交通安全対策特別委員会 第2号
- 発言数
- 134 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1968/12/19
会議録
○門司委員長 これより会議を開きます。 この際、総理府総務長官及び総務副長官からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。床次総理府総務長官。
○床次国務大臣 私は、このたび総理府総務長官に就任いたしました床次でございます。総理府に設置されております交通対策本部の本部長もつとめておりますので、よろしくお願いいたします。就任に際しまして、この際、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。 御承知のように、わが国の交通事故は依然として増加の趨勢にございます。本年一月から十一月末までの交通事故の状況を見ますと、死者数は約一万二千八百人、負傷者数は約七十三万五千人でありまして、昨年同期に比べ、死者数において三・八%、負傷者数におきまして二四・七%とそれぞれ増加しておりまして、死傷者数を合わせますと、すでに十一月末現在で史上最高であった昨年を上回るというまことに憂慮すべき状態でございます。 このような交通事故の趨勢に対処いたしまして、政府におきましてはここ数年来、人命尊重特に歩行者保護の見地から、交通安全対策を政府の最重点施策の一つに取り上げまして、まず第一に、交通安全施設の整備拡充を中心とする道路交通環境の整備、第二、学校における交通安全教育の推進、地域社会における交通安全思想の普及徹底、運転者に対する再教育の強化等を内容とする交通安全活動の推進、第三には、交通暴力の排除に重点を置いた交通秩序の確立、並びに第四といたしまして、救急医療体制の整備及び損害賠償の確保を主たる内容とする被害者救済対策の強化の四本の柱を中心といたしまして、総合的な交通安全施策を強力に推進しているところであります。私も交通安全対策の強化につきましては今後最善を尽くす決意でございますので、何とぞよろしく御協力を賜わりますようお願い申し上げます。 以上、簡単ではございますが、就任のごあいさつといたします。(拍手)
○門司委員長 次に鯨岡総理府総務副長官。
○鯨岡政府委員 総務副長官に就任いたしました鯨岡兵輔でございます。いま長官から御説明のありましたことにのっとりまして長官を補佐して、遺漏のないようにつとめたいと思います。諸先生の特段の御鞭撻をお願い申し上げまして、ごあいさつにかえます。(拍手) —————————————
○門司委員長 それでは次に、交通安全対策に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がございますので、順次これを許します。大竹太郎君。
○大竹委員 ただいま長官のごあいさつの中にもございましたように、最近交通事故が、いろいろな国の施策にもかかわらずふえておる。まことに残念な状態にあるわけでありますが——それではあらためて始めますが、先ほどの長官のごあいさつの中にもございましたように、いろいろな政府の施策にもかかわらず、交通事故が年々ふえてきておるということでございました。引き続いて国としてもいろいろの対策をさらに強化していかなければならぬ事態にあると思うわけでございますが、中にも最近非常に問題になっておりますのは、交通事故によって親を失い、遺児となった者に対する対策が、最近非常に新聞その他で問題になってきておるわけであります。つきましては、−先ほど交通事故による、いわゆる直接の被害者の数について御説明があったわけでありますが、交通事故によって親を失ったいわゆる遺児の数というようなものについて、調査があれば御説明をいただきたいわけでありますが、ただこの遺児ということについて、年齢の問題でございますとかあるいは親——両親を失ったという意味にとれば非常に少なくなると思いますが、その数、その内容その他についてまず御説明をいただきたいと思います。
○鯨岡政府委員 数字の問題でございますので、間違いのないように、事務当局をして説明いたさせます。
○宮崎(清)政府委員 ただいまのいわゆる交通遺児の調査の結果でございますが、この点につきましては、総理府におきまして本年五月以降、全都道府県の教育委員会にそれぞれ御協力をお願いいたしまして、現在義務教育諸学校、これは国公立を通じてでございますが、義務教育諸学校に在校中の児童生徒で、交通事故により両親あるいは片親または両親にかわって事実上その子供たちのめんどうを見ております人たち、これを交通事故によって失った者の数を調査いたしました。実は、たいへん申しわけございませんが、ごく一部の府県におきましてまだ調査未済分がございますが、これを待っておりますと非常に時間がかかりますので、そのごく一部を除きましてその集計だけを十一月末に新聞等に発表いたしております。したがいましてこの数字は確定ではございませんので、それをお含みの上お聞き取りを願いたいと思います。 そのごく一部の調査未済部分を除きました数字といたしましては、ただいま申し上げました交通事故で親等を失った児童生徒の数の合計数は、全国で二万七千七百台という数字が出ております。これは確定数でございませんが、一応二万七千七百六十六名という数字が出ております。このうち小学生が一万六千七百二十六名、中学生が一万一千四十名という数字になっております。ただ、これは一部未調査分がございまして、これが含まれますと、推定でございますがさらに三、四百名程度上回るのではないか。したがいまして最終集計といたしましては、二万八千名台になろうかと、いまのところは推定いたしております。
○大竹委員 次にお伺いいたしたいのでありますが、これらの交通事故による遺児の生活の問題、またこれは中小学校の生徒でございますので、さらに高校へ進むというような場合における費用その他あるわけでありますが、これらについていろいろ考えられるわけでありますけれども、現在においても生活保護その他国民年金法、厚生年金法その他によって、ある程度保護はされておるわけでありますが、現在の制度によって遺児が保護されている態様はいろいろあると思いますけれども、不勉強で全部こちらでわからない面もあるのでありますが、項目別でもよろしゅうございますから、ひとつ教えていただきたいと思うわけであります。
○宮崎(清)政府委員 不幸にして交通事故により親等を失った家庭でございますが、これにつきましては先生御指摘のように、一般的にそういう非常に困っている家庭に対する補助の制度がございます。ただいま先生御指摘になりましたように、まず第一にございますのが、生活保護法によるいろいろの保護の措置でございます。これについては生活扶助、教育扶助、住宅扶助、生業扶助と、いろいろございます。それから先ほど申し上げました、同じく先生が御指摘になりました諸種の年金制度による救済措置もございます。それから特に学校の子供につきましては、生活保護法以外に、いわゆる準要保護と呼ばれておりますが、就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律というのがございまして、この法律によりまして、要保護より困窮度が多少少ない家庭につきましても、学用品でございますとか、その他一定の、通学に要します経費につきまして、これに対して補助をしている制度がございます。これは一括して準要保護と申しております。それから、父親がなくなりましたために母親と子供だけで非常に困っている家庭、これは一般に母子家庭と申しておりますが、これにつきましては母子福祉法により、いろいろな措置が講じられておりまして、同じく就学関係につきましては、母子家庭に対しまして就学資金の貸与、貸し付け、これをできるような制度が現在とられております。こまかい点いろいろございますが、大きく分けて申し上げますと、大体そういうような措置によりまして、親等が失われました家庭の子供に対する援助を現在行なっておるわけでございます。
○大竹委員 いま伺いますと、就学困難な者に対する援助の法律、母子福祉法による援助その他等々ございますが、これはいずれも義務教育家庭におけるもののように感じられるのであります。それ以上の、高校へ進学するという者について、一般の育英制度その他はもちろんあると思いますが、特に困っている者、ことに交通遺児等に適用され得るものという現在の制度はございますか。
○宮崎(清)政府委員 先ほど申し上げましたうちに、就学困難な児童及び生徒にかかる援助につきまして、つまり準要保護に対する補助は、御指摘のとおり義務教育諸学校在校中だけでございますが、母子福祉法におきましては高校進学のための学資の貸し付け制度がございます。その点で先生御質問の内容に相当する分が母子福祉法の措置には含まれております。 それから先ほど言い落としましたが、日本育英会で行ないます奨学資金の貸し付けはもちろんあるわけでございます。
○大竹委員 そこでこの問題を高等学校の進学の点にしぼって二、三お聞きしたいのでありますが、最近、新聞その他によりますと、交通事故による遺児が非常に多くなったというような面から、特にこの交通事故による被害者の遺児について、国または公共団体が高校へ進学するについて奨学金を貸与するというような新しい制度を創設すべきであるという相当強い意見があるように見受けられるわけであります。しかし、もちろんこの交通事故による遺児というものは、数においてもほかの事故におけるよりも群を抜いて多い。そしてまた短日の社会現象として人々の目に触れるというようなことから、ある意味においてはそこに非常な同情が特に集まっているというような面から、こういう意見も出ると思うのであります。たとえばこの交通事故の遺児というのは、自動車によるいわゆる交通事故が主たるものでありますが、もちろん海上、航空その他における交通事故というものも含まれますが、それらを含めてもこの交通事故による遺児に対して特に高校進学の援助をするということになりますと、そのほかのたとえば公害の問題でありますとか、あるいはまた極端な場合には一般の犯罪による被害者の遺児というようなものとの均衡、その他の面も考えられるわけでありますが、交通事故の遺児に対して特に国または公共団体がこういう制度を設けるということに対しては御見解はいかがですか。
○鯨岡政府委員 大竹先生の御心配並びに御指摘のように、あまりにも多い交通遺児でございますから、これに対して特に一般と切り離して考えるべき必要があるのではないかという考えは当然出てくるわけでありますが、これまた先生がすでに御指摘のように、そういうことになってくると他の事故等によって親を失った場合との差別があっていいものであろうかどうであろうか、そんなことも勘案をいたしまして、いまだ結論は出ておりませんが、何にいたしましてもこれだけの大問題でございますので、どうしてこのことについて結論を出すか、目下検討中でございます。何よりも、交通事故によってとうとい人命を失うことのないようにするのが先ではないか、これは問題は別でありますが、そのほうに重点を置きながら、いま先生御指摘のようなことについても目下慎重に検討中であることをお答えしておきます。
○大竹委員 次に、最近いろいろ交通遺児の進学問題その他が議論されておる中におきまして、現在行なわれておるいわゆる自賠法の賠償金ですか、これの金額をふやして、その中でこの進学の問題を含めて金額を増加したならばいかがなものかという意見も相当強いように思われるわけでありますが、御見解を伺っておきます。
○黒住政府委員 いま交通遺児の育英資金の問題につきまして総理府のほうから答弁がございました。われわれのほうの自賠保険といいますのは、自動車側の賠償責任を担保するということがたてまえになっておりますので、先生の御質問の趣旨で保険金額を上げるということにつきましては、法律的にも実際的にも相当問題があるかと思います。現在は死亡者の場合におきましては保険金額が三百万円でございますことは御承知のとおりでございまして、その保険金額を引き上げるということで現在作業を進めておるわけでございますので、その保険金額が引き上げられますと、これを有益に使っていただけるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
○大竹委員 次の問題として、先ほど次官のほうからもお答えがございましたが、ほかの事故による遺児との関係で考慮中だというお話でございますけれども、第二段の問題として、国または公共団体が直接そういうことをやるのはほかとの関係で非常に困るというような結論に達した場合において、何か特殊な財団法人というようなものをつくり、そしてこれに対して国または公共団体が適当な援助または助成をするというようなものの考え方、また自動車賠償保険のほうから直接それに払うということがあれならば、特殊法人に対して剰余金のうちからこれを援助するとでも申しますか、寄付をするとでも申しますか、そういうような方法を考えるべきではないだろうかというような意見もないわけではないのであります。これらについての御意見を伺いたい。
○宮崎(清)政府委員 民間の有志の方がそういう財団法人をおつくりになりまして、それによっていわゆる交通遺児の奨学資金等の制度をお設けになること、それ自体非常にけっこうなことでございますので、これに対して国が非常に広い意味で御援助申し上げるということは当然可能であろうと思います。ただその場合の援助の内容でございますが、たとえば具体的に補助金を出すとかいうことになりますと、その財源をどうするかとか、その財源ははたしてその補助金に使うことが適当かどうかという問題もございますので、慎重に検討させていただきたいと存じます。 それから自賠責の問題につきましては、自動車局長から御答弁をお願いいたしたいと思います。
○黒住政府委員 自賠につきましては、保険料の保険勘定のものと、それから保障勘定といいまして、ひき逃げとか無保険車の場合の事故の被害者を救済するという制度がございます。おそらく保障事業の剰余金のことをおっしゃったのかと思いますけれども、保障事業におきます剰余金というものは、元来これは事故に対する支払いのために準備しておるものでございまして、将来の事故に対するいわゆる支払い備金という性格のものと、それからまた保険金額に相当する保障の金額を上げました場合にこれに対応するというふうな性格でございます。それで、そのもの以外に剰余金を預託いたしておりまして利子が発生しておるものがございます。これを使ったらどうかというような御意見もあるかと思うわけでございますが、これは現在直接この事故防止に当たる場合、事故防止のための金といたしまして一部を日弁連等に相談その他で出しておりますが、そういうものと、この育英資金というものの性格をどう考えるかという問題があるわけでございまして、それらについては今後検討いたしてみたいと思っております。
○大竹委員 これで質問を終わります。
○門司委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○門司委員長 速記を始めて。河村君
○河村委員 いま大竹委員からいわゆる交通遺児の救済育英資金の問題について質問がありました。それに対してさっき総務副長官から積極的に検討してみようというお話があったわけであります。 そこで、おっしゃるように交通遺児といっても海難の場合もあるであろうし、飛行機の場合もあるであろうし、理論的にこれだけ別に取り上げるという理由は法律的にはないかもしれないけれども、非常に激増する災害で、この問題は非常に大きな社会問題になっております。ですから自主的に解決する方法があればやりたいという気持ちであろうと思います。政府もそれに対する何らかの支援はなすべきだと思います。そこでさっき大竹さんから自賠法の関係の質問がありまして、政府の行なっております自動車損害賠償保障事業の剰余金を使えないかということについて、自動車局長から、なお検討してみたい、そういう答弁があったのでありますが、現在一体保障事業の剰余金、貸借対照表の利益になっているものがどのくらいあるのか、それを先に伺っておきたいと思います。
○黒住政府委員 保障事業の剰余金は、四十二年度決算におきまして五十八億三千九百万円でございます。
○河村委員 現在その剰余金の運用というのは、さっき日弁連の話が出ておりましたけれども、大体どんなふうに運用されておりますか。
○黒住政府委員 剰余金自体ではございませんで、剰余金を預託いたしましたものから発生いたします利子を運用しておるわけでございます。その利子につきましては、本年度の予定では二億四千三百万円余を事故相談事業、法律扶助事業、事故防止の事業、救急医療施設の整備の事業等に補助金として支出することにいたしております。
○河村委員 この預託金の利子を運用する場合に、それは何か法律的な規制がありますか。
○黒住政府委員 自賠特会は自動車損害賠償保障法を施行いたしますための特別会計制度でございますから、その自賠法の範囲内におきますものに対しまして運用するのが至当であるということで、いま申し上げましたような事業に補助金として出しておる次第でございます。
○河村委員 どうもあまり返事がはっきりしてないのですけれども、そうすると、法律的には特に拘束はされていないので、自賠法の趣旨に合ったものならばよろしい、包括的な意味でその趣旨にたがわなければよろしい、そういう意味だと解釈してよろしいわけですか。
○黒住政府委員 これは元来は、保険の分も保障の分も、賠償責任が発生いたしました場合に、その賠償責任をカバーするという意味の制度でございます。しかし、その会計を運用いたします場合におきまして、たまたま利子が発生いたしておりますから、そういう利子分につきましては、いま申し上げました範囲を逸脱しない限り、事故防止をいたしますと保険金の支払いというのも減ってくるわけでございますから、会計全体との関連におきましてそういう金を支出してもよいということで、関係のところとも打ち合わせをいたしまして現在支出しておる次第でございます。
○河村委員 事故防止に使えば幾らかでも負担が減るという理屈はわかりますけれども、別段法律的に特に限定されているわけではないようですから、大体自賠法の大きな意味での趣旨に合っておれば、こういう交通災害遺児みたいなものについて、会計の健全さをそこなわない範囲においては使っても間違いではないというぐらいのことはいいわけですね。
○黒住政府委員 いまの育英資金全体の制度をどうするかという問題は別個に総合的にあるかと思います。その場合におきます一部の金といたしまして先生が御指摘のものを支出することはどうかということでございますが、やはりこれは特別会計の運用の問題あるいは法律的な問題がございますので、いま直ちにこれはよろしいという断定はしかねると思いますので、法制当局なり財政当局とも、そういう制度を実行するということになりますと、相談をして検討したいと思っております。
○河村委員 法制当局は、これは問題ないはずだと私は思います。財政当局も、これは特別会計の責任者は運輸大臣なんですから、その中の運用について財政当局がとやかく言うべき筋合いのものじゃないと私は思うのです。もちろん、こうした育英資金というものは民間のチャリティというものが中心になるべきものかもしれませんけれども、その呼び水といったらおかしいけれども、資金的なものに国から金を出すというのは、今日社会問題となっている大きな問題のその制度の積極的な取り組み方を示す、民間の運動を促進するという意味においても至当じゃないかと思うのでありますけれども、その点、最後にお伺いいたします。
○黒住政府委員 自賠特会は、これは政府が管掌しておる次第でありますけれども、原資は申すまでもなく一般自動車所有者でございます。したがいまして、自動車所有者も一端をかつぐというふうな問題はあるかと思いますけれども、国が出動いたしまして一つの金を出すという場合に、自動車特会におきますものは、国直接の金ではなくして自動車所有者が払いました保険料に含まれるものでございますから、国全体がどういう形でこの問題に取り組むかというふうなことと総合的に考えて結論を出していかなければならぬ問題じゃないかと思います。
○河村委員 ぜひ積極的に検討して、よい結論を出していただきたいと思います。 主税局のほうに伺いたいのですが、いままで議論されておった自動車の損害賠償につきまして強制保険があるわけですね。この強制保険の額が現在は三百万円であるけれども、運輸大臣等の言明からいっても、やがて五百万円か六百万円ぐらいの額になるだろう。そうしますと、現在の一年間の負担というのは一万円くらいだろうと思うのですけれども、これが倍までいかぬまでも倍近いものになるだろう。そうなりますと、その負担というものは相当大きなものになるわけです。それに対して、所得税の損害保険についての保険料控除がありますけれども、これを自動車の責任保険に拡充する考えはないかということをちょっとお伺いいたします。
○安井説明員 所得税法におきます損害保険料控除の制度は、御承知のとおり住宅及び家財についてかけました損害保険についての保険料控除の制度でございます。いまお話のございました強制賠償保険になりますと、対象が自動車になるわけでございまして、二つに分かれるわけでございますが、事業の用に供しております自動車の強制賠償保険の分は、これは事業上の必要経費として控除の対象になるわけであります。事業の用に供しないいわゆる自家用自動車と申しますか、その分につきましていまの損害保険料控除の対象にするかどうかと申しますことは、住宅及び家財、つまり通常生活に必要な資産であるかどうかという判断がそこに入らなければならないわけであります。損害保険料控除ができましたときには、住宅政策の一環で、つまり火事があったときに生活の安定をさせようということから損害保険料控除というものが所得税法上控除することにしたものでございます。現在、相当自動車が普及していることは事実でございますけれども、はたして生活必需品であるかどうかということになりますと、まだ私どもとしては疑問を持っておるわけでございまして、現在のところ強制保険の部分を損害保険料控除の対象に加えるということは考えておりません。
○河村委員 自賠法の保険は強制保険ですね。ですから、国がいやおうなしに支払いを命じているわけです。いわば税金に近い。そういうものはほかにどういうものがありますか。
○安井説明員 確かに自動車を持てば強制的に保険をかけなければいかぬわけでございますが、自動車を持つか持たないかという自由があるわけでございまして、一般的に強制的であるものの保険に何があるかとなりますと、たとえば社会保険などは、確かに社会保険料といたしまして支払う国家公務員共済組合の掛金であるとか、あるいは厚生年金であるとか、こういったものは強制的な保険でございまして、これらは社会保険料控除の対象になっております。ただ自動車の場合には、持つか持たないかという自由があることに違いがあると思います。
○河村委員 なるほど自動車を持つ持たないの自由はあるわけですけれども、ただ自動車事故は交通法規を守っておりさえすれば普通起こらぬし、起こっても賠償責任はないわけですね。ですから、大多数の正常なる人間にとってはこれをかける意味がないわけです。ところが、それを不特定多数の人命を守るという事由、あるいは一部の悪いやつがおるためにまじめな人間全部に対して強制的に金を払わせるのだから、これは私は税金と同じであると思う。だから税金に税金をかけるということはないわけですから、当然保険料を全額控除するというのは至当であるというふうに考えるのですが、どうですか。
○安井説明員 河村先生の御意見、よくわかるのでございますけれども、自動車の場合には、何と申しましても自動車を持った者が直接自動車を持つということに伴いましての責任を負うべき事柄でございまして、これを税金と同じだとお考えになるのも一つの御議論だと思いますが、税というのは何らの直接の対価なしに支払うというのが本質でございますし、自動車を持っている者について、自動車を持っている者がそれから受けるものに対しての保険制度というものがいま設けられていると思うわけでございますので、多少一般の税とは違う。いまの御意見はよくわかりますけれども、いまの段階で、それまで生命保険料や損害保険料控除の対象とするのは、私どもとしてはいかがかというふうに考えております。
○河村委員 それでは社会保険と比べますと、社会保険のほうは、これもやはり強制であるけれども、必ず何かの給付を対象にしているわけです。自分が何かもらえるわけですよ。ところが自動車の賠償責任に関しては、それよりうんと悪いわけですね。自分でもらえるものは何もないのです。ただ強制的に払わせられるだけです。性格的にいって、社会保険のものよりはるかに保険料控除の対象になり得る適格性があると思うのですが、そう思いませんか。
○安井説明員 繰り返すようで非常に恐縮でございますけれども、損害保険料控除というものを設けました趣旨が生活安定ということから、住宅対策の一環というふうに私ども了解いたしておりますので、それを自動車まで広げるということにつきましては、やはり議論は内部でも相当いたしましたけれども、いまのところ消極的に考えているわけでございます。
○河村委員 きょうはあなたに政策論議を吹っかけてもしかたありませんから、一応議論の筋道だけ伺いまして、あとあした大蔵委員会もあるようですから、続けて伺うことにいたします。 これで終わります。
○門司委員長 板川正吾君。
○板川委員 交通遺児の問題につきましては、総務長官が参りましてから質問をいたしますが、その前に陸上交通安全調査室長に、当委員会で前国会で決議案として政府に要請しておりました交通安全基本法のその後の作業状況について、説明をしていただきたい。
○宮崎(清)政府委員 いわゆる交通安全対策基本法につきましては、五十八国会の当委員会で御決議を賜わりまして、御趣旨は単に陸上交通のみならず海上交通、航空交通の安全をも含めた基本法を政府が提案すべきである、こういう御趣旨であったと私ども理解いたしております。したがいまして、総理府といたしましてはその御決議の趣旨に沿いまして、自来陸上交通のみならず海上交通、航空交通の安全に関します基本法案をつくりまして、現在全くこれは内輪の作業の手順の問題でございますが、総理府案といたしましては第二次案までを作成いたしまして関係省庁と折衝中でございます。 そこで概略を簡単に申し上げますと、大体の骨組みは五十八国会の当委員会に自由民主党案として提出されました陸上交通安全対策基本法案がございますが、これは先生方も大体御承知と思いますが、当時の政府原案に自由民主党が若干の修正をお加えになりまして、自由民主党案としてお出しになったものでございます。したがって、骨組みといたしましては大体五十八国会に提案されました自由民主党案によっております。これは前に申し上げましたように、単に陸上交通の安全だけでございますので、これに海上交通と航空交通の安全に関するいろいろの問題を加えまして、現在法案を作成したわけでございます。 そこで陸上交通の安全につきましては、いまも申し上げましたように、各省庁いろいろ意見はございましたが、大体それは五十八国会の段階でまとまったわけでございます。したがって、陸上交通だけに関しましては、現在政府部内におきましても特に意見の相違はほとんどございません。しかしながら、新たに海上交通、航空交通が加わりましたものでございまして、大筋といたしましては関係省庁は本法案の必要性と大体の骨組みについては了承しておりますが、細部につきましてはまだいろいろと意見の未調整の部分が含まれております。 簡単に概要を申し上げますと、骨格はいま申し上げましたように自由民主党がお出しになりましたかつての陸上交通安全対策基本法に準拠しております。 全体を大体五本の柱にいたしまして、第一は陸上交通、海上交通、航空交通の安全に関しまして国、地方公共団体、交通施設の設置者、車両とか船舶の製造事業者、これらの使用者あるいは車両船舶等の運航、運転に従事する者、さらには地域住民の責務というものを規定する、これが一つの柱でございます。 第二は、交通安全に関します施策の推進をはかるための組織を整備することでございまして、これも前の案にございましたように、中央においては総理府に内閣総理大臣を長といたしまして関係閣僚よりなる中央交通安全対策会議というものを設ける。それから都道府県にも同じく知事を中心といたしまして、国の出先機関等を含めました都道府県交通安全対策会議を設ける。それから市町村は必要があればこういう会議を設ける。こういうことでございまして、ここに交通安全に関する基本的な計画をつくらせるということにいたしております。 なお、中央におきましては交通安全に関します審議会を設けまして学識経験者その他の方の御意見を十分に聞く。地方におきましては審議会を置いてもよろしいし置かなくてもよろしい、こういう一応の考え方になっております。ここで一つ問題点がございますのは、審議会につきましては、現在陸上交通に関する審議会は中央段階ではございません。したがいまして、陸上交通の分に関しまして審議会を設けることは、何ら他に矛盾抵触がないわけでございますが、海上交通と航空交通につきましては、現在すでに運輸省にこれらの事項について調査審議する審議会が設けられております。したがいまして、これらの審議会との関係をどう調整するかということが、現在まだ未調整の問題の一つでございます。 それから第三番目の柱といたしましては、いま申し上げましたように、これらの組織によりまして交通安全に関します総合的な、基本的な計画をつくりましてこれを実施していく、これが何よりも今後の交通事故防止の一番大事なことであろう、こう考えているわけでございます。この点につきまして現在一つ問題点がございますのは、中央におきましては当然のことでございますが、陸上交通、海上交通、航空交通のすべてに関します基本的な総合的な計画を立てることにいたしておりまして、この点は関係省庁意見の相違はございませんが、都道府県以下になりました場合、非常に端的に申しますと、海のない県もございますし、都道府県以下のレベルではたして陸海空の総合的な計画をつくる必要があるかないか、またつくった場合の実益があるかないかということにつきましては、現在関係省庁の中でも議論が分かれているところでございまして、この点が未調整の問題の第二の点でございます。 それから四番目の柱は、いろいろ交通環境の整備でございますとか、交通安全に関する知識、思想の普及徹底でございますとか、交通被害者救済対策の強化、これは陸海空について立てておりますが、交通安全に関します国の施策の基本につきましてこれを列挙する、こういうことでございます。この点につきましては、方向としては関係省庁異論がございませんが、表現の問題につきましてまだいろいろと問題がございまして、調整中でございます。 最後には、この法律の実施に必要な費用についての財政措置、これは基本法の性格からいたしまして抽象的な規定になるかとも存じますが、これは従来の自民党案にも書いてありましたような程度の規定を設けるという予定でございます。 大体大ざっばに申しまして、現在総理府で考えております交通安全対策基本法の概要と、問題点の主要なものを御説明申し上げたわけでございます。
○板川委員 じゃ、基本法の問題は一応報告だけ承っておきます。 大臣の都合もありますから、交通遺児の対策問題について伺いたいと思います。 総務長官に伺いますが、さきの衆議院予算委員会において、横山委員が交通遺児育英会というような機関をつくって、官民が協力して不幸な交通遺児に救済の手を差し伸べるべきではないか、こういう質問をいたしましたね。これに対して総務長官は、速記録によりますと、横山委員から交通遺児対策について御説明があったが、そのとおりでありまして、現在いろいろと民間等で行なわれている事業を一そう拡充して御期待に沿うように努力いたします。こう答弁されております。そうしてまた、佐藤総理は、横山さんの提案は、私が内閣総理大臣になって以来、かねて懸案とした問題であるから、さっそく総理府総務長官に検討してもらうことといたします。私も不幸な犠牲者にあたたかい救済の手を差し伸べるべきではないかと思うので、さっそく検討することといたします。ありがとうございましたと、横山委員の趣旨に全面的に賛同して、早急にこの問題を検討着手する、こういう総理の発言もありました。 そこで当委員会としては、この総理の発言と総務長官の発言を一歩前進させたい、こういう気持ちで質問をいたしたいのであります。善は急げというのですから、気持ちの変わらないうちにめどをつけたいと思うのでありますが、横山提案には、特殊法人をつくって交通遺児の育英事業を行なわせたらどうかという、こういう一つの方法を提案をしております。で、総務長官は特殊法人というものよりも、民間の団体にやらせて、そうしてその民間の団体を政府が支援したい、こういう趣旨のことを言っておりますね。本来、私どもの気持ちから言えば、特殊法人をつくって正式に政府がこの問題に取り組むべきだと思うのでありますが、総務長官の答弁のニュアンスは総理大臣よりやや後退しておって、民間の団体を支援する、そして目的を果たしたい、こういう趣旨の御答弁なんです。そこで総務長官のお気持ちを率直に披瀝してもらいたいのですが、たとえば特殊法人にするのには立法措置も必要だし、時間もかかるから、当面民間の団体を支援して目的を果たさせつつ、将来特殊法人の問題は検討していく、こういう気持ちで答弁されておるのか、総務長官の心の中をひとつ答弁していただきたいと思います。
○床次国務大臣 ただいま御指摘もありましたが、この交通遺児対策ということはまことに大事なことでありまして、その趣旨におきましては、総理大臣が御答弁になりましたとおりでありまして、十分拡充いたさなければならないのであります。なお私、これに関しまして同僚からも話がありましたが、現実の「交通事故遺児を励ます会」等におきましては、今後会の内容を拡充いたしまして、将来の発展性に対していろいろ検討しておられる、そういうような御相談等も前長官のほうへお申し出になっておったかのように聞くのでありまして、そういう事情に対しましては、当面すぐに私どもお手伝いできることはできるだけお手伝いしたいと思います。 なお、将来の形式につきましては、ただいまお述べがありましたように、特殊法人というような形まで考えておられるが、なお財政的基礎を固くするためには国からもいろいろの助成等、あるいはいろいろ資金を集めるための有利な方法等もお考えのようであります。これに対しまして、私どもできますことはできるだけいたしたいという積極的な気持ちを持っております。ただ、今日までいろいろ研究いたしましたところ、まだ十分な結論を得ておりませんが、一部におきましては、国から助成なり特別な援助をすることにつきまして、多少の手続的な問題というのがあるのじゃないか、忌憚なく申しますると、いろいろの犠牲によるところの遺児があるという問題でありまして、そういう他の関係の遺児というものもきわめてお気の毒な方がありまして、私のところにすでに申してこられた方も、たとえば自然災害等によりまして被害を受けられた方々、たとえば先般の岐阜県におきましての交通災害、バスの転落事故、バスに乗っておられた方は直ちに自賠法等によって相当の援助が受けられるし、またその団体等によって援助が受けられる。しかし、あの地点から数キロ上流にありました地点におきましていろいろの自然災害によりましてやはり同じような遺児が発生しておる。こういうものをどうしてくれるかというような問題も美はあったわけでありまして、そういうことを考えますると、あるいはもっと広く遺児に対して考えなければならぬのではないかという点もあるわけです。ただ、内部的に検討しますと交通問題につきましては、交通遺児ができるという原因におきましては、加害者と申しますか、事故責任者というものがあるのでありまして、他の自然災害によるところの遺児等の場合とは、その原因関係は片方は自然であるという点におきましてちょっと異なったものもあるわけであります。そういう点を私ども踏んまえまして、今後積極的に努力してまいりたい。とりあえずの現行法といたしましては、生活保護法とかあるいは母子福祉法等、あるいは育英資金というものもありまするが、これが十分でないことは御承知のとおりでありまして、その拡充ということも考えられますが、しかし、なお今日の遺族の状態から見ますると、そういう法律できめておりまする限度だけでは実情に合わないことは明らかでありまして、その法律のカバーできないものにつきましては、当然こういう別個の団体が手を尽くさなければならぬだろう、しかし、なかなか団体が多額の基金——基金として利子を運用するかどうかということについてもこれは検討しなければならぬし、しかし必要な事業でありますから、その事業が行なわれるように企画いたしまして着手するのがいいんじゃないかと思って現在検討中でありまして、趣旨におきましては、私ども積極的な態度でもってぜひかかる不幸な方が、事故にあわれましたために将来をゆがめられるというようなことのないようにいたしたい気持ちで一ぱいであります。
○板川委員 特殊法人で法律の立法化をするということになりますと、いろいろの意見があり、結論を出すまでに時間がかかるだろう。したがって、一面非常に激化しつつある交通事故による遺児の救済ということは、当面の急を要しますから、とりあえずは民間の団体を育成して目的を果たしつつ、やがて必要がある場合には法制化をする、こういう形でもいいと思うのです。この際、拙速を選ぶという気持ちで以下若干質問いたしますが、これは余談になりますが、新聞報道によると、総理府の陸上交通安全調査室がつくった交通事故による親等を失った児童生徒の調査結果の集計、この集計が閣議に総理府から報告をされたときに、閣僚に大きなショックを与えた。しかし閣議では、これらの遺児に対する救済措置が話題にはなったものの、これという名案が浮かばなかった、こういうふうなことが新聞に出ておりますが、その事実がほんとうかどうかは別といたしまして、私は一つ具体的な提案といいましょうか、こういう形でやったらどうかというものを一つ提案をして御意見を承りたいと思うのです。参考にしてもらいたいと思うのですが、それは、一つは、組織は交通遺児育英会という仮称、どういう名称かは別として、交通遺児育英会という民間団体をつくる。これは財団法人とする。で、事業の目的は、交通遺児に対して育英奨学金を貸与する。これは生活保護ではない。まあ交通遺児という問題については、重傷で自主的に通常の作業ができない状態になった、廃疾不具者になったような人の子供も交通遺児というふうに見てもいいと思いますが、そういう育英資金を貸与するという目的を持つものである。受給資格要件は、生活保護法の要保護者あるいは準要保護者、こういう資格を持つものであって、日本育英会等での規定によりますと、貧困と優秀というのが二つの条件になっております。ほかの育英資金の柱というのは、ほとんど貧困と優秀、貧乏だけれども非常に優秀な者、そういうものに奨学金を与えるという式になっているのですが、この団体としては優秀であることは希望しますが、これを要件としないで、貧困であれば奨学金を貸与するという考え方に立つ。奨学金の貸与基準は、ほとんど義務教育化いたしておりまする高校就学に重点を置く。高校就学者に月額五万円程度を貸与する。大学の場合には、これは一般の大学の奨学金制度もありますから、原則として出さないが、しかし、大学で交通問題を専攻しようとする者には月額二万円程度を出したらどうか、こういうような構想ですね、考え方。これをちょっと概算してみましたらば、交通遺児を四千人——この統計に基づいて、中学三年が大体三千八百九十人、若干ふえて四千人近くですから、まあ四千人程度といたしますと、五千円に四千人をかけ十二カ月にいたしますと、約二億の資金を要するということになりましょう。そして、その他を入れますと、大体二億五千万か三億程度でこの目的は果たせるんじゃないかと思います。この財源は、官民よりの寄付による。たとえば、先ほども他の委員から質疑が行なわれたのでありますが、自賠法の特別会計よりの補助金とか、競輪、競馬、ボートレース、お年玉はがき、こういったものからの寄付、政府からの補助、民間の法人及び個人からの寄付、こういうようなところから財源を求める、こういうふうにされたらどうだろうか。 それで、第六として、実は、この四千人というのは、この調査に基づく生活保護者、要保護者という、中学一年から三年までの数学を高校に置きかえたわけでありますが、先ほど言いましたように、事故で親が廃疾不具になったような場合ですね、こういう者等を加えますと、実はもっとこれよりも若干よけいになるだろうと思います。その財源の確保のために、実は一番大事なことは、民間の法人、個人から寄付を容易にするために、この財団法人交通遺児育英会が大蔵省に指定寄付の認可申請をした場合に、大蔵省がこれをすみやかに認めるように政府がひとつ約束——この趣旨に賛成して積極的に取り組むという総理や総務長官の趣旨から言いましても、大蔵省がこの指定寄付の申請を認めるように措置をひとつ約束してもらいたいということが問題なのです。御承知のように、法人税法三十七条によりますと、資本金の千分の二・五プラス所得の百分の二・五割る二という金額以上の寄付をした場合には、損金に算入しないという規定になっております。個人の所得の場合には、寄付金は免税対象になっておりませんが、しかし、この指定寄付の認可を受けた団体に寄付をされる場合には、その規定の分を上回った寄付金は損金と算入されまするし、個人の場合には年間所得の一五%までは免税される、こういうたてまえになる。ですから、この民間団体が事業目的を果たすためには、どうしても大蔵省の指定寄付の認可をされるという前提がないと、なかなかこの三億円の財源というのは確保できないというふうに考えるのであります。 また、このいまの方式でやる場合には、私は、主務官庁は、文部省よりも厚生省よりも総理府になるべきじゃないか。文部省の管轄しておりまする奨学金は、いわゆる貧困、優秀というのが条件になっております。この場合には、優秀をあえて要件といたしませんから、そうしますると、文部省ではいやだと言っておるようなんでありますから、これは総理府管轄になるのではないか、こういうふうに考えておるのです。 これは、私の一つの提案でありますが、以上のように、特殊法人化するその前に、とりあえず、ひとつ来年度からでもこういう趣旨の対策を打って、総理の趣旨も大臣の趣旨も政治の中で生かしてもらいたいと思うのでありますが、長官の見解、いかがでしょうか。
○床次国務大臣 ただいま非常に具体的な参考案を御提示いただきまして、私どももありがたく思うわけであります。 実は、総理府といたしましても、先般来、この問題につきまして研究を始めてもらっておるわけでありまして、ただ、多少今日において割り切れませんのは、法律関係のありますものが、どの程度までこれに応用できるか。たとえば自賠法あるいは自賠法関係のいろいろ特別会計の問題があります。あるいは、進んで、いわゆる反則納付金のような、反則金ですか、こういうようなものも活用できるんじゃないかというような広い御意見もあったわけでありまするが、そういうような問題、それから、政府の補助というものにつきまして、予算の関係が若干残っておる、これは今後の問題であります。それから、指定寄付の認可の問題につきましても、事柄は当然これは前向きに考えるべきものがありまするが、具体的なものがありませんと、この手続は、大蔵省等におきましても、まだ研究の対象といたしがたいのであります。 なお、所管等につきましても、従来の育英会等は大体文部省でやっておったわけでありますが、そういうような意味の検討問題があるわけでありまして、私は、そういう問題があるということを考えながら、しかし、御趣旨につきましては、これはぜひ必要で、今日のような機運が盛り上がったときに私は、相当あるところまでの基礎をつくっておかなければなかなかやりづらいんじゃないかと思います。ぜひ機を逸せずにいたすことも必要と思いますので、なおこの上とも、ただいま申し上げましたような点、この点は先般、被災者の方々の御意見もちょっと伺ったことがあるのでありますが、積極的に機会をつくりまして、ひとつできるだけ実現できますように、さような意味において努力し、関係方面の意見もひとつよく取りまとめてみたいと思っております。
○板川委員 ここで一番ポイントは、指定寄付の認可の問題ですわね。大蔵省にいろいろ聞くと、具体的な姿があらわれないのにどうこう言えない——これはなるべくならやりたくないという趣旨があるようですから、まあ私は、いま具体的な一つの構想をもって、これなら指定寄付の認可をされてもいいんじゃないか、こう思うものですから、この指定寄付の認可というものが実はされないと、財源的にも民間団体ではなかなかやれない、多少はやれても効果のない方法しかないと思うので、ぜひこの点については御留意を願いたいと思います。 それから、もう一つ長官に聞いてもらいたいのですが、先ほども議論がありましたが、この交通遺児に特別な救護措置をとるべきだというわれわれの主張にいろいろ反論があることも私も承知しております。その反論は、ただいまもおっしゃったように、交通遺児だけ特別に扱うことは、法のもとに平等という法理に反するという平等論が一つであります。もう一つは、これはよく大蔵省関係者で言うのでありますが、事故が起こる。事故が起こった場合に、その被害者なり遺族は損害賠償を要求する。損害賠償の基準は、ホフマン方式で、いわゆる喪失利益プラス慰謝料ということで、その本人が生きておればこれだけ収入を得るであろうもの、それからかかるであろう生活費というものを差し引いて計算をし、それに慰謝料を加える、これがホフマン方式でありますが、こういう方式で遺族なり被害者は損害賠償を請求し、損害賠償が支払いされ得るんだから、少くなくとも収入上では不利益はないはずだ。だから、したがって、交通遺児に特別な措置をする根拠はないんじゃないか。もしそういう困窮があるとすれば、事故死亡者のほうにも過失があり、そして、その過失相殺によって損害賠償が支払われるので、若干の自分の過失もあるのだから、したがって、過失があった者がある種の困窮を受けてもいたしかたがないじゃないか、とにかく特別な措置をとる必要はないだろう、こういう趣旨の議論があるようであります。 そこで、私どもも考えて、いまの提案というのは、民間団体であり、そうして政府と民間の寄付が行なわれれば、援助措置としてやるのであるから、私は、その平等論というもの、不平等だという意見もさしたる障害ではないんじゃないか。また、特別措置が不要だという議論も、実際裁判で勝っても、三分の一ぐらいは賠償金がとれない実情ですね。そしてまた、賠償の示談に入りましても、相手方に支払い能力がないということで、ほとんどが泣き寝入りして妥協してしまう。自分に過失があったからというのじゃなくて、支払い能力を考えて賠償がとれない実情であります。ですから、被害者が満足した解決なんというのは、ほとんどの事故にないのです。ですから、そういう意味で、特別措置不要論というものも私は実態に合わないんじゃないか、こう思います。したがって、そういういろいろの論議があることを私どもも承知しておりますが、ひとついま大臣がおっしゃったように、せっかく世論が盛り上がり、総理大臣も約束しておるのでありますから、鉄は赤きうちに打つべしという気持ちで、ひとつさっき申し上げました私の——これは与野党の議員とも打ち合わした上でのことでありますが、ぜひひとつそうしたような方向に実現できまするように、約束をしていただきたいと思います。
○床次国務大臣 今日、交通対策の必要性が非常に認められており、基本法等もできようというやさきでありまして、それに、その一環としてこういうような対策が講ぜられることも、私どもまことに必要なんじゃないかという気持ちをいたしております。御指摘になりましたような点、また、私ども、先ほど申し上げましたような研究すべき点がまだ残っておったわけで、したがって、こういう問題も十分に詰めてまいりたい。 なお、いわゆる寄付の免税の問題、特権を認める点につきまして、私も従来いろいろな問題を取り扱っておりまして、なかなか問題点、困難な点もあると承知しておりまするが、ぜひひとつ、十分関係各省とも相談いたしまして、できるだけ御趣旨のとおりの活動ができますように、今後とも積極的な姿勢でもって努力いたしたいと思います。
○板川委員 長官には、よろしいです。
○河村委員 ただいまの板川委員に対する御答弁で、この問題について積極的に取り組んでくださる誠意ある回答だと思って、われわれも喜んでおりますが、二点だけ大臣にちょっとお聞きしておきたいと思います。 先ほど、自然災害による遺児を例にあげて、この自動車事故による遺児だけを特別に扱って予算支出する——主として予算支出のことだと思いますけれども、扱うことについては疑念もある、こういう御答弁でありましたけれども、ただ、全面的に国だけの予算にたよるというなら確かにあろうと思いますけれども、民間の熱意が盛り上がって、全体のチャリティーの積み上げで、だんだんそれが大きく組織されてくる。それに対して、国もそれに参加するんだ、熱意にこたえて参加するんだということであれば、そうした均衡論には触れないものだというふうに私は考えますが、大臣のお考えを……。
○床次国務大臣 この問題はなかなか微妙な問題でありまして、民間の努力に対して国が御協力申し上げるというなら比較的やりやすい問題だと思いますが、しかし一方、片方の遺児にいたしましても、非常に気の毒だ、何とかしなければならぬという声もすでにかなり出ておるわけであります。したがって、今日の時点におきまして、その点もやはりあわせ考慮することがいいのではないかと思っておりますが、ただ問題が、全体を含めると非常に大きな数にもなりますし、取り扱い等の点も検討しなければならぬ。さような意味におきまして、そういう問題もあるということを私ども頭に入れまして、今日まで多少考え始めたという状態であります。決して、それができないという問題でありますとか、あるいはしないという問題でもない。これは程度の問題で、国のお手伝いもできるんじゃないか。先ほど最初に私が御答弁申し上げましたのも、実はできるだけ国からお手伝いをするという意味において、民間の事業を伸ばしたらとりあえず成り立つのではないかという気持ちを私は申し上げたわけでありますが、それだけでは十分ではないので、さらにより大きなものにいたしたい。ほんとうは、基金制度にすればかなり大きな数字になると私ども予想しておるわけであります。したがって、将来の運営等も考えまして、やったけれどもあとが動かないという形ではいけないと思います。これが継続できる見通しも持たなければならぬと思う。この点、さらに少し時間をかしていただきまして、解決すべきときに解決するというたてまえをもって努力いたしたいと思います。
○河村委員 先ほど長官のお見えになる前に、運輸省の自動車局長にお聞きしておったのですが、先ほどちょっと板川委員も触れられました、政府の行なっております自動車損害賠償責任保険の管理、これの剰余金を現在でも運用されているわけです。その利子の範囲内ですけれども、これはかなりの余裕はあるように思われます。そこで、これは特別会計の健全性の問題ももちろんありますけれども、それが許すならば、そこからたとえば一億円十年間基金として出していくというようなことが可能な状態であるならば、これは他の自然災害その他と一切均衡を考えずにやれるものだというふうに考えますが、いかがですか。
○床次国務大臣 この点は法律に関係いたしますので、少し検討さしていただきたいと思うのでして、どの程度まで自賠法関係の法規というものが弾力性を持ち得るか。非常に関連のある仕事でありますので、できないこともないとも思われておるわけでありますが、いますぐに自賠法関係の剰余金でどうするということを、私はまだ事務当局から結論を聞いておりませんが、積極的に努力いたしたいと思います。
○河村委員 法律問題は実はあまりないので、それは主として特別会計の財政の問題だと思いますけれども、私がいま伺ったのは、もしそこから出し得るならば他との均衡という問題はないんじゃないか、その点についての見解だけを伺おうと思ったのです。いかがですか。
○床次国務大臣 他の基金と違いまして、非常に縁故の深い、関連のあるものでありますので、考える余地はあるんじゃないか。検討問題として、私は有力な問題じゃないかと考えております。
○河村委員 なお積極的に御検討をいただきたいと思います。 終わります。
○板川委員 自治省に伺いますが、これは新聞報道ですから、実態がよくわからないのですが、伊丹市で交通遺児に対して年金と奨学金を出す条例をつくったと報道されております。御承知と思います。 そこで、伊丹市長はその条例を制定するときに、こういう談話を発表しております。交通事故には社会の責任がある。もっと道路をよくし、ドライバー教育を充実したらば、これほど事故は起こっていないはずだ。道路整備や安全教育を怠った社会的責任を感じて救済対策をとったと言明しておりますが、その言明はともかくとして、伊丹市が交通遺児に対して年金と奨学金を出した、こういう実情はどうなんですか、承りたい。
○遠藤説明員 何か伊丹市のほうでそのような構想で問題を検討しておるということは聞いておりますが、まだ具体案というところまでいってない、かように承っております。
○板川委員 検討中であって、具体的にはきまっていない……。
○遠藤説明員 そのとおりでございます。
○板川委員 それでは新聞の報道があるいは先走ったのかと思います。あとでひとつ具体的にきまりましたら、資料を報告してください。 では、交通遺児問題は他の議員も補足してくれましたから一応終わりまして、交通遺児に関連した身体障害者の問題でちょっと触れてみたいと思うのです。 この間、委員長を中心として、私どもは飛騨川事故、高山市における学童の交通事故というものを主として調査に行ってまいりました際に、関係者から、高山事故の場合に一少女が事故のために片足を切断せざるを得ないという状況だということを聞きまして、非常に心をうたれたのでありますが、こういう小さい子供が事故等で不具者になり、そして将来社会に出た場合に、一体身体障害者として社会の場で働き得る条件というものはどういうことになっておるんだろうかということに、そのときに気がついたわけでありますが、身体障害者の雇用促進法という法律がありますが、この雇用状況、運用、こういう問題について実情を説明していただきたいと思うのです。これは労働省——これは手違いで答弁者を要求してなかったそうですからあとの機会にいたします。 ではもう一つ、ダンプ規制法の問題で運輸省に伺っておきますが、ダンプ規制法が施行されまして一年をこえることになりましたが、このダンプ規制法の運用後、事故発生状況というものはどういう経緯をたどっておるか、この状況について把握しておりましたらば、関係者から説明をしていただきたいと思います。
○黒住政府委員 ただいまちょっと、詳細な資料を持ち合わせておりませんので、後刻調べまして御報告申し上げたいと思います。
○板川委員 このダンプ規制法が施行になってから、対象となった大型自動車のダンプ、これの事故の推移、車の保有台数に対する事故の推移、こういうものをひとつあとで調査をして資料として出していただきましょう。 そこで、実は私この間気がついたのでありますが、埼玉県の十六号国道で乗っておりましたときに、来るダンプ来るダンプほとんどいわゆる背番号が表示されておりません。かえって背番号を表示されてないダンプのほうが多い状況でありました。これは番号を控えておりますが、調査をさせますと、その背番号のないものは五トン未満のダンプである。このダンプ規制法で対象は大型自動車である、大型自動車というのは五トン以上である、こういう規制になっておりますから、ダンプ規制法の適用を受けないダンプカーということになるのであります。ところで、このダンプ規制法——簡単に略称を用いているのでありますが、正式には土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法という法律ですが、この法律審議の際に山田耻目委員からこういう発言がされておるのです。「一応ダンプの規制をいたしましたが、大体大型五トン以上という理解ですね。私は四・九トンという一匹オオカミが出現しはせぬかということが気になり始めました。もちろん、商魂たくましいということでいいかもしれませんが、交通安全の趣旨からは非常に許しがたいことであります。これらについて、どのようにこれから車をつくる上の指導、こういうものに当たっていくのか、これは宮崎さんのほうからひとつお考えを述べて」くれという意味で、宮崎室長に五トン未満のダンプカーというのが輩出して、実質的にはダンプ規制法を骨抜きしていくという傾向が強まってくるんじゃないか、こういうことを審議のときにすでに心配しておるのです。最近五トン未満のダンプカーというのが、心配のように非常に出ているのじゃないか。この実態はどういうふうになっておりますか。
○黒住政府委員 先生が御指摘のように、ダンプ規制法におきましては、総重量が八トン以上、または最大積載量が五トン以上のものを対象といたしておりますので、それにつきましては各業種別に詳細に台数等運輸省で把握しております。しかし五トン未満のものにつきましては、現在のところ法規制の対象になっておりませんので、いわゆる一般のトラックとして登録をいたしておりますので、現在のところではそれらの台数については把握しておりません。
○板川委員 私は十一月九日に十六号国道を二十分ほど通ったのですが、その中で背番号のない車が、埼玉一−そ七三四七、八八三六、八七七八、八七七七、八三八二、八四四一、五一五〇、七五一六、そのほか三、四台、わずかの間にあったようですが、これらの車は五トン未満の車のようであります。これが横行するということであり、しかもその事故率を考えて、事故が多くなるようであれば、私はダンプ規制法を改正をしてでも表示番号をさせなければいけないのじゃないかという感じがするわけでありますが、ひとつその基礎となる数字等を検討して、後刻でいいですが、報告をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○黒住政府委員 五トン未満のダンプの保有台数等の関係につきましては、運輸省でこれは報告したいと思います。それからさらにそれのいろいろの事故その他の状況につきましては、これは関係官庁もありますので、そちらの方面に連絡をしたいと思います。
○太田委員 関連して、自動車局長にお尋ねをいたしますが、十一月でしたか、東京陸運局管内は数千台のタクシーを免許をいたしました。この自動車免許の理由、どうしてタクシーの増車を認めたのか、その理由について御説明をいただきたい。
○黒住政府委員 タクシーの増車は輸送力を増強するということでありますことは申すまでもございません。輸送力が現在不足しているかどうかという一つの基準といたしましては、いわゆる実車率という概念を使っております。大都会におきまして、六〇%を中心にいたしまして、おおむね六〇%以上の実車率になっております場合におきましては、輸送力が不足するということが顕著にあらわれるわけでございます。最近におきます東京都内の実車率は六三%以上に相なっておりまして、これがときに乗車拒否等の原因の一端をなしていることも否定できないと思いますので、この際それを勘案いたしまして、全体の保有車両の約一三%をことしから来年にかけまして増車したい。それが合計約三千五百両程度あります。これは一挙にはできませんので、逐次やりたいと思いまして——これは陸運局なり陸運事務所でやることでございますが、その手始めといたしまして約二千七、八百台につきまして認可をした次第でございます。
○太田委員 自動車局長が直接おやりになったことではありませんけれども、私はタクシーの大幅増車問題、これは三千五百台にしても、東京都内ということになるとその中からはるかに数字が減ってくると思いますけれども、いまの混雑して思うように走れないという状態のところへさらに数千台も増車するという、この見識は私は疑われると思う。何かありはしないかと世間の人がつまらぬ憶測をいたしておる。しかも増車されたが、運転手がなくて飾り窓の自動車になっておるという、この実態を御存じでしょうか、どうでしょう。
○黒住政府委員 タクシー事業の増車につきましては、法人タクシーと個人タクシーがございます。個人タクシーは現在東京に約七千人おります。申請も四千以上の人が申請しておりまして、われわれといたしましては、個人タクシーにつきましても従来から申請を順次処理をしているような次第でございまして、これの合格率は約五七、八%でございます。それとともに法人タクシーのほうもふやさなければ、いま申し上げましたように、実車率が六〇%を相当超過しておるという状況でございますから、輸送力不足ということは顕著でございます。したがいまして、その面におきましては増車の必要性があるということでございます。しからば法人タクシーを増車いたします場合におきまして、それに対する施設あるいは運転手の確保という問題がございます。したがいまして増車いたします場合においては、従来からの自動車の実績、これが法律違反その他をやっているかどうかを見ますと同時に、また運転手の過去の状況等につきましてもこれをチェックし、なお車庫の問題もございますので、これらをチェックいたしまして認可を進めていくということでございます。われわれといたしましてはすべての業者が確保し得るとは思っておりませんけれども、さような面から審議いたしまして認可を進めているような次第でございます。
○太田委員 そこが問題だと思うのです。局長がお話しのとおりならけっこうでありますけれども、実際にはいままでの車でさえも十分な稼働ができなくて遊休車がたくさんあるのでしょう。そういうところにさらに増車を認める、これは私は何かあまりすっきりした行政ではないような気がしてしようがない。世間でもなぜ飾っておくような自動車を認めるのかと非難をいたしておるのです。ですから局長の話から逆に申し上げますと、もし運転手がなくて実際に稼働できなくてアルバイトを雇っているような事態であるならばこれは取り消す、そういうことでございますね。
○黒住政府委員 タクシーの運転につきましては、日雇い的な者を便ってはいけないということに法規でも相なっております。したがいまして、常用の運転者を使うということでございます。それに違反するような事態につきましては、監査その他でもって厳重に監督し、もし違反の点があれば所定の処置をしたいというふうに考えております。
○太田委員 それは確かでございますね。おやりになりますね。
○黒住政府委員 法規に違反するものに対しましては、処置すべきものと考えております。
○太田委員 私はきびしくやっていただきたいと思うのです。沖繩においてタクシーの免許について大きな汚職が発生いたしまして、これが選挙等にも響いたのでありますけれども、タクシーというものに対してはいまだに利権視されておるのでありますから、ひとつほんとうに必要なところに増車を認める、単に権利をとるだけのところには認めないというき然たる方針を堅持していただきたい。 そこでお尋ねしますが、個人タクシーの一日の走行キロは百八十キロでございますか。
○黒住政府委員 連日稼働でございますから、三百六十五キロに対する半分でございます。
○太田委員 そうすると法人タクシーは三百六十ないし六十五キロ、そういうことですか。
○黒住政府委員 法人タクシーは、一日の走行は三百六十五キロでございます。それは現在の東京の形態におきましては一日交代でございますから、きょう三百六十五キロ走行した人は、あしたは休むという形であります。個人の場合におきましては、そういう形ではございませんので、いわゆる走行キロは半分というふうになります。
○太田委員 私はタクシーの需要という点から考えて、免許台数を有効に使うためには、個人のノルマというのをもう少し上げてもいいのではないかと思う。思いますけれども、百八十キロが正当であるというならば、法人タクシーの場合においても一カ月十三日勤務という態様を変えて、もう少し運転手の過労を救済し事故を防ぐというところに着眼していただかなければならぬと思うのです。これは春ごろでございましたか、この委員会におきまして、三百六十ないし六十五キロの走行キロの上限については——上限というよりは現在では一番最低ということになっておりますが、このキロ数については再検討してみる必要がある、これはかつての神風タクシーの時代につくったものだから、十年前と今日とはだいぶ道路交通の事情が違うということから、再検討の約束をあなたのほうからいただいておると思うのです。その後検討されておるのでしょうか。
○黒住政府委員 約十年ほど前にいわゆる神風タクシーの問題が起きまして、そのときにこの走行キロを指定いたしたものでございます。その後におきまして交通事情等が変わってきておりますことはもう申すまでもございません。したがいまして、これらについては種々検討いたしておりますけれども、現在それをどのように変えるかという結論には達していない次第でございます。 それからもう一つ、勤務の状況でございますけれども、大都市におきましては、通勤距離等の関係がございまして、個人タクシーと同じように一日に二人で交代するというふうなことで、一人は毎日出るというふうな形態、これを直ちに実行するにつきましては種々問題がある次第でございます。しかしタクシーの改善のためには、福祉厚生施設たとえば住宅施設等を極力完備いたしまして、運転手が働きやすいような職場ということも必要だと思うわけでございます。現在乗車拒否問題等に取り組んでおるわけでございますけれども、そういうふうな問題等を総合的に解決してタクシー行政を実施していきたいというふうに考えておる次第でございます。
○太田委員 四十二年二月九日のあなたのほうのタクシー運転手の勤務態様に対する通達、いわゆる二・九通達というのがありますね。この二・九通達というものは一つの基準をお示しになったものと思うのでありますけれども、非常に過酷な勤務体制がある。たとえば十一時から出勤をいたしましてあくる朝の六時まで十九時間勤務というような非常にひどいものがありまして、当時から非難ごうごうであったのでありますが、二・九通達はそのまま今日まで生きておるのですか。
○黒住政府委員 この二・九通達は労働時間の適正化、あるいは累進歩合体制の廃止等を内容といたします労働省の通達でございまして、その通達はもちろん生きているわけでございます。運輸省といたしましても労働省の通達を完全に実施すべく事業者を指導監督いたしておる次第でございます。
○太田委員 いや、これは完全実施すべく指導監督されては困るという意見のほうが強いのじゃありませんか。二・九通達そのものの内容はどちらのほうに都合がいいかといえば、これは経営者側のほうに立っての通達であって、労働省から出した通達にしてはおかしいというので、あなたのほうは一ぺんこの二・九通達に検討を加え、そして運転手の過労を防ぎ、事故防止に資するために何らかの新たなる指導をしたいという意味を半年ほど前におっしゃったと思うのです。したがって二・九通達を厳重に守るということでなく、消極的でありますが、さらに一歩進めてこれから前進をいたしました新しい勤務体制、態様をつくり出していただく必要があると思うのです。これは三百六十五キロ走らなければならぬというこのいまの運転手のノルマは、渋滞した交通の東京都などにおきましてはたいへんなんですね。だからカミカゼというような暴力的な運転もあれば乗車拒否もしたがって出てくるわけです。三百六十五キロを走らないで帰っていったら、おまえ何をやっていたのだとしかられるにきまっているのです。ですからこの点については、十年たったという点から、走行キロに対して一つの新たな検討を加え、勤務についても近代的な体制に変えていただく必要があると思うのです。これはずっと宿題となっておると思いますから、黒住さん、新しい自動車局長として抱負経綸を——いろいろおやりになるについても十分ひとつ検討してもらいたい。 それから、私関連ですから最後に一つだけ、タクシーの料金でございますが、タクシー料金の値上げということはなしくずしになされているように伺いますが、基本的な方針は何ですか。
○黒住政府委員 最近におきますタクシー事業あるいは他の自動車運送事業も、同様でございますけれども、経費の高騰は相当なものがございます。したがいましてその事業経営につきましては、ところによりましては相当深刻なものがございます。われわれのほうに申請が出ておる次第でございますが、四十年十一月以降現在までの間に、全国の百二十九地区のうちで九十地区から申請が出ております。われわれといたしましては各地区ごとに原価計算を徴しまして、それの収支の模様を調べております。そして一定の基準におきまして、たとえば会社の全体の収支率が、収入が経費に対しまして一〇〇%を割っているとか、あるいは全体の事業者の中で半分以上の会社が赤字を計上しているというふうな基準を、企画庁とも相談いたしまして持っております。この基準に合うような非常に収支状態が悪いところにつきましては、これを改定していくというふうな方向でもって検討をいたしておる次第でございます。したがいまして、地区によりまして収支状態は違いますし、また運賃制度の内容も違いますので、地区ごとにケース・バイ・ケースに審議をやるというような方針でやっておる次第であります。
○板川委員 もう一点だけ。ダンプの問題で、自動車局長、一匹オオカミに対して協業化をするという方針がありますね。協業化の各地域における促進状況というものはその後どうなっておりますか。
○黒住政府委員 ダンプにつきましては、御承知のように業種はいろいろございます。砂利販売業、建設業、砂利採取業、採石業、それにプラスいたしまして、いわゆる自動車運送事業として青ナンバーを持っているものがございます。その青ナンバーのものについての所管は運輸省でございます。それについては、これはダンプのみならず一般的にトラック運送事業者は中小企業が多いわけでございまして、これを協同組合に加入させる方法等によりまして協業化の政策を進めておるわけでございます。したがいまして、ダンプカーでもそうでございますが、先般滋賀県におきます場合において長浜の湖北陸運企業組合に免許を与えた次第でございますが、これは車両数が三十七台、組合員が三十一名ということでございます。こういうふうな方法でもって今後協業化を進めていきたいと思っております。 それから、いわゆる一匹オオカミといいますか、一人一車というものの申請がありましても、これは申請を免許しないということで、まず協同組合なり企業組合を結成して、協業化を考えて申請しなさいというふうな指導をしておる次第でございます。
○板川委員 当委員会の目的は、事故を未然に防止するという前向きの対策を考えるのがほんとうですが、しかし、ある種の事故は避け得ないものであります。このダンプの場合に、個人業者ですと、事故が起こった場合になかなか損害賠償をする能力がない。要求するほうも、相手に頭を下げられてしまえば、ないそでは振れない、要求してもだめだということで賠償請求を放棄するという形になるケースが多いわけであります。どうしてもある程度経営単位を引き上げていかないと、被害者救済という意味からも十分の措置がとれないようでありますから、各地にあります一匹オオカミ的ダンプあるいは砂利販売業者と称して自主的に運送業をやっておりますものをひとつ早急に協業化の方向に指導していってもらいたいと思います。 以上で終わりますが、ただ、先ほど私、総務長官に対する質問の中で、高校生の奨学金は五千円と言ったつもりでおったのですが、五万円と言ったそうです。それは単位が違いまして月五千円ということですから御了承をいただきます。 以上で終わります。
○門司委員長 松本君。
○松本(忠)委員 質問に先立ちまして委員長にお願いしたいことがあります。交通安全対策特別委員会が開かれましても、与党の出席が悪い。まことに遺憾なことであると私は思いますが、委員長はどのように対処されるか、まず最初にそれを伺っておきます。
○門司委員長 お答えいたしますが、委員長としては今後できるだけ出席を促したいと思います。
○松本(忠)委員 厳重に注意するよう要望しておきます。 それでは質問に入りますが、警察庁の交通局長に伺います。交通死亡事故が本年末にはおそらく一万四千人の線を突破するのではないかと憂慮している次第でございますが、原因別に見たとぎに、いわゆる酔っぱらい運転による事故が最高位でございます。本年一月より最近までの件数及び前年同期との対比、これについて数字をあげてお答え願いたい。
○鈴木(光)政府委員 交通事故の趨勢につきましては御指摘のとおりでございまして、その中で死亡事故を原因別に見ますと、酒酔い運転による事故が例年たいへん多いわけでございます。ことしに入りましてからも酒酔い運転の事故はあとを断ちませんけれども、昨年と比較いたしますと、酒酔い運転による死亡事故の件数並びに全死亡事故に占める比率は、いまのところ、十一月末まででございますけれども、若干減少の数字が出ております。 数字を申し上げますと、本年の一月から十月までの数字しか出ておりませんけれども、酒酔い運転による全事故、これは死亡事故に限らず全事故でございますが、二万七千六十九件という数字でございまして、前年同期に比較いたしますと、件数で十一件、パーセンテージから申し上げますと〇・五%ばかり減少している。そのうち死亡事故につきましては、十一月末までの発生件数は千百九十八件となっておりまして、昨年同期に比べますと七十二件ばかり減少しておりまして、パーセンテージにいたしますと六%ばかり減少しております。しかしながら、絶対数ではやはり御指摘のように交通事故原因の上位を占めておるということでございまして、引き続き酒酔い運転の取り締まり等、その他安全教育等の面からも力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
○松本(忠)委員 これから年末年始にかけまして、ふだんのときより酒を飲んで運転する者が増加する傾向が多いと思います。酒酔い運転が原因となる事故も当然増加すると思いますが、その指導、取り締まりについて、警察庁としてどのようにお考えになっておりますか。
○鈴木(光)政府委員 先ほどお話ししましたように、酒酔い運転につきましては、私どもは特に本年は重点目標といたしまして取り締まりを強化する。それ以外に、取り締まりの面だけでなくて、酒酔い運転の防止のための行政指導、安全教育といったような面からも強く施策を講じてまいったわけでございます。御指摘のように、年末を控えまして酒酔いの機会が非常に多いということは常識でございますので、私どものほうといたしましては、先ほど申し上げましたような対策を十二月には特に強化してやるということで、現在全国的にそういう姿勢でやっております。
○松本(忠)委員 酒を飲んで車両を運転する、これはもう事故の第一原因である。この酒を飲んだ上で車を運転するということを追放する国民運動というものを強力に展開したい、このように思っていますが、警察当局としてはどのように考えておられますか。
○鈴木(光)政府委員 私どものほうも、そういう運動が強力に展開されることをきわめて好ましいことだと存じております。
○松本(忠)委員 この点について何か具体的にこうしたらいいというようなことを警察当局では考えていませんか。
○鈴木(光)政府委員 私どものほうは、先ほど申しましたように、取り締まりの面からもやっておりますけれども、行政指導、安全教育、安全運動といったような面で、いろいろな機会を通じまして、酒飲みの防止運動が盛り上がるような処置をいろいろな機会に講じておるつもりですけれども、それが国民運動というところまでにはなかなかまいりません。私どもの警察がそういうような国民運動の中核になってやるということにつきましてはなかなかむずかしい面もございますので、私どもはいろいろな機会をとらえて、たとえば酒を売る店、そういうところにつきましては、運転者ということを知って酒を売らないようにというような行政指導とか、あるいは安全協会等とタイアップいたしまして、そういう酒飲み防止の市民運動と申しますか、そういうものが地域的に展開されるようなことをいろいろな機会を通じてやっておるわけでございます。
○松本(忠)委員 総理府の宮崎室長は、これに対してどのようにお考えでございますか、伺っておきたい。
○宮崎(清)政府委員 飲酒運転、酔っぱらい運転の追放が大切なことは御指摘のとおりでございます。いま私たちとしていたしておりますことは、御承知と思いますが、春秋二回の全国交通安全運動の際に、これを重点項目の一つとして取り上げまして、その徹底をはかるということ、それから都道府県段階におきましては、特に県ぐるみの飲酒運転追放運動も随所に行なわれておりますので、これらに対しましてますます助成するというようなことを考えております。特に酒飲み運転は社会的慣習に基づくものが比較的多うございますので、国が音頭をとってやることも必要でございますが、何と申しましても地域ぐるみの運動というのが一番大切じゃないかと思われますので、今後そういう県ぐるみの運動あるいは市町村ぐるみの運動がさらに活発に行なわれるように指導してまいりたいと考えております。
○松本(忠)委員 鈴木交通局長に伺うわけでありますが、警察庁のほうでは、いわゆる酒気帯び運転、それから酒酔い運転、このように血液中のアルコールの量あるいは呼気の中のアルコールの量によりまして取り締まりを区分しておる。この区分をすることも大切でございますが、これは個人差もあることでありますし、その区分は役所のことにとどめておいて、この際、国民には酒を飲んだら運転するなということをPRする、こういうふうに思うわけでありますが、この点どうですか。
○鈴木(光)政府委員 酒を飲んだら運転するなというPRは、従来からも警察並びに交通安全協会といったようなもの、それから先ほど陸上交通安全調査室長からのお話がありましたが、地域ぐるみの運動等の機会にそういう標語なるものもつくったりして、いろいろな面から酒を飲んだら運転するなというモラルを確立していくことを私どもも実施しておるところでございます。
○松本(忠)委員 交通取り締まりを強化しますと、いろいろな点で逃げ道ができるわけであります。でございますけれども、酒酔い運転だけは逃げ道をつくらないようにして取り締まるべきだと考えております。特にその罰則の強化、これは反対すべき理由はないと思いますが、この点について強化すべきかどうかお聞かせいただきたい。
○鈴木(光)政府委員 罰則の強化という御指摘でございますけれども、現在、御承知のように道路交通法の百十七条の二で、酒酔い運転の罰則につきましては一年以下の懲役または五万円以下の罰金ということになっておりまして、罰則の観点から申し上げますと、必ずしもこれで低いということにはならぬと思います。問題は、この罰則の適用を課刑の段階でどうしていくかということだと思いますが、私どもはこの程度の罰則で不十分ではないというふうに考えております。
○松本(忠)委員 北欧諸国の酒酔い運転に対するところの刑罰は非常に重いと聞いております。特にフィンランドでは酒酔い運転の事故は、初犯でも三カ月から六カ月の懲役刑、運転免許取り消し、こういうふうにされているそうであります。それに比べまして、日本の酒酔い運転に対する刑罰は、事故原因の高位にありながら低いように考えるわけでありますが、重ねてこの点はどうですか。外国と比較してみた場合に、日本はあまりにも酔っぱらいを保護し過ぎているように思うわけですが……。
○鈴木(光)政府委員 懲役刑もつけてありますのでそう低いものとは思いませんが、ただ、お話しのありましたように酒酔い運転をして事故を起こした場合、これにつきましては諸外国とも非常に厳重な刑罰をもって臨んでおりますということでございまして、事故を起こした場合には、御承知のように先般刑法の一部改正がございまして、大体酒酔い運転の事故というものをねらったのだと思いますが、そういう悪質な事故につきましては、従来三年以下の禁錮刑を五年以下の懲役刑までできるということになりましたので、併合罪とも合わせてやりますと相当高いことになるかと思います。
○松本(忠)委員 宮崎室長も最近欧米を回られたわけでありますが、欧米の酒酔い運転事故に対する取り締まりの状況などについて、簡単でけっこうですが聞かせていただければ……。
○鈴木(光)政府委員 私も実は宮崎室長と相前後いたしましてヨーロッパのほうを回ってまいりました。酒酔い運転のことにつきましても若干の調査はしてまいりましたが、ヨーロッパの各国では酒酔いそのものを取り締まるということはあまりやってないようでございます。これは国情もいろいろあってのことだと思いますけれども、取り締まりはあまりやってないということでございます。ただ、先ほどもありましたように、酒を飲んで事故を起こした場合には非常な厳罰をもって臨むということがございますので、それで抑止力を働かせるという考え方のように思います。
○松本(忠)委員 確かに、日本でも酒を飲んで運転していても、事故を起こさなければ問題にならない。この点については、私ども疑問に思っているわけです。たとえば駐車違反という問題でも、これは確かに実害を伴わない。それは道路をふさぐということで駐車違反は悪いかもしれませんけれども、人体に損害等を与えないけれどもやはり罰金を取る。ところが一方では酒を飲んでいても事故を起こさなければいい、問題にはならない。こういう点について少しく疑問に思うわけであります。この点についてはどう思いますか。
○鈴木(光)政府委員 私どもは酒を飲んでも事故を起こさなければいいという考え方ではございません。私ども日本の場合には、御承知のように、酒酔い運転につきましては諸外国と比べて非常にきびしくやっておるということで、それが御指摘のように酒気帯び運転と酒酔い運転の区別をしておりますが、酒気帯び運転の場合は、酒気を帯びてたとえばスピード違反をしたときには刑が加重されるというような仕組みにもなっておりますし、それから酒酔い運転の場合には、先ほど申しましたように、罰則は懲役がついているという形で、しかもわれわれ警察の立場では諸外国に比べて取り締まりを非常に厳重にやっているということでございまして、決して酒酔い運転を放置しているということではないわけでございます。むしろ、私諸外国を回ってまいりまして、日本の場合には非常に強力にやっているということで、今後もやはり酒酔い運転の事故を防止するという観点からは、酒酔い運転そのものを取り締まるということは、日本の交通事情からいっても必要なことだという考え方で、強化してまいりたいというふうに考えております。
○松本(忠)委員 お尋ねしたい点は、交通死亡事故の原因区別の中にめいてい俳回というのがあります。その酒酔い運転による事故死とめいてい俳回による事故死の数字は掌握されているように承知しておりますが、事故死以外の傷害で酒に関係して起こったという数字はおそらくつかんでいないのではなかろうかと思う。これは、現在の日本の死亡事故のとり方も、二十四時間以内ということなので、二十四時間過ぎて死亡した者はこれには含まれていない。いま申し上げた点も、死亡は掌握していても、傷害は、それが酒に原因したというものについての数字はつかんでいない、こう思います。これは相当な数字になるのじゃなかろうかと私は思うわけです。そこで、その実態をつかむために、一定期間でいいけれども、事故防止の礎石とするために、事故の直後に加害者と被害者の血液、呼気中のアルコール量、こういうものを調査してみてはどうか、これは長いことの調査はできないかもしれないが、一定の期間だけでもせめてこれを調査してみたならば、推定できるのではなかろうかと思う。この点についてはどう思いますか。
○鈴木(光)政府委員 酒酔い運転による事故の統計につきまして、死亡事故も傷害事故につきましても、第一原因になった運転者の酒酔い運転の数字等は先ほど申し上げたとおりでございますが、たとえば事故の起こった際に、歩行者が酒を飲んでおるというようなことも含め、あるいは第一原因じゃなくて、第二原因者においても酒を飲んでいたというようなこともあり得るわけです。そういう酒酔いの検査を漏れなく全部やっているということになりませんが、かつて、一昨年の十一月ごろだったと思いますけれども、一定期間死亡事故について、被害者も加害者も全部酒の検査をやったことがございます。そうしてみますと、二〇%ぐらいは酒に関係しておるという数字が出ております。そういうことで、死亡事故の場合に、酒を飲んでおったということが第一原因であるかどうかわかりませんけれども、酒を飲んでおった被害者も相当あるというような数字も出ております。
○松本(忠)委員 飲んで運転するほうも当然責任を追及しなければなりませんが、飲ませるほうにも問題があると思うのです。ドライブインなどで、ドライバーに酒を絶対売らない、こうきめている店はまず皆無にひとしいと思う。お酒は売りませんとは言っていない。特に長距離輸送の路線トラックなどについては、冬期間は酒を飲んで運転している者がほとんどだといっても差しつかえないと思うのですが、こういうドライブインを利用する運転手をどのように指導しているか、ドライブインに対してはどのように指導しているか、この点について伺っておきたい。
○鈴木(光)政府委員 先ほども、運転者でありながら酒を飲ませるというようなことのないように行政指導をやっているというふうに申し上げましたが、特に御指摘のようなドライブインにつきましては、重点的にそういう行政指導を実施しております。各都道府県の警察におきましては、大体こういうドライブインの——ドライブインという定義はなかなかむずかしいのでございますけれども、いわゆるドライブインの中に入るような業者で酒類を販売しているような業者との懇談会を持ちまして、またそれを組織化していくというような形での自粛活動ですか、そういうことを幅広く推進しているわけでございまして、すでに県単位のドライブインの組織化が終わりまして、運転者に酒を売らないということを申し合わせておるようなところも数県出ております。宮崎県をはじめ、現在掌握しているのは四県くらいが出ております。さらにそういうような方向に行くような行政指導をやってまいりたい。 それから飲酒運転の追放運動ということを県民運動として強力に推進していこうというようなところでも、特にそれの重点地区を設けまして、この地区についてはそういうことをやろうということで、ドライブインなんかを包含したような地区につきましては、飲酒運転追放地区を設定いたしましてやっているような県も相当出ております。そういうことで、ドライブインの行政指導につきましては、そういうような観点からのドライブインの行政指導を今後とも強化してまいりたい。 それからドライブインで酒を提供したような場合に、酒飲み運転を取り締まって、その結果一体どこで酒を飲んだのだという追及のしかたをしているわけでございます。追及した場合に、現在のところは刑法の共犯の形でとらえられるならば、それを追及していくという捜査方針で臨んでおりますが、ドライブインで四十二年中に教唆、幇助という形で検挙した数が十五件ばかりございますが、なかなかこれは立証上むずかしい問題がございまして、十五件ばかりにとどまっておりますけれども、方針といたしましては、そういう形で追及してまいっておる次第でございます。 なお付言して申し上げたいと思いますけれども、酒酔い運転で違反を取り締まった場合、あるいは事故を起こしたような場合に、追及していく場合に、比較的ドライブインで飲んだというのは出てまいりません。非常に数が少のうございます。自宅で飲んだとか友人のところで飲んだとか、会社とか官庁の居残り作業で飲んだとか、そういう形のものが比較的多うございまして、ドライブインのものは比較的少のうございます。しかし、当然ドライブインで飲むという機会も多かろうと思いますので、それだからといってドライブインの取り締まりなり行政指導をゆるやかにするという考えはございませんけれども、そういう数字の出ていることだけを付言しておきたいと思います。
○松本(忠)委員 酒酔い運転のほうは終わりまして、自転車の事故、自転車対自転車の事故、あるいは自動車対自転車の事故、これも相変わらず多いわけでありますが、自転車の通行区分、これをはっきりしてはどうか。たとえていうと、車の通行の激しいところ、こういう道路においては、状況を判断して歩道の中に自転車を特に通れるところを認めてはどうか。これはあくまで状況に応じてでございますが、歩道の中に区分をして自転車を歩らせる、こういうふうにしてはどうかと思いますが、この点はどうでしょう。
○鈴木(光)政府委員 自転車が被害者になるという事故も相当あとを断っておりませんので、御指摘のような自転車の専用道路をつくるとか、あるいは歩道の中にも交通情勢とにらみ合わして自転車を歩らせるといったようなことも考えていかなければならぬと思います。自転車道につきましては、建設省のほうで道路構造令との関係で検討しております。歩道をとりあえず走らせたらどうかという御意見がございますので、現在の道交法では法的な裏づけがいまのところございませんけれども、やむを得ざる措置としてやっておるところも二、三ございます。今後これを法的にしっかりしてまいりたいということで現在検討しております。
○松本(忠)委員 私の承知しておる範囲でも、東京都足立区の千住新橋、ここでは実際にこれを行なって効果をあげております。歩道の半分の車道側を自転車の通行区分にして、そこに自転車を走らせておる。車道の中を自転車が自動車に並行して走ると、いま片側二車線ですが、吸い込まれる、非常に危険が多い。地元の千住警察、西新井警察で協議した結果、あの千住新橋の橋の上に限ってそのようなことを実際上行なっております。効果をあげております。こういう方法はぜひ状況に応じてはやったほうがいいのではなかろうか、こう思うわけであります。 それから交通教育の問題でありますが、警察庁の指導で、器材とかモデルを使用いたしまして公園とか校庭、こういったものを利用しまして交通安全意識を高めるという指導をやっておるわけでありますが、その実態、反響、これについてどのようになっておるか聞かせていただきたい。
○鈴木(光)政府委員 交通安全教育につきましては、御承知のように学校における安全教育と社会教育というのですか、大きく分けて二つに分かれると思います。学校における学童等に対する安全教育につきましては、御承知のように文部省におきまして交通の安全指導の手引きというものをつくりまして、学校の中でいろいろ進めておるわけでございますが、警察の立場といたしましても、学校教育に協力していくという観点から、講師として招かれた場合にはいろいろ話をする。あるいは移動教室というようなものを私ども車の形で持っておりまして、それを積んで学校にも参っていろいろ安全教育の手伝いをするというようなことをやっております。 それからまた社会教育の面では、これはどこが一体責任を持ってやるかという問題はございますけれども、私どもは、警察の立場としても、やはり事故の実態を一番よく私どもは知っておるわけでございますから、家庭の中にもあるいは母親教室というようなものがあれば、そこへ出てやるとかいうことで、いろいろな機会を通じてこの安全教育を実施してまいりたいというふうに考えております。
○松本(忠)委員 いまお話しのありました移動交通教室、これは非常に効果があがっておるように思いますが、四十四年度にこの設備のためにどれくらい予算要求するつもりか、この点はどうでしょう。
○鈴木(光)政府委員 移動教室のための予算というものは特にございませんけれども、学童、園児を対象にした交通安全教育予算というのは、一つは、先ほどちょっと漏れましたけれども、全日本交通安全協会が、自転車の安全な乗り方教室というのをやっておりまして、学童を対象に自転車の安全な乗り方教室をやってもらっております、安全協会に。それに対する委託金の形で四百六十万円計上してございます。それから、学童に対する交通安全教育用の印刷物なんかを発行する費用として二百六十万円を安全協会に委託金としてやっております。その他、交通教室用の総予算といたしましては、各都道府県集計いたしますと約千四百三十八万円余り計上してございます。これは補助金の形でいきまして、県が県の予算でやるという形になりますので、補助金と合わせまして、事業費として千四百三十八万円という数字が——これは本年度の数字でございますけれども、来年度も大体このようなことでやってまいりたいと思います。
○宮崎(清)政府委員 補足して御説明申し上げます。 警察の行なっております巡回教室が非常に効果をあげていることは御指摘のとおりでございますが、やはり筋を申しますと、本来これは学校教育でございますので、学校教育のほうでもこういうことを当然やるべきではないかというところから、先生御承知と思いますが、本年度から文部省におきまして全国の小学校にモデル校を選びまして、そこに小規模な交通公園を設置いたしまして、交通安全教育をやるということになっております。本年度もこれに対しまして四十六カ所、二千八百万円の補助をいたしておりますが、来年度も引き続き四十六カ所、二千八百万円の補助をいたすことで目下要求中でございます。
○松本(忠)委員 いま御両所からお話をお伺いしましたが、いずれにいたしましても、予算要求等があまりに少額過ぎるようにわれわれは思うわけです。もっともっと積極的に、むしろ学童の事故等に関しては文部省よりも警察庁のほうがその実態をよく承知している。いま局長も言われたわけでございますので、もっと強力な予算要求をすべきだと思うわけであります。この点はどうでしょうか。
○鈴木(光)政府委員 安全教育につきましては力を抜いているわけではございませんが、ただ安全教育は警察官みずからがやるという人件費的なものでございますので、それ以外には資料をつくるとか、あるいはこういう場合には県がこういうふうにやる、そういう観点からの予算はある程度組んでおると思います。
○松本(忠)委員 了解しました。 最後に、建設省の方いらっしゃいますか。——二十日に開通する予定の中央高速道路の八王子−相模湖間、御承知と思いますが、これが二車線、そしてまた中央分離帯がない、こういうことで高速道路としては認められないというお話が新聞記事に載っておりました。将来、日本の経済の動脈ともなるこの中央道路をなぜこのような規模でこの区間だけつくったのか、この点について事前にわかっていたことと思いますが、どういういきさつがあるのか聞かせてもらいたい。
○松崎説明員 ただいま御質問のありました八王子−相模湖間でございますが、四車線の用地を買収をいたしまして二車線を建設いたしております。建設費が一キロ当たり九億三千万かかっております。と申しますのは、非常に高いということでございます。現在建設中の東名高速道路、これは四車線、一部六車線でございますが、これがキロ当たり九億九千万円かかっております。それと変わらないくらいの建設費がかかっております。 一方供用開始後の推定交通量でございますが、一日五千五百台程度と考えられます。二車線の高速道路の交通容量は一万二千台程度と考えられますので、容量的に見ますと、ここ数年間は一応二車線で間に合うのではないかというふうに考えられます。 なお、高速道路は全線有料道路として建設されております。したがいまして、建設費並びにその利息、その後の維持管理費、こういったものの大半は借り入れ金でまかなわれておりますので、それを料金で返済していくということになるわけでございますが、ただいまのように、交通量の少ない区間につきましては、できるだけ初期投資を減らしまして、償還がやりやすいようにという配慮をいたしております。そのような理由で、この区間につきましては二車線で建設いたした次第でございます。
○松本(忠)委員 開通してみなければはたしてどれくらい利用されるかわからないと思いますが、容量としては十分だいじょうぶだ、こういう見込みのようでございます。その点について警察庁はどのように考えられておりますか。局長、いまの道路の問題について、中央高速道路、現在二車線、そして中央の分離帯がないというわけで、高速道路ではないということになっておるわけでありますが、この点について、事前に警察庁のほうでは何も見解を求められなかったのでありますか。
○鈴木(光)政府委員 この点につきましては、道路公団のほうとも連絡を密にしてやっておりまして、今度できます二車線の道路についていかなる規制をするかといったようなことも十分相談してまいったのでございまして、ただいま高速自動車国道ではないというふうにおっしゃいましたけれども、高速自動車国道にはなっていると思いますが、ただ道交法の中では高速通行路という概念がございまして、この二車線の道路につきましては高速通行路とはみなさない。高速通行路になりますと、大体百キロまでは最高速度を認めますけれども、今度の場合には速度制限を原則として七十キロにいたしまして、山間部は六十キロという速度制限をいたしております。それから山間部等では追い越し禁止を設けておるというような規制を加えております。それから転回はもちろん禁止しております。そういうことの規制を加えて、先ほど建設省のほうからお話がありました大体一日当たりの交通量を考えまして、危険防止の観点から、いま言ったような規制を加えて発足してまいりたいというように考えております。
○松本(忠)委員 以上でけっこうです。
○門司委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○門司委員長 速記を始めて。 それでは、次回は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日は、これにて散会いたします。 午後一時散会