運輸委員会 第16号
- 発言数
- 58 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1969/03/25
会議録
○砂原委員長 これより会議を開きます。 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法案及び日本国有鉄道の鉄道施設の整備に関する特別措置法案を一括議題とし、質疑を続行いたします。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
○板川委員 前委員会に引き続きまして、国鉄運賃値上げ法及び国鉄財政再建法二法案に対しまして質疑を行ないたいと思います。 国鉄運賃値上げ問題は、今後あらゆる価格の値上がりを誘発し、消費者物価の高騰により、国民生活に重大な影響を与えるものとして重要であります。また、国鉄財政再建問題は、ただに国鉄財政の再建問題ばかりではなくて、今後のわが国の交通体系、交通政策のあり方をきめるものとして、国民の生活にこれまた重要な関連を持つものでありまして、国民がひとしく注目をしております。そして、その賛否につきましては、慎重な審議を国民は要求しておると存じます。 以下、私はあらゆる点から質問をいたし、論議をいたしたいと存じますので、委員長においても同感と存じますから、どうぞひとつ慎重審議ができるようにお計らいを願いたいと、まず要望をいたしておきたいと思います。 そこで質疑に入りますが、主として運輸政策の基本問題について、私は運輸大臣に質問をいたしたいと思っております。 戦後、日本の経済の再建に重大な役割りを果たしてきた三つの基幹産業があります。しかも、それがいま、くしくも経営上の転機を迎えて、その再建法案が国会の重要な議題となっておるのであります。言うまでもなく、第一は国鉄であり、もう一つは石炭産業であります。そして政府の再建方式も、いずれもスクラップ・アンド・ビルド方式である点も、非常に共通いたしておるのであります。ただ違う点があります。それは石炭産業の再建には、実は閉山というスクラップ化と、産業の維持のために膨大な国家資金が投ぜられるということに反しまして、これから輸送力を増強しようという国鉄の建再には見せかけの利子補給だけ、これは見せかけであります。国鉄に負わせている公共負担の何分の一かの利子を補給するというだけで、国鉄に対しては独立採算制を押しつけ、合理化を強制し、あまつさえ再三の運賃値上げで、国民の負担によって国鉄の再建をはかろうとする、こういう点が石炭政策と運輸政策の根本的に違う点であろう、こう思うのであります。 運輸大臣に伺いたいことは、石炭がなぜそういう石炭再建政策が必要かというと、これは申し上げるまでもなく、石油によるエネルギー革命の犠牲者であります。この石炭産業に対しましては、過去において三千億円の国費が投ぜられております。さらに、今後五カ年間に四千二百億円という膨大な合理化資金を投ずる、そしてその立て直しをはかろうとしておることを御承知かと思うのであります。しかるに、石油による道路整備が進み、自動車の普及が行なわれ、交通面の犠牲者である国鉄に対しましてはこれという対策はない。独立採算制を押しつけて、そして自力で更生せよ、こういうやり方、なぜ石炭政策と国鉄の再建にこれほど差ができるのか。石炭に対しては膨大な国家資金が投じられるのに、国鉄再建については、ほとんど国家資金が投ぜられない。これは一体どういうわけか、この点からひとつ伺っておきたいと思うのであります。
○原田国務大臣 石炭は、日本のエネルギー政策としてのとらえ方をいたしておると思うのであります。したがいまして、このエネルギーが石油に変わってきた、こういうことに対しての政策的な措置としてとられておる。したがって、その石油にいま何億という金が投ぜられたと言われますが、それはいわゆる石油の関税というものをもってエネルギー政策という面から取り上げて処置をすることが可能であった、私は、こういう面が別に存在しておると思うのであります。したがって、国家財政の中で、石炭にそうしたから国鉄にもそうしなければならないんだという理論にはつながらないと思うのでありまして、国鉄の場合に、ものの輸送としてどういうあり方を取り上げていくか、こういうことから考えて、私どもが見まして、正直に言いまして、いままで再三言っておりますが、いままで大蔵省は一般財政的な面で国鉄に少しはめんどうを見てもいいじゃないかということに対して、私のことばで言いますと、冷たかったのではないか、その面をつかまえて、今度は財政再建の推進会議では、その面においても、いわゆる三位一体という形で、国、地方、それから利用者の皆さんにもお願いする、国鉄みずからも近代化につとめる、こういう方式をとった、こういうことに相なると思うのであります。
○板川委員 すると、石炭に対する膨大な資金は関税の原資があるからだ、こうおっしゃいますが、関税というのは、これは一般財源じゃないのですか。原則として、関税というのは一般財源ですよ。だから、たとえば、その一般財源をもってして国鉄に金を投じたって、別に悪いことはない。いずれにしましても、国鉄が今日収入が伸び悩み、財政が悪化したという一つの原因は、自動車との競争力によるものと思います。その自動車がなぜ普及しておるかといえば、これまた石油が低廉に入手できるということが大きな条件でしょう。あとから議論いたしますが、石油が非常に安く豊富に入る。同じ石油の輸入によって直接的被害を受けた石炭産業もあるでしょう。そこに自動車という一つのクッションを置いて被害を受けた鉄道もあるでしょう。この石炭産業には、とにかく七千二百億円という膨大な国家資金が一般財源から投じられる、しかし国鉄には、補給金といったって、あとで議論いたしますが、ほとんどスズメの涙ほどの金を出したというだけにすぎなくて、そうして合理化を押しつけ、運賃の値上げをやり、労働者の首切りを行なう、こういう形で国鉄だけにそういう再建方式を押しつけるのは、どうも平等ではない、こういう感じがする。もう一ぺんひとつ大臣から答弁願いたい。
○原田国務大臣 私はエネルギー政策という面から取り上げた問題があるということを、ひとつ申し上げたのであります。したがいまして、いまの国鉄が、この前にも板川さんにお答えいたしましたけれども、独占的な交通機関であった時代とは時代が変わって、いまもおっしゃいましたが、競合するものができてきた。したがって、国鉄というものがいままでのような経営状態では、運賃収入を見込んでおっても、なかなかそれが入ってこない、どうするかということから新しい七カ年計画を立てたけれども、収入のほうが思うように入ってこない。投資した資本の増高で圧迫される、毎年ベースアップで賃金は出ていく、こういうことから、根本的な、抜本的な対策をやらなければならぬ、こういうことでありまして、何度もお答えするようでございますが、それに対して、これは決してスズメの涙というようなものではないのでありまして、企業に対しまして思い切った策を国としてはとっておるというのが、今度の策であろうと私は考えております。
○板川委員 これは石炭政策と運輸政策の大きな差ですね。石炭山で閉山をする、そうすると、そこで離職する労働者の賃金、退職金、こういうものは政府の金で、合理化資金で七五%以上を保障する方式になっておる。そして、その石炭山の石炭を運搬しておった私鉄の労働者、運輸労働者には何らの救済措置もない。国鉄と石炭、鉱山で働く者と運搬に働く者との差というものは、大臣、どういう説明をしても、なかなか納得できるものではありません。この交通政策の立て直しのために、もっと国費が投じられてしかるべきだという議論を私はしておるのでありますが、ひとつこれから先に進みましょう。しかし、納得したものじゃありません。 今度の法案の基礎になりました国鉄財政再建推進会議の意見書、この意見書の答申に基づきまして政府は運賃値上げも提案し、財政再建特別措置法という法律も提案しておると思います。この国鉄財政再建のために、この意見書では次のようにいっておるのであります。それは「国鉄財政再建のためには、各般の施策が一体としてすべて確実に実行されることが必要であり、このためには政府を始め関係各方面の再建への不退転の決意と一致した協力が不可決である。」よって政府は、国鉄財政再建促進法なるものを制定して国鉄財政の立て直しをはかりという、そういう意味で結んでおるのであります。 そこで言わんとするところは、都合のよいところだけを食い逃げしてはいけません。とにかく、こういう方針で今後国鉄の財政再建をはかれ、こういう主張をされておるのでありますが、この意見書に対して運輸大臣はどういう見解でありましょうか、これを伺っておきます。
○原田国務大臣 これを要約いたしますと、再建の目標を四十四年度から五十三年度までの十年間を財政再建の期間とするということをいっております。それから、再建の措置としては、国鉄の合理化、近代化、それから国及び地方公共団体の財政措置、その内部には、政府管掌資金にかかわる利子の事実上の猶予、国鉄財政再建補助金の拡充、市町村納付金の大幅な軽減、長期低利資金の確保、次に、再建期間の初期における一〇%程度の運賃改定とその後の適切な運賃是正、三番目には、投資規模を三兆七千億円とする、立法措置として国鉄財政再建促進法(仮称)を制定する、これが私は今度の国鉄再建推進会議の指摘をしておる要旨であろうと思います。このほとんどを今度の法案の中へ盛り込みまして、二つの法案で御審議を願っておる、このように解釈いたしております。
○板川委員 そうしますと、この答申を全面的に尊重して、そして今後これを基本として、この国鉄の財政再建なりわが国の交通体系なりを考えていこう、こういうふうに考えてよろしいですね。いかがですか。
○原田国務大臣 大体さようでございます。
○板川委員 そこで、これはきょうは十分に慎重審議をするために、まず序論的な質問をいたしてまいります。これは今後の質問の考え方を明らかにするためにも必要だと思いますから、序論的な質問で恐縮でありますが、これは大臣に伺います。 国と国鉄の関係をわかりやすく説明していただきたい。一体、国と国鉄はどういう関係にあるか、伺いたいのであります。
○原田国務大臣 国と国鉄との関係といいますと、国鉄というものが特殊法人として出発をした、そのときに日本国有鉄道法という法律によっていまの国鉄というものはでき上がっておる、これが国といまの国鉄との関係であろうと私は思います。 そこで、これを逐条読むわけにもいきませんが、国と国鉄の間というと、「国が国有鉄道事業特別会計をもって経営している鉄道事業その他一切の事業を経営し、能率的な運営により、これを発展せしめ、もって公共の福祉を増進することを目的として、ここに日本国有鉄道を設立する。」これが、簡単にいいますと国と国有鉄道の関係である、このように思います。
○板川委員 国が国有鉄道という事業体をつくって、行政行為として事業運営をさせるということでありましょう。 そこで、次に伺いたいのは、国鉄総裁と運輸大臣との関係、これはどういうことになっておるのでしょうか。たとえば国鉄法六十三条では、国有鉄道を国とみなし、国鉄総裁を主務大臣とみなすというみなす規定もあるのでありますが、一体、国鉄総裁と運輸大臣というのはどういう関係にありましょうか、この点、伺います。
○原田国務大臣 これは事実問題でありますから、政府委員から答弁させます。
○町田政府委員 お答えいたします。法律上の問題でございますと存じますので、私からお答え申し上げます。 法律から申しますと、国鉄は国の監督を受けるわけでございます。五十二条に「日本国有鉄道は、運輸大臣が監督する。」こういうことになっておりますので、運輸大臣と国鉄総裁との関係は監督者と被監督者との関係、こういうように理解できると思います。また、任命につきましては、内閣が国鉄総裁を任命する、こういうことに相なっているわけでございます。 ただ、具体的にいろいろのこまかい点を申し上げますと、国鉄というものが公共企業体であるという意味において、できるだけ企業体としての自由な活動をするように、こういう趣旨でこの法律はでき上がっている、こういうふうに御理解いただいていいかと思います。
○板川委員 運輸大臣は、国鉄を監督する、こういう責任以外に責任はありませんか、国鉄の運営について。
○町田政府委員 責任ということばでございますけれども、たとえば会計規程等を見ますと、その翌年度の会計予算等は運輸大臣に提出して、運輸大臣が大蔵大臣と協議をして閣議にはかってきめる、こういうふうになっておりますので、そういうふうないろいろな面で、まあ責任と申しますか、監督と申しますか、そういう立場にあるということは言えると思います。
○板川委員 国鉄の会計ばかりじゃありません。あらゆる国鉄の事業というのは、運輸大臣の認可を受けなければできないようになっているのじゃないですか、国鉄法によっても。会計ばかりじゃありませんよ。 したがって、私が言いたいのは、国鉄の運営について、たとえば私鉄の会社に対して一般的な監督権があるという場合の運輸大臣の一般的な監督権というもの、運輸大臣が国鉄を監督する権限と、そのほかに、国鉄の運営について、総裁からの申請を認可なり許可なりしなければ、ほとんど国鉄運営というのはできておらない。だから、俗に言うならば、国鉄株式会社というのは、会長が運輸大臣であって、総裁というのは、雇われマダムじゃないけれども、支配人か雇われ社長ぐらいの格ではないか、運輸大臣に大きな責任があるのじゃないか、こういうことを私は言いたいのでありますが、この点は運輸大臣、どう考えますか。社長じゃないですか。
○原田国務大臣 国鉄経常の責任は、やはり国鉄総裁が負っておる、私はこういうように解釈いたします。
○板川委員 国鉄総裁の見解を、ひとつこの際承っておきます。
○石田説明員 国鉄総裁は国鉄の経営を一任されておるのでありまして、ただ、その運営につきましては運輸大臣の指導監督を受ける、また、人その他の任免につきましてはその御承認を得てする、こういうようなことになっておると私は考えております。
○板川委員 国鉄においても、たとえば投資する場合でも、あるいは理事の決定でも、それから会計上のいろいろの扱い方でも、すべて運輸大臣の認可を受けなければ、国鉄総裁というのは国鉄の運営ができない。まあ雇われ社長か支配人が会長に一々全部報告しなければ国鉄運営の責任がとれない、こういう形であって、私は、国鉄の運営について、運輸大臣がただ一般的な監督権限がある、指導権がある、こういうだけでおられたのでは問題だと思うので、そういう点、大臣、何かぼそっと一言言って、大臣の一般的な権限があっちゃ国鉄のじゃまになるような考え方を持っておるのは間違いじゃないですか、どうです。
○原田国務大臣 私は、もう決してじゃまになるなんて考えておりません。私は、経営の責任者は国鉄の総裁である、その総裁が仕事をしていく面において十分に力を発揮されるように、私も微力でございますが、全力を投入した、また、今後もしていきたい、このように考えております。
○板川委員 国鉄という事業は、先ほど公共企業体であると、こういう議論がありました。公共企業体という概念は、本来、労働法から入ってきた概念でありますが、最近改正をされて、国鉄法の四十三条でも公共企業体だという規定をするようになったようであります。 しからば、この公共企業体というのはどういう性格の企業体であるか、この点をひとつ、国鉄当局でも運輸大臣でもいいですが、公共企業体というのは、一体どういう性格の企業体であるか、この点を伺います。
○町田政府委員 公共企業体の正確な定義というのは、はなはだむずかしいと思いますけれども、非常に一般的にお答えさしていただきまして、非常に公共性の強い、国家がやるような事業であるけれども、その運営を能率的に行なうために企業的な形で行なわせる、そういう趣旨で戦後にできた制度である、こういうふうに理解いたしております。
○板川委員 公共性と企業性、この二つをあわせ持つ企業体ですか。公共企業体というのはどういうのですか、もう一ぺんちょっと言ってみてください。
○町田政府委員 この第一条の目的に先ほど大臣がお読みいたしましたように書いてございますが、要するに、国有鉄道特別会計というものをもって国が経営しておりましたような、そういう鉄道事業の一切を能率的な運営によって発展せしめて、もって公共の福祉を増進する、こういうことが目的になっておりますので、企業体そのものは、能率的な運営を行なうということが目的だろうと思いますけれども、それによって、公共の福祉を増進することを目的として設立されたものであるというふうに理解いたします。
○板川委員 それじゃ伺いますが、公共性ということをどういうふうに理解しておるのでしょう。この国鉄法第一条にある公共の福祉を増進することを目的とする、この場合の公共性というものを国鉄の財政というものに結びつけて考えた場合に、公共性というのはどういうふうに具体的に考えておられるのですか、この点を伺っておきましょう。
○町田政府委員 ここでいっております公共性というのは、ここの前に書いてございますように、国有鉄道特別会計をもって経営しているような鉄道事業、これは御承知のように、全国にわたります非常に基幹的な輸送施設でございまして、そういうような鉄道事業を安全、確実、低廉な、国民に十分なサービスのできるような形で提供すること、そういうことそのものが公共性である、こういうふうに理解いたします。
○板川委員 公共性というのは、安く安全に、そして全国民にだれでも利用できるようにする、社会万人がこの役務を利用することによって利益を受ける、こういうふうなことだというならば、いま後のほうで議論がありましたように、今度運賃値上げしたり、六千キロも廃止するということは、公共の福祉に反することになりませんか。
○町田政府委員 運賃の問題につきましては、原則として、運賃というのは原価を償うべきものでございますので、ただ安くと申しましても適切な値段、こういうふうな理解をすべきであろうと存じます。また、赤字線の問題につきましても、これは津々浦々まであるべき鉄道ではあるかもしれませんけれども、輸送構造の変化によって、別の輸送機関でもまかない得るというものについてまで国有鉄道でやらなければならない、こういう趣旨ではないというふうに理解いたします。
○板川委員 公共性という問題に議論がひっかかってくるのですがね。公共企業の定義というのは、これは外国から輸入した定義、概念でありますから、いままだ日本では固まっていないのですね。 公共企業というのは、たとえば、公企労法における山田教授の学説によると、私企業なり営利企業をもってしては、十分に役務の供給が期待し得ない分野における行政の経済的活動をする駐業体、こういう概念規定をされておる。また、美濃部さんの学説は、国または公共団体が直接に社会、公共のためにみずから経営する非権力的な聖業である、そして、事業体は国または公共団体でなければならないし、私人であってはいけない、事業目的は直接社会、公共の利益に奉仕するものであって、営利を目的としてはいけない、事業の性質は、事業の経営が役務の提供とか非権力的なものであって、たとえば警察というようなものであってはいけない、こういうような議論があります。国鉄の公共性というものを考えた場合には、もちろん営利を目的としていない、運賃はなるべく安くして、容易に国民が利用できるようにする必要がある、多少の赤字でも、国民の利便を考えて、これを廃止しないで継続するというようなものが公共性として要求されておるのじゃなかろうかと思うのです。ところが、これはあとで議論をいたしますが、修繕費を過大に見積もって、あるいは償却を膨大に行なって、赤字を誇大に宣伝して運賃値上げをもくろんでおる、しかも、それによってローカル線を大幅に廃止をするというようなことは、どう考えても、公共性を使命としておる国鉄の方向としては疑問がある、こう言わざるを得ないのでありますが、大臣、いかがですか。
○原田国務大臣 公共性という問題に結論が出てないというお話がございましたが、私もそのように思います。要は、その利便を受ける人たちがサービスを受けられたかどうかという問題にかかってくるのであって、いまのお話は、その経営の手段方法を議しておるというような感じがいたすのであります。私は、この前にもあなたにお答えいたしましたけれども、ほかに何らの方法がないというときに、国鉄がもう唯一の独占した形態であるというときには、確かに独占の妙味で収入も多かったし、その余力をさいて、いわゆるあなたのおっしゃっておる少々赤字が出ても償い得るというところまでどんどんと事業というものを伸ばしていった。ところが、いまはほかにかわるものができてきて、あるいはそれのほうが国民経済的に見て、ほんとうはその利便を受ける者にとっては、得ではないかというような点が出てきたときに、なおかつ、赤字であってもやらなけばならないのかという問題が生じてくる。それらの問題がいまの推進会議で議せられたときに、まあ簡単にいえば、赤字八十三線ですか、これらのものはほかにあるから廃止したほうがいい、こういうような答申になって出てきたのかと思うのであります。しかし私は、やはり運輸大臣といたしましては、これはあくまで意見でございますから、それらの問題につきましては、やはりいまあなたのおっしゃっておる公共的な部面は考えなければならぬ面がある、こういう見地に立って慎重な態度で臨まなければならぬということをお答えをいたしておるわけであります。
○板川委員 鉄道に乗る人が少なくなって、そして道路が発達して、自動車のほうが利便だ、こういう人が全部であれば、私は、たとえば八十三線の廃線が発表された後、各地において反対運動は起こらないと思うのです。なるほど、場合によっては、自動車で行く人があるかもしれない。しかし、その沿線の地域の人が、鉄道が廃線したら自動車になって便利になったというのは、皆無とは言いません。皆無とは言いませんが、いま各地に反対運動が結成されておりますように、大部分反対ですよ。そういう一例を取り上げて、自動車になったほうが便利になる、だから八十三線をつぶすんだ、そのほうが諸君の利益じゃないかという押しつけはおかしいと私は思います。この議論はまたあとでいたします。 そこで、国鉄の企業性というのは、一体どういう意味なのか、伺っておきたいのです。特に国鉄運営と結びつけて、具体的に説明をしていただきたい。これは、国鉄も企業性を持たなくちゃいけない公共企業体だ、こういう場合に、この企業性というのが非常に大きく評価されるおそれがありますから、伺っておきたいのでありますが、国鉄における企業性というのは、一体どういう具体的な意味を持つのでありますか、この点、いかがでしょうか。
○町田政府委員 これも第一条に書いてございますように、その運営を企業を行なうような形で能率的に行なう、こういう趣旨でいっておることであると思います。 そこで、具体的にと申されますと、実際の運営を行なうに際して企業のような方式で能率的に行なう、こういうことだろうと思いますが、先ほど先生の御指摘がございました四十一条の会計方式なども、その一つのあらわれであると考えます。これは歴史的に見ましても、そういうことが言えると思いますが、国鉄は特別会計でございますけれども、赤字が出た場合には国がそれを補てんし、それから黒字が出た場合にはそれを一般会計に入れる、こういう制度になっておりまして、公共企業体に変わってまいりました場合にも、そのままの形でございましたが、その後改正がございまして、四十一条にございますように、これは会計規程でございますけれども、利益が出ましたならば利益積み立て金として積み立てておく、欠損が出ましたならば欠損として処理をいたしておく、こういうことで、いわゆる独立採算制というような形の会計の処理をするということに相なっております。これも公共企業体の企業的な運営の一つのあらわれであるというふうに考えます。
○板川委員 この企業性とは、通俗的にいえば、事業の継続性を維持する範囲、営利追求的な姿勢ではない公共性との反対概念である非公共性というものを持っておるんじゃないかと私は思うのです。これは公共企業体といいますと、どうしても公共性が優先するのか、企業性も同列なのか、こういう考えになりやすく、国鉄の場合、ともすれば、国鉄法第一条の目的である公共の福祉の増進という目的から逸脱して、かえって企業性のほうが強調される、こういうおそれがあるわけであります。公共性と企業性というのが相反する概念だと私は思うのでありますが、これは当然、国鉄としては企業性よりも公共性を第一義的に考えていくべきだ、こういうふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○原田国務大臣 私は、先ほど言いましたように、公共性、企業性というものは相対立するものではないという考えを持っておるのであります。それは公共の福祉にどういう方法によって貢献し得るかという問題にかかってきておる、私はそのように考えておるのであります。 ゆえに、いまの企業性とは何ぞやということを簡単に言いますと、独立採算制をもってやっていくということをたてまえにして仕事をしていく、それで公共の福祉にサービスをしなさい、国有鉄道の場合には、国がすべての経営を責任を持っていくという経営方式、運営方式、管理方式というものと、その企業性というものをとった場合の変わった形がそこに出てくるであろう。よく世間では通俗的に、お役所の仕事を、お役所仕事だとか、親方日の丸だとか、非能率という典型的な代名詞に使うのでありますが、私はそういう方式でやっていて、全部が非能率であるとは断定をいたしませんけれども、やはりそういう面はなきにしもあらずである。特に、いわゆる一般の役所の仕事と違って、事業というものを明らかにしておる場合には、そこに能率よく運営をしていくためには、いわゆる企業性というものを取り入れて独立採算制でやっていく、こういう形でやることが、いわゆる国民の福祉に対する貢献度が高い方法である、こういうことじゃないか、このように私は解釈しておるわけであります。
○板川委員 国鉄関係、運輸省関係は、公共性と企業性というのは相反する理念ではない、こういうふうな考え方を強調しようとしております。企業性というのは、いわば別な表現でいえば独算制だ、こう大臣はおっしゃいました。しかし大臣、独算制をやるために、公共性が失われるということはありませんか。
○原田国務大臣 絶対とは言いかねると私は思います。したがいまして、今度またもとの法律に返りますけれども、再建推進会議というものの答申にのっとって私どもがいま御提案申し上げております措置法は、この面を取り入れて独算制でやっていかなければならぬけれども、国も考えなければならぬのじゃないかという面を具体的にした方法であろうと考えております。
○板川委員 独算制を貫いていくというなら、私は公共企業体とか、国がやる必要はないと思うのですね。独算制でやっていけるならば、それは民間にまかしたって別に問題はない。独算制、企業性では、公共の利益、福祉が守れないおそれがあるからこそ、公共企業体という事業体をもって国が経営に全責任を持っておるというのではないでしょうか。 この国鉄の独算制というのは、法的な根拠は一体どこにありましょうか、これを伺っておきます。
○町田政府委員 法律的な根拠は正確にはございません。したがって、先ほど会計上の処理の規程が一つのあらわれであると申し上げましたが、原則としてそういう考え方で運営すべきものである、これは公共企業体の企業というものの一つの性格でもあるのではないかと思います。そういう趣旨で申し上げているのでありまして、法律上、独立採算であるというはっきりした規程はございません。
○板川委員 先ほども言いましたように、独算制、企業性を貫くというのであるならば、何も公共企業体で国がやることはないわけですから、公共企業体である国鉄としては、独算制なり企業性が望ましいけれども、しかし、これは望ましい姿を要請しておるだけでありまして、要請しておる範囲であって、絶対のものではない。あくまでも国鉄の目的は公共の福祉にある、一場合によっては、独算制がそこなわれたとしても、公共の福祉の増進をはかるというところに国鉄の使命というのがあるのじゃないでしょうか。
○原田国務大臣 そこが私と板川さんと考えがちょっと違うところであって、独算制でありますけれども、この場合には、いまの局長の話で、会計の処理方式は、もうけたものを何も国へ納めなくても、国鉄で持っていたらよいということは、いわゆる公共性というものを相当考えた会計処理方式であろうと思います。だから、たとえば赤字が出ても、それはほかの方法で埋めてもいいんだ、それのほうが公共性だという議論からいきますと、それじゃ、別な赤字をしょい込んだときにはどうなるのか。その部面だけはそれでいいかもしれないが、ほかの部面ではどうなるんだということが考えられてきますから、事業というものを営むときに、企業性を取り入れたよさというものをそこに発揮させようとしたのが現在の国有鉄道法であろう、このように私は考えておるのであります。
○板川委員 私が言いたいのは、たとえ赤字が他に出たとしても、それのために公共の福祉が増進されるということであれば、これは国鉄として、場合によっては公共の福祉を増進するために、やむを得ないんじゃないか。この企業性なり独算制なりというところというところにあまりポイントを置きますと、国鉄の第一義的である公共の福祉の増進というところに欠けるものがあるんじゃないだろうか。こういう点が、大臣と認識の、ニュアンスの違いがあるのですが、どうです。
○原田国務大臣 それはやはり基本的なものの考え方が、そこで率直に言うと、社会党と自民党の違いということにつながってくるんではないだろうかと思います。ということは……(「それはおかしいぞ」と呼ぶ者あり)一方で赤字が出てもいいじゃないかということですね。それはここでよく議論が出るところですけれども、その赤字を埋めるということは、それはここでいうと税金です。直接乗車券で買った人が払うか、回り回って税金で払うか、こういう違いになってくる、こういうことになるのです。(「そんな言い方はないよ」と呼ぶ者あり) いま、社会党と自民党の違いじゃないかと言ったことは、取り消しておきます。 〔発言する者あり〕
○砂原委員長 御静粛に願います。
○板川委員 国鉄という事業が営利を目的としておるというなら別ですよ。それなら別ですが、国民の福祉、公共の福祉を増進する、それは具体的にどういうことかといえば、全国に鉄道網を配して、そして国民のために利便を提供する、あるいは都市の通勤輸送を確保する、いろいろなことがあるでしょう。そういう目的を果たすために、場合によったら、赤字であっても、その目的のためならいたし方がない場合があるんじゃないか。それを、企業性あるいは独算制というものにあまり重点を置くと、その独算制の範囲で仕事をしよう、こういうことになれば、国鉄の目的である公共の福祉というもの、その役割を国鉄が果たさないということになる場合がある、こういうように考えるのですね。その点は、大臣は独立採算制というのを金科玉条のように考えて、あくまでもこれを守っていくんだ、こういうのはおかしいんじゃないかということが一つですね。
○原田国務大臣 私は、先ほどから言っているように、独算制というものはたてまえであって、これを金科玉条にしていない。だから、今度の場合も、いわゆる三位一体方式を財政再建方式としてお願いをしておる、こういうことを申し上げておるのであります。
○板川委員 三位一体論については、私はあとでゆっくりひとつ議論をしたいと思うのです。大臣は三位一体と言いますが、実際はこれはごまかしですよ。三位一体じゃありませんよ。これは一般国民と労働者が損するだけであって、損しないのは政府だけですよ。三位一体論なんというのは、あとで私は議論いたしましょう。 じゃ、ひとつ運賃問題に入ってみます。 財政法第三条には、国の独占にかかる事業料金は、法律または国会の議決を要するとあります。今回、旅客運賃、貨物運賃の基本料金の値上げについては、法律を出したということは、この国鉄運賃法にもありまするように、財政法第三条を受けて議案として提案されたものと思うのでありますが、いかがでしょうか。
○町田政府委員 正確に申し上げますと、財政法第三条並びに財政法第三条の特例に関する法律によりまして国有鉄道運賃法ができております。この運賃法の条章に従いまして改正をお願いしたわけであります。
○板川委員 この財政法が国会の議決を必要とした、そして、それを受けて運賃法ができたというのでありますが、財政法がなぜ国会の議決を要するように規定してあるか、この辺の趣旨はおわかりでしょうか。
○磯崎説明員 私から御説明申し上げます。 財政法第三条は、課徴金、独占事業における専売価格及び事業料金の法定主義、これに基づく第三条でございまして、租税以外の、国が国権に基づいて収納する課徴金、その次でございます。「及び法律上又は事実上国の独占に属する事業」云云、この「事実上国の独占に属する事業」ということから運賃法ができているわけでございまして、当時昭和二十二年でございます。二十二年にはまだほとんど他の交通機関がございませんで、国鉄が電電あるいは専売と同じように、事実上国の独占に属する事業であった、こういう趣旨から昭和二十二年、まだ運輸省時代です、国有鉄道になる前にできた法律でございます。
○板川委員 国という膨大な背景を持った事業体であり、全国民の生活に重大な関連を持つ独占価格であるから、私は、財政法が、法律をもって改正する場合には国会の議決を要すべし、こういうふうに規定したものと思うのであります。ところが、過日、当委員会に明大教授の清水教授を参考人として呼んだ場合に、その参考人の意見にもありましたように、基本賃率は、国会の議決が必要だと定めた趣旨に基づくならば——かつては、大臣権限の認可事項である定期運賃、急行料金、寝台料金等が国鉄収入の中でわずかな位置を占めておった、しかし、最近は乗客の七割が定期利用者であるということを考えますと、定期運賃、急行料金、寝台料金は非常に値段が高くなっておりまして、こういう点も、私はこの財政法の趣旨からいうならば、国会の議決を要すべき事項になると思うのでありますが、もちろんいまの法律はそうではない。この現在の国鉄運賃法なりの法律が、実態からいって、財政法の趣旨にかなっていないようになってきたのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、この点はいかがですか。
○町田政府委員 これは運賃というものの考え方でございますけれども、先ほど先生から御説明がございましたように、独占の事業であるから、国が強い力を持っているからこれを法律できめろ、こういう趣旨で、私も大体そういうことであろうと思います。 したがって、その場合には何から何まで全部法律で議決を経てきめてしまうのか、あるいは、基本的なものだけをきめて、あとは公共企業体という先ほども御議論の企業体でございますから、できるだけ政府なり企業体の運営にまかせるという含みを残しておくべきか、こういう基本的な考え方の問題であろうと思います。そうして、いま御指摘のございましたその他のものが、金額が多くなるから法律できめなければならぬ、こういう趣旨でなくて、基本だけをきめるか、すべてをきめるか、こういう違いではないかというふうに私は考えております。
○板川委員 基本運賃の場合には、これが全体の料金の体系の基本をきめるのだから国会の議決が要る、しかし、国鉄運賃法ができた当時は定期券収入も少ない、急行料金もごくわずかである、あるいは寝台料金もわずかである、ところが、最近は新幹線等ができて、急行料金もたいへん高額になってきておる、寝台等もずっと料金が高まっておる、また、定期の利用者が乗客の七割も占める、こういうふうな時代になったならば、財政法三条が規定しておる趣旨は、本来ならば、大臣の認可事項ではなくて、国会の議決を要すべき性質のものに変質をしてきたのではないか、参考人もそう言っておりますが、私はそういう感じがいたします。しかし、これは議論の分かれるところでありましょう。 次の質問に入るのですが、ちょうど区切りがいいものですし、代議士会があるそうでありますから、理事からの話で、ひとつ休憩していただいて、私はここで区切っておきまして、再開後に次の質問を留保いたします。
○砂原委員長 本会議散会後帯閲することとし、休憩いたします。 午後一時四十八分休憩 ————◇————— 午後七時三十三分開議
○細田委員長代理 再開……(発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能)
○加藤(六)委員 委員長……(発言する者多く、聴取不能)……いたします。……(発言する者多く、聴取不能)……願います。 〔発言する者多く、議場騒然〕
○細田委員長代理 ……(発言する者多く、聴取不能) 〔議場騒然〕 〔細田委員長代理退場〕 午後七時三十六分