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60回国会衆議院1968/12/20

社会労働委員会 第3号

発言数
140
登壇者
14
会派数
3
開催日
1968/12/20

会議録

八田貞義自由民主党

○八田委員長 これより会議を開きます。  本日公報に掲載いたしました請願九十一件を一括して議題とし、審査に入ります。  まず、請願の審査方法についておはかりいたします。  その趣旨につきましては、すでに文書表によって御承知のところであり、また先刻理事会においても協議いたしましたので、その結果に基づき直ちに採否の決定に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八田貞義自由民主党

○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  それでは、本日の請願日程中、第一ないし第一二、第一四ないし第一八、第二〇ないし第三九、第四一ないし第七六、第七九ないし第八三、第八七、第九〇及び第九一、以上の各請願はいずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八田貞義自由民主党

○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕

八田貞義自由民主党

○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

八田貞義自由民主党

○八田委員長 なお、本委員会に参考のため送付せられました陳情書は、世帯更生資金の増額等に関する陳情書外四十一件であります。  以上、念のため御報告いたしておきます。      ————◇—————

八田貞義自由民主党

○八田委員長 次に、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  本委員会といたしましては、閉会中もなお審査するため、河野正君外十一名提出の駐留軍労働者の雇用の安定に関する法律案、同じく国有林労働者の雇用の安定に関する法律案、同じく家内労働法案、島本虎三君外十一名提出の港湾労働法の一部を改正する法律案、田邊誠君外十一名提出の身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案、河野正君外四名提出の労働基準法の一部を改正する法律案、加藤万吉君外十一名提出の労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案、齋藤邦吉君外十九名提出の柔道整復師法案、齋藤邦吉君外五名提出の建築物における衛生的環境の確保に関する法律案、並びに厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件、社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する件、労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する件につきまして、議長に閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八田貞義自由民主党

○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合、本会期中設置いたしておりました障害者対策小委員会につきましては、閉会中もなおこれを設置することとし、小委員及び小委員長は従前どおりとし、その辞任及び補欠選任につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

八田貞義自由民主党

○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————

八田貞義自由民主党

○八田委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山田耻目君。

山田耻目日本社会党

○山田(耻)委員 最初の質問でございますから、きょうは労働政策の基本に関して一点お伺いいたしまして、世界人権年の問題を伺いまして、あとはILO、人事院勧告についての大臣の所信といいますか、姿勢といいますか、こういうものをただしてまいりたいと思います。  まず最初に、日本経済も非常な成長を遂げてまいりまして、四十二年度の国民総生産は四十二兆一千億、世界の三位、二位の間に位しておるといわれるくらいたいへんな成長を遂げてまいりましたが、しかしこの中には多くの問題を残しております。一つは、賃金の分配率は三六%程度であって、アメリカなり欧州の諸国に比べますと非常に低位でございます。雇用の状態もきわめて不安定な状態であります。しかも雇用されておる現実を見ましても、たとえば三勤とかあるいは徹夜の勤務であるとか深夜作業が、間断なく繰り返されて得られた総生産。いわれておりますように、子供が寝ているうちに家を出て、子供が寝ているうちに帰ってきて、一家の団らんというものはきわめて制限されて、家庭も疎外されてくるようになってきた。あるいは農山漁村はかなり地すべり的過疎を起こしておりまして、出かせぎというものがこれまた生活不在をあらわしてきておる。高成長の陰に、働く人々にとっては、国の施策の冷たさ、しかもその中にあるきわめて巨大な収奪、こうしたものをかかえておりますのが、今日の日本の労働実態であろうかと思うのです。  これらに対して、所管省として労働省は、具体的なこまかい対策を打ち出していかなくちゃなりませんし、人間尊重なんということを、ことばだけでしゃべってもらっていたのでは何ら価値もございませんし、政治に対する不信の度合いを増すだけでございますので、大臣も新しく就任をなさいましたし、こうした問題についてどのような姿勢をもって臨まれようとしておるのか、きょうはひとつお伺いをしてみたいと思います。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 いま山田委員の御説を拝聴いたしましたが、私は労働大臣就任のときにも申し上げたのですが、愛情のこもった労働行政を私は推進いたしていきたい。そういう意味は、勤労者や働く者の身になって思いやりのある労働行政をやりたい。それはすなわち、働く者と喜びをともにし苦しみをともにするというような、一体的気持ちでやっていきたい。決して傍観主義とか批判主義でなくて、勤労者や働く者の中に飛び込んで、ともどもに労働条件の改善、労働者の福祉増進等をやっていきたい、こういう考えでいろいろ進めておるところでございます。でありますから、日本の経済が非常に成長している、それとバランスのとれた労働条件の向上、労働者の生活改善をやっていきたい。経済の安定的成長と労働条件とか労働者の福祉、この二つの課題を同時にバランスをとって解決をするように進めていきたい。それで、私どもの労働省といたしましては、労働者及びその家族の福祉増進という労働行政の究極の目的に接近するように全力をあげていきたい、こういうように考えておる次第でございます。その方面にこれから全力をあげて御期待に沿うように進めていきたい、こういうことで、御趣旨全然同感でございます。

山田耻目日本社会党

○山田(耻)委員 新任の大臣でございますから所信を伺ったわけですけれども、たいへんけっこうずくめな御返事でございまして、ありがとうございます。どうかひとつ、申し上げましたように、言うことは非常にたやすいのが最近の政治の姿のようですけれども、実行というのがほとんど伴っておりません。ここに政治に対する不信感というものが国民の中に満ちてきておるのですけれども、どうかひとつ、おっしゃった事柄につきましては実行していただきますように——あなたの在任中全力を尽くしてやっていただいておるのかいないのかということは私たちにはよくわかりますから、どうかひとつおっしゃったことを確実に実行に移していただきますようにお願いをしたいと思います。  それでは、引き続きまして若干具体的な問題に入るわけでありますが、昨年の一月の二十七日だったと記憶いたしますけれども、国連の人権宣言を基調といたしまして、ILOも特にこの問題を取り上げまして、世界人権年を一九六八年迎えるのであるから、関係諸国においては、労働者の基本的な人権にまつわる次のような諸条約については、未批准の国はすみやかに批准をするように適切な措置をとるようにという採択がなされて、日本政府に対してもそのような手続がとられたわけであります。ことしの五月、衆議院本会議におきまして、私から佐藤総理なり関係各大臣に、具体的な本問題の取り扱いについてどのような方向を考慮しておるのか、またそのことについて国際連合なりILO事務総長にどういうふうな具体的な回答をいたしたのか、あるいはいたす用意があるのか、問いただしたところであります。それに関しまして、いまの大臣のお話ではございませんけれども、国連の一構成の国家でありますし、ILOに加盟をしておる日本でございますから、そうした諸決議については忠実に実行いたしたいという返事がございました。しかしことしの八月になりまして、条約百号がかろうじて批准されただけでございます。ILOのいう国際人権年に基づいた一つの軸である条約があるのであります。何かといえば、日本でいえば百五号の条約であります。こうした事柄についてはいまだ何らの具体的措置がなされていないと私は思うのでありますけれども、一九六八年もまさにあと十数日を残すのみになりましたけれども、一体この期間どのような方法をおやりになるのか、ひとつ明確な考え方を述べていただきたいと思います。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 政府委員をして答弁させます。

中原晁労働大臣官房国際労働課長

○中原説明員 ただいまの山田先生の御質問に関連しましてお答えいたします。  先ほど先生から御説明のありましたとおり、昨年の一月十二日付でILO事務局長から外務大臣に書簡が参りまして、七つの大事な条約があるので、これを加盟国は六八年に批准してほしいというようなあれがきております。このときまでに日本は七つのうち三つをすでに批准してございますので、その後、先ほどお話しになりましたように、百号条約につきまして批准、御承認をいただきました。八月二十四日にこれを寄託いたしたわけでございます。残りの三つにつきましては、十一号条約、百五号条約、百十一号条約が未批准になっておりますが、これにつきましてはいろいろの問題がございまして、ただいま検討中でございます。したがいまして、そういうふうに事務局長の書簡に対しましては、百号条約を批准いたしまして処理したわけでございます。

山田耻目日本社会党

○山田(耻)委員 百五号など日本が未批准の条約を、世界人権年あと十日あまりしか残っていないで、どのように具体的に措置するのかということを聞いておるのであります。確かに経過はわかりましたけれども、やはり加盟国であります総会の決議には、日本の政府代表、労働代表、経営者代表も参加をしてきめておる内容でございますから、どのようにおやりになるのか具体的に言っていただきませんと、ちょっと理解に苦しむわけです。

中原晁労働大臣官房国際労働課長

○中原説明員 いまの御質問でございますが、ざっくばらんに申し上げまして、六八年はあともう半月ほどしかございませんので、六八年中に検討中の結論を出すということはなかなか困難だと思いますが、先生御存じのとおり、この条約につきましては、国によっていろいろ違いますけれども、これの条約の解釈、それから適用の問題等につきましていろいろ慎重に検討しなければならないことがございまして、もちろんILO事務局長の書簡の線に沿いましてわが国も対処いたしまして、その結果百号を批准したわけでございますけれども、残りの三条約につきましては、早急にそういう問題点を整理するということにはかなり困難な面がございますので、そういう点を十分検計した上で、しかも人権宣言年の趣旨も尊重しまして検討し、考慮する、こういうことでございます。

山田耻目日本社会党

○山田(耻)委員 言われたけれどもことしはできない、引き続いて検討をしたい、こういうおっしゃり方ですね。しかしこの種の国際条約という問題は、日本も加盟国なんですから、やはり世界でも数多くの批准国があるだけに、すみやかに批准への具体的な日程なり計画をお立てになるように、これは通常国会になりましてじっくりひとつ議論をし合いたいと思いますので、その時期までに具体的な日程というものを計画をされて御答弁をいただきたい。きょうはこれで保留をしてお主たいと思います。  それからもう一つは、これは大臣にお尋ねしたほうがいいと思いますが、この人権年の総会がおととし、六六年に開かれましたときに採択されたのですが、そのときの決議があるわけです。それは、今年九月日本でやりましたILOのアジア会議においても、同様のことが議論をされて、理解に幅がないように共通性を明確にされてきたのですが、その決議の第四項gの中に次のようなことがございます。「全加盟国に対し、国際人権年の一九六八年末までに、ILOの原則および基準にしたがって、労働組合運動の故に逮捕されまたは宣告をうけたすべての労働組合運動家に、大赦、恩赦または同等に有効なものを宣言し、実際にこれを与え、それについてILO総長に通報するよう訴えること。」という内容のものが満場一致で採択されております。世界人権年の中で、ある意味では不当な弾圧を受けた国々の運動家なりその指導者、そういうものがあったことは客観的に証明を数多くされておりますけれども、こうした人々に対して大赦または恩赦の措置をしなさいというのが四項gの内容であります。日本政府もこれに対して同意を表明しておるはずでございますけれども、これらについても検討されていますか。一体どういうことになっておるのか、御答弁をいただきたい。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 ただいま山田委員からお話がございました件でございますが、この決議の主体たる恩赦は法務省が主管でございますので、法務当局の意見も聞いてまいりました。その主管省の法務省の意見は次のとおりでございます。  労働組合活動に関して労働組合員が逮捕されまたは刑の言い渡しを受けているのは、これらの組合員がわが国の刑罰法令に触れる行為を行ない、かつその行為が正当な組合活動とは認められなかったからである。そうしてその適用を見ている刑罰法令は、いずれもILOの原則及び基準に違反していないものと考えられる。したがってこの際恩赦等の特例措置をとることは考えていない。こういう法務省の見解でございます。  もう少しつけ加えますと、政府は明治百年記念にあたって特別恩赦基準による恩赦を行なうということといたしておりますが、この基準は原則として罪種を限定しておるものではございませんので、もしかりに山田委員の申されたような事案がありました場合には、これもその対象として考慮し得るものであることは言うまでもないところでございます。そういう経過でございます。

山田耻目日本社会党

○山田(耻)委員 法務大臣の見解は、ILOの原則に違反をしておるような不当な逮捕なり処罰をしたことはないので、大赦なり恩赦をその意味に従ってするということはあり得ない、こういう態度のようでございます。  大臣、あなたは労働大臣ですから、少し角度を変えて私はお尋ねするのですが、日本の事件がILOに提訴されておりますのは、百七十九号事件というその項目で採択をされております。この中で軸となっておりますのは、公労法なり人事院なりあるいは公平委員会の採択をし、裁定をしたものが未実施であった、ここに提訴内容の中心があるわけであります。このことは、労働三権を奪われておる代償の措置として取り上げられておる制度でもあるにかかわらず未実施である、だから完全実施をめぐって労働組合は当然の権利をもって行動した、そのことがいろいろと刑事罰に触れて弾圧をされる対象になっているのは不当であるという提訴趣旨も、一つの要素を大きく占めておるわけであります。二つ目には、それならば、スト権を奪った代償措置として第三者機関があるのであれば、この第三者機関の決定は余すことなく尊重されなければならない。そのことの可否についてILOの採択を迫ったのが日本の提訴した百七十九号事件の柱の一つでもあります。  申し上げましたように、二つが一つの軸になっておるのでありますが、前者のほうは、いまあなたがおっしゃいますように、法務省はこういうふうに言っている。しかし労働大臣としては、この提訴経過なり日本の労使間の具体的な問題を、法務大臣とは違った角度で掌握をされなければ、この問題の解明については私は十全ではないと思うのです。ILOはもちろん客観的に調査をいたしましたり、日本にエリック・ドライヤーが訪れましたのは先おととしの暮れであります。初めてILOが調査団を正式に派遣をして日本での調査を行なったのでございますが、その結論の中にも、こうした代償措置については政府は十分なる実行を遂げなくてはならない、ここに世界にまれな労使の不信感が生まれる要因となっておるのである。二つ目には、こういうことで労使間紛争が起こってきて、それを刑事罰で弾圧をしていくという行為は好ましいことではないのだ、こういうふうに明確に調査内容を報告をいたしております。あなたの立場というものは、この立場に立って労働行政をなさらないと、不要な混乱が起こるのです。法務省がこう言うからということで紙に書かれたものを読まれておったのでは、一体この社労というのは何です。そういう立場からいまの第四項gに該当する大赦、恩赦についてあらためて検討なさる用意があるかどうか、お伺いをしておきたいと思います。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 政府委員からもっと具体的に……。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 ただいま大臣が御答弁申し上げましたのは、恩赦等に関する所管が法務大臣でございますので、法務省と労働省の問でこの問題につきまして何回か協議をいたしておるのでございまして、もちろんその際に労働省といたしましては、労働省の立場として協議をした次第でございますが、結論的には政府といたしましての見解がそのようなものの考え方になっておるということを申し上げた次第でございます。  ILOとの関係におきまして、先生十分御承知のように、八十七号批准をめぐりまして、いろいろの問題がございました。それからまたその間公労法適用の組合等から、主としてILOに提訴がございまして、たとえば百七十九号事件、その前の六十号事件といったようないろいろな問題があったわけでございますが、私ども五十二総会の決議との関係において考えております。基本的なものの考え方といたしましては、現在の日本の労働法制が、個々具体的な問題につきましては、各国それぞれの特徴がございますので、各国と事情を異にする面はあるかと思いますが、基本的には日本の労働法制がILO加盟の各国の労働法制と比べて決して遜色のないものである、レベルが相当高いものであるというふうに考えておる次第でございまして、たとえば正当な組合活動におきましても、ある国におきましては相当の弾圧が加えられておるというような事情も承知をいたしておるのでございますが、日本の場合におきましては、基本的には正当な組合活動によりまして処罰をされるというようなことはないという法体系になっておりますので、それらも踏まえまして、この恩赦の問題につきましても——もう一つ、従来の恩赦の方針、やり方といたしまして、特に一定の種類を限ってやるというやり方をしていないということも踏まえまして、今回におきましては、明治百年恩赦によって具体的に該当するという場合には、もちろんその恩恵は受けるけれども、特に事項を限りまして、労働組合運動のゆえをもって恩赦の対象とするということにしなかったということでございます。

山田耻目日本社会党

○山田(耻)委員 時間がございませんから掘り下げられませんけれども、いまあなたがおっしゃいました正当な組合活動、私はこれには気持ちがひっかかるわけですけれども、代償措置としてつくられた仲裁裁定なり人事院勧告というものが実施をされない状態は正当なのかどうなのか。少なくとも今日の労働法学者の中にも、ILOの採択の中にも、最近日本の政府の中でもいわれておるように、実施をしなくちゃいけないのである、それが正当なんです。実施をしない不正当な状態に対して、正当を求めて動いたことが日本の刑法に違反するという立場で、公務執行妨害であるとか、威力業務妨害であるとか、こういう立場で逮捕され、拘禁をされたことがいけないのであるとまでILOは判断を下しているのですよ。日本の最高裁における判決も、そういう経済問題を中心とした諸行動に対しては刑事免責をやりたいという小法廷の結論を出しているでしょう。だから私は、あなた方がおっしゃっている正当論というのは一体何なんだろう、そのときどきの権力の持ちぐあいでかってに解釈をしている今日、代償措置を完全にやってくれといって、公労協なり国家公務員が、戦後二十三年間いろいろな要求実現に対して具体的な行動をとり、それによって多くの弾圧を受けておるのですよ。公労協だけで、これによって支払わなければならなかった経済負担は、二百億といわれておるのです。政府の不正当なるがゆえにですよ。そういう実態の上に立って議論をし合っておるのでございますから、正当な組合活動は弾圧したことはないというものの言い方は、現状をそらす議論です。こうした現実を踏まえておる議論ですから、ILOがいっておるのもそこをさしておるのだから、四項のgに対しなされる措置は、明治百年の中から生まれる恩赦なりそうしたものじゃなくて、世界人権年にあたって、ことしの六月三日の百七十二回の理事会で採択をした決議——あなた方は報告しなければならぬでしょう。特に報告を求められておるのですから。その報告の内容は百七十三理事会で再確認をしますよと、だめ押しをされておるのです。それに対してあなた方がお答えになることを、いまおっしゃったことから想像すれば、日本では正当な労働運動は処罰をいたしておりません、だから第四項gに対する措置はございませんでした、こういう答弁をなさるのは、私はおっしゃらなくても想像はできます。それは問題のとらえ方を間違えているからだ。正当性というものの理解のしかたが、日本の場合、ILOの次元、世界共通の労働運動の次元と異なっているからですよ。異ならない次元に戻して四項gを取り扱われる用意があるのかないのか。検討なさる気持ちがあるのかどうか。これも非常に深い問題ですから、通常国会でまたやりますけれども、一応やはり所管の省でございますから、考え方を述べていただいて、そうして結論は留保になって次回に回してもけっこうですけれども、そういうふうにひとつ正当性の問題を把握していただきたいと思います。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 ただいまの先生の御議論でございますが、まず第一に、法治国家でございますので、法律論という面からの正当、不当という問題がございます。それから労使関係との相関関係、労使の間柄からするところの実態論としての正当、不当という問題があるかと思うのでございます。やはり純粋の法律の面で考えました場合には、現行国内法におきまして、たとえば争議行為に関連をして暴力事件が起こったというような場合、それからまた、労働組合法一条二項の違法性の阻却がないために処罰をされたというような場合、いろいろな場合があるかと思うのでございますが、もちろん十月二十六日の最高裁判決によりまして、大まかに言いまして、あそこにあります三つの条件を備えた争議行為につきましては刑事罰の対象にすべきでないという原則は、明らかにすでに確立をされたわけでございますので、それらを含めまして、法律に違反をするような違法な行為というものにつきまして、これが処罰をされることはあり得るし、そしてそれは正当な行為ではないのだという解釈を私どもは持っておるわけでございます。  それと同時に、もっと広いといいますか、高い立場から、人事院勧告の完全実施の問題、特に政治的責任というような問題、法律の趣旨をいかに実現するかということにつきましては、御指摘のございましたように、過去におきまして完全実施ができないということは非常に遺憾な事態であると考えておるのでございまして、その意味におきましては、完全実施をできるだけすみやかに実現をすべきものであるということをわれわれは強く念願をいたしておるのでございます。  基本的なものの考え方といたしましては、私どもはそのような理解をいたしておるのでございますが、ただいまの五十二次総会の決議につきましてどのような取り扱いになるかということにつきましては、先ほど大臣から申し上げましたように、政府としては特にこれを限定いたしまして、そのような特定の行為につきまして恩赦を行なうという方針は目下持っていないというのが私どもの考え方でございます。

山田耻目日本社会党

○山田(耻)委員 時間がございませんからこれでやめたいと思いますが、ILOも四項gをきめたのは、その国では少なくともその行為を違法性があるとして処罰を受けたということを前提にしておるんですよ。それでいて初めて大赦とか恩赦とかいうものが生まれてくるのですから、そういう意味を十分理解してもらいませんと、その国の国内法に違反していたから処罰をしたのだから四項gには該当しない、五十二次総会には関係ないとおっしゃる立場は間違いなんですよ。その国の国内法では違反をしておる、そうして処罰を受けた、しかしそのことは労働法の中から生まれたことであって、いま私が申し上げましたような正当性があるものについては、国内法で違反であったとしても大赦をしなさい、恩赦をしてやりなさい、こういうのが百七十二次理事会の内容でございますから、誤解をなさらないように願います。そうなりますと、当然日本の場合も該当なしというわけにいかなくなりますよ。百七十九号事件の中には明確に数字が出ておりますから、該当なしというわけにはいかなくなる。だからそこは検討してくれと言っているんですから、誤解しないようにしていただきたいと思います。  最後に、代償措置が実施されなかったところに起こる紛争、これは今日の公務員制度審議会でもこれからおやりになるでしょう。労働三権については、審議が深められていく中で代償措置が権威づけられていくものだと思います。  そこで大臣、最後に一言あなたに伺っておきますが、今日、たいへんな政治課題になりました人事院勧告は、来年からは完全実施をしたい。しかも、七〇年闘争を迎えておるので何とか平穏裡にという気持ちが前面に出て、完全実施というような措置に置きかえられたというふうに新聞を私たちは見ました。これはもちろん新聞は間違いだと思いますが、それほどすっとぼけた大臣ではないと私は思いますけれども、代償措置であるがゆえに完全実施をしなければならないというのは、法制定以来ずっと叫び続けられてきたところです。ですから労働省としては、特に大臣として、この問題について代償措置を完全に実施する、そのことは日本における労使慣行を正常化させる唯一の道であるという立場に立っての所見であるのかどうか、もう一度伺って私の質問を終わりたいと思います。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 いまのは山田委員のおっしゃった趣旨のとおりでございまして、人事院の勧告は政府が全面実施すべきものであるし、それが労使関係を正常化し安定化するゆえんである。それのために、このたびは国会の場において、一カ月繰り上げが昨日委員会を通ったようなわけで、来年からについても、全力をあげて完全実施をされるよう努力いたしたいと思っております。その他、安保とかなんとかいうことでございましたが、これは舌足らずでそのときちょっと出ただけの話で、誤解のないようによろしくお願いします。

山田耻目日本社会党

○山田(耻)委員 終わります。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 本件調査のため、本日、日本鉄道建設公団副総裁篠原武司君に参考人として御出席をいただいております。  質疑を続けます。後藤俊男君。  なお、この際、政府委員側に委員長より注意いたします。答弁は簡略に、要を得て発言されるよう注意しておきます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 まず最初に、江若鉄道にからむ問題でございますけれども、公団の副総裁もきょうは御出席をいただいておりますので、昭和三十九年から問題になっております江若鉄道の買収の問題につきまして、今日どういうふうな情勢に至っておるか。さらに資金関係の問題につきましても、この間、実は地元の新聞を見ましたところ、別所大阪の支社長が地元の期成同盟の皆さんに説明をしておられるわけでございます。そういうふうなことにつきましても、ぜひひとつできるだけよくわかるように、冒頭公団側のほうから御説明をいただきたいと思います。

篠原武司日本鉄道建設公団副総裁

○篠原参考人 ただいまお話のございました江若鉄道の路線を使って湖西線をつくるということに関しまして、江若鉄道と用地その他の買収交渉を精力的にやっておりましたが、なかなか妥結いたしませんで、四十年の十二月、文書によりまして社線の用地の買収について意見を照合いたしまして、それ以来ずっと折衝を続けてまいりましたが、現地間の交渉ではなかなかまとまりませんので、本社におきましてまた折衝を重ね、精力的にやっております。非常に長くかかりましたが、四十二年の今日まで約三年間かかっておりまして、はなはだ遺憾に思っておりますが、しかし大体次の段階を迎えておりまして、近々には片づくのではないかというふうに考えております。しかし、これも相手のあることでございますので、どういうふうになりますか、はっきりしたお答えはいたしかねる状態でございます。しかし非常に金額的には詰まってまいりまして、早急に妥結できるのではないかという見通しを持っております。そういうことで、早急に私どもとしましては、用地その他を買収しまして工事に着工したいというふうに考えております。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 それと、先ほど申しました資金的な関係の問題ですね。これをひとつお願いします。

篠原武司日本鉄道建設公団副総裁

○篠原参考人 公団の予算につきましては、一応買収し得るというような立場で金額は計上しております。したがいまして、まとまってもまとまらなくても——まとまればすぐどうにかなるという資金の見通しは立てております。     〔委員長退席、田川委員長代理着席〕

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 そうしますと、これは大体昭和四十六年一ぱいに完成すべきだ、そういうような方針で最初から出発しておられるように聞いているわけですが、いま副総裁が言われましたように、四十三年度の年度内に解決すれば、大体スケジュールどおり進むのではないかというような気がするわけでございますけれども、いろいろと要請なりその他地元関係のことを考えてみますと、はたしてこれが昭和四十三年度内に、職員の問題なり、あるいは売買の金額の問題なり、それらの問題が不満が残らないようなかっこうで最終的にきちっとなるかどうかというような点につきまして、非常に私の見通しとしては不安を持っているようなわけでございますが、それについてどういうふうな見通しを持っておられるか。年度内にはこの二つの問題もはっきりケリをつける。そうしていよいよ廃線認可、着工、こういうような運びにいくものかどうかというような見通しにつきまして、ひとつお答えをいただきたいと思います。

篠原武司日本鉄道建設公団副総裁

○篠原参考人 この湖西線の開業の時期でございますが、当初四十六年度末、国鉄の第三次長期計画の終了いたします時期に完成するということで計画しておりましたが、国鉄の第三次長期計画も、資金その他の事情で一年延びるという形になっておりますし、また公団の湖西線の工事の問題につきましても、折衝その他に手間取りまして、いまのところ四十六年度末に開業するというのは無理ではないか。やはり四十七年度末、国鉄の第三次長期計画の終わりにはできるだけ開業したいというふうに考えておりますので、開業日時は四十七年度末。したがいまして、江若の問題が一応四十四年の九月末に片づけば、この四十七年度末に開業できるような運びになりますので、一応そういう予想をしております。しかし、これも相手のあることでございますので、江若鉄道との交渉がまとまらないという事態になりますれば、四十七年度末から若干延びるということもやむを得ないのではないかというふうに考えております。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 この場合、滋賀県の地元の期成同盟の皆さんが、先ほど言いましたように、大阪の支社のほうを訪れまして、いろいろとそういう情勢を聞いたわけです。その中で言っておられることは、年度内に解決しなかった場合には、いわゆる買収問題と従業員問題も切り離さざるを得ない、こういう説明を別所支社長はしておられるわけでありますけれども、地元の新聞で発表をしております。これは一体どういう意味を言っておられるのか。管理者一体の原則で、本社の副総裁十分御承知だと思いますけれども、その意味をひとつ簡単に御説明願いたいと思います。

篠原武司日本鉄道建設公団副総裁

○篠原参考人 ただいま、別所支社長が地元で発表したというようなお話がございましたが、その辺については、こういうことではないかと私は思います。  折衝の過程におきまして、非常に大きな開きがございまして、あまり大きな金額を江若鉄道の用地の買収のために投ずるのならば、いっそ別線のほうがいい。そういたしますと、それはどういうことになるかというと、山科から今津までを、駅をつくらないで別線でやりまして、それから先に駅をつくってやるということになります。したがいまして、その間の地域的の輸送は江若が相かわらずやっていくのだという形になると思うのでございますが、そういうことをやらざるを得ないのではないかという検討もいたしておりましたので、そういう点を別所支社長が話に出したのではないかというふうに考えます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 どうも意味がいま言われた意味と違うと思うのです。これを簡単に読んでみますと、「江若鉄道の従業員問題と買収問題は、会社側の要請通り年内中は並行して進めるが、未解決のままなら分離交渉をとら、ざるを得ない」こういう言い方なんです。ということは、われわれが推測をいたしますところは、年内は、買収の金額の問題と働いておる三百数十名の職員の問題とは、そこは江若の労働組合が言っておりますように、同じように並行的に話を進めていく。しかしながら、年内に話がまとまらぬ以上は、これは二つの問題を切り離してやらざるを得ないという意味が、この新聞の記事になってあらわれておると私は考えておるわけでありますけれども、そういうことではないのですか。

篠原武司日本鉄道建設公団副総裁

○篠原参考人 買収の問題でございますが、江若の立場といたしますと、公団と買収の契約が成立いたしました場合には、これは物件買収でございますが、公団としましては、建設を担当しておりますので、事業の継承の関係はございません。したがいまして、江若鉄道の事業廃止と、それから国鉄の新線建設は、事業的にほんとうに別個でございます。したがいまして、ただいまお話のありましたような、従業員の問題と買収の問題とは別個でございます。したがいまして、買収がまとまったあとにおいて、江若といたしまして、鉄道を廃止するという手続きをとらなければなりません。その手続きをとるときに、江若自体としまして、従業員の問題をどうするかということを固めて、それによりまして運輸省に廃止の認可を申請しなければならぬのではないか、そういうふうに考えております。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 大体わかったような気がいたしますので、そこでもう一ぺん……。  先ほど、当初の計画より一年くらいおくれるという説明でございましたね。それで、運輸省はおいでになっておりますか。第五十六国会の運輸委員会なり社会労働委員会で問題になりましたが、そのときの鉄監局長なりの説明は、これは私が申し上げるまでもなく十分御承知のことと思いますが、大体、買収の金額の問題、買うほうと売るほうのお金の問題、それとあわせて江若鉄道で働いておる、当時は三百五十四名でございますが、これらの人の収容の問題、いわゆる国鉄移籍の問題です。あるいはその他のほうの配置転換もあるでありましょう。これらの二つの問題を同時に進めるべきである。運輸省としても、具体的にそう指導していくし、廃線認可の問題についてもおそらくそうなるであろう。江若の会社自体が二つの問題を解決しない以上は、廃線認可の申請をすまい。しかも具体的にそのように指導をいたしますと、運輸省としてそういう答弁が第五十六国会で運輸委員会、社会労働委員会で言明をされておるわけでございます。  そこで、いまだに国鉄移籍の問題等についてはどうするという方針がはっきりいたしておりませんけれども、五十六国会で運輸省の責任者のお方が御答弁になりましてからもう一年以上になるわけなんです。その間、具体的にやります、精力的に行ないます、こういうような返答があったわけでございますが、現在、いま申し上げました国鉄移籍の問題等について、具体的にどのように進めていただいておるか、どこまで話が進んでおるか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。

山口真弘運輸省鉄道監督局国有鉄道部長

○山口説明員 五十六国会でございましたか、当時におきましてこの問題についての御審議が行なわれまして、ただいま先生がおっしゃいましたような御趣旨のことが答弁をされておるわけでございます。それで、運輸省といたしましても、この問題は何といっても、もし公団が江若鉄道の線路を利用いたしまして、これによって鉄道を建設するということになれば、江若鉄道廃止の問題は、当然職員問題をどうするかという問題にかかってくるわけでございます。そこで私ども、廃止を認可いたしましたりするような場合には、当然職員の問題を考慮に入れなければならぬわけでございますので、そういう意味からいきましても、職員の問題を買収の金の問題と同時に検討しなければならぬということでございまして、これにつきまして、国鉄当局といたしましても、いろいろ私どもから話をいたし、また江若鉄道にいたしましても、会社の幹部その他を呼びまして、いろいろ話を進めておるわけでございます。ただ、これを具体的にどうするかという最終的な結論までは到達いたしておりません。なるべく両者間において、並びに公団の三者の関係におきまして、了解に達するように努力してまいりたいと存じております。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 そうしますと、いま言われました説明は、この前の五十六国会で言われましたとおりの考え方で進めておる、そういうふうに確認いたしてよろしいですか。

山口真弘運輸省鉄道監督局国有鉄道部長

○山口説明員 五十六国会におきまして運輸省から答弁申しましたとおりでございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 今度は労働省のほうにお伺いしたいと思うのです。  労働省も、いま申し上げました、五十六国会におきまして、運輸省のほうの考え方は全くそのとおりである、いわば江若鉄道がなくなりまして国鉄に変わった場合には、とにかく若い人はできるだけ多くそちらのほうへ就職させるようにするのが当然であり、義務であろうと思う、こういう回答が五十六国会で労働省としてはされておるわけなんです。現在におきまして、この問題について運輸省でも、いま説明がありましたように、具体的に話は進めていただいておる。労働省のほうといたしましても、これから具体的に精力的にこの話は進めますと、一年前の国会で言明されておるわけでございますが、現在どういうふうなところまで話は進んでおるんだろうか。あるいは、江若で働いておる三百数十名の者が一番心配をし、危惧いたしておりますのは、やはり国鉄移籍の問題です。これがはっきりしてまいりますと、その他の全部の配置転換等もきまってくるわけでございますが、この方向がきまらぬ限りにおきましては、ほかの配置転換、京阪の自動車関係その他の配置転換につきましても、話がなかなか進まないというのが現状でございます。前におられました大阪の支社長もこちらに来ておられますけれども、かなり広範囲に就職の問題につきましては、日夜分かたず真剣なる御努力をいただいておる。これは私もよく知っておるわけでございますけれども、いま申し上げましたところの国鉄の移籍の問題がやっぱり一番中心になっておるわけなんです。これは地元の皆さんとしましても、江若鉄道が今度国鉄に買収される、国鉄にはりっぱな汽車が走りそうだ、当然あなた方もそこへ行って働くことになるんでしょうねと言っておるわけでございますけれども、現在のところ、国鉄のほうといたしましては、非常に財政的にもこれはたいへんな時期である、そう簡単にはいきませんよ——一年半ぐらい前でございますけれども、当時、副総裁が、一名も採らないということを大阪方面で声明されたことも御記憶があろうと思います。これは先ほど副総裁がおっしゃったように、少なくとも四十三年度内に話を解決しようと思いますと、お金の問題もさることながら、働いておる職員の国鉄移籍の問題を一体どうするか。これは一刻も早く希望に沿う方向で解決していただかなければいけないと思います。  さらに、私鉄は、この江若鉄道だけの問題ではなしに、これからも数多くこういうようなケースが出てくるんじゃないかと思います。そうしますと、いろいろ今後の問題を考えてみましても、たいへんなことだと思うのです。このことは、五十六国会で運輸省なり労働省へ、この席で私も十分話をしたわけでございます。それから一年たった今日、それなら一体その問題を具体的にどう進められてきたのか、現在どこまで話が進んでおるんだろうか、この点について、ひとつ御返答をいただきたいと思います。

村上茂利労働省職業安定局長

○村上政府委員 前の国会のいきさつにつきましては、私、最近かわりましたものですから、ことごとくは承知いたしておりませんが、先生の御質問の内容には、当面の江若鉄道の問題と、それから同様な状態に置かれた私鉄等の問題についての、二つの問題が指摘されておるように私、承りましたが、江若鉄道の廃止に伴う問題につきましては、先生も御承知のように、国鉄その他関係方面と会社といろいろ話を進めておるようでありますし、私どもも、具体的には四十歳以上の人が百二十名、以下の人が百九十五名ある。それで、それぞれのこの区分に応じまして、どのような会社に何名行くかとか、国鉄にどれくらい入るかといったような問題につきましては、情報としてある程度のものは承知いたしておりますが、問題は、国鉄移籍の問題が最も重点になっておるようでございます。したがいまして、具体的に労働省が就職活動に入るというにつきましては、これらの問題の推移をよく見分けねばならないというふうに存じまして、関係機関とは連絡をとりながら、情勢の推移を見ておるわけであります。もし転配がうまくいかずにいわゆる失業状態になるという方がおられますならば、これは非常に重大な問題でございますので、私どもも、特に中高年齢者の就職につきましてはいろいろむずかしい問題もございますので、労働省でとっております中高年離職者対策を積極的に行ないまして、うまく配転ができないといったような方につきましては措置をいたしたい、かように考えております。  私鉄一般の問題につきましては、問題として最近もいろいろ承っておりますが、私鉄で廃止される規模が実はさまざまでございます。かなり小さいものから大きいものからいろいろございます。そうしてまた配転等の問題もございますので、そういった事情を個別的に私ども調べまして処置したい、かように考えておる次第でございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 ことしの九月二十八日でございますか、いま問題になっております江若鉄道の労働組合がストライキをやりました。引き続いて第二回目のストライキをやろう、こういうふうな態勢に進んだことは御承知だと思います。そのときのストライキのいわゆる要求の中心課題というのは、去年五十六国会で運輸省なり労働省の皆さんがおっしゃったこと、江若鉄道買収につきましては、まず一番目には、お金の問題が買うほうと売るほうとが一致すること、さらに、その次の問題といたしましては、そこで働いておる三百数十名の労働者を一体どうするかということ、この二つの問題を解決しなければ廃線認可を出さないのが当然であろう、しかもそういう方向で指導をいやしますというのが、運輸省なり労働省の返答でございました。  ところが、先ほど申し上げましたところの九月二十八日の江若鉄道労組のストライキというのは、会社側当局が、買収、いわゆる金額の問題と従業員の問題とは、並行して交渉することはできぬ、そんなことはできませんと、団体交渉の席上で返答がありましたので、これは一体おかしいじゃないか、それなら金額だけ、二十数億かどれだけか知りませんけれども、売ってしまって、おれらのことはやりっぱなしでいくんか、そんなことではおれらは承服できぬし、しかもその団体交渉の席上では、五十六国会における運輸省なり労働省の見解そのものが問題になったわけです。そこで、二回目のストライキを行なうときに会社側のほうから、いや、全くおまえらの言うとおりだ、それならひとつ五十六国会の運輸委員会なり社会労働委員会でやったことを十分確認をして、その線で進めます、こういうようなことで妥結して、第二回目のストライキはやらなかったわけです。  それを考えてみますと、少なくとも去年の十月十二日の運輸委員会なり社会労働委員会でその方向に具体的に指導しますと言いながら、江若の会社側のほうに対しては、運輸省なり労働省は一体一年間全然具体的な指導もせずにきておられたのだろうか。もし指導しておるというなら、こういう問題は起きないと私は思うわけです。その間のいきさつを、これは簡単でけっこうでございますが、説明をしていただきたいと思います。

山口真弘運輸省鉄道監督局国有鉄道部長

○山口説明員 運輸省といたしましては、江若鉄道の経営陣に対しまして、この人員の問題の円満解決いたすことにつきまして、種々経営者等を呼びまして指導をいたしております。なお、会社の経営者の交代もございまして、交代してからも、新経営者ともいろいろその問題につきまして私どもの考え方を述べ、そして善処方を要求しておるところでございます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 時間がございませんので、もう一ぺん確認いたしたいと思うわけですが、この前の五十六国会で言われましたとおり、現在におきましても、やはり運輸省なり労働省としては、廃線認可を申請する場合には、お金の問題なり従業員の問が円満に解決してから廃線認可の申請を行なう、そのことを原則的に確認をしていただくと同時に、先ほど公団の副総裁なりその他運輸省、労働省から御説明がありましたように、まだまだ職員問題等も解決をしておりませんので、これらの解決につきましても、具体的にいま言いました方向で今後も強く指導をしていただく、このことを確認してよろしいかどうか、もう一ぺん念のためにお尋ねいたしたいと思います。

山口真弘運輸省鉄道監督局国有鉄道部長

○山口説明員 ただいまの先生の第一の問題でございますが、これは廃線の認可と申しますか、地方鉄道の営業廃止の認可ということでございますが、これにつきまして認可申請がありました場合に、私ども当然、その従業員をどうするかという問題につきまして深く審査をする場合がございます。したがいまして、私どもといたしましては、従業員の措置につきまして、円満な解決のめどが少なくともついた上で廃線の認可がされるものという期待をしておりまして、その方向で指導したいと思います。  なお第二の問題につきましても、これにつきましては、今後一そう精力的に具体的な内容につきまして指導いたしてまいりたいと思います。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 そこで労働大臣にお尋ねしたいと思うのですが、いまいろいろ話いたしましたとおり、現在問題にいたしておりますのは江若鉄道の問題でございますが、私鉄が、公団が中に入りまして、最終的には国鉄へ経営が移譲していく、そういう場合に、私鉄の廃線になったところに働いておる従業員の問題です。これは当然、国鉄の経営になれば国鉄のほうへ移籍する、それがしかりではないかというふうな考え方にわれわれも立っておりますし、さらに地元の皆さんなり、あるいは現在江若鉄道で働いておる従業員の人も、国鉄へ行きたいという人については国鉄のほうで使う、そういうよなことで考え方を進めるべきであると考えておるわけですが、労働大臣として、具体的問題ではなしに、いま言った種類の問題についてどうお考えになっておるだろうか、これをひとつお尋ねいたしたいと思います。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 お尋ねの件でございますが、私鉄等が廃線になるような場合、労働者の不安をなからしめるよう全力をあげます。そしてそれが運輸省とも関係がありますが、運輸省に対してもそういう意向を伝えて善処いたしたい、こう思っております。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 廃線になるときに不安をなからしめるようにしたい、これは全くそういうことでございますが、もう一歩私は掘り下げて聞きたいのは、国鉄に買収される場合には、当然そこで働いておった人は国鉄で使うべきじゃないか、このことをお尋ねしておるわけでございますので、そのことについてもう一ぺんひとつ御答弁をいただきたいと思います。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 労働大臣としては、そういう人々が国鉄のほうへ就職されることを非常に熱望し、そういうふうに指導したいと思っております。これはやはり運輸省とも関係がありますが、運輸省のほうへもそういう方針をお伝えして相談の上善処いたします。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 その次は、これは運輸省のほうにお尋ねしたいのですが、御承知のように来年になりますとこの江若鉄道の工事が始まると思います。ところが、滋賀県の湖西関係の国道百六十一号線ですね、これは非常に道幅も狭いわけなんです。しかも京都、大阪、大津方面への通勤が、江若鉄道を使っておる人が非常に多いわけです。さらにやはりこの江若鉄道を使って通学しておる学生が多いわけです。これが工事が三年ないし四年かかると思います。その間は江若鉄道は動かない。そうなってまいりますと、廃線認可をする前に、この地域における交通対策は一体どうなっておるか、どうすべきか、これをやはり検討しなければ廃線認可の許可は出ないと思います。聞くところによりますと、バスが四十何台、これは通勤者を輸送する。さらに国道百六十一号線は非常に狭い。さらに御承知のように、滋賀県のこれは観光地域です。大体道路の容量の三倍ないし四倍ぐらいな観光客が京阪のほうから入り込んでくる。そこへ工事が始まってダンプカーが通る、バスが四十何台通る、道路は狭い、これを一体今日運輸省としてどういうふうな計画をされておるんだろうか、どういうふうな指導をしておられるんだろうか、この点につきましてお尋ねいたしたいと思います。     〔田川委員長代理退席、委員長着席〕

山口真弘運輸省鉄道監督局国有鉄道部長

○山口説明員 お答え申し上げます。  廃線に際しまして、当該鉄道がなくなることによりまして、当然その地域におきます住民の方々、特に通勤の方々、通学の方々の足が奪われるわけでございます。したがいまして、これに対する代替の交通手段をどうするかということは、当然廃線の認可をするにあたりまして十分審査をしなければならぬ問題であります。具体的にただいまはっきりどこをどういう措置をするかということまでは、ちょっと申し上げることはできませんが、バスの設備だとか、あるいは道路輸送の状況だとか、そういったようなものを種々勘案いたしまして、代替的措置につきまして遺憾のないようにした上で問題の処理をしたい、このように考えます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 公団のほうへちょっとお尋ねしたいのですが、公団のほうにはこの江若鉄道の工事計画その他あると思うのです。ありましたら、それをひとついただきたいのですけれども、後日ひとつお願いいたしたいと思います。

篠原武司日本鉄道建設公団副総裁

○篠原参考人 百六十一号線の混雑は、私どものほうでもよく承知しておりまして、これを御迷惑をかけないように工事しなければならぬということでいろいろ検討しております。したがいまして、工事用のトラックその他も、なるべく縦の輸送と申しますか、百六十一号線沿いの交通をなるべくしないように、直角の輸送で工事ができるようにというような配慮で、警察などとも交渉いたしまして検討いたしておりますので、そういう点御了承願いたいと思います。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 それでは最終的に、これはお願いというとおかしいのですが、先ほどからいろいろ申し上げましたように、特に私、問題になると思いますのは、江若の鉄道で働いておられる三百数十名の人が、おれら一体どうなるのだろうか、この心配を毎日持ちながら勤務しておられるということなんです。非常に不安な気持ちで交通関係に携わっておる。これは望ましい姿ではないと私思います。だから、先ほど何べんも繰り返しましたように、一番中心になりますのは、その労働組合が具体的に出しておりますように、四十歳以上の者を国鉄のほうで使ってください。そこまで具体的に提案をしてきておるようなわけでございますので、ぜひひとつ運輸省なり労働省なり、さらには先ほど労働大臣も言明になられたように、私鉄を国鉄に買収した場合には当然国鉄で使うべきである、その方向が非常に望ましいんだ、こういうような気持ちも披瀝をしていただきましたので、おそらく働いておる三百数十名のものも非常にうれしい気持ちで先ほどの話を伝え聞くであろうと私も考えておるわけでございます。どうか江若の買収にからむ国鉄移籍の問題につきまして、運輸省、労働省なりあるいは公団におかれましても、一刻も早く安心して働けるような方向へ全力を尽くしていただきますようにお願いをいたしたいと思う次第でございます。  最後に、いま申し上げましたことに対しまして労働大臣の一括の御答弁をいただいて、終わりたいと思います。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 江若の従業員の方々が非常に不安に思っておられるそうでありますが、労働省といたしましても、運輸省と連絡をとって万遺漏なきを期し、どうぞ御安心をしてお働きのほどをあなたからもよくお伝えいただきたいと思います。

村山達雄自由民主党運輸政務次官

○村山(達)政府委員 運輸省の政務次官に就任いたしました村山でございます。  江若の問題につきましては、ただいま後藤委員からるる御説明がございまして、問題の重要性を認識しております。先ほどからお話しのように、二つ論点がございまして、一つは物的問題の買い取り交渉をどうするか、一つは江若で働いておる人のあとの処遇をどうするかという問題でございます。とりあえずは公団と江若の間の問題でございますので、その間で円満に話が進むことをわれわれは期待しておるわけでございますが、同時に運輸省は、公団につきましても、民鉄につきましても、監督官庁の責任を持っておるわけでございます。したがって、価格の問題につきましても、あとの労働者の問題についても、スムーズにいくようにわれわれは望んでおるわけでございますが、今後その線に沿ってできるだけの努力をいたしたいと思います。  ただ、一つだけ私のほうの希望を申し上げさせていただきますと、交渉ごとでございますので、自分の主張だけではなかなかこういう問題はむずかしゅうございますので、お互いに公団も江若も腹を割って、そして条件を詰めていく、どこまでが相手方が受け入れられるかということをほんとうに詰めていく必要があると思うのでございまして、そういう問題で、この線がだめならこの線、全部が理想どおりこういう問題はなかなかいくわけではございませんので、場合によりますと、やはり従業員のために次善の策も講じなくてはならぬという場合もあるかと存じます。しかし問題はやはり具体的解決でございますので、現在の従業員の方々ができるだけ不安がないように可能な限り善処する。また営業廃止につきましても、そこのところはやはり値段の問題、いわば一つの取引でございますから、お互いの立場を十分理解し合いながら話を進めていくということが大事だろうと思います。今後ぜひひとつ柔軟な態度で、お互いに信頼し合った態度でこの問題を同時に解決するように進めてまいりたい、かように考えます。

後藤俊男日本社会党

○後藤委員 じゃ終わります。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 篠原参考人には御多用中御出席いただき、まことにありがとうございました。  次に島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 まず、原健三郎労働大臣、小山省二労働政務次官の就任に対しまして敬意を表して、今後この複雑なる労働行政運営のためにひとつ御健闘願いたい、このことを心からお願いして質問をいたさせてもらいたい、こう思うわけでございます。  まず、きょう質問したいことは、日雇い関係の問題と機構改革に関する問題、二つでございます。あまり駄弁を弄しないで、一つ一つ片づけてまいりたい、こういうように思いますので、そういう意味でよろしく御答弁願いたい、こう思うわけであります。  まず、昭和三十八年のころに職安法と緊急失対法、いわゆる失対二法の改正が行なわれたわけであります。その際に、当時の大橋労働大臣が、今後の運営の中で、失対労務者に対してはよくしても悪いような扱いは一切しないのだ、このことは繰り返し繰り返し、あるいは答弁の中で、あるいはあいさつの中で繰り返しておったわけであります。いまにして思いますと、その精神が貫かれておるかどうか。やはり問題としなければならない点が多々あるのは遺憾でございますけれども、三十八年当時、いわゆる失対二法が改正されたあの当時の考え方の上に立って、今後原労働大臣も失対労務者の件については善処してもらいたい、こういうふうに心から期待してやまない次第でございます。われわれも初心に返ってがんばりますが、原労働大臣もその点お忘れなく今後ひとつ御健闘願いたいと思いますが、いかがでございますか。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 いわゆる失対労務者等についての御見解、同感でございまして、その対策また福祉等、善処してまいりたい、こういう決意でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 私どもも、そういうような考え方に立って今後質問させてもらいたいのでありますけれども、物価の上昇に見合って、中央賃金審議会等を通じてその賃金の点はスライドさせる、こういうようなことになっておったのであります。その失対労務者の賃金等の問題につきましては、現在言明されましたとおりにスライドし、万遺憾なきを期しておられますかどうか。この点についてお伺い申し上げます。

村上茂利労働省職業安定局長

○村上政府委員 先生も御承知のように、失業対策事業の賃金につきましては、法律で「同一地域における類似の作業に従事する労働者に支払われる賃金を考慮して、」云々、こういう原則がございまして、物価にスライドするとかそういった点は法律上には明記されておらぬわけであります。そして実際につきましても、物価の上昇率と、賃金上昇率、こう考えました場合に、どちらが高いかとかいろいろ問題があるわけでありますが、そういった点は参考の材料にはなろうかと思いますが、法律に基づく賃金決定の原則といたしましては、ただいま申し上げたとおりでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 法律に基づいて、または政令や規則に基づいて皆さんはやっておられる。この点は十分に承知しておるのでありますから、そういうような点の答弁は要りません。ただ、そういうような態度であるならば、あの当時言明されました、また前の労働大臣も言明されましたそれは、失対労務者とはできるだけ団体交渉に応じて、そして懸案の解決をはかります、こういうようにはっきり言明されておったのであります。では、この点は中央、地方を通じて円満にいっておりますか。法律、規則にそういうことはきまっておりませんが、大臣言明であります。この点はひとつ労政当局、どうなんです。

村上茂利労働省職業安定局長

○村上政府委員 物価スライドの問題は、たとえば失対賃金を引き上げるといった場合に、物価にスライドさせるよりも賃金上昇のほうが高うございますので、これはほとんど実益がないと申しますか、賃金引き上げの問題につきましては参考資料たるにとどまるので、あまり実益がないものですから、現在も私いろいろ労働者の団体とも交渉いたしておりますけれども、そういった点についてはほとんど触れていない。ずっと長期的に見ますと、最近の賃金上昇の傾向はかなり高うございますので、現実にはほとんどそういう問題が生じておりません。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いやいや、答弁になってないじゃないか。そんなこと聞いているんじゃないよ。

村上茂利労働省職業安定局長

○村上政府委員 失対事業に就労する労働者の団体の代表とは、私もかわりましてから一月ちょっとでありますが、二回お会いをいたしております。賃金の問題についてもいろいろお話しいたしておりますが、物価スライドの問題につきましては、たとえば最近の物価の上昇率を見ましても、四十年は総合で七・六とか、四十一年は五・一といったような上昇をいたしましても、賃金の上昇率より低いわけでございまして、スライドをすると申しましても、この上昇率より上回った賃金上昇を従来いたしてきておるわけでございまして、実はちょっと先生の御指摘の趣旨がわからぬわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 団体交渉や折衝を、十分に、言明どおりにやっているかどうかということを聞いているのですよ。物価ばかりにしかこのことばは聞こえないのか。前の労働大臣もはっきり、中央、地方を通じてそれぞれひまがあったならば会って交渉に応じましょうと言っていたでしょう。そのとおりやっていますかということです。

村上茂利労働省職業安定局長

○村上政府委員 ですから、私自身につきましては、一月ちょっとの間に二回お会いをしている。大体かなりの時間をかけまして話をしているわけでございます。中央、地方を通じてというおことばでございますが、いわゆる団体交渉は、事業主体と労働者との間になされるものでありますから、先生のおことばが事業主体と失対就労者の団体との団体交渉を意味されておりますのかどうか、その点明らかではありませんけれども、全体的には最近トラブルも一ころほどそう激しくございませんので、私は問題は比較的円滑に処理されておるというふうに考えておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうしたら、中央では事業主体はどこになるのですか。

村上茂利労働省職業安定局長

○村上政府委員 中央には事業主体はございませんで、先生御承知のように都道府県営かあるいはは市町村営でございます。中央には事業主体はないわけであります。東京都にはありますけれども……。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうしたら、中央本部といままで折衝し団体交渉したのは、いまのあなたの言明と違うじゃありませんか。ちゃんとりっぱにやっていますよ。そうすると、団体交渉じゃないとすると、折衝であるか何か、いろいろな名前はつけてあるだろうけれども、それだって慣行になっているじゃありませんか。いまのようにして、事業主体でなければもう団体交渉に応じない、こんなしゃくし定木にしてやって、それでは中央でいままでやっていたのも、今後善良なる慣行でも破棄する、こういう考えなのですか。前の大臣はその点、直接会ったりしてやっていたでしょう。進んで話し合いするのには応じますよといって、中央執行委員の人と会ってやっていたでしょう。そういうようなことを現在でもちゃんとやっておりますかどうかを聞いているのですよ。

村上茂利労働省職業安定局長

○村上政府委員 俗にいう団体交渉と法律上の団体交渉は、性格が違うわけであります。そこで先生の御指摘の点、事業主体とのいわゆる法律上の団体交渉か、あるいは職業安定所とか、われわれが会いますいわば話し合いと申しますか、法律上の性格からいえば団体交渉ではありませんけれども、団体の代表の方々とお話し合いをする、こういう二つの種類があると思います。労働者の団体の代表の方とできるだけお話し合いをするということは、これは必要なことでありますので、私どもも心がけております。また、地方の職業安定機関等においても、話し合いに応ずる、こういうような考えで処理しておる次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 あまりこの問題に対してはごちゃごちゃ言いません。ただ考え方を大臣に聞いておきたいのです。先般私が郷里へ帰りました。前に大臣が社会労働委員会の中で、八木委員の質問に対しても、いま答弁があったように、話し合いには応じ、団体交渉には応じ、できるだけひまを見て会いたいと思います、こういうことを言明されておったわけであります。そういうようにして実際行なわれていたようであります。一たん郷里小樽のほうへ帰ってみたときに、夕方突然電話がきたわけです。おるかおらないか。ちょうど夜行便で東京へ帰るその日であります。午前零時ですから時間は十分あったのです。どうしたんだと言ったら、職業安定所のほうへぜひ来てもらいたいという電話です。それでどういうことかというと、職業安定所長ですか、そこへ皆さんが行ってお会いしたい、こういうようにいって、いろいろ交渉したい案件を持って前もっていっておった。ところが、十名だけなら会う、執行委員全員には会えない、そうして私服をつけて所長室にがんばっているのです。私服というのは警察官です。一体こういうのが話し合いの雰囲気かどうか、私もがく然としたのです。私の知っている人たちです。所長も知っている、所員も知っている、労働者の人も知っています。どうしたんだといって理由を聞いたところが、何にも問題はないのです。執行委員の人と会ってくれというのを、十名でなければ会えない、執行委員は二十名、それを十名に制限してごちゃごちゃしているのです。こういうのは話し合いといえるかどうか。下部末端のほうへ行ったら実際にがっかりしたのです。そしてこれはどういうことなんだ、私も聞いてみたいからひとつ聞かしてもらえないか、こういうように言ったところが、所長がちょっと待ってくれ、それから約二十分たってから返答がきたのです。二十分です。おそらく本省のほうかどこかへ聞いていたのじゃありませんか、私が行ったということで。これは憶測であります。二十分たってから、お会いするから二階へ上がってこいというわけであります。私は、ここに十名の人もいる、私も中へ入っている、ここでお互いに言うことを私も聞きたいんだ、ここへ来て一緒に話してくれないか、他の課長もいるんだから、そこへ所長一人来ればいいわけですから、こんなことぐらいできるじゃないかと言ったら、それはできない、二階へ上がってこいというのです。そして人畜に被害がないのであるから、ここに来て話し合いぐらい聞いたらどうだ、こう言いましたところが、また二階へ上がってこい。この二つの返答で一時間かかった。おそらくみな何だと思ったと思うのです。どういう要求なんだと言ったら、団体交渉してくれということだけなんだというのです。おそらくこういうようなことで、下部のほうでトラブルをやって、そして上部のほうでは話し合いに応じますとか何とかいっても、これは何にもならない。一体これは、指導してそういうようにやらしているのですかどうですか。私どもが行って、目の前でひとつ話し合いをしてくれ、これでもだめだ、おまえだけ上がってこい、こういうように言われる。こういうことは、そうまで先鋭化して指導をしなければならない状態なんですか。話し合いの雰囲気では全然ないわけです。一体このことを労働省で知っておったのかどうか。こういうことが大臣望ましいと思いますかどうか。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 原則としては、やはりお互いに話し合うのがいいことは当然でございます。でありますから、話し合いができるように、両者ともそういう雰囲気をつくり、柔軟に、ほんとうの対話的に、そういうふうに話し合いをすることが非常に望ましい、またそういうふうに指導したいと思っております。

村上茂利労働省職業安定局長

○村上政府委員 実は承知いたしておりませんで、いま課長から話を聞いた次第でありますけれども、私どもが聞きましたところでは、当日約千名くらいの人々が待機をしておって、その中から三十名くらいの方が会いたい、こういった話があったそうでございます。いま大臣が御答弁になりましたように、平穏かつ秩序ある話し合いを今後もいたしますように、これは私ども期待をいたしております。そこで第一線のほうにも平穏で、かついわば実りのある話し合いができますように、人数等についても相当と思われる人数の代表と話し合うとか、そういった点については一応の考え方を示しておるわけであります。  当日の状況は先生のほうがお詳しいわけでありますけれども、相当の労働者が来ており、そしてその中から約三十名くらいの方々が——人数の問題はお会いします場所との関係もあり、また安定所内にどのくらいの一般の労働者が来ておられましたか、そういったいろいろな状況がありますので、しゃくし定木にきめるわけにいきませんけれども、基本精神としては、安定所内においてその責任者がおりますところで、平穏かつ実りのある話し合いをしていただくということを私どもは期待をいたしておるわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そういうような意向が、下部へ曲がって伝えられているのじゃないか。これはまことに遺憾なんです。いま事務次官である有馬さん、前の職安局長でありますが、職安局長のところにわざわざ私が行って、求職の問題でテレビにまで報道された高橋何がしという人の事件があったわけですが、私が休会中に行って調査してくるから、あなたのほうからも便宜をはかっておいてもらいたい、よろしゅうございますということだったのです。私、参りました。小樽です。ところが、所長室へ私と本人とそれから婦人部長という女の人を連れていったのですが、私以外に所長室へ入るなというのです。所長室は五十人ほど入れるような大きいところです。私が、事情を聞きたいから、一緒に入れてもらいたい。所長は、私以外に一切、面会しないというのです。婦人の人二人が人畜に被害を与えるような行動をする、一体こういうふうな強迫観念を持っているのでしょうか。そのときも直接本省のほうへ電話をかけさせました。かけさせた結果、いや、それならあなたやれ、そういうようなことで、本省からの意向をちょうだいして私が事情聴取するのに応じてもらったのです。こういうようなことを聞いていて、一体大臣どうなんですか。行ったのは婦人二人ですよ。私なら会う。しかし、婦人二人は関係ないからだめだというけれども、その人のことで聞きに行きたかったのです。こういうようなことをしては私はだめだと思うのです。決して人畜に被害があるわけじゃない。もうその人はあきらめてしまって、どこでどうしたのか一切わからないような状態になってしまいましたよ。職を求めて職安の門をたたいている人なんです。おそらくこういうようにしてみますと、下部末端のほうへいったら意外に権力主義というか、こういうようなことが充満しているような指導の方法をとっているのじゃないか。私はそれをまことに残念に思うわけなんです。ひとつそういうようなことがないように、愛情をもって接してやるべきじゃないか、こういうふうに思いますが、大臣、こういうような点、一つの例をあげて言いましたが、もっと愛情ある措置をしないと、この問題の解決にならない、今後またトラブルも起きる、こういうように思います。局長あたりも、きょうはばかに緊張しているようですが、そういうしゃくし定木な指導ではないと思っておったのです。しかしながら、そういう指導のしかたは私は望ましくないと思うのですが、大臣、十分気をつけてやらぬといけません。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 いまの御説、ごもっともでございまして、きのうも飯田橋の職業安定所を自分で行ってつぶさに見ましたが、現場の人々はなかなか熱心に、これが自分の天職であるというふうに非常に意気込んでやっております。だからこれは、前に比べれば現在は両者ともそういう点では次第によくなってきておると思うのですが、そういう職安の方々も熱心にやっておるし、職を求める人も、両者が歩み寄って、いまあなたのおっしゃったようにお互いに話し合って、穏やかに、信頼し合っていくことが非常に望ましい、またそういうふうに指導もいたしたい、こう思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 数年前から、やはりこういうような問題は火がついたようにすぐ問題になったのです。その中でも、一つずつ効果があがっている点は、大臣、あるのです。といいますのは、これからもう冬です。北海道はもう雪なんです。北海道のほうへ参りますと、失対労務者の場合には、これはもう身分としては非常勤の特別職の地方公務員でございましょう。そういうことになっているようです。私の場合はというと、非常勤の特別職の国家公務員です。私と向こうは国家と地方との違いかもしれない。しかしながら、そういうような点からして、現在その失対労務者として働いているこういうような人に対しましては、やはり冬の場合にも石炭手当という——いわゆる仮称ですけれども、冬季加給が認められておったようであります。これも三治さんが失対部長のとき、その当時から始まったのであります。もう事務次官はやめて、おりませんけれども、当時一挙に百八十円までの制度にしてもらいたい。そして石炭がああいうふうになりました当時に、一つの山か二つの山を買ってでも、これはもう現物配給したらどうだ、こういうような案まで出したのですけれども、三十八年当時、大橋労働大臣は、それは十分傾聴に値するけれども、そういうようなことはできないということだったのですが、徐々にその点は制度としても考えなければならないというような話であったわけです。しかし失対二法が通ったあと、制度としては残すべきものと、それから賃金の中に入れるべきものとを分けて、そして整理してきているようであります。これは制度化するよりも、やはり冬季加給というふうにして残しておいたほうがよろしい、こういうようなことでいままでずっと運営されてきているようであります。しかし十年前で百八十円ということだったのですが、現在は八十円か七十円ほどにしかなっていないようであります。これも予算の認める限りは、これはいままで恒例によってこうなってきていた問題ですから、ぜひともこの冬季加給の増額も考えてやるべきじゃないか。各大臣はほとんどこれをやってきておるわけであります。この点等につきましても、大臣は愛情のある措置をお考えおき願いたい、こういうふうに思うわけなのでございますが、大臣いかがでございましょう。

村上茂利労働省職業安定局長

○村上政府委員 具体的な冬季加算の問題でございますので、私から答弁させていただきたいと思います。  御承知のように、冬季加算も賃金であることは間違いないわけでありますが、先ほども申しましたように、失対の賃金は民間の類似の作業に従事する労働者の賃金を考慮してきめるわけであります。先生も御承知のように、類似の民間の日雇い労働者にこのような制度があるかと申しますと、賃金一本に含まれておりまして、ない例が多いわけであります。そこで、身分が地方公務員で特別職であるからというお話がございましたけれども、失対の賃金決定の原則がいま申しましたようなことでございますので、公務員の寒冷地手当などとパラレルの関係で扱うということは、たてまえとして困難であるわけであります。しかし、実際にやっているじゃないかという点になりますと、これはむしろ予算の運用の問題といたしまして財政当局と話し合いでやっておるわけであります。そうして本年一日について十円の増をいたしたような次第でありますが、これをさらに引き上げるかどうかという点については、理論的に非常にむずかしい問題もあります。現在賃金引き上げの問題について財政当局と交渉いたしておりますけれども、賃金そのものの引き上げについても、相当むずかしい問題があるわけでございまして、本年、一日について十円上げた、この運用上の冬季加算を、さらに上げるかどうかということにつきましては、率直に申しまして、かなり困難な段階にあると私ども考えておる次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 村上局長は、前は基準局長だったんですか、まあいろいろといままでの労働行政について、あなたも知っておられたと思うのです。これはもう困難をきわめて、予算の大蔵折衝では、最後の最後まできまらないのが労働省の予算でしょう。そうして、その労働省の中でも、この地域的な問題だけは、必要欠くべからざるものであるといいながらも、一番最後にきまっていたのがいままでの状況なんです。簡単にきまったなんていう考え方の上に立っては、この処理はできない問題です。しかし、いまのその考え方は、もう考慮する必要がないということを宣言されたのですか。やはり、今後いろいろと努力はするというような意欲を示したのですか。いずれともつかないような答弁ですけれども、これはどういうふうなんですか。これはあなたより大臣のほうがいいのじゃないかと思いますが。

村上茂利労働省職業安定局長

○村上政府委員 先生のお気持ちのような点は、実は私どももできるだけ考えてみたいという気持ちはありまして、いろいろ折衝はいたしております。しかし、いま申しましたような運用上の制度であり、何円を上げるかという理屈の問題になりますと、これは非常にむずかしいのでございまして、私どもは、賃金を引き上げること自体が本命でございますので、いろいろ財政当局に話はいたしておりますけれども、全体のウエートを考えますと、賃金そのものの引き上げ、それには私ども第一重点を置いておるわけであります。したがって、意のあるところはもともと話をいたしておりますが、それが予算の公式的な段階でどうきまるか、あるいは今後運用でどう考えるか、いろいろな考えようがあるわけであります。そこで、ただいまの御答弁といたしましては、先ほど御答弁申し上げました、現段階における状況を率直に申し上げたような次第であります。御了承いただきたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そういうように言うから了承できないのです。最後まで努力すると、なぜ言わぬのですか。努力しないから了承してくれということで、これを現状そのまま認めて、はい、そうですがと引き下がるような——こういうようなことでは、今後の答弁はなかなか波乱を含みますよ。もっと考えないといけない。  それで、いままで少なくとも十円ぐらいずつ毎年上がってきているのです。今度だけ絶対上がらない。今度だけ困難だ、ことしだけ特に困難だ、この理由はあるのでしょうか。だから、できるだけ努力しなければならないということなんです。いままでずっとやってきて、これが上がらなければ大臣のかなえの軽重を問われることになるのです。いままで、ずっと十円ずつ上がってきているのです。はじめ百八十円とされたけれども、できないから、六十円、七十円、と十円ずつ上がってきているのです。みんな知っているでしょう。前の三治事務次官、いまの有馬事務次官、これは職安局長、失対部長、その当時からずっとやってきているのです。やはり、こういうような状態の中で、今度だけは困難であるなんてここで言って、身の安全をはかろうとするような、そういう官僚的な言い万は認めるわけにいかない。これは大臣、できるだけ努力してもらいたいし、一つの行政上の問題としては、十分に皆さん自身の成果の期待をわれわれが持っているわけなんです。できるだけこれは努力してもらいたいのです。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 お尋ねの失対就労者の賃金の引き上げ、それともう一つ、第二の、冬季の石炭手当というような冬季加算、この二つございますが、いずれも、いままで予算折衝が最後まで非常に難航したことはよく存じております。それだけむずかしいのでございますが、いままでも上がってきておりますから、全力をあげて、来年度、四十四年度も上げてもらうように、大蔵当局と私も折衝いたします。

島本虎三日本社会党

○島本委員 成果を心から期待しております。  なお、いままでの大臣は全部それを獲得していますから、いま、原労働大臣にしてこれらの期待を裏切ることは万々あり得ない、このことを心から私も信じているわけであります。  最後に、これはちょっと伺いたいのですが、婦人少年局長も来ておりますが、前回、出産費全額国庫負担のことについて、社会労働委員会でいろいろと私どもが園田厚生大臣の答弁を得て、必要な部分についていろいろ婦人少年局長の意見も伺った。そのときに、行政機構の変革または婦人少年局の廃止、変更は絶対あり得ないという答弁だったので、私はあの当時安心して引き下がったのです。その後またふらふらと出てきて、婦人議員の人がわざわざ総理のところまで行って陳情されている、こういうようなことを巷間漏れ承るのであります。これはやはりそういうようなおそれがあったから行ったのか、そういうようなことが全然なくて、この社会労働委員会で、心配しなさんなよ、こういうようなことであるのか、はっきりしておきたいと思うのですが、前は、局長は、婦人少年局の廃止または変更というようなことは絶対ありませんということだったのですが、そういうふうに理解しておいてよろしゅうございますか、大臣。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 いまごろ反対してきておられる方は、私どものPRも足らないのでしょうが、全般の機構改革のことをまだ非常に誤解されている点がございます。各委員の意見も聞くし、もちろん私どもの意見も申し上げて、もうちょっと了解を得たいと思っておりますが、前に、行政整理のときに、一省一局削減というときに、婦人少年局を削減するのじゃないかといって非常に反対の陳情があったそうであります。しかし、それはもう存続するということに決定いたして今日に至っております。  今度は、地方に、各都道府県にある婦人少年室を廃止するというようなことが新聞に載ったそうでございますが、しかし、ただ廃止しっぱなしというのではなくて、各都道府県に労働部というのを新設して、そこへ各都道府県の婦人少年室を吸収してもらう。だから、一応表面は廃止ということでございますが、実際は各都道府県の労働部において、たとえば婦人少年課というものを設置してもらう、こういうようなことで、そこで、いわゆる中央地方一体となって労働行政をもう少し強化いたしたいというのが真意でございます。  でありますから、単に廃止するというのではありませんで——私どもは、各都道府県には労働部なんて全部あるのかと思っておりましたところが、各都道府県で労働部が独立してあるのが、わずかに七府県だけだそうでございます。今度はそれを、全都道府県に労働部というのを新設してもらう。そして、その中に婦人少年課もしくは室というのを置いていただく。それで、私なども調べてみましたところが、全国の都道府県の婦人少年室というのは、平均してまず四、五名しかいないのだそうでございます。非常に人が少ない。仕事はいい仕事を非常にたくさんしておられますが、人が少ない。これを、むしろ都道府県の労働部の中の婦人少年室としてもらえば、五人や六人ではなくて、あるいは十人以上の課員にふえるのではないか。そういうことをやりたいと思っております。  また、ブロック別になりますかその点ははっきりしませんが、とにかく地方には労働局というものを、いまはありませんが、これを新設して、中央、地方、それから都道府県、こういうような縦の連絡もよくして、労働行政を推進いたしていきたい、そういうむしろ強化する方針で、一応これは十一月の終わりごろに三閣僚の間に申し合わせのようなものができておるところでございます。それから、まだ法律提出には至っておりませんが、よく各委員の意見も聞いて善処いたしたい、こういうところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大体構想はわかりました。しかし、やはり一本化でいって、それをもっと強化したほうがよろしいとの意見が強いのに、それをいまのように分化して効果があがるだろうか、こういうような点等もまた考えなければならない問題点の一つではないか、こういうように思われます。基準行政においても、そのとおりであります。やはりこういう点も十分考えて——きょうはこの程度でとどめておきますが、私としてはやはり一本化して強化することこそが、いま重要な段階であり、これが地方に分化されて、それで権限が弱まることは、婦人少年室や基準行政については現在の状態ではとるべきではない、こういうような考え方を私は持っておるものでございます。今後の参考にしてもらいたいことを心からお願い申し上げまして、私の質問は、これで終わります。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 和田耕作君。

和田耕作民主社会党

○和田委員 原新労働大臣にかわられました機会に、根本問題につきまして御質問をいたしたいと思います。  まず最初に、基準局長さんが早くお帰りになるようでございますから、その問題からお答えいただきたいと思いますけれども、御案内のとおり、たいへんな技術革新、経済成長ということでございまして、労働行政の対象になる問題も非常に変化をしておるということでございます。そういう立場から、この労働基準法の問題について、将来というよりも、できるだけ早くこの問題を検討しなければならないという感じを持っておるのですが、たとえば危険な労働、有害な業務という規定が労基法の中にあるのですけれども、この内容にしても、一ころ前と現在とは、たいへん大きく変化しておる。たとえば婦人労働というものは、男子の労働に比べると、未熟練労働の範疇で取り扱われておるわけでございますけれども、新しい技術を身につけた婦人に対しては、きわめて不公平な問題もあるわけだと思います。また休日、有給休暇の問題にしましても、最近週二日制の問題があったり、あるいは夏季にまとめてとるというような問題もある。いままでの基準法の法規ではなかなかうまくつかまえられない問題もあろうかと思います。あるいは残業手当の問題でもそうだと思います。それも現在一部の坑内労働以外は無制限に残業を許しておるということ、これが危険に連なるということもあろうかと思いますけれども、これは一つの例なんですがこういう諸問題を、つまり技術革新の変化に伴って労働者の労働条件をきめる重要な法律である基準法を改正する必要があると思うのです。この問題について、どういうお考えを持っておるのか、お伺いしたい。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 いま和田委員の御説明のとおり、基準法についても改正すべき点があることはわかっておりますが、いろいろ御意見などもお聞きいたしまして、これから研究を進めていきたい、こういうふうに思っております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 研究よりも、いま私、例をあげました三つの点をとりましても、はっきりしておる問題が非常に多いのですね。したがって、この次の国会でも、できるだけ早く検討されて、この基準法の改正をお考えいただきたい、こういうふうに思うのですけれども……。

和田勝美労働省労働基準局長

○和田政府委員 私から実務的な問題としてお答えを申し上げたいと思います。  ただいま和田先生からいろいろと例をあげてお話しになりましたような問題は、基準法施行二十年の歴史の中でも、今日確かにきわ立ってふくれ上がってきておる問題でございまして、十分検討しなければならない問題でございますが、何といたしましても、基準法は労働者の保護法規ということでありまして、非常にいろいろな意見がございます。その中でどう取り扱っていくか、それが実態との関係でどう結びついていくかということは、私どもとしましては相当慎重に扱いませんと、無用の誤解を招いたり、無用の摩擦を起こす、そういうことでございまして、実態をよく究明しながら技術革新の今後の方向、諸外国における例、それから今日あります労働者側の方の御意見、あるいは経営者側の方の御意見、そういうふうなものを総合勘案して、じっくり研究させていただきたい、こういう気持ちでおりまして、できれば来年あたりから必要な調査検討というような予算要求もいたしておりますが、法制的にも、実態的にも、非常に大きな問題でございますので、少し時間をおかしをいただきたい、かように考えております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 お答えの趣旨は了承いたします。どうか一日も早く根本的な検討をなさっていただきたいと思います。  次に、これから御質問申し上げますことは、原労働大臣になりましての根本的な、つまり労働行政の基本姿勢という、本日の議題そのものにあたるような問題でございますので、こまかい御答弁は必要ではございません。したがって、新労働大臣としてのお気持ちを簡単にひとつお伺いしたいと思うのです。  まず第一に、前の佐藤内閣の末期に、非常に重要な議題になってまいりました経済企画庁から発表されました、いわゆる所得政策という新しい方向がございます。熊谷教授が中心になって、その関係の有力な助教授が一緒になってつくり上げた、いわゆる所得政策の問題でございますが、これはいろいろ関係がありますけれども、比較的一番大きな関係を持つと思われる労働省側から、この問題についての基本的な態度がまだ打ち出されていないような感じがするわけですけれども、まず第一に、この所得政策、熊谷報告についての労働省としての基本的な態度をお伺いいたしたい。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 ただいま先生が御指摘になりました熊谷委員会は、経済審議会から委嘱をされまして、賃金、物価、生産性、雇用等につきましての研究をされました結果を報告されたものでございます。阪大の熊谷先生をはじめといたしまして、五人の学者で構成をされまして、審議会あてにその報告が出されたわけでございます。これは政府に対する答申と申しますよりは、経済審議会における一つの論議のための報告というふうに理解をされておりますので、経済企画庁におきましても、今後経済審議会におきまして、この報告を中心に検討をしていただくという態度をとっております。現に小委員会を組織をされまして、この熊谷報告について、経済審議会として、どのような取り扱いになるかということを検討を始めておる段階でございます。  この報告が出されました時点におきまして、労働大臣も新聞に談話を発表をされまして、そうしてこの報告につきまして、大要このような内容であると理解をする。労働省といたしましては、この問題につきましては、所得政策というものを現時点で導入をする必要があるとは思っていないということと、ただ、この報告を契機といたしまして、賃金、物価、生産性、所得、雇用といったような一連の重要な問題につきましての議論がわが国の中におきまして活発に論議をされることを期待をする、そうして労働省といたしましては、このような論議も踏まえつつ、わが国の経済、労働事情、あるいは労使関係の実態というようなものに即しまして、この問題について省としても検討を進めたい、こういう意図を発表いたしております。したがいまして、報告が出されましたけれども、今後のプロセスとしましては、経済審議会がこの報告を中心にまず検討をされる、それから企画庁におきましても企画庁として検討をされる、労働省におきましても、いまのような基本的な態度におきまして検討をする、こういう考えでございます。     〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕

和田耕作民主社会党

○和田委員 この前の、今年春の通常国会の劈頭に、佐藤総理大臣は施政方針の演説で、物価の値上がりの根本原因の一つが労働賃金の値上がりだという趣旨の演説をされましたね。これは労働大臣も同じような考えを持っておられますか。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 私は、賃金の上昇は物価に影響があるし、それは一つの原因である、そういうふうには思っております。それが物価上昇のすべての原因などとは思っておりません。

和田耕作民主社会党

○和田委員 重要な原因であると思っておりますか、一つでなくて。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 一つの原因と思っております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 それでは、佐藤総理大臣は、労働賃金の引き上げが非常に重要な要素だということを指摘しておられるわけですけれども、労働大臣もそうではないのですか。ごく一つの原因であって、たいしたことはないんだという考えなんですか。重ねてお願いします。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 賃金、物価、生産性の関連につきまして、特にいま御指摘の賃金、物価につきましては、これは、日本で人不足の経済、人不足の社会ということは、近代国家になりました明治以来、その以前も含めまして初めての事態であるわけでございます。そこで、予期しなかった未経験な事象がいろいろ起こってまいってきております。すでに経済の高度成長をわれわれよりは先に達成をいたしました各国におきまして、賃金と物価、生産性という問題につきまして、いろいろな角度から政策をいたした、その一つが所得政策と呼ばれるものであるわけでございます。欧米各国におきまして所得政策……

和田耕作民主社会党

○和田委員 途中ですが、委員長、答弁を簡単に、私の時間が半時間くらいしかないものですから。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 本会議の時間もありますので、答弁を簡単にお願いします。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 各国で所得政策と称するものを採用いたしております。それぞれ違いがございますが、どれ一つ成功した政策というものはいままでのところないわけでございます。わが国におきましても、佐藤総理大臣の意見の御表明があったわけでございますけれども、専門家の間におきましても、賃金、物価というものについての論議が、熊谷報告におきまして一つのスプリングボードと申しますか皮切りがなされたという状態でありまして、経済審議会におきましても、これをこれから慎重に検討をする、企画庁長官の国会におきます答弁におきましても、慎重に論議を見守っていくというようなことでございますので、私どもといたしましては、賃金と物価との関連がないことはないという考え方でございますけれども、日本経済の持っております体質からいたしまして、しかもこれだけの猛スピードの発展をしておるという中で、これをどのように適切にとらえるかということ、そしてどのような対策をするかということは、やはり今後の問題であるというふうに理解をいたしております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 それでは労働省としては、賃金の上昇が、いまの物価上昇の基本的な原因ではないのだというふうにお考えと受け取っていいのですか。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 確かに一因ではあるというふうに思っております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 基本的ではないというふうに受け取っていいのですか。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 経済論議の際に、基本的であるかどうかという定義、それだけで短時間の間で、基本的であるかないかというのにしてはあまりに事が重大だと思いますので、基本的に思うかどうかという御答弁はお許しを願いたいと思います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 経済学云々のことを言っているわけではないので、佐藤総理大臣が施政方針演説でその趣旨のことを発表されたので、原労働大臣も同じような考えに基づいて新しい労働行政の指標にしようとしておるのかということをお聞きしょうとしておるのです。その問題について、経済審議会のあれがどうのこうのということではないのです。佐藤総理大臣がそういうことを言っておられるのですね。また宮澤さんだって、一再ならずそういうことを言っておられる。いまの労働大臣は、その問題について——つまり私がお聞きしますのは、今後の労働行政の基本的な問題、方向をきめる態度だと思うからなのです。それをあいまいにされたのじゃ困る。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 賃金と物価、あわせて生産性、この問題がきわめて重要であるということにおきましては、私どもも全く同感でございます。ただ、いろいろな要素の入った経済の中で、賃金と物価と直線的に因果関係があるかどうか。しかも、賃金が非常に大きな要素で物価を押し上げておる、こういうことであるかどうかということにつきましては、私どもとしましては、現在においては一因ではあると考えるけれども、それだけが主要な要因であるというようには考えていないというのが私どもの考えでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 それでは佐藤さんの先ごろの考えとは一これは私はいいほうに変わっていると思うのです、決して悪いほうじゃないと思いますけれども、つまり賃金というのは、現在の物価上昇については一つのファクター、何十もあるファクターの中で一つのファクターであって、これが主要な影響を及ぼすものではないというお考えで労働行政を今後おやりになる、こう了解してよろしゅうございますか。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 もちろん、なお今後検討を続けますけれども、目下はそういう考えであります。

和田耕作民主社会党

○和田委員 この問題は、私はそういうふうなお考え方で、たとえばこの場の答弁がしにくいというようなことを思われてそういう御答弁をしておるのではないかと推察するのですけれども、そうではないのですか。財界の諸君も、自民党の首脳諸君も、佐藤総理以下の諸君も、その問題を考えていないわけですね。それでは労働賃金というのは、いまの物価上昇の根本原因ではない、そう考えておると理解していいのですか。いまの答弁の、その場のがれのことでなくて御答弁いただきたい。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 労働大臣の談話といたしまして、所得政策をいま導入すべき段階ではない……(和田委員「所得政策のことを言っているのじゃない」と呼ぶ)いや、所得政策のもとは、賃金抑制政策という考え方がございます。これはイギリスにおきましてもそうでありますし、アメリカにおきましても、ガイドポストを設定して、その範囲内に賃金を押えよう、こういうことでありますので、所得政策を導入すべき段階でないということの判断のもとにおきましては、賃金と物価との関係におきましてなお未解明な分野が相当に残されておる。日本の経済の体質からいいましても、労使関係の実態からいいましても、諸外国に比べて違った要素があるという事実認識を踏まえての発言であるわけでございます。熊谷報告におきましても、ものの考え方といたしましては、欧米諸国のそういう賃金抑制的な、あるいはガイドポスト的な政策は日本には適用できないということを明確に言っておりますし……

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 答弁は簡単に願います。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 したがって、ものの考え方が、欧米で行なわれておる所得政策とは違った——同じ名前、所得政策を使っておりますけれども、違った質の所得政策というものについて、今後検討に値する。その違い方等につきまして申し上げると時間がたちますので申し上げませんが、そういう態度をとっておりますので、基本認識におきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 私は、こういう議論のときも、もっと腹を打ち明けての御答弁をいただけると思ったのですけれども、意外に小心翼々とした——私、所得政策の問題に引き込もうとして申し上げておるのじゃないのです。その問題も一つなんですけれども、いままでの総理大臣の言明、宮澤前企画庁長官が、公共料金を一定期間ストップする、個人的にはそういうことが必要だと考えておるということを言ったときも、その背後に、その期間に賃金に対して、あるいは物価に対して、生産性に対して基本的な政策をやるんだ、そのために賃金を一年間ストップするということも有効であるということも述べておったし、賃金問題が最近の物価問題の一つの重要な焦点であるということは、あなたが何ぼそうお考えになりましても、政府の公式の声明の中に、あるいはいろいろな形の政府と財界との会合の場所で、政府の責任者が申しておるわけでしょう。なぜそれをお隠しになるわけですか。あるいは労働省の幹部の皆さん、大臣以下も、その問題をそういうふうに考えておられるのじゃないですか。重ねて聞きますけれども、たいして重要ではない、物価上昇の一因、たくさんある中の一つの原因だというふうなウエートで賃金問題をお考えになっておりますか。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 賃金と物価の関係の問題は重要であると考えております。ただ、賃金が上がることだけが大きなファクターで物価が上がるんだという単純な仕組みではないということを申し上げておるわけです。

和田耕作民主社会党

○和田委員 まあ、そういう答弁をいただいただけでも、つまり所得政策というものを安易に採用していくということに対して警戒をしているという意味で、了承いたすことにいたします。  それで、いまの問題と関連するのですけれども、この際、特にその問題に関連しまして労働大臣のお気持ちを承りたいと思うのですけれども、日本の異常な経済成長という問題をわれわれいま経験しているわけですけれども、この経済成長の背後に、労働者の賃金が急テンポで上がってきたということ、それにささえられて国内の有効需要が非常に強く上がってきたということと深く関係しておると私は思うのですけれども、その点、労働大臣どうでしょう。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 もう一度言うてください。

和田耕作民主社会党

○和田委員 よく聞いておっていただかぬとぐあいが悪いのですけれども、日本の経済成長が行なわれた背後には、労働賃金が非常な勢いで上がってきたということと深い関係を持っている、そう私は思うのですけれども、大臣はどういうようにお考えになるか。——そういう問題は、労働大臣、ひとつお気持ちを。こまかい問題じゃないのですよ、これは。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 経済成長が非常に活発に増大してきた、それが労働賃金が上がったからであるか、こういうお尋ねのようでございますが、それも、一つの原因でございます。それも、単に労働賃金が上がったから経済成長が行なわれた、こういうように直線的でなくて、諸般のいろいろな条件のもとに経済成長が行なわれた、その一つとして労働賃金の上昇もあった、こう了解いたしております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 結局、景気が高まっていくのは、お互いの個人の消費が高まっていくことが一番の基本ですね。設備投資が盛んに行なわれるということも、結局は個人の消費、個人の需要が非常に強いということによって行なわれていくということですね。したがって、個人の消費力というものが、有効需要というものが高まっておるということが、日本の経済成長の基本的な一つの推進者であるというふうに労働大臣もお考えになっておられますね。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 もちろん、個人の有効需要がふえることが経済成長に力を加えていく原因になっていることは、そのとおりでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 つまり、個人の購買力を高めることについて労働組合が果たした役割りというものは、非常に大きなものである、いわゆる賃上げ運動というものは、非常に大きなものであるということも、むろん大臣は御承認になられますね。

原健三郎自由民主党労働大臣

○原国務大臣 それは、そういう意味において、労働組合の功績は大きかったと存じております。

和田耕作民主社会党

○和田委員 そのようにして現在に至って、労働組合が非常にがんばって賃上げを続行しておる、そして国内の有効需要はだんだんと拡大しておる、それを背景にして日本の経済成長は行なわれておるということなんです。  ところが問題になるのは、先ほどから問題にしているように、このような賃上げというものが経済成長をずっと促進してきたということも、いつまでも続くわけじゃないのですね。ある一つの限界点に来て、違った要素を経済に影響してくるということもあり得るわけです。現在の日本の経済の状態を、大臣はそのような限界点に近づいておるとお考えですか。あるいは、先ほどからお考えのように、何、たいしたことはないのだ、まだまだ労働賃金というものは、物価その他に対しての決定的なあれじゃないのだ、こうお考えですか。大臣、ひとつ簡単にお答えください。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 たびたび立ちまして恐縮でございますが、そういう議論も経済学者の中にはございますが、反面、消費者物価高騰という事態がございますが、他面におきまして、卸売り物価安定という面がございます。それからまた、各国で経済が行き詰まる最大の原因であります輸出の増進問題、これにつきましても、輸出が伸びつつあるという事実がございますので、たとえばイギリス経済というものをとってみましても、それに近づきつつあるというようなふうには判断いたしておりません。

和田耕作民主社会党

○和田委員 さっきから私は、私の質問に対して端的にお答えいただきたいと思いますのは、あなたは所得政策についての私の質問だということですから、そういう御準備をなさっておると思いますけれども、いまの質問はそうじゃないのです。労働運動というものが背景になって賃上げが行なわれてきた、これが日本の国内需要を高めてきた、有効需要を強固なものにしてきた、これが日本の経済成長力の基盤になっておるのですね。しかし、これもいつまでもそういう状態が続くものではないので、労働賃金の引き上げというものが、やがて日本の国民経済との一つのギャップになる時期がくるという予想を立てるのも当然のことなんです。その時期にいまきているかどうかということを御質問しているのです。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 たいへんむずかしい議論でございますが、やはり経済成長のテンポが早過ぎても問題がありますし、それから経済各分野の中のアンバランスが起きても問題がありますし、その一つとしてたとえば成長、そのもとになっておる生産性の向上というものと賃金の向上というものとが、アンバランスになるということも問題である。先ほど私、取り違えましたのは、経済全体としてもう行き詰まり状態になってきておるかどうかという御判断を求められておられるというふうに考えましたので、そういうお答えを申し上げたのでありますが、ただノミナルな賃上げだけができれば、それで先生のおっしゃるような経済成長のささえになるというふうには、私は考えておりません。

和田耕作民主社会党

○和田委員 まあこれ、何ぼ申し上げましても、私の質問の要旨をほんとうに御理解いただけないような点もあるように思いますので、あらためてまた御質問することにいたしますけれども、いまの状態は、つまり労働賃金の引き上げの問題と物価の上昇の問題が、悪循環になる一歩前だ、あるいはそれにもうすでに踏み込みつつあるというような認識をお持ちにならないと、正しい労働行政はできないのではないかと私は思うのです。そう思われませんか。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 悪循環の危険はあると思います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 危険があるということは非常に重要なことでしょう。そう思われるでしょう。それならなぜ先ほどから、物価の問題と労働賃金の引き上げの問題が重要じゃないとか、たくさんのものの一つだとか——そうして主要な原因になっておるものと、佐藤総理大臣もそう言っているのですから、私がそのことを聞いておるのに対して、何か非常に臆病に実際を回避するような御答弁をなさるので、違った立場から質問しておるのですけれども、現在は、労働賃金の引き上げ、これは非常に重要なことなんです。といって、物価がどんどん上がっていったのではこれもたいへん困ること、この二つの問題を何とか調整しなければならない時期にきているという判断で労働行政をおやりになるのか、あるいはまだまだ賃金はいまの形のままであっていいのだ、物価その他の問題もあるから調整できるのだという態度で労働行政をおやりになるのか、これは基本的にいまきめなければならない問題じゃないのですか。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 どうも時間がありませんので、私も長くなっておしかりを受けて恐縮なんでありますが、問題はやはり物価、賃金の関係と、賃金と生産性の関係と、それから経済成長の問題、輸出の問題といったような、内政的、外政的な諸要因の組み合わせになってくると私は思うのであります。したがいまして、生産性の向上が今後とも持続していく限り、そしてそれと見合った賃金であるということでありますれば、たとえば過去十数年とって見ますと、生産性の向上と賃金の上昇というものは大体見合っておるという状態、こういう状態で経済の成長と賃金の上昇と生活の改善というものが、バランスがとれてやられていくということが望ましい姿だ、こういうふうに思います。

和田耕作民主社会党

○和田委員 生産性の向上と賃金の上昇は、バランスがとれているというお考えですね。佐藤総理大臣はそうではなくて、四十年ころまでは生産性の向上が上だ、四十年ころからは賃金のほうが先に上がっているという御答弁をなさったことがございましたね。それはどういうことになりますか。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 そのとおりでございます。過去十数年の長期で見ますと、大体バランスがとれておりますが、最近の傾向におきましては、ここ二、三年くらいの傾向として、賃金上昇のほうがやや上回っておるというのが実情でございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 その傾向は重要ではないのですか。

松永正男労働省労政局長

○松永政府委員 そこで、今後どのような姿で日本の経済が推移していくかということが問題になるわけでございます。そうして、私が先ほど申し上げました悪循環の危険もあるという意味は、このような最近の傾向というものとにらみ合わせて申し上げたわけでございます。

和田耕作民主社会党

○和田委員 これで質問を打ち切りますけれども、とにかくいまの所得政策に連なる問題、つまり賃金と物価と生産性、これの調和をはかろうという問題を、何かの法律をつくって賃上げをストップさすとかというようなことではなく、また自由に放置するということでもなく、政府が国民経済という問題をにらみながら合理的な指導をしていくというところが、つまり所得政策の根本的な性格ですね。したがって、その所得政策の中には、賃金に対して直接のガイドポストを与えるとか与えぬとかいう問題もありますけれども、たいへん広い問題ですね。そんなものを与えなくても、たとえば経済企画庁がやっている社会経済発展計画というもの自体も、一つの所得政策的なものだと判断してもいいわけでしょう。だからあなた方は所得政策的なものということを、賃金の引き上げというもの、あるいは物価の上がりというものと生産性というものとの関連で、すぐ賃金に対するガイドポストということに考えるから、非常に警戒的になってくる、自分の言うべきことも言わない、労働行政として当然考えておかなければならない基本態度さえ言えないということになるのじゃないですか。そういうものではなくて、いま申し上げたように、法律などをもって直接制限をすることはいけない、自由にほっておくこともできない、何かうまい方法で、あるいは話し合いによって、その調整しなければならない矛盾を解決すべき時期に入っている。その方法はたくさんあるわけです。当然労働組合のほうも了解できるいろんな方法もあるわけです。そういうふうな問題を、勇気をもって模索するような態度をおとりにならないで、いろんな反対をおそれて、あるときにはこう言い、あるときにはこう言うという態度、これをお捨ていただきたい。この問題についてもっと慎重に検討して、対決する必要があるということになればそういう態度で真剣に取り組んでいただきたい。そうなれば、私どもとしても取り組む姿勢があるのです。それを、議論になるから何もかもふたをしようという態度に先ほどから私にはとれるのですけれども、そういうふうな態度はとっていただきたくない。特に新しく労働大臣になられた、原労相になられた時期ですから、そのことをくどくどとお聞きしたわけでございますけれども、どうかひとつその問題について善処をいただきたい。  重ねて申し上げますけれども、この段階における所得政策の根本というのは、労働賃金を抑制する方向に主眼を置くのではなくて、むしろ寡占的な経済の発展、この問題に対して、これをチェックしていく方向に主眼を置いていくということをお願いいたしたいと思います。  終わります。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後一時十九分散会

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