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61回国会衆議院1969/04/15

沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第10号

発言数
167
登壇者
10
会派数
3
開催日
1969/04/15

会議録

中村寅太自由民主党

○中村委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。川崎寛治君。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 沖繩の国政参加の問題に集中をしてお尋ねをします。  昨年の十二月十日、両院議長あてに総理から書簡が出されたわけでありますが、昨年の日米協議委員会における日米両国政府間の合意書というものがございますが、この合意書が法的に両国政府を拘束するものかどうか、まずその点をお尋ねします。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 法律的な拘束があるかどうかというお尋ねでございますが、これは実態的に申しますと、政策の合意とでもいうのが一番適切ではなかろうかと思います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 ということは、拘束しないというふうに理解をしてよろしいと思いますが、国政参加という問題は国会の構成の問題ですね。これは日本の国会史上経験をしない大事な問題だと思います。だからこれの扱いを間違えるということになりますと、これは国会史上に汚点を残すことになりますので、この合意書というものが、はたして国会の構成というものをきちんとしたものにできるものかどうかという点について、少し明らかにしていきたいと思います。  この合意書の中に、「一体化関係施策を含む日本本土の沖繩施策に沖繩住民の民意を反映させるため、」こういうふうにいっております。そこで、一体化というのはどういうことなのか、それから、本土の沖繩施策に沖繩住民の民意を反映させるということはどういうことなのか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 ただいままず第一にお尋ねの合意書というものは、あの当時、その合意がこういうふうにできたということを新聞等に公表したわけでございますね。内容は、ただいまお話しのとおりでございますが、これは、いわゆる一体化ということは、通常使われていることばと同じように、施政権の返還ということを最終目的にして、それまで、できるだけ本土と沖繩のいろいろ施政のやり方について同じようなレベルでやっていくようにしよう、こういうことを、原則的な合意をしたものと考えられます。  それから民意を尊重してという趣旨につきましては、沖繩県民の希望するようなところをできるだけ達成させるように、こういう趣旨であると理解いたします。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 一体化といい、民意の反映ということは、日本国憲法は国民主権、こういう立場に立つわけでありますから、憲法にいう国民主権の一翼をになうものとしての地位を前提にしなければ、民意の反映あるいは一体化ということの本質は貫き通し得ない、こういうふうに思うのです。だからその点は、主権者である沖繩県民、それがそういう立場に立ってこそ民意を反映させ、また、一体化というものを実現していくことが可能になると思うのですね。その点いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 法律的な観念を入れて考えれば、米国の施政権が現にあるということが前提になっておると思います。しかし、沖繩の県民が、たとえば民生とか福祉とかいうようなことについて、本土住民と同様に、格差のないような利益を享受し得るようにしようというのが、一体化ということばの内容として現にいわれておることではなかろうかと思いますので、そういう意味に理解すべきものではなかろうか、かように考えるわけでございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 合意書に、「選挙により選ばれた沖繩の代表」ということばを使っておるわけですね。そうしますと、先ほども最初に触れましたように、国会の構成という重要な問題でございますから、その選挙とは、当然に日本国憲法及び公職選挙法上の選挙であって初めて真の意味における選挙というべきだと思うのですね。だから、その点はそういうふうに理解すべきだと思いますが、いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 その辺のところは、政府の理解しておりますところは、日本国憲法あるいは日本国の選挙法による選挙ということはそこではいっていないのではなかろうか、かように考えるわけでございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 国会の構成について政府がワクをはめて、それを両院議長に、適当な措置をするようにという形で書簡を送り、国会を縛る。しかもそれが、いわゆる国会の構成という大事な問題について、公職選挙法やそういうものとは違うのだ、離れているのだということで合意をしたとするならば、これは最高の決議機関である国会に対して、行政府として私はたいへんな越権行為だと思う。国務大臣として、しかも特に日米両国間の外交折衝に当たります責任者として、そこのところはいいかげんに聞き過ごすわけにまいらないと思うのです。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは沖繩に関する日米協議委員会、その当時第十五回の会合についての発表といいますか、日米双方の合意が記録された。そうしてそれを公表されているわけでございますが、「一体化関係施策を含む日本本土の沖繩施策に沖繩住民の民意を反映させるため、選挙により選ばれた沖繩の代表が」、こういうことは仰せのとおりここに規定されておりますけれども、このことは、この選挙というものは、日本国の制度による日本国の公職選挙法ということに限定して、そういう趣旨でここに書かれたのではないのではなかろうか。その当時の合意書でございますから、あるいは的確に事務当局からお答えしたほうがよろしいかと思いますけれども、そういうふうに理解すべきではなかろうかと存じます。そうしてその形をどうするかということにつきましては、先ほどお尋ねがございましたように、十二月十日でございましたか、閣議を経て国会のほうにお願いをいたしておるわけでございますので、その国会の御審議なりあるいは立法の措置によりまして、この趣旨が生きるということになればよろしいのではないか。拘束するとかしないとかいうような問題として扱うべきものではないではないだろうか、私はかように考えております。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 それでは、そこの点をやりとりしてもあれですから、もう少し具体的にお伺いしましょう。  沖繩県民は、憲法上及び公職選挙法上の選挙権及び被選挙権を固有の権利としてすでに持っておる。ただしかし、現実には、この点は平和条約三条の考え方によっていろいろと分かれるところですが、よしんばそれは有効という政府の立場に立ったにしても、現実にはアメリカの施政権によってその権利の行使が停止されているにすぎない、権利が停止されている、本来は固有の権利として持っている日本国民なんですから。持っておる。しかし、その固有の権利というのが、条約三条による施政権によって権利の行使が停止されているにすぎない、こういうふうに考えるべきだと思うのですね。だからそういう立場でアメリカと協議に入っているのか、あるいはそうでないのか。これは一番大事な分かれ道です。その点を明らかにしてもらいたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これはいまもおことばにございましたが、結局は平和条約第三条等に関連する解釈の問題になろうかと思いますけれども、沖繩の県民は日本国民の立場を持っておりますが、同時に、日本の主権というものは潜在化しておる。そういうことから申しまして、沖繩県の人たちの、ここにいわゆる選挙と書かれている合意が、この具体策が、日本国憲法の法体系に基づく公職選挙法による選挙あるいは被選挙ということではない、私はかように解すべきものではなかろうかと存じます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 もう一ぺん明確に。国民の固有の権利としての選挙権、被選挙権、主権者である国民がその固有の権利として、選挙権、被選挙権を持っておる、その権限というのはいまどういう状態にあるのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 政府委員から御答弁いたさせます。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○東郷政府委員 共同発表にも書いてございますように、この国政参加の問題は、沖繩が米国の施政権下にあるという事実のもとで、日本国内法上認め得る最大限のものとすることが望ましいということでございまして、この沖繩が米国の施政権下にあるという事実ということは、すなわち、日本の施政権が及んでおらず、日本の憲法及び国内法令が現実に沖繩に適用されていないという現状のもとにおいてという前提でございます。したがいまして、いま川崎先生のお話しになります日本の憲法上の選挙権、被選挙権というものは、現在はいわば潜在的な状態にあるということでございまして、先ほどの選挙という儀に関しましても、この発表の中にございますように、その選挙は、日本の選挙法上ではなくして、今後定められるべき琉球政府の法律の規定が本土国会議員に関する日本本土の法律の規定に沿ったものとなることを期待するというようなことも書いてございまして、それに照らしても明らかでございますように、選挙権、被選挙権というものは現在潜在的な状況にある、こういうことであると考えます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 では、潜在的ということは、固有の権利としてあるのですかないのですか。潜在的ということは、あるということですね。いいですね。だから、つまり主権者としての国民ですから、国民主権の行使の一つとして、当然の権利として選挙権、被選挙権はある、それが平和条約三条によってその行使が押えられておる、いまの潜在的にあると言った意味は、そういうふうに理解してよろしいですね。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○東郷政府委員 これは、沖繩が返還になりましてわがほうの潜在主権が顕在化した場合には、選挙権というものは申すまでもなく顕在化するわけでございますが、現在の状況におきましては、これは潜在的な状態にある、行使し得ない状態にあるということでございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 だから、その被選挙権、選挙権というのは固有の権利なんですね。それは認めるわけでしょう。つまり、こういうことなんですよ。沖繩県民にはなかった権利を新しくやるのか、ある権利が浮かび上がってくるのかということが問題になるわけです。そこに外交交渉の一つの出発点が出てくるわけですね。だから、いま、潜在的に、帰ってきたならばと、こういう言い方だが、それは返還によらなければならないのかどうかということは一つまた問題があるわけですから、憲法上、公職選挙法上の選挙権、被選挙権というのは固有の権利としてあるのだ、日本の政府なんですから、その点はひとつはっきり明言しておいてください。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 それは、ただいまアメリカ局長からも申し上げましたように、やはり施政権の返還ということがあることによって顕在化するものである、こういうふうに考えるべきであって、したがって、先ほどもちょっと私引用しかけたのですけれども、昨年の十月九日の発表にもございますように、いまアメリカ局長も読みましたように、日本側、米側の両方の意見というものがこの発表文にも書かれてあるわけでございまして、やはりこの書かれているところによって合意ができているわけでございますから、その線に沿うて処理に当たるべきものではなかろうかと思います。  潜在主権がいつ顕在化するのか、固有の権利がかりにあるとして、それがいつ顕在化するかということは、やっぱり施政権というものが返還されたときにそれが一〇〇%に顕在化するもの、こういうふうに解すべきものであると思いますが、その点についての議論になりますと、結局、先ほど申しましたように、平和条約第三条をいかに解すべきかということにまた戻る問題ではなかろうか。政府といたしましては、第三条の施政権ということを前提にして各般の問題の処理に当たらなければならない、こういう態度をとっていることは御高承のとおりでございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 だから、いまの大臣の答弁というのは、結局、なかった権利を与えるというものじゃなくて、現在持っている権利というものがあるのだけれども、それが停止されているのだ、そして、その権利の行使というのは施政権の返還を待たなければできないのだ、こういうふうに言っているわけですよ。ところが、条約三条というものの条約論からいけば、施政権の全面的な返還がなければ、その固有の選挙権、被選挙権の行使ということは不可能なのかどうなのか、その点いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 それはいまの国政参加の具体的な方法の問題ということと(川崎(寛)委員「条約論として」と呼ぶ)ちょっと切り離して申し上げますれば、率直に言って、日米の合意というようなものがあって、これは私の解釈でございますけれども、施政権が全面的に返還になればすべて問題は根底から明白になりますけれども、その間にどのくらい潜在主権が生き返るか、顕在化するかということには、その道程もあり得るかと思いますが、それについてはやはり両国の合意ということが必要ではなかろうか、かように考えるわけでございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 両国の合意があれば選挙権、被選挙権、つまり日本国民としての選挙権、被選挙権の行使は可能であるというふうに、いまのはもう一ぺん問い直してよろしいですね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これは条約論あるいは法律論になりますから、私のお答えはどうも常識的になりますけれども、施政権の返還ということについては、前にも議論がありますように、たとえば機能別の返還ということもございましょう。そういうのは、やはり中途のある部分の返還ということもあり得るということが前提の議論ではなっかたかと思いますから、観念論、法律論となりますれば、そういう場合も私はあり得るものと考えます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 私、もっとこまかに、具体的にこの国政参加の問題を実現していく上において、国会のあり方というものと外交交渉に当たる政府の立場というものを明確に詰めてまいりたいと思うのですが、約束の時間があって、もう時間がございませんのでその点はできませんが、国会が沖繩県民の国政参加を法制化するということについては、これは先ほどのように合意書というのは法的な拘束がないわけですし、あるいは、現在アメリカに帰っておる前のジョンソン大使も、これは明確に記者会見でも言っておるのでありますが、国政参加の問題は日本の国内の問題だ、こういうふうにかつて言明したことがあるわけであります。そうなりますと、日米合意書というもので国会が沖繩県民の代表を選ぶ選び方というものを縛られる——それは外交上のいろいろなことがあるかもわかりませんけれども、そういうことじゃなくて、日本の国会がもうすでに当然に代表を出しておるべきであった。代表を出していないわけなんですから、そのことについては、施政権の返還のめどがどうだこうだということを抜きにして、われわれは、日本国民であります沖繩県民の代表というものを国会に正当に選ばなければいけないと思うのです。  そこで、いま大臣が御答弁のように、固有の権能としての選挙権、被選挙権というのは、合意があれば、こういうお話もあったわけですから、国会がそういうことを決定すれば、当然政府は、最高の決議機関がきめたことに対して、そのことを実現するために対アメリカの交渉を進めていくということの責務を持つ、私はこういうふうに思うわけです。その点はよろしいですね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 法律論とか条約論とかいうものにも、いろいろの御議論があると私は思います。同時に、本件につきましては前々から御説明いたしておりますように、昨年の十月九日に日米双方で合意があって、そして沖繩の代表の権限は、沖繩が米国の施政権下にあるという事実のもとで、日本国憲法上認め得る最大限のものとすることに異議がないということがここで明白になっておりますから、国会において十分御審議をいただきまして、その結果がこうこうのものであるということであれば、それでおきめいただいてしかるべきだと私は思います。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 いま終わろうと思ったのですが、ちょっとひっかかったので……。  この合意書でわが国は縛られて、その範囲内でしか沖繩県民の代表が選べないんだ、こういうワクが、つまり日米間の合意書にはワクがあって、それでやってくれと政府のほうは国会に言ってきたのですか。要するに、通知します、適当に措置してください、こういうことになっておるわけだけれども、しかし、国会は、国会の意思で国会の構成をきめなければいけないわけですから、国会がきめたということについては、あるいはきめた結果でなしにその過程においても、政府は国会のきめる方向というものに従って当然交渉をやる、こういうことだと理解してよろしいですね。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 ただいま申しましたとおり、合意ができましたその事実も、何と申しますか御報告をして、どうかひとつよろしく御審議をお願いいたしますということをお願いいたしたわけでございます。

川崎寛治日本社会党

○川崎(寛)委員 終わります。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 井上泉君。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 たいへん時間が少ないので、できるだけ簡潔にお尋ねしますので、大臣も簡潔に御答弁願いたいと思います。  いま川崎委員の質問の応答を聞いておりましても、何か外務大臣として——日本の外務大臣ですから、日本の国益を主張し、日本の国民が不利な条件の中に置かれる場合には、それを何とかして日本国民としての当然の権利を回復するような動き方をするのが当然だと思いますけれども、そういうことについて、何か理屈をつけて、日本国民にして日本国民にあるまじき権利しか認めないような態度に受け取られてならないのですが、一体外務大臣は、そういう点についての決意はどうですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 いまお話しになりましたような気持ちは、私は持っておりません。ただ、いまの問題は、日米の合意がどういうふうにできていたのかというお尋ねでございますから、客観的の事実をお話しいたしたわけでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それで、これからのいろいろな当委員会における論議をする中での基本的なことで、従来この委員会でも質問されたと思いますけれども、外務大臣が六月にアメリカに行かれる目的について、いま一度ここで確認をしておきたいと思うのであります。御答弁願いたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 日米間の交渉の最大の問題は、沖繩の返還の問題でございますことはいまさら申し上げるまでもないところでございます。かねがねアメリカに対しましては、折衝の日程をまずつくりますことが一番最初の問題でございますから、そこから入りまして、六月の二日から私とロジャーズ国務長官との間で、いわば本格交渉の下交渉を開始することが決定をいたしておるわけでございます。なかなかむずかしい問題でございますから、目安といたしましては本年十一月ごろを予定しております。これも原則的に双方合意いたしておりますが、総理大臣が大統領とワシントンで会談をする、そこを終結点といたしまして、その間約五カ月余りでございますが、その間にひとつ十分に日本側の立場というものをあらゆる角度から展開をして、そしてアメリカとの間に、日本の国民的な期待に沿うような結末をあげるべく最大の努力をいたしたい。最終的には十一月末ごろを目標にしてやってまいりたいと思っております。  なお、その間、いろいろ前の機会にも申し上げましたけれども、七月から八月にかけて、日にちは決定いたしておりませんが、アメリカ側のロジャーズ国務長官をはじめ閣僚が日本に参ることになると思いますが、その機会にもさらに折衝を続ける、さらに九月にもそういう機会があると考えております。そうやってだんだん話を切り詰めていきまして、いま申しましたような結末にこぎつけたい、かように考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それでは、国民的な期待による沖繩の返還を成就するためにそういう地ならし工作というものを煮詰めていく、こういうように理解しておっていいですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 さように御予解いただいてけっこうでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それでは、大臣のいま言う沖繩返還についての国民的期待というのは、一体国民がどういうことを沖繩返還について期待しておる、こう確認をされておるのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 一つは、とにかく、すみやかに施政権を返還してもらいたいということが、何といっても第一であろうかと思います。それから同時に、よく本土並みということばが使われますけれども、沖繩が返る以上はそういう形が最も望ましい姿であるということは、大多数の方々が考えておられるということも私どもはよく理解できるところでございますので、そういうところを踏んまえて交渉を進めていきたいと考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 その交渉をするにあたって、例の一九六七年十一月の佐藤・ジョンソン会談で、いわゆる沖繩の諸施設が日本その他の自由諸国の安全を保障するための重要な役割りを果たしておる、こう表明しおるのですが、そのことが障害になるかならないか。そのことなんかは別に顧慮することなく、新たな国民的な期待にこたえた返還交渉の地ならしをすることができるのかどうか、その点をお尋ねいたします。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 その点はもちろんでございまして、(井上(泉)委員「もちろん何ですか」と呼ぶ)ですから、これから御説明いたします。  政府の考え方は、日米安保条約をもとにして、日本を含む極東の安全を確立したいということが安全保障条約の目的でございます。その目的にかなう線の中で沖繩返還というものを成就していく、かように考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 その場合に、日米会談で極東における日本及び自由諸国ということになるわけですが、そうなると、極東における自由諸国と称する国はどこどこをさしておるのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 御案内のように、アジアの諸国にもいろいろな友好国がございまして、たとえば東南アジア諸国の間には閣僚会議というものも編成されております。また、ASPACというような会議体におきましては、特に平和について、お互い同士自由にそれぞれの意見を交換しようという組織もできております。あるいはまたエカフェというものもあります。これらは範囲が必ずしも同じでございませんけれども、大体それらのところを幅広く考えて、こういうところに参加し、お互いに胸襟を開いて平和を語り合えるというふうな国々を大体自由諸国と考えてよろしいと思いますが、しかし、安保条約においては、前々から詳しく御論議のあるところがございます。そういうような安全を、どういうふうな範囲で考えなければならぬかということも論議をされております。そういうようなところを総括的に考えていくべきものだと思っております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 アジアの自由諸国、平和愛好自由諸国、こういうわけですが、この場合における中国の位置づけについては、沖繩返還の交渉にあたってどう考えるか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 中国といいますか、中国本土との関係はいまさら申し上げるまでもないところでございまして、一面においては、国民政府との間に前々から条約関係があります。本土に対しましては、いわゆるそういう国交、外交関係というものはないけれども、事実上パイプをつくり、そして人的交流とか貿易の継続とかいうようなことについては、従来もいろいろの面から努力が続けられておるわけでございまして、こういうステータス、現状について、ただいまのところ、われわれといたしましてもこういう状況だけで満足すべきでないことはもちろんでございますけれども、さりとて、いま直ちにどうこうするということは、いまのところ申し上げるまでの考え方がきまっておるわけではございません。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 いま大臣は、中国の本土とそれから台湾のことを話をされたのですが、そうなると、いわゆる大臣の言う中国というのは、中国本土大陸とそれから台湾を含めたものを中国とお考えになっておるかどうか、その点……。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これはなかなか微妙な問題でございまして、中共の側から見ても、台湾と合わせて一つの中国であるという主張をしておられるし、台湾の側もまたそういうことを主張しておるわけですから、これに対して日本がとやかく申すべきではございません。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 中国のいわゆる本土の大陸と台湾をも含めたものを中国と言うのか、両方切り離したものが別々に中国であると言うのか、それは、外務大臣たる者言うべきことくらいはきちんと持ってもらわぬと困るわけです。  そこで、さらにお尋ねしますが、沖繩返還の問題はどうしても中国問題が出てくるのですが、あなたが言われる中共というのはどこをさしておられるのですか。佐藤政府は、よく中共中共と言われるが、中共というのは、中国のどこをさしておられるのですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 まあ常識的に申しますれば、中国本土において中華人民共和国の支配下にあるところを中共と通常言っておるわけでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そうすると、あなたたち佐藤政府の言う中共というのは、中華人民共和国をさして言っておるのだ、こう理解しておっていいですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 中華人民共和国が支配しておるところは、中華人民共和国と通常いわれておる、これを略して中共と言っておる、常識的にこう御理解いただいていいのではないかと思います。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 あなた、日本の国の外務大臣ですから、日本の国から中国のことを見る場合に、いろいろなことを考慮する必要はないですよ。われわれは、台湾政府がどう言おうが、中華人民共和国は台湾、本土も含めて中国と言っておるのだが、台湾は本土を含めてとか、両方とも期せずして中国は一つということになっておるのだから、両方のことばを聞けば、どちらに聞いても中国というのはただ一つであると言うわけだから、それを外務大臣が、両方がそう言っておるのだから、日本としてはどっちとも言えないのだというようなことはないでしょう。これはどうですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 日本の外務大臣でございますから、これはいわば両方の政府が主張しておられることを、何といいますか簡単なことばで言えば、向こうさまの内政上の問題でございますから、外国がこれに対してとやかく申すべきものでない、こういう意味で申し上げたわけでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それは内政の問題ではなしに、日本の外交を進めていく上において、中国が二つであるのか一つであるのかということは、大きなかなめになるのじゃないですか。  ぼくはほんとうに若輩で国会の性格なんかわからないけれども、こういうことを言えば時間がないので次の機会に譲りたいと思いますが、アメリカへ外務大臣が行かれる前に、半時間や一時間では——私に与えられた時間はたった十五分しかないが、こんなことで大事な沖繩返還問題について交渉に行かれる大臣に対しての国民的要求というものを質問する時間というものはないわけですが、大臣はもっとそういうことについて誠意をもって、この沖繩特別委員会に時間をかけて出席する手配がとれないのか。委員長としては、それだけの配慮ができないのか。その点を承っておいて、私は質問を終わりたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 私からもお答えいたしますが、この沖繩返還問題というものは、ほんとうに日本をあげての重大問題でございますから、いろいろの御意見を十分承り、そうしてわれわれのやってまいります交渉に遺憾なきを期するということは、私の本旨とするところでございます。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 委員長としましてお答えします。  委員長としては、できるだけ時間をさいてもらって本委員会に出席をしていただきたい、かように考えますので、今後とも努力をするつもりでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 その他の質問はまた次の機会に……。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部委員 本日は非常に時間が少ないようでございますから、私は、きょうは議論というよりも、外務大臣のお考えについて私はまだ存じ上げていないところが多いものですから、領土問題が非常にからんでおりますので、領土関係の問題について、一つずつお伺いするのも非常に妙な話なんですけれども、一つずつお伺いしたいと思うのです、立場が少しずつ違いますから。  一つは樺太、それから千島列島、それから現在政府が北方領土として問題にしております歯舞、色丹、国後、択捉の一諸島三島に関する問題、それから今度はいわゆる台湾に関する問題、もう一つは竹島に関する問題、こういうものを一つずつ、いずれも日本の周辺地域で戦争後の処理がまだ非常に未確定的なものを含んでおると思うわけでございます。この地域についてどういうふうに見ておるか、法的な根拠も含めて御教示にあずかりたい。また、これに対して外務当局として相手国とどういう交渉をしてこられておるか、お伺いしたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 まず北方領土の問題でございますが、これは御案内のように、サンフランシスコ平和条約の第二条の問題が第一でございます。これにつきましては、結論的に申し上げますと、日本側の主張というものは累次国会でも明らかにいたしております。これはまあ、場合によりましたら詳しく書面等でも御説明してもよろしいと思いますけれども、結論的に申しますと、歯舞、色丹は北海道の一部である。それから国後、択捉は、あらゆる沿革的、歴史的あるいは古い条約等から見ても、わがほうに帰属する十分の根拠がある。それから平和条約第二条の解釈上も、国後、択捉はわがほうのものであるということがわれわれの解釈でもありまするし、また、その解釈を裏づけるサンフランシスコ会議のときの各国全権等の発言等によってもこれが根拠づけられる、こういうことで、一貫して国後、択捉、歯舞、色丹はわがほうの領土である、こういう主張を堅持し、そうしてまた、これを終始一貫して対ソ外交の最大の問題として展開しておりますことは、御承知のとおりでございます。その経過におきましては、ソ連側の態度というものは非常に率直に言えばかたくなでございまして、まだめどがつくところまでいきませんけれども、これは忍耐強く、あらゆる機会にただいま申しました主張を続け、その成果を得ることに努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  それから台湾につきましては、これもサンフランシスコ条約等にさかのぼりましてのいろいろの経過がございますが、終局的な帰属というものは条約的には未決であるというのが、一応の見解と申し上げていいのではなかろうかと思います。それが先ほどの御質問にもございましたけれども、国際的な問題にもなっており、また、中国の内政的な問題でもあるということになっておるということが言えると思います。  それから竹島につきましては、これも御承知のとおりと思いますが、三年前の日韓正常化の国交回復の折衝のときに、わがほうの主張は、これまたあらゆる角度から見てわがほうの領土であるということの主張は堅持してまいりましたが、この点については話がまとまらなかったものですから、交換公文におきまして、自余の懸案とあわせてこの点についてはいわば継続的に協議をするということになっております。しかし、わがほうとしては、好機をとらえてこの話を煮詰めようと思っておりますけれども、その間においてもわがほうの領土主権の主張ということは必要であると考えますので、海上保安庁の船等によりまして竹島の周囲の巡航をやったり、状況については、何といいますか、十分状況を見ておるという状況でありますが、竹島については、先ほど申しましたように、好機をとらえて韓国政府とあらためてまた折衝をしなければならない、かように考えておるわけでございます。  ごく概略でございますが、以上三点にわたってお答え申し上げた次第でございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 以前の国会でありますが、その際に尖閣列島の問題でもって御質疑をしたことがございます。たしか北米局長もあのときお答えになったはずです。沖繩の端っこの島でありますが、台湾の漁民が出漁しておるだけでなく、最近におきましては漁業根拠地ができているようでございます。そのときに当時の外務大臣からは、これについては十分検討をする、調査して返事をするという話がございました。以後御返答は外務当局から承っておりません。これについてどうお考えになっておられるか、お伺いいたします。

東郷文彦外務省アメリカ局長

○東郷政府委員 尖閣列島の問題につきましては、われわれも、以前に申し上げましたとおり大きな関心を持っておりまして、琉球政府並びに民政府とも随時話し合っております。最近も、お話しのように単に領海侵犯のみならず、小屋がけのところもあったということでございますが、たびたび巡視を最近もいたすようになりまして、小屋がけでやっておるというようなことはなくなったと承知いたしております。なお、島に標識を立てる、あるいは巡視船を補強するために琉球政府に予算を特に計上する等いろいろ手を尽くしまして、領海侵犯あるいは領土の侵犯のようなことはなくなるように、今日からも努力しております。

渡部一郎公明党

○渡部委員 それでは、時間がすごくないようでございますから、これに関する意見はまたこの次に申し述べますことといたしまして、国政参加の問題についてちょっとお伺いしたいのでありますが、ただいま御質疑の間で明らかになりましたが、大臣は施政権返還の問題について、これが第一に大事である、施政権返還の途中において、いままでの段階的ではなくて中間的な分離返還、区分返還のごときものが観念論としてはあり得るというようなお答えのしかたをなさいました。それは実際的に、これから外務大臣が訪米されると伺っておりますから、そういうお話し合いでまとまる可能性があるものか、それはただ考えとしてあるだけで、そんな交渉はなさるおつもりはないとおっしゃるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これはちょっとよけいなことを申しましてあるいは誤解をお持ちになったかもしれませんが、かつて機能別返還とか地域別返還とかいうような議論もあった。それは施政権というものについて一〇〇%の返還と、そうでない場合というものが観念的に考えられるので、そういうことの議論になったのではないかという意味で申し上げたわけでございまして、現在そういうことを具体的な折衝の問題として考えているわけではございません。

渡部一郎公明党

○渡部委員 外務大臣が訪米なさるところの日程、日取りのごときものは、もう御決定になりましたでしょうか。それをひとつ教えていただきたいのと、それから外務大臣が、本土並み返還というのが国民の要望であるというような認識をお持ちのような発言を先ほどからなさっておられますが、外務大臣がお考えの本土並みということは、軍事基地あるいは日米安保体制あるいは日本の自衛隊の現地におけるところの防衛体制、そういったものはどういうものが本土並みだと思われているのか、そしてそれは、事前協議との関係においてもどういうものだと思われているのか。もう一回申しますと、自衛隊との関係、米軍基地の問題、それから日米安保体制との関連、そういったようなものについて、本土並みとはどういうものだと思われるか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 まず、日程の問題から申し上げますと、六月二日からロジャーズ国務長官との話し合い、皮切りを始めたいと思っておりますのは、もう確定的とお考えいただいてけっこうでございます。それから一連の日程として申し上げております分は、たとえば日米貿易経済閣僚会議という形でございますけれども、これは原則的に東京で開くことに合意ができておりますが、日取り、時間等はまだきまっておりません。それからその次に申し上げましたのは、九月の国連総会の機会も利用できるであろうということを申し上げたわけでございまして、これはもうほぼ国連のほうが第二週の火曜日から始まるということになっておりますので、大体そういう意味ではおおよそそのころの時期が利用できるのではなかろうかと考えております。それから十一月中の総理訪米ということは、大体そのころがよかろうということに双方合意しておりますけれども、日時は、まだ少し先のことでございますからまだきまっておりません。  それから本土並みということのお尋ねでございますが、これにつきましては、いままでも申し上げておりますように、それこそ基地の態様等についてはまだ十分煮詰めた考え方がまとまっておりませんので恐縮でありますけれども、特別の定めがなければ、施政権が返還になるのでありますから、憲法はもとより、安保条約、この一連の条約体系といいますか、法体系が沖繩に適用されるということになるのがいわゆる本土並みではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。特別の定めない限りは、そういうことになるのが普通といいますか、特別の定めがなければですね。その場合におきましては、交換公文その他もそのまま適用になる、こういうことになる、こう考えてしかるべきではなかろうかと思いますが、いつも申し上げておりますように、現在のところでは、特別の定めのない限りということをそこに置いておいてお考えをいただきたいと思います。      ————◇—————

中村寅太自由民主党

○中村委員長 次に、北方領土問題対策協会法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川一郎君。  中川君にちょっと申し上げますが、外務大臣の退席される時間が迫っておりますので、外務大臣に対する質疑を先にひとつお願いをいたしたいと思います。

中川一郎自由民主党

○中川(一)委員 時間がありませんので簡潔に申し上げますが、今度外務大臣がアメリカに行かれることについては、国民が非常な関心を持っております。それは沖繩問題についてでは当然でありますが、日本では沖繩問題と並んでやはり北方問題が非常な関心事であり、今後またますますこの問題は盛り上げていかなければならないと思います。  そこで、北方問題については、ソビエトとの関係が大事なことはもちろんでありますけれども、この領土問題が、ソビエトは、択捉、国後についてはソビエトのものであり、日本は日本のものであるというふうに、大きく主張が分かれて今日に至っております。そのきめ手となるのは、何といってもサンフランシスコ平和条約の第二条(c)項の解釈の問題だと思うわけであります。これについては、いろいろ学説があるわけであります。学者の中にもいろいろ議論をするものがありますが、要は、千島を放棄したその千島の中に、南千島である択捉、国後が入るかどうかという解釈の問題、これが第一点であります。  第二点は、放棄はしたけれども、ソビエトに放棄したのではない。     〔委員長退席、本名委員長代理着席〕 放棄した相手国がきまらぬうちは、これは、それまでの間は日本の領土と主張するのが、法的にあるいは国際的に見て当然ではなかろうかという二点の問題があるわけであります。  そこで、今度外務大臣おいでの節には、この点について少し、連合国の親玉国であるアメリカとじっくり話し合いをして、そうしてこの問題に対する日本とアメリカとの考え方をはっきりしておくべきではないかと思うわけであります。そのことが、ソビエトとの交渉の上に大きな役割りというか、根拠となるであろう。単にソビエトと交渉するだけでは、いまのところ行く先が明るいものを見出すことはできないけれども、この沖繩問題の解決と同時に、北方問題に対する、少なくとも日本とアメリカとの考え方は一致をする、合意に達する。そうしてアメリカからもソビエトに、連合国としての考え方の働きかけをしてもらうのが当然ではないかと思うのでありますが、この点についての大臣の見解と、それから、今度アメリカに参るにあたっての交渉に対する考え方というか、御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 北方領土の問題につきまして、先ほど渡部委員の御質問にもお答えいたしたわけでございますが、サンフランシスコ条約第二条(c)項の解釈につきまして、日本政府の一貫して堅持しております態度というものは、放棄したものの中に国後、択捉は入っておらぬ、これは一口に申しますとそういうことでございまして、したがって、放棄したものではないという見解でございますから、放棄の相手方がソ連でもなければどこの国でもない、それは固有のもので、日本に密着したものである、こういう考え方でございます。  そこで、まことにごもっともなお尋ねをいただいたと思うのでありますけれども、北方領土についてアメリカの見解というものはどうであるのか、この点について明確にしておくことが、沖繩問題の折衝に当たる、あるいはその他ソ連に対する関係から申しましても力強くなるのではないか、ごもっともと思います。     〔本名委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、この点について経過を申しますと、こういうことに相なっております。日ソ国交の正常化、鳩山内閣のときに共同宣言によって戦争状態は終結いたしました。その国交正常化交渉の進展に伴いまして、この北方領土問題に対して当時日本政府がアメリカ政府の正式見解を照会いたしたことがございますが、一九五六年九月七日付の覚え書きをもって米国政府は次のような回答をよこしております。「米国は、歴史上の事実を注意深く検討した結果、択捉、国後両島は、常に固有の日本領土の一部をなしてきたものであり、かつ、正当に日本国の主権下にあるものとして認められなければならないものであるとの結論に到達した。」そうしてこの「択捉、国後両島」というところにカッコをいたしまして、「北海道の一部たる歯舞諸島及び色丹島とともに」というカッコが入っておりますから、国後、択捉、歯舞、色丹はもとよりという趣旨であろうかと思いますが、こういう正式の回答をよこしております。それから、この見解は、一九五七年五月二十三日付の書簡で、米国政府はソ連政府にあてた書簡の中でもこのことを確認いたしておるわけでございます。  かように従来も正式のこうした回答を日本にもよこしており、また、ソ連にも米国としては出しておりまするし、また、御案内のように、サンフランシスコ会議のとき自体におきましても、この趣旨が、当時の米国の首席全権あるいはイギリスの首席全権等からの調印にあたっての演説等においても明らかになっており、また、日本の当時の吉田全権の演説にもこのことをいわば事実上明白にいたしておる経過もございまするので、いまのところ、特にあらためてこれを確認するような措置が必要であるかどうかということにつきましては、なお十分考えさしていただきたいと思いますけれども、現在までのところでもかように必要な措置はとっておるつもりでございますし、かつ、日本政府の見解につきましては米国側も十分に支持しておる、こういうふうな状況になっておりますことを御報告申し上げる次第でございます。

中川一郎自由民主党

○中川(一)委員 時間がありませんから簡単にもう一つだけ突っ込んでお願いしたいのですが、いまのお話は、見解はよく前からわかっているのですが、連合国としてのアメリカとしてソビエトに向かって、ヤルタ協定なりあるいはカイロ宣言なりポツダム宣言なり、いろいろ連合軍の幹部の国で申し合わせがあるわけです。その申し合わせに従って積極的にアメリカがソビエトその他の国に働きかけをするんだ。ただ見解はこうだということで投げておくのではなくて、積極的に働きかけてもらいたいという主張をすべきだと私は思うのですが、そういう前向きの、もっと一歩進んだ交渉をしてきてはいかがか、こういうことでございます。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○愛知国務大臣 これもまた、まことにごもっともな御意見であると思います。先ほど来申し上げておりますように、すでに執拗に、日ソ間の懸案としてソ連に対しても強く日本としては交渉を継続しておるわけでございます。その実りがさらに大きく、またその速度が早くなるようにするにつきましては、そういったような協力を求めることも適切であろうかと思いますので、十分御意見を体して事に当たりたいと考えております。

中川一郎自由民主党

○中川(一)委員 大臣はどうぞ……。  それでは、この点は非常に私は大事だと思いますので、欧亜局長にもう少し突っ込んで、簡単ですが、少々質問を続けたいと存じます。  この点について、もう少し外務大臣を補佐していくにあたっては、例のポツダム宣言あるいはカイロ宣言、ヤルタ協定、いろいろなものからいって、当然アメリカがソビエトに積極的に乗り出すべきだと私どもは思うわけであります。ただ日本に対してアメリカはこう考えておるというだけでは、ソビエトは言うことを聞かないのは当然であろうかと存じます。いまの文書を聞きましても、これはただそう思うというだけで、平和条約の何条何項の精神はこうであったんだとか、あるいはポツダム宣言に基づく日本の領土とは何だという見解を近々いたしたい、ついてはソビエトに、こういう考え方であるから協力せよというふうに、もっと積極的に出てもらっていいんじゃないか。特に今回は沖繩に対して施政権を返せ——アメリカも日本に対して協力するわけですから、当時の同僚国であるソビエトに対しても当然言い得るのではないか、また、言うべきチャンスではないかと思うのですが、この点についてどういうふうに考えられるか。

有田圭輔外務省欧亜局長

○有田政府委員 お答えします。  先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、北方領土問題は日ソ間の基本的な非常に重大な問題でありまして、従来から執拗にソ連側にその反省を求めているわけであります。非常にかたい姿勢であります。したがいまして、条約上あるいは理論上は十分にこちら側に分があるわけでありまして、これを繰り返し説明しておりますが、先方はこれは解決済み、見解が違うということで、いわば水かけ論に終わっているような状態であります。  アメリカ側にこの点について援助を求める、アメリカ側に強くソ連側にもプッシュさせる、これも確かに御見識だと思います。しかし、基本的には、この領土問題というのは、日ソ間において十分に話し合いをして解決しなければならない問題であろうかと存じます。もちろんアメリカ側からソ連に対して、ソ連の反省を求めるということもあろうかと存じますが、実はその見解については、かなりかけ離れて対立しておるわけでございます。ソ連側は、ヤルタ協定というものを持ち出しまして、戦争中の密約というものからして、これは当然ソ連のものであるということを根拠の一つにしておるわけであります。アメリカ側はこれに対しまして、それは当時の単なる国家首脳部の一応の約束であって、その後においてソ連はこのヤルタ協定にすら反しておるではないか、満州において行なった行為は何であるか、いろいろ引用しております。したがいまして、ヤルタ協定にはアメリカ側としても縛られないというような立場をその後にもとっております。もちろんこれは政治的な意味を加えてでありますが、したがいまして、アメリカ側からソ連側を説得するということについての効果については、若干疑問があるのではないかと存じます。  また沖繩との牽連におきましても、最近のソ連の新聞論調を見ますと、沖繩の返還については一刻も早くアメリカは日本に返すべきものであるということであり、また、沖繩返還の関連事項につきましては、フォローしましていろんな角度から批判をしております。これに対しまして、先般中曽根前大臣が飛行機の交渉でモスクワに行きましたときに、コスイギンにこの問題を出しまして、沖繩が返ってくる情勢にかんがみて北方領土問題を考えたらどうかと言いましたときに、ソ連側のリアクションは、沖繩と北方領土問題は、ソ連側の見解からすれば次元の異なる問題であって、北方領土問題なるものは存在しないんだというようなかたい態度をとっております。したがいまして、この日ソの領土問題につきましては、正攻法と申しますか、やはり正面からソ連に対して日本の主張を述べまして、執拗に交渉をしていくことが最も効果的かと存じます。もちろんアメリカ政府のほうに日本の立場その他いろいろ説明しまして、機会ある際には、これに対して支持を得るという措置は十分とっておくことが必要かと存じます。まず第一義的には、やはり日ソの間の問題として交渉することが一番効果的ではないか、このように考えております。

中川一郎自由民主党

○中川(一)委員 局長の話を聞いていますと、当事国であるソビエトと交渉するのが一義的である、アメリカもやってくれておるが、そっちのほうはあまり期待できないというような答弁でありますが、私は不満だと思うのです。というのは、いままではソビエトに言っても、アメリカは沖繩すら返さないじゃないか、アメリカの沖繩すら返さない段階にという気持ちもあっただろうと思う。ところがアメリカが、アメリカとしてもいろんな事情もありながら、苦しい中に返還をするんだということになれば、国際上の一つの進歩であり、変化なわけです。この変化の機をとらえて、アメリカがソビエトに向かって、おれのほうもこういうふうに返したので、あなたのほうの北方領土の問題については、ヤルタ協定あるいはポツダム宣言その他からいって、当然日本に返すべきであるという主張をやることが非常な効果があるのではないかと思うわけです、というのは、ソビエトだけ相手にしておっても、これは百年交渉じゃないか。いまのところは一つの明るさも見えないわけです。いろいろいわれておるけれども、なかなかむずかしい。むずかしいとするならば、やはりアメリカの応援というか、協力を得てやるという努力も力一ぱいしてみるべきだと思うのですが、今回は大臣がアメリカに渡り、あるいは総理がやがて、秋になりますか来春になりますか、本交渉に参るときには、当然この問題もひっさげていくべきじゃないかと私は思うのですが、やはりそう思いませんか。

有田圭輔外務省欧亜局長

○有田政府委員 御説のような側面は確かにあると思います。沖繩の返還されるという事態は、これはわれわれ国民の待望しておりました非常に新しい事態であります。先ほども申し上げましたように、ソ連側の新聞が、この沖繩返還の問題についてあらゆる角度からいろいろコメントしておりますのも、これはやはりソ連側の関心の度を示すものであるかと存じます。また、先般の日ソの平和交渉あるいは共同宣言の交渉の前後におきまして、歯舞、色丹の引き渡しの時期についても、沖繩が返還されれば返すというようなことを当時のフルシチョフが言ったようなこともございまして、この面の牽連ということは確かにあるわけであります。このようなこと、それからまた、国際情勢の変化というものを背後に置きまして、今後引き続き日ソ間の交渉を進めていくということは時宜に適したことであると思いますし、その際にアメリカ側の十分の支持を得るということも、外交当局としては当然考えなければならない問題であろうと思いますので、先生の御主張も十分心にとめまして今後の対ソ折衝に努力をしたい、このように考えております。

中川一郎自由民主党

○中川(一)委員 終わります。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部委員 まず私は、提出をされております北方協会に関する法案に関連して、この問題を一つ伺っておきたいと思います。  それは、最近における北方水域におけるソ連との間の漁業関係における抑留者でございますとか、あるいは拿捕された船舶、こういったものがどれぐらいになっておるか、まだ現在返還されていないものはどうなっているか、また、それに関してどういうような交渉をなさっているか、その点をお伺いしたいと存じます。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 北方水域における拿捕問題に対しましては、事件のございますごとに、政府におきましてはソ連に対しまして折衝をいたしておるわけであります。  なお、現状といたしまして、四十四年二月一日現在でありまするが、拿捕件数千二百七十五隻、人員にいたしまして一万七百六十三人、そのうち、帰還いたしましたものが七百九十八隻、人員が一万六百八十二名、事故及び死亡が十九隻、二十名です。未帰還が四百五十八隻、人数にいたしまして六十一名です。

渡部一郎公明党

○渡部委員 それに対してどういうような抗議あるいは返還の交渉等を、最近においては行なっておるのでありますか。

有田圭輔外務省欧亜局長

○有田政府委員 大臣から御説明申し上げましたとおり、この拿捕のつどソ連側に対しましては厳重に抗議しまして、船舶の返還、それから抑留漁民の釈放ということを要求しております。また、それに関連して起きました損害については、請求の権利を留保するという形でそのつど抗議しております。本年はたしか、私の記憶では、一月に入りましてからは拿捕件数は二件だったと思います。一件については十四名、それから最近また、たしか状況を聞いております。拿捕は大体その消息がわからなくなりますわけですね。それで関係者から、どういうことになったか至急照会しろということで、直ちにモスクワ大使館を通じて先方に照会します。それから、ただいまは日ソ間に領事条約ができておりますので、この領事条約によりまして十日以内に日本側へ自発的に、抑留した者については氏名その他を通報する義務をソ連側が負っております。そのような状況が判明次第、われわれのほうからそのつどソ連側に抗議する、こういうかっこうになっております。

渡部一郎公明党

○渡部委員 それについては、すみやかに返還の方途を講じていただくよう特にお願いいたしておきたいと存じます。  それから、ソ連が歯舞、色丹、国後、択捉の返還に非常に固持する形跡をとっていることの一つの理由に、当該地域におけるところの大きな軍事基地の設備というのが行なわれているという問題が報道されておりますけれども、この千島あるいは樺太、カムチャッカ方面におけるところのソ連の軍備状況、あるいは漁業根拠地の状況等についてどのような認識を持っておられるか、御返事を賜わりたい。もしそれがいま無理であったら、後刻資料として御提出を願いたい。

有田圭輔外務省欧亜局長

○有田政府委員 ソ連が問題の地方に相当の軍事基地を設けている云々というような報道は一、二あるようでございますが、これについては残念ながら資料がございません。しかし、飛行場がございますことは、先般アメリカの民間航空機が多少北寄りを飛行したことによって、ソ連の飛行機によって択捉島でしたか強制着陸させられた事件がありました。直ちにソ連側は釈放いたしましたけれども、そのような事実によって、あそこに相当大きな飛行場があるということはわかっております。そういうような偶発的な事件から多少情報を入手するという以外には、まとまった情報の入手方法はございません。しかし、一般の印象では、あそこにそれほど大きな基地を設けているというようには、われわれ理解いたしておりません。  また、漁業問題についてでございますが、これはソ連は、ソ連の五カ年計画に関連しまして総漁獲量を増大するということを目的にし、ことに極東における漁業の開発ということに近年力を入れております。したがいまして、多少あの辺に基地は設けていると思いますが、そのような方法以外に、むしろ太平洋の公海漁業のほうにいろいろの可能性を探求して、大型の船団を出してくるという方向ではなかろうかと思います。したがいまして、あの島の関係で、特に漁業基地を拡大し、それを非常に大切にしているというようには聞いておりません。ただ、やはり地域的な開発の関係から、多少の加工工場というようなものをつくっておるというような断片的な情報は入っております。また新しくその関係の情報が入りました際には、適宜先生のほうにお届けするように措置をいたしたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部委員 こういう場所で御報告しにくいかもしれませんけれども、私は前に渡航課長さんに、現地における漁業基地は、日本からの墓参団によって相当確認されておったという事実を伺ったことがある。ですから、いまの御報告じゃ、私はちょっと非常に荒い報告じゃないのか、こういう感じが率直に言ってするわけです。したがって、後ほど具体的な御報告を私は提出していただきたい、こうお願いしておきます。  それから次に、私は、今度は日ソ交渉がうまくいかない一つの理由でありますが、これは欧亜局長にぜひ伺っておこうと思っておるのですが、日ソ共同宣言が行なわれた際に、「ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。」これが当時の日本政府を代表して鳩山、河野、松本三氏によって署名され、ソヴィエト側からはブルガーニン、シェピーロフの二人によって署名されている。ところがこのときにおいて、日本政府のほうとして、交渉の途上において、領土問題等を含む平和条約を結ぶという条項が当初の交渉のときにあったのにそれを削ってしまって、その削ったいきさつがあるために、ソ連側は領土問題は解決済みだと、こう強く最近において主張する論拠の一つになっておる。法案審議の結論からもそういう形が出ておる。これについては、したがって鳩山内閣当時の自由民主党並びに政府と、その後の池田内閣当時の政府の考え方、それから今日の佐藤内閣におけるところの考え方とが全然違うものである。もしそうであったとすれば、今日の日ソ問題の紛糾をもたらした大きな責任というものは、政府の大きな判断の間違いにあったのじゃないか。当時の鳩山さんたちのグループが悪かったと認められるのか、それとも、それはそうではなくて、この言い方というのは当然のことであったと主張されるのか、その辺をちょっと伺いたいと思います。

有田圭輔外務省欧亜局長

○有田政府委員 まず、先ほどの資料の点でありますが、なるほどこの墓参団は昨年は参れませんでした。しかし、その前に墓参団が行っておりますので、その際の見聞記等については適宜御提出できるかと思いますが、その方々の見聞は、そういってはなんですが、いわば一時的な部分的なものでございますので、それはそれなりの印象記といった程度のものに御理解いただけたらけっこうかと存じます。もちろん先生の御関心の点はよく留意いたしまして、その関係の情報が入手できました際には、そのときにまたあらためて御提出したいと存じます。  後段の点でございますが、これは国後、択捉、歯舞、色丹というものは日本の固有の領土であって、これを返還要求するという方針は、政府の方針として終始一貫したものであったかと存じます。もちろん交渉の段階におきまして、いろいろ各方面からの意見というものはあったかと存じますが、政府の交渉の基本的立場は何ら変化していないものと承知しております。その証拠に、この平和条約というものがその際にできずに、日ソ共同宣言に切りかえられたということもその経緯からでありまして、その当時にソ連側が国後、択捉も含めて日本側の要望にこたえてくれていれば、平和条約の締結の可能性もあるいはあったのではないか、このように考えるわけであります。この共同宣言の中に、最終的に歯舞、色丹というものは平和条約締結のときに返す、その他の点について、平和条約の問題については継続審議する——この平和条約の締結に関する交渉を継続するという意味は、これは平和条約がなぜできなかったかということの経緯を考えれば、まさしくこの領土問題のために平和条約ができなかったのでありまして、この条文によって明らかにわれわれとしては、国後、択捉という領土問題が現実に日ソ間に存在し、この問題について今後話し合いをするということをソ連側も了承したというふうに解釈しておりますし、事実その後においてこの問題について話し合っておる次第であります。また、三木大臣が向こうに行かれましたときも、コスイギンが中間的にものを考えてみてはどうかというようなことを言っておりまして、ソ連側は一応この問題、解決済みとは言っておりますけれども、そこにその問題の存在があって、交渉する、話し合いをするということは否定しておらないわけであります。したがいまして、この点につきまして、政府の側におきまして思想の混乱があったというようなことは、われわれは考えておりません。

渡部一郎公明党

○渡部委員 それでは、私はこの法案のほうについてちょっと申し上げたいと存じます。  まず、法案のほうの十三条に関してでありますが、この「役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。」こういうようにここのところでしるされておりますが、これは一体どういうことを意味するのであるか。と申しますのは、さきに大汚職を生んだ農林関係におきましては、同様の、主務大臣の承認を得て、国務大臣あるいは農林省役員等が営利を目的とする農林関係の団体の役員となって幾多の大汚職を生んだということは、公然周知の事実であります。ところがこれにおいては、この北方領土問題対策協会それ自体が、このようなきわめて危険な規定をわざわざ織り込まなければならないという理由ははたして那辺にあるのか、わざわざ主務大臣の承認を受けたときには、このような営利事業の団体の役員になれるというふうに規定するということはどういう意味なのか、これは、はなはだもってよくわからないわけであります。わからないというよりも、この十三条の条文が、将来の大きな黒い霧発生の余地さえ想像されるわけであります。私は、これは単なる想像ではなくて、いままでの不幸な実例からすれば、きわめて妥当なことであろうかと思うわけであります。したがって、なぜこのような、主務大臣の承認があればこういうようなことになるのか。しかもこの主務大臣というのが、現在の温厚篤実なる総務長官の立場ではなくて、最も利権的なにおいの濃い農林大臣あるいは内閣総理大臣が主務大臣ということになっていることは、まことに私はうなずけないわけであります。とりあえずこの十三条の規定について、「主務大臣の承認を受けたときは、」どういうときに主務大臣は承認をなさるというわけであろうか、また、どういうような営利事業に従事していいというようにきめたのであるか、その辺のところを詳しく御説明を仰ぎたいと存じます。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 特にこの規定がありますのは、この団体は貸し付け業務をいたしておるわけであります。今日、北方協会が有しております十億円の国債というものの利子を運用いたしまして、そして関係者に対しまして融資、援護業務を営んでおるわけでございます。したがって、この融資と密接な関係を持っております者が役員でありますことは、これは適当でない、かように考えまして、そのような場合におきましては承認を受けるようになっておる。したがって、一般の場合におきましては問題にならない。しかし、常勤の者に対しましては、常勤役員というものは職務に専念してもらいたい、かような考え方を持っておるわけであります。なお、一般の人に対しましても、法人と密接な利害関係のあります者は、これはできるだけ避くべきものではないか。これは法人の性質からいって当然であろうと思います。特にお尋ねのありました点につきましては、さような貸し付け業務をしておるということからして、業務が公正に行なわれることを期するために特に加えておる次第でございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 それでは、「主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。」この限りでない場合は、どういう場合を総務長官は想定されておられるのでしょうか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 ただいま申し上げましたように貸し付け業務をいたしておりますので、貸し付けを受ける仕事になると利害関係ができるというようなことにつきましては、これは避くべきものでありますので、この際は承認はできないことと考えております。

渡部一郎公明党

○渡部委員 そうすると、長官、そういった問題についていまここで言われたということが、将来の大きな規定になるような何かのワクをはめるということはできないものでしょうか。というのは、このままほっておけば、総務長官がいまおっしゃったような問題がさらに拡大解釈をされて、「主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。」という条文が限りなく拡大解釈されて、大きな問題を生む場合があるこの条項を削るか、あるいはこの条項に付帯事項をつけて、この承認の場合はこれとこれに限ると附則をつけるべきだ。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 それは、こういう種類の法人につきましては当然必要な条文だ。具体的には局長からお答えいたします。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 御指摘の点は、この政府関係機関なりあるいは公法人にある条文でございますが、ここでは、たとえば非常勤の方が役職員になられた場合のことを考えまして、そういう方が主務大臣の承認を受けたときには例外を認めていいじゃないかというような場合が、広く人材を集める意味からもあるわけでございます。したがいまして、いま長官からお話がありましたような、利害関係から見ましてあまり直接的な関係がないというような場合の例外として主務大臣が承認をする場合がある、こういう規定でございます。常勤の場合には、そういう場合はほとんどないと思います。

渡部一郎公明党

○渡部委員 局長に伺いますけれども、そうすると、そういうようなあっせん収賄罪なんというおかしな規定すらいまあるわけですね。そうすると、直接的に業務と関連のない役員の場合だったら、人材を集めるという意味でこういうことをやることも考えられますけれども、直接関連がないように見えながら、金銭の面では関連のある場合が非常にあるわけです、世の中においては。そうすると、そういうようなことを想定して考えておきますと、この規定は非常にやわらかい、そして大ざっぱな、粗末な、粗雑な規定じゃないかと私は思うわけです。ですから、それに対する、いま言われたように直接関連のある事業の役員は除くとか、あるいはこれの幾つかの何かの歯どめを、補則あるいは何かにおいてなさったらどうかと私は言っているのです。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 この場合、非常勤の役職員を求める場合には広く人材を求めますから、そういう非常勤の人でありますと、必ず何かの役職なりあるいは事業を持っておられる方でございます。したがいまして、これを全部この本則のとおりにしますと、なかなか非常勤のりっぱな人を求めがたいという場合も当然あるわけでございまして、問題は、いま御指摘いただきましたようなおそれのないような十分な主務大臣の監督、承認をする場合の注意を怠らないことが大事だと思います。したがいまして、いま御指摘になりましたような趣旨を十分生かしまして、今後この役職員の任命等には十分配慮をいたしてまいりたい、かように考えるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 大臣もいまの局長の意見に同意でございますか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 局長から詳細御説明申し上げましたとおり、趣旨におきましては十分な適任者を理事者に得たいという意味でありまして、なお、理事者には専任の理事、役員と、それから非常勤の役員、二種類あるものですから、さようなわけであります。

渡部一郎公明党

○渡部委員 それでは、第十四条に移りまして、この第十四条において「協会と会長又は副会長との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。」とございますが、「協会と会長又は副会長との利益が相反する事項」とはどういうことをおっしゃっておられるのか、これを御説明願いたいと思います。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 ここに規定しておりますのは、会長が個人としていろいろ仕事をやっております場合、協会の仕事と抵触するという場合があり得る。あった場合におきましては、そういう場合には会長は協会を代表することはできないという意味でありまして、全く会長が個人的の問題の際に生じ得る場合を予想しているだけであります。

渡部一郎公明党

○渡部委員 私は、そこでこういうような問題が起こるのは、やはり前項との関連性が濃厚だと思うわけです。というのは、協会長がどこかの漁業の網元でいらっしゃった。そうすると、その網元さんとしては、この北方協会から融資を受ける形になった。そうすると、そのとき自分のところに何ぼやるということを承諾した、そういうことが予想されるわけです。当然これは禁止される意味でつくられたと思う。要するに、こんなことをつくらなければならないということ自体が、人材を広げると称して、営利を目的とする団体の役員となる人が特別に主務大臣の承認を得るというようなやり方をしてしまったために、こういう大きな穴があいてしまった。私はこのような代表権の制限なんということをつけること自体が、もうこの北方協会の案というものが、将来きわめて大きな紛糾の種をまく道具になってしまう利権団体となってしまう。それではこれは、せっかくの法律でありながら、全然もう存在させること自体もナンセンスになってしまうんじゃないか、その疑いがどうしても晴れないわけです。ですから、これについてちょっと詳しく御返事を願いたい。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 本来でありますれば、当然役職員たる者はりっぱな人格者の方をお願いするわけでありますが、先ほども申し上げましたように、役員の場合には、常勤の方と非常勤の方があります。非常勤の方は、やはりそれぞれ事業を営んでおる方が非常勤の役員として就任されることもあり得るわけであります。したがって、非常勤の役職員を規定いたします場合におきましては、ほとんど一般的な規定におきましてもかかる規定を置くことが通例でありますし、また万一の場合に備えまして、かかる規定をいたしておるという状態であります。特にこの法律だけがこういう規定を置いているわけではなくて、一般的の規定であります。

渡部一郎公明党

○渡部委員 そうしましたら、私は、このような規定の今度は具体的な例、相反する事項という場合、どういう具体例を想定されているか、重ねてお伺いをいたします。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 ただいまの場合は、個人の事件でそういうことがあり得るというだけでありまして、具体的にどういうケースを予定しているということではございません。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 これはいま長官から御説明ありましたように、一般的な規定でございまして、特に具体的に事案を想定した規定ではございません。したがいまして、いま渡部委員から御質問ありましたような事態を避けるための規定でございます。たとえば、しいて考えますれば、会長が協会の土地を買うようになった、そういう場合に、たまたま協会長の土地がひっかかったというような場合も全くないわけじゃございませんが、そういう具体的な事案を考えた規定ではございませんが、一般的にこういう代表権を制限した、こういうことでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 なぜそういうときに、このような個人的な利害相反することが想像されるような協会長を選ばなければならないかということになると思うのです。これほどの協会長であるならば、そのほかの利益団体との関与というものを打ち切ってやるのがほんとうじゃないか。アメリカにおいて何とか長官というものにおなりになる場合には、いままでの会社におけるところの権益というものを全部切り捨ててしまって就任されるということは、当然のいままでの慣例みたいになっておる、そう伺っておるのですけれども、日本においてもそういうようなものをつくる場合において、いつもこの条文のあとのところにいろいろ利権があったりする。ですから、なぜそういうときに会長というのは利権と遮断した存在、何も関係のない人を選ばないのか。前の十三条の条項については、広く人材を求めるためにはやむを得ぬ、ほかのところからいろいろ引っぱってくるからやむを得ぬとおっしゃったけれども、それは半分認めるとしても、会長までその利権のかたまりのようなところから選ばなければならないのか、それをなぜ制限しなければならないくつわをはめた協会長でなければならないのか、私はその辺が全然わからないのです。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 この点は、会長、副会長は、非常勤の方をお願いすることになっております。あらかじめこの点が予定されておりますので、先ほどの規定と対応いたしまして、こういう規定になっておるというわけであります。

渡部一郎公明党

○渡部委員 ますますはっきりしてきたわけでございまして、私は非常勤ではまずいので、会長こそまさに常勤であって、専門的にこの問題を扱う方にお願いするのが至当ではないか。確かに、非常勤であるからこういう規定を設けられたのはよくわかります。そうでなければこんなことは起こり得なかった。非常勤でなければならないという理由がわからない。私は、なぜ常勤者にこれを切りかえないのか、特に強く申し上げたいのです。それともこの会長については、もう相当の予想ができておって、下づもりが長官の胸の中にはどうやらおありみたいな感じがするのですけれども、どういう方を予想されておるのか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 具体的な候補者というものを、全然私まだ考えておりません。これは十月から発足するわけで、法律もただいま御審議願っておる最中でありますので、まだ考えておりませんが、会長と申しますのは、この規定にもありますごとく、広く啓蒙、宣伝その他を営むものであります。したがって、むしろこの際におきましては、非常勤としてそういう意味の働きをいただくということを考えております。ただ、貸し付け業務その他の非常に実務のあります場合におきましては、これはやはり常勤でなければいけない。現在におきましても、北方協会においてその方面を担当しております者は常勤として、今後におきましてもやはり常勤として仕事を担当してもらうというふうに予定しておる次第であります。

渡部一郎公明党

○渡部委員 そうすると、この会長は、一体だれが選ばれることになるわけですか。これはやはり主務大臣であるところの総理大臣並びに農林大臣が選ばれることになるわけですか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 第九条におきまして、「会長及び監事は、主務大臣が任命する。」ということになっております。主務大臣が任命いたします。

渡部一郎公明党

○渡部委員 それは最初の会長については、総務長官も検討の中にやはり加わられるわけじゃないですか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 いずれこれは検討いたしまして、適任者を選ばなければならないと存じます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 そうすると、私は強く要望しておきたいのですけれども、そのときの会長にどういう方を選ぶかで、事実上きまってしまうんじゃないかと私は思うわけなんです。ところが、これが強力な利益団体となることを防ぐたった一つの道、あるいはこの協会会長という方が政党色のない、またそういう利益関係でなくて——政党色あるいは選挙関係者というような、ある党の強力な宣伝員のような方がここに就任される場合が、いままでもこういう場合にしばしばあった。そういう方を避けて、きわめて中立的、かつ自分の利害のためにこの協会を運営しないような人を選ぶという点について、よほどの配慮がなければならないんじゃないだろうか。ところが、この十四条においてはそういう点の歯どめは何一つない。私は、その点の歯どめはどうなのかということを申し上げておる。もちろん私は、総務長官の人格を疑っておるわけでもないし、主務大臣のそれを申し上げておるのでもないけれども、法律というのは、悪い人が悪いことができないように、そういうところまで考えてつくるのが法律じゃないかと思う。そんなあたりまえのことを申し上げなければならぬのは、こういう規定では将来どんな人が会長になってもいいようなやり方、これは非常に危険なんじゃないか。これはもう全く——代表権を制限する点はけっこうである、私は大いにけっこうだと思うのですけれども、そのような非常勤の利益関係、あるいは権利関係、あるいは政党関係の濃厚な人をここに据えるのであったら、これはせっかくの協会をつくった意味というのは大幅に削減されるのじゃないか、その点をお伺いいたします。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 仰せのごとく、会長たる者につきましては一党一派に偏するとか、あるいは自己の利害に執着するというような人であってはならないと思う。したがって、十分この点につきましては、主務大臣の任命の際におきまして検討いたしまして、間違いのなきを期したい、最善の人事をいたしたいと思っております。  なお、今日、相当重要な役割りを果たす方に対しましてそれぞれ任命制度がとられておりますが、しかし、その場合におきましても、歯どめといたしまして具体的なこまかい規定を置くということはいたしておりませんので、この点におきましては、十分政府において責任をもって適任者の中から選ぶようにいたしておる次第であります。

渡部一郎公明党

○渡部委員 では、ただいまの総務長官のお約束は、公式な政府を代表するお約束として、将来にわたるお約束とみなしてよろしいわけでございますね。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 当然さように考えて処置してまいりたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部委員 それでは第十五条に移りまして、第十五条に「会長及び副会長は、協会の理事又は職員のうちから、協会の主たる事務所又は従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。」とあります。この「一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限」というのは、これは何を意味するのでしょうか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 この規定は普通の規定にはありません。特にここにありますのは、本団体は、あとのほうにも出てまいりますが、現在北方協会のいたします業務を一切継承してまいります。北方協会は貸し付け業務その他をいたしておりますので、いろいろな問題がある。貸し付け業務、賃貸その他のいろいろな問題がありますが、そういうことを予想いたしました例文でございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 そうしますと、実際にはこの代理人というのは弁護士またはそれに準ずる人でありますか。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 この裁判上その他の行為について代理するとしましたのは、専門的ないろいろ知識を必要とする裁判上の行為とか、それ以外の行為を行なう場合に、会長、副会長ではそういう専門的知識がないという場合に、理事あるいはその職員の中からそういう代理人を選んで代理をさせるという規定でございまして、別の専門の弁護士とかそういうことでは全然ございません。

渡部一郎公明党

○渡部委員 そうすると、そのような代理人という方は相当の人を充てられるわけだと思うのですけれども、その選任にあたって会長、副会長の意見が相違して、また利益相反したというようなことになったら、これはどういうことになるのか。「会長及び副会長」というのは、会長、副会長の二人の意見がまとまってという意味であるか、それとも会長、副会長の意見が一人の意見によって左右されるのか。会長、副会長、それぞれ一人の意見によって左右されるのか。十五条では全然明らかにされておりませんが、その点はどうですか。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 この場合は、当然この協会の役員会の意思に従って、すなわち、それを代表する会長の意思に従って代理人の職務を果たすことになるわけでございまして、そのように反するような場合は考えておりません。

渡部一郎公明党

○渡部委員 それではまたまたわからなくなるのですけれども、「会長及び副会長は、」と書いてあって、これは役員会の決定に従って会長及び副会長がすべてをやるというような規定はどこにあるのでしょう、それは全然ないと思うのですけれども。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 第八条に「会長は、協会を代表し、その業務を総理する。」とございまして、「協会を代表し、」というのは協会の意思を代表し、それから副会長も、「会長の定めるところにより、協会を代表し、」こうございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 そうすると、もう一回十四条に逆戻りしますけれども、「協会と会長又は副会長との利益が相反する」という、この「協会」というのは、役員会のことをさすのですか評議員会のことをさすのですか。これはもう非常にずさんな規定なんじゃないですか。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 これは法人でございますから、したがいまして会長は法人を代表する、こういうことになるわけでございまして、別にこの規定自体が、ほかのこういう公法人と違った簡素な規定にしてあるわけではございません。

渡部一郎公明党

○渡部委員 そうすると、十四条へもう一回戻りますよ。そんなことを言われると私はますますわからなくなってきたが、協会と会長、副会長の利益が相反すると認めるのはだれかということなんです。監事が代表するというが、それを認めるのはだれですか。主体者は一体だれなんですか。代表権の制限ということばがある以上は、協会を代表するのは会長または副会長であるはずだ。ところが、そのときの主体者がだれかわからないのだったら、これは代表権でも何でもなくなってしまう。適当なときにシャッポをとりかえるみたいなやり方だ。これは規定がきわめていいかげんじゃないですか。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 これは法人の活動の場合、一々それを判定する第三者が規定されておるわけではございません。協会と会長との利益が反するというような事態は客観的に判断されるべきものでございまして、その場合の、だれが判断すべきかというような規定は、特に各法律でそれぞれ規定されておるわけではございません。

渡部一郎公明党

○渡部委員 ですから、この、ここできめられている協会に関する法律というものはきわめてあいまいなものですね。要するに、もうきわめていいかげんな、そしてあいまいな、恣意的な——そうじゃありませんか。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 これは民法はじめ、一般に法人の規定は全部このような規定になっておりまして、特にこれがあいまいにし、法文を省略したようなものではございません。

渡部一郎公明党

○渡部委員 では、私はもう一つ申し上げますけれども、さっきから言っていらっしゃることは全然話の筋が通らないと思うのです。十五条に戻ります。会長または副会長というが、このとき、会長、副会長が、利益は相反しないけれども意見が相違したら、どちらの意見に従うのですか。たとえば協会長はAという人がいいといった、副会長はこっちの人がいいといったとき……。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 私どもは、この法人が、そういう会長と副会長とで意見を異にするというようなことは考えておりません。やはり協会の代表としての立場で意見が一致するものというぐあいに考えています。

渡部一郎公明党

○渡部委員 だからあなたは、協会長と副会長は意見が相違しないと言われている。相違しないと信じているわけじゃないですか。これは、意見が相違しないと信じているんじゃなくて、法律なんですから、そういう場合も考えてつくっておくのが法律というものであって、両者の意見は、協会を代表して意見が相違しないものと考えておりますとあなたは言うけれども、考えているのは、あなただけがいま考えておられるのじゃないですか。あなただけが考えたって、客観的情勢は別なことが起こるかもしれないじゃないですか。そうすると、まことに失礼な言い方だけれども、ずいぶんこれは雑ですよ。ちょっとお粗末と違いますか、これは。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 協会の意思は理事会で決定いたしますから、したがいまして、その理事会の決定による協会の意思を代表する会長や副会長が、意思が相反するということはないと思います。

渡部一郎公明党

○渡部委員 そうすると、ここにある「会長及び副会長」というのは協会の意思を代表するもので、要するに会長と副会長は意思がない、これはもう協会全体の意思あるいは評議員会あるいは役員会のことを実際的にはさすのであって、協会長あるいは副会長と書いてあるのは単なることばの飾りだけである、こういう意味ですか。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 会長、副会長は執行機関でございまして、したがいまして、協会を代表して行為するわけでございます。したがいまして、協会の意思は理事会において決定されるということでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 それは前後矛盾撞着なんです。十四条を見ていただけばおわかりのとおりなんです。この十四条には協会と会長との利益が相反する場合が想定されているんですが、もしあなたの言うとおりだったら、協会の利益と協会長、副会長の利益が相反するなんということはあり得ないじゃありませんか。利益が相反することがあり得る規定を前に置いていて、うしろには利益が相反することはあり得ないなんて規定を置くのは、これは矛盾ですよ。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 それは協会の活動上の意思の決定と、その決定を代表する会長、副会長、それは何も意思は食い違うわけではない。ただし、経済行為等に関連しまして、協会の行為と、それから会長の行為とが反する場合は、これは十分ございます。したがいまして、このいわゆる経済行為の場合と協会の意思決定の問題とは、区別してお考えいただいたらと思うわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 私は申し上げておきたいのですけれども、この両者の間の意見の問題についていま私がこうやってやかましく言いますのは、私が会長及び副会長というような言い方をするのでなくて、この場合には、何も副会長と書く必要はないじゃないですかということなんです。そうでしょう。何も十五条に副会長なんて書く必要はない。会長一人だけで十分なはずなんだ。一々こんな言い方をすること自体が混乱を招いている。これはいろいろなことを、こんなことを書くからよけいな状態が出てくるわけでしょう。あなたの御説明を聞いていれば、十五条は、会長及び副会長と書いてあるのは、会長だけでいいんでしょう。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 これは第八条から出てくるわけでございまして、第八条に会長は協会を代表すると書きまして、二項に「副会長は、会長の定めるところにより、協会を代表し、」と書いたものでございますから、したがいまして会長及び副会長とか、そういう書き方になったわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 ですから、そういう場合であればあるほど、八条の規定があれば会長と副会長は同一人格ではないのだから、会長及び副会長なんて書く必要はないじゃないですか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 協会を代表する者が二人おるわけですね。御承知のごとく、八条の第一項で会長は協会を代表して、それから第二項で副会長は会長の定めるところにより協会を代表して、どちらも協会を代表し得るものですから、しかし、副会長の場合は、会長の定めるところによりという前提がついているというわけでありまして、二人とも代表し得る場合がありますので、会長及び副会長と二つ書いてあるわけです。

渡部一郎公明党

○渡部委員 ですから私は、この規定のいまの総務長官の御説明、御意見はよくわかるのです。ですけれども、これはそういう意味ではきわめてよけいなことが山ほど書いてあって、穴だらけの規定であって、こういうようなやり方ならば別の解釈というものが十分成り立ち得る。こういうようなものをつくっておく場合に、将来において、この協会の意思というものはだれが代表しているかわからなくなって、そうしてきわめてごたごたするということを私はおそれているわけです。そうしたら、もっとすっきりした形にしても一向に差しつかえないのじゃないですか。私は、副会長は会長が定めるところによってでなければ協会を代表するわけにいかないのですから、ここは会長一人を書いておいて一向差しつかえないことだ、副会長まで併記する必要は別にないと思うのです。それはどうでしょう。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 これはこの協会自体に、一つは北方協会という既存の協会を吸収したという形をとったわけでございまして、当然また、北海道の従来の北方協会に関係する造詣の深い人を副会長として一人を予定しておるという関係もございます。それからまた、そういう関係がございますから特に会長、副会長ということを表に出してあるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 ちょっと伺います。いま予定しておる人とおっしゃいましたね。どういう人を予定しているのか、名前をおっしゃっていただきたい。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 これは具体的な人を予定したという意味じゃなくて、北方協会の従来の業務に関連して、一人の副会長を予定しておるわけでございます。しかし、具体的にどういう人ということは全然予定しておりません。札幌に一人を置く、こういう考えでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 だれか予定してあるのでしょう。そんなに顔を振らなくても、そんな顔をしていてもほんとうのような顔をしていない。それはまあ問題の本筋と違いますから次へいきますけれども、ですから私は、この会長、副会長の規定のしかたが、よほどの何か政治的事情を含んだ規定のようにどうしても見えるのです。だから、札幌に置く人が副会長ですか、そして東京に置く人が会長なんですか。そういう規定ですか。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 いや副会長は二人でございます。会長一人、副会長二人、こういうことでございます。それで一人を札幌のほうに置いたらということを一応想定しておりますが、具体的な人は全然まだ予定しておりません。

渡部一郎公明党

○渡部委員 そうすると、会長と副会長一名は東京にいて、副会長一名は札幌にいる、そういうわけですね。そうして、そのうちの副会長の一人は、北方協会の関係の方が副会長になる、そういうことですね。  では、十八条にまいります。さっきからの御答弁に対して私は承服したわけじゃないのですけれども、あまり長くなりますので、十八条のところにまいります。  評議員会は、「協会に、評議員会を置く。」それで、評議員会は三十人以内の評議員で組織し、評議員は、協会の業務に関し学識経験を有する者及び北方地域旧漁業権者のうちから、主務大臣が任命するというような規定がありますが、学識経験者と旧漁業権者、その割合はどのような割合できめるのですか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 三十人のうち、やはり学識経験者で一般の啓蒙、宣伝等に関係した業務に関する評議員を約半数、半数は従来の北方協会関係の評議員、すなわち旧漁業権者等を予定しておるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 この点はちょっと法律と関係ないみたいですが、旧漁業権者はどの団体からどのくらいを選ばれるのでしょうか。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 現在北方協会の評議員は、たしか二十五名でございまして、北海道庁その他公職にある人を除くと二十名でございます。今度かりに約半数の評議員を出してもらうということになりますと、旧漁業権者等の各団体の中からひとつ選んでいただきまして、そうしてきめていきたいと思いまして、まだ具体的にどの団体から何名ということは想定しておりません。

渡部一郎公明党

○渡部委員 これは、そうすると漁業団体のほうから選ばれるのか、漁業関係の労働者のほうから選ばれるのか、その辺のところはどういうふうになっていますか。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 これは、実は現在、北方地域旧漁業権者等に対する特別措置法の二条に、「この法律において「北方地域旧漁業権者等」とは、次に掲げる者をいう。」ということで、一項、二項、三項、四項とあるわけでございますが、これらの中から代表者を選んでいただく、こういうことに相なるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部委員 そうすると、学識経験者の中には、地元の根室市等をはじめとする市町村団体の幹部は予定されておるのでしょうか。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 まだ実はこの十五名の構成を、地元のほうからどういう方を選んでという具体的な割り振りは考えておりません。したがいまして、今後、十月一日発足でございますから、法律案が成立いたしました後、直ちに、どういう方面からということをよく大臣のほうで検討していただきたいと思っております。

渡部一郎公明党

○渡部委員 それではその十月一日までで、まだ検討をされておらないというお話ですが、海上保安庁あるいは自衛隊等の関係者はこの中へ入るようになっていますか。

山野幸吉総理府特別地域連絡局長

○山野政府委員 いまのところは考えておりません。人数が十五人でございますから、したがいまして、いまのところそういう関係までは考えておりません。

渡部一郎公明党

○渡部委員 その次に、ちょっとまた別のほうに飛びますけれども、「協会は、主務大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置く」とありますけれども、東京とどこに事務所を置かれるおつもりでありましょうか。また、従たる事務所というのは何カ所も置かれるおつもりでありましょうか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 主たる事務所は東京に置きまして、従たる事務所を札幌に置きます。なお、札幌に従たる事務所を置くのは、現在北方協会が札幌にありますので、その業務を円満に引き継いで実施するために札幌に置きたい。なお、御承知のごとく、北方関係者は相当北海道に多いのでありまして、したがって、札幌に置きますことはそういう意味におきましても十分意味があると思います。

渡部一郎公明党

○渡部委員 私は、これは特にお願いしておきたいのですけれども、従たる事務所を根室にも置いていただきたい、こう思うわけなんです。それは、長官も何回かお聞きになって御存じだと思いますけれども、札幌と根室の出先とはずいぶん話が違う。それから、札幌の直接的な漁業関係者等のいろんな利害というような問題も、それこそほんとうのことを言えば、むしろ根室においてこそいろんな問題が実際的には続発しておる、こういう事情だと思うのです。ところがいつも東京から札幌へ、札幌から根室へ、また根室の間に帯広が入ってくる場合がありますし、そのときには話がいつも流れてこない。中川委員なんかよく御存じだろうと思うのですけれども、実際の地域におけるところの北方問題に対する理解の程度は、東京のほうに近づいてくれば近づいてくるほど希薄になってくる。また東京には、いろんな言うことが向こうからはほとんど伝わってこない。地元での北方問題に対する強烈な意思というものは全然伝わっていない。それは上部構造ばかり多くなって、現場の意見というものをあまり聞かないところにその原因があったと、私どもは率直に思っているのです。ですから、従たる事務所は根室にお置きになっていただいたほうがいいのじゃないか。これは札幌を抜いて考えるわけにもいかないと思いますが、根室にもお置きになったらどうであろうか。私は当局にお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 御承知のごとく、今度は全国的な宣伝普及業務を行ないますので、当然東京が本部になるということであります。なお、従たる事務所につきましても、北海道一円、これは特に従来はやや地方的な問題として扱われておりましたが、今回は、北海道をあげてやはり大きな役割りを果たすわけであります。なお、従来の北方協会等の実績等から見まして、やはり札幌にあることが便利であると考えて、札幌に従たる事務所を置くということにいたしたわけであります。現在、北方協会におきましては札幌を主たる事務所にしておりますが、根室には出張所と申しますか支所と申しますか、駐在員がおるそうでありまして、したがって、現実におきまする根室付近の方々に対する便宜ははかられる。やはりその点は、御要望がありますので十分考えてまいりたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部委員 私は特に、それが単なる出張所ということじゃなくて、実際的な業務をあの地域で精力的に扱っていただきたい。そうしないために非常に問題がいろいろ山積しておる。もうこの辺は、皆さんよく御承知のとおりだと思うわけです。これはいま長官は慎重にお答えになりましたようですけれども、私は特にお願いしたいと思います。  それから、私は次の問題に移りたいと思います。主務大臣を内閣総理大臣及び農林大臣になさった理由というのは一体何であったか、まず総括してお話しをいただきたい。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 この北方問題に対するいわゆる思想啓蒙、宣伝その他調査等の業務、一般的の業務は総理府で所管いたします。したがって、総理大臣が主務大臣として取り扱っておりますが、なお引き揚げ者、旧漁業権者等に対する援護業務等の問題、これは主として水産関係の業務でありますので、この事務の関係上農林大臣がやはり主務大臣として加わる、かような取り扱いにいたしたわけであります。

渡部一郎公明党

○渡部委員 総理府関係の仕事が多うございましたならば、総務長官がおやりになることが直接的じゃないかと私は常識的に思うのですけれども、特に総務長官がこの問題で手をはずされました理由はどこにあるのでしょうか。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 総務長官が所管いたしております総理府の仕事につきましては、全部総理大臣が責任をもって任命をいたすようになっております。したがって、主管大臣としましては、総理大臣が総理府の問題につきましては取り扱っておる次第であります。

渡部一郎公明党

○渡部委員 総務長官がおやりにならぬというわけじゃないわけですね。

床次徳二自由民主党総理府総務長官

○床次国務大臣 当然、総理大臣の命を受けまして総務長官が実際を扱っておるわけであります。

中村寅太自由民主党

○中村委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。     午後六時三十二分散会

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