科学技術振興対策特別委員会 第22号
- 発言数
- 68 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1969/07/24
会議録
○石田委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 本日は、情報科学技術に関する問題調査のため、日本電子工業振興協会専務理事齋藤有君、エレクトロニクス協議会副会長林一郎君及び日本科学技術情報センター理事長濱田成徳君に参考人として御出席を願っております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用のところ、本委員会に御出席を賜わりまして、どうもありがとうございました。どうか、それぞれの立場から、忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いをいたします。 なお、参考人の御意見の開陳は、お一人十分ないし十五分程度にお願いすることとし、後刻委員からの質疑の際、十分お答えくださるようお願いを申し上げておきます。 それでは、最初に齋藤参考人にお願いをいたします。
○齋藤参考人 電子工業振興協会の齋藤でございますが、私は、メーカーが一緒になって日本の電子計算機産業の安定的な発展をはかるというような仕事に関係しているものでございます。したがって、以下申し上げることも、電子計算機産業というようなことが中心になろうかと思いますので、この点をあらかじめ御了承をお願い申し上げたいと存じます。 最近、情報化社会というようなことがよくいわれるようになりましたが、私は学究の徒でもございませんので、情報化社会とはいかなるものかというようなことを申し上げる立場でもございませんが常識的にいって、情報というものがこの社会において欠くべからざる重要性を帯びてきておる。従来の物とかエネルギーと並んで、社会のいろいろな機能を発揮するための重要な一要素になりつつある。その量も画期的に増加し、その価値も非常に大きくなりつつある。そういうことに対処して、情報化社会においては、必要な情報がだれにでもいつでもどこでも望ましい形で提供を受けられるというような形になることが、情報化社会の理想じゃないかというふうに私どもは考えておるわけであります。 それで、そのような社会が発展するための前提として、コンピューターというものと通信というものが融合して一体的にその機能を十分発揮するというようなことが必要条件になろうかと思われるのであります。わが国のコンピューター産業は、おかげさまによりまして、わりあい急速な成長を見ておるわけでありますが、コンピューター産業というものの特質上、また多くの問題点をかかえておることも事実と思われるのであります。 そのコンピューター産業の特質というようなことを簡単にかいつまんで申しますと、第一は、世界の七割以上のシェアを占めるアメリカの巨大企業というものがありまして、ワールドポリシーで世界じゆうに多くの工場、研究所を持って、そういう巨大企業の影響が直ちにわが国のコンピューター産業にも非常に甚大な影響を与えるというようなことが一つの特徴かと思われます。 それから第二は、技術革新のテンポが非常に速くて、コンピューターが実用になりましてからまだ十数年しかたっておりませんが、その間における技術革新の速さというものは他に比類ないようなテンポで成長、技術の発展を見ておるわけであります。現在は第三世代というようにいわれておりますけれども、近くいろいろ第四世代というようなものがあらわれるだろうというようなことは一致した見方になっておるわけであります。そのようにコンピューター産業の特徴の第二として、技術革新のテンポが非常に速い。これからどういうものが、いつどういうコンピューターが出てくるかというようなことは、全く予測しがたいような発展を来たしつつあるわけであります。 それからその次は、ソフトウエアというものが——コンピューターは機械だけでは動かないので、その機械を動かすためにはいわゆるプログラムというような、ソフトウエアというものが非常に重要な意味を持ってきております。それでそのようなソフトウエアが全体に占める——コンピューターシステムにおけるコストの中で占める比率も非常に大きくなっておりまして、最初は数%にすぎなかったものが、現在では全体のシステムのコストの大体五〇%ぐらいを占めておる。いずれ二、三年のうちには八〇%以上になるのじゃないかというようなぐあいで、ソフトウエアというものが非常に重要な意味を持つというのが、やはりコンピューター産業の一つの特徴かと思われます。 それからもう一つの大きな特徴として申し上げたいのは、IBM社が初めてやりました、コンピューターはレンタル制度というものをとっておるわけであります。つまり普通の商品ですと、いろいろな機械を需要者に売り渡して、そこで一応現金の取引が済んで、あとはいろいろメンテナンスとかアフターサービスとか、そういう責任はありますけれども、一応授受の時点で責任の所在がメーカーからユーザーのほうに移るわけでございますし、その買い取りの資金というものはその機械を使うユーザーが調達して買い取るわけであります。コンピューターの場合は、そのレンタルシステムというのは、結局メーカーがユーザーに賃貸しをする。つまり物を、普通のコンピューターという機械を売るのじゃなくて、サービスを売るというような形になっておりまして、機械なり、ソフトウエアを含んだそういうコンピューターシステムというものを賃貸しをしておる。IBMがそういう制度をとっておる以上、どうしてもコンピューターメーカーは、対抗上そういうレンタル制度をとらざるを得ない。そのためにその資金の負担というものは、売り渡す代金をいただくということじゃなしに、サービスの料金はいただくわけでございますけれども、コンピューターの投資に必要な資金は全部メーカーが負担しなければならぬというようなのが、レンタル制度の特徴になっておるわけであります。 そのようなコンピューターというものの特徴から、いろいろな問題点をかかえておりまして、いまの資金の問題等は非常に急迫した問題になっておりますが、本日のこの科学技術対策特別委員会で特にお願い申し上げたいことは、この技術革新のテンポの速さにいかにこれから対処していくかということでございます。 いまの第三世代というものは御承知のとおりIC、インチプレーテッド・サーキットを使うというようなことで、そのほかいろいろシステム・コンセプトの考え方、たとえばファミリーシリーズというようなことで、小さいところから大きいコンピューターまで一つの共通的な設計概念で設計し製作されておる、ソフトウエア等もみな共通に使えるというようなこととか、いろいろな特徴があるわけでございますが、今後進む方向としては、そういうICというものがもっと集積度が高度化した、いわゆるラージスケーリングインテグレーションというようなことで、非常に多くの部品を小さなところに集積した、ICのもっと進んだものが使われるというふうに一般にいわれております。そこで、機械そのものも回路に余裕ができるために、たとえばいままでソフトウエアの占める比率を、なるべく機械のほうでそういう役割りを負担するというような、ハードウエアとソフトウエアの調和をうまくはかっていかなければならぬ。あるいはコンピューターは人工頭脳というふうにいわれておりますが、人間ならばけがをしてもすぐ自分の力で回復するわけでございますが、いまのコンピューターはそういう状態にはなっておりませんが、だんだん人工頭脳というものに近づいてきて、故障が起こっても自分で回復する、あるいはいわゆるセルフラーニングと申しますか、自分で学習していくような機械の方向に進んでいくというようなぐあいに、だんだん人間の頭脳と同じような性質を持つような方向にコンピューター技術というものは進んでいく、というふうに考えられておるわけであります。 それに対処して、日本のコンピューター産業がどういうような技術開発に取り組んでいくべきか、というようなことがいろいろ問題にされるわけでございますが、現在通産省で大型プロジェクトといわれておるのは、御承知のとおり、約百億近くの資金で約五年計画で、一九七〇年代の初頭における世界一流の大きなコンピューターを目標にして、いろいろ開発を進めておるわけでありますが、もうそのころには、それが世界一流であるかということも、現在すでにいろいろ疑問を持つわけでありまして、将来の発展に備えるためには、コンピューターの回りを取り巻く基礎的な情報科学とかあるいはバイオニクスとか、そういう関連するいろいろな基礎科学の振興をはかることが非常に重要な問題と考えられるわけであります。ハードウエアの面につきましても、もちろんいろいろな問題がたくさんございますが、ハードウエアをつくることは、日本の電子工業では比較的得意とする部門でございまして、問題はむしろソフトウエアの部門にあるというふうに考えられるわけであります。 〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕 コンピューターを使うためには、最近よくいわれているシステムというような問題が非常に重要な意味を持ってまいりまして、そういうシステム開発とどう取り組んでいくかというようなこと、それに関連して、ソフトウエアというものを基礎的にどういうふうに開発していくかというような問題、これらは将来非常に重要な問題になってくると思います。日本ではソフトウエア人口というものはまだ非常に少のうございます。ソフトウエアというのは頭脳の所産でございますので、ソフトウエア人口の量と質がどうしてもものをいうわけであります。それにどう対処していくかということも、科学技術という意味で、非常に重要な問題と考えておるわけであります。 実は、日本の将来のコンピューター産業を考える上において、ヨーロッパの事情を調査したいということで、先月から約一カ月調査団をヨーロッパに派遣いたしまして、私もそれに参加して、先週帰ってまいったのでありますが、ヨーロッパは伊、英、仏、独とも、いずれも比較的早くこれを自由化しましたために、現在コンピューターの部門におきましては米国資本が進出しまして、マーケットシェアも大部分米国資本が握っておるというような状況に、各国ともなっておるわけであります。そういう事態におきまして、英、仏、独とも政府において自国のコンピューター産業の育成に強力な措置を進めておるわけであります。そのような視察の内容、効果というものを——実態を調べたいということで、ヨーロッパに調査に参ったのでございますが、各国とも、システムとかソフトウエアとか、そういうものを中心にして開発する国立の研究所をつくって、強力に進めているということを、非常に印象的に感じたわけであります。そういうシステム開発とかソフトウエア開発に日本が今後どう取り組んでいくかということば、将来の情報化社会に対する一つの大きな問題点じゃないかというふうに考えております。 以上、簡単でございますが、これで終わります。
○小宮山委員長代理 次に林参考人にお願いいたします。
○林参考人 エレクトロニクス協議会の林でございます。 私は、ソフトウエア産業の現在と将来というようなことを話しするようにという御連絡でございましたが、ただいま齋藤さんからのお話で、この問題にちょっと触れておりますが、それ以外のことについて思いついたことを申し上げてみたいと思います。 ソフトウエア産業というものは、まだ生まれたばかりと申しますか、実際の産業体系にはまだ育ち上がっていないという現状だと思うのでありますけれども、これをいかように懸命に育て上げるかということが、国の力に非常に関係するであろうということを信じておるものでございます。現在のところ、日本では、日本ソフトウエア会社というものがあり、そのほかソフトウエア会社と称すべきものが数社ございます。そのほか、いわゆる計算センターと申しまして、一般の会社から計算を受託してやっておるという、そういうところもございますが、今後やはりある程度のソフトウエア会社的な性格をもってやるということも、そろそろ行なわれることになっております。アメリカでは、現在ソフトウエア産業としてどのぐらいの仕事量があるかといいますと、見方はいろいろありますけれども、大体二兆円ぐらいの産業に発展していると思います。そういった範囲で日本をながめた場合に、日本は大体三十億円ぐらいであろうというような感じがするわけでございます。 ソフトウエアというのは、当初は電子計算機をつくる、ハードウエアをつくるメーカーさんがおやりになって、電子計算機のユーザー、利用者に提供しておったのでございますが、その後ユーザー自身が、自分で自分の会社の仕事に最も適するような応用プログラムを書きまして、それで電子計算機を有効に使うということになってまいりましたが、どんどん電子計算機が普及するにつれまして、とてもソフトウエアが間に合わない。これはアプリケーション・プログラムといいますけれども、各電子計算機を利用している方々が要望するようなプログラムを書くという、そういう手がなくなりまして、それでメーカー自身も、町のソフトウエア会社に一部ソフトウエアを発注するということになり、それからユーザー自身も、自分だけではできないので、外部に出すということがだんだんと行なわれるようになっておるわけであります。ソフトウエア産業と申しますと、そういうメーカーさんのやっている内容もソフトウエアであり、ユーザーさんがやっている内容もソフトウエアであり、そしてまた、そういうソフトウエアだけを受注して専業としている会社もソフトウエア会社でありまして、これら三者を合計しますと、ただいま齋藤さんからお話しのように、電子計算機を量の上から見ますと、ハードウエアが五〇%、ソフトウエアが五〇%と、次第にこの率がソフトウエアのほうに大きくなるということを考えておるわけでございます。 最近、私もアメリカへ参りまして、ソフトウエア関係の会社を回って感じましたことは、電子計算機の利用度が上がるごとに、ソフトウエアの費用が非常にかかります。会社が発展しますと、それだけ仕事の量もふえるわけでありますけれども、ここ数年間の傾向を見ますと、ハードウエアが非常に安くなってきたにもかかわらず、電子計算機を利用している側からいいますと、年間の支出は収入とともにふえる。要するに、ほとんど一定した額になってきているということが統計上出てまいったわけであります。これは一面非常にいいことでありまして、ソフトウエアの発展によりまして、会社はどんどんそれを利用するということ、また、そういう情報処理に金をかけることが会社の経営にプラスになるということから出た傾向だと思われるのであります。しかしながら現在の状態でいいかといいますと、これもまだ非常に不満な状態でございまして、SEIRという、最近CDCという会社に合併されましたソフトウエア会社があります。そこで最近の調査の結果を聞いたところが、大体二百四十社調べたところ、八五%の社長さんは、電子計算機について、自分のところはこれだけの支出をしているが、損になっておると思う、それだけの価値が十分に発揮されていないと思うというのであります。これは専門家から見ますと、これは社長さんが悪い、また電子計算機について十分なソフトウエアの研究ができていないということから出た結果であって、電子計算機の罪じゃないということであります。おしなべまして、そういった八五%がまだ不満な状態にある。これによる損失もかなり大きな数字になっておりますが、二〇%は非常にこれはけっこうだという見方が出ております。これは石油産業とか化学産業、それからまた最近は飛行機会社を含めた輸送会社、これが非常に活用しておるのでありまして、これによる利得はばく大なものになっておるのでありまして、損失を補って非常に余りがあるわけであります。 こういうことでございまして、ソフトウエアというものはどこまでいったら大体これでいいということになるかと申しますと、これは永久にならない。なぜなれば、現在このソフトウエア産業でやっておる内容を見ますと、すでに書かれたソフトウエアというものをみんなもう一ぺん書き直しておるのじゃないのです。しょっちゅう使うものについては、ソフトウエアパッケージといいまして、すでに既成品として買えるわけです。将来のソフトウエアは、常にいままでやっていないようなことを開拓していくことでありまして、非常に頭脳が要るわけであります。頭脳産業といわれるゆえんであります。そういうことで計算機の利用はまだまだこれから広がりますので、ソフトウエアの機械化、生産の機械化があると同時に、もっともつとこれは伸びていくだろうというように考えられるのであります。 さて、日本の状態でございますけれども、最近私どもこの問題だけについて考えますと、ソフトウエア産業というものは日本に最も適した産業の一つであるということを、確信を持って言えるのであります。なぜなれば、これは頭脳産業でありまして、頭脳さえあれば、鉛筆と紙で書き上げるということでありますし、最近IBMはじめその他の会社でやっているソフトウエアの作業と日本でやっている作業とを比較して、日本は非常に能率がいいということがわかっておるのであります。それで不幸なことには、非常にいま給与が安いものですから、日本でつくり上げたソフトウエアというものは輸出力が非常に大きい。これが現実であります。最近アメリカのソフトウエア会社の大きいところ、これはコンサルタント会社ともいえると思いますが、そういうところが、日本と提携して大いにソフトウエアについて貢献しようなどといっておるわけでありますが、先月も、マッケンゼーというアメリカのソフトウエア会社に参りましたところ、もうすでに日本に進出すべく準備中であります。六カ月以内に参りますからよろしく、という話であったのでありますが、これはもうすでにサンフランシスコにおる日本人を使いまして、日本のマーケッティングを調べておる、将来についていろいろ考えておるということでございます。しかしいずれにしましても、ソフトウエアは頭脳によって形成されますので、日本人の頭脳の優秀なのをそこに入れなければ何も仕事ができません。そこで二十八歳、大学を出た者、そして実業に三年経験のある者、そして外国人である場合には英語ができる者という仕様書を新聞広告するということでありまして、そういうふうにして、いい頭脳を大いに吸収して回ろうという体制でありまして、日本でも、そういう会社にそういう頭脳を吸収させるのではなくて、日本で、自分でそういう頭脳を結集して外国に向けていくということはぜひとも必要じゃないかと思うのでありますが、これはやればできることである。あまり金はかからない。それにつけましても、大学、高校、中学校をはじめとして、教育の問題が第一であり、それからそれだけではまだ間に合いませんので、特殊なことをやらなければならない。各種学校について、そういう養成機関についてどうするかという問題があるわけでございます。 それからまた、私ども常々念願しておりますのは、まだ日本では、アメリカと違って、少しも国がこういう産業に投資しておらないのでありまして、アメリカのように国防を中心として栄えたこの産業と対抗するためには、やはり今日政府の力が非常に大きいと思うのであります。これについて民間ではできにくいいろんなことがあるわけでありますが、ソフトウエアを中心とした情報処理技術の研究所をぜひひとつ実現させていただきたいというような感じがするのです。こういうものが一つありますと、非常に助かるわけであります。コマーシャルベースでは初めからなかなかそういう研究機関はできない。しかしこういうことに数百億をかけるということは決してむだではない。そしてまた、アメリカその他に対抗する上に非常に有用だと考えるのであります。 いろいろとあると思いますが、その一つだけ申し上げまして、話を終わりたいと思います。
○小宮山委員長代理 ありがとうございました。 次に、濱田参考人にお願いいたします。
○濱田参考人 私は、日本科学技術情報センターの理事長濱田でございます。 本日は、衆議院科学技術振興対策特別委員会のお招きによりまして、情報科学技術あるいは科学技術青報というものにつきましてお話を申し上げる機会をお与えくださいましたことを、まことに光栄に存ずるものであります。 最近の日本におきまして、情報科学あるいは情報産業とか情報革新とかというふうに、情報、情報ということばが街頭にあふれておりますけれども、これは何によってかように相なったかと申しますのに、ただいま前のお二人がお話しになりました電子計算機産業の発展に関係のあることばでありまして、いわば日本でいうところの情報革新とか情報産業というのは、言いかえれば電子計算機産業ということばの別名といってもいいくらいのものであります。事ほどさように、電子計算機というものは重要なものであろうと私は考えております。二十世紀の発明の中でも、電子計算機ほど重要な、社会的に意義の深い発明はおそらくなかったろうと思うくらいに、電子計算機というものは非常に重要であります。先ほどお二人の話にありましたように、電子計算機というものは、人間のなす腕力以外のことはたいがいのことはやることができるという、人工頭脳というふうなことばであらわされるものでありまして、この発達のいかんは国運の消長に直接関係があるということは自明であります。 しかるに、今日まで日本のやり方を見ていますと、生産においてもあるいは研究の開発においても、あるいはただいまお話がありましたソフトウエアの開発においても、いろいろやっておられますけれども、まだまだやり方が徹底しておらぬ。これをこのままの推移にまかせますと、ゆゆしいことに相なるおそれがあるということを私は心配している一人でございます。本日、委員長からの御依頼によりますと、私のお話の題目は、情報科学技術に関する問題というのでありますが、私は日本科学技術情報センターという科学技術情報の現業を担当しておる者であります。この科学技術情報、情報科学技術と若干まぎらわしいことばでありますけれども、いずれも大事なものでありますから、両方にまたがって簡単にお話し申し上げたいと思います。 この情報科学技術というのは、簡単に申しますと、電子計算機あるいはソフトウエア等に関する基礎的な研究、学問の開発をやることを意味するのだと思います。この面において私は、日本はもっともっと徹底的な施策を実施するようにしなければ相ならぬと思います。と申しますのは、情報というものは、御承知のように、すべての社会の機構、あるいは機械であっても道具であっても、あるいは動物の場合には、人間でも他のその他の動物であっても、すべての存在物にとって、エネルギーと質量と情報といわれるくらいになくてはならないものでありますがゆえに、その情報というものは一体何かということについての徹底的な解明をする必要があるのでございまして、それにつきまして、基礎的な科学あるいは技術の開発について、政府はもっともっと力を入れるように指導をする必要があろうということを、私は絶えず申しております。たとえば簡単なことですけれども、物が見えるというのはどういうわけかとか、音が聞こえるのはどういう機構によって聞こえるのかとか、それから情報というものは一体何か。電気の信号も情報になりますし、その他音でも何でもそうですけれども、情報とは一体どういうものか。その伝わり方は一体どういう方法によって伝わるのか、その他いろいろございます。そういう情報そのものについての科学技術の研究を徹底的にやる必要がある。そうでありませんと、今日私どもが使っております電子計算機の将来、将来の電子計算機は、そういう新しい根本的な研究から出立するものでなければならないのでありまして、そういう意味で十年、十五年後に対処するために、電子計算機の開発の基礎研究として、この情報科学技術の研究は非常に大事だと思います。これは一方において電子工学の重要な課題でもありまして、電子工学の中でも、特に情報についての基礎的技術の開発という方面でございまして、その方面に科学技術庁は最近特段の力をお入れになるように、庁の方針をおきめになりました。非常に意を強うしておりますけれども、かような方面が将来の日本の一番大事な方面であると思います。それが、情報科学技術に関する問題点の一つでございまして、この点を特に私は強調したいと思う次第であります。 さて、次に科学技術情報の問題でありますけれども、この科学技術情報というのは、ただいま申し上げました情報産業とは全然別個に、すでに戦前から、あるいはもっとよほど前から存在していた面でありまして、御承知のように、戦後各国が科学技術の振興を国策として強力に推進してまいりましたために、その研究の成果は論文や報告となって非常にばく大な量に達し、どの国もそれぞれの自分の国における科学技術の情報の処理に手をやいているような状態であります。日本はむろん、最も顕著な国はアメリカでありまして、アメリカは、御承知のように戦後非常な勢いで科学技術の振興に力を尽くしました。具体的に申しますと、私の計算では、戦後今日までアメリカは三百兆円に達するようなばく大な研究費を投入しました。そのために、原子力、宇宙開発といういわゆる巨大科学ばかりではなく、ありとあらゆる方面の科学技術の開発が進みまして、それによって生産される論文の数はばく大なもので、とうてい個人の力あるいは産業界の会社あるいはその他の団体では処理できない。これはこの情報処理をやるところの専門の機構をつくってやらなければならないということを考えるのは当然であります。すでにアメリカにはアメリカ化学会というのがありまして、それがケミカルアブストラクトというのをやっております。あるいは国立医学図書館というのがありまして、これがMEDLARSシステムというものを戦前からやっております。その他たくさんそういうふうな科学技術を専門に取り扱う産業が勃興しておりまして、この傾向はアメリカばかりでなく、さらに世界じゅうの傾向であります。また一方において、ソ連のような政体を異にする国においても、自分の国に適した情報活動の方法を開発しております。 そういうわけで、電子計算機とは別途に発達した、科学技術振興の成果の整理に関連した重要な仕事でありまして、各国とも非常に力を入れておりまして、たまたま電子計算機の応用が開発されてまいりまして、電子計算機を使うことが科学技術情報処理の最大また最適の武器であることが明らかになりました。各国の科学技術情報産業ですね、その事業は、国内のための事業であるばかりでなく、これを拡張しまして、国際的な仕事にまでこれを発展さすという傾向になってまいりました。自分の国の仕事に電子計算機を使って情報処理をやるばかりでなく、それを外国にも及ぼして世界じゅうの情報を集め、またその処理した結果を世界じゆうに配ろうという、そういう意味の国際的な事実として発展する必然性を持ってまいりました。これは電子計算機のおかげであります。そういう意味で、今日では科学技術情報というものは、科学技術振興に関連してきわめて大事なその国の仕事であるばかりでなく、これは国際的にも関連を持った複雑な事業として発展しつつあるのが現状であると申していいと思うのであります。 日本科学技術情報センターと申しますのは、御承知のように、科学技術庁がいまから十三年ほど前にできました。その翌年、第一着手としてつくられた特殊法人であります。日本の科学技術振興のために、日本の産業界と学界の発展のために貢献するようにつくられた特殊法人であります。今日では国内、国外の科学技術の雑誌等七千種類を集めまして、それらから一年間に約四十万種の抄録をつくって、関係者に配付することをやっております。今日まで創立以来十二年たちますが、その間において、日本の科学技術の振興に若干、と言うといささか語弊があるかもしれませんが、貢献をしてまいったというふうに私は確信を持っております。しかしただいま申しますように、科学技術の情報というものは年々歳々洪水のごとく増加する傾向にあります。今日のこの科学技術情報センターのやり方では、とうていこれは足りない。なおこの情報センターの活動の一つの面といたしまして、電子計算機を情報処理に使うことの研究開発を始めまして、このことが一応成功に近づきつつございます。それは先ほど申しました年間四十万種の抄録を普通の方法で編さんし、印刷し、そして配るという本屋のような仕事をやっているのでありますけれども、これを電子計算機によって編集し、印刷し、さらに情報検索が行なえるようにこれを配慮し、それから索引が直ちにつくれるようにこれをするというふうな、そういういろいろな仕事を最も合理的に、科学的に行なえるようにいま準備を進めつつありまするので、遠からざるうちに、科学技術情報の機械検索が、日本においても漢字を使った日本語において可能になるというふうに私は考えております。このことは世界各国でも、いわば日本の勉強のやり方に感心し、注目しているという事実がございます。 そういう次第でございまして、この科学技術情報センターは、今日科学技術情報活動を、日本のために、先ほど申し述べました規模においてやっておりますけれども、とうてい今日の状態では不足である。もっともっとやる仕事がどっさりあるのであります。たとえば、先ほど来申しますところの情報に関する科学技術の研究をやらなければならない。その科学技術と申しましても、先ほど申しましたところの基礎的な研究もやりたいのですけれども、もう少し、実際的な日常の技術の開発で、やるべきものがたくさん残っております。そういう実際的な情報技術の開発を、この情報センターはやる必要がある。 それから、いま最も不足いたしておりますのは青報に関する科学者、技術者の数でありまして、これらを養成することも、このセンターの任務であります。そのほか、かような日本の科学技術情報についてのやるべき仕事というのは枚挙にいとまがないという状態でありまして、私は最近、OECDの会議に招かれまして、この科学情報政策の議論をいたす会議に列席することがあるのであります。OECD諸国は、科学政策からさらに進みまして、科学情報政策が非常に大事だということに着目し、今日、科学政策よりもむしろ科学情報政策に当分重点を置いて事を処する情勢に追られているというふうな認識を持っておると思います。 なぜそういうふうになったかと申しますと、世界各国は、科学技術政策の遂行に戦後二十年間非常に力を尽くし、その結果たくさんの成果があがった。しかしそのやり方についてはいろいろな問題があろう。これについての分析やあるいは評価をする材料は、科学情報の処理によってのみ可能である、これによって、今後の科学政策の遂行、推進に大きな手がかりを与えるものがこの科学情報の処理である、そういう考えであります。同時に、ソ連のような国のやり方と自由主義諸国との科学政策の相違についての再検討というような問題も関連しておりまして、この科学青報政策の検討というものは、きわめて重大であるということであります。 さて、いろいろ申し上げたいことがどっさりありますけれども、時間がありませんので、最後に一言申し上げたいことは、日本は科学技術の振興を国策としてやっておられることは明瞭でありますけれども、実効においてなかなかこれが及ばない。科学研究に対する政府の投資ははなはだ満足でないということは、皆さまもうよく御承知のとおりであります。これをどうしても、少なくともドイツ、フランス並みぐらいにしなければいけない。しかも産業界の投資もさることながら、政府がもっともっと先に立って研究投資をやって、そうして産業界をリードするという態勢をお示しになることがきわめて必要であるということを考えます。そして科学技術情報というものは、いま世間でいわれておりますところのもろもろの情報産業の中でも、とりわけ科学技術振興のための見地から非常に重要であるということについて、私は大方の注意を喚起したいということを強く考えるものでありますことをつけ加えまして、私の意見を終わります。
○小宮山委員長代理 引き続き、黒川日本電信電話公社総務理事より説明を聴取することといたします。黒川日本電信電話公社総務理事。
○黒川説明員 私ども電電公社でやっておりますところの電子計算機関係のこと、及びデータ通信の現状と計画につきまして申し上げます。 これは私どものほうの内部のことでございますが、事務の合理化、経営の合理化ということに電子計算機を使ったらいいではないかということで、もう十年以上前から始めております。私のほうに事務の近代化をはかるところのグループというものがございまして、現在その関係では、各通信局に計算機及び本社にも数台の計算機を入れまして、各種の統計あるいは科学技術計算、設計等の近代化をやっております。また電話料金の計算というようなことも当然電子計算機を使っておりますし、また私どものほうの電気通信研究所におきましては、研究のシミュレーション、あるいは先ほどお話がありましたような文献の検索等も、研究者のために電子計算機を使いまして、現在業務をいたしております。こういうような、おもにバッチ処理と申しまして、コンピューターを置きまして、そこにデータを持っていって、その結果をそこでもらうという処理のしかたから、最近は電気通信回線をコンピューターに直結しまして、そして遠方でもコンピューターに近づくことができる、あるいはセンターにコンピューターがありまして、ラインをつないで総合的にいろいろな作業をさせるといういわゆるオンライン、しかもリアルタイムの要求が徐々に出てまいりました。現在こういうことをやっておりますものは、日本ではせいぜい電子計算機の一〇%程度であろうかと思いますけれども、だんだんとその要求が量もふうてくる、しかも大型のものがふえてくるというような状態でございます。私どものほうにおきましては、そういうような場合に、一企業のような場合には、データ通信の回線を提供して、そしてコンピューターはある会社が自分でお持ちになりまして、そしてシステムを組むというようなことをやっておったわけでございますが、いろいろ考えまして、私どものほうで、電電公社自身でも、通信回線とコンピューターとを結合して生まれるデータ通信サービスの提供を計画いたしまして、昭和四十二年度より業務を開始いたしております。組織も、昭和四十四年、ことしの一月から本社の中にデータ通信本部というものを設けまして、約六百五十人の人が、いわゆる先ほどお話がありましたようなシステム設計、ソフトウエアの設計というようなことに取りかかっておるわけでございます。私ども、四十三年から始まりました第四次電信電話設備五カ年拡張計画におきましては、データ通信関係につきまして、千七百億円の建設投資を予定しておりまして、たとえば去年、前年度におきましては、百二億円、今年度におきましては二百億円の予算を認めていただいておるわけでございます。それで現在、公社がすでにもう実施しましたもの、あるいは設計中のシステムにつきまして申し上げますと、大体中身は二種類ございまして、利用者の需要を見越して公社側で計画設置する共同利用のコンピューター——いわゆる大型のコンピューターのほうが小型のコンピューターを個々に使うよりも経費が安くつく。しかも、それを遠方から通信回線を通じまして、データを入れまたは計算結果が出てくるということが非常に有利でございますので、そういう種類のもの、あるいは利用者の要望につきまして、その利用者の専用に供するデータ通信、こういう二種類のものがございます。 その第一種類の、公社が計画設置するようなデータ通信サービスにつきましては、東京、大阪、名古屋で、来年度の上期から、たとえば簡易計算と申しまして、電話器のダイヤルのかわりに押しボタンダイヤルというのを最近入れておりますが、それを使いまして、データを入れて音声で計算結果が返ってくる、あるいは少し複雑なものでありますれば、簡単な装置をつけて記録もつける。あるいは科学技術計算と申しまして、経営上必要な計算であるとか、あるいはシミュレーションであるとか、あるいは建築土木機械等の設計計算等のやや高級な科学技術計算も、東京、大阪、名古屋のセンターにコンピューターを置きまして、電話線を通して、各加入の方々がデータを入れ、その計算結果をまたプリンターでお出しするというようなサービスも、四十五年の下期から開始いたしたいと思っておるのでございます。東京、大阪で開始いたしたいと思っておる次第でございます、また、やはりコンピューターの共同利用の問題でございますが、事務計算と申しまして、在庫管理、販売管理、いわゆる大きなコンピューターを何十人の人が共同して利用して、そうしておのおの持つよりも安くサービスが利用できるということを考えておりまして、伝票の作成であるとか、問い合わせであるとか、あるいは元帳の更新であるとか、日報、月報の作成等のようなサービスも、東京、大阪で四十五年のうちに、名古屋はその後ややおくれてサービスを開始する予定でございます。このようなサービスをいま着々設計、及び先ほどお話のようなソフトウエアを作成中でございまして、これはたとえば最後に申し上げました事務計算等で申しますと、いろいろ申し込みの各企業によりまして多少の差がございますので、それに合ったソフトウエアをつくるという作業を現在いたしておるわけであります。これを先ほど申しました四次五カ年計画中、四十七年までには、できるだけ早く全国的に、こういうサービスをいたしたいと思っておる次第でございます。 一方、利用者の要望に基づいて、その利用者の専用に供するデータ通信サービスと申しますものは、もうすでに地方銀行協会の、六十何行ありますところの全国の地方銀行協会の相互の為替通信及びそれの交換というようなことを現在やっておりますし、あるいは群馬銀行の中における、一銀行の中の本店−支店、支店相互の為替通信、これも実施しておりますが、近く運輸省からの依頼によりまして、運輸省の車検登録システム、千数百万台ありますところの自動車に対しまして、自動車の登録業務、検査業務、管理業務等を、中央にコンピューターを置きまして、各陸運事務所等から、こういうデータが直ちにわかるというような業務も設計中でございます。本年度の終わりごろからこういうサービスもいたしますし、また万国博覧会の管理運営に必要な、たとえば会場運営のための入退場者に関する情報であるとか、場内の混雑を管理するための情報であるとか、あるいは駐車場の車両を誘導管理するためのコンピューターを使ってのサービスであるとか、あるいは場内の運営を円滑化するための案内、案内嬢、迷い子であるとか遺失物、伝言などの案内サービスを、このコンピューターを通じまして、サービスとして万国博協会に提供することをいま設計中でございまして、来年の三月までにはこれを完成いたしたいと思っておるわけでございます。 その他、現在設計中のものは、鳥取の農協システムの信用業務あるいは東京信用金庫の業界の銀行業務でございますが、あるいは大阪のやはり信用金庫のグループのものであるとか、あるいは銀行では近畿相互銀行、横浜銀行等々の銀行の中のいわゆる預金、貸し付け、為替業務等を、本店—支店をつなぎまして、電子計算機で、ラインを通じてデータ通信をやるというサービスも、依頼を受けまして、設計及びサービスの提供を計画いたしております。 このような業務を、先ほど申しました千七百億円の予算で実施いたす傾向でございますが、現在こういうコンピューターはほとんど——ほとんどといいますか、全部国産機でやっておるわけでございますが、たとえば同じような銀行業務につきましても、国産機で、日本のメーカーが違いますと、これがソフトウエアが全部違っておる。そのために、同じ銀行業務のために、いろいろなものを——コンピューターをかえますと、別々のソフトウエア、何倍かの手数がかかるというようなことで、非常に困りますので、私どものほうの研究所で、こういう大型のオンラインに適した、また、各メーカーと機械語まで合わせた、同じ業務であれば同じプログラムでやれるような、同じソフトウェアでやれるような、電電公社インフォーメーション・プロセシング・システム、DIPSと言っておりますが、そういうものの研究開発を研究所で目下いたしておりまして、四十七年度末ごろには、先ほど申しましたシステムあるいは今後ますます出てまいりますところの大型のシステムに対しましては、新しいDIPS、統一されましたDIPSのコンピューターで業務を提供いたしたいと思っておる次第でございます。 なおまた、私どものほうは、従来の電話の交換機というものも電子化したい、電子交換機にしたいということを研究いたしておりまして、これは近く東京の牛込の局等でサービス・インをいたしますが、これは通話回路にコンピューターをつけたようなものでございます。全く技術は同じでございまして、その余力の一部を用いまして、先ほど申しましたデータ通信サービスも、電話の交換機と一緒にやるというようなことも、いろいろ検討いたしておりますし、また、こういうオンラインのデータ通信サービスというものは、各家庭と申しますか、事務所と申しますか、そういうところにかなり複雑な機械が置かれるわけでございますが、使用時間というものはそうあるわけではございませんので、それをいかに簡単にし、ラインを含めて、作業は中央に集中するというようなことも、統合して、ラインと端末をコンピューターと統合しましたところの最も能率のいいデータ通信システムを開発すべく、いま研究所で努力をいたしておるわけでございます。 なおまた、いま発達途上でございますので、先ほど申しましたオンラインのコンピューター、DIPSだけでなく、端末の機械、あるいはデータ電送いたしますに適する高速のデータ通信のトランスミッションの問題等も、研究所で着々、御要望にこたえるべく研究を進めておるような現状でございます。 以上、簡単でございますが、電電公社の状況でございます。
○小宮山委員長代理 以上で、御意見及び説明聴取は終わりました。 —————————————
○小宮山委員長代理 質疑の申し出がありますので、これを許します。近江君。
○近江委員 時間がありませんので、参考人の方におきましては、簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。 まず、黒川さんにお聞きしたいと思いますが、この情報処理の通信回線の利用ということは、これはもう不可欠の要件になってきておるわけでありますが、その点、電電公社の独占となっておるこうした電信回線を当然開放しなければならぬわけです。これは当然だと思いますが、個々については考慮されておられるわけでありますが、そのビジョンというか、具体策ですね。この辺のところを明確にお願いしたいと思います。
○黒川説明員 ただいまの法律では、なかなかお話しの、問題があるところでございますので、ただいまの手段につきましては、郵政省とも相談しまして、郵政審議会にかけて、その答申を得てだんだん実行に移す。しかしながら、特に問題がありますのは、専用線の共同利用の問題、その範囲を、密接あるいは関連というような業務につきましては、現在の法律の中でも、解釈である程度拡大できるのではないかというようなことで、目下郵政省とも相談中でございまして、これができれば、かなりの業務はこれで共同利用をいただける、さらに、おのおののラインも、一般の方々にまた開放できる、こういう準備をいたしておりますが、これは法律の改正を要しますので、郵政審議会の答申を待って行なうというような手段にいたしております。
○近江委員 まあ、その点に関して、先ほど触れられました現行の法令ですね、それから回線の量、それから通信料金等に対してどういうようなネックがあるか。もう一歩お聞きしたいと思うのですが、どのようにすれば改善できるか、もしお考えでしたら、お聞きしておきます。
○黒川説明員 たとえば、専用線というものは、昔は、電話の専用線を使うのは——専用者に限る——これはとういうわけでそういうことになったかと考えますと、あるラインを東京——大阪なら東京——大阪で借りて、それを皆さんにお貸しして、業としてやられたのでは困る。それで、非常に密接、関連のある業務の方々に専用線をお貸しして、その間でお使いになるならけっこうである。密接、関連という範囲を、従来かなり厳格にいたしております。それをある程度広げてはどうか、これが一つの問題でございます。それから、たとえばコンピューターセンターがございまして、それに電話線といいますか、ラインをつないで、業として先ほど申しましたような計算業務みたいなものをやりたい、あるいはそのコンピューターを通じて、ある情報がAの端末からまたBのほうへ行く、そうすると、コンピューターを通じて他人の通信の媒介をする、こうなりますと、公衆電気通信法の関係で、他人の通信の媒介というのはなかなかできない。公社に独占ということになっております。そういうものをいかに法律を変えて、緩和していくか。データ通信だけについては緩和すべきであるかどうかというようなことを、これから郵政審議会の答申を得てやっていただかなければならないのじゃないか、こんなふうに思っております。
○三木(喜)委員 黒川さんに、ちょっと関連で聞きたいのですが、この前、逓信委員会で、有線放送法の改正法案の審議がありましたね。そのときに聞いたり、あるいはこの科学技術対策特別委員会でもお伺いしたいと思っておったのですが、結局は、ソフトウエアとかハードウエアとか、いろいろお話が出ておりますが、問題は、電電公社がやられる場合はどういう回線を使うかということでしょう。そのときに、いまのところは、あの回線ではとてもそれだけのデータ通信はできないだろうと思うのです。そのときには、どうしても同軸ケーブルに切りかえなければならぬ、こういうことになってきますと、当然それに対しても費用がかかる。そういうことの計画ができておるのかどうか。 それから、どうしても有線放送というようなものは、テレビの場合は、もう映像が映る映らぬということが主体ですから、そうすると、やはり地上に上げておくよりも、地下にケーブルを埋めるというようなことも必要になってくる。そうすると、非常に大きな改正をやらなければならぬ。当面私は、国際電電かあるいは電電公社、ここらがやはり実権を握ると思うのですよ、施設があるのですから。電柱にしたって、あるいは地下の回線にしたって、そういうことは可能なのですから、そういう場合にはどういうような回線を使われるのかということをひとつお聞きしたい。 それから、いまお話を聞いておると、ワンウエイ、一方通行だけのデータ通信ではいけないので、ツーウエイにせにゃいかぬ。いわゆる利用者のほうからも聞けるというような、二方交通になるわけですね。そういう場合の回線をどういうふうに考えておられるか。その辺をひとつ聞いておきたいのです。
○黒川説明員 最初のお話の、こういうデータ通信といいますか、情報処理の問題が非常にふえた場合に、現在の通信回線では足りないのではないかというお話でございますが、これはいろいろいわれておりますが、現在の電話の通信量に対しまして、情報処理の要する必要量、回線量、これが電話の量と同じくらいになるだろう、こういうことをよくいわれております。ところがこのデータ通信のパルスの通信というのは非常に能率がようございまして、大体回線数に直しますと、もし同量だとしますと一割くらいでいい。その程度でございますと、もちろん予算も少しはふえますけれども、従来のものにプラスしまして、そのくらいのものを予測してどんどんふやしていくということで、格別に従来の拡張計画を何倍にしなければいかぬということはなく、やれるのではないかと思っております。 それから第二番目の、CATVに関連のお話だと思うわけでございますが、これはまだいま参議院で御審議中だと思いますが、ああいうものに対して、電電公社であるとかあるいは電力会社も柱を持っておる、これがいかに協力すべきであるか、地下管路もできれば共用して使ったらどうであろうかというようなことも、私どもも考えておりまして、法案が通りましたら、郵政を中心といたしまして、われわれのほうも、そういう設備のサービスの要望があれば、サービスを提供したい、こんなふうに考えております。たとえば電柱の共架であるとか、あるいは地下管路は一緒に使うとか、サービスとして電電公社も提供をする、運営は有線放送会社がやる、こういう事柄も起こるかと思いますが、どういうかっこうになりますか、郵政省が中心となってお話があるのではないか、こんなふうに思っております。
○三木(喜)委員 ちょっと違うんです。私はCATVの問題を出したのは、その回線というものをデータ通信に使うのが有利じゃないか。そうすれば、いま同軸ケーブルぐらいにせなかったら、いまの回線では間に合わない、そういう関連だけ聞いておるのです。そういうことにするつもりなのかどうか、そうでなかったらだめだと私は思うのですがね。
○黒川説明員 たとえば私どものほうは、現在の電話線を用いましてテレビ電話をやろう。これは一メガくらいでございますが、現在の四メガのテレビの絵も電話線を通しまして送ることはできるわけです。CATVのあの線を通さなくてもできる。CATVの線は、これは放送のVHFの波をそのまま通しますので、同軸を引いておりますが、私ども将来電話線の中に簡単な同軸を引くこともやってみたいとは思っておりますけれども、いまそのところは、大体電話線を使って、セレクトして相当のシグナルを送れる。それからいまのお話のように、CATVというのは一方通行でございまして、私ども、両方送れるというところには電話線のほうがより有利ではないか、こんなふうに考えております。
○近江委員 それから齋藤さんと林さんにお聞きしたいと思いますが、電子計算機の輸入の自由化、それから資本自由化の時期について、いつごろがいいとお考えになっていらっしゃるか、この辺をお聞きしたいと思います。
○齋藤参考人 その問題は、実は昨年末、日米の残存輸入制限の問題でも非常に問題になった問題でございます。何としても、いまのところ国際競争力というようなことで、自由化しても十分太刀打ちできるという確信が、メーカーの間でまだ十分ではないと考えております。こういう将来のキーインダストリーとして重要な意味を持つものについては、もう少し国際競争力がつくまでは、いまの非自由化のままで進めていただきたいというのが業界の一致した要望でございます。その時期につきましては、いつの時期というようなことはちょっと申し上げにくいのでございますが、方向としてはなるべく早く自由化に対処すべきだ、何とかして力をつけて、早く自由化に対処するというようなことで、メーカーも協力すべきところは協力するというような方向で、いろいろ推し進めているわけでございます。
○林参考人 林でございます。 特に、ソフトウエア関係の先方からの進出に対して、私どもどう考えたらいいかという問題については、実はこれは非常に、一番危険性が多い。ということは、先方でソフトウエアをつくりまして、十分に一般の人が使って償却済みのパッケージを持ってくる。日本でこれからそういうものをつくり上げるのに、もう何百、何千万円もかかるという非常に苦しい立場にあるわけであります。しかも、こういった方面の人口は非常に不足であり、また日本ではこういうソフトウエアに対する価値の評価が非常に少なくて、ただでも使えるものだと思ったり、またいまかなり注文は出ておりますけれども、値切ることをもって手柄にしているようでは、これはもう先方にやられるにきまっております。ですから、できるだけ正当な価格で、政府関係をはじめとしまして、こういう方面の産業の興るような下地をつくりませんと、単に先方から来るな来るなと言ってみても、ただのものが来てしまうわけですから、そういう問題は至急に考えなければなりません。ただ、先方から来ましたものがみんなそのまま日本で使えるかというと、実際は何も使えないのです。全部やり直しをしなければならぬものが非常に多い。先方で非常にいいものをつくったといいましても、たとえばIBMの機械だけに使えるのであって、日本の機械には使えないというものが大部分でございますから、そういうことをよく考えますと、日本で大いにその辺の力をつけたならば、そういうふうにおそれることはないのじゃないかとも思いますが、いずれにしましても、そういった方面の力の充足が先決である、こういうふうに考えております。
○近江委員 濱田さんにお尋ねしますが、わが国の情報産業のスタートが非常におくれた、このことについては御承知のとおりでありますが、特に要員養成のためのこうした学校教育体制はどのように今後考えていけばいいか、また現在どれほどのおくれがあるか、この辺のところ、具体的にわかれば、そのおくれを取り戻すそうした方策、お考えがあればお聞きしたいと思うのです。それが一点。 もう一つは、情報産業振興のために、現行のもろもろのそうした法制について、今後どのように整備をしていくべきか、お考えがあればお伺いしたいと思うのです。 以上二点、お願いをいたします。
○濱田参考人 情報に関する要員の不足は、日本では深刻であると申して差しつかえないと思います。その対策は、私の考えでは各大学に情報学科あるいは情報工学科というふうな学科をつくることがまず必要であると思います。ただ、情報技術と申しますのは、いろいろな方面の科学技術に関連が深いために、普通の意味の学科として、今日の四年制の大学の中の工学部とか理学部の中に学科を置くのがいいか、これはだいぶ問題だと思います。アメリカの場合には、四年制の大学には学科を置いておりません。みな大学院に情報科学または技術専攻というふうな部門をつくりまして、それで養成をやっているようであります。私も、大学の教育において専門家を養成するために、どうしても大学に、かような学科、または大学院に研究科をつくる必要があると思いまして、関係の方とも絶えず話をしております。すでにそういう学科をつくった学校もございます。 それから、さっき申しましたように、日本科学技術情報センターと申しますものは実施機関でございまして、研究機関じゃないわけです。しかし日本の科学技術情報活動の中刻的存在であることを意識して、そうしていろいろとそういう現在の日本の欠陥を補うために、研究集会をやるとかセミナリーをやるとか、いろいろ協力して、将来できますことならば研修部というものをつくって、大学と関連をつけながら要員の養成をやりたい、そう考えております。 それから、日本の科学技術情報産業を盛んにするために最も必要なことは——科学技術振興をやるのに予算がございますね、その予算の一体どれくらいを使ったならば科学技術情報活動が可能かということが一つの目安であろうと思うのです。私の考えでは、大体のところ、科学技術研究費の予算の約一割、約一〇%を科学技術情報活動に使う、そうしてその中のまた二割くらいを情報科学技術の研究開発に使ったらいいだろうと私は考えております。でございますから、日本の場合ですと、産業界を入れまして全体の科学技術研究費が六千億円でございますから、その一〇%の六百億円、ちょっと多いかもしれませんが、それだけのお金が、科学技術をやったあとの学会の報告だとか旅費だとかいろんなことに使われる、そのまた一割か二割が純粋の研究に使われる、そういう目安を持っておやりになることが必要じゃないかと考えております。
○近江委員 最後に政府の局長、大臣にお伺いしますが、いずれにしても、現行のそうした法体制というものが非常に、連携というか、その辺のところがばらばらなように思うわけです。したがって、そうした情報産業振興のための基本法制定の意見が最近は非常に強くなっておりますが、これについてどのようにお考えであるか、これが一点です。 それから、産業構造審議会の答申を受けて、政府は情報化社会の将来像についてのそういうようなガイドポストをいつごろどのような形で提出するか、これが二つ目です。 それから、先ほどからのお話にもございましたが、政府のそういう認識というものは非常に欠けておる。この縦割り行政にとらわれない、そうしたシステム化について、将来の方針あるいは機構、要員あるいは予算の充実等について具体的にお考えであるかどうか、その辺のところ三点にわたってお聞きしたいと思います。局長、大臣、どちらでもけっこうです。
○木内国務大臣 いまお話しになりました情報産業は非常に重要だから、その基本法をどうするか、こういう第一の御質問だと思うのですが、この問題につきましては、この審議会の答申を得ました通産省に連絡をとりまして、早急にその問題について検討を加えてまいりたい、かように考えております。しかし、法律も大事ですが、その前にやはり実態を推進してまいらなければならぬと思いまするので、審議会の答申を通産大臣として得ておるようでありますので、それに基づきまして十分に協議をしてまいりたい。また科学技術庁におきましては、先ほど来濱田理事長からお話し申し上げておりますように、科学技術に関する情報処理というものは、特に十年も前からこれに当たっておりまして、しかもその中心機関として日本科学技術情報センターというものをこしらえまして、膨大な科学技術に関する資料を現に処理してきております。そういう経験もありまするので、それを生かしまして、ハードウエアの方面はもちろん、先ほど来非常に強調されておりましたソフトウエアのほうの問題につきましても、特に力を注いでまいりたい、かように考えております。 また、予算の面につきましては、目下各省庁において、また各部局において検討中でありまするので、まだ実際のところ私の手元まではあがってきておりませんけれども、この問題につきましても、今回できませんとまた一年先のことになりまするので、来年度の予算の要求につきましては、いまのいろいろ御意見を参考にしまして、また諸先生方の御意見なども十分に聞かしていただき、またその御支援のもとに、できるだけの予算の獲得をやっていきたい、かように考えております。
○近江委員 局長、大臣がお答えになった以外のことで……。
○鈴木(春)政府委員 基本につきましては、ただいま大臣からお話があったとおりでございますが、科学技術情報につきましては、先ほど大臣から申されたように、情報の流通に関する基本的な施策、これをどうしたらいいかということで諮問がございまして、科学技術会議で現在それの取りまとめ中でございます。それによりまして方針ができましたならば、それにのっとって事務的に進めていきたい、かように考えております。情報全般の問題につきましては、現在与党と政府の間でいろいろ検討中でございますが、近くまた関係の閣僚会議もできるというふうなことで、それに関する事務的な問題を煮詰めまして、どういうものを出していったらいいかということで、現在検討中でございます。
○近江委員 もうこれで終わりますが、要するに情報化産業の問題につきましては、通産省なんかがかなり熱心にやっているような印象を受けるわけです。その点最も中心にならなければならない科学技術庁が、局長の答弁を聞いておっても、何かまだばく然としておるわけです。ですから、その辺のところを通産省とももつと連携を密にして、もつと積極的にやってもらわなければ困ると思うのです。きょうは時間がありませんから、この点だけは特に要望しておきます。 以上で終わります。
○小宮山委員長代理 齋藤憲三君。
○齋藤(憲)委員 これはどなたでもけっこうなんですが、先ほどからいろいろとお話を承っておりますと、情報というもの、これは従来の情報という概念、認識と、いま言われている情報というものはかなり違いがあるんじゃないかと私は思うのです。まず第一に、情報というものに対する定義をどう考えていくのかということがはっきりしないと、一切の問題の対象にはならないのじゃないか、そう思うのでありますが、これに対してはどなたにお伺いしていいか、大臣は一体どうお考えになっているのですか。
○木内国務大臣 確かにお話のとおりでありまして、先ほど来参考人の方々からお話がありましたように、情報も、あらゆる種類の情報の問題に触れておられると思うのです。したがいまして、その情報の種類によりまして、その対処の方策はいろいろ違ってくるだろうと思うのです。そこで、私どものほうとしては、当面科学技術に関する情報の問題、これの流通の問題を情報センターのほうでやっておりますと同時に、それを扱って過去十年間もやっておりますので、それに伴って、情報技術の流通の問題、技術開発、これの研究を当然ここでやっているわけですけれども、そのようなわけで、情報の問題というのは非常に複雑多岐だと思うのです。ですから、いまここで言われているものは一般的であって、科学技術に関する情報とかそういうことだけでなく、もうあらゆる種類の情報ですね。情報というか、ニュースというか、そういう非常に広いものだから、簡単にこれを説明することはちょっと困難じゃないかと私は思っております。
○齋藤(憲)委員 これは、私はしろうとでございますから、情報ということばに対する定義いかんということは、非常にむずかしいことだ。従来われわれが考えておった情報というものは、これはものごとを知らせる、その知らせを受けるということが情報ということであった。昨今使われておる情報ということは、そういうことの意味じゃないのですね。もっと違った意味を持っている。たとえて申しますと、情報産業ということば一つをとってみても、いろいろな本を読んでみると、これに対する的確な定義というものはない。たとえばドラッカーの書いた「断絶の時代」という本の翻訳を見ても、もう今日は情報化時代であって、情報化社会の建設に直進している時代であって、科学技術の時代じゃないと書いてあるのですね。科学技術の時代じゃなければ何だといったら、知識産業の時代だと書いてある。それで、私はよくわかりませんから、これは何かうまい本がないかと思って、いろいろな本を読んでみたのですが、なかなかむずかしくてわからない。それできのうこれ一冊友人から贈られた本は、林雄二郎氏が書いた「情報化社会」「ハードな社会からソフトな社会へ」というやつですね。これを読んで見ますと、「情報とは、人間と人間との間で伝達されるいっさいの記号系列」であるというのが梅棹忠夫さんの解釈だという。「情報とは、知らせる行為であって、知識は知っているという状態であるから、一般的にはすべての情報はみな知識と呼べるのである」、フリッツ・マハループという人。「私は情報をコミュニケートする内容に限定して、人間精神の創造物と考えてみたい。それは物的生産物に対立する概念としての知的生産物である」坂本晋。「情報とは、特定の問題、状況に関して評価されたデータである」、「情報とは、あるまとまりを持った体系としての刺激であって、人間の環境適応の行動にとって、ある事象について判断を下すための材料となる刺激としてのメッセージである」、こうずっと書いてあるのです。どれをとったら一体情報という定義が当てはまるかということでございますね。これは広範多岐な分野に情報ということばを使っている。そしていろいろこれを読んでみますと、中でも社会の情報化とはコンピューターの普及が進むことであると解釈している人が、今日数の上では一番多いのではないかと思われる、と書いてあるのですね。というと、結局先ほどもお話に出ましたように、情報ということは、コンピューターの性能を人間の意識によって働かしていく世界だということになるのじゃないかと私は思うのですね。それでコンピューターというものに対して人間がどういうような考え方を持っているかというと、人間の頭悩がどんどんコンピューターに移っていく世界ですね。ハードの世界からソフトの世界。ハードというやつは、人間の細胞に近いような機能を持っているものをどんどんつくっていく。これに対して、人間が自分の頭脳を働かせるような形でもって、これをいろいろな面に応用していくというのがソフトの面だ。それはぼくは何を言っているかというと、そんなむずかしいことを私らしろうとが申し上げるわけじゃないのですが、ここでひとつ大臣にもお伺いしておきたいと思いますことは、こういうふうに、従来の感覚から脱却したいわゆる脱工業化時代というのですか、知識産業時代のほうに向かって、情報化社会というものの建設が行なわれているという、いわゆる断絶した時代というのですか、不連続性の時代というのですか、全く次元が違った社会構造の建設というものに対して、従来の行政組織でこれを割り切れるかどうかということです。一体どこに情報産業の総括的な行政責任を持っていくのか、これは一体大臣どうお考えになりますか。この広範多岐にわたる人間の頭脳を移したコンピューターを中心として、これから切り開かれる次元の高い情報化社会の建設を行政的に指導するというその責任体制というものは、いまの行政組織でこれを求めることができるかできないかということです。どうお考えになりますか。
○木内国務大臣 いまお話しのように、情報というこのことばの使い方は非常に複雑です。多岐にわたっておる問題であって、私は簡単に言い切れないと思います。したがってまた、それを含む行政面というものも非常に広範で、各省庁すべてにわたっておる。そこで、こういう問題をどこの行政官庁が主管かというようなことは、私そう急に言い切り得ない状態にあるのじゃないか、かように思っております。したがって、いまここでこの問題をどういうふうに扱われるか、どういうふうな意味で取り上げられるかということによって、これは所管庁はどこにあるかということがきまってくるのじゃないか、いまの段階では、そうではないかと思っております。
○齋藤(憲)委員 大臣、これは私もよくわからぬのですが、わからぬから御質問申し上げておるのですが、この間もその話が出まして、世界各国では、一体どこが一番情報化の新時代に対して行政的に責任を持っているだろうかという、いろいろ話し合いが出たのですが、やはり世界的に見て、科学技術庁だろう、あるいは科学技術省だろう。そういう意味においては、やはり世界的にこの行政的な責任を負い、行政的な指導をやるのは、科学技術庁じゃないかという話が出たのです。ところが、いま申し上げたいわゆる情報化社会に対する情報というものの定義からいきますと、これは一切のサイエンスというものを含まなければいかぬのですね。私から申し上げるまでもなく、経験は知識を生み、知識は経験を生んで、それの累積が結局一切のサイエンスを形成していく、それが科学である。この場合には人文科学も社会科学も自然科学も含む。そうしますと、情報産業というものの定義からいきますと、これは自然科学ということに限定するわけにはいかぬですね。やはり人文科学も社会科学も包含するというふうにならなければいかぬと思うのですが、これは一体どうですか。きょうの参考人のどなたでもけっこうですが。私は、情報科学の時代における定義の中には、一切のサイエンスというものが包含されてしまう、いままでのような自然科学を対象とした科学技術という世界をもう一歩進んだ、それはやはり人文科学、社会科学といういわゆる人間の想像力、イマジネーションというものまで入った世界というものになってくるから、青服というものの対象になる科学は、人文、社会、自然を包含した世界を自標としなければいけないんじゃないか、そういうふうにも考えられるわけですが、これはどうですか。
○濱田参考人 さっき私が申し上げましたように、日本でいう情報産業というのは、ちょっと変な意味を含んでいる、変な使い方だと私は思うことは、電子計算機産業というようなニュアンスが非常に強い。これは齋藤委員の指摘された情報という意味とだいぶ違うと私は思います。情報産業というものは、実は電子計算機産業という、そういう意識がありますよ、使う人に、あるいはそれを書く人に。しかしいまおっしゃったところの情報ということばは、おっしゃるとおり非常に広い意味を持っておるのでありまして、少なくともこの中の情報科学ということは、これは人文科学、自然科学の全部と申しませんけれども、各方面の分野もこれは包含している。たとえば数学、生物学、電子工学、電気工学、通信工学、言語学、哲学等々ですね。ともかく少なくとも自然科学の分野ではありません、あるいは分野に入れるものではありません。ですから、人文科学、自然科学それから情報科学というふうに分けるべきだと思います。また、現にアメリカのある大学では、人文科学、自然科学を入れないで、別個にインフォーメーションサイエンスというものをつくっております。 以上であります。
○齋藤(憲)委員 その問題は非常に多くの論議を呼ぶ場面だと私は思うのでありますけれども、とにかくこれはこういう本を読んでみましても、情報というものはモダンソサイエティーというものをつくる原動力だというのですね。モダンソサイエティーといったら、一切のものを含んでしまうのですね。と同時に、もっとこれを具体的に説明するということになりますと、こういうことです。「情報とは、可能性の選択指定作用をともなうことがらの知らせである」、だから、何でもかんでも人間の意思決定をする示唆というものはこれは情報だ。人間の意思を決定する何らかの知らせというものはこれは情報というものだということになってくると、自然科学だとか人文科学だとか社会科学だとかいっておられない。一切を包含してしまうということですね。またそういう世界をねらってのコンピューターなんだ。そうでしょう。読み、話し、計算、そして先ほどのお話のように、今度はあやまちを自分の頭脳によって直していくということになると、だんだんコンピューターの世界というものは人間の頭脳に近づいていく。人間の頭脳に近づけば近づくほど、その頭脳の範囲というものは自然科学に限定されない、人文科学も社会科学も包含してしまうんじゃないかと私は思う。これはまあいいですよ。私はそういう観点に立って、そういうものを行政的に指導する組織というものは、過去の行政組織ではこれはやれないんだというふうに考える。なぜかというと、たとえば科学技術庁でこれをやろうとすると、科学技術庁設置法第三条に「人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。」と書いてあります。そういうような過去の観念にとらわれたものの考え方で、新しい第四次元の世界か何か知らぬけれども、第三世界の中心となる情報化社会、情報産業というものを考えると、これは行政組織から変えていかなければならない。だからそういう意味において、これは一ぺん科学技術庁を改組する、そうしてそういうものを一切包含して、新しい時代に即応する行政指導のできる科学技術省をつくって、そうして強固な新時代に対応する組織をつくらなければ、政治というものは行なわれなくなるのじゃないか。いまのような体制では、ほんとうの政治は行なわれない。過去の政治は行なわれるけれども、新しい時代の政治は行なわれないというふうに考えられるのですが、有能達識の科学技術庁長官としてはどうお考えになりますか。
○木内国務大臣 なかなか高邁な御意見、いろいろな問題にお触れになりましたが、確かに問題の取り上げ方いかんによっては、私は科学技術庁の官制も変えたりいろいろな面について考えていかなければならぬ。まあ問題の取り上げ方だと思うのです。そこで、この問題につきましては、いま私ども考えておりませんけれども、いまのような御示唆もありましたので、そういう問題もとくとひとつ研究してみたい、大事な問題でありますので、かように思っております。
○齋藤(憲)委員 では終わりますが、長官にお願いいたしておきます。 それは、国会も終末になりまして、今度は昭和四十五年度の予算編成という場面に直面するわけですが、政府においても、この問題は非常に重大な問題だとして御認識を賜わっていると思うのでありますが、どうかひとつ、昭和四十五年度の予算編成に当たりましては、過去の予算編成の何%増しなんというばかな考え方を一てきして、そうして新時代に即応するような重点施策に対しては、思い切った予算と、それからその他の施策を盛り上げるようなことに専念されまして、日本のおくれた体制を取り返すように、ひとつ御配慮を願いたいと思うのですが、これに対する御決意のほどを承って、私の質問はやめたいと思います。
○木内国務大臣 たいへん御激励を賜わって、まことにありがたい次第でありますが、先日の新聞などでもごらんになっているように、総理は、この科学技術の問題についてはセクショナリズムなどというものを排して、ひとつ総合的に考えてみょう、こういう力強い総理の御激励もあったような次第でございまして、いまの御激励に対しましても、私は深く感銘しておるので、微力ではございますが、最善の努力をいたしたい、かように思っておりますので、諸先生方のまた格別の御支援を切にお願いいたしまして、私のお答えにいたしたいと思います。
○福井委員 関連して。十二時半になりましたし、また昼食の時間でありますので、少々時間をかけて教えていただきたい点が多々ありましたが、そういう悪い時間になりましたので、あえて早口で、またあえて簡単に、私はお尋ねをしたいと思います。簡単に答えてもらうというのには少し大きい問題過ぎるかと思います。思いますが、そういう悪い時間でございますので、答えていただくのは、教えていただくのは、この席では簡単でけっこうでございます。 きょうは科学技術振興に関する件でございますので、カッコして(情報科学技術に関する問題)と限定してあるようでありますから、若干大きく逸脱することは承知の上で、私申し上げておきます。 最近、科学技術、宇宙開発は、ごらんのとおり、数日間の状況で、世界じゅう、また日本でもわき立っておるわけでございますが、それとは別に、並行して科学技術の躍進ということが絶えずいわれております。昭和十六年、内閣に技術院が開設された当時、そのころは陸海軍がありまして、いまとは情勢が違いまするから、同一の基礎においてお話しするということはできませんが、それもお含みの上で私は申し上げておきますが、いまは平和に関する科学技術躍進でなければならぬ、これも承知の上であります。御来席の参考人の各位も十分その点は御存じのことでございますが、陸海軍があった当時、内閣に技術院ができた当時、あのころは科学技術の新体制確立ということで、やはり非常にわき立っておりまして、濱田さんなどは十分その点は御存じのことであります。宮本武之輔さんがあり、本多静雄さんがあり、あるいは井上国四郎さんがリーダーになり、和田小六さんがやられ、越えて清水勤二さんたちがそのあとを継がれ、後に国鉄総裁になった下山さんのころを思い起こしますと、この数年原子力の平和利用ということについてかなりいわれておりまするが、どうも盛り上がりが、その当時から比較すると、私はピッチがおそいような気がするし、この点はどういうわけであろうかという気がいたします。たとえばそういう面で——そういう面というのは、科学技術に関する非常な貢献のあった人あるいは非常に活躍してくださった人たち、なくなった人は別でございますが、現在非常に元気な人たちも、どうも途中で門を閉じてしまったり、口数が少なくなってしまったりするという気配を私は感じております。たとえば、一人一人の名前をあげることは、いろいろ学会やいろいろの関係から、そういうふうにならざるを得なかったという人もあるから、いまここで書いて申し上げようと思ったけれども、それはやめましょう。非常に活躍ができる人たちでも、どうも貝を閉じてしまっておるという気配が非常に多く見られます。こういうことは私は非常に残念だと思います。きょうもまた、この科学技術特別委員会は与野党一致して、ほかの委員会に見ない、科学技術の躍進については非常に努力しておる、ちょっと私たちは誇りにしておる委員会でございます。そういう窓口において、せっかく参考人として重鎮の方がいらっしておりますので、そういうような大きな問題で有力な人々を起用するのには、どんなことをしたらよかろうか。ちょっと問題が大き過ぎると前提に申し上げましたのは、そういう意味でございますが、たとえば私たちが尊敬しておる松前重義さんなどは——名前をあげることはやめるなどと言ったけれども、ちょっと言ってしまいましたが、こんなりっぱな科学技術の先駆者はない。ところが、政治家となると、非常に忙しいからということもあるかもしれませんが、もっと私は教えを請うたらいいと思うような人——まあ一人の例でございますが、まだたくさんあります。どういうふうにしたらいいか。濱田さんあたりは戦時中以前からその先達として、今日も私が祈念しておるような、第一線に活躍してくださっているので、どうしたらいいかということを一番よく日ごろ御存じであろうと思いますので、これは一時間か二時間いただかなければならぬと思いますが、一分間くらいでひとつ教えていただきたい。日ごろ悩んでおると思います。そういうことをお尋ねしたいと思います。 それから、もう昼飯のときでございますので、電電公社の総務理事が来ておられるから、電話のことについて——これはやめましょう。時間がもうほんとうになくなったから、あらためてお尋ねすることにいたしますから、それだけひとつ濱田さんに教えていただきたいと思います。
○濱田参考人 非常にむずかしい重大な問題だと私は思います。けれども、福井先生のお心持ちは十二分に私は了解できます。全く同感でございます。戦前ないし戦中、日本は科学技術振興のために一大決心をしたはずなんです。さっき申されたようないろいろなことを、あの当時の日本人は、やったのですけれども、不幸にして戦争があのような結果に相なり、それで日本は一敗地にまみれました。しかし、戦争が済んでまた再び、この科学技術振興をもって日本の国策となすという一大方針を立てたはずなんです。けれども——またけれどもなんです。けれども、その盛り上がりがまだ十分でない。あのときは日本はほんとうに困った。科学技術の振興以外に国を立てる方法はない。日本の経済基盤を強固にしてゆるぎなきものとするためには、これはみずから科学技術を研究して、そしてそれによって暮らしを立てる以外には手はないということを、ほんとうに心底から、科学者、技術者ばかりでなく、政治家も女の人もみんなそう感じたはずなんです。そうしてたとえば日本学術会議のようなものをつくったり、あるいはやがて科学技術庁をつくったり、いろいろやったわけです。けれども、どういうものか、日本人の一つの能力が外国人から認められて、そして外国依存というようなことにその結果が相なりまして、経済はある程度繁栄し、暮らしはだいぶよくなったというのに安心して、科学技術振興にほんとうの力を入れないのかしらんと、実は私も疑っております。そういう意味で、私は、福井委員のお考えと非常に同感で、残念に思いながら、一体何だろう、どこに原因があるのかふしぎなものだ、私はそういうふうに絶えず考えている一人なんであります。けれども考えているばかりではだめでありまして、何かここに具体的な方策を打ち立てて、再び非常に強い盛り上がりを日本国民の中に起こし、国民運動のようなものでも起こして、科学技術振興のほんとうの姿を実現する必要があるということを、私は毎日、朝起きて夜寝るまで、そのことを心に痛感し、念願しておるものであることをつけ加えまして、簡単ですけれども、お答えといたします。
○福井委員 せっかくお歴々においでいただいておりますので、齋藤さんと林さんにも、三十秒くらいずつで、ひとつ御意見の開陳をお願いしたいと思います。
○齋藤参考人 濱田先生のお答えと全く同じ意見でございます。
○林参考人 林でございます。 日本でも、最近情報、情報で大騒ぎになりましたけれども、私何かこんな気がしてなりません。いまは何か騒いで、盛り上がっておると言えばおるのですけれども、根本はわかっていない。そのために、やがてわっと線香花火のようになくなってしまうのではないかという懸念がしますので、やはりこれは基本からやらなければならぬ問題であって、決して先のほうだけを見て足元を忘れておったのではだめだという感じがいたします。それはアメリカがそうなっておりまして、これまでMIS、MISで大騒ぎしたのは日本だけではない。アメリカもここ数年間騒いだのです。最近気がついたことは、そういう社長がボタンを押せば意思決定のデータが出てくる、情報がでてくるなんということはおとぎ話であるということを、どこのコンサルタント会社、大会社も申しております。そこで何をするかといいますと、実にあたりまえのことをしておる。自分の会社でどういうデータが一番必要か、それを確保してどういう情報、インフォーメーションをつくるか。それも一束全体としてはできない。部分的にそういうものをつくって、それを継ぎ合わせていって、そうしてそれを総合したもの、これをMISという。ですから、MISはいつもずっとかなたにありまして、われわれの到達し得ないものである。ないと言えばないのですが、あると言えば、そういう一つの、われわれは常に前進をするためにそういうものを目標にするということはどこも否定しないのですけれども、電子計算機さえあれば、われわれのかわりをするのだろうというようなことは全然ない。そこで各会社ともこれに非常に真剣になってやっておりまして、そのいろいろ考えたことが日本にやってくるんじゃないか。ところが日本ではそういうMISをながめながら、まだ自分は何をなすべきかわかっていないということになりますと、これは問題は解決しませんし、そういう意味で、やはり足元からやらなければならぬ。科学技術もそうだと私は思います。この花が咲くということは、必ず根まわりがよくなければだめだということで、振興対策の基本をそういうところに置いていただきたいという感じがいたしております。
○福井委員 ありがとうございました。
○小宮山委員長代理 石川次夫君。
○石川委員 いま齋藤委員のほうからも御指摘がありましたように、情報化社会といっても、実はとらえどころのないような感に打たれるのですが、アメリカの未来派学者に言わせると、西暦二千年になると、大体情報関連産業というものがすべての産業の三五%から五〇%を占めるというようなこともいわれております。実は私、昭和二十八年のころ、一つの工場の企画課を扱いまして、IBMというものを入れた経験があるわけです。そのときは単なる性能のいい計算機だ、こういうことだけだったわけです。今日それがソフトウエアが相当発展をして、宇宙開発なんかの関連でシステムエンジニアというものが相当高度な発展をしてきた。そうして二十年たったら情報化社会だということになりますと、おそらく学校のあり方も教育のあり方も全部変えていかなければならぬだろうという感じがするわけです。私も名前だけの幼稚園の園長をやらされておるのですけれども、情報化社会という時代に即応する教育はどうあるべきかということになると、記憶はあまり役に立たない時代になる。判断と創造ということで、すべて教えることはやめようではないか。自分で判断をし自分でものを考えるということでないと、これからの情報化社会には即応できないというくらいに、非常な変革をもたらすのが情報産業だろうというふうに理解しておりますけれども、実は実態があまりよくわからないので、きょうは専門の方がいらっしゃっておりますからいろいろ伺いたいと思うのであります。 ここで問題になりますのは、ハードウエアあるいはソフトウエアに関係する産業に従事する人、この人の働いている実態を見ますと、非常に高いレンタルを払っての機械を操作するわけでありますが、この研修についても、昼間堂々と使えない、夜使わなければもったいないというようなことで、要するにこの関連産業に従事する人の人間疎外と健康の問題というものをどう処理したらいいのかという問題が一つあるわけです。それから、将来どこまで発展するかわかりませんけれども、ソフトウエアが特に発展をして集積がどんどん高まっていく、そうしてそれが、いま説明があったように、実際意思決定がそれによってできるということにならないまでも、相当人間の頭脳の代理をするということになることは確かです。そうすると、そこから出てくるのは、広い意味での人間疎外という問題が出るのではないか、私はこういう憂いを反面持っているわけなんです。しかし、この問題は、ここで御質問をしても、どう対応するかという答弁は簡単には出ないと思うのでありますけれども、こういう人間疎外の問題を踏まえながら、この情報産業というものの発展に対応していかなければならぬということを絶えず意識していかなければならぬ、私はこういう気持ちがしてならないわけです。 そのことは一応私の意見として、もし何かそれに対する御意見があれば、あとで参考人の方から伺いたいと思うのであります。 そこで、長官は一時までだというので、科学技術庁の関係のことをまず質問したい。お昼休みの時間で、昼食の時間で申しわけないのですけれども、若干の時間をいただきたいと思うのであります。 いま齋藤さんのおっしゃったように、これは人文科学、社会科学全部を含めた情報知識の集積というか、知識の組織化というか、そういうことになるのですけれども、これは科学技術庁で扱えないものだろうかということについては、これは人文、社会を含めるからだということではなしに、方法論になってくるわけなんですね。どういうふうに情報を収集し——ソフトウニアというものも一つの技術だ、その中にはもちろん社会科学もあり人文科学もあるけれども、これを収集して組織化するということ自体は一つの技術だと思うのです。社会科学の分野も人文科学の分野も、やはり科学技術の中に包含できるというふうに考えれば、齋藤さんは心配されておりましたけれども、もちろん科学技術庁自体が、現在もう総合官庁としての機能を発揮していないという根本的な問題はあります。ばらばらになっているやつをほとんど——これは統制するべき機能を与えられてそういう権限があるわけでありながら、実際は総合されておらないという問題はありますけれども、このソフトウエアの問題、あるいはハードウエアももちろんそうでありますけれども、これはやはり科学技術の分野の中に入るものであるというふうの理解ができないものかどうか。 これは長官と、そのほか参考人の方、御意見があれば、ひとつ伺いたいと思います。
○木内国務大臣 お話しの点、なかなか問題は大きいと思うのですが、情報産業あるいは情報化時代、これをどういうふうに解釈するか、具体的に問題を取り上げるときにどういう内容で取り上げるかということによって、私、非常に違うと思うのです。それは先ほど齋藤先生にもお答えしたとおりでありますが、いまは非常に広い意味で、情報産業あるいは情報化時代とかいろいろ言われておりますが、取り上げ方によっていろいろ違うと思うのです。たださっき濱田参考人からも、これは主としてコンピューターの扱い方の問題である、こういうようなお話がありましたが、そうなってきますと、このコンピューターの製作の面あるいはまたこれを利用運用の面、いろいろありまして、そういう面において、今日までの概念で科学技術というものに当てはまるようなものは、もちろん科学技術庁のほうにおいてもとの研究に専念しなくてはならぬ、かように思っておるわけです。そういう意味においては、私はやはり科学技術庁の所管に入れれば入れ得るものである、かように考えております。
○石川委員 ほかの参考人の方にちょっと……。
○濱田参考人 先ほど齋藤委員がおっしゃいました情報化社会ということばは、意味は非常にむずかしい、またある意味であいまいであります。私は先ほど、情報というものは、自然科学のある分野も含み、人文科学のある分野も含む境界領域みたいなものだということを申しました。私は、情報化時代になったから、これは自然科学でも人文科学でもない分野だから、したがってこれは科学技術庁と名のついた役所で扱うべき問題ではなかろうというふうには、とうてい考えないのです。とうてい考えられないというのは、とてもそういうことには私は考えが及ばないものなのであります。大体この情報化社会ということばを、いろいろ思いをめぐらしてみまするのに、もろもろの科学技術が非常に高度に発達して、その中で電子計算機を中心とする情報技術、科学技術は非常に進歩している。それが普遍的に社会に浸透して、人間は何人も知る権利があって、それを知るということを今度は実現する権利もある。したがって、もう教えることは要らないというようなことにも相なってまいります。そういうのが情報化社会でありましょうが、私は科学技術の振興が徹底的に進んだ暁には、そういう科学技術の理想社会がやがて実現すると思います、だんだんやっているうちに。それがある電子計算機を中心として考えた場合には、情報化社会というふうな名前をつけてもいいのだろうと私は思うのです。 これはいま思い出したのですけれども、アメリカのハーバード大学の教授にガルブレースという人がおります。このガルブレースが「新産業国家」という本を書きました。これは非常におもしろい。だんだん科学技術の振興が徹底してまいりまして、もぼや財政、金融の支配から脱却するようになっていく、ちょうどロケットが地球を離れて天体に向かって飛んでいく、その際に、あるときまでは地球のグラビティ、重力の支配を受けるけれども、ある点まで行くともう受けないというように、科学技術振興などということを言わなくても、自然に予算がついて科学技術は発展する、こういうのが情報化社会の一つの姿だろうと私は思うのであります。そういう時代を実現さすために、日本も科学技術振興に一生懸命でなければならぬ。その一番大きな方法は、方法論としては、電子計算機に関する情報科学技術の振興をやるのが一番大事である。その方法としては、別の言い方でいたしますならば、エレクトロニクスの基礎研究の振興であるとも言えると私は思います。そういう意味におきまして、私は先ほどの御質問の趣旨に若干お答えできたのじゃないかと思いますが、いかがでございましょう。 以上でございます。
○林参考人 先ほど漏れたのですけれども、今日のアメリカの状態では、ソフトウエア会社には人文科学、自然科学、ほとんど全部のそういう学界関係の人が入り込んで、そして求められるソフトウエアを作成しているという事実、これはいま齋藤先生からもお話がありましたように、ソフトウエアというものはすべてに関係してくるという一つの例ではないかと考えております。 それから、いま政府でやらなければならぬことは、特にソフトウエア関係なんかが非常に大事であるとしても、これは研究所なり大学なりそういう教育機関を整備することが一番大事でないかと思うのです。その大学あるいは研究所には、単に最初から研究所におるというようなことだけでなくて、あらゆる実業界からもそういうところに入ってきて、そこで研修をする、そこではいろいろな科学が入っておる、そういうものが必要になってきておるので、従来と今日は変わっているのじゃないかという気がしますが、そういうことも、科学技術庁あたりでおつくりになれば、非常に意味があるというふうに感ずるわけであります。
○石川委員 科学技術庁長官も時間がないものですから、聞きたいことはたくさんあるのですけれども、科学技術情報センターの関係で、じゃ一つ質問しましょう。 それは前にもお伺いをして、いろいろ話を聞いたのでありますが、MEDLARSの関係、それからケミカルアブストラクト、この二つの関係なんですけれども、MEDLARSは、これはOECDなんかでも大いに評価をしておる、アメリカ国立医学図書館の科学技術情報検索システム。年間大体十八万五千件、いままでの累積が七十一万件ある。これはイギリス、スウェーデン、オーストラリア、ブラジルあたりもこれを利用しているということで、日本の科学技術情報センターにも提供があるという事実があるわけですね。ここで私が非常に心配なのは、ほかの情報産業もさることではありますけれども、実はこの科学技術の問題に関する情報の交換というのは、考えようによっては、アメリカの非常に豊富な情報網の網の目の中に組み込まれてしまう。向こうから言ってきておるのは、いまの医学関係とそれから化学の関係、これは日本が世界の水準の中でも進んでおる。それが向こうでは独立機関でそれぞれ整備されておる。日本は科学技術情報センターというあの狭苦しいところに全部一緒にたたき込まれておるということだけを見ても、非常に立ちおくれておると思うのでありますけれども、MEDLARSにしてもケミカルアブストラクトにしても、向こうの情報網の中に、日本の科学技術情報センターが提供するということになって、どういうふうな条件でやるのか、具体的なことがわからぬと何とも言えませんけれども、どうも向こうの出店になってしまう。こちらの情報は全部向こうへ筒抜けだということになって、いわゆる自主独立の技術というふうなことを言いながら、これはそのうち、電気、機械というふうに広がっていきますと、何か日本独自の技術なんというのは全部情報が向こうに流れてしまうということになったんでは、これは取り返しのつかないことになりはせぬかという心配を、私は一つ持っておるわけなんです。これはほかの場合と違って、科学技術の場合には特にそういう配慮が必要なんじゃないかと思うので、その点をどうお考えになっておるか、ひとつ濱田さんから伺いたいと思います。
○木内国務大臣 いまのお話、まことにごもっともでありまして、こちらが向こうの出店みたいになってしまうということじゃ困ると思うのですが、まあMEDLARSにしてもケミカルアブストラクトにしてもなかなか有力であります。しかしこういう科学情報の流通交換ということは、私はこれはいいことだろうと思います。ただし、あくまでも自主性を失わないような態度で、それからそういう方法でひとつ進んでまいりたい、かように考えております。 なお詳細なことは、理事長のほうから……。
○濱田参考人 いま大臣が申されましたとおりの原則に従って、私どもは対処しようと考えております。MEDLARSでありましてもあるいはケミカルアブストラクトでありましても、先方から提携の申し入れがあると同時に、当方でも、原則として提携には賛成であるということの意思表示をしております。しかし、具体的にはどうしたらば、日本の科学技術情報政策というものがあるわけですけれども、これに違背しないで仕事が進められるか、もっと露骨に申しますと、アメリカの中に巻き込まれて、日本が科学技術研究の独立を失うようなことがないようにしなければいかぬということを、私は強く念願しております。で、それに必要な対策をすべてとろうと考えております。なお、これにつきましてはいろいろ問題がございまして、こまかい点につきましては、科学技術庁の御当局とも十分相談をしなければならぬというふうに考えております。
○石川委員 これは具体的に、たとえば向こうの累積した七十一万件という情報があって、それは全部こちらにもらえる。こちらはそんなにたくさんはないわけですね、向こうに提供をする。こちらから出すものは少ないわけなんですから、その差というものは、利用することについての使用料といいますか、そういったものはどうなっているのか、こちらが十出せば向こうも十だというふうな交換になってくると、これはたいへん都合の悪いものだけがこちらへ来てしまうというようなことにもなりかねないという点で、具体的な業務提携の内容というものはどうなるのかはっきりわからないものですから……。しかし私がおそれておるように、向こうからは同じ数だけで、あまりいい情報はよこさない、こちらからはほとんど全部向こうに持っていかれてしまうというようなことにでもなれば、これはとんでもないことになるだろうという不安があるわけなんです。この点はあとで具体的にまた濱田さんに、私個人的にいろいろ伺いたいと思います。きょうは、科学技術庁長官にあと一つ伺いたい大事なことがあるものですから、その程度にしておきます。 それは、人材養成の問題なんです。アメリカあたりは、ソフトウエアはいま二十万人といわれておりますけれども、一九七〇年で四十一万人を目標としています。それからヨーロッパは日本の人口の倍でありますけれども、一九七五年に四十六万人、非常に膨大な養成というものを目標にしておるわけです。日本の電子工業審議会で出した去年の計画でありますけれども、一九七一年にシステムエンジニアが九千二百人、プログラマーが一万六千三百人、オペレーターが二万三千百人、これではとてもじゃないが比較にならぬ。問題にならぬ少ない人数ですね。最近また審議会でいろいろな答申が出ておりますが、それによっても、このアメリカやヨーロッパの膨大な養成の目標に対しては少々少なきに過ぎるのではないか。いまのところは、人口一人当たりにしますと、アメリカが六十ハドル、ドイツが二十一ドル、日本が八・四ドル、イギリスが十六ドル、フランスが十七・ハドルというふうなことで、日本はきわめて少ない。少ないから少なくていいんだというふうな答弁が、実は商工委員会ではあったわけなんですけれども、しかし、小型のものが多いということで金額的には少ないのでありますけれども、これは超高性能のものをいま工業技術院で開発しておるわけです。だから大型のものにどんどん変えていかなければ立ちおくれるということになってきますと、日本はいまのところはたいへん一人当たりは少ないけれども、将来いつまでもこういう少ない状態でいいとは言えないし、そうなると人材養成の面でたいへんな立ちおくれをしているという面をどうカバーしていくのかという点では、審議会のほうの答申では、上級情報処理技術者研修センターというものを設けたらいいだろうということがいわれておりますけれども、この程度のもので一体いいんだろうかという不、安があるわけです。一部に言われておるように、情報大学といいますか、そういったものを積極的につくる、これをつくるとなれば、これは私は科学技術庁の所管だと思うのです。当然そうならなければいかぬと思うのです。そういう思い切った計画を立てて、そういう大学をつくっても、それを教える先生がいまのところ足りないというふうなこともあるようではありますけれども、この人材養成というものを思い切ってやらなかったら、これはいまの立ちおくれを克服できないのではないかという不安がいつもつきまとっておるわけなんですけれども、その点、長官どうお考になっておりますか。
○木内国務大臣 いまの御質問、まことにごもっともな点があります。それから、先ほど来参考人の方々もいろいろお話がありました。このコンピューターの問題につきましては、ソフトウエアの問題が非常に重要であるということと同時に、レンタルの制度になってくると、また資金の面その他についても大いに考えなければならぬといういろいろなお話がそれぞれあったのですが、このソフトウエアに関連しまして、人材の養成、これも非常に大事な問題だと思います。あるいは大学をつくるというのもつの案であるかもしれません。そうなった場合に、それの所管をどうするか。いまお話しのように、科学技術庁所管が当然じゃないかというお話でありましたが、そういう所管の問題もありますけれども、あるいは大学をつくる、あるいはつくらなくても、いまの大学において特別な部を設ける、あるいは大学院にそういうあれを設ける、いろいろなことはあるだろうと思います。あるいはさっき濱田理事長から言いましたように、情報センターにおきましても、研修生の養成、こういうことも考えられますし、いろいろな問題がありまするので、この要員の不足に対する対策につきましては、来年度の予算において、いろいろ研究しまして、最善の計画を立ててまいりたい、かように考えております。
○石川委員 長官、情報産業というものは、これは情報化社会というものが急速に進んでいくのに対応するために、どうしても急速に対応しなければならぬ。来年度の予算はどうなるんだかわからぬというふうな現在の状態では、たいへんな立ちおくれだと思うのです。宇宙でも、原子力でも何でも言えることであるのですけれども、この所管が実は科学技術庁ということにはっきりしておらないし、通産省のほうは通産省で、基本法制定その他いろいろなことを考えておる。行政機関が一元化されておらないということもあって、総合的に情報化社会に対応する振興対策というものについては、何か行政の一元化というものをはからないという面もあって、立ちおくれがはなはだしいのじゃないかという心配をしているのです。民間の産業のハードウエアは、相当懸命に食いついて、ある程度のところまで行っておると私は思うのです。ソフトウエアは、アメリカはいまのところ年間四%から五%の経済成長ですけれども、ソフトウエアに関する限りは二五%伸びています。ですから、いまのところは国内市場がまだまだ広がりますから、外国に行くというところまでは考えが及んでおらない。二五%ずつも伸ばしておいて、ある程度自信を持ったところで上陸をされたら、日本の情報ソフトウエアは全滅ですね。おそらく対応できないと思うのです。ですから、人材養成は来年どうなるかわからぬというふうなことを言っておったんじゃ、とてもこれは間に合わないと思う。これは閣議といいますか、国務大臣としての木内さんは、何としても、情報センターなら情報センターでも当面いいと思うんです。私は大学をとりたいと思うのです。だから、そういうことで思い切った人材養成の機関をつくるのだという決意をきめてもらわなければならぬと思うのですがね、その点どうなんですか。
○木内国務大臣 御意見まことにごもっともでありまして、そういう点につきまして、来年度予算の要求の時期にもそろそろなっておりまするので、内閣におきましても、十分にそういう点に心を配りまして、将来に対処してまいりたい、かように思っております。
○石川委員 情報産業関係では、いろいろな赤字が出ているとかなんとかいうことで、これは通産省がやる分野も相当多いし、また情報通信ということになるならば、郵政省関係が関与するということで、どうもこの大きな巨大産業の将来発展するというものに対する取り組みがばらばらになっているわけです、いま。これを何とかして一元化するというか、どういうふうに分担をするというふうにきめてもいいのでありますけれども、人材養成あるいは情報産業に対するレンタルの赤字が相当大幅になっておる。そういうものは通産省でやるでしょうけれども、その全体的な取り組みの姿勢というものを、いまのうちに政府がしっかりときめてもらわなければとんだことになるという点で、ぜひひとつ木内さんも中心になって、この問題に対処してもらいたいということを強くお願いしておきます。 大臣のほうは、お忙しいようですからけっこうです。 それで、あといろいろあるのでありますけれども、電電公社のほうからせっかくおいでになっておられますから、黒川総務理事に伺いたいのですが、オンラインリアルタイムですか、遠距離即時通信、これは異質の産業に対しては、いまの公衆電気通信法でもってやれないということになっておるわけですね。たとえば日産自動車という会社がある。これは一つの例であります。販売会社は、これは販売は分離していますよ。一〇〇%株は日産自動車が持っていたにしても、会社の形態は別だ。しかしながら販売と生産というものは不離一体のものですね。それから日立とか東芝なんかは、こまかく会社を分けます。日立で言うと、日立金属、電線、化成ということを、みんなこれは一〇〇%株は持っているわけですけれども、分離するわけです。独立採算的なものにすることによって、大いに切磋琢磨して黒字をあげようということで、励みをつけるという政策的な意味で分離するわけです。しかしこれは根は同じなんですよ。ですから、そういうところの情報がばらばらで、しかも共通してラインがつなげない、情報が一元化できないということになると、生産と販売会社の場合にはなおさらはっきりすると思うのでありますけれども、これでは産業としてもあまり魅力がなくなるわけですね。これは何とかして解決をしなければならぬ問題であろうと思うのですけれども、その点について審議会のほうからも答申も出ております。何とかこれを解決してもらいたいということになるわけなんですが、現在どういうふうにその作業が行なわれておるか、どういうふうに将来持っていったらいいとお考えになっているか、これを黒川さんからひとつ御意見伺いたいと思います。
○黒川説明員 ただいまのような場合に、電電公社がサービスを提供する、これならば、コンピューターのラインをもちましてサービスを提供する、こういう場合には現行法でもできるわけでございますけれども、専用線を介して、たとえば日産と日産の販売会社、この辺の関連を、従来の専用線の解釈でございますとかなり厳格でございますが、しかしその辺を、密接であるという解釈を現行法でもゆるめられるかどうかというようなことを、郵政省並びに郵政審議会とも御相談して、できるだけ早く結論を出したい、こんなふうに思っております。
○石川委員 この問題は、ひとつ現実に即応した解決策を考えてもらわないと、販売会社と生産会社が全然別な会社だといっても、実際は同じ会社ですね。それがオンラインでもって共通的なデータがとれないということになれば、効果というものは半減してしまうわけですよ。そういう点で、これは現実的な解決策を早急にひとつ考えてもらいたいと思うのです。 それから、情報産業の場合でありますが、これは齋藤さんあたり、あるいは林さんなんかは非常に関心を持っておられると思うのでありますけれども、これはJECC——六社でもってつくられておるJECCの赤字が相当大きいのです。大体四十四カ月のレンタルでIBMと同じような条件でやらなければ、IBMがどんどんどんどん上がってきてしまうわけですから、どうしても同じような条件でやらなければならぬということで、四十四カ月のレンタルというものを大体まとめて払いをするためのシステムとしての、六社でもってJECCをつくっているわけですけれども、出資が百八十九億円というのに対して、どんどん伸びておりますね。去年が六百六十六億で、ことしはおそらく九百四十億ぐらいになるだろう。四十三年の末で未払い残がもう二百八十九億というふうに膨大になっておるわけです。しかしながら将来の産業であるからというので、また大きな産業が多いですから、未払い残があってもやらねばならぬということで、やってはおりますけれども、こう赤字が累積しちゃったんじゃどうにもならないという悩みを持っておるわけですね。このことがいわゆるハードウエアの関係——ハードウエアの関係はまだいいのですが、ソフトウエアになるともっと困るのですね、これは担保がないのですから。ハードウエアのほうはまだ固形物があるわけだから、それを担保にして金を貸すということもできるでしょうけれども、ソフトウエアになると、知能の産物だから、これはもう担保物件にも何にもならぬという、こういう悩みがあるわけです。そういうふうなことがありますが、それは別といたしましても、昭和四十五年にはおそらく五百億の赤字になるでしょう。これで通産省のほうもいろいろ考えておられるようではありますけれども、このままじゃもう何だかいや気がさしちゃうというのが本音のようですね、どこでも。こう赤字が積もっちゃどうにもならぬ。やらなければならぬ産業であることはわかっているし、どんどん人材養成は各企業ごとにやってはおるけれども、赤字のためにこれだけの努力を傾注することは、何かこれでいいんだろうかという疑惑といいますか、ちゅうちょが出ておるのではないかという心配をしているのです。大産業のことですから、これを分担すればたいしたことはないといえばそれまでなんでありますけれども、こう赤字が出たんじゃ、そういうものに暗い影を落とすことになりはせぬかという心配があるわけなんです。開銀あたりでは九十億くらい出しておるのですけれども、これはまだ足りないということで、何とか方策を考えなければならないわけですが、そういう点で御意見があれば、齋藤さん、林さんからお伺いしたいと思うのです。
○齋藤参考人 JECC資金の問題については、お話のとおりでございまして、目下業界としては一番問題にしておる点でございます。それでいろんな対策を業界として検討して、政府にもいろいろお願いしておるのですが、やはり何としてもJECCが一つの株式会社であるというようなことが、たとえば開銀資金を増額していただくというようなこともつの問題点になっておるようでありますが、形の上では、JECCは一つの株式会社にすぎませんが、これは業界全体の問題なので、あまり形にとらわれないで、ぜひ開銀資金をふやすなり、それからその他の処置も講じていただくように、目下いろいろお願いしておるところで、だいぶ御理解はいただきつつあると思うのでありますけれども、何とかして、四十五年度からいまの問題を解決するように努力したいということで、懸命に努力しておるところでございます。
○石川委員 これは齋藤さんなり林さんにまた伺いたいと思うのですが、LEASCO・SRC、システム・アンド・リサーチ・カンパニーですか、これが日本リサーチセンターのほうに提携を申し込んでおるという記事がいつかの新聞に出ていたことがあるのですが、LEASCO・SRCというのは、コングロマリットのLEASCO・DPEの子会社です。片っ端から全部合併してしまうという実にたくましい、アメリカでも問題になっているそこの子会社です。これが日本リサーチセンターに提携を申し込んできているという記事が新聞に出ておりました。それからアメリカ最大のソフトウエアの会社でありますところのCSC、これが日本のビジネスコンサルタントに提携を申し入れている。これは話は具体的に進んでおると思うのですが、これはまだ許可までにはいっておらぬでありましょうけれども、そういう話が一つあります。それから世界の百科事典で有名なブリタニカ、これが東京放送と凸版印刷のほうに提携を申し込んで、TBS・ブリタニカという名前でもって操業しようとしている。先ほど私申し上げたように、アメリカではソフトウエアがどんどん伸びておって、とても日本じゃ太刀打ちのできないようなところに進んでおるわけなんですけれども、この提携を簡単にやりますと、一体どういうことになるんだろうかという不安があるわけです。これは科学技術情報とはまた別の意味で、向こうの豊富なソフトウエアの資料を持って日本へ乗り込んでこられると、たちまち席巻されてしまうんじゃないか。したがって、いまの段階でやむを得ないことなのかもしれませんけれども——これは日本リサーチセンター、あるいはビジネスコンサルタント、あるいは東京放送、凸版印刷は、自分の企業の利益のためにはそういう提携がいいのだというふうに考えるかもしれませんけれども、日本全体のために、いまこれを上陸をさせ、提携をさせるということになると、非常に前途不安が多いのではないかと憂慮にたえないわけなんです。これは通産省のほうで聞きますと、これは話がある程度で、まだ許可申請も何も出たわけではないんだというのでありますけれども、社名まで、TBS・ブリタニカという名前まできまっているんです。ですから、相当本格的に取り組む姿勢になっていると思うのですが、これはやむを得ないというふうにお考えなのか、これはちょっと時期尚早だ、いま少し上陸に備えて、日本の体質あるいは体制というものを整えないと、いま直ちに許可すべきではないというふうに考えるべきなのか、その辺はしろうとで実態がよくわかりませんものですから、その点ひとつ齋藤さんあたりから、御意見があれば伺いたいと思うのです。
○齋藤参考人 LEASCOというのは、リースを専門に初めはやっておったのですけれども、最近は膨大なソフトウエア人口をかかえまして、非常に強力なソフトウエア開発力を持って、結局リースをやりながらソフトウエアも提供していくというようなやり方をとっておりまして、とにかく資金にものを言わせて、世界じゅう至るところに上陸して、たくましい活動を始めつつあるわけであります。こういうのが日本に進出してくるということになると、日本のソフトウエア産業の現状からいって、非常に憂慮すべきことだというふうに考えておりまして、それも、こういうソフトウエアの問題については、先ほど林参考人からもお話がありましたが、十分慎重に対処してほしいというふうに考えております。それにしても、いまのLEASCOの場合ですと、リース会社ですから、結局たとえばJECCの資金が十分でないというようなことになってくると、そういう面からLEASCOが食い込んでくるというような可能性もあろうかと思いますので、先ほどのJECC資金の問題とも関連して、いろいろな対策を考えていく必要があると思います。
○石川委員 時間もだいぶ経過したようですから、もうそろそろ私も切り上げたいと思いますが、いまの問題は私もたいへん心配でならないのです。いきなり向こうの膨大な資本力をもって、レンタルとともに乗り込んでくるということになると、ちょっと対抗できないような形が出てくるのじゃないかということで、これは相当慎重にやってもらわなければならぬということで、通産大臣などにも要望はしているわけなんですけれども、この点はひとつそちらのほうでもしかるべく対処してもらいたいと思うのです。 それから、これはたいして大きな問題ではないのですが、民間のほうへ行きますと——電電公社と通産省の両方でいろいろな研究をやっておるわけですね、片方は工業技術院でたいへん超高性能の相当の成果があがりそうな明るい見通しが立っているようにも聞いておりますけれども、電電公社は電電公社で、電気試験所のほうでいろいろ、これは電気試験所ではありませんでしたか、いろいろやっている。民間で非常に心配しているのは、これが重複投資、重複研究になって、違った結果が出て、それを両方ばらばらに民間のほうに要求するということになりますと、たいへん混乱が起こるのではないだろうかという不安を持っているわけなんです。これは両方でおそらく調整をおとりになっているのでありましょうけれども、違った機械で違ったソフトウエアの要請をしていくということになると、たいへん民間でも困ることになりはせぬかという不安がないでもない。この点はどういうふうに調整をされておるのですか。通産省のほうにも、これは一度伺ったことがあるのですけれども、ひとつ念のために伺いたいと思います。
○黒川説明員 私どもの研究所と、扱っております電気試験所とよく打ち合わせをいたしましてやっておるわけでございますが、趣旨といたしましては、電気試験所でおやりになっておるのは、非常に将来の大型のあるいは性能の高いモデルをつくる、それで私どものほうのは、それよりもう少し小さい、すぐ使えるもの、先ほど申しましたように、いろいろデータ通信をやりますと、ソフトウエアが同じような業務でみんな違う。全部つくらなければいかぬということで、非常に手数もかかっております。それを統一するとかもう少し大型のものをつくっておかないと、外国の機械に対抗できない。その中間のものを、通産省の研究開発のできたものは取り入れて、中間のものをつくるということでよく打ち合わせまして、重複することのないように、これの研究開発を行なっている次第でございます。
○石川委員 その点はひとつ十分に連携をとりながら、重複投資ということよりも、重複した結果が出ちゃって、重複したデータを流してくるというようなことになると、たいへん民間でも困ると思うのです。そういう点は十分にひとつ御配慮願いたいと思うのです。 ほかにもたくさんございますけれども、もう一時半近くになって、お昼休みの時間を、昼食の時間をたいへんおくらせまして、まことに申しわけございません。きょうはこの程度にしておきます。
○小宮山委員長代理 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、長時間にわたり、貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のため、たいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。 次回は、来たる七月三十日、水曜日、午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時二十分散会