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61回国会衆議院1969/03/14

外務委員会 第5号

発言数
128
登壇者
8
会派数
4
開催日
1969/03/14

会議録

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 沖繩の問題や、そしてまた非核三原則の問題、その他それに関連した問題等は、衆議院の予算委員会、参議院の予算委員会等でおほろげながら概念がわかったような気がしますけれども、よく読んでいきますと、だんだんわからなくなってくるわけです。やはり国民は、大体核抜き、本土並みと言っているけれども、その核抜きがどういうことか、あるいは本土並みということがどういうことか、こういったいろいろな疑問点を持つわけでございまして、私も、そういう問題について二、三疑問点をただしてみたい、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、最初にお伺いしたいのは、この非核三原則でございますが、これに対して愛知外務大臣は、これは核を持たず、つくらず、持ち込まず——持ち込まずとおっしゃいましたね、これは政策である、こういうふうにおっしゃったわけでございますが、政策であるとすると、内閣が違えば、次の内閣になって全く違った人が出てくれば、これは政策としてそれと反することもあり得る、こういうふうになるわけでございますか。そう了解していいわけでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 まず、憲法上の問題から申しますと、これはただいままで予算委員会その他で明らかにされておりますように、憲法上もいろいろの角度から取り上げられると思います。たとえば非核三原則の中でも、純粋の憲法論ということからだけいえば、たとえば攻撃的でないものならば、核兵器だって持ったっても憲法上は許されるんだという説もあることは、憲法論議としても法制局長官等から御披露した一つの見解というものもございます。同時に、通常兵器であっても攻撃専門のものというものが観念的に考えられるならば、それはやはり憲法上は持つことを否定さるべきではないかというようなこともございまして、憲法上にもいろいろの論議があろうと思いますけれども、政策の問題として見れば、これは持たず、つくらず、持ち込まずということをやるのが、政策としては望ましい政策である。このいわゆる非核三原則というものは政策の基本である、こういうふうにいままでいわれてきておるわけでございます。したがって、そういうことであるならば、将来はどうなるかということについては、現在の状況においていろいろ仮定して論議することもいかがかと思いますけれども、要するに、現在現内閣の政策としてさような考え方である、こういうふうにいままで見解を表明してきた、かように考えます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この三原則の中でも、たとえば攻撃用のものは憲法として違反になるけれども、防御用のものなら憲法の違反ではない、こういうことが一つ、それからもう一つは、現内閣としてはこれを堅持する、こういうことでございましたので、内閣がかわればまたどういうふうになるかわからないということが一つはっきりいたしました。  そこで、今度は、持ち込まないということばが私はちょっとわからないわけです。たとえば事前協議によって日本の政府が核兵器の持ち込みにイエスということを与えた場合に、アメリカの軍隊が日本の領土の中に核兵器を持ち込んでも、それは非核三原則の持ち込まないということをくずすことにならないかどうか、こういうことが一つの問題です。で、その持ち込まないという解釈が私は非常にむずかしいと思うのですけれども、これをまず一点として伺いたい。たとえば、もう一つわかりやすく申しますと、日本が外国から核兵器を購入して、これを日本の領土の中に入れる場合を持ち込みというふうに解釈するのか、この二つあると思うのですけれども、そのどちらなのかを伺いたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは仰せのとおり分析してみれば、二つあると思いますけれども、しかし、外国の核兵器をたとえば日本が買って、そして日本が持つということでございますれば、日本が持つということになりますが、そういうことはやらない。それから、それが攻撃的なものであるならば、なおさら憲法上の問題にもなる、こういうふうに理解していいのではないかと思います。ですから、持ち込まさせない、いま使われておる持ち込まずということは、持ち込まさせないというふうにことばを用いるほうがより正しいのではないか。そして外国軍隊がそういう意味で持ち込んだ場合というものは、これはいろいろ御論議のあるところですが、内閣の法制局を中心とする見解から申しますれば、そういうのは憲法になじめないといいますか、憲法のらち外といいますか、その辺は法律用語としては使い方は非常にむずかしいようですけれども、要するに、常識的にいえば、憲法上なじめないことであって、これは憲法に違反するとは限らないというのが政府の見解ではないかと思います、憲法上の純粋の解釈からいけば。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、私は、持ち込まさせないというのは、日本の国自身が持ち込まないのは当然のことで、さらに外国の軍隊に対してもこれを持ち込まさせない、たとえば事前協議で持ち込んでもいいかどうかといった場合に、これを持ち込まさせない、だから、ことばとしては、持つ、つくる、持ち込まさせない、こういうふうに解釈していたのですけれども、それでいいわけですね。  それともう一つは、しかし、それは政策であるから、憲法上からいうならば、外国の軍隊が、たとえばそれをもっと分析してみるならば、攻撃用はまずいかもしれないけれども、防御用の核兵器なら、持ち込ませる場合もあっても憲法には違反しない、こういうふうに解釈していいわけですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは仮定の観念論的な憲法論からいえば、その場合においては、攻撃用とか防御用とかいうことはあまり問題にならないのじゃないかと思いますね。要するに、核兵器というものを外国が持ち込むというときには、憲法になじめない問題だというふうになるのではないかと思いますけれども、それはあまり問題にならないところであって、持ち込まさせないというのは、両方を含めて持ち込まさせないということを政策としてとっているというのが従来からの見解である、かように私は考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 たいへんはっきりしました。持ち込まさせないといっても、これは持ち込んでも別に憲法違反ではないけれども、政策として持ち込まさせないのだと、こういうふうにはっきり言い切られたわけですね。そこで、佐藤さんの予算委員会等の答弁を伺っておりましても、それに近いような発言はしておられますけれども、しかし、佐藤さんの答弁の中ではっきりしたことは、戦略用の核兵器は持ち込まないけれども、戦術核兵器についてはまだはっきりしておらないわけです。そこで、この戦術核兵器を沖繩に残したと仮定したときに、これはたとえば核弾頭などを持ってくるとか、あるいは装備についてのいろいろなものを持ってくるとかいうふうなことになってくるものですから、もし沖繩に残存のものを許しておけば、結局事前協議の対象にはならないわけですね。この点をまず伺っておきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 お断わりいたしておきたいと思うのは、いま申しておりますのは、本土をもとにして論議をいたしておる場合を申し上げたわけでございます。それから、沖繩の問題になりますと、結局総理がいろいろと解釈をされたような答弁をしておるようでございますけれども、沖繩の基地の態様はいかにあるべきかということにつきましては、いろいろ真剣に検討しておる段階でございまして、ひとつこうやったらいいという腹案というものはまだできておりません。これは事実そのとおりでございまして、したがって、その点については白紙であるということを申しておりますから、またそれが現実でございますから、それを前提にして申し上げなければならないと思います。これは仮定の問題ということにして——現在まだきめておりませんから、そういうふうに前提をしてお答えをすることになると思います。  したがって、いまのお尋ねは、現在核武装が沖繩にあると仮定をして、そしてそれが返還の時期にどうなるか、これはほんとうに仮定の問題ですが、かりに認めるとした場合に、それをどういう形で認めるような方式にするのかということのお尋ねであると理解いたしますが、それをかりに認めるとした場合に、どういう形でそれを認めることになるのかということも、本体についての腹案がございませんから、何ともその点はお答えがいまできないというのが、事実ありのままの姿であるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 予算委員会等で、私どもが新聞を通して了承している、あるいは速記を通して了承していることは、核抜きの返還が望ましい、そういうことを基調にしてこれから交渉していくのだ、しかし、核抜きという中でも、戦略用の核は認めないけれども、戦術上の核というものは認めるのだというようなニュアンスのことを言っていられるわけです。だから、そういうことを前提にして私は質問をしているわけです。  そこで、いまおっしゃいましたのは、たとえばそういうふうなことはまだわからないから、どういう形でこれが残されるかは何とも言えないとおっしゃいましたが、いま私が言いましたような形で残されるとするならば、何らかの取りきめなり話なりしなければならないのじゃないか、こう思いますけれども、これはいかがでございますか。岸・ハーター交換公文とか共同声明とかいうようなものによらなければならないのじゃないかと思いますけれども、これはどうなんでしょう。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 そこで、全体の問題になりますけれども、一つは、沖繩の返還の場合に特別の取りきめをしない限りということを一つ、これも仮定の問題ですから、それを前提にして申し上げておるわけでございますね。それから、いまお尋ねのような戦略核、戦術核というようなことが御質問にもお答えにも出ているのでございますけれども、しかし、最終的にいかにするかということは、それらの論議をも含めましてやはり白紙でございますということで結んであるわけでございます。ですから、そういう意味で二重に仮定を申し上げておるわけですが、そこでもう一つは、特別の定めをしない限りは、憲法はもちろん問題ないと思いますけれども、安保条約、それに関連する一連の法体系が沖繩にも適用されることは自然の姿でございましょうという趣旨のことを申しておりますですね。  ですから、かりにそういうことになれば、その形態はどうなるかといえば、いまお尋ねのような前々からの岸・ハーター交換公文とか、あるいは共同声明とか、あるいはそういうふうなものの中で、どういうふうにこれが処理できるであろうか、あるいはその処理ができないということになると、また特別の取りきめがない限りはというところに返ってくるわけでございますね。そういうわけでございますから、仮定の問題ではあるにいたしましても、だんだん具体性が出てまいる問題ですから、私といたしましては、やはり最終的な腹案というものが白紙であります段階におきましては、仮定の問題とは申しながら、あまり突き詰めたことを申し上げるのははなはだまだ時期を得ていない、かように存じますので、あまりクリアカットな御答弁はできにくい立場にありますことも御了承いただきたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 一応新聞で、核抜き、本土並みの基調で話を進めていこうというようなことを佐藤さんは言っておるわけですから、やはりそれ以上のことはいま言うべきでないということは、ちょっと間違っているのじゃないか。そういうふうな態度で臨むならば、それを分析して、それではこういう場合にはどうなるのだろう、どうなるのだろうということを聞きたいのが私たちだと思うのです。また確かめておかなければならないと思うのです。それだけに伺うわけでございまして、そういう基本線がある程度もし出たとするならば、それに付随していろいろな問題が、かくあるときはかくあるというふうに出ていくべきだと思うのです。その意味で私は伺っているわけです。ですから、たとえば、もしも戦略用の核兵器が残される、そういうような場合には、当然これは特別の取りきめなりあるいは話し合いなり何かがなされなければ、このままの姿では置けませんねということをもう一度念のために伺っておきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 お尋ねいただくお気持ちは非常によくわかります。同時に、想定しなければならない問題が非常にたくさんある。それに対応する措置というものも非常にたくさんある。そのコンビネーションをどういうふうに考えるかということについては、実にいろいろの場合を想定してもちろん検討いたしておりますけれども、やはり要は、一番の基本の点について考えを固めませんと、その錯綜したコンビネーションの中からどれが一番最善だというところにはならないわけでございまして、そういうわけでございますから、この委員会においてはもちろんでございますし、国民の皆さまも、一体政府はどういうところに持っていこうとしているのかということを非常にお聞きになりたい、これはもう当然のことだと思いますし、私どももすみやかにそういう点は明らかにしたいと思っておるのでありますけれども、最終的には十一月の末ごろと一応予定しておりますけれども、その最高首脳会談で、国民の皆さんがこういうことを望んでおられるだろうということを踏んまえて、御期待に沿うような結論を出したい、こういうふうに考えておりますだけに、まだもう少し時間をかしていただきたいというのが私どもの現在の置かれている立場でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私どもが非常にいろいろと危惧いたしますのは、政府が事前協議についても弾力性のある運用をする、こういうような表現をされておられますので、弾力性のある運用というのは一体何だろう、こういうことをまず疑問に思うわけです。  そこで、たとえば、いま私が申し上げましたような潜在的にといいますか、基地を返された場合に、そのまま核兵器が残っている場合もある。それがたまたま戦術用のものであったとする。そういうときには特別協定を結ぶか、あるいはいまの政府の事前協議という考え方がだいぶ前のときとはくずれてまいりましたので、事前協議でイエスと言うか、あるいは口でもって約束をするか、この三つ以外にはないと思うのです。  そこで、いま外務大臣がこれ以上のことはいろいろおっしゃれないとおっしゃいますから、それ以上そのことでは追及いたしませんけれども、一つだけ確かめておきたいことは、口で約束をしたような場合に、まあ御迷惑にならないようにいたしますとかなんとかいう形で、政府と政府が約束した場合には、これは法律的な拘束力というものはないと私は理解しておりますけれども、あるでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 こういう大事なことはできるだけ明確にしなければならないという基本的な考え方は、あくまで貫いてまいりたい、かように考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そのこと、機能的にはありそうですが……。そうすると、口で約束をするというような場合があっても、それは法律的には拘束はしない、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは何か他意あって申し上げるようにおとりにならないでいただきたいと思いますけれども、現在の安保条約の体制も、条約があり、交換公文があり、そしてこれは国会の承認を受けている。さらにその運用についての心がまえというのも両方で合意をしており、そのあるものは口頭の約束であるものもございますが、私は、もうこれはこれでよかったと思うのですけれども、もしかりに——これもかりにということでありますが、いまお尋ねがございましたような種類の、たとえば核に関するような問題につきましては、できるだけ明確にして取りきめる必要があるのじゃなかろうか、かように考えておりまして、単純な口約束などで本質的な問題の取りきめをするべきものではない。そういう点が、何べんも言って恐縮ですけれども、仮定のことではございますけれども、特別の取りきめがない限りはということをいつも申し上げているわけでございます。特別の取りきめが必要だというような事態を——事態ではない、腹案を予想しているかと言われれば、いや、そこまで考えておるわけではございません。白紙なんでありますけれども、しかし、特別の取りきめがない場合はと申し上げておりますのは、そういうふうなことをも含めて、いまいろいろなバリエーションを考えているものですから、そういう表現にならざるを得ないわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そこら辺がやはり国民のわからないところだと思うのです。というのは、国会にいろいろな問題を出してくるとうるさいから、なるべく国会にも出したくないし、それから佐藤総理の答弁の中にも、話で済むような取りきめができるかどうかも考えているなどと言われると、口約束をするのではないかというようなことも考えられます。それからまた、下田さんですけれども、下田さんはだいぶあちこちで問題を起こす方ですけれども、下田さんが、ずっと前の外務委員会で、昭和三十年ごろですけれども、穗積さんの質問に答えまして、「法律的に拘束するものは必ずしも文書をもってしなくてもいいという国際法の通説でございます。」こういうようなことを言われておりますから、私どももいろいろなことばを考えてみますと、非常に心配になることがあるわけです。ですから、こういうことを確かめたわけですけれども、今日の情勢のもとでは、外務大臣は、こういう重大なことは、もしきめるならば口約束などということではできないのだ、やはり機能的な働きを持つものにしなければいけないのだ、こういうふうにおっしゃいましたので、そのとおりに了承したい。  そこで、次に、本土並み、本土並みということを言われるわけですけれども、沖繩の本土並みというのはどういうことをさすのか、私はいろいろ考えていってわからなくなるわけなんですけれども、たとえはいまの沖繩の基地から全部の核——隠された核もあるわけですけれども、そういうものを抜いてもなお本土並みの基地にはなり得ないと私は思うのですけれども、何をもって沖繩の本土並み基地ということをおっしゃるのか、伺いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 本土並みということも、仰せのとおり、考えてみればみるほど、いろいろの場合といいますか、意味があるような感じがいたします。  まず、私が一番最初に考えますことは、安保条約というものが本土においてあるわけでございますね。ですから、本土並みということは、安保条約を前提にしていくということがやはり本土並み、こういうふうに私は考えるわけでございます。それからまた、変なことを申し上げるかもしれませんが、本土並みということは、沖繩が完全に日本の領土になるわけでございますから、日本の本土は、陸、海、空の自衛隊で憲法の制約のもとにおいて本土の防衛を担当しておるわけでございますね。そういう意味で、沖繩が本土と同様に憲法の制約下において本土の防衛ということに当たらなければならないということだって、これも本土並みではなかろうか、かように考えるわけでございます。それから、いま一番世間で話題になっているような意味の本土並みというようなことから申しますれば、いま申しました安保条約に関連するいろいろの法体系がそのままかぶって適用されて、そうして特別の取りきめがないという場合がいわゆる本土並みではないか。しかし、それにしても、いろいろな考え方があるのであって、そういうものの取りきめが、本土並みという意味の中で解釈し吸収されるようなやり方もございましょうし、また、それを見る人によってははみ出たと見る見方の本土並みもございましょうし、その辺のところが、現にいろいろ話題になっておる本土並みのことではなかろうかと思いますが、そうなりますと、やはり基地の態様がいかにあるべきか、あるいはいかにすべきか、いかにできたかということによって、それぞれの方々によって、これは本土並みであるとか、あるいはそれはちょっと違うのではないかという議論の余地は——これもすべて仮定の問題でございますけれども、あり得る場合もあろうかと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は基地の問題だけに限って言っているわけですけれども、その場合に、たとえば屋良主席が日本に来られまして、政府との話で、本土並みではどうかという話をしたときに、沖繩の基地というのは濃密度が違います、こういうふうにおっしゃったそうですが、たいへんにりっぱなことばだと思うのです。非常に適当なことばだと思うのです。そういうふうなことから考え合わせましても、いま本土並みと言われる中で、いまのままの基地、というのは、つまり、核だけを抜いて、たとえばB52とかそういうようなものを抜いて、すぐにこれは本土並みの基地と同じには考えられない、こういうふうに了承してよろしゅうございますか。もしもそれが本土と同じ形だと考えられるならば、結局、これは本土の沖繩化としか考えられないと思うのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 よく言われるように、その点は、私は、本土の沖繩化ということは私ども考えておりません。  それから、いま屋良さんがお話しになったという濃密度ということは、これは現状を比較しまして、濃密の度合いが本土と比べてどうこうとかいう、そういう点に入ってまいりますと、先ほど私が申しましたように、何といいますか、法制的と申しますか、法体系と申しますか、そういう点からいえば、本土並みではあるけれども、事実が多少、たとえば本土の基地の総面積の占める比率と比べてみると、濃密度が強いとか、そういう点を取り上げて、これは本土並みでないということも、それは先ほど私が申しましたように、その基準の取り方によっては、いろいろ本土並みかそうでないかという議論の起こることは、私はあり得るのではなかろうかと思います。これはやはり沖繩が島であって、本土から非常に離れているというような地理的な条件などということも、そういうときにどういうように考えていったらいいんだろうか、こんなこともやはり考えなければならない問題でもありましょうし、同時に、そういう地理的条件などをはずして考えてみて、それで、たとえば地域の中に基地の占めている比率などを比べた場合に、これじゃ本土並みじゃないという考え方や議論もあり得る。なかなか本土並みと申しましても、その本土並みということばが意味していること、あるいはかりにうまくこの折衝がまとまっていきました場合におきましても、そういう点のいろいろな議論は、しようと思えば残り得る問題じゃないか。まあ、本土並みということは、なかなかいろいろの意味が私はあろうかと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまお話を承っておりましても、本土並みということばは非常に欺瞞だと思うのですね。国民に対して本土並みですよと言って押しつけてしまえば、何かそれでいいような、ほっとしたような感じを与えさせるために使っているんじゃないかと思うのです。  そこで、単刀直入に伺いますけれども、それでは、いまの沖繩で、核を除けばもうこれは本土並みというふうに政府が理解をするかどうか、あるいは基地をいろいろと整理して、そうしてその中でよく見て、隠された核などをも取ってもらうようにして、そうしていかなければ本土並みとは言えない、こういうふうにお考えなのか、そのどちらかをはっきりお答え願いたいと思うのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 たとえて申しますと、日本の本土の中の、たとえば東京都とあるいは鹿児島県と比べてみて、それで基地の濃密度とその他を考えてみる、あるいは在留米軍の数を各府県別に考えてみる、あるいは基地の数というものを比較してみた場合に、まあ本土内におきましても、そういう意味では一律のものではないし、また、性格上私はそうだと思うのです。ですから、私はそういう点も考えてまいりますと、お話しのように、本土並みというのは一体何か、こういうことになると思うのですが、一番大事なことは、本土並みということのことばの意味は、法体系からいって本土並みであるということが、私は、まあ最大公約数としての本土並みということばではなかろうか、そういう気もいたしますけれども、本土並みとは何ぞやということにつきましては、これも先ほど申しましたように、なかなかクリアカットのお答えはできにくい、そういう性質のものじゃないかと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ですから、私がさっき申し上げたのは、この基地ということから考えた場合に、法体系ということを離れて、たとえば基地の態様の面から言った場合に、いまの沖繩から核を取り除いただけでは本土並みにはなりませんねということを念を押したわけですから、それはお認めになったわけですね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 はい、これはもうすべて、先ほど申しますように、白紙ということを前提にしてということをお忘れなくしていただきたいのですけれども、核がかりになくなれば、これは本土並みに非常に近い、実質的にはまず本土並みの一つでございましょうし、そういうことは言えると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 だから、沖繩を本土並みにするといっても、これはなかなかむずかしいことであると私たちは考えるわけです。そういうことはごまかしであるとしか思えないわけです。  そこで、やはり沖繩の基地が今後においても使われるだろうということが考えられるわけですけれども、最近、フォーカス・レチナといわれる米韓の空輸演習が始まるようでございますけれども、もう沖繩のほうでは臨戦ムードだというようなこともいわれているわけです。そして国民は、こういうことを一体何でするんだろう、結局、米日韓の共同作戦のできるということをまあデモンストレーションするんだろうというようなことをいろいろと想像をしているわけです。そこで、こういうふうな演習をするからには、何かそうやらなければならないような、実践しなければならないような場合もできるかもしれないということを想定してやっていると思うわけです。そうだとすると、もしもそういう場合が起きた場合には、当然沖繩の基地から出ていく。米軍が出動していく場合には、これは事前協議の対象になることは事実でございますね。出動するわけですから、戦闘作戦行動に加わるわけですから、結局、これは事前協議の対象になりますね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 いまのは演習という、これも仮定の場合で、実態をよく調べなければわかりませんけれども、戦闘作戦行動というのは、作戦自身を展開する場合の出動行動じゃないかと思いますから、そうすると、今度の演習というものが、作戦行動でない、演習であるということになると、またこれは問題は別かと思いますが、その点は、いまの演習については、こちら直接には、こういうことをやるんだという通報は受けておりますけれども、私は作戦活動ではないと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまの場合は演習というふうなことで見ていても、いずれそういうことが起こり得るかもしれないわけですね。だからそういう演習をするわけですね。だから、もしもそういうものが実際に起こり得たと仮定した場合には、当然沖繩の基地から戦闘作戦行動に出るのですから、事前協議の対象になりますね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 それは本土並みになりますれば、戦闘作戦行動になります場合は、事前協議の対象になることは当然だと考えます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしてきますと、沖繩の基地というものは、非常にたたかれやすい、攻撃されやすい結果になるわけです。そうなった場合に、自国の平和と安全を危うくするものであるということを認めた場合には、第五条で出動するわけですね。そういう場合との違いですね、それを沖繩の場合を例にとって聞いておきたい。なぜならば、戦闘作戦行動に出る場合には事前協議の対象になる。しかし、その場合でも、もしもこれが極東の平和と安全を乱すものであると政府が理解すれば、これは当然事前協議の対象にしないで出ていくこともあり得るのじゃないかと思うのですが、この点はいかがでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 それは第六条と第五条との関係になるかと思いますけれども、沖繩が施政権が返還されて本土になれば、第五条の「日本国の施政の下にある領域」ということに当然入るわけでございますね。しかし、それは、現実に日本の施政権下にある領域が——現在の本土と同様ですね——侵略をされるということが具体的、事実的にあらわれた場合のことが第五条の規定だと思いますから、それ以外の場合におきましては、何べんもくどいようですが申しますが、沖繩の基地の態様もまだきめていないときに、仮定の論議をするのは、私としては早過ぎると思いますけれども、特別の定めがなくて本土と同様な法体系の中に入るということでありますならば、沖繩から作戦行動として出撃をするというふうな場合におきましては、第六条の交換公文の適用は当然あるから、事前協議の対象になる、かように考えますし、そしてその事前協議の運用につきましては、従来から双方に了解ができておるわけですから、あるいはまた共同声明というものもございますから、そういうことに従って運営をするというのが自然の姿だろうと私は思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 実際に武力攻撃がない場合には、これは極東の平和と安全に少し武力攻撃がありそうで危険だと感じても、むしろ第五条の適用はしない、武力攻撃があったときだけしかしないということを、もう一度念のために伺っておきたいのですが、そういうふうにお答えになったわけですね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 第五条につきましては、従来からもそういう解釈であると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 繰り返して申しますけれども、事前協議の弾力的な運用とか、そういうふうなことばをいろいろ言われるものですから、やはりいろいろな面を想定して考えていかなければならないと思うわけです。  そこで、今度、事前協議の場合ですね。いままで私たちは、これは戦争にならないように歯どめの役をしたとか、巻き込まれないように歯どめの役をしたとかいうふうに説明されてきました。ところが、今日では、非常に協調的な面さえも——たとえば事前協議で話をされたときにはイエスと言う場合もあり得ますというようなことで、非常に協調論を唱えているような形にも見えるわけです。そこで、拒否権というものをいままで強調していた政府が、いつの間にか応諾論というようなものに変わってきたのですけれども、結局、緊急の場合には、事前協議は応諾することになって、核もまた非常に緊急の場合には持ち込んでもイエスと言うことがあり得るのです。ですから、そういうふうな緊急の場合には、核も持ち込めるし、それからまた、戦闘作戦行動に対してもどうぞということも言える、こういうふうになってきますと、事前協議によって、かえってアメリカと共同の責任を負うというようなことの結果になると思うのです。この点はいかがでございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 いまの点は非常に重要な点であると思います。これはいま弾力的運用というようなお話がございましたけれども、私はこれは前回当委員会でも申し上げたつもりでございますが、昭和三十五年以来、いわゆる安保条約の改定が御審議されました当時から、この事前協議というものは一体どういうものかと一般論として言っております場合は、一番最近では、たとえば私の前、昨年のちょうどいまごろ、当時の三木外務大臣も、事前協議というもののありようの姿は何かというようなお尋ねに対して、これはイエスと言うこともノーと言うこともあります、イエスと言う場合には、日本の国益という見地に立って処理すべきものでございますと、先国会ですか、ちょうど一年前にも言っておりますし、同趣旨の説明や答弁は従来九年間にわたって一貫して行なわれておるわけです。そこで、それならばあらためて弾力的運用をするのかということで、そこへ御論議がくるわけですが、この事前協議というものの性格からいえば、これはイエスと言うこともノーと言うこともあり得る。ただしかしながら、実際上の従来からの政府のこれに対する見解というものは、御承知のように、第六条による交換公文と、それからそれの運用についての了解から申しまして、たとえば装備、配置、それから作戦行動の場合に、それぞれ註釈というか、了解がついておりますから、ああいうことについては必ず事前協議にかけなければならない、さらにそれを補うものとして共同声明があって、日本の欲せざるようなことについては、事前協議にかけてもこちらは断わるという、この日本側の姿勢というものは、十分了解をしておるんだということが明らかにされておりますね。その点がいわゆる歯どめだと私は思います。したがって、その一連の考え方というものは今日においても当然であります。それからかり、に仮定の問題でありますが、特別の定めをしない限り、沖繩の本土返還におきましても、先ほどから私が言っておりますその法体系並びにその解釈、運用というものが、そのままアプライされるというのが私は自然の姿だろうと思います。これがいわゆる本土並みではないかと思います。したがって、いまお尋ねいただきましたようなことは、まあほんとうに仮定であり、かつ、本土並みということが今度は実現したとこれも仮定の問題として考えました場合には、その一連の従来からの考え方というものがそこへ当然かぶっていくのが自然の姿ではないか、私はかように存ずる次第であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 前の事前協議の問題のときにも、国会では相当議論されたことでございますので、いまのような御答弁、そういう姿勢というものは、私どもは伺わなくてもよくわかっています。ただ、国益ということを先ほどおっしゃいましたが、その時の政府が国益と考え、そして非常に緊急の場合が起きたときに、これは日本のためになるんじゃなかろうかと考えるのは、その時の政府の判断ですから、これはしかたがないと思うんですけれども、ほかの人はそうでないと思うかもしれない。しかし、政府の判断で、これは極東の平和と安全のためにはアメリカにうんと言ったほうがいいんじゃないか、そうでない条件が一ぱいあるにかかわらず、アメリカ側の立場にだけ立ってイエスと言うような場合も、私はあり得ると思うのです。そうなると、結局緊急のときには、アメリカと共同の責任を負うという、非常に危険な状態になるということを心配して申し上げているわけでございます。したがって、事前協議というものは、弾力的運用なりなんなりということばでいろいろとおっしゃいますけれども、非常に私たちが今日心配しているということをまず申し上げたい、それが一点です。  時間がないようでございますから、私はもう一点だけでやめておきますけれども、この事前協議の問題は、やはりあとでこの問題だけにしぼってまたいつか質問したい、こういうふうに考えておりますので、時間を残していただきたい。  そこで、もう一点伺いたいのは、先ごろ韓国の議員と、それからまた国府の大使の離日にあたって、いろいろ沖繩の問題等も触れられたようでございます。その中で、国民政府のほうは、米台の相互防衛条約の中の共同声明のしまいのほうで、「両国の共同の努力及び貢献の所産である軍事力は、相互の合意なくして第六条に掲げる領域の防衛力を実質的に低下させる程度までその領域から移動しないものとする。」こういうふうに書いてありまして、そのことは、アメリカの管轄権の下にある西太平洋の諸島、その中には沖繩が含まれているわけですけれども、その防衛力を低下させるにはアメリカと台湾との合意が必要である、こういうような言い方をしているわけでございまして、国民政府がいろいろアメリカにその線を引っぱり出して主張して、いろいろ言っていきやしないかと思いますけれども、しかし、日本の本土に沖繩が返ってくるというところから考えまして、そういうふうに韓国の国会議員がいろいろ言ったり、国府のほうでいろいろ言うというようなことに対しては、国民自身が非常に不愉快な感を持っておりますので、そういうことに動かされることなしに、どこまでも日本の国民の世論を背景にして進んでいっていただきたい、こういうことを考えますけれども、この点についてのお考えを伺いたい。  それからもう一つ、沖繩の基地の低下をしては困る、こういうことを言っておりますけれども、この点についてはどういうふうにお考えになるか、この点だけ伺って、私の質問を終わりたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 前段の御主張につきましては、私も全く同感でございます。  それから米華条約の問題でございますが、これはアメリカと国民政府の間の条約、ことにそれに対する交換公文等の問題でございますから、私が有権的にその解釈をするのは当を得ないと思いますけれども、しかし、あの米華条約ができましたときの環境とか、それからアメリカ上院等でのいろいろの論議等、それからあの交換公文の文言を的確に読んでみまして、米華両国が協力をして要するにつくり上げたところの軍事力については、ということが明確にされております。したがって、これはもちろん私が有権的な解釈をすべきではありませんけれども、米国の援助によってつくり上げられたところの中華民国軍隊あるいは協力を与える立場にある米国の軍隊、そのつくり上げられた軍事力の移動ということについて触れているものであって、これは現に駐留しておる沖繩の米軍とは関係がない、私はかように考えております。したがいまして、前段に仰せになりましたこととあわせまして、私は大体御趣旨のような考え方でおる、かように申し上げてよろしいのではないかと思います。いま申しました点は、あの条約のできた経過あるいはアメリカの上院における当時の国務長官の説明その他全部総合してみまして、そういうことに理解すべきものであると思います。それからもう一つは、これはもう米華条約に限りませんが、アメリカの施政権下あるいは管轄権下、いろいろのことばが使われておりますが、そういう中には沖繩が入っている条約もございますことは御承知のとおりですが、沖繩の施政権が日本に返れば、そのことは全部なくなってしまうわけでございますから、これは、沖繩返還問題はあくまで日米間のことである、こういうことで処理いたしていきたい、かように考えます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 大臣への質問は次に譲りたいと思います。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 時間が限られておりますから、一問一答で簡潔にお尋ねしますから、簡潔にお答えいただきたいと思います。  最初に、日本政府の最近のアジア情勢についての判断の一つとしてお尋ねしたいのですが、ベトナムの和平交渉で、アメリカはソビエトの協力を得て北ベトナムを押え、人民解放戦線を押えて、戦場でとれないものを会議でとって、早く妥結したいという気持ちがあるようです。この見通しは必ずしも条件次第でそうはいかない。最近の状況を見ましても、今年度におけるテト攻勢以後、アメリカは軍事的にも非常な苦境に立ってきておる。そこで、最近のニクソン政権の内部において、われわれの見るところでは、北爆の再開であるとか、南ベトナムに対する増兵であるとか、あるいはカンボジア国境に対する問題等、いろいろな意見がまた再発しつつあるのが現状であります。  そこで、私は、この問題はきょうは触れようと思っておりませんが、いずれ、これらの情勢判断について、日本政府はどういう判断をしておられるか、一ぺん伺いたいと思うけれども、それは割愛しておきまして、私が伺いたいのは、たとえばベトナム撤退によって、終局的にはアメリカの欲せざる形によってでもベトナムは終息せざるを得ないと思うわけです。そうなった後に、朝鮮半島、日本列島、並びにいまは他国にありますが沖繩、それから台湾、この線が、極東アジアにおける戦略上非常な重要性、あるいはアメリカ側から見れば効用性が急速に増してくるというふうに私どもは判断せざるを得ないと思うが、それに対して佐藤政府はどういう判断をしておられますか、これを最初に外務大臣からお尋ねしておきたいと思うのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 まず、ベトナムの問題については詳しくまたあとでというお話でございましたから何でございますけれども、私といたしましても、とにかくここまできて拡大平和会議ができて、そして当事者全部がフルメンバーでテーブルについたということで、これだけは何としてもよい結末になって、一日もすみやかに戦争状態が終息をする——ただ、私としては当事者でございませんだけに、非常に気持ちは強く持って、そしてなし得ることば何でもいたしたいという気持ちを持っておりますが、基本的にそういう考え方でありますことだけ申し上げておきたいと思います。  それから、その次の御質問につきましては、それはアメリカ側がどういう情勢判断をしているか、またそれに対してこれからどういうふうな姿勢をとるのかというような点につきましても、現在の彼らの判断等は私どもとしてももう少ししっかり掌握したいと思うし、それからわれわれとしても、そういうところにまた緊張の舞台がベトナムから朝鮮半島というふうなことになってくることは、まことに好ましくない。日本としてはもちろんですが、世界のために好ましくないことである。沖繩の問題もちろん重要でございますけれども、私自身といたしましても、アメリカの当局ともとっくりそういう点についての意見の交換もしてみたい、かように考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私は、アメリカの主観的な気持ちがどうなっているかということを伺っているのではないのです。そうではなくて、日本政府も安保条約を堅持、延長するという立場に立って沖繩問題に対する条件を交渉するために、ベトナム以後の極東情勢というものを考えないでそういう話し合いはできないじゃありませんか。今後の情勢は、朝鮮半島、日本列島、沖繩、台湾の線が戦略的に非常な重要な意味を増してくる、そういう判断に立ってやるのか、これで平和はどんどん極東地域まで拡大延長してくるという楽観的判断をするのか。それによって——あなたはこれから六月に行こうといって事前折衝するのに、先ほどからお話のありました沖繩の本土並みあるいは核抜きというような問題、特に事前協議権の問題等について話し合いをする基礎というものは、やはりこの情勢じゃないでしょうか。この情勢に対する認識なり分析がなくて、沖繩返還問題についての条件交渉というものはできないと思うのですね。だから聞いているのです。私の伺っているのは客観的な事実ですよ。客観的に朝鮮、日本、沖繩、台湾の線が戦略上重要性を増してくるということは当然ではないでしょうか。アメリカに聞かなくても、客観的に日本自身はどう判断しているのか、その問題を伺っておるわけです。だから、佐藤さんがこの間突如として言い出された核抜き、本土並みということも、そのアジア情勢、極東情勢というものを踏まえた上での判断でなければならぬわけでしょう。だから伺っているのですから、そうアメリカの腹のことばわからぬというようなことでなくて、もうすでに白紙から一歩前進をして、沖繩返還に対する条件を国民に示した以上は、その基礎になっておる極東情勢の特に戦略上の判断、これなくしてはできないと思うのです。それでは納得できません。それを伺っておるわけです。私どもは、急速にいまの線が戦略的に重要性を増す、ある意味で言えば緊迫性を高めつつある、こう見て日本の外交を判断しなければならないと思うのです。いかがでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 そういう御意見と思いますからこそ、私もアメリカのことを言及したわけでございまして、結局こういったような情勢判断、分析というものが的確でなければ、現に施政権を持っているアメリカとの間に、沖繩の返還や基地の態様の問題についての合意というものも得られない。私はもうあなたのおっしゃるとおりだと思うのです。それだから、沖繩問題をめぐりましても、こちらは主体的に考えて、その緊張がベトナムから朝鮮半島に移るというようなことはやりたくないし、またそれをかりにもやりたくないと考えるならば、どういうふうにやったらいいかということをこちらが考えるのは当然です。同時に、アメリカの考え方というものもただし、そしてこれをわがほうの見方から見て、間違っているということがあればそれを正させるということで、相互の理解というものを進めるということが基本であると私は思いますし、やはりこれはベトナムとも非常に関連していると私は思うのです。たとえばベトナムが幸いにして、なかなかむずかしいように見受けられるけれども、戦闘行動が終息した、そうしたら、その後にどういうふうにポストベトナムを考えていくか、これは韓国あるいは朝鮮半島という問題にも非常な関係があるし、そういう点も十分ひとつ、私どもとしては、われわれの考え方を、私のことばで言えば平和への戦いはいかにすべきであるか、われわれはこうやっていきたいということについては、はっきりした態度を持っていきたいと思っております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 だから、そのはっきりした態度の基礎である情勢判断をどう見ておるか、すでに韓国、台湾政府はそういうことの判断を持っておるからこそ、内政干渉にわたる沖繩返還についての条件をあつかましくも要求しておるわけでしょう。そして大空輸合同演習が始まっておる。これは明らかにベトナム以後の極東戦略についての重要性というものをこの一線で考えておることは明瞭ではないでしょうか。それに立って、先ほどからお話のある核抜き、本土並みの条件というものの内容を、われわれは正しいか正しくないかを判断する必要があろうと思うのです。もう少しはっきりしたお答えをいただきたいのです。時間がありませんから、結論だけお願いいたします。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 同時に、私は、基本的に言えば安保条約というものの私どもの考え方は、要するに、戦争というものが起こらない、未然に防止されるという、いわゆる抑止力ということに重点を置いていることは御承知のとおりでございますし、安保条約自身が極東の安全平和ということに寄与する、要するに、日本及び日本を含む極東の安全を確保するゆえんは何であるか、これを守ろうというのが、また日本自体の立場からいって、私は絶対に必要なことではないかと思います。したがって、そういう立場から考えて、たとえば沖繩の状態はこうあることが一番望ましい、あるいはこうあることは望ましくないという判断をしていかなければなりませんが、そこはやはり相互関連があるわけですね。ですから、穗積委員が言われるようにアメリカの意見はどうでもいいということではなくて、それもただすべきはただし、直させるべきことは直させて、そして日本としては、極東の諸国との間の連携を強化して、平和への戦いの道を進めていくということが私は妥当な道であると思います。具体的にどうこうということになれば、いろいろのことを考えておりますけれども、これらにつきましては、また別の機会に御説明することにいたしたいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 いや、別の機会でなくて、いま説明してもらいたいのです。アメリカの誤った情勢判断を正そうというのに、日本自身に情勢判断がなくていいとか悪いとか言えないではありませんか。どういうことでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 短い時間に端的に言えとおっしゃるから、別の機会にということを申し上げたわけですけれども、私としては、要するに、極東の緊張が緩和されることに日本としては全力を傾倒すべきものであると思いますし、同時に、一方においては、日本の国民的な考え方からいって、核であるとかあるいは戦争に巻き込まれるなんていう、とんでもないようなことが起こらないようにやっていく、ここが非常に大事なことではないかと思います。安保条約のほんとのメリットというものを発揮しながら、同時に、日本として好ましくないことはやらない、好ましい方向に向く、要するに、軍といいますか、力によってアジアの安定に対して寄与するのではなくて、日本独特の立場で、経済協力の問題もあります、技術協力の問題もあります、文化協力の問題もあります、そのほか、いろいろのことを伸ばしていく。それから同時に、近隣の諸国に対しても、日本の平和国家としての考え方に対する協力と理解を強く求めていくということが、何より必要なことじゃないかと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ベトナム以後われわれの極東地域において緊張が激化する危険があるけれども、さっきから言う日本の国益からすれば、戦争を拡大しあるいはそれに介入しないというのが原則である、こういうことですね。そうであるならば、その前提に立って続いてお尋ねいたしますが、いままで白紙だ白紙だと言っておったのを一歩前進して、核抜き、本土並みということを言い出したわけだ。これはあなたが行って予備折衝を始め、佐藤さんが十一月に行って交渉をされる場合の一つの原則であろうと思うのですが、日本政府としては、これは交渉に当たるときの出発の起点として言っておるのか、妥結のときの条件として言っておるのか、どちらでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これはおことばがございましたけれども、まず第一に、沖繩の問題について、基地の態様等についていろいろの考え方についての論議はかわされましたけれども、皆さんからおしかりを受ける点ではあるが、同時に大事な点は、基地の態様についてどうするかということについては白紙でございますということは必ず総理の答弁にもあとについているわけでございますね。それで、総理の言っていることに対して、総理は否定も肯定もしないということを言っております。これはですから穗積さんがどういうふうにおとりになるかは、私は何も申し上げることはございませんが、政府として交渉腹案というものをまだきめておりませんわけです。したがって、これが交渉の起点になるのか、あるいは妥結のと申しますか、これはこちらのあれを何としても通すのだ、死すともやまじという妥結点をどこに持っていくかということは、当然のことでありますが、そこまでまだ考えていないわけでございますから、そういうことを前提にしての御質問に対しては、何としても私は今日の段階ではまだちょっとお答えできない。ただ、今度の国会を通じて現在までのところを見ましても、実にいろいろの角度からいろいろの御論議が行なわれておる。その中におのずから世論というものが形成されてくる。もちろん、これには基本的に非常に違った立場に立たれるものもありますけれども、しかし、その中にはやはり政府としても非常に傾聴すべき御意見もある。こういう国民世論というものの支持や、これを踏んまえての交渉でなくしては、私は、外交ということはあり得ない、かように考えております。その点はこん身の努力を傾けていきたいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうしますと、この間、十日、十一日にわたって首相が核抜き、本土並みということを、白紙から一歩前進した交渉の態度として打ち出された。ところが、いま伺うと、それは表面であって、実際は核つき、自由使用つきの返還もあり得るという白紙論なんですか。従来どおりですか。いまの話だと従来どおりですね。まさに欺瞞ではないでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 いま申し上げましたとおりで、これは議事録をお読みいただきましても明らかだと思うのですが、国会というのは国権の最高の機関で、世界的な注目の中に行なわれておるところの論議でございますから、それ自身についての問題は、総理自身が言っておりますように、表現はあれかもしれませんが、否定も肯定もしていない。しかし、いま申しましたように、最後のところで、しかし、そうは言うものの、交渉の腹案、基地の態様ということについては白紙でございますということを、念のためつけ加えておるというのが今日の実情でございまして、これはまことに正直な誠実なやり方だと私は思うのでありまして、欺瞞などと言われることは、どうしてそういうことばが出るかと私は思うのですが、それは私がそう思うのであって、別に私から穗積さんに議論を吹きかけているわけでは毛頭ございません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 何というか、選挙のスローガンとしては言ってみた。しかし、事実交渉に当たれば、相手のあることであるし、最もこわいアメリカの要求がどうであるのかわからぬ。そうであるならば、核つき、自由使用つきの返還もあり得る、そういう余裕を残しておるのだ、こういうことですね。だがしかし、核抜き、本土並みということを言ったわけだ。それに対して、国民に対しても国会に対しても政治的責任がありましょう。そうであるならば、一点しぼられるのは、事前協議権の運用の面において、それで必要なときには核持ち込みを認める、あるいは自由使用も認める、そうであれば、いま言われたスローガンというものは、中身を開いてみれば、全く核つき、自由使用つきで返還をはかるということと同意語ですね。同意語になるのです。何が違うのでしょうか。核抜き、本土並みというこの提案が、核つき、自由使用つきと実質的には同じになるのだと判断せざるを得ない。それと違うなら違うことを言っていただきたいのです。どこが違うのか、はっきりしておいていただかぬと、われわれこんなことばにごまかされて引き下がっておるわけにはいかないわけですね。どう違うのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 そこが、ですから白紙と申し上げていることでございまして、きめてないものを、おまえこうか、こうかと言われても、これは申し上げられない。先ほどから申し上げておりますように、いろいろの長い論議がいろいろの角度から繰り返されておりますけれども、私としても、交渉の腹案、やり方というものにつきましては、それはほんとうに真剣にあらゆる点を総合し、国民の世論にこたえていくのにはどういうふうにやるかということにつきまして、目下真剣に考え中でございますから、核抜きか核つきか、自由使用か自由使用でないか、これらの点についても、それらを含めて目下考究中ということ以外にはお答えができません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 だからこそ私は言っておるのですよ。核抜きなんというのはうそだということだ。国民を欺瞞しておるにすぎないということですね。いまのことばで明瞭じゃないですか。目下考慮中で白紙だ白紙だということは、核つき、自由使用つきもあり得るのだということを言っておるわけですね。去年からそうですよ。そうだったら、核抜き、本土並みなんということは全く悪質なるオブラートにすぎない。私が判断するのではない。あなたがいま答えたわけだ。そうでしょう。だがしかし、言った以上はというなら、先ほど戸叶委員も言われたとおり、まさに事前協議権の運用で、それで有事の場合には、核つきに対してもイエスと言う、それから自由使用に対してもイエスと言うというところで国民の目をごまかして、実質的には核つき、自由使用つきの返還を認めることもあり得る、こういうことになるじゃありませんか。いまのおことばでもしごく明瞭だと思うのです。ちっとも違っていないですよ。核抜き、本土並みなんということを言って、そうして何か党内の意見が一致する、国民に対してもこれならみんな賛成してくれるだろうと、だまして賛成さしておるわけではありませんか。いまのお答えでも明瞭だと思うのです。  それで、引き続いてお尋ねいたしましょう。その場合、戦略的核兵器と防御的核兵器とさっきもお分けになりました。戦略的核兵器と防御的核兵器とは何をもって区別されるのか、厳密にお答えをいただきたいのです。これは従来の慣用語としては、戦略的核兵器は攻撃的核兵器、戦術的核兵器は防御的核兵器というふうに言ったが、第一に、それでお尋ねするのは、戦略的核兵器と攻撃的核兵器とは同意語で使っておられるのか、それから戦術的核兵器と防御的核兵器は同意語として使っておられるのか、お尋ねいたします。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは念のためでございますが、予算委員会の論議をもとにしてのお尋ねだと思いますが、そのときの経過を念のため申しますと、戦略核と戦術核というようなことばが御質問の中に出ておったわけでございまして、政府の立場において戦略核とはこれこれ、戦術核とはこれこれ、それからその中の防御的かどうかというようなことについて、確然としたる検討をして確然とした見解というものは持っておりません。むしろ核全体の問題としてまず考えるというところから出発いたしまして、おそらく私は、戦略核、戦術核ということばも、使われようがいろいろあるのではないかと思います。また、そのほかの何とか核ということばも専門用語としてはあり得るのじゃなかろうかと思いますが、それらの点については、まだ詰めて確たる見解というものは持っておりません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それではさらにそれに関連して、第二にお尋ねいたしましょう。  そうすると、戦略核、戦術核というものは、固定的なものではなくて、流動的なものであると解釈しておられるかどうかということです。すなわち、武器や技術の発達によって、今日の攻撃的、戦略的核兵器は、明日になればそれは防御的、戦術的核兵器となる場合もあるというふうに御解釈でしょうか、固定的なものでございましょうか、いずれでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは専門的にいろいろのことばが使われているようですし、それから各国それぞれの公表されたものなどを見ましても、必ずしもその分解とかあるいは定義とかいうものははっきりしていないようでございます。そういう点もまだ、十分な検討を積んで、そして政府としてはこう考えますということまではいっておりません。したがって、私からはお答えができにくいわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうすると、今日言っておる戦略的核兵器も、将来は戦術的核兵器として規定せなければならない状態もあり得るという意味を残しておるわけですね。あなたのいまの御答弁は。そうでしょう。  そこで、続いてお尋ねいたしましょう。  事前協議権の運営の中で、万一国益に合致すると判断して米軍の核の持ち込みを認める場合に、戦術的核兵器と戦略核と区別なさいますか。区別はありませんか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは、従来から現在までの考え方というものは、核ということで政府の見解を明らかにしておるわけでございまして、従来は、沖繩ということは、まだ施政権返還前でございますが、その状態におきまして申しておりますのは、核というものは、戦略核であろうが戦術核であろうが、一括して核兵器というものを従来は考えておったわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 区別はないですね。区別はない。そうすると、先ほど戦略核兵器は憲法上の疑義があると言われたのは、ちょっとせんだってからの政府答弁と不統一があるわけですね。現在は憲法上区別があると言っておって、今国会になってから区別はない、持てるか持てないかは目的だけで区別をするべきである——先ほどあなたは戦略核は憲法上疑義があると言われた。全く不統一じゃありませんか。どっちでしょうか。はっきりしたお答えをいただきたいのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 全然不統一ではございません。というのは、憲法上の問題としては、攻撃用と防御用ということで言っているわけでございます。これには戦略核とか戦術核ということまで意識したり、そこまで分析して言っているわけではございませんで、逆に、いわゆる通常兵器でありましても、観念的に攻撃一方というものがあるならば、あるいは侵略的武器であるならば、これも憲法の問題になる、こういうのが従来からの解釈でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 わかりました。そうすると、政府の結論はこういうことになるわけです。核兵器の種類、すなわち、攻撃的、防御的あるいは戦略的、戦術的の区別は憲法上はない、また、事前協議権の運営の中で、アメリカにそれを認めるか認めないかという場合に、その区別はない、戦術核なら認めるが、戦略核なら認めないという区別はない、こういうことになったわけです。  そこでお尋ねいたしますが、そうなると、もう歯どめというものは事前協議権一つですね。その場合に、先ほど言われたように、国益の内容は何だ。たとえば朝鮮戦争が再開されたというときに、これはもう国益上自由使用を認めたほうがいい、核持ち込みも認めたほうがいいというふうになれば、これは何と説明されようと、当然戦争の拡大にプラスされるわけですね。そうなれば、日本は戦争の拡大を阻止し、日本が戦争に巻き込まれないことを国是とする、国益である。国益の内容とはそういうものであると先ほど言われた。そうであるならば、事前協議権は、従来六〇年の国会以来答弁しておるように、これに対しては、日本が五条の規定で戦争に巻き込まれるようなことは断じてさせないんだ、その確約は、文章はコンサルテーションになっておっても、岸・ハーターの取りきめによって、それは日本の意思に反してはやらないということになっておるから、ここに歯どめがあると説明してきたことがくずれるわけですね。重要な問題ではないでしょうか。国民が、ちょっとことばで言うと、条約解釈のこまかいことまでまだ十分理解が行なわれていないときに、核抜き、本土並みと言えば、そんなことで考えておるのじゃないのですよ。六〇年のときに言われたとおり、戦争に日本が巻き込まれる心配がない。われわれは、巻き込まれる心配がある、五条との関係で。そうすると、そうじゃない、これは抑止力になるのだ、すなわち、日本の平和と安全を守るためだ、戦争に遠ざかるゆえんである、その証拠は、六条交換公文の事前協議権で、戦争に介入するような戦闘行為、作戦行動は絶対に認めません、こう言ってきたのです。本土並みという理解はそういうところにあるのです。国会においても、国民のあれも。ところが、いま伺うと、これも白紙である。すなわち、これを認めることもあり得るのだ、核については、戦略、戦術核の区別はない、こういうことでしょう。はなはだわれわれは納得するわけにはいきません。その点をはっきりやっぱりこの際お答えをいただきたいと思うのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 いろいろの点を組み合わせてお尋ねですから、分解して私はお答えいたしたいと思います。  まず、沖繩の返還に伴う基地の態様、それからこれをどういう形にしたらいいかということについての腹案はまだないということを前提にして、一応差別するとかしないとかいうことじゃなくて、それは白紙なんですから、それを一応抜いて、そしてお答えをいたします。  そうすると、本土に関して、従来も現在も明らかにしておりますことは、先ほど戸叶委員の御質疑にお答えしたとおり、もう十分おわかりのことと思いますけれども、日本としては、六条交換公文、それから共同声明、それから両国の了解というようなことにおいて事前協議を取り扱ってまいりますから、これははっきり核、たとえば核装備がまず第一ですね、それから中距離弾道弾というものがあげられているわけで、これは核を前提としておるから、これは事前協議にかけまして、これに対しては、従来から、核を持ち込ませるということはわれわれとしては好まざるところであるということが、政策としてきめてあるし、これはアメリカ側も了解しておる。そして、アメリカとしてもそういう必要な事態がなかったからかもしれませんけれども、事前協議というものは、そういう面で過去一回も行なわれたことはなかった。その際におきましては、核ということだけでありまして、戦略とか戦術とか、いろいろなことはこの際には入っていませんから、全体としてのことでございます。  それからその次に、巻き込まれ論は、私は、これは意見の違いだと思いますから、あえて多くを申しませんけれども、私どもとしては、巻き込まれるどころか、脅威を現実に感じないように未然にするというのが安保条約の抑止力であると私は確信をしておりますし、したがって、それが過去、正確に言えば十九年の間、日本が、他国において世界的にいろいろの自由を侵害されたり、現実に戦争が起こったりということがあったのにかかわらず、日本は全く安全で繁栄をもたらしたゆえんである。これは実績においても証明されておる。このやり方というものが、私どもの安全を確保する最善の選択であった、かように私は確信をいたしております。  それで、いまいろいろかみ合わせてのお尋ねでございましたが、最後に申し上げることは、沖繩については、従来申し上げておるとおりでございます。これについての見解、腹案というようなものについては、いましばらく時間をおかしいただきたいということをつけ加えて申し上げます。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 穗積君、時間が来ましたから、結論に入ってください。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 先ほど、戦争を拡大させない、戦争に介入しない、それが国益だなんて言っておられましたけれども、しかし、アメリカの核のかさのもとにおれば絶対に戦争はないのだという前提に立っておられるようですね。過去十何年間の事実が証明しておるところだと言われるが、そうじゃないのです。事実はどうかといえば、アメリカの核のかさのもとに入っておったいまの国民党政権、それから韓国、ベトナム、全部戦争に入っていますよ。四番目が日本の運命なんだ。だから、ポストベトナムの極東情勢というものは、その中におけるアメリカのかさのもとの安保というものは、それに沖繩問題の返還の条件というものは、これは重要な議論になるわけです。伺っていると、全部底抜けですね、事前協議権についても。だから、本土並みなんということは、全く無責任な選挙演説の中で出てきたことばにすぎない、こういうことがいままでの討議の中で明らかになったと思うのです。  そこで、お尋ねいたしますが、もし白紙であるならば、アメリカが、核抜き、本土並みで交渉をしたというときに、それじゃ、常時は核抜きでけっこうだ、しかしながら、事前協議権の運用で、核を有事のときには持ち込みを認めることもあり得る、あるいは自由使用を認めることもあり得る、そういうことならこれで妥結をしようといったような場合が出てきますと、そうすると、沖繩は本土並みではなくなるわけですね。どうですか。そのときに、沖繩の基地に関する限りはそういう事前協議権の放棄ですね、こっちでいえば。放棄かケース・バイ・ケースの放棄だ。そして、あるいは自由使用を包括的にやらないならば、一定の期間やらないならば、今度はケースバイ・ケースでイエスで運用していくということになりますと、これは特別の措置が、取りきめが必要だと思いますが、どうですか。日本本土の場合、この事前協議権によって守られておる。本土と沖繩の場合とは違ってくるわけですね。沖繩だけが本土並みでなくなるわけです。包括的にやれば、本土と区別しないでやれば、本土が沖繩並みになるということになる。だから、それを区別するならば、このときには、説明文あるいは口頭をもって特別の取りきめというものがアメリカとの間に必要を生じてくる。向こうは要求するでしょう。そういう要求があったときには、この特別取りきめに応ぜられるつもりであるかどうか、これが一点。その場合は、これは当然安保条約の改定になるわけでありますから、当然国会の承認を求めなければならないと思いますが、この二点についてお答えをいただきたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 それは先ほど来るる私も御説明につとめているわけですが、その私の説明申し上げているところから言えば、いまの御質疑に対するお答えは、私はまだ白紙だと言わざるを得ないのですが、そうではあまりどうも穗積委員のお気に召さないと思いますから、くどいようですけれども、もう少し申し上げますが、特別の取りきめがない限りは、安保条約の法体系というものが沖繩にもかかわる一かかわるというか、アプライされることが自然の姿でございましょうということを申し上げているわけであります。  そのときの特別の取りきめとは何かといえば、これはいろんな考えなければならぬ問題があるわけで、たとえば、これは一部にはございまして、もうあまり有力な御意見ではないかもしれませんが、たとえば、一時は機能別とか地域別返還ということも一部の説にはあったこともございますね。こういう場合には、特別の取りきめというものは相当重要な条約的な——かりにそういうことになれば、かりにそういうことが考えられるとするならば、あくまでも仮定の仮定の問題です。こういう場合には、相当重要な取りきめというものが必要でございましょう。  それから、今度また別のかりにで、そういう特別の重要な取りきめがない場合に、安保の体系が沖繩にアプライされるような場合において、従来本土の問題としてアメリカと合意しておったようなことで、今度は穗積委員とそこのところの発想が違うのですが、私は、安保条約というものは、第一義的には日本の安全を守る立場であると思います。言われるように、アメリカ帝国主義の世界戦略の一環として、安保条約によって日本がアメリカに従属させられているのだという発想は私はとりません。そこで、第一義的に沖繩を含む日本の安全というものが、そういうスタイルでもって政治の最高責任者として全うし得るかどうかという点をあくまで念頭に入れて、そういうことでいいだろうか、十分であろうか、必要にして十分であろうかということを考えていかなければならぬということが、私にとってはいま一番真剣な問題でございます。そういう角度から基地の態様ということについて考えてみて、そしてわれわれの腹案というものをつくらなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。  ただいま申し上げたことで、いまの御質問に対するお答えは十分であろうと思います。また、それ以上は私は今日の段階では申し上げることはできません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ちょっとはなはだ不十分でございますけれども、時間の御催促でございますから、尊重いたしまして、一括して三点についてお尋ねいたしますから、大臣、そこにちょっとメモしておいて、再質問しないで済むようにお答えをいただきたいと思います。  第一は、日本が自由使用を認めた米軍の作戦行動によって攻撃を受けた相手国が、日本領土内の米軍または米軍基地に攻撃を加えた場合、そのときの日本の自衛権並びに条約上の義務はどうかという問題でございます。それに対して、この前時間がなくて途中で切れましたが、佐藤条約局長は、その場合の攻撃は日本の領土に対する攻撃とみなすとして、切り離して、米軍基地でなくて、日本に対する攻撃として、日本の個別自衛権によって自主的に防衛行動に入るのである、こう言われたわけです。これは非常に不十分な御答弁でございまして、私がこの前の委員会でお尋ねしたことに答えていないのです。問題は、安保条約第五条によって、日本の自衛作戦行動というものは、アメリカに対して義務を負っているものである。いいですか。日本の領土に攻撃が加えられたという理解で、これに対して自衛行動に日本が移るというときには、ここでやらないほうがいいという判断があり得るわけですね。やるかやらぬかは、日本の自主的な判断にまかされるわけで、やらぬ場合もあり得るわけだ、やらぬほうがいいという判断であれば。ところが、私の聞いたのは、安保の関係で聞いておるのですから、日本はたとえやらぬほうがいい、国会でもそう判断し、政府の中でもそういう判断があっても、そのときの攻撃について、安保条約第五条は、アメリカに対する日本の義務として、作戦行動に入らなければならない、その義務の側面をはずして御答弁があったわけです。これはさっぱりお答えになってないわけですね。安保条約との関連における日本の作戦行為の義務、たとえそれが自由使用であっても、自由使用を認めた米軍の行動であってもですよ、そういう義務が免除されない。当然、いや応なしに自動的に作戦行動に入らなければならぬ対米義務があるんだ、私はそう解釈してお尋ねしたわけです。その対米義務の点について一点お尋ねいたします。  それから第二点。もし朝鮮戦争が再開されました場合兵韓国には日本の政府機関あるいは商社の人々、その他日本人民が多数在住いたしております。また、日本の資本投下された、いわゆる経済的権益というものも生じておるわけです。そのときに、日本は外交保護権の名目で、韓国に日本の自衛隊を出動することがあり得るかどうか、これが第二点の第一です。それに対するお考えはどうであるか。  それに関連してもう一つのお尋ねは、出動する場合に一それは戦争介入ではないわけですね。それは外交保護権の行使にすぎないわけですから。ところが、その外交保護権の名目で出た日本の装備した部隊が相手国の軍隊と衝突した場合に、今度は状況は変わりますね。発展をして朝鮮民主主義人民共和国の軍隊との交戦権がそこで生ずるかどうか、自衛行為が合法的に認められるかどうか、これをお尋ねいたします。これが第二問の第二点です。  それから第三問としてお尋ねいたしたいのは、そういう安保条約第五条の義務行動として日本の部隊が出動した場合の自衛権の根拠は個別自衛権だ、その目的は、日本の安全と独立を守ることのみを目的とする、極東の安全については日本の国並びに自衛隊は責任はない、こういうことになっておるわけだ。そういう解釈に立ったときに、日本の自衛隊の作戦行動の範囲はどうであるかということです。これは、こういうふうにきなくさくなってまいりまして、それで政府の解釈がこの九カ年間にどんどんとかってに拡大解釈をするようになってきますと、われわれは不安を持たざるを得ないので、ここで一ぺん締めくくってお尋ねをしておくわけです。そのときに、日本の個別自衛権による自衛隊の作戦行動の範囲は、日本の領海、領空に限られるものであるのか、それから公海の中にも自衛行動をやる権利があるとお考えになっておられるのか。第三の場合は、相手から攻撃がなくても、緊急不正な攻撃がなくても、あり得るというおそれのある場合に、相手の基地に対して先制攻撃を加えることができると解釈しておられるかどうか、この個別的自衛権による日本の自衛行為の行動範囲について、その三点をお尋ねしておきます。  以上、三つの問題を一括してお尋ねいたしましたから、一括して、再質問しないで済むようにお答えをいただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 お尋ねの点はメモいたしましたが、なかなかむずかしいお尋ねで、かつ関連してあれですから、一ぺんでお答えし切れないかもしれませんし、また、条約解釈については政府委員から御答弁したほうが正確であるかと思います。  まず第一問、これは安保条約第六条の問題と私は理解いたします。米軍が——日本本土の、とやりましょう。本土の基地の中から戦闘作戦行動を開始するという要請があって、これをオーケーと言った場合、これはいわゆる自由使用を認めた場合というわけでございますね。そういう御質問と理解をいたしましてお答えをいたしたいと思いますが、まず最初に、その前提となります……。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 あと誤解があるといかぬから、そこのところで、日本本土と限らぬ、日本の領土内ですよ。物理的に本土だけではないのです。日本の領土内。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 それでは仮定論を含めるということになります。仮定論を含めてお答えをいたします。私の気持ちは、現在領土内は本土しかないのですから。そういう戦闘作戦行動で本土の基地、あなたからいえば領土内の基地から発進した場合、それにイエスを与えた場合——ところが、これには、私のほうからいいますと前提があるのですね。米軍が出動するという場合に、米軍は国連憲章を順守するということが前提になる。それで、不正な侵略行動がどこからかかけられたときに、これを防衛するために出動するということになるのだろうと思います。前提がその侵略に対する防衛措置ですから、その防衛という意味で理解をいたせばいいのではなかろうか、かように考えるわけです。それで、その防衛というのは、安保条約の第六条の規定に従った行動である、かように考えます。  それから、その第一問の中に、もう一つ第五条の関係があるのです。領土に侵略が加えられた場合ですね。これは先ほども戸叶委員にもお答えしたけれども、これは現実にわが国が襲われた場合ですね。その場合にいかようにするかということのお尋ねですが、そのときに、日本が出動といいますか、防戦につとめることはアメリカに対する義務だというお尋ねがございましたね。(穗積委員「第五条ですよ」と呼ぶ)だから第五条は、自分の国が襲いかかられた場合、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、」之々というときには、日本は自国の憲法上の規定及び手続に従ってこの危険に対処するわけですね。ですから、それは、私はアメリカに対する義務というふうに理解されることについてはいかがかと思います。ただ、第五条には、私は当然と思いますが……(穗積委員「条約に書いてある」と呼ぶ)ちょっと黙ってください。答弁中ですよ。この第五条になるほど書かれているけれども、念を入れて、憲法上の規定によってやるということまで書いてありますから、日本の行動は、対米義務というよりも、当然の義務として、しかも憲法上の手続に従って行動をいたします。第五条の関係はさように私は考えます。  それから第二問第一、朝鮮に戦争があった場合、日本の外交保護権を発動する、その場合に、日本人の生命財産を保護するために自衛隊が出動するか、こういうのが第二問の第一項のお尋ねでございます。私は、朝鮮半島にそういう事態が起こらないことを心からまず期待いたします。したがって、仮定の場合ですが、在留邦人の保護ということにつとめなければならない、それはまさに外交保護権だと思いますけれども、日本の憲法では海外派兵ということは禁じられております。ですから、私は非常にむずかしいことだと思いますが、外交保護権を別の方法で活用するより以外に方法はない、自衛隊の出動は禁じられておる、私はかように解釈すべきものだと思いますし、また、私はそういたしたいと思います。  それから第二問の第二項、出動した場合、自衛隊が相手国の部隊と衝突をする、そこに交戦権が生ずるか、これは第二問の第一項のお答えをノーとお答えいたしましたから、お答えする必要はございません。  第三間、出動した場合の自衛権は何か、領海、領空にとどまるか、相手から急迫不正の侵害が現実になくとも、おそれがある場合は、公海に出てやるのかどうかというお尋ねですね。(穗積委員「相手の領土まで、三つになっている」と呼ぶ)相手国の領土、それからこちらの領海、領空、それから公海の三つですね。この出動した場合というのは、いまの第二問にひっかかっているのかいないのか、ひっかかっているとすればお答えはしなくてもいいと思いますが、第三問は、一般的に日本の固有の自衛権に基づき、あるいは安保条約の第五条なり第六条にかかることもあるのでしょうか、御質問の趣旨がよくわかりませんけれども、これは領海、領空にとどまるべきものである。それから、おそれのあるというようなときには発動しないのがたてまえである、私かように考えますから、したがって、相手国に対して出かけていくというようなことはない、かように私は考えます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 さっきの一点だけ。そうすると、憲法の規定によって自主的にやる自衛行為であるというならば、そういう場合が起きても日本はやらないことも自由であるわけですね。第五条の義務はどうなりますか、その点をこの前から聞いておるのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これはちょっとお尋ねが私は理解できないのですけれども、なるほど第五条に書いてございます。これを穗積さんは義務と御解釈なさるのは、それもいたしかたないと思います。しかし、それとは次元の違った問題として、そもそも、現実に急迫不正の侵害を、形にあらわれて日本国民だれもがわが国が侵されたという場合ということに限定していけば、もうお尋ねのようなお尋ねはないはずではないだろうか、私はこういうふうに思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 政策上やらぬ場合もあり得るでしょう。それを聞いているのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 たいへん失礼な言い方ですが、穗積さんが総理大臣だったらそういうことはあり得ると思います。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 曽祢益君。

曾禰益民主社会党

○曽祢委員 この前の当委員会において、外務大臣に対して、もうそろそろ沖繩の基地の問題については白紙でなくて、基本的な交渉の方針をおきめになる必要がありはせぬかということを申し上げたのですが、その間だいぶ舞台が回ってまいりまして、私はいいほうに回ったと思うのですけれども、三月十日の参議院における予算委員会の答弁以来、少なくとも総理大臣は、どういう理由があったか、そこは存じませんけれども、あるいは自民党の党内からも、沖繩に対する交渉の基本的態度について、やはり本土並みということを入れるべきではないかという御意見もあったようですし、その間、アメリカの議員さん十三名が日本に来まして、相当やはり沖繩問題に対する日本国民のコンセンサスに耳を傾けざるを得なかったということ、さらにはまた、沖繩問題懇談会の基地研の報告が出ましたが、これもおそらく、政府が委嘱したこういう委員会の報告としてはかなり思い切ったと思われるような、基本的には核兵器の沖繩存在は戦略的に見ても必ずしも必要でないし、政治的にはむしろマイナスファクターであろう、また、沖繩の基地についても特別の取り扱いをすることはやはり沖繩問題の解決にならない、こういうようにはっきりと核抜き、いわゆる本土並みですね、つまり、安保条約のフルの適用で、他の本土の基地と区別をしない、法体系のみならず、その法の適用にあたっても区別をしないという線の報告が出された。これらのことが何らかの意味で総理大臣にはね返っての言動ではないかと思います。私は、そういう意味で、遺憾ながら穗積委員と意見が少し違うので、基本的には総理大臣が白紙から一歩進んだ、しかも、それは国民の意向、私ども民社党が前々から言っていた基本的な日本のコンセンサス——安保条約については相当困難であっても、沖繩問題についてはいわゆる核抜き、本土並み、つまり安保をフルに適用して、分け隔てをしない、これが大体コンセンサスの得られる線である。政府はそれを少なくとも基本的態度として交渉をされるべきである。この方向に大きく近寄ったと思うのです。もちろん、話を詰めていけば、まだ交渉の原案ができていない。いろいろ外務大臣としては、特に慎重な外務大臣のことですから、そう言われるのもわかりますが、少なくとも総理の従来の言動から見れば、これは清水の舞台から飛びおりたというほどのことでなくても、かなり思い切った態度の表明だと思うのです。私はこれを一つのアメリカに対する観測気球だと見ていいのではないかと思います。その方向は決して誤ってない。言うならば、だいぶ迷っていたけれども、大体いい方向に来つつある、まあまあ、いい子いい子と言ってやってもいいのじゃないか、そういう観点でものを見ているのです。  そういう観点でものを見た場合に、交渉上の立場があろうから、ぎりぎりのところまではまだ言えないので、白紙ということを言っておられると思いますけれども、しかし、少なくともこれらの議論、論議を通じて一番心配な点は、普通にほうっておけば安保条約の適用を受ける、しかし、場合によっては安保条約の適用を排除するといいますか、そのまま適用しないという意味の基地に関する特別の協定があり得るということを言っておられるわけですね。これが一番大きな問題だと思う。この点はあとでさらに伺うことにして、そうでない場合、つまり安保条約の適用を受ける場合にも、一部の国民の心配は、沖繩の基地だけについては、いわゆる有事の際等にいかなる核兵器でも持ち込みを許すのではなかろうか。もう一つは、沖繩の基地からだけは、他の本土の基地と違って、従来の経緯と東南アジア諸国、特に韓国及び国民政府の要請もあるので、日本に返っても、沖繩からの発進だけは事実上ゆるやかにする、こういうことはないというふうに総理大臣は答えておられるようですけれども、私は、それは理の当然ではないか。何も区別しないで、返ってきた沖繩に安保条約適用のたてまえをとっておいて、つまり、外務大臣の言われる法体系においては完全に他の内地の基地と同じにしておきながら、事実上のその適用においてむしろ旧沖繩だ、旧沖繩基地だけは自由発進でいいというのは、これはもうどだいナンセンスですね。そんなことはできないと思うのです。口の悪い人に言わせれば、それは沖繩の本土並みじゃなくて、本土の旧沖繩並みだ、本土全体がかつての沖繩のようにアメリカの自由発進基地になるに違いない、こういう皮肉な議論もあるし、また理の当然として、諸外国に対して沖繩からはかってに出ていいけれども、他の本土の基地からは、たとえば立川、横田からは出ちゃいけない、これでは意味をなさない、そんなことはできないと思いますが、そこに非常に疑いがかかっていることは事実なんです。これを明らかにしていただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 先ほどもるるお答えいたしましたように、どういう交渉の腹案ということになりますと、これは先ほど申し上げたとおりでございますが、いま総理の予算委員会での応答ぶりについていろいろコメントしていただいたわけでありますが、すべて仮の問題で御答弁するわけですけれども、特別の定めない場合というのがあるのかないのかということに対する考え方というものは、先ほどもちょっと申しましたように、特別の取りきめという中には、いろいろのことが観念的には考えられる。たとえば安保条約そのものについて……(曽祢委員「それはいいですよ、ない場合だけ」と呼ぶ)特別の協定がない場合には、先ほど私が申しましたように、法体系としては全部適用がされる。  そこで、その次の問題は、運用の問題についてのお話がありましたが、観念的な問題といたしましては、沖繩についてだけたとえば核の持ち込みを許すということ、あるいは沖繩の地域からのみの作戦出動行為について、この二つについて、いわゆるいままで本土において行なわれていたと同じようなやり方をしなければ、たとえば自由出動といわれるようなことをかりにした場合においては、受けるほうの側からいえば区別がつかないではないか、こういう点は、私は観念論としては総理の言われたとおりだろうと思います。  そこで、基地の態様がいかにあるべきかということは、先ほどもちょっと触れましたように、まず第一義的に日本、それから日本を含む極東の安全につきましてこれと同様の方式をとった場合に、必要にして十分に守り得るであろうかどうかということの観点から考えてみて、どういうふうに考えるのが最高の責任を全うし得るゆえんであるか、結局一つの焦点はそこの問題ではないかと思います。観念論としては、ただいま念を押された曽祢委員のお考え方は正しい、私はかように考えます。

曾禰益民主社会党

○曽祢委員 大体似ているようですけれども、念のために、もう少し話の論旨を進めて、もう一ぺん伺いたいのです。  いわゆる安保条約に基づく事前協議ですね。特に戦闘作戦行動に関する極東地域等に対する発進、これは安保条約が持っている、われわれから見れば一つの危険な点だと思います。むろんこれは日本政府がノーと言える。これはそういういわゆる歯どめがあります。ありますけれども、どこまでがノーなのかということについて非常に問題があり得るので、したがって、私どもは、基本的にはこういったような極東への発進を認めるような第六条みたいなことに問題があるので、日本の立場としては、日本の自主防衛にプラス補完的な役割りとしてのアメリカが日本地域を守る第五条みたいなものは必要だけれども、第六条みたいなものははずすことが望ましいということが一つと、第二点は、やはりこの事前協議の自由発進と、もう一つの問題が核兵器のいわゆる持ち込み問題で、これについてはイエスが言えるたてまえになっているわけですよ。むろんノーと言えるたてまえですけれども、逆にいえば、完全なノーではないわけです。したがって、われわれの考えとしては、安保条約の改定をする場合には、この狭い日本地域に核兵器を持ち込もうというさもしい考え、他の方法で幾らでも他の領域からいわゆる抑止力をきかし得るわけですから、日本地域に核兵器を持ち込むことは軍事的に必要でないばかりか、政治的にもマイナスであるから、核兵器を持ち込むことをやめるという協定をつくるべきだ、こういうような態度を持っているわけですが、しかし、いま問題なのは、安保条約に基づく事前協議がいわゆるしり抜けであるとか拒否権であるとかいう問題でなくて、いま安保条約の適用上、運用上、旧沖繩、返ってきた沖繩の基地だけは、日本の安全か極東の安全か知りませんけれども、あそこだけは核を置いてもしようがなかろう。あるいはあそこだけは他の基地と違って、実際上自由発進というような運用でいこう、これだけはできない。そんなことはできない。もしそれがどうしても日本の自主的判断——私は日本の自主的判断にはそういうことはないと思うけれども、特にアメリカの要請が強くて、どうしてもゆるめなければならない場合には、これはどうしても何らかの安保条約の適用排除ということになりますか、また、あなたが言われたように、グアンタナモ方式といいますか、沖繩全体は一応日本に返ってくるけれども、あそこに特別に一つの租借地みたいなものをつくって、日本では手が及ばないのだ、したがってて、あそこから発進しても第三国に対して免責されるような形にしておくか、何らかの別の法体系にして留保しておかなければおさまるものではないと思う。私は、そういうことは望ましくないと思いますが、そういうことでいいというのではないけれども、しかし、いまの問題は、一応安保条約の適用の中に置いておいて、全体を少なくとも歯どめがあったものを、沖繩の基地だけは歯どめからはずして自由使用を許すということは、全部歯どめをなくする、全部ざるにするということと同じになりますよ。そんなことはできるものではない。こういうことを私は力説しているわけですよ。それに問題があるとすれば、安保条約の持っておる問題であって、問題はやはり、一たん返ってきて安保条約の適用を認めた以上は、他の基地とは、核の問題についても、あるいは発進の問題についても、一切差別することはできないし、できないものを変に約束するということは、それはもう全くとんでもない混乱のもとになる。だから、それはやるべきではない、こういうふうに考えますが、いかがですか。理の当然だと思うのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 御指摘になっている論点は、私も理解できると思います。それで、先ほどもちょっと申したわけでございますけれども、特別の取りきめなき場合という中には、いわば含蓄というか、考えられるいろいろの場合が予想されるわけですね。私もそのいずれがいいかということを申し上げているわけではございませんが、その中に、たとえばグアンタナモ方式というものも観念的には考えられると思います。  それから、先ほどお話がございましたとおりに、私も御同感ですけれども、沖繩というところを特別に、たとえば発進とか核について特別なことだけができるのだろうかどうだろうか、そういうことをやらないで——そういうこともやはり最終的には検討の課題になり得ると私は思うのです。そういうことも含めまして、まだ腹案というものはきまっていない、こう申し上げたわけでありますけれども、先ほどグアンタナモ方式について申し上げましたことや、それからいま曽祢委員のおっしゃること、私も非常によく理解できる。一部は私さっきもお答え申し上げましたが、そういうところを総合して、私どもとしては、何とかわがほうとして最善と思われる腹案というものを固めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

曾禰益民主社会党

○曽祢委員 まあ、積極的にお答えがなくとも、理の当然として、条約上別のステートに置かない限りは、安保条約を適用した沖繩を特別に扱うということは混乱の原因であるし、悪く言えば本土の沖繩基地化にも通ずるという意味で、これはもうとうてい日本側も受け入れられない。問題は、しかしアメリカの要請が非常に強い。極東の安全として、核問題とかりに離れても、まあまあ、アメリカのほうとしては、安保条約で日本の本土の基地は事実上日本にビートーを与えてしまった、拒否権を与えてしまった。だから沖繩だけは自由使用するということで今日まで来たのですから、この彼らの頭の切りかえが相当困難である。特に軍人というものは、どこの国でも強引であり、なかなか政治的な大局的な見解がなさ過ぎるというのが軍人の特色ですから、そういう意見があることは、これは事実と思いますけれども、これをやはりぶち破って——少なくともごまかして、一応安保条約の適用範囲内に置いておいて、沖繩だけは何とかささやき戦術で、あそこは適当に使ってもいいのだなどということは、私は絶対にあってはならないと思うので、お願いしているわけです。  それから、特別な取りきめですけれども、これはだれが考えても、グアンタナモ方式ということは、全く別の沖繩をつくるようなもので、一難去ってまた一難というのはよくない。日本の独立心からいって、そんなことは許されるものではなくて、基地だけを特別に国際的にリースする租借地方式というものはいかぬ。だとすれば、やはり安保条約の適用を排除するような意味のことを、安保条約の改定という形でやるか。それはおそらく政府としてはいやでしょうから、むしろ沖繩返還協定を——これは何といっても小笠原でも返還の協定をつくりまして、国会の審議に付するわけですから、当然、沖繩については、総理が行ったとたんにこういうものができるとは思いませんが、政治的な約束ができたあとで、その詰めの外交的な文書をつくるときに、沖繩については日本本土に返るけれども、その基地についてはこれこれしかじかという留保的なことをつくるかっこうになるのではなかろうか。しかし、これはぜひひとつ外務大臣も現内閣においても真剣にやってもらいたいのは、そういうことをしても、一たん日本に返ってきた沖繩を別のステータスに置くということは、一つのトラブルを避けても、ほかに日米間に大きな政治的トラブルをつくるようなものであって、これは決して解決にならないと私は信ずるのです。結局、日本に返ってきた沖繩である以上は、本土と同様に、その基地からの発進が認められるか認められないかは、日本とアメリカの政策が、その時点において、たとえば朝鮮半島における事態に対して認識が完全に同じときには、これは国連に対する日本の協力というような見地から、日本の基地使用ということが認められることは観念的にあり得ると思う、特に北側が完全な侵略者と国際的に判定されるような場合がありとするならば。そうでない場合には、日本防衛についての日米合意があっても、アメリカの軍事力が日本以外の地域に及ぼすような場合に、それが防衛的な発動であっても、日本の基地からやるという場合には、これは日本の国民がなかなか納得しないケースが多いのではないか。そういう意味で、日本側に拒否権があるのは、これは当然だと思うのです。そういう意味で、あなたのほうは、いま白紙ということで交渉のフリーハンドをあけておいたほうが日米が話し合う上からいってもいいというお考えで、白紙白紙と言っておられるのでしょうけれども、あなたのワシントンに行かれる時間もほんとうは迫っているわけですね。さっきも時間をかしてくれということを言っておられました。そういう場合に、やはりすなおに民意に耳を傾けるならば、第二の、つまり安保条約の適用下に置いて、運用上別扱い、これはいけない。しかし、そうかといって、安保条約の適用を排除するような自由発進、あるいは核基地になってもいいかもしれないというような約束のついた沖繩返還の話し合いができるということは、これはよほどの重大な問題で、そういうことのないように、すなおに核抜き、そして沖繩の軍事基地は全く名実ともに条約上も別のステータスに置かない、つまり本土と全部同じ、すなわち、現安保条約が続く限りは自由発進ができない、拒否権つき、この性格において変わらないというふうに、ぜひこれはやり遂げる必要があると思うのです。この点についての交渉の気がまえを伺いたいのです。  特に私がこういうことを申し上げるのは、白紙であるかないかという、単なるのれんに腕押しではなくて、現に総理大臣は、白紙ではない、何色か知らないけれども、少なくとも白でない方向にはっきり踏み出している。私は、議会の答弁を通じてアメリカに信号を出すのはけっこうだと思う。それから、有名な下田大使がまたワシントンで記者会見をやって、私は、これも当然のことだと思うのですけれども、アメリカの議会筋の有力者、マンスフィールドだとか、マスキーだとか、スコットだとか、あるいはエドワード・ケネディ、これら上院議員に個別会談して、日本国民の総意は本土並みであるということのいわゆるPRといいますか、サウンドでも何でもいいですけれども、やり出しているのですね。ですから、そういう意味で、もういつまでも白紙でもないわけですし、総理大臣もアメリカに対して発信している。あなたの部下である大使も、これは訓令によってやっているのかどうか知りませんけれども、そういうふうに数歩踏み出して、今度は逆に、日本国民に対してアメリカの態度は強いぞということから、舞台は変わったわけですね。アメリカにいよいよ交渉する前に、アメリカに対して今度は発信している。国民の意思は、本土並み以外は承知せぬぞ、この機会に、内閣の基本方針を本土並みの線ではっきりきめてもらいたい。何となれば、どの政党といえども、国民の意思に沿った行動がとられる政府の行動ならば、私は、快くこれを支持し激励する立場に立つものではなかろうか、こう考えるわけです。そういう意味で、この本土並みに関するあなたの基本的な見解を伺って、この点については話を打ち切って、別の問題についてもう一つ御質問させていただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 非常に建設的な御高見を伺いまして、たいへんありがたく感ずるわけでございまして、曽祢委員の最近の動きに対する御解釈ということについては、私も敬意を表するわけです。  そこで、一つの問題は、いわゆる本土並みではなくて、ただいまのお尋ねは、あらゆる運用に至るまでのことについて本土並みであることがしかるべきであろう、こういう御意見でございますが、私としては、同時に、先ほど申しましたように、安保条約の目的というものが、第一義的に沖繩を含む日本、その日本及び日本を含む極東の安全というものを確保することが目的であり、また、それが私どもとしては一番国益に沿うゆえんだ、これを基礎にいたしておりますので、かりに沖繩についてそういうことにする場合に、その真の目的が阻害されずに、必要にして十分な役割りを果たし得るかどうかという、もう一つの、国の安全を確保するという立場から、主体的にどういうふうに考えていったらいいだろうかということについて、まず国会の御論議はもちろん、いろいろの点から真剣に検討を続けているわけでございます。  それから、ただいまもお触れになりましたけれども、下田大使もいろいろの論議を起こしましたけれども、私は、まさにいま大使としての本領を発揮してくれ始めたと思うのでありまして、日本の国会を通ずるところのいろいろの考え方、また世論の動向というようなものについて、アメリカの要路に対して率直に論議を展開しながら、先方の意見も打診するようにつとめている。特に先般の京都会議とか、あるいは日米議員懇談会とか、最近いろいろこういうことがありましたが、アメリカ側も相当真剣に——従来はなかなかアメリカの全体にわたって日本人が思うほど沖繩問題ということは意識してなかったようでございますが、そういう関心が高まった。この時期に、政府筋だけでなくて、あるいはアメリカの国会に対し、あるいはその他の有力者に対して働きかけが始まりました。これは私どもの意を体してやっておるわけでございまして、そういう中からもまたいろいろの線が出てくると思いますが、そしていわば本格的な予備折衝というものを六月の初めから私がいたしますが、それまでには、これはここで申すべきではないかと思いますけれども、自民党といたしましても、私に対する心得べき事項というものをコンセンサスとしてまとめてくれると思います。同時に、われわれとしての考え方も固めて本格的な予備交渉に当たりたい。これはただいまも御指摘がございましたように、なかなかむずかしい問題だと思うのでありまして、そこで念を入れて、十一月の末までに、あるいは向こうの国務長官をはじめ主要閣僚を東京に招き、あるいはまたこちらが出かけていって、何回かの接触を続けて、総理の訪米というものが国民の御期待に沿うような決着がつくように、十二分の努力をひとつしたい。同時に、前々から申しておりますように、私どもとしては、戦争で失った土地を話し合いで解決していく、新しいパターンとしてこのやり方の成功を期してまいりたい、こういうふうに考えております。ただいまも強く御要請がございましたが、いましばらく時をかしていただきまして、私どもの腹案というものを十全にかためるようにしたい、かように考えております。

曾禰益民主社会党

○曽祢委員 オーストラリアの条約に関連して御質問しようかと思いましたが、委員長からのおすすめもございましたので、お時間をちょうだいいたしまして、一点だけ伺います。  これもこの前の当委員会において外務大臣にお尋ねをしたことに関連をすることであります。それは、日本の近海に、最近伊豆諸島方面にまでソ連の漁船団が参りまして、日本のほうでは魚族保存上必要だと思って一本釣りにしているのに、そこにもってきて、まき網漁業をやっている。これらの問題に触発されまして、こういったソ連の行動に対して、一体日本はどういう方法で対処していったらいいか。その場合に、軽々しく日本の領海三海里説を変えて、領海を広げるというアプローチのしかた、接近方法ではいけないのではないか。広げてみても、その外に出られればそれまでであるので、結局、この問題については、公海においても魚族資源を保護し、そして最大限の持続的な生産を維持するためには、関係国は協力する、そして規制する、この方針をたてにとって、これによってソ連の横暴なやり方に規制を加えるように外交交渉されてしかるべきではないか、こういうことを申し上げたつもりです。それに対して、大体御同感であったと思うのです。ところが、そればかりではなくて、その後、本院の予算委員会におけるある質疑、あるいは現在参議院で行なわれておる同様な質疑を通じて、急に領海の範囲が狭過ぎるのではないかという議論が蒸し返されている。それに対する外務大臣の御答弁が、率直に言って、少し私は誤解を与えたのではなかろうかと思うのですけれども、たとえば、領海三海里はもう古くさくなったのだから、十二海里までしたらどうだという御意見、あるいはこれは六二年のあの海洋国際法会議のときの妥協案として、残念ながら成立しなかった領海六海里、漁業専管区域六海里、接続区域六海里、こういったようなフォーミュラにしたらどうだ、あるいはまた、いま対ソカニ交渉をやっておられます際でありますけれども、とにかく大陸だな条約の問題についても、この際もう一ぺん考える必要があるのではなかろうか、いろいろな意見が出ているわけです。その場合に、あるときは外務大臣の御答弁は、その本意でないと思うけれども、三海里から十二海里も考えていいんだ、あるときはシックス・アンド・シックスを考えてもいいんだ、何か盛んにぐらぐらしているような感じを与えるのは適当でない。検討されるのはけっこうですけれども、私見をもってするならば、三海里を軽々に変えるべきではない。まだ日本はやはり攻撃側というと悪いですけれども、公海における漁業の自由を主張する立場であります。したがって、国際的な会議で領海六海里、接続六海里ということが大多数で通るという場合には別ですけれども、いまの主張としては、三海里を広げるべきではない。しかし、同時に、大体の方向としては、接続区域といいますか、漁業専管区域の十二海里ぐらいなことは、やはり実際問題として、認めないと言いながら、各国との条約において、現にわれわれが審議している最中であるオーストラリア条約も、認めないと言いながら、別の形で認めているのが実際なんです。したがって、そこら辺の問題で、十二海里ということの漁業専管区域については、日韓条約の先例もあるわけですから、個々に交渉して、そしてわがほうの利益を十分に実績等いれられる場合には、先方も認めるし、日本としても、十二海里くらいの漁業専管区域の主張はむしろ積極的に考えてしかるべきではないかということと、もう一つは、大陸だな条約については、これは地下埋蔵の資源について、条約にいきなり入るということは、漁業関係もありますので、私はちょっとまだ疑問がございますけれども、少なくとも地下埋蔵資源の大陸だなに関する権利については、条約に入る前に、日本の権利としてそういう権利宣言くらいやってもいいのではなかろうか。漁業の問題につきましては、ほんとうにそこで定着して培養される魚族の場合と、そうでない場合、回遊する魚族の場合もございますから、なかなかむずかしいから、いま直ちにそれを宣言することは、まだ攻め込む側の日本としては損ではないか。しかし、この大陸だな条約についてもやはり考えていき、場合によったら、地下埋蔵資源はこれからの日本の大きな資源の問題になりますから、これはいままでのノーノーだけの態度でいかないのではないか、かように私は考えます。言いかえれば、領海は三海里でいくべし、特別な全体の国際会議ではっきりした条約ができる見込みの場合ならいざ知らず、軽々に三海里から延ばすことは反対。そのかわり、漁業専管区域のことば考えていく。それから大陸だな条約は条約に直ちに入らない。しかし、鉱物資源の占有宣言はやったほうがいいのではないか。少なくとも外務大臣は明確な意思、方向を——時々の応待によって変わったような印象を与えるのははなはだ困ると思うので、この際、明快な御答弁をいただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これまた非常に率直な御意見をいただきまして、まことにありがたいのでございますが、いまさら申し上げるまでもございませんが、最近、主としてわが国の沿岸漁業を保護したいという立場から、その対策として、領海の幅員を拡張しなければならないという御主張が国会内外で非常に強いわけでございます。それに対します私の答弁が時によって違って受け取られたということも私認めて、微妙な問題でございますだけに、ただいまあらためてお尋ねをいただきましたので、政府としての見解を明らかにいたしておきたいと思います。こういう機会を与えられたことを感謝いたします。  政府といたしましては、領海の幅員、漁業水域の問題につきましては、世界各国の本問題をめぐる動向にかんがみまして、画一的な制度が確立されることが望ましいと思ってはおります。そのための準備として、沿岸漁業を含む漁業利益、国際海上交通、国際航空あるいは防衛等の国益全般の見地から総合的に検討、勉強をいたしておるわけであります。しかしながら、いま直ちに三海里をこえて領海を拡張したり、十三海里の漁業水域の設立をわが国が一方的に行なうということは、領海の幅員や漁業水域の設定を沿岸の国が自由に決定することは国際法上できないという立場を従来からとっておりますわが国としては、行なうことは適当でない、かように考えております。  なお、大陸だなにつきましては、ただいまお話がございましたように、頭からノーノーというわけではなくて、鉱物資源の占有等につきましても十分ひとつ検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 伊藤惣助丸君。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 外務大臣に憲法問題について二、三確認しておきたいと思います。  政府は、砂川判決を引用しまして、米国の軍隊は、日本国憲法でいう戦力でないから、米国の軍隊を置いても戦力ということにはならない、したがって憲法違反ではない、また、米軍の持つ核兵器も日本国憲法に抵触しない、こういう見解を明らかにしております。こうした見解は、外国軍隊が日本国憲法以上に権限を持っているというふうに考えられるわけですが、この点について伺いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 憲法問題は、内閣としては法制局の所管になっておりますから、あるいは法制局長官からお答えいたしたほうが適当かと思いますが、私は私の立場で常識的なお答えになろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  外国の軍隊の駐留を認めるということが、条約上成規の手続をとって認められております。この場合におきまして、憲法上これが抵触するものとは思いません。極端な例をあげますと、安保条約が違憲であるかどうかというようなことについては、全然憲法に違反するものではないと、かような立場を政府は従来からとっておることは申すまでもないところでございます。  それからその次に、砂川判決につきましてもいろいろの御論議はございましょうけれども、要するに、こういった問題は、憲法上の問題として判決の上で一から十まで取り上げるのにはなじまない問題であるという趣旨はございますけれども、しかし、その安保条約において認められた駐留する米軍が持ち込むところの兵器については、直接憲法の角度から違憲とか違憲でないとかいうことは不適当である、常識的に言えば、憲法違反ではない、こういう趣旨が法制局の見解である、かように存じます。  また、ただいまお尋ねございましたが、それは、それでは条約のほうが憲法より優先するのかどうかということは、そういうことはないのでありまして、条約におきましては、憲法を踏まえて条約が締結されるものである。これも常識的な御答弁でございますが、さように私は考えております。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 いまの説明はちょっとあいまいであると思うのですが、要するに、米軍の駐留というのは、日米安保条約にその法的根拠を持っているわけであります。ですから、これを要約するならば、日米安保条約は——日米安保条約すなわち国際法ですね、これは日本国憲法に優位する、一つはこういう考え方に立つわけであります。そのことをもう少しはっきりと、先ほど説明を伺いましたが、大臣から伺いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 結論からいえば、私は、一般論として、条約と憲法との関係ということは別にいたしまして、日米安保条約が憲法に違反するとは思いません。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 条約局長、その点についていかがですか。

佐藤正二外務省条約局長

○佐藤(正二)政府委員 私も、憲法の解釈は守備範囲外で、まことに困るのでございますが、大臣がおっしゃったとおりで、安保条約が憲法九条に反するということは考えておりません、

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 大臣はいま一般論というふうにおっしゃいましたが、これは非常に大事な問題でありますので、はっきりと確認しておきたいわけです。なぜかならば、先般の予算委員会において、法制局長官が砂川裁判を引用されまして、安保条約によってアメリカの軍隊が日本に駐留する以上は、それは平和憲法のらち外である、この発言があったわけであります。そしてその中に、何を持ち込もうとも、それは平和憲法に違反しない、こういう解釈があったわけです。この点についていま具体的に伺っているわけでありますが、これは条約が優先するか、あるいはまた日本の憲法が優先するかということについては、過去非常に議論があって、そして最終的には、いかなる国際法よりもわが国の憲法が優先するのだ、こういう解釈を私は聞いているわけであります。したがって、そういうようなことから見ますと、その判決を引用し、そして日本の国にそのような持ち込みがあったとしても、それは憲法のらち外であって違憲ではないのだ、こういうところに非常に大きな疑義を持っておるわけであります。それをまた政府がそのとおりだというならば、その憲法の解釈、また条約等の関係について、政府はそのような見解、またそのような考え方に変更したのではないか、こう思えるわけですが、大臣……。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 変更というようなことは全然考えておらないのでございまして、これは結局最終的に御満足いただける方法は、この種の問題について最高裁の判決ということが——日本には憲法裁判所はございませんけれども、日本国憲法によりまして、最高裁判所の判決というものが最も尊重されるべき立場にあると思いますから、そういう意味で、最高裁の判決あるいはその流れをくむ考え方というものを、政府として尊重するのは当然ではなかろうかと思います。  それから、らち外ということばを使いましたことは、再々私も聞いておりますけれども、したがって、これは法制局の正式見解であり、内閣の見解である、かように考えております。  なお、これはかえって問題を誘発することになるかもしれませんけれども、安保条約は、御承知のとおり、日本国の自衛隊を意識してのことですが、第三条におきましても「憲法上の規定に従うことを条件として、」とあります。それから第五条におきましても、「憲法上の規定及び手続に従って」云々ということが、これはもう念のために書かれてあるので、条約は憲法に従ってやるものだということが、私は明らかにされているのではないかと思います。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 それでは沖繩の問題について伺いたいと思います。  最近、佐藤総理は、沖繩の返還問題について、核抜き、本土並みのような方向をさしておるわけでありますが、特にその中で私たちが重要に思うことは、事前協議のことでございます。この事前協議について、総理は弾力的に運用する、このように言われております。私たちは、この事前協議の弾力的運用というところを非常に重大だ、こう思っております。なぜかといいますと、もしアメリカがこの事前協議を提案したことに対して、日本の国はいままでは否定するのではないか、事前協議は歯どめであるといわれておりましたが、しかし、事前協議というのはあくまでも事前協議であって、イエスということがあるかもしれません。要するに、イエスということが前提になるならば、岸・ハーター交換公文にある歯どめというのがゼロになってしまう、こう思うわけですが、その点について伺いたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 私、速記録を正確に見てみたいと思いますけれども、弾力的運用ということばを使いましたでしょうか。ちょっと私、この点正確でございません。私は、弾力的運用とあるいはとられるような発言があったかと思いますけれども、弾力的運用ということばは使われなかったのではないかと思います。  それからなお、これは先ほど来申し上げておりますように、弾力的運用ととられるようなことばがあったかもしれませんけれども、そういうことも観念的に考えられる。終局的な沖繩の基地の態様についてどうするかということについては、終局的に白紙であるということで常に結んでおるのが総理大臣の発言ではなかったかと思います。  それからその次に、事前協議の問題、これは何べんも御論議があった点でございますが、そもそも昭和三十五年のいわゆる安保国会のときから、政府の見解の中には、事前協議というものについてはイエスと言うこともノーと言うこともございますということは、ずっと継続して言っておることでございます。これはよく私も引用いたしますが、先ほども引用いたしましたが、、昨年の当衆議院外務委員会におきましても、四月何日かに、当時の外務大臣が、イエスと言うこともノーと言うこともある、これは国益という見地から判定すべきものでありますという答弁が議事録にも載っております。同様の見解あるいは答弁というものは、三十五年の岸内閣以来一貫して行なわれているわけです。これは一つこういうことがあるわけです。その運用につきましては、たとえば核の問題でありますとか、あるいは戦闘出撃等につきまして、あるいは装備について、交換公文はあるし、その運用の了解はあるし、あるいは共同声明はあるし、そういうところからいいまして、こうこうこういうような日本の欲せざることは、事前協議にかけてもノーと言いますよ、ノーと言われる日本の気持ちはよく了解していますよということが、何段階にも念が押されておりますから、そこがいわゆる歯どめである。そこが重要なところである。これが一貫した政府の見解でございます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 いま事前協議の問題をいろいろ大臣から述べられましたが、私も、予算委員会で、特に大事なこの了解事項について大臣に伺いました。しかし、了解事項は口頭である、こういうふうに伺いました。議事録がない、必要とあらばその統一見解なり、そのときの了解事項について説明したい、こういう大臣の答弁があったわけですが、その後その問題についてははっきりとわかっておりませんので、もう一回明確に伺っておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 安保条約は、第六条におきまして、これも常識的なことばを使って恐縮ですが、アメリカは日本を守る義務がこの条約の改定によって生じたわけですが、そのアメリカの義務に対して日本の提供する義務というのは施設・区域の提供である。したがって、その施設・区域の使用、活用ということは、本来ならば自由であってもしかるべきものかもしれません。しかし、それに対して事前協議という制度を設けたわけでありまして、それを受けまして交換公文ができ上がっております。その中には、配置における重要な変更、装備における重要な変更、わが国から行なわれる戦闘作戦行動、こういう三つの事項については事前協議にかけなければならないということが合意されているわけでございます。しかし、重要な変更ということでは相互の了解が不分明である場合もあり得ますから、そこで、この交換公文署名調印のときに、当時の藤山外務大臣とマッカーサー駐日大使との間に了解が行なわれました。これは文書にはなっておりませんけれども、その口頭の了解を文書にいたしましたものは、最近では昨年四月二十五日にも国会に書類として提出いたしておるわけでございます。また、先般も予算委員会へ念のためこれを提出いたしております。その文書を読み上げますと、  日本政府は、次のような場合に日米安保条約上の事前協議が行行なわれるものと了解している。  一 「配置における重要な変更」の場合  陸上部隊の場合は一個師団程度、空軍の場合はこれに相当するもの、海軍の場合は一機動部隊程度の配置  二 「装備における重要な変更」の場合  核弾頭及び中・長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設  三 わが国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設・区域の使用 ただ、この戦闘作戦行動については、これは当然のことと思いますが、「条約第五条に基づいて行なわれるものを除く。」こういうのが両国間の了解事項でございます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 そのことは前からも聞いておりますが、これはいつ行なわれたのですか。そして了解事項ということは口頭だと聞いておりますが、国際間においてこういう重要なことを単なる口頭での了解事項として扱っておるということについては、非常に問題があるのではないか。たとえば、そのときに立ち会った人たちが、もしものことがあってこの世を去ったというようなときには、どういう形で継続するのか。さらに、いつどこでマッカーサー駐日大使と藤山外務大臣と行なわれたのか、その点も明らかにしてもらいたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは一九六〇年一月十九日、ワシントンにおきまして、藤山当時の外務大臣、それからアメリカの代表者としてダグラス・マッカーサー二世、その間において口頭で了解されているはずでございます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 このことは、そのときのメモなり、あるいは何らかの議定書、まあ議定書とはいわないでしょうけれども、メモはいま外務省にあるわけですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これはその当時からいろいろ御論議をいただいているところでございますが、先ほど来申しておりますように、この了解というのは、まず第一に、いわゆる日米安保条約というものが、公式にあらゆる手続をして条約として同日成立をいたしております。それから条約第六条の実施に関する交換公文として、これまたきわめて明確になっておるわけでございます。そしてさらに、本来ならばこの条約と交換公文だけで十分かもしれませんけれども、しかし、日本側としてはさらにこれに対する注釈というものをはっきりさせておきたいということで、口頭了解という形式でありますけれども、両者の合意がここに行なわれたものであります。そして日本側といたしましては、何回にもわたってその了解というものはかくかくなものでございますということを文書にして、最高の国会にお配りをしてある。こういうものでございますから、私はこれで必要にして十分のものである、かように了解いたしております。この了解が取りかわされましたときの、特にそのための議事録というものはございませんので、これは念のために申し添えておきます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 お互いの国がそれぞれの立場でそれぞれの解釈に立って、国会なりそういうところに提出をしておる。しかし、そのことを疑うわけではありませんけれども、たとえばこのことが、将来沖繩が返遷になったときにいろいろ問題になることがあり得ると思うわけです。政府がそのことをとって、口頭でこのように言った、了解しておったと言った場合に、アメリカがそうじゃないということを言うかもしれない。たとえば海軍にいたしましても一機動部隊、では一機動部隊というのはワン・タスクフォースなのか、ワン・タスクグループなのか、こういう問題さえもはっきりしなければならないわけでありますが、そういうところまでいきますと、もっと詳しく、また了解する上においてもこまかくはっきりしておかなければならないと思うわけです。したがって、私は、この了解事項はお互いの国がそれぞれの立場で了解しておるそのまま、必ず歯どめ——歯どめというよりも、間違いなく確認しているんだと思う。また、当時話し合った中でメモか何かあると思うわけです。そのあるかないかだけを伺っておきたいのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは口頭の了解でございますから、書類というものはない。これはもう前々から申し上げているとおりでございます。  それから、お疑いになり出せば切りがないことでございますけれども、これは藤山さんは外務大臣でない、マッカサーはいま転任しているというふうにお疑いになれば切りはございませんが、先ほど申し上げましたように、文書にして、日本としては最高の国会に政府の責任をもってお配りしておるというような扱いでもあり、これがそういう了解を与えた覚えはないのだなどということは、言われる筋合いのものではない、こういうふうに私は御理解願いたいと思うのでありまして、それ以上に証文みたいなものはございません。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 それじゃ伺いますが、、海軍の一機動艦隊、これはワン・タスクグループなんですか、ワン・タスクフォースなんですか。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○東郷政府委員 ワン・タスクフォースでございます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 この間、去年ですか、エンタープライズが参りましたが、エンタープライズの艦長はワンタスクフォースと言っております。それはどうなんですか。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○東郷政府委員 いまのお話は、エンタープライズ一隻をもってワン・タスクフォースということですか。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 あのとき入ってきた艦隊はワン・タスクフォースと、こう言ったんですね。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○東郷政府委員 事前協議に申します海軍に関しては、先ほど申しましたようにワン・タスクフォースでございます。エンタープライズは、あのときにどの程度の付属艦を連れてまいったか、いまちょっと覚えておりませんが、それがエンタープライズが参りましたように単に寄港するという場合は、ここに申します配置の変更ということにはならないわけであります。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 それじゃ答弁がわからないです。もう一つ言いますと、飛行機では一飛行隊といいます。これは何機をさすのか。たとえば、いろいろありますよ。爆撃機、戦闘機とあります。一飛行隊は何機あるか、爆撃機の場合何機あるのか、あるいはまたワン・タクスフォースということは、第七艦隊全部をいうのか、あるいは空母を中心とする六つの機動隊をワン・タスクフォースという見方をするのか、それはどっちなんですか。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○東郷政府委員 空軍の場合には、陸軍の一師団に相当する航空師団——航空師団と申しますのは、通常指令部を持って、航空団、これはウィングと申しますが、それが二ないし三ウィングある、こういう師団をさすものでございますが、それも個々の機数につきましては、任務によっていろいろあるようでございます。海軍につきましても、第七艦隊にはタスクフォースとしては五つあるようでございます。で、それぞれの規模を持ったものが、これもいまの第七艦隊の場合にも、任務によりまして船の種類及び数も違いますが、いずれにしましても、これらのまとまったものが日本に配置されるという場合に、事前協議の問題になるわけでございます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 また、陸の場合は一個師団といいますが、その師団というのは平均しているのですか、それともばらばらなんですか。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○東郷政府委員 陸軍の場合には、歩兵の師団とかあるいは機甲師団、空挺師団、いろいろあるようでございますが、これも種類によりまして具体的の人数は違いますが、大体兵員にして一万五千人程度の集団であります。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 要するに、私が一番心配する点は、そのように了解事項といっても、一つの基準をつくったわけでありますが、それが非常にあいまいなわけですよ。また言えないわけです。ですから、たとえば第七艦隊は五タスクフォースに分かれておる。しかし、その一タスクフォースが来ても、一隻でも来なければそれはワン・タスクフォースとして事前協議の対象にならない、こういうふうになるわけです。また、一飛行隊といっても、戦闘機はたとえば十機で飛ぶ、これは一機欠ければ事前協議の対象にならないということも考えられるわけです。そしてまた、陸軍についても、その部隊によっては、特殊性あるいは機動性という面からいっても、逆に小さいのもあれば、大きいのもあります。大きいのは三万をこえるもので一師団というものもあるわけです。というふうに考えますと、この了解事項というものは非常にあいまいである。また、いろいろな面で、一つは事前協議の対象にならないような口実を向こうに与えてくる。こういう点から考えて、了解事項というのは、国際法的に、たとえば、当時立ち会った人がいなくなったあとでも、日本とアメリカにおいて、これはこうじゃないか、ああじゃないかとはっきり言い切れる、そういったものを、国際法上に有効な一つの議定書なり何でもけっこうですが、そういったものをはっきりしておくべきではないか、こう私は主張しているわけです。外務大臣、その点について……。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 御主張はよくわかりますけれども、いまの点は、配置、装備、それから出動ということであって、単なる寄港というようなものはここに入らないわけです。  それから、これは予算委員会でもたしか私も言及した点だと思いますけれども、たとえば原子力潜水艦の場合などは、原子力を推進力としている船艦のような場合は事前協議の対象に実はならないのです。ならないけれども、原子力というものについては日本の国民感情というものがなかなか微妙な点がございますから、これについては、事前協議の対象ではないけれども、非常に慎重な両国間の協議が遂げられたし、また日本側では原子力委員会によるところの判定も求めたし、そういうふうな事情から申しましても、それから安保条約におきましては、いわゆる随時協議という第四条の規定もございます。こういうことで、法というか、条約の体系からいっても、それから事実上の国交関係からいっても、もうこの事前協議につきましては、こういう点ががっちり押えられてあれば、国民の御心配になるようなことはないというのがわれわれの見解でございます。  また、先ほど申しましたように、さらにこれについては共同声明まであるわけで、日本の欲せざるようなことについては、事前協議にかりにかかってもこちらは断わる、その態度はアメリカとしても十分理解している。こういうふうにあらゆる面から総合して補強してあるわけであります。したがって、今日までのところは、個々にいわゆる事前協議にかかったような事件もなかったわけです。こういう点を総合的に、大局的に、日米外交上の問題としてとらえて御理解をいただきたいというのが私たちの考え方でございます。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 要するに、私たちが了解事項の中で最も重視することは、もちろん戦闘作戦行動もありますが。核の重要な装備の変更という点であります。そして核については、戦略だとか戦術だとかというふうに分けて、戦術なら持てる、あるいはまた防御用ならば憲法に違反しないというような解釈もあるわけであります。その点について、やはり了解事項の中で、それでは防御的なものはたとえば事前協議でイエスとも言えるというならば、そういう防御的あるいは戦術的な核兵器の持ち込みは、ではイエスと言えるのか言えないのか、こういうことも問題になるわけですが、その点について……。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 この点、本日もいろいろ質疑応答がかわされたわけでございますけれども、ここの事前協議の場合は、先ほども読み上げましたように、核弾頭というものはそのものずばりですね。この中には攻撃用もありましょうし——私は、戦略核とか戦術核とかいうことは、率直に言って専門的な知識はございませんが、ここにいう核弾頭というものの中には、このごろ世の中でいわれている戦略核も戦術核も含まれるでしょう。あるいはそれ以外のものも含まれましょう。それから、中長距離ミサイルの核持ち込みは事前協議になるわけでありますけれども、中長距離ミサイルというものは、やはり軍事科学的にいえば、この中には戦術核も戦略核もあるのかないのか、これは専門的に見ましてわかりません。しかし、中長距離ミサイルならば、われわれ国民としていやがるようなものが当然に含まれているという解釈のもとに、わざわざ中長距離ミサイルの核を持ち込むということがここに掲上されてあります。そして、並びにそれらの基地の建設ということが念を押されてあるということによって、ただいまの御質疑に対して、私は必要にして十分なお答えだと思います。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 外務大臣、だいぶ自信ありげにお答えになっていらっしゃいますが、原潜の入港については、いままで何回か来ているわけであります。そしてその原子力艦艇には核はない。しかし、その装備にはサブロックが積んである。そしてそのサブロックの弾頭は核弾頭ではない、こういうことを言われておりますが、その点の確認はどのようなことでなさっているのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは原子力委員会のほうからお答えしたほうがいいと思いますけれども、私からお答えしますれば、こういうことだと思います。  この原子力潜水艦の寄港ということにつきましては、事前協議の問題ではございませんけれども、あらかじめアメリカ側からそういう希望の申し入れがありました。昭和三十九年と記憶いたしますが、その希望に対しまして、日本側としてあらゆる専門的な検討をいたしました。そして原子力潜水艦の構造その他について、わがほうから実に詳細な質問書の形にいたしまして、あらゆる性能、機能、構造等について資料の提供を求めて、その資料に基づきまして、日本として最高の権威者をもって十分に検討いたして、安全性あり、危険性なしという判定を下したわけで、そして寄港を認めたわけでございます。  なお、これは言わぬでもいいことかもしれませんが、日米間であろうがどこの関係であろうが、軍艦、軍用飛行機というようなものの中に他国が入り込んで査察をして、そして検証するというようなことは、これは国際法上はお互いにこれを禁止しているわけでございますから、アメリカの原子力潜水艦の中にあなたがお入りになって検査をしようと考えられても、これは事実上私はできないことであると思いますし、またそれを求めることは、やはり日本の立場から申しましても、そこまで行くべきものではないのじゃなかろうか。したがって、軍艦である立場にかんがみまして、想定されるあらゆる質問条項を詳細につくりまして、それに対してアメリカとしては誠意を尽くして回答を寄せたわけで、その回答に対して日本側として、まあ私はいまその責任者ではございませんが、当時の原子力委員会といたしましては、国会に対しても十分な御説明を——納得されなかった方々も相当おありだったと思いますけれども、政府としてはなし得る限りを尽くした、こういうことを御理解いただきたいと思います。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 原潜のことについては、一つは、安全性を問題にして、そういうことで政府側が説明を求め、そしてその回答を得ていると思うわけです。  ただ、もう一つの問題は、核があるかないかということであります。イギリスのジェーン海軍年鑑でありますか、あれによりますと、現在のアメリカの原子力潜水艦はサブロックを搭載しておる、しかもそれは核専用である、このように出ておるわけであります。そしてまた、日本寄港については、ではその弾頭をどこに置いてくるのか、あるいはまた——われわれは持っていないということを信じておりますが、安全性を確認したときと同じように、核は持っていないということを、では日本の外務省が米国政府に対して書類で確認しておるかどうか。それほどまでに前向きで——査察もできないし、それはもう機密だから立ち入り検査はできないというならば、少なくとも書類における米国政府のはっきりした回答を求めるべきだと思いますが、その点について外務大臣はどう考えますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 私はその必要を認めないのです。私は認めませんけれども、まあ、そういうふうにお疑いがあって、それが全国民的な御意思であるというのならば、それはしかるべき方法で何か調べるということもあるかもしれませんけれども、私は、現在においてさようなことをする必要ばないと思っております。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 最後に伺っておきたいわけでありますが、いまの大臣の発言で少し前向きな答弁があったわけでありますが、やはり国民はいろいろな面で不安があるわけであります。それは政府が絶対ないと言ったところで、いろいろな形からまた疑問を持っているわけです。したがって、私たちは必要以上にその点は気を使って、当然、こちらで確認できなければ、できる限りの誠意を尽くして、それでは書面において向こうから回答を求めたい、または核はないという確証を何らか文書の形で日本政府はとっておくべきだと思うのです。その点について、最後にはっきり大臣から伺っておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 私は、その必要を認めないということはただいま申し上げたわけでありますが、たとえば国会等で院議をもってお求めになるということになるならば、これは最高の国会の御意思でありますから、それに従って善処いたします。

伊藤惣助丸公明党

○伊藤(惣)委員 では終わります。      ————◇—————

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 次に、日本国とオーストラリア連邦との間の漁業に関する協定の締結について承認を求める件を議題といたします。  他に御質問もないようでありますので、本件に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  日本国とオーストラリア連邦との間の漁業に関する協定の締結について承認を求めるの件を承認すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 御異議なしと認めます。よって、本件は承認すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

北澤直吉自由民主党

○北澤委員長 次回は、来たる十七日午後一時三十分より理事会、二時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十九分散会

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