外務委員会 第26号
- 発言数
- 52 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/06/20
会議録
○北澤委員長 これより会議を開きます。 理事の補欠選任についておはかりいたします。 去る五月二十八日、理事曽祢益君が委員を辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。この際、その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北澤委員長 御異議なしと認め、委員長は、理事に曽祢益君を指名いたします。 ————◇—————
○北澤委員長 旅券法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。永田亮一君。
○永田委員 旅券法の改正につきまして、まず総括的な事項を大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、今度の旅券法の改正案を出された趣旨といいますか、ねらっておられるおもなポイントはどういうところであるか、まず御説明を願いたいと思います。
○愛知国務大臣 最近わが国から海外に渡航する人たちの数というものが、年を追うごとに非常に激増しておりますことは御承知のとおりでございます。こういう状況の中で、日本の現行の旅券法というものは、俗なことばでいえば、きわめて陳腐化してしまっております。時代の要請にそぐわない、また諸外国の例等に見ましても、全く時代おくれのものである。御承知のとおり、数年前から、外務省としては旅券法の全面的な改正をやりたいということで、いろいろと苦心をいたしておりましたわけでございますが、今回成案を得ましたので、ぜひひとつ御審議の上、旅券法をりっぱなものに改正したい、時代の要請に合うようにしたい、こういう考え方で提案いたしたようなわけでございます。 したがって、今回の法律改正のねらいはどこにあるかということになりますと、国民の海外渡航の利便をはかるということが第一であります。同時に、先ほど申しましたように、非常に急速に激増してきておりますので、旅券事務を現在のままの旅券法のもとでやっておりますと、もうこの旅券の事務がいわばパンクしてしまう、たいへんなことになる状況にございますので、これを合理化したい。この二点と申しますか、合わせて一点と申しますか、これに集中しておるわけでございます。 どういう点が骨子かといいますと、第一は、五年数次往復用旅券というものを大幅に活用することであります。現在は旅券の中の九五%までは一回限りのいわゆるシングル旅券、それから残りの五%程度の二年数次往復用旅券というものもありますけれども、こういうことでは、諸外国の現在の状況などに比べましても、先ほど申しましたように、全く陳腐化しておりますので、五年間のマルチプル旅券に原則的に全部これを改めまして、特に承認関係のある国への渡航については、全面的に五年間のマルチプル旅券に改める、また渡航先についても包括的な記載ができ得るようにいたしたのが、具体的に申しますと、改正の内容の第一点でございます。これによりまして、一たん旅券をもらいますれば、五年間数次にわたって、かつ渡航先につきましても包括的な記載ができるようになりますから、現在に比べまして格段に便利になりまして、旅行者においても、あるいは旅券を扱う側、当局側におきましても、これは格段に簡素化といいますか、流動化といいますか、できることになって、世界の進運にも応じ得ることにもなる、かようなわけであります。 それから第二は、この改正に伴って若干の手数料を引き上げるということと、それから事務の地方分散をはかりまして、地方の都道府県等におきましても、十分このような状況に対処して、ひとつ事務を分担してもらうことにいたしたい。 それから三番目は、本人の出頭義務の緩和といったような事務の合理化をはかるという点であって、実務上の整備をはかるということでございます。 なおまた、本改正に伴いまして未承認国への問題がございますけれども、改正後におきましては、未承認国の中で、たとえば北鮮、中共、北越、東独への渡航には、これは未承認国でもございますので、従来どおり渡航ごとにシングル旅券を発給するという考え方をとっております。 これが概略申しまして、今回の改正の特色ということができると思います。
○永田委員 いまお答えになった中で、その事務の地方分散というのは、どの程度の権限を移されるわけですか。
○山下政府委員 現行の旅券法においては、都道府県におきまして申請を受け付けて、外務省でつくった旅券を交付するという形になっておりますけれども、今度はこの新しい法律ができましたら、都道府県でも作成事務を一部分担できるという形にして、外務省との間で、テレックスでもって要点だけを外務省に連絡してきて、外務省がオーケーになれば、すぐテレックスで都道府県に打ち返し、都道府県で作成事務もできるというようなことを考えております。
○永田委員 そうすると、最終的には都道府県でパスポートを出すということも考えているわけですか。
○山下政府委員 はい。一応テレックスでもって外務省に連絡して、外務省が打ち返せば、その場で作成できる。そこで、実際にいままでは二週間くらいかかったのが、二、三日でもって都道府県で発給できるということになります。
○永田委員 そうすると、その旅券を最終的に受け取るのは外務省ですか。地方で受け取ることができるわけですか。
○山下政府委員 現在でも都道府県で受け取ることができるのですけれども、今後も都道府県で受け取ることができる。ただし、急ぎの人は直接外務省に来て受け取ることもできるという形になります。
○永田委員 ただいまの話の中で、現行法で二年数次の往復旅券が五%ということでありましたが、二年数次の旅券というのは、どういう人に出しておったのですか。
○山下政府委員 現在まで、二年数次は、貿易の関係とかそういう業務の人で、かつ渡航先もある一定の国、たとえばアメリカとかカナダにしょっちゅう行くというような人に限って、特別に外務大臣が許可して発給するという形になっております。
○永田委員 わかりました。 最近、日本人の海外渡航が非常にふえているということは、この表をいただきましたので、詳しくわかりましたが、ちょっと参考までですけれども、戦前で一番多かった年とか件数というのはわかりませんか。
○山下政府委員 戦前において一番旅券を出したのは昭和十二年で、年間二万五千件出しております。
○永田委員 そうすると、昭和三十年くらいに匹敵するわけですね。わかりました。 それから、諸外国でこの数次の旅券を出しておると思うのですけれども、外交は大体相互主義になっておると思うのですが、よその国も五年数次というのが多い傾向になっておりますかどうか。
○山下政府委員 諸外国でも、ヨーロッパなどの先進国は早くから五年にしておりまして、アメリカも去年の秋、三年から五年に延ばしまして、そのほか、国際的に勧告が出ておりまして、なるたけみんな五年にしようじゃないかという形になっております。
○永田委員 共産圏のソ連、東欧に対しても五年数次を出すわけですか。
○山下政府委員 国交のある、承認している共産圏、ソ連、東欧諸国、これらはみなほかの承認国と同じ取り扱いをして、五年数次を出すことにしております。
○穗積委員 議事進行。 この間から与野党の間で国会正常化と国会の権威のためにかたく話し合って、今朝もそれを再確認したわけだ。その日の外務委員会で定足数も足らない。——ちょっと確認してください。
○北澤委員長 委員長を入れて十五名おります。 永田君、質問を続行していただきます。
○永田委員 そうすると、承認している共産圏のソ連、東欧というところも、やはり日本へ来る人には数次の旅券を出しているのですか。
○山下政府委員 大体、人の往来について相互主義をとるという慣例がございますけれども、旅券については必ずしもその慣例が守られておりませんで、東欧諸国におきましても、それぞれ自分の旅券制度によって旅券を出しております。そのために必ずしも一致しておりません。
○永田委員 事務の簡素化の意味で、包括して記載するというお話がありましたけれども、包括というのは、どういうふうにして包括するのですか。たくさんの国などの名前その他を……。
○山下政府委員 いま私たちが考えておりますのは、これはほかの文明国でもそうですけれども、全世界地域、ただし、これこれの地域は除く、英語で申しますと、オール・カントリーズ・アンド・エリアズ・イクセプト何々というような書き方です。それが一番渡航者にとって利便があると考えております。
○永田委員 そうすると、たとえば承認した共産圏も入りますけれども、未承認の共産圏も入れて、たとえばアメリカを回って、ヨーロッパを回って、今度は中国へ行くとか、そういうときにはどういうふうに書くのですか。
○山下政府委員 アメリカを回って、ヨーロッパを回って、さらにその足でもって中華人民共和国に渡航したいと思う場合には、どこかの公館で別に一回限りの旅券を申請して、旅券をもらって行くという形になると思います。二冊旅券を持っていくということになります。
○永田委員 どこかの公館というのは、外国にあるその未承認の大使館かどこかへ行ってもらうわけですか。
○山下政府委員 外国の公館というのは、ワシントンにいるときに、これから中共に渡航しようということがきまったら、ワシントンの日本大使館に申請して、そこで旅券をもらう。日本を出るときからわかっておる場合には、日本で二冊もらうということもいいわけです。
○永田委員 普通の国、英国とかアメリカへ行くときには、こっちでビザをもらっていくわけですがね。すると、未承認国の大使館や何かないでしょう。ビザはどうなるのですか。
○山下政府委員 現在中共に行く場合には、大体事前に先方の入国許可づきの招請状みたいなものを取って行かれる。だから、それを旅券申請のときに呈示してもらうというのが、現在の中共へ行く慣例になっております。ただし、多分に観光的な場合には、中国の観光関係の観光社といいますか、そういうところに連絡すると、入国も一緒にアレンジしてくれるように聞いております。
○永田委員 そうすると、ビザなしで行くわけですね、中共とか北鮮とかへ行く場合に。
○山下政府委員 旅券の上に押したビザはなくて、むしろ入国許可証というようなものをもらって行くという形になると思います。
○永田委員 いま、今度簡素化されたといいますけれども、旅券をもらうのにずいぶん時間がかかるといって、文句をわれわれは聞くのですが、実際はどのくらいかかっておるのですか。それで、今度直せばどのくらい早くもらえるようになるかということをお答えいただきたいと思います。
○山下政府委員 現状では、われわれはなるたけ早く旅券を出したいと思っておるのですけれども、大体二週間くらいかかる。そこで、今度は改正いたしますれば、おそらく二日か三日でできるということになると考えております。
○永田委員 早くできるというのは、たとえば五年数次のようなのがたくさんできるから、何べんも何べんも旅券をもらいに来なくていいわけですね。そうすると、それはそうなると思うのですけれども、一番初めのときは、ことしでいえば、五年数次のやつをまずみんなに出さなければいけないでしょう。そうすると、毎年こうふえてきておるし、ことしはそのあたりの忙しさというものは覚悟しておるわけですか。
○山下政府委員 先生のおっしゃられますとおり、初めの年、さらにその次の年ぐらいは、いままでのふえ方が続くのだろうと思っております。ただし、その後、だんだんそのふえ方がとまって少なくなって、結局ある一定のふえ方に落ちつくというふうに考えております。
○永田委員 渡航目的というのを旅券に記載することになっていますけれども、それはどういうわけであるのか。それともう一つ、数次の旅券を発行したときに、何べんも行くうちに、初めの渡航目的と違う渡航目的で行かなきゃならぬ場合が起きてくるんじゃないかと思いますが、そういうときにはどういうふうにするおつもりですか。
○山下政府委員 大体現行法では一回限り、そのつど、渡航目的、それから渡航先その他のことを審査してやるので、渡航目的、渡航先というものが重要な要素になっておりますが、今度改正しまして五年数次になれば、渡航目的とか渡航先というものがそれほど重要じゃなくなります。ただ、今度の改正法におきましては、一応基本を前の法律にのっとっておりますので、一応渡航目的という項目がありますが、実際上はそこに特定せずという形で、ノット・スペシファイということを書きまして、渡航目的は書かぬでもいいという形にしたいと思います。
○永田委員 特定せずと書くのですか。特定せずというと、渡航目的がないというのと同じようなことじゃないですか。
○山下政府委員 五年数次になれば、渡航目的が観光で行っても商用で行っても何でもいいということにしたいと思っておりますから、実際上はそこは棒を引いても特定せずとしてもいいというふうに今度から踏み切っていきたいと考えております。ただし、一回限りのほうは、いままでどおりの形でやっていきたいと思います。
○永田委員 そうすると、その数次の五年のやつになると、渡航目的欄というのは要らないのですな。
○山下政府委員 実際は要らないのと同じようでありますが、今度の改正は一部改正の形式をとっておりますので、一応一回限りの旅券と同じようにその欄は設けておきますけれども、そこのところは特定な目的にしない、それで特定せずというようなことを書いて、何の目的でも使えるようにしたいと考えております。
○永田委員 もう時間があれですから、なるべく簡単にお尋ねしますが、未承認図の共産圏へ行った場合、従来横すべりをみんなやっておったわけですけれども、いままでは横すべりした場合に罰則というものはなかったわけですか。
○山下政府委員 いままでは法律の上に横すべりの罰則はございません。ただし、いままでの場合は一回ごとの旅行でありますので、大体において、われわれのほうでは申請がしょっちゅうありますから、こういう人たちは大体こういうところに行かれたんじゃないかということを類推してやっておるわけであります。それで、今度は五年数次になって、御本人に旅券を渡しっぱなしで自由に使っていただくことになるというところが、いままでの制度と今度の新しい制度が非常に違うというところから、横すべりの罰則三万円というのをつけることになったということでございます。
○永田委員 そうすると、いままでは横すべりしたというのはわかっておっても、罰則としての記載はなかったわけですね。
○山下政府委員 いままでの場合には、大体類推していたわけでございます。これが初めからはっきりわれわれとして、これは横すべりするという証拠でも全部あれば、これは明らかに虚偽の申告になって、たとえば北鮮に行くつもりでソ連行きの旅券をとっていくということになれば、これは旅券法違反で罰則の適用があるということになるわけですが、実際上はそこまでの確証もありませんし、実際にそこまでいったことはありません。
○永田委員 それから、特に必要がある場合を除き二重発給はしないということを書いてあるのですが、特に必要がある場合というのはどういうことですか。
○山下政府委員 先ほど問題になりました、たとえばアメリカを通って、さらに中共に行くという場合には、種類が違いますけれども、数次の旅券でも一回限りの旅券でも二回お出しするということ、それから、いまよくありますけれども、イスラエルとアラブの紛争のために、アラブを通って、それからイスラエルへ行くときに、同じ旅券だと、その上にアラブの査証があるのでイスラエルに入れないという場合に、本人の便宜のために別な旅券を出して行っていただく、そういう特別な場合がありますので、そういう場合には二重にお出しする、しかし、一般の場合には二重にお渡ししないという規定でございます。
○永田委員 それからもう一つ、これで最後ですが、いままでの旅券法でも、十年以上の刑の罪で訴追され、あるいは逮捕状、拘引状が出ておる者は発給しないと書いてあるんですが、今度五年以上と直してありますけれども、五年以下の場合はどうなんですか。逮捕状や拘引状が出ておっても発給するんですか。
○山下政府委員 五年以下の刑の罪で訴追されているという場合には、何ら制限条項にひっかかりませんから、旅券をお出しすることになります。
○北澤委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、来たる二十五日午前十一時より理事会、十一時十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後四時八分散会