P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
59回国会参議院1968/10/08

社会労働委員会 閉会後第2号

発言数
183
登壇者
12
会派数
3
開催日
1968/10/08

会議録

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  社会保障制度に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 四十四年度の厚生省の予算要求ですが、大体来年度四十四年度は二五%増し、こういうことを聞いておりますが、特に聞いてみたい点は、保育所の建設問題、こういった点についてお尋ねしてみたいと思います。  そういったことで、二五%増という一つのワクにはめた考え方、特に社会保障関係は重点施策の一つに掲げられている、それを二五%のワクの中にはめ込んでしまう、こういう考え方は正しいかどうか、こういうことなんですが、これでは十分な施策がなされない、こういうふうに感ずるわけです。こういう点について、主計官の考え方についてお答え願いたいと思います。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 御承知のように、予算には全体的な財源というものがございまして、全体としての財源の伸びには多く期待できないわけでございますので、予算の規模の総額にもおのずから限度があるところでございます。したがいまして、従来から、財政当局といたしましては、各省庁が要求の段階で、財政支出の優先度と申しますか、そういうものを御判断いただいて、要求内容を重点的に整理して、財源とあまりかけ離れた要求を行なわないようにしていただきたいということで、先ほど御指摘になりましたように、去年でございますと二割五分、ことしも二割五分というような一応のワクをきめておるわけでございます。こういうふうにいたしまして予算編成作業の合理化、円滑化、能率化をはかってまいりたい、こういう趣旨でそういうことで従来からやってまいった次第でございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 一応の理屈はわかりますけれども、重点政策に掲げておるというそういう立場——なるほど、金の面からいえば、平均に振り当てているというようなそういう姿、二五%なら二五%でやっていく、そういうようなことでなくて、重点政策に掲げておるわけですから、何らかのそこに相違が出てこなければならない、ほかと対比して。そういった点が、すべて同じようなワクをきめてしまえば、同じようなあり方になってしまうわけですから、二五%ということはどういうところに重点政策としての性格が盛り込まれておるのか、こういうことが私は聞きたいわけなんですね。一応あなたの理屈はわかりますけれども。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) ただいま申しましたように、二割五分というのは各省庁全体のワクでございまして、その中で当然各省庁といたしまして優先度を判断して重点的な要求をしているわけでございます。また、私どもといたしましても、査定にあたりまして当然重点的に考えておるわけでございまして、先ほどお触れになりました保育所の関係につきましては、保育所の措置費でございますが、四十三年度は二百十六億円を計上いたしておりますが、これは四十二年度の百七十三億に対しまして二四・九%、約二五%近い増となっております。そういうことで、財政支出につきましては優先度を判断いたしまして重点的にやっているわけでございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 そうしますと、愚問かもしれませんけれども、ここで一応二五%増ということで、これが全部受け入れられれば、例年に比べて施策の点についても例年よりも充実したものができるかもしれない。しかし、査定の段階でこれがそれ以下になる場合が考えられる。こういった点ではどうですか。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) その点につきましては、何ぶん全体としての財源の制約がございますし、それから各種のいろいろな経費のバランスもございますので、なかなか各省庁の要求どおりというふうにまいらぬ点がございますが、できるだけ限られた財源の中で施策の優先度を判断して重点的に予算編成をやっているつもりでございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 この質問の最後としまして、いまの話はわかりました。だけれども、社会保障関係は国としても重点施策の一つです。ほかとのバランスというものはありますけれども、その中で最も重点的にこれを扱っていこうというような考え方を現在主計官が持っておるかどうか、こういった点はどうですか。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 社会保障関係の予算につきましては、従来とも財政当局といたしましても重点政策の一つとして取り上げておりまして、年々予算も相当な増額を見ておることは御承知のとおりだと思います。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 それでは、いわゆる期待を持って見ていてもいいということですね。では、次へ移ります。  次に聞きたいことは、保母の処遇改善の問題です。この問題も情勢はあなたもよく知っておられると思いますけれども、無資格の人がそういう任に当たっておるとか、あるいはまた、保母養成の対策がきわめて不十分であったり、そういうようなことでなかなか保母の確保ができない。そういったところに、保育が今後——現在すらそうですが、今後ますますそういった面で行き詰まりをきたしてくるというふうに考えられるわけです。そういった保母の現在の不足数、そして今後充実さしていくということについては、どうしても保母の処遇改善をやっていかなければその充実をはかれない、こういうふうに考えるわけです。今後、いろいろな面からの改善ということは考えられておるようでありますけれども、こういった点について主計官はどのように考えておられるか。保母の処遇改善の問題です、予算の面からの。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 保母の処遇改善につきましては、従来とも配慮したところでございまして、たとえば先ほど申し上げました四十三年度の保育所措置費の中におきまして、保母さんの給与改定の金といたしまして十七億円余り、それから保母さんの数をふやす、数をふやしますと当然保育児童の処遇改善にもなりますけれども、それだけ保母さんの労働の軽減にもなるわけでございますが、その分といたしまして約二億五千万というような額を計上いたしております。  なお、保母の養成につきましては、保母養成所に対しまして補助金を支出しておりますし、あるいはそこで勉強いたします保母さんにつきまして修学資金の貸与ということで補助金を出しております。その補助金も、いずれも例年増額してきておるところでございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 それでは、次の問題に移りたいのですが、三歳児の受け持ち児童数の問題ですが、この問題も、現行では二十五対一、こういう割合になっております。今度これを二十対一というようなことで要求をしておるようでありますが、二十五対一というのは、どう考えても、だれが考えても、これはそこには非常に無理が生じてくることは当然であると感じられるわけであります。栃木県あたりでは、十五対一ということで国に対して要望をしてきておるわけであります。こういう問題について、二十五対一を二十対一あるいは十五対一に持っていこうとするならば、当然そこに大幅な予算の問題が生じてくるわけですが、こういう点で主計官はどういうようなこの問題については考えを持っておるのか、お尋ねしておきたいと思います。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、保母さんの定数改定につきましては、従来からいろいろとやっております。たとえて申しますと、三歳未満の子供さんを預かる保母さんにつきましては、三十六年度は十対一でございましたが、三十七年度は九対一、四十一年度は七対一、四十二年度は六対一というように改善をいたしてまいりました。  それから、先ほど御指摘がございました三歳児につきましては、従来は三十対一という基準でございましたが、四十三年度の予算におきましてこれを二十五対一に改定いたしました。先ほど申し上げましたように、これに必要な経費約二億五千万円というものを計上した次第でございまして、漸次改善をはかっているところでございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 その点もよくわかりますが、来年度において二十対一あるいは十五対一、そういうようなところまで持っていくだけの確信を主計官は持っておられるのかどうかということをお尋ねしたいわけです。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 来年度予算の問題につきましては、全体としての財源の制約もございますし、いろいろな経費のバランスもございます。たとえば、児童関係の予算でございましても、保育所ももちろん重要でございますが、そのほかに、重症心身障害児でございますとか、精神薄弱児でございますとか、肢体不自由児でございますとか、いろいろ気の毒な子供さんがおられるわけでありまして、そういう方に対する対策の需要も非常に多いと思います。したがって、私どもといたしましては、そういういろいろな御要求、御要望を判断いたしまして、今後慎重に検討してまいりたい、かように考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 はっきりした結論は出ないかもしれませんけれども、その点は、常識的に考えましても、現在二十五対一ということは、たいへんな仕事になってくるわけです。年々それが改善されてきていることはよくわかっておりますけれども、まだまだその点は足りない。そういったところから、特に仕事の負担が大き過ぎるために、保母が耐えられない、こういう問題が生じてきておるわけです。当然これは解決していかなければ、今後の保育ということに大きな支障を来たしてくる、こういうことが言えるわけであります。なるほどいろいろな重要な問題はあるでしょうけれども、この問題の立場でやはり最も重要な問題であるということを十分に考慮した上で処置されることを要望いたしておきたいと思います。  次に、老朽した保育所の対策です。もちろん新設も十分ではないわけでありますけれども、特に老朽した保育所、これをそのままに放置しておくわけにはまいりません。当然改善していかなければならない。場合によっては生命を脅かすような危険も伴ってくる。したがって、早急にこれを解消していかなければならないということは当然であります。これを改築するにしましても、国の補助基準は非常に低い。新設もともに同じでありますけれども、その補助基準が低いために、これがなかなか進まない。当然そのしわ寄せを食うのは末端の市町村でありまして、国の補助基準単価ではとてもこれをまかない切れない、こういう面があるわけです。厚生省としては、来年度四十四年度においては、現在の一律百万円というこの基準を二百万円まで持っていこう、こういうようなことで要求しておるわけでありますが、主計官はその点についてどのような考え方を持っておるか、それを実現さしていこうという意欲をあなたの立場でお持ちであるかどうか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 保育所を含めまして社会福祉施設の整備につきましては、私どもといたしましては予算を一括して計上いたしております。四十三年度は三十六億円でありまして、四十二年度の三十三億円に比べて三億円増額いたしておりますが、その中で、保育所、それから精神薄弱児の施設でございますとか、肢体不自由児の施設でございますとか、あるいは、老人の関係にまいりまして、養護老人ホームでございますとか、特別養護老人ホームでございますとか、そういうものを優先度を判断いたしまして厚生省のほうで予算を配分する、かようなたてまえになっております。私ども承知しておるところにおきましては、保育所につきましては、何ぶん御要望が強い点もございまして、新設の場合の補助単価が百万円になっておるように聞いております。しかし、これも、前年度は小さい施設につきましては七十万円でございましたのを百万円に上げたようなわけでございますが、そういう全体の配分の問題でございますので、厚生省当局とも相談いたしまして今後とも検討してまいりたいと考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 お話はよくわかるんですが、実情はやっぱりこれはなかなかたいへんです。御承知と思いますけれども、一つの保育所をつくるとすれば、百万やそこらでは、二百万や三百万の建物というのは考えられない。そこに土地を含めればたいへんな額になるわけです。それが全部市町村にあおりがかぶってくるわけです。こういった立場から、いままでの百万円というのは決して多いものではない。二百万円に引き上げられたとしても、これは多いとは言えない。今後のいわゆる時代の趨勢といいますか、社会情勢といいますか、経済情勢という、あらゆる観点からいっても、保育所の増設ということは今後大きな課題になってくる大きな問題点である。これは私が言うまでもなく御承知のとおりでありますけれども、そういうことでありますので、やはりその辺の隘路を国はもっともっと積極的に取り組んでこれを市町村に対して援助をしていかなければ、国の施策としていくらかけ声だけはかけてもさっぱりその実体としては進んでいかない、こういう逆の面が出てくるわけです。こういうふうに考えられますが、厚生省としては、来年度、これらの問題に対して一施設に対して一律いままで百万円を二百万円まで引き上げていこうと、こういう考え方を持っておるわけです。問題は、最終的に大蔵省のほうでこの査定の段階でどうなっていくかということが問題なわけで、その点を私は強く要望したいわけであります。また、その点の考え方について、一応のいま話はわかりますけれども、その辺についての主計官の熱意、ここまでもっていこう、こういう要求が出ておる、これに対しては二百万は無理だけれども百五十万なら百五十万まで、とにかくその辺のところまで持っていこうというようなあなたに熱意があるかどうか。ただ計算の上だけでもってさらっとやるということでなくて、やはり国の施策を一つ一つ推進し、国民にこたえていく立場として、そういう立場からこの問題をどう考えているか、どの辺まで持っていこうという考えを持っておるのか、そういった点についてひとつ聞かせていただきたい。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 先ほどお答え申し上げましたように、社会福祉施設の整備費につきましては、保育所で幾ら、あるいは養護老人ホームで幾らというようなこまかい積み上げをいたしませんで、全体として金額を計上いたしております。その金額は例年ふえてきておりまして、四十一年度は二十九億でございましたが、四十二年度は四億増の三十三億、四十三年度は先ほど申し上げましたようにさらに三億増の三十六億というようにふえてまいっておるわけでございます。そこで、その中で、老人の施設に幾ら、あるいは保育所に幾ら、精神薄弱児の施設に幾らというような組み方は厚生省の実行の問題、配分の問題でございまして、その配分の段階におきまして先ほど御指摘のような単価の問題もあるわけでございますが、この点はまた予算査定とももちろん関連するわけでございますが、主として配分なり実行の問題でございますので、厚生省当局とも十分相談いたしまして検討してまいりたいと思っております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 その辺のところなんですね、私の聞いているところは。こまかいことは検討されないでいわゆる予算が決定されている、こういういまのあなたの言い方なんですけれども、それでは何にもわからないじゃないかと、こう反駁したくなるんですね。やはりそういうこまかいものの積み重ね、これがあってはじめて予算というものはきまってくるのじゃないか。少なくとも、先ほどからいっているように、重点施策の一つとして掲げられている。そういった問題に対して、やはり重点施策の一つとして考えられている問題だけに、この問題についてはそういうこまかい一つ一つの積み重ねがあってそうしてはじめて適正な予算というものは確立されていくのじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、あなたの話を聞いていると、そういったこまかいことはかまわない、何年度は三億増額したのだ、何年度は幾らなんだというような全体的な立場から大ざっぱにそういうような話をされておりますけれども、私は、そうでなくて、その辺のこまかい積み重ねをしていってはじめて予算というものが明らかになる、そうしてまた適正な予算がそうでなければ組まれないのじゃないか、こう言いたいわけです。そういう立場からその点を申し上げているわけで、二百万ということに対して、二百万は無理だけれども百五十万までは考えているんだ、あるいは百三十万までは考えているんだという、そういう一応のこまかい点まで見通していかなければ予算を組む場合においても組めないのじゃないか、こう考えるわけですけれども、その辺のところがちょっと考え方が私と相通じないものがあるような感じがするんですが、そういった点を私はお尋ねしておるわけですがね。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) もちろん、予算額をきめます場合には、いろんな面からこまかい検討をいたすわけでございますが、ただ、実行の場合には、厚生省といたしまして、精神薄弱児とか肢体不自由児とか、そういう特殊な施設に重点を置く、あるいはまた、保育所の場合におきましても、数のほうに重点を置くか、単価のほうに重点を置くか、その点につきましては実施官庁としての厚生省の御意見を十分尊重して実行してまいっておる、そういう意味でございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 では、次に、公立の保育所とそれから私設の保育所があるわけです。公立の場合には、赤字が出れば、それに対して補助が出されて、これでまかなっていく。だけれども、私設の場合には、どの私設の保育所も全部が全部といっていいくらい赤字になっておるわけです。それで、保育単価の問題になってくるわけですが、こういったいわゆる私設の保育所に対する保育単価、こういった問題は、今後やっぱり十分考えていかなければならない問題ではないかと思います。もちろん、行き方としては、公立に順次切りかえていく、こういう考え方を持っておるかもしれませんけれども、現在の時点でいわゆる保育所というものが社会から大きく要望されている今日、国の施設も当然十分ではない、そういう中で手助けをしてくれているのがいわゆる私設の保育所です。こういった私設の保育所に対する保育単価、こういった問題をもっともっと考えていってあげなければ、この赤字はますます増大していくばかりだ。しまいにはどうにもならなくなってしまう。多少の増額が見られていることはわかっております。だけど、それでは赤字を消していくだけの、また、赤字を出さないだけの、それには間に合わない、いま国の単価の上昇率では。そういった点を私は十分に考えていかなけりゃならないと思うわけであります。主計官は、その点について、今後予算面でどういうふうにこれを処置していくかといいますか、その点をひとつ答えてもらいたいと思います。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 民間施設につきましては、ただいま御指摘のように、いろいろな特殊性もございますので、経管調整費という形で昭和四十一年度から事務費総額の三%を民間の分だけ加算するということを始めたわけでございますが、四十二年度はこの三%の率を五%に引き上げております。そういうような形で民間施設につきましても予算面で充実をはかっているわけでございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 その三%を五%に持ってくればどのくらいの赤字が解消できるのか、そういった点はどうですか。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) たてまえといたしましては、赤字分を見るというたてまえではございません。全体の事務費総額につきまして五%の分を加算いたしまして、それによって全体としてまかなっていただきたい、こういうことになっているわけでございます。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 もちろん、ことばのあやで、いままでの赤字を解消していくその予算を組めと、こういうように解したかもしれませんけれども、そういうことでなくて、現在赤字である、それを放置しておけば今後ますますその赤字が増大していくわけです。少なくとも、現時点で、それを食いとめていくだけの対策を講じていかなけりゃならぬ。もちろん、営利事業じゃありませんで、当然もうけるということはできない。結局は、その措置等が低ければ、当然その中から赤字が出てくる。もちろん、保母の待遇改善も、したがって、なされるわけがない。したがって、私設の保母は次々と高いほうに流れていく。これは当然です。そういう中で、いろいろな面で私設の保育所というのは困難を生じてきているわけです。そういった問題を、五%に上げたからこれは解消できると。ほんとうに解消できるのかどうか、年々起きてくる赤字を解消できるのかどうかということを私は聞きたいわけです。この私設の保育所をそのままにしておけば、またつぶれていく以外ないということが言えるんですね。そういう問題は、三%とか五%とかいう数字でもって、これだけ上げたからいいというものではないんじゃないか。そういう実態というものをしっかり見詰めて、そしてまた、いまの社会情勢の上からいって、どうしても必要な問題である、必要性の大きい問題であるとするならば、この問題はそういう数字の上でなくて、もっともっと実態というものを掌握した上で、その実態に即したいわゆる処置というものが大事じゃないか、こういうふうに考えるわけですけれども、そういった点から私はお尋ねをしているわけです。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 公立の場合でございますと、御承知のように、保育所の保母さんも市町村の職員になっておりますので、給与の規程もございますし、俸給表もあるわけでございますが、民間立の場合には、多くの場合はそういう給与の規程なり俸給表なんというものもあまりはっきりしたものがない場合があるわけでございます。したがいまして、そういう給与の支出の実績そのまま補助の対象とするというわけにはまいらないわけでございます。まず実態を調査する必要があると考えまして、四十三年度におきましては、金額にいたしまして三百万ほどの額を計上いたしまして、ただいま給与の実態調査を行なっております。その結果等を十分検討いたしまして対処してまいりたいと考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 最後に一つお尋ねしておきたいのですが、今度厚生省のほうから大蔵省のほうに来年度の予算要求がなされているわけですが、保育所入所児のうち、同一世帯から二人以上入所する、そういうケースがあるわけです。二人目以降についてはその保育料を半減する、半分にしていく、そういう点についての予算が要求されておるわけでありますが、この点について、主計官は、この要求に対してどういうように処置をされていこうと考えておるのか、実現の可能性があるかどうか、こういった確信といいますか、そういった点をひとつ聞かしていただきたい。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) 保育所の保育料につきましては、御承知のように、現在、生活保護の世帯でございますとか、あるいは市町村民税の非課税の世帯につきましては、無料ということになっております。それから、なお、その他でございましても、低所得層の世帯につきましては、実費——実際にかかります保育費よりも、ずっと低い保育料を徴収しているわけでございます。こういうような形で低所得層の負担の軽減には十分配慮しているつもりでございます。何ぶんにも保育所に入所する児童の所得階層は低い階層ばかりではございませんで、現在でも所得税を納めているような比較的負担能力のある階層が三割近くございます。したがって、全体といたしまして保育料をきめる場合に、低所得層につきまして十分配慮しているつもりでございます。そういう方向で処置してまいりたいというふうに考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 よくわかります。よくわかるのですが、私の聞いているのは、厚生省のほうから来年度の予算要求をしているその中で、同一世帯から二人以上入っておると、その二人目以降の子供に対しては、その保育料を半減する、半分にしよう、こういうことで要求をしているわけであります。そういった点について、これが実現されなければ、ただ数字を並べたというだけのことで、当然厚生省としては実現さしていきたいであろうし、また、われわれとしても、特に低所得層を対象にしておる以上、そういった一つ一つその負担を軽減していってもらいたいというのがわれわれの思いでもあり、考えでもあるのです。ですから、当然実現さしていきたいのです。そういう立場から、これが来年度どういう見通しがつけられるのか、そういった点を私はお尋ねをしておるのです。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○説明員(辻敬一君) いま申し上げましたように、生活保護世帯とかそういう非常に低い世帯につきましては、一人目から無料でございますので、当然二人目も無料でございます。それから所得税を納めておられる階層につきましては、負担能力がかなりある階層がございますので、必ずしも二人目を半額にする必要もないのではないかというふうに考えております。それからその中間の低所得層につきましては、これも先ほどお答え申し上げましたように、実費よりも相当安い保育料でございますので、その負担につきましていろいろ御議論もあろうかと思いますけれども、特に二人目を半減する必要があるかどうか、その辺の問題につきましてはさらに慎重に検討してまいりたいと考えております。

上林繁次郎公明党

○上林繁次郎君 よくわかりました。しかし、厚生省がこういったことで予算要求をしておるということは、これは何も意味がなければ要求するわけがない。そこにはいろいろな事情があるからこそ要求するのである、こういうことなんです。ですから、そういういわゆる事情というものを主計官にもっともっと知ってもらいたい。そして、もちろんすべて決定されるまでには当然いろいろな話し合いが行なわれるであろうけれども、ただ数字の上で簡単に処理するという——簡単という言い方は語弊があるかもしれないけれども、そういうような姿ではなくて、いま申し上げた一つ一つの問題は、あくまでも重点施策の中の一つ一つであります。そういう問題についてもっともっと十分に内容を検討された上でこれを決定していってもらいたい。当然、この保育所の問題というのは、先ほど申し上げたように、将来非常に大きな問題になってきょうと、こう考えるわけです。ですから、そういった立場からも、この問題はまだ一部分を取り上げただけでありまして、一つ一つ取り上げればもっともっと広範囲に、もう欠けたところだらけである、そういう一つ一つを取り上げれば、いつこれが解消されていくのであろうかということを私たちは非常に憂えるわけであります。そういったことで、一例といいますか、一部分の問題をきょう取り上げただけであります。一事が万事、そういった日本の社会保障制度というものは外国から比べて非常に低いということだけは間違いない。もっともっとそういった点について前向きに取り組んでいただいて、こういう問題が一日も早く解消できるように要望して、終わりたいと思います。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 午前の調査はこの程度にとどめ、午後一時三十分より再開いたします。  暫時休憩いたします。    午前十一時一分休憩      —————・—————    午後一時四十四分開会

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 休憩前に引き続き、これより社会労働委員会を再開いたします。  労働問題に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。

小野明日本社会党

○小野明君 人事院の総裁がお見えのようでありますから、総裁からお尋ねをいたしたいと思います。  前回お尋ねをいたしておきましたが、きょう公務員のストライキが行なわれたのであります。このことについては、なぜ行なわれたかということは総裁も十分おわかりであろうと思うのであります。まず、本日行なわれた公務員のストライキについてどういうお考えをお持ちであるか、最初にお尋ねをいたします。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) いろいろな意味でと申しますか、あらゆる意味で非常に残念なことであったと思います。

小野明日本社会党

○小野明君 あらゆる意味で残念だと言われるのでありますけれども、一体、どこがどう残念なのか、その中身を私はお尋ねをしておるのであります。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 大きく分けると、あらゆると申しましたものの、焦点は二つあろうと思います。一つは、今回の勧告について完全にこれを実施するという閣議決定がなされておったであろうならばこの事態は起こらなかったであろうということであります。それからもう一つは、私はきょう行なわれた行動の実態を知りませんけれども、かりにそれが国家公務員法の明文に触れるようなものであれば、その意味ではなはだ遺憾である。二つおもな点があると思います。

小野明日本社会党

○小野明君 総裁が言われます最初の問題でありますけれども、あなたのほうが勧告をされたその勧告がそのまま尊重をされるように努力をすると、こういうふうに前回の委員会でも総裁はおっしゃったのであります。私は、人事院というものが代償機能を果たしておるということから、やはり名実ともにそういった果たすような役割りを政府が行なうべきである、実証すべきであると思うのであります。そうされておけば何もストライキは起こらぬわけであります。今回のストライキというのについて、官房長官談話では、一方的に、労働者が悪いのだ、公務員が悪いのだ、こういうふうに違法行為だときめつけておる。これでは、公務員労働者があまりにもかわいそうではないかと思うのです。一体、総裁は、人事院というのが代償機能を果たしておるというふうにお考えであるか、そうではないのか、その辺を明確にしてもらいたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 筋を立てて明確にということになりますと、私どもはいわゆる代償機関としての使命を持っておるという重大な認識のもとに勧告を申し上げておるわけであります。私どもの差し出しました勧告は、代償機関として適切な、あるいは適正な勧告であるという自信を持ってお出しをしておるわけであります。ただし、この代償機能というのは、結局、国会の給与法の改正という立法によって完結するわけであり、したがって、また、私どもの勧告も国会に直接提出しておるわけでありますからして、何が何でも私どもの一存どおりに実現することは、これはいかがかとは思いますけれども、私どもとしては、先ほど申しましたように、正しいと信じて提出いたしました勧告である以上は、これが完全にそのまま実現を見るようにあってほしい、これは当然の念願であろうと思います。そういうたてまえから申しますというと、過去の八年になりますかの例では完全な実現を一度も見ておらないということが、先ほども触れましたように、ことしの場合にも引っかかってまいりますけれども、きわめて遺憾なことだと思うわけで、ただし、ことしの場合は、まだ私どもが国会に対して御勧告申し上げたその御勧告のお取り扱いはこれからの段階であるわけでありますから、これはわれわれとして国会として御理解ある御裁断が下るものと期待をしつつこの場に臨んでおるわけであります。

小野明日本社会党

○小野明君 国会の場はどうなるかわからぬと。これは、もう過去八回、やはり政府のきめたとおりになっておるわけです。総裁がそう言われるのはこれは言いのがれであって、もうすでに、この勧告が、政府において、しかも七人委員会で値切られておる。このことを見て、公務員のこれに対するストライキが行なわれておる。しかも、七人委員会や閣議では、公務員のストライキが行なわれるというのにもかかわらず、何らこれを回避する努力というのがなされておらぬ。こういった事情を見て、あなたの出した勧告というのが、七人委員会や政府を拘束しておらぬ、これははっきりした事実なんです。それで、はたして代償機能を果たしておると言えるかどうか。この点については、公労委の裁定あたりは、尊重されて、四月にさかのぼって完全に使用者も拘束しておる。ところが、人事院だけは何も拘束の能力がない。こうなれば、一体、代償機能を果たしておるというふうに総裁はお考えなのかどうか、ひとつ率直なお答えをいただきたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 先ほど申しましたことを一言にして尽くせば、過去の実績に関する限りにおいては、私どもの立場からいえば、代償機能を完全に果たすことはできなかったと申し上げざるを得ない、これは当然のことだろうと思います。

小野明日本社会党

○小野明君 代償機能を人事院が果たせなかったということになりますと、あなたは閣議なり、あるいは七人委員会に向かって言いたいことあるいは努力したいことがあるはずです。その点について、一体、どういうお考えをお持ちですか。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) これはたびたび過去においての事例を申し上げてきたところであると思いますけれども、私どもは、勧告を国会及び内閣にお出ししますときには、昔は総裁自身がお持ちすることはなかったのでありますけれども、ここ数年来は、私自身が、衆参両院議長、それから特に内閣総理大臣の場合には先方の御都合も十分伺った上でお渡しをするとともに、そこに相当時間を費やしてぜひ完全な実施をお願いするということを懇請しておるわけなんです。ことしの場合などは、特に長時間にわたってあらゆる面からその必要な点をお願いして、なお関係大臣にはそれぞれまた別にお伺いして、完全実施を要望してまいってきたわけであります。ただ、これが政府の御判断によって、財政上という理由になるのでありましょうが、これが困難だということになりますというと、私どもとしては財政についての審査権その他は持っておらないわけであります。そういう面で、これは私どもとしてはあらゆるやりくり算段をして完全にやっていただきたいと申し上げるほかはないので、これからものを言います国会に対する勧告、この方向でまたさらに国会の御理解ある御裁断を仰ぐべく、こういう委員会のたびごとに私はまかり出て、その点を声を大にしてお願いをしておるというわけであります。

小野明日本社会党

○小野明君 代償機能を果たし得ない人事院であったら、人事院をもう廃止したらどうですかと。あなたは、また、代償機能を果たし得ない人事院の総裁として、一体、何で総裁にじいっとすわっておるのか。まあまあという政府側と労働者側との中にはさまれて、両方からたたかれ役みたいなことで、一向にあなたもおもしろくないと思う。もうこういう人事院なら廃止したらどうですかというような強硬な言い方を政府にあるいは七人委員会にしたことがおありですか。今回のスト回避のための努力というのは、私はそういうことを言っておるのですがね。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 私どもは、国家公務員法において設けられました人事院の機能を完全に果たすということを使命としてこの任にあるわけでありますからして、われわれの使命は国家公務員法の実施に全責任を持って当たるという立場なんで、この国家公務員法をこわして、あるいは人事院をつぶしてどうこうという問題は、われわれとしてはまた次元の違う問題であると。したがって、それはともあれ、現在のわれわれの任務を完全に尽くすべくあらゆる努力をするのが当然ではないかという気持ちでおるわけです。ただし、その努力が、それは私の努力が至らないせいか、他のやむを得ざる客観的情勢があってのことか、それは知りませんけれども、とにかくわれわれとしては一生懸命努力しているところが従来は実らなかったということは事実であります。

小野明日本社会党

○小野明君 まあこれはあなたに申し上げてもなにですけれども、私は法律上の問題を言うとるのじゃないんですよ。それももちろん関係はありますけれどもね。先ほど言われたように代償機能を果たさせない政府、これに対してそういった人事院なるものはもうやめたらどうですかと、強いことばで、強い決意であなたが当たったかどうかということを私は言っておるのですよ。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) それは、当たったことはありません。それは先ほど申し上げたとおりでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 まあ次の問題に移りますがね、これ以上申し上げてもなにですから。ただ、スト権のかわりに人事院がある、こういうことですから、こういう事態を受けて公務員がそういう争議をするのが悪いんだと、こういうことをあなたがおっしゃるというのは、何か矛盾があるのではないですか。それは憲法二十八条との関連も考えましていかがですか。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 私は、さきに申しましたように、国家公務員法の実施の責任を持っておるという意識でずっと貫いてきておるわけでありますからして、国家公務員法で違法行為として明文をもってあげられておることに該当するような行為がありましたなら、それに対してそれはけっこうでございますとはとうてい言い得ない立場におるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 国公法、地公法あたりにも、ILOのそれぞれ批准をされた条項に照らすと矛盾が多いということは、公務員制度審議会の中間答申ですかの中にも私は出ておったと思うのです。これはやっぱりそれ以前の問題ではないかと思うんですよね。結局、人事院という代償機能を果たすがゆえに公務員のスト権を奪ったと。しかし、この人事院が代償機能を果たしていないということになれば、当然公務員にスト権をやらねばならぬということになるでしょう。今回のような措置を政府が行なった、しかも、これは一方的に公務員が悪いんだと、こういう御見解は私はいただけませんよ。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 私は、一方的に公務員のみが悪いとは申し上げておらないので、一番最初の御質疑に対してお答え申し上げましたように、残念な点が二つあるという点で申し上げたつもりでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 それでは、前回、閣議決定の注1についてどういういま方針なのかと、何かあなたは関連をしているような談話を発表されておるわけですと、こういう質問を申し上げたのであります。それで、私が申し上げたいのは、七人委員会において今回のスト回避の努力も何らしておらぬ。これはひとつ打たせるだけ打たして召しとれというのが七人委員会なり閣議のあり方だ。しかし、人事院はそうあってはならぬわけですね。これはあくまでも完全実施、これを目ざして努力してもらわねばならぬのだが、前回お尋ねした注1の問題については、七人委員会なり閣議というのはどの辺まであなたに御相談があり、どの辺まで進んでおるんですか。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 念のため申し上げておきますが、土曜日でしたか、あるいはきのうでありましたか、最近の段階で行なわれました閣僚懇談会には私は出席しておりません。しかし、いまお尋ねの点は、おそらく注1に関しての七人委員会で、今後完全実施のためにいかにすべきかという問題についての七人委員会だと思います。これは第一回が相当もう前に開かれて、そのときは私も出まして、人事院の従来の立場というものを説明して、あともちろん人事局長から従来の経過を説明されましたけれども、まあいわばその程度の初顔合わせのことでありまして、その後ずっと、たぶん大蔵大臣が入院中であるという理由からだと思いますけれども、その後ずっと開かれておりません。まあ一応事実をお答えしておきます。

小野明日本社会党

○小野明君 そうしますと、これはまあ当事者にお尋ねをしたほうがいいと思いますが、たとえば二回勧告をしていくというような問題等についても、何らそういうことはあなたのほうに相談はないということですか。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) これは、御承知のように、もう三、四年前から同じようなことが研究課題にされまして、そしてやっぱり閣僚懇談会がっくられて、それで総裁も出てこいと言われるものですから、私はまあ閣僚の懇談会に人事院が出ていくというのは本来はどうかと思いますけれども、この問題点とされているところはとにかく人事院の勧告を完全実施に持っていくための研究会であるという意味で、前から私は率先してそれに参加しておったわけでありますが、いまお示しのような二回勧告案も含めていろいろな提案はすでにもう前から出て、そうして検討されて、そしてまあこれはこういう短所があるからというようなことで、一応、何と申しますか、たな上げの形になって、名案なしと、それで当面従来どおりということで今日まで来ておるわけであります。したがいまして、私どもが今後の閣僚懇談会に期待いたしますところは——すでにもうこれは問題の外だということで一応当時の閣僚懇談会で私も含めてのことで問題外にされたことは、今度また新しくむし返されることは私も望みませんし、そんなことはないだろうと思うわけです。したがって、率直に言って今後の閣僚懇談会に私の期待いたしますところは、幸いに閣僚懇談会のメンバーも前とは変わっております。労働大臣あたりもお入りになって、新しい立場からいろいろまた御提案があると思います。そういう意味で、従来出なかったような飛躍的な名案が出れば、また、私どもの立場から納得し得るものが出ればという期待を持ちながらこれには参加をしておる。かりにそういう名案が出なければ、衆参両院の内閣委員会でもずっとたびたび全会一致で決議をされておるのは何かと申しますと、完全実施のために財政上必要な措置をとれ、あるいは考慮せよという附帯決議がたびたびなされている。結局、当面の眼前の問題としては、やはり財政の問題がそこに出てくる。したがいまして、私どもは、従来のような行き方でなしに、たとえば公社・現業の関係の仲裁裁定が、年度に入ってから下って、そうしてそれが四月にさかのぼって完全に当初予算のやりくりだけで実施されているのはどういうわけだろうというような、きわめて卑近なところから考えまして、従来補正予算一本にたよっておられて、勧告が出てから自然増収があるかないかということで騒いで、補正予算の財源がどうこうというお話であったわけですが、やはり公社・現業の場合を考えるならば、当初予算に相当の額を見込んでいただいて、そうして対処していただくべきではないかというようなことを前々から申し上げ、また、考えておったのでありますが、それが一部実ったと申しますか、総合予算の制度がことしから始まりまして、それで予備費の中にある程度組んでいただいた。それで、ことしこの総合予算制度が初めて本院の参議院の予算委員会で御審議になりますときも、これで給与問題はどうなるという御質疑がありましたけれども、私は、これは従来に比べて一歩前進である、もしもこれで足りなければ、従来どおりの形で補正なり何なりの形であとを埋めていただけば完全実施可能であろうというようなことを申し上げたわけであります。ところが、不幸にして、今回の政府の御決定に関する限りは、まだそれでは足りなかったということにならざるを得ないのであります。  まあいろいろよけいなことを回りくどく申しましたけれども、結論は、そういう方向で財源上の措置をたっぷりとっていただくということは手近な考え方として浮かんでくるんじゃないかというような点も心の中に持ちながらそれ以外の名案を期待しておるというのが率直な心境でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 時間もないようですから、最後にお尋ねをしておきますが、今回の公務員ストについて閣議なりあるいは七人委員会で出された態度というのは、閣議決定だから変更できないと、こういう方針が前に出されたように思うんですね。これが前に出て、そうして公務員がストライキをやった、こういうことなんですけれども、これについて一体人事院としてはどういうふうに見ておられるんですか。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) これはやっぱり閣議決定に関係されました大臣、あるいはその他政府側の方にお尋ねいただくべきことでございまして、私どもは、変更できるとかできないとかということについてのほかの委員会での質疑応答をそばでは聞いておりますけれども、これは私ふぜいがお答えするよりも、ここにおられるわけですから、はっきりそちらのほうからお確かめを願いたいと思います。

小野明日本社会党

○小野明君 あなたがそういう態度だから値切られるわけです。閣議決定というのは、これは当然変更できる筋合いのものです。ところが、人事院勧告を値切るなんということは代償機能を果たし得ないという立場にまであなたが追い込まれておって、しかも、七人委員会なりが、閣議決定だから変更できません、人事院さんがまんしてくれと、こう言っておるんですが、閣議決定であろうと何であろうと、勧告したのはひとつ尊重してもらいたい、スト前にそういう強い態度で政府に当たってもらいたかったわけです。それは閣議のほうでそれぞれ閣僚がやられることだから人事院としては知りませんなんということはきわめて消極的な総裁の態度で、この前から、私は一生懸命努力しますと、こういうふうに総裁は言われたのを覚えておるのですけれども、職を賭してでもこの勧告を、人事院制度を守っていく、代償機能を果たしていくという御決意がどうもあいまいで、その辺のあなたの弱さというものが閣僚からなめられてたたかれておる、そのために公務員が泣いてしまったと、こういうふうに事態を受け取らざるを得ぬのですが、もう少しあなたはしゃんとしてがんばってもらわなければ、もうこの次は、公務員の人たちは、公務員労働者は、人事院無用、政府直接交渉だ、こういう方向に出てきますよ。いかがですか。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) たいへん情のこもったおことばでございますが、私自身も少しなめられているのじゃないかというような気持ちにおちいる場面が相当あるのですが、いまのお答えは、閣議決定は変更できるかできないかという御質問ですから、それは私どもが横からそんなことを申し上げるのは僭越であろうと思ってそう申し上げたのです。私どもの気持ちとしては、ぜひ閣議決定は変更していただきたいという念願を持っておることははっきりしていますから、ここで申し上げておきます。

小野明日本社会党

○小野明君 そういう元気でやはり何もかにもやっていただきたいと思うのです。  それでは、最近、宮沢さんのところで熊谷委員会というのができておりまして、このもとで報告書がつくられております。これは非常にいまのところ当たりさわりのないようなものなんですけれども、この内容は、公務員賃金にとって、あるいは一般の労働者の賃金について、物価安定の一つの大きなくさびに考えられておるだけに、人事院としても無視できないものではないかというふうに私は見ております。この熊谷委員会の報告書について、内容はもちろん検討されておると思うのですけれども、一体どういうふうに見られておるのか、最後にお尋ねしておきます。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 熊谷報告は、要するに、新聞の見出しによると、所得政策という大きな活字の見出しがついておるわけなんです。もちろん、われわれとして関心を持ちます。持ちますけれども、私どもの立場から申しますと、政策ということばが示すように、これは政治の方向を示すものであります。私ども中立機関たる立場におる者として、高賃金政策だとか低賃金政策だとか、そういう政策をわれわれが推進し、あるいはそれらの政策のお先棒をかつぐというようなことがわれわれの使命であってはならない。私どもは、先ほどのことばにもありましたように、世に言う労働基本権の代償機能というものを当面背負っておるという点からいえば、この点に徹してこのことをさばいていくべきである、政策的な考慮というものはそれ以外の面から出てくる、あるいはそれを打ち出すということはわれわれの使命からいうとむしろ自殺的行為だという信念のもとにこれをやっておるわけです。私どもは、そういう立場から申しますというと、従来、御承知のように官民比較ということを鉄則として勧告を積み上げてまいっておるこの立場、これはいまの政策とは全然関係のない立場で貫いているものと思います。今後もそういう政策的な面に口ばしを、口ばしじゃありません、政策的な、何といいますかな、悪いことばでさっき言いましたが、お先棒をかつぐとかなんとか申しましたけれども、私はボキャブラリーが乏しいものですから、卑近なことばでいえば、そういうことのお先棒をかついでいるというようなことになりますというと、いまのような人事院の使命としては自殺的な行為になる、そういう気持ちを持ってこの種の問題に臨んでおるわけであります。

小野明日本社会党

○小野明君 所得政策というのは非常に内容がむずかしいんだというようなことが書かれておりますけれども、端的に政府の賃金抑制策、こういうふうに見た場合に、官民比較が問題にならぬようなことになる、なってはたいへんなんですけれども、そういうことを予想して私は申し上げておるんですよ。したがって、人事院としては、熊谷委員会がどういう報告書を書こうといままでの方針どおりやっていくのだというふうに完全に無関心でおっていいものかどうか、その辺を私はお尋ねをしておるのです。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 無関心であっていいとは思いませんけれども、これは私どもが先ほど申しましたような基本の理念に立ってしゃんとしておればいいことだと、結論はそういうことになるのじゃないかと思います。

小野明日本社会党

○小野明君 それでは、私の総裁に対します質問はこれで終わりたいと思うのですが、政府としては今回のあなたの勧告を値切って、値切ったままに公務員にストライキを打たしておる。これは、あと、二つの遺憾なことがあるということが前段にもあるわけですから、次は国会という場が残っておるのですが、政府に対して非常に弱腰であるあなたに、今度は国会での努力を期待するということも無理であろうと思う。私は、いまのままの人事院なら、これはもう必要ないとさえ私も考えておるのです。しかし、もう一つの場があるわけですから、最後に国会についてのあなたの決意のほどを承っておきたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) これは、申すまでもないことでございます。国会に対して御勧告を申し上げたことは、要するに、国会のあらゆる権能を駆使してこの勧告の実現をしていただきたいと、それに尽きるわけでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 ちょっと関連して。だいぶ話が詰められておるから先ほどから伺っておったわけでありますが、私一つだけ人事院総裁にお尋ねしておきたいことは、いままでの勧告の中でなされておる官民の給与のバランスの格差を埋めるということでありますけれども、その中で、毎年、何%何%ときめておられるのですけれども、私は民間の給与は内容を差しおいてパーセントくらいではきめられ得ないと思うわけですけれども、これなども、いずれもどんなような調査をして、調査の中でどんなふうにこれをあらわしておるのか、その調査の内容をひとつ明らかにしていただきたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) できるだけ要領よく申し上げたいと思います。従来私どものやっておりますのは、民間の場合におきましては、企業規模が百人以上、事業所規模五十人以上というところをとらえて、六千六、七百ありますか、とにかく膨大な数の民間事業所をとらえまして、そうしてそこに従業しております人たちの四月に支払われた給与を一人一人洗いざらいとりまして、カードで調査をしまして、それを職種別あるいは学歴別というようなこと等々で詳しく分析をしまして、その結果得ました水準を、今度は四月に支払われた公務員側の給与の水準と突き合わせまして、そうしてそこに何%という格差を発見して、その格差だけはぜひ埋めていただきたいというわけであります。これが四月の調査ということに出発しております関係上、そこで発見された格差は五月にはさかのぼってぜひこれを埋めていただかないと民間の水準に合ったことにならないわけです。その意味で、ぜひ五月にということを強く御要望しておるわけであります。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 その調査される時期はいつごろになるのですか。特に、何%と出ておるものが、根本的にいろいろな物価のスライドとかなんとか考えてみますと、もう時期おくれのものだと、実際そのパーセントだけでは足りないものだというふうに考えるわけですが、その時期なんかはどういうふうにしておられますか。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 時期は、要するに、調査員が一人々々個別に足で当たって歩くわけですから、四月中に支払われた分を調べますためには、大体五月の半ばごろから出発しまして、個々に当たって、そして調査票を集めてくるということでございます。  いまの物価の問題その他御指摘がありましたけれども、これは、民間の給与の中には、おのずから、物価、生計費の関係の分も織り込まれているはずだと思います。たとえば、団体交渉をおやりになる、あるいは争議で賃上げを要求される側からおっしゃれば、物価が上がったから、生計費が上がったからということを要望の理由として、そうして使用者側と折衝して妥結された額でございますから、その意味では、一応それらのものは織り込まれているはずだ、そのものずばり、民間給与と比較するとそう大きな狂いはないはずだ、こういう立場に立っているわけであります。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 私はその点なんかにもだいぶ考え方において食い違いも持っているわけですが、先ほどから論議を聞いておりますと、人事院は代償機能を十分に果たしているのだというふうに自信を持って言われているわけですが、私自身こういうようなことから考えてみましても、人事院の勧告そのものにもまだまだ不十分さがある。人事院勧告の中身について、もう少し先を見越した、ある程度のものも織り込んで、この期限は四月から始めてやられていると思いますが、むしろここの中には、政府とかあるいはまたほかの圧力と言いますか、この勧告を出されるまでにはぼくは何かそういうものがあるのじゃないかというくらいに考えられるわけです。そういう点からいっても、先ほどの論議を聞いておりましても、人事院としてはそうしたところの面においても、もっと明確なものを持っていかなければ、ほんとうの代償機能と言えないと、こういうふうに思うわけで、そういうふうな方面からいっても、先ほどの論法の中にありましたように、人事院総裁の態度というものは、もっと正確であると同時に、また、最後のいまのような追い込みになってきた場合でも、総裁の態度がストをやらせないで済むようなことにもなり得ると思えば、私はその人事院総裁の態度というものがこうしたきょうのストを起こさせたということにもなり得ると思うわけなんです。そういう意味から言って、少し言い方が過ぎておるかもしれませんけれども、総裁に対してはもっとき然たる態度をとって、そして閣議の決定も変えてもらうということは口を大にして大きく要望もしてもらうし、また、その内容についても相当明確にしてもらわなければ、人事院というものの機能というものが十分に果たされておるとは考えておらないのです。そういう点も含めて、総裁の相当の決意をここで強く要望して、関連質問ですから、もっと詳しいことはおきたいと思います。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) 私の決意は、ことばがへたでありますから、はでなことは申し上げませんけれども、しかし、心中は深い決意をもってずっと臨んできたつもりでおるわけです。  ただ、立ちましたついでに、先を見越してというおことばがありましたけれども、これはちょっとわれわれとしてはたいへん困ることなんで、先を見越してというのは、従来の閣僚懇談会あたりでも、先を見越してやったらどうか、そうすれば来年度の四月から予算に組めるじゃないかという、これは一番皆さんお考えつきになられるアイデアなんでして、閣僚懇談会で前からそういう御意見がありましたが、これは私どもとしては一番こわいのじゃないか。とにかく、先を見越しますと、いまの六千何百という事業所を足で歩いて集めたデータと違いますものですから、経済企画庁のほうのデータが確かじゃないか、これは少しふっかけ過ぎていやしないかと、あるいは、政府筋のみならず、財界あたりからも、高過ぎるという批判を受ける。いわんや、公務員側からいえば、なんだ、一万円アップするのは当然じゃないか、こんな低い見通しは何ごとだということで、収拾できない混乱に入ると思います。それは厳に警戒すべきであるという立場でずっと臨んでおりまして、その点だけは特にひとつ御了承願っておきたいと思います。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 私からちょっと人事院総裁に伺いたいのですけれども、結局、閣議の決定というのは、勧告が尊重されなかったということになりますわね。尊重されたかもしれぬけれども、勧告のとおり内容は具備されてはおりませんわね。その理由が、結局、財源の裏づけがないということであったのですけれども、財源の裏づけがないとばかりは総合予算主義というものを押えても言い切れない状態ですね。たとえば、今日に至るまで災害がないわけですから、災害分というものは余る。あるいは、財源がないといっても、税収というものは非常にふくらむわけですから、税収のほうからも財源というものは新しく生まれてくるということになりますわね。そういう状態であれば、なぜ一体、七人委員会なんかが持たれる場合、勧告の完全な実施を再度総裁として要求できないのですかね。おかしいじゃないか、完全実施をやってくれなければ困るという再度の要求というものはどうしてできないのですか。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) そういうことは、ことばはどうも私はあまり持ち合わせがないのですけれども、いわばただやったというだけの形を見せるためにやることは、これは何でもないと思いますけれども、私どもはそういう申し出なり要請なりする以上は、それに相当する確固たるデータをひっさげてそうして当たっていくべきものだと私は思うわけです。その確固たるデータということになりますというと、先ほど小野委員に対するお答えで触れましたように、われわれは財政当局ではないわけでありますから、内輪のお金の問題までも、いま御指摘のような点までも克明にこちらが調べて、ここはこうすべきではないかというデータは残念ながら持ち得ないわけであります。したがいまして、これは国会が財政権の一番親もとであらせられるので、国会の権威によって御追求いただいた上で御判断願うのが一番的確な判断になるのではないか、私どもはそういうかまえでおるのであります。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) おことばを返すようで恐縮ですが、いままでの人事院の勧告というのは言いっぱなしじゃないですか。勧告はいたしました、薄められようが、完全に実施されまいが、それは政府と国会まかせであるということのほうが言いっぱなしじゃありませんか。少なくとも勧告したら、勧告した条件に近づくようなやはり要求というものも人事院総裁としてはおやりをいただくのが私は筋だと思う。データがないにしても、各閣僚も財源が全然ないとおっしゃっている方は一人もないわけです。財源の全然見通しがつかないで勧告をするというなら、この勧告は全く内容のないものになりますわね。ですから人事院にそれだけの機能はなくて、あるいは政府の財政状態というものがはっきり握れないで、勧告が非常に重きをなさないというなら、そういう機能を備えて、一応のやはり政府の財政規模なり財政の余裕なりというものを検討して、これだけはできるはずじゃないかというものをもって要求するというのでなければ、私はこのから回りはいつまでたってもとどまるところがないと思うのです。

佐藤達夫人事院総裁

○説明員(佐藤達夫君) ことばをお返しいただいたことに関連して、私のほうからおことばを返さなきゃならぬことになりましたけれども、まず私どもがいままで努力をしてきたその努力の法的性質いかんというところから申し上げておきたいと思います。  いま、たまたまおことばに出ましたように、国家公務員法なり一般職の給与法のほうでは、人事院の権限としては、勧告することでしかないわけです。これは、たとえば裁判所が判決を下して裁判所がその実現に努力するとか、仲裁裁定を下して公労委が裁定の実現に一生懸命に委員長がかけ回るなんということは、これは制度としては予定していない。勧告は、これは政府なり国会なり国民を代表する最も有力なる機関でありますから、これは国会なり政府なりの責任ある、また、良識ある御判断に当然待つべきものというかまえで、制度は冷ややかにできておるわけです。したがって、制度から申しますと、勧告をした以上はもうわれわれひじまくらで寝ておっても決して責任を免れないものではない、それでけっこうだ——まあけっこうだとは申しませんけれども、法律違反ではないわけです。しかし、この勧告が一般に労働基本権の代償機関として期待をされており、われわれとしても、その期待のもとに精魂を込めて正しい勧告だと、あらゆる苦心の結果つくり上げた、しかも自信のある勧告であります以上は、これをぜひ実現していただきたいというのはその勧告に当たった当事者としては当然の心情だろうと思います。その心情に基づいてわれわれが努力をして、その努力が足りないというおしかりはこれはまたあってしかるべきでありましょうけれども、しかし、法律的にいまの問題を解明していけば、そういう法的性格を持った努力であるということだけははっきり御了解願っておきたいと思います。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 委員長が長時間発言するのは恐縮ですが、しかし、人事院がそういう制度であって、おっしゃるとおり勧告を続けて、完全実施という実績はゼロですね。そのゼロの状態というものを制度上これでいいと認めている限りは、将来もまたゼロということにならざるを得ませんね。制度は冷ややかなものかもしれませんけれども、運用そのものがいまのように勧告だけすればゼロでもいいという冷ややかな態度であっては私は困ると思うのです。これはわれわれも責任のあることでございますが、来年以降も、勧告はいたしました、実績はゼロですということを繰り返さないように、これは人事院御当局としても何らか御検討をお願いをしたいわけです。希望を申し上げます。

小野明日本社会党

○小野明君 実は、これは、総務長官と官房長官に出席を要求をしておったわけです。これは委員長にお願いなんですけれども、国会法に基づいて私ども要求をしておるのですが、昨日になって官房長官の秘書、あるいは総務長官の秘書官ですか、これはまあ本日見えたのですけれども、どうしても出席ができない、こういうお話があって、それで、本日、副長官、あるいは自治省についても政務次官、私は自治大臣という要求をしておったのですけれども、そういうふうに各大臣があるいは長官が、まあ執行業務の多忙ということはありましょうけれども、これはやはり要求すれば出席をしていただく、国会を第一義に考えていただかないと、憲法無視ということにもなりかねませんし、そういったお取り計らいを私は委員長のほうで厳重にやっていただきたいと思うのです。官房長官の場合は私も昨日了解をいたしました。それで総務長官も本日了解をしたんですけれども、実は委員部とも相談をして、軒並み大臣、長官が出られない、これじゃ私ども非常に問題があると考えまして、非常に不満なんですが、その点について委員長にお取り計らいを願いたいと思うのです。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 委員長から小野君にお答えを申し上げます。  朝の委員長・理事打ち合わせ会で、いま小野君からお話のございました件を検討をいたしまして、特に与党の理事から、政府側に対しまして、そういうことがあってはならないので今後十分気をつけてもらうようにという御忠言がございました。委員長・理事打ち合わせ会では、委員会の開催はずっと前にきまっておるわけでございますから、どうしてもその日に公務のため出られないということならば委員会のほうでも開催日の変更ということも場合によっては考えられるわけでありますから、十二分に事前に連絡をして、少なくとも一カ月くらいの余裕期間があるわけでありますから、委員会の日だけは万障差し繰って委員会に出席できるように御配慮をいただきたいということで、そこにおりました労働省、それから厚生省は出先の方が了解をされたわけでございますが、政府委員のきょういらっしゃる方々もひとついまの点を、これは理事会で確認をいたしまして皆さん方にお願いをしている点でございますから、今後は小野委員の御発言のような内容が繰り返されないように御留意をいただきます。いま申し上げたように決定をいたしましたので、報告をいたします。

小野明日本社会党

○小野明君 そこで、総理府の副長官に二、三お尋ねをいたします。  前回の九月十七日、総務長官が出席をされた際に、公務員制度審議会の開会はいつになるのか、こういうお尋ねをいたしましたところが、今月中に九月中に人選を終わり、十月中旬には発足をしたいと思います、こういう御答弁があったわけであります。この点は副長官も御存じだろうと思います。ところが、その後、政府や自民党筋の話として、今日まで公務員制度審議会を開かないのはおれたちの手柄である、開かせないことがおれたちの手柄である、労働者側ざまあみろ、総評ざまあみろ、そういう話があちこちから私のところに聞こえてくるわけです。これは委員会答弁と中身がどんなに食い違っておるかということを言いあらわしておると私は思うのです。しかし、それが事実であるかどうか知りませんけれどもね。そういった態度では、私は、どうにもならぬ、不届きではないかけしからぬ、こうまあ考えておるわけですが、そこで、一体、公務員制度審議会は長官の御答弁のように運んでおるものかどうか、十月中旬に発足されるものかどうか、確かめておきたいと思います。

八木徹雄自由民主党総理府総務副長官

○説明員(八木徹雄君) 御指摘のように、一日も早く公務員制度審議会は再開をしなければならぬわけでございますので、決してあと後段で述べられたようなそういうことは毛頭ございません。与党筋から圧力がかかっておるという事実もございませんし、また、その必要性もないことでございますので、われわれは一日も早く再開ができるようにいたしたいということで、前回、九月十七日の委員会におきましても、希望として九月中に人選を終えて、十月中旬に再開をいたしたいという決意のほどを述べたわけでございます。決してそれは場当りで言ったわけではなくて、大体そういうスケジュールでできるというふうにその時点では思ったわけでございますけれども、人選にたいへん手間どりまして、ただいままだ人選が完了いたしておりません。この点はほんとうに申しわけないことだと思っております。しかし、大詰めに来ておることだけは間違いないのでございます。大体、おそくとも来週中に人選は完全に終わるという見通しでございます。もうこれ以上延ばすというわけにもまいりませんので、できるだけ今週中にもという努力をいたしておりますが、おそくとも来週中には人選は終了するものだと、人選が終了できればできるだけ早く再開ができるように作業を進めてまいりたい、そういう決意で積極的に人事の調整をいたしておるところでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 公務員制度審議会の四十一年六月の答申を見ますというと、労働基本権の問題また在籍専従に関しては答申を行なうんだと、意見を述べるんだと、このように書かれております。公務員制度審議会が開かれないものですから、この問題についていわゆる審議会の意見というものが反映されない。ところが、この間を縫って、自治省のほうで在籍専従に関する通達なるものが用意をされておると私は聞いておるわけであります。そうしますと、この公務員制度審議会の四十一年六月の答申の趣旨を非常に踏みにじるものである、このように見ざるを得ぬわけであります。自治省のこの通達というものを一体副長官は御存じであるか、総理府としては知っておるのかどうか、また、御存じであれば、自治省とどういう折衝をされておるのか、ちょっとその辺を御説明いただきたい。

八木徹雄自由民主党総理府総務副長官

○説明員(八木徹雄君) 再発足いたします公務員制度審議会には、主たる任務として、基本条項について審議を願うということになっております。それは御承知のとおりでありますが、前回の答申のときに、在籍専従の問題についても基本条項とあわせて引き続き審議の対象にすべきであるという、そういう付帯条項と申しますか、そういう勧告もいただいておりますので、これが扱いにつきましては再発足いたしました公務員制度審議会自体で検討されなければならないと思っておるわけでございます。  しかし、そのことはそのことといたしまして、在籍専従の問題につきましては、本年の十二月十四日でもって一応廃止をされるという一つの原則もあるわけでございますので、公務員制度審議会でどういう結論が出るかわからない現在の時点といたしましては、在籍専従制度というものが廃止になった場合に対する対策というものは一応準備をしなければならぬのではないかと思うのであります。自治省が現在各都道府県に対してやっております通知については、詳細は私は承知いたしておりませんが、その事実があることは伺っております。それで、自治省もなぜやるかということについては、自治省側からひとつ聞いていただかなきゃならぬと思うのでありますけれども、ただ、地方公務員に対しましては条例でもってこれをやるということになるわけでございますから、県会や市町村会というもののタイミングというものもあって、ある程度事前に、いよいよ廃止になった場合には条例を制定しなきゃならない、制定する場合にはこういうことが問題点であるということで啓蒙するといいますか、総理府といたしましてもそういう配慮をするということは当然認めなければならない。ただ、公務員制度審議会が発足をいたしまして、この問題について本質的に方向が変わるということになれば、そのときはそのときで修正はできるわけでございます。その意味で現時点で自治省が都道府県並びに地方自治体に対して条例制定の必要上にかんがみて指導するということは、決して行き過ぎではないんではないかと、このように理解いたしておるわけであります。

小野明日本社会党

○小野明君 これはおかしいことを承ると思うんですがね。そうしますと、いまの自治省案なるものがどういうものであるかということについて御存じなんですか。

八木徹雄自由民主党総理府総務副長官

○説明員(八木徹雄君) 内容を詳細には承知いたしておりません。ただ、条例制定の必要上、指導すべき条項について指導を通達をしておると、こういうふうにだけ聞いておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 それくらいであって、在籍専従の問題あるいは労働基本権にかかわる事項さえも私は今回の自治省の通達の中身に含まれておるというふうに見ておるわけです。それで自治省がやるのは勝手だと、こういうことでは、公務員制度審議会として残された仕事というものがあるわけですから、これは当然この意見が出た上で自治省としては答申を出さなきゃならぬ。しかも、自治省というものは、九月県議会に問に合わぬからというようなことで、どろぼうを見て縄をなう式に、九月二十四日ですか、緊急にやっているようなんですが、この点は自治省のほうにもお尋ねをしたいと思うんです。政務次官、公務員制度審議会が残している仕事とおたくがいま作業してあることとは何ら関係がないと、これは自治省内の権限でやるんだと、こういうことであるかどうか、次官にお尋ねしておきます。

細田吉藏自由民主党自治政務次官

○説明員(細田吉藏君) お答え申し上げます。  公務員制度審議会で、在籍専従制度に対する基本的方向といいますか、これは、昭和四十一年の中間答申と申しますか、そういうもので出てまいっておるわけでございます。なお引き続いて在籍専従制度については検討いたすということになっておるわけでございます。したがいまして、公務員制度審議会が再開いたされますると、この問題が当然取り上げられるんではないかと、かように思っておるわけであります。ただ、問題は十二月十四日という一応期限がございます。自治省におきましては、三千数百の地方団体がそれぞれ議会等の手続を経まして条例をきめたり改正したり、そういうことが必要になりますので、国家公務員の場合と少し事情が違いますので、かなり前広にやらないと間に合わない。いま八木副長官からお答えがあったとおりでございます。実は、公務員制度審議会に私も当時関係しておりましたが、これほど長い間中断するとは予想されておらなかったんじゃないかと思うのでございますが、ごく詳細にこれらの点が審議されてそうしてこういう時期が来ると当初は予想されておったと思うのであります。御案内のような事情で今日に至っておりますので、われわれとしては、こういう角度から、どうしても各地方に対しては指導しなければならない、こういうことで、実は、いままで出したわけではございませんが、先日来、それぞれ関係の労働組合の団体とも、説明を申し上げ、また、意見も伺っておるわけでございます。しかし、なるべく早く出さなければならぬ、かように思っておる段階でございます。  なお、公務員制度審議会が幸いにいたしまして再開されるということになりまして、御議論が出てまいりますと、いまこれまた八木副長官からお答えになりましたように、それはいかぬのだ、これはこう変えるべきだというような御議論があるいは出てくるかもしれない。その際には当然考えなければいけませんが、そういうことがないように私どもできるだけの配慮をいたしまして地方団体に遺憾のないような指導をいたしたい、かように思っておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 事情はわかりましたが、政務次官、地方自治体が非常に数が多いから地万自治体を先に指導するんだと。これは誤りではないかと思うんです。公務員制度審議会が近く発足するのに、国家公務員に対する方針がきまらぬのに、地方公務員を先にきめて締め上げていく、こういうことはさかさまではないかと思うんです。  そこで、いまお話を承りますと、関係組合とも協議をなさる、あるいは公務員制度審議会の意見も聞くと、こういうお話でありますから、その辺を十分踏まえていただいて、十分この通達については慎重を期していただきたいと思います。

細田吉藏自由民主党自治政務次官

○説明員(細田吉藏君) 私、いま申し上げたような事情で、言うなれば物理的に先にとにかくある程度やらなければいかぬと、こういうことになっておるわけでありますから、したがいまして、国家公務員より先にやるのはおかしいじゃないかということではなくて、それは御趣旨を体するとしますれば、関係の各省、総理府の人事局をはじめといたしまして、国家公務員関係のところと十分な連絡をとってそれで出すと、こういうことが必要なんだと、こういうことだと思いまして、実は総理府の人事局をはじめその他関係のところと御連絡をいたしておるわけでありますから、自治省がいま締めつけるというようなお話がありましたが、そういうことじゃございませんので、これはある程度先行せざるを得ないという実情は御了承を願わなければならぬと、いま最後におっしゃいました点については十分慎重に取り扱わなければならぬと、かように思っておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 そういう自治省の方針のようですから、副長官、総理府のほうも、自治省が先にやるのはしかたがないというようなことでは問題があると思うんです。この内容は、公務員制度審議会の残したきわめて重要な内容を含んでおるのでありますから、自治省のほうとも十分御協議の上、公務員制度審議会の発足もきまっておるようでありますから、そこで慎重を期していただきたいと思いますが、再度副長官に……。

八木徹雄自由民主党総理府総務副長官

○説明員(八木徹雄君) おっしゃるとおりのつもりでおります。先ほど申しましたのも、現在自治省がやっておることについては、物理的にやらざるを得ない立場であろうということを申し上げただけで、それでもってよしと言っておるわけではありません。やはり公務員制度審議会の今後の進め方いかんによってこの取り扱い自体が変わってまいるわけでありますから、それに対応するだけの十分なる連絡というものがとれるように万全を期したいと、こう思っております。

小野明日本社会党

○小野明君 それでは、総理府の副長宮についてはそれで終わります。  それで、自治省にもう一つお尋ねをしたい問題があるんですが、自治省が最近大分で管理職員研究会というのをおやりになっておるのです。これは、次官、御存じですか。私の手元には「要約」というのがありますがね。

細田吉藏自由民主党自治政務次官

○説明員(細田吉藏君) 私も実はあとから伺ったのでありまして、詳細については存じておりませんので、公務員部長からお答えさせたいと思います。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 大分で、地方公務員制度研究会の主催で、県と市町村の管理職員の研修会をやったのは事実でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 もう一回、いまちょっと聞き漏らしましたから。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 地方公務員制度研究会の主催で大分県と大分県下の市町村の管理職員の研修会をやったのは事実でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 地方公務員制度研究会ですか、これはどういう構成になっておりますか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 知事会、市長会、町村会で結成をいたしておりますところの地方公務員の制度研究会、こういうものでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 それでは、私は自治省に対する質問をちょっと保留して、大橋委員が副長官に質問があるそうですから……。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 速記を起こして。

小野明日本社会党

○小野明君 知事会、市長会、町村会というので、これは自治省から指導員が派遣をされておるのではないのですか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 講師として自治省から職員が参っております。

小野明日本社会党

○小野明君 それでは、公務員部長は、この内容がどういった内容であるか御存じでしょうね。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 先月の二十五日でございましたか、自治労の書記長が参りまして、その当日の会議の要点筆記をいたしましたものを私もらっております。

小野明日本社会党

○小野明君 そうしますと、あなたのほうで派遣をした人からこの会の内容についてはどういうことなんだという報告を受けておられると思うし、その派遣をした指導員という人がどういう発言をしておるかということについてもあなたは御存じでなければならぬと思いますが、そのとおりですか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 承知いたしております。

小野明日本社会党

○小野明君 そうしますと、指導員というのは自治省の指導方針をもってこの講習会に臨んでおる、こういうふうに見てよろしいですか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) そのとおりでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 もしそうであるとすれば、私もその要約したものを持っておるのですが、「団体交渉に対する心構え」、この中に、「事前措置」として、「警察とたえず連絡をとりあうこと。」、それから「組合の動向(内部の意思疎通状況)を的確に把握すること。」、こういう二項目があります。そうして、また、「ドライヤー勧告もあったが、絶対的なものではない。」、こういうまことにけしからぬ内容のものが入っておるわけです。これが自治省の指導方針なんですか、いかがですか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) まず、いまお持ちの「記録要約」というものでございますけれども、これは私が自治労の書記長から聞きましたところでは、当日の講習会に参加をしておった人のメモをとったものをそのまま入手したのだ、こういうふうに申しております。で、メモをとるということになりますと、結局、速記ではございませんので、片言隻句、あるいはその前提、あるいはいろいろの修飾句、そういったものが落ちた形でいわばメモというものはとられておると思うわけでございます。それで、私はその際にも申し上げたわけでありますけれども、たとえば「団体交渉に対する心構え」の「事前措置」のところに、「警察とたえず連絡をとりあうこと」ということが書いてございます。私どものほうから参りました職員本人の申しておりますところでは、不測の事態が予測せられるような場合には警察と連絡を緊密にとりなさい、こういうことを言ったわけであって、常になんでもかんでも事前に警察とたえず連絡をとるということを言っておるわけではないようであります。そういった意味での、繰り返して申し上げますけれども、その前置きなりあるいは枝葉の——枝葉と言っては言い過ぎでありましょうが、そのところがこのメモから落ちておる、そういった点を勘案してこれは読むべきであろうというふうに思うわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 これは、公務員部というのが新設される際に、昨年八月十八日の衆議院の地方行政委員会における藤枝自治大臣の確認事項というのが四項ありますね。これによると、「公務員部は、労働運動に干渉したり断圧するためのものでないことを確認する」、あるいはこれを中心とした適当な確認事項というものがあるわけです。枝葉を抜いたメモだと、こう言われますけれども、これはきわめて正確なメモである。だから、団体交渉の事前措置として、必ず警察と連絡をとっておけ、あるいは組合の内部の動向を絶えず察知しておけというのは、スパイを放ってそうして組合の動向を常につかまえておけ、こういうふうにしか幹部は受け取りませんよ。これは自治省の指導方針なんですか、再度尋ねておきます。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 自治省の指導方針というのが、たとえば、次官、大臣まで決裁をとりまして、正式の省としての意思決定という意味のお尋ねでございますれば、そこまで省としての意思決定をしておるものではございません。公務員部の中におきまして、お互いに意思の統一をはかる、いろいろ議論をする、そういった場合におきましてこの話になりました点を職員が行って話をした、こういうふうにお受け取りいただきたいと思うわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 指導に行った人は何という人ですか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 公務員部第一課の課長補佐の吉本という職員でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 「超勤拒否についても業務命令を出せ。」、これはどういうことですか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) ちょっといまどこに書いてあるか見当たりませんが、おそらく、申しております意味は、いわゆる地公法三十七条の規定違反の行為として超過勤務に対してこれを拒否するという場合には、職務命令を出して超過勤務を行なわせるべきであると、こういう趣旨の発言かと思います。

小野明日本社会党

○小野明君 超過勤務というのは、三六協定によって現業あたりと結んでおるはずですね。それに従って超勤拒否をやるというのに、業務命令を出せというばかなことはできないでしょう。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) この発言は非現業の職員についてのものではないかと思います。

小野明日本社会党

○小野明君 これは要点だけの抜粋ですが、その次に、「批准投票については、一定の方針を決めて投票行為を行なわせることは、争議行為を前提としているので違法である。」、こういうことがありますが、これは根拠は何ですか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 地公法三十七条によりまして、職員の争議行為は禁じられておるわけでございます。その争議行為、違法な行為を行なうことを前提にして批准投票という行為に出るということは、同じく第三十七条によって禁じられたところであると、こういうふうに考えます。

小野明日本社会党

○小野明君 いままでの判例を見ましても、批准投票をやったら違法だという、こういうことは何ら出ておらぬようですがね。批准投票自体さえも、三十七条に言う何にひっかかるわけですか。三十七条の罰則というのは、あなたも御存じのように、六十一条四号だと思いますけれども、それの何にかかるというんですか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 三十七条一項に申します「このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、」という規定に当たると思います。

小野明日本社会党

○小野明君 こういう議論をしておっても時間がかかるばかりなんですがね、あなたのそういう雑駁な答弁では。今日、いろいろな法廷の判決を見ましても、違法だということは出てこないんですよ。批准投票それ自体が違法だなんというのは、強引な組合活動に対する不当干渉です。これは結果的にだけ自治省のほうで指導していく。  また、ほかにもけしからぬところがある。「事後措置」として、「自治省としての懲戒処分の基準」、「主謀者=免職、オルグ=停職もしくは減給、オルグを許した管理者に戒告以上の処分、ピケット目停職、一般スト」云々、これあたりも自治省の方針だということであなた言い抜けされようとするのか。こういうことは地方自治体の任命権者がきめることであって、全国一律にこういう処分の問題を自治省としてはやろうとしているんですか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 懲戒処分の基準というものにつきましては、各地方自治体——三千有余あるわけでございますので、それぞれの自治体からやはり統一的な基準というものを示してほしいという要望がございます。個々の具体的な処分の内容についてどうこうということじゃございませんで、一般的な基準としてこういうことを示すということは、私ども、公務員法の適用という面から見まして、当然なすべきところではなかろうかというふうに考えている次第でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 これは、あなたが、ここに要約されていることが全部自治省の指導方針であるということであれば、私どもまた別に機会を設けて自治省と対決せぬならんと思うんです。これに書かれているあなたのほうの指導方針が昨年八月十八日の藤枝自治大臣の確認事項、これと何ら違反するものではない、そういうふうにお考えですか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 公務員部発足の際におきまする三原則ないし四原則といわれるものには違反をいたしておらない、こういうふうに考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 そういわれると、私どもはあいた口がふさがらぬ。これは、藤枝自治大臣の確認事項に全部違反している。最初に申し上げた組合の内部にスパイを放って、いつも組合の動向を監視しておけこれは不当介入だ、当然ですね。  それから「質疑」のところでも、こういう答弁があるんですね。「団体交渉の県本部委任をどう考えるか」、「指名者以外の者と会う必要はないが、必要な手続きを経た場合は、法律上は会う義務がある。しかし、会うことを拒否する。もしくは退場を求める努力はするべきである。」、こういう一項もあるわけです。それから、「一つの問題について組合員の意志を問うことについては違法とは断定しがたい。しかし、機関で方向を決め、その方向について投票を求める行為は組合員を決定方向に誘導することであり(教唆、扇動)違法行為である。」、これは先ほども出たのですけれども、これあたりの項目については、二十八年の最高裁の判例も一方にある。しかし、四十一年十月二十六日の中郵判決もある。こういった行為自体が、アンケートを問う、批准投票をするということ自体が、いままでの法廷では、何ら、あおりである、あるいは共謀である、教唆扇動であるというような判決は出ておらぬ。少なくともそれらあたりをいろいろな見解を示して、そうしてこの自治省の方針が中正公正なものとして示されるべきであって、一方的に自治省の公務員部というのは組合対策部である、組合弾圧部である、これから見ますとそういうことしか受け取れぬわけです。  きょうは時間がないから、私は、あなたのほうに対するお尋ねはこれぐらいにしておきますが、こういうことについて、これは政務次官にお尋ねをしておきますが、公務員部の指導というのは公正を欠いておる。いま二、三の例を申し上げたんですけれども、こういった問題について政務次官は一体どういうふうにお考えなのか、ひとつ御判断、御意見を伺っておきます。

細田吉藏自由民主党自治政務次官

○説明員(細田吉藏君) お答え申し上げます。  あらためて申し上げるまでもなく、いま小野先生の御質問の中にもありましたように、公務員部が組合弾圧部であったりなどしてはたいへんだと思います。これは、すでに昨年、内閣委員会におきましても、厳重にいろいろ論議されたところでございますし、また、地方行政委員会では、最終的な質疑応答が当時の藤枝自治大臣との間にかわされておるのでございまして、その範囲を逸脱しては絶対いけないと思います。そこで、個々の具体的な問題を実は私ども最近になりましてここ一日か二日この問題を聞いたわけでございますが、何といいましょうか、公務員法、地方公務員法を守っていくということは、これは公務員部の重大な仕事でございます。これと、いわゆる労働運動に干渉する、ましてや弾圧するなどというその辺の見解については、非常にデリケートな点もございます。ですから、十分な注意をして慎重に扱わなきゃならぬことだと考えます。そこで、そういった点につきましては、私ども今後十分慎重に取り扱わせるように注意していきたいと、かように思っておる次第でございます。  個々の具体的な、いま公務員部長との間に質疑応答がございました中身につきましても、前置きがありましたり、いろいろなことがあるようでございます。そういったような点につきましても、参りました本人もよくわかっておることでございます。そういう点につきまして、すでに公務員部並びに労政局長のほうでいろいろ調べてもまいったようでございますけれども、私どもまた大臣としても十分注意をしてまいりたい、かように思っておる次第でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 政務次官ね、ひとつ資料を提供してもらいたいと思うんです。これは、いま公務員部長が言われるように、枝を切り落としたメモである、こういうふうに言われますから、これでもって議論をしても若干意を尽くさないところが出てこようかと思うのです。おたくの課長補佐ですかが行かれているようですから、この会というのも、大分だけではなくて、過去何十回かやられているように私はお聞きしておりますので、大分における例をひとつ詳細にお出しいただきたい。その他の何十回かの分は、これは全部出せとは言いませんが、大分の例をはじめとして数例、たとえば五例くらい、この会では何だ、この会ではどういうふうにやられたのだ、参加者、あるいは質疑者、そういったものを含めてひとつ報告書を委員会に提出をいただきたい、私どもに提出をいただきたいと思います。委員長よろしくお願いいたします。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 私どものほうの職員は講師として行ったわけであります。それで、そこでどういうことをしゃべったかというのは速記を一々とっておるわけではないのでございますが、どういった資料をというのか、ちょっと腑に落ちないのでございますが……。

小野明日本社会党

○小野明君 ここにメモが出されておりますね。これを全部あなたは肯定をされておるわけですよ。あなたはそれを自治労の安養寺君からもらっているわけでしょう。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 全部肯定をしているわけではございませんのですが……。

小野明日本社会党

○小野明君 だから、この内容を、どういった講習会が行なわれたか、あるいはあなたのほうの課長補佐がどういうふうな発言をしておるか、ひとつ詳細な報告書を資料として出してもらいたい、こう要求しておるんです。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 先ほど、これはメモだから前後食い違いもあるんじゃないかと。大体その話をする内容というのは公務員部で話し合ったと。それは、局長、次官、大臣という決裁はなかったけれども、話し合ったというんでしょう。だから、話し合った大筋というものはどういうものであったかという資料は出せますね。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) はい。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) それから小野君の要求は、各会場数例でどういう主催者で、どういう階層が集まって、どういう話をしたかという概要もあわせて知りたいということですよ。それは可能な範囲でひとつお出しをいただけますか。

鎌田要人自治省行政局公務員部長

○説明員(鎌田要人君) 実は、私がその会議に一つでも行っておりますと、ちょっと見当がつくのでございますが、速記をとっておるわけでもございませんし、どういう形の資料になりますか、ちょっと心もとないのでございますが、小野先生のほうとひとつ連絡をとらしていただきまして資料を出さしていただきたいと思います。

小野明日本社会党

○小野明君 これは「管理職員研究会の記録要約」ということで項目が全部あがっているわけです。たとえば、「団体交渉に対する心構え」「組合活動と悪労働慣行の是正」「争議行為について」「争議行為に対してとるべき措置」「最近の闘争の傾向と注意事項」「労務管理と労働基準」「質疑」と要項はきまっておるわけです。この内容は、全部、一項からそれぞれ数項に分かれてきまっておるわけですから、これはあなたが心配なさるほどむずかしいものではないと思うのです。ですから、参加者、あるいは会議は何十回となく行なわれておるわけですから、その数例くらいを、あなたのいう枝葉がないというから、枝葉をつけてもらってきちんと出してもらいたい。よろしゅうございますね。  それでは、労働大臣にお尋ねをいたします。  今回の公務員ストの問題について、大臣だけがこの委員会に御出席でありますから、お尋ねをしておきたいと思うのですが、七人委員会としては、一体、公務員ストについてどうこれを受けとめるか。これを回避させるのが政治家や政府の仕事ではなかろうか。回避のための努力ということが当然行なわれなければならぬと思います。特に七人委員会の中でも前向きの発言をなさったと私はお聞きをしております労働大臣ですから、一体、七人委員会ではどういった最近の話し合いであったのか、これをひとつ率直にお出しいただきたいと思います。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) 人事院の勧告制度は、スト権を制約されております公務員のために給与の適正を期するための制度でございますから、これを尊重するのは当然でございます。したがいまして、そういう気持ちであとう限り勧告の趣旨に沿いたい、こういうことで数回にわたって関係閣僚の委員会を開いて問題を詰めてまいったわけでございますが、何ぶんにも総合予算主義のたてまえをとっておりまする関係上、予備費の範囲内で対処するほかはない。まことに遺憾な不本意な決定でございましたが、昨年並みという閣議決定をいたしたわけでございます。しかるに、八日にはストが行なわれる。何とかこの勧告の範囲内において、閣議決定の当時からはすでに日も相当経過しているわけでございますから、同じく予備費の範囲内において政府の前向きの気持ちを示す方法がないであろうか、ああでもない、こうでもないということでいろいろ研究をいたしたわけでございますけれども、いかんとも有効だと思われる方法が考えられないで、非常に残念に思っております。したがいまして、これからの問題といたしましては、来年度からぜひとも勧告が円滑に実施できますよう、現存の制度について鋭意研究をしよう、こういうことを申し合わせ、かつ、官房長官から表明をいたしたというような次第でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 先ほど、大臣もお聞きのように、人事院総裁としては代償機能を果たしていない、こういうふうに明確にお答えになったのであります。それで、こういうふうに答えさせる、あるいは人事院に代償機能を果たさせない結果、公務員にストライキを打たせる、これを招いたのでありますけれども、この責任というのは、七日の官房長官談話では、公務員が悪いからこうなのだという一方的な談話になっておる。まことに私はこれは不満だ。これは政府側にも当然勧告を完全実施しないという責任があると思うのですが、この点について大臣はどうお考えになりますか。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) 官房長官談話は、違法なストをつつしんでもらいたいということをうたっておりますが、同時に、来年度からぜひともこれを完全に実施すべく鋭意努力をするという文言におきまして、今回勧告を完全に実施し得なかった点を非常に遺憾に思います。政府としても、この際反省をして、何らか改善のために努力をしなければならないという気持ちをあらわしておるものと理解しております。

小野明日本社会党

○小野明君 そうしますと、政府も、公務員のストに対する、あるいは人事院勧告を完全に実施をし得なかったという責任を感ずる、こういうわけですね。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) まことに不本意な結果であることは、関係閣僚全員が感じております。でありますればこそ、来年度からはぜひこれを円滑に実施する方途を講じていきたい、かような結論に到達したわけであります。

小野明日本社会党

○小野明君 後段にきわめて重大なことを大臣は言われたのですが、来年は完全実施をする、こういう閣議の決定である、このように受け取ってよろしいですか。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) 必ず完全実施ができるとお約束申すわけにはまいりません。ぜひ完全実施すべく鋭意努力をする、かような趣旨でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 それだと、毎年言われておることと変わりがないわけです。来年まで労働大臣が大臣でおられるかどうか、それはわかりません。私は、優秀な大臣ですから、来年までおられると思いますが、完全実施をするのだ、するつもりである、努力するのだ、こういうふうに言われるのですが、毎年もう過去八回だまされてきていますから、その辺は一体どういう話になっておるのか、閣議決定の注1とも関係ありますから、その意を含めてひとつお話しをいただきたいと思います。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) 毎年同じ趣旨のことを申しておると存じます。ただ、ことしは、非常に早い時期からこの制度の改善をはかるべく関係閣僚の会議がスタートいたしておりまするし、今回もその趣旨を特に官房長官談話でうたっておるわけでございまして、これは政府の前向きの姿勢、熱意のあらわれと御了解をいただきたいと存じております。どういう形の改善をなすべきかということにつきましては、まだ議論が非常に具体的に煮詰まってきておるという段階ではございませんけれども、今日まで勧告を完全に実施できませんでしたのは、もっぱら年度の途中でまとまった補正財源を求めることが困難であったという事情だったと存じます。したがいまして、これをあらかじめ予備費に組んでおくということにいたしましたのは、先ほど人事院総裁のおことばにもありましたように、ある意味では一歩の前進であったと存じます。しかるに、ふたをあけてみました結果は、かような結果になったわけでございます。現行制度のもとにおきましても、相当大幅なベースアップの勧告が出ても十分に対処し得るだけの予備費を組んでおけばこれは問題ないわけでございますが、予算編成のときには、いろいろな要求、さまざまの財政需要が競合いたしますから、予備費というような形でまとまったものをいろいろむしり取られずに確保するということは実際問題としては非常に困難ではなかろうかと考えられます。したがいまして、何らかの形で予備費ということでなくてあらかじめ予算に組んでおくということができないだろうか、これも一つの考え方のめどになっておるわけでございますが、まだ閣僚の間で——事務当局の間ではいろいろ話をいたしておりますが、正式に一つ一つの構想について検討を始めておる段階ではございませんので、詳しい御報告がいたしかねる次第でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 そうしますと、来年度は完全実施ができるように努力をするとおっしゃる気持ちはわかるような気がいたします。しかし、そのことは、閣議決定の注1にあります、予算編成時において四十四年度の方針を立てると、こう書かれております。この内容ともからんだ来年度方針をどうするか、本年の閣議決定の注1をどう処理するかという具体的な方向がありませんと、やっぱり身のない毎年のものと同じものになるわけです。それは大臣もおわかりいただけると思う。この辺のことが何ら話にならないで、そして来年はやるんだと、こう言われても、これは身のない閣議ではないか、七人委員会の態度ではないか、こう思うわけです。再度ひとつ御説明いただきます。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) あの注にも書いておりまするとおり、のんべんだらりと議論をしておったのでは役に立ちませんので、予算の編成が始まる時期までに具体的な結論を得たい、これを目途としてただいま研究をしておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 私が申し上げておるのは、もう予算編成もかなり進んでおるわけですね。大蔵省の折衝も始まっておる段階——具体的にはこれは大臣のほうがよく御存じですけれども、来年は完全実施をするつもりである、努力するつもりであると、こういうふうに国民に発表される以上は、閣議決定の中身の充実と合わせた議論でないと、これはうそになる。これは毎年の例で明らかです。ですから、一体、その辺の議論は、来年度の具体的な完全実施をする手だてというものはどういうふうになさっておるのか、再度ひとつ説明をいただきたい。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) 完全実施をする手だてがいかなるものであるべきかということについていま議論をいたしておるわけで、その結論は間に合うように出すと、こういうことでやっておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 いつごろ出ますか。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) これはいつごろと日を限っておるわけではございませんけれども、具体的な構想ができ上がりましたらば、これを来年度の予算に盛り込めるような時期までに結論を出すと、こういうつもりでやっておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 いろいろな話が私のほうにも聞こえてきておるわけです。それは、ことしは予備費千二百億、災害も四百五十億ぐらい見積もっておったが、三百五十億ぐらいでおさまりそうであると、税収の伸びもかなりまあ好調であって、一千億ぐらい国債の償還に振り向けてもまだかなり余るようだと、そういうあれやこれやの話も個々には私のところに聞こえてきておるわけです。いわばことしは財源不足と言えない年なんではないかと、そういう空気になったときに、どっかから圧力がかかったと。御承知のように、自民党の政調は九月実施ということをきめておられる。それに反して八月と、こうやったんだから、これは不届きだと、いろんなところから七人委員会に対して圧かがかかったと、こう私はお聞きをしておるわけですが、一カ月前進をするとすれば、五十億ないし六十億の金で済むわけですよ。それの努力さえも、いま申し上げた予備費の中における金繰りからいってもできなきゃならぬのに、でき得なかった、そういう内部の問題を少し御説明をいただきたいと思います。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) 自民党の政調会が九月という決定をしたということは実は私は聞いておりませんし、また、何らかの圧力を受けたという事実も全くないのでございます。予備費の範囲内でたとえ十日でも十五日でもさらにさかのぼる余地がないだろうかという研究も真剣にやったわけでございますが、財務当局の説明も時間をかけて詳細に聞きました結果、残念ながら全くその余裕がないという結論であったわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 それでは、大臣は、来年は完全実施をすると、こういう御決意であるかどうか、そして予算編成時までにという閣議決定の注1に関して完全実施への具体的なお考えというのはどういうふうであるか、大臣の御見解をいただきます。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) 私自身は、ぜひ完全に実施できるような仕組みを考えてこれを実行に移さなければならないと思っております。しからばどういう形でこれを実現するかということでございますが、その点についてはまだ結論を得ておりません。この問題については、先ほど人事院総裁も言っておりますように、よほど前からいろいろな構想が出ておるわけでございますが、それぞれに問題点がありまして、なかなかきめかねておるわけでございます。何とかことしこそはよい結論を導き出したい、こう考えておる次第でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 先ほどからお聞きのように、公務員制度審議会、これが早急に発足をしてもらいたいという要求をしております。自治省のほうでいわゆる在籍専従に関する自治省通達というようなものが先走りをして、在籍専従の問題どころか、労働基本権の問題にまで立ち入るような通達が出されようとしておるわけです。ですから、公務員制度審議会を早急にベースに乗せていただいて再開をしていただいて、ILOの趣旨に反しないような公務員制度審議会の答申が出るように御努力をいただきたいと思いますが、この問題についてはいかがですか。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) これは法律に基づいて設置された審議会でございまするし、総理大臣がこれに対して諮問をしておるのでありますから、一刻も早く再開してほしいと存じております。総務長官にもしばしば申し入れをいたしておるようなわけでございますが、委員になっていただきたい方個々にいろいろな事情があるようでございまして、なかなかこれが円滑に進んでおらないというのが現状だと聞いております。しかし、総務長官も非常な熱意をもって臨んでおりますから、遠からざる将来に必ず再開の運びになると信じております。

小野明日本社会党

○小野明君 次の問題は、経済企画庁が、熊谷委員会なるものをこしらえて、最近「物価安定と所得政策」という報告書を出しました。私は、これは経済企画庁の仕事であると、こういう云うに看過し得ない問題ではないかと思います。大臣も、七人委員会のメンバーの一人である給与関係担当大臣、しかも中心的な労働担当である、こうなりますと、この熊谷委員会の報告書が実際の施策にのせられてくる段階というものも想定しながら、これは経済企画庁の仕事であるとほったらかしておけないような問題ではないかと思うんです。こういった問題については、七人委員会でどのように扱われようとしておるのか、その辺をひとつお伺いしておきます。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) この報告書は、賃金、物価、生産性の相互の関係、あるいはいわゆる所得政策につきまして、各界の人に基礎的な知識を与える、それによって今後これらの問題を論議いたします場合の一つの土俵を提供したいと、こういう意図のもとに書かれたものだとしるされております。その意図はまことに歓迎すべきものだと存じておりまするし、当然のことでありますけれども、私どもも非常に深い関心を持ってこの報告書を読み、いろいろ教えられたところもございまするし、蒙をひらいてもらった点もございます。まことにりっぱな研究で、画期的な研究だと考えております。七人委員会におきましては、ただいまのところ、この報告について論議が行なわれたということは、ございません。

小野明日本社会党

○小野明君 全くりっぱな報告書であるというふうにお話しになるわけですが、一体、経済企画庁はこんなことだけ先走ってやって、そしてその結果、これは政府の政策として所得政策が導入されてくると、この中にも書いておるように、いろんな経済のオーソドックスな目標、施策というものが達成されないでこれを取り入れるわけにいかぬ、補完的な意味なんだということが書かれておる。それにしても、物価安定のためにこの問題が取り上げられてくるという、そういう意図は明らかではないかと思うのです。ですから、この報告書がまことにりっぱな報告書であり、七人委員会では何ということはないと言われるだけでなくて、やっぱり大臣としても、これはどう扱ってもらいたい、これについてはどうなんだという意見を積極的に述べるべきではないかと私は思うのです。その辺のお考えを聞きたいと思います。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) この報告は経済審議会に対する報告でございますから、直ちにこれが国の行政と結びつく性質のものではないと存じますが、内容につきましては、いまもおことばがありましたとおり、各種の本来的な、正統的な手段に対する補完的な役割りを果たすべきものだというふうに書いてございまするし、これを導入いたします場合の条件としては、賃金あるいは価格形成の当事者がまあ相当程度の市場支配力を持っており、したがって、裁量の余地を持っておる、そこでいろいろのオーソドックスの手段をもってしては対処できないような事態が出てきたときにはじめて導入されるべきものだというふうに書いてあると存じます。私は、日本の現状が、所得政策が導入さるべき条件を満たしておるとは考えない、そういう事態が来ておるとは考えておりませんから、したがって、この際所得政策が採用さるべきだというような考え方はいたしておりません。この報告自体も、これを導入するに際してはきわめて慎重でなければならないということを繰り返して強調いたしております。私はそのように理解いたしております。

小野明日本社会党

○小野明君 それでは、最後に、次の問題に移りたいと思いますが、ILOの五十二回総会に大臣も御出席になられて、そして決議事項にあります「国際人権年の一九六八年末までに、ILOの原則および基準にしたがって、労働組合運動の故に逮捕されまたは宣告をうけたすべての労働組合運動家に、大赦、恩赦または同等に有効なものを宣言し、実際にこれを与え、それについてILO総長に通報するよう訴えること。」、こういうオランダ、ベルギーの労働者代表から出された決議案が可決になっております。これを受けて、労働大臣としては、この決議については留保したと、こういうふうにおっしゃられた答弁がありました。その理由としては、労働事犯だけが優遇されるのではなくて、他の事犯とのつり合いの関係である、このように御答弁があったと思います。その点について、再度ひとつ御説明をいただきたいと思います。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) この決議が審議されました決議案委員会で、日本政府としては、わが国においては、大赦は、国家の慶弔禍福の場合に限られており、かつ、罪名を指定してこれを行なうので、労組員と一般人を差別することは至当でない、こういう発言をいたしまして、表決の際に、決議案全体には賛成をいたしましたけれども、この項目については留保いたしているわけでございます。この点については、前回も御質問がありました際に答弁を申し上げたわけでございます。その後、この点について法務省の意見も聞いているわけでございますが、これまた前回答弁を申し上げましたとおり、現に逮捕されており、あるいは刑に服しております人は、もちろん労働組合活動をしたという事由で逮捕され、あるいは刑に服している人だけではないので、それらの人たちとの振り合いという点でいろいろな問題があるのではないか、かような見解を法務省からも聞いているような次第でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 これは私の資料が間違っておれば御訂正をいただきたいと思いますけれども、この問題について、「「日本政府は一九六六年に公共部門における労働管理から起きる問題を検討するために、雇用者と労働者をふくむ専門委を設置した。この委員会で何らかの方法が講ぜられると思う。そうしたらILOに報告したい」と述べたが、後日「ILOから報告を求められたら直ちに誠意をもって日本政府はそれらの質問に応ずる」と発言を修正した。」、こういうふうにあります。それで、この辺が決議にあげられたことは事実であります。同時に、六六年に雇用者と労働者を含む専門委員会というのが設置されて、こういうふうに言われているのですが、これはどういう検討をし、あるいはILOからの質問に応ずるという内容はどういうものか、ひとつ……。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) いま朗読していただきました点は、問題になっている本件とは関係のないことのようでございます。ただいま国際労働課長から答弁をいたさせます。

広政順一労働大臣官房国際労働課長

○説明員(広政順一君) いま先生がお読み上げになりました記事は、条約勧告適用委員会におきまして、日本の労働側の委員が御発言になりまして、そのときに政府側から御答弁申し上げたことでございまして、六六年というこの委員会は、公務員制度審議会のことを私どもとしてはさして御答弁したということでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 この中には、刑事、行政弾圧云々ということが起こっているという労働者側からの発言があった、そういうことを受けてこの制度が発足している、このように書かれているわけです。それで、何ら関連のないことだというふうには私は受け取られないのです。しかし、むしろ前段が重要ですから、この「すべての労働組合運動家に、大赦、恩赦または」云々という決議、これを尊重するために、政府としては、この問題は労働大臣のほうで検討されておるのか、法務大臣のほうで検討されておるのか、あるいは両者協議なのか、一体どういうふうになっておるのですか。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) 常識的には、ただいま申し上げましたような理由から、この決議に留保なしに賛成することにはちゅうちょせざるを得なかったわけでございますが、法務省について専門的な意見をその後聞きました結果、ほぼ同様の結論に達した、こういうことでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 法務省刑事局長にお尋ねをいたしますが、ILOの五十二回総会でこういった決議がなされておる。国際機関でありますから、しかも、ことしは国際人権年であるということからこの決議があげられておる。そういたしますと、この決議の趣旨というものは当然尊重をされて日本政府も回答をしなければならぬ、こういうことになっておるのですが、この検討の内容、そして六八年末にILOに報告をする内容、これは一体どういうものになるのか、お尋ねをいたします。

川井英良法務省刑事局長

○説明員(川井英良君) ILOの精神といいますか趣旨を尊重しなければならぬことは、私どももよく承知しておるところでございます。そこで、五十二回総会においてただいま御指摘のような事柄が決議されまして、理事会に対して希望を述べられ、それが日本政府に対して通報があったわけでございますが、私ども法務当局におきましても、関係方面からその趣旨の通報を受けまして、慎重に検討をしたところでございますが、一応検討いたしました結果を申し上げますと、一般的に申し上げまして、いわゆる労働者が労働組合活動に関連して逮捕ないしは刑の言い渡しを受けておるというものは、これは内容をこまかく検討いたしますと、よく御承知のように、いろいろな種類のものに分けることができるわけでございますが、総体的にいきまして、すべて日本の国内法令に明らかに違反した行為であるということのほかに、その背景等について十分調べましても、憲法その他組合法等に規定されておりますような正当な労働組合活動行為として認定することができないようなものであったと、そういうようなものにつきまして逮捕ないしは起訴というふうな手続がとられておるということでございます。問題は、御指摘のようなILOの精神、趣旨、ないしは原則、またはその確立された基準というふうなものに日本が適用した刑罰法令が適応しているかどうかということが重要な問題であろうと、こういうふうに考えるわけでございます。私どもいままで検討した過程におきましては、現実に適用されておる刑罰法令というものは、決してILOのいまおあげになりました原則ないしは基準というふうなものにまっこうから反しておるものではないというふうに一応考えられますので、現在のところ、法務当局といたしましては、この決議に対しまして直ちにどういうふうな措置をとるかどうか、また、したがって、その措置についてどういうふうな報告をILOにいたすかどうかというふうな点については、はっきりした確定的な段階にはまだ至っておりませんけれども、現在のところといたしましては、法務当局といたしましては格別の措置をとるという必要はないのではなかろうかというふうに考えておるのでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 そうしますと、このILOの五十二回総会の決議の内容になってくると思いますけれども、国内法に触れる事犯については除くと、こういうことはないわけですね。そして、正当な労働組合運動、こういう正当ということばもない。正当な労働組合運動であれば、何も国内法に触れないわけです。これはどこの各国も同じだろうと思うのです。それが、労働組合運動家について大赦、恩赦をやるべきである、こういった文言どおりに受け取るならば、国内法云々というものについてはやはりそこに考慮されてしかるべきものではないか、こう私は考えます。この決議そのものも一体どのように受けとめるかということが私は重要だと思うのですね。法務省としては、この内容についてどのように受けとめておられるか。あるいはこれは主管省である労働省とも関係がありますけれども、いま言われるような法務省の見解なんですけれども、労働大臣としてはこの決議についてどのようにお考えなのか、大臣の見解をいただくのと同時に、法務省の見解もまたいただきたいと思います。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) 私は、日本の国内法が各国の労働関係の法規に比べまして労働者の保護において特に欠けておる点があるというふうには考えておらないわけでございます。この決議の取り扱いにつきましては、先ほど申し上げましたような理由で全面的に無条件で賛成することはちゅうちょせざるを得ないというわけでございます。

川井英良法務省刑事局長

○説明員(川井英良君) 率直に申し上げまして、およそ労働組合運動に関連して行なわれた行為であるならば、その行為がたまたま国内法に触れたということで検挙ないしは処罰を受けている、こういうふうなものは、国際人権年でもあることでもあるし、それからまた労働組合運動というふうなものを通じて労働者の格別の保護育成をはかるというふうな大きな趣旨からいたしまして、国内法がどっちを向いておろうと、とにかくこの際そういうふうなことでもって処罰を受けているというような者があるならば、これは恩赦というような行政的な手続でもって司法的な措置を消してしまうというような方向をとりなさいと、もしこういうふうな趣旨でこの決議が行なわれているというふうに考えてみますならば、それはまたそれとして、ただいま大臣が申されましたように、日本はこれを留保してこの決議全体に一応賛成されたということでございますので、そういうふうな留保された事情をももちろん勘案しなければいけませんけれども、冒頭に申し上げましたように、ILOの精神というものを尊重していくのが国際場裏における趨勢であるということでありますれば、私はそういう解釈も成り立つと思いますので、そうだとするならば、そういう観点からそのような刑罰を受けている者について恩赦をするかどうかということを法務当局として検討するのはこれはもちろん意義があることであろう、こう思うわけであります。かりにそういうふうに考えました場合にいたしましても、御承知のように、恩赦と申しますのは、そういうふうなことだけで労働関係のものだけについて恩赦を行なうというふうなわけには、日本のこれまたこの恩赦を定めた憲法ないしはその他の恩赦法との関係におきましてそういうふうなわけには必ずしもまいりませんので、その他のかどによって刑罰を受けている者との均衡におきまして恩赦の適用ということを考えなければならないということになろうかと思いますので、これまた、均衡、バランスの問題としてきわめて慎重なあらゆる方面からの検討を要する問題であろうと、こう思うわけであります。  ただ、私は、定められましたこの決議の内容というものは、いま申し上げましたような趣旨ではなくて、ILOの原則ないしは基準に適合したような、趣旨に合っているような労働組合運動を行なった、それがたまたまある国の国内法令でもってそれが厳罰に値するのだというようなことで処罰を受けているというような者があった場合においては、それについてはこの際特別恩赦というような方法を活用して何らかの救済をはかるべきではなかろうか、こういうふうな趣旨ではなかろうかと一応理解しているわけであります。少なくとも法務当局におきましては、そういうふうな受け取り方をいたしておるわけであります。そうだといたしますというと、結局、いま処罰されておる、あるいは起訴されておるその法律、端的に申し上げましておそらく国家公務員法なりないしは地方公務員法がそれに該当すると思いまするけれども、それらの法律がILOの原則ないしは基準に照らして間違っているものかどうかというふうなことが問題になろうかと思うわけでございますが、私ども、いままでの研究では、現実の公務員法は決してILOの原則ないしは基準に反するものではないと、かように考えておりますので、私どもといたしましては、大臣のお考えと同じように、ただいま直ちに格別の措置をとる必要はないのではなかろうかと、かように考えておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 そうしますと、結局、ILOの総会決議というものについて、それに応ずるような報告をなし得ない、こういう結論だと思いますね。ところが、国公法、地公法というものは間違いのないものである、こういうふうにおっしゃるのですが、さきの公務員制度審議会、これは御検討をいただいておると思いますが、この中の公益委員の発言という中に——これは、使用者、労働者、公益、こういう三者構成になっておりますが、この中に、現行の国家公務員法及び地方公務員法にはILO八十七号条約に違反する部分があると、これは各委員の意見が一致し、また一致しつつある問題だ、こういうふうに答申がされておるわけです。ですから、ILOの趣旨に全然反しない、国公、地公法については問題がないのだ、こういう受けとめ方については若干これは問題があるのじゃないか。具体的にどうだと、これは刑事犯にひっかかるような事項についてはどうだと、こういう具体的な指摘はありませんけれども、しかし、国公法、地公法が万全なものであるというふうには公務員制度審議会は見ていない。しかも、公務員制度審議会は、先ほど答弁があったような趣旨で発足をしておる。こういうことになりますと、いまの法務省の答え方ではなくて、ILO総会の決議の趣旨に沿うように再度御検討あってしかるべきではなかろうか、こういうふうに考えますが、いかがですか。

川井英良法務省刑事局長

○説明員(川井英良君) よけいなことですが、公務員制度審議会には、私のほうから出ております委員の代理人として終始出席しておりますし、政府の見解、主張に対しては、すべてほとんど私が関与しておるわけでございますので、私自身としては非常によく理解をしておるつもりでございます。ただ、ILOのいままでたくさんなされました決議、勧告、それからその他の締結されました条約、それから各国からのいろいろな照会に対して行なわれたILOの事務当局の回答、解釈というふうなものを総合いたしましても、もちろん御承知のところでございますが、非現業の公務員につきましては、ストライキを禁止する、争議行為を禁止するということにつきましては、実は私の理解する範囲では、ILOは決して有権的な解釈なり意見を発表していないということがいい得ると思うわけでございます。ただ、ILOがそういう有権的なことをいっておりませんけれども、いろいろな機会におきまして、公務員のストライキ権はどうあるべきかということについては、特に結社の自由委員会あたりを通じまして、いろいろな原則ともいえるべきものが徐々に確立されてきつつあるというふうに解釈することができるわけでございます。そこで、そういうふうなところを一応勘案いたしまして、日本の国家公務員法ないしは地方公務員法の特にストライキのあおり、そそのかしを禁止した条項がILOの確立されつつある原則ないし基準というものに沿っているのか沿っていないのかというところの判断が非常にデリケートであり、またむずかしい問題である、かように考えるわけでございますが、結論だけ申し上げますと、私どもの立場並びに私どもの信念から申し上げますならば、現行の公務員法の規定は、決して今日確立されたILOの精神に反するものではない。ただ、問題は、非現業の公共部門につきましては、御承知のとおり最高裁の大法廷の判決も出ましたので、その有権的な解釈に応じましてまた別個な考え方が適当だと思いますけれども、非現業の公務員の関係につきましては、現実に行なわれておりますところの公務員法の規定にも憲法にも反するものでもなければ、ILOの精神に反するものでもなければ、確立された国際法規にも反するものではない、かように私ども考えておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 あまり時間もありませんから、簡単に申し上げておきたいと思いますけれども、いまの国家公務員法、地方公務員法というものが、政令二百一号を受けて制定されたものでありますね。いろいろな判例あたりを読んでみましても、二、三の裁判所におきましては、十分な国会審議が行なわれた上での判決である、こういうふうに書かれておるように私は記憶をいたしております。ところが、刑事局長も御承知のように、国公法、地公法、特に国公法については、国会においてそういう審議がなされておらぬ、ほとんど政令二百一号をそのままこの中に書かれておる、いわば英語で書かれたものがそのまま直訳されておるというふうにも私ども受け取れる。そうするならば、国公法、地公法というものが全然それでは問題がないかといいますと、そのようには私は受け取れないところがあります、実際に。しかし、モース事務総長が来られた際にも、あなたの言われるような趣旨は言われておるわけでありますけれども、問題は、そうすると、ILOの五十二回総会の決議というものについて日本政府は何ら応ずる必要はないのだ、このようにとられることが私は問題だと思うのです。そういった面で、再度検討をすべき点はないのか、十分な検討を必要とする点ではなかろうかと、私はこのように考えておる。しかし、いまのところ、日本政府としては、あるいは法務省としては、ILOの五十二回総会の決議にこたえ得るような報告というものはなし得ない、このような御態度と受けとめて、理解してよろしゅうございますか。

川井英良法務省刑事局長

○説明員(川井英良君) もちろん謙虚に反省をして間違いなきを期さなければいけませんけれども、したがいまして、常時さらに慎重な検討を続けて、関係方面と慎重な連絡をして、誤りなきを期したいと思っております。ただ、今日御質問を受けましたので、いままで私どもが研究いたしました限度におきましては、この際格別の処置をとる必要はないのではないかということが今日のところの結論である、かように申し上げたわけであります。

小野明日本社会党

○小野明君 労働大臣に最後にこれは要望をいたしておきますが、いまの刑事局長の御答弁の趣旨というのは、前回に大臣からも承ったように記憶いたしております。しかし、それかといって、そういった事情を全然ILOの総会決議が無視をしておるかというと、そうではないような気がするわけですね。やはりこの決議の趣旨に従って十分これに応じ得るような報告がされるようにひとつ御検討を再度いただきたいということを要望しておきたいと思います。

小川平二自由民主党労働大臣

○国務大臣(小川平二君) 考えておりますことをありのままお耳に入れたわけでありますが、だんだん御注意の趣旨は非常によくわかりますので、なお引き続き研究をいたしたいと思っております。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 本日の調査はこの程度にとどめておきます。  次回の委員会は、十一月二十一日午前十時から開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗