外務委員会 第9号
- 発言数
- 79 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1969/04/02
会議録
○北澤委員長 これより会議を開きます。 国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。穗積七郎君。
○穗積委員 きょうは、総括的に両大臣に対する質問ですから、テクニカルな問題についての質問は抜きにいたしまして、大きな国際経済間の主要な問題についてちょっとお尋ねして、このSDR制度の是非を明らかにしたいと思うのです。 最初にお尋ねいたしますが、SDRを必要とするに至った金並びに米ドルの危機ですね、流動性の欠除、これは、一体その原因はどこにあるかという分析を政府はしておられると思いますが、その原因について、まず最初に政府の分析を聞きたいと思います。
○福田国務大臣 世界経済は非常に発展しておる。一言で言うと、それをドルでまかなってきたわけですが、そのドルもなかなかこの発展の激しさに応じ切れない、これがSDRを必要とする最大の原因だ、こういうふうに見ております。
○穗積委員 私のお尋ねいたしましたのは、応じ切れなくなってきた、その現象はわかっておる。言いかえれば、ドルの危機ですね、その原因は一体どこにあるか。その原因を明らかにしなければ、それに対する対策というものは出てこないと思うのです。病気にいたしましても、病源は何であるかということを分析、究明しなくて、治療の方法というものは考えられないのと同様かと思います。私のお尋ねいたしたいのは、いま申し上げたように、そういう現象が出てきた根本の原因は、世界資本主義経済の流動性、流通性の中で、どういうわけで出てきたかということをお尋ねしておるわけです。
○福田国務大臣 いま申し上げたことに結論は尽きるわけですが、世界経済が非常な勢いで進歩発展する。それに対して、ドルといいますか、その背後にある金ですね、これが世界経済の決済手段として使われてきた。ところが、その金とドル、金の生産といたしましても、そう多いわけではございません。それからドルといたしましても、戦後はとにかく世界四百億ドルの金の中で三百億ドルを保有しておったアメリカである。それがドルを世界各国に供給をする。それに伴いまして金の流出となる。今日では百億ドルしか持っていない。その百億ドルという一線はなかなか切れないのですね。そこに非常にドルによる流動性というもののむずかしさが出てきた、こういうふうに見ておるのです。ですから、長い目で見てみると、どうしても今後国際経済が進歩発展する、それに対して、新しい、ドル以外の流動性、こういうものを考えなければならぬ、こういうところに来ておって、この数カ年間そういう研さんが積み重ねられた、その結晶がこのSDRである、こういうふうに御了解願います。
○穗積委員 そういうばかばかしい御説明では、われわれ理解できないですよ。世界の経済が全く平等で、かつ国と国の間の障壁がない、ナショナルエゴイズムがないということで運営されているなら、経済が全体として発展してきたから、流通手段が欠けて少なくなってきたということは言えるでしょう。そうではないのですから。この制度のこれから考えられる制度の中にも、非常なエゴイズムの対立激化を招く制度があるわけです。第一、SDR発動の条件からしてそうです。その発動の総ワクの決定並びにその割り当て、配分の決定の基準にいたしましても、何も世界経済全体としてワンユニットとして理解するなんというばかばかしいことは考えられないのが現実なんです。だから、金とドルの危機を招いた基本的な原因は何だと——現象を聞いているのではないのです。基本的原因はどこにあったのか、どういう政策の誤りにあったのかということを聞いておるわけです。聡明なあなたがそんなとぼけた答弁をしたって、質疑は進みません。
○福田国務大臣 いや、とぼけた答弁じゃありません。結局、世界経済のボリュームに対して流動性が少ない、こういうことじゃないでしょうか。何か違った御意見でもあれば、感想を述べますが……。
○穗積委員 世界経済のボリュームに対して、流動性の問題については、これは用語上理解を必要とする。資本主義経済だけでの世界ということが前提ですけれども、その中で金並びに国際通貨が総量で絶対量として不足しておるなんてわれわれ認識できない。問題は、国と国との間におけるアンバランスから流動性の欠除が出てくるわけでしょう。渋滞が出てくるわけでしょう。特に世界経済、資本主義経済を支配してきたドルの危機というものが、今度の草案の基本にあるわけですよ。しからば、そのドルの危機は一体何が原因で出てきたかということを聞いておる。世界経済の生産性あるいは貿易量の総体のボリュームと、それから国際通貨手段の全体の絶対量のボリュームとの比率で問題を処理すべき、そんな単純な問題ではないわけです。制度自身もそんなことになっていませんよ。だから、そのドルの危機の根本原因はどこにあるのか、いかなる政策からそういうものが招来してきたかということを私は聞いておるわけです。
○福田国務大臣 それは、全体のボリュームの問題は無視することはできません。世界全体の通貨の量が減っておる。それを供給する問題、それが基本にはあるのです。ただ、各国間でアンバランスはあるわけですね。そのアンバランスがあるものだから、さらに流動性が全体として欠ける、こういうことに考えて……。
○穗積委員 絶対量はなぜ足らないのですか。どう足らないのですか。貿易総量ですか。生産量全体と通貨との関係で足りないと言われるわけですか。支払い手段は、バーターシステムもあるわけですからね。そういう信用取引もあるわけですからね。ですから、現象的な世界通貨総量の欠除である、そうなりますと、産金量が減ってきたから通貨の危機が出てきたという意味ですか。減ってきた理由は、追いつけないから……。
○福田国務大臣 たとえばわが日本を見る。そうすると、いまは外貨が三十二億ドル、外貨の天井が非常に高いわけですね。(穗積委員「たいして高くはない、従来よりは高いということであって、貿易量から見れば高くない」と呼ぶ)わりあいに高い。ところが、昨年のいまごろはどうだった。十九億ドルだったわけです。そこで、一年間に十三億ドルも外貨保有がたまったわけですが、逆に減ったらどうなるかということですね。それで、三十九年の引き締め政策をなぜとったかというと、国際収支です。この国際収支の天井をみんな高くしておくということが、世界経済発展のために必要である。みんな天井が低いものですから、ぎくしゃくしちゃう。それでは世界経済の発展ができないじゃないか、そういうことで流動性の追加を必要とする、こういう考えなんです。
○穗積委員 ぼくらは全然認識を異にするわけですよ。世界経済の中で、IMF創立以来、金にリンクしたドルと、それ以外の国の通貨はドルでリンクした不換紙幣と、こういうことで国際相場というものをコントロールしながらやってきたわけでしょう。そのドルの危機というものは、単に産金量が経済のボリュームに追いつけなかったというのではなくて——だから私どもは、金並びに国際通貨の総量というものは絶対不足ではないと現在見ておるわけです。にもかかわらず、その危機、流動性が欠除してきたのは、二つの理由がある。一つは、国際的な不協力体制が続いておるということです。つまり、民族国家間、民族経済間における不均衡——不均衡というよりは、アンハーモニゼーションというか、不協力体制、非協力体制といったほうがいいかもしれません。それともう一つは、アメリカの戦争政策を中心とする対外政策、それから対外投資、あるいは国内における過熱政策、これがドルの危機を招き、同時に国際間における流動性を渋滞せしめてきた原因ではないか。その点を明らかにしないと、びほうの策をやりましても、それはいまの危機の救済策にはなりませんよ。ならぬばかりでなくて、同時に、国際間の不協力体制というものがそのまま前提になって、何ら手をつけられないということになりますと、国家間の非常な不均衡がさらに拡大するわけです。その事実は、これは後の制度の中で私は指摘いたしますけれども、そういうことですから、私の認識にして誤りがあれば、愛知外務大臣も、あなた大蔵省出身でありますから、先輩福田大臣に遠慮しないで、ひとつ所信を明らかにしてもらいたい。
○福田国務大臣 愛知外務大臣が所信を明らかにする前に、私は、やはり世界経済の進歩発展に対して金やドルの供給が少ない、これがほんとうの基本的な問題として伏在しております。問題の性格はそこにある。穗積さんが言われるような国際政治の不協力問題、またアメリカがいまベトナムで戦争をやっているという問題、これは確かに当面の問題としては関係があるのです。当面の国際通貨問題、たとえば、いまアメリカはベトナムで二百八十億ドル、三百億ドルの戦費を使っておるということ、それが普通常識でいうと一割くらいはどうしても外貨払いになる。それがアメリカの国際収支を圧迫する。そういうようなことから、普通の戦争のない状態よりは、アメリカの金保有というものを苦しい立場に追い込んでおる。こういうようなことで、ドルの立場を窮屈にしております。おりますが、このSDRの問題はそれ以前からの問題なんです。世界経済の急速な発展、とにかく戦後は科学技術時代だ、それを背景とし、戦前に比べものにならない発展成長を遂げておる。それに対して流動性というものが足らない。その足らない体制というものを各国が——戦前に比べると、協力体制というものはできて強化されておるけれども、しかし、それにしても、不協力な体制というものもないではありません。その不協力の体制というものが、さらに必要とする不足額、流動性の不足額というものを大きくしておる、こういう面もあると思います。それだから、穗積さんのおっしゃられる点はわかります。わかりますが、もう少し根の深い、しかも長い目の問題としての国際流動性の問題からSDRというものが発足しておる、こういうふうに私どもは考えております。
○愛知国務大臣 私は、先般外務委員会で、このSDRの問題についても、基本的な考え方を申し上げたわけでありますけれども、いま大蔵大臣が言われるとおりだと私は思うのですが、基本的には、やはり世界の貿易の拡大ということを人類の理想として末長く続けていくべきではないかと思うのであります。ところが、最近の通貨不安というような状況に対しまして、アメリカの国際収支問題などにしても、たとえば非常に末梢的な課徴金制度だとか輸出の自主規制であるとか、そういうふうなものに展開してくるおそれが相当具体的にございますから、これは輸出とかあるいは貿易の拡大というような大旆を掲げて進む道からいえば、望ましくないことである。ところが、そうするためには、やはり総需要量がそれだけどんどんふえていくし、ふえさせなければいけないのに、決済の手段というようなことが不足するということは、世界のために不幸であるということが一番基本的なことであります。ことに、ある一つの国、二つの国の通貨というものが、いわゆるキーカレンシーとして利用されていくということは、その一つなり二つの国の国内事情あるいは国内政策によって影響されるところも非常に多い。理想としては、それを是正させながら、同時に、そういうことにわずらわされないで、よい方法を考え出そうではないかというので、各国の衆知を集めて生み出されたものがSDR制度である、私はかように考えるわけでございます。 同時に、この前も申し上げましたように、そうかといって、SDRというものが万能薬、直ちに万能の効果を発揮するものとは思いません。やはり現実にそれに対する障害もいろいろございましょうし、改善すべきことも相当あろうかと思いますけれども、同時にまた、歴史的に考えてみれば、いわゆるIMF体制というものができて最初の間は、理想は理想として、各国の現実の協力体制というものは必ずしも望ましくなかったけれども、だんだんに協力体制がうまくなってきて、今日のような状態になってきた。この最近の歴史的な事情の推移にかんがみても、SDRというものに対しても、各国の意欲的な新しいものをつくりたいという、いま申しましたような理想のものにしたいという意欲がこれだけ高まってくれば、これは必ずいいものになるに違いないし、またそうさせなければならない、ねらっているところも、わが国としても国益に合致するところではなかろうかというのが、日本としてSDRに積極的に参加するというところの意味合いではなかろうか、私はかように考えるわけでございますので、ぜひいま大蔵大臣が言われたような考え方でこれを推進したい、かように考えているのが私の考え方でございます。
○穗積委員 愛知外務大臣、アメリカの一国の国内通貨米ドルを国際的な国際通貨に同時に併用していく二面の矛盾が、諸国間における内部矛盾あるいは対立が出でくる原因である、それを超克しなければいけない、こういう発想は、私は正しいと思うのですよ。ところが、現実は必ずしもそうなっていないのですね。したがって、いまは新しい合理的な国際協力を基礎とし、信用と協力を基礎として、そして国際間における格差というか、不公平、不均衡のないような支払いをしながら、そういう方向に向かいながら、国際管理通貨というもので一つの支払い手段というものをつくっていく、こういう発想は正しいと思う。ただ、現実はしかしそうじゃないのです。そういうことばでジャスティファイするような制度になっていない。これは言いかえれば、いまのアメリカの内外矛盾というものをどう糊塗していくか。その危機を一時延ばす。これを延ばさなければ、アメリカの危機のみならず世界資本主義経済の体制的な危機になるという恐怖が今度妥協せしめたにすぎない、こう言わざるを得ないわけです。それはわれわれのイデオロギッシュな、観念的な設論ではなくて、現実の制度がそうなっておりますよ。大蔵大臣の言われたよりも、あなたの発想のほうが一歩前進しておる。ところが、あなたの発想から見て、そういう期待の待てるような制度にはなっていないのです。むしろ、いまの国際間の内部矛盾というものをただ延ばす。そうしてそのことは内部矛盾を深くせしめ、拡大するにすぎない。あげくの果てはどうなるのだというめどがないのでしょう。ないのですよ。そこに問題があるわけです。しかも、その一国の通貨が同時に世界資本主義経済をコントロールする国際通貨になっておったという矛盾、そのドル運営については、アメリカの内外政策によってのみ決定されておる。そのあふりをわれわれが食っておるということです。そういう矛盾があるのです。その矛盾をあなたは理解しておられるから、一国通貨をもって国際通貨を兼ねておるというところに矛盾があるから、何といいますか、そのセクショナリズムを超克するための、国際的な一つの管理通貨制度まではいかぬけれども、それに近づく新たなる手段を考えるべきだというなら、その基礎を直さなければ——そんな基礎の上に立っていませんよ。そのことは説明できませんよ。アメリカのドルの危機をびほう的に防ぐ当面のカンフル注射にすぎない。体質改善になりません。矛盾は拡大するばかりですし、アメリカの内外政策の基本に対してチェック・アンド・コントロールするだけの制度がなければ、これはいまの内部矛盾というものを超克して、超国際的なハーモニゼーションの上に立つ新しい通貨になる可能性があるのだ、一ぺんには行かないのだ、漸進的に行くのだという説明にはなりません。だから、その基本の認識について私は聞いておるのです。私の言っている趣旨はおわかりでしょうか。
○愛知国務大臣 基本の認識については、穗積さんのおっしゃることと同じようなことだと思うのです。 それからもう一つは、従来はアメリカという一国の通貨がキーカレンシーになっておったということは、各国のためにそれぞれの国益からいっても、それがいまのことばでいえばジャスティファイされ、それをもとにして繁栄の道をたどっておった。これもまた一つの事実だと思うのですが、それだけではとうていこれから拡大する貿易やあるいは経済の需要の増大に対処することはできないし、同時に、こうまで大きくなってくれば、一国の通貨をキーカレンシーとするということの矛盾が非常に露呈してきた。そして、各国もそれぞれの自国の財政経済政策の運営についてお互いに協力し合う、また、ことばは言い過ぎかもしれませんが、監視し合うということがほんとうの協力態勢だと思うのですが、そういう態勢の中で新しいSDR制度というものを考えていこう、私は、こういう考え方になってきているのだ、客観的に見て、それは伸ばしていっていい考え方ではないかと思います。先ほど申しましたように、新しい意欲的な制度でございますから、あとで内容についていろいろこまかく御検討でございましょうが、私が率直に言っておりますように、万能薬でどこから突いてもなるほど百点とれるという制度ではないでしょう。万能薬とは思いませんけれども、各国の協力態勢の上にこれをよいものに育て上げていこうというこの協力があることにおいては、私は、イデオロギーを超越してよいものに育て上げざるを得ないし、またそういうふうにしていかなければならない、そういうふうに考えているわけであります。
○穗積委員 外務大臣、あなたの発想については、ややわれわれと接近する可能性、萌芽が見える。それであるなら、そういう方向で、私は万能薬で一ぺんに、でなければオール・オア・ナッシングで賛成、反対をきめるわけではありませんけれども、あなたの言う方向、テンデンシー、傾向が大切です。そんな傾向がどこにありますか。この制度の中でどこをもってそういう新たな傾向が——第三通貨ということばは強過ぎるでしょう。しかし、いまの内部矛盾と不均衡あるいは国際間の不信、対立、これを是正して、そうして共同運命の関係に立っているいまの世界資本主義経済を何とか安定拡大さしていこうというような萌芽が、希望の持てる制度がどこにありますか。どこをあなたは言っているのですか、今度の新しい制度の中で。まず第一にそれを伺いましょう。そんな保証は何もない。
○愛知国務大臣 それは政府委員からこの中についてずっと御説明をすでにお聞きになっていると思いますが、また新たに御説明いたしてもしかるべきだと思います。また、この間は当委員会で専門家の御意見も伺っていただいたはずでございますから、中身について一々、出資の状況はどうだとか、こういう場合にはどうだということをいろいろあらためて私から申し上げることもなかろうかと思いますが、私は、全体として、このSDRというもの、御案内のように、各国のほんとうに権威のある連中が、相当の日月を費やして前向きに積極的に、私がいま申し上げましたような考え方で取り組んで、かつ日本もずっとその間フォローしてまいりましたこの一つの結論というものは、今日において、現段階におきましては最上の案ではなかろうか、私は全体としてそう申し上げております。
○穗積委員 あなたは、この間の参考人のどうこうということをお聞きにならなかったでしょう。おいでにならなかったじゃないですか。謙虚誠実に参考人の意見を聞くべきですけれども、大臣は来ていない。それで何を言っているのですか。参考人も言ったはずだ、専門家の、お前たちよりはより高い経済知識と経験のある参考人が言っているのだから、その上に世界のベテランが集まって考えたのだから、その権威に服して賛成しろと言わんばかりでしょう。参考人は、自民党の推薦した堀江さんと、それから私ども野党の推薦した新田助教授。新田さんは、これはむしろ改悪である、矛盾の拡大にすぎない、そう一言で言っては新田さんに失礼ですけれども、そう言われた。それから堀江さんについては、私の指摘した二点は原因として完全に一致いたしました。すなわち、アメリカの国内における軍事政策、対外政策、対外投資、国内の過熱政策、これはアメリカナショナリズムというか、アメリカのエゴイズムによるものである。それからもう一つは、国際不協力関係が、その間に協力が前進し、それから国際間における均衡と公平な発展をする方向ではなくて、むしろ深刻になってきておる。それが今度のSDRという制度を考えなければならなくなってきた原因であるということについては、あなた速記録であとで読んでください。私はうそを言っているわけじゃないですよ。参考人の意見を聞いたろうと言う。拝聴をいたしましたよ。質問もしました。そして、その情勢分析、その危機の流動性欠除の原因については、その部分については堀江さんも一致して認められたわけです。それではいけないから、そして世界経済全体の安定成長をやるためにというので、実はその対策としてこれが考えられた。そういうふうに希望を持ちたいということにすぎないのであって、制度そのものの中における不均衡在り国際間の不協力というものがこの中に定着し拡大しておるということは、参考人も認めておりますよ。これは政府も謙虚に傾聴すべき意見であると思います。私のほうから逆に申し上げておきましょう。 そこで、それではお尋ねいたしましょう。いま申しましたように、国際間における不協力態勢が拡大しつつある。これは世界資本主義の内部矛盾でございましょう。同時に、アメリカ独自の政策かいまのドル危機を招いた。そのドルはアメリカ一国の通貨ではなくて、国際通貨になっておるというところに矛盾があるわけですね。そのアメリカのドルの運命というものは世界に相談して——いまのようなドルの運命の原因になったベトナム戦争をはじめとする対外軍事援助、あるいはまた対外投資、あるいは国内の過熱政策、これがどこで相談されましたか。IMFでこれを承認しておるのですか。そんなことないでしょう。アメリカのエゴイズムに立つ内外政策というものがドルの危機を招いた。そのドルは国際通貨である。したがって、その部分で日本経済も密着状態にあるから、もしこれを救わなければ世界資本主義経済全体の危機になるぞといって恐怖を抱いた妥協にすぎない。しかも、そこで原因を究明して自己反省をして、国際的なハーモニゼーションを取り戻す努力をアメリカをはじめとする先進諸国が示して、それが一歩前進であるけれども、制度化される方向にあるということであるならば、われわれはあなたの御説明について理解することができます。そうでは互いのですよ。相変わらずこれはアメリカの独裁的なエゴイズムというものを定着、拡大する制度になっておる。だから、私は事が深刻だと言っておるわけです。憂うるべきことだと言っておるわけです。私の所論に対して何も証明できないじゃありませんか。私の所論が間違っておったら、こういう事実によるもので、原因はこうである、こういう事実によってこの制度ができておるから、そんな国際的な不協力の拡大、定着ということは心配せぬでもよろしい、それからまた、アメリカのインフレと国際収支の赤字はかくのごとくしてチェックし、これを克服する可能性があるのだ、だから希望を持って一歩前進してもらいたいと言うべきでしょう。それは言えないでしょう。おっしゃられるならそれを説明していただきたいわけです。この制度の中には何の保証もありませんよ。いまの原因に対してメスを入れて、そしてその矛盾と対立を克服するという制度はどこにもないですね。
○愛知国務大臣 ちょっと利の申しましたことについての御反論がありましたから申し上げますけれども、私はいまのお話のとおりなんです。たとえばアメリカのドル危機がどうして起こったかというような、アメリカの過去における政策の推移というようなことについては、参考人も指摘しておられたし、それから穗積委員もお話しのことについて、私は、大体の点については所見を同じゅうするということは先ほど申し上げたとおりです。同時に、それが世界全体のキーカレンシーであったことは、それ以前の状態においては世界のために私はしあわせであったと思う。このメリットも認めなければならないけれども、最近のような状態であっては、いろいろの点からいって、世界の貿易拡大に資するところは乏しい、あるいは逆行する、こういうことになったから、そこはまあことばの使い方でありますけれども、そこからとにかく新しいくふうをこらさなければならない、協力態勢が必要だということで、私は、そういう環境からこのSDRが生まれ出てきたものである、こういうふうに申し上げたわけでありまして、そういう点について私は変わるところはないと思うのですが、そこで、もう一つ、私は繰り返して申し上げますが、これがそれならば万能薬で……。 〔穗積委員「万能薬を要求していませんよ」と呼ぶ〕
○北澤委員長 静粛に願います。
○愛知国務大臣 日本の財政金融政策に対しても、何か強力な力を持ってこれを是正させるというところまでいくような、そういう意味をも含めた万能薬とは私は考えておりません。こういうことを申し上げただけですから、そこのところはよく御理解いただきたい。
○福田国務大臣 第一の、アメリカという特定の一国の通貨が世界通貨として使われておる、それがいまの国際流動性の不便をかもし出しておるのではあるまいかという御所見ですね。これは私はいま外務大臣がおっしゃったとおりだと思うのです、どうも一国の通貨が国際的な通貨として使われる、こういうことはそれ自体弊害がある行き方である、こういうふうに思います。しかし、さればといって、何十年も積み重なってきたこの制度を一挙にここで改革するということも、なかなかむずかしいわけです。あなたが御指摘されるように、ある一国の通貨が世界通貨として用いられたというそのデメリットですね。そのデメリットが現に世界経済の中にあらわれている。それを何とかしなければならぬというのが、いま国際的な努力の焦点なんです。その一つとしてSDRというようなものが出てきておるわけなんです。そういうことですから、第一点は、まあ私は、あなたの認識というか、そういうものについてはそういうふうに思いますけれども、さらばといって、SDRにかわってさらに有効な手があるかというと、私は、なかなかこれは困難だ、こういうふうに考えます。 第二の、国際協力態勢がどうも今度の問題の背景にあるのじゃないか、協力が非常に弱体化しているのじゃないかというようなお話でございますが、これは私は、その点はおっしゃっていることがよくわからない。戦前に比べますと、協力態勢は非常に進んでおるわけで、もし戦前でありましたら、いまのような状態だとかなりな混乱があると思う。ところが、いまどこかで問題が起こると、先進十カ国会議が開かれる、あるいはIMFの会合が開かれる、そういうようなことで、国際通貨の問題がかなり大幅に処理されておる、こういうふうに見ますが、協力態勢、それはもちろんそう完全な状態にいっているとは言えませんけれども、逐次進行しつつある、こういうふうに思うので、むしろSDRのごときはその協力態勢の一つの落とし子である、こういうふうに思います。
○穗積委員 そういうことを言われる根拠がこの制度には全然ないですよ。逆ですよ。そのことはこれから質問いたします。 委員長、議事進行につきましてちょっと発言いたしますが、承りますと、きょう他の党の代表の方も御質問のようで、特に愛知外務大臣はきょうからちょっとしばらくお留守になるわけです。伺うと、十一時過ぎには退席しなければならないということですから、私は民主的な態度をとって、ここでもし他党の質問者が特に愛知外務大臣が退席する前に聞いておきたいことがございましたら、私はここで中断をいたしまして……。続けてよろしゅうございますか。——それじゃ続けさしていただきましょう。 それからもう一つは、いまの国際的なアンハーモニーといいますか、そういうことについて、いままでなるほどIMFをつくって、米ドルを金にリンクして、その他はドルにリンクするということで、世界資本主義経済を支配し、かつコントロールしてきたのは事実だ。そのことが、側面においては各敗戦国、たとえば日本とかドイツの経済復興に役立ったことも認めます。だがしかし、純経済的に見まして、私は、資本主義、社会主義の立場以前で言っているのですから、誤解のないように聞いてもらいたい。資本主義経済の立場に立ちましても、資本主義諸国間における内部対立というものは、国際的な協力、連帯あるいはその間には支配による共存というものも含まれておりますが、その反面に、やはり過剰生産、労力不足を根本原因として、そしてインフレと、それから国際収支の赤字となって出てきておる。そういう形で各国の経済間における対立競争というものが激化しつつあるわけですね。その傾向についてはどういう認識を外務省並びに大蔵省は分析展望しておられるか、それをちょっとお伺いしておきたい。完全協力か、完全対立かということを言っておるわけではありませんよ。その傾向がこれから拡大する可能性があるとわれわれは分析をし、展望しておるけれども、日本政府はどういう分析をしておられますか、結論だけでけっこうです。
○愛知国務大臣 先ほど大蔵大臣からもお話がありましたし、また、冒頭に私申しましたように、たとえばIMFができたときの状況にかんがみましても、これは一つの新しい制度ができたり機構ができると、初めはいろいろの角度からの議論があるようですけれども、それでだんだん固まっていって、協力態勢というものがうまく運営されるようになる。これは最近で申しますと、IMFは非常にうまく動いている。あるいはOECD、これも御承知のように、私は相当うまく動いていると思うのです。たとえば、先ほどもちょっと申しましたけれども、制度として、各国の赤字財政等についての勧告とかあるいは関与とかいうことまで制度的にはないかもしれませんけれども、OECDの運営等の経過におきましては、各国の健全財政経済の運営に対する態度といいますか、意見というものは、相当手きびしく反映していると私は見ております。 それからSDRにつきましては、ただいままでのところ、たとえばどこの国はどうだ、EECはどうだというようなことがいろいろいわれておりますけれども、このごろの状況におきましては、たとえばフランスにしても、公式に反対ということを言っておるわけではございませんし、私は、このSDRに対しましても、希望ももちろん入りますけれども、相当積極的な趨勢が出てくるものと思います。 かような考え方で、私ども政府としては、積極的に日本が早く参加して批准書を寄託するというようになることが、やはりこの制度をよりょくする一つのかなりのモメントになるのではないか、かように考えておる次第であります。
○穗積委員 大臣は私の質問に全然答えていない。それじゃ具体的にお尋ねいたしましょう。 この制度が成功するかしないかの一つの——それだけが条件ではありませんが、主要な条件、すなわち、アメリカの経済がこれを機会にインフレと国際収支の赤字が全く克服されて、バランスのとれた安定性のある発展をするという自信がおありになりましょうか。日本政府はそんな甘い分析をしておられるのですか。それをちょっとお尋ねいたしましょう。 このことについては、申し上げるまでもありませんが、アイゼンハワーからジョンソンに至る間にドルの危機を招いて、私の記憶では五、六回もうドル危機対策というものはやってきたわけです。全部失敗している。その原因は先ほど私の言ったことです。すなわち、対外軍事政策、それから対外投資、国内における特に寡頭独占資本の景気需要による過熱政策、これはずっと続いてきているわけです。だからドル危機を招きまして、この政策は分解するにきまっています。したがって、アメリカのインフレと国際収支の赤字、アメリカの政策の誤りがここにあらわれてくるにきまっている。そういう分析に立たないで、これは理想的でないが、理想に近づくユニバーサルな一つの協力に基づいた通貨制度であるというふうなことでわれわれを納得させようと思っても、現実が納得しませんよ。外務省と大蔵省は、アメリカのインフレの進行と同時に国際収支の赤字が、どういう根拠によって克服される見込みがあるのか、それが主要な政治的、経済的条件になってきている。その見通しがあるならば、納得のいくようにひとつ説明をしてもらいたい。
○愛知国務大臣 これは専門的に大蔵当局からお答え願ったほうがいいと思いますけれども、大体のところの私の認識といたしましては、たとえばこのSDRにも直接関連いたしますが、昨年の三月の十カ国蔵相会議というようなところのいろいろの議論も御承知のことと思います。そういうこともアメリカの国内の世論と相連携してと申しますか、ジョンソン政権の末期以来の、たとえば相当の増税とか、歳出の削減とか、あるいは金融の引き締めとか、こういう一連の政策がアメリカの国会においても承認をされて、そうした政策の効果というものは、私はとにかく相当の効果を発揮しつつある、かように考えるわけてございまして、特に昨年三月以前の状況と、それからその後の足取りというものには、かなりな変化が見受けられるのではないかと思い威すけれども、なお、数字的あるいは見通し等につきましては、大蔵省等からお答えをするほうがより正確だと思います。
○穗積委員 大蔵大臣にお尋ねしましょう。特に経済の問題ですから、もっと具体的にお尋ねをいたしましょう。 いま愛知外務大臣のお答えの、アメリカのインフレと国際収支の赤字はチェック、コントロールする可能性があると言われましたが、そんなことは事実に反する偽りですよ。私どもそういう分析はとうていできない。愛知外務大臣に申し上げておきますが、国際的なコントロールの傾向が出てきたから、アメリカのインフレと国際収支の赤字はこのSDRの運営の中で克服されていくという自信があるような、あるいはその傾向を希望するようなお話があったが、もしそれに反したときは一体どういうことになりますか。そのあなたの政治的判断の誤りに責任があると思うのです。それについてちゃんとした——このことは事実が証明するわけですから、議論の余地はないわけですね。私どもはそう考えないので、そういううわのそらのような御答弁でこの制度を納得させようとすることに対しては、あなたはある意味では政治的犯罪を犯すわけだから、政治家としてその決意のほどを伺っておきたいのです。
○愛知国務大臣 そうおっしゃられても、私がアメリカの経済政策や財政政策について政治的責任を負うことは……(穗積委員「日本の運命に関係があるから言うのです」と呼ぶ)負いますと言いましても負い得ませんから、そのところはごかんべん願いたいと思います。 もう一つは、先ほども申し上げましたように、SDRがSDRの機構なり権限として、アメリカ政府あるいは日本国政府に対しまして、赤字はこういうふうに出してはいかぬぞというようなことを具体的に勧告やあるいは勧奨することはできない。そういうことをまた期待しておるわけではございませんから、そういう意味でこのSDRと直接の関係をもっての御議論ですと、これは私は、そこの関係はしかく明確なものでない、こういうことはもうよく御承知のとおりであろうと思います。そういうことで、ひとつアメリカの政策については、申すまでもないことですが、御了承願いたいと思います。
○穗積委員 次は、大蔵大臣にお尋ねいたします。特に日米関係の経済的側面ですが、ニクソン大統領になりまして特に感じますことは、ドル危機対策が至上命令になっておると思うのです。だがしかし、対外的な軍事あるいは経済政策というものをこれで大転換をするわけではない、特にアジア政策。そうなりますと、日本の極東の安全に対する防衛負担を増強せしめる、あるいは後進地域に対する経済援助を肩がわりをさせる、さらに日米間両国については資本の自由化、それから逆に貿易の面においては、先ほど外務大臣も言われた課徴金制度その他を含むいわゆる貿易の保護政策、エゴイスティックな保護政策ですね。さらに貿易取引における相互主義というものが各国に対して強くしわ寄せされると思う。これら一連の政策というものは、純経済的に見ますと、その軍事、外交政策を含む一切の政策が、ドル防衛という立場に立っておるわけですね。それが私はこれから激化すると思うのです、日米関係の間で。これは深刻な問題として、このSDR問題を論ずるにあたって、やはり日本経済の今後の展望の中ではっきり見ておくべきだと思うのです。その分析や展望なくして、こういう制度について賛成しろとか反対しろとか、いずれだというようなことをきめることは、これは根拠のないことで、アメリカその他の国々から言われたからこれに従わなければならぬという追随的な意味しかとれない。アメリカの利益は日本の利益、アメリカのためなら自己の利益を放棄しても協力しなければならぬという従属性がここにあらわれておると思うのです。今後の制度は、これは後にも触れますけれども、アメリカとEEC、特にフランスを中心とするEEC間における経済的エゴイズムの非常な対立、せり合いとその妥協の中でできておるのであって、日本に対しては何のメリットもないと思うのです。そういう深刻な情勢になってきておりますから、いま申しましたように、日米関係の経済的側面についての展望について、大きな柱を五つあげました。それを中心にして、一体日本政府はどういう分析と展望の上に立っておられるのか、これをこの際伺っておきたいと思うのです。
○福田国務大臣 アメリカはいま経済的には戦後最大の苦しい立場だと思います。つまり、それはなぜそう苦しくさしておるかといいますと、これはベトナム戦争です。このベトナム戦争が今後どうなるか、これはアメリカの経済が一体どうなるかということと、もう非常に太く強く結びついておる問題だというふうに見ております。だから、いま苦しいが、ベトナム戦争の負担が緩和されるということになりますると、これはまたアメリカの経済体制というものは一変してくるというふうに見るのですが、しかし、当面とにかくまだそういう事態ではございませんものですから苦しい。その苦しい場面をつないでいかなければならぬ。それが私は新ニクソン政権の当面している最大の課題の一つである、こういうふうに見ております。したがって、私は、新政権がジョンソン政権よりもきびしい態度をもってドル防衛というか、アメリカのインフレ抑制政策と取り組むであろう、こういうふうに見ておるのです。そういうことがアメリカの財政政策にもあらわれてきておる。つまり、一〇%増税、これを継続してやっていく。さらに歳出はこれをかなり削減をする。ジョンソン政権当時よりも削減をする政策に出る。それから金融政策におきましては、プライムレート引き上げ、つまり、設備投資活動、産業活動を抑制するという政策に出る。また世界通商政策におきましては、一面ケネディラウンドなどの世界貿易拡大政策をとる。同時に、アメリカの輸入、これを何とか防遏したい、縮減したいという政策に出る。そういうあらゆる面でやってくると思うのです。わが国はアメリカとの経済的結びつきは非常に強い。貿易日本という立場であり、しかも、その貿易の約三分の一というものをアメリカとの間でやっておる日本とするとアメリカのそういう政策はわが日本にもかなりの影響が出てくる。これはアメリカがわが日本に対して直接輸入割り当てをどうしようというようなことがなくとも、アメリカの内需抑制政策、これもこう当然とられるわけですから、それが貿易にどういう響きを持ってくるかというようなことがあるだろう。と同時に、そこへもっていって、自主規制問題というようなものが話題にのぼってくる。あるいはいま穗積さんが御指摘のようなアメリカの海外投資、これを差し控えようというような——全然差し控えるということではございませんけれども、なるべく額を少なくしょうという動きが出てこないとも限らない。そういうことがわが国の通商にもまたはね返ってくるというような問題。それからヨーロッパへニクソンが行った。その際のいろいろな情報なんかを見てみると、これは情報ですからはっきりしませんけれども、ヨーロッパにおける米軍の支払うNATO軍の駐兵費について、肩がわりというか、一部肩がわりをドイツに要請したというような話もあるとか、いろんな動きがあるようでありますが、しかし、わが日本とアメリカとの関係におきまして、新ニクソン政権になりましてからまだそういうような具体的な話は全然ありません。ただうわさ話で、われわれは自主規制問題、これがかなり話題になっておるという話を聞いておる。それからもう一つは、アメリカとの間に昨年の暮れ、貿易自由化、これについての接触があった。その程度でございます。
○穗積委員 いまのこの現実については、大体私の判断と完全一致ではないが、近づいておる。すなわち、アメリカのドル防衛対策というものが日米の経済間に非常にきびしくあらわれてくるであろうということについては、認識が一致いたしました。 さらに、これは大臣にお尋ねするのはちょっとなんですが、一つの側面として私は数字が示しておると思うので、事務当局にお尋ねしていいと思います。 アメリカの国内における投下資本の利潤率あるいは総販売量の純利益率といってもいいでしょう。どちらでもけっこうです。それと南米、ヨーロッパ、アジア・アフリカ地区に対する投資、特に日本に対するいままでのものを、もしここで資料がなければあとで出していただいてけっこうです。ここで特に伺いたいのは、日本経済の立場に立ってわれわれはSDR問題をこれから具体的に討議しなければならない。その前提として、いまのドル防衛政策の一環としての自由化に伴う、特に資本の自由化がこれから進行すると思います。特にアメリカの最近の国際収支を見ますと、資本収益というものが貿易の赤字を補ったり、それから軍事支出の非生産的な支出に伴う赤字を補おうとしておる。しかもそうなると、協調の側面に対立、矛盾の側面がこれから出てくる、一つの大きなメルクマールとなるのです。 そこで、お尋ねいたしますが、日本の利潤率の高いと思われる十億円以上の資本金の会社、それの総純利益率と、アメリカが日本にすでに投下いたしました資本の会社の総売り上げに対する純利益率でもいいし、利潤率でもけっこうですが、統計があると思いますので、ちょっとお示しをいただきたいのです。これは深刻な搾取が行なわれておるわけですよ。
○村井政府委員 いまちょうど手持ちがございませんが、さっそく調べて、あとで御連絡をするようにいたしたいと思います。
○穗積委員 それではあとで資料をつくられるなら、日本だけでなくて、対中南米、対ヨーロッパ、対日本、それからAA地区、全部ひとつ出していただきたいと思います。 いまの御答弁は、少なくとも日本の立場に立ってSDR——とにかく対米関係を中心とする経済情勢の判断というものがなければこれは議論できないわけですから、したがって、日本に対するあれを見たらどうか。はなはだ不十分ですし、ちょっとこれは当たっておるかどうかわかりませんが、一昨年までの過去五カ年間のあれを見ますと、日本の純利益率が二%台に対して、アメリカは一〇%前後です。約五倍くらいに当たっています。アメリカの日本へ進出してきた資本の会社の純利益率、非常な不均衡と搾取が行なわれておるわけですね。これはもう最も最近のアメリカのドル防衛政策の中核的一つの象徴になっていると思うのです。そういう意味で、私は、このSDRは、国際的な一つの新しい良識に従う、そして信頼による支払い手段である——通貨ではない、手段であるというふうにいわれることが、全部事実に反していると思うのですよ。いままで伺ったところでは、つまり、このSDRを生み出さなければならなくなってきた、アメリカ経済を中心とする世界資本主義経済の矛盾というものに対して、何らの解明が行なわれていない。いままでの御答弁では、この制度を取り入れても、だんだんとその矛盾と不合理を克服する手段であるということも全然希望が持てない。そうなりますと、アメリカの要求があったから、それに追随する日本資本主義経済としては、当面の貿易のダウンを食いとめるために賛成せざるを得ない、あしたあさってのことは成り行きまかせ、こういうことになる。さっきからの御答弁はそれを証明しておるわけです。こんなことではわれわれは賛否の態度を明らかにするわけにはいきませんよ。基本的な問題についてそういうことになってくるわけです。 そこで、実は時間を十分——私どもはほんとうに一つの体制的な危機を迎えているというふうにドル危機問題を理解しておりますから、それで、私は偏見にとらわれないで、お互いの向かっておる事実に即して、少しお互いの考え方をこの際突き詰めてみることが、今後の対外経済政策に有益だと思って言っているのですから、いやがらせのために言っているのではないですよ。さっきから私の疑問に対して何ら答えていない。一つも答えていない。分析も行なわれていない。はなはだしく遺憾なことでございます。聡明な大蔵大臣並びに聡明な大蔵官僚がおられて、私の疑問に何ら答えていないわけでしょう。私の分析なり判断というものが誤りであるならば、それを論駁すれはいい。論駁も行なわれていない。事実をもって証明されていない。以上が総括的な質問であったわけです。 そこで、具体的にこれから制度に入ります。いままでの御答弁で私は納得のできるものは一つもない。ただ一つあったのは、愛知外務大臣の、一国の通貨を国際通貨としてそれに運命を託する制度はもう古いんだ、新しい方向へいかなければならぬ、第三通貨とは言いませんけれども、その方向へ前進するための萌芽という発想については、賛成したけれども、それ以外は事実に反する。それから、情勢分析の中で大蔵大臣と一致したのは、日米の経済関係がドル防衛をもっと強化するであろう、その中における日米経済関係というものは、もっとシビアーなものをわれわれとしては考えていかなければならぬ、そういう認識について一致したわけです。それを基礎にして、これから制度の中へ具体的に入ってお尋ねしたいと思うのです……。
○北澤委員長 穗積君に申し上げますが、大体御了解の時間も接近しておりますから、ひとつ結論に入ってもらいたいと思うのです。
○穗積委員 こんな重大な問題、何も日切れの条約じゃないでしょう。そういう議事の扱いに対しては私は賛成できない。答弁がよければどんどんぼくは進むんだ。お聞きのとおり、答弁が私の質問に対して全然行なわれていない。そんなことで軽々にこれは賛否をきめるような単純な問題じゃありませんよ。
○北澤委員長 それでは質問を継続してください。
○穗積委員 外務委員長、あなたは外務省出身で、もっと国際的な認識と分析をもって運営してもらわなければ困るじゃないか。あなたは外務省の代弁者じゃないでしょう。独立した国会の委員長じゃありませんか。つまらぬことを言っちゃいかぬ。 それではお尋ねいたしますが、SDRの発動についての条件ですね。これは大体五カ年間をめどにして適量であるということですが、これは一体何を条件にして——それで八五%の賛成が必要ですね。そのときに、何を基準にしてそれが適量であるか不適量であるかを日本としては受け取っておられるのか、どういう主張をされるのか、そういうことをお尋ねいたします。
○村井政府委員 仕組みの問題とも関連いたしますので、お答えいたしますが、SDRを発動いたしますときには、ただこの条約が成立したというだけではだめでございまして、先ほどから先生が御指摘になっておられました流動性のジレンマと申しますか、一国の通貨が流動性問題を解決し得ないという例の問題とも関連いたしまして、そういうジレンマを解決する上のSDRでございますので、端的に申しまして、やはり主要国の国際収支が改善に向かっているかどうかという判断が一つ必要になっております。これは条約にも明記されておる重要な点かと思います。 第二の点といたしましては、これも先ほど来からの御議論にございましたが、全体としての世界の流動性というものが不足しておるかどうか、これを判定する。たとえば貿易量の伸びに応じて流動性というものが十分供給されておるかどうかという、主として貿易量との対比における全体の流動性不足の認定ということが第二の条件であろうと思います。 第三に、これも協定にあることでございますが、各国がこれをやりますときに、安易にこれを使うとか創出するとかいうことでは、やはり世界的なインフレの問題も惹起されますので、各国がやはり経済節度を守るという点、これの見通しがあるということをみんなが集まって認識し合うという、この三つの条件、これが満たされましたときにいよいよ発動ということになるわけでございます。 したがいまして、そのときの状況によりまして、その創出の量あるいは時期というものが決定される、それも八五%で決定されるという仕組みになっておるわけでございます。
○穗積委員 だから、私は言わぬこっちゃない。アメリカの国内政策の干渉の問題ではないのですよ。アメリカのインフレと国際収支の改善に対する見通しを持っているかいないかということです。その改善の方向へ、調和のとれた、エゴイスティックでない政策の方向へこれを向かわしめるための一つのチャンスといいますか、ミッテル、手段といいますか、この制度が使われるかと言ったら、愛知外務大臣は何だかわけのわからぬことを言っている。私は深刻だと思うのです。そうなりますと、その発動するときの総量を五カ年の展望の中できめて出した、ところが、アメリカをはじめとする引き出した国のインフレも国際収支も改善されないというときには、消却の手段がありますね。チェックする唯一の手段、そういうものに対してめどはないですよ。 それで、総量を大体の見通しはいまおよそ百億ドルといわれておるわけでしょう。百億ドルで、さっきから言ったように二点あると思うのです。一点は、いま深刻に訴えておられる国際支払い通貨の金または通貨の流動性が欠除してきたのだ、それが貿易の拡大発展を阻害する危険が生じてきたのだ、こういって、百億ドルで、先ほど私が言った国際間のアンハーモニゼーションなり不公平を是正しないで、あるいはアメリカの対外政策というものをチェックしないで、これができるかということですよ。できませんよ。百億ドルなんていうものは、日本にとっては三千万から七千万でしょう、この割り当てからいけば。何の利益がありますか。アメリカのいまの矛盾をびほうし、そして拡大し、あげくの果てがどうなるという見通しはないのですよ。おっしゃることは、三つの条件というものは、私は大体正しいと思うのです。第一の国際収支の改善について、一体見通しを持たなければこれを発動しないのですか。もし、その見通しを持ってやったけれども、途中でこの矛盾が拡大しておって、さらに改善されないというときには、唯一の方法は消却手段ですね、割り当てたものの。それで、あなたがさきに言ったような国際貿易のハーモニカルな拡大ができるなんという説明はとうていできません。できないですよ。どうお考えでしょうか。
○村井政府委員 従来のSDRが発生いたします五年間の議論の段階を振り返ってみますと、やはり何といいましてもアメリカの国際収支、アメリカの国内経済というものがどうなるかということが、非常に大きなポイントであったわけでございますが、結局その結果といたしまして、それは十分条件の一つになる、そういうめどがないとだめだということが、その拒否権——八五%、EECが一六・数%の投票権を持っておりますので、EEC全体がやはりよく見る、またアメリカも、それは国際収支改善のめどが立ってからでなければ発動することは適当ではないという認識がやはり背後にあるわけでございますので、その点は、私は、今後の運用において十分重視される問題であると思いますし、現にいまの新政権がインフレ抑圧と国際収支改善という点に非常に大きな政策の重点を置いております理由の一つには、やはりこの国際収支を改善しないと、各国が共同でやるようなSDR、先ほど来の、各国が共同責任でやるという第三通貨的な新しい制度への発展ができ雇いということになって、もっぱら現在国際収支改善に努力をしている面があるのではないかというふうに私は感じております。これは今後の推移を見てみないと、それがどうなるかということはにわかにわからないわけですけれども、とにかく現状の認識という一場面が発動の前には必ずあるわけでございます。したがって、私たちはその場におきましても、アメリカあるいはそのほかの国の国際収支の状況というものを十分見て、それからでなければボタンを押すことに賛成しない、これはどこの国でも同じ気持ちではないかというふうに考えております。
○穗積委員 EECの一六・五%の拒否権——拒否権になるわけだ。チェックする力だ。それにたよっているということでは、その場合は——今度のなれ合いでもそうですね、EECとアメリカの表れ合いになっているわけですよ。日本の利益なんか考えられておらぬ。この中には考えられておりませんよ。大体発足のときから、EECはEECなりに、アメリカをチェックしながら自分の利益を取る、ギブ・アンド・テークの実益を取っていますよ。日本は何も取ってないんです。 それでは、次にお尋ねいたしましょう。そういうことであるならば、あなたは第二の私の質問にお答えにならなかった。インフレと国際収支が改善されることをめどとして発動をするということですね。ところが、主要なものはアメリカになるわけです。アメリカの矛盾が波及しておるわけです。したがって、アメリカは、私がさきに言ったように、インフレの終息もない、つまり赤字軍事財政の終息もない。それから国内における労働力不足に伴うもう一つのプラスが上がってくるでしょう。それから独占資本に対する景気維持政策、過熱政策というものが継続するにきまっておるとわれわれは情勢判断をしておるわけです。それを否定するあなた方の説明が何もない。それでしかも、日米関係はきびしくなるという大蔵大臣の判断、そのとおりです。そのときに、発動をしてみた、アメリカのインフレと国際収支は改善される見込みがなくなってきた、むしろ矛盾が拡大してきたというときには、さっきの消却制度が一つはあるわけですね。これに対しては、一体日本はどういう態度をとるのでしょうか。ここでチェックすることは日本の対米貿易の拡大に妨害になるということをエクスキューズとして、明日、明後日の運命のことは考えないで、あたかもタコがわが足を食うようにやる、あるいはモルヒネの注射をしなければやっていけないからやる、無責任な政策だと思うのです。私どもは専門家に対して言うのですが、私どもはいまの危機は深刻な危機だと見ておるのですよ。だから、その点についてもっとはっきりした所信と、それから具体的な方針を明らかにしていただきたいのです。
○村井政府委員 SDRが発動されたあとの段階におきまして、アメリカの経済がかりにまたインフレ的な様相を示してくるという場合にはどうするかということになるわけでございますが、そのときには、SDR自体の制度には、消却とか復元であるとかというようなことのほかに、全体の仕組み自体に、やはり各国は経済節度をもって運営するという精神が全体としてございますので、これが、アメリカの国際収支の悪化あるいはインフレというものが、非常にやはり根強いものになってくるという徴候を示しますときには、私は、発動の量なりあるいは消却高等におきまして、かなりそれにブレーキをかけるというSDRの制度上からの問題が一つあると思います。 それからそのほかに、これを議論されておりました場、つまり、OECD、ことにOECDの中の第三作業部会というような場、あるいは十カ国蔵相会議というような場におきまして、結局、各国の国際収支の調整過程と申しますか、各国の経済運営の節度というものはいかなる場合にも重要である、したがって、その節度を踏みはずした場合には、各国がお互いにやはり注意をし合うというような仕組みが、すでにある程度国際的にでき上がっておる。国際協調という場面のうらはらといたしまして、そういう一つの仕組みというものがすでにでき上がっておる、あるいはでき上がりつつあるというように私たちは見ております。したがって、ある国、ことに経済力の大きい国がまた再びインフレ化するという場合には、お互いに注意し合うということ。日本もそういう場におきまして、従来からもアメリカの国際収支改善に対していろいろ意見も述べておる次第でございますが、さらにそういう場をかりて言うということは、これは国際協調のうらはらのこれからの問題として、当然大きなウエートを占めてくるというように私は思っておる次第でございます。
○穗積委員 大蔵大臣にお尋ねいたします。もう時間がなくなりましたから、結論だけお尋ねいたしましょう。 SDR発動の条件については、いまお話しのとおり、その分析と展望の中で総額かきまるところが、各国に対する割り当てが問題でありますけれども、これはこの条文で見ますと、IMFに対する出資額に比例してということ。こんなものが日本の利益の立場に立って認められますか。また、客観的に国際的に日本と諸外国との経済関係を見て、こんなものが合理的な、公平的な国際協調に向かう傾向があるなんということが言えるでしょうか。非常に古い状態の中でこれを固定して、新しい今日の国際経済情勢というものを見ていない。こんなばかばかしい制度はないですよ。この割り当て問題については一体どういうことでございましょうか。どういう意味でこんなものに賛成しておるのでしょうか。
○福田国務大臣 これは、IMFにおけるわが国のクォータはたしか三・四%くらいになっておるわけです。これはわが国の経済実力から見ると、ややどうも低いと思っておる。それからヨーロッパの諸国、大陸の諸国なんかは大体五%くらいになっておるのじゃないか、こういうふうに思いますが、わが国が三・四%というのは低きに過ぎる、こういうふうに思います。そこで、このIMFのクォータというのは、これは五年に一回総レビューをするというたてまえになっており、また特別の事情があればその間といえどもやることになっておりますが、あるいは改定をされて実現するという手続は、何カ国も賛成をするという、かなりきびしい条件があるのです。そういうようなことから、必ずしも容易じゃないのでありますが、わが国の最近の経済実力というものは、世界的にも認識されてきておる問題であります。わが国のクォータを改定する基盤は熟しておる、こういうふうに私は見ておるわけであります。何とかしてこのクォータ改定を実現したい、こういう考えなんです。それがきまりますと、これがまたその国のSDRにも影響をしてくるわけなんであります。SDRのことを考えましても、何とかIMFクォータの改定をしたい、こういう考えであります。
○穗積委員 福田さん、私は党派にとらわれていやがらせを言うわけではないのですよ。 そこで、問題提起をいたします。この制度について一番の根本原因であったアメリカのインフレと国際収支の赤字、その原因は私が言ったように内外政策の誤りです。それが一点と、それをチェックする制度というものの見通しをここで持たなければならないということが一点。それからもう一つは、普遍的な管理通貨にかわる管理第三通貨ではないか。ややドルから独立——独立というか、独立とまではいかぬけれども、国際信用をここで樹立してやるというときに、そういう希望の持てる方向で一歩前進しているかしていないかという証左は、制度上はここなんですよ。そうであれば、私の考えでは、さっきも政府の答弁があったように、この割り当てというものは、貿易量を基準にするか、その国の生産力または生産性を基準にするか、そういう国際的に客観性のある、そしてだれもが主観的にエゴイスティックに否定することのできない、そして現状に即した、そういうことであるのが私は必要だと思うのです。そのことによって——私は、貿易の基礎である生産性の問題がむしろより重要だと思うのです。これからの通貨、金からやや遠ざかっていく、そして国際的な良識のある管理通貨、それを国際的な流動性を確保するための公平な支払い手段として考えるならば、これが欠けているのですから、何とも説明のしようがないのですよ。さっきから美辞麗句で言われましたけれども、これほど間違っておって、日本に不利な二つの側面を持った誤りはありません。これは一体どういうことでしょうか。日本としては当然、貿易額または生産力、生産性にのっとってこの基準を改定せしめなければならないと思うのです。私はいまからでもおそくないと思うのですよ、批准前ですから。そのことは、少なくとも附帯決議をつけるなり何なりして、これはその他の政治的な方法があるでしょう。法律的効果はありませんけれども……。それを先に示すお考えがあるかないか、私が言っていることが合理性があるかないか、その二点についてお答えをいただきたい。これは非常な誤りです。
○福田国務大臣 第一点は、アメリカのインフレの性格論ですね。これは愛知外務大臣も申し上げているとおり、アメリカのことをこちらでなかなか責任を持ちかねる、こういうことですが、見通しを言うと、私は、ベトナム戦争、これが片づけば、アメリカの国際収支態勢というものは一変してくる、こういうふうに見ております。しかし、それがいつ実現するかまだわからない、こういう現段階で、アメリカは内需の抑制、したがって輸入の抑制、こういうことを中心とした諸政策を推進している。ドルの価値維持に懸命である。おそらくこれはきびしい道であろうけれども、成功するであろうというふうに考えております。 それから第二のクォータの問題ですが、これはもうあなたのおっしゃるとおりなんです。わが国の最近の経済実力から見て、わが国が三・四%というクォータで満足すべきものではない。あらゆる努力を尽くしてこれが改定をいたしたい、かように考えます。
○穗積委員 改定をする方法を聞いているのです。何を基準にしてどういう主張をされるのか。どういうときにされるのか。批准のときにされるのか。その具体的な方針を聞いているのです。いまのお話だけでは主観的な願望にすぎない。そんなものは国際的に通用しない。われわれ野党に対しても説得力になりません。
○村井政府委員 昨年のIMF総会の場におきましても、またその直後のIMF首脳との会談におきましても、その話が出ております。この希望は、それからずっと引き続いて持っております。いま大臣が答弁されたとおりでございますが、方法は、従来一つのブレトンウッズ方式というものがございまして、輸出貿易量、それから国民所得、外貨準備というものを、三者を主として計算要因といたしておるわけでございますが、私たちはそれを最近の数字でもってさらに念査いたしまして、この方式自体にも検討すべき点があるのではないかという点をよくチェックいたしまして、必ずしも従来の方式自体にとらわれることなく、最も現実に即した、経済力が反映されるような、そういう仕組みを主張していきたい。ただ、改定の年限が一応来年ということになっておりますので、これからさらに技術的な詰めの段階に入ると思いますが、そういう詰めの段階におきまして、私たちはそういう気持ちで極力方式自体を主張してまいりたいというふうに考えております。
○穗積委員 そうすると、機会は来年の会議で主張するということですね。まず会議から主張するということですね。 それからもう一つ。基準は何に置かれますか。貿易量に置くのか、生産力または生産性に置くのか、どれが客観的に合理性があるとお考えでありますか。それを伺っておきたいのです。
○村井政府委員 私は、一つの経済指標だけでは各国の経済力を十分に反映し得ないのではないかというふうに想像いたします。その国その国によりまして、非常にそれぞれのウエートが違ってくるというふうに思います。たとえば日本の場合でございますと、貿易量、また先生御指摘の生産力というようなものがやはり反映されたほうが日本の成長の伸びというものが十分反映されるのではないかというふうに私はいまのところ考えておりますけれども、これは全体的なフォーミュラというものを各国が共通にきめなければなりませんので、結局、各国の意見をそこで十分練って一つの方式ができ上がるということになると思います。それで、時期でございますが、来年になって初めてするという問題ではなくて、私たちもつとにやってもおりますし、ことしの総会を契機といたしまして、その後かなり具体的な進展があるのではないか。たとえばことしの暮れというような時期に一つの研究グループができるとか、そういうことしの末ぐらいから、あるいは秋の総会以降からそういう作業が内部的に始まるのではないかというふうに考えております。その成果が来年結果として表にあらわれてくるそういう段取りではないかというふうに考えております。
○穗積委員 この問題で、戸叶委員がちょっと関連質問——重要な点ですから当然だと思うのですね。私はこの問題についてもう一点だけお尋ねして、戸叶委員の関連質問をお許しいただきたいと思います。 私が関連してお尋ねしたいのは、後進国の問題はどうなっておるのかということです。特に日本はアジアに位して、スリーA地区を代表してものを言わなければならないという義務があると思うのです。世界資本主義は一国資本主義では成り立ちませんよ。社会主義においてもそうです。したがって、特に資本主義の国際的な矛盾、つまり、北と南の問題についてわれわれが最も主張すべき問題は、核の問題と後進国の問題、南北問題というのは、日本の国際政治における名誉ある義務だと私は思うのです。どう考えておられるでしょうか。何もないじゃないですか。この制度では何の均てんもないじゃないですか。しかも利益から見ても、日本の貿易拡大は、対米、対ヨーロッパはもうきびしい競争段階に入っておる。そうなると、これから開発さるべきスリーA地区の経済との関係がわが国においては最も大きくなる。 それから最後に、これはあとでお尋ねしますが、東側との問題です。その問題について何の方針も出ていないじゃないですか。東側は社会主義陣営に経済的にもなっておりますから、したがって、これは別個の問題で、この制度の中に入らない。入らないけれども、この制度のワクの中に経済的、政治的に入っておるこの南側の諸君の立場というものに対して、何の良心も、それから国の将来の経済発展の国益も考えていない。こんな制度に対して黙してそうですがといって引き下がるような政府の説明では、われわれはもう何とも賛成のしようがないわけです。これは大蔵大臣から先にちょっとお答えいただきたい。あなたは次の総理を自認しておるのだから、この問題は大事ですから、基本的な考え方を伺っておきたい。
○福田国務大臣 いま後進国はどうだというお話でありますが、特に後進国について配慮を加えておるというところはありません。ありませんのは、いままでの通貨制度だってそうなんです。これはもし、中小国というか、開発途上国について配慮を加えるとすれば、これは財政的な協力でありますとか、あるいは金を貸すというような金融的協力措置とか、あるいは技術だとか、医療だとか、そういうような問題になってくると思うのです。通貨のほうは、これは在来の通貨のように普遍的に差別なくこれを適用しておる、こういうことになっておるのであります。しかし、世界全体の経済発展をねらっておるわけでありますから、世界の経済成長がこれにより促進される。その結果、北の国は南の国々に対する財政協力、金融協力、そういう協力の力をたくわえ得る、こういうことになる。そういう意味では、間接的には開発途上国にも大きな影響があろうと思います。開発途上国の問題、これは通貨問題によって解決するのは無理なんで、その他の方法によって解決すべき問題であろう、さように考えますが、穗積さんのおっしゃるとおり、南北問題の解決に大きく日本が働く、日本の役割を果たす、これは崇高なる日本の任務である、これについては全く同感であります。
○戸叶委員 関連して質問さしていただきます。 いまの大臣の御答弁で、南北問題の解決に日本が率先してやらなければならないというようなことをおっしゃいましたけれども、具体的にそれではどうするかということが触れられていなかったと思いますので、それをついでに伺いたいと思いますが、私はいま関連として立ちましたのは、先ほどからIMFのクォータの問題が出ております。再検討は五年ごとに行なわれることになっているということは、先ほども御説明のあったとおりでございまして、前には、たしか六六年に一律に二五%一部の国では特別増額が行なわれたと思います。今度の再検討は結局七〇年の前、七〇年の前といえばことしだと思います。それに行なわなければならないことになっておりまして、割り当て額の拡大には、日本も含めて各国とも相当関心を寄せていると思います。そこで、いまの御答弁を伺っておりますと、来年の総会を待たずにことしの暮れまでには考えているのだ、検討を進めているのだというようなことをおっしゃったのですが、その最終的な決定というものは、SDRの制度が発足する前に割り当て額の増額ということをおきめになるかどうか、これをまず伺っておきたいと思います。というのは、やはりSDRのクォータとの関係があるわけでございますから、一体いつされるかということが問題じゃないか。SDRを中心にして、これの批准の前にするのか、あとにするのかということがやはり問題になると思いますので、伺っておきたいと思います。
○村井政府委員 クォータの変更の時期との関係でございますが、これはいまのところ別にきまった合意はございません。ただ、先ほど申しましたように、SDRはこういう条件が満たされたらなるべく早く発動したほうがいいのだという一般的な空気が一つございます。もう一つのクォータのほうは、現状に即したクォータをなるべく早い時期にやるべきだ、少なくとも作業を進めるべきだ。その時期は、これは六六年でございましたけれども、決定は六五年でございますので、その五年先に、つまり七〇年になるかと思いますが、その七〇年に決定いたしますにあたっては、もうことしの末ぐらいから内部作業を始めなければいかぬ、こういう意味でございますが、それがどの程度進みますか、SDRとの前後関係はいまのところそういうわけで合意はされてはおりませんが、かりに前後いたしましても、それをどうするか、どういうふうに調整するかという方法が考えられるわけでございます。SDRのほうが先にきまりましても、あとにきまったクォータをどういうふうにきまった時期において調整するかという、これは技術的な経過的な調整措置というものがあり得るわけでございますので、結局大局的に見まして、われわれが不利にならないように、そういう経過措置を考えていきたいというふうに考えております。
○戸叶委員 関連ですから私はこれ以上追及しませんけれども、もう一点だけ伺いたいのは、この前のときには一律に二五%、それからまた一部の国ではもっと多額に増額したところもあるということになりますと、その立場、その態度というか、先ほどいろいろ穗積先生が分析なさいました貿易の問題とか生産性の問題、そういうふうな問題からからめて検討してみて、日本は一体どういうふうな基本線で臨むかということをもう少し具体的にお話しになれるのじゃないかと思うのですけれども、この前のときは一律に二五%、そしてもっと多額に増額したところがあるということになりますと、一体、日本は今日の情勢の中でどういうことを中心にして、どういうことを考えてなされるかということが、もうちょっと具体的に示されていいのじゃないかと思うのですが、この点を伺って、私の質問を終わります。
○村井政府委員 お気持ちは十分わかるのでございますが、数字的にお答えするのは、いまの段階ではかなりむずかしいと思います。ただ、非常に抽象的に申し上げますと、先ほど来の話で、日本の場合は貿易量とか生産性とかいうものができる限り反映されますと、ほかの国の伸びよりも、私はおそらく伸びが上回るのじゃないだろうかと思いますので、今度の増資が何%になりますかわかりませんが、それが一律に数十%あるいは数%ということになりますと、それを上回った数字が日本の場合には出てくる、つまり、特別によけい増資をするという結論が出てくるような気が私はいたしております。
○穗積委員 実は交渉の経過も私少し調べてありますから、それをも踏みながら、もう少し具体的にお尋ねしたいと思ったのだけれども、私の割り当て時間が一時間半——一時間だったのが一時間過ぎて、戸叶さんから時間をいただいておりますけれども、それにしても時間がなくなりましたので、あと二点について大臣に大きい問題だけお尋ねして、それであと、制度上の経過並びに制度の内容、今後の展望については、事務当局からでもゆっくり時間制限なくてお尋ねしたいと思っておりますから、その趣旨でお答えください。 一つは、この問題は、言うまでもなく日本の立場に立てば、いまのアメリカ経済並びにドル危機を中心とする経済的な停滞、これが当面日本の貿易拡大に障害になる、だから、この制度をもってたとえそれがびほうでも認めることが有利であると、純経済的な立場でこの問題提起が政府からされております。そういうふうに純経済的に見ますと、今後日本の貿易拡大あるいは市場転換の点まで考えまして、ある国に対する貿易構造の中での地域的なへんぱ、それから貿易品目の変化ということがこれから国際経済全体の成長の中で考えられるということですが、私が特に言いたいのは、地域的な構造の欠陥というか、日本の貿易構造の誤り、それについて、特に大きな問題ですから、大臣にお尋ねするわけですが、東側との貿易問題、特に中国大陸並びにシベリア大陸との経済問題というのは、東南アジア地域との貿易問題より以上に重大であるというふうに思うわけです。それを取り上げないで、SDR——日本の対先進資本主義諸国との貿易矛盾というものを取り上げるときに、この制度を一つの当面の補強策として考えようということであるなら、当然私はその問題が政策として提起されていいと思う。ところが、いまの佐藤内閣における経済貿易政策というものは、それに対して何の分析も指向もしていない。むしろ逆ではないかと思うのです。これは言い過ぎではないと思うのですね。同様の立場に立っておる、今度の交渉の中心の主役の一人であるEEC諸君は、貿易の地域的構造の改善ということについては、はるかに国際的な視野に立ち、合理的な立場に立ち、自国の利益というものを忘れないで進めております。それが日本には何らない。これはアメリカのさっきの対日政策、特にニクソン以後の対日政策の方向を見ながら、重要な問題だと私は思うのです。だから、いままであなたに、そういう経済的な立場に立った日本の貿易構造の問題について、特に東側の貿易問題について、あまり伺う機会がなかったので、この機会に関連をして、重要な路線の問題ですからお尋ねをいたしておきたいのです。
○福田国務大臣 東西問題が今後どういうふうになってまいりますか、これは非常に見通しのむずかしい問題だろうというふうに思います。複雑な経過をたどりながら、だんだんと融和、融合の方向に向かっていく、こういうふうに見ますが、当面いろいろ複雑な現象が起こってくることは、これは私はいなめないところであろうというふうに考えます。そういう間にあって、経済問題をどういうふうにさばくか、これはやはり政治体制が経済の円滑なる流通をある程度まで阻害する要因に在るということはいなめないことであろうというふうに思いますが、その間におきましても、やはり政治問題と経済問題というものは、これはまた別個な立場でながめることができますから、それなりに経済交流を進行させることを考うべきである。そうしなければならぬというふうに考えております。現に日ソ間なんかは、かなり緊密な経済交流が始まってきておる。ただ、中共、北ベトナムとかあるいは北朝鮮、こういう方面との接触、これはなかなか思うようにはまいっておらない。いまわが国としては政経分離、こういうたてまえでやっていこうというような方針を出しておるわけでありますが、どちらかというと、対ソ交流というようなことに比べますと、いま国交が開かれておらぬ、こういう点でかなりおくれをとっておるという状態であります。しかし、それにしても、先ほど申し上げましたとおり、経済は経済というようなたてまえで、可能な範囲において貿易は拡大していく、こういうことを考えるべきであります。
○穗積委員 いまの国際経済の問題は、イデオロギー問題としてこれを取り上ぐべきではないと思うのです。それを口実にすべきではないのです。 そこで、具体的にお尋ねいたしますが、一つは、ココムの問題に対して大蔵省はどういう分析と今後の判断を持っておられるか、一点。 もう一つは、対東側の貿易につける延べ払い問題です。私は、これは一ぺんに飛躍してお答えいただく必要はないのですよ。もっと足を地につけて、自民党は資本主義の立場をとっておるのですから、特に西ヨーロッパの諸国のこれらに対する態度と対比しながら、もっとちゃんとした方針をお持ちになったらどうですか、この危機を迎えておるわけですから。さっき言ったような、SDRの制度上実に不利なものも忍んで屈服しておるわけだ。それというのも、より多い貿易拡大が必要だ、それだけのためですよ。その点から見れば、ココムの問題と延べ払い問題について、大蔵省は一体どういう願望を持っておられるのか。分析と願望を持っておられたら明らかにしてもらいたいのです、政策上矛盾ですから。
○福田国務大臣 ココムの問題は、関係の国々があるわけでありますから、関係の国々とも相談しながらこれをやっていく……。
○穗積委員 方向はどうですか。相談をしてやるのはいいのですが、方向はどうですか。
○福田国務大臣 先ほど申し上げましたように、政治は政治だ、しかし経済は経済だというたてまえでよかろうと思うのです。 それから延べ払い問題につきましては、これは国交が開かれておらない中共等との間ではやや複雑な状態になって今日に至っておるわけです。その事態に対しまして、政府は、これはケース・バイ・ケースだということを言っておるわけなんですが、そのケースがなかなかレールに乗ってこないというのが現状なんです。しかし、これも国交の開かれてない現状ということが、大きくレールに乗らせない、ケース・バイ・ケースになっていると思いますが、政治情勢の展開等を見てみないと、にわかにこうすべきだというような見解を申し上げるわけにもまいりませんが、とにかく流動する世界情勢でありますから、そういうものとにらみ合わせながら今後配慮すべき問題だ、かように考えます。
○穗積委員 その問題については非常に重要だと思うのですが、いまの御答弁でははなはだしく消極の方針ですよ。私は、この不合理な二つの問題をヨーロッパの資本主義国と対比しながら見たときに、これは通産と大蔵が経済合理主義の路線に沿ってこれを破る、発展せしめる責任があると思うのです。大蔵大臣は、いまいろんなことを考えて政治的な判断で、私の経済合理主義の立場に立ってどうだという質問に対して、はぐらかしておられるから、事務当局の方にお尋ねいたしましょう。そういう責任をお感じになりませんか。特に通産、大蔵が、外務省のばかばかしい追随主義のからを破る原動力にならなければならぬと思うんだ。ぼくらあなた方を激励して質問をしておるのです。しかも、あなた方の路線であるべき経済合理主義の立場に立って、なおかつそうである。事務当局を代表して局長は、大臣に遠慮しないで一ぺんちょっとものを言ってみてください。どんなことを考えておるのか。
○村井政府委員 お隣におられますが、遠慮しないで申し上げます。 ただまあ、結論が同じことになるものですから困るのでございますが、実績は、そういうことで皆無ではございませんで、共産圏あるいは東の国といえども、そういう延べ払いの案件がございますれば、西欧のそういう国に供与しておるような条件でございますれば、私たちのほうでも、これは政治問題とは一応別だという観点で、もちろん許可、認可をしておりますが、何ぶん一般の輸出の中で占めるウエートは小さいと申しますか、あまり案件が上がってこないと申しますか、実際の経済の実態からしまする制約がなかなかやりにくい。つまり、延べ払いの条件だけでなくて、いろんな面からの契約がなかなかできにくいというような点もあろうかと思いますが、実績はそれほど多くない。しかし、ゼロではないというのが現状でございます。
○穗積委員 いま大臣と局長の御答弁を、何も事情を知らない、経過を知らない国民が聞くと、もっともなことを言っておるというふうに聞こえますから、そういうことで私がああそうですかと引き下がっては、ちょっと責任上悪いと思いますから、念のために申し上げますが、ケース・バイ・ケースとは佐藤総理も言う。それから福田大蔵大臣、経済官僚のくせに、実はあまりに反共思想が強過ぎるとわれわれは遺憾に思っておるんだが、その経済官僚出身である福田さんもそう言う。局長まで言っておられる。ということになれば、実はそうじゃないのですよ。これは何といいますか、ポテンシャルエナージーといいますか、もっと効用の発動を求めておる情勢というものは、国内においても相手国においても非常に強いのです。それを形式的にはケース・バイ・ケースでやります、だから必ずしもノーと言いませんと言いながら、実際は全部事前にチェックしてしまっているのですよ。だから出ないのです。それじゃもし出たときには、合理的理由なくしてノーと言わないということをここで確約してくださるなら、それは幾らでも出ます。すでに池田首相当時から、倉敷をはじめニチボー、それから東洋レーヨン、日立、陸続としてこの希望が出たのを、佐藤内閣が全部つんでしまって押えたわけでしょう。これは誤りですよ。そういうことで、このSDRをのまされて、日本は不利と不平等の取り扱いに屈従して、もしこの制度でドルの切り下げなんかあったらみじめなものですよ。そういうことを提案しておきながら、一方においては、いま言ったように、口では合理主義、裏では非常な妨害主義、これは誤りですから、注意しておきます。 そこで、最後にお尋ねいたしますが、さっきあなたと私と意見の一致した方向としては、IMFに対する出資額を基準にすべきではない、それは合理主義の立場に立てば、やはり貿易量なり生産力または生産性、それらを基準にして合理的なあれを考えなければいけない。それから一国の貨幣から離脱し、それからあるいは金の生産量にブレーキをかけられないで、合理的な一つの国際的な信用と協調の中における通貨というものの展望がやや見られる。希望が持てる萌芽といえるけれども、それはいま言ったように逆なんですから、私はこのものを萌芽として認めるわけにいきません。いままでの矛盾と誤りを固定し拡大するだけである、こういうふうに結論をせざるを得ないわけです。 そこで、あなたは、さっき私のそういう所論に対して、新しい国際管理通貨、新しい合理的な基準、そういうものの部分については、認識でやや一致したわけです。そうであるならば、私は、最後にここで大臣並びに事務当局にお尋ねいたしますが、たとえばケインズ案であるとか、トリフィン案であるとか、いろいろなものが、五つ、六つの案が、もうすでに新しい国際通貨への展望を見ながら、しかもそれは飛躍ではない。これらは全部近代経済学者ですから、飛躍ではありません。足を地につけながら、この可能性がある、そしてその方向に行くべきであるということを差し示しておるわけです。これは大蔵当局としては外務省以上に分析、検討しておられると思うのです。ですから、この方向を指向する意思があるのかないのか。これは、案は具体的にはいろいろ制度がありますけれども、私は、時間がないから総括的に質問しておるわけです。一体、そういうことの分析や検討が大蔵省内においてなされつつあるのかどうか。それからさらにそれを指向する発想なり意欲があるのかどうか。これはさっきの御答弁と関連をいたしますから、ぜひこの際伺っておきたいのです。
○福田国務大臣 このSDRの構想は、実に五年間の検討の結果生まれたものです。この五年間の過程においていろいろな構想も出、議論が戦わされたわけですが、結局大多数の意見はこのSDRだと、こういうことです。この間において、わが日本がどういう態度をとったかというと、やはりこのSDRの考え方、つまり、IMFに密着した新しい決済手段、これでないと動きがつかぬ、こういうことです。それに対して対照的な考え方は金だ。金というようなフランスあたりの考え方が出ておったわけでありますが、やはりIMFを中心に置いた考え方をとるべきである。わが国の考え方というものは、まとまったこのSDRの構想と全く一致する結果になっておるわけなんです。そういう意味において、わが国としては、いろいろな構想があるけれども、このSDR構想、これが最も現在の段階としては好ましい、さように考えております。ただ、このSDRができたからこれで世界の流動問題が片づいたかというと、そうじゃないと思います。おのおのの国が国際収支の安定に努力しなければならぬという、その努力の問題もございますけれども、この上ともあらゆる知能をしぼって、この国際決済をなだらかにするという方途については研さんを積んでいかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
○村井政府委員 一点だけ。これはもう先生御承知のことでありますけれども、念のためにはっきりさせておきますのは、SDRはドルの価値にはリンクいたしておりませんで、もっぱら金の価値にリンクしておるわけでございます。したがって、ドルの価値がどうなりましても、このSDRの価値自体は不動である、これは先生御承知の上の御発言だと思いますので、念のために申し添えておきます。
○北澤委員長 曽祢益君。
○曽祢委員 国際通貨事情というものは、やはり非常に流動的だと思います。昨年の二月六日に、私自身が、本院の予算委員会で、ちょうど国際通貨不安とわが国の国際収支がどうなるかというようなことについて質問したのですが、そのときに、政府の国際収支の見通しとしては、昨四十三年度の見通しとしては、まあまあ三億五千万ドルくらいの赤字になるのではないか。私どもは、国際通貨不安の状況から見て、ドルのポジション、アメリカの引き締め政策等々から見て、とても赤字が三億五千万ドルどころじゃ足り危いだろう、五億ドルくらいの赤字になるのではないかと言っておりましたが、少し恥ずかしいような、また日本の国のためにはうれしいような、逆に、三月末の四十三会計年度のしりからいうと、十億ドルの黒字になった。また、当時の日本の外貨ポジションにおいては十九億ドル台であったものが、いまでは四十三年末において三十二億ドルをこえた。一年間に十二億ドル、いな十三億ドルも、月に大体一億ドル以上もふえつつあったということは、まことに驚異的なものだと思うのです。また、当時の見通しからいうならば、むしろフランスのドゴール老大統領の執念もあって、うんとこさアメリカのドルを攻撃しておったわけでありますが、くしくもそのフランスのほうが、五月の異変以来、ためにためた国内の不景気政策の大転換をやらされて、そうして労働攻勢の前に、結局非常なインフレ政策をとらざるを得なかった。かてて加えて、大学の改革のために非常な支出が要るというようなことで、今度は一番安定を誇ってアメリカを見返してやったようなフランスのフランが危機に遭遇する。その中で一番かたいのがむしろマルクである。マルクをむしろ引き上げをやらなければならないのじゃないかというような流動があったわけですね。そういうような非常に流動性のある、しかも国際通貨不安というものが、全体としてまだ決して消え去っておらない。そこで、このSDRというものが、これらの状況の変化に応じて、今日なお非常に即効的な国際通貨不安を静めるような効果がどれほど期待されるのか。あるときには、通貨不安が非常に強いときにはSDR、SDRというけれども、実際それが少し静まってくると、SDRの効果ということがどれほどまた評価されるかというと、いささか評価も下がってくるのではないかという気がするわけです。そういうことを踏まえて、きわめて基礎的なことですけれども、現状において大蔵大臣にお伺いしたいのは、主要通貨の、まず事の一応のはしりであったポンドの不安についてどういうようにお考えであるか。それからフランの問題についてはどうお考えであるか。最後にドルの問題、これは一番根本的で、一番むずかしい問題でありまして、穗積委員の御質問にもありましたが、まあ大体においてドルの不安とその見通しについてどうお考えであるか、この点を伺いたい。
○福田国務大臣 外国の、しかも世界経済の中できわめて重要なる地位を持っておる英、米、仏、これの通貨の前途いかん、こういうお尋ね、いささか答弁に当惑をするわけでございます。そういう当惑しているという気持ちでお答え申し上げますから、お許しを願いたいと思います。 イギリスにつきましては、これはまあまことに容易ならざる経済状態であると考えますが、御承知のように、賃金・物価抑制政策、しかも強権をもってこれを抑制する、こういう政策をとっておるわけです。これがどういうふうな成果を結ぶか、労働組合がどの程度の協力をこれに対してするかというようなことですね。これが一つの問題点であり、また、英国の貿易収支というものが、それを背景としてどういう改善の道をたどるか、こういうことがまた同時に問題視される、こういうことでございますが、最近旅行というか、出張して帰った人なんかの話を伺ってみますと、当面はなはだ落ちついた気分を示しておる、こういうようなことでございます。私は、労働党内閣下の英国が、まあとにかく労働者に対しましてもきびしい政策を要求しておるわけですが、労働組合との協力のもとに何とかこの危機を乗り切って、そうしてまた世界基軸通貨としてのポンドを回復してもらいたいと念願するのみであります。 それからフランスの状態、これは、フランスは金をとにかく昨年の春までは六十億ドルも保有するし、ドゴール大統領をして言わしめれば、われに黄金の爆弾あり、そう言っていばっておったフランスだったんですが、これが逆転劇というか、非常に変化を示してきたのは五月危機であります。このゼネストが大きく響いたというふうに見ておるわけですが、ゼネストによる生産の喪失、これはどのくらいになりますか、人によると五十億ドルというふうな見方をしておる人もある。五十億ドルの生産を失う。そうすると、これはすぐ金の保有に響いてくるわけであります。はたせるかな、ストライキの影響というものは金の保有高に響き始めまして、今日では四十億ドルの保有高に減ってきておるわけであります。そういうような過程におきまして、ゼネストを乗り切るために、賃上げの交渉というものが行なわれておる。ドゴール大統領は一三%ないし一五%の賃上げを労働組合に対して容認する、こういうことがあり、それがずっと昨年一ぱい実施の過程に入りまして、そうしてかたがた物価の変化も激しくなる、そういうようなことから、フランに対する先行き不安が出てまいりまして、フランが隣のドイツに逃げるというような状態が出てまいり、そういうことから金の喪失にもなったわけでありますが、しかし、これは非常な事態になり、昨年の秋にはフランの切り下げをしなければ事は解決しないのじゃないかという見方もありましたが ドゴール大統領の裁断で、切り下げはしない、こういうことになり、一方国際協力が大きく働きまして、国際決済銀行を中心とする借款等が供与せられ、この危機は乗り切られて今日に至っておるわけであります。まあ、ドゴール大統領は、最近におきましても、フランの切り下げはしない、ニクソン大統領の訪欧という機会にも、そういう意図が表明されたというふうに伝えられておりますが、何とかしてフランスの国際収支を回復し、フランの価値を堅持してまいろうという非常な決意を固めておるというふうに見られておるのであります。 それからドイツのほうは、逆にマルク価値が非常に高騰しておる。これを何とか抑制をする、是正をする必要がある。つまり、マルク価値の切り上げをすべしという国際世論が高まってきたのでありまするが、いろいろな情勢判断から、その措置はとらずに、国境税を賦課するということでその調整をはかるということにしたわけであります。四%の国境税をかける。ところが、それをやってみたんだが、必ずしもこの効果というものがそう的確に出てきておらない。そういうようなことで、マルクの割り高というものに対するいろいろな批判というものが今日出ておるわけであります。そういう状態ですから、ヨーロッパ諸国おおむね経済不安要因をかかえておるそのさなかに、ドイツ経済はきわめて堅実で、マルクの価値はむしろ過小に評価されている、こういうような状態だから、やっぱりドイツに対して各国の通貨が流入する傾向がもっぱら出てくるわけです。ですから、むしろドイツといたしますれば、その外貨保有高の多きに苦しむという状態であり、これを放出するいろいろな努力もしておったわけであります。わが日本も、ドイツ・マルク債の取り入れ等幾つかやってきておりますが、最近どうもちょっとマルク債が多過ぎるというような見方も出てまいりまして、少し抑制政策をとり始めておるというふうにも聞いておるわけであります。ともかく持てる国の悩みというのがマルク・ドイツの状態である、かように考えております。 それからアメリカの状態、これは先ほど穗積さんからもいろいろ話がありましたが、ベトナム戦争初期というか、それ以前のアメリカの国際収支、これの大体のパターンは、五、六十億ドルの輸出超過を実現し、そしてこの五、六十億ドルをどういうふうに散らすかというと、これは非常に大ざっぱな見方ですが、まあ半分くらいはアメリカの世界各国に駐兵しておる駐兵費の海外払い、それから他の半分くらいは海外経済協力、こういう形でアメリカの国際収支がバランスされるという形をとっておったわけでございますが、ベトナム戦争が進むにつれまして、この形がだいぶ乱れてきておるというふうに見られておるのであります。ことに昨年のアメリカの国際収支は非常な変化を示した。それは何かというと、貿易黒字というものがわずかに九千万ドルというふうに転落をいたしておるわけであります。もっとも、アメリカの国際収支全体とすると不安がなかったのは、ヨーロッパ各国において不安がある、そこで、マハク同様に健全であるというふうに見られておるドルに対する資本流入、ユーロダラーでありますとか、そういう金が続々とアメリカに集まってまいりました。そういう貿易面における転落にもかかわらず、総合収支は均衡をかちえた、こういうような状態でありますが、そういうことを見ますと、どこでそういうふうに苦しくなってきておるかというと、やっぱりアメリカの貿易収支を見ても、輸出は決して衰えていないのですが、輸入がどんどんと行なわれる。これは戦争の需要とそれからアメリカの民需、まあ戦争景気と成長の高さ、これがアメリカ政府の欲する以上のものが実現されておる、こういうことかと思いますが、ベトナム戦争というものが、これが非常に大きな作用をしておると思うのです。これが片づきますれば、アメリカの経済というものは非常に健全な形にすぐ戻っていくのだ、私はこういうような見方をしておるのです。自分の国でも、経済がどうなるか、なかなかその見方はむずかしい。そういう経済でございますから、まして、人のことをどうなるかなんということは、これは申し上げられるわけがないのですが、感じを申し上げますと、そういうことでございます。
○曽祢委員 いま大蔵大臣のお話によりますと、イギリスの労働党内閣が非常に苦しい立場であるけれども、労働組合の協力も得ながら、いわゆる賃金も利潤も物価も押えるというような所得政策を断行して、相当それが効果をあげつつあるという見方がございました。しかし、本日のニュース等によれば、まだ、労働組合の山ネコ・ストライキを禁止する法律を出す出さないで、かなり大きなウィルソンとキャラバンとの対立が伝えられておる。これもやはり経済政策に非常に関連があるわけですね。あるいは経済政策と労働組合の要求との調和をどこにとるか。私は、これはまだまだ非常に難問をかかえておると思うのです。ただ、これがフランスの場合と違って、労働党内閣であるから、あれだけの労働組合の協力が得られたという見方もあるので、私どもは、そういう意味で、労働党内閣のこの勇気ある政策と努力に大いに感心して見ているのですけれども、しかし、これで今度の不安が去ったというほどイギリスの国際収支の改善とか労働生産性の回復というようなものは十分に見られているとは思えないのですね。そこにやはりまだ不安の要素がある。 一方、フランのほうも、これはまさに二回のゼネストによって、ドゴール政権というものは非常にゆすぶられていると思うのです。そこで、第二回の賃上げの要求をもしのむならば、これはフランの信用というものについて非常に大きな打撃を与えるであろう。また、それをのまないことでほんとうに政権が十分にやっていけるのか。そのことが、また引き締め政策が、そういったような国内不安、労働不安を呼び、大学紛争等に非常に大きな危険な材料になっていくことも事実なんです。その政情とからめてのフランの不安というものが続くのじゃないか。 さらに、一番基軸の通貨であるアメリカのドルにしても、結局いまのお話のように、いろいろな国際収支改善の努力のあともあるけれども、一時伝えられたほどの危機でないにせよ、まだやはり根本的の原因であるベトナム問題の目鼻というものがついてない。おそらくニクソン政権としても、かなり長期的に見て、まあまあことしじゅうに何とか撤兵へのきっかけがとれればというくらいで、パリの和平会談が直ちに大がかりな撤兵に道を開いて、そして年に二百五十億ドルと伝えられるベトナム戦費の大部分がなくなるような、そういう楽観的な見通しはしてないのです。したがって、そこにドル不安というものは、根本的要因がまだ決して解消するに至っておらない、一言にして言うならば、こういう情勢だと思うのです。 ところで、冒頭私が申し上げたように、わが国のほうは、これらに比べると、どうも少しうわついたくらいに国際収支もいいし、輸出の実績なんかすばらしい。したがって、外貨準備というのは、それこそ開闢以来のような数字になっている。それに少しいい気になったのかどうか知りませんが、日ごろ手がたいといわれる大蔵省が、この調子でいくと、わが国の一人当たりの国民所得も近くアメリカを越して世界一になるんではないかというので、まるでハーマン・カーン並みの、まことに無責任な、バラ色に過ぎるような予測というか、これは一つの試算にすぎないのでしょうけれども、そういったことが出てくるというところにも、私はちょっとうわついたところがあるんじゃないかと思う。これはもちろん前提があって、日本の国民総生産の伸びが年率少なくとも実質八%をこえるなんということが、これから三十年も五十年も続くかどうかについては大きな疑いがあると思うのです。そういったような安易な気持ちでいいのかどうか。たとえば三十二億ドルの外貨準備というけれども、そういった内容はどうかというと、まだまだ内容においても、われわれはあまり好まないけれども、やはりいざというときになると、いまの国際通貨制度の現状において最後にたよるものは、基軸通貨のドルよりも、ほんとうは地金にすぎない金だ、その金の保有量はどうだということですね。それから、その他のいわゆる外貨準備の内容を調べてみると、まだまだほんとうに長期安定したような外貨というふうに必ずしもなってないとか、内容的に数字が示す、あるいは印象を与えるほど内容もよくなってないんじゃないか。したがって、われわれは、まだまだ日本の国際収支の前途にあまり甘い考えを持ってはいけないのではないか、こういうふうに考えるのですが、その点についての御所見を伺いたい。
○福田国務大臣 外貨保有高が三十二億一千万ドル、一昨日記録されたわけであります。これはほんとうにわが国としては未曾有なことなんですが、外貨保有高はその額が大きいということをもって安んずることはできない、私は曽祢さんと同じ意見を持っております。これはどうしても中身が問題なんだというふうに考えるわけでありますが、この一年間は国際収支の見通しが非常に狂った年でありまして、しかも狂ってよくなったのですが、この間に中身のほうも非常な改善をされておるわけであります。これは国のバランスシートを公にしがたいので、ちょっと数字で申し上げるわけにまいりませんけれども、かなりバランスがよくなっている。つまり、短期資本、短期資金ですね、これを返しておるわけなんです。これは非常な額にのぼります。しかも三十二億一千万ドル、こういうふうになってきたので、内容的に比べてみてもたいへんよくなっておるというふうに思います。 御指摘の金の問題でございますが、これはただいまおおよそ三億六千万ドルの金を保有しておるわけです。これは一年前の時点におきまして、わが国の外貨全体が十九億ドルであったときも金三億ドル・ベース、こういうふうにいわれてきたわけでございますが、今日なお三十二億ドルの外貨保有に対しても同じ額である。こういう状態。一年前の二十億ドル・ベースの外貨保有高のときの三億ドルの金保有というのは理由があったと思うのです。というのは、やはり金で保有すると利息がつかないわけですね。これを外貨で保有するということになりますと、金利を生む。流動性も金よりはかなり高いわけでございます。そういうようなことで、外貨の蓄積が少なく、かつ発展途上国のわが日本とすると、利息でも何でもとにかく外貨を外貨をといって蓄積しなければならぬ、そういう立場にありますので、私はそれでよかったと思いますが、三十二億に外貨全体の額がなってきた今日になると、三億六千万ドルという一年前の額で一体いいのかというと、決してこれはよくない。もう少し金の保有額をふやすべきだ、こういうふうに考えるわけであります。しかしながら、これは理論上、また政策上の話でありまして、いま金をめぐりまして、国際的にいろんな思惑もあり、その思惑が国際通貨不安の原因にもなっておる。いま二重価格制というのをとって、この不安に対する対処策としておるわけですが、そこへわが国が金の買い出動に移るというようなことをいたしますと、国際金融社会全体にはからざる影響があるだろう、こういうふうに思うわけであります。国際経済に対する協力の態度、また国際社会における友好国に対する仁義、そういうものから考えまして、いま買い出動、これは厳に慎まなければならぬ。しかし、少し長い目の問題とすると、日本の金保有は少なきにすぎる、こういうふうに考えておるのであります。そういう時期が来ますれば、必要な手は打たなければならぬ、かように思っております。
○曽祢委員 いまの日本の外貨ポジションは非常に改善されたのでありますが、まだいろいろ問題はあるわけでありまして、国際通貨不安もあることであるし、今後の国際通貨制度は日本の立場からどういうことがいいんだろうということをやはりしょっちゅう考えておかなければならぬと思うのですね。その場合に、少なくとも現状から見て、フランスなんかでもずいぶん変わってきたと思いますけれども、金本位、金準備ということに非常に力点を置いたような通貨制度に日本としては傾かないことは当然のことです。そこで、何らかの意味で、IMFを中心とする一種の国際協力による国際管理通貨的なものに一歩でも数歩でも進んでいくという方向が、大体日本の現状と世界の情勢からいっても好ましいということが言えるのではないか。たとえば、やはり何といっても、一国の恣意的な制度に置かれているドルを国際基軸通貨として、いつまでもそれに依存しておるということが望ましく危いことは議論の余地がない。ポンドもすでに過ぎ去った栄光ですし、それから同時にまた、全く偶然の状況でたまたま国内に金の資源を持っておる国は得するというような意味の、物質に根拠を置いたような通貨制度というものは、われわれは感心しない。金価格の引き上げという制度についても、日本としては決して得じゃない。そういうような観点から見て、当面の暫定的な国際通貨、IMF制度と、それから特に先進十カ国の蔵相会議あるいはOECDというような、いろいろな主要国間の経済協力の実態とあわせて、やはり国際性、流動性を少しでもふやそうという意味から、SDRということを考えてきた、そのことについて、われわれは概括的にいって、方向として賛成していいんじゃないかというふうに考えます。ただ、SDRにあまりオーバーな期待をかけるというようなことは、いささかどうかという気もするわけです。つまり、方向として最近の十八カ年間ぐらいの実際上の貿易量の拡大、それからそれに対する金を含む金ドルによる国際通貨の流動性の量が足りない、アンバランスである。それで、さりとて、金本位というのはよくないというようなところから、SDRに大体の方向として賛成しつつも、SDRそのものにそう大きな期待ができないのではないか。第一、今度の国際通貨基金の制度改正案では、これが発効するためには、国の数で六割、投票権で八割というようなものがなければ改正できない。それからSDRの発動は、やはり八五%以上の投票がなければいかぬということになると、実際上これが改正できて発動するという場合に、はたして主要国の信頼関係があるかどうか、もしそのときに一国の通貨不安がとても救いがたいような状態であれば、発動に賛成しないだろうと思うので、そういうところから見ても、SDRにあまり多大の期待はかけられないのじゃないか。一つの試みとしての方向性においてわれわれが納得しても、SDRの発動に対して、これが非常に大きな役割りをなして、国際通貨不安に対する大きな救いになるというほど多大の期待はかけられないのではないかというふうに思いますが、その点はいかがでしょう。
○福田国務大臣 これはお話しのとおりだと思います。いま国際通貨問題が世界の関心事になっておりますが、SDRというものは、いま関心事になっておる世界の通貨不安、これに関連して考えられたものじゃないのです。長い間の世界経済ということを考えて、いまの金ドル体制、これじゃ不足じゃないかということから、五年前から研究を始めまして、それでやっとでき上がったというのでありますが、しかし、たまたま当面国際通貨不安というものが出てきたものですから、SDRというものが特にクローズアップされておるという一面はあると思います。しかし、お話しのように、これが万能薬ではないのであります。これにそう大きな期待をかけるわけにもいかない。ただ、わが国にこれを適用してみますと、いま三十二億というのですからなんですが、この一年間でどのくらいの国際収支の変動があったかというと、これは四十三年度の経済見通しでは、三億五千万ドルの赤字になるだろう、それが逆に十二億ドルの黒字になったわけで、十五億五千万ドルの見当違いがあったわけです。まあプラスのほうの見当違いであったからもっけの幸いでございますが、もしこれがマイナスに響いたということになると、外貨の保有の減ともなって、通商にも支障を生ずるという状態に当面したと思うのです。そういうことを考えると、もしそういうことになったとしたならば、非常に極端な引き締め政策というものに日本経済というものが追い込まれざるを得ないということは、これは必然なんです。ところが、かりにSDRというものがあったということになりますと、それが一つの緩衝地帯、安全弁になってくれるわけであります。そういう機能を持つわけでございまするが、そういうことを考えると、こういう制度があるということは、とにかく世界経済に明るいことでございますが、しかし、それにもかかわらず、これでいいのだというような世界情勢ではございませんから、今後も世界が集まって衆知を結集して、いろいろな賢明なる手段を案出していくことが必要であろう、こういうふうには考えております。
○曽祢委員 これも穗積委員からも質問があって、大臣のお答えもあったのですけれども、私の質問の趣旨からいっても、SDRは一つのこれからのあるべき国際通貨制度への——それ自身が必ずしもそういうふうに意図されたかどうかは別として、私の見るところでは、一つの模索のような気もするわけです。IMF中心の国際管理通貨の一つの代用金といいますか、試みといいますか、そういう感じもするのですが、そういう意味で、やはりこの問題についてもっと真剣に深刻に考えて——いま直ちに政府のこれというようなレディメードの日本の案というものはないと思うのです。これはむしろ学者諸君等の模索なり研究の段階だと思いますけれども、それらの日本としての今後の国際通貨制度についての基本的なかまえ、要請——たとえばSDRが発効したといたしますね。しからば、それだけでいいわけじゃないわけで、やはりほんとうに国際経済の発展とあわせて各国の通貨不安というものを除いていくような、一つの物質に支配されず、また一つの強国のコントロールの影響をなるべく避けていくような、国際管理通貨制度のようなものの方向が望ましいという線は、私は日本としては考えられるような気がするのですけれども、それについて大体の方向なりとも大臣のお考えを伺いたいと思います。
○福田国務大臣 いままでの世界の流動性というものは金なりドルだということになっておりますが、ドルであるという点は、これが一国の通貨であるという点に一つの欠点を持つわけですね。それから、それじゃ金はどうだということになりますと、これも特定の地域で産出される、こういうものでございますから、これは世界の流動性の公平というような見地から見ると、はなはだおかしなことなのです。しかもその金の供給が、さあ新しい鉱山が発見されましたなんというと、そのときはたくさん出ますけれども、しからざるときは非常に乏しい供給である、こういうようなことなのです。また、それがとにかく価値あるものでありますから、国際決済手段として今日まで使われてきましたけれども、人類の進歩発展というか、またその間に生まれる協力体制というものを考えますと、やはりだんだんと管理通貨というか、国際社会においてもそういう面を開発していかなければならぬ趨勢にあるだろうと思います。今度のSDRというものは、完全左管理通貨とは申せませんが、しかし、半分ぐらいの性格は管理通貨なのです。私は、そういう面において、これは人類の向かうべき方向にさおさしておる施策である、こういうふうに考えますが、だんだんとこういう方向へ発展さしていくべきじゃないか、これが私の考えであります。
○曽祢委員 これで終わります。
○北澤委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、来たる四月四日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後零時五十五分散会