商工委員会 第1号
- 発言数
- 130 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1968/12/17
会議録
○小峯委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。 すなわち、日本経済の総合的基本施策の樹立及び総合調整並びに通商産業行政の実情を調査し、その合理化及び振興に関する対策樹立のため、 一、通商産業の基本施策に関する事項 二、経済総合計画に関する事項 三、公益事業に関する事項 四、鉱工業に関する事項 五、商業に関する事項 六、通商に関する事項 七、中小企業に関する事項 八、特許に関する事項 九、私的独占の禁止及び公正取引に関する事項 十、鉱業と一般公益との調整等に関する事項 以上各項について、小委員会の設置、関係方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中に国政に関する調査を行なうため、議長に対し、国政調査承認要求を行なうこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。 ――――◇―――――
○小峯委員長 この際、大平通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大平通商産業大臣。
○大平国務大臣 このたび私は通商産業大臣に就任いたしましたが、この機会に所信の一端を申し述べたいと存じます。 御承知のとおり、今年に入りましてわが国経済は当初見込みよりもかなり高い水準で拡大を続けており、一方、国際収支も輸出の急伸と輸入の落ちつきによりまして総合収支においても相当の黒字となる見込みであります。 このようにわが国経済の最近の推移はきわめて順調でありますが、これを取り巻く内外の経済環境は決して容易なものではありません。 国際的には、残存輸入制限の自由化、資本取引の自由化、特恵供与の問題等が当面の課題となっております。加えて、つい最近の国際通貨問題に見られるとおり、世界経済はいまや激動しつつあります。また、国内的には、労働力需給の逼迫、都市過密化、公害、物価問題等早急な解決を迫られております。 このような時期における通商産業政策は、情勢の変化に迅速的確に対応しつつ、問題の核心をついた思い切ったものでなければならないと考えます。私は、次に申し述べる事項を今後の通商産業政策の重点として、その実現をはかってまいりたいと考えます。 まず第一に、貿易の振興と経済協力の推進が緊要であります。激動する世界経済の中で、貿易立国の国是とするわが国が一そうの発展を遂げるためには、貿易の振興に一段の努力が望まれるわけであります。このため、プラント輸出等を促進するための日本輸出入銀行の資金の充実、アジア諸国との貿易を伸ばすための一次産品の開発輸入の促進等の施策に積極的に取り組んでまいりたいと思います。 第二に、資本自由化の進展など開放経済は今後いよいよ本格化する情勢にありますが、産業がそれぞれ強い国際競争力を持つことこそこれを乗り切っていく力であります。したがって、わが国産業の国際競争力をさらに強化するため、産業の構造改善の促進と企業体質の強化を強力に推進してまいりたいと思います。 第三に、発展途上国からの追い上げ、特恵供与の問題と労働力の不足等の情勢に対処して、中小企業の近代化を急速に進めることが大切であります。幸いにして現在中小企業の近代化、高度化の意欲はきわめて旺盛であり、共同化、協業化のための各種の事業計画がもくろまれておりますが、これらの事業に低利資金を供給する中小企業振興事業団の資金量の拡充を中心に、中小企業施策の強化をはかってまいりたいと思います。 第四に、産業の国際競争力の基盤をなす技術開発力の培養と技術的最先端産業の育成が必要であります。このため、超高性能電子計算機の開発等いわゆる大型プロジェクトの拡充推進と技術的最先端産業の育成強化をはかるとともに、現行特許制度についても時代の進展に即応した抜本的な改正を加えていきたいと考えております。 第五に、現在検討中の新石炭対策を早急に確立いたしますとともに、増大するエネルギー需要に対処いたしまして、海外石油資源の開発と原子力産業の育成に努力いたしたいと思います。 第六に、経済の高度成長と繁栄の反面重要となってまいりました公害問題については、国民の福祉向上の見地から積極的にその解決にあたりたいと考えます。このため公害の規制の強化、産業立地の適正化施策を拡充する一方、公害防止技術の開発、企業に対する事前指導を強化してまいりたいと思います。 第七に、最近の消費者物価の上昇が国民生活に影響を及ぼすに至っていることは遺憾なことであり、私としては、物価の安定を重要課題の一つとして取り組んでまいりたいと思います。このため、中小企業、流通などの低生産性部門の生産性の向上を急速にはかる必要があると考えております。 私は、以上の諸施策を通じまして、わが国経済の繁栄と豊かな国民生活の実現のため最善を尽くしてまいる覚悟であります。何とぞ委員各位の深い御理解と御支援をお願いする次第であります。 なお、今国会におきましては、日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案を提出いたしております。 何とぞ慎重御審議をお願い申し上げる次第であります。(拍手)
○小峯委員長 次に、菅野経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。菅野経済企画庁長官。
○菅野国務大臣 ただいま委員長より御紹介いただきましたが、今回、再度経済企画庁長官を仰せつかったものでございます。並びに万国博覧会のほうも担当いたすことに相なったのであります。まことに浅学非才なものでありますが、皆さん方の御協力によってこの職責を全うしたいと考えますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 つきましては、今後の経済企画庁長官並びに万博担当大臣としての私の所信について申し上げて、皆さんの御批判を仰ぎ、また御指導をお願い申し上げたいと存ずる次第であります。 まず最初に、最近の経済情勢と今後の見通しについて申し上げたいと思います。 最近の経済の動きを見ますと、鉱工業生産は増勢を続けており、企業の投資意欲も根強いものが見られるなど、国内経済活動は依然として拡大基調にあり、他方、国際収支は貿易収支を中心に好調を続けております。 このような経済の推移から見て、本年度のわが国経済は、実質一二%程度の成長を遂げ、国際収支も総合収支で十億ドルを上回る黒字を見込んでおります。 しかしながら、国内経済においては、消費者物価が騰勢を続けているなど望ましくない面もあるとともに、海外経済の今後の情勢についても、米国景気の見通し、国際金融情勢の推移など、楽観を許さない問題が出てきております。 このような内外の諸情勢を慎重に見守りつつ、今後の経済運営にあたりましては、まず物価の呼定を第一義的な政策目標として全力を傾注するものとし、農業、中小企業、流通部門等低生産部門の近代化、産業及び企業の体質改善等を重点的に推進し、わが国経済の体質を強化して、長期にわたる経済社会発展の基盤を整備してまいる所存であります。 このような目標のもとに、財政金融政策を中心とする経済政策の適切な運用により、四十四年厚のわが国経済は順調な成長が期待されます。 なお、昨年三月策定を見ました経済社会発展計画について申し上げますと、以上見てまいりましたように、最近の経済の実勢は、この計画の想定する成長の線をかなり上回っております。計画の掲げる物価の安定、経済効率化、社会開発等重点政策は、今後ともますます必要になってまいりますが、想定数値と実勢との乖離にもかんがみまして、計画をどう考えるべきかにつきましては、各方面の意見も参考にしつつ十分慎重に検討してまいりたいと考えております。 次に、物価の安定と消費者行政の推進について申し上げます。 当面問題となっている消費者物価につきましては、本年度は、前年度後半からの根強い騰勢もあって、当初の政府見通し四・八%の範囲内におさめることはかなり困難となっております。このような消費者物価の大幅な上昇は、単に国民生活を圧迫するのみならず、あらゆる経済政策の効果を減殺するものでありますので、明年度におきましては、その上昇を極力押えるよう、各般の施策を一そう強力に推進してまいりたいと考えております。 他方、卸売り物価につきましては、本年度は当初の政府見通しの範囲内におさまるものと考えられます。明年度につきましても、引き続きその安定化につとめたいと考えております。 現在の物価上昇の要因は、基本的には、急激な経済成長に伴う経済の構造的変化によるところが大きいものと考えます。したがって、政府としては、今後とも生産性の低い部門の近代化、競争条件の整備、労働力の有効活用、輸入政策の活用、適時適切な財政金融政策の運用等、物価安定のための諸施策を総合的かつ着実に積み重ねてまいる所存であります。これとともに、その背後にある旧来の制度、慣行に再検討を加え、新しい時代に即した新しい制度を確立し、物価の長期的安定をはかり、経済の健全な発展を期する所存であります。 次に、消費者行政を中心に国民生活行政全般の問題について申し上げます。 近年、国民の生活水準は大幅に上昇し、消費生活の内容も高度化し、多様化してまいりましたが、その反面、有害商品の増加など消費者利益の侵害のほか、住宅難、公害、交通事故など国民生活を脅かす問題が生じてきております。 政府といたしましては、これらの障害を取り除き、国民福祉向上のための諸施策の充実につとめてまいっております。特に消費者の保護につきましては、さきの国会で消費者保護基本法が制定され、消費者保護に関する基本的方向が明確にされましたことは、画期的な意義を持つものと考えます。今後は、この法律で示された施策に沿って、関係法令の整備、消費者教育の推進、行政運営の充実、改善等を積極的にはかっていく所存であります。 次に、国土総合開発の推進について申し上げます。 近年、日本経済はめざましい発展を遂げ、都市化が急速に進展いたしました。これに伴って国民の生活水準は着実に向上してまいりましたが、同時に、国土の利用が一部の大都市地域に過度に集中したため、これらの地域ではいわゆる過密の弊害が深刻化し、他方、急激な人口流出をみた農山村等の一部では、教育、医療など基礎的な生活条件にも影響を与えるほどの過疎現象が生じてきております。 このような地域経済社会の動向に対処し、経済社会の長期にわたる発展を確保するためには、全国にわたる情報、通信網と高速交通体系を整備して、国土の開発可能性を拡大し、この基礎の上に、各地域の特性に応じて均衡のとれた開発を進めるとともに、都市、農村を通じて国民のための豊かな社会環境を創造することが必要であります。 政府は、従来から地域開発の促進につとめてきておりますが、今日、新たな観点から国土総合開発の基本的方向を示す必要があると考え、目下新しい全国総合開発計画の策定に取り組んでおり、今後、国民の理解と協力を得て実効のあるものとしたいと考えております。 最後に、日本万国博覧会について申し上げます。 なお、今回、私は日本万国博覧会の施策を担当いたすことになりました。この博覧会は、わが国が明治以来その開催を意図し、ようやく実現にこぎつけた一大国際行事であり、産業、経済、文化の各分野において日本民族の英知と活力を世界に問う絶好の機会であります。各方面の御協力を得て、歴史に残るりっぱな成功をおさめるよう期待する次第であります。 以上、主要な施策について申し述べましたが、本委員会及び委員各位の御支援と御鞭撻を特にお願い申し上げて、私のあいさつといたします。(拍手)
○小峯委員長 次に、各政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。藤尾通商産業政務次官。
○藤尾政府委員 今回通商産業政務次官に就任をいたしました藤尾正行でございます。大臣の御指示のもとに、通産行政に万全を期すべく一生懸命にやりたいと思いますから、委員各位の深い御理解と御支援をいただきたいと思います。(拍手)
○小峯委員長 植木通商産業政務次官。
○植木政府委員 このたび通商産業政務次官に就任いたしました植木光教でございます。懸命の努力をいたす所存でございますので、どうぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。(拍手)
○小峯委員長 登坂経済企画政務次官。
○登坂政府委員 このたび内閣改造によりまして、経済企画政務次官を拝命いたしました。皆さま方の御鞭撻と御協力のほどをお願い申し上げまして、大過なくその職務を果たさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) ――――◇―――――
○小峯委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 すなわち、先ほどの理事会で御協議願いましたとおり、日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案を審査するため、本日日本合成ゴム株式会社社長松田太郎君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。 ――――◇―――――
○小峯委員長 通商産業の基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
○中村(重)委員 重要閣僚に就任された大平通産大臣に敬意を表して、御健闘を期待いたしたいと思います。 〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕 時間の制約がありますので、端的にお尋ねをいたしまして、大臣の率直な御回答をいただきたいと思います。 通産大臣は、就任と同時に非常に重要な自由化の問題に対しましても触れられたのであります。また日本経済新聞の黒川経済部長と対談をされまして、自由化を思い切って推進する意向を表明されたわけでありますが、具体的な構想があると思いますが、この際、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○大平国務大臣 いま、ガット加盟国であるわが国がガット規定に違反して輸入制限をいたしておる品目が百二十一を数えておる、これにはそれぞれの理由があるわけでございますけれども、いつまでもこの状態でおりますることは、わが国の名誉と信用のために望ましくないことであるばかりでなく、今後日本が国際経済社会で躍進を遂げていきますためにも必ずしも利益があると思えないのでありまして、基本の方針といたしましては、自由化をできるだけ推進してまいるという方向でいくべきだと私は考えます。今朝も政府におきまして、そのような基本の方針が閣議できめられたわけでございます。いまお尋ねの具体的な手順というものでございますが、これはきょうの閣議決定にもうたわれてありますように、ここ両三年の間にかなりの品目を自由化するんだという方針がきめられたわけでございますが、問題は、わが国の最大の得意先と申しますか、関係国でありまするアメリカが、わが国の輸入政策について、かねがね非常な関心を持っておりましたが、アメリカのほうから、特にアメリカが関心を持っておる品目の提示もありまして、早急に日米協議を開くことになっておりますので、手順といたしましては、まず日米二国間の問題を早急に協議に入ってみたい、そう考えておるわけでございまして、その他の国々、これは最恵国約款を持たれておる国は、日米の取りきめが当然均てんすることになるのでございましょうが、同時に、いろいろ対日輸入制限をいたしておる国々もありまするので、そういった国々とも協議を進めながら逐次自由化の方向に持っていきたいと考えております。
○中村(重)委員 いま大臣がお答えになりましたように、今朝の閣議において、愛知外務大臣から、自由化のスケジュールということについての提案がなされた旨報道されておったわけであります。大臣もそのことに触れられたわけでありますが、愛知外務大臣は、早期かつ大幅な自由化を行なう具体的なスケジュールを新聞報道を通じて明らかにされておったようであります。自由化の三原則として、即時自由化をする、両三年内に自由化をする、それから自由化困難な品目の三段階に分けて自由化を推進していくんだ、こういうことであります。いま大平通産大臣の早急に自由化を進めていきたいという意向の表明がなされた。だが、しかし、自由化に対して業界があげて反対をしておると申し上げてもよろしいかと思うわけであります。反対をしている理由といたしましては、やはり競争力の問題ということが第一にあげられてくるのではないか、このように私は考えるわけでございますが、この両三年内に自由化のスケジュールをつくっていく、こういうことになってまいりますと、どういう品目になってまいりましょうか、そのことはお答えの中で明らかにしていただきたいと思うのでございますが、その非自由化品目の中で六十九品目は農産物関係ということに実はなっております。また中小企業製品というものが相当あるわけですね。してみますと、農漁業であるとか、あるいは中小企業の構造改善というものは、いまの政府の政策の中ではなかなか進められない。したがって競争力はないと、こう申し上げても差しつかえないのではないかというように私は思うのであります。したがって三段階に分けて自由化を推進する。これはガット加盟国である日本といたしましては、いま大臣からもお答えがございましたように、アメリカの意向というものを相当尊重していかなければならないという考え方はわかるのでございますけれども、国内のそうしたおくれた競争力の弱い産業の実態を考える場合において、自由化のスケジュールをつくる前にそうした中小企業であるとか、あるいは農漁業の構造改善のスケジュールをつくるということは私は先決ではないかという感じを持つのでございます。それらの点に対しては、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるかお示し願いたいのであります。
○大平国務大臣 仰せのとおりでございます。したがって、今朝の閣議決定におきましても、自由化対策、第一次産業はもとよりでございますが、いま御指摘の中小企業等競争力の脆弱と思われる部面の構造改善、それから直接の自由化対策として配慮しなければならないこと、そういったことを十分政府としては配慮しながらスケジュールを進めていくべきとわれわれも心得ております。
○中村(重)委員 大臣はそのとおりだと、こうおっしゃったわけですが、ところが、アメリカから自由化をしてもらいたいという品目の提示があり、それを中心にしていわゆる自由化スケジュールというものを日本政府としてはつくった、こう思うわけであります。新聞報道を通じて私どもが知るところによりますと、二十数品目とか、あるいは三十品目をアメリカは提示をした、即時自由化としてはこの三十品目程度を考えているということを外務大臣が明らかにしておるわけであります。これに対しまして、本日の閣議において、そうした具体的な提示があったのか、またそれに対して通産大臣あるいは農林大臣はこれに同意を与えたのか、その点伺ってみたいと思います。
○大平国務大臣 具体的な品目の提示はございません。自由化の基本の方針をきめたのがけさの決定でございます。ただ、この決定をめぐりまして、若干の質疑がかわされて、とりあえず対米折衝に入らなければならないが、いま御指摘のアメリカからの関心品目の提示は三十七品目で、どういうものであるかというようなことについて説明が求められたことは事実でございます。これに対して一つ一つの品目につきまして、農林大臣あるいは私からけさの会議で論議をするということはなかったのです。ただ、一般的に、先ほどあなたが御指摘になりましたように、農林大臣としても、私といたしましても、背後に生きた企業、事業をかかえておるわけでございますから、十分自由化対策に慎重を期しつつ、基本の方針に御賛成は申し上げますけれども、そしてそれに協力を惜しみませんけれども、各省の十全な自由化対策に対する御協力を前提にして御協力するという趣旨のクレームはつけておいたわけです。
○中村(重)委員 まず、日本にとってアメリカが最大のお得意先であるし、またアメリカにとっても日本はこれまた最大のお得意先であるということになるのです。日米間の貿易というものは二十数%を占めておる、こういうことに私はなると思うのです。ところが、日本の残存輸入制限、これを段階的に取りはずしていく、こういうことになる。その場合、アメリカと二国間において話し合いをしていくのだ、その他の、まあヨーロッパ諸国という形に私はなろうと思うのでございますが、それらの国とも逐次話し合いをしてこれを進めていきたい、そういうお答えであったように思うわけであります。そうなってまいりますと、まずアメリカに対して、アメリカの要請にこたえて――品目はアメリカからは三十七品目ということでございますが、直ちにこれに応じ得る品目が幾らになるのか、その点はこの後の話し合いによってきまっていくであろうと思うわけです。御承知のとおりに、ガットの加盟国は貿易上一切の制度はガット加盟国に平等に適用しなければならぬ、それがたてまえになっておる。いわゆる無差別の原則というものがあるわけでございますが、アメリカとの二国間の話し合い、そういうことだけでよろしいのかどうかという点の論議というものは当然あったであろうと私は思うのです。その点はどのようにお考えになっていらっしゃるのですか。いわゆる無差別の原則というものを破っても差しつかえないというようにお考えになっておられるか、その及ぼす影響というものをどのように判断をしておられるか。
○大平国務大臣 ガットの場で問題を取り上げて、いうところの大衆討議というような姿において実効ある成果をあげるというようなことはあまり賢明でない。実効ある成果をあげることは必ずしも期待できませんので、普通のやり方は、まずガット規定なんかにかかわりなく、二国間の交渉を精力的に詰めて、そこで実のある成果をおさめるという行き方が実際のやり方としては賢明だと思うのです。どうしてもこれはガットの場に持ち出してというようなケースになることは、本来あまり望ましいことではないと思うのでございますが、そういう意味で日米間の二国間交渉というのは、私はたいへん重大なことだと思っておるわけでございます。それから他の第三国、日米以外の第三国の場合は、先ほども申しましたように、日米間で取りきめができた場合は、当然それに均てんするものもありましょうし、そうでない国もありましょうが、まず当面しておる日米交渉に全力をあげるべきじゃないかと私は考えております。
○中村(重)委員 この交渉の進め方としてはわかるわけです。おっしゃるとおりだと私は思う。交渉いたしまして、アメリカに対してだけ日本のいわゆる残存輸入制限品目を自由化をしていく、他の第三国に対してこれを均てんするもの均てんしないものもあるだろう、品目によっても確かにある。アメリカが日本に対して輸出をするからといって、その他の第三国にアメリカと同種品目があるというわけじゃない。また競争上の問題だってあるわけだから、必ずしも同じようなことが同じような形においてこれが利益が均てんしていくということにはならない。なることもあるだろうと私は思うのです。ただ、アメリカとの二国間交渉によっていわゆる残存輸入制限品目を解除した、しかしイタリアあるいはフランス、西ドイツその他の諸国との間にはこれを解除しない、こういうことになってまいりますと、問題が、いわゆるガットの場においても無差別の原則というものを破ることになってくるのでありますし、それなりの議論を呼ぶことにもなってくるでありましょうし、基本的に考えてみても、イタリアが対日輸入制限をいたしておる品目は百四品目といわれておる。これを四十品目くらいに減らすという意向の表明がなされておるわけですね。そうすると、アメリカとだけのそうした制限を解除するという場合に、影響というものは起こってこないのかという点が一点あるのですね。 それから、いま貿易の自由化の問題に対してのことでございますから、今度は資本の自由化というものに対しましても、日本は非常に経済的に発展をしておる、その日本が資本の自由化というものを非常におくらしておるということが全般的な日本に対する一つの非難であり反発になってきておるわけですね。そういうような日本に対する非難、反発というものが資本自由化の面においても非常に高まってくるという結果が起こってこないのかどうかということは、これは十分考えていかなければならないであろうと思うわけでございます。具体的に申し上げましたイタリアとのそうした交渉というものにどういう影響を及ぼしてくるのか。それから資本自由化という点において日本に対する非難というものが非常に高まってくる、それらの点に対してどのような判断というものを持っていらっしゃるのか、伺ってみたい。
○宮沢(鉄)政府委員 ただいま先生御指摘のように、ガット関係にある国の間では最恵国待遇というものがございますので、たてまえといたしましては、アメリカに対して自由化すればほかの国に対しても自由化する、こういうたてまえになるわけでございますけれども、一方、いま御指摘のように、イタリアその他の国は日本に対しましてのみ特別の差別制限というものをやっておりまするし、またそれ以外に残存輸入制限というものも日本ほどではございませんけれどもあるわけでございまして、当然日本側としては、日本がいろいろ自由化を進めるにつきましては、そういう国の自由化も進めるということでなければならないと思います。したがいまして、アメリカとの交渉をやります場合にも、その辺の事情は十分説明して、アメリカにいま即座に与えたことによって、ほかの国にも日本が無条件で与えなければならないというようなことにはならないように、できるだけ交渉の際に努力したいと思います。 欧州諸国に対しましては、アメリカとの交渉が一応終わりました段階におきまして、逐次向こう側の差別制限の撤廃、また向こう側の残存輸入制限の撤廃というものを日本側としても話を持ち出していきたいと思いますし、その際向こうの差別制限や何かの撤廃の度合いに応じてやはりこちらのほうもやり方を弾力的に考えるということもあわせて考えなければならないのではないか。具体的に、いわゆる差別自由化ができるかどうかという問題につきましては、現在政府部内でもってまだ結論を出しておりませんし、私どものほうも検討中でございます。そういう問題とあわせましていろいろアメリカとの交渉、その他におきまする交渉を包括的に考えまして、何か日本だけが損してしまうというようなことがないようにしたいと考えております。
○中村(重)委員 通産大臣は、影響を受ける産業、特に中小企業、農漁業、これらの産業に対する自由化対策ということは当然考えていかなければならない、こうおっしゃった。また、外務大臣も、影響を受ける中小企業やあるいは農漁業経営に対する適切な保護対策を講ずるということを明らかにしておるわけであります。ところが、いつも、中小企業あるいは農漁業は非常に生産性がおくれておる、近代化を強力に進めていかなければならぬということをいうわけです。ところが、現実にはなかなかそれが行なわれないわけですね。大企業に対する過度の保護対策と中小企業あるいは農漁業を比較をいたします場合に、あえて私はそう指摘し得るわけです。その具体的なあらわれといたしましては、中小企業基本法あるいは農業基本法を考えてみましても、他産業との均衡をはかる、大企業と中小企業との格差を解消する。農業あるいは中小企業の基本法は、これは憲法でありますから、その憲法の精神、目的というものが生かされていかなければならない。ところが、生かされていない。格差は、均衡するのではなくて、拡大をしておるということが、これは明らかに実証としてここに出てきておる。 そこで、自由化対策としてこれらの産業に対して保護措置を講ずる、こういうんだが、それならば、具体的にどういう保護措置を講じて、自由化をしても影響がないというようなことをこれからスケジュール的に進めていこうとお考えになっているのか、具体的に伺ってみたいと思います。
○大平国務大臣 農林省においてもそういうこともいえると思いますが、通産省におきましても、いまわれわれがやっておりますることは全部が自由化対策だと規定してもそう大きな失当でないと思います。つまり、体質を改善して近代化して生産性をあげて経済の効率化をはかっていくということ、企業の効率化をはかっていくということが産業政策の基本でございまして、そういう方向で全部施策しておるわけでございますから、極端にいうと、われわれは自由化対策をやっておると申し上げてもいいくらいじゃないかと思います。 それでは、今度の自由化への前進にあたって特に施策することは何か、こう問われるならば、これまでの九三%の自由化というのは、どちらかというと、比較的困難ではあったでしょうけれども、困難の度合いが軽少であったもの、そういっていいんじゃないかと思いまするが、これから自由化をお願いせねばならぬものは、いままでともかく差し控えてきておったものでございますから、相当肉を切らなければいかぬような、相当つらいきびしいものになると思います。したがって、私どもの気持ちとしては、従来われわれが続けております産業政策というようなものにつきまして、ひとつ特段の配慮がいまから自由化をお願いする部面にはされなければならないのじゃないか。政策の基調が変わるのではなくて、いままでやってまいりました政策の分量、度合いというようなものに大きな前進をこの際はかっていただかなければいかぬのではないかという点が第一点でございます。 それから、それは基本的にそうでございますが、現実にいろいろ自由化をしてそれで出てきた結果、これはたいへんだという事態が、ものによって起こらないとも限りませんから、その場合に、緊急の場合にどのように対処するか。他の産業政策だけでいけないことも出てくることが予想されないでもございませんから、そういった点周到に配慮いたしまして、思い切っていただく以上は、それに対応してわれわれのほうも十分親切な施策をして差し上げなければいかぬのではないかと思っております。それじゃ具体的にどういう部面にどのように土盛りをしてやってまいるかというようなことにつきましては、担当局長からそれぞれ説明いたさせます。
○宮沢(鉄)政府委員 大筋は大臣からお話し申し上げたとおりでございますが、自由化するにあたりましてそういう対策というものを、いま大臣御指摘のもののほかに、たとえば輸入を自由化するにあたりまして、もし必要であれば、ものによっては関税を上げるとか、あるいは関税の割当制度を導入するとか、そういうものもあろうかと思います。それから自由化を実施したあと輸入が急増して関連産業に重大な損害を与える、あるいは与えるおそれがあるというような場合には、機動的に現行の緊急関税制度または緊急輸入制限、こういうものを発動するということが考えられると思います。また場合によりましては、相手国に輸出自主規制の実施を要請するということもあり得ることだと思っております。 それから関連産業の対外競争力の強化を一そう促進するために、当然合理化とか近代化への努力をさらに強化するということが必要ではございますが、これはいま大臣御指摘のように、いままでもやっておるわけでございまして、そのほかの内外の技術格差を解消するということも当然必要だとも考えられますし、必要に応じまして財政、金融あるいは税制上の諸措置の強化拡充、重点的活用というようなことを考えるというようなことになろうかと思います。
○中村(重)委員 自由化をやる。その自由化をやります場合に入ってくる品目、それを直接生産する日本の産業、企業に対してどういう影響があるか、また自由化をしてもその品目を生産しておるところの企業というものは競争力があるかどうか、これに対して競争力の有無を検討する。そうしていまお答えになりましたようなもろもろの税制であるとか金融上の措置を講じていく、こういうことですね。直接の場合は私はそれはそれなりの効果というものがあるであろうと思う。ところが自由化というものは必ずしも直接的な影響だけではない。自由化をしたために間接的な影響というようなものが中小企業であるとかあるいは農漁業に強く及んでくるというところに私は問題があると思う。その点はどのようにお考えになるのかということが私は聞きたいところなんですよ。ただ直接競争品目を生産する企業に対するところの措置だけでは問題の解決にはならないんだということです。その点に対するところの十分な配慮というものがなされなければならない。黒川さんとの対談の中でも大臣は言っておるわけですけれども、産業政策ということだけでは実はだめなんで、政治的な関係その他いろいろな面を配慮していかなければならぬということも触れておられるし、いまもまた、産業政策だけではだめなんだから別の方途についても十分検討していかなければならない、こういうお答えがあった。それらの点については、またあとで時間がありますればひとつこの際構想を明らかにしていただきたいと思うわけでございますが、限られた時間でございますから、先に進めてまいります。 ニクソン政権下になってまいりますと、保護主義というものが相当台頭してくるであろうことは、これは常識になってきている。具体的にそういうこともあらわれてきつつあるように私は思うわけでございます。そうしたアメリカの保護主義というものが台頭してくるということは十分予想される。だがしかし、それにかかわりなく、日本はアメリカの要請にこたえて段階的に自由化というものを進めていく。しかもその中で即時自由化する品目が三十七品目である。愛知外務大臣は三十品目程度は即時自由化するスケジュールの中に入れておられるようでございますが、そうした、申し上げたようなアメリカの動きにかかわらず、日本はスケジュールどおりに進めていこうとお考えになっていらっしゃるか。その点の御方針を伺ってみたいと思います。
○大平国務大臣 仰せのように、この自由化政策、自由化を推進してまいるという基本の方針は、日本政府が、日本の名誉のために、利益のために、長い展望に立って考えておることでございまして、アメリカとは直接関係ございません。ニクソン新政権の誕生とは関係はございません。ただ、アメリカにおいて新政権ができますと、今度の政権は共和党政権である。なるほど少数与党を率いた共和党政権ではあるけれども、従来の構成から比較してみますと、いま保護主義的な傾向が確かに強くなっておるということは御指摘のとおりでございます。そういう新政権が日本に対しましてどのような要求をひっさげてくるかというような点も、中村先生御心配のように私どもも心配をいたしております。そこで私どもとしては、まず新政権が日本に接近してくる場合に、言いがかりをできるだけ少なくしておかなければいかぬじゃないか。いかにも日本はものわかりが悪いじゃないかというような状態において、これでもかこれでもかというような姿でいろいろやってこられることは迷惑だと思うのでございまして、私どもとしては、やる、だけのことはちゃんとやって、やはりアメリカ合衆国は自由貿易国家じゃないか、その正しいコースに忠実な国としてビヘーブしてもらわなければいかぬじゃないかと言えるだけに、わが国の姿勢も正すが、向こうの姿勢もちゃんとしてもらわなければいかぬという意味におきまして、いま懸案になっておる輸入制限を各国で一番たくさんかかえておるというような状態を是正しておくことは、今後自由貿易を貫いてまいります上に日本の利益になるのじゃないかと考えておるのです。
○中村(重)委員 政治論として大臣はお答えになったわけですが、現実はそんななまやさしいものじゃないだろうということです。そこで、具体的なあらわれとしまして、全米輸出拡大協議会というものがある。そこでの会議で、国境税を採用しろということ、またアメリカの輸出を拡大するための具体的な税制、金融の提案というものがなされておったということが伝えられておりますし、サレー米財務次官補が、十二月の六日にニューヨークで開かれた全米製造業者大会で、米国政府は貿易収支の改善をはかるため、ボーダータックスを恒久的な制度として採用することを検討しておる、米国政府は、すでにこの問題について各国政府の意向を打診中である、こういう演説をしておるようですが、日本政府に対しても意向打診がなされておるのかどうか、その点を伺いかい。
○宮沢(鉄)政府委員 ボーダータックスの問題につきましては、ガットの場におきまして、作業グループをつくって各国でいろいろ意見交換を先ごろからやっておるわけでありますが、いまおっしゃいましたような議論がいろいろあるということは確かでございますし、それから場合によりましては直接税の体系の国でも低率の輸入課徴金を取るというようなことも考えられないかという話は、会議に出てきたアメリカの代表から日本の代表に、そんなこともいろいろ議論されておるという程度の話があったわけでございまして、正式なアメリカの提案としてあったというふうには私どもは聞いておりません。ガットの作業グループにおきましても、御承知のように現在のボーダータックス制度というものは、間接税の限度においてそういうことが認められているだけでありまして、直接税の場合には一切認められていないわけでありまして、それがどうもいまのままであると、直接税の体系の国は損をするのかということをアメリカは前から言っておりまして、そういうことの反映としてそんなような提案も場合によっては考えられるのじゃないかという話があったという程度であるというふうに聞いております。
○中村(重)委員 通産大臣は、アメリカから言いがかりをつけられないためにも、日本としてはこういうことをやったんだということを、早くいえば先手を打ってやっておるというような意味のお答えが実はあったわけです。ところが、御承知のとおり、自主規制、これは自主規制ですから、あくまで自主でなければならない。ところが七十三品目の自主規制の中でほとんどはアメリカから強制された自主規制ということに実はなっておる。これは貿易上の当然の障害という形になってまいりますから、ガットの上からいっても問題点ではあると私は考えておる。 そこで、いま自主規制がどの程度あるのか、その中で強制された自主規制というものはどの程度の品目になっておるのかということを伺いたいということです。それから、言いがかりをつけられないためにも、大臣はこうお答えになったわけですが、段階的な制限の解除をやっていく、こういう場合、日本としてはこのようなアメリカの不当な強制、いわゆる自主規制というものをやめさせるという決意をもってお臨みになる考え方であるのかどうか、またその自信はおありなのか、その点を伺っておきたいと思います。
○大平国務大臣 私も外務省におりましたときに、いま御指摘の問題は非常に苦心した問題なんです。私は、アメリカが日本の対米輸出に対して自主規制をしておるというのは、意味は二つあると思うのです。あなたの言う強制されたもの、それから、いわば非常にボランタリーなもの、これは実態をよく見ないといけないと思うのです。たとえば、一ぺん特定の年にもうずいぶん向こうへ、市場にはんらんするほど出まして、それでその次の年は出ないとかというようなことでは、やはり日本のメーカーの生産計画も立ちませんし、ある種の秩序ある輸出が、日本のメーカーのためにも、アメリカのインポーター、いわゆる消費者のためにもなるものが、私はないと言えないと思うのです。そういうものと、それからいま御指摘の強制されたもの、そういうものとを区分けいたしまして、実態をよく掌握いたしまして、それで、問題は日本の利益を守ることでございますから、不当に日本の利益が阻害されておるというようなものについては、勇敢にその除去をわれわれは対米交渉を通じまして貫いてまいる決意でございます。 具体的にそれでは強制されたとおぼしきものがどういうものであるか、そういう品目については局長から答えさせます。
○宮沢(鉄)政府委員 いまアメリカとの関係でわれわれが強制された自主規制ということでくくっておるものが、実は七十三品目あるわけでございます。この中で、いわゆる政府間協定がありますものが、綿製品関係の三十八品目、その他は政府間協定がないもの三十五品目、こういうことになっております。これも、品物別に一つ一つ洗いますと、ほんとうに強制されたというふうに最後まで突っぱれるものばかりかどうかというような点につきましては、なお検討の余地があろうという感じがいたします。 綿製品協定にいたしましても、もともとは、まさにこちらが非常にリラクタントにこういう制度に踏み切ったわけでございますけれども、やはりこういうような協定を結んでいることによるメリットももちろんあるわけでございますから、その辺のことにつきましては、これは強制されたからけしからぬ、すぐやめるべきだというふうにまで主張すべきかどうかという点につきましては、なお検討した上のことにしたいと思います。 しかし、いずれにいたしましても、この自主規制をやっておりますものは、沿革的には、大体向こうで輸入制限運動が非常に盛んになるとか、あるいはその他いろいろほっておきますとどうもぐあいが悪いというような判断のもとに、やむを得ず始めたものが大部分でございますので、したがいまして、これをわれわれとしてはできるだけ一つ一つ洗いまして、いまの段階でどうも不当であるというふうに判断するものにつきましては、できるだけ近い機会にその撤廃について申し入れをしたいというふうに考えております。
○中村(重)委員 大国意識かどうか知らないけれども、自分のほうでこれを非常に紳士的な態度に出ていく、相手国に対してはきわめて寛であるということであってはならぬと私は思うのです。まあ、通産大臣が、言いがかりをつけさせないためにも、この際、日本としてはできるだけ前向きの態度で臨むように努力をしてまいりたい、その考え方はわかる。わかるけれども、アメリカが自主規制という名のもとに強制して貿易障害をやっているというこのことは許されてはならない。いま局長がお答えになったように、どの程度かというような、そういうなまやさしいものではないはずです。通産省にいたしましても、あるいはその他の省におきましても、そうしたアメリカの不当な自主規制の強制というものは許されてはならぬという憤りすら持っておられるであろうと私は思う。きょうは外務省からは参事官がお見えになっておられるにすぎないわけでございますが、愛知外務大臣はきわめて積極的な自由化政策を打ち立ててこれから臨もうとしておられる。ならば、その強制された自主規制というものを断固排除するという強い態度というものが当然なければならないと思う。したがって、即時自由化が三十品目――一応外務大臣の発言されたことを根拠にして申し上げますならば、直ちにこれをやる、それから両三年内に、百二十一品目ですか、その中で六十品目程度を除いて、あと三十品目程度は両三年内にやっていくのだという意向をはっきりさせて、アメリカに対しても、自主規制をやめさせる。日本がやめることに対して異議を言わないというようなことについて交渉はしようという意向の表明をしているけれども、きわめてその態度は弱いということです。これでは私はならぬと思いますから、日本がそういうような態度をもって臨む場合、アメリカは、この自主規制を日本がやめるということに対して異議を言わないのか、一方的にこれをやめても報復的な手段にアメリカが出るということがないのかどうか、この点は重要な問題点でありましょうから、この際明らかにしてほしいと思います。
○大平国務大臣 そうでございますから、つまり三十七品目についての、先方から関心品目が提示されましたけれども、私どもは、このうち幾らおつき合いいたしましょうとは言うてないのです。あなたが御指摘の先方の輸入制限措置の不当なものは、撤去をこちらから要求せねばなりませんし、向こう側の誠意もはからなければならぬわけでございますから、最近開かれる日米交渉を通じまして、いま御指摘のようなこちら側の自由化の都合、先方の誠意あたりをよく勘案しながら、イバラの道を切り開いていきたいと思っておるわけでございます。
○中村(重)委員 そうなってまいりますと、相手方の出方によっては、いわゆる即時自由化というようなことも簡単にはできないというように理解をしてよろしいわけですか。
○大平国務大臣 そういう気概で臨みたいと思います。
○中村(重)委員 順調に交渉が進められます場合に、先ほど私が申し上げましたように、即時自由化が三十品目程度、両三年内にまたその程度だ、残り半分は自由化困難なものであるというような態度をおとりになるようでございますが、ならば、将来ともにそうした品目は自由化をしないという態度でお臨みになるお考えを持っていらっしゃるのか、この際ひとつ明らかにしてほしいと思います。
○大平国務大臣 各品目につきましては、目下原局を中心にいたしまして、各業界との間で克明に検討中でございまして、正直に申しまして、私自身もまだ検討結果を聴取いたしておらないのでございます。そこで、そういうレビューをみな終えまして、終えた上で、いまお尋ねのような点について、これはたいへんむずかしいというような品目が出るかもしれませんけれども、いま私の頭に、それではどのような見当かというピクチュアは全然まだありませんので、いま御答弁は差し控えさせていただきます。
○中村(重)委員 外務省から鈴木経済局参事官がお見えでございますが、私がいま通産大臣に御質問申し上げましたようなことについては、この十二月十五日に外務大臣が方針を明らかにしておられる、いろいろと検討されたことだと思うわけですが、検討された内容について、この際ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○鈴木説明員 ただいまの御質問でございますけれども、先ほど宮沢通商局長がお答えになられましたように、特にアメリカに対して自主規制の問題をどういうようにするか、あるいは自由化の計画を具体的にどうするかという点につきましては、これはむしろ通産行政の所管の問題でございますので、われわれとしては内部に立ち至った議論は申し上げたことはないと記憶いたしております。ただ、政府全体の問題といたしまして、関係者の間でいろいろ協議といいますか話し合いを持った機会はございます。ただ、先ほど申しました外務大臣からいろいろお話があったというような点でございますけれども、私自身、どういう構想をもって大臣が言われたか、まだその辺については何も承知いたしておりません。
○中村(重)委員 外務大臣が記者会見で方針を明らかにしているし、また、きょうの閣議でも考え方を明らかにされたのだと思う。それから、木村官房副長官の手元でこれを調整するということも明らかにされておるようでございますね。私は、時間が許しますれば、調整とは何ぞや――各省との調整ということは私としては理解しにくい面がある。もちろんそれは通産省にいたしましても、あるいは農林省にいたしましても、業者の競争力と日本の中小企業あるいは農漁業に及ぼす影響というようなものは十分わかっているわけだから、そうした観点からその調整を、品目を当然これは即時のものにしても両三年のものにしてもしぼっていくわけですから、そこで調整をしていくということは一応わかるわけです。ただ、セクト的に、この省はこの程度反対しているのだから即時自由化するのはこの程度の品目にする、こちらの省の分はこうだというようなことで、何か均衡的な形で調整をするという形は問題がある。やはり自由化をする品目の及ぼす影響というようなものの度合いというものを十分勘案して調整というものは考えられなければならないというように思うわけでございますから、この点に対しましては大臣からお答えを願えれば伺ってみたいとは思います。ですけれども、いずれまた適当な機会に外務大臣あるいは官房長官等に出ていただいて、その考え方を伺ってみてもよろしいと思います。 そこで、時間の関係がございますから進ましていただきますが、大型合併の問題について大臣の見解をひとつこの際伺っておきたいと思います。 大臣は、大型合併の問題に対しては政治という広い立場から考える、産業にだけ傾斜するのではなくて、別の価値を追求しなければならないこともあり得る、一がいに産業政策の独善の道をまっしぐらに追求していくことはできない、そうしたことを語っていらっしゃるわけでございますが、具体的に八幡、富士の合併について通産大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、この際考え方を聞かしていただきたいと思います。
○大平国務大臣 私は産業政策の責任者でございます。したがって、産業政策担当者として考えれば、御理解いただけますように、日本の産業の体質が改善されて、国際的にたくましい競争力を持つようなものでありたい、こういう基本の考え方に立っておるわけでございます。したがいまして、いま仰せの合併問題、合併によっていろいろのメリットもあり、デメリットもあるでございましょうが、そういう趣旨から申しまして、合併による規模の利益というものを企業が身につけることができて、体質が改善されてまいり、競争力が強くなってまいりますことは、私の立場から申しますと望ましいことであると考えます。 ただ、私が新聞で見解を述べましたように、しかし政治の立場というのは産業政策ばかりじゃございませんし、独占禁止法という法律は運用の責任を私が持っておるわけではございませんから、そういうことを御担当になっておる政府機関におきましては、それぞれいろいろな立場から、広い視野から事案を御勘案になっておられることと思うのであります。そういうことを申し上げたのでありまして、いませっかく公正取引委員会で御審理中でございますので、とやかく批判めいたこと、意見めいたことを申し上げるのは礼儀でもないし、差し控えておきますが、ただ、産業政策の立場からどうだと聞かれたら、こういう希望は持っております、こういうことが精一ぱいの私の言い得ることじゃないかと思います。
○中村(重)委員 そうすると、この産業にだけ傾斜するのではなくて、別の価値を追求するという意味は、いまお答えになったような意味だと理解してよろしゅうございますね。――ところが、この八幡、富士の合併の問題に対して大臣がきわめて慎重な態度をとっていこうとすることについては私は理解できるが、いままで通産省のとってきた態度は私はきわめて慎重を欠いておる。この八幡、富士の合併の問題に対し、その他、大型合併の問題に対して産業政策として一つの考え方を持つことは私は差しつかえないと思うんですよ。それは当然なことだと思う。だがしかし、具体的に合併の申請がなされたものに対して、公取がその公正な立場の上に立ってこれに対処しなければならない。そういう場合に、それに影響を与えるような言動をするということは厳に慎まねばならぬと私は考える。いま大平大臣はそのとおりにお答えになりましたから、私はあえてそのことに対しましてはそれ以上申し上げませんが、ただ大臣が、独占禁止法に新しい光を当てて見直さなければならない時期にきているということは確かだ、こう言い切っていらっしゃる。そこで、新しい光とは何か、独占禁止法の改正が必要であるというようにお考えになっていらっしゃるのか、この際考え方をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
○大平国務大臣 私が就任いたしましたときに、数々の機会で独占禁止法の改正というようなことについての見解を聞かれたのでございます。そこで、私はこういうことを申し上げたのでございます。本来、独占禁止法ばかりでなく、いまある実定法というようなものは国会の審議を経て成立したものでございまするし、法治国家としてこれは尊重しなければならぬ。新しい立法を追い求めるよりは、現在の法律というものを実態に即して大事に運用していくというのが行政に忠実なゆえんではないか、そういう考え方をもともと持っておるわけでございます。たとえば治安立法にいたしましても、こういう立法ができたら取り締まりがしやすいとこういう御見解もありますけれども、現在の立法でぎりぎりまで最善の努力をしてみて、その限界において考えるべきことではないかというように従来から私考えておるのでございますから、法律の改正問題というのはそう軽々に論断すべきものでないと判断いたしまして、あらゆる法律は現行法を大事にして適切な運用をはかっていくべきものと思う。独占禁止法もその例外ではないじゃないか。時代がだんだん進み、産業の構造も変わり、世界の経済の状況も変わってきておるという新しい時代でございますから、そういう新しい時代の事情を照明して、独占禁止法の適切な運営が望ましいのであって、いわば改正というようなことに対してはにわかに賛成できないというような意味のことを申し上げたのでございまして、いまそこで御指摘の新しい光ということばが必ずしも熟しないことでございますけれども、対話でやっておるもので、論文ではございませんから、十分考えた上でやらなければいかぬと思ってそういうようなことも言ったので、趣旨、気持ちはそういう気持ちでございます。
○中村(重)委員 それで通産大臣の考え方はわかった。独占禁止法は改正をすべきではない。二十年代、四十年代、これは大臣が使ったことばです。いまもそのとおりお答えになったわけですが、二十年間であるが、情勢はかなり違ってきている、こう言っておられますね。そのとおりだと私も思う。しかし二十年代、三十年代の資本主義の時代、この時代は、いわゆる企業間のあるいは産業間の公正な競争というものが行なわれた。しかし、現在の非常に高度化した独占資本の時代、寡占化体制の中においては競争というものが制限されてきているということですね。ここに私は問題があると思う。むしろいま通産省がいつも言っているところの国際競争力を強化する、そのためには産業の再編成を進めなければならない、こういうことを言っておられる。そういう中で、過去のある大臣は独禁法に大穴をあけるのだとかなんとかということを放言された。むしろそういうように老朽化しておるとさえ言えるいまの資本主義の体制、こういうときにこそ、私は独禁政策というものの重要な役割りが期待されなければならない。いまのように独占化されておる、寡占化体制の中における資本主義経済の中においては、当然管理価格というものを生み出してくる。それは企業の利潤にはなっても、国民にそのことの利益が均てんしないというようなことになってまいりますから、産業再編成の問題にいたしましても、それからくる大型合併の問題というようなものはきわめて慎重な態度をとっていかなければならない。公取が八幡、富士の合併の問題に対しましてきわめて真剣にこれに取り組んでおるところはそこにあるのであろうと私は考えるわけです。通産大臣は、私がいま申し上げたことに対して考え方の違いはないのかどうか、この際ひとつ伺ってみたいと思います。
○大平国務大臣 その管理価格の問題でございますが、管理価格ということば自体がまだ確立した概念でないようですけれども、しかし中村さん御指摘のそういう価格が硬直化するようなことになるのかならないのかというのは、事実の認識の問題だと思うのです。意見の問題ではなくて事実の認識だと思うのでございまして、そこに十分有効な競争が保証されておるかどうかという事実の認定の問題は、まさに御指摘のように公取当局が公正に判断されておると思うのでございます。 それでは、その事実の認定についておまえはどう思うか、こういう御指摘になると、大型合併の問題にからまって鋼材その他の模様がどうなるのかというようなことは、実は私もあまり勉強をしていないのです。だから、的確なお答えはできないと思いますが、ただ一般的に申しまして、日本の経済全体は相当若い競争力を持っておるのじゃないか、そんなに老朽化した経済ではなくて、非常に前進しておる経済であるのではないかという感じはいたします。しかし具体的に重要な事案の審理にあたって、その許否をきめる場合の事実認定の問題は、権威ある公取当局がその点は十分お考えになることでございますから、私はそれを信頼するということでございます。
○中村(重)委員 事実認識の問題はおっしゃるとおりだろうと私は思うのです。ただ私が申し上げたことは、産業の再編成を行なっていく、それは国際競争力に耐え得る産業をつくり上げていかなければならないのだ、こういう考え方、その発想の中から大型合併というような形のものが出てくる。勢いそれが競争制限というような方向に進んでくることは避けることはできないと私は思う。そこで、ただ国際競争力に耐え得る産業をつくり上げていかなければならないのだ、そういう考え方のみにとらわれ、その結果として利益が企業にのみもたらされて、これが国民の利益に転化されていかないというようなことになっては私はいけないと思う。産業再編成の問題、大型合併の問題に対しましても、いわゆる国民経済的な立場から利益を国民に均てんさせるというようなことをよく言っておられる。また一方においては、そういう寡占体制を強化していくことは結局、国民経済の面からいって問題がある、国民にその利益が均てんされていかないから、そうした体制はくずしていかなければならないというような考え方が有力な考え方として出ておるわけです。したがって、大型合併の申請等に対しましては、公取があらゆる角度から、独禁政策のほんとうの立場から公正な競争を行なわしめるということにおいて日本経済の健全な発展を促してくるし、国民に利益が均てんされてくる。国民経済的な立場からはそのことがきわめて重要であるという認識の上に立って、事実問題をとらえてこれに取り組んでおるということに対しましては、通産省もこれに対して支持、協力の態度こそとっていかなければならない、このように考えておるわけであります。そういう観点から実は申し上げたわけでございますけれども、この大型合併の問題に対しましては、いずれあらためていろいろと大臣と質疑をかわしてみたい、このように考えます。 そこで、山田公取委員長にお伺いをいたしますが、十二月十二日の定例記者会見で、条件つき認可とも受け取られるような新聞の見出しもある。ほとんどの新聞に出ておりますが、ニュアンスの違いはあるようであります。したがって、この際委員長から真意をひとつ明らかにしていただかなければならぬと思います。
○山田政府委員 先ほど通産大臣から、論文を書いたのではなくて対話であったものだからというお話がございましたが、実はあの問題につきましても、私は新聞記者諸君との間の対話の形で話をいたしたわけでございます。その節、私のことばが足りなかったのかと反省をいたしておるのでございますが、多くの新聞に、いままでとそれからそのときと公正取引委員会といたしましての考え方が変わったかのような記事が散見されたのでございますが、そういう事実は全くございません。それが一点でございます。 第二の点といたしましては、どういうような方法で判断をいたすかということは、これは繰り返し申し上げるようでございますが、ただいま厳正にかつ慎重に調査をいたしております段階でございまして、何もきまっておらないのであります。 それから第三点といたしましては、条件つき認可ということばが出たわけでございますが、これは法律的に厳密に申しますれば、条件つき認可ということはあり得ないこと、かように考えます。私どもがいたします判断は、独禁法第十五条に照らしまして、一定の取引分野における競争の実質的制限になるかならないかを判断をいたしまして、その結果、抵触いたすと認めた場合には勧告なりあるいは審判開始の決定をいたすということでございまして、これに条件がつくということはとうてい考えられないわけでございます。ただ、昨今話題になっておりますところのいわゆる大型合併は、正式の手続がとられたものではございませんで、事前相談の段階でございます。したがいまして、その問においていろいろの質疑応答はあるわけでございます。新聞記者諸君からの質問で、いろいろな問題になりそうな点をこちらから指示をするかということでございましたから、こちらから積極的に指示をするということはないであろうけれども、聞かれれば、事前相談であるから、ある程度のことは言うかもしれないこともあり得る、かように申したわけでございます。そうすると、それに対しまして、それではその問題点を向こうが全部改めて相談を持ってくればどうするか、これは問題点が一つもないのであれば差しつかえないであろう、まあこういうような話でございましたのが事実でございます。
○中村(重)委員 そこで、相手方から問題を持ってきて、その問題点がはずされるということになるならば、これは答えとしては認めてもいいというようなお気持ちであったんだろうと思うのでございますが、この二つの会社が合併をする、それぞれの会社においてその品目の生産をやっておるわけですね。同一の品目を生産しておるのもあるでありましょうし、そうでないものももちろんあるでありましょう。ところが、合併をいたしまして、市場占有率の高い品目、あなたのほうでこれはもう当然問題としてひっかかってくるのですね。そういうもの、だけをはずしたいわゆる合併というものが実際問題として可能なのかどうか。何か理論的にはわかるような気もいたしますけれども、占有率の高いものをはずす、いわゆる合併の弊害になるものが除去されるということになってくると、その生産をずっと落としてくるということになる、あるいは中止をするということになる。そのいずれかでなければならないというように思うわけでありますが、そういう場合においては、合併目的の大半がそこで失われてくるということにも私はなると思う。実際問題として、委員長はそういうことが可能とお考えになりますか。専門家でございますから、いろいろと合併を手がけてまいりましたからおわかりでございましょうが、どうでございましょう。
○山田政府委員 その節話題になりましたのは、決して具体的の問題ではございませんで、一般的の問題として話をいたしたわけでございます。それから、そういうようなことにつきまして委員会で討議をいたしたことも、現在の段階ではまだございませんので、どこまでもこれは私個人の、一委員としての私見とおとりをいただきたいのでございますが、ただいまおっしゃいましたような非常に妙案というものは私はきわめて困難であると考えております。しかし当事者が、私には思いもつかないようなさような妙案を考えてまいりまして、それが何ら法律の運用上支障がないものであればという前提でございますから、どうぞ御了承いただきたいと存じます。
○中村(重)委員 そうなってまいりますと、問題になるものをはずしてくると、これはもう合併を認められる。そうすると市場占有率の高い、いわゆるひっかかるようなもの、そういうものがあっては、裏返していえば合併は認められない、こういうことにも私はなってくるというように思う。お答えはたいへんむずかしいだろうと思うのでございますが、その点どのようにお考えになりますか。
○山田政府委員 具体的な問題につきましてはただいま検討中でございますので、ひとつその点は御容赦をいただきたいと思います。
○中村(重)委員 独占禁止法第十五条一項に、一定の取引分野の競争を実質的に制限することとなる合併は禁止する、こうあるわけですが、一定の取引分野の競争の制限、これはどのように理解をしていらっしゃるわけですか。
○山田政府委員 二つに分けまして申し上げたいと存ずるのでございますが、一定の取引分野というのがよく話題になるのでございますが、私どもは、一定の取引分野というのは、有効な競争が行なわれ得る一つの場、こういうふうに解釈をいたしております。その一つの場において有効な競争が行なわれる、これが望ましいのでございます。その競争が実質的に制限される場合には十五条に触れるもの、こういうように理解をいたしておるのでございます。
○中村(重)委員 申し上げましたように、合併問題は後日また質問をすることにいたします。 そこで、通産大臣に日中間の問題につきましてお尋ねいたしますが、御承知のとおりに、本年末に準政府間協定といわれる日中覚書協定の期限が切れることになっております。関係者が協定の延長に精力的に取り組んでおられるようでございますけれども、非常に交渉は難航をいたしておるようでございます。見通しとしては大臣はどう立てておられるのですか。
○大平国務大臣 十一月の十三日に日工展のほうから御申請を受けまして、鋭意査定中でありまして、特別に難航しておるというようなことは私承知いたしておりません。
○中村(重)委員 そうすると今年以降の協定の延長に対しては……。
○大平国務大臣 失礼いたしました。覚書貿易のほうですね。私どもとしては、国交のないところとの貿易が、何か秩序があり、あるいは計画的に行なわれるというような意味において、覚書のような形の協定が民間レベルでありますことはたいへんけっこうだと思っております。 したがって、第一に申し上げたいのは、そういう協定が今年の末をもちまして期限が切れることになっておるのは、こいねがわくば引き続き延長されることを期待いたしております。 それから第二の、それじゃその延長の成否ということにつきましては、まだ覚書事務所のほうから私ども何ら御連絡は聞いておりませんので、どのような様子になっておるのか、よく承知いたしておりません。
○中村(重)委員 大平大臣もお聞きのとおり、佐藤総理はこの問題に対して、いわゆる支持協力を行なうということをはっきり言明されたわけです。具体的にそれでは、支持協力をするということはどういうことなのか。これは総理大臣の答弁ではありますけれども、通産省が主管省と私は実質的に申し上げてもよろしいと思うのでございますから、この点に対しては総理と支持協力の具体的な内容についてどういうお話をしておられるのか、伺ってみたいと思います。
○大平国務大臣 これは御案内のように、北京と東京に事務所がございます。これを設置するにつきましては、出入国その他政府でお世話しなければならぬことは当然なことでございまして、それがなければできないわけでございますので、過去においてそういう成規の手続を踏みまして事務所を設置して、それに所要の助成もいたしておるという形において御協力はしてきたと思うのでございまするし、今後も続く限りにおきましてそういったことを考えていくべきだと考えております。
○中村(重)委員 大臣、問題はそうした事務的な問題じゃないと私は思うのですね。この覚書貿易の協定がどうしてその延長に対して難航しておるのかということは、いわゆる懸案事項というものが未解決であるということ。その懸案事項とは何ぞや。言うまでもなく吉田書簡ですけれども、輸銀使用による延べ払い輸出の問題がある。それから最近非常に前進をしてまいりました中国産の食肉の輸入の問題というようなものがある。こういう問題が一つ一つ解決をしていかなければ、この覚書協定というものの延長というものはあり得ない。 そこで、私は端的に大臣にお尋ねをいたしますが、吉田書簡、これに対してどのようにお考えになっておられるのか。 時間の関係もありますから、あわせてお尋ねをいたしますが、いわゆる輸銀使用によるところの延べ払い輸出、覚書貿易の点でございますが、これに対しましては、どういう態度でお臨みになろうとしておられるのか、明快にひとつこの際お聞かせ願いたいと思います。
○大平国務大臣 そのいうところの吉田書簡というのですが、これは政府間の文書でございませんから、これをどうするこうするというのは私の立場から申し上げることではないと思います。ただ、中村先生がおっしゃるのは延べ払い輸出、輸銀の資金を活用しての対中共延べ払いというものについてやるつもりがあるのかどうか、そういうことを吉田書簡というタイトルで言われておるんだろうと思うのですが、その点につきましては、従来わが国の政府といたしましては、そういう具体的なケースが起きた場合に諸般の事情を考えて諾否を決定するつもりでございますと、こういう答弁に終始してきたと思うのでございます。私もそれ以上のことも以下のことも言えないわけでございますが、従来の政府の方針に従ってやってまいるということでございます。
○中村(重)委員 大臣はかつての外務大臣、また自由民主党の中におきましても大幹部、政界におけるいわゆる大ものなんです。 〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕 それで、この通産大臣に御就任になるとき、中国との貿易をどうするか、いま障害となっておる吉田書簡の問題、輸銀使用による延べ払い輸出の問題、これに対してはどういう態度で臨むべきかということに対してのあなたなりの決意というものはおありだろうと私は思う。ただ、閣内にありますと、あなたの考え方がそのまま何の障害もなく通るというものではないかもしれません。ですけれども、いまあなたがお答えになりました、吉田書簡に対しては、これはいわゆる私の書簡であるから、これに対してはとやかく言うものではないというような、そういう御答弁では片づけられないものがあるということは申し上げるまでもない。それから延べ払い輸出の問題に対しましても、おっしゃるとおりケース・バイ・ケースでという答弁がされてまいりました。しかし、これは三年も四年も、この吉田書簡の問題が出ましてから終始、総理大臣も外務大臣も通産大臣も変わらないように同じような答弁が繰り返されてまいりました。大臣、もうこの委員会において、国会においてそういうことでは答弁は済まされないのではないか。国会の答弁だけではありません。今日の日中関係においてそういう態度ではもう済まされる時期ではないと私は思います。したがって、通産大臣としましては、この問題に対して決着をつけられる必要があると思いますが、どうあるべきかということに対しましては、少なくともきょうはこの問題に対して、私は、初の御答弁でございましょうから、もっと前進したお答えをひとつ伺いたいと思います。私は期待をしてあなたに質問をしておるわけです。
○大平国務大臣 前進したお答えになりますかどうか、苦悶の告白みたいになるかもしれませんけれども、中村先生も御承知のように、第二次世界大戦のあと新しい事態が起きておるのでございます。それはどういうことかと申しますと、在来の国際法では処理ができないような事態、すなわち、一つの国に二つの政権ができておる、その二つともその国の宗主権を主張して譲らない。ドイツにおいてしかり、朝鮮半島においてしかり、ベトナムしかり。また中国においてもそのような事態が起きておるわけでございまして、第三国たるわれわれといたしましては、どのようなおつき合いをするかという場合に、何か国際法があればそれによってやればいいわけでございますけれども、そういう状態を規律する定立した国際法というのがない、あるいは国際慣行もないわけでございます。そこで、それじゃ両方とうまくつき合えばいいじゃないかというのだけれども、それは、両方とも宗主権を主張している以上は、そういうことは論理的にあっても物理的にあり得ないわけでございまして、どちらかとつき合わなければいかぬということになります。それでどちらか一つ選択すると、その片一方とは正規の国交は持てないということにならざるを得ないわけなのでございます。これはいい状態かというと、いい状態でないのでございます。困った状態なんです。もっと分別出せとおっしゃっても、それ以外に物理的に道がないわけでございます。そうすると、その片一方のほうと国交がない場合に、全然つき合わないか、政府のつき合いはないが民間レベルで経済、文化等の交流をやるか、これも二つの方法があるわけでございますが、わが国は後者をとっておるということでございます。そういう状態において戦後の、国際法がない一種の秩序というようなものが保たれてきておるわけでございます。それでは、民間レベルの貿易あるいは文化交流、そういった場合は何をやってもちっとも差しつかえないかというと、今度は国交がないという状態からくる制約があるわけでございます。そこで、いまの輸銀資金の問題になりますが、たとえば日本の市中銀行は資本の蓄積がたいへん豊かでございまして、その資金のコストも非常に安い。だからそれはひとつ市中民間レベルでその延べ払いを考えろというようなことを考えると、私は可能だと思います。ただ輸銀というのは、これは一〇〇%政府機関でございまするので、国交がない場合に、この輸銀が関与をするということにつきましては、これはいまある、ある種の秩序に大きな一石を投ずることになるわけでございます。したがいまして、いま御指摘の輸銀使用というような問題を、いままで政府はともかく諸般の事情を考えてというようなことで、あなたが御指摘のように何年も何年も一向前進しないという事情は、日本政府が悪いのでも、通産大臣が決意がないのでもない。もう戦後のそういう状態の中でのやむを得ない措置であったと思うのでございまして、いまひとつ活路を開け、蛮勇をふるってやれ、こう大平におっしゃいましても、諸般の事情を考えないといけませんので、そこまで舞台から飛びおりるだけの勇気がまだなかなか私には持てない。これは苦悶の告白みたいなことでございまして、答弁にはならぬのでございますけれども、ごかんべんをいただきたいと思います。
○中村(重)委員 私は納得いきませんけれども、あなたの答弁は初めてまともな答弁をされたと思うのです。実際はそういうことだと思う。ところが、中国敵視政策をとらないとか、あるいはいずれの国とも仲よくしていく、あるいは政経分離であるとか、盛んにごまかしの答弁を総理をはじめとしてしてきたのですよ。そしてやっているごとは、みずから台湾に対する気がね、いろいろなアメリカへの気がね、そういうような形においてみずから政治と経済というものを不可分なものにして、いままでいわゆる吉田書簡にとらわれて延べ払い輸出をやってこなかった。しかしあなたは率直に二つの中国の問題や国際法上のいろいろな問題をここであげられた。しかし大臣、さればといって佐藤総理が今度は三選した。あの人は、今度の所信表明の中でも、別に中国の問題に対しましては具体的なことには触れられなかったのだ。これはいわゆる政経分離でやるのだ、中国とも仲よくし、中国との貿易も進めていくのだという方針を変えたということにはなっていない。ならば、みずから発言したことを実行に移していかなければならない責任が総理もあるであろうし、その方針に従って具体的にこれを進めていかなければならない通産大臣は、総理にその実行を迫っていかなければならぬ義務と責任があるであろうし、また権利もある。あなたが中国との貿易をやらない、こういう考え方であるならばこれは別でございましょうが、やはり日中友好、日中貿易の促進をはかっていこうとする考え方というものがあなたにあるとするならば、当然総理大臣の言明してきたことを実行を迫っていかなければならぬ。でなければ通産大臣としての責任を全うすることにはならないと思います。大臣にお尋ねいたします。輸銀使用というものはいわゆる政治ベースでない、純然たる経済問題である、このように認識をいたしておるのでございますが、あなたはどうお考えになっておられますか。
○大平国務大臣 ざっくばらんに申し上げますけれども、輸銀使用を私も外務大臣在任当時やったのです。一回実行いたしたわけです。いたした結果がごらんのような状態になりまして、それで吉田先生が台湾に行かれるとか、いろいろな事情が起こりました。その後の経緯は中村先生よく御承知のとおりなんです。したがって、この問題はあなたのいう経済問題かと私に端的に聞かれれば、そうでございますと私は言い切れないと思うのでございます。そこで、そういう灰色の状態の中で、しかしながら通産省といたしましても、歴代の大臣たいへん努力されまして、貿易拡大につとめまして、昭和四十年以来、御承知のように日本は中共にとりましてはもう輸出入とも最大の顧客になっているわけです。最近西欧がだいぶん進出をしてきたじゃないかといわれますけれども、なるほど去年あたりは進出した国もありましたけれども、ことしになりましてだいぶスローダウンしておるようでございまして、依然として日本は最大の貿易国であることに間違いはないわけでございます。この政府並びに民間の努力も、ひとつそれなりに評価していただきたいと思うのでございます。 そこで、先ほど申しましたように、これは非常に好ましい状態であるかというと、好ましい状態とは私も考えていないわけでございますが、どうも好ましいような状態をいつも神様はつくってくれませんので、こういう状態の中で私どもはベストを尽くしていくというのが、私に与えられた任務であろうと思うのでございまして、こういう不正常な状態が、これは日中関係ばかりでなく世界の方々にあるわけでございます。そういう状態がない世界がほしいわけでございますけれども、そういう事態が招来されるには、まだまだ熟しないものがあるように判断されますので、われわれに与えられた貿易拡大という不断の努力を無限に積み重ねながら、事態の好転に寄与しながら、ひとつ努力してまいる以外に道はないと考えております。
○中村(重)委員 大臣御承知のとおり、覚書貿易は、いわゆる政経不可分の原則を確認したんですね。佐藤総理は、これに対して、覚書貿易の協定の延長に対し、支持協力を行なうということを本会議において言明をしたわけです。そうでしょう。してみると、中国は、いわゆる政経不可分の原則に立って、日中延べ払い輸出に対して輸銀の使用が行なわれておったのに、台湾の容喙によって、これができなくなった。ここに中国政府の日本政府に対するところの反発というものがある。いわゆる積み重ねという問題に対しましても、食肉の輸入の問題等に対しては日本が少しも前向きの姿勢を示さない。覚書貿易の中において取りかわされた協定の内容が日本においては少しもこれが実行されていないというところが、この延長を渋っておるということだと私は判断しておるわけです。したがって、あなたは、私どもがたぶんそうであろうと考えておったことをそのとおりまともにお答えにはなったわけですけれども、どうしてもこれを打開していかなければならぬと思います。 輸銀の問題に対しては、全額これは国のお金なんだから、したがって、これを使用するというようなことについては、法律では純経済的な形になっておりますけれども、いわゆるこれは政治論としては、やはりあなたが言われるようにひっかかるんだろうと思うのです。だからして、政経分離といいながら輸銀使用というものを押えておるというところがそこにあるんだ。しかし、いずれにしても、そのままでは私はいかないと思います。打開をしなければならぬと思う。 そこで、いまのあなたのお答えの中から判断をいたしますと、輸銀使用というものは、中国との覚書貿易の中において延べ払い輸出の可能性はない、現段階においてはそう判断せざるを得ないわけですが、そのとおりに受け取ってよろしいのかどうか。
○大平国務大臣 民間ベースの貿易でございますから、最近のように、貿易が個々の商品の取引ではなくてプラント、一つの集合体としての取引になってきておりまするし、支払いの形態も延べ払い形態にだんだん移行してきておるわけでございますから、貿易をやる以上これは当然じゃないかという気持ちは私もわかるわけです。それで、これは民間の貿易関係者のお気持ちは十分理解できるところでございますが、ただ、この問題は、先ほどもるる御説明申し上げましたように、純経済的なものと言い切れない性格のものがあり、それに私どもが戸惑っておるということでございます。ただ、この覚書貿易の精神は、そういうテクニックの問題もありまするけれども、根本はやはり日中間の貿易拡大ということであろうと思うのでございまして、この日中間の貿易を与えられた条件の中でできるだけ拡大していくという方向に私どもが努力しておるわけでございますから、日中貿易につきまして政府が冷たいとかあるいは偏見を持っておるとか、そういうものでは決してないわけでございまして、そういう点はどうぞわれわれの政府のたゆまざる努力もそれなりに評価をしていただきたいと思います。
○中村(重)委員 民間の業者の気持ちはわかるという。この問題は国内の民間の業者の気持ちの問題じゃないのです。民間の金融機関からそれでは延べ払い輸出に対するところの融資ができないのか。あなたは、できると思うという。できるかもしれません。しかしそれで問題は解決しない。覚書貿易の期間がいわゆる協定が五年であったのが一年になっている。そうしてその一年も、この一年間の実績から日本政府の態度が変わらないというので、これが難航しておる。ここにあるわけですから、民間の業者の気持ちがどうだの、民間の金融機関の融資をする資金のゆとりがあるだの、こういうことであなたがお答えになりましても、それは答弁にはならないです。だから佐藤総理の言明をしたことを当然実行させるということ以外にないじゃありませんか。この覚書貿易の協定、何回もこれを繰り返すことになりますが、この協定に支持協力をするということをいやしくも権威ある本会議の演壇から佐藤総理は明言をしたわけですね。その内容は、あの人が知っていて支持協力をするということを明言をした以上は、事務所のあっせんとかなんとかというそういうことに何も政府が支持をしなくたって協力をしなくたって、それは岡崎代表をはじめとして関係者においてでき得ることなんです。いわゆる準政府間貿易として政府が出なければできないことを、いまあなたがおっしゃるように純経済問題ではない、こう言われたそのことを、やはり輸銀法というものを純経済的なものと判断をすることに対しては法律にもとるものではないのだから、したがって問題の解決をするための努力をする以外にないのだ、私はこのように考えるわけです。したがって先ほども申し上げましたが、いまあなたのお考えの中から私が感じ取ったものは、いわゆる延べ払い輸出、輸銀使用ということは現段階においては期待は持てない。情勢の大きな一つの変化、そのことはアメリカの意向もありましょうけれども、日中間の関係の改善というようなそういう政治問題というものがここで解決をしていかない限り、輸銀使用は純経済的なものではないとあなたは言われるわけでございますから、その問題の解決はあり得ない、こういうことを私は感じ取ったわけでございますが、そのとおりであったのかどうか、もう一度ひとつ確認をしておきたいと思います。
○大平国務大臣 輸銀使用の問題は純然たる経済問題と言い切れないものがある、御指摘のとおりでございます。それではその問題がどういう状況になれば片づくかという設問でございますならば、これはなかなかいろいろな――一口に言いますと、そういうことが可能なような日中関係がみんなの努力ででき上がるということがやはり必要じゃないかと思います。しかしながら、問題は、先ほども申しましたように、それは貿易の一つの手段、技術の問題でございまして、根本は日中問の貿易拡大に本体があるわけでありまするから、その精神をわれわれが最大限に生かしてまいるように最善の努力を払う、それが総理の言われる趣旨でもあろうと思いますので、私どもはそういう努力を積み重ねてまいりたい、そう考えます。
○中村(重)委員 時間がありませんから、この問題はこれで終わりますが、ともかく中国の外交も大きく動き出してきていること、アメリカと中国との話し合いの場というものは御承知のとおりあるということ、アメリカの大きな影響下にあるところのヨーロッパ諸国においては競うて中国との貿易を積極的に展開をしておるという事実、この際七億の人口を持っておる隣国にあるその中国に対して、もっと積極的な態度をとらなければ、悔いを千載に残す結果になる。少なくとも大平通産大臣に対しては、正直に申し上げて私は大きな期待を持っておる。だから、あなたはまともな答弁――きわめて私どもは不満足であるけれども、現状において正直な答弁をあなたはされたのでございますから、その答弁、真意そのものに対しましては、私はあなたを非難しようとは思いません。しかし、あなたにしてこれの局面を打開していくという精力的な取り組みをせざる限り、だれがこれをやるのかということをあなたに私は強調したいわけです。政府に、総理に、ともかく強くこれを、みずから言明したことを実行する、そのことをひとつ迫る、そうして日中貿易の促進に、日中友好に大きく活動を展開をしていただきたいということを要請いたしましてこの問題を終わります。 最後に日工展の問題につきまして一、二点お尋ねをしておきます。 来春三月御承知のとおり中国で’69日工展が行なわれる、これに対するところの出品の申請がもう完了して審査の段階であるということを伺っておるわけですが、’65日工展と比較して審査が非常にきびしい。一つの本体と部分と切り離して、部品がココムに触れるのではないかというような、いままでかつてなかったようなきびしい審査をやっている。その審査の中からうかがいとれるところは、どうもこの日工展を成功させようという考え方がないのじゃないか、日中貿易の振興をはかっていこうとする意図が通産省にはないのではないかというような受け取り方をされておるわけでございます。したがって、どうしてそういうきびしい審査をなさるのか。ヨーロッパ諸国はココムの禁止品目でありましても、きわめて弾力的な取り組みをしておるということは御承知のとおりであろうと私は思うわけです。大臣は、宇都宮徳馬代議士との話し合いの場で、私がいま申し上げましたような意味合いの宇都宮さんの御指摘に対して、善処するとお答えになっておられるようであります。それから原田貿振局長は検討するという御答弁をしておられるようであります。いわゆる善処であります。あるいは検討ということがいま行なわれておる審査の内容なのかどうか、この際ひとつ明確にお答えを願っておきたいと思います。
○原田説明員 日中貿易を拡大するために努力をしたいという精神、方針につきましては、私どもも大臣の意向を体しまして鋭意努力しておるところでございます。したがいまして、日工展につきましても、すでに回数も重ねておりますし、これが成功に導かれるということに努力をしたいという考えについては、全然いままでと変わっておりません。 ただ、今回の御申請につきまして、どうもいままでより少しばかり審査がきつ過ぎるのではないかという御批判を私も承りましたので、そのようなことがあっては困るということで、さっそく調べてみたわけでございます。その結果は、私どもむしろいままでの審査よりは一生懸命になりまして、非常に多くの、七千点ともいわれております件数を早く審査を終わるために努力しているという状態でございます。ただ、いままでは申請をいただきます前に、必要なカタログとか、審査に必要な参考資料をおそろえをいただきまして、かなり事前準備的な段階を経て御申請をいただいております。今回の場合には、お急ぎであったせいもございましょうか、出品点数がいままでの数倍という多数にのぼりまして、反面申請書の記載のしかたとかその他が非常に抽象的なものが多うございまして、規格とか性能とかいうものが申請書だけでは非常にわかりにくい。そこで、そういうものをお伺いをいたしましたり、カタログやその他判断に必要な資料をお願いをするというようなことが必要になった段階がございます。それも、特にこのために係官がかかりっきりというような状態でお願いをせざるを得ない立場に追い込まれたということもございまして、審査をお受けになる方々が、どうもきついというような御印象をお受けになったのではないかと思います。ただ、私どもとしましては、もちろん申請書の判断を少しでも早く的確にやって、この日工展が成功に導かれるようにしたいという趣旨からでありまして、その点はぜひ御了承をいただきたいと思います。
○中村(重)委員 ’65日工展において申請をした業者の方々、もちろん出品点数は上回っておりますが、経験ある人たちが、’65のときはどうであった、’65日工展に対しての扱いはこうだと、体験者がみずからこう言っておるわけでございますから、根がないことではない。だからその点は、大臣が善処をするということは、これは当然前向きに取り組むという意味合いであることは、これは言うまでもないわけであります。だから、いまのお答えがそのとおり実行されるように、担当者を指導していただきたいことを強く要請をいたしておきます。 最後に大臣に、来年度の予算編成の中におきまして、中小企業予算、あるいは環衛公庫の予算、あるいは財投という問題等々のことについて、十分な関心を持っていただかなければならぬと思います。中小企業予算に対しましては、本年度二百七十二億――中小企業庁計上分だけでございます。これが三百四十九億、その中で小規模関係の企業、これは三百万以上の事業主といわれておるのでありますが、これに対して従来二十八億程度にすぎなかった、これが三十六億要求をしておるにすぎないのであります。政府関係金融機関にいたしましても、これは絶対量こそ毎年ふえてまいっておりますが、中小企業が融資を受けておりますところの中におきましての比率は、少しも上がっておりません。八・五%ないし九%という間にいつもあるわけであります。政府関係金融機関は、いわゆる補完的な役割りを果たすのだという考え方を一歩も出ていない。しかし現実はそういうものではない。地方における零細な中小企業の生業的な人たちは、政府関係金融機関、なかんずく国民金融公庫に依存する以外にはない。また貸し付け限度額にいたしましても、もう三百万という最高限度額を当然引き上げなければならない段階であるにかかわらず、そのままである。しかし、ただこれを三百万から六百万へあるいは一千万へ引き上げました場合、いままで国民金融公庫を利用していなかったいわゆる中企業の人たちがこれを利用することになってまいりますと、零細企業は国民金融公庫からも疎外されるという形になってくることを警戒しなければならない。したがって貸し付け限度額を引き上げる、それから償還期限を延ばす、あるいは利率を引き下げるとかという前向きの措置をとると同時に、いわゆる融資の絶対額をふやしていく、原資をふやしていくということをあわせてやらなければ、問題の解決にはならない。 環衛公庫の問題にいたしましても、あなたが政調会長であられた当時、私はこの問題に対して、当時の木村政審会長と一緒にお会いをいたしまして、問題の解決に導いたことを記憶をいたしております。当時は、いわゆる改造資金というものは対象外であった。ところがこれを法律を改正しないで、業務方法書だけを改めることにおいて改造資金というものをここへ入れるようにした。これは原資は別から持ってくるということ、だったが、持ってこない。したがっていま環衛業者は申し込みをいたしますと、申し込みから執行まで六十日ないし七十日、八十日かかっております。そして申し込み金額に対して五三%にすぎないのであります。大きな期待を持っておったけれども、かえってこれはまずかったのじゃないか、悪い結果になったというような声すらあがっておるというのが現実であります。したがいまして、当然、こうした制度をつくりました以上は、内容を充実していくということでなければならない。これは通産省の直接的な、中小企業庁が直接折衝をしておるのではありませんけれども、要求としてはやはりこれは中小企業庁を通じてやっておるわけでありますから、この点に対しましても、財投あるいは内容の条件の改善等についても十分な配慮をしていただかなければならないと思います。 なお、中小企業振興事業団に対して大蔵省がきわめてシビアな態度をとっておるというようなことも伝えられておるのであります。申し込みがいまここに殺到しておる。二倍程度の申し込みがあるのであります。これに対してもっと利率を引き上げろというようなことすら言っておるということも、事実かどうか知りませんが、そういうことも耳に入ってまいります。前は実はこれは金利は御承知のとおり全然ついていなかった。無利子であった。ところが今度制度を改めることにおいて、この金利をつけることになった。その限りにおいてはこれはうしろ向きになったのであります。ところが融資の額を制限したものから、これを全体を対象にするという形においては前向きになったのであります。そこでうしろ向きの点、この利率を引き上げるというような形になってまいりますと、ますますもってこれがうしろ向きになるということになってまいります。そういうことがないように、中小企業の置かれておる現状ということに十分思いをいたされ、中小企業振興のために少なくともいま概算要求をされておる点は大臣折衝に持ち込んでもこれは一歩も譲らない、ひとつこういう取り組みをしていただきたいということを要請しておきたいと思います。 なお信用補完制度が非常に重要である。いま準備基金八十億、融資基金百億の要求をしておる。かつて融資基金は九十億でありました。昨年はこれが七十億に減らされた。したがって今度の百億の要求は実質的には十億を上乗せする要求をしておるのにすぎない。準備基金というのは貸し倒れと代位弁済という形になってまいりますから、当然それがなければならないのでありますから、それと合算した形において大蔵省はこれを見るということは許されないのであります。そういう問題に対しましてもこれは一歩も引けない。いわゆる二五%というワクに中小企業庁は押えられておる、こういうことであってはならないのでありますから、これはこれからむしろ上乗せする形の要求をし、これが実現をされましても、これが削られるということがないようにひとつ十分な配慮をしてもらわなければならない。いわゆる小規模企業関係においては経営指導員の人件費の問題がそのほとんどであると申し上げてもよろしい。ところが経営指導員は身分も不安定である。給与も安い。年末手当にいたしましても、これはわずかに一カ月分、いわゆる公務員と同じように三・三カ月分が要求され、離島僻地においてはこれは離島手当というものが実は一カ月分要求されておる。こういうことも昨年はとうとう成功しないで、離島旅費という形において解決した。ことしは必ず離島手当ということでこれが成功するであろうと期待をしておる。いわゆる中小零細企業の振興のために最小限度の要求であるという認識をひとつこの際特に持っていただいて対処してもらわなければならないと思う。私どもといたしましては、あらためて大臣に文書をもって要求を出す準備をしておりますが、この際いま私が申し上げましたことに対しましてひとつ大臣から明確にお答えを願いまして、それによって私の質問を終わりたいと思います。
○大平国務大臣 いま御指摘の中小企業関係の予算につきましては、明年度の予算編成の私どもの所管における最重点の項目といたしまして、精力的かつきめのこまかい配慮をして、仰せのように御期待に沿った獲得をしなければならぬと考えております。また中村先生におきましても、御声援をお願いするところでございます。
○小峯委員長 午後一時三十分から再開することとして、この際休憩いたします。 午後一時七分休憩 ――――◇――――― 午後二時十四分開議
○小峯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 去る十一日付託になりました内閣提出、日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案を議題といたします。 ―――――――――――――
○小峯委員長 まず、本案について趣旨の説明を聴取いたします。大平通商産業大臣。
○大平国務大臣 ただいま議題となりました日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律を廃止する法律案の提案理由及びその概要を御説明申し上げます。 日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置に関する法律は、昭和三十二年六月に、当時年々増大する原料ゴムの需要に対し、低廉かつ安定的な供給を確保するため、合成ゴムの国産化を大規模設備により急速に実現する必要がありましたが、民間のみの出資による事業をもってしては、これが困難な事情にありましたので、合成ゴムの製造事業に対し政府出資を行なうとともに設備に要する資金についても政府がその確保につとめることを趣旨として制定された法律であります。なお、出資につきましては、当初は、とりあえず日本開発銀行からの出資によることとし、翌昭和三十三年の法律改正によりまして政府の直接出資に切りかえたものであります。 同法の対象となる合成ゴムの製造事業を行なう会社として、昭和三十二年十二月に日本合成ゴム株式会社が設立されましたが、政府といたしましては、同法の趣旨に従い、同社に対し十億円の出資を行なったほか、必要な設備資金の開銀融資をあっせんするなどにより、その育成につとめてまいりました。 これら政府の措置が同社の適切な事業運営と相まって、昭和三十五年四月に操業を開始して以来、同社は順調な発展を遂げ、わが国の合成ゴム製造における中核的会社に成長し、その経理的基礎も確立したものと考えられます。このような、同社を中心としたわが国合成ゴム製造の発展により、今日では、生産能力において、米国に次いで世界第二位となりました。 したがいまして、合成ゴムの国産化体制の確立という目的は十分達成されるに至ったと考えられるのであります。 同法第十一条には、「政府は、会社の経理的基礎が確立したと認めるときは、有価証券市場の状況を考慮し、なるべくすみやかに、その所有する会社の株式を処分するものとする。」と規定しておりますが、以上の事情にかんがみ、政府といたしましては、本年七月に政府が所有する同社の株式の処分を全部終了いたしました。 以上申し上げました事情でございますので、政府といたしましては、すみやかに同社を純粋な民間企業に移行させ、その自主的事業運営により一そうの発展を期するのが適当であると考えまして、このたび同法を廃止することといたしたものであります。 以上、この法律案の提案の理由及びその概要を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、御賛、同くださいますようお願い申し上げます。 ―――――――――――――
○小峯委員長 本案審査に対し、参考人として日本合成ゴム株式会社社長松田太郎君が出席しております。参考人の御意見は、委員の質疑により承ることといたします。
○小峯委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 日本合成ゴムの法律に関してお伺いをいたしたいことは、この会社の株式を十億円相当額国が出資をして所有をいたしておりましたけれども、これが法律の条項に基づいてすでに過般処分をされておるわけであります。私はこの処分のあり方がはたして適正であったのかどうかという点について少しお伺いをいたしたいと思います。 最初に通産当局にお伺いをいたしますけれども、昭和四十二年政令百五十五号というのは一体どういう目的のためにこういう政令をつくったのか、まずそこから最初にお伺いをいたしたいと思います。
○後藤政府委員 お答えいたします。政府出資にかかります十億円相当の株を処分いたします際に、未上場の株でございますので、額面千円でございますが、これが市場価格等も考慮いたしますため、最初の一割はまず会計法の規定に基づきまして競争入札をいたしたわけであります。その後株式市場等の状況を考慮いたしまして、その最初の競争入札によります落札価格が三千百六十円、予想いたしておりましたよりはるかに上回る価格をもって一括三菱化成工業株式会社が落札をいたしたのでありますが、これは一般市場価格ということよりも、むしろ落札者の主観的な意図による価格形成であるというように考えましたので、残りの九割は証券市場等の状況を考慮いたしまして、会計法の特例に基づきましてただいま御指摘の政令を制定いたしまして、随意契約の形によって民間に譲渡いたしたものでございます。
○堀委員 私が伺っておるのは、政令百五十五号をなぜこういう形で設けたのかということを聞いておるわけです。
○後藤政府委員 会計法二十九条の三第五項の規定に基づいてただいま御指摘の政令を制定したのでございますが、会計法の二十九条の三には、御承知のとおり第一項、第二、項に、競争入札を原則とするということがうたってございます。第三項、第四項で、特別の理由により競争入札に付することが適当でない場合はその競争入札以外の方法によることができると書いてございますが、この合成ゴム会社の株式処分に関しましては、この会計法の二十九条三の三項、四項の規定がいずれにも該当いたしませんので、特に五項を援用いたしまして、五項に政令委任が規定してございますので、それによってただいま御指摘の百五十五号の政令を定めて、九割に当たる株式を処分いたした次第でございます。
○堀委員 これはちょっと、会計法の取り扱い上の問題でございますから、大蔵省理財局にお伺いをいたしますけれども、一体この会計法第二十九条の三がこういうふうに定めておるのは、国の資産が公正適正な価格で処分されるということを期待しておる、こう考えておるのですが、どうでしょうか。
○青鹿説明員 二十九条の三の趣旨は先生の御指摘のとおりだと思います。ただ若干いまの通産省の御説明に補足さしていただきたいと思うのでございますが、経緯を申し上げますと、四十二年の十一月にその一部を一般競争入札の形でもって処分いたしました。その後その政令をつくり随契によって処分したということになっております。その点御承知かと存じます。
○堀委員 私は、いまの競争入札のあり方の問題でちょっと最初にお伺いしておきたいのですけれども、国としては、国が持っております株式を公開する場合には、少なくともその会社に特定の意思を持っておるというような者は、まあ特定の利害を持つと言ったほうがいいかもしれませんね、特定の利害を持つ者、それによってその利害を自分のほうに有利にしようという意思を持つ者、そういうような利害関係者を除いて入札を行なうほうが公正な価格が出る、適正な価格が出る、こういうふうに私は判断をしておるわけですが、この第二十九条の三によるところの競争入札による方法というものが、そういうふうな利害関係者を除いて入札を行なうことを妨げないと私は理解しますけれども、その点はどうでしょうか。
○青鹿説明員 原則は一般競争入札でございますけれども、一般競争入札の場合でも、適当でない者の資格を制限いたすことはできるわけでございます。また別途指名競争入札という手続もございますので、必ずしもすべてが一般競争入札だけであるということではないと思います。
○堀委員 私は、この株の処分に対するものの考え方のところに実は一つ疑問があるわけなんです。その疑問がある点について、実は昭和三十二年五月十一日の商工委員会においてこの法案の審議がされておるわけでありますが、そのときわが党の中崎委員の質問に齋藤政府委員はこのように答えておるわけであります。「今三分の二がゴム業者、三分の一がそのほかの関係者と申しましたが、これは大体の目安でありまして、若干それが変わりましてももちろん差しつかえないのであります。それから原料供給者、これはぜひ入ってもらった方がよろしい。値段をきめる際にも、株主でありますれば、両方の立場を公平に考えてきめられますし、話も円滑に進みますので、原料を供給する業者は全部入ってもらいたい。」こういう言い方で実は答弁をしておるわけであります。 そこで、私がこの問題について非常に疑問を持っておりますのは、株式会社というものが一つある。この株式会社に対して利害を持つ者は実は両側にあるわけです。日本合成ゴムの場合は、原料を供給する側は利害を持っておるわけですね。日本合成ゴムがつくったゴムを買い取る業者の側も利害があるわけですね。この最初の発想からすると、要するにこの会社は利害関係者だけで主として構成をしようというような発想に実はなっておるわけですね。まあ国が関与をいたしております問は、そういう利害関係者が株主でありましても――国は確かに二十五億円の資本金の中の十億円しか持っておりませんけれども、何と申しましても国の権限は非常に強いですから、国が関与しておる問はこの利害関係というものは、私はその日本合成ゴムの会社そのものに対して大きく働く余地はない、こう考えておるわけでありますけれども、今日この国の所有しております株式をそういう関係者に渡して国が手を引いたあとにおきましては、株式会社の運営についての一番影響力の大きいのは何かといえば、今度はこれは株主であります。これは資本のいまの構成からいって当然だと思うのであります。 そこで、私は本来やはりそういうときに、国が手を引くときに考えなければならないことは、できるだけその株式会社が少なくともそういう利害関係者にわずらわされることなく自己の会社の発展を期待することができるような条件に置いてやるということを国が考えるのが当然なのではないか、私はこういう考えを実はしておるわけです。ところが本来通産省の考え方の中には、いま私がここで触れましたように、株式を持っておれば話し合いによって原料の価格が適正になる、私はこういう発想の考え方が非常に問題があると思うのですね。たとえば原料供給者であって、日本合成ゴムの株式を持っておる、日本合成ゴムの株式を持っておるけれども、日本合成ゴムの株式の株主側に立って利益を求めるよりも、自分の生産しておるものをより高く売りつけることによって会社側の利益を確保するほうが、いまの産業の構造の中では一般的に通例ではないかと思うのです。株主になっている側の立場に立って、自分の会社の利益、固有の会社の利益を犠牲にしてでも、値段を安く合成ゴムに原料を供給することになるか、私はこれはならないと思いますね。本来、やはりそういう固有の会社の側に立って利益を考える。そうすると、私は、ここで齋藤政府委員が答えていることは、政府が関与している間はそれはいいかもしれませんけれども、政府が関与しなくなった今日では通用しない論理だ、こう思うのです。政務次官、どうですか。私がいま言ったことは、資本主義社会の原則を話しておるのだと思うのですが、どうでしょう。
○藤尾政府委員 仰せ、まことにごもっともでございまして、私どもも考えなければならぬ点が十二分にあると思っております。しかしながら、当時齋藤政府委員のお答えされました際は、そこまでの考慮が及んでいなかったということはまことに残念なことでございまして、私どもただいま考えまして、先生の御指摘を拳々服膺して、こういうことは今後十二分に気をつけなければならぬことだ、かように考える次第でございます。
○堀委員 政務次官がそうお答えになると、あとの話がしにくいことになるのですけれども、実は齋藤さんが答弁をしたときは、政府がこれから関与するときですから、これで一応済んだと思うのです。今度は違うのですね。今度は政府は手を引いて日本合成ゴムは一人立ちしていかなければならない。一体一人立ちしていくときに、今度政府が売りました一億円の株の処分のあり方は、私は今後の日本合成ゴムの進路に非常に影響を及ぼすことだったと思うわけですね。 そこで、この問題には二点あるのですが、第一点は、政令の定めるところによって最初に競争入札を行ないました。ところが、ここで三菱化成がともかく三千百六十円という価格で落札をした。しかし、これは通産省のほうでも調べておられますし、私はこれに関係する証券会社で調べてみましても、日本ゼオンその他との関連から見てこれら入札に参加したものというのは、大体二千二百円から五百円くらいのところで主として入札に参加しておる。これは大蔵省の国税庁にあるところのそういう未公開株式の評価方式なり、あるいはいまの配当還元価格なり、他の上場株との比準価格なり、あるいは純資産評価額の換算といういろいろな方法からすれば、おおむねそこらに来るということであったにもかかわらず、三千百六十円で落札をされたということは、法律的には競争入札によってやりなさい、その価格より下回らないことで売りなさいとなっておるわけですから、一つ問題はその形で形式的に拘束されるけれども、三菱化成の落札価格は適正な落札価格ではなかったのではないかという感じがいたすわけです。 私が前段に利害関係者を除いたほうが適当でなかったかというのは、やはりこういうふうに利害関係者はできるだけ株式を所有することによって自分の製品をそこにたくさん売りつけたい、あるいは高く売りつけたいという意思を働かせるためには、株式を多数に所有することがその会社にとってたいへん利益になることであって、その場合には多少入札価格を高くしてもそれは将来的にはペイするものだという判断が出てくるから、いうなればわれわれの期待するような公正な入札価格になりにくい条件があった、だから当然入札を行なうときにはそういう意味で利害関係者を除いて入札を行なえば比較的公正な価格の入札が行なわれたのじゃないか、実はこういうふうに思うわけですね。この点については、これはまあ形式的な事務は大蔵省でありましょうが、実質的には通産省が処理をしたのだろうと思うのですが、どちらからでもいいですが、この落札のあり方についてはたして適正であったのかどうか、及びこういうことを行なう場合には、やはりいま私が申し上げたような利害関係者を除いた形で競争入札を行なわせるということにならないと、この法律の趣旨を具体的に実行することができないということになるのじゃないかというこの二点について、それぞれ関連の向きからお答えをいただきたいと思います。
○後藤政府委員 利害関係人が競争入札に参加いたしました場合にこれを排除するというのは、特定の場合にはまことに先生のお説のとおりであると存じます。ただしかし、本件の場合につきましては、利害関係人が先ほども先生仰せのとおり原料供給者側並びに需要者のゴム工業者側非常に多数ございまして、特にそれを全部この競争入札から排除するということが技術的にもむずかしかったという点もあるかと存じます。なおまた本件の会社がその法の趣旨のとおりに発足いたし発展してまいった過程におきまして、不特定とまではなにでございますが、非常に多数の原料供給者側あるいはまた製品需要者側のこの事業参加への直接間接の協力によって今日まで経過してまいったという点等を考えますと、お説ごもっともではございますが、最初の競争入札におきまして一割を処分いたします場合に、およそ利害関係あるもの全部を除くことがむずかしくて普通の一般競争入札のやり方でやったのだと存じます。 それから第二点でございますが、確かに先生仰せのとおり、当時の入札価格一般に比較いたしまして三菱化成工業が三千百六十円という高値で落札いたしましたのは、およそ公正妥当なる株価というものとは若干かけ違っておったというように事務当局としても認識をいたした次第でございます。これは一般的に申し上げられることかと存じますが、合成ゴムの特質といたしまして、特にナフサ分解によって生じてまいりますBB溜分――ブタン、ブチレンからブタジェンを抽出いたしまして合成ゴムをつくるという過程でございますが、石油化学工業でエチレンを生産し、それからきわめて多数の連産品もつくる、こういう石油化学会社におきましては、そのBB溜分を非常に有効に活用いたしたいという意図があるわけでございまして、これは一般に石油化学会社の傾向として当然のことである、かように考えるのでありますが、そういった意図もございまして、特に集中的にこの合成ゴム株式会社の一般競争入札に三菱化成が高値をつけた、かように判断されます。したがいまして、先生仰せのとおり通産省当局といたしましてもこの価格がきわめて適正な価格形成であったとは判断いたしにくい状態だったと思います。
○青鹿説明員 一般競争入札にいたしました理由は、一般の価格動向をなるべくつかみたいという判断がございまして、かえって資格を制限いたしますと、その趣旨といたしますところに十分こたえ得られないのではないかという判断をいたしまして資格を制限しなかったのであります。 いま一つは、もし参加資格を制限いたしましても、第三者で入札に参加さす、落札後その株式を引き取るということも事実上防ぎ得ないところでございますので、そこから考えましておそらく資格制限を設けずにああいう一般競争入札をしたのではないかと考えております。 それから、資格制限につきまして、いま通産省からお答え申し上げましたように、必ずしも妥当なものではなかったのではないかと思います。
○堀委員 そうすると、いまの話でここに問題が出てくるのは、形式的にはそういう利害関係者を除かないでやることが正しいのだということになると、逆に三菱化成が落札しようとどこが落札しようと、落札価格を尊重しなければいかぬということに論理的になるのじゃないかと思います。その落札方法に瑕疵があったということなら、その瑕疵があったという前提に立ってそれを下げるということは認められていいと思いますが、いまの答弁のようなかっこうで、落札をする形には瑕疵はなかった、要するに関係者多数あってそれは除外することはできないということで落札をしたのだということになれば、その落札価格は、少なくともあなた方がその前提に立つ限りは公正な価格と判断しなければならない。だから、私はちょっと論理的な話をしているわけですけれども、そういうふうに値が動いておる。だから、そういうふうに値が動いたということは、少なくともその落札のあり方がおかしかったのではないか。いうなれば、そういう競争入札を行なうときに、利害関係者を除かなかったということがおかしかったのじゃないかと私は聞いているわけです。あなた方のほうは、大体おかしくなかった、その当時は、それでしかたがないから、それでやったのだ。それを認めたら、三千百六十円という価格は、論理的にあなた方は認めざるを得ないでしょう。それならば、それ以下で売り払うことについては、私は現在の法律からいって問題がある、こういうことになるのじゃないかと思うので、そういうふうに聞いているわけです。だけれども、あなた方の論理は通っていないわけです。落札の方法には瑕疵はなかった、しかし落札の結果には瑕疵があった、そんなことはないと思うのですよ。結果に瑕疵があったのなら、少なくとも方法に瑕疵があったのじゃないか。結果から原因を考えてみるならば、その方法を考えてみる必要があったということになれば、この三千百六十円というのは適正な価格ではなかった、こういう論理が出てくる。やはりこれは、どこか一本の筋につながっているのだから、三千百六十円は適正な価格でないというのなら、落札方法がおかしくなかったということと話がつながらないように思うのです。どこかがおかしかったのではないか。片一方は正しい、こっちは結果は間違っている、そんなことにはならない。一つの手続の中で起こることですからね。あなた方が予想するしないは別個として、少なくともこういう場合には、利害関係者が入れば予見し得る可能性というものは、すべての場合にあり得るだろうと思います。いまあなたの言われたように、これはそういう溜分で、本来ならばこれを燃やしたり、あるいはプロパンガスとして使用したりするものを、こういうふうに合理的に、それも近くにある工場からならばパイプででも運んでやっておるということは、この会社にとっては非常なメリットでありますから、そのメリットを確保する手段として利用しようとすることは、当然予想せられることではないのか。私は前段で、入札に入る前にそういうことを考えるならば、そういう特定の利害のあるところだけは除外をするということは、やはり公正な入札価格を期待するための最小限度の必要条件ではなかったのか、こういう問題提起をしておるわけです。だから、あなた方は、それはそうであった、結果としては、そのときにはそうしなかったけれども、今日考えてみればそうであったということを認めれば、私はいまはいいのですよ。三千百六十円の価格はフェアじゃなかったということになるけれども、こっちはもうあれでよかったのだということになれば、これは話はつながらないと思うのですが、どうでしょうか。
○藤尾政府委員 まことに御指摘ごもっともでございまして、おそらく第一回目の競争入札をいたしますときには、その競争入札者が、そういった特殊な自社の利害というものをお考えになって、それほどの札をお入れになるということは、当時は予想していなかったのじゃないかという気がいたすのであります。しかしながら、ふたをあけてみれば、三千百六十円ということで他の入れ札との間に非常な開きがある、こういうことでは、これは御指摘のとおりやり方自体に考えなければならない点があったということで、事が済みましたあとにおきまして、そのあとの時点において、これは一切のものを含めた一般入札にするということがこういう結果を招いたのだということで、この変更の必要を認められて、そうしてあらためて適正な価格を設定をして、他に措置をするという措置をおとりになったのじゃないか、かように思うのであります。おそらくそうだろうと思いますから、私は責任をもちまして、通産省といたしましてさようであるということを申し上げておきます。
○堀委員 もちろん当初は予想していなかったのにそういう結果が出た、だから、これは今後もしやろうとすれば、こういうことはやってはならぬということにならなければおかしい。もう済んだことですから、私はそのことをどうこう言うのじゃなしに、今後もしやるとすれば、当然こういうことは予想せられることであるから、今後あるかどうかは別として、要するに原則的にそこのところは考慮をしておく必要があるんじゃないかということが一つです。 証券局長が来ておりますから、証券局長にお伺いをいたしますけれども、一般にさっきから議論をしておる中で、ある一つの会社の株主がそういう特定のところに非常に片寄るということは、これは別にあなたのところの証券行政の問題ではありませんが、要するにあなた方のほうでは、株式というものを行政の課題として扱っておられるからお伺いをいたすわけでありますけれども、やはりできるだけ分散される、そうして直接の利害のある者が多ければ多いほど会社そのものの運営は非常に困難になるから、できるだけ会社に直接関係のないところに株式を持たせるほうが会社の中立性も守られて、その会社の発展に寄与することになるのではないか、こういうように私は一般論ですが思うのですけれども、証券局長どう思いますか。
○広瀬政府委員 たいへんむずかしい御質問のようでございまして、そういうふうにはっきり言い切れるかどうか、ちょっと私自信がございません。
○堀委員 それでは、そういう聞き方ではなしに、ある一つの株式会社の株というものが将来公開されますね、将来公開をされれば、もちろんそれは市場で取引をされますから、どういう人が持ってはいけないとか悪いとかいうことにはならない。いまの三菱化成のように、要するにその株をほしい人が値段をたくさん出して買えばいいということになるわけです。実は株式市場はそういうところです。高いところに売る。要するに安いところより高いところに売る。せりでやっておりますから、そうなります。そういう場合には、会社側がどういうことを期待したところでしかたはありません。それでは、いま資本自由化を前に控えて、いまの日本の企業はどういうことをやっているかというと、いわゆる安定株主工作ということで、できるだけ安定して、しかしそれがその会社にとって中立的であるようなところ、主として金融機関のようなところに会社はいま自社の株をかなりはめ込んでいるというのが最近の実情です。そのことは、特に利害関係のあるものがその株をたくさん持たれることによって、いまの場合――資本自由化になると、外国資本というものが利害関係の主要なあれになるでしょう。そういうものに持たれることによって自分の会社の中立性が侵害されるということに備えて安定株主工作というものをやっていると思っておりますが、その点はどうですか。
○広瀬政府委員 おっしゃるように、資本自由化の関連でもって外国の業者に乗っ取り等をされるということは困るということで安定株主工作が行なわれるということは十分あるわけであります。現に行なわれております。その場合に、安定株主としてはめ込まれる先は、御指摘のように金融機関等が多いかと思いますが、これはまた別の意味でその会社に重要な利害関係を持っている場合も多いのではないかというふうに考えます。中立というふうにおっしゃいましたが、どういう意味なのか、ちょっとその点が判断ができませんので、はっきりしたお答えにならないのは恐縮でございますが、そんなように考えております。
○堀委員 私もいま何も金融機関が完全な中立だとは言いません。自分のところの取引の関係がありますからね。金融機関の場合は、そこに金を貸すか貸さないかという関係だけですね。しかしいま私が問題提起をしているところの日本合成ゴムの場合には、そこから物を売り、あるいはそこから物を買うという関係は、少なくとも生産者、原料供給者は、自分の原料をその会社に高く売りたいというのが資本主義の通例です。今度は加工業者のほうは、できるだけ会社から安く買いたいということが資本主義の通例でしょう。そうすると、私がいまこの問題を論議しておりますのは、要するに政府が今度随意契約によって――問題はここにあるわけですよ。競争入札できまったなら政府の責任ではありませんから、これは私何も言いません。しかし九割は随意契約によって、政府の意思に基づいて株式を配分したわけです。その限りにおいては、政府は株式の配分について責任がある。その結果はどういうことになったかというと、現在の日本合成ゴムの株式の持ち株のうちゴム工業者が四六・九%、株式のトータルとしては、四六・九%の株主が日本合成ゴムから安い合成ゴムを買い取りたいわけです、この人たちは。会社に対しては、ゴムの販売価格を下げるように圧力がかかるのは当然でしょう。そうして今度は、原料供給者が三四・五%この会社の株をいま持っているわけですね。この諸君は、高く売りたいということですよ。そうすると、日本合成ゴムという会社は、国が介入しておるときは、それは株主の比率がどうあろうとも、国の力で、適正な価格で売りなさい、適正な価格でまた工業者に売りなさいということで指導もできたでしょう。これから一人立ちをしていくときには、株主構成がそういうことであったならば、要するに、日本合成ゴムという会社は、原料は高く買わされて、製品は安く売らなければならぬということに株主の圧力がかかってきた場合に、これは原則的に見ても阻止できないですよ。いまのことは、これは総体論のところですが、藤尾さん、どう思いますか。これは常識の話だけれども……。
○藤尾政府委員 ごもっともなお話でございまして、株式取得者でありますゴム工業者あるいは原料供給者といいまするものは、それぞれ自社の利益というものを考えまして、あるものは安く買いたい、あるものは高く売りたい、こういうような希望を持って会社に発言をせられるという機会があることは、十分に察せられます。しかしながら、この会社の経営は、ただ単に、原料供給者あるいはゴム工業者だけではないのでございまして、経営者といいまするものがここにしっかりおられますから、やはりこの経営を通じて合成ゴム会社の利益をあげていく。たとえば原料供給者のほうは高く買ってほしいというときにも、他の市場価格その他をお考えになって、できるだけ安く買うことが会社のためになるんだ、こういうふうにお考えになり、あるいは、供給する場合に、ゴム工業者の皆さま方が安く買いたい、こういうように言われてまいりましても、他の市場価格からの関連において、これはこの辺のところで買ってもらわにゃ困るということで、そこで会社の利益をあげられましたならば、その利益がまた株主に還元してまいるのでございますから、堀さんの御指摘の面も、私は絶無とは申しませんけれども、反面におきまして、この合成ゴム会社の株主としての利益を享受するという面においての御協力は得られるのじゃないか。そこの辺のマネージメントというものは、会社の運営に当たっておられまする社長以下の役員諸公の非常に大きな責任である、かように考える次第でございます。
○堀委員 おっしゃるとおりそうなんですけれども、しかし、株式会社というもののあり方は、御承知のように、株主総会できまるのですから、要するに、社長がどうも抵抗して自分たちが思うように安く一つも売ってくれないとなると、そうすると、四六・九%の買う側の人たちは、ともかく社長に対してだって解任権があるのですから、そんな取締役は解任だ、もうちょっとわれわれに理解のあるやつを入れようじゃないかということになる可能性は、私は十分にあると思うのですね。同時に、そういうときは、会社は下のほうに対して――下というか、製品を売るほうに対して抵抗する場合には、片一方だけ抵抗するのじゃなしに、やはりこっちにも抵抗しなければだめですから、そうすると、原料供給者のほうから高く買ってくれと言われても、あるいはおれのところのやつをたくさん買えと言われても、そうはいきませんとこれは断われば、四六・九%にさっきの三四・五%がくっつきますから、たちどころに取締役は一斉に解任できる条件にあるわけですよ。おまけに、この会社の最近の株主の状態をちょっと私、調べてみたのですけれども、現在、十万株以上の所有者というのは七社ですね。そのうち原料供給者が五社ですよ。それから、加工業者が二です。五万株以上になると、四社あって、加工業者が三で、原料業者が一。だから、要するに、五万株以上の株主十一社という、これが私は大口株主になると思うのですが、この大口株主というのは、原料の供給者六社と加工業者の五社によって占められている。大体会社のそういう取締役の選任その他に対して介入ができるのは、どこの会社でも、大口株主にその発言権が非常に大きいということは、これは現在の株式会社の実情から皆さん御承知のとおりですね。さらに、その下の段階にきて、要するに、一万株以上という点から見て、一万株から五万株までの間は二十七社ありますけれども、その中で初めて金融機関が九つと商事会社が五つ、加工業者十一と原料業者が二ということで、ようやくここでやや中立性のあるものが参加をしてきておるというのが実はこの株主構成の実情なんですね。全体の株式のシェアにおいてしかり、なおかつ、いまの大口株主においてしかりということになれば、私は、今後の日本合成ゴムの運営というものはたいへん困難な条件に遭遇する可能性がある、こういう判断をするわけです。 そこで参考人の松田さんにお伺いをいたしますが、これまではあなたは、一種の特殊会社の社長として、いうなれば国家権力を背景にして仕事をしていらしたから問題はないと思いますけれども、今後、さっきの競争入札に見られるように、現在三菱化成工業は十二万八千株を所有しているわけですけれども、いま承るところによると、皆さんのほうでは、これから増資をしたいというお話です。そこで、増資をする場合には、当然、おそらく現在の株主に対して幾らという割り当てがこれまでの慣行ですね。もちろんいまはそれ以外にも他の方法があります、公募の方法もありますけれども、おそらく一般的な慣例では、公募部分というのは非常に少ないから、結局は、このシェアがずっと引き続き拡大をしていくということにならなければならぬという運命にあるんじゃないか。私がだから問題として指摘しておるのは、せっかく十億円の株があったならば、これはよりそういう関係のないところに入っておれば、今後のシェアについては、その関係のない部分が同じように増資の際にふえていくわけですから、シェアというものは、その新しい角度で発展したであろうけれども、今日、この形でいくんでは、今後、純粋に国の権力から離れて民間の会社として運営していく場合には、問題があるんじゃないだろうかという気がいたします。 〔委員長退席、海部委員長代理着席〕 あなたは、公開の席で問題があると言うのは、言いにくいだろうと思いますよ。それはいろいろ関連のある業者等の協力によって過去にできた経緯もありますからね。しかし、私は、過去の経過は経過として、今後の会社の側の問題、裏返して言うと、私は、ここに従業員その他の善意な株主がいるわけですよ。この善意な株主は、要するに、会社が発展することだけを期待しておるのであって、この人たちの側に立って会社の発展に寄与することを願う株主が多ければ非常にいいと思うのですけれども、このシェアはきわめて少ないのです。そうして利害関係者のほうが非常に多いという会社の運営という問題についてどういうふうにお考えになっておるか、ちょっと承っておきたい。
○松田参考人 率直に現状並びに私の考え方を申し上げさしていただきます。 先生も十分御承知と思うのでございますが、この会社ができます場合の法律の審議のときに、こういう政府の出資を仰ぐという会社ができて、そのために独占的な行動をするんじゃないか、そういう意味の御質問があったように私は承っております。その場合には、なるほど、さしあたりは政府が出資してそういう形に見えるかもしれぬけれども、結局、合成ゴムというものは当時、国際的な商品でございまして、御承知のように、すでにもう当時から相当の輸入量もございました。そういう点から見て、決して独占的な価格で売るとかそういうようなことは、会社としてもしたくてもできないことなんだからという、おそらく当時斎藤さんあたりから御答弁があったかと思います。 それで、私、先ほどから先生のお話を伺っておりますのですが、確かに私のほうは今日、ゴムの需要家と原料の供給者が中心になっております。そしてまた一つには、この会社ができます場合に、最初三菱化成、古河化学、日本ゼオン、協和醗酵、そういったところがたしか一万五千トンくらいの能力で合成ゴムを企業化したいというお話があったそうです。そのとき政府とせられましても、当時もうすでに世界的に見て、合成ゴムの経済単位というものは能力的に見て四万五千トンから五万トンである、したがって、一万五千トン程度のものが三社も競争したのでは、結局国際競争にも敗れ、国内においても混乱を起こすばかりであるからというので、そういったところが一致団結してこの会社をつくるなら政府のほうも応援しようというぐあいにお話があったように聞いております。それからまた同時に、ゴム業界といたしましても、もうすでに、世界的には天然ゴムがだんだん戦争終了後荒廃状態になりまして、どうしてもやはり合成ゴムというものがどんどん使用されていくというような状況になっておりましたものですから、今度ゴム工業界といたしまして、ゴム業者が、これはぜひおれたちの力でこの会社に十分協力していくようにしたい、こういう意味でゴム業界が総意をあげてこの会社を設立することに協力したように私は聞いております。そういうことで、いまお話しのようにゴム業界のほうが実はシェアが多いのでございますが、一方、原料の供給につきましては、先ほど三菱化成のお話がございましたが、私も率直にいって何らかの目的があるということは想像にかたくございません。現に、実は私のほうに原料を供給いたしております石油化学会社、これは三菱油化、三井石油化学、住友化学、丸善石油化学、三菱化成、そういうところがあるのであります。ところが三菱化成さんは比較的あとに石油化学工業界に乗り出されたものでありますから、私どものほうは、地理的な条件、その他いろいろ考えまして、従来三菱油化、住友化学、三井石油化学三社から主として原料ガスをちょうだいしております。しかし石油化学工業がこういうぐあいに、非常に乱立というとしかられるかもしれませんけれども、大きくなってまいりましたものですから、したがって、三菱化成工業といたしましても、やはり原料ガスを最終に利用するためには、やはり合成ゴムが一つのいい誘導品である、そういうような意味から、自分のほうは従来非常に供給量が少ないのだが、これをふやしたいという意味が私は非常に強かったのじゃないかと思います。それが、この際この会社の相当大きな株主になることによって、もっともっとほかに負けずに原料を買ってもらいたいというところに主たるねらいがあったのではないかと私は想像いたします。したがいまして、価格の問題につきましては、いま申しましたように、四社なり五社が競争して私のほうに供給をしようというものですから、おのずから、そこには原料ガスは、いままで政府の御出資の間でも、われわれのほうも競争をむしろうまく活用しまして、できるだけ安く買うようにしていく。たとえば一例をとりますと、スチレンあたりでも最初はキロ百二十円であったものが、いまはもう六十七、八円に下がっておるというようなことでございます。それからまた一方、お話しのように、ゴム業界はなるべく安くしてくれ。それからまた、現に、国際競争は最近はそうございませんが、国内では日本ゼオンさん、あるいは旭化成さんというような競争会社もございますものですから、その競争によってやはり安くせざるを得ぬのでございます。しかしながら、私ども考えますのは、結局この会社がここまである程度の業績をあげてまいりました理由は、やはり現在の株主さんが、これは逆にいうとチェック・アンド・バランスになっておるのです。そういう意味で協力してきていただいたものでありますから、できるだけ現株主さんを中心にするが、同時に、ほかの同じような関係にあるところも株主になっていただいて、したがいまして、たとえばいままで原料供給で株主になっておりますものは三菱油化、それから大協和石油化学は大協と協和醗酵両方が株主になっております。そういう意味で今度新たに三井石油化学、住友化学、丸善石油化学さんも株主に入っていただきまして、そうしてお互いの間でチェック・アンド・バランスをとるようにわれわれもつとめております。それからまた同時に、わずかのあれはございますけれども、できるだけお話しのように中立的な性格を保ちたい。この機会に特定の会社がこの会社を私物にするようなことがありますと、これこそほんとうに何のために政府がこうやって御出資いただいたかわかりませんですから、そういう意味で金融機関にも持ってもらうようにいたしました。これは市中金融機関のほかに信託銀行あたりも持っていただくようにしました。それからさらになお私のほうの従業員は、むしろいい意味でわれわれもこの会社に対していままでも協力したから、それがこの業績をあげたことの理由でもあると思う、したがって、自分たちもこの会社の将来のために株式を持ちたい、むしろ全員持ちたいという気持ちがございまして、それで約九万九千株くらいでありまして、。パーセンテージにいたしますと、四・四%くらいでございます。従来は〇・四%くらいがそこまで持つようになりました。今後は私どもといたしましては、そういう現在のいい意味で株主間のチェック・アンド・バランスというものを考え、そうしていままでの業績をいかにして国際競争にうちかつようにやってまいるかという頭で、言いかえれば、今後われわれといたしましては、一つには、できるだけいいものを安くゴム業界に供給して、そうしてゴム業界を通じて国民生活の向上をはかり、また一方においては、できるだけ輸出を伸ばしまして、そうして国際経済にも寄与させていただきたい、そういうような意味から、われわれといたしましては、今後いかにして製品のコストを一そう安くしていい品質のものをつくるかということによって需要家並びにまた関連の業界に対する御協力をさせていただきたい、かように考えております。
○堀委員 お話は確かにおっしゃるとおりで、私は多少誇張して申しておるわけでありますけれども、ただ問題は、これまでは国が背景にありますから、それほどどぎつい問題はなかったんだろうと思いますが、これからはやはりそうはおっしゃっても株式会社の本来の姿から見ますと、大口株主の意向というものは必ずしもなかなか無視しにくい問題になってくるだろう。特にこの場合には、買い取る側は、要するに加工業者の側は、拝見しましたけれども非常にたくさんの業者が入っております。五百株、千株、二千株の株主というものは、実際にそういう株主総会で発言権があるかというと、あまり御出席にもならないし、やはり大手の株主が出てくるというのがいまの日本の株式会社の通例でございます。そうすると、たとえばブリヂストンの四十六万二千株とか、けたはずれに大きな株主が需要家の中にもあるわけです。今後はもちろん、いま私が後段で申したように、一般に公開されれば、三菱化成は買おうと思えば買えるわけです。どこだって買えるわけですから、変わってくるわけです。ただ私は、将来はそうなるにしても、国が配慮するときには、あまり株主を大きくしないで、まだ分散したほうがよかったのではないかという感じがしてならないわけです。実は今回の割り当て前と今回の割り当ての状態をずっと見ておりますと、やはりどうも結果としてはかなり大きいところをつくったという感じがいたします。これはやはり六〇%ですか、シェアに応じて配分したということのようでありますから、やはり大きいところへ上積みしたという感じが非常に強く出ておるわけでして、たとえばそういう意味ではブリヂストンタイヤというのは、最初は十七万株であったのが次の増資で三十万株になったということは、よそは大体倍になっておるときですから、倍額増資ですけれども、そのときは倍になっていなかったが、今後は約四十六万二千株ということで、非常に株数もふえておるというようなことで、少し今後の運営に支障を来たすおそれがあるのではないかという気持ちがしておりますので、その点、今後の問題として、随意契約で処理しておる以上、やはりそのあり方についてはもう少し会社の将来の立場を考慮して処置をする余地はなかったのかどうかという感じがして、実は問題を提起しておるわけです。すでに済んでおることですから、あなたのこの会社に対する論議は、いまは意味はないのですけれども、やはりこれは少なくとも先例になるものですから、私は、少なくともそういう新たな政令をつくって随意契約をやる以上、その随意契約は少なくとも将来の会社に対してあまりマイナスにならないような処置を考える必要があったのではなかったのかという点に一まつの不安があるということで、実はこの株の関係の問題を提起をしたわけです。 それからもう一つ、実はこの法案を急いで上げてもらいたいという希望が政府の側にも、おそらく会社の側にもあるだろうと思うのですが、聞くところによると、増資をされる時期が相当時間がかかる、こういうふうに承ったわけですが、この法律がかりに二月中に成立をするとした場合に、皆さんのほうが次に幾らの増資をされるかは別としても、増資をするための所要時間は、いま日本合成ゴムのほうではどのくらいの時間がかかると見ておられますか。
○松田参考人 私のところでは、大体、いろいろな今後の需要増に応じまする拡張計画を持っておりますが、そういう意味で、おそくも明後年の三月ごろ、場合によっては年内には増資をしたいという感じを持っておりますので、そういう意味で上場の時期等につきましても、十月あるいは場合によりましてはもう少し早くというようなことを考えておりますが、結局、そういうことからいたしますと、この一月から二月にかけましてはいろいろな手続を進めてまいりませんと、やはりこういうことでございますから、いろいろな方面で、証券会社あたりの証券委員会と申しますか、そのほうの審査もございますし、またいろいろな問題もあると思いますから、したがいまして、できるだけ早い機会に通しておいていただきますことが、いま申しましたいろいろ手続の点を慎重に考えました上でもありがたいんじゃないかということで、いま私どもといたしましては、そういうようなことを進めてまいります上において、一月から、少なくとも二月の初めごろにはそういうようなことについての手続を進めてまいりたい、着手していきたい、さように考えておるわけでございます。
○堀委員 証券局長に伺いますが、いま合成ゴムのほうでは四十五年の三月に増資をしたい、こういうことを言っておられるわけですね。これはいま千円額面の株ですから、一応千円額面の株というものは上場しても非常に扱いがしにくいでしょうから、おそらく現在一般的には、適切であるかどうかは別としても、普通五十円額面の株が非常に多い。まあ五百円額面の株もありますけれども。そういうことで、五百円にされるか五十円にされるかわかりませんが、額面変更もしたい、そうして、上場をして増資をする。私はいまのそのお話を聞きながら、いまある会社はもうすでに資本が二十五億ありますし、会社の経理内容きわめていい会社ですから、これは上場するのにもそう問題はない会社だと思う。国が管理をしてきて、そして一割配当ですが、かなり内部留保もいいし、経理状態も非常にいいわけですから、おそらく上場は問題はないし、増資の問題だって、例の増資基準といいますか、そういうことから見ても、この資料を見ると大体増資が可能な条件にもなっておるし、いまはこういう情勢ですから、必ずしもあのルールを使わなければならぬとも思いませんけれどもね。そういう観点からするとあまり問題はないから、そんなに次の処置をするまでに一年もかかるというふうにちょっと私思えないのですけれども、いま一般的にそういう会社の問題というのはそんなに手間がかかりますか。上場をして増資をするという場合に、一年以上もかかるということでしょうか。
○広瀬政府委員 一般論としましては、そんなにかからないような感じがいたします。上場手続もいろいろありましょうし、いまおっしゃったような五十円額面のものにしなければならぬというような問題、具体的に御相談をしたことがないものですから、的確にはお答えできないかもしれませんが、感じは先生の感じと同じでございます。
○堀委員 おそらく会社のほうでは慎重に時間を見ていらっしゃるのかもしれませんけれども、いろいろ問題がある会社ですと、それはいろいろと時間がかかるでしょう。しかし、私は、あなたのほうのいろいろな決算内容なんかを見ると、これくらいなら上場して問題はないし、増資するにも、大体資本金も小さいことですから問題もないし、あまり問題もないように思うのです。ですから、お急ぎになる気持ちはわかりますけれども、私はいまの状態で来年の二月くらいにこの法律が通れば、御期待の四十五年三月にはおおむね処置ができるだろう、こう思いますがね。これは通産省、何かあなたのほうの意見があればちょっと聞いておきましよう。
○後藤政府委員 仰せのとおりのタイムスケジュールになってくるかと存じます。ただいろいろ時間になるべく余裕を見ていきたいという考え方から、ただいま松田参考人からお答えいたしましたように、四十五年の三、四月ごろの増資ということになりますと、できる限り早く本法律の廃止をお願いしたい、かように通産当局も考えております。
○堀委員 もう時間が大体参りましたから……。 要するに、この法律そのものの中で、この次の機会に少し議論をしておきたいと思うのは、この法律ができた経緯がいろいろありますし、私も会議録を全部読んでみて、かなりできる経過の中には政府の内部で議論があったようであります。確かにこういう問題については、電源開発なり石油資源開発のように、ペイしないものを国がやるということは、一つの考え方としてあると思うのです。ただ私は、別の観点から、国が関与してそういうものをつくる、そのつくる場合には、いまの日本の仕組みでは、非常に国の権利を主張して、要するにがんじがらめみたいになっているものだから、会社そのものは普通の民法による法人の会社だけれども、実質的には特殊会社と変わらないような規制がいくような仕組みになっている。しかし私は、国が株主になってせっかくここまできたのを、処分しないで、そこから上がってくる配当なり利益をそのままずっと国がとっていく形になって、そして介入権については、著しい介入権を持たないで、いうなれば一般的株主の範囲に後退をして株式を継続して持つというようなことも、別に差しつかえないのではないかという意見が一つあるわけです。きょうはもう時間がきましたから、これらについては、後にひとつ参考人等も新たに関連の方をお呼びをして、今後国の出資の問題について、日本合成ゴムの場合と関連しながらお伺いしたいと思いますが、時間がきましたから、本日はこれで終わります。
○海部委員長代理 岡本富夫君。
○岡本(富)委員 先ほどから質疑されております日本合成ゴム株式会社に対する法律の廃止、これについて若干質疑をしたいと思います。 この法律が審議されましたときに附帯決議がついております。「本法による会社の設立並びに運営の経過については、適時国会に報告すること。」こういう附帯決議がついておりますけれども、今度のこの株式の売却について国会にどういう報告をし、またどういう経過を国会に報告したのか。大事な国民の税金をこうしてこの会社に貸し付けて育成したわけでありますが、それについてどういう報告を国会にしたのか、これをお聞きしたいと思います。
○後藤政府委員 仰せのとおり、昭和三十二年に衆議院商工委員会で合成ゴム製造事業特別措置法案に対する附帯決議がついております。その第二点は、先生御指摘のとおり、会社の設立及び運営の経過ににつきましては適時国会に報告することという趣旨でございますが、本法が制定されましてから半年あとの三十二年の年末十二月に至りまして、会社が設立されました。この経緯につきましては、翌年の二十八国会、改正法の審議国会に際しまして種々報告申し上げたところであります。会社は、その後適切な運営によりまして、昭和三十八年度の下期以降黒字に転じ、一割配当を続行いたしました。先行き等も非常に明るい順調な発展を遂げて今日に至っておるわけでございまして、特にこの間につきましては会社の経営上特段の問題も生じなかったわけでございますので、特に御報告を申し上げず今日に至った次第でありますが、御報告がおくれたことにつきましてはまことに遺憾に存ずる次第であります。
○岡本(富)委員 大事な株価の決定あるいはまた株式の処分につきまして、四十二年の十一月かえ検討して四十三年の七月に全部この処分を終わっておるわけです。終わってから、先ほども同僚議員から株式の払い下げあるいはまた処分についてずいぶんいろいろな話がありましたけれども、こうするならこうするということを国会に報告をして、そうして処分するのがぼくはこの附帯決議に対するほんとうの通産省のあり方ではないかと思う。したがって、いまになってから報告がおくれましてと言われてもしかたがありませんけれども、ひとつこの点について、これは大臣に聞こうと思ったのですけれども、政務次官どうでしょうか。
○藤尾政府委員 御指摘のとおりでございまして、この附帯決議の趣旨に十二分に沿わなかった、そういう措置を怠っておったということは、政府としても通産省としてもまことに遺憾千万のことであり、非常に怠慢であったということを私は申し上げたいと思います。
○岡本(富)委員 次に、この間局長さんが見えていろいろと説明をきれたのですけれども、そのときに、この会社は非常にうまく運営いたしまして喜んでもらわなければいかぬ、たくさんのお金をまた国に入れることができた、こういう話がありましたが、かりにこれを銀行預金しまして、一分の金利で十億円を回しますと、十年たつと、複利計算すると約十五億ぐらいになりますか、月三分の複利としますと三十億から四十億、それに元金を入れますと五、六十億になるのです。 〔海部委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、ほかの国策会社ではこういうぐあいにうまいこといかないというようなことを言っておりましたけれども、そんなことで満足せずに、今後国策会社についても十分な配慮が必要ではないかということを私は感じております。
○藤尾政府委員 まことに仰せのとおりでございまして、今回の日本合成ゴム株式会社は、国が直接介入をいたしました事業といたしましては非常に珍しく成績をあげておる、私はかように思いますけれども、しかしながら、そういったことが必ずしも常にあるというものではございません。仰せのとおりでございまして、今後この種の会社の設立、運営あるいは処理に関しまして、御注意のとおり十二分に運営をしてまいりたい、かように考えております。
○岡本(富)委員 次に、企画庁はまた物価値上げを五%くらいに押えるのだとか、去年はだいぶ見込みが違ったわけですけれども、物価がどんどん値上がりいたしますと、富国貧民になってきまして、現在よりもさらにまた格差が出てくる。したがってここで通産省の考えといたしまして、企業をどんどん伸ばすのはよいと思いますけれども、やはりここらで物価を押えるという考えを持ってこなければならぬ時代に来たのじゃないか。国民の要望としては、経済の発展も必要だけれども、こんなに物価が上がったのでは何にもならぬ、こういうわけで怨嗟の声すらある。こういうときに、ここらで通産行政というものも考えなければならぬのじゃないか、こういうように思うわけであります。 物価の上がる一つの要因として、大企業のカルテルといいますか、値段の競争をやめさして大体のところで同じ値段に協定してしまう、こういう面が非常に考えられるのであります。そこで私は、日本合成ゴムが今日順調に伸びてきたけれども、いま政府がいろいろと経理内容にも干渉する権限がある間に、原価計算も適正にすると同時に、国民の保護というものも考えなければならぬ、消費者の保護を考えなければならぬ、こういう面で、ひとつ原価計算を資料として出してもらいたい、こういうように通産省にお願いしておいたのだけれども、今度出なかった。今度鹿島のほうに工場もできるようになってきますと、これはちょっと聞いたのですが、全国の生産量の七〇%ぐらいは日本合成ゴムでつくるようになる。ブタジェンですか、こういうことになりますと、価格というものは勢いこの会社の決定によって、それが市場価格になってしまう、こういうことも考えられるのですが、その点について、工業局長どう思いますか。
○後藤政府委員 お答えいたします。現在、日本合成ゴム株式会社の占めております合成ゴム分野におきまするシェアは五〇%に達しておらない、四七、八%でございますが、そのほかに日本ゼオンをはじめ約九社の競争会社がございまして、現在、日本の合成ゴム業界というものは、この日本合成ゴム株式会社を中心といたしまして公正なる競争をいたし、ここに競争原理が十分に作用いたしまする業界というものをつくっておるかと存じます。御承知のとおり、合成ゴム会社の製品はそのまま消費者に渡るものではございませんで、これがゴム工業者の手に渡りまして、そして順次製品となって消費者の手元に届く、かようにいうなれば基礎的な生産財と申しまするか、中間的な生産財という性格を持っております。したがいまして、先生御指摘のとおりに、この会社が業界におきまして十分なる競争をいたしますと同時に、会社の経理的内容を今後ともより以上よくいたしまして、でき得る限りその製品を安くゴム工業者のほうへ渡すということが、とりもなおさず国民の消費経済と申しまするか、消費者に良質安価なる製品を渡すということになるかと存じます。現在、合成ゴムの需要は、世界的に見ましても、また国内的に見ましても、伸長する一方でございまして、本会社といたしましては、先ほど先年御指摘のとおりに、鹿島地区等に工場増設等の意欲を持っておりますが、先ほど申し上げましたとおり、約十社の競争会社がございまして、それぞれいろいろの計画を持ってこの分野に進出いたしてまいると存じます。したがいまして、通産省といたしましては、適時適切なる行政指導をいたして、そこに公正なる競争原理が働き、消費者のほうにそれが波及反映するという事態が起こってくることが望ましい、かように考えておる次第でございます。 なお、またつけ加えまするならば、現在、合成ゴムにつきましては輸入も自由化されておりまして、もし万一、合成ゴムの各会社の運営よろしきを得ず、その間にむしろ値段をつり上げるようなカルテル等の行為をいたします場合には、国内法規の制約もさることながら、輸入は自由化されておりますので、世界的な規模においての競争場裏に立たされております。したがいまして、先生御懸念の点は、今後ともそういう事態はないと思いますし、また通産省といたしましても、その点十分留意をいたしたい、かように考える次第でございます。
○岡本(富)委員 まず最初に聞きますが、原価計算をして、いま監査のできる間に、日本合成ゴムの現在の需品というものが正当であるかどうかということを監査したことがありますか、これが一点。 もう一点は、いま輸入できる、自由化自由化といいますけれども、輸入は割り当ててもらわなければなかなかできないのです。現実に私輸入業者に聞いてみましたけれども、そう簡単にいくものじゃない。そこで、やはり国内産業は育成すると同時に、国内で消費できる分は国内でつくっていく。そうしてたくさんつくって、たくさん売る、薄利多売主義をとらしていくという方針が必要じゃないか。ある程度会社を育成したら、今度はそういうように消費者の保護を考えていかなければならぬ、私はこう思うのですが、どうですか。
○後藤政府委員 お答えいたします。現在の日本合成ゴム株式会社に関する臨時措置法におきましては、日本合成ゴム株式会社に対する厳重なる監督規定を持っております。 そこで、報告でございますが、この法律の第五条に、「会社は、毎営業年度の開始前に、その営業年度の事業計画及び資金計画を定め、通商産業大臣の認可を受けなければならない。これらを変更しようとするときも・同様とする。」前向きの面につきましては、この第一項で定めておりまして、第二項で、「通商産業大臣は、会社に対し、その業務の適正な運営を確保するため特に必要があるときは、事業計画及び資金計画の実施について、監督上必要な八面令をすることができる。」その他重要な財産の譲渡、社債の募集、資金の借り入れ、定款の変更、財産目録等の提出、報告及び検査等々厳重なる監督規定がしかれておるわけでございますが、第七条では、財産目録等の提出という項目がございまして、「会社は、毎営業年度経過後三月以内に、その営業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに営業報告書を通商産業大臣に提出しなければならない。」かように相なっております。したがいまして、第五条によって前向きの事業計画、資金計画は十分監督をいたしてまいりまして、第七条によりまして、その営業年度の成績につきましては十分に監査いたしてまいったところでございます。 それからさらに輸人関係でございますが、先ほど申し上げましたように、輸人はやはり自由化になっておりますので、いろいろ業者間におきまする手続上の――手続と申しますか、相対のいろいろなことがあるかと存じますが、制度上はこれは現在自由化されておる項目になっておりまして、政府として何ら制約を加えないということに相なっております。
○岡本(富)委員 そこで、いま法律を読まれましたけれども、強力に原価計算もし、現在のコストが適正であるということを見られたかどうかというのが一点。 それから、先ほど参考人の社長さんでしたかお話しになった中に、原料もどんどん下がってきている、こういう話ですし、設備が大型化されてまいりますと、大量生産になりますから安くなる。その分を、会社の利益もあるでしょう、しかし、消費者のために――サンダルとかいろいろなものを相当使っております。神戸へ行きますと、ずいぶんゴムの原料品を使っております。特に基礎産業ですから、そこが安くありませんと、途中が高くなってしまう。原料高になって製品安、こういうことで現在輸出するにも困ったりしておるわけです。したがって、そういう方針で政府のほうで指導し、また助長し、また勧告もしていく。また、こういう時勢ですから、会社のほうもそういうような考えでやっていかなければならないんじゃないか、そういうように私は提案しているわけなんです。だから、局長さんはその法律を読んだのはいいのですけれども、事実ぼくが原価計算して一ぺん出してくれと言ったって、あなたのほうで――大体ぼくはこっちのほうが専門なんです。だから、一ぺん見せてもらおうと思って言ったら出てこない。出てこないのは何かおかしいなということだったわけですが、だから、それが適正であるということをちゃんと検討したのかどうかということが一点。 それから、先ほど申しました大量生産によって安くしていく、この二点についてお答え願いたいと思います。
○後藤政府委員 先ほどお答えいたしましたように、この毎営業年度が経過いたしました後、すみやかにその会社は営業報告書を通産大臣に提出することになっております。さらに、将来計画につきましては、その提出いたしました営業報告書を参考といたしまして、そして将来の事業計画を認可してまいるという段取りになっておりますので、原価計算をも含めまして検討をいたしてまいっておる次第でございます。 それから、次に大量生産によって価格が低下し、それが消費者に均てんしておるか云々、こういう御質問の趣旨と了解いたしました。この販売価格の推移をずっと見ますと、日本合成ゴム会社の主力といたしております汎用ゴムのSBR、このスチレン・ブタジエン・ラバーと申しますのは二色ございまして、ノンオイルというのとオイルというのと二つございます。つまり油を含んでおるのと油を含んでおらないのと二つございます。それの昭和三十五年から四十三年に至ります経過を見てまいりますと、この販売価格は、SBRのノンオイルのほうで、二百一円から漸次低下をいたしまして、百七十七円、百七十円、百六十円、百五十五円、昭和四十三年におきましては百五十五円まで低下をいたしております。それからオイルのSBRは、昭和三十五年の百六十一円から、これはキログラム当たりでございますが、百六十一円から漸次低下いたしまして、四十三年現在では百二十二円になっております。かように、先ほど申し上げましたとおりゴム工業者へ渡ります価格が漸次低下いたしてまいるということが、とりもなおさず消費者にやはりつながってきて、消費者へその会社の業績が均てんし浸透いたすゆえんかと存ずる次第でございます。
○岡本(富)委員 政府の保護を離れた場合、民間会社として堂々と発展していくようになった。こういうことでありますが、そうした場合に、やはり重要物産の免税の指定、あるいはまた製造機械あるいは触媒等の関税の免除、これは今後も続けていくのか、今後はこれは廃止するのか、これについてお願いしたいと思います。
○後藤政府委員 お答えいたします。重要物産免税に関しましては、今年三月すでにこれは終わりました。日本合成ゴム株式会社はこの恩典に浴しておりません。なお、それ以外の点につきましても、今後本国会におきまして本法がはずされまして、名実ともに日本合成ゴム株式会社が民間会社と同じようなベースに立ち至りました際には、同種同業の会社と同じようなバランスをとって見ていきたい。従来とは性格が違ってまいりますために、この会社だけを特段の見方をする必要はない、かように考えております。
○岡本(富)委員 大体約束の時間ですが、最後に、株式処分まで起きた事故、あるいはまた本法でまだ政府の監督の中へ入っておるわけですから、次の国会でもう少し詳しく調査いたしまして再度質問したい、こう思うわけであります。この相談役につきましても、元国会議員がいたり、わりにいろいろなところに問題があるのではないかというようなことも考えておりますので、この点についても今後ひとつ突っ込んで、この法案については検討したい。今度は非常に時間がなかったからこのくらいにとどめておきます。それではこれで終わります。
○小峯委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。 松田参考人には、長時間御出席いただきましてありがとうございました。 次回は、明十八日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十六分散会