石炭対策特別委員会 閉会後第2号
- 発言数
- 89 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1968/10/28
会議録
○委員長(阿具根登君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。 当面の石炭対策樹立に関する調査を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
○大矢正君 通産大臣にお尋ねをいたしますが、御存じのように、審議会の石炭に関する答申が大幅におくれておるわけでありますが、このように時期的に大きなズレを来たしているその原因は一体どこにあるのか、何が問題で今日までおくれているのか、まずここからお尋ねいたします。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 問題が問題なので、なかなか自信を持って審議会の結論を出すというところまで至っておらぬと言えば、これがもう概括的なお答えになると思います。そのほかに特殊の具体的な事情があっておくれておるというのでもなさそうでございます。要するに、きわめてむずかしい問題がたくさんあって、それに対するいろいろな考え方が錯綜しておりますので、それを整理してできるだけ早く結論を出すようにわれわれは期待しております。
○大矢正君 石炭局長にお尋ねいたしますが、あまりにも問題点が多過ぎて答申がおくれているといういまの大臣の御説明ですが、どこが一体問題で答申がおくれているのか、どういう点が議論の対象となって話し合いの一致を見ることができないからおくれているのか、それは一体審議会それ自身の意見の合わない点なのか、そうではなくて、審議会以外の外部から何らかの意見や意思が表明されることによっておくれているという事情にあるのか、具体的にお答えを願いたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) 諮問を受けまして、審議会がいませっかくいろいろと考えていただいておる段階でございますので、たとえば具体的には、いまのところ小委員会が中心になって骨格をつくるべく努力をいたしておるわけでございますが、この時期にあまり具体的に申しますと、答えをまとめるべく努力をされている小委員の間にも若干のニュアンスの差があるというようなことを、ここでどなたがどうであり、どなたの意見とどなたの意見がどれほどどんな内容で違っているのかということを言うのは、せっかくいま共通した思想としての骨格的な政策の骨組みをつくりたいということで努力をされている段階でございますので、これを申し上げるのは適当でないと思います。ただ申し上げられますことは、基本的な考え方というものについてそう大きな隔たりは私はあるとは思っておりませんけれども、御承知のように、ほかの産業政策と違いまして、少し入り過ぎるくらいに国の予算制度なり何なりというものが政策実現のために大きく踏み込んでおりますので、手段方法につきましてはいろいろな考え方があり得るわけでございます。そういうものを含めて、どの方法でやれば考えていらっしゃる目標に一番適当な手段であろうかというようなことについてはなお議論を尽くしていないと、結論を出していないという点があるのでございます。はなはだどうも抽象的なことしか申し上げられませんのは、非常に近い時期に結論を出すべくいま最大限の努力をされておる状況でございますので、もうしばらくお待ち願えれば、少なくとも小委員会の考え方はかくかくということが言えるという時期に来ておると私は考えておりますので、その直前にあります未調整な事柄についてそれぞれの意見を申し上げるということは差し控えさしていただきたいと思うわけでございます。
○大矢正君 答申がおくれて、いつになってもしかたがないのだということではないと思うのですよね。したがって、おのずからその答申をしてもらう時期というものの限界があると思うのですよ。その限界は一体いつころになるのか。それから、まあそれは一応の限界であって、現に事務局を担当している通産省の立場としては、いつころがおおむね答申が提出されるであろう時期と判断しておるのか。この二点についてお答えを願いたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) いかなる意味におきましても、私どもは新しい政策の展開を四十四年度をもってスタートをさしたいと考えておるのでございますので、審議会の答申は来年度予算案が審議にかかる前までには出ていなければならないということが第一でございます。それから先ほども申し述べましたように、現在でも六百億円に近い特別会計でございまして、中の項目はずいぶんあるわけでございます。で、これらの複雑な予算制度のもとに進められておる石炭対策でございますので、各省の予算が大蔵省との間でいろいろ折衝になる予算期のピークに石炭鉱業審議会の答申がようやく間に合ってきて、そのまま折衝するというようなことでは間に合わぬことは確実でございます。したがって、大蔵省とも私打ち合わせをいたしておりますけれども、各省のいろいろな案件の審議に入る前に石炭対策についての財政的なすり合わせというものは可能な限りやりたいと、こういうことでございますので、それらを勘案いたしまして、なるべく早く答申を出そうということでいま審議会にお願いをいたしておるわけでございます。
○大矢正君 通産大臣にお尋ねをいたしますが、最近の新聞の報ずるところによりますると、審議会の意見が必ずしも一致しない点があると。また大蔵省あたりからいろいろな将来の石炭政策のあり方について意見が述べられて、こういうことも審議会の混乱の一つの原因になっておるのではないかと私は思うのでありますが、ともあれ、理解ができないことは、通産事務次官が、この審議会に対して意見をまとめるための案なるものを近く提示をするというような新聞の最近の報道があるわけです。たとえば肩がわりの問題であるとか、あるいは整理をどのようにして行なうか、整理をする場合における閉山交付金をどうするとか、こういった面について熊谷試案なるものをこの審議会に提示をして、何とかまとめようとかかっているという記事が最近の新聞記事に載っておるわけです。これは間違いのないところなんです。そうなってくると、一体審議会というものは何なのかということを私は言いたくなるわけです。審議会というものは、大蔵省がどう考えようが、通産省がどう考えようが、独自の立場で、これが一番正しい石炭政策なんだということで出していただく。ただそのあとの答申というものが、はたして将来ともに抜本的な石炭対策になるかどうかは、これは結果が示すことであり、またそれをどの程度、一〇〇%実施をするか、九〇%実施をするか、あるいはもっと答申を上回る内容のものを政策として出すかということは、これは通産省なり内閣の責任において行なうべきことであって、答申はあくまでも審議会の自主性と自主的な判断に基づいてなさなければならぬのであるが、熊谷試案などというものが出なければ石炭答申というものが出てこないなどというのは、私には不可解なんです。どうしてそうなるのか。これでは答申じゃないじゃないですか。通産省試案ということになる。その辺のところをひとつお答えいただきたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 審議会はあくまで自主的に審議をいたしまして、その所信によって答申が出るのが当然のことであります。でありますから、審議会に対していろいろ注文がましいことを言うとか、あるいは試案を提示してなるべくこれによれとか、そういったようなことは、これはもうあり得べからざることでございまして、新聞がそういうことをもし書いてあるとすれば、これは真相を伝えるものではない。ただ、審議会が結論を出すために必要な調査をいたします。その際に、この点はどうなっているかというようなことを審議会のほうから事務当局のほうに照会があることがどうもあるように思われます。そういったようなことを指して、試案が出るとか出ないとかというようなことを言つておるものとすれば、これはもう全く真相を歪曲して伝えるものである、こう思うわけでございます。
○大矢正君 私はその熊谷さんの示している試案が、新聞に書かれている内容がそのとおりであり、そしてそのことの是非をここで議論をするというわけじゃなくて、あり方として大体おかしいじゃないか。審議会というものはあくまでも通産大臣の諮問に基づいて自主的に答申をするわけだから、ですから審議会の調査に対して通産省が協力をするとか、求められて意見を述べるということはあっても、みずから試案をまとまらないから提示するという形式は、これは実際は事実の上においては結果としてそうなったとしても、形の上でそういうことがやられるということは、これは将来非常に問題を残すことになる。なぜかというと、私どもはやはり段階的にいろいろあると思うのですね。答申の段階がある。答申に基づいて具体的にそれをどう政策化するかという作業は、これは通産省がやらなければならぬ問題がある。閣議の段階もある。いろいろ段階があるとすれば、その段階々々でやはり政治情勢なり、あるいは地方の意見なりというものが注入されて、そして結果としては全部が納得いかなくても、多くの人たちが理解ができるような石炭政策を立てなきゃならぬ。にもかかわらず、答申の段階で答申をつくろうとしている小委員会に試案なるものが形を整えて出てくるなどということは、将来にとって私は好ましくないと思うんです。その点はひとつ十分今後とも考えてやってもらわないといかぬことではないかと思うのであります。 それから次に、この骨格のある部分については、すでに小委員会においても、また事務当局としても通産省との間においてもほぼ了解点に達せられている向きもあるようでありますが、一番基本となる生産規模、三千五百万トンということが盛んに新聞に報じられておりますが、この生産規模三千五百万トンというものは、骨格としてはもう確定しているものなのかどうか。その点についてひとつお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは御指摘のとおりいろいろいわれておりますけれども、非常に重大な事柄でありまして、決してまだ確定しているものではございません。
○大矢正君 そうすると、審議会の答申必ずしも三千五百万トンではないというふうに理解していいですか、中川局長。という意味は、私は三千五百万トンより下がることがあり得るという議論ではないのです。三千五百万トンより上回ることもあり得るという考え方をわれわれは持っていいのかどうか、そういう期待を持っていいのかどうか。
○説明員(中川理一郎君) 出炭規模、よく伝えられておりますのは四十八年度時点における出炭規模でございますが、これについてもまだ最終的な結論は出ておらないということしか申し上げられないのでございます。
○大矢正君 最近産炭地であります北海道あるいは九州等においては、審議会の考え方の骨格をなす出炭生産規模というものは四十八年度三千五百万トンであり、これはもう動かすことのできない内容のものであるということを新聞その他で知りまして、非常に混乱を起こしているわけです。大蔵省のごときに至っては、三千五百万トンどころではない、二千万トンもあればたくさんだというような強い意思もあるというようなこともあわせて新聞に出る。したがって、先日の委員会でも私申し上げたのでありますが、四千八年度に三千五百万トン生産をするという絶対的な条件というものはない。三千五百万トンになってしまうかもしれないし、三千万トンを切ってしまうことになるかもしれないし、とにもかくにも私どもの想定では四十八年度三千五百万トンというような計画を立てたとすれば、条件が伴わない限り、それが実際には三千万トンなりあるいはそれを切るような結果になりはしないかという心配をしているわけであります。そこでことしの生産規模が四千七百七万トンといたしますれば、三千五百万トンは約千二百万トンダウン、五カ年間で千二百万トンダウンだから、一年間で平均をしていきますれば二百万トンちょっとずつ計画的に生産規模を減らしていくと、言ってみれば、裏を返していくと閉山をしていくということだと思うのでありますが、そういうように計画的にいかないこともはっきりしておりますし、千二百万トンかりに五年後生産が規模においてダウンされたということになりますると、たいへんなことになるのです。なぜかというと、一つの市なり町なりでもって、石炭以外には産業的に何一つないという地域、産炭地というものが各所にあるわけです。北海道なんかは、もし炭鉱がつぶれてしまったらほかに何もない。農村もなければ、ほかの中小商工業も石炭に付随してある以外に何もないというような地域もあるわけですね。そうなってくると、これはもう行政体が行政ができなくなるという事実も出てくるわけです。しかも、三千五百万トンなどというような低位に生産規模がきめられたということになりますと、これはもう五年後などといわないで、一年か二年の後にはそういう結果が出てくる心配があるのですが、三千五百万トンというものにこだわらないで、生産規模を審議会の中できめられるにいいような条件というものは現にあるのですか、どうですか。ひとつ間もなく答申が出るといわれているのでありますから、生産規模ぐらいは私はおそらく審議会の意思としてそう違いはないんではないかという気もするので、あなたは審議会を代表してお答えするわけにはいかぬのは私よくわかりますが、しかし、いままでの論議の過程からいけば、新聞に報じられているように三千五百万トンというものはもう決定的なものであるというような解釈を一般はしているし、私どももどうもそういう心配をしているわけです。したがって、連日のように生産規模が三千五百万トンになんかされたらもうたいへんだというので、産炭地あるいはその地方では、地域住民あげての三千五百万トン打破の運動が行なわれつつあるわけですよ。非常に政治的になっているし、単にこれは私が所属する社会党だけがどうこう言っているのじゃなくて、もう党派をこえて、階層をこえて三千五百万トンというようなことになったらたいへんだという動きが北海道あるいは九州方面に出ているのはもう事実なんで、どうですか、三千五百万トンというのはあくまでも幅があるということなのか、三千五百万トンというのはやはりどんなことがあっても計画的に四十八年度にはそこまでダウンしたいという考え方なのか、ひとつもう一回お答えいただきたいと思う。
○説明員(中川理一郎君) 審議会で、いろいろ小委員会で論議が進められておりますけれども、基本的には原料炭を中心とし、かつ電力事情その他に大きな変化、供給上の不安定ということを来たさないように相当量の石炭というものを確保すべきだというお考えには皆さん変わりはありませんが、反面、いま大矢先生からお話がございましたように、はたして労働力の点からだけいっても、現状の出炭水準というものを維持できるような環境というものが十分あるのかどうなのかという見方はまた逆にあると思うんです。かつまた、かなり長期的な予想に基づきまして審議をいたしておりますので、五年先時点ぐらいの原価というようなものの値段と、炭の値段というようなものも考え合わせますと、赤字幅を無限に国で埋めていくという考え方なら別でございますけれども、なかなかそうはいかないという情勢がありますと、不採算部門と申しますか、そういうものについての整理というものは不可避的であろうという見方もあります。同時に、いま大矢委員から御指摘のように非常に不安動揺の機にある状況でございますので、数字そのものの正しさよりも、数字を出すことによる影響というようなことも皆さんやはり御心配になっているのではないかと私は理解しております。いかなる意味におきましても、石炭産業が石炭をうみ出すのでありまして、私どもや審議会が石炭を生産するわけではございませんので、どういう政策をわれわれがとるかということでございますが、とられた政策が意図したことと違いました状態が出てくるということについて、審議会自身が責任を持たなきゃいかぬというふうにも理解はできないわけでございます。それらの点を考えますと、ある程度のなだらかさというものを確保するためには、いま御指摘のような受け取る側の心理的な要因と申しますか、そういうものにもやはり考慮を払う必要があろうというふうなお感じは、委員の中にもあると私は理解いたしております。それが、その事柄がどういう形の結論を導き出すかということは、いまの段階では私としては申し上げられないんでございますけれども、いろんなことを考えながら、ただいま御指摘の出炭規模につきましても議論が進められておる。ただあくまでも、それは政策をとりまして、先ほど申しましたようにいろんな予算制度に乗っけるわけでございまして、算定根拠なしの作業というものは不可能でございます。これは作業は作業としてやる。その結果をどういうふうに表現し、どう考えていくかということはこれからの問題であろうかと思っております。
○大矢正君 通産大臣、あなたにお尋ねしますが、かりに審議会が三千五百万トン程度を四十八年度の生産規模にしたいという答申があった際に、あなたはそれをそのとおり実行するという考えか。それとも多少の幅を持って各界各層の意見を聞いて政策の立案をしようとしているのか。それは答申というのは一〇〇%実行されることが望ましいには違いないけれども、答申はあくまでも答申であって、政策の立案というのは通産省にあるわけです。あなたその最高責任者として、かりに審議会が三千五百万トンというような五年後の生産規模の答申が出された際に、それをあくまでも守ろうとされるか、それとも、そうじゃない、三千五百万トンというのは今日ではあまりにも過酷である、それはしかし五年後三千五百万トンといっても、事実においては二、三年で三千五百万トンまでダウンする可能性が十分あるわけだ。この点は中川さんだって否定はされないと思います。計画経済でない限りにおいてはそういうことは起こり得る。現に前の第三次答申で行なっているいまの段階ではそういう結果が出ているわけですから、その点大臣としてこれからどう対処されていくのか、お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 答申はあくまで答申であって、政府の直接の政策というものをそのままあらわすものではあり得ません。でありますから、あまり仮定に基づいたお答えはいたしかねるのでございますけれども、どの点に関しても、答申があった場合にこれを十分に実際の政策面において適当であるかどうかということを十分に検討いたしまして、そうして政府の原案というものをまとめていきたい、こういうふうに考えております。
○大矢正君 まあ答申が出ないから、答申が出たら答申が出たらということで逃げる逃げ道が一つ残っているから、幾ら私がここで申し上げても、のれんに腕押しのような感じになることは最切からわかっておるわけだが、ただ石炭局長ね、これは生産規模の決定なり、石炭政策を通産省が答申に基づいて立案をする際においては、やはり私は、われわれこの石炭特別委員会をはじめとして石炭に非常に関心を持ち、過去においても大いに努力をしてきた、こういう者の意見も策定の時点にやはり十分話し合ってもらいたいという強い希望を持っているわけですよ。それで、前の第三次答申に基づくいまの石炭政策を立案される際にも井上さんずいぶん苦労なさっておられたが、結果としては必ずしも効果があがっていない。いろいろ各所に矛盾があらわれてしまった。これは何も井上さんだけの責任ではないと思うのですね。いずれにしても結果としてはそういう状態になった。私もそれは中川さんが今日まで四面楚歌の中で、協力をする人たちの非常に少ない中で、こういう斜陽産業をいかにして守るかという点で努力をされていることを私非常に多といたします。しますが、私はやはり井上さんがやられた第三次答申に基づくいまの石炭政策と同じような結果になったのでは、まことにこれはもう高い税金の金を使って申しわけないことになるので、しかもこれが最後のおそらく答申になるであろうし、石炭政策ではなかろうかと私自身感ずるものでありますから、十分にひとつ配慮をしてもらいたいと思うし、そういう意味においても事前にわれわれと十分ひとつ意見の交換を行なった上で答申に基づいた政策決定をしてもらいたいということを私は強く希望しておきたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) 私どもより多年にわたって石炭問題について御造詣の深い先生方のお話でございますので、私もできる限り、少なくとも鉱山石炭局長個人としても御意見を承ることは十分いたしたいと思います。
○大矢正君 それは大臣もよろしくひとつ頼みますよ。いまのことはおわかりだと思います。 それから石炭局長、その肩がわり措置というのは世間で非常にいろいろな意味で非難され、批判されている面がありますね。それから実際に石炭の側にとってみても、いま行なわれている肩がわり措置というのは、石炭経営者の頭を越えて銀行のふところにすっと入っていくだけのもので、銀行だけが喜ぶというか、銀行から貸した金は取るのがあたりまえだと言うのかしらぬが、事実においてはそういう結果になって、その一年間百二十億、三十億という肩がわりというものが、石炭の前向きに、金融その他の面で何らの効果を及ぼしていないということが今度の石炭政策を立てる面での金融面から考えなければならぬ点だと思うのですね。その点でいま慎重に肩がわり措置を新たにやるとしても、どういう形で、銀行にうまくするすると何さられるようなそういうやり方ではなくて、ほんとうにそれが肩がわりをしてやることによって、石炭の将来というものの金繰りなり金融なりという面における効果があがるということを考えてやらなきゃならぬことは当然だと思うので、現に肩がわり措置を新たに考えておられる審議会としては、この点について具体的にどう対処しようとしているのか、お答え願いたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) 検討中の事項、審議中の事項でございますので、審議会の動向として私はお答えいたしかねますけれども、鉱山石炭局長としてお答えいたしますならば、御指摘のように、石炭企業からいわばトンネルで金融機関に金がいくという仕組みでの肩がわりというものの政策効果ということには私どもも改善すべき点があると考えております。あれはあれなりに、たとえば金利負担効果でございますとか、いろいろな資金繰りの上での効果を来たしておりますけれども、石炭企業と金融機関との間で、肩がわりを中心といたしまして何らかの報償と申しますと大げさでございますけれども、そういうものの余地がないということはやはり一つの問題点だと思っております。もっと端的に申しますと、たとえば肩がわりの進行次第に抵当権がどんなふうにして変わっていくのかということについても、前回の一千億円の肩がわりではさだかなものはございません。あるいはまた同じような措置を考えるにいたしましても、現在の石炭企業が置かれておる問題点というものを中心にして考えますと、他にもそういう俗なことばでの肩がわり対象になるべき債務があるのではなかろうかという感じもいたしました。金融債務だけではなくて、これは一例でございますけれども、たとえばいま従業員の社内預金、ことに退職者の社内預金の取りつけ等の問題で企業が困っているという状況もございますので、そういうものも、もしやるとすれば対象の中に含め得るような仕組みというものを考えなきゃいかんのじゃなかろうか。これらの点は、私ども事務当局なりにはそれ相応に考えてきておるところでございます。ただ、先ほどもございましたように、石炭の今後の再建のために必要な措置として何らかの政策手段をとります場合に、そういった方法論上のいろいろな問題点がございますので、こういう点は御下問に応じまして、私どもも小委員会に意見を申し上げ、お尋ねの趣旨に沿って、お考えになっていることを具体化していこうとすれば、こういうことも配慮されてしかるべきではなかろうかということは申し上げておるということでございます。先ほど来大臣申しましたように、通産省案を押しつけておるなどということは全く事実と違いまして、いま御質問のような点、その他いろいろございます。これは大矢委員のおっしゃるだけじゃなくて、自民党の石炭政策特別委員会でも意見がございますし、企業側にも意見がございますし、労働組合側にも意見がございますので、そういうものを適時適切に私どもやはり審議会に、審議中のことではありましてもお伝えする必要がある、こういうことをやっておりますととが新聞報道その他でずいぶん誤解を受けまして、通産省案を審議会に押しつけておるというふうにとられておるのはまことに私ども気持ちとしては残念なところでございまして、いまおっしゃいましたようないろいろな問題を事務局なりに小委員会のお尋ねに従いまして勉強しているということでございます。
○大矢正君 通産大臣、自民党の石炭特別委員長の中川さんのこの試案によると、管理会社構想というのがあるわけですね。需要側、生産側、政府、金融機関等が出資をして管理会社をつくる、事実上においてはこの管理会社というのは、言ってみればもしこれが私企業の中で行なわれるとすると持ち株会社ということになって、持ち株会社が管理会社を通して残った石炭をそれぞれの企業なりそれぞれの山に対してコントロールをする、こういうことになるわけでありますが、この管理会社構想というものはどうなんですか、実現する可能性があるのか、実現させようと考えておられるのか、あるいはとても現在の段階ではそういう管理会社などというものはつくる考え方はないと思っておられるのか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 中川案に限らない、管理会社という構想はあるのです。これはまだ爼上にのってこないわけなんです、これは。答申もありませんし、自民党側と答申の内容に触れて相談をするというまだ段階にきておりませんので、この問題についてはまだ私どもとしてもそういう案がある、考え方がある、こういうことを念頭に置いて答申があった場合にはそれ相当の考慮を払っていかなければならぬものだと考えますが、ただいまの段階では一切まだ爼上にのぼっておらぬ案でございます。
○大矢正君 いま私は自民党の中川試案というものの形で表現をしたけれども、これは中川試案だけではなくて、通産大臣もいま御答弁の中にありましたように、審議会のメンバーの中においても管理会社をつくったほうがいいのではないかという意見も私はあったように承っておるわけです。そこで局長にお尋ねをしますが、審議会の小委員会の中においては管理会社構想というのはどういう取り扱いを受けているのか。たとえば議論の対象になっておるのかなっていないのか、あるいはそういうものを実現しようというような空気があるのかないのか、ちょっとお答え願いたい。
○説明員(中川理一郎君) そういう御意見に対してどう考えるかということの審議がありましたことは事実でございます。まだ小委員会自身が全体の結論を出しておりませんので、そのことも御検討はなさいましたということだけにとどめさしていただきたいと思います。
○大矢正君 公益事務局長、ちょっとあなたに質問したいと思いますが、お尋ねをしたいことは、石炭の一般炭を大量に消費する電力の考え方、あなたが考えておられること等についてお尋ねをしたいのでありますが、ことしは見通しとして二千百五十万トンの一般炭を九電力に引き取ってもらうというのが当初の計画です。これがこのままいくかどうかは来年の四月になってみないとわからぬわけでありますが、九電力とそれから電発火力、それにその他の電力合わせて二千六百四十八万トンというのが、私の記憶に間違いなければ今年の電力の一般炭需要見込みと、こうなっておるはずです。そこで電発あるいはその他の火力というものについては、一応数字の上におきましてもそれほど大きいものじゃありませんから除くとして、問題はこの九電力——九電力といっても北陸を除きますから、現実には八電力ですか七電力ですか、その程度の電力会社になると思うのでありますが、この電力会社の石炭火力は今後減らしていくのかどうか。という意味は、その石炭火力の設備を漸次重油火力ないしはなまたき火力のほうに転換をしていこうという考え方があるのか、あるいはそうではなくて、この程度の需要の設備は将来ともに残していこうという考え方を持っておられるのか、まずそこからお尋ねしたい。
○説明員(本田早苗君) 電力事業が御承知のように二次エネルギーの供給部門でありますと同時に、一時エネルギーの大口需要部門であるということと関連いたしまして、電力の供給部門として主要エネルギーを選択する際に、日本のエネルギー供給構造を考えながらやがて判断をしていくというのが先般のエネルギー総合調査会の答申でございますが、こういう線で電力事業としては判断していくべきだと考えております。したがいまして、今後の石炭火力をこのまま維持するかどうかという点につきましては、基本的にはやはり石炭火力の開発というものも考慮しながら考えていかなきゃならないということに答申でも示されておりますが、今後の石炭の供給量というものとの見合いもあろうかと存じます。
○大矢正君 供給量の見合いといいましても、たとえば原料炭というのは千二百万トン、現在は、ことしは千三百万トンの一応の生産見込みでありますが、中川さんの説明によると、五年後の昭和四十八年度では千二百万トンぐらいと、原料炭ですね。そうすると、万一、三千五百万トンという計算をいたしますると、千二百万トン引きましても二千三百万トンという数字になる、一般炭がですね。そこで電力以外の一般炭の需要というものは暖房用炭、また暖房用炭といっても年々これは需要が減っていっているわけです。おそらく一般炭の需要というのは電力以外に見込めないという可能性というものが今日あるわけです。だといたしますると、二千百五十万トン本年度の需要見通し程度の需要は電力において消費をする、最小限度。前の答申のときの約束はたしか二千三百万トンを上回るものになっていたはずなんです、電力が消費するというのが。ですから、その水準にまで達していないわけですよ。したがってこの程度の電力の需要というものは当然確保してしかるべきであるし、それから電力需要が年率どの程度伸びを示しているか、私は正確な数字は持っておりませんが、かなりの率で電気の需要というのは伸びているはずですよ。そういたしますると、原子力なりあるいは重油なり、なまたき原油なりというような部門の比率がどんどんふえていって、石炭の比率というのはほとんどたとえ二千百万トン、二千三百万トン程度の石炭を消費したとしても、それほど全体を含めて原価の上における影響というものは将来なくなってくるんではないかという私は感じがするわけですね。ところが、どうも現状の二千百五十万トンの需要すら将来は減らそうとするような意見がどうもあるように聞こえるので、あなたは公益事業局長として電力で消費をする石炭はどの程度でとどめていこうとする考え方を持っておられるのか。現状を減らすというのか、現状を多少なりともふやしていこうとお考えになっておるのか。これは電発は多少ふえたとしても限度がありますし、それからその他火力というのは漸次これはもう減っていって、将来なくなるという可能性はもう当然あるわけですから、その分だけでも八電力なり七電力なりが消費をしていかなきゃならぬという関係もありますがね、どういう考えでいられるか、お答え願いたいと思います。
○説明員(本田早苗君) 先ほど申し上げたとおりで、石炭、重油あるいは原油等、あるいは水力といったこれは一次エネルギーの需要部門としては経済性に基づいて検討する以上、わが国のエネルギー供給全体に対する影響も考えねばならぬということで判断すべきであろうと思います。ただ前回の三千五百万トンというようなことですと、いまのお話のように千二百万トンが原料炭で、二千三百万トンしか一般炭がない。したがいまして、その一般炭の中で、おっしゃるように電力部門でそのほとんどを消費するという体制でいくということは必要であると思います。ただ、その際やはり経済性についての問題もありましょうけれども、その点については審議会等でよく御検討願いたいというふうに思うわけです。
○大矢正君 将来の生産規模は幾らになるかということによって一般炭の電力の消費量も変化が起こることは当然のことで、そのことはいいのですが、ただ一般炭というものは電力用炭以外にはもう需要がないと、極端に言うと考えなければならぬ時期が必ずくるので、そういう前提で電力問題に対する石炭の需要というものも考えてもらいたいという私の希望です。 それからもう一つ問題なのは、あなた経済性経済性とおっしゃるが、裸でもって石炭と油をいまの段階で、原子力は別としても競争させたら、それはあなた石炭が負けることはわかり切っておるわけです。御存じのとおりにたとえば北海道の例で言うと、電力の発電所までトラックあるいは貨車で一トン運んで二千九百円ちょっとでしょう。いま運賃込みで三千円割っているわけです。一トン石炭を二千メートルも三千メートルもの底から掘ってきて二千九百円で一トン石炭運んで、しかも届けてそれでどう考えたって採算が合うはずがないわけです。したがって、それじゃどうするかという問題になれば、やっぱり政府の石炭政策、たとえば財政上のいろいろの措置ももちろん必要ではあるけれども、当然のことながら炭価問題ということがやはり考えなければならぬ問題なんですよね。あなた公益事業局長としてそういう面では石炭と全く相反する結果になるわけです。中川局長と二人並んでいるけれども、お互いの意思は私は違うのじゃないかと思うのですが、どうされるおつもりですか。あくまで二千九百円というベースでもって押え込んでずっといこうと考えておられるのか。これだけは世の中の物価が上がっているおりから、炭価は電力用炭に限っては絶対にいじらせないと、もし炭価を上げるんだったら今度は油に全部転換だというようなことをお認めになるような考えでおられるのか。私は少なくともやはり炭価問題は当面いじらなければ問題の解決にならぬ。電力会社はなるほど炭価が安いほうがもうかるからそれはいいに違いないが、それに見返る負担というものは結局のところ財政にくるわけだから、私はそういう意味においてはやはり炭価問題をこの際十分考えてやってもらわなければならぬのじゃないかという気がするのですよ。 それから北海道は石炭火力中心であって、重油専焼火力というものはほとんどない、ほとんどないというよりも、いま新たにつくるもの以外は皆無です。九州は多少重油専焼、混焼ありますけれども、北海道の場合は、石炭だけです。そうすると、北海道電力だけが負担が大き過ぎるのじゃないか。ほかの電力は石炭の消費量というものは、全体の電力需用原料の中でもわずかだけれども、北海道のように一〇〇%石炭に依存しているなら結局のところたいへんなことになるんじゃないか。かりに炭価百円上げればこれだけ響くというような問題が出てくると思いますが、そういうものでもやはり国の施策の基本として、公益事業であるからには全体としてやはり割り切らせるような方向で炭価問題をいじらなければ私は石炭問題の解決にならないと思うんです。そうしないと、それは三千五百万トンどころではない。何せとにかく一般炭の山が多いんですから、結局二千九百円で頭打ちだ、国の財政援助もその程度だ、これでやれる山は残して、やれない山はだめだという原則でいったら、幾ら北海道の生産規模の大きいある程度多少の近代化した一般炭の炭鉱といえども、やはり私は閉山しなければならない状態になると思う。しかも、さっきから言うとおりに、ほかの物価はどんどん上がっているのに、石炭だけは何年たっても押えられておるというような状態では絶対やっていけないのは当然でしょう。その点についてあなたどう考えておられるか。
○説明員(本田早苗君) 審議会におきまして、諸対策をいろいろ総合的に御判断されて、そういう対策も一緒に考えねばならない問題だろうと思いますが、電力から申し上げますと、御承知のように今後北海道におきましては、辺地の共同受電等の一般供給への切りかえとか、いろいろ問題がございますから、炭価問題についてすぐに上げていいという判断でこの問題を考えられるというふうにはいまのところ考えておりません。ただ、今後審議会でいろいろ御審議がありましょうから、そういう御審議の内容等をも考え合わせて判断いたしたいというふうに思うわけでございます。
○大矢正君 まだ聞きたいところがありますが、時間もありませんから何ですが、ただ、先般の委員会で中川石炭局長に、電力用炭の問題は炭価を多少いじらなければならない時期にきているのではないかということをお尋ねして、中川局長も審議会の中でそれはおそらく議論になるだろうし、当然議論しなければならないというおことばもあるわけですから、十分ひとつあなたのほうも検討してもらいたい。私は何も特定の電力会社に負担をかけろといっているのではなくて、全体として考えてもらいたい、そうしなければ石炭対策は出てこないのだということを申し上げているわけです。 それから次に、保安局長にお尋ねいたしますが、あなたは審議会の中に直接ではないが、事務当局として御参加願ったり、石炭対策の一つとしての保安のあり方について検討しておられると思うわけですが、あなた自身審議会に対してどのような意見を保安確保の上において述べておられるか、まずそれからお伺いしたい。
○説明員(橋本徳男君) 中央保安協議会におきまして現在いろいろ意見を交換されておりまして、大体の感触がまとまっておるようでございます。その部会でございます石炭委員会に私就任しましてから先般出まして、一応意見はまとまってはおりますが、さらにより広い範囲から検討すべき事項はないかというので、さらに検討をしていただきました。ただ、問題は、保安の問題といいますのは、これはいかなる時代におきましても、やはりその山が操業をしている間はもう最優先的な考え方ということはこれはもう避け得ない事実だと思います。したがいまして、そういう意味におきましていろいろな検討をされました事項は十分われわれとしても政策に反映していきたいというふうに考えておりますが、委員の中にも石炭全体の政策問題がどうなるかということを見きわめた上で最終的な答申をしたいというふうな話になっておりますので、その全体の政策の進捗をみた上で、こちらのほうも答申を受けるというふうになっておる次第であります。
○大矢正君 保安局長ね、あなたさかさまじゃないかと思うんです。常に石炭会社もそうであるけれども、政府も私はほぼ似ていると思うが、生産計画を先に立てて、それはもう予算その他一切含んでの生産計画を立てて、そのあとから保安対策と、こうなるわけです。だから結局は先に優先的に生産計画に金を回す、施設に回す、あと残ったやつで保安、こうなると、保安のほうがおくれるのは間違いない。そこで、たとえば今度の答申の問題についても、いまのままいけば、これは単に保安確保のために経営者は全力をあげなければならぬと、政府もしかるべき措置を講じなさいというような、そういう内容だけでもって人命は私は絶対に守れないと思うんですよ。いま炭鉱の労働力が著しく流出をする。私のところの北海道なんかは、これから雪が隆ってきますから、なかなか動きづらいので、多少いまとまっておりますけれども、この動きやすかった四月から九月ぐらいまでの間の移動というものはたいへんなものでございますよ。かろうじて炭鉱が維持されているというだけであって、人手不足のために災害が起きるということはもう絶対に否定することができない事実です。人がもっと確保されていれば事故というものは大幅に減ることは間違いないですよ。あなたもこの間北海道へわざわざ行かれて、坑内にまで入って見られて十分わかっておられると思うが、あなたがこの間お入りになった炭鉱は、まことに北海道でも有数のいい炭鉱であって、あれが一般的だと思われると大きな間違いで、やはりこの生産中心主義のいまの石炭政策というものは、結局のところまず合理化をやって人を減らす。それが生産面の人を減らすんではなくて保安面の人を減らすという面が出て、これがあの事故の続発につながっておる。ことしは御存じのとおりに一月からの統計を見ましても、去年、一昨年に比べてたいへんな死亡者率の上昇でしょう。これではどうにもならないんですよ。ですから、審議会の方が私は保安に対して関心を持っていないと申し上げているんではないけれども、あなたはむしろ労使あるいは学識経験者が参加して保安問題について検討している中央なり地方の保安協議会の意見というものを、先に審議会に対して、こういうものとこういうものをひとつ取り上げてやってもらいたいということをむしろ私はやるべきではないのかと思う。石炭の方針がきまり、答申が出て骨格が出たら考えましょうというのではこれは手おくれですよ。ですからあなたはもっと強く、そういう意味で事故を減らそう、人が死亡する事故を減らそう、あるいはけがをする事故を減らそうというのをやってもらわぬ限り災害は減りませんよという強い態度で通産大臣にも、それから審議会にも臨んでもらいたい。一々ここでもって、あそこの事故はこうであったから、この間の事故はこうであったからということを私申し上げることはいたしません。ですから、この間も話したとおり、たとえば夕張に起きたあの災害の場合だって、鉄柱がもっと近代的な油圧、水圧の鉄柱でも使っていれば防げたかもしれぬ。しかし旧式の鉄柱を使っておるがゆえに事故が起きたんではないかということを考えるのはあたりまえのことです。最善を尽くして事故が起きた場合には多少これはしかたがないということができますが、最善を尽くさないで事故が起きた場合に、金を惜しんで事故が起きた場合には、やっぱりこれは石炭政策が悪いし、経営者が悪いし、当然悪いからそうなる、そういう批判が出てくる。それが労働力流出につながるわけですから、あなた十分ひとつその点を考えてもらいたい。こまかいことは申し上げません。 そこで通産大臣にもう一回重ねて私はお尋ねしておきたいと思うのでありますが、いま私が申し上げたように、一つには災害が起こる、一つには労働がきびしい、こういうような面、もう一つはこの自分の山がはたして残るのか残らぬのかということがわからぬものですから、これはそろそろ見切りをつけたほうがいいということで非常に最近流出しているという事実ですよ。これをとめる道は、いま私が申し上げた三つの問題点をはっきりさせる以外にないし、まあ多少なりとも生活安定のための前向きないわば賃金政策、そういうものもとられなければいかぬと思うのでありますが、あなた自身たとえば三千五百万トンなんというべらぼうなことを考えて、しかもそれは五年後だと、あなたがかりにお考えになったとしたら、五年後なんということを待っていないですよ。なぜかといえば、自分の山は三年後にこれはやめなければならぬのだ、まあ通産省はずるいから、初年度はどことどこの山、二年目はどことどこの山、三年目はどことどこの山、五年目はどこだというような案はつくらないでしょう、経営者の自主裁量に基づいてつぶしなさいと言って逃げるに違いないが、しかし計画はおそらく秘密にして私は持っていると思うんですよ。それでなくても最近はいろいろな印刷物の中で、これからの石炭産業というようなものが各所から流れて、その中には、たとえば北海道ではどことどこの山がつぶれるんだ、九州ではどことどこの山がつぶれる、残る山はこれとこれだなんということが出ておるわけです、現に。そういうことのために不安動揺が起きるわけです。そうしてもう一つ私に言わさしてもらえば、たとえば閉山交付金を現在でも平均二千四百円ですか、その程度で出している。ところが、鉱害じゃ見ないという前提で七五%かりに労務債にそれが回ったとしても、退職金のもらうものの五割か六割ですよ。最高うまくいったところでも七割以上なんていう退職金をもらったところがないわけです。そうすると、つぶれないいまのうちに、閉山しないいまのうちにやめて、退職金を一〇〇%もらったほうがいいと考えるのは人間の常識でしょう。これを一体どうやって防ぐのかという問題ですよ。炭鉱はいまコストとそれから販売計画との差があり過ぎて、そのために経済的に立ちゆかないという面が一つあるけれども、もう一つの重大なポイントは、人が流れていってしまう、流出してしまうという問題で事実上閉山しなければならぬ炭鉱はこれからますます私はふえてくると思う。そういう基本的な問題について通産大臣どうお考えになっておられるのか。 それからもう一つ、閉山交付金に私関連して申し上げましたが、中川さんそういう結果になりはしませんか。自分の山が三年後につぶれるんだということがある程度わかってきて、つぶれたときに閉山交付金をもらって、北海道のように鉱害がないから七割五分全部退職金に回ったとしても、退職金に七割五分もらえないのだ、払ってもらえないんだということを考えたら、だれが一体三年間がまんしてますか、この問題どうやって解決しますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) どこをどういうふうに具体的にやるかということはしばらくおいて、少なくとも今度の対策が出たときに、労務者の安心感というものを動揺させるというようなことでは、これは私は対策にならぬと思います。そういう意味において、これがどういうふうに労務者の心理に響くかというようなことも十分に考えながら具体的な政策を立ててまいりたいと、こう考えております。
○説明員(中川理一郎君) 前提が非常に悲観ムードに流れておりますので、ただいま大矢先生からお話のあったような気持ちに労働者がなっておるということは事実問題としてそのとおりだろうと私も思っております。いろんなことを考えます前に、客観的な情勢としては、誤まりのない判断の上に立たなきゃいかぬと思っておりますので、事実としてはおおよそそうだろうとこう考えております。ただ、これから講ぜられます石炭対策の中身いかんでございますが、中身を公表できる状況になりましたときに、これは経営者といわず、労働者といわず、これだけの対策で自分の会社なり自分の山なりというのはやっていくのか、やっていけないのか、この判断をやはり的確にしてもらわなきゃいかぬ。先ほどお話にもございましたが、どの会社がだめで、どの会社がどうということは、このような自然条件を相手にする産業でございますので、そこでもって言うわけにはまいりませんから、やはり企業側で自主的に与えられる対策を前提にして判断をしていただくというのが私どもの基本的な考え方になろうかと思います。その際、実際問題として労働者債権が十分な充当率にならないということには、かりに不採算部門を摩擦少なく撤退させるといたしましても、重要な問題点でございまして、御指摘の閉山交付金制度につきましては、新しい対策の際にもう一度改善をいたしまして、進むにしても退くにしても、国から与えられ示される対策というものが、自主的判断としての材料として十分成り立つようなものを提示するということは、もう委員会全体として非常にはっきりしておる思想でございます。ただ、その際に一ついまの情勢とから見合わせまして、判断の上で苦慮いたしておりますのは、閉山交付金制度の改善をいたしまして、閉山の際の円滑なる処理ということを念頭にいたしますと、いずれにいたしましても閉山交付金制度の改善というものが手厚いように働くことになります。そうなりますと、冒頭申しましたように、全体が非常に悲観ムードにあるのだという前提に立ちますと、閉山交付金制度を改善することが閉山促進の政策になっているんじゃないかという御非難が出ておる点もまた事実でございます。あまり優遇いたしますと、山を閉めるほうの促進に働くという御意見が、これも各般の点から出てきておりますことは私も承知しておりますので、このかね合いがなかなかむずかしいところでございますけれども、やはり基本的にはやむを得ない閉山あるいは会社の解散という際に備えた閉山時処理についての制度の改善というのは、この際思い切ってやるべきだと私は考えております。同時に、仕事を続けていくならばこれだけの助成が出るんだということをはっきり示したい。しかも、それを事態の進展とともにまた大きく手直しするということは一般的に許されない状況にございますので、まあ五年なら五年、三年なら三年、助成制度としてはこれは動かさないでいくということになるのじゃないかと考えますので、両者の均衡を十分考えまして、閉山促進政策にならないということも念頭に置きまして、これらのかね合いを考えた上で企業側の自主的判断、労働者の自主的判断というものができるようにいたしたいと、こう考えております。どんな制度になってももうやりたくないのだというのが一般でございましたならば、いかなる政策を考えましてもこれはもう案にならないわけでございますので、その点は置かれました状況をひとつ、先生よく御承知のことでございますが、お考えいただきまして、ただいま申しましたような閉山処理の制度等につきまして、小委員会の案をきめます段階で御意見があれば、また私個人的にでもお伺いして、お気持ちを承りたいと思っております。
○大矢正君 時間もだいぶ経過しまして、私一人で質問しているわけにもまいりませんから、最後に通産大臣に希望意見を述べて終わりたいと思うのですが、通産大臣、この三千五百万トンということを私はこだわるわけじゃないのだが、いまの話聞くと、三千五百万トン——三千五百万トンでもなさそうな感じもするから、こだわっているわけじゃないのだが、ただ新聞その他報道される内容によると、三千五百万トンがもう確定したような前提のもとにいろいろ展開されておるので、心配をしているわけですがね。三千五百万トンなどという数字をひとつの基本にしてというか、基調にしてというか、そういう上で石炭対策を立てようという考え方は、これは根本的に間違いだと思うんですよ。それで、もし数字をきめて、生産規模をきめてかりに計画を立てるならば、それが三千五百万トンかあるいは四千万トンかわかりませんが、それだけの生産は絶対確保する。確保するために政府はどれどれの政策的措置をするという前提がなければ、これは絶対にそんな数字を幾ら基本として考えてみたってできないことなんですよ。それが証拠に、この三次答申に基づくいまの石炭対策をごらんなさいよ。五千万トン程度、まあ一応五千万トンだが、できるだけ需要開拓して五千万トンを上回るようにしようといったところが、現に需要どころか、生産がもっと下がったじゃないですか。ことしはもっと下がるでしょう。それがどうしてそうなるかと言えば、あくまでもそれは数字上の基礎であって、政策の基礎になってないからなんですよ。ですから、三千五百万トンとか四千万トンと数字を確定して、その基礎の上に立って石炭対策を立てるというならば、それだけの生産を確保するためのあらゆる措置を行政的にも財政的にもやるという裏打ちがなければできないということなんですよ。計画的なものでやらなきゃできないということなんですよ。私企業にまかして、そうしてその私企業の創意と努力によってやりなさいという限度では、三千五百万トンとか四千五百万トンなどという数字を幾ら並べてみても、そういう数字というものは単に目標というか、めどというものにすぎないのであって、結果としてはそうならないという事実があるわけなんです。ですから、私は三千五百万トンなどというような数字を確定しておいて、それに合わせて数々の政策を立てていくという考え方、この考え方は三千五百万トンはそれじゃ絶対確保すると、四千万トンは絶対確保するというそういう考え方が基調にならない限りないのですよ。ところが、その考え方はないと、こうおっしゃる。それがなくて、ただ数字だけ三千五百万トンなんというものを出せば、不安と動揺をもたらしていくだけであって、結果としては何にもならないのです、それは。私はそのことを強く指摘しておきたいと思うのですよ。そして、特にこの三千五百万トンだけが強調されるものだから、これはもうますます働く者は混乱をする、それから産炭地域の地域住民も不安と動揺にかられるということになってしまうわけですよ。ですから、三千五百万トンが先なのじゃなく、国がどういう政策的なものをやるか、行政的にどう措置するか、あるいはまたさっき一言申したのですが、たとえば価格の面においては、電力用炭は非常に大きな石炭政策の柱になるはずだが、これについてはどうするのか、そういう施策を講ずることによって、結果としてそれが四千万トンなり四千五百万トンなりということになるのであって、いまのようなやり方だったら私はまたまた再びここに間違いをおかすことになる。三千五百万トンどころじゃない、三千万トン以下にもなりかねない状態になると思うのです。その点に十分ひとつ留意して石炭政策を立案してもらいたいと思うし、そういうことについてひとつ中川石炭局長から十分審議会に私どもの意思をいれてもらいたいということを最後に強く希望いたしまして、私の質問を終わります。
○小林武君 数点について簡単にお尋ねいたしますが、最初に通産大臣にお尋ねいたしたいと思いますのは、この石炭審議会には日本のエネルギー政策全般についての諮問をしているわけですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) そうではございません。石炭対策というものに限定して諮問しております。
○小林武君 先ほど来から質疑を承っておりまして、非常に私その点に不審を抱いたわけです。三千五百万トンを出炭の規模にするということになると、これは新聞は真相を伝えていないという御答弁もございました、真相を伝えていないと言いますけれども、われわれがこの石炭問題でもって新聞紙上にあらわれた、あるいは雑誌その他にあらわれたものを見るというと、植村案というのは、結局全面的撤退論だと、こう言われております。全面的撤退論というのはどういうことかよくわかりませんが、われわれが判断すれば、石炭というものはまあ大体これで見切りをつけることだと私は判断するわけです。三千五百万トンという出炭規模は四十八年度においてはそうであるけれども、四十八年度以降どうなるかというようなことになりますと、これは私は撤退論であるという新聞報道が多少でもこれはうがった、この事実に近いようなあれであるならば、これは重大な問題であると思うわけであります。先ほど来の話を聞いておると、大体しめっぽいですね。悲観的何とかというお話もございますし、これは一体どういうことになるのでしょうか。石炭というものは見切りをつけるということの意味ですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) あくまで冷静に客観的に日本の石炭資源というものを正しく見て、そうして現在の経済情勢からいたしまして、これをエネルギー産業の一つとして、どうすればこれを国が活用していけるかということを目標に置いて、そうしてわれわれは計画を立てつつある、こういうことを申し上げたいと思います。
○小林武君 そうしますというと、日本の国内の唯一のと言ってもいいような石炭というものをこれからも活用していくという角度からお考えになっておるということになりますというと、全面的撤退作戦であるというようなこういうことは出てこないように思うのでありますが、一体この審議会で非常に結論がおくれておるということを考えますと、理由がわからないわけですね、われわれ。いろいろな企業間の問題とか、あるいはその他いろいろな困難な問題が考えられますけれども、何が一体原因で八月の終わりまでに結論が出なければならぬものが九月になっても出ない、十月ももはや終わりになって、ここまでもたもたしておったら、先ほど来石炭局長のお話もございましたけれども、各省の予算の折衝の詰めの段階にいかない前にとにかくケリをつけたいということは事実上これはもう失敗しておるのじゃないですか。どうなんですか。私ら見ておる場合においては、いつまでに結論が出るのかわかりませんけれども、十月の終わりに出て、石炭の問題が結論が出たら、はっきりとその中に位置づけられるということは、結局この出る結論というのは何かわかっておるような気がするのですね。いわゆる撤退の方向で結論が出るというおそれは十分あるのじゃないですか。たとえば大蔵省の考え方の中に二千万トンくらいという考え方もあるということもこれは新聞紙上に出ておるわけです。そうするというと、私はきわめていまは石炭産業の立場から日本のエネルギーというものを考えた場合において、重大な時期に来ていると思うのですが、その点についてどうでしょうか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 少なくともいろいろな経済上の理由から、これに大きな期待を今後持つことはだんだん不可能になってきた。しかしこれを国家が最も有効に活用するという余地はもちろん残されておるわけでありまして、それを無理なく達成する方法は何かということを探求しておるというわけでありまして、きわめて問題は重要であるだけに、それだけに手間をとっておる。しかし最終的に四十四年度の予算措置に間に合わないということのないように、私どもは十分な配慮をしておる。ただいままだ答申が出ておりませんけれども、そのために四十四年度の予算上の措置ができないというようなことのないように十分な配慮をいたしております。そういうことでございまして、とにかく一日も早いことを期待しておりますが、しかしそうかといって、なま煮えのままで持ってこい、こういうわけにもいかぬ、そういう状況であります。
○小林武君 そうすると、通産省の内部において、エネルギーの資源としての石炭、あるいは石油、これはまあ外国から買うにしろ何にしろ、あるいは将来原子力の開発というような問題、いろいろ考えられて、石炭について、一体日本の石炭をこれだけ利用していくというような案はなしに、一切野放しにあなたのほうでは諮問しているわけですか。私なれば、これだけは石炭について依存度を持っていく、しかしながら石炭産業というものはこういう私企業としての非常な困難な問題に逢着しているから、これに対してどうするかということを諮問するというなら、これは私その諮問のしかたとしてはよくわかる。しかし石炭産業の将来の息の根をとめるかとめないかというところまで諮問するのだというと、これはいまの通産省にしろ、日本のいまの政府にしろ、石炭政策、日本のエネルギー対策というものについての一つの考え方がない、こう判断せざるを得ないような気がするわけです。時間の関係もありますから、まあ私の考えを少し言うと、あなたたちのおっしゃることをことばじりを取るわけでございませんけれども、この数字を出すというと、不安、動揺が起こる、それから受け取る側の心理的な何とかということを石炭局長おっしゃる。受け取る側の心理的何とかというのは、石炭ばかりでなくて、その地域住民とかあるいは地方自治体のことまで含んでいらっしゃると思うけれども、私はそういうことばの節々にどうも総撤退論というようなものが、この三千五百万トンの出炭の規模に非常に強くからまっているように思うのですが、そういう点についてどうなんですか。通産大臣、こんなことは絶対心配ないということになりますかどうですか。これはもう通産省の考え方ばかりでなく、私はひとつ政府の中の責任ある立場として、いまの政府はこうだというような御答弁をいただきたいのです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 決して撤退論ではないのでありまして、あくまで日本の石炭産業というものがエネルギー問題の中において今後占めるべき地歩というものがどの程度であるべきか、またどういうふうにすればこれを最も有効に活用することができるか、こういうような点からこの問題を取り上げておるわけであります。決して撤退論というようなものではないのであって、それはこの問題は特に感情的にそういうような受け取り方をしておる向きの態度がときどき世の中に紹介されて、それが撤退論であるというようなことになっていますけれども、私どもはそういう気持ちでこの問題に対処しているのではありません。
○小林武君 それではくどいことは申し上げませんが、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。たとえば審議会のほうから出炭規模というものをあげられて数字が出た、こういう場合でも、あなたのほうでは少なくとも五千万トンというのはこれは確保したいというのが、これは各方面にとにかく発表したことで、その途中においていろいろな事態が起こったのだけれども、これは結局出炭の量が減ったということは、先ほど来の話もあったように、これは企業の問題にもあるだろうし、労働力の関係もあるだろう、いろいろな事故の問題もあるだろうということにあるのでありまして、これは解決の道がないとはいわれないわけでありますから、日本のエネルギー資源というものは一体どういうふうにやっていくかといえば、やはり撤退論といわれるような三千五百万トンというような数字、このことに答申がどうあろうとも拘束されるのではないということは、これは確約できるわけですね。そう理解してよろしいかどうかということです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 数字の高低は、これはいわばテクニックの問題であり、戦術の問題であり、どうすればいまの経済情勢に合って、そうしてこれを維持していけるかという問題であって、その問題と撤退論、もういかんからだんだん引き揚げようというようなそういう何というか、敗戦的な考えでこの問題を処理するのではない、こういうことをはっきりと申し上げたいと思います。
○小林武君 撤退論でないという、その強調したことについてはよくわかりました。それをひとつ堅持してもらいたいと思うのですけれども、気にかかるのは、戦術戦術と言うのは、だれに向かって戦術を使うのかわかりませんけれども、私は、これは戦術の問題ではなくて、日本の産業に結びつくエネルギーの問題をどう処理するかということだと思うのです。これは一私企業とか一何とかということを抜きにしても、考えなければならんことだと思うのです。まあ、たいした知識があるわけでございませんけれども、石油に依存するといったところで、ある学者の話だというと、いまの石油を採掘する技術からいって、まず三十年というようなことを言っているわけですね。それは海の中の埋蔵したものが一体深いところにどれくらいあるかわからんけれども、とにかく技術的にいって三十年ぐらいで考えなければならんというと、この案が五年だというと、二十五年先のことはわからなくなる。そうなったら一体どうなるかということを、少なくともかなり大きな見通しでエネルギーの資源ということを考えざるを得ないと思うのです。そういう場合に、私は一体国内のエネルギー資源というものはどうするかということは、これは重大な問題だと私は思うわけです。だから、それは敗戦的何とかという、総撤退論なんということは、これはきわめて限られた時代の経済的な問題だけに重点を置いて考えるべきことではないと判断するので、そのようなことを申し上げるわけです。ひとつ十分に主体性をお持ちになって、日本のエネルギー対策としての観点からお考えを願いたいと思います。 それから、これは前々回の委員会でございましたけれども、私のほうの森委員から、石炭産業について私企業としてやっていけるのかどうかという質問があったわけです。そのときに、いろいろ御答弁いただいて、これは私企業の範囲から考えれば、先ほどの御答弁の中にもございましたけれども、相当入り過ぎるくらいの国のいろいろな財政的な助成の問題もあります、いろいろなことをやっておりますというような御答弁であった、これは国有化案という案が出てきて、それをいろいろ議論しているうちに。どうしても私企業でなければならんという理由ですね、石炭産業がこの段階まできて、私企業でなければならんという理由はどこにあるのですか。石炭局長の、入り過ぎるくらい一体国のあれが行かなければならんという前々回の答弁によると、私どもは私企業というものの限界をだいぶ越していると思う。そう考えますと、私は反対論をいまここであまり具体的に聞きたくないのですが、一体企業の中の私企業の限界というのはどういうことですか。どういうふうにお考えになっておられますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは国の政策に関連のある問題でございまして、日本はいま自由経済政策をとっておりまして、すべて個人の創意くふうによって経済の運営をしていくと、こういうたてまえでございますから、私企業として云々ということは、企業として一体成り立つかどうかという問題だと思うのです。いまの経済社会において、これが自主的にあくまで企業として成立するかどうかということがすなわち限界ではないかと、こう考えております。
○小林武君 それはもうあなたの御答弁はそのとおりだと私も思っておりましたけれども、そうすると、先ほど来大矢委員からいろいろ質問がございましたが、石炭の価格の問題で、とにかくコストと販売価格との開きの問題というのが出てくるわけですね。これは前々回の質問に出た問題ですが、そういう問題が出てきたら、一体私企業として成立することができるのかどうかということです。前々回のときには、参考人として出られた原参考人は、正直に、保安の設備に対して、保安対策としての設備投資というのは、いまのような石炭産業の先行きの中ではなかなかむずかしいんじゃないかという私質問したところが、そのとおりですという答弁があった。その一例をあげればということで、北海道におけるところの山のあの災害も、不燃性のベルトを使えばああいうことはなかったのに、不燃性のベルトを使えないところにあの問題があるということを端的に言われたのです。先ほど保安局長さんからもお話があったように、何よりも最優先に考えなければならぬというけれども、事実はその答弁の中から考えれば、最優先なんかに取り扱われておらぬのです。そうしていま石炭の企業というものはどうなるのかということは結論をよう出しかねて、八月に出す結論が十月になっても結論が出ないというのは、いわゆる私企業としての限界がきておるというそういうところからきておるんじゃないかと思う。根本はそこにあると思うんですよ。そこにきて、やはり私企業ではとにかくできそうもない、そして私企業ではあれをどうしても投げるわけにいかない。それじゃどうするんだ。これは新聞とか雑誌に書かれたのは、一時にやるというとショックを受けるだろうから、だんだん漸進的に撤退をやるんだ、おしまいはゼロにしてやるんだ、こういうような論評がされておるわけです。これは新聞とか雑誌とかがそういうことをかってに考えたのではなくて、それはもう当然企業の中から、あるいは経済界から出ていることばだと私は思うのですけれども、もしそういうことになるのであれば、もっといわゆる日本の国民全体の立場に立った石炭産業の問題のあり方はどこかというふうに考えられないのかというのが私は非常に不審な点なんであります。ですから正直言うと、私企業としては成り立たないところにきておる。そうして三千五百万トンという案が出たんだが、それがいろいろとその数字を発表すれば影響は甚大だ、心理的なところまで考慮しなければならぬというところに私企業の問題がある。これは重大なことだと私は思う。そうすると、当然のこれは撤退論ということが腹の中にあるというふうに考えざるを得ない。だから先ほど来の質問の中に出ておりましたけれども、産炭地の市町村長というようなものはたいへんな大きな問題にしておるし、あるいは地域の住民もたいへん大きな衝動を感じておる、こういうことを言われておるが、そのとおりだと思うのです。だから私は、ここらにきて審議会ももたもたしているけれども、通産省ももたもたしているというような話ではどうにもならぬと思うのでありますが、その点については絶対に私企業でやっていけるという自信がおありなんでありますか。何度か失敗を重ねてやってきたのですが、今度は必ずやっていけるという案が出ると思いますか。出なかった場合にはどうするのですか。こういうことを、はなはだ予想で申しわけありませんけれども、予想しても間違いはないと思いますので、質問をするわけです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 私企業として成立し得ないものならば、これは審議するまでもない問題でございます。私企業としてりっぱに成立し得る、国がこれを活用し得る、こういう確信のもとにいまこの問題に対処しておると、こうお考えを願いたい。
○小林武君 最後に一つだけそれでは大臣に御要望を申し上げておきますが、一つは、私は石炭産業はだれの目から見ても、経済の専門家から見ようが、企業の側から見ようが、あるいはそうでない立場から見ようが、重大な段階に来て、ここでいいかげんなごまかしと言ったら悪いのですけれども、いいかげんな対策を講じて、そうして非常に大きな影響を各方面に、わけても労働者に及ぼすというようなことについては、ひとつ厳重に配慮してもらいたい。そういうことのないように配慮を願いたいということです。 それからもう一つ申し上げたいことは、先ほど来のお話でありますけれども、きわめて悲観的な石炭産業の状況が続いておるわけでありますけれども、これが予算に出されて、石炭産業に従事しているところの労働者やあるいは企業というようなものが活気を呼び起こすような、そういう結論であったり、政府の態度であったら私はこれはけっこうだと思います。さらに悲観的に打撃を与えるというようなことをやった場合は、これは重大だと思うけれども、一つは私は保安の問題とからんで申し上げたいのです。そういうようなときに、間違っても事故なんか起こしてもらいたくない、間違っても。先ほど来話をしましたけれども、私はさっきの参考人の話は、これはわりあいに善意に受け取っておるのです。正直に言ってくれたと思う。一体この石炭産業はどうなるかということは、いよいよどたんばに来た段階になって、その方面に気のゆるみが来て、今度大事故を起こしたというようなことになったら、これは少なくとも労働者を寄ってたかって殺したといっても私はこれはしかたがないと思う。こういうことのないように、ひとつこれは国民全体、みんなそれぞれの立場で努力しなければならぬことでありますけれども、わけても当面の責任者である政府並びに関係のところにおいてはもう十分な対策並びに態度をもってやってもらいたいと、こう思うわけです。
○藤原房雄君 いまもいろいろ議論が出まして、まず何と言いましても答申のまだ出ない現在でございますから、多くのことは答申が出たときになると思います。そういうことで要望またお聞きしたいことを二、三お話ししたいと思いますが、先ほどからもいろいろお話ございまして、ダブる点もあると思うのでありますが、何といいましても、いまお話ございましたように不安な気持ちにかられている元凶は、答申がおくれているというところにございます。さらにまた、予算措置を講じなければならぬ現時点においてもまだはっきりしたものは出ていない。先ほどからも各委員からお話ございましたが、この答申の一日も早く出るように心から促進をお願いしたいと思うのであります。 それで、ここで一つお伺いしておくことは、私どもは新聞等によりましてある程度のことは見たり聞いたりしておるわけでありますが、はっきり大臣の答弁としてお伺いしたいのでありますが、第一次、第二次、第三次と今日まで最終的な抜本策だということでいろいろ手が打たれてきたわけでありますが、この第三次にいたしましても、思うようにいきませんで失敗したと、まあこのようにそれを言われております。この石炭産業は非常に自然条件や困難な問題があると思いますけれども、思うようにいかなかった、そしてまた大きな不安を与えたという、この失敗の原因は一体どこにあったのか、この点をどのようにお考えかお聞きしたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 失敗というような価値判断で言うべきものかどうか、私は疑問に思います。まあ結局、石油というような資源がどんどん発見されて、そしてエネルギー資源の構成がいままでと非常に変わってきたと、こういうことのために石炭の領域というものが非常に侵されてきたと、こういうことになるのでありまして、ここのところへきて特に石炭企業のやり方がまずかったからとかいうようなことでは決してないわけであります。いわばまあエネルギー資源の一つの革命が起こった、そのあふりを食って経営に非常な苦しい面を生じてきたと、こういうことでございまして、この新しいこういう局面に対処して、なおこの貴重な石炭資源というものをいかにすればりっぱに経営を維持し、国のためにこれを働かすことができるか、こういうことを再検討しなきゃならぬという時期にわれわれは当面しておる、それが今日の石炭問題である、こう考えております。
○藤原房雄君 先ほどもお話あったわけでありますが、一応世界の動向、また産業界のいろいろな動きによりまして計画を立てるわけでありますが、まあ四十五年度の計画——四十八年までということでこの石炭産業についてもいろいろ答申があるようでございますが、長い大きな国の流れの中で、どういう突発的な事件が起きるか、条件はいろいろあると思いますけれども、やはり長期計画、そしてまた短期の計画、こういうものがしっかりしてなければならないと思うのであります。米のとれなかったときにはそれすぐ米をつくれ、それでなくなったから今度は食管制度をどうするんだ、石炭のないときにはそれそれどんどん掘れということで、またなくなった、石油に押されるようになりまして、今度は石炭産業が大きな波をかぶると、まあこういうことは、その根本的な見通しということは非常に困難なことではありますけれども、計画性としては長期のプランと、そしてまた現実の当面する問題についての計画というものがなけりゃならぬと思うのであります。一応四十八年までの答申についてはあるとお伺いしているわけでありますが、その後においてもやはり石炭産業のあるべき位置というものについては当然考えていかなければならないと思います。それで、ここでお伺いすることは、先ほど大臣から、決してわれわれの考え——当局の考えは撤退論でないという前向きのお話があったわけでありますが、やはり一つの計画を立案するにおいては、四十八年をめどとして最終的な段階としてどういう形のものになるか、これは石炭のその持つ位置づけということもございますし、また企業上のこともあるわけでありますが、この問題についてどのようにお考えであるかお伺いしたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) 今後のエネルギーの需給の見通しにつきましては、エネルギー調査会の答申による見通しといたしまして、四十五年度、それから昭和五十年度、昭和六十年度という三つの数字がございまして、エネルギーの最終需要としては、四十五年度で石油換算二億二千万キロリットル、五十年度で三億九百万キロリットル、六十年度で五億五千万キロリットルという数字が出ておりまして、その需要に対する石油、石炭その他の供給見通しも一通りはできておるわけでございます。この四十五、五十、六十年度というもので申しますと、石油の比率は六七・二%から七二・八%、七四・八%、六十年度で大体七五%ぐらいのシェアに相なるわけでございます。その際石炭は、これは大体五千万トンベースで行なわれた想定だと思っておりますが、二一・四%から一六・三%、昭和六十年度では九・五%、こういう数字でございます。したがって、五千万トン規模でございましても、将来のエネルギー需要というものを考えますと、石炭のシェアというものは逐年落ちていく、こういうことでございます。これくらいの数字をひとつ前提として考えますと、必要な石炭を確保するとただいま大臣が御答弁いたしました見地に立ちましても、五千万トンに若干のダウンがございましても、全体のエネルギーの供給問題としてはそう大きな問題ではございません。
○小林武君 五千万トン近いということ、結局……。
○説明員(中川理一郎君) 五千万トンで考えても、石炭の昭和六十年度におけるシェアというものはもう一割を割るということでございます。これがかりに先ほど来いろいろ御質問のありました三千五百万トン云々という数字でございましても、エネルギーの総体需要の供給という面から見て、特別に不安のあるということではありませんということをお答えするわけであります。
○藤原房雄君 当面する問題といたしまして、現在の石炭企業の経営の状態からいたしまして、まあ労働力不足のことや、また資金の調達難とかいろいろ問題がございます。そういうことで非常な不安な状態の中にあるわけでありますが、これについてはいろいろ政府当局としても手が打たれていると思うのでありますが、どのような手が打たれているか、この点ちょっとお聞きしたいと思います。
○説明員(中川理一郎君) むしろ先ほどからお話のございましたように、これはもう私どもが特に悲観的な見方をいたしておるわけではなくて、まわりから非常に悲観的な意見が出ておるということを申し上げたつもりでございますが、そういう状況からいたしまして、むしろ今回審議会に諮問をし、四十四年度からスタートする石炭対策を講じようとしております事柄自身が実は労務者確保対策の基調になるのでございまして、広い意味におきましては、新しい石炭対策が労働者の側から見て十分に評価されない限りにおきましては、どのような対策をとってもほんとうの意味の労働力確保対策にはならないと私は思うわけでございます。ただ狭い意味の労働者確保対策といたしましては、前回の対策をきめました際に年金制度を設けたというのが、ほかの産業から比べますと特に変わった点でございます。
○藤原房雄君 いろいろ新聞の報ずるところによりますと、答申がおくれている問題についてはいろいろ論じられておりますが、何といってもやはり財源の問題が大きな問題ではないかと思うのであります。まあ財源問題については、通産省または大蔵省で意見の一致を見ないというようなことも報じられておるのでありますが、先ほどからもいろいろお話ございましたが、財源は財源といたしまして、この日本産業における最も重要な部門である石炭産業については、悲観的なことではなくして、働く労働者の方々に希望の与えられるような政策を力強く進めていただきたい、このように要望する次第であります。 さらにもう一つは、非常に企業も合理化されまして、近代化されたわけでありますが、それに伴って非常に事故が続出しておる、こういうようなことで、過日もこの委員会等においてもいろいろ審議されております。このたびの答申につきましても、石炭産業の大きな動向ということについてももちろんでございますが、保安対策につきましても、人命尊重という上からこの点については十分なる対策を講ずるように要望する次第であります。 以上、簡単ではございますが、私終わります。
○須藤五郎君 通産大臣は十二時四十五分に退席をするからというような話がいま私のところにまいったんですが、願わくはそれ以後にもここにいてほしいと思うんです。国会審議が何よりも重要な問題ですから、その点どうぞお含み願いたいと思うんです。 商業新聞に最近植村私案なり通産省案というような問題がどんどん出始めましたが、それを私もつぶさに拝見しておるわけですが、その新聞記事を通じましても、また、きょう小林さんなり大矢さんがいろいろ質問をしていらっしゃいますが、それに対する政府の説明を聞いておりましても、一向に、これでわが国の石炭問題が抜本的に解決されるのだろうかどうだろうかという点に私は大きな疑念を持つわけです。いまの政府の考え方は、本質的に従来とられてきました石炭対策と何ら変わるところがない、企業に国家財政から金をつぎ込むだけで、大きなそこには穴があいておるということを私はこの際指摘したいんです。すなわち、その大きな穴というのは労働者の問題、これが今度の抜本対策案の中心に置かれて考慮されていない、これでは資本家は今度の抜本対策であるいは救われる面があるかもわからぬが、私は労働者はこれでは一向に救われない、こういうふうにまず指摘しておきたいと思うんです。現在出炭量のめどは五千万トンということが予定されておりながら、実際には四千七百万トンあるいはそれ以下しか出ていないんです。それは何に原因をするのかと申しますると、この前の当委員会におきまして鉱山局長は、すなわちそれは山がつぶれておるからだとか、災害が増加しておるからだとか、いろいろな意味の答えをしていらしたと思うんです。実は私は今月の二十三日、二十四日の両日北海道へ参りまして、美唄と夕張の両炭鉱に行きまして、直接労働者や自治体代表に会いまして、これらの人たちの意見を直接聞いてまいりました。まず労働者が口を開いて第一に言うことは、労働者の要求は保安を完全にしてもらいたいということがまず第一の要求でありました。第二は、生活環境をよくしてもらいたい。第三の要求は、いわゆる給与が低い、これでは食っていけない、給与の増額です。それから第四の要求は、労働者の民主的権利をわれわれに与えろ、こういう四つの問題が主として出されたわけです。この四つの切実なる要求にこたえない限り、先ほどもずっと論議されてまいりましたが、現在もどんどんと労働力は不足しつつありますが、今後もますます労働力は減少して、いかに政府が対策を立ててみたところで、私は石炭産業はこの労働力の不足という面から内部崩壊をするものと言わなければならないと思うんです。こういう点に立ちますならば、今回の石炭に対する抜本的対策でまず第一に考えなければならぬことは、これら労働者の要求を解決すること、これが真の抜本対策の中心でなければならない、こういうふうに私は考えるのでありますが、政府の考えをまず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(推名悦三郎君) 御指摘のとおり、労務の確保が非常に重要な問題であります。それで、労務の確保のためには、労働者にとって魅力のある環境でなければならない、賃金も多いほどいいということになるだろうと思うし、保安の対策も、とかく間違いが起こりがちでございますから、その点もいよいよ強化するといったようなそういう点が労務の確保の上に大事であると思います。しかし、賃金は多いほどいいということになりますけれども、それだけの一体合理的な限界はどこにあるかというような問題もありまして、これはただ天井知らずというわけにはいかない。それから民主的な運営のしかた、こういったようなことも、できるだけ企業側においては考えておろうと思いますが、これはどの程度にするかということを具体的に問題を掘り下げていかなければならぬ問題でありまして、考え方としては、私は労務者の確保のためにこういったような事項について十分に企業側においても考えていくべきであるという点については、全く同感でございます。
○須藤五郎君 私は、北海道へ参りました二十四日の日に、北夕炭鉱労働組合を訪問いたしました。組合に行く坂道を上がってまいりますると、その途中に「ありがとうお父さん、きょうも無事故でよかったね」という子供の書いた木札が立っておるのを私はまず見つけたわけです。私は芸術家でありますから、皆さん方よりあるいは感情がデリケートかもわかりませんけれども、私はこの子供の声を聞いたとき、実はどきんとしたんです。この木札一つ見ましても、炭鉱夫の家族は子供から老人に至るまで、夫が家を出てから夕方帰ってきて夕食をともにするまで、常に主人のことを心配していなければならぬ、こういうことが私はわかると思う。聞くところによりますると、三、四歳の小さいあどけない子供すらも、おとうさんが家を出るときには、気をつけてねと、こうおとうさんに子供が呼びかけるというんです。こんな職業が一体どこにあるでしょうか、皆さん。私はこんな職業はほかにないと思うんです。美唄炭鉱におきましても、ことしの一月二十日に二坑で坑内ガス爆発があって十六名の方が犠牲になられました。また、五月十二日は山ハネのため十三名の方が犠牲になられた。北炭におきましては、この前の委員会で問題になりましたように大量の犠牲者が出た。こんなことでどうして労働者が安心して働いていけるでしょうか。私は、夕張市で夕張の市役所を訪問しまして、そこの副議長に会いました。その副議長の話すのには、あの夕張の北炭の事故以来、夕張市の炭鉱から三百名の人がいなくなったというのです。三百名が減少してしまった。そして補給は一向につかない。つかないのみならず、各炭鉱でどんどんとこの保安のために、生活のために人が減っていくので、大手炭鉱、中小炭鉱含めて、いまや労働者の引き抜き運動が起こっておる、こういう深刻な話を聞いたわけなんです。政府は一体こういう事態に対してどう対処しようとしておるのか。大臣どうですか。実際はこういう深刻な状態にあるんですよ。どう対処しようと考えていらっしゃるか、その点伺いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 事故のないように、鉱山保安の関係は絶えず頭を悩ましてその対策に終始しております。しかし、国がただ監督するというだけではいかぬのでありまして、企業も労働者も一緒になって保安の対策に協力一致するということが必要であります。そういう体制を強化して、絶えずこの方向に向かって努力をしておる、こういう状況であります。
○須藤五郎君 北炭のガス爆発で多数の犠牲者を出しました直後開かれました当石炭対策特別委員会におきまして、政府当局は、私の指摘に対しまして、急いで労働者各自にガスマスクの個人携帯ができるように処置すると、こういうふうにお答えになりました。その後の状況をここでちょっと述べていただきたい。
○説明員(橋本徳男君) ガスマスクの携帯につきましては、いろいろ各炭鉱に指導いたしまして、九月末で個人所有は完了してございます。
○須藤五郎君 九月末日に全員に渡ったということですね。
○説明員(橋本徳男君) はい。
○須藤五郎君 その審議のときに、椎名通産大臣は、私にはっきりと約束をされたのです。労働者全員に個人携帯ができるようになったら、炭鉱保安規則第七十条の二のただし書き以下を削除する、こう通産大臣は私に確約されましたが、いま聞くと全員に渡るようになったと、こういうことですから、「ただし、鉱山保安監督局長または鉱山保安監督部長の許可を受けたときはこの限りでない。」、携帯させなくてもいいという条項は、当然私は削除さるべき性質のものだと思いますが、この規則の改正はいつなさるのか、ただいま規則の改正のためにどういう準備がなされておるか、具体的に説明をしていただきたい。どうですか、大臣。
○説明員(橋本徳男君) 先ほどのガスマスクにつきましては、これは実質的に全員ということでございまして、二番方は全員持っております。それから非常に時間の違います一番方と三番方とは共有というふうな形で全員持つというふうな形をとったわけでございます。ただ、先ほど御質問ございました規則の七十条の二でございますが、この鉱山保安監督局長または鉱山保安監督部長の許可を受けたときの例外規定でございますが、これはたとえば亜炭山といったような場合におきましては、必ずしも全員にそれをする必要性があるかどうかにつきましては、問題もございますので、この規則は石炭、亜炭両方に共通しております。したがいまして、亜炭につきましては、この規定は現在ほとんど適用さしておりません。ただ石炭につきましてこの規定が現在は若干動いておるということでございますので、これはこの規定の改正というよりも、運用によりましてその辺は十分配慮さしておる次第でございます。
○須藤五郎君 そういうことをあなたたちは常に言って、そうして抜け道を常につくっておるのですよ。それじゃなぜこの規則をつくるときに、石炭山にはこれを適用する、亜炭山にはこれは除外するとはっきり書かないのですか。だからこのただし書き以下は、もしも亜炭山が一酸化炭素が出ないということがはっきりするならば、ただし亜炭山に対してはこの限りでないと、こう書き直すべき性質のものです。このままで残すべきものじゃないのです。この間大臣がはっきり二度も私に確約しておるのです、これは削除しますと。それを通産官僚が法的な解釈をかってにして、そんな抜け道をつくるということは、われわれは認めません。私に約束どおりちゃんとしなさい。そうして亜炭山にこれが必要がないということを委員会の皆さんが認め、学者も認めるならば、一酸化炭素が亜炭山は出ないということをはっきりわれわれに説明されるならば、ただし亜炭山に関してはこの限りでない、こういうような規則の改正をする、書きかえるべきが私は当然だと思うのです。そういうふうにどうぞひとつ書きかえていただきたい。どうですか。
○説明員(橋本徳男君) これは御承知のようにガスマスクとの関係がございます。したがいまして、いま一番方、三番方は共有でやっておりますが、大体十一月末には、今度は一番方、二番方にも全部行き渡るというふうな形になると思いますが、いままだ完全に行き渡っていない中小につきましては、それまで待ってほしいというふうな話もございます。したがいまして、そうなりますれば、これとの関係も出てまいるので、そのときには保安協議会にかけまして、この規定の問題をそこで協議し、できるだけ先生の御趣旨の方向で考えてみたいと思います。
○須藤五郎君 大臣、この前の委員会で約束したように、この規則をりっぱな規則にして、そうして炭鉱労働者が一酸化炭素から守られるように、再びああいう災害が起こらないように、十分規則の上からも労働者を守っていただきたい、これが私の希望ですから、どうぞそういうふうに処置していただきたい。 私は今月二十一日、夕張に調査に行きましたときに、現在政府が用意したというマスクを実は見てきたのです。これは完全なものと考えていらっしゃいますか。ここに見本を私は持ってきたのです。これが一つの見本なんです。使うときにはこう開いて、こうしてこれを出しまして、これを出すのにも相当時間がかかるだろうと思うのですが、そうしてここに封がしてある、これをぽんとこう切って、それからここからこういうもの、これ何だと思いますか。大臣、これで鼻をこうはさむ。洗たくばさみでこう鼻をはさんで、それからこれを口の中にこう入れる、それでかけ出すというのです。ところが、労働者が言うのです。こんな洗たくばさみで鼻をはさむといったって、鼻の低いものははさめない。ほんとうですよ。よく聞いておいてくださいよ。私は実際に聞いた。私自身も鼻が低いから、ふっとこれが離れちゃう。それからもう一つは、これを十分かけて坂道をかけ足すると、温度が六十度から八十度に上がるというのですよ。六十度から八十度、ひどいときには百度。八十度といったら熱気じゃないですか。こんなものでは、のどがやけて実際に走れないというのですよ。こんなものを労働者にあてがって、これであなたたちは気が済むのですか。全くおかしいじゃないですか。その点はどうですか。一体これでいいと思っておるのですか。それからこれで口ふさいでいるけれども、目をふさぐことはできない。目がガスで痛いのだ。目が開けておれない。一体こういうことをどう解決してくれるのだと、私は労働者にこれを突きつけられて、これで命が助かりますかと言われて、私は返答ができなかった。聞くところによると、これは二千七百円。東京の神田の何という製作所ですか、これをつくっておるのは。あなた知っているでしょう。
○説明員(高木俊介君) 重松製作所です。
○委員長(阿具根登君) 個人的な質問はやめてください。
○須藤五郎君 はい。この重松製作所というのは、いわゆるベトナム向けのマスクもつくっているところだということを私は聞いておるのですが、そういうところにつくらして、政府が幾ら補助金を出すのか、全部企業が負担するのか知りませんけれども、こんなものを二千七百円で全員の炭鉱員、十万人近い炭鉱員にこれを持たすとすれば、この重松という店はぼろもうけすると思うのですよ。何でもう少し金をかけて、もっとりっぱなものができないかということです。りっぱなものが何でできないのですか。それで走ったら八十度の熱が起こって、のどがやけて使用に耐えないようなものをあなたたちは労働者に与えて、これで保安体制はもうできました、そんな考えができますか。答えてください。
○説明員(橋本徳男君) 非常に技術的な面でございますので、担当課長から答弁いたしますが、私の聞いておるところでは、一応諸外国の使っておるものと同一の機能というふうなことで聞いております。改善すべき点は技術的な改善を十分検討しなくちゃならぬだろうというふうには考えております。
○説明員(高木俊介君) いま先生から御質問のありました性能の点でありますけれども、本使用マスクの中には塩化カルシウムを活性炭に含ましたものが百十五CC入っておりまして、これは一酸化炭素を炭酸ガスに変える作用をいたします。普通坑内で火災が起きまして、一酸化炭素発生時には緊急の場合にマスクを使うのでございまして、普通どこでも使えるという酸素補給器とは異なる性質のものでございます。それでいろいろマスクには規格がございまして、一応工業技術院のほうで定めております規格には六十分以上もたなくちゃいかぬというような規則もございまして、いま先生のお持ちになっておりますこのマスクで試験いたしましたところでは、九十分の使用に耐える性能を持っておるものでございます。この性能からいきますと、日本のみならずアメリカ、ドイツ、ソ連、ハンガリー、いろいろ同じような一酸化炭素を炭酸ガスに変えるという性能のマスクをいま鉱山で使っておりますけれども、いま申し上げましたように九十分の性能がございまして、アメリカのものは八十分、ドイツにつきましては約百五十分というような性能がございます。なおソ連につきましては百分、ハンガリーにつきましては百三十分というような性能がございます。この点からいきましても、ほとんど性能的には変わらぬのじゃないか。なお、重さその他を合わせましても、日本のものはドイツ、ソ連、ハンガリーに比べまして小型になって携帯しやすいような形に改善されております。ただし、先ほど先生からお話のありました鼻のつまみのぐあいとか、あるいはめがねにつきましては、確かに御指摘のとおり今後改良しなくちゃならぬ、日本のものにもつけなくちゃならぬという点がございますので、これはいま研究さしております。なお、いまのマスクにつきましては、これは触媒作用によりまして一酸化炭素を炭酸ガスに変えるという作用でございますけれども、保安局のほうでは保安機密整備補助金というものをもちまして、酸素発生式の救命器というものの研究をいたしております。おそらくこの研究が来年初めには完成するのじゃなかろうかと思いますので、その酸素発生器ができますと、いかなる場合でも、酸素のないところでも使えるというようなより有効なマスクになりますので、できるだけそっちのほうに今後普及をさしていきたいと考えております。
○須藤五郎君 あなた九十分使えると言ったが、九十分使ったら百度以上に熱が上がっちゃうのです。君そんなに大きなことを言うなら、貸してやるからこれをつけて国会の回りを九十分走ってごらんなさい、労働者は実際やった結果をぼくに話をした。君は書類の上だけでやるから、労働者の言うことがうそだというなら、貸すから君九十分走ってくれ、ばかなことを言っちゃいかん、そんな無責任な……。それで、こういうものじゃ不完全だから、これ以上のいいものができたら即刻全員にかえるということを大臣約束してください。こんなものじゃとても労働者は生命もたないです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) よく研究いたしましょう。
○須藤五郎君 こんな不完全なものすら今日まで、私が指摘するまで全員に行き渡らなかったということ、これ一つ見ましても、政府並びに企業側が保安をいかにおろそかにしてきたかということがはっきり私はわかる。これはあなたたちの仕事に対する怠慢ぶりの一つの証拠ですよ。なんで私が指摘するまでちゃんとしなかったか。わずか二千七百円じゃないか、その点を私は聞きたい。だから一日も早く労働者の期待にこたえるようにいま大臣も考えると言っていらっしゃいますから、万全の策をとるようにしていただきたい。そのためには、まずこの機械がそろわなくてもできることは、私は保安係を労働者にやらせるということがまず第一必要だと思うのです。保安係を労働者にやらせること、保安対策の立案や実施、これに労働者の代表を参加させること、それからこの前も申しましたが、危険を察知しましたときには、労働者の自主的判断によって仕事を放棄し、職場を離れることを認めるということです。それから現地で聞いたところによりますと、保安教育が不徹底だということを聞いてまいりました。だから今後は保安教育を徹底すること。それからもう一つ、政府の保安監査ですね。これが私はこの前も、政府の保安監督官が現地に行くときにはちゃんと会社側に通達をされておって、抜き打ち監査になっていないということを私言いました。これも現地の労働者に確かめましたら、こう言うのです。監督官が来る二日前にはちゃんと黒板に、何月何日には保安監督官が来るから注意をするようにと、その黒板に書き込んであると言うのですね。こんなことでは私は一向に役に立たないと思う。だからあくまでも抜き打ち的にやるべきだ。きのう私はあなたのほうの係の方の部屋に行ってこれを聞きました。そうしたら、それは一週間ぐらい続けてあの山、この山と歩くと言のですね。最初の山は抜き打ち的になるかもわからぬ。ところが二度目からは山から山へずっと電話で連絡がいって、おまえのところはあす行く、おまえのところにはあさって行くぞというように、山と山の間に連絡がされちゃうから抜き打ち的にならぬと言うのです。抜き打ち的にならぬ検査なら意味がない。だから一週間やっても抜き打ち的になるというような方向を考えろということです。 それからもう一つは、現在は前進払いということがおもにやられているようですね。ところが、前進払いはこれは非常に危険性の多いものです。やはり後進払いという最も安全な、より安全な方法を採用すること。それからこれも労働者に聞いたんですが、昔は一番方、二番方は出炭に従事する、ところが三番方は大体炭を掘ったあとの整備、それからあすの出炭の準備ですね、こういうことに当たっておったと言うんです、従来は。ところが最近になったら、一番方、二番方、三番方が全部が出炭に回されておる。ここらにもこの危険の多い原因がある、こういうふうに私は聞きましたので、この点はひとつ大いに検討して、即刻こういう労働者の要望にこたえるようにしてもらいたい。 それから私は美唄炭鉱の住宅を見に行ったんです。さあ驚いたことには、あの寒い北海道で、いまだに外便所なんですね。私も実際入ってみました、便所へ。ところが十月の末だというのに非常に寒いんですね。ある労働者は私にこういうふうに話しましたよ。雪の積もった夜、女房が便所へ行くときには自分がまず先頭に立って、スコップをかついで家を出て、女房様の通り道の雪をスコップで片づけて、雪を除雪して、それから便所へ行くと言うんですね。あの寒風吹きすさぶ北海道で、しかも便所を見ましたら戸板に穴があいて、すき間のあるようなあの便所へ御婦人で入るということは、これはとてもたいへんなことだと思うのです。男はまだしんぼうするとしても、女房はとてもたまったものじゃないということを労働者は言いましたよ。これはあなたも知っているでしょう、外便所だということを。私はちゃんと写真もとってきましたよ。これが炭住の実際いまの状態です。前は石炭をたいていますからあたたかいです、私も入りましたが。ところが後はすき間風で寒いのです。前からあたためられて、後から冷やされておる。これが今日の炭住の状態なんですね。従来石炭産業のために出されてきたばく大な国家資金は一体どこへ使われてしまったのか。保安のために、こういうために使われるために国家資金がつぎ込まれておるのに、一体どこへ使われてしまったんでしょう。この点私は伺いたいです。何で保安とか、こういう生活環境のために使われないのですか。
○説明員(橋本徳男君) 前半のいろいろ御指摘いただきました、たとえば労働者代表を保安に参加させるとか、あるいは保安教育の不徹底な問題、それから保安監査についての相手方にあらかじめ準備をしての検査じゃ意味がないという御発言、それから後進払いにするべき問題、こういった保安の問題につきましては、御指摘される点非常にごもっともな点が多々ございます。ただ、まあ現在におきましても、たとえば山におきましては保安委員会というふうなものを持つことになっておりまして、これに従業員自体の代表者も参加してやっている。それからまた従業員のほうから無災害報告ということで、毎日毎日気のついた点は何でも出せ、そしてそれをいかに経営者、鉱業権者が取り扱っていくかというふうなことも実は検査しております。 それから保安教育につきましても、いろいろな形においての教育はやっておりますが、必ずしもおっしゃるとおり十分であるということは私言えないと思いますけれども、こういった点はできるだけ可能な限りの強化なり拡充をはかっていきたい。 それから先ほどの抜き打ち検査につきましても、たてまえは総合調査につきましてはこれはやむを得ないので、企業全般の問題の資料に基づいていろいろやることもございますので、あらかじめ通知はいたしますが、巡回検査はこれはもう抜き打ちというたてまえになっておりますが、先生がおっしゃいましたように、いろいろな方面からのニュースということで、準備その他が行なわれるということでは意味が薄れるかと思いますので、この点は十分われわれもやり方等につきまして配慮をしていきたいというふうに考えております。
○須藤五郎君 次に、給与の問題でお尋ねしたいのですが、昭和三十年ごろのいわゆる炭鉱採炭夫の賃金は平均どれだけであったか、現在私は北海道で聞きましたのでは大体五万四、五千円、こういうことを聞いたのですが、それ以下だというのですね。これはいいとこだ、こういうことです。前の三十年当時はどれだけだったのですか。
○説明員(中川理一郎君) ただいま手元に持っておりませんので、至急取り寄せます。
○須藤五郎君 それがくるまで待ちますか、どうですか。私はこういうことを言いたい。いずれも炭鉱のおかみさんに聞いたのです。これは十年前は私たち生活は非常に楽でした。炭鉱労働者と言えば他産業の労働者に比べても上のほうだと思うのですね。その上のほうは当然だ。あの困難な穴の中でああいう重労働に従事する労働者は、ほかの他産業の労働者より給料がいいということは当然だと思うのです。ところが、その後ほとんど給料は上がらないのです。他産業の場合は、総評の資料によるのですけれども、他産業の賃金上昇率と比較して非常に低い。七%という線で押えられてしまっているから。ほかの産業は一〇%給料が上がっても炭鉱だけは七%でずっと押えられてきているから、長い間にはどんどん低くなっている。二十四歳、二十五歳までの労働者を比べると、他産業とそこらは大差はないが、三十五歳から三十六歳では一万三千円の差ができている、四十五歳から四十六歳では一万九千円低い、こういうふうに総評の資料は私たちに教えているわけです。間違いがないと思いますが、あとで資料がきましたら……。そのためにいま炭鉱労働者は、あの暗い穴の中で全部残業しないと食えないということになっているのですよ。残業が大体月に四十時間から五十時間、多い人は七十時間から残業をして、かろうじて生活をささえておる。それのみならず男一人だけでは食っていけないので、最近は奥さんまで外へ働きに出て共かせぎの状態、そのために家庭問題が最近方々に起こってきている、風紀問題ですね。そういう問題が起こってきている。これははなはだ私は言いづらいのですが、ある学校の先生がこういうことを私に言いました。ついこの間家庭訪問したときに奥さんが出てきた。それから一週間もたたぬうちにもう一ぺん同じうちへ家庭訪問にいくと、奥さんが変わっておるというのです。それは一体何でそういうことが起こってくるか。それでこの先生は、こういうことでは子供の教育上も非常に問題があると言っている。私は今日の炭鉱労働者のいわゆる給与の低さから起こるこういういろいろな問題を聞きました。また、ある奥さんはこう言いました。給料をもらう日はほんとうは夫婦がにこにこして晩めしを一緒に食うのがほんとうだと思うが、給料もらう日は夫婦げんかが多いというのです。というのは、借金払いに金を取られてしまって、だんなさんが給料を持ってくるのが少ないために、つい奥さんがかん立てて夫婦げんかを起こすようなことが往々にしてあるのです。これが今日の炭鉱労働者の生活ですということを私は聞きました。そういうことでは私はいかぬと思う。ああいう危険な穴の中に入る炭鉱労働者ならば、こういう精神的な苦しみをなめさしてはますます危険度も加わってくるだろうし、家族も心配だろうしするから、炭鉱労働者の給与は他産業の労働者に比較してより一そう高くすべきであるというのが私の意見です。どうしてもそういう方向にもっていかなければならない。 それからもう時間がありませんから最後の質問です。あとはまた次の機会に譲りますが、石炭産業は基幹産業でありますから、これを倒してしまってはいけないと思うのです。私たちは閉山とか縮小ということに対しましては、まっこうから反対をいたします。通産省は四十八年度三千五百万トンをめどにして抜本対策を立てようとしておられるように聞きますが、これは石炭労働者の大きな反対闘争にあうということをはっきりと申し上げることができると思うのです。山の労働者諸君は私にこう言いました。われわれは山で育ち山で働いてきた、われわれは山をあくまでも愛するのだ、あくまでも山を守っていく、こういうふうに決意を私たちに伝えました。だからこそ先ほど申しましたように、山を愛し山を守る、そのためにはどうしたらいいか、石炭産業を守っていくそのためには、まず第一に保安の問題、生活環境の問題、給与の問題、民主的権利の問題これを石炭労働者は問題にするのだ、われわれが山を愛し石炭産業を守る気持ちがなかったらこういうことを言いはしません、われわれはその立場に立ってこういうことを言うのです、こう私に伝えました。皆さん、この四つの問題を解決しないならば、労働力不足の点から見ましても、四十八年度三千五百万トンを維持するということはできませんし、いまも申し述べましたように、石炭産業はこの面から内部崩壊をしてしまうということがはっきり言えると思いますし、労働者の諸君もそういう意見を私に述べておりました。ただいま通産大臣はそういう縮小の意見、そういう先細りのことを考えるのではなしに、より一そう石炭産業を盛り立てて発展させていくのだ、決してそういう消極的な意見ではないのだということをおっしゃいましたから、それはその意見は私はけっこうだと思うのですが、通産大臣のその意見を実現するためにも、まずここから始めなければならぬ。これこそが今度の抜本対策のまず第一でなくちゃならぬということを私は申し上げたいと思うのです。これに対しまして通産大臣の御意見を伺って、私の質問はまだまだありますけれども、きょうはもう時間がおそいようですから、ここで一応打ち切っておきたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 御指摘のとおり、労働力の確保が重要なポイントになっていることは全くそのとおりであると考えます。そのためにどうして炭鉱労働者の不安、無用な不安感を除却していくかと、こういうことでございますが、これは非常に広範にわたる問題でございますが、できるだけ今回の答申を待って御趣旨に沿うような考え方を立てて実行に逐次移してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○委員長(阿具根登君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(阿具根登君) 速記を起こしてください。 本件についての質疑は、本日はこの程度にとどめたいと存じます。本日はこれをもって散会いたします。 午後零時五十八分散会