決算委員会 第2号
- 発言数
- 173 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1968/12/19
会議録
○大石委員長 これより会議を開きます。 昭和四十一年度決算外二件を一括して議題といたします。 法務省所管について審査を行ないます。 これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。吉田賢一君。
○吉田(賢)委員 長年の懸案でございますが、依然としてあとを断たない、減少の傾向が非常に弱いのは、少年非行の趨勢でございます。 そこで、まず事務的に法務省が掌握いたしておりまする犯罪ないしは触法なども含めまして、少年非行の趨勢の概要、特色について事務的にひとつ御説明願いたいと思います。時間の関係で要点一だけ簡単に……。
○安田説明員 触法を含めました少年の刑法犯検挙人員、その趨勢を申し上げますと、御承知のように、昭和三十一年当時から増加の一途をたどってまいりました非行は、幸いにして昭和三十九年をピークといたしまして、最近は漸減の傾向にございます。その数字を申し上げますと、昭和三十一年には十二万七千名でございましたが、三十九年には二十三万八千名になりまして昭和三十一年を一〇〇といたしますと一八七という指数を示すに至りましたが、その後、四十年以降漸減を示しまして昭和四十二年には二十一万五千名に下がっております。したがって、昭和三十一年を一〇〇といたしますとその指数は一六九でございまして、三十九年をピークとして漸減したとは申しますものの、なお三十一年当時に比べて六九%の増加状況になっておるということは楽観を許さない状況にあると考えております。
○吉田(賢)委員 そこで、特色と見るべきものですね、それは何か指摘されますかどうか。その点はいかがですか。——それでは、たとえば、大体どういう動機が多いんだろうか。習性がありやいなや。あるいは学生とか生徒。あるいは有職無職の関係はどうだろう。家庭環境はどうだろう。地域環境いかん。あるいは単独犯か集団犯か。ないしは当人の健康状態いかん。思想傾向どうか。こういう辺も相当ピックアップしてしかるべき特色だと思うのです。ことに、最近の世相、これは一種の混乱の様相も呈しておりますので、少年のために非常に大事な問題点と思いますので、明らかにしておきたいと思います。
○安田説明員 少年の犯罪の罪質的な傾向を見ますと、全体の約七割が窃盗事件でございますが、その増加の傾向から見てまいりますと、風俗犯の関係、いわゆる性犯罪の関係が非常な増加を示しておりまして、数字的に簡単に申し上げますと、昭和三十一年を一〇〇といたしまして、風俗犯は二七三という指数を示しております。窃盗関係は、これに対して一二九という指数でございまして、これらの指数を見ましても、風俗犯関係、性犯罪関係の増加がきわめて著しいということがわかるわけでございます。しかし、風俗犯は増加指数は多うございますけれども、絶対数はそれほど多くはないわけでございまして、それに比べますと粗暴犯、いわゆる暴行、脅迫、恐喝、傷害といったような事犯が依然として憂慮すべき状態にございます。たとえば全刑法犯検挙人員中少年が占める割合を見ますと、その中で強盗は四七%、強姦は四八%、それから恐喝が五五%、窃盗が五三%というような状態でございます。これらの事犯は少年によって犯されるものがその約半分を占めるというような状態になっております。またこれを別の観点からその年齢層の面で見ますと、最近は一時問題になっておりました十四、五歳の低年齢層の者による非行は比較的減少してまいりまして、これに引きかえてやはり十八歳、十九歳という年長少年による非行が依然としてその人口比におきましてもまた指数の面から見ましても高く、また罪質的に見ましても凶悪粗暴犯がそれら年長少年によって犯される率が高いので、その意味で注目すべきものがあると考えております。また保護者の状況などから見てまいりますと、すでに指摘されておりますように中産階級あるいは両親がそろっておるような家庭の子弟によるところの非行が増加しておるという状態でございます。大体、以上です。
○吉田(賢)委員 学生、生徒とかあるいは職業の有無、その点はどうでしょう。——それは資料を出してください。
○安田説明員 資料を提出いたします。
○吉田(賢)委員 それから最近の過密地帯のたとえば東京とか大阪等々、そういったところに農村の青年が流動いたしましていろいろな犯罪に巻き込まれるということを、農村地方では憂慮しているのですが、この過疎過密の関係について最近の傾向はどうです。
○安田説明員 都市に流入する少年によって犯される非行が増加しておるということはきわめて著しい現象でございます。しかし反面最近都市の人口もやや飽和状態に達してまいりまして、農村地域あるいは特に都市周辺地域における非行の増加ということが新たな問題として指摘されつつございます。その数字的な資料につきましては後に提出さしていただきたいと思います。
○吉田(賢)委員 それでは次の資料を要求します。ひとつ資料を記録に添付するようにお計らい願いたいと思います。 それは、集団的か単独的かその傾向、なお当人の健康状態、これは影響ありやいなや、思想傾向いかん、それからなお以前は欠損児童がずいぶん非行になるという心配をしておりましたけれども、この辺につきましても具体的な傾向を明らかにしておいていただきたいと思います。いずれも資料で出してもらいたい。委員長のおはからいでそのようにお願いいたします。
○大石委員長 承知いたしました。
○吉田(賢)委員 そこで、どなたでもいいですが、概して言うならば、少年非行の傾向はこれでわかりますが、一体、根本的に最も重大な影響を与えておる原因と目すべきものは何であろうか。以前は——以前というよりも、よくいわれます価値観の大きな変更が生じておる。戦後、自由を求めるけれども、新しい価値観の確立はない、以前においてはそうではなかった、こういうことが、少年の将来の帰趨について、適応性さえ自分ではっきりと判断しかねる、そういう面が大きな影響を及ぼしておるというような意見もよう出されるのでありますけれども、法務省といたしまして、矯正の関係にも重大なことでございますし、その他の取り締まり等々、また犯罪の研究自体にも影響する重要関係がございます。一体原因を、影響を、何を最も重視しておるか、そこをひとつ明らかにしてもらえませんか。
○勝尾説明員 お尋ねの点につきまして、現在少年院等で扱っております少年から見た原因というものを申し上げたいと存じます。 一つは、最近の少年院の収容少年の中に、いわゆる精神障害者の数が増加して、いわゆる精神薄弱、精神病質、神経症あるいは精神病といった精神障害者の数が増加いたしております。それからなお、性病が入ってくる少年の中に増加をしている。それからさらに新しい傾向といたしましていわゆるシンナー遊びの経験をした少年の数が増加しつつある。さらに初等少年院でございますが、いわゆる義務教育未了者の数が依然として高い率を占めている。こういった状況から考えてみますと、一つは健康の問題、いわゆる精神障害対策の問題、それから性病がふえているということについては、やはり一つの道義と申しますか、こういった面の充実が必要ではないか、さらにシンナー遊び等の少年がふえているということについては、これは一つの社会問題として取り組まなければならない問題なのではないか。それから、少年の少年院における言動から大まかに言えることは、基本的なしつけというものが身についていない少年が多いというようなことで、基本的にはやはり家庭のしつけ、教育、さらに大きく精神障害、あるいは性病、シンナーといった社会政策的な面の対策がぜひ必要なのではないか、このように考えております。
○吉田(賢)委員 いまお述べになりましたことは、これは一つの傾向であり、重要な特徴を指摘された次第でありますが、しからば、これらを共通いたしまして、国策を樹立する意味におきまして、行政の最高の方針を立てる意味におきまして、また、法務省といたしましてもその他の治安維持との関連もありまするし、非常に重要な国務遂行の責任者でありますので、これらを共通して把握し得る原因は何とこれは認識すべきでしょうか。ずばっと言えますまい、多種多様な原因が入りまじって、そのような現象を生じておる。いまお述べになりましたことは、現象面からくる特徴をつかまえて、それに対する対策ということになって、これももっともなことでありますけれども、やはり科学的に検討するならば、これらをおしなべまして何かもっと共通した、重要な、根本的な社会的欠陥でもあるのかどうか。もしありとするならば、これこそやはり国策の重要な資料になることでございますし、法務省行政の最高の方針を基礎づける一つの資料になる、こう考えますが、その辺いかがでしょうか。
○勝尾説明員 私の関係しております矯正収容の面からの意見になるかと思いますが、いわゆる犯罪、非行対策といったものを従来のようにいわゆる刑事政策という面からだけ考えては問題は解決しない、もっと大きい社会政策と申しますか、その一環として、広い立場からこの非行の問題を検討すべき時期にきている。一例を申し上げますと、御承知のように、先ほどお話もございましたように、社会開発あるいは国土開発といった大きな政策が一方で推進されておりますが、そういった開発途上において犯罪というものがどういう関係を持つのか、たとえば国土開発が進んで人口の密集地帯が太平洋岸にずっと集まるというようなことが想像されるとすれば、そういった場合に一体犯罪、非行というものがどういう関係を持つのかということを、広い社会政策の立場から、この非行という問題に取り組んでいかなければならない時期にきている、このように理解しております。
○吉田(賢)委員 一応留保いたしまして……。
○大石委員長 田中武夫君。
○田中(武)委員 官房副長官の時間的関係で、吉田委員の質問を中断していただいて質問することを許していただきたいと思います。 官房副長官にお伺いするのですが、これはむしろ副長官というより、当時官房長官であったわけです。明治百年記念ということで、政令第三百十五号、いわゆる復権令というのを出して、俗にいう明治百年記念恩赦というのを政府は行なったわけなんです。そこで、明治百年と恩赦とは一体どんな関係があるのか、なぜ恩赦というようなことをやったのか、そういうことについてまずお伺いします。
○木村(俊)政府委員 従来、皇室の慶弔、また国家の重要行事等がございますと、そのつど、不幸にして罪を犯して刑に処せられた方々、もちろんこれは刑の執行がすでに終わった方々に対して、その更生、改善の一つの機縁を与えるために恩赦を行なってきております。 明治百年というものをどういうふうに考えるべきか、これは政府のみならず国民の側に立っても考えるべきことでございますが、われわれ政府側におきましては、明治百年の持つ意義というものを相当大きく評価しております。もちろん、明治百年と申しましても、明治創業時代のメリットというものを評価するだけでなしに、明治年代から大正、昭和にわたるこの百年間というものの国の歩みというものを、政府としても、また国民としても、相当評価するとともに、また、反省すべき点も多々ある。その中には、戦争を行なったり、反省すべき点もございましたし、また、明治創業時代の近代国家をつくったという明治時代の大きな民族のバイタリティの点も評価すべきであると思います。そういろ意味におきまして、明治百年というものはただ政府のみならず、国民という立場においても大きく評価すべきである。その機会に先ほど申し上げましたような、憲法にも認められておる恩赦制度の精神に立って、これを記念として恩赦を行なうべきが適当である、こういう判断に立ったものでございます。
○田中(武)委員 私は何も恩赦制度を否定するものではありません。しかし、往々にして恩赦というものが政治的に利用せられる。このことについて国民も多大の疑惑を持っておる。これは官房副長官も御承知だと思うのです。そこで、ちょうど明治百年記念祭が行なわれた当時、国民にはできるだけ国旗を掲げるように、こういうことを言われておりましたが、私その日だいぶ回ってみたのですが、日中自動車で回って、国旗を掲げておるという家が一軒だけなんです。ということは、明治百年というものについてこれが国民のものになっていないと思うのです。しかも、そういう中にあって、かつ恩赦をなされたということ。それからもう一つは、これは官房副長官も官房長官時代御承知と思うのですが、あなたの言で言われたんじゃないか。現に私は当委員会で四十年度の決算総括のときに総理にもこの件をお尋ねしました。また他の機会に、当時の赤間法務大臣にもお伺いしました。そのときから明確に、明治百年にあたって恩赦は行ないません、考えておりません、こういうことであったのです。ところが、そういういわば国会における公約、これを無視して恩赦を行なわれたということ、その積極的理由はどういうところにあるのでしょうか。
○木村(俊)政府委員 いま御指摘のとおり、たしかことしの五月十三日の決算委員会だと思います。これは私でございません。総理みずから田中さんの御質問に対しまして、ただいまのところ政令恩赦は考えていない、こう申し上げたはずでございます。これは、私、へ理屈を申すわけじゃございませんが、当時としては、なるべく政令恩赦は行なわない総理の考えであったことは事実そのとおりと思いますが、その後明治百年の意義、またこれを国家の行事として慶祝すべきであるというような政府側の考えがだんだん強まってまいりまして、また恩赦を行なうべきかどうか、かつまたその中で政令恩赦まで行なうべきかどうかということにつきましては、政府部内では慎重に検討いたしました。先ほど申し上げましたような明治百年の意義をどう考えるか、どう受け取るべきかというようなことも含めて慎重検討しました結果、先ほど申し上げましたような結論に達した、こういうことでございます。
○田中(武)委員 一番最初にあなたが言われたいわゆる国家的な記念日、あるいは皇室等のおめでたもしくは悲しみといいますか、慶弔禍福等を国民のものとするために、徳川時代から恩赦という制度があったことは承知しております。しかし、そういう基本的な線は、この五月ですか六月ですか、いま言われた、この委員会で総理が政令恩赦を行なわない、こういうことを言われた時点とその意味は変わらないと思うのです。ところが、そうおっしゃっておりながら、なおかつ政令恩赦をやったということは、その後に積極的な理由がなくてはならないと思うのです。その後に起きた、いわゆる総理答弁から現実に行なわれたこの間に、どのような積極的な理由が発生したのか、お伺いいたします。
○木村(俊)政府委員 おことばのとおり、明治百年の意義というものは、五月当時と政令恩赦をやりました十一月当時とは、客観的に変わっておりません。しかしながら、明治百年記念を国としてまた政府としてどう扱うべきかという政府としての考え方、また国民的な立場における考え方、認識のしかたというものは、私は、明治百年記念の式典が近づくに従って相当変わってきた、こう考えております。
○田中(武)委員 五月にはやらないと言っておって十月にやった、その間に何か積極的なということについてはこれという具体的な答弁はなくて、記念式典日が近づくにつれてそのような必要が生じてきた、こういうことなんですか。 これはずばり言わしていただきますと、失礼かもしれませんが、その点はお許し願いたいと思うのですが、政令恩赦というものが、どうも自民党総裁選挙の具に使われたんではないだろうか、こういう疑惑を持っておるわけなんです。と申しますのは、この前の皇太子殿下の御結婚のときの恩赦が、特に政治、ことに選挙違反に重点が置かれた、こういうことで国民の中から大きな批判を受けた。したがって、今回の政令恩赦についても、私は、国民は批判を持っておる。あの当時一体どうするのか、政府なり総理は政令恩赦を行なわない、こう言っておるが、結局やるんじゃなかろうかとわれわれも思っておりました。ということは、当時、これは佐藤総理の胸中を察するに、国民がどう批判するにしても、あるいは国会で野党がどう言うにしても、その当時の佐藤さんの胸中には、いわゆる三選問題が一番大きく浮かんでおった。そのときに自民党の内部に強い要望があった。そこで、総裁選挙に票を集めるためには、これは国民がどうであれ、国会における野党の姿勢がどうであれ、そういうことは問題でない。この点についても私は問題があると思うのですが、いずれにしても自民党内で票をかせぐこと、このことが佐藤三選につながり、総理の座を続けることにつながるわけです。したがって、世論はともかくというよりか、むしろ自民党内部の人気をとる、こういうことに重点が置かれたのではないか、こういう憶測もするのですが、どうなんでしょう。ずばり言ってそうじゃなかったですか。
○木村(俊)政府委員 いろいろ憶測されることは別といたしまして、総理としてはそういう党次元で恩赦制度を考えるということは絶対いたしておりません。国政を担当する立場から政治全般というものを考えて恩赦に踏み切った、こういうのが実情でございます。
○田中(武)委員 心証論ということになると、あなたはそう思うがおれは思っていないんだ、これではいつまでたってもらちがあかないわけです。 それで、こういうことを私続けて言おうと思いませんが、どう考えても——これは昔の憲法では天皇の特権というか、天皇の権利だった。今度は天皇の国事行為の一つで、きめるのは内閣です。そうすると、どうもそのときに政権の座にある人の御都合によって、言うならば政治的理由あるいは政治的にこの恩赦権というのが乱用せられるんじゃないか、そういうことがあってはならないと思う。私は、恩赦自体の制度を否定するものでないことは前から申し上げた、恩赦の意義も理解をしておるつもりです。しかし、それが政治的にあるいは一党一派のために使われるということであるならゆゆしい問題だ、こう申し上げても、いやそうであったとあなたおっしゃれないと思うのですが、ひとつ今後そういうことが絶対にない、こういうことを総理にかわって確約をしてもらいたい。と同時に、このことについて多くの疑問を持っておる、そういうことについて今後も国民の疑惑を解くような方法を考える努力をしてもらいたい、こう思います。
○木村(俊)政府委員 申すまでもなく恩赦はたいへん重要な国事行為でございます。もちろんこれは行政権で行なうべきものでございますが、これは天皇に対して助言をしなければならぬ立場でございますので、おろそかに行なえるものではございません。したがっていま田中委員のおことばは直ちに総理に伝えまして、今後とも誤りのないようにいたしたいと思います。
○田中(武)委員 そこで法務省のほうにお伺いしますが、ここに十二月十日現在の明治百年記念特別恩赦受理処理状況というのを持っておるのです。そこで十二月十日現在でもう特赦、減刑、刑の執行の免除、復権、いろいろ分かれておりますが、合計いたしまして三十二件、うち決定三件、未済二十九件というのをもらっておるわけです。そこでこの明治百年記念特別恩赦はどれほど申請がある、こういう見通しを持っておられますか。
○鹽野政府委員 ただいまの出願についての御質問でございます。特別恩赦基準の取り扱いの問題であると思いますが、これは田中委員すでに御承知のとおり、今回の特別恩赦基準は大部分が出願を待って検討する、こういうことになっておりますので、はたしてどれだけ出願があるかということによって審査決定の件数が左右されるわけでございます。その関係で正確な見通しはつかないわけでございますが、前回の皇太子御結婚の際における恩赦の特別恩赦基準は今回のものとほぼ同様でございます。そのときの例を見ますと、ただいま正確な統計を用意しておりませんが、約四千件であったと記憶しております。したがいまして、その後犯罪数の増加というようなことを見ますと、これよりはかなり上回る数が出願されてくるのではなかろうかというふうに考えております。
○田中(武)委員 これは十日現在で三十二件ですが、その後、現在まただいぶん出ていますか。
○鹽野政府委員 これもただいま正確な統計を持っておりませんが、約六十件ほど出願を受理しております。ちょっと追加さしていただきますと、これは審査会で受理したものでありまして、窓口は御承知のとおり検察庁、観察所、刑務所でございますから、ここで受理した数はただいま正確に把握しておりません。
○田中(武)委員 この復権令の第一条によると、一号から十一号までそれぞれの罪が掲げられておるわけなんです。これを見てみますと、やはり重点は公職選挙法に違反する罪というのが一番多いんじゃないかと思う。その次は、政治資金規正法だとか、地方自治法第七十四条の四の罪、最高裁判所裁判官国民審査法違反の罪、こういうのは、ほとんどないんじゃないかと思う。また出願恩赦のうち現在わかっているだけでけっこうですが、このいま六十件程度といわれた、このわかっている六十件のうち罪名による区分はできておりますか。
○鹽野政府委員 恩赦制度が非常に複雑なために若干混乱があるかと存じますが、ただいま御指摘いただきましたのは政令、つまり復権令に掲げられた罪名でございまして、出願のほうは政令でございませんで、特別恩赦基準でございますので、性格が違うわけでございます。
○田中(武)委員 いや、だから政令の復権令とそれから「明治百年記念にあたり行なう特別恩赦基準」というのがありますね。この基準は、これに基づいて法務省できめるのですか。
○鹽野政府委員 今回の明治百年記念の恩赦は復権令でございまして、そのほかに個別恩赦といたしまして特別恩赦基準というものを定めたわけでございます。したがいまして復権令の対象になりますものは、出願審査等の手続を経ず、自動的に復権する、こういうことになるのでございまして、出願等の手続を要するのは復権令以外の特別恩赦基準に該当するというものだけが出願等の手続を要する、かようなことになるわけでございます。
○田中(武)委員 だからここに載っているこの三十二件というのは、この特別恩赦基準によって出されたものでしょう。私は先ほど復権令の一条から言いましたが、この特別恩赦基準にのっとって出てきたもののいわゆる罪名といいますか、そういうものの区分はできておりますか。
○鹽野政府委員 ただいま正確な統計は用意しておりませんが、御指摘の件数の大部分は公職選挙法違反でございます。
○田中(武)委員 官房副長官、復権令によって当然復権する者、これはほとんど公職選挙法による公民権停止が多いと思うのです。それからいま答弁のありましたように、「明治百年記念にあたり行なう特別恩赦基準」による申請もほとんどが公職選挙法違反の事案であろう、こういう答弁なんです。そうすると復権令は当然これはほとんど公職選挙法違反。だから特別恩赦基準によってもそうだということなら、今回の恩赦の重点というか、この恩赦によって恩恵を受ける者がすべて公職選挙法違反者、すべてというのはどうかと思いますが、大部分、そういうことになるわけですね。そうしますと、やはりこれが政治的に乱用されたのではなかろうかという疑惑はぬぐえないのですが、どうでしょう。
○木村(俊)政府委員 結果から申し上げればそういうことになると思いますが、私はこの復権そのものの性格からくるものであるかと思います。すなわち公民権を停止されておったのを回復するという場合はほかの罪種ではあまりございません。したがって選挙法で一つの付随的な罰として、ペナルティとして、行政制裁をしている。そういうものをこの恩赦によって回復するという場合は、これは復権そのものの性格からくる当然の結果である。したがって政治的理由によって恩赦をやったということにはこれはならないと思います。
○田中(武)委員 復権令を出すということがもう即公民権停止の選挙違反者を救うということになるわけですね。私は最初から言っているように、この恩赦制度というものを否定するものではない。実はきのうからこの決算委員会において法務省関係をやっており、私はことしがいわゆる国際人権年であるということで、人権問題を中心にきのうも質問を展開したわけなんです。そういう人権の面からいくならば、私はこの復権というようなことについても、やはり人権から考えれば、それはある程度時期がくれば復権するのもよかろう、こういうような考え方もあります。しかしどうも受ける印象が内部的事情で、しかもどうも政治的に使われたのではないかという疑問だけは、これはぜひひとつ政府のほうにおいても国民にそういうことの疑惑を与えないような今後のやり方、あるいは今回における釈明と言えばおかしいですが、措置を、方法を重ねてとっていただくよう要望します。 続いて、この人権に関連してではありますが、きょうまた佐世保に原子力潜水艦が入ってきておるわけです。この前入ってきたときにものすごい放射能が出た、そのことでいろいろ問題があり、調査をした。政府なり科学技術庁は、心配ないんだ、こういうような結論的なことを言った。それからその後十月の二十二日に覚え書きが交換されておりますね。これを見ても、何だかまだ不安が残るわけなんです。しかも年末なんです。いわば師走といって、先生でも走るという、こういう気ぜわしい時期に、一方はクリスマス休暇か何か知りませんが、はっきり言って遊びに来るのですよ。そういうのもあるでしょう。それに対して、おそらく若干のトラブルが起こっておる。日本の中で、学生諸君あるいは労働組合その他民主団体の若い人たちが若い警官とにらみ合ってぶつかる、こういう状態を見ておると、どうも私は、ほんとうに日本が独立国家として存立しておるのかどうか、少し情けない感じが起きるのですね。だからわれわれは、寄港は絶対反対なんですが、かりに安保条約等に基づいてやむを得ないとしても、こんな時期は避けてくれ——おそらく商店街等でもこのことによって年末の売り出し等が大きく支障を来たす。そこで商店街みずからが自衛をせねばならないというようなことも新聞は伝えております。せめてこういう時期には来てもらいたくないのだというような意思表示は政府としてできないのですか。どうなんです。
○木村(俊)政府委員 原潜の寄港、政府といえども、決して望ましいとは考えておりません。しかしながら、条約上の義務ということと、また原潜寄港に伴う国民感情的な面、これもまた配慮しなければならないと思います。 したがって、今回の入港は、先般のエンタープライズ号事件以来、また異常放射能の数値が出たこと等によりまして国民に非常に不安を与えたといういろいろな経過を経まして、日米間で交渉しました結果、また国内的にも観測体制を強化するというような措置をとりました上で、今回、エンタープライズ号あるいは原潜による異常放射能の疑いが持たれた事件以来、初めて入港したわけでございます。 今回は、いま田中委員のおっしゃったように、年末のことでもあるし、また歳末売り出し等にもなるべく影響がないように、期間を選んで入港したものであると思いますし、また短期間の三日間であるという点にも米側の配慮もあったかと考えております。 昨日来の佐世保における状況をいろいろ考えてみますと、市民の方も非常に平静でおられるし、また原潜の乗り組み員においても非常に慎重な配慮が見られる等から考えまして、反安保という一つの政治目的からするデモその他からくる混乱以外には、現在のところ何も心配することはない、こういう状況でございます。
○田中(武)委員 反安保ということになってくると、これはまた議論を長くしなくちゃいかぬことになるのです。私はもうそういう議論は抜きにして、きわめて率直に、国民感情として申し上げておるわけです。あなたの時間的な関係もあるし、安保条約の問題をやり出すと、お互い切りがないと思う。そういうことを抜きにして、率直な国民感情として、一方は、はっきり言って遊びに来るのです。クリスマス休暇ですこちらは歳末を控えて気ぜわしいときである。ことに商店街等は年末売り出しの時期である。しかも日本の国内で、日本人の若い警官と若い学生あるいは民主団体の諸君がいがみ合うということはどうしても国民感情として許せないと思うのですね。だから、言うがままに、二十四時間前にですか、通告を受けるのだ、こういうことでなくて、少なくもこういう期間は遠慮してもらいたい、こういうことくらい言えないのですか。どうなんでしょう。安保条約に基づく行政協定の義務だなんていうことで、言われるとおりにしておかなければいかぬのでしょうか。絶対拒否かどうか。われわれは絶対拒否という考え方を持っております。しかし、それは議論はいたしません。一応、あなた方のいう、安保条約上の義務として施設を提供しなければならないのだ、こういうことを踏まえた上に立っても、せめてこういう時期は遠慮してくれ、あるいはこういうことがはっきりするまでは来ないでくれというようなことは言えないのですか、どうなんですか。ただアメリカのほうが、三日間だとか、あるいはきわめて影響は少ないというが、私は影響の多い時期だと思うのですが、アメリカさんの考慮だけを待っておるというこの政府の姿勢は、どうなんでしょうか。もう一度お伺いします。
○木村(俊)政府委員 日米友好という関係に立ちますと、正式に条約上の義務である原潜入港の受け入れを、政府のほうから、これをやめてくれとか、中止方を申し入れることはできません。しかしながら、お互いに日米友好というものが基本であるからには、アメリカ側といえども、そういう面についての国民感情その他を配慮するということは、これは当然だと思います。そういう意味における話し合いは、今度と限らず、絶えずいたしております。
○田中(武)委員 これは安保条約上の義務だというのなら、一方は権利の行使だということになると思う。権利だからといって、これはかってにいつでも使えるというものじゃないのですね。私は、国際公法上においても、権利の乱用ということは出てくると思う。こちらが迷惑を感ずるとき、特に積極的な必要があったかどうかは別として、あえて来るということについては、権利の行使という上に立っても、時期を延ばしてくれとかいうようなことは私は言えると思うのですがね。常にそういう交渉はしております、こういうことだが、今回の事態にあたって、政府は積極的に、時期がまずいとかなんとかいうような意思表示は全然せられなかったのでしょうか。
○木村(俊)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、条約上の権利義務の遂行という関係でなしに、日米友好の上に立った話し合い、これは必要だと思います。その際に国民感情を配慮すべきはまた当然だ。しかしながら今回の入港については特にそういう申し入ればいたしておりません。 実は十月ごろにもそういう原潜の入港のようなうわさもございましたけれども、当時まだ観測体制も強化されておりませんでしたので、これは当然アメリカ側の配慮によって入港を中止したようなことも漏れ聞いておりますが、アメリカ側としても当然国民感情を十分配慮しての入港、こういうことに私ども受け取っております。
○田中(武)委員 国民感情を無視することはできない、これは当然だと思う。特に今回の件について何らの意思表示はしてないというのなら、今後、権利あるいは日本としては条約上の義務だ、こういう権利義務関係だけでなく、あなたはいま国民感情ということも言われた、少なくとも日本において不適当だという時期、不適当だと思う場所等については、待ってくれという意思表示を常にせられる。あるいは、これは実際二十四時間前に言ってきたのでは間に合わぬと思うが、その通告を受けたときにでも何らかの意思表示をするようにしてもらいたいと思うのです。今後の方針を伺っておいて、時間がきましたので、約束を守ります。
○木村(俊)政府委員 いまの問題は、私は原潜入港の問題だけに限らず、基地の問題にいたしましても、日米安保体制全体の考えから、今後この日米安保体制というものが完全に実施されるために国民感情を敵にしては、私はこれはできないと思います。そういう全体の政府の外交姿勢の中において、それは実現していきたい、こう考えております。
○田中(武)委員 これで終わります。 木村さん、官房長官当時から常に良心的な発言をせられておったということは、私、認めます。ところがそれが閣議で何か問題になったこともあったようです。新聞にはそう出ておりました。そういうことはともかくとして、まあ私は副長官ということじゃどうもおかしいような気もするのですが、いずれにしろ名官房長官としてやられたのですから、身分が副になったとしても、いままで以上の気持ちを持ってひとつ良心的に事を運んでいただくことを要望いたしまして、これ以上やっておっても何だし、時間的な問題がありますから終わります。どうです、胸をたたきなさいよ。
○大石委員長 吉田賢一君。
○吉田(賢)委員 さきに続きまして、いまの矯正局長の御説明によりますると、少年非行は対策面から考えてみましても、単なる刑事政策面のみでは解決し得ない、家庭問題もあり教育問題もありあるいはまた性道徳の問題もあり、精神障害のそういった方面の医学的な問題もあるらしいし、広く社会政策的な面も考えるべきだ、こういうことになりますると、これはやはり相当広範囲な多種多様な諸条件が少年非行をここまで追いやってきておる、こういうふうに考えまするので、そうなりますと一そうわれわれ自身も広い視野に立ってこの問題と取り組まねばならぬ、こう考えております。 〔委員長退席、鍛冶委員長代理着席〕 そこで、文部省と厚生省とちょっと簡単でよろしゅうございますから、資料的に説明してもらいたい点があるのですが、来ていますか、両方見えていますか。
○鍛冶委員長代理 厚生省は育成課長。
○吉田(賢)委員 文部省の佐藤審議官ですか、初等中等局の佐藤審議官に伺いますが、いまだんだんお聞き及びのとおりに少年非行の問題はきわめて憂慮すべき状態をなお続けております。そこでこれはやはりさかのぼっては母体、胎児から出発して対策を立てるのが本筋だとわれわれは考えるのであります。あなたのは教育の場でありますが、家庭につながり、性道徳につながり、精神病対策、社会政策必要なり、こういうことになりますると、これはやはり幼稚園から小学、中学、高等学校、特に高年齢の少年が次第に非行増加の傾向にありということになっていますると、中等教育にまで当然及ぶ。しかし同時に教育観だけではらちが明かない。家庭、社会の関連を把握しなければいけない。そのように広く踏みかまえまして掌握してもらわなければならぬ、こう考えるのであります。 委員長、大臣が見えましたから、時間の約束もありますので、すみませんけれども、文部省の方ちょっとお待ちくださいませ。質疑を大臣に移したいと思います。御了承いただきます。
○鍛冶委員長代理 けっこうです。
○吉田(賢)委員 大臣、御就任早々でありまして恐縮ですけれども、各般の問題に広く取り組んでおりました練達のあなたでございまするので、特に以下述べる問題については深い造詣をお持ちになっておることを前提にしてお尋ねするのでありますが、私は法務省の立場に立ちまして少年非行対策を考えていきたい。少年非行の問題は、私が申し上げるまでもなく五十一国会から五十五、五十七、五十八国会と佐藤総理も本会議におきましてこの次代をになう青少年諸君というような、こういった大きな期待を持つと同時に、その真剣な国、社会等への貢献、福祉増進等への奉仕等なども訴えておるわけであります。したがいまして、これは一貫しまして佐藤内閣の一つの重要施策になってきておると私は思います。 そこであなたに伺ってみたいのでございますが、少年非行が依然としてあとを断たない。やや減少にあります、三十九年がピークになっておるように、やや減少でありますが、しかし、なお凶悪犯も相当ございます。二十一世紀につながるこれらの人生をわれわれは深い憂慮をもって見守っていかねばならぬ。この事態に対処するに、やはり法務省としては単に事後対策、矯正的な、取り締まり的なものではなしに、大きな国策の見地から文教関係、家庭関係あるいはまた生活の道徳関係、精神病の医学関係とか、社会政策、いま矯正局長もだんだん特徴を御説明になっておりましたのですが、ずいぶん広範な範囲にわたって非行の条件が積み重ねられてできておるように思います。とするならば、単純なある手を一つ打って、この問題の抜本的な国策は立たぬようにも考えます。そこであなたとして、非行少年の絶滅を期するということは容易なことじゃございませんが、どうすることが最大の国策として打ち立て得るであろうか。特にこの世相こんとんとしたただいまでございますので、一そう私はそういうような要請が国の最高の行政機関に求められること切実だろうと思うのです。どういうふうにそこは、最も重要な基本的な施策は何か、もしくはここに最も重要な原因あり、何かそれらの面につきまして大臣ひとつ所信を明らかにしておいていただきたいと思います。
○西郷国務大臣 お尋ねの非行少年の問題は将来をになう問題でございますから、非常に重大な問題で、法務省の仕事の非常に重要な部門でございまして、御承知のようにいろいろの施設等もあるわけでございますが、また内閣としても総理府に対策本部を置きまして、関係各省とともに根気よく努力はしておりますけれども、いまおっしゃったとおり、社会環境とかいろいろの悪い条件下でそういうものが出てまいりますので、早急にこれを絶滅するというようなことがほとんどできませんけれども、しかし私考えますのに、だからといってほっておくべき問題ではなく、何といっても将来性のある青少年のことでございますから、やはり法務省の従来の施設等に入れるだけでは、なかなかこれはよい方向に立ち返ることはできないと思いますが、いろいろの条件はございますけれども、私の見ますところ、やはりそういう青少年に対しまして、愛情を込めて根気よく指導をしていくというような点が一番根底になければいかぬのではないかと思いますが、そういう問題だけでなく、現在の施設の良否——改善を加える点があればすみやかに改善を加える。また社会全般の状況によってああいうものがふえるのでございますから、非常に重大な問題ではございますが、これだというきめ手がなかなかないと思われますけれども、従来のやってきたことにさらに謙虚に反省を加え、何とかして非行少年を激減せしめる方向に持っていかなければならぬ。これは国といたしましても非常に大事な施策であると思いますし、また社会においても非行少年の激増には重大な関心を持っておるわけであります。われわれも今後とも根気よくあらゆる点に検討を加えまして、努力を重ねてまいりたいと強く感じております。
○吉田(賢)委員 一つの問題といたしまして、戦後混乱のうちに生まれて出ました少年、それがやっと成年に達しております。その時代から自由を求める風潮は、これは憲法を中心といたしまして、民主主義の日本としては当然のことでございます。しかし自由は求めるけれども、たとえば自己を制するとか、あるいはみずから責任を負うとか、あるいは義務を尊重するとか、もっと言うならば、やはり日本の、古い東洋の伝統は、むしろ権利思想の発達のあとよりも、義務観念がもとになって精神文化が成長してきたようにもわれわれは理解するのであります。一挙に権利思想一本で自由を求める、権利を主張をするけれどもおまえは何の義務を行なおうとするのか、いかなる責任を果たそうとするのかということについて思量が足りない。ここに一つの問題があろうと思うのですが、この点につきましてしからばどうすればいいのか。 〔鍛冶委員長代理退席、委員長着席〕 それはやはり一応は自由を求め、権利を主張するということを、徹底的に底をつくところまでやってしまって、しかる上に義務なり責任なりを感ずるような事態になるだろうというのか、そうではなしに、そこは両全を期するというのが正しいのであろうかということなんぞにつきまして、法務省、法務大臣としてのお考え方、これはやはり一つの基本問題と思いますので、明らかにしておいていただきたいと思います。
○西郷国務大臣 いまのお尋ねの点も非常にむずかしい問題と考えますけれども、何といたしましても非行少年につきまして今後ともあらゆる英知を集めて、そうしてこれの減少をはからなければならぬことは当然でございますが、いまいろいろ承りましたが、やはり戦後民主主義の日本ということになってはおりまするが、それでは人権を尊重されているかというと、多々人権を侵されているような現状もございますので、やはり根底におきましてただ精神的なものだけではこれは不十分だと思いますけれども、やはり社会人としての権利義務の観念、民主主義の時代をはき違えて、権利だけは主張しますけれども、自分の義務を果たすということを考えない者が多数あるわけでございまするから、あらゆるそういう方面から考えまして、りっぱな更生した人間として社会に出るには、権利を主張するとともに自分の社会人としての責任を果たす、そういう点をやはりよく説得いたしまして、そうして根気よくやらざるを得ない問題ではないかと思いますが、なかなかきめ手というものが見つからぬために、今日まで苦しんでおるわけでございますが、私も法務大臣に就任いたしましたので、責任を持って少しでもこれを前進せしめていきたいという熱意を持っておることを御了承賜わりたいと思います。
○吉田(賢)委員 御承知のとおりに最近の少年を取り巻きまする例のきわめて低俗な出版物あるいは俗悪な映画、どぎつい性を惑乱させるような映画、興行、こういった最も有害な環境に対しましても、憲法で表現の自由は保障されておるのだということで堂々とはんらんしているというのが世相でございます。少年の前にこれでいいんだろうか。それは背たけ伸びて——判断力を持った人なら一応は別といたしましても、しかし小さないたいけな子どもを連れてそれを観覧する、それを手にとって見るというようなときに、何が次に起こってくるのだろうか、あるいは性犯罪につながるかもしれないということさえ考えるのであります。これがいわゆる自由の乱用ということでないだろうかとさえわれわれは考えるのでありますが、そういたしますと、ここにやはり日本といたしまして新しい価値観の確立ということが必要になるのではないか。これはそれぞれと学識経験者等多数おいでのことでございまするし、憂いを同じくしている人も相当あると思いますので、やはりこのあたりで一本そのような問題を新しいテーマとして打ち出しまして調査研究して、新しい価値観を確立する、それで青少年に自分の人生のあるよりどころとして大事なものをつかませてやる責任がありますよ。大人は何でもありませんが、御承知の最近のレジャーブーム、百貨店へ参りましたら押すな押すなで連日人間の殺到ですよ。一体こういうものは何を青少年に刻み込むでしょうか。外へ出ればいま言ったような有害環境が押し寄せておる。見るものはそういうもの、聞くもの何もかも全部がやはり非行とつながっていきます。悪条件をつくっていきます。判断力はありませんわ。私はそこにほんとうの政治の根底がなければならぬ。国策を樹立する基本的な姿勢はそういったものの上に打ち立てられていってほしいと思うのです。これはあなたも御就任早々相当な意気込みをもっておやりくださると思いますが、こういう問題について内閣としまして、やはり閣僚といたしまして真剣に御検討願いたいと思うのですが、どうでしょうね。
○西郷国務大臣 重ねてのお話でございますが、おっしゃいますとおりほっておけない現下の急務でございますし、将来の祖国を背負う若い人が横道にそれておるということは非常に遺憾なことでございまして、私も就任早々ではございますが、この問題につきましては真剣に取り組み、また総理府にあります各省を集めた対策本部に対しましても、相ともに少しでも前進できるように根気強く努力をしてみたいと思いますので、時間をおかし願いたいと思います。
○吉田(賢)委員 私は特に少年問題につきましては総合行政を強力に推進されんことを御希望申し上げたいのであります。やはり一法務省だけではどうにもいけません。極端に言うなら、あと始末ばかりおやりになっておるようではいけません。警察行政で取り締まって補導しても結局は解決いたしません。学校にまかす、文部省にまかすだけではいけません。総理府はこれは執行行政機関でございませんので、やはり現実に体験をしておる行政機関がそれぞれ総合的にこの大国策に取り組んでほしいと思うのです。としますると、総合行政はやはりこの内閣が行政改革的な角度から新しく打ち立ててもらわねばなるまいと思うのです。総合行政の問題はたくさんあります。ばらばらです。ばらばらはやはりなわ張りになるおそれがあります。必ずしもそうは申しませんけれども、このような問題は特にやはり総合行政の切実に求められる課題であろうと思うのですが、これは、ちょうどあなたのほうも次官が行政改革本部にお出になっておるはずでありますが、閣僚会議あたりでも、表向きでなくてもこういう面の総合行政は一歩前進して——私もこれだけじゃないのです。もう数回この問題の総合行政を言っております。予算面から見ましても、対策の具体的な実施状況から見ましても、どこから見ましても、もう少し総合することがこれは重要でございますので、総合行政を推進せられんことを特に御要請申し上げておきます。いかがでしょう。なければよろしいですが、ございましたら……。
○西郷国務大臣 ただいまいろいろありがたい御忠告等も拝聴いたしましたが、そういう点を尊重いたしまして、全力をあげてまいりたいと思います。
○吉田(賢)委員 それから、あなたのほうの非常に大事なお仕事でございますのは、やはり少年院の矯正関係でございます。これは、同時に成人の刑務所、拘置所などとの関連におきまして、日本人がいま、前科者、あれはつとめてきた人やということで、とかく毛ぎらいをするということにやはり相当深い反省がなければならぬかと思うのです。あながちそれは社会を責めるわけにはいけません。私はやはりそこに、さきにおっしゃった、ほんとうにあたたかい保護、愛情を込めた補導と申しますか、そういったものが少年に必要だとおっしゃっていましたが、やはりもっと社会とつなぐ有機的な関係が積極的になされねばならない。かくして社会はこれを受ける体制をつくる。こういうふうに相互関係ができていかないと、中でいろいろな職業訓練、指導もしておいでになることはわかりますけれども、成人の場合におきまして特殊な人だけが雇い入れをする。前科を隠していかなければちょっと雇いません。これが現状でございます。したがいまして、法務省の少年非行の対策の一環だけではございませんが、これは成人の場合も同様と思いますけれども、もっと大胆に積極的に社会のあらゆる事業家、企業等々の交流もなさいまして——一がいに企業だけじゃございません。それはいろいろと有能な天分を持った人間がたくさんおりますので、これとのつながりはやはり行政府として積極的にやる面が私は多分にあると思うのです。こういう面が、法務省の方面は、何かしらぬけれども、いわゆる一種かたくなり過ぎております。といって、やわらかくなりなさいとは私は申しません。行政、法秩序というものは厳として守っていただきたい。これは基本的なものでございますが、けれどもやはり武士の商法みたいなかっこうじゃだめです。やはり、その人間が外へ出たら、彼はどうしておるか、罪はどこへ行くであろうというぐらいに見守るぐらいの、これが大臣、ほんとうの愛情ですよ。私は、とかくこの種の矯正院とかあるいは少年院といったような事業が宗教家によって成功しておるというのはそこにあると思います。私の知り合いの者で神戸で孤児をお世話している人があります。全くなついておりますね。しかし、その孤児がおとなになる、成人する、就職すると、おかあさんと言ってきますよ。それにまたその人生を見守っていますよ。その精神的なつながりが少年院や刑務所にあるでしょうか。私どもは、自分が弁護士なんかやっておりますので、鑑別所あたりへときどき参りますけれども、何かしらぬ索漠とした感じを受けます。そこにやはりあたたかいというより冷たいものが流れていますね。それも一面必要だけれども、こり固まったらそれは法規に縛られた役人になってしまいます。法規に縛られた役人では、社会復帰の教育訓練はできません。これは特に婦人補導員においてそうであります。御承知と思いますけれども、婦人補導員においてなかなか成績があがらない、社会復帰がなかなかできない。ほんとうに宗教家のようなああいう打ち込んでいくだけの情熱が足りないのですよ。極端に言うなら、これは役人根性じゃいけませんよ。月給取り根性じゃだめです。だから、そこにやはり精神的な交流するものがあって触れ合っていくというところに——一時間でもいいですよ。生涯忘れられないものを持って彼は出ていきます。で、彼はどうしているかということになります。いまでしたら、出てきた者を使うのを、触れるのをみなこわがるのですよ。これはもうほんとうに不幸なことですけれども、いやがる。だから、もう一ぺんやりますよ。小さなことでなくて、もっと大きなことをやりますよ。二回、三回繰り返したらちょっとした顔役になりますよ。顔役になれば大きな顔してこうやってめしが食えるのです。部下ができます。子分ができます。何々組が雇いに来ますよ。そんな世相です。そして暴力団に入って売春法を適当に操作します。そうして地方から出てきた者をそこらから拾ってきていろいろなことをやっていくというふうに発展します。悪の循環でございます。どうかそういう根を断っていただきたい。そこはひとつ大臣、あなたの愛情政治——愛情ということばは私は愉快にきょうは伺いますが、法務省に愛情ありとするならば、愛情政治、合理的な一つの基準と秩序を持ちながら愛情政治をやるというふうな、それはぜひ少年行政にとっていただきたい。ことにそういう拘置されて教育を受ける面と社会との関連におきまして、どうかその愛情を具体的に実践するような関係をひとつおやりになって、道を開いてやってもらいたい、こういうふうに思いますがどうでございましょう。
○西郷国務大臣 ただいま非常に御高説を拝聴いたしましたが、私も全く同感でございます。今後とも努力をしたいと思います。
○吉田(賢)委員 時間もあまりないのでもうあと一問にしますが、それから根本的な一つの問題でございますが、犯罪を犯したのだからその人間は憎いということも、それは社会の感情でございます。というて、受刑者をあまり優遇してイギリスのようなことになっちゃったらこれはまた……。いまは、たとえば刑務所におきまして米を食わしておるのはいわゆる南方米が相当ありますね。私は、南方米必ずしも悪いのやと申しませんけれども、この辺はカロリーの面からくるのであろうか、安いことからくるのであろうか、少々うまくないものを、味が悪いのでこれはしたほうがいいということになるのだろうか、戒めのためであろうか、どこからくるのか知りませんが、その辺は少し考え方を再検討する余地があるような感じがするのでございます。もっともこの点は私自身いろいろな角度から調査しておりませんのでちょっと見た思いつきのことでございますけれども、こういう面につきましてなお多々改善を要する問題が、歩けば拾っていけるというふうに思えます。これは一つの私の体験でございます。 そこで、大臣に一つ頼んでおきたいことがあるのですが、私は、やはりせっかくあなたがおやりになる以上は、しかるべき時間をさいて末端のこういう行政の現状をごらんになるということ。職業訓練にしましても、たとえば酪農の訓練をやっていますよ、何とか職業訓練もやっていますよ、あれもやる、これもやる、いろいろしていますけれども、われわれから言えば、もう少し改善の余地がありはしないか、そういう給与関係にしましても職業訓練にしましても、いろいろな面でね。だから、これはやはり少し現地を歩く。水戸黄門さんみたいにして歩いていきなさったら、随所に問題がころがっていますよ。私らでも二、三カ所歩くときっと二、三問題がある。一々国会に持ってくるわけにいきませんので頭にたたんでおきますがね。というようなことがございますので、せっかくあなたはこの機会に、根本的に法務行政にそういう意味におきまして愛情の充実した行政をやられるように、一度とは言いませんが、適当に現地を一斉に末端をお歩きになることをぜひやってもらいたいと思うのですが、ひとつその辺は御提案申し上げておきます。御意見がありましたら聞かしてもらいたいと思います。
○西郷国務大臣 いまお述べになりましたとおり、現在の施設も国会が済みましたらぜひ見まして、改善を加える点はすみやかに改善を加えてまいりたい。努力をいたします。
○吉田(賢)委員 それから大臣かねての懸案でございますけれども、法務省はあまりたくさんはないのですが行政改革が若干引っかかっておりますね。これはこまかいことのようでありますが、私は三カ年計画の中の行政改革についての法務省案をここに持っておるのでありますが、こういうものはできるだけすみやかに推進せられるように、部下を督励しておやりになるといいと思います。それが一点でございます。 それからもう一つは、法務省はことし大蔵省から——大蔵省のほうで例の計画別予算といっておりますね、PPBSの制度を適当に導入すること、試験的に実験するということについてのテーマを要請いたしましたところ、ほかは出したけれども法務省は出ておらぬらしく思いますので、この辺につきましてこれはあらかじめ私が政府委員の方に申しておりませなんだ点でありますからよろしゅうございますけれども、法務行政はPPBSの導入の余地が相当ある問題がたくさんにあると私は思います。この点は予算の効率化、予算と業績の測定ということで最も重要な最新の課題と思いますので、ぜひともあなたの部下に督励して、何に導入し得るかということの調査研究をすみやかにせられるように、これは一つ御要望申し上げておきます。
○大石委員長 田中武夫君。
○田中(武)委員 それでは大臣が退席せられるそうですから一点だけ大臣のおられるときに伺っておきますが、一つは昨日の同僚森本委員の質問なんです。設置法の十七条の当分の間定員にかかわらず検事を充てるという規定ですね。この「当分の間」は一体何年くらいだということを森本君が聞いたわけなんですが、それに対して答弁がなされないままに終わっておるわけです。そこで森本君からきょう質問の予定だったのですが、もう質問を取りやめるのでその点だけを確かめてくれ、こういうことがあったので、その点が一点。 もう一つ、私は少しまとめて伺う予定をしておったのですが、時間の関係等もあるのでやめますが、矯正保護と俗にいわれておるもの、矯正というのはいわゆる施設内における問題で、施設外、いわゆる刑余者等々はいわゆる保護といわれている。そこで保護司というのがあります。その法律を見てみますと、「社会奉仕の精神」云々から始まって相当高度な使命を負わしておるわけです。ところが、原則として無給である。そして一部費用の弁償をするというような規定になっている。予算から当たってみますと、いま持っておりませんので数字が違っておるかもわかりませんが、法律ではたしか定員が五万二千五百人を限度とするということになっている。ことしの予算額たしか八億ちょっとですね。それを五万何ぼで割りますと一人当たり年間一万六千円、月間千三百円ぐらいにしかならないわけですね。こういう面において、いまの吉田先生の質問にも関連がありますが、矯正保護といって刑余者の問題、保護ということを考えたときに、保護司の待遇というか、これに対する予算があまりにも少な過ぎるのじゃないか、私はそういうことを一つ感じております。 そこで、法律を見てみますと、表彰を行なうというようなことで、何だか社会的な奉仕の精神でということで始まって、表彰でお茶を濁すというような法律の立て方になっていますね。これはもちろん宗教家等が多くて、社会奉仕の気持ちでやっておられる人が多いと思うのですが、いまのような予算で、はたして法の目的とする保護ができるのかどうか。したがって大臣には、そういう点について法が目的とする効果をよりあげるために、保護司に関する実費弁償の件とあわせて、直ちに有給にしろということはどうかと思いますが、もっと予算的に考える必要があると思うのです。そういう点、二つだけお伺いしておきます。
○辻政府委員 たいへん技術的な面にもわたりますので、最初技術的な点について御説明申し上げます。 御質問の第一点の法務省設置法十七条のいわゆる充て職検事の規定でございますが……。
○田中(武)委員 いわゆる充て検だな。
○辻政府委員 充て検でございます。これに「当分の間」と定められておるわけでございます。これは新しい措置が講じられるまでというふうに私どもこれを考えておるわけでございまして、いついつまでということではなく、適当な制度ができるまでの間というふうに理解いたしておる次第でございます。 第二点の保護司の実費弁償金の問題でございますが、先ほど御指摘がございましたように保護司の実費弁償金は、現在昭和四十三年度の予算におきましては実費弁償金が三段階に分かれております。ABCと分かれておりまして、非常にむずかしい事件の保護に当たっていただきます保護司さん、これは一人一月八百五十円、それから難度が中間的な方というのは一人一月六百二十円、通常の比較的保護観察が容易であるという方は一人一月五百七十円、こういう予算が組まれております。 ところで保護司の定員は先ほど御指摘のとおりでございますが、現在おります実員は大体全国で四万八千名でございます。かような状況で予算を運営いたしておるわけでございますが、事務当局といたしましては例年この保護司実費弁償金の増額に努力をいたしておりまして、わずかではございますが両三年来逐次単価が上がっております。来年度の予算要求におきましてもなおこれを改善するよう事務当局としては懸命に努力いたしておる次第でございます。
○西郷国務大臣 きのうも法務委員会で論及された方があったのでございますけれども、田中委員も御承知のとおりに、あまりいいことばではございませんが、いわゆる充て検といわれておるそういう問題も、私ども非常に難渋をしておりますのは、増員をいたしたいけれども、現に空席になっておる者が相当ある。定員に満たない。明年度の予算につきましても、そういう現状を解消するために、検事も八十九名でございますが、入れておりますけれども、大蔵省は増員については行管とともに非常に強いので、なかなか思うにまかせませんが、しかし、そうだからといってほうっておくことのできない問題でございますので、非常に困難な情勢ではございますが、私もこの予算においても最善の努力をして、少しでもこの問題を解消していきたい、そういう方向にぜひ進みたいと思います。非常にむずかしい要件がたくさんございますが、何とかして、これを突破して、そうして御希望に沿うていきたいと考えております。
○田中(武)委員 そこで、いまの官房長の答弁だけれども、「当分の間」ということを新しい制度ができるまでと言っていると思うのですが、新しい制度をつくることに何らか努力しているのですか。この設置法は二十二年にできたのでしょう。そのときに「当分の間」と入れて二十年間ほうっておいたのですか。新しい制度というのは一体どういうことなんですか。そういうことが一つ。 それから、きょうは委員会があちこちに開かれておるので十分にできないので、これもあとへ回したいと思うのですが、実は御承知のように、私は国際人権年ということにあたって、人権問題に関連することをずっと一わたり当たるということで、きのうも一日質問をやりました。きょうも引き続いてやる予定で、実は法務省の刑事局長の出席を求めたのですが、これも他の委員会等々の関係で、どうもこの時間に無理のようです。保護局長もと言ったんですが、法務省の保護局長も法務委員会に出ておるらしいのです。これはそこにおられる政府委員の人について質問することが適当であるかどうかわかりませんが、人権の問題について、きのうは監獄法に従って受刑者の問題からどんどんやりまして、死刑、安楽死までやったわけです。もう一つ大きな問題で犯罪の捜査と人権の問題がある。捜査はまず警察等がやるわけです。しかし、法務省も検事さんがやるんですから、無関係とはいえない。そこでそのことを伺うつもりだったんですが、いま言ったように、きょうは法務省の刑事局長がこの時点で出席できないので残念ですが、保護局長もいないということなら、だれが答弁するか知らないが、犯罪捜査にあたっても人権の尊重ということを考える必要がある。現にきょう朝日新聞に出ておりましたのですが、「死の床で酷な取調べ」ということで、十六日の朝、新宿の歌舞伎町で火事があった。それで、そこの店員の十七歳になる少年、これが失火の責任者じゃなかろうかということで臨床取り調べを受けておる。そこでこの新聞によると、テープレコーダーのマイクを突きつけていろいろやり取りしたことも書いてあるわけです。その三時間後に本人は死んだ。医者はどうせ死ぬんだからということで許した、こう言うておるのです。こういうのを見ても捜査と人権という関連について、どうも若干の行き過ぎというか、私はそれが考えられるわけなんです。もっとも保護局長もいなければ法務省の刑事局長もいないのだから、的確な答弁できる人がもしおれば法務省のどなたかに答弁していただいて、この件はまたあらためて場所を得てやりたいと思います。どうでしょう。
○辻政府委員 最初の「当分の間」という点につきまして二十年来何を検討しておったかというお尋ねでございますが、この問題は御案内のとおり、わが法務省におきましては、法務行政を扱う者は昔から判検事が本省に参りまして法務行政をやっておったわけでございます。戦前におきましても、いわゆる高等試験の行政科を合格した者が法務省の本省につとめるという意味で、すぐに行政科合格者を行政科合格者として本省に採用するということはされていなかったわけでございまして、判事、検事が法務省に参っておったという伝統がございます。これが終戦後の制度改革によりまして、判事、検事をそのままの身分で本省のほうに持ってきます場合には、判検事の俸給と一般職の行政官との俸給の格差が相当ございます関係もありまして、判検事の資格のままで法務省の行政事務を扱わすという必要から、いわゆる充て検制度ができたわけでございます。その後今日まで約二十年を経過したわけでございます。 ところで、新しい制度のもとにおきます一般の行政職の上級職試験、これを受かりました者、これが本来ならばだんだんと育ってまいりまして、法務省の本省その他の地位についてくるわけでございます。また私どものほうも現にそういう人がだんだんと育ってまいっております。そういう人につきましては、現在まだ本省の課長までには至っておりませんけれども、やや下のランクまでは適当な地位についてきておるわけでございます。かように、適当な地位につきましては、行政職の方がだんだんとこの地位につくわけでございますので、漸次そういう面ではいわゆる充て検制度は縮小されていくという大きな方向ではございます。しかしながら、なお検察に関する事項であるとか、民事、刑事の基本法に関する事項であるとか、司法制度に関する事項であるとか、国家賠償の関係の事項であるとか、こういうわがほうの本省の所掌事務に関しましては、どういたしましても判事、検事の経験を得た者がこの地位に当たらないと、法務行政がうまくいかないという本質的な宿命がございます。かようなわけでございますので、そういう特殊な行政の面におきましては、判検事をやはり充てなければならないという必要性が残っておるわけでございます。 そういたしますと、これを解消しろということになりますと、どうしても判検事法と一般職の職員の給与の関係が問題になるわけでございまして、かような点に非常に難点がございます関係から、依然としてこの制度を続けさしていただいておるということでございます。減すべき部分については将来漸次減ってくるものと考えております。 それから第二点の捜査の問題でございますが、私、お答えするのが必ずしも適当でない地位におりますが、所管局長がおりませんので、かわって一般論として申し上げるわけでございますが、御承知のとおり刑事訴訟法におきまして捜査に関するいろいろな規定がございます。取り調べは丁重にするとか、関係者の名誉を守るとかいうような訓示規定はもちろんございますし、そのほか捜査というものは任意捜査を原則として、身柄を拘束するいわゆる強制捜査は例外の場合に行なうとか、いろいろな規定が刑事訴訟法にあるわけでございまして、犯罪捜査に関します限り、検察官はもとより警察官もこの規定に従いまして、厳格に捜査を実行いたしておると確信いたしておるわけでございまして、具体的な事案につきましては、私、答弁することがふさわしくないと思いますので、答弁を控えさしていただきたいと思います。
○田中(武)委員 関連ですからもう一点だけ……。 第一点のほうですが、もしそうであるとするなら、設置法も「、当分の間」というようなことを書かずに、そういうことが必要であるなら、やはりそういう条文に直すべきだと思うのです。それが一点です。 それから第二点の点については、これはあなたが直接関係でないからですが、刑事訴訟法でこういう規定があるから、それを守っておるのであろうというようなことを聞いておるんじゃないです。でも、これはあなたが直接でないからやめますが、捜査については法務省も関係あるわけなのです。現にきょうの朝日新聞に出ているような事件、これは去る十六日の朝の新宿における火事についてであります。十七歳の少年を死期の迫っておるところで酷な取り調べをした、こういう事実を警察のほうと連絡をとって、あとでひとつあったのかなかったのか、どういう状況であったのか知らせてもらいたい。 それから、警察に聞くつもりであったのですが、人権擁護のほうではポリグラフ、うそ発見器、これを使うことは本人の同意が必要であるというように通牒が流されておる。現にそういうことが厳守せられておるのかどうか、このこともひとつあわせて御調査を願います。
○辻政府委員 第一点の御指摘の点でございますが、いろいろ私ども検討はいたしておるわけでございますが、実は現在の検察庁法に検事は検察庁に所属するという規定がございまして、それの例外規定として、法務省設置法の十七条によりまして本省にもおれるという形になっております。先ほど御指摘の点、検察庁法との関係もございまして、御指摘のようにずばりと書ければまたたいへんいいわけでございますが、なお問題が残るわけでございます。この辺につきましてはあらためて検討させていただきたいと考えるわけでございます。 それから第二点の御指摘の新府のことにつきましては、私ども関係局長のほうに本日のお話を十分伝えておきたいと考えております。
○吉田(賢)委員 それでは文部省の佐藤審議官、ひとつさっきの御答弁を願います。わかりますか。
○佐藤説明員 先生の御指摘の問題については、その原因が非常に深く広くかつ複雑でございますので、対策についてもいろいろ総合的な面が必要でありまするが、そういう場合におきましても学校教育、特に先生御指摘のような幼稚園の段階から小学校、中学校、高等学校を通じまして、その発達の段階に応じまして適切に保育するということは非常に必要と考えております。したがって、現在もその方針でやっておりますが、最近の実態にかんがみますればまだまだ不十分な点があります。たとえばきのうも発表いたしましたが、小学校、中学校、さらに高等学校の教育課程の改善をはかりまして、何とかむずかしい問題でありまするが、学校教育としても社会教育と連絡をとりまして、十分にやっていきたいと思っております。その際、何といっても私はすべての基本が家庭教育であるというふうな考えを持っておりますので、その面については、社会教育の面におきまして家庭学級をつくることとか、あるいは純潔教育をやることとか、いろいろな施策を講じておる次第でございます。
○吉田(賢)委員 これはなかなか簡単に見えてむずかしいし、児童も少年もこれは人でございますので、一つは教員の姿勢の問題にもつながってまいると思いますね。一体豊かな情操をほんとうに養うというのにはどういう方法をおとりになっておるのであろうかどうか、この点どうですか。
○佐藤説明員 それは子供の発達段階に応じていろいろ違いますが、たとえば幼稚園が非常に大事でございます。幼稚園という段階におきましてはたとえば六つの領域がございますが、音楽、リズムだとかあるいは絵画制作というような面で、六領域の中で情操という点を非常に強調いたしております。それから小学校に入りますと道徳教育はもちろんでございまするが、音楽だとかあるいは技術というふうな教科を通じて特にやっております。学校全般は特にその二つの教科を通じてやっていますが、もう一つは家庭科という科目がありまして、その家庭科、音楽、技術というふうな点を重点にやっております。中学校におきましては、大体小学校と同じような教科を通じてやっております。高等学校については、芸術についてもさらに深めた教育をしまするし、あるいは道徳というような面は特に科目はございませんが、倫理、社会というふうな面から、豊かな人間性の一環として情操教育を強くやっていこうという考えを持っております。
○吉田(賢)委員 さらに人として自覚をだんだん持たしていかねばならぬ。家族の一員としても同様でございましょうし、あるいはまた社会人としても国民としても、こういった面における一人一人の責任感を持たすということですね。責任を持たすということは、ことばで教えるということではなかなか身についていかないとも考えられます。相当むずかしい問題であると思います。これは何かわれわれしろうとに、具体的にこういう方法をもってやっておるというようにお示し願うような面がございましょうか、どうでしょう。
○佐藤説明員 御質問の趣旨をつかめないのですが、たとえば道徳という面あるいは情操という面が子供の身につくようにするにはどうしたらいいかという御質問でございますか。
○吉田(賢)委員 私のお尋ねしたいのは、人として、家庭人、社会人として、また国民の一員としましてみずから責任を負う。さきに私も申しましたように、いまは権利の主張、自由の主張はするけれども、責任を負うということについてはとかく足りません。くれとは言うけれども、行ないます、せねばなりませんという責任感はなかなか持たないという風潮が強いのです。ですからその点はどういうふうに打ち込んでいこうとしておるのか、ここなんです。
○佐藤説明員 学校教育は重要でございまするけれども、やはり御指摘のように限られた分野でございまして、その場合におきましても、どうしたら徹底するかという問題は非常にむずかしい問題でございます。しかし端的に申しますれば、やはり教師がそういうりっぱな手本を示す、家庭教育におきましてはおかあさんがそういうりっぱな手本を示すということに尽きると私は思います。
○吉田(賢)委員 そこで教師のあり方でございます。なるほど勤務し、時間の制約を受け、超勤なら超勤手当を受ける、これももっともでございます。生活は確保されねばなりません。人として文化的な生活は憲法も保障しております。同様でございます。同時に、やはり教師ならば教育者でなければならぬ。教育者という場合には、言うなら、一人一人の個性くらい知らねばいかぬ。この間も何か新聞によれば、新宿の乱闘で警視庁につかまった生徒があった。そこでその大学の先生が差し入れに行った。調べ官は幸いだと思って、あなた失礼だがどういう御関係ですか。私は彼の教師です。教え子です。それはたいへんいいことです。どういう性格でしょう、どういう性向でしょう。実は顔を知らぬのです。これですよ。教師と業者とは違いますよ。単純なアルバイターじゃございませんです。それなら人格的なふれ合いが必要ですよ。人格的なふれ合いさえあれば、長年の問いろいろな駄弁を弄しなくても、ふれ合う瞬間に人間形成の一つのきっかけがあるものです。そんなものですよ。そこの呼吸ですね。そこの呼吸というものは私はやはり大事だと思いますね。責任とかいうようなものは特にそうです。たとえば道徳にしましてもそうですね。教科書の受け売りでは道徳教育はないと私は思うのです。身をもって実践すれば、言わずと行ないで範を示していくのですから、それで初めて師の影を踏まぬというような気持ちが起こりますよ。われわれでも小学校とか中学校の——小学校時代の先生というようなものは、何かしらぬけれども、少し昔の夢みたいなものがまだありますよ。ですから、それほど印象が残るものですから、この時代につぎ込む教育は私は大事だと思う。言うなら私はやはり、もちろんこれは行政の範囲ではできない面が多々あります。それはもう家庭と社会とそれぞれと相気合いを一致さしていかぬといけませんよ。ほんとうに一人一人の人間づくりをするんだという使命感を持ちましたら、相手に責任感を持てという場合に、私はやはり教育をする責任があるんだということを事実に示せば、おのずからそれは先生が示してくださっておるんだからというので、みずからの責任を感じますよ。三歳にして個性が成り立っていくんだから、ましてや小学児童から当然そうあるべきです。それだけの英知はもう備えていますよ。そこです、私が申し上げたいのは。だからさきに大臣にも言ったように、総合行政必要なりというのは、この内閣にしても、私がいま指摘しただけでも、五十一国会以来四回総理大臣は本会議で青少年の問題の重大性を指摘しておるのですよ。国民全部が必要を認めておるのですよ。非常に重大なものを将来持っておるんですから、こういうときに文部省が、あなたのお立場だけではなしに、ほんとうにまつ裸になるつもりで、それぞれのしかるべき機関と横の連絡をおとりになりまして、いまの責任感にしましても、あるいはまたほんとうの正邪、善悪を識別し得る判断力を養う、道徳感にいたしましても、どうすれば効果があり、どうすれば成果があがるかということを、ほんとうに総合的に連絡をおとりになって初めて私は将来道が開けていくものだ、こう思うのでございますね。それは教師のあるべき姿、こん然一体をなしていかなければならぬ、それは当然であります。そうしなければ、法務省が何ぼ力まれて、矯正局長さん一生懸命になって、職業教育をするとかなんとか言ったって、あとからあとへ大量生産したらどうにもならぬと思うのです。大量生産するのは何もあなたの責任と言うのではありません。だから家庭も社会もあなたのほうも厚生省も法務省もそれぞれとこの重大な次代を背負う青年のために、ほんとうに生きた行政をやっていくということ、行政の重大な使命ここにあり、私はこう思いますね。大学教育ならそれは切り売り教師でもいいかもわからぬ。これは人格形成の基本のときですすら特にそう思っております。 それじゃ厚生省に聞きますが、厚生省はどなたが見えておりますか。
○大石委員長 佐藤審議官は帰ってよろしゅうございますか。
○吉田(賢)委員 けっこうでございますが、その辺は私は御希望を申し上げておきますから、どうぞしかるべく。 厚生省の家庭局から見えておりますね。簡単でよろしゅうございますからちょっと伺っておきます。これも要するに青少年問題につながる重大な部門をお持ちになっている厚生省でありますので、伺っておきたいのでございますが、あなたのほうで、腹に子供を宿した母性を大切にする、母性の健康、同時に胎児の健康、こういったものについては、これはもう相談とか診療等々あると思いますが、私はやはり少年問題の基本はそこから出発してくると思っております。厚生省といたしましてはその点については、具体的に母体の健全化、胎児の健全化、どうしていくことが行政的には一番よいとしているか、この点はどうでございますか。簡単でよろしゅうございますから。
○橋本説明員 御質問の点でございますが、一応厚生省としましては、やはり子供が健康に生まれる、健康に育つということを主眼にしておるわけでありまして、やはり妊娠前期、妊娠後期の保健指導、あるいはまた新生児の保健指導というふうな面に重点を置き、なお生まれたあと零歳児、一歳児、二歳児という年少幼児に対してそういう保健指導というものを強く強力に推進していきたいという方向に考えております。
○吉田(賢)委員 出産前に胎児への母の心理的影響が非常に多い、鋭敏にあるとよくいわれておりますが、少なくとも心理的な準備をするとか医学的な準備をするとか、そういう科学の面からくる母性の出産前の態度、こういったものについて私は今日の施策はかなり欠けているものがあるのではないかと思う。相談に来なさいとかあるいはときに診察しますという程度ではそれはいけませんですよ。やはり知識として相当正確なものを母は持って、そうして胎児、すでに生まれた者もしくは生まれ出ずる者として尊重していくというかまえ、このかまえはやはり何らかの行政的な指導があってしかるべきではないだろうか、もしくは行政は社会と組んで援助していくことが必要ではないか、こういうふうに思っております。たとえば社会教育につながっていくとかあるいは心理学、医学等の講座を設けて、出産前八週間ころにはたとえ三日でもそれを聞きに来なさいというような、あらゆる面において私は必要な知識があると思うのです。こういう辺等につきまして相当準備が必要でないかと思うのですが、どうですか。
○橋本説明員 現在でございますと保健所が中心になってやっておるわけでございますが、なお、保健所に行けない地域の人等もございまして、開業医による保健指導というものにも力を入れていくとともに、やはり母子保健は地域的な問題が非常に大きいわけでございまして、町村を指定しましてそういうふうな、いまお話しになりましたような妊娠中の胎教といいますか、母親の教育といいますか、そういういろいろな面につきましてやはりそういうふうな話し合いの場といいますか、相談の場といいますか、そういうふうなものがあらゆる面から取り入れられるように、市町村を指定しまして総合的な施策というものを行ないつつある現状でございます。
○吉田(賢)委員 これはやはり保健所では事足りません。市町村にまかすということでは事足りません。もし少年問題ないしは非行問題というのを国策の重要なものとして出されるのならば、やはり胎児時代にもっと真剣な態度で行政は取り組まなければいかぬと思います。いまの保健所ではそれはとてもできません。市町村にまかしておくといったそんなことではございません。ですからこれはあなたは局長と御相談になって、省議としてここは一歩前進するように新しい施策を立てるようにひとつ鋭意研究するようにしてください。よろしゅうございますね。 それから続いて、出てきた子供に対しましての保育、託児の問題です。これはやはり過疎、過密が最近顕著になってまいりましたので、農村地帯におきましては私立の保育事業はなかなか経済的に成り立ちにくいわけです。 〔委員長退席、丹羽(久)委員長代理着席〕 過密地帯におきましては需要過多であります。こういう状態になりつつあります。したがいましてその辺がまだまだ不十分でございますので、託児事業にいたしましてももっとやはり手を差し伸べまして、そして母の健康のためにも児童の健全育成のためにも、両面からこれはさらに再検討の段階にもう来ていると思うのです。これを来年の予算にどういうふうに盛り込んで、どんな施策を厚生省はこの際持とうとしているか、私は存じません。きょうは法務省関係で若干資料的に伺うのでありますから、掘り下げて伺うつもりはございませんけれども、そのかまえを持っていきませんと、やはり児童の健全化とか非行を絶滅するとかいう方向へなかなか行き届いた施策は立てられません。だからいま地方の保育とかあるいは託児問題については、常設も臨時もいずれも再検討時代に来ているというふうに私ども考えるのです。ですからこの点につきましては、何かあなたのほうで御意見があれば聞いておきまして、そして合わせて、これはやはり重要なので、省議として打ち立てまして、この際充実するようにしたいものだと思いますが、どうでございましょうね。
○橋本説明員 確かに、最近の人口の移動によりまして過疎地帯あるいは過密というふうなことが叫ばれておるわけであります。それに関連しましてやはり保育所の問題等もいろいろ問題があるわけであります。現状としましては、地域というふうな問題よりも、全国的にまだ保育所が足りないというふうな現状にかんがみまして、とにかく早く保育所を増設したいということが、いま最大の努力になっておるわけであります。反面また、保育所のできないような地域等におきましては児童館を増設しまして、ある程度そこで子供の集団的な指導を実施していきたいという関係で、両方の施策を並行して推進していきたいというふうな現状に相なっております。 なお、ほんとうに過疎になった地域の問題についても、今後まだ検討の問題があろうかと思いますが、現状としましてはそういうふうな保育所の増設、児童館の増設、また僻地につきましては僻地保育所の問題等もありますが、そういうものを並行して推進していきたいというふうな現状でございます。
○吉田(賢)委員 厚生省、よろしゅうございます。 具体的になりますが、青少年問題について勝尾さんに、さきに大臣のときに触れましたが、伺いたいと思います。 不良環境、有害環境についてもっと抜本対策というものを——これは法務省だけの仕事ではございません、内閣全体のことになるかわかりませんが、これは矯正の世界でもないようであります。こういう面について抵抗力を養うというか、対抗する何かを身につけるというか、私は、有害な環境に対する対策をおろそかにしましたら、いたずらにオオカミの前にうまい肉を渡してやるようなことになってしまいはしないかと思うのです。せっかく矯正で一生懸命になってやられても、そこらはどうしたものでしょうか。あなたのほうは中で一生懸命やっておる、中で指導してやる、社会的訓練をしてやる。外へ出たらそんなやつが待っておる、これがいまの状態ですが、何かその辺はうまい手を考えてくれとは言いませんが、抵抗する力を身につけさすという手はないものでしょうか。批判する、はね返す、抵抗する、そういうふうなものを身につける手はないものであろうか。こういうふうな点は、中で訓練はむずかしいかもしれませんが、どうしたものでしょうね。
○勝尾説明員 施設内に収容している少年に対するただいま御指摘の点について、私のほうで考えておることを簡単に申し述べたいと存じます。 御指摘のように、施設内で外部から一切遮断をしておいて、一定期間が過ぎて直ちに社会に出すと、そこに本人の生活環境に大きな格差があるわけでございます。そこで収容少年を社会に出す前に訓練をして、徐々に社会の空気にある程度ならしておく。一定期間かけて、一応本人に自立心を養わせ、克己心を植え込む。そこで今度、その植え込んだ克己心なり自立心が、施設の中からいきなり外に出した場合にくずれないようにするためには、施設内の処遇の最後の段階において、いわゆる自由の制約をある程度はずして、社会の空気になれさして一般社会に出すということが必要ではないか。われわれのほうでは、釈放前の処遇、釈放前の教育といっております。 具体的に申し上げますと、成人刑務所等の場合では、釈放前の、一応の矯正の目的が達せられたと認められる者については、外部の構外作業あるいは大井の造船作業場というような外部の工場に出役させて、一般の工員たちと一緒に生活をさせた上で釈放する。少年の場合でいえば、院外補導と申しまして、外部の工場あるいはしかるべき人に少年の身柄を託して一定期間訓練をさせた上で、いわゆる抵抗力を実験した上で最終的に釈放する。こういった釈放前の教育について充実強化という線でいろいろ現在努力しているというのが実情でございます。
○吉田(賢)委員 再犯、再々犯繰り返してやまぬ、これがもう最大の原因なんでしょう。
○勝尾説明員 再犯あるいは再々犯の原因、非常に複雑でございますが、御指摘がございましたように、せっかく施設の中で一応のあかを落として、その状況ですぐ外へ出しますと、いうなれば真空状況のところからばい菌のあるところにいきなり出す、こういう状況になります。ばい菌がないという社会は考えられませんので、結局、ばい菌に対する抵抗力を施設内の処遇の段階でも取り入れていくということが、私たちのほうから見た場合に、再犯を防止する一つの有力な手がかりになるのじゃないかと思います。
○吉田(賢)委員 やはり施設内部の指導の段階におきまして、施設というからをかなぐり捨てて、全く専門化した、強固な指導、訓練、規律のもとに人間の再教育をするということに、私はもっと大胆にあなたのほうで人材を投入して、あらゆる施設を用意する必要があろうと思うのです。いまの状態を見てみますると、こういうと失礼ですけれども、みなやっぱりお役人ですよ。お役人がやっておるんですから、何か知らぬけれどもぎごちない、板についておらぬのです。ですから、もしそれをある企業において見習い指導なんか受けておる激しさと比較いたしましたら雲泥の違いですよ。だから、そのくらい厳格な規律、訓練のもとに指導してやる、六カ月なら六カ月、一年なら一年。しかし、一たん独房に入り、共同の部屋に入る等々いたしましたら、それはそれなりで一つの規律、秩序は守っていくという、法行政の秩序は守られていくというふうに、万事そうするためには、これはまだまだ足りないのです。だから、そういう意味において行政改革どうこうということでさっきもどなたかが行管なりあるいは大蔵省のことをちょっとお述べになっておりましたけれども、行管、大蔵省というのではなくて、もっと大きな見地に立ちまして、日本の多数の青少年のために、日本の将来のために、次代をになう国民のためにという立場に立ちまして、私はもっと専門家を導入し、厚門施設を持ち込み、それで専門の技術訓練指導をやっていくということにしまして、そこで人間をつくりかえていく。しかし、一歩隣の建物へ行きましたならば、そこにはやはり少年院なら少年院、受刑者なら受刑者といたしまして、それはそれなりの規律をきちっと守らなきゃいかぬというふうに、きわめて高度な厳格な指導をする。その指導者がどうもこのごろ足らぬというような感じがしてならぬ。だから失礼だけれども、やっぱりそういう面であなたの内部の人材を強化せなければいけません。この面におきまして、やはり消極、退嬰は許されません。あなたのほうは電算機を取り入れるらしいんだが、こういう日進月歩の時代に入っておりますから、刑務所だからといってこんなことをしているだけでは役に立ちません。そんなことじゃだめです。それじゃなしに、そいつをかなぐり捨て去って、訓練、指導するときは全く企業の内部の工場と同じだ、激しい指導、訓練を受けているという姿は、全くものすごいくらいにまで充実さすならば抵抗力がつく。自信が出ますよ。一つは自信ですよ。私には二、三人の教訓があります。君は行け、君はだいじょうぶなんだといって前科を隠して、そして社長さんにだけ了解してもらって指導をしてもらったら、模範社員になった者があります。そういうようなものですよ。だから、ほんとうに自信を持って行きましたならば、また持てましたならば、世渡りにどの方面でも突破していけますから、それだけ使命感に燃えた矯正事業をやってほしいと思うのです。そのために予算が少なければふやしたらいいですよ。人が足りなければうんとふやしたらいい。これはほんとうに生きた行政だと思いますね。そういうふうにあなたの仕事はたいへん重要ですから、ひとつ省議をまとめる方向に持っていかれることを御希望申し上げます。がんばりなさい。
○勝尾説明員 御指摘のとおり、最後は人の問題になります。さらに収容者の立場からいえば、自信を持つということが最終の目標でございます。したがいまして、職員の質並びに数の充実について従来以上の努力を続ける所存でございます。
○吉田(賢)委員 終わります。
○丹羽(久)委員長代理 浅井美幸君。
○浅井委員 私は、本日は刑務所内におけるところの労務提供という課題でお聞きしたいと思いますが、当委員会は決算でございます。その刑務所内におけるところの収容者が労務を提供しましてそれによって収入があります。それは歳入としてあがってくるわけでありますけれども、四十一年度あるいは四十二年度においてどのくらいの金額がその労務提供によって歳入として見込まれておりますか、これをまずお答え願いたいと思います。
○勝尾説明員 労務提供による歳入は約二十億でございます。したがいまして、全体の作業歳入は五十七億ございますので半分より少し下という数字であります。
○浅井委員 五十七億でありますと、労務提供のほかに物品製作作業あるいは加工修繕等を含む五十七億でしょうか。
○勝尾説明員 御指摘のとおりでございます。
○浅井委員 全国の各刑務所に入っております各業種の契約でありますが、この契約はどのような形でなされておりますか、また、どのような法律のもとに契約なされておるのか、これをお知らせ願いたいと思います。
○勝尾説明員 作業の契約は民法による双務契約でございまして、業者と刑務所長との間に結ばれる契約ということでございます。
○浅井委員 民法による双務契約だそうでございますけれども、これには何か一定の基準がございますか。たとえば保証金等も入っておるようでございますが、この保証金の金額が各業種によってばらばらでありますが、これに対する基準等はきまっておりますか。
○勝尾説明員 刑務所長が刑務作業として契約を結ぶにあたりまして本省のほうから指導しておりますのは、一つはその作業の内容がいわゆる収容者の社会復帰、更生という目的から見てふさわしい内容のものであるということ、それからその作業の性格が継続性を持ったものであるということ、さらにこれは会計検査あるいは債権管理の法律といった別の国の債権関係にからむ法網のたてまえから、最低二カ月分の工賃を契約保証金として前納させる、こういう指導をいたしております。
○浅井委員 いまきめられたことは、一つの内規でしょうか、一つの法律できまっておるものでしょうか。
○勝尾説明員 内規でございます。
○浅井委員 二カ月の工賃を前納させるたてまえになっておられるそうでありますけれども、これは必ずしもその刑務所においてこのとおり実行されていないところがございますか。
○勝尾説明員 具体的な相手方の会社の安定性だとか、そういったことから最低二カ月というものについて、若干の例外はあろうかと思っております。
○浅井委員 どういう場合にそういう例外が出ますか、その点でもしもよかったら教えていただきたいのですが。
○勝尾説明員 それはこの作業契約は毎年ごとに更新されることに相なっておりますが、長年の間作業契約をしてその実績等で間違いがないという場合、あるいはその会社の資産内容等から見て、場合によってはこの二カ月というものが、若干の上下があろうかと思います。
○浅井委員 ではその次に、この職種内容において、金額でありますけれども、契約単価というように表現されておりますけれども、契約単価あるいは賃金、これは非常に各刑務所においてばらばらでありますし、また私たち一般市場の労賃から比べますと、非常に低いのですけれども、この点はどういうことになっておりますか。
○勝尾説明員 抽象的にまず申し上げますと、契約賃金を定める際に、当該施設の所在する地域、その付近の同種または類似の作業の労務賃金あるいは加工賃を基準としてきめるようにという指導をいたしておりますが、御承知のように刑務所における作業という特殊な事情がマイナス面として働いている。そのために一般の地域における当該同種のあるいは類似の職種の賃金よりも安くなっているというのが実情であろうと思います。
○浅井委員 そういたしますと、いまもう少し話を前へ戻しますが、特殊事情があるのでということでございますけれども、この刑務所と事業所との契約に対して、一般公募等をなさっていらっしゃるのでしょうか。それとも特殊な関係を何かでおさがしになってこのようにやっておられるのでしょうか。
○勝尾説明員 いわゆる契約の相手方をどうしてさがすかという問題は、一般経済界の好不況とかなり影響があるようでございまして、いわゆる仕事がなかった時代には、刑務所の職員が注文をとるのに奔走したという時期が戦後しばらく続いたのでございます。最近はむしろこちらから注文をとりに行くというよりも、外部のほうからいろいろ聞いて、契約を結びたいという申し出のほうが多いようでございます。したがいまして刑務所といたしまして、新聞で公募をするとか、ラジオで広告を出すとかいう性質のことはやっておりません。
○浅井委員 そういたしますと、先ほどお答えになりましたいわゆる刑務所の特殊地域ということについては、契約の相手先が、いわゆる契約についての特殊性があるのではないわけですね。刑務所内におけるところの何かの諸条件が特殊事情であって値切られる、いわゆる平易なことばで言うならば、契約先から値切られるというそういうおそれではなく、いまやむしろいまお話しのように現在は一般労働力が不足であります。したがってそのような安い条件のもとで製品がつくられるというならば、各業界もいわゆるその労働力に対して目をつけている。むしろみんな競うていわゆる刑務所内におけるところの労働力をねらっている、そういう現況であります。したがって競争原理の上から言えば、コストは自然ともっと上がっていいのではないか、そのように私は思うのです。ところがその点については非常に安い。この点については私はもう少し説明をしていただきたいと思います。
○勝尾説明員 刑務所の特殊事情といいますのは、いわゆる施設側の特殊事情でございます。たとえば収容者がいわゆる社会で非行ないし犯罪を犯したという者で勤労意欲に乏しい、こういう欠点が一つございます。それから、作業の性格がいわゆる強制労働ということで、積極的な目的意識が欠けている。さらに収容者のほとんどがいわゆる社会において手についた職を、技能を持っていない者であるということで、技能水準が全般的に低い。それと刑期が来ますといな応なしに出所をしていくということが、非常に不安定である。それから刑務作業の一日の時間が八時間でございますが、この間に面会だとか、あるいは医者の診察だとかいったような他の行事が入ってくるために、実際的に八時間が六時間程度にしか実働の時間がない。最近の傾向としては、民間の作業が流れ作業が取り込まれてきておるわけでございますが、この流れ作業を刑務所の中に持ち込むということについては、隘路が施設側にあるということ、それから収容者の知能指数、そういったものが千差万別であるといったようなのが施設側としては契約単価をきめる際にマイナスに働いているわけでございます。最近の労働力不足という事態からいわゆる刑務所の労働人口というものが目がつけられているということは御指摘のとおりでございますが、中にはいわゆる安いから頼もうといったようなものもあるやに聞いておりますが、これは先ほど申し上げましたように、刑務作業の目的と、それから安定性、継続性、さらにいまのマイナス面、こういったものを総合してできるだけ高い契約単価をとるようにということを指導もし、また努力もしておるというように承知しております。
○浅井委員 これは一つ一つ私は問題があると思うのですが、勤労意欲に乏しい、あるいは積極的な目的意識が乏しい。これらの点について、これは刑務所内におけるところの収容者に対する指導あるいは監督あるいは矯正、その立場から、これはそういう点を改善していくべき問題であろうと思うのです。これはその係官の努力によってもっともっと改善はできると思うのです。先ほども質問の中で指摘をされておりましたけれども、それは人の問題だというように言われておりました。確かに私は矯正官の一つの大きな責任であり、仕事の分野ではなかろうか、このように私は思うのです。そして労働力が不安定である、こういうお話でありますけれども、確かに労働力が不安定であるかもしれませんが、では、この刑務所の中においてJISマークの製品はつくっていませんか。
○勝尾説明員 JISマークに該当するほどのすぐれた製品はつくっております。
○浅井委員 JISマークに該当するすぐれた品物はつくっておるとおっしゃいましたけれども、JISマークの製品を全然つくっていないかどうかなんです。
○勝尾説明員 調査したところでは、工業標準規格に該当する製品をつくっている施設はございます。該当する製品をつくっております。
○浅井委員 その該当する製品ということは、私はちょっと、頭があまりよくないのでよくわからないのですが、JISマークの製品をつくっておるということですか。そのように解釈してよろしいか。
○勝尾説明員 ことばをかえて申し上げますならば、JISマークに該当する製品をつくっているが、JISマークをつけるというようなことはしていない、こういう意味でございます。
○浅井委員 矯正局長の管轄ではないので、通産省の関係なんですけれども、いまあなたのおっしゃったJISマークに該当する製品をつくられて、それが本社にあるいは自分のもとの工場に持ってこられてJISマークをつけて売られておる事実があります。やはり労働力によってそのような優秀な製品ができておるのです。それができておるところの賃金は一体どうなっておるか。優秀な工員とみなされると私は思うのですが、その人の賃金は、一般の人の賃金とどれだけの差がありますか。それは御存じでしょうか。
○勝尾説明員 具体的には承知いたしておりませんが、いわゆるJISマークをつけるという問題については、工業標準化法でございますか、これに詳細な手続が規定されていると承知いたしております。したがいましてこれは工業技術院、通産省の所管であろうかと思いますが、いわゆるJISマーク製品の表示をできる工場というのは指定をされまして、その指定された工場なり会社がその製品の一部等を外注してつくるということを了解を得てつくる場合は、工業標準化法上は問題はないように私どものほうで承知いたしております。 それからいまのJISマークに該当するほどの商品をつくる労務者というのは非常に優秀ということでございますが、これは手数の問題といたしまして、一個の製品をつくる場合に一人だけでつくり得る場合あるいは数人の補助者をつけなければつくれないというような場合あるいは一個の製品をつくる時間が民間におけるよりも長くかかるとか、そういったような問題がからんでまいりますので、一がいに賃金額だけで高い低いということを判定するのには多少困難があろうかと思います。ただ先ほど申し上げましたような要素がありますので、若干は低いというように承知しております。
○浅井委員 いま若干低いとおっしゃったのですけれども、先ほどから問題になっているのですけれども、労働能力というものについて、では一般の工場においてそういうふうに労働能力が少し落ちるからといって、そういう大きな賃金格差がございますか。私はそんなに賃金格差がないと思うのです。優秀な工員もおれば優秀でない工員もおる。一般工場においては同様に扱っておる。それらを刑務所の中では十分にえらい考慮をなさる。どういうわけでそういうように考慮なさるのですか。私はその点がよくわからないのです。このような優秀な製品ができあがるのにもかかわらず、その一人当たりのいわゆる工賃が、旋盤工で五百五十円あるいは六百円、プレス工で三百七十円というところがあるのです。こういうところは一体どういうことになっておるのですか。私は判断に苦しむわけです。この契約先は非常に多い。まして日本経済界の一流メーカーといわれるような会社も入っております。私は一々名前をあげることは差し控えますけれども、ここに資料があるので、この資料を見ればその点が明らかに出ておる。不当に安いという感じを私は受ける。それらの点について、あなた自身、これを不合理だとお考えになりませんか。
○勝尾説明員 私どもの承知しているところでは、同じJISマークをつけ得るような商品ができる過程で、やはり一般民間会社との間に相違があるのじゃないかと思うのでございます。たとえば作業時間等が六時間くらいしか働かない。一般民間では八時間、十時間働くというように、作業の具体的な内容において民間との間にかなりの相違がある。それがこの契約単価をきめる際に反映をしておるのだろうと思うのであります。しかしながら、この賃金を、このままでいいというわけではなしに、できるだけ多くするよう指導はいたしております。
○浅井委員 あなた、先ほどから六時間、六時間とおっしゃいますけれども、ほんとうに六時間ですか。全部六時間じゃない。あなたのところの資料にも表があるじゃないですか。実働八時間と書いたこのデータが出ておるじゃないですか。それをあなた自身がなぜ六時間、六時間と……。毎日面会があるわけじゃないでしょう。
○勝尾説明員 実働八時間でございますが、いわゆる拘束される時間が八時間でございますが、その間に昼食後の休憩とかあるいはお天気のいいときには休憩等をやらせることがありますので、必ずしも八時間は守られていないというのが実情であると私は承知をいたしております。
○浅井委員 実働……。それじゃ資料をあげましょう。あなたのほうからもらった資料にちゃんとあるじゃないですか。これはうそですか。松江刑務所をあけてくださいよ。その表に実働八時間と書いてはありませんか。松江はどうなっていますか。
○勝尾説明員 契約上は八時間でやっておりますが、実際の働く時間というのが八時間を割っているというのが実情でございます。
○浅井委員 契約上じゃないよ。この表の中に実働八時間とわざわざ注の中にうたってあるじゃないですか。
○勝尾説明員 資料を調べますから、ちょっとお待ちください。——御指摘のとおり一日実働八時間と書いてはございますが、ただいま申し上げたのが実情でございます。
○浅井委員 あなたのほうでそうがんばられるなら、これはどうしようもありませんけれども、この表を見ればそういうふうに書いてある。一日実働八時間ということの契約が、もし契約上そのとおりでなければ、刑務所は契約不履行ですか。契約違反じゃないですか。
○勝尾説明員 契約の面では確かに八時間といち条項を入れているようでございますが、実態が八時間を切れるということは、業者のほうも暗黙のうちに了解をしている、そしてそれが契約の単価の面に影響をしてきているのじゃないかと私は推測いたします。
○浅井委員 契約にしても内規できめられてある。刑務所長の判断においてやっておる。そしていまのように労働力不足な状態になってきて、みんな刑務所内における労働力がほしい。契約したいと思っておる。ところが契約しておる人たちはあいまいな契約で、時間の問題にしても、このようないいかげんなやり方でやっておる。あなたは矯正局長としてその指導監督に当たらなければならぬ。再三再四あなたはそのように指導しておりますか。
○勝尾説明員 いま言ったような問題も含めまして、もう少し生産力を上げると申しますか、計画的な作業ができるように目下努力をしておるところでございます。
○浅井委員 そんなばかな話はないじゃないですか。ずさん過ぎるじゃないですか。契約上におけるところの話は一日実働八時間、実際は八時間やっておりません、六時間くらいです、ですから、それが契約単価に響いておるのでしょう、そういうずさんな契約なんかあるわけないでしょう。法のもとに定められた契約のとおりにそれを実施するのが、この定められた法の内規じゃないですか。それを何ですか、いまあなたのおっしゃるのは。契約だけであって実質は違う、契約にはそううたってあるけれども、それはやられないのだ、そんなばかな法がありますか。こんなずさんなことをいままでやってきたのですか。何のための指導監督をなさっておったのですか。お答え願います。
○勝尾説明員 実働八時間、これは文字どおり八時間機械の前で働かせるということが事実上できなかった、先ほど申し上げましたように、途中の面会とかあるいは事務の取り調べとかそういうことがありましたので、平均をいたしますと八時間を割るということがあるわけでございます。
○浅井委員 これは私たちも疑問に思っておるのです。この刑務所内におけるところのいわゆる労働者の賃金が非常に安い。なぜ安いのか私は判断に苦しむ。先ほど一番最初に申し上げた。そして優秀なJISマークと同じような製品ができてきておっても、そのように不当に安い——矯正局長さん、たとえば金属部品の例をあげましょう。大阪の刑務所の中におけるところの加工修理、あるいは労務提供の欄にございますプールボックスあるいはスイッチボックス、M金属工業株式会社、一人一日当たり四百五十円、五百円、あるいは六百円、これが一般通常社会における労務であれば、どのくらいのコストがするのですか。この会社はJISマークの製品をつくっていらっしゃる。
○勝尾説明員 大阪の同種のものの賃金が幾らかということは、ただいま私資料を持ち合わせておりませんので、お答えいたしかねます。
○浅井委員 これは千円から千二百円です。半分です。そして安い労務賃金によってできたものを市場へ持ってきてダンピングをやっているというふうにうわさをされておるのです。そのような事実があって、そのようなうわさがあって、そして不当にこのように安い。私には不当ということばを使わざるを得ないじゃないか。契約自身が初めからずさんでありますから、刑務所のほうも守らせようともしない。また相手側もそのことをいいことにして賃金を安くしておる。お互いにそういうふうに見られるのであります。この点どうでしょう。
○勝尾説明員 具体的な本件につきましてダイピングがあったのかどうか、その辺私は承知いたしておりませんが、実情につきましてはただいま御指摘がありましたので、直ちに調査させていただきます。
○浅井委員 直ちに調査じゃなくて、四百五十円、五百円、六百円が市場では千円から千二百円だというのですよ。その点はどうなんですか。
○勝尾説明員 市場の千二百円というものがこの場合四百円ないし六百円であるということについて、なぜそうなったのかということについてあわせて調査させていただきます。
○浅井委員 これはこの一カ所だけではないのです。この表全体に、全部が、あなたもこれをしさいに見られたらみんなおわかりになります。一日に三百六十円あるいは二百七十円、このような金額がずらり並んでおります。これは一体どういうことかと私は言いたいのです。いまの日本の労働条件といいますか、あるいは日本の労働需要といいますか、これは明らかに前時代的であります。そしてあなた方がさっきから何回かおっしゃった、今度社会復帰のために、あるいは更生のためにと口先ではおっしゃっておるけれども、実際に言っておることは勤労意欲に乏しいとかあるいは知能指数が低いと言われておる。言っておることと実情とは矛盾しているじゃないですか。この点はどうなんですか。
○勝尾説明員 知能指数が低いとか勤労意欲が乏しいということは、これは私実情をそのまま申し上げたわけでございます。したがいまして、この勤労意欲の高揚、さらに知能指数が低くても技能を教え込ますということによって、作業の内容がおのずから充実されてまいります。そういたしますればこの契約単価ということについてももっと高い単価を業者と折衝できるということになると思っております。
○浅井委員 あなた自身もずさんであったということをお認めになるならば、私はこれであまり深くは申しませんけれども、やはり先ほど少し申し上げましたけれども、ダンピングによって大きな市場の混乱というわけではありませんけれども、競争会社の相手方に対しては相当な刺激を与えておる、そして乱売をしておる、そういう事実が出てきているという話であります。したがってこの契約に対する問題ももっと公正にやらなければならない問題であります。またこの契約金額においてももっと公正にやらなければならないはずです。そしていわゆる法務省関係の予算を有効に、歳入をはかって、そして私は収容者に対するもっとあたたかい——先ほど南方米の話も出ておりました。またある収容施設はいまだに上水道がなかった。予算がないので上水道ではなくて、その辺の水を引っぱってきて、かってに自家消費しておった、そういう話であります。私はもっともっと改善する——先ほどから何回か同僚委員もおっしゃっておられましたけれども、人権宣言の年である。いわゆる人権というもの、罪を憎んで人を憎まない、人間尊重という立場からいうならば、もっともっと改善すべき点はたくさんあると思う。 私はもう一点お伺いしたい。この収容者たちが何年か収容されて出ていかれるときに、一体この本人たちは幾らもらって出ていかれるのか、この点について伺いたい。
○勝尾説明員 収容者が出所する際にこの金を渡すことに相なっております。在所中に若干日用品等を買うのに使っておりますが、そういったものを差し引きまして、出所する際に持っていく平均額は、生活保護法のほぼ一カ月分でございます。
○浅井委員 金額は。
○勝尾説明員 八千五百六十九円でございます。
○浅井委員 これは在所年数には関係ございませんか。
○勝尾説明員 在所十八カ月の場合でございます。
○浅井委員 五年とか十年とか十五年とか、それを言っていただけませんか。
○勝尾説明員 いま手元に持ち合わせておりませんので、正確な数字は後ほど申し上げますが、やはり景気その他に関係いたしますが、一番多い場合で三万五千円から四万円でないかと記憶しております。
○浅井委員 まず私は八千五百六十九円で申し上げたいと思うのですけれども、十八カ月、一年半でございます。その一年半で出ていくときに八千五百六十九円、現在の物価高の、いわゆる生活が非常にたいへんであるとき、八千五百六十九円で何日間生活できるか。いわゆる一度そういうふうに収容されてきたという人たちは、社会復帰が非常にむずかしいというように言われております。また社会もそういう人たちを、何といいますか、非常に避けるという風潮がいまだに残っております。したがって、それらの人たちは就職がなかなか見つからないのが現状だと思う。就職率が悪い。しかるに八千五百六十九円であるならば、食べるお金がなくなって、また再び同じような罪悪を犯してでも、生きるために食わなければならないという、そういう姿になるのが至当ではないかと思うのです。この辺についてはいわゆる検討はされたのでしょうか。
○勝尾説明員 いわゆる出所後の問題でございますが、現在の制度のたてまえといたしましては、これは更生保護のほうの機関に移っていく、すなわち宿舎がないとか、帰る所がない、職がないといったような者については、更生保護会というところでめんどうを見る、一応こういう仕組みになっているわけでございますが、それはそれといたしまして、この八千六百円程度では少ないということで、私はこの増額について毎年努力しているような次第でございます。
○浅井委員 どの程度の増額をあなたは要求され、またことし、昭和四十四年度の予算に反映しようとして、どの程度の予算要求をなすったのですか。
○勝尾説明員 生活保護法による生活扶助の最低基準額、これが昭和四十三年度で一カ月分が九千五十五円でございますが、せめて一カ月半くらいの金額を、出所の際に持っていけるようにしたいということでございます。したがいまして一万三千円くらいになるかと思っております。
○浅井委員 それにしても少ないわけであります。先ほど来収容者の中ではいわゆる労役に徴されて——懲役でありますから、それが一つの罰則の規定にはなるのでありましょうけれども、いわゆる一日千円あるいは千二百円、当然それだけの賃金をあげるべきもの、それに一年、二年、三年、五年と働いて、十年働いても、わずか三万五千円から四万円程度しか収入がないと言われる。それでは社会復帰ということを口では仰せになっても、現実はほど遠いのではないか、このように私は思う。この点についての改善はすみやかになし、あたたかい手を差し伸べるべきだと思うのですけれども、この点はどうでしょう。
○勝尾説明員 考え方としては全く私は同じでございますが、結局は社会福祉全般のワクの中で解決されていくというのが現状でございます。それと拘禁生活をされている者についての労働の報酬というものを、どのように性格づけていくかということについて、いろいろな問題がございますので、これは私のほうで現在監獄法の改正の問題とからめて検討いたしておりますが、とにかく在所十八カ月で八千六百円程度というのはあまりにも低いということで、その増額を心がけているような次第であります。
○浅井委員 いまのお話で、法を改正するという意思あるいは決意があなたにおありなのですか。
○勝尾説明員 改正をする予定で、現在作業を進めているところでございます。
○浅井委員 質問の順序が少しおかしくなったのですけれども、ちょうど労働省の賃金統計課長ですか、清水さんお見えになっていただきましたので、お聞かせ願いたいのですが、私のきょうの質問は、刑務所内における労働賃金が非常に安い。そこでたとえばということで、一般金属関係のプレス工あるいは旋盤工等の一日の通常の値段は幾らかということをお聞きしたいわけなのです。これはお答え願えますか。
○清水説明員 労働省の統計調査部で毎年実施いたしております賃金構造基本統計調査というのがございますが、昭和四十二年四月に実施いたしましたものについて統計が公表になっております。それによりますと、私どもの調査は一日当たりではなくて月額の調査になってございますが、金属プレス工の場合は所定内の給与が月額三万円ちょうどでございます。それから旋盤工は同じく三万二千六百円でございます。それから木工関係につきましては、木工という職種では調査いたしておりませんので、木工関係の例といたしまして、家具工についてみますと、家具工につきましては、所定内で三万六百円になっております。それから建具工につきましては、所定内で三万三千六百円、こういう状況でございます。
○浅井委員 矯正局長、いまお聞きになったように、これは実働大体二十五日ですね、休みがありますから。こちらも同じですね、二十五日は。やはりこれだけで見ましても、先ほどあげた金額が不当に低いということはおわかりだと思うのです。家具にしても、これはごらんになっていただいたら、せっかく御調査になったのをよく見ていただければわかると思いますが、一個六百五十円だとか、あるいはベッドでも九百円だとか、いろいろありますけれども、これは一日につくる金額ではないはずなんです。ですから、その辺の点について、ただ刑務所長の権限でおまかせになるのではなくて、いまのような、労働省でちゃんと労働の賃金の統計をとられておる。四十二年においてそうであります。物価上昇率からいい、賃金の上昇からいえば、これを上回っておることは明らかなんです。したがって、これは現在実施されておるのです。四十三年の九月三十日現在においてのこれは統計であります。したがって、不当に低いということは、もう矯正局長にほんとうに認識を改めていただきたいし、改善の早急な実現を私は望みたいのです。この点どうでしょう。
○勝尾説明員 ただいまの労働省の御説明によりましても、金属の場合、半分以下というような数字に相なっておりますので、原因はいろいろあろうかとは思いますが、それにいたしましても、やはり一般の半分以下ということについては問題があると考えざるを得ないと思うのであります。したがいまして、契約の単価のきめ方につきましては、従来以上にきめのこまかい指導をやることをいたしたいと思います。
○浅井委員 最後に私の望みたいことは、いまの問題と、先ほどの出所の際のいわゆる収容者に対する手当と申しますか、報償費といいますか、私は詳しいことはわかりませんけれども、これとても、いわゆる完全なる社会復帰のできるようなあたたかい手を差し伸べる姿勢、あるいはその実現方を強く要望しておきます。よろしくお願いします。 委員長、これで終わります。 ————◇—————
○丹羽(久)委員長代理 この際、閉会中審査申し出に関する件についておはかりをいたします。 すなわち、決算の適正を期するため、 一、昭和四十一年度一般会計歳入歳出決算、昭 和四十一年度特別会計歳入歳出決算、昭和四 十一年度国税収納金整理資金受払計算書、昭 和四十一年度政府関係機関決算書 二、昭和四十一年度国有財産増減及び現在額総 計算書 三、昭和四十一年度国有財産無償貸付状況総計 算書 四、歳入歳出の実況に関する件 五、国有財産の増減及び現況に関する件 六、政府関係機関の経理に関する件 七、公団等国が資本金の二分の一以上を出資し ている法人の会計に関する件 八、国または公社が直接または間接に補助金、 奨励金、助成金等を交付し、または貸付金、 損失補償金等の財政援助を与えているものの 会計に関する件以上八件について、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○丹羽(久)委員長代理 御異議なしと認め、よって、さよう決定いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時五分散会