石炭対策特別委員会 閉会後第4号
- 発言数
- 117 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1968/11/30
会議録
○委員長(阿具根登君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。 当面の石炭対策樹立に関する調査を議題とし、石炭政策基本問題に関する件について調査を行ないます。 質疑のある方は順次御発言を願います。 〔委員長退席、理事大矢正君着席〕
○阿具根登君 非常に答申がおくれて、新聞で見れば、やれ十一月の終わりには出るだろう、あるいは十二月の初めには出るだろう、こういうことで再三委員会を開いておりますが、なかなか答申案が出てこない。しかも答申案の出てこない原因は、植村甲午郎会長と通産省の間の意見が食い違っておって、そうして答申が出ない、まあこういうことが盛んに新聞で言われておるわけなんです。しかも、大蔵省は見えてないようですが、大蔵省もそれに一枚かんで、あとで大蔵省のほうに質問いたしますが、石炭政策そのものについて、大蔵省は大蔵省の独自の見解を出しておる、通産省は通産省の独自の見解を出して、審議会にそれをのませようとしている、こういう傾向にあるんじゃないかと思うんです。そういうことであるならば、審議会に諮問する必要はないので、通産省は通産省の独自の案を国会に出してもらえば、われわれとしてそれに対する審議のしかたもあるわけなんです。今度の石炭答申に関しては、何かいままでの審議会方式というのが変わってきておる。おそらく答申が出てくるときには通産省の意見も大蔵省の意見も取り入れられて妥協の産物が出てくる。この審議会の方々が非常な専門的な公正な立場から今日まで三回も抜本策なるものを出して四回目であると、極端に言えば、その審議会のメンバーの中には四回とも顔を出しておられる方々があって、しかも、そのたびたびに抜本策抜本策と言われておることは、私は非常に心苦しいことじゃなかろうかと思うのです。そういう観点に立って、今度はいよいよ抜本策の抜本策だと、もうこのあと石炭問題については審議しないんだと、国の援助もやらないんだと、ここまで言い切ってやっておられるのに、その審議会の答申案というのが出されない。ということは、通産省、大蔵省は非常にブレーキをかけておるし、自分たちの意見で答申案が出れないような状態になっておりはしないか。こういう観点から質問を申し上げていくわけなんです。 まず一点は、どこがその隘路になっておるのか、新聞紙上に言われておるとおりということになるならば、植村さんの言われるところでは、通産省の言うことを聞くならば、なだれを打って閉山が起こるだろう、こういうことを言っておられる。通産省の言っておられるのを新聞で見るならば、植村会長の言うことを聞くならば、将来は国が全部責任をかぶらなければいかぬようになって、国家管理につながるようになるんじゃないか、こういう反論をされておるようなんです。それは事実なのかどうなのか。事実であるならば、なぜ植村会長案なるものは国家管理につながるものであるか。通産省案なるものは撤退作戦であって、しかもなだらかな四十八年までの撤退作戦だと言っておるけれども、事実それが発表されたあとには、なだれを打って閉山が起こると、こういうことが指摘されておる。そのことについて一体どうお考えなのか。もう相当練りに練られたことでございますので、ひとつここで答弁のできる範囲内で詳細な答弁をお願い申し上げたい、かように思います。
○説明員(中川理一郎君) 阿具根先生からただいま御質問がありましたように、新聞記事その他におきましていろいろな報道が出ておりますので、報道等から御推察になって、公正中立的な審議会に通産省、大蔵省が異なった意見を押しつけておるというようなことがあるという、そういう報道記事がそのとおりであれば、そのことがよろしくないとおっしゃる御意見はそのとおりだと思います。私どもはさような気持ちは全然ございませんで、当委員会等におきましても大臣からも数次にわたって御答弁申し上げておりますように、審議を進めていきます上での経過的な事務整理はいたしますし、それぞれ御審議を願う際に、新しい対策を進める上である個所に触れないで審議が終わってしまう、つまり重要な項目について欠除があるというようなことがあってはいけませんので、こういう問題はたとえば国会等で御意見もございますし、こういう議論もありますから、この点はひとつお忘れなく審議を進めていただきたい、それに必要だと思われる資料は私どもで準備をいたしますというようなこともございますし、いろいろそういう事務的なアレンジというようなことで準備しておりますこと、このことを、あるいはわれわれが意見を申し上げておるというふうにとられる場合もあるかもしれない、それからもう一つは、審議がある程度ある事項について固まりまして、大まかな方向がまとまりまして、これで具体的にひとつ数字を入れて——会長はときどきああいうお年の方でございますので、算を入れろということを私どもに申されますが、ひとつここで算を入れてみろと、こういうことを言われて、それに基づいてそういう計算をしたものをお出しして、それによってまた御判断願うというようなことはやっておりますので、それらのことがもし誤解を与えておるのであれば、これは大きな間違いでございまして、決して会長の御意見を拘束するようなことを私ども申し上げるわけではない。ただ小委員会といえども、六人でございますかいらっしゃいますので、会長とニュアンスの上で違った御意見を持っておられる委員がいらっしゃること、これは数が六人なら六人でそれぞれに違った意見があることはたしかでございますので、そういう若干の意見の違いが外に出たときに、事務当局と会長の意見の違いというような感じで出ることもあろうか、受け取られることもあろうかと思います。決してさようなことはないのでございます。 そこで、阿具根先生が一番御懸念なさっておる、一体いろいろなことをここまでかかってきたのだから、ある程度考えもし検討もしてきたのだろう、そういうものによって今後の対策がうまくいくと考えるかどうかという点で若干の感触の違いがあるのじゃないか、こういうことだと思います。これは、私率直に申しまして、やはりこれは私どもも含めまして、もし私どもがそういうように判断しろと言われれば、私どもの判断も含めまして、いずれにしても向こう五ヵ年という先の想定にかかわることでございますので、非常に安全サイドで考えれば、完ぺきであるかどうかという議論をいたしますと、これは不安なきにしもあらずということは多々あると思います。たとえば気持ちとして、事実上閉山が出ました場合の労働者退職金というものがなるべく一〇〇%出るように考えてみたいという気持ちが、これは会長もありますし私どももあります。ただその際に、国がどれくらいの助成ができるかということにはおのずと限界があるということは、会長も含めまして各委員の御意見もそういうことになっておる、そこであるパーセンテージを、国からの助成によって必要とされる退職金の支払い額というものをある程度保証する、準備する、こう考えたときに、足りない分を企業内で完全にこれが払えるような収支になっておるとその時点でみれるか、あるいはそれについての資金調達が十分できるというふうに見るかということになりますと、先ほどもお触れになりましたように、相当思い切った財政融資というものを強化拡大しないと、御案内のような状態でごごいますので資金繰りがつかないので、これには相当思い切ったことをやらなければいかぬとは思っておりますけれど、一つの産業につきまして、必要な資金を全部国がみるということもこれはまたあり得ないことでありますので、相当思い切った措置を講じましても、これに対して相当の資金調達上の自己努力というものをやってもらわなければいかぬ、しかるにどういう一体その支援的な制度をつくればそれが可能になるかというような点を考えますと、これはまたいろいろ技術的にむずかしい点もありまして、あれこれくふうを会長もお考えになりますし、私どもに命ぜられた限りにおきましては私どもも知恵を出すというようなことでやっておるわけでございまして、先行きの収支の想定なり資金繰りの想定なりというものが、想定でありますだけにこれを非常に心配してみる見方と、まあまあこのくらいならやれるのじゃなかろうかという見方の間に若干の違いが出ておることはやむを得ないことだと思います。全体として、財政負担から言いましても無制限にこれを考えるというようなわけにいかぬことは会長自身も御承知のことであります。そういう御意見で考えておられることでございますから、その間の感触からいっての不安感というものが、石炭鉱業の状況が惑いだけに絶えずつきまとうのは、これは会長ならずとも先生方もそうですし、私どももそうだということなんでございますが、そういうことでまあ一段と何らか見きわめとして安心感の持てそうな案をもう一つくふうできないであろうかということをとつおいついままで時間をかけてきておる。こういうことでございまして、きのうでございますか、新聞にも出ておりましたように、大きな問題として、資金調達上の問題ということにもう一つ検討を加える必要があるということと、労務安定対策上もう一つ何か考えてみたい、そういう意味で少し時間がかかるかもしれないけれども、さらに検討を加える事項としてはその二つのいま中心を置いておるというようなことを植村会長は大臣にお会いになったときにお話になったようでございます。そこらのところをもう少し私どもも実態的に、かつ技術的に詰めたい、こういう会長の意図を受けて私どもも準備をいたしたい、こう思っております。その限りにおきましては、伝えられるような意見の相違とか、そういうようなことがあろうはずがないのでございます。
○阿具根登君 椎名さんがかねがね言っておられたように、自分が在職期間中に石炭問題だけは基本的に解決したいと言っておられて、今日の状態になって、また通産大臣におかえりになるかどうかいまのところわからないんですが、一昨日の五原則の問題では、この次に質問をしてまいりますが、いままで言われておりました中に、たとえば植村さんは石炭分離、第二会社案ということを強く主張された。通産省は旧石炭の負債と新しい石炭とそれ以外の負債というものを三つに分離していくのだ、そこに大きな問題が投げ出されて、植村さんのほうから、それでは通産省のその考えをとるのか植村さんの考えをとるのか、それはひとつ業者にまかせようじゃないか、こういう案まで出された、こういうととが新聞に出されておる、これは間違いないと思うんです。そうすると一体その開きは、その差は何なのか、確かに六人の小委員の中で意見の多少の相違はあると私も思います。しかし、代表されておる植村さんの意見というものは植村さんの現在の立場上、責任上から言っても、これは六人の方のお気持ちの大部分をつかんで発言されておると私はこう思うんです。そうしますと、通産省の考え方とはまるっきり違ってきておる。この点は今日どういう調整をされておるか、お伺いします。
○説明員(中川理一郎君) ただいまの御質問は、私多少取り違えておるかもしれませんが、いわゆる分離構想というものについて、いま審議会がどういう考えになっているか、こういうことと御理解してよろしゅうございますか——そういう観点でお答えいたしますが、会長自身、これは御本意ではなかったんですけれども、早い時期にあることを考えられておったことが関係者のほうから漏れてしまって、植村構想ということで御承知のように外に出たのでございます。絶えず私どもに言っておられましたのは、まあたいへんな時点に差しかかっておるので、相当突っ込んだ審議をしなければいかぬだろう、業界自身も考えてもらいたいんだ、ところが、まあそれぞれの会社の立場、あるいは労働組合の立場、みんな感触が違うものですから、なかなかまとまった意見というものは出てこない。一番最初のころの会長のお気持ちは、業界でひとつまとまった案を勉強さして出してもらって、それを審議会の会長として見ながらものを考えていきたい、こういうお気持ちがあったんですが、残念ながらそれらしきものがなかなか出てこない。こういうことでいいんだろうかということで、石炭鉱業界自身にものを考えさせるという意味合いで、まあ一つの試みの案を考えられて、私がかりに外部で考えるとこんなことも考えられるんだが、君方もひとつこれをとるとかとらぬということではなくて、こういうものを踏み台にしてひとつ考えろ、こういうことをおっしゃった経緯があるわけでございます。そういう観点から申しますと、会長自身まあ議論のたたき台だというお気持ちで出されたものもありますから、それはまた小委員会でいろいろ審議御議論を重ねておられるうちに、会長自身もいろいろ考え方を変えてこられたことがあることは間違いないと思います。おそらく一番最初に考えられた構想といまのお気持ちとでは、これは会長に聞かなければわかりませんけれども、相当変わっておる点があると思います。 そこでいまの分離に関して申しますならば、一昨日の大臣との御会談には、事柄上私ども御遠慮いたしまして、御両人だけの会談でございまして、終わりころに大臣から呼ばれて事務次官が若干補足的に陪席したということはございますけれども、二人だけの話でございますので、私ども承知しておりませんが、ただ事務局としまして私も絶えず会長とは御連絡をとっておりますので、分離に関する限り、何らか政策手段につなげたような形で分離をすればこういうことをしてやるというような形で、事実上分離を選ぶほうに利益があってそうせざるを得ぬようなところにするという形の政策というものはあまり好ましくないというふうに考えておられることは、現時点では非常に明瞭でございます。その意味で分離問題は会社法原則の中で企業の経営者がみずから判断をしてどちらを選ぶかをきめるべきことである。これは政策としましても適当な場合もありましょうし不適当な場合もあるということなんで、これはもう企業側にゆだねる。ただ政策として考えました場合に、たとえば鉱区統合をやるために、明らかにある個所について、A会社の甲という鉱山とB会社の乙という鉱山を一緒にしたほうが能率的だというようなことがあれば、これは政府の立場としておすすめすることはあるかもしれない。あるいは今後の政策の上でそういうことについての何か勧告規定みたいなものを考えたらどうかという議論は出ております。それからもう一つ言いますと、兼業部門を持っておる形がかなりございますので、石炭鉱業に金を投ずる以上、政策として石炭産業の助成に入れている金がほかのところへ流用されることのおそれのないようにという形での経理上の歯どめをつくるというようなことは考えるかもわかりませんが、分離を事実上強制するというような考えはとらないということは会長もおっしゃったようでございます、大臣に対しまして。そういう意味合いにおきまして、この問題はやはり会社法原則の中で企業がある程度自由に考えてもらえばいい。ただ、政策として非常に望ましくない形でそれが行なわれるのであれば、これはブレーキをかけることがあるし、望ましい形の場合にはおすすめすることもあるというのは、この前この席で会長からもお述べになったあの気持ちと変わりはないと思います。
○阿具根登君 この問題はまだ釈然としませんけれども、いずれ答申が出たらゆっくり質問できると思いますからおいておきます。 大蔵省お見えになっておりますからお尋ねいたしたいのですが、実はこの問題は主計官のほうよりも大臣に御答弁願わねばならないのですが、大臣は現在おいでじゃございませんし、無理な御質問かもしれませんが、今度の答申に限って非常に大蔵省が強い発言をされておる。答申に対して、石炭のあり方をどうするのか、年間出炭規模はどのくらいなのか、需要はどのくらいなのか、そうして山を守り、労働者を守るためには一体どうするのかということでみんな苦労しておるのに、大蔵省の発言は原料炭だけでよろしい、二千万トン程度でよろしい、こういうような発言をされておったことを新聞で拝見しております。もちろん国の財政をつかさどっておる大蔵省が意見のあることは当然でございますけれども、ただ、その財源を握っておる一番大事なかなめの皆さんが政策にまで口をいれて、そして圧力をかけるということは一体何なのか。原料炭だけでよろしいというような発言をされたが、そういう考えがまだ大蔵省にあるのかどうか。あるならば、一体どういう点でそれが言えるのか。日本の経済、その中に占める国内産業としての石炭を、極端に言うならば、もう要らぬと言ってもいいはずだ。原料炭だって外国から二千万トン入れている。それなら石炭全部要らないのだ、こういう暴論にまで通ずると思うのです。だから、もしも御承知であるとするならば、原料炭だけでよろしいと言われた大蔵省の真意はどこにあるのか。日本の経済に対してどういうお考えなのか、その点をお聞かせ願いたいと思うのです。
○説明員(亘理彰君) お答えいたします。 ただいまの阿具根先生からのお話の点でございますが、大蔵省が原料炭だけでよろしい、あるいは二千万トンでいいんだということを申したという記事が新聞に出ましたことは承知しております。この点につきましては、私どもが組合の方などとお会いいたしますときにも再三御質問があったわけでございますが、私の知っている限り、そういうことを大蔵省が申しておるという事実はないと思うのです。これはまあ私の知っている限りということでございますが、大蔵省内のいろいろ石炭について検討の推移は逐一承知しておりますので、そういう話が省内で出ておることはございません。したがって、そういう発言があるはずはないわけでございます。私どもも石炭について審議会あるいは通産省からいろいろお話を伺って勉強しているわけでありますが、原料炭がいまエネルギー革命のらち外にあるという意味で一般炭と置かれておる条件の違う点があるということはそうだろうと思いますが、しからば一般炭はもう全くなくなっていいのかということはあり得ない。現在の電力会社の石炭専焼設備用炭、それから暖房用炭、あるいは一部のボイラー炭等の需要を考えますれば、そういうように一般炭はなくなってよろしい、あるいは二千万トンでよろしいというような議論は出てくるはずはないわけでございます。したがって、そういうことを申しておることは絶対にないと思います。私ども財政上の見地から、できるだけ国費——一般国民の負担でございまするから、これは効率的に使っていただかなければならない、財源には限りがある。したがって、そのワク内で、政策の中で相互にバランスのとれた効率的な使い方をしていかなければならないというわけで、政策面の発言をいたしますことはあるわけでございますが、ただいまのお話のような点、石炭の実情あるいは現状を全く知らないような発言をいたしておることはないのでございます。
○阿具根登君 そういう御答弁しかできないと思うのですが、御承知のように、いま炭鉱の労働者は非常な不安を抱いておるわけなんです。災害は非常に大きい。待遇は一般産業から比べて非常に悪い。しかも非常な危険な場所におる。そうして自分たちの将来というものが保障されておらない。いつつぶれるかわからない。そういう一番環境の悪い中で働いておる労働者は、こういう新聞記事を見れば非常なショックを受ける。かてて加えて、若い労働者はほとんど炭鉱から去りつつあります。将来は若い労働力の問題が一番大きな問題になってくると私は思うのです。それだけしいたげられておる、一番苦しい仕事をしておる、一番危険な仕事をしておる、そうして非常に敏感に中央の動き、新聞を見ておる炭鉱の労働者は、かりにそれが大蔵省の真意でなかったにしろ、何かの大蔵省の動きを新聞記者の皆さんは察知して書いたのであって、決して何もない捏造記事ではないと私は思うわけです。だから今日この答申がどう出てくるのか、この答申をめぐって一体どういう審議がされるのか、それによって自分たちの山は一体どうなるのかということを非常な心配をもって見ておる炭鉱労働者並びに各自治体、あるいはそれに関連する国民の皆さんが非常に心配しておられますので、特に大蔵省は責任の重いところで、最後は大蔵省の考え方一つで、せっかくの案が出てきても、なかなか困難な問題が起こってくると思うので、十分ひとつ今後も御注意を願いたいと思いますし、さらに民間企業に対して一千億もの金を出したことは、これはかつてないことだ、確かにそのとおり。さらに今度の答申をめぐって、今後五ヵ年間のうちに四千数百億の金を出すか出さないかというときだから、大蔵省にも言いたいことは多々あると思うのです。しかし今日のこの物価高に一応炭価は押えておいて、そうして能率はもう限度ぎりぎりに来ておる。そこまで政府の力で規制をしておって、そうして金の面ではしぼるのだ、こうなるならば、炭鉱はやっていけないということになる以外ないのです。本来ならば、資本主義の今日、自由主義の今日、どうぞ自由に競争しなさいというのが正しいでしょう。しかしそれではやっていけない現実である。だから政府としても炭価というものをぴちっと押えつけて、今度は四度目の答申になってきておる。この実情は私が申すまでもなく十分御承知でございますので、ひとつ炭鉱の生きるためにあたたかい御助言を願いたいと思います。 ところで局長、一昨日の植村さんと椎名さんの最後の会談で五原則というものが合意になった、こういうことでございます。おそらく局長は同席されたと思うので、まず第一に御質問申し上げたいと思いますのは、「石炭対策は、石炭産業の再建に重点を置き、政府や金融機関、石炭会社労使もこの目的に沿って努力する。」、これが第一項目にうたわれております。そうしますと、いままでややもすると年間出炭量をどのくらいにするか、それによって生産をずうっと下げてきた。これも新聞で見るところによれば三千五百万トンと、一応年間出炭量を三千五百万トンに押える、四十八年までに。そうしてそれをずうっと下げてきて、その対策はどうするかというのでいままで論議されてきておったと思うのです。そうすると、私がこの新聞で解釈するところによりますと、そうじゃないんだと、いままでは三千五百万トンという一つの目安をきめておいて、そこまで撤退するのには一体どうして撤退させていくか、通産省はなだらかな撤退だというし、植村さんは、その線でいうならば一挙の撤退だと、たいへんなことになるということが、私が先ほど質問いたしております問題なんですが、この文章を見る限りにおいては、そうじゃないんだと、石炭産業を生かすためにはどうするかということが基礎になって、それからのぼっていくんだと。もう一つ極端に申し上げますと、もう三千五百万トンという線はなくなったと、そんなものじゃないんだと、そうして生きる石炭はみんな生かそうじゃないかと、そのためにはどうするかという前向きの姿勢といいますか、そういうように解釈していいのかどうか、私はそう解釈したいのですが、この点は一番基本の問題ですから、ひとつ局長にはっきりお答えを願っておきたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) 先ほど申しましたように、大臣と植村会長との御会見につきましては、私ども同席しておりませんので、あとで大臣から概略こんなような話であったということを聞いてはおりますけれども、細部にわたって承知しておるわけではございませんので、新聞に出た事柄そのことも、これはまた各紙でもいろいろ多少のニュアンスの違いがあるようでございます。会長自身が記者クラブにお話になったこともあろうかと存じますので、その辺のところは私ども同席していない者といたしましては、一つ一つの新聞記事についてそのことがどうであるのか、これを言える立場にないのでございますけれども、いま御指摘の点に関しましては、私が承知しております限りにおきましては、今度の石炭対策の樹立にあたって、趣旨として、あくまで石炭鉱業の再建を念頭に置いてこれに臨むべきであるというお気持ちは、これは会長も私どもの大臣もおそらく異存のないところだと思っております。ただ石炭鉱業内外の客観情勢から見まして、今後とも現在の出炭規模をそのまま維持し続けていくことには相当のむずかしい面があるということは、これまた会長も私どものほうもそのような状況にあるというふうに認めざるを得ないと思います。そういう意味合いにおきまして、何か既定の線を頭に置いて、そこまで退却させるとかいうようなことではなくて、趣旨としては石炭鉱業の再建ということを念頭に置いて考えるという基本姿勢は変わりはございませんけれども、そのこと自身が現状出炭規模をどんな無理をしても維持するということになるという趣旨で考えておるわけではございません。そこは相当むずかしい面もあると思いますから、これらのむずかしい面に対しましては、やはり客観的な判断をしていかなければならない。大臣がしばしば委員会で申しておりますように、そういうきびしい環境を十分に心得た上で、できるだけ石炭というものを活用するということが眼目だと、そうでなければおかしいのだということを当委員会でも大臣答弁したと思っておりますが、そういう観点で考えておるわけでございまして、撤退のための撤退というようなことを考えておるのではないという意味合いにおいては、先生おっしゃいますとおり、石炭鉱業の再建を目ざしておるのでございます。
○阿具根登君 いや、私がお尋ねしているのは、現状維持で行けと、現状維持で対策を立てろとおそらく二人で話し合われたと私も思っておらないのです。しかし、いままでは三千五百万トンという一応の線を押えておって、それから五年間でそれに達するためにはどういう撤退作戦をとるかというのが通産省の考えであったはずなんです。ところがそうじゃなくて、今度は石炭を育成するためにはどうするかということを労使も協力してくれ、みんなも考えてくれ、われわれもそうやるということをうたわれたとするならば、三千五百万トンというものはなくなった。なくなったから即五千万トンと言うのじゃないのですよ。五千万トンだとは言っておらないけれども、三千五百万トンと言っておるいままでの頭からかぶせておったやつは、今の場合はこれはなくなった、そしてどう生かすべきかという問題から出発して行って、その結果が何千万トンになるかということは今後の問題だと、こういうように解釈できますかと、こう聞いておるわけなんです。
○説明員(中川理一郎君) 先生のお話の中にも前提がございまして、通産省は、ある時期においてある規模ある時点に実現するために、それに合わせた政策を考えておったと、こういうお受け取り方でございますけれども、私どもは当初からそうではございませんで、石炭を活用するという意味合いでどれくらいの政策手段を講ずればどれくらいの結果に相なるかということの見きわめをつけたいと、こう思っておっただけでございまして、決してある計画線まで無理やりに撤退させるような政策を念頭に置いて考えてきたわけではございません。ただ御承知のように、先生もいまお認めになりましたように、いろいろむずかしい情勢でございますし、対策額も無制限ではあり得ないのでございますから、相なるべくは石炭鉱業というものを再建させる、石炭というものを活用するという意味でできるだけのことは考えたいが、そうなったときにどれくらいの助成手段ではどれくらいのものになると思うかということは、これはやはり一つの見きわめとしてつけておかなければいかぬ、それらをめぐってこれくらいの政策を立てればどれくらいに相なるだろうかということは、それぞれのいろいろなケースについて検討してきておることは事実でございますけれども、趣旨はいま阿具根委員おっしゃいましたように、できるだけ活用するという意味で、どれくらいのことができるかということを求めてきたのでございます。それはいま先生の御指摘の考え方のとおりだとお答えしてよろしいのじゃないかと思います。それはむしろこの時点でそうなったというよりは、前からその気持ちでおったということを申し上げたいのであります。
○阿具根登君 私は私なりの考え方をもって質問をしておりますし、局長は局長なりに動かしがたい一つの考えをもって答弁されておりますので、何かわかったようなわからないような答弁になり質問になっておるかもわかりません。しかし私はこの際、この五原則なるものの第一原則はそういうものだと思って今後も質問を続行していきますし、審議もしていきたいと、かように思っております。 それから資金の問題について、「政府資金投入だけでなく、石炭企業は自らの力で市中金融機関から融資をあおぐようにしなければならない」、まあこういうことがうたわれておるわけなんです。もっともだと私は思うのです。しかし、ここで大蔵省の主計官にもお尋ねしたいのですが、これも新聞でものを言うのですから、逃げてしまわればやむを得ないのですが、私はいま新聞でものを言う以外に資料を持たないのです。新聞で見た範囲内で私たちが考えるのは、開銀ですら石炭には金を貸さぬと言っておるのです、開発銀行ですら。一体これは何なのか。国の線でこれだけの大きな仕事をしようと言っておるのに、開発銀行ですらも石炭には金は貸さぬと言う。また大日本炭鉱のごときはこの前の抜本策で銀行に金が入ったが、その銀行が金を貸さなかったから炭鉱がつぶれていった。そうすると、この政策も銀行を助けて炭鉱をつぶす政策だ。銀行には損金計算がちゃんとあるはずです。労働者の退職金にはそういう政策はないはずです。労働者には退職金は七割五分しか払わない、少ないところは六割。銀行が助かって炭鉱がつぶれる。そうして労働者が泣いて、周囲の国民が泣いておるのが現実なんです。こういう開発銀行のあり方について、一体監督官庁である大蔵省としてはどういうお考えなのか、またこういう線が出てくるとすれば、ただいま申し上げましたように、市中銀行は貸した炭鉱の金を何とかして取り上げようと、今度貸したら先行きがわからぬからもう貸さないと、こういう考えを持っておる。市中銀行とするならば、一体どういう対策で金融のあっせんをされようとするのか、これは主計官の方からも局長からもお答え願いたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) まあ確かに新聞でものごとを判断するよりしようがないとおっしゃいますことは、いまの時点ではそうだと思いますが、開銀が石炭鉱業に対しまして融資をしないというようなことはきまったわけでもございませんし、そういう意向があるということを明瞭に聞いたこともございません。ただ一般的な話といたしまして、銀行でありますから、これは開銀といわず市中といわず、いま先生御指摘のように石炭の先行きを見て融資を渋るという空気に一般的になっていることは事実だと存じます。それであるからこそ、今回私どもは対策を考えなければいかぬ、そこでいろいろな助成費、露骨に言えば、その補給なかりせば赤字になるだろうものを、何がしかの形で助成をして、収支をある程度均衡させることを政策の基本にいたしたいわけでございますが、これはまた金を貸す側からいえば、その対策もまだわかっておらぬわけでございます。きまっておらぬわけでございますから、どうせ限られた予算の中でやるので、幾ら助成をやったってそんないい収支状態になるとは思わないという前提でものを考えるとすれば、先行き石炭鉱業につき合う気持ちはない、こう判断するかもしれませんが、しかし一つ一つの具体的な銀行が具体的な石炭会社に対しまして判断する限りにおきましては、ある助成策がとられれば、その助成策の効果によって融資をしても償還が可能であるという見きわめがつくはずでありますから、そういうことを期待してこれから助成策を考えようと思っているわけでございますが、出ましたもので企業なり銀行なりが判断することだと私は思っております。ただ、御指摘のように、一般的には銀行全体が石炭鉱業に対して非常に消極的な判断と感じを持っておることは御指摘のとおりでございます。そういう困難な情勢下にございますので、助成策をとることが基本ではございますけれども、その上になお銀行側がどう判断するかということには、こう判断しなさいということを私ども言える立場にはない。つまり命令融資といいますか、強制的に融資をさせるという手段がない。そうであれば、収支上の助成策というものを相当思い切って講ずると同時に、一般的に借り入れが困難な状態にあるという認識の上に立って融資制度も考えていきたい。ということは、財政融資の比率というものを相当高めていかなければいかぬのではなかろうかという感じは持っております。そういう角度でいま検討も進めております。しかしながら、財政資金によってすべて石炭鉱業の必要とする資金をまかなうということは、これもまたあり得ないことでございまして、自己調達の可能な限りこの努力を石炭会社にしてもらいたい、銀行にも協力してもらいたい、この立場は政策の理念といたしまして私どもも堅持していきたい。ただ、そういう状態にございまするので、その理念を理念として生かしていくためには、銀行が貸しやすいような仕組みというものも何らかもう一くふうすべきではなかろうかというのが植村さんがあとに残された問題で、他の委員とも相談し、事務当局も督励して今後検討をしたい、こう言っておられる一点でございます。この問題が多少むずかしい問題でございます。みんなそっぽを向いておるのを向かせるということは、事柄としてなかなかむずかしい事柄でございますから、へたをしますと、全部財政融資にしたらどうかという一番イージーな議論にもなりかねない。その弊害を避けながら、実際の見きわめとして、ここまで考えれば石炭会社の努力と銀行側の協力によって出るのではないかという、その制度なり方法なり手段なりというものを見出すということは率直に申しましてたいへんむずかしいことでございまして、あとしばらくこのことを検討したいと思っております。会長からも私具体的にその問題をひとつ検討するようにと、自分も考える、君もひとつ案があったら考えてくれ、こういう指図を受けておりまして、目下勉強しているところでございます。
○説明員(亘理彰君) お答えいたします。 ただいま石炭局長からお話のありましたところと大体同意見なのでございます。今度のこれからの対策にあたって資金繰りをどうつけていくかという問題は、非常に大きな問題の一つであることは御指摘のとおりであります。その場合に、いまもお話がございましたように、なかなか通常の金融ベースに乗りにくい情勢になってきているということは、これは否定できないところであろうと思います。昨年千億円の債務の肩がわりというととがございまして、また再建交付金の交付というようなことで対策を考えなければならないかというふうな情勢でもございます。通常の金融ルートになかなか乗りにくい情勢であるということは確かでございます。しかし、石炭産業を維持していくために何らかの形で金融をつけていかなければならない、設備資金も必要な運転資金もまかなっていかなければならない、これもまた当然のことでございまして、それをどのようなルート、どのようなくふうでつけていくかということは、いま審議会でもいろいろ検討中でもあり、その御意見のまとまるのを待ちまして、私ども具体的に詰めてまいりたいと思います。 開発銀行につきましても、これは政府関係の金融機関でございますが、やはり金融機関の一つであることは間違いない。それからその原資の大宗は資金運用部資金でございます。これは零細な郵便貯金その他社会保険の積み立て金等の国民の零細な貯蓄を運用しているわけでございますから、そういう立場で金融機関としての判断があるということは当然であろうと思います。しかしながら、今後の石炭に対する貸し付けについて具体的にどういう方針をとるかということは、まだ確定しておることではございません。いずれにしましても、政府金融の形といたしましては、ほかにも特別会計の資金によります合理化事業団の貸し付け等のこともございますし、可能な範囲で、これは市中も含めました各種金融機関の総合的な協力で金融がなされるようにしてまいりたいと思います。 それからもう一つ御指摘の金融救済に偏するという点の御批判でございますが、この点は私どもも非常に気を使っておる点の一つでございます。国がいろいろの公共的な負担で救済助成策を講ずるということと同時に、金融機関も含めました関係者が応分の協力をし犠牲を払うということも当然のことである。したがいまして、企業の責任がもちろん第一でありますが、それと同時に、金融機関を含めた関係者の協力、それと国がそれぞれ応分の負担、協力をし合って、金融対策を含めた今後の対策を考えてまいりたいというふうに考えております。
○阿具根登君 次に、これはかねがね本委員会でも主張されておる問題でございますが、「労務者確保を最重点施策と考える。そのために労務者宿舎を整備し、退職金は一〇〇%支給する。また、保安対策を確立する。」、これは前後がどうだこうだというのではございませんが、保安対策の確立、これは今日まで叫ばれてきて、実施しておらないから相当な覚悟でやられるものと思いますし、退職金の一〇〇%というのもこれは当然なことだと思うのです。皆さんも俸給生活者でございます。長い聞こういうところにおつとめになって、そしてやめるときに退職金が半分しかなかった、これはお互い給与生活をしておるならば一番身につまされる問題であろうと思うのです。自分の退職金が半分になった場合、皆さんやむを得ませんと言って下がりますか。下がらないでしょう。まして、その日その日をやっと食っている炭鉱の労働者です。それが何十年と地下で仕事をして、そしてやめるとき退職金が半分だった、七割五分だった、そういうことが許されるならば政治はないものと同じです。私はそう思うのです。しかし、現実それが行なわれてきておって、今度お二人の会談で一〇〇%支給する、こううたわれておりますので、これはまことにけっこうだと思うのですけれども、支給する一〇〇%の原資はどういうお考えなのか。先ほどは会社も責任持たなければならぬぞとおっしゃっておりましたが、そのとおりだけれども、それには一体どういう対策をお持ちなのか。不幸にして閉山になり、山を買い上げた場合に、今日のように五割が労務者になっていくならば、またぞろ七割五分どまりになってくると私は思うのですが、それに対してどういうお考えなり御施策なりをお持ちか、お答え願いたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) 趣旨として炭鉱従業員の退職金を一〇〇%得られるように考えたい、これは先生ならずとも、審議会の全員も私ども事務当局も念願しているところでございます。さらばといって炭鉱労働者の退職金に関する限り国が全部一〇〇%ギャランティーいたしますということにはまいらないわけでございますから、企業が十分なる退職金を払えるような仕組みを考えるということも考えなければいけませんし、もう一つ現実の問題として、閉山の場合の閉山交付金からある程度の退職金充当額をいままで制度としても考えてきたわけでございますが、この制度の改善ということを考えておることは事実でございます。まだ結論は出ておりませんので、どういう形でこの改善をいたすかということは申し上げる段階にございませんけれども、議論としていままで出ておりました方向は、一つにはいまの閉山交付金制度は一定額の中で、たとえば鉱害債務というようなものについて充当するというルールをつくっておりますので、北海道と九州の場合と比較いたしますと、九州では一般的に鉱害債務がある状況でございますので、この分を控除されたもので配分になるということになりますと、事実上残る一般債権者と労働者の取り分が少なくなるという状況もございますので、こういう地域差をなくするような感じで鉱害債務については特別なことを考えて、もし可能ならば、これを一回閉山交付金から関係者の分配額としては外に出すようなことをしてみたらどうか、そうすると、それから出てくるところである程度退職金への充当が高くなるかとも考えられ、また全体として閉山交付金の単価そのものを何がしかの形で実態に合うようなものに改善をいたしたい、こう考えてはおりますが、しぶいことばかり申し上げておるようでございますけれども、これらも無制限にやってよろしいという性質のものではございませんので、そういう与えられた条件の中で、そしてまた他産業その他との均衡論からいっても、あるいは政策理念からいってもおかしくない形の中で、可能な限り改善をいたしたいということで苦慮いたしておる状況でございます。
○阿具根登君 局長のお考えはわかりましたが、まあ国ばかりに依存しないで業者もそういう面は考えるべきだ、これも当然です。しかし今日までそれが労働者の退職金が一〇〇%もらえなかった第一の原因なんです。業者の中にもほんとうに良心的な人はあらゆるものを節約し、長い間働いてくれた労働者に優先的に一〇〇%退職金を出しているところもあります。そういうところだけだったならばこういう問題は起こらないのです。ところが、大部分がいままで自分が何十年使ってきて、そしてその山をつぶすときには自分たちだけの生活は楽な道をとってあるけれども、労働者はほうりっぱなし、銀行は抵当を持っておるからその抵当はぴったり押えておる、これが現実でございますので、どうぞこの問題を考えられる場合にそういう退職金の問題は最優先的に考えていただいて、そこで他の問題を業者にはもっと考えろというくらいにやっていただきたい。何も力を持たない労働者が職を追われて、そして自分の郷里を追われて次の生活を求めてさまよっておる今日の姿を十分とお考え願いたいと思います。 最後に、労使協議会の創設ということを考えられておる。その労使協議会なるものは生産体制を労使協議会で協議しなさい、こういうふうに受けとれるわけなんです。そうすると、生産に対する責任だけが労使で負わされてくる、こういう姿になってくる。その労使協議会なるものは通産省だけではなかなかむずかしい問題でしょうけれども、やはり労使の基本問題までこれは話し合う機関にならなければならない。ただ単に生産だけ労使で協議しなさい、生産に対する責任は労使双方にあります、−確かに労使双方それはあります。ありますけれども、生産のみに限って労使協議会をやりなさいというのはこれは当たらない。もちろんそれもやっていいでしょう。しかし、それを論ずるときには必ず労働者の待遇の問題、そういう問題も必ず出てくる、こう思うわけなんです。これは労働省の所管になってまいりますが、いずれにしても、労使の意見をほんとうに話し合う場所をこういう協議会の形でつくられるのは私はけっこうだと思うんだけれども、これのみを見ておれば、生産だけを労使で責任を分け合う、こういう姿になるおそれがございますが、これについては何か構想がおありでしたらお知らせ願いたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) 会長が大臣にお会いになったときに、内容は具体的なものはなかったようでございますけれども、労使のほんとうの腹を割った再建に対しての協力という何がしかの制度を考えるようなことで進めていくということも考えてみたい、今後の検討問題として考えてみたい、こういうことをおっしゃったようでございます。具体的な内容等は必ずしもまだないはずでございます。私どもとしましても、先ほど来お話が出ておりますように、相当膨大な国費を使って石炭鉱業を再建させるという趣旨で政策を来年度から展開しようというわけでございますので、石炭鉱業の再建にあたって、ほんとうにこの際労使が一体になって、過去にはいろんな不信感があったりしたかと思いますが、そういう既往にとらわれないで、この際新しい情熱を傾けて、お互いに知恵をしぼって最高限の努力を発揮する自覚が必要であるということにおきましては、私ども何ら異論はありません。で御案内のように、生産と申しましても、反面毎々当委員会からも御指摘を受けておりますように、保安問題という労働者の生命健康に重大な関係のある事項が伴う産業でございますから、こういう点等も含めて、お互いに腹を打ち割って、大きく言えば石炭鉱業の再建のため、小さく言えば各職場の永続性のため、双方がこの際フランクな立場で何か語り合えるような雰囲気がつくれないものであろうか、こういう感じを会長がお持ちになっておることは、私もしばしば接しておりますので承知しております。まあどういう形がいいのか、どういう内容を議論するのがいいのかということはおそらくこれからの問題になると思いますが、検討の方向としては先生方にも異論のない、私どもも事務局として応分の勉強をするに値する検討方向ではなかろうかと、こう考えております。
○阿具根登君 これで、他の方々の質問もございますので終わりますが、ただいま局長が言われましたように、労使協議会ということばはいままで再三使われてきて、そして相当実施もされてきたわけなんです。ところが、いま言われました保安の問題は、一番最後に一番重要な問題として申し上げたいと思っておったんですが、局長がいみじくもこの中でも保安をやりたいと言われましたので、その点は私は非常にありがたいと思うんです。労使が保安の問題をほんとうに話し合って、そして今日のような人間の生命を脅かすような最も大きい炭鉱のこの種災害に対しまして、労使がほんとうに話し合う。そこでけがするのはだれなのか、死ぬるのはだれなのか、われわれじゃないんです。審議しておるわれわれが岩をかぶって死ぬるのじゃない。ガス爆発で死ぬのじゃない。働いておる人なんです。だから、どうぞこういう労使協議会なるものができるとするならば、まず保安について最重点的に話し合いをできるように、保安は通産省の所管でございますので、局長がただいま言われました保安問題につきましては格段のひとつ御支援、御支持をお願い申し上げたいと思います。 私の質問をこれで終わります。 〔理事大矢正君退席、委員長着席〕
○大矢正君 中川局長、私は答申がまだ出ない段階で答申を基調にして、その答申が具体的にどの面で欠けるところがあり、そしてどうすればもう少しよくなるかというような議論というのは、まだいまの段階ですべきことじゃないと思うので、むしろ必要なことは答申がいかに充実されて出されるかということに力点を置きたい。私はそういう立場で質問というよりは私自身が考えている考え方をあなたに聞いていただいて、あなたの口を通して、もしそういうことが可能であり、そうしてより効果的であるとすれば、審議会の中で生かしてもらう方向に努力をしてもらいたいという意味で申し上げたいと思うのであります。 最近新聞その他世論の動向を見ますると、必ずしもいままで進められている限りにおいての審議会の方向に対しては賛成をしていないように見受けるのであります。それは多額の国費を、五ヵ年間で約四千億前後というほど多額の国費を使いながら、この効果が一体どのように進められるかということに対しての疑義を感じている面があります。世論の面で言うとそういう面がある。それから現に石炭産業に従事する側の立場の者から見ます際には、これは抜本策ではない、むしろ撤退策であるという認識が強いということでありますから、実際に石炭産業に従事する側からも必ずしも歓迎されていない、むしろ反対をされているというのが今日までの実態であります。御存じのとおり私ども社会党は、本年春の国会に国有化並びに公社の法律を提案をいたしました。なぜ提案をしたかといいますれば、御了承のとおり、昨年特別会計が設けられて抜本策と銘打った石炭政策が実施されたのでありますが、重ねてまた重大な危機に直面をしている。したがって、国会で石炭問題を扱うこの石炭委員会に席を置くわれわれ社会党の議員としては、ただ政府の考え方がけしからぬということではなくて、政策的な手段において石炭産業の将来を確立せねばいかぬというそういう立場があって、この国有化法案というものを出したということが一つと、同時に国有化ないし国営とすることがこれからの石炭産業の将来にとっては最も必要なことであるという判断、この二つのもとにわれわれが提案をしたわけであります。 そこで、今日石炭産業を考える際に、まず第一に考えなきゃならぬことは、国内で経済発展の基礎的な資源としてのエネルギーのその中においての石炭の位置というものはやはり重要である、そういう意味で石炭産業を守らなきゃならぬ。また雇用政策の問題がある。同時に地域の経済問題がある。これらのことを考えると、経済の合理性という立場からものを考えるだけではなしに、そういう面からも石炭産業というものをあらためて考えなきゃならぬ時期に来ていることを感じているわけであります。そこで、私どもは公社あるいは国営、国有がいいと、こう言うが、いままでのところ、先日の植村さんの御返事を聞いても、私企業というこの企業形態を維持していきたいというお考えで、この点では大きな違いが出てまいります。そこで私ども考えまするに、政府がいま審議会の中で議論をいたしておりますその内容が必ずしも世論その他の面で受け入れられない理由というものの基本的な違いというのは、石炭産業を守るということではなしに、石炭企業を守るという考え方が基本となっているという点だと私は思うのであります。すなわち、石炭というものは石炭産業という立場でとらえるのではなくて、個々の石炭企業という立場でいまの審議会がものを考えたり、通産省や大蔵省がものを考えたりしているところに重大な誤りがある。それを世論というものはやはり許さないという態度、それをまた炭鉱に従事する多くの労働者が許さないという立場が私は基本的にあるんだと思うんです。 そこで、もっと具体的に話を展開をいたしていきますれば、山が閉山をする、あるいは閉山をしなきゃならぬという場合に五つの問題点があると思うんです。あるいは五つの状態が想定されると思う。同時にこの五つの問題は、それを解決することによって石炭産業というものが将来ともに安定をすることになるとも思いますが、まず第一は、やはり企業というものがいかに努力をしても、それからその山自身が幾ら努力をしてみても、生産費と販売価格の差が出て累積赤字が生ずるという場合、あるいはまた先ほど阿具根さんの御発言もありましたとおりに、金繰り上やっていくことができない。コスト、販売価格の面ではどうにかつり合いがとれても、銀行融資を中心にした金繰り上やっていけないという場合があると思います。あるいはまた保安確保の面でどうしても人命がそこなわれる不安と危険があり、そのことを解消するためには膨大な資金が必要であり、その資金を確保することができないために保安上の欠陥が生じた場合もあるでありましよう。あるいはまた、かつてこういう例がありましたが、いま会社は黒字の状態だ、ないしは収支とんとんである、目先の明るいうちに、借金のないうちに山を売って、退職金を払っても、なおかつ会社のふところに金が残るうちに山をつぶしたほうがいいという企業家の立場において行なわれる閉山があるでありましょう。最後に、最も重大でありますけれども、労働力を確保することができない、したがって倒産をするということがあり得ると思います。おおむね私はこの五点に集約されるのではないかと思うのであります。最近の山の個々の現状を見ますると、ちょっと大きな山に行きますると、一カ月間のうちにやめる人間が二、三百人などというのはざらです。ひどいところになると、一カ月で五百人やめたという山があります。その補充が八割つくか、七割つくかわかりませんが、補充することによってかろうじて生産だけは維持している。だがしかし、人の減る分だけは保安の手抜きその他が行なわれるという事実もまたこれ当然でありますが、こういったような、まあ言ってみると労働力の不足が企業の将来に対し不安感を与え、そしてさらにまた労働力が流出するというような悪循環、こういうことを考えないわけにはいきませんが、ともあれ、この五つの問題は相互に関連し合っている問題であります。そうしてまた、閉山する場合にはどういう条件のもとに行なわれるであろうという立場で申し上げたこの五つの問題を解決することが、また石炭産業の安定ということになるんだと私は思うのであります。 そこで、局長の話を承っておりますると、あくまでも私企業の経営形態というものはどうしてもそれを維持していかなきゃいかぬという御趣旨のようであります。まああなたは、私がそう考えるのではない、審議会がそう言っているんだと、そう考えているんだとお答えになるだろうけれども、しかし、もしあなたがそのことに異論がありとすれば、あなたが正面切って審議会に、いやそれではやっていけないという反論をなされば、私は審議会の意見必ずしもそれにこだわらないと思うのであります。それが証拠に通産省はあるときは熊谷試案というものを出したように、かりに将来の展望に立ったはっきりした見通しがあれば、審議会の中に意思は生かされてくると私はそう思いますが、それは余談といたしましても、根本問題は一体どこにあるのかといえば、やはりこの労働力の確保が一つあげられる。労働力の確保をするためにはどうするかということになると、こまかい面ではいろいろあると思いますが、基本的には何といいましてもその安定感です。将来に対する安定感、これがないということが致命的なんですよ。安全維持の上において生命が危険にさらされる。したがってとてもじゃないが働いていかれないという問題があるでしょう。給与が他産業に比較してあまりにも安過ぎるという問題があるでしょう。合理化合理化によって労働密度が高まってきて耐えられないという問題があるでしょう。住宅をはじめとして生活環境の問題があるでしょう。具体的な施策の面ではそれぞれの問題がありますが、基本的には何があるかといえば、将来に対する安定感がない、安心して働いていくことができない、こういうことだと私は思うのであります。なぜかといえば、五年たって自分の山がつぶされる、つぶれるという結果になったとすれば、自分は五つ年がいってしまう。その際にはたして自分の働くところがあるかどうかという不安感、それならば自分が五つ年若いうちによそに行ったほうがいいという気持ち、そして阿具根委員指摘のように、ほんとうからいえば一〇〇%以上もらえるはずの退職金が減額されてしまうというそういう不安感、この基本的な問題が解決されない限り、私は幾らあなたが政策的にここで手直ししてみたところで根本的な解決にならない。いままでこの委員会の中で、たとえば植村さん、たとえばあなた、たとえば椎名通産大臣から御説明を受けている限度においての石炭対策というものは、これは従来行なっているものの多少の手直しか、あるいはそれを若干上積みするとか、あるいは肩がわりの延長であるとか、もう一回やり直すとかいうことであって、新しい創造的なものが一つもないわけです。だとすれば、それで石炭産業、石炭企業というものが生きられるかどうかという不安感が出てくることは当然なんであります。だからここで根本的に考えなきゃならぬことは、石炭企業というものをどうするか、そうしてそのことを介在させて炭鉱がいかにして平穏裡のうちに撤退をするかという考え方ではなくて、石炭産業をどうするかという基本問題をとらえて、石炭産業として石炭政策を立てるんだという考え方の違いがどうも私はあるように思うし、その違いが結局は世論の上において、あるいは従業員の立場から見て反発される原因になっているんじゃないかとこう思うのです。まあ、あなたはあなたなりでいろいろと御議論がおありになることと思いますから、一度あなたの私が申し上げたことに対する考え方を聞いた上で、重ねて私の意見を申し上げてみたいと思いまするが、そのあなた自身、将来日本の石炭産業はどうなるかわからないんだ、やってみなきゃわからないんだというような気持ちでは今日ないんじゃないか。こういう施策を講ずることによってこれだけのものは何としても確保したいとか、あるいはできるんだとかいうものがおありになるんじゃないかと私は思うのであります。だがしかし、われわれが感ずるところでは、どうもそれがない。やってみなきゃわからない、五年たってみなきゃわからないというそういう御答弁では協力するわけにはいかないんですよ。先般の委員会でも、私はそれでは三千五百万トンにかりにダウンした場合に、五年後に三千五百万トン割るような結果が出た場合にどうするか、ちょうど五千万トン維持ということに前にきめたが、現実には四千七百万トンに落ちてしまった、ことしはへたをすれば四千六百万トンになりそうでありますが、そういうふうに目標を立ててみたが、その目標を大幅に割り込むほど悪い状況になりそうだ、あるいはそういう可能性があり、危険性がありとすれば、そういう対策を今日の段階で考えるべきじゃないのか。そのときもう一回やればいいという判断では私は世論の支持を受けることができないと思うし、そういうことをやることによって国の金をむだに使っちゃいけない、そういうものに使わしちゃいけないという議論にもなるわけでありまして、私はあなたの基本的な考え方を重ねてこの際もう一回聞いておきたいと思う。
○説明員(中川理一郎君) いずれにいたしましても、審議会の答申が出ない以前に、通産省であるとか、あるいは私個人であるとかということで意見を申し上げることがいかに危険であるかは、いままでのところほとほと困り果てたという感じでございますので、せっかくの御質問ではございますけれども、私個人の意見ということであっても、審議会の答申が出るまでは差し控えたほうがよろしいのではなかろうかと思いますが、一つあるいは先生のお感じと私の感じで違うことがあるといたしますと、いま置かれている状況というものについての認識と申しますか、こういうものについては私と大矢先生の間にそんなに大きい食い違いがあるとは思いませんが、たいへんな状況であるということはもうあらゆる数字、あらゆる動きが示しているわけであります。もっと極端な言い方をいたしますと、ここで何がしかの相当思い切った手を打たなければ、このままずるずるいけば非常に破局的な状況になるということは先生も私も同じだと思います。要はそのときの対応策として、効果の判定はあるいはわからぬかもしれませんが、私どもの感じで、ここまで悪くなっている状況のときに、何と申しますか、大勢的にあまり無理な急ハンドルをとるということがかりに理念的に正しいことであっても、そういう大きなハンドルを切ることによってのショックと申しますか、そういうことがどういうふうに働くかということには、私はやはり当事者がほんとうにそのつもりになっていないと問題があるのではなかろうかという感じを持っている点が大矢先生と私とでは若干違うのじゃないかと思います。これは私は経営者の皆さんとも、おりに触れて感触を打診しておりますけれども、残念ながらそういった大きなハンドルを切るような機運にはない。そういう気持ちのないところであまり理念的な考えに従い過ぎたことをやったことの効果の是非ということについては、私はかなり不安と疑問を持っているという点が、先生のお感じと私とではだいぶ違うのじゃないだろうか。多少具体的なケースとして実は私どもも心がけているわけでございまして、空知地区のある意味でのモデル的なケースとしての合理的な企業体制というようなことも、いま私どもだけで勉強しているということじゃなくて、関係企業の経営者にも相談をしていることがございますけれども、その体験から申しましても、そうある時点を区切って思い切った変更をやるということはできない。一つ、二つこうやることが正しいのじゃないかということになり、その関係者もそういうふうに気がそろってくるということになれば、そうしてそのことの効果が明らかになってくれば、私はやはり相続いてそういうものが出てくる可能性はある、そういう形でのやはり具体的な問題として考えなければいかぬ。政策なり制度なりという問題で何かの一つのタイプに押し込めるというようなことは、当事者にその気持ちがない限りにおいては私は非常に危険が伴うのではないか。これは私企業であるとか国営であるとかといういわばイデオロギー的なものを別にしても、具体問題として私は非常にその辺は懸念をいたしております。
○大矢正君 中川さん、あなた誤解されているようですが、私ども社会党が国会に、まあいまは閉会中になりまして、流れておりますから提出はされておりませんが、本年の春提出した国有化、公社の両法案というものは、これはイデオロギーに基づくものではないのですよ。あくまでも石炭を企業としてとらえるのではなくて、石炭を産業としてとらえていく政策的な手段は何かということを基本にして考えた結果、これが正しいという結論になったからやっているのであって、もしかりにあなたのほうから出される案なるものがこれと同じ意味と価値を持ち、そして効果のあるものならば、何もわれわれは国有化法案、公社法案に固執するものじゃないのです。だからあくまでも政策的な課題としてとらえているのだということを御理解願いたいと思います。そうでないとどうも話が合わない。イデオロギーでやっているのじゃない、政策的な手段、方法、現実の社会の中で適応できる政策的な手段として考えているのだということをまず私はこの際再度強調しておきたいと思うのです。それから四千億前後という膨大な金をこれからつぎ込んでみた、つぎ込んだ結果が必ずしも石炭を産業として残していくことができないために、またまた何らかの方策を講じなければならぬというような結果になるということだけは私どもやめたいと、こう思うのです。そのことがあるから、多少時間がかかっても内容的に充実された石炭政策というものを確立したいし、そういう答申もぜひもらいたいと、こう考えているわけです。 そこで、まあ大蔵省の立場からいけば、金融機関救済だけに終わるような点も感じられるから手直しをしなければいかぬというような御意見もあるようであります。その心配もなるほどあります。ただ私は局長、あなた方の態度でわからない点が一つあるのです。何かと言えば、昨年の特別会計以来施策を講じております。だがしかし、石炭に対する施策を講じてきたのは去年からではなくて、ずっと以前から施策も講じ、予算も使いやってきているわけです。この段階にきてなおかつ石炭というものが成り立っていかないとすれば、少なくとも石炭経営者というものは大政奉還すべきだ。これだけ国の施策によらなければ企業として生き延びていくことができないというならば、どうでもいいからひとつ政府に、これだけ金をいただいているし、国民の税金を使っているのだから、経営の一切、財産の一切、借金の一切を全部ひとつもう差し出すから、どのような方法でもいい、石炭が産業として生き延びていくような道を講じてもらいたいと今日の石炭経営者は言うべきじゃないでしょうか。そしてそういうふうにあなた方自身が最初からやるべきじゃなかったろうか。そうじゃなくて、むしろ三井さんあなたの会社はどう考えるか、三菱さんあなたの会社はどう考えるかという企業個々に意見を聞いたり、協会の意見を聞いたりするから、結局はそこに自分の企業中心の結論というものを何とか立てていこう、石炭政策を立てていこうという考え方がある。これだけ国会に迷惑をかけ、国民に不安動揺を与えておるのだから、経営者は当然のこととしてその一切をまかせるというすなおな態度があってしかるべきだし、最初からそういう態度のもとに出発をして、審議会がいろいろ議論をして、答申を作成すべきではなかったのかという感じがするのですが、この点はいかがですか。
○説明員(中川理一郎君) 審議会では、私が承知しておる限りにおきましてはさような意見はいままでのところないと思います。大矢先生の御意見も私なりに共感の持てるところもございますけれども、悪い状況になったからほうり出すと、経営の立場からほうり出す、これはかえって許されないことなんではなかろうか、私個人としてはそう思います。個別の企業のことを聞いておれば、これはもう個別にそれぞれ利害関係がございますから、自分の都合のいいことしか言わないことが多いことは確かでございます。そういうことではなくて、むしろここまできたこの時点で、経営者全体としてどう考えるかという立場で意見を聞いているわけです。決して三井の立場であなたはどう考えるか、三菱の立場でどう考えるか、そういうことは聞いておるわけではございません。そこで、これは率直に申しまして、経営者の中にもあるいはそういう無気力、無力感に襲われている人があるんじゃなかろうかという感じもしないわけではありませんけれども、しかし国の政策を前提にして努力をしてもらおう、努力をしよう、こう考えておるのが全体でございますから、むしろここでもう一ふんばり考えてもらって、自由な企業としてスタートして、ぐあいが悪くなったときに大政奉還するというようなことは、逆に言ってどうも私は適当ではないんではなかろうか、こういう感じがいたします。むしろ世論としてもそれはおかしいんじゃないかということになるのではないかと考えております。
○大矢正君 これはあなたと私の見解の相違だが、かつてイギリスにおいても石炭が重大な危機に直面して、経営者は一切白紙委任状を出して、そのことによってイギリスは御存じのとおり国営になって今日に至っております。国民総生産において日本より劣っているイギリスが日本の二倍から三倍の石炭を今日使用しているということは、やっぱりそれだけの背景と根拠があるからでしょう。なるほどイギリスの炭価とわが国の炭価を比較した場合に、多少の違いはあったって、生産量において二倍も三倍も違いが出るほどそんなに大きな違いはないはずですよ。結局基本的な考え方の相違があるからですよ。政府として見れば、かりに国有、国営というような、あるいは国家管理とか、あるいは一社化とか三社化とかというようないまの私企業形態をそのまま残すことを否定した場合におけるあとからの問題があるから、経営は石炭の側にあるという形でとらえていく。したがってそこに石炭問題というものが産業としてとらえられないで、企業としてとらえられている欠陥が出てきて、何回やったって同じ手直しを繰り返さなければならぬような私は結果が出てくるんだと思うんですよ。これはまたあなたと私の見解の相違だからいたし方のないことでありますが、ただ重ねて申し上げますけれども、いままで承っている範囲においての答申では、これは世論も承知しないし、働く者も承知できないことになるんです。なぜかといえば、変わったことは一つもないですから。補給金が百五十円のやつを二百円にしよう、三百円にしよう、肩がわり、同じことをもう一回やってやろう、そうじゃないんですか。どこに一体変わったことがあるんですか、政策的に。たとえば鉱区の問題も非常に重大な問題です。この間植村さんに鉱区の調整問題はどうするかと聞いたら、経営者はお互いに危機を認識して自主的にやるであろうと、こう言っておる。そんな甘いことでもって日本の石炭経営者がやるなどと考えたら、それこそまた大きな間違いを起こしてしまいますよ。ですから鉱区の調整をどうする、そして効率的、効果的な投資を行なうことによって石炭のコストをいかに引き下げるとか、競争力を高めるとか、そしてそのことを労働者の生活安定その他に振り向けることによって労働力の確保をはかっていくとかというようなことを考えるその政策的な手段や方法というものが今日ほど必要なときは私はないんじゃないかと思う。経営者の経営道義だとか、経営者の自主的な意思にまかしておいてできるものじゃないですよ。おそらくこのままいけば、鉱区の調整問題なんかも積極的にひとつやりなさいというような答申が出るだけであって、それをどこでどのようにして調整をするとか、どういう権限を持たして合理的に開発をするかなどというものはおそらく出てこない危険性がある。こんなことでは、これは石炭は産業としてとらえてみた場合には、結果として今度の対策というものは何もならなかったということになる危険性がありますよ。ですから、私どもは国有化にとらわれているのじゃない、もっといい方法があるならばわれわれも賛成してやろうと言ってるんですよ。それが国家管理になるか、あるいは三社案なり一社案なり、あるいはまた管理会社なり、どういう形になるかは別としても、それがいい方法であり、石炭が産業として残れることであって、働く者も安定感を持って、身に危険を感じないでいけるようなそういうものが出るならば大いに賛成ですよ。しかし、いまの答申は、いま考えられている範囲の答申ではそういうことにならないんですよ、何にも変わったことがないんだから。一時管理会社構想が出たとき、これさえつぶれてしまったでしょう。いまどき小さな企業にとらわれているだけでは決して産業として石炭を救うことができないから、もしわれわれの言う国有、国営がだめなら、それは反対だ、どう見てもイデオロギーがからまる、だから反対だというなら、国有、国営でなくてもいい、もっとそれに近い形でもいいから、要は石炭の将来をどうするかということを考えてもらいたいというのがわれわれの希望なんですよ。ですから、ここでもう一回重ねて聞きますが、多少従来の石炭政策と違うところが一体どこに出ているのか、答申の中でどんなことが出ているのか、単なる政策的な延長ではなくて、新しいものが出ているとか出てないとかいうことを私聞きたい。
○説明員(中川理一郎君) 新しいものというとらえ方でございますけれども、御指摘の点は、単位としての企業をこえた形での合理化追及ということについて何か新しいことを考えておるのか、こういう御趣旨だと思います。まだ結論が出ておりませんので、それがあるとかないとか申し上げることは差し控えたいのでございますけれども、これは先生方のほうの受け取られる側の感じだと思いますけれども、いろいろ検討はしておりますし、何がしかのものは出るはずだとは思っておりますけれども、先生御期待のようなものであるかどうかということについては、私はかなり隔たりがあるのではなかろうか、いまの御議論を聞いておりますと、かなり隔たりのあるものになるんじゃなかろうかと思っております。
○大矢正君 私一人で質問しているわけにもいきませんから、時間もないようなので、先ほど来私が申し上げた内容のところで、局長として審議会の中に意見を反映する、あるいはそれが審議会の答申後であってもそうすることが正しいし、そうすることが効果的であり、石炭産業の将来にとっていいことであると考えたら、ぜひひとつ採用してやってもらいたいということを私強く希望しておきたいと思う。 それからもう一つ、これは保安局長にお尋ねしておきたいと思う。石炭産業が今日のようにこの混迷をきわめており、働く人々の多くが不安と動揺にかられている理由の一つには、炭鉱の保安が確保されていない、安全が守られない、生命に対する危険が常につきまとっているという問題点があります。もし今日のようなこういう状態の中で重ねて炭鉱に災害が起こるような場合には、これはまことに石炭産業の将来にとって重大です。ですから、それをやるためにはどうすればいいかということになれば、監督体制の強化もあるでありましょう。経営者に自主保安確保のための積極的な努力をやらせることも必要でありましょう。いろいろあるでありましょうが、従来と異なり、やっぱり新しい意欲と決意を持って、とにもかくにもこれからどういう形に変化をしていくかわかりませんが、石炭政策が軌道に乗るべく努力していかなければならぬという私は使命があると思うんです。そこで、私自身国会議員の一人として、会社の経営権にまでくちばしを入れる気持ちはいささかもありませんが、ただ、社会的に重大な関心を持たれている今日の炭鉱法案でありますから、私はあえて申し上げたいと思うのでありますが、もとよりあなたに企業に対して、企業の持つ人事権に介入せいと、そういうことを直接的に申し上げているわけではありませんけれども、少なくとも今日のこの時点で、重大な災害を重ねて起こすような企業があったとすれば、その責任者はみずからその進退を決すべきであると言うくらいな強い態度をあなた自身が——これは多少行き過ぎな面があるかもしれないが、それくらいな強い決意を石炭の経営者にやっぱり示して、新しい気持ちで、いかにして人間の生命を守っていくかという強い意思の表明を私はぜひ行なってもらいたい。そうでないと、ここでまた重ねて重大災害が起こるようなことになったら、またまた労働力の喪失であり、単に企業の経理上の損失だけではないのです、これは。他のあらゆる企業に対しても影響するところまことに甚大でありますから、ひとつあなたがそういう決意を持ってこれから炭鉱保安の確保と充実に当たられるように希望したいと思うのですが、決意のほどを承っておきたいと思います。
○説明員(橋本徳男君) おっしゃいましたように、保安の問題は、こういった石炭産業の基本的な前提になると考えております。したがいまして、われわれいま保安の協議会を通じましてやがて答申を受けることになりますが、そこに組み込みまする考え方といたしましても、この石炭産業の中におきまするいわゆる保安の位置づけというものをはっきりと明確に出していただき、それから保安というものがややもすれば生産と対立的な概念で今まで行なわれておるというふうなものを、経営の全体の中に組み込んでもらうといったようなものの考え方で進んでいきたい。それから先ほど御指摘ございましたように、従来もいろんな違反事項に対しましては、それぞれ保安法に基づきまして措置はやってはおりますが、いまの社会情勢からいきまして、先生おっしゃいましたような問題点も多々ございますので、この答申の中にも組み込まれることにはなってございますが、今後はそういった違反事項に対しましては、特にきびしい態度でそれに処していくというふうな考え方で答申を受け、その方向でやっていきたいというふうに考えております。
○小林武君 二、三の点についてお尋ねをいたしますが、私の考え方は、たとえばこの新植村構想というようなものを見ましても、私企業としてですね、私企業の原則に立つということ、植村さんの先般のここでの発言にもありましたし、あなたたちの考え方も大体そういうところにあるのだと思いますが、これは私企業がいい悪いということを言うわけじゃなくて、私企業の原則に立ったというたてまえから、たとえば植村さんの案を見ても、この原則が守られるかどうかということについては、私はこの短い文章の中から判断してこれは不可能じゃないかという気がするわけです。しかしこのことについては、これは私一人の意見だということでないことは、いままでの社会党の二人の質問からもおわかりいただけるでしょうし、新聞論調どれを見てもそういうように書いておりますが、このことはあなたもお認めになると思うのです。だから、あなたも先ほどの委員長の質問に対しましても、不安感があるということを言っているのです。不安感があるということは、これはまあ楽観説もあり悲観説もあるというあなたのお話でございましたけれども、これはいわば僥幸を頼んでいるような話じゃないかと私は思うのです。そして、またぞろこの四千億の政府の投資というものが何の効果もなかったということになった場合に、一体この石炭というものはどうなるのか、日本のエネルギー対策というものはどういうことになるのかというまた問題になると思います。まあ四年も五年もたった先ならまた別だと、そのときになったらそのときでまた考えようといったような政治的見解なら別です。別ですけれども、そういうときに一番被害を受けるのは労働者ですから、私はそういう心配のもとにあなたにお尋ねするのですけれども、私はこの植村案というものの中のやっぱり一番勘どころというのは、企業の努力というところにあると思います。この企業の努力という内容は、これはやはりどれだけの効果を出すかということになるのじゃないかと私は判断するのです。新聞を見ると、何か若干企業の努力というようなことを述べているようですが、一体あなた直接植村さんにお聞きにならないならば、企業の努力というようなものは、通産省の中でだって企業の努力というようなことを考えているだろうと思う。いわゆる私企業の原則に立つということになるならば、企業の努力ということがこれは問題なんです。革命的努力が必要なんですよ、この段階へ来たらほんとうに。革命なんと言うとまた変にとられても困るのでございますけれども、ほんとうに抜本的というか、ほんとうに革命的な努力が必要だと私は思う。その意味で植村さんがどんなことをどのくらいな決意でおっしゃっているか。この間おいでになったお話の程度なら、これは話にならぬわけだし、また通産省でどういうふうにお考えになっているか。その点ちょっと説明していただきたい。
○説明員(中川理一郎君) 先ほど若干不安感を持っているということを申し上げましたのは、資金繰りについて言及しておったときのことでございますし、それからわれわれの考えております、これからやろうとして審議会が考えております収支対策というものを銀行側がどう評価するであろうかということは、私自身が評価することじゃありませんので、そこはどう評価してくれるかには心配なしとは言えない、こういうことを申し上げたわけでございまして、むしろ石炭産業が収支と申しますか、損益面で成り立つように考えるという考え方で基本的にものを考えておりますので、その限りにおきましては、そら頼みになるようなものを頼んではあぶないということは、これはもう従来から当委員会でいろいろな形で御指摘を受けておりますので、その点は非常に慎重に予測をしておるつもりでございます。これを例を引きますと、前の再建整備計画の反省と申しますか、そういう点は十分頭の中に入れておるつもりでございまして、逆にもっと出るのではないかと思われるぐらいの能率につきましては、非常にかた目に考えております。それから経費面で御議論のありました人件費の上昇率というようなものも、従来の七%というようなことで読み込んだんではその点からくずれるという懸念を持っておりますので、これら損益面におきましては相当の安全を踏んだもので考えておりますので、この点については、私どものほうは私どもなりに不安感は持っておらない。ただ、それからはみ出るものがあることは事実でございます。この点は私どもはいま申しましたような趣旨で、相当安全を踏んでおりますので、この中での労使一体となっての企業努力というものは相当あり得ると、こう考えております。この際でございますから、私どももたとえば管理部門でございますとか営業部門等につきまして、冗費と考えられるものがあります場合には、新しい対策を施行いたします段階で、相当きつくこれは指導をいたすつもりでおります。むだなものを合理化させることについては相当きびしい努力を追及するつもりでございますので、そういう意味合いで私は努力の幅というものはあると、こう考えております。
○小林武君 局長、若干ぼくはね、あなたの答弁聞いてやっぱりがっかりしたのですよ。私はその企業努力なんというのは、一つ一つの企業の努力というふうに考えてないと思ったのです。石炭産業の中に含まれているあらゆる企業のその努力、それが総合された、一つに一体化したその努力でなかったら、私はこれは話にならぬと思うのですよ。先ほど来あなた大矢さんの質問に対して、三井とか三菱とか、そんなことを言っているのじゃないという話があった。私はほんとうのことを言うと、企業努力というようなものは、三菱はどうだとか北炭はどうだとかいうようなことじゃないと思う、ここへ来たら。お互いの企業がそれぞれの立場で努力しなきゃならぬ部面と、もう一つは全体として一体どう合理的な経営をやるかということでなきやならぬと思うんですよ。私はこれは新聞を見て言うんだからね、どうも植村さん言ったのか言わぬのかも、そこら辺はっきりわかりませんけれども、これは日経のこの中にあるが、「企業努力をあと押し」という見出しで植村会長談が出ておる。あなたはごらんになったか、この中にある。石炭部門の合併、鉱区の調整、カルテル的な組織をつくることによって石炭の需給の問題に及んでいる。まあ私はカルテルの組織なんということもあれですけれども、具体的に言えば、一体鉱区の調整という問題はこの間も出たことですがね、これは一企業の努力じゃない、あらゆる努力が総合されてというところに植村さんの考え方も多少あるんじゃないかと思ったんですけれども、あなたのいまおっしゃるように資金繰りの点について問題があると、いわゆる金融筋のいろいろな思惑というようなものに問題があるが、損益の面についてはかなりの確信を持っているというようなことであるならば、私はこれは石炭産業の将来というものはそれほど不安感がないと思う。私はそんなふうに見てないんです。そんな程度にとどまっているとなれば、これは相当のへぼ医者でもなおせると私は思うんです。まあとにかく心臓ならこれひとつ心臓移植でもやろうかいなというくらいのところへきている問題だと私は思うんです。だから大矢さんのような意見も出れば、わが党の態度も出てくるわけです。だからそこらはあなたと私の認識の相違。しかし、私の考え方はあまり間違いじゃないかと思うのは、これは私もこの石炭対策特別委員になってから、石炭に関する論説というのはずっと見ているんですけれども、どこを見たって、とにかくやっぱり点は辛いですわ。きびしいです。そういう点から判断すると、私は植村さんの案をかりに肯定して、ある程度認めるということになったとしても、企業努力というのはいまの局長のおっしゃるようなことでは、これはとてもいかにしろうとの私でも、なるほどそうか、損益についてはまあ心配ないかというようなことを言って安心しているほど鈍感じゃないと思うんだがね、あなたどうですか。一体ほんとうにあなたそういうふうに、先ほど私にしてくれたような答弁で安心しているんですか。それなら私は石炭の山の労働者の仲間の皆さんに、いや心配するなと、これはだいじょうぶだというようなことを言えるけれども、そんなことじゃないでしょう。どうなんですか。ひとつその点もう一ぺんあなたの御意見を伺いたい。
○説明員(中川理一郎君) 多少質問を取り違えて適当でない御答弁を申し上げたかもしれませんが、損益面につきましては、従来問題のありました事項については非常に警戒的に安全をとって考えておるということは間違いないところでございます。ただ御指摘のように、そういう企業単位の努力の幅というもののほかに、石炭鉱業全体としての合理化追求ということの努力を続けるべきであることは、これは弔う御指摘のとおりでございます。いま御引用なさいました新聞記事にありますように、ことしでも四千七百万トンというのはどうもショートしそうな状況にありますので、これから先も炭種別、地域別にいろんな意味での需給調整を考えていく必要があることは異論のないところでございまして、そういう意味での流通面における合理化追求という意味合いでの何らかカルテル的な行為を制度的に支援するものを考えるべきであるという考え方は私どもも持っております。また先ほど大矢先生にもお答えしましたように、所要の特定の地域における鉱区の総合的利用ということのために従来の意味での鉱区調整ということより一歩先に出て、企業体制的にも何らかの形が求められないかということは先ほど御答弁いたしましたとおり、今後の追求目標ということで私どもも検討いたしておるところでございます。ただ、この点は絶対にこれが一番正しい方法だというようなことを国の力で強制するというためにはよほどの自信と根拠を持っていなければいけません。それから当該企業が国が言ったからやったというだけのことでいやいややられたんでは、これはききめは出てまいりませんので、これには私どもなりに相当的確な判断と根拠を持ってやるべきだと思いますので、先ほどあるいは御不満があったかもしれませんが、大矢先生にもお答えしたように、順を追ってやっていくという態度が必要なのであって、ある時点に日本じゅうのそういった問題について一挙に何か一つの絵をかいてしまうというようなことの効果の是非ということには私は疑問を持っておると、こう申し上げたわけでございまして、可能な限り私どもはそういう努力を追求していくということについてはその気持ちを持っております。ただ、多少そこのところが諸先生と私どもと感触の相違があるかもしれませんのは、それほど多い適用例があるということではないのではなかろうか、こう考えます。むしろ企業の統合といったようなものを考えましたときに一番端的に出てきます管理部門の合理化というような効果はございますけれども、反面また企業が負っておりますいろいろな債務状況の違いというものが非常にばらついておりますので、資産状況と申しますか、負債状況のあんまり異質なものを一緒にさせるということ自身に問題がございますので、むしろ特定の具体的なケースに即して一つずつ詰めていくということが、間違いようではございますけれども、じみで、かつ効果のあることではないか。そういった企業を越えた形での合理化努力の追求ということを私ども捨てておるものではございません。これはことばが足りなかったかと思いますので、あらためて申し上げたいと思います。
○小林武君 まあやはりあなたはその面で非常に長い経験を持ってやっている方だから、私はあなたのその考え方というのを尊重したいという気持ちもあります。しかし、また一面このしろうとの議論というのは、案外専門家の迷いやすい迷路というようなものを突き破るだけの考え方があるわけです。まあ大矢さんや阿具根さんといえば石炭については非常に専門の方、私は正直言ってほんとうは石炭の問題はよく知らない。知らないからまた私はいいところもあると自分で妙なところで自負している。そう考えますとね、あなたの場合はちょうどまるで診断を誤っているんじゃないかという気もするのですよ。やはりガンの診断みたいなもので、早期に発見して早期にばっとやってしまえばいいやつを、じっととにかく症状を見ながら、無理なことをやらぬで薬でも飲ましておこうかというようなことを言える病気ならいいんですよ。病気なんて言っちゃ悪いけれども、これが日本の特殊な状況なんですね。石炭問題というのは、ほかの国では石炭の問題が何も起こってなくて日本だけの問題かといったら、私は石炭問題というのはやはりエネルギー全体の問題の中でこれは世界各国どこも起こっているわね。そうしてそれぞれがいまとにかくやはり思い切った処置をしなきゃならぬということだけは、いかなる方法をとっても、私企業の立場に立っても、あるいは国有化の問題をとるについても、あるいはその中間的なやり方、いろいろな方法はとにかくありますけれども、やっているでしょう。私はほんとうのことを言って、日本の石炭政策に対する政府の意図なり、企業の中にある考え方は、ちょっとやはり退嬰的だと思う、どっちかと言うと。将来性のなくなったこの産業に対して、あまり意欲を持たせることはないわという私はなまけ心も相当にあると思っています。そういうことから脱却することこそが石炭政策に対する抜本策だと思うのですよ。そういう点について欠けているということは、これは先ほど来大矢さんの指摘の中に非常に鋭く出ていると思う。私もその立場で申し上げている。私はいま、これからもひとつ植村さんも案を出し、それから通産省でも案をお持ちになって、両方がうまくまとまらぬというのは、ある意味ではけっこうだと私は思っている。その中から一生懸命生む悩みを重ねながら抜本策を立てる。石炭産業があとになってから手のつけられぬようになってしまっていると、腹を裂いてみたら手も足もつけられない、そのことについてまた植村さんのことについて申し上げますけれども、労働者の安定対策、これだって私は労働者の安定対策というのは欠けていると思うのですよ。この中に盛られた問題は、住宅と閉山の場合の退職金の問題だけだと思うのです。労務安定策ということを考えたときに、ぼくは植村さんの頭の中には、もう大体つぶれたときどうしようという考え方ね、家は建てておいたって、閉山になったら売りゃいいからという考え方じゃないかと私は思う。私はそうじゃない。炭鉱の労働者の皆さんを安心させるのは、それはこの産業というのはとにかくなくならぬのだ、山に骨を埋めてくれという対策が労務安定対策ですよ。それがないような安定策はぼくは非常に問題点が多いと思うのです。私はこの中に植村さんの腹の底を見透かしたような気がするわけです。いまの石炭対策に非常に希望したいのは、その中において組織的な役割りをつとめる人たちがほんとうはやっぱり考え方が中途はんぱだと、そういう点を痛感するのです。あなたは、この労務安定策について一項を入れて、山の労働者よ、将来についてあんたたちは失職をしたり、あるいは閉山の憂き目をみたり、そして出て行くことがないという安心感を与えるような一項を入れるような対策を立てるかどうか、それを聞きたい。山から出て行った人もずいぶんたくさんいるわけですけれども、どなたが出て行ってもやっぱりほんとうに喜んではいないのです。山にいればとにかく熟練したところのベテラン、一個の労働者であっても、新しいなれない所に行って、なれない職場に行って、そして年の十も違う人たちの教えを請うてやらなければならぬようなことになると、これは労働者としては悲しい。だからこれは一番先に中心になってくることは、石炭産業はだいじょうぶだから、山に骨を埋めるという決意でやれるようにやらなかったら、労働者をどんな条件で引っ張ってきてもだめなんです。私も山を回って歩いて、山に募集に応じてきたのかと思ったら、引っ張られたというような話を仲間の皆さんから聞いて、これはまるでどろ合戦だと、妙な話だと聞いておった。しかしそれが現在起っているのじゃないですか。私はそういう不安定な中からはほんとうの石炭労働者というのは、特に危険の多い産業なんですから、どんなに注意をしてやっても危険がないということは抜けきれない産業です。それにはおのずから熟練があり、山に対する愛情のある労働者を入れなければならぬわけですから、そういう意味で、ここに確信のある案が一本ないということ、あなたのほうで今度お立てになる安定対策というのは、こんな骨のない対策を立てられては困る。首がなくなったらどうするというようなことは、これは別な項で一項を別にすべきだ。万が一にもそういうことがあったらこうすべきだということを入れるべきです。この安定策の中に入れるべきじゃないと私は思うのです。 意見みたいなことを言いましたけれども、あなたのほうのお考えの中で私が心配なのは、四十八年までだと、こう言うから、その先はどうなんだということに結局なるだろうと思う。そういうことで心配をしているわけです。あなた一体どうなんですか。そういう点について不安があるならば、私は一歩を踏み出して、西ドイツなら西ドイツがいまやっていることがいいか悪いかということは急速に判断できません。できませんけれども、ひとつやっぱり大きな冒険でもおかしてやろうかというところがあるのだ。社会党はそういうところに、ひとつ国有化という問題を持ち出したらどうだということを提案しているわけですから、イデオロギーだとか何とかというしゃれたことを言っておるひまはないと私は思うのです。ここへきたら一体山をどうするかということで、死ぬか生きるかの問題ですよ。私はそういう意味で、自由経済でやっているところだってああいうふうにやっているところもたくさんあるのです。フランスに行ったって、オーストリーに行ったってたくさんあるのですから。だからそういうことをお考えいただいて、りっぱな案をつくってもらいたいということの意味を含めて言うのですが、労務安定対策についてのあなたのお考えを述べていただいて、私の質問を終わります。
○説明員(中川理一郎君) いろいろ御教示をいただきまして、確かにおっしゃいますように、私ども事務当局としましてはいろいろなことが気になるものですから、何か考えているときに、かりに第一段で相当勇敢なことを考えていても、実際の段階でいろいろなことが気になってきて、だんだんその専門家というのは弱気になってくる、これは小林先生おっしゃるように私は相当程度そういう感じがいたします。おっしゃっているような御意見どおりになるかどうかは別にいたしまして、この際のことでもあるし、いろいろな影響についての考慮はもちろんいたさなければいけませんけれども、その考慮の上に立っても、こうやることが正しいじゃないかと思うようなことがあったときには勇敢に取り組むという気持ちは私ども持ち続けたいと思いますし、審議会にもおりがございましたならば、その趣旨の意見が参議院の石特、特に社会党議員からあったということは伝えたいと思います。 労務安定対策でございますが、それはもう基本は、何と申しましても石炭産業の将来というものに一種の安定感を与えるということにあることは間違いないのでございまして、まあどのような表現で植村さんおっしゃったかは知りませんが、最初に阿具根委員長からお話がありましたように、石炭産業の再建を目ざしておるのだということを一番最初におっしゃっているはずでございます。そのことは、その前提からいろいろな政策が出てくる、その前提から政策を考える、こういうことだと理解していただきたいわけでございます。当然のことでございますが、万が一の閉山の場合の退職金なんというのは、先生のおっしゃるとおり、ほんとうに最後にそういうことがもしあったならばということで考えていい筋合いのものだとは思います。
○藤原房雄君 ただいまもいろいろ先輩委員の方からお話がございまして、また当局の御意見もございまして、基本的な大事な問題についてはお話がございました。まあ現実の問題といたしまして、答申が非常におくれまして、当初は八月ということでございましたが、これが今日になったわけであります。その間につきましては、おくれた理由ということについてもいろいろお話がございました。しかし、現実の上に立ちまして、これから答申が出ていろいろ審議になって予算措置が講じられるわけでありますが、非常に時というものは大事である、これはどんなことでも言えるかと思います。たいへんおくれたこの答申、これがまあ今月には必ず出るだろうと期待しておるわけでありますが、出てそれから審議が行なわれて、そしてそれが十分なるこれからの抜本策として、石炭対策をほんとうによみがえらしていく予算措置が講じられるかどうか、こういう点を非常に心配するわけでありますが、この点についてお伺いをいたします。
○説明員(中川理一郎君) 先ほど来いろいろおくれた理由は御説明しておりますけれども、趣旨としてはなるべく早いことを私どもも期待しております。もうそんなに時間をかけなくともできるのではないかという期待は持っております。少なくとも年内の答申ということを会長もおっしゃっておったようでございます。ここにきまして、一そうひとつピッチを上げてもらうように期待しております。 予算につきましては、答申が出ました上で大蔵省とも御相談いたしまして、この問題は急を要しますので、なるべく優先的にひとつ処理をしていただくということで話したいと思います。反面また年内での資金繰りその他の問題もございますので、私どもの立場としましては、できるだけ早く答申が出ることを期待しておりますし、いまの状況からいいますと、大蔵省のほうも石炭問題は優先的に予算の処理も考えていただけるようでございますので、答申が早く出ますならば、支障なく処理ができるものと考えております。
○藤原房雄君 具体的な問題としまして、いろいろ先ほどお話がありましたが、いままでの抜本策といわれたものにつきまして、三回にわたっていろいろ手を入れてまいったのでありますが、いずれも金融の肩がわりということが言われておりますが、累積赤字解消のための策でしがなかった。こういうことで明るい見通しを働く人たちに与えることができなかったことは現実がはっきり示しておるとおりであります。こういうことからいたしまして、このたびの答申につきましては、ほんとうに抜本的な対策を要求されるわけであります。先ほどもいろいろお話がございまして、また過日の植村会長のお話の中にも、私企業で十分にやれるのだ、こういうような御発言がございました。いままた局長からもお話がございましたが、やはり今日膨大な累積赤字を抱えておりますが、手の入れようによっては、このようにりっぱに立ち上がれるのだということが具体的に示されなければ、働く人たちもほんとうに希望を持って働くことができないと思うのであります。こういうことからいたしまして、一つの具体的な考えでありますが、よく言われておることですが、炭鉱の自家発電所の強化というようなことも言われております。これは現在の使用電力の三分の一程度が電力会社から受電しておる、こういうことも自家発電にするならば経費の面で大きく変わってくるのではないか。そういうような具体的なことを一つ一つ積み上げて、そうしてりっぱに現在の状態から脱却できるという、そういうものをはっきり打ち出していくことが関係者に対する安心感を与える一つの方向であると思うのであります。こういうようなことにつきまして、何か当局として考えておる点がありましたらお話を願いたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) いまここまできました段階で、石炭鉱業の再建のために相当な自覚を持って経営者も考えてくれると思っておりますが、一つは審議会の答申待ちということで、どういう助成策が講じられるかということを見守っておる状況下であって、私どもの目からしますと、そんなことではなくて、いま直らに企業としてやれる努力というものをやってもらいたい、こう思ってはおりますが、若干審議会の答申待ちという感じがありますことは事実だと思いますけれども、答申の出次第、それぞれについて具体的な努力をやってもらいたいと思っております。 お話しの自家発電でございますが、現在でも私の承知しておるところでは、たとえば常磐炭鉱は自家発を持っておるようでございます。そこで出ます商品価値の比較的ない炭で鉱内需要をまかなう発電所というものはほかにもあると思いますが、いまデータを持っておりませんので、どれくらいあるかはちょっとお答えしかねるのでございますが、私が現実に見たのでは常磐等はやっております。これらもそういった意味で合理化に役立つのであれば、いろいろと知恵をしぼってやってもらうべきだと考えますけれども、一つのやはり単位がございますので、どこにでも利用できるという筋合いのものではございません。
○藤原房雄君 それから労務者の問題につきまして、先ほどお話ございましたが、何と言いましても若年、そうしてまた技術を持った方々が炭鉱を離れていくということは非常に残念なことであり、さびしいことでございます。この炭鉱離職者の技術を活用するということは、生かすということはどうしても必要なことだと思います。長年いたところから離れるわけでありますから、相当の決意に立って山を去っていくのだと思うのでありますが、しかし私もいろいろお話を聞いておりますが、やはり土地を離れてから後悔するような方も非常に多いようにも見受けられるのであります。こういうことから、再びこういう方々が山へ戻ってくるような気持ちになったとき、またはその方向に向けていくということも非常に大事なことじゃないか、このように思うわけであります。現在は限られたところだけの問題かもしれません。現在といたしましては、離れていく人たちに対してどう処置するかというようなことが中心になって、現在の法制定がそういうようなふうになっておりますが、ととろによりましては、こういう有能な技能者が離れていく、この炭鉱離職者の技術を生かすという観点からいたしまして法の改正ということも考えなきゃならないんじゃないか。そういう方々を迎え入れる、こういう特別な助成措置も考えなければならないんじゃないか、このような考えを持っているのでありますが、この点につきましては、いかがお考えでございましょうか。
○説明員(中川理一郎君) 先ほど来いろいろ御質問がございましたように、またいま藤原委員からお話がございましたように、全体としての労働力の確保ということが石炭鉱業にとってたいへん大切な問題になっておりますので、従来のように石炭産業から他産業への転出という意味合いでなくて、石炭鉱業内でいま御指摘のような労働力を有効に使うということは当面しております大切な課題でございます。現在石炭鉱業審議会の雇用部会で、いま先生から御指摘のあったような石炭鉱業における労働過剰時代の雇用問題と、不足事態になった状態での雇用問題というのを政策的に的確に意識して、これに適合する制度を考えるということをいま審議してもらっております。これは当然のことでございますが、労働省の行政面でございますので、労働省にも入ってもらいまして、石炭鉱業内の労働移動というものについて、他産業へ転出する場合との関連において有効な施策を見出してもらうようにいま検討してもらっております。
○藤原房雄君 先ほどもお話がございまして、再建という前向きの姿勢で前進することだと、考えていくというお話がございました。どうか先ほどお話がございました保安問題にいたしましても、また今後働ける方々が安心して働いていけるように、希望の持っていけるような方向で、ほんとうに抜本策であり、再建策であり、前向きのそういう心強いものであるように、そういう答申の出ることを心から祈るわけであります。 以上をもちまして私の質問を終わります。
○原田立君 いろいろと審議会の答申案について話がありましたが、それはちょっと別にしまして、保安局長にお伺いしたいのですが、二十七日の午後三時五分ごろ大牟田の三井三池炭鉱三川鉱においてガスボンベの火が吹いて、大事に至らなかったけれども、そのほうの調査報告はお持ちになっていると思うが、概略御説明願いたい。
○説明員(橋本徳男君) その事件のありましたことは承知しております。三時間程度でそれが鎮火できたというふうなところまで聞いておりますが、詳細の報告はまだ到着しておりませんので、到着次第御説明申し上げたい、こう思っております。
○原田立君 たぶんそういう返事だろうと思った。二十七日で、きょうは三十日ですから三日しかたっていない。報告がきていないからというようなことだろうと思ったが、そういう姿勢を今後すっかり改めてもらいたい。一番近いこの委員会に、これは当局としてはこういうことだったということを詳細に的確に敏速にこれは報告する義務があるだろうと思うのです。もうすでに三日たっているのです。まだ報告がされないというなら、ぼくは怠慢のそしりを免れないのじゃないか、こう思うのですよ。今後は大小にかかわらず早急に当委員会に報告願いたい、こう思うのですが、その点についてはどうですか。
○説明員(橋本徳男君) この点につきまして、電話連絡を受けました程度で御説明いたしたいと思いますが、二十六日の十五時五分ごろでございますが、カッターの故障に対しましてアセチレンを使用、修理作業をやっておりまして、その際にボンベの口もとで火をはいた、それが約三時間程度で消火できた。ただ、六十二名の作業員はすぐにそのまま昇坑できましたので、罹災者は発生していないというふうなことで、そういったものの原因等につきましては、現在監督局のほうで調べておるという状況でございます。 先生御指摘の点の事故につきましては、とりあえずは電話連絡によって可能な限りキャッチいたしますし、その後詳細調べまして、書類等で現場からまいりますので、逐一御報告申し上げたい、こう考えております。
○原田立君 政府もこういう坑内災害については非常に神経使っているのだろうと思うのですよ。電話連絡でも、テレックスだって、幾らだって方法はあると思う。それを一番最初にちょっと私が質問したときに、詳細の報告がないからといって鼻であしらうようなそういうことは、政府は鉱山保安の体制からいっていけないことじゃないかと思うのですよ。厳重に反省してもらいたいと思うのです。今回は大事に至らなかったからいいようなものの、三池にはこの前のような大きな事故毛ありますし、あそこでもし炭じんがあったならばということを思えば、また第二の三川大事件が起きないとも限らないじゃないですか。そういうことにまで思いをいたせば、もっとこういう問題については神経をとんがらかして対処してもらいたいと思いますね。
○説明員(橋本徳男君) 事故の問題につきましては、絶えずわれわれのほうも現地の監督局と連絡を密にいたしまして、報告を受け、かつまたその原因等につきまして、詳細なる報告をもらうことになっております。いまの確かに三井の点につきましては、かつて大事故がございました。特にまたその三井の問題につきましては、監督局のほうにおきまして十分の配慮をしております。たとえて申し上げますれば、監督局で班長制による複数制の監督をやっておりまして、それ以外にまたたとえば落盤等の特別な検査もやっております。こういうふうな方法によりまして、ほかの鉱山に比べますれば、より突っ込んだ監督検査をやっておるような状態になっております。
○原田立君 三池労組は二十二日午前、非常事態宣言を行ない、三池炭鉱の災害の実情を広く一般に訴えようとしているという、こういう実情も新聞報道されておるけれども、その点は御承知ですか。
○説明員(橋本徳男君) 詳しくは存じませんが、そういう話は聞いてございます。特に最近、三井におきまして、この十一月に入りましてからも、こういったような事故が発生しておりまして、ちょうどそれがかつての大事故の前にもそういうケースがあったので、あるいはそういう前ぶれではないかというような意味が含まれておるのかとも思いますが、特にそういった点につきましての心配をしておる向きもあるというふうなことから、監督局のほうにおきましては、そういう班長制による複数制の検査官という形において、従来以上の力を入れて検査に当たっておるわけでございます。
○原田立君 大事故の前ぶれではないかと心配している。それは何らか原因があるわけであります。私も新聞で知っておるのだけれども、御承知であったら発表してください。
○説明員(橋本徳男君) その前ぶれではないかとうことにつきましては、そういう話を聞いておるので、そういう前ぶれである前兆というものは、監督局その他から見ましても、特に科学的に出ておりません。ただ申し上げられることは、さきの大爆発が起こります前に三回程度の小さな事故が続いた。で、今回の場合もそういった最近におきまして三回程度事故が続いておるというふうなことから、そういうふうに言われておるのではなかろうか。しかし、その事故とそれから大事故との間の因果関係は特にございませんが、あるとしますれば、その経営態度といいますか、そういったものにあるいは誘因でもあるのではないかというふうなことから、特に監督局のほうにおいてそういった面も含めまして、十分監督に当たっておるというふうな状況でございます。
○原田立君 局長言わないから、じゃ私のほうから言いますけれども、十六日から二十一日まで、わずか六日間に死者二人。死んでいるのですよ、二人。それから重傷者を六人出しておりますよ。これは前の三川鉱の三百何十人もなくなったのから見れば、それは確かに小さいですよ。小さいけれども、人命にかかわる問題です。軽々しく言ってもらいたくないと思う。そういう点が先ほど局長も言ったけれども、前回のような事故の前ぶれではないかと地元では心配しておる。なくなっているのですよ、二人。大災害事故があってはならぬ、こう私は思うあまりに申し上げるのです。ですから小さな事故といえども、死者がなかったからといえども、そういう状況把握、こういう点についてはもっと的確に敏速でなければならないんじゃないか。こういうふうにやっているからいいじゃないかということでは、かりに今度あの事件が大きな事故であったら何としますか。そういうことを考えれば、保安関係についてはもっときびしい態度、従来のようなことでなしに、何らかの処置を当局として講じていかなければいけないのじゃないか、こう私は思うのですよ。まあ唐突な質問ですから、腹案等があればお答え願いたいし、もし今後十分考えるというならそれでもけっこうだし、お伺いしたい。
○説明員(橋本徳男君) その点につきましては、われわれも十分そういった事故の発生の状況の把握、並びにそれに対する処置等につきましては遺憾なきを期していきたいと思っておりますが、先ほど御説明いたしましたように、最近におけるこういった事故の傾向を見てみましても、もちろん従来から保安法に基づきまする各般の措置はやってはおりますが、特にこういった問題に対処する意味において審議会等でそういった答申もいただくことになっておりますが、その点は答申をいただくまでもなく、事故の原因等につきましては、十分これを調査した上で、現在以上に厳正なる態度をもってこれに当たっていきたいという覚悟を持っている次第でございます。
○原田立君 覚悟はたいへんけっこうなんだけれども、具体的に何かということはないのですか。
○説明員(橋本徳男君) 具体的には先ほど言いましたように、特に監督局のほうにおいて注意を払うために通常の場合以上の形においての検査をさせ、そこでもし悪い違反等の事故が出ますれば、保安法に基づきまして設備その他の一時の休止というふうなことも考えて、いろいろな原因等の究明に当たるというふうな態度で臨んでおります。
○原田立君 この前いろいろ新聞や雑誌等で見たのですけれども、こういう保安の強化のために、イギリスあたりではそういう不良炭鉱の係官などを月に何回か集めてはいろいろ報告をさせたり、訓練をしたりしているとか、あるいはまた、そういう事故があったことを、それをこういうふうにすれば事故はなくなるんだという記録映画ですね、そういうようなものをやって保安行政、保安意識というものを高揚するようにつとめているというようなことを見ました。そういうような具体的なことを、一般啓蒙のような部分に入りますけれども、考えておられないのかどうか。
○説明員(橋本徳男君) 保安の問題につきまして、そういったような具体的な形においての相互の情報の連絡交換、それからそれについての対策、こういったものは監督局におきまして、保安関係者を定期的に集めましてそれぞれ保安についての諸問題を検討し、かつまた、そこにおいてのいろいろな対策のやり方等もいろいろ話し合って、これは従来もそういう方向で続けております。それからまた、最近われわれのほうで手がけている問題といたしましては、こういった事故につきましての事例集といいますか、そういうものをつくりましてこれを各鉱山に配付し、それによっていろいろな事故を、たとえば保安係員あたりが身をもって体験していただくためにそういう例規的なようなものをつくるというふうなことで、その作業に現在入っております。それからまた保安教育といったような面におきまして、現在もスライドあるいは映画をとりまして、これを定期的に保安係員等に見せるというふうな措置を現在やっております。さらに最近におきましては、保安につきましての各事故のケースをカードシステムにいたしまして、そのカードシステムによってさらに事故の原因の究明、それからそれについての対策といったような、カードシステム方式によってさらに充実をさしていきたいということで、これも現在手がけてやっておる段階でございます。
○原田立君 この事故について会社側はどうしてガスボンベに引火したのか原因を調べているが、ボンベからのガス管に穴があいていて、穴からふき出ているガスにまず引火したものと見ておる。危険の多い採炭現場でアセチレンガスを使って溶接作業などをする場合に、湿度、消化施設、炭じん量など、こまかい点検をした上で鉱長の許可が要ると、そうきまっておるわけですけれども、この日の作業は三川鉱長の許可が出ていたというのですね。だからよけい心配なのですよ。許可が出ていなくてたまたまそこでアセチレンガスを使ってこういう事故が起きたというなら、これはやっぱりガスを使ったほうが悪いという気がしますけれども、正式に許可が出ていた。それでこういう事故が起きた。幸い何度も言うように大事故にならなかったからいいようなもので、それは大事故になる可能性は十分あるのです。こうなると、この鉱長あたりのその責任問題、そういうところにまで発展していくと思うのです。ただ十分監督をいたしておりますというだけでは済まされなくなってくる、こういうふうな問題が内包していると思います。これについて地元の人たちがたいへん不安感を持っておりますし、大事故が起きて泣くよりかその前の努力をうんとして、そうして事故の絶滅をはかるように、当局としてもこの三川鉱に対してはもっときびしい態度でやっていってもらいたいとこう思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(橋本徳男君) 確かにおっしゃいましたように、こういった作業をあの危険な場所においてやる場合には、いまの規則上いろいろな制約をつけております。たとえばガス量を常時検査するとか、あるいは統括者の許可を得るとかいうふうないろいろなそういう条件の上に作業をすることになっておりまして、そういった辺の実態がどうなっておるかということにつきましては、さらに監督局のほうからの報告を待ちまして、違反事項がございますれば、厳正な態度で臨んでいきたいというふうに考えております。
○原田立君 中川局長、お伺いしたいのですが、今度の答申によってたいへん出炭量、出炭規模が減るだろう、こう予想されている。先ほどからのお話ではそんなことは一言も言わないわけなんですけれども、一般の受け取り方はそういう受け取り方をしておる。そうすると、山によって生きてきた、山によってその地域形態が保たれてきた、こういうところは一ぺんに大きな波をかぶることになる。それで福岡県の飯塚、直方、宮田、遠賀、田川、こういうあたりのいわゆる筑豊炭田地帯、これなんかもう相当大きな波をかぶるのじゃないかということをたいへん心配しております。で、私はもっと出炭規模をそんなふうに切り下げてやるんだなんていうのじゃなくて、現地の要望というものはもっともっと出炭規模を上昇せしめて、もっと計画を大にして、そうしてそういう小中炭鉱等もぜひ残してもらいたい、そうしないと働いている人もなかなかいけないし、地域経済も混乱してしまう、こういうことで出炭規模を巷間伝えられるような三千五百万トンというように引き下げるようなそういう動きはしてもらいたくない、もっともっとふやしてもらいたい、こういう意向があるのですけれども、それらについてどういうふうにお考えですか。
○説明員(中川理一郎君) 御指摘のとおり地元の気持ちとしては、閉山になるような事態というものはどの角度から見てもぐあいの悪いことでございますから、産炭地の意見を集約すれば、いずれにしても現状出炭規模というものを下げないようなことで考えてくれ、こういう主張になることは私もそうだろう、無理からぬことだと思っております。われわれも石炭産業を再建することが眼目でございまして、切ることが目的ではございませんけれども、いろいろな制約がございますので、そうは考えても、やはりやむを得ずその措置をとらなければならぬものが出てくるだろうということのために備えて、いろいろな準備、手配をいたす必要があるわけでございます。これは今回そう大きなことを考えているわけではございませんで、過去にも相当の閉山が行なわれておりますので、産炭地というのはいままでの閉山からまだ十分な立ち上がりを見てないというところに、また引き続いて新しい閉山が重なってくるというところに問題があるわけでございまして、これらにつきましては、産炭地政策全体というものをやはり新しい角度で見直す必要があろうかと思います。自治体の財政等につきましても、目下いろいろと検討をお願いしておる状況でございます。
○原田立君 筑豊のようないわゆる炭田地帯ですね、現在すっかりやられているところ、ほかにも北海道とか全国的にいろいろおありだろうと思うのですが、それに類似したような地域ですね、それはどのくらいございますか。
○説明員(中川理一郎君) いままでのスクラップ・アンド・ビルド政策によりまして一番大きな閉山が行なわれましたのは筑豊でざいます。ここに非常な大きな問題をいまだに残しておることは事実でございます。今後の問題を考えますと、産炭地振興という従来式な手段でなかなか処理し得ないものが北海道の特定地区では起こり得る状況にございまして、目下産炭地域振興審議会でそれらの点を十分に詰めていただくという形の審議を行なってもらっておるわけでございます。
○原田立君 北海道の具体的にどこ方面というふうに仰せいただければ一番いいと思うのですが。 それともう一つ、いまもお話のあったように、筑豊のほうが前回の合理化で終閉山になって、がばっと落ち込んじゃっているのですね。まだ浮上していないのですね、その後の処置が講じられてないから。そしてまた今度のもし減産なんということになれば、それこそ沈みっぱなしで、完全に浮いてこない。こんなふうなことが心配されるわけですよ。そういうふうな地域が筑豊のほうについてはいま私ら具体的に情報をつかんで知っておりますけれども、他の地域でもあるんじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
○説明員(中川理一郎君) 先のことは差しつかえがございますので別にいたしまして、いままでの状態で筑豊のように集中的に閉山が行なわれたところはございません。ただ北海道でも、たとえば美唄地区というのは非常に大きい炭鉱が数個あったのが非常に小さくなっておるという状態で、北海道で申せば、いままでのところからいえばそういうことだと思います。なお九州で申しますと、長崎県の北松地区がいままでの閉山ではかなり深刻な影響を受けておる、こう御理解いただいてよろしいかと思います。
○原田立君 それで、そういうふうな深刻な打撃を受けているのが北海道美唄、長崎の北松、福岡の筑豊といま名前が出てきたわけですが、福岡県では産炭地雇用安定法を通産省のほうにも労働省のほうにもお出しして、そうしてそういう終閉山による混乱を最小限度に食いとめていきたい、こういうことで産炭地雇用安定法をぜひ成立さしてもらいたい、こういうことを言っているんですが、お聞きになっていると思いますが、その点いかがですか。
○説明員(中川理一郎君) これは亀井知事なり副知事なり等から聞いておりますし、私が聞いておるというだけじゃなくて、いまの福岡県提案は福岡県の意見ということで、先ほど申しました産炭地域振興審議会の中でこれを検討してもらっております。
○原田立君 それについて通産省はどうなんですか。
○説明員(中川理一郎君) 私どもは、福岡県提案を産炭地域振興審議会がどういう受けとめ方をするか、その結論を待らたいと思っております。
○原田立君 審議会待ちなんて言わないで、通産当局としてはどうお考えかと聞いているんです。
○説明員(中川理一郎君) これは、いままでいろいろとそういう立場でものを聞かれまして、何かお答えしますと、今度逆に、諮問をしておきながら意見を言うのはどうかということでしばしばおしかりを受けておるわけでございますので、原田先生にはたいへん申しわけございませんけれども、きょうのところはやはり審議会の受けとめ方がきまるまで意見はひとつ留保さしていただきたいと思います。
○原田立君 どうも納得しがたい意見です。新聞報道によれば、労働省では乗り気だが通産、大蔵両省内にはなお問題視する声があって新設には反対である、こういうことが言われているんですよ。だから聞いているんです。中川さんあなた担当局長ですから一番はっきりわかっているはずだと思うんです。大蔵省のほうでも、この問題について何か反対だというような話を聞いたんですが、その点どうですか。
○説明員(亘理彰君) 福岡県の御提案は大体のところは伺っておりますが、これを私のほうで申しますと、労働省担当の主計官のほうでやっておりまして、私詳しくは存じませんが、いまの段階でどういう見解かというお尋ねに対しましては、いま石炭局長が申されたことでお許しを願いたいと思います。
○原田立君 詳しく聞いてないということはほんとうなんだろうと思いますけれども、主計官、産炭地の苦しい実情なり実情なり、そういうものをもう少しはだに感じてお考え願いたい。ほんとうにそう申し上げたいんですよ。現に、これも新聞報道でしか言えないのであれですが、第二種公共事業を新設するにしても、事業費百億円は石炭会計から出すか一般会計から継ぎ足すか、労働、通産両省がまだやりとりの最中、あるいはまた大蔵省においても、一般会計で出すかあるいは特別会計から出すか、そこいら辺が問題だというような意見が新聞に出ているのです。だから何らかのことが十分検討されていていいのじゃないかと私は判断しているのです。それでお伺いできればとこう思って聞いているわけなんです。
○説明員(中川理一郎君) 当然のことでございまして、私のほうもあの福岡県の提案につきましては事務的にはいろいろと検討しております。事実また問題点なしとしないという気持ちは持っていますけれども、いまの産炭地域振興審議会で委員さん方に福岡県の話についてそれぞれ活発な御議論をしていただいておる段階でございますので、この段階で私どもの意見を申し上げるということはなお差しさわりがあると思いますから差し控えたいし、また私どもの意見自身もまだそう固まったものじゃございません。問題点なしとしないという角度で検討を加えておるということでございますので、いまイエスとかノーとか言え、こうおっしゃいましても、私ども自身まだ結論も持っておらないところでございます。しかし、ある時点までには、当然に審議会の意見も聞きながら、私どもとして対処方針をきめざるを得ないことであることは間違いございません。
○原田立君 新聞報道によりますと、最後の石炭再建策が実施された場合、出炭規模がいまの四千七百万トンから三千五百万トンに押えられるのは必至、県の試算だと三千五百万トンになると筑豊の終・閉山は急ピッチで進むおそれがあり、石炭だけで七千人前後、関連企業を含めると一万数千人の離職者が出るのは避けられない、こういう新聞報道が出ているので、私心配しまして、県のほうの石炭関係の当事者等に聞きましたらば、やはりそのとおりです、こういうことを言っておりました。私は何もこういう終・閉山等が行なわれることを望むのじゃありません。石炭産業のこういう仕事をもっともっと望むのだけれども、現実にこの波がかぶってくるならば、それに対する次善の策というものは十分講じなければならないのじゃないか。現に県のほうもたいへんそのことを心配しておりまして、おそらく北海道の美唄にしても長崎県の北松方面にしても、それぞれの当局者は非常に悩んでいるのじゃないか、心配しているのじゃないか、こう思うのです。それでこういうような産炭地雇用安定法というようなものが考えられてきた、やむにやまれずして考えられてきた。この法自体は私たちもまだまだ不十分な点があるとして、もっと明らかにしなければならないことは考えておりますけれども、その緒につけるべくこの安定法が出されてきた。それに対して現段階で意見が言えないというならば、それはそれでやむを得ないとしても、こういうことを十分考慮して、こういう産炭地雇用安定法のようなものを設けていくようなそういう方向に向かいつつあるのか、またそういうふうな努力をしていきたいというような考え方があるのか、その点はどうですか。
○説明員(中川理一郎君) 離職者の発生に際しまして、これが滞留をして、かつ怠惰な労働者に転化していくという危険性を排除して、積極的に仕事につかせたいという気持ちで提案がなされておる趣旨については私ども異存はございません。ただこれを公共事業的なもので考えていくのか、あるいは離職者対策で考えていくのか、中間的なねらいを出しておるわけでございますし、また相当公共事業的なものを石炭特別会計の財源でやれということになってまいりますと、私どもいまでさえいろんな政策要請のために財源で首をひねっておる状況でございますので、これはなかなかそう簡単にいく筋合いのものではございません。産炭地振興を石炭特別会計の金だけでやれということになりますと、そう大きな産炭地振興というのは私はやれないと思います。産炭地振興というのはもうもとからそうなんでございますけれども、われわれのほうも相当のことはやりますけれども、やはり北九州なら北九州における産業基盤を確立するという意味合いで大きな道路網が必要だというときに、石炭特別会計の金では道路までつくるということになったのではこれはとめどのない話でございまして、私どもがいままでのところ団地づくりあるいは用水というようなこと、養畜業の誘致についての助成というようなことをやってきておるわけでございますが、やはりほんとうに地域的な産業基盤を確立するという意味合いにおきましては道路網でございますとか、いろいろな公共投資が要るわけでございます。したがって、われわれはわれわれの中で、石特会計の中で相当のことはいたしますけれども、全政府の問題として各省の権限内で産炭地というものを何とか力を入れてやろうというお気持ちがありますならば、それぞれが持っておる道路予算、橋梁予算というようなもので、それぞれ協力をしていただかなければならぬ筋合いのものだと思っておりますので、最近の審議会の審議の基調も、大々的にひとつ全政府ベースの話として処理をしてくれるように各省に強力に呼びかける体制をひとつつくってもらいたいという意見が強く出てきておりまして、私どももそれには異存ございません。各省がほんとうにそういう気持ちになってもらわなければいけませんし、また各省にそういう気持ちになってもらうことを私どもが御説明し御依頼をする立場にありますので、今後その方向で努力いたしたいと思っております。石炭特別会計の中でいまの福岡県のような提案をこなせるかどうかということには、先ほど申しましたように、率直に申しまして問題点がないというわけではないというふうに考えております。
○原田立君 半分けなしておいて半分何とか努力するというような言い方をしておるけれども、そういうようなことでなしに、あなた鉱山局長さんだし、はっきりいろいろな石炭関係の山の事情はすでに十分御承知のはずだと思うのです。だから一、二の足りない点、行き過ぎの点等を取り上げてどうのこうのということじゃなくて、こういう疲弊した産炭地域をもっとよくするためにも、今回のような福岡県で出しておるような産炭地雇用安定法等の考え方は望ましいのだというような、そういう方向なのか、あるいは各省ばらばらで運営をやっていくというそういう方向を通産当局ぼとるのか、その点を聞いているわけなんです。
○説明員(中川理一郎君) 福岡県が提示された問題というのは私どもは異存はないと申し上げておるわけでございます。ただこれをどういう形でこなしていくか、労働省ともよほど相談をし、公共事業的なものとの関係があればそういった関係の各省、つまり建設省等々とも相談しないできめれることではない、こういうことでございます。趣旨としましては、もし方法がございましたならば、いまの提案の趣旨を生かしながらどういうことがやれるかということについて努力をするということについては何ら異存はございません。そういう意味では決して消極的な立場をとっているのではございません。
○原田立君 これで最後にいたしますけれども、どうかこういう疲弊した炭鉱地帯が、特に福岡県の場合、産炭地雇用安定法等のことを切実に熱望しておったということは局長のほうから十分上司に伝えてもらいたいし、審議会のほうにも大いに伝えてもらいたいと思いますので、その点お伺いして終わりたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) 承知いたしました。
○須藤五郎君 私たちは日本の石炭産業を守り発展させていかなければならない、そのためには十月二十八日の当委員会の質問で明らかにしたごとく、労働者の生命と安全を守る立場に立って、保安の確保、大幅な賃金の引き上げ、生活環境の改善、民主的諸権利の保障、この四つを柱とするところの抜本策を打ち出さなければならない、こういうふうに考えておるわけです。そこで以下幾つかの点でお伺いをいたしたいと思います。 第一は、一昨年一千億の肩がわり措置という抜本策を打ち出しましたが、どのような条件を持つ会社がその肩がわりを受けることができるのか、肩がわり措置の対象となる会社の要件はどうであったかという点をまずお伺いしておきたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) いまの御質問にお答えする前に、若干前回の一千億の肩がわりについての概要を先にちょっと御説明しておきたいと思います。 これは御承知のように、昭和三十年ごろからエネルギー革命の進展に対処するため急激かつ大規模な閉山合理化を遂行いたしてまいりました。この間数字で申しますと、たとえば三十四年から四十年までの間に、大ざっぱに申しますと千四百万トンのスクラップをやっております。それから四万七千人に近い整理をやってきております。こういうことで企業が、企業側の怠慢ということではなくて、エネルギー革命の進展に対処するためのスクラップ・アンド・ビルド政策というもののために不可避的な損失を受けた、これを今後の再建のためにその重荷を解除してやろうということで発足したものでございますので、要件といたしましては、そういった実質累積赤字があるということと、それから十年以上の炭量を持っておりまして、これで肩がわりをしてやれば十分成り立つというものについて考えるということで、具体的には再建整備計画というものを提出させまして、これを認定することによって対象といたしたわけでございます。繰り返しますと、累積実質損失を持っておるということと、十年以上の炭量を持っておるということでございます。具体的には再建整備計画の認定を経た上で実施するというわけでございます。
○須藤五郎君 ここに政府当局の私に出された資料がありますが、そこには措置の要件として三つの点があげられております。第一はいまあなたのおっしゃった債務状況が欠損であるということ、それから可採炭量が年出炭量の十倍以上ということ、それからこの二が最も重要な点でありますが、再建整備計画についてその内容が適当である旨の通産大臣の認定を受けていること、借り入れ金は合法的であること、この三点が要件だという資料が出されております。そこで質問するわけですが、一昨年の一千億円の肩がわりという抜本策があまりにも今日破綻していることはだれの目にも明らかです。そのためにいままた新たな抜本策を打ち出さなければならないことになってきたわけです。各社の再建整備計画の内容を適当と認めた通産大臣、政府当局の責任は私は非常に重大であると言わなければならないというふうに思うんです。一体政府はこの第一次抜本策に一千億の金を出しながら、それが失敗に終わったこの失敗の責任を国民に対してどのような形でどのようにとろうというのか、この点を伺っておきたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) 再建整備計画の認定にもかかわらず、必ずしもそのとおり進んでおらぬということは、先生の御指摘のとおりでございまして、これには私どもも十分に反省をしなければいかぬと思っております。むしろ来年度からとります対策の上で、これについての反省を十分取り入れたもので処理をするということを考えておる次第でございます。
○須藤五郎君 いま私は大臣がおったらこの点もう少し追及しなければならぬと思っていたのですが、この点はあらためて大臣が参りましたとき、私はこの点を質問しますが、それでは局長さん、この再建整備計画についてはその内容が適当であるという通産大臣の認定が誤っておったということは認めるのですかどうですか。あなたたちの認定が誤っておったということになると思うのですが、どうですか。
○説明員(中川理一郎君) これはまず基本的には企業側が提出する計画でございますので、その点どうしても企業の出してきたものをチェックするという立場にありますために、十分に先の予測についてのそのチェックができなかったということは私はそういう意味で反省しなければならぬものがずいぶんあると思います。ただその中には、たとえば人件費の上昇率を七%で組んできなさいというふうに、審議会の答申を受けて役所から事実上ワクを当てはめたようなものもございまして、しかもそれが事実問題として七%の上昇には終わらないということになったと、こういたしますと、この点についても役所側は今度はその計画を出してくる経営者でなくて、経営者もそういう前提で組んで来ているわけでございますから、その前提を与えたこちら側のさきの人件費上昇率について低いもので考えておったということの間違いと申しますか、そういう推定をしたことについてのやはり責任というものは十分感じなければならぬものがあると思います。そこで先ほども申しましたように、来年以降を考えます場合の収支損益面では、七%などということではなくて、大体実態に近い、最近の実勢を踏まえたもので見ていきたいと、こう考えてはおりますけれども、しかし五年間の間に、ほんとうに五年先まで労務費のアップ率というものはどのくらいであるか、これはなかなかそういう意味では見きわめのつかないものがあることは御理解をいただきたいと思います。
○須藤五郎君 まああなたも、業者が出してきた資料をそのまま信用した点にわれわれの足りなかったところがあったと、だから大いに反省をしなければならぬというのですが、やっぱり少なくとも一千億という金、これは国民の税金ですから、たいへんな金ですよね。この一千億という大金を、単に業者が出してきた資料によって、それをうのみにして、そうしてこれでいくだろうというような認定をした。認定ということばが使ってあるのですから、やはり認定には責任があると思うのですよ。こういう認定をした政府に責任がある。出してきた業者には責任はないですよ。むろんそれを見抜くことのできなかった政府当局、ここに私は責任があるということ、その責任を単なる一言で、反省いたしますというようなそんな軽い意味で一千億の金がむざむざ使われたのでは国民はたまったものではないです。反省というようなことばではとても済まされないものだ。だからこの点は私は責任を明らかにしなければいかぬと思う。しかし、まあ局長ではちょっとぐあいが悪いから、今度大臣が来たときにぼくはあらためてこの点を質問し追及することにいたしましょう。 そこで、今月の十九日の日経によりますると、「石炭再建論議の舞台裏」というような見出しで「揺れる〃基本問題〃、こういう見出しで熊谷次官がこういうことを言っておりますね。「「やっと本来の基本問題が議題になってきた」と熊谷通産次官はいう。石炭鉱業再建に当たって、これまで〃周辺問題〃とされてきた炭鉱労働者対策、産炭地域振興策、保安対策、鉱害問題などが相次いで石炭鉱業審議会の議題に取り上げられ始めたことをいっている」。それから、ずっと略しますが、「「熊谷通産次官」は「もともと分離とか、肩代わりとか、経過金融に対する保証率の問題などは技術論であって、〃基本問題〃ではない。その意味で労働者、産炭地域、保安などの諸対策が議論されるのは結構なことだし、これらの対策の積み重ねの上に初めて〃それでは企業形態はどう処理すれば目的が達せられるか〃という話になるべきだ」といい、一カ月は時間を損した。これからは方法論と基本策を並行して議論することになろう」」と、こういうふうに熊谷次官が語っておるわけです。これは私も一つの前進だと思うんですよ。私はこの十月の二十八日の質問のときにその点を皆さん方に明らかにした。労働者問題を抜本策の中心に置かないで、ほかのことをやっておったって役に立たないんじゃないか、まず労働者の問題から解決しなさい、それを抜本策の中心にしなさいということを私はそのときに言った。だから私の意見にやや近づいた意見を熊谷次官が述べたということは私は一歩前進だと思うんです。そこで、私は今回の抜本策では四千億円の国家資金が投ぜられるようになっておりますが、その使途を明らかにしていただきたいと思うんです。労働者対策にどれだけ金を使うのか、保安にどれだけ金を使うのか、住宅にどれだけ金を使うのか、鉱害防止にどうか、退職金はどうか、閉山交付金はどうか、こういう点についてひとつ伺っておきたいと思うんです。
○説明員(中川理一郎君) 審議会の答申が出ていない、結論が出ていない状況でございますので、四千億そのものをどうということにつきましてもいま申し上げることができないことはおわかりいただけると思いますが、いずれにいたしましても、いまお話のございましたような石炭鉱業に対する合理化安定対策、労働対策、鉱害対策、産炭地振興対策等々のものにどれだけの金が必要であるかということをいま検討していただいておるわけでございます。もうしばらく時間をいただきたいと思います。
○須藤五郎君 私がちょっと耳にしたところによりますと、従来やった一千億の交付金とは内容が違ってきておる。今度の交付金の中の五〇%は従業員のために使う、それから二五%が鉱害に充てられる。それから残った二五%のうち二二・八%は優先債務のために充てられる、二・二%は一般債務のために充てられると、こういう案が出ておるということを私は耳にしたんですが、どうなんですか。あなたも審議会に列席しているんですから、こういう問題は何か具体的にもう出ているはずなんです。隠す必要はないんです。だからその点私はこういう資料をつかんでいるんですよ。これが本当ならば、そうでございますとおっしゃるがいいし、違っておるなら、どこが違っておるんだということをこの際明らかにしていただきたい。
○説明員(中川理一郎君) いまのお話を聞いておりますと、それは閉山交付金の配分の事柄ではないかと思います。閉山交付金制度につきましては、まだ数字は確定しておりませんが、いまおっしゃったようないろんなことを考えながらいま検討をしておる段階でございまして、先ほども阿具根委員長にお答えいたしましたように、たとえば鉱害充当分を外出しするというようなくふうもいま勉強しておる状況でございまして、いずれにいたしましても、先生いまおっしゃいました肩がわりにかえてということは、これはいま議論をしておりますのは、再建交付金ということで、従来の赤字処理ということではなくて、むしろ前向き再建に必要な措置として債務処理をある程度やってやろうということで考えておりますのが一つの案でございまして、その話と閉山交付金とはちょっと事項が違いますので、若干お取り違えになっているのじゃなかろうかと思います。
○須藤五郎君 それはわかりますよ。それでは今度閉山交付金はどのくらいの金額を充てているのか。それから閉山交付金の配分方法というものは私がいま言ったような方法で、率で配分されるのかどうか。
○説明員(中川理一郎君) 閉山交付金制度につきましては、先ほどお答えしましたように改善をいたしたいと思っております。改善ということは中身の分配についてもそうでございますが、トン当たり炭価ということで表現をしましたときの炭価を上げることも考えております。この両方でございますが、それから先、それじゃいまの二千四百円をどれくらいにするつもりだとか、いまのパーセンテージをどういうふうにするつもりかというようなことは、これはむしろ審議会のお考えも待たなければいけませんし、あるいはもっとはっきり申しますと、審議会はもう少し基本的りプリンシプルとして考え方を言っていただけばいいんであって、予算の状況になれば、これはやはり予算案がきまって国会で御審議をいただいた上でないと、それはどういうことになるかということは最終的にはきまらないとでございますので、審議会におきましては、少なくともいまの閉山交付金のこのままの制度では将来起こり得るであろう閉山の円滑な処理という面ではまだ欠陥がある。少し金がかかってもこれを是正すべきではないかということで、炭価そのものと中の配分についていろいろと検討を加えていただいておる、こういう状況でございます。
○須藤五郎君 私たちはもっとその炭価の問題につきましても、いろいろな問題で資料は持っておるんですけれども、その審議会の答申が出ない限り、政府として具体的な答弁ができないというんだから、もうこの点はこれ以上追及してもむだかと思いますから、追及はやめます。 そこで次に石炭会社の赤字についてお伺いしたいと思うんです。十一月四日の日経によりますると、太平洋炭礦は前九月期決算で赤字を計上したと、こういうように報道されております。そうしてその解説のうちにこう書いておるんですね。「さらに同社では、四十四年度から実施される石炭再建新対策の再建交付金(負債の肩代わり資金)の支給を受けたいとの方針から、この時期に赤字を計上し、肩代わりの資格をえておこうとの判断も働いたものとみられる。」、こういうふうに書いております。これからも太平洋炭礦の赤字そのものが肩がわり金目当てのきわめて政策的な赤字であることが推測できると思うんです。今日の石炭会社の赤字はなぜ発生しておるのか。政府は当局の手元にある各社の具体的な赤字に関する資料をここに提出してもらいたいと思うんです。
○説明員(中川理一郎君) 私企業の経理状況を個別に公開するということは、政府の立場にあるものとしてはできないことでございますので、個別資料の提供は残念ながら不可能だと思います。ただ、せっかく須藤委員おっしゃっておりますので、私どもも外部には、まあ悪い悪いと言ったって、数字がわからないで悪いと言っても御理解願えないかと思いますが、従来国会では、大手全体のトン当たり赤字額というようなことで、どれくらいたとえば去年とことしと比べて悪くなってきているかというようなことは申し上げております。大手のトン当たりで申し上げますと、四十二年度は大体五百円程度の平均赤字でございます。四十三年度はこれはまだ見込みでございますけれども、六百二十円くらいになるのじゃなかろうかと思っております。 それからいまの太平洋炭礦についてでございますけれども、私どもは赤字に着目した前の一千億肩がわりと同じようなことを今度やろうとは考えておりません。あくまで再建のために役立つ交付金を出したい、こう考えておりますので、再建のためにということであれば、赤字でなくて、相当の強い体質を持っていて、企業の資格においては相当先まで残こるところにこそ相当また力をつけてやらなければならない、こういうことでございますので、必ずしも赤字がなければいま考えております再建交付金を与えないというふうなことには考えておりません。審議会の意向もおおよそはそうなってきております。したがって、そのことのために無理をして赤字決算をするというようなことは必要はない、こう考えております。新聞はどう書いているか知りませんが、太平洋の名誉にもかかわることでございますので、私はそういう粉飾的な決算はあり得ないというふうに考えております。
○須藤五郎君 あなたの赤字に対する説明は実に国会を無視した私は答弁だと思うのですよ。少なくも一千億とか四千億という国費を出す以上は、その審議にあたっては、赤字がはたして妥当なのかどうかという点をこれは国民の代表として私ども審議しなければならぬ、あなたたちだけにまかしておくことはできないのです。やはり国会でこの点は明らかにしていくことが私は絶対に必要だと思います。それで私はあなたのほうに赤字の一千億はどういうふうに使ったのかという資料を要求しました。そうしたらそれは資料が出てきました。しかしそれは、三井にどれだけ出した、三菱にどれだけ出したという出した元本利益の計算しか出ていない。この赤字がなぜ出たのか、なぜこういう補給をしなければならないか、それがこんな数字ではわれわれ納得できないのです。はたして炭鉱は赤字なりやいなやという問題になってきます。いまこの問題につきましては、私たちも勉強をいたしておりますから、あらためて私はもっと具体的な数を出してあなたたちに質問をしたいと思いますがね、きょうはその点には触れないで話を進めていきたいと思う。しかし何ですよ、そんなばく大な金をただくれてやるようなことを政府はしてはいかぬですよ。われわれはやはり国民の代表でありますから、やはり責任があるということをはっきり言っておきます。あらためて私はそれではきょう資料の提供をまず要求しておきますよ。石炭審議会にはそういう問題についてのいろいろな資料は出しているでしょう。その石炭審議会に出した資料を全部委員会に出してください。委員長、そういうふうにひとつ取り計らっていただきたいと思うのです。われわれも審議会と同じ立場に立って、この問題重要な問題であるから、われわれは審議する責任と義務があると思うのです。だから審議会に出した資料は一そろえ全部ここへ出してください。そうして私たちもそれをもとにしてひとつこの抜本策を審議しようじゃないですか。これはわれわれの責任だと思う。どうぞ委員長ひとつお取り計らいを願いたいと思います。
○委員長(阿具根登君) 理事会にはかってしかるべく処理をいたします。
○須藤五郎君 それから次にいきます。先の一千億について。いままた四千億円もの国家資金、いわゆる国民の税金を投入するのに、単に赤字だからといって肩がわりすることは、私は妥当なことではないと思うのです。だからおそらく政府はこういう問題について具体的な数と具体的な事情をはっきりつかんでいらっしゃると思うのでありますから、その政府のつかんでいる資料は出せないということは言えないと思うのです、出し得るのです。だからそれを出してほしい。国家資金を受ける企業の経営の内容は国会の場で明らかに私はすべきだと思うのです。さもなければ、四千億の投入の可否さえ論議ができないのですよ。私たちに、何で四千億出さなければならぬか、四千億出すことが妥当かどうかという論議ができないじゃありませんか、資料がなかったら。重ねて各企業の赤字の内容を明らかにされるように私は要求いたしたいと思います。どうぞ答弁してください。
○説明員(中川理一郎君) 国会のほうで各社の公開されておる財務諸表をおとりになればわかることでございます。私どものほうから個別の会社の数字を申し上げるということは従来も慣例として差し控えております。石炭政策の安定上必要な平均的な数字でございますとか、総額でございますとかいうようなものについては、審議会の答申が出て、法律で予算という形で国会の御審議をお願いするわけでございますから、そのときに御必要あれば、私どもは差し出せるものは差し出せるのでございますから、いまの段階でまだ答えの出てないところでさような数字を申し上げるということは適当ではないと思います。
○須藤五郎君 それじゃ答申が出て、正式に国会の場でそれが論議される時期に達したらお出しになるということでございますね。
○説明員(中川理一郎君) 個別会社の経理状況はさほど必要がないと思っております。
○須藤五郎君 いまあなた、それを調べようと思ったら日比谷のあそこへ行って、その会社のいろいろ経理内容を印刷したものがあるから、それを買ってきて見たらわかるじゃないかと、こうぼくを突っぱねたわけです。買うてきてわかるものならなぜ出さないのですか。買うてきてわかるものなら出しなさいよ。
○説明員(中川理一郎君) 従来慣例といたしまして、政府が個別企業の数字を国会に積極的に提出するということは差し控えてきておりますので、ほかに方法もあることでございますので、この慣行はひとつ守らしていただきたいというのが私の趣旨でございます。なお赤字そのものにつながりのある政策ということに特には考えておりません。石炭産業全体として考えて政策を出すわけでございますので、ある会社にはこれだけ、ある会社にはこれだけと、その赤字にリンクしたような形で個別のものを助成いたそうと思っておるのではございませんので、石炭産業全体としてどれだけの助成をしたらいいかということを求めて、その求める段階におきまして、石炭産業全体がどれくらいの収支損益状況にあるかということを判断して出しておるわけでございますから、かりに利益の上がっているものがありましても、トン当たり助成費を出すということであれば私は出すべきだと考えております。
○須藤五郎君 赤字の原因を考えるときに、まず企業の責任ですね。なぜ赤字を出したかという企業の責任、資本家の責任こそきびしく私は問われなければならないことだと考えます。四十一年抜本策が失敗した今、再建整備計画を出した各社の企業責任は何ら問われなくていいのだろうか、どうだろうかという点、政府の責任と同時に企業責任もきびしく追及されるべきではないだろうか。国家資金を取るだけ取って、赤字が出ましたからといって何の責任追及も、何の追及も受けず、何の反省もせず、またまた多額の金をもらおうというのは、あまりにも私は話がうま過ぎる、虫がよ過ぎる。この点企業者の責任は一体どうするのか、こういうことを伺っておきたいです。
○説明員(中川理一郎君) これは事故を起こしたとか何とかという責任と違いまして、石炭産業全体が業績がふるわないのでございますので、特定のどこそこが特に怠惰であるから業績が悪いということであるならば、これは当該会社の責任問題として、別に政策を論議していただく必要はないことでございますから、全体としてそれはいろいろ道義的には責任はあろうかと思いますけれども、悪い状況になっておるときに、政策的にどういう姿勢を考えたらいいかということをいま御審議願っているわけでございますので、先生のおっしゃるような形での責任追及というようなことをいま私どもは考えてはおりません。
○須藤五郎君 政府が追及しなければならぬ、国会で追及しなければならぬですよ、企業責任は。企業責任を追及するためには、赤字の内容を国会に提出しなきゃ企業責任を追及する材料はないじゃないですか、私たちの手元には。だから私は政府が責任を持って、政府ができなければわれわれがやりますよ、そんなことくらい。だからそれを出しなさいよ。出さないでそんな責任を問わないというんじゃ、われわれはがまんはできませんよ。一つ私が例をあげましょうね。私たちの党で調査しましたところによりますと、三井鉱山は、まあこれを一つ例にとりますが、三池におきまして、このように国家資金をむだにしておるという証拠がちゃんとあがっておるんです。これは三井だけじゃないと思うんです。三池の四山坑の岩原斜坑といいますかね、これは石炭のほうの熟語ですが、岩原斜坑は十六年の歳月、一九四一年着工、五六年完成です。十億円をこれに投じておるんです。ところが、これは一つも使ってないです。使用してないです。四山坑の東四〇卸、これは千四百メートルの坑道を二本掘った。これには二億円を投じながら、計画のずさんなために、たちどころに水没してしまったんです。これも何の役にも立たない。三川坑の二段払い、スライシング払いは、計画のまずさから自然発火を五九年に起こして、これも役に立たなくなった。宮浦坑の三五昇払いも含水層とわかっていながら対策を怠り、五九年に出水事故、損害は十数億円、これだけ計算しましても、約三十億円近い国費がむだにされておるということが言えるんです。三井鉱山の無責任さをこれがはっきり浮き彫りにしておると思うんです。私はいま三井鉱山だけ、三池の山だけ例にとりましたが、こういうことはあらゆる炭鉱に私は当てはまることだと、こういうふうに考えております。 それからもう一つ、総評のこれは資料によるのでありますが、赤字の石炭会社が傍系会社へ多額の投資をしておる、こういう資料が総評の資料にあります。総評の政策委員会地下産業部会が資料として出しております。この六十二ページにそれがはっきり出ておるんです。それによりますると、まあ一例をあげますならば、北炭観光開発に三十二億出資をしております。住友の泉観光開発に五億、常磐は常磐湯本観光に八億三千万円、太平洋興発、これは宅地づくりに八億七千万円、こういうふうに出資をしておるんです。石炭が赤字ならなぜ他の関連産業に投資することをやるんですか、こういうことはやめて、こういう投資する金があるなら、これを炭鉱の保安の問題、労働条件の改善など、これに回さなきゃ私はうそだと思うんです。ところが、こういう金がありながらそれは関連産業に投資して、そうしてむだづかいや社外への資産の持ち出し、こういうことがずっとやられている、こういうことは私たち許すことができないと思う。局長はこういうことを御存じの上でそういうことをおっしゃってるんですか。
○説明員(中川理一郎君) どうも私、具体的な話でございますので、三池の場合も、どれがどういうことであるかは存じませんが、もしそれぞれの坑道なり何なりが補助対象になっておったものであれば問題がございますけれども、御承知のように坑道掘進を補助対象にいたしましたのは四十二年度からでございますので、その古い話でございますから、それは関係のない会社が自己資金でやって見込みが違ったというだけのことではなかろうかと思います。 それから社外投資につきましては、法律上私どもも届け出制で規制を若干加えておりますが、最近の時点ではさようなことはございませんけれども、過去のスクラップ・アンド・ビルドの進行過程におきましては、やはり職員の他部門転換というような意味合いで社外投資をやってきておると思いますが、最近の事態でございますと、いまおっしゃいましたように、まだまだ石炭部門そのものに投じなきゃならぬ金が多うございますので、そういった社外投資というものには、私どもはきびしい方針で臨みたいと思っております。現にそれは実行いたしておるつもりでございます。古い時点でございましたら、それはしようのないことだと思っております。
○須藤五郎君 それはいま申し上げましたむだづかいの点ですね、むだな穴を掘ったというようなものは最近の問題ではないかもわからぬが、そういうことが積もり積もって前の一千億円の補給金というものを自然やってもらったんじゃないですか。何のために一千億出したんですか。一千億はその年にできた赤字じゃない。ずっとそういうばかげたことをやった赤字が積もり積もって一千億になった。だからそういうことをやる。それから後も、私たちはどういうむだづかいされているかということがわからない。だから資料をお出しなさいと言うのだ、ものを明らかにするために。
○説明員(中川理一郎君) 一千億につきましては、これは最近整理法を出しますときに国会でも御審議いただいて、十分その辺の御議論をいたしていただいたわけでございますが、いま申しましたような企業がエラーによって生じた赤字というものは別にカウントしておりません。全体として石炭工業が、昭和三十四年から四十年まではスクラップ・アンド・ビルド政策の中で行ないました急激かつ大規模な閉山、合理化に要する費用、これは退職金でございますとか、資産の除却額でございますとか、こういうものを計算いたしまして約千二百億円に相なったわけでございます。そういうものを念頭に置いて一千億の肩がわりというものをきめていただいた。これの分配につきましては、必要な要件、法律要件に基づきまして、各社の赤字額にリンクをさしたのではございませんで、一千億円を債務残高の比例で分配するというプリンシプルを国会で御了解いただいてやっておりますことでございますので、各社の個別の赤字と前の一千億の処理というものには理論的にも実際的にも関連はないわけでございます。
○須藤五郎君 そうするとこの一千億金を出した、この一千億の性格というものは、各会社が出した赤字をやむを得ず政府が補給したというんじゃなしに、その山の持っておる財産ですか、埋蔵量ですか、それに見合って出したというならば、これはあなた……。
○説明員(中川理一郎君) いやそれは違います。
○須藤五郎君 何を基準にして出したんですか。
○説明員(中川理一郎君) 借り入れ金の残高に比例をして出したのでございます。
○須藤五郎君 そうすると、赤字ではないけれども、たくさん借金しておったものがたくさん国の補給金もらったということで、借金し得ということじゃないですか。そうなったら、たくさん借金しておったものがたくさん国庫から補給金をもらう。そうなるとこれは理屈に合わないですよ。しかもそれが労働者のほうに回ってくるのじゃなしに、日本銀行から直接市中銀行にこの金が流れていった。ここにも炭鉱の労働者諸君がおるが、あの一千億であなたたち何も得してはいないと思うのです。何も分配なかったと思うのです。すぐ日本銀行から市中銀行へ流れてしまったのじゃないですか。これは借金の多いところにその金をよけいやったということなら、借金し得だということになりますよ。これも一つ理屈に合わないですよ。これでは赤字が国家資金をもらうための看板として、また労働者に労働強化、低賃金、合理化を押しつける口実として、最大限に活用されておるんだと、こうしか考えられないじゃないですか。さっき保安の問題について原田君が質問しましたから、私は質問しませんけれども、あなた保安が大事だ大事だと局長言っておるけれども、たいへんな状態ですよ。私たちのほうの赤旗二十六日号を読んでくださったら、最近三池でいかに災害が多く起こっているかということが、ここへずっと詳しく書いてあります。だから、どうしても二十三日にその三池労組が非常事態宣言をせざるを得ないところへきておるわけです。ところが会社側はこういうことを言っているのです。切羽の担当係長は三池労組員の保安要求に対して、「坑内であぶなかといっていては仕事にならぬ。危険はあたりまえ」、こういう無責任なことを言っておるのです。これが三池炭鉱保安係のことばなんですよ。それからまたこういうことも言っていますよ。三井鉱山は、三池労組の保安点検に対して係長が係員に、「答弁するな」と指示し、保安対策には何ら手を打たぬままで今度の連続災害が起こっておる。こういう結果になってきておるのです。一ぺんあなたたち、さっそく三池へ行って調査しなさい。こういう事実を調査するという約束をしてください。こういうことが事実ならば、とんでもないことですよ。私調査した結果言っているのですからね。でたらめ言っているのじゃないですよ。
○説明員(橋本徳男君) 三池のそういったこまかい点につきましてはまだ承知しておりませんが、先ほど御答弁いたしましたように、監督局が特別の班を編成いたしまして監督に当たっておりますので、いまの諸点も合わせまして、その事実の有無につきまして調査いたしたい、こう考えております。
○須藤五郎君 結論を述べますが、私たちは今回の資金は、いわゆる労働者の問題、炭鉱産業再建と申しますか、発展と申しますか、そういう冒頭に述べました目的に使うという条件のもとで初めて私たちは同意することができるのです。なぜなら、前回の一千億の肩がわりが労働者のためでなく、全く金融機関の救済にしか過ぎなかった、そういう苦い経験を私たちは持っております。この苦い経験を再び繰り返してはなりません。国家資金はほんとうに石炭産業の再建のために、労働者のために使われるべきだと、こう考えるからでございます。これで私の質問は終わります。 最後に、そういう点で、局長意見があったら意見を述べておいてください。私たちはそういうふうに考えております。
○説明員(中川理一郎君) いずれにいたしましても、今後の政策の基調は、石炭鉱業の再建をはかるための前向きのものとして使いたい、こういう趣旨でございます。
○委員長(阿具根登君) 本件についての質疑は、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時六分散会