法務委員会 第1号
- 発言数
- 232 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1968/12/17
会議録
○永田委員長 これより会議を開きます。 この際、西郷法務大臣及び小澤法務政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。西郷法務大臣。
○西郷国務大臣 先般の内閣改造にあたりまして、はからずも法務大臣の重責をになうことと相なりましたが、顧みましてまことに非力非才でございまして、ことに法務委員会等の内容等については、まことにふなれでございますが、委員各位の皆さま方の御支援によりまして責任を全うしたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。 なお、今回は裁判官並びに検察官の給与に対する法案も出しておりますので、皆さま方の御審議をいただきまして、すみやかに成立せしめたいと考えておりますので、何ぶんともよろしくお願い申し上げます。 簡単でございますが、ごあいさつといたします。(拍手)
○永田委員長 小澤法務政務次官。
○小澤政府委員 このたび、西郷法務大臣のもとで政務次官をつとめるようにという命を受けまして、その補佐に当たることになりました。大臣の御指導のもとに懸命の努力をいたすつもりでございます。皆さま方の御指導、御協力をお願い申し上げまして、ごあいさつにかえます。(拍手) ――――◇―――――
○永田委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。 すなわち、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政等の適正を期するため、今会期中において、 一、裁判所の司法行政に関する事項 二、法務行政及び検察行政に関する事項 三、国内治安及び人権擁護に関する事項の各事項につきまして、小委員会の設置、関係各方面よりの説明聴取及び資料の要求等の方法によりまして国政調査を行なうこととし、規則の定めるところにより、議長の承認を求めることにいたしたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 ――――◇―――――
○永田委員長 次に今国会中、国会法第七十二条第二項の規定による最高裁判所の長官またはその指定する代理者から出席説明の要求がありました場合、その承認に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 ――――◇―――――
○永田委員長 去る十一日付託されました内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案、及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
○永田委員長 まず、両案について、政府に提案理由の説明を求めます。西郷法務大臣。
○西郷国務大臣 裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を便宜一括して御説明申し上げます。 政府は、人事院勧告の趣旨にかんがみまして、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を提出いたしましたことは、御承知のとおりであります。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じまして、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出いたしました次第でありまして、以下簡単に改正の内容を御説明いたします。 東京高等裁判所長官以外の高等裁判所長官の報酬並びに次長検事及び検事長の俸給につきまして、これに対応する特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じ、また、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきまして、これに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。 なお、今回の改正に伴いまして、前回の改正法においてとられました暫定手当の報酬または俸給の月額への繰り入れの措置を引き続き行なうため、その附則の規定につきまして、所要の改正を加えることといたしております。 以上の改正は、一般の政府職員の場合と同様、昭和四十三年八月一日にかのぼって適用することといたしております。 以上が裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の改正の趣旨でございます。 何とぞ慎重に御審議をいただきまして御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。
○永田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 これより両案について質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大竹太郎君。
○大竹委員 まず、第一にお伺いいたしたいのでありますが、ただいまの提案理由の説明の中にもございましたように、一般政府職員のベースアップに準じてということになっておるわけでございますが、資料もいただいておりますので、この資料によりまして、一般政府職員のベースアップはどうなっておるのか。そしてまた、裁判官、検察官の今度のベースアップはこれとの関係においてどうなっておるのかということを、具体的に御説明をいただきたいと思います。
○辻政府委員 技術的なことでございますので、私からお答えさしていただきます。 今回の給与改定につきましては、お手元に配付いたしております裁判官・検察官給与改定対比表のとおりでございますが、その概要を申し上げますと、まず、今回の給与改定における認証官以外の裁判官、検察官の増顔率は、最高は副検事十六号俸の八・五%、最低は判事六号俸及び検事六号俸の五・四%になっておりまして、その平均は六・三%でございます。他方、今回同時に改正されます一般職の職員の俸給の平均増額率は七・一%となっております。このように、数字の上では裁判官及び検察官につきましての増額率のほうが若干下回っておるわけでございますが、これは今回の一般職の職員の給与改定におきましては、指定職等上位の職員の増額率が下位の職員のそれよりも低くなっておりますところ、裁判官及び検察官にはこの増額率の低い上位のほうの俸給月額に対応する報酬または俸給の号俸にある者が多いためでございます。 なお、今回の改定におきます認証官である裁判官、検察官の報酬、俸給の増額率は平均五・七%となっております。
○大竹委員 次にお伺いいたしたいのでありますが、ただいまの趣旨説明にもございましたように、昨年に引き続いて暫定手当の一部を報酬並びに俸給に繰り入れるということになっておるわけでございますが、その内容を御説明いただきたいと思います。
○辻政府委員 昨年の給与法の一部改正法の附則第二項、第三項おきまして、暫定手当の一定額を三年間にわたり順次報酬または俸給の月額に組み入れることとしておりましたが、今回の改正によりまして繰り入れらます報酬、俸給の月額が改定されることになるわけでございますので、その改正後におきましては、引き続きこの暫定手当の繰り入れを行ないますためには、特にまた新しい法律の規定によりまして、第二条におきましてこれを規定する必要があるわけでございます。さようなわけで、今回の法律第二条に、実質は昨年の附則と同じでございますが、繰り入れ措置の規定を置いたわけでございます。 ところで、この内容についてでございますが、昨年から実施されておりますところの暫定手当の繰り入れ措置は、すべての裁判官、検察官につきまして、一般の政府職員についての措置にならいまして、その本俸の額を、従来の三級地に在勤する者が受けておりました水準、これは本俸と暫定手当の合計額でございますが、この水準まで増額し、その水準の均一化をはかろうとするものでございます。その内容は、認証官につきましては四級地支給額の四分の三、その他の裁判官、検察官につきましては三級地支給額の全額を、昭和四十五年四月一日までの間に三回に分け順次報酬または俸給に組み入れるため所要の読みかえをしようとするものでございます。 これを例にとって申し上げますと、一号俸の判事、検事の三級地の暫定手当支給額は月額一万円でございますが、これを昭和四十三年四月以降月二千円、昭和四十四年四月一日以降月六千円、昭和四十五年四月一日以降全額を報酬または俸給に組み入れようとするものでございます。
○大竹委員 次にお伺いいたしたいのでありますが、これはきょうの趣旨説明の中にはございませんですが、おそらく、今度のベースアップによりまして、一般の国家公務員同様、寒冷地手当というようなものについても改正されるのだろうと思いますが、これについて御説明をいただきたいと思います。
○辻政府委員 御承知のとおり、現行の国家公務員の寒冷地手当に関する法律によりますと、一定の基準日、これは八月三十一日になっておりますが、一定の基準日に、北海道その他内閣総理大臣が指定する寒冷地に在勤する一般の政府職員に対しましては定率額、すなわち、俸給の月額と扶養手当の月額との合計額の百分の八十五以内で地域区分ごとに定める割合で算出した額、これは全額定率額でございますが、定率額の寒冷地手当を支給されることとされております。なお、北海道その他の一部の寒冷地に在勤する職員に対しましては、この定率額のほかに、定額のいわゆる石炭加算額または薪炭加算額を支給することと定められております。 ところで、寒冷地手当は、寒冷積雪による生計費の増加に応じて支給されるものでございますところ、これまでの給与の改定によりまして、この定率額を基礎といたします現行制度におきましては、その支給額が次第に寒冷地手当本来の趣旨から離れつつあります。これは上位者につきまして高額に過ぎるという結果になるわけでございます。その結果を改善いたしますため、今回の改正法案におきましては、右の定率額を定率部分と定額部分に区分したところの基準額、すなわち俸給の月額と扶養手当の月額との合計額に対し百分の四十五以内で地域区分ごとに定める割合で算出される定率部分に、二万六千八百円以内で地域及び世帯構成等の区分に応じて算出される定額部分を合算したもの、これを基準額ということにするわけでございますが、この基準額に改めますとともに、石炭加算額及び薪炭加算額につきましても約九・五%の増額を行なうこととし、なおこの改正によりまして定率部分の減少により寒冷地手当の支給額が減額となる職員に対しましては、当分の間従前の規定による支給額を保障する旨の経過措置が設けられておるのでございます。これが今回の寒冷地手当に関する法律案の内容でございますが、裁判官、検察官の寒冷地手当につきましては、御承知のとおり、裁判官報酬法第九条または検察官俸給法第一条の規定によりまして、一般官吏の例に準じ、または一般官吏の例により、それぞれこの寒冷地手当をも支給することとされておりますので、今回の寒冷地手当の改正によりまして、この手当の支給額が改正されました場合にも、特に裁判官報酬法、検察官俸給法を改めるまでもなく、そのまま一般職と同じ内容の寒冷地手当が裁判官、検察官に支給されることとなるわけでございます。 そこで、この改正後どのような寒冷地手当が支給されることになるかということにつきまして、具体例を一つ申し上げさしていただきたいと思います。 旭川、北海道の甲地ということでございますが、旭川に在勤いたします扶養家族のある判事または検事の三号俸の在号者について申し上げますと、これは基準日、昭和四十三年八月三十一日の本俸が二十一万五千七百五十円でありますが、この改正法案によりますと、基準額のうち定率部分は本俸の四五%に当たる九万七千八十八円、定額部分は二万六千八百円、その合計は十二万三千八百八十八円となりますところ、改正前の規定による定率額は本俸の八五%に当たります十八万三千三百八十七円となりますので、当分の間はこの額を基準額として支給することとなるわけでございまして、これにいわゆる石炭加算額が二万九千八百円となりますので、合計二十一万三千百八十七円が支給されるということに相なるわけでございます。
○大竹委員 次に、この法律には直接関係がないと思いますが、この表を見てちょっと感じた簡易裁判所の判事の俸給に関してちょっとお聞きいたしたいと思うのであります。 この簡易裁判所の判事の一号俸は、一般判事と比べますと、一般判事の四号俸に当たるのでありますが、私ども知っている範囲において、一般の判事さんがお年寄りになられると簡易裁判所の判事におなりになるというような面、また一面からいたしますと、最近の事件等の関係からして相当経験を積んだ練達たんのうの方を簡易裁判所の判事に充てるべきじゃないかというようなこと等を考え合わせてみますと、四号俸と簡易裁判所判事の一号俸、最高の方と同じことにしてあるということは、いま申し上げたような面から見てもいろいろ不都合のことが起こるのじゃないかと考えられるのでありますが、この点はいかがですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま大竹委員からのお話しのとおり、簡易裁判所の判事の一号俸が判事の四号俸に当たっておりまして、この点、判事の定年に達せられましたりっぱな方が簡易裁判所の判事になられますについて、俸給の下がることについて相当抵抗をお感じになっていらっしゃる方も実際問題としておありになるのも事実でございます。しかしながら、地方裁判所の事件、高等裁判所の事件に比較いたしますと、簡易裁判所の事件も非常にむずかしいことはむずかしいのでございますが、両方を対比いたしますと、これはやはり簡易裁判所の事件のほうが比較的楽であるというような考え方から、簡易裁判所判事の一号が判事の四号に相対応するように格づけされたものであると存じておりますけれども、しかし、ただいま御指摘のとおり、簡易裁判所判事の報酬がもう少し高ければこれはそれにこしたことはないと存ずるわけでございます。
○大竹委員 ついでだから、この簡易裁判所の判事さんのことでいま一点お聞きしたいのでありますが、簡易判所の判事さんには、長く書記官なんかをやっていられた方、それから弁護士から転職される方、その他相当あるようであります。こういう方の前歴とか年齢等、もちろんそれによって何号俸というような格づけ等がされると思うのでありますが、これらの実情についてお伺いいたしたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 本年度採用いたしました簡易裁判所判事の前歴について御説明申し上げたいと存じます。 本年度採用されました簡易裁判所の判事の総数は、五十三名でございます。その五十三名の中で、正規の判事からおいでになった方が十七名、検事からおいでになった方が三名、弁護士からおいでになった方が一名、それから司法修習生――これは年齢の相当高いお方が簡易裁判所の判事におなりになるわけでありますが、これが八名おいでになるわけでございます。したがいまして、いわゆる法曹資格をお持ちの方が五十三名中二十九名簡易裁判所判事におなりになっていらっしゃるわけでございます。それから厳格な筆記試験と口述試験を経まして、その試験に合格した者、これは大体一割ぐらいしか合格いたしておりませんが、その者が十九名おるわけであります。この十九名の中には裁判所書記官等も含まれておるわけでございますが、書記官等のみに限らず、いろいろな分野から入っておるわけでございます。それから検察事務官、それから会社の役員等からこられました方が、合計五名でございます。要するに、ただいま申し上げました法曹資格者以外に、いわゆる特別任用という形でこられました方が二十四名おいでになるわけでございます。
○大竹委員 いまの御説明は一応わかりましたが、ことにこの特別任用ですか、そういう方の経歴とか年齢等による給与の格づけでございますか、それを具体的にちょっと御説明いただきたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 特別任用でおいでになりました方は、これは非常に種々雑多と申しますか、非常に多くの分野からおいでなっておりますわけで、最低年齢の方が四十五歳くらい、それから上の方は五十数歳というような分野にわたっておられるわけでございまして、大体その給与の格づけと申しますのは、その方たちが現にお受けになっておいでになりました収入を一応基準にいたしまして、その収入から下らないように、その収入にプラスされるようにということを念頭に置きまして、経歴その他を参酌した上で俸給をきめるというようなことにいたしております。
○大竹委員 たいへん抽象的のようですが、たとえば今年採用された方、この号俸でいうと、最高号俸が何号俸くらいで最低が何号俸くらいになっていますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 実はそこまで具体的に調査いたして参っておりませんでした。
○大竹委員 それではあとで資料で出してください。
○矢崎最高裁判所長官代理者 後ほどまた具体的に資料をお届けいたします。
○大竹委員 それでは最後に、御承知のように、最近教職員の時間外手当の問題が非常に裁判等になって問題になっていることは御承知のとおりでありますが、この裁判官、検察官の報酬あるいは俸給は、戦後新しい制度の出発当時、やはり教職員その他と同じように、特別な職務を持っているということで一般行政官に比して相当高い程度においてきめられたというように聞いておるわけでありますが、その後、たしか裁判官については管理職手当その他がないんだというようなこと等もございますし、またその責任その他から見て、また一般職員から見て給料は低いんじゃないかというようなことで、臨時司法制度調査会の意見書等を見ましても、裁判官、検察官の給与についてはその職務と責任の特殊性にかんがみ、それにふさわしい特殊の給与体系をつくるべきであるというような意見等が出ておりまして、本委員会におきましてもこれについてたびたび質疑が行なわれておるわけでありまして、当局においても鋭意これについては検討するというような御答弁も、そのつどいただいておるわけであります。特にこの教職員の時間外勤務手当の問題が非常に世間で問題になりつつありまして、特に一般の職員と裁判官、検察官の職員の給与というものの比較がどうなっているかということが心配になったわけでありますので、それについてお答えをいただきたい。
○辻政府委員 ただいまの判検事の俸給または報酬と一般職の職員の俸給の比較の問題でございますが、これもお手元に資料をお届けいたしておりますが、その内容を簡単に申しますと、これはこの資料の二十五ページでございます。二十五ぺ-ジに経過的な一覧表がございます。これによりますと、読みにくい点もございますので、このおもな点を申し上げたいと思いますが、この判検事の給与の当初の出発点でございますが、これは昭和二十三年一月から適用されました裁判官報酬法、検察官俸給法、及び一般職給与法、これの比較になるわけでございます。この出発の昭和二十三年一月の当初におきましては、一般職の最高号俸でございます十五級というものが、最高級としてあったわけでございますが、それは別に定める額とされまして、具体的にはその月額が定められていなかった関係もございまして、事実上一般職の最高額でございましたのは十四級六号俸という月額一万円のものであったわけでございます。この表の左の一番端でございます。これが事実上一般職の最も高級な給与であったわけでございまして、その当時、この表にもございますように、判事1、検事①というので一万四千円というのがございます。これか判検事の――判事の一号俸及び検事の特号俸の一万四千円でございましたから、事実上この一般職の一番上のものの一万円に比べますと、上のほうで約四割の優位という関係になっておったわけでございます。ところで、この昭和二十三年の、これは一月でございますが、十二月の給与改定におきまして、一般職につきましては十五級の一号ないし四号というこの額が定められるに至ったわけでございまして、その最高額は判事一石俸、検事特号俸とほぼ同額となったわけでございます。これは次のところに十五級というのが第6回というところの欄から始まっているわけでございますが、かような関係で、最高額につきましては優位性がなくなったということになるわけでございます。しかしながら、全部を通じてみますと、特に判事補の経験十年を経ました判事の初任給付近でございますが、初任給付近の号俸を中心といたしまして、一般的に判検事の給与は一般職の職員のそれに比較いたしまして高額であるという点は、なお今日そのまま優位性を失わずにきているわけでございます。 先ほどの超過勤務手当または管理職手当の問題でございますが、超過勤務手当につきましては、昭和二十三年の新給与制度発足にあたりまして、これは裁判官、検察官の職務の性質に必ずしもなじまないという観点から、この超過勤務に当たる分をもうすでに本俸に繰り入れておったわけでございます。大体組み入れた額は、当時本俸の約二〇%ぐらいが超過勤務手当の繰り入れ額に当たるものであるというふうに大ざっぱに申し上げることができるわけでございます。さような関係で、当初から超過勤務手当は本俸に組み入れられてきている。管理職手当につきましては、これもいろいろ沿革の問題がございますが、要するに管理職手当は超過勤務手当の変形と申しますか、一般の管理監督にある者には管理職手当を支給するかわりに超過勤務手当は支給しないということになっておりますから、超過勤務手当という関係で比較していけばいいわけであります。そういうことになりますと、結局本俸において判検事は一般職給与に比して相当の優位にございますが、この優位の内容のうちの二〇%分は超過勤務手当の組み入れ分に当たる、かような関係になっておる次第でございます。 なお、御質問の最終の判検事等の給与は独自の体系のもとにおいて検討すべきであるという点につきましては、大臣からいろいろお話があろうかと思いますので、私の答弁はこれで終わらしていただきたいと思います。
○西郷国務大臣 ただいま大竹委員のお話は、裁判官並びに検察官の職責上もっと優遇すべきじゃないかという御趣旨であると思いますので、その点お答えしたいと思います。御承知のとおり、今日日本の民主主義国家におきまする司法の職責の重要なことは論をまたないところでございますが、日本国憲法におきまして定められました重要な権限を適正に行使いたしますことに当たっております裁判官には、その地位にふさわしい額の報酬を支給することが必要であると考えます。一方、検察官も司法権の発動を促して、その適正、円滑な運営をはかる上にきわめて重大な職責を持っておりますし、準司法的な機能を伴うものでもございますので、原則といたしましては、裁判官と同一の試験及び養成方法を経ておるなどから考えまして、裁判官に準ずる相当の待遇をこれに与えなければならないものと考えております。しかし、現行の裁判官及び検察官の給与制度は、その給与の仕組みにつきましては、裁判官及び検察官の職務の特殊性を相当程度反映いたしておるものでございますが、またその給与の水準につきましては、一般の行政官に対比しまして相当程度の格差を保ちながら、生計費及び一般賃金事情の変動による一般の行政官の給与改定に応じまして、いわゆる対応金額スライド方式によりまして給与の改善を行なっているのでございまして、相当の合理性を持つものと存じます。しかしながら、政府といたしましては、裁判官、検察官の職務と責任の重要性にかんがみまして、今後もなお現在の給与の仕組み及び給与の水準がこれにふさわしいものであるかどうかにつきましては、慎重に今後検討を加えてまいりたいと存じます。御承知のとおり、給与につきましては、なかなか困難な、複雑な問題等もございまするが、今後一そう検討を加えてまいりたいと存じます。
○大竹委員 質問を終わります。
○永田委員長 中谷鉄也君。
○中谷委員 お尋ねをいたしますが、先ほど法務大臣の所信表明があったわけでありますが、法務行政あるいは検察権の運用について、法務大臣として当面特に重点施策としてお考えになっている点は何か、この点についてあらためてお尋ねをいたします。
○西郷国務大臣 お答えいたします。申すまでもなく、裁判官並びに検察官は、重要な職責を持ちまして、国の法秩序の維持に万全を期してまいらなければなりません。民主主義国家におきまして一番大事と思われます国民各個人の権利の擁護というようなこともございますので、裁判官並びに検察官の任務は重きをますます加えていくものと考えますので、そういう点にかんがみまして、私も法務行政の責任者といたしまして慎重に対処し、それにふさわしい裁判官なり検察官でありますように努力をいたしてまいりたいと存じます。
○中谷委員 よろしいんでしょうか、そういう御答弁で。と申しますのは、私は法務大臣として、法務行政と検察権運用の当面の課題は何かというふうにお尋ねしたわけであります。裁判官の給与の法案が現在審議されておりますけれども、法務大臣から裁判官のあり方についてお話を伺おうとは夢にも思いませんでした。まさに三権分立ということについて混同をしておられるのではないか。一体どういうことなんでしょうか。
○西郷国務大臣 いま裁判官と検察官というふうに私が申しましたことは適当でなかったと存じまするが、仰せのとおり、裁判所は独立をいたしておるものでございますが、それはもちろんでございますが、裁判官と検察官という立場の者がおりまして、この重要な任に当たりますので、適当でなかったかもしれませんが、裁判官並びに検察官と申しまして、誤解を与えたかもしれませんが、その点は御容赦をお願いいたします。
○中谷委員 じゃ、あともう一点だけ大臣にお尋ねをいたします。 検察権の運用につきまして、特に本年は日通事件等を通じまして、検察と政治、検察のあり方について当委員会においても論議をされましたが、これらの問題について、検察権運用はいかにあるべきかということについて、大臣の御所信をあらためて伺いたい。
○西郷国務大臣 お尋ねのとおり、最近におきましていろいろ芳しくない事件等ございますので、いま仰せのとおり、私も今後一そうそういうことのないように、法務行政といたしましても万全を期してまいり、世間に誤解を与えますことは政治不信にもつながってまいりますので、私どももこういうことのないように厳に身を慎んでまいり、そうしていろいろ国会でも御論議がありますように、あれこれ検察官なりに対しましても批判がございますので、そういう誤解のないように、今後とも厳正公平、不偏不党の立場で、検察の権威のもとにやってまいるように私も努力をいたしたいと考えるものでございます。
○中谷委員 給与の法案について、まず最高裁判所にお尋ねををいたしたいと思います。 司法修習生についての給与についても記載があるわけですが、司法修習生の問題について若干お尋ねをいたしたいと思うのです。と申しますのは、もうすでに本年度は司法修習生のいわゆる司法試験の合否の発表があったわけでございますね。そこで、司法試験は言うまでもなしに資格試験でありますから、大学の卒業、留年等には司法修習生の採用ということは直接の関係はないとは思いますが、いわゆる現在東京大学の紛争等ですでにタイムリミットにきている、大量留年というようなことが伝えられている、そういうようなことになってまいりますると、本年度司法試験合格者のうち、東京大学あるいは現在紛争中のその他の大学における大学在学中の合格者の中で、卒業できない、したがって、卒業を待って司法修習生の採用を希望する、こういう者も出てくるだろうと思うのです。そういたしすると、それらの諸君については、従前の例によりますると、来年回しというようなことになってくるだろうと思いますが、それらの大量留年ということで、卒業を待って司法修習生に採用されたいという人が多数出てきた場合、来年度の司法修習生の採用に影響しないかどうか。その点について裁判所としては特に何らかの方針をお持ちなのかどうか。逆に言うと、大量留年という問題が出てまいりましても、司法試験は資格試験であるから、むしろ司法修習生としての採用を希望するとか、あるいはそれらのことについては最高裁判所としては別に意思表示をしないとか、これらの問題についてひとつお答えをいただきたいと思います。もしわかっておりますれば、大量留年を予想される大学の在学生で司法試験合格者の数は、一体どのくらいあるのか、これらについてお答えを願いたい。
○矢崎最高裁判所長官代理者 御承知のように、司法修習生の採用は裁判官会議でおきめになる事項に相なっておるわけでございます。ところが、毎年の司法修習生の入所は四月でございまして、そして裁判所法によりまして、二年間を経た後に第二回試験が行なわれて、それで資格を取るかどうかということになるわけでございます。ところが留年されます場合、あるいはその期間が延びました場合に、一体それをどうするかということは、これは御指摘のとおり非常に大きな問題でございまして、たとえば三カ月なら三カ月、五カ月なら五カ月延びました場合には、採用いたしますと、それが二年を経て試験を行なうということになるものですから、試験を二回行なわなければならないかどうかという問題が出てくるわけでございます。いずれにしましても、ただいま御指摘のとおり、東大にも在学中に合格された方は相当たくさんおいでになるわけで、具体的にはその人一人一人に対しまして、司法修習生の採用願いを出したについては卒業してから修習生になるのを希望するか、それとも卒業しないで修習生になるのを希望するかということは、一人一人について連絡をとりまして、希望を聞いた上で決することになるとは思うのでございますけれども、その場合に、留年した場合あるいは卒業期間が延びた場合にどうするか、これはいろいろな事情をさらに十分検討いたしました上で裁判官会議でおきめになっていただきたい、こう存じておるわけでございます。
○中谷委員 そうすると最高裁判所の事務当局として現在お答えいただける問題は、どういうことになるでしょうか。私が先ほどお尋ねをいたしました、かりに司法試験合格者が留年の関係において本年度の採用を希望しなかったという人が大量に出た場合、来年度の採用に影響を生ずることはないのかどうか、司法研修所における司法修習生の研修可能人員というのはあるだろうと思うのですが、それは大体幾らぐらいであって、もし何名以上留年による採用を希望しなかった場合には、来年の採用について非常に制限をしなければならぬというふうな問題が生ずるかもしれませんが、そういう点についてはいかがでしょうか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 司法研修所といたしましての現在の設備での収容の限度は、大体五百五十人ぐらいというように聞いておるわけでございます。しかしながら、留年いたしまして来年入所を希望いたしてまいります場合には、これはその限度をこえることは当然のことと思うわけでございます。そういう場合には、やはり最高裁判所の事務当局といたしましては、できる限り応急的な施設でも拡張いたすとか、あるいは教室の数をふやすとか、何とかして教室を一部拡張するとかいうようなことにして、当然司法修習生に採用されてしかるべき方に御迷惑をおかけするようなことはいたしたくない、こういう方針だけは申し上げることができると存じます。
○中谷委員 この機会にお尋ねをしておきたいと思いますが、従来から最高裁判所は、司法修習生の採用については、思想、信条のいかんによって採否を決するというようなことはしないというところの方針を貫くということについてお話があったと思うのですが、最近一部企業あるいは一部経済団体等において、いわゆる暴力学生締め出しあるいは採用内定取り消しなどというふうなことが報道されているわけです。私の意見をもっていたしますならば、いろいろな問題はあると思いますけれども、そういうふうなことが現在の学生運動にとりましても、学生運動を緩和するのではなしに、むしろかえって激化する側面も持っていると思う。しかし、そういうふうな学生運動についてどんな影響を与えるかどうかということは別として、まずお尋ねいたしたいのは、そのような動きがあるけれども、最高裁判所としては、司法修習生の採用については、思想、信条のいかんによって採否が決せられるものではないというその一点は、従来の方針と何ら変わらない、これは基本的な採用の原則であると思いますが、念のためにその点についてお答えをいただきたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 中谷委員御質問のとおりでございます。
○中谷委員 それじゃ次にお尋ねをいたします。昨年度採用された司法修習生の平均年齢は、一体幾らぐらいになるでしょうか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま準備いたしてまいりましたものは、判事補採用のときの平均年齢でありますが……。
○中谷委員 それでけっこうです。
○矢崎最高裁判所長官代理者 そういたしますと、新任判事補の採用時の平均年齢は、四十二年の四月が大体二十七歳でございます。
○中谷委員 そこでお尋ねいたしますが、そうすると、判事補の一号、簡易裁判所判事の六号、要するに、判事補を十年やって判事になる。そうして判事の八号になるわけですね。これは十年つとめれば当然判事になるから、判事の八号にはなると思うのですが、この判事の八号の平均年齢は三十七歳ということではないだろうと思うのです。この点はいかがでございましょうか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 判事の平均年齢は、十年たった場合でございますから、やはり新任判事の平均年齢は三十七歳ということに、この期を基準にすればなるわけでございます。
○中谷委員 そうではないのです。私がお尋ねいたしておりますのは、判事補の十二号で、四十二年四月については二十七歳ということはお伺いいたしました。しかし、従来からの傾向は、いわゆる判事補で十二号の年齢は次第に若くなってきておるというふうなことを、私感じとして思うわけなんです。したがって、先ほどのお尋ねいたしましたのは、四十二年の四月の人が十年後にはもちろん三十七歳になりますが、現在の判事の八号、この方の平均年齢は三十七ではないと思いますがと、こうお尋ねしたのです。
○矢崎最高裁判所長官代理者 四十二年の四月現在を中心にいたしまして、新任判事の任官時の平均年齢をとりましたところがこれは具体的にとりましたが、約三十七歳、厳格に申しますと三十七・一二歳でございます。
○中谷委員 では、次にお尋ねをいたします。裁判官に任官をして二十年たったという人、その人は号俸でいえば大体どの程度のところへ来ているのでしょうか。そしてその方の平均年齢というのは、先ほど御答弁いただきました四十二年四月現在でどの程度なのでございましょうか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 これはいいかげんにお答え申し上げますと、また非常にむずかしい問題になると思いますので、十分調査いたしました上で、先ほど申し上げましたように統計に基づきました年齢を申し上げたいと存じます。
○中谷委員 恐縮ですが、号俸でいうとどの程度のところに来ているのでしょうか。その点はいかがでしょうか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げましたように、これは号俸ということになりますと、非常にデリケートな問題になります。いいかげんにお答え申し上げますと、やはりその速記録を裁判所の裁判官がごらんになったりなんかしますと、これは非常にデリケートな問題にりますので、やはり厳密に、十分調査いたしました上で答え申し上げたいと存じます。それは別に秘密のことでもございません。
○中谷委員 昨年当委員において同じく給与法案が審議されたわけですが、最高裁判所の御答弁は、特段の病気等がない限りは同年次の者は同じように昇給していくことになっているという御答弁があったと思うのです。そこで裁判官が判事補十年で判事に任官をする。そのときには、同年次の者が全部判事の八号になるということはわかります。ところが、私がお聞きしたいのはそれからさらに十年、ちょうど本員と同じくらいの年齢の者になってまいりますと、各裁判官、各判事によって若干の号俸上の違いが生じてきているということに相なるわけでしょうか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 大ざっぱに申し上げますると、まだその程度ではそれほどの差異は出てこないのではないかと思うわけでございます。要するに昇給の決定と申しますのは、まず地方裁判所長、それから高等裁判所長官から最高裁のほうに上申がございまして、そして原案を高等裁判所長官と地方裁判所長、家庭裁判所長とそれぞれお打ち合わせをした上で案をつくりまして、それを裁判官会議におはかりを申し上げて御決定をいただく、こういうような経過になっておりまして、まだそこらのところでは大体同期の方は同じようにお進みになっておられるのが普通ではなかろうかと思うわけでございますが、これも詳しいことは十分に調査いたしましてからしかとお答えを申し上げたいと存ずるわけでございます。
○中谷委員 実は私が、その十年とか二十年というようなことを特にお尋ねをいたしましたのは、次のような趣旨からなんです。要するに、この改定給与の表は、裁判官に任官してから何年たったときにこういう号俸になっているのだ、したがって、一般行政官に比べてそれほど見劣りはしないのだというふうな御説明だろうと私は思うのですけれども、いわゆる裁判官を二十年あるいは二十五年現在しておられるというところの方は、私は、どうも裁判官に任官をされたときの年齢というものは、昭和四十二年四月判事補二十七歳平均というよりもずいぶん年齢が高かったのではなかろうかと思うのです。だといたしますると、それらの給与については、そういう特殊事情も配慮されて、要するに扶養家族の問題だとか、そうして大学同年次卒業の者が民間においてはすでに重役になっておるというふうなことも、私は配慮さるべきだという点でお尋ねをいたしました。したがいまして、ひとつ資料を御準備をいただけるようでしたらお願いいたしたいと思いますが、昭和四十二年八月におけるところの判事八号俸、平均三十七歳幾らということですが、裁判所で把握しておられるその同年齢のいわゆる行政官の人たちの、だから入所年次はずっと先になるかもしれませんが、一体給与は幾らか。民間のいわゆる基準を一つとっておきたいと思いますが、そういうことがわかれば、資本金一千万円以上の企業におけるところの給与は大体幾らかという点を、わかるようでしたら、まとめてお答えを後刻いただきたいと思います。 なお、したがいましてこの機会に法務省にお尋ねをいたしますが、同じようなことになります。判事補十二号に相当する検察官二十号と、それから検察官に任官をしたときの年齢、それから検察官二十年、これらの年齢は一体いかほどに相なるのか。これらの点についてお答えをいただきたいと思います。
○辻政府委員 ただいまの点は、資料に基づきましてお答えをさせていただきたいと存じます。大体、先ほど最高裁の人事局長が答弁いたしましたように、任官年齢は同じぐらいであろうと思いますけれども、正確なところは後刻調査をいたしまして提出させていただきたいと存じております。
○中谷委員 私は、現行で、また改正案も含みますが、最高裁の長官が五十五万円ということについては、私はそれはそれなりの意味があるし、いいと思うのです。ただ、昨年も論議をされましたけれども、やはり裁判所職員の給与が上に厚く下に薄いのだ、上厚下薄であるということが論議をされました。そこで、その問題について特にお尋ねをいたしたいと思いますが、これはすでにもう最高裁の事務当局においても、裁判所職員の組合との間でいろいろなお話し合いをしておられるようでありますけれども、次のようなことが現在問題になっております。要するに、生活保護基準額、東京都の例をとって、一人世帯の場合に二万二千九百五円、これだけ支給される計算になる。もちろんこの場合は、住宅扶助は公営二種住宅家賃最高額を支給したということでそういうことになるということが最近盛んにいわれているわけなんです。そうすると、二万二千九百五円に達しない、要するに東京都の生活保護基準に達しないような号俸の職員というものがいるらしい。その数は裁判所において一体何人なのかというようなことが、問題にされました。昨年もそれに類した質問が出ましたが、この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 生活保護の基準額以下の者が何名いるかということでございますが、これは常に全司法との団交の席上でいろいろと話し合いになり、また問題になっている事柄ではございますけれども、この人員につきましては、実は全司法のほうからも数字を実は出してありませんし、それから私どものほうも、調べてもなかなかわからないというのが現状でございます。ただ、そういうように低い者がもしいた場合には、これはどうしてもできるだけ何とか上げなければいけないということは話し合っているわけでございますが、その具体的な数字は、全司法のほうからも出てはいないというのが現状でございます。
○中谷委員 そういうことになるのでしょうか。私は給与について詳しく調べたわけではありませんけれども、いま私が指摘をいたしました二万二千九百五円、生活保護基準額東京都一人世帯に達しない号俸というのは、四の三と五の七以下だということになるわけでございますね。それは給与表から出てまいります。それらの職員の数について、最高裁御当局としては当然に把握しておられるわけではないのでしょうか。その号俸該当者は何人かということは、これはもう明白な事実なのでございましょう。
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の号俸の者が何名いるかということは、わかるわけでございます。ただその場合に、年齢とかそういう点の区別については、号俸を中心に調べればわかるわけではございますけれども、生活保護基準額というものを中心といたしまして、一体それに相応する者が何名かということについては、まだ調べができてないわけでございます。
○中谷委員 わかりました。最高裁の事務当局のおっしゃる趣旨は、よくわかりました。そうすると、生活保護基準額、その人が生活保護を受けたらどうなるかということとは別に、四の三、五の七以下という人は、最高裁の関係で何人おられるのでしょうか。また、これは法務省もひとり……。これは最近非常に各役所で問題になっております。法務省は一体何人いるのか、それぞれひとつお答えいただきたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 その人数につきましては、十分調査いたしましてお答え申し上げたいと存じます。
○辻政府委員 ただいまの四の三、五の七と申しますのは、俸給表は何の俸給表でございますか。――御承知のように、法務省の職員に適用の俸給表が種々雑多でございます。職務に応じましていろいろと違うわけでございますので、御趣旨の点、おそらく行政職俸給表(二)のことを仰せであろうかと思いますけれども、その額に相当するというふうに解するわけでございます。
○中谷委員 そういうことでひとつお答えをいただきたいと思います。
○辻政府委員 後刻、これも調査、換算してみないとわからない点がたいへん多いわけでございます。いますぐに単純にこの金額の何名ということは、出てこないわけでございます。たとえば検察庁の職員であるとか、刑務所職員であるとか、少年院職員であるとか、いろいろな俸給表が当方はございますので、ちょっと簡単にいかないのでございますが、御趣旨に沿うように資料を取りまとめたいと思います。
○中谷委員 では、いまの質問を整理しておきます。人事院勧告のうちの行政職(二)表の適用の職員のうち、生活保護基準額にも達していない者があるということが指摘されている。それと同じような職員が、法務省に一体どのくらいいるのだろうか。これはもちろん行政職の(二)ではないことになるのでしょうが、いろいろななにがありますからということで、ひとつ整理をしてお答えをいただきたいと思います。 次に、法務省のほうへこの機会にお尋ねをしておきますが、同じく上厚下薄ではないかという観点からお尋ねしますが、昨年も問題になったわけでありますけれども、いわゆる刑務所の関係の事務官の問題、いわゆる看守といわれる人の数は、現在は一体何人で、そうしてそのうち主任看守といわれている人たちについての措置を昨年されたわけですが、それはことしについては、あるいは明年については、一体どういうふうな措置をおとりになる予定なのか、これらの点。なお、看守が看守部長の試験に通らなければいつまでたっても看守だということについて、これはそういうふうな職制上の問題はわかりますが、抜本的にこれらの問題について、何か待遇改善の面においてお考えになっておられる点はないのかという点。なお、この機会に参考までにお聞きをしておきたいと思いますけれども一、看守という身分で、看守部長になれなければずっと看守だというふうな人は、一体何歳ぐらいまで看守ということでおるのか。これらの問題も含めて、ひとつまとめてお答えをいただきたいと思います。
○辻政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、御承知のとおり、刑務所の看守に適用される俸給表は、公安職(一)の俸給表でございます。公安職(一)の俸給表は、一等級から七等級まであるわけでございますが、この看守の場合には、看守の階級と適用されます俸給表の等級とが見合っておるわけでございます。看守の場合には、一番下の俸給は七等級でいく。看守部長になると六等級になる。副看守長になると五等級に上がる。こういうシステムをとっておるわけでございます。そこで、ただいま御指摘の主任看守と申しますのは、看守があります限りは原則として七等級の俸給をずっと受けるままになるわけでございますので、これでは看守部長の試験を受からない限り、七等級から一歩も脱却できないという難点がございます。その点を解消いたしますことをねらいといたしまして、看守のうちで相当年限に達し、かつ、成績の優秀な者につきましては、主任看守ということで六等級に上げていく。同様また看守部長につきましても、古くなって勤務成績のきわめて優秀であるという者につきましては五等級に例外的に上げていくという措置を、この両三年前から人事院といろいろ協議いたしましてとっていただいたわけでございます。かような主任看守の措置につきましては、毎年これを何名するかということにつきまして人事院当局と折衝をいたしております。四十四年予算で何名になったか、ちょっといま資料を持っておりませんが、逐次改善されてきておるわけでございます。 御指摘のとおり、看守の給与につきましては、この階級制と適用の俸給表の等級制とがマッチしておるという点に根本問題があるわけでございますが、これまた刑務所運営の一つの規律性といいますか、上命下服という点等から申しまして、看守の等級制というものを直ちにやめてしまうわけにはいかないという点がございまして、たいへんむずかしい問題になっているわけでございます。かようなわけで、現状のところは、この階級制と俸給の等級制とのマッチをかような形で調和させていっていただいておるという現状になっておるわけでございます。 さらに根本的に、この看守の待遇の問題につきましては、いろいろ特殊の勤務形態を御承知のように持っておるわけでございます。いわゆる昼夜勤ということでございまして、一定の職員につきましては、一日勤務し、さらにその日夜から翌朝まで勤務するという者が相当数にのぼるわけでございまして、かような関係で、勤務の特殊性にかんがみまして、超過勤務手当につきましては特段の配慮が従来からされておるわけでございます。一般職に比べまして相当額の超過勤務手当、ことしは月三十二時間分の超過勤務手当が予算として計上されておるわけでございます。かような点で、この待遇の上に欠陥がないようにつとめておるわけでございます。 そこで、根本的には、やはり勤務の形態が特殊でありますために、どうしても勤務過重におちいりやすいということが近年目立っております。刑務所の看守につきましては年次休暇が大体五日くらいしかとれないという状況でございますし、週休につきましては、月に二回はとれない、一・五日くらいしかとれないというような現状になっておりますので、かような点から、看守の増員その他につきまして年々努力を講じておる次第でございます。これが大体看守の待遇問題についての概要でございます。
○中谷委員 ではいまの点一点だけ……。超過勤務手当については、月三十二時間というお話がありましたけれども、実態はもっと多くの超過勤務をしているように私は思います。ところが、実際に超過勤務手当の支給については、打ち切り支給というのですか、どんぶり勘定というのですか、実働時間と見合うものが支払われていない。これは実際そういう不服がかなり出てきているわけなんです。これらの実態については、昨年も問題になっておりますが、詳細御調査になっておられるのでしょうかどうか、お答えをいただきたいと思います。特に現在のような若年労働者の不足といわれているときに、刑務所職員の待遇の改善ということをしない限り、若年の看守の希望の方というのは非常に少ないのではないか。また、非常に素質のいい方というものはなかなか希望しないような状態ではなかろうかと思うのですが、これらの問題についてもひとつあわせお答えいただきたい。
○辻政府委員 ただいまの超過勤務手当の支給の実情については、おそらく矯正当局において詳細に調査をしておることと思います。現在私手元に資料を持ってまいらなかったわけでございますが、おそらくやっておると思います。ただ、御承知のように、刑務所の場合も、支所であるとか、本所であるとか、そこにやはり勤務の繁閑の差が、全国的に見ますと著しいわけでございます。この勤務の繁閑というものを本省におきまして十分検討いたしまして、超過勤務手当の予算の配賦については、そこがうまくいくように特段の配慮をしておることと思います。ただいま申しました三十二時間というのは、予算的に三十二時間で計算した予算が入っておるわけでございますから、それを施設ごとの繁閑に応じまして配分し、超過勤務手当の適正な支給を企図しておるという次第でございます。
○中谷委員 言うまでもなしに、なんでございましょう、超過勤務は要するに法に基づいて適正に支払われる――適正にというのは、超過勤務をその時間において支払われるということでございますね。予算によって縛られるわけではないわけでございましょう。ところが、私よくわかりませんが、実際には支所のほうが、何がひまな支所もあるかもしれませんけれども、非常に忙しい支所がある。そうしてどうも超過勤務手当については、とにかく実際に即しない支払いしかしてもらっていない。ところが、ここはいわゆる組合をつくるわけにいかぬから、とにかくそちらこちらでそういう点については不満を漏らし、不平を漏らしておるという状態なんですが、超過勤務手当の支給状況について、御調査になったことはあるのですか。
○辻政府委員 超過勤務の問題でございますが、これはやはり実情は、刑務所に限りませんで、いろいろな当省の所管全部にわたりますが、予算の範囲内で支払っておるのが実情でございます。したがいまして、実働とぴったりと、一〇〇%それに見合う超過勤務手当は支払われていないわけでございまして、実働に対する何%の超過勤務手当が支払っておるということでございます。この調査は、刑務所に限らず、当省に関します限り、各組織別にいろいろと調査を日常からやっておりまして、予算の配賦その他について不公平のないように心がけておる次第でございます。
○中谷委員 そうすると、そういうことについての調査は、たとえば刑務所関係については、各刑務所ごとにできているわけでしょうか。できておるとするならば、どうも私の実感と非常にぴったりしないわけなんですが、そういうような調査の御報告を受けるにあたって、この機会にある特定の刑務所を私のほうから申し上げて、その刑務所の実態は調査の面ではこうなっているというような点については御報告いただけますか。
○辻政府委員 御指摘を受けましたら、その刑務所について調査することは可能でございます。
○中谷委員 それでは、これは昨年から問題になっておりますし、どうもあまりにも実際の勤務時間と超過勤務手当の支給との間に食い違いがあるように私は思うわけなんで、そうすると、ひとつ和歌山刑務所の丸の内支所というところがございますが、私はしょっちゅう行っているんだけれども、ここの調査を一ぺんして御報告をしてください。これは昨年の委員会における審議にあたりましても、同僚委員のほうから実働の三分の一ぐらいだという指摘があって、まさかそんなことはないでしょうという趣旨の御答弁があったままで一年経過しておるわけですが、私もどうもそういう感じがする。その点についての調査が簡単にできるようでしたら、ひとつこの法案の審議中に御報告をいただきたいと思います。
○辻政府委員 御報告ができますように努力いたします。
○中谷委員 次に、裁判所にお尋ねをいたしますが、裁判官が事件を非常にたくさんかかえて、最高裁判所の事務当局の御答弁によれば、日夜寝食を忘れて苦労をしておられるというふうな趣旨の御説明でありますが、ひとつ裁判官の特別な職務と責任というようなことに関連をして私お尋ねをしたいのですけれども、こういうふうな点については、いわゆる科学的な測定とか判定というようなことはできるのでしょうか。すなわち、たとえば刑事担当の裁判官などという場合、法廷の審理などというのは難易その他いろいろな事件があるでしょうけれども、一体どの程度法廷において訴訟指揮をされる、要するに審理されるというようなこと、裁判官のいろいろな意味から見た能力から見てその限度があるだろうと思うのですが、そういうような点について、これは裁判官の増員の問題にも、またそういうふうなきつい仕事についての報酬、給与の問題にも関係してくると私は思うので、寝食を忘れて日夜職務に精励しておるのだというだけではなしに、そういうような点についてのいわゆる科学的な調査というものがなされているのかどうか、こんな点についてひとつお答えをいただきたいと思います。 なお、私十二時までで質問を終わりたいと思いますので、続けて質問をいたしますが、私は前にもお尋ねをいたしましたけれども、裁判所の職員の中で、いわゆる速記官、タイピスト、これらの諸君についての職業病の問題というのが、指摘をされております。こういうような実態については、綿密な御調査があるだろうと思うのですが、その点についてひとつお答えをいただきたい。また、これらの職業病の防止に関して、一体裁判所においてはタイピストといわれている人については一日どの程度の仕事、たとえば活字でいえば何字打つとかというふうな、そういう仕事の量というものを予想しておられるのか。また、速記官については、どの程度速記官としての速記事務を行なうというふうなこと、速記官の健康あるいは職務の遂行の上で限度があるだろうと思うのですが、そういう点について予想しておられるのか。これは増員の問題にも関係してまいります。さらに、書記官については一体どうなんだろうか。至るところの裁判所の職員の中から、現在の労働過重についての訴えが出ております。現にこの目で見まして当然と思われるような面が、非常に多いわけであります。これらの点について、ひとつお答えをいただきたい。
○矢崎最高裁判所長官代理者 裁判官の仕事の中で、法廷にどのくらい時間として勤務しておるか、その科学的な調査ができているかどうかという点のお尋ねでございますが、これはなかなか科学的調査はむずかしい問題でございまして、裁判官といたしまして、民事、刑事を通じて、ちょっとニュアンスは違うわけでございますけれども、たとえば刑事の法廷に例をとりますと、できるだけ法廷で長く審理して、そして検察官、弁護人の御協力のもとに審理を進めていくのが一番心証もとりやすいし、そして判断もしやすいのでございます。しかしながら、検察官はやはり別のいろんな事件をかかえておられるわけでございますし、また、ただいま御質問のありましたように、書記官、速記官につきましても、おのずから限度があるわけでございます。したがいまして、裁判官だけが自分の思うように法廷で十分時間を使うということもできないわけでございまして、これは科学的測定というのは、非常に困難なのが現状でございます。ただ、お話がございましたように、もうしょっちゅうその問題について寝るときも起きるときも考えている、裁判官はしょっちゅう事件について考えているということだけは、申し上げることができると存じます。 それから職業病の問題でございますが、これはお話がございましたように、それぞれ首席書記官あるいは事務当局におきまして、それぞれの立ち会い時間あるいは速記の翻訳を含めましての勤務状況等について十分な調査を各庁においてとって、そしてできるだけ適正な仕事の割り振りができるようにいたしているわけでございまして、職業病につきましても、特別の健康診断を行なうとか、鋭意そういうような支障のないようにつとめるように努力いたしております。もとより御指摘のようにすべて万全というわけにはまいりませず、とにかくできるだけ万全を期して一生懸命やってまいりたいと思っておるわけでございます。
○中谷委員 では、もう一、二点で終わりたいと思います。最高裁判所にこの機会にお尋ねをしておきたいと思います。というよりも、所信を承っておきたいと思います。 臨時司法制度調査会の意見書で、言うまでもなしに、裁判官の給与については、職務と責任の特殊性にかんがみ、独自の体系を樹立すべきである。そうして当面初任給の増額と現在の判事について俸給引き上げの道を講ずべきだということがあってもうすでに久しいのでありますが、現在なおその独自の体系を樹立すべきところには至っていないと考えるのであります。非常に遺憾でありますが、現在別の委員会においても非常に問題にされ、審議をされておりますけれども、裁判官についても、直接の関係はありませんけれども、いわゆる一般公務員について人事院勧告が完全実施されないという問題、この問題については直ちにそのことが準ずるわけでありますから、裁判官の報酬にも影響してくる。これらの問題について、なお裁判所職員等についてはもろにそういう問題が出てくるというふうなことについて、最高裁判所がこの人事院勧告の完全実施などについてどのような措置をおとりになったかというようなことについては、 お尋はいたしません。いたしませんが、少なくとも最高裁判所のお立場といたしまして、従来から附帯決議をわれわれはつけたり、あるいはあるときには予算の二重請求権を行使すべきだというふうなことを申し上げたり、いろんな問題がありました。したがいまして、人事院勧告が完全に実施されていないこれらの状態については、まことに私は残念なことだと思うのです。裁判所としては、これはやむを得ないというようなことでは困るわけなんで、ひとつこの機会に、この場所で明確なこのことについての意思表示を私はいただきたい、これが一点でございます。 なお、現在のいろんな情勢の中において、いよいよどういうことになるか、現在与党、野党、政府、社会党を中心といたしましていろんな点で交渉、論議がされておりますけれども、あす十八日には統一行動というようなことが予定されておる。そういうような中で、裁判所職員の待遇の改善ということは、最高裁判所がまず十分に努力されるべきことである。ことに現在裁判所の組合のいろんな情報等を読んでみますと、庁舎管理規則であるとか、あるいはその他の問題について最高裁判所といろいろな点について若干の対立があるようでありますけれども、要するに裁判所職員に対するところの適正な、願わくば十分な待遇改善ということが行なわれなければ、いろいろな点において、現在の全司法の職員の諸君が統一行動ということに向かっていくということも、当然であろうと私には思える。こういうような点について、特に最高裁判所事務当局の裁判官の給与の改善について、人事院勧告との関係においての御感想でもけっこうですから、ひとつ述べていただきたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 裁判官の報酬に限りませず、裁判所職員の一般の職員につきましてのベースアップが人事院勧告のとおり行なわれてほしいということは、申すまでもないことでございます。ただ、国家財政等いろいろ複雑な問題もおありでございましょうし、一般の行政官序の職員よりもより別個に有利に裁判所職員だけについてそれを行なってくれということについて申し上げることは、なかなかむずかしい問題であろうと思うわけでございます。それからまた、一般職の職員の俸給問題につきましては、これはやはり十分に待遇改善に役立つよう一生懸命責任者として努力いたしてまいりたいわけでございますが、この点も、組合の代表等とよく話し合うのでございますけれども、裁判所職員だけについて一般職員についての特別の俸給表をつくるのがいいかどうかということについては、相当問題もあるわけでありまして、現在の体系においてできるだけ職員の待遇をよくしようというように努力いたしたい、こう存じておるわけであります。
○中谷委員 終わります。
○永田委員長 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時十二分休憩 ――――◇――――― 午後一時三十九分開議
○永田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案、及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。岡沢完治君。
○岡沢委員 最高裁にお尋ねいたしますが、司法修習生は、修習を終わりますと、判検事、弁護士にそれぞれ分かれるわけでございますけれども、最近の修習生の志望別状況、特に判事補志望者の趨勢について、お答えいただきたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 手元にあります資料で見ますと、三十九年が一番少のうございまして、三十九年が五十六名であったのでございますが、それがだんだんにふえてまいりまして、昨年は七十七名という方たちが判事補を志望するようになったのでございます。しかしながら、これとて決して十分な数ではございませんで、ことしだけでも六十八名の裁判官が退官いたすことになっておりまして、その中で約半数が定年退官、それから約半数が退官して弁護士開業という始末でございまして、六十八名の一年における退官者を控えましてたった七十七名の志望者では、非常に数が少ないということで憂慮しているわけでございます。
○岡沢委員 その七十七名というのは、志望者なのですか、即採用者ですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 採用者です。
○岡沢委員 志望者は何名くらいあったのですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 志望者は、このほかに約八名の簡易裁判所の判事の志望者がございまして、この八名がやはり判事補になりたいといって志望したのでございますけれども、これは年齢その他いろいろな関係で簡易裁判所の判事になってもらったわけでございます。したがいまして、志望者としては八名がこの数にプラスされるということになるわけでございます。
○岡沢委員 そうすると、簡易裁判所の判事か判事補かは別として、志望者は全員裁判官に採用されたということなんですか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 さようでございます。
○岡沢委員 もしおわかりになれば、検察官、弁護士の実際の志望者数をお伺いいたします。
○矢崎最高裁判所長官代理者 これは法務省の官房長からお答え申し上げるべき事柄かも存じませんが、手元に資料がございますので、便宜私から答えさしていただきますと、検察官の志望者が三十九年には四十五名でございます。大体それを上回る年のほうが多く、四十三年では四十九名が検察官を御志望になっておられます。弁護士は三百七十名の志望者があった、こういうように伺っております。
○岡沢委員 いまのお答えにもございましたように、弁護士希望は三百人台、一けた違う数字を判検事志望者が占めておられるわけでございます。しかもいま伺っていますと、裁判官の志望者は全員採用する。私も修習生出身でございますが、おそらくその中には裁判官にどうかと思う人もあったと思うのでございますけれども、全員が採用される。まあ高校全入運動というのもございますけれども、私は、全員の方がそれだけ裁判官に適格性を持っているとは、必ずしもいえない感じがするわけでございます。やはり数字を見ましても、質の点で心配な感じがいたします。そういう点から、裁判官志望者がなぜ少ないかということについて、最高裁はどういう判断をしておられるか。あるいは裁判官の初任給の引き上げということを、この際考える必要があるのではないか。それらの点についてお尋ねいたします。
○矢崎最高裁判所長官代理者 裁判官の志望者が全員採用と申しますのは、必ずしも質の悪い者まで採用しているというわけではないのでございまして、裁判官になっておられる方々、志望される方々は、非常に質のいいお方が全員と申し上げても過言ではない、はっきりそう申し上げて差しつかえないのではないかと思われるわけでございます。しかしながら、御指摘のように、数が少ないということは、非常に私ども苦慮いたしておる問題でございます。いろいろと聞いてみますと、やはり性格というものが大体裁判官に向くのか、検察官に向くのか、弁護士に向くのかということできまるように聞いてはおりますけれども、しかしながら、やはり最近の若い方々は相当ドライな面を持っておいでになりまして、初任給という点について、もう少し高い初任給がもらいたいという希望は、十分私たちの耳にも入っておるわけでございます。
○岡沢委員 局長としてはそういうお答えしかできないかもしれませんけれども、五十人採用するのに、百名志望者があって、そこからセレクトするというならわかりますけれども、希望者全員を採用して全員が裁判官に最適格だという御答弁は、ちょっと常識的にはいただけないという感じがいたします。なぜ裁判官希望が少ないかということについては、これは日本の司法制度全体としても、あるいはまた憲法上の要請であります裁判の遅延の防止の問題からいたしましても、決して私は等閑に付せない問題だというように感じます。そういう意味から、裁判官の初任給の引き上げにつきましては、局長のほうもその要望が強いという御発言がいまございましたが、初任給の引き上げについて、それでは最高裁等の要求として大蔵省なりしかるべき当局への御要求をなされておるのか、なされていないのか、その辺をお伺いいたします。
○矢崎最高裁判所長官代理者 判事補の初任給につきましては、ただいま御指摘のとおり、裁判官の職務と責任の特殊性にかんがみまして、ふさわしい給与でなければならないということで、昭和三十九年の国会におきまする給与改定に際しまして、臨司法制度調査会の意見書等を十分御勘案いただきまして、その上で大体二一・七%の引き上げをしていただいたわけでございます。もとよりそれで十分だと考えているわけではございませんけれども、当委員会等におかれましても非常に御好意のある措置をとっていただきまして、相当の引き上げが行なわれたわけでございます。しかしながら、ただいま御指摘のとおり、これで十分とは思いませんので、やはりときに触れ機会に触れ、給与の引き上げについては関係当局等にそれぞれ懇請はしているわけでございます。
○岡沢委員 先ほど退官者の数の御答弁がございました。半数は定年で退官するけれども、約半数は弁護士に転換をするために退官するというお話でございました。この点からいたしましても、もちろん給与だけではございませんでしょうけれども、裁判官よりも弁護士をやったほうが収入がよくなるということも、一つの要因かと思います。ただいまの裁判官志望者が少ないという点あるいは在任中に退官を希望する人があるという点を含みまして、しかも日本の裁判所の現在の手続、特に時間的な手続における国民の不満と申しますか、憲法の精神に反するような裁判遅延が、民事、刑事を問わず多数現存している、この解決のためにも、あるいはまた司法官の質をよくするという意味からも、私は、給与の問題について最高裁のほうでもう少し遠慮をなさらないで――これは御自分も、局長も裁判官であられるだけに御発言しにくいのかもしれませんが、また裁判官は発言せずというようなことわざをこういうところに別に適用なさる必要はないと思いますので、やはりもう少し優秀な人材が裁判官志望に集中するように、そしてまた優秀な裁判官がその地位にふさわしい待遇を受けながら十分な職責を果たしてもらうように、ぜひ事務当局として御努力なさるべきではないか、昨年本法案と同じ趣旨の法案が提案されたときにも、超党派でわれわれは裁判所関係の予算については一致してその獲得に努力したい、むしろ遠慮ぜずにがんばってくれという意味の要望を申し上げた記憶があるわけでございますが、やはりそれは単にわれわれが裁判官に迎合するとか裁判官だけ特別扱いをするということじゃなしに、その職責にふさわしい人材とお仕事をしていただきたいという趣旨であることを付言させていただきたいと思います。 現在、修習生の受ける給与の額は、どのようになっておりますか、お尋ねいたします。
○矢崎最高裁判所長官代理者 現在は三万七百円でございますが、それが今度のベースアップによりまして三万三千四百円ということにベースアップされるということに相なっております。
○岡沢委員 東京以外の地区から東京の研修所に入る場合の特別手当は、どういうようになっておりますか。
○矢崎最高裁判所長官代理者 たとえば熊本なら熊本というところが修習地であります場合には、その方たちが東京の司法研修所に、いわゆる研修所における修習生として入ってまいります場合には、それに要する旅費、日当等は支給いたしますが、こちらに参りますと、そこの月額を給与いたしまして、そして司法修習生の寮がございまして、希望する者は全部その寮に入れて実質的にめんどうを見るというような方法をいたしております。
○岡沢委員 その寮の場合に、もちろん妻帯者が妻を連れて入るという設備ではないと理解いたしておりますが、そういう妻帯者の場合には、格別の配慮がなされておるのか。実際問題として、妻子のある修習生も相当数あるわけであります。私自身の体験からいたしましても、二重生活のために非常な苦労をした記憶がございます。やはり修習生全体の数からいって、私は独身者が多いことはよく理解いたしておりますけれども、修習生そのものに優秀な人材を集めるという意味からも、修習生全体の待遇の問題も看過できないと思うわけであります。そういう点について、東京研修期間の間の妻帯者に対する特別手当等について御配慮なされておるのか、なされておらないのか、お尋ねいたします。
○矢崎最高裁判所長官代理者 修習生につきましては、妻帯者は寮には入れておらないというのが現状でございまして、そういう点ではただいま御指摘のようにかわいそうな事情もあるのではなかろうかと思うわけでございますけれども、何ぶんにもその寮が独身者向きというようにこしらえてございますので、そこまで行き届いておらないというのが現状でございます。
○岡沢委員 この点についても、ぜひとも妻帯者の入れる寮を設備するように御計画なさるか、それともいろいろ法制上の問題はあると思いますけれども、妻帯者には格別の手当をやはり実質的に支給してやる必要があるのではないか。東京の生活と国元の生活との二重生活あるいは別居生活、いろいろな問題があるだけに、ぜひ今後前向きで御検討いただきたいと思います。 それでは、裁判官報酬法第十五条に定める判事の特別の報酬を「当分の間」の暫定措置としているのでありますけれども、これはなぜ当分の間か、これを恒久的なものにされる考えはないか、お尋ねいたします。
○矢崎最高裁判所長官代理者 その特別の報酬は、要するに認証官以上の裁判官や検察官、それからまたその他の特別職の職員等の給与の割り振り、それから国家公務員全体の給与体系のバランス等を考えた上で特別の報酬を暫定的に設けられたというわけでございまして、したがって、これらのただいま申し上げました認証官以上の給与あるいは国家公務員全体の給与というものの合理化が進められるに従いまして、この特別の報酬というものもまたそのときの給与体系に従いまして確定的なものになっていくのではなかろうかと存じておるわけでございまして、御趣旨のような方向で十分に努力いたしたいと考えております。
○岡沢委員 裁判官は、われわれの感じでは、感覚では、報酬以外にほとんど手当がないのじゃないかという心配をしているわけです。裁判官にもし報酬以外で支給されている手当があるとすれば、どういうものがあるか、お知らせいただきたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 判事につきましては、勤勉手当はざいごませんけれども、また扶養手当、通勤手当というものはございませんけれども、しかしながら、期末手当、寒冷地手当、調整手当、暫定手当というものはあるわけでございます。そしてまた判事補につきましては、ただいま申し上げましたもののほかに、勤勉手当、扶養手当、通勤手当というものが、報酬のほかにそれに加わって支給されるということに相なっております。
○岡沢委員 下級裁判所の裁判官の退職手当は、どういうふうになっておるか、お尋ねします。
○矢崎最高裁判所長官代理者 それは国家公務員等退職手当法による退職手当が支給されておるわけでございまして、一般の国家公務員と同じような扱いということに相なっておるわけでございます。
○岡沢委員 いまお聞きすると、下級裁判所の裁判官については一般の公務員と同じ扱いだと言っておりますが、私は、裁判官の職責の特殊性その他を配慮した場合に、やはり特別の措置が必要ではないか。先ほどの報酬以外の給与等につきましても、裁判官の場合には幾らか一般の公務員とは違う扱いを受けているだけに、私はそういう措置が必要かと思うのでございますが、局長の御見解を聞きたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 御承知のように、裁判官には十年の任期もございますし、まあ定年もあるわけでございますが、しかしながら、それに応じまして、それでは一体どういうような退職制度が設けられるかと申しますと、これまた非常に一般の公務員との関連はおきましてむずかしい問題があるわけでございます。しかしながら、この点につきましては、御指摘のありましたような線で十分に検討はいたしてまいりたいと存ずるわけでございます。
○岡沢委員 それでは、裁判所の一般職の方々の給与の改定について、どういうふうに最高裁事務局としてはお考えになっておるのか、お尋ねいたします。
○矢崎最高裁判所長官代理者 これも御承知のように、一般の公務員の給与法がそのまま裁判所の一般職につきましても準用されておるわけでございます。したがいまして、一般の公務員の給与とほぼ同じようなスライドのランクで支給されるということに相なるわけではございますけれども、しかしながら、書記官等につきましては、やはり非常に重い任務を持っておるわけでございますので、これはいろいろとその任務に見合うような措置をめんどう見ていただいておるわけでございます。しかし、十分なわけではございませんので、やはり十分な給与の改善ということについてはもちろん忘れないように十分努力いたしてまいりたいと存ずる次第であります。
○岡沢委員 それでは、本委員会の直接の対象ではございませんが、一般職の職員の給与に関する法律の改正内容について、この際聞かせていただきたいと思います。
○辻政府委員 今回の一般職の職員の給与に関する法律の一部改正案の内容の概要について、申し上げます。 今回の一般職給与法の改正は、人事院が去る八月十六日国会及び内閣に対して行ないました勧告どおりの給与改定を行なおうとするものでございます。もっとも、その適用時期については問題がございますが、内容は人事院勧告どおりのものを行なおうというものでございます。 そのおもな内容は、俸給表の改定でございます。これは国家公務員の全俸給表の俸給月額を改定することといたしております。この俸給表全体の改善率は、平均で七・一%となっております。 第二点は諸手当の改定でございます。 その第一は、通勤手当の改定でございます。交通機関利用者に対する全額支給の限度額を現行の千六百円から二千四百円に改め、二千四百円をこえる部分はその二分の一の額――この二分の一の額は千二百円を限度といたしますが、二分の一の額を支給することとしております。したがって、最高の支給額は、現行の二千四百円に対し三千六百円ということに相なるわけでございます。 諸手当の第二点は、初任給調整手当につきまして、医療職俸給表(一)適用の医師に対する支給限度を、現行の一万円から二万円に引き上げるという点でございます。 諸手当の第三点は、人事院規則で定める管理または監督の業務を主として行なう宿日直勤務にかかる宿日直手当の支給の限度を引き上げ、勤務一回につき現行の五百十円を千円とし、宿直勤務が土曜日またはこれに相当する日に退庁時から引き続いて行なわれる場合にありましては、現行の七百六十五円を千五百円とするという点でございます。 もっとも、この点につきましては、適用時期を一本年の五月からというふうに人事院勧告はいたしておる次第でございます。
○岡沢委員 いまの御答弁にもございましたように、問題は実施時期でございます。やはり私は、公務員があえて違法ストに走る場合もある原因がこの点にあるような感じがいたしますし、本委員会におきましても、裁判所でリボン闘争その他組合の行き過ぎた闘争について論議されたことはございますけれども、やはり人事院勧告の完全実施が行なわれていないというところにその一因を見出さざるを得ないというふうに感じますと、公務員一般についてはもちろんでございますけれども、しかし、なかんずくこの裁判所の職員等につきましては、この方々が、国民から見て信頼を裏切るような違法スト、法をつかさどる裁判所の職員が国民の憤激を買うような、あるいは国民の期待を裏切るような違法ストに走る原因の一番最たるものを人事院勧告が完全実施されないところに見出さざるを得ないような気がするだけに、これは最高裁とか法務省だけで解決される問題ではございませんけれども、ぜひこれは政府に対しても完全実施について、特に法務省、裁判所の立場から強力な要請をしてもらいたいということをお願いして、私の質問を終わります。
○永田委員長 山田太郎君。
○山田(太)委員 少々声を痛めておりますのでお聞き苦しい点があるかとも存じますが、その点まず御了承願っておきます。 最初に法務大臣にお伺いいたします。 このたびの裁判官及び検察官の報酬並びに俸給の改正についてでございますが、その両者の特殊な職務上からいって、現在の報酬並びに俸給体系が妥当なものであるかどうかということに、私は疑問を持っておる一人でございます。ことに、司法の独立を保障するに足りる給与制度の確立が、重要ではないかと思います。同時に、職務と責任が特殊である立場から、また、現在の多くの公務員の中で、ことに国民の信頼を得、また信頼の厚いのは裁判官であります。別におじょうずを申し上げるわけではありませんが、これは事実でございます。ところが、このたびの京阪神土地事件に際して、検察が政治勢力に動かされたかのごとき印象を国民は与えられております。実は検察官も職務の性質上裁判官に類似した職責を有するものとして、準司法機関として考えられております。その具体化の一例として、生活の保障面でも裁判官と同じ俸給を支給されている実情であります。したがって、各検察官も、その職務の性質にかんがみ、職務行使の尊重は当然されるべきでありまして、みだりに上司からの介入は避けるべきであると存じます。通常の行政機関とは当然性質を異にしておるところでございます。しかるに、再び申し上げたいのですが、今回の正示議員の事件については、検密官が準司法機関としての職務を行なうという面を無視されたかのごとき感があり、検察庁も行政機関であるという面を、ことばを悪くいえば悪用してとでもいいますか、検事総長が部下の地検検事正に対して不起訴処分を指示したかの印象を与えております。このことは、政官界腐敗、汚職の続発と無関係ではあり得ないと思われます。なぜならば、極端にいえば、汚職をしても不起訴の可能性が期待される、そういう面があるからです。 以上申し上げたことについて、大臣の所信をまずお伺いしたいと思います。
○西郷国務大臣 お答え申し上げます。ただいま二点御質問だったと思いますが、裁判官にいたしましても、検察官にいたしましても、今回も給与改定の法案を出しておりますし、従来ともその仕事の重大性にかんがみまして法務省もいろいろ給与問題等についても検討を加えておるようでございますが、御承知のとおり、給与体系は非常に複雑になってきておりますし、現在対応金額スライド制というような方式をとっておりますから、かなり合理的であるとは思いますけれども、現下の経済情勢等考えますと、非常に責任の重い仕事をやっておられるのでありますから、今後とも財政状況の許す限り給与の改善が必要と私も痛感するものでございます。 なお第二にお話しになりました、最近のいろいろの事件に関して、ややもすれば検察官がいろいろ上司からと申しますか、圧力で届したのではないかというような御疑問がおありのようでございますが、最近の具体的な正示事件にいたしましても、私自身は先般法務省に来たばかりでございますけれども、今日の検察官の立場からいいましても、さようなことは絶対に私はない。私自身も一、あの件も、現在の検察に対しましても満幅の信頼を置いておりますから、全部まかしておったのでございますが、やはりあの件でも収賄あっせんの点を調べたが証拠不十分である、そういうことで最終的には不起訴処分ということになりました。世間ではやはり何か圧力でも加えられたかのごとき感をお持ちの方もあるやに承りますけれども、私が見ましたところでは、圧力に屈するような検察官でもなし、検察官の権威の上に立ちましてやっておると思うのでございますが、しかし、今後ともそういうふうな疑いを持たれないように、一そう厳正公平、不偏不党の立場において検察業務を実行いたし、一そう国民の信頼にこたえるようにあってほしい、また私もそういうことの方面に向かって努力をいたしたいと考えるものでございます。
○山田(太)委員 大臣の御答弁は了解できますが、この検察官のあり方について、すなわちもう一度申し上げれば、上司からの介入は避けられるべきであるというその原則に立って、いまの御答弁があったと思います。そこで具体的には、新たに大臣に就任なさって、大臣がどのような指示を与えられたか。あるいはどの場所でどのような訓示といいますか、あるいは通達、そのようなものを出されたか。やはり国民の疑惑の目は晴らす責任が大臣にはあると思いますので、いまここの答弁だけではなしに、このたびの事件に際して具体的にどのような処置が大臣からとられたのか、それをもう一度お伺いたしたいと思います。
○西郷国務大臣 ちょうど私が大臣にすわりまして数日後に先般検事長会同が開かれましたので、就任早々ではございましたが、私も臨みまして、いろいろ事件の多い昨今でございますので、八人の検事長に対しまして、今後一そういろいろの事件もふえるだろうが、検察の権威のために一そう尽力をしてほしいということを私も話をいたしたような次第でございます。いろいろいま山田さんからもお話があるとおり、こういう問題は常日ごろからしっかりやる、こういうことでやりませんと、世間の誤解を受けやすいので、今後とも一そう御注意のありましたような点につきまして、私も相ともども検察の権威のためにも厳正公平に、しかも不偏不党の立場で検察業務を完遂するように、督励をいたしたいと考えております。
○山田(太)委員 そこでいまの御答弁の中に、私のお聞き申し上げたポイントの点がぽかされておると思います。上司の介入はできるだけ避けるべきであるというその点が、私の申し上げたポイントだったわけです。それについての御答弁がなかったのは非常に残念です。それについて、もしいままで通達なりあるいは訓示なりをやってないとするならば、これからの将来にそれを大臣として検事総長に指示を与えるつもりがあるかどうか、それを具体的にお伺いしたいと思います。
○西郷国務大臣 山田さんの重ねての御質問でございますが、いま申し上げましたとおり、ちょうど検事長の会同がございまして、御承知のとおり検事長は数県を担当しておりますから、よい機会と思っていたしたのでございます。いま山田さんの上席が介入しないようにというお話でございますが、制度上重要な問題になりますれば、地方検察庁、高検、最高検という組織になっておりますから、やはり念には念を入れるために、上の組織とも相談し、また指示も受けるだろうと思います。それは当然でございますけれども、いまおっしゃったように、世間で誤解を招くような不必要な介入等は、やはり避けなければなりません。私自身も、いま申し上げましたとおり、全幅の信頼を置いておりますから、法務大臣としていろいろ意見を差しはさむというようなことを一切差し控えておったのでございますが、その辺のことは機構の問題もございますが、誤解のないようにいたさなければならぬ。また山田さんの御意見も不必要な介入があってはならぬぞという御趣旨と思いますので、そのようなことのないように、今後とも私自身も、また検察全体がそのように努力をいたしてまいりたいと考えます。
○山田(太)委員 これをそう長くお伺いするつもりではなかったのですが、大臣から総長に指示を出すか、出さぬか、それがなければ、いまここでの答弁があっても、国民に対しての疑惑をそそぐために大臣が努力をした、そのスタートにもならないことになるわけです。それを一点。
○西郷国務大臣 ただいま法務委員会でもそういう御意見がございましたので、私からも、そういう意見もあったから、今後一そう検察のために厳正、公平にやれということを検事総長にも話したいと思います。
○山田(太)委員 大臣のその答弁で、きょうはこの問題はこれでとどめておきたいと思います。 そこでもう一点だけ、新任の大臣ではありますが、大事なことですから所信をお聞きしておきたいのですか、検察ファッショ――世上、検察ファッショということばを使われておりますが、そのことについて大臣はどのような所信といいますか、見解を持っていらっしゃるか、答弁していただきたいと思います。 〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
○西郷国務大臣 ずいぶん前と思いますけれども、そういうことばを私も聞いたことがございますが、先ほどお話しの不必要な介入もいけませんが、検察ファッショなどということは、要するに非常に片寄った行き方であって、厳正公正という検察の立場から申しますれば、非常にゆがんだものでございますから、私は、そのようなことは今後ないように心がけていかなければいけないのじゃないかと考えております。
○山田(太)委員 こと検察ファッショには、積極的な意味とそれから消極的な意味があるように存じております。そこできょうはその程度にこの問題はとどめて、日を改めてまた大臣なりあるいは政府委員にお伺いしたいと思います。 次に、給与の法案の具体的な問題を若干お伺いしながら、いまの裁判官、検察官の報酬並びに俸給の妥当でないのじゃなかろうかという点を論点にしてまいりたいと思います。そこで、先ほどの官房長からの同僚議員への御答弁の中に、資料の二十五ページの最初の第二回のところを官房長は指摘なさって、判事の5、検事の4、これが一般職の十四級の六号と同じであるという話がありましたですね。この当時のこの十四級の6は、官職はどのような官職ですか。この表で見ますと事務次官クラスじゃなかろうかと思うのですが、どうでしょうか。
○辻政府委員 お説のとおり、当時では事務次官クラスであったと思います。
○山田(太)委員 その事務次官クラスと同等であったその理由と、それからなぜそれが後に変わってきたのか、その理由と、これを二点お伺いたしたいと思います。
○辻政府委員 この点につきまして当時の正確な事情はつまびらかにすることができないわけでございますが、先ほども御説明いたしましたとおり、この当時におきましても、形の上では十五級という、この一般職につきまして十五級、十四級の一段上の級はあったわけではございます。現実には、十四級の六号が事実上最高でございました。そういう点から、この最初の二十三年一月におきましては、まさしく判事の五号、検事の四号が事務次官クラスの行政職の一番上のものと、並んでおったわけでございますが、間もなく同じ年の十二月からはすでに行政の上のほうが飛び抜けていったというようなことになっているわけでわけでございまして、ごく短期間、出発当時一時肩を並べたということであろうかと思うわけでございます。
○山田(太)委員 だから、その理由をお伺い申し上げたわけです。そのときなぜ肩を並べたのか、その理由。なぜそれからダウンし出したのかというその理由。
○辻政府委員 当時一年ですぐに肩を並べたというこの事情につきましては、現在つまびらかにいたしておりません。
○山田(太)委員 官房長が御存じなければ、他の方でもけっこうですから、その理由を述べてください。そうしてなぜダウンし出したのか、差がつき出したのか。
○辻政府委員 先ほど来申し上げておりますように、一般職の一番上の号俸との関係におきましては、二十三年の十二月に現在のような形が見られるわけでございますけれども、それ以外の一般的な、この全体の給与体系は、やはり判検事側は一つの優位性を持って今日まできているわけでございます。ただ、最初どうなったかという具体的事情につきましては、なおよく調査させていただきたいと存じます。
○山田(太)委員 答弁できないとなれば、それはまた後の機会にお伺いすることにして、やはり当然理由がなければならぬはずです。これは官房長もはっきりしていただきたいと思います。 それから差がつき出した。私の心配するのは、司法の独立と同時に、その職務の特殊性あるいは責任の立場からいって、当然いまのような四割程度アップと、先ほどのどなたかへの御答弁にあったやに聞きますが、その程度で当然裁判官、ひいては検察官についても、これでその職責上に相応する、あるいは社会通念の上からいってそれに相応する待遇がされているとは思えないわけです。この辺、その当時は事務次官と一緒であった、その判検事のその程度の五号、四号のところにおいても一緒であったというところに優遇されておったその動機と、それから今度はそれが軽視され出したその事実上の動きが、ここにあると思うわけですね。そこで大臣にもう一度お伺いいたしますが、大臣の先ほどの御答弁の中からもその趣旨がわかるわけでございますが、司法の独立を尊重する、その立場からも、この待遇は改善されなければならない、その御答弁でございます。それに対して、大臣はどのような努力を具体的になさろうとなさるのか、それも、ついでといっては何ですが、お伺いしておきたいと思います。
○西郷国務大臣 先ほどもちょっと触れましたが、いまお尋ねのように、現在の検察官にいたしましても、非常に数が足りなくて、しかし仕事の量が非常にふえており、非常に特殊な重要な役目柄でございますが、だんだん上がってまいりましたけれども、やはり現在満足すべきものではございませんから、特殊な立場の検察官等に対しましても、今後も検討を加えていかなければならぬわけでございますけれども、御承知のとおり、一般行政官との対比の問題、また現在いろいろ複雑な様相になっておりまするが、何とか苦しいながらも、今後とも私ども何かいい方法はないかということにつきまして、いろいろ検討を加えてまいりたい、そのように私も考えておるのでございますが、また、委員会等においても、こうしたらどうかというような名案のあるときは、率直にお知恵を拝借したいと考えております。
○山田(太)委員 西郷大臣は大もの大臣だといわれておるわけですから、十分に努力をしていただきたいと思います。期待しております。 そこで、次にはどなたから御返事をいただけるかわかりませんが、裁判官の待遇についての諸外国の例を比較したいと思うのです。これは申し入れてありますから当然お手元に資料があると思いますが、まず二、三の主要国家の具体例をお聞かせ願いたいと思います。
○辻政府委員 便宜私から御答弁申し上げます。 主要な外国の裁判官の報酬がどのくらいになっておるかという点でございますが、この金額を具体的に申し上げます前に一言お断わりしなければなりませんのは、各国におきまして裁判官の任用制度がたいへん違うわけでございます。御案内のとおり、米英系の国におきましては、いわゆる法曹一元といいますか、法曹という中から裁判官が任用されていっているという仕組みでございますし、独仏というような大陸系の国におきましては、一つのいわゆる官僚組織、キャリア・システムということで裁判官が任用されて、昇進していっているということになっておりまして、この報酬を申し上げる前に、やはり任用制度との関係でたいへん事情が違うということを前もってお断わりしておくわけでございます。かような点から申し上げますと、やはりその法曹一的な制度をとっておりますアメリカ、イギリスにおいては給与が非常に高く、キャリア・システムをとっております独仏におきましては給与はさほど高くないということを、概略申し上げることができるわけでございます。 そこで、具体的におもなものについて金額を申し上げてまいりますと、これはちょっと時期が古くて恐縮でございますけれども、アメリカにつきましては一九六八年七月調べでございますが、アメリカの連邦最高裁判所長官は年俸四万ドルでございまして、月給を円で換算してまいりますと、約百二十万円ぐらいになるわけでございます。それからアメリカの連邦の地方裁判所判事が、年俸三万ドルでございます。これを月額の円で申し上げますと、約八十四万円ぐらいになっております。それからアメリカのおもな州のことを二、三申し上げますと、カリフォルニア州の上級裁判所判事、これは年俸二万五千ドルでございます。日本円で月給で申し上げますと、約七十五万円でございます。それから次はイギリスでございますが、イギリスの大法官は年俸一万四千五百ポンドでございまして、これまた日本の月給で申し上げますと、約百万円ということになります。それからイギリスの首席裁判官が年俸一万二千五百ポンド、日本の月給で申し上げますと約八十四万円、イギリスの県裁判所裁判官、これは年俸五千七百七十五ポンド、日本の月給で申し上げますと、約四十万円という形になります。次に西ドイツでございますが、西ドイツの連邦憲法裁判所長官、これが一番上になろうかと思いますが、連邦憲法裁判所長官は年俸六万六千六十九マルクでございまして、月給で円で申しますと、約四十九万円になるかと思います。それから、西独のラントの地、区裁判所部長級でございますが、これは先ほど申しましたように、キャリア・システムになっておる関係で固定した給与がございませんけれども、地、区裁判所部長は年俸一万五千七百二十一マルクから二万七千八百八十四マルクというような形になっておりまして、月給で換算いたしますと、十一万円ないし二十万円ということになろうかと思います。以上にとどめておきます。
○山田(太)委員 そこで、もう一つ突っ込んでお伺いいたしますが、それぞれの裁判官の各国における数ですね。日本はもちろんですが、先ほど申されました英国、米国、西独の裁判官の数はどうでしょうか。
○辻政府委員 少し資料が古くて恐縮でございますが、イギリスは一九六〇年現在で、広く裁判官と申しますが、一万九千六百七十二名でございますが、大部分はいわゆる治安判事でございまして、治安判事を除きます裁判官は、三百六十七名ということに相なっております。それからアメリカは、一九六〇年現在でございますが、全部で四万八千七百五十一名。これまた治安判事を除きますと、三千七百五十一名でございます。それから西独は、一九六三年でございますが、全体で一万二千百四十五名でございまして、特別裁判所の裁判官を除きますと、九千七百二十九名でございます。フランスは、一九五八年現在でございますが、全部で二千九百三十六名という数字になっております。日本は、一九六七年、昨年現在でございますが、全部で二千五百十名、簡裁判事を除きますと、千七百七十六名でございます。
○山田(太)委員 いま御答弁いただいたことでわかりますように、アメリカにおいては治安判事を除いて三千七百五十一名です。それから日本においては二千五百十名、簡裁判事を除いて千七百七十六名ですね。人数においても、そういう面からしんしゃくして考えてみて、同じ日本と同じ米国と、先ほどの給与にものすごい差があったわけですが、人数からいってもたいした差がないわけですね。ぼくの言わんとするのは、その次にお伺いしたい裁判官一人に対して人口が何人くらいに当たっておるのか、それと対比してみても、大臣聞いておいていただきたいですね、いまの日本の裁判官がいかに酷使されておるか、また待遇が妥当でないかという点が、この点でわかってくると思うのです。裁判官一人当たりの国民数を教えていただきたいと思います。
○辻政府委員 先ほど申し上げました簡裁判事、あるいは治安判事を含みました全数で単純に人口を割ってみることにいたします……。
○山田(太)委員 米国と日本との対比だけでけっこうです。
○辻政府委員 日本の場合は、三万九千八百名ばかりになると思います。それからアメリカの場合には、三千六百七十八名という数になります。
○山田(太)委員 ではもう一歩突っ込んで、アメリカの治安判事を除いた数によっての換算を出してみてもらいたい。
○辻政府委員 アメリカの治安判事を除きました換算でまいりますと、一人当て四万七千八百七名、これに対応いたします日本の簡裁判事を除きます一人当ての数は、五万六千三百十六名ということになります。
○山田(太)委員 いま大臣が聞かれてわかりますように、裁判官一人当たり、日本の場合は簡裁判事を除いた場合五万六千三百十六人、それからアメリカの場合は四万七千八百七人。これは同じ立場から考えた一人当たりの換算になってきます。治安判事を除いておるわけですから、それで考えてみても、いかに仕事の量はアメリカの裁判官よりも激務であるかということが想像できます。ところが、待遇の面においては、ものすごい差があるわけです。片や百二十万でしたか、百四十万でしたか、ところが日本の場合はいま表で提出されておるとおりです。このようなものすごい差があるわけです。ここにも裁判官の志望者が少ないその要因もあるのじゃないかということも考えられるわけですが、もう一ぺん大臣も、より一そう熱意を込めた待遇改善の努力を覚悟をあらためてやっていただかなければならないということを希望しておきます。 時間があまりありませんので、もう一点、二点お伺いしたいのですが、外国の裁判官の場合と、それから日本の裁判官の場合と、この年齢比ですね、もしこれが調査がなかったならば、日を改めてけっこうですから、年齢対比、それから報酬対比というものもあったら、ひとつ答弁していただきたいと思います。
○辻政府委員 おそらく現存の資料では、御要希のようなものはできないのじゃないかと存じます。
○山田(太)委員 現存の資料でできなければきょうはけっこうでございますから、当然いまの日本の裁判官並びに検察官の対遇改善の意味からも、この点をひとつ調査しておいてもらいたいと思います。 では最後に、これは当然党の方針でもございますが、先ほどから社会党の方からも、あるいは民社党の方からもお話がありましたが、人事院勧告の五月一日実施は、これはわが党も――もうすでに九回も人事院勧告がそのとおり実施されてない状況にございますし、前回もこの法務委員会において附帯決議もつけております。それを依然としてまたこのたびも一給与閣僚協議会で八月一日実施を決定したようでございますが、またきょう提出されておる法案によりましても八月一日実施となっておりますが、これについて重複するようではございますが、大臣の所見を聞いておきたいと思います。
○西郷国務大臣 この問題も、本来からいえば、やはり給与の問題でございますだけに、人事院の勧告を完全実施することが一番いいわけでございます。ぜひそうありたいと思いますけれども、お話のとおり、今回も五月という勧告が八月からということになりましたが、それにはやはり減税をしなければいかぬとか、公債を減額するとか、いろいろ財政上の原因でかくなったと思うのでございますが、しかし、昨日の参議院の予算委員会でも、野党側の質問に対して、大蔵大臣も来年からはぜひ御希望に沿いたいというようなこともお答えしておりますので、いまお話のとおり、今日まで完全実施をしておりませんが、でき得べくんば完全実施をぜひしてもらいたいと私も考えますので、今後とも努力をいたしたいと考えます。
○山田(太)委員 もう一度お伺いしますが、これは裁判所あるいは法務省一般職員の生活に大きな影響を与える問題ですし、先ほどの大臣の答弁によりますと、大蔵大臣は来年は五月実施したい、その方向で検討するという答弁であったとのお話でございます。現在、この法案を八月一日実施でわれわれは認めるものではありませんが、当然五月一日実施であるべきものと存じますが、いまの大臣の答弁からして、来年に対して、あるいはこのたびの問題はこれはもう大臣としてはどうにもならないとするならば――あるいはこのたびの問題でも大臣は変更したい、あるいは来年に向かっては大臣はこうしたいと考えているとか、そういうふうな決意をひとつ披瀝してもらいたいと思います。
○西郷国務大臣 御激励を受けてまことに恐縮でございますが、やはり人事院の勧告というものを尊重していかなければなりませんので、ぜひとも来年は完全実施ができますよう、私も最善の努力をいたしたいと考えます。
○山田(太)委員 大臣はそのおことばを忘れないようにしていただきたいと思います。 では問題を次に移しますが、もう御承知のことでございますが、裁判所の経理局長にお伺いいたします。先日の最高裁の営繕課の汚職事件の概要について、時間がありませんから、簡単に、明瞭に述べていただきたいと思います。
○岩野最高裁判所長官代理者 最高裁判所事務総局経理局営繕課電気班に属します職員二名が、電気工事に関し、業者から一人は約三十七万、一人は十万余りの金額を約三年にわたりまして収受したという事実について起訴されたわけであります。他の二名は、やはり三万ないし二万といった程度の金額で書類送検になったような状況でございます。
○山田(太)委員 次にお伺いしたいことは、最高裁の事務総局、それから法務省の課長のポストのうち、有資格者を置いてない課は幾つくらいあるか、教えてもらいたい。
○岩野最高裁判所長官代理者 最高裁判所のほうから申し上げます。最高裁判所経理局は五課一室ございまして、総務課、それから主計課、営繕課、用度課、監査課及び厚生管理室でございます。そのうち、主計課長及び総務課長兼営繕課長、これは有資格てございまして――有資格と申しますのは、裁判官の資格を持っているものでございまして、あと四つの課は、それぞれ事務官からなっておるわけでございます。それからちょっと他の局にわたりますと、総務局の統計課長、これが裁判官出身ではございません。
○辻政府委員 法務本省の課長でいわゆる法曹でない、検事でないものの数は、やや不正確かも存じませんが、合計で九名かと思います。
○山田(太)委員 そうすると、法務省の場合は、有資格者の課長の数は幾つでしょうか。
○辻政府委員 全部の数、ちょっといま計算いたしますけれども、法務省の内部部局といたしましては、御案内のとおり、矯正局の課長は、全員検事ではございません。それから保護局の課長も、検事でないものがおります。それから営繕関係の営繕管理官、それから調査部の統計関係の課長、これも検事でございません。このような関係になっておるわけであります。
○山田(太)委員 法務省の場合は、営繕管理課の課長は検事ではない。それから裁判所の場合は、営繕課の課長は有資格者と聞いております。それはどういう理由で有資格者になっておりますか。
○岩野最高裁判所長官代理者 総務課長が営繕課長を兼ねておるわけでございます。それを兼ねております理由は、営繕課長は主して営繕予算に関すること、国有財産に関すること、及び建設省等との折衝に関する業務をつかさどっております。建築そのものの専門的なこと及び建築全般にわたります配慮は、首席技官以下で大部分を担当するということをいたしております。もちろん課長でございますので、課長は首席技官と十分協議を遂げて営繕技術関係の職員の監督に当たっておる分ももちろんございます。
○山田(太)委員 ここまでお聞きすると、大体何を言わんとするかはおわかりになっておると思いますが、裁判官がさなくても数が少ないと言われているときでもありますし、また同時に営繕課、総務課の兼任ではあっても、営繕課が、法務省の場合は有資格じゃないのに、最高裁の場合は有資格である。なぜそうでなきゃならないか。聞くところによると、頭がつかえて――有資格者の場合はそれが天下り人事のようなかっこうになってきて、ことばが過ぎるかもしれませんが、そこで頭がつかえてしまって、ほかの技術者あるいはそのキャリアを持っている人がそこで昇進がストップしてしまう。そこに働く意欲をなくす。同時に誘惑に乗りやすい空気がそこに醸成されているのじゃなかろうか。そういうことを聞いておりますが、どうでしょうか。
○岩野最高裁判所長官代理者 よそさまのことは遠慮して申し上げないことにいたします。主としてそういう先ほど申しましたような担当業務をやっておりますことで課長のポストを占めていることになりますが、最高裁判所におきましても、過去においては技術建築家が営繕課長を兼ねていたこともございます。実はその後予算関係の営繕予算がきわめて大なたに削除されたというような状況もございまして、予算関係の折衝その他、他の省庁との折衝について、技術家が必ずしも兵体的に折衝能力においてすぐれているという点が具体的な人についてはなかったために、一時有資格者をもってその職務に当たらせたということでございまして、何も建築そのものに関して十分な専門知識を持っているためにその技官の上に有資格者が入ったというわけではございません。したがいまして、現在最高裁判所でも首席技官は二等級相当の、二等級の待遇を受けておりますし、現にそれに従った管理職手当も出ておるわけでございまして、これをほかの給与体系上から考えますと、課長と同等の待遇を与えられている。ただ営繕課の中を二つに分けていないために、二等級の課長と首席技官がいるという形になっております。体制上は営繕課長が監督の立場に立つ形にはなっておりますけれども、実質的には技術家を尊重はいたしておるはずであります。今後われわれの努力といたしましては、さらに技術家が技術家として十分に大成でき、しかもポストとしてそれにふさわしい地位ないし名称が付与されるように努力はいたしたいと思いますが、決して技術家を軽視しているわけではないのでございます。
○山田(太)委員 一応いまのお話で納得したいと思います。が、もう一点心残りなことは、具体的にじゃどのような配慮をしてあげるか。そこに行きどまりになってしまって、天下りで有資格者が課長にすわっちゃって、そうして幾らしんぼうし、幾らがんばったって、そこで頭どまりだと、こうなってしまったら、これはやはりそういううんだ空気というものが、できるなと言ってもできるのじゃないかと思います。その点を考慮していただいて、ひとつ改正してもらいたいと思うのですが、どうですか。
○岩野最高裁判所長官代理者 まだ制度的に内部で十分固めたことではございませんが、営繕課の技官とともに働いております私といたしましては、総局内においても十分その点を検討していただき、場合によっては、人によっては一等級のポストにもつけるようなことを考えたい、あるいは現に参事官という制度もございますので、それに余裕がある限りは、その参事官の職にもつけられるというようなことも考えていきたいと思います。なお、これは予算関係の問題もございますので、大蔵省その他の方面ともそういったポストに関する十分な協議を遂げなければならない問題ではございますが、やはりわれわれといたしましては、営繕課をもって今後長く裁判所の建設に向かわなければなりません現況でございますので、御指摘のとおり、営繕技官が喜んで職域に安んじて仕事ができるような体制をとりたいというふうに考えている次第でございます。
○山田(太)委員 あともう二、三点、お伺いするつもりでございますが、この前に、いま質問しながら思い出したわけですが、前々の国会のときでしたか、人事に派閥があるということを耳にしまして、あのときどなたでしたか、総務局長だったかと思うのですが、そのようなことはないと思います。しかし、あったならば改正する方向に持ってまいりたいと思いますと答弁があった。そのようなことを聞かれたことがあるでしょうか、どうでしょうか。これは担当は人事局長のほうになると思いますが。
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいまのような派閥というようなものは、裁判所には絶対にございません。どういうように御説明したらばいいのか、ちょっとその説明の方法がわからないわけでございますけれども、要するに、裁判所におきましては、裁判官がみんな同じ仕事をしているわけでございます。ですから、仕事の内容等はお互いの裁判官にわかるわけでございまして、この裁判官がどういう能力を持っているか、この裁判官がどの程度の裁判書きを書く人であるか、法廷の指揮をする人であるかということは、お互いの間でみんなわかっているわけでございます。したがいまして、それが派閥によってたとえば昇給とか転任とか、そういうことに影響を及ぼしていくというようなことは、絶対にないと申し上げて差しつかえないと思います。
○山田(太)委員 老婆心ながら前々国会の質問を思い出しましたし、また実は友人からこれは聞いたことだったのです。その後改めておられればもちろんいいのですし、いまの明言のようにないにこしたことはありません。 そこで、このような最高裁が汚職事件によって摘発を受けたということは初めてだと思うのですが、このことによって、全国の国民にいかほどか裁判官に対してさえも信頼をそこなう一つの大きなよすがにもなっていくと思うのですね。これについて、とのような御見解を――刑事局長でも人事局長でもけっこうですから、御答弁願いたいと思います。そしてこの事件をどのように処置をするか、そして責任の所在はどのようにやっていくのか、あわせて三つお伺いしておきたいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 事柄は裁判部門に関係いたしません営繕課の技術の面で起こった事柄ではございますが、これは御指摘のとおり、最高裁判所に対する疑惑の目を国民に抱かせたという点についてはまことに申しわけなく、ほんとうに何とあやまっていいかわからないと存じておる次第でございます。 そこで御指摘の、それではどういうような措置をとったかという点に対するお答えでございますが、実は先週の木曜日に次のような措置を取りましてございます。まず、起訴されました主任技官と営繕専門職は、二人とも懲戒免職の処分にいたしました。それから、起訴されておりませんが、被疑者として調べられておりますところの主任技官一名、それから営繕専門職の技官につきましては、当方において本人につき調査いたしました上、厳重な戒告をいたしました後に依願免職の措置をとったわけでございます。 次に、監督責任でございますが、主任技官一名につきまして減給一割を五カ月いたしました。そしてこれらの主任技官、営繕専門職の上に立っております班長の技官でございますが、この者につきましては一割減俸六カ月間、そして班長を免じて降格する措置をとりました。そしてその上に首席技官がおりますが、その首席技官につきましては減俸一割を三カ月分という措置をとりました。その下に次席技官が一名おるわけでございますが、これはいろいろの監督の非を照らし合わせまして、減俸一割を一カ月分という措置をとったわけでございます。次は、はなはだ同僚のことで私の口から言いにくのでございますけれども、ここにおります営繕課長につきましては、最高裁判所の長官から書面による厳重な注意の処分がございました。また、経理局長につきましては、最高裁判所の長官によるこれまた同様厳重な書面注意処分がございました。この最高裁判所の長官による書面注意処分というのは、最高裁判所発足以来ほとんど前例のない措置でございます。
○山田(太)委員 これで質問を終わりたいと思います。 最後に望んでおきたいことは、あくまでも最高裁判所は全国民のよりどころであります。ほんとうに一番信頼のおけるのは裁判所以外にないわけですから、どうか国民の一人としても、また議員の一人としても、将来このようなことのないように十分御注意と指導をお願い申し上げて、私の質問を終わります。
○大竹委員長代理 松本善明君。
○松本(善)委員 裁判官の報酬並びに検察官の俸給等に関する法律が問題になっておりますけれども、これは言うまでもなく公職員全体の給与体系の一部でありますので、一般的なことをまず法務大臣とそれから裁判所に伺っておきたいと思います。 公務員は、いま非常に物価が上がっている中で、人事院勧告のとおり五月から実施してほしい、それから月三千五百円の底上げをしてほしい、それでなければ生活ができないということを訴えております。この公務員の要望について、法務大臣はどうお考えになりますか、また、裁判所はどう考えているかということをお聞きしたいと思います。
○西郷国務大臣 先ほども山田委員から同様の御質問がございましてお答えしたのでございますが、やはり人事院の勧告は尊重しなければならぬわけでございますが、従来とも完全実施ができないで、本年も一また財政状況上、あるいは減税の必要とか国債減額の問題等いろいろあって、本年も完全実施ができなかったわけでございますが、しかし、望むらくは、公務員の立場を考えまして、人事院の勧告どおりにやることが理想的であると思います。また先ほども申し上げたとおり、昨日の参議院の予算委員会におきましても、大蔵大臣も来年度はぜひその趣旨でやりたいというお話もございますので、明年の人事院の勧告に対しましては、私もともども一最善の努力をいたしまして、その勧告をほんとうに完全実施できるようにいたしたいと考えております。
○松本(善)委員 三千五百円の底上げということについては、いかがでしょうか。
○西郷国務大臣 いまの底上げの三千五百円ということも、やはり人事院の勧告によるわけでございますから、そういう問題も、人事院の勧告の際に人事院が当然考えなければならぬことではないかと考えております。
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま法務大臣におかれて御答弁なすったその答弁を、そのまま援用させていただきたいと思います。
○松本(善)委員 日本の法制のもとでは、労働者は団結権、団体交渉権、それから団体行動権が保障されておる。公務員の場合にはこれが奪われておりますけれども、そのかわりに人事院制度があるということになっておる。これが完全に実施をされないということになりますと、これは労働者の基本的な人権、ここにもたくさんいる公務員それぞれみな関係のあることでありますけれども、自分が労働することによって生活をしている人の基本的人権が侵されることになるかと思いますけれども、この点についての法務大臣と、それから裁判所の見解を聞きたいと思います。
○西郷国務大臣 松本委員のおっしゃるとおり、理論的に申しますとやはりそういうことにもなるわけでございますので、公務員の立場を考えまして、完全実施を行なうように今後とも努力したいと思います。
○矢崎最高裁判所長官代理者 いま大臣におかれて御答弁なさいましたそのままのことを、裁判所も感じておるわけでございます。
○松本(善)委員 検察官の報酬もさることながら、この検察庁の仕事のしかたという問題について、最近とみにいろいろの批判が出ております。先日私は、ある高校生から裁判の話を聞きたい、なぜ聞きたいのだと聞きましたら、松川事件とかあるいは青梅事件あるいは八海事件、みんな長いこと裁判をやっておって無罪になる、こういうのをそのままほっておいていいのだろうか、これは日本の裁判制度の問題として考えなければいけないのじゃないかというのが、高校生の意見です。これは法務関係の者にとっては真剣に考えなければならない問題なんじゃないかと思うのです。そういう点で、先ほど来も政治家の汚職に関する問題として検駅庁に対する批判の問題が、本委員会でもいろいろ問題になっております。戦後の検察のあり方全部を考えて、真剣に検討しなければならない問題になっているのではないかと思います。この点についての法務大臣の御意見を伺いたいと思います。
○西郷国務大臣 現在の制度が具体的にどこがどう悪いかということになりますと、なかなかむずかしい問題ではあると思いますけれども、いまおっしゃるとおり、最近いろいろ具体的な事件等もあるわけでございまして、そういうこともありますので、やはりあくまでも法秩序を守り、基本的人権を守る立場の法務省といたしまして、検察官の組織についてもいま仰せのとおり完全とは言いがたいので、いま御懸念のようなことのないようにするにはどうしたらいいか、非常にむずかしい問題ではございますけれども、やはり大事なことでございますので、今後とも検討を重ねてまいりたいと考えます。
○松本(善)委員 いま私が申しました事件は、ほとんどすべてが他人の自白や供述が虚偽であったということによって問題になった事件であります。それとの関係で、科学捜査ということも非常に重要であろうかと思います。その例として、いま問題になっております白鳥事件のことを多少お聞きしたいと思います。法務大臣もその経過、内容をよくお聞きいただきまして、最後に御意見を伺いたいと思います。 いまこの白鳥事件では、有罪の判決の基礎になりました弾丸の鑑定の問題が非常に重要な問題になってきている。このことをお聞きしますので、最初に警察庁に、警察庁の科学捜査研究所というのはいつごろ設置されまして、どういう陣容を持っておるのかということを簡単に御説明願いたいと思います。
○早出説明員 現在の科学警察研究所は、昭和二十三年五月一日に初め科学捜査研究所として発足いたしております。そのときは、国家地方警察本部の刑事部鑑識課に付置されたのであります。その後警察法の改正がありまして、二十七年には国家地方警察本部の刑事部に移されました。その後さらに二十九年の改正によりまして、警察庁直属の科学警察研究所として今日に至っております。
○松本(善)委員 最近でも広域捜査事件の百八号などで鑑定のことが新聞にも盛んに出るわけでありますけれども、この鑑定については、警察庁はどの程度の信頼を置いているか。いままでいろんな、大きなミスをしたというか、間違いがあったようなことがあるのかどうか。そういうことについて、知っている限り話してほしいと思います。
○早出説明員 今度のピストルによる連続殺人事件について、その基礎となったたまの鑑定についてどのくらい警察庁としては信頼しておるかという……。松本(善)委員「一般的にですね」と呼ぶ)これは絶対的に信頼しております。
○松本(善)委員 検察庁は、この科学警察研究所、前は科学捜査研究所、これの鑑定をどういうふうに信頼しておりますか。検察庁としてどの程度の信用度を置いているかということをお聞きしたい。
○川井政府委員 大いに信頼いたしております。
○松本(善)委員 検察庁が弾丸の鑑定につきまして、日本人の犯罪事件で外国の研究所に鑑定を依頼したというようなことがありましょうか。
○川井政府委員 突然の御質問ですが、ちょっといま考えまして、そういう事例は記憶いたしておりません。
○松本(善)委員 もう一つ一般的なことをお聞きしておきたいのですけれども、検察庁は、有罪の判決が確定した場合、その判決の基礎になった証拠を否定する新たな証拠が発見されたというような場合に、積極的に再審の請求をするという態度でありますかどうか。
○川井政府委員 原則論としてそうあるべきだと思います。
○松本(善)委員 この白鳥事件につきましては、現在再審の申し立てが行なわれておりまして、この事件は、先ほどもちょっと申しましたように、唯一の物的証拠といわれております弾丸の鑑定が、非常に大きな問題になっております。白鳥事件につきましては、三発の弾丸以外には何の物的証拠もありません。これは松川事件、青梅事件、八海事件と同じように、やはり他人の供述や自白が虚偽だということが問題になっておる事件であります。この再審申し立ての中で新しい証拠が出てまいりました。その過程で検察庁のこういうような問題についてのやり方というのは、一体正しいのかどうかという問題がかなり出てきたのであります。この三発の弾丸の一発は白鳥警部の体内から出たものであり、他の二発は高安という人の供述によって北海道の幌見峠から発見されたというものであります。この高安という人の供述によりますと、幌見峠でピストルの射撃訓練を行ない、その拳銃で白鳥警部が射殺されたということになっておる。したがって、この三発の弾丸が同一のピストルから発射されたものであるかどうかということ、それからまた、白鳥警部の体内から出たという弾丸以外の二発の弾丸が、幌見峠で発見された。これが実際に幌見峠に埋まっていたのかどうか、発射訓練をしたというときから発見されたときまで一年七カ月、二年三カ月ということになっておりますけれども、これだけ長くほんとうに幌見峠にあったのかどうかということによって、この高安という人の供述が正しいかどうかということで問題になっておるわけであります。したがいまして、この二つの点、三つの弾丸が同一のピストルから発射されたものでないということ、また幌見峠から発見されたという二つの弾丸が一年七カ月ないし二年三カ月も土の中に埋っておったものではないんだということになりますと、これはまさに再審事由に当たる刑事訴訟法四百三十五条六号の新しい証拠ということになると思うのですが、それで争われておるわけでありますが、、この三つの弾丸が同じピストルから発射されたものかどうかということについて、申し立ての中で、弁護団の要求によって検察庁が出してきた鑑定書が二通ある。この二通は、先ほどお聞きいたしました警察庁の科学捜査研究所の作成したものであります。科学捜査研究所物理課銃器係警察庁技官が作成した昭和二十八年九月四日付鑑定書及び昭和二十九年七月三十日付鑑定書によりますと、この二通の鑑定書は、いずれも発射痕、発射の際に生ずる線条痕を調べた結果、幌見峠から発見されたといわれる弾丸と白鳥警部の殺害に使用された弾丸とか同じピストルから発射されたとは認定できないということになっておるわけであります。先ほど警察庁の鑑識課長が言いましたのでは、絶対に信頼を置いておるというその鑑定は、そういうものであります。特に昭和二十九年七月三十日付の鑑定書は、三つとも線条痕が違っているというふうにいっておるのであります。この二つの鑑定書が、裁判確定に至るまで検察庁は裁判所に提出をしなかった。再審申し立ての段階に至って、初めて弁護団の要求によって提出されたわけであります。これは見ようによっては、明らかに村上国治氏の無実の証拠を隠していたということになるわけです。こういうような検察庁も大いに信頼をしておるという科学捜査研究所の鑑定書が、はっきり二通もあるわけです。そういうものは、当然にこの公判の確定されるまでの過程において出さるべきものではないだろうか。いままでも、松川事件でも諏訪メモ問題がありました。青梅事件でも国鉄の事故点検簿というものがありまして、いずれも弁護団の物的証拠として出されたものであります。無罪のための大きなきめ手となるような証拠となっておる。こういうような被告に有利な証拠、そういうものが、検察官の手によって確定されるまで隠されておる。こういう問題について、やはり考えなくちゃいかぬのではないか。検察官は、検察庁の立場とすれば、自分の立場が有利になる不利になるは別として、真実を発見をする。そうして無罪になるのはかまわない。八海事件が無罪になりましたときに、新聞では、一体検察庁は戻ってくることができるのか。つつ走り出したらどこまでもイノシシのように突き進んでいくのか、こういうように書かれておりました。こういうように、自分の手元に被告を無罪にするような、被告に有利なような証拠をいつまでも置いておくというような検察の態度が正しいと思われるかどうかということについて、お聞きをしたいと思います。
○川井政府委員 検察側の被告人に有利な証拠を故意に隠して、本来有罪でない者を有罪にもっていくというようなことが意識的にもしありとするならば、それは御指摘のとおり、どういう観点から見ましても適当でないし、また厳に慎まなければならないことである、私は全く同感であります。ただ、具体的な案件におきまして、ただいまおあげになりましたように、諏訪メモでありますとか、あるいは白鳥事件におけるいまの鑑定のお話なんかが出ましたけれども、具体的な案件の、その場合に出たものが、はたしてほんとうに担当検察官が被告人に有利だと思われるものを故意に隠しておった、こういうふうに事実の認定がなされた、いまそういうふうな御主張があったように思いまするけれども、私はそういう認定については多少意見を異にするわけでありまして、いままで私どもで詳細部内でいろいろ検討いたしおりますけれども、担当官が故意にそういうふうな目的のためにそれを隠匿しておったのだ、こういうふうな事実は、私は認めることができなかった、こういうふうに考えておるものであります。ただ、原則論といたしまして、なお今後も、少なくともそういうふうな疑惑を世間に与えるようなことがありとするならば、それはそれだけでも、先ほど大臣からも仰せになりましたように、検察の態度というものは万人から疑惑なり批判を受けないように、公正に明朗にやっていかなければならないということは申すまでもありませんので、常時反省を加えまして、そういうふうな疑惑を受けることさえもないように、私どもといたしましては最善の注意を払わなければならない、こういう覚悟でございます。
○松本(善)委員 故意に隠していたかどうかということについては、若干の見解の違いがあるようでありますけれども、少なくも慎重を欠いていたとか、検察のやり方としては正しくなかったとか、間違っていた、もっと慎重にやるべきだったとか、こういうことは言えるのではないか。こういうことがあとから出てきた場合に、やはり検察官としてのきびしい態度を維持するためには、それなりの責任をとる。そのために対象になった人はだいへんな、人生に回復すべからざる被害を受けるわけでありますから、少なくともそういう場合に、かりに故意でなくても――故意でなくてもといいますよりも、故意だと認定できるところまでは検察庁部内でいかなくとも、責任をとる態度をとるべきではないだろうかと思いますが、いかがでしょうか。
○川井政府委員 検察部内における不正行為ないしは過誤の事案につきましては、最高検察庁はもとよりのこと、私ども本省におきましても、その経過、原因について詳細な報告を求め、場合によればまた係官が現地におもむいてその実態を調査して、人事管理の面におきまして、それぞれ妥当と思われる処置を講じているわけであります。ただ、人事管理の面で責任をとる場合に、かなり事実関係の認定ということは困難な場合が多いわけであります。したがいまして、すべてのものについて端的にその原因が把握できて、そして責任の所在の特定人が特定できて、そしてそれについて法律の命ずるところによりまして的確な責任をとるという方針につきましては、いささかもゆるがせにいたしておりませんけれども、個々の具体的な事件におきましては、多くの事件においてそれぞれ厳格な責任がとられておりますけれども、また例外的な事件におきましては、責任の所在が確定できないために行政責任を必ずしも明らかにすることができない、こういうふうな事例もあることを、一応御了承賜わりたいと思います。
○松本(善)委員 またこの白鳥事件の話に戻りますけれども、村上国治氏を殺人罪で起訴をいたしました昭和三十年の八月においては、この三つの弾丸を鑑定した鑑定書は、この二通があっただけなんです。いま無実の証拠として問題になっているこの二通があっただけなんです。有罪の判決の基礎になりました磯部鑑定人によります鑑定というのは、この起訴当時におきましては鑑定結果は出ていなかった。こういう無責任な起訴をするということが――有罪のきめ手になる鑑定が出ていない。むしろ検察官の手元には無実の証拠になる鑑定があるという段階で起訴をするというのは、検察官としては全く無責任だというふうに私は思うのです。これについてどうお考えになりますか。
○川井政府委員 証拠というものは、これは釈迦に説法でありましょうけれども、過去に行なわれた事実をもう一回再現して、それに沿う証拠を完全に集めようということでございますから、これはなかなか困難な作業でございます。そこで、検事といたしましては、常に完全な証拠を集めて、そして万全の心証を得て裁判所に起訴するということが、日本の検察制度のたてまえであろう、こういうふうに考えております。したがまして、検察当局におきましてはそういう方針のもとに証拠を収集し、心証のこないものについては不起訴処分にするという態度に変わりはないわけでございます。そこで本件につきましては、やはり当時、私ども記録をある程度検討いたしておりますけれども、担当検事といたしましては、この程度でもってこの被告人の刑事責任というものは十分に証明ができるし、また事実の心証としてもこの行為をおかしたという心証がくる、こういう確信に基づきまして公訴を提起し、そして一審二審を経まして最高裁判所の最後の判断も経まして、集められた証拠によりまして本件は有罪だという判断が下ったわけでございますので、私どもといたしましては、本件を起訴した当時の検察官のその時点における考え方なり態度といたしましては、それでよかったのではないか、かように考えております。
○松本(善)委員 それは刑事局長、その確信なしにやれば職権乱用罪ですよ。刑事局長は確定したと言われるけれども、私たちこの国会で論議をする場合には、その確定した中でいまなお不正があるということを問題にしておるわけでしょう。確定をしておるということでもう一切批判ができないということになれば、進歩はないはずなんです。だから問題にしておるわけでです。それで、しかもお話ししたいのは、刑事局長もいまたいへん高い信頼度を置いておるという科学捜査研究所の結論が、否定的に二つ出ている。そうして新たに依頼をした鑑定人である磯部さんというのは、どういう人か。驚くべきことには、この人はピストルの知識が全くない。それは再審の公判の中で明らかに自分で証言しているのです。この拳銃は、ブローニングだ。ブローニングのほかにいろいろピストルはあるんだけれども、知っているか、当時そういう知識はなかった。現在もそういう知識はないというのですよ。それからまた、弾丸の線条痕の鑑定には、比較顕微鏡というのが必要であります。科定捜査研究所は、戦前からこの比較顕微鏡を使ってやっている。これは相当高いものなんだけれども、この磯部さんは、比較顕微鏡も持っていない、比較顕微鏡を使ったこともない。線条痕の鑑定は全く初めてだという人なんだ。こういう人に検察庁が鑑定を依頼して、しかもその鑑定結果が出てこない段階で起訴をする、これは刑事局長、弁解の余地がありますか。こういうような裁判の運営の態度というものは、一体正しいのかどうか。この国会の席でそういうことが言えるのかどうか、私ひとつ聞いてみたいと思う。
○川井政府委員 事件が、判決が確定しているからそれでいいんだということは、申し上げたつもりはございません。私もその辺のところは心得まして、起訴した当時、その時点においては、検察官の態度は今日から考えてみてそれでよかったのではないか、こういうふうに遠慮して申し上げました。したがいまして、その後本件につきましては、四十年に再審請求が出まして、今日、再審の開始決定をすべきかいなかということで札幌高裁が司法的な立場から鑑定人や証人を調べたりしていま検討しておる段階でございますので、現在の段階におきまして、法務省当局の立場から、この具体的な案件につきましてあまり詳しくどの点がどうだ、こういうふうなことは、裁判所が動いておる段階でございますから、あまり詳しい内容にわたることは私はやはり適当ではない、こう思うわけでございますので、いままで抽象的に申し上げておったわけでございます。 それから鑑定がなかったといいますけれども、鑑定というのは、御承知のとおり、鑑定申請をしまして、嘱託申請をしまして結果が出ましても、それを鑑定書にするまでにはかなり時間がかかるわけでございます。検事は人を逮捕しましても、訴訟法に基づいて御案内のように十日とか二十日しか期間がありませんので、鑑定をお願いいたしました、鑑定をやっていただいた先生についていろいろ詳細その結果の中間報告を受けまして、それに心証を得て起訴するということも、実務の実際においては間々あるわけであります。したがって、起訴後に鑑定書ができるということも、もとよりある場合がありまして、私本件の場合、いま松本委員がいろいろこまかく仰せのとおり、それほど詳しく最近この事件の経過を調べてまいりませんでしたので、はたしてそこがどうなっておったかということをいま的確に申し上げる資料はございませんけれども、一般的に申し上げるならば、検察の実務の場合におきましては、そういうふうなことも間々あるということを御了解を得たいと思います。
○松本(善)委員 刑事局長、お教えしておきますけれども、八月に起訴されて、鑑定結果の出たのは十一月であります。再審をすべきかどうかということは、再審の裁判所がやるべきでしょう。しかし、これはもう確定して、記録も全部公開されて、みんなの批判の対象になっておる事件であります。私が聞いておるのは、検察の今後の運営として、いいのかどうかという問題なんです。信頼の置けるという科学捜査研究所でマイナスの証拠が出ておるのですよ。マイナスの証拠が出ておって起訴しておるのですよ。有罪のきめ手になった証拠は何カ月かあとにしか出てこない段階。きょうは事実を詳しく知らないということであるならば、それはそれなりの答弁でいいと思いますけれども、そういうことがあっていいものかどうか。もしそのとおりであったら、あるべからざるものであるというふうにお考えになられるのならば、それでもけっこうです。そのいまの範囲の知識でお答え願いたいと思います。
○川井政府委員 私もずいぶん事件をやってまいりましたけれども、鑑定というものは、御承知のように、一つの事件について数個の鑑定をお願いいたしましても、その結果が全部同じになるということは私はむしろまれではないかと思うのであります。血液鑑定なんかというふうな、めったに間遠いがないようなものにつきましても、間々甲乙の鑑定が出ることがあるわけであります。特に弾丸の痕跡の鑑定というようなものは、アメリカにおいてはかなり深い経験が積まれておりますけれども、日本で捜査の資料として持ち込みましたのは、日本の中にピストルというものが必ずしも昔からはでに使われたわけでありませんので、これが捜査の実務に運用されたのはそんなに古いことではございません。したがいまして、先ほど御指摘のように、弾丸の鑑定について、その当時、これはかなり前の事件でございますけれども、日の中に権威のあるその道だけを専門にやられてきた学者がはたして何人おったかというようなことにつきましては、私もこの事件直接は関与しておりませんけれども、この事件が起きた当時、公安、労働関係を担当する職場におりましたので、その当時の事情は記憶としてはよく知っておるつもりでありますが、むしろどの鑑定人にお願いするかということで、鑑定人を選ぶことに非常に苦労した記憶があるほどでございます。そういうことでございますので、鑑定を依頼いたしましても、甲の人は同一だと鑑定する、乙の人は同一であるかどうかわからないと言う鑑定もある、それから丙の人はこれは全く同一だ、こういうような鑑定が出るというようなことでございまして、検察官がその異なる鑑定のどれに信用をおいてその事件を判断するかというふうなことは、これはやはりまた別な問題ではないか、こういうふうに思うわけでございまして、当時の検察官は――あとでもって再審の決定その他でもってまた新しく裁判所の判断が示されましょうけれども、その当時の検察官の考え方といたしましては、痕跡が同じだ、そういう鑑定に信頼をおいて本件を起訴したものだ、こういうふうに思います。
○松本(善)委員 刑事局長の答弁を聞いていますと、先ほど言ったように、検察庁というのは一たん走りだしたら戻れないのかという批判を、全くそのまま感ずるんですよ。起訴当時には、いま言われたけれども、線条痕が同じだという鑑定はないのですよ。あとでお調べになればいい。そんなことが行なわれておるのかということを驚いて、調べてもらいたいのですよ。刑事局長、ここでそんなはずはないということで答弁をあいまいに何度も繰り返されるのではなくて、そんなことがあったのなら急いで調べてみますということを言ってもらいたいのですよ。そうでなければならないはずじゃないかと思うのです。信頼すべき鑑定はないと言われますけれども、科学捜査研究所は、戦前から比較顕微鏡を使ってやっておるのですよ。絶対の信頼を置いているといって答弁しているのですよ。一方磯部さんというのは、全く知識のない人ですよ。検察庁はそんな不確実な鑑定人を依頼するのですかということを聞いているのですよ。しかもこの磯部さんは困ってしまって、どうしていいかわからない。それで比較顕微鏡ではなくて、測角器というのを使って線条痕をはかっている。そうしたら、検察庁の中の人が――これは証言から出てくるのです。淵野辺のアメリカの軍キャンプの中にある極東犯罪捜査研究所に連れていってくれたというのです。ゴードンという曹長の階級の技師を紹介されて、このゴードンに弾丸を預けて、そうして磯部鑑定人は立ち会ってもいない。そしてゴードンが写真を写して鑑定書を出している。弾丸の鑑定というのは、写真をとることが最も重要で中心的なものですよ。実際にはゴードン鑑定なんです。こういうことが行なわれているという事実を聞いて、刑事局長は驚きませんか、当然のことだと思うのですが、私はその感想を聞きたいと思う。
○川井政府委員 何か断片的にお話を聞いていますと、いかにもこの事件について当時の検察官が故意に何か曲げて公訴を提起したかのごとき印象を私はあなたのおことばから受けたのですけれども、そういうふうにおおっしゃられるならば私のほうも申し上げたいと思いますが、検事が公正な裁判所に、この人がこういうことをしたんだ、殺人をしたんだということで殺人の刑事責任を問うというきわめて重大な案件において、すぐ調べればわかるような証拠関係でもって何らかの意図でもって裁判所に起訴をするというふうな印象を与えるようなおことばは、私はいただけない。戦前、戦後を問わず、あらゆる事件がそうでございますけれども、特に殺人というような案件につきましては、御承知のとおり、一人や二人の検事じゃございません、上も下も一体となって十分に証拠関係を検討した上で公訴を提起する。公訴は、公開の法廷において、全く検察と関係のない裁判官の公正無私な態度で白日のもとに捜査がさらされるというのが現状じゃございませんか。検察官は裸になって白日のもとで自分が裁判されるというのが、検察官の心持ちでございます。そういうふうな心境、そういうふうな状況でもって行なわれるような国家の事務について、そんなに簡単にだれが調べてもすぐに黒が白になるということがわかるようなことを起訴するというようなことは、この事件についても絶対にない。この事件において起訴した検察官といたしましては、鑑定その他物的証拠あるいは供述ないしはその裏づけというようなことを十二分に調べて、そしてこれはこの人がやった行為であるという確信と心証を得て本件公訴を提起したものであると、明確に申し上げておかなければならないと思います。
○松本(善)委員 刑事局長は検察官をずっと長くやっておられるから、そういうふうに言われる心情はわからぬこともない。わからぬことはありませんけれども、私はいま言っておるのは、故意にそういうふうにやったというところまで言ってないのですよ。事実こういうことだったというのですよ。再審の結果明らかになったのは、私が言った科学捜査研究所の二つの鑑定書は、再審になるまで私たちにはわからなかったものなんです。検察官のところだけで十何年間眠っていたのですよ。それがいま明らかになったからいま問題になっておるのですよ。刑事局長は、法務省の刑事局長という立場ももちろんあるでしょう。公式の場ですから、なかなかうかつなことも言えないということもあるでしょう。しかし、謙虚に事実の前にあらためて検察というものについてやはり考えるということでないと、検察の信頼というものはますます落ちていくのではないかと思うのです。もちろん、私がいまお話ししただけの事実で、あなた自身の調査は不足でしょうから、全く私と同じ結論にいますぐなれというようなことを私は申しません。申しませんけれども、私がうそを言っているというなら別です。私がうそを言っているのではないというふうに思うならば、これは考えてみなければならぬという程度のことはあってもいいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
○川井政府委員 原則論といたしまして、あなたのおっしゃる検察は謙虚であるべきだ、一たん走りだしても、誤りだと思うならばその場から引き返せ、全く賛成です。私、その態度にいささかも異論をはさむようなことを冒頭から申し上げたつもりはありません。ですから、私もその態度は全く賛成でございますので、常時、いままでもそうですけれども、今後もさらに力を入れまして、法務省というところにおる立場といたしまして、全検察庁に誤りなきを期すように、また誤りはいち早く反省をして、事が大きくならないようにやっていきたいというこの精神、態度、これはもう全く賛成でございまして、私いささかも異論を差しはさむようなものはございません。ただ――これ以下を言わなければいいのですけれども、ただ、具体的な案件については私必ずしも納得できない点がございますので、具体的な問題については少し答えを留保させていただきたいと思います。
○松本(善)委員 では、その問題について厳重に調べて、検察庁としての、法務省としての態度を明らかにしてもらいたいと思いますがいかがでしょう。これは法務大臣にお伺いしておきましょう。
○西郷国務大臣 ただいまの裁判の最中でありますので、その結論を待ってみたいと思います。
○松本(善)委員 法務大臣、もうちょっとお話ししておきます。再審という裁判はやっておるのでありますけれども、私も多少の専門家でありますので多少申し上げさせておいていただきたいと思うのですけれども、この事件は確定をしておりまして、全記録が公開をされておりまして、もう一回裁判をやり直すかどうかということが裁判になっておるわけです。しかし、この事件に関係をする検察庁のあり方というものは、当然に批判の対象にならなければならないものである、こういうことでお聞きをしておるのです。場合によっては専門家の刑事局長にお聞きをしたほうがいいかと思いますけれども、検察庁としては、この段階でもきちっと問題を調べてもらえるかどうかということについてお聞きをしたいと思います。法務省としてでも、どちらでもけっこうです。法務大臣がお答えになってもけっこうです。 〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕
○川井政府委員 再審の開始決定をすべきかいなかということで事実取り調べなどが始まったときに、私担当の課長にお願いいたしまして、いろいろその間の事情をすでに調べておるわけでございまするけれども、私どもといたしましては、先ほどからるる申し上げておりますとおり、特にこの案件について検察庁の方面に格段の不正とかあるいは不明朗な点があったというふうな心証は得ておりません。先ほど大臣からも仰せになりましたように、再審の開始決定をするかどうかということについての札幌高裁の判断を待っている状態でございます。
○松本(善)委員 考えが多少違う点があるわけですけれども、再審の話が出ましたので、再審についての検察庁の態度ということについてお聞きをしておきたいと思います。 先ほど、再審事由があるならば、検察庁は積極的にやはり間違った判決というのは直すというのが原則的な態度であるということを言われました。この事件では、もう一つの問題点であります実際にあと二つの弾丸が幌見峠の中に埋まっておったかどうかということについて、確定するまでの間に、そういうことの実際にたまを埋めてどうなるかということの鑑定はやっておらないわけです。それがいま出てきている。一つは、これは外国の科学者の協力も得てやったものがあるわけですけれども、中国の吉林省で日本の科学者が参加をして、実際に同じ土質のところにピストルのたまを撃ち込んで、そしてそれが一年七カ月あるいは二年三カ月の間にどの程度の腐食をするかということを調べた。それから今度は実際に幌見峠に埋めて、同じ実験をやった結果が証言をされております。長く土中に弾丸が入っておりますと、腐食をしてきますと、力の一番かかったところから、線条痕のところから割れてくる。これは応力腐食割れというんですけれども、この応力腐食割れがこの二発の弾丸にあるかどうかということが、たいへん問題なんです。この実際に物的証拠として出されました二発の弾丸、幌見峠から発見されたという二発の弾丸には、応力腐食割れは全然ない。全くない。一体そういうことがあり得るかどうかということの鑑定がされた。これは日本の研究でも、それから中国でやりました日本と中国の科学者が一緒にやった鑑定でも、そういうことは考えられない、こういう結果が出ておりますね。有罪判決では、この問題については岡本鑑定というのを採用しておる。岡本鑑定はそういう詳しいものではありませんけれども、鑑定をした岡本教授が再審の法廷で、以前に鑑定をして有罪の証拠とされた自分の鑑定を訂正をしている。しかも、いま私申しました中国の吉林省で日本と中国の科学者が共同でやりましたこの実験の成果を、この実験は非常に科学的によく管理をされており、実験の結果は信頼できるものである、こういうように証言された。そうして岡本教授は、自分の鑑定書が有罪判決の理由となったと聞いて、これはたいへん意外のことだと思ったというように言われておる、こういうことが出ておる。非常にはっきり出てきておる。こういうのは、積極的にやはり検察庁のほうで、これは新しい証拠だ、有罪判決の基礎になった証拠をくつがえすような新しい証拠だということでこの事実を認めて、再審開始のために協力をするというのがほんとうの態度じゃないだろうかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○川井政府委員 ただいま御指摘になりました北大の岡本教授も、それから東大の磯部教授も、それぞれ今度札幌高裁において再び証人尋問を受けて詳細な供述をしているようでございます。私、まだその証人尋問調書を見たことはございませんけれども、その一部について当時新聞報道でもつていろいろなことが大きく報道されたのは見た記憶がございます。私は、札幌高等裁判所が新しい観点から再審開始を決定すべきかどうかということでいま一生懸命に一証人を調べ、また記録を精査しているというふうな段階でございますので、いま法務当局の責任ある立場の者から、その鑑定の内容とかあるいはその鑑定人がかつて行なった鑑定の当否とかいうようなことについて、行政当局がいろいろ言うのは適当じゃないのではないかと思います。やはり裁判所の判断におまかせをして、法務当局としてはその結果を見守っているということが一番適当ではないかと思いますので、せっかくの国会における御質問でございますけれども、証拠の内容その他につきましては、私はここで答弁を差し控えさせていただきたいと思います。ただ、検察庁のあり方についてのおしかりならば幾らでも甘受いたしまして、正すべきは正していきたい、こういう覚悟でございます。
○松本(善)委員 私の言いますのは、こういうことなんです。裁判所の再審の結論を待つというのは、それも一つの態度でしょう。態度ではありますが、積極的に検察庁がみずから考えて、これはやはり再審を開始すべきであるという結論を出すということも、一つの態度なんです。そういう態度はとれないものだろうか。 なぜそういうことを申しますかというと、いま出ている中国の吉林省でやった実験だとか、あるいは幌見峠でやった実験だとか、これは検察庁が 一緒に参加していない実験ですけれども、一応結論が出ていますね。これを認めて、もう一回公判を開く、再審を開始するということになって、実際に裁判所の手によって幌見峠にピストルのたまを撃ち込んでみたらいいわけですよ。それで実際に応力腐食割れが生ずるのかどうか。裁判所も参加をする、検察官も参加をする、弁護人も参加をする、そこでピストルのたまを撃ち込んでみて、応力腐食割れが生ずるかどうか。これが一番公正でしょう。いやしくも日本の裁判が疑われておるわけです。これについて誤りが検察庁の手によって正されたというなら、検察庁の権威はさらに上がるかもしれません。しかし、もう一回再審の結果が逆になって、検察庁ががんばったってまたこの白鳥事件もそうだということで、また高校生の話になりますよ。そうなったら、そういうこともやむを得ぬと言われるかもしれません。言われるかもしれませんが、やはり先ほど刑事局長が言われたように、引き戻すこともあるのだ、戻ってくることもあるのだというなら、検察庁みずから判断をして、それならひとつそれをやってみようじゃないかということも、一つの態度ではないかと思うのですよ。そういうことをやるということは、検察庁の中では考えられないことなのか、こう聞いておるのですよ。
○川井政府委員 おっしゃるように、ほんとうに検察官も公平な立場で、その後における証拠調べの結果に徴して検察官から再審の申し立てをして事件をさらに調べ直していくという決断に至るようなきっかけになるような、検察官の立場から見て的確なものであるならば、私は先ほどの原則論に戻りまして、検察官も何の顧慮することなく検察官の立場からあえて再審請求を申し立てていくということになろうかと思います。ただ、いままで私ども報告を受けておりますけれども、最高検察庁ももちろん報告を受けておりますが、この事件にタッチしておる現地の検察庁からも、この再審開始決定をきめる札幌高裁の審理の経過というふうなものをしさいに観察しておりまして、まだこの程度で直ちに検察官が再審請求の態度に踏み切るというようなきっかけにはならない、こういうふうに報告を受けております。
○松本(善)委員 私がきょうお話をしたことについて、刑事局長はよく御存じなかった点もあったようであります。私の話をしたことについてもあらためて検討して、いままでの態度についても再検討をするように希望いたします。 釈放の問題でちょっとお聞きしておきたいと思うのですけれども、この白鳥事件の村上国治さんの仮釈放の問題については、網走の刑務所長から札幌の更正保護委員会に仮釈放の申請が出ておるということが報道されておりますけれども、現状でこの仮釈放の問題がどうなっておるかということについて、矯正局長からちょっと話していただきたいと思います。
○勝尾説明員 本人の網走刑務所における服役態度等、施設のほうとして施設内における行状を見た限りにおいては、仮釈放差しつかえないのではないかという判断がされているということは承知いたしております。ただ、この仮釈放の申請の具体的な手続をいつ幾日したということにつきましては、松本委員よく御存じだと存じますが、施設の運営管理上適当でないということで、本省といたしましては外部に公表しない扱いになっております。ただし、私の承知しておるところでは、新聞等で札幌の地方更生保護委員会が審査を開始したやに報道されておるのを承知いたしておりますので、それを見まして、それでは最近仮釈放の申請手続をとったのだろう、このように推察をいたしております。
○松本(善)委員 当然のことでありますが、刑法二十八条に該当するということで申請をされたのだと思うわけでありますが、村上さんは一貫して自分は事件には関係がないのだということを言っておられたわけであります。このことはもちろん二十八条にいう「改悛ノ状」ということとは直接関係がないものとして判施をして申請されたのだと思いますが、そのとおりというふうに考えてよろしいでしょうか。
○勝尾説明員 私の承知しておるところでは、本人は事件のことについて施設側に何も申していないようでございます。理論的に申し上げまして、本人が事実を否認する、あるいは再審の手続をとるとかという問題と仮釈放の問題とは、私はまた別個の問題として考えてまいりたい、このように考えております。
○松本(善)委員 保護局長にお聞きしたいのでありますが、更生保護委員会で審理が始まっておるということでありますが、この状況についてここで話していただけることを話してもらいたいと思うのです。
○鹽野説明員 ただいま御指摘のとおり、北海道の地方更生保護委員会で本件の仮釈放の審理をいたしております。これは松本委員すでに御承知のとおり、この審理決定につきましては委員会の専権でございまして、私ども法務省といたしましても、この経過につきまして報告を求めておりませんので、手続の詳細は存じておりません。慎重に審理を続けている、かように考えております。
○松本(善)委員 それからこれはまた当然のことでありますが、先ほど矯正局長の言われました否認ということと二十八条の仮釈放該当ということとは別のこととして処理をしていくというのは、保護局長も同じ考えでいらっしゃいますか。
○鹽野説明員 御承知のとおり、刑法の規定によりまして、仮釈法の要件として「改悛ノ状アルトキ」ということになっておるわけでございます。したがいまして、「改悛ノ状」という文言から申しましても、一般的に申しますれば、事実を否認しておるというような場合には、改俊の状がないというふうに考えられる場合が多かろうと存じます。しかしながら、事実を否定しているということから、すぐすべて改悛の状がないのだという結論が導き出されるものとも考えられないので、事実を否認しておりましても、それにはいろいろな事情によってそういう結果になっているという場合もあろうと考えられます。したがいまして、本人のものの考え方、刑務所内における行状、行刑成績その他仮釈放後の生活の心がまえというような諸般の状況を総合しんしゃくいたしまして、改悛の状の有無を判定すべきものだと考えております。
○松本(善)委員 この新聞報道によりますと、検察庁がこのことについて意見を発表したり、それから仮釈賛は時期尚早だとか、反対だとかいうようなことが報道されたことがあるわけでありますが、検察庁としてはこれに関与するのでありましょうか。当然のことでありますが、お聞きしておきたいと思います。
○川井政府委員 保護局長がいま申されたとおり、検察庁もこれについて関与はいたしておりません。
○松本(善)委員 法務大臣に最後にお伺いしたいのでありますけれども、先ほど来私が白鳥事件の例をあげていろいろ本省の各局長にお聞きしたのでありますけれども、一番最初に申しましたように、日本の戦後の検察というものを謙虚に見てみた場合に、いわゆる新聞報道で黒星というのが幾つもあります。これについてどう考えるか。いままでの場合には、大体これは有罪にならなかったことについて反省をするというような意見が、かなり出ている。私は、そういう通り一ぺんではいかなくなってきているのじゃないか、この法務行政について、やはりほんとうに検察官というものがどういうふうでなければならないかということを考えなければならない段階に来ておると思うのでおります。そういう抜本的な考え方でこの法務行政に当たられるかどうかということについて、所信を伺いたいと思います。
○西郷国務大臣 お答え申し上げますが、いまいろいろ承りましたけれども、やはり検察官といたしましては、本来の厳正公正な立場に立ちまして、謙虚に事実を糾明するという正しい態度はもちろん当然のことではございますが、いまいろいろ御注意もございますので、今後一そうそういう点について謙虚に考えてまいりたいと考えます。
○松本(善)委員 質問を終わります。
○永田委員長 次回は、明十八日午前十時から理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時六分散会