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61回国会衆議院1969/06/25

建設委員会 第28号

発言数
50
登壇者
7
会派数
2
開催日
1969/06/25

会議録

始関伊平自由民主党

○始関委員長 これより会議を開きます。  この際、佐野憲治君から発言を求められておりますので、これを許します。佐野憲治君。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 開会にあたりまして、一応資料を請求いたしたいと思います。  実は先般来、先週の木曜日並びにきのう火曜日の理事懇談会におきまして、建築基準法の一部改正案に対する各党の修正要望事項に対していろいろな検討が行なわれて、その中で特に執行罰に対する検討が真剣に行なわれたことに対しまして一応敬意を表しておるわけですけれども、この理事懇談会の中におきまして、執行罰の問題につきましては、第一点として、法理論的に可能性があるかどうか、こういう点が取り上げられたわけですけれども、この中におきましても、法理論上可能であるという意見、あるいは可能性に対するある程度までの疑問、こういうあいまいな形で検討がなされておると思います。第二点として、では執行罰の制度を採用いたしたとして、実効性なり、その方法に対して問題点があるんじゃないか。実効性があるという見解、あるいは実効性がないのではないかという見解、これらが述べられておるわけです。第三点としては、ではその執行罰を採用しなくて、一体不作為義務に対するところの法規制力と強制執行をなすことができるかどうか、かわるべきものが存在するかどうか、こういう点につきましてもいろいろな意見が出されておるわけです。たとえば、代執行により不作為義務を中止することはできないのではないかという見解も出ておりましたけれども、これに対しましても非常に問題が多く含まれておると思います。ですから、理事懇談会におきまして、あるいは建設省なり、あるいは法務省におきましても民事局の参事官に来ていただいておるわけですけれども、やはり法務省としての見解がなくて、依頼されたものとしての法務省民事局参事官室としての見解、こういうのが述べられておるわけですけれども、この点につきまして、いま申し上げました三つの観点から見ますと、この法務省の民事局参事官の意見もまたあいまいであるし、理論的におきましても深く検討がなされていない。ですから、非常に不確定な要素をもって見解が述べられておる。運用面に対しましても、実際においてはそういうことを担当したことがないのだからという形を前提としての見解を述べられておるにすぎないという現状でありますので、やはり理事懇談会において論議されましたことを本委員会においてもう少し吟味する、審議する、そういう中で今回のいわゆる建築基準法の改正案の内容を充実していきたい、こういうことを考えておるわけです。その意味におきまして委員長にも配慮願いたいと思います。やはり理事懇談会においてあいまいな、しかも明確にされていないいろいろな諸問題を本委員会において十分審議していただく、こういう議事運営を取りはからい願いたいと同時に、そうした意味におきましても、私たちはもう少し根本的に建築基準法の改正案の内容に大きなポイントとなる、きめ手となる執行罰に対する審議を深めてましりたいと思っております。と申し上げますのも、いままで、従来国会におきまして基準法といしますと、最低の基準である、国民の生命、健康を守る、環境を保持するために最低の条件だ、この最低の条件を下げるということは、法制定以来二十年間、時代の進歩とともに最低基準を上げるということこそ私たちは幾たびか経験いたしておりますけれども、法律が守られないから下げるんだ、違法性を公然と認める、しかもそのことが国民の生活、健康あるいは環境保持にとって非常に危険な状態ではあるけれども、最低基準を下げるんだ、下げるかわりに実効性を担保するんだ、こういう意味におけるところの執行体制に対する今度の改正案の内容を見てまいりますと、ほとんど担保になっていないのではないか、こういう意味からも私たちはもう少し慎重に審議をしてまいりたいので、次の資料を要求いたしたいと思います。  一つは、ドイツにおける執行罰に関する現行法規の全訳を提出願いたいと思います。と申し上げますのも、法務省の参事官室の方の意見でも、部分的な翻訳は持っておるけれども、全訳というものはまだ十分読んでない、こういう形で、ドイツにおける執行罰はどういう形に現行法規の中において実施されておるかという点が、まず私たちは知りたいと思うわけです。特に日本の行政体系はドイツを模範とし、ドイツの見解が日本の行政法規の中に取り入れられておるわけです。そういう意味におきまして、日本の行政法規がドイツの行政法規を模範としておる。その中で、執行罰という制度がどういうようにドイツにおいては成長してまいっておるかということを比較検討する必要があるからであります。  第二の点といたしまして、ドイツの行政学者、特にオットーマイヤー、これは美濃部達吉博士がオットーマイヤーの理論を代表する行政法の著書を出されておりますが、山田準次郎教授もフライヤーの見解を多く取り入れられておることは、御存じのとおりだと思います。それから田中二郎教授はフオルンュトホクの見解に基づく行政法の見解を発表になっておるわけです。ですから、ドイツにおけるこの三人の代表的な行政学者、この学者の、一体執行罰に対する見解はどのようになっておるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。  英米法におきましても最近執行罰制度が採用されておる。特にアメリカにおきまして、アメリカ法における執行罰はどのような制度として取り上げられておるか、この点に対する資料を要求いたしたいのが第三点です。  第四といたしまして、行政執行法が昭和三十三年に廃止になっておるわけです。この廃止になった理由は一体どこにあったのか、そのとき政府関係におきましてどういう審議がなされてまいったか、そういう付属書類というものが現存しておるはずでありますので、なぜ廃止になったか、その証拠書類も資料としてお願いいたしたいと思うわけであります。特に行政執行法は、御存じのとおり、行政検束、執行罰、強制執行、この三つから成っておったと記憶しておるわけですけれども、これがどういう過程において廃止になったか、その論議の過程をもう少し明確にさせていただきたいと思います。  第五点として、かつて西村建設大臣のときに、閣僚懇談会におきまして当時の佐藤総理から、違法建築が目に余るのではないか、なぜこれを取り締まれないのだ、こういう質問に対しまして、当時の西村建設大臣は、違法行為を阻止するために新しい制度を実は考慮中である、これに対する施策を急いでおるということが第一点、第二点は、現行法においても、刊事事件としての告発並びに代執行法を厳正に運用することによってこれらの違法行為を阻止することができる措置をとりたい、こういうことで佐藤総理の質問に対しての西村建設大臣の答弁があって、了承になっております。これに基づいて建設次官通達が特定行政庁に出されておるわけです。ですから、特定行政庁に出されました通達の内容、現行法規の中においても、刊事的告発並びに代執行を厳正に運用することによって違法建築を阻止する、その通達がどうして実効性を確保することができ得なかったのか、こういうことをももう少し審議してまいりたいと思います。というのは、行政罰その他を採用しなくても、告発並びに代執行を厳正にすることによって違法状況というものを法的規制ができるのだという、一部理事懇談会におけるところの見解が出ておりましたので、過去において、わずか数年前におきましての通達がなぜ実効性を確保でき得なかったのか、こういう点を明らかにしていきたいからであります。  次に、最後の件といたしまして、電気、ガス、水道、これは行政運用によって供給を阻止することができる各省間におけるところの覚え書きができておるという、この資料を提出いただきたい。その場合におきましても私たちが知りたいと思いますことは、ドイツにおきまして、行政目的による電気、ガス、水道、公益事業に対するところの供給停止は違憲であるという判決が出ておるわけであります。この点につきましても、日本最高の裁判所は各国における判例を中心として判決をやっておる。ですから、各国の判例が全部最高裁の事務局において翻訳され保存されておる。この意味におきましても、最高裁判所に対しまして、ドイツにおいて最近出されました違憲判決はどういう内容のものであったのか、法律が憲法に違反する、公益上の立場において生存権、社会権の立場においてこういう行政目的の一方的な立法は違憲だという判決が出ているときに、わが国における行政分野において、法律ではなくて、行政運用において生存権、社会権を一応問題のあるこういう運用がなされること、しかもこれが特定行政庁においてばらばらになった場合における問題点等を考えてまいりますと、これは重大な内容を含んでおると思います。ですから、これは明らかに訴訟問題に発展する危険性もありますし、その場合に、法律をもって定めたとしても、いろいろな前提条件があると思いますが、ドイツの場合は違憲判決が出ておる。いわんや、いま本案審議の中において、理事懇談会の中において、行政運用をやれるから違反建築に対する懲罰的な措置をとることができるんだ、規制することができるんだという考え方は、非常に危険な内容を含んでおると思います。私たちが安易にそうしたことを前提として法案を通すことになってまいりますと、重大な禍根を将来に残すと思いますので、本委員会におきましても十分これらの点に対するところの問題を審議していく必要があると思います。  その意味におきまして、理事懇談会におけるところの建設省の見解なり、あるいはまた、法務省におけるところの参事官室の、法務省を代表するのではなくて、一部見解という見解が、非常に不勉強であり、かつまた、あいまいな言辞が非常に多いわけですから、そういう点をただす意味におきましても以上の資料をぜひともお願いいたしますと同時に、この資料を中心として国民の前に国会としての責任において十分審議を続けていく、こういうことを委員長に要望いたしまして、資料要求にかえさせていただきたいのです。

始関伊平自由民主党

○始関委員長 ただいまの資料要求につきましては、委員長において善処いたします。      ————◇—————

始関伊平自由民主党

○始関委員長 建築基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。渡辺惣蔵君。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 去る六月十四日に都市計画法が実施されることになって都市計画実施五十周年の式典が行なわれました。大臣としましては、この都市計画五十周年の記念すべき行事に建設大臣として出席をされて、いろいろと感概の深いものがあったであろうと思います。私はこの大会には出席できなかったのですが、特にこの大会で採択されております都市計画宣言というものがあります。この都市計画宣言を読んでみますと、前文に続いて九項目の具体的な目標を掲げております。大会ではこれを都市計画宣言と唱えておりますが、いわば日本における都市計画、都市改造、都市再開発、日本における都市問題解決の一種の憲章にも値するものだと評価していいと思うのです。当日多数の学者が参加をして起草されたものですから、かなり次元の高い方向を示して、この宣言それ自身は、私は現段階でかなりりっぱなものだと評価していいと思っております。しかし、このことが単なる宣言として終わるのかどうか。この宣言は大臣も加わって議決をせられておるわけでありますが、この都市計画宣言、都市計画憲章ともいうべきものを、大臣はどういう確信を持ち責任を持って実施をする決意を持っておるのか、その点を伺いたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 渡辺委員から、高度な立場、次元の高い立場から、わが国の都市計画の今後の推進、あり方等に対し——過般おかげさまで無事歴史的な一つの式典を終えさしていただきまして、皇太子並びに同妃殿下御台臨のもとに、非常にありがたいおことばをちょうだいいたしますとともに、大会の名において、いま御指摘のとおりに都市憲章とも申すべき宣言を満場一致可決し得ましたことは、まことにありがたい指針でございまして、私は、この宣言の趣旨を体しまして、わが国の都市計画の推進に新たなる一世紀へ進まなければならぬ、こういうような気持ちを持っておる次第でございます。しかも現時点における乱れておる都市現象を思いますときに、やはりあの宣言にうたわれましたごとき方向をもって、次元の高い、また具体的な総合的なる施策を打ち立てまして、新たなる世紀への都市計画の推進をいたしたい。その具体的な構想といたしましては、私といたしましては、やはりいま御審議をわずらわしておりますところの建築基準法、並びに御制定を願いました都市再開発法、あるいは実施に入りました新たなる都市計画法等の運営に万全を期しますとともに、また、時代に即応いたしましたそれぞれの施策を総合的、計画的に打ち出しまして、宣言の趣旨にのっとった施策をでき得る限りの万全を期しまして鋭意努力いたす覚悟でございます。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 私は特に坪川建設大臣に実は特別の期待を寄せておるわけです。なぜと申しますと、これは、歴代の建設大臣——それ以外の閣僚もほとんど同断のことが言えると思うのですが、少なくとも建設大臣あるいは自治大臣等の大臣に就任をして施策をせられる人でかつて地方自治体に関係を持った人はないわけです。市長上がりの建設大臣——と申したらたいへん恐縮でありますが、市長をつとめられた非常に深い体験を持たれるという意味において、私は、あなたの果たすべき役割り、使命感あるいは感覚、体験というものは貴重なものであって、それが生かされなければならないものだ、こう実は考えるわけです。そういう意味で私は、坪川建設大臣が勇断をもってこの都市改造あるいは地方開発の問題に取り組んでもらわなければならないということは、特に五十年の歴史を背景にして、たった一人地方の市長の体験者として、地域住民のいろいろな苦悩も、あるいは中央政治の行政悪も、それから無責任な法律をつくって強要したり、それを執行する責任を負わされる地方の理事者として中央の委任事務などどんどん地方に転嫁してきて実施困難であったという苦い体験、あるいは市民のいろいろな意見をあなたは市長の時代に長い間苦悩して処理をしてこられた。そういう体験を持った人は閣僚の中にいないわけです。歴代建設大臣においても自治大臣においても、みずからそういう体験の上に立った人はないと思う。ここで高度な理論と、中央の諸施策と、これを実施する地方の地域住民及び行政庁との問題については、あなたが一番理解し得る条件に立たされておるのだ、こう私は受けとめ、理解するわけです。そういう意味から私はきょうは特にこの席に自治省にもおいでを願っておるのですが、そういう意味で、地方行政と建設行政との関連について質問をいたしたいと思います。  それは、特にいま佐野理事から発言のありました執行体制の問題とからまってまいると思うのです。いま建設委員会の建築基準法の論議の過程においては、この法律をざる法に終わらしめないために執行体制をきちっと取りつけようというところに論議が集中しておるようであります。しかし、ここで建築基準法の今度の法律のワク内で執行体制を強化するという現実的な視点から問題を考えるのと、もう一つは、建築基準法自身の対象になるべき都市の問題が出てくると思うのですね。  ここでお伺いをしたいのは、いま全国で市と称するものは五百六十四市あるわけですね。昨日、衆議院の本会議で、三万以上五万以下の都市を市として昇格するという単独市昇格の立法が可決されました。これで三十一市また新たに加わることになりますから、総計いたしまして五百九十五市になるわけです。一体市というものは都市なのか、市と都市とはどういう関係になるんだ。都市再開発法だとか、いろいろ都市ということが論議されておりますが、都市という概念と、行政体の市との関係はどういうことになるのだ、市は都市なのか、都市は市をいうのか。私は、羽仁五郎氏の本を読んでも磯村英一氏の著書を読んでも、宮本憲一氏の著書を読んでも、的確に、都市というものといわゆる市というもの、行政区としての市というもの、市は一体都市なのか、都市は一体市なのか、ここが明らかにならない。法の対象であるべき、実施の対象であるべき、執行体制の対象であるべき、市の性格が明らかにならない。この点について建設大臣並びに自治省の見解を承っておきたい。それからいろいろな質問を続けたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 いま渡辺委員御指摘になりましたごとく、市という定義は、やはり行政上において法的に見た市ということでわれわれは対象にいたして考えておる次第でございます。しかし、都市の定義に相なりますと、やはり私は一体のものである、こういうような解釈をいたすべきである、こう思いますが、抽象的な論からいいますならば、定義の上においては私はばく然とした一つの抽象論としして解釈、市は一定の法的な行政上の裏づけをされた背景に立っての市としてわれわれは解釈をし、また、市に対する施策をこの定義に立って執行すべきである、こう考えております。

森清自治省行政局行政課長

○森説明員 お答えいたします。  ただいま市の制度に関して建設大臣が述べられたことは、全くそのとおりでございます。ただ、渡辺先生からお尋ねがありましたとおり、普通常識的に都市と農村というふうな分け方をして、それにぴったり都市というものが市になり、農村というものが町村になっているかということになりますと、必ずしも、常識的にいわれている都市と、それから自治法上といいますか、行政上の市が一致しているとは申せない現状にあるわけであります。それでは、はたしてそういう現状がいいかどうかということについては、自治制度上いろいろな問題があろうかと思いますが、基本的には、都市と農村といいますか、市と町村を制度上分けるならば、実体と行政とが一致することが望ましい、このように考えるわけであります。ただ、現在五百幾つの市がありまして、人口規模からいいましても、三万から五万程度の市が半数以上あるような現状でございます。これは昭和二十八年から始まりました町村合併等を促進いたしました結果でもあるわけでございますが、その後、人口規模が五万以上でなければ市になれないというふうな自治法の改正も行なわれましたが、昨今また衆議院において、それを三万に引き下げるような、暫定的措置にしろ、そのような議員立法がなされようといたしておる状況でございます。  そこで、さらに、それでは同じ市といっても大きな市から小さい市まであるから、それを市の中にも区分をつけて考えていったらいいじゃないかという案もあることはあるわけでございます。現に地方制度調査会等でそのような議論もされておるところであります。そういう各般の議論を整理いたしまして、できるだけ早い機会に市の制度について再検討しなければならない、そのように考えております。先般衆議院を通過いたしました、三万以上が市になれるという法律においても、その附則において、市の区分に関する制度が改正されるまでの間の暫定措置としてこれを行なうのだ、こういう趣旨のことが法律に明記されておる。あの法律が成立いたしましたならば、そういうことも、政府の義務になってまいると思いますが、今後検討していきたい、そのように考えております。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 大臣及び自治省の意見を伺ったのですが、地方制度調査会で、膨大な六百近い市に対してそれぞれの格をきめるというような論議をされておるということですが、そういう地方制度調査会の議論を待つまでもなく、私は非常にこの法案の審議にあたってふしぎなことと思いますのは、いろいろと都市関係の法律を審議しておって、一つ一つの法律が適用の市が違うのですね。たとえば、一番中心の都市計画法は十万以上の都市にこれを実施する。建築基準法は二十五万以上の都市に義務づける。もう一つ、あとで関連して質問いたしますが、建設関係の法律で地方住宅供給公社法という、住宅関発の重要な使命を持たせてわざわざ立法を起こしているりっぱな法律があるのですが、これは五十万以上の市に適用する。こういう類例を重ねますとまだまだたくさんあるのです。たとえば、都市の環境衛生を守るための保健所法という法律がある。この保健所法という法律を見てみますと、これは十五万以上の市に適用する。一体同じ住宅問題を扱い、同じ都市問題を扱い、これを処理し、対象にしている法律が、同じところで論議しながら、Aの法律は十万以上の都市を対象にする、Bの法律は二十五万以上の都市を対象にする、Cの法律は五十万以上の人口の都市を対象とする、これは一体どこからそういう発想が出てきておるのか。都市問題、住宅問題の解決の法律が、一つ一つの立法の過程でその適用対象である都市に対する評価を変えているのはどういう理論的根拠があるのか。都市局でかってに法律をつくるのか、計画局では別な法律をつくるのか、自治省では別な法律をつくっておるのか。法律の対象であるべきものが、客体が明らかでないのです。五百九十五の市に全部適用しろ、任意でやりたいところはやれと逃げておる。しかし、中核的に押えておるところは、一体こういう都市というものは——市は三万以上だが、都市というのは十万以上なのか。市民生活を擁護しなければならぬところの、環境整備をしなければならぬところの都市というのは十五万以上の都市であるのか、建築行政の上で問題が出てくるのは二十五万以上の都市なのか、住宅の増改築、用地取得等の先行投資をしなければならぬ状態に追い込まれる都市は、五十万以上の都市なのか、何らの社会的、法的基盤もないのにかかわらず、法律の作成の過程において同じ建設省が何で一体こういうばらばらな法対象を規定しておるのかということをひとつ明らかにしていただきたいと思います。

大津留温建設省住宅局長

○大津留政府委員 お尋ねの問題のうち、建築基法関係と地方住宅供給公社の関係をお答えいたします。  建築基準法におきましては、現在、御承知のように、都道府県知事が特定政庁として建築行政の施行の責任を負っております。市町村長がその建築行政を行なう意思があり、かつ能力があると認められる場合におきましては、知事と協議の上、その所管する市の地域について特定行政庁となることができる、こういうたてまえをとっておるわけでございます。建築行政が、御承知のように、個々の建物の安全衛生、また、都市を構成する構成要件としての建物のあり方、こういうものを規制するという性格上、できますならばこれは身近な市町村長が行なうのが好ましいではないかという観点から、できるだけ知事が行ないます権限を市町村長におろしたいという考えでおるわけでございますが、この建築行政を執行いたしますためには、これを扱う専門家も相当必要とするわけでございますので、すべての市町村長にこれをゆだねるということは、にわかには実際問題としてなかなか無理だろうと思います。したがいまして、二十五万以上の市に少なくともこれを必ず行なわせる、それ以下の人口の市町村におきましては、その意思があり、かつ能力があるという場合には、知事と相談の上行なう、こういうたてまえをとろうとするわけでございます。  それから地方住宅供給公社法におきましては、地方の住宅難に対処いたしまして、特に勤労者の持ち家を促進するという意味から、いわゆる積み立て分譲方式というのをとったわけでございます。勤労者から一定期間、三年ないし五年の間お金の積み立てを受けまして、それが一定の額に達しましたら、頭金として分譲住宅を建てて分譲するというたてまえをとったわけでございますが、こういうお金を一定期間預かるという業務を行なわせるためには、やはりある程度の信用ないし事務能力も備わったものに限定するのが間違いがなかろうというので、都道府県及び人口五十万以上の都市ということに限りまして地方住宅供給公社の設立を認めるということにいたしたわけでございます。これは発足してまだ数年でございますので、その実績等も見まして、さらに拡充する必要があるということになりますれば、これをさらに広げていく、こういう考えでおります。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 それでは重ねて質問いたしますが、現実にこの建築基準法を適用して実施しております都市の数はどういう状態になっているのか、明らかにしてもらいたいと思います。

大津留温建設省住宅局長

○大津留政府委員 現行法におきまして、市のうち特定行政庁になっておりますのは三十五市ございます。人口二十五万以上の市と申しますと、これまた同じく三十五市あるのでございますが、三十五市のうち、すでに特定行政庁になっているものが二十一、まだなっていないのが十四ございます。したがいまして、今回の法改正が成立いたしますと、この十四市が新たに特定行政庁になります。それから、二十五万未満の都市ですでに特定行政庁になっているのが十四市ございます。  私どもといたしましては、先ほどお答えいたしましたような趣旨から、二十五万以下の市でありましても、できるだけ建築行政の全部または一部を行なうように指導いたしまして、少なくとも十万以上の市につきましては建築行政を担当させるように指導してまいりたい、こういう考えでおります。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 ただいまの渡辺委員の質問に関連して大臣にお尋ねしておきたいと思うのですが、大臣は、建築基準法は国の権限だ、特定行政庁には機関委任しているのだというたてまえをとっておりますね。いま渡辺委員からも質問がありましたように、この法改正にあたりましてこういう点に対する検討を加えたことがあるかどうかという点であります。たとえば、同じ建築行政にいたしましても、消防関係、防災その他につきましては町村消防がその任に当たっている。この町村消防は、御承知のとおり、国が組織、運営に干渉してはならないという前提を置いてできているところのものであります。消防法において、政令で指定されている町村におきましては、防災という観点から建築行政に権限が与えられているわけです。しかしながら、建築基準法の前提として、都市計画上における用途地域に対しましては、府県に権限をおろしておる。用途地域を設定する場合におきましては、公聴会その他を開いて、住民参加、住民みずからが町をよくする、いわゆる住みよい環境づくりなり住宅に対しても関心をもつから、第一種、第二種、あるいは住居地域、こういう用途地域ができるわけですが、それを住民参加のもとにおいて行なわしておる。都市計画の対象になる市町村というのは非常に多いわけですが、しかしながら、建築基準法におきましては、その中身となる建築基準におきましてはこれを建設大臣がみずから持っていなければならない、この必要性があるとお考えになるのですか。というのは、建設大臣が権限を持っておるのだ、国の権限を行政庁に対しまして機関委任しておるのにすぎないのだ、だから大臣は、特定行政庁に対しまして自治法百四十八条第一項によって代執行権を持っておる、機関の長の罷免権を持っておる、こういう権限をあなたが持って特定行政庁を指定して、そこで権限をある程度まで委任するのだ、こういう考え方そのものに対してどうお考えになっておりますか。いま渡辺委員が指摘いたしましたように、いろいろな町村が自主的に、いわゆる住民自治の観点から、新しい民主主義の基盤をつくろうとしておる、住みよい環境を自分たちでやろうとしておる。消防の場合は、火災その他危険性から町村までおろしてしまっておる。都市計画法上の用途地域決定も、住民参加のところまできてしまっておる。ひとり建築基準法だけ建設大臣が持っておらなくちゃならない、代執行権をちらつかし、いわゆる罷免権を——特定行政庁の長ですから、それをほのめかして——ほのめかしてじゃない、それを法的にはっきりと持っておって、それでやるところに問題が出てくるのじゃないですか。こういう点、渡辺委員の質問と関連してどうも私納得できない。現在の行政のあり方に対して大臣自身としてはどうお考えになりますか。片方には都市計画の場合、片方におきましては建築基準法の場合、こういう点について大臣としての見解をこの機会に聞かしていただきたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 佐野委員御指摘になりましたごとく、建設大臣の職権というものに対する——強権をちらつかしながら執行をきびしくするという立場からの問題でないということは、この歴史的背景に立って長年のとってまいりました行政上の措置において私は御理解はいただき得るものと考えますので、それらの執行の場合においては、そうした懸念あるいは憂慮されるようなことはなるべく排除いたすべきは当然でございます。しかし、何といいましても、統一的な立場に立って責任の所在を明らかにするということが、この問題と取り組むきびしい問題として私は必要であろうと思いますが、しかし、時代に即応し、また法的な運営に即応いたしまして、おろすべきものはおろすという考えは、一つの自由な順応性をもって措置を講じてまいりたい、こう考えておる次第でございます。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 おろすとかなんとかというのじゃなくて、たてまえですね。やはり日本の民主主義の基盤は地方自治だ。しかも住民自治という観点から考えると、自分の町の中に違法建築ができる、環境が悪くなる、しかも用途地域は住民参加のもとに決定されておるわけですが、その基準なり何なりを国が明示することはいいです。しかしながら、その執行なり何なりの権限は県や町村におろすべきじゃないか、なぜおろすことができないか、こういうことに対する理解が——おそらく河川法の場合もそうでしょう。河川法におきまして、機関委任事務の形式をおろしてまいった。道路法もそうだったでしょう。都市計画法もまたそういう形において変わってまいった。なぜ建築基準法だけが国の権限として持っていなくちゃならないのか。もっと住民、地方自治体におろすべきじゃないか。おろすのじゃなくて、権限を委譲すべきじゃないか。国はある程度の監督なり指示を与え、基準をつくる、この程度でいいのじゃないか。そういう混乱があるところに、建築行政がいわゆる住民との間にばらばらになってしまういろいろな原因があるのじゃないかと考えるわけです。  なおもう一つは、自治省の方が来ておられますが、交付税の中において、百七十万の標準団体、これに対する基準財政需要額は資料としていただきましたが、こうした場合におきまして、三分の一程度は確認その他の手数料をもってまかなう、現在の九十万をこえておる違法建築——建築確認その他に対して現在の府県の交付税の基準財政需要額に見ておる建築行政費、これでほんとうに執行体制ができると考えておられるのかどうかという点。さっきからの建設大臣のお話なんかでは、おろすのだ、おろすのだ、こういうぐあいに安易に言われますけれども、皆さんの場合において、おろす場合において基準財政需要額にどういうような形で補正をしていこうと考えられるのですか。

森清自治省行政局行政課長

○森説明員 私、行政課長でございますので、財政関係につきましては所管外でございますから、財政課長に来て答弁していただくか、あるいはよく相談をいたしましてあらためて御答弁いたしたいと思います。

佐野憲治日本社会党

○佐野(憲)委員 まあ関連質問ですからなにですけれども、たとえば建築主事にいたしましても、建築主事のいろいろの資格を本文でうたっておりますけれども、基準財政需要額算定の基準の中には、職員配置表、これを見てまいりましても、建築主事なんというのは明確な形において人員配置がされてない。同時に、建築主事を特定行政庁におろしていくのだ、設置を命じていくのだ、できるようにしていくのだ、こういうふうになってまいりますと、中身を見てまいりますと、ほんとうの法令の根拠に基づくごく少数の経費しか見込まれてない。これはやはり機関委任事務だから、固有事務としての建築行政に要する経費なり、こういうものをほとんど見られてない。いわゆる建築基準法と建築士法ですか、この二つの法令を根拠としての建築行政費しか見込まれていなくて、しかもこれは、機関委任事務だという形で、ある程度の手数料と一般財源というものを組み合わしてあるわけですけれども、実際問題として建築行政がこれでいけるかどうかということ。これを町村までにおろしてまいりますならば、固有事務として当然財政需要額の中で単位費用というものは考慮されてまいらなくちゃならない。そういうことがほとんどなされてないというところに、やはり機関委任事務が、財政需要額の算定の中において——これは自治省としては固有事務じゃありませんから、やむを得ないと思うのですけれども、こういう点から考えても、大臣、いま財政のほうの方がおられないからともかくといたしまして、行政の面から見てまいりましても、こういう機関委任事務という形において——もうすでに住民から選ばれ、住民とともに行政をしていくという二十年間の民主主義の歩みがきておるときに、なおも信頼することができない、不信だ、だからおれが権限を持っているのだ、財政はおまえのところで都合をしていけ、何とか監視員制度は設けるのだ、その金は交付税だ、年度途中でも特別交付税でうまくやっているのだという——一体、交付税や特別交付税を国の安易な考え方で動かせる性格になっていないでしょう。特殊なやむを得ない場合においては特別交付税という措置をとるので、標準的な団体が合理的な行政水準を維持していくために必要な経費という形になっておるわけですね。そういう点から考えましても、機関委任事務ということが地方行政を混乱におとしいれると同時に、いろいろな意味において矛盾を来たしていくのじゃないか。消防においては、町村消防が立ち会った上において検査をやって火災その他に対する権限を持ってやっている、そこには人員は確保されておる。片方の町村におきましては、都市計画の実施のために、今度は、建設省においても御存じのとおり、「その他の土木費」から特別の項目を設けまして都市計画費というのを計上していく。しかしながら、建築行政費は「その他の土木費」の中に一括になってしまっておる。しかも、実際におけるところの建築行政の執行体制と見合う財源というものはここに確保されていない。こういう現実から見ても、大臣、この重大な改正案を出すときに、しかもあなたの所管しておるところの都市計画法なり河川法なり道路法がそのような形をとっていっておるときに、なぜ建築基準法だけがこういう形をとらなければならないのか。ここらの根本的な認識の相違が法案の内容の中にいろいろな矛盾として出てくるのじゃないか。そういう点が、他の行政面から考えて渡辺委員の疑問とされておる点ではなかろうかと思いますので、もう少し大臣の見解を明確にしておいていただきたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 先ほど渡辺委員から私に対する励ましの意味を含められまして御議論を展開されましたそのときに、かつての市長体験という問題を御指摘になりましたが、私も四年の福井市長の体験というものはまことに得がたい体験でございまして、中央の行政府が地方の行政にどう問題点を与えなければならぬか、あるいは地方の住民が中央の政治に対していかなるものを求めているかということ、いかにそのイメージが切なものであるかということも理解を得た体験でございました。そういうような点を考えますときに、ただいまの点、建築基準法に関連いたしますところの防災あるいはこれらに対する違反建築の取り締まり、あるいはその他関連する問題点について、いま佐野委員が御指摘になりましたごとき、いわゆる中央が、地方自治体に対しての不信感あるいはそれに対するセクショナル的な一つの威圧感からくるところの統制的な判断のもとにおいてこれらの措置が講ぜられているという点については、私は、いまの建築基準法のとっております改正点について、適切なものではなかろうかと信じておるような次第でございますが、しかし、いろいろ御指摘にはなりましたが、私は、かなり地方に移されつつあるという現実も佐野委員、渡辺委員も御理解いただけるのじゃないか、こう考えますが、私といたしましては、今後、いま御指摘になりましたとうとい意見を十分踏まえまして、これらの線に沿うような行政配慮を、また運営をいたしてまいりたい、こういうような指導方針であることをひとつ御理解いただきたいと思います。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 いま佐野委員がたいへん大事な問題を指摘されたのでありますが、私はもう一つここで申し上げたいのは、建築基準法というものをこの段階で特に改正をしようという提案をされておりますのは、やはり都市問題に関連して、都市計画法、都市再開発法等の基本的な立法をして、これに対する一つの技術法としてこの建築基準法が出てきておるのだと思う。したがって、私は、本来から考えて、都市計画法とこの基準法とは一体の関係になる、こういう受けとめ方をしておるわけです。たとえば、都市計画法で用地指定を行なって、八つの地区にそれぞれの用地を指定して建築制限をも行なっておる。ところが、都市計画法の適用地域にそういうような精密な規制を行なっておるのに、片方、建築基準法のほうは二十五万以上の都市を対象にするということになりますと、二十五万以下から十万まで——中には任意でやろう、都市計画を実行しようとすれば、それはやらせるんだといいましても、この二十五万から十万までの、都市計画法の当然対象になるべき部分が全然空白になってしまう。ところが、十万という都市計画の実施規定をおろしておるのは、現在この都市問題としていわゆる過密過疎の関係から地方の小都市が急激に膨張の過程をとっておる、したがって、そのままに放任しておっては非常に重大な問題が出てくるので、早期に大きな網をかぶせて規制をし指導をする必要があるというところに、十万という規制が出てきたのだと思う。この法律を柱にして、これを基礎にして、それの技術的な面を担当するところの建築基準法というものが二十五万以上というのでは、今度はこの都市計画法がざる法になる。建築基準法は明白なざる法の一つでありますけれども、建築基準法がざる法になるのでなくて、今度は都市計画法がざる法になるのだ、用地指定はナンセンスである、用地指定を規制する任務を担当するこの建築基準法が、その部面に一番急激な膨張過程をとりつつある、流動しつつある十万以上の都市を対象にしないというのであっては、理論的に一致しないのでないか。もっと建設省はまじめに原理に戻って、何をしようとしておるのだ、建築行政は何なんだ、この都市計画法をどう一体やり抜こうとするのか、この点に対する基本的な姿勢を明らかにしてもらいたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 本法案の制定をお願いいたしている理由は、もう渡辺委員御承知のとおり、現在の都市化の現象、また技術の非常な進歩、また非常な災害の頻発、建築違反の非常な頻発、これらの問題に対処いたしましてそして立法措置をお願いいたしている次第でございますとともに、御指摘のごとく、再開発法あるいは都市計画法とは、全く車の両輪といいますか、姉妹関係の重要な関連性を持つ法律案であるということは、もう全く私は同感であり、そのとおりでございます。しかし、いま御指摘になりました、いわゆるそれに対する都市人口の適用の問題でございますが、おことばを返すような意味じゃございませんけれども、都市計画法に基づくところの十万という問題につきましての範囲、内容、その他運営措置というものをごらんいただけますならば、これらと何ら変動は来たさない、総合的な一貫的なるところの施策がこれらの両輪によって施行でき得るものと私は解釈いたしておるような次第でございます。  具体的なことは竹内局長から説明させます。

竹内藤男建設省都市局長

○竹内政府委員 都市計画法は、市及び市に準ずるような町村全部に適用になります。十万以上と申しますのは、首都圏、近畿圏あるいは新産、工特というような非常に人口の集まるような地域以外の都市におきましても、十万以上の都市であればスプロールの可能性があるということで、法律では、当面、当分の間、市街化区域、調整区域という制度をつくって、開発許可制度をそこに適用しようというのが首都圏、近畿圏、新産、工特及び十万以上の都市、こういうことになっておるわけでございます。  それから建築基準法のほうは、住宅局長のほうから答弁があると思いますけれども、これは都市計画区域におきましては、すべて用途地域の適用があるわけでございます。市及び市に準ずる町村で都市計画区域を指定いたしましたところについては、全部基準法が適用になるわけでございます。ただ、取り締まりの権限をどこまでおろすかというのが特定行政庁の問題である、こういうふうに御理解を願いたいと思います。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 問題は、いまの都市局長の取り締まりの対象をどうするかという問題だというところが問題になっているのでしょう。そこが一番問題の対象になって、いま建設委員会の理事会等でも論議の焦点はそこにあるわけです。   〔委員長退席、金丸(信)委員長代理着席〕  そこで、時間が制限されておりますから、話を進めますが、この建築基準法に基づく執行体制の問題を見てみますと、どうもふしぎなんですね。ある地域は二十五万以下のところも実施をしておる。あるところでは、二十五万以上であっても——二十五万の都市の規制の中で一番ふしぎなのは、行政指導を建設省がちっともしていない、法律をつくりばなしでやっているのだという感じがしてならないわけです。なぜ私がそういう議論をするかと申しますと、いま建築基準の特定行政庁として四十六都道府県はやっているわけですね。しかし、現に実行しております三十五の市のうち、県庁所在地ですね——県には建築主事がおるのでしょうが、七百人といいますから、平均しますと、一県当たり十五人くらいにしかなっていないわけですね。その県庁にだけあって、全くその県には何もないところがたくさん出てくるわけですね。たとえば県庁所在地、県都であっても、これを置いてあるのはわずかに十九しかない。名前をしばしば出してたいへん恐縮ですが、わが建設大臣が市長をしておられた福井市も、そのやっていないほうへ入るのです。残念ながら、福井市も実行していないというくらいお粗末な法律なんです。私はそういう事実の上に立って、二十五万以下のものを——北海道の苫小牧なんというものは、新興開発の都市ですから早くこれを規制しておかねばならぬが、人口わずか十三万で実施しているのですよ。わが建設大臣が長年市長をやられた福井市はのそっとしているわけです。こういうような状態の中で、県庁の所在地、県都もやっておらぬような法律を建設省としてやっているのだ、これからもやれるのだ——県庁の所在地、県都は当然これは実施をすべき義務がありますよ。常識上からいってもあたりまえのことです。しかし、県都で実施していないものは十もあるのです。二十五万以上ですよ。二十五万以上の県都であって、実行しているのは十しかないのです。二十万以下の県都で実行しているところもありますよ。青森、秋田、山形とか、小さな都市でもやっているところがある。そういうようなところに対して建設大臣はどういう行政指導をなさるのです。家を建てた人の違反なんか摘発して弱い者いじめをしている前に、行政上の責任者としてあなたは福井市の市長に対してそういう行政指導をやりますか。そういう問題は責任の問題が出てくると思う。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 これは御承知のとおりに、私は知事と協議の上十分でき得るものと期待いたしておる次第であります。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 こういう点につきまして、この法律が別な面からざる法になる危険が非常に多いと考えるので、この点についての責任の体制をもっと詰めて明らかにしていただきたい。大臣は監督権だけを振り回して、指導体制のことは何もしていない。ただいまの地方都市の財政措置につきましても、私どもは、ただいまの自治省の答弁は保留されておりますので、再度、自治省の指示をも含めてこの点について明らかにしてもらいたいと存じます。時間の関係上次に移りますが、先ほど住宅局長から地方住宅公社の答弁がございました。住宅局長は、五十万以上を規制した理由につき述べられました。しかし、地方における住宅政策を進めるには、工業団地、住宅団地が形成されなければならぬ。工業団地や住宅団地が形成されますと、当然、学校その他の用地の先行取得の問題が出てくるわけです。そこで、五十万以上だけが用地取得の状況に追い込まれているのではない、十万以上の都市、あるいはそれ以下の都市であっても、人口の流動過程において大なり小なり同様の状態が発生してきておるわけです。ところが、建設省関係の地方住宅供給公社法という法律は五十万以上に規定しておるから、法に基づいた地方住宅公社というものはきわめて微弱なものしかないわけです。そこで、五十万以下の都市はこの法律を見ならって、これに便乗し、もしくはこれを準用し、その地方住宅公社の考え方を適当に拡大解釈をして、法律適用以外の都市でこの手法をどんどんまねてきているのが最近の傾向だと思います。この点は局長も御承知だと思います。しかも、地方ではこのアイデアを利用いたしまして、開発公社、住宅公社、あるいは観光、道路に至るまでこの公社方式を進めていっておるわけです。その数は、総数でいきますと九百七十三というばく大な数字です。これは住宅に限っておりません。しかし、住宅、特に開発住宅というのは用地の先行取得を中心にしてどんどん手を伸ばして、地方市町村が住宅政策をそれぞれ行なっております。ところが、問題になりますのは、この法律が五十万で規制しておりますから、五十万以下の都市がそれぞれのアイデアで臨みますと、大体四分の一以上市が出資する場合は市議会の監査を必要とするが、五分の一以下の出資であれば市議会の監査をする必要はないという結果になるわけです。しかも、それは市長が社長になり、助役が専務取締役になり、収入役は会計監査をやる、市の職員が兼務をしておる、市役所の中に公社が置かれておるという状況です。だから、極端に言うと、一般会計では業者と用地取得などで談合したり話し合いしたりできないから、昼は役所にすわっており、夜になるとブローカーなどと用地取得のために飲んだり食ったり——しているかどうか知りませんよ。そういう可能性、疑念はないのか。昼はわずかの金でも規制される。しかし、片方では株式会社あるいは財団法人、社団法人、有限会社です。数をあげろというなら、自治省の資料があります。住宅局長はごらんになったことがあるのですか。ということになると、法の欠陥をついて五十万以下はかってにやって、これを規制する方法がない。昼は役所にすわって、夜は業者と取引する。そっちのほうは、金を出しても、伝票だけうまくごまかせばいい。年に一ぺん監査しても、ごっちゃにして、役所で出せぬ金はそっちに押しつけていくという心配も出てくる。北海道の住宅公社などは——私は北海道ですから、北海道の恥をここで申し上げるつもりはありませんし、それをここで問題にする気はございませんが、しかし、北海道住宅公社は重大問題になって、地方自治法第百十条の特別委員会を議会が設置して、二カ月ももみ抜いているわけですよ。いわゆる住宅公社、この種の公社をつくって、そして先行投資して、土地をブローカーから安く買って、それを高く売る、こういう形態で至るところに問題が出てきている。法の欠陥を巧みに突いている一つの現象です。あるいは法の欠陥を補完するために知恵をしぼり出してやってきているので問題が出てくると思うのです。  私は的確な資料を持っていませんので、例に引いて適当であるかどうか知りませんが、たとえば近郊の千葉県の船橋等は、開発協会と住宅公社と二つできている。ここなどでは、市の一般会計が六十五億程度なのに、この住宅公社、開発協会の事業量は七十億円を出ているんですよ。一般会計を上回る仕事をこの株式会社とか社団法人のほうがしている。一体これはどういうことなんだ。本来建設省が住宅政策その他について十分の助成援助をすべきであるのに、しないから、国は号令かけて取り締まりだけ言って、やらないから、地方が苦しまぎれに独自のことを考えて、地方住宅公社法というアイデアを利用して、それに準じてぽんぽんつくっていく、そして、ある場合にはいわゆる一般財政よりももっと膨大なものをつくる。船橋の例を引っぱり出すと船橋は御迷惑しごくだろうと思うのですが、船橋市の市街地改造公社、この場合は、授権資本が一億円で、払い込みが二千五百万円、総株数は五万株ですが、この株の配分は、市が一万二千五百株、船橋を中心とする銀行関係が十四社出資しているが、それが二万株、京成電鉄外五社が一万七千五百株、膨大な資金がここに供給されている。市はその中へ入っておりますが、一年に一回市議会で監査報告があるだけで、どんどん先行投資で仕事をしていく。市役所は土地会社みたいになっている——なっているというのは言い過ぎかもしれませんが、そういう膨大な財政投資がぐんぐん進行していく。そうすると、そこへ集中しますために、船橋はどうしているか知りませんけれども、一般市民の共有すべき土地の舗装をしたり社会生活を充実する施策が立ちおくれるのでないかと思う。何でもかでも先行投資先行投資といくためにですね。そういう結果、ただいまの住宅公社あるいは開発協会の用地の先行取得等の中で、地方住宅公社は五十万以上という制度から出てくる当然の現象としてそういう問題が出てきておる、こうい矛盾、あるいはこれに対する指導——必要悪として生じているのですから、押えるという考え方で私は申しているのではない、こういう野放しの行政上の欠陥を補正する意味で出てきている、こういう盲点に対して大臣及び住宅局長はどうお考えになるのかということです。御答弁をわずらわしたい。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 地方住宅供給公社は、御承知のとおりに、住宅を必要とする勤労者から一定期間内に資金を受け入れ、期間満了後住宅を売り渡すことを主たる目的としている住宅供給機関であり、そのため、経営の基礎がきわめて健全なものでなければなりません。また、居住環境が良好なものを供給するには、関連の公共施設の整備も同時にはからなけれならないため、勢い相当規模の大きい団地となり、そのためには、資金力、技術力も充実している必要があります。そのために、地方住宅供給公社を設立することができるものを都道府県及び人口五十万人以上としたのであり、都道府県の公社は県下全域を、市の公社はその市域を対象に業務を行なうことにしており、それぞれの設立団体の監督を受けているような次第でございます。  地方住宅供給公社のほかに、地域の特殊性に立脚した住宅供給等を行なうために、地方公共団体の出資する公益法人や商法上の会社が見られるが、それぞれ存在の理由がある次第でございます。そうした公益法人、会社については、知事や出資団体の指導監督に服することになっており、その大多数は、公共用地等の先行買収を行なっているものであります。いま御指摘になりましたように、指導監督に服することになっておりますので、これらの点をやはり十分配慮いたしまして、いま御指摘になりましたような不安あるいは弊害あるいはこうしたところの問題を除去してまいりたい考えでございます。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 書いたものを読んだのでは、さっぱり味がなくて、大臣の持ち味の答弁が出てこない。それなら課長にでも読ましたほうがいいと思うのです。そうではなくて、やはり大臣の長年の体験のにじんだ——地方の都市の市長もして、あなたのところも公社をつくったかもしれない。公社をつくらなければどうしようということで、中央政府がめんどうを見ないので苦労してきたと思うのです。そういう大臣のにじみ出た体験からこの問題がどうかということであって、下僚の課長の書いたものを読んだってだめです。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 いま御指摘になりました供給公社は、それぞれの立場から地方に対するところの住宅建設に非常に大きな役割りを果たしてまいった、私はこう考えており、今後もこれを推進してまいりたい、こういう方針でございます。いま御指摘になりましたそれぞれの弊害といいますか、不安といいますか、あるいは御心配の点等につきましては、十分監督権を持っておりますので、それらの監督を厳重に順守いたしまして、私といたしましては今後も行政措置を講じてまいりたい、こういう考えでおりますので、これに対するいろいろの御指摘、ごもっともな御心配も私は十分踏まえまして今後指導方針を厳守してまいりたい、こう考えております。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 大臣は十分監督指導するとおっしゃいますが、私が言っているのは、五十万以上の法的基礎に基づいているもの以外の、これに準ずる、あるいはこのアイデアを拡大解釈してやっていくそれ以下のものに対して、都市のこうした傾向についてこの法律は救えるのか、あるいは全く救われないのか。これは大臣の権限でなくて、むしろ自治大臣の権限に属することだと思うのです。地方自治法上の問題になるわけです。  そこで、いまの船橋の一つの例ですが、これは船橋のほかにもたくさんあると思うのです。これは公共的な要素を持っていながら、実際は、いま指摘しましたように、京成電鉄であるとか、あるいは膨大ないわゆる金融資本がここへ登場して、市のほうはここへちょっぴり名義を出して、しかもこの公社は市が出資しているがゆえに公共性を持っている、こう市民あるいは対外的には納得させ得る。銀行は、当然最終的には市が保証いたしますから、幾らでも金を出しますよ。そうすると、ここへ先行取得、いわゆる公社の名において、公の機関である市が出資している、安全である、公共性があるという名目でどんどん用地を先行取得して、それを今度は一ころがししてそれを他に転売していくということになった場合、それはこれからのいわゆるデベロッパーといわれる開発産業あるいは住宅産業に目を向けているそうした資本がこの公社を利用する方向にいかないのか、こういう分について一体その指導とか規制とか育成とか、どういう方向でされるのかということについて、五十万以外の、法適用以外の、準ずるものがたくさん出てきている、それに対する規制はどうするのかということを聞いているのです。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 御指摘になりましたいわゆる五十万以外のこれらの憂慮されるあるいは想像されますような問題につきましては、われわれはその現実を踏まえまして十分な措置を厳にいたしてまいりたい、こう考えておる次第であります。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 私はここで、古都保存法並びに首都圏近郊緑地保全法に関連して、いずれも建設省関係の法律に関連をして質疑を続けたいと思います。  ここで一つ問題は、大臣自身も御了承のように、昭和三十七、八年のころから宅地の造成計画が至るところに発生して、そのために、自然環境や歴史的遺跡あるいは文化財、古都破壊の状況が急速に進んでいったために、四十一年に議員立法でこの古都保存法が成立をしたということは、お互いに承知のところであります。  ところで、私がいま特に質問をいたしたいと考えますのは、鎌倉における古都保存の問題であります。古都保存法の適用地域は、京都、奈良、鎌倉を中心にしたものでありますが、ここでは私は特に鎌倉の問題を中心として質疑をいたしたい。  鎌倉の問題については、文化財やあるいは古都保存地域の木も切ったりあるいは宅地造成をしたり、自然美を非常に破壊する激しい状態が起こっておりますために、これを保護するために、昨年の十二月に、地元の小泉純也代議士が紹介をいたしまして、鎌倉の歴史的遺跡、環境の保存強化に関する請願が国会に出され、採択をされておるわけです。こういうような状況を土台にして、ことしの二月二十八日、衆議院の予算委員会第五分科会で長谷川正三代議士が、この古都保存法に関連して、特に鎌倉の散在ケ池を中心とする問題について質問を行なっております。これに対して大臣並びに都市局長が答弁をしておるのでありますが、この答弁をされた後この鎌倉の散在ケ池の問題はどういうように処理されたのか。これは特に竹内局長に答弁を願いたいと思います。

竹内藤男建設省都市局長

○竹内政府委員 散在ケ池、俗称鎌倉湖といっているところの風致地区の規制の問題でありますが、御承知のように、あの地域は古都保存法の保存区域からはずれておるところでございまして、首都圏の近郊緑地の一般地域として指定をしようとしていたやさきに、風致地区に基づく宅地開発の許可申請が二年ぐらい前から出ておりまして、神奈川県では、風致地区の許可にあたりまして鎌倉市を経由するということにいたしておりますが、鎌倉市の都市計画審議会——これは鎌倉市が独自に設けている審議会でありますが、そこでいろいろ長い間慎重に検討した結果、風致地区の許可を出すべきであるという意見が県のほうに出されました。県のほうにおきましていろいろ審議いたしました結果、鎌倉湖の周辺の宅地開発区域のまわりにかなりの緑地を残した形で宅地開発を風致地区の許可といたしまして許可をいたした次第でございます。その間におきまして建設省といたしましては、神奈川県のほうに対しまして、首都圏の近郊緑地の特別保全区域にその区域を指定するつもりはないかというようなことをしばしば指導したわけでございますけれども、最終的には知事の決定で、そういう形で、かなり緑地を残して宅地開発を認めるという形で風致地区に基づく許可がされた、こういう状況でございます。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 私は、二月二十八日の都市局長の答弁速記録を見て、あなたはかなり具体的な答弁をしておられるので、あの速記録に関する限りは、鎌倉の保存地区については相当の成果が生まれるのではないかと感じました。ここに速記録を持ってきているわけです。しかし、大臣及び局長がこの問題で長谷川代議士の質問に答弁されたのは二月二十八日ですが、その直後の三月二日には、こういうような状況を無視して、神奈川県の県議会の建設委員会は、諸般の事情によりという、非常に不明確な理由をもって、一票の差でこの請願を不採択に決定しておるわけです。そして県議会は、三月二十日に建設委員会の決定どおりこの請願を不採択に決定をした、ここまでは県の行為ですが、大臣及び都市局長に私が特に言いたいのは、この地域の保全あるいは緑地指定等については、首都圏整備委員会の審議会がこれを決定することになっておりますが、一向その審議会を開催しようとせず、県議会で不採択を決定した後の三月二十八日になって、この近郊緑地保全の地区指定を行なっているわけです。これを見ますと、ここで奇怪な現象は、建設省がもたついているチャンスを利用して、県議会の一部の者が中心になって強引にこの散在ケ池周辺の山地を全部宅造してしまおう、そういうことを計画的にしておった。明らかに、建設省がもたもたして何もしてないものだから、巧みに間隙を縫って利用されて、みごとに国会答弁というものは裏切られた、こう私は思うんだが、この点については都市局長はどうなされたのか、承りたいと思うのです。

竹内藤男建設省都市局長

○竹内政府委員 お答えいたします。  首都圏近郊緑地の指定をいたします際に首都圏整備審議会にかけるわけでございますが、それがおくれた理由は、首都圏のほうからお聞きいただいたほうがいいと思いますが、私の了承いたしております範囲内でお答えいたしますと、実はあの地域は、鎌倉だけではなくて、横浜市のいわゆる円海山の付近も一体とした一つの首都圏の近郊緑地として考えておったわけでございます。それで、首都圏近郊緑地法が通りましてから、直ちに首都圏におきましても、あそこを近郊緑地に指定しないかということで、横浜市及び神奈川県に対しまして指導いたしていたわけでございますが、円海山周辺が御承知のようにかなり宅地開発業者が土地を持っておりますもので、その緑地指定に至るまでの間に横浜市側がかなりもたついたと申しますか、おくれてまいりました。そのために、首都圏整備審議会にかけるのが全体としておくれた、こういうような状態でございます。私どもは、首都圏の近郊緑地が指定されてからそれを特別地区に指定するということでございまして、途中で私どものほうでもずいぶん首都圏なり神奈川県なりに督促をいたしたわけでございますけれども、一帯の地域で横浜市側の作業準備がおくれたためにおくれた、こういうのが実態だと了解いたしておる次第でございます。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 局長の答弁では、横浜市と鎌倉市にまたがっているために、横浜市側がもたついたために首都圏整備審議会の決定がおくれた、こういう答弁でありますが、私はどうも了解できない。疑問を持っているわけです。  それで、鎌倉の問題というのはいまに始まった問題ではないのですからね。鎌倉の状況を、ここで私が調べたところを申しますと、鎌倉市の総面積は三千九百五十三ヘクタール、風致地区に指定されているのがこのうち二千百五十六ヘクタールですから、全市の地積の五四%が指定されておるわけですね。そこで、そのうち古都保存法の指定地区は六百九十五ヘクタール、このうち特に特別地区に指定されておりますものは二百二十六・五ヘクタールという状態です。ところが、これがどういうことになっているのかと申しますと、大体宅地の造成状況は、この周辺全部を含んで、三十八年から四十二年までに大体百三十五件の個所に用地造成が行なわれている。そしてその面積は大体三百三十ヘクタール。みな山を削っているのですよ。風致地区の緑地帯や山を削り取って住宅地区をつくっている。現在進行中のものは大体三十四件、四百五十ヘクタールにわたっている。そのうち、工事が完成しているものが十四カ所、二百二十一ヘクタール、工事中のものがいま九カ所、八十五ヘクタール、宅地造成の工事の申請をしているものが六件で九十四ヘクタール、その他約五十ヘクタールあるわけです。膨大な鎌倉の地帯が、腰越から、七里ケ浜から、梶原、今泉、天園、朝比奈峠、浄明寺周辺、この辺一帯がひどい状態になっておるのです。鎌倉の山がどういう変貌をしているか。鎌倉の一帯の山の尾根を削り取っている。下を削っているんじゃないのですよ。背景の鎌倉の尾根をみなブルドーザーを入れて削り取って、その削り取った膨大な土をあの風光明媚な谷底に投げ込んで、そしてそこをどんどん宅地化していっているのです。風致地区もくそもあったものではないのです。こういう膨大な宅地開発が鎌倉に集中的に行なわれているのです。  そこで、いま都市局長がここで答弁された二月二十八日の事件以外に、最近大きな問題になっているのは蟹田谷という地区です。この蟹田谷という地区は四十ヘクタールです。ここへ手をつけているのは西武鉄道と湘南モノレール、それから榎本商事という三つのものが提携をして四十ヘクタールに及ぶ造地計画をやっているわけです。この榎本商事の榎本義信という社長さんは、鎌倉市から選ばれております県会議員です。現職の県会議員で大地主が中心になって、これが窓口になって、片や西武鉄道とつながり、片や湘南モノレールとつながって、ここで四十ヘクタールの大団地を形成している。ところが、この榎本商事その他は去年の秋に風致地区の解除と宅地造成の許可申請をした。ところが、その地元から反対運動が起こって、鎌倉山風致保存会などという、九つもの市民の——超党派で非常にまじめな人たち、相当高名な大学の教授や学者や文化人、あるいはかつて会社の相当の幹部であった人々、お役人の相当の人々がこの運動に参加している、全市的な運動です。問題は、その市民の反対運動で、市の都市計画審議会もきめきらない、県のほうでもきめきらないでもたもたしているのに、突然四月八日にこの業者がブルドーザーを五、六台入れて、山を片っ端から削り取ってしまったわけです。その結果、地域住民の人々は、この県会議員である榎本商事の社長と称する人以下を呼び出して、許可がおりないうちにかってに造地計画をしたことはけしからぬということになって、この工事の中止と原形復旧を要求した。その結果、社長のほうは陳謝をして工事の一時中止をした、こういう経過があるわけです。  ところが、ふしぎなことには、こういうような不法行為を執行した会社に対して、六月二日になって、県当局はこの不法なことを承知の上で正式に認可を与えているのです。一体、建設大臣は、県に対してどういう指導監督をされたのか、また、されるのか。こういうような不法な行為が積み重ねられてよろしいのか。どこに都市計画があるのか。緑地保全法や古都保存法等の法律は、全部ざる法ですよ。かってに実力行使でやってしまえば何でもやれる。既実事実をつくっている。もう何百年と十二世紀以来続いている鎌倉の山に行ってごらんなさい。めちゃくちゃです。既成事実を積ましてから、しかもその不法行為をやったのに対して罰金はたった二千円ですからね。幾らでも払いますよ。一体これは代執行やれるのですか。二千円ですよ。一体いまごろこういう不法行為を二千円なんという罰金でびくびくしてやる業者はいませんよ。それで建設省の監督は終わったのか。これは建築基準法が整備されても同じだと思うのです。大臣並びに局長はこの鎌倉の不法行為に対して県に対してどういう指導をなさったのか、どうなさるのか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 渡辺委員御指摘の鎌倉、あるいは奈良、あるいは京都、それぞれのわが国のとうとい歴史の、民族のやはり先達の士が築き上げていただきましたりっぱな遺跡、こうした古都の文化財の保存というものは、民族の責任においても当然これを厳に保存をいたし、また子孫に残すべき厳粛な問題点であろうと私は考えておるのでございます。したがいまして、建設省といたしましては、それぞれ保存法その他の関連する法の適用を十分きびしく厳守いたしながら行政措置もいたしてまいりたいということは、何ら方針を変えることはございませんとともに、私も就任いたしまして以来、やはり民族の先達の士が築き上げてくれましたこれらの遺跡、これらのとうとい遺財の保存、文化財等の保存につきましては、細部にわたりましても配慮をいたしながら行政指導をいたしてまいることは当然でありますとともに、いたしてもまいったような次第でございます。いま御指摘の具体的な鎌倉市におけるところの措置に関連いたしましては、県といたしましても特別指定地域として慎重な検討を加えてやるべきことは当然でございますので、私は県に対しましても重ねてその適切なる指導を厳守するよう指示もいたしてまいりますが、県並びに県議会等におけるところのこれらの関連の措置につきましては、私また後ほど関係局長よりも十分聴取いたしまして最善の指示をいたしたい覚悟でございます。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 いまのは、実例として最初にあげたのは、この国会の予算委員会で問題になった地点、いまの二度目にあげた蟹田谷の問題は、不法行為で、しかもその許可を与えたという問題、第三の問題は、いまちょうどあなたのほうが県や市やこちらが認可をするかしないかというせとぎわに来ている問題を第三の例として指摘をします。  それは、十二所という地域の地帯です。十二所という鎌倉の地域です。これは鎌倉市の東南部で、逗子市との境の山林一帯です。大体これは総坪数が三十八万七千平米です。大体十一万七千坪ですね。これを手がけておるのは三井物産です。三井物産というのは、これは不動産会社でないはずです。天下の三井物産ですね。貿易を主としてきた三井物産が、いよいよ住宅産業に進出を試みてきたわけです。ここに三井物産が昨年の十月末に鎌倉市に対して計画書を提出しているわけです。この計画書の計画によれば、総面積は先ほど申し上げた三十八万七千平米、このうち宅地造成の計画は二十四万四千平米、約七万四千坪の宅地をここへつくる、そうして戸数はここに六百戸をつくる、大体一戸当たり三百三十平米、百坪程度の用地の六百戸の家をつくる、こういう計画で造地計画が進んでおるわけです。これはいまこの地帯の一帯の市民の反対運動が強く起こっていますために、許可が出る出ないというせとぎわに来ているわけですが、こういう地帯について、第三のこの事例に対しても、三井物産であるがゆえに、不法な、危険のある保存地域を、特別地域以外はこれは届け出ればいいのだからしようがないのだということで、ざる法の模範を示して、どんどん鎌倉が破壊されることを承認されるのですか、どうですか。   〔金丸(信)委員長代理退席、委員長着席〕  いま非常にピンチに立っているところです。一体、竹内局長さんは来月十二日午後一時から鎌倉市で「住民参加の地域開発公開討論会」、土地開発と風致保存に関する市民の公開討論会、読売新聞社主催のこの討論集会に講師として竹内局長も出席されるということをきのうの読売新聞は広告をしております。それほど、この鎌倉であなた自身この公開討論会に引っぱり出されるほど、たいへんな問題になっている。全市の問題になっておるわけです。鎌倉がこのような重大な危機に立っておりますときに、あなた自身がこの公聴会の講師として東洋大学の磯村英一学長やその他の専門家の人々と一緒にここで討論に出られるのですが、一体どういう見解で、どういう姿勢で、どういう措置をする態度をもって建設省は臨まれるのか。ここには講師として竹内局長は単に個人として参られるのか、それとも、一体建設省は責任を持って現地であなたが鎌倉の緑地保全、十二世紀来の古都保存、しかもそれは鎌倉市民だけではない、日本民族の歴史としてわれわれ自身が鎌倉の問題を注目しているこの大事な問題に対して、十二日の公開討論会に招かれております竹内局長は、どういう姿勢で臨まれるのか、大臣はいかなる指示を局長に与えられるのか、建設省の姿勢、方向というものはきまっているのかどうか、既成事実をつくられてはやむを得ないといって事実を認めて、ざる法としてこれも全面崩壊をせざるを得ないのかどうか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。

竹内藤男建設省都市局長

○竹内政府委員 先生御承知のように、従来都市計画法で風致地区という制度がございました。風致地区につきましては知事が取り締まりをするという形になっております。その規則におきましては、特に神奈川県等におきましてはかなりきびしい規制を規則に盛り込んでいるわけでございます。しかし、宅地開発というかなり大規模な開発というものがだんだんあらわれてきた現在の状況にそぐわないという点もございまして、第一には、私どもといたしましては、今回の都市計画法の改正を機会にいたしまして、いま部内で検討いたしておりますが、風致地区の規制を強化できるような——強化と申しますのは、従前は大体建物というのは一戸ずつ建っていったわけでございますが、最近のようにブルドーザー等が入りまして大規模に開発するという時代に合わない規則の内容がございますので、御承知のように、風致地区の規制は今後条例にゆだねられますけれども、その条例の基準を政令に書くということになっております。その政令はまだ出ておりませんけれども、これを一日も早くそういうような新たな体制に応ずるような政令をつくってまいりたいというのが一つであります。  それからもう一つは、鎌倉のような古都におきまして、風致地区規制だけではこれはなかなか防げないということで、古都保存法が生まれたわけであります。古都保存法につきましては、古都保存の一般地区と特別地区というものが分けられるわけでありますが、その特別地区の指定基準というのは、鎌倉市の古都保存計画というものを内閣総理大臣が定めるという形できまっておりまして、歴史的風土保存地区の枢要な地域で、どうしてもそこを保存しなければならぬというような、宅地化の圧力のあるところを保存するという基準ができております。それに基づきまして、いわゆる鎌倉五山、あるいは八幡宮、長谷観音、大仏といったような枢要な地域を中心にいたしまして、特別地区の指定をいたしたわけであります。特別地区の指定をいたしましたところ、特別地区の指定があったところについては開発が行なわれてないわけでございますけれども、一般地区——この一般地区は同時に鎌倉の場合は風致地区がかぶっております。その一般地区と風致地区だけではなかなか取り締まりができかねるという面がございまして、いままでお話がございましたようなことが起こってきたわけでございます。私どもといたしましては、片方において風致地区の規制を強化すると同時に、特別地区の指定を拡充していかなければいかぬということで、御指摘の十二所地区につきましても、これは新しい都市計画法で知事が指定するわけでございますが、県のほうとも相談いたしまして、特別保存地区の指定について検討するように相談をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 これから政令をつくるのだ、これから相談をするのだという前に、事実関係はどんどん破壊されて進行していっているのです。現に地元の県会議員が不許可のままでやったり、ブルドーザーを公然と入れてやったりしている状況ですから、こういうことは、建設省側が事実を知っていながら直ちにそういう規制をするという措置をしてないところに問題があると思うのです。だから、ここで政令をつくるというが、どういう内容でいつつくるのか。当然過去においてつくられていなければならないのでしょう。どういうことなんでしょう。

竹内藤男建設省都市局長

○竹内政府委員 過去におきましては、県の規則で風致地区の取り締まりの基準を書いていたわけであります。ところが、今度の新しい都市計画法でこれが条例になります。それと同時にその条例の基準となる政令を定める。過去の風致規則は一年間は生きておるわけでございますので、私どもとしましては、若干おくれておりますけれども、必ず近いうちにその政令を出したい、このように考えておるわけであります。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 砂利採取と山砂採取の取り締まりの法律はどういうことになっているのですか。

大津留温建設省住宅局長

○大津留政府委員 河川区域内におきましては河川法で取り締まりますけれども、それ以外の砂利採取につきましては、砂利採取法というのがありまして、これは通産省の所管ということになっております。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 まことに奇妙なことなんですね。山砂採取です。これは突然山砂採取のことを持ち出したわけじゃないのですよ。山砂採取だといって鎌倉の山を削っているから言うのですよ。よろしゅうございますか、建設大臣。うれしそうににこにこ笑っている始末じゃないですよ。よそのことだと思うとたいへんなことですよ。山を削って山砂を採取して、特に問題になっておりますのは鎌倉の深沢地区というところです。県道ですかの沿線です。私はこの質問をするために、新聞の切り抜きや何かではだめだと思いまして、一日鎌倉へ参りまして実は現地を調査してきているのです。現場を見てきているのですがね。ここで荒唐無稽な質問をして、貴重な時間を委員諸君に御迷惑をかけては申しわけないので、私は質問するからには調査をしてきているから申し上げる。  そこで、ここの深沢地区におけるものは、山砂採取ということで山を削り取っているのです。これは都市局長、行ったらひどい目にあいますから、覚悟してその公開討論会に臨まれたらいいと思うのですが、とにかく三十メートル以上の山を削り取って、自動車が走っている県道のわきですよ、全部山を削ってそうしてその山砂を採取して、それを商売人は名古屋方面に輸送している。埋め立てに使っているのじゃないですよ。山砂ですから、建築用材、砂の代理に名古屋方面にどんどん輸送している。しかし、この山砂採取は、砂なのか何かとだんだん調べてみると、これは通産省の化学工業局の窯業建材課という課が所管しているのだそうですね。覚えていてください。これは窯業の材料なので、化学工業局が所管をしたのだろうと思う。しかし事実は、窯業なんという、ろくろを回してせとものをつくっているような、そんなていのいいことではない。がっさりブルドーザーで削って、山ごと移動している。そうしてそれはビルなどの建築用材の中に巻き込んでやっている。これは明らかに建設省の所管でなければならない。せとものをつくるなら窯業建材でいいですよ。窯業建材でなくて、建築用材としてコンクリートの中に込めてやっている。こういうものをどこで所管をしているか、どこで監督しているか。鎌倉山を半分削られてものほほんとしておられるのは、奇怪しごくだと私は思うのです。  ところが、この山のてっぺんに東電の変電所があるのです。大きな鉄塔が二本立っているのです。これは藤沢方面に二万戸の住宅や工場に配電しているのです。その山のてっぺんの鉄塔の根っこを削られちゃったのですね。これはどうなんですか。根っこを削ってしまって鉄塔が倒れかかって、あわてて、六月二日に、東電は泣く泣く一千万円の工事費をかけてこの鉄塔の移転をやっているのです。これは一体どういうことなんです。事きわまれりですね。こういうことを建設省のほうで知らなかった、答弁できない、どこの省だかわからない、これで済まされますか。建設大臣は通産大臣と同僚ですから、ひとつ通産大臣にかわってここで御答弁願いたいと思うのです。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 渡辺委員わざわざ現地まで調査されまして、そうして真摯な気持ちで御質疑になっておるお気持ちは、私も十分ごそんたく申し上げなければならぬ、こう考えております。したがいまして、失礼でございますが、私いま初めてお聞きする問題点でございますので、さっそく関係省庁と十分連絡をとって調査して確かめたい。またその結果によってどうあるべきかということを解明したいと思います。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 私はここでこういう問題を提起しておりますのは、もちろん宅地開発と建設省の所管事項に属する重大な問題だから、問題提起しているのですが、こういうような都市の現象が起こってきておるというのはどこに問題があるのか。私は先般のこの委員会で質問いたしましたときにも、いわゆる今日の住宅産業というものの問題点を指摘したわけです。ところが、私は鎌倉に参りまして現地でいろいろ調べてみますと、まことに驚きましたことは、いわゆる東京の住宅建築業者の一級のメンバーのほとんどが鎌倉になぐり込みをかけてきているわけですね。一斉に鎌倉を目ざして——いざ鎌倉ですよ。建設大臣は、森林公園の計画があるそうですが、森林公園というものはどういうもので、どこへつくろうとしておるのですか。鎌倉のほうが森林公園でないのですか。わざわざ木を植えて、わざわざ土地を買収してつくるよりも、鎌倉自身は——何もあなた方が森林公園なんて人工造園をつくらぬでも、わざわざ自然公園なんてむずかしいことを、いかにもりっぱなアイデアのような——いま現にあるのを活用される、民族の象徴を、鎌倉全山を保護することは——東京から一時間で行けるのですからね。この鎌倉を自然公園として設定し保護することが、国としても最大の問題だと思うのです。現存するすばらしい日本の民族の伝統を維持してきているこの歴史的な民族のあこがれの地である十二世紀以来のこの史跡を、文化財を、風土を破壊させておいて、建設大臣は一体どこに森林公園をつくるというのですか。森林公園とは何なんだ。もってのほかですよ。これが日本で最高の森林公園ではないのか。ひとつ大臣及び局長の明確なる答弁を要求します。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 いま御指摘になりました点につきまして、私なりの方針をお答え申し上げたいと思います。  まことにわが国土の建設あるいは開発の革命期といいますか改造期に来ておるこの段階において、幾多の問題点が数多くあるということは、私は全く渡辺委員と感をともにするものでございます。そうした点を考えますときに、私はやはり秩序のある、均衡のとれた、しかも民族の先達の士が残してくれましたこの国土をどうりっぱに開発していくか、これはほんとうに真剣な大事な問題だと思います。そうした意味の一環といたしまして、われわれの先輩が築き上げてくれました、民族の誇りともいうべきそれぞれの古都あるいは文化財を保存する、確保する、そして子孫に残す、そして世界の民族に民族の誇りを提示するということが、私は政治のほんとうの姿でなければならぬ、こういうような気持ちをもって、渡辺委員の御指摘に十分共感をもって拝聴しておるような次第でございます。したがいまして、これらの古都保存に関連するこれらの問題につきましては、建設省といたしましては、新たなる一つの指導体制を整えまして、そして厳粛な気持ちで、また、その法の適用される範囲内においてきびしくこれを見守り、また指導をいたして、いま御指摘になりました点のないように配慮をいたしてまいりたい。ことに緑化の問題、森林公園の問題におきましては、ほんとうに、皆さんが御承知のとおりに、各国の都市の郊外にあるところのあの緑の公園、森林公園の奥ゆかしさというような、各国が誇っておるこれらの措置というものについては、私はやはり十分そうした気持ちをもちまして、首都圏内におけるところの首都森林公園の建設、あるいは万博のあと地に対する、いわゆるパリの郊外にあるブローニュの森のごとき一つのものを残していきたい、こういうような気持ちで方針をとっておる次第でございますとともに、私は近く日本全土の国土の緑化運動、緑化の推進、いわゆるセメントでコンクリート化してくる殺風景な都の現象を思うときに、そうした緑化大運動をいたしたいという大構想を近日中に発表もいたし御協力もいただきたい、こう考えておりますので、よろしく御理解を願いたいと思います。(「鎌倉はどうする」と呼ぶ者あり)鎌倉は、さっきも申しましたように、いざ鎌倉という考えで真剣に取り組んでまいりたい、こう考えております。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 まことに大臣の名調子を聞かされまして、そのとおり実行されたらたいへんけっこうなんですが、残念なことには、大臣は総理大臣にはならないと思う。やはり国自身がきちっとした政策を——各省別でてんでんばらばら、文化財は文化庁だ、文部省だ、緑地は厚生省だ、保全地区は建設省だと、てんでんばらばらでやっていたのでは、せっかくの大臣の構想も実現できないし、単なる演説に終わってしまう、から題目に終わってしまうということを私は憂える。そこで、国策としての総合施策を打ち出すには、ぜひこの問題をあらためて閣僚会議に問題提起をしていただきたい。なぜと申しますと、総理大臣佐藤榮作氏は鎌倉に住んでおるんですよ。鎌倉に別荘を持っているんですよ。彼は私の走ってきた鉄塔のがけ下を通っているはずです。だから、長谷川正三君が、二月二十八日、この席で質問したときも、大臣に再三にわたって、佐藤榮作総理大臣に一ぺん現地を見させてくれという訴えをしているはずです。だから、あなたよりもだれよりも、この鎌倉が危機状態にあるということは、ほかならぬ佐藤榮作総理大臣が一番知っているはずです。現に町の鎌倉夫人たちは、総理大臣の屋敷に押しかけよう、こういう意見まで出てきている。すわり込みをしようと、激しいものです。そういう状態の中で市民運動が起こって、市民の抵抗が起こっているときに、これを妨げるものは何か、にもかかわらず、これがどんどん進行しているのは何かというと、今日のこの都市開発に対して目を向けた住宅産業と称する一連の利潤本位の財閥が、この鎌倉を食いものにしようとねらいをつけているところに問題がある。  私は、参考に、ここにどういう会社が乗り込んでいって、どういうやり方をしているかということを申し上げたい。  それは、西武鉄道が六地区にわたって百六十二ヘクタール、それから東急不動産が二地区で五・六ヘクタール。これは東急側と西武側は何か話し合いをして、東急のほうは藤沢のほうへ手をつける、鎌倉は西武だというような、何か黙契があるといううわさがあります。そこで、ここでは東急が藤沢方面に進出している。それから野村不動産が三地区で八ヘクタール、日本開発——旧信販コーポですが、これが五十ヘクタール、それから三井物産が四十三ヘクタール、日立土地が十ヘクタール、飯野不動産八ヘクタール、日本地所八ヘクタール、別子不動産が七ヘクタール、国鉄共済が六・六ヘクタール、三和建設が二ヘクタール、住友不動産も進出しております。これが全部鎌倉以外の資本です。  以上申し上げましたのは、鎌倉の土地の人や鎌倉の地主ではないのです。この中には、私が先般の機会に申し上げた、都市再開発のときに申し上げた日本高層住宅協会に加盟している日本の一流メーカーが五社も六社も入っているのです。そして最も大規模な開発をやろうとしている。そのほかに、地元の会社、湘南モノレールとか、江の島観光、榎本商事、馬渕建設、神奈川中央交通、北鎌倉土地というのがそれぞれやっておる。しかし、主体的に見ますと全部中央大手の大財閥の資本が鎌倉に乗り込んで乗っ取りをやっているということです。防止する方法があるのですか。この巨大な財閥資本に対して、大臣はどうしてこれを防止し得るのです。この巨大な財閥が鎌倉を占領しようとするこの総攻勢に対して、一体いかなる措置をもってこれを防止するのか、ひとつこの点明確にしていただきたいと思います。

坪川信三自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○坪川国務大臣 おっしゃるとおり、現行法において適切なる適用をいたしますとともに、地方自治体等とも十分連絡を密にいたしまして、県、市あるいはそれぞれの組合等を通じまして十分行政指導をいたしてまいりたい覚悟でございます。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺(惣)委員 たいへん時間が経過しましたので、私の質疑はこれで打ち切りたいと思いますが、私このごろ考えるのですが、どうも建設省は住宅産業、宅地業者に一番弱いんだ。規制の方法がない。国がやらないものだから、全部住宅政策は民間企業に転嫁しようとしているものだから、やれ、やれという状態で奨励しているものだから、さっぱり規制ができない。どうも建設省の泣きどころはここではないかと思うのです。近ごろ見ますと、通産省は自動車メーカー、欠陥車が泣きどころだ、農林省は農協と食管が泣きどころだ、厚生省は医師会と健康保険法が泣きどころだ、文部省は学生と大学立法が泣きどころだ、運輸省は国鉄の赤字と連続大事故が泣きどころだ、それぞれ泣きどころをかかえておると思うのです。しかし、建設省の泣きどころは、いま都市計画法だとか都市開発法だとか、いろいろな法律を出して一挙にここで住宅政策の総洗いをやろう、総仕上げをしようとしているが、これをこわしていくのはどこなんだ、それは小さな土地の建坪や建蔽率がどうだとか、それも取り締まりをやらなければいかぬけれども、住宅、自分の最小限の生活を営むところ、それから自分の企業を営むところについて、心ならずも犯す住宅基準法違反等についても、われわれも厳格に取り締まることを要求するけれども、そういうところに問題の照準があるのではない。問題はそこに中心があるのではない。こういう国策に便乗して全資本力を動員して入ってくるこの資本の規制をどうするのか。これはけさの朝日新聞です。「あなたのマイホーム実現のために……」不動産広告特集号、新聞も驚き入ったものです。下は、三井不動産片瀬山、全段、これだけの広告を出しておる。これは八ページ建て、全部広告です。政府も、新聞社も、みんなでその不当行為をやるこの会社にまたぶら下がって、そこから広告料をせしめる。私はこういうような不当な行為は許されないと思う。問題の根本を究明しないでおいて、小手先ばかりでごまかそうとしてもだめだ。一つ一つわれわれは真剣に立法行為をやっても、それは全部ざる法に終わる。何も実行されてないじゃないか。どんどんこういうように崩壊していくという状態を見て、忍びないものがあるので、私は特にこの際委員長に要望したいと思います。  一昨年、建設委員会で問題になったのですが、茅ケ崎で砂利採取業者が不当な砂利採取をして大きな穴ぼこをあけて、そこへ水がたまって小学校の児童が二人も死んだという事件が起きて大問題になりまして、建設委員会は現地視察をすることに決定しました。木村武雄君が団長で、私その他の者も随行したのですが、現地を視察しまして、また視察のあと市役所に関係者が集まっていろいろ懇談しました。その後、衆議院からこの視察が行ったために、地元としては不法業者を徹底的にさがし抜いて追跡調査をしてそうして締め出し、その災害の予防措置を講ずるということでやられた。市長からその後お礼を受けたことがあったわけです。  私はここで委員長に提案をいたしますのは、鎌倉についていま私が申し上げたことは、私は現地も調べ、資料も足で歩いて集めて、できるだけ真実を伝えようと思ってきょうここで意見を申し述べたわけですが、特に委員長は、この際、建設委員会として鎌倉のこの状況調査をぜひ取り上げていただきたい。私はこれを心から要望するわけです。公正な同僚である自民党の委員諸君も、私がいまこれだけ申し上げたことについて十分御理解を賜わったと思いますので御賛成をいただけると存じますが、結論を結ぶにあたりまして、ぜひ視察を願いたい。前に視察を取り上げて現地の問題を処理した木村武雄君は、後に大臣になりました。委員長も公正な見解をもってこれを取り上げ、委員長の権限においてそういう任務を果たしていただきたいということを特に申し上げまして、委員会で正式に取り上げていただくよう要請いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)

始関伊平自由民主党

○始関委員長 ただいまの渡辺惣蔵君の御提案につきましては、理事会において御相談いたしたいと存じます。  次回は、来たる二十七日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時八分散会

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