石炭対策特別委員会 閉会後第1号
- 発言数
- 56 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1968/12/26
会議録
○委員長(阿具根登君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。 この際、原労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。原労働大臣。
○国務大臣(原健三郎君) このたび労働省を担当することになりました原健三郎でございます。労働問題がますます重要性を加えてきている今日、私は誠心誠意労働行政の推進につとめてまいる所存でございます。よろしくお願い申し上げます。 最近の石炭鉱業の動向を見ますと、その前途はますますきびしいものがあり、今後も炭鉱の閉山、合理化により離職を余儀なくされる炭鉱労働者が少なくないと考えるのでございます。今後の石炭対策のあり方につきましては、御承知のとおり、本年四月以来石炭鉱業審議会において鋭意御審議をいただき、昨日答申を得ましたので、労働省といたしましては、同審議会の答申の線に沿って石炭鉱業労働者の雇用安定対策、炭鉱離職者対策、産炭地域における雇用安定対策等を積極的に推進してまいる考えでございます。また石炭鉱業における労働災害の防止につきましては、労働省は労働者保護の見地から多大の関心をもって努力しておるのでございますが、本年も北海道炭礦汽船株式会社等において重大な災害が発生し、多くの犠牲者を出しましたことは、まことに遺憾に存じておるところでございます。労働省はこれまでも数回にわたり、通商産業省に対し石炭鉱山の保安の確保について勧告を行なってきたのでございますが、去る十月にも最近の災害の発生状況にかんがみ勧告を行なったところでございます。今後とも通商産業省と密接な連携をとり、石炭鉱業における労働災害の防止を鋭意進めてまいりたいと存じます。 以上、当面する問題について私の考えを簡単に申し上げたのでございますが、石炭対策の再検討が進められておる今日、委員各位の御意見を十分拝聴して、今後の行政の推進に資したいと存じておりますので、よろしくお願い申し上げる次第でございます。 —————————————
○委員長(阿具根登君) 当面の石炭対策樹立に関する調査を議題とし、石炭対策基本問題に関する件について調査を行ないます。 まず石炭鉱業審議会の答申について説明を聴取いたします。中川鉱山石炭局長。
○説明員(中川理一郎君) お手元に御配付いたしました「石炭対策について」、これは昨日石炭鉱業審議会の総会を開きまして、約四時間にわたり熱心な御審議を賜わりまして、かなりの修文上の修正を加えましたものを、きのう午後会長から大臣に御提出になったものでございます。総会段階でも修文の改善がございましたので、はなはだ恐縮でございますが、全文そのまま用意することができなくて、一部訂正文を挿入したものでお届けしてあるわけでございます。 簡単に御説明をいたします。総論の「はしがき」は経緯を述べております。次の第二の基本方針は、前回小委員会案骨子ということで御説明いたしましたこととさほどには違っておりませんが、あえていえば、3の「石炭鉱業の合理化と関係者の協力」という点につきまして、企業の経営刷新努力はもとよりのこととして、「石炭鉱業の再建を真に可能にするため個別企業の利害をこえて全体の合理化のため、生産・流通各面について共同行為、統合等の体制整備に全力を尽すべきである。」ということで、かねて当委員会におきましても、いろいろ御主張のございました前向き積極施策について、従来の小委員会案よりは明瞭に記載をいたしております。 それからその次の第三は、実は小委員会案にはなかった次の各論と一緒になっておりましたものにつきまして、各論は詳細でございますので、若干施策のねらいを、おもだったものについて考え方を的確に述べたほうがよかろうということでつくりましたものでございます。再建のための助成策のねらい、これを再建交付金、安定補給金、長期金融の確保ということで記載をいたしております。 次に、2として体制の整備のねらい、3として労働対策の推進についての政策のねらい、それから4として保安対策のねらい、5が閉山交付金制度の改善、6が鉱害対策の推進、7に産炭地域への配慮ということで、それぞれの施策の考え方としてのねらいを書きまして、これを受けまして、十六ページ以降の各論において、これらの施策についての具体的な考え方というものを詳説をいたした。こういう体裁に相なっております。 きのうの総会で主として議論の出ました点は、労働力の安定確保策ということをめぐりましての賃金問題、それから安定補給金の交付をめぐりましての中小と大手との実質的バランスといった点が議論が出ておりましたけれども、いずれも要望という形で本答申に相なったわけでございます。 簡単でございますが、概要はすでに小委員会の骨子で御説明をいたしておりますし、答申をお読み願えれば、大体御理解いただけるようにしるされておると心得ておりますので、以上で御説明を終わります。
○委員長(阿具根登君) ただいまの説明に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。先ほど御相談申し上げましたように、通産、労働、両大臣の時間は非常に少のうございますので、大臣に対する発言をお願いいたします。
○大矢正君 通産大臣にお尋ねをいたしますが、昨日の答申に基づき、従来の慣例からまいりますると、閣議で答申を決定をするといいましょうか、施策の根本として若干石炭対策としての方向を盛り込んで従来きめられておりますが、答申は答申といたしましても、答申に基づく石炭対策、石炭政策といいましょうか、それを閣議で従来どおり決定をされるおつもりなのかどうか。もし閣議において決定をされるとすれば、その時期はいつごろになるのか、いつごろにめどを置いておられるのか、まずお尋ねをいたしたい。
○国務大臣(大平正芳君) お答えいたします。 閣議できめるつもりでございます。その時期は年が改まりましたならば、なるべく早くという考えでございます。
○大矢正君 重ねて大臣にお尋ねをいたしまするが、答申が昨日決定を見るまでの段階においては、通産省と審議会の小委員会の中でいろいろな議論があったことはわれわれもよく存じておるところでありますが、問題は、答申というものと、政府がこれから実行しようとする石炭政策ないしは対策というものとは、一〇〇%必ずしも一致するとは限らない。もっとよい方向がありとすれば、答申に上乗せして政策として実行するということは考えられることでありますが、そこで答申を基調とするというお考えは先日も承っておりまするが、しかしながら、私ども考えまするに、この答申は、各界それぞれの立場からながめて見ましても、必ずしも一〇〇%賛成をいたしておるというところがないというふうに承っております。大臣は先日もこの委員会において、行政当局それ自身としても満足すべきものでは実はないのだという御発言もありましたとおりであります。ましてや業界、それから働く者の立場、あるいは産炭地の市町村、その他それぞれの団体においては、なお多くの答申に対する要望の意見というものを持っておるわけであります。そこで、あなたが通産省の、あるいは政府の、これからの石炭政策として打ち出す際に、それは閣議決定のことを私はさしているわけでありますが、その以前に、重ねて各界の代表の意見等を聴取して、できる限りそれらの意見を盛り込んで、政府の石炭政策とするお考えがあるかどうか。具体的に申しますると、われわれが心配をすることは、どうも答申が出たその答申だけで、他の何らの意見も聴取せずして閣議決定をして、これが政府の石炭政策だと、こうなる心配を実はいたしておるわけです。御存じのとおり、この答申が今後その成果をあげるかあげないかということは、一にかかってこの労使の協力体制なり、あるいはそれを取り巻く自治体なり行政当局の努力が必要とされるわけであります。もとより、私はこの答申は、これで石炭産業が立て直るとは考えておりませんが、まあ目的とするところがそこにあるとすれば、それを実現するための方法としては、まだまだやはりそれぞれの団体の意見なり意思なりを十分聴取した上で、政府の石炭政策としての閣議決定を行なうべきではないかという考えを持っているのでありますが、この際、あらためて大臣の所信を承っておきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 私の考えでは、閣議決定そのものは、この御答申いただきました文書、こういうふうに詳しいものにしたくはないのでございます。基本の石炭政策の根幹だけ閣議にかけておきめいただいておくということで十分でないかと考えております。問題は、これを法律化し、あるいは予算化していく段階におきまして、行政当局としてどれだけの幅のある考え方を持っておるかという御質問だろうと思うのでございますが、すでに審議会の段階におきましても、各界各方面の代表者が委員として席を占められておりまして、御意見が出されておるわけでございまするし、また国会におきましても、各党からいろいろ建設的な御意見が吐露されております。マスコミにおきましてもいろいろの論評が行なわれておるわけでございまするから、そういった点はできるだけ忠実に消化いたしまして、可能な限り尊重してまいるという態度で臨むことは当然と考えております。 ただ、御了解願っておきたいのは、この石炭政策に要する財源は、大矢委員も御承知のとおり、石炭特別会計に期待される財源だけでございます。したがいまして、これをこの石炭政策を構成しておる各柱にどのように配分していくのがいいかというくふうが問題でございまして、新しい財源が期待されるのでございますならば、いろいろやりたいこともたくさんあるわけでございますけれども、限られたそういう財源の中で、どういう政策を書いて魅力あるものにするかという、きわめてむずかしい手法しか残されていないわけでございますので、そういう制約があるということは御了承賜わっておかなければならぬと考えます。
○大矢正君 審議会の中でそれぞれの代表からいろいろな意見を聞いたから、それでいいじゃないかというような感じのするいまの大臣の御発言ですが、審議会はあくまでも審議会でありまして、審議会の答申に基づき、それを一〇〇%尊重するか、さらに上積みをしてやっていくかということは、これからの行政当局としての通産省の新しい立場でありまして、審議会が各界各層の意見を聞いたからそれでもういいのだということにはならないと思うのですよ。あなたのほうがあんまり具体的に審議会の中に入っていき過ぎて、審議会の答申なのか、通産省の答申なのか、わからないというのが今日の実態でありますからそういう錯覚を持たれるが、答申はあくまでも答申であって、政府の施策はこれまた施策なんでありますから、その点をひとつ十分判断をして、これからなお各界の努力を期待する意味において、政府みずからもひとつ私は努力をしてもらいたいと、こう思うのです。 それから次に、先般労使間において、年末の手当の妥結をいたしましたが、依然として明年支払い、すなわち年末手当ではあるが、年内に払えなくて明年に繰り越すような金繰りの情勢に石炭企業がいま置かれているわけです。そこで、かりに答申に基づく予算措置や法律的な措置が最も近い日に実施をされるといたしましても、明年の四月一日以降でなければならぬことは御存じのとおりであります。そこで、いま私が申し上げたような非常に金融の面で行き詰まっているいまの状態を、どのようにしてとりあえず打開をし、そうしてこの答申に基づく新石炭対策に結びつけていこうとされておられるのか。現にもう年明け早々には崩壊するのではないかと思われるような炭鉱なり企業なりというものがあるわけでありまして、当面この新石炭対策も大事であるが、その新石炭対策が実行されるまでの間のつなぎの金融措置というものに対する不安の解消が大事な点だと思うのであります。そこで、大臣としてどのような政治的な、あるいは政策的な配慮を行なって、この金融を確保されるおつもりなのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 事は非常に微妙な銀行信用にかかわる問題でありますが、根本は、政府がいまから実施しようとする新石炭政策に対する信頼が各界において確立しておるという状態が一番大事だと思うのでございます。大矢委員が指摘されたように、この政策は各方面きわめて不満足だ、私どもも含めて不満足であることは御案内のとおりでございます。それは限られた財源の中でのくふうでございますから、自然そうならざるを得ないのでございますが、しかし、この政策を実行しても、もうだめだだめだというような声が出ましたのでは、とても金融機関が金融協力をするということにならない危険もありまするので、私の希望といたしましては、いまの現段階において考え得るまずベストの案であるということで、各界の信頼をまず打ち立てることが第一じゃないかと思います。 それから第二といたしましては、政府並びに経団連当局、その他関係者が金融機関に対しまして、あるいは財政金融当局に対しまして、十分協力を要請して、一致して石炭産業の危機打開と、経過金融についてそごがないようにということの強い要請を持続的に、そして精力的にやってまいる必要が第二に大事だと思って、私どももその決意でおるわけでございます。 それから開銀融資その他につきましては、政府の手でできることでございますので、年度間におきましても補正にやぶさかではございません。
○大矢正君 大臣、いま開銀等からの融資云々というお話がありますが、開銀融資というのは御存じのとおり設備投資に重点を置いた融資で、いま石炭企業それ自身が設備資金も含め、運転資金の面で非常に苦しい現状にあるわけですよ。これをとりあえず解決をしてやらないと、政府が、あるいは植村さんが幾らなだらかな撤退なんて言ったって、なだらかな撤退にならないわけです。集中してしまう心配があるわけですよ。ですから市中金融機関から運転資金を借り得るような道を講ずることが一番いいんですが、御存じのとおりに担保をかりに今度の肩がわりで抜くといたしましても、その実行は四月以降でありますし、それから担保を抜く抜くと言いましても、どういうものを抜いてくれるかという議論までにはまだまだ多くの日にちがかかる問題であります。それから同時に、この肩がわりというものがどういう形でされるものかという見通しが立たなければ、市中金融機関が金を貸すはずはないんですよ、どう考えても。ですから、いまから三月までの間の金融ということは非常に重大な要素になってくるのであって、私は政府金融機関を最大限に動員して、政治的に金融の道を講ずる必要もあるでありましょうし、あわせて、たとえばいまある事業団等から特別のワクを設けて貸し付けを切り抜け策としてやるとか、具体的にそういう措置が講ぜられなければ、この抜本策が論議されている段階の中ですでに炭鉱が閉山をしていく、つぶれていくという事態になりますので、その点についてひとついまのように市中金融機関の協力協力と言わずに、もっと政府みずからが合理化事業団にどういう形で原資を確保させるかは別として、そういうような措置を講ずることによって、とりあえずの危機を乗り切るための措置をぜひ検討してもらいたいと思うのでありますが、もう一回ひとつお答えをいただきたい。
○国務大臣(大平正芳君) それは仰せのとおりでございます。したがって、私どもとしては、まず信用の基礎になる石炭政策の骨子が早く確立することが大事だと思いまして、答申を非常に急いでもらったわけもそういう配慮からでございます。 それから金融機関に対する要請、政府各機関協力して精力的にやってまいる、先ほど申しましたとおり、また御要請があったとおりやってまいるつもりでございます。 それから事業団、開銀、その他政府関係の機関の資金力の増幅というような問題について、できるだけきめこまかく配慮していくということは、これまた当然の任務だと思います。そういう方向でこれから配慮してまいるつもりでございます。
○大矢正君 けさの新聞の報ずるところによりますと、四十四年度の石炭関係予算の要求はおおむね八百五十億円程度というようなことが書かれております。そこで、もしそれがおおむね事実であるといたしますれば、先ほど大臣が言われたとおりに、石炭特別会計の原資となるものは、原重油関税の一〇%であるという従来の方針が変わらない限りは、明年は八百五十億円のその面からの原資の調達は不可能になりますが、八百五十億円を初年度はどうしても必要だとする際に、その差というものは一体どうされるのか、その点お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) それはこの前の本委員会でも申し上げましたとおり、石炭特別会計の能力といたしまして、借入金をなし得る能力がございますから、それを活用いたしまして、トップヘビーにかかってまいるための金融措置は考えていかなければならぬと思っておりますが、それがどういう数字になるか、まだ確たる数字は私はつかんでおりませんけれども、そういう方法で配慮してまいりたいと思います。また配慮することができると考えております。
○説明員(中川理一郎君) ただいま大臣から御答弁いただきましたように、大づかみなめどは持っておりますけれども、まだ正式に四十四年度予算要求をいたしているわけではございません。至急これを行ないますが、数字はともかくといたしまして、関税収入の収入源の中で四十四年度がやれるかどうかということは、大矢委員の御指摘のように、必ずしも収入の中でまかなえるということではございませんので、これをいま大臣お答えになりましたように、特別会計が財投その他からどういう形で借り得るかどうか、これには実は本年度までの剰余金もございますので、これらのものとあわせながら、ひとつトップヘビーになる可能性があるという事態については、私どものほうも財政当局も十分理解をいたしておりまして、これについての方策をいま考えている、詰めているという段階にございます。少なくともその問題は必ず解決しなければならない問題だという前提に立って方法を詰めている、かようなことでございます。
○大矢正君 通産大臣、いまの財源の確保の問題は、これから明四十四年度にまいります際においての個々の炭鉱がどうなるかということに結びつく非常に大きな問題なんですよ。財源が少なくて施策が行き届かなければ、それだけつぶれる山が多くなるわけですから、ですから財源がかりに八百億なり九百億なり、平年度でいけば八百億になるわけですから、平年度を上回る程度の財源を確保すれば、それだけ炭鉱はつぶれなくて済むということに論理的にもなるし、施策的にもなるわけですから、われわれは、初年度の四十四年度でどれだけの財源を政府が確保するかということが、一つにはこれからの石炭対策としての大きな方向をみつけ出す道でありますし、そういうことが回り回って、たとえば働く者が安心感を持って、それではひとつ山を再建しようではないかという意思にもなっていくわけでありますから、その点をひとつぜひとも、少なくとも四千二百億円を五年間で割った八百億円を上回る以上のものは初年度において確保してもらいたいということを強く私は希望しておきたいと思います。それからこれは非常にむずかしい議論になると思うのでありますが、私も石炭対策特別委員会序長い間やっております。そこで、かりに地方にまいりました際に、特に産炭地にまいりました際に、その自治体であるとか、あるいはその炭鉱に働く人々、あるいはその炭鉱の経営者、こういう人からよく質問を受けるわけですが、今度の新石炭対策ができ上がったら、おれの山は一体どうなるのだろうという疑問、この地域にある炭鉱は一体どうなるんだろうという疑問があるわけです。そこで、現に山で働く者の立場からまいりますれば、一年か二年のうちにつぶれるんだということがはっきりしているんなら、この間も私は大臣に申し上げたとおりに、それならばいまのうちにやめたほうがいいということに当然なっていくわけですよ。そこで、これは率直に大臣にお尋ねしたいが、そういう質問がきたときに、私どもが一体何と答えたらいいのか、今度の抜本策から考えてみてですね、そういう素朴ではあるけれども現実的な質問を、かりに地域で産炭地の代表なりあるいは現に炭鉱で働いている人々から受けた場合に、何と一体われわれ答えたらいいのか、抽象的なようではあるけれども、まことに重大な問題だと思うんですよ。その点大臣がどのようにお考えになっておられるか、私の能力の限界では答弁できないんですよ。あなただったら答弁できるかもしらぬから、この際ひとつ聞かしてもらいたい。
○国務大臣(大平正芳君) 私は皆さんの能力を補充するような力はないわけでございますが、私がかりに聞かれたとすれば、私はこう答えるつもりです。どうなるであろうかということをお考えになる前に、せっかく政府が不十分ながらもこういう対策を用意したと、このベースに立ってどうするかということを考えてくれと、このように私は申し上げるよりほかないと思います。
○大矢正君 あなたそういうような、政府を信頼せよ、もう一つひっくり返して言えば、自由民主党を信頼してくれなんと言ったって、そんなものは通るような状態じゃないですよ。福岡県、佐賀県、九州関係では長崎県もそうでしょうがね、あなたのところの党の知事さんが先頭切って、とてもこの答申ではどうにもならぬから何とかひとつ考えてくれと、北海道の知事もそうですよ、みんなそう言っているんですね。だからそんなことをあなたが言われたって、これは納得するはずがないわけですよ。そこで、働く人間や産炭地を納得させる道は、政府というものはいま現存している炭鉱をつぶすという考え方はないんだと、したがって、皆さんが努力をしてくれれば全部の炭鉱でも残り得る余地があるんだと、こういう説明しかないと思うんだよ。待てよと、あなたの山はこれこれの条件だし、このような状態にあるから、まあつぶれるかもしれないよと言うわけにはいかないわけでしょう。さすれば、みんなが努力をすれば残れるんだと、生きていけるんだと、事業を継続していけるんだと、こういう考え方を示さない限りどうにもならぬわけです。ところが、五年間平均で四千万トン、四十八年度は三千五百万トンになるんだ、するんだという考え方が基本としてあれば、そういう説明はできぬことになるわけだ。うそを言うことになるわけですわね。政治家はうそを言うというかもしらぬがね、われわれそんなにもううそは言えぬわけだから、いままでうそ言っていたんだから。五千万トン石炭を出す体制に政府がきめたし、それからそれを出したらちゃんと需要先も開拓してくれるんだから、するんだからという第三次答申においての説明をしてきたんでしょう。それが裏切られ今日になっているわけだから、少しくらいのことを説明したって納得しないですよ。ですから三千五百万トンなり四千万トンなりという数字と、それから炭鉱は労使が一体となり、産炭地域も含めて力を合わせれば、とにかく生きていけるんだというその接点をどこに求めるかということについて、もう一回くどいようだけれども、あなたのひとつ考え方を承っておきたいと思うんです。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、政治にうそがあっちゃいかぬと思います。で、ここで出炭目標を掲げてその場はバラ色の期待を持たすというようなことはやりたいところでございますけれども、そういうことはまじめな政治家じゃないと思います。しかし今度第一次、第二次、第三次の石炭政策の苦杯をなめて第四次を、しかもこれは最後のものにしたいというように考えた場合に、関係者が鋭意協議して立てました考え方は、この間も申し上げましたように、ぎりぎりの政府の助成の限界をまず提示しようじゃないかと、その上に立ちまして、労使が本気になって再建の方向に踏み出していただきますならば、未来はあるじゃないかというような考え方でございまして、私はこういう考え方が無理からぬ考え方であり、まじめな接近の方法であろうと考えておるわけでございまして、いま大矢委員がいみじくも言われましたように、みんなが努力すれば生き延びることができるのだという気合いにみんながなっていただくようにひたすらお願いをするよりほかはないわけでございます。このまま行けばだめだぞというようなことは、舌が切れても言うべきじゃないし、そんな考え方が厘毫も私どもの胸中にあっては石炭政策は成功しない、そう考えております。
○大矢正君 あなたはそう言われたって、現に想定される四十八年度は三千五百万トンだと、こういうのだから、想定されるということは、計画経済でない今日でありますから、政府はそういう方向に指導していくんだろうという解釈が出てくるのはあたりまえじゃないですか。そうでしょう。ですから、それじゃいま四千七百万トンとすれば千二百万トンダウンになるのじゃないか、その千二百万トンの中に自分の山が入るのか入らないのか、一、二年のうちに入るのだったら何もいまわれわれが無理して命を的にやる必要はないんじゃないかという議論になって、そこがつらいところだし、むずかしいところだと思うけれども、その問題に対してもっと積極的に取り組む姿勢が政府の中にない限り、これは幾ら答申出したって問題にならぬと思うのですよ。 時間がありませんから、私最後にお尋ねをいたしますが、世上この新石炭対策なるものに対し、これは全面撤退が、まあ全面撤退と言わなくても撤退作戦だと、とにかく炭鉱をいかにしてなくするか、経済の合理性のベースの上に近づけていく、そのためには全面撤退に近い撤退もやむを得ないという方針か、あるいはそうではなくて、とにかく石炭産業はわが国に唯一のエネルギー資源でもあるし、それを産出する産業でもあるから守らなきゃいかぬ、こういう立場なのか、そのいずれの立場なのかということが明瞭にならないことが世上いろいろ批判の的になっているわけですよ。その本質が全然この答申の中にあらわれてこないところに私は問題があると思います。おおむねあなたがどういう答弁をされるかというようなことは想像はつきますけれども、最後ですが、ひとつ、その全面撤退でもない、それから石炭産業を維持するわけでもない、一体何にその背骨があるのかということを重ねてもう一回最後の質問としてお尋ねをしておきます。
○国務大臣(大平正芳君) 普通のノーマルな経済状態におきまして政策を立てる場合でございますれば、いまのお尋ねのような問題に対しまして明快な答弁ができるわけでございますけれども、石炭産業は御案内のように内在的にもいろいろな問題をかかえておるばかりでなく、環境がたいへんきびしいわけでございまして、環境はそれじゃ改善の見通しがあるかというと、当面考えられないことであることも大矢委員御承知のとおりでございます。そういうきびしい、内外のけわしい条件の中での政策でございまして、一面エネルギー資源全体のその動向から見ますれば、撤退という見方をする人もありましょうが、しかし、こういうけわしい状態のもとにおきまして、日本の固有のエネルギー資源のにない手たる石炭産業を何とか光を当てていきたいということで、これは再建への前進であると見ていただく方もあろうと思いますが、そういった見方はその政策的な視点によりましていろいろな見方が私はあり得ると考えております。で、私は非常に実際家でございまして、いま置かれた状況のもとにおいて石炭産業を再建の方向に何としても踏み出さなければ——持っていかなきゃなりませんし、そういう意味においてこの石炭政策を立案し、そして推進していかなければならぬと思いまするし、またそういう方向で皆さんの御理解を得るように、仰せのようにたいへんむずかしい問題でございまするが、むずかしい問題であるだけに、一そうの努力をしていかなきゃいかぬと考えております。
○原田立君 先ほど大平大臣は、今回の答申案について、大臣を含め、きわめて不満の案である、こういうふうな説明をなさったんですけれども、私も今回の答申案をずっと見て、前回からも見て、これでは中小炭鉱がつぶれていって、非常に炭鉱労務者が苦しむ、非常に気の毒な状態に追い込まれる、これはもう目に見えるようなものです。そこで大臣は、先ほど自分を含めてきわめて不満の案だというようなお話がありましたけれども、それではその不満のない案にするようなお考えはおありなのかどうか、この点ひとつお伺いしたい。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど大矢委員の御質問にお答え申し上げましたとおり、いま政府が考えておりまする石炭政策の財源といたしましては、石炭特別会計に四十五年度まで許されておる原油関税収入の一〇%というものがぎりぎりの限界であるという立場に立って御審議を願い、いまその政策を発足させようとしておるわけでございます。もし一般会計から豊富な財源が期待できる、また期待することに十分の根拠もあるというような恵まれた状況でございますならば、この石炭政策の書き方は非常に違ったものになりましょうし、私どもの満足に近い案ができないはずはないと思います。そういう制約のもとに書かれたものであるという意味において、きわめて不満であるけれども、現状においては精一ぱいのものであるというような理解であるということを御了承いただきたいと思います。
○原田立君 時間もないようですから、大体の要点だけをお伺いしたいと思いますが、今回の答申に出炭規模がきめられていぬ、書かれていない、これが非常にごまかしの答申案だということがいろんな各界の人から言われているわけです。それで結局は出炭規模をもっと高めて現状の維持をしていくようなそういう線にまでいけば、何らかのまだめどがつけられるんじゃないかと思うんですけれども、伝えられるところによると、四十八年には三千五百万トンまで引き下げられるであろうという、そういうようなことが巷間言われているわけなんですが、なぜ出炭規模をきめなかったのか、また政府として現状ないしそれ以上にいく線をきめる考えがあるのか、あるいはまた三千五百万トンというような伝えられているところに押えようとなさるのが、これは核心に触れる問題だと思うので、お伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) くれぐれも申し上げておきますけれども、三千五百万トンに押えようという意図が秘められているというものでは決してないわけでございます。与えられた財源を石炭政策に助成的にどのように配分してまいりますかということを考える場合の一つの試算の数字として、かりにそういう数字をとってみたというまでのものでございまして、それによって出炭を規制しようというような考え方は毛頭審議会にもないようでございまするし、またこれから私どもがやろうとする石炭政策にもそういう考えは毛頭ないわけでございます。それから出炭目標を掲げて石炭政策を立てるのも一つの立て方である、この前の委員会でも私は御答弁申し上げたとおりでございますけれども、またいろいろな助成のぎりぎりの限界をお示しいたしまして、労使の意欲をかきたてて、そうして期待し得るマキシマムな出炭を期待するという立て方も政策の立て方としてあり得ることではないか、審議会の構想は後者の構想によっておる、私どももそのほうが先ほどの御質問にも関連いたしますけれども、まじめな接近の方法じゃないかと考えておると申し上げたのでございます。
○原田立君 今回の案によって、大臣、正直に言ってですよ、閉山は出るものだと考えていいですね。ずっと縮小されて離職者が多数出るだろうということはもう既定の事実として考えなければならぬ問題だと思うのですよ。あなたはそれまでは否定なさるとは思わないけれども、離職者は出るわけですよ。そうすると、前回の委員会でも申し上げました、北海道のほうでも佐賀のほうでも北松のほうでも、あるいはまた福岡の筑豊炭田関係でも閉山する労務者が離散する、二万人も三万人も散っていくだろう、これはもうはっきり見えすいた問題だと思うのです。それで、そういう落ち込んでいくのを政府はまさか座視しているわけじゃなかろうと思うのですけれども、私があえて聞きたいのは、閉山がつきまとう計画だ、産炭地に新しく出てくる失業者の救済、これはこんなことを言うのはもうずっとはるかこう後退したような意見なんですけれども、これはもう現実に起こるであろうと思うので、あえて先のことをお伺いしておくのですけれども、それに対してどうお考えなんですか。
○国務大臣(大平正芳君) あなたの山はおやめになったほうがいいですよというようなことは、そういうつもりは毛頭ないのでございまして、事業を継続してまいるか、閉山するかの判断は各企業者にゆだねてあるわけでございます。しかし閉山がないことを期待いたしますけれども、それじゃ全然ないような状態にいけるかというと、あるいはやむなく閉山を決意される方があるかもしれません。したがいまして、それに対しまして、閉山に対する措置、離職者に対する措置等も当然政策としては前もって考えておかなければいかぬというわけで書き込んであると了解いたしております。
○原田立君 労働大臣もお見えになっておるので一緒にお伺いしたいと思うのですが、私、福岡のほうで産炭地雇用安定法、これの実現方を働きかけているということを聞いているわけですが、こういうこと自体、これも私は非常に不満の点が多い。ですけれども、これがいまも御質問申し上げたように、今回の答申案が閉山はもうどうしようもない問題だ、そうなると、現実問題としてそういう対策も十分講じておかなければいかぬ。労働大臣、この福岡県のほうで言っているような産炭地雇用安定法というような、そういう特別な今回の答申によってくぼんでくるそういう地域に対しての対策のお考えがあるかどうか。また通産大臣、そういうような当面くぼんでくるであろうそういう地域に対して何らかの特別措置をなさる考えがあるのかどうか、両方あわせてお伺いしておきたい。
○国務大臣(原健三郎君) いまおっしゃいましたこれらの地域について地域の再開発のビジョンを追求し、公共事業の拡大と産炭地振興対策を強化することによって、地域内における雇用の増大をはかることが基本的に必要でございますが、これと関連いたしまして、即応して産炭地域雇用計画の策定とか、雇用対策連絡会議の設置とか、産炭地域の開発と就労のための事業の実施、あるいは地域内労働者の福祉対策の推進等の雇用の安定対策を講じたいと考えております。そうしていま雇用安定法というのを制定するか、これは福岡の知事さんなんかからもそういう御意見をしばしば聞いて存じておるのですが、失業対策、雇用安定、あるいはいま申し上げましたようなその地方の振興策等々、諸般の政策とにらみ合わせて、また労働省内部におきましても、法律に直ちにかかるか、あるいは別の方法があるか、いま検討いたしておりますが、早い機会に結論を出したいと思っております。
○国務大臣(大平正芳君) 亀井知事等から出てまいりました第二次公共事業的な考え方、あれはいま労働大臣からお答えがありましたように、労働省のほうを主にいたしまして私ども相談中でございます。正直に申しまして、私どもの手元財源からはそういった金の出るところがいまのところないわけでございまして、労働大臣の政治力に期待いたします。
○須藤五郎君 大矢議員が相当詳しく質問なさったので、私の質問は非常に簡単に済ましたいと思いますが、大臣ずっとこの答申の審議の過程におきましても、また答申案が出た今日の段階におきましても、世論はすべてこれに対して不満を持ち、将来性に対して非常な危惧の念を持っておるということは、各新聞を見ればよくわかることです。第一その当事者である大臣ですらもこれに不満だと言っておる。炭鉱業者も不満だと言っておる。働いておる労働者も不満だと言っておる。すべてがこれ不満だと言っておるのですね。こういう不満足な法案を通して実行して、大臣一体将来どうなるというんですか。これ四千億という金は一年に割れば八百億になるのですが、八百億といえば、国民一人当たり八百円ずつ炭鉱に金をつぎ込むことなんですね。たいへんなことだと思うんです。そのようなたくさんの金を使いながら、不満だ不満だと言って、大臣自身も不満だと言っているようなことにこんな膨大な金を使う、必ずこれは失敗しますよ。こんな不満がたくさんあってどうしてこれが成功するんですか。必ず失敗する。そういう失敗がもう目の先にはっきりしていることにこんなたくさんの金をつぎ込むということじゃ、国民はこれはどうしても納得できないと思うんです。だれも納得する者がないんですよ。こういう責任を大臣どういうふうにお考えになるんですか。政府として重大な責任じゃないですか。こういうことを強行しようという政府には何か一つの責任感があってしかるべきだと思う。おれは責任は感じてないんだけれども——この前あなたに、私はもう少しそういうことならば、不満足だとおっしゃるならば、もう少し案を練ってほんとうの抜本策というものを今回出そうじゃないか、それには私たち皆野党も協力しましょうと、こういうことを私は言ったんです。ところが、大臣は炭鉱は生きものだから待つことはできないとこう一言で片づけられましたよ。生きものなら死ぬときもあるのですよ。生きものは死ぬのです。この案ではせっかくの生きものが死んでしまうのです。死んでしまったら何の役にも立たないじゃないですか。四千億の金をつぎ込んで生きものが死んでしまうような状態がくるなら、これは国民はとてもがまんできませんよ。だからさっき大矢さんも言った。もっと各界の意見も聞いて、そうしてもっといい案を練ったらどうだという意見だと思うのです、大矢さんの意見は。私もそれには賛成です。だから急いでこういうつまらない案——と言うとあなたはおこるかもしれぬけれども、全くわれわれが見るとつまらぬ。あなただってつまらぬ、不満だと言っているのだから、こんな案を急いで通さないで、もう少し落ちついて、ほんとうの抜本策というものはどこにあるのだということをもっと検討しようじゃないですか。この案だけではほんとうに金融機関だけですよ、それから企業家だけですよ、救われるのは。労働者はこれでは救われないですよ。先ほども金融問題でいろいろ論議されましたけれども、その金融問題だって労働者は決してこれでは救われないですよ。ほんの一時的な問題ですね。こんな案を強行する必要はないんじゃないですか。もっとゆっくりひとつ案を練ろうじゃないですか。私たちの党でもほんとうの石炭の抜本策はどういうものかということでいま私たちも案をつくって研究しております。できましたら皆さんにもお目にかけたいと思っているくらいですから、ほんとうの抜本策というものをひとつ練ろうじゃないですか。それでこういうことを強行するにあたっての大臣の責任感を私はひとつ伺って、これだけで私は終わります。
○国務大臣(大平正芳君) 須藤先生に申し上げますけれども、この案について満足の意を表明している人はだれもいないのです。経営者も労働者も、各審議会の委員等も残らずみんな不満です。しかし、どなたからも不要という声は一人も聞かないのです。それで問題は、与えられた条件の中で私どもは精一ぱいの案を打ち立てるということに全力を尽くして、政治の責任にこたえなければならぬというのが私の立場であることはこの間もあなたにこの委員会でお答え申し上げたとおりでございます。それで抜本策はあり得るか、これはまあいろいろ当面の条件から遊離して考えますと、いろいろな名案が汗牛充棟、私はたくさんあり得ると思いますけれども、それはそういうことが意味があるかと言うと、私はたいして意味がないと思いますし、また事は急いでいるわけでございまして、時日の遷延を許さないという当面の緊急の必要もございますので、不満足ながら与えられた条件のもとで精一ぱいのものを出しますから、どうぞ建設的に御審議をいただきまして、御協力を賜わりたいと思います。
○小林武君 私はお急ぎのようだから、これから長いつき合いですから、先ほどおっしゃったほんのわずか一言だけ。これはことばじりをとらえるわけではないのですけれども、大臣にこれから閣議でもこの問題をおそらく検討されることだろうから一言申し上げておきます。 先ほど来あなたのおっしゃったことを聞いておって、私はこれが佐藤内閣の考え方だとすると、これは私はたいへんだと思うから申し上げるのです。とにかく石炭業界というものはノーマルではないとあなたがおっしゃる。それから改善の見通しもきわめて暗いというようなこういう表現をされておるのです。こういうきびしい、けわしい情勢の中でこの石炭答申案が出てきた。したがって、この出てきたものは、視点を変えればいかようにでも見れるような案が出てきたということをあなた先ほど答弁された。私はこれは無責任だと思うんです。先行きがきびしくて、そうして一体これはどうなるのかわからぬという情勢の中から出てくる石炭の答申であるならば、これはもうとにかく情勢がさびしければきびしいほど答申というものは適確なものでなければならぬのです。私はそういう答申の本旨を忘れたというところにこれはあらゆる方面からみんな総スカンを食うような答申案となった。大体会長も不満だというのはちょっとおかしいし、これは新聞の情報だからよくわからないが、しかし、通産大臣もさっき不満だ不満だとおっしゃった。こういうようなものが出てくるというのは、先ほど共産党の委員の方もおっしゃったが、四千億という金は一体どうなるんだということもさることだが、同様に労働者はどうなるんだというふうなこともそうです。私は労働大臣の答弁だって、石炭の雇用安定も何とかということをおっしゃると思ったら、石炭の山がつぶれたら他に何とか就職させようというお話ですが、私はもっと労働大臣も積極面からいまの石炭産業——これは国務大臣だから、石炭産業の状況からいって、労働者に不安を与えないような対策というものを、労働省の立場からもひとつやりますというようなお話が出るかと思ったら、あまり出ないんでがっかりしたんだけれども、そういう意味で私は私企業という一点に非常にしぼって、こういうとにかくあいまいなものしかできないのが当然ですという考え方があるならば、私は、社会党からは国有化案を出しているんですから、それも含めて討論するというようなそういう気持ちもあるように初めは聞いておった。でありますから申し上げますが、これもあなたのほうで御討論いただくときに、そういうたてまえでいかれるというならば、私は根本的な誤りだと思うが、あなたのほうではそれをそう感じないのかどうか、一言だけ聞いておきたい。あとは長いつきあいの間にいろいろこれからまた御質問しようと思う。
○国務大臣(大平正芳君) 私が申し上げましたのは、内外きわめてけわしい条件のもとにあるということを強調して申し上げたわけでございまして、したがって石炭対策なるものの立案も運用もたいへんむずかしい問題であるという困難さを申し上げたにすぎないのでございまして、だからいいかげんなものしかできないし、いいかげんなことしかできないのでございますなんということを申し上げた覚えはないのでございます。したがいまして、けわしいだけに、小林委員が御指摘のように、より真剣に当たらなければなりませんし、各方面の御意見も十分謙虚に聞きながら、困難な中にも親切な肉づけをやりまして、いい案にすべく今後も努力してまいるつもりでございます。
○委員長(阿具根登君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(阿具根登君) 速記を起こして。
○大矢正君 局長にお尋ねをいたしますが、年明け早々に当委員会から九州、北海道に実情を調査するための委員の派遣を計画いたしておるところであります。したがって、現地でそれぞれの代表から石炭対策についての要望等も承ることになると思うのでありますが、当然その際に私どもも答申の具体的な内容について認識を持っていなきゃならぬわけでありますので、この際私どもの意見がどうのこうのということじゃなしに、答申というものは具体的にどういうものなのかということにしぼってお尋ねをいたしたいと思います。 そこで、一番疑問の多い、またどのように行なわれるのか非常に不明な点が多い肩がわりについてお尋ねをいたしたいと思いますが、重ねて二度目の一千億の肩がわりというものはどういう考え方でそれをしようと思っておられるのか、具体的にひとつこの際御説明を願いたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) 答申の九ページをちょっとお開き願いますと、先ほど御説明いたしましたように、今度の施策のねらいをここで簡潔に申しておるわけでございますが、再建交付金につきましては、石炭鉱業の再建のために総額一千億円程度、これは元本ベースでございますが、これらの再建交付金を石炭企業に対し交付する必要がある。この交付対象企業の選定及び配分にあたっては、石炭鉱業全体として最大の再建効果を発揮し得るよう、十分配慮すべきである。ということを言っております。前回の一千億の肩がわりは、大矢委員御承知のように、エネルギー革命の中で不可避的に生じました終閉山費用というものが累積赤字を企業内に残しまして、これの負担が前向きの再建に対して非常に足を引っ張る結果になっております。これを抜いてやれば、その後の助成策によって石炭鉱業は再建できるんではなかろうか、こういう判断に立っておったわけです。この点は御承知のとおりであります。今回の再建交付金を考えました際に、実際問題として、やはり過去の重荷の切り離しというものが必ずしも徹底をしていなかった。それからその後の赤字というものも生まれてきておる。反面、これらの借り入れ金等につきまして今後の助成を考えましても、返済期その他の関係からいたしまして、収支上助成が可能でございましても返済期等との関連で資金繰りがなかなかつかない。先ほど来御指摘のように資金調達がいよいよ困難になってきております実態がございますので、資金対策としても一回これをたな上げするか、あるいは再度これを交付金の交付という形でケリをつけてやらないと資金繰りの面で困る。資金繰りの面だけから申しますと、たな上げでよろしいわけでございますが、もう一つやはり損益改善効果といたしましては、これを処理してやるのが適当ではなかろうか、それらのことをやってやらないと、今後の石炭鉱業の再建をわれわれが託しておる企業が、あるいは山が継続し得ない。こういう考え方から再度元本ベース一千億円ぐらいのものを処理をいたしたい、こう考えたわけでございます。ただ、前回の考え方が主として累積赤字の始末という考え方にとらわれておりましたために、大矢委員御承知のように、前回の肩がわり対象は、相当期間存続し得る山であるという要件のほかに、赤字を持っておるということが一つの要件になっておったのでございます。今回の私どもの思想は、今後の再建を託する企業に対して助成をしてやりたい、助成手段の一つということで、前にもそういう思想はあったわけでございますが、前の制度は助成プラス重荷の断ち切り、こういう考え方でございました。むしろ今回は助成のほうに主眼を置きまして、その意味では赤字要件をなくしたい。具体的に申しますと、前回のときに、たとえば太平洋炭礦が黒字であったがゆえに肩がわりを受け得なかった、これをそういうことじゃなくして、赤字のないような会社こそ今後の再建をになってもらうのに非常にきき目のある会社でございますので、こういう要件をひとつ変えたいということが一つのきわ立って大きな違いでございます。 それからもう一つは、御承知のように終閉山の大きな進行過程におきまして、退職金をその間の資金繰りで十分払い得なくて預かり金という形で預かっておるものがある。それから現在の従業員からも社内預金というものの形で会社が持っておるもの、これは会社を信用して預けておるものもございますし、もう一つ、先ほどもお話がございましたが、払えるときに払えないという実態から預金にという形をとっているもの、これらのものにつきましてこの際処理をしてあげたほうが、ことばは少し露骨かもわかりませんが、退職者からの預かり金を持っているというのは、はなはだ不適当な状態でございますので、この状況をひとつ改善してみたい。これはかねがね労働省のほうからもこの形はきわめてまずいという御指摘を受けておる点でございます。これもやる。それから現在の従業員につきまして、これは企業と労働者との話し合いになると思いますが、預けっぱなしにしておきたいというものまでこれを対象にする必要はございませんけれども、返してもらいたいと、そのバックにはおそらくもらうべきものが払い得なくて預金の形をとっているというものがあればこれも対象に加えたい。これらのものにつきましては、金融債務の対象にいたしますものよりも優先して、十五年間の先のほうで処理をいたしたい。これについて三%という金利にしておりますが、これは国と企業との間柄について三%ということなんでありまして、当事者との約束について定められております金利条件等につきましては、これは当然企業側がその差額を当該預金者に払うということに相なる筋合いでございまして、企業が労働者に払うのを三%でやれという趣旨ではございません。 それからもう一つのきわ立った違いは、第三点といたしまして、いま申しましたように今後の再建を託する企業に対してこれらの助成を行ないたいということでございます。前回の一千億の配分にあたりましては、非常に単純に、長期借り入れ金の残高比例で分配をしたことは当委員会でも御説明をし、御了承を得たところでございますけれども、今回はそういう意味合いから申しまして、相なるべくは出炭量とその山なり会社なりの大きさと申しますか、今後の石炭鉱業の再建に寄与、貢献してくれる度合いというものにむしろ着目した基準として考えるべきではなかろうか。ただ、これはまだ具体的な詰めはいたしておりませんが、出炭量基準と債務額というものを適当に調整する基準によりまして、かねがね御指摘のございましたように、赤字が大きいから肩がわる、借金が多いから肩がわるという、それだけの単純な結果に相ならないような配慮をいたしたい、こういう点がいわば前回の元利補給と思想的にたがえたところでございます。
○大矢正君 いまあなたがおっしゃった第二のほうの社内預金、現実に未払いの分が預金として残るという場合と、そうじゃなくて現に退職者であるとか、あるいは退職していない者でも、余裕金があった場合に社内預金として高い利子をつけて預かるというような部面と両方ありますが、ともあれ、たとえば社内預金に見合うものを肩がわりとしてやったとしても、その金を経営者がまた運転資金に使ってしまったら、結局何にもならぬことになるわけです。そういう問題は具体的に何か措置をすることを考えておるのですか。たとえば社内預金に二十億預かっているとすれば、まあ一ぺんに二十億肩がわりするわけじゃないのでしょうが、その二十億の社内預金に見合う部分については必ずそれは預金として確保しておくとか、それから価値あるかりに担保をそれにつけて、たとえば会社が発行する社債に対して普通最も価値ある担保をつけておりますが、そういうようにして、いつでも元金保証で社内預金の支払いに応じていくというような体制にするのかどうか。そうでないと、この部分はいま言った社内預金の部分だからといって肩がわりしてやっても、結局は金は一銭もないという結果になってしまう。その点は具体的にどうなるか。
○説明員(中川理一郎君) おっしゃるとおりでございまして、むしろこの制度、この預かり金を対象にすることに関して申しますならば、この預金を支払うという事柄に対してとる措置でございますので、事前に。いまの例でございますと、二十億の預金がある、それで経営者と労働組合との間で会社に預けておきたいという者がかりに半分あったとして十億だと、残る十億はもうすぐ払ってもらいたいのだ、こういう実態があって、その約束を私どもが承知した上で出す交付金でございますので、これには具体的なことは定めておりませんけれども、当然にその約束どおり預け主のほうに返るということの保証がございませんと、これはやれないことだと思っております。
○大矢正君 現在石炭各社が持っている社内預金というものは、おおむねどのくらいあるのですか。それからそれをかりに肩がわりをするという場合に、どのくらいの年度で肩がわりをしてやるのか、その点をお尋ねします。
○説明員(中川理一郎君) 私どものほうの数字は、ちょっといま忘れてまいりまして、労働省のほうでこれをお調べ願っておりますので、ただいま労働省のほうからいただいたわけでございますが、労働省の御調査によりますと、昭和四十二年度の預金管理状況報告によりますと、四十三年三月末で預かり金額が約百四十二億円、一人当たり預金残高が約二十三万円というような数字に相なっております。これはいずれにいたしましても、今後私どもこの仕事を具体的に進めますにあたりまして、企業側から再度詳細に報告をとってみたいと思っております。また同時に、その中でどれだけのものを考えるか、考えなければいかんか、これは当然に企業と労働者との話し合いの終わったものとして確定をいたしたいと思っております。 それから実は再建交付金の配分基準については、先ほど申しましたようにまだ具体的にきめておりません。考え方として、出炭量基準を取り入れたい、こういうことを考えておりますが、この社内預金の額をそれらのいわゆる長期の借り入れ額にプラスして考えたほうがいいのか、あるいはそうじゃなくて、それをはずしたものの中で対象として考えるということにしたほうが適当なのか、これは今後考えてみたいと思っております。もし後者のほうでございますと、これに充当するだけ今度は金融機関への返済というものが少なくなるということがあっても、これは一つの考え方だろうと思っております。これらの点は今後少し詰めてまいりたいと思っております。
○大矢正君 いま鉱山石炭局長と私との間に社内預金の質疑が行なわれましたけれども、労働省として社内預金問題について、今度の抜本策と関連をして特別何か新しい対策といいましょうか、こうすればいいというような方向というものはおありになるかどうか。
○説明員(村上茂利君) 私からお答え申し上げますが、従来石炭鉱業における社内預金につきましては、いろいろの問題がございまして、特に閉山をいたしましたような場合のあと始末について関係者がたいへんな苦労をいたしたようなわけでございます。したがいまして、今回の答申につきましても、この社内預金の預かり金のあと始末という点につきましては、特段の考慮を払っていただくということをお願いいたしたわけでありますが、ただいま鉱山石炭局長から話がありましたように、交付金の使途につきまして、金融債務より優先いたしまして弁済する、こういう考えが確立されましたので、今後のそれにつきましては非常に条件がよくなるものというふうに私どもは考えている次第であります。 具体的な社内預金の今後の問題につきましては、先生も御承知のように、たとえば賃金を上げたとか、あるいは年末一時金をふやした、それを社内預金という形で処理するということになりますと、先ほど来先生の仰せのように、あと始末をしましても、そちらのほうでまた増加をする、こういったことに相なりますので、事柄自体は労使の交渉によって決定することでありますけれども、できるだけ整理をする、一方またふえるというような悪循環が起こりませんように、労働省として深甚な注意を払いまして、今後事に当たってまいりたいと思っている次第でございます。
○大矢正君 石炭局長、この一般の肩がわり問題についてですがね、一千億の肩がわりは、十五年間でその元本を解消することになるわけですが、もちろん金利の部分は別といたしましても、一千億を十五分の一ずつして、毎年それを解消していくのかどうかという問題が一つ。それからたとえば四十四年度の予算から新しく肩がわりが発足したといたしますれば、各企業の債務なり出炭見込みなりというものを判断して、各社別に十五年先まできちっと数字をきめてしまうのかどうか。たとえば毎年々々その金額に見合って各社別に肩がわりの内容を提示するというやり方もあるだろうし、三年なら三年、あるいは五年とかというやり方もあるだろうし、十五年間を一ぺんにやってしまうというやり方もあるでしょうけれども、そういうことは具体的にどうされるおつもりか。 それからいま一つは、五年の一応の目標を立てておりますが、この五年間で会社ぐるみ閉山という場合に、したがって企業がなくなったという場合に、あるいは企業がかりに形は残っても、実際に石炭を採掘する業務に当たっていないとかいう場合に具体的にどうなるのか、お答えをいただきたい。
○説明員(中川理一郎君) 審議会の考え方は、詳細は行政当局におまかせ願えることでございますので、今後私どもが関係省等とも相談しながら詰めてまいりますけれども、審議会の大筋の考え方は、やはり十五年分を確定したいという思想でございます。で、この答申の中にそれに関連して出ております事柄は、十五年間におけるその会社の、前回のことばで言いますと再建整備計画、やはりあの種のものをはっきり出してもらうということを言っておりますのは、やはり確定するという思想の上に立っておるわけでございます。 それからその際に、審議会の考え方で申しますと、やはり部分的な閉山なり、いま先生御指摘のように、当該会社そのものがなくなるという事態も予想されるはずでございます。そこでその点について、審議会は必ずしも先に行って会社がなくなるという場合にこの対象にしないという考え方はとっておりませんけれども、一両年でなくなるというようなことでありますと、これは十五年の約束をするわけでございますから、実際問題としてあまり適当でない。しかし、そこいらのところはその十五年の約束に対してどういう計画を会社側が提示してくるか、これを見きわめた上で経理審査会等が従来どおり見たいという判断でございますので、審議会及び通産大臣の判断がそこに加わることになろうかと思います。 それから十五年というのは非常に長い期間でございます。しかもその間に相当きびしい状況がございますので、審議会の検討も五年間について検討したのでございまして、それから先のことも大筋として、この作文には出ておりませんが、いろいろなことは審議をしておりますけれども、端的に申しまして十五年先がそう見通せるものではございません。そこで十五年の中で起こり得る変化というものは当然あるという前提に立っておりますので、先ほど説明は省略いたしましたが、この再建交付金の交付をいたしますときに、この制度の適用とのかね合いで相なるべくは担保解除をやるというのが、先ほどの御説明では私申し忘れましたけれども、前回の肩がわりと大きく違っておる点でございます。肩がわりを議論いたしました、担保解除を議論いたしましたときに一番大きな問題として出てまいりましたのは、十五年の間に企業がなくなったと、この事態でどうなるかということでございます。と申しますのは、前回の一千億の肩がわりのときに約定期限を延ばし、金利もカットするという意味合いで金融機関側にかなりの犠牲を求めつつあの制度をつくったわけでございますので、それとの見合いで、金融機関から見て一番心配な全体の肩がわりの執行過程における会社の解散といった場合に政府は何をしてくれるか、こういうことが問題になったはずでございまして、そこで、ある時点でかりに十億の肩がわりをある企業が受けた、五億の返還が行なわれた時点で会社が解散した、残り五億まだ当初の約束から見ると金融機関は受け取っていないという事態が起こりましたときには、当該金融機関がその企業に対して持っている抵当権をまず行使していただく。で、五億の抵当権を持っておれば、銀行側は国からもらわなくともそれで回復したわけです。かりに二億の抵当権を持っておれば一応三億残ります。その場合に、一億五千万は国が損失補償として見ましょう、一億五千万は銀行がひとつかぶってください、こういう制度に前の制度は相なっておったわけでございます。そこで、いま申しました例から見ますと、かりに五億の抵当権を持っておったものを二億分解除して三億しか行使しなかったということになりますと、先ほどの定めによりますと、金融機関は損をするわけでございます。したがって、担保抜きを期待しておりましても、担保解除が実際として行なわれない、こういうことに相なりますので、五億の抵当権を二億にしても三億にしても銀行から見れば損も得もないという状態をひとつ今度の制度で実施してやろう、で、その場合は当然にもし十五年内で会社の解散がありましたときに、国の損失補償分は従来の制度よりはよけいになります。よけいになりますが、それだけのことをすることによって石炭産業の再建に役立つ資金調達が可能になる、この意味合いでひとつそこは踏み切ろうじゃないかというのがこの答申のねらいでございます。
○大矢正君 いまお話がありましたように、債務というものをむしろ十五年間確定をしてしまう、したがってその範囲内において年次別に解消をはかっていくということでありますし、肩がわりをしていくということだと思うのでありますが、実際問題として大手の炭鉱は山がたくさんありますから、一つつぶれてもあと残ったところに、本家にその借金が行くだけでありますから、別に会社それ自身はつぶれておるわけじゃありません。会社それ自身がつぶれない限りは問題ないということになりますが、中小炭鉱の場合のように、一社一山という場合には、炭鉱がつぶれればその会社はつぶれることになる。しかも中小炭鉱というものは、今後十五年という長期にわたって安定出炭が回復できるなんという炭鉱はまずまれにしかないと言っても私は言い過ぎじゃないと思うのですよ。そういう際に、結局のところ政府が債務の肩がわりをしなければいかぬということに相なっていくわけですがね。そこで銀行屋もりこうですから、そういういろいろな計算をしながらやるのでしょうが、これは市中金融機関からの協力をぜひさせるのだというような前提がもしありとすれば、十五年先の債務まで確定をして、それですべて得すればいまつぶせばいいし、それから得にならないようだったら少し金を出してもう少し継続さしたらどうかというような二者択一を迫るようなやり方でなしに、政府自身が五年先のこともあまり明らかでないのだから、むしろ一千億を十五年間とするならば、その十五分の一ずつを本年は来年の肩がわりということにして、一年一年その肩がわりをむしろ考え、そして第一次肩がわりとあわせて、担保を抜かせるというような場合には単に第二次だけの問題としてこの担保を抜くか抜かないかという議論ではなしに、第一次もかみ合わせてやるような方法がよいのではないかというふうに実は私自身感ずるわけですがね。そのことについて局長のお考えをこの際承っておきたいというのが一つ。 もう一つは、これはここで速記をつけた上で出していただけるかどうかは存じませんが、お手元には必ずあると思うのでありますが、この第一次の一千億の肩がわりをした際における各社別のこまかい中小は別としても、大きなところ、それから中小分けてできたらその社別の肩がわりの金額を説明をしていただければけっこうだと思うのです。
○説明員(中川理一郎君) 第二点の数字はございます。ただいま私持っておりませんので、至急取り寄せますので、これはちょっと留保さしていただきたいと思います。 第一点でございますが、やはりこの制度のねらいから申しますと、相当長期間私どもが石炭鉱業の再建というものについてのにない手として期待できる会社なり炭鉱なりにつきまして、この制度によって金融機関との間柄を——これはだんだん悪い状況になってまいりますので、この線が、だんだん細くなるこの糸を太くしてやりたいという気持ちに発しておりますので、やはり長期間で見たほうがいいのではなかろうかと考えております。 それから先ほどの説明でちょっと抜けておりましたが、一次、二次を通じて考えますと、今度の再建交付金の額の中で担保解除を考えたい、損失補償を考えたい、こういうことではございますが、御指摘のように、担当権そのものは一次の再建、二次の再建、共通に担保になっておるというものが当然にあるはずでございます。むしろそのほうが多いんじゃないかという感じでございますので、はずされる担保物件というものについて言えば、これは当然一次の担保物件になっておるものも含めて考える、こういう思想でございます。
○大矢正君 いま肩がわりの具体的な点でいろいろ議論がありましたが、何といいましても銀行対その企業との話でありますからね、なかなかむずかしいものがあると思うんですよ。通産省対銀行の間の話ならこれはまた別ですが、まさか通産省が企業の代行で銀行と話するわけにもいかぬでしょう。せいぜい仲に入ってちょっと話をするぐらいが関の山でしょう。そこで担保を抜くといいましても、実際的にこの価値のないものを幾ら除いてもらってもこれは意味がないわけですよ。したがって、担保を除かせるんだということがこの肩がわり措置の一つの大きな目的だと私は見てるわけですよ。だといたしますれば、いかに効果的なその運用をするかということは非常にむずかしい問題だし、企業のいまの力をもってして、銀行と五分に組んで、四つに組んでやらせようとしてもなかなか困難な問題があると思うんですね。ですから、行政的にはやはり相当そいつはうまくやらないと、せっかく肩がわりはしたが、銀行に金だけ持っていかれてしまって、残るところは何もないというような結果になる。大日本炭鉱なんというのはその一つのいい例になったことは現実に起こっているわけですから、その点は十分な配慮をしてもらいたいということを私は強く希望いたします。まあこれは新しい石炭対策ができてからの問題ですが、私自身考えるのに、現行の第一次肩がわり問題についてもいまここで洗い直してやるべきだという希望があるものですからそう申し上げてるわけです。しかし、この新しい石炭対策の問題については、これはまだまだ議論のあるところですし、私どもは賛成をいたしておるところではありませんが、一次の肩がわり問題についても十分からめてそういう問題を考えるべきだと、こう言っているわけで、その点は御理解を願いたいと思うんです。 それから次にこの補給金の問題ですが、この補給金はおおむね三百円から百五十円、また肩がわりを受けないところは五百円というような話でありますが、これはもっと具体的にいろいろと考えておられる向きが私あるのじゃないかと思うので、この補給金は、ただ黒字の炭鉱も赤字の炭鉱も、あるいは赤字がどれだけ多かろうとも、そういうことは一切抜きにしてべたでこれをつけていくという考えなのかどうか、その辺のところをひとつ説明願いたい。
○説明員(中川理一郎君) そのとおりでございまして、これはべたにつけるという思想でございます。ただ先ほど御指摘がございましたように、再建交付金の制度と申しますものは十五年という長い期間でもございますし、これとの兼ね合いで再建交付金制度がうまく動く企業、また金融機関と十分な話ができる企業というものが限定されると思いますので、そこらの判断から、この制度を適用できないものについては少なくとも安定補給金において格差を置くべきだと、こういうことで考えたのが審議会の結論でございます。
○大矢正君 この補給金の内容を見ますと、再建交付金を受けた炭鉱で、しかも一般炭産出の炭鉱は百五十円しか補給金を受けることができないということになるわけですね。そこで原料炭を産出しているようなところは中小炭鉱でも百五十円ですか二百円ですか、上積みになりますからいいと思うのですが、まあ中小炭鉱というのは今日わが国ではほとんどが一般炭と言っても言い過ぎではない状況にあるわけですね。そうすると、いままで現に百五十円近くの安定補給金を受けているわけですからね、この新石炭対策ができても経理的には何の効果もあがらないと、結果も得ることができないということになるわけですね、現に受けているわけですから。それとほぼ同額のものしか受けられないわけですから。中小炭鉱で肩がわりを受けて一般炭を産出している炭鉱というものは、いままでどおりの政府の助成しかないのだが、その中でお前さん方やっていきなさいということは、新石炭対策というのは中小炭鉱には何の恩恵もないし、何のための新石炭対策かということになるわけじゃないですか、その辺はどうなんですか。
○説明員(中川理一郎君) 御承知のように、現行制度では大矢委員おっしゃるとおりでございます。私ども審議会の議論で理解しております限りにおきましては、まず再建交付金を受ける企業と受けない企業、これはまず一番大きな区分けに相なるべきではなかろうかと。いろいろ御意見もございましょうが、再建交付金制度というものを今回設けるにつきましては、これの適用を受けるということは、やはり受け得ない実情にある企業と比較いたしますと、やはりある種の強い助成でございますので、受けない方に対してはこれを受ける方との比較におきまして十分の考慮を払うべきだということが、百五十円格差ということで安定補給金制度の中に組み込みました思想でございます。そこでいま御指摘の点は、再建交付金を受ける企業、受けない企業ということではなくて、大手、中小という観念がそこに入ってきておるわけでございます。そこで実はこれ物事を考えます上に私ども非常に迷うところでございます。審議会も頭を痛めたところでございますが、中小という表現がはたしてどういう実態にあるかということを考えてみなければいけないのじゃなかろうか。御承知のように、ただいまの出炭規模で考えますと、千二、三百万トンのものがいわゆる中小という分類になっておるわけでございますが、そのうちのたしか七百万トンぐらいだと記憶しておりますが、ぐらいのものはいわゆる大手系列の会社でございます。ということになりますと、大手は前回の一千億の肩がわりを受け、今度の再建交付金でもおそらく相当のものをもらっていくことになる。またそれらの大手系列の会社というものは、第二会社になるときに本社のほうに債務を残しまして、身軽な姿で系列会社として発足したから成り立っておる、したがって借金がございませんから、この種の交付金を受けるわけにはいかぬ、こういうことで考えますと、これは再建交付金を受けない企業としての百五十円ぐらいの格差があれば、それで考え方としては決しておかしくはないんじゃなかろうか、こういう感じでございます。もう一つのグループは、大手系列でない独立の中小企業であって再建交付金を受け得る可能性を持っておる企業、これらにつきましては、実態、内容ともにたとえば大手の小さな山等に比べますと、さほど変わりがないという実態がございますので、ここは中小とか大手とかいわないで、再建交付金を受ける企業と受けない企業という整理でものごとを考えたほうが公平なんではあるまいかという感じがございます。そこで、それを除きましたこれらの数字がおそらく四百万トンぐらいあると思いますので、いわゆる純中小というものは二百万トン内外のものになるはずである、そこいらの分については、まあ審議会の答申も、おおよそこういう区分で何百円程度という表現を使っておりますので、もしここいらのところに大きな問題があれば、政府としても何か考えなければいかぬことが残るかもしれませんけれども、当面のところ審議会の答申に基づきまして、私どもはまず事務的な整理を詰めてみたい。そこで非常に大きな御意見が国会等でございますならば、これまた私どもも耳を傾けなければならないんじゃなかろうかということは大臣とも御相談をしておる状況でございます。
○大矢正君 さっきも私申し上げたとおりに、この債務の肩がわりを受けた中小炭鉱というもので、一般炭のものは特に目新しく具体的には措置されないということは片手落ちだと思うのですよ。やはり中小炭鉱の現状というものは、むしろ大手よりもみんなが苦労し、きびしい条件の中で生き延びているわけですから、やはりこれらの措置をする際には十分考えなければならぬ問題点が私はあるんじゃないかと思うのです。しかし、いずれにしても、これは政府の予算とか法律の審議の段階じゃありませんから、ただ単なる意見としてだけ申し上げておくわけでありますが、これから政府案作成の過程にあたりましては、何だ、新対策ができても、おれのところは一つも利益がないじゃないか、これだけ苦労しているのに、大手中心の石炭対策であって、われわれ中小は何ら恩恵に浴することができないというような不満が出るということは、これは考えなければならぬことでありますし、政府が中小炭鉱をどんどんつぶしていくんだという考え方があるなら話は別ですが、まさか政府もそうまで言い切れないわけでしょう。ですから、やはり新石炭対策というものは、たとえそれが中小であっても、新石炭対策の助成というものが行き渡るようなことを十分考えるべきじゃないか。 それからもう一点お尋ねをいたしたいのは、第一次肩がわりは受けたが第二次の肩がわりを受けない中小炭鉱の一般炭の山は具体的にどうなるのか。この答申の中に書いてある再建交付金を受ける企業というのは第二次のことだけをさして言っているのであって、第一次の肩がわりは全然別だ、したがって、第二次の肩がわりを受けない企業については一般炭であっても三百円の補給金を出す、こういう解釈になるのかどうかということが一つ。それから先ほど私お尋ねをいたしました各社別の資料が出ましたら、ひとつこの際説明をしてもらいたい。
○説明員(中川理一郎君) 第一の御質問は、先生の御理解どおりでよろしゅうございます。第一次とは無関係に今回の再建交付金を受けなければ三百円、五百円の安定補給金を交付いたしますということで、たとえば今度の再建交付金を受けるについて十分な債務がないとか、あるいはそれとの比較において三百円、五百円もらったほうがより有利であるという判断があれば、これはそこいらの実態から企業自身が判断をして選択をしていただいてよろしい、こういう感じでございます。 それから先ほどの御質問に対して、はなはだ不手ぎわで資料を手元に持っておりませんで御返事を留保いたしましたが、第一次肩がわりのときの元本ベースでの肩がわり額は三井が二百七十億円、三菱が百二十三億円、北炭が百億円、住友が百四十六億円、雄別が二十五億円、常磐が四十五億円、古河が十七億円、麻生が二十二億円、貝島が五十九億円、明治が四十七億円、白炭が六十五億円、杵島が二十二億円、それから中小十四社で五十五億円、こういう数字になっております。なお、大日本と大辻はその後解散いたしましたので省略さしていただきます。
○委員長(阿具根登君) 他に発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。 午後零時八分散会