公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号
- 発言数
- 54 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1968/12/18
会議録
○小泉委員長 これより会議を開きます。 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。 この際、野田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野田自治大臣。
○野田国務大臣 私は、先般の内閣改造に際し、自治大臣兼北海道開発庁長官に就任いたしたのでありますが、選挙制度の問題につきましては、かねてから格別の御高配にあずかり厚くお礼申し上げます。 御承知のように、今日、選挙制度につきましては各方面から金のかかる選挙の実態に対して強い批判があるところであります。 国民の政治に対する信頼を確保するためには、政党の近代化、組織化及び国民の政治意識の高揚につとめるとともに、個人本位の選挙から政党本位、政策本位の選挙に転換することが必要であると考えております。 政府は、昭和三十六年以来、選挙制度審議会に対して、選挙及び投票制度に関する重要事項並びに選挙区制その他選挙制度の根本的改善をはかるための方策について諮問し、同審議会は逐次、審議の結果を答申されております。 政府といたしましては、これら答申の趣旨を尊重しつつ、その具体化につとめてきたところでありますが、なお、残されている案件につきましては、すみやかに成案を得て、御審議を願う所存であります。 また、制度の改善合理化と相まって国民一人一人が主権者としての自覚を持ち、高い選挙道義を身につけることが選挙を明るく正しいものにするためには欠くことのできないものであります。 政府といたしましては、このため、選挙の浄化運動を今後一そう広く深く国民の中に浸透させていく目標のもとに民間における各種推進団体との提携強化をはかり、国、地方公共団体との民間団体で、力を合わせて効果的な啓発方策を講じてまいる所存であります。 何とぞ、今後ともよろしくお願い申し上げる次第であります。
○小泉委員長 次に、砂田自治政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。砂田自治政務次官。
○砂田政府委員 ごあいさつを申し上げさせていただきます。 このたび自治政務次官を仰せつかりました砂田重民でございます。当委員会御所管の各般の問題、非常に重要な時期でございます。それだけに責任の重大さを痛感いたしております。懸命に大臣を補佐いたす決意をいたしておりますが、何ぶん諸先生方の御鞭撻、御指導を心からお願い申し上げます。よろしくお願いをいたします。(拍手)
○小泉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。 なお、自治大臣は三時ごろに退席することになっておられますので、質疑時間はお一人二十分程度にお願いいたします。島上善五郎君。
○島上委員 私は新任の大臣に対して二、三点お伺いしたいと思いますが、ただいまの就任のごあいさつの文言にあえて拘泥するわけではありませんが、非常に大事な懸案事項に対して、はっきり露骨なことばで申しますと、忘れているのではないかというような気さえするのであります。政治資金規正法の改正は、総理大臣はじめ前の赤澤自治大臣が本委員会を通じて、国会に対しても、さらに国民に対しても、もう幾たびとなく、きわめて明確なことばで約束しておる。そしてそれが実現しないで今日に、言うなれば懸案事項となっている大事な案件であります。もちろん私たちは、前回政府が提案した法律案は答申を骨抜きにしたものであって、とうてい、審議の名に値しないという態度を前国会の委員会で表明したことでもおわかりと思いますが、その後の世論のきびしい批判の前に総理も多少わかったのか、ある時点の新聞記者会見では、あの政府提案に対して前向きの手直しをして次の国会に出す、こういうふうに発表しておられたことがあります。ですから、私たちは今日政府に要求したいのは、選挙制度審議会の答申に最も忠実な政治資金規正法の改正を、次の国会と言ってきておったのですから、今国会に対してでも当然提案すべきものと期待しておりました。ところが全然ない。まあ今度の国会は会期が短くて実質審議の時間が少ないからといえば、それはそれなりの理由はありますけれども、少なくとも今度の総理の施政演説の中に全然触れていないということや、ただいまの大臣のあいさつの中にも全然触れていないということは、私どもにとっては非常に不満であります。先ほど申しましたように、私はきょうのごあいさつのことばに特に拘泥するわけではありませんけれども、「答申の趣旨を尊重しつつ、その具体化につとめてきたところでありますが、なお、残されている案件につきましては、すみやかに成案を得て」云々といったようなことで、このことばをことばどおりに解釈すれば、この中には政治資金規正法の意味が含まれていないものとしか思えない。 そこで大臣にはっきりとお伺いしますが、政治資金規正法の改正案を次の国会に早期に提案する考えがあるかどうか。その際に、前国会に政府提案となって出された、そして野党から審議の名に値しないといって返上された、国民世論からは痛烈な批判をされたあの案に対して、もう一ぺん検討を加えて、答申に沿うたものをお出しになるという考えがあるかどうか。この二点についてまずお伺いします。
○野田国務大臣 ただいま島上さんから私のあいさつについての御批判がございました。あいさつの中にも申しておりますとおりに、残された案件については私できるだけ解決したいと思います。同時に、政治資金規正法も一つの残された案件と私心得ております。したがって、いま御指摘になりました政治資金規正法の改正案は次の国会に提案して、御審議を願う心がまえでおります。 さらに、いま御質問の中にもありましたが、第五次選挙制度審議会の結論でございますが、私も内容を拝見しましたし、さらにその当時政府が提案しました後における国会の経緯もよく存じております。だから、その従来の経過にかんがみまして、現実に立脚して、一歩でも前進する方向に向かってひとつ検討してみたい、こう考えております。
○島上委員 前回に法案を国会へ出したわけですから、私はことばに拘泥するようで恐縮ですが、成案を得て云々ということにはならぬと思うのです。もうすでに政府としては成案を得ておるのです。これが問題にならぬようなひどいものですから、一歩でも前向きということばでございましたし、答申に沿うたものということになりますれば、これはもう一ぺん党内で、あるいは立法過程で相当大幅に手を加えなければなりません。そういう意味では、これから成案を得るというふうにもとれますけれども、とにかく次の国会に出すと言ってからもうその国会が二回も経過してきておるのですから——二回じゃない、今度の国会——その次の国会で二回になるわけですが、私は、かりに相当手を加えて答申に沿うたものにしましても、そんなに時間がかかるものではないと思うのです。私どもの野党共同提案は、答申に忠実に沿うたものと信じておりますが、それももちろん参考になりましょうし、問題は、政治資金規正法を早急に成立させるというほんとうに熱意があるかどうかということにかかっていると思うのです。私は、いままで総理大臣及び自治大臣が、国民に公約してきたことを忠実に果たそうとする熱意がほんとうにあるならば、そんなに時間をかけないで提案ができると思う。これは国会に出されてから、私どもはこの前のようなものではもう問題にならぬと思いますけれども、答申に沿うたものを出しましても、審議にはかなりの時間を要すると思うのです。もし国会の会期半ばを過ぎてから出すようなことになれば、次の国会で成立しないで継続審議かまたは廃案になるという運命を心配しないわけにはいかぬのですから、いまの大臣の御答弁では一歩でもということで、あまり頼りにならぬ御答弁でしたが、私は、一歩でもなどと言わずに、あの当時の世論、野党の意見はもちろんですけれども、世論にかんがみまして、文字どおりに答申に忠実な案をつくる、こういう熱意を持って、新しい大臣に取り組んでもらいたいと思うのです。そういう意味とただいまの御答弁を解していいのか。そして早期に出す、次の国会が始まったら早い機会に出す、こういう御答弁をここではっきりいただけるかどうか、再度伺っておきます。
○野田国務大臣 従来、政府といたしましても、審議会の答申を得ました以上は、できるだけその趣旨に沿うたものを実現したいということで努力してまいりました。島上委員も御存じのとおり、その成立を見なかったのであります。私といたしましても、同じようにやはり答申の趣旨に沿うように努力する。そのためには、来たる通常国会にできるだけ早く提案しまして御審議をお願いして成立をはかりたい、こういう考え方を持っております。
○島上委員 時間がありませんから、次の問題に移ります。 御承知のように、そのほかの選挙法の改正についても答申がありました。区制は、これは答申と解することはできませんけれども、いわゆる選挙運動の自由化と申しましょうか、そういう点に関する答申もありました。これについては、私どもも多少意見があるところですが、そういう方面の答申のあった改正を政府が今日次の国会に提案するというお考えがあるかどうかという点を伺っておきます。
○野田国務大臣 選挙運動の自由化とか、供託金の問題とか、その他いろいろな内容を含んだいわゆる公職選挙法の一部改正法案が、これも廃案になっております。私として、やはり前国会に提案されました内容とほぼそのままの案を来たる通常国会に提案したいと存じております。
○島上委員 そうすると、いわゆる選挙運動の自由化等に関する改正は、前国会に出した案をそのままお出しになる、こういうことですね。
○野田国務大臣 はい。
○島上委員 それでは、もう一つ次の質問をしますが、選挙制度審議会は、御承知のように、審議会設置法という法律がありまして、この選挙制度審議会設置法第一条に「総理府に、選挙制度審議会を賢く。」こういうふうになっております。この法律の解釈は、置いても置かなくてもいいというふうに解釈すべきではなくて、「置く」となっておることは、置かなければならない、そういうはっきりした表現ではないけれども、置いても置かなくてもいいというものではなくて、置かなければならない、それに近い解釈をすべきだと思うのです。その点まず大臣に解釈をひとつ伺っておきます。
○皆川説明員 私からお答え申し上げます。 たてまえとして、常置の機関として選挙制度審議会を置く、こういう趣旨であろうと思っております。
○島上委員 そうすると、第五次審議会の任期が切れてからもう一年二カ月くらいになるのですね。要するに、法律はあるけれども、実体がなくなってから一年二カ月以上も過ぎておる。これはいまあなたの御答弁なさった法律の解釈と一体どういう関係になりますか。
○皆川説明員 たてまえと申しましたけれども、原則として常置の機関でございますから、なるべくこれを常置させるということが望ましいと思っております。ただ、従来も若干いろいろな次の準備等ございまして、あけるという事実があったわけでございまして、確かに一年以上も経過するということは好ましくないというふうに思いまして、さきの大臣の時代から、なるべく早期に発足させたいということで努力しておったのでございますが、今日にまで至っておるというような状況でございます。
○島上委員 いままでも、法律にこういうふうになっておりましても、委員の選考等の関係で一、二カ月おくれるということは間々あったことで、やむを得ない場合もあると思うのですが、一年二カ月も放置しておるということは、これは委員の選考等ではないのですよ。私は政府の明らかな怠慢だと思うのです・しいて言うならば法律無視だと思うのです。 そこで、新しい大臣にお伺いしますが、赤澤自治大臣の時分は、年内には発足させるとか何回もそういうことを言っておりましたが、いま選挙部長の御答弁の中には、なるべく早く発足させる、こういったことばもございましたが、一年二カ月も怠慢で放置しておいて、いまなるべく早く発足させるということでは、依然として政府の怠慢が続くのではないかというふうに心配されますが、大臣はもう少し積極的なはっきりしたお答えはできないものでしょうか。
○野田国務大臣 私も大体島上さんの御意見、ごもっともな点が多いと思っております。こういう常置の審議会を一年以上空白にしておくということは避けねばならぬことでございますので、島上さんも御存じのとおり、ああいう経緯がございまして、これはざっくばらんに申し上げますと、私も就任早々いろいろ事情を聞いておりまして、これはなかなかたいへんな人事だ。これは打ち明けた話を申し上げます。しかし、これはなおざりにしてはいけない。それで、御存じのとおり臨時国会も始まって、いよいよ年末に入ります。前大臣が本年中と言ったかもしれませんけれども、これは物理的になかなかそう運ばないのでございます。しかし、なおざりにしてはいけないということで、私といたしましては、いわゆることばだけでなくて、すみやかにひとつ審議会の再開をするように努力したい。これはまた努力すべきでありまして、こういう重要な選挙制度、これは平素いろいろ審議会の方々も、いわゆるこれは民主政治の基本ともいうべき問題でございますから、これが審議は非常に大事でございますから、私もその心がけでもって、ただ抽象的にこの場のがれに言うということでございませんので、積極的にできるだけ第六次審議会は再開するように努力したい、こう思っております。
○島上委員 ただいまの御答弁で、大臣もいままでの怠慢の事実はお認めになっているように受け取るわけですが、そしてこれをおざなりにしてはいけないという積極的な意欲があるように受け取れますが、とにかくもう非常に長い間放置しておいたんですから、私は、いま大臣もちょっと触れられましたが、いきさつについてはわかっておるのです。わかっておるということは、これは了解しておるという意味じゃないのですよ。了解しているという意味ではいささかもないのです。政府は答申をさっぱり熱意をもって実行しようとはしないから、委員の間に、せっかく苦労して答申してもさっぱりやらぬじゃないか、そういう強い不満があるのですよ。したがって、あの諸君にはもう一ぺん委員になってほしいと委嘱を依頼するのに政府はきまりが悪いのだろうと思うのですよ。きまりが悪いということばは適当じゃないかもしらぬが………。もし委嘱すれば、では前の答申はどうしてくれるんだ、こう言われるに、注文つけられるにきまっています。その注文をつけられた際に、政治資金規正と選挙運動の自由化について政府がはっきりと積極的な約束ができるかといえば、それもまた何かあいまいだということになると、ますます選考に困る、こういうことになりかねない。そういうような事情があって——そういうような事情だけではありませんけれども、そういうような事情があっておくれておると私は思うのです。しかし私は、その委員諸君の不満に対して政府は責任を持って約束をして、委員の人選は何も前の委員ばかりにかかわる必要はないと思いますが、積極的に約束して——懸案になっている事項があるのですから、参議院制度の改正については審議半ばですから、いわば審議会としての懸案事項ですから、積極的に約束して、委員の委嘱をやる。いまここへきては、暮れのうちということも事実上それは困難でしょう。正月早々も困難でしょう。しかし私は、おそくとも、どんなにおそくとも二月中に発足させる、こういうことでなければ政府の熱意なんというものは信ずるわけにもいかなくなってしまう。大臣、どのようにお考えですか。
○野田国務大臣 私は、先ほど申しましたとおり大事な選挙制度の審議会でございます。一日早ければ一日それだけ非常に効果的でございます。しかし、いまお話しのとおり、臨時国会も開いておるときでございますし、めどは来春早々、しかしいまそれが二月中に片づくか、少なくとも三月にはひとつ委員の選考を終わりまして審議会を開きたい、こう考えております。
○島上委員 これ以上この問題について聞いてもそれははっきりお答えできないでしょう。しかし私は、いままで一年二カ月も怠慢してきたことをほんとうに大臣がお認めになるならば、そしてこれは民主政治の基本にかかわる大事な問題であるからという熱意があるならば、ここではっきりお答えできなくとも、来年早々に取りかかって、おそくとも二月半ばくらいに発足させる、このくらいの熱意を事実をもって示してもらいたいと思います。 それからもう一つ、時間がないようなので簡単に伺っておきますが、これは巷間伝えられるところですから、的確な根拠があってお伺いするわけではありませんが、巷間伝えられるところによれば、政府は小選挙区制をもう一ぺんやりたい、それにはああいう同じ小選挙区であっても一、幾つもの案を出すような考えを持っておる委員ではどうも政府の思うようにいかぬ、そこでいわゆる単純小選挙区の意見を持っている人々を次期の審議会の委員に大部分委嘱して、次期の選挙制度審議会で小選挙区の答申を求めるという腹があるということが巷間伝えられておりますので、そういうお考えがあったら——あるならあるでよろしいですから、これは事実二月半ばか三月になればはっきりするわけですから………。私どもはもちろん小選挙区制に反対ですけれども、そういう次の第六次選挙制度審議会の委員の委嘱に際して、いままでの人選を大幅に変更して小選挙区制の答申を期待するというようなお考えが大臣にあるかどうか伺っておきます。
○野田国務大臣 小選挙区制の問題は、これはきのうきょう始まった問題ではございませんで、日本の政治から申しますと、長い間、これは戦前、戦後を通じて区制の問題というものは論議されております。最近第五次の審議会かと思いますが、そのときには具体的に区制の改善という結論は得なかったのでございますが、小選挙区制ないしは小選挙区制を柱とする改善案を支持するという委員の多数の意見があったのは御承知のとおりでございます。過去の経歴を見ますと、終戦後も、私もちょうど選挙制度委員になったことがあります。そのときは社会党の方々、みんな一度小選挙区案をきめたことも歴史的にございます。それはまあ過去のことでございます。しかし今日、島上さんの御指摘になりました単純小選挙区案を目標にして委員をきめる、毛頭考えておりません。そういう意図のもとに審議会の委員を御委嘱するなんということでありませんので、私どもはあくまでも区制につきましては、この次の審議会には、なお発足にあたりましても白紙で臨むつもりであります。
○小泉委員長 山下榮二君。
○山下(榮)委員 新しい大臣にいろいろ伺いたいことがございますけれども、きょうは時間がないそうでございますから、ごあいさつに対しまして二、三感じた点をお伺いいたしたい、こう思うのであります。 新大臣は、今度の佐藤内閣の中でも一番りっぱな人格者であると私は想像いたしておるのであります。すでに総務長官もやられ、深い経験を持っておられる方であるから、この人なら選挙制度審議会の発足も、あるいは選挙法の改正も完ぺきを期したものを、党派を越えて公正なものが行なわれるだろう、こう予想をいたし、きょうの新大臣の就任のごあいさつにも深い関心をもって伺ったのであります。ところがごあいさつを伺いますと、これまた通り一ぺんのごあいさつであって、はなはだ失望を感じたのであります。いま島上委員から質問がございましたように、ことさらわざと重要な問題は避けてあいさつをされている、こうしか申し上げようがないのであります。 その一つは、いま問題になりました政治資金規正法の問題であります。その次は、いまもお話がありました選挙制度審議会の設置の問題であります。その次は、かねて総理も声明されている沖繩住民の日本国政への参加の問題であります。この重大な問題に対して、大臣が就任をされて就任のあいさつに、しかも選挙法改正特別委員会の席において何ら触れておられないということは、私は大きな失望を感じた一人であります。他の委員もおそらく同様であろうと、こう想像をいたすのであります。 御承知のとおり、戦後自民党内閣がずっと続いて政権の交代がないというところには、一つには選挙法のいろいろの不備な点が大きな影響を与えることは、私は言うまでもないことだと考えておるのであります。その第一番目が政治資金規正法だと思うのであります。いまごあいさつの中にも金のかからぬ選挙云々、こういうことを言っておられますが、金のかからぬ選挙を実行していきたい、こうおっしゃるのでございますならば、第四次、第五次選挙制度審議会が答申をいたしました選挙資金規正法そのものをずばり国会に提出なさったならば、おそらく政治資金規正法は成立したであろうと想像するのであります。しかるに政府はこれを曲げて曲解をしたり、いろんなことで法案を、答申を全く骨なしにしてしまったかっこうで提出をされたのであります。そのために成立しなかったことは、大臣も御承知のとおりだと思うのであります。私は野田大臣のごとき長い経験とその識見と人格をもって、今度こそは答申に全くこたえることのできる政治資金規正法を次の通常国会にぜひ提出されることを要望いたしたいと思うのでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
○野田国務大臣 山下さんにお答えいたしますが、先ほども御質問にお答えしておきましたが、政治資金規正法の改正はすでに二回にわたって廃案となっております。私はまことに遺憾に思っております。この規正法改正のいろいろといまの内容についての御批判がありましたが、しかし前に出しました案も、審議会の答申の意思に沿うて極力その趣旨を生かそうという本旨に基づいてその内容を盛り上げたものでございます。しかしこの実現に努力しましたけれども、いまお話しのとおり廃案になりました。私どもといたしましても、先ほどお答え申し上げておきましたとおり、今日の日本の選挙の推移と申しますか、その内容を見ましても、やはり政治資金規正法の改正が必要であるということを考えております。それに対しましては、前に政府が提案いたしました内容について、できるならば一歩でも前進したものにしたいという意欲は持っております。しかし、はたしてどういう案ができ上がりますか、これから検討することになっております。いまあらためて申し上げますが、必ず来たるべき通常国会には提案する心がまえを持っておりますことをお答えいたしておきます。
○山下(榮)委員 必ず提案することをお誓い申し上げるとおっしゃったのでございますが、とても三月や四月になって出てきたところで、これは日の目を見ることにならないのであります。時期を相当御考慮わずらわしたいと思うのであります。 次に、えらくごあいさつにこだわるようでございますが、「政党の近代化、組織化及び国民の政治意識の高揚につとめるとともに、個人本位の選挙から政党本位、政策本位の選挙に転換することが必要である」このとおりなのですが、このとおりに実行しようと思えば、具体的には一体どういう改正を行なうか。表現はこれでけっこうでございますけれども、具体的には選挙法をどう改正しようということで、こういう結果になる、というお考えを持っていらっしゃるならばお伺いいたしたい。
○野田国務大臣 私がごあいさつ申し上げた内容でございますが、たとえば個人の選挙でなくて、できるだけ政党本位の選挙にしたい。これは選挙制度審議会においてもだいぶ意見が出ているようでございますが、基本的にはやはり現在の選挙制度の全体にわたって考える必要がある。その中にはいまお話がありました選挙費の問題とか、あるいは選挙運動の問題あるいは選挙の区制の問題各般についてやはり審議をしなくちゃいけない。むしろ極端に申しますと、やはり政党本位の選挙に完全に移るということになれば、政党法なんという問題も私は論議されると思っております。しかし今日の場合、急速な改正はなかなかむずかしいし、また、これはひとり政府だけの考えで押しつけるものではございません。審議会もあります。各党各派の御意見もやはりあるのでございますから、その線に沿うて今後選挙制度の改正を考える必要があるのではないか。そういうことからして、そういうごあいさつを申し上げておきました。
○山下(榮)委員 最後に、沖繩国政参加の問題に対して一体いかような方法でいかようにお考えになっているか、大臣の所見を伺っておきたいと思うのであります。
○野田国務大臣 沖繩の国政参加の問題は、従来からたびたび国会でも論議されておりますし、これに対する従来関係大臣あるいは内閣法制局長官等からも見解が述べられていることは御存じのとおりであります。結局は、この国会の組織運営に関する問題でありますので、今回新しい内閣によりまして、総理大臣名によって国会に御審議願うという文書を差し出してあることも御存じかと思っております。そこで、やはりいま申しましたとおり、結局は国会の組織運営に関する問題でありますので、国会において御判断をいただくことが適当ではないか、こう思います。その結果によりまして、また政府は政府としての考えをきめたい、こう存じております。
○山下(榮)委員 佐藤総理の国会に対しての申し入れば、政府としてまことにずるいやり方であると私は思っておるのであります。その問題は、考え方によっては、憲法上の問題もございましょうし、あるいは国会法上の問題もございましょうし、選挙法上の問題もございましょうし、いろいろありますから、それらをやはり政府がきちっとした姿勢で国会のほうに出してこられなければ、いまのような通り一ぺんの、まあ国会におまかせする、御意見を拝聴したいというような調子のものでは、これはおざなりのことであって実のない話である、こうしか受け取ることができないのであります。これ以上深追いをいたしましても時間もございませんから、いずれ他の機会にこれらの問題については申し上げたいと思うのでございます。 最後に申し上げておきたいと思うのは、島上委員にも御答弁がございましたが、選挙制度審議会がまあまあ三月ごろにはというようなお話もございましたが、それなら次の通常国会に間に合うような答申が得られない、こういう結果になるのであります。年が明けたら早々審議会を発足せしめ、次の通常国会に間に合うだけの方策を万全の処置をとられる、これが私は責任ある立場にある方々の考え方でなければならぬ、かように考えておるのであります。そのことをつけ加えて希望申し上げて、私の質問を終わります。
○島上委員 いまの沖繩の問題に関連して一言だけ伺っておきたいのですが、いま施政権はアメリカさんが握っておりますから、もちろんアメリカとの話し合いが前提になると思いますが、もしそれらの峠を通り越して、沖繩から五名程度の国会議員が日本の国会に参加する、われわれのこの国会に参加するということになりますれば、将来復帰した場合のことも考えながら、現在沖繩では小選挙区制をとっておりますが、その際、日本の公職選挙法をそのまま適用されないことはわかりますが、私たちの望みたいことは、日本の国会の選び方とちぐはぐのような形にならないことを望みたいわけで、すなわち沖繩を全県一区として五名選ぶ、小選挙区制ではなく全県一区として五名を選ぶ、選挙運動その他のやり方についても、日本の現在の公職選挙法に準じたものを新たに考えてもらうということが一番望ましい形だと思いますが、その点に対する大臣の所見を伺いたいと思います。
○野田国務大臣 島上さんの御意見は十分参考にいたしたいと思います。要するに、先ほど山下さんにお答えしましたとおり、国会の御判断にまかせるというたてまえをとっておりますが、やはりその国会の結論を見ながら、また私どもの意見も国会に対して申し出る場合があると思います。それらにつきましても慎重にひとつ検討してみたいと思います。
○小泉委員長 伏木和雄君。
○伏木委員 ただいままでいろいろ質問がありましたが、政治資金規正法にしろ、また選挙自由化あるいは第六次選挙制度審議会の問題にいたしましても、非常に重要な問題であると思います。きょうは時間がないようで、こうした重要な問題を短時間でお伺いするということは無理かもしれませんが、せっかく大臣からごあいさつがありましたし、そのごあいさつに基づいて二、三伺ってみたいと思います。 ただいまのごあいさつの中で、大臣は、各方面から金のかかる選挙の・実態に対して強い批判がある、このように受けとめられているわけです。私はここで大臣がこのようにおっしゃる意図はわかりますが、むしろ金がかかるということに対する批判よりも、もうすでにその段階は過ぎて、なぜ政府は政治資金規正法を制定しないのか、早く出さないのかというところに国民の議論は集中しているのではないか。すでにこの金がかかる、かからぬということは、過去幾多の汚職事件等のおりに国民から徹底的に批判を受けていることでありまして、そうした国民の世論を反映して第五次選挙制度審議会が緊急を要する問題として提起されているのが、この政治資金規正法であると思います。ですから、いまどき金がかかる選挙に対する強い批判があるということよりも、むしろ政治資金規正法をなぜ早くつくらないのか、なぜそれができないのかという批判のほうが強い。大臣は今日の国民感情というものをそのように受け取るべきではないか。前赤澤大臣は選挙制度審議会の委員でもございましたし、また自民党代表という立場で選挙区制あるいは政治資金規正に関しましても、どちらかといえば、審議会において資金の規正については消極的なようなお方でしたが、大臣せっかくおかわりになって、今度は私はスムーズにいくのじゃないか、このように考えておったのですが、いまだに大臣がごあいさつの中で、すでに三年も四年も前の国民の批判というものをここで取り上げているという点にいささか落胆をしたわけです。今日の国民感情というところはそういうところにある。したがって、政治資金規正法というものは、もう今日政府が何をおいてもまっ先に国会に出さなくてはならない法案である、私どもこうした考えを持っておりますが、この点について大臣の御所見を承っておきたいと思います。
○野田国務大臣 伏木さんの御主張よくわかります。しかし私は、選挙に金のかかるということ、きわめて俗なことばにおいてでございますが、選挙全体から考えて、いまの世論とか前の世論でなくて、選挙そのものの実態から考えて、やはり非常に重要な問題と思っております。その一つとして、これは必ずしも選挙に直接じゃございませんが、お話しのとおりいろいろの問題の結果、政治資金規正法改正というものが出てまいりました。これも一つの方法でございまするが、やはり金のかからない選挙をやるということは、先ほどこの中に、私のごあいさつにも申しておりますとおり、やはり政党本位の選挙に持っていく、政策本位の選挙に持っていく、いわゆる個人の選挙ではない、そういうような観点からして、ひとり政治資金規正法の改正ばかりでなくて、やはり選挙制度全体のことを考えなくちゃならぬと思っております。そういうことを含んで申し上げたのでございまして、先ほどもお答えしましたが、まず第五次選挙制度審議会の答申で得ました政治資金規正法の改正はやはり必要と思っておりまするから、次の国会に出したい。その他につきましては、第六次の審議会をできるだけ早く開いていただいて、そうしてこれらの問題についての意見、できれば答申を得たい、こう考えております。
○伏木委員 政治資金につきましては、一昨年の通常国会におきましても総理は今国会に一日も早く提出したい。また本年初頭の通常国会におきましても早い機会に提出したいというふうに言われてまいりましたが、この法案が提出されるのはいつも会期ぎりぎりのところで提案されているという形になっております。したがって、十分な審議もできず廃案というような形に今日までの経過を経ておりますか、ひとつ来国会は——もう過去二年、三年にわたって政府自民党でさんざん議論し尽くしたものでもありますし、また野党のほうもこの問題については相当研究を進めておった問題であります。したがって、これから新たな研究ということでなくて、どの辺に腹を定めるかという基本的な問題さえきまれば、作業のほうはきわめて簡単な問題ではないかと思います。したがって、通常国会におきまして、ただばく然とすることなく、私は通常国会冒頭にこれを提出すべきではないか、このように考えますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○野田国務大臣 お話しのとおり論議を尽くしておる問題でございますから、私といたしましてはできるだけ早く提案したいと思っております。
○伏木委員 次に、選挙の自由化の問題でございますが、これも第五次選挙制度審議会において答申がなされておりますが、新大臣としてこの自由化についてはどういうお考えでいらっしゃるか、この点を承っておきたいと思います。
○野田国務大臣 私も、答申は別としまして、政治家の一人として思いますことは、選挙はやはりできるだけ自由に運動ができるようにしたい。もちろんその自由化の中には言論、文書のこともあります。また個別訪問その他のこともあると思いますが、要するに、基本として選挙運動というものはできるだけ自由活発にやる。国民諸君、つまり選挙される方々もひとつのんびりといいますか、はつらつたる気分でもって自分たちの代表を選ぶというか、非常に自由な感覚を持っておやりになったらいい、こういう感じを持っております。
○伏木委員 最後に、第六次選挙制度審議会のことについてお伺いしておきますが、その前に、参議院の地方区の有権者のアンバランスといいますか、非常に不平等な結果になっております。鳥取県と神奈川県では、地方区において有権者が定数一人当たりで四対一というような非常なアンバランスなことになっております。これは民主主義、基本的な人権というか、有権者の握っている選挙権というものを根底からくつがえしてしまうのではないか。よく国会で自民党の皆さんが言われることは、議会政治は数でいくのだ、多数決だ、数ということを非常に主張されますが、その数を選び出す基本的な選挙人が不平等であるということは、民主主義を根底からくつがえすのではないか。したがって、参議院の定数是正というような問題もすみやかにやらなくてはならない。とすれば第六次選挙制度審議会にはすみやかにこの問題が提起されなければならないと思いますが、この点についてまずお伺いしておきます。
○野田国務大臣 私も同感であります。非常にアンバランスであります。特に参議院の地方区は目立っておりますけれども、いろんな議員を選出する場合、これはひとり国会だけではなくて、地方議会でもそうであります。特に御指摘の参議院の地方区のアンバランスということはお話のとおりでございますが、これはやはり全国区の問題もからんでおりますし、また参議院選挙制度全体のあり方もあるというので、第五次選挙制度審議会においてはとうとう答申を見なかったのであります。しかし、いま伏木さんのお考えと私も天体同じ考えを持っておりますので、次の参議院選挙までは何とかこれを間に合わせるように、そのときに実行できるような方向でもって考えてみたい、こう考えております。
○高橋(英)委員 ちょっと関連して。 伏木さんの御意見ごもっともだと思いますが、大臣の御答弁もごもっともだと思うのですけれども、アメリカの上院議員の選出方法は、人口の多寡にかかわらず、各州に二人ずつというふうなことになっておりますね。そういうふうな点も御考慮になって、慎重にひとつおきめ願いたいと思います。
○野田国務大臣 よくわかりました。
○伏木委員 いまの大臣の御答弁によりますと、次の参議院の選挙までには間に合わせたい、ということになりますと、各党ともいろいろ準備の都合もあります。次の選挙が四十六年、したがって四十五年の通常国会にはこれの結論が出なくてはならないと思います。それから逆算していきますと、第六次選挙制度審議会というものはその通常国会以前に答申を出していかないと、政府のほうでもちょっと作業に困るのではないか。したがって、これは四十四年中にこの答申が出てこなければならない。そういうことになりますと、これだけの選挙区の定数問題をかかえて、少なくとも審議会は一年はかかるのではないか。ということになりますと、いま発足しても一年かけますと来年の十二月ということで、もうタイムリミットぎりぎりのところに来てしまっている、第六次選挙制度審議会というものの発足が……。これを来年の二月だとか三月だとか言っておれば、結果的には、いま大臣がせっかく次の参議院の選挙に間に合わせたいというお心を持ちながら、作業の面でおくれてしまうのではないか。したがって、第六次選挙制度審議会というものはいますぐにでも発足しなくてはならない、こういうタイムリミットぎりぎりのところに来ている、こう私ども考えておりますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○野田国務大臣 お話しのとおりでございます。おそらく第六次選挙制度審議会ができましたら、審議会の審議委員の方々もそういうことをよく御理解のもとに審議していただくように、こう期待しております。
○伏木委員 ですから、時期的に発足させるのを、来年の二月、三月では間に合わないと思いますが、大臣はこれに対して早急につくるお考えがあるかどうか、もうぎりぎりのところまで来ている、これから考えるという段階ではないということを申し上げているわけです。
○野田国務大臣 いや、第六次選挙制度審議会の発足というものをいま考えている段階ではございません。これはもう時間の制約もございます。これはひとり参議院の地方区のアンバランスの問題だけではございません。その他たくさんのものが残されておりますから、いま私が申しましたように、これはもう一日も早く発足したい。ただ、時間的ないわゆる物理的な関係で、ちょうどいま臨時国会に入っているし、来月は正月にもなるものですから、決して消極的態度ではありませんが、時間的なことでそういう御答弁をしているのです。気持ちは伏木さんと同じと思っております。
○伏木委員 その審議会の人選についてですが、先ほど島上さんからもお話がありましたように、第五次の方々は、前回の答申を政府が無視したということで非常に怒りを覚えておるようでございまして、この人選についてはどういう人選を行なわれるか。また、各党から特別委員という形ではなくて、各党から推薦した学識経験者等も入れたらどうかというような考えを私は持っております。ということは、前回の審議会のメンバーはだいぶ小選挙区論者が多いのではないか、片寄っているのではないかというような批判も国民にありましたので、そういう考えを持つわけですが、この点について、人選についてどういうお考えを持っているか、最後に承っておきたいと思います。
○野田国務大臣 人選でございますから、これはなかなかデリケートでございまして、ことに第五次選挙制度審議会のあの経緯からいいまして、どういう人がいいとか悪いとかいうことはこの際私は御返事しかねる、これは御理解願えると思います。いま伏木さんの御懸念の小選挙区制に賛成論を集めるということも、私は白紙で臨むと言っておりますから、その点におきましては、委員の人選については公正に、片寄った考えを持たないで御委嘱したい、こう思っております。
○伏木委員 ひとつ公正に、すみやかに第六次選挙制度審議会の発足をお願いいたしまして、質問を終わります。 ————◇—————
○小泉委員長 閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。 篠田弘作君外三名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案及び公職選挙法改正に関する件について、閉会中もなお審査を行なうため、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————◇—————
○小泉委員長 この際、御報告いたします。 本委員会に参考送付されておる陳情は、選挙制度改善に関する陳情書一件であります 本日は、これにて散会いたします。 午後三時十三分散会