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61回国会衆議院1969/04/24

外務委員会 第16号

発言数
140
登壇者
9
会派数
3
開催日
1969/04/24

会議録

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 これより会議を開きます。  日本国とフィリピン共和国との間の国際郵便為替の交換に関する約定の締結について承認を求めるの件及びプレク・トノット川電力開発かんがい計画の実施工事のための贈与に関する日本国政府とカンボディア王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上両件を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ただいま議題になりました二案件につきまして、質問をしたいと思います。  最初に、フィリピンとの郵便為替約定について質問をいたしますが、フィリピンは万国郵便連合の郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定に加入をしていないと聞いておりますけれども、どうして加入をしていないかということと、そのおもな理由を教えていただきたいと思います。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 その最も主要な理由として私ども考えておりますのは、ただいま委員御指摘の連合約定に入りますと、そこできめられております料金のワク内で取り扱い料金をきめなければいけない、その拘束を受けたくないというのが、最もおもな理由であろうと思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 アメリカはいまのUPUのあれに入っていますか。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 アメリカも未加入でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 やはりいまおっしゃったような理由でアメリカも入っていないわけですか。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 私どもそのようなことであろうと存じております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、ワク内できめられるのがいやだからというので入っていないわけですね。そうかといって、日本としては、やはりここに入っていないと取引をするのに不自由だというので、今回は結んだんだろうと思います。ただ、日本は入っておりますね。そうしますと、その間の関係はどういうことになるのですか。たとえばアメリカの場合を例にとって、このくらいのときには大体このくらいである、しかし、これに入っているためにこのワクが違うんだとかいうことがフィリピンの場合にも出てくると思います。それをちょっと例をもって示していただきたい。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 大体におきましてアメリカのほうでは、連合約定で定めております料金よりも、若干割り高の料金をとっておるわけでございます。たとえば五十ドルの金を送金いたしますのに、アメリカでは二百二十四円、日本のように連合約定に入っております国では百四十円、大体そのようなことでアメリカのほうが割り高になっておるわけでございます。したがいまして、ただいま委員御質問のフィリピンの場合においても、料金につきましてはほぼ同様なことに相なるのであろうというふうに私ども考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 フィリピンの場合もアメリカと同じような形になるということなんですか。そうすると、いまの御説によりますと、UPUに入っていないほうが高くなるということなんですね。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 アメリカの場合は、連合約定の料金の制限よりも高くなっております。しかし、必ずしも高くなくちゃいかぬというわけではございませんで、そこは自国におきまして適当にきめてもよろしいわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ちょっと私わからないのですけれども、自国によってきめてもいいというのはどういうことなんですか。UPUに入っていないから、適当に自分の考えどおりに為替の料金をきめてもいいということなんですか。そうすると、フィリピンもそうなんですね。日本との場合にはこの協定によってきめてやる。しかし、フィリピンはこういう協定を結んでいないほかの国とやるときには、また値段が違ってくるということになるわけでしょうか。UPUに入っている国同士ですと統一されていますね。入っていない国ですと——入っている国とアメリカとやるときあるいは入っていない国と日本とやる場合に、統一されていないわけですから、料金の差が出てくるわけですね。そういうふうなときに、先方がかってな料金をつけてもいいということなんですか。その点をちょっと伺いたい。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 結論といたしましては、委員が言われますように、自国の内国の為替料金とかそういうものとのバランスを考えまして、いわば自由に定めてもよろしいわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、これに入ることによって有利だとも言えないわけですね。ある程度は、日本とフィリピンとに関して、日本の料金とフィリピンの料金とは決定はするでしょう。だけれども、日本からいうならば、UPUに入っているよりも高いわけですから、あまり有利でないということも言えるわけです。不自由でしょうけれども、一定のある料金がきまっていないとかってなことをされますから、そういう面はあるかもしれませんけれども、料金の面からいえば有利ではないということですね。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 連合約定に日本の場合には入っておりますが、そうしますと、必然的に約定で定められました料金のワク内でしかいずれの国と結ぶときでもきめられないわけでございます。しかし、入っていない国は、それに拘束を受けずに、いろいろなバランスを考えて自由にできるということでございます。  料金についてはそのようなことでございますが、もう一点、委員御質問の、約定に入った場合の、加入しておる場合の有利な点と申しますか、それは約定に入っておりますならば、約定に入っている国同士でやります場合には、たとえば新しく条約の形をとる必要はない。すでに連合約定というものが条約の一つの形式でございますから、あらためて国内において条約の形をとる必要はない。そういう点はいわば非常にやりやすくなっておる、かように考えてよろしいかと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、フィリピンと日本とは今度条約を結ぶわけですが、たとえば今度は全然結んでいない国で、UPUにも入っていない国、そういう国と日本との為替関係はどういうふうになるのでしょうか。日本はUPUに縛られた料金であって、向こうはかってなことをするということになると、やはりある程度不利になるのではないでしょうか。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 ただいまお説のように、日本は約定に入っておるために、料金の拘束を受け、未加入の相手国は自由にやれるという点で、料金はそれぞれ違うわけでございます。それで、従来の例によりますと、委員もお考えのように、連合約定未加入国は連合約定に定めた金よりも上でも下でもできるのでございますが、やはり高い料金を取っておるようでございます。したが、まして、そういう意味では、約定に入っておるということは不利と言えば言えるかと存じます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そういうことがわかったわけです。  そこで、第二条の、各郵政庁が指定した局というのはどういうところで、そして、払い込み及び払い渡しというのはどこの郵便局でできるかということをやはり日本の国民としては知っておきたいと思うのですが、その点をお伺いしたい。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 ただいまの御質問でございますが、「各郵政庁がこのために指定した局を経て行なわれる。」と申します局は、日本の場合で申しますれば、郵政省の本省の貯金局でございます。そしてフィリピンの場合で申しますと、マニラの郵政庁の為替局でございます。  第二点の御質問の、それではどういうところでこれを取り扱うかという点でございますが、振り出し、すなわち外国への送金の受付事務は、普通郵便局の全部と集配特定郵便局の全部、したがいまして、数で申しますと五千七百二十七局でございます。これでいわゆる外国為替送金の受付事務がやれるわけでございます。そして、今度は払い渡しのほうでございますが、外国から参りました為替の払い渡し事務は、簡易局などは除きますが、普通局、特定局を問わず全部の郵便局でやっております。これは数で申しますと一万六千八百十五局でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 第三条に「郵便為替の金額は、払渡国の通貨で表示する。」ということが書いてあるのですけれども、フィリピンとの間の郵便為替の金額というのは、フィリピンのお金、つまりペソですか、それから日本の円ということで表示するわけですか。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 確かに第三条第一項の本文ではさようになっておるわけでございます。御指摘のようなことに相なるわけでございます。しかし、その下にただし書きがございまして、「ただし、この通貨は、両郵政庁が必要と認めるときは、その合意により変更することができる。」とございますので、現在私どもとフィリピンとの間の申し合わせでは、永久にというわけではございませんが、さしむきのところ、このただし書きを援用いたしまして、米貨ドルでやろうというつもりでおるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 こういうふうな文章がある以上は、円とペソでやる場合もあり得るのですか。いまのところは話し合いで米ドルでやるというだけであって、それじゃどういうときにそのただし書き以前のほうが利用されるわけでしょうか。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 私のほうとしても、またフィリピンといたしましても、これは払い渡し国の通貨でやるのが筋でございますので、一項の本文でこういうことをきめたわけでございます。ただし、御案内のように、ペソも円も現在国際通貨としての交換性が乏しいので、これはお互いに不便でございますので、さしあたりはただし書きで米貨ドルにしよう、しかし、円なりペソなりが近い将来国際通貨としての交換性が出てきたというようなときには、この本文に返りまして払い渡し国の通貨で統一しよう、そういうつもりでこういう規定にいたしたわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 その三条の二項に「郵便為替一口の金額の限度は、両郵政庁間の合意により定める。」とあるのですけれども、一口の限度というのは、大体幾らにきめてあるのですか。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 百米貨ドルでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それは何口でも払い込みができるわけでしょうか。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 そのとおりでございます。為替法上からは、百ドルを限度といたしまして何口でも送金できるわけでございます。ただし、御案内のように、為替管理法上の制限がございまして、その面から制約を受けておるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 為替管理法の制約というのは、私知らないのですけれども、参考のために聞かしていただきたいです。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 送金目的によりまして、その送金の限度額がそれぞれ違っておるわけでございます。たとえば贈与金でございますと、送金者一人につきまして一年間で米貨五百ドルの範囲内、あるいは医療費であれば実費の範囲内とか、図書の購入費であれば、送金者一人につきまして一件米貨五百ドル相当額というような、こまかい項目を八項目ばかり定めてございまして、それぞれについて制限額を定めておるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、これは大体個人的な場合が多いと思いますね。日本とフィリピンとの関係で、図書を買うとか、あるいはそこで勉強している人に送るとか、向こうからもそういうことになると思うのですけれども、大口のほうは、いろいろ貿易関係や何かで多くなるから、郵便為替というのは使わない。こういうふうな制限を受けた郵便為替の中で、これを利用する人というのは相当いま日本にいますか、日本からの関係あるいはフィリピンからの関係で。ちょっと参考までに聞かしていただければと思います。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 ただいまは為替の交換ができておりませんので、いまの数字はもちろんわからないわけでございますが、過去における——これは過去三十八カ年ばかり交換をやってきたわけでございます。したがいまして、昭和六年から昭和十五年までの一年間の平均交換高を申し上げますと、日本から向こうへ出します件数が二百六十口で、当時の日本円に直しまして二万四千八百六十九円でございます。そして日本における払い渡し、つまり、フィリピンから日本向けに来ましたものが四百十六口、日本円に換算しまして二万二千百二十六円、大体そういう数字があがっております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまそれを参考に伺ってたいへんおもしろいと思いました。そうすると、個人的な交流というのは、フィリピンのお金を使う日本の人、それから日本に来てフィリピンのお金を使う人というのは、大体平均しているわけですね。同じですね。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 はい、同じです。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 次に、もう一点伺いたいのは、この約定では、どこを見ましても、責任の原則とか範囲が明記されていないわけですね。払い込まれたお金につきましてどこが責任を負うのかということ、それから計算上の誤りなんかがあったとき、あるいは送ったり何かするときの誤りがあったときに、どういうふうにして責任を負うかというのは、ちょっと疑問に思うわけです。あるいはまた送ったり払い渡しなんかでもって郵政庁の間で起きてくる責任、そういうようなものが一体どういうふうになるか、紛争の処理みたいなものがどういうふうになっているかということをちょっと伺いたいと思います。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 御指摘のように、確かにその場合の責任の帰属等についての規定はここでは持たないわけでございます。と申しますのは、これはきめておる場合と、このようにきめていない場合と、両方ございます。と申しますのは、この場合、その損害の発生の責任をどちらが負うかが非常にはっきりするわけでございます。具体的に申しますと、これはいわゆる目録式で送るわけでございますが、向こうのほうで、たとえばフィリピンから日本に送る場合のことを想定いたしますと、フィリピンにおきまして個人の何人かが、十人なら十人が振り出し請求をフィリピンの郵便局でやる。そうすると、その振り出し請求権に基づきまして、向こうは明細をしました一枚のシートに十人なら十人の送付金額とか相手方とか自分の住所とか、そういうものをずっと書くわけでございます。そしてその目録を日本に送ってくる。この目録によりまして、日本の郵政省で今度は為替証書をつくります。その為替証書を郵便局を通じてそれぞれに郵便で送るということでございますから、事故が起こりましてから、金額の誤りとか受け取り人の氏名あるいは住所の誤り、そういうものがありました際には、その原本と対照いたしますと、すぐ誤りは発見できるわけでございます。そして、その誤りがどちらの国がいわゆる有責であるか、責任を負うべきかという点につきましては、たとえばフィリピンから日本に送ってまいりました目録が間違っておった、つまり明細書でございますが、これに誤りがあった、向こうの郵便局の原簿と比べて誤りがあったとすれば、それはフィリピン側の責任である。しかし、その目録を受けまして、私どもが為替証書をつくるときに金額等を誤ったとすれば、これは日本政府の間違いであるというわけで、その間違いの発生の原因になりましたところの郵政庁が責任を負うというのが、これは一般通則であるわけでございます。したがって、そこまできめる必要はなかろうというわけで、ここには規定いたしておらないわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまおっしゃったような問題がはっきりしている場合は私はいいと思いますけれども、なかなかそういかない場合もあると思うのです。たとえば紛失であるとかどうなったとか、いろいろあるわけです。こっちから出して、フィリピンのほうに責任があると言ってみても、なかなか話がつかないというようないろいろなことが出てきはしないかということを心配するわけです。それでやはり紛争の責任なりというものをはっきりさせたほうがいいように私は思うわけですけれども、特にそんなことは必要ない、はっきりするんだというような自信を持ってのお話でございますけれども、やはりそういうことははっきりさせておいたほうがいいんじゃないですか。もう一度ちょっと伺っておきたいのです。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 確かにおっしゃるような危惧もあろうかと存じます。しかし、目録がフィリピンから日本に郵送の途中亡失したというような場合は、これはそれに基づいて為替証書を発行いたしませんので、どの国も損をしないわけでございます。そうしてその場合には、不着ということがわかりますので、あらためてまた目録を送り直すということになろうかと存じます。しかし、やはりこれは私どもいろいろな場合を想定いたしてこのようなことをやっておりますが、御指摘のように、その責任がはっきりしない事故も、やはりいずれの責任にも帰せられない場合も考えなければいかぬと思います。そういう場合は、従来の考え方によりまして、原因がどっちにも帰せられないということを双方で確認しました場合は、これはもう損害は折半するというのが従来の考え方になっておるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまのような、たとえばどちらにもきめられないときには、折半するとかいうようなことを私どもは知らないわけです。それだけにいろいろ心配をしたわけなんです。ですけれども、そういうふうなことは話でつけてあるわけですか。そうじゃなくて、書かなくても、従来のほかのほうの慣習を踏襲していけばいいんだということになっているわけなんですか。その辺をもう一度伺っておきたいと思います。

鶴岡寛郵政省貯金局長

○鶴岡政府委員 いま申しましたように、責任のある国がはっきりした場合は、その国が責任を負い、損害を弁償し、不明なときは折半するということは、従来のこのような為替約定の場合などの一般的な慣行でもありますし、また、そういうことをわざわざ規定しているケースもあるわけでございます。したがいまして、それを直ちに援用するということは十分に可能と存じております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 では、条文には書かなかったけれども、ほかの例を援用してやるのだということで了解をいたしたいと思います。フィリピンとの郵便為替の交換に関する約定は、私の質問はこれで終わります。  次に、プレク・トノット川電力開発かんがい計画の実施工事のための贈与に関する日本国政府とカンボディア王国政府との間の協定、これについて質問をしたいと思います。  東南アジアに対する援助の問題は、私は外務大臣がお見えになってから質問することにしまして、協定の内容について二、三伺いたいと思いますが、この協定にいうプレク・トノット川電力開発計画というのは、メコン川開発計画の一環をなすものと考えますけれども、その関係がどうなっているかということをまず説明していただきたい。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 メコン川の流域開発計画と申しますのは、実はたくさんございまして、その一環と申します意味は、何と申しますか、そのうちの一つという意味でございまして、たとえば例をとってみますと、ここにいま御審議願っておりますプレクトノットのほかに、たとえばサンボール、これは本流でございますが、サンボールの発電の計画もございますし、ずっと上のほうにまいりますとパ・モンもございますし、さらに支流にございますナム・グムとか、いろいろなものがございます。しかし、いまの先生の御質問の趣旨は、おそらくこのプレクトノットが、たとえばサンボールの計画と具体的にどういう関係にあるかという御質問かと思うのでございますけれども、メコン川の流域にはいろいろな開発計画がございます。それぞれいずれもメコン川の流域の開発のためにいま計画されておるわけでございますけれども、厳密な意味で、たとえばプレクトノットの開発がどういうふうにお隣のサンボールと関係するかというこまかい関連性があるのじゃなくて、むしろこのプレクトノットは、プレクトノットのその近辺の開発、それからもう少し別のところの地域は別のところのといったような意味で、全体としてメコン川の流域の開発に寄与するといったような意味でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、メコン川開発計画ということでちょっと伺いたいのですけれども、それはやはりエカフェの決定できめているわけですね。日本を含む二十数カ国ですかによってきめられているようですけれども、これは大体どんなふうに開発計画が進められているのでしょうか。その進捗状態はどんなふうになっているのですか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 いまエカフェとおっしゃいましたけれども、メコン委員会そのものが、御承知のとおりに、エカフェのいわば庇護と申しますか、エカフェの助言、勧告によってできた四カ国の委員会でございます。これはタイとカンボジアとベトナムとラオス、この四カ国からできている委員会がメコン委員会でございます。メコン委員会の上にもちろんエカフェがございまして、そのエカフェの上にさらに国連がございます。もちろん国連もエカフェもメコン委員会に協力し、また援助しておりますけれども、直接的にはメコン委員会がいろいろ開発計画を策定したり、また方々に委嘱しているわけであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 何カ国くらいがそれに参画しているのでしょうか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 これはメコン委員会が中心になりまして、いろいろな国にそれぞれのダム等等について拠出を依頼しておりまして、その計画ごとによって多少参加しております国は違っております。たとえばいま御審議いただいておりますプレクトノットについて申し上げますと、日本のほかには、オーストラリア、カナダ、西独、インド、イタリア、オランダ、パキスタン、英国と、それから国連のUNDPでございます。さらにデンマーク、フランスも、これは交渉中でございますが、入るのではないかと思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 このプレクトノットの電力開発計画の経済調査というのはどこでやっているのでしょうか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 わが国は、一九五八年ころからメコン川流域のいろいろなダム等々のいわゆる経済性の調査をしておりまして、このプレクトノットにつきましても、わがほうで検討をいたして、メコン委員会に経済性の報告もかつて出しております。また、日本のほかにも一、二の国が独自で調査をいたしたのもございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この川の実施計画とか工事監督、そういうようなものはまだきめられていないわけですか。この条約が通るまできめられないわけですか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 この条約は、カンボジアと日本の間の供与協定をきめるのでございますが、この計画自体は、先ほど申しましたように、メコン委員会の主張によりまして、形式的にはカンボジア政府が行なうことになっております。そうしてもっと具体的に申しますと、工事の監督はカンボジア政府のソシェテ・ナショナル・デ・グラン・バラージュ、公共土木事業公社のようなものでございますが、そこが発注主と申しますか、監督者になるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまおっしゃいましたソシエテ・ナショナル・デ・グラン・バラージュ、その公社と日本国の供給者と一緒になって契約をした上で、「生産物及び日本人の役務の調達に充てる」というふうに書いてありますね。これは一条の二項に書いてある。そしてそれから始めるわけですね。そういうふうに書いてあるのですけれども、そうすると、いままだそういうことをするところはさまっていない、こういうように了解していいわけですか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 まだきまっておりません。この公社がこれから国際入札をやってきめるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私もそういうふうにこの条約で読めるわけですから、やはり入札をやってやらなければいけないと思うのですが、私、これはもしかしたら聞き違いかもしれませんけれども、もうすでに特殊の会社が実施計画や工事監督などを担当することをきめているという報告書が出されているということを聞いているのですが、実際にそういうことがないかどうか。たとえば日本の日本工営ですか、何かやっているということも聞いたわけですけれども、実際にそういうことがないかどうか、この点を私は伺いたい。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 いま先生がおっしゃいました初めの点でございますが、これは現実のお金の支払いは、確かにこの協定がまだできておりませんからできません。ただ、カンボジア政府といたしましては、工事を急いでおります関係上、将来応札すべき各国の業者にまず申請をさせまして、いわば事前の資格審査等を、いわゆるプレクォリフィケーションはもう行なっております。そうして入札は締め切っておりませんけれども、目下入札中でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、いま入札中で、まだどこというふうに特定な会社はきまってない、こういうふうに了解して、もうすでにきめられて、ある程度計画が進められているというのはうそであると考えていいわけですか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 わが国におきましても、いろいろな関係業者はそれぞれ計画書を入札します場合出しておりますけれども、まだどこもきまっておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そこで、ダムとか水力発電関係とかあるいはかんがい関係をそれぞれ担当する国というものは、もうすでにきまっているのじゃないかと思いますけれども、それもまだきまっていないのでしょうか。それはどういうふうな国がするかということを念のために伺いたいわけです。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 この問題は、今度のこのプレクトノットの工事を完遂しますために、いろいろの国からお金を出し合ってやるわけでございます。しかも、そのお金がいわゆるタイドでございます。たとえばここに書いてございますように、わが国の拠出はわが国からの生産物及び日本人の役務にしか使えないということになっております。ほかの国もそれぞれの国によってそういう条件が違っております。したがって、国際入札で一応の請負業者のようなものをきめまして、そのまた請負業者がそれぞれの国の条件に従った支出をするわけでございます。そこで、ある意味で非常にむずかしい形になります。それを救うために、国連が調整官というのを、ここにございますように任命いたしまして、国連の任命いたしました調整官が、その間のいろいろな工事のいわば監督と申しますか、管理調整をいたすようになっておるわけであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、どういう国がそれを扱うかということはまだきめられておらない、こういうふうに理解してよろしいですか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 そのとおりでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 最初の計画では、このかんがいを一万八千五百ヘクタールとして、総建設資金が約三千三百万ドルの内容というふうになっていたと思うのです。それがこの協定による計画では、農業かんがいを五千ヘクタール、総建設費は二千七百万ドルに減らされているわけですけれども、これはどういうわけで減らされたかということを説明していただきたい。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 当初の計画では、おっしゃいましたとおりに三千三百万ドルの工事費で事業をやるはずでございましたけれども、その後、それに見合っただけの各国の拠出が集まりませんで、昨年のエカフェのころでございますが、大体二千七百万ドル前後は各国の拠出が集まる見通しがつきましたので、その段階におきましてメコン委員会及びエカフェがそれに見合った経済調査をもう一度して、その程度の金でどの程度の工事ができるかということを検討し直させたわけでございます。したがって、もう一度フィージビリティースタディーをやりました結果、かんがい面積をさしあたり五千ヘクタールくらいにすれば、大体この金額でそれはそれなりの経済性のある単独のプロジェクトとして成り立つという結論に達しましたので、その段階で二千七百万ドル前後の工事に踏み切ったわけであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 アメリカはこれに参加しておりますか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 アメリカは参加しておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 理由は何ですか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 米国はカンボジアとはずっと——ちょっといま年度を忘れましたが、この数年来アメリカはカンボジアと外交関係を断絶しております。なお、アメリカの援助法の中に、ベトナム戦争に関係して北のほうを援助した国に対しては援助をやらないという規定もございます。まあごく若干ではございますけれども、カンボジアは北のほうに米などをやったというような情報もございましたので、それらの関係から、米国はこれには関係いたしておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 アメリカの対外援助法によるもので、援助してないというふうに聞いてはおりましたけれども、やっぱりそのとおりなんですね。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 その前に、外交関係がないということも大きな原因だと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この計画に対して日本が協力するのは、四百二十一万五千ドルの贈与分だけですか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 それと等額の借款がもう一つございます。したがいまして、合計いたしますと八百四十三万ドルでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 借款はどういう形でやるのですか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 これは通常円借款をいろいろな国にいたしておりますのと同じ形の交換公文でございまして、すでにこの書簡交換が行なわれております。これはほかの円借款と同じように、別にその書簡交換によってすぐ日本が財政上の債務を負うという性質のものではなくて、将来基金とカンボジア政府が結ぶいわゆるローンアグリーメント、借款協定を容易にするように日本政府としてはその権限の範囲内で努力するという趣旨の書簡交換でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 しかし、日本が協力するという意味では同じだと思うのですよ、いまの借款と贈与と。だとすると、贈与の分だけ国会に出して、借款の分を国会にお出しにならなければ、私たちはわからないわけですね。贈与だけがあるんだ、借款がこうなっているんだというようなことは交換公文でやられてしまうと、全然わからないわけですから、やはり両方お出しになったほうがいいんじゃないですか。出す必要がないということはどういうわけですか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 この問題は私から純事務的なお答えをさしていただきますと、法的には、先ほど申し上げましたように、円借款の書簡交換は国会に提出して御承認をいただく必要はないと存じておりますが、それ以上の問題は政治問題でございますので、私からは差し控えさしていただきたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 日本がカンボジアに対して何らかの寄与をする、それを援助をするという内容には二つある。贈与と、それから借款ということになるわけですね。贈与のほうはあげるんだ。しかし、借款にしても何らかの形で援助するわけですね。しかも、いまおっしゃいましたように、金額が同額です。だとすれば、当然両方国会の承認を得なければおかしいんじゃないか。法律的には、いまの外務省のお考えでは、何でもそういう形でやれると思うのです。共同声明とかあるいは両方でもって話し合いをして、それで何かの協定をこっちのほうで結んじゃって、そして贈与のほうだけ出してくるということはおやりになれると思いますけれども、国民の側からしますと、贈与と同じ金額だけの借款をするんですから、やはり借款に対する取りきめというものがなされるわけでしょう。だとするならば、一緒にお出しになったらいいのですよ。いま私が伺ったからわかったものの、もしお聞きしなければ、借款というものはわからなかったわけなんです。そういうやり方は少し不親切じゃないかなと思いますね。もしもこれを審議するならば、こういう借款もありますということぐらいはっきりさせていいんじゃないですか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 贈与の場合は、もちろん多年度にわたりますし、これは国会の御承認を得なければ法的に出せないものでございます。片や借款のほうは、これはこの場合だけでなくて、法律的に申しますと、いままでほかの場合でも国会の御承認を経ないで、予算の範囲内で、しかも日本の法令の範囲内でできるものは、書簡交換だけで済ませておったのでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そういう場合もいままであったかもしれません。そして、私たちが不勉強で知らなかった場合もあるし、また知っていて追及した場合もあると思います。やはりそういうときには、私から申し上げるならば、借款と贈与と両方の協定を国会で承認を得てもらいたいと思いますし、それからまた、それが当然だろうと思いますけれども、外務省のお考えとしては、贈与のほうは出さなければいけないけれども、借款のほうは出さなくてもいいのだというお考えの上にたとえ立つとしても、私は反対ですが、たとえ立つとしても、せめて参考書類なり何なりでお出しになるのは当然じゃないのですか。贈与のほうだけ出しておいて、借款のほうは別にしておくなんというやり方は、やはりまた問題にされると困るからというのでお出しにならなかったのかどうか知りませんけれども、こういうやり方は私はどうもふに落ちないと思います。たとえば韓国との間の協定の場合の借款のときだったと思いますけれども、参考書類としてたしか出されたように思いました。そんな気がするのです。間違っていたら取りしますけれども……。そういうふうにやはり一応そういう問題をお出しになるべきじゃないでしょうか。参考資料でも何でもいいのですから出すべきだと思うのです。それをこっそりしておくなんということは、私は国会軽視もはなはだしいし、また何かそこに意図があってお出しにならないとしか思えないわけなんです。政務次官、いかがですか。

田中六助自由民主党外務政務次官

○田中(六)政府委員 借款はいままでこの例のほかにたくさんございますし、法律上許されております。国会でごまかすために借款の分は出さないということではなくて、どうせ借款と贈与という二つのものがあることは、委員御指摘のとおりでございますし、これは明るみに出ることは当然でございますので、私どもはいままでの慣例に従ってこういうふうにしたわけでございます。別に意図があったわけではございません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 どうせ明るみに出るといって、明るみに出ないのですよ。出るんならお出しになればいいのですよ、たいへん恐縮ですけれども。私は、いま八百四十三万ドルというので、おやと思って見たらば、贈与のほうと同じ額だけの借款があるというのでしょう。そういうふうなことをすべきじゃないと思うのですよ。やっぱり私どもには知らされないで、あとからそういうものが出てきますと、ちょっと問題が起きると思います。やはり参考資料なり何なりでお出しになっておくのが当然だと思うのですよ。

高島益郎外務省条約局外務参事官

○高島説明員 先生の御指摘のとおり、本件の日本とカンボジアとの間の協定及び借款に関しまする交換公文は、それぞれ一つは国会の御承認の対象としてお出ししておりますし、また一つのほうは政府限りで締結いたしました。しかし、先生の御指摘のとおり、これは何ら隠すべきものでもございませんし、将来の問題といたしまして、当然このような性質の協定を御承認いただく際には御承知いただかなければならぬ問題でございますし、参考文書として出すことに何ら異存はございません。将来の問題としてそのように処置いたします。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私はあまり言いたくないのですけれども、知らないで通せばそれでいいじゃないかというような考え方は、私は直していただきたいと思うのです。あとになってからカンボジアとのプレクトノット計画というのがだんだん明るみに出て、贈与はこうなっていたのだ、借款も別にあったのだということになりますと、私どもの不勉強があとから追及されると思います。やはりそういうものは別に隠さなくてもいいものだから出すべきであるというふうにおっしゃるなら、私が追及するまでもなく、初めからお出しになっておけばよかったのですよ。今後においてもそういうことはあると思いますし、いままでもそういうことがあったとすれば、これは私は重大問題だと思います。いまから全部洗ってみるわけにもいきませんから、どこがどうでということはわかりませんけれども、たまたまここではっきりわかったことで、やはりいまこの条約を審議するにあたって出さなかったということは、私は大きな間違いだ、こういうふうに思いますし、出していただきたいと思います。それから出すにしても、条約が通ってから出すのではちょっと私も納得できないのですけれども、いつお出しになるのでしょうか。

田中六助自由民主党外務政務次官

○田中(六)政府委員 すぐにでも手続きをして、出す方向に持っていきたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 では、条約が通る前にお出しになっていただけるということで審議を進めます。  私たちは、そういうふうなことをされますと、少し不審の念を抱かざるを得ないわけです。そんなに問題じゃないのだからいつでも出してよかったのだというお考えなら、初めからお出しになればいいので、初めから出していないところに何か問題があるのじゃないかというふうに考えざるを得ないわけですから、すぐにお出しになっていただきたいし、今後はそういうふうなことはなさらないで、必ず参考資料としてでも何でもけっこうだと思いますが、やはり出しておいていただきたい、こういうふうに思います。  それでは次に入りますが、昭和四十四年度の予算では、プレクトノット計画の特別の援助費として二億一千七十五万円を計上しておりますけれども、贈与額の総額がここに書いてありますように十五億千七百四十万円、それの四分の一の三億七千九百三十五万円よりも一億六千八百六十万円少ないわけですけれども、ことしの贈与額は一体幾らでしょうか。この一条の三項で「均衡した態様で配分される。」と書いてありますけれども、均衡をされてはないように思われるわけですが、どういうふうないきさつになっているか、伺いたいと思います。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 これは均衡をするようには書いてございますが、ただ、こういうダムといいますか、こういう工事の性格上、大体最初の年にはむしろ多少多目に器材等が要るのじゃないかと思いまして、まず第一年度は全体の三分の一を考えました。しかしまた、他面、工事の着工がおくれておりますので、予算のつけ方といたしましては、一応本年の十一月から来年の三月まで五カ月分を計上いたしました。したがって、四百二十一万五千ドルの三分の一、それのまた十二分の五を計上いたしまして五十八万五千ドル、ちょうど二億一千七十五万円が計上してあるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それだけ計上してあるわけですね。そうすると、いま問題になりました借款協定で、先ほどのお話では海外援助基金から出すと言われているわけですが、本年度はどのくらい供与をするのか、それから贈与分と抱き合わせにされるのか、そういう点をちょっと念のために伺いたいと思います。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 借款のほうは、これからカンボジアと——おそらく公社になるかと思いますけれども、それと基金とが具体的な借款契約を結びませんと、いつどのくらい出るかということは言えないわけでございます。それから、借款の分と贈与の分は、どういうふうにその使い方をするか、いずれにいたしましても、これはどちらも日本の生産物と日本人の役務の支払いにだけ充てるものでございますが、その配分のし方と申しますか、どれを贈与分でまかなって、どれを借款分でまかなうかということは、技術的には非常にめんどうくさくなりますが、先ほど申しました調整官が日本の分も含めていろいろ調整管理をしてくれることになっております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 調整官というのは国連の調整官ですか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 そうでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、借款で取りかわした交換公文というものはあとから出てくると思いますけれども、そこで借款をことしどのくらいするかということは、向こうの公社と日本の基金との間で何か約束を取りかわして、それをきめていくというわけですね。そうしましたら、これはきめられてからでけっこうですから、そういうものもあとから参考に出していただきたい、こういうことをお願いいたしますが、いかがでございますか。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 かしこまりました。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は、そういうふうにいろいろな資料も出さないということは、非常に怠慢というか、怠慢以上に何かごまかしているというふうな気持ちを持たざるを得ないわけですけれども、なぜそういうことを言いますかというと、私どもはベトナムと賠償協定を結ぶときに強く反対したわけです。それはそのときの総額が三千九百万ドルで、そのうちの三千七百万ドルをダニムの水力発電所の建設に使われたわけです。その協定の承認の際に私たちは反対をいたしましたけれども、その見通しのとおり、一九六五年の五月から、この送電設備が非常にこわされて、この発電所はほとんど閉鎖状態になっているということを聞いております。一体それがどうなっているかというようなこともやはり調べておかなければならないと思いますけれども、その発電所が閉鎖されておると聞いておりますけれども、そうなっているでしょうか、どうでしょうかということをまず伺いたいと思います。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 いま先生お尋ねの件は、ベトナムのダニムダムのペンストックのところの問題だと思いますが、これは、ただいまちょっとこわされました正確な年月日を覚えておりませんが、数年前に上のほうのペンストックが二つだけ——ベトナム側では破壊分子と申しておりますが、それによって破壊されたままになっております。したがって、せっかくつくりましたダニムダムがまだ修復されないままになっておるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 三千七百万ドルも使ったというのは、非常に莫大な金額ですね。しかも、日本の国民の血税でそれはやられたわけですから、私どもがあの当時非常に強く反対したのはやはり正しかったというふうに考えるわけです。ですから、やはり今後においてもそういうふうな私たちの意見も聞いていただかなければならないというふうに思いますが、それと関連をいたしましても、今回借款のほうの協定を出されなかった、交換公文を出されなかったというのは、やはり私たちは非常に不審の念を抱いているわけであります。今後こういうことのないようにしていただきたいと思います。  そこで、この破壊された送電設備などの修復工事というのは、まさか日本のほうに責任を負わされるというようなことはしないと思いますけれども、この点を念のために伺っておきたいと思います。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 ダニムダムの修復問題につきましては、ベトナム政府側といたしましては、ぜひ日本側に修理してもらいたいと要請してきておりますが、まだ、わがほうといたしましては、どういうふうにするか、目下検討中の段階でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それはすべきではないと思いますけれども、検討中ということは、しなければならないかもしれないというほうに重点をお置きになるのですか、すべきではないというほうに重点をお置きになるのですか、この点を念のためにはっきりさせておいていただきたい。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 これはまだ検討中と申しました意味は、おそらく先生の御指摘は無償でやるべきではないという意味かと思いますが、私の申しましたのは、いろいろな場合を含めて、たとえば日本の業者がそこを引き受けてやるという場合もございます。その場合でも、お金の出し方でございます。それを非常に低利、長期で出す場合もございましょうし、あるいは無償で日本の手によってつくったものだから出すということも、そのうちの可能性としてはあると思いますが、いろいろな場合を考えまして、目下検討中でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は強く要望いたします。国民の血税であれだけの犠牲を払ったのですから、しかも破壊されたのですから、日本がさらにこれを負担すべきではないということを強く主張したいと思います。この点をよく考えておいていただきたいということを要望いたします。いかがでしょう。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 先生の御意見、承っておきます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私はあと外務大臣に一点だけ伺いますので、あとは次の質問者に譲ります。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 外務大臣が来るまで、その間伊藤さんにやってもらいますか。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 私は全部外務大臣ですから、外務大臣が来なければ……。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 全部外務大臣ですか。——それでは間もなく外務大臣が参りますので、このままでちょっとお待ちを願います。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 それでは二点ばかり……。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 伊藤惣助丸君。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 このカンボジアの協定の中で、贈与協定第三条で定めるカンボジア王国政府名義で開設される贈与勘定は、どちらの国に設置されるのか、またその時期はいつなのか、その点……。

武藤武外務省経済協力局経済協力第二課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  この協定の中に書いてございますが、こまかい手続につきましては、実施手続細目というものをつくりまして、それで、実施手続細目によりまして、契約はだれとだれとの間に行なわれる、その契約はどういう形で日本政府の認証を得るかということ、それから贈与勘定はどこに設置するかというような規定をつくるわけでございますが、この実施手続細目は、従来賠償ないし無償経済協力で行なっている韓国、ビルマ等の前例によって作成しておりますのは、大体日本におきます銀行——これは日本の為替銀行、指定為替銀行であればどこでも差しつかえないのでありますが、たとえば東京銀行なり三菱銀行、どこでも差しつかえないと思いますが、そこへカンボジア政府名義勘定を設置する、その設置されたカンボジア政府名義勘定に日本政府が金を払い込むという形でやっていきたいと考えておるわけであります。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 その時期はいつですか。

武藤武外務省経済協力局経済協力第二課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  実施手続細目につきましては、まだ日本政府部内で、どういう内容を盛るかにつきまして、各省間で意見調整をいたしております。意見調整が済み次第、カンボジア政府側に草案を提案するという段取りを考えております。本協定が国会の御承認を得、所要の手続を経て効力を発生するまでの間に、できる限り実施手続細目のほうを詰めていきたいというふうに考えております。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 同じように第七条ですね。これに規定する実施細目の取りきめ内容、これなんかもわからないわけですが、どのようなことが考えられておるのか、この点具体的に……。

武藤武外務省経済協力局経済協力第二課長

○武藤説明員 お答え申し上げます。  実施手続細目に盛るべき主要な項目といたしましては、まず、この協定による日本政府の供与すべき生産物と役務が四年間にわたって供与されるものでございますから、年度実施計画というものをつくるわけでございます。年度実施計画というものは、これは従来のフィリピンなりインドネシアの賠償にも毎年きめられるものでございますけれども、まず、この協定でやっております生産物の具体的な内容、たとえばブルドーザーが何台必要であるとか、あるいはダンプトラックが何台必要であるとか、そういうことについて、両国間の協議によってまず実施計画をきめる。  それから、契約がだれとだれとの間において行なわれるかということを規定するのであります。契約の当事者、カンボジア側の契約の当事者はカンボジアの本件における公社でございますが、日本側の契約の当事者となるものは日本国の国民または日本人が支配する法人ということになろうかと考えております。と申しますのは、この日本人または日本国民が支配する法人ということは、従来の賠償なり無償経済協力でこれをやってきておりますのが実態でございますので、そういう線で考えていきたいと思います。  それから第三にきめますことは、カンボジアの公社と日本側の業者との間に結ばれている契約は、この協定に基づいて支払いを政府から行なわれるものであるということを確認するために、日本政府の認証という手続をする必要がある。日本政府の認証はどういうふうにやって行なうかということも、これも具体的にカンボジア政府と協議の上きめなければいけないことでございますが、従来の賠償ですと、インドネシアならばインドネシアに賠償使節団、フィリピンならばフィリピンに賠償使節団というものがございまして、賠償使節団から日本政府に対して契約の認証を請求するということがあるわけでございます。本件のように、金額も小さいし、また、カンボジアがこの目的のために、こういう協定の契約のための使節団というものを設けることはまず考えていないのではなかろうかというふうに考えられますので、そういう契約書をどういうチャンネルを通じて日本政府に対して出してくるかということがまず問題であります。  それから、先ほど先生御指摘がございました、贈与勘定をどこに置く考えか、そういう支払いのためにはどういう手続が必要かということですが、これも従来のやり方に従いまして、先方政府あるいは先方政府の指定された機関からペイメント・リクエスト、支払い請求書を出して、日本政府は、これは具体的には外務省に経理課というところがございますが、これが支払いを行ないますが、経理課からペイメント・リクエストによる支払いをカンボジア政府名義勘定に払い込む。払い込まれた金額まで日本政府としては協定上の義務を履行したことになるというふうに考えております。  以上申し上げましたようなものが骨子になるわけでございますが、それを具体的に条文上にどういうふうにあらわすかということも、カンボジア政府と交渉していかねばならないというふうに考えます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 あとは外務大臣に聞きます。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 それじゃ外務大臣が数分の後に来るそうですから、それまでこのままでお待ちを願います。——戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 外務大臣、いま私どもは日本国とフィリピンとの間の国際郵便為替の条約と、もう一つはプレクトノット川電力開発計画で日本が協力するという協定、この二つを審議いたしてまいりました。私は、いま大臣に一問だけ質問をいたしたいのですけれども、その前に、先立って一言申し上げておかなければならないことがあるわけです。  と申しますのは、カンボジアとの間の協力、つまり、プレクトノット川電力開発計画に対しての協力ですね。その協定を審議しておりますうちに、日本は一体どれだけの協力をするのかという質問をしておりますと、ここの贈与では四百二十一万五千ドル、それからもう一つ、借款を合わせまして八百四十三万ドルだというお話があったので、ちょっとびっくりしたわけです。贈与の分はここに出ているのですけれども、借款の協定は出ていない。私たちはちょっとびっくりしたわけです。そこで、政府の答弁を聞いておりますと、借款は別に国会の承認を得なくてもいいんだからそのままにしておいて、贈与の分だけお出しになったということの説明があったわけです。私どもといたしましては、そういうことはちょっと納得できないので、やはり借款の協定も一応国会に出していただきたいのですが、これは意見の分かれるところだと思います。政府の立場に立って、外務省の立場に立って考えてみましても、せめてこの条約を通すにあたって——この贈与の協定と一緒になっている。しかも金額からいえば、総額八百四十三万ドルになるわけです。それを贈与の分の四百二十一万ドルの分だけ出して、借款のほうはほっておくというようなことには、私は納得がいかないわけなんです。そこで、それを参考書類として出してほしい、そうでなければ、この協定はどうも賛成できないものだというふうに申し上げましたら、ここにちゃんと印刷したものが出されておるのです。このやり方はほんとうに憤慨いたすわけです。非常に不親切だと思うのです。私どもは、これも一緒に国会の審議を経るべきだと思いますけれども、そういう必要はないにしても、参考書類としてお出しになるのが当然ではないかと思うのです。こういうふうなことがそのままやられていってしまいますと、あとになって、問題が起きないときにはいいですが、何か問題があったときに、そのときの外務委員というものは非常に不勉強だったということになると思うのです。そういう意味からいいましても、参考資料として当然出すべきだったと思うのですけれども、大臣はいかがお考えになりますか、この点伺いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 私は、率直に申しまして、まことにごもっともな御意見だと思います。これは従来の政府のやり方からいたしまして、またこの贈与の分以外の借款の分を国会の御承認を受ける協定とは私は存じませんから、そのやり方は御意見ございましょうが、政府としては正しいと私は思います。その意味するところは、この贈与というのは、両国間の協定で行なわれなければできないわけでございます。それから、借款の分につきましては、政府が立案をいたしますときに、予算の編成に際してはこれを十分頭に入れて組んでおりますので、予算のほうにも関連して御審議を受けられる、こういうことで、その分の協定は国会の御審議を受けない、この種類のものについてはそういう扱い方に従来からなっております。ですから、それはそのまま続けていかせていただきたいと思いますけれども、事柄自体いま御指摘のとおりでございます。何もこれは悪意で包み隠したわけではないと思いますが、たいへん御憤慨をかって恐縮に存じます。以後つつしんで御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 こういうことがありますと、いままで私どもはそっと知らされずにいたこともあるのじゃないかという疑惑の念を持つわけです。今後はそういうことがないようにしてくださるということですから、国会の承認を得るか得ないかということは別の問題といたしましても、もう少しそういう点は丁寧にというか、親切にというか、国会にはっきり出すようにしていただきたいということを強く要望いたします。いま出されましても、読んでみて何かわからないところがあっても、質問する時間もないので、たいへん残念でございますけれども、今後そういうことのないようにしてくださるということでございますので、この問題はこの程度にいたします。気をつけていただきたいと思います。  そこで、外務大臣に一点お伺いいたしたいことは、この間の東南アジアの閣僚会議のとき、あるいは福田大蔵大臣がアジア開発銀行の第二回総会にいらしたとき、この両方ともアジアに対する対外援助ということを非常に強力におっしゃっているわけなんです。それで、むしろ相手国のほうが目を回すんじゃないかと思うほど先のほうまで進んで、五年間にはこれだけするとかいうふうに、いままでのアジアに対する歯切れの悪い援助計画から見るならば、日本が非常に積極的な支援体制といいますか、援助をするというようなことを打ち出していらしゃいますけれども、これは一体何か意図がおありなのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 実はこの問題につきましては、ごく大づかみに申しますと、従来の日本の海外援助というものは、終戦後独立を回復して以来、主として賠償あるいはそれに準ずるようなもの、あるいはこれに関連するようなものがずっと出ておりましたが、これが一段落しつつあるわけでございます。今後の海外援助については、まずどのくらいのところまで考えられるかという、日本としての一つのおよそのめどをつけたい、それから同時に、今度は賠償等ではございませんから、援助協力を受ける側の国々のいわば援助要請、計画とでも申しましょうか、そういうものももう少し合理的で、こちらからいえば効果的で、また理想をいえば地域相互間の協力関係で、ただ単にある一国が自分のところだけの都合というのではなくて、いわゆる地域協力的な発想に立ったところの経済建設計画というものができればいい、そういうところをにらみ合って、政府あるいは民間あるいはそのほかの方法がいろいろございましょうが、それと見合わせて援助計画をやっていかなければならない。たまたま一九七〇年代は国連の場などでも開発途上国の発展の年であるということがいわれております。これは、実は一月、本国会が開かれましたときに、私は、外交演説の中にもそういう趣旨を盛り込んだつもりなのでございまして、そういう発想から、一つには、日本としても新しい転機に来つつある、アジア諸国にも新しいそういうふうな考え方を起こしてもらいたい。一つには、一九七〇年代の十年間が各国の期待にもこたえるときではないだろうか。同時に、試算をしてみれば、少し大げさに言えば、過去数年来の成長率がもしそのまま伸びるとすれば、実は一九八〇年には日本の国民総生産は六千億ドルをはるかにこえるという試算もあるくらいでございます。それを相当内輪に見て、かつ試みにこういう算術もできるんだということを腹に入れて私は申しましたし、大蔵大臣は、私よりももっと現実的にそういう問題について責任を負うわけでございます。これを五年間にこれこれの地域については倍増ということができる、これは、私が大ざっぱに申しましたことを縮めて、五年間の、かつ地域をある程度限りましての、かなり具体的な発想でございます。したがいまして、これは政府としても、大体閣内でも相談をし合いまして、こういうふうな打ち出し方をして各国の反響も求めたいし、これから具体的ないろいろな計画に入っていく一つのステップとして、こういう行動をとったわけでございます。  なお、エカフェにおきましても、総会にこの一、二回は日本から閣僚が出席できませんでしたが、そういう点でたいへん不便を感じましたので、今回のエカフェの総会には、特に国会の御了解も得まして、木内国務大臣を政府代表として出席をいたさせまして、いま私が申しましたような気持ちをもってエカフェの会議にも臨んでもらったわけでございますが、その結果は相当のいい結果であったように、反響がよかったように考えておる次第でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は、外務大臣なり大蔵大臣が積極的に意欲的にそういうことをお出しになるのを別に悪いと申し上げているわけじゃないのです。ただ、そういうふうな計画というものが政府部内なりあるいは国会なりで十分に論議されて、明確な政策なり何なりが立案された上でおっしゃっているとは思えないわけなんです。向こうに行って、五年、十年先の援助計画ということをおっしゃっているけれども、一体国内でそれだけの十分なる議論なり政策が打ち立てられているかどうかということを考えますと、少し危惧の念を抱かざるを得ないものですから、そういうふうな一つの立案なり一つの計画なりをお持ちになってやっていらっしゃるのかどうか、私どもはそういうことを聞いておりませんので、その点もはっきりさせておきたいと思ったので、質問したわけでございます。その点を端的に短くお答え願いまして、私の質問を終わりたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 私としては、ただいま申しましたように、その発想は一月の外交演説以来出しておりますし、それから直接これに触れた御質疑はなかったかもしれませんけれども、おりに触れてこの点は強調してまいりましたつもりでございますが、ただいま申しましたように、これはまだほんとうに発想の段階を出ておりません。今後なお諸外国の反響も見ながら、具体的な措置に入るわけでございます。十分ひとつ御指導、御協力をお願いいたしたい、かように考えております。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 伊藤惣助丸君。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 一九六九年四月の第二十五回のエカフェ総会に提出された報告書によりますと、域内アジアの経済の先行きについては、非常に暗い見通しが発表されております。たとえばゴム、砂糖、すず、麻、これらの一次産品の相場が一九六〇年来低迷を続けていること、また、先進諸国、特にアメリカのエカフェ地域向けの外国援助額が減少している。インドなどの諸国の巨額の借款返済が一両年に一そう深刻化するだろう、こういう見通しが出ております。その点、大臣はどう考えておりますか。また、これらの点について、わが国がどのように経済協力を行なっていくのか、その点についてまずお聞きします。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 第一次産品の問題を中心にいたしまして、いま御指摘のように、暗いと申しますか、先行きいろいろ問題があるということは、私どもも十分認識をしておるつもりでございます。また、それらの関係国が非常に心配を持っておることも事実でございます。たとえば各国で農産物、特に主食などの生産が相当進んでまいりました。日本では、米が海外に——先般も御審議いただきましたように、韓国に対し、あるいは沖繩に対し、そのほかについても考えられておるような段階でございますから、それだけに、それらの隣国が心配であること、これはもうやむを得ないことながら事実でございます。そこで、エカフェももちろんだし、さらに大きくいえば、国連その他の面におきましても、それゆえに一九七〇年代には相当合理的な根拠を持った具体的な計画をやって、こういう状況に対処しなければならないといような機運が上がってきた。これも自然の勢いだろうと思います。  そこで、先ほどもちょっと触れましたが、そういった国々の間も、一つの国だけで、おれの国としてはこれでバランスがとれて、均衡がとれた行き方ができるのだという考え方だけではなくて、よく適地適産主義ということがございますが、その国に適した産業体制というものを、地域全部の大きな視野から見てつくり上げていくことが前向きに必要であろう。そういう意味で、たとえばアジア開発銀行というものが最近非常に各地域から高く評価され、またたよられている。お金を貸すだけではなくて、そういう方面の計画やあるいは相談相手にもなってくるという機運が非常に出てまいりましたことは、私は一つの喜ぶべき現象ではないかと思います。  それから、関係国間におきまして、いろいろそういった農業あるいは水産業その他を通じまして、お互いに相談し合うセンターというものをつくること、これはできたものもあるし、これからできようとするものもあります。  さらにエカフェでは、長い歴史を持って十分いろいろの研究もされておるわけでありますが、これは融資を担当するとか予算を持った機構ではございませんが、その研究なり知識なりは大いに活用すべきことでございますので、そういう点と、いま申し上げましたような関係を結びつけて、そして前向きな、全体の国民所得が上がるような計画、それに日本としても意欲的、合理的な協力をしていくということで、これは相当時間もかかりましょうし、あるいはカバーしなければならない範囲も広いと思いますけれども、どうしてもこれは突き進んでやっていかなければならないことである、かように考えます。  また、具体的に当面の問題としては、通商貿易上の関係などでも、ある程度のくふうを日本としても考えてやる必要があろうかと、こういうふうに考えております。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 外務大臣は、第四回東南アジア開発閣僚会議で、積極的な海外経済協力の姿勢を打ち出したわけですが、これに対してはさまざまな評価があるわけです。その中で、特に沖繩問題を核心としたこれからの対米折衝を意識した上でのワシントン向けの発言ではないか、こういうことが言われているわけですが、外務大臣は、この点について、特にアジアに対する意識より以上にアメリカを意識したのではないかという点について伺いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 日本も先ほど触れましたように、国民総生産も非常な伸び方をしておりますし、やはりアジアの諸国に対して協力の手を差し伸べるということが、むしろ日本民族としての当然の責務ではないだろうかと私は考えるわけでございますが、たまたま先ほど戸叶委員に御説明申しましたようないろいろな点から見ましても、私は積極的に今後とも努力を続けたいと思っております。その姿勢あるいは成果というものが、結果においてこれに直接、間接に関心を持つ国々から喜ばれるという結果になることになれば、またそれはそれで望ましいことである、そういうふうな考え方でおるわけでございます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 わが国の海外経済協力政策がアメリカを過剰に意識し過ぎると、それはアジアを中国の影響から引き離して、西側の影響に置こうとしている現在のアメリカのアジア外交に日本が積極的に協力することになる。そのことは、隣国の中国を刺激して、結果的にはアジアの緊張を強め、また将来に禍根を残すのではないか、こういうふうに危惧するわけですが、その点について……。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 私のそうしたものの考え方は、先ほど申しましたように、一九七〇年代というようなものを意識して、世界が共存共栄になるということが終局目標で、それに対して着実な道を築き上げていきたいという考え方でございます。私のことばでいえば、これは一つの平和への戦いである、国際緊張緩和の努力の具体的あらわれである、こういうふうな認識に立ってまいりたいと思っているわけでございます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 外務大臣の東南アジア開発閣僚会議での演説で明らかになっておりますが、今後援助量をだんだん増加する、こういう方向のようであります。しかし、政府援助というのは、やはり国民の血税を使うわけでありますから、各界の人々の意見を十分反映した中での海外援助政策の確立が望ましいと思うわけです。その点について政府は具体的な検討を行なっているかどうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これはまさに御指摘のとおりでございます。一つには、国民総生産と、それに対して、たとえば一%とかあるいは現に〇・五%幾らというものも、政府援助——もちろん税金の関係だけではございませんが、そういう点もございますから、できるだけ広範囲に衆知を集めて、一つの基本的な考え方というものをもっとかっちりしたものにつくり上げなければならない、そういう方向でまずわれわれにできるような考え方をたたき台にして、それから国会はもちろんでございますが、各方面のお知恵をいただき、また御協力をいただいて、だんだんとりっぱなものにしてまいりたい、こういうふうに考えております。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 条約の中で聞きたいのですが、プレクトノット計画に対する各国の拠出というのは、オランダと西ドイツを除いては、すべてひもつきになっているわけですね。ラオスで現在建設中のナム・グム・ダム計画、これとは異なって、統一した資金管理または工事実施機関が考えられていないようでありますが、その点、円滑に実施運営される保証があるのか、あるいはないのか、この点をお聞きしたい。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、確かに御指摘のとおり、今回のプレクトノットに対する拠出は、各国それぞれほとんど対等にしておりますので、そこで、これらの使用方法と申しますか、これらの拠出をどう円滑に使ってこの工事を遂行するかということのために、国連が調整官を任命しておりますので、その辺カンボジアが各国と相談しながらやっていく。何と申しましても一番これの中心になりますのは、先ほど申しましたように、この工事自体は、形式的にはカンボジア政府が一応全責任を持ってやる、そのカンボジア政府の土木工業省のようなソシエテ・ナショナル・デ・グラン・バラージュというのが一応形式的に全責任を負う、そこが工事の実施者等を入札できめていくわけです。カンボジア政府が中心になってそこらもうまくやっていくというのがこの仕組みでございまして、これがうまくいかない場合には、国連等で任命した人が応援をしてやるというような形になっております。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 カンボジア政府はダム公社をプレクトノット計画の運営主体としているようですが、拠出各国との調整等はどのようになっているのか、その点……。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 これは具体的には各国がいまそれぞれ協定をつくって、カンボジアがその各国とそれぞれ相談をしているわけであります。これは先ほどのナム・グムとちょっと違いますのは、あくまでこれは、カンボジア政府の自尊心と申しますか、特殊性と申しますか、そういうようなものもございまして、実質的にはこれは一種の国際的な計画でございますけれども、カンボジアとしては、やはり形式的には、カンボジアが自分の国の中の工事だから自分が責任を持ってやる、それはひとつ自分にまかせてくれという一つのカンボジアの特殊性がありまして、あと各国がバイラテラルにカンボジアと相談してきめていくという形をとらざるを得なかったのでございます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 カンボジアは、一九六八年の終わりごろから世界銀行あるいはIMFへの加盟、また、今回の自由諸国の援助協力に基づくプレクトノット計画のすべり出し、これも考えてみますと、中立政策ですか、こういうものを堅持しながら、漸次国際経済への門戸を開こうとしているわけですね。日本はこの傾向に対して今後どのような方法でカンボジアに接していくのか、また友好関係及び経済協力をどのように促進していくのか、その今後の政府の態度と見通しについて、簡単にお伺いいたします。

上田常光外務省経済協力局長

○上田(常)政府委員 先生御指摘のとおりに、カンボジアは目下IMF及び世銀に対しても加盟を申請中でございます。それからまた、アジア開発銀行に対しましても、これは一時法的には脱退したのかしないのか、問題がございましたけれども、まだずっとアジア開発銀行には残ってきたし、現在はちゃんとしたメンバーである、こういう形になっております。私は、カンボジアは依然として中立政策を堅持していると思うのでございますけれども、それはそれといたしまして、日本としては、カンボジアが東南アジアの一国として、東南アジアの国々と協力していく体制をとってこられておることは、われわれとしても歓迎すべきことでございます。現に先般のバンコクの東南アジア開発閣僚会議には、七年間タイとカンボジアは外交関係を断絶しておりますにもかかわらず、今回相当高官のオブザーバーを派遣いたしました経緯もございます。われわれとしては、そういった地域協力の機運が進んでいくことは非常に望ましいことだと考えております。また、経済協力の面につきましても、われわれは応分の協力はしていくつもりでございます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 外務大臣に最後に伺っておきたいわけですが、このような経済協力政策の実施というのは、現在わが国では外務、大蔵、通産、企画庁、農林、これらの各省がそれぞれの立場から分担をして、いわばその省なりの狭い、また自分の省だけの観点から経済協力行政を行ないがちではないか、こういう点から、非常に弊害がある。一つは、一貫した政策が打ち出されない。また、こういった面から援助効果というものがはなはだしく減殺される、こういう心配があるわけです。私は、この海外に対する援助政策については、行政の一元化ということが一番いいのじゃないか。現に世界各国でも、たとえばアメリカあたりは国際開発局ですか、それから英国は海外開発庁、西ドイツは経済協力庁、こういうふうに行政の一元化をはかって、海外協力政策の一元化の中で円滑にやる、このように聞いておるわけですが、わが国はまだそこまでいってないわけです。その点について、基本的な問題だと思いますので、外務大臣の所見を伺って、私の質問を終わります。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 まことにごもっともな御指摘でございまして、海外経済協力は各省庁間にまたがる問題でございますので、これが合理的かつ一元的と申しましょうか、そういう考え方で運営されなければならないということにつきましては、実はいろいろの案も考えられております。しかし、同時に、先ほどもお話が出ておりますように、これは通商関係にも直接結びつく問題も多うございますし、また外務省の立場から申しましても、いろいろの関係から至大な関心を持たざるを得ませんし、また大蔵省としては、対外経済援助についての財政的立場に立っておりますので、さしあたりはたとえば経済閣僚会議等の活用によりまして、そういう点の連絡強化をはかっていきたいと考えておるわけでございます。そういうふうな考え方で先般来——先ほど御指摘を受けておりますが、たとえば大蔵省、通産省、外務省あるいはそのほかの省におきましても、現在はよく相談し合ってやっておりまして、ある国に対する経済援助のやり方というものに対しましても、前々から比べますれば、よほど時間もセーブされ、また話も十分煮詰めて運営するように、最近はだいぶ改善されてきておるように思いますが、これで満足しておるわけでは毛頭ございませんで、場合によればただいまお話しのありましたようなことも頭に入れて、前向きに検討させていただきたいと考えております。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 終わります。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  日本国とフィリピン共和国との間の国際郵便為替の交換に関する約定の締結について承認を求めるの件及びプレク・トノット川電力関発かんがい計画の実施工事のための贈与に関する日本国政府とカンボディア王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、右両件はいずれも承認すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 御異議なしと認めます。よって、両件はいずれも承認すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました両件に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後四時十分散会

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