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61回国会衆議院1969/07/03

決算委員会 第23号

発言数
72
登壇者
7
会派数
2
開催日
1969/07/03

会議録

中川俊思自由民主党

○中川委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  総理府所管中防衛庁について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。石野久男君。

石野久男日本社会党

○石野委員 長官にお尋ねする前に、一つ、二つ事務的なことを先にお尋ねしておきたいと思います。  防衛庁の四十二年度決算の中で、百六十九億五千万円という、防衛施設周辺の整備等に関する法律に基づく自衛隊施設の維持運営並びにわが国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の提供施設の維持運営に関連し必要な騒音防止措置、民生安定施設の助成措置、飛行場周辺の安全措置各種の補償、土地の購入云々というのがありますが、そのうち、維持運営に関し必要な騒音防止措置にどのぐらい決算額としてあがっていますか、それを説明してください。

高橋定夫防衛施設庁総務部会計課長

○高橋(定)政府委員 お答え申し上げます。  四十二年度の決算におきまして、ただいま先生御指摘になりました教育施設等騒音防止事業の補助金といたしまして支出しました額は、総額で五十六億五千二百七十五万円でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 この五十六億五千万円のうち、いわゆる学校の騒音防止のため、小学校、中学校等、一学校に使っておる分はどのくらいですか。

高橋定夫防衛施設庁総務部会計課長

○高橋(定)政府委員 四十二年度の騒音等補助金の中で教育施設等に支出いたしました額は五十三億四千五百十四万円でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 それから四十三年度しことしは四十四年度の予算を実施しているわけですが、四十三年度でその後こういう関係の経費はもう出なくなっているのですか。それとも四十四年度にはまだどのくらいこの種のために予算の支出をする予定でおりますか。

鶴崎敏防衛施設庁施設部長

○鶴崎政府委員 学校関係の防音工事の四十三年度の実績は、件数にしまして二百三十八件、金額で六十一億五千三百八十九万九千円になっております。  それから四十四年度につきましては同じく学校関係としまして、件数で二百六十一件、金額にしまして六十八億八千八十万七千円を計画をいたしております。

石野久男日本社会党

○石野委員 大臣にちょっとお尋ねします。  基地周辺におけるところの騒音防止のための出費は例年累増している傾向です。しかも教育施設のために使っているというのはほとんど小学校、中学校だと思うのですが、私はこのような経費の出費の問題について、これは防衛庁の出費でやるのが妥当なのか、それともこれは文部省の仕事じゃないのかということに、ちょっと疑問を持つわけです。むしろ私の考えでは、この種の出費というものは、かりに防衛庁が騒音のためにそうしなければならない責任があるとしましても、仕事をする場合には、ほとんど九五%以上防衛庁が持っておるはずですから、これをそのまま文部省の仕事として経費を移しかえするほうがいいのじゃないか、こういうふうに思いますけれども、この点についてはどういうふうに思いますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 石野さんのようなお考え方もあるかと思います。しかし文部省のやっております学校のいろいろな助成は、一つの基準があってやっておるわけですね。ところが私のほうになれば、そういう基地があるために特別の被害を出しておる。でありますからせっかく周辺対策として私のほうは力一ぱいやっておるわけでありますから、文部省でやらないものを私のほうでやるわけでありますから、いまのあり方でいいのじゃないか、私はいまさように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 きょうは私ちょっと手順が悪くて文部省関係の者に来てもらっていなかったのですが、実は私の感じでは、中学校とか小学校とかいうものの建設は、率直に言って子供さんよりも親御さんにとってたいへんな問題なんです。御承知のように父兄負担費というものが義務教育においては非常に問題になっております。いま中学校、小学校の古い校舎をどういうふうにして改築するかということで、国は予算がないから、あるいは父兄会等の経費をもってあちらこちらでこまかい修理なんかをやる場合もないわけじゃない。そういうときに新しい学校が全部防衛庁の金でできるということにつきましては問題があると私は思っている。しかもここで父兄さんたちの、防衛庁の周辺整備におけるところの金でやったということについての考え方は、文部省に対してはまるきり信頼感を置かなくなってくるのです。防衛庁さまさまになっちゃうのです。防衛庁としては、防衛施設周辺の整備等に関する法律に基づいて出費しているのだからという言い分がありますけれども、子供の義務教育の観点からいたしましたり、あるいは教育の上におけるところの軍事思想の普及という問題からすると、これは非常に隠然たる力を持っている。私はこういうようなことをもし防衛庁が考えておるとするならば、それは間違いだと思うのだし、そうでないとするならば、この法律によって出た金であっても、これはあとで総理に私は聞かなくちゃいけない問題かと思いますけれども、むしろ防衛庁長官は一応こういう形で——防衛庁の演習、訓練によって出てくる事態でございますから、この法律によって原資が出ることはそれでいいと思います。しかし事義務教育に関する問題である場合は、文部省の管轄内の仕事でございます、しかも場合によれば敷地までもということにもなってきますので、敷地、校舎等、防衛庁のこういう出費でやるということは、子供の教育上、憲法の平和教育の方向からいえば、むしろ軍事思想の育成のために使われているのじゃないかとさえ思われる結果が出てきている。地域に行きますと、父兄会は文部省なんというものは当てにならぬと言うわけです。政府も義務教育に対してあてにならない。だけれども防衛庁へ行くとちゃんとこういうふうに仕事ができる、こういうことになっちゃう。これは子供の教育上からたいへんな問題があると思うのです。むしろ防衛庁長官、この際こういう法律によって出た出費は文部省に移しがえをするというようなことを閣議等で一応提起していただいたらどうか、こういうように私は思うのです。もしほんとうにあなたが子供を平和的に、民主的に教育しようという考え方があるならば、この意図しない結果が地域住民の中に、特に義務教育の子供を持っている父兄の間に出てきているという実情にかんがみて、これはぜひひとつ考えてもらいたいと思いますが、大臣の所見を聞かしておいてもらいたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 教育のことはもちろん文部省が中心でやらなければならないと思います。しかし、石野さんと私のほうで立場が違うのかもしれませんが、私どもは基地というものはいわゆる日本の防衛のために、日本の安全のために必要なものだ、こういう前提に立っておるわけです。しかしもちろん不急不要のものはだんだんと解消してまいりますけれども、現在残っておるものはおおむね日本の国土安全のために必要なものだ。ところがその基地周辺の方々は、ことばは悪いかもしれませんが、日本全体の国土の安全のために一つの犠牲といいますか騒音の悩みあるいはいろいろな不安の念に非常にかられておる。そこで、そういう人々に対して国として特別の措置をしたらどうかというので、いま周辺整備法ができておることは御承知のとおりであります。そういう観点に立ちまして、防衛施設庁におきまして地域住民に対してできるだけそういうことがないように、防音装置その他いろいろな対策を立てておるというのがいまのたてまえでありまして、もちろん文部省を抜きにしてということはなんでございますが、それがいいことなんでございますから、文部省も歓迎されることでありますから、子供のためにもいいことなんだから、いまの立て方でいいんじゃないか、かように私は考えます。

石野久男日本社会党

○石野委員 大臣、私はこの防衛施設周辺の整備等に関する法律によって予算をつくることが悪いとは言っていないのです。この法律をつくるときはそういうことを考えていなかった、そこまでも思いは至らなかったのだけれども、現実にそれぞれの基地周辺におけるところの騒音防止のための建築をやった場合の結果が、いま私が言ったような状態になっているから、私のいま大臣に聞きたいのは、予算を取ることは悪いとは言っていないのですよ。それでいいから、そういうふうにきまったものは、それを実施するのは文部省に実施させるようにするというやり方がよろしいのじゃないか。それは私は基地そのものについて反対ですが、基地反対だからというので騒音防止のために施設をすることに反対しているわけじゃない。それはけっこうなんです。予算が獲得できて実施する段階になったら、防衛庁がやらないで文部省に実施させたらどうか、こういうことを私は言っているのです。法律上いまのところはできないだろうから、これを閣議等にかけまして、実施の段階についてはやはり予算総則とか何かに入れればいい、移しがえをするという議事の内容とすればいいわけですから、そういうことをこの次からやったらどうかということを私は聞いておるのです。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 私も文部大臣をかつてやったことがありますが、そういうことに対して陳情も受けたことがあります。陳情を受けたときは、直ちに防衛施設庁のほうにお願いしておるわけです。  このことを言うのはどうかと思いますが、いま防衛施設庁が懸命に周辺対策をやっておるところですね。この熱意といいますか、予算のときでも、私自身もだいぶがんばったつもりですが、非常に熱意を持ってやっておるときでありますから、これを文部省に移しても、文部省はたくさんの学校をかかえておりますし、周辺対策にはたして熱意を入れてくれるか。何も実施せずに予算だけ取れ取れといっても、人情としてそれはなかなか十分にいかない点があるのじゃないか、われわれはかように考えまして、よく検討はしてみますけれども、いま直ちにそういうことをやりますとこの際言うだけの確信を私はまだ持たないのでありますから、ひとつその点を御了承願いたい。

石野久男日本社会党

○石野委員 私がここで大臣に聞いていることや希望することは、文部省へ移しかえしたら、その予算をまた文部省がばらしてしまって、普通のほかの学校と同じようにせよということじゃないのです。防衛庁がちゃんとそういう建設の予算を組みますね、そうしたらそのまま文部省で仕事をする、そういう移しかえができるはずですから、それをやってほしいということです。大臣のいまの話を聞くと、せっかく基地周辺に対して防衛庁が熱心にやっておるのだから、防衛庁がやっておることを地域住民にわかってもらいたいということが熱願のようですが、この基地周辺整備に関する法律というのは、別に防衛庁が熱心にやっておることじゃなしに、地域住民が迷惑しておりますから、こういう法律ができておるのであって、防衛庁が熱心にやっておるということを地域住民にわかってもらうために九五%なりの予算を出すわけじゃないのです。そういう防衛庁長官の考え方がまた父兄の中に入ってくるわけですよ。このやり方は防衛庁をなるべく地域住民に理解をさせる、もっと端的に言うならば、防衛思想というか軍事思想を義務教育の中まで入れていこうというような意図があるように聞き取れる、いまの防衛庁長官の話だと。そうでないとするならば、予算を取ったら文部省へ移したらいいじゃないか。  お尋ねしますが、農林省所管として農林本省へ七億九千五百万円の金が移しかえになっております。それからまた建設省所管へ一億三千万円の金がいっている。これはどういう内容の仕事を移管したのですか。

鶴崎敏防衛施設庁施設部長

○鶴崎政府委員 ただいまお話しの農林省関係に一部移しかえをしております事案につきましては、基地周辺において開拓その他いろいろ農業関係の事業を実施いたします場合に、いわゆる自衛隊等の行為と直接因果関係があってそれを補う意味においてやる事業、それから農林省において一般的な農業施策としてやる事業と二つのものがあるわけですが、これが事業を実施します場合に相互に関連を持ってくるという場合がございます。そこの仕訳がたいへん微妙な問題もございますので、一応私どものほうで一括して予算を要求し、本来農林省のほうで実施すべき事案につきましてはこれを移しかえをしておるというような形になっております。  それから建設省のほうにつきましても、基地周辺の道路の整備につきまして、この必要性がやはり基地の存在から出てきておるというような事案につきましては、防衛施設庁のほうで予算を要求しますけれども、建設省と防衛施設庁との間の申し合わせがございまして、県道以上につきましては建設省のほうが事業を実施するというようなことになっておりますので、それに該当する分につきましては建設省のほうに予算を移しかえをしておる、こういう状況でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 大臣、いま建設省あるいは農林省へ移しかえをしている金は、四十二年度によると農林本省にいったものが七億九千五百万円、建設本省へいったものが一億三千余万円です。それに比べると、文部省関係の問題だけで、先ほど言ったのは四十二年度で五十三億四千万円あるわけですよ。それから四十三年度で六十一億、四十四年度で六十八億八千万円、約六十九億ですよ。これは膨大な金なんですよ。しかも、県道以上は建設省でやるようになっているからというので、わずかな金でも移しかえをしておるわけなんですよ。義務教育としての中学校——高等学校も私たちの考えからいえば全額国庫負担でやるべきだということをかねがね言っておるわけです。特に学校の建設という問題は、文部省が当然やらなければならぬ仕事なんですよ。私はここで大きな論争をしようとはしませんけれども、とにかく地域自治体のほうでは、防衛庁が予算をとったことはだれでもわかっているのだから、仕事をする場合には、そのとった予算を今度は文部省へ移すというやり方をひとつ政府としても考えてもらいたい。これは当然そうすべきだと思います。きょうは時間の関係がありますし、ほかにまだ質問がありますから、私はこれ以上はあまりここで論議はしませんけれども、ただ防衛庁がやったのだということを地域の住民に知らすという意味ならば、これは最後の完成まで防衛庁がやったらいいでしょうけれども、地域住民が防衛庁のやる演習とか爆撃訓練というもので耳が痛くなり、子供の勉強も何もできないのだということに対して講じてやらなければいけないのだという意味で、ほんとうに地域住民にこたえるという意味でやるなら、もう予算をとっただけで大体意図は達しておるのだから、あとは文部省へ移すという考え方でやってもらいたい。そのことをひとつ閣議で考えてもらいたい。これはいずれまた私は文教か何かで聞きたいと思っておりますけれども、そういうことを閣議へかけてもらいたいと思うのだが、もう一度大臣の考え方を承りたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 せっかくの御意見ですからよく検討させてもらいますけれども、本来文部省がやっておる、あるいは老朽校舎とか普通の基準によって建てかえすべきところに、特に騒音関係を加味してやらなければならない、こういうような事態になって、向こうのほうの基準が多いようなときはこちらがとったものを向こうに渡していいと思います。そういうことも考えられますけれども、しかし、いま多くの場合は、文部省の基準ではもう校舎はやられない。ところが、この防音対策としてどうしてもそこまでやらなければならない、あるいは冷房装置をつけなければならない、こういうようなことになりますから、文部省の基準を越えた行き方をやっておるのがいまの対策でございますから、その辺のところは相当検討をしてないと、いますぐ私がくつがえして閣議にかけてこうしますということはちょっと言いにくい立場にございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 大臣がそういうふうに言うなら、委員長、私はやっぱり一度この問題について、予算編成上の問題ですから、大蔵大臣も出てもらわなければいけませんが、むしろやはりこれは予算の編成の問題よりも教育の問題に関係するのです。この非常に大きな民主教育と、われわれがいま非常に心配しているところの佐藤内閣の政治姿勢というのが、やはりだんだん軍国主義的な方向が非常に強くなっていっておる。その段階で、学校の建設自体についてなぜ防衛庁がそう固執するのか。これは防衛施設周辺の整備等に関する法律で、全建設費の九〇%を防衛庁が出すという方針はきまっておるわけだから、できたものを文部省に移せということは何もこだわる必要はないので、これはただ単に金額の問題じゃないのです。実は防衛庁長官がなぜそれにこだわるかというそこに問題がある。私はこれは思想教育上の問題、文教政策の上からいいましても、きわめて重大だと思いますので、もし大臣が閣議等にかけるということをこだわるのでしたら、私はこの次に大蔵大臣と総理大臣に出てもらいたいと思います。そういうことで、これはひとつ委員長に確認しておいていただきたいと思います。

中川俊思自由民主党

○中川委員長 はい。

石野久男日本社会党

○石野委員 次に、大臣にお尋ねしますが、一昨日の参議院の外務委員会で、外務大臣は森議員の質問に答えて、水戸射爆場の返還問題について、新島への移転は非常に問題があると言われたようですが、水戸射爆場を新島に移転する可能性があると思われるのかどうか、まずその点から大臣にお聞きしておきたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 石野さんも御承知かと思いますが、一応の政府の姿勢としては水戸射爆場を新島に移転するという方針がきまっておるわけです。なるほど御指摘のように航空問題で非常にむずかしい問題もあるし、また、新島自身の問題につきましても相当問題があることはよく承知しております。しかし、水戸射爆場を移転するという基本方針は少しも変えていない。そういう問題もありますが、やはりいままでの既定方針は何とかして守ってそれを遂行したいというその気持ちはあるが、それ以上の何か代案がほかにあれば、これまたそのときに耳を傾けることはやぶさかではありませんけれども、せっかく航空問題その他につきましても折衝を重ねて、何とかいい打開策はなかろうかということもあわせていま米軍とも検討中という段階でありますから、私の姿勢としては何とかこれを既定方針どおりやりたい、こういう考えでおります。

石野久男日本社会党

○石野委員 新島への移転の問題は、飛行技術の上からいっても問題があるということは運輸省からも話が出ておるし、それからまた高度を下げるということについては米軍のほうでも問題があるというようなことで、事実上は非常に困難である、もうほとんど絶望だというふうに一般にはいわれておる。一昨日の参議院の外務委員会で、外務大臣は森議員に一対して、新島に移転ができないというような事情になった場合、水戸射爆場を移転させるということについては方針はそのとおりだ、だから水戸射爆場単独で代替地がなくても何とかあの返還ができるようにひとつ交渉してみたいというようなことを言われた、と新聞は報道しておるわけです。議事録がまだできておりませんので私は見ておりませんが、外務大臣がそういうふうに言っていることについては、防衛庁長官との間にも何がしか話し合いがあったんだろうと思いますが、その水戸射爆場についての代替地なしの返還という問題の交渉は外務大臣との間で話し合いがあったのかどうか、その可能性の問題について大臣に伺いたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 水戸射爆場を移転するということは外務大臣もよく了知しておりますし、これは政府の方針として間違いない。しかし代替地なしでそういうことがやれるかというようなことは、私はその参議院外務委員会に出ておりませんでしたし、速記録も見ておりませんから、外務大臣がどういうことを言ったか知りませんけれども、おそらく外務大臣はそういうことを言わないのではないかと思う。もちろん私とそういうことを話し合ったこともありません。私の見通しとしては、代替地なくしてそれがいけるというような、そういう見通しはまだ全然立ちません。でありますから、先ほど申したように、それ以上のものが出るまではやはりいまの既定方針でいくという姿勢でいるわけであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 議事録がまだ手に入っておりませんので、その外務大臣の答弁も定かにわかりませんけれども、新聞の報道では、代替地をさがすのは非常にむずかしい、だから場合によっては、水戸射爆場の代替地なしの返還交渉も当たってみたい、地域住民のことなども考えたら、そういうことも考えてみたいというような答弁があったように、新聞は報道しておりました。いま大臣の話だと、外務大臣との話し合いも全然なかったようだし、また大臣としてはそういうことはとても考えられないということですから、これは外務大臣と防衛庁長官との話は食い違っておると思います。いまここでそれを両者対決させることもできませんから、あとでまた外務委員会か何かでもう一ぺんそれじゃその問題はお尋ねしたいと思います。現実には不可能だということですね。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 石野さんも御承知のとおり、私も射爆場の問題は、あそこに東海村の原子力施設をつくるときから関係しておる者でありまして、何とかあれを早く移転したいということはかねがね考えておることであります。また科学技術庁長官のときも、何とかあれをやりたいということも私は熱心に考えた一人であります。ことに現在の立場としましては、一日も早くあの射爆場の移転はやらなくてはならぬ、ことにいまいわゆる核の燃料再処理の問題もありますし、そういうことを非常に私は急いでおります。しかし代替地がなくして移転ができるかということは、私は、そういうことはこれは見通しですから、それがどういうことになるかということは断言できませんけれども、いままでの交渉の経緯からいってなかなかむずかしいことだ、かように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は新聞を見て、外務大臣が代替地なしでも返還交渉する、これはすばらしいと思った、これは基地即時返還の方向へ外務大臣がきてくれたのだから、すばらしいと思ったのだけれども、どうも防衛庁との間には何の連絡もないようで、あとでまたこのことについては聞かしてもらいたいと思います。  長官は五月十七日の記者会見で、防衛関係費は結果的に伸びることになるだろうし、またそれを期待している、こういうふうに記者会見をしておりますが、その真意はどういうことなんですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 防衛ということは政府の基本方針といいますか、国防会議の基本方針にのっとりまして、国力、国情にふさわしい防衛力の漸増ということが基本方針になっておるわけです。したがいまして、日本の国力もここまで伸びてきたのだから、みずからの国はみずからの手によって守っていこうじゃないかという気概は、国民に持ってもらわなくてはならぬ、わが国の経済力なり、要するにいま言いましたように、国力といいますのは相当伸びておりますから、そこで基本方針にのっとって、大いに国情の許す範囲において防衛力を充実して整備していきたい、こういうことで、新聞記者会見で話したと私は考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 許す範囲でというのにはいろいろな解釈のしかたがあるわけですが、大臣はその許す範囲というのはどういう意図ですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 第一、日本の防衛につきましては憲法上の制約がございますね。それからまた日本におきましていわゆる国民感情、ことに核の問題なんかに対する国民の感情がございますね。そういうような国情ということもやはり考えなくてはならない。したがって憲法の制約あるいは国情ということを踏んまえながら、日本の国力に沿うような防衛力の整備をはかっていきたい、こういうふうに思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 それは結局、国民感情に合うように、あるいは憲法上の制約の中でということの意味は、具体的にいえば、たとえばいま防衛庁が取っている予算の範囲内ではできないということを意味するわけですか。結果的には防衛費関係は伸びる、こういっておりますね。その伸びるという目安は大体どういうふうに置いているのか、それは三次防、四次防との関係ではどういうふうになってくるのか、その辺はどういうふうに考えておりますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 四次防ということになりますと、これはだいぶ先のことでありまして、まだその積み上げ作業をやっておりませんが、私どもとしては、少なくとも通常兵器による侵略に対しては、日本の力によってこれを防ぐだけの防衛力を整備したい。いままでを見ますと、これはちょっとことばが悪いかもしれませんが、私はよく使うのですが、兵器にしましても何にしても、アメリカさんからいただきたい、こういういわゆるこじき根性できておったと思われるのですよ。ここまで日本の国力ができた以上は、そういうこじき根性は捨てて、もちろん日本の憲法とか国情に応じたことでやっていかなくちゃなりませんけれども、当然やれることまでアメリカさん下さいよというような、そういう態度じゃなくて、日本自身の力においてこれをやっていこう、こういうような考え方で今後進めていきたい、かように思っておるわけであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 こじき根性を捨てて当然やれることというのは、いまの防衛庁の実態から見まして、どういうところにそういうこじき根性を捨てて、国の力でやっていけるという側面があるのですか。大臣が、いまこじき根性ですがりついておるというような、ものもらい根性でやっているというのはどういうことを意味しているのか、私はわからないのだけれども、大臣が考えているのは大体どういうものか、ちょっと教えてもらいたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 日本の防衛力もそういうアメリカから貸与を受けたようなものはだんだん少なくなっておりますけれども、私はいままでの経緯がこじき根性と言うたのでございます。艦艇でもアメリカから貸与を受けてやっておるものがずいぶんあるわけですね。その他いろいろな兵器につきましてもそういうものがあるわけですよ。でありますから、だんだんとそういうことになりつつあるけれども、ここまで日本が国力ができたのだから、ひとつわれわれの力によってそういうものはやはり整備していくべきじゃないか、これが日本として当然のことじゃないかという考え方によって、私どもは防衛力の整備をやっていきたい、こういうことでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 大臣がこじき根性を捨てて自力でやるのだという側面は、艦艇でもおっしゃっていましたけれども、いまのところ大臣が見ている観点からすると、それはやはり陸海空いずれもみんなパラにそういうふうにこじき根性を捨てて、何でもかんでもやれるという実力がわが国にあると見ておられるのか、それとも大臣としては、いまの段階では、伸びを期待するという、特に期待するという側面はそうするとどういう側面なんですか。大臣がこじき根性を捨ててやれというのはどういう側面を言うのですか。たとえば陸軍、海軍航空といえば……。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 それはここで一つ一つ、陸海空でこうだ、こうだとは申し上げかねますけれども、いま陸上自衛隊における兵備、装備のうちでも、アメリカから貸与を受けているものがずいぶんございます。また海上におきましても、先ほど申しましたように、艦艇自身も、だんだん減っておりますけれども、まだ貸与を受けているものがあるわけなんですね。また空もだんだんわがほうに移管されて、日本自身でやるたてまえになっておりますけれども、これとても全部が全部そうだといえない。ことにいまF86なんという航空機がございますが、これはアメリカからずいぶん貸与を受けてきておる。そういうものが今度はだんだん古くなって、変えていくときはまたアメリカさん下さいよなんというこじき根性をやめて、日本自身の力によって、それにかわるべき航空機は日本でつくる、こういう気持ちでいかなくちゃならぬ、かように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 通常兵器による敵の侵略に対して、それにこたえるようなかまえをしていかなければいけない、そのためにこじき根性は捨てて自力でひとつ軍備を整えていくのだ、こういう考え方から陸海空を全部やりますと、これはいままでの予算のワクの中ではとてもやれないだろうと思うのです。大臣は、防衛関係費は伸びていくだろうしまた伸びを期待している、こう記者会見で言っておる。その伸びを期待しておるということは、全陸海空軍のパラにやるという意味で言っておるのですか。それとも大臣としてはこの方向へいまの段階ではやらなければならぬという考え方があってだろうと思うのだけれども、大臣のお考え方は主としてそのどちらの方向にありますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 私はさっき、国力、国情に応じて漸増ということを基本方針としておると言いました。したがいまして、日本みずからの手によってそういうものを整備するといいましても、やはり全体の民生安定、ことに社会資本への投資がおくれておるというようなことをいろいろ勘案しながらいかなくちゃならない。そうかといって、それなら来年からすっと大きく切りかえるかというと、そうは考えておりません。やはり漸増といいますか、そういう方向で日本の実情に合うような整備をしていきたい、これが私の言う考え方であります。

石野久男日本社会党

○石野委員 漸増と言いますけれども、その漸増というのは、たとえばいままでのような比率で伸びてきたら、ここで大臣が言っておるように、防衛関係費は結果的には伸びることになるだろう、こういうふうに言っておること、これは特に記者会見をして言った意味はないのだとぼくは思うのですよ。大臣が飛躍的に伸びることを期待しておるということになれば、何かやはりそこで重点がなければいけないと思うのです。その重点をどこに置いておるかということをちょっとお聞きしたいわけですよ。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 第一この日本の経済力というものは、石野さんも御承知のとおり非常に順調な歩みをたどっておるわけですね。いまの第三次防でも、最初計画するときには国民総生産費の一%ぐらいになればというのでつくったらしいのでございますけれども、だんだんと日本の国民総生産費が高まるために、現在は絶対額は防衛費はふえておりますけれども、全体の〇・八四、こういう状態ですね。でありますから、先ほど国力、国情に応じてと言いましたね。国情はあまり変わりはないかと思います。憲法上の制約とかその他の国情は変わらないと思うが、国力がここまで伸びたんだから、いつまでもアメリカさんに依存することなく日本の力でやっていきたい、こうなんですよ。しかしながら、やはり世界をながめたときに、御承知のとおり最近の核をはじめ化学兵器の非常な進歩によりまして、一国だけで自分の守りをするということはなかなか困難です。そこで集団防衛といいますか、それぞれ集団的の条約を結んで国の守りを固めるのでございますね。したがいまして、私どもは、いま言うたような考えを持ちながらやはりアメリカとの安保条約もこれを堅持していく、ことに日本には憲法上の制約、国情というものはよその国と違う点もありますから、ひとしお安保条約の必要性がある、こういうことでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 沖繩の返還交渉が行なわれるようになる。そうすると、その沖繩返還交渉が行なわれる段階で防衛庁は沖繩の——まあわれわれは全面即時返還を言うわけですが、政府はそうは言っていない。この段階で、防衛庁の防衛体制というようなものとの関係から、予算の伸びというものはどのくらいに見ておりますか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 沖繩防衛につきましては、いまから折衝の段階に入りまして、現在ある沖繩の基地の態様がどうなるかということはこれからの問題でありまして、したがいまして、どれだけの日本の自衛隊の整備をやるかということは、まだ具体的に申し上げる段階じゃありません。ただ考え方としましては、沖繩が返還されればやはり日本の国土となるわけでございます。したがいまして、その沖繩の国土それ自体の防衛は、本土のいまわれわれがやっておると同じような第一義的の防衛責任がある。したがいまして、陸海空とも、やはり沖繩の地域にふさわしい防衛力を整備しなくちゃならぬと考えております。しかし、沖繩にいまありますところの基地は、御承知のとおり、ひとり沖繩自体の安全をはかるほかに、極東の安全をはかる機能を持っております。そういう機能までは日本の自衛隊が引き受けるわけにはいかない。また自衛隊が引き受けるのは、先ほど言いましたこの本土と同じように沖繩自体を守る防衛のみ、ほかはまだアメリカがおそらくはある程度残りまして、極東の安全という機能はアメリカのほうがやっていく、こういう形になるんだろう。しかし、いまからの折衝ですから、具体的にこうだとは言えませんが、観念的に申せばそういうような考え方がある、かように思っております。

石野久男日本社会党

○石野委員 いまの大臣の答弁だと、結局沖繩返還はするけれども、極東に果たしている重要なかなめをなすということにはちっとも変わりはない。そうなると、沖繩の基地の状態というものは、いま本土における基地の状態とはだいぶ違う。その違ったものがそのまま残ってくるということになるのであって、これはやはり沖繩の本来の返還にはなってこないと思うのです。私はいまここでその問題の論議はいたしませんけれども、しかしそういうような考え方でいくとすれば、当然やはり日本の自衛隊というものは、その極東の問題についてはアメリカがそこにおるわけですからね、そうするとアメリカと日本の自衛隊との関係というものはどういうふうにするかというと、すぐこれは事前協議の問題が出てくると思うのですよ。この事前協議の体制というものについて、防衛庁はどういうような形で一緒に防衛体制を組んでいこうという考え方をしているのか、その点ひとつ大臣の所見を聞かしてもらいたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 まあ完全に返還になったときは事前協議の問題が起こりますが、事前協議というよりも、沖繩の基地をどうするかということは、むしろ大きな外交折衝だと思います。したがいまして、いまからいろいろとこの防衛のこともアメリカのほうと打ち合わせ相談していかなくちゃならぬと思っていますが、先ほど言うたように、観念的には日本の自衛隊は沖繩の土地それ自体を守る体制、ちょうどこの日本の本土と同じことですね。したがいまして、外務大臣も言っておりますように、憲法はもちろん安保条約もそのまま沖繩に適用される、こういう前提に立って沖繩の基地の問題が今後折衝される、かように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 沖繩の返還交渉に臨んで、政府の態度とわれわれの態度と違いますから、これはわれわれの態度をいま政府に言ってもしかたがないと思います。しかし、政府がこの沖繩の返還交渉にあたって、それじゃ事前協議の問題はどういうふうに対米交渉の中で持ち込むのかということがきわめて重要になってくると思います。だから、それじゃその問題についての大臣の所見だけを聞かしてもらいたい。防衛庁としてはその問題について、たとえば随時協議のほうがいいのじゃないかということなどもよくいわれておる。防衛庁の考え方は、第六条の問題よりもむしろ四条の方向でいったほうがいいんじゃないかというような考え方があるようにも聞いておるのだが、そういう点では防衛庁はどういうような構想を固めておるのですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 まだ構想ということは言えないかもしれませんけれども、やはり常に密接なる連携を保っておるということが必要だ。したがって、四条の随時協議も必要だ。しかし具体的な問題になってきますと、六条といいますか、そこにいわゆる事前協議の問題が起こるわけですね。私どもは、その事前協議に対しましては、その具体的の場合にケース・バイ・ケースで日本の国益を考えながら善処する、こういう基本的な考えを持っております。

石野久男日本社会党

○石野委員 この問題はケース・バイ・ケースだといいますけれども、実際問題としては、沖繩返還問題の一番大きい観点が、やはり事前協議をどういうふうに政府が対処していくかということで、問題の中身が非常に違ってくると思うのです。だからわれわれは、この事前協議の体制ははっきりと確立しておかなければならぬというふうに考えている。防衛庁はそういう問題について、事前協議の問題は沖繩が返還された後において核つきというものはなくなる。核抜きであるけれども、自由使用というようなことが常にいわれておるわけです。ことに外務大臣が先般行ったときにもそういうことが明確になっているとさえ伝えられておる。そうなってくると、これはどうしても事前協議ということが明確に確認されないと、この基地の自由使用というものでは、返還にはならない結果になってくる。そのことは結局本土並みではなくて、沖繩並みに本土がなってしまうという結果にもなるのだから、そういう点で防衛庁の考え方がこの際明確になっている必要があるとわれわれは思っているわけです。大臣のそういう点についての考え方をもう一ぺん聞かしていただきたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 先ほども言いましたように、憲法はもちろんのこと安保条約も、返還されれば沖繩にそのまま適用される。そうなってきますと、事前協議ということは当然あり得る姿だ。したがいましてその事前協議のときは自由使用じゃなくて、イエスもあり得る、ノーもあり得る、すなわちケース・バイ・ケースによって日本の国益ということを勘案しながらイエス・オア・ノーをきめていく、こういう態度でいるわけです。

石野久男日本社会党

○石野委員 イエス・オア・ノーという立場でということについて、特に事前協議ということになると、もうすでに、特に朝鮮の問題なんかになれば、事態が起きてから協議という形が出てくる可能性のほうが多い。だからむしろ随時協議でやったほうが、そういうことにならないで済むのじゃないかというような考え方が防衛庁にもあるというふうに聞いておりますけれども、それは防衛庁の考え方ではないですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 先ほども言いましたように、常に接触を保っておくことは必要です。そしていろいろな極東の情勢につきましては、常に接触を保ってお互いに認識を高めておかなければならぬ。けれども事前協議の際はわれわれは国益のことを考えながらケース・バイ・ケースによって判断して善処していく、これよりほかに道がない。かように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 事前協議の体制はくずさないでいくということですね。  大臣、一つお尋ねしますが、衆議院で防衛二法がああいう形で通った。私は参議院でどういうふうになるかまだわかりませんけれども、現在防衛庁の定員というのは相当な欠員がございますね。その欠員は現在正確にはどのくらいになるのですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 ごく最近の統計では私は約一万四千人ほどの欠員といいますか、充足されていないものがあると聞いておりますが、正確なことは政府委員から答弁させます。

麻生茂防衛庁人事教育局長

○麻生政府委員 本年の四月末の欠員状況を申しますと、陸上自衛隊が一万三千七百七名、海上自衛隊が百十六名、航空自衛隊が五百六十名、合計一万四千三百八十三名でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 これにまた七千七百名ふえるわけですね。これを充足させる防衛庁の方策といいますか、どういうようにしてこれを充足させていこうとしているのか、その点大臣からお聞きしたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 石野さんは欠員ということをおっしゃいましたが、自衛隊の定数というものはいわゆる部隊の編成定数なんです。一般の公務員の定員とはやや趣を異にしております。ことにいま欠員というのは、たとえば陸上でいえば主として一般の隊員です。そこで私たちの部隊の編成というのは、十八万体制ということを前から、第一次防衛計画から言っておるわけです。これはわが国の地理的状況とかその他専門的な防衛的見地から十八万人体制というものがはじき出されておるわけです。今度は六千人ふえれば十七万九千人になって、十八万体制にほぼ到達することになるわけです。  そこで、平素におきましてはいわゆる部隊を指揮する幹部、そういうのはなかなか短時日の間には養成できない。また部隊のいろいろな装備が要りますね、そういうものも長日月かからないと装備は簡単にできない。したがいまして私たちは、この六千人の増加というのは、それにふさわしい幹部要員、それから装備というものをつくり上げて、ちゃんと部隊に編成をする。そうすると一般の隊員は、たとえば百人要るというところが九十人であっても、平素の訓練は十分できる。今後充足していってそれを一〇〇%にすることが望ましい姿でありますけれども、われわれの部隊編成というのは、有事の際にこれを有効に働かして、わが国へ攻めてくるものを排除するというのがいまの自衛隊の任務でございますから、そういう際に足らざる者を埋めれば有事の際には十分やっていける、かように思います。向上するよう努力はいたしますけれども、多少の欠員がありましてもこれはやっていける、こういう考えです。だから一般の公務員の欠員、定員というものとは趣を異にするということだけは、前提として考えていただきたいと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 十七万人の中で一万三千人欠員があるのですよ。約一割近く欠員があるわけでしょう。一般の工場や生産組織でこのぐらい欠員があったら仕事ができないと思うのです。そうするといまの大臣の説明によると、不要なものを定員として置いているということになってくるので、いまの答弁は、欠員があっても一向に差しつかえありませんという御答弁なんだ。それなら別に六千名ふやす必要はないのじゃないか。十八万名というのはただ呼称であって、実質はそんなものは欠員があってもちっとも心配要りません、こういう答弁なんですよ。ほんとうにそれならば何で六千名ふやすようなことをやるのですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 それは石野さん全然違うのですよ。私は部隊編成ということを言ったでしょう。もっと具体的に言えば、いま十三個師団というものがありますね。その他いろいろな要員がありますけれども、五方面隊十三個師団というたてまえの十八万体制ということが前から検討されてきているわけです。そこで部隊をつくり上げるということが第一、有事のときはそれを全部埋めて対応していくというのがいまの自衛隊のあり方でありまして、少なくとも指揮官あるいは幹部要員、装備というようなものは一ぺんにはなかなか間に合わない。そういうものは常に陣容を整えて、いざというときに十八万充足して、それに対応していくというのが防衛のあり方でございますから、決して欠員があってそれでよろしいとは言いませんけれども、おっしゃるように一万四千人も欠員があるなら要らぬじゃないかというわけにはいかない。やはり幹部要員も要るし、それから体制だけは整えておかないと、十分な有事即応の体制がとれない。でありますから、早く多年の懸案であった十八万体制をつくり上げたいというのがわれわれの願望であり、それが先般衆議院を通してもらった防衛二法案の柱であります。

石野久男日本社会党

○石野委員 部隊編成の内容は私はもうここで聞く必要はないのです。欠員がこんなに多いのをどうして充足するつもりかということを私は聞いておるわけです。いま大臣のお話によると、それは欠員があったって一向に差しつかえありませんという御答弁だけれども、それじゃ困るのですよ。だからどういうふうにしてこれを充足させるつもりなのかということを私は聞いている。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 充足は、それはもうどんどんしていかなくちゃならぬ。けれども、先ほど言いましたように、昔というか数年前までは数十%だった。それが今日九二%まで向上しているのですよ。したがいまして、六千人増加しましても、やはり九〇%以上の充足は十分やっていける。それは確信を持っておる。それ以上の充足は、先ほど来言いましたように、有事に備えて充足されればいけるのじゃないかというので、もちろん充足率の向上には努力いたしますけれども、一〇〇%の充足がなければ不必要だ、こういう筋合いのものではない。これは防衛をもう少し検討してもらえば、なるほどということがおわかりになると思いますが、石野さん、何かそこに誤解があるんじゃないかと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 関連。いまの石野委員の質問に対する長官の答弁を聞いておりますと、危険なものがある。というのは、有事に際しては充足する。将校、曹、すなわち下士官、これをがっちり教育しておく。そうすると兵隊、いわゆる士ですね、兵が少々足りなくとも、有事に対して間に合わすんだ。いわゆる指揮する者、将校、下士官、そして装備さえがっちりとしておれば、兵が足りなくとも有事に対しては充足するんだという考え方、これを特にナチス方式というのです。この考え方は、いいですか、かつての赤紙、徴兵制度を頭の中に描いての発言ではないか、どこかにそういう考え方があるように思いますので、答弁を求めませんが、私は警告をしておきます。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 決してそういうことを言っておるのじゃなくて、一般の隊員は比較的短期間に養成できるのですね。しかし、指揮をとる人は相当長期間要る。でありますから、充足率の向上ということには努力するけれども、比較的短期間にいけるから、そして有事即応の体制は、日本人も大体いざというときにはこの大事な日本を守ろうという気概はありますし、初め警察予備隊ができたときでも、ずいぶん大ぜいの応募者があったわけですから、私はこれを充足することにそう懸念は要らぬ、こういう考え方です。ことに最近の若い人たち、あなたたちの御接触の方は違うかもしれませんが、相当自衛隊に対する理解が深まって、もういろいろアンケートを見ましても、約八〇%までは自衛隊の必要を認められておる、この段階でございますから、私は充足はできる、かように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 有事充足という問題を大臣は先ほどからしばしば言っている。現在欠員は非常に多くても、有事充足にはちっとも事欠かない。そのためには、田中君から言われたように、幹部の養成をみっちりしておくのだ、これがいま大臣の答弁ですね。幹部さえしっかりしておれば兵はいつでも充足することができるのだ。しかも最近はアンケートをとると防衛に対しては非常に意識が高まっている、こういう言い方、これは非常に危険なんですよ。いまなぜ自衛隊に若い者があなた方が期待するほどいってないのかという問題について、意識の問題もさることながら、やはりみな生活がかかっているわけですよ。だからいまのその大臣の言う有事充足というのは、どういう充足方法を考えているのか、これなんです。有事充足の方法はどういうふうにするのだ。これを大臣はどういうふうに考えているのだ。ほっといたらすぐ集まるというのですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 決してほっといて集まるとは言いません。私がさっき言いましたように、一般の隊員は養成期間がわりあい短時間で済む。したがいまして、もちろん充足は今後努力はいたしますよ。けれども、いま直ちに一〇〇%がなくても、一応は平素の訓練は十分できる。ただ幹部要員あるいは装備というものは、そう三カ月や半年の間にそれを整えるということはできない、だから平素からちゃんと充足さして、そして今後も兵といいますか士といいますか、いわゆる一般の隊員は充足に努力はいたします。私は大体の見通しは、最近の趨勢を見ましても、これだけ若い人の労働力が不足がちだといいながらも、相当充足率は向上しつつありますので、これは自信を持っていざというときまでには——いざというときに一ぺんにやるというのではありませんよ。いざというときまでにはほぼ充足し得るのではないか、こういう見解を持っております。

石野久男日本社会党

○石野委員 大臣、そのいざというときにはいつでも兵隊は訓練できる。しかし自衛隊へ入ってこなければ訓練できないでしょう。自衛隊へどういうふうにして入れるのかということを私は聞いておるわけです。自衛隊に入らない者に対して訓練するということだったら、昔の軍事訓練とか、やはり学校や何かでやるよりほかないのだ。自衛隊の隊員がいつでも一万人なり二万人足りないものを、入りもしない者をどうして訓練するというのですか。そこのところを聞いているのです。どうして入れるのかということです。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 いざというときまでにということを言っておるのです。だからいまから一生懸命募集に努力し、国民の理解と納得の上に立って、国民とともに歩む自衛隊をつくりたい。だいぶん国民の方も理解が深まってきて、だんだんと充足率が向上しつつあるので、それでだんだんと充足をやっていけるという見通しと自信を持っている、こういうことを申し上げたのであります。それまでほっておくという意味ではないですよ。

石野久男日本社会党

○石野委員 いざというときまで——そうしますと、いざというときはいつなのかわからない。とにかく自衛隊としては定員を充足させなければ、簡単な仕事だってこれは教えることはできないと思うのですよ。鉄砲の撃ち方だってできないと思う。自衛隊に入らなければ、その仕事はあなたが幾ら簡単だ、幹部さえしっかりしておれば兵隊はいつでもできるといったって、自衛隊に入ってこなければどうにも訓練することはできない。自衛隊に入ることを一生懸命にやってきているけれども、依然としてやはり一万四千人というものは足りないんですよ。陸上自衛隊だけをとるならば一万三千七百人足りないわけだ。この足りない部分をどういうふうにして充足するか。いまは青少年、特に若年労働者というのは足りないので、あちらでもこちらでも若年労働者をあさり、ほんとうに草の根を分けてもさがすというのが現在の産業界の実態でしょう。そういう実態を有田さん知らないわけではないと思うんですよ。あなたはいまは防衛庁長官をやっているけれども、十分産業界のことはわかっているはずだ。そうすると、自衛隊に人が入らないのに、簡単な仕事だというけれども、その簡単な訓練を入ってこない者にどうして教えようとするのか。産学協同というのかあるいは産防協学というのか、どういうのか知らないけれども、自衛隊に入れてずっとろ過させる形で産業界と協力しながら、共同作業で訓練するという、こういう考え方ですか。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 少し極端にものを言われるからどうも食い違いがくるのです。もちろん一般の隊員といえども、自衛隊に入って訓練しなければ役に立ちません。しかし比較的短期間に養成できるものですから、いまからどんどん努力をして充足さしていきたいというのがわれわれの考え方でありまして、決して産業界に入ったものをたらい回しにするなんて、そんな考えとか、あるいは徴兵制度を考えておるということは絶対にないのであります。私は、こういうような若年労働者が非常に少ないこのさなかにおきましても、ついこの間までは十六万人ほど足らぬといっていたものが今日十四万人になった、こういう趨勢でありますので、もう一息努力を払って、そしてよく国民に理解していただけば、充足は可能である、かように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 これは大臣もわかっているように、給料を上げれば人は集まる可能性はありますよ。だけど、給料を上げない限りはおそらくそんなに人は集まらないでしょう。給料を上げなくても十分人は充足できるという見通しを大臣は持っているのですか、どうですか。そこところをひとつ聞きたい。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 私は、第一にはやはり国民全体が防衛というものに対して深い理解を持ってもらうということが大事だ。それから同時に、やはり人間ですから、処遇の改善ということも必要でしょう。しかしやはり公務員としての一つの制約がございます。しかし私は、別の意味において、隊舎の改善をはかったり、その他いろいろな処遇を考えて、精神面と物質面合わせて、進んで充足をはかっていきたい、かように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 これは大臣がどんなことを言ったって、理解を深めるというようなことだけではとても充足はできないと思うのです。若い者はどんどん産業界に入っていく。だからこれは幹部だけを訓練して、兵隊はいつでも集めることができるというが、徴兵制度を考えていなければ実際問題としてこういうことはできないのです。だからこれは、結局、大臣は国民向けには非常に理解を深めるとか何とか言うけれども、現に一万数千人不足している上に、また七千人も入れて、二万人から足りないものを、いま急に入れようとしたって入ってこない。これは明らかに徴兵制度を考えた上でやっていると言わざるを得ない。この点は、あなたがどんなに抗弁したって、事実上若い者は集まりはせぬ。私はそういうふうに思う。そんな詭弁にはもうだまされないつもりなんだ。  そこで、もう一つお聞きしておきますが、増田前防衛庁長官は、七〇年安保に対して自衛隊の出動を考えているかどうかということを言ったときに、自衛隊の出動については、治安行動教範というようなものはつくらない、こう言っておられた。そしてそのかわりに指揮官心得というようなものをいま考えているのだということを、昨年の十月ごろに答弁しております。いま防衛庁は、この指揮官心得というものについては起草が進んでおるのですか、どうですか、そのことをひとつ。

有田喜一自由民主党防衛庁長官

○有田国務大臣 指揮官心得の問題に入る前に、私は詭弁でも何でもないのですよ。徴兵制度をしくなんということは毛頭考えておりませんから、そういうことを言われても——これはとにかく先ほど言うように、充足はできるだけやっていく、こういう自信を持っております。  なお、指揮官心得の問題はいま検討中でありまして、実を言うと、私のところまでその案がまだまいっておりません。しかし、国会も済めば、できるだけ早くそれをまとめていきたい、こういう考えております。しかし、このいわゆる治安出動という問題は慎重にやっていかなくちゃならぬ。したがいまして、来年度、いろいろいわれておりますが、そういう治安出動なんかがあるような事態を防ぎたい、かように考えております。しかし、治安出動ということは、自衛隊に課されている任務の一つでもありますから、いまから訓練はしておいて、そうしてよほど慎重な態度で、そういうことのないようにということで進みますけれども、訓練もせずして、できないからということでは、これは国民に対しても申しわけありませんので、訓練はさしてまいります。しかし、出動ということは、いやが上にも慎重な態度で臨みたい、こういう考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 時間がないから、これで終わります。

中川俊思自由民主党

○中川委員長 午後一時開再することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

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