外務委員会 第3号
- 発言数
- 27 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1969/02/26
会議録
○北澤委員長 これより会議を開きます。 国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件、日本国とオーストラリア連邦との間の漁業に関する協定の締結について承認を求めるの件、千九百六十八年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件、日本国とユーゴースラヴィア社会主義連邦共和国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括議題といたします。 —————————————
○北澤委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。愛知外務大臣。
○愛知国務大臣 ただいま議題となりました国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 世界貿易が順調に伸びていくためには、世界全体としての準備資産の総量、すなわち国際流動性が貿易の伸びに見合って適度に供給されていくことが必要でありますが、金や米ドルなどの既存の準備資産の供給には限度があり、このため国際流動性の適正な供給が確保できなくなって世界の貿易と経済の発展が阻害されるおそれが出てきました。この問題に対処するため、一九六三年十月の十カ国蔵相会議以来四年間にわたって検討が続けられた結果、特別引き出し権制度を国際通貨基金内に創設することになり、このため基金協定の改正が行なわれることになったのであります。 本件基金協定の改正は、この特別引き出し権制度の創設に必要な規定を中心としておりますが、このほかに手続的規定等に関する既存条文の修正をも含んでおり、一九六八年五月三十一日に基金総務会において承認されたものであります。この改正によって基金は、金や米ドルを補充する新しい準備資産を計画的に創出することができることになり、その結果、国際流動性の不足のため世界貿易の拡大が阻害されることなく、世界経済が着実に発展し得る基盤ができることになるのであります。 このように、特別引き出し権制度の創設は、貿易に大きく依存するわが国経済にとって不可欠な世界経済の着実な発展に寄与するものであり、また、わが国の対外準備の増強につながるものでもありますので、この改正は、わが国経済の今後の発展のためにきわめて望ましいものと考えられます。 よって、ここにこの改正の受諾について御承認を求める次第であります。 次に、日本国とオーストラリア連邦との間の漁業に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 政府は、オーストラリアが昭和四十三年一月に国内法により距岸十二海里までの漁業水域を設定したことに対して、沿岸国の一方的な漁業水域の設定は国際法上認められないとの立場から異議を唱え、この問題の解決についてオーストラリア側と交渉を行ないました結果、オーストラリアの領海に接続する水域における日本国の船舶による漁業に関して両国間の協定を締結することについて最終的合意を見るに至りました。よって、昭和四十三年十一月二十七日にキャンベラで、わがほう甲斐駐オーストラリア大使とオーストラリア側ハズラック外務大臣との間で、この協定に署名を行なった次第であります。 この協定は、本文九カ条からなっており、その内容は、日本国の船舶が、一九六三年から一九六七年までの間の年間操業水準の平均をこえない範囲で、オーストラリアの領海の外側、距岸十二海里までの水域のうち、オーストラリア本土周辺の特定水域においては一九七五年十一月二十七日まで、また、パプア、ニューギニア地域沖合いの特定水域においては一九七一年十一月二十七日または両政府が合意するその後の日まで、マグロはえなわ漁業に従事することを定め、また、マグロはえなわ漁業の装備を有する日本国の船舶が、少なくとも一九七五年十一月二十七日までオーストラリアのシドニーほか三港に寄港できることを規定しているものであります。 この協定の締結により、わが国の漁船は、オーストラリア周辺の水域において、今後も引き続きほぼ従来どおりの実績を維持しながらマグロはえなわ漁業に従事することとなるほか、外国漁船一般に対してはオーストラリアの港が閉鎖されるにもかかわらず、わが国のマグロ船は寄港を認められることとなるので、両国間の漁業関係は安定し、ひいては両国友好関係の増進にも寄与するものと考える次第であります。 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。 次に、千九百六十八年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 コーヒーを主たる輸出品目とする発展途上国にとって、その価格の安定は、これらの国の経済発展のためにきわめて重要であります。この協定は、コーヒーの需給を調整し、もって価格の安定をはかることを目的とするものでありまして、輸出割り当ての設定、生産規制、多角化基金の強化、非加盟国からの輸入制限、消費の増大のための検討等について規定しております。 わが国が一九六二年の協定に引き続いてこの協定に参加することは、発展途上国の経済発展に協力せんとするわが国の積極的態度を示すものとして有意義であり、また、この協定により、コーヒーの価格が適正な水準に安定することは、コーヒーの消費が漸増しているわが国としても望ましいことと考えられます。 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。 次に、日本国とユーゴースラビア社会主義連邦共和国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 昭和三十二年以来ユーゴースラビア側よりたびたび文化協定を締結したい旨の申し入れがありましたが、わがほうといたしましては、この協定が両国間の親善関係の増進に寄与すること、固有の文化的伝統を有するユーゴースラビアとこの種の協定を結ぶことに意義があること等を考慮して、この申し入れに応ずることとし、ベルグラードにおいて昭和四十二年一月以来交渉を行ない、その結果、昭和四十三年三月十五日に東京において正式署名を行なった次第であります。 この協定の内容は、戦後わが国が締結したアラブ連合、パキスタン等との間の文化協定の内容と類似しており、諸分野における両国間の文化交流を奨励することを規定しております。 この協定の締結は、両国間の文化交流の発展に資するところ大であると期待されます。 よって、この協定の締結について御承認を求める次第であります。 以上四件につきまして、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望申し上げます。
○北澤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 —————————————
○北澤委員長 引き続き国際通貨基金協定の改正の受諾について承認を求めるの件について審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。田中榮一君。
○田中(榮)委員 私は、この国際通貨基金の改正について、すなわち、今回IMFが初めて創設されましたSDRの制度につきまして、また、その効果並びに今後の見通し等につきまして、まず外務大臣にお伺いをしてみたいと思います。 IMFが、第二次大戦後の世界経済の発展に、世銀やそれからまたガット等の他の国際機関とともに、重要な役割りを果たしてきたこと、それから貿易に依存する度合いが非常に大きいわが国が、これらの組織に参加して積極的な役割りを果たして、その結果大きな利益を受け取ってきたという事実は、率直に私はこれを認めたいと存じます。特にIMFに関しましては、わが国の経済が常に国際収支の壁にぶつかりながらも、その困難を乗り越えて世界に比類を見ないような復興と成長を遂げましたことは、もちろん官民の一致した協力があったことがその第一の理由でありますが、国際通貨基金を通ずる通貨における国際協力及びより直接的な国際通貨資金の利用などによってわが国の経済成長がささえられてきたという事実も、私は率直に認めたいと思います。 しかしながら、最近の国際経済の動きを見ておりますと、必ずしもこれまでどおり世界経済が全体として発展を続けていくかどうか、楽観し得ないのではないかという感じがするのであります。すなわち、私が若干の不安を持ちますことは、ここ教年来顕著になりましたいわゆる国際通貨不安といわれる現象であります。ポンド、フラン、ドルなどの不安に伴う投機、金価格の暴騰など、国際通貨体制が危機にあるのではないかといわれており、これが国際経済の前途に暗影を投げているという事実は否定できないのではないかと考える次第です。この通貨不安との関連で、アメリカも昨年初頭以来強力なドル防衛政策をとってまいったのであります。わが国の貿易も直接的影響をこうむっておると思うのであります。昨年の国会におきまして、ケネディラウンド交渉の結果作成されたガットのジュネーブ議定書の審議の際にも、せっかく関税を相互に引き下げても、アメリカがその効果を打ち消すような措置をとって、その他の国がこれにもしならうならば、せっかくのケネディラウンドも何にもならない、効果がないのじゃないか、もしアメリカがこういう消極的な態度であって、他の国がこれにならうようなことがあったならば、ケネディラウンドというものは何も効果がないじゃないかということをこの席で申し上げたのでありますが、幸いアメリカは、当初予定されたような輸入課徴金などの措置をとらなかったようであります。しかし、私は、このSDRと輸入課徴金なり今後のいろいろな貿易に対するアメリカの制限等につきましては、後ほど大蔵当局にお伺いをしてみたいと思っております。今後におきましても、国際通貨の不安というものが、このような国際貿易の拡大努力を無にするようなこととならないかというのが、私の根本的な疑問であります。 そこで、外務大臣にお伺いいたしたいことは、このようなきびしい国際環境にあって、どのようにしてわが国の利益を守っていくか、これが政府の考え方と今後の姿勢、及び今回の国際通貨基金協定改正によって新たに創設されましたいわゆる特別引き出し権、SDRというものが、確かにいま大臣が提案理由の中に御説明になりましたような意味があるかどうか、いま申したような国際通貨問題に関する現存する国際不安を根本的に解決し得るかどうか。まず、国際決済のいわゆる準備資産というものが非常に不足を来たしておる。それから国際融通性というものが非常に不安であり、不足をしておる。こういう際に、昨年の三月十六日、十七日でありましたか、ワシントンにおきまして、七カ国の中央銀行総裁が集まりまして、何とかしなければならない、今日の国際的ないわゆる通貨不安というものを解決するために何かいい制度をつくったらどうか、そこから出発いたしまして、このSDRというものが生まれたのでありまして、世間ではこのことを第三の通貨と言っております。いわゆる現在の金とかあるいは米ドルにかわる一つのピンチヒッターの役割りをする通貨制度に類似のものでありまするが、こうした根本問題について、今後の見通しにつきまして、外務大臣の御所見を承りたいと思います。
○愛知国務大臣 ただいまこの問題をめぐるいろいろの重要な点について御質疑がございましたので、基本的な考え方についてお話を申し上げて、御参考に供したいと存じます。 ただいまもお話がございましたように、第二次大戦後の国際通貨体制というものは、IMFを中心とする国際協力によってささえられてきたということができると思いますけれども、しかし、最近の事例を見ましても、一昨年はイギリスのポンドの切り下げがありましたし、またその後も、ドル不安、金問題、一般的に欧州の通貨の不安といったような一連の問題が常に注目を集めてまいったのであります。こうした動きの中で、どうかして国際協力によってさらに一段と考え方を進めてまいらなければならないということで、いろいろの経過はただいまもお触れになりましたのでございますが、関係主要国間あるいはその他の方面におきまして十分な検討が進められ、そうしてこのSDRの創設ということにいわばこぎつけたということが言えるのではないかと思います。私は、率直に申しまして、このSDRの創設によって万能薬的にこうした問題が解決されるとは思いませんけれども、しかし、非常に大きな進歩であるということはいなめないのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。ことに世界的に、ただいまもお話がございましたが、ケネディラウンド精神とでも申しましょうか、貿易の拡大の中に世界の経済の繁栄を醸成していこうという考え方の筋から申しますれば、こういう新しい考案が生まれてきたということは、私は確かに一つの進歩だろうかと思います。 このSDRを必要とするということで、各国間の考え方がまとまってまいりましたその経緯なり考え方をひるがえって考えてみますると、いろいろのことが言われておりますが、たとえば世界の貿易の量的な発展ということは、相当今日においても目ざましいと思いますが、それと対外決済のための準備資産という点になりますと、この足並みがどうもそろっておらない。たとえば一九五〇年から一九六七年までの十八年間を試みにとってみますと、IMFの統計を見ましても、世界貿易、輸入について見ますと、平均約八%の伸びを示して、これが世界経済の成長に非常な寄与をしてきたと思うのであります。ところで、世界貿易の規模が拡大すれば、対外決済に要する金額がふえます。それに伴って一国の国際収支の変動も幅が大きくなってまいるわけであります。そこで、各国としては、金や米ドルなどの準備資産の保有を厚くしてこれに対処していかなければならないのでありますが、世界全体として見ました場合、こうした観点から準備資産に対する需要が非常に大きくなってくる、これがまず第一に考えられる条件と思います。もちろん、これは各国それぞれも非常に大きな責任があるわけで、各国の経済の経済政策自体がそれぞれ適切に運営されるということが、国際収支の調整が効果的に行なわれることになります。また、世界全体としての準備資産の需要の増大を節減することにもなると思いますけれども、それだけではやはりやっていけないというのがこれからの世界の状況ではなかろうかと存じます。したがって、世界全体としての適正な準備というものの量は増大する。これに備えなければならない。ちょうどこれは一つ一つの国の経済の成長につれて国内の通貨の必要量が増大するということと同じように考えていいのではないかと考えられるわけでございます。また、一面から見ますと、世界全体としての適正な量の準備資産が円滑に供給されないということになりますと、各国はそれぞれの立場で国際収支が悪化しないようにそれを懸念するあまり、引き締め的な政策をとらざるを得なくなるでありましょう。そうなりますと、世界全体の貿易の発展や成長を阻害する危険をはらむことにも相なろうかと思います。そういう点から、どうしても先ほど来申しますような準備資産の世界的供給の増加ということを考えなければならない。 ところが、先ほど貿易や輸入に数字的な例をちょっと引用したわけでございますが、一九五〇年から一九六七年まで世界各国の準備資産の状況はどうかと申しますと、金及び米ドルから構成されておる。この関係は年平均約二・五%の伸びということでございます。したがって、金と米ドルだけでは適正な準備資産の供給ということを期待しがたい状況にある。そういう点からも、新しい構想と制度とがどうしても必要になる、こういうことに相なるわけでございます。 また、さらに考えてみれば、金というものにこういったような点を膠着するというか、執着した考え方というものは、考え方としても、あるいは準備資産としての産金の状況や見通しから申しましても、これは問題である。さりとてまた、金だけを考えてみた場合に、金価格の引き上げをしたらどうだということも考えられるかもしれませんけれども、これをやりますれば、むしろ国際的な経済に混乱と不安というものを招くことになる。こういう点で、金ということに執着することはできない。一方、米ドルとの関係を考えてみますと、これは結局、米ドルの供給を多くする、準備資産として多くするということを考えれば、これは米国自身の国際収支の赤字ということになることは自然の成り行きでございます。 そういったようなことで、金あるいは米ドルということからできるだけ離れてと申しますか、世界全体としての準備資産の適正な供給を確保する。そのために、各国が共同の責任をもって人為的に計画的に新しい資産をいわばクリエートして、そして金や米ドルを補充する、その不足分を補っていく、こういうことにして、世界的にそれぞれが望んでいるような繁栄の道に支障のないようにやっていこうというのが、関係各国あるいは各当事者等の研究を重ねられた一つの構想であろう。その考え方に対して私どもとしても賛意を表して、これに参加をする、こういうのが、ここに至りますまでの大ざっぱに申しましての背景にあるところの考え方である、かように考えるわけでございます。 少し長くなりまして恐縮でございますが、全体の考え方の基本的なものを大づかみに御説明申し上げましたような次第でございます。
○田中(榮)委員 ただいま外務大臣から、非常に詳しくSDR成立の歴史的な過程その他必要性につきまして御説明がありまして、大体了承したのでございますが、このSDRというものは、御承知のとおり、やはり金と切り離して、そして金の影響を受けない、また米ドルの影響を受けさせないというたてまえで、別個ないわゆる準備資産というような形で、第三の——先ほど私が第三の通貨と申し上げたのはそういう意味なのであります。 そこで、従来こうした国際決済の手段というものは、いわゆる金プールによるところの兌換券等によってこれがやられておったのがたてまえでございます。やはり金というものが背後に厳然として控えておって、それをもとにしての兌換券の価値というものが維持されておったのでありますが、いま大臣のお説のように、金と米ドルがほとんど増加しない、また二・五%ぐらいしか実際のいわゆる伸びがないということでありますので、そうしたことからSDRということが考えられたと思うのでありますが、そうなってきますと、このSDRというものは、いわゆる金プールから引き離されまして、これによって、昨年の三月十六、七日のワシントンの七カ国中央銀行総裁会議におきまして、金の二重価格制というものを実施したのでありますが、これによって完全に金プール制というものは解体されたわけでありまして、そこで、このSDRというものは、新たな通貨制度とまでいくかどうか知りませんが、こういうものが考えられたのでありますが、その基本となるものは、どうしてもやはり国と国との間の信頼とか約束とか、そういうものを基盤にしてこれが成り立つのでありまして、人間の考えた最高の知識の産物がこのSDRであるといわれておりますけれども、これはやはり各国が同じような気持ちで、国際通貨の不備不足をお互いが協力してこれを救済しようというような、そうした感じがありませんと、この制度は本質的には破れてしまうのではないかと私は思うのであります。 しかるところ、すでに昨年の三月のワシントン会議におきましてコミュニケが発表されたのでありますが、その際にも、フランスも入ってほしいということを言っておりますが、しかるに、フランスはどうもこのSDRに参加するということについては非常に消極的でありまして、われわれとしましては、どうしてもフランスがこれに参加しないと、このSDRの基礎というものが非常に薄弱じゃないか。それからさらにまた、アメリカのニクソン大統領が新しく就任されたのでありますが、このSDRに対してはまだ何とも意見を発表されておりませんが、やはりニクソン新政権もこれに対して相当な協力を惜しまないというようなことの裏づけがございませんと、このSDRの今後の運営というものは非常に困難ではないかと思うのでありますが、これらの点について、一体、フランスは今後どういうような態度でこのSDRに対して協力をしていくか、また、現在のニクソン新政権のこれに対する考え方はどういうものであるか、それについて、ひとつ外務大臣の御所見を承りたいと思うのであります。
○愛知国務大臣 先ほど申しましたように、ただいまもお話ございました、最高といわないまでも、現在考え得る適当な制度であり、また、これはいまお話もございましたように、各国の心からの協力と相互信頼の精神でこの制度が運営されなければ、そのメリットを発揮することはできないと考えます。ところが、いまの御指摘のように、ここに至りますまでの間、実に各国の間でもいろいろの論議があり、あるいは各国のその中でもいろいろの議論が戦わされたようでございます。また、フランスが態度を留保いたしておることも事実でございます。ただ、私の承知しておりますところでは、フランスの政府筋からこの制度に反対だという公式の表明はまだないように聞いております。また、現在、アメリカの大統領もヨーロッパに出かけておるわけでございますが、その出発前におきましても、国際的な通貨の安定ということが非常に大事だということを、出発前の記者会見などでも触れておられるようでございますから、そういう点に対しまして、アメリカもひとつ大いに一段と積極的になり、またフランスもこの考え方に協力をして、そして相ともに世界全体の繁栄の基礎づくりに協力していくような体制ができることを、私は日本として望むべきところではないかと思います。 御案内のように、IMFという制度ができますまでにも、各国にはいろいろの議論もございましたが、いろいろの議論を煮詰めて、結局結論が出て、IMF制度ができましてから以降は、この運営については各国の非常な相互信頼の上に立って協力関係が設定され、そこから相当の成果があがってきて、そして今度のSDR問題などにつきましても、こういったような最近における各国の動向が同じ方向に向かって積み上げられてきたということに一つの特徴があるのじゃなかろうかと思いますので、この点に対しましては、フランスをはじめ各国が大いに協力体制になることが望ましいと思います。すでに調印、批准をされ、必要な手続をして寄託をした国の数も非常に多いのでありまして、わが国といたしましても、御案内のように、実は昨年末の臨時国会でも御審議をいただきたいと思うくらい、私どもとしては、早くこの制度に正式に参加をして、正式の手続をとって、そしてすみやかにこの目的とするところの成果があがるような日本としての協力体制に入りたい、かように考えておるわけでございます。
○田中(榮)委員 大体、フランスを中心とするEECの動きというものにつきましても、いまのお話によりまして、フランスがはっきりした拒否するという態度を表示してないから、これに対して協力するであろうというようなお話でございまして、私どももこれは期待しておるわけであります。 そこで、さらにお伺いいたしたいことは、この国際流動性問題に関しまして、私がいろいろ新聞とか雑誌とか、あるいはまた具体的ないろいろなものを読んでみたのでありますが、さらにまたこの原案等も実は読んでみたのでありますが、なるほど各国が国際通貨基金という国際機構を通じてSDRという新しい準備資産を創出して、既存の国際流動性を増強して、それによって、世界貿易及び世界経済の今後の発展が国際流動性の不足から阻害されることがないよう協力していくということ自体は、まことに望ましいことでありまして、その趣旨そのものにつきましては、もちろん何人も異存はなかろうと私は考えております。 ただ、実際上の問題といたしまして、SDRが各国にその出資率によりまして配分されます。そして各国の使用に供された場合を一応想定いたしましょう。そこで、その配分された暁におきましていろいろの問題が発生する場合があると私は思うのであります。 まず、配分されたSDRを実際に使用するのは、一体どの国が使用するのかと予定を考えてみますると、その国は国際収支が逆調となった、いわゆる国際収支がいつも赤字で苦しんでおる、財政が窮迫して非常に困っておるという国が使用することになろうと思うのであります。もちろん、こういう国のためにSDRが創出されたことは当然のことでありますので、こうした国がまずもって優先的に配分を受けることになろうと思います。つまり、SDRは世界的に既存準備資産が不足したときにこれを補充するため設置されたものとされておるのでありますが、各国の側から見ますると、輸出増強につとめ、たとえば国際収支がいつも黒字で、非常に成績のいい国の側から見ますると、その国が輸出増強につとめ、国内経済の節度ある発展強化によって国際収支を改善してきた、外貨準備ポジションの良好な国であると、そうした国が配分を受けるということはおそらく少ないのでありまして、支払い準備不足におちいった国がSDRを使用する場合のほうが可能性が非常に多いように思われます。もしそうであるといたしますと、SDRの発動は、結果的に見ますと、国際通貨基金の中のいわば劣等生ということは、まことにことばは悪いかもしれませんが、あまり発展性のない、生産性の少ない国によって主として利用される。優等生、生産性が非常に向上しておるような国、輸出が非常に盛んな国、国際収支が常に黒字であるという国が実際に利用することは少ない。そのような劣等生のみずからの国際収支、外貨準備ポジションの改善努力を弱める効果をSDRは持っておるのではないか。むしろこういう配分をすることによって、たとえて申しまするならば、深手を負った者に水を飲ませる。重傷を負った者に水を飲ませたならば、その者は死んでしまう。そういう劣等生のようなものに配分をすることによって、かえってその国の経済の発展を阻害するのじゃないか、逆に阻害するようなことがないだろうか、こういう心配も実は持たれるのであります。 伝えられるところによりますと、フランスが今回の協定改正に対して難色を示し、その結果、SDRの発動等の重要事項の決定に対しまして、EEC諸国に対して、これまで認められていなかった拒否権を認めさせようとフランスは努力をいたしております。EECの諸国に対して、配分を受けないように拒否権、いわゆるオプティングアウト、選択的拒否といいますか、オプティングアウトというのを認めさして、EECの国においては、場合によってはそうした配分を拒否させるというようなことも、フランスが主導的にそういう態度に出ておって、もしそういうようなことになりますと、このSDRというものが実際にできたけれども、ヨーロッパの中心の国々がそういうオプティングアウトを使用するような場合におきましては、SDRというものは何ら効果がなくなってしまう、こういうようなことも実はいわれておるのでありまして、また一面におきまして、こういうことはおそらくあるかどうかわかりませんが、もしアメリカのような優秀な国にこの配分が回りまして、いわゆる土地の高いところにさらに土壌を乗っけて高くするというような結果になりますと、何だかアメリカのドル防衛の肩がわりをするというようなことになるのじゃないかという疑いも起こってくるのでありまするが、日本がいま早急にこの制度に参加することが、はたして国益に合致するものであるかどうか、その点について外務大臣の率直な御意見を承りたいと思うのであります。
○愛知国務大臣 ただいまのお尋ね、ごもっともな点がたくさんあると思いますが、要点は、先ほどもちょっと申しましたが、要するに、ある国が健全な経済政策の運営をしておって、いわば節度ある政策をとっている結果、黒字国になっている、そういうところにはあまり利益はないではないか、逆に放漫政策をとっているいわば赤字国を利することになるのではないかという点が、一つの問題である。それからその次には、いわば各国がドル防衛の肩がわりをするというようなことになるのじゃないか。あるいはまたその次には、フランスがいろいろと議論を提起しておるようでございますが、配分等についてビートーを行使するというような、そういういろいろな点を考慮して、こういうような考え方があるのではないか、これらの点については、一応ごもっともな御疑問と思われる点もございますが、このSDRの今回の改正の協定でも明らかでありますように、もちろん各国としては、それぞれに配分を求めるということを要請する、個別的な要請に基づいて、基金資金を利用するということができるのでありますから、そういう点から考えますと、第一に私が申し上げましたような点の御疑念も出てくるかと思います。しかし、改正規定も明らかなように、このSDR制度の最大の目的は、そういった個々の要請に応ずるということではなくて、世界経済全体の拡大発展に伴って、これに相応した十分の量の国際流動性が供給されなければならないという点に着目して配分をすることに主たる重点があるわけでございますから、これはSDRの出資金が今後だんだんにまた多くなると思います。それから、これを国際的な協力、信頼関係によって運営していくわけでございますから、私はそういう点の御心配はない、かように考えておるわけでございます。 フランスの申しておりますようなことも、一応もっともらしいことでもあろうかと思いますけれども、しかし、これは、この協定ができるに至りました経過や、この協定を運営していく機構、それからその配分のやり方等々をしさいに検討していきますれば、おのずからそういったような疑念は晴れるに間違いはない。私は、国際的な従来の経過から申しましても、この点につきましては、積極的に趣旨あるいは経過を理解してもらえれば、フランスにおきましても十分協力の体制になってくるのではないだろうか、こういうふうに期待しておるわけでございます。
○田中(榮)委員 一番問題になりますのは、やはり配分の適正を得るかどうかという問題でありまして、ただいま私が質問いたしましたように、高いところへ積んでもいろいろ非難を受ける、また低いところへ配分いたしましても、いろいろ見方によっては、そういうところへやってもむだじゃないかという非難もありまするので、私は、配分の点につきましては非常に困難な点があると思うのでありますが、そうした非難が起こらぬことをわれわれとしては期待をいたしておるわけであります。 そこで、さらにもう一点、配分の関係と低開発国との関係の問題について、一言お伺いしてみたいと思うのでありますが、昨年でありましたか、インドのニューデリーでUNCTADの会議がありまして、その際に、低開発国のいわゆる先進国に対する経済協力の突き上げというものが猛烈であって、ほとんど各低開発国が全く団結して先進国にぶつかって、相当たじたじだったということも、私、聞いておるのでありまするが、このSDRの問題につきましても、長期的にこれを考えてみますると、今後やはり低開発国のほうからSDRに対する要望というものが相当強く行なわれるのじゃないかと思います。ところが、SDRの配分は、国際通貨基金割り当て額に比例をして配分される結果、これはどうもやむを得ないと思うのでありますが、先進国にその大半が配分される。一方、低開発諸国はごく微々たるパーセンテージしか配分されないわけでありますが、このSDR制度が世界的な国際流動性の不足に対処するためならば、その配分にあたりまして、長期的な観測からしまして、最も国際流動性が不足するこれら低開発国へ重点的に配分されるべきものではないかと考えておりまするが、この問題につきまして、大臣としましてはどうお考えでございましょうか。やはり将来、低開発国に対しましては、出資額に応じてわずかなパーセンテージによって微々たるものを配分する、そこへ特例か何か設けて、いま少し配分の余地を与えるような、何かよいアイデアというものがないものであろうかどうか、そういう点について大臣の御見解を承りたいと思います。
○愛知国務大臣 ただいまの低開発国の問題も含め、また先ほど御提起になりました御疑問等につきましては、SDRの運営についての技術的なこまかい点にわたって御説明いたしますと、もう一そう明白に御疑念が晴れるのではないか。かように考える次第でございますので、ぜひ政府委員からも詳しく御説明をさせていただきたいと存じます。 ただ、特に低開発国の問題につきましては、いまも御指摘がございましたが、UNCTADで低開発諸国から非常に強い要請が出たことも、事実そのとおりでございますが、低開発諸国に配分されるSDRの量というものは、大体三割ぐらいの程度になるはずでございまして、現在世界貿易に占めておりますこれらの国々の割合というのが大体二割、二〇%ぐらいあるというような状況でございますから、この事実からいたしますと、低開発諸国に対して不利ではないと私は考えるわけでございます。 なお、このSDRというものは、先ほど来るる御説明いたしておりますように、世界貿易の拡大に対する決済手段の充実というようなことが本義でございまして、いわゆる開発途上国等につきましては、また各国のそれぞれの協力、日本も大きな責任があるかと思いますが、あるいは二国間あるいは多国間におきましての経済協力というような、別の意味の方策の展開によりまして、それ自身の国々の経済力を充実し向上させるという努力が、別途あるいはこれ以上に大いに強く打ち出されていくということによって、おのずから目的を達し得る場面もあろうかと思いますので、一番最初に申し上げましたように、この国際収支決済の準備資産という点だけから申しましても、これは決して万能薬といえないと私は思います。同時に、いま申しましたようなことをあわせて考えますれば、これだけで世界の経済の発展というものが一〇〇%の目的を達し得るものではない、別の、前々からの、各国が考え、あるいは日本が努力しておりますような政策の効果というものが、さらにその前提に当然必要なことである、こういうふうに御理解をいただければ幸いと存じます。
○田中(榮)委員 いろいろ御説明を受けまして了解をいたしたのでありますが、低開発国に対する配分につきましては、大体了承いたしたのでありますが、次に、一番大事なのは、日本に対する配分額の問題についてお尋ねを申し上げたいのであります。 協定の規定によりますと、SDRは各国の国際基金に対する出資額に比例して配分されることに相なっております。わが国の出資額は七億二千五百万ドル、比率にいたしまして、一〇〇%の比率にとりますと、わが国は三・四%にすぎないのであります。この出資率の順位は加盟国中第七位であります。イギリス、フランスはもとより、カナダやインドよりも順位が低いのであります。今日のわが国の経済力は、国民の総生産額が世界第三位であるとか、また自動車の工業生産力は第二位であるとか、いろいろ伝えられておるのでありまするが、今日の日本の経済力におきまして、この程度の出資額、この程度の配分額で、はたして日本というものの今後のSDRに対する任務、責任が果たせるかどうか、それと同時に、経済面から見たわが国の国益に合致するものであるかどうか、こういう疑いを持たざるを得ないのであります。この点、これは将来の問題であろうと思いますが、こうした将来の問題について外務大臣としてのお考えはどうであろうか、その辺を承っておきたいと思います。
○愛知国務大臣 この点は、まことにごもっともでございます。いま御指摘になりましたように、わが国の出資額は七億二千五百万ドルでありますし、比率では三・四%、加盟国の中では第七番目、米、英、独、仏、インド、カナダの次になっております。実は、この点は、加盟各国の総合的な経済力を基礎にして出資比率をきめるということになったわけでございますが、この加盟国の出資の比率は、昭和三十七年当時の各国の資料を基礎に決定されたものでありまして、その後今日に至りますまでの日本の急激な経済成長率から見ますると、まさに不適当な過小評価であるということは明らかでございます。したがいまして、政府としては、この問題が出ましてからあらゆる機会に、政府としての意見、主張を表明しておりますが、最近では、特に昨年秋のIMFの総合の際には、わが国の代表からこの点を特に指摘いたしまして、出資比率の適正化を求めた次第でございます。ただいまお話もございましたが、今後将来の問題として、これは当然にこの額はふえる、私は、そうなることは確実であるというふうに考えておる次第でございますので、その点については、昭和三十七年がいまのところ基準になったという点で、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
○田中(榮)委員 国際基金協定の条文を拝見しますと、五年ごとにこれが改定せられ、また加盟国、参加国の要請によってこれが変更ができる、そうして参加国全部の同意を得た場合においてはその出資額も変更できるというような条項になっておるのでありまするが、そうした五年目ごとにあらずして、必要があるならば、わが国としても、当然これは変更要請ができるんじゃないかと考えております。必ずしも将来の配分というものがこのままでいいかどうかということは、これは将来の問題でありますから、私は、現在まだ参加してないのでありますから、あまりこれを言うことはどうかと思いまするが、参加した暁におきましてやはり配分量を多分に獲得しておくことは、やがてこれが低開発国のほうへ回りまして低開発国に対して非常な援助にもなるということにもなりますので、この点につきましては、一そうひとつ御努力のほどをお願いいたしたいと存じます。 最後に、私は、外務大臣にこういうことをひとつお尋ねしてみたいと思うのです。先ほど大臣がお話しのように、このSDRというものは、金を伴わない、金から離れた、いわゆる各国の理解と信頼の上に築かれた一つの新しい通貨制度で、国際流動性の不足を補うために、また準備資産を増加するために、こういうSDRという新しい制度というものが考え出されたのであるというお話でございまして、私もそう感ずるのであります。そこで、金プールを伴わない、金本位でない、一つの裏づけがない——もしあるとするならば、それは各国の信頼と理解であるということを先ほど私は申し上げたのでありますが、この各国の信頼と理解の上に立ったSDRというものが、もしも各国の理解と信頼が途中においてくずれたときには、一体どうなるであろうかという心配が起こるのであります。これは国と国との関係でありますから、将来永劫にそれが利害が相一致して国際親善であればけっこうでありまするが、やはり国と国との関係でありますから、ときにはその利害が反しまして、国益が反しまして、お互いの国と国との間の感情問題になり、あるいは国交が断絶したり、場合によってはその国と国との間に干戈を交えるというような、まことに不幸な問題が起こり得る場合も想定ができるのであります。そうした場合におきまして、このSDRというものは、そういう理解と信頼の上に築かれた一つのビルディングでありますから、そのもとがくずれ出したときには一体どうなるかという心配があるのでありますが、その点に対しまして、外務大臣としてどういう保証なり、どういう確信をお持ちでありますか、その辺についてひとつ承っておきたいと思います。
○愛知国務大臣 その御疑問も、まことにごもっともな点を追及いただいておることだと思います。 私は、二つに分けてお答えしたいと思うのですが、一つは、このSDRという意欲的な、創造的な新しいものが生まれてきたということは、国際協調というものが非常に進んできた。その基礎になるものは相互の信頼であり、みんなが協力して世界貿易の拡大をしたいという意欲から出発している。これはできるだけ大切にして、各国の協力関係でその成果をあげなければならない。そのことは、ちょうど第二次大戦後のこういった問題に対しまして、通貨の面と申しますか、それからささえられてきたのがインターナショナル・マネタリー・ファンドである。こののIMF運営というものが非常な成果をあげてきた。そのまた成果の上にSDRが生まれてきた。この大切な新しい子供をあくまでそういうふうな方針で育て上げ、かつこれを拡充していかなければならない。これは当然そう考えるべきであると思います。 ただ、同時に、このSDRの制度というものは、各国の外貨準備、その中には金あるいは米ドル、これが中心でございますが、これを補完するやり方でございますから、わが国自身といたしましても、何というか、固有の金と外貨を内容とするところの外貨準備というものの内容の適正化ということについては、一方においてできるだけの努力を払っていかなければならない。何と申しましょうか、たとえば、自衛力というようなことが今日の最大の問題として論議されておりますが、固有の努力、そうしてそれを補完するところの国際的協力、こういう点にかんがみて、わが国自身としても固有の努力を怠ってはいけない。この国際協調の新しい制度に対しては積極的な協力をして、これが動揺したり、あるいはSDRの価値が不安定になるということがないようにつとめなければなりませんが、同時に、やはり補完的な手段でございますから、万々一のことも、ことに今日のような過程におきましては十分念頭に置いて、固有の努力を怠ってはいけない。こういうことでわが国としてもやっていくのが、基本的な姿勢として正しい、また妥当な方針ではないかと思います。 いま御指摘になりましたような御不安といいますか、疑惑といいますか、そういう点については、いま申しましたようなことで対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
○田中(榮)委員 SDRは新しい通貨制度でございますので、その運営というものは、今後非常に至難な問題が起こってくると思うのでありますが、こういう点につきましては、外務省、大蔵省、十分に連絡をとって、ひとつ遺憾のないようにしていただきたいと思っております。 大蔵省の国際金融局長の村井君に少しお伺いしたいと思います。 そこで、少し具体的にお話を聞きたいと思うのですが、今回のSDRのいわゆる配分率、配分は、結局国際通貨基金の出資額がいわゆるトータルナンバーになると思うのです。そして、将来それに対してどの程度——いま外務大臣に私はお伺いし、また希望を述べたのでありますが、いわゆる規模ですね。将来規模はどの程度までいくということの考えがあるのでしょうか。とりあえず第一回の配分をするまでのその規模はどの程度、何十億ドルが積み上げられるか、その次は将来何十億ドルになるのか。そういう何か構想といいますか、計画というものがございますならば、それをちょっと示していただきたいと思います。
○村井政府委員 田中先生の御指摘の点は、実はこの問題の中心的な問題の一つかと思います。といいますのは、なるほどこれは各国の相互信頼の上に立ってはおりますけれども、この創出量のいかんによりまして、またやり方によりまして、先ほど来の御議論の、SDRの価値がかなえの軽重を問われる結果というようなことになりますものですから、この発動をいたしますときに、とりあえずの何億ドル発動するかというような量につきましては、この協定の中にもございますように、第一に、憲法的な規定といたしまして、世界がデフレにもならないように、経済渋滞にもならないように、また国際的なインフレにもならないように十分注意しなければいけないということが、まずうたってあるわけでございますが、このことは、大臣からも御答弁がございましたように、SDRの性格と申しますのは、金外黄の補充という性格でございますので、この補充のしかたということが非常にむずかしいわけでございますが、それが非常に重要なわけでございます。それからそのほかにも二、三の要件はございますが、これは省略いたします。 しからば、どの程度の金額を考えておるのかということでございますが、これは実はまだ議論をしてはいないわけでございます。と申しますのは、そういう気持ちで、大方針で創出量を考えるのだということまではきまっておりますけれども、具体的な額といいますのは、そのときそのときの変動する国際的な通貨の与件と申しますか、具体的に申しまして、アメリカの国際収支が一体そのときどうなっておるかとか、イギリスの国際収支がどうかとか、あるいは後進国その他の国際収支の弱い国がどうなっておるかとかというようなこと、それから各国の経済政策体制がどうであるかというようなことを十分考えませんと、インフレにもならず、デフレにもならずというような、そういう大憲章にのっとった具体的な量をきめる、その具体的量というものは、なかなかきめにくいということでございますので、この協定を御批准いただきまして、協定が成立しました上で、また各国が集まりまして、それで、そのときの変動する数々の与件を勘案しながら、数字を具体的にきめる、これがいまの態度でございます。新聞でよくいろいろ数十億ドルということはございますが、これは単なる個人の推測と申しますか、その域を出ないというふうに御了承願いたいと思います。
○田中(榮)委員 私が質問した趣旨は、もうすでに局長がお答えになりましたので、再び質問はすまいと思うのですが、問題は、やはりその配分額のいかんによってその国のインフレを起こし、あるいはデフレを起こす心配が多分にあるのじゃないかと思うのですね。現在の状態は、端的に申しますと、国際支払いの決済手段としましては、金と、それから当事国のアメリカあるいはイギリスが国際収支が赤字になって、ドルを多分に出してしまう、あるいはポンドを多分に出してしまう、相手国はそのドル、ポンドを受け取って、それがその国の国際支払い決済手段になるわけですね。したがって、そういうことによっていままで国際収支がまかなわれておったわけなんです。そこへもってきて、今度はこの配分がありますと、またその経済市場にその配分額がどっといった場合におきまして、あるいはインフレ現象を起こすんじゃないかという心配があったのですが、いま局長のお話によりますと、そういう点を十分勘案した上で考えたいということですから、その辺は十分考えて配分することをやっていただきたい。これはあなたのほうではなくて、国際通貨基金のほうの仕事でしょうけれども、その辺を十分に連絡していただきたいと思います。 それから次に、これはSDRに少し重点をかけ過ぎた私個人の意見でございますが、現在のSDRは、金と結びつきのない第三の通貨といって差しつかえない、いわゆるピンチヒッターですね。そこで、金ドル体制のピンチヒッターといわれるSDRだけれども、これはいま局長の言われるように、金ドル体制の補助手段にすぎないと私は思うのです。そこで、今度のSDRによって、金退位ですね、金体制というものが全部放逐される見通しなのか。金プール制というものが今後どうなるのであるか。私は、ワシントンの昨年三月十六、十七日の七カ国の中央銀行総裁会議のコミュニケを拝見しますと、将来このSDRというものが、外務大臣は万能薬ではないとおっしゃるのでありますが、これが相当力を持つのじゃないか、そういう場合において、世界的規模の管理通貨制度にこれが成長していくのじゃないかというような気もするのですが、その辺は大蔵当局としてのお考えはどうでしょうか。
○村井政府委員 その問題も、はなはだむずかしい問題の一つであると思います。と申しますのは、確かに貿易の伸び、世界の経済の伸びというものを考えてみましたときに、決済手段としての流動性は伴わない。しかし、それを伸びと同じくらい補充する必要もないわけですが、といって、貿易、経済の成長というものが阻害されるようなことがあってはいけないというのが根本的な趣旨だと思いますが、そういう線をずっとたどってまいりますと、いずれは、物理的な生産量しかない金でありますとか、あるいはある国が国際収支の赤字を起こさないと国際流動性を供給できないとかいうようなかっこうでの国際流動性の増加ということには、どうしてもやはり限度があるということになってくるかと思います。そういたしますと、ずっとその線をたどって延ばしてまいりますと、やはり行きつくところは、先生もおっしゃいますように管理体制、国際通貨の管理制度というようなものをある程度ながめながら進んでいくというようなことにならざるを得ないのではなかろうかと考えるわけでございます。 しかしながら、ひるがえって現実の姿を見てみますと、やはり金の価値あるいは金というものは、かなり私たちの国際決済面におきまして重要性を占めておりまして、その意味におきまして、いま一挙に取ってかわるというわけにはまいらない。そういった意味におきまして、外務大臣も言われますように、決して万能薬というわけにはまいらないというふうに私たちは思いますが、長い目で見ました場合に、その運営よろしきを得れば、先ほども私が答弁いたしましたように、ことに創出量というようなものを十分に勘案してまいりますと、これはまあ人の人知がどの程度までいくかという問題とも関連いたしますけれども、管理通貨体制の方向に向かって進み得るというふうに私たちは思っておりますし、また強く期待もしておるわけでございます。
○田中(榮)委員 昨年の三月十六、十七日のワシントンの七カ国会議の内容につきまして、われわれはその内容は全然知らないのです。公表されておりませんので、ほとんど私は存じません。ただ人から聞いた話によって判断する以外にないと思うのでありますけれども、これによりますと、米国の国際収支について、現在米国は金の保有量が百億ドルを割っておるという話ですね。昨年の三月ごろ百十四億ドルで、海外の短期米ドルが三百五十億ドルということで、米ドルが非常に危機に瀕しておるわけですね。そこで、米ドルの危機ということが今回のSDRの創出の一つの原因にもなったのじゃないかということもいわれておるくらいなんです。そこで、米国の国際収支に対して、七カ国のコミュニケの中には、相当強い警告みたいなものが出されておるわけですね。そしてその警告の中には、適切な財政金融政策で米国はドルを防衛しろということ、それから米政府は断固たる一つの財政緊縮政策をとれというようなことがうたわれておるわけなんです。それで、ジョンソン大統領の末期においてはそれが相当取り上げられておった。それから新ニクソン大統領におきましても、どうしてもこの米国の国際収支を改善するということが、新ニクソン政権としては重要な問題なんだ。そこで、どこに響いてくるかといいますと、結局アメリカに対する輸入を抑制するということで、課徴金制度にこれが響くのではないかという心配が非常に出てくる。たとえばきょうの新聞によりますと、富士・八幡の合併によって米国の製鉄業者は非常に脅威を感じておる。第二の生産量を持った日本の製鉄会社がやがて怒濤のごとくアメリカに来るんじゃないか。そこで、かねがね問題になっておった鉄の輸入の数量制限法案を通そうじゃないかというような空気がアメリカに動いておる。これも、昨年の三月十六、十七日のいわゆる七カ国会議のコミュニケによってアメリカが相当強くびしっとやられた。その影響が輸入課徴金に来、それから数量抑止法案の提出ということにもやがてくるんじゃないか、こういうふうにわれわれは心配をしておるわけなんですね。 そこで、SDRにちょっと関係がないかもしれませんけれども、大蔵御当局として、やはりSDRをどんどん進めていくという上において、どうしてもアメリカに対する国際通貨基金のにらみをきかすためには、アメリカの国際収支改善を相当ぎゅっと締めていかなければならぬ。財政も締めていかなければならぬ。そうすれば、いま言ったような貿易上のいろいろな制限も出てくるという心配もあるのですが、そういう点について大蔵省としてどういうようにお見通しになっておりますか。もしできるならばそれをちょっと聞かしてもらいたい。
○村井政府委員 私たち、三月の、いわゆるゴールドプールを廃止して二重価格制をとりましたあのコミュニケにもございますように、二重価格制というものは、元来一物一価の法則に反しておるものでございますから、よほどの国際協力がないとこの制度は維持できない。しかし、ほかにいい方法もないし、これしかないということで踏み切ったのがこの二重価格制度であるわけでございますが、そういった意味におきまして、このうらはらをなす、つまり二重価格制度というものが今後続いていくためには、相変わらずアメリカの国際収支が赤字あるいはアメリカがインフレを続けるということは許されないということが、ちゃんと前提になっての議論でありますし、そういう前提のもとに、各国がそれじゃ二重価格制というものを維持するように協力しましょう、こういうふうになったわけでありますし、さらにその二月前の一月には、いわゆる国際収支対策といいまして、ジョンソンが三十億ドル国際収支の改善という目標を打ち出しておるわけでございますが、そういった国際収支改善ということは、内外からの要望になっておったわけでございますが、そこでやっと六月に増税案というものが日の目を見たということは先生も御承知のとおりでございますが、その以後の足取りを見てみますと、なかなか思ったようなインフレ収束というものが行なわれていない。これは現実の昨年の姿であったかと思いますが、しかしながら、そうかといって、この国際収支の努力にかかわらず、なかなか改善してこない、そういう事態を力をもってと申しますか、輸入制限をやるとかいうようなこと、あるいはそれほどでないにいたしましても、国境税、BTAでございますが、そういったものを駆使して収支改善をはかる、これは、何と申しましても本道からはずれておるということも十分承知しておるのではないか。と申しますのは、増税案を通しましたあとも、かなり財政の削減、御承知のとおり五十億ドルの財政の削減をいたしましたし、あれからの金融面でのアメリカの引き締めというものはかなりなものでございまして、高金利がずっと続いておる。量的な引き締めもかなり思い切ってやっておるという事態でございまして、なるべくならそういう力を持った輸入サイドの制限ということはできればやめたいという気持ちは、わりあいあらわれておるというふうに私たちは見ておるわけでございます。新政権になりましてからの動きも、やはりその動きを受け継いでおるのみならず、さらに、やはりできれば、対外投資とかいうようなものを抑制しておったああいう旧政権下の、つまり、水ぎわでいろいろ措置する、国際収支の改善を水ぎわでシャットアウトするというようなことではなくて、むしろ本格的なインフレ抑制と総需要の引き締めという態勢でもって国際収支の改善をはかりたいということは、旧政権にも増してより多く、より強くあらわれておると思います。そのときに、このSDRの問題が出てくるわけでございますが、SDRが、そうかといって、国際収支の改善努力をなおざりにして、その穴埋めをするということであっては、これはたまらない。これは日本のみならず、EECでも、これはおかしいじゃないか、そういうことじゃなくして、アメリカというものは、ほんとうに自分の国のインフレあるいは国際収支を改善する経済節度というものをどの程度発揮するのだ、なるほど増税案はわかったけれども、これでなかなかよくなっていないとすると、もっと早く国際収支を改善するための経済運営の節度というものをどこで働かすのだというふうに言っておりますし、私たちはEECにも増して、その方向で機会あるごとにそういう主張をアメリカに対してもしておるわけでございます。 ところで、そうなってまいりましたときに、いよいよSDR協定が成立する。今度はその発動をするという段取りになるわけでございますが、そこで一呼吸実はございまして、発動するには、このアメリカの国際収支——協定上は国際収支の改善というふうになっておりますけれども、アメリカの国際収支というものは、一体改善の方向に向かうのか、向かわないのか。何もすぐ黒字を出せというわけではありません。現にそういう意味でございましたら、昨年少しではありましたが、黒字を出しておるわけでございますが、基本的に国際収支の改善が行なわれているかどうかということを、みんなが集まりまして、そこで議論をいたしまして、これはなるほどアメリカの国際収支の改善、経済運営の節度というものが達成されている、あるいは遂行されているという認識が得られましたならば、そこで八〇%の要件を満たしておれば、この発動が行なわれるという段取りになるわけでございますので、私たちは、SDRはそういう経済運営の節度というものを前提としながらやるのであるけれども、そうかといって、ただ表づらだけの国際収支改善、それをいわんや輸入制限とかそういったものに訴えるという態度は、これは厳重に排斥しながら、そのSDRを扱っていきたい、こう思うわけでございます。
○田中(榮)委員 もう一点お伺いしたい。 大蔵省から昨年の十二月にいただいた書類です。これはあなたのほうでいただいた書類を拝見したのですが、率直に言ってください。こういうことが書いてある。「さらに、各国の手続きが進行して、特別引出権の創出に際しても、万一わが国の国内手続きが完了していない場合には、わが国としてはその第一回の配分を受けられないこととなり、その分については、対外準備を増強する機会を永久に失することとなる。」こう書いてあるのですけれども、この意味を説明してくれませんか。
○村井政府委員 簡単にお答えいたします。 御質問の意味は、発動のときに私たちがまだ批准をしていないという事態になりますと、配分を受けられないわけでございます。第一回の配分が、かりに何千万ドルか存じませんが、その分は受けられない。日本が批准して参加の意思を表明して初めて受けられる。したがって、一年目をあれしますと、二年目から始まりまして、一年目の分はもう永久にもらえない、そういう意味でございます。
○田中(榮)委員 まだまだ聞きたいことがたくさんありますけれども、だいぶ時間もたったようでありますから、私の質問はこれで終わりたいと存じますが、なお、本件につきましては、大蔵省側におかれましても、ひとつ参加いたしましたならば、十二分に日本の国益を代表されまして、先ほど私は愛知外務大臣にも要望いたしておきましたが、将来、日本のこのような経済の発展に即応いたしまして——やはり現在の七億幾らの出資では少し小さ過ぎるのではないかという気がするのです。あれでは三・四%の配分しか受けられない。世界第七位ですよ。それでは実際問題として低開発国に対しても応分の協力ができない状況だ。だから、もう少しこれは将来の適当な機会に——先ほど務外大臣は、昨年の会議においてもわが国の代表がその点について発言をしたという話でございますから、こういう点につきましては十二分に考慮されて、将来出資増額の努力をされんことを切望いたします。 終わります。
○北澤委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、来たる三月五日午前十時から理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十八分散会 ————◇—————