私どもが委託いたしました正式の衛生試験所の調査と、それから従来やっておりかつ水産関係者が依存しております調査とがはなはだしく食い違っておるという事態になっておりまして、従来私どもが考えておりました水質規制の基準をそのまま強行してかけるということは、現在の段階では差し控えるべき時期になっておるわけであります。現在北海道庁におきましては、その両調査の方法論なり等につきまして、さらに検討をいたしております。いずれそういうことにつきまして、道庁のほうで――いずれも道立の機関でありますから、道庁のほうで、ある程度の検討が終わりましたら、私どもはそれを聞きまして、さらにその次の対策と申しますか、処置を考えたいということでおります。基本的には、水産業の立場を無視して強行しようとしたのではなくて、両方の産業の折り合うところを求めてやったわけでございます。技術的に問題がありましたので、いまのような状態になっておるのでございます。
○赤路委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○赤路委員長 速記を始めて。
○菅野国務大臣 この公害という問題は、御存じのように最近起こってきた問題でありまして、したがいまして、統一した官署がないというところに、島本委員としてはそれを強く言われておることだと思うのであります。水の問題は、水質の関係で経済企画庁がやっており、それから大気汚染の関係についてはこれはまた通産省でやっておるというようなことで、私から公平に見まして、やはり被害者側の立場の役所が、被害者を保護する立場の役所が中心になるべきじゃないかという考えをいたしておるのでありまして、そういう点からいうと、公害対策基本法というものは大体厚生省が主として事務を取り扱っており、審議会も厚生省が事務を取り扱っておるので、そういう意味で、この公害の問題は、お説のとおり、いつかはこの問題を解決して、そして統一していくべきじゃないかという考え方は、島本委員と私も同じ考えを持っております。だからして水質というものは、いままで、経済企画庁に前から水質の問題がありましたから、私どもでやっておりますけれども、この公害という広い意味の立場からすれば、やはりこれもどこかでまとめてやったほうが一番いいじゃないかという考え方も、私も同じ考えでおりますが、御存じのとおり役所のことでありますから、それぞれセクショナリズムがあって、なかなかそれがうまくいかないのであります。その点は、私自身もそれを非常に遺憾に思っておるところでありまして、この問題については、水質に限らず、なおほかの公害の問題もありますから、もう少しお互いが虚心たんかいにひとつこの問題を検討すべきである、こう考えておる次第であります。
○島本委員 心強い決意を承りました。しかし大臣、そこなんです。したがって私は以前から、こういうような公害に関する問題の処理は、やはり窓口を一つにして、これは厚生省がいいんじゃないかという主張をしておりました一人なんです。しかしそれぞれいままでのいきさつや事情がございまして、水はどうしても経済企画庁が最適省である、こういうようなことだったのです。当時は紛争処理は総理府だという声はなかったのです。それがこつ然と総理府になったわけですけれども、水の場合は初めから経済企画庁だったのです。昭和三十一年ごろからなんです。そうなりますと、やはりこれはもう歴史もあることですから、当然この問題についてはやはりこの辺で、いま言いましたように、はっきり、水質保全法の改正法が出された好機ですから、現在の時点で、大臣が重大な使命を負ったことに相なろうかと思います。それは事務局を完備させて、そして進んで紛争にまで追い込まないような常時の体制を整えておくことだと思います。そしてこういうようなことは、いま公害に対処することは一つの世論になっておりまして、経済関係も強く動いておりますし、大きく動いておりますから、いまが一番いいチャンスじゃありませんか。まして総理は、この問題に対しては前向きに解決する、このことは前々から何回も言っておりますから、あなたが言って総理が反対するわけは万々あり得ないことなんです。いま聞いたところによると、事務局がどこかわからないほど手薄じゃありませんか。こういうことで都道府県のほうへただ委任しておったって、北海道のように、ああいうような結論が出て、いま困っているというような状態が報告されたばかりじゃありませんか。そういうようなことから、水質保全法の改正を機会に、事務局とそれから監視体制を強化しなければならない。そして紛争に移行するこういうような問題を事前において予防措置として規制するようにしなければならない。これが大事じゃないか、こういうふうに思っての質問であるわけです。この問題は、大臣も重大な決意をもって現段階においては対処してもらいたい、こういうように思うわけです。ましていま水産庁の関係、農林省の関係に至りますと、いま赤路委員長は水産関係の大家なんです。この人の前には私も頭が上がらないほどうんちくの深い人です。いま一番心配しているのは、カニの問題で日本は規制される、大陸だなの問題で。サケの問題でもソ連とのあの交渉において、日本側の契約不履行、こういうことでもないでしょうけれども、ふ化するのに場所がない、こういうようなことで、日本海はだめ、したがって、オホーツク海のほうで残る網走川、常呂川、この辺についてもいまのような状態で、なかなか農林省と水産庁の間で――同じ農林省の間でこの問題に対しての意見の一致を見ない、まして出先の北海道で調査したデータが二通り出てきた、こういうようなことで、農民、漁民からの苦情がわれわれの手元に来る状態なんです。ようやくやってみたら、これは日ソ漁業条約にまで波及する問題になる問題ですから、これはやはりこの際事務局を整備して、今回のこの法改正を機会に、十分大臣としてこれに対処する必要があろうかと思うわけです。そうでなければ、次から次と出てまいります。これは重大な問題なんです。これは事務局が手薄なようですが、大臣、この点はもうだいじょうぶでしような。
○菅野国務大臣 お話しのとおり、公害という問題がやかましくなってきたし、これは日本ばかりではありません。世界的な問題でありまして、この前も申し上げましたが、産業というものは物をつくることばかり、とることばかり考えておって、そのとった物をどうしてうまく国民が消費するか、いかにその消費に影響するかについてはあまり考えていなかった。ところが公害という問題からして、消費者保護という立場から、国民の健康保護という立場から、公害という問題がやかましくなってきましたから、単なる物をつくる、物をとるということばかりではなくて、あわせて公害ということを考えて、今後の産業政策をとるべきだと私たち考えておりますから、したがいまして、この水質の問題にしましても、ただ、いままでは漁業や水質の関係でいろいろ問題があったと思いますけれども、それではなくて、国民一般が魚を食べることによって健康にどういう影響を及ぼすか、あるいは農作物をつくることで、農薬の関係がどういう影響を持つかというようなこともあわせ考えて、物の生産、産業政策をとるべきこと、これはもう世界的の要望だと私は思うのです。そういう意味において、政府も公害というものに取り組んでやるということを総理もしばしば言っておりますから、そういう意味で、この際政府として再検討して、ひとつ行くべき道をはっきりきめたい、こう考えております。
○島本委員 心強い限りでございます。私は、この成果を心から期待して、長官に対するこの問題についての質問は終わります。 次に、同じ水の問題なんです。これは厚生省になるのかまたは経済企画庁になるのかどうかわかりませんが、これまた重要な問題です。私の手元には、四月十五日の、下水道に有害ガスが発生した大森の、あの地下鉄工事の出かせぎ労務者が死んだ事件、これに対して一つの盲点が指摘されておるわけであります。それは、工場廃液の青酸化合物と強い酸性液がマンホールの中で化学反応を起こして有害ガスを発生し、それが事故の原因になって人命を損傷さした、こういうような事件であります。去年の九月の板橋区内の事故もあったそうであります。しかしその事故は、工場からの廃液に含まれていた水硫化ソーダが上流からの酸性廃液とどぶ川の中で反応して、有害ガスの硫化水素が発生したもので、しかもその場合に、工場から流れ出た水硫化ソーダは、水質保全法、工場排水等の規制に関する法律などの対象には全然なっていないんだ。そして一方の酸性液も下水道局の基準には合格していて、いずれの規制の対象にもなっていない。そういうようなこと、今度も偶然でしょうか。川に流れ出た、それが化学反応を起こして、地下工事に従事していた出かせぎ労務者をして死におとしいれしめた、こういうような事件が、つい最近じゃありませんか。四月十五日にあった報道です。 こうなりますと、この水の問題一つ考えましても、これはなかなか並みたいていじゃないのです。一体この法の盲点――流したのは正しい。しかしそれによって人が死んでしまう、この管理をするのは経済企画庁だ、こうなりますと、この指導と行政に対して責任は、今度はやはり経済企画庁、こういうふうなことになってしまうんじぁありませんか。この盲点は、今後一体どういうようにして改正したらいいのでしょうか。厚生省にも責任があると思います。これは今後、一体どういうふうなことになりましょう。
○八塚政府委員 私どものほうの水質規制のやり方は、公共用水域に対しまして一定の水域を指定して、そうして、そこに対する、下水道を含めまして、工場その他から排出する基準をきめるという段取りになっておるわけであります。 ただいまお話しになりました問題につきましては、まだ現在、東京都の衛生局と、それから経済局と申しますか、工場関係を所管しておる局で、対策について検討あるいは事態の調査をいたしておるようでございますから、最終的に私どものほうでわかっておりませんけれども、いまお話しになりましたような範囲内では、いろいろな問題点があると思います。工場からいわば下水へ出す場合の前処理基準の問題であるとか、あるいは下水道が、現在のその問題では、完工と申しますか、工事が最終的に終わっておりません段階でのケースのようでございます。もし下水道がかりに完備いたしておりましたならば、これは下水道のいわば保安上の問題、あるいは工場その他の保安上の問題いろいろあろうかと存じます。いずれにいたしましても、いま申し上げましたように、まだ東京都のほうで調査をいたしております段階でございますから確実なことは申し上げられませんが、その調査等を聞きまして、また私どもの考え方を申し上げることにさせていただきたいと思います。
○島本委員 いまのような答弁がございましたけれども、結局この水質保全法を改正して、この受けざらに当たる法律、これがいわゆる工場排水法、こういうようなものが全部受けざらになってしまうのです。ですから、この水に関するところの工場排水法は、これは経済企画庁じゃなくて、おそらく通産省になるのでしょうか、いずれのほうになるかわかりませんが、こうごちゃごちゃしているのですよ。受けざらを扱う法律の主管官庁が違っていのだ。ですからこういうような問題の処理がややこしいというのだ。これだと厚生省だって関係があるのですよ。ちゃんとその基準や何か合致したものを許可しているのだから、それでよろしいと言っているのだから、厚生省も関係している。しかしながらやはりこれは幾らやっても、魚が死んでもそれが問題になるのに、人間が死んで問題にならないという問題はありませんよ。これは水によって死んだ以上、水の主管官庁はどこだ、こういったら、経済企画庁だというと、やはりこれを受けざらに扱う法律の主管官庁が通産省であろうと、またそれを指導する官庁が厚生省であろうと、これは経済企画庁のほうから、水に関してこういうようなことをやってはだめなんだということを強力に言うべきじぁありませんか。このごろ少し厚生省もとろいようですから、この際どうですか、経済企画庁あたりで馬力をかけてやったらいかがでしょうか。遠慮することは要りませんよ。この点ではどうも事務局が足りないようだ。もっと事務局を整備しないといけませんよ。
○八塚政府委員 いまの問題につきましては、先ほども申し上げましたように、現在まだ調査中でございますが、その調査は、東京都の衛生局とそれから通産省通産局等で化学工業という観点から、化学工場の問題として現在調査をいたしております。私どものほうも、もちろん水質については当然いろんな観点から責任を負っておるわけでございますから、関心があるわけでございますが、もうすでに関係の省あるいは東京都の衛生局等において行動を開始されております。私どものほうといたしましても十分連絡をとりまして、そうして先ほど申し上げましたように、その調査の結果について、私どものとるべき態度あるいは考え方というものを、その際に説明させていただきたいというふうに考えております。
○島本委員 この問題は、調査の結果によって善処することですから、それでいい。ただ問題の核心をもう少しつかんでもらいたいのですよ。というのは、これは全部が合法なんです。規制以内なんです。それでやっていながら、廃液が化学反応を起こして、それによって法の盲点を突いて起きた一つの新公害だということが、これは問題なんです。ですから、そういうふうなことも今後は過密都市にあり得ることなんです。これは新しい一つのケースなんですよ。だから調査を待ってやる、その点はそれでいいのですけれども、いま言ったように、これはいままであった問題ではなく、これから発生し得るところの一つの合法性の集約であり、これが法の盲点を突いて発生した新公害である。この点に対しては、都もそうです、それから政府のほうではまず第一番に経済企画庁、それから少しこの問題に真剣に取っ組むのは厚生省です、それから通産省です。ですからそういうような問題を督励して、この法の盲点をつくいわゆる新公害の発生に対しては、十分今後対処しておいてもらいたい、こういうふうに思うわけなんです。この点は強力に私から申し入れをし、責任ある決意を承っておきたいと思います。
○菅野国務大臣 いまのケースについて私は十分知りませんが、お話しのありましたとおり、新しい公害というものがこれから出てくると思うのです。これは御承知のとおり、最初はまず工場排水ということから発してきたのですが、最近では大気汚染というような問題と、公害というものは新しく新しくこれからわれわれに予見すべからざる事件が出てきますから、その新しい事件が来れば、それをとらえてそれらに対しての対処をすべきだ、こう存じますので、いまのケースもおそらくいままで予見しなかった新しいケースではないかと思いますから、新しいケースについては十分われわれのほうも調査し、それに対しての対応策を講ずることをこれからやることを、ひとつお約束いたします。
○赤路委員長 ちょっとこれについて…。 いま菅野長官からお答えがありましたが、この問題は水質二法の適用外のものなんですね。そうすると毒物及び劇物取締法の適用も受けていない、そしてその盲点をついておるというところ、しかしこれはいま始まった問題じゃない。この点は確かに手落ちがあると思いますから、十分調査するようにしてください。
○島本委員 今後この問題等につきましては十分調査してもらいたい。このことを申し添えさしていただきます。 私は水の問題はまずまずこれで、次にさしてもらいます。大体国の一つの公害審査委員会が、今後紛争処理に強い権限と独立性を持ってこれが運用されるようにと思うわけであります。水の問題を含めまして、大気汚染の問題でも公害基本法に示されておりますが、この公害紛争に対する処理の問題というものは、今後やはり大きい問題であることは御承知のとおりであります。私のほうとしては、いままで各委員のいろいろな質問を聞いておりまして、政府側の答弁も十分拝聴しておりまして、その中でまだ依然として理解に苦しむ点は、重要であるべき中央公害審査委員会、強力な権限と独立性を持たなければならないはずの委員会、これが国家行政組織法三条機関によらないで、いわば行政機関の付属機関たる八条機関に格下げされて、その効能は三条機関以上の強力な権能の発揚ができる、この説明にいままで終始してきたわけであります。私はこういうような点からして、やはりいまだに納得できない。強力なる権限と独立性、これが一つのいわば仲裁機関の三条機関たるゆえんである、こういうふうに思っているのですが、これをはずしてしまって、これ以上の強力な一つの機関たり得るという説明、私がどうも鈍にしてその説明を理解し得ないならば、いま大臣は十分説明して、この際国民の代表である私を納得させる義務があろうか、こういうように思いますが、いま言った点について、はっきりした名答弁を承りたいと思います。
○床次国務大臣 問題は三条機関がいいか八条機関がいいかという、これは行政組織法上のワクでありますので、むしろその問題よりも基本的に考えなければならないことは、今後設置いたしまするところの紛争処理機関というものに対しましてどれだけの権限を与えるか、どういう職責を与えるかというところから出発しなければ、この議論は解決しないと思っておるのであります。しかし今日までいろいろとたびたび御質問を承っておりまして根本的に考えますことは、政府が予想しておりまするのは、和解の仲介あるいは仲裁、調停ということを目標といたしまして機関を設置しておりまするが、なおそれにあきたらなくて、裁判所のごとき裁決権を与えるというところが御趣旨ではないかと推測いたすわけであります。なぜ裁判所のごとき強力な裁決権を与えなかったかということにつきましては、これはいろいろと理由がありますので、むしろその点を御説明したほうが御質問の趣旨に合うのではないかと思いまして、さような観点から実は申し上げたいと思います。 第一に、わが国の現行憲法のたてまえから申しますると、国民は何人といえども裁判を受ける権利が保障されておるのでありまして、これは憲法三十二条、紛争のありましたときはどうしても裁判を受けたいといえば、当然裁判によって解決を受けることが今日の国民の権利であり、またこれによって決定を見ることが一番正当な処置であるわけであります。したがって、行政機関として行ないまする場合におきましては、ここまで到達し得ないことは法然でありまして、この点は行政機関では、憲法の七十六条でありまするが、やはり最後は裁判機関でなければならないというわけであります。なお行政機関におきましては、いろいろの形を考えてみましても、裁判所のごとき、一方的にかつ最終的に当事者を拘束するという判断が許されておらないというのが、行政機関としての限界であるわけでありまして、公害紛争におきましても、究極的にはやはり民事訴訟による裁判所の司法的判断にゆだねなければならないということが第一前提になっておるわけであります。これが基本であります。 その次に考えられますことは、行政機関におきまして、裁決、裁定等によりまして、一方的に裁判類似の強制的な処分を行なう場合もないではない。たとえば公取等もありまするが、この点は、公害の紛争とはだいぶ性格が違っておるのであります。もしも十分な審査をいたしまして、そうして遺憾なきようにやるとなれば、やはりそういう機関におきましても、相当複雑な機構を持っていかなければならないのでありまして、しかもそれをやっても、最終的には裁判所に行かなければならぬという点が、第二の問題点であると思うのであります。 第三といたしまして、中央公害審査委員会等が処理する公害紛争におきましては、現行の裁決、裁定等の制度のように、ある行為が一定の要件を満たしているかいなかについて判断する、あるいは処分に対する審査請求というものとはちょっと違っておるのでありまして、非常に裁判所に近いところの、私人間の私的な紛争についての因果関係等の究明を行なって、判断しなければならないのでありまして、その事実の本質的な性格から見まして、これはなかなか容易なものではありません。公取等とはだいぶ違う。行政機関が一方的に判断を下してそうして当事者を拘束するということは、まだまだこれは将来の研究にまたなければならないことではないかと考えられておるのでありまして、この点も裁定までいき得なかった一つの原因であります。また裁決とか裁定とかいうような強制的な処分を行なうものでありまするならば、その手続等におきましては、やはり訴訟と同じように慎重な手続をしなければならないのであります。訴訟を補う、最終的には訴訟ということを考えておりますところの行政措置におきましては、やはりそれぞれの特色を見なければならぬ。すなわち簡易敏速な制度ということを考えて今回処理機関をつくっておるのでありまして、これが裁決までやるとなれば、やはりとても時間もかかるし、経費もかかるし、結論の出るまでに裁判所と同じくらいひまがかかってしまうということになると思うのであります。したがってそこまではいき得なかったということがその理由であります。なお、この点につきましては中央公害対策審議会の意見の答申が、紛争処理に対しましてあったわけでありますが、しかし行政上の紛争処理のたてまえからいたしまして、和解の仲介それから調停のほかに、当事者が合意をもっていたしました場合には仲裁の制度をとり得るというところまで答申をいたしておるのでありまして、裁定につきましては、この答申におきましては考慮しておらなかったのであります。 第四点といたしまして、なお本法案におきましては、以上のような理由がありますので、裁決、裁定等の制度を採用しないことになったわけでありまするが、なおこの問題は、公法上、私法上の領域につきましてもきわめてむずかしい問題があります。将来の問題として検討いたしたい。 まあ、ただいま申し上げましたようないろいろの問題があるのでありまして、したがって裁定と申しますか裁決と申しますか、そこまでの強力な機関とはいたさなかったわけであります。結局は、そこまでやりたい人はやはり訴訟まで持っていくのだろうということ。なお行政機関でそこまでやることがはたしていいかどうかということに対しての問題があった。またそこまでやらせるとなれば、行政機関も裁判所と同じような機構を持たなければならない。しかしそれだけやったって、やっぱり裁判所には最後に行くんだということでありまして、いろいろと検討いたしました結果、現在のいわゆる和解の仲介並びに仲裁、裁定という処分をまず目標として機関を設置することが適当であるというふうにいたしたのであります。このような目標がはっきりいたしますると、それにふさわしいところの行政組織法の位置づけを行なうことになるのでありまして、その権限を十分に行なわせる。すなわち委員会の独立性、中立性それから職務権限、たとえば立ち入り検査あるいは文書の提出、そういうことを考えました場合におきましては、今日の八条機関でもって十分であるというふうに考えた次第であります。 なお、今日におきましては、設置早々でありますし、今後の事務の分量等がいろいろとまだ十分な予測ができません。なお現在のような行政組織におきまして、最初から非常に膨大な組織をもってするということにつきましても、時節柄でございますので、検討いたしました結果、職務権限におきましては十分必要な職務権限を行ない得る目標に応じたところの職権を行ない得るという限度にとどめたのでありまして、したがって事務局等は大きなものがついておりません。この点におきまして、三条機関と若干の差があることは、わずかにその点は差があると申し上げるわけでありますが、しかし事務局にかわるべきものといたしましては、公害審査室という、室という形でもって発足いたしまして、そうして今日まず処理を実行してまいりたいと考えておるのであります。 以上であります。
○島本委員 大体考えた、いまの法律の形態を通しましての構想はわかりました。わかったけれども、納得をしたという意味ではありません。いまずいぶん系統的にお話しくださいました。それは確かにいま大臣がおっしゃったように、この公害の紛争処理制度としての裁判、いわゆる司法裁判所としての役割り、これは憲法によってはっきりしておりますから、これはいかなる状態にあっても、国民である以上は保障されて否定することはでき得ないものです。したがって、裁判所が一切の法律上の紛争を裁判する権限を有し、すべて司法権は裁判所に属する、そして特別裁判所の設置は禁止され、行政機関は終審としての裁判をすることはできない。憲法七十六条はおっしゃるとおり、それはそのとおりです。それから憲法三十二条によるところの「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。」これもおっしゃるとおりなんです。だからこれが八条が正しいという結論にはいきませんよ。ですから基本的な問題だけはきょう――幸いにして社会党の提案者である角屋議員も来ておりますから、基本的な問題だけはきょうここで長官を含めて十分お伺いしておきたいと思うのです。 というのは、憲法七十六条それから三十二条、この国民に与えている権利というものは、何人も奪い去ることはできない。これはわかる。問題は、公害の問題についてもこれと同様な扱いにするのが適当なのかどうなのか問題だと思う。これは人権保障の最後の堡塁として、最終的な審判機関としてこれを確保しておくならば、これは憲法違反のおそれがあるということにはならないという解釈もあるわけなんです。この私の解釈は、これは日弁連の決定としてもあるわけなんであります。ですからこの点は、いま大臣が説明されたそれ以外にも、公害の持つ特殊性として、この人権保障の堡塁としての最終的審判機関として確保しておくならば、これは憲法無視、違反にはならないということがはっきりいわれておるわけであります。 それで、大臣はこれは十分知っておられるとおりなんですけれども、公害というものに対しては、現在いろいろ事象としてはみんな知っています。しかしながらこれは法律ですから、この中で公害の特質というようなものは十分大臣も知っておいてもらわなければならない。この公害の特質、これこそは、一つには侵害の規模が意外に大きくて被害の範囲が広大である、この特質だけは否定することができない。それと第二番目には、加害者らしいものが存在するけれども、これを把握し特定しがたいというような特質がある。らしいものがあるけれども決定できない。水の問題なんか、空気の問題なんか、特に代表される問題なんです。第三番目には、加害者と被害者の因果関係の立証が、百年裁判といわれるような渡良瀬川の問題を含めて、阿賀野川、神通川、イタイイタイ病や第二水俣病の問題を含めて、これはやはりあるのでありまして、この因果関係の立証が困難であります。簡単だったら普通裁判でもいいのですが、困難だ。しかしながらその間に人がばたばた死んでいっている。第四番目には、加害者が法令の規制を順守していて一応の合理性を保持している、しかしながら被害が発生している。いま言ったような、すべて合法的であってももう新しい公害の発生した事件は、この前に、この問題については赤路委員長からもはっきり指摘がなされました。これもやはり一つの特性なんです。これも無視することができない。第五番目には、損害が単に物質的なものだけではないということ。精神的なものである、人体の健康にも影響あるものである。快適な生活と、これをもかけがえのないものにまで及ぼすものである、しかしながらこれは不断に継続されてこれが行なわれている、こういうような状態なんです。したがって一つのものに取っ組んでも、らしいものがあっても、立証には百年もかかった例さえもまだあるじゃありませんか。いまだにそれさえはっきりされないという例があるじゃありませんか。それが公害の特質なんです。したがって、この典型的な公害、それから公害らしい公害、こういうようなものであればあるほど、民事私法的な解決の意味が小さくなってくる、そういう傾向があるのです。最も遺憾なのは、民事私法的な解決は、公害が徐々に累積して被害が受忍限度を越えるに至って初めて発動される傾向が多くなってくる。したがってこれは事後的なものとなってしまう。継続的、反復的な侵害の救済、こういうようなものに至っては、現行司法制度によっては無力になるおそれがある。いわゆる公害に対してこの際抜本的な予防的な解決をはかろうとするならば、これはやはり公法的、行政的、技術的解決、施策がいまや必要になってくるので、現行法の体系のみによってはこれは解決がまことに困難であるからこそ、いまの紛争処理法案が出されたわけです。これは間違いない。そうするとやはり最後の堡塁としてこれを残しておくならば、ここにはっきりとした、この状態に対処できるような状態をここに招来することが正しい解決だということになる。 大臣にお伺いしたい。公害基本法二十一条、この紛争処理及び被害の救済に対して、政府は必要な処置を講ずべきことを規定されました。この法律について、いまの公的規制と申しますか、公害紛争についての司法裁判所的な役割りを強化した、これを実施せいというような意味の、二十一条の紛争処理及び被害の救済に関する必要な措置を政府は講ずべしということが、この範囲だけの問題だというふうにお考えなのか。それとも、私が申しましたような公害の持っている全世界的な特殊性、この特殊性からくるいろいろな欠陥、それを排除して、ここに初めて人権を確保をせいというために、この二十一条が基本法の中に設けられたのか。この考えがいまの紛争処理の一つの分岐点になっておる。私は、大臣の説明ではこの点は残念ながら了解することはできない。その点、二十一条から発したこの真意について、はっきりとここで一つの討論をいどんでもらいたいと思います。
○床次国務大臣 ただいま公害について傾聴すべき御意見を拝聴いたしました。私もまことにごもっともであると思っておるのであります。しかし、ただいまおあげになりました数点の非常にむずかしい公害の特色というものは、これがありますだけに、この紛争の処理解決が容易ではない。現在の裁判所機構におきましても、たいへんな手間がかかるし、時間がかかっておるという実態であるわけです。したがって、もっと現実に合うところの解決の方法をつくる余地はないかという点において検討されましたのが、今回の紛争処理法案であります。最終的には裁判所の結論に待ちますけれども、しかし訴訟によらずして、当事者におきまして公害の性格に対して十分な認識がありましたならば、当事者の互譲の精神によりまして解決できるんじゃないか。この意味におきまして、今回の処理機関が大きく効用を発揮するものと私は期待しておるわけでありまして、私は、現在の公害の関係者が、やはり積極的にこの新しい処理機関を利用しよう、それによって解決を得ようという気持ちになれば、非常に大きな社会的な貢献をすることができると思っておるのであります。 なお、御意見のように、裁判所同様の別個の機構をつくるかということは、本来の訴訟の体系と同時に、ほんとうの立法論として検討すべきものでありますが、今日はまだまだそこまでは十分に行き得なかった。したがって公害対策審議会におきましても、答申におきましてはその裁決なりと申しますか、裁判所的の最後の役割りを果たすことにつきましては、これを答申から除外しておったわけでありまして、この点は十分に私どもといたしましても研究する余地がある、全くその点はお説のとおりだと考えるのでありますが、しかし、それだからといって、いま直ちに裁判所と同じような権能のあるものをこしらえまして、そうして、裁判所以上に早急に結論を出させて妥当な結論が出るかどうかということにつきましては、これはまだ十分検討すべき余地があるのではないか、検討すべき余地が、立法的にもいろいろ問題があるわけであります。したがいまして、先ほど申し上げましたように、今回の紛争処理機関まことに特殊な形でありますが、しかしその紛争処理機構の特性によりまして、敏速な解決ができる。これは社会的な通念、常識ということによりまして解決できるのではないか。裁判所の有意義な役割りを果たし得る、私はかように考えて提案いたしたような次第であります。
○島本委員 これは一つの公害裁判という期待を、この紛争処理法案に対して国民が持った、迅速的確に早く結論を出して、困っておる人を救済してもらいたいのだ、こういうような公害裁判的な期待を国民全部持ったということはやはりいなめない、私はそう思います。公害基本法二十一条の意味も、その法意は、やはり司法裁判所における救済方法の打開、現在あるものの改正や打開、こういうものを考えておるよりも、被害救済の行政的、合法的な紛争処理の制度を考えろ、それによって対処せい、こういうような意味だ。私どもは公害基本法を審議する際に、いろいろ審議の過程を通じてそれを痛感してきた。したがって公害裁判的なものを期待したということは、これはいなめない事実だ。しかし出されたものがどうも不満だ。それと同時に、紛争処理の問題については、やはり司法裁判所では限界がある。それと、いま言ったように迅速な成果は期し得られない、救済に対してはもっと適確な実現を望む、こういうようなことからして、裁判前に行政の領域で紛争の処理を適確に行なう、こういうような意味が二十一条の意味だ。そうしたら、三条機関によってこれは強力にやれということの証左ではないか。したがって初め言ったように、八条機関によるほうが、三条機関によるよりももっとそれ以上の強力なものなんだという説明がほしいというのは、いまのようなことばからだ。大臣がいかに言っても、その点だけはわからないのは私は残念なんですけれども、この際ですから、特に社会党の提案者である角屋議員にも、私を啓発する意味において、社会党案に盛られておる内容を含めて、いまの質問に対するお答えを願いたいと思います。
○床次国務大臣 ただいまの御意見、大体私の御説明申し上げたことを御理解いただいての御質問のようであります。しかし三条機関におきまして、三条機関として設置して、そうして御意見のような十分な納得のできる裁判所的な機能を発揮し得るということにつきましては、十分検討する余地があるのではないかと思うのです。やはりそれだけ納得ができる行政機関でありまするならば、裁判所と同様にずいぶん手間がかかる、また時間もかかるし、裁判所の取り扱いとは結果において同じことになるようなおそれもあるわけであります。その点が今後ともまだ十分検討すべき余地がある。なお、裁判所機構というものは、今日のわが国の訴訟制度におきましては、憲法に定められたものでありまして、その立場というものも考えなければならぬ。したがって、今日のところ直ちにそこまで進むということに対しましては、審議会におきましても結論的に出し得なかった、したがってその範囲内におきまして政府の提案があったというわけでありまして、疑問の点が残る、もう少し何とかならないかという気持ちは確かに私どもよくわかるわけでありますが、この点は現在の訴訟のあり方につきましても、私は十分考えるべきものがあると思うのであります。同時に、公害関係者が、政府の提案いたしましたところの紛争処理機関というものを積極的に活用することによって、私は非常に大きな利益があり得ると思う。これでもってもの足りない、どうしても争うのだということになりますと、結局最後は訴訟まで行ってしまうのではないかという感じもするわけです。そこが残された点でございますが、とにかくこういうものができるのでありますから、これは十分活用していただいて――最後の問題につきましては、これは先ほども申し上げましたように、基本的なわが国の法体系から申しまして、またどこまで三条機関でやり得るかということにつきましても問題があるし、また三条機関でやった場合におきまして、はたして裁判所以上に早いものができるかどうか、二重な手間になるのじゃないかという問題も残されておるわけです。この点はひとつ今後の問題として、私は研究すべきものと考えております。
○角屋議員 今回の公害にかかわる紛争処理法案について、三条機関をとるか、あるいは国家行政組織法の八条機関をとるかということは、これは議論としては議論の存するところだと思いますが、島本委員御承知のように、公害対策基本法の議論をする前に、各方面からの意見がそれぞれ出されましたが、その際にも、公害の今日の現状の中で、いろいろ取り扱う機関が相当数の省にまたがっておる、したがって公害の問題については強力な国家行政組織法の三条機関で、中央、地方を通じての機構をつくるべきだというふうなことが相当多くの意見として出ておりました。私どもも公害基本法をつくるときに、その意見を受けて立法した経緯がございます。 今回の紛争処理の問題につきましても、やはりその精神を受けとめて、独立権限を持つ国家行政組織法の三条機関のほうがより適切であり、そのほうが運営上も望ましいということで、われわれのほうも三条機関をとりましたし、公明党から出されております対案もその趣旨だと理解しておるのであります。これは本委員会の質疑応答の中でも、行政管理庁行政管理局の審議官の石原君のほうから、今日三条機関をとっておるものの中に、公正取引委員会、国家公安委員会、土地調整委員会、首都圏整備委員会、司法試験管理委員会、公安審査委員会、船員中央労働委員会、中央労働委員会、公共企業体等労働委員会というふうに、現行政府のもとにおいても三条機関が存しておるわけでありまして、公害が八条機関が適当であるか三条機関が適当であるかという議論をする場合には、これらと見合って考えましても、あるいはまた、日本の今日の公害の深刻な現状等を処理しなければならぬ、それには強力な機関が必要であるというふうな趣旨からいきましても、私は、現実の問題として、三条機関が適切であり、望ましいというふうに信じておるわけでございます。これは紛争処理のあり方として、和解の仲介、調停、仲裁という形をとろうと、あるいは私どものように仲裁にかえて裁定の方式をとろうと、それは別にして、やはり公害の紛争処理制度としては三条機関が適切であり、望ましいということは、国民全体の世論からするならば、そういうことになるであろうと私どもは信じております。 それから、紛争処理の問題について、仲裁か裁定かということが一つの議論の問題になっておるやに聞くわけですが、政府といえども紛争処理制度を考える場合には、やはり準司法的な機能というものを紛争処理制度の中で考えておると私どもは思いますし、われわれれも紛争処理というものを行政的に処理する場合に、準司法的な処理というものを考えなければならぬ。その場合に、島本委員も御指摘のように、また床次大臣もお触れになったように、公害は非常に複雑多様であります。しかも因果関係等についてはなかなか究明が困難な姿が非常に個々の問題については多いのが実態でございます。私は行政訴訟等立法的な問題については必ずしも専門ではございませんけれども、要するに民事訴訟というふうなことで裁判でやる場合においては、今日日本の場合には弁論主義がやはりたてまえになっている。証拠調べ等は主としてやはり訴を起こす者のほうで準備しなければならぬ。弁論でもって争う今日、御承知のように公害は大気汚染の場合を見ましても、いわゆる子供であるとか老人であるとか、そういうものが被害を受けやすいというのが実態であり、個々の庶民階層というものはきわめて立法的にも十分な知識を持たないし、因果関係の究明をみずから証拠をおぜん立てしていくということもなかなか至難な状況にあろうと思うのでございます。したがって、現行の民事訴訟のたてまえが弁論主義が原則である。それについては十分準備をしなければならぬというふうなことになりまするというと、なかなかこれは国民の健康と生命を守るという公害対策のたてまえというものが――そういう裁判制度を通じて紛争の処理が行なわれていくことは、私どもも最終的には認めておりますけれども、そういうことでいいのかどうか。今日四日市あるいは富山、新潟等の裁判訴訟の経緯を見ましても、多くの人の支持を得てそしてようやく訴訟が成り立っていくという姿で進められておるのが現実だと思うのでございます。また現実に新潟の水俣病にいたしましても、富山のイタイイタイ病にいたしましても、厚生省が調査に入ったりあるいは通産も調査に加わったりしながら、公害のこの種問題についての政府見解というものを示しておるという経緯も、御承知のように訴訟とは別個にあるわけでございます。そういうものを総合的に考えてまいりますと、やはり立法、司法、行政という三権分立のたてまえに立ちながら、しかも今日の日本の公害の現状というものを十分にわきまえながら、国民の健康と生命というものを、公害紛争の過程においてどう守るかという場合においては、やはり今度政府から御提案になり、われわれからも提案しております公害紛争処理法案という中で、公害の現状と特殊性というものをわきまえた紛争処理のあり方をとらなければならぬだろうというふうに考えるわけでありまして、そういう面で考えてまいりますと、和解の仲介あるいは調停という段階は、若干の相違はありましても、政府とわれわれの案にそう大きな差異はないと思いますが、いわば最終的な紛争の処理等の姿ともいうべき仲裁あるいはわれわれのほうの裁定という段階では、性格的にはやはり違ったものを持っております。ただ、政府の仲裁という場合は、法律案をごらんになってもわかりますように、条文の当初では、一方または双方の申し立てと書いてありますが、あとの条文でもって、やはり他のほうの合意が必要である、こういうふうになっておるわけでありまするから、したがってこの場合予想されるのは、被害者側が仲裁を申し出ようとする場合には、加害者側の合意がなければ結局しり抜けになってしまう、こういう形が政府の案の中では想定されるわけであります。したがって、和解の仲介とか調停段階までは、ある程度の働きがあるかもしれませんけれども、実際に相当むずかしい問題について仲裁にかけようという場合には、加害者がオーケーをしなければやはり仲裁が働かないという形でいいのかどうかというところにも私は議論が存すると思いますし、政府案が発表された当時に、マスコミのほうからも、結局これはしり抜けになるのではないかというきびしい批判があったことも御記憶だと思うのであります。したがいましてやはり行政的に処理する場合に、公害の因果関係の究明が非常にむずかしい。裁判では弁論主義で、そういうものを訴を起こすほうですべてを整えるということはなかなか至難である。そういう意味から、私どもとしてはこの問題について、公害専門調査会ということで、中央の公害審査委員会の中に専門調査会を設けて、ここには学術的に日本の権威ある人々を網羅いたしまして、これはまあ日本学術会議からの御推薦をいただくという形式をとっておりますけれども、そういうことで、公害審査委員会の中に常置をして、自然科学的な究明についてはこれがやはり中心になって働く。裁定上の判断というものは中央公害審査委員会が行なう、こういう形をとったわけであります。これはジグザグはありましても政府が、厚生省も調査をやるあるいは通産省も並行して調査をやる、そして政府見解を示すという新潟やイタイイタイ病の経過から見ても、われわれが従来からやってまいりました経過を飛躍した考え方を決してとっておらない。これはやはり実際に要請されておる姿であるというふうに私どもは考えておるわけであります。したがいまして、裁定という形はとりましたけれども、御承知のように大気汚染とかあるいは水質汚濁とかいうふうなことによって、人間の健康、生命に重大なかかわり合いがあるという場合においては、やはり裁定が行なわれておる過程においては訴訟は働かないというふうな考え方までとりまして、十分な科学的な調査に基づく適正な判断をしようという裁定制度をとり、しかも、裁定が実際に実施された場合においても、双方とも一定期間の間に訴が行なわれなければ、これは効力を有するという形をとっておりますが、一方から訴が起これば、当然裁判で争われるという形はわれわれも否定しておるわけではございません。そういうところでは、立法、司法、行政の領域、三権分立の考え方は守っておるつもりでございますが、しかし、いずれにいたしましても、公害紛争処理という場合においては、被害者の立場に立って、被害者の健康や生命やあるいはそういう物の公害にかかわる被害を救済する、あるいは紛争をさばいていくということをいかにして貫くかということで、本来立法は考えられるべきものであろう。そういう点では私どもの立法のほうがより現実的であり、また、より国民の期待に沿い得るのではないかというふうに考えております。いま床次長官御指摘のように、裁定の場合には、相当因果関係の究明を必要とするものが当然爼上にのぼってまいりますから、短期迅速というのが望ましいと思うのでありますけれども、若干の期間がかかることはいなめないと思います。しかし、それにもかかわらず、裁定制度にあがってまいりました場合には、これは一方の申し立てでわれわれのほうはできるわけでありますから、そういうことによって調査が行なわれ、職権探知も発動されあるいは証拠調べもなされ、必要によっては立ち入り検査もなされ、そして科学的、合理的な裁定がなされるという形で、一方がそれに不満で訴を起こした場合においても、それだけ社会的に公にされた裁定の結果が出ておるということになりますと、訴が起こされて裁判になりましても、そういうことが十分に尊重された姿において訴訟はさばかれていくだろうということも期待できるわけであります。そういう点から、私どもが今日の日本の企業者の責任感あるいは社会的倫理観というふうなもの等も考え、公害の実態も考え、被害者の立場も考えます場合には、より一歩政府案を前進さしてもらいたいというふうな気持ちを強く持っておる次第でございます。 以上、簡単でございますが、答弁にかえさしていただきます。
○島本委員 よくわかりました。床次大臣、また角屋議員のまことにうんちくの深い解明でございまして、なかなか稗益するところ多いのであります。感謝してやみません。それと同時に、いわゆる国家行政組織法第三条の合議制機関、総理府にはいわゆる公取委と国家公安委員会と土地調整委員会と首都圏整備委員会、こういうようなものがございます。それと法務省には司法試験管理委員会、公安審査委員会、労働省には中央労働委員会、公共企業体等労働委員会がございます。運輸省には船員中央労働委員会、こういうようなものがそれぞれあるわけでございます。そして職員を配置し、常勤の職員さえも置いて、事務局を強力なものにして運営しておるようであります。総理府の公取委に至っては職員は三百三十六名おるのであります。そして法律で事務局を設置いたしておりまして、常勤の委員長及び委員四名によって構成されておるのであります。そして、これをこう見ますと、大臣、船員中央労働委員会よりも弱い権限で――世界的に、日本的に重大なる関心を持っているこの公害の紛争に対して対処するという考えがおありならば、これは少しこの際――いまお二方からいろいろ発表されました。これはまことにそのとおりでありまして、私はほんとうに感謝して聞いておって、大いに稗益されたのです。いま言ったような三条委員会、この中の公取委、これがたいがいの場合には問題にされている。しかしながら、あまり問題にされていない、声の小さい運輸省の船員中央労働委員会、これさえも三条委員会としての機能を十分果たしている。それよりも低い格付をされた機関で、これはそれ以上の機能を十分果たし得るんだ、こういうような考えがあるとすればナンセンスじゃないか。こういうようなことでないようにすべきだ。私はそれをやはり心配しているのです。 それで、いまいろいろございましたけれども、公害の行政委員会がいま言ったように十分この任務を果たして、公害処理と被害者の救済の実をあげるためにどうしても必要なのは、いま私も若干申しましたけれども、整備された調査機関をその下部組織に持っておかなければならない。これが不可欠の要件だということです。いま出されました資料によりますと、中央公害審査委員会、これには常勤三名、内閣総理大臣官房で職員二十一名、うち兼務五名、正規十六名、こういうような機構のようですね。三百三十六名をあげてもまだ完全に機能を果たし得ないじゃないか、もっと強化を望まれているのが公取委でしょう。それよりももっと重要性さえあるという公害の紛争に対して、いま言ったような事務局であり構成であり、 こういうような職員構成で、はたしてこれが十分の成果をあげることができるだろうか。三条委員会では、ことに立法、監視、審判、この実をあげるには、有力な調査機関があるからできる、これが一つの取り柄になっています。しかし、この公害の場合には、普通のものと全然違う特質があります。高度の科学性が要求されます。高度の技術的解決が要求されます。そして専門的な知識、こういうようなものを要求されるのであります。したがって、この紛争処理制度をもしつくる、現在の法体系の中に入れるとすると、組織としては、監視機関と調査機関と研究機関と、この三つを完全に整備しておかなければ、この解決を完全にすることはできないと思う。有名無実な存在になる。もっと悪くいうと、全部裁判にやって、そしてそれによって解決させればいいんだというような、本来の司法裁判的な考え方にしか解決の道を求めないということに追いやってしまう。これでは、いかに声を大にして大臣が三条よりも八条がいいんだと言っても、私はそれの回答にならないと思うわけであります。そしてこれはもっともっと重要な環境基準だとか、またそれに対しての公害関係の、排出を含めてのいろいろの基準をきめなければならない。いまの状態でもまだまだだめなんです。まして、これから重要なこの段階を踏むにあたって、常に監視して違反者を摘発して、改善命令を出して、原状復帰命令も出す。差しとめ命令や除害設備の命令、こういうようなものも発してこれを強力にやる、こうならばいま大臣の説明された、回答されたこれだけじゃ、やはり百年河清を待つにひとしいような結果にしかならぬのじゃなかろうか。全部これは裁判に追いやってしまうんじゃないか。これが回答なり、こういうふうに言うならば、これはもうまことに不備きわまりないものである、こういうふうにいわざるを得ないと私は思う。これはまことに残念なんです。私がいま三条機関の、角屋議員のいろいろな回答をいただきました。私は率直に、措置として今後紛争処理の制度を完全にやるためには、監視機関、調査機関、研究機関、これを整備しなければ有名無実なものになるおそれがある。その事務局の手薄を、いま大臣も、これは今後考えなければならないとおっしゃった。せっかくやるならば、これを完備した三条機関になぜできないか、これが問題じゃないかと思います。大臣どうでしょう。
○床次国務大臣 ただいまいろいろと御意見がございまして、これは問題点をたくさん含んでおるのでありますが、まず簡単に、最終的には三条機関でもって一切片づくので、八条機関との差でもって、そういうふうに、政府案と角屋案との差があるかのようにお考えになるのでありますが、そうではないのであります。要するに、この紛争処理機関にいかなる権限を与えるか。権限を与えたものが、はたして権限どおり実行できるかという問題にあると思います。一番大きな問題は、先ほど申し上げましたように、政府機構におきましては、和解の仲介と調停、仲裁ということが目標であり、角屋議員のほうにおきましては、さらにそれにプラス裁定といいますか裁決と申しますか、そういう行為が入っておるわけであります。全く異質のものが加わっておる。その異質のものを私どもはまだ考えておりませんので、現在の八条機関におきまして十分である。この八条機関なるがゆえにそうだというのではなくして、八条機関でありますと同時に、それぞれの職務権限は、ここにありまする立法によりまして権限が与えられておる。各委員会はそれぞれの立法の内容によりまして、権限が与えられておるのであります。したがって、政府で考えておりますものは、今日の紛争処理法案の与えられました権限でもって十分できるし、これなら八条機関で運用ができるという考え方であります。ただ、いつまでもただいま御提示になりましたような職員でよろしいとは、私ども考えておりません。当初の形でありますので、まずこれから出発して、今後の推移を見て、人数等もふやすことが必要になってくるんじゃないかと思います。ただ研究等につきましては、本法にも規定がありますが、政府の行政機関を全部活用いたしまして、必要な資料を収集することができ、それを材料にして判定できることは当然であります。したがって、活動につきましては、現在の与えられた目標におきましては、権能は十分持っているということを申し上げたいのであります。 なお角屋案におきまして、批判を申し上げるわけではありませんが、裁定という行為がある。これは先ほどから申し上げましたように、裁判所と同様の程度のものを考えなければ容易ではないということを私も考えておるのであります。公取委員会のごときは、これは独占禁止法等きわめて特定された問題が中心で、しかもこれだけの陣容を持っているわけなんです。ところが、先ほど以来るるお話がありましたように、公害問題というのはきわめて広範な問題――特殊性を七、八点おあげになったのでおわかりでありますが、それだけの問題を含んでいるだけに、その処理に対しましては、これは裁判的行為をするとなると、非常に大きなものを持たなければならぬということにもなります。それで、それが将来の裁判訴訟というものとの関係をどう処理するかということに対しまして、やはり問題点が残るんじゃないか。これがそういう大きな機構をこしらえてやれば、あとは訴訟にならぬで済んでしまう、簡単に訴訟が早く済むというものかどうか、ということも考えなければならぬ問題だと思います。もしも現在において相当大きな権限、裁決までやらせるということになりまするならば、三条機関が必要だということが、一応行政組織としての格づけからは言えると思いますが、私どもはそこまで考えておらないところの単位、すなわち本質的に申しますと、一方を強制的に裁決するという意味ではなしに、互譲の精神でもって、お互いに話し合いでもって解決する機構という限度において考えておりますので、現在の八条機関でもって十分にできる。ただ人数等におきましては、将来の推移によってこれは変わり得るというふうに考えております。先ほど申し上げましたように、純然たる純、準ずるでなしに、角屋先生のほうのはいわゆる裁判所に近い行為、私の準司法的と言っておるのは、準ずるという字でもって準という字を使っておるわけでありますが、しかしそれがいわゆる調停、仲裁という限度にとどまっておるわけであります。その最後の裁定的な、いわゆる裁判類似の裁定行為までさせるかどうかということは本質的な問題でありますが、私はそういう問題は現在検討すべき点が非常に残されておる。とりあえず政府案といたしましては、この限度、これは審議会におきましても御答申があったのは、そこに答申された理由があると私は思うのであります。先生の提示された問題点は、確かに問題として今後とも研究すべき問題であることはわかっておりまするが、しかし審議会といたしましては、とりあえず紛争処理機関としてはまずこのものでもって実施したらどうかというのが答申なんであります。やはり現在の公害の実態から見まして、政府が提案いたしました趣旨のものが関係者の御了解を得ましたならば非常に大きく、結論が出てまいって役立ってくる。しかしそれから先もう一歩、裁定の問題となりますと、裁判機構でやるか、あるいはさらに行政機構の普通裁定機関にするかということ、これは残されておる問題である。私はこれを今日において全然否定するものでもないし、今後の問題であるということを申し上げておきたいと思う。その場合に、角屋案のほうが現在の裁判訴訟制度よりも非常に敏速にいって便利かどうかということにつきましては、これはまだまだ実態を検討しなければならない。少なくとも相当膨大なものがなければいけないということも言えると思いますし、また今後の紛争処理の扱い方と申しますか、世間の人の利用のしかたにもよると思うのでありまして、公害紛争の特質から見まして、いわゆる互譲の精神でもって解決するとなれば、そこまでいかずに済む。しかしどうしても訴訟でなければならぬとなれば、いまの法制上ではどうしても裁判所まで行ってしまうというところに差があると思うのであります。今後お互いが、公害処理に対する国民の理解と申しますか、また政府自体といたしましても、どう処理するかということにつきましては、今後実際において実績を見ながら、経過を見ながら検討していくべきものと思うのであります。
○島本委員 互譲の精神とおっしゃいますけれども、公害の問題の解決はいままで――民事局長も来ておりますが、裁判のほうへ行って互譲の精神なんてまずない。本質的に一刀両断的にやらなければならないから、時間がよけい長くかかってしまう、こういうようなことになってしまうわけなんです。あなた、そうなんですよ。(「時間が来たよ」と呼ぶ者あり)次官は、一人しかいないから…。どうもここから不規則発言が出て…。それで、いまいろいろおっしゃいましたがその中で一つだけやっておきたいことがあるのです。立ち入り権ということをお認めになる。これは三条でなく八条によるものだ、どこでもできるのだ、したがって今後は――軍事基地だけはそのために除かれた、こういうようないきさつがあったかのように承っております。いわゆる自衛隊基地や軍事基地、米軍基地、こういうような問題は後ほどやる。資料を出せというのに――ほんとうは私の手元に届いているのですが、この委員会に出さないので、きょう質問できないということになったから、あと回し。ただ調査はこれはどの程度まで――じゃ、八条機関によって有効だ、三条機関以上にこれが実効を結ぶものである、こういうようにお考えでしょうか。私はこの点では疑問がありますので、時間がないようですから、この点にしぼってひとつやっていただきたいと思うのです。
○床次国務大臣 この点につきましては、仲裁につきましては、両者が同意しておりますので、これは立ち入り権を認めておるわけであります。なお、その他の場合におきましては、中央審査委員会が行ないまする特別な大きな公害、これに対しまして立ち入り権を認めておる次第であります。
○島本委員 その場合、拒否されたらどうなりますか。
○床次国務大臣 その立ち入り権につきましては、罰則の規定がありますので、これによりまして実効をあげるようにいたしてまいりたいと思っております。
○島本委員 罰金を払ったらどうなりますか。
○床次国務大臣 先ほども申し上げましたように、本法によるところの処理は、両者のいわゆる妥協的な気持ちと申しますか、互譲の精神をもって基礎としておるわけであります。どうしても受け付けないというものに対しましては、いわゆる調停も成立しない、いわんや仲裁も初めからないわけでございます。こういうものはどうしても訴訟まで持っていくということになります。
○島本委員 それなら、初めから訴訟をやるためのこれは機関でしかないじゃないかと言ったのは、その辺もあるのですよ。 例をあげてみましょうか。労働基準法がありますよ。あれによって、不当労働行為に類することを犯した場合には罰金がありますよ。しかしながら罰金を納めた場合には、これはもうそれ以上処罰されないのですよ。そこで二千円なりの安い罰金を納めればそれで平気でやっているような、こういう制度がいまあるのですよ。労働基準法の中に現存するのですよ。悪質な人は、互譲の精神を長官はうたっていますけれども、罰金を納めて違反をやっている人があるんですよ。これだって、裁判へもっていけというのと同じでしょう。せっかく法律をつくって、魂が入ってない。強力な権限がないからじゃありませんか。それはやっぱり今回の場合にも、せっかく立ち入り権を認めても、よくついていけば、罰金を納めたならばやってもいい、だめだというなら訴えなさい、こういうようなところまでいって、この複雑な公害の解決はできませんよ。(「三条機関ならできるよ」と呼ぶ者あり)三条機関でやるなら、この点ははっきりした態度をとれるじゃありませんか。立ち入り権を認めてやるのだから、だめだというなら処分されるのだから。どうしてそういうことになるのでございましょうかね。
○床次国務大臣 ただいまお話がありましたが、そもそもこの機関の目的というものが御意見とは違うので、私が申し上げましたように、互譲の精神をもちまして、仲裁、調停という考え方でもって法律は成り立っておるわけであります。初めからそういう気のないものは訴訟に行かざるを得ないということを申し上げたのです。 なお、御意見のような裁定権を持っておりますものならば、すなわち相手方を強制し得る権限を持っておりますならば、これは裁判所と同じようにできると思いますが、その際におきましては、やはり裁判所と同じような慎重な手続でもって、相当複雑な機構なり、また時間もかかっていくのではないかということを私ども予想するのでありまして、それならばむしろ本法といたしましての特色を発揮しました趣旨による紛争処理が、この際少なくとも適切である、少なくとも御趣旨のように、これがよけいなものだ、むだなものだということには、私はならないと思うのであります。訴訟によって争うのは訴訟のほうの問題かもしれませんが、しかし争わずに話をつけようというものは全部この機関を活用し得るものと思う。非常に、私はその意味におきまして実益があると思うのであります。
○島本委員 ないよりも、実益はまああるには相違ない。だけれども、それは実益をいうんだったら、もう少し完全な、実益をあげるようになさるべきじゃないですか。ほかの国がやってないというならいいんですが、これはイギリスのほうでは、これに対してどういうふうな方法をとっているか、御存じの方ございませんか。もしありましたならば、この際外国の例として、イギリスではどういうふうにしているか、発表を願いたいと思います。角屋議員知っておりましたら、この際角屋議員でもいいのでありますが…。
○橋口政府委員 諸外国の公害紛争の処理の制度についてのお尋ねでございますが、私のほうでは、不十分でございますが一応の調査をいたしております。和解の仲介、調停のような制度を設けておるところはないようでございます。特に公害の紛争のために、和解の仲介、調停等の簡便な制度を設けているところはないように承知をいたしております。ただイギリスの例をおあげになりましたが、前に島本委員からもイギリスの略式手続についてのお話がございましたが、私どものほうで調査をいたしたところによりますと、これはやはりあくまでも裁判所が介入いたしておるわけなのでございます。いま公害紛争処理法で予定いたしておりますような、行政機関において簡易な手続で処理をするということはないようでございます。行政庁がある一定の行為をとり、その行政庁が裁判所に対して問題を提起する、こういうことによって裁判所が簡易な判断を下す、こういう制度がイギリスにあるようでございますが、しかし先ほども申しましたように、行政機関が簡便な手続で判断を下す、紛争に対して一応の解決のめどを下すという制度はないように承知いたしております。
○島本委員 私の完全なる調査によれば、英国では公害紛争の多くは即決裁判であり、行政は保健庁が中心になって、ロンドンでは、ことにばい煙や悪臭の取り締まりも行なわれており、衛生官が有罪と断定すればすぐに自費で工業施設その他を改善しなければならないような仕組みになっておるのである。したがって業者のサボタージュは許されず、また業者が公害対策の施設をしたために経費の負担の過重なためつぶれたという例もない、こういうような、私の手元には調査があるのですが、だいぶおたくさんのほうとは違うようであります。(「同じだよ」と呼ぶ者あり)いや、もし同じなら、これでいいじゃありませんか。黙っていなさい。(「質問者が、自分で切った時間を過ぎているんだもの」と呼ぶ者あり)じゃ、もうきょうはこれはやめた。今後はこういう不規則発言はさせないようにしてもらわないと、まじめな質問なんですから…。 こういうような例もあることですし、これは三条機関によってあえて円満にやっても害悪がないという実例もあるわけであります。もっとこの点は調査すべきじゃないか、こういうように思います。 だいぶ時間も参ったようで、これはぐあいが悪いのですが、この問題はまだまだ一つも解決になっておりません。しかし大臣、重要な要素が含まれておりますので、この問題については引き続き質疑を展開してまいりたい、こういうように思っておるわけであります。ことに、それだけではございませんで、いまの調停の内容についての非公開、こういうようなこともきめられておるようですが、これはやはり紛争の解決のためにはマイナスである、これも事例をあげてはっきりとお伺いしなければならない問題もあろうかと思いますので、今後ひとつ引き続いてお伺いいたします。 本会議の関係でこれ以上できませんのはまことに残念でありますが、次回に譲ることにして、きょうはこの程度にとどめておきたいと思います。
○赤路委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十八分散会