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59回国会衆議院1968/08/09

法務委員会 第2号

発言数
209
登壇者
23
会派数
4
開催日
1968/08/09

会議録

永田亮一自由民主党

○永田委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程八件を一括して議題とし、審査を進めます。  今国会において、本委員会に付託せられました請願は、「刑法の一部改正に関する請願」八件であります。  以上の各請願には、文書表等により委員各位も内容は御承知のことと存じます。また、先ほどの理事会におきましても内容等を十分検討いたしましたので、紹介議員の説明等を省略し、直ちに採決いたします。  本日の請願日程第一ないし第八の請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 御異議なしと認めます。よって、日程第一ないし第八の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ─────────────      ────◇─────

永田亮一自由民主党

○永田委員長 次に、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  すなわち、第五十八回国会提出、神近市子君外七名提出の「死刑の確定判決を受けた者に対する再審の臨時特例に関する法律案」及び第五十八回国会提出、横山利秋君外七名提出の「刑事補償法等の一部を改正する法律案」、並びに裁判所の司法行政に関する件、法務行政及び検察行政に関する件、国内治安及び人権擁護に関する件、以上の各案件につきましては、閉会中も審査をいたしたいと存じますので、議長に閉会中審査の申し出をいたすことに御異議ありませんか。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次に、おはかりいたします。  閉会中審査に関し、最高裁判所の長官またはその指定する代理者から出席説明の要求がありました場合には、そのつど委員会にはかることなく、その取り扱いを委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なお、閉会中の審査案件が付託されました後、審査のため委員派遣を行なう必要が生じました場合の手続等に関しましては、あらかじめすべて委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ────◇─────

永田亮一自由民主党

○永田委員長 この際、横山利秋君より発言を求められておりますので、これを許します。横山君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 この際、第五十八国会閉会中に福岡県、長崎県における裁判所、法務省関係庁舎の整備状況並びに大村入国者収容所における外国人の収容状況調査のため委員派遣に参り、調査をいたしてまいりましたので、便宜報告いたします。  福岡、長崎両県視察の調査報告をいたします。  去る七月十五日より行なわれました派遣委員による福岡、長崎両県の調査につきまして、私からその概要を御報告いたします。  なお、詳細な報告書を別途提出いたしましたので、会議録にとどめさせていただきます。  福岡・長崎班は、当委員会の決定に基づき、大村入国者収容所における外国人の収容状況調査及び福岡、長崎両県下の裁判所、法務省関係庁舎の整備状況調査、その他現地の要望事項につき関係各方面の意見を聴取、懇談を遂げ、関係諸施設を視察する等の方法によって調査を行ないましたが、今次の調査、視察の重点を大村入国者収容所における外国人の収容状況等に置き、現地の担当者から実情を聴取することにつとめました。  また、裁判所、法務省関係庁舎の整備状況につきましては、福岡高裁、同地裁、同簡裁合同庁舎の新営現場及び福岡高検、同地検、大村入国者収容所、長崎地検の各庁舎をそれぞれ視察いたしました。  次に、調査の概要とその結果について簡単に申し上げます。  大村入国者収容所における外国人の収容状況等について申し上げますと、当収容所は、朝鮮人及び中国人のみで、欧米等その他の外国人は収容されていません。十数年前には収容者数は千数百名にも達したことがありますが、最近は、収容者も著しく減少し、ここ二年間ぐらいは常時二百名前後にとどまり、収容期間も六カ月未満が七五%、六カ月以上が二五%程度であります。また、収容者の年齢についてみると、全体の八〇%が二十歳から五十歳の者で占めており、これら収容者のうち朝鮮人は約八〇%、残りは中国人であります。しかし、中国人収容者は、そのほとんどが麻薬密輸者であり、これらの者に対する送還業務は順調とはいえない。これは日韓相互送還の取りきめのない中国人には、相手国の協力を得なければならないという事情もあるものと思われます。  次に、収容所の管理方法についてみると、収容内容が韓国人の男女と中国人男子とを収容しておる関係上、全棟を統一して管理することが適当でない状況にあり、各棟単位の管理方式を採用するなど、その処遇にあたっては人権尊重の立場から、法令に従い収容所内の保安上支障のない範囲内でできる限りの自由を与えて、民族的風俗習慣、生活様式を尊重した処遇を行なっている。  なお、収容所の事務庁舎は、昭和十六年建設の木造建築で、終戦時より約五年間放置されていたものを二十五年十一月に応急修理を行なった程度のまま現在に至っているが、粗悪な資材の上、白アリの被害もあり、すでに老朽化しているところから、その新営を望んでいた。  次に裁判所、法務省関係庁舎の整備状況について申し上げると、特に長崎県は離島が多く、検察庁を例にとりますと、県下に十三の区検察庁があり、そのうち六区検察庁が僻地の離島に存在し、壱岐、対島、五島列島などに出張する場合、佐賀、福岡の両県を通り、博多から船出し、壱岐まで三時間、厳原までは七時間もの海路を要する状況にある。しかもこの三庁は、福岡に一泊し、朝便の船を利用しなければ壱岐、対島には行かれず、その上、対島の上県に行く場合、厳原に一泊して次の日のバスで行くという状態である。これは単に僻地というだけでなく、海路によるため天候に左右される。これらの実情は裁判所、法務局関係も同じである。これら離島と本土を結ぶ交通機関が至って不便であるからヘリコプターを利用してはどうか等の意見も出されたが、今後の課題として十分考慮する必要があると思われる。  裁判所・検察庁の各支部や法務局出張所の庁舎についても、離島関係の庁舎は、一般的に老朽であり、特に平戸、厳原の各庁舎など建築年次も古い上に、白アリ被害を受け、早急の改築を望んでいた。  また、離島には子弟等の教育施設や医療施設も不十分のため、職員の異動について計画的な人事交流が困難な実情にあり、これを円滑にするためには特に職員宿舎の充実をはかり、異動旅費等の予算的措置を要望していた。  以上、簡単でありますが、御報告申し上げます。  以上が御報告でありますが、先般理事会におきまして、その御報告いたしました末尾にございます離島問題につきましてさらに調査を決定いたしまして、委員長の手元において御調査を願うことになり、調査室でやっておると思いますが、その経過につきまして簡単にひとつ中間報告をいただきたいと思うのであります。

福山忠義専門員

○福山専門員 長崎県下離島問題につきまして、命によりまして調査いたしておるわけでございますが、まだ調査は全面的に完了しておりませんが、離島の宿舎関係について申しますと、これは宿舎の扱いは理財局が中心になりまして、予算時期とは若干ずれて、九月一日現在の現況で集められるわけです。それで、昭和四十二年九月一日現在で、裁判所、法務省関係の資料等によりますと、大体裁判所におきましては、やはり離島問題に重点を置きまして、当時においては、一応相当充足されている。検察庁、法務局関係におきまして、検察庁においては二戸、法務局においては四戸、離島関係について必要であるという要求がなされております。この宿舎の関係につきましては、離島は多く無料宿舎という扱いで、離島勤務者のいろいろ困難性を考えまして、そういう便宜をはかっておるようでございます。ただ、現実には職員子弟の教育施設とかあるいは医療施設等が非常に不自由であるというような関係で、人事の異動が非常に困難なように聞いております。そしてその赴任旅費その他の一般の関係につきましては、裁判所、検察庁、法務局等、それぞれ本庁が一括してその範囲内でまかなうというような関係で、まだ実は離島関係にどのように重点的にいっているかということの詳細は明らかではございませんが、特に遠隔地離島在勤職員というものの処遇については、裁判所、法務省諸機関において重点的に配慮されておるようでございますが、正確な結果はわかっておりません。  以上、これまで調査した概要でございます。      ────◇─────

永田亮一自由民主党

○永田委員長 次に、裁判所の司法行政に関する件、法務行政に関する件、検察行政に関する件、及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  なお、本日、北朝鮮帰還問題について御意見をお述べいただくため、参考人として、日本赤十字社副社長田邊繁雄君の御出席を願っております。  この際、田邊参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、御出席をいただき、まことにありがとうございました。北朝鮮帰還問題について、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 日赤をはじめ各方面で非常にお骨折りを願っております朝鮮人諸君の帰還協定につきまして、御意見を伺いたいと思います。  本件につきましては、田邊参考人御存じのとおり、国会におきましても、超党派と言っていいと思うのでありますが、ほとんど原則的に、政府・与党、野党の間に異議がございません。いわく、人道上の立場からすみやかに帰還をせしめるべきであるという点であります。しかるに、現実問題としては、日赤調査によれば一万五千人でございますが、一般的には一万七千有余人といわれておるのでありますが、それが一向進展をしないのであります。その原因につきましては二つに大きく分かれると思うのでありますが、一つは韓国に対する外交的な配慮といわれております。もう一つは、技術的に問題があるといわれておるのであります。私は、第一の韓国に対する配慮は、人道上の立場から考慮すべきではないことだ、考慮すべきではないともう判断をし切っておりますから、これを多くあなたにお尋ねしようとは思わないのであります。問題は、技術的に問題があるという点であります。そこでその技術的を分けまして、いま問題の焦点でございます。一応一万五千人という名前を使いますが、すでに政府の一方的な判断をもって協定を打ち切り、希望者は送ってやるから申し出ろといわれて申し出た者が一万五千人、したがって、この一万五千人と、それが完了したあとにおける自余の希望者との調整をどうするかということだと思うのであります。そこで、コロンボ会談が決裂いたしました以後の問題につきましては、よく田邊参考人御存じのとおりでありますが、日赤から朝鮮赤十字に電報を打たれた。その電報が二通打たれたということでありますが、その電報の内容をいまこまかくお尋ねする気持ちはございませんが、その以後、一体交渉の主体的な責任者と一応目される日赤としては、抽象的に帰したいとかなんとかいうことではなくて、具体的にどうしようとしておるのかという点を伺いたいのであります。私がきょう伺っております立場は、単に野党と日赤という立場では必ずしもございません。一万五千人の人、及びその背後にさらに希望する人、それからさらにあなたなり政府側の答弁を注目しておる北朝鮮赤十字及び朝鮮民主主義人民共和国、それらのすべての気持ちをくんでお尋ねをしておるのであります。もちろん私ども野党ではございますけれども、日本国の国会議員でございますから、朝鮮総連や、朝鮮赤十字や、あるいは北朝鮮の国の言うことを、そのままうのみにするものではございません。人道的な立場から、どうしたらいまの混迷状態の壁を打ち破れるのか、そうしてだれしも異存のない帰還を実現するという点、そうしていま交渉再開、話し合い再開の糸口になるものは一体何だろうかという点を、この国会審議を通じて打開をいたしたいということにほかならないのでありますから、その点をお含みの上、できる限り率直に、いまの日赤の立場について、また話し合いをするについてはこういうことを希望するという点を、ひとつお話しを願いたい。以上でございます。

田邊繁雄日本赤十字社副社長

○田邊参考人 まことにごもっともな御質問でございます。赤十字といたしましても、この問題は赤十字でなければできないという人道上の問題であるからということで、帰還協定の締結をいたしたのが昭和三十四年でございます。以来八年間にわたりましてこの事業を実施してまいったのであります。したがって、協定の有終の美を飾るということについては、非常に苦心をいたしておったのでございます。コロンボ会談の前のモスクワ会談におきましても、コロンボ会談におきましても、赤十字が強く先方に主張いたしましたのは、協定によって帰還の申請を受け付けて、協定期限内に帰れなかった、いわゆる帰還未了者、これに関してはすみやかに希望どおり帰還できるようにするための措置、いわゆる暫定措置を講ずることは、これは単に日本赤十字だけの責任ではない、日朝両赤十字の責任であり、これについてはすみやかに合意に達したいということを強調したわけでございます。モスクワ会談におきましては、御承知のとおり、残念ながら平行線でございました。コロンボ会談におきましては、双方とも終始熱心に、この問題につきまして協議を重ね、努力をいたしました結果、幸いにして意見が一致いたしまして、合意書案の文案ができ上がったわけであります。昭和四十三年の七月末日まで暫定措置を実施する。船は月に一船または二船、帰還についてのいろいろな世話なり援助に関する措置は帰還協定の例によって行なう、こういうことで事実上の意見は一致したのでございますが、直ちに調印するには至らなかったわけであります。  そこで問題は、当然次の暫定措置終了後の帰還の方法についていろいろと説明、協議を行なったのでございますが、赤十字といたしましては、協定終了後の帰還の方法については、政府の方針を主として説明いたしたのでございます。もちろん赤十字同士の業務に関することもございますけれども、主として政府の方針に関することをいろいろ説明し、向こうからもいろいろ意見が述べられました。双方いろいろ努力をいたしました結果、おおむね一致に近づいたわけであります。完全にまだ一致はしておりません。いろいろまだこまかい点で向こうにいろいろ意見がありますが、おおむね意見が近づいてきた。そこで、最後にどういう形で会談の結果を取りまとめるかということになりましたときに、先方ではどうしても法的な拘束力のある合意文書の形式をとりたいということを非常に主張いたしました。国際会談である以上、法的拘束力のある合意文書をつくることは当然である、こういうことであります。赤十字といたしましては、会談に臨む当初から、今度の会談では議題は二つあって、一つはいわゆる暫定措置についての合意に達すること、それからもう一つは、協定終了後の帰還の方法について主として政府の方針を説明する。主としてそうすることであって、この点については協定というものを結んでは困るという、こういう御依頼であったのであります。したがって、赤十字といたしましては、政府の方針に関する事柄につきましては、詳しく説明をいたしました。ところが、向こうはそれについて拘束力のある合意文書ということを言うのでございますが、これはいわばわれわれは政府にかわって政府の権限に属する行政措置に関することを向こうと約束するということになりますので、政府のお許しがなければできないわけでございます。この点が現行協定と違う点でございますので、まあ協定という形をとらなくても、帰還者に対してはいろいろな点が明確になったのであるからいいではないか。たとえばその内容はどういうことかと申しますと、日本から帰っていく出国者の範囲でございますね。それから第二は出国手続に関すること。これは法務省の告示によって明らかになっておりますが、この告示に関する事項。第三番目には、出国者の持ち帰り金ないし持ち帰り荷物、生活困窮者に対する生活保護法の準用の取り扱いの詳細、こういうことが、主として帰還者に対する日本国内における取り扱い事項でございます。これに関する政府の方針について法的拘束力がある合意文書というのが、向こうの強い希望であったわけであります。この点につきましては全く対立いたしまして、そこでずいぶん私のほうから、二月になんなんとする長い会談でございましたが、一万数千名に達する帰還未了者の暫定措置についてはせっかく合意文書ができたのであるから、とりあえずこの合意文書にこの際判を押してほしい、そうすればこの帰還未了者の問題が片づくのであって、この際はいろいろ意見があろうとも、帰還協定終了後の帰還の方法についてこまかい意見の違いがあろうとも、帰還者の立場に立ってすみやかにこの問題は解決してほしい、そうすれば日本政府の方針として、われわれが説明した事項、あるいは日本赤十字社がこういうふうにいたしますと向こうに言ったことは、そのとおり実施いたします、それについてはたいして違いはないのだから、あとはまた相談すればいいことではないか、船も通っていることでございますから、またそのとき相談したらいいではないかということを提案したのでございますが、この点も向こうでは聞き入れてくれなかったわけであります。私のほうでは、暫定措置というものは、これは集団帰還の一環でございます。帰還協定を結んだ当初から、集団帰還が終わったあとの方法についてはまた別に相談しようということを当初合意議事録の中に書いてあるわけでございますので、これはこれとして片づけて、協定終了後の帰還の方法についてはじっくりまたあなたのほうの御意見を聞きたい、とりあえず日本政府、日本赤十字社としてはこういうふうにやると言ってきておるのだから、船も向こうに月に一回ないし二回予定する、おおむね一船分たまったつど向こうに通告するということで、乗船代表の入国についてもいろいろ問題がありました。まだ未解決の問題がございましたけれども、向こうも譲るべき点は譲ってくれました。ただ残念ながら、先ほどのように国際会談の通例として、会談の結果については法的拘束力ある合意文書をつくることが慣例である、かようなものをつくることを拒否することは無責任である、こういう立場でございます。立場の相違、赤十字としてはこういう権限は与えられておらない、その点が協定とは違うということで残念ながら決裂したわけでございます。  そこで、国際委員会も非常に心配いたしまして、手紙を四月の初めによこしまして、一万数千名のいわゆる帰還未了者についてはすみやかに帰れるように日本赤十字社としても検討してほしいという要望があったのであります。そこで、赤十字も十分研究いたしまして、政府とも協議をいたしました。政府とも協議をいたしまして、それについてはこういう返事をしたわけでございます。帰還未了者をすみやかに帰すということについては、日本赤十字の見解は国際委員会の意見と全く同じ意見である。コロンボ会談におきましても事実上意見の一致を見たことなのであって、この点についてはあなたのほうと全く同意見である。そこで日赤としてはコロンボ会談最終日における提案の趣旨にのっとり、この問題の措置は次のように措置したいという返事を出したわけであります。  第一は、せっかくもう事実上の合意に達したものがあるのであるから、それに時日経過に伴う所要の修正を施す、たとえばいつから始まっていつまでに終わるという修正を施す。実施時期はおおむね六カ月間、こういうことでひとつやりたい。時日経過に伴う若干の修正を施し、実施の期間は六カ月としてこれを実施したい。  それから第二は、それが実施に移されれば、コロンボ会談において日赤が説明した政府の方針なり赤十字がこういたしますと言った事項は、そのとおり実施いたします。  第三番目に、そのコロンボ会談において説明した協定終了後における帰還の方法についての日本側の説明した事項について先方に御意見なり希望があれば、新潟に帰還船が通っている間、つまり暫定措置期間中新潟に船が通いますので、それには向こうの乗船代表も乗ってきますので、それと意思の疎通をはかって円満に解決したい、こういう趣旨の電報を打ったわけでございます。  国際委員会におきましては、日本側に暫定措置についてすみやかに検討せよという要望を出すと同時に、北朝鮮のほうの赤十字にも同じような趣旨の電報を打ったということが書いてございます。したがって、向こうでも検討しておったところでございますが、その返事を出しました直後、北朝鮮からそのような電報が参ったわけでございます。  そこで私のほうでは、会談をしたい、会談をしたいという先方の御要望であるし、また先ほどもそういうおことばがございましたが、モスクワにおきましても、コロンボにおいても、前後三回にわたる会談をいたしております。赤十字といたしましても、先方の意見も十分承知いたし、日本側の意見も十分述べたわけであります。そこで一般的にまとまる見込みのない会談を幾らやってみましても、またまとまらなかったということになると、申しわけない。十分固めた上で話し合いをする必要があるのではないか、こういう気持ちでございます。  それから第二は、暫定措置については、コロンボ会談において両赤十字が十分努力をいたしまして、すでに合意書文案までできておるのでございますので、若干の修正を施しさえすれば、あらためて会談を開くまでもなく合意に達することができる、こういうように考えております。ただ、わがほうの考えは、あくまでも両者を一応切り離す、こういう考えでございますので、その考え方に同意していただくならば、あとは自然と道が開けていくのではないか、こういう考えで北朝鮮側に対して実は御承知のように電報を打ったわけでございます。その際、私どもとしましては、国際赤十字委員会に打ちましたその電報の内容を、北朝鮮に同時に通報いたしたのでございますので、先方としましても、当方の考えは十分承知いたしておるのではないかと思うのでございます。私どもといたしましては、先方がわがほうの考え方に同調してくださることを実は期待をいたしておるわけでございます。その考え方に同意していただくならば、自然にこの問題の糸口がつかめて、問題解決の道が開けるのではないか、こう信じておる次第でございます。  なお、赤十字といたしましては、それはそれといたしましても、どうしたら向こうの誤解を解き、こちらの考えに同調してくださることができるかについては、いろいろ考慮をめぐらしておる次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 簡潔に、いま御説明の趣旨を二、三伺いたいのであります。  今日の現状は、コロンボのあとであるから、話し合いをするにしても十分固めた上でということは、ごもっともであります。固める方法は一体どういうことなのか。いまこうして質疑をしておることも、ある意味ではワンクッションを置いて固めていると私は思うのでありますが、しかし、これだけでは不十分な気がするわけであります。日本政府の真意というものをどういう方法で固めようとするのか。  第二番目は、コロンボを若干の修正の余地ありという表現を使われたように記憶しておりますが、コロンボで最終的に提案されたことを了承されるならばという絶対条件であるか、いまお話しされたように、若干の修正に応ずる余地ありというふうにお考えなのか。  それから三つ目は、両者を切り離すか離さないかという問題。一万五千人とそのあとの問題を切り離すか離さないかという点については、先ほど、新潟へ来られて六カ月間暫定措置をするんだから、その間に話し合いをすればいいという日本政府の話、この点について疑問があるようであります。要するに、話し合いをするといったところで、結局食い逃げされるのではないかという素朴な疑問があるようであります。これは双方の誠意が何はともあれ第一でありますが、しかし、その食い逃げされるという心配について、どうお答えになるのか。誠意の問題と必ずしもいえないと思うのでありますから、その点について率直にお答えを願いたい。

田邊繁雄日本赤十字社副社長

○田邊参考人 お答えいたします。若干の修正を施せば、あらためて会談をするまでもなく合意を成立させることができると申し上げましたのは、いわゆる暫定措置のことなんです。暫定措置については、もう文書ができておるのです。いつから実施していつまでやるということだけなんです。その条項さえいじればいいわけなんです。そういうことでございますので、協定終了後の帰還の方法ではないわけです。  それから協定終了後の帰還の方法につきましては、いま食い逃げということばをお使いになりましたが、コロンボ会談において、モスクワ会談において、先方はしきりとそういうことばを使いました。コロンボ会談におきましても、モスクワ会談におきましても、先ほど申し上げましたとおり、まず暫定措置を成立させようじゃないかということは、わがほう非常に強く主張いたしましたが、それに対して、あとはどうするんですか、いわゆる食い逃げされては困ると言う。この問題はたいへん言いにくいことでございまするが、赤十字両社に関する限りにおいては問題がないのです。そこで問題は、政府がこうする、ああするといっていることについて、実は向こうがしつこく聞くわけであります。私は、政府から頼まれて行ったことでございますから、コロンボ会談において詳細に政府の方針を説明したわけであります。それについて、公的拘束力のある合意でなければ安心できぬ、こういうわけであります。政府まで縛ってしまおう、こういうことでございます。出国の手続であるとか、出国者の範囲であるとか、生活の方法とか、持ち帰り荷物の問題、そこまで疑わなくてもいいではないか、こういうのがわれわれの考えであります。これは赤十字の権限ではございませんで、政府の権限に属する行政事項でございます。私どもは、政府にああせい、こうせいといっていろいろお指図をする立場ではもちろんございません。政府の方針の中で私どもこうしてほしいという要望は申し上げる場合がありますけれども、しかし政府のほうでおきめになった事項は、これは政府の権限としておきめになっておる、こういうふうにお伝えするほかにないわけであります。赤十字といたしましては、出発前ずいぶん政府と論議いたしました。政府の中で赤十字がお引き受けできないことについては、是正もいたしてまいりました。したがって、先ほどのような問題について、いろいろ食い逃げするのではないか、出国証明書の発給を申請しても政府で証明書を出してくれないのではないか、あるいは持ち帰り荷物——持ち帰り荷物というのはちゃんと法律ないし法律に関する法令できまっていることでございますので、そう心配は要らないのでございますが、そういうことでございますれば、先ほどのように国会の論議の過程を通じて国民の前に政府の方針を明らかにしていただければけっこうじゃないか。この点については、私どものお答えすることではございませんが、実は差し出がましいことでございますが、そういうふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 第一の問題の、十分固めた上でという質問については、どうお答えになりますか。

田邊繁雄日本赤十字社副社長

○田邊参考人 これは一般的な感想でございます。私どもはもうここまで固まっておりますれば、暫定措置を成立させて、そうして船が入ってくる、その間にすでに十分政府の方針というものは説明してあるのでございますから、もしその方針の中で、かりにこういうふうに改善したほうがいい、こうしたほうがいいというものがあれば、その機会に十分話し合って、そしてまた政府にお願いし、善処すればいいのではないか、こう考えております。私どもは、たいしてそうむずかしい問題だとは思っておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 政府側は法務大臣がおいででございますから、大臣を通じて外務省、厚生省、法務省の立場を総合的にお伺いいたします。  いま参考人のおっしゃるように、どうしても一万五千人以後の問題と一万五千人の問題との関連性が、食い逃げということばは適当ではないと私も思いますけれども、わかりやすいことばでありますからお許しを願いたいと思いますが、食い逃げされるのではないかという心配があるわけです。一方田邊さんのおっしゃるように、これは現地における交渉の主体的責任者として、自分がなかなか責任、権限がないから言いづらい、こういうところが、くつを隔てて足をかくような状況で、コロンボにおける接触においても不十分であります。私どもは常にこういうことを言っております。日赤をして交渉せしめるならば、日赤をフリーハンドにしてやれ。かなりな判断をまかしても差しつかえない機構であり、人材ではないか。これをうしろから監督し、ときどきチェックをし、交渉が自由に行なわれないように結果としてしておるのは、日本政府としては適当ではないではないか。これはたとえばこちらがマイナスの場合があっても、交渉だからそのマイナスを失うことによってプラスの面がある場合があるから、その点は原則として送り返す、人道上の問題というならば、日赤の話し合いをする責任者に一任をしたらどうか、こういうことをしばしば言っておるのです。その気持ちはわかったと言っておるのでありますが、いま田邊参考人のお話を聞きますと、この問題について政府の腹がきまっていない、まかせようという気持ちがきまっていないような気がしてならぬのであります。これは自後の問題ですよ。一万五千人以後の問題についての話し合いの余地を日赤に与える気持ちは十分ないのかどうか、伺いたい。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 お答えを申し上げますが、われわれ人道的な立場から、いま懸案になっておる一万七千人の人を円滑になるべく早く送り届けることが何よりも肝要に考えておるのであります。こういうことに全力を尽くして、成績があがるように赤十字にもお願いをして十分やっていく、こういうことを考えておるのであります。それがまだできないうちから、その後の問題に政府の権限を委任するというようなことは、現在のところ考えておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 総理大臣は本会議においてきわめて人道的な立場を強調して言われましたが、そのニュアンスからいいますと、法務大臣のお考えと総理大臣のお考えとちょっと違うように思うのです。いわゆる暫定措置一万五千人の問題は、これはもう軌道に乗ると思われる。その軌道に乗る瞬間から自余の問題が、田邊参考人のおっしゃるように、話し合いが始まるわけであります。始まる過程で相談をするということでは、話し合いをする日赤側としては話のしようがないではないかということなんですから、もういま交渉するといないとにかかわらず、気持ちの上では法務省、外務省、厚生省、それぞれ日赤に話を、こういうことだよ、これでやってくれということがなくてはならぬのではないですか。私は交渉を円滑に進めるための質問をしておるのですから、この際法務大臣もうしろ向きの立場を強調されると、そういうつもりはなくても、あらぬ誤解を関係者に与えるおそれがございますので、その点慎重にお含みの上で前向きの答弁が願いたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 お答え申し上げますが、前向きとかうしろ向きとかいうふうには考えていないのであります。いま申し上げましたことは、とりあえず前から問題になっておるのは、何よりも早く人道的な立場からきめよう、こういうことにわれわれは全力を傾倒しておる。自後の問題につきましては、またこれは関係の者が十分話し合いをして適当な措置が講ぜられるものと、私は考えております。いまのところ、あとのことは赤十字に全部まかせるのだ、無条件で全部まかせてしまうのだということは、私は考えていない、こういう意味でございます。その点御了承を願いたい。

横山利秋日本社会党

○横山委員 無条件とは言っていないのです。交渉のしやすいような余地を日赤にまかしたらどうか、余地をつくってあげたらどうか、こう言っておるわけです。  田邊さんにもうちょっと詰めてお伺いいたしますが、いまは向こうから返事がくる番だ、向こうは向こうで日赤がものを言う番だ、こういうように両方すくんでいるような感じが私はするわけです。どこでそれが破られるか、破るのがいいか。積極的に日本政府から、前に言ったことをこうするから話し合いをしようというのも言いづらいだろう、朝鮮赤十字からいっても同じようなことが言えるだろう、どうしたらいいだろうかというのが、実は私の心配しておるところであります。  そこで一、二の例を出すわけでありますが、これこれの条件がいれられるならばという絶対条件を双方とも出したら、これはうまくいかぬことはわかっている。別な角度でそれを表現する方法はないのか。たとえば配船をしてもらえばそこで話し合いをしよう、自余のことについてはいまは言わないというような提案はどうだろうか。あるいはこの議事録について向こうから、こういうことを国会で答えられたそうだが、この意向は何かというような問い合わせがくれば、これも一つの方法であろう。何かここのすくんでおるところを双方の立場から一歩踏す気持ちはないのか、その点についてどうお考ええでございますか。

田邊繁雄日本赤十字社副社長

○田邊参考人 ごもっともでございます。実は、私どもも向こうが返事をする番だからといってのほほんとして見守っておるという気持ちではありません。気持ちは、何とか早く実現に到達したいということでいろいろ苦心しておるわけでございます。私は率直に申しまして、暫定措置については向こうは問題はないと思います。やはり協定終了後の方法について、先ほどのように若干不安を持っておる。これは私は向こうにも思い過ごしが少しあるのではないか。これはお互いに反省すべきだと思うのです。私は、人道問題というのは、これは帰る人個人個人の人道的利益の問題であり、一般の人道問題てはない。赤十字としては帰還者の人道上の利益を、一人一人を早く帰られるようにしてあげたい、こういうように考えておりますので、あまり先方でも思い過ごしをなさらないで、赤十字が政府の方針として説明した事項はそれをそのまますんなり受け取っていただきたい、こう思っておるわけであります。もちろん方針そのものの内容がこうしてほしい、ああしてほしいということであれば、これは十分に政府にお伝えして御考慮願いますけれども、方針として説明したことをその通りやらないのじゃないか、あるいはそれを途中で変えてしまうのじゃないか、こういうことは、日本政府として、日本の国としてあり得ないことだ、十分信用してもらいたいということをたびたび言うわけでございますが、まあ私どもとしましてもお説の点は同感でございまして、何とか意見の一致、意思の疎通をはかるような手がかりを求めたいという気持ちは持っておるわけでございます。それではどうすればいいかということは、いまここが申し上げるまでに至っておりませんけれども、いろいろな方法があるのではないかと考えますので、なお検討したいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 非常に微妙な質問で恐縮でございますが、いまの田邊さんのお話は、どちらが言い出すか、鐘が鳴ったのか、橦木がたたいたのか、その辺私は、もう双方とも気持ちはあるのだけれども、ちょっとした——ことばは悪いがメンツの問題があり、どこかでそれを打開すればいいと思うのです。  そこで、もう一つデリケートな点をお伺いします。それは先ほどお話がございました合意書だとか、あるいは会談要録だとか、協定だとかいう問題でございます。そのことがやはり双方絶対条件だという限りにおいては、いままでどおりの立場を固執する限りにおいては、同じことではないかということになる。そのことについても、私のようなしろうとでも、知恵がほかにありそうだ、どうしても協定でなければいかぬ、どうしても合意書ないしは会議要録でなければいかぬということでもない、ほかのことばの表現がありそうだという気がするわけでありますが、あなたはそうお考えでございましょうか。

田邊繁雄日本赤十字社副社長

○田邊参考人 私もそう思います。それで、コロンボ会談においてもサゼスチョンはしたつもりでございます。しかし、それぞれの立場がございますから、残念ながら実現しなかったわけであります。

帆足計日本社会党

○帆足委員 横山委員、猪俣委員の了解を得まして、大事な時間ですから、ほんの一言だけ関連してお許しを願います。また与党の皆さんの御寛大さに感謝いたします。  貴重な時間ですから、時間はとりません。ただ、一万数千人の人がこの暑い中で、いま政府のせっかくの御好意にもかかわらず、双方の行き違いで不祥事件が起ったりすることを私は心配しておりますので、申し上げます。また横山委員の質問で尽きておりますので、長い間大阪府知事をされた良識ある赤間さんが法務大臣をされておりますから、私は率直にお願い申し上げます。  もう実は総理にも申し上げたのでありますが、総理はこう言いました。コロンボ会談に多少の行き違いがあったことは知っている。しかし、いまさらその行き違いを自分はせんさくしようとは思わぬ。事は小さいから、すべて赤十字同士にまかして、話し合いが進むならば、その解決を私は支持したい。そのように速記録に書いてございまして、同様の趣旨を本会議でもお答えになりましたので、それを法務省にも、外務省にも、厚生省にも、実は昨日の外務委員会で確認していただいたのでございます。それで、赤間さんの御心配になっている点はよくわかりますけれども、一万七千人が済みましたあと、六十八万の朝鮮人がおりますから、自然現象として、家庭の事情や景気、不景気、夏、冬の事情で、年に千人くらいは帰る人ができるのであります。千人というと、とても貨物船や飛行機で運ぶことはできませんから、三月に一ぺんくらいはやはり船が必要になってくる。日増しにその問題が起こるのでございます。帰る人はかってに帰ればいい、外国人並み、こういうのは法制上の問題でありまして、現実には、帰る人は、船がいつごろ来るか、三月に一ぺんくらい来るというのを見越して離職し、荷物を整理し、それから船を指定する。帰る日を大体指定しないと、ビザも帰国証明もとることができません。手続上も、そういう簡単な両赤十字間の打ち合わせが、今後必要になってくるのでございます。また、ある期間が済んでしまいますと、一万七千人のうちの残りの人も、新しいほうの分に入ることになります。ですから、食い逃げといいますけれども、引き続いた深刻な事件についてもう一ぺんごたごたしたくない、こういう善意の心配もあるのでございます。善意と善意があるのに、国交がないためにこういう事態になっております。また、属僚の諸君の中には、法務大臣は御存じないかもしれませんが、驚くべき暴言をはかれた人がおります。香港経由の飛行機で帰ればいいじゃないか、ナホトカ経由の船で帰ればいいじゃないか、貨物船で帰ればいいじゃないかということをたびたび繰り返して、予算分科会の主査からおしかりを受けた官僚もおられるのでございます。せっかく良識ある大臣にお願いしまして、こういうつまらぬことでごたごたしませんように、また、赤十字が行なえば、かの李承晩ですら承認した事件でございますから、今後のことは、むずかしい協定ということではなくて、政府は直接御介入なさらずに、ほんの簡単な赤十字同士の議事録で、三月に一ぺんくらいは船が来る。それから代表者は赤十字儀礼をもって待遇する。たとえば、モスクワにビザをとりに行くというのは不可能なことですから、それを赤十字儀礼で行なう。それから、大体日取りがきまっていないとやりにくいというような点で、逐次議事録は赤十字が責任をもって確認するということで判こを押せば、大体おさまるというふうに私も朝鮮側から聞いております。実は帰国の世話人の全国委員長をいたしております人からで、これは御存じの方もいらっしゃると思います。  それで結論は、総理も、コロンボ会議のとおりという意味で、そのときのこまかなことにこだわるということは考えていない。筋道は大体コロンボ会議の筋道であるけれども、赤十字ベースでおやりになるならば、その辺のところで適宜解決してくれ、現在こういう雲行きになっておって、あとはちょっとタイミングの問題になりますから、これは外務大臣におまかせしております。したがいまして、法務大臣も、あまりかたいことをおっしゃらないで、あとの問題は赤十字の常識論で解決してもらいたい、こういうお心組みでないと解決いたしません。きょう田邊さんが来て説明した横山さんの質問の要点のその一点は、食い逃げということばは悪いのですけれども、事後の措置について安心感を与えたいということですから、どうぞ良識ある法務大臣に、ぜひともその程度のことで——せっかく総理も理解され、官房長官も理解されているのですから、大所高所に立って御理解ください。また、外務委員会も、これは満場一致です。法務委員会も、この状況を聞いて御反対の方は、議員としてはなかろうと存じております。どうかこのことについて一言、前向きと申しますか、よく御理解のある御答弁を法務大臣にいただきたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 お答えを申し上げますが、いまの問題は非常に重要な問題と考えますので、十分ひとつ外務省あるいは厚生省と話し合いまして善処していきたいと考えております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 それではせっかく横山委員が論じ尽くしたことでございまますし、私どもも絶対に党派の立場を出しておりません。これは御承知のとおりです。また、いわゆる北朝鮮びいきをしておるわけでもありません。昨日も、原爆被爆者で南朝鮮にいる人たちの問題も、私ども超党派的に一緒に外務省にお願いしました。こういう心境であります。ただ、属僚の一部の方について、世間では毒が回ったと言っておるんです。ほんとうに不愉快なニュースなんですが、普通の常識をはずれた非常に極端なことを言われる人がおるんです。それで世間では韓国ロビーの毒が回ったと言っておるんですが、そういうことはないと思いますし、ないことを私も確信します。しかし、速記録を見ますと、法務大臣がごらんになっても目に余る。そこで、この前外務大臣は謝罪をなさって善処するということでございましたので、いずれ横山委員とも御相談くださいまして、また、私どもも大臣がおひまのときに御相談に乗りますから、よろしくお願い申し上げます。貴重な時間をいただきましたことを委員各位に感謝いたしまして、終わります。

高橋英吉自由民主党

○高橋(英)委員 ちょっと関連。私からちょっと関連質問しておきますが、先ほどからいろいろ問答を聞いておりますと.この問題の根本をなすものは、人道問題であるということが繰り返されております。確かにこれは重大な人道問題でもあります。しかし私は、個人的なそういう間題よりも、日本にとってもっと根本的に考えなければいけないものがあるのではないかと思うのです。帰りたいという人たちは、日本国を好んでいないわけです。日本を安住の地として日本に住みたいという気持ちのない人たちであります。だから、そういう日本を好まない人に日本におってもらうことは、日本国民として好ましいことではないのではないかと思われるわけです。したがって、日本はいやだから帰りたいという方があるならば、どんどん帰っていただきたいということをわれわれは考えるし、日本の国民感情もそうだと思います。大筋からいってそういうふうに私は思うのですが、もしこれが帰りたいという人たちが帰れないでいるということになると、ますます不平不満が増大して治安問題にも影響するのではないかというふうに思われます。逆にこれがスムーズにいきますれば、北鮮との国交回復とかなんとかいう根本問題として、両国の民族の感情問題なんかも緩和されるというふうな利益もあるように思われます。そういう関係ですから、日本におりたくないという人、帰りたいという人は、どんどん便宜を与えて帰ってもらうということを根底として、区々たる小さな問題は何とか解決を目ざしてぜひコロンボ会談の成立といいますか、これの実現をわれわれ要望いたしたいと思います。かりに文書でやらなくても、赤十字のほうとしては約束したことは絶対に実行するというふうなたてまえになっているでしょうね。そういうことについて一言希望し、お答え願ってもいいし願わなくてもいいが、法務大臣もそういうふうなお気持ちで、日本におりたくないという人は早く帰ってもらうという方法を……。

永田亮一自由民主党

○中田委員長 松本善明君。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 いま同僚議員がいろいろ質問をしたわけですけれども、この朝鮮の帰還の問題がおくれておりますために、帰国の申請をした人々の生活が非常な困った状態になっておるということについて、日赤及び法務大臣は、政府のほうでは把握しておるのかどうか。たとえば各新聞紙がこの問題について報道をしておりますけれども、たとえば朝日新聞から東京新開、いろいろな新聞が報道をしております。その中では、六畳ほどの一間に五人くらい住んでおって、もう帰国の申請をしたけれども、どういうふうに食べつないでいくかわからないという状態になっておる者もある。金になるものは全部質に入れてしまって、どうにもならない状態になっておる人がたくさんある。こういう帰国を申請した人の生活状態が非常に困窮した状態になっておるという事態について、日赤とそれから政府は把握しておるのかどうか、これをそれぞれお聞きしたいと思います。’

田邊繁雄日本赤十字社副社長

○田邉参考人 正式に調査をしたことはございませんが、朝鮮の代表の方からときどきそういう話を伺っておる、その程度でございます。 

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 私も、そういうことを具体的に個々にまだ調査はいたしておりません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 日赤にいたしましても、それから法務省にいたしましても、あるいは外務省それから厚生省にいたしましても、朝鮮の帰国申請者の人たちがそういう問題について陳情にいっても、一切役所の中に入れない、こういう態度をとっておる。それでは、いま残国申請をしておる人たちがどんなに困窮しておるかということがわからない。また公務員の官庁の仕事のしかたとして、そういう陳情を一切受け付けない、門前払いだ、そういうような態度では、この問題は解決しないと思うのです。積極的にいま帰国申請者たちがどういうふうになっているか、どんなにこれを希望しておるかということを直接聞くというふうにしなければならないはずだと思いますけれども、その点についての日赤とそれから政府の見解を聞きたいと思います。

田邊繁雄日本赤十字社副社長

○田邉参考人 帰還を希望する人たちをすみやかに帰させるということについては、先ほども申し上げましたとおり、私ども努力をいたしておるところでございます。ことに帰還未了者の措置につきましては、過去において非常に努力をし、現在も非常に努力をしておるところであります。これは生活困窮者であるといなとを問わず、帰りたいという人はそのとおりに実現できるようにしなければならぬ。ましてや帰還未了者については、協定によって受け付けたことでございますので、当然日朝両赤十字協力してこの問題を解決しなければならないという考えに立って、せっかく努力をしたいと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 陳情にくる人を門前払いをするというような態度を改めるべきじゃないかということです。

田邊繁雄日本赤十字社副社長

○田邊参考人 すでに御承知と思いますが、赤十字は過去数年にわたってそういうことをしたことはなかったのでございまするが、あまりにも陳情が連日にわたり.かつ相当な量になるものでございますので、赤十字の日常の業務を維持することができない、こういうふうな状態になりましたので、まことに不本意ながらああいう措置をとった次第であります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そういう日々時間がたてばたつほど、生活が困窮する状態というのはひどくなる。それを一切門前払いをするというんじゃなくて、それを聞かなければ、それじゃ積極的に打開をしていこうということにならぬではないか。日赤というような人道をおもにしなければならないところが、そういう非常に困ったという状態になっておるところの陳情を受け付けない。それで赤十字の役目を果たすことができると思いますか。もう一度答弁を願います。そういうことを改めるということが私は正道だ、そういう態度でなければ、一歩前進という方向に行かない。あなたが先ほど来横山委員の質問に対しても、相手の朝鮮側の態度だ態度だと言っておるけれども、あなた方国内でできることをやってない。それからやるべきではないか。

田邊繁雄日本赤十字社副社長

○田邊参考人 赤十字といたしましても、過去におきましてずいぶんそういう見地から努力をいたしてまいったのであります。やはり赤十字といたしましても、いろいろ業務を担当いたしておりますので、職負が交代してやりましても、あまりにも多くなりますと、一々応待し切れないわけでございます。したがいまして、私どものほうでは人をきめまして代表者に会う、あるいは総連の幹部の方々にお会いする、あるいはその他適当なる方法によって代表者の方にいろいろ伺う、こういうふうなことにいたしておるわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 これは政府の態度にも関係をすると思うので、法務大臣にお聞きしたいと思うけれども、いま言いましたことが、日赤のみならず、法務省におきましても、外務省におきましても、厚生省においても、みんなそうなんです。だから、私たちは、ここで質問をする委員と、それから法務大臣や政府の関係者とのこの問題についての感覚が、全く違っておるわけです。法務大臣、あなたも直接そういう困っておる人たちの声を聞かれて、そうして前進をする方向に解決するべきではないかと思うが、いかがでしょうか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 お答えを申し上げますが、一般の陳情者につきましては、各省ともできるだけ懇切丁寧にやる、そしてできるだけ進んで民情がわかるように聞く、そうしてひとつ政治の資に供する、こういうふうな大体われわれは考え方を持っております。特に陳情者に対して、非常に不親切な取り扱いを一般的にやろうというような考えは持っておりません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 この朝鮮の困っておる方々の問題は、朝鮮が独立をしていない当時に、たとえば人買いに連れてこられたとか、あるいは労務者として連れてこられたとか、そういう人ばかりなんです。その実情を聞けば、どうして日本に来たんだ、みなそうなんです。これを聞かなければ問題は解決しない。だからこそ、日本側が責任をもって帰さなければならないと思うのです。今度の参議院の本会議で、御存じのように、総理大臣が、その真意はともかくとして、ことばは、いわゆる北朝鮮、ハノイあるいは中国とも仲よくしたい、こういう趣旨のことを言われておる。本来なら国交を回復すべきである。国交回復しておるなら、全然問題がない。しかし、国交を回復してない状態でも、何とかこれを解決する方向に日本側が積極的に出ていくというのがほんとうではないかと思うのです。法務大臣いかがでしょうか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 私は、日本の国柄のいかんを問わず、できるだけ仲よく国交をやっていく、こういうことを理想に考え、またそれに一歩でも近いように行動していく、これは終始一貫常に考えておるところであります。ただ希望を言うならば、先方もひとつ法務大臣のようなお考えになっていただくと、話が非常にスムーズにいくので、われわれは国柄が違うからそこは疎遠にやるとか、どこは仲よくやるというような考えはとりません。世界のすべての国とできるだけひとつ仲よく手をとっていこう、こういう方針をずっととっておる。それでわれわれの仲よくしていこうということが実現するように。向こうもひとつ御努力を願うと非常にうまくいくのじゃないか、かように私は考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 朝鮮民主主義人民共和国との国交回復の問題について詳しく論ずる時間はありませんが、私と法務大臣との見解は多少違いますけれども、しかし、そういう一応いま言われましたような見解であるならば、この行き詰まっております朝鮮人の帰国の問題、これは国交回復よりもはるかに簡単な、すでに日本が前にやっていたことであります。これについて一歩を踏み出すことは、むずかしいことは決してありません。与党の委員の中でも、何でこれにこだわることが日本の利益になるのか、帰したほうがよほど日本の利益ではないか、何の損失も日本にはないではないかと、みんな言っております。この際、相手側に責任を帰せられることのないように、私先ほど申しましように、朝鮮の人たちが日本に来ておるのは、帰還を希望しておる人たちは、日本の責任において日本に来ておるわけですから、日本が責任を持って帰すという態度をとらなければ、国際的な道義の上から考えましても、国際的に私たちはたいへん恥ずかしい目をする、そういうような問題であると私たちは考えております。法務大臣、この朝鮮人問題、なぜ起こっているかということを真剣にずっと歴史的に考えて善処をされるように期待をしたいと思います。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 この際、田邊参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御外用中のところ、貴重なる御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。      ────◇─────

永田亮一自由民主党

○永田委員長 引き続き、質疑を行ないます。横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 第二審目の問題は、先般来問題になりました国鉄、私鉄、飛行機、あるいは場合によっては船舶もそうでありますが、交通機関のくそのたれ流し、小便のたれ流しの問題であります。  先般東京で大会がございまして、私ども国会議員の手元にきわめて長文の陳情書がございます。全部を朗読するのもなんでございますから、きわめて簡潔に陳情の趣旨を申し上げたいと思うのであります。  鉄道職員並びに沿線居住者の代表から、年間八十億人もの旅客を輸送していますが、この乗客が車中において行なう排便は、新幹線を除きすべて純なまのまま——純なまというのはおかしな話でありますが、線路はもとより鉄道沿線にまき散らされておる。私どもはこのような列車からのふん尿まき散らしによる犠牲者一千万人をこえる国民を代表して、たれ流しの改善を求めるために、「列車からのふん尿たれ流し改善要求貫徹全国集会」を開いた。日本はいま世界のトップクラスにあるといっているけれども、まさにこれは国家行政機関首脳部のひとりよがりである。そうして、毎日堂々と、全国二万数千キロに及ぶ鉄道線路上から、チフス、赤痢等、伝染病菌をも含むふん尿をたれ流して走っておる汽車があるという、ばかげたことはない。一日の排便量は二千トンにも達すると推定される、こういうことでは全く困る。だから、全国五万余の保線労働者をはじめ、地方の者を代表して、ぜひひとつこれを解消するようにしてもらいたいという趣旨の陳情が、私の手元には、赤間法務大臣あてに来ておるわけであります。  そこで、この問題に関連をして、国鉄にもおいでを願いましたから、まず国鉄から御説明を願いたいと思うのであります。つい先日、参議院で磯崎副総裁は、新幹線方式にすれば車両の改造などの費用で約八百億円かかる。この大きな赤字をかかえた国鉄では、通勤対策や保安対策を最も緊急な問題としておるので、し尿処理があとになるという、きわめて無責任な御答弁があったわけであります。そうしてことばを継いで、汚物を捨ててならないことになっている大都市周辺の特別清掃地域では、とりあえず便所の使用を禁止するとおっしゃったそうであります。とりあえず大都市では汽車の中でうんちはしてはならぬ、これは逆現象をもたらすと思うのであります。たとえば赤羽付近へ行きますと、これから上野駅まではうんちはしてはいけません、 こういう放送があるので、寝ていた人たちも一斉に便所へ突入をする。そうすると、赤羽付近では、まさに赤羽から上野に入るまでのうんちが一挙に赤羽につくまでに全部散らかされる。この辺の人はやむを得ぬのであるかということにもなるわけであります。この点について、国鉄はどうお考えでございますか、まず伺いたい。

湯川龍二日本国有鉄道常務理事

○湯川説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、いま国鉄では、新幹線は御承知のように二両に一組ずつのタンクをつけまして、さらに最近はこれに消毒着色の液を入れまして循環する方式に改造しております。いずれにしましても、乗客の皆さんの御使用になりましたものを、それぞれの基地に運びまして処理するという方式をとっております。そのほか、従来からの鉄道の部分につきましては、長距離の旅客列車、特急あるいは電車特急の最近投入しているものに対しましては、すべて、方式は異なりますが、消毒液をまぜまして、汚物を粉砕をいたしまして、無菌の状態で放出するという方式をとらしていただいております。これらの、現在新幹線でそういった処理になっております便所が三百九十ほどございますが、これは車がまたふえてくるに従いまして、すべてそういう形で処理してまいるということにしております。後段申しましたほうは、毎年二百ないし三百ずつふえておりまして、現在千両になっております。今年度は昨年に比べまして三百両ほどそういった特急列車等に使われるものが出てくるわけでありますが、こういった汚物の処理につきましては、厚生省あるいは運輸省等々とかねてから研究も続けまして、極力そういう方向に持っていこうとしておるわけでありますが、地上設備等がございませんと新幹線の方式をとれませんので、方式としてはそういうふうに持っていきたいのでありますが、今後、そういう方式をとりますと、大体現在そういった形で走ります車が一万七千両ほどございますので、そういった車に取りつける便所等につきまして、かなりの地域に、運搬してまいりました汚物の処理をする装置を車両の基地に設けなければならぬ。これらの費用は、車両につける設備あるいは地上で処理する設備等合わせまして、現在のところ——これはもちろん地上の設備につきましては地域によりまして下水、汚物処理あるいは汚水処理等の完備しているところもございますし、しからざるところもございますし、そういった点でまとまりました汚物の処理のしかたについてもいろいろな方式を考えて、十分その地域における問題の起こらないように処理していかなければならぬわけでありますが、これらにつきましては公共団体等についても絶大な御協力をいただくことになると思いますが、そういったことを考えて一応概算いたしましたところ、そういった形でやりますと、先ほどお話がございましたように、現在の推算では八百億円程度が必要になるというふうに考えております。こういった予算をもちまして進めてまいるにいたしましても、先ほど御指摘にありましたような点では、国鉄といたしまして通勤の問題についても極力やっていかなければなりませんし、その他諸設備の保全等についてもやっていくということで、これは先ほどおことばもございましたが、報道ではあとになるということになっておりますが、磯崎が申しましたのは、こういった国鉄のなさねばならない諸施策の中で位置づけをしつつ前進をしたいということを申し上げたのだろうと思います。  それからその次の問題につきましては、ただいまのようなことで技術研究を遂げて諸方策をいろいろ追及しておりますので、そういった点から処置をしてまいるわけでありますが、大都市付近については禁止するというようなことも、これは報道というのは非常に圧縮して表現されるのでたしかそういうことになったのじゃないかと思うのですが、現実には現在東北線等が東京近郊に入ってまいります場合に、もちろん朝着く方で御用便の方もいらっしゃるわけです。できるだけこういった地域について乗客の御良識のある御協力をいただくということでお願いを申し上げ、毎日放送しておるわけでございますが、現実に通勤電車の形のものには便所はついておりませんで、これは大体二時間の範囲内のところは御使用にならないでいらっしゃる方がたくさんいらっしゃる。もちろん寝台列車とか長距離からいらっしゃる方もいらっしゃいますが、これらの方につきましても、できるだけそういった都市の周辺では御使用を御遠慮願うということが望ましいのではないかという趣旨のことを申したと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 法務大臣にお伺いしますが、先般も申しましたように、四十二年の十月四日に全国人権擁護委員連合会が大会で決議をいたしまして、列車等より排便される汚物の処理についてすみやかに適切な措置を講じろといっている。法律的に見ますと清掃法の五条は、便所のある車両を運行する者は、環境衛生上支障が生じないようにふん尿を処理することになっているわけであります。軽犯罪法では街路、公園その他公衆の集合する場所で大小便をしてはならない、した者は拘留または科料に処する、こういうふうになっている。だから、国鉄の総裁はほんとうは清掃法並びに軽犯罪法違反なんです。そのほか、伝染病予防法とか、保健所法とか、環境施設整備緊急措置法等すべての法律に実際間題として違反しておるわけです。これはいままでこういうことなんだというふうに考えておってあまり目につかなかったのですけれども、汽車の中からくそや小便をたれ流してだあっとやって全国にまき散らしておるということは、実は公衆衛生上はもとよりでありますが、法律的にほんとうにいかぬことになっておるわけであります。だから、厚生大臣や運輸大臣が何とか善処をしたいと言っている以前の問題として、これは法律に違反しておる。法務大臣どうお考えですか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 お答えをしますが、この問題は非常に重要な問題だと私は思います。実は私も東北地方からの帰りに赤羽辺で、これから慎んでもらいたいとか、何か知らぬが言われて、実は驚いたのです。これは一日も早くそういうことのないように、当然やるべき性質のものだと考えております。全くあなたの説に全面的な賛成をしておる。理屈はいろいろあろうが、ともかく何ヵ年計画かで全国の改造をひとつやってもらって、そういうことのないように十分関係筋に私からも申し入れたい、かように私は考えておるのであります。  なおまた、全国人権擁護委員連合会からも、お述べになりましたように、昨年には運輸大臣に特に申し入れがあっておるようでございます。一年でできなくても、計画的にひとつ何ヵ年かの最短距離で必ず実現するように十分努力をしていきたい、かように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 医務局長お見えになりますか。——ある統計で見ますと、国鉄は年間輸送八十億人、一日換算二千二百万人、毎日それが列車に乗車して、便所の使用者係数は大便係数○・○三、小便係数が○・二、平均的な排便量三百グラム、排尿量三百五十cc、一日の排せつ量を求めると、大便二千トン、小便百四十五万リットル、この計算が妥当であるかどうかは別といたしまして、大体の平均値は出ておると思うのでありますが、この大便及び小便が沿線にまき散らされる。その中には伝染病だとかあるいは赤痢菌とかいうことが当然予想されるわけであります。先般も言ったんですが、都内の高架下でお父さんのお葬式があった。みんな礼服を着ておったら、しゃあっと通っていってまき散らされて、一斉に礼服にうんちや小便の粉末がかかったというのですが、厚生省としては本件についてどういうふうにお考えでございますか。——それでは厚生省がお見えになっていないそうでありますから後日にいたしまして.大蔵省に伺いたいのでありますが、本件については、国鉄に対する大蔵省の見方というのは大体採算が中心になっておる。いろいろなことを言ったって採算です。けれども、このことについては、新幹線方式に内部貯留式にしたところで、別にもうかるわけではない。汽車に乗ってもうんちが自由にできるようになったからといって、汽車に乗ろうという人はない。そうしますと、みすみす八百億円はただ公衆衛生上ということである。観点を変えなければ、大蔵省としてもなかなかうんといえない。けれども、国会で三人の大臣が、これは緊急必要なんだ、八百億円かかろうが何だろうが、いまの法務大臣の御答弁からいうならば、最短距離にこれをしなければならぬと言っておるわけですが、大蔵省はどうなんですか。

丸山英人大蔵省主計局主計官

○丸山説明員 まだ国鉄からその問題につきまして具体的な話は聞いておらないわけでございますが、いま先生御指摘のように、確かに直接的に採算をよくするわけではございませんけれども、自分が排せつするものを自分が処理する、これは原則でございますし、そういう意味におきまして、国鉄の投資計画全体の中で、そういった投資——そのほかに同じく採算の合わない投資としましては保安に関する投資等あるわけでございまして、そういった投資全体をどういうふうに位置づけていくかという問題であろうと思うわけでございます。したがいまして、国鉄から相談がございました場合においては、十分にわれわれのほうといたしましても配慮に値する問題であるというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それでは、もう一つ問題がございますので、本件につきましてはこの程度にとどめまして、また後日に譲ります。  最後は、メーデー事件の問題につきまして、政府並びに最高裁の意見を伺いたいと思うのであります。  メーデー事件と称するのは、いまから十六年前に、いわゆる皇居前広場でメーデーが行なわれた際に大問題が起きまして、裁判にかかっております。あれからすでに十六年、裁判は驚くなかれ千七百九十二回、一昨年三月に証拠調べが全部完了、結審となりました。ところが、きょうまで約二年間、六人の裁判官がメーデー事件のことだけで専門に取り組んでいますが、まだ判決文を書き上げるに至っておらない状況であります。被告は二百六十一名、この二百六十一名の被告が十六年間にもとの職場に戻れた者はわずかに十三名、公務員が六名おりますが、休職、その他の者はことごとく解雇されました。その後も、一年間に何回も首になるとか、大学を卒業してもまともな会社に就職ができないとか、親がメーデー事件の被告であるために、子供の就職まで妨害されるとか、さらにこの十六年間に被告という名前をつけられたままで十五人の者が死んでいくとか、まさに被告家族は苦難な道の十六年でございました。こういうような状況というものは、裁判というものの実態をまざまざと物語るものだと、私は痛感がされるわけであります。いまメーデー事件の真実とかあるいは判決のあり方について、私は論ずるものではありません。それは国会というところでございますから、やむを得ないことではございますが、この裁判の運営について、いささか私見を含めて政府側並びに最高裁の意見を伺いたいと思うのであります。  一審だけで十六年もかかるという裁判、もとより最近松川事件だとか、青梅事件だとか、あるいは自余の例がずいぶんあるわけでありますが、少なくとも憲法三十七条の規定する公正にして迅速な裁判を受ける刑事被告人の権利という立場から申しますと、まことにこれは長過ぎるのではないか。裁判自体、裁判の運営自体が、この憲法三十七条の規定に違反している疑いがあるではないか、こう考えられるのでありますが、いかがでございましょうか。

豊島英次郎法務省刑事局公安課長

○豊島説明員 それでは法務省からお答えいたします。訴訟の審理期間につきましては、事件の規模、被告人の数、あるいは検察官、被告側双方の証人の数であるとか、あるいは訴訟の争い方であるとか、そういったことによって事件により審理期間の長短があるであろうというふうに思うわけであります。御指摘のように、十六年という審理期間は非常に長期にわたるものでありまして、決して好ましいものであるというふうには考えておりません。この種の事件は、えてして長期になるきらいがあるわけでありますが、メーデー事件におきましても、初期の段階で公判審理が実質審理に移るまでにすでに数年を要したというような争い方があったわけでありますけれども、できるだけ迅速な訴訟をはかるということが必要であろうというふうに考えております。今後とも早く判決が出ることを、法務省としても、あるいは検察庁としても、期待しておるようなわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 もとより最初の段階におきまして裁判がおくれます場合は、必ずしも裁判所自体の運営ばかりでなく、検察陣並びに弁護団等のいろいろな事情もございましょう。しかし、それにしましても、裁判をつかさどる裁判所側におきましてもう少し集中審理だとかあるいは重点方式をすることによって、十六年かかってなおかつ結審をしてから二年たっても判決が出ないということについては、いささかこの運営について根本的に考えるべきものではないか。また人権問題からいいましても、先ほど列挙をいたしましたように二百六十一名の人たちの人生の大半がそこで費消され、そうして被告のうちで十五名の者が死んでいる。これでは裁判の効果ということすら私は考えざるを得ないと思うのでありますが、裁判所側はどういうふうにお考えでございますか。

佐藤千速最高裁判所事務総局刑事局長

○佐藤最高裁判所長官代理者 まことにごもっともな御指摘でございます。一般的に裁判の平均的な審理期間というものは必ずしも長くはないのでございますが、特殊の事件において御指摘のような現象が起きている。そのティピカルな例といたしましてメーデー事件ということがあるわけでございまするが、被告人がきわめて多数であるということ、しかもその多数の人の方々に対しましても、証人に対する反対尋問権というものを確保しつつ審理を進めなければならないというようなことで、迅速処理の要請と反対尋問権の確保の要請というような双方の要請の間に立ちまして、まことに裁判官も現在苦慮しているわけでございます。しかしながら、このような長い期間不安定な地位に置かれておられまするところの被告人の方々のことを考えますると、まことに胸が痛むのでございます。昭和四十一年の三月一日に結審をいたしましていまなお判決言い渡しの段階に至らないわけでございまするが、自来担当裁判官は決して怠っているわけではございませんので、毎日こもり切って合議をしているのでございまするが、ことに裁判長は病を押して執務を続けているというような実は状況でございます。これが、現在の新しき刑事訴訟法の当面する最初の大きな問題であったわけでございます。その意味におきまして、そういうような病理現象がどうして起きたかということは、われわれ十分分析し、検討しなければならない問題であると考えておりまするが、以上申し上げましたように、決して裁判所が放置しておって長くなったということではないわけでございまして、先ほど申し上げましたようにこもり切りになりまして鋭意合議を続けているということでございまするので、裁判官の非常な苦衷というものも、お察しをいただきたいと思うのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 二番目に、この間公務員である被告は休職のままに置かれておる。これは本委員会でしばしば取り上げた問題でありますが、この人たちは十六年にわたって休職のまま放置されておりますから、給料は六割であります。公務員の被告は六人、その中には検事の論告求刑でも、罰金二千五百円という被告が二名おるわけであります。罰金二千五百円、検事の求刑でも二千五百円。それを十六年間放置して、六割の給料でめしを食っておれ、他に兼職すると、これは国家公務員法違反、こういうことが、実態論として一体首肯できるかといいますと、私がしばしば本委員会で取り上げたように、とてもこれはだめなんです。この点はまさに人権問題だと思うのであります。やめたいというと、たとえば懲戒免職ならいいかもしれない。本人が懲戒免職を受ける気持ちがないことは言うまでもありません。ですから、判決を待たないで復職をさせることができないものであるかどうか。またもう少し自由な立場に本人を置くことができないものであるかどうか。これは本日いらっしゃる方では、上田人権局長が一番この種のことについてはお考えになるべき立場にあると思うのでありますが、どうお考えでございますか。私がしばしばこの委員会で取り上げている問題であります。

上田明信法務省人権擁護局長

○上田説明員 お答えいたします。公務員が刑事被告人になりまして、当然休職になる、こういうことにつきましては、いろいろ従前から議論があるところであります。すなわちこれは休職という形をとるのがいいかどうか、いろいろ議論があるようでありますが、まだ結論が出ておりません。それからもう一つは、そういうのがおかしいということで、法律を改正するというのであれば、これはどこの所管になりますか。私のほうの所管でもない。これはおかしいということは、確かにおっしゃるように有力な議論としてございます。従来非常にむずかしい問題として、休職するかどうかは起訴とは必ずしも関係しないで、別の観点から認定してやるべきじゃないかという有力な議論があります。この御質問が私にとっては突然であったものでありますから、従来その問題は考えてはおりましたけれども、結論的にどちらがいいということをいま直ちに申し上げかねるのでありますけれども、十分検討する必要がある問題であるとは、従前から考えておる次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 本件は私の提案で、法務大臣がこういうことを約束をされております。すなわち、この被告が無罪になった場合には、あとの四割は統治権者である国が補償すべきであるという点について法務大臣が責任をもって検討してみるということで、刑事局所管になっていま検討をいたしておるわけであります。われわれといたしましても、司法行政の面におきましても、迅速処理ということでできる限り裁判所をバックアップをいたしたい、かように考えております。  なお、この判決がおくれておることについて何か外部的な圧力が入っているのではないかというお話、御質問もございましたけれども、私どもはそういうことは全然聞いておらないわけであります。

豊島英次郎法務省刑事局公安課長

○豊島説明員 ただいま刑事補償の点についての御質問がございましたので、私から大臣、刑事局長にかわりましてお答えいたします。  刑事補償の問題につきましては、先ほど御指摘のような休職制度の問題、そういう問題で措置をすべきかどうかという問題が一方にあり、刑事補償としてどのような制度が考えられるか、いろいろむずかしい問題があるやに聞いております。そういう問題点を含めまして、ただいま鋭意検討しておるということをお答えいたしたいというふうに思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 質問を終わります。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 私はきょう三つの問題について、お尋ねをいたしたいと思います。一つは、人権問題といたしまして、いわゆる昨日から新聞に報道されております日本の医学界も心臓移植について踏み切ったという問題についての人権的な面からの問題点、いま一つは、日本人がアメリカに居住しておるという理由によって選抜徴兵法の適用を受けて、ベトナムの戦線において紛争に従事しているという問題、 いま一つは、日通事件に関してで、時間を要しない問題からお尋ねをいたしたいと思います。  いわゆる心臓移植の問題については、私は五十八回国会におきまして、簡単に質問をいたしておきました。あらためて本日お尋ねをするわけでありますけれども、まず最初にお尋ねをいたす前提といたしましては、新しい医学の進歩を妨げるような発言をしたくないということ、これが一つ、いま一つは、何と申しましても心臓の移植を受けた宮崎信夫君という少年が、新しい人生の出発といいますか、健康を回復する、そのことを私は期待をいたしたいと思います。そういう前提でまず質問をいたしたいと思います。  最初に、醫務局長にお尋ねをいたしますが、準備委員会等をもってすでに検討中であることを承知しておりますが、心臓移植というふうなことが現に行なわれた。このような中において、臓器移植に関する臓器移植法の制定は急がるべきである、この点が第一点ですが、その点について今後どのように努力をされるか、スケジュールはどうなっておるか、まずこの点についてお答えをいただきたい。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾説明員 ただいま御質問がございました心臓移植を中心にいたしました臓器移植の準備委員会が、臓器移植学会の方々を中心といたしまして、関係の方々を含めてことしの春からいろいろ準備をされておるということは御指摘のとおりでございます。この中身につきましてはすでに御案内かと思いますが、やはり臓器移植というような問題が、今後の医学の進歩といたしまして普及してくる、実施をされる、こういう段階に入るという前提に立ちまして考えました場合、それにもやはりそれぞれ国民感情なりその他から見ましたいろいろな問題はあろう。したがいまして、できますならばそういう問題を解明いたしまして、できるだけ国民全体も納得し、かつ手術をされる方、あるいは受けられる方、提供される方それぞれの間に一つの合理的な合意あるいは保証というものの中でこれらのものが進歩していく、こういう配慮のもとにこの準備委員会が議論を行なっているというふうに、私は承知しておるわけであります。  現在までに、さような問題を中心にいたしまして、各界の方々がすでに三回ほど集まって熱心に御討議をいただいておるわけであります。私どものほうからもこの中にはメンバーとして参加をさせていただいて議論に加わらさせていただいておりますが、当初の考え方といたしましては、従来までのスケジュールといたしまして、私どもが承っておる範囲では、かような基本的な問題をいろいろ検討した上、おそらく来年あたりにこういう法的な準備をいたしまして国会にお願いをしたい、こういうことが大体のスケジュールだというふうに聞いておるわけであります。しかしながら、ただいま御指摘のように、日本でも初めて心臓の移植問題が出てまいりました。私どもいままだ具体的なスケジュールをいつというふうに設定をするまでに至っておりませんけれども、私どもの空気といたしましては、ただいままでこの委員会が検討いたしました線をさらに強めて審議を促進いたしまして、なるべく早い機会に成案を得るような方向におそらくこの委員会としても動いておられるのではなかろうか。私どものほうでは、いままでの予定といたしましては、かような学会その他の基本的ないろいろな御討議を受けながら、来年度になりましたら厚生省自体の手でこういう準備のための組織を設けたい、こういうスケジュールでまいっておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 だんだんのお尋ねをいたしますが、少なくとも先ほど医務局長が御答弁になりましたとおり、この札幌医大の手術を突破口として、今後この種の手術がさらに行なわれる可能性が十分にある、そういたしますと、法案の審議、法案の成文化とも関係をいたしまするけれども、臓器移植、心臓移植について国民感情等を尊重しながらという御答弁がありましたけれども、特に考えなければならない点、特に法の成文上留意すべき点、どのような点がまず留意さるべきか、この点についてお答えをいただきたい。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾説明員 まだきちんとした構想が完全に固まっておるというわけではございませんけれども、私どもがこういうことになるであろうというふうに考えておりますことを申し上げてみたいと思います。  一つは、特にこの心臓手術という場合には、すでに御承知のとおり、現在の医学的な技術という問題から見まして、死亡というものをどのような時期でどのような現象でもってとらえるか、判定するかということが、一番問題であろうと思います。これはすでに国際的にも専門家の会議等でいろいろ議論をされまして一つの案は出されておるわけでございまして、ただいまたとえば脳波というものをとりまして、それが一定時間横ばいの状態を続けるというようなことをもって死亡の時期と判断してもいいんじゃないかという見解も示されておるわけでございます。ただし、この問題は、法律との関係でいえば、私どもはおそらくこれは医学的な判断にまかせるべき問題であろうと存じております。しかしながら、これを認定する場合にあたりましても、たとえば手術をなさる方が自分一人でそういうことを認定していいんだろうかという問題がございます。私どもは、おそらくこういう場合には術者以外の他のしかるべき医者が、少なくとも複数以上の方がそういう記録を検討されまして、そしてやはり死亡と認定するというような慎重なしかけが要るのではなかろうか。むしろそういったことまであるいは法律上明記すべき問題の一つではないかというふうに、私は考えておるのであります。  それからもう一つは、こういう問題につきまして、やはり人権と申しますか、国民の皆さん方の立場からいいましても、そこに十分な合意というものがなければ、これは軽々にやるべき問題ではなかろう。したがいまして、そこに十分御本人の意思なりあるいは家族の方の意思なりというものを明確にするような規定が必要ではなかろうかというふうに考えております。  それから第三点は、心臓という問題につきましては、おそらく考えられないことかと存じますけれども、すでに角膜等でもそういう配慮のもとに法律ができておりますように、かりそめにも臓器というものについていわば営利を目的とするような売買の対象にするということは、これは絶対避けなければならないということで、そういうことを規制するような措置を講ずる。おそらくその辺が骨子になるのではなかろうかと考えておりまわれわれといたしましても、司法行政の面におきましても、迅速処理ということでできる限り裁判所をバックアップをいたしたい、かように考えております。  なお、この判決がおくれておることについて何か外部的な圧力が入っているのではないかというお話、御質問もございましたけれども、私どもはそういうことは全然聞いておらないわけであります。

豊島英次郎法務省刑事局公安課長

○豊島説明員 ただいま刑事補償の点についての御質問がございましたので、私から大臣、刑事局長にかわりましてお答えいたします。  刑事補償の問題につきましては、先ほど御指摘のような休職制度の問題、そういう問題で措置をすべきかどうかという問題が一方にあり、刑事補償としてどのような制度が考えられるか、いろいろむずかしい問題があるやに聞いております。そういう問題点を含めまして、ただいま鋭意検討しておるということをお答えいたしたいというふうに思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 質問を終わります。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 私はきょう三つの問題について、お尋ねをいたしたいと思います。一つは、人権問題といたしまして、いわゆる昨日から新聞に報道されております日本の医学界も心臓移植について踏み切ったという問題についての人権的な面からの問題点、いま一つは、日本人がアメリカに居住しておるという理由によって選抜徴兵法の適用を受けて、ベトナムの戦線において紛争に従事しているという問題、 いま一つは、日通事件に関してで、時間を要しない問題からお尋ねをいたしたいと思います。  いわゆる心臓移植の問題については、私は五十八回国会におきまして、簡単に質問をいたしておきました。あらためて本日お尋ねをするわけでありますけれども、まず最初にお尋ねをいたす前提といたしましては、新しい医学の進歩を妨げるような発言をしたくないということ、これが一つ、いま一つは、何と申しましても心臓の移植を受けた宮崎信夫君という少年が、新しい人生の出発といいますか、健康を回復する、そのことを私は期待をいたしたいと思います。そういう前提でまず質問をいたしたいと思います。  最初に、醫務局長にお尋ねをいたしますが、準備委員会等をもってすでに検討中であることを承知しておりますが、心臓移植というふうなことが現に行なわれた。このような中において、臓器移植に関する臓器移植法の制定は急がるべきである、この点が第一点ですが、その点について今後どのように努力をされるか、スケジュールはどうなっておるか、まずこの点についてお答えをいただきたい。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾説明員 ただいま御質問がございました心臓移植を中心にいたしました臓器移植の準備委員会が、臓器移植学会の方々を中心といたしまして、関係の方々を含めてことしの春からいろいろ準備をされておるということは御指摘のとおりでございます。この中身につきましてはすでに御案内かと思いますが、やはり臓器移植というような問題が、今後の医学の進歩といたしまして普及してくる、実施をされる、こういう段階に入るという前提に立ちまして考えました場合、それにもやはりそれぞれ国民感情なりその他から見ましたいろいろな問題はあろう。したがいまして、できますならばそういう問題を解明いたしまして、できるだけ国民全体も納得し、かつ手術をされる方、あるいは受けられる方、提供される方それぞれの間に一つの合理的な合意あるいは保証というものの中でこれらのものが進歩していく、こういう配慮のもとにこの準備委員会が議論を行なっているというふうに、私は承知しておるわけであります。  現在までに、さような問題を中心にいたしまして、各界の方々がすでに三回ほど集まって熱心に御討議をいただいておるわけであります。私どものほうからもこの中にはメンバーとして参加をさせていただいて議論に加わらさせていただいておりますが、当初の考え方といたしましては、従来までのスケジュールといたしまして、私どもが承っておる範囲では、かような基本的な問題をいろいろ検討した上、おそらく来年あたりにこういう法的な準備をいたしまして国会にお願いをしたい、こういうことが大体のスケジュールだというふうに聞いておるわけであります。しかしながら、ただいま御指摘のように、日本でも初めて心臓の移植問題が出てまいりました。私どもいままだ具体的なスケジュールをいつというふうに設定をするまでに至っておりませんけれども、私どもの空気といたしましては、ただいままでこの委員会が検討いたしました線をさらに強めて審議を促進いたしまして、なるべく早い機会に成案を得るような方向におそらくこの委員会としても動いておられるのではなかろうか。私どものほうでは、いままでの予定といたしましては、かような学会その他の基本的ないろいろな御討議を受けながら、来年度になりましたら厚生省自体の手でこういう準備のための組織を設けたい、こういうスケジュールでまいっておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 だんだんのお尋ねをいたしますが、少なくとも先ほど医務局長が御答弁になりましたとおり、この札幌医大の手術を突破口として、今後この種の手術がさらに行なわれる可能性が十分にある、そういたしますと、法案の審議、法案の成文化とも関係をいたしまするけれども、臓器移植、心臓移植について国民感情等を尊重しながらという御答弁がありましたけれども、特に考えなければならない点、特に法の成文上留意すべき点、どのような点がまず留意さるべきか、この点についてお答えをいただきたい。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾説明員 まだきちんとした構想が完全に固まっておるというわけではございませんけれども、私どもがこういうことになるであろうというふうに考えておりますことを申し上げてみたいと思います。  一つは、特にこの心臓手術という場合には、すでに御承知のとおり、現在の医学的な技術という問題から見まして、死亡というものをどのような時期でどのような現象でもってとらえるか、判定するかということが、一番問題であろうと思います。これはすでに国際的にも専門家の会議等でいろいろ議論をされまして一つの案は出されておるわけでございまして、ただいまたとえば脳波というものをとりまして、それが一定時間横ばいの状態を続けるというようなことをもって死亡の時期と判断してもいいんじゃないかという見解も示されておるわけでございます。ただし、この問題は、法律との関係でいえば、私どもはおそらくこれは医学的な判断にまかせるべき問題であろうと存じております。しかしながら、これを認定する場合にあたりましても、たとえば手術をなさる方が自分一人でそういうことを認定していいんだろうかという問題がございます。私どもは、おそらくこういう場合には術者以外の他のしかるべき医者が、少なくとも複数以上の方がそういう記録を検討されまして、そしてやはり死亡と認定するというような慎重なしかけが要るのではなかろうか。むしろそういったことまであるいは法律上明記すべき問題の一つではないかというふうに、私は考えておるのであります。  それからもう一つは、こういう問題につきまして、やはり人権と申しますか、国民の皆さん方の立場からいいましても、そこに十分な合意というものがなければ、これは軽々にやるべき問題ではなかろう。したがいまして、そこに十分御本人の意思なりあるいは家族の方の意思なりというものを明確にするような規定が必要ではなかろうかというふうに考えております。  それから第三点は、心臓という問題につきましては、おそらく考えられないことかと存じますけれども、すでに角膜等でもそういう配慮のもとに法律ができておりますように、かりそめにも臓器というものについていわば営利を目的とするような売買の対象にするということは、これは絶対避けなければならないということで、そういうことを規制するような措置を講ずる。おそらくその辺が骨子になるのではなかろうかと考えております。  さらにそのほかに、あるいは非常に高度なそういうむずかしい問題でございますので、学会等がある術者というような範囲を見まして、あるいは相当大じかけなチームスタッフあるいは設備というものが前提にならなければ安全にできないわけでございまして、必要ならばあるいはそういう実施をする場所、人あるいはそれの組み合わせというものについて、何か規定をするかどうかという問題が残ってくるのではないか。私どもはいまのところはそういうことが中心になるものではないかというふうに想定をして、いろいろ議論を進めてまいりたいと考えておるわけであります。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 問題点をおおむね御答弁をいただきましたが、では次のような点についてお尋ねをいたします。  いわゆる角膜移植については、角膜移植に関する法律というのが昭和三十三年制定をされております。そういたしますと、人間のからだの見る部分もこれはきわめて大事なものだと思いますけれども、特に臓器、心臓などというものについては、現在法案の制定を急がれるというけれども、現に法がない、角膜については、これは法律をつくらなければだめだということで角膜移植に関する法律ができている。そうすると、現に今後もそのような心臓移植手術が行なわれるであろうということは、当然予想できる。そうすると、法案が制定されるまでの間は、何を基準にして、どのような根拠に基づいてこのような手術が許されるのか。それはいわゆる医療行為という患者に対する関係においては説明はつくだろうけれども、心臓を提供する側の法律的な根拠は一体何なのか。単に承諾というようなことでいいのだろうかどうか。これらの問題について、私は少なくとも厚生省医務局としては、法案制定までに早急に各医師に対して指示等を与えるべきではなかろうか。この点についていかがでしょうか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾説明員 御心配のような問題、私どももあるいはあろうかとも感じておりますけれども、いずれにいたしましても、最初の先生が御指摘のように、この方法をもってする以外に患者さんの生命が救われないのだという、医療のぎりぎりの線におきまして熟練した先生方が判断をされていく、そういうことによりまして非常にむずかしいいままでのいろいろな医学的な問題も進歩してきているという歴史がございます。したがいまして、ただいま法的なものは何もないがゆえに一切こういう行為は許されないのだということは、ほかの医学の進歩という点からいいましてもどうだろうかという感じは受けておるわけであります。ただその場合に、やはり私どもが考えておりますのは、受けるというほうにもかなりの覚悟を必要とするはずでございます。しかしながら、それはぜひひとつお願いしたいという、患者と医者との非常に深い信頼関係というものが、まず医療の根幹として前提になる。そこで、受ける側のほうについては、まず一般医療的な問題として御指摘のように運ばれていく。その場合もう一つ、それを提供する人の問題でございますけれども、これはいまのところそれをどういう保証をしなければならないということは残念ながらないわけでございますけれども、ここにやはりその善意と申しますか、そういう形で提供したいというほんとうの意思というものが確認をされておれば、私はやはりそういう医療の進歩発展から見て許されるのではないかという感覚を持っております。ただ、これが刑法上その他の問題でどうだろうかということは、私も十分詰めておらないわけでありますが、ただしそういうあれがあったといたしましても、このような問題は実際問題として私はそう軽々には行なわれてこないと考えております。実際問題としてその両者はいわば偶然に近いようなチャンスで結ばれなければならぬ。お互いの心臓の適合性、あるいはそういう時間的な問題もあり、なかなかチャンスはむずかしい問題であろうと思います。角膜のように保存がきくというようなものではございませんだけに、この手術をするということは非常にむずかしいチャンスの問題があるというふうに考えておりますし、また実際医学界にとりましても相当慎重な配慮のもとでなければやらないという態度であろうと思いますので、そう軽々には起こってこない。ただしかしながら、札幌で行なわれたから、さておれのところも不用意な準備状態でやろうということは、これは厳に戒めるべき問題であります。私どものほうで、ただいま、それについて具体的に警告をする、あるいは指示をするというところまでは、まだ考えていないわけでございます。この点は、また法務省等ともいろいろと御相談をした上で判断をしてみたいと思っております。また学会自体につきましても、この問題を中心にいたしまして、いろいろな技術的その他の問題としての検討も起こってこようかと思います。あるいはは第一段的には学会自体が何らかのいわば自粛と申しますか、そういう結果に対して将来に暗影を残さないような配慮をすべきだという意思表示もあろうかと思います。そのいずれのほうをとっていくかということは、もうしばらく御検討の猶予をお与えいただきたい、こう思っておる次第でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 参考になるのは、角膜移植に関する法律であろうかと思います。そういたしますと、角膜を摘出する、そういうふうな場合は、これは当然遺族の承諾がなければならないということになっている、その法二条によって。そのことが合法化されているというふうに私は理解をいたします。そういたしますと、医学の新しい進歩ということを私自身も非常に希望する。宇宙開発であるとか、原子力の平和利用であるとか、海底開発だとか、これと同じように、私は新しい医学の進歩を妨げる気持ちは全然ない。ただしかし、いわゆる臓器を摘出する、心臓を取るということが——たとえば直ちにわれわれが思い出せるのは、いわゆる死体損壊罪、いわゆる百九十条の死体を損壊あるいは領得した者はいかぬ、こういうふうな規定がある。この規定との関係は一体どうなるのだろうかというふうな問題。遺族が承諾したらいいんだろうか。そういうことになってまいりますと、いわゆる死体の解剖保存法という法律で、一体これは適用できるのだろうか。死体解剖保存法によりますと、解剖及び保存並びに死因調査の適正を期する、そういうことで教育または研究に資するということが目的で解剖が許されているということに、死体解剖保存法の第一条は相なっておる。そうすると、臓器移植法という法律がなくて、いわゆる生前の本人の承諾、あるいは事後の遺族の承諾等があったからといって、そういうことが許されるとする法根拠は一体何か。まさに死のうとしている人がおる。その人を救わなければならぬことはわかる。しかし、現に提供する、そのなくなった人から臓器を摘出するということが、これまた憲法を最高法規とするところの法的な合理的な根拠というものがなければならないだろうと思う。しかし、法は現在空白なんだ。医務局長としては、そういうことができる法根拠は一体何だとお考えになりますか。単なる私人間の同意があるだけでそういうことができるのかどうか。家を売ります、お金を貸しますというふうなことと同じことであるのかどうかというような素朴な疑問を感ずるのです。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾説明員 ただいま御指摘のような問題を初めから保証するという意味での法的な明確な根拠というのは、いまのところないわけでございます。むしろ刑法上のいろいろな解釈という問題によって、あるいは適用というものによって見られるべき問題だというふうに一般的に考えられているわけでございます。その場合に、先ほど来申し上げましたように、その人の善意と申しますか、一つの目的というもののために、非常に合理的な目的のために提供されてくる意思というものが、現在の法規の中でどのような一体適用を受けるのか、ちょっと私自身そういう刑法上の扱い等の問題についてはつまびらかにいたしませんが、ただいままで私どもが承っておりますところでは、そういうような目的的な行為というものからある種の判断がつけられているというふうに考えているわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 刑事局にお尋ねいたします。重ねて同じことをお尋ねいたしますが、質問の前提となることを申し上げてお尋ねいたしますけれども、新しい医学の進歩ということにわれわれは勇気を持たなければならないということを、私は質問の前提といたしたい。そういう前向きの形でこの問題を処理すべきだ。しかし、事人権に関するようなことについて、いま医務局長が御答弁になったように、そういう遺体から臓器を摘出する、心臓を取るということについて——角膜については法律がある、臓器移植については法律がないというようなことでは一体どうなんだろうかということについて、ひとつ早急に法の制定を急ぐべきだということを私は考えますが、いかがですか。その点が一点。  また、現に行なわれた行為について、法務省としては、どのようにお考えになるのか。法律問題としてどのようにお考えになるのか。これが第二点。  第三点としては、この問題については、いわゆる医学者の熱意に対して検察権力が介入するというふうなことは、私は避けていただきたい、避けるべきだろうと思うけれども、人権を守る法務省として、この問題について特に刑事局として御調査になる意思はあるかどうか。実情を聴取されることは私は必要だと思うけれども、この点についてどうか。以上三点についてまずお尋ねしたい。

安田道夫法務省刑事局青少年課長

○安田説明員 最初の第一点でございますが、現在の刑法などができました当時においては、現在行なわれつつあるような臓器移植といったような医学の進歩というものは予想されていなかったのでございます。したがって、御指摘のように、現在の医学の進歩の状況との間には実定法上のギャップがあるわけでございます。角膜移植につきましても、そのような事情がございました。実はあの法律ができます前に、角膜の移植が現に行なわれました。いずれもやはり解釈上などの疑義も存しましたので、医学の進歩とそれから法的な秩序の安定の調和をはかるために、あのような特別法ができた次第でございます。現在心臓移植を極限とするいろいろな臓器の移植についての医学が開発されつつありますので、現状に即応するような特別法というものがここですみやかに制定される必要があるという点については、全く先生のお考えと私どもと差異はないわけでございます。  ただ、現在の段階では、そのような特別法ができていないわけでございますので、その間制定されるまでにいろいろな臓器の移植が行なわれる、しかもそれが死体からの臓器の摘出という形で行なわれるという場合に、刑法上の死体損壊罪、形式的にはそれに該当することになりますが、それをそのようなことで刑事責任を問うことが妥当でないということは、もう明瞭でございます。この点は、解釈上はやはり刑法の三十五条あるいは三十六条、三十七条の、あのあたりの法理を援用いたしまして、超法規的ではございますが、そのような高度な文化的、倫理的な目的に奉仕するという行為である場合は、当然違法性を阻却するということになるという解釈が、そこで運用されてくるものと考えております。  それから第二点でございますが、今回の具体的な事件につきましては、まだ正式の報告にも接しておりませんし、新聞の報道その他で承知するだけでございますので、個々の具体的なケースについての判断、批判というものは、ここで加えることはさし控えさしていただきたいと思いますが、一般論としましては、臓器移植につきましては、提供者の側の問題と需要者の側の問題とがあるわけでありまして、需要者の側につきましては、これは一般の医療行為としてのことで、特段の法律上の困難な問題はなかろうと思います。ただ、提供者の側に、それが生体であるかあるいは死体からの提供であるかというようなことで、あるいは殺人罪を構成し、あるいはただいまお話しの死体の損壊罪を構成するというような場合がなきにしもあらずでございます。そのようなことで、いろいろ複雑な法律問題が、解釈でまかなうにしてはいろいろな不安が残り、疑義が残るというような問題がありまして、そのようなことを解釈運用にまかしておきますと、ある意味においては医学の進歩を阻害することにもなりますし、それからまた、他の面から考えますと、いわゆる行き過ぎ、人権の侵害というような問題が出てまいります。そこで、医学の進歩と、それからまた、何と申しましても法律は健全な国民感情との間の調和がとれなければいけませんので、いろいろな死亡時期の認定その他につきましても、やはり基本的には医学的な問題ではございますが、その一面において国民感情の間にはたしてうまく定着するかどうかという問題もございます、その辺のところを総合勘案して、すみやかに種々の問題を明快に解決した特別法ができることを私どもも期待しておる次第で、法務省としましては、制定準備委員会にはかり、係官を参加さしまして法案の作成準備については積極的に協力をしたい、かような次第でございます。  なお、第三点につきましては、これは具体的な事件の調査に関することなので、刑事課長が来ておられますので、そのほうから答弁していただきます。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 中谷先生御質問の第三点は、具体的事件の処理に関係いたしますので、私からお答え申し上げます。  その前に、われわれといたしましても、先生の基本的な態度とは同じでございまして、法律の解釈あるいはその執行等が医学の進歩を妨げるものであってはならないという点につきましては全く同感でございますので、その点は御了承願いたいと思います。  そこで、具体的事件でございますが、本件は昨日の報道でわれわれ知ったところでございまして、まだ現地からは詳しい報告は来ておりません。ただ、私どもといたしましては、こうした事件で形式的にはただいま青少年課長からお答えもございましたように、構成要件に該当するということも考えられますので、現地におきましては、当然少なくとも調査——捜査権の発動とまでいくかどうかは別といたしまして、その前提としての調査はいたすものと思っております。そうした暁には追ってわれわれのほうにも報告があるだろう、かように思っております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 次に、医務局長に重ねてお尋ねをいたします。実は人権問題として私が非常に気になった点、それは次の点です。これは重ねて私何べんも申し上げますけれども、宮崎という青年が健康であってほしい、このことの手術が成功してほしいという気持ち、これは非常に強い。ただし、次のようなことが新聞に報道されている。心臓提供者の弟さんと妹さんが、あげるのはいやだと言って泣きじゃくったという記事が出ております。率直にいって、私心が痛みました。そこで、角膜移植に関する法律によりますると、遺族の承諾を得なければならないということにこれは相なっている。遺族というのは一体何なんだということについては、私、不敏にして詳しく存じない。妹さんと弟さんとが泣きじゃくっていやだと言うということになればこれは遺族の一人なんですね。これでは、提供し得るというのは一体どういうことなのか。たとえば夫が死亡した、妻は承諾をした、ところが父親や母親は絶対いやだと言う。相続順位で言うならば、妻と子供が相続をして、父親と母親のほうへは、直系尊族のほうへは相続はいかない。しかし、そういうものではないだろうと思う。遺族の承諾というのは、一体どういうことなのか。今後こういう問題が行なわれると思うけれども、これは明確にしておいていただきたい。少なくとも親類縁者の中でいやだと言う人がおった場合、こういうふうな提供ということがはたして国民感情に合致するのだろうかどうだろうか。まず、法律的な解釈と、その点についての御見解を承りたい。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾説明員 私自身も、あの記事を読みまして、ある意味では一種の苦痛と申しますか、そういう感情を非常に受けた気持ちは実はあるわけであります。ただいま御指摘の角膜移植法の中でも「遺族」ということばが使われておりまして、これの範囲をどういうふうに考えて、そしてまた御指摘のような優先順位と申しますか、そういったようなものをどうするかということ、率直に申し上げまして、これは必ずしも明確に回答が出ているわけじゃございません。ただ、一般的に考えておりますのは、遺族と申しましてもいろいろな年齢の方がおられると思いますが、やはり正常な判断、行為のできる方だというふうに一般に考えられると思います。それからまた、その遺族の範囲としては、生活をともにする、いわゆる社会通念的な家族というような形で構成されるものであろうというように考えるわけでございますが、いま申し上げましたように、どういうふうな優先順位であり、どうでなければならないかということは、必ずしもすべて明定をされているという段階ではございません。私どもも、いわば今後のこういう法律の制定のためには、そういったような点も明らかにしておかないと、御指摘のような国民感情、あるいは遺族一統というようなものの中の不安は避けられないのではないか。その点は今後の一つの重大な課題としてぜひ取り組みたいというように考えておるわけであります。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 それではあとで関連してお答えをいただきますけれども、角膜移植法に記載されているところの遺族というのも、これは非常にあいまいなことばだと思う。この点についても、今後の問題点として十分に御検討いただきたい。  そこで、今度は人権擁護局長さんにお尋ねをいたしたいと思います。同時に医務局長にも私はお尋ねをいたしたいと思う。遺族の承諾がなければならない。要するに、なくなった人の場合には、遺族の承諾がなければならないということは当然のことでございますね。ただしかし、先ほど医務局長が御答弁になったように、このような提供者が心臓を提供し得るという場合は、まさに非常に偶然の機会だ、そういう場合は非常に少ないだろうということは、しろうとの私にも予想できる。そうすると、たとえば交通事故である人がもう死にそうだ、絶対にこれは死ぬのだというときに、かけつけてきた遺族というものは気持ちもそぞろに動転しているだろうと思う。要するに冷静な判断をし得るような立場にない場合があるのではないか。そんな場合に、医学の進歩のためだ、一人の青年の命を救うのだ、一人の女の命を救うのだということでお医者さんが説得する、はい承知しましたというようなことでは、いわゆる任意のほんとうの自由の意思に基づいた承諾というものがない場合があるのではないか。こんな問題について、私は人権上の問題が生ずるおそれがあると思う。そこで、いわゆる承諾というのは、今度の制定される法案についても特に一つの柱として立てられるべき問題だと思うけれども、今度は人権擁護局の立場からこういう点については一体どういうふうにお考えになるのか。私は一つ提案いたしたい。要するに医師とそういう提供者との関係というのは、その関係だけで説得行為、あるいは依頼行為、あるいは積極的に提供しましょうというふうなことがいわれるとしても、その人は自分の身内がまさに死を見ようとしている状態だから、気持ちも動転している。適正な第三者というものを立ち会わせるべきではないか。それが人権擁護委員であれ、あるいはまた県庁の所在地であれば適当な県庁の衛生部の職員であれ、いろんな人が考えられると思います。そういう公平かつ冷静に判断できる第三者というものを立ち会わせるということをしなければ、現に法案ができてないこの空白状態のもとにおいては、人権侵害、あるいは人権侵害の疑い、あるいはふつ切れないというふうな問題が生ずるおそれがあるのじゃないか。この点について、人権擁護局としては、一体そういうふうな趣旨の任意に基づかない承諾が行なわれないような防止措置について、どういうようにお考えになるか。私は、きわめて粗雑であるけれども、そういうことを提案をした。こういうことについて一体人権擁護局はどういうふうにお考えになるか。  なお、この問題について、人権擁護局としても非常に注目すべき今度のできごとだけれども、どういうふうに対処されるかということもあわせてお答えをいただきたい。また医務局長にも同種の承諾に関してのひとつ御答弁をいただきたい。

上田明信法務省人権擁護局長

○上田説明員 私からお答えいたします。先ほど来心臓移植は死亡者の心臓——死亡の時期は一体いつかということは医学上、新聞その他によりますと、あるようでございます。一応前提として死者、死んでしまった、人格者でない、それ自体人格を持たない。そうすると、そのあとは遺族がそれに対する埋葬権といいますか、そういうものを持っておるという段階における御質問としてお答えいたしますけれども、その場合に何ぶん動転していてなかなか真意がとれないというような場合も多々あろうかと思います。それが真意であるかどうかということを確かめる人といいますか、第三者——医師以外の人になろうかと思いますか、そういう人を同時に立ち合わせて、これは真意であるという人を置くかどうか、これは立法論的にはいろいろ議論もありますし、私は大いに論議を尽くすべきだと思うのであります。何ぶん時期を急ぐので、しからばどういう人をもって立ち会わせるかという議論になりますと、おそらく考えますに、時期を急ぐから急場に間に合わないような人でも困るだろうし、いろいろ問題がある。立法論的には議論しなければならない問題だというふうに考えております。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾説明員 心臓の場合には、ほんとうにその遺族の方々が正当な冷静な判断がしにくい状態にあるという場合があり得ることは、御指摘のとおりだと存ます。この点がいわば角膜などの場合と違った事例であるというように、私も考えているわけでございます。ただ、いま御指摘がございましたけれども、技術的な問題その他から見ましても、非常にむずかしい問題はあろうかと思います。しかしながら、やはりここいらは今後、先生が御指摘のようにこういったものをスムーズに進めていくという観点に立ちましても、私ども慎重に十分研究すべき問題だというふうに考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 私が一番おそれている点は次の点です。最後に質問をいたします。  過去の例で、次のような例があるということを前回私は答弁をいただいております。要するに医学界において病理的にも臨床的にも一般に明らかに認められておらない療法を、自分のごく個人的な研究心のあまり実際これを施療したということで、たちまち三人の患者を死亡させ、三人に重傷を与えたケースがあったということを私は聞いている。ですから私は、これは特に厚生省にお願いいたしたいのは、和田先生という、聞くところによると、札幌医大の非常に優秀な、数年にわたる基礎研究をおやりになった方が、この手術に踏み切られた。だから、私はその点については非常に敬意を表しますが、かりにもそういう技術もない、基礎研究もない、また設備もない、そのような病院においてこのようなことが行なわれるとするならば、これはもう率直にいって売名以外の何ものでもない。いわゆる医療行為というものについては、明治何年以来からの判例があります。しかし、そういうことをあえて言うまでもなしに、お医者さんというものは間違いをするものではないのだというような前提が医師法の法体系の中にあるらしいのだけれども、われわれ一般国民はそういうふうには思わない。だとすると、厚生省は特にこれらの手術については、そのような一般の医師がみずからの研究心のためにやるというふうなことだけは、絶対に避けるような措置を講じていただきたい。  それで、そういうことが一体厚生省と医師との関係においては可能かどうかは別としまして、こういうふうな心臓を提供させるというようなことは非常に偶然の機会で、なかなかそういうことはできないだろうけれども、少なくともこういうようなことについては、何らかの形においてしかるべきところ、たとえば厚生省などに報告をするというようなことの中において手術が行なわれるというようなことができないものだろうか。もし万一にも非常に設備のない、また能力の低い医者がこういう手術をして、成功すればこれはよかった、失敗すればそれでだめだったというようなことでは、これは国民感情上もはなはだおもしろくない。これらの点についてはいかがでしょうか。

松尾正雄厚生省医務局長

○松尾説明員 率直に申しまして、実は非常にむずかしい問題だというふうに受け取っておるわけでございます。しかしながら、先生のお気持ちのように、こういう重大なものか——あるいは一般の治療の場合でも同じことでございますけれども、人体に直接適用するという場合には、医者自体としてきわめて慎重に持っていくのは当然のことだというふうに私どもは考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、軽々に功名心とかなんとかというのもでやるべきでないと思います。先ほどもちょっと申し上げましたように、こうったものは、今度の事例を中心といたしまして、より慎重な態度をとるべきである。そういったことは、学会自身の中でもいろいろとこれから早急に議論されてくると思います。したがいまして、医師全体の一般の治療につながる基本的な問題ではありますけれども、重ねてそういうふうな特定な問題について学会自体がみずからえりを正し、規制をするという方向に持っていくべきかどうかということについて、十分推移を見守りながら検討させていただきたい。しかし、たとえばそういったケースを事前に厚生省に報告する、提起をするというようなことにつきましては、おそらくこれは非常にむずかしい問題であろうというように私は思っておりまます。ただ、そういうケースを学会その他も十分に関心を持って集めたり報告を受けたりして検討するような仕組みは、従来とられておるわけであります。そういった関係とも十分連絡をとりながら、いわば軽率にこういうようなことがないという方向では、ひとつ十分関心を持って進んでまいりたいと思っておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そうすると、あと問題が二つ残っておりますから、この問題については質問を一応終わります。したがいまして、厚生省の方は、私のほうはございません。  私が次にお尋ねをしたいのは、次のような問題です。  まず、田島繁という二十五歳になる青年の問題、この青年の問題の事実関係を若干申し上げますと、四十一年七月二十七日、観光目的の旅券が発行されて渡米をした。そうして四十二年の九月にアメリカの選抜徴兵法の適用を受けて、現にベトナムにおいてアメリカ軍隊の構成員の一人として軍務に従事をしている。こういう事実、この事実についてはすでに法務省並びに外務省に対して資料をお渡しいたしましたので、事実関係は詳しく申し上げません。この問題については、たとえば四十一年五月十一日の新聞の報道によりますと、観光渡米中に召集、河原滋という青年が同じようにそのようなことがあったという事実が報道されている。  したがって、まず最初に外務省にお尋ねをいたしたいのは、このような観光目的で渡米をして、あるいはその他の目的で渡米をして、そうしてアメリカ国内法の——私はあえて申し上げますけれども、アメリカ国内法のいたずらによって、といようなことばをあえて使いたい、兵隊に引っぱられるというふうなことの実態は、外務省として一体どの程度把握しておられるか。  特に次のような記事についてもひとつお尋ねをいたしたい。  藤本光一という青年、この青年がアメリカへ行って、そうしてどういうふうに言われたかというと、ビザが延長したいなら登録をせよと言われて、不安にたえ切れずに帰国してきたというところの記事が載っておる。だから、まず、外務省はこの実態をどのように把握しているか、この点についてお尋ねいたしたい。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下説明員 現在アメリカに行っている日本人の人でどの程度選抜徴兵法によって入隊しているかということについては、現在までにはっきりした数字をつかんでおりませんので、現在鋭意在米在外公館を通じて調査中でありまして、ワシントンにおいても、ワシントンにおける本部では、国防省では、外国人がどういうふうに入っているかという数字が出てこないという報告が参っておりまして、さらにそういう数字を把握するように努力しておる最中であります。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 私はひとつ最初に外務省に申し上げたいけれども、私が大急ぎで集めた新聞の記事だけでも、すでに河原という青年の問題、それから田島君の問題、さらに先ほど指摘をした藤本という青年の問題、だから、どのような形にいつごろまでに実態を御調査いただけるか、この点についてはいかがでしょうか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下説明員 われわれのほうとしてはなるたけ早く実態をつかみたいと思っておりますけれども、われわれのほう自身が直接調査するわけにいきませんので、やはり先方の協力ということが必要になるわけであります。その協力が得られるよう鋭意努力していきたいと思っております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 まず、一般的にアメリカの選抜徴兵法というものの存在はあるんだけれども、国際法の一般的な原則としては、外人に兵役を強制することはできない、これは国際法の原則であるということは、国際法のきわめて普通の教科書にも書いてあることだと思いますけれども、これはそういうところから一ぺん話を進めていきたいと思いますが、外務省、いかがでしょうか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下説明員 外務省の条約局の見解としましては、外国における日本人はそこの国の法律に従うということになっていて、外国人であるからということで自動的に兵役を免除されるということではなくて、やはり特別にそういう免除条項を規定した条約があるとか、その国において慣習があるとか、それから一時的な旅行者であるからこれは免除するというしきたりがあるという場合に免除されるので、外国人であるから自動的にその国の徴兵義務を免除されるといようなものは確立していないというふうに、われわれは判断しております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 田島という青年からの手紙によりますと、とにかくベトナムで戦争に従事をしておるなどということは、ずいぶんつらいことだという趣旨の手紙が知人のところに参っておる。それはもう資料をお見せしたのではないかと私は思いますけれども、一体こういうふうに日本人がアメリカの兵役に服するというふうなことについて、外務省の説明によれば、免除申請ができるのだというふうなこと、またそのことは選抜徴兵法の四百五十四条にたしか記載があったと私は記憶する。しかし、そういうふうなことについての周知徹底の方法は、どのようにしているのか。考えてみましても、観光目的で行った。そしてそのようなことについて十分知らない。ことにある青年のごとく、ビザを延長したいなら登録せよというふうなことを言われて、そうして兵役義務に服したくない、それで勉強はしたいけれども、しかたがないから帰ってきたというふうなことは、私はきわめて遺憾なことだと思う。そういう周知徹底の方法について、どの程度どのような方法でおやりになっているのか。この点についてはいかがですか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下説明員 いままでもこの点についてはいろいろ問い合わせもありますし、いろいろわれわれも心配しておりましたので、いままでも北米における領事館の連中が集まった席で、どうやって徹底したらいいかということを討議したことがあるのですが、現在のところは、大体日本人会とか日本人商工会議所、そういうところでやっていて、まだ不十分であるという点はありますので、今後は特別な注意書でもつくりまして、これを在外公館に設けるとか、また渡航者の人が旅券をもらいに来るときにすぐ渡せるというふうなことを考えていきたいということをいま検討しております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 いずれにしても、これは外務省にこれ以上私は申し上げないけれども、免除申請をせずに入隊をしたというその青年の数というものについての実態の把握ができておらぬということなんだから、一体どのようにして周知徹底をさしたかということについては、全く不十分だったということだろうと思うのですが、今後、ことに商社などにつとめておる人については、周知し得る方法はきわめて容易だと私は思うのですが、観光目的で行っておる人、要するに単独で行っている人、こういう人についての方法というものが周知徹底されなければ、心ならずもベトナムにおいて鉄砲を撃たなければならぬ——ベトナム戦後といわれておるときに、日本人がとにかくベトナム戦線に従事しているなんということは、はなはだしくおもしろくないことだと私は思う。これは絶対にそういうことは避けなければいかぬことだと思う。周知徹底については、ひとつ特段の方法を講じていただくということでもう一度御答弁いただきたい。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下説明員 いま先生が言われました観光ということですが、もちろん観光の場合でも対象にならないということはないのですが、先ほどの田島さんの場合には、旅券を出すときには業務渡航、商用ということになっておりまして、大体半年以上の人が選抜徴兵制度の適用になる。それからアメリカ領事館でも、移住で渡航するという場合にも、アメリカのほうで注意書を出している。ただ、この場合には英語で非常にわかりにくいというようなことがあって、先ほども先生が言われました延長の場合というのは、ちょうど半年以上になるからということで向こうで登録しろということになったんじゃないかと思います。それで、もちろん普通の一週間、二週間という人は対象にならぬと思いますけれども、いずれにいたしましても、われわれとしても今後十分周知徹底して、注意書を一般の渡航者の人にも周知できるように検討していきたいと考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 では、ちょっと念のためにお尋ねをしておきますが、周知徹底の方法ですが、ニューヨークの日本国総領事館のほうから「米国の選抜徴兵制度について」という、こういうふうなプリントが出ておりますね。これは読んでみてずいぶんわかりにくい。その中でこういうふうな規定があるのです。「ただし、一年未満の滞在が数度におよび、滞在期間の合計が一年をこえるときは、登録及び徴兵訓練双方の対象となります。」とあります。これは私も苦労してきのうあっちこっち条文をさがしてもらいましたが、そうすると、この規定というのは、たとえば第一回の渡米と第二回の渡米との間に五年たっても、それを合計すれば一年以上になればという規定なのか。どうもこの話はトルーマンの何とかというのを見てもわからない。これの説明を聞いてやらなければ周知徹底にもならないし、内容がきわめて不十分だと思いますが、この点についての解釈はわかっておりますか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下説明員 この選抜徴兵制度についてというニューヨーク領事館の説明書を私も読みましたけれども、確かにわかりにくい点がありまして、今度私のほうでつくるという注意書には、もっとわかりやすいものをつくりたいと考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そこで、田島という青年がもとのつとめ先のところへ手紙をよこしている。その手紙によると、非常に戦争が不安だという趣旨の手紙でございます。横田基地へ来て、そうしてすぐベトナムのほうへ送られたらしい。そこで、次のようなことを私はお尋ねをいたしたい。  これは田島君についてそのような行動を私自身が指示をするとかという筋ではないけれども、端的にいって、七〇年を迎えてこういう問題が次から次へ出てくるんじゃないかと思う。そこでお尋ねをいたしたいのだけれども、選抜徴兵法の適用を受けた日本人が、ベトナムへ行っている。しかし、どうしてもベトナムでアジア人同士たまを撃ち合うのはいやだということでベトナムの日本大使館にとにかく救いを求めてきた。保護を求めてきた。日本大使館にとにかく逃げ込んできたという場合は、一体外交保護権その他の関係において、あるいは犯罪人、自国民は引き渡さないという国際法の原則に基づいて、これは一体ベトナムの日本大使館はどうされるか。これは今後そういうことがあり得ると思う。ひとつそういうようなことを想定して、何も田島君が飛び込んでくるというようなことではないけれども、また田島君にぼくがそういうことを指導するというわけではないけれども、これは外務省の、国民感情に沿った御答弁をいただきたい。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下説明員 この田島さんがサイゴンで日本の大使館に逃げ込んだ場合、この場合には、具体的に日本の大使館に亡命した場合の庇護を行なえる権利があるかどうか。もちろん一方において南ベトナム政府が要求しなければ問題ない。米軍が南ベトナム政府を通じて引き渡し要求をしない場合は別ですが、そういう引き渡しの要求があった場合、大使館に庇護権があるかどうかという問題、これは条約上非常にむずかしい問題で、たとえば日本におきましては、普通の場合にアメリカ大使館、イギリス大使館、日本における外国の公館は、日本側としては庇護権を認めていないという立場をとっております。それの逆の形でいけば、日本のサイゴンにある大使館が庇護するという権限はないというふうな形にもなるかと思いますが、いずれにしましても、実際に日本人が日本の大使館に逃げ込んでくるという場合にあたりましては、そういう法律上の権限があるかないかということよりも、われわれとしましては、日本人を保護するという立場から、国民感情に十分配慮を行なった上で、アメリカ側なり南ベトナム政府側に強い交渉をしたいと考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 私がお尋ねしたのは——それは当然なことだと思うのですよ。そうではなくて、そんなものは、私の見解を申し上げれば、私国際法必ずしも詳しくないわけですけれども、この青年はアメリカの市民権は全然持ってないわけですね。日本人、日本国籍。その場合、これはアメリカと強い交渉をするというふうなことではなしに、まさに保護の対象になると私は思いますが、これはかなり想定をした問題でありますので、今後ともひとつ御検討いただきたいけれども、こういうふうなやはり国民感情の上に立って、私は最後にお願いをいたしたいが、今後問題を解決していただきたい。  次に、同じような問題についてお尋ねをいたしておきます。こういうことが今後あり得ると私は思う。それでお尋ねをいたしますけれども、日本国籍を持ったアメリカ合衆国の構成員、要するに免除申請をせずにアメリカの軍隊に編入された人、それが日本に派遣されてきた場合、地位協定の問題でありますね。速記録等を調べてみましても、地位協定については国会等においてはあまり詳しい審議がなされていないようです。地位協定の一七条の5の問題。この場合、今度は日本の横田基地にそういう青年がおる。そうしてベトナムへ行くのはいやだということで脱走する。そこまで申し上げることがいいかどうかは別として、私は脱走すべきだと思う。脱走したという場合に、米軍から逮捕要請があった場合、日米安保条約の地位協定からいって、一体どんな措置をとるのだろうか。要するに、刑特法一八条、一九条というようなものが適用されるだろうか。要するに脱走したからといって、日本のほうがそれに対して協力をするというふうなことが、国民感情の上からもできないし、刑特法の精神からもできないし、地位協定の上からもできない。それは日本人であるからというふうに私は考えるけれども、この点はいかがでしょうか。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下説明員 この点は、いままでそういうことはありませんでしたけれども、もしそういうことが万一起こりますれば、先生のおっしゃられますとおり、協定上は、対象になって引き渡し要求があればこれに応じなければならないということになるわけですが、その場合には、どうしても日本政府としては国民感情に沿ってアメリカ側に対して交渉せざるを得ない。交渉すればアメリカ側において相当聞いてもらえる点もあるというような感じを持っております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 この点はまた内閣委員会かなんかで私やりますが、法律問題としてもどうもおたくのほうでも解釈について確定していないようなので、いま法律論としてお答えになりませんでしね。  法務省にお尋ねをいたします。刑事局おいでになりますか。——法務省のほうで刑特法の問題として——国民感情として強い交渉をするということではなしに、端的に答えてください。要するに、こういうような場合に、法律問題として刑特法の問題は生ずるか生じないか。

藤島昭法務省刑事局総務課長

○藤島説明員 お尋ねのようなケースにつきましては、米軍から逃亡するという形をとっておりますので、日本の法令には違反しておりませんけれども、米軍法に違反している行為だということで米軍の専属裁判権、この対象になっていくと思うのです。その場合に、問題は米軍から逮捕してくれというようなことを要請してきた、引き渡してくれ、こういうようなことを要請してきた場合の問題になろうか、こう思うわけでございます。結局、いま先生おっしゃいました地位協定の十七条の5でございますか、これによりますと、「引渡しについて、相互に援助しなければならない。」こういう規定があるわけでございます。そうして刑特法でございますね、この国内法にも、やはりそういう場合にはこれを受けて逮捕することができるという規定があると思います。したがって、地位協定の解釈の問題としては、わが国として米軍に協力する義務はあると思うのでございますが、ただ、先生おっしゃったような国際慣習といたしましても、自国民を引き渡さないような、自国民保護の立場からそういう原則もあるわけでございます。しかも国民感情というような点もございますので、仮定の問題ではございますけれども、そういう問題が起こった場合には、おそらく米軍といたしましてもそういう事情は十分に承知しているわけでございますから、逮捕を要請してくるようなこともないと思います。また、こちらとしてもそういう事情を十分に話しまして、そういうことの現実に起こらないように処理していく、善処していく、こういうとこになろうかと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 この点についての最後の質問です。外務省にお尋ねをいたしますが、要するに田島という青年は、ベトナムへ行っているのはいやだ、こう言っている。また、そうしてすでにベトナム戦後が論ぜられておるとき、そしてまた現に日本はとにかくベトナム和平に協力をするのだといっておるときに、日本人がベトナムの戦線で、どちらの側にしろ、軍務に服しているということは、好ましいことではない。しかも本人の意思は、資料をお渡しいたしましたけれども、すでにベトナムに行っているのはいやだと言っている。これはひとつ外務省として外交保護権の対象になるかどうかということは別として、アメリカあるいはアメリカ軍に対してこの青年の兵役の免除——これは私自身もさらに確認いたしますが、国外退去されてもけっこうだ、とにかく国外退去を求めるというのが、おそらくこの青年の気持ちだと思います。そうだとすれば、ひとつ兵役免除の交渉をされるべきだと思うのですけれども、どうかという点が質問なんです。  いま一つは、同じようなことをお尋ねしておきますけれども、最近盛んに報道されておりますところのサハラの外人部隊で、これは全くスペイン語もろくにわからないことで何かその外人部隊にほうり込まれた。この人たちについてのいわゆる外務省としての今日までの努力の経過、これは当然私は日本人は保護されなければならないと思うけれども、これについては一体どういうことになっているのか。これを一つお尋ねをいたしまして、この点についての私の質問を終わりたい。

山下重明外務大臣官房領事移住部長

○山下説明員 いま先生のお尋ねになりました点ですけれども、この問題は御本人が先方と契約をしている。そこに基本的な問題があるわけでして、あとからお述べになりましたサハラの問題ですが、この問題でも御本人がスペイン語をよく理解しないで内容を読まないでサインしたというところに一つの問題があって、われわれのほうでは、本人が自由意思でもってサインしたのじゃないということでスペインの日本大使館がスペイン政府と交渉しているのですが、向こうからは、少なくともサインする以上、内容を読んで十分了解しないでサインするなんということはおかしい、どこまでも自由意思に基づいているといわれて困っているわけですが、いずれにしましても御本人が十分その趣旨をよく了解して注意するということがまず第一番であるわけであります。それで、もしそういう問題に、注意していてもつい不幸な立場になったということになれば、われわれとしてもできるだけこれを保護するという立場でありまして、田島さんの場合においても、私たちは実はこの問題を全然知らないで、新聞で初めて読んで知ったわけです。この場合でも、田島さんがほんとうに除隊をしたいというお考えがあれば、米軍の中でも名誉除隊という制度がございますし、特に田島さんの場合は、永住者ではなくて一時のあれですから、これはアプライすればかなり考慮できるのではないか。そして十分方法をとった上で外務省に対しても陳情を出されるということであれば、われわれとしてもこれをアメリカ側に取り次いで、配慮してほしいという点はやるつもりでおります。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 では、いまの問題についての質問は終わりまして、いわゆる日通事件の問題についてお尋ねをいたします。  私は、この問題について次のようなことを一番最初に申し上げたいのです。要するに、日通事件といわれている事件は、どう考えてみましても国民の政治不信をはなはだしく招来をした事件だと私は思うのです。そこで、国民がいわゆる国会議員に対する非常な疎外感というふうなものを持っている。これは非常に残念なことだと思うのです。それで私は以下質問を申し上げますけれども、私自身が何も免責をされるというふうな立場でお尋ねをするつもりはないわけです。全くこういうふうな国民の政治不信というものを生んだことについての責任というものは、国会のほうに出てまいりまして年数はわずかではありますけれども、少なくとも国会議員である以上、そのことについての責任の一端は免れない。私はその点でお尋ねをいたしたい。  そこで、ではこういうふうな政治不信というものについてこたえる、そういう政治不信というものから政治の信頼を回復するという道は、一体何だろうかということで私は考えてみた。一つは、訴訟の促進ということについてぜひとも私はお願いをいたしたい。大倉精一議員に対する起訴というのは、池田正之輔氏同様、六月二十五日に東京地方裁判所に公判請求をされているわけです。そこで、いわゆる国会議員の選挙違反の事件については、すでに百日裁判の規定というものがございます。しかし私は、選挙違反について百日裁判の規定というものがあるならば、法の規定はないにいたしましても、この種汚職事件についての審理は、あらゆる事件に先行して審理さるべきだと思うのです。  そこでまず、最高裁判所の刑事局長さんにお尋ねをいたしたいと思います。もちろん裁判は特定の裁判所がおやりになるわけでありますけれども、最高裁判所として、司法行政の立場から、特に特段の集中審理その他の方法をもって、この係属部に対してもしかりに予算等の措置が講じられるならばそのような措置もお講じになるというふうな、事件の配点等についても、東京地方裁判所の裁判官会議等においてもお話があるというふうなことで、徹底的な訴訟の促進をはかっていただきたい。もしかりにそのようなことにおいて——私は本日は池田さんのことを申し上げるつもりはない。私の所属しておるところの社会党の大倉精一議員が、そういうきわめて促進された迅速な裁判の中において黒だということになれば、これは社会党として国民に批判されることは当然であろうし、国民におわびしなければならないことも私は当然だと思う。私は個人としては当然大倉さんが無罪であることを期待するけれども、かりに有罪になるというようなことであれば、国民の指摘、非難を受けるということは当然だと思うけれども、それをずるずる延ばすことは、私はかえって国民に対してきわめていけないことだと思う。ひとつ最高裁判所の訴訟促進に関する決意のほどを、私は承りたい。

佐藤千速最高裁判所事務総局刑事局長

○佐藤最高裁判所長官代理者 御趣旨よく承りました。百日事件のことに言及なさいましたので、それとの関連において申し上げます。  百日事件は、そもそも選挙の結果に影響を及ぼすところ大である、ひいては国政等にも影響するところが大であるという等のために、特に迅速処理というものが要求されると理解しております。したがいまして、何も選挙の百日事件に限らず、社会的な影響の特に大な事件につきましては、やはり同様の考え方に立って急いで処理せられるべきことが相当であると考えておりますし、また当の担当裁判官においても同様でございます。  ただいま特に大倉議員の関係において仰せになりましたけれども、事はやはり池田議員についても同様になるべき筋合いかと存じます。われわれ司法行政の面におきまして、迅速に裁判が行なわれますように、さらに努力をいたす所存でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 いわゆる汚職事件一般の審理ということであれば、汚職事件一般の審理は促進さるべきである。日通事件ということになれば、池田さんの事件も促進さるべきであろうということを申し上げるのは筋だと思いますけれども、私はどういうふうに申し上げていいかわからないけれども、二百万円をあっせん収賄したということで私の所属している党の議員が裁判を受けている。どういうように考えているかは別として、少なくとも私がここで申し上げ、そうして主張したいことは、大倉議員の審理についてはということだけ、私は強調いたしたい。  そこで、その次に法務省にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、同じく訴訟促進に関してですけれども、起訴したのが六月の二十五日ですが、一体検察庁としてはいつ公判準備で期日を入れることができるのか。検察庁の希望としては、第一回の公判期日をどの程度に希望しているか、その点についてお答えいただきたい。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 まず前提といたしまして、一般的に申し上げまして、検察官はあらゆる事件につきまして裁判所及び弁護人と協力して審理の促進につとめておるものでございます。本件につきましても、東京地検におきましては、早期に公判を開廷いたしたいということで、ただいま裁判所、弁護人側と協議中でございます。いろいろ訴訟の準備その他の点もございまして、裁判所あるいは担当の弁護士のほうの御意向もございますので、いつごろまでという点をここで申し上げるのは、具体的に事件の審理に関係することでもありますので遠慮させていただきたいと思いますが、現在まで、検察庁として必要な期間といたしましては、冒頭陳述の作成、証拠申請書その他の訴訟準備に最小限二カ月は必要であろうというぐあいに聞いております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 そこで今度は次に、もうすでに各委員会あるいは予算委員会でも論議されているのじゃないかと思うのですが、しかし、一点だけ私は指摘をしておきたいと思います。と申しますのは、四十七名のいわゆる参考人の名前を公表すべきである、いや公表できないのだという問題、この点について私はあえてお尋ねをいたします。  潮見教授が次のようなことを言っている。「造船汚職と指揮権発動」という項の中で「犬養法相は国民の非難の渦の中で四月二三日辞職し、ついに政治的生命をうしなうにいたったが、検事総長以下検察首脳は、内閣への抗議と事件崩壊の責任をとって辞職せよという国民や検察部内一部の声にもかかわらず、そのような責任のとりかたをしたものは一人もいなかった。このような指揮権発動をめぐる経過は、検察の独自性、公正なるものが基本的には幻想にすぎず、検察官僚が結局のところ政府与党−大臣に服従する官吏にすぎないことを国民に教えるものであった。」というふうに指摘をしている。しかし、そのことを私は申し上げるのじゃない。私が言いたいのは、名前の公表ができないなどということを、法務省の統一見解として法務省が一貫して態度を堅持するに至ったのは造船疑獄以来であるというふうに私は理解をするが、この点は一体いかがであろうか。たとえば昭和二十七年二月二十七日の参議院決算委員会会議録の記載によると、証人として出頭した渡辺留吉は次のように言っております。この検察官の方はいろんな事件の内容について詳細にお話をされて、これを見て私は驚いたけれども、「積極的な証拠と申し上げるならば、これは高橋正吉の証言が最も大きいものと考えます。それでいいですか、もっと詳しく説明しましょうか。」というふうに、大いに言っておる。要するに浦和充子事件とかいろんな事件がありました。国政上は各委員会において、そのような形においてはあまり論議されておらないけれども、公表する、しないの問題は、国政調査権と検察権のあり方の問題、どこに接点を求めるかという問題だけれども、私は歴史的な経過をまず聞きたいのです。  あなた方が公表しないと言っているのは、検察官にとっても最も恥ずかしいできごとだと私はあえて言う。造船疑獄について指揮権発動の前に屈したこと、それ以後名前を公表しないという態度を一貫してとってきた。それまではそうではなかったと私は思う。もちろんいろいろな法律はありますよ。とにかく議院における証人の宣誓に関するいろいろな法律だってありますよ。しかし、国会の速記録を見る限りにおいては、そのように理解できる。それが検察の運営に重大な支障を来たすのだとかなんとかいう理由は、造船疑獄というものを当時の検事総長が名前を公表しないことによって乗り切ろうとした。逆にいうと、検察官——日本の検察官というのは、純司法的なものだといわれながらも、行政官的な面も持っておる。しかも公安委員会のような委員会がないから、いわゆる検察官は独立だといわれておりながらも、法務大臣の指揮を受けているというかっこうになっているという状態、これは検察庁の問題だけれども、造船疑獄以来だということだけを私は申し上げたい。この点はいかがですか。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 ただいまの中谷議員の御立論は、造船疑獄以前はすべてを公表していたが、その後は公表していないという前提でお話しされているように思いますが、私は必ずしもさようには考えておりません。造船事件のときに問題になりましたのは、時の東京地検検事正及び担当の指揮をいたしました検事が、国会で証人として喚問されました際に、それを拒否した、職務上の秘密をもって拒否した。それはいわゆる議院証言法に基づく問題でございましたので、最終的には内閣声明というところまでいったわけでございます、したがいまして、文書あるいは声明というような形ではっきりした見解が出ましたのが、造船疑獄事件のあとである、こう了承しているわけでございます。それ以前につきましては、もちろんケース・バイ・ケースのこともございましたが、申し上げられる点は申し上げて、それ以外の点は申し上げていなかったというふうに私どもは理解いたしております。  なお、ただいまの御質問中に、造船疑獄事件によって検察が非常に痛められ、そこをかばうためというような御趣旨のことでございますが、決してそうではないのでございまして、指揮権発動についてはいろいろな御批判その他もあろうかと思いますが、検察庁法という法律にのっとってなされた一つの指針であり、それを同じ法律を執行する検察官が、ただ反対するというのは通らないのではないか。むしろ秩序を維持する検察官といたしましては、法律に従った指揮、指示等についてはこれに従うべきであるということからなしただけのことでございまして、決してわれわれが時の与党あるいは時の政府の圧迫だというぐあいに考えているものではございません。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 いま私自身が私の立場に立って申し上げているのは、政治家に対する国民の不信というものがきわめて大きい、そういうようなことについてわれわれ自身も免責されないという立場で申し上げたけれども何もそのことは私自身が——検察が国民から絶対的な信頼を受けているというようなことをもし検察官が自信を持って言っておられるとすれば、たいへんなことだと思う。たとえば、戦後検察に対して国民が信頼を失った二つの大きなこと、一つは造船疑獄、いま一つは検察の中で位人臣をきわめた岸本さんが、やめたとたんにいまだかつてない未曾有の選挙違反をやった。立場が変われば検察官はこんなことをするのか。この二つによって、検察に対する信頼を国民が失った。こういうことが現在もなお国民の腹の中にあると思う。しかし、私は検察ファッショなどということは、今度の事件については少なくとも申し上げたくない。  では、私は次に質問を移しますが、次の点、公表できない理由は、裁判に影響を及ぼす。それは、結局その裁判とは福島被告人などに関する裁判である。そうしてそれは犯罪の成否に関するものではないはずだ、情状ということだろうと私は理解します。そうすると、裁判に影響を及ぼすということは、結局そのような内容のことが、四十七名のところに一億八千何がしの金が流れたということが、裁判の過程においては情状として立証されるということを理解すべきだと思うけれども、いかがでしょうか。要するに、本来は、事件は福島という人の業務上横領事件その他の事件である。その使い道に関して、裁判に影響を及ぼす、その影響を及ぼすのは使い道の情状なんだということは、公判廷においてはこのことを情状として、四十七名の件については、四十七名のだれのところに幾ら金が行ったというふうなことは立証される。すでに国会においてもわかっておることは、一億八千万円の金が四十七人に政治献金で行ったということは、すでに明らかになっておる。言わないのは氏名と一人一人の金額をおっしゃっていない。そのことは裁判においては情状として立証される、しなければならないから裁判に影響を及ぼすという趣旨にお伺いしてよろしいのですね。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 ただいまの中谷議員の御質問そのものから判明いたしますように、その点が立証するものであるかどうかということを申し上げることが裁判に影響を及ぼすということで申し上げられないということでございますので、それについては立証すべきか、立証するのかしないのかという点につきましても、それを含めまして答弁は差し控えるべきものであると考えております。ただ、私が昨日の衆議院の運輸委員会におきましても、情状ということばを使ったのでございますが、その趣旨は、本件はいわゆるリベートに基づく使途不明金の使い道、そうしてその中における福島社長らの横領事件ということでございますので、そのリベートになった金のいわゆる使途不明金の内容というものがすなわち犯罪の情状、さらにもっと詳しくこれを分けますれば、あるいは犯罪の原因であるとか動機であるとかいうふうなこと、それからまた狭義の意味での情状ということも入ってくるだろうと思います。これはすなわち量刑にも関することでありまして、これもまた起訴されており、検察庁でもやっと裁判所、弁護士、弁護人と公判の開廷期日を御相談しておる段階において、政府当局から明らかにすることは、将来の裁判すべき裁判所に対して予断を抱かせることになるのではないかということで、お答えはできかねる、こう申しておるわけであります。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 裁判に影響を及ぼすということは、そのことが裁判所に予断を与える。あるいは裁判所においてそのことが立証されるということが前提でなければ、——立証しないということは必要がないということなんです。裁判に必要がないのだから立証しないということなら、何も裁判に影響は与えない。立証をするとかしないとかいうことが腹の中にあるから、立証するのだ、情状なんだと昨日あなたはおっしゃった。私は傍聴しておったが、情状だとおっしゃった。まさにそのことが情状なんで、裁判に大事なんですという趣旨に私は聞いた。そうだとすると、裁判所ではそのことは情状としてお出しになるのだ、どんなことかは内容はわからぬけれども、出すのだ。あなたここで言えと言っておるのではないですよ。四十七人の名前を裁判所に情状として出さなければならぬから、だから言えないのだという趣旨、それを言うの、言わぬのというのと、立証するのもせぬのもおれのかってだということではないので、裁判所ではそのことを立証しなければならぬから、そのことを裁判所の情状として主張しなければならぬから、裁判に影響を及ぼしたらいかぬからこの委員会では言えないのだということでなければ、筋が通らない。裁判所でも言うか言わぬか、それは検察のかってだということなら、それこそ国政調査権と検察権との間の接点を求めることはできない。その点はどうなんですか。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 私の申し上げていることは、公表することは裁判に影響を及ぼすということでございます。しかし、いまお尋ねになったことは、立証するのかしないのかということでございますから、それはまさに今後の裁判に直接あらわれるべき検察活動でございますので、その点は申し上げるべきではなかろう。いまの段階で、この点は立証いたします、この点は立証いたさないということを、法務当局の責任において申し上げるべきものではないだろうと思います。事件は、検察官が起訴したのでありますから、その公訴維持に必要な証拠は提出するであろうし、それを現在検察庁で検討しておるところであるということであろうと思います。その内容について、何を立証するか、どれをどうするかということは、現段階ではやはり申し上げるべきではなかろう、かように考えるものでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 繰り返しになりますが、もう一度申し上げます。立証するかしないかは検察官のかってだ、立証するかしないかは、わしは知らぬ、法務省だから知らぬ、そうですね。しかし、裁判に影響を及ぼす、立証するという前提があり、昨日のように、これはまさに情状なんだとおっしゃった。だから、裁判に影響を及ぼすから、そのことは言えませんとおっしゃった。ということは、その裁判においてそのことが出されるということが当然予想される。裁判に出すか出さぬかわからない。そうすると、国会における答弁だって、新聞の報道だって、これは裁判官の頭には入りますよ。そんなものをわれわれ予断とは何も言いません。それは何らかの心理的な影響は与えますが、これは予断とは言いませんね。そのことは裁判所において将来立証しなければならないことなんだから、いまここで言うわけにはいきませんというなら、話はわかりますよ。立証するかしないかは検察官の独自の判断なんだ。その氏名の公表ができないという理由は、裁判において情状として主張しなければならないからなんだ、こういうふうに答弁をしておられながら、その点について裁判所でそのことを主張するかしないか、まさに情状だとあなたはおっしゃった。福島の事件については、きわめて大事なことだとおっしゃった。だが立証するもしないも、そんなことはわからぬ。裁判にとって大事なことは、立証しなければならぬということでしょう。あなた、事実の認定は証拠によるのでしょう。大事なことについて主張だけして、裏づけのないようなことは世の中にあり得ないでしょう。大事なことというのは、主張しなければならないということでしょう。主張しなければならないということは、証拠の裏づけが要るということでしょう。証拠の裏づけが要るということは、立証しなければいかぬということでしょう。おっしゃっていることは一体どうなんですか。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 昨日の情状論議が出ましたのと、氏名の公表ができないという点の理屈は違うのでございます。まず、ただいまも中谷委員は氏名の公表ということに結びつけられたのでございますが、それができない理由は、大きく分けて三つになるわけでございます。一つは、いまの裁判に影響を及ぼすということであり、本人の名誉ということであり、参考人の名前をあらわすことは将来の検察運営に影響を及ぼす、この三点になるわけでございます。昨日、情状でまず問題になりましたのは、献金の内訳が四つある。それは検察方針として四つの方針を持っておやりになったのだ。これは私は確認をいたしておりませんが、質問者がそうおっしゃった。その献金の内容を四つに分けて言え、こういうことでございますが、それは国会の追及のためであるとか、独占企業維持のためであるとか、まさにいわゆる使途不明金の内容をなすものでございます。  ところで、いま福島社長らの事件は、使途不明金そのものの一部としての横領事件をやっておるのでございますから、使途不明金の内容そのものを言うということは、これまたまさに公判で立証すべきものではなかろうかということになるわけでございます。したがって、それは将来の裁判に影響を及ぼすから御答弁はできかねる、こう申し上げたのでございます。ところで、いま中谷委員は、立証するかしないかは検察官のかってだという表現をお使いになったと思いますが、私はそう申し上げているのではございませんで、検察官がこれを立証する、これを立証しないということを申し上げるのは、裁判にも影響がございますので、法務当局の責任においてはお答えできないということでございます。したがって、結果的には立証するのかしないのかということがわからないことになるかもしれませんけれども、そこは遺憾ながらやはり申し上げることはできないのではないかという意味で申し上げているのでございまして、その点誤解なさらないようにお願いいたします。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 国政調査権と検察権の接点をどこに求めるかの問題なんです。だから、立証するかしないかということについて答えられないとしても答えるべきでないとしても、そうすると、あなたのほうでその腹づもりがなければならぬ。立証しないということなら、まさにそれは国政調査権の範囲内の問題として答えても、裁判に影響を及ぼさない。少なくとも裁判に影響を及ぼす点だけにしぼって申し上げたいが、それは立証しますとかしませんとかいうことを言えというのは、あるいは酷かもしれません。しかし、国政調査権というものを、検察権というもので、検察運営ということでどんどん縮小していくというのが、私は造船疑獄以来の傾向だと思う。立証するかしないかということを言えということは酬かもしれないが、国政調査権の範囲として裁判に影響を及ぼすという以上は、そのことが裁判所において立証されるのだということをわれわれ感ずるのは、当然のことなんだ。だから、それなら裁判に影響を及ぼすということについては立証されるんですねということを聞くのは、私は当然だと思う。それを裁判に影響を及ぼすとおっしゃるが、立証する、しないでとにかくあなたがここで答えられないなら、言えない疎明なんですから、裁判に影響を及ぼすということの疎明は、さらに別な角度から合理的にしていただかなければならぬ。四十七名の名前は公表しない、これは裁判に影響を及ぼす、国政調査権がそこまで及ばないということを、ひとつあなたのほうでもっと別な角度で、別な表現で疎明してもらわなければ、世間は納得しないし、国政調査権と検察権の接点を求めることができないというのが、私の考え方です。要するに、捜査の方法、手段、内容を言えとは言っていない。氏名の公表という一番入り口のところを申し上げている。たとえば造船疑獄においては、十何項目にわたる当時の法務大臣の詳しい書面がありましたが、そんなような事件ではない。要するに、氏名の公表ということが裁判に影響を及ぼすかどうかを疎明しなければならぬだろう。どういうふうに疎明されますか。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 いま中谷委員は、捜査の方法、手段、内容と申されたのでございますが、一番大切なのは捜査の結果であろうかと思います。捜査の結果を証拠に基づいて裁判所に提出いたしまして、原告官としての検察官が犯罪事実の認定を裁判所にお願いするわけでございますが、まさにただいま問題になっているのは捜査の結果でございまして、これが裁判において立証されるかどうかが問題になっているところでございますので、この点は現段階においてはやはり申し上げられないというのが正当な考え方ではなかろうか、かように考えるのでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 それではこういうことですね。もう一度私のほうからこういうふうに聞きましょう。二カ月たてば準備ができる。この点については少なくとも一週間もあれば準備ができる。立証するかしないかという点は、立証しないということになれば、裁判に影響を及ぼすという点に限っては、そういう方針がきまれば、裁判に影響を及ぼさないから、この点についての第一の理由は阻却される。公表してもいいという国政調査権が及ぶ。問題は国政調査権の目的が問題です。一党一派のために名前を公表しろというのは、非常にいけないことだと私は思う。名前の公表ということをなぜ求めるかということは、私はあとで最後に申し上げたいが……。そうすると、立証しないということの方針がきまれば、裁判に影響を及ぼさないから、その時期は二カ月たったら準備ができるとおっしゃったから、少なくともこのことについての方針というのは、あと十日もあればできる。閉会中にはその結論が出る。そうすると、その点については、裁判に影響を及ぼすか及ぼさないかということははっきりできますね。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 立証するかしないかということと裁判所に影響を及ぼすか及ぼさないかということは、また別だろうと思います。かりに立証しないでも、それをほかのところでもって明うかにすることが裁判に影響を及ぼすということも、あり得るのではなかろうか。しかし、これは具体的なことをお互いに言わない立場でもって抽象的に議論しておりますので、かみ合わない点があると思うのでございますが、ただ一つ申し上げたい点は、捜査の秘密の点です。公表ということ、あるいはは捜査の秘密がどのように解除されていくかという点は、やはり時期的な関連性はあるだろうと思うのです。たとえば、これは本件ではシアリアスな問題になりますので、例を別にさしていただきます。たとえば、ある証人になるべき者の証言内容が問題となるといたします。捜査の段階においてその参考人が言った供述の内容を言えとおっしゃられましても、これはその段階においてはまさに捜査の内容をなすものでもございますし、将来公判において提出されるべきものであるかどうか不分明な段階におきましては、裁判所に影響を及ぼすので言えないだろうかと思います。これが逆に今度起訴されまして、公判でもって証言がされた。その証言内容を言えという段階になりまして、もしそれだけでもう訴訟も終結の段階になっているということになりますれば、これはあるいは言えることになるかもしれません。しかし、その段階におきまして、それは、言うか言わないかは法務省の責任ではございませんで、裁判所の責任になるかと思います。しかし、通常の場合には、そういうものも含めまして、一人の証言が終わりましても、それに関連する証人をまた呼ぶここがあるかもしれませんし、それらの証言内容が最終的に裁判官がおきめになる量刑に影響するということになれば、これは裁判に関係するというので、おっしゃらないのではなかろうか。もちろん、時期的に関連して見なければならないのですが、いまの場合でいいますと、結局、結論的には、ある特定の者の証言内容というものは、訴訟が終結するまでは言えないという結果になりますけれども、その一つ一つの段階において裁判に及ぼす影響というものは、やはりその段階における事由に応じて考えていかなければならないのではないだろうか、こう思うのでございます。したがって、現在問題になっております氏名につきましても、なるほど検察官は二カ月内を目途に目下冒頭陳述その他の立証準備をしているわけでございます。それが終わったら確実に言えるかといいますと、それはいま私の口から、二カ月後になればはっきり言えるでしょうということは、おそらくお約束いたしかねるのでございまして、その段階において裁判に影響を及ぼすかどうかということをあらためて考えなければならないのではないか、かように考えます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 裁判に影響を及ぼすかどうかという問題については、刑事訴訟法については専門家の刑事課長ですし、起訴状の予断の問題その他についても、私も私なりに若干実務的な経験を持っているし、いずれにいたしましても、私は、この点について冒頭陳述だとか、裁判との関係においてお尋ねしたことについても、必ずしも昨日ほど刑事課長の答弁は明快ではなかったと思います。運輸委員会での答弁ほど明快でなかったと思う。  しかし、次の質問に移ります。次はこの点でございます。名誉問題。公表することと名誉の関係の問題です。そこで、刑事課長は次のように言われました。要するに、国会議員であろうがなかろうが、いわゆるそういうふうな名前を公表することは、名誉に関するんだ、こういう趣旨だったと思います。私の見解は、きょう時間がないようですので、述べておきますが、私はこう思うのです。たとえば、公衆控え室というところが検察庁にございます。ああいうところにとにかくどんどん参考人を引っぱり出す。参考人は衆人環視の中にいますね。しかし、国会議員を調べたのは、おそらく検察庁に呼び出して調べたのは一人もいないと思う。おそらくどこかの寮か何かでお調べになったのでしょう、四十七人は。国会議員は、国会議員に与えられた特権との反射的な効果において考えたいと思いますけれども、特権を与えられている以上、名誉において保護さるべきではないという考えを私は持っている、こういうふうな政治不信を招いたことについて。どろぼうした人の参考人の親などというものは、公衆控え所で冬の寒いときにみんながおるところでじっと待っている。これは名誉を守っておりません。また、参考人のはがきだって会社に来ることがありますよ、自宅に来ればよさそうなものを。そういう抵抗力の弱い一般国民の参考人としての名誉は、必ずしも守られていないと思う。国会議員であろうがなかろうが、名誉が守られなければならないのではなしに、国会議員は、少なくともこういうふうな政治不信を招いたときには、みずからのそういう名誉というものを保護さるべきではない。国会議員のいうものは、そういう特権の反面、そのような責任を持っていると私は思います。だから、むしろそういうふうに政治資金を受け取ることについてのいろいろな批判、これは違法であるとか、合法であるとか、それはいいここだとか、悪いことだとか——私はよくないことだと思う。そして、しかも容疑者に転落するようなかっこうで調べられた人が五人いる。そういうような人間は、国会議員である限り、名誉というものの中に逃げ込むべきではない。また、検察庁自身も、国民の信頼というものが一体どうなるだろうか——この場合、あと参考人協力という問題もあります、裁判所に対する影響という問題もありますが、先ほどの論議で、裁判所に対する影響という点については、私は一応率直に申し上げて、刑事課長のお話には私はあまり説得されたとは思わない。あとは名誉の問題と参考人協力の問題だ。この二つのメリット、この二つの利益を守って名前を公表しないということと、いま一つは、国会の権能を十分に行使して、要するに国民の信頼をつなぐ、あるいはまた、きわめて正しい国政調査権を行使するということ、そのこととの比較権衡の問題、要するに、言うてみれば、政治の信頼であるとか、あるいは国会議員が姿勢を正すことだとか、そういう公益と、氏名を発表することによって国民の間にもやもやしたものがなくなるという一つ公益があると私は思うのです。そういう公益と、名誉を守るということと参考人の協力ということとをてんびんにかけた場合、どちらが下がるのか、どちらのほうが重いのかという問題だと思うのです。だから、名誉という問題については、少なくとも人間というものは生来あやまちを犯す。冒頭に申し上げましたように、私自身が免責をされようというようなことで申し上げているのではない。とにかく、国会議員あるいは政治に対する非常な不信というものが現在の国民の中にあるということについては、私は非常に残念だと思いますけれども、そのことについて私自身が免責を求めようとは思わない。だからこそ、そういうような名誉というものを国会議員がむしろこの場合は放棄することが、国民に対する立場であり、責任であり、そういう不名誉なことを、かりに不名誉だとしても、その不名誉なことを受忍する義務があるのではないかというふうに私は考える。これが一点。  いま一つ、だから、これは公表できないという法務省の壁は非常に厚いわけですけれども、私は率直にその点についての私の見解を述べておきます。あなたは何べんも、五回も六回も委員会においてこの三つの理由は述べ回っておるし、私もずっとそれは傍聴さしていただきましたから、もうこれ以上言わないが、私はそう思う。  もう一つ、参考人協力の問題。これは経験則として、参考人が協力しないということだろうと思いますが、これは法務大臣が言った検察の運営に重大な影響を及ぼすというようなことに結びつけることは、はなはだしく話が大ぎょう過ぎると思う。だから、要するに問題は、四十七人の国会議員というものは、一般国民以上にこういう場合に参考人としての協力義務というものを課せられていると思う。刑事訴訟法二百三十三条であったかと記憶いたしますけれども、参考人呼び出しの条文がありますけれども、こういう場合に氏名を発表されたから今後協力しないというような前提が、それは一般の人間の心理じゃないかということで国会議員一般に適用されるということについては、は私ははなはだ不満であります。私も、参考人協力の義務というものは、不名誉との関係において協力しなければならない義務を持つのだ。参考人は出頭しなくてもいいのだ、何も義務ではないのだというけれども、少なくとも国政の信頼を回復する汚職の摘発というようなことについては、参考人として、国会議員である以上は常にどのような立場にあっても協力をする、そういう責任を持っているのだ。公表ということによって参考人協力の義務が国会議員はなくなるだろうというようなことをいわれることは、参考人一般として論議するならともかく、国会議員という参考人にいつて、私はきわめてこの点は不満だ、その点を申し上げておきます。だから、これは全く法務省と見解を異にします。少なくとも法務省が従来あげられた三つの理由というのは、造船疑獄以来きわめてそれが強固に堅持されておる。そしてそれは結局国民の信頼をかえってつながないものなんだということさえも、私は申し上げておきます。  次に、一体法務省の立場は、委員会において、秘密会をもって委員会が開かれた場合——これは理事の方において話がなければなりませんけれども、仮定の問題としてお尋ねをする。秘密会において氏名を答弁する。したがいまして公表ではありません。そういうことについては、はたしていかがなものであろうか。その理由を申し上げます。いま国民が一番求めているのは、政治資金規正法の問題なんです。政治資金はいかにあるべきかという問題、国民はそれを期待しておる。そうすると、四十七人に一億八千万何がしかの金が流れたということは、一体どんなかっこうでどう流れたのだろうということ、このことをも含めて政治資金のあり方というものは、国政調査の範囲、内容として具体的な事例として、たとえば公職選挙特別委員会等において、あるいは法務委員会等において論議さるべきことではなかろうか。こんな具体的な事例を除いて、政治資金規正法の具体的なあり方というものを論議するわけにはいかないだろうと私は思う。しかも委員会のあり方というものは、むしろ国会法のたてまえは、何か秘密会が原則になっているようなかっこうになっておる。秘密会でも裁判に影響を及ぼすという問題は別ですけれども、これは司法権との接点の問題だが、あとの名誉と参考人協力という問題においては、いかがなものであろうか。秘密会においても従来の方針をとられるかどうか。そうなると、ほんとうに国民が期待している政治資金規正法の審議はできるのだろうかという関係において、私は最後の点についての御答弁をいただきたい。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 ただいまの御質問の一番中心点は、秘密会における公表の能否、可能であるかどうかの問題であろうかと思います。事は非常に高度の行政的あるいは政治的判断を要することでございますので、課長としての私の立場から申し上げるのはいかがかと思いますが、私のいわば私見ということでお聞きおき願いたいと思います。  私、つまびらかにはいたしておりませんが、前例といたしましては、先国会においてどこかの委員会で、秘密会ではどうかという際に、それでもそうしたいわゆる三権分立の司法権に影響を及ぼすべきことを行政機関から立法機関に申し上げることはいかがなものかということで、これは公表されなかったという結果が出ているのでございます。  それからもう一つは、私どものほうが申し上げております三つの理由は、やはり究極にはただいまも申し上げましたように司法権との関連の問題でございますので、国会の秘密会なら言えるかという点においては消極になるものではなかろうか、かように私自身は考えております。  なお、これに関連いたしまして、先ほどの名誉、参考人の協力の点についての中谷委員のお話はよくわかりました。私どもも一つ一つのケースを土台にいたしまして詳しい法律構成あるいはその他構成等を考えるわけでございまして、もちろん今度の事件の経緯等にかんがみても、その点については深く考えているものでございますが、私自身の考え方は、名誉あるいは協力ということも、必ずしも国会議員のことだけを申し上げているのではございませんので、いやしくも捜査機関のところに行って真実を述べたことが、数日を出ずして、あるいは相当な日がたつことがありましても、それが外部に出るというのでは、捜査一般に対して国民の御協力を得ることができないだろうということで申し上げているのでございまして、その点はひとつ御了承をいただきたいと思います。  いずれにいたしましても、先生御指摘の国政調査権と検察権、特に捜査の秘密問題は、非常にむずかしい問題でございまして、私どもといたしましても、十分今後とも検討を続けていきたい、かように考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 いずれにいたしましても、国会議員の名誉の問題については、私は実はずいぶんプライバシーの問題の判例等についても調べてまいりました。もう時間もありませんし、委員長もお気の毒なので質問をやめるつもりなのですが、課長のほうから答弁がありましたので申し上げておきます。  要するに、今度の四十七人の中に、私の所属している党の議員がいるかどうか、私は知りません。これは何べんも申し上げますけれども、少なくとも現在自分自身が免責されないという前提で言いますけれども、社会党にいて、社会党はだれだれだということがかりにあったとしても、そういうふうなことは率直に国民の前に——私たち社会党は政治献金をもらうなんていうことはよくないと思っているのです、けしからぬことだと思っているのです。政治献金に見返りのない政治献金はないといわれている。選挙に関してというふうなことの構成要件を充足しないからといって、私はいけないことだと思っている。違法でないからといって好ましいことではないというふうに私は考えている、私どもの党は考えている。だからもしそういうことがあれば、党の不名誉でもあるだろうけれども、公表されて国民におわびをすればいいと私は考えている。むしろそのことが政治の信頼を回復する道だと考えている。しかし、そのことについてはこれ以上申しませんが、川井刑事局長さんにたいへんお待たせいたしまして恐縮ですが、一点だけお尋ねします。  これは国民は承知しないと思うのです。いまのような国会のやりとり、国政調査権が可能なんという考え方は、私は全然持っておりません。しかし、検察権が万能だというようにも思いませんけれども、とにかく検察官が答えるほうが答えないとおっしゃるのだから、どうにもならない。国政調査権と検察権の限界、要するに議院において検察官が証言する場合にどうなるのだろう、記録の提出はどうなるのだろうというようなむずかしい問題はありますけれども、これは国民が承知しないと思う。一体国民はどうするだろうか。そうすると、検察審査会に対して申し立てということが考えられるのではないか。ただしかし、問題は、四十七人は参考人だった。被疑者でなかった。しかし、検察審査会には、法令によりますと、この事件について事務能率をあげてくれとか、徹底的に捜査してくれとかいうふうなことについて申し立てばできるわけです。そうしてまさに課長がおっしゃったように、福島さんの使途不明金についてさらに調査してもらいたいという申し立てもできるだろう。その関連において、記録の取り寄せということは検察審査会においてできるはずですね。これは検察審査会においてかりに福島さんについてさらに調べてくれと申し立てをした中において、国会議員四十七名のとにかく資金の行くえについて三十五条でしたか、記録の取り寄せをしてもらいたいというふうなことはあり得るだろう。私は、検察審査会は、このようなある場合についてある申し立てをした場合には、申し立てを受理さるべきだと思うけれどもいかがでしょう。検察審査会というもは直接民主主義の制度だと思いますが、この点について最高裁の御見解を承わりたい。

佐藤千速最高裁判所事務総局刑事局長

○佐藤最高裁判所長官代理者 ただいまのお尋ねは、いわば一種の仮定でございますね。そうしてまた法令の解釈にかかる問題でもあろうかと思います。そこで、検察審査会、各審査会が二百余ございますが、独立して権限を行使しておりますので、そういうことも考慮いたしますと、法令の解釈に関することを私のほうからまず申し上げるということにつきましては、いかがなものかという気も実はいたすのでございます。ただお尋ねがございましたので、まず御質問に関連して問題となるであろう事柄について申し上げます。  そもそも検察審査会で議決をいたしまするにつきましては、事件の特定というものがなければならないわけでございます。起訴処分があったかどうか、また被疑者が特定されているかどうかということが前提でございますので。その前提が欠けておりますると、職権で事件を取り上げるということはできぬわけでございまするが、検察審査会法の二条をごらんいただきますると、検察審査会はみずから知り得た資料に基づいて過半数の議決で職権立件ができるのだ、かようになっておるわけでございます、そして立件された後におきまして、先ほどお話のございましたように、三十五条でございますか、それが審査というほうに入っていくと思うのでございますが、この職権で立件される前におきまして三十五条が働くかどうかというふうな問題があろうかと思います。さらに、想定せられたるところの問題でございまするので、いろいろ想定して抽象的に考えて申し上げまするが、しからば、検察審査会法四十二条によって、検察事務の改善に関して建議及び勧告ということができるであろうかということもあるいは問題になるかもしれないと思うのでございまするが、これが特定の具体的な事件においてそのような建議あるいは勧告というものが可能であろうかということが、やはり制度の本質あるいは解釈の問題としてあろうかと思います。つまり、特定の事件について検察審査会が議決をいたしまするのは、申し立てがありました審査申し立て事件あるいは職権で立件いたしました具体的な事件、そういうものについての議決でございまして、法四十二条の検察事務の改善に関する建議及び勧告の意味が、具体的な事件でそういうことができるであろうか。もしできるといたしますると、これも仮定の問題になりまするが、あの事件を捜査している特定の検事は適当じゃないから取りかえたらどうだろうかというようなことが言えるんだろうかというようなことにもなるわけでございます。そうなりますると、検察審査会というものの性格からしていかがであろうか。つまり検察審査会と申しまするものは、明らかに検察庁ではございません。また検察庁の監督機関でもないと思うものでございます。そこで、従前一般に理解されておりまするのは、建議、勧告と申しまするのは、一般的な問題について、たとえば公訴時効が完成間近になって告訴、告発があったというような事件、そういうものは早く検察庁のほうで起訴していただきませんと、検察審査会で審査しているうちに時効が完成してしまう。そういうような一例をあげて申しましたが一般的な姿においてなさるべきではないだろうかというのが意見でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 最後に、次の発言で質問を締めくくります。  私は重ねて申し上げますけれども、国政調査権という憲法に根拠を置くこの権限が、万能のものであるとは思いません。特に司法権との関係において、また検察権との関係において、多くの接点、限界があるということはわかります。しかし、少なくとも現在の検察権と司法権に対する考え方は、おのずから別個のものである。したがって私は、私の理解では、法務省が造船疑獄以来とってきたところの公表しないという考え方は、国政調査権を狭めるものであって、国政調査の目的が、単に一党一派に偏して、名前を公表さしてそのことをというのではなしに、かりに政治資金規正法等の審議のためそのような調査がどうしても必要なんだということとの関係においては、検察権の運営そのものも私は謙虚であってもらいたいと思うのです。  しかし、それといま一つ最高裁判所に申し上げておきますけれども、おそらく予算委員会とこの法務委員会におけるこの論議を通じて、本国会における公表をめぐる問題についての論議は、私は  一応終わるだろうと思うのです。しかし、こういう論議について、私はおそらく国民は満足しないと思う。必ずや検察審査会に対して、氏名を公表してもらいたいということを、何らかの法律構成をしたところの申し立てが、私は起こってくるだろうと思う。そのときに備えて、最高裁判所のほうにおいても、十分これらの問題について、受理できるのかどうか。その場合には記録の取り寄せ等についてはたしてどのように処置されるか等についての御検討を、これは僭越でありまするけれども、あらかじめお願いをいたしたいと思います。  なお最後に、私は、汚職というものが国を滅ぼす、政治不信を招くという観点から、日通事件の長い間の捜査の中で、法務省の刑事課長にかなり荒っぽい論議をきょうはさしていただきましたけれども、最後に私は次のことを聞たい。  要するに、四十七人という人の中のある人は、参考人から被疑者に転落する可能性を持った人だということは、昨日のある委員会における答弁の中でも若干明らかになったと思う。そういうことで、この種国会議員の汚職事件、あるいはまたいわゆる具体的な日通事件についてもけっこう、要するに捜査の壁というのは一体何か。現行法はもちろん当然守らなければならないし、現行法をどうこうしろということは検察庁の仕事ではないと思いますけれども、現行法のもとにおいて捜査の壁というものがあるとするならば一体何か。検察庁は十分熱心に捜査をやったんだと言うけれども、国民は必ずしもそういうように思っていない。しかし、何もだれもかれも引っぱることが正しいとは言わない、証拠がなければ起訴できないのですから。しかし、いずれにしても捜査の壁があるとすれば、捜査の壁は何か。汚職というものは国を滅ぼすものだ、政治不信を招くものだという観点から、検察権が正しく行使されなければならないことは当然です。そういうことで、捜査の壁ということについて、あるいは日通事件を通じての今後の汚職捜査についてのあり方等について、ひとつ御答弁がいただけるようなら御答弁を求めたい。

石原一彦法務省刑事局刑事課長

○石原説明員 現行法のたてまえにおける捜査の壁ということでございますから、その限りで申し上げますれば、被疑者として取り調べた者などの道義心の不足だろうかと思います。悪いことをしたならば、率直に悪いことをしたということを言えばいいのに、言わないから捜査も長くなるし、だから逮捕されることもあるし、勾留されることになるのだろうと思います。したがって、もちろん人の非違を糾弾する検察でございますので、われわれみずからが身を正すとともに、法律、法令等についての研さんを怠らぬようにいたしまして、国民の負託にこたえ得られるような捜査を今後とも実行していきたい、こういうのが、現在の検察官の全員の考え方だろうかと思っております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷委員 じゃ、終わります。

大竹太郎自由民主党

○大竹委員長代理 午後は三時三十分から再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後二時三十九分休憩      ────◇─────    午後四時十七分開議永田委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。松本善明君。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 法務大臣にお聞きしたいのですが、日通事件で、今国会では方々で質疑が行なわれておりますけれども、この起訴されました二人の国会議員以外に、政治献金を受け取っていたという故人を含む四十七名の国会議員の氏名を発表しないということをきめましたのは、どこがきめたのでありましょうか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 どこがきめたというのよりも、そういうことは発表しないほうが適切である、こういうことできまってきたようなわけであります。だれがきめたとか、どうとかという問題じゃない。適切でないから発表をしない、こういうようなふうにきまったわけであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それでは、お答えになりませんので、それは当然に検察庁がきめた——もっと詳しく申しますと。検察庁がきめたのか、あるいは法務大臣がきめられたのか、法務大臣がきめたというので検察庁はそれに従っているのか、そういうことです。それは当然にこの問題について決定をする官庁があったはずだと思います。その官庁を明らかにしていただきたい。部内ではあるいはそういう話は通ずるかもしれませんが、対外的には、何となくきまったというのでは国会の答弁にならないと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 こういうことは、御承知のように昔から一回も発表したということがないのであります。そういうことできまっておるとも考えられる。前にはちゃんと発表しておって今度とめたとか、新たなることとは考えていない。したがって、私の答弁は、そういう嫌疑が何もない人間の人権をややもすれば侵すか、侵されるようなことを言うことは適切でないというような点で、昔から一回も公表したことはないので、当然のことであると考えております。だれがきめたとか、どこから起こってきたとかいうことについて、私はさきのような返事を申し上げたので、その点御了解がいくと思います。前はしょっちゅう発表しておったのが今度それをやめたとか、そういうふうなことかあれは——だれがそういうことをやったとかは昔から一回も発表してないことで、当然のことをやっておるので、だれがきめたというふうにお答えをしていない、こういう意味でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それでは別にお聞きいたしますが、起訴されなかったけれども、四十七人の国会議員が政治献金を受け取ったということを発表するのはどこがきめたのですか。これは前からいろいろということを言われますけれども、やはり個々の事件について何にも言わない、あるいはそれについて必要なことを発表するということはあり得るわけです。今度の事件について、一方の分は発表されておるわけですが、それを発表する限度をきめたのは一体どこがきめたのかということをお聞きしているわけです。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 私のほうは発表した記憶がありませんので、発表したとするならば、地検が発表したんじゃないか、かように存ずる次第でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 法務大臣はその四十七名の氏名は御存じですか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 一応承りました。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 この東京地検の発表がありましてから、各新聞とも一斉に筆をそろえて、その氏名を発表されるようにということを要求しております。これは発表しなくてもよいというような世論はちっともありません。こういう国民の要求を、法務大臣として、正当な要求と考えられましょうか。そんなことはむちゃなことを言っておるんだ不当なことを言っておるんだというふうに考えられましょうか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 今日は、お互いに人権を尊重するということが一番大事なことだと私は考えております。世論も人権を尊重するということについて何らの反対はないと考えております。したがいまして、犯罪の嫌疑がなかった者の名前を発表するということは——何も悪いことをしたことのない人間の名前を言って、ひいては、ややもすると人権を阻害するような結果になるようなことは、世論とかなんとかいうことよりも、人権を尊重する法務大臣の立場からは当然のことであって、しごく普通のことである。いたずらに人の人権を阻害するようなことを言うのは、あまり好ましくないという考え方を私は持っている。しかも私は、四十数名ということを言ったことはありませんが、数十名の人が問題になっている。これは参考人として呼ばれたわけで、参考人というのは、多くの場合、事件を固めるために協力を願う場合が非常に多いので、そんなことは人権の点からも好ましくない。しかも、将来、地検あるいは検察当局が能率をあげていくようなことの妨げになるようなことはすべきではないんじゃないか、こういうふうな考え方を持っております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私、予算委員会その他で法務大臣のお答えになっている要旨は存じ上げているつもりでございますので、繰り返しになるところは簡潔にお答えいただきたいと思いますが、私のお聞きしましたのは、検察庁が発表するか、あるいは政府が発表するか、あるいは各政党が発表するか、その点はともかくとして、とにかくその名前を知りたいと言っている世論、国民の要求は正当なものと政治家としての法務大臣は考えられるかどうかということをお聞きしておるのであります。その点についてだけお聞きしたい。そういうことを本来国民というのは要求すべきものではないのだ、そう法務大臣は考えられるのか。それとも、それは当然である、しかるべきところが発表すべきであろうと考えられるのか。いま私は、検察庁ないし法務省について言っておるのではないんです。そういう国民の要求は正当かどうかということについてまずお答えいただきたい、こういうことであります。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 御承知のように民主主義の時代でありますから、要求があることがいいことか悪いことかというようなことは毛頭考えておりません。民主主義の時代ではいろいろな要求があるかもしれません。しかし、われわれ責任者といたしましては、害のあると認められるべきことは発表しない。国益に合うとは私は考えていない。多くの、りっぱなと申しますか、要するに犯罪に関係のない人の名前を言うといういうことは好ましいことでない、こういう点から発表を差し控えることが適当である、こういうふうに私は申し上げるわけであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうすると、発表を要求するというのは人権を侵すことになるんですか。私の質問に対してまっ正面からお答えをいただいていないわけでありますけれども、どんな新聞も全部取り上げて、何らかの形で知りたいとみな言っております。そういうことを言っている国民の声については、いいとも悪いとも答える必要はないというふうにお考えですか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 民主主義の時代でございまするので、いろいろな要求があるということについては、いいとか悪いとかいう意見は一切私は申し上げません。ただ、こちらは責任者といたしまして、調べた結果犯罪がない人の名前を言うことは好ましくないから申し上げません。だんだん簡単になってきましたが、簡単に言うとそういう意味でございますので、どうぞ御了承を願います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 簡単なお答えをお聞きしたのですけれども、犯罪でも何でもないということならば、ますます発表しても差しつかえないのではないか。何も悪いことをしていない人の名前を発表するのはおかしいではないかと先ほど来法務大臣は強調されるわけであります。しかしながら、何も悪いことをしていないならば、単なる政治献金を受け取っているというならば、政治献金を受けたということ、それが犯罪容疑でないというならば、ますますもって国民の前に明らかにするのが当然のことではないか。それは人権を侵害することでも何でもありません。もし、それが人権を侵害するならば、政治資金規正法で政治献金を受けた者は全部明らかにすべきだ。いまも日本国じゅうの人がそう言っている。そういう要求は人権を侵害することになるんですか。政治献金を受けた者の氏名を明らかにすれば人権を侵害するというとこになるんですか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 なかなか御熱心に御質問のようでありますが、私は発表することは好ましくないという考え方なんです。そういう考えのもとに発表を差し控えたいという考え方を持っております。  その理由は、たびたび——いまも予算委員会で申し上げましたように、第一点は、これから開かれる公判その他に直接間接いろいろな影響を与えるということはあまり好ましいことではないというのが第一点で、第二点は、人権のやかましいときに、その者に迷惑をかけるおそれがある——かけるかかけないかは別として、かけるおそれがあるようなことは、人権擁護の今日においては、われわれは守るところの立場であるから、その点は発表しないほうがいいというふうな考え方を持っておる。第三は、参考人として呼んだ者の名前を言ったら、検察当局として協力を求めなければならぬような事件が起こってきたときに、参考人として協力しておると発表せられると、世の中にはいろいろな人がおるから、参考人として協力したのをもって、あれは何か事件に関係があったのじゃないかとかいうようないろいろな誤解を受ける、検察庁のほうは一切お助けを願うので、ことに参考人なんか、御承知のように何もやらなければならぬという義務はない、被疑者であると勾留できますが、参考人は勾留も何もするものではなくて、お助けを願うほうも、もうやめておこうということになると、日本の捜査がうまくいかなくなる。  私は、理由といえば、少なくともこの三つの理由があると考えます。  利益は何かあるかというと、あまり利益がない。知りたい者に満足させたといっても、言うた利益はどこにあるか、あまり利益のほうが少なくて、むしろ好ましくない影響があるのではないか、こういうふうな考え方を持っております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 この問題について関係した国会議員の氏名を発表するということが利益のほうはないと言われる法務大臣の見解は、いまの世論からすれば、真正面からその世論に挑戦をするものであろうと思いますけれども、私はそれ以上は申しません。申しませんが、その三つの点については前々から言われておるので、ちょっと具体的にお聞きしておきますが、起訴済みの事件に影響を及ぼすというのは、大体具体的にはどういうことを考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井説明員 具体的ですから、私からお答えさせていただきます。  端的に申し上げますが、使途不明金が三億何がしあった、そのうちで一億八千万何がしが政治資金に回っている、残りの一億一千万何がしが業務上横領というふうにされた金額であるということを、一応検察官の段階において認定をしたわけでございます。さような認定に基づきまして、一億一千万余りのものにつきまして起訴いたしまして裁判を仰ぐという段階に相なっております。そこで、この一億八千万何がしというものが、公判の段階におきまして、おそらく被告人側からいろいろまたその金題の認定について争いが起こることは、これは当然予想できるところであります。そういうふうな場合に、また公判の段階におきまして、弁護人が弁護人としての立場から被告人と協力いたしまして、その一億一千万を少なくするか、あるいは一億八千万のほうを多くするか、いろいろな努力が積み重ねられて、そして最後には裁判によって、厳格な証拠に基づきまして、どういう金額が真に横領されたのだということが確定されるわけでございまして、これは松本委員百も承知のことでございます。そういうふうないきさつになるわけでございます。  そういうふうな内容になっておりますので、今日検事の段階で認定いたしました一億八千万何がしにつきまして、その内容をこまかく、だれに幾ら、いついったのだというようなことを申し述べるということは、他の理由が解決いたしまして、かりに申し上げることができるといたしましても、起訴済みの事件の公判に与える影響というふうなものは軽視することはできないと思うわけでございまして、これは被告人の犯罪の動機とか原因ないしは情状ばかりではなくて、犯罪の成否につきましても、先ほど大臣が申し上げましたように直接間接のかなりの影響を持つものであるということが言えると思うわけでございます。さような観点から、抽象的に申しまして起訴済みの事件に何らかの影響があるので、それも一つの原因として、この種の案件につきましては、この種の事象については公表しないことが適当だ、こういうふうに一応申し上げたわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 しかし、その点はいずれ公判では立証しなければならないことになるのではありませんか。

川井英良法務省刑事局長

○川井説明員 その点に限局すれば、その必要があればその点について立証することが必要だろうと思いますけれども、この点だけでもって公表ができない、こう申し上げているわけでございませんで、その他の理由もございますので、その他の理由との関係におきまして、公判の段階においてどの程度検察官が事件の運命との関係において立証するかということは、当該事件の審理の経過、結果にまたなければ何とも申し上げかねることだと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうすると、この問題については、ほかの問題との関係で公判には立証することがあるかもしれないので、これだけというわけではない、ほかの理由もあるからだ、こういう趣旨ですね。  それでは、ほかのほうをちょっとお聞きいたしますが、名誉をおかすというけれども、政治献金を受けたというのは犯罪でもなければ、その氏名を発表しても何ら名誉をおかすということにはならないと思いますが、その点はいかがお考えですか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 人の考えはいろいろございますので、あなたのように考える人もありましょうし、また、そういう意味から献金を受けるというのはというふうなことで、さかさまに考えている人もあるのではないか。要するに、私は人権を阻害するというか、害するようなおそれが少なくとも考えられる、こういうふうな考え方を持っております。それも、何か犯罪事実があるとかなんとか相当する事柄があればあれだけれども、参考人として協力をした人間の名前をなんで言うてくれたのだ、誤解を受けた人が私のところへ来て、法務大臣はこういうことを言うてくれたので、おれは非常に迷惑をした、おれの人権は非常に阻害されたが、どうしてくれるかと言うて来たときに、それは人が言えと言ったから私が言いましたなんということは、私は申し上げるわけにはいかない。そういう人もないとは限らないと考えております。それは善意でこちらは言うたのだからというわけにいかない。やはり考え方はいろいろありまして、人権を侵害せられたと考える人がないとはだれも保証ができない、私はさように考える。しかも、参考人だからそんな必要がないのではないか、こういうふうに考えます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 犯罪であれば、悪いことをしておるのであれは——発表すべきでないのに発表されれば名誉が傷つくことがあるかもしれませんよ。しかし犯罪でも何でもない。いまのは当然合法的な金だと法務大臣言われたでしょう。前に、この金は全部違法性のない金だ、こういうことを答弁されたわけです。違法性のない金をもらった人たちは有罪ではないのだということを発表するのがなぜ名誉をおかすことになりますか。ただの政治献金ということであたりまえなのでしょう、法務大臣の考えであれば。そのことは、政治献金として当然に合法的なものであるということであるならば、何ら名誉をおかすことにならない。もし政治献金をもらっていることが、法律的にではなくても何か道徳的にいけないのだ、何らかの意味で悪いことなんだ、こういうふうに法務大臣はお考えなのですか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 人の考えは、あなたのようにばかり考えてくれれば割り切ってものが話せますが、世の中の事柄というものはそう簡単に割り切れないところにいろいろな困難があると私は思います。これをひとつ御承知願わないと、人のことは、法律に違反をしなければ何でもあばいても、あばくというか発表しても当然のことじゃないか——悪いとかいいとかいうことじゃない、そういう必要がないということを私は言っているのですよ。悪いとかいいとかいうことを言っているいるのじゃない。参考人として協力した人の名前を言う必要がないじゃないか、必要がなくて、万一いろいろなことを人から言われるようなことになれば、その人は非常に不愉快がるだろう、不必要に人を不愉快にしたり、不必要に何らの根拠なくして人をいやがらせるというようなことは、あまり人間としてやるべき事柄じゃないのじゃないか、こういう考えが根本になっておりますので、適当でない、こういうふうな考え方であります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 こういう事件について政治献金をもらうことがいいとか悪いとかいう問題ではないのだということは、いまの、政治資金を規制すべし、政界の腐敗を一掃すべしというようなことがうんと大きな世論になっていることについて、法務大臣は全く耳をかしてないという以外にないと思います。そんな割り切れないなんというのは法務大臣だけの考えです。そういうような考えでは、それこそそれを聞いた人たちのほうは、そういう氏名を発表しろということを要求しておる人たちは、たいへん不愉快に思います。私はそれ以上法務大臣に、この問題についてだけお聞きしようとは思いませんけれども、それは世論のたいへんな反発を受けるだろうということだけ申しておきます。  それからもう一つ、法務省で言っております、この捜査に協力した人の氏名を発表すれば捜査に協力をしないおそれがあるということを言われておるけれども、しかし汚職を摘発をするのに、そういうような態度で一体いいのだろうか。汚職を摘発をする場合に、今後、国会議員が汚職捜査に協力をしない、そういうようなことをおそれてこれを発表しない、これで一体汚職の摘発ができるだろうか。そういう問題が起これば、それこそ私たちは世論の前で、政治家、そういう国会議員は孤立をするだろうと思う。参考人として呼んだけれども、この間発表されたからというので国会議員だれとだれと全然来ない、だから捜査は進展しない、こんなことを世論は許さないです。私はもっと厳格な断固とした態度で汚職の摘発をしなければ、検察庁、法務省が国民から財託されている任務は果たせないと思います。この点いかがでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○川井説明員 問題が二つあるように思うのですが、一つは汚職の摘発、国会議員にからまる汚職の摘発ということを目的としてこの事件の捜査が始まり、またそれに向かっていったのかどうかということでありますが、これは御承知のように汚職の摘発ということで始めた捜査ではございません。そこをまず第一に御認識賜わりたいと思います。それから、これもあたりまえのことなんですけれども、現行法のもとにおいて犯罪にならないようなことについては、およそ検察官は世の中に向かって云々すべきではない、犯罪となるものだけに起訴、不起訴をきめればよろしいのだ、これが検察官の法律によって課せられた、国民によって負荷された最も重要な職務の範囲である、これを逸脱するととんでもないことになるということは部内においてもよく承知をしておるわけでございますので、いかに国民的にあるいは世間的にたいへんよくない行為だ、こういうふうにいわれておりましても、また事実について検察官が捜査の過程において知るようなことがございましても、その辺につきましては、検察官はこれを外部に公表すべきものではない、こういう原則はやはりそこにかぶってまいりまして、昔から常にその一線を画しているわけでございます。  そういうわけでございますので、いま申しましたように、汚職の捜査に協力するとかしないとかいうふうな問題は、本件の四十数名の人たちにつきましては、直接具体的には関係がないのでございまして、ただ大会社の社長その他役員がかなりな多額の金を自己の用途に費消した、こういうことが当面問題になりましたので、その額は一体どこまでふくらんでくるのだということをだんだん調べてまいりまして、ある金は別荘を買った、ある金は金の延べ棒を買ったということで、だんだん解決がつきましたけれども、ある部分につきましては政治家に献金をしたのだ、こういう供述がございましたので、はたして政治家に献金したのが事実かどうかということについて、いつごろ、だれに、どういう趣旨で渡したのかということを追及いたしまして、このころ、こういう方に、こういう趣旨で、こういう金をあげたような記憶がございますということで、それならということで、参考人で、もらったと思われる方に来ていただきまして、こういう事実がございますかということを聞いたのがいわゆるこの四十数名の方々、純然たる参考人としての立場において取り調べをしたわけでございます。端的に一例を申し上げますと、確かにもらっております、このとおり帳面の記載もございます、しかしこれはこういう趣旨でいただきましたもので、公職選挙法の関係におきましても、政治資金規正法の関係におきましても、きちんと手続がとってございます、どうぞよくお調べください、こういった方々が一、二にとどまらないわけであります。四十数名の方の中にはたくさんそういう方があります。こういうふうな関係になりますと、この方々は、だれが何と申しましても、この捜査に、すなわち起訴された方々についての業務上横領事件についての純然たる一つの参考人的な立場において取り調べをした純然たる参考人にすぎないのだ、こういうことになりますので、そういうようなものを検事が知ったからといって一々世の中に公表するということになりますと、検察官に呼ばれた者は、検察官が聞くから洗いざらい言ってしまおうということで協力して言ったけれども、それが今度一々しり抜けになって世の中に大きく発表されるということに対して、あとからいろいろな迷惑をこうむるということになれば、将来おそらく簡単単に出てこないでしょうし、出てきましてもいろいろな供述をしていただくことはできなくなるのではなかろうかというのが、抽象化して申し上げますと、参考人の協力が将来得られなくなるおそれがある、これは検察事務に重大な影響をもたらすものだ、昭和二十九年の造船汚職の際に法務大臣が声明し、また内閣からも声明したところに書いてあるとおりでありまして、そのときの信念というものは、今日においても法務、検察当局において少しも変わるところはないわけであります。またそれが正しいと信じております。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 何か発表しないことが、従来の例でも破って、特に赤間法務大臣がそういうことを考えておるかのごときようにさっきおっしゃったように私は聞いたのですが、その点はひとつ誤解がないようにお願いしたい。昔からこういうふうに発表した例がない、昔からの例に従って、私は発表しないほうが適当であるから発表しないというので、世論の反発を買うとかいろいろなことをおっしゃるけれども、何もそう——そういう何か初めて新たなることをやればいろいろ批判を受けるが、昔からわれわれ法務省関係のものにおいては、犯罪に直接関係のない者の名前を発表しておらないのに、今度発表しないことは何か世論を無視したかのごときこととかなんとか言われることは、私は真意がわからないのです。いままでも一ぺんも言ったことはない。われわれはやはり法秩序を保つというのが職務であります。法秩序を保つためには全力を尽くすが、それ以外のことは私はそう——やはり昔からの先輩などがやってきたことをよく考えてみて、それに理屈があればそれに従うというすこぶる常識的なもので、何も新たなることじゃない。別に変わったところはない。例年どおり。それが世論にことさらにおまえは反しょうとしておるかのごとく言われることは、どうもふに落ちない。その点についてはひとつ、昔からやってきたとおりにやったのがどうして世論の反発を買うか、もしあったらひとつ御参考までに承りたいと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 法務大臣の御要望はあとで二人でやりたいと思いますが、法務大臣にいたしましても刑事局長にしましても、いわゆる人権を尊重するように発言をしておられますけれども、昔の話が出ましたのでついでに申しますが、いわゆる三鷹事件が起こりました。あのときに当時の吉田総理大臣は、いわゆる行政整理にからまる社会不安は、共産党の宣伝に源を発しており、虚偽とテロがその運動方針である。しかし共産党は少数で、これを監視することは困難ではないと、これに関係をして発言をいたしました。新聞に報道されているとおり。さらに引き続きまして松川事件が起こりました。これはいまの防衛庁長官である当時の増田官房長官は、今回の列車転覆事件は、集団組織をもってした計画的妨害行為と推定される。その意図するところは旅客列車の転覆によって被害の多いことを期待したもので、この点無人電車を暴走させた三鷹事件よりさらに凶悪な犯罪である。しかし今回の事件の思想的傾向は、究極において行政整理実施以来惹起した幾多の事件と同一傾向のものだということで、共産党がやったというような趣旨にとれる発言をしております。いまこれは当時の新聞をずっと見れば明らかです。一部だけをお話ししたわけですけれども、これはその後裁判の結果、林川事件も無罪になった。三鷹事件は共産党と関係がないということになりました。これほど大きな人権侵害はなかったわけであります。これと対比をして、いまの法務省の態度を何と考えられますか。昔からそんなことをやったことはないと言われるけれども、法務大臣何とお考えになりますか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 これは事件、事件によって特徴もあれば、そのときの背景もありましょう。いろいろありましょうが、私が言う、ずっと前から発表したことがないというのは、こういうふうな参考人として、今回のような事件について犯罪に関係のない者を発表した例は私は記憶にない、こういうことを言ったのであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 法務大臣がまともに答弁なさらないというのは、答弁できないのですよ。そういうことと私は理解をいたします。  別のことでありますけれども、この日通については、日通の裏経理の問題については四十六人ということが出ておりますが、表経理から政治献金を受けたのは何名かということは、わかっていればお答えいただきたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井説明員 表経理から出たものは、すべて正式に規正法に基づいて処理がなされておりますので、公表された官報によって知ることができると思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それ以外にありませんか。

川井英良法務省刑事局長

○川井説明員 それ以外のものにつきましては、表経理の面につきまして詳しい報告は受けておりません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 そうすると、私の表経理というのは——先ほど来のは裏金の不正な金ですね。そうではなくて日通の表の経理、それは全部政治資金として届けられておるという趣旨ですか。それともそれ以外にあるかもしれないがわからないという趣旨ですか。

川井英良法務省刑事局長

○川井説明員 表経理のほうは、大体調べた結果、犯罪の容疑はないということで、ある程度打ち切ったようでございまするけれども、その趣旨は、一部については成規の届け出がなされておって、規正法違反の容疑がない。それから一部のものにつきましては、その大半がいわゆる後援会会費などの名目でもって処理されておるというようなことでありまして、これにつきましても犯罪の容疑が認められない、こういうことでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 この日通関係の事件は、全部捜査終了したというふうに発表されたわけでありますが、いわゆる田中彰治事件の際の検察官の冒頭陳述によりますと、昭和三十八年の四月ごろから町井久之は八王子市内長房所在の土地約十万坪を地元民から約五億円で買い受け、三十九年十月ごろ興亜建設に六億円で売ったこととして、同社から日通と日綿実業に各七億五千万円で売却したという趣旨のことが記載をされております。この土地の登記を調べますと、この日通というのは日通不動産のことであることはもう間違いありませんが、この日通不動産が、約五億円の土地をわずか一年数カ月の間に日綿実業と共同で十五億で買った、これはもうたいへん不自然な——わずか一年数カ月で三倍にもうけておりますので、たいへん不自然にみな感じておるわけであります。またこれが、だからこそ冒頭陳述に書かれたのだと思いますが、この売買の中にも不正はなかったという——そういう関係の捜査もしたけれども犯罪になるものはなかったということを地検が発表した、こういうふうに理解をしていいんでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○川井説明員 いまお読み上げになりました田中彰治事件関係の日通の系列会社の訴訟につきましては、田中彰治関係の際に取り調べが行なわれておるそうでありますけれども、今度の関係におきましては、特にまたその点をもう一回掘り返して捜査をする、そういうことはしていないという報告でございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 別のことでありますが、メーデー事件のことについてお聞きしたいのですけれども、最近ありました吹田事件で騒擾罪が確定いたしました。大阪高検が上告をしないということで確定をいたしました。十六年も裁判が長期化しているということについての考慮がなされたということが報道されておりますけれども、これと全く同じ問題で、いまだに一審の判決も受けていない。これは法務大臣はあるいはあまり御存じないかもしれませんけれども、検察のあり方として非常に大事な問題として、私法務大臣におもにお聞きしたいのでありますので、よくお聞きいただきたいと思いますが、こういう裁判が長期化しておるという問題が問題になっておる。このメーデー事件でも当然そうなっております。法務大臣おいでにならぬときに、社会党同僚議員からも、この問題について質問がありました。たとえば公務員の被告が十六年間も休職扱いになっていて、その中には、有罪になっても罰金の二千五百円というような人がおるわけです。こういう問題もありますし、それから、法務大臣よくお聞きいただきたいのですが、朝鮮人の被告が、この公訴が続いている限り朝鮮に帰れないのですよ。帰国申請もできない、こういう問題がある。また被告だということのために、自分もそれから家族も就職できない、こういうような問題もあるわけです。こういう重大な人権問題が引き起こされておるわけです。こういうことになっておる。検察庁が起訴したことによって、結果的にこういうことになってきておるわけですけれども、こういう問題について、この裁判が長期化しておるということについて、法務大臣は検察行政のあり方についてどういうふうにお考えになるか、お聞きしたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 いまお述べになりましたような事件につきましては、御承知のように裁判所とそれからわれわれ検察庁、また弁護人というような訴訟の関係者が一そう強力な協力をやる、そして裁判が早く終了するようなことに努力をしなければならぬ、私はかねてそういうふうに考えております。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 この公判がこんなに長くかかっているのは、二百六十人も大量の起訴を検察庁がしたからであるというふうに言われております。これについて、いやそうである、そうでないというような議論を長々とやるつもりはないのですけれども、それが端的にあらわれておる例を法務大臣少しお話しをして、一体こういうことでいいのだろうか、法務大臣は検察という法律関係からいうならば、失礼ですがしろうとというか、法曹の方ではないので、一般人の感覚から見て、普通の人の感覚から見て、これは一体いいのかどうかということをひとつ考えてもらいたいと思うのです。  どういうことになっておるかといいますと、先ほど申しましたように、一番軽い人は有罪になりましても二千五百円の罰金なんです。それが十六年間裁判にかけられておるのです。しかも最初からそうではなくて、この公判の終了段階で、終わりのほうの段階になって、検察庁が、自分の起訴は間違っておりましたといって訂正をしたのが何人も出ました。そうして途中で無罪の判決も出ました。検察庁が、自分の起訴は間違っていたからといって直した人が何人かといいますと、全部で十四名です。法律上のことばでいえば、いわゆる率先助勢、それから付和随行というのに変わって、罰金刑に変わったのが全部で十四名。そのうち一人は、もう見るまでもないということで無罪になっております。起訴当時から罰金だけでやられているのは二名です。全部で十六名、一名無罪になっているのですけれども、十五名が有罪になっても二千五百円の罰金ということになっているのです。  幾つもの問題がありますが、まずこういうふうな長期の裁判で、初め検察庁が起訴したことを変えなければならぬ、間違っていたということをやったわけですが、これはもうたいへんな人権侵害です。先ほど来法務大臣は、人権尊重には一生懸命だという趣旨のことを答えておられる。これほどの人権じゅうりんはなかろうかと思いますが、こういうような検察庁の起訴が初め間違っていた、そして十六年たって有罪になっても二千五百円、こういうような目にあっている被告について、法務大臣何と考えられますか。これはやむを得ないというふうに思われますか、それともやはり人権という観点から問題だ、こういうふうに考えられますか。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 私は裁判がすみやかに処置せられるということを最も希望する一人なんです。しかし裁判は、私が言わなくても御承知のように、裁判所だけでできるものではない、検察庁だけでできるものでもない、弁護士だけで——これが一致協力して、みんながすみやかに裁判を完全に処置しようということにならないと、なかなかむずかしいのじゃないか。そういう意味から、さっきも関係者の一そうの努力によって裁判ができるだけすみやかに終了をするということを私は非常に希望して、非常に長引くということについては好ましくない、こういうふうな考え方であります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 法務大臣、知らないからと思って黙っていましたけれども、関係者が努力すべきだなんて、とんでもないですよ。もう二年数カ月前に結審をしているのです。これから裁判所に聞きますけれども、あと残っているのは全部裁判所の責任なんです。そんな間違った考えを持っておって、どうして人権の擁護ができますか。検察庁何を考えているのだ、関係者はそう思いますよ、きょうみんなで傍聴に来ておりますが。法務大臣に私がいまお聞きしたのは、そういうことではないのです。検察庁があやまって起訴をした。そうして公判の終了段階で、これは間違ってましたということで、罰金二千五百円の求刑にしなければならなかった人が十数名いる。これについての検察庁の責任をどう考えられるか、法務行政の上で法務大臣は何と考えられるか、これが私の質問なのです。その質問にはっきりお答えいただきたい。

川井英良法務省刑事局長

○川井説明員 検察の仕事というものは、私は本質的にかなり流動的な仕事だと思います。したがいまして、裁判の結果のみからさかのぼって検察の仕事をきびしく批判されるというふうなことは、検察の流動的な仕事の本質にかんがみて、私、必ずしも適切であるかどうかということについてはかなり疑問を持つものであります。しかしながら、そうは申しましても、でき得る限り全力を尽くしまして、およそ起訴したものにつきましては必ず有罪の判決を得るというふうにつとめることが、あるいは御趣旨からいうならば最も適当なことかもしれません。しかし近代刑事裁判の原理からいうならば、検察官が容疑を認めて起訴した以上は、それが白か黒かということは裁判によって決定されるのだ、こういう仕組みになっておりまするし、また御案内のごとくに訴因変更という手続もございまして、わずか十日、二十日の期間において十分大きな事件を確定することができませんので、裁判の経過において訴因を変更するという手続自体も訴訟法の中に認められておるというようなことから申しますと、先ほど申し上げました検察の仕事は本質的に流動的だということは、法律そのものが認めていることではないか、私はこういうふうに考えるものでございまして、一般論といたしまして、その結果のみからきびしく、だから検察の責任だ、こういうふうに責められることは、私必ずしも論理的でないのじゃないかというふうな気がいたします。ただ、そうは申しましても、すべて大きな事件について無罪になったことについて検察が法律的に、あるいは社会的に、あるいは道徳的に、あるいは人権的にいささかの責任もないというふうなことを強弁するつもりはございません。ことばを低くし、頭を低くして、反省すべき点につきましては、大いに部内において反省いたしております。しかし本質はそういう本質を持っているものであるということをひとつ御認識賜わりたいと思います。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 刑事局長もまだ十分御理解いただいてないようなので、よく説明しますけれども、裁判の結果ではないのです。検察庁みずからの手で重い犯罪だと思って、刑事局長おわかりのことと思いますが、率先助勢だと思って起訴したところがその証拠がなかった。検察官みずからが考えて、だからこれは公訴維持できないというので付和随行に変えたのです。検察内部のことなんです。結果ではないのです。それは公安課長十分御存じのとおりなのです。そういうことが実際にあるんですよ。そういうことは、もし起訴のときにほんとうに検察庁が慎重であれば防げたことなのです。それは検察庁に責任ありませんですか。刑事局長そういうことを言われるつもりですか。

川井英良法務省刑事局長

○川井説明員 一般論としていまの考え方を申し上げたわけでありまして、私、吹田の問題と間違えておりましたけれども、メーデー事件はまだ判決がございませんが、その過程におきまして、御指摘のごとくに若干の者について訴因の変更をしたという事実は私もよく存じております。むしろ私が最高検察庁に勤務しておった当時にその事件が行なわれたわけでありまして、私その事情は十分に承知いたしております。その起訴の当初において捜査の結果を整理して、そしてどういう罰条を適用して起訴するかというようなことについて万全を尽くさなければいけないのに、必ずしも万全の措置がとられておらなかったというふうに、あとから検討が、批判ができるようなケースも一、二あったように私承知いたしております。そういうようなものにつきましては、それぞれまた部内におきまして適当な、再びそういうようなことを繰り返すことのないように、あるいはまた別な角度から、その事務の過誤と申しますか、不足というようなことについて、適切な措置をとらなければならない、かように考えます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 それから全体としての問題をお聞きしますけれども、この途中で変更になった者を含めて十五名の人がいまなお、有罪になっても二千五百円ということで裁判にかかっておる、十六年間。こういうことが何らかの形で早急に救済される必要があるというふうに法務大臣はお考えにならないかどうか。有罪になっても二千五百円ですよ。それが十六年間もこういうふうな状態なんです。何かしなくちゃならぬ、こういうふうに法務大臣はお考えになるかならないか、これをお聞きしたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 たびたび私は原理原則を申しますが、裁判ができるだけすみやかに、りっぱに行なわれるということを非常に希望し、裁判自体が非常に長引くことは好ましいことじゃない、かように考えます。この間一般的なことを言って、あなたのほうでいろいろ言われました。私は、やはりそのためには裁判所と検察庁と弁護士、三者が一体になって、みんながやはり裁判を間違いなく早く終わる、こういうことに熱意を出してもらうことが、一般的には、裁判が進行する一つの大きな方法じゃないか。決してこれは誤りでも何でもなくて、これはやはり弁護士の方が協力してくれなければ、裁判は幾らおそくても、やっても……(松本(善)委員「もう判決を待つだけです「と呼ぶ)いやその事件じゃない。一般的な話をしているんです、私は。要するにこの三つが一体となって、日本の裁判全体が早く終結するように努力が願いたい、こういうことを私は一般的に申し上げておるわけであります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 もう少し端的にお聞きしましよう。私の申しておるのは、こういうことについて、検察庁とすれば公訴の取り消しという制度があるわけです。これはやはりそのままにしておくというのはぐあいが悪い、何らかの方法をとらなくちゃならぬのじゃないか、いま法務大臣に申しましたのは、私はそういう趣旨であります。検察庁の恣意で、法務省のほうで考えて、これはやはり人権じゅうりんだ、やはり一日も早くこの問題を解決しなければならない、十六年も、有罪になっても二千五百円ということで裁判にかけられているということを、何とか救済しなければならぬ、いうなればこれは公訴の取り消しということがあるわけです。こういうような方法をとるということを全然考えられないのかどうかということをお聞きしたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 そういうことは考えておりません。私らは、個々の事件につきましては、検察は検察がやる、取り下げろとかもっと強くやれとか、いろいろなことを指揮する考えは毛頭みじんもない。非常に信頼をしておるのであります。個々の事件についてどうしたらいいということを法務省は指揮する考えはありません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 法務大臣よくそう言われるのです。しかしながら、検事総長を個々の事件で指揮することはできるんですよ、法務大臣が。またすべきなんですよ、必要な場合には。何にもしませんということなら法務大臣要らないです。検察庁は法律の観点だけから見ておって、これは確かにそんな前のことを事務的な観点からだけ見るべき性質のものじゃないのだ、こういうようなことは人権じゅうりんなんだというならば、積極的に法務大臣が指揮をしていいんですよ、そういうことは。まさに、私はこういうような事件こそ法務大臣が、これは人権じゅうりんなんだ、これはやはり公訴を取り消すべきだ、こう出るのがあたりまえだろうと私は思います。本来ならば全部の事件が、これは不当な起訴だと私は思いますけれども、少なくともいま申しましたような問題について、当然のことだろうと思う。  刑事局長にお聞きしますが、そういうことは法務省の中では全然考えられないのでしょうか。

川井英良法務省刑事局長

○川井説明員 この事件のただいま御指摘の問題について、公訴の取り消しというふうなことは、今日の段階においては、法務、検察部内を通じて問題になっておりません。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私、日通の事件と、それからメーデー事件と、はからずも一緒に質問をすることになりましたけれども、その二つの事件についての法務大臣と刑事局事の答弁を聞いておりますと、事件によって人権の尊重の程度は全く違う、そういうようなことは全く不当だと私は考えます。このことを申しまして、私は質問を終わりたいと思います。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 岡沢完治君。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 時間がおそうございますので、二、三の問題につきまして、日通事件に関連して質問いたしたいと思います。  ただいまの刑事局長の松本委員に対する御答弁の中で、検察の流動性というお話がございました。日通に関連した四十七名の国会議員、名前が明らかにされていない国会議員につきまして、最初からいわゆる参考人であったのか、あるいは最初は被疑者であって参考人に変わったのか、事件処理につきましても、もちろんいずれも不起訴でありましょうが、参考人で問題はないと思いますけれども、中には嫌疑なし——これは起訴猶予の人があったのかどうか、その辺についてお答えをいただきたいと思います。

川井英良法務省刑事局長

○川井説明員 国会議員に関しましては、最初から被疑者として取り調べをしたものはないようでございます。すべて参考人としての取り調べがなされております。途中から被疑者になった方が、御案内のとおり二名出てきたわけでございます。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 私自身がもちろん事件を担当しているわけじゃございませんので、質問が過ぎるかと思いますけれども、ただ、いわゆる問題の一億八千万余りの金というのは、最初は使途不明であって、検察庁のお調べの結果で明らかになってきた金であった。だけれども、最初から表面的な金でなかったということは明らかでございますし、また国会議員の数が四十六、七名ということになりますと、一人当り四百万程度の、相当な金額でございます。やはり私は常識としては疑わしいということで捜査をお始めになるのがむしろ当然のケースではないかというふうに感ずるのでございます。局長の、最初は参考人であったというお答えのほうが、むしろこの事件に関する限り何か割り切れないものを感ずるわけでございますが。いかがでございましょうか。

川井英良法務省刑事局長

○川井説明員 金額の点でございますが、あまり変わりませんが、三十九年から四十二年までの四カ年間の献金の合計額でございます。各年度で多少相違はございますけれども。したがいまして、一人当てにして一年間の分ということになりますと、平均の額は必ずしもそう多くはございません。そのことが必ずしも本質に関係ございませんが、計算はそういうことになります。  それから、先ほどちょっと申し上げましたように、あくまで捜査の経過がああいう経過をたどってまいりましたので、参考人としての取り調べが進んでまいりまして、しかしながらその過程におきましては公選法とか規正法とかいうふうなことはもとより、また涜職というようなことも問題になりますので、主としてそういうふうな三つの観点から、一つ一つについて調査を進めてまいりまして、参考人として始まったものが参考人に終わったものもありますれば、参考人から途中で被疑者に変わったというふうなものも出てきたわけでございます。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 わかりましたが、いま局長のお答えで、最終的には被疑者になった人が二人あったということでございました。この被疑者の二人は起訴猶予で処分されたのか、あるいは嫌疑なしで処分されたのか、どちらでございますか。

川井英良法務省刑事局長

○川井説明員 ちょっと私の話が不十分であったと思いますが、これは起訴された方であります。したがいまして、起訴といいますか、未発表の分につきましては、起訴猶予というような処分をしたものは全然ございません。と申しますのは、初めから立件をいたしておりませんので、起訴、不起訴の処分というものはしておりません。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 申し上げるまでもなしに、警察、検察庁の事件処理という手続の過程におきましては、適正、公平ということがきわめて大切ではないかと思います。起訴されましたお二人のうちで、池田正之輔議員につきましては、いわゆる身柄を逮捕せずに捜査をなさって起訴までこぎつけられた。これは、この種事件の態様からいたしまして異例ではないかと思うわけでございまして、何か公平の原則に反するような感じを国民も受けたと思いますし、また私も実務家の一人としても割り切れないものを感じたのでございますが、その理由あるいは背景等につきまして、御説明をいただきたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 大倉議員と池田議員との、そこに二つのケースの違いがあってそういうふうになった。御承知のように、大倉議員は徹頭徹尾金を受けたということを否認しておる。これに反しまして池田議員のほうは、三百万円は確かに受け取ったがその趣旨が違うのだ、こういうふうなことをはっきりと言っておるのであります。それから証拠隠滅という点につきましても、両者の間には違いがある。こういうふうに検察庁は見たものと考えているのでありまして、両者の間に違いが起こってきた、かように私は承知をいたしておるのであります。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 池田議員の場合の趣旨を否認しておるということは、いま大臣がお答えになりましたただ大倉議員と比較して申し上げるのではなしに、たとえば關谷勝利議員の場合、百万円授受につきましては争いはなかったはずであります。しかし趣旨を否認されたということでもちろん強制捜査に踏み切られたのだと思います。また、私たちは実務家として十五年の経験を経ましたが、この種事件の取り扱い上、授受は認めたけれども趣旨を否認したというケースで逮捕されずに済んだというのはきわめてまれであります。まして、三百万、金額だけを言いますと大倉議員より上でありまして、何か割り切れないものを感ずるわけであります。発表され時期が選挙の最中である、あるいは池田議員が与党の有力な議員であるというようなことがやはり捜査上配慮されたのではないかと考えるほうがむしろ常識であり、そこに対して国民としては非常な疑惑と申しますか不満と申しますか、検察に対する一つの不信というものを持つのがあたりまえじゃないかという感じを持つわけでありまして、何かこの点につきまして、国民に対してその理由を明らかにするという意味からも、もう少し意を尽くしたお答えがいただけないものかと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 法務大臣としましては、できるだけ逮捕せずして捜査ができるということが望ましい、こういうふうな原則を私は持っております。逮捕せずに、できるならばなるべく逮捕はやめたがいい。しかしながら、逮捕するにあらずんば証拠の隠滅をやるおそれが顕著にあると見るときには逮捕もやむを得ぬというような方式がとられておるように承っております。  大倉精一議員のときには、証拠隠滅のおそれがあるというふうに検察当局は見た、こう報告を受けております。しかるに池田正之輔議員のときには、証拠隠滅のおそれはないという報告によりまして行なわれた。それで、同じものを違いがしてある、あるいは選挙とかその他を考えるというようなことは、一切いたしておりません。われわれは、そういう選挙の前であろうが、あとであろうが、いつであろうが、そういうことに差異を設ける考えは持っておりません。その点ははっきり御了承をお願いし、将来におきましても、証拠隠滅のおそれがなければ、私はもうできるだけそのほうでいいと考えるのでございます。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 法務大臣、実務家ではございませんので、ことさらにとっちめる気持ちはございませんけれども、しかし、いまの御釈明は、どう考えても国民として納得できないのではないか。すべての事件に同じような扱いをされるというのであれば、もちろんわれわれも、国民も納得いたします。(発言するものあり)実例は、わずか一万や二万、場合によると五千円というような贈収賄でも逮捕され、いま中谷委員から発言がございましたけれども、身内に瀕死の重病人があってもなかなか任意捜査に切りかえてもらえないというのが実務の実態でございます。  また、いま御説明のございました、証拠隠滅のおそれなしという判断をなぜ池田正之輔議員のときだけなさるのか。池田議員は、趣旨を否認しているわけでございまするし、人情として自分の犯罪が成立することを防ぐのは当然考えられることなので、与党の池田さんだから証拠隠滅のおそれがないというふうに同情的に解釈されるということ自体が、何か不公平な、割り切れないものを感ずるのでありまして、これはこれ以上お話ししましても水かけ論になろうかとは思いますけれども、池田正之輔議員の取り扱いにつきましては、少なくとも国民に対して検察への信頼を裏切るような、裏切らすような処置であったのではないかという疑念を持つわけであります。  先ほど、松本委員の質問に関連いたしまして、四十七名の氏名を公表することは何ら利益がないという御趣旨がございました。私たちも、人権尊重ということにつきましては、これはもう党派の問題ではもちろんございませんし、そうありたいとお願いいたしますけれども、この事件に関する限り、先ほど松本委員も指摘いたしましたけれども、検察庁がそれほどはっきり、お調べの結果四十七名の方が白である、いわゆる犯罪に該当しないというのであれば、むしろ明らかにされて、こういう理由で何らの犯罪にはならないのだということによって、その人たちに対する人権の侵害はないと考えるべきだと思いますし、一方で、先ほど申し上げましたように、二億円近い不正の金が四十七名の国会議員に贈られておるということだけはもうすでに新聞で発表され、正式に東京地検からも公表されているわけでございますし、国民はそれに対する非常な疑惑と憶測をしているわけでございまして、政治不信をなくする、これは政党をこえまして、政治に対する信頼を取り戻す意味からも、私は、法務大臣としての赤間さんではなしに、国務大臣としての赤間さんの、大局的な立場から見ますと国民の政治への信頼を取り戻す——むしろ、いまの政治に金が要るとたびたび佐藤総理がおっしゃるわけでございますが、この種の金が要るし、この関係の授受であれば許されるべきであるということをはっきりされてもいいのではないか。もしそうでないと、何か政治資金規正法が逆に汚職、涜職の隠れみのになっているというような印象を与えたり、また逆に政党政治そのものへの国民の不信をかき立てるのではないか。まあ利害それぞれ考えられますけれども、国民全体として、あるいは政治全体として、公表されるほうが私は現在の政治的な御判断としてはより価値が高いとも考えるわけでございますけれども、重ねて法務大臣の御見解を聞きたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 この点はたびたび申し上げましたとおりでございまして、日通事件につきましては、東京地検からの報告によりますると、起訴の手続をとった大倉、池田の両氏以外に国会議員で立件するに足る容疑のある者はなかった、こういう報告を受けております。国会議員であって被疑者として立件した者は、いま言いましたように二人に限っております。二人以外にはおらない。地検は、これはいろいろな見方もあるかもしれませんが、この事件の究明につきましてはあらゆる角度から証拠の収集につとめて、その過程において数十人の国会議員を取り調べたということは、これは前にも言いましたように事実であります。その取り調べたのはいずれも参考人としてでございます。そういう参考人として調べた者につきましての氏名あるいは関係事実の内容等をも明らかにするということは私は差し控えたい、こういうふうに考えております。もしこれらの事項を公にすれば、さきにも申し上げましたように起訴済みの裁判所に係属中の事件に直接、間接の影響を及ぼすおそれがあると私は考えます。また捜査の結果犯罪と認むべき証拠がない以上は、これらの人の名誉を害することになるのではないか、さらに参考人として協力した者について取り調べ結果を公にすれば、今後検察の捜査への協力というようなものが失われてくる、将来検察運営にも思わぬ大きな支障を来たすおそれがある、こういうような点からいたしまして公表することは適当でないというふうに私は考えておるような次第でございます。さきにもたびたび言いましたように、われわれは犯罪について十分徹底的な取り締まりをやって秩序を保つことが主でございます。取り調べの参考人として呼んだ人の名前などを言うようなことは、治安の維持あるいは法秩序を徹底的に維持していくという上においても好ましくないのではないか、私はこういうふうに考えておるのであります。さっきからたびたび申し上げましたように、公表することは差し控えたい、かように考えておる次第でございます。その点御了承を願います。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 時間がおそくなりましたので皆さんに迷惑をかけると思いますから、これでやめたいと思いますけれども、法務大臣の答弁だけを聞きますと、ある意味では非常に筋も通るわけでありますけれども、実際の実務と全く合わないし、ケース、ケースによって答弁をお変えになっておるというふうに感ぜざるを得ないわけでございます。その点は先ほど松本委員が指摘したとおりであります。ことに昨年のタクシー汚職事件の場合なんかに照らしますと、参考人として呼ばれる方々が出頭されることをあらかじめ新聞、テレビが十分承知をして待ち受けて報道をしておる。そういう方々の人権はどうなるのか。事件とは別に、そういう意味で参考人の人権を尊重されるなら、あらゆる事件にそうあるべきではないか。国会議員であるがゆえに、また与党の議員なるがゆえに特別な扱いがあるというのでは、国民が納得しないのではないか。法務大臣の趣旨があらゆる事件に、あらゆる地検の扱いにおいて、検察の扱いにおいて徹底されるようにしていただければ、また私たちは一つの意味があるというふうには感じますけれども、実際の扱いの例の場合は、全くとるに足らないような小さい事件のためにも強制捜査は乱用されておる。事国会議員とかあるいは政財界の大物に関する限りは、きわめて人権が尊重され過ぎるという感じを国民が持っていることは否定できないと思いますので、その辺の公正な今後の運用を期待したいと思います。  ただ一点だけ、今度の事件を通じまして、法務大臣自身が厳正な捜査をやりたいとおっしゃりながら、いまの言明を信じましたら、結果としては一億八千万円に及ぶ献金を受けた国会議員がいずれも法律的には罪にならないという御判断のようでございますが、その大きな理由は、おそらく政治資金規正法によって届け出がされておるとかいうことが違法性阻却の原因になっておるのではないか。いわゆる政治資金を規制すべき法律が、逆に違法性のおそれのある政治献金を合法化する隠れみのにされておるという疑問を持たざるを得ないわけでありまして、その意味からも、いま問題の政治資金規正法の改正という問題が当然考えられるべきだし、また法務大臣としてもその改正について大きな意欲をお持ちになるべきだと思うわけでございますけれども、もしタクシー汚職事件あるいは日通事件を通じまして、こういう点が改正を要する点だというような問題でもあれば御指摘を願い、あるいは少なくとも改正の方向に進む必要があるということを法務行政の最高責任者として感ずるという意味でもけっこうでございますけれども、なるべく具体的に、今度の事件の一つの教訓といいますか成果といいますか、プラス面へのかてとする意味からも、そういうお考えがあれば、あるいはそういう問題等につきましてお気づきの点があれば、この際明らかにしていただきたいと思います。

赤間文三自由民主党法務大臣

○赤間国務大臣 私は、法務大臣としましては、公平厳正にやる考えを終始一貫貫いていきたいと考えております。  なお政治資金規正法は、お述べになりましたように、私は適切なる改正をやってできるだけ早くこれを成立させるということが政界の浄化に役立つのじゃないか、かように考え、その点には、微力ではございますが、できるだけひとつ努力をしていきたいというふうに考えております。  ただ、なおそれとあわせて考えたいことは、これは法律はまさにそのとおりでございますが、やはり各人各人が自重して、疑われるようなこととか好ましくないことはやらないというふうなことに一そう努力が要る時代じゃないか。だれということは申しませんが、みんながそういう法規いかんにかかわらず身を清廉に持していくというふうな考え方が法律の改正とあわせて必要ではないか、こういうように私は考えておる次第であります。

岡沢完治民主社会党

○岡沢委員 終わります。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 裁判所にちょっとお聞きしたいと思います。  先ほど法務省に質問をしましたメーデー事件の問題でありますが、結審をいたしましてから二年五カ月になっておるわけです。全体としてはもう十六年になるわけでありますけれども、この事態について最高裁としては一体どう考え、どういうふうにしようと考えられるのか、その御意見を伺いたいと思います。

佐藤千速最高裁判所事務総局刑事局長

○佐藤最高裁判所長官代理者 確かに御指摘のとおりの問題はあると思います。結審後の期間のみならず、起訴後今日までの期間というものを見ますると、これが決して正常な裁判の期間であるということは端的に言い得ないように思うのでございます。それがどうしてそうであるか、そうなったのかということにつきましては、私どもとしても考えておるわけでございます。ただ、現実には具体的な事件についての御質問でございまするので、立ち入ったことは差し控えさしていただきたいと思いまするが、関係被告人の方々、家族の方々が長いこと不安定な状態に置かれた、これを無視することはできないと思います。  それから、御指摘を待つまでもなく、当の担当裁判官が一番心を悩ましておるのでございます。そして、結審後今日に至るまで判決がまだないということにつきましては、その間、裁判官が仕事を怠っておったということなら、その責任は負わなければならないと思うわけでございます。ただ、この事件のスケールというものをやはりお考えいただきたいと思います。起訴人員二百数十名、証人の数が五百数十名にのぼり、公判の回数が千数百回に及んでおる。記録の冊数に至りましては千二百冊に及んでおる。     〔委員長退席、田中(伊)委員長代理着席〕 この種の事件におきまして、最終的な検討を加えるにあたりましては、二百数十名の被告人の方々のそれぞれについて、やはり裁判所としては考えなければならないわけでございます。裁判官は決してじんぜん時を過ごしているわけではございませんで、裁判長は健康を害しておりますけれども、それを押して仕事をしておる。ほかの裁判官も同様でございまするので、このような事実についても御賢察のほどをいただきたいと思うのでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 こういう十六年も裁判がかかっておるといういまの事態で、これは端的に伺いたいのですけれども、憲法できめてあります迅速な裁判を受ける権利が侵害をされているということにならないだろうか。裁判そのものが憲法に違反をしておるという事態といえるんではないだろうか。一審だけで十六年です。これについて最高裁としてはどう考えられるか。

佐藤千速最高裁判所事務総局刑事局長

○佐藤最高裁判所長官代理者 具体的な事件に即しての御質問でございまするので、ただいまの御質問の点についてお答えを申すことは差し控えさしていただきたいと存じます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 見解を言われないということでありますけれども、それでは裁判所に、具体的な事件と違って、こういうような裁判そのものが——こういうようなというと、あるいは語弊があるかもしれませんが、具体的な事件を離れて、被告人の迅速な裁判を受ける権利というものが裁判所で十分尊重されているのだろうか、いまの現状で。いまの日本の裁判所全体の裁判ということにいたしましょう、現状で尊重されておるというふうに考えられるかどうか、こういう質問にお答えいただきたい。

佐藤千速最高裁判所事務総局刑事局長

○佐藤最高裁判所長官代理者 現在の裁判所のあり方というふうな御質問であったと思います。裁判の機能というものと関連してまいるわけでございます。裁判の機能はパッシブな面があることは否定できないと思います。現に多数の被告人の事件というものが係属いたしました場合に、その数に応じまして審理がいかにかかるかということは、松本委員つとに御存じのとおりであると思います。また現在の訴訟構造におきまして、証拠書類についての同意が得られなければ、やはり人証をもって立証していくという訴訟法のたてまえもあるわけでございまして、それとの関連において不当におくれているかどうかという評価がされるべきものではなかろうかと思うのでございまして、ただ抽象的に非常におそいとかいうふうな言い方はちょっとできないのだはなかろうかというふうに私は考えるわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 私の言いますのは、吹田事件も十六年で、長期裁判といわれております。メーデー事件でもそういわれております。あるいは八海事件になると三回も高裁でやっています。そういうようないろんな長期の裁判があるわけです。この現状を、裁判がすべてにわたってあらゆるすみずみまで被告人が迅速な裁判を受ける権利というものが侵されていないのかどうか。いまの現状は裁判所として満足すべきものであるのか、あるいはこれが憲法に違反をした疑いがあるかもしれぬというふうにでも言えないかどうか、いやそんなことは憲法上の問題に少しもならない、こういうふうにお考えになるかどうか、この点を聞きたいわけです。端的にお答えいただきたい。

佐藤千速最高裁判所事務総局刑事局長

○佐藤最高裁判所長官代理者 憲法の要請というお話でございます。しかし憲法はほかの要請もあるわけでございます。でございまするから、それとの関連においてやはり考えなければならないと思います。現状をもってこれでいいんだと決して申し上げておるわけではございません。  それから、裁判所はもちろん訴訟の主宰者である立場でございまするから、責任を回避する意思は毛頭ございませんけれども、御承知のごとく裁判というものは裁判官だけではできないわけであります。当事者及び訴訟関係人というものがそこでそろわなければ開示ができない、証人も来てくれなければ審理ができない、そういうものでございまするので、やはり法曹全部がこの種の事件——あるいは裁判の迅速処理ということは拙速な裁判ということと同意語ではあり得ないわけでございまするから、それとのかね合いを、いかに効率のよく密度の高い審理というのを行なったらいいかということは、ただ裁判官だけでなく、やはり法曹全部が過去におきまするいろいろな苦い経験というものをもとにして、今後検討していかなければならない問題であると私は考えておるわけでございます。

松本善明日本共産党

○松本(善)委員 質問を終わります。

田中伊三次自由民主党

○田中(伊)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十九分散会      ────◇─────

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