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59回国会参議院1968/11/11

石炭対策特別委員会 閉会後第3号

発言数
36
登壇者
8
会派数
4
開催日
1968/11/11

会議録

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  まず、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。  当面の石炭対策樹立に関する調査のため、本日、参考人として、石炭鉱業審議会会長植村甲午郎君の出席を求め、その意見を聴取することにしたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ここで、一言ごあいさつを申し上げます。  植村参考人には、本日きわめて御多忙中にもかかわらず、本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございました。     —————————————

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) それでは当面の石炭対策樹立に関する調査を議題とし、石炭政策基本問題に関する件について調査を行ないます。  まず、植村参考人から、石炭鉱業審議会の答申に関して説明をお聞きいたします。  植村君。

植村甲午郎石炭鉱業審議会会長

○参考人(植村甲午郎君) 初めに私、概略のことを申し上げまして、そしてまた皆さまの御質問にお答えするという形で申し上げたいと思います。  御承知のように石炭問題につきましては、すでに昭和四十一年でございましたか、いわゆる抜本対策というものが審議されまして、当時の問題としては、まず五千万トン内外というところを見当にして、そして石炭鉱業としてその責務を果たし得るのにどうしたらやれるかというような観点から審議がなされ、また決定がされて、実施されたのでございますが、御承知のようにいわゆるエネルギー問題といたしまして、革命的な、いろんな問題が出てまいっておることは御承知のとおりでありまして、一つは、当面の問題としますと、石油との関係において、そのコストの関係からなかなか太刀打ちがむずかしいという問題が出てまいったわけであります。また同時に、将来のことを申しますれば、御承知の発電につきましては、ことに原子力発電の技術がだんだんに進展してまいりまして、将来は原子力というものが非常に大きくクローズアップしてくる。御承知のように日本でもすでに茨城県において動いておりますし、それからさらにほかのタイプにつきまして、工場建設も日本海海岸のほうで行なわれているというような形で、これは世界的にだんだんに、また急速に研究が進められておるわけであります。この点につきましては申し上げるまでもないのでありますが、石炭と水力、この二つが唯一の国内にあります資源であります。あとは、いずれにしても輸入ということになるのでありますけれども、もし原子力発電が増殖炉と称せられるような方法を用いられるようになりますれば、原石を輸入するにいたしましても、そう大きな分量でなくて、これをある程度備蓄しておくことが可能になります。そういう意味であらゆる面において安全性と申しますか、それがつくわけでありまして、非常にその発達は日本のエネルギー全体の計画から言いますと、待たれるような状況になっています。どうもこの当面としますと、石油関係の競争力というものは非常に強いものでありますから、各国とも、御承知のようにイギリスあるいはドイツ、フランス、ヨーロッパ諸国はもちろんであります。アメリカにおいても一般の見方からしますと、なかなかやはり石炭というもののコストの関係からのエネルギーとしての対抗力というものは薄れてきておりますけれども、いずれにしましても、アメリカはああいうようなところでありますし、石炭の賦存状況も非常に厚い。条件のいい、あまり地層が伸びておりませんから、非常に一カ所で大きな、そして傾斜も非常に緩漫なようなところがございます。そういうところになりますと、これは露天掘り、表土をはがしまして、そして、大きな機械化によって取れるということになりますと、現在でもそこに発電所をこしらえて発電すれば、有利に石油と対抗できるというようなところもあるわけでありますが、あとはたとえばソビエトのごとき、あるいはポーランドなんかも日本が現に原料炭の輸入をやっておりますが、そういうふうなところ、それから豪州というようなところは比較的安く取れるところが多い。したがって、なお石炭の生産がやれるというような形でございます。ソビエトはもちろんでありますが、こういうところはなお石炭依存が経済的にも相当できるわけですけれども、おしなべて、いわゆるヨーロッパの諸国、あるいは日本というような工業の発達しておりますところで石炭をどうするかということが非常に問題になっていることは御承知のとおりでございます。したがいまして、日本の場合を考えてみましても、せっかく相当の国費を使い、肩がわりその他をやりまして、抜本的な対策として打ち出したのでありますけれども、四囲の情勢、また国内の労銀ないしは物価の上昇というものからくるコストアップ、それから機械化でだいぶこれを吸収しておりますけれども、何せ御承知のような賦存状況、いわば非常に平坦な傾斜の少ないところに大きな層があるというようなところはないものでありますから、非常に不況になってまいって、放置できない状況に現在なっているわけでございます。  そこでもう一つ、はなはだ前の——私も前の審議会に関係しておったのでありますが、前の石炭対策についてやり直しを抜本的にやらないと、これはとてもいかぬというような状況になっているのは御承知のとおりでございます。そこで、今度やりますときに、どういうふうな方針でいったらよいかということで初めに考えましたことは、抜本策というものができれば、今回もそれが加わるというか、それが相当の重要部分になりますが、過去の累積赤字に原因するような借り入れ金というものについて、これを何かやはり始末をする、そうして同時にあとコストアップに対応するだけの業界の努力はもちろんでありますが、やはりある程度の助成策というものはとっていくということで、将来また赤字補てんの意味の大きなことをやらないで済むようにしたい、これか世上——私どもも言うのでありますが、この最終案にしたいのだという意味でございます。しょせんこの助成の関係につきましては、ある程度の助成、いわば国民経済として許容される限りの厚い助成はこれは必要だと思いますが、いわゆる赤字補てん的なことはもうこれはまあ一回限りにしたいというのが最終案と称せられる点でございます。  同時に、石炭鉱業が御承知のように片寄ってございますし、それからまた、いわば山の中にあるところも相当にあるわけでございまして、地域社会、地域経済に及ぼす影響は重大でございますので、したがって、かりに相当に縮小しなくちゃならないというようなときでも、これが一地方に局限し、もしくは全般的にもそうでありますが、急にやられるというようなことになりますと、社会的影響も相当大きいのでありますから、なだらかにこれが行きたいということと、それからもう一つは、やはり日本の石炭鉱業というものは、ほかの鉱業が大体そうでございますが、いわば私企業的な、自主的に運営していくということでいくのが適当ではないかという点、そういうようなところを主軸にしまして、何か作案ができないものかというのが初めからの、少なくとも私あるいは何人かの方がその点については賛成してくだすっていると考えている次第でございます。  それから、これは衆議院の石炭対策委でもお話があったのでございますが、一体何か撤退作戦ばかりやっているじゃないか、石炭の使命から言ったらばそれはおかしいじゃないか。これはそうでなくて、いわば日本のきわめて重要な国内資源である、いろんな点から考えてみて、これをできるだけ持っていくのがほんとうなんだ、それに焦点を合わせたものでなければおかしいじゃないかというふうなお話がございました。これはもちろんでございまして、ただ、このいい自然条件のところが発見され、あるいはいままでは悪かったと思ったのにやっているうちに自然条件が非常によくなった、これならば積極的に相当力を入れていって必ず成功していくじゃないかというような場合の助成といいますか、これは非常にやりやすいわけでございますが、いまの秩序あるまあ縮小と申しますか、これもひとつやらなくちゃならぬということになりますと、この点はなかなかむずかしい問題でございますものですから、どうも私の表現がそっちのほうに力点があるように、私に言わせれば誤解された。そういうふうに受け取られたのも表現が少しそっちのほうに力が入ったからじゃないか。両院の石炭関係の方々がお集まりになって、一ぺん当時言われています植村構想なるものについて説明してみろというふうなお話がありまして、そのときにもあとで御注意を受けたので、一体何かしらんけれども、いままで申し上げたようなふうに取れるじゃないか、これは生かすべきものを生かす、そして積極的にそれを伸ばすのである、そのためにはとうてい無理なところはこれはやめていくというふうな形で説明すればもっと通りがいいのに、何かしらんあとのほうだけ力点が入っているように受け取られたぞ、という御注意があったんですが、これはまあごもっともであるし、私どもそれはそうに違いないんだが、実は退却のほうはなかなかむずかしい問題がたくさんあるものですから、そこに力点が入って御説明したような次第であろうと思いますということを申し上げた。その点はまあそんなふうに考えてやっているということはもちろんでございます。  そういうようなことで、今回もだんだん御承知のようにいろいろな観点からの検討はなされておりますが、多少私の重点を置いておりますいまのような諸点について、まだ検討していただくところがあるように思うものですから、それでだんだん時が迫るにかかわらず、小委員会の意見というふうなものもまだまとまらないんじゃないか、どうも少しおそ過ぎはしないかとおっしゃってしかられたんですが、これはごもっともですが、まあ事がいろいろなところに響く問題でございますので、まあ私としましては、もうちょっと検討してまいりたい点があるというのが現状でございます。  以上とりあえず簡単でございますが、経過とそれから現在の研究の現状を申し上げまして、なお御質問によって、できるだけのお答えをいたしたいと思います。よろしくどうぞお願いいたします。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) どうもありがとうございました。  ただいまの御説明について質疑のある方は順次御発言を願います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 国会の場で石炭問題に取り組んでおりまする私ども石炭対策特別委員会の一員として、植村会長はじめ各委員の方々の石炭に対する非常な御尽力、御努力、そしてまた将来に対する展望を持つための今日までの経過につきまして、私は心から感謝を申し上げたいと思います。  そこで、最初にお尋ねをいたしたいのでありますが、それはことしの春、通産大臣と労働者の代表が会いまして、労働者代表は、まあ私どもも意見はほぼ一致をいたしておりますが、この石炭企業というものはもう現状のような経営形態ではやっていけない、生命と生活と職場をまず守らなければ、労働力の面から炭鉱が崩壊してしまう、それには私企業ではだめなんだから、国営ないしは国有にすべきであるという主張をいたしまして、それではということになって、通産大臣が審議会のほうに石炭を国営、国有にした場合にどうなるのか、あるいはすべきであるか、しないほうがいいのかというような点について、言ってみれば、国有、国営も含めて審議会で御議論を願うように通産大臣が審議会のほうにお願いをする、こういう約束があったように承わっております。でありますから、おそらく当然のこととして審議会の中においても国有、国営というものの是非について御議論があったのではないかと私は思うのでありますが、この問題についてどういうような御議論のもとに、結果は先ほど抜本策の柱はあくまでも経営は私企業でいくとおっしゃられた。結論だけは承わりましたが、なぜそれでは国有、国営がいけないのか、私企業でなければならないとおっしゃられるのか、その辺の議論の経過なり御判断なりをお聞かせ願いたいと思います。

植村甲午郎石炭鉱業審議会会長

○参考人(植村甲午郎君) 国営の是非を含めて御諮問があったということは、これは大筋に大きなことばで出ておりますから、もちろん経営形態についてもその中に含まれているということはそうだと思います。いまの国営にするかしないかというふうな問題について私の承知しているところでは、どうも日本の石炭業というものの現状を考えてこれをやっていくとすると、国営の是非の議論として一つ出ますのは、能率といいますか、そういうふうな点について言えば、親方日の丸的になるのじゃないかということが普通言われるところであります。その点については私の率直な個人的な感情を申しますと、やはり国営それから同時にまた国営に準ずる方法でございますね、これの場合にどうもそれがあるような気がいたします。やはり私企業でほんとうに競争をしていく形においてやっていくのが一番努力の結集の方法としていいのではないかということを考える次第でございます。それからただ、こういう国の手厚いいわば補助を受けてやるわけでありますから、それが効率的に補助金を使えるようにするためにどうしたらいいかという問題があるわけですが、これについては、やはり何か私どもに言わせれば、自主的な形で、そうしてそれはもちろんお役所との連絡その他についても十分な連絡をしながらやっていくわけですが、石炭業全体という目から見ての適当な仕事をやる上の方向づけといいますか、そういうふうな点について何かやはり考えたほうがいいのじゃないかということを思うわけなんです。どうも国営でやっていくということについては、それはぜひ国営でやるべしという議論は、まだこれは審議会の総会を開いているわけじゃございませんが、小委員会の範囲においてはあまり出なかったというのが実情でございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 会長おっしゃられるとおり、私企業の形態をあくまでも残すというその意味は、言ってみれば、私企業が本来的に持っている競争の原理なり、あるいはまた自分の会社をつぶしちゃいけないという判断のもとに、徹底した合理化なり近代化なり、そういう努力をされるというような、まあ言うならば、私企業としてのメリットが当然出てくると思います。しかし私はいまの石炭産業というものが、たとえば価格の上において各社が競争したり、よそよりも安く売って自分の販路を拡張するとかいうふうな、そういうことができるような状態にないことはもうはっきりしてますね。これはカロリーなり、灰分なり、内容によって多少の格差があっても、もう大宗をなす電力用灰にしても、鉄鋼用炭にしても、燃料用炭にしても、価格というものは変動がない。そうすると価格の上における競争の原理というものは、もう私企業の中からは生まれてこないということがまずあると私は思いますね。それでは自分の会社をつぶしてはいけない、自分の会社を守らなければならぬということで、経営者はもちろんそうでありますが、労働者に対してもそういう意識を持たせて、炭鉱の危機を乗り切らせようとする考え方、この考え方がそれでは今日生かされるのかといえば、私はそれはできない。おおよそ不可能なことじゃないだろうかという感じがしてならぬわけであります。なぜかといいますれば、これは会長に議論を吹っかけるようでたいへん恐縮でございますが、しかし、まことに重要な段階でありますし、問題でありますから、少しく言わさしていただきますれば、結局のところ、もう企業ごとの競争というものは、お互いにその相手の会社から人を引き抜いて自分の会社の人員を充足をするとか、まあ言ってみればそういうものが残されているだけであって、これは決して石炭産業のために、石炭企業のためにいいことではないのです。そういう悪の面だけが私企業形態として残るだけでありまして、決して私企業のためによい結果が出るとか、そこにメリットが生まれるという問題は私はないと思います。  それからもう一つ問題なのは、たとえばその企業なり、その職場なり、現場なりというものがある程度経営者あるいは労働者の努力によって能率の向上がはかられるというようなことがあり得るかどうかということになりますれば、もうこれは限界にきています。幾らいじってみましても、これ以上の能率を期待することができない。もし、しいてありとすれば、機械を入れ得るような現場に機械を入れれば多少の能率が上がることもありましょう。あるいは炭鉱の近代化、若返りのための投資、投資といいましても、最近は立て坑一本掘りましても二十億、三十億かかる。大きければ五、六十億かかるわけです。そういうような一つの企業として立て坑をおろして採算がとれるかどうかということになりますれば、それで採算とれる企業というものは、今日の日本の石炭産業の中においてはほとんどないと言ってもいいのじゃないかと私は思うのであります。だといたしますれば、私企業というものに経営形態を固執することが、日本の石炭産業を将来ともに生かす道だというふうに考える考え方は、私はどうしても納得いかないわけです。ですから、そうではなくて、やはり今日の段階で必要なことは、いかにして合理的な、たとえば開発の面からいえば石炭を開発するか、そのための投資は企業のワクにこだわらないで、特定の地域なら地域でどこかに、たとえ三十億かかっても立て坑一本掘って炭鉱が若返り、近代化し、通気がよくなり、坑内の保安が保たれる。そうして運搬系統も短距離になって、それだけコストにはね返ってくるという立場に立って考えなければならぬ時期であって、一つの企業が持つ財産としての鉱区にとらわれたり、あるいは販売機構にとらわれたり、あるいはまた、ほんとうに大事にしなければならない投資自身が一つの企業の鉱区だけに限定して行なわれる形は、これはむしろそういう形態を残す石炭産業が崩壊につながるのであって、私は会長がおっしゃられる私企業の形態を残すという考え方は、今日石炭産業の守る道ではないというふうに考えざるを得ないわけでありますが、重ねてお伺いをいたしたい。

植村甲午郎石炭鉱業審議会会長

○参考人(植村甲午郎君) ただいまおっしゃったことは私必ずしも反撥しませんけれども、そのおっしゃった最後のほうにくると、いろいろな合理化がやれるかやれないか、問題になると思うのですが、これはまた私企業形態でやりようがあるのじゃないか。つまり鉱区の問題、あるいは企業の合併とか、あるいは炭鉱の合併、独立会社なんということもあるかもしれませんが、これはやはり炭田開発として一番合理的な方法をとるべきであるというふうな形がはっきりしてまいりますれば、これは私企業といえどもそこへ踏み切らざるを得ない形になるのじゃないか。ただ、これはいまの統合論とまたぶつかるわけなんですが、やはり現実の必要が起きますれば、企業者としては十分考えなくちゃいけないという点でありますが、そのある段階においては、やっぱりこれはちょうど結婚みたいなもので、どうも相手と一緒になれない、気持ちがどうしても進まないという問題があり得ると思うのです。これを無理にやって結果がいいかどうかという問題はありますが、しかし、いやそんなことを言っておられない、どうも前からあまり好ましいと思ってはいないのだけれども、だんだん考えてみれば、やはりあそこと一緒にしてやれば、お互いに炭田開発について、やれば打開の道ありというところになってきますと、これは当然やるでありましょうし、同時にまた相当勧奨してやることもできるのじゃないか。どうもやはりこだわるようでありますが、私としますと、官営的な行き方ですね、行き方は簡単で、すぱんと方針で決定するようでありますけれども、石炭企業みたいなものについてはたしていいかどうかということについて、どうも私としては、いまの段階ではまだ賛成できないというのが率直な私の意見でございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 これは石炭企業が一千億の肩がわりをしてもらい、重ねてほぼそれに近い、内容的にはそれを上回る、結果はどうなるかわかりませんが、肩がわりをしなければ存続をしていくことができない、こういう非常事態に直面をしている。これはコストと販売価格のつり合いがとれないから結果としてそうなるわけでありますが、もちろんそれじゃ、なぜコストと販売価格のつり合いがとれないかといえば、販売価格それ自身が石炭企業の側の意思に基づいてきめられるような状態にないということももちろんありますが、いま一つ、たとえば企業が投資をする際におきましても、それぞれ自分の会社だけに合った方式によっていままで投資をしてきたから、むだな投資が行なわれたり、極端な表現をいたしますると、並んで同じような地域に立て坑を二本も三本もおろしてみたり、そうしたことが今日この石炭企業が多額の負債をかかえている原因にも私なっていると思うのです。それをこのまま私企業の形態を放置していけば、これはもう絶対に従来のそういった近視眼的な、自分の企業内部だけを見ようとする経営者の考え方は改まってこない。ですから、効率的かつ効果的な投資を行ない、炭鉱の近代化、若返りを行なって、そうしてコストを引き下げ、あわせて働く人々に安心感を与える道というものは、私企業の形態を乗り越えていかなければならぬ。ただ乗り越える場合に、私どもが植村さんにも申し上げているように、国有、国営というものが絶対的なものであるのか、あるいはその一歩手前の国家管理形式がいいのか、あるいはもう一つまた違った案としては、会長御自身が言われたのではないかと世上伝えられておりまする管理会社構想、こういうものがいいのか。いずれにいたしましても、個々の経営者に石炭産業と申しましょうか、石炭企業といったほうが適切かもわかりませんが、まかせておいたのでは石炭はもう生きていけないのだということだけは私は明確ではないかという感じがしてなりませんが、重ねてもう一回お答えをいただきたいと思います。

植村甲午郎石炭鉱業審議会会長

○参考人(植村甲午郎君) ただいまの植村構想と称するもの、一つの中央の管理会社的なものの構想があったことは事実であります。これはやはり私としては一つの方法だと思っているわけなんですが、だんだんやっておりまして、どうもあの行き方というものについては反対論がなかなか多いわけなんです。しかし、自主的ではあるが、場合によったら何も初めから全国的でなくてもいいわけだ。あるいは一地方でもいいし、あるいはその部分でもいいわけですね。まだ何かしらん自主的な方法で、一番軽い形態といえば委員会を会社でつくって、そこでほんとうにまじめにかかれば、委員会でもやれる仕事もあるし、あるいは小さい会社をつくるのも方法でありましょうし、形態はいろいろあるけれども、自主的な方法で何かやはりそういうようなものが出てくるのじゃないか。また、出ることは好ましいことであるということは、私自身としてはいまでも考えているわけです。以上でございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 そうすると、植村さんのお考えは、国有、国営という私どもの主張には賛成はいたしかねるが、しかし、さらばといって従来と同じような経営の形態そのままでよろしいと考えているわけではない。やはり何らか調節するとか調整するとかいうふうな機能的なものが必要であるというお考えだと、こういうふうに解釈さしていただきたいと思いますが……。

植村甲午郎石炭鉱業審議会会長

○参考人(植村甲午郎君) 重ねて申し上げますが、私はそれが自主的な形で出てほしい、各会社のですね。これは事態がだんだん進んできまして、いやいやでは何にもなりませんので、やはり出てくると思うんですよ。したがって、大きさというようなことは、あるいはほんの一部の二、三社がやり出すようなところもありましょうし、またそんなのができて、あるいはある地域でこれを一緒にしてひとつやろうやということになるかもしらぬし、これはまあ事態と見合わせながら、皆さん自主的にきめていったらいい。しかし、もちろん関係のものとしますれば、そうしたらいいじゃないかという点があれば、勧奨はしていくというくらいのことを考えているわけなんでございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 中川さん、いま植村さんからおっしゃられた御意見ですね、これは行政的にあなたの立場からそういうような方向に指導するというような考え方、あるいは指導できると判断されておられますか。

中川理一郎通商産業省鉱山石炭局長

○説明員(中川理一郎君) 会長もおっしゃっておりますように、望ましいのは、ここまで追い込まれてきた石炭産業の経営の責に当たっている方々が自主的にそういうことを考えなければいかぬというふうにお思いになっておやりになるケースがあれば、これは非常に望ましいわけでございます。私どももいままでの経過を聞いておりますと、部分的な鉱区調整というと、すでにある程度話のついたものも過去にはあったわけでございますし、今後といえどもそういう意味で私どもが判断し、かつ、どなたが御判断になっても、こうあるのがほんとうではないかというような客観的のものがございましたならば、会長はおすすめになるという意味で勧奨ということばをお使いになったと思いますが、私どももそれはすすめる、勧奨するということはすべきであると考えております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 中川さんがいま過去においてもそういう事例があったとおっしゃるが、それはなるほどありましたが、それは鉱区調整という名のものじゃないのです。Aという企業が途中に断層があった、その向こうに自分の鉱区がある、こっちから行くのは非常に手数がかかるし、金もかかるから、その部分の鉱区は隣接した会社に売ってやろうじゃないかというような限度のものであって、それは鉱区の調整じゃない、鉱区の活用ですよ。鉱区の売買にすぎないのであって、大がかりな企業の将来を決定するほどの鉱区の調整まで、いまの法律といまの考え方のままでできるかといったら、それは私はできないと思うのですよ。何らかのやはりしかるべき指導する機関なり機能なりというものを持ったものがない限りにおいては、そういうことは企業の側の自主的な判断や、石炭危機を認識した上においての経営者の意思としてあらわれてくるというような甘い期待感でできるような状態にはないと私は思います。しかし、これは私の意見でありますから、お聞きとりだけいただきたいと思いますが、そこで会長、私はこう思うのでありますが、いま石炭企業にとりまして一つの大きな問題は、労働力をいかにして確保するかということなんです。これはもう一年たてば平均年齢が一歳上がるのはこれは常識なんだが、ところによっては三歳も五歳も一ぺんに一年間で上がってしまう。裏を返して言えば、若年労働力が流出あいるは入ってこないという、そういう問題がこれからの石炭産業にとりましては重大な課題ですよ。この解決なくして、会社の赤字の肩がわりや、それから補助金、そういうもので労働力の流出を防止するということは不可能に近いことなんであります。そこで私どもが国有あるいは国営がいいではないかと言うことは、その労働者に安心感を与える、かりに国有、国営になっても山がつぶれる場合があり得るかもしれぬ。しかし、その際にはいまのような企業が補償するのではなく国家が補償するということを約束として与えてやることによって労働力の流出を防止し、新たに若い労働力を吸収することができるという可能性がそこに秘められているからなんであります。たとえばもっと具体的に言いますと、今度抜本的なものができて、あくまでも私企業形態をそのまま存続するということになりますと、そこに働いておられる人々は、はたして自分がかりにやめようと思った時点において、あるいはまたその企業でなくても、その山それ自身が閉山をしなければならぬという場合に、自分の退職金は払ってもらえるのかどうだろうか、自分の未払いの賃金というものは完済してもらえるのかどうだろうかということを考えたら、とてもじゃないが、二千四百円の買い上げ価格を三千二百円ですか、新聞なんかで伝えられるところによると、その程度の引き上げを行なったところで退職金は五割か六割、せいぜい七割程度が限度です。幾ら七五%確保したとしても、そういう状態がまだ一つあります。あるいは社内預金があります。まあ退職金も含めた社内預金がありますが、こういうものだってはたして返してもらえるかどうかわからない。ということになってきますと、まずこの点から労働者は、これはもう山がとにかくつぶされることははっきりしておるのだから、それならばとても残っちゃいられないという判断になってしまいます。これを阻止する道はあるでしょうか。そうして私企業の形態を残して、いままで小委員会の中で議論されておると思われる内容が新聞その他から伝えられ、かつ、この委員会で中川石炭局長から言われておる範囲でその問題が解決できるでしょうか。私は絶対にできないとこう思うのでありますが、会長として御議論なさった経緯なり御判断をお聞かせ願いたいと思うのです。

植村甲午郎石炭鉱業審議会会長

○参考人(植村甲午郎君) ただいまの御質問のところは非常に何といいますか、就業者の確保の問題というのは最も重要な問題であると存じます。で、まあ現在の炭鉱労働の環境というものを大いに改善しなきゃならないという点が一つあると思います。住宅問題にいたしましても、またそれに付随しました——ことに、できるだけ若い労働者に来てほしい、まず定着してほしいというような点について、そういう連中の環境整備と申しますか、たとえば運動場だとか、あるいはときに映画を見たりする何かセンターだとか、いろんな構想があるわけでございますが、これもできるだけ整備をしていかなくちゃならぬということだろうと存じます。それからいまの安定性を持たせる必要ということにつきましても、これは極力やるべきことの重要問題であることは確かだと思うんです。そして退職金の問題だとかというふうな関係、これまたやはり心理的安定の一つの要素でありますから、これをできるだけ確保した形で問題を持っていきたいということは、これは私もできるだけのことをひとつやるべきであると、これは個人的の私の感情から申しますと、特にそう考えるわけでありますが、ただどうしても国有でやらなくちゃならぬということになりますと、やりようがあると私は思っているわけでございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 働く人々が流出をする最大の原因は、やはりみずからの生命に対する不安が一つある、これがまず第一の問題だと思う。本年は特に一月以降例年に見ないほど事故が続発している。これは石炭が経営的にも行き詰まりにきていることの一つの私はあらわれだと思うんです。やはり石炭経営者があせっている。あせっているから事故が起きる。これは完全に結びつくと思うのでありますが、いま申しましたように事故が続発する。自分の生命まで投げ打って炭鉱で働かなくちゃならないという理由は何もない。第二の問題は、やはり自分の職場がはたして将来まで働き得る職場かどうかという問題点、御存じのとおりわが国は終身雇用制ですから、たいがいの人はどっかの会社に入ったら自分が定年までそこで働きたい、また働くというのが慣習であり意思であります。しかし、いまの石炭産業に従事する人々というのは、はたして自分の山が来年まで存続するのかどうかわからないというそういう職場に対する不安感があります。それから三番目には、やはりほかの産業では一〇%、一二%というような、高いところでは二〇%というような賃金の引き上げが行なわれるが、七%、あるいは上がりましてもちょっとその壁を少し破った程度で、まことに低い給与で押えられているという問題があります。一方また住宅の施設は、なるほどよそと違ってあてがわれておりますが、その住宅なるものは全く今日の社会常識からかけ離れたような内容のものであります。こういうようなことが若い人々に魅力を失わせる。ただ年配の方だけは、自分がどこかへ移動していってもなかなか生活に見合う職場がないということが原因でいま残っている人が多くありますが、若い人々は全然魅力も期待もないわけですよ。  そこで、そういう点から考えてまいりますると、植村さんのおっしゃられる、なだらかな石炭産業の撤退と申しましょうか、それはなだらかでありましても、急激でありましても、労働者にとっては同じことなんですよ。自分がいまここで首を切られるか、一年後に切られるか、二年後に切られるか、いずれにしてもこの二、三年の間に自分の首はなくなるんだ、炭鉱じゃもう働けなくなるんだ。しかもそのときには、さっき申し上げたように、退職金もろくすっぽもらえないでほうり出されるんだ。こういう状態で、はたして労働者が居つくかどうかということになりますと、もう議論の余地のない問題であります。  そこで、いろいろと助成措置その他の面で新たに講ぜられる、あるいはまた手厚くされるという内容もおありのようでありますが、やはり根本をなすものは、生産の規模を一体どの程度に目標を置くのかという点がやはり出てまいると思うのであります。そこで五年後の四十八年度には三千五百万トン程度というような御意見、しかしまあこれは計画経済ではないから、毎年二百万トンか三百万トンくらいづつ減らしていって、五年後には三千五百万トンにするというようなことは、いまの植村さんのお考えの中、あるいは通産省の考え方ではそういうことはできないと思うのですね、結局なだらかにしようと思ってもできない場合もあるし、それから五年後に三千五百万トンだと考えても、一年か二年のうちに三千五百万トンになってしまうことも想像できるわけですね。現に五千万トン程度といったのが四千七百万トンを割ってしまっているわけです、ことしは。そういうことから考えていきますと、これはことばの表現は、答申の中ではなだらかな撤退とおっしゃっても、結果としてはなだらかな撤退にならないという心配というものは十分うかがい知ることができるわけです。そこで私は先日も中川石炭局長、あるいは通産大臣とも議論を展開したのでありますが、その出炭規模の数字というものは五千万トン程度かあるいは四千五百万トン程度か、そういう規模は別にいたしましても、日本のエネルギーの中に占める石炭というのは、この程度は最小限絶対に確保していくべきである、そういう立場から具体的に政策を展開するという気持ちがなければ、石炭産業というものに多額のこれからまた投資をしてやる価値と意義がどこにあるのかということになると私は思うのであります。最近各紙ともに、答申を間近に控えまして、論説その他で石炭政策のあり方について論陣を張っておりますが、どの内容を見ましても、いまの審議会で考えておられるような内容では、結局のところ金融機関の救済であって、石炭産業、石炭に従事する人間の確保、その他石炭に対するほんとうの意味の対策にはならないではないかということを盛んに言われております。そういう点から考えましても、どうも石炭産業を将来どうしようとされるのかという点が不明確なような気がしてならないわけです。計画的にやるわけでもない。それはあくまでも私企業というものを残して、経営者の創意とくふう、そうして努力において行なわせるのだというだけであって、そういうところから植村さんのお考えがなるほど四十八年度は三千五百万トンかもしらぬが、五十年ごろになったら炭鉱というのは一つもなくなってしまう、言うならば全面撤退も腹の中に含んだ上での今度の措置じゃないのか。いま全部をつぶせば社会的に地域の影響も大きいし、まあ国内的に見ても三千五百万トン程度の石炭が全然出なくなったということになりますと、これはやはりいろいろな面でエネルギーの確保の上からも問題があるから、いまの段階ではなだらかな撤退をしていくという判断は示すが、将来は完全全面撤退だという考え方がその裏にあるのではないかというように思われる節がそういうところから出てくるわけです。そこで、会長の真意は一体どこにおありになるのか、まあひとつ言いづらいことを申し上げてたいへん恐縮でございますけれども、お聞かせ願いたいと思います。

植村甲午郎石炭鉱業審議会会長

○参考人(植村甲午郎君) どうもこれは遠い将来のことになりますと、たいへんむずかしい問題でありますが、結局三千五百万トンというのは一つの目安でございまして、それに基づいていろいろ計画をしまして、それぞれの助成金なり何なりになるわけでありますが、その条件のもとに、かりにだめだと思ったらちゃんとやめるというのは、できればこれはもちろん歓迎なわけでございますね、需要がなくちゃ困りますけれども。いまの電力炭のようなものについては需要があるとすればこれはもう歓迎すべきことだと思います。それから先の問題、いわば四十八年度以降がどうなるかというような問題があるわけであります。これはどうもそう簡単に予測ができないわけでありますけれども、一方からいって製鉄用炭中心というのが一つあるわけですね。一応柱として出ています。これは御承知のようにいま三分の一ちょっと足らずぐらいになりますか、の日本産の原料炭を使っているわけです。これも価格補助をやって使っているわけですが、これは製鉄業というものが基幹産業として、特にこのごろ日本の製鉄業は非常に勉強して早く手を打ってやりましたものですから、輸出面においても有力でありますし、それから国内のたとえば自動車にいたしましても、造船にしましても、その重要な原料といいますか、資材を供給する上からも比較的安い鉄を供給できるという意味がありますしするので、非常に重要になってきているわけなんです。その実際の仕事の上からも三分の一ちょっと欠けても、三割ないし三分の一ぐらいの原料炭をやはり国内産で持っているか、いないかで違うと思うんです。それは出かけていきまして、オーストラリアで掘ったり、あるいはカナダでさらに掘ったりということもやりましょうが、その場合でもやはり自分の石炭を持っているのと持ってないとでは違うと思います。これはやはり一つの日本の経済のピボットになる問題でありますから、原料炭をまず初めに考える。したがって、これに付随して一般炭も出ますし、また一般炭の内容につきましても、いい山ももちろんあるわけです。こういうふうなところはやっていくということが想定されているわけなんです。それから先は一体どうなるかという問題、これはそのときになりませんとほんとうはわからないのです。わからないのですが、一つのいま申し上げたような点と、そしていわば国際経済の動き、たとえば製鉄用炭等については、このごろ国際的に少し値段が強まっているわけですね。そういうふうな状況でくるなら、これまた非常にやりやすくなるし、またあるいはそういうことはなかなかそう起きるものじゃないと思うのですけれども、かりに製鉄法について何か違った方法が出て、鉄の環元について新しい方法ができて石炭は要らなくなったなんというと、これは大騒ぎになるわけです。また製鉄業としても大騒ぎだと思いますが、そういうようなことは別としましても、情勢を見てやれるだけは極力やるということではないか。結局いずれにしても石炭業そのものとして裸でほかの関係と同じようにやれるかどうか、これはむしろちょっと無理だろうというのが現在は私自身もそうだし、皆さんもそう思っておられると思うが、しかし、ある程度の助成をしていけるものなら何とかひとつやっていこう、それじゃその程度いかんということになってくるわけでございます。そこはいまのところ山の状態そのものについてもわかりませんし、それから世界の石炭界の状況、ほかのエネルギーとの関係というふうなものが動いて判然としてくる、またその時点において極力やっていく。ただ過去の赤字を肩がわりにしたりなんかするような行き方でやることは、これもう一回限りにしたいのだというのが念願だと、こういうことでございます。なかなかこれはむずかしいのですが、そんなことが一応私の考えているところでございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 審議会が本格的に御審議になってから以降の動きというものはどの程度真実味があるかは別にいたしまして、新聞その他でずいぶんと出ております。そう大きな私は食い違いはないんじゃないかという感じがいたしますが、それに中川局長はじめ石炭関係者からもこの委員会でいろいろと経緯を聞いております。そこで、たとえば閉山に伴う交付金であるとか、あるいは補給金の引き上げであるとか、肩がわりであるとか、いろいろありますが、そういう問題の内容は私は触れる気はありません。それはなぜかといいますると、根本問題をどうも解決されておらないところに私ども議論の歯車の合わないところがあるのですね。これは閉山交付金が三千円や五千円になったほうがいいとか、補給金が高いほうがいいとか、肩がわりはもっと多いほうがいいとか、そんなことはあたりまえの話で、ここで幾ら議論をしてみてもせんかたない話だし、必要のないことだと思う、それは当然のことですから。そういうことじゃなしに、全体としてながめてみた場合に一体どうなのか。たとえば特別の太平洋炭砿であるとか、ほかの一、二の炭鉱を除いては大部分の炭鉱が今日赤字経営であることも事実です。赤字経営だからこそ、またそこに借り入れ金の残高もふえていくということであります。過去の借り入れ金をかりに今度の四次答申によって大部分解決をして、その金利負担なり元本の返済というものをある程度解決をいたしたといたしましても、それによってそれでは石炭企業の赤字がなくなるのかといえば、そういうことには私はならぬと思うのです。それでもなおかつトン当たり、程度の差はあっても赤字というものが残る。それからもう一つ、これからの点として考えなきゃならぬことは、これ以上労働力が流出をすることを防止するためには、やはりこの坑内の安全施設について積極的な、従来と異なった投資をしていかない限り労働者は満足しないし、納得しない。それにはやはりそれだけコストに響いてくる。それから過去のように七%しか払えないのだといって強引に突っぱってきた賃上げ率も、そんなものではこれはもう言うことを聞かない。かって有沢さんがいや一〇%ぐらいまでに上げなきゃもうだめだと言った時代もありますが、一〇%がいいか一五%がいいかという内容の中身はありましても、過去のように七%などというよその産業の上昇率の半分程度のような賃上げ率で労働者が満足するはずはありません。そうすると、これもコストのアップ要因であります。それに資材費が年々高騰しております。これもそういう結果になります。このようにしてまいりますると、結果としては、いままで審議会がお出しになっておられる程度の補給金であるとか、あるいは保安その他に対する財政上の無利子の融資であるとか、あるいは機械の貸与であるとか、その程度のものをもってして日本の石炭産業というものが残れるということは現実に出てこない。これは植村さんお考えになっておられると私思うのです。  そこで、私がお尋ねをしたいのは、そういうものを加味した上で検討した結果というものが三千五百万トンという数字になってきたのかどうか。そういうものを検討された上でコストの高いもの、これから上昇すると思われる、コスト高になると思われるものを全部ずっと削ってきた、そうした結果が三千五百万トンになった。しかし、その三千五百万トンは、来年三千五百万トンにしたらあまりにも地域社会の経済その他に及ぼす影響も甚大であるし、まあ世論の上からも問題があるので、これをなだらかにという植村さんのことばで表現されるように撤退させようというお考えなのか。この三千五百万トンというものと、石炭産業の経理状況と将来の展望を含めた結びつきというものがおありになるのかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。

植村甲午郎石炭鉱業審議会会長

○参考人(植村甲午郎君) ちょっとむずかしいのですが、いまの結びつきがあるかどうかということになりますと、当然あるし、それじゃ完全に結びついているかというと、そうでもないというようなところがありまして、そこはちょっとむずかしいのでございますが、とにかくいまのこまかいいろいろな詰めの計算なんかはやらないで、大観的に見て、五年たったあとを想像してみて、それからいまのコストのアップというふうな点、御指摘のあったところもいろいろ考えてみて、それで大観的に見て、これは議論はあるのです。もっとシビアーな議論もあるししますけれども、まあこの際としては、この辺のところかなというのが計算の基準にしました発想の根底だと思います。それからいま新聞等で出ておりますところから検討してみると、なかなかむずかしいじゃないかというお話でございますが、これもなかなかむずかしいのでありまして、まあ皆さんとよく御議論もし、また検討もしていただいていきたいと思っておりますが、私の苦悶しているところの一つだと思います。何かやはり一応大体の見当としてやれるんじゃないかというところへいきたいと思ってまだ苦悶しておる。そうかといって、それじゃお金のほうをふんだんに出せば、これは何でもできるわけですけれども、これもどうもなかなかむずかしいので、幸いにして石油関税が上昇傾向にございますものですから、これの五年間のトータルをにらんで、その中で例の一〇%だけは使わしてもらうのだということになれば、これまた特別会計でちょっと別になっていますから、これも一つの拠点で、その辺までのところは大体認めていただけるということで、それでどうやったらばいまいろいろ御指摘になっているような点を、まあこれならというところへ引っぱっていくことができるかというのが、私として一番いま頭の中で困っていることの一つです。これからも検討いたしまして、そういうふうにいくようなところまで持っていきたいということを努力しているというのが率直な現状でございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 植村さん、これは新聞に書いていることでありますから、そういう質問をすることが妥当かどうか私自身も迷うところでありますが、ただ、どうも理解に苦しむところがあるので、はたしてお答えいただけるかどうかは存じませんが、お尋ねしてみたいと存じますることは、最近大蔵省が予算編成間近になってまいりまして、たとえば出炭規模、これが原料炭千二百万トン、そしてその原料炭に随伴して出てくるであろう一般炭をおおむねその程度にみて、その程度でもって日本の石炭産業はもう押えてしまいなさいということを盛んに言っておるという話を承っている。そういう圧力をどうも植村さんにかけておられるような向きもちらほら耳に入るわけです。これは私直接それを述べている大蔵省のお役人さんと会って聞いたわけじゃございません。新聞その他で出てくる内容でありますから真偽のほどは存じませんが、そういうようなことがはたしてあるのかどうかという不安感もありますが、それをお尋ねしても、植村さんはそういうことがございますとはお答えにならぬだろうと思いますが、通産大臣ね、そういうことがあったらたいへんですよ。大蔵省の役人が、一々石炭の産業の出炭規模は原料炭プラス随伴一般炭合わせて二千四、五百万トンだというようなとんでもない話を、ごく最近になってからしでいる。大蔵省と通産省は同床異夢でしょうから、たとえ表面的には同じような考え方を持っているようなふうに見えても、私は決して最後の最後まで同じことを考えているのじゃないと思うが、万が一にも予算を取るために妥協する意味で、出炭規模というものを大幅に低下せしめるなどというような考え方がもしありとすれば、これは重大問題なんで、それは植村さんと通産大臣と双方にひとつお答えを願いたいと思います。あつかましい質問でありますけれども。

植村甲午郎石炭鉱業審議会会長

○参考人(植村甲午郎君) それじゃ私先にお答えいたしますが、いまのような大蔵省からそんな点で圧迫を受けていることは、これは絶対ないといいますか、そういうことはございません。  それから全体にそういうふうな議論はないかといえば、それは経済界の広い範囲からいいますと、いろいろな議論はありますよね。どうも石炭にそんなに金使うのは惜しいじゃないかというような議論だってあります。それからほかの産業でいえば、撤退作戦をやったのが幾つかありますね。御承知のとおりなんです。そういうふうなほうの観点からも、そこまで考える必要はないじゃないかというような議論だってこれはございます。ございますが、これはしかし、いわばある案ができていけば、まあ経済界の面も認めてくれるのじゃないかと私は思っていますがね。これらについては、また私は違った立場で、しかられたり何かすることはあるかもしれません、業界の中から。これはしかしよく説明をすればとにかく了承してくれるだろう、こう思っている次第でございます。以上であります。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 出炭規模を大蔵省の考え方によって押えていくというようなことはこれはとんでもない話で、通産省は独自の判断によって、日本の石炭資源を具体的にどうすれば最も有効に活用できるか、そういう一点にしぼって政策を立てておる次第でございますから、大蔵省の考え方に、補助金とかあるいはその他の金融上のふところぐあいというもので縛られるというようなことは絶対に——まあ結局においてはそういうことになるかもしれません、そういうことに理屈の上ではなるかもしれぬが、しかし経理重役が一番いばって、そうして会社の営業方針や何かをきめるというようなそんなばかなことでは、それはもう会社は滅びてしまう。それと同じことでございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 大蔵省のぺースには乗らないということだけはどうにかお答えいただいたようでありますが、これは一年間に六百億円も、ことしの予算でいうと石炭に金を使う、これはけしからぬと、そんな金はどぶへ捨てるようなものだなどという議論を展開する財界の人々もあるやに承っております。そういう意味ではなかなかたいへんな問題だと私自身思います。中川鉱山石炭局長にしてみたところで、鉱山石炭局長で石油も預っている。それで石油の側に言わせれば、六百億も金を使うなら、おれのほうの石油にも少し金をつけろというふうなことで、二足のわらじをはいている中川さん、なかなかこの石炭と油にはさまっちゃってたいへんだということも私よくわかりますが、しかし日本の唯一のエネルギー資源であるところの石炭業界の将来があまりにも明るさを持ってないということは、地域社会の問題だけにとどまらず、日本の経済にとりましても重大な影響をもたらすものでありますが、ここで幾ら議論をしましても、私の言う国有化には御賛成いただくわけにはまいらぬようでありますから、まあそのことは別な機会にまた御議論をすることといたしまして、私は持ち時間もなくなりましたので、最後に植村さんにお願いをいたしたいと思うのでありますが、第一に、人命尊重の見地に立ちまして、過去における保安に対する投資、経営者が行なってきた投資、こういうような限度のものでは、もう絶対に労働力の確保の面、人命尊重の面からこれはだめです。ですから、画期的な保安確保の予算をそれぞれの企業においてもとらせるような内容を持った答申をひとつぜひお出しいただきたい。  それから職場の確保その他の問題については、これは三千五百万トンなり現状維持なりといういろんな議論がありますから、ここで植村さんと議論をいたしましてもせんかたないことでありますが、ともあれ、働く人々が不安を感じないようなものをぜひひとつこの際最後の段階でおくみ取りいただきたいと思いまするし、あわせて、他産業の労働者と比較してあまりにもみじめな賃上げ率、こんなものではもうとうていこれからの若い人々を炭鉱にとどめていく方向はありませんし、同時に、住宅をはじめとする福利厚生施設等についても極力配慮するような方向で、経営者にまかせるのではなしに、審議会がかりに答申をお出しになるとすれば、そういうものをぜひとも経営者がやらなきゃならぬような一つの政策的内容を持ったものをぜひひとつお出し願いたいということを私強く希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

藤原房雄公明党

○藤原房雄君 いまもいろいろ議論がございましたが、一つだけお聞きしたいと思いますが、いろいろな諸条件がございまして、一がいにはきめ得ないいろいろな問題がございまして今日まで答申がおくれておるわけでございますが、何といたしましても、もう期日も非常に詰まっております。関係者は答申の一日も早く出ることを心から願っておるわけでございます。先ほど植村さんからもお話がございましたが、先ほどのお話では、大体今月の末ごろというめどのお話もございましたが、必ず今月の末ごろ答申を出される自信がおありかどうか、この点をはっきりお話し願いたい、このように思います。

植村甲午郎石炭鉱業審議会会長

○参考人(植村甲午郎君) これは自信というと少し強過ぎるんですが、何とか今月中に方向づけをしたいということを一生懸命やっているわけなんです。かりにおくれても、そうむやみにおくれるんでなく、あるいはどうも十二月三日、四日になったから、これはちょっと約束と違うぞと言われると困るんですけれども、まあ何とか今月中に方向づけのめどだけは何としてもつけたいと、こう思っておる次第でございます。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 植村さんにひとつ御意見を伺いたいと思うのでありますが、私はこの前の石炭特別委員会におきまして、先ほども社会党の委員から労働力不足の問題が出されましたが、私もこの間北海道を実地に調査いたしまして、労働者の声をつぶさに聞いてまいりましたわけです。で、労働者は保安の問題とかいろんな問題を四つほど出しておりますが、これがいれられなければ、私はいかに植村さんが抜本的対策という構想を練られても、通産者が練られても、結果的に言いますならば、労働力の不足の点から日本の石炭産業というものは内部崩壊してしまうだろうという意見を私はこの間ここで述べたばかりなんです。でありますから、その意見は繰り返しませんが、そこで、まず植村さんに聞いておきたいのは、植村構想の基本となる点ですね、そこをひとつ伺っておきたいんです。私たちが新聞紙上で拝見するところによりますと、いろいろ案を述べていられるようでありますが、結論的に申しますならば、植村案も通産省案も、石炭産業を発展させるという立場に立つんではなく、いかにうまく石炭産業を縮小させ、また撤退させるか、石炭産業をいかにうまく——ことばは悪いかと存じますが、いかにうまくぶしてしまうか、こういう方向で、はたして石炭産業再建の抜本策と言えるかどうかという点を私は一応聞いておきたいと思うんです。

植村甲午郎石炭鉱業審議会会長

○参考人(植村甲午郎君) ただいまのお話の植村構想というのは、一番初め新聞で名づけられたのですが、それとちょっとだいぶ違ってきております。いまのところ違ってきておりますが、いずれにしましても、先ほども冒頭にちょっと申し上げましたが、できるだけ残していきたいわけなんです、実際問題としてはですね。しかし、それじゃいまの炭鉱をそのままこれでもって持っていくことができるかと言えば、これは国のほうで足らずまえは全部補うのだという膨大な補助をすれば別でありますけれども、これはちょっと日本の国民経済全体から考えてもそこまでやるべきかどうかということになると、ノーというのが多いだろうと思います。そこで先ほども申し上げたように、とにかくこの五年間としては三千五百万トンということを一応の基準にしまして、基準というか、計算のほんとうは基準なんですけれども、大体その辺のところをつかまえていく。そうしますと、現在の出炭から言えばある程度の後退になりますね。この後退はなだらかに、そして地域社会に対する影響も多いことでありますし、それから、そこに働いている人に対しても大影響のあることでありますから、これをすべてなだらかにやっていきたい。それから先の問題になりますと、それをほんとうに持ちこたえることができればもちろんいいし、それからさらにふやすようなことのできるような炭田でも出てくるということになれば、これはまたたいへんけっこうなことです。しかしそれが自立して、国の補助はまるでなしにやれるかというと、これはとうていやれないこともわかっているわけです。それに対するつまり助成がどうであるかという問題に今度はかかってくると思うのです。そうしますと、結局国民経済全体から見て、これだけのものをかけても、これはもう把握しておくべきであるという見地に立てばそういうことになるし、それからそれ以上そうたくさんやらなくちゃならぬということになれば、某々炭鉱というものは無理じゃないかということになる、また自然条件の進展もありますから、さっきも申し上げたのですが、製鉄用炭中心というふうな形で一応考えを立てた。この製鉄用炭の石炭の価格は、これはいまちょっと強いわけなんですけれども、やはり相当価格が高くなっていけば、これは当然にそれだけ会社としてはやれる幅が出るわけですから、これはまあいい。しかしなかなかそういかないで、某々炭鉱というものは非常なコストアップになってしまって、これはこれで進んでいきますから、自然条件からもそういうふうにいく場合もあるわけですね。そういうふうになれば、これはどうしてもそのまま持っていなくちゃならぬかどうかということは、その時点でもって、ほかの情勢で考えていく、こういうふうなことを一応考えているわけです。  それから、その前にいまの炭鉱が労務者関係から非常に苦況に立つ、これは一番心配するところの一つでございまして、どうやって安心して働いてもらうか。これについては極力安心してもらえるようにやりたいと思って、ひとつ研究をやってくださいと言って、やっている最中なんです。

須藤五郎日本共産党

○須藤五郎君 私たち、従来いろいろな援助資金が出されました。それがほんとうに労働者、働く人たらのためにそれがなっておるとするならば、あえて私は援助資金を出すことに反対しないでいいと思うのです。それといまも植村さんもおっしゃいましたが、石炭産業はやはり維持していきたい、こういう御意見です。私たち共産党の立場から申しましても、やはり基本産業であります石炭産業というものはどうしても残していかなければならない。むしろ私たちはいま植村さんが立てておる四十八年度三千五百万トンというそういう消極論よりも、むしろ私たちはもっと積極的にもっと掘れ、もっと五千万トンでも六千万トンでも掘って、そしてその握った石炭をいかに有利に有用にそれを使っていくかということ、そこをひとつ根本的に考えていく必要がある。そのためには重油の問題も出てきましょうし、いろいろな問題が出てくる。いわゆるエネルギー全体の中でこの国家の資源である石炭、基本産業である石炭をもっと積極的に伸ばしていく方向は私は抜本策を立てていただきたい。そうして国家の財政の援助を必要とするならば、私はそれをほんとうにそこで働く労働者たちのためにそれが有益に使われていくというならば、これはやはり考えてみなければならぬ点ではなかろうかというふうにも私は考えるんですね。ところが、これまでやってきた例を見ますると、今度の植村さんの案を検討しましても、労働者のためにというその問題、最も重要な労働力確保、労働力を確保するということは労働者の生活を安定し生命を保障するというこの点に中心を置かないで、やはり私が考えると企業側の立場に立って、企業の救済という点が主なものになっているように受け取れるんですね。これでは従来と何にも変わりばえがしないんじゃないか。こういうことでは国民もこの一千億、この前援助しましたこれも国民の税金ですね、それから今後出そうとしていらっしゃる四千億も国民の税金なんですよ。だから、これまでの一千億がどういうふうに使われたかという点を国民の前に明らかにしていかないと、今後四千億という資金をつぎ込むことに対して国民は釈然としないと思うんです。だから私はこの一千億の使途を明らかにしていただきたい。と同時に、この国家の税金から援助された一千億は、一つの例をあげますがね、北海道炭礦へどれだけつぎ込まれたか、それでその北海道炭礦につぎ込まれた金がどういうふうに使われたか、労働者の保安のためにどれだけ使われたかという点を私は具体的に伺いたいんです。聞くところによりますと、北海道炭礦は関連産業ですね、これをたくさん持っておるようです。ホテルの経営とか、それから観光事業に投資をしておる。あるいはこうおっしゃるかもわからぬ、観光会社やそれからホテルはこれは別会社でやっておることであって北海道炭礦の知ったことじゃない、こうおっしゃるかもわかりませんけれども、北海道炭礦がほんとうに石炭産業に熱意を持った会社であるならば、そういうものに投資する金があるならば石炭事業に投資すべきだと思うんですよ。そうして石炭産業をりっぱにしていったらいい。ところが、ほかの産業に投資をして石炭山に投資しない。その結果この間起こったようなああいう災害が起こるというような、そういう状態が起こってきておる。こういうふうに考えてきますと、国民はちょっとこの一千億援助したことにもどうも納得しないし、そこで働いておる山の労働者自体が納得しないですね。一千億援助されたけれども、われわれには何にもなっていないじゃないか、今後政府はまた四千億投資するというが、これもまたこの前と同じように労働者のためには何にもならないのじゃないか、こういうふうに労働者は言っておるわけなんです。そこで私はこういう企業に不熱心な、石炭山をあくまでも維持していこうという熱意を持たない、ほかの企業に投資して、そこで金さえもうけたらいいのだというこういう不届きな石炭産業に、企業家に、私は今後援助する必要はないと思うのです。それよりもむしろ労働者の立場に立って、あなたの考えていらっしゃるいわゆる抜本策というものを立てていただきたい。企業を中心にしたのではない、労働者を中心にした抜本策を立てていただきたい、これが私の気持ちなんですね。  それからこの間私は北海道へ行って、労働者に会っていろいろ気持ちを聞いてみたのです。労働者はあくまでも山を守ろうという決意を持っているのですよ。われわれの想像以上に、石炭事業に対する熱意は労働者がほんとうに持っていますよ。私は非常に頼もしいことだと思いますと同時に、この労働者の熱意に対して、われわれはどうこたえたらいいのか。企業家はこたえていませんよ。やはりこたえるのは、われわれ政治家がこの労働者の純真な気持ちにこたえて、そして基幹産業であるところの石炭を維持していくということが絶対必要なことではなかろうか、私はこういうふうに考えて帰ってまいったものなんです。そこで今度の植村構想の中に、植村さんはどういうふうにこの労働者の気持ちを理解し、どう労働者の希望に沿うように処置をなさるおつもりなのか。そして今後四千億というようなばく大な金が投資される場合に、それをいかに監督していくかという、こういう点を伺いたい。やはり国家の財政の中から、国民の税金の中から必要な金としてそれに投入されるならば、それを管理していくやはり民主的な団体というものが必要だと私は思うのですよ。だからそういう点を少し伺っておきたいと思うのです。

植村甲午郎石炭鉱業審議会会長

○参考人(植村甲午郎君) 私ちょっと時間が少しありませんのと、それから具体問題については私数字を持っておりませんから、これまた事務当局からお話があると思いますが、いまの労務者諸君の関係については、一体いままで審議会の案というものがきわめて簡単にしか出ていないわけですね、項目だけしか。それですから、たとえば保安対策についてというのは、保安対策と、こう処理すべきことの中にこう一本載っていて、どうやるかということは予算とも関連するわけですが、あまり書いてないわけです。で、これは労働者関係等も一緒になって、これはこれで詰めているわけでございます。それからいずれにしましても、ばく大なとにかく国費を使うことでありますから、これが合目的的に使われなくちゃならぬということはおっしゃるとおりでありますので、これはやっておりますが、ただ問題は、つまり企業者とそれからそこの従業者との関係になりますと、企業者がもうこうなってきますと、もう倒産の寸前のような状態になってきますね。そうしますと、やるべきものがやれないですな、ふところの中で。そうなってきたらば従業者にも不義理をする。ほうぼうにも不義理をすることにもなる。そうなった場合に、企業者としては従業者を非常に重視すると思います、思いますが、いまの企業対策に傾き過ぎているじゃないかというお話がありますが、企業そのものが進むにしろ退くにしろ、ある程度の形がとれないと、いまの私企業体制、自由経済の体制からいきますと、またほかの関係もありますしするものですから、十分なことはできなくなる。その意味で企業そのものが進むにしろ、退くにしろ、何といいますか、秩序の立った行き方でいけるようにしないと、したがって、労務者諸君についてのことも万全のことが期せられないということになるわけでありますから、その意味で多少そういうふうにとられるところがあるかもしれませんが、私は私なりにそう思っているわけでございます。  それからたまたま北炭の具体例をあげられましたが、これがはたしてどういうふうな形になっていますか、いまの企業がどうなったとかいうようなことについては私具体的に知りませんが、これはどうもまさか石炭業を捨ててしまっているとは思いませんけれども、これまた事務当局でもし何かお答えがあればやっていただきたい。  それからはなはだ申しわけないんですが、私ちょっと時間が迫っておりますが、何か御質問の方ありましょうか。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) 速記をつけて

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それじゃ時間がないそうですから簡単に一言、財界の巨頭のお話を承る一番いいチャンスだと思うので。  一つの点は、一体石炭の事業をやっている方は、こんなに世間を騒がせ、国の世話になり、労働者を心配させ、地域の人々が不安を感じておって、不名誉と思っておられるのかどうか。  第二点は、一体石炭予算はやめたいのか、やめたくないのか。やめたいんだけれども、やめさせられないのか。やりたいというのなら何かうまみがなくちゃならぬわけですね、事業というものはうまみが。やりたいというのなら一体どういうところに希望を持って事業をやっておられるんでしょうかということ。  もう一つは、この国有化問題に関連して考えてみますと、国有化してもいいんだが、自民党政府としては、ここに突破口を開かれたんでは自由経済の根本がくずれてしまうから、何としても守っていかなければならぬというふうに考える。財界としてもここで譲ったならば、次々とこられるから、突っぱねなきゃならぬというように私は理解をするんですが、その三点を伺います。

植村甲午郎石炭鉱業審議会会長

○参考人(植村甲午郎君) ちょっとむずかしいですね、どう考えているかということは。まあ石炭業は責任を感じないのかというお話がありましたが、これはやはり想像ですが、感じておられるだろうと思います。と同時に、ただ責任呼ばわりするのも少し気の毒なことかと思うのです。それは思いますが、ちょっとわかりませんね、私が答弁するのはむずかしいです。  それから一番しまいのところについては、事業をやっておられる方、ことに古くから仕事をやっておられる方としますと、できることなら続けていきたいというのが本心だろうと思うのです。つまり条件が整わないで、どうしても先行きとってもしょうがないということであれば別ですが、そうでなければ、従業者ぐるみ何とか続けたいという気持ちを持っておられるのは、これはそうだと思うのです。したがって、ある適当な条件ができますれば、一生懸命労使協調してと申しますか、ほんとうに一体となってやる意思は持っておられると思います。で、まあ一つの例を申しますと、たとえば三井山野、あれなんかは、あれはちょっとむずかしいのじゃないかというふうなことであったのですが、そうでなくて、これは三井鉱山から引き離して、ただ、いろんなややこしい計算になりましょう、鉱害関係は置いてきたわけなんですけれども。とにかく、あれでほんとうに労使一体となって努力して、いま成績をあげておられるというような例もあるわけでございまして、それはとにかく仕事をやってきておられる方は、できることならば何とかひとつ続けていきたいという決心は持っておられると私は思います。  はなはだどうもむずかしい質問なんで、お答えにならぬ部分があるかもしれませんが、以上です。

阿具根登日本社会党

○委員長(阿具根登君) お約束の時間も過ぎました。参考人に対する質疑は終了したものと認めます。  植村参考人には、本日御多用中のところ、本委員会にわざわざ御出席を賜わり、貴重な御意見をお寄せいただきまして、まことにありがとうございました。重ねて厚くお礼申し上げますとともに、今後の調査の上に十分に参考にさしていただきたいと思います。  他に御発言もなければ、本件についての調査は、本日はこの程度にとどめ、散会いたします。    午前十一時五十六分散会

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