外務委員会 第4号
- 発言数
- 128 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1969/03/05
会議録
○北澤委員長 これより会議を開きます。 国際水路機関条約の締結について承認を求めるの件、日本国とフィリピン共和国との間の国際郵便為替の交換に関する約定の締結について承認を求めるの件、以上両件を一括議題といたします。
○北澤委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。田中外務政務次官。
○田中(六)政府委員 ただいま議題となりました国際水路機関条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 全世界の航海を一そう安全かつ容易にするためには、世界の海運国の水路官庁間の協調、水路業務に関する情報、資料の交換及び水路図誌の国際的統一等の国際協力がきわめて重要であります。この目的を有する国際機関といたしましては、一九二一年以来国際水路局が存在しておりますが、その設立基本文書たる国際水路局規約は、同局の内部規則にすぎないため現状に適合しなくなり、かつ業務遂行上若干の不便の点がありました。この条約は、国際水路局を改組して国際水路機関を設立し、同局規約の不備を補い、新たに同機関の法人格、特権及び免除等について規定しております。 世界の主要海運国の一つであるわが国としては、この条約の当事国となることにより、わが国船舶の安全かつ容易な航海が確保でき、他方わが国周辺海域での外国船舶の航海安全も確保され、さらに同機関においてわが国の意見を主張することにより世界の水路業務の発展に寄与することができ、国際協力の観点からも有意義なことと考えられます。 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、日本国とフィリピン共和国との間の国際郵便為替の交換に関する約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 わが国とフィリピンとの間の郵便為替の交換業務は、同国が万国郵便連合の郵便為替に関する約定に参加しておらず、また、戦前締結されておりましたフィリピンとの間の郵便為替約定も戦後復活されなかったため、現在まで実施することができない状態となっておりました。政府は、同国との間の地理的及び経済的な関係にかんがみて、両国間の郵便為替業務の再開の必要性を認め、かねてから同国政府と郵便為替の直接交換のための約定の締結交渉を進めてまいりましたところ、先般合意が成立し、この約定に署名した次第であります。 この約定は、郵便為替の表示通貨、料金の割り当て、振り出し及び払い渡しの方法等、双方の郵政庁が郵便為替の交換業務を行なうために必要な基本的事項について定めたものであります。 この約定の締結により、わが国とフィリピンとの間に二十七年ぶりに郵便為替の交換が再開されることになり、公衆の利便が増大することが期待されます。 よって、ここにこの約定の締結について御承認を求める次第であります。 以上二件につきまして、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○北澤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 ――――◇―――――
○北澤委員長 引き続き、日本国とオーストラリア連邦との間の漁業に関する協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 ただいま議題になりました協定につきまして、順を追うて少し質問したいと思います。 まず第一に、三条に「いずれかの日本国の船舶について」というふうにありますけれども、この「船舶」というふうに書いたのはどういうわけでしょうか。これは漁船の場合を主としていうのでしょうけれども、漁船というふうにいわないで、船舶というふうなことばを使っているのはどういうわけかを伺っておきたい。
○高島説明員 この日豪漁業協定の対象になっております船舶は、すべてマグロはえなわ漁業に従事する漁船だけでございます。ただ、従来の各国間との漁業協定の例に従いまして、こういう場合にすべて船舶という表現を使っておりますので、その例に従っただけでございます。その間何ら誤解を生ずる余地はないと思っております。
○戸叶委員 そうしますと、普通の船舶の場合にはどういうふうにいうのですか。
○高島説明員 先生のおっしゃる意味は、国際法上あるいは一般の条約上、船舶という場合にどういう意味を持つかという御質問でございますか。
○戸叶委員 両方の意味です。
○高島説明員 そういう意味でしたら、昨年の国会において御承認いただきました例の領海条約あるいは公海条約等に使っておりますとおり、漁船、商船、軍艦すべて、公船、私船を含む一切の船舶でございます。
○戸叶委員 この協定を結ぶ場合に、ほかの漁業条約なんかを見ましても、やはり漁船ということばを使ってないのですね。大体船舶ということばが使ってある。そうすると、こういうふうな条約を結んだ場合に、船舶というのは漁船以外にはないと了解してよろしいわけですか。
○高島説明員 そのことばだけで申しますと、確かに船舶ということばはあらゆる種類の船舶を含むということは、国際法上当然でございますが、しかし、この一条以外のほかの規定から、この船舶というのは、日本国の船舶のうちでマグロはえなわ漁業に従事する船舶であるということが明瞭でございますので、そういう点から誤解のないように願いたいと思います。
○戸叶委員 そういうことを相手国との間で話をつけているというふうに了解していいわけですね。 それでその次に、同じように第三条で、二項に「1にいう船舶は、前記の行政上の措置に関連して、妥当な支払を行なう。」と書いてあるのですけれども、この「妥当な支払」というのはどういう意味なんでしょう。
○高島説明員 ここで「妥当な支払」という表現を使っておりますが、このことばの英語のほうはリーズナブル、こういうことばでございまして、これは常識的に、合理的なという一般的な意味以外に特別な意味はございませんが、交渉の過程におきまして、オーストラリアは一般的に法律によりまして、外国漁船がこの漁業水域内で操業する場合に、平均いたしまして約千ドル程度の支払いをさせた上で、これに対してライセンスを発給して操業させるという、そういうような国内法でございます。わがほうは、そういうようなオーストラリアの漁業法を国内法としては認めませんで、もっぱら公海上における特殊な漁業という観点から交渉しました結果、とてもそういう千ドルも払うことはできないということ、しかし、それにもかかわらず、オーストラリア自体の国内の船舶でも、何がしかの金を払った上でライセンスを取って操業するということになっておりますので、その観点から、両者の中間的な価格の範囲内できわめて合理的な価格を設定しようということで、これに付属してございます合意議事録の中で書いてありますとおり、この額は「百オーストラリア・ドル」ということにきめまして、この範囲内で支払いを行なう。日本円に換算しまして約四万円程度でございます。
○戸叶委員 ニュージーランドなりメキシコなりとの漁業協定を審議した場合には、そういうふうな支払うというようなことはなかったわけです。だから、特別にここに出されたので非常に奇異な感じを起こすわけなんですけれども、オーストラリアの実情がそうさせたというふうに――オーストラリアは自分の国の漁船が入る場合でも、操業する場合でも、結局一々払う、それは何という名前なんですか、どういうお金なんですか。
○高島説明員 これは、近来各国がいわゆる漁業水域というものを国内法によって設定しまして、その水域内におけるいろいろな取り締まり、取り扱い状況が各国によりまして違いまして、メキシコ、ニュージーランドの場合は、外国漁船あるいは自国船につきましても特別な金の支払いを要求するというたてまえをとっておりません。ただ、オーストラリアの場合は、漁業法の中で、自国船舶を含むすべての船舶につきまして一定のフィーを取って、そのフィーに対してライセンスを発給し、そのラインセンスのもとで、許可制のもとで操業を認めるというたてまえをとっておりますので、これは実質上はかなり合ったようなかっこうで合意ができたというふうに思っております。
○戸叶委員 その「妥当な支払」の場合はわかったのですけれども、その上に「前記の行政上の措置に関連して、」と書いてある。その「行政上の措置」というのは、いまおっしゃったようなことだろうと私は思いますけれども、具体的に「行政上の措置」というのは特にどういうことを意味するのかということが一つと、それからどういう措置があるのかということです。それから、オーストラリア政府の行なう行政上の措置に対してオーストラリアの船がフィーを払ってライセンスをもらうならわかるのですけれども、日本の国がオーストラリアの行政上の措置に対して実費を払わなければならないというのはどういうわけなのかということが、非常に疑問になるわけです。この点をまず解明していただきたい。
○高島説明員 第三条の第一項に書いてございますとおり、オーストラリア連邦政府は、日本の「船舶の指定水域内での操業をこの協定の規定に従って容易にするために必要な行政上の措置を執る。」という定めになっております。そこで、「この協定の規定に従って」という意味でございますけれども、この意味は、まず第一番には、一定の指定水域内での操業を容易にするためという点が第一点でございます。第二点は、そのあとに第六条第一項に規定がございますとおり、オーストラリアは一般的に外国船につきまして国内の港への寄港を全部禁止いたしまして、特別な協定がない限りは寄港を認めないという定めになっております。ところが、今回この協定によりまして、日本のマグロ漁船につきましては、ここにございますブリスベーン、フリーマントル、ホバート及びシドニーの四港に随時いつでも寄港できるということになりました。これは日本にとりましては非常に特別な利益でございまして、このような点に関連いたしまして、オーストラリア政府は、まず取り締まりの当局あるいはオーストラリアの漁民団体あるいは港湾当局に対しまして、一般的にこうこうこういう日本の漁船が操業する、その操業の範囲はこのような指定水域であるということを通知いたしまして、かつまた、この四港に日本のマグロ漁船が入ってきた場合には特別な便宜供与を与えるように措置しろということを、港湾当局あるいは病院あるいはいろいろな船を修理する工場等にあらかじめ指示してもらうという約束を取りつけまして、そのような一般的な行政措置をオーストラリア政府がとることにつきまして、日本の漁船がその権利を確保するために必要な支払いを行なうというのが第三条第二項の考え方でございます。
○戸叶委員 ちょっとわからないのですけれども、たとえば金額を払うというのは、いまのおことばですと、中に入る権利を獲得するために払うというので、まあ入漁料みたいなものだろうと思うのです。けれども、今度はそのオーストラリア政府のとる行政上の措置というものに対してなぜ日本の船が払わなければならないかということは、どうしても納得ができないのです。
○高島説明員 先ほど申しましたとおり、どこの国の船でも自由にオーストラリアに寄港できて、自由に便宜を供与されるということになっておりません。これは国際法上、一国の港は外国漁船には開放する必要はないということになっておりまして、実は日本も、外国人漁業の規制に関する法律というのはそういうたてまえで立案されております。これによりまして、オーストラリア政府もつい最近一般的に漁港を開放することを禁止いたしました。それにもかかわらず、日本の漁船につきましては、特別にそのような港を四つだけ日本に開放するということになりまして、そういう漁港を日本に開放してくれることに対する一般的な便宜供与の権利、これを確保するための一つの支払いというふうに考えておる次第であります。
○戸叶委員 いまおっしゃった漁港を開放してくれたので、それに対する支払いということになりますと、必ず寄港をするということを条件にしているわけですか。寄港でもしない限り、漁船が行って帰ってくるというだけならば、こういうものは必要ないじゃないかと思うのです。いまおっしゃったようなことばになっていきますと、どこかの港に寄るということになればわかるのですけれども、そうじゃないと、少し行政上の措置を受ける必要があるかしらということが疑問になるわけなんてすけれども……。
○高島説明員 実態を申しますと、この協定によってカバーされます日本のマグロはえなわ漁業のすべてが、実際ここに寄港しなければとても操業が継続し得ないというのが実態でございます。また、それのみならず、この水域で操業しない日本のマグロ漁業の船舶につきましても、実際にオーストラリアの漁港が日本漁船に開放されることは非常な利益でございます。両方の関係から申しまして、日本漁船が寄港しないにもかかわらず幾らかの金を支払うということは、実際上はございません。
○戸叶委員 そうすると、やはり、どこかの港に寄港するということは、入漁料というか、そこに入る権利をもらうということですね。それで支払うということですね。そうしますと、先ほど妥当な支払いという金額が述べられたのですけれども、オーストラリアの百ドルとおっしゃいましたね。そうすると、この支払いは漁船一隻について課せられるのか、それとも入漁するたびに、入っていくたびに払うのか、その辺もお伺いしたいと思います。
○高島説明員 この水域について操業いたします日本のマグロはえなわ漁船は大体きまっておりまして、日本政府を通じましてオーストラリア政府に通報されるわけであります。したがって、その操業いたします各船舶が一隻ごとに支払う額の範囲が百オーストラリアドルをこえない範囲であるということでございます。ですから、一隻ごとの単価でございます。
○戸叶委員 一隻ごと一回ですか、何回でも入れるのですか。
○高島説明員 一年につき一回でございますが、何回でも実際に操業はできるわけでございます、一年一回払えば。
○戸叶委員 一隻が一年に一回ということですね。それで、それは漁獲量には別に変動はないですね。
○高島説明員 漁獲量につきましては、全体のワクとして大体押えられておりまして、はっきり約束しているわけではございませんが、年間につきまして約六千トンというワクがございます。いままでも操業実績がそういうことでございますので、その範囲内で操業することを認められるということでございます。
○戸叶委員 第四条に「年間操業水準」とあるのですけれども、これはどういうことを意味しているわけですか。一九六三年から一九六七年に至る漁業、それと――まずそれを先に伺っておいてから、次に入ります。
○森沢政府委員 いま御質問のありました年間の操業水準というのは、過去において、日本の遠洋カツオ・マグロ漁業がこの豪州の水域の中において操業をいたしております。その操業しました各年の漁獲高の大体平均数値ということで、過去の実績を確保し得る水準、こういう意味で、具体的には昭和三十八年から四十二年までの間のキャッチの平均でございます。
○戸叶委員 それはどのぐらいになっていますか。
○森沢政府委員 それが六千トンであります。
○戸叶委員 そうしますと、いまおっしゃったようなことなんですけれども、年間の漁業水準がきめられますと、それが年間の漁獲量となるわけですけれども、そうすると個々の漁船に対する漁獲量の割り当てとかいうものは、大体どういうふうになっているわけですか。ばらばらというわけにはいかないのだろうと思うのです。
○森沢政府委員 大体過去の経過を見ますと、年間二百隻ぐらいの漁船が、マグロ漁船でございますが、操業いたしておりますが、水産庁といたしましては、これに基づいて個々の船に対して特に割り当ては行ないません。というのは、いま申し上げている水準というのが大体過去の実績から見て妥当な線であるということ。さらに豪州の近海に出漁いたしますマグロ漁船というのは、必ずしも十二海里の水域の中だけでございませんで、その外側においてもかなり操業いたします。そういう意味合いにおきまして、船別のクオータと申しますか、そういうものは特に設ける必要はないので、それを設定する気持ちはございません。
○戸叶委員 そういうふうなことで問題は起きないでしょうか。
○森沢政府委員 メキシコあるいはニュージーランド等ともいろいろやっておりますが、われわれの考えますところでは、まず問題は起きないというふうに考えております。
○戸叶委員 オーストラリアの当局によってもし日本の漁船の違反行為が摘発されたような場合の措置はどうなっているでしょうか。裁判管轄権の問題なんですけれども……。
○高島説明員 法律的に申しますと、日本の漁船が操業いたします水域はいわゆる公海でございます。日本の立場からしまして公海でございます。したがって、公海におきましては日本は日本の船舶に対して管轄権を持つということでございますので、オーストラリア政府がオーストラリアの法律に基づきまして日本の漁船に対して管轄権を持つということはあり得ないという立場でございます。したがって、日本の当局が原則として取り締まりの行動を行なう。しかし、それにもかかわらず、非常に距離も違うございますし、十分な取り締まりは行ない得ないという場合のために、オーストラリア当局が随時日本の船舶に臨むことができるという定めはございますけれども、これは単に臨むだけにすぎませんで、オーストラリア当局が法律上の権限に基づいて取り締まるということはできない仕組みになっています。
○戸叶委員 いま高島さんのおっしゃったのは、五条の二項で「臨むことができる。」というふうに書いてあるのですけれども、それはどの程度の内容ですか。たとえば臨検とか停船とか、そういうふうなことまでですか。それ以上の裁判管轄権は日本のほうへ戻してよこすというふうになっているのでしょうか。
○高島政府委員 先ほども申しましたとおり、日本の取り締まりは十分に行なわれ得ない可能性もございますので、このような規定を置いたわけでございますけれども、たとえばマグロ以外の魚を取っていやしないかとか、あるいは三海里以内の水域に入っていやしないかとか、そういったいろいろ誤ってくる可能性もございますので、そういった場合にそれを確認する。もしそれが確認された場合には、日本の当局に対しまして通報する。これに基づいて日本の当局はしかるべき措置をとる。このことは日本の漁業法に基づいて十分できるわけでございます。そういう仕組みになっております。
○戸叶委員 こういう問題は非常に重要な問題だと思うのです。今後また何か漁船が違法してないにもかかわらず向こうからつかまったとか、いろいろな問題があると思うのですけれども、いまおっしゃったような説明をどうして明らかにしなかったのでしょうか。たとえば日米加漁業条約とか、それから日ソ漁業条約でも、そういう点は、裁判官轄権の所在というものは明らかにしていたと思います。それを今度はどうしてしなかったかというのが、ちょっと疑問に思うわけですけれども、その点をはっきりさせていただきたい。
○高島説明員 これは、実は国際法上の両国の立場の問題といたしまして、オーストラリア政府は向こうの立場としましては、一国が漁業水域を領海の外側に設定することができるという立場をとっているわけでございます。日本は実はこれに反対いたしまして、一国が、領海はもちろんでございますが、領海の外側に一方的に漁業水域を設定することはできないとする立場でございます。そういう両国の国際法上の立場が非常に対照的に違いますので、そういう観点から、本来ならばきちんと取り締まりの方法あるいは取り締まりの権限の問題も含めまして詳しい規定が置かるべき筋合いでございますけれども、両方の立場の違うことが主たる理由となりまして、このような規定は実は置き得なかった。これはいままでの例でも、メキシコとの漁業協定、それからニュージーランドとの漁業協定でも、それほど詳しい規定は置いておりません。その関係から、ここに規定もございますとおり、第八条に「この協定のいかなる規定も、沿岸国の漁業管轄権に関するいずれかの政府の立場を害するものとみなしてはならない。」という、いわば両方の立場の違いをここでそれぞれ明確にいたしまして、その立場の違いによって、それぞれの従来とってきた法律的立場がそこなわれることがあり得ないということで、ここで念を押しているわけでございます。
○戸叶委員 それぞれの立場が違うだけに、問題が起きたときには容易ではないのじゃないかという気がするわけです。それだけにやはり条約ではっきりうたっておきませんと、私のほうはこう考えました、あなたのほうはそう考えるというふうな問題が起きやしないかということを私はたいへんに心配をいたします。大きな条約で、日米加漁業条約でも日ソ漁業条約でも、はっきりそういうことをうたってあるのですから、やはりそういうふうなところまで日本は主張していかなかったのでは、少し弱過ぎるのではないか。やはりはっきりさせておかないと、あと紛争の種をまかないようにという意味で私は申し上げるのです。
○高島説明員 実は戸叶先生のおっしゃいました日米加漁業条約、それから日ソ漁業条約のカバーしております水域は完全な公海でございます。漁業水域ではございません。したがって、両国の立場は何ら違いがないわけでございますので、そういう観点から、取り締まり権については非常に明確な規定が置き得たわけでございます。しかし、この漁業水域というのは、国際法上も非常に確立していない制度であります関係から、両国の立場が対照的に対立しまして、その関係から、なかなか明確な規定が置けないという関係になっております。しかし、実際は先ほど申しあげましたように、日本の船舶が大体取り締まるわけでありますけれども、もし何らかの関係でそれに違反があったときは、日本の当局に通報をいただいて、その通報に基づいて適当な措置をとるという点につきましては、何ら日豪両国間に問題はないわけでございます。
○戸叶委員 少し不安ですけれども、先に進みましょう。 この協定で、一九七五年十一月二十七日以降については何にも言及をしてないわけですね。この期間後は一体どういうふうになるのでしょうか。無協定状態になるんじゃないかと思うのですが、この点をお伺いしたい。
○高島説明員 この協定には実は期限の定めがございません。期限の定めがないということは永久の協定でございます。操業期限を一九七五年十一月二十七日といたしましたのは、その時点で実は操業の期間が切れまして、それ以後はこの協定がずっと存続いたしますので、日本漁船は操業できないという状態になるわけでございます。これは一般的に、いままで漁業水域を設定した国と、それからこれに対して操業いたします国との間の協定の取りきめ方を参考にいたしまして、過去の実績と、それからその実績の確保される期間というものが非常に均衡のとれたかっこうで協定上規定されるというのが定めでございまして、日本もそのようないろいろな取りきめの例を参照いたしまして、かつ日本の実績を踏まえた上で、この辺がぎりぎりであるということで妥結をしたような次第でございます。したがって、七五年十一月二十七日以降は日本漁船は操業できなくなる次第でございます。
○戸叶委員 それでは次に、領海の問題をちょっと伺っておきたいと思うのですが、領海は、日本は三海里説をとっておるのですが、世界のいろいろな国々の様子を見ますと、三海里からいま四海里、十二海里というようなのが圧倒的に多いように思いますけれども、日本が三海里説にずっと固執していく、そういう考えの基礎はどういうところにあるのですか。
○高島説明員 領海の問題も、実は昨年の領海条約御承認の際に御説明いたしたつもりでございますが、現在大きく分けて二つの考え方がございます。伝統的な考え方は、領海というものは三海里であって、それ以上の領海を沿岸国がかってに画定するということはできない、あくまでも国際社会全体の明示または黙示の合意のもとにのみ領海の範囲を画定し得るという考え方が一つであります。これは伝統的なものでありまして、アメリカ、イギリスあるいはヨーロッパ諸国の大部分、日本等の国でございます。それから、ソ連、アジア、アラブ、アフリカの諸国、中南米の若干の諸国の考え方でございますけれども、領海の範囲は、沿岸国が、大体原則として十二海里でございますけれども、十二海里の範囲では自由に画定し得る、そういうのが国際法であるという立場で、大きく分けて大体二つの考え方がありまして、実はその中間に領海は四海里あるいは六海里という立場の国もございます。しかし、大きく分けて二つございまして、この二つの考え方は、一九五八年及び一九六八年ジュネーブ会議で非常に激しく争われまして、このいずれかの考え方を確定しようということで、ずいぶん各国の努力が行なわれたわけでございますが、結論が得られませんでした。何にも結論がなかったために、あの会議の失敗を契機といたしまして、領海の制度が特に目立ってきたということが言えようかと思います。この点につきましては、国際司法裁判所の判決も実はそういう部分がございまして、一九五一年のイギリスとノルウェーとの間の漁業事件というものについての判決の中で、領海は沿岸国が画定し得るけれども、その画定の効力は国際法にもっぱら依存する、したがって、国際社会全体の明示または黙示の合意がない限りは、沿岸国がかってに画定し得ないのであるという種類の判決がございます。これはわれわれとしましても、先ほど申しました、そういう伝統的な国際法の領海に関する考え方がエンドースされたものであるというふうに考えております。日本といたしましても、いろいろ漁業利益その他の公海自由の利益はもちろんございますけれども、また、他面におきまして、そういう国際法上の立場から、日本一国の一存でもって領海の幅員をかってに変更することば国際法自体が許さないという考えでございます。 ただしかし、現在のような非常な無秩序状態を決してわれわれ喜んでいるわけではございませんで、全くその反対でございまして、何とかして国際社会全体の合意、つまり、国際会議等によりまして画一的な制度ができることが望ましいという立場でございます。
○戸叶委員 私、ここでお願いしたいのは、たとえばどこの国が何海里説をとっているというその表を、あとでけっこうですから出していただきたいと思うのです。 やはり日本としても領海の問題は考えていかなければならないときに来ているのじゃないかというような気がいたします。私どももいろいろ研究して、どういうところがいいかということも考えてみたいと思うわけです。それで、いまの高島参事官のお話を聞いておりまして、国際的ないろいろな情勢から見ても、かってに日本がどうのこうのと言えない立場にあるのですけれども、しかしまた、考えなければならない、そういうふうなおことばでございました。ただ、いままでそういうふうに三海里説をずっと守って固執していらっしゃるというところを見ますと、いまの日本の政府としては、経済上、安全保障上三海里が正しい、三海里がいいだろうというふうなお考えで今日まで来られているのか、それともやはりそういう立場から考えたときにはまずいというふうにお考えになるのか、この点だけを伺って私の質問を終わりたいと思います。
○高島説明員 むろん、現在までの日本の立場から申しますと、三海里の利益というものは非常にあったというふうに考えておりますが、しかし、現在他面におきまして、各国の非常なばらばらの制度のためにこうむる被害というものも相当にございますし、特に漁業問題につきましてはたいへんな被害を受けておりますので、そういう観点から、単に領海だけの問題としてではなくて、漁業水域の問題もあわせ含めて検討をしたいということでございます。先ほど申しましたとおり、領海というのは、性質上一方的にどうこうということはできない性質のものでございますし、また他面、漁業水域というのは、そういう領海と非常に密接な関連がございますから、漁業の問題については、漁業水域というのは、一部の国につきましては非常に有効な防御の武器になっているという観点もございますので、そういう観点から、両方一緒にひっくるめて慎重な検討をいたしたいということでございます。
○北澤委員長 曽祢益君。
○曽祢委員 私は、この問題について、オーストラリアとの漁業協定に関連して、実はこの前の外務委員会で外務大臣に質問いたしました。ソ連の漁船が日本の近海でサバ漁業に従事している。この問題に関連いたしまして、当時、私としては、これは一応日本から見れば公海でやっているようだが、その意味は、むろん日本が領海三海里説をとっているからですが、一応公海でやっているようだが、しかし、公海だからといって、何もこちらから文句が言えないはずではなくて、公海であっても、やはり関係国の協議によって、最大限の持続的な生産性を確保する意味では、関係国の合意によって規制をすることができる。漁獲あるいは漁法、こういうこともあるのだから、ソ連がやってきたことはきわめて最近のことであって、はたしてソ連がそういった程度の権利を認められるかどうかは疑問ですけれども、一応公海だから何も文句が言えないという態度をとらずに、やはり公海でも日本の漁船のほうは一木釣りに制限しているのに、そこにやってきて、もっと大量漁獲の方式をやられたんではかなわない、そういう意味で、公海だからといってあきらめずに、ソ連のほうと交渉すべきであるということを申し上げ、そのときに水産庁の意見も聞こうと思ったんですが、時間がなかったので、それを聞かなかったのです。ところが、この問題が今度は本院の予算委員会等でさらに質疑が行なわれまして、それに関連して、どうも新聞報道によれば、外務大臣は――これは外務大臣にあとで質問する権利を留保しておくのですけれども、一応私の考えの筋を申し上げる意味でお許しを願いたいのですけれども、外務大臣のそのときの答弁の感じが、質問者の意見は、三海里説ではどうもうまくいかなくなった、だから、むしろ日本も十二海里説をとったらいいのではないかという趣旨のようでしたが、それに対して外務大臣のその場の答弁は、これは典型的なその場のがれの答弁だと思うのですけれども、大いにその御意見を拝聴いたしましてというようなことを言って、新聞に与えたインプレッションからいえば、やや賛成的な感じが出ていると思うのですね。しかし、私は、この問題について、ずばりいって、その考え方は非常に損だ。日本はやはり何といっても外で漁業をする、漁業でいうならば、放めていくほうの立場なんです。まあ例外的に、たとえば日本と韓国との関係、これは御承知のように、日本が特に、お互いに領海三海里だけれども、漁業専管区域の十二海里を認め合った。これは例外中の例外でございます。今度はソ連が来たから、それじゃソ連のほうが三海里ちょっと先にいるから、しゃくだから十二海里に広げたら来られないだろうという、そういう着想もあると思います。しかし、それを全体の日本のパターンにした場合には、これは差し引き勘定からいったら絶対損なんです。現に、いまここで議題になって検討しておる条約にしても、もしこれが十二海里説をわれわれ認めたら、全然われわれとして何らクレームがつけられないことになるわけであります。まあオーストラリアの場合には、幸いにして領海は三海里、ただし十二海里までは漁業専管区域だという主張です。そこで、わがほうの三海里説にプラス若干の漁業専管区域については、条件等によっては話し合ってもいいという、そういう三海里説を根拠にしておればこそ、比較的現状に近い既得権を確保するような話し合いができたと思うのですね。そういう意味からいっても、私は、軽々しく領海十二海里説に賛成だ、それはソ連に対する防御のときだけを考えると、いかにもそうも言えるけれども、全体のバランスシートから見れば、攻めるほうが多い日本の場合には絶対に損だと思うのです。そういうような意味で、この点は、いやしくも外務大臣の答弁は、そういう点をよほど考えて――なるべく野党議員のおっしゃることにはごもっともごもっともで、研究しますでその場限りでやるということは、これはとんでもないことで、間違いだと思うのです。そこはやはりちゃんと確信を持った答弁をしてもらいたいと思うのです。しかし、これは外務大臣の問題ですから、あとに留保します。 ひとつそういうような観点に立って、ちょっと恐縮ですが、オーストラリアに入る前に、ついでですから、水産庁に、いまの問題と、最近のソ連の日本の近海、沿海付近の漁業の問題についての実情、これに対する対策を伺っておきたいと思います。
○森沢政府委員 曽祢先生御質問のソ連のまき網船団の状況でございますが、御承知のとおり、ことしの初めごろから犬吠崎の辺からずっと南下しまして、伊豆の神津島の南、日本の釣りの漁場に進出をしてきて、沿岸漁業者が非常に騒いでおるわけでございます。私たちの考えといたしましては、いろいろと外国と漁業の話し合いをする場合には、資源論でやる場合もございますし、あるいはいろいろ漁具の損傷が起こる、私たちのほうでギャコンフリクトと称しておりますが、そういうものについていろいろ調整を行なう、また純粋に沿岸漁民の保護というような観点からもあるいは場があるのかもしれませんが、いずれにいたしましても、最も科学的に強く主張し得る線というのは、サバ船団につきましては私は資源問題であろうと思います。というのは、いま申し上げましたようなギヤコンフリクトの問題もございませんので、これはあくまでやはり資源論でいくべきだということで二月十日でございましたか、外務省を通じてソ連の政府に対しまして、例の伊豆の海域は、日本の国内におきましてもまき網船団の操業を資源上の立場から認めていない、したがって、ソ連においてもこの資源保護の措置に協力をしてくれという意味の申し入れをしたわけでございます。現在までまだソ連政府からこれについて回答が寄せられたということを聞いておりませんけれども、私たちが資源論を言います理由は、この海域のサバの資源研究につきましては、水産庁でかなり長い蓄積がございます。この海域で生まれますサバが北海道の道東区域まで回遊をしまして、日本の北部太平洋のマサバの資源を形成しておる。したがって、この産卵場、しかもかなり限られた産卵場であるということがわかっておりますので、非常に能率的な漁法を強化する場合には、資源の補充に影響するという観点から、ソ連に申し入れをしたわけでございます。 ほかの話になって恐縮でございますけれども、こういう資源論で、公海上でありましても、いろいろ国際的に漁業の話し合いをしている例もたくさんございます。日本の場合にも、日ソ漁業委員会におきまして、公海上においてサケ・マスの資源の保護のために、たとえばオホーツク海における日本の公海漁業というものを日本は遠慮する。こういうふうな例もありまするし、また、ほかの国の話でございますけれども、アメリカとソ連との間におきましても、公海上のかなり広大な部分につきまして、底魚の資源保護のための底びきをやらないような区域を設けている例もございます。これは大西洋の例でございます。 したがいまして、そういう前例とこちらの科学的な知見にかんがみまして、いま申し上げたような申し入れをして、ソ連の協力を要請したわけでございます。最近また、一時ありませんでしたソ連の船があらわれておるようでございますが、現在は、どういう理由かよくわかりませんが、まき網の操業をやりませんで、試験的に釣りの操業をやっておるというふうに私たちは理解をいたしております。 サバについては、以上のとおりでございます。 それから領海問題については、若干先生からお触れになりましたが、私たちも、日本の漁業の立場としては、遠洋にかなり伸びております過去の経過から見て、水域問題によって日本が失うところ、また得るところ、これをやはり相当慎重に勘案をして、外務省とも御相談をしながら詰めるべきであるという考え方でございます。 ただ、いままでは日本は攻める立場が中心でございましたが、今後はかなりソ連等をはじめとして日本の近海にも外国の漁業が来るという新しい情勢は、われわれとしても十分分析をいたしまして慎重にやるべきであろうと思いますが、ただ、サバの話に関連いたしまして申し上げますれば、単に十二海里というラインを引くことのみがこの問題の解決にはならない。というのは、サバの漁場というのは、回遊性魚族でございますので、必ずしも十二海里の中でしかサバがとれないというものでもございません。そこらは外務省とも御相談しながら慎重に詰めていきたいというふうに水産庁としても考えております。
○曽祢委員 外務省に伺いますが、私も、そういった公海でも、資源論といいますか、魚族の保護、漁業の最大の持続的生産性を保持する、こういう見地からならば、これは十分に話し合いができるのだ。ただ、ソ連の場合に、最近来たのに、実績もないのに、あまりそういう話をすると、結果的に実績を認めたようなことになるのはどうかなという、そこだけが私はむしろ心配で、だから、少なくともまき網なんかは絶対困るという意味で、公海においてもやる。それで私はソ連に対する対抗力はあると思うのですが、そのことと、いま言ったように、日本も守る立場もありますけれども、少なくとも領海をいきなり三海里から十二海里というのは、これはどう考えてみても得策ではない。問題は、世界的な傾向から見るならば、三海里説と十二海里説と分かれておるといっても、わがほうは三海里あるいはぎりぎりシックス・アンド・シックスぐらいに考えて、やはり漁業専管水域の問題は、事実上、認めない認めないと言いながら、条件次第によっては実は認める例を方々でつくっておるのです。このオーストラリアの例もまた、条約に双方の専管水域に関する主張を変えないものとするなんと書いてあることは、ああいうものはたいてい変えたときにつくるのであって、変えないと言っているのを皮肉を言えば、実際上は漁業専管水域の問題は事実わがほうとしては考慮に入れておるということの状態じゃないかと思うのです。 そういったような一般的な領海と、それから公海と漁業専管水域等も踏まえた漁業に限って、外務省の条約局でけっこうですから、どういう方針で――一般的な方針がなければいかぬと思うのです。そのつどじゃ困るので、オーストラリアのときはこうだ、メキシコのときはこうだとばらばらじゃ困る。大体どういうことを考えておられるのか、ひとつ伺いたいと思います。
○高島説明員 領海につきましては、先ほど戸叶先生の答弁におきましてお答えしたとおりでございますけれども、漁業水域につきましては、われわれの考え方は、現在まだ漁業水域に関する国際的な制度、つまり慣習国際法が確立されておらない。ただしかし、それにもかかわらず、一九六〇年のジュネーブの海洋法会議以来、非常にこの制度が世界的になりまして、ことに米英みずから漁業水域そのものを国内法によって設定し、そして外国の漁業を一方的に排除する制度を設定していることは、端的に申しましても、制度そのものの確立過程における非常に大きな現象であろうと思っております。ただしかし、曽祢先生のおっしゃいましたとおり、ニュージーランドとの協定、メキシコとの協定、アメリカとの協定、すべて漁業水域の設定に伴う過去の日本の実績の確保のための協定でございますけれども、日本の一貫して主張しておりますことは、漁業水域そのものを全面否定するのではなくて、沿岸国が一方的に国内法によって設定して、そこで実際の外国の漁業の実績を排除するということはとても認められないということでございまして、他面、国家間の合意によってその漁業水域を設定して、その間に相互に資源保護をはかろうということについては、日本は賛成である。特に韓国などにはそういう種類の協定を現実に締結しておるわけでありますが、ただ、先ほど申しましたとおり、日本あるいは外国が一方的に漁業水域を国内法によって制定するということは、国際法上まだそこまでの制度が慣習上確立されておらないということを一貫して主張しております。このことはニュージーランドとの協定交渉の前提になります。わがほうの態度といたしましても、国際司法裁判所への提訴を実は要請いたしまして、日本が提訴のためのコンプロミまでも用意した経緯がございますが、結局、ニュージーランドはそのような煩瑣な手続をとることなしに、国内法をわざわざ日本のために改正して日本の実績を確保してくれたわけでありますけれども、このようなニュージーランドの態度から見ましても、実はこのような制度が国際的にはまだ確立しておらないということが反証としてあげられるかと思います。その限りにおいて日本の立場はエンドースされておるというふうに考えておる次第であります。
○曽祢委員 それで、最近オセアニアのほうのニュージーランドとオーストラリアが済めば、大体これでいいのかと思うのですが、その他の大西洋で、あるいはスペインとどこだったか、シェラネバダだったか、ありましたね。何かそういったような領海あるいは領海の線の引き方の問題も含めて、それから漁業専管区域の一方的な宣言等々から、わがほうの海洋漁業、遠洋漁業とその当該国との間にいま紛争があって、まだ協定に達していないところはどことどこにあるのか、その問題点はどこなのか、これを水産庁から……。
○森沢政府委員 いま日本の漁船がかない高い比重で操業いたしておりまして、曽祢先生おっしゃるように、漁業水域等で早急に交渉をしなければならぬという国は相当にございますが、私たちが当面最も急がなければならぬと思いますのは、いまお話がありましたスペインとモーリタニアでありまして、スペインの本国のまわりではございませんで、例のスペイン領サハラ、西アフリカの沿岸におきますわが国の大型遠洋トロールの操業の中心地でございます。これはスペインが漁業水域を設定いたしましたので、その水域における日本の過去の漁業実績をわれわれは主張いたしております。いままで予備的な交渉を若干行ないましたけれども、現在、ことしに入りましてから実は正式交渉ということを水産庁としては期待をしておりましたけれども、向こう側の都合によりましてまだ正式の交渉に入っておりません。 それからモーリタニアにつきましては、サハラの南でございますが、サハラの漁場と非常に関連のあるところで、これもやはり大型のトロール漁業の漁場であります。ここはかなり広大な湾に基線を引きまして、その基線から十二海里が領海である、こういうことを主張いたしております。この基線の引き方は、国際法上はとうてい認められないラインでございますが、ここはおもにタコなどの非常にいい漁場でございますので、とりあえず民間団体から交渉団を昨年派遣いたしまして、相手国――やはりソマップという会社、政府の出資しておる漁業公社がございますが、これといまいろいろ民間ベースで交渉の糸口をさがすようにやっております。昨年、向こうのソマップの社長などもこちらの業界の招聘に応じて日本に参りまして、いろいろ水域問題のみならず、モーリタニアの漁業の振興について日本側の業界がいろいろ協力をいたしたいというような話もいたして帰っております。 大体、この二国が現在われわれの考えますところで最も交渉を急ぐ相手国であろう。そのほかにも、フランスであるとか、あるいはフィリピンであるとかございますけれども、操業の実態から見まして、この二国がまず片づくべき問題であろう、そういうように考えます。
○曽祢委員 もう一点だけ。いまのスペインにつきましては、たしか国内法によってでしたか、過去の実績を考慮に入れる、ところが、日本のほうは最近行ったので、過去の実績が考慮されないケースではないかという話を聞いたのですが、その点どうなんですか。
○森沢政府委員 仰せのとおりでございまして、スペインは漁業水域を設定いたしました際に、その水域の中で外国漁船の操業を認める場合の条件として、たしか一九五三年から一九六二年までの間に継続的に操業をやっておる国とは交渉の用意があるというふうな意味のことをきめておりますが、ちょうど日本の操業がその後から始まりまして、こういうふうに食い違っております。日本の場合にはまだ該当しないのではないかという筋論もありまして、なかなか交渉の糸口を見つけるのにいま苦慮しておるのが実態であります。
○曽祢委員 高島君、何かいまの点に関連して……。
○高島説明員 ありません。
○曽祢委員 どうも範囲を広げて恐縮いたしましたが、オーストラリアの問題に入りたいと思います。 戸叶委員が触れられたことに問題点は尽きるように私は考えるのでございますが、どうも私はほんとうに言って、これはやはり妥協案だと思うのです。純粋の日本の理屈そのものから言うならば、領海三海里オンリーで言うならば、オーストラリアとの話は全然できない。しかし、私がさっき言ったように、われわれがすでに、実際上領海三海里プラス漁業専管区域は、話し合いによってきめる場合には、妥当な条件ならば事実上認めていこうというような形で妥協ができた、そういうふうに了解しなければ実際わからないと思うのですね。その一番いい例は、たとえば第三条の、すでに触れられたところですけれども、日本船舶は、オーストラリア政府が日本船舶の指定水域内における操業を容易にするため必要な行政措置をとるのに関連して、妥当な支払いを行なう、これなんかも、実際はそういうことで、結局は国内的なフィーよりも、手数料よりもうんと安くして、その十分の一で済ました、だから妥当だ、公正だということを言うのでしょうけれども、これは先ほどちょっと聞き漏らしか、聞き違いかもしれませんが、何かこれと、オーストラリアの港に日本漁船が、この特定の水域内でやる漁船に限らず、あの方面に行く日本のマグロ漁船等が入港する権利、それに見合って何か払うような説明だったのですが、どっちですか。
○高島説明員 第三条の第二項にございますとおり、この協定によって操業を認められる日本のマグロ漁業の船舶が、これと関連して妥当な支払いを行なうということでございますけれども、第六条の規定をごらんになるとおわかりのように、マグロはえなわ漁業の船舶は操業を行なっておりまして、必ずしもこの協定によって特に通報されたマグロはえなわ船舶のみならず、それ以外のマグロはえなわ船舶でも、同時に結果的にこの四港については寄港ができるということになると思います。
○曽祢委員 それじゃなくて、その手数料か何か第三条の二項によって払うのでしょう。これを払う船舶は、ほんとうに指定区域で操業する船舶だけだと思うのですね。それと第六条とは関連はある。そこの区域であれする漁船はむろん入るだろう。しかし、その指定区域に行かなくとも、あの方面における他の漁船が第六条によって入れるということになるでしょう。それが第六条の趣意だと思うのですね。だから、聞き違いかどうかということを聞いておるのですけれども、第三条二項の「妥当な支払を行なう。」というのは、第一項に書いてある行政措置に対する手数料的なものかと思ったら、いや第六条で入港ができるという便益に対して払うのだというふうに聞いたから、そうなのかどうかということをいま伺っているのですよ。
○高島説明員 私ども、実態的には、一般的に入港を禁示されております四港への寄港について、特別な便宜をはかってもらうという点が大事だと思いますけれども、もちろんそれだけじゃなくして、一般的に日本の漁船が安全操業できるように、警備当局あるいは警備団体等に十分な事前通報の措置をとるということを含めまして、そういうことに関連しての妥当な支払いというふうに考えておるわけです。ただ、実際上は四港への寄港について特別な便宜をはかってもらうことについての支払いということをいっております。
○曽祢委員 そこで、水産庁のほうに伺いたいのですけれども、ぼくらどうもしろうとでよくわからない。この指定区域で操業する漁船とこれはさまっているのだろうと思うのですね。そのほかに、第六条で四つの港に寄港する漁船とはどう違うのですか。おかしいですけれども、たとえば全体が百あって、そのうち、六十かなんかが指定区域であって、あとの四十は、指定区域には行かないけれども、オーストラリア方面のそれこそほんとうの公海その他で操業しているのが、やっぱり遠いですから、オーストラリアのどこかに補給のために入る。どういう関係になっているのですか。そこら辺はよくわからないのです。
○森沢政府委員 豪州の近海はかなり歴史的にいい漁場でございまして、日本漁船が二十七年ごろから出ておりますが、大体操業の実態から申し上げますと、豪州の近海で操業をいたします船が、主としていま申し上げている四つの港を補給基地として使う。もちろん、豪州の近海に出漁しております船は、必ずしも十二海里のうちだけじゃなくて、マグロはえなわの漁法の特性から、御承知のとおり十二海里以外でも操業いたしますが、大部分が主として豪州の近海で操業する船であり、しかも、その大部分の船は十二海里の中にも過去において入って操業しておる、こういうふうに御了解願えればよろしいと思います。
○曽祢委員 そうしますと、実際観念的には、第三条第二項でオーストラリアの指定する、かれらのいう漁業専管区域で漁業する特権のある船と、それから第六条で四つの港に入る日本の漁船というものは、大体ほとんどオーバーラップしておるのですね。そういうわけですか。そうでないと、どうも高島君の説明は全くなってないと思う。第三条で行政上の措置、便宜をくれるからということは、指定区域で操業を便利にするために特別の措置をとってくれるから、一種のライセンスだと思って払っておるのだと言っておきながら、実は第六条で、理論的には、少なくともこちらに入らないで公海だけでやっておる漁船もオーストラリアの四つの港に入れるわけでしょう。そのことを考慮してと言うから、考慮はいいけれども、どっちかわけがわからないと思う。そこが三条二項の指定区域に入る一種の――悪いけれども、これは手数料とかなんとかいうけれども、要するに入漁料だ。入漁料を払っておるのか、入港料を払っておるのか、どっちなんだ。理屈がおかしい。はっきりしてもらいたい。
○森沢政府委員 先ほどの答弁を補足いたしますが、いまおっしゃいましたように完全にオーバーラップしておるということはございません。と申しますのは、豪州の近海付近で操業します船でも四港に寄港するのはもちろんでありますが、たとえばインド洋あたりで操業しておりますマグロ漁船、これが豪州の西岸フリーマントルを利用することもありますから、完全なオーバーラップではない。ですから、豪州の十二海里で操業する船プラスそれ以外で操業する船もあるということでありますが、豪州の近海で操業する船はかなり比率が高い、こういう意味で申し上げました。
○曽祢委員 高いでしょうが、大部分がオーバーラップしておるのだろうが、しからば、ほんとうに入港のほうのために払うなら、入港する船から取らなければいかぬわけでしょう。そうではなくて、指定区域に入るものだけから取っておるわけでしょう。それならば補給の便宜ではなくて、やはり指定区域に入って入漁するためのやむを得ざる入漁料――ということばは使えないから、手数料というので、行政費の一部負担という形で払っておるのではないですか。それをはっきりしてください。
○高島説明員 先生のおっしゃるとおり、三条二項で払う支払いと申しますのは、この指定水域で操業する漁船が主体でございます。事実上利益を受ける大部分の船はこれに属するわけであります、ただ、四つの港に寄港を認める際に、それ以外の船は排除するという理由がないので、特別に一般的にマグロ漁船は全部寄港できるようにしたわけでありますけれども、これはあくまでも反射的な利益でありまして、この利益のために支払っておるわけではありません。
○戸叶委員 ちょっと関連して。これは当然だと思うのですが、いまの指定区域で操業する船だけを対象にして年間の漁獲量というものはきめられるわけですね。それを念のために伺っておきたい。
○森沢政府委員 そのとおりでございます。
○曽祢委員 それで、名目は入漁料ということばを使うと、漁業専管区域というものを権利として認めることになるから、そういうことばを使わないで、行政措置に関連して妥当な支払い、妥当というのは、国内法による十分の一、そこでひとつ目をつぶってくれ、こういう話だと思います。そのほかに、現実には、第六条による寄港というのは、これは漁業上、補給のために入れるというので、非常に大きな利益だから、その点も考慮して、こういう説明かと思って、その点はわかりました。 それから、これもさっき戸叶委員が触れられたことなんですけれども、第五条の第二項、「オーストラリアの当局は、この協定の規定が遵守されていることを確かめるため、第一条1に定める水域内にある日本国の船舶に臨むことができる。」、どうして臨むというむずかしいことをいうのです。英語でいうと、ボードと書いてあるでしょう。ボードというのはどういうことですか。船に乗る、近づくとかいうことじゃないですか。
○高島説明員 日本の漁船に乗船をするということです。
○曽祢委員 そうでしょう。それを臨むなんてどうして訳したのですか。これははっきりいえば、説明書のほうが正式なんだけれども、要するに臨検だと書いてあるんですね。臨検だと思うのです。船にまず舷々相摩して接して、それから乗ることをボードということだとぼくは思うのです。それで結局、船に乗船して臨検する、これを読めたと思うのです。それを私は絶対に悪いというんじゃないけれども、確かにこの点についてはほんとうにだいじょうぶなのかという気がするわけです。さっき高島参事官の戸叶委員に対する御答弁の中にも、臨検は公海でやっているのだからもともと強権的じゃないんだ。公海における日本の船ですから、その管轄権は日本だけにあるので、オーストラリア側にはないんだ。これは日本側が漁業専管区域というものを正式に認めないという立場からいえば、そうなんでしょうが、しかし、言うならば、この水域は、十二海里は、一種の協定区域みたいなものですから、しかも、向こうの行政権に基づいた措置に対してフィーまで払っているのでしょう。だから単なる公海と違う。これは公海における漁業に相互に臨検し合う。たとえば日ソ漁業条約に基づく漁獲の方法その他が現実に励行されているかどうかを見る。それから違反の処罰をするところの権利は、これはいわゆる旗国主義といいますか、日本の国の船に対しての処罰権はソ連側にないのです。しかし、この場合に、単に公海だからだけで済みますか、私は実際には済まないんじゃないかと思う。あなたは、この十二海里、つまりこの指定区域の中からほんとうの領海に入ってきた場合があるかもしれぬからと言われたが、それはちょっとおかしいのですが、この協定が順守されることを確かめるためというのは、この指定区域内において漁業をする、これを確かめるためなんでしょう。その場合に、個々の漁船の最大限の漁獲量幾らということはきめてないですね。きめてないけれども、これは取り過ぎているんじゃないかということで、調べることは絶対にないのですか。この臨検を認めた以上、ちょっとこの問題は必ずしもだいじょうぶと言えないのですが、臨検はする、実際上、これは、日本の水産庁が理屈からいえば日本の漁業についてすべて責任を持っているわけです。しかし、現場にはいないんですからね。したがって、この協定の実施を現場で励行を監視するというのは、実際上はオーストラリア側になると思うのです。そして違反行為があったならば日本に通報するという意味で、ボード、乗船臨検を認める。はたしてそれだけで済むのか。公海だから何もできないというのは、悪いけれども、それはへ理屈じゃないかと思う。公海であるが、しかし、向こうの漁業専管区域であることを事実上認めて、向こうの行政権に移ってフィーを払っておる日本の船なんですよ。どうなんですか、その点。
○森沢政府委員 私から実態のことでちょっと申し上げたいのですが、この水域は、日本から遠く離れた水域でございますけれども、当然漁業協定を結びます以上は、日本の水産庁の取り締まり船は、随時豪州の近海に派遣をいたしまして、この協定の順守が行なわれておるかどうか……。
○曽祢委員 随時というのはどのくらい。
○森沢政府委員 大体予算面では年三回。
○曽祢委員 向こうにどのくらいいるのですか。
○森沢政府委員 取り締まりをやるという予算が通っておりますが、大体滞留期間が二カ月ぐらい、それだけではもちろん十分でございません。したがいまして、豪州側から見れば、いま先生の御指摘になっておりますオン・ボード、船に乗ってくるというのは、これはマグロはえなわの協定でございますから、はえなわ以外の、またマグロ以外の漁業をやっておりはしないかという確認は、当然向こうとしてはあると思うのです。ただ、マグロ何トン取ったということは、もちろん協定上ございませんので、向こうはやらないと思うのですが、マグロはえなわ以外の漁業をやっていないかというのが、向こうのオン・ボードの重点ではないか、こういうように考えます。
○曽祢委員 それでよくわかりました。領海に入る入らないよりも、マグロはえなわ漁業に限る、指定区域で認めておる、他のキャッチはやってはいけない、漁獲はやってはいけないということが向こうの臨検の最大の目的、その他いろいろ軍事上のあれとか、スパイ行為とかいうものもあるでしょうけれども、主たる目的は、マグロはえなわ漁業以外の漁獲をやっておるようなことはないかという考え方。年に三回なら、一年のうちの半分はその付近に水産庁の監視、監督船が行っておるということは、たいへんけっこうだと思うのですけれども、それにしても、こっちの目が届かないときに、協定違反のような、他の漁業を指定区域でやっておるというような場合に、そこから先の手続が何にも書いていないのですよ。これはどうも適当でないと思うのです。ですから、向こうがそういう違反を確認したならば、それの処分について直ちに日本側に通報する、その場合には、日本側としても、協定の励行を必ず確保するような措置をとる、こういうようなアンダースタンディングをやっておくほうが、トラブルの種がなくなるのじゃないかと思う。何か付属書あるなら教えていただきたい。少しどうものんき過ぎるんじゃないですか。外務省どうですか。
○高島説明員 取り締まり権あるいは裁判権ということになりますと、非常にその法律的立場が表面に出てまいりまして、なかなか規定の定め方がむずかしいところでございますので、われわれのほうとしましては、五条の規定だけでございまして、この規定以外に特別なアンダースタンディングというものはございません。ただ、先ほど戸叶先生の御質問に対してお答えしましたとおり、あくまでも日本が日本船舶に対して裁判権を持ち、その事前の取り調べのために、オーストラリア当局は日本の船舶に臨んでいろいろ調べることはある。その結果、何か違反があった場合には、日本政府は通報を受けて、それに伴う必要な措置をとるということで了解ができております。
○曽祢委員 了解ができておるというのは、外交交渉の過程において、文書にはしていないけれども、その点ははっきりしておる。むろん日本にのみ裁判管轄権はある。だから要するに、確認だけで、そこから先の行為についてはこれは日本側におまかせする、こういうことは明らかなんですか、その点はっきりしてください。
○高島説明員 先生のおっしゃるとおり、交渉の過程で、その点は明らかでございます。
○曽祢委員 最後に、せっかく獲得した指定区域における、向こうの漁業専管区域における日本側のマグロはえなわ漁業も、これは一応期限つきになっているわけですね。それから先に延長されるかどうかは全然わからないわけでしょう。(戸叶委員「やれないわけです」と呼ぶ)もう一ぺん交渉し直せばできるかもしれない。この協定そのものからはまずだめだろうと思うのだけれども……。 そこで、しかし、これに関連しての船舶の四つの港への寄港に関しては、やや継続審議的な感じの第六条の二項があるのですね。その関係はどうなんですか。
○高島説明員 前半の操業の継続期間は、先ほど御説明いたしましたとおり、一九七五年の十一月二十七日まで、それ以降はそこで切れるわけでございます。ただ、第六条にございます漁船の四つの港への寄港につきましては、規定がございますとおり、将来とも必要性が考えられますので、両政府間の協議によって日本の漁船の寄港が可能になるということは考えられるわけでございます。
○曽祢委員 それ以上明確なものはないのですね。ほんとうにとにかく話しようということで延びるかどうか、全然気配も――延長の可能性については、いまのところ何もわからないのですか、どうなんですか。
○高島説明員 現在の段階では、われわれとしましては、延長の可能性はあるというふうに考えておりますけれども、はっきり両政府間でどうこうというところまでは合意はございません。
○曽祢委員 冒頭にお断わりいたしましたように、この漁業に関連した領海及び漁業専管区域の問題については、外務大臣に本協定に関連して質問する権利を留保いたしまして、本日はこれで質問を終わりたいと思います。
○北澤委員長 伊藤惣助丸君。
○伊藤(惣)委員 この協定第一条によって、わが国が漁業できる指定水域が定められるわけでありますが、わが国が従来オーストラリア水域で操業していたものと、どの程度に漁業可能水域が狭められるのか、またそれによってわがほうの損害というのがあるのかどうか、その点を伺います。
○森沢政府委員 過去の操業の実態から見まして、日本のマグロ漁船が操業しておりました水域のほとんどをこの協定によってカバーし得ております。
○伊藤(惣)委員 損害はないということでございますか。
○森沢政府委員 重大な損害はない、こういうふうに理解をしております。
○伊藤(惣)委員 重大な損害はない――少しはあるというのですか。
○森沢政府委員 交渉の過程におきまして、ごく一部の水域においてやはり妥協せざるを得なかったという水域もございますので、そういう意味で申し上げました。
○伊藤(惣)委員 少しはあるわけですね。
○森沢政府委員 はい。
○伊藤(惣)委員 その点を明確にして、あとまたいろいろ聞きたいと思います。 次に、オーストラリアは大陸だな条約に加入しておりますが、この条約上の権利を持つことになるが、これはオーストラリアを取り巻くどれくらいの水域になるのか、その点を伺いたい。――わかりますか、大陸だな条約がございますね。その大陸だな条約によってオーストラリアの周辺にどのくらいまで及ぶのかということを伺っておきます。水域の広さです。
○高島説明員 先生の御質問の意味、私よくわかりませんが、この漁業水域と大陸だなとの関係でございますか。
○伊藤(惣)委員 あまり関係ない。
○高島説明員 いま手元に資料がございませんので、オーストラリアの大陸だなの範囲がどの程度のものかということは、ちょっとわかりかねます。
○伊藤(惣)委員 オーストラリアは大陸だな条約に加入しているわけですね。それで非常に広い水域があるというふうに聞いているわけです。大体どのくらいあるのかということを聞きたいわけですが、その点資料でお願いしたいと思うのです。 わが国は大陸だな条約には入っていないわけですね。その理由は何なのか。また、いままでの政府の見解は、慣習法によって処理できる、そういうような立場をとってきたわけでありますが、条約による規制と慣習法による規制とはどう違うのか、特にどちらが優先なのか、その点伺っておきたいと思います。
○高島説明員 日本が大陸だな条約にいまだ加入しておりません主たる理由は、この大陸だなの資源といたしまして、大陸だな条約の中では鉱物資源だけでなくて、それ以外に定着性種族に属する生物ということで、一般的に定着性種族に属する生物の範囲というものは必ずしもはっきりいたしませんが、貝類とかあるいは海草類、そういった漁業資源に属するものまでも大陸だな資源として含めております。日本は従来から漁業利益の確保という観点から申しまして、大陸だな条約に入ることは、そういう意味でむしろ害があるということで入っておりません。 他面また、先ほど先生が御指摘のとおり、慣習国際法として、大陸だなというものはもうほとんど確立しておるという面がございます。それは一九四五年にトルーマン大統領が宣言いたしまして、自来、それ以来の慣行でございますけれども、水深二百メートルまでの陸地に継続する海床の部分における石油その他の鉱物資源については、沿岸国の主権に属するということでございます。その他につきましては、つい最近二月の二十日に、ドイツとデンマーク、それからドイツとオランダの問の大陸だなに関する争いがございまして、ドイツはいまだに条約に入っておりませんが、慣習国際法をもとにいたしまして、大陸だなの範囲についての分割について、国際司法裁判所に争いを提起いたしました。そのドイツが実は勝ったわけであります。こういう場合に、国際司法裁判所といたしましては、一方は条約に入っておらない、一方は入っておるという場合におきましては、慣習国際法を基礎にして判決を下すことになっております。したがって、その判決によってドイツが勝ったということは、逆に申しますと、大陸だなに関する鉱物資源の沿岸国の主権に属するということは、すでに慣習法として確立しており、そのことを根拠にしてドイツの主張を認めたというふうにわれわれは考えております。そういう観点から申しまして、現在日本がこの条約に入らなくても、日本の周辺の大陸だなにおきます石油その他の鉱物資源を日本のものであると主張をなすことは、国際法的にいって十分に根拠があるというふうに考えております。
○伊藤(惣)委員 要するに、慣習法のほうが、いまの御答弁でも優先するというふうに判断しているわけでありますね。
○高島説明員 国際法の法源といたしましては、大きく分けて慣習国際法、それから成文法規たる条約というふうに大体大別されます。条約がある場合には、もちろん条約が優先するわけでございます。これは特別法規でございますから。しかし、条約がない場合に、国家の関係を律するものは慣習国際法であるということは、国際法上はっきりいわれておるわけであります。現実にいまのドイツのケースの場合は、ドイツが条約に入っていない、片方が条約に入っているという関係がございますので、これは慣習国際法によって律する以外にないということで、そういう判決が出たというふうに考えます。
○伊藤(惣)委員 慣習法によっていままでどおり日本は今後も処理するということでありましたけれども、要するに、そうなると、実質的には大陸だな条約というものを認めるという立場になると思うのですが、この点いかがですか。
○高島説明員 先ほど申しましたとおり、この大陸だな条約の対象にしております資源の内容といたしまして、単に石油その他の鉱物資源だけではなくて、定着性種族に属する生物ということで、非常に定義のあいまいな生物が入っておりまして、実はタラバガニなんかも、アメリカ、ソ連はこの大陸棚資源に入るという観点から、日本との交渉で、わがほうが非常に苦境に立っておるわけでございますけれども、そういう観点から資源の内容について各国間に非常に争いがございますので、わがほうとしては、こういう意味で入らないほうがいいという立場をとっておる次第であります。
○伊藤(惣)委員 だいぶはずれちゃいましたから……。 以前に、オーストラリア北部のアラフラ海域で真珠貝の採取について紛争がありましたが、現在はどうなっておりますか、その経過と現状について、簡単に伺っておきたいと思います。
○森沢政府委員 いま御指摘のアラフラ海におきまして、シロチョウガイの採取をかなり歴史的にやっておりましたが、現在におきましては、シロチョウガイの採取事業というものは、これはおもにボタンの原料になるわけでございますが、プラスチックのボタン等に押されまして、日本の漁船は最近一隻もあの海域には出漁いたしておりません。ただ、日本と豪州との間に取りきめは依然として残っておりますけれども、実態はもうすでになくなっておりまして、むしろいまは向こうで役務提携あるいは合弁という形で、ボタンの原料としておりますシロチョウガイを使って真珠の養殖事業という新たな事業が興っております。これはもちろん陸上で、あるいはまたごく海岸でやっておる事業でございます。
○伊藤(惣)委員 この問題は国際司法裁判所に提訴するということで合意があったというふうに聞いておるわけでございますけれども、その後どのような扱いをしておるのか。
○高島説明員 日本政府といたしましては、この問題につきまして国際司法裁判所に提訴するということで、かなり準備を進めたわけでございますけれども、オーストラリア政府が結局は同意しませんで、そのかわりに暫定取りきめというのができたのでございます。
○伊藤(惣)委員 そうすると、これはこのままもうやらないで終わってしまうというわけですか。
○高島説明員 そのとおりでございます。
○伊藤(惣)委員 インドネシアの付近の海域にもわがほうの漁船が入漁料を払っているわけでありますが、この点簡単に伺います。
○森沢政府委員 御指摘のとおり、インドネシアとは、昨年、日本の民間団体とインドネシア政府との間にマグロ漁業に対する協定ができました。その中で、船型によっていろいろでございますが、七十トン以下の船型のマグロ漁船につきましては年間に三百米ドル、七十トンから三百トンまでの漁船につきましては年間に三百九十ドルを支払うというふうな協定が民間ベースでできております。
○伊藤(惣)委員 話には聞いているわけですけれども、入漁料を取られる水域についての資料、たとえば地図、そしてどの辺だとかいう区域ですね、それを資料としてお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
○森沢政府委員 承知しました。
○伊藤(惣)委員 大体一隻が年間三百ドルぐらい払っておるわけでございますね。そうしますと、非常に市場の魚の値段が上がって、われわれ国民の立場からいうならば、高いものを食べるという点で非常に影響があるのじゃないか、いういわれておるのですが、その点いかがですか。
○森沢政府委員 インドネシアとの交渉は、結果的には民間協定という形に相なりましたけれども、交渉の過程は、御承知のとおり、両方でスペシャルボデーというものを政府ベースの者も入りましてつくって、いろいろ交渉をいたしました。インドネシア側の当初の希望は、もっともっと高い金額であったわけでございます。私たちは、いま御指摘の点、さらにカツオ・マグロ漁船の経営利益率の実態から見て、そういう高いものはとうていペイしないということで、かなり時間をかけましてこの限度まで引き下げたという経過がございます。これが直ちにマグロの魚価に直接はね返るという御心配はまずないのではないかというふうに私たちは考えております。
○伊藤(惣)委員 オーストラリアとの漁業協定によりますと、合意議事録には年間百ドルになっておるわけですね。これに比べると、インドネシアのほうは非常に高いように思うわけですが、その点は……。
○森沢政府委員 豪州との折衝におきましても、特に百ドルというのがこまかく積み上げた根拠から出ておるわけではもちろんございませんで、いろいろ交渉の結果、当方としてあまり経営に支障のない範囲ということできまった経過がございます。インドネシアの場合には、やや豪州とは感触が違いまして、これは私の想像でございますけれども、何かそういうものによって、アンボン等地元の――これはおもにバンダ海で操業する協定でございますが、その辺の漁業の中心地はアンボンでございます。地元の漁業者にひとつメリットになるような策も講じたい、その財源にもというような気持ちがあったように受け取れる節もございまして、豪州の場合とはややケースが異なるということが申し上げられると思います。
○伊藤(惣)委員 インドネシアとの入漁料についての協定は、国会に承認を求めるのかどうかということが問題になるわけですが、その点は……。
○高島説明員 これは日本のカツオ・マグロ漁業組合とインドネシアのある政府機関との間の暫定取りきめでございまして、協定の性質がいわば民間取引になっておりますので、そういう意味で、国会の承認の対象になる性質のものではございません。
○伊藤(惣)委員 では以上で終わります。
○北澤委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、来たる十二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後三時五十七分散会