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59回国会参議院1968/11/05

社会労働委員会 閉会後第3号

発言数
276
登壇者
24
会派数
3
開催日
1968/11/05

会議録

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  派遣委員の報告に関する件を議題といたします。  先般、当委員会が行ないました厚生及び労働行政の実情調査のための委員派遣について、それぞれ派遣委員から御報告を願います。  まず、第一班、静岡県及び長野県の御報告を願います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 第一班は、十月十四日から十七日にわたる四日間をかけて、静岡県と長野県とを視察いたしました。加瀬委員長、大橋理事、黒木委員の三名が全行程を通じて参加し、上林理事が長野県の一部について一日だけ参加しました。  今回の視察は、次のようなことを特に配慮いたしました。まず、県当局との会談は、当該県の独自の施策を拾い上げて、その焦点をしぼってみたのであります。次に、視察個所といたしまして、障害者の社会復帰に関連する前向きの施設と、農村医療施設に重点を置く選定をいたしたのであります。  静岡県、長野県とも、当局との会談は、それぞれ十項目の施策を対象にして行なったのでありますが、その全部についての報告は時間的に無理でありますから、そのうちで特に注目すべき事項を三つづつ御報告いたしたいと思います。  静岡県における注目すべき事項の一つといたしまして、民間の社会福祉事業の従事者に対する退職金を改善するために、県独自で二億四千万円の基金を造成しようとする事業があります。各委員と県当局との間で、基金の調達方法について、質疑、意見の取りかわしが行なわれたのであります。  次に、身体障害者に対する社会復帰の施策といたしまして、矢崎電線、日本楽器等の民間企業と連携をとって、障害者向けの適職を開発し、それに結びつけた職業訓練をしていこうとする福祉センターの設置計画があります。運用上の問題が論議の対象となりました。  第三に、医療要員の確保対策として、医科大学を設置しようという計画があります。行政効率からは、医師の受け入れ体制の整備に主力を注ぐことのほうが得策ではないかといった、計画に関する得失論議が活発にかわされたのであります。  長野県における注目事項といたしましては、第一に、重度の障害者に対して年四千円の年金を県独自で支給する県民障害年金制度があります。この行政効果について論議がかわされました。また、これに関連しまして、長野県が明年一月から実施するところの障害者扶養共済の制度があわせて取り上げられ、その管理方式、対象者の範囲に関して、厚生省試案との相違点についての論議がなされました。  次に、生活保護率の高い低所得地域振興策として、山間の部落に適合する企業の導入をはかろうとする福祉企業センター制度があります。民間企業がそこに定着できるまで県費による補助を行なう制度でありまして、山間部落の多い長野県の自然条件を考慮したものとして高く評価をいたしたのであります。  第三に、長野県は、観光の開発と、自然及び史蹟の保全との調整に苦心しており、審議会の詳細な答申を基礎にして施策を進めつつあります。利用者の六割が県外からの客であることを考慮して、道路や施設の整備については国の補助が増強されてしかるべきではないかとの要請がありました。  施設の視察は、静岡県にあっては、ねむの木学園とムサシノ電子工業冨士工場でありました。  ねむの木学園は、宮城まり子氏の私財寄付を機縁として生まれたもので、肢体不自由児の養護と教育を行なっている施設であります。民間人の善意に所在地の町当局と所在県の援助が結びついているという点に意義を認めて視察対象に取り上げたのであります。所在する十二人の子どもに対して、二人もの教員が町の小学校から派遣されておりました。しかし、今後の運営について危惧が感ぜられましたので、委員から種々の助言が行なわれました。  ムサシノ電子工業冨士工場は、脊髄損傷者三十六人を雇用している民間企業であります。経営者の熱意に敬意を表した次第でありますが、欠勤率が平均して二〇%ということであります。脊髄損傷というような重度障害者の民間雇用については、その健康管理の裏づけを企業ベースとは別に考慮してやる必要を痛感させられたのであります。  長野県に入りまして、労災リハビリテーション長野作業所、農村地帯の佐久総合病院、鹿教湯の温泉療養所を視察いたしました。  労災リハビリテーション長野作業所は、労働福祉事業団が経営するもので、さきのムサシノ電子工業と同じく、脊髄損傷者の社会復帰をはかる施設であります。公的な施設と民間企業の施設との比較を見ることができました。公的な長野作業所のほうが健康管理の点ですぐれております。しかし、反面、入所者の経済自主の点には問題が残っております。入院の延長のようなあり方から進めて、民間企業と連結しながら、独立採算の特別の企業体を考えるべき時期が来ているのではないかという意見が強く出されたのであります。  佐久総合病院は、人口一万五千人の町に八百床という大きな規模を持つ農村医療の病院であります。近代医学の理論を農村の生活様式の中に溶け込ませていく努力と、地域住民の生活について医学的管理を行なっている点に特徴があります。農村地域、山間地域の医療センターとして、また、地域性を生かすことができる教育病院としての役割りを高く評価いたした次第であります。  最後に、悩卒中のリハビリテーションを主とする療養施設として、鹿教湯温泉に設置された県医師会が経営するところの温泉療養所と、農協が経営するところの温泉療養所とをあわせて視察いたしました。健康保険におけるリハビリ訓練の評価点数の低さがいずれも経営上の問題点になっていることの訴えがあったのであります。  以上、ごく大筋のみを御報告いたしました。別途委員長へ提出する補足報告を会議録に掲載していただきまして、それによって補充することにいたしたいと存ずる次第であります。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 次に、第二班、福井県、石川県及び富山県の御報告を願います。

鹿島俊雄自由民主党

○鹿島俊雄君 第二班は、中村委員及び私で、去る九月三十日より十月三日までの四日間、労災リハビリテーション福井作業所、山中国立病院、及び富山県下の社会福祉法人セーナー苑、製薬工場、国立公園立山地区の開発状況等を視察するとともに、富山県庁において県下における厚生及び労働行政について関係者の説明を求め、かつ、意見の聴取をいたしました。なお、富山労働基準局長より、管内の労働基準行政、特に労働災害の発生状況と最低賃金制の実施状況の説明を聴取いたしました。別に、補足報告と、富山県側の要望事項を提出いたしますので、それによって御承知をお願いいたしたいと存じます。  ここでは、調査の概要と、特に重要と思われる数点を報告して、他日これの解決のため政府の善処方を強く要請しておきたいと思います。  労災リハビリテーション福井作業所は、労災保険法による補償給付を受けている脊髄損傷者が、医師の健康管理のもとで作業を行ない、収入を得ることにより、社会復帰に備えるための労働福祉事業団の施設で、本年五月に開所されたものであります。入所定員は五十名でありますが、現在四十五名が入所しております。  作業内容は、全国生産の八割を占める当地方特産の眼鏡ワクの研摩、組み立て、ろうづけ作業であります。作業に関しては、将来、入所者による自主運営が考えられております。現在、開所後間もないのでありますが、技術レベルは相当上昇しております。作業技術を習得した後は、入手不足のおりから貴重な労働力でありますので、当地方の協力会社等からスカウトしてもらう必要があります。市当局もきわめて協力的でありまして、地元企業に就職して当地に永住する意思のある者には身障者用の市営住宅の提供を約束しておりますので、障害年金の受給もあり、家族とともに生活することは可能と思われます。  現在の作業所では、作業所と入所者の関係に労使関係がないので、健康保険、労災保険等の社会保険の適用がなく、国民健康保険にたよっている状態であります。これは労災病院で引き続き入院中の者に比較して均衡を失するとともに、入院中の者が社会復帰のため作業所に入所しようとする気持ちを消極的とするおそれもあり、また、入所中、作業で負傷したり、病状が一時的に悪化すること等も考えられますので、社会保険、特に労災保険の特別加入の措置が必要と思われます。特に労働省において検討をお願いしておきたいと思います。  国立山中病院は、旧山中海軍病院の施設を受け継いだもので、北陸地方唯一の温泉リハビリテーション病院として、創立以来、温泉施設を利用して機能障害患者を対象に機能回復治療を重点的に実施している国立病院であります。  当病院は、一部改築病棟を除いては、旧海軍時代の建物が多く、老朽のはなはだしい病棟等もあり、現状のままでは、患者の療養のみでなく、医療関係職員の労働条件にも影響があるので、早急な改築が望まれております。特に機能訓練病棟は、現状のままでは、ことに冬季は訓練の実施も困難であり、訓練効果も期しがたいと思われますので、早期改築が必要であり、費用も一億円程度で可能と思われますので、この点は特に厚生省の善処を要請しておきたいと思います。  また、新築に際しては、建設単価等の問題もありますが、特殊施設病院である点を考慮して、廊下、病室のテラスの広さ、テラス昇降口の傾斜等にはいま一歩の配慮が望ましく、この点について、将来、この種病院の新設にあたっては適切な構造を考える必要があろうと思われます。  なお、当病院は、特殊小児病棟があり、施設内学校が設けられ、児童の療養中に学業がおくれないよう学習を効果的に進めている点は特に注目してよいと思います。  富山県においては、県庁で、所管部長より、心身障害児対策、特に施設の拡充計画と医療関係職員の確保対策、公害病として現在問題となっている神通川流域におけるカドミウム中毒病対策、国立公園の開発計画と自然保護の調整、また、県内における製薬の生産とその配置販売状況、特に配置販売者の資質向上対策等について説明を求め、意見を聴取いたしました。  次いで、製薬工場池田模範堂を視察いたしました。本工場は、旧来の漢法系の製薬でなく、近代科学的な総合的研究を通じて製造し、これを配置販売を通じて全国にその販売網を広げると同時に、海外、特に中国、東南アジア方面に輸出を行なっている近代的製薬工場でありまして、当地の漢法系製薬工場の中にあって一つの新しい方向を求めている新工場であります。  次に視察いたしました社会福祉法人セーナー苑は、富山市郊外の丘の中腹に敷地約六万坪の自然に恵まれた場所に建設されております。県も精神薄弱者福祉対策としてその建設に力を入れ、本年度も収容棟増設費に約三千万円の補助金を支出し、新たに六十名の収容棟が完成、定員二百九十五名の全国有数の精神薄弱者のコロニーであります。将来、さらに充実することにより、新しい精薄者の村が完成することを心から期待したいと思います。  次に、国立公園立山地区の開発状況を視察いたしました。本県は、立山地区の開発計画として、立山黒部有峰開発株式会社による室堂・黒部ダムルートの工事を実施中であります。工事も順調で、四十三年度中に、ロープウエーを除き、トンネルと地下ケーブルはほぼ貫通を予定されております。また、立山の登山口である桂台・美女平間の道路建設も四十四年には全線開通の見込みでありますので、近い将来、大自然を背景とした黒部・立山の新しい観光ルートが誕生するものと思われます。  なお、本県は、観光開発と同時に、自然保護の強化にもつとめております。特別天然記念物のカモシカ、ライチョウの保護増殖にもつとめ、世界でも例のないライチョウの一世代飼育に成功しております。  本県は、以上のように、極力立山地区の開発につとめておりますが、さきに関西電力の黒部川第四発電所建設の際、建設用として設置されたトンネル、軌道、インクライン等を利用しての宇奈月方面に抜ける黒部ルートの一般開放に関しては、県と関電側との交渉が難航しております。関電が、第四発電所建設にあたって、昭和三十一年、厚生大臣に提出した誓約書に、黒部ルートは、工竣工後は、支障のない限り公衆の利用に供する旨明記してあるにかかわらず、今日に至るも関電側は保安上の理由をあげて開放せず、県側との交渉も何らの前進も見られない状態にあります。黒部の建設には多大の協力を惜しまなかった県側の地元住民感情として、強く黒部ルートの開放を要望するのも無理もないと思われますので、この点に関しては政府も積極的に介入して、新たに要する建設費、保安上の問題点、一日の通過可能な人員等、こまかく検討して、現在の局面打開のため、関係者の一段の努力が必要であろうと思います。  なお、今回の調査にあたって、富山県庁をはじめ視察いたしました病院、施設等の関係者各位の御協力に心から感謝して、報告を終わります。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 以上で派遣委員の報告を終わります。  なお、ただいま御報告がございました各班から、別途文書をもって補足報告が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 速記を起こして。     —————————————

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 次に、社会保障制度に関する調査を議題といたします。  まず、米ぬか油中毒事件の経緯について説明を求めます。環境衛生局長。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) それでは、私から米ぬか油によると思料される中毒事件の経過につきまして、お手元にお配りいたしております資料に基づきまして御説明申し上げます。  まず、最初に、事件の端緒でございますが、十月四日に、大牟田保健所から、福岡県衛生部に、油によると思われる中毒患者発生の旨の連絡がございました。同月九日、同保健所の調査によりまして患者が九大病院で治療を受けていることを探知しましたので、衛生部が九大での状況を聴取しましたところ、北九州市からも同様な患者が四名治療を受けに来ておることを知ったのでございます。  一方、同月八日、大牟田保健所が、患者宅に残っておりました米ぬか油——ライスオイル約五百CCを収去しまして衛生部に持参いたしました。  同じく十一日、衛生部は、県下各保健所、政令市に対しまして、患者発生の状況を至急調査するよう指示するとともに、ライスオイル製造工場を管轄いたしております北九州市と打ち合わせの上、カネミ倉庫株式会社に対しまして自主的に販売を中止するよう勧告いたしました。  以上のような状況におきまして、十一日に厚生省に報告されたのでございます。  自来、患者の発生につきましては、あとで申し上げますが、二十三府県、約一万二千名の届け出患者があったのでございます。この届け出につきましては、医師の診断したもの、保健所で診断したもの、あるいは、カネミの油ということが一応その当時すでに問題になっておりましたので、そういった油を使用しておる方々から類似の疾患等も届け出という形で届け出されたものでございます。  次に、対策及び行政措置でございますが、厚生省は、十月十一日福岡県から連絡を受けましたのち、現地の対策を指導しながら、また、国といたしましても対策本部をつくりまして、総合的な対策を実施してまいったのでございます。  まず、十月十一日に、福岡県に対しまして、関係機関との連絡を密接にして、原因、汚染経路等の究明、及びカネミ倉庫につきましての行政指導等につきまして指示いたしました。  十月十五日、厚生省は、全国衛生主管部長に対しまして、同様の中毒が発生している場合には、患者の多少にかかわらず速報するよう通達をいたしました。また、同日に、福岡県衛生部は、患者発生の状況から見まして、食品衛生法第四条第四項の違反といたしまして、カネミ製一斗かん入り油の販売停止を各保健所、政令市に指示いたしました。また、同日、北九州市衛生局におきましては、十月十五日付で、カネミ倉庫に対しまして十一月十四日まで一カ月間の営業停止を命じたのでございます。  十月十六日、厚生省は、食品衛生課長及び係官を現地に派遣いたしまして、その後の対策につきまして協議し、指導を行なわせました。福岡県は、北九州市、福岡市、大牟田市、県衛生研究所、県保健所長並びに衛生課長の参集を求めまして、油症対策連絡協議会を開催いたしまして、カネミ倉庫の製造にかかるすべてのライスオイルにつきましての販売停止と使用禁止の措置を指示するとともに、一般家庭においてはこれを使用しないようにPRすることにいたしました。なお、福岡県に、副知事を本部長とする福岡県油症対策本部を設置いたしました。厚生省におきましては、同日、全国衛生主管部長に対しまして、カネミ倉庫の米ぬか油につきまして、食品衛生法第四条第四項により、販売の停止及び移動禁止の行政措置をとること、また、カネミ倉庫株式会社以外の米ぬか油製造業者につきまして、米ぬか油の製造工程の点検、製品の収去検査を行なうよう、通達いたしました。  十月十七日、福岡県におきまして、一府七県三市の関係者、これは当時の大体おもな患者の発生県市でございますが、その関係者、及び九州大学、久留米大学の教授を招集いたしまして、これには厚生省の食品衛生課長が出席いたしまして、厚生省主催の油症対策関係各府県市打ち合わせ会議を開催いたしました。  十月十九日、厚生省に、環境衛生局長を本部長といたしまして、学識経験者を中心とする米ぬか油中毒事件対策本部を設置しまして、同日第一回の打ち合わせ会議を開催いたしました。なお、同日、厚生省医務局長名をもちまして、地方医務局長、国立病院長に対しまして、国立病院においても関係機関と十分な連携を保ち、その原因の究明及び的確迅速な診断と治療体制の確立をはかるよう通達をいたしました。  十月二十二日、厚生省は、全国衛生主管部長あてに、福岡県におきましては油症研究班を設置いたしましたので、油症研究班によって作成されました油症患者の臨床所見の概要を送付いたしました。これは、福岡県におきましては、臨床班、原因物質分析班、疫学調査班といったような班を編成いたしたのでございます。これには、大学、県、市、総合的な研究班として発足いたしたわけでございますが、そこにおきまして、今回の患者につきましては、初めての例でもございまして、患者の臨床症状というものがまあはっきりしていないということでございますが、福岡県におきましては患者が多数出ておりますので、臨床的にも一番はっきりいたしておるという関係上、この研究班におきまして患者の臨床所見の概要をつくっていただきまして、これを関係県に送付いたしまして、各県におきましては、患者の届け出がございますが、その中には疑い患者もございます。まあ心配のために届け出られた患者もあるわけでございまして、その基準に基づきまして患者の再診断をすることにいたしまして、現在なおそれを実施中でございます。  十月二十三日、厚生省、農林省の第一回の関係担当者打ち合わせ会を開催いたしました。  十月二十四日には、疫学調査に関しましてやはり各県共同的な調査を行なう必要がありますので、これも現地の油症研究班においてつくられました疫学調査の事項につきまして、関係府県に通達をいたしました。  十月二十五日、国立公衆衛生院の疫学部長を現地調査のために派遣いたしました。なお、研究費につきまして科学技術庁と打ち合わせをいたしました。  二十六日には、引き続きまして国立衛生試験所の田辺食品部長を現地に派遣いたしまして、現地におきます研究班の分析部会に出席させました。  十月二十八日、第二回の中央におきます米ぬか油中毒事件対策本部打ち合わせ会議を開催いたしました。  自後、国、現地、また、関係府県の総合的な調査並びに対策を進めておる次第でございます。  次に、原因物質の調査につきまして御報告申し上げます。  原因物質につきましては、新聞紙上でごらんいただいておりますように、当初、砒素が混入しているのではないかということが報じられたのでございます。これは、留久米大学あるいはその他の研究所におきまして砒素を検出いたしたわけでございます。しかしながら、この砒素は、当初はかなり砒素というものが有力視されかけたのでございますが、やはり量的には今回の患者を発病させるほどの砒素ではないのではないかというようなことに大体意見が一致してまいっております。したがいまして、現在では砒素説はほとんどまあ否定される段階にありますが、これにつきましても、やはり微量重金属の慢性中毒というものはなかなか医学的にもむずかしい問題でございますので、慎重に他の調査とあわせまして引き続き砒素その他の重金属類も検討することにいたしておるのでございます。  そういうことでございましたが、去る二十八日に、中央におきます対策本部の会議におきまして、国立衛生試験所から、塩素が含まれておるということの発表があったわけでございます。これにつきましては、高知県の衛生研究所で塩素と思われるものが含まれておるということで、材料を国立衛生試験所に持ってまいられたのでございますが、それを調査しました結果、患者の自宅から採取した油につきましては、他の油に比べまして塩素が多量に含まれておるということが認められたわけでございます。そういう状況下におきまして、昨日、現地の福岡県の油症研究班の班長である勝木教授から発表があったわけでございますが、カネミの油の中に、カネクロールと称するものでございますが、これは塩化ジフェニールという物質でございますが、これらしきものが含まれておるということがわかったのでございます。  これにつきましては、油症研究班が二十九日にカネミ倉庫に参りまして、北九州市に立ち入り検査に協力していただきまして、製造過程におきまして塩化ジフェニール、いわゆるカネクロールと称するものが使われておるということが発見されまして、その塩化ジフェニールを九大農学部に持って帰られまして検査されたところ、患者の家庭から採取しました油の中に含まれておる塩素系の化合物とほとんど一致した成績が出た、かようなことでございます。あわせまして、大学関係におきましては、公衆衛生学教室その他薬学部等におきましても同様の所見が認められております。また、県衛生研究所におきましても同様の所見が認められておるわけでございます。また、国立衛生試験所におきましても、現地におきますさような状態に基づきまして、さっそくカネクロールを取り寄せまして検査をいたしたのでございますが、さきに国立衛生試験所で認めました塩素化合物がやはりカネクロールにほぼ一致しておるという成績を得たのでございます。また、岡山大学におきましても、公衆衛生学教室におきまして同様な所見を得ております。また、大阪市衛生研究所におきましても、やはり同様な結果を報告してまいっておるのでございます。  以上のようなことでございまして、原因物質としては、カネミ倉庫におきまして製造過程に使っております塩化ジフェニールとほぼ一致いたします物質を油の中から発見しておると言うことはできると思うのでございます。しかしながら、これは今後さらに精密検査をいたして、定量的にも検査する等の検査を行なうことによりまして確認をする運びになっておるわけでございます。  なお、先ほど申し上げましたように、これ以外の重金属類その他の物質につきましても、あわせて並行して検査をしていくという考えでございます。  なお、この塩化ジフェニールの使用につきましては、これは油の精製の製造過程中、脱臭の過程において使われておるわけでございます。この脱臭につきましては、タンクの中の油の中にステンレスのらせん型のパイプを通しまして、そのパイプの中にこの塩化ジフェニールを入れておるわけでございます。塩化ジフェニールを二百三十度くらいに加熱いたしまして、それを通しております熱媒体でございます。これは熱を加えましても気化しないという、液体のまま残っておるということで、熱媒体として利用しておるということでございますが、まあそういうようなわけでございますので、現在この熱媒体に使用いたしました塩化ジフェニールがパイプから漏れることがありとしますと、これは油の中に漏れるおそれがあるわけでございます。そういうことでこれが漏れておったのではないかということが一応予想されることでありますので、その製造過程につきまして営業日誌等を通じまして現在調査中でございます。その詳細につきましては今後にまたなければならないということでございます。  なお、次に、疫学調査のことでございますが、現在、患者につきましては、届け出患者は二十三府県で一万二千六百二十九名にのぼっております。しかし、これにつきまして、先ほども御報告申し上げましたように、患者の症状等につきまして診断基準をつくって再検査を各県で実施をお願いいたしておるわけでございますが、たとえば福岡県におきましては、昨日まで二千七百八名検査をいたしまして二百九十二名定型的な症状を持ったものが見つけられておるわけでございまして、その他はおおむねこの疾患ではない、他の類似疾患ではないかと考えられておるわけでございます。また、長崎県におきましても、疑い患者を含めまして百九名再検査の結果患者が見つけられております。これは届け出としましては八百三十四名でございますが、百九名で、そのうち医師の診断を直接された者が五十九名で、あとは調査票で五十名ということでございますので、百九名全部患者であるかどうかはなお今後の調査にまつ、かようなことでございまして、全体を通じまして患者が疑似患者を含めまして四百名ばかり認められておるというようなことでございまして、全般的に見ますと、定型的な症状を持ち、かなり重症なものにつきましてはそう多くはない、かように推定いたしておる次第でございます。  なお、この汚染経路につきまして、いつの時点におきましてこれが汚染されたか、たとえば何月の何日の製品が汚染されて、それによって患者が発生したかどうかということにつきましては、現在精密な疫学調査を実施中でございまして、それが数日中に大体集計されることになっております。現在までの趨勢におきましては、二月ごろのある時点に特に汚染されたものではないかということがいままでの調査におきましては予想されておりますが、これにつきましてはなお数日中にわかります結果が出ませんとはっきりしたことは申し上げられない、かようなことでございます。  以上、現在までの米ぬか油によると思われます中毒事件に対します原因調査の状況並びに対策の状況につきまして御報告申し上げた次第でございます。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) これより本件に関し質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。

小野明日本社会党

○小野明君 私も十月十八日の日に現地の調査に参ったわけであります。いろいろな疑点があるわけでありますが、これは後ほど順次質問を申し上げるといたしまして、いまの御報告によりますというと、大体塩素が原因であると、こういうものなんでありますが、なお塩素と確定をされていない。確定をするには若干の時日がかかる、こういうお話なんでありますが、あとどういった検査を行なって、いつごろこの確定ができるのか、御説明をいただきたいと思います。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 今後の検査の方法でございますが、今後はこれを定量的に分析していくということが一つございます。それとあわせまして動物実験等を行なうということによりまして確認をしていくということでございます。  なお、これに加えまして、有機塩素がこの油に含まれましても、ある過程におきまして非常な加熱を受けるということによりましてそれがどういうような変化を起こしてくるかというような点につきましても検討する必要が一つの目標にされておるわけでございます。これは、過去の文献におきまして、油が加熱され、それに塩素が加わると、それにある毒性のものが出るというようなことも外国の文献にあることでございまして、さようなこととも関係をいたしまして、そういった油の加熱によります一つの過程におきまして変わったものができるというようなことにつきましても検討する。そういったことを総合いたしまして確認をいたしたい、かように考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 慎重さというのはもちろん必要なんでありましょうが、大体黒である、この塩素が原因物質であるということはほぼ間違いないということは言えますか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 先ほど申しましたように、確定はもうしばらく検査してからということになりますが、塩素というものが普通の状態よりは多量に含まれておるということにつきましては、地元の研究班あるいは国立衛生試験所その他の大学研究所におきまして発見されておるので、まず間違いないと、かように考えております。

上原正吉自由民主党

○上原正吉君 関連して。塩化ジフェニールというのは、このもの自体が有毒であるということは調べられておるのですか。塩化ジフェニールそのものが有毒であるということは確定をしておるのですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 塩化ジフェニールというものの毒性につきましては、皮膚の刺激作用があるとか、長期曝露では肝臓障害を招く、かようなことでございまして、急性中毒はほとんどないということでございます。長期にわたりまして蒸気を吸入しますと、慢性中毒を来たすとか、水疱とか、癧瘡——現在生じております患者のそれと同じ癧瘡とか、丘疹、角皮症というようなものの症状が出ると、かようになっておりますが、そのものずばりのものによって今回の症状が出ておるのか、それが変化したものかは、わからないわけでございます。

上原正吉自由民主党

○上原正吉君 塩化ジフェニールは毒物に指定されておるのですか。劇物か毒物に指定されておるのですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 毒物としては指定されておりません。

上原正吉自由民主党

○上原正吉君 劇物ですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 劇物にも指定されておりません。

上原正吉自由民主党

○上原正吉君 そうですか。ありがとうございました。

小野明日本社会党

○小野明君 工場の立ち入り検査ですね、これによりますと、新聞等によると、もうはっきりパイプを一月段階で修理をしたと、こういうことが営業日誌か何かで報告をされているようですが、こういった点の調査というのはまだはっきりした事実は報告されておりませんか。まだ推定されないわけですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 会社のほうの営業日誌によりまして、作業日誌でございますが、一月二十日と一月三十一日に修理が行なわれたということを現地の北九州市の衛生局から報告を受けておるわけでございますが、具体的にどこをいかように修理したかということにつきましては、昨晩の段階におきましてはまだ明確に把握できていないということでございまして、きょうも引き続き精細な調査をいたしておるというような状態でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 先ほどの関連質問によりますと、この塩化ジフェニールというのは、有害物質といいますか、劇薬でないと、人体に及ぼす影響は何もないと、こういうことですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 毒物、劇物の指定にはなっておりませんが、やはり人体に対してはこれを摂取すれば影響があるというものでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 それはどういう理由で劇薬とかあるいは有毒であるということが指定をされておらぬのですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 毒物、劇物の趣旨につきましては、あるいは薬務局長からお答えする筋のものかもしれませんけれども、私の承知しておる限りにおきましては、特に毒物、劇物につきましては、急性中毒ということを主体に考えておられるということと、それからやはり特に一般的に使用されるもので非常に問題になるというようなものは指定に加える、かような趣旨に考えておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 薬務局長はおらぬですか。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) いないです、きょうは。

小野明日本社会党

○小野明君 これは人体に及ぼす影響がゼロなら私はいいと思いますよ。これだけ影響があるものを毒物なりあるいは劇薬に指定されておらぬということ自体が手落ちではないですか。あらためて指定をすべきじゃないですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) このものにつきましては、先ほど申しましたように、急性中毒はないが、これを長期にわたって摂取しておりますと慢性中毒を起こすという性格を持っておるわけでございます。さようなことでございまして、しかも、これが直接人に触れるとか摂取するという形態において利用されておるものではなく、油をあたためるということでパイプの中を通してそれを加熱するというような別の用途から利用されておるというような面がありますので、従来これは毒劇物には指定になっていないと思うのですが、こういったような慢性中毒であり、しかも、こういった特別な操作に使われておるものをいかように扱うかということにつきましては、やはり今後検討する必要があるものと考えます。

小野明日本社会党

○小野明君 そういたしますと、いままでのお話によると、塩素が検出をされましたのはカネミのライスオイルと、こういうことになるのであって、ほかの工場ですか、ほかの業者がおるわけでしょうけれども、ほかのも検査をしておるわけでしょうけれども、ほかからは検出されていない、こういうことになりますか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 現在まで認められたものにつきましては、これはカネミの製品でございまして、他のものからは検出されておりません。

小野明日本社会党

○小野明君 そうすると、このカネミのライスオイルと言うと正確でないでしょうが、カネミの米ぬか油が黒であるというようにはっきり断定できますか、また、すべきではないかと思いますが、いかがですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 黒と断定することにつきましては、いましばらくもう少し定量的な分析等を行なった結果にまたなければならないと、かように考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 そこがいろいろ今後に問題を残しておるのですが、九大の油症班はこう言っておるのです。私が行きましたら、カネミのライスオイルが黒であると。これを常用しておった人だけがそういった症状が出ておるんだから、周囲の状況から判断いたしますと、カネミのライスオイルが黒であると、こういうことを私どもに言明をしておる。九大の油症班はそういうふうにはっきり言っておるのに、厚生省としてはまだそこまで言えないと。これは、現地の社長も、そういうパイプの修繕はしていないとか、あるいはいろんなことを言っておるようですが、それを手助けするようなのがあなたの弁明することであって、どうも九大油症班とあなたのほうにズレがあるようなん、だが、それはどうですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 九大油症班におきましては、当初発見しました患者がやはりカネミの油を使っておるということからそういう問題を提起しておるわけでございまして、全般の患者発生の原因がカネミの油によったものであると断定するのには、しかも、それがこの塩化ジフェニールであるということにつきましては、まだ油症班におきましても断定はしていないと思います。断定はしていないと思うのでございまして、私どもにおきましても、カネミの油が原因で今回の事件が発生したということについては、非常に疑い濃厚であるということは、食品衛生法に基づきまして営業停止等も命じておるわけでございますので、疑い濃厚という段階でございまして、最終的な確認ということにつきましては、いましばらく調査結果をまってからでないといけない、かように考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 それでは、事が科学の問題ですから、最終的な確認という点にはまだ若干の手続を必要とすると、こういった程度で私も了解はしたいと思うのですが、とにかく、予防措置というのは、これがあやしいとすれば、それを先行的に引っぱり上げてそうして措置をするということでなければならぬわけですね。  それで、再度前の問題に移りたいと思うのですが、塩化ジフェニールが製造の工程で使われているのですが、この製造工程で、こういういわば有害物質、法的にはまだ問題にされておらぬが、有害物質を製造工程の中でチェックをする、こういう方法はないわけですか。また、チェックはできないようになっておるかどうかですね。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) こういった有害物質と思われるものを製造工程の中においてチェックできないかということの御質問でございますが、こういった施設の監督につきましては、御承知のように、食品衛生監視員が立入りをいたしまして検査をいたしておるわけでございます。その検査の基準になるものにつきましては、食品衛生法の省令におきまして、営業設備につきまして検査する場合に重点を置く事項というものがきめられておるわけでございます。それを通して、また、法に基きまして各県におきまして施設基準をつくっておる、その施設基準によりまして食品衛生監視員が監視するという体系になっておるわけでございます。なっておるわけでございますが、こういったものは、施設そのものが全般的に衛生的でなければならぬと、まあ施設面の衛生的な面というものに重点が置かれております。それに加えまして取り扱上の問題も規定されておるわけでございますが、大体は施設面でございます。それと、それからもう一つは、こういった製造過程において使われます添加物につきましては、添加物工場におきましては、添加物工場自体で食品衛生管理者というものも置きまして厳重にやらなければならない。それから、つくられました添加物につきましては表示もしなければならぬ、かようなことに規定されておりまして、そういう意味において製造過程において使われます添加物につきましては規定されており、これにつきましても当然食品衛生監視員の監視の対象になるわけでございます。  ただ、問題は、今回発見されましたような直接食品の製造に使うものではない、いわゆる加熱する一つの段階におきまして媒体として使う、食品に直接接触するものではないというようなものにつきましては、いままでの省令に基づく基準とか、あるいは福岡県でつくっておりますかん詰め、びん類の施設基準、こういったものには明確には実は表現されておりません。そういった点が若干問題があると思いますが、しかしながら、食品衛生法の精神というものは、製品に異物が混入して、あるいは細菌類、微生物等が混入しまして人体に影響がないように監視するというのがたてまえでございますが、いまのようなこういった特異な例につきましては明確に表示されていなかったという点につきましては、今後検討していかなければならぬと、かように考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 油については製品検査の対象になっておらぬようですね。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 製品検査の対象というのは、添加物のある一部のものでございまして、これは対象になっておりません。

小野明日本社会党

○小野明君 それで、この法律によりますと、これだけ問題を起こした油が製品検査の対象になっていない、なっているのは添加物のうち若干のものだけであると、こういうことであります。  そこで、いま一つは、この製造工程の中で明らかに人体に影響を及ぼす薬品が使われているのにもかかわらず、製造工程でチェックできない。いまの食品衛生監視員の政令なりあるいは規則で定められている監視対象の中で、あるいは食品衛生監視員でこの製造工程がどうだということまでチェックせよということにはなっておらぬし、また、チェックできないのではないかと私は思うのですが、その点はいかがですか。その点は、私は、これから食品がたくさんつくられる時代だが、この辺の改正も検討する必要があるのではないかと思いますが。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) この油の製品につきまして製品検査の対象にするということにつきましては、これは問題があると私は考えております。製品検査といいますのは、成分等を検査いたしまして、そうして合格の証紙をはる、かようなことになるわけでございますので、これはやはり特別なものに限らざるを得ないと思います。さようなことでございますので、むしろ、ただいま御指摘がありましたように、食品衛生監視員が監視する場合にいかようにするかという問題でございまして、先ほど申し上げましたように、施設基準等におきましても、今回のこういったような例は特別な例でございますので、こういった製造過程のいろいろの面におきまして、もっと慎重に検討できるような目標としては基準をつくる必要がある、その点につきましては私は改正の要はあると思うのでございます。  それから食品衛生監視員にそれだけの能力があるかという問題でございますが、この点につきましては、こういった油の精製過程というものにつきましては専門的な勉強は必ずしも十分していないと思うのでございます。そういった点につきましては、今後、この事件を契機としまして、そういった面の配慮につきまして教育をするというような方法も考えていかなければいけない。また、その他、たとえば食品衛生管理者の設置といったようなこともあわせ検討する必要があるのじゃないか、かように考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 私は食品衛生監視員の能力ということを言っているのじゃないのです。もちろん、能力はある人がなっておられるのでしょうけれども、いまの規則の中で見ますと、製造工程のチェックというところまでは監視目標の中に入っていない。概況的な環境がどうだとか、そういったことだけであって、とてもいまの監視員に与えられた政令規則上の任務というものの中には入っていないと、そういうふうに私は読んでおるのですが、その点を尋ねておるわけです。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 食品衛生法全般の精神からいいますと、当然監視する対象になると思うのでございますが、省令におきます一つの目標の基準、あるいは各県でつくられております施設基準におきましては、製造工程のチェックにつきましては明確に表現されていないという点は御指摘のとおりだと思います。

上原正吉自由民主党

○上原正吉君 関連して。質疑応答を伺っておりまして、塩化ジフェニールが中毒の原因であるということはほぼ確かなように承ったのです。そうすると、このカネミ倉庫に対して十一月十四日まで一カ月間の営業停止を命じてある、これはもっと長くこの停止を延長すべきであると思うが、そういう御用意、御決心があるかどうかということが一つと、もう一つは、米ぬかから油を製造する工場がほかにもたくさんあるようですが、そこは同じ方法で、つまりパイプの中に塩化ジフェニールを百三十度に熱して、そうして油の中を通してあたためておるかどうか。そういう製法をとっておるのであれば、それらの製油業者に対しても、塩化ジフェニールが油の中に混入していないかどうかを検査すると同時に、パイプが腐食してかどうかわかりませんが、漏出するおそれがあるかないかを確める必要がある。そういう手続をとっておいでかどうか。この二点をお示し願いたい。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 塩化ジフェニールが確かであると考えるというように私が説明したということでございますが、まあ塩化ジフェニールに非常に似たものが発見されたということはほぼ確実であると、かようなことで御解釈いただきたいと思います。  それから一カ月間の停止につきまして延長の意思があるかどうかということでございますが、これは必要に応じましては当然……

上原正吉自由民主党

○上原正吉君 必要に応じてでなく、必要があるとお感じになるかどうか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) それまでに問題が解決してしまえば別問題でございますが……

上原正吉自由民主党

○上原正吉君 いや、解決してしまえば、営業禁止をしなければならぬ、営業そのものを。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) これはその延長の意思は十分持っております。  それから他の工場の問題でございますが、これにつきましては、塩化ジフェニールの熱媒体の問題を聞きましたので、さっそく他の工場につきましても調査するよう各府県市に連絡をいたしております。それで、現在まで報告がありましたのが十四府県でございますが、対象工場五十のうち二十七工場いま報告が参っておりますが、そのうちでカネクロールを使っておるのは四工場でございます。それで、これにつきましては、私ども十分心配をいたしておるわけでございますが、さっそく具体的に調査をいたしたいと考えておりますが、この使い方につきましては、タンクの外側に使うのと、油の中に使うのと、両方熱媒体の使い方があるようでございまして、こういった施設の点検、それから同じようなことで危険性があるものについては、さっそく改善措置を命ずるというようなことが必要であろうと考えますので、これは一昨日来実施いたしておりますが、至急調査いたしたいと、かように考えております。

上原正吉自由民主党

○上原正吉君 少しあいまいなところがありますが、もっと厳重に——中からパイプであたためようと、外からあたためようと、とにかく熱を利用することは確かなんです。それに塩化ジフェニールを使っているとすれば、漏れる危険が十分あるわけです、いずれにしても。ですから、塩化ジフェニールを使って製油をやっておるとすれば、その工場は厳重に監視する、また、設備そのものを調査する必要がある、こう思うわけで、これはそんなあいまいでなく、もっとしっかりやってほしい。これは場合によっては人間の命にかかわることなんですから、あやふやじゃ困る、こう思うわけですが、この点の御決心はいかがですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) その点につきましては、十分検討いたしまして善処いたします。

小野明日本社会党

○小野明君 大臣がお見えでありますから、お尋ねいたしたいと思います。  大体ほぼカネミのライスオイルに間違いがない、こういう結果になってきておるようであります。そこで、まずお尋ねしたいのは、これが原因であるということになれば、当然営業停止の期間も延長しなければならぬ。それから患者補償をどうするのか。それから会社の責任ですね。これはもうほぼ間違いないという段階ですから、大体いままで告発されておるのは不正競争防止法ということだけで告発されておるようでありますが、当然これは食品衛生法第四条による告発も行なわれなければならぬ、このように考えるわけです。そこで、いまお尋ねをいたしましたカネミの黒という段階での措置というものを御説明いただきたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) まず、最初に、先ほど言われたことは非常に重要でございますから、食品添加物その他の規制はありますが、直接食う油の中へ有毒な物質に変化するものを入れて熱処理をやるということは、そこにステンレスの容器に穴があいたとか腐食したとか、そういう可能性は考えられるわけです。そこで、随時点検するとか、あるいは一番最後の製品の場合で点検するとか、あるいはそういう製法についての警告をするとか、そういうふうな改正をしなければならないと考えます。早急にやります。  そこで、この装置は、ここのカネミの特殊な熱処理の方法でありまして、脱臭の方法でありまして、タンクの中に入れてやるということについては同業者からはいろいろ異論もあったようでございます。いまお尋ねがあったことですが、タンクの外に使う場合も同様でございますから、あと四カ所についても、いまの規制にかかわらず、直ちに県当局と連絡をしてさらに厳密な検査をしたい。  それから営業停止は、これははっきりしようとしまいと、もうこの段階に来れば延ばすのは当然でありますから、直ちに切れないように営業停止をいたします。  それから告発の問題については、いまこれはまだここで告発の意思を表明すべきことではなくて、たぶんそうなるかもわかりませんけれども、まだやや時期が早い。  それから補償については、これは当然はっきりわかれば、会社のほうで被害者のほうに補償をすべきだ、こう考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 患者補償というのは、一体、どういう形になるのですか。その会社自体は、まだおれのところの会社の責任ではないと、こう言っておるわけですね。こういった段階でどういう形になるわけですか、責任問題は。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) たぶん、見通しでございますが、この会社の責任であるということが解明されると推定をいたします。そこで、専門家の研究によってこの会社に間違いがないとすれば、これは正式に補償の問題が出てくるわけでございます。それまでは、若干の期間でありますから、医療については、いまの制度では公害ではございませんから補償を出すわけにもいきませんが、実際問題では患者は非常に困っておられるわけでございますから、先般この前の閣議でも了解を得まして、立てかえ払いの方法を講ずる。そこで、これは十分検討させていただきますが、研究費その他をやりくりをしてそれによって医療をとりあえずやっておきたい、そして責任がはっきり判明して会社が補償する場合のことにつないでいきたい、こう考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 それからいま製造工程におきます塩化ジフェニールを熱媒体に使うことをチェックをする、これは政令を変えなければでないと思うのですが、そういう問題と同時に、油というのは製品検査の対象になっておらぬわけですね。ところが、新しい食品がたくさんできてくると、そういったもののほとんどがノー・チェックであるというふうに、油に限らずその他の食品についてもかなり広範な危険が存在をするということになるわけですね。そうしますと、結局、有害なものをチェックするのは、製品検査でチェックするか、製造工程でチェックするか、食品衛生監視員でチェックするか、もう三つしかないと私は思うわけですね。そういうことから見ますと、食品衛生監視、この点については私はいまの規則の中で非常に甘いと思う。それから製品検査についても、ごく少数の添加物に限られておるわけです。こういった点で法の検討改正ということが抜本的に必要になるのではないか、こう思いますが、これをお尋ねいたします。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりに私も考えます。抜本的に改正する必要があると考えます。

小野明日本社会党

○小野明君 それから今回の事件におきましてとられた措置というのが非常に後手後手になっておるというふうに私は見ておるわけです。その中でも非常に不可解に思う点がありますのは、北九州市衛生局のとった措置、これはまあこういった大きな事件ですから、あわを食ったということもありましょうけれども、あるいは県衛生部も同様でありますが、こういったところが的確な措置というものを欠いておる、こういうふうに私は見ておる。それで、私は、十月十八日に現地に調査に参りましたが、その際、北九州市衛生局から「事件概要」というものをいただいた。これはおそらく厚生省にも行っておると思うのですが、これはとにかくカネミの社長のあるいは工場長の事情説明というものを非常に大きく取り上げておるわけですね。これが事件の追及に非常に手おくれを来たしたし、また、事態の判断を誤るような報告になっておるわけです。それで、この中で非常に大きく取り上げられている問題にまだ私は疑問に思っておるのですが、これだけ一万二千人の患者を出し、二十三府県にまたがっておるこういう事件にかかわらず、カネミ工場においては、従業員五百人、それからこの家族千五百人、合わせて二千人がこれをずっと常用をしておって全然被害がない、こう言っておるわけですね。この社長や工場長の言が事実であるとすれば、被害が出ることがおかしい。うそを言っておるか、あるいは事実であるかという点を私はまだ疑問に思うわけです。この点は環衛局長のほうがいいと思いますが、この点は一体事実はどう見ておられますか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) カネミ工場の従業員の中からの患者の問題でございますが、これにつきましては、中に疑わしい疑似症の患者が一名あったということでございますが、その他は異常はなかったというとこでございまして、その疑似症につきましても必ずしも患者かどうかということにつきましてはなお検討いたしておりますが、そういうような状況でございまして、大半においては患者は出ていないということは事実のように承っております。  なお、これにつましては、先ほども申し上げましたように、疫学調査班が数日中に結果を出しますので、それらとあわせまして検討いたしたいと、かように考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 まあ工場長や社長の言明は別といたしまして、私が聞いておりますのは、問題がありました時点、いわゆる一月三十日ぐらいにパイプの修理をやった、そのあと二月段階では油の配給をやめておったということも聞いておるわけです。それで、現地の工場長の説明では、毎週月曜日に二百三十円で全従業員に渡して常用さしております、そして被害は出ませんでした、だから私の油でない、こういうふうに言われておるわけですね。これの真偽を確かめるには、従業員なり家族の診断にまつ以外にないのですが、この診断というものが非常におくれておるわけですね。十月三十日か三十一日に行なわれておる。この点は、私は、追及を非常におくらしておる原因ではないか、このように考えますが、いかがですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 患者の診断につきましては、御指摘のように、やはり若干おくれておるというような批判を受けるわけでございますけれども、これにつきましては、当初、この中毒事件発生ということに基づきましてカネミの油を使っておる方々から一斉に届け出がありまして非常に数が多かったということと、この病気が初めての例でもございまして、どういうものがほんとうの病気か、この中毒事件の真性の患者であるかという症状につきましてもその間若干どうしても研究期間が要りまして、したがって、基準となる診断基準というものが作成されるまでに若干時間を要したということと、それからもう一つは、再検査をするにあたりまして、大体こういった症状がほんとうの患者だということが報道されまして、必ずしも最初届け出た患者の方々がどんどん診断を受けていただけなかったという面もございます。そういうことで患者の検診もおくれておる。私どもとしては非常に気があせっておったのでございますが、実体的にはそういうようなことでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 それから北九州市衛生局の手で行なわれておる立ち入り検査ですね。これは、いままで十一月の二、三の段階で行なわれたものを除きますと、三回行なわれておる。十月八、九で一回行なわれておる。それから十五日に二回目、十六日に三回目。このそれぞれの立ち入り検査でどういうものを調べたのか。私が北九州市衛生局からの資料を読んでみますと、二月段階の油は残っていないか、どこに出荷をしたか、そういったいわばしろうとが調査するようなことばかりやっておるわけです。こういった立ち入り調査では、問題の真因の究明がおくれるのは当然で、やっと十一月の二、三になって初めて製造工程の問題に入ってきておるわけです。この立ち入り調査について問題があるのではないかと私は思います。もちろんだれが行ったかということも問題ですが、その辺に対策の手おくれの原因があると、こう見ています。お考えを聞きたいと思います。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 立ち入り検査につきましては、当初は係官の立ち入り検査ということでございましたが、油症研究班ができましてからは、いわゆる疫学調査ということで、専門家の共同のもとに検査を実施する。今度の原因と一応予想されます今回のカネクロールといった熱媒体につきましての発見についておくれたという点につきましては、この点はまことに遺憾だと思っておりますが、特に怠慢でどうしたという問題じゃないと思っております。

小野明日本社会党

○小野明君 怠慢ではなかったかもしれぬが、私は故意ではないかというような気さえするわけです。それはことばが過ぎるかもしれませんがね。私が十八日に久留米大学の山口教授に会いましたときに、こういうことを言われておるのです。非常に検体が不足をして困っておる。問題があるのは二月の段階の製品だけれども、もう手に入らない、こういうことをおっしゃっておられる。私が聞いたところでは、問題になり始めた十月の八、九の段階でカネミ自体が走り回ってこの油を押えておった、こういう話も聞くわけでありますが、これはいかがですか。事実ですか、どうですか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) カネミ自体が押えたという事実につきましては、私としては承知いたしておりません。ただ、営業停止、それから販売の禁止をいたしましたので、部分的には自分で回収したものもあるかと想像をするわけでございますが、その事実については詳細私は存じておりません。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) おそれいりますが、御同意をいただいて速記をしばらく停止していただければ……。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 速記をちょっとやめて。   〔速記中止〕

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 速記を起こして。

小野明日本社会党

○小野明君 やはり、いわれるように、現地から来ておるカネミの社長の言明とか、あるいは工場長の言明とか、そういうものがどうもこの事件でカネミを犯人にしてはいかぬというような配慮というものが行なわれ過ぎたのではないか。森永のミルクの事件のときはかなり業者自体が協力的であったということを聞いておりますけれども、今回の事件がこれほど解決がおくれているというのは、どうも考えたくないんですが、そういった政治的な配慮というものがこの中に介在をしておるのではないか、こういった観点からもやはりこの追及をしていただく、そして事実の解明を一日も早くやっていただく、こういう点が必要なんではないか、このように考えておるわけであります。この点について環衛局長の説明を聞きたい。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 原因究明がおくれたという問題につきまして、政治的配慮がなされたんじゃないかという御指摘でございますが、私どもとしましては、さようなことはなかったと、かように考えております。また、さようなことがあってはならないというように考えております。ただ、私ども、原因究明が若干おくれたというような御印象を与えておりますのは、この問題が特別ないままでにあまり例のなかった事件でございまして、そういった点を平素からもっと配慮しておくような体制をつくっておけばよかったという点にむしろ問題があるのではないか、かように考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 そういわれますと、先ほど申し上げたんですが、第一回の立ち入り検査の報告といいますか、これを見てみますと、どういうことが行なわれたかといいますと、こういうことが行なわれておるわけですね。何を調査したか全然わからぬです、第一回は。調査の目標がない。第二回は、「二月中に製造された製品調査」をやって、「残品なし」という報告。それから「二月中製造品の出荷先及び数量調査」、「四十二年十二月以降の添加物の入荷状況調査」、あるいは「添加物及びカンの収去、及び残品の移動」、この四項目目はかなりのものとして、ほとんどいわゆる専門的に立ち入り検査が行なわれたというあとがないんですよ。第三回も同様なんです。第三回も、おそらくこれは専門家が行っておるにもかかわらず、何の調査がやられたか、まるで事務官が行ってちょっちょっとチェックしているような調査しかやられておらないんですよ。この点を私は申し上げているんです。これはおそらく厚生省にも報告が行っておると思うんですが、この辺の北九州市衛生局からの報告はどうなっておりますか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 最初の立ち入り検査でございますが、当初のうちは、どういうところに目標を置くかということにつきましては、大体平素監視をしておる一般的な施設の監視ということを念頭に置きながらやっておると思います。特に添加物を使用しておりますので、燐酸ソーダとか、ノルマルヘキサンだとか、あるいは白陶土だとか、ことに燐酸ソーダは砒素を自然の状態において含んでおりますので、そういうものにむしろ頭が動いたというようなことが少し目標はずれのように推察するわけでございますが、報告の詳細につきましてはちょっと私はまだ存じておりません。詳細につきましては食品衛生課長のほうから御説明を申し上げます。

野津聖厚生省環境衛生局食品衛生課長

○説明員(野津聖君) 北九州市から調査の内容につきまして報告のありましたことの概要を御説明申し上げます。  十月八日に、担当の技官二名が工場の製造工程の調査をいたしております。  十月十一日に、やはり担当四名が参りまして、そのときに食油の収去をやっております。同時に、北九州市のほうから製造工程の第二回目の調査をやっております。  十四日に、同じく一名参りまして、製造工程の調査をやっております。  十五日に、北九州市の衛生局長をはじめといたしまして、次長その他で、先ほど先生の御指摘がございました内容での調査をいたしております。  十六日に、一月の製造量、出荷先の調査、一月製品の在庫調査をいたしております。  十七日に、やはり担当が参りまして、製造工程の調査をいたしております。  十八日に、製造工程の最後に使われておりましたアンチコール、シリコン樹脂の使用状況を調査いたしております。さらに、増産体制の調査が行なわれております。  十九日に、二名参りまして、製造工程の再調査をいたしております。  二十一日に、担当が参りまして、米ぬかの集荷、保管状況の調査、従来からの製造方法に変更があったかどうかということの調査をいたしております。  二十二日に、担当が参りまして、先ほどのアンチコールにつきまして再調査を実施しております。  二十三日に、北九州市の衛生局長はじめ三名参りまして、危険物倉庫の管理状況の調査をやっております。  二十四日に、担当が参りまして、原油の納入状況の調査、さらにダーク油容器の表示の確認をいたしております。  二十五日に、米ぬかの集荷状況を再調査いたしております。  二十六日に、月別の製造量、二月中のロット番号表、二月五日、六日の販売先の調査をいたしております。  二十七日に、担当課長と厚生省の担当官が立ち入り調査をいたしております。  二十九日に、担当の課長とそれから九大の稻神教授が製造工程の調査をいたしまして、それでカネクロールを九大に持ち帰ったわけであります。  三十一日に、担当がカネクロールの調査を再度いたしまして、入手状況、使用状況の調査をいたしております。  十一月二日に、北九州市の衛生局長ほかが参りまして、一月から三月までの営繕日報それから精製日報の調査をいたしております。  三日に、三名参りまして、脱臭かんの調査、カネクロールを収去いたしまして県衛研に持参いたしております。  四日に、担当が参りまして、脱臭かんの修理状況の調査をいたしております。  以上が昨日までの調査状況であります。

小野明日本社会党

○小野明君 よくわかりました。そういたしますと、課長、カネミ自体が八日、九日の段階で二月段階の製品を全部集めてどこかに処分をしたと、こういうような話もありますが、その点はどうなっておりますか。

野津聖厚生省環境衛生局食品衛生課長

○説明員(野津聖君) そこまでの話は聞いておりません。

小野明日本社会党

○小野明君 それでは、次の問題に移りたいと思いますが、北九州市の五つの病院でこの油が使われておるということは、先ほど大臣から御説明がありました。それで、この病院からの患者は出ておらないようですが、北九州市の病院では給食というのを下請に落としておりますね。これは医務局長も御存じだろうと思うんですが、下請に落として、新しい北九州市給食株式会社というのが四月から発足しておる。その社長がカネミの社長の加藤さんである。同時に、カネミのライスオイルがこの北九州市の病院に使われ始めた、こういうことなんです。そこで、この給食施設というのは、当然下請にまかすべきものではなくて、医療法の二十一条の規定、あるいは施行規則の趣旨から読みますと、当然これは病院として行なわなければならぬ業務の一つではないか。いわば下請に落としておるというのは医療法違反ではないか、このように考えるわけですが、この点は大臣から……。

松尾正雄厚生省医務局長

○説明員(松尾正雄君) 私からお答え申し上げます。病院の給食の中身は、御承知のとおり、医療の内容と申し上げていいような大事なものであります。したがいまして、給食はやはり病院の直営で行なうということを依然として私どもは原則にしているわけでございます。ただ、まことにやむを得ないような事情がございまして第三者に給食を委託するということがございましても、最終的な責任というものはあくまでも病院が担当できるような体制であれば、これはやむを得ずそういう場合に下請することもやむを得ない、こういう態度で来ておるわけでございます。したがいまして、最終的な責任が十分病院において管理、監督できるような体制でございましたならば、ただいま御指摘のような医療法の管理者責任ということには、それだけでもっては該当しないのではないか、こういうふうに考えております。しかし、原則としては、直営ということを原則にしてまいりたいと思います。

小野明日本社会党

○小野明君 北九州市立の病院で、もちろん病院が給食を持つべきである、しかし下請に落とすのもやむを得ない、こういう事情を判断された理由は、医務局長、どこにありますか。

松尾正雄厚生省医務局長

○説明員(松尾正雄君) この問題は、すでに前にもいろいろと御審議をいただいたわけでありますが、北九州市の病院が膨大な赤字を出しまして、そして病院自体の存立にもかかわるような状態におちいっている。したがって、それを、病院の責任において給食は十分保ちつつも、病院の再建をはかっていきたいという再建計画というものがございまして、それを真にやむを得ない事情ではないかというふうに判断したということでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 再建計画というのは、そうしますと、市全体の財政計画とも関係ある問題なんですね。そういった市全体の財政計画の検討というのは、おそらく医務局長の権限ではないと思うんです。市当局が、こういうふうにしなければ市の財政が再建できないという一方的な判断によって言われるわけですね。そこで、あなたのほうで、そうならばいたし方ありません、医療法の精神を曲げても下請に落としてもよろしい、こういうことを言われるというなら、いま公営企業体はほとんど赤字ですから、全部下請に落とすということになりますが、そうすると、今度のような事態も起こりかねない。しかも、下請給食の社長がカネミの社長、こういう事態が起こってきておるわけですが、ただいま、北九州市のいわゆる病院の給食の下請化という問題について、何らかの措置をあなたはお考えですか、それとも、いまだにやむを得ぬのだ、こういうことに結論としてはなるわけですか、いかがですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○説明員(松尾正雄君) もちろん、北九州市の場合におきましては、市全体の財政ということも当然考え合わしておることだと思います。特に病院の財政事情を中心にしていろいろと再建計画を検討した上でおつくりになっておる。ただし、ただいま申し上げましたように、こういったことが当然のこととして行なわれるということは、私どもとしてはあくまでやはり賛成をしておらないわけでございまして、したがいまして、その受託関係という問題につきましても、すでにしばしば申し上げておりますように、相手先でございましても、こういった法人というような営利を追求しないところで委託が行なわれることが望ましいという方針を出したわけでございまして、また、そういう方向に向かって誤りのない形で実施できるような指導方針を早急に打ち立てて出したい、こういうふうに考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 どうも、その点は、私は納得いかぬですがね。事情がやむを得なければ下請に落としてもよろしい、こういう趣旨にはあの医療法二十一条は私は読めぬのです。あるいは施行規則は読めないわけですよ。手術室はこうなければいかぬ、あるいは水の設備はどうなければいかぬ、給食設備はどうなければいかぬと、きちんと規則の中で書かれておる。そうしますと、患者の食餌療法というのも病気によってはあるわけですけれども、そう並列して書かれてある以上、あるいは二十一条の条文がある以上、給食の下請が今回の事件によってこれはもうはしなくも出てきたわけですけれども、こういった弊害を現に及ぼしておるのです。法のたてまえに戻って、北九州市の病院の給食の下請化ということはいけない、やはり病院が給食の設備を持ち給食を運営すべきであると、こういう原則に立ち戻る必要があると思うのですが、いかがですか。

松尾正雄厚生省医務局長

○説明員(松尾正雄君) 原則につきましては、私どもも、再度申し上げましたとおり、やはり病院直営で行なうということはあくまで原則でございまして、ただ、やむを得ない事情で第三者に委託するといたしましても、ただいま御指摘いただきましたような病院の給食施設を使っていくというようなことをたてまえとしてやりたいと思っております。また、病院の職員みずからが献立作製の基準というようなことを明確に指示できる、あるいは、特別食につきましても、これはいろいろ病気の態様によって異なってくる問題でございますので、治療上特に必要な場合、現場でもいろいろ責任者が指示できるような体制でございまして、そういうような材料購入その他契約事項万般にわたりましての衛生的な取り扱いその他につきましてもそういったことが病院みずからできちっと確認できあるいは指示できるような形、しかも病院の施設を使って行なうという形でなければ、やむを得ない場合であっても委託してはいけない、こういう方針で、真にやむを得ない場合はただいま申しましたようなワクをきめた形で進めるようにしてまいりたいと思っておるわけでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 関連して。赤字のためにやむを得ず給食を下請に許したというお話でございますが、私は若干納得いかないのです。最近、給食下請化がだいぶ進んでおるようです。いま全国でどのくらいな病院が下請を許しておるのか。さらに、赤字であるならば、大事な療養の目的も含まれておる大切な患者の給食が下請に出される、赤字対策だからそうされる、こういうことでは私は納得がまいりません。いま、どの程度が赤字のために下請に出されておるのか、これをひとつこの際明確にお知らせをいただきたい。

松尾正雄厚生省医務局長

○説明員(松尾正雄君) 全国的な数字につきましては、ただいま手元にございませんし、厳密な調査もいたしておりませんが、代表的な形としましては、これはもうすでに御承知のことと存じますけれども、昔から各大学病院といったようなものが公益法人的な団体をつくりまして、そこでやってきておる。これは長い歴史を持っておるという事実はございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 国立は。

松尾正雄厚生省医務局長

○説明員(松尾正雄君) 国立病院では、委託をしたものはないはずでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 それで、大臣、いまのような経過なんですがね。しかも、下請の給食株式会社の社長というのがカネミの社長なんですね。それで、この四月からライスオイルを入れておるわけですよ。こういったことは、はっきりこれは問題であるということは言えましょうが、政治的な立場は抜きにして、いまの医療法二十一条の解釈、あるいは下請の関連、こういった問題についてどうお考えですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 北九州市の病院七病院が毎年七億以上の赤字を出しておる。そのために、給食業務の一部を委託をして医療水準を維持するといった再建計画を立てた。これを下請に許す場合には、衆議院のほうでも相当問題になりまして、いろいろいきさつがございました。そこで、私どものほうといたしましては、最後の責任は全部病院がとる、それからもう一つは、なるべく早い機会に公益法人を設立をしてそれでやってもらいたい、こういうことで下請を許したわけでございます。そこで、今度の事件の場合も、油をとっておりますが、事件が起こったらその油の使用を停止したのはいいんですが、残品を返しておるのですね、会社へ。これは残品というのは証拠の分析に残しておくべきなのに、残品を返しておる。こういう点はありますが、いまの下請の問題は、自治省その他とも相当いろいろないきさつがございまして、私どものほうとしましては、いまでも、早く公益法人に切りかえろ、やむを得ない場合でもと、こういうふうに言っておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 これは医務局長に伺いますが、いまいろいろ下請に落とす場合の条件というものが言われたわけですけれども、北九州市立の病院におきましては、そういったいろいろな給食運営の条件というものは守られておるかどうか、その点はお調べになったことがあるかどうか、お尋ねしておきます。

松尾正雄厚生省医務局長

○説明員(松尾正雄君) この問題につきましては、市の病院局長から随時御報告をいただいておりまして、いま御指摘の点は守られておるというふうに了解しております。

小野明日本社会党

○小野明君 私は十八日に調査にまいりまして、病院局長、それから松尾助役、この二人にお会いしたわけなんです。それで、ライスオイルを使用したか、こういう質問を私はしたわけです。そうしますと、松尾助役のほうから説明がありまして、国立公衆衛生院がライスオイルを推薦をしておる、だから私のほうとしては使ったんだ、こう言われておるわけです。これは病院局長も同席した上でのことですよ。いまの油の回収等についての措置はおかしいということは私も初めて知ったんですけれども、いまの市の幹部が言われておる件については、われわれ調査団全員に言ったことです。これはどうなっておるのですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) その点はおかしいんで、決して推薦はしておりません。むしろ、カネミの広告を見ますと、第一に、「毎日三〇グラム召し上れば」と使用量が書いてある。それからその中には、「高血圧の予防として血管内のコレステロールを除く」ということが書いてある。一番すみっこのほうに、国立栄養研究所の鈴木博士の分析が書いてある。栄養研究所では、各種の油の分析をやっておりまして、そこでコレステロールの増減の表をつくっておるのでありまして、これは一般的に発表したものであって、それを勝手にこの会社が分析をここへ刷り込んでおりまして、あたかも食品でありながら薬であるかのごとき印象を与えておる、これは非常な違法なことであると思います。

小野明日本社会党

○小野明君 そういたしますと、この市の幹部——助役はじめ病院局長も、私どもがしろうとだと思ってばか扱いしたということになるわけですが、これと同じようなことがあるわけです。森本という工場長の説明を聞きますと、こういうことを言うのです。ライスオイルを飲んでおりますと、血圧の高い人は下がります、低い人は上がりますと、奇妙きてれつな説明をしておるわけですね。この程度の工場だから、たとえば従業員と家族を含めて飲んでも間違いなかったと、そういうふうなおかしな、追及の原因を阻害するようなことが出てくるので、食品衛生をほんとうに重んじなきゃならぬ工場でこういったことであるというのは、やっぱり問題が大きいように思います。こういった点についてどういうふうに措置をすべきが適当であるか、局長にお尋ねしておきます。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) どちらの局長にお尋ねですか。

小野明日本社会党

○小野明君 環境衛生局長に。不当標示の問題とは別にチェックはできないということを申されておるのですかね。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 食品衛生法のたてまえからいいますと、これは危険防止というたてまえだけでございますので、これはチェックするということもできないということでございまして、ただ、問題は、食品衛生監視員等が参りました場合、これは一般的な知識も持っておるわけでございますので、そういった面を指導面で運営していくということであろうかと思います。それからまた、食品衛生法その他の関係で標示について違反であるかどうかというような問題も、非常に検討の要はある点でございますが、こういった点につきましては全般的な運営について検討したいと考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 医務局長、実は、先ほど申し上げた北九州の病院では、責任者がこういうふうにきちっと約束をしておるのだ、こう言われておりますけれども、私が調査に行った限りにおいては、いまのような状態ですよ。推薦もしておらぬ。国立公衆衛生院の推薦があった、だから四月からライスオイルを使ったと。それから大臣が御存じのように、かんの処置についてもおかしいというと、全然おっしゃるような趣旨が現場には生かされておらぬということになるでしょう。あるいは病院局長なり助役の言を信用すればそうだというふうになるのだが、あなたも私と同じ立場じゃないかと思うのです。現地の調査なり運営の状況なりをあなたは的確にチェックをしておるかどうかですね、その点についてお尋ねしておきます。

松尾正雄厚生省医務局長

○説明員(松尾正雄君) 私どもとしましては、先ごろ来、この問題は非常に大事な問題だということで、あらゆる機会にいろいろな立場からの調査なり報告なりを求めまして、あるいは係員の上京を求めて状況の調査をするということをずっと続けてまいりました。現地に参りまして直接調査をしたという事例は私どもとしてはまだ聞いておりませんけれども、ただいまも御指摘のように、就業者自体にもこういう問題についての理解が不十分である、あるいは、ややもいたしますと、そういう真剣な給食問題ということに対する考え方が甘いということになるといたしましたら、これは私どもが責任をもって十分指導してまいりたいというふうに存じております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 ちょっと関連で。もういまの話題になっておるところでありますが、日本こめ油工業会長の坂倉信雄さんというのが言っておるわけですね。「こめぬか油は有害ではない」と、そこの中でこういうふうな工業会の認識を一ぺんこの文章から考えてもらいたいと思うのですが、被害者の方には私の提案は乱暴に聞こえるかもわからぬけれども、二十年間この米ぬか油をやった経験から言うと、一人でもいいから、勇気を出して、この中毒で発しんをしておるところにこの米ぬか油を二、三滴塗ってください、こう言っておるわけです。それからまた、九州にすぐ飛んで調べてみたけれども、それはないんだと。特に、また、漢方的に、血圧からいいますと、おっしゃったように、上がったり下がったりするような、えらい名薬らしいです。そういうような特効薬だと、こういうようなことであるので、この中毒なんかはもちろん起こらないし、これは米ぬか油のものとは違うんだと。そういうことからして、むしろこの効果を確かめるためにやったらどうですかと、こういうふうなことを言っているわけですね。私は、この工業会というのが、チェックするところの一つの大きな自主的な管理と申しますか、むしろそういうところに踏み出さなきゃならぬというふうな考え方を持つわけでありますが、こういうふうな工業会あたりの考え方がこうであるとすれば、どこでこれをチェックするかというと、やっぱり食品衛生法か、あるいはまた、厚生省のほうからこれにかみ合ったような、中へ入っていってこれを制限しなきゃできぬわけであります。特にいま下請の問題も出ておりますが、こういう問題についても、こういう問題のあるものを、そういう認識のもとで宣伝されているものを、そのままこういうところで使っておる。しかも、給食というのは治療の一つの一環部分でありますから、そういうところにこれを使われるのに、これを使うのがいかにも薬のような効果があるようなことを言って使わしているということを厚生省では見のがしてはいかぬと、こう思うわけです。だからして、特に私はこの問題が起こったのを考えてみるならば、結局はどこでチェックするかということが問題になるわけです。そのチェックする問題は、どうしても私は厚生省がかみ合っていかなきゃならぬと思うのですが、この辺のところを大臣は一体どういうふうにお考えでございましょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) この問題を契機にして、いまいろいろ御指摘がありました政令、法令の改正をして、それからまた、食品全般に対して、年次計画をつくって逐次総点検の体制をとる必要があると思います。それからチェックする場所は、食いものでございますから、一カ所では危険でございますので、やはり数カ所にチェックの場所を設けなきゃならぬ、製造工程、最終段階と。これは農林省ともそういう関係でこの問題を契機に連絡協議会をつくりましたが、将来はこれを定期の協議会にして、農林省とも逐次相談をしていく。それからもう一つは、こめ油工業会でも、カネミだけが悪い、おれたちはだいじょうぶだというふうなことで、それを早くはっきりしろということを言っているのですが、私のほうでは、工業会のほうへ、ほかの米ぬか油のほうが売れないで困っていらっしゃることはわかりますけれども、私のほうは人命が大事でございますから、やはり的確に原因の所在がわかり、混入した時期がわかりしなければ、それはできませんので、むしろ協会のほうでもみずから自制をして、みずから点検をするという方向に向いてもらうように措置を農林省とも相談して指導していきたい、こう考えます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 食品衛生法の適用関係でいま小野君との質疑の中でいろいろ出ましたので、多少は重なるかもしれぬけれども伺っておきたいのですけれども、カネミに対する処分ですね。これは、四条の四号で、不潔だとか異物の混入を禁止する違反で、製品については販売を禁止されましたですね。それからまた、二十二条によって市長が一カ月間の営業停止をした。  それからまた、規制の状況を見てみると、営業は、二十条及び政令五条によって許可制になっているわけでありますね。許可するかせぬかでもって設備はチェックできるわけであります。ところが、また、製品は、四条でもって販売禁止にかかる一般的基準がかぶさっているわけでありますから、今度は製品はこれである程度悪ければチェックできるということになるわけであります。これを十九条によって食品衛生監視員が立ち入り検査することになっているわけです。ところが、製造開始前に設備基準についてはいま申したように事前にチェックがなされるわけでありますが、製造後に製品については一般的にチェックをかけられているとは言われますけれども、一番問題は、先ほどから小野委員からも指摘になりましたように、製造工程中の規制が抜けてしまっているわけであります。  今度の問題も、ここに問題があったことは、先ほどもいろいろ質疑の中であったわけでありますが、現行法におけるところの製造工程にかかる規制の方法です。これは七条による食品添加物に関する製造基準と、それから食品の規格の設定、それから十四条ないし十六条によって、製品の検査と、それから合格を標示するところの義務づけがある。それから十九条の二によりますと、食品衛生管理者の設置、これが規定されているはずであります。食品衛生管理者を置けということがこういうふうなことでこれができるようになっているわけでありますけれども、この管理者が実際問題個々の工場の中におってこれを監視し、そして管理をしておれば、これはもっと早く発見ができたんじゃないか。あるいは中毒を起こさなくて、症状が起きる前に、あるいはちょっとおかしいときにすぐできたんじゃないかと思うのですが、これは衛生管理者というものが有名無実に終わっているんじゃないかと思うのです。こういう点については一体どうなっているかということを伺っておきたいわけであります。  それからその次は、監視体制の整備でございますけれども、この問題は非常に問題が抜けている。特に私はこれをちょっと調べてみたんですが、衛生監視員の状態を見てみると、全国で五千人と聞いております。それで監視対象の工場はどれくらいあるかといえば約二百六十万、一人が五千軒を担当するわけですから、一年に一回これを検査に監視員が回るとして、一日に十四軒ずつやらなきゃできないという状況ですね。これでは、衛生監視員というのは全然問題になっていないことになるわけです。そしてまた、衛生監視員そのものが、すべてのことに関して全部知識を持っている人が衛生監視員になっているかといえば、そうじゃなくて、現況からいえば、悪口になるかもしれませんけれども、おそらく監視員は行ってはいばっているだけのことであって、ほんとうの問題を究明するだけの十分に実力があるかどうかということは疑問視されると私は思うわけです。こういうことで、この衛生監視員のやり方ということに対しては問題にならない。  それから、だからどうすればいいかといえば、私はやっぱり自主的な規制体制というものを明確にしてこれを補う必要があると思うわけであります。食品衛生監理者の設置を義務づけるほかに、各種の業者団体が自主的にこれを十分に規制するように協力させなきゃいけない。これも、いま大臣がおっしゃいましたように、そういうことをするというお話でありますけれども、これは大事な問題で、いま大臣がおっしゃったとおりこれはやってもらわなければならぬ問題じゃないかと思うのです。それで、厚生省所管の食品衛生協会というのがあるんですね。この機能はいまどういうふうにされているか。私、ちょっと聞いていろいろあちこち調べてみましたが、厚生省所管の食品衛生協会のやっておられる機能というのは、飲食店とか、あるいは食肉販売、こういうふうなところに力を注がなきゃならぬということで非常な活躍はしておられるようでありますが、製造過程にはあんまり入っていらっしゃらないように聞いておるわけであります。今度の米ぬか油にしても、こめ油工業会でやっているわけですから——これは農林省だそうですね。私は、農林省の所管の方から、一体工業会はどういうふうなことをやっておられるのか、その内容を聞かせていただきたい。  以上、数点について御報告願いたいと思います。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 第一点の御指摘の製造工程中の施設基準の問題でございますが、これは先ほどの御質問にも申し上げましたように、食品衛生法の省令におきます目標の基準、あるいは県で設定いたしております施設基準等におきましても、明確な表示がない、もっと明確な表現がないという点につきましては、この事件を契機にしまして改正を必要とする、こういうふうに考えております。  それから食品衛生管理者の問題でございますが、これは全般的に製造業者に食品衛生管理者の設置を規定しておるのではないのでございまして、政令の四条の二におきましてその業種を指定しておるわけでございますが、大体、粉乳関係とか、あるいは添加物の製造業種におきまして、食品衛生管理者を置く、置かなきゃならぬ、かようなことになっておるわけでございまして、この油製造業におきましては置くことになっていないわけでございます。こういった面につきましても、今後これは検討しなきゃならぬ、また、そういったことが必要であろうというようにも考えておるわけでございます。今後の検討にまちたいと思います。  それから監視員の問題でございますが、これは御指摘のように、監視の人員は十分でない、監視対象の施設数は年々ふえておるというのが実態でございまして、この監視体制の強化につきましては、この人員につきましては、交付税の積算に算定されておる人員も都道府県あるいは政令市で人員の配置を行なっておるわけでございますが、こういった点につきましても、増員について検討いたしたい。また、来年度の予算要求におきましても要求をいたしておるような次第でございます。さらに、中心的な保健所に機動力を持った食品検査車等も置きまして強化をはかってまいりたいというような考えでおるわけでございます。  それから食品衛生協会の問題でございますが、食品衛生協会としましては、一般的に自主的な食品衛生活動を行なうというたてまえに立っておるわけでございますが、一般的には食品業者自体の研修の問題、あるいは食品衛生指導員というものを置きましていろいろと自主的な指導を行なっておる、かようなことでございますが、先ほど御指摘のように、製造等につきましては十分な知識はもちろん持っていないということもございますし、そういった面までは立ち入っていないということでございます。  まあこういうことでございまして、最後に御指摘のありましたこめ油工業会等、自主的な活動が非常に必要であるということは、先ほど来大臣からも御説明があったとおりでございまして、この点につきましては農林省等とも十分協議をいたしましてその体制の強化をはかってもらうように努力したいと、かように考えるわけでございます。

大河原太一郎農林省農林経済局企業流通部長

○説明員(大河原太一郎君) 今回の中毒事件が私どもの所管に思量されますことにつきましては、まことに遺憾に思うわけでございますが、先生からただいま御指摘がございました日本こめ油工業会、これはまあ業界の自主的団体でございまして、大体五十社のうちアウトサイダーが若干ございますが、これにつきましても、平素品質の向上等については技術の研究会等を設けてやっておるようでございますが、公衆衛生等の受け入れの自主的体制については、今後も十分な指導を続けてまいりたいというふうに考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 大臣のほうにちょっとお伺いしたいのでございますが、先ほどから申しておられたように、いろいろなところでチェックをしなければならぬと。ですから、こういう点で一体まあどこの個所でチェックをするか。製造するときの過程で設備をチェックする、それからまた製造工程中でやる、それからできたものを検査をする、これの問題を聞いてみますと、その最後の製品の検査、そういうものなんかももう一つ明確でない、こういうようなことであるわけでございますので、そういうことの仕方に、ことにこの添加物だけに管理者を置いてあとに管理者を置かないでいいという省令自身はもう即刻変えてもらって、とにかくからだに関係してくるものなんかは十分にそこでチェックするような自主管理体制と、あるいはまた厚生省からのいろいろな管理体制と、これは同時に確立していただかぬといかぬと思うのでございますが、これはどんなものでございましょうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 今度の場合、いろいろ考えましたが、製造過程、あるいは原油、今度はいよいよ商品に移される最終の場合にはその容器などにも問題があるわけでございますから、やはりいま御指摘のとおりに、最終段階の製品についてのチェックの個所も設けなければならぬと思います。そして、それにつきましては、一方は政令その他を改正してやる、もう一つは農林省とも相談をしてJIS規格などの制度をもっと理解してもらって、その両面からやっていかなければならぬと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それからちょっと農林省のほうにお伺いするんですが、いまおっしゃっていました米ぬか油工業会、この工業会のほうは農林省所管でやっておられるし、ここには、私ども聞きますと、農林省におられた高官がたくさん行っておられるという話ですね。あるいはまた、農林省関係の方がたくさんおいでになっているという話でありますが、そういうようなベテランがおられまして、そしてその内容を運営上考えて、いろいろこうした食品に関係するもの、食べるもの、からだの健康に関係を及ぼすもの、食品の製造というものに対しては、もう少ししっかりしたチェックする方法、そういうものを考えてもらわなければならぬと思うのです。特にこの中で問題になってくるのは、農林物資規格といいますか、JASというものと食品衛生法で考えてみますと、ここのところにやはり食用油の規格がもっと明確につくられていかなければいかぬのじゃないか。あるいはまた、それはつくられているようでありますが、あまりそれに対して問題にされていないようですね。こういうようなことを放置されていることがこういう問題を起こした一つの原因であろうと思うのです。ですから、これが食品である場合には、これは厚生省と十分な協議をして、農林省だけでやらないで、食品に関係するものはたえず農林省と厚生省とは一体になっていくという、そのかみ合わせが必要であると思うのですが、こういう点について一度農林省のほうでも十分考えてもらいたい、こういうことが第一点、これについてのお考えもひとつ聞かしていただきたい。  それから食品衛生の全面的な改正にあたって、これは衛生取り扱いに関する措置基準というものがあるわけでありますが、この中でこれは大きく考え直してもらわなければいけないし、いま検討されていると聞いているわけですが、このような事件をもう二度と繰り返さないために、これは厚生省側にも聞いておいていただきたいのですが、一体どこで歯どめができるのだということをここらではっきりしておいてもらわなければいけないと思うのです。危害の防止のみで規定されて、こういうことに対しては基準をどういうにしていくか、これは農林省においても厚生省においてもどうかみ合わせていくかという問題が最も必要ではないかと思うのです。  もう一つここで次の問題として伺いたいのは、行政の責任と企業の責任ですね、これが問題になろうと思うのですが、いま治療法がわからないので、行政責任として研究助成という意味で個人で負担する分を幾らかカバーされた、こういうようなことを聞いておりますけれども、これはむしろすみやかに責任を明らかにして、まあそういう措置もいいと思いますけれども、カネミならカネミの損害賠償というものを考えてみますと、大ぜいの千人もの人がおるとしますと、各個人が一人一人会社に対して賠償を要求するということになるだろうと思うのですが、こういうような状態で非常に複雑にもなるし、たいへんなことです。これはやはり行政的にとって、そうして企業の責任というものをもう少し明確にして、そして企業に対しても、政府のほうから、あるいは厚生省、あるいはまた農林省あたりが共同して、こういうものに対してうまくやれるような方法を考えてやらなければいけないじゃないか、これは行政上何か措置すべきじゃないか、こういうふうに思うのです。  それからもう一つ、ついででありますから伺っておきたいのでありますが、いままで工場がいろいろ出荷したものをどうこうしたというような話も出ておりましたけれども、そうでなくて、すでに市場に回ったものはどうするかといえば、食品衛生法で見てみますと、試験の用に供するようなものは職権で回収することができるようでありますけれども、全般について職権で回収することができるかできないか私はよくわからないのですが、その点はどうなっておるのか。また、これは出ているやつを早く完全に回収しなければまた害が多くなる。そういうことを考えてみますと、こういう措置は会社に対して自発的な協力を得るのがほんとうであるのか、あるいはまた、今度は改正して、そうした場合には職権でもってすぐこれが回収できるか、こういうことに対してもひとつ考えてもらっておかないと、根本問題の解決にならぬと思うわけであります。  こういうことだけ、時間がありませんので、まとめて質問しましたから、両省のほうから御回答願いたいと思います。

金光克己厚生省環境衛生局長

○説明員(金光克己君) 食品衛生法等の改正によりまして今後かような事件が起こらないように体制の強化をするという点につきましては、御指摘のとおり、法律の改正、あるいは条例の改正、あるいは衛生管理者の設置、あるいは自主的活動というようなことによりまして、その体制を強化してまいりたいと、かように考えております。  次に、行政の責任と企業の責任でございますが、先ほど御説明がございましたように、患者の治療等につきましては、現段階におきましては患者の治療等につきましても研究を必要とする段階でございますので、研究しながら治療していくということで、研究費をもってそれをまかなっていくという段階でございますが、企業の責任が、過失による原因というものがはっきり明らかになれば、当然これは企業者の責任に帰する問題だと考えております。  それから工場に対しまして問題の製品の回収の問題でございますが、これは法律に基づきまして回収はできるわけでございます。現在、カネミの製品につきまして、全面的に販売停止と移動禁止をいたしておりますが、これは、さようなことによりまして、検査材料がなくなっては困るということで、まずは移動を禁止しまして検査をすると、その終わった段階におきましてまた回収すると、かようなことになろうかと考えております。

大河原太一郎農林省農林経済局企業流通部長

○説明員(大河原太一郎君) 公衆衛生につきましては厚生省でいろいろ御指導願うわけでございますが、品質の規格向上及びそのための適正管理という問題については、当省の責任でございますので、先生からお話がございましたような日本農林規格——JAS制度がございますが、そういうものにつきまして食料品一般を早急にのせまして、今後このような事態がないようにいたしたいと思うわけであります。  企業の責任を果たすべきという指導につきましては、ただいま環境衛生局長の答弁のとおりであります。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 速記を起こして。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 大臣にちょっと一つ最後にお願いしておきたい。  私もいろいろ申し上げたのでありますけれども、最終のところは、ですから、農林省管轄だとかあるいは厚生省管轄だとかいうことでこういう害を起こすわけでありますから、少なくとも食品とか人間の健康に関係するものは、全部厚生省できちっとしたことをやれるようなかみ合わせのできるようなシステムを大臣がどうか農林大臣と各大臣と、閣議でもどこでもいいですから、きちっとしていただいて、こういう食品、あるいはまた人間の食べるもの、人間の健康に及ぼすものは、全部厚生省でぴっちりとしてもらいたい、こういうようなことを思うわけでありますから、ひとつお願い申し上げたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 私もそのように了解して、そのようにやるつもりでおります。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 本件に関する質疑並びに午前の調査はこの程度にとどめ、午後は一時十五分より再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時四十三分休憩      —————・—————    午後一時三十一分開会

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 休憩前に引き続き、これより社会労働委員会を再開いたします。  再び社会保障制度に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私は、母子保健に対して少しお伺いしておきたいと思います。  園田厚生大臣が就任されて以来約一年間、諸外国に二十年も立ちおくれているという社会保障政策に対して非常な意欲をもって取り組まれてきょうまで相当な成果をあげてこられたことには、深く敬意を表したいと思います。ところが、諸般の問題に制約されまして、その成果にいささか大臣の公約が後退しておるんじゃないか、こう心配いたしまして、勇気をもってこの際さらにさらに前進していただきたいことを強く要望しておきたいと思います。私は、数々の大臣の公約に対してその実現対策の一つ一つを伺いたいのですが、それは時間が許しません。そこで、本日は、まず、大臣が厚生省で八月十七日に発表されました「分べん対策を中心とする総合的母子保健対策」、これを中心にお伺いをしていきたいと思います。  大臣は、五月二十五日の記者会見でも、「いま、お産には六、七万円かかってたいへんなので、来年からはやはり健康保険で全額を国が負担するようにするつもりだ」と言っておられました。ところが、この厚生省発表によりますと、保険で、本人は二万円、それから家族は一万円で、大きく後退しているわけなんですね。私は、大臣は、出産に対してあくまでも国庫の負担でおやりになる御意思ありや否や、この点からまずお伺いをしたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 私は、お産だけはぜひ国庫で負担すべきだと、こう考えまして、保険にこれを入れてやりたいと考えておりましたが、産婦人科のお医者さん方の診療報酬の問題、それから全国の助産婦さんのお礼金その他の日本の習慣から来る費用等がありまして、それから保険の検討も考えませんと明年から保険に入れるわけにまいりませんので、後退ではございませんが、将来保険で必ずやるべきだという前提条件をつけて、その第一歩として給付の引き上げをやろうと考えておるわけでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 ところが、保険でおやりになりますと、保険の料率がうんと上がるんですね、このあいだの発表によると。ここに問題があると思うのです。あくまで国の責任でということになれば、保険の料率を上げるのでなしに、国が補助してやるべきではないか、私はこう思うのですが、その点はいかがでございましょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 私は、日本の人口構造から考えましても、日本の生命の寿命という点から考えましても、子供がだんだん減っているということから考えましても、新生児死亡を、分べんの前後に国が手を尽くせば、少なくとも四割から五割までは減らす見込みがある、こういうことを考えますと、将来はどうしてもお産と老人の医療だけは国が持つべきだと。いまでも考え方は変わりません。何とかしてそういう方向に持っていきたいと考えております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私は、いま大臣が言われたことに賛成なんですが、ぜひそれをやりたいのです。ところが、今度保険ということになると、料率が上がるんですよね。お産をする人とお産をしない人、こういうことで保険でやるとなると、いろいろ問題が起こるんじゃないか。と同時に、健康保険が発足したのは昭和二年ですか、昭和二年当時には、保険がやっていたんですね、保険の対象になってやられております。それが、戦争に入るころからだんだん後退してきて、そうしていまのような状態になっている。だから、国が、いまでも産業に重点を置いて、命をべっ視している、命を軽く扱うと、こういうことが行なわれているのじゃないかと思う。それで、昭和二年の健康保険法発足と同時に対象になっていたのは、産院収容(助産の手当、食事等を含む)、助産の手当(産婆の助産、分べん用具の支給、看護婦の付添、場合によって産科医の手当等を含む)、これが保険の対象だったんですよ。ところが、いまは、その当時から見ると、格段に——これは昭和二年に二十円となっていますよ。私は、昭和八年ごろ、昭和七年ですか、底辺の人がお産の費用で苦しむために、沼津で社会事業を起こしまして巡回産婆をやったんです。施設収容もやりました。終わりには厚生省からも補助金をいただきました。ところが、それでも高くて気の毒なので、私たちは、健保でさえ二十円の補助をしているのに、三円で取り扱いました。それから見ると、今日の貨幣価値では格段の相違があるのに、いま保険ではわずかに本人手当として六千円しか出ていない。これはあまりにもひどいと思うのですが、こうなった理由はどこにあるのでしょうか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) ただいま先生のおっしゃいました健康保険が発足当時に現物給付であったという点でございますが、この点をちょっと御説明いたします。  御承知のように、健康保険は、昭和二年の一月、法律七十号というので発足いたしましたが、発足の当初からお産につきましては現金給付をたてまえといたしておりました。現金給付で、当時の金で二十円という規定でございました。ところが、まあ古いことでございまして、急な御質問でございましたので、十分に調べはついておりませんけれども、昭和二年にこの制度が発足いたしましてから、昭和七年になりまして、助産の手当の規定というものに基づきまして、先生がただいまおっしゃいました分べんに関していわゆる健康保険産婆という制度ができたのでございます。そして、その内容といたしますところは、各都道府県知事と各都道府県の産婆会との契約によりまして、分べん時及び産前産後の介助等の費用を産婆さんが妊産婦さんから直接費用の支払いを受けるという制度でなくして、都道府県知事が支払いをすると、こういうふうな制度ができたわけでございます。当時、いまおっしゃいました法律の規定はそういうふうになっておりましたが、これの運営につきましては、主として自宅分べんを対象とするというものでございまして、正常分べんの場合の病院等への入院を現物給付にしたというふうな制度でなかったわけでございます。特にこの制度につきましては、こういう給付が行なわれました場合には現金給付の二十円を半額に減額をして十円にするという制度でございました。こういう制度でございまして、どうしてこれをやめたかという事情につきまして十分にまだ調べがついておりませんが、大体のところは、その後数年を経まして各都道府県の産婆会との契約が円滑に行なわれなかったと、こういうふうな形で徐々にこの制度は衰退をいたしまして、法律上の規定は残してございましたが、数年後には消えてしまったような形になっております。それで、法律上は昭和十七年の法律改正のときに削ったと、こういうふうな規定になっておるわけでございます。  それで、そういうふうな制度でございまして、わが国の健康保険制度は、初めから、やはり医学上出産は疾病ではないというふうな観念からかと思いますけれども、ずっと本筋としましては現金給付で来ております。  そして、先ほど申されました非常に金額が低いという点でございますが、ちょっと誤解がないと思いますけれども申し上げますが、六千円というのは最低保障額でございまして、被保険者の標準報酬の半額というのが被保険者の妊婦に対する現金給付でございまして、その現金給付が六千円に満たない場合においては、六千円までは差し上げますという最低保障の金額になっております。これを、今回、この六千円という最低保障の額が昭和三十六年以来そのままになっておりましたので、その後のいろいろの事情を勘案いたしまして、一挙に最低保障額を二万円という形に引き上げたわけでございます。これによりまして、従来の制度に基づいてこの金額だけを引き上げておりますので、現行制度の被保険者の本人である方につきましては、まあ標準報酬の最高限は、こんな女性はなかなかおいでになりませんけれども、十万四千円でございますから、十万四千円の最高限の方であれば、半額の五万二千円の現金給付がある。そして、また、標準報酬の低い方で、その標準報酬の半額が二万円に満たない場合には、二万円まで差し上げる、こういう制度に改正しようとするものでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私が申したいのは、いま大臣が言われましたけれども、お産はあくまで国庫負担でやりたいと言われたことを前提としているんです。その例として、昭和二年においてすら、いいですか、分べん用具さえ支給しているのです。その当時、二十円ですね。入院した場合のあれが十円というけれども、貨幣価値を考えてごらんなさい。にもかかわらず、いま、本人にこれがしわ寄せされているから、産みたくとも産めない、こういう結果が出るんじゃありませんか。だから、私は、あくまでも出産費は全額国庫で負担すべきものという大前提に立って、その例としてこの昭和二年発足当時の内容を申し上げて御判断をまちたいと思う。昭和二年に二十円だったものを、いま二万円に上げて大きな顔をされちゃかなわないですよ。この点は、ぜひとも大臣にお含みを願って対策を今後立てていただきたい、こう考えております。  そこで、私がなぜお産の問題を重視するか、お産費用にこだわるかと申しますと、いま国の対策として母子保健が非常におくれていると思うのです。ここにひとつお考えをいただきたい。それは、昭和十五年から見れば、昭和十五年に二百四十人も死んでいたのが、いまでは八十六名と減りましたとおっしゃるかもわからない。先進諸国十六カ国をずっと調べてみまして、日本が最高の死亡率を示しておるじゃありませんか。経済力は世界の三位、妊産婦死亡は第一位だ、こんな恥ずかしいことはないと思いますから、もっと真剣に取っ組んでいただかなければ困る、こういうことを申し上げるわけでございます。そこで、問題は、この妊産婦、乳幼児の死亡に対しての対策としてどのようなことが行なわれておるか。私どもは、妊娠中毒症の対策として、つとに、牛乳等無償給与法案とか、あるいは母子保健法案とか、いろいろ提案いたしましたが、野党の悲しさ、全部だめでございました。政府がやっと母子保健法をつくられましたけれども、その運営の状況、これをまずお聞かせを願いたいと思います。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○説明員(渥美節夫君) お話しのように、わが国におきます妊産婦の死亡率は、先進諸国に比べまして二倍ないし三倍ぐらい高いというふうな現状でございます。母子保健法が制定されまして以来、ともかく妊産婦あるいは新生児、乳幼児、こういったものに対する対策を極力進めてまいりまして、その現状を申し上げますと、妊産婦対策といたしましては、保健所における健康診査というものを実施してまいったわけでございます。同時に、また、妊婦に対しましては、いまお話がありましたように、妊娠中毒症についての早期発見と治療というものに対しましての公費負担制度も実施してまいりましたし、本年度からは妊産婦糖尿病に対しますところの治療、それの公費負担という制度も行なったのでございます。また、分べん時におきまして重症黄疸にかかっている赤ちゃんに対しますところの交換輸血、こういった点につきましても公費負担をするような制度を実施したところでございますし、また、特に本年度からは、先天性の異常のある子供、特にフェニールケトン尿症でありますとか、あるいはウィルソン氏病であるとか、先天性クレチン、こういった疾病に対しての治療も公費負担で行なうということにしておるわけでございます。また、幼児特に三歳児検診につきましては、御承知のように、昭和三十六年から保健所におきますところの一般の健康診査を行ないまして、身体的あるいは精神的の異常を早期に発見するということも実施して、その成果はまああがっておると思うのでございます。  しかしながら、御指摘のように、まだまだ妊産婦に対しますところの健康管理の体制というものは不十分でございます。特に、たとえば妊娠中のおかあさんに対しますところの健康診査も保健所において取り扱っているものがわずか一六%程度というふうなことでございまして、完全な健康管理ということも行なえないわけでございますし、また、三歳児健康診査におきましても、身体的な異常を発見するにしてはややおそ過ぎるというきらいもございます。したがって、その点につきましては、本年度から特に三歳児検診におきましての心理判定を一斉に実施することによりまして精神的な異常を把握するようにつとめてまいるということにいたした次第でございます。  なお、異常のある妊産婦及び乳児に対しましては、ミルクの支給を実施してまいっておるのは、御承知のことだと思います。なお、そういった新生児、乳幼児に対する対策も、さらに完全にそういった異常のある子供たちの把握を進めることがきわめて肝要であると、かように考えておるところでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 たったその成果は一六%といまおっしゃったですが、保健所が扱うわけですね。ところが、なぜそれだけしか成果があがらないかということをお考えになったことがあるでございましょうか。これをひとつ聞きたい。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○説明員(渥美節夫君) ただいま、妊娠されたおかあさんの保健所における受診率が一六%、こう申し上げたわけでございますが、残りの約八〇%につきましては、妊娠されたおかあさんは、直接一般の医療機関、特に御自分がお産をされるということを考えられるそういった医療機関におきまして受診をされております。なお、残りの五%につきましては、このおかあさん方は全く受診されていないというふうなデータも持っておるわけでございます。したがいまして、おかあさん方が、いろいろな、たとえば非常にお忙しいとか、あるいはまた、貧困であるとか、こういうふうな理由もありまして保健所に来られないというふうなことも予想されるところでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私は、項目だけあげた法律ができればこと足れりと、こういうやり方にまず問題がある。それから対象を制限していると、こういうところにも問題がある。たとえて言えば、ミルクの制限にしても、低所得層だけでしょう。それから、まず、十分に知らされていないんです。あるいは、あなた方が口を開けば母親学級で成果をあげているというようなことを言われるけれども、東京都の例を見ると、母親学級の受講生はたった五%です。なぜ五%かということになると、無関心な人、あるいは時間的な操作ができない人、あるいは忙し過ぎる、こういうことで母親学級に行けない。したがって、勤労女性は、先ほどもスライドでごらんいただきましたけれども、異常産が非常に多い。この人はお勤めをしているでしょう。お役所仕事で母親学級を設定されても、行きたくても行けないという人がたくさんいる。そういうときには、結局、夜間に講習をするとか、あるいは、日曜、祭日にこれを行なうとかやる方法は幾らでもあると思うんです。ところが、法律がこうしたんだからこれでいいんだと。それで東京都の例を見ると、たった五%しか受講していない。しかも、適切な指導を受けた人の死亡率と、受けなかった人の死亡率は、格段の差がある。こういうことをお考えになったことがあるでございましょうか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○説明員(渥美節夫君) 御指摘のように、最近、働く婦人の方々が多くなりまして、そういったことで、結婚、あるいは妊娠、それから異常の状態、こういったことに関する知識を得ることがたいへんいろいろな事情でむずかしくなっておるということは考えられておるところでございます。したがいまして、私ども、今後の考え方といたしましては、保健所だけでそのような妊産婦を把握するというふうなことでなしに、むしろ地域におきまして、たとえば健康診査を受けたそういった一般の医療機関におきましても精密検査が行なわれるとかあるいは健康診査が行なわれると、そういう方法におきまして、つまり地域におきましておかあさんの健康状態を正常か異常かということを把握する方途を講ずる必要があると、かように考えておるところでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 講ずる必要があると。いつから考えて、いつからそれを実行してくれるのですか。言うだけじゃだめなんですよ、ほんとうに。それから異常の場合でも、健康診断を受けて、それで異常があるから入院したほうがいいと、こう言われたときに、低所得層の人でも届け出の書類が非常に複雑なんですよね。九種類も出すんですよ。それで、受ける金額はたった八千円を限度としている。これじゃ、労多くして得るところは少ないのです。だから、めんどくさいから、まあ金がないからがまんする。その結果が、悲しむべき結果を来たしておるんです。それらに対して九種類も書類を出す、そして最高限八千円と、この保護が正しいとお考えでございましょうか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○説明員(渥美節夫君) 書類の手続の問題、あるいは限度等につきましては、現在いろいろと所得制限等の問題もございましてお願いをしているところでございますが、問題点は、先ほど私が申し上げましたように、保健所に来られて健康診査を受けられるということも必要でございますが、それよりも、かかりつけの産科あるいは婦人科のお医者さんのところへ行って健康診査が容易に受けられる、そのことにつきましては公費で特に所得の低い方に対しては負担をするというふうな体制が整いますれば、先ほど御指摘のような妊娠中毒症の早期発見なりあるいは妊産婦糖尿病の早期発見というようなことが非常に容易になるし、したがって治療にも非常に便益をもたらすというふうに考えるところでございまして、私どもといたしましては、そのような方針で施策を行ないたい、こういうふうなことで現在財政当局とお話を進めておるということでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 こんなことは、統計が明らかになっているように、もうわかり切ったことなんです。それは、いつの委員会でも、検討します、折衝中でございますと。あけてみればパーなんです。こういう姿勢は、ほんとうに命を大事に守ってくださる意思があるかどうかと疑いたくなるんですよ。先ほどちょっと触れましたミルクの支給にいたしましても、問題は複雑過ぎるのです。  それから低所得層だけを日本では対象にするんですね、何でも。諸外国を見ると、すべての人に出しているんです。すべての妊産婦、すべての老人、すべての子供。ところが、いつか、この委員会で、それなら三井、三菱にも出すのかということをやじった方がございますけれども、そういう人は諸外国の例を見てももらいません、辞退しております。これを社会施設に寄付するとかなんとかいう方法ですべてを対象にしているじゃありませんか。だから、ミルクの支給にしても、あるいはそうした健康診断等の問題にしても、階層を解除したらどうです。金持ちは、そんなところへ行かなくたって、自分のところへ行くんですよ。そういうことも、費用の限度をきめてそれでやったって、成果はあがらない。ほんとうに妊産婦の健康を守ろうとするならば、やはり一貫した制度をとってもらいたい。  さらに、ミルクの支給にしても、十五円だったのが今度十八円になるのですか。けちけちしているんですよ。いまそれの支給状況はどうなっておりますか。対象人員の何パーセントぐらいですか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○説明員(渥美節夫君) 妊産婦なりあるいは乳児に対しましてミルクを支給することによりまして適正な栄養の強化をはかるという事業でございますが、本年度におきましては計画といたしまして実施される市町村の数は約二千七百程度考えておりまして、受給人員は八万八千人程度を内容としておるところでございます。金額といたしましては、御指摘のように十八円ということで実施することにしておるわけでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 そのあなた方のつかんでおる対象人員に対して、いま実施されて直接受けている人はどのくらいいるのか。それから、いま、牛乳は二十円。今度二十三円くらいになるのじゃないですか。これに対して十八円とすると、その負担はどこへ来るのですか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○説明員(渥美節夫君) 御承知のように、栄養の強化をはかるためにミルクを支給する対象といたしましては、御指摘のように所得制限を行なっておるわけでございまして、したがいまして、生活保護家庭、あるいは住民税を納めていらっしゃらない家庭、それから住民税を納めておりますけれども均等割りしか納めていない家庭、こういった家庭に対しまして、妊産婦、乳児に対しまして支給しているのでございますが、私どもの予想の約三分の二程度が受給しておるというふうなことで、さらに努力を要するところと思うのでございます。  なお、ミルクの単価十八円につきましては、都道府県あるいは市町村において契約を一括するというふうなこともございまして、やや不足ではございまするが、いま十八円で実施することが一応可能であるというふうに考えておるところでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 低所得層というところでどこでも制限する。私は、ここがきびし過ぎると思うんです。それからそれをもらいに行くとき、私は貧乏人だという心の重みというのですか、こういうものをお考えになったことがあるでしょうか。せめてそれを制限するにしても、もう少し高いところで、中産階級くらいまでを対象にすることを強く私は訴えたいと思います。  それからもう一つ、続きまして、母子保健法で規定されております母子健康センターの実情を伺いたい。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○説明員(渥美節夫君) 母子健康センターは、先生すでに御承知と思いますが、母子保健に関しますところのいろいろな相談を行ない、いろいろ適切な指導をいたしますとともに、その中に付置されておりまするところの助産施設を通じましてりっぱな赤ちゃんを産んでもらおうというふうなことで設置をいたしまして、昭和四十二年度までに五百一カ所ということまでに普及してまいったのでございます。特に最近におきましては、農村あるいは僻地等におきますところの母子保健対策の一つの拠点といたしまして非常な活躍をしておりますので、私どもといたしましては、さらにこの母子健康センターの増設に努力を傾けたいと、かように考えております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 そこに問題がある。結局、母子健康センターの建築費が五百十五万円と査定された。その三分の一を国、三分の一を都道府県、残り三分の一は地元で負担する。ところが、地元は、三分の一と運営費の問題がある。これはいずれもそれほど豊かな市町村ではないんです。それから五百十五万円で建設ができるか、単価のきめ方も安過ぎる。ですから、事実は、三分の一負担となっていても、半額以上の負担になるんです。地元でそれにプラス運営費。そのために運営が非常に困難になる。規制された五名とか六名の定員よりもオーバーして入れたい、こういう動きがある。そのために、地方の医師会と各所でごたごたがある。例を言えといえば言いますけれども、こういう傾向は将来悲しむべき結果になるんじゃないかと私たちは憂えているわけです。それから常任の助産婦さんはおりますけれども、医師会とうまくいっていないところでは、緊急のときにお医者さんが往診を渋っちゃうんですね。こういうことに対してどう考えるわけですか。嘱託医が出張されましたときに、その費用等はどういうふうになっているのか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○説明員(渥美節夫君) 御質問の第一点の国庫補助額が安過ぎるというふうな点につきましては、最近のいろいろな地方における実情から考えまして、確かに国庫補助が百七十万円というところにつきましては十分検討を要すべき点はあろうかと思うのでありますが、ただ、自己負担につきましては、国民年金の還元融資等によりまして援助措置も講じておるところでございます。  それから第二の運営費の問題でございますが、先ほど御説明申し上げましたように、母子健康センターは、妊産婦に対する保健指導という役割りと、それから助産という役割りと、大きく分けますと二つになっておるわけでございまして、保健指導という役割りにつきましては、自治省と相談いたしまして、一カ所当たり特別交付税におきまして二十万円という金額をもってそれに充てるということに相なっておるわけでございます。助産につきましては、これもいろいろ議論があろうかと思いますけれども、一応助産に要する費用を受産する方々、家庭から徴収するというふうなことで一応のつじつまは合わせるようなことにはなってはおりますが、いずれにいたしましても、運営費につきましては、地元の市町村の超過負担というものがあり得るというふうには考えております。  それから第三点の地域の医師会との関係でございますが、まさに御指摘のように、数年前から、地域の医師会と母子健康センターの設置主体である市町村の間に多少問題が二、三のところにおきまして起きておるのでございます。したがいまして、私どもといたしましても、中央の日本医師会等とも十分御相談いたしまして、地域医師会と母子健康センターを管理する市町村との間にあらかじめ十分なる御相談のもとにこの母子健康センターをつくるというふうなことで、したがいまして、地域医師会の婦人科あるいは産科のお医者さんの協力も得るように指導しておるところでございまして、最近におきましては、地域医師会とのトラブルというふうな点も非常に少なくなり、ほとんどなくなっておるというふうに考えておるところでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 ほとんどなくなっておればけっこうでございますが、私はそうは認識しておりません。結局、入所者をふやそうとする結果、地元の医師会とか開業助産婦とのトラブルが目立っている。地域格差を何とかしようというところで発足しながら、逆に地域差を広げている。お産を国の責任と考えないで、わずかの補助金で僻地医療対策と助産婦の救済を兼ねようというような甘っちょろい考え方では実効はあがらないと思うのです。私はいつのときでも言うのですけれども、政府のきめる建築基準というようなものも、実際に応じたものとして地方に負担がかからないようにしてもらわなければ困ると思うのです。  そこで、もう一つお伺いしたいと思いますのは、病院でお産をする場合に、昼間のほうが少なくて、夜のほうが多い。あなたもこのあいだ座談会で言っていたじゃないですか。夜のほうが七〇%くらいあるのじゃないですか。六六%ですか。ところが、産婆さんや看護婦さんの勤務体制は、昼間が多いですね。夜勤体制に入ったときにお産が多い。そのために、看護婦さんたちは、非常に忙しい思いをする。大切な助産にどうしても手落ちが起こりやすい。そこへ向かって、大臣が公約されました新生児に対する看護婦の定員、これも実施されておりません。病院の実情を調査されたことがあるでございましょうか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○説明員(渥美節夫君) 病院の実情等につきましては、先ほど藤原先生御指摘の新生児の看護を濃厚にするという仕事の担当の医務局長から御答弁になるのが正確であると思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○説明員(松尾正雄君) 第一点のほうの新生児の取扱いにつきましては、すでに医療法の施行規則を改正いたしまして、前々から問題になっておりました母親に伴って生まれました子供を一人前と扱うという一つの規則の改正をいたしました。この十月一日から適用いたしまして、もちろん経過措置が必要でございまして、二年間の経過措置ということでそれを発足いたしました。御指摘の定員の問題は、おそらく国立病院についての問題かと存じますけれども、これは前回のときにもお答え申し上げましたが、大臣にたいへん努力をしていただきましてとっていただきました定員でございます。先般申し上げましたように、定員法という問題がひっかかっておりますけれども、私どもとしては、ワク内の操作のできる限りは新生児のところに定員がつくように努力をしているつもりでございます。  それから病院における出産のときの看護体制は、まさに御指摘のとおり夜間に多いわけでございまして、特に、御承知のとおり、最近病院内の助産婦の数も非常に少のうございますので、夜間におけるそういう助産婦体制というものは各病院ともたいへん苦労しておるというのが実情でございます。ただ、病院におきましては、産科病棟等についてはそういう実態がございますので、病院ごとにそれに合わせるような最大の努力はしておりますけれども御指摘のとおり、夜間におきます勤務体制ということは、当然その負担にかかってくると思います。この点は、私どもも今後十分また研究を続けて、なるべく合理的な解決をはかりたい。しかし、同時に、生理的にと申しますか、夜間に子供さんが生まれる回数がどうも多いものでございますから、勢いそこに助産婦さんの勤務も夜間勤務が多くなる。これは、また、同じ資格を持っておる助産婦さんにしてみれば、産科病棟をいやがるという問題が起こってまいります。また、夜勤問題ということの回数に関連いたしましても、全体をながめて調整をいたしませんと、そこだけに負担がかかるという問題も起こってくるかと存じます。病院全体の看護婦の増員その他と合わせましてできるだけ近いうちになるべく負担の少ない方法で解決するように研究してまいりたいと思います。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 問題は、赤ちゃんが生まれたからそれでいいわけじゃなくて、赤ちゃんの看護が非常に大事なんですよ。あなたがおっしゃったように、産婆さんが過労でいやがる傾向が出てまいります。ますます足りなくなる。これを真剣に考えたことがあるでしょうか。  そこで、大臣に、この際、看護婦の問題に触れましたから、ちょっとお伺いしたいのですが、私はいつもいつもこの委員会で看護婦問題を取り上げてきている。一向に解決されない。つい最近も騒ぎがあったようでございますけれども、一体、看護婦対策というものをどのように考えていらっしゃるか。看護婦の問題は、すべて国民の命に関係するわけなんです。いまだ、夜勤が、人事院勧告が八日以内と制限され、二人夜勤と規定されているにもかかわらず、一人夜勤は絶えない。夜勤の回数も、月平均しまして八日というのはまだ二〇%くらいある。あとは九日であり、十日であり、はなはだしいところは十五日夜勤している。健康な職場ではなやかに働いている人と比べますと、病人や産婦さんを相手にして非常な過重労働をしている看護婦さんの夜勤が、人事院の勧告でも八日以内とあるのに、もう四、五年放置されている。それで、モグラモチのように一月のうち半分を夜勤で過ごす、こういうことは私はあり得べからざることと思いますが、看護婦対策はどうお考えであるか、これを真剣にきょうは聞きたいと思います。  それからもう一つは、お産婆さんが足りなくなって、東京の保健所あたりではお産婆さんがいない、こういうことを聞いております。一体、これで将来の日本の妊産婦問題はどうなるのだろうかと心配なんです。結局、産婆さんや看護婦さんの職場が不安定である、過労である、低賃金である、こういうことが問題になっているのじゃないか、私はこう思うのです。  そこで、今度、新生児看護婦定員をとっていただいたことは、非常によかった。けれども、それをどうして充足するのか。いまの看護体制、これは私は非常に心配なのです。准看の問題は特例法等を出しましたけれども、なかなかこれは拒否されて励行いたしておりません。場所によって、行ってみれば、准看が病棟主任をしたり、今度、特別准看というのですか、指導准看というのですか、というようなことが考えられているやに聞くのですけれども、ごまかしでなく、ほんとうに人の命を扱う助産婦さん、看護婦さんの対策を私はこの際大臣から聞きたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 医師それから看護婦の定員不足は、非常に苦慮しているところであります。  まず、第一番は、待遇の問題がございます。たとえば、医師にしましても、国立病院の院長が、相当な経歴があって一流の学者で二十万円ぐらい。いま新しい医師がアルバイトをやっても月二十万円ぐらいはとれるという状態で、看護婦さんも同様でございまして、医療業務に従事する職員というのは、生命に異変があった場合には刑事訴訟さえ起こされている。したがって、以前にはこういうことがございませんので、医療業務に従事する職員の待遇は、一般の公務員のベースアップと違って、特に医療に従事する職員の給与を特別に考えてやらなければ医療行政に責任を持てないというところまで私は関係方面に折衝しております。ことしの人事院勧告には他の公務員の待遇よりもやや上回ったベースアップでありますが、それでもなお現実にそういう方々をふやすまではいっていない。将来これはもっと進めていかなければならぬと思います。  二番目には、特に看護婦さんの問題は、働くための環境の整備をすることが非常に大事でありまして、看護婦の志望者は幾らでもあるわけでありますが、看護婦になられて結婚されると、ほとんどがやめられます。そこで、やめられた方や働いている方の御意見を聞きますと、自分たちはなにも働きたくないわけではなくて、子供のめんどうをみ、あるいは家庭で安心して働ける状態であれば、働きたいのだと。ただいま、看護婦の資格を持って休んでおられる看護婦さんが全部働いてもらうと、とりあえずの体制はできるわけでありまして、そこで、二十四時間の保育所の設備であるとか、その他労働条件の整備だとか、こういう点が第二番目に大事な問題であると考えます。現に、国立の病院あたりで、急造の家をつくって保育所などをつくっているところもありますが、こういうところは、うまくいっているところも中にはございます。そこで、三カ年計画をつくって、こういう設備を確立して看護婦の養成もふやしたい、こういうことでただいま考えておるわけでありますが、非常に苦慮しているところでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 考えているということは、前から聞いているんですよ、私は。それを実行してほしいんです。それから病院に夜間保育が行なわれているところもございますけれども、ほとんどは組合が経営しているのです。それに対して補助を若干しているところもあるし、かえってじゃまにしているところもある。私がこの問題をここで取り上げたのは、これは母子保健と無縁ではない。医療に従事する看護婦が一番異常産が多いのです。何のために自分は医療従事者であろうかと嘆いている。ところが、ある病院のごときは妊娠制限をしたことがあって、大騒ぎになった。人権じゅうりんもはなはだしい。結局、結婚した当時の看護婦さんの能力は一番優秀な時期に達しているのです。優秀な看護力を持つ人がちまたに眠っているのです。対策がないかといえば、あるのです。夜間保育所をつくるとか、あるいは自分の住宅がなるべく病院の近くに得られるとか、考えれば幾らでも問題があると思います。それと同時に、いまパートタイマーがはやっておりまして、なにも夜勤の多い看護婦をしなくても、ほかの職種でもいまの待遇程度のものはとれるんです。  まず待遇が低い。それから生理休暇、産前産後の休暇すら思うようにとれていない。それから八時間夜勤の休憩時間、これが十分にとれているところはございません。これを人が足りないんだから仕方がないで済まされるんでしょうか。しかも、看護婦の希望者はふえてきたんです。ところが、高等看護学院の拡張は少しも考えられていない。非常にきびしい門になっている。それで、看護婦は足りない。准看ばっかりふえている。准看は頭打ちなんです、待遇がね。これを放置しておいて、いや考えております、いや努力いたしますだけでは解決つかないと思いますし、こういう状態では、患者さんにすれば、看護婦に、親切がないとか、つっけんどんだとか、いろいろ言いますけれども、患者さんや家族の人にあいきょう振りまいていたんじゃ仕事ができないんです。看護学校で習ったことの半分実行できればいいほうだと看護婦さんたちは嘆いておる。それをひとつお考えいただきたいと思います。特に助産婦の問題は緊急を要する問題と思いますが、ほんとうにこの場だけの答弁でなしに、真剣に意のあるところを伺いたいと思います。

松尾正雄厚生省医務局長

○説明員(松尾正雄君) 看護婦の養成対策は、御指摘のようにたいへん苦慮いたしておるところでございますけれども、来年度もそういう看護婦養成所を、ことし十三カ所の新設でございまして、さらに二倍以上、二十七カ所というような予算要求をいたしております。また、入ってくる方々も、なるべく多く受け入れたい、志望者を多く募りたいと、こういうことで、たとえばいま奨学制度というようなものをとっておりますけれども、この単価も、たとえば看護婦さんは現在の三千円を五千円に上げるとかいうようなことで、その奨学の額もふやそうということを具体的に予算上要求いたしまして折衝しているところでございます。  また、先ほど来助産婦さんの問題につきましては、職場環境の非常に困難なところもございますけれども、また、一面、待遇という問題もおっしゃっておられました。特に国家公務員の給与体系の中におきましても、助産婦に特別のものが見られておらないということは、この資格条件からいいましても私はやはり不合理だと存じておりまして、ただいま人事院と事務的にも鋭意折衝を続けておるわけでございます。  准看護婦さんにつきましても、いま御指摘のように、頭打ちという問題がございますれば、これはかりに准看のままでおられましても、相当の経験を積んで、しかも人生の経験もかなり持っておられる。患者の指導その他につきまして、相当りっぱな仕事をしておられると思います。こういう方々が四等級頭打ちであるということも、まことに心苦しい問題でございますので、この点も、いま現在人事院と鋭意折衝を続けているようなわけでございまして、決して考えているというだけではございませんで、具体的にそれぞれできる範囲におきましては全力を尽くして具体的な進め方をしておるような状況であります。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私は、看護婦の問題は、国民全体に影響があるということをまず申し上げたい。それから、あんなひどい勤務状態だったら、私だったら働きませんよ。これを長年放置されている当局の気持ちが私にはわからない。准看の進学コースの問題も若干ふやされるそうですけれども、いつも言うように、山間僻地の病院で働いている准看さんは一体どうなるかというと、いろいろ問題があると思うんですよ。しかし、この問題は次に譲るといたしまして、とにかく、看護婦の充足は、早急に口だけではなくて努力してほしいということをお願いしておきます。  次にお伺いしたいのは、妊産婦、乳幼児にとって非常に大切な任務を課せられております保健所の問題についてお伺いをしたいと思います。保健所が、だんだん時代の進歩とともに、保健所業務はふえてきた。ところが、いま、保健所の実際を見ると、お医者さんが四七%ぐらいですか、充足率は。専門医なんてほとんどいない。産婆さんもいない。これで何ができるでしょうか。訪問指導なんていうものは名ばかりになるのではないでしょうか。専門医のいない保健所、そこに母子保健の問題をまかしておることで成果があがりましょうか。保健所の看板に偽りあり、結局、中身は、職員の努力にもかかわらず、たいへんな問題を起こしておると思うのでございますが、いまの保健所の状態があのままでいいとお考えでしょうか。いや、是正するんだと。それならばどういう方法を考えておいでになるかをお伺いしたいと思います。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○説明員(村中俊明君) 保健所の問題につきまして毎々御指摘を受けておりまして、私どもも一生懸命努力をいたしておりますが、実態としては、ただいま御指摘のように、医師の充足は非常に困難で、四四・五%の充足率でありまして、これの確保ということにつきましては、基本的に医師の養成という問題につながるわけでございますが、私どもの段階で対策としてやっておりますことは、御承知の公衆衛生の修学資金というふうな制度を十年来続けて実施をいたしております。これもなかなか希望するとおりの確保が困難でありますが、一つの充足対策としてやっております。あるいは、調査費、研究費、海外派遣というふうな一連の待遇につながる改善などを行ないながら医師の充足をはかっておるわけでありますが、保健所に勤務する医師の希望をいろいろ聞いてまいりますと、待遇という問題も一つございますが、第二の問題としては、保健所でいろいろな研究を医療機関じゃなくて大学との提携でやるとか、あるいは、専門的な何か勉強をする場合には、特定の医療機関と研究のためのつながりを持ちながらやっていきたいというふうな研究に対する意欲が保健所に行くことによってそこなわれるというような訴えがございまして、これにつきましては、ここ数年来、大学と提携をして研究テーマを設定いたしまして、このテーマについて大学の教授、助教授が一緒に研究をするというふうな体制を現在とっているわけであります。もう一点は、特にこれは都市じゃなくて僻地的な保健所に勤務する医師については、やはり子弟の教育というふうな問題も出てまいりますから、こういうふうなからみの中で、何とかあれこれ考えながら対策を進めておりますけれども、現状はただいま御指摘のとおりでございます。  それから第二点の、専門医がいないという御指摘でありますが、これは、御指摘のとおり、保健所が行ないます健康診断を中心といたします地域住民へのサービスは、専門的な医療技術の提供ということよりも、一般的な保健サービスをするというのが目的でありまして、いまお話の出ましたようなたとえば母子保健というような問題に焦点をしぼる、そのための専門家の確保というのは、主としてその地域の専門医に委嘱して、ここで精密検診のようなことを実施いたしております。原則的には、そういう意味の専門医というのは、保健所には現在いないわけでございます。必要な場合には嘱託をして処理をいたしております。  それから母子保健対策が一体どうなっているのか、助産婦充足が非常に少ないという点でございますが、これも、御指摘のとおり、現在定数としては全国の保健所数八百八十に対して一名ずつの配置の予定になっておりまして、これが、最近の数字では、二百名足らずという、四分の一程度に満たないわけでございます。これには、先ほども出ましたけれども、基本的な助産婦の養成対策とからんでまいりますけれども、やはり最近の新しい母子衛生の業務についていけると申しますか、新しい仕組みの中で養成される助産婦の確保が非常に困難だというふうなことが不足の原因をなしていると思いますけれども、現状といたしましては、現在おります保健婦の中で実際に助産婦の資格を持った者がおりまして、そういう保健婦の協力と地域の助産婦会の協力を受けながら母子保健対策を実施いたしておるわけであります。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 ほとんどの保健所が所長一人なんですよ、医者が。だからそのつどお医者さんに嘱託としてお願いしておるというけれども、そんなものなんですか。保健所の規定とは違っているように私は思うのです。医者のいない保健所が考えられますか。それでも政府は保健所をふやしましたとか拡大しましたとかいうようなことを言うのですけれども、こういう状態で、はたしていいものだろうか。  それと同時に、産婆さんが、八百の保健所で二百名、これはひどいじゃないですか、大臣。保健婦の中に産婆の免状を持っている者もいるというけれども、そうすると、その保健婦さんの指導業務に支障があるんですね、一人が二役をやるのですから。こういう安直な考え方でやっているから、妊産婦死亡は減らないのですよ。ことに、あの訪問指導というのですか、指導員が一軒当たり百八十円です、妊産婦指導に歩くのに。一軒百八十円で、一日何軒歩けるか。仕事をしながら半面やっているようなものだけれども、百八十円の指導員の手当で、ちょっと遠いところへ行くときにはタクシーに乗る。タクシー代にも足りません。このあいだ現実に私はそういう人に会って座談会を開いた上できょうの質問をしているのです。実際をよく承知いたしております。百八十円が妥当でしょうか。私はあまりにも考えがなさ過ぎると思うのですけれども、これでいいとお考えでしょうか。東京都なんか特にひどい。一カ所に産婆さんがいるだけだからして、あとは全部幾つもの保健所の中に一人もいないのです。これが首都ですよ。首都東京においてそういう状態なんです。母親学級を開いておりますけれども、受講率はたった五%。保健所でいろいろ指導するというけれども、そこには医者もいなければ、産婆さんもいない。訪問指導というと、産婆がいないから保健婦さんが行くのでしょうけれども、保健婦さんが二重の努力になると同時に、いまの母体の衛生指導に歩く訪問ですね、たった一軒百八十円、なり手がないのはあたりまえだと思うのですけれども、いかがですか。と同時に、産婆さんの平均年齢が五十六だか八ですね。あとに続く者がいなくなる心配はないんでしょうか。その対策等も真剣に私は承っておきたい。保健所がいまのままでいいのかどうか。研究ができない、大学病院と提携したというが、それは基幹病院があるのですから、あるいは国立病院にも基幹病院があるはずです。それとの連携すらとれないというところにどうも公衆衛生を軽んずる日本の政治の風潮があらわれているように思うのですけれども、いかがですか、大臣にお聞きしたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○国務大臣(園田直君) 訪問指導員の足りないこと、待遇の悪いことは、もう御指摘のとおりでありまして、明年度予算ではこれは上げるようにいたしております。  それから保健所の整備その他につきましては、人員ばかりでなくて、建物等も非常に古くなっておりまして、一般の地域住民が自分の衛生上や健康のことで相談に行きたくなるような印象を与えない保健所が非常に多い。そこで、これも早急に対策を立ててやりたいと思いますが、人員の点に関しまして先ほどの問題とからめまして関連がございますので、この点も十分留意してやりたい。  ただ、母子保健、それから老人の問題、公衆衛生の問題がいままでやはり考え方が少し古いといいますか、重点が置かれていない。たとえばお産にしましても、母子保健に重点を置くというなら、そういう保健衛生から健康管理からお産の費用から一切重点を置かなければならない。そこで、そういう費用等も、御指摘があったとおりに、全部の者を対象にするように将来は考えを持っていって、特に所得の高額な方だけは逆に遠慮するというようなことで、いまのは、老人医療も、母子保健も、何か底辺層に対する対策の中の一部の老人、一部のお産というふうになっているようでございまして、もういまの時代は、そういう底辺層に対する問題ではなくて、お産と老人の医療の問題は、国民全体を対象にした問題として考え方自体を変えていかなければならない、こういう点は痛切に感じておるところでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 いま大臣が言われたように、ひとつ母子保健にもっと真剣に取り組んでいただきたいと思う。命を産み出すためのその母体、それが軽んぜられてきたというのは、やはり女性べっ視の考え方が貫かれておる。看護婦が足りない、待遇が悪い、これも女の職場だからこれが放置されてきたのだと、私はひがみじゃないけれどもそう思わざるを得ない今日の実情であるということを大臣特にお考えを願いたいと思います。したがって、一貫したお産に対する費用は全額国が持つ、こういう方針でやっていただきたいと思います。第一、文明国と言われる中でお産の費用を全額自分で出しているのは、日本のほかに、健保制度のないアメリカくらいのもので、ほかは全部対象になっておる。ソ連なんかの状態を見ると、おむつからうぶ着まで一切給与している。いわゆる文明国と言われる中で全国自分で出しているのは日本とアメリカだけで、フランスでも、ドイツでも、イギリスでも、デンマークでも、スウェーデン、ソ連、北欧社会主義の国、全部そうです。これを思うとき、とにかく経済力が三位ですから、もう少し命を大事にしていただきたい。お産は全額国庫負担を私たちはあくまで主張してまいります。  と同時に、私はこの際お伺いしたいと思いますのは、女性軽視の風潮といいましょうか——労働省来ていますね。私は、きょうは、労働大臣、それから基準局長も、岐阜のほうへ保健衛生週間とかがあってお出かけで、午前中なら出られると言ったのですが、質問が午後になりましてお出まし願えないのは非常に残念でございます。婦人少年局長がお見えでございますので、お伺いしたいと思います。勤労女性と家庭婦人の比較におきまして、異常産も、流産も、妊娠中絶も、勤労女性のほうがはるかに多いわけなんです。私は、こういうことを考えますときに、しかも最近は勤労女性がどんどんふえているんですね。このふえる家庭婦人の勤労に対してどういうふうな労働省としては対策を持っているか、母体保護というようなことでひとつお伺いをしてみたいと思うのです。家庭婦人の場合には、流産というのが八・七%。ところが、勤労婦人は二二・三%が流産している。それから中絶の例を見ましても、家庭婦人は一一・一%。ところが、勤労女性は二三・二%の中絶をしている。だから、正常産が家庭婦人の場合は八〇・二%。勤労女性の場合は、通常のお産のできる人はわずかに五四・五%ですから、約半分しかない。これはやはり時間に制約される勤労女性の場合、通勤等が非常に混雑をして、からだに無理がいく、休養が足りないということが影響していると思うのでございますが、ある会社では時差出勤、これを認めて非常に効果をあげているという。ですから、そういうことも考えられないかしらと、こう思うのですが、いかがでございますか。

高橋展子労働省婦人少年局長

○説明員(高橋展子君) 最近、家庭を持つ婦人が職場に進出することがたいへんに多くなっておりまして、これに伴いまして出産というようなケースもふえているようでございます。先生の御指摘になられました異常産というようなケースにつきましては、先般東京都内での御調査があったようでございますが、私どもも、一応、全国レベルで、働く婦人の妊娠、出産に関する調査というようなものも行なったりいたしているところでございます。ただ、異常産が起きます原因につきましては、これはいろいろな要因もあることと存じますので、私ども医学的にはつまびらかにいたすところではございませんのですが、少なくとも働く婦人の側の意識といたしまして、妊娠あるいは出産ということが非常に大きな負担になっていること、これは事実でございます。私どもの立場といたしましては、家庭を持つ婦人が今後もますますふえると思われますので、これらの婦人が妊娠あるいは出産といった大きな役割りをつつがなく果たすことができますためにいろいろな施策を講じてまいりたいと考えております。労働基準法で最低の基準につきましてはいろいろな規定を設けまし保護をはかっているところでございます。労働省といたしましては、そのような産前産後の、たとえば産前の休業であるとか、あるいは軽易業務への転換といったものもございますが、これらの規定の定めますところの最低の基準の確保ということはもちろんでございますが、さらにそれを上回るようないろいろな措置が各企業等の努力によって行われるように行政指導等につとめているところでございます。  先生の御指摘になられました時差出勤であるとか、あるいはつわり休暇制度といったものを設けておられる企業等もあるようでございますし、あるいはまた、通院休暇だとかあるいは育児休職制度といったものなどを取り入れる事業場も最近だいぶ増加を見せてまいりまして、一般的に申し上げますれば、この問題に対する関心は次第に強まりつつあるように観察しているところでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 よく言われるのですが、生理とかお産は病気じゃないからあたりまえのことだという考え方がまだまだ強く流れている。確かに病気じゃございませんけれども、生理的なこうしたことが母体に対して非常に影響があるということをもう少し男の人にも認識してもらいたい。家庭争議の原因なんか調べてみると、生理日が圧倒的に多いのです。おなかが痛いだけが生理日じゃない。いろいろな精神的な変動がある。ところが、生理休暇が法律で規定されておりながら、これは労働省のあなたのところの資料でございますが、とっている率は非常に少ないんですね。最近むしろ少なくなっている傾向がある。それで、生理休暇というと、そんなことを言うから女の雇用が不利になるというけれども、いまの日本の産業状態で女性を追い出したら一体どうなるか。私は、そんなことを恐れてはならないと思う。それと同時に、このごろ、生理休暇だ何だということがうるさいから、常用雇用をやめてパートタイマーに切りかえる傾向がふえてきている。ですから、生理休暇をどれだけのところでとっているか、何日とっているかということを、このおたくのほうの資料で見ると、心寒いものがあるわけであります。こういうことも、もう少し私たちも努力しなければならないけれども、女の権利意識を高めていかなければならないと考えますが、一年間通じてどのくらいの日数をとっているか。こんなものを見ると、八日だとか、六日だとか、いろいろございますね。こういうことは非常に心配だと思うのです。  いま、あなたが、つわり休暇ということを言われましたが、これは私たちも運動としても主張しておりますが、非常に適切なんです。妊娠して七週間目ごろが一番何といいますか変動が激しい。サリドマイドのお子さんが生まれたのも妊娠ごく初期においてサリドマイドを飲まれたためにああいうことになったのですから、初期の母体変調の苦しみは男にはわかりませんけれども、こういうときにつわり休暇を与えることが、かえって健康で働き、快適な働きもできる、と同時に、いろいろな支障が少なくなることと思いますので、これを推進していただきたいと考えます。  そこで、妊娠中の作業の問題で私はうらやましいなと思ったことは、中国へ参りましたときに、妊娠食が出る。何カ月何カ月に分けて、カロリーが幾ら、カルシウムが幾ら、ビタミンが幾ら。それから軽作業に配転をいたしております。それから賃金カットがなくて二時間の時短、六時間労働に切りかえられる。あるいは赤ちゃんが生まれてから工場の中に一貫した保育所がある。それで授乳時間も二時間認められている。これまた賃金カットがございません。そこで、おかあさんたちは、健全な赤ちゃんを産むと同時に、あとの仕事が安心してできる、こういう状態に保護されている。私はこのまねがすぐ日本でできるとは思いません。しかし、妊娠中に起こるいろいろな障害に対してぜひとも妊婦さんが守られるように。それから産前産後の休暇を見ると、産前が比較的少なく、産後が若干多い。これをプールにしたらどうだろうかと私は考える。産前にはがまんができる。産後がつらい、こういう人が多いということもこの際ひとつお考えになって、今後の対策をお考えいただきたいと思います。  先ほどお聞きになっていらしたことと思うのですが、看護婦さんの勤務状態が、夜間であるのに、八時間労働で休憩もない。休憩時間がないのです。ぶっ通しなんです。それから異常に夜勤の回数が多過ぎるということに対して労働省はどう監督してきているのかということは、この委員会でたびたび問題にして、注意もしているし、監査もしておりますと言うけれども、それが一向に効果をあげていない。こういうこともあなたから、ぜひ基準監督局長にお話しになっていただいて、女だから、看護婦だから、それでいいというものじゃないと思う。したがって、勤労女性が異常産が多いということは日本自体にとって大きな悲劇だと思いますので、勤労女性が安心して働けるような職場をつくり上げるように御努力を願いたい、こう考えましてお出ましを願ったわけであります。  それから今度は大蔵省にお願いがございます。お聞き及びのように、心身障害児の問題が大きな問題となりまして、まだまだこれからこの問題は取り上げていかなきゃならない問題である。ところが、生まれる前に生まれないようにする政治のためには、いまお聞き及びのようないろいろな対策が必要なんです。妊産婦の保護、衛生教育の徹底、こういうものが必要であると同時に、諸外国で行なっておるならば、日本だってお産の費用はやはり国の責任で支出すべきものとわれわれは考える。したがって、このごろ、労働婦人がふえて、保育所の問題が非常に重要になってまいりました。こういうことも厚生省ではやりたいんだろうと思うのです、やるというんだから。予算も要求していらっしゃる、ささやかながら、そういうことでございますが、大蔵省といたされましても、ぜひ、この点、人命尊重ということをお考えいただきまして、すこやかな子供が生まれ、すこやかな子供が成長し、次の世紀はいま生まれる子供たちによってささえられるわけでございますから、どうか妊産婦、乳幼児、これらに対する施策、さらには大臣もおっしゃいましたけれども老人問題、これはきょうは問題にいたしませんけれども、ぜひこれらに対する予算要求に対して御理解ある決定がなされますようにお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。あんまりきんちゃくをかたく握り締めて、あとからごっそり出すようなばかな結果が起きませんように、未然に予算が使われるように私どもはこれを主張いたしますが、いかがでございましょうか。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 速記を起こして。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 先ほど来御指摘のございました母子保健対策あるいは看護婦確保対策等につきましては、私ども財政当局といたしましても、従来から充実に努力してきたところでございます。それぞれの予算も、詳細は省略いたしますけれども、四十三年度予算につきましてもそれぞれ増額をはかっておるところでございます。  なお、四十四年度予算につきましは、御承知のように、事務的な検討を始めた段階でございまして、全体としての予算規模その他ももちろん未確実の状態でございます。したがいまして、具体的なお答えを申し上げる段階ではありませんが、現在の財源事情あるいはいろいろな経費とのバランス等を考えまして御指摘になりましたいろいろな問題につきまして慎重に検討してまいりたい、かように考えております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私はそこで考えてもらいたいと思うのです。いろんな制約もあるし、いろんなバランスもある。しかし、日本の社会保障は非常におくれているのです。外国に比べて二十年おくれている。これは政府の社会保障制度審議会からもたびたび指摘されている。ほかのほうとバランスを合わせて行っていたら、いつまでたっても世界水準並みにはならないと思うのです。ことに、お聞きのとおり、看護婦の不足なんというのはすごいものでございます。ちょっとした政治で、ほかの問題に比べれば、わずかな費用で先ほど来申し上げたことは実行できると思うのです。まさか、あなただって、訪問指導員がたった百八十円、お産は申請書類を九通提出してその結果みてもらえる金額はたった八千円、こういうところで国民保健衛生が守っていかれるかどうか、この点についてはお考えがあろうと思う。だから、バランス、バランスと言う前に、いかにこの問題が大事かということを考えてほしい。  まあ厚生省の仕事は生産に役立たない、消費的な問題だというふうな考えが財政当局にあるらしいんですけれども、私はそうじゃないと思うのです。政策よろしきを得れば、国民の健康が保持されて、そうして生産に十分タッチできることになるじゃありませんか。そういう意味で厚生行政を理解していただきまして、バランスをこえて、いままでがひど過ぎたんだから、早く立ち上がれるようにしてもらいたい。厚生省では、ほんとうは看護婦定員は二・五人に一人、これが必要だということは答弁しているのです。けれども、病院と看護婦との数でやむを得ず四人に一人という決定をしたわけなんです。ところが、いまどんどん病院がふえてきておるにもかかわらず、看護婦がふえない。そのためにいろいろな悲劇が起こっております。産院の赤ちゃんの取りかえ事件、こういう問題はいつだれの上に起こるかわからない問題でございまして、これは全国民の立場からもひとつお考えになっていただきたい。強く要望いたしますが、いかがでございましょう。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 社会保障関係予算全体の問題につきましては、御承知のように、概して申しますと、予算規模全体の伸びよりも社会保障関係費の伸びのほうが大きいのでございまして、したがいまして、一般会計予算の中に占めます社会保障関係の予算のウエートも大体ここのところ上がってまいりまして、三十五年ころには一一・五%ぐらいでございましたのが、四十三年度予算では一四%というように年々充実してまいっておると考えております。  なお、具体的な看護婦確保対策の問題でございます。予算の面につきましては、たとえば養成所の施設あるいは設備の整備費、あるいはまた修学資金の充実というようなことには従来から努力しておりまして、四十三年度予算でも、施設系統で一千万円、修学資金の系統で八百万円というような増額をはかっておるところでございます。  なお、国立病院におきます新生児の看護の強化につきましては、これも御承知のように増員をはかりまして、その関係の経費として約二千七百万円程度を計上しておりますし、看護婦の方の夜間勤務の条件の改善につきましても、勤務環境改善ということで、緊急時の連絡設備でございますとか、あるいは仮眠室の設備でございますとか、その他備品の整備費でございますとか、そういうような関係の予算をつけておりまして、四十一年度から四十三年度まで約五千五百万円計上いたしておるわけでございます。その他、夜間看護手当ということで、夜勤手当のほかに百円の手当が四十年から実施されておりますことも御承知のとおりでございます。こういうようないろいろな設備の整備でございますとか、あるいは欠員の補充でございますとか、適正な職員の配置でございますとか、あるいはまた病棟の集約化でございますとか、いろいろな施策を通じましてできるだけ夜間勤務体制の改善に予算面からも努力してまいりたい、かように考えております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私はくどく申し上げてきたようでございますけれども、とにかく子供は国の宝です。この子供が健全に育成されていく、これは国が当然の責任をもってやるべきものと考えておる。と同時に、その子を産み出す母体を尊重していく、これはまた何よりも優先してなされなければならない問題であろうと思う。ところが、これらに対して、いま申し上げたようないまのあり方は、まことに心さびしいものがある。あくまでも妊産婦、乳幼児は国の責任で守らなければならない。まして、勤労女性がふえてきておる今日、あるいは農村がかあちゃん農家の現状で、献血のために血液をとっても、それが輸血に役に立たない。低比率の血液がふえてきている。これはゆゆしき問題だと思うのです。私は、政治は何よりも人の命を大切に守る。ここに力点を置いてやっていただきたいということを強く要望いたしまして、まだ資料等も持っておりますけれども、時間の関係で次回に譲らしていただきます。  それから渥美さんにお願いしておきます。大臣が最初に言われた公約を忘れないように、あくまでも保健衛生、出産費用は国の責任でやる、何と大蔵省ががんばろうとも、それを貫いていくんだということをその決意を強く要望して、最後の締めくくりに、大臣がいないのは残念でございますが健康上の理由でございますから、特にあなたにお願いしておきます。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 私から主計官にちょっと伺いますが、金額がふえるとかパーセントがふえておるという御説明がありましたが、社会保障の場合は給与とかあるいは扶助の内容が問題だと思うのです。物価が上がったり、生活全体の費用がかさんできておるわけですから、五年前の充実率と、いまのパーセントが上がっても実際扶助を受ける者の充実率というものは、むしろ下がっていると思うのですね。そこを比べて妥当な予算かどうかということを検討していただかないで、片方は一一%でこちらが一四%だからこちらのほうが上がったという比較は、ちょっと専門的じゃないように思いますが、この点はどうでしょうか。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 当然内容についても充実をはかっているのでございまして、たとえて申しますと、生活保護基準のアップでございますとか、あるいはその他福祉年金額のアップでございますとか、いずれも物価等に比しては物価等を上回りまして事実上の内容の改善をはかっておる、こういうことになっていると思います。

上原正吉自由民主党

○上原正吉君 関連して。ただいまのお話で、給付の内容いかんも大事ですけれども、私は対象人員がふえているのじゃないかと思うのですが、これはどうですか。年々ふえてまいりますか、減ってまいりますか。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 生活保護でございますか。

上原正吉自由民主党

○上原正吉君 生活保護ばかりではなく、いまの……。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) ものによってそれぞれ違うわけでございますが、生活保護の生活扶助の人員は年々減少しております。

上原正吉自由民主党

○上原正吉君 いまお話しの母子保健とか何とか、こういう場合の対象人員がふえているのじゃないかと私は思うのですがね。ふえていると、結局、一〇%から一五%にふえても、かえって実額は減ってしまう、こういうことになるのですが、どうでしょうか、お調べはありませんか。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 母子保健でございますか。

上原正吉自由民主党

○上原正吉君 母子保健の場合でも、あらゆる場合もそうですわね。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 母子保健の場合でも一律ではございませんで、対象は若干減っているのもございましょうし、若干上回っているものもあると思いますが、それはそれぞれ事情を異にするかと思います。     —————————————

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 私は、きょう、保険事務の簡素化の問題について二、三点伺っておきたいと思います。  診療報酬の事務簡素化については前々からいろいろ言われておるわけでありますが、いままでの状態を振り返って考えてみますと、いろいろな改正のたびごとに非常に複雑化してきております。それで、この事務量が非常にふえるということは、結局、一面には医者の本来の診療業務に大きく影響をいたしますので、ほんとうに国民の生命と健康を守る立場から考えましても、保険の事務というのが大きな負担になっていることは非常に大きな問題ではないか、こういうふうに考えられるわけでございますが、第一番に、厚生大臣も、事務簡素化については、基本的に考え直して、そして医療担当者に対しても信頼度を置いて、事務簡素化を思い切ってしなければならないのだという意見の発表もあるわけであります。事務当局のほうで、ことに保険局長のほうにおいては、むしろそれが反対のような、あるいはまたそうでないような、最も詳しく書かなければ医者が不正をするのではないかというような考え方を持たれるというような話も聞いているわけであります。いま、現今、支払基金制度があって、それで審査もされるわけでありますけれども、この審査の問題を見ましても、あの膨大な請求書を非常に簡単に処理されてしまっておって、いかにそれを詳しく書いても、書いたことがチェックにならない、こういうようなこともあるわけでありまして、そういう点から考えまして、事務簡素化の問題というものを保険局のほうではどういうふうなお考えを持っておられるだろうか、一ぺんお聞きしておきたいと思います。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 先生御指摘の事務簡素化の点につきましては、前々からわれわれのほうといたしましてもでき得る限りの範囲内で簡素化をいたしまして、従来批判を受けております診療に当たられるお医者さん方が非常にめんどうな事務を引き受けておられるというような点につきまして解決をしていきたいというようなまず基本線は持っております。  それで、御承知かと思いますけれども、昭和三十三年以来、今日までに、八回にわたりましてできるものから徐々に簡素化をいたしてまいりました。いわゆる符号化でございますとか、あるいは被保険者に関します記載につきましてできるだけ簡略化しますとか、あるいは診療内容に関する記載の点につきましても簡略化するというふうな形で、現行制度におきましてできるだけ簡素化をするという方向で一応努力はしてきたつもりでございます。ただ、現行制度におきましては、診療報酬の支払い方式が、現物給付、出来高払いという方式をとっておりますので、いろいろ議論もございますけれども、この出来高払い方式という形につきましては、やはり一定の内容の審査というものとはどうしても切り離せない事情にございまして、審査との関連におきまして簡素化を御主張される立場からは不徹底だというふうな感じも聞いておりますけれども、われわれとしましては、そういう現行制度におきまして、先ほど申しましたように、三十三年以来八回にわたってできるものから簡素化してきたわけでございます。  今後の問題をついでに申し上げておきますが、現在、御承知のように、医療保険全般の制度面につきまして抜本改正を検討中でございまして、与党のほうとの調整を急いでおるという段階でございます。  制度面におきましてはそういう状況でございますし、一方、診療報酬の内容につきましては、中央医療協議会がその前二年数カ月にわたりまして診療担当者、支払い側、公益委員というのが種々協議をされまして、昨年の暮れに一定の建議書を出されたわけでございます。その建議書の中心といたしますところは、あらゆる診療報酬につきまして抜本的な改正を加える、それの前提としまして医業経済に関する調査を施行するということがございました。昨年の十一月を一カ月調査月といたしまして、医療機関につきまして医業経済の実態の調査をやったわけでございます。その調査の結果がただいま集まってきておるという状況でございます。その結果をまちまして、いままでは残念ながら十年間ばかり基礎的な調査がなかったわけでございますが、アップ・ツー・デートな調査が出てまいりましたら、調査のデータを基礎にしまして診療報酬の抜本的な改正を行なおうというふうに全員一致で方向がきまっておるわけでございます。  診療報酬の面につきましてはそういう状況になっておりますので、今後、制度面の抜本的の改正、あるいは診療報酬自体の抜本的な適正化、両方の大改革がいま進められようということでございますので、その根本の点と即応いたしまして、この際にできるだけ事務簡素化の点については十分に頭に置きまして、診療担当者その他につきまして、簡単にして、ごめんどうをかけないで済むというふうな方向に持っていきたいと思います。  一方、まあついででございますが、おそらく抜本改正という観点で事務的な面に思いをいたしましたときには、やはり時代の流れといたしまして、コンピューターの導入というふうな新しく次元の違った観点から、こういう診療報酬の請求明細書でございますとかあるいはいろいろの事務的な点につきましてあらためて根本的に検討して、一段と簡素化できるという方向も忘れてはならないというふうに考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 たいへん展望も聞いたわけでありますが、しかし、いままで行なわれてきた明細書の簡素化というものを歴史的に考えてみても、これは数回やられております。そして現在の状態になっているわけでございますが、最近は、薬価基準の改定とかあるいはまた薬価の一部負担ということに対して事務量が非常にふえておることは御承知だと思うのでありますが、現在の明細書の書き方でもって将来は云々と。もちろん、私も、出来高払いでまだ請求するためには、ある程度のことを書かなければ審査の実際がわからないから、書かなければならないということは了承いたしておりますが、しかし、現在やっております明細書でもってあなたのほうでいいと思われるのか。あるいはまた、明細書の書き方は限度をどこに置かれておるのか。あるいはまた、抜本改正は行なわれるでありましょう、来年か、再来年になるかわかりませんが。あるいはまた、コンピューターを入れられることも、現在医療機関で試験的に使っているところもあるわけでありますが、それはよくわかりますが、そういう将来の展望は別として、いま現在どういうふうにされるのか。いまの現行の状態でそういう将来の展望まで待っていいと考えておられるのか。あるいはまた、できるものからいままでやってこられたとすれば、いま現在でできるものもあるではないか、こういうようなことを考えてみるときに、どういうふうにその問題については考えておられるのか。ことに、明細書を、それじゃいまの段階でどの程度まであれしようとお考えになるのか、その点をちょっと詳しく……。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 先ほど申し上げましたように、私の考え方といたしましては、抜本改正の問題が、いままでいろいろ当委員会でも申し上げておりましたよりも非常に近い時点に来ております。そういう意味におきまして、抜本改正の構想がもう一年以内に出るというふうな状況でございますので、できるだけその点を見てもっともっと根本的にやりたいという考え方でございます。  ただ、しかし、いま要望がございます点につきまして、たとえば、診療報酬の点数表に小数点以下の点数があるが、こういうのは非常にめんどうだから廃止せよ、こういうふうなことも、一つの点として例示すれば、よく聞いております。あるいは、乙表で三十円以下の注射、投薬につきまして内容を記載しない。あるいは、六十円以下の注射、投薬につきましては、主薬のみを記載するというようなことでいいんじゃないか。そういうふうな現行制度において簡単なことをやったらどうかというふうな話を十分聞いております。ただし、この点につきましては、こういう簡単なものでございましても、すべてこれは中央医療協議会の議を経てやるという手続がわれわれのほうの行政におきましてはついておるわけでございまして、小数点以下を切るという問題につきまして中央医療協議会で問題になりますときには、小数点以下だけで数十億円の保険財政について影響が出てくるというふうな問題がございます。そうしますと、やはり、診療側も、あるいは支払い側も、そういうような点につきまして、なかなかすっきりと、いいことは早くやったらいいじゃないかというだけの議論で済みませんし、そういう点につきましていずれにいたしましても中央医療協議会に御検討願うというふうなことになろうと思います。それが、先ほど申しましたように、中央医療協議会におきましては医業経済に関する調査の結果を首を長くして待っておられる状況で現在はございまして、それが出次第抜本的な検討に入る、こういうことでございますので、これだけ取り出して詮議をするというような状況よりも、抜本的な関係の中で御議論を願う、こういうふうな事情にございますので、やはり根本的な改正につきましては抜本的適正化の問題とあわせて一緒にやっていただきたいと私は思っております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いままでから考えましても、これは昭和三十六年のころだったと思いますが、日本医師会と政府との間で、また与党も加わっていただいたと思うのでありますが、この簡素化の問題に対していろいろ考えられたことがあります。あるいは医療担当者の意見としていろいろ出まして、そのときには、ここにもおいでになる松尾さんが医療課長をやっておられるときに、小山さんが保険局長をやっておられたと思いましたが、そのようなときには、もう一年以内には思い切った簡素化をやりますと言っておられた。それから以後もずっとうやむやになっておる。いままでの間に簡素化というものを主体として真剣に考えておられるかどうか。いま局長の話を聞きますと、いろいろな問題があったらこれをします、あれをしますという御答弁で、さもそのようではありますけれども、簡素化ということ自身をもう少し真剣にいままで取り上げられたことがありますか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 先ほど申し上げましたように、三十三年以来八回にわたってできるものからやってまいりまして、いま先生のお話にも出ました以後におきまして、四十年の三月、四十年の八月、四十一年の……

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 何をやったか言ってください。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 四十年の三月は、診療報酬請求明細書の記載について、ボールペンでもよいというふうな形にしました。  四十年の八月に、普通の処置の場合、歯牙単位ごとの回数の記載を廃しまして、総合計の記載のみでよいというふうにいたしました。  四十一年の六月に実施しました点につきましては、診療報酬請求明細書の記載を電子複写機によってもよいというふうにしたわけでございます。  四十一年八月には、歯科の「病名」記載につきまして、従前病名と病気の進行度を書くことにいたしておりましたのを、病名のみの記載でよいというふうな形にしたわけでございます。  それから四十一年の十二月には、「保険者名」を符号化いたしまして、請求書及び請求明細書に符号で書くことにするというふうな改正が大きな改正でございますが、また、請求書を保険者ごとに提出することになっていたのを、保険者名を連記して提出する。それから「転帰」の欄を、「治ゆ」、「死亡」及び「中止」の三区分としました。それから「初診時一部負担金額」欄の一部負担金額を不動文字とし、マルじるしをつけることとしました。あるいは、その他数欄を整理いたしました。  そういうような、まあこまかいものでございますけれども、御要望のありました点を一定の間隔で徐々に改正をいたしております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 そういうことは、もう非常に末節であって、根本改正の問題ではないと考えるわけですが、これは一体保険局でやられるのですか。何かそういうものは機関を通して、たとえば、保険医療を担当する担当者、保険局、その他学識経験者とか、いろいろなところでもって検討をされたことがありますか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) ただいまのは、おおむね、保険局、いわゆる厚生省の行政の範囲内でできます問題でございまして、先ほど申しましたように、診療報酬点数の小数点の問題でございますとか、薬の問題、そういう問題につきましては、やはり中央医療協議会の議を経ませんと、点数表の改正になりますので、そういうものは、先ほど申しましたように、抜本改正の時が非常に近づいておりますので、そのときにやっていただくことにお願いをして、われわれとしましては、行政の範囲内で厚生行政の権限においてやり得る問題につきましては、できるだけ御要望に応じてやっていきたいというように考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 私は、いまずっと振り返って考えてみまして、こういう重大な問題、少なくとも医療の業務の中でほんとうに国民の健康を主体に置いていろいろ診療しなきゃならぬ医者に、こうした事務を大きく負荷さしておるということに対して、いままで中央医療協議会にかけなければいかぬものはおいでおいで、そうして事務レベルでできることしかやっていないということ自身が私はおかしいと思うわけです。もっともっとそれはやってもらってしかるべきではなかったか。いまから考えても私はそういうふうに思います。と同時に、そう考えれば、考えたときに、時期はいままでずれておりますけれども、もう少しそれでやってできることならばやったらどうか。比較的早い時期に保険の抜本改正があると。私もそうだろうとは思いますけれども、しかし、これは、一年先になるか二年先になるか。わずかな特例法の去年ですかおととしですかの一部改正でもあれだけの紛議をかもしたわけでありまして、なかなかそういかぬかもわかりませんということもまた別からいえば考えられる。だからして、これはそういうような機関にかけることはあと回しにしてしまっているということ自身にも非常に問題がある、こういうふうに思います。  それからもう一つ、私はここで伺っておきたいのでありますが、あれはたぶん昭和三十二年だったと思います。それまでは、単価が十二円五十銭と言っておった時分に、十五円刻みか何かでありまして、そうして小数点がなかったはずなんです。それから以後、調剤料にしても、あるいはまた何にしても、全部小数点をつけて、むしろ小数点がないのがおかしいくらいになって、全部のやつに小数点がついている。こういうふうに複雑化されてきたのでありますが、それじゃ、厚生省のほうとしては、その前のときと、今度のこう改正になって、しかも小数点を一ぱいつけたときと、どれほど医療費に影響しておったかということを計算されたことがありますか。その結果はどうなっているか、ちょっと聞かしていただきます。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) いまお尋ねの点でございますが、その当時の計算その他につきまして資料を持っておりませんので、ちょっと現在お答えいたしかねますが、いずれにいたしましても、点数表の改正の問題につきましては、先生なら御承知かと思いますが、診療側と支払い側と公益側とが議論が非常に伯仲いたしまして、まあ俗なことばで語弊があるかもしれませんが申し上げますと、利害の対立になります。そういう関係で、落ち着きましたところによりまして、理屈を抜きにしまして、小数点がついたり、あるいはいろいろと各所におきまして結果から見ましてアンバランスが生ずるというふうなことはあると思いますが、その点はひとつ御了解を願いたいと思います。  それから先ほどちょっと申し落としましたが、行政の範囲で簡素化できるものという意味でわれわれは単独でやっているわけではございませんで、医療担当者、いわゆる医師会その他の団体とは、実施いたしまするには実際に扱われるお医者さんの団体でございますから、その辺とは事前におきまして十分に御相談をした上で、相談が成り立ったものから実行していくというふうなことは当然やっております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いまの段階で抜本改正前にそうした事柄で医療協議会にかけてもらっている分もやってもらいたいと思いますが、事務レベルでできるものがあると思うのですが、それに対してはどう考えられますか。もしできるものがあったらすぐするという意思であったら、それをずっとさがしてやっていただきたいと思うが、いかがですか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) できるだけ診療担当者のほうとも御相談しまして、こちらの審査という立場からと、それから医療担当者側の簡素化という御要望とが合致しました点につきましては、できるだけ簡素化をしてまいりたいというふうに考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それから先ほどそちらからもお話がありましたが、いわゆる記号、番号です。それも簡素化したとおっしゃったが、相当簡素化されていると思いますが、しかし、あれは松下電器でありますか、コンピューターに入れられると思うのでありますが、Mそれから数字が二十ほど続いている。一から九まで一ぱい続いている。あれを書くときには非常に努力が要りますね。その数が間違ったら、全部間違っちゃうわけですから、これ自身もなかなかたいへんな問題だと思うのです。  そういうのが一方にあるかと思えば、また一方においては、数字と漢字を書いて出さなきゃならぬ分がある。キリンビールあたりは、麒麟麦酒と漢字で書いてあります。私もこのあいだ聞かれたのですが、あんた漢字のキリンという字を知っているかと言うから、何とか麒麟と書こうと思ったが、おそらくいまの漢字のあれでは知らない人のほうが多いわけですね。そうすると、そういうようなものも書かされておるというようなのが一方にはある、一方にはそういうようなあれがあるということになりますと、私は非常に問題がたいへんだろうと思うわけです。ですから、私は、ここの記号、番号を書く上においても、だいぶ整理をやられたらしいと思いますけれども、これなんかももう少し整理をはっきりして、そうして、記号、番号というものもおそらくもっと簡素化ができるのではないか。  このあれを見てみますと、「管掌別」にマルを書かしていますね。それから、また、「保険者名」を書かしている。これは、普通の医療保険の番号から見ていくならば、それはどこの会社に属しておるというのはわかるから、こんなよけいな「管掌別」だとか「保険者名」とかいうものは要らぬのじゃないかと思うのです。  それから「氏名」につきましても、会社の名前がわかって、番号によってだれだということがわかるわけですから、「氏名」は、姓名なんかと言わないで、姓だけでいいのじゃないかと思います。  それから個人がわかっておれば、「男女」の別も要らぬのじゃないかと思うのです。  こういう記号だけであっても、もうこれだけのものがすぐ簡単にできるのじゃないかと私は思うのですが、こういう点はどう思われますか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) ちょっと請求書の細部の問題でございますので、間違えたらいけませんので、課長からお答え申し上げます。

松浦十四郎厚生省保険局医療課長

○説明員(松浦十四郎君) ただいま先生がお話しの、まず第一点、「保険者名」でございますが、これは、現在、組合健康保険あるいは共済組合につきましては、全部記号でございます。たとえば、昔でしたらば、日本通運健保組合東京支部と、こう書いたのが、現在は、東−一四七−Gということで、ここの点は全部記号化されております。  なお、同じ欄のすぐ上のところの、先生御指摘のように、政府管掌健康保険か、船員保険か、云云という記号を書く欄がございます。これも、ある意味では、確かに先生がおっしゃるようにダブルチェックという意味も持ちますけれども、たとえば政府管掌のような場合ですと、同県の場合は中身を書きませんので、そういった場合、政府管掌であるということが明瞭になるためには、やはりマルをつけていただくことが必要だと思います。  それから「氏名」の問題でございますが、現在、健康保険の被保険者につきましては、名前を書きませんで、姓だけでよろしいということになっております。  それからなお「男女」でございますが、これは必ずしも名前だけで男女ということが明瞭でないということもございますので、一応「男女」ということはお書きいただきたい。どうも審査のときにはっきりしないという点がございますので、その点はそういうことで私どもいま事務的に処理いたしております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 これは、審査となると、いま申しているように、審査は何千枚も一ぺんにしてばんばんと判こを押しているので、あとからのいろいろなものを調べるために書くのだと私は思うのですが、そういうことからいえば、一番初めの欄に、記号、番号を書いたでしょう。番号は、だれだれだという番号でしょう。ですから、これを見れば、だれということはわかるわけですね。一番初めの記号と番号だけで、記号で何々会社ということがそこでわかる。番号が書いてあれば、その番号がだれであるかということがわかるわけですから、それはただ便宜のために名前を書いたりなんかするわけです。ですから、現に、政府管掌では、もう「保険者名」も書いていらっしゃらないわけですね。ですから、もう名前も姓だけでいいことになっているわけですね。そういう例もあるわけですから、これはほかのものもやって悪いことはないのじゃないかと、私はそう思う。一ぺんはもうやられているわけですからね。やられているところがそう不便は出ていないと、こういうふうに思うわけですから、これなんかも私は第一番目に改正してもらっていい点ではないかと思うわけです。  それから、まだこの問題について簡素化するということであれば、共済組合とかいろいろな組合がありますけれども、こんなものにマルを打ったりなんかをするということは、ほかの記号があればわかりますからね。審査をするときに必要云々ということを言われますけれども、審査のためにするということであれば、私はそこに問題があると思うわけでして、そういうことよりは、ほんとうにそれはレセプトしてあとで調べたときに困るということであれば困ると思いますけれども、そういう意味であれば、そこらのところぐらいは最低にできるのではないか。これはできるために早くやるような方向を考えてもらえませんか。その期日なんかも、やろうと思うならばいつころになればできるかということも一ぺん聞かしてください。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) その点、冒頭に申し上げましたように、制度面と診療報酬の抜本改正の時期も近づいておりますので、その辺のところの様子を見まして、できるだけできるものから検討してまいりたいというふうに考えます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 じゃ、その検討してやってみたいとおっしゃるのは、至急早くやってもらえませんか。期日は、いつごろまでにできるのですか。それだけをやられるだけでも非常に喜ぶと思うんですね。これは事務レベルでできるでしょう。すぐやってください。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 具体的にどの点をどうという問題につきましては、こちらも、いままでやり得るものなら、三十三年以来八回にわたってやっておるわけでございますから、やはりもう少ししさいに検討しまして、それが保険という大きな機構の中でなかなかそこまで踏み切れないという理屈もわれわれのほうにもあると思いますので、その辺も十分検討しました上で、もし支障がなければできるだけやっていきたい、まあこういうことでひとつ期日その他の点につきましてはごかんべんを願いたいというふうに考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それは、抜本改正とは関係なしに、とにかく早く調べてもらって、できるものだったらすぐしてもらえると解釈していいわけですね。あいまいじゃなしに、やる気だったらやる気ということをはっきりしてくださいよ。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 先ほどから申し上げておりますように、中央医療協議会その他にはからなければならない点数の問題とか、そういうようなものを除きまして、保険局の権限にあるもので、われわれのほうとしましては、先生から御指摘がございましたので、なぜこの簡単なと、先生は簡単なとおっしゃいます問題が、保険という大きな機構の中でいろいろ事務をやっておりますために、何かやはりなかなか簡素化できない理屈があっただろうと思いますが、そういう点、早急に調べまして、行政の範囲内でできることは、われわれとしても、簡素化の方向は望むところでございますので、十分努力をいたしたいというふうに考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いまの簡素化の問題に関連しまして、これは確かに患者側にとってみてもたいへんな問題であります。お医者さん側のほうにとってもこれはたいへんな問題であります。両方ともそうした共通点が、立場は違ってもあると思うのですね。私は、実は、最近、ある一人の人の、これはもちろん国立病院ではございませんけれども、点数の入ったまことにややこしいものを見せてもらったのです。これは国立病院と全然趣きが違うかもしれない。しかし、これも公立の病院です。確かに、見ると、これは計算違いをするおそれが十分にあり得る。その計算違いが生じて患者に対するいやな思いをかけることがしばしばあるのではないか。また、それによってはトラブルも起きる可能性がある。ことに、その患者が死亡した場合、残された家族はこうした問題に対しては相当の抵抗を感ずるのじゃないか。まあそういうことで、先ほど来から局長さんからしきりに抜本的改正をという、そういうお話がございました。なるほど抜本的改正が必要であろうと、こう思うわけです。実は、当局の方にも、この問題を申し上げる前に、いろいろ参考的意見を聞きました。ところが、先ほどコンピューターの問題が出ましたけれども、実際にコンピューターにかけられない場合もあると、そういうようなことも伺っております。点数の問題は、先ほど来から、中央医療協議会の結論を待たない限りはコンマ以下の問題についても結論が出ないと。それにしても、とにかくこういう問題が社会問題として取り上げられてからもう相当の期間がたっている。しかし、一向にそれが進展しない。いろいろな問題があるのでしょう。要素があるだろうと私は思いますけれども、非常に遅々として進まないということも問題だろうと思いますが、一応これはさておきます。  そこで、この簡素化という問題については、私は特に強調したいことは、患者側にとって、請求を起こされた場合に、直ちにそれが支払いできるというような、そういう体制になっていくのが理想だろうと思うのです。ところで、ある一人のささやかな患者の例でございますけれども、請求書が出てくるまで六時間待たせられたというのです。これは、最近の例ですと、二時間ぐらい普通だと。これは当局の方がおっしゃっておるのですから、間違いないと思うのです。国公立においては、なるほど技術の向上あるいは施設の拡充というものが行なわれて、着々その点は進んでおります。それは私も認めます。けれども、いわゆるサービス全体を含めたそういう問題を通じて見た場合に、残念ながらその問題については今日も一向に解決されておりません、このように伺ったわけであります。実際、私も、そうした事実問題を通して考えてみますと、みてやるぞという方式じゃなくて、患者に対してもいろいろな点で心を配ってあげるという、そういう一環からこういう点数制度の問題はいろいろ関連がございまして、そんなに二時間も三時間も数時間も待たせるというようなことがどうして解消できないのかということから実はいま質問を申し上げているわけなんですけれども、それでいま大橋委員も申されましたように、事務レベルの段階でこれがとりあえずの措置として次善の策としてできないか。ところが、定員法等の拘束によって、現在、事務職員についてはできない、看護婦を獲得するだけでも精一ぱいだ、こういう話も聞いているわけであります。これはむしろ医務局長さんのほうとも関連があると思うのでございますけれども、いずれにしても、いま早急にこうした複雑なものを一挙にということはたいへん問題があろうかと思いますが、いまの御回答のように簡素化をしていく方向にあるということをまず一応御信用申し上げて、とりあえずそうした定員をふやすとか何らかの方法で患者を待たせないと、こういう措置ができないかどうかということを申し上げたい。これは医務局長さんのほうからも関連してまた御答弁いただきたいと思います。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 私に御質問がございましたので申し上げますが、私のほうの保険の請求書、いま議論になっておりますのは、患者さんがみてもらっていた医療機関が支払基金に出す請求書でございまして、その患者さんが請求書をもらうのに六時間かかったという問題につきましては、ちょっと保険のわれわれの関係からは想像ができないのでございまして、病院自身が何か患者からの御要求で請求書を出すということについてそういう事故があったのではないかと思います。われわれのほうは、患者さんと関係なしに、請求明細書というものは翌月の十日までに支払基金にお医者さんが出されると、それの簡素化の問題でございまして、その辺は今後患者さんとの関係におきましては一部負担の関係が出てまいりますので、その点はやはり関係がございますけれども、そういう点につきまして一応ちょっと御質問がわれわれに了解できませんでしたので、そういうことで、われわれのほうは、医者からあるいは医療機関から支払基金に回る請求明細書の問題につきましてできるだけ簡素化をしてまいりたいというふうに考えております。  病院管理の問題につきましては、医務局長からお答えいたします。

松尾正雄厚生省医務局長

○説明員(松尾正雄君) ただいまおあげになりましたような事例は、単に請求の問題だけではなく、最近の病院の特に外来におきます待ち時間というものがたいへんふえてまいりまして、この点が整理に一番頭が痛い問題でありまして、そういったような関係も一部ございまして請求書のほうも非常におくれてくるという場面が出てきたのではないかというふうなことが第一点でございます。  もう一つは、いままで議論の中心はああいうことでございましたけれども、病院内部におきましても、医療機関内部におきましても、窓口にどういう影響があるかということは、いま保険局長が言っておられましたけれども、従来からやはり心配いたしまして、それが非常に手間がかかるということになれば、御指摘のような負担がかかるのではないか、御迷惑がかかるのではないかという点はいつも配慮しているわけであります。したがいまして、この制度の簡素化ということは、患者さんにとりましても、医療機関にとりましても、また、医療機関から支払基金に出すという操作におきましても、かなり関係した問題でございまして、事実そういう点を改善していきたいと考えておるわけであります。  ただ、私ども、病院等の医療機関、特に大きな病院等におきまして、先生から先ほど来お教えいただきましたような大きな請求漏れがございましたり、あるいは請求の間違いがございましたり、あとで追いかけてまいりましたりという、まことに患者さん並びに家族にとりまして不愉快な問題をいろいろ起こし、また、医療機関がそのために何をやっているんだという不信というものも出てくる。こういう問題につきましては、事務の流れ方というものを前々から非常に気を使ってまいりました。正直なところ、私の経験を申し上げますと、十二、三年前に、国立の医療機関でもかなり大きな請求漏れというものがございました。それも収入に関係なくともそういう実態がございまして、これを何とか改めよう、そういったことで生まれてまいりまして、病院の内部では伝票システムというようなものを大幅に取り入れておりまして、国立機関はほとんど全部とっておりますが、一行為、一つの注射をいたしますと、そのこと自体に一伝票が病棟から書かれてまいる。また、手術室の病室から出てまいります。それがしかるべきところをすみやかに回ってまいりまして、外来でございましたならば、それが受付の事務のところにすみやかにそれが回る。それの行為を計算いたしましたならば間違いなくすみやかにその請求額が出るように、こういうことが中心で実は病院の事務簡素化合理化と適正化ということにつきましては非常に気を配っておるわけでございまして、この点、全国の病院を指導いたしております病院の指導要領の中にもそういうことは特にうたってございます。それからまた、そのためには職員自体がそういう操作についてなれてくるという、このことがどうしても大事でございますので、病院内部でどういうところにそういう事故が起こるのかということを、たとえば、抗生物質、レントゲンフィルム、あるいは輸血でありますとか、適当な事例をとりまして随時自分のところでチェックしていく、そうして物品その他のほうとチェックしながらどこに誤りがあるかということを常時研究を続けるという体制をとらせながら、いわばみずから訓練していく方法も強くお願いしておるわけでございます。ただ、非常に複雑な事務でございますので、不なれな職員が入ったりしますと、直ちにそれを十分こなし得ないという問題があろうかと存じます。国立の私どもの機関におきましては、そういう職員につきましては、随時講習会なりその他の訓練の機会を設けまして、単に医者とか看護婦以外に、そういう事務面からのサービスに遺憾のないようにということで、訓練には非常に意を用いているつもりでございます。私どもとしましても、やはりいま御指摘のような事例がございますので、ぜひ事務簡素化という問題は、医療機関対支払基金のほかに、医療機関と患者との間という問題もございますので、そういう点も考慮して、私ども一緒になりまして努力を続けさしていただきたいと思っておる次第でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いまの保険局長のお話、全然関連のないことを申し上げているわけじゃないのでありまして、いずれにしてもこの点数制度については、ときには全然事務に経験のない看護婦がやるという場合等もずいぶんあるそうでございます。したがって、先ほども問題になりましたように、非常に単純な点数の割り出し方ということであれば、お医者さんのほうとしても間違いは起きないでしょうし、また、患者に対しても間違いを起こすようなことは避けられるであろう、こういう基本的な考え方に立って申し上げておったわけでございますので、全く関連がないことではございません。したがいまして、大橋委員が指摘されたと同様に、私からもそういった問題の基本的な解決というものを早急にやっていただきたい。ただ中央医療協議会の決定待ちということでなくて、努力もされているであろうと思いますけれども、やはりこれは全般の社会的な問題の一つとして強力にこれを推進していただきたい。またそれができたかどうか時をあらためてお尋ねすることもあるかと思いますので、その点はよろしくお願いしたいと思います。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 御答弁はいいですか。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 やるというふうにおっしゃるでしょうから、けっこうです。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いまのに関連があるわけですが、請求事務に要する日数、一カ月間のですね、これを見てみますと、二日から五日間かかるのが二七・五%です。六日から九日間を要するのが四〇%。十日間を要するのが二五%ですね。十日以上を要するのは七・五%あるわけです。そうすると、診療費の請求事務をやるためにこれだけの日にちを要している、こういうようなデータも出ているわけですが、おたくのほうでお調べになって、先ほどからも、いわゆる請求書をもらうのに時間がかかるとおっしゃっているのですから、国立病院か大きな病院かどこかで調べられて、事務員をどれだけ置かなければならないか。たとえば外来がどれだけ、入院がどれだけある場合に、どれだけの事務員を置かなければできないか、私のほうにもデータがありますけれども、お調べになったことがありますか。  それからまた、一体、支払いをする保険事務というのは何の法律によってやっておられるのか。これは、私の調べたところによると、健康保険及び厚生年金保険事務取扱規定案というものを前に出されたことがある、それだけじゃなかったかと思うのです。ですからして、そういうことから考えてみますと、この根拠が非常にあいまいなままにやられている。厚生省として、あるいはまた保険局として、請求業務というものに対してはあまりにも法律の面からいいましても冷淡じゃないかということがこれで裏書きされると思うわけです。  それで、私は考えるのに、医療担当者、それからこれは支払基金に出すわけですから、支払基金、それからまた監督される厚生省、これで何か協議会でもすぐこしらえてもらって、そして、できるものについては、機構の改正だとかあるいはいろんなそういうもろもろの改正を段取りよくぱっぱっとやって、いま渋谷議員からもおっしゃったように、患者に対しても大きな迷惑をかけているだろうし、先ほど医務局長もおっしゃったように、大きな国立病院ですら大きな支払いの請求の間違いをしている。これは、大きく間違っても、少なく間違っても、大問題であります。こういうようなことが行なわれているということでいままでが長く経過されているわけでありますが、いままでの経過による規定の問題やら、それを乗り越えて早くそういうものをこしらえて何かする、これが抜本改正の一部にもつながるのじゃないかと思うんです。そういうことをやらずしてやろうと思えば、とんでもないところへ飛躍して、実態に即しないものになる可能性があると思いますので、少なくとも医療担当者、それから監督される厚生省、それからまた基金のほうへ出すわけですから基金というものくらいが寄ってこうごうしようというものをつくっていかれることが抜本改正の中に入れられていったほうが正しいのじゃないかと思いますし、そういうものをつくって、できるものはすぐやって、そして患者さんにも迷惑をかけない、そしてほんとうにつまらん事務的な手数を省いて、もっと専心して治療業務に当たらせる、このぐらいのことをやってもらいたいと思いますが、その点はいかがですか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 医療機関は、療養担当規則によりまして療養の給付を行なうというふうになっております。療養の給付に要した費用につきましては、診療報酬点数表により算出する。さっき先生がおっしゃいました法律の根拠といたしましては、健康保険法の第四十三条ノ九第二項に根拠を持っております。それから医療機関は、各月分の診療報酬の請求を翌月十日までに社会保険診療報酬支払基金または国民健康保険団体連合会に対して行なう。これの法律根拠は、健康保険法四十三条ノ九、国民健康保険法第四十五条、保険医療機関及び保険薬局の療養の給付に関する費用の請求に関する省令、療養取扱機関の療養の給付に関する費用の請求に関する省令、こういう法令の根拠によってやっております。それから療養の給付に関する費用の請求は、診療報酬請求書に診療報酬請求明細書を添付して行なう。それから基金、連合会は、その請求に対して保険者より委託された審査、支払いを行なう。健康保険法四十三条ノ九、国民健康保険法四十五条、こういう法律根拠でこの支払いの事務が動いておるわけでございます。  それで、前半におっしゃいました請求事務の実態でございますが、われわれのほうにおきましては、いろいろ財政問題とかそういう問題がございまして、事務の点につきましてまで十分な資料は申しわけございませんがございません。ただし、昭和三十九年度の「医療施設調査」及び「支部別医療機関別診療平均日数点数調」、これは支払基金と共同いたしまして支払基金のほうで調べてもらった数字でございますが、同年六月分としまして全国六千三百四十四の病院より支払基金に提出がございました診療報酬の請求件数、これは三百九十四万七千五百十四件でございまして、一病院当たりに割ってみますと六百二十二件ということになります。これを病院の事務職員の平均はどうなっておるかというと、一病院当たり九・一人であります。病院に関しましては、事務職員一人について六十八件の請求がなされている、こういうふうなデータが一つございます。  それから一方、診療所につきましては、昭和四十二年六月分として同じく支払基金を通じて調べました数字によりますと、千三百八十一万八千六百五十九件、ただしこれは乙表の関係でございます、の請求がございまして、五万四千四百九の診療所より行なわれておりますので、一診療所当たりに割ってみますと、二百五十四件の請求がなされております。  なお、大部分の医療機関は国民健康保険団体連合会にほぼ同件数の請求を行なっておりますので、各医療機関の一カ月の請求件数は、先ほど申し上げましたものの約二倍というふうな事務量になっております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 いま申した三機関でやるということはどうですか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 一番冒頭に申しましたように、われわれの事務簡素化の点につきましては、制度面の抜本改正と診療報酬の抜本的適正化が目前に来ておりますので、その体系を見ましていろいろ事務簡素化のまた根本的な改正をやりたいと申し述べたわけでございますが、まあわかりやすいように、たとえば制度面につきまして、これは予想でございますし、単なる私の私見でございますが、制度面の抜本改正がいろいろ議論になります場合に、事務簡素化に関連いたします点といたしましては、医療関係のいわゆる関係団体といわれます団体は、ほとんどこぞって医薬分業ということに賛成でございます。もし医薬分業を実施するというふうな制度面の点で方針が決定いたしました場合には、診療報酬の請求書から薬の関係の記載というものが保険薬局のほうに移りまして、お医者さんのほうは処方箋を発行するということだけになりますので、そういう関連が出ました場合には——医薬分業と事務簡素化と結びつけるのは変でございますけれども、そういう制度面の方針がきまりました場合には非常に簡素化になる。現在の請求明細書の非常に大きなウエートは薬になっておりますし、七千品目にわたる薬価基準に薬が登載されておりますので、この点も一つ問題があろうと思いますけれども、薬の記載というのが非常に大きなウエートになっております。  そういう意味で、制度の面の改正で一定の方向が出ました場合に、それに応じた請求書というものを根本的に考えなければならぬという問題もございますし、それから今後診療報酬の点数も、単なる点数の上げ下げということでなしに、いろいろ抜本的な検討をおやりになるということでございましたら、おそらく甲表と乙表の一本化というふうなのが一つのもう関係者のうたい文句になっておりますし、また、物と技術の分離、いや物と技術の分離は不可能だというのが非常に大きなテーマになっておりますので、その辺の診療報酬体系というものの大体の方向がきまりましたら、それに応じた請求明細書というのは、現行の制度とはがらっと変わった形で検討しなければならぬというふうにも考えておりますので、そういう意味におきまして、抜本改正の一つの方向が打ち出されましたに応じまして、先生のおっしゃるように、当然関係者と、まあこれはおそらく一番先には医療担当者のほうと十分相談しなければならぬと思いますし、その他支払基金の関係者とは十分相談をして、また、おのおのの立場から必要な項目はどれであるかということをきめて、できるだけ簡素化の方向でやっていくというのはもちろんでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 時間がないので、もっとここのところはずっと詰めて話をしなければいかぬと思うのですが、いま、局長は、みな抜本改正云々に転嫁されていくのですが、ぼくは、むしろ、抜本改正の前にそういうことをやることのほうが抜本改正は正しくいくのだという観点から質問させていただいておるわけです。抜本改正を云々されてからきまるのは当然のことでございます。  それからいま医薬分業の話が出ましたが、医薬分業になったら患者さんは別にそれで簡素化されていない。やはり同じ計算を薬局でやるわけです、いまの段階であれば。医者のほうでやって、また薬屋で計算されるのを待って金を払わなきゃならぬわけでありますから、事務簡素化にはなんにもなっていない。場所が二つ変わるだけです、いまのことであれば。それは分業になった時点でもっと別な観点でそういうことを整理されるべきだと私は思うわけなんで、そうしたら局長のおっしゃるように簡素化されると思います。けれども、いまそれまでの間にはこれをやってもらわなければいかぬのじゃないかというふうに私は考えて、そしてこういうようなことで話し合いをしていただく、これがまたひいては抜本改正の中でいろいろ診療報酬のあり方についてもまた一つの方向も出るわけだろうと思いますから、私はこれはひとつ至急やっていただきたいと思いますが、もう一度そのお考え方を聞きたいと思います。  それから同時に、もう時間がないのでまとめて質問させていただきますけれども、小数点の問題です。これも先ほどちょっと話しまして、十二円五十銭で小数点がなかった場合と、あとからとってきた場合の医療費の差はどれくらいになってくるか、その変わり目にどれだけ影響したかということは、それは一ぺんちょっと調べていただいて、いまデータがないとおっしゃっていましたから、あとから調べていただくなり、資料としてお調べになっておったのならば、それを考えていただきたい。  それから小数点の問題は医療協議会の問題になるからたいへんだとおっしゃっていましたが、この問題についても数十億円の影響が出てくるから問題だと、こうおっしゃいます。これも、しかし、特に中央医療協議会の中でも早く審議してもらって、こういうこともひとつやってもらってはどうかと思うので、ひとつそれを考慮していただきたいと思います。  それからもう一つ、三十円以下の薬は薬品名を書かなくてもいいのではないか。それからまた、六十円以下の薬に対しては、六十円以下の薬品名も書かなくてもいいということにすれば三十円のものを六十円に請求されたら困るというような考え方もあるでありましょうが、六十円になるのはどういう主薬を使ったから六十円になるということを明確にしておけば、六十円請求したということが明確になる。それくらいのことで、三十円以下の薬は何剤投与した、注射は何回した、六十円以下はこういう主剤を使ったからこれが三十円以上のものになって、十五円刻み、甲表であれば三十円刻みですから、それがはっきりする。だから、こういうようなことで簡素化できると思うが、こういうことも考えてもらったらいいと思います。  それからパーセンテージで調べてみますと、三十円以下の薬は、これは皮下注射ですが、病院では、入院で三・一%、外来で八・九%、それから有床診療所では一三・七%、無床診療所では二二・九%というぐらいで、ずっと計算して調べると、パーセンテージにおいては非常に少ないですね、占める部分が。ですから、三〇円以下の薬をそういうふうに簡素化するということ自身が、そう全体の医療費には影響を及ぼさないわけです。そのパーセントは、たくさん出しておりますから、詳しく申し上げたいけれども、時間がないから申し上げませんが、三十円以下の薬というものはほんの五、六%なんです、占めるウェートがですね。ですから、こういうふうな問題なんかも考えて、そういう簡素化することは非常に簡単ではないかと、こういうふうに思うわけでございますが、この点についてはどうお考えになるのでございましょうか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 先ほども第一点をお答えいたしましたように、抜本改正とは別に行政の範囲内でできますことはできるだけやりますと。そして、もちろん、その際には、関係者のほうの支払基金なりおのおのの立場のほうもよく聞きましてやってはみたいと、こういうふうに考えております。  それから第二点の一律の点につきましては、これは計算はちょっと不可能でございまして、当時、非常に利害が対立しました中央医療協議会におきまして一律の値上げの要望がございました。そして、そういうことで決定をいたしましたので、厳密に一律のパーセントを掛けた。したがって、引き上げ率を正確にするために結局小数点がついたというのが、当時、小数点がついていなかったところからつくようになったというふうな事情のようでございます。このついたとつかないの小数点の当時の点につきましては問題があると思いますが、現在のついておりますのを今後の中医協の問題としまして全部はずすという場合に、これは四捨五入するのか、切り上げるのか切り下げるのかというような方針の問題が一つあると思いますが、そういうふうな点につきましてラフな計算であればできるだろうと思いますが、まあこういう点はもし必要があれば一定のラフな見当はつけてみたいというように考えております。  それから先ほど申しました中央医療協議会の問題でございますが、御承知のように、先ほど申し上げましたように、中央医療協議会は、抜本的な医業経済調査の結果を待っておられると、まあこういうふうな段階でございまして、今後の審議が開始されましたときには、できるだけこういう点について審議をしていただくようにわれわれのほうからもお願いを申し上げたいというふうに考えております。  それからこれと同じ状況になりますのは、先ほども申しましたが、三十円、六十円の薬の問題でございますが、この点につきましては、乙表が六十円以下の薬剤につきまして平均薬価が四区分になっているという現行制度におきまして、その四区分の確認が非常に困難となりますので実施できないというふうな点があると思いますけれども、診療報酬適正化の検討の際に平均薬価の検討をお願いして、そして中医協へこれをお願いしまして、できるだけそういう点を簡素化するという方向でお願いをしてみたいと思っております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 もう一つあれですが、最近、また、実勢価格を調査したら、薬価基準を十二月に引き下げるという話が出ていますね。卸売り商のほうで調べて、実際売っている価格が何ぼだから、薬価基準をそれに合わせて引き下げていこう、これは当然私はそれでいいんです、その理屈は。しかし、その理屈はいいと思いますけれども、一方では上げていない。これは、私は考えるならば、卑近な例を引いて恐縮でございますが、公務員の方々のベースアップはストップだと。これは医療費というものは三十何年から上げていないわけですから、ベースアップはゼロだ。そして、あんたのほうはいま家族手当だとか勤勉手当を出しているけれども、これは不合理だ、これは切り下げますと、こういうふうにやられたら、公務員の人たちは一体どうなるのか。われわれだけどうしてそんなに切り下げられるのかというふうなことになる。そうなれば、どうも文化的な生活ができぬから、今度はちょっと勤務時間中に原稿でも書いて少し穴埋めしようかということになるかもわからない。私は、いま薬価基準の切り下げをやるということは、そういうことをしいているのじゃないかと思います、例を合わせてみれば。公務員は、ストライキ権がないから、おとなしいから、やむを得ずやっている。医者は、国民の医療、生命というものを預かっているのだから、あまり軽率なことはできない。これも同じような条件に置かれているわけです。だからして、いままで与えておりましたあれは、結局、技術料あるいはそういうものを認めないから、そういう格差で補っているというのが厚生省でとられた最初の実勢価格との差額だったろうと思うわけで、やり方は非常に筋の通らぬことをやっておいて、そうしてこの時期になってきてから切り捨てて、それは厚生大臣の、あるいはまた省令でもって出せばその薬価基準は改正できるんだと。これは中医協でせぬでもいいからやれるからやってのけていくんだということになると、先ほどから申しておりますが、中医協のほうに対しては、いろいろこういうような調査をしているから、それが出てこなかったら出せぬとか、いろいろな問題はあるでしょう。ありますけれども、一方ではそういうことをやって切り捨て御免、こういうことになっては、もしもこれが切り下げをするなんということは、あなたの議論では抜本改正になってからやろうというなら、薬価基準の引き下げもちょっと待つと言っても理屈はそれで合うわけなんですね。そういうことから言えば、いま厚生省で、特に保険局でやっていらっしゃるやり方は、やりやすいところではやっておいて、そうしてそういうところへしわ寄せをする、そうして一方ではやらなきゃならぬことをやらない、こういうことになるから、私はここのところに一つ問題があるのじゃないかと思います。この問題についても十分に考えてもらいたい。薬価基準を引き下げることは、当然けっこうなことだと思います。そんなことは間違っていることで、売買の価格に合わせることは当然だと思いますけれども、合わせることは当然で、やらせるなら、一方でまたそれに見合うことをきちっとやらなきゃならぬと思います。何年間もなんにもしないこと自身も問題があるのですから、そういう関係について局長さんのお話を伺いたいと思います。  それからもう一つ、特例法で薬代の負担を一日分十五円ですか、あれをやり出したときには、免除規定が設けられているのです。あの免除規定も、何といいますか、十分徹底していない。あのときの話では、おそらく七〇%という話がありましたですね。ところが、いま聞いてみると、二四%とか一一・四%とかいうふうな非常に低い率になっている。それは一体何が原因かというと、給与を出しているところからそういう証明書を出していない。あとからそれを請求するのはついめんどうだからということでほうっておくということで、低所得者に対して国がこの法改正のときに取り入れられたところの実際の精神が踏みにじられていると私は思うわけです。それからまた、最近では、こういうトラブルがあるわけです。そのときに持ってきていなかったから、お金を払って、あとからその金を返してもらおうというときに、非常に大きな問題になっているわけですね。ですから、こういうことなんかを考えてみると、こういう問題は、こういう弱いところに対しての配慮というものが少し足らぬのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、時間がありませんから、この二つをお聞きして、これについては終わらせてもらおうと思います。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) 薬価基準の改定の問題につきましては、中央医療協議会におきまして、二年半にわたりまして、診療側、支払い側、公益側委員というのがいろいろ検討をされました結果、昨年の九月に建議書をお出しになったわけでございます。その中で、「今回の診療報酬の適正化は、本年十一月に実施する医業経済実態調査の終了後に実施するものとし、そのためには、すみやかにその具体案につき、本協議会に諮問すべきである。」というふうな趣旨でございまして、その建議の中におきまして、調査の資料なくして適正化できる問題について、それから緊急是正的な要素というものにつきまして建議がございました。それから第二点としまして、将来のはっきりしたルールとしまして、医業経済の実態に関する調査は三年に一回実施するというのが合意されたわけでございます。その中に、一つの柱といたしまして、「第三 薬価基準」というのがございまして、「医薬品の実勢価格を薬価基準に反映させるため、薬価調査を少なくとも毎年一回実施すべきである。調査項目、調査対象等調査の細目については、今後本協議会において検討する。」という建議が出まして、先ほど申しましたように、医業経済の調査は、昨年の十一月に実施されました。それから薬価基準の調査につきましては、この建議のあと協議会を開かれて調査の方法をきめられまして、今年の二月を調査月として調査をされたわけでございます。このときの趣旨からいたしまして、医薬品の実勢価格を薬価基準に反映させるために、中央医療協議会できめた調査方式によって、ことしの二月に調査をする、調査の結果が出ました場合には自動的に厚生省において薬価基準を改正すべきである、こういうふうな趣旨だとわれわれのほうは解しておるわけでございます。その薬価調査の結果が九月の初めに出ましたので、ただいまその薬価基準の改正の事務を進めておる、こういうふうな段階になっておるわけでございまして、先生が例をお引きになりました公務員の手当という問題にしましても、すべての問題が関係者のうちでこういうふうに合意をされたわけでございまして、たとえば引例で申しますと、本体のベースアップの問題は根本的な調査を待ってやる、それから何とか手当については別に調査したものについてできたものから実施していく、この建議はそういうふうにわれわれはとっているわけでございまして、医業経済調査について本体の点数は抜本的に改正する、それから薬の関係の手当に当たる分は二月に調査して、その調査の結果が出れば、それから調査の結果を待って進めていくと、こういうふうな形で、全部並べて、調査、診療報酬の点数の改定、こういうものが一括してこういう建議になりましたので、われわれ医療行政をやっております立場から、利害関係者がお集まりになっております中央医療協議会の建議でございますので、やはりその建議の趣旨に応じてやるべきことは事務を進めていくという立場で準備をいたしておるわけでございまして、この点はひとつ御了承をお願いいたしたいというふうに考えております。  それからあとの特例法の一部負担の点は、われわれ保険局で当然知っていなきゃならぬ問題がございますが、私のほうは企画方面でございまして、実際の実施状況のこまかいパーセントにつきましては社会保険庁でやっておりますので、この点は先生のお述べになりました趣旨を十分実施面の社会保険庁のほうにも伝えまして、誤りのないようにいたしたいと、かように考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 時間がないので、この問題のほんとうの大事なところが詰めにくいわけですが、これはちょっと医務局長も聞いておいてもらいたいんですが、いまのような形にして、きまったものはきまったところにいくと言っておられますけれども、そうしたことが医療協議会で決定されるならば、同時にまた、そういうことも医療協議会にかけるべきではないか。片一方は片手落ちにしておいて、それは抜本改正のときに数年の後にやりましょうと。そして一方ではそういうことをやっていくということでは、公務員の人はおこるでしょう。そういうふうな片手落ちのことをしないで、できるところのものをもっと、先ほどからも言ったように、三者でできるものはやっておいてもらう。と同時に、やはり中央医療協議会に対してもそういうようなものを出してやっていかなきゃならぬと思う。そういうもののしわ寄せは、医務局のほうになれば、医業の実態の中でやはりいろんなところに医療行政に関係してくるのではないかと思います。ですから、私は、そういうことで双方ともこういう問題については協議をして、そしてもっと徹底したものに進めていっていただきたい、こういうことを要望しておきます。もう答えを聞いても同じようなことになるだろうから、特にそれを要望しておきます。

山本杉自由民主党

○山本杉君 さっき、局長が、コンマ以下を切り捨てると言われましたが、これは切り捨てるんですか。

梅本純正厚生省保険局長

○説明員(梅本純正君) コンマ以下の切り捨てをやれば事務簡素化になるのではないかという御質問がございましたけれども、これは中央医療協議会でやっていただく問題でございますので、行政のわれわれのほうの独断ですぐにできる問題ではございませんという御答弁をしたわけでございます。     —————————————

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 今度は、薬務行政についてちょっと伺っておきたいと思います。  これは名古屋で起こった問題でありますけれども、都市計画のために道路が広くなって、薬局の前が取られる、こういう問題でいま非常にトラブルになっておるということで、これは一ぺん厚生省のほうから詳しく報告していただいた上で、いろいろな点をずっと御質問したいと同時に、材料をちょっとそろえてまいったわけでありますが、時間がないから、一〇分ぐらいの間でおも立ったことを聞いておきたいと思います。  これは、様子を見てみますと、土地を取られて、あと残ったのが二十七平米あって、この薬局の設置基準の最低というのは十九・八平米あればいいということになっているわけです。実際からいえば、ここはやればやれぬことはないわけです。また、うしろ側はあき地がある。木村薬局というのがその土地を全部持っておって、それを四等分して三名に貸しておるというわけであります。土地の所有者、家の所有者は木村薬局なんです。これが二十七平米になったから、ここはできないからスーパーの中に入っていくんだと。そうして、スーパーのあるところは、適正配置基準では、百五十メートルの中に薬局があったらぐあいが悪い、こういうことになっておるわけであります。ところが、スーパーができたところには、わずか七メートルかあるいは二十メートルしか離れていないところに薬局が二つある。そういうどまん中へ入っていくのには、ほかの者に迷惑をかけないで入っていかなければならない。もう一つ、端的にいえば、そのスーパーが、薬局を経営せんがために、他の何とかという薬局があって、それには、営業権をそのスーパーにくれたならば三百万円を出しますという交渉をしておった。それが不成立に終わったので、木村薬局に対して話をして、木村薬局は営業がしにくくなったという理由をつけてここへ非常に密集しておるところへ飛び込んでいった。しかも、スーパーマーケットでこれをやり出したという事件なんであります。  こういう過程において、これは愛知県の県議会においても相当問題になっていると思いますから、厚生省でも十分に御調査されておると思いますが、こういうような非常にまずいことをやらしておいて、そうしていろいろな法律上から解釈すればそれが当然起こり得るというふうなことで始末していくということは、法律の悪用であり、また非常に筋の違ったことをやっている。そうして、薬業界の人たちも非常にこれに対してはふんまんを持っておる。だからして、現在では、厚生省のほうに、異議の申し立てというか、何かの申し立てをしておられるようであります。これに対して、厚生省は、現地のほうに対して何か問い合わせを出しておられるというふうな話を聞いておるのであります。そういうことを含めて、この問題を一体どう指導されるのか、ひとつお伺いしたい、それが第一点。  第二点は、これはもうそもそもの考え方が非常に悪い。特に、これは、言うならばいまの環衛局長ですか、金光さんが向こうにおられたころにやってこちらに来られたらしいのでありますが、置きみやげということにみな解釈しておるようであります。ですから、これは私の口からは言いにくいのですけれども、評判では、何か変なことがあるのじゃないか、ああいうふうなことができないのにこういうことを思い切ってやって、こっちにばっと局長になって来られるということに対しては、何かその辺あたりに変なものがあるのじゃないかといううわさがあるということを聞いておるわけであります。それはないだろう、そんなばかなことはないと私は思っておりますけれども、しかし、そういうようなことまでかもし出すようなことがいま行なわれておることに対しては、この問題についてはもっと筋の通った指導をしなければならない。特にお願いしたいのは、いま異議の申し立てをしてきておるわけでありますから、もう一ぺん白紙に返ってこれがどうあるべきかということを地元で検討してもらうように指導してもらいたい。決定されたことだからしょうがない、いま商売はやっておるようでありますけれども、それがあるからそれでいいということじゃなしに、異議の申し立ての調査も依頼してきておられるらしいから、厚生省としては、こういうふうな不愉快な情勢をかもし出すようなことでは、いろいろうわさからうわさを生むということもありますから、これは根本的に考えて、少なくとも一ぺん振り出しに戻ってこの問題を考えてもらってはどうか、こういうふうに思っておりますが、この二点について、時間がないからしぼって質問しましたから、はっきりとお答え願いたいと思います。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○説明員(坂元貞一郎君) 先般起きました名古屋市におきます薬局の移転に伴う一般販売業の許可の問題につきまして、いま先生から申されました大体そういう経緯をたどって、本年の九月、愛知県知事が一般販売業の許可をやった、こういう報告を受けているわけでございます。  そこで、お尋ねの第一点の、厚生省として今後この問題の決着をどういうふうにしてつけていくのかという点でございますが、お触れになりましたように、愛知県知事の処分に対しまして、薬業界のほうで相当反対をしているということでございます。と同時に、また、厚生大臣のほうに、行政不服審査法に基づきます審査請求の手続がとられてきておりますので、私どもとしましては、この問題については、実体関係をさらにもう少し調査をする、よく確認した上で、ほんとうに愛知県知事の処分が妥当であったかどうかというような点を調べてみたい。これは、同時にまた、そのためには利害関係者等の双方の意見なり考え方なり、そういうものを十分聴取いたしまして、この不服審査請求についての裁決にあたりましては慎重にやっていきたい、かように考えております。まだ手続的に不服審査請求書が出てまいりました段階でございまして、弁明書そのほかの手続行為がまだ完了しておりませんので、これから厚生省としましてはよく事実関係を確認をいたしましてから、慎重な配慮のもとに裁決をとっていきたい、かように考えておるわけでございます。  それから後段にいろいろお述べになりましたが、これは私ども公の立場においてはそういうことは聞いておりません。したがいまして、どういうふうなことでそういうようなうわさが出ているか承知しておりませんが、いずれにいたしましても、私情関係等がこの問題に介入することは許されないわけでございます。やはり公私を厳然として正しい意味において施行するというのが都道府県知事の課せられた任務でございますので、愛知県知事もそのような立場において愛知県知事としての判断を加えたものだと思いますが、私どもも、そこら付近も、御意見を承りましたので、十分配慮しながら、先ほど申しましたように厚生大臣としての裁決を慎重にやってまいりたい、かように考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 そこまでの間で、私、いろいろこれから審査をしていただく上においても参考になると思うので、十分御存じだと思いますけれども、補足的に考えを申し述べたいと思いますが、いま申したように、土地はこの木村さんというのが持っておって、そしてそれを四等分というような形で、その四分の一を自分が持っておった、こういう形でありまして、まだ裏にもなんぼかあいている。そして、あと二十七平米のほかにちょっと残っておるというような状態なんですね。ですから、これはほんとうの立場からいえば、この四者が譲り合ってやっていくのが都市計画のときの受ける処置としては一番いい方法だ。ということは、市内でもってこんなところに一足飛びになったということもありますし、それからまた、実際からして今度どこかへ移られる場合に、必ずしもいまの場所じゃなくて、これは西区か何かに属するのかと思いますが、西区か何かでいままでの規定にあまり影響しないようなところも考えれば考えられないこともないんだというような状況でありまして、そういうようなところも、ただ単に公的な一つの権力でもって市場のほうなどに入るのは法律上おもしろくないとか、いろいろ理屈はつけられると思います。けれども、そういう理屈でなくて、法の精神、あるいはいままでの円満な話し合いのお互いに了解のできるような線でこの問題をもう一ぺん考えれば考えられる余裕があるのじゃないか、こういうふうに思いますので、この点を十分配慮して、どうか地元の人たちもあるいは御本人もある程度了解点に達してこれをやっていただけるようにひとつ十分な行政指導をしていただきたい、これを要望して、私の質問を終わります。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○説明員(坂元貞一郎君) いま御指摘の二つの問題、第一点は、木村さんという方が、都市計画事業で道路の拡張をするために立ちのきを余儀なくされて、それから移転の問題が出てきたわけであります。私どもも、都市計画事業等の公権力の行使によって移転を余儀なくされるというような場合等におきましては、できる限り仮換地内で営業を続けるというような指導方針を従来都道府県に示しております。今回の愛知県知事の処分に関連しまして、当初、愛知県のほうも、いま御指摘のような点を申請書が提出される前に木村さんという方に十分指導をしたというような報告を受けておりますが、残念ながら御本人にそれが受け入れられなかったというような点が報告の中に出ております。これは、後段のほうの、かりに移転するとしても移転先を適正なところに選ぶというようなことも県当局としては事前に指導しておるというような報告を受けております。関係業界等の調整とかというようなこともございますし、都市部の中心地等にできる限り移転しないようにするとかというようなそういう事前指導を県当局ではやっておるという報告を受けておりますが、いずれにしましても、そういうことがすべて本人側の了解を得ないまま正式の一般販売業の許可申請がなされたということになっておりますので、確かにここらあたりが一番大事な問題であるという点は同感でございますので、厚生大臣の裁決にあたりましては、十分そこらの御意見も参考にしながら慎重な配慮を加えてまいりたい、かように思っておるわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 一つだけちょっと申し上げておくのを忘れましたが、この問題に対して、審議会がありますね、その審議会にかけていたのですね。ところが、その審議会の決定を待たずにこれを出されたというところに何か問題があるようであります。特に審議会には質問しただけだから答申を待たなくてもいいという見解もあったようでありますけれども、私は、審議会というものがあれば、審議会でももっと綿密にこれを審議されてその意見も徴してやるべきだということも考えますので、これは蛇足になりましたけれども、そうした意味で十分ひとつ今度の場合には地元の薬業界といいますか、薬剤師会といいますか、そういう人たちとももっと十分な話し合いの中でまだいろいろな新しい方法も考えられましょうから、そこら辺を十分な措置をとっていただくことを重ねてお願いいたしまして、私は終わっておきます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 ただいまの問題に関連しまして、二、三お尋ねをしたいと思います。  私も若干の資料を持っております。いまのお話のように、陳情書が、薬剤師会、薬業協同組合ですか、薬種商協同組合等々から薬師審議会に今年の八月二日に提出がなされておるわけであります。いまのお話のように、その決定を待たずに知事が裁決を下した。   〔委員長退席、理事大橋和孝君着席〕 その事情がどうあろうとも、法律的に見れば何ら違法でない、これは当然だれが考えても常識でございましょう。しかし、それで割り切れない問題があるがためにこうしたことが起こっておる。これは名古屋に限らない。おそらく全国的にあるいは共通する問題があり得るのではないか、このように考えられるわけであります。いずれにしても、利害相反する問題でございますので、おそらく当局としても慎重にといま申されたような態度で臨まれているのはけっこうだと思いますけれども、やはりこういう問題が長引けば長引くほど両者とも傷がついて、それでよろしくない結果が生ずることは、過去に起こったいろいろな問題を考えてみましても十分考えられる。  そこで、適正配置の問題でございますが、都市計画法などによる移転、これはやむを得ない。仮換地でできるだけやってもらうという行政指導をおやりになっている。ただ、この問題の背景として、木村さんという方は、都市計画になる直前に、もうすでに、薬局はやらない、こういうことを親しい人に漏らしておった事実もあるそうであります。にもかかわらず、マツオカという薬品会社でございますか、その方に名儀をお貸ししたのかどうか、その辺のこまかいことまでわかりませんけれども、事実マツオカ薬品という看板をかけて開業した。しかし、いろいろな事情もありますし、いろいろな抵抗も考えられるとみえて、やはり木村薬品という看板を小さく、全体の店舗の何分の一ぐらいでしょうか、まあほんとうに形式的なそういう看板をあげて形ばかりとにかくやっているというふうな、見せかけでしょうか、いろいろな見方ができると思いますが、とにかくやっている。こうしたことが今後も許されるとするならば、その適正配置という精神にむしろもとっていくのではないか。厚生省としても、当然、適正配置については十分な努力もされておられると思います。客観的な要素も、いろいろな違いから、一がいにこうこうこうだという結論は出せないにいたしましても、このように明らかに本人がやる意思が全然ないということが一点と、すでにいままでの本人の生活状態から見まして、   〔理事大橋和孝君退席、委員長着席〕 薬局をやっていくだけの能力がないということ、すでに他に職業を持っているということ、こういうことがあるわけであります。そうしたことがあるにもかかわらず、おそらく県知事のほうもそういう陳情書が薬事審議会に出されたぐらいのことは十分理解されていると思うのですが、また、厚生省としても、そういう経緯についてもキャッチされておられると、こう思うわけです。そうした点について、今後は、適正な措置を望む上に、こうしたような場合にどういう対策をとられ、また、行政指導をされていかれるのか、基本的な問題の一つとしてまずその点をお伺いしたい。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○説明員(坂元貞一郎君) ただいま問題になっている点につきまして、まだ私ども十分なる事実認定をやっておりませんので、ただ愛知県知事からの報告だけをもとにして措置している程度でございますので、はっきりしたことは申し上げられませんが、いま先生が申されましたような、全般的な、あるいは今後の基本的な指導方針というような点について簡単にお答えを申し上げたいと思うのでございます。  確かに、薬局等の適正配置の問題は、いろいろ適正配置の条項が法律改正をされて以来、全国的にトラブルがあることは事実でございます。私どもも、もちろんいろいろ事前指導等をやっているわけでございますが、非常に事がもつれてまいりますと裁判まで持ち込まれるというようなケースも間々ございまして、おそらく第一線の県当局の人たちも適正配置問題については非常に常日ごろ苦労しているわけでございます。しかしながら、適正配置問題は、いま渋谷先生が申されましたように、適正配置が法律に認められているほんとうの精神というものがもしゆがめられるような運用がかりにもありましたら、確かにこれは憲法で保障されております職業選択の自由にも引っかかってくる問題でもございますので、基本的には、法律の精神、特に適正配置が認められた法律の精神というようなものを十分に理解し、それが曲げられないように、正しく適正配置の問題が運用されるようにするということが一番大事な点でございますので、私どもも、いままでもそうでございましたが、今後ともこの点については第一線の県当局のほうにも十分にその趣旨を徹底させるように配慮していきたいと思うのでございます。  それから、もちろん、片一方において、薬業界特に薬局等のいわゆる関係団体等においても、適正配置というような法律の権利と申しますか、そういうものを逆に悪用して、既得権擁護というような立場に走っていくということも、これも絶対慎まなければならぬわけでございますので、そういう点も従来から日本薬剤師会等を通じて十分全国の会員に徹底するようにやっておりますし、今後ともわれわれは業界のそういうようなこの問題についての正しい認識、正しい理解というものをさらに強めてまいるように努力いたしたい、かように思うわけであります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 確かに、この法の運用を誤れば、いま局長がおっしゃられたような逆の効果があらわれないとも限らない。それは考えられると思います。しかし、私の知り得る範囲では、零細——まあ零細と申してはたいへん失礼なんですけれども——薬局の方々も相当多数に上る。おそらく、適正配置の精神というのは、そういう零細企業の方々もきちんとした生活が成り立つ、一つの要素としてはそういうことが考えられる。ところが、いま問題になっております木村薬局、それから店舗をどういう条件で貸したかどうかわかりませんが、マツオカ薬品というその会社があるようでございます。一般販売業という名目で借り受けた。けれども、実際には薬品を販売しておる。しかも、八百円以上買った者にはそれ相当の記念品を贈呈していると、こういう事実があれば、先ほど大橋さんが申されましたように、その近辺には、まず正面に薬局が一つ、また南に五十メートルのところにもう一つ薬局、北に五十メートルのところにもう一つ薬局がある。しかも、その地域は、御存じかもしれませんけれども、過密地帯であります。そうしてまいりますと、先ほど申しましたように、当然利害が相半ばする問題が含んでまいりますので、あるいは感情的な対立もそれは否定できない。けれども、そうした企業が成り立つためには、そういう不当な薬局の設立というものは法の精神に照らして行政指導していくのが最も望ましい、こういうふうに思うわけですね。いま申し上げたことは、単にこまかい一つの事実かもしれません。けれども、いろいろなうわさ、それからこういう書類になってあらわれたものを総合してみますと、どうもほぼ事実に近い、こう断定せざるを得ないそういう面があるわけでございます。先ほど、局長は、もう少しく事実関係というものをとおっしゃられましたが、きょうは十一月の五日でございます。もちろん、全国的な仕事を掌握なさるところでございますから、この問題一つにとらわれてばかりおれないという気持ちもわかりますけれども、事柄が事柄だけにまた共通する問題が全国的にもあり得るだろう。こういうことで、今後の薬局全体のあり方を基本的に考える意味からも、この際、ささやかな問題かもしれませんが、やっぱり根本的にひとつ考えていただきたいと、こういうふうに考えるわけでございまして、いずれにしても、この問題については、早急に当局側から行政指導の手を入れていただきたいというふうに思うわけでございます。すでにこの問題に関連して黒いうわさが流れておるとも聞いておりますし、そうなりますと、ますます、まあ変に勘ぐりたくはありませんけれども、何かあるんじゃないかと。これではやはりいま申し上げてまいりました精神に背反すると、こういうことになります。  それからもう一つ、こうした問題が許されるということになった場合、大資本と結びつきやすいという、そういう条件も十分考えられるんじゃないか。まあ金さえあればという、端的にいえばですね、そういうことが当然考えられる問題でございます。もしこういう不当に取得した場所において薬局を開業したと、それでそれが今度大資本と結びついた場合に、一体どういう結果になるか、これはもうおのずと知れたことになるわけでございます。  まあこういうことの関連も一つ含んで、総合的にこれからどういうふうに対処されるのか、対処されるということよりも、これらの問題についての厚生省としての基本的な考え方、方針というものはどういうところに置かれているのか、それをお伺いしてみたいと思うわけです。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○説明員(坂元貞一郎君) 薬局等の適正配置問題でよく全国的に起きておりますトラブルの一つとしまして、いま渋谷先生がお述べになりました、大資本と申しますか、いわゆるスーパー形式の大型店等がからんでおります適正配置の問題があるわけでございます。私どもも、こういう大型のスーパー等の形式でやっております形態のものが全国的に相当現在ふえておりますので、こういう問題については、渋谷先生がお述べになりましたように、零細なる小型の薬局等の権利とか利益というようなものが不当に害されないようにやっていくということが、そもそも適正配置の問題を運用する一番の眼目だろうと思うのでございます。それで、私どもも、従来から、スーパー形式等の薬局が関連しまする適正配置の問題等については、そういう点を十分都道府県等に留意して事を処するようにという指導をしております。いま渋谷先生がお述べになりましたように、私どもも、そういうような方針で、零細なる薬局、薬店等が不当にその利益を害されることのないようにやっていく、こういうことで今後もやってまいりたいと思うのでございます。  たまたまこの名古屋市で起きました問題につきましても、スーパーとの関連が一番事をこじらせた一つの大きな理由にもなっているようでございますので、全国的な問題として、さらにスーパー形式の薬局等の進出については、われわれも、そういう適正配置の基本的な精神なり、あるいは零細なる小型薬局等の正当なる権利の保護、そういうような観点を十分頭に入れまして指導をやってまいりたいと、かように思っておるのでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 こういう委員会等において伺うときには、まあ結論のつかないものについては検討するのもけっこうでしょう。努力をなさることもけっこうでありますが、今回初めて起こった問題でないものにつきましては、当然厚生省としても鋭意検討もされ、かかる問題については、こういうケース、こういうケース、まあいろいろなケースがあると思いますけれども、このように根本的には指導に当たっていきたいと、また、是正もはかっていきたいと、それがあるのかないのかですね。それは、ケース・バイ・ケースで、起こった問題についてそのときそのとき思いつきのように——まあ思いつきと言っては申しわけないんですけれども、そういうようなことで対処されていくのか。一切は法律に準拠してやることは間違いないにいたしましても、どうも結論が出るまでに相当の時間がかかる場合のほうが多過ぎる。その間に、一体、どうするのか。問題はますますこじれる一方です。あるいは薬業界に対しても多大の反響も出てくるでしょうし、また、社会問題にも発展しかねないというふうに心配するわけであります。したがって、いま局長さんに私のほうから強く要望したいことは、とりあえずこうした事実問題が起こっておりますので、大体いつごろまでに見通しをつけられて、そうしてこの問題を一つの手がかりとして今後全国的にこうした問題が起きないように配慮されるのか、そうした具体的な御答弁をいただければよろしいのではないかと思います。

坂元貞一郎厚生省薬務局長

○説明員(坂元貞一郎君) まことにごもっともな御意見、ありがたく拝聴したいと思います。先ほど冒頭に申しましたように、不服審査の手続がまだ全部完了いたしておりませんので、鋭意形式上の手続を完了してもらうように愛知県当局なりあるいは薬業団体等にわれわれも申し入れをいたしまして、手続等の関係で書類の整備を急ぎまして、しかる上において、本件の場合の事実認定が正当であったかどうか、あるいはまた、先ほど申されましたような薬事審議会に一たん意見を聞きながらその意見が最終的にまとまらない間にこのように愛知県知事が許可をしたというような、そこら付近の経緯あるいは理由、そういう問題等について十分な調査なり確認をした上で、早急に裁決についての結論を出したい、かように思っております。確かに、いま仰せのように、この問題についての結論が長引けば長引くほど事態が現地においては混乱するというようなことも十分予測されますので、そこら付近のことも頭に置きながら、事実認定等の問題、あるいは薬事審議会の審議の模様、あるいは双方の御意見等を詳細に具体的にお聞きしながら、早急に結論を出すように鋭意努力いたしたい、かように思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 最後に、いまの局長のことばを御信用申し上げまして、いずれ早急に結論が出るのを待ちまして、その時点であらためて御質問さしていただきたいと思いますので、どうかこうした問題の引き続き起こらないように、当局としても、あるいはものによっては根本的な対策を早急に立てていただきたいことを御要望申し上げまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。     —————————————

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 きょうは厚生大臣にいろいろと聞いてみたいと思ったのですが、やむを得ない事情でいられませんので、そのかわり大臣に質問するようなつもりでお話し申し上げますので、責任のある御答弁をお願い申し上げたい、このように最初にお願いを申し上げておきます。  政府は、社会保障関係費についての考え方、それは社会保障関係費の増大が財政硬直化をもたらす、こういうような考え方で、来年度の予算においても今年度と同様に厚生行政の予算を圧迫しよう、こういうような面がうかがわれるわけです。こういう現状の中でわが国の社会保障を考えたときに、西欧諸国に比べて非常に立ちおくれておる、これは私が申すまでもありません。そういう中で、今後こういう政府の考え方に対してどう大臣は対処していくのか、こういうようなことでこれからいろいろ考え方といいますか、こういった点を中心点にしてお尋ねをしてみたい、こういうように思います。  「厚生白書」によりますと、「広がる障害とその克服」というテーマで論じられております。わが国の経済成長や技術革新によって国民生活はどれだけか向上した、それはだれしも認めます。しかし、その反面、そのためにかえって新しい公害あるいはまた病根を生んでおる、これも事実であります。さらに、病気や貧困などの障害も根強く残っている現状であるということだけは間違いありません。したがって、今後望ましい国民生活を築くには、種々な障害を克服することが前提と、こういうふうに考えられますけれども、これについての政府の考え方、厚生大臣の考え方についてお尋ねをしたかったわけでありますけれども、こういう点についてひとつお答え願いたいと思います。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) 厚生大臣が出席しておりませんので、ただいまの上林先生の御質問に対しまして私からお答えをいたします。  今回の「厚生白書」でも強調をいたしておりますが、望ましい国民生活の確立のためには、ぜひ、山積しております問題、それから今後経済の発展あるいは技術の革新に応じまして増大するおそれのある障害というものを克服していかなければならないということ、それを行ないませんと望ましい国民生活の向上というものは期待できないということを強調いたしておるわけであります。財政硬直化という問題との関連におきまして、特にこういったような障害の克服のための、たとえば社会保障でありますとか、そういうものを含みます厚生行政というものは非常に重要なものでございますから、財政硬直化というような議論を契機にして、いやしくも厚生行政なりあるいは社会保障なりというものに対しての消極的な方向というものが出るということについては、これは避けなければならないというふうに考えておるわけでございまして、本来、財政政策といい、あるいは経済政策といい、いずれも望ましい国民生活を実現するための政策でございますので、その意味におきまして、望ましい国民生活に直結する問題としての厚生行政あるいは社会保障の問題というものは、単に財政の理由ということだけでもって消極的に考えていくということがあってはならないので、これが厚生大臣が平素申されておることでございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 順次順を追ってお聞きしてまいりたいと思いますけれども、では、四十三年度の予算におけるその伸び率は、前年度、いわゆる四十二年度ですね、これに比べますと一七・二%であったわけであります。その中で社会保障関係費の伸び率は一三%というふうに大きく下回っておるわけです。反面、防衛関係費の増大。言うならば時代逆行です。そういう福祉予算削減論を大臣は来年度において容認していくつもりなのかどうか、こういった点をひとつ答えてもらいたい。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) 私どもは、来年度予算につきまして、先ほども申し上げましたけれども、今後の厚生行政の拡大充実ということに向かいまして強く主張していきたい、こういうふうに考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 憲法第二十五条に規定されておりますように、国は積極的に社会保障制度の確立推進に努力すべきである、これは当然であります。政府の姿勢は、これからいいますと、有言不実行である、こう言わざるを得ない。したがって、そういう面からいうならば、これは容認できない、こう言えるわけであります。「白書」でも、社会保障の拡充は経済の安定成長に寄与する、こういうふうに言っているわけです。それで、社会保障費の優先確保による厚生行政は、結局は、国民の資質と労働能力を高め、そうして大きな経済発展の基礎になるということは当然だと思う。こういう立場から、この点についての考え方はどうでしょう。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) ただいま先生が仰せられましたように、社会保障の問題というものは、もちろん人間尊重というような基本的な観点において行なわれるものでありますけれども、これを経済発展ということとの関連において見ますと、社会保障の問題あるいは厚生行政の問題というものは、確かに経済発展なりあるいは社会発展の基礎を確立するというような性質のものであろうというふうに確信しておるわけであります。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 わかりました。  それでは、社会保障を今後整備充実するための具体的なこれからの対策、こういった点についてひとつお答え願いたいと思います。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) 具体的な対策と申しますと、たいへん各般に及ぶ問題でございますが、今回の「厚生白書」におきましては、大体次のようなことを申しているわけであります。  今日あるいは将来に向かって障害というものがどういうふうになるのかということをまず念頭に置いているわけでありまして、いままでの障害の傾向あるいは現在におけるいろいろの生活の障害といったようなこと、これを健康と福祉という面から見ますと、一つには、古くからありました障害、それが問題が片づいているかどうかということが一つの問題でございます。第二は、経済の発展なりあるいは技術革新に応じまして、従来から存在はしておりましたけれども顕在化してきた障害といったようなものに対しましてどう対処していくかという問題であります。第三の問題は、いわゆる公害でございますとか、あるいは交通事故の激化でありますとか、あるいは農薬による被害でありますとか、そういったような従来から知られなかったような障害に対しましてどう対処していくかという問題であります。  そこで、第一の問題につきましては、これは全体としまして、たとえば結核の死亡率の減少でありますとか、あるいは伝染病の減少でありますとか、こういうようなことで逐次改善をしておりますけれども、なおかつ今日社会福祉施設等につきまして基本的な整備がまだ十分でないといったような問題が残っておりますので、こういう問題につきましては、一定の解消計画を立てまして、それに向かって長期計画を立てましてこれの解消を行なっていかなければならない問題と考えております。  第二の問題でございますが、これはいわば顕在化し非常に大量化している問題でありまして、たとえば医療保険の普及等によりましていろいろの病気というものが顕在化をしてまいっております。あるいはまた、貧困といったような問題でも、従来のようないわゆる窮乏に対する問題ということだけではなくして、経済成長に取りおくれるといったようなこと、いわば相対的な貧困というような問題が起こってきているわけでございまして、こういう問題に対処しましては、たとえば医療保険の抜本対策でありますとか、あるいは年金制度の飛躍的な拡充といったようないわば抜本的な対策を講ずることによりましてこういう問題を解決していかなければならぬ問題だと考えております。  第三の問題でございますが、これは当然でございますけれども、新しくできる問題でありまして、あるいは今日においてすらなお予見できないような障害という問題が起こってくるおそれも私ども考えておかなければならないと思っておるわけでございまして、こういう制度につきましては、申し上げるまでもなく、まだ対策というものは十分確立をいたしておりませんので、そういう問題について早急に対策を確立し、かつ、将来の問題につきましてはいろいろ研究等の開発を通じましてこういう問題に対処してまいりたい。  大体、このような考え方のもとに、今回の「厚生白書」におきましては、将来の厚生行政に取り組む姿勢というものを叙述しておるというようなことでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 関連して。今回の「厚生白書」を伺いますと、大体いまおっしゃられたとおりの方向づけ、まあいままでよりは、申しわけない言い方ですが、相当意慾的なものがあると、こう感じられもいたします。しかし、その大半は、去年どうあった、こうあったといういわゆる報告みたいな白書に終わっている。そこで、いま申された当面する問題に対する対策も必要でございましょう。けれども、一例をあげれば、児童福祉制度五カ年計画だとか十カ年計画だとか、あるいはまた心身障害者救済対策五カ年計画だとか十カ年計画という、そういういわゆるビジョンというものがないのではないか。社会福祉国家としてこれからもその成長をわれわれが望んでいる段階におきまして、たいへん大きな問題であります。しかも、庶民に密着するだけにやはり大きな期待を持って見ていることは言うまでもございません。そういう観点で、今後の白書のこともございますけれども、あるいは白書に載らない面と申しましょうか、そういういわゆるビジョンめいた何カ年計画——ほかの省では、たとえば当たらないかもしれませんが、道路建設にしても何カ年計画というふうにございますように、やはりそういうビジョンがあってもいいんじゃないか、こう感ずるわけでございますけれども、関連いたしましてそうした問題についてはどのようにお考えになっていらっしゃるか。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) 「厚生白書」は厚生行政の年次報告でございますので、叙述の中心はやはり過去一年の報告ということに終わっているわけでございます。ただいま先生の申されましたように、将来の厚生行政についてもっと具体的なビジョンというものをできれば年次計画的にそれを遂行すべきではないか、こういう御意見のように拝聴いたしたわけでございます。確かに、私ども、そういうようなことが必要であると痛感をいたしておるわけでございますが、すでに私どもといたしましても、たとえば、屎尿処理施設でありますとか、あるいはごみの処理施設でありますとか、そういったような環境衛生施設につきましては緊急整備五カ年計画といったようなものを過去においてつくりました。また、結核等につきましても、結核撲滅の何カ年計画といったようなものを確立実施をいたしたわけでございます。あるいは、国民皆保険をつくります際に、国民皆保険の四カ年計画といったようなことによりまして問題を解消していく。近くは、国民健康保険におきまして、国民健康保険の七割給付というものを四カ年計画を組んだわけでございます。そのような意味におきまして、個別の分野においてはそれぞれ具体的な計画を将来もやってまいりたいと考えておるわけでございまして、それぞれそれは主管の部局におきまして十分に検討いたしておるところでございます。これからも、たとえば先ほどおっしゃいましたような計画といたしましては、社会福祉の施設の長期計画を近く策定するというような動きになっております。さらに、先ほど申し上げましたけれども、あるいは医療保険の抜本対策といったようなものも広い意味におきまして長期計画的なものであろうかというふうに考えておりますが、したがいまして、いま一度に全部のものにつきまして具体的なそれぞれの何カ年計画というものを立てることは若干の時日を要すると思うのでございまして、個別の分野につきましては私どもはできる限りそういうような計画的に目標を立てまして仕事を進めてまいりたい、かように考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 先ほどから、藤原議員、大橋議員から、いろいろといろいろな角度から社会保障についての話があったわけでありますけれども、結局、予算という問題は非常に大きな問題だと思います。来年度の厚生省関係の予算は、大体二五%増というふうな、こういうことで打ち出されているわけでございますけれども、この二五%というそういうワクの中で実際にいま立ちおくれている日本の社会保障の問題をほんとうに解決できるかどうか。西欧先進国に比べれば非常に立ちおくれているわけです。そして、なお、昭和三十七年に社会保障に対しての総合調整に関する答申がなされているわけですけれども、その中で、その当時の西欧先進国に対して格差を十年縮少できるんだと、この調整によれば、こういうことを言っているわけです。ところが、こういう二五%のワクの中でやっていけということになれば、いつまでたってもその格差は縮まるどころではない、かえって広がっていくばかりである、こういうことが言えると思うわけです。そういった問題を今後どういうふうに処理していくか、西欧先進国に追いつくためにはどういう方法によってそこまで追いついていくのか、その点についての考え方をひとつ大蔵関係の政務次官にお願いしたいと思います。

二木謙吾自由民主党大蔵政務次官

○説明員(二木謙吾君) 御説のように、社会保障の重要性は、国民全体の福祉を増進する問題でありますから、非常な大事な問題でございます。いまお話しのとおりに、西欧先進国に比べればわが国の社会保障の経費は少ないのでございますが、わが国の社会保障の予算といいますか経費も、皆さま方の熱意によりまして三十年の後半期から急に伸びておるわけでございまして、一例をあげてみまするというと、三十年度には社会保障に関する経費が千四十三億であります。それが、四十年になりますと、五千百八十三億、それから四十一年になりますというと六千二百三十六億、それから四十二年は七千二百十五億、四十三年は八千百五十七億、こういうふうに増加してまいっておるのでありますが、これを一挙に西欧並みにするということはなかなか困難な問題があると考える次第でありますが、しかし、わが国の経済が発展をし上昇し、また、国民所得が増す、こういうことになれば、それに順応してわが国の社会保障費もぐんぐんあげていって、そして西欧に負けないような社会保障制度、皆さんとともに念願をいたしておるところの福祉国家を建設せねばならぬ、かように考えておるのでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 関連して。国民経済が伸びてきているんですよ。それで、WHOの調査によりますと、ドイツあたりは、国民所得に対する社会保障の割合が、たしか一九六三年に二〇%くらいじゃないですか、一九・八%。ところが、日本では、わずかにそのときの時点では五・五%。その後伸びて六・五%やら六・三%かに伸びていると聞いておりますけれども、社会保障に対する考え方の根本が違っているのじゃないでしょうか。それは三十年度に幾らだったのがいまこれだけになったとおっしゃるけれども、その間における経済的な変動、こういうものを考え、国民所得の増大等を考えるときに、あまりにも率が低過ぎるのじゃないでしょうか。これで西欧諸国に追いつくということは夢物語のような気がしてならないのです。社会保障に対しての根本的なお考え、これを伺いたい。この前、敗戦国だから日本は社会保障がどうしても思うようにいかないというようなことを言われたのですけれども、ドイツも敗戦国です。日本はイタリアの三分の一くらいの社会保障費しか出ていないのですよ。イタリアも、申すまでもなく敗戦国です。経済力がイタリアよりはるかに上になっている日本で、社会保障に対する考え方というものに問題があるのじゃないか、こう思うのですけれども、いかがでございましょう。  それからいまの時点でどの程度になっているかもあわせお伺いしたい。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) どなたに。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 政務次官に。黙っているつもりだったけれども、あまり得々として言うから。

二木謙吾自由民主党大蔵政務次官

○説明員(二木謙吾君) いや、得々としているのじゃございませんで、三十年の後半からあなた方の非常な御熱意によってこういうふうにふえてまいっておりますということを申したのですが、いまあなたのおっしゃられるとおりに、西欧諸国に比べればほんとうに低い、これを増していかなければならぬという根本の考え方については、同様でございます。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) 確かに、社会保障制度につきまして、先ほどお話がございましたように、最近数カ年間の伸びというものは、社会保障関係費予算というものを見ますと、一般の総体予算に比べまして伸び率は大きいわけでございます。しかし、私どもは、現状でそれでいいというふうには考えておりません。今後ともそれを拡大していくことが必要であるというふうに基本的に考えているわけでございます。  なお、先生のおっしゃいました社会保障給付費の国民所得に対する現在の割合は、大体六・三%という数字になっているわけでございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 厚生省ではずいぶんやりたいと思って努力するんです。要求を出すんです。けれども、きんちゃくのひもを締めておる大蔵省が、社会保障に対する認識が足りないんですよね。国民所得はふえているんですから、それで、同じ敗戦国であって一方は二〇%くらい、わが国でやっと六・三%じゃ、悲しいじゃないですか。ことに、老齢年金に至っては、ドイツが八%くらいで、日本はわずかの〇・三%くらいなんです。これをひとつ考えていただいて、人の命を守る、快適な生活を送らせる、当然やるべき憲法に規定された問題がこうなおざりになっていて、しかもその原因は出し惜しみをする大蔵省にあると私は思う。と同時に、厚生省が弱いんですよ。厚生省、もっと強くなってもらいたい。

二木謙吾自由民主党大蔵政務次官

○説明員(二木謙吾君) 御趣旨は私も全く同感でございます。しかし、わが国といたしましては、現在、公共事業と申しまするか、あるいは道路の建設、鉄道その他あらゆる方面の建設がやはり欧州その他におくれておりますから、そういう方面にも金が要ります。それで、何もかもそれを内輪に見てみな社会保障に持ってきよ、まことにけっこうでございますが、なかなかそういうわけにもまいりませんが、お説の趣旨を体して予算編成には努力していきたい、かように考えます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 関連ですから、この程度にしておきます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 この二五%というワクでございますが、いまも話があったわけですが、二五%という増は、これは社会保障関係の予算としてそれだけが二五%上がっているのか。それだけが上がっているのだというならば、話はわかる。だけれども、そのほかのものもみなつり上がっているわけです。ですから、そういう立場から言えば、これは何も計画に乗った、何年たったら社会保障の関係費というものは西欧諸国に追いつくためにここまで持ってくるのだという、そういう計画のもとに行なわれたものではなくて、したがって、そうだとすれば、それは自然増である、こう言う以外にない。そこで、やはり、いまも話があったわけでありますけれども、社会保障充実のための目標、計画、これは確かになければならない。そういうものが現在のところない。そこで、社会保障が西欧諸国に追いつくためのいわゆるがっちりした計画を立てなければならない。それも、厚生省だけでなくて、もう国自体が全体の立場から横の連携も縦の連携もきちんととられて、そしてこういう方向に向かって、しかもこういう目標のもとにやっていこうと一致した考え方で進めていかなければ、この問題は私は解決しないと思う。そういった点、ほんとうにもっともっと連携をとり合いながら、最も国民生活に密着した問題である。これは、景気がいいとか悪いとか、経済が成長したしないにかかわらず、国民は生きていかなければならない。そういう最も国民につながった問題だけに、何よりも優先してこれを強く取り上げていく、こういう姿勢がなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。そういった点でどうでしょうか。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) 社会保障の全体的な基本をどうするかという問題につきまして、過去におきましても、「経済社会発展計画」の中におきまして、大まかな数字でございますが、国民所得に対する比重というものを引き上げていくというようなことで、一応の数字を計算をいたしておるわけでございます。しかし、その際には、具体的なこれに応ずる対策というものにつきましても、こまかい計画はそこで即応しておりません。私ども、それでは十分ではないというふうに考えておるわけでございます。先ほど申し上げましたが、これからいろいろ抜本的な対策もやっていかなければならないといったような問題もございますし、一時に全体のワクを全部中身をブレークダウンしたようなそういう計画というものはなかなかむずかしい点があろうかと思いますが、個別の部分につきましては、そういう具体的な計画を立て、また、あわせて総体のワクにつきましてもできるだけ日本の現状に即してどのようなワクを設定することが適当であるかというような点等につきましては、今後十分検討いたしまして、計画が実現されるように努力をしてまいりたいと考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 その努力をしていくということについてはわかりました。いま私が申し上げているのは、厚生省だけで考えて計画を立ててやっても、大蔵省の時点でこれが全部削減されてしまうということでは、これはなんにもならない。ですから、そういう点をもっともっとプッシュしていかなきゃならない問題だろうと思うのですけれども、そういったことについて、大蔵省は、そんな自然増みたいな形でなくて、いま申し上げたとおり、社会保障というのはいかに重要であるかということは、これはだれしもがわかることである、そういう立場から、大蔵省は、今後の厚生省の要求に対して、また、要求があるないにかかわらず、重要な問題として、もっともっとこの施策に対しては重点的にこれを予算の面でも反映していくというようなそういう決意を持っているかどうか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。

二木謙吾自由民主党大蔵政務次官

○説明員(二木謙吾君) 社会保障が、まことにいまお説のとおりに重要な問題であることは、申し上げるまでもないことでございますが、いま日本の社会保障を西欧並みに持っていくということについては、これはただ厚生省と大蔵省とだけの取引ではいけない。いまあなたがおっしゃられたように、総合的な計画を立てて、そうしてその年次計画に基づいて国がこれを実施すると、こういうことでなければならぬ。であるから、これに関係しておるところの各省庁で十分連絡をとり、話し合っていく。まず、その計画をきめる。その計画に基づいて年次計画を立てて進んでいくと、こういうことが必要ではないか。あなたの説に私は賛成するものであります。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 よくわかりました。まあこの問題についていろいろともっと突っ込んだ話しをすれば、いろいろあります。非常に常識的なお答えをいただいたわけでございますけれども、それでは次に移ります。  日本の社会保障制度は、一応、児童手当を除いては、体系的にも整備されてきておる、形の上では。だけれども、各種制度がばらばらであるということだけは言えるわけですね。そういったばらばらの制度、まあ年金制度にいたしましてもそうですね。これらを整理統合していく必要があると思うわけです。今後、こういった点についてどういう考え方を持っておるのか、聞かしてもらいたいと思います。

伊部英男

○説明員(伊部英男君) ただいま先生御指摘のように、わが国には相当多くの年金制度が存在をしておるのでございますが、それぞれ歴史的な背景もあり、あるいは目的を持って個々に存在をしているわけでありますが、御指摘のように、これらの年金につきまして相互の調整が十分とられていくということは非常に大事なことであると考えるのでありまして、この意味におきまして、事務次官レベルの公的年金連絡協議会を設けまして、年金制度に共通する問題につきまして政府部内で熱心な討議をいたしておる段階でございますが、直接厚生省の所管をいたしております年金制度といたしましては、労働者に対する厚生年金保険と、自営業者に対する国民年金制度の二つがあるわけでございますが、この二つの制度の均衡につきましては、御指摘のように十分注意をしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 時間も迫ってまいりましたので、先に進んでまいります。  次にお聞きしておきたいことは児童手当ですが、この問題についてはもう公明党としては再三再四大蔵大臣にも会い、また、厚生大臣にも会って、そういう要望をしてきておるわけでございますが、何と申しますか、何となく他力本願的な考え方なんですね。そういうことで、なかなか進まないというのが現状であります。この問題については、各市町村においても、もうすでに実施しておる市町村があるわけです。そういう姿を見ても、児童手当を要望する声は、国民大衆の中に根強く巣くっておる。一日も早く実現してもらいたいという、そういう考え方が強く反映された証拠である、市町村で乏しい財政の中でそれを思い切って行なうということは。これは国民大衆の願いであり、そのあらわれである、こう私は言えると思うのです。ですから、その点、国としましても、この問題については本気になって取り組んでいかなきゃならないし、いままでも、佐藤総理にいたしましても、厚生大臣にいたしましても、四十三年度と、あるいはつい最近の委員会におきましても、厚生大臣は、四十四年度と、こういうふうに実施の期間を明らかにしておるわけであります。そういうことで、国民大衆、国民の皆さんは、ほんとうにそれがいつ実現されるかとみんな待っておる。そういう意味で、これがほんとうにいつ実現されるのかという見通しについてお答えを願いたいと思います。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) 児童手当の問題につきましては、先生も御指摘のように、厚生省といたしましては、再三厚生大臣が早期実現につきまして努力をいたすことにつきまして、当委員会をはじめ、予算委員会等におきましてもお答えを申し上げておるわけでございます。先生も仰せられますように、すでに地方公共団体の中には児童手当と称する制度を実施をいたしておりますものが散見されるようになっておるわけでございます。ただ、現在市町村等におきまして実施をいたしておりますのは、いわば多子貧困といいますか、そういったような対象に対する給付金の支給というような形でございまして、同じく児童手当制度と申しましても、その制度としましては、そのような所得条件のいかんにかかわらず行なうというような制度も構想されるわけであります。いわば社会保障の本格的な柱としての児童手当制度というものにつきましては、私どももやはり所得制限ということを抜きました児童一般に対する手当制度というものをいわば本格的な児童手当制度というふうな考え方で、そういう考え方もかなり強いわけでございます。それらの問題につきまして、先ほど、他力本願と申されましたけれども、現在、学識経験者からなります児童手当懇談会におきまして慎重に議論をしていただいておるわけでございます。何ぶん、非常に大きな制度でございますので、それについての中間的な御意見というものを早期に期待いたしているわけでございますけれども、まだ私どもそれについて意見をいただいておらないという段階でございます。しかし、この御意見は、少なくとも年内には当然出る予定になっておるわけでございます。したがいまして、その御意見に沿いまして、私どもできるだけ早期の実現ということについて努力をしたいという気持ちは全く現在のところ変わっておりませんので、できるだけそういうことについて努力をしてまいりたいというふうに考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 説明ではなくして、まあいま市町村の例をあなたとられて、市町村の場合にはこうである、国の場合には所得のいかんにかかわらずこれを支給したいという、そういう差がある、また、規模も大きい、したがって、これはなかなかむずかしい問題である、こういうような話でありましたけれども、そういう乏しい市町村でさえも実施をしているわけです。もちろん、国から見れば、欠けた面だらけかもしれない。だけれども、住民のために市民のためにそういった制度を設けてこたえていこうというその熱意、これはたいしたものだと思う。国にもそういう熱意を持ってもらいたい。それは、もちろん、国がやる場合と市町村がやる場合とは、財政の規模、そういう面からいっても当然違うわけでありますから、国の考えているようなことを市町村でできるわけがない。ですから、そういった点をひとつ考え違いしないでもらいたい。そういう熱意を持っていただきたいということです。  それと同時に、私のお聞きしているのは、今年中に児童手当懇談会の何らかの答申めいたものが出るであろう、結論が出るであろう、こういうことでなくて、いままで話をしてきた段階で、少なくとも総理も、もう前々から、来年は来年はと言ってきている。厚生大臣も、つい先ごろのこの社労委員会におきましても、四十四年度実施というそういうことをほのめかした。大臣がそういうように言っておるわけだから、少なくとも、国民は、四十四年度からこれが実現されるであろうと、こういう大きな期待を持っていると思う。そういう過程を経てきているわけですから、ほんとうに四十四年度から実施できるのかどうかということを私ははっきりした答えをいただきたい、そういう意味で質問しているわけなんです。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) 前段の点につきましては、私ども、決して、現在の市町村が行なっております児童手当というものが無意味であるとか、そういったようなことを申しておるわけではございませんので、先生のおっしゃいますように、私どもも、児童手当の実施につきましてはいろいろの形がございますけれども、ぜひ熱意をもってやりたいというふうに考えておるわけでございます。決して消極的な態度を持っておるというのではございません。  後段の点でございますが、この点につきましては、明年からということにつきましてここで私から申し上げるということにつきましては、なかなか困難なことでございます。この点は、すでに前回の社会労働委員会におきましても厚生大臣が申し上げましたように、その時点から後において何らの変更があったわけではございません。前回の大臣の御答弁のとおりというふうにお考えいただいてけっこうでございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 わかりました。まあそれ以上突っ込んでも、はっきりした結論は出ないようでございますので。しかし、御承知のように、世界六十数カ国がこの児童手当ということは実現しております。日本は国民総生産が第三位になったと非常に誇らしげにそういったことを言っておるわけです。日本の経済成長、これはすばらしいものである。したがって、現在では世界第三位の総生産力を持っておる。こういう中で、それ以下の世界の六十数カ国においてはこれがすでに実現されておる。こういう矛盾といいますか、こういう姿があるわけです。それほどのすばらしい経済成長、経済力を持っている日本が、よその力の乏しい国でも、すでにベトナムでも実施されているということを聞いております。そういうところで実現できるのに、なぜ日本がこれを何年も何年も国民を欺くようなことを大臣が言わなきゃならないか、そしてこれが実現されないその理由はどこにあるのか、こういうふうに疑いたくなるわけです。ほんとうに、理由としては、私から言わせれば、その実現に対する熱意が政府にないんじゃないか、こう言わざるを得ないのであります。国民総生産は世界の第三位までのし上がったのだと盛んに誇っているわけでしょう。そういう中でこの実現ができないということはない、こういうふうに私はいま考えておるわけです、しろうと考えかもしれませんけれども。そういう立場で、いつまでももたもたしていなければならない理由、原因がどこにあるのかということを私はちょっとお聞きしておきたい。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) わが国におきまして児童手当の発足がおくれましたのは、戦後社会保障制度の整備をしてまいります段階におきまして、いろいろ優先的に実施すべき施策というものが非常に多かったという問題、そして、この問題も重要でございますけれども、戦後早々の間は、いわゆる人口問題といったような観点から、この問題についての実現を危惧するといったような向きも一部にあったということがいわれておるわけでございます。また、わが国で、現実に、賃金制度等の関係におきまして、家族手当でありますとか、あるいは年功序列型の賃金でありますとか、そういったようなものもあったというようなこと、こういうこともまたこの児童手当制度に対する需要というものを顕在的なものにする面においてそういう理由というものがあまり顕在化させるに至らなかったというようなことも過去の背景においてあったというふうに考えられるわけでございます。しかしながら、今日の時点におきましてその二つの要因というものはやや状況が変わってきてまいっておるわけでございまして、これから将来に向かいまして児童手当制度というものを創設する必要があるということについては私どもも十分に認識をいたしておるわけでございます。そのような考え方を十分広く理解をしていただきまして、私どもは、ぜひこれに熱意をもって当たりたいというふうに考えておるわけでございまして、先生のおっしゃいました言も肝に銘じまして努力をしたい、かように考えておる次第でございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 まあ熱意をもって取り組んでいただけることを大きく期待をしておきますが、そこで、先日、財政審議会のどの委員の方か知らないけれども、児童手当については時期尚早である、こういうふうに放言しておるわけです。あたかも児童手当がこの段階に来てこの四十四年度から実施できないのだ、こういうような印象を与えるような発言があったわけです。これはただごとじゃない。こういう不見識なことばに対して、予算編成期以前に、私は、厚生省は、ほんとうは大臣と言いたいですけれども、これに対して抗議を申し入れるべきである、こう思います。こんなことを言ったのでは、四十三年度だ、四十四年度だと言ってきたことが、四十四年度もまたそれじゃ無理なのかという印象を国民に与える大きな原因になります。これは厳重に以後こういう発言のないように抗議を申し込んでおくべきである、こういうふうに私は考えるものでありますが、この点が一つ。  それと、まあそういう誤解を招いた、こう思うので、こういう誤解を招いたような発言に対して、そうではないんだというはっきりした厚生省の態度をここで鮮明にしておかなきゃならない。それでなければ、国民は、財審の委員の言ったことがほんとうであるかのように考えてしまうと、私はこう思うんで、ここで厚生省の立場としてはこれを打ち消すだけの発言をこの委員会でしておくべきである、また、それを発表すべきである、こういうふうに考えますが、どうですか。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) 財政制度審議会でそのような御意見が出たかどうかということにつきましては、私どもも承知をいたしておりませんが、ただ、それは御議論としてそういうふうな御議論があったということであろうかと存じます。私どもは、それに対しまして、児童手当制度というものは今後できるだけ早期に実現をすべきものだというふうな考え方を持っておるわけでございまして、この点につきましては先ほど来申し上げたとおりでございます。その意味におきましても、学識経験者よりなります児童手当懇談会の各先生からこの問題についての公正な御意見を承るということによりましてこの問題を進める方向に行きたいというふうに考えておるわけでございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 問題を変えまして、老人福祉の問題についてお尋ねしてみたいと思うんですが、総合福祉対策を見ますと、あまり進んでおりません。それで、先日、厚生大臣が、老人の年金の問題ですか、二万円説ですね、まあ今後十年か十五年、二十年かしらないけれども、いつ実現されるかわからないけれども、二万円ということを言っております。この二万円ということはいつ実現されるのか。現在の段階で実現されるならば、非常にけっこうなことだと私は思う。だけれども、保険料も値上げされてそれが十年、二十年後にはじめて還元されるというこういうことならば、一つも魅力のない政策であり、そんなものは何の役にも立たない。ですから、いつの時点からこの二万円ということを実現するのか、また、されるのか、そういった点を明らかにしてひとつお答えを願いたいと思います。

伊部英男

○説明員(伊部英男君) 厚生年金保険の制度につきましてはおおむね五年ごとに財政再計算を行なうことになっておりますが、その機会に給付につきましても再検討いたしまして相当大幅な改善を行なっておるというのが従来の例でございます。そこで、厚生年金制度の財政再計算期が四十四年になっておるのでございまして、このため昨秋以来社会保険審議会の厚生年金部会を中心に種々御議論が行なわれまして、ただいま御指摘のような形で去る十月十七日に厚生年金保険部会から中間報告としての意見が出たのでございます。その中身におきまして、「次の財政再計算期までに現実に発生する年金受給者を頭におき、概ね二万円見当に引き上げることに略意見の一致をみた。」ということがあるのでございます。厚生省といたしましては、この御意見をいただきまして、ただいまいろいろ具体案の作成に当たっておるという段階でございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 じゃ、いま考えているのだということなんですけれども、先ほど申し上げたように、現在給付を受けている人たち、この人たちが二万円もらえるような話ならば、これは非常に魅力ある話だ、また、政策だと思うのだけれども、これが十年先だ、二十年先だということで、その時点ではじめてこれが支給されるようになるんだということなら、当然経済情勢も変わってくる、あらゆるものが変わってくるわけですから、何の魅力もない政策になってしまうということが言えるわけでして、そういう立場から、この二万円は、私から言わせれば、現在給付されている人、それを対象にして二万円の支給をやるんだと、こういうふうになってもらいたい、こう思うんですが、この点はどうですか、はっきりしたお答えをひとつ……。

伊部英男

○説明員(伊部英男君) 二万円の実現の時期につきましては、実はこの審議会の中でもいろいろ御議論がございまして、たとえば、資格期間二十年でこの法律——厚生年金法の改正法施行の際直ちに実現をせよという御意見、あるいは、特に資格期間が二十五年ぐらいの方が今後多くなってまいるから、そういう方々が次の財政再計算期までに二万円をもらえるようにすべきであるといったような御意見がいろいろございまして、これらの点は、保険料等も計算しつついろいろ検討しておるわけでございますが、ただいま御指摘のように、十年、二十年先の年金受給者が二万円となるという意味ではございません。ここにございますように、いろいろの意見が出ておりますが、現実に発生する年金受給者を頭に置いておおむね二万円を考えるということでございます。この場合、改正法施行の際直ちに二万円が出るか出ないかということは、具体案を作成しておりますので、この時点でまだ申し上げる段階に至っておりませんが、考え方といたしましては現実に出るということを念頭に置いております。  ただ、国民年金につきましては、拠出制の年金が三十六年に始まってまだ七年でございます。厚生年金は二十七年たっているわけでございますので、その点いわば兄貴分その間に相当の格差があるわけであります。そこで、国民年金につきましては、同じく中間報告としての国民年金審議会の意見にもございますけれども、直ちに発生するという年金には国民年金ではまいらないと思います。しかしながら、先ほど御指摘がございましたような線で、国民年金につきましても、たてまえとしての年金は厚生年金とのバランスをとっていく。これは七年と二十数年の差がございますので、一挙に同じにするというわけにはまいりませんけれども、これは急速に追いつく努力をしてまいりたい、かように考えているわけであります。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 わかりました。結局、先ほどから申し上げているように、御承知のように物価の上昇も非常に高い率で年々その上昇率が高まってきている、こういう見通しからいえば、長く何年もたってから二万円の支給ということになればあまり意味がない、現在の時点ならば確かに大きな一つの魅力である、こういうことが言えるわけであります。そういった方向でひとつ検討し、また、その実現方をはかっていただきたい、このように強く要望しておきます。  それと同時に、最後に、私ども公明党におきましては、社会保障基本法というものを提出したい、こう考えております。「厚生白書」を見ますと、社会保障の充実ということが非常に強調されているわけです。そういう面とあわせて、わが党の社会保障基本法の内容に対して厚生省としてはどのような考え方を持っておるか、そういった点について一言お答えいただきたい。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) 全体につきまして今後十分検討をさせていただきまして、意見を固めたいと思っております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 ちょっと一言。国民年金ですけれども、拠出のほうだとまだはるか先なんですね。それはまずあれといたしまして、無拠出年金でございますけれども、千七百円ではあまりに時代に即応しないと思うのです。これは今度どの程度に引き上げられる予定でございますか。  それから二万円というのは、これはやはり夫婦でということになるのですか、これもあわせてお伺いしたい。

伊部英男

○説明員(伊部英男君) 老齢年金の引き上げにつきましては、これも年金制度全体の問題としてただいま案を練っておる段階でございます。厚生省といたしましては、財政事情を勘案しつつ、つとめて引き上げをはかってまいりたい、このように考えております。  それから……

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 夫婦でですか。

伊部英男

○説明員(伊部英男君) 失礼しました。現在の厚生年金では、妻が加算の対象になっておるわけでございます。それから国民年金では、夫と妻がそれぞれ独立の被保険者になっております。したがいまして、そういう関係で、やはり年金制度を考えます場合におきましては夫婦単位で考えるということを基本線にしてまいってはどうかということがただいま研究の課題でございます。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 夫婦で二万円ということは、ちょっとごまかしのような気がするんです。じゃ、だんなさんが死んだらどうなる。今度は一万円……もっとその点をはっきりしてもらいたいことが一つ。  それから来年度はそれでは福祉年金のほうは見送りなんですか、これを一つ伺いたい。  それから先ほどの児童手当の問題ですけれども、これは特に自民党の実力者としての政務次官に聞いておいていただきたい。三年前の参議院選挙に、自民党では、「すべての子供に児童手当を月三千円」、こううたってあるんです。ところが、その後、選挙が済んで計算したら、すべての子供に三千円だと九千億になる。びっくらしちゃって引っ込めたらしいんです。ところが、また選挙が近づくとちらほら出してきて、四十三年度に実施するようなことを言って、それがまた四十四年度、それがまた今度もだめらしいんです。こういう国民をだますようなやり方はやめてほしい。それから、すでにいま上林さんからお話がございましたように、世界六十二カ国が実施しているんです。日本で実施できない理由は私はないと思うんです。これはやる気があればできる。やはり子供は親がみるもんだというような古い考え方が残っておるから、こういうことになるんだろうと思う。もっと、経済力第三位ならば、もう少しこの点も考えて、早急な実現を私はお願いしたい。  それから厚生省にお伺いしたいのは、すべての子供を対象にということに私は理解し、私たちもそれを主張しているわけなんです。最近ちらほら被用者とかなんとかというようなことが出ているんですが、厚生省としてはどういう考えでやっておいでになるか。私は、ぜひ、子供のことでございますから、すべての子供に実施されることを強く主張いたしております。そのお考えをそれぞれお聞かせ願いたい。

二木謙吾自由民主党大蔵政務次官

○説明員(二木謙吾君) 児童手当の必要については私も同感でございますが、ただ、児童手当は、医療保険制度あるいは年金給付の充実等、いろいろな社会保障にも問題があるわけでございますから、ただいま厚生省からもお話がございましたように、十分これは社会保障全般的にわたって検討をするということが必要であろう。幸いに、いま児童手当懇談会においてこれを研究いたしておりますので、その結論を待ちましてひとつ考えたい、かように考えております。

伊部英男

○説明員(伊部英男君) 来年度の福祉年金の改善につきましても、ただいま年金制度全体の改善の一環として検討いたしておる段階でございます。厚生省といたしましては、来年も福祉年金を改善したいと考えております。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 予算要求をしているのですか。

伊部英男

○説明員(伊部英男君) まだ年金全体の予算化、要求する段階に至っておりません。したがいまして、全体の要求の中で福祉年金の問題も取り上げることになると思いますが、この中では福祉年金についても改善をしたい、かように考えております。  それから先ほどの、夫が死んだらどうなるかということでございますが、老齢年金受給者が亡くなった場合には、遺族年金になるわけでございます。遺族年金は原則として老齢年金の二分の一でございますが、ただ最低保障がございます。最低保障も今度の改善の機会に相当大幅な改善が行なわれると思いますけれども、いずれにしても、老齢年金受給者が亡くなった場合には遺族年金と、こういう仕組みでございます。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) 児童手当の対象でございますけれども、先生のおっしゃいますように、被用者あるいは被用者以外の子弟につきましても児童手当制度は必要だというような考え方で検討をいたしておるところであります。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 すべての子供にですね。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) 先生のおっしゃいますのは、第一子から順次ということでございましょうか、それとも、被用者あるいは被用者以外と、後段のほうでございますか。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 両方です。

首尾木一厚生大臣官房企画室長

○説明員(首尾木一君) この点につきましては、いろいろ意見がございまして、懇談会あるいは諸外国の例等におきましても、二子から実施する、あるいは第一子から実施する、こういったようないろいろ制度があるわけでございまして、こういったような問題につきましては懇談会の御議論をまちまして最終的に厚生省としての考え方というものをきめたいということになっておりますので、ただいまのところ先生の御質問に対しましては私ども十分検討いたしておるところでございます。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 本日の調査はこの程度にとどめておきます。  次回の委員会は十一月二十一日午前十時から開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十九分散会

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