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61回国会衆議院1969/06/27

外務委員会 第28号

発言数
132
登壇者
6
会派数
2
開催日
1969/06/27

会議録

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、当委員会で審査中の旅券法の一部を改正する法律案について、参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 旅券法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ただいま議題になりました旅券法につきまして質問をいたしますに先立って、資料の要求をしたいと思います。  まず第一に、この旅券法の二十三条に罰則規定があるわけですが、世界各国の罰則はどういうふうになっているかというのが一つです。  その二は、十三条に旅券発給の制限規定がありますが、世界各国の旅券制限はどういうふうになっているか、これが第二です。  第三は、六月十七日の法務委員会で、出入国管理法の遵守事項の内容とはどのようなものかという質問がございました。それに対して、遵守事項の内容として考えられることは相互主義による制限、たとえば日本人旅行者の言動をきびしく制約している国からの入国者に対しては、相互主義により、一定区域外に旅行する場合の旅行日程や旅行目的など届け出させるという政府側の答弁がありました。そこで、これは旅券法を審議する場合に、相互主義のたてまえ上、当然外国の遵守事項を知る必要が生じてまいります。世界各国の出入管理上の遵守事項はどういうふうになっているか。  以上、三点の資料をまず要求したいと思います。委員長、よろしゅうございますか。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 了承いたしました。政府側から御要求の資料は提出させます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまの資料は、私見てまた質問したいことがあるかもしれませんので、なるべく早く出していただきたい。これをお願いいたします。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 それじゃなるべく早く資料の提出を求めます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そこで、まず最初にお伺いしたいことは、この旅券というものの定義についてお伺いしたいと思います。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 旅券の定義は、現在大体二通りの目的がある。一つは、その旅券を持っている人が、たとえば日本の旅券を持っている人が日本国民であるということを外国の官憲に対して証明するという意味と、それからもう一つは、これによって相手国政府に支障なく旅行できるように依頼するという意味を持っております。そういう二つの意味を持っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、旅行をする人に旅券をやって、この人はこうこうこういう人ですから、どうぞ安全に旅行をさせていただきたい、これが旅券だ。そうしますと、これは身分証明書的なものですね。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 その二つのうちの一つが身分証明的な役割りを果たしています。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 外国を自由に安全に守られながら旅行ができる身分証明書、こういうことでございますね。そうしますと、身分証明書ですから、発給の制限ということは出てきてはならないわけですね。この点、大臣いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 どうも私もあまりこまかい法律的なことはよくわかりませんけれども、ただ、こういうことは言えるんじゃないでしょうか。お尋ねのことにぴったりお答えになるかどうかわかりませんけれども、たとえば国交のない国に対して渡航をする場合に、旅券を発給するというようなことは、相手国といいますか、その旅行先において、わが国民の身分の保護その他について欠くるところなきやいなやというようなことを考慮して、発給するかどうかをきめなければならない。そういうような性格も旅券というものの発給の際には考慮しなければならない点があるのではないか、そういうふうな性格も旅券というものにはあるのだ、私は常識的にはさように考えるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 相手国によって何か身分を保証することについて欠けることがないかどうかということまで考えるということになりますと、これは未承認国も承認国も同じじゃないでしょうか、そういう不安というものは。ただ未承認国だからそういう不安があって、承認国はそういうものがないとはいえないのじゃないかと私は思う。身分証明書である以上は、その人についたもので、この人はこういうものだからよろしく頼みますというのですから、やはり政府がそういう証明書をお出しになるのが当然であって、発給はこの人にはできません、この国にはできませんというような制限をすることは不当ではないか、こういうふうに考えるわけですけれども、いかがでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 国交があります場合におきましては、わが国民に対する身分の安全の保証というようなことについて、かりに万々一何か問題が起こりましたような場合にも、正常な国交を持つことによって人身を保護することが十分にできるというのが、むしろたてまえではなかろうかと思います。そういう点に大きな違いがあるのではないかと考えます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 身分の保証ということは常識的にわかります。しかし、詳しくいいまして、何を基準に身分の保証であるかというようなことがやはり問題になってくると思うのです。私は、そういうふうな点から考えますと、いま政府が答弁されましたように旅券というものを解釈しているとするならば、これを制限するということはどうしても納得がいかないわけです。したがって、その問題だけに触れていますと時間がかかりますから、先に進みますけれども、この問題はあとに残ることだと思います。そしてまた、この精神というものが旅券法全般にわたって貫かれていなければ、やはりいろいろな問題が出てくるのではないか。いまおっしゃったような、この人はこういう人であるという身分を証明して、どうか相手の国でも間違いのないようにしていただきたい、こういうふうなものであるならば、発給の制限はしないという原則的な立場に立っての旅券法であり、旅券法の改正であり、そういう旅券でなければ、やはり今後においても問題が出てくると思いますので、私はいまそれを念のために伺ったのですが、大臣のいまの答弁には、いけばまだいろいろあるわけですけれども、この辺にいたしまして、順を追って次の内容でそういう点を明らかにしていきたい、こういうふうに考えるわけです。  その証拠には、旅券法は許可申請じゃないですね。発給申請ですね。発給申請であるならば——それは身分証明書的なものだから、発給申請だ。許可とかなんとかいうものではないと思う。そういうところから考えても、発給制限をするというのはおかしいんじゃないか、私はこう思います。その点は、あとから具体的な例といいますか内容にわたって、そういう問題が出てきますから、審議の途中でそれも明らかにしていきたい、こういうふうに考えます。  そこで、旅券法は昭和二十六年に制定されて、そして今日まで十八年たっているわけです。その間に海外渡航者も非常にふえてきた。そこで、いろいろ改正の必要があると思われるので、今日旅券法の改正の提案がなされたわけでございましょうけれども、その間には旅券法を改正しなければならないというようなことが全然なくて、今回突如としてお出しになったのか。それとも、あったんだけれども、ほかの所管の、外務省以外の官庁、たとえば法務省などの反対とか、いろいろな問題で実現できなかったのか。この辺のことを明らかにしておいていただきたいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 議事進行。ちょっと遺憾ながら定足数が足らぬから、申し合わせに反しておる。三人足らぬ。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 速記を始めて。  戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いま質問しましたから、答弁してください。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 いま戸叶先生の御質問された件ですけれども、昭和二十六年に旅券法ができましたあくる年、昭和二十七年には、一万三千件ばかりの旅券を出していたわけでありますけれども、それから十数年たった四十年ごろには、十二万件の旅券を出して、そして渡航する人が非常に多くなりまして、その渡航する人たちが旅行するたびに旅券を取るということが、非常な不便を感じておられます。同時に、実務的にも旅券を発給する事務が非常にふえてきたということで、われわれはそのころから一生懸命旅券法の改正を考えておりましたけれども、ちょうど四十年のときには、各省の間でも意見が統一されませんで、国会にお出しする段階にはならなかったわけですが、今回は各省の意見も統一されまして、旅券法の改正をお願いしている次第であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 一番意見の一致しなかった点、そしてどこと一致しなかったかという点、明らかにしておいていただきたい。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 いろいろな点、いろいろ問題がありましたけれども、特に未承認共産圏に対する渡航の問題なんかは、非常に問題が多くてなかなかまとまりがつかなかった点であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 どこと一致しなかったのですか、どこの官庁と一番一致しなかったのですかと聞いているのです。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 やはり一番多かったのが法務省との間の話し合いであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうだと思うのです。そこがまたこれからもいいいろ問題があるところだと思います。  そこで、次に入りますが、提案理由の説明によりますと、旅券法は現在の渡航の実情に合致しなくなってきているとあるわけです。そこで、この実情に合致しなくなった個所というのはどことどこであるかということを列挙して、そしてそれをどういうふうに改正したか、いままでこうだったのをこう改正したということをはっきりさしていただきたい。と申しますのは、私も、この旅券法を審議するにあたって、いろいろと勉強いたしました。そうすると、新旧を比べてみますと、いろいろ大事なところの説明が両方とも抜けている。説明といいますか、何条の何というところが略、略、略と書いてあるわけです。それをいろいろ参考書なんかをひもどいて見てみますと、やっとわかるわけで、ああこんな大事なことが略になっているんだなと思われるようなところがたくさんあるわけです。それで、どういうところとどういうところを一体改正して、そしてどういうところが実情に合わなかったか、こういう点をまず伺いたい。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 今度の旅券法の改正案は、前の案から比べると、非常に多くの点が改善されていると考えておりますが、この改善されている点のおもな点を申し上げたいと思います。  まず第一に、いままでの旅券は、一回海外に渡航して帰ってくると無効になる。そしていままでの法律のもとでは、二年の数次旅券を出しておりましたけれども、それは非常に限定された業務などに携わっている方々に、相手国も、特にその国としょっちゅう往復するというような場合だけにお出ししておりまして、大体全部の旅券発給数のうちの五%くらいの方だけにしか出せなかった。そこで、今度の改正は、これを五年間有効にして、承認関係のある国についてはどこでも行けるようにして、そういう形にしますと、大体九九%の方は数次往復で行かれるという形になると考えております。  その次に、旅券発給手続の改善で、たとえばでありますけれども、いままでの法律によりますと、申請のときと交付のときと、両方とも本人に出頭していただいておりましたけれども、一回だけはどうしても本人に出頭していただく、あとの扱いは状況によって代理ができるというような改善を行なっております。  それから二重発給の禁止。これはいままでは一人で二回旅券の申請をしまして二重に受け取っている人たちがある。こういう人たちは特別な場合を除いてそういうことがないようにしたいということで、条文を設けました。  それから、いままでの旅券ですと、そのつど旅券をお出ししておりましたために、何か間違いが記載されている場合に、書きかえをしないで、新しい旅券をお出しするという制度をとっておりましたけれども、大きな間違いでなければ今度は書きかえで済ませよう。大体旅券というものははっきりしたものでなければならないので、訂正個所なんかなるたけないほうがいいのですけれども、諸外国でも小さな間違いの訂正は書きかえで済ましているということで、今度は五年間有効の旅券ですので、そのつど新しい旅券をお出しするのはたいへんですから、今度は書きかえでもって古い旅券をそのまま使えるようにできるというような条文も設けました。  そのほか、いままでの旅券は査証の押す欄がなくなった場合には、新しい旅券を発給しなければならなかったわけです。それでページ数が少ないと非常に不便されていたわけですが、今度はそのページ数を追加したり、また古い旅券がだめになった場合、なおそこに有効な査証が残っているというようなことがありますので、その場合には、新しい旅券と古い旅券を合冊しまして、古い査証を生かしたまま新しい旅券を使えるようにするというような法規を設けました。  そのほか、発給拒否の十三条の項に、いままでは十年の刑によって訴追されている者については発給しないことができるという規定がありましたけれども、これがいままでのように一回ごとの旅券の申請でなくなりまして、五年間数次有効ということになりますと、どうしても国外逃亡などの可能性が多くなるということで、長期五年以上の刑に当たる罪で訴追されている者について、旅券の発給を制限することができるというような新しい改定を行なっております。  それから、一番問題にされております例の横すべりという点、二十三条の二項、いままでは旅券の上に記載された渡航先以外の地域に行ってはならないという規定があったわけですけれども、それに対しては罰則がないということでありましたけれども、今度は五年数次の旅券をお出しするということに従いまして、その横すべり、記載された渡航先以外の地域に行った者に対して、三万円の罰金をかけるということにいたしました。  それから新たに、いままでは非常にたくさんの人が外国に出るようになりまして、いろいろお金がなくなったとかなんとかいうことで、国の費用でもって日本に帰ってくるような人がまた旅券の申請をするというような場合には、これも再びまた公の負担になるというような可能性がある場合には、旅券の発給を制限することができるという規定を設けました。  そのほか、いままでの旅券法では、旅券の失効の規定の中に、日本国民でなくなった者に対してその旅券がどうなるかという規定がはっきりありませんでしたけれども、今度の旅券法では、日本の国籍を喪失した場合には自動的にその方の持っておる旅券が効力がなくなるという規定を設けて、いろいろの混乱を防ぐという規定を設けております。  そのほか、いままでの旅券でありますと、一回限りの一渡航ごとの旅券でありましたために、一回お出しした旅券を受けながら、いつまでも外国に行かないという場合に、その旅券がどうなるかという問題がありまして、そういう場合には、受け取った人が六カ月以内に外国に出ない場合には、その旅券は失効するという規定になっておりましたけれども、今度は五年間有効の旅券をお出しすることになりますので、六カ月以内に外国に行かれなくても、その旅券は続いて有効である。ただし、旅券の申請をして、旅券をつくりましたけれども、いつまでも受け取りに来ないということだと役所としても困るということで、六カ月以内に受け取りに来られない場合には、そのつくった旅券は無効になるという規定に変えております。  そのほか、今度の新しい旅券法に、在外において長く一カ所に滞在される人に在留届けを出していただく。これはいままでも実際的には、三カ月以上同じ地域に滞在する方には、大使館なり領事館なりに届けを出していただいておりますけれども、最近のように世界で紛争などが起こりますと、いろいろ保護の事務が多くなります。そのほか、最近では各地に外務省で在外邦人のための学校などをしておりますけれども、そういう学校の経営なんか、学校の問題を討議するときにも、どうしてもどのくらいの方が外国にいるかということを正確に把握する必要が生じて、在留届けというものを今度の法律で書いていただく。ただし、この場合には、もちろん罰則などはついておりませんで、ただ在留届けを出さなければならないという規定になっております。  それからもう一つは、在外において最近いろいろ犯罪事件もしくは犯罪事件に類似した行為を行なう方がありまして、たとえば去年の秋にアメリカにおいて表彰状を渡すということで、アメリカにおける日本人の方々から金を集めたりなんかして、そういうような方があって、その地における日本人一般の信用を害するとか、または相手国政府が国外追放にしようと思っているとか、そういうような状態になった場合に、本人のためにもこれは帰っていただいたほうがいいというような場合に、旅券を返納してもらいまして、かわりに渡航証明書を出して帰っていただくというような規定を設けました。  そのほか、いままでは都道府県に対して権限を委任しておりますけれども、いままでの都道府県に対する権限の委任は、申請の受付と外務省でつくった旅券の交付ということだけに限られておりましたけれども、今度は旅券の作製の一部も都道府県に委任しまして、地方の都道府県に申請された場合に、必要な事項だけ本省に届けて、実際には旅券は地方の県でも作製できるというように、都道府県に対する権限委譲を拡大いたしました。  それから、いままでたとえば船員の方たちが船員手帳で外国に行っておりまして、病気などのために船からおかに上がりまして、それで船はそのまま出航したために、まっすぐ日本に帰らなければならない。そうすると、船員手帳だけで日本に帰る旅行をするということは不便が生じますので、そういう人たちに特別に帰国のための証明書、渡航書というものをお出しする。いままでは、これは法律に何にも規定ありませんでしたけれども、国籍証明書というものを出してやっておりましたが、やはり国籍証明書というような実際的な措置でありますと、外国に対する説明、外国側でオーソライズされた文書として認める場合にいろいろ問題が生ずるおそれがあるので、一応法律の上に帰国のための渡航書というものをはっきりするという規定を設けました。  さらに、手数料についてでありますが、昭和二十六年のときには、一回限りの旅券について千五百円、数次の旅券について三千円という規定になっておりましたけれども、その後現在までの間に物価が非常に上がった点も考慮いたしまして、一回限りの旅券については三千円、数次の旅券については六千円というふうに値上げをいたしました。  以上の点が大体おもな点であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いま、たいへんいい点だけをいろいろと述べられたわけです。きょうは初めての野党の質問ですから、いろいろといい点を述べさせて差し上げたわけなんですが、一番原則的な問題が御説明がなかったように私は思うわけです。と申しますのは、今度の旅券法の改正によって、やはりさっき私が言いましたように、一番基本的な問題になるのはいわゆる発給制限——発給申請なんだから発給制限をすべきではない。旅券とは何ぞやから始まってきましたが、ああいうふうな精神から見て、その精神にもとるような内容があるということ、これは私は一番の旅券法の問題じゃないか、こういうふうに考えるわけです。  私も、確かに非常に海外旅行の人がふえてきて、そして手数であるということは認めますし、前進させていかなきゃならないということも認めますけれども、やはりこの旅券の精神というものを曲げていただいては困る。やはりはっきりその基本理念というものは貫いていかなければいけないんじゃないか。ことに憲法や国連憲章、平和条約、世界人権宣言などで、渡航の自由というものは定められている。これは当然のことだと思うのです。そういうふうな精神に沿うて一体この旅券法の改正がなされたかどうかということを考えますと、私は、これはそういう精神にもとるものがあるんじゃないかというふうに残念ながら考えますけれども、外務大臣、これはいかがでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 私は、旅券というものの性質からいって、先ほども御論議がありましたけれども、今回の改正はその精神に沿うものである、こういうふうに考えております。その点においては、もう少し御論議がなければ私の考えに同調していただけないかもしれませんけれども、私はそういうつもりでやっているわけです。といいますのは、先ほど申し上げましたけれども、私は、いろいろの点から、理想的にいえば、旅券というものは、先ほどおっしゃったように、身分証明書というようなものであるのが本来の理想的な姿だと思う。それからもう一点は、いまおっしゃったように、憲法あるいはもっと国際的ないろいろの考え方からいっても、海外、日本からいえば海外に渡航するというようなことは、基本的な人権ですから、これも自由濶達にどこへでも出られるということをできるだけ保証してあげるのが、これが理想だと思います。しかし、同時に、先ほど私が申しましたように、一人の同胞が外へ出ていくという場合には、もう一つこの旅券に関連して、旅券の文言にもはっきりありますように、この者は日本国民である、そして今回こういうこころを旅行するについては、便宜の供与とか身分の保護とかいうようなことについてよろしくお頼みしますよ、こういう性格があるわけですね。そしてまた、日本国政府にしても、他国の政府にいたしましても、自国の国民に対してこういうことを要求するのは当然であるし、要求するからには、それにふさわしいことを相手国が保証してくれることがまた望ましいことではなかろうかと思うのです。そういうときに、たとえば国交正常化がされておる国に対しては、まあ相互主義その他の関係もございましょう、いろいろ国によって違うかもしれませんが、そういう保証が未承認の国よりは得られやすい。こういうことも、先ほど私が申しましたように、もうきわめて常識的に御理解をいただけるのではなかろうか。そこに際してどういうふうな処置をとるかということについては、外国の例その他もいろいろございましょうけれども、そういう点については、責任のある政府としては十分の配慮をしなければならないのではなかろうか。こういうふうな考え方で、先ほど山下政府委員からるる御説明いたしましたように、非常に多くの方々に、私は、この問題の本筋からいっても、事実上のプラクチカルな面からいっても、大多数の日本国民のために利益になり便宜を供与することをできるだけ大幅にして、そして国民的な御要望にもこたえたいし、法のたてまえとするところにもなるべく広く合致するようにしたい。この利点というものを十分ひとつ御理解をいただきたいと思うのであります。  プラクチカルの面からいえば、外務省が旅券事務をお扱いしているわけですけれども、これ以上旧態依然たる旅券法をそのままにしておいたら、事務的にもパンクしてしまう。ここ数年ならずして百万件というようなことは決して夢でもおどかしでもないと思うのです。それを諸外国の例にもかんがみまして、そしてこういうふうにこの際私も決意をして、御審議をお願いしているのでありますから、その大きな利益のために、御懸念のようなことがございますことが予想される場合においては、これは運用その他においても十分御相談に乗り得るのではなかろうか、私はこういうふうにも考えるわけでございますから、どうかその辺のところを十分詳細に、御論議はほんとに十分に御疑念を晴らしていただきたいと思いますけれども、同時に、私どもの考えております理想からは百点は取れませんでしょう。しかし、その実際の便宜からいって、それに近いこと、これに到達できるような、政府としても苦心の存するところを野党の側におかれましても十分ひとつ御理解を進めていただきたい、かように私はお願いをいたしたいと思います。   〔「定足数が足りない」と呼ぶ者あり〕

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 速記を始めて。  戸叶君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 委員長に一言苦言を呈したいと思うのです。私、旅券法というのは非常に大事な法律だと思いまして、私も一生懸命勉強をしてまいりました。そして、いろいろ聞いて確めておかなければならないと思っておるのですが、聞き出すとやめなければならない状態に追い込まれて、これじゃなかなか聞きたい一番重要なところまで、いついけるかわからないと思うのです。こんな速度でいくと、三週間や五週間かかってもまだいけないのじゃないかと思って、たいへん心配をいたしておりますので、十分審議が続けてできるような状態に置いていただきたい、これをまずお願いをしたいと思います。  そこで、いま外務大臣から、旅券法のことで、こういうふうにたくさんの人が行くようになったので、事務の繁雑さを省くためにも非常に必要であるという、いろいろな問題をお話しになりました。そしてまた、この問題点で、運用の面でお話をすべきようなことは相談に応じるというような、含みのあるおことばもあったわけでございますが、その問題につきましては、今後において審議をしてまいります過程でまた詳しく伺いたいと思います。  ただ、先ほどから私が質問いたしております、この旅券法で一番問題になることは、渡航の自由というものが制限をされるということが一番の問題であろうと思います。渡航の自由が制限されるのですが、それに対しまして政府の答弁としては、たとえば国交承認国と未承認国との旅券の種類を分けたんだ、シングルとマルチプルとに二通りにしたのだ。マルチプルのほうはたいへんによくなったかもしれませんけれども、承認国、未承認国と分けて、未承認国をシングルにするにしても、それをもらうにも非常に制限がある。こういうところに私は非常に大きな問題があると思うわけでございますが、その理由として、未承認国に対しては、まだ国交が回復しておりませんので、身分の点等で十分保障されないようなことがあってはいけないからというような意味の答弁をされているわけです。私は、これは先ほど来申し上げておりますように、発給制限というものをするのはおかしいじゃないかということを言っているわけです。それに対するいまの御答弁があったわけですか、そうしますと、いままででも非常に多くの人たちが国交未回復の国へ行っていたと思います。たとえば最近になりましても、共産圏諸国との往復が増加してきております。そして政府がよくお使いになることばで、国益のために、貿易などで非常に役に立っているわけです。たとえば正式に行った人たちの中で、北朝鮮では十二となっておりますけれども、事実上はまだ多い。それで、未承認国の往復がふえている現状にかんがみまして、未承認国は一次往復旅券、その他の各国は数次往復旅券と二本立てにしないで、一本立てにすべきではなかったか、私はこれが一番重要な問題ではないか、こう考えるわけです。そこで、先ほどの御答弁によりますと、未回復の国では身分が十分に保障されるかどうかわからないというふうなことでございましたが、実際にいままでそういう国へ行っていらっしゃる方で身分が保障されなかったような例、たとえば向こうへ行って行くえ不明、連れていかれてしまったとか、そういう例がそんなにたくさんありましたか。たまにはそれはあったかもしれませんけども、そういうふうな人たちがあるから、たとえば一人か二人あったから、だからこういうことになるのだとかというふうなことを言われるのは、今日までの発給制限ということから見ると、不当ではないか、こういうふうに私は考えるわけですが、この点についての御答弁を伺いたいと思います。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 いまの点でございますけれども、一回限りの旅券をお出しする場合と、数次の往復の旅券をお出しする場合と、旅券法の上で書いてあるわけではございませんで、決して承認しない国だけということではなくて、状況によっては、たとえばローデシアのような場合に、国連の決議があって——いまのところは移住者はいかぬという決議でありますが、これはあるいは渡航もいけないというような場合には、これも制限しなければならないということを考えております。決して未承認、承認していない共産圏だけというふうに限定しているわけではございません。  それから、たとえば、御本人の方がそこの国に行って不便を受けているという例でありますけれども、最近中共において十三名の方が行くえ不明、消息不明ということで、外務省がいろいろ消息をたずね、また早期に帰れるように苦労しておることは御存じのとおりだと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 行くえ不明になったり、それからいろいろな問題があるというのは、国交未回復の国だけには限られていないと思います。たとえば行った国で、戦争状態というか、混乱状態が起きたときにも、いろいろな問題が起きておることがあると思うのですね。ですから、一がいに国交未回復の国に行くと身分があぶない、危険だからいけないのだということは、ちょっと私は言い過ぎではないかと思うのですが……。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 承認国の場合もいろいろトラブルが起こっておりまして、現在われわれの領事事務として非常にあれしておりますけれども、その場合におきましては、在外公館があるので、かなり手の届いた措置がとられ得るような状態でありますけれども、承認していない国におきましては、何ぶんにも公館もありませんし、いろいろ不便を感じておるようなわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そういうことは、外交的に早く不便を感じないようにしていったらいいのではないかと私は思いますね。それをそういう問題をほうっておいて、旅券のほうにだけしわ寄せをするということは、ちょっと納得できないと思うのですが、この問題はあとで同僚の委員からも聞くと思います。  そこで、共産圏諸国への渡航を認めていない国は、アメリカと韓国と台湾というような一部の国だろうと私は思うのですが、まだたくさんありますか。日本がそういうふうな国に追従してこういうふうな道をとらなくてもいいのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 地域的にはっきり制限として書いてあるのは、アメリカ、ブラジル、豪州、南ア、レバノン、ソビエト、ポルトガル、スペイン、イタリア、インド、マレーシア、フィリピン等の諸国であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 違うのです。共産圏諸国への渡航を認めていない国という意味です。日本が今度認めていないわけでしょう。だから、そういうふうに同じように共産圏諸国——共産圏諸国とはいえないのですけれども、国交未回復の国には認めていないわけですが、共産圏に渡航を認めていない国というのは、アメリカと韓国と台湾くらいじゃないかと思うのですが、これは私の知識が誤っているかどうかということです。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 日本の場合ですけれども、未承認の共産圏への渡航は、原則として認めておるわけです。それで、例外的な場合に発給が制限されておる……。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私、質問をはっきりさせましょう。この国から共産圏諸国への渡航は認めないという国があると思うのですね。たとえばアメリカが北朝鮮はだめだとかなんとかいうふうな形で認めていないのか、それともアメリカは未承認国に対して渡航を認めていないのか、その点のところがはっきりしないのですけれども、この点をはっきりさせて、一体どういう国が未承認国に対して渡航の制限をしているかということを伺いたいわけです。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 アメリカなどの場合には、承認していない国というものを旅券の渡航先から除いております。それからフィリピンの場合には、共産圏を除くすべての国というのが渡航先になっております。マレーシアも共産圏を除く国、それからイタリアは共産圏を除くすべての国に有効、共産圏の場合には日本と同じようにそのつど申請する、それからスペインの場合には共産圏を除くすべての国に有効、それからポルトガルの場合には共産圏についてそのつど審査して認める。  大体その辺がおもなところですが、これは先ほど戸叶先生が要求されました資料として、あとからお出ししたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 現在外国人登録法によってわが国に居住している外国人が、朝鮮籍の人が五十七万八千人、中国籍の人が四万八千人というふうにいわれているわけですが、これは三十九年四月一日の法務省の統計です。中国や北鮮にいる日本の婦人も里帰りを希望しているように、これらの在日中国人だとか北鮮の人たちも墓参とか里帰りを希望しているように思いますけれども、これらの人の一時帰国を政府は人道問題としてどういうふうにこれまで取扱ってきたか、これはやはり旅券法との問題にからんで、この際はっきりさせておいていただきたいと思いますので、伺いたいと思います。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 いまのお尋ねの点は、日本人で中共や北鮮にいる方の里帰りの点は外務省のほうでやっておりますけれども、逆に日本に住んでおります朝鮮人や中国人の方の里帰りは入国管理局のほうで主管しておりまして、私たちが答弁いたしますよりも、入国管理局のほうから御答弁いただいたほうがいいのじゃないかと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまの問題、法務省、厚生省にも関係のあることで、さらに私伺っておきたいことは、今後中国人とか北朝鮮系の人たちの里帰りとか墓参のための一時帰国について、どういうふうにその問題を解決されていくかということも、この際ついでに聞いておきたいものですから、その二つの問題は法務省なり厚生省の方にあとの機会に答弁していただきたい、こういうふうに要望いたしておきます。  それから、先ほどちょっと資料の中で要求をして、まだ資料が手元にないものですからわからないのですけれども、出入国管理令の五条の二項によりますと、日本人の入国を拒否している国の国民のわが国への入国は拒否することができるというふうになっておりますけれども、日本人の入国を拒否している国というのはあるのかないのかということがちょっと疑問なんですが、これはどうなっておりましょうか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 具体的な個々の場合には拒否されることがしばしばあると聞いておりますけれども、日本人であるからといって一人も入れないというような政策をとっている国はないとわれわれは思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 一人も入れないという国はないということがはっきりしたわけですね。そうしますと、この問題は出入国管理令の問題として聞くことにしましょう。  それから、十八条の一項の三号によりますと、現行法では、数次住復用の旅券で発行日から二年を経過した日において、国外にいたときは帰国まで有効とされており、旅券とは外国への渡航が終了するまで有効とする原則的な考え方が出ております。それが今度のこの改正案によりますと、数次往復用の旅券は、有効期間が五年と延長されたものの、その効力は、外国に渡航中であっても期限が経過したときは効力を失うとなっているわけです。これでは旅券の本来の目的とする外国への渡航が終了するまで有効という原則がくずれてしまうことになって、かえって改悪になったように私は考えるわけですが、この現行法を変えてしまった理由はどういうところにあるわけでしょうか。現行法どおり帰国まで有効というふうになぜしなかったかということであります。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 大体、国際的にどこの国でもいまは五年という期間を限って出すのがいいということで、OECDや国連の観光会議でもそういう勧告が出ております。ただし、私たちとしましては、ある場合には一回出たらそのままいつまでも有効の旅券のほうがいいという場合もあり得るということで、いままでの一回限りの旅券はそのまま残しておきまして、たとえば移住者の方なんかで一回外国に出る、そのかわり、帰ってくる予定はないけれども、向こうにずっといるんだということで、現在は、御本人の希望によっていままでのような一回限りの旅行で外国にいる間ずっと続くような旅券も残して、今度は改正を考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 外国に渡航中でも期限が切れちゃうと無効になっちゃうわけでしょう。いままでは帰ってくるまでそれは期限が切れても有効だったわけですね。そうすると、行っていて期限が切れちゃった、もうだめだというふうになったときに、やはり問題が起きるし、また罰則規定によって罰則をかけられるというようなことになるんじゃないですか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 五年数次の場合には、外国に行っていて五年が過ぎると、その旅券は無効になりますけれども、罰則は関係ございませんで、実際に旅券がないと不便される、そこで、もよりの公館に行って新しい旅券を申請していただく、その場合に、もし古い旅券に査証が残っておれば合冊ということで、新しい旅券と古い旅券と一緒にしていただくということになっております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、渡航中に期限が切れてしまったならば、もよりの領事館に行ってそれは書きかえてもらう、書きかえてもらうというよりも、何か証明書をもらってその旅券につけ足せばいいということになるのですか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 新しい旅券を発給してもらって、古い旅券に査証が残っておれば一緒にしてもらうということです。そうして新しい旅券で五年間また続くということであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、もよりの領事館でそんなことをするのですか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 もよりの在外大使館もしくは領事館、どちらでもけっこうです。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それは公用旅券の場合にはどうなっているんですか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 公用旅券の場合にはあまり五年数次をお出しすることはないと思いますけれども、この場合には、特別に国でそういう要務を規定した場合には、在外にいる間ずっと続くように規定しております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ちょっとしまいのほうがわからなかったのですが、公用旅券ですと、帰ってくるまでそれが有効である、しばらくいても有効であるということなんでしょうか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 そういうことで、ございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 公用旅券と一般旅券をそういう場合に区別した理由は何でしょうか。やはり公用旅券と同じように、渡航先で期限が切れた場合にも、帰ってくるまでそれを有効にしておいたほうが便利じゃないか、手数が省けるのじゃないかというふうに、私どもはしろうとで考えるわけですが、これはどういうふうに理解したらいいでしょうか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 公用旅券の場合で五年以上続けているという場合はほとんどないと思っておりますけれども、たまにそういうことがあるという場合は、特別として帰るまで有効にしたらいいのじゃないかというふうに考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 公用旅券の場合ですか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 公用旅券の場合です。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そういうふうな区別をつけたところにも、私は幾らか問題があるような気がするのです。同じにしておいたほうがいいのじゃないかと思うわけで、この点は、私と外務省の考えとちょっと違うわけです。  そこで、十三条と二十三条があとで大きな問題になりますので、それ前に小さな問題をいろいろと聞いておきたいと思うのです。  この二条の五号でいう「都道府県知事」は、申請書を受理し、身元確認事務を行なったり、政令できめるところにより委任される事項を行なうということになっておりますが、それだけでしょうか。それ以外のことはできないのでしょうか。——もう少し伺いますが、たとえば申請書を審査したり、あるいは意見を付して外務大臣に申請書を送付するとか、そういうようなことはできないのでしょうか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 都道府県知事において、特に今後は確認事務などをよくやってもらうつもりでおりますけれども、その場合に、いろいろ不十分な点があれば、意見を付して外務省のほうに連絡していただくということになると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そういうふうになっているのですか。法文上はなっていないわけですね。たしか四十年の改正のときには、そういうことも考えられて、法文の上にもはっきりさせたというふうに聞いているわけなんですけれども、これは私が間違っているのでしょうか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 法文の上では、都道府県知事への委任という項目を二十二条にのっけておりまして、そこで、いずれ政令によってこまかくきめたいと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ちょっと済みませんが、しまいのほうがわからなかったのですが……。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 二十二条に「事務の一部を都道府県知事に委任することができる。」となっておりまして、いずれ政令によって委任事項をはっきりきめて、どういう場合に外務省のほうに連絡するかというようなこともきめたいと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 これは二十二条にあるのですか。二十二条の二に、「必要な事項は、外務省令で定める。」そうすると、この外務省令で都道府県知事にこうこうこういう権限を与えるのだということをあらためてきめるということでございますか。その中では、都道府県知事が審査をしたり意見を付して外務大臣に出すことができるというふうなものを外務省令で出すのだ、こういうふうに読むわけですか。そうすると、四十年のときにははっきりとこの改正の中に入っていたのを、それを除いて、そして今度は二十二条で新しく省令を出してそれできめるのだ、法文化はしないけれども、外務省令できめるのだ、こういうふうに解釈していいわけですか。もしそうだとするならば、これは私わからないから聞くのですけれども、法律の中に入れないで、こういうふうに省令できめるというのはどういうわけなんですか。そういうことであるならば、法律の中へきめてもいいのじゃないですか。それは私がしろうとで聞くわけですから、ちょっとわかるように教えていただきたいのですが、たとえば四十年のときにはそういうのを法令の中に入れておいたけれども、今度はそれをはずして外務省令できめるんだというふうに変えたわけはどういうところにあるか、法律の中でもいいのじゃないかというような気がするのです。全くしろうとの考え方ですけれども、それはどうしてそういうふうにお分けになったかということを聞いておきたい。

林祐一外務大臣官房領事移住部旅券課長事務取扱

○林説明員 元来、現行の旅券法というものが、非常に手続的にこまかい点を規定してございます。でき得ればわれわれとしまして改正案では簡易化していきたい。しかし、国民の権利義務に関係する問題でございますから、その点は大事に取り扱っていきたい、かように思っております。  そこでいま御指摘の点でございますが、現行法におきましては都道府県知事の役割りは受付と交付、さらに改正におきまして確認をするということで、はっきり明文を設けたわけでございますけれども、二十二条の規定を設けたゆえんは、さらにもっとこまかい点で、たとえば外務大臣が行なう旅券の作製事務の一部をやらせようといった場合とか、あるいはほんとうにこまかい細部にわたる確認に伴う、つまり、はたして戸籍謄本を持ってきた申請者が本人であるかどうかという点についての手続的の問題についても、内容を調べる必要があるといった場合においては、政令で——もちろん政令と申しますと、各省の協議を経て手続的にこうするということを了解を得た上で処理して、政令という形で公布したい。したがいまして、そういったこまかいことは、これは法律としてはできるだけ二十二条の政令の規定で規定をお願いして、一般的に処理していきたい、かように思っている次第であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私がいまのような質問をしましたのは、この法文を読んでいますと、政令とか外務省令とかいうことばがいっぱい出てくるわけですよ。だから、そういうのが多過ぎはしないかというような懸念をちょっと持ったわけなのです。だから、私たちが読んでも、ちょっと一体何だろう、外務省令、政令、どうしてそういうふうに政令、省令を多くしたのだろうというふうに疑問を持つものですから、その点を伺ったのですが、それはどういうふうに理解したらよろしいのですか。まあ、めんどうくさいことは国民に知らせないで、こっちでやりますということなんですか。どういうことですか。

林祐一外務大臣官房領事移住部旅券課長事務取扱

○林説明員 たとえば手数料を国民からお取りするわけでございますが、取ったものをどのように使って作製なり旅券行政を行なうかという点がありますと、これはやはり外務省と自治省との関係だ、こういうことで、また都道府県知事も関係してきますけれども、そういう点で、あまりにも細部にわたる点はできるだけ政令ないし省令で処理していきたい。政令の段階におきましては、当然関係各省との協議が必要でございますから、そういう大きな問題につきましては政令でやる。また、政令できまったワク内において外務省だけで基準を設けて処理できるといった場合におきましては、省令で処していきたい、かように思っております。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 速記を始めて。  質疑を継続願います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 四条に「旅券の二重受給の禁止」ということがありますけれども、その中で、しまいのほうに、「外務大臣又は領事官がその者の保護又は渡航の便宜のため特に必要があると認める場合は、この限りでない。」こういうことがあるわけですけれども、これは具体的にどういうふうなことをいっているのでしょうか。「特に必要があると認める場合」というのは、たとえばどういうようなことをいっているのですか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 現在では、たとえばイスラエルとアラブの戦争がありまして、イスラエルに渡航した人が同じ旅券でアラブに行くと、アラブのほうで査証をくれないというようなことがありまして、イスラエルに行く人に特別に旅券をお出しして、その人が二枚旅券を持っていくというようなことをやっております。そういうことが今後も続くという可能性がありますので、場合によって、渡航の便宜を考慮して二枚の旅券をお出しすることになるということがある。その場合のために設けた規定でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 前もってそういうことがわかるときに、二つ持たせて、そして片一方が入れないような場合がないようにしてやるということですね。全く事務的なことですね。  第五条の一項の後段ですが、「第五項の申請をした者について数次往復の必要を認めるときは、有効期間が五年の数次往復用の一般旅券を発行することができる。」そこで、外務大臣が必要を認めなければ申請をしても発給してもらえないかどうかということが出てくるわけですが、この点をはっきりさせていただきたい。何を裁量してそういうことをおきめになるのかということをお聞きしたい。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 大体、この旅券法は現行の旅券法をもとにして一部改正の形でやっておりますから、こういう表現をとっておりますけれども、われわれとしては、いわゆる十三条の発給制限とか特別な事情がない限り、申請があればなるたけお出しするという方向で実務をやっていきたいと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまの御答弁を伺っておりますと、そうすると、このことばは要らないということですね。先ほどから話があるような、たとえば特別の国を除いてはお出しになるというわけでしょう。そうだとすると、こういうことは要らないような気がするのですが、どういうお考えでしょうか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 われわれとしては要らないのが理想だと思って、そういうふうに考えております。実際上は、申請書に一回限りの旅券と数次往復の旅券と二つ置いておいて、数次旅券のほうを希望されるということがそこではっきりすれば出したいと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この条文からはそう読めませんね。「数次往復の必要を認めるときは、」ということになりますと、認めないときは出さないということで、どういうときは認めないかという問題が出てくる。たとえばこうこうこういうときには認めませんということを、例を引いておっしゃっていただきたい。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 いまのところ、特別な十三条の制限の事由とか、そういうものがない限り認めるつもりでおります。この書き方は、どこまでも一応何々することができるという書き方になっておりますけれども、これは前の法律の表現をそのまま借りたので、そういう形になっております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、もう一度念のためにはっきりさせておきたいことは、これは十三条のことに該当している文句であって、十三条がなくなればこういうのはないのだ、こういうふうに言うわけですね。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 十三条だけに限ったことじゃなくて、たとえば十九条の場合には、渡航者の生命、身体、財産とか、そういう項目がありますね。必ずしも十三条だけとは限りませんけれども、一般的に、現行法で考えられる特別なそういう制限の条項にかからない限り、われわれとしてはできるだけ出すつもりでおります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私はそのことばの内容に何かひっかかるような気がするのです。そうすると、出さない場合もあるというふうにとらなくちゃならないわけですね。十三条の場合もあるし、十九条の場合——十九条の場合といいますと、返納の場合ですか。その返納のしかただとか、そういうふうな十九条に触れるような場合には出さないことがあるということなんですか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 たとえば生命、身体、財産に非常に危険があるというときは返納するということになって、当然出しても返納していただくというようなことになると予想される場合は、出さないことがある。また、先ほど御説明をいたしましたように、国援法なんかで帰ってきて、国の費用で帰ってきて、そのお金を国家に返さないでまたすぐ出ていく、それでまた国の負担になるようなおそれがある場合、返納の規定がございますけれども、そういう場合も、一たん出してすぐ返納していただくことになるということを避ける意味で、制限されることがあると考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、制限されるときはもうきまっているわけですね。どういう場合、どういう場合と、そういう基準はもうきめられてあるわけですね、そのつどでなくて。たとえばこの旅券法でいえば十三条と十九条、こういうふうに理解していいわけですか。ほかにもまだありますか。

林祐一外務大臣官房領事移住部旅券課長事務取扱

○林説明員 この五条第一項の必要を認めるという内容につきましては、現在われわれ事務的に検討を重ねておりますが、現在の考え方といたしましては、原則として十三条、十九条を頭に置いております。ただし、時代の推移によりまして必要を認めてくる場合においては考えなければならぬということもあるかと思います。しかし、われわれは、現在におきましては、十三条、十九条を置いて考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そこら辺がちょっとあいまいなんですよ。先へいって、旅券法で、申請しても発給してもらえないような場合がこの条項をたてに出てきはしないかということが、しろうと考えにしても出てくるわけなんです。だから、いまの課長の御答弁でも、いまは十三条、十九条というふうに考えているけれども、時代の推移によっては、またこれに該当するような場合も出てくるかもしれない。たとえばそれはどういうふうなことを想像したらいいのでしょうか、その点をはっきりさしていただきたい。

林祐一外務大臣官房領事移住部旅券課長事務取扱

○林説明員 たとえば発給申請をしないで二枚旅券を持ったという事例が発生した場合、あるいは二十三条の第一号の規定に基づきます、虚偽申請をしようとした未遂の場合という点が考えられると思うのです。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この条項は、私はこれほど重要な条項だとは思わなかったのですが、聞いているうちに、なかなかこれは意味の深い、たいへんな問題だなということを感じました。この問題も、もう少し、こういうふうな場合というようなことの定義をあとではっきり伺っておきたいと思うのです。できれば、それをあとの機会にちょっと表にして出していただけたらと思います。  時間がないから先に急ぎます。  次に、一般旅券につきましては、今回のようにシングルと数次往復旅券の二本立てとしないで、その有効期間を一律に発行日から五年として、有効期間を一回限り更新できるような措置をとることができなかったかどうか、これをまず伺いたいと思うのです。四十年の改正のときには、たしか全部五年一本であったように聞いているのですが、これはいかがでございますか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 四十年の場合にいろいろやりましたけれども、その場合には、結局、いろいろな案がありまして、最終的に一つの案に固まっておりません。そこで、いま先生の言われたような案もありましたけれども、そうでない案も、現在のような案もありました。それで、現実には、五年数次終わったときに更新するという考え方がありましたけれども、今度は更新ということのかわりに合冊という考え方を持ってきましたので、実際にはもよりの大使館なり領事館に行って、更新するかわりに合冊してもらえば、そのまま五年がその次の五年に延びるということで、実質的には変わりないのじゃないかとわれわれは考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 先ほどからの、旅券法が前進をしたものだというふうな点から考えて、そして国民の便宜を考えるということから考え、事務の合理化ということから考えれば、やはり統一して五年にしたほうがいいんじゃないか。しかし、私が聞いたところでは、法務省のほう等で、公安の立場からいうと、五年は少し長過ぎるのじゃないかというような意見が出てきたので、二年と五年に分けたのだということも聞いておりますけれども、そういうふうなことがあったかどうか、正直にお話しをしておいていただきたいと思います。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 いまの先生のあれで、二年と五年に分けたというのはわからないのですけれども、今度の旅券法では五年と一回限りに分けたということでございまして、この前いろいろ考えましたけれども、結局現在の旅券法を一部改正していく、その一部改正した方式によって、この前われわれが考えたような渡航者の便宜をはかるという、同じような便宜をはかるということで、今回の案をつくったわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 事務能率をあげるという点からいえば、やはり五年にして、一般旅券を二つに分けないほうがいいんじゃないかというふうに思いますけれども、いまの御答弁了承しておきましょう。  それから七条ですが、渡航目的の変更というところがあるわけです。渡航目的の変更の際は、なぜ返納の上に新たに発給申請をしなければならないか、これが疑問になるわけです。記載事項の訂正とか、渡航先の追加のように、訂正とか追加申請のみで簡便にするような方法はとれなかったのだろうかどうかということが疑問になってくる。返納の上に新たに発給申請をしなければならないことになっていますけれども、どうしてそういうふうな手数なことをしたかということを伺いたい。

林祐一外務大臣官房領事移住部旅券課長事務取扱

○林説明員 渡航目的と渡航先等は、八条の規定がございますけれども、特に七条で渡航目的変更云々というふうに書いてございますのは、現行法のたてまえをなるべく尊重した上で、一部改正しようという心がまえで出発しておりますので、若干おわかりにくいかもしれません。しかし、現行法のたてまえと申しますと、やはり渡航目的と渡航先というのがたてまえで、これが現行旅券法の柱になっておるわけでございます。  そこで、渡航目的の変更は、どういう場合に具体的に必要が出てくるかと申しますと、改正後におきましては、数次往復用の五年間の旅券を持っております方は、渡航目的は特定せずという記載内容で処置するつもりでおりますので、したがいまして、七条の規定は直ちにはかぶってまいりません。七条の規定自体の趣旨は、目的の変更をしようとする場合は、一般旅券を返納の上、新たに一般旅券の発給を申請しなければならない、こう書いてございますが、その規定自体は、運営上はシングルの一回限りの旅券の場合において適用されると理解いたしております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、これは一回限りのときだけ使用して、そうしてマルチプルのときには使わないということですか、この条項は。

林祐一外務大臣官房領事移住部旅券課長事務取扱

○林説明員 そのように理解いたしております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それでわかりました。  九条の四項に「外務大臣又は領事官は、旅券の記載事項に変更を生じ、又は誤りがあることを知った場合には、当該旅券の名義人(公用旅券でその名義人が国内にあるものについては、」云々とあるわけですけれども、外務大臣とか領事官が職権によって旅券の記載事項を訂正できるということは、少し行き過ぎではないかというふうに考えるわけです。何かこの中に含みがあるのではないかというように思いますが、この点の見解を承っておきたいと思います。

林祐一外務大臣官房領事移住部旅券課長事務取扱

○林説明員 別に深い含みがあるわけではございませんでして、元来、先ほど申しましたように、渡航先ないし渡航目的の変更があったという場合におきましては、やはり正しく直してもらいたいという気持ちで、ございますけれども、しかしながら、場合によっては、記載事項の内容が変更を生じたといった場合におきましては、本人の申請を待たないで、役所のほうで手数料を要求しないでお直ししたほうがいい場合もあるかと思いますので、この規定を設けたわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それは何か少し外務省のほうで行き過ぎがあるのではないですか。本人が手続をしないでも自由にするというわけですか。

林祐一外務大臣官房領事移住部旅券課長事務取扱

○林説明員 非常にこまかい御質問でございますが、たとえば在外におきまして、本籍が変わったといった場合が発生するかと思うのでございますが、その場合に、非常に手続的にやっかいであるとかということもあるかと思いますし、あるいはそういう場合におきまして、役所側としまして、その事実を知った場合におきましては、役所側においてお直ししたほうが適当なところもあるのではなかろうかということで、職権訂正という条項を設けたわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そのときは当然本人の意思は無視しないわけでしょうね。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 もちろん私たちとしては、御本人の方が誤まった旅券を持っているということによって不便を受けられるという考えのもとに、訂正してあげるという考えでおります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私、こういうこまかいことをいろいろ聞きますのは、やはりはっきりさせておきませんと、あとで問題が起こってもいけないということと、それから外務大臣と領事官というものの権限が、何か職権でするということの文句が多いものですから、少し行き過ぎではないかと思われる点があるものですから、伺っているのですから、その点御理解願いたいと思うわけです。  そこで、こまかい点がまだ少しあるのですが、それを飛ばしまして、それはまたあとの機会に法務省が来られたときに聞くことにいたしまして、もう一つこまかい点で伺っておきたいことは、十一条の一項の前段で、同伴される子を十五歳未満と六歳未満と、この二通りに分けてあるわけですね。この使い分けは、十五歳未満と六歳未満と分けたのはどういうことになるわけですか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 六歳未満の場合には写真を張らないでいいということにしまして、特に五年持っている間に非常に成長しますから、写真を張らないでいいということにしたので、その区別が出てきたわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 わかりました。その程度のものですか。ここに書いてないものですから、ちょっとどういうわけで分けられたのかなということが疑問になったわけです。  それから次に、十三条の一項の五でございます。これは、法案をちょっと持ってこなかったので——私は新旧対照のほうを持ってきていて、法案にどんなふうに書いてあるかわからないのですけれども、新旧両方の対照表の法案によりますと、新のほうも旧のほうも「略」と書いてあるわけですね。それは法律のほうには書いてありますか。

林祐一外務大臣官房領事移住部旅券課長事務取扱

○林説明員 十三条一項の五の規定につきましては、今回の改正におきまして改正を加えておりません。したがいまして、従来どおり十三条「項の五の規定はそのままでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ではもう一度これを読み直してみます。たいへん重要な問題と思いますから、読み直したいと思うのですが、それはいままでも非常に問題になったことであり、これからも問題になることだと思うのですけれども、「外務大臣において、著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」ということになって、そういう人に対しては一般旅券の発給の制限ということになっているわけですね。これは前にわが党の帆足議員のときも、ソ連に終戦直後に行かれて問題になったわけでございまして、あとから帆足委員が自分の経験を通して質問をされることだと思いますけれども、私もはっきりさせていただきたいと思うわけでございます。外務大臣がこういうふうな「利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる」というふうな基準をどういうふうにしてきめられるかということが問題だと思うのです。これはどういうことを基準にしてそういうことをおやりになるかということを聞いてみたいと思います。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 別にはっきりした基準があるわけではなくて、そのときの国際情勢、国内情勢、それから具体的に渡航される方の目的、それからいろいろその場のそのケースに関する問題を十分検討して、外務大臣が決定されるということになると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 たいへんこれは抽象的な文章だけで、旅券の発給を受けられない理由はこうこうだとはっり法律にきめられるのだから、これははっきりすると思います。しかし、「国の利益又は公安を害する行為を行う虞がある」のではないかと認めて、これは法律的にこうこうだから取り締まるというのならはっきりわかりますけれども、そういう行為をするのではなかろうかという想定ではっきりしないというのは、少し行き過ぎではないかというふうに考えるのですが、この点はどうですか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 いままででも、この問題は非常に慎重に扱っておりまして、必要ある場合には、法務大臣だけではなくて、ほかの省のほうにも十分連絡し、また必要なときには内閣全体にもおはかりして検討して、慎重に取り扱ってきているのが実情です。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 慎重に取り扱ってきたと、そちらのほうではお思いになるかもしれませんが、私どものほうから見れば、慎重に取り扱ってきたという形跡は見られないわけです。たとえばいままでの例で、こういう裁量権を使って行使したという例があったら示していただきたい。こういう考え方のもとに、この人はこういうことではっきりしませんでしたということが、一つの例になると思うのです、次に制限をする場合の。ですから、こういう裁量をいたしましたので、その権利を行使してこうしましたというような例があったら、それを示していただきたい。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 この項目の場合に、特に国の利益もしくは公安ということがありまして、必ずしも、具体的な場合にこれこれだというはっきりした判定を公表しておるわけでもありませんし、すべてここで私が申し上げられるというものでもありませんけれども、たとえばの話でありますが、四十一年の場合に、中共から若い青年の方に招請状が参りまして、その招請状に基づいて中共に行かれるという場合に、いろいろな情報から、はっきり向こうで革命的な教育を行なうということがありまして、内閣において慎重検討の結果、旅券の発給を制限いたしたことがございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それ一つだけですか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 そのほかの場合の例といたしましては、昭和三十七年に、ソ連のほうからピオニールキャンプに小学生を招待したいという招請状が参って、申請がございましたけれども、その場合も、小学生のような、まだ十分成長してない方にいろいろ思想的な教育などが与えられるということは好ましくないということで、発給しないという態度をきめたことがございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それはいままでの例として二つだけですか。どういう裁量によってなされたか。たとえばここにあるのは、「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる」そうすると、小学生がキャンプに呼ばれていって、どうやって国益を害するような行為をするかということが疑問になってくるわけですね。また、そのときによって判断が違ってくるのじゃないかというふうなことも考えられるわけです。ですから、これは法律でこういう場合には制限いたしますとかいうふうにはっきり制限する場合には、そういうことがきめられてしかるべきである。そうでなくて、こういうふうな場合にはという一つの推定でもって、そしてそれに対して一つの裁量をして、それでやるというような行き方は、非常に行き過ぎであり、憲法違反だと私は思うのです。だから、そういう意味でこの条項はとられたほうが、せっかく改正されるのだったら、私はなくしたほうがいいのじゃないかというふうに思いますけれども、この点をもう一度伺っておきます。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 この条項は昔からいろいろ問題になりまして、御承知のように、政府の行なった決定がおかしいということで、訴訟事件も何回かありまして、政府が勝った場合もありますし、負けた場合もございますけれども、やはり実際上はわれわれとしても慎重に取り扱っている。そして今後も慎重に取り扱っていきたいと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまの問題は、大臣どういうふうにお考えになりますか。行政権の行き過ぎになるのじゃないかというふうに私は考える。たとえば取り扱う個々において異なってきて、不公平になるおそれが非常にあると思うのです。この点についてお伺いしたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これはいま政府委員からもるる御説明いたしましたように、第十三条第一項第五号は、今回の法改正においては、前と同様に、これには手をつけないほうがよろしかろうというのが政府の決意であり、これを原案としてきめたわけでございます。ただいまもいままでの前例等についての説明をいたしたわけでありますけれども、さような場合も、法律の上においてこまかくこうこういう場合ということを書くのには私はなじまない問題だろうと思いますが、さりとて、そういうことは全部除去してしまっていいものかどうかということになりますと、諸外国の例その他から見ましても、これは法律の上におきまして御審議をいただいて、この程度の幅において行政権にひとつおまかせをいただくということが、国益を守る最善の道である、政府としてはかように考えまして、この項目には手をつけないことにいたしたわけでございます。しかし、同時に、これは行き過ぎがあってはならないということは、御意見のとおりでございますから、今後も政府として、この条項の運用等については十分の戒心をいたさなければならない、かように考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 法律を改正していく上には前進していかなければならない、内容をよくしていかなければならないと思うのです。そういう意味から申しますと、たいへんに問題になっておりますし、それからまた、行政権の行き過ぎもありますし、いま外務大臣がお話しになりましたように、行き過ぎる面がないように気をつけていきたいというふうにおっしゃいましたし、学者の中にも非常に問題にされておるところですし、私がいまいろいろ申し上げるまでもなく、問題の多いところでございますし、こういうものはなくてもいいわけなんで、これはやはりこの際改正をするいいチャンスですから、取りはずしていただきたいと思うのですが、これに対して外務大臣どういうふうにお考えになりますか。このまま置かないで、やはりこれをはずしていただきたいと思いますが、いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 この点は、結果において意見が違うことを非常に残念に思いますけれども、私はこれは撤回する意図はございません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 こういうものがあるために、正しいものも曲げて解釈をされるし、また、判断というものも間違った判断がされる場合も出てくるわけでございまして、改正だからこれをなくしてほしいと申し上げましたけれども、いま外務大臣はそういう意思はないということで、まことに残念です。今後においてもこれは問題になってくるのじゃないかと思います。  また他の議員に譲ることにいたしまして、私は、ほかのいろいろな問題につきまして、法務大臣が来られましたときに、こまかい問題を聞きたいと思いますが、きょうもう一点だけお伺いしておきたいことは、この問題もまたあとから同僚の議員がたくさんお聞きになると思いますが、二十三条の二項の一に「一般旅券に記載された渡航先以外の地域に渡航した者」これは三万円以下の罰金を科するということがあるわけです。これは結局いままでの例から申しますと、先ほど以来いろいろ申し上げてまいりましたように、渡航制限をするというか、渡航の自由を奪っておるというか、いわゆる未承認国に対しての渡航制限ということが、問題になってくると思うのです。この対象になるのは北ベトナム、中国、朝鮮、東ドイツ等でございますけれども、政府から出されました統計を見ますと、中国なり東ドイツなり北ベトナムなりいろいろなところにも、旅券は一応出しているようですが、結局これは一番の対象になるのは北鮮の問題じゃないかと思うのです。そうすると、北鮮のほうに行こうと思っても、旅券は出してくれない。それで、それじゃよそを通って行かなければならない。しかもその行こうとする人が、いわゆる貿易で、政府の好きなことばを使えば、国益に非常に役立っている人たちである。そういう人たちが手も足も出なくなっちゃうというようなことが、この条文から出てくると思うのですが、それに対してどういうふうな方法で北鮮の貿易を今後においても日本の国益のために盛んにさせていこうとするのか、それとももうストップをして、そういうところはやめてしまえというふうにされるのか、この点をまず伺っておきたいと思います。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 いま戸叶先生の御質問があった北鮮に対する旅券の問題でありますが、北鮮に対して実際に旅券を拒否するというようなことはいままでした例はございませんで、実際上は、いろいろな関係で、北鮮に対する取り扱いが非常にむずかしくなっておるということで、現在までは実際に申請されたのは、国会議員の方と同行される方ということで、去年、四十三年度には十二名の方に旅券を出しているわけであります。あとの方が何人か行っておられるのじゃないかとわれわれ考えておりまして、今度の改正の機会に、そういう問題を十分頭に入れて、今後もいわゆる旅券の発給ということを前向きに慎重に検討していきたいと考えております。   〔「大臣の答弁」と呼ぶ者あり〕

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私も、そのあと大臣に伺おうと思ったのですが、いまの御答弁では、北鮮には拒否することがないというのは、今後においてですね。いままでは北鮮へ行きたいといえば、拒否されていたわけです。今後において拒否することはない。拒否するのではないというのは将来のことだと思うのですね。それが一つ。  それからもう一つは、やはり前向きの姿勢で取り組んでいきたいとおっしゃるからには、何か考えていただけることとは思いますけれども、ただ法律の文から読みますと、全く行く道が閉ざされているということが考えられるわけです。そしてたとえば、いまある程度考えていただきましても、法律をたてにとって、どうも問題があるからこれはだめだというようなことを言われやしないかということが、たいへん心配になるわけなのです。ですから、そういう点をもう少しはっきり大臣から伺えたら伺いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 私は、実は最初に戸叶委員の御質問にお答えいたしましたところに、私の気持ちはにじみ出ているつもりでございますが、いまのお尋ねの中で、今度の改正法律案によって、さような種類の旅券を発給する道がなくなったと仰せられたのは、いささか言い過ぎではないかと思うのでありまして、そういうふうには法律は構成されていない。少なくとも私はそういう気持ちで運用をしていきたい、かように考えておるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 もう少し伺っておきたいと思うのですけれども、大臣のおっしゃろうとすることもわからないではないのですけれども、発給する道がなくなったということは言い過ぎだとおっしゃるのは、私ちょっとわからないのです。と申しますのは、この条文からいいますと、たとえば国交未回復の国でも、北鮮なら北鮮へ行くといったときに、これはだめですよと言われれば、どうしてもよそを通っていかなければならない。そうすれば、それがいわゆる法律違反になる、罰金を取られる、パスポート、旅券は取られてしまう、五年間はそのまま発給されないということに、法文からいうとなるわけですね。ですから、そういうことがないようにしてもらいたいというのが私たちの考え方なのですけれども、それじゃ法律をある程度改正していただけるような御意思があるかどうかということを伺いたい。と申しますのは、大臣のお気持ちはよくわかるし、何とかよくやっていこう、国益のために、働く人のために、より前進した形で旅券法と取り組もうというお気持ちはわかりますけれども、この法文を読んだだけではそういうお考えがにじみ出てこないのですね。そうすると、その法律だけが先にどんどん行ってしまうものですから、あとでいろいろな問題が起こると困るので、何らかあとで改正するか何かしていただけるか、その点を念のためにいま一度お伺いします。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 実は非常に微妙な、むずかしい問題で、お互いにものの考え方やあるいは政策も違いますけれども、これは日本人同士でひとつ適正に運営をしていくのが日本の法律のメリットではないかと思います。善意があまりある場合に、こまかく明らかにされ過ぎて、結果が逆になることもございますから、そう言っても、おまえの言うことは信用せぬとおっしゃられればそれきりですが、どうかひとつ相互信頼をして、こうして外務委員会で十分御審議をいただいておるわけでございますから、言外の私の真意をおくみ取りいただきまして、御理解、御協力をいただきたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この点はこの辺でやめておきますが、もう一点伺いたいことは、パリならパリで急に中華人民共和国へ行きたくなった。用事ができたというような場合には、今度はすぐにパリの領事館で手続はできるわけですか。パリの領事館なり大使館に行っても、日本人である以上、日本の外務省へ行って、そこでもって許可を得なければならぬわけですね。そうすると、たいへん時間がかかりはしないかということも心配ですが……。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下政府委員 いま戸叶先生のお話の場合、パりの大使館に行って手続していただければ、電報で本省の意向をすぐ確認しまして、パリの大使館で中共行きの旅券をお出しするということになると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 残余の質問はあとにいたしたいと思います。  きょうはこれで終わります。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、来たる七月二日午前十時より理事会、十時十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時五十六分散会

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