大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号
- 発言数
- 130 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1968/09/20
会議録
○村山小委員長 これより会議を開きます。 今般、皆さまの御推挙によりまして、前国会に引き続き小委員長に就任いたしました。つきましては、皆さまの御協力を心からお願いいたします。 金融に関する件について調査を進めます。 本日は、お手元に配付しております名簿のとおり、参考人の方々の御出席を予定いたしております。 ただいま東京銀行協会副会長武田満作君が御出席になっております。なお、堀越参考人は正午ごろ御出席の予定でございますので、正午まで一時間程度武田参考人に、その後堀越参考人に対しましても一時間程度の質疑を行なうことといたしたいと存じますので、御協力をいただきますようお願いいたします。 まず、武田参考人より、当面の金融情勢と金融機関の問題点について御意見を述べていただきました後、質疑に入りたいと存じます。 それでは、武田参考人にお願いいたします。
○武田参考人 私、日本勧業銀行の武田でございます。 本来は、全銀協の長谷川会長が参上するところでございますが、ただいまワシントンのIMF総会に出席中でございますので、かわりに私がお伺いした次第でございます。したがいまして、以下申し上げますことの中には、私見にわたるところが少なくないと存じますが、その点はあらかじめお許しを願いたいと思います。 まず当面の経済情勢について申し上げます。 御承知のように、昨年九月の引き締め開始以来ほぼ一年近くを経過いたしましたが、財政、金融両面にわたる景気調整策はおおむね所期の成果をおさめているわけであります。去る八月七日の公定歩合一厘下げを契機といたしまして、金融緩和の方向に一歩を踏み出すことになったのであります。その後も経済情勢は落ちつきのうちに順調な推移を示しているように思われます。 今回の調整過程を振り返ってみますと、従来の引き締め期とは異なりまして、各種の摩擦的現象もほとんど見られませんで、経済活動はゆるやかな拡大を続けてまいったのであります。それにもかかわらず、国際収支は、対米輸出を中心とする予想以上の好転を主因といたしまして急速な改善を実現できたのであります。 このように、比較的順調に経済が拡大いたしました背景といたしましては、まず需要の堅調ということが指摘できるかと思うのであります。このために、物価もあまり下がらず、設備の稼働率も下がらず、目立った滞貨も発生しないままに調整過程が推移いたしたのであります。また、企業収益につきましても、全体として申し上げますと、引き締め下には異例の増益が続いておりまして、この上期――九月期でありますが、これまで入れますと、連続六期という増収増益になっておるのであります。 ところで、このような需要の堅調がどういう要因にささえられたかということでありますが、今回の引き締めに際しましては、勤労者あるいは農家家計の堅調な消費需要が経済の底ささえをしたという点は、これまで何回かの景気調整期とあまり変わっておりませんが、非常に違っている点は、企業の投資活動がことのほか根強かったことであります。 まず、設備投資につきましては、引き締め下にも相当の増勢を続けたのであります。いまその理由を考えてみますと、経済の全面的な国際化の進展の中で、世界企業と対決していくための設備の近代化投資であるとか、あるいはまた、労働力の需給の逼迫に伴う省力投資と申しますか、これが具体的な投資の誘因となっているようであります。ただ、これらの実行にあたりましては、各企業はかなりの計画性をもって進めてきている点が注目されるのであります。さらに、在庫投資につきましても、今回は、引き締め前の在庫水準にあまり行き過ぎが見られなかったために、引き締め以後の段階におきましても、その調整が軽度で済んだわけであります。 さらに、国際収支改善の主役となりました輸出の増加、これももちろん需要創出の面で大きな役割りを果たしたのであります。これには、米国景気の急上昇であるとか、欧州景気の立ち直りであるとか、発展途上国の輸入増など、海外要因の助けによるところが大きかったと思われますが、これとともに、これまでにつちかわれてまいりましたわが国産業の体質の強化、世界市場での競争力の強化に結びついた面も無視することはできないと思うのであります。 こうしたわけで、今回の調整過程におきましては、通貨不安等国際金融情勢にいろいろ微妙な要素があったこともありますが、企業の行動そのものは比較的落ちついた足取りをたどったように感じられるのであります。 以上、申し上げましたような点から判断いたしますと、今後の見通しにつきましても、投資が急増して経済が過熱に向かうとか、またその逆に、需給関係から自律的に萎縮してしまうといったような極端な足取りは、いずれも考えがたい状態であります。ただ、国際収支につきましては、輸出環境となる海外経済の動きが注目されますが、国際通貨不安など不確定要因は種々考えられますし、米国景気の先行き後退につきましては、期間だとか程度、いずれも軽度との見方も有力ではありますが、なお予断を許さないものがあるのであります。したがいまして、今後における財政金融政策は慎重に運営されることが好ましいと存ずるのであります。 次に、当面の金融情勢について申し上げたいと思います。 今回の引き締め下におきましては、企業金融面においてかなりのゆとりを残したことが指摘できるかと存ずるのであります。企業の資金需要そのものは、旺盛な投資活動を反映いたしまして、かなり根強かったのでありますが、企業の借り入れ需要が都市銀行に集中するようなことはなかったのであります。これには、都銀を中心に窓口規制が適用されていたこともありまして、借り入れ需要のかなりの部分が、生保、信託、農林系統金融機関など、窓口規制対象外の金融機関に向かったのであります。もちろん、これら金融機関側でも、国債が発行されるようになってから、コールレートの水準が低くなりまして、融資のほうをむしろ選好するという態勢にあったこともあると思うのであります。また、企業としては、このほか、インパクトローンなど、外資の積極的な取り入れも行なっております。その結果、投資活動の高水準にもかかわらず、自己金融力の向上と相まちまして、これまでの引き締め期には見られない企業金融のゆとりというものが実現したように思われるのであります。 それでは、今後における企業の資金需要はどうなるかということを考えてみたいと思うのであります。 過去の引き締め期の例を見ますと、前々回、すなわち三十七年の場合におきましては、金融緩和政策が積極的に進められ、企業の資金需要も比較的早期に盛り上がってまいったのであります。ところが、前回、四十年の場合におきましては、企業の投資活動の停滞が長引きまして、企業の資金需要は容易に立ち直らなかったのであります。 そこで、今回でございますが、当面はしばらく経済活動拡大のテンポがやや弱まることも考えられますが、それも軽度で済むものと見られますので、企業の資金需要は、四十年のときのように長く鎮静化してしまうことはなさそうであります。それかといいまして、企業活動が三十七年あるいは三十八年のようにすぐさま盛り上がる可能性もまた少ないように見受けられます。 この間、政策面におきましては、財政金融政策は慎重かつ警戒裏に進められるものと思われますので、さしあたり、企業の資金需要は底がたさを保ちながらも、おおむね落ちついた足取りを示すものと考えられるのであります。 なお、今回の引き締め政策を振り返ってみまして、今後の検討にまちたいと考えられます点は、第一に、財政金融政策相互間の連係をより一そう緊密に行なっていただくこと、第二に、企業の投資活動に直接働きかける金利政策の重要性を再認識すること等であります。 次に、金融機関をめぐる問題点について申し上げたいと思いますが、この点で、われわれの最も大きな関心事は、何と申しましても金融再編成の問題であります。 御高承のとおり、金融制度調査会におきましては、「金利及び金融機関の規模について」の検討を終えられまして、現在、商業銀行業務、長期金融業務、信託業務、外国為替業務、それに預金保険制度などの検討に取りかかっておられるように承っております。 戦後におけるわが国の金融制度は、長短金融分離を基本方針として、普通銀行、長期金融機関、中小企業金融機関、証券会社と大きな区分けをしまして、それぞれの金融機関の発展育成がはかられてまいったのであります。わが国戦後の状況を顧みますと、一日も早く生産力を回復して復興をなし遂げ、欧米先進諸国の仲間入りをすることが先決問題であり、そのためには、設備資金の供給が非常に重要な問題であったのであります。このため、長短金融分離のもとに長期金融機関の育成強化がはかられましたのも、時代のしからしむるところと存ずるものであります。しかし、戦後二十数年を経過いたしまして、わが国の経済をめぐる環境は非常に大きく変わってまいりました。すなわち、わが国経済は戦後著しい成長をなし遂げ、いまや国民総生産は、共産圏諸国を除きますと世界第三位となり、貿易自由化からさらに一歩を進め、資本自由化の本格化段階を迎えるに至ったのであります。したがいまして、今後わが国の経済界としては、商品だけでなく資本の面においても、国際競争にうちかっていく必要があるのであります。また、国際的な協力も重要な課題となってまいると思います。そうした意味から、国際化時代に即応し得るような金融の体制をつくっていくことがきわめて緊要な課題であると思うのであります。 一方、国内の経済や金融の面でも大きな変化が起こっております。すなわち、四十年度には国債が発行されましたし、すでに申し上げましたように、企業の自己金融力が大企業を中心に高まってまいったのであります。一方、労働力過剰から逆に労働力不足経済に移行しまして、中小企業や流通部門の近代化、合理化投資の必要性が非常に高まってまいったのであります。また、消費者金融や住宅金融、あるいはまた都市開発金融、地域開発金融など、こういうものに対する要請も非常に強まりつつあるのであります。 したがいまして、現在の金融制度が戦後の経済成長に果たした役割りは高く評価しなければなりませんが、このような環境の変化に対応して、金融制度はいかにあるべきか、改善すべき点はないのかを再検討すべき時期に来ておると思うのであります。 それでは、金融制度を再検討する場合の視点は何かということでございますが、この点につきましては、昨年来の金融制度調査会で大蔵大臣が、「安定成長への移行、経済の国際化といった新しい情勢に対応して、産業界ではその再編が急務となっているが、金融界もこれに即応して、いかに効率的に、また円滑に資金を供給していくか、すなわち、金融をいかに効率化していくかが課題である。」このように述べておられますが、まことにごもっともな御指摘だと存ずるわけであります。これからは経済全般に、単なる量だけではなく、質の問題が非常に重要になってまいりますから、金融界といたしましても、国民経済的に必要な部門に資金を供給するというだけでなく、良質にして低利の資金を供給するということが責務であると考えるのであります。 そのために、われわれとしては、貯蓄の一そうの増強やコンピューターの活用などによる資金コストの引き下げに努力しておるのであります。しかしながら、国民経済全体として金融の効率化をはかっていくためには、どうしても金利を通ずる競争原理の導入が必要となってまいります。金利機能の活用は、経済の安定成長実現のためにもまた資源の最適配分のためにも必要なことは、いまさら申し上げるまでもないのであります。ただ、金利を通ずる競争原理の導入という場合に、競争の場である金融市場があまりかた苦しく区切られ、相互の交流が円滑でなかったりいたしますと、十分にその効果をあげることができません。すなわち、金融の効率化という観点からも、金融制度そのものを再検討し、必要があれば、これを再編成していくことが重要な課題であると考える次第であります。 しかしながら、現在の金融制度は、全く実情にそぐわなくなっていると考えているわけではありません。現在の金融制度なり機構なりが戦後の経済成長に果たした役割りは、非常に大きなものがあったのであります。今後ともかなり高い経済の成長が続くと思われますので、長期金融機関の重要性は、かなり大きいものと思われるのであります。ただ、金融の効率化、円滑化のためには、たとえば長短金融の問題といった場合に、長短金融はおのずから性格の異なるもので、同一視すべきものではございませんから、長短金融分離といった大筋は変えないにいたしましても、その接点においては、若干これを弾力化し、相互交流の考え方を認めていただいたほうがよくはないかと思うのであります。 企業の自己金融力の拡充や各種共済制度の発達などを背景に、近年大企業や共済組合などの手元余裕金が増大してきておりますし、家計部門におきましても、所得水準の上昇に伴って金融資産の保有形態は多様化してきております。一方、金融機関に対する資金需要としては、中小企業の近代化、合理化、あるいはまた公社債の消化や消費者金融など根強いものがあるのであります。こうした資金の需要と供給を円滑に適合させていくことは、金融機関の責務でありまして、こうした分野に競争原理を導入し、金融手段を多様化することは、資金の需要者、供給者双方にとってプラスになり、結局は金融の効率化、円滑化につながるものと存ずるのであります。 最後に、一言申し上げたいと存じます点は、こうした金融制度の再検討は、民間金融機関だけの問題ではないという、ことであります。民間金融機関や企業が成長する一方、地域開発とか、あるいは社会開発とか、政府金融機関のなすべき分野は大きくなりつつあります。したがいまして、政府金融機関は、本来民間金融機関では取り上げにくい分野への融資や民間金融機関に対する質的補完というところに力を入れ、民間金融機関との協調補完関係の確立に一そうの配慮を加えることが望まれる次第であります。 以上、たいへん長くなりましたが、これで終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○村山小委員長 これより質疑に入ります。 通告がありますので、順次これを許します。只松祐治君。
○只松小委員 与党の大蔵大臣さえも顔負けするようなきわめて楽観的な万々歳のようなお話がありまして、もう何をか言わんやであります。まあそういうことなら、あまり金融機関等に政府や何かの指導、援助は要らないのじゃないかと思いますが、そういうことでもなさそうでございます。 若干質問をいたしてまいりますが、ただきょうは、前段にだいぶわが国の経済や何かをお話しになりましたけれども、主として現在――一時間半ぐらいの短い間に、いま金融制度調査会で行なっておるわが国の金融の今後の問題、これについて皆さん方の御高説を拝聴しよう、こういうことで参考人としておいでをいただいたわけであります。したがって、私たちの質問もそういう形で進めていきたいと思いますし、全般的な問題は時間がございませんから、そういう点にしぼってひとつお話をお聞かせをいただきたいと思います。 その前に、ちょっと銀行局長のほうに一言注文といいますか、お尋ねをしておきたいと思いますが、私たちは、委員の選定といいますか、編成にあたっては、ぜひもっと広く国民全般の意見を聞くように、こういうことを常に申し上げるわけでございますが、今回のこの金融制度調査会の委員を見ましても、新聞社の論説委員か何か、何人か多少中間的な人もお入りになっているのですが、ほとんどがいわゆる金を運用する銀行側の人だけなんですね。それは金融ですからそれが主体になることはもちろんでしょうけれども、しかし、この金というのは国民が預託したものを銀行が預かってそれを運用していく。銀行はある意味で番頭的な役割りを果たしている。ところが、この預金する側の人、あるいは借りる場合でも、都市銀行の場合はほとんど大企業家だったでしょうが、それでもなおかつ中小企業者なんか一般的にはもっとあるわけです。今度の部会には中小金融機関の代表者のような形の人はお入りになっていますが、やはり借りる側の人というのは全然入っていない。そういうところに、金融再編成だ、今後の金融の問題だといっても、ただ金融機関だけの立場からする再編成なり意見が述べられるにすぎないと思うのです。したがって、何らかの形で預金者あるいは中小企業者等の、こういう痛切に関係を持っておる、あるいは要求をしておる人々の意見をどこかで入れていかなければならないと思います。そういう点についてどういうお考えがありますか。
○澄田説明員 ただいま御指摘の点につきましては、前回の中小企業金融問題に関する特別委員会においては、直接中小企業を代表するような方に委員に入っていただきまして、そして答申をまとめていただいたようなこともございます。今回の場合は、中小企業金融機関というよりは、それ以外の民間金融機関が直接の対象というようなことになっておりますので、借り手側の代表としては産業界の方に何人か入っていただいておる、こういうことにはなっておりますが、御指摘のように、当然大企業のみならず中小企業に対する融資というのも、今回の特別委員会でも重要な問題になってまいるわけでございますし、そういう点については今後特別委員会あるいは分科会の議事の進行について必要ならば、必要に応じて参考人としていろいろな方の意見を伺う。その中には、いま御指摘の借り手としては中小企業あるいはそのほか消費者に対する金融とか、あるいは地域開発とか、いろいろな金融の面の問題もございますので、そういった借り手の方の意見を伺うというような機会も当然なければならぬ、かように考えております。また、預金者という御指摘でございますが、今度の分科会では預金保険問題等についても取り上げられる、そういう場合には当然預金者側の意見というようなものも必要と思います。一なお、念のために申し添えておきますが、今回の特別委員会において、小企業まで含めまして、あるいは零細企業といってよろしいか、そういうところまで含めまして、広範な範囲からアンケートをとっております。これは直接こういった金融問題について一般の広い範囲の借り手から忌憚のないアンケートをとったのはいわば初めてでございます。しかも忌憚のない意見を述べられるように無記名ということでとりました。その結果をまとめまして先般特別委員会に報告をいたしましたが、今後もこういった広い範囲のアンケートというものの結果というものを審議の過程において十分反映さしてまいりたい、かようにも考えております。
○只松小委員 一応のお答えはありましたけれども、これは出ております当面の経済情勢、「今後の金融をめぐる環境」ということを見ましても、四十年代の前期は、いまの高度経済成長が続いて、後期になれば若干それはゆるんでくるだろう、こういう点もそう御異論のないといいますか、そういうところから、ただいまひとつの金融のデパート化ということが出てきているのですね。こういう金融だけの側面から見ても、今後の中小企業なり何なりにある程度貸していかなければならないということが当然出てくると思うのですね。そういうためにも、皆さん方の立場から見ても、私はこれは必要だと思うのですよ。あとで多少突っ込んでいきますけれども、借りる側からいっても、何らかの形で意見を言っておきたいだろう。当然にこの預金者保険なんというものが出てきても、預金者の意見は何にも聞かないで預金者保険なんというのはぼくはあり得ないと思います。だから、いまから委員に入れられるかどうか知りませんが、入れられるなら入れるべきだし、それが手続上間に合わなければ、参考人等にできるだけ多く招致して、そしてその意見を十分反映していく、そういう形をぜひとっていただきたい。武田さんもきょうは会長の代理でございますが、銀行側としてもぜひそういう点御配慮をしていただきたいと思います。 それから、武田さんは直接には入っておられないわけですけれども、いろいろいま当面のものだけ述べられましたけれども、金融再編成の場合は、少なくとも五年なり十年あるいは二十年の今後を展望した対策だと思います。いまたいへん資本主義の繁栄を謳歌されましたけれども、今後の金融をめぐる諸情勢においても、十年間くらい、大体そういうことでやはり一応御報告が出ておりますが、こういうふうにお考えになりますか、どうですか。
○武田参考人 ただいま申し上げましたのは、当面のことを申し上げましたので、いま只松先生がおっしゃるような、五年先、十年先というものを展望して考えてみますと、金融の環境というものは非常にきびしいものがあるんじゃなかろうかというようにわれわれは考えております。 と申しますのは、ただいまお話がありましたように、銀行をめぐる環境というものが今後はかなり変わってくる。その第一は、ただいまお話がありましたように、四十年代の後期におきましては、経済成長というものも、いまのように高度成長ということを望むことはできなくなるんじゃないだろうか。第二番目は、国際化というものが今後一そう進んでまいります。したがって、単に国内だけの競争じゃなくて、これは企業についても銀行についても同じことがいえるのでありますが、先進諸国の企業、いわゆる世界企業と競争しなければならぬような状態になってくると思うわけでございます。また、国内的には、御承知のように、労働力需給というものが年々逼迫の度を加えてまいります。したがいまして、こういうきびしい環境のもとにおいて、今後の銀行経営というものはいままでよりもずっときびしい合理化なりあるいは効率化ということを進めていかなければならないんじゃないか。その際におきまして、ただいま只松先生からお話がありましたけれども、金融だけの見地でものを考えないで、常に預金者なりあるいは融資先なりというものの立場も考えながら金融の再編成というものも進めていくべきじゃないかというように考えております。
○村山小委員長 佐藤君。
○佐藤(觀)小委員 ちょっと武田さんに金融再編成でお伺いしたいのですがね。 実は、大型合併という問題が事業界にあり、王子などは辞退をし、八幡等の合併問題もあるのですが、銀行はこのままでうまくやっていけるかどうか。 それからもう一つ、同僚委員がたくさんおられますからしぼって質問しますが、非常に競争がひどい。私が大森に来てから三十年になりますけれども、いまほど銀行の支店長がぼくらのところまで一々たずねてきたことがないのです。それほど預金をとろうというので競争が激しい。そういう点でどうも銀行が多過ぎるという声もあるし、それから大型合併というものがイギリスなんかで行なわれたのですが、日本ではこのままで推移していくかどうか。特に来年は、おそらく武田さんが会長になられる予定になっておりますが、おそらく金融の再編成が具体化してくる。これは御承知のように、澄田さんの局長時代から相銀と信金の合併というものが起きて、これがいまいろいろ信用金庫や信用組合、あるいは相互銀行に波乱を起こして、合併問題やかましくなっております。しかし、大銀行といえどもこの悩みを防ぐことはできないと思うのですが、その点はどういう見通しを持っておられますか。
○武田参考人 これも短期的な見方と相当長期にわたっての見方とあると思いますが、さしあたってそういう具体的な問題というものは起こらないのではないか。むしろ業務提携のような形というものが今後できるだろう。しかし、これが五年先、十年先になりますと、先ほど申しましたような、いろいろきびしい環境の変化もありましょう。その際にはあるいはそういうことも起こってくるのではないかというような感じがいたします。
○佐藤(觀)小委員 もう一点、最近三井銀行と平和相互銀行がコンピューターの関係で提携をしているのですが、しかし、この問題と関連して、日本ではこの間一厘金利引き下げをやったのですが、金利が高過ぎるのではないか。これは外国に比べて非常に金利が高いですから、そういう中で銀行は非常にあたたかい温室の中におるような感じがするのですが、その金利の問題をもう少し銀行家自身から考えるべきではないかと思うのです。その点と、問題になっておる日歩というものを今度年利にしようという問題、この二つをどういうふうに考えておられますか。
○武田参考人 金利の問題につきましては、これは短期的な景気変動に伴って上がり下がりはありましょうが、長い目で見て、やはり国際金利水準に近づく、あるいはむしろそれ以上に金利を下げていくということが必要だと思います。 われわれ銀行といたしましては、それにどういう方法を講じていくかということでありますが、一つは、先進国の銀行に比べますと、まだまだ日本の銀行のやり方というものは非合理的な点が非常に多いのじゃないか。ただいまおっしゃいましたように、相当むだをしておる点がある。むだな競争をしておる点も相当あると思います。こういうものは一方において協調していく。また、経営の内部におきましては、ただいま申しましたコンピューターというものが入ってまいります。そうなりますと、これによって相当人手が省けるはずであります。さしあたりはあれですが、少し長期になりますと、相当人手が省けるし、また、経営の内部におけるいろいろ日本的な慣習と申しますか、相当アメリカの銀行なんかに比べますと非合理的な点がありますので、これを改めて、そしてできるだけ経費を節約して、そしてそれだけ金利の低下にいくということが、今後われわれとしてはくふうをしなければならぬ点だと思っております。
○佐藤(觀)小委員 それからもう一点最後に、ほかの委員の方も質問がありますからもう一点だけお尋ねするのですが、今年度に入りまして中小企業の倒産が史上最高だといわれました。しかし、そういう中にあって、例外はありますが、大体金融機関は倒れてない。これは澄田さん鼻高々とするだろうけれども、ほめたことではないのです。金融機関は事業がつぶれれば当然関連して、わしらの子供の時分に愛知県で非常にたくさんの銀行がつぶれて経験を持っておるのですが、しかし、銀行がつぶれられちゃ困るのです。金融機関、特に銀行はほとんどそういうことがないという現実です。これはどういうところにささえられておるのか、政府がささえておるのかどうか、こういう点を私は、銀行が倒れたら影響がずいぶんありますから、倒れちゃ困るのですが、何か原因があるのではないかと感ずるのですが、その点はどうですか。
○武田参考人 一つは、戦後におきましては非常に経済成長が高度であったということのために、倒産はありますけれども、ただいま佐藤先生のおっしゃったような昭和初年の恐慌等、あれから比べればはるかに少ないということが一つの原因じゃないかと思いますし、もう一つは、金融機関としても、非常に大蔵省あたりの御監督も十分行き届きまして、そういうものに対しては慎重な融資態度をとっておりますので、したがって、若干の例外はありますが、全体的に見れば、あの当時のような状態にはなっておらない。それからもう一つ、根本的な問題といたしましては、戦前の経済と戦後の経済というものが構造的に非常に変わっておりまして、景気調整と申しましても、これは今回の場合もそうですけれども、一カ月くらいでまた回復する。あの昭和の初めの世界恐慌の余波を受けた、ああいったいわゆる恐慌的な現象というものは戦後起こってないということが、一つの大きな問題ではないかと私は考えます。
○澄田説明員 ただいま武田参考人が述べられたようなことが、私も一番大きな原因であると思っております。ただ、特に預金者の保護というような見地から、行政の面においても、金融機関の安全性ということに重点を置いて、検査その他を通じて十分そういう面から指導したいというようなこともございます。それが往々にして過保護というような面につながるものを持っているという声が逐次出てまいってきたというのは、その反面ということになるわけであります。そういう面から、新しい情勢において国際化という場合においては、そういう点についても預金者保護と融資保護というものを切り離して考える必要があるんじゃないかというような気もいたしておるわけであります。
○村山小委員長 広沢君。
○広沢(賢)小委員 いま御説明の中で、日銀総裁が今度記者会見で発表しましたが、設備投資についてもまだ心配だ、やはりずっと上乗せしていく気分があるということで、金利の再引下げを抑制しようとしておりますね。いま言われましたのですが、すぐ盛り上がることはないという、さっき只松委員が非常に万々歳だとおっしゃっていましたが、ちょっと認識が違うんじゃないかということが一点。 それから、金融環境が変わってまいりますね。変わってまいりますと、いろいろな資金需要の多様化とかその他おっしゃっておりましたが、大企業は自己金融力が充実してくるということになれば、いろいろのほかの面にやる。それとからんで長短分離の問題について御説明なさいましたが、それがちょっとまだ十分具体的にどういう構想なのか。したがって、資金需要の多様化にこたえて再編成の問題が出てくると思うのですが、それと長短分離の関係ですね、基本的にこれはずっと推進するのか、それとも大筋は変えないけれどもちょっと変えるんだという、そのもうちょっと具体的な構想についてお伺いしたい。
○武田参考人 第一の設備投資の問題でありますが、これは私どももさしあたりこの金融が公定歩合が一厘下がり、金融が緩和に向かったからというので、すぐに設備投資が盛り上がってくる、これは三十七年当時はそういう現象が見られたわけでありますが、そういうことはおそらくないんじゃなかろうか。しかし、少し長期的に見ますと、これは企業がどういう態度をとるかということと関連いたしますが、日銀総裁がおっしゃるようなおそれが全然ないということはないと思います。ということは、先ほど申しましたように、国際化に備えた近代化投資とか、あるいは労働力を省くための投資とかという潜在的な需要というものが、まだかなり強いものがあるわけでございます。これがことし一ぱいは少なくともないと思いますけれども、来年あたりになればやはりそういうことも起こってくる。一方において国際的な不安というものもありますので、日銀当局がかなり慎重な態度をおとりになるのもまことに無理のないところではないかと考えております。 それから第二番目の長短金融の問題でございますが、おっしゃるように、今後は企業が自己金融と申しますか、直接金融という分野がだんだん広まっていくであろうということは、これは長期的にはそうなると私どもも考えておりますが、それかといってすぐにそれが急激に発達して、それでもう間接金融の必要がなくなるというようなことはまだ相当先のことじゃないだろうか、その間はやはり長期信用銀行というようなものの必要性というものは、相当国民経済的にあるんじゃないかというように考えておりますが、ただ、現在あまりにそのかきねが高過ぎると申しますか、これをもう少しかきねを低くするということはしてもいいんじゃないか。これは私の個人的な見解でありまして、金融制度調査会のほうで今後その問題をいろいろ御検討いただくことになるのではないかと思います。私個人はそのように考えております。
○村山小委員長 竹本君。
○竹本小委員 二つほど伺いたいと思いますが、一つは、政府関係金融機関は大体民間金融に対して質的補完をするんだ、こういうお考えだと思うのですけれども、これからはだんだん政策のリーダーシップが大事になりますから、質的な金融の面は重点を置かなければならぬ。結局政府関係金融機関は現在そのシェアが一割以下ですね。それをどのくらいまでふやすべきか、あるいはふやさないでいいのか、いい場合にはどういうふうにすればいいのか、その点についてのお考えを一つ。 それからもう一つは、インフレは世界的だと思うのです。日本も大体定期預金の金利よりも物価のほうがだんだんよけい上がっていく。こういうインフレの波に対して預金者保護についてはどういうお考えであるか、この二つを伺いたい。
○武田参考人 第一の、政府金融機関が一体どのくらいのシェアを占めたらいいかという御質問に対しましては、これはちょっと数字的にお答えはしにくいと思いますが、資金需要の観点から申しまして、今後地域開発であるとか、あるいは住宅問題であるとか、いろいろ民間金融機関では手の届かないと申しますか、そういう分野がだんだん広がってくる。したがって、そういうものを満たすために政府金融機関というものがもう少し強力になるということは望ましいんじゃないかと思いますが、何割になったらという数字はちょっとお答えできかねると思いますが……。 もう一つ、だんだんインフレが進んでいく、それに対して預金をどう保護したらいいかというお話でありますが、これは預金を保護すると申しますよりも、むしろやはり何とかして物価のほうを押えていただくことが非常に大事な問題じゃないかと思います。これは消費者物価あたりが上がりますのは、いろいろ高度成長のひずみというような問題もありますので、なかなかむずかしいことではあると思いますが、やはり物価が安定して、そして安心して預貯金ができるという状態をつくっていただくことが非常に大事じゃないかと思うわけでございます。
○竹本小委員 いまのにちょっと関連して、物価を押えるのが一番いい、そのとおりですけれども、いまの内閣で押えられっこないんだから、現実に上がっておるわけですから、それについて何かもう少し積極的な預金者保護――インフレからへたをすると定期預金以上に物価が上がっていくという可能性、現にあるし、しているのですから、そういうものを何かもうちょっと積極的にお考えはないだろうか、もう一ぺん念を押しておきたい。
○武田参考人 物価をカバーするという点からいいますと、方法は二つしかない。一つは、預金の金利を上げるということかと思いますが、預金金利はもうすでに諸外国に比べましても日本は低いほうじゃないわけですから、これ以上上げますと、今度は貸し出しのほうにも響いてくるということになります。 もう一つは、税の問題がありまして、預金利子課税というものが低くなればそれだけ預金者の手取りも多くなるということで、貯蓄意欲というものもそがれないのじゃないかというように考えますので、ぜひその点は政府のほうで御考慮を願えれば幸いだと思うわけであります。
○佐藤(觀)小委員 先ほど銀行がつぶれないという原因の中に、銀行はもうかり過ぎているのじゃないかという声があるのです。そこで私たちは、銀行みたいないい商売はない、というのは、人の金を預かってその金でもうける、これくらいいい商売はないだろう、こういう声があるのですが、その銀行の利益配当というものは大体いま九分、地銀や相銀が一割となっておりますが、こういう問題について、いま御質問があったいろいろのインフレの傾向と関連して、銀行はいまの配当の規制でこのままやっていけるものかどうか。これはおそらく来年あたり問題になるだろうと思うのですが、そういう点についてどのようにお考えになっておられるか。私は、銀行のつぶれない原因、健全な原因の一つに、利潤率が高いからということにも考えているのですが、そういうことはどうですか。
○武田参考人 私どものほうで調べたところによりますと、これは企業の収益性というものを企業総資本利益率というもので算定をいたしてみますと、全国銀行が〇・五五%ということになっておりまして、それに対しまして製造業が四・〇八%、それから卸・小売り業が一・一六%ということになっております。こういう点から見ますと、特に銀行がもうけ過ぎておるというようなことにはならないのじゃないかと思うのでございます。 銀行がつぶれないということにつきましては、先ほど申し上げましたような次第でございます。
○佐藤(觀)小委員 もう一つ関連して配当の問題なんかは……。
○武田参考人 配当につきましては、これはいずれ自由化ということになりますと、ある程度規制がゆるやかになるということは十分考えられるわけでありますが、普通の事業会社と違いまして、銀行というのはできるだけやはり安定した配当をするということが非常に大事じゃないかと思いますので、かりに自由化されましても、そのために非常な差ができてくるというようなことはまあないのじゃなかろうかというふうに考えております。
○広沢(賢)小委員 さっきの続きなのですが、長短分離の問題で、たとえば総合政策研究会、御承知でしょうが、その中に書いてあるのは、「長期信用銀行、信託銀行などわが国独自の長期金融機関が存在するとき、それに対抗して商業銀行が新たに長期の預金」――いまCDとかいろいろいわれておりますが、「を集めるように制度を改めれば、いよいよ各種銀行間の預金の獲得競争は激化し、資金コストも益々高まるばかりでなく、そのシワは資本市場に寄って、その発達を阻むことになろう。」ということでございます。それで、CDその他についていまいろいろ議論されておりますが、それについての御見解を承りたいと思うのです。 もう一つは、大企業のさっき申し上げました自己金融力、これはやはりもっと必要ですが、資金需要は必要だと思いますが、それでも若干ずうっと需要が減退する。そうすると、新しくいま申されました都市開発、それから消費者信用、そういう問題もありますが、中小企業の問題もお触れになりました。いま中小企業というのは、今度の場合でも、非常に条件がいい中でもまだ二重構造の解消がないし、政府の機関の補完だけでは十分でない。そうすると、中小企業に相当資金を回す見通しがあるわけですね。たとえば、さっき言った長期信用銀行やなんか、これもやはり使えるわけだと思うのですが、それについて何か御意見がございましたら……。
○武田参考人 第一の、CDなりあるいは中長期の預金についてのお尋ねですが、これにつきましては、今後金融制度調査会のほうでいろいろ御検討願うことになっております。ただCDとかなんか必要性と申しますか、これは最近企業あたりが相当自己資金を持つようになりまして、従来でございますとこれを預金にしておったわけでございますが、預金ではあまり利回りもよくない。それかといって長期の公社債あたりに投資するには少し長過ぎるというようなことで、アメリカあたりでもこのCDが行なわれておりまして、それによって企業の余裕金を吸収するというようなことをやっております。また、個人の金融資産の保有形態から申しましても、だんだん所得水準が上がりますと、むしろ期間は少し長くても高利回りのものを選好するような傾向が出てきておりますので、銀行の立場でなくて、そういう銀行を御利用願う立場からいっても、そういう必要性というものが出てきておるのではないかと思うわけでありますが、ただ、これにつきましては、いろいろデメリットも考えられますので、今後十分金融制度調査会あたりで御検討を願う必要があるかと思います。ただ、これは銀行の立場でなくて、やはりあくまで利用者に便利になるかどうかという観点から考えていくべきじゃないかと考えております。 第二番目の問題でありますが、おっしゃるように、だんだん自己金融というものが進んでまいりますと、大企業におきましては増資とか社債で長期資金をまかなうことができるわけでありますが、増資もできにくいし、社債を出すだけの力もないという中堅企業と申しますか中小企業というものがまだ非常にたくさんあるし、また、これは国民経済的に見てぜひ必要なものもある、そういうものに対する長期の設備資金というものは今後長期の信用銀行に大いにやっていただきたいと思います。そういう意味でもまだ非常な存在価値はあると私どもは考えております。
○只松小委員 おいでいただければなおけっこうですけれども、具体的な問題は民間部会の委員長のほうから聞こうと思いますが、したがって、ここでは副会長さんとして大まかなことをお聞きしておるわけです。ただ、さっきから話を聞いていると、非常に金融機関を謳歌し、日本のいまの経済発展を謳歌しておられるし、それから、いまもうけ過ぎていやしないかと言ったって、いや、ほかの企業から比べればもうかっていない。参考人だから反省しなさいとまで言わないけれども、一方的に自分たちの立場だけでおっしゃったら、これは論争になる。私たちは多少の反論の資料を持っているのですよ。 たとえば、こうやって公表されているものを見てみると、経常収入のうちで貸し出し金収入は、地方銀行は二百七十億円、一〇・九%増加し、都市銀行は四百億円、九・一%増加している。こうやって、いわゆる金融引き締め下においてさえも、「増益を確保した金融機関決算」という形でこういうものが明らかに出てきているわけですよ。資本主義社会だからもうけるな、損しろということは言わないけれども、やはりそういう点はそういう点ですなおに認めて――しかもこういうことはこまかいことを言い出せば、私は銀行は裏路地にあってもいいと思うのです、借りに来る人はみんな来るわけですから。しかし、表の四つかどを全部買い占めて、このことが日本経済の、今日の土地の高騰を生む元凶であるということは御承知のとおりでしょう。そして四つかどを買い占めて、銀行がばっと、どこの駅前は三百万円だ、いなかの駅前は百五十万円だ、したがってまわりは百三十万円だ、百万円だというふうに上がってきて、地方都市の土地をつり上げていく。この土地の高騰というのは、日本経済のいろんな原価計算の場合やなんかどれだけ上がってきているか、工場用地なんかすべてそうでしょう。ぼくはこの前、銀行が不動産部門を持って土地をつり上げているということも指摘しましたけれども、こういうことを論争しようときょうは思っておりませんから、参考人としての皆さん方の意見を聞こうと思っているから、そういうことを言っていないわけです。だから、多少はやはりみずからのそういった改むべきところは改めるという形で、ひとつお話を伺いたいと思うのです。 先に聞きますけれども、銀行はああいう四つかど、四つかどでしなければ店は繁盛しないのでしょうか。銀座や新宿あたり三百だ、三百何十だとあるわけですが、みんなそんなところにつくらなければ預金は集まらないのですか。
○武田参考人 まことにきびしい御批判をいただきまして、われわれとしても今後大いに注意しなければならぬと思いますが、先ほど申しましたように、できるだけ合理化を進めまして、そして貸し出し金利の引き下げなり何かによりまして社会公共に今後も貢献していきたいと思います。 それから四つかどの問題でありますが、確かにこれは多少行き過ぎの点があるんじゃないかとわれわれも反省はいたしております。今後、私どもだけでなくて全体といたしまして大いに自粛をしていきたいと思っておりますので、ひとつあしからず御了承願いたいと思います。
○佐藤(觀)小委員 それに関連して。私、この間、副頭取をしている横田さんにちょっと話したのですが、五年前に横田さんがあなたのところの常務をやっておられるときに、いまの只松君と同じような質問をした。世界のどこの国へ行きましても、ニューヨークでもロンドンでも、四つかどの一番いい目抜きに銀行があるというところはない。ところが、日本では本店より支店のほうが大きいくらい銀行があそこにもここにもある。ここで名前はあげませんけれども、それは一般の人の金でつくっているのですから、銀行は自分の金じゃない、人の金を預かってやっている。そういう社会的な通念を変えてもらわないと――武田さんばかり悪いとは、勧銀は昔からあったんだから文句言いませんけれども、しかしそういう点で、都市の土地の値上がりの元凶が銀行だといま只松委員が言われるのは無理もないことだと思います。そういう点の反省をしてもらわないと困るということもつけ加えて、ひとつ質問したいと思 います。
○武田参考人 おっしゃるとおりでありまして、ただ佐藤先生の釣りのあれで恐縮でございますが、やはり銀行というのは周囲何キロというような、預金銀行になりますと、そこにどれだけの資力があるかということによりまして、預金の成績が非常に変わってくるわけでございます。これはお魚の釣り場と同じでございまして、したがいまして、やはりそういう場所に出さなければ不便であるということは確かであります。ただ、それが表通りの四つかどでなければならぬということではないと思いますので、この点は……。それから、これほど地価が上がってまいりますと、先ほどもお話がありましたように、われわれのほうでもやはり採算ということを考えなければならない。非常に高い土地を買ってやりますと、預金が集まっても採算的になかなかペイしないという現実の問題がありますので、今後はそういう面からも漸次チェックされていくのではなかろうかというように考えております。
○只松小委員 そういうことのついでに、たとえば具体的に問題になってきている営業時間の問題、利用するという立場からも、閉店時間が早くて、土曜日なんか十時半か十一時、それから日曜にかけて商人の人は非常に困るわけです。それから商店の発展という意味から、いま言うように駅前だ、四つかどだ、目抜きの通りに幾つも並んでいる。銀座、新宿では三百何十あるわけだ。そういうところがぱたぱたと店を締めてしまうということで、銀行さんだから文句言うわけにいかぬということで、ぼくらには商店の人はぶうぶう言いますよ。あれは何とかならぬですか、電灯だけでもつけておいてほしいが、まっ暗になってどうしようもない。みみっちい話だけれども、こういう話もあるのですね。そういう点、あなたたちにそう言ってはなんだけれども、庶民感情がわからないでわが世の春を謳歌しているという面がある。時間延長とか、こまかくいえばショーウインドーなんか閉店後も何とかする、そういう点等の配慮はお考えになっておりますか。あるいは銀行局のほうでもそういうことの指導はされておりますか。
○武田参考人 ただいまの時間延長の問題につきましては、最近そういうような要望等も一部にあるようであります。ただ、これはいろいろ波及する点も多うございますので、今後十分に検討をしまして、また、各金融当局とも御相談を申し上げていきたいと考えております。 それから、どうも建物が暗くていかぬということは、確かにおっしゃるとおりでありまして、われわれのほうもできるだけせめて前の電灯だけでもつけて、町を暗くしないようにということの配慮はいたしておりまして、今後もなお一そう注意したいと考えております。
○澄田説明員 ただいまの営業時間の点は、私のほうにも御質問があったわけですが、現在通常は三時までとなっておりますが、しかし、特定の銀行にはもっとおそくまでの営業時間は認められているというところもあるわけでございます。いろいろな面で経済、流通の実態が変わってきております。また、従来三時というのは、銀行の窓口を締めてから整理をする時間が相当かかっておりますが、これは機械化、コンピューターというようなもので、非常に変わってきているというふうな実情もありますので、今後は十分検討に値する問題である、かように考えております。
○村山小委員長 平岡君。
○平岡小委員 武田さんにちょっとお伺いしたいのですけれども、いま長短分離の問題の是非について、あるいは是非とまで言わぬでも、かきねの点を少しという議論がございますし、これは相当金融業界自身では深刻な問題となっておるように聞いております。その点をざっくばらんにお聞かせを願いたいのですけれども、その前にどうもこういう議論を白熱化するような要因があるように思うのです。というのは、各金融機関の資力の推移を見ましても、ここに銀行局の統計がありまするけれども、三十年末と四十二年末、十二年間の間隔を置きまして、資力の構成比を見ますと、都市銀行の場合におきましては三十年末におきまして残高が三五・一%、それが相対的に下がりまして二五・二%、一〇%近くシェアダウンをしておるわけです。この分だけ逆に地銀とか相銀とか信金が伸びているわけです。これは構成比で申しましたけれども、絶対額でも三十年末においておたくのほうが二兆四千億円、それが絶対量は伸びていまして、四十二年末でも十五兆五千億ほどになっておりますけれども、他の地銀、相銀、信金、その三つを合わせますと、三十年末において二兆四千億円のあなた方の資力、残高に対しまして、この三つの分野での合計が一兆八千億くらいで絶対量が少なかったのです。ところが、四十二年になりますと、おたくのほうが十五兆五千億に対しまして十八兆くらいになっていますね。だから、そういう点でシェアから見ますと、おたくのほうが割りを食っている、どこかで巻き返さなくちゃいかぬじゃないか、そういう動機じゃないかと勘ぐられていると思うのです。だから、その相対的にシェアダウンをしてきた理由というものは一体どこにあるか、ひとつ御所見をお伺いしたい。
○武田参考人 ただいまお話がありましたように、都市銀行のシェアというものはこの十年間に約一〇%程度下がった、シェアダウンしたという事実はまさにそのとおりでございます。なぜそういうことが起こってきたのかというのにはいろいろな問題があると思いますが、これは全く私の個人的意見でありますが、やはり一番大きな問題は、戦後所得が非常に平等化してきたということが一つの大きな原因だと思われます。と申しますのは、所得が平準化してまいりますと、預金者は大体自分の便利なところに預けるということになりますので、一定の地域内におきましては店舗網の密なところのほうが有利であるという現象が起こっております。 それから第二の問題は、先ほど佐藤先生がおっしゃいましたように、戦前と非常に違いますのは、金融機関の信用格差というものが戦後はなくなってきた。銀行がつぶれるということがほとんどございませんで、どの銀行に預けておいても自分の預金が取りつけにあうという観念が戦後はなくなってまいりまして、戦前には、先ほどお話がありましたように、非常にそれがあったものでございますから、信用のある銀行に預けないとあぶないということで、そういうところに相対的に集まってきたというようなこと。それからさらに、所得が御承知のように戦後は農村方面に非常に金の流れが大きくなってまいりました。こういう機関へ吸収される資金も非常に大きくなってきたというようなことが、都市銀行のシェアダウンを大きくした一つの大きな原因じゃないか。 そのほか、大蔵当局に相済みませんけれども、店舗について都市銀行に対しましてはわりあいシビアーであったということは、逆にほかの金融機関のほうの保護という観点からそういう点がありまして、これらの原因が重なって都市銀行のシェアダウンというものが起こってきたのじゃないかと思います。 したがって、これを回復するということはなかなか容易ならぬ問題だというふうに考えております。ただ、金融制度を考えます場合に、都市銀行がシェアダウンしたからこれを回復するという観点からこれは考えるべき問題ではなくて、もっと大きな国民経済全体としての金融のあり方として考えるべきじゃないかとわれわれは考えております。
○平岡小委員 時間がありませんので、あなたの該博な御所見を聞かれないのですけれども、長短の調整というのでしょうか、その点で都市銀行の言い分というのは、どんぴしゃりで言いますれば、貸付信託とか金銭信託の分野まで相互乗り入れでやるのだというお気持ちを持っておるようなんですけれども、しかし、それを積極的になるほどというふうにわれわれを納得させるに足るジャスティフィケーションというのはないと思うのです。もしおありでしたらひとっここで御表明願いたい。
○武田参考人 なかなかむずかしい問題でございまして、今後金融制度調査会でいろいろ御検討願う問題で即座にお答えできないので、御了承願います。
○村山小委員長 これにて武田参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。小委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 御退席いただいてけっこうでございます。(拍手) ─────────────
○村山小委員長 ただいま金融制度調査会民間金融機関に関する特別委員長堀越禎三君が御出席になりました。 まず、当面の金融情勢と金融機関の問題点について御意見を簡潔にお述べいただきました後、質疑に入りたいと存じます。 それでは、堀越参考人にお願いいたします。
○堀越参考人 一言お断わりを申し上げたいのでございますが、私は金融制度調査会特別委員会――特に銀行のあり方についての諮問を金融制度調査会からいただいております。その諮問に応ずるための調査会をやっております次第でございます。その委員長に任命されたのでございますが、私が任命されたゆえんは、どうやら私の商売が常に意見をまとめておる商売でございます。自分の意見はなくて、まとめておるほうだけの商売でございます。それで適任だということだろうと思います。 いままで金融制度調査会の意見に基づきまして特別委員会でいろいろ意見の取りまとめをいたしましたのは、「今後の金融をめぐる環境」ということで一応皆さんの意見を伺いまして、これはもう個々にお一人お一人意見を聞きましたので、したがってまとめたものは、こういう意見もあった、ああいう意見もあったというような報告になっております。もう一つは、「金利および金融機関の規模」これにつきましてまた各委員の意見を聞きまして取りまとめました。これはいずれも中間報告という形で、金融制度調査会に私から報告をいたしました。 そして今後第一分科会、第二分科会というふうに分けまして、第一分科会では金融機関の業務の多様化、同質化についてどう考えるか、長短金融の分離についてどう考えるか、資金調達の面において長期信用銀行と普通銀行との関係についてどう考えるか、信託業務と銀行業務との関係、また、貸付信託その他の信託の現状から見て信託業務のあり方についてどう考えるか、これを第一分科会でやっていただきます。 それから第二分科会には、預金者保護のため預金保険制度の導入についてどう考えるか、また、この制度を取り上げんとする場合、その対象とする金融機関の範囲、預金の種類、預金の金額の限度等についてどう考えるか、今後のわが国をめぐる国際金融環境の推移にかんがみて、広域金融その他の国際金融に関する現在の金融体制をどう考えるか。 この二つの分科会を近く発足させまして、かなり精力的に議論をしていただくということになっております。会長は分科会委員の互選ということになっております。まだ分科会を開いておりませんので、いずれも会長はまだきまっておりませんが、現在一番注目されておりますのはこの分科会でございます。 きょうも長短金融の分離とか信託業務とかいうことについていろいろ御質問が出ることと存じますけれども、実はこれから議論をいたしますので、私はまとめ役でございますので非常にお答えがしにくいことを御了承願いたいと思います。
○村山小委員長 これより質疑に入ります。 通告がありますので、順次これを許します。只松君。
○只松小委員 いままで武田さんのほうがお見えになって、わりと抽象的な金融のあり方の論議が、一人について四十五分ずつくらいなものですから、どっちもこま切れになってたいへん質問がしにくいし、話が盛り上がらないのですが、時間がありませんから、ひとつずばり聞いていきたいと思うのです。そこで、先に逃げを打たれて、まとめ役であまり意見がないというようなお話ですが、なければ私見でけっこうでございますからお答えをいただきたいと思います。 その一つは、皆さん方にも一番重要問題として見られる金利の問題について、金利の問題というのは、結局銀行に自由競争原理をもう少し導入すべきではないか、過保護といいますか、あるいはあまりにも規制され過ぎているといいますか、そういう面が金融機関には多ぎ過やしないか、これが皆さん方のほうで問題になっておる、そういうものの一番表裏をなすものは金利の自由化だろうと思います。したがって、金利に自由幅を与えていくべきではないか、これは長短どっちもに及ぶのですね。そのためには、具体的に古い臨時金利調整法というものが一つの手かせになっておりますから、当然にこれを手直しをしていく必要もあるのではないか、こういうことも考えられてきます。あるいはいま日歩建てになっているのを年利建てにしていく、こういうことも当然に問題になろうかと思います。そういう問題について具体的なお考えを伺わせていただきたいと思います。
○堀越参考人 具体的とおっしゃられると非常に困るのでありますけれども、「金利および金融機関の規模」ということにつきまして、この間一応中間報告をまとめました。そこでは、金利規制のあり方については適正な競争原理を導入するという観点から、何らかの形で金利の規制を緩和していくべきであるという御意見が非常に多数でございました。私個人としては、一度に金利の自由化をいたしますと、これは御承知のとおり、いまわれわれが銀行を見ておりまして一番目に余るものが預金獲得競争でございます。この現状を見ながら、金利を自由化するということはかなり危険がある。われわれ産業界の立場といたしますと、銀行のコストが上がって貸し出し金利が上がるということが、産業界としては一番困る問題でございますから、今後の国際競争場裏に出まして、国際競争のできるだけ安いコストで製品をつくっていかなければならぬときにあたりまして、銀行のコストが高くなるということは、やはり産業界から見ますと困った問題になりますので、たいへんにむずかしい問題だろうと思いますが、大体の御意見は、何らか競争原理を導入するという観点から金利の規制は緩和していくべきであるという一応の線が出ておりますので、第一分科会でこれを検討いたします場合にも、やはりこの線で議論が戦わされるのではないかと思っております。 ただいまの年利建てにつきましては、ほとんど全委員御賛成でございます。伺いますと、金融機関のほうでもすでに検討が進められておるそうでございまして、これは問題がないと思います。 ここに一つ問題がございますのは、公定歩合の上下に連動するという問題があります。これについてはかなり意見が分かれております。連動するのがいいという方と、連動する必要がない、また、通知預金と普通預金といったようなものだけ連動したらどうかという御意見もあったように記憶しております。 大体そういうところでございます。
○只松小委員 いま競争すればコストが高くなるというお話なんですが、どうも私たちしろうとには、競争すれば安上がりになりはしないかと思うのです。ただ競争して人件費がかかったり、さっきもちょっと言ったのですが、店舗をふやしたりなにしたり、そういう資材物件、そういうものがかさんできて高くなるとおっしゃるのかどうかわからないが、むしろ競争して引き下げていく、まあ預金とのうらはらの問題がありますが、どうもそこらは私たちと逆じゃないか、それが一つ。 それから連動する問題が、いま銀行の方お帰りになりましたが、連動しないと、公定歩合が引き上がった場合に預金金利はそのままになっておりますから、これは銀行が一方的にもうけ放題といいますか、いま学者の間でもだいぶん指摘されるようになってきておるわけです。それならば、そのもうけた分だけ社会保障なり何か還元しろとか、こういうことも、これは私企業ですからできないでしょうし、当然にやはり何らかの形で預金者に還元をしていくということをとるべきだと思うのです。どういう形で反対されておるのか、具体的に反対の理由を聞いておりませんけれども、当然にこれは預金者に返すべきだ。さっきから話したように、銀行だけが過保護をされておって、預金者なり何なりが一方的に放置されておるきらいがあるんじゃないか、こういう気がするわけですが、そういう点についてひとつ……。あなたのほうでそういうことはないとおっしゃれば、結局委員会の答申として出てこないわけですから、出てこなければ具体的に私たちの言うことは通っていかないのですから、あなたの御意見を聞かしていただきたい。
○堀越参考人 いまのコストの点でございますが、私が申し上げましたのは、預金獲得競争が一そう激しくなる、つまり金利を上げて預金をとろうとする面からどうもコストが上がってくるんじゃないかという心配があるということでございまして、これは、そうでなければたいへんけっこうです。 いまの連動の問題は、これはいろいろ御意見がございましたが、反対の御意見の根拠というのは、私にもはっきりいたしません。通知預金、普通預金程度のものに連動させるということは、これは非常にいい。定期預金という非常に長期的に預けておるものは、やはり金利というものに一つの目安がございますから、それが上がったり下がったりするということはあまりよくないのではないか。ですから、通知預金とか普通預金とか、そういったものに連動させて、これは主として企業が預けているものだから、企業の貸し出し金利の一部として返すといったことがいいんじゃないかということだと思います。
○只松小委員 それからちょっと、公定歩合が出ましたから公定歩合について。この前二厘引き上げられて、今度一厘引き下げられましたね。しかし、いままでのように公定歩合が引き上がったり引き下がっても、市中金利というのは、それこそあまり連動していないですね。あまり引き上がっていないし、引き下がっていない。これは国債との関係とか、コールマネーの関係とか、いろいろ要因があるようでございますけれども、この関係も、これはまああなたたちよりも、むしろ銀行局のほうが直接の担当かもしれませんけれども、もう少し何か方法を考えないと……。それから都市銀行あるいは地方銀行の普通銀行だけそういう面で規制しても、保険会社あるいは農協、あるいはいろんなほかの金融機関、こういうもののシェアが大きくなって必ずしも効果をあらわさない、こういう結果が出てきておるわけです。こういう点について、これはほんとうはさっき武田さんのほうにお聞きするほうがよかったのだと思いますが、どういうふうにお考えですか。
○堀越参考人 この間、公定歩合が引き下げられましたにもかかわらず、金利が下がっていないとおっしゃる。私も、これは銀行局に聞いて統計を見ないとわかりませんですが、どうもこれは調査会の委員長としてはちょっと御答弁ができかねるのでございますけれども、私個人として感じるところでは、この間の金融引き締めというのは効果のない引き締めだったと思うのです。ですから、実際上、公定歩合が下がったところで一向まだみんなにぴんとこない。現にこういうことを申し上げていいかどうかわかりませんが、われわれとしては十月にもう一度公定歩合を下げてもらったほうがいいと思っておるのですけれども、案外強い要望が出ていないのです。ということは、一般に公定歩合と自分たちの借金と金利というものにあまり関連がないということにやや裏書きされているのじゃないかという感じがいたします。
○只松小委員 まあ極論を少し言わしてもらえば、結局二厘ぐらい上がろうが下がろうが、インフレがこれだけ進んでいるのですから・そんなことはおかまいなしに設備投資をしたほうがいい、こういうことじゃないかと思うのです。具体的にも、二厘上がっても四毛から七毛ぐらいしか上がっていない。今度は一番顕著なようですけれども、こういうことが今後も続いていけば、日銀の公定歩合操作というのは、検討していかないと、あまり役に立たない。きょうは日銀の人はお見えになっていませんけれども、そういうことでしょう。 いま多少金利の問題からはずれてきましたけれども、そういう問題を考えながら自由競争原理を取り入れて、皆さん方は借りるほうの立場からだけで、自由競争したほうがコストが高くなるのじゃないかとおっしゃる。実は一番初めに、この委員会に中小企業のほんとうに金を借りたい人、あるいは金を預けておる側の預金者の人が入っていない。預金者とすれば自由競争をしてもっと金利を高くせよ、あなた方大口で借りられる人はコストが安いほうがいい、こういうことになるだろうと思うのですが、一方的な委員会じゃないかということを、ぼくはちょっと話したわけです。皆さん方の立場のウエートが非常に強い委員会ですから、そういう議論が中心になるかと思いますけれども、金そのものは国民が預金をするわけですから、そういう立場もひとつ十分に考慮して金利の問題を取り入れ、銀行の自由競争原理を導入する。このことは単に企業との関係、預金者との関係だけでなくて、この前、話があったのですが、いま株でも外資が入ってきて、国際的な環境のもとに成長していかなければならないという状態ですから、金融機関もやはり当然そういう立場に追い込まれるのです。だから、もう少し企業の側だけでなくて大所高所から、しかも十年、二十年先の調査会ですから、ぜひひとつ取り組んでいただきたい。
○村山小委員長 佐藤君。
○佐藤(觀)小委員 堀越さん、あなたの顔を見るとウジミナスを思い出すのですよ、ウジミナスのような顔をして見えるので。実は先月、私、メキシコからブラジルに行きました。そこで、あなたの専門のほんとうの商売の問題なんですが、金融問題に関係して、あなたの得意なことを二、三お伺いしたいと思うのです。 御承知のように、ウジミナスの状態は、現地に行って聞きましたら、非常によくいっているそうですが、その点について見通しはだいじょうぶだと思いますが、どうですか。金融方面に関してお尋ねしたいのです。
○堀越参考人 金融に関してとおっしゃいますとなんですが、ウジミナスがたいへんよくなりましたのは、ことしに入ってからでございます。これは去年の暮れに日本の開発銀行ではおそらくできないことをやってくれた。いままでの貸し出しの半分を無利子でたな上げしてくれた。将来配当が始まったらこれを資本に繰り込むということで永久たな上げみたいな――永久じゃございませんが、配当は七一年ころから始めるつもりでございます。その後に考えるということで、一応無利子で半分たな上げ、あとの半分はいままで金利を二割とっておりましたのを五%に下げております。そして三年据え置き十五年という長期貸し出しに振りかえてくれた。これが非常に大きく財務費に影響いたしまして、ことしに入りましてから六月までの間に、ドルに直して約二百万ドルくらいの利益が出ております。
○佐藤(觀)小委員 それに関連して、海外の日本の為替銀行というものは非常に競争激甚で、これは許可するのは澄田銀行局長の権限ですが、どうも不統一なような感じがするのですね。ドイツあたりはそういうようなことについては割り切っておるのですが、日本はなかなか一銀行が一会社に必ず投資するというようなことはないので、そういういろいろな矛盾があるのじゃないかと思うのです。海外における為替銀行というものは、あなたは実際事業をやっておられたのですから御存じだと思うのですが、これはどういうような考え方でやったらいいか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○堀越参考人 これはいまウジミナスに関係いたしましては、あそこには東京銀行一つしかございません、リオデジャネイロ。まあサンパウロへ行きますと富士銀行があります。ですから、富士と東京銀行との間に一度われわれの為替問題でずっと競争もあったことはございます。しかし、いまのところ、私自身として何ら不自由なく東京銀行と取引をやっております。特に感じておりません。
○佐藤(觀)小委員 それでは澄田さんにちょっとお伺いしますが、あなた理財局におられたのですが、たとえば海外における輸出入銀行のあり方とか、特に東京銀行はアメリカ、北アメリカ、中南米に非常に力を持っておるんですが、こういう問題を銀行局はどのように考えておられるのか。どうもわれわれは非常に矛盾があるように思うのですが、そういう点は非難がありませんか。
○澄田説明員 現在の為替銀行制度については、今度堀越委員長の特別委員会第二分科会のほうで検討していただく課題ということになっておるわけです。東京銀行は為替専門銀行として各地に、必ずしも採算だけでなくて、日本との貿易なり経済交流なりの多いところに店を出すということで広く店舗も持ってやっておる。そのほかに、御承知のように甲種為替銀行も海外の主要な土地にやはり若干の海外店舗を持っておる、こういう形で、そしてそのほかコルレス契約等を通じて世界に為替網を張ってやっている現在のやり方につきまして、これからの国際金融というものを見ていった場合に、為替専門銀行のあり方をどういうふうに考えていくかというのは、やはり今後の情勢を見て検討すべき問題がいろいろあるんではないか、かように考えております。 ただ、いまもお話のありましたように、日本で独特ともいうべき為替専門銀行という制度が、戦後今日までの日本の国際金融あるいは貿易取引というものにおいては非常に大きな役割りを果たしてきておるということであって、これがそういう専門銀行としての意義というものは十分あるんではないか、かように存じております。
○佐藤(觀)小委員 もう一点、堀越さんに伺いたいんですが、私は非常に感じたことは、東京銀行がよくやっておられることはわかるのですが、ブラジルとアルゼンチンとのことについて、外務省は非常にブラジルに力を入れているんですね。ところが、大蔵省と通産省は非常にそっぽを向いているんですよ。それはブラジルが非常にルーズだという点もあるらしいんですけれども、そういうことの矛盾は現地のほうから非難がありませんか。私はこの間行ってそういうことを感じたのですが、その点はどうですか。あなたは政府の役人じゃないですから……。
○堀越参考人 私は、ウジミナスを通じてしか感じておりませんが、通産省あたりウジミナスあたりには熱心でございます。非常によくやってくれております。そういう感じはございません。
○只松小委員 これも話は武田さんにつながるわけですが、さっきから長期、短期、あるいは普通銀行、特殊銀行、こういうものがいまから検討されて分類に入るわけですが、普通銀行あるいは中小銀行でさえも十年、十五年の住宅ローン等を手がける、こういうことになってきておりまして、なかなか実際上分類は容易でない。それに加えて定期の二年もの、三年ものというものが出てくると、いよいよ何が何やらわからないというか、分類がむずかしくなると思うのですが、そういう点についてどういうふうにお考えになっているか。具体的に二年もの、三年ものの定期というものはつくったほうがいいとお思いになっておられますか、伺いたいと思います。
○堀越参考人 これは第一分科会でこれから議論する問題でございますので、ちょっと私としてははっきりしたことは申し上げかねると思います。これが一番やっかいな問題でございます。
○只松小委員 私見でもけっこうでありますから……。
○堀越参考人 ちょっと私見を先ほど申し上げましたら、企業の立場からばかり金利を考えているとおしかりを受けますし、私はあのときは経団連の事務局長として申し上げたのでありますが、どうも私見をうっかり申し上げるとそういうことになりそうですから失礼します。
○只松小委員 どうですか、銀行局のほうでそういうものに対する考えといいますか……。
○澄田説明員 金融制度調査会でこれからまさに検討をお願いしているところであります。ただ、いろんな点からこの問題はもちろん考えなければならない問題が非常に多い。そういう意味で慎重に検討をお願いしているわけでございますが、やはり長期の資金需要というものは、中堅企業あるいは中小企業、さらにいま御指摘の消費者金融とかいろんな面で長期資金の需要というものは、いままでと違った形で今後やはり強いものが非常にある。これは過般の金融制度調査会で、先ほどちょっと申し上げましたアンケートを広く企業にいたしました中にも、長期安定した資金という需要が非常に強かったわけであります。そういう資金の供給源としてどういう預金のあり方を考えるかというような見地からもう一度この問題は十分検討する問題ではないか、かように存じます。
○只松小委員 次にCDについてはどうですか。これも検討の段階ですか。
○堀越参考人 検討中でございます。 それで、私は経団連の事務局長をやっておりますので、多少CDにつきましては経団連としてはやや心配をしている。つまり、預金残高競争をいま大銀行は非常に熱を入れるわけです。残高をふやすということが非常に強い関心事になっております。そうしてやはり企業が借り入れをしておりますと、CDをとってくれということになりかねないので、その点がやや心配であります。
○只松小委員 それから金融機関のあり方について、全般的検討をされておるようですが、その一つの締めくくりみたいなものですか、監査制度ですね。これがいま大蔵省が直接手がけておりまして、一般の公認会計士なりいわゆる一般的に開放されていないといっては語弊がありますけれども、そういう形の監査制度が行なわれていない。しかし、今度商法改正があって、一億円以上の会社は公認会計士の監査を受けなければならないというような形にでもなければ、これは当然に銀行も監査、金融機関も監査を受けなければならない、こういうことになろうかと思います。この点についてはどういうふうにお考えですか。
○堀越参考人 ちょっと私の金融制度調査会と離れた問題になるのでありますけれども……。
○只松小委員 そうでもないでしょう。直接はあれですけれでも、一応そういうことも御検討……。
○堀越参考人 それは銀行、保険から今度の商法改正についていろいろ御意見がわれわれのところにも来ております。ところが、公認会計士が発足いたしますときに、銀行と保険というものを除外したのが当分の間というようなことばを使ってありますから、やや弱いと思います。しかし、率直に申し上げまして、いまは大蔵省がやっておりますような銀行検査というものがあれば、公認会計士は必要ないんじゃないか、また、公認会計士がそれにかわるだけの能力は持っていないということをあえて申し上げていいのじゃないかと思います。
○村山小委員長 広沢君。
○広沢(賢)小委員 金融制度調査会が銀行の立場からばかり議論しているということであってはならない。堀越さんがそういう委員長さんになったのは、やはり国民経済全体からいろいろ判断をされるということだと思うのです。そこで、お聞きしますが、基本的な立場の直接金融と間接金融の問題です。先ほども説明ありましたけれども、だんだんと直接金融を確立していく条件が出てきている。それから、いろいろ金融関係の討論の分析の中でやはりその問題についても十分触れていると思うのです。私はこれを見ますとわからないのです。直接金融がいいとしても、どのくらいの程度即座にいくのか。いやそう急にはいけないのだ、もしくはいまそんな必要はないのだというような気分もあるし、銀行の立場に立てばそういうふうになると思いますが、一方、総合致策研究会とかいろいろのところから、これはほかの部門ですが、直接金融についての積極的な意見がいろいろ出ております。 そこで一番初めにお伺いしたいのは、金融制度調査会の議論がずっと進んでいく中で、どのくらいの程度にめどを置いているのか。直接金融というのはやはり即座に確立するべき条件があるのか、それともないのか、漸次やっていくのか、それともいやそれはもうあまり必要ないのだ、むしろ、ここに書いてあるのですが、現状ではむしろ金利より量的規制で景気調整をはかるべきだ、という意見がありますが、そういう意見が多いのか、その基本的観念をちょっとお伺いしたいと思います。
○堀越参考人 その中間報告でまとめました御意見では、証券市場の現状にかんがみて期待は持てないという感が先に立つが、現実にあまりとらわれ過ぎるのは妥当でない。七、八年先を考えるならば、企業の株式、社債による調達の比率は案外大きく高まることが実現されるのではないか。そのような理念で政策的に努力すべきだ、という意見が述べられているわけであります。 私、この御質問が必ず出ると思いましてちょっと準備してきたのですが、実は私、驚いておるのでございます。三十四年末に間接金融が七六・八%、直接金融が二三・二%、それが三十八年に間接金融が少し減りまして七五・九%になり、直接金融が二四・一%、三十八年には直接金融がややふえたわけですが、これが四十二年末、去年末を見ますと、間接金融は八〇にふえております。直接金融は二〇に下がっております。これは株式市況の非常な不況からきたのだと思うのでありますが、四十年代の前半と後半の金融情勢ということが中間報告で述べられておりますのも、前半はいまのような間接金融がずっといくだろう、いまの情勢でそのまま推移する。四十年の後半になって直接金融が少し問題になってくる。これは世間で簡単に直接金融という話をしていらっしゃいますが、私が疑問を持っておりますのは社債でございますね、企業は社債を持ちます。ところが、この社債は金融機関がみな消化しているわけですね。これは直接金融なのか間接金融なのか、そういうこともございまして、一体どの程度の直接金融が適当なのかということは非常にむずかしい問題だと思うのでございますが、やはりきのうも証券取引審議会を開きまして、社債市場をもう少し育成すべきだという線を打ち出したのでございます。やはり公社債市場というものがもう少し円滑になり、発行価格と一般の流通価格とが乖離しないような方向へ何とか持っていってもらいたいということは、これは金利の自由化にもからんでくると思います。やはりこういう公社債市場の流通状態が、いまのように七分五厘で出しておるものが八分五厘もしているというような状態では困ります。いろいろな金利の自由化にもからんでくるわけであります。公社債市場の正常化というのは非常に急がるべき問題であろうかと思います。
○広沢(賢)小委員 そうすると、ただいまのお話は、公社債市場を育成するそのための努力をしていかなければならぬ、積み重ねをしていかなければならぬ、こういう御意見だと思うのでございますが、そうしますと二つの問題をお聞きしたいのです。 一つは、先ほどもお聞きしたのですが、いま銀行でもってさっき言われたCDの問題があります。都市銀行が、長期信用銀行や信託銀行などという長期銀行があるにもかかわらず、それと競争して盛んに長期預金を集めるということに努力する、非常に競合してそこで混乱を招く、資金コストも高くなる、いわゆる過当競争ですね、こういうことがあるのではないかということを総合政策研究会で出している。先ほども御質問したのです。国民経済全体の立場から見ると、先ほどのCDについての具体的なことはお聞きしませんが、大体こういうようなことは直接金融方式を確立するという方向とは逆行するものではないか、このように思うのですが、どうでしょうか。
○堀越参考人 これはまだこれから論議される問題で、私から何とも申し上げかねるのでございますが、率直な私の感じを申し上げますと、いまのCDにいたしましても二年定期、そういうものがすべてあのデパート論から出たんだと思います。都市銀行デパート論でございますね。そういうことであれば、私は、都市銀行がデパート化するならばすべてがデパート化しなければならない、そこに一つ問題があると思います。それはこれから議論されますので、あまり先ばしって言うのもどうかと思いますが……。
○広沢(賢)小委員 そうすると、今後の方向としてみますと、どうしても大企業は自己金融力を持つと思います。それから増資その他ずっと可能になりますから、だんだん長期的に見ると、後半のほうではそういうふうになっていくということになりますと、中小企業はそれができないわけでございます。中小企業、中堅企業の引き上げをしていかないと、二重構造は埋まらないし、物価の問題にも響くということは、宮沢さんがいつも言っておられるわけであります。先ほども御質問したのですが、それにお答えになったのは、長期信用銀行でもって中小企業の問題を取り上げていく、なかなかむずかしい問題ですが、近代化の問題について取り上げていくという、そういう方向が望ましいと思います。やはりそういう直接金融、間接金融の推移の見通しからいいまして、今後の直接金融は大体大企業のほう、それでどんどんやっていけるように、それから間接金融の役目は中小企業やその他都市開発に対してやっていく。こういうように分けてしまって、簡単に分けられませんが、頭に描いていくとすっきりいろいろ議論できると思うのですが、どうでしょうか。
○堀越参考人 ちょっといまの御質問の点、長期信用銀行に中小企業をやらせる、こういう意味ですか。
○広沢(賢)小委員 はい、そうです。長期信用銀行ばかりでなくて間接金融のいろいろ担当……。
○堀越参考人 そう割り切れるものじゃないと思うのですが……。
○広沢(賢)小委員 それでは、大体の大勢としては、理想像としてはそういう形にいくべきではないか、こういう点はどうでしょう。
○堀越参考人 つまり、中小企業が直接金融、増資なり社債なりを発行することが非常にむずかしいから、間接金融で充実さしていくべきだ、この御議論は私はよくわかります。
○広沢(賢)小委員 そのとおりです。大体そういう方向で、もう少し今度は具体的に何か討論がされていますか。
○堀越参考人 まだ開いておりませんので、これから開くのですから……。
○只松小委員 時間が来ましたから最後に、午後から証券問題を少しお尋ねしようと思っているのですが、堀越さんのほうから見て、いまのような異常な株価の高騰についてどういうようにお考えですか、ちょっと御所感を聞いておきたいと思います。
○堀越参考人 証券取引審議会の会長を仰せつかっておるのでございますけれども、これは主として議論をやっておりますので、現在の株価が高いか低いかというようなことは一切ぼくらのところではわからないわけです。ただ私、日証金の非常勤取締役をやっておりますので、その感覚からいきますと、残が千億をこえておるということはやや異常じゃないかという感じがします。テンポがやや早過ぎるのではないかという感じは確かに持っております。
○村山小委員長 これにて堀越参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。小委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時一分休憩 ────◇───── 午後二時三分開議
○村山小委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 証券取引に関する件について調査を進めます。 本日は、参考人として東京証券取引所理事長森永貞一郎君、日本証券業協会連合会会長瀬川美能留君が御出席になっております。 まず、当面する証券業の諸問題と実情について御意見をお述べいただき、後質疑に入りたいと存じます。 それでは瀬川参考人よりお願いいたします。
○瀬川参考人 御指名をいただきました日本証券業協会連合会の瀬川でございます。 委員の皆さまにおかれましては、たいへんお忙しいところを証券市場の育成強化のため何かと御配慮をいただきまして、まことにありがとうございます。 さて、本日は、当面する証券業の諸問題と実情につきまして申し述べよとのことでございますが、私の思うところを率直に申し上げまして、皆さま方の御審議の参考に供したいと思うのでございます。 御承知のように、最近の証券市場は、国際収支の記録的な好調、金融の緩和、企業業績の好調あるいは外人投資の活発化などによりまして、市況は著しく活況を呈しておりますことは御承知のとおりでございます。最近の売買取引の状況にかんがみまして、売買取引が過当に投機化しないように、予防的措置といたしまして、再三にわたりまして信用取引の規制が行なわれましたし、また、投資家に冷静かつ慎重な投資態度をとられるよう期待しておるところであります。当連合会といたしましても、投資者保護と健全な証券市場の発展をはかるために、各証券会社においては投資勧誘態度に特に慎重を期し、第一線セールスマンにもその趣旨を十分に徹底するよう全国の証券会社に要請した次第でございます。 なお、市場の動向等につきましては、森永理事長から御説明があろうかと存じますので割愛させていただきます。 さて、次に証券業界の目下当面しておるところの幾つかの問題につきまして御説明申し上げたいと思います。 初めに凍結株に関する問題についてでございますが、御承知のような市場の動向からいたしまして、凍結株の放出はかなりなテンポで進められまして、保有組合分につきましては、去る八月二十七日をもちまして日本銀行からの借り入れ金は全額その返済を終えた次第でございます。 申すまでもなく、保有組合は、四十年当時の証券不況に際しまして、関係各位の御好意ある御理解によりまして設立されまして、株式の需給安定に大いに寄与してまいったのでございますが、今日、おかげをもちましてその使命を果たしまして、ようやく解散のめどがついたところでございます。これもひとえに皆さま方の御理解ある御支援のたまものでございまして、本席を借りましてあらためて厚く御礼申し上げる次第でございます。 なお、保有組合は、最終的にはかなりの額の利益が見込まれておりますが、この利益の処分につきましては、同組合の規約にのっとりまして、資本市場育成という公共目的のために役立たせてまいりたいと考えておるのでございます。その具体的な使途につきましては、目下鋭意検討いたしておるところでございます。 共同証券につきましては、保有組合と同様に、株式市場の安定に多大の貢献をされましたことは申すまでもないところでございまして、これまた深く感謝いたしておるところでございます。同社の今後のあり方につきましては、いろいろの御意見もあるようでございますが、日銀からの借り入れ金を返済したとはいえ、なお、簿価にいたしまして約千三百億の凍結株を保有しておる状況でございますので、当面その保有株式の円滑な放出を通じまして、市場の安定要因として機能を果たされることが望ましいのではないかと考えておるのでございます。 もともと同社は、証券市場の異常事態に対処するために特に設けられた機関でございますので、この趣旨からいたしましたなれば、その目的を果たした暁には解散するのが一応の筋であろうかと存ずるのでございますが、最終的には、同社が、いろいろと意見を参考とされまして、自主的に決定さるべき問題であろうと考えておるのでございまして、今日この時点において議論をすることは、いささか時期尚早ではないかと考えておるのでございます。 次に、証券投資信託についてでございますが、御承知のように、株式投資信託は、過去数年にわたりまして額面割れあるいは償還延長等を余儀なくされるなど不振を続けてまいったのでございますが、この間にありまして、業界といたしましては、投資信託の諸制度及び運用の改善をはかるなど、できる限りの努力を積み重ねてまいりまして、投資家の信用回復につとめてまいったのでございます。最近におきましては、基準価額もかなり上昇いたしましたし、期中分配率も漸次向上いたしまして、ユニット投資信託も額面以上で定時償還されるということとなったわけでございます。さらに、設定額が増加してまいりますし、解約額がしたがって減ってまいりますので、ようやくにいたしまして回復過程に入ってきたというところでございます。 一方、公社債投資信託は、目下の金融情勢を反映いたしまして、近年ますます順調に推移いたしておるのでございます。 申すまでもなく、証券投資信託は、少額の資金を有価証券投資に結びつける重要な機能を果たすものでございます。業界といたしましても、ようやくにして回復に向かった証券投資信託をさらに一そう健全に発展させるためには、投資家本位の運営に徹しまして、新規投資層の拡大、商品の多様化などに鋭意努力を重ねてまいりたい所存でございます。 次に、証券金融の問題について申し上げたいと思います。 あらためて申し上げるまでもなく、資本市場の強化拡大のためには、証券金融の拡充がぜひとも必要であろうと考えます。もとより正常な金融環境になってまいりますと、証券金融のあるべき姿といたしましては、証券会社の個々の信用に基づきまして、市中金融のベースでまかなわれるべきものであると存じておるのでございますが、何ぶんにも現状のような金融事情のもとにございましては、証券会社の自力において調達できる資金にはおのずから限界がございますし、このような状況は今後もなお相当期間続くと見込まれるのでございます。したがいまして、証券市場の正常化と機能強化のためには、制度的な金融についての格別の御配慮が望まれる次第でございます。特に公社債金融につきましては、発行条件の弾力化、店頭市場の整備など公社債市場の正常化のための措置の一環といたしまして、公社債金融の制度的拡充が必要ではないかと存じ上げるのでございます。 なお、証券金融につきまして専門機関を設置すべきであるとの提言も行なわれておるのでございますが、何ぶんにも影響するところが大きい問題でございまして、現在、金融機関の再編成についての検討が進められているところでもございますので、各界の御意見を十分しんしゃくしつつ検討を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。 次に、公社債市場の整備拡充について申し上げたいと存じますが、最近における公社債市場は、発行量、流通量ともに著しく増加いたしまして、その規模は急速に拡大いたしております。特に四十一年以降、公社債市場は国債発行をその中に含めまして、企業の長期安定資金調達の場であるとともに、財政及び金融政策との関連をますます強めてまいったのでございます。 かように国民経済的に重要な地位を占めておりますところの公社債市場の整備拡充を一そう推進いたすためには、消化層の多様化についてなお一そうの努力を傾倒することはもちろんでございます。一方におきまして、価格機能の導入をはかることによりまして、発行市場と流通市場との連係を高めることが肝要であろうかと考えるのでございます。このためには、たとえば社債発行条件につきまして一定の幅を設けまして、金融情勢、市場環境等に応じまして、応募者利回りを機動的に動かし得るような体制を導入いたしますとともに、発行価格のよりどころとなりますより権威ある、より練れたところの流通価格の形成のために店頭市場の整備を行なうなどの措置が必要と考えます。おかげをもちまして、最近の市場環境はかなり改善されてまいりました。これらの措置を進める条件は徐々に熟してまいったと考えられます。今後さらに市況が好転いたしまして、発行条件と市場価格との乖離がほぼ解消するような時期をとらえまして、産業界、金融界、その他関係各方面の御意見を十分伺いながら漸次これらの措置を具体的実施に移していきたいと考えておるのでございます。 次に、株式の発行市場につきまして申し上げますと、公社債市場と同様、流通市場との連係を高めてまいりますためには、時価発行への移行の体制を整えていくことが望ましいのではないかと考えております。しかし、何ぶんにも株式の価格形成の基本となっておりますところの額面割り当てという長い間の慣行を一気に変えることは、投資家保護の立場からいいましても、いろいろ問題があろうかと存じますので、産業界並びに金融界その他関係各位とも十分意見の交換をはかりまして、慎重に取り運ぶ必要があろうかと存ずるのでございます。 以上、証券界の当面いたします諸問題につきまして取り急ぎ申し上げてまいりましたが、あらためて申し上げるまでもなく、世界経済におけるところのわが国経済の地位というものは年々著しい向上を見まして、特に昨年来の国際通貨不安を契機といたしまして、日本経済に対する海外の評価というものはとみに高まるとともに、技術、資本の交流はますます活発化の傾向を見せ、わが国経済はいまや国際化の時代を迎えつつあるところでございます。 このような国際化の趨勢に応じまして、わが国企業の国際競争力を高め、経済の安定的な成長を確保するために、長期資金調達の場であるところの証券市場の責任はますます重要性を加えつつあるのでございます。 また、証券市場の国際化に伴いまして、海外からのわが国証券に対する需給を円滑に消化するためにも、証券市場を拡大強化する必要がますます高まってまいるのでございます。 これがために、以上申し上げました諸問題の解決をはかるとともに、これまでの間接金融中心から直接金融へ重点を移行さすことがぜひとも必要であります。証券界が多年にわたって利子と配当との税制上の不均衡の是正を要望してまいりましたゆえんもまたここにあるのでございまして、この点、委員の皆さま方におかせられましては格別の御理解と御支援を賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。われわれ証券会社といたしましても、今後さらに業界をあげて経営の合理化を推進するとともに、適正な投資勧誘態度の保持につとめ、もって投資家の信頼にこたえるべく格段の努力を重ねてまいる所存であります。 証券業協会におきましても、免許制下における証券会社の自主調整機関としての機能の充実、寄託証券補償基金の創設、証券知識の普及PR、役職員の研修制度の実施、あるいは店頭取引の整備強化など、投資家保護と業界の信用の維持向上に鋭意努力を重ねているところでございます。 以上申し上げましたように、私どもといたしましては、みずからなすべきことにつきましては一つ一つその実績を積み上げてまいる所存でございますので、将来の金融市場、証券市場のあり方を策定される立場にあられる委員の皆さま方におかれましては、私どもの意のあるところをおくみ取りいただきまして、証券市場を取り巻く環境の整備、資本市場の振興に格別の御理解、御配慮を賜わりたいとお願いを申し上げまして、私の陳述を終わります。 ありがとうございました。
○村山小委員長 次に、森永参考人にお願いいたします。
○森永参考人 東京証券取引所の森永でございます。 証券業界全体の問題につきましては、ただいま瀬川会長から詳細御説明がございましたので、私からは最近の株式市況につきましてごくあらましを申し上げたいと存じます。 御承知のように、株式市場は、本年三月中旬のゴールドラッシュと申しますか、国際通貨不安の問題を契機といたしまして、とみに活況を呈してまいりました。以来現在まで株価は上昇の一途でございまして、また、売買高も大幅に増加をいたしてまいっております。昨日の後場引け値でございますが、旧東証修正株価平均、俗にいわゆる旧ダウでございますが、千七百九十三・八三でございます。昨年十二月十一日が最近の底値でございまして、千二百五十・一四でございましたので、それと比べますと五百四十三ポイント、比率で申し上げますと、四三%の上昇ということになっておる次第でございます。ちなみに本日前場の引け値の試算によりますと、旧ダウはちょうど千八百というような数字に相なっております。また、売買高のほうでございますが、九月になりましてから昨日までの一日平均の売買高は二億五千百万株でございまして、本年一月の一日平均五千九百万株に比べまして大体四倍ぐらいというような数字になっておる次第でございます。 このような株式市場の活況の背景には、まず第一に、昨秋以来、極端な悲観人気によりまして株価が異常に低迷しておった、そのことの反動としての回復があげられると存じますが、さらに今回の金融調整が思ったよりも早く効を奏しまして、国際収支の立ち直りも早かったということ、その間、企業業績は終始好調を持続いたしましたというようなこと、国際収支の立ち直りが早かったために金融緩和の時期も案外早かったといったような経済環境の好転ということがあると存じます。さらに、こういう市況に際しまして、先ほど御説明もございましたように、保有組合あるいは共同証券等のいわゆる凍結株の放出もだいぶ進みました。また、外人筋の投資が急激に増加をいたしました。そういったような要するに一般経済環境並びに株式需給の改善という背景があるわけでございまして、株式市場の活況は基本的にはこういった情勢を反映しておるものと考える次第でございます。 先ほども申し上げましたように、昨日の旧ダウは千七百九十三・八三、これは三十六年七月十八日の市場最高値といわれる千八百二十九・七四に迫っておる、そういう感じでございます。 ただ、このダウにつきまして申し上げなければならぬのは、ダウ算定上の倍率が、三十六年と今日ではだいぶ違ってきております。当時は八・三八倍でございましたが、今日は十二・九八倍というような倍率の変化という事情がございますので、千八百二十九と千七百九十三とだけを単純に比較するだけでは、今日の株価水準がどこにあるかということは必ずしも的確にはあらわせないと存ずる次第でございます。 ダウ以外のいろいろな指標がございますが、試みに二、三の指標を申し上げてみますと、単純株価平均では、三十六年七月十八日が二百十八円でございましたのに、昨日は百三十八円でございます。それから利回りは、三十六年が二・八〇%でございましたのに、現在では三・七六%。また、いわゆる株価収益率では、三十六年が二十三倍に対して今日は十三倍といったような指標もあるわけでございます。ただ、これらの指標も単純に算術平均をいたしておるというところにだいぶ問題があるようでございまして、もしかりに株数によるウエートを加味した平均を出しますと、当時といまとの差はずっと狭まるような結果に相なると推定されます。 要するに、こういったいろいろな株価指数、指標、これはそれぞれある用途に使うのには十分意味があるのでございますが、そのどれか一つで現在の株価の水準がいいか悪いか、どのくらいの地位に来ておるかといった総合的判断をするのには、どうも必ずしも的確ではないような感じがいたす次第でございまして、何かもっと総合的な株価水準の地位を的確にあらわす指標がないものかと、各国の例なども勉強しながら、目下私どものところで検討をいたしておる最中でございます。要するに、いろいろな指標がございまして、そのどれをとるかによって、株価が高過ぎるとか、いや高過ぎないとか、いろいろな見方があるわけでございますが、しかし、私自身は、現在の株価水準について断定的な見解を申し上げることは、取引所の責任者としての立場もございますので、この際は差し控えさしていただきたいと存じます。 ただ、最近の市況の動き、株価水準の上昇のテンポ、取り組みの状況であるとか回転日数、そういったような市況の動きを見てみますと、今後の成り行きいかんによっては過熱におちいる心配もないではないようなところに来ておるかとも存ずる次第でございまして、今後過熱におちいらないように大いに警戒をしなければならない局面に達しておると考えておる次第でございます。 取引所の任務は、申すまでもなく公正な価格形成と円滑な流通ということでございますが、そのためには売買取引が過度の投機におちいらないように、株価の動き及び取引の内容を注意深く見守りまして、適宜適切な措置をとることが取引所の大きな役割りであると考えておる次第でございます。このためには、株価の動きあるいは信用取引の利用状況などを勘案いたしまして、取引が過度の投機に偏しないように、その場合場合に応じて、あるいは個別的に、あるいは全体的に信用取引委託保証金率の引き上げなどの措置を実施してまいったような次第でございます。 株式市場はもとより自由市場でございまして、好きこのんでいわゆる規制を加えるべきものとは考えません。できるだけそういうことのない市場の姿が望ましいのでございますが、それにもかかわりませず、これまで取引所がいろいろな規制的措置を実施してまいりましたその趣旨は、ただいまも申し上げましたように、過度の投機におちいらないようにという趣旨にほかならないのでございまして、もとより株価水準そのものを問題としているわけではございません。投資家に対し過度の投機に走ることのないように、冷静にかつ慎重な投資態度で投資を進められるよう、予防的な、警戒的な措置を講じたもの、さように御了承をいただきたいのでございます。 その意味で、取引所といたしましては、直接投資家に接しまする証券会社に対しましても、顧客に対しまして適正な勧誘態度を保持せられるよう常に要請をいたしてまいっておる次第でございます。 最近の市場取引の状況を見てみますと、やや取引が小口化したような傾向が見られないでもございません。個人投資家のウエートが今後少しずつ高まっていくように見受けられるのでございますが、こういう局面になりますと、投機による株価変動の激化は、投機者本人だけでなく、善意の投資家全般にもいろいろな影響を及ぼすということにもなるわけでございますので、その点に配慮しまして、今後ますます投資家に冷静、慎重な態度をお願いいたしますとともに、会員にも接客態度に一そうの慎重さをお願いし、取引所、市場管理者として今後も市況の推移に細心の注意を怠らないで万全を期してまいらなければならない、さように感じておる次第でございます。 証券界全体の問題につきましては、瀬川さんから詳細お話がございましたので私からは触れませんが、ただ一言だけ結びとして感想を言わせていただきますと、私は、いまの流通市場の繁栄を、単に流通市場の繁栄にとどめず、発行市場的な役割りの強化に導きまして、ほんとうに産業資金調達の場としての証券市場の機能を発揮する必要がいまこそ大いに強調されなければならないと考える次第でございます。流通市場としては活況を呈しておるのでございますが、産業資金調達の場としての機能の面はまだ必ずしも十分でないのでございまして、この際、株式に対して高まってまいりました国民の関心、一般の投資家の投資意欲を一そう健全な投資に結びつけまして、実需本位の株式投資が盛んに行なわれるようリードいたしまして、産業資金調達の場としての証券市場の機能を確立する必要があると存ずるのでございます。これはあえて株式だけではございません。公社債についてもより一そうその必要を痛感する次第でございます。そういった産業資本調達の場としての証券市場の機能の確立のためには、証券界自身のたいへんな努力ももちろん必要でございまして、先ほどその点については瀬川会長も触れられたのでございますが、同時に、証券界以外の関係各方面の御協力と御支援にまつところが非常に多いと考えるのでございます。たとえば税制の問題、あるいは証券金融の問題等、制度の問題、環境の整備等いろいろ問題がございまして、これらの点につきましては特に本委員会委員各位の御理解と御協力をぜひともお願い申し上げたい気持ちでございます。 以上、きわめて簡単でございますが、陳述を終わらせていただきます。 ─────────────
○村山小委員長 これより質疑に入ります。 通告がありますので、順次これを許します。只松君。
○只松小委員 一般の質問に入る前に証券局長のほうにちょっと……。 いまお話があったように、修正平均株価が千八百円、たいへん喜ばしいことですけれども、四十年、瀬川さんのほうから報告がありましたような、たいへん証券界が落ち込んで、保有組合あるいは共同証券等をつくりました。前も一応お聞きしましたが、さらにここで、現在その状況がどういうふうに、簿価だけでなくて時価で換算して公表できるならばそれをしていただきたいということが一つ。それから同時に、当時山一誰券その他の問題が起こりまして、日銀の特融二百八十二億円をはじめとして、関係金融機関等が周章ろうばいして救済に当たった。いま盛んに証券界が隆盛をきわめ、株が謳歌されておりますけれども、私たちがたびたび、そんなに景気がいいなら共同証券や保有組合の株を全部放出しなさいと言ってもしなくて、やっとこの前から続いて、日銀特融だけは返済すべきではないかということで、日銀だけは完済になりました。しかし、まだ共同証券、保有組合も、さらに山一證券のその後のことや何かを報告になりませんが、ひとつどういうふうな結果になっているかをお聞かせ願いたいと思います。
○広瀬説明員 証券保有組合の状況でございますが、これは瀬川さんからもお話がありましたように、八月の二十七日だったと思いますが、日本銀行に対する債務を完済いたしまして、株式の買い入れは総額二千三百億に及んだわけでございましたが、これを全部完済をしたわけでございます。現在残っておりますものは簿価で九月十九日現在で三百億。 共同証券のほうは、日本銀行の借り入ればピークで六百七十億くらいだったと思いますが、八月の二十三日にこれを完済いたしました。その後は、借り入れ金としましては市中銀行等からの協調融資分一千億の債務が残っております。保有しております株式の残存高は約一千三百億であります。時価はちょっとわかりかねます。 それから、山一證券及び大井證券のほうの整理でございますが、これはその後債務の返済は順調に進んでおりまして、ただいまちょっと数字を持っておりませんが、予定よりもかなり早いテンポで整理が進んでおる状況でございます。(佐藤(觀)小委員「この間答弁したじゃないか」と呼ぶ)いま佐藤先生からお話がありましたが、九月四日に御質問がありましたときに申し上げましたが、山一の特融は当初額二百八十二億でございましたけれども、返済されました元本六十二億、したがって、元本として残りますのは二百十九億でございます。このほかに利息として五十六億の返済を行なっておりますので、その返済額の元利合計は百十九億、大井證券のほうは当初の借り入れが五十三億、返済額元本六億八千万円、残存元本が四十六億で、利息分が十億七千万ほかにありますので、返済額元利合計が十七億という数字になっております。
○村山小委員長 佐藤君。
○佐藤(觀)小委員 森永さんにお尋ねするのですが、実は森永さんとはちょっと感傷的なことになりますが、私が予算委員会の理事をやっているときにちょうど主計局長として非常に活躍され、次官をやめてからベルリンのケペンスキーホテルというところであなたとばったり会って、きょうは珍しく証券取引所の理事長としてここに相まみえるわけであります。人生感慨無量なものがあります。森永さんは主計局長になられ、名次官といわれたのでありますが、銀行を回り回って今度は証券界に行かれて証券の王者になられたが、前の井上さんのときには不景気だったけれども、あなたのときには非常に景気がよくなって、非常に運のいい人だと思うのです。 そこで、いま免許制というものがしかれまして、あとで瀬川さんから話があると思うのですが、まだ半年になりませんが、この免許制ということについてどういういい結果が出てどういう悪いところがあるかということをまずお伺いしたいと思います。
○森永参考人 証券業界の免許制は、この四月一日に最後の仕上げを終えましていよいよ実施されまして、いわば新体制に入っておるわけでございますが、当初取引所の会員ないしは有価証券業者を登録制で始めたということが、私はむしろ日本の実情に即さなかったのではないかという感じがいたします。証券取引法が制定されましたとき、私も大蔵省におりまして、関係はございませんでしたが、ひそかに、アメリカのようなしゃれた制度をそのまま日本に導入することは一体どういうものだろうかという感じでながめておりました。その後の登録制の実施の実情を見ますと、私が心配いたしましたような点がはたして事実となってあらわれたような感じがいたしたわけでございまして、お客様に迷惑をかけたようなこともございましたでしょうし、また、業者の自然淘汰も行なわれまして、結局本来あるべき免許制にたどりついたんだというふうに私は考えております。大事なお客様の貴重な財産に関連した取引に従事するわけでございますので、信用が第一でございます。その信用の基礎を免許制によりまして洗い直しまして、たいへん充実した内容のもとに証券業が再発足したことは、まさにさもあるべきことであったと考えておる次第でございます。 免許制実施後の状況は、まだ日にちがそうだっておりませんですが、たまたま今度のような活況に恵まれましたのは御同慶の至りでございます。ただ、その活況に業界が酔いしれることなく、この天の与えました活況を機として、一そう体質の改善、健全経営の確立にいまこそ十分努力していかなければならぬと考えておる次第でございまして、免許制そのものにつきましては、先ほども申し上げましたように、当然さもあるべきことがようやく実現したんだというふうに考えております。
○佐藤(觀)小委員 いま瀬川さんからも話がございましたが、あなた大蔵省の出身だから御承知だと思うのですが、証券の分離課税の問題について、これはわれわれ反対してもこのような分離課税が現在認められておるわけですが、この問題についてはどういうふうに考えておられますか。
○森永参考人 分離課税がいいのか総合課税がいいのか、税制の理論としてはいろいろな立場からの議論ができると思いますが、一番重視しなければならないことは、株式配当と預金利子の公平な取り扱いということに帰着いたします。そして現状に即して申し上げますと、せっかく資本市場育成をしなければならぬ大事な機会に当面いたしておるわけでございまして、このまま放置いたしますと、ほんとうに自己資本比率は低下の一途をたどり、株式の面目いずこにありやということにもなりかねない今日の状態におきましては、株式配当におきましては、少なくとも現行の源泉選択制度が維持されることが望ましいと存じます。さらに進んでは、銀行預金との間に公平な取り扱いが実現せられることが望ましいというふうに考えております。
○佐藤(觀)小委員 あとまだ質問がありますから、今度瀬川さんに少しお尋ねしたいと思うのです。 御承知のように、いま只松委員が言われたように、景気が非常にいい証券界は全く花が咲いたような状態ですが、ちょうどきょう、瀬川さんと田中角榮さんたちが一緒に日経で座談会をやっておられますが、私は、あのときのことについては田中角榮さんなんか一番悪い元凶だと思うのです。いずれ只松委員から山一證券のことについて言われると思うのですが、山一證券も悪いけれども、山一證券をああいうようにさせた原因は当時の大蔵大臣にある。大蔵大臣のあれを見ると、ああいう人だから弁解はしておられませんけれども、私は非常に責任があると思うのです。そしていまこういうふうにダウ千八百円になるように景気がいい。瀬川さんのところを大将にして、四大証券みんなよくなってしまって、あと小さいやつはあまりもうからぬ。こういうことになると、その格差がますますひどくなるという状態になるのですが、その点は四大証券の中でも一番強い野村証券の瀬川社長はどういうふうにお考えになっておりますか、率直に御意見を伺いたい。
○瀬川参考人 いまの御質問に対して、劈頭に田中大蔵大臣が証券市場を悪化さした元凶だというようなお話がございましたが、私、決して田中元大蔵大臣を弁護するわけではございませんけれども、率直に申し上げまして、田中さんが大蔵大臣に御就任になったのは昭和三十六年だったと記憶いたしておりまして、就任早々にお目にかかったときにお願いしたことは、実は三十六年の暮れの株価対策だったのです。すでにそのときはたしか千二百五十八円まで千八百円から下がったわけであります。急激な下げがあって、それから始まって、実は御在任中、最後に共同証券、保有組合ができるまでは、不況下においていかにして回復するか、そういう御相談ばかりで、実はこの間久しぶりにお目にかかって、大蔵大臣のような感じがすると申し上げましたが、株がよくなってからお目にかかったのは初めてです。ところが、終始一貫同じようなお考えで、いまも変わっておいでにならないで非常に敬服した次第ですが、実は三十六年の高度成長までの証券界の内部の体質というものが、御承知のような過度の増資とか証券業者自身の至らぬところがありますが、いろいろな面でも悪化しておったのです。実はそのあと始末だったわけで、それまではそういう証券界を直接御担当になっておらなかったので、非常に御苦労なところにおいでになったと私は感じておりました。その点よけいなことかもしれませんが、ちょっと申し上げておきます。 それから、いまおっしゃいました中小と大証券との格差の問題でございます。この点につきましては、実は全部がいまよくなっているわけでありますけれども、非常に差が開いてきているということは現実の問題でありまして、それは、いままで証券市場が過度の縮小からどうやら正常に復してきたという状態で、これから実は取り上げていかなければならない大きな問題じゃないかと思うのであります。ただ、いままでの経過におきましても、証券市場のいろいろなやり方というものは、実はちょっとほかの業界に見られないような、大中小がこん然一体をなした仕組みになっておりまして、いろいろな面でいままではそういう配慮が行なわれてきたのでありますけれども、これから一そうその差が激しくなってくるだろうと思うのです。 そこで、私も実はその点について腐心をいたしておりまして、このままほっておくとどうも対決の場になる傾向が非常に強い。しかし、対決よりも対話だ、お互いに話し合ってお互いの立場を考えてよく検討していきますと、そこに解決の道があるのだと考えまして、ひとつざっくばらんに話し合うような機会をつくろうじゃないかということを最近提案しておるのでありますが、ばくとして考えることは、やはり大証券と中小証券との格差が出る原因には、いろいろな点がありましょうけれども、やはり同じような市場で同じものを扱って、しかも同じ方向に一緒に進んでいる。そこに資本力の差とかあるいは信用の差とか、金融力の差とか、あるいは同じ商品を扱っておりますものですから、そこに組織上、仕組み上の差がついてくるだろうと思うのです。 そこで、とりあえず自分の頭にばくとして考えられますことは、何としても中小証券の金融の道は、先ほど申し上げた証券金融の道が単に大きな会社だけではなしに全体に潤っていくような、そういう制度をとらなければならない、こういうことも考えなければならない。現在、信用取引というものは中小が非常に仕事の分量が多いのであります。われわれの融資のワクというものを少し減らしまして、その金を中小証券へ回していくということも考えられますが、単にそれは一例でございますけれども、金融の問題についてやはり考慮していかなければならぬだろうということと、もう一つ、商品の扱う対象が同じ方向に向いている。しかしながら、今日の日本の証券市場は、いまから何年前でございましたか、特に社会党の皆さんのお骨折りのおかげで第二市場というものが発足いたしました。これの功罪は別といたしまして、長期の考え方でいきますなれば、これはなおかつ大きく発達させていかなければならない要請がございます。また、そういう情勢に向きつつあります。そこで、その辺にひとつお互いに仕事の分化がはかれるのだろうかというふうなことやら、実は暗中模索いたしております程度でございまして、その程度にお答え申し上げます。
○佐藤(觀)小委員 これは瀬川さん、せっかくですが、実は山一證券などに政府がああいうようなことをやったということについては、当時、池田さんがなくなったからどう言われるかしりませんが、池田総理と田中大蔵大臣が、あまり景気の悪いことを言ってもらっては困る。山一證券のほうからもいろいろな問題があって、政府はできるだけ下から不況と言わぬでおいてくれというような内輪話があったということも聞いておりますので、これはここでそういうことを問おうとは思っておりませんが、ある程度まで政府の責任がある。御承知のように、アメリカのドル防衛の問題があって、相当日本の金融界が動揺しておるところへ、そういう証券界から不況の声を出してしまうと、ただでさえ不人気の池田内閣が困るので、そういう声があった。ぼくは一面の真理だと思います。そういう裏話も聞いておりますけれども、それも真意を問おうとはいたしません。 そこで、きょう銀行協会の武田さんから言われたのですが、いわゆる預金者の保護のために、投資家の保護という問題がおそらく問題になると思う。どういうわけかというと、あなた方のほうではどんどん上がるときには左うちわだけれども、下がると、大蔵省何をやっている、証券協会何をやっておると言う。そういう言い方はけしからぬと思うのですよ。とにかくもうかるときは黙っておって、損がいくと大蔵省に文句を言う。こういうやり方はかってじゃないかというように思うのです。 もう一点は、只松さんからも言われたのですが、共同証券のたしか一千三百億ですか、それをなぜいま景気のいいときに放出しないのか。何か理由があるのかどうか。 あとの人が質問したあとで私、質問しますが、その二つの点をちょっと御説明を願いたい。
○瀬川参考人 一つの問題は、共同証券がなぜ千三百億持っておって放出しないか。保有組合のほうはもう御承知のように済ませました。もうこれは終了いたしました。しかもこの四月ぐらいからピッチを加えてまいっておりましたから、かなり安いところで売りまして、市場の激化要因を是正するという役割りを大きく果たしたと思うのです。もともと安定要因としてつくられた機関でございますけれども、幸いにしてこういう状態になりましたために、市場の激化要因を防止し得たということは、両方の職能を果たしたことだと思ってひそかに喜んでおります。 共同証券のほうは、御承知のように株式会社でございまして、百三十九社からなる独立の機関でございます。これも、いままで保有組合と二重に、一緒になって競合的に売りますと、市場をやはり逆に押え過ぎる、あるいは混乱さすという御配慮もあったのだと思いますが、ぽつぽつおやりになっておるように聞いております。先ほど申し上げましたように、私どもの希望としては、なお千億の借り入れ金が残っておるということでございますから、資本金と利益に相当する程度に達するまでは、こういう時期でございますから安定要因として売却を続けていただければいいという希望を持っておるわけでございます。
○佐藤(觀)小委員 投資家保護のほうは。
○瀬川参考人 投資家保護の点につきましては、これは証券業協会といたしましては、今度寄託証券補償基金制度というものを創設いたしまして、まず第一歩を踏み出したわけでございます。 それから投資家に対する勧誘態度につきましては、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、前の経験にこりて、きわめて冷静な、クールな態度で、審判官としての立場で投資家に接してもらいたいということを、実は口をすっぱくして言っております。何ぶん大ぜいの人間でございますから、末端において行き過ぎがあるかもしれませんけれども、大きな方針といたしましては、内部に各社ともそれぞれ通達を出しまして、また、それぞれ重役を派遣しまして、冷静な態度でこの状態に対処してもらいたいということを申し上げております。 ただ、先ほど森永さんからもお話がございましたけれども、いままでの株価の水準というものは、これは冷え切ったものがどうにか常態に戻ってきたということであろうと、私はおおむね思うのでありますが、ことに先ほど申し上げましたように、現実に大きな株式があの間に売られたということは、これは森永さんのところのおやりになった規制以上の効果が市場にあったわけで、もしあれが売られなかったならば、もっと大規制をやらなければならない状態がおそらくきておったのじゃないかと思う。 そこで、これからの株価というものは非常にむずかしいところにだんだん差しかかってくるだろうと思うのですが、きのうも実はそういう問題で、いろいろ規制し、いろいろお客の相談に乗るんなら、株価というものはどの辺が妥当かという一つの考え方を、中立的な責任のあるところで出したらどうかというような高橋亀吉先生の御意見があったわけですが、これは実はなかなかむずかしい問題で、さりとてこれは非常にいい御意見で、そのままほっておくべきことじゃなしに、いろいろと検討しなくてはならない問題だと思うのです。 御参考に一つの事例を申し上げますと、皆さん御承知でございましょうが、アメリカのシカゴ大学に株価リサーチセンターという機関がございます。ここヘアメリカの一番大きい証券会社のメリルリンチという会社が第一回目だけでも十五万ドルの資金を投じまして、二回にわたる株価調査をやったわけでございます。それは総合的な投資効率を過去にさかのぼって、一九二六年から一九六五年まで、二回にわたって調査をやらしたわけでございますが、第一回の調査が一九二六年から始まりまして一九六〇年までの調査をいたしまして、それから第二回の調査を一九二六年から今度一九六五年までの調査をいたしましたところが、アメリカのニューヨーク・ストック・エクスチェンジの上場銘柄の総合利回り、これは値上がりも収益率も入れまして、キャピタルゲインを入れて、総合利回りの平均が九分に回ったという結論が出ているわけです。むろんこれからのそういう株価の一つの目安というものを出すためには、現在のいろいろな指標の上に、将来の値上がりとか、あるいは将来の収益率ということを織り込んでいかなければならない。そのためには経済の発展がどうなるかということを織り込んでいかなければならない。なかなかこれはややこしいむずかしい問題で、アメリカでも電子計算機を使ってやっている。これはそこまでで来ているわけなんです。六五年までの総合利回りを見立てて九分という計算が出た。東京証券取引所では、傘下の経済研究所に昭和二十七年から四十二年までの銘柄別に、銘柄個々の総合利回り調査、いま申し上げたような意味での利回り調査をやってもらっておるわけでございますが、これは日本の場合には、昭和二十七年から昭和四十二年の間に六分利回り以上に回ったものが八〇%、それから二割以上に回ったのが二〇%というふうな資料が出ているわけでございます。私のほうの総合研究所でも、実は東京証券取引所第一部の上場銘柄全部にわたりまして、十一年間のデータファイルを昨年完了いたしまして、そしてデータがいつでも出るような準備ができておるのであります。しかし、そういうことを一つ一つ積み重ねながら、個々にいろいろの条件を入れて何かそこにひとつ目安というものが生まれぬものだろうか、その目安が生まれれば、どこの研究所あるいはどこの調査ではこういう条件でこういう目安が出ている、ここではこういう条件でこういう目安を出しているといういろいろの数字が出ますから、そこで投資家はそれを一つの基準にして、これ以上あぶないんじゃないか、どうじゃないかという判断がおのずから下せるということで、過去にあったような規制とか、あるいは株価といいましてもどこまでいくのかどうかということはなかなか見当がつかない問題でございますから、何かそういうことでも開発しながら、そういう面で株価の激化をなるべくとめていくことができぬものだろうかというふうなことを手探りでいま考えておりますようなことでありまして、決して私どもは過去の間違いを再び繰り返してはならないということを考えながらいろいろと検討しておる状態でございます。
○只松小委員 先ほどちょっとお聞きしましたが、これだけ証券界が上向いてきても、なおかつ保有組合、共同証券、あるいは山一は相当の業績をあげておると聞いておるわけですけれども、なおかつやはり、六十二億ですから二百二十億からの日銀特融と、まだ市中銀行のものは残っておるんでしょう。こういう状態だと思うのです。しかし、一般証券界にはこういうことはある意味では忘れられた形といいますか、ほとんど問題にされないできておるわけです。多少話はそれますが、たとえばいま瀬川さんの口から出ますように、保有組合云々、あるいは共同証券は株式会社だからという話がたびたび出るわけです。しかし、あの当時のいきさつをお考えになればわかるように、大蔵省なり日銀なり、とにかく泣きついて保有組合、共同証券をつくられたわけであって、何も大株主がぽんとできたり、民間銀行が喜び勇んでつくったものではないと思うのです。そういうことならいまの調子でいけばこの次また落ち込むのではないか、落ち込んだときは何も国会や政府の世話にならない、株式会社をつくってやるんだから、こういうことになれば私はいいと思うのです。しかし、そうではないだろう。さっき佐藤さんがおっしゃったように、上がるときはかってにやって、私たちは株式会社だからもうけは適当に処分する、しかし落ち込んでくると、国会何とかしてくれ、日銀何とかしてくれ、大蔵省何とかしてくれ、しなければパニック状態に入ってしまうからといってくる。こういうことを繰り返さなければ私はいいと思いますけれども、繰り返した場合にはたいへんなことになるだろう。したがって、これだけ上向いてきたときは当然前回のそういうものはもっと証券局長も含んでおられて、明確に処理事項は処理事項として処理したほうがいいと思うのです。そういうものは全然――全然じゃないけれども、あんまりさわらないで前へ前へと行く。私も商売人じゃないからあれだけれども、多少聞いたことや何かからすると、いまの株価がこれだけ動いておる、これはほとんど機関投資家であって、まだ昔のような個人の投資家はそんなに出てきているわけじゃない。そこで、あなたが言われておる大証券と中小証券の格差の問題が出てきていると思うのです。 だから、そういうことをずっと突っ込んでいってこれを見ていった場合には、まず一つの問題点というのは、これは処理事項になっておりますから、これを大蔵省側はもっと明確にというか大胆に処理すべきだと思うのです。そういうことを含んで、大蔵省が証券界と癒着していやしないか、こういうことをぼくらはちよいちょい聞くわけですけれども、そこまで私はないと思うが、もう少しこういう問題を、山一なら山一にどんどん返却させていく。あるいはこれだけよくなったならば、市中銀行から借りてでも、市中銀行は余っているわけだから、日銀分は返済しろということで日銀分は大幅に返済さしていくか、いろいろな方法があると思うのです。しかし、片一方ではいい、いいといって、イザナギ景気だと謳歌しておいて、片一方では無利子、無催促で日銀の金を借りておいてそれがほとんど残っておる、そんなばかなことがありますか。こういう問題はもう少し、大蔵省側もそうだが、証券界の皆さんもそういう点はそういう点でやはり謙虚にお考えになって問題を処理したほうがいいのじゃないか、こういうふうに思います。そういう対策をどう――さっきは現況だけ聞いたわけですが、今後の対策について……。
○広瀬説明員 保有組合のほうは、先ほど来御説明がございましたように、もう最後の整理の段階に入っておるわけでございまして、来年の一月が期限でございます。それまでにすっかりきれいになるという予定になっております。 それから共同証券のほうは、先ほど申し上げたような簿価で千三百億というものが残っておりますが、これはやはり保有組合のほうを先行させるということでやってまいりました関係上、保有組合のほうが先に済み、共同証券のほうが残ったわけでございますが、今後は共同証券の株だけが残っておるわけでございますので、これの放出が中心になっていく。したがいまして、いままでは月々のベースも共同証券のほうはそう高くなかった。たとえば七月には保有組合のほうは三百億余りを放出したのに対しまして、共同証券は百億、八月は保有組合が四百八十億に対して六十七億というベースであったのですが、九月以降は、時によって違いますが、共同証券もかなりのベースで十億以上を放出するという日も続いておるというふうに思います。したがいまして、できるだけ早くこういうものは片づけたほうがいいという考えで進んでおります。 それから山一証券、旧大井証券の問題につきましては、先ほど申し上げました数字は当初のベースからすればかなり進んだベースでございますが、これは当初日銀と山一証券の契約で月々のベースが二億何がしかのベースであったのですが、それに対しまして臨時の不動産の売却等による臨時返済分というのがかなりありました関係上、進んでおりますが、今期、この九月期はかなりの収益が上がります。したがいまして、それに基づいてまた臨時返済というものが行なわれるというふうに予定されております。先生のおっしゃるような方向に向いていくと思われます。
○只松小委員 これだけで時間をとってもしかたがありませんが、こういうものはこういうもので、いわば借金は借金で処理して新しいうちならうちを建てるということで、新しいうちを人の借金を当てにしてやっていくというような、あまりみっともないことはしないほうがいいと思う。 それから、いま株価が非常に上がっておるといわれているが、その上がっておる原因は一体何だ。さっきからいろいろ一般的な問題としてお話しになっておるが、そんなに会社の業績がよくなったか、そんなに利回りがよくなったか、いろいろ見ると、特別にこの二、三カ月ですっとよくなったり、この十五日間くらいでダウ百円も上がるようなよくなった何かがあるかというと、なかなかそういうものは見当たらないですね。その中に幾つかあるが、その一番大きな要因は、結局四大証券を中心として買い上げておる。その中心は結局機関投資家である。特に個人投資家あたりには低位株をどんどん売らせて値上がり株を買わせておる、こういう形のものが非常に見受けられる。さっき顧客態度や何かに対しては慎重にということを非常におっしゃっておりましたけれども、末端に行くとなかなかそうではなくて、この株は上がる株ということでどんどんそういう株が押しつけられ推奨されて、そして手持ちの低位株は、早く売ったら、たいして上がらないからというて買い上げられておる、こういう現象が相当強いやに聞いておるわけです。こういうことが、部分的ならいいけれども、全般的に行なわれておるとするならば、そして上がるところまで上がって高い株がすぽんと落ちるということになると、さっきから言われておるように、おそらく二度とこの証券界に大衆が寄りつかない。直接資金吸収の手段というものがほとんどとだえてくる、いろいろ重大な問題がここに起こってくるだろう。それだけに私は、今度の株価の上昇というものは証券界なり産業界にとって慎重であらねばならない、こういうふうに思うわけです。別に私たちのそういうことが杞憂であればいいけれども、きょうの、たとえば日経の瀬川さんがお入りになった座談会の中でもある人はそういうことを言っております。あるいは一般的学者の中にもそういうことを言っておる人があるわけです。必ずしも、証券界の方が言っておるように、株価の上昇というものは強気の見方だけではないわけですね。だから、そういう面について、単に当面の証券界の景気がいい、悪いという問題だけではなくて、日本の経済全般の問題からもう少し私は慎重にやるべきだ、そういう立場から、特に大蔵省や監督官庁はそういうものについてやはりもっと勇気を持った配慮をする必要がある、こういうふうに思うわけなんです。皆さんのほうで何か具体的にこうこうこうだ、たとえばあとでも聞きますが、外資からの買い入れというものが相当大幅に進んできておりますが、これなんかも相当大きな要因だろうと思いますが、そういう外的な要因だけでなくて、内的に何かこんなに株が上がる原因がありますか。なければ、操作されていると言われてもしかたがないのじゃないですか。何か上がる原因というものがあったらひとつお示しをいただきたい。
○広瀬説明員 現在の株価の状況につきましては、先ほど森永理事長、瀬川会長等からもお話がございましたが、やはり大きな筋としましては、企業業績の好調、それからことに金融引き締めの緩和というようなところがてこになっておりまして、いまおっしゃったような株価操作的なものというもの、これは全然絶無ではないかと思いますけれども、しかし、これは免許制のことにつきましても先ほど御質問がございましたが、免許制も、証券業界の中で何というのですか、非常に自粛をされておりまして、今度万一間違ったようなことがあれば証券業界そのものが全く見放されるような状態にもなりかねないわけでありまして、その辺は非常に慎重な態度をとっておられますので、大きな筋としての経済情勢からきているというふうに私どもは判断しております。
○瀬川参考人 いまのお話の中に、これはむしろ、証券局長から抽象的にお話になったのでありますが、四大証券が中心になって株価をあおっている、そしてそれを大いにはめ込んでいるというお話がございましたが、これは私どもといたしましては非常に不本意なお話でございまして、今度の株価が上がった一番まず最初にあげられる理由というものは、私はやはり日本経済がいままでにない型の発展をしてきたということだと思います。経済が実質一〇%も成長をして、なおかつ外貨がどんどんたまっていくというような経済の発展のしかたというものはいままでに日本には一回もなかった、これは新しいパターンであります。世界で見ましても、ドイツだけがその型を続けているのでありまして、日本におそらくいままでにない大きな見通しの誤りといいますか、うれしい期待はずれといいますか、大きな経済の発展が背後にあって、そして事業会社の収益が連続増収、増益を続けていることだと思います。 今日の一株当たりの最近までの利益は十円五十銭になっております。昭和三十六年のあの神武景気のときには一株十円三十銭というところでございましたからして、それをはるかに抜いておるのであります。なお来年の三月、来年の九月は、私は専門家ではないからわかりませんけれども、いろいろなアイテムから見て、増収増益を続けていくだろうという見通しが濃いようであります。 そういう見通しの背景のほかに、やはり世界的な株高というものが外から起こってきておる。世界的な株高が起こってまいりまして、日本の個人投資家が――先ほど機関投資家と一証券会社が結託して相場をあおっているというお話がありましたが、機関投資家よりも、むしろ個人の投資家が非常に多く動いてきたということは事実でございます。これは個人の金融資産からいえるのでございますが、日本の個人の金融資産はいままでの蓄積が四十兆円を超えております。それから一年に大体六兆円くらい毎年ふえております。ところが、その四十兆円のうち株式投資は一割を切っている程度であります。つまりこの五年間は、個人の投資家が非常にストックマインドを失って、そうして証券市場から遠ざかっていたということでございます。ところが、大体諸外国の例によりますと、その人の貯蓄が年間の所得に匹敵してきたら、その金は株式市場、有価証券にいくということになっております。それが共通の傾向でございます。つまり、たとえば百万円の収入のある人が、百万円の貯蓄ができますと、それが株式投資に進んでいく。日本の所得水準も御承知のようにどんどんふえてまいります。ふえてまいりますと、どうしても株式の量が多くなってくる。ところが、いままでの投資家は、自分の手元を見まして、金がたまっても、調べてみると、非常に有価証券にいっている率が少ない。しかも世界的に株価というものは非常に変わってきた、景気が変わってきたということで、このストックマインドの回復ということが、やはり一番大きな原因だと思います。これが年間六兆円のうち、かりに証券市場に一割くるとしますと、六千億円まいるのであります。四十兆円だと、その一割は四兆円ということになるわけでございますが、そういうきざしが見えてきたわけであります。 私は、機関投資家、法人全部除いて、個人の売買が受け取り超過になるか支払い超過になるかという調査を毎月会社でやらせております。ところが、昨年の九月から毎月個人の投資が受け取り超過と申しますか、個人の株式投資が月間三十億とか五十億とか、差し引きしてみるとふえてきている状態であります。それが年が変わって、イギリスの平価切り下げを契機といたしまして、ずっと外からも出てくるし、内側からも出てくるということになりまして、ことしの一月と六月を比較いたしましても、個人の投資家の三万株以上の投資が四倍にふえているというような数字が出ておりますが、保有組合の株式の解除も、個人向けをやりましたのはことしの四月からやりまして、四月から売りましたのが七、八百億になっております。法人向けよりもむしろ個人にその株が売れていったというこの事実は、これは見のがすことができないと思うのでありまして、いまの証券市場は一部の業者が相場をあおったりすることのできるほど小さな証券市場ではございませんし、われわれも免許制によりまして、手持ちの有価証券を極度に圧縮して、そうして純資産の半分以下のものになっておる。昭和三十六年のときには、おそらく証券業全体で二千億円以上所有していた。これは証券勘定、投資勘定を含めましてでございましたが、今日ではせいぜい千五百億円程度のものではないかと思います。それから昭和三十六年の激化要因であった投資信託を見ますと、この間はみんな売っておったというような状態で、これも安定要因になっているということでありまして、今度の株の値上がりというのは上がるべくして上がったので、きわめて自然な状態であった、こう考えざるを得ないのであります。 これは株価のことでございますから、御見解の相違はございましょうけれども、われわれは断じて行儀の悪いことをしたのではないということを申し上げておきます。
○只松小委員 私もいま、参考人に来ていただいたのですから、そう論争しようとは思いませんけれども、いわゆる人気株といいますか、それほど実績がないにかかわらず、あおられた株は上がっているわけですね。しかし、いま電力とかガスとか、そういう実績があって、一円も動いていない株もあるわけです。だから、どこをとってどういうふうにごらんになるか、これは見方その他いろいろあると思いますけれども、ぽつぽつ個人投資家も出てきたということを聞いておりますし、あなたのおっしゃることも一部うなずけますけれども、全般的に株が上がった、あるいは実績がいいとか資産がふえたというのではなくて、大和ハウスとか立石電機のようにあおられた株が上がっているというのも事実であるわけです。だから、あなたが開き直られるほどのことではないと私は思います。だから、私はそういうことよりも、ひとつお願いしますが、がんばって落ち込んでこないようにしておいてください、そういうことを言っておるわけであります。
○瀬川参考人 よくわかりました。
○只松小委員 これはあなたたちをいじめるのではなく、産業界、証券界全体のやはり今後の問題に非常に重大な問題だと思うのでありまして、取り返しのつかない事態を招きはしないかということをおそれるから、実はそういうことを言っておるわけであります。 それから、それともう一つ、そういう意味において言っておきますと、この前の岩戸景気といわれたときには、証券界の労働者が十万人おりましたね。いまは六万人しかいないでしょう。したがって、オーバー労働になっている。夜の十時、十一時まで働いているというのが事実ですね。それもあなた方にお考え願わなければならない問題です。しかし、個人投資家や何かはそれほど動いてきていない。ほんとうに前のように動いてくれば、この六万人では仕事ができないはずです。コンピューターとか電子計算機が大幅に導入されたわけじゃない。そういうことをいろいろあげたところで、あなたのほうでは反論されるでありましょうが、ここでは参考人として来ていただいたので論争しようとは思いませんから、これでやめておきます。 それから一つ、ついでに言っておきますけれども、したがって、この労働問題も証券労働者にとっては非常にオーバーワークになっている。このことも、ただもうけた、もうけたというだけでなく、ボーナスを少しよけいに出すからといってあまり酷な使い方をしないようにしてもらいたい。もちろん人集めも容易じゃないと思いますが、あまり証券労働者を酷使しないように、機械化をはかるなり、あるいは場立ちをやめる。アメリカあたりでは、労働者のオーバーワークだけでなく、あまり騰貴する場合には一日休んだりなんかしますね。そういうことも私は考うべきことだと思います。証券市場があまり過熱したような場合には場立ちをやめる、こういうこともこのオーバーワークとともに考えてもいいんじゃないか、私はこういうふうに思いますが、いかがですか。
○瀬川参考人 御承知のように、人口十一万人から六万人に減ったということは事実であります。しかも取引高が相当ふえたということも事実でありますが、大まかにいいまして、これは御意向に反するかもしれませんが、やはり人と入れものというのは扱い方だというふうに私はしみじみ思います。しかも、その減った人口というのはどういう人口だったかというと、女子が多かった。コンピューターの利用がまだ緒についておらぬとおっしゃいますが、大体水準として見まして、 コンピューターの利用は、ほかの業界よりも証券界としては非常に進んでおります。昭和二十八年くらいからコンピューターにかかっておりますが、その間にやはり数千人の人手を節約するような実績があがっております。ただ、業界全体として見ましたときに、上位の会社はそうなっておりますが、コンピューターの利用というものは完全ではないのでありますけれども、証券取引所に証券計算センターというものを早くからつくっております。これはレミントンのユニバクで、たしか日本で二番目くらいに輸入しておりまして、そこで中小証券の仕事を今日代行しておるのであります。いまのところ、そういう御指摘になった点も注意していかなければならぬと思っておりますけれども、私どもの仕事から見ると、まだそこまでは考えていない、休まなければならぬような状態にまで来ていない。 それから同時に、労働強化だということですが、私どもこれは大事な資産でございますから、決してこき使ったり、仕事があるだけ仕事をさせようという気持ちは持っておりません。しかし、非常に注意して見ております。それから小口よりも大口の取引の量が多くなっておりまして、件数は総体的に減っているというようなことからいいまして、いまのところ御指摘のようなことはないと思いますけれども、今後激化していくような情勢もないではありませんので、そのときには適当な措置をいまから考えて講じておかなければならぬと考えております。
○村山小委員長 広沢君。
○広沢(賢)小委員 いまコンピューターの話が出ましたけれども、実際いろいろ聞きますと、労使関係も前近代的な点があるし、それからさっきお話しになったいろいろな問題の中で、私たちは直接金融、つまり証券市場を健全に育てよう、これは日本の今後の金融の方向だ、こう思っておりますけれども、それに際しては、先ほど言った問題でいろいろと株が上がったり下がったりする、そのため大衆が株式投資に対して危惧、不信をまだ持っておると思います。だから、漸次前進してきていることは認めますが、そういう点がずいぶんあると思います。その中でさらに前進しよう、健全化しようという意味で、いま証券金融の問題を言われましたが、私もいろいろと本を見ていますと、証券金融というのは今後非常に必要だと思います。 そこで、いま申されました証券保有組合の利益金、これをひとつ充てていくことも考えられますが、その他の出資をずっと集めまして、これは総合政策研究会で出しているのでは、証券専門銀行を設立しよう、これは瀬川さんもよく御存じだと思いますが、その中には、新銀行に割引債の発行を認めるとか、あるいはそれを金融機関及び一般に消化させるとか、それから証券関係の預金の受け入れを行なうとか、それから証券業者及び一般の保有の証券運用預かりを実施して、これを担保にコール資金を借り入れるとかいろいろありますけれども、こういう問題についてこういう案があるのですが、そちらのほうの証券金融について制度金融が望まれるということだけはおっしゃいましたが、それ以上は具体的な問題が出ていないのですが、この際、瀬川さんと、それから証券局長はどういうふうにこれを考えるか、お聞きしたいと思います。
○広瀬説明員 証券専門銀行の問題につきましては、いまおっしゃいました八月二十三日の総合政策研究会の提言の中に出ておりました。かなり具体的なかっこうとして出たのはこれが初めてじゃないかと思いますが、これに関連しまして九月の初めの大蔵委員会で、やはり佐藤先生から御質問がございまして、大蔵大臣は、その問題も含めて証券金融全般の問題につきましていろいろ検討しているというふうに御答弁なさいました。この問題は、先ほどの瀬川さんのお話にもちょっと触れられておったようでございますけれども、専門銀行という形になりますと、各方面に与える影響も非常に大きいものでございまして、大蔵省としましても証券局だけの問題ではございませんで、銀行局も理財局もそれぞれ関係してくるところが非常に大きくございますし、また、役所だけではなくて金融界、産業界、証券界、いずれにも大きな響きのある問題でございますので、きわめて慎重に検討していかなければならぬというふうに考えております。
○広沢(賢)小委員 それ以上答えられないと思いますが、もう一つは、いま株がずっと上がっておりますね。未曽有だというふうに非常に自慢されましたけれども、問題はそれを正しい道、たとえば増資の方向へどういうふうに導いていくか、新聞にも増資の可能性が出てきているということですが、その段取りについて森永さんにお聞きしたいと思います。
○森永参考人 先ほども申し上げましたように、いまの証券界の活況を、単なる流通市場の活況にとどめず、増資がもっとできやすいような環境をつくり、ほんとうに産業資金の調達の場としての証券市場の機能を確立しなければならぬ、そういうふうに考えているわけですが、具体的にどうしたらいいか、いろいろな問題があると思いますが、まず証券流通市場そのものが健全であり、公正な価格決定が行なわれるということが必要であることはもちろんでございますが、それに加うるに、株式もまた商品でございますので、その商品としての魅力が増すようなことを考えなければいかぬ。結局、経営者が株主に対してどういうふうに報いていくかといったような問題、日本でもりっぱな経営者がおられまして、株主尊重の経営がたくさん見受けられるのでございますが、そういうことがもっと一般化しまして、株主の立場の尊重という意味での企業経営にもっと徹していかなければならぬのじゃないかと思います。 それから税の問題がやはりそこに非常に大きくからんでくると思います。同じ量の産業資本を借り入れ金で調達する場合には、その利子は損金になりますが、配当でございますと、幾らか軽課はされておりますけれども、やはり利益金として課税された残りしか配当できない。そうしますと、借り入れ金の場合よりも何割増しかの、あるいは二倍くらいになりましょうかの利益を上げないと同率の配当ができないというようなことにもなる税制になっております。いま税制調査会でも企業税制の問題を根本的に取り上げようというような空気になっておるようでございますが、その場合には、企業側における配当課税の問題がどうあるべきかといったような問題につきましても真剣に御討議を願わなければならぬのじゃないかというふうに考えます。 それからもう一つは、市場での増資の慣行がいまのままでいいのかどうか。いままでは額面割り当てということによって今日の産業の発展を見てきました。その効果は大きいと思いますけれども、究極のあるべき姿としては、やはり時価発行といった問題が話題にのぼってくるのではあるまいか。もちろん、先ほど瀬川さんもおっしゃいましたように、額面割り当てを基礎にした株価形成の現状を急激に変更することは、いろいろな問題が起こりましてたいへんなことになりますが、徐々にそういった新しい増資の形態になれていくような意味での検討、努力も必要じゃないか。時価発行は何年後にできるか知りませんが、そういうことになってまいりますと、流通市場そのものもはるかに穏やかな動きになるというようなメリットもあるわけでございまして、そういう増資の方法の問題などもそろそろ検討をしていかなければならぬのじゃないか。と申しましても、誤解がないように申し上げますが、急激に移行することはむずかしいのでございます。いろいろ弊害がございますが、だんだんにそういう方向に向かってもいいようなムードをつくっていくべき時期じゃないか。 そのほか、いろいろな問題があると思いますが、ぜひ流通市場の繁栄を単にそれだけで終わらせずに、産業資本の調達がこの場を通じて盛んに行なわれ、その結果、企業体質も強化せられる、また、経済の安定的成長も期せられる、そういう状態を一日も早く達成するように、関係者一同、ほんとうにこれからの努力がたいへんだというふうに考えております。
○佐藤(觀)小委員 瀬川さん、だんだん景気がよくなると婦人や子供まで投資をするというのですが、今度は外人の投資が特にふえたという現象ですね、これはどういう原因でしょうか。
○瀬川参考人 お答えいたします。 御承知のように、外人投資は昭和三十七年が最近における最高でありまして、年間九千万ドルをこえたわけです。それが利子平衡税と、日本の経済が非常に反動におちいって山陽特殊鋼とかああいう事件が出た。ああいうときには一挙に三千万ドルまで減少いたしました。その後だんだんとふえてまいりまして、昨年はたしか年間一億二千六百万ドル、今年度は三億ドルくらいに達するのじゃないかといわれておるのであります。三億ドルと申しましても千億円ですからして、そんなに大きい数字ではないと思うのでありますが、とにかくそこまでいっておるのであります。 今度の外人投資のきっかけは、やはり世界的な株高と日本の景気の異常な回復というところに原因しておるだろうと思います。昭和三十六年のころは外国人から相当注文がまいりましたけれども、あのころは、日本の経済成長はなるほど目ざましいが、しかし、日本の会社の企業内容というものは世界的なワールドカン。ハニーから比較するとまだうんと劣っている。成長はするが内容は悪いなという、そういう程度の判断がはっきりあったと思うのです。ところが今度は、日本の企業の中に世界的な優良会社、ブルーチップの内容を整えた会社ができてまいりましたところから、これだけ発展してきた。そこへ貿易の好調、外貨の蓄積の増大から、円に対する信用力が根本的に上がってきたということが一つの大きなきっかけになったと思います。 ただいまのところ、九〇%くらいのところが個人投資家で、件数でいきますと一〇%が機関投資家、それから金額にいたしまして六〇%が個人投資家で、四〇%が機関投資家、向こうの投資信託というふうな大まかな数字になっておると思います。向こうの投資信託が盛んに買っておりますけれども、その規模たるやわずかなものでありまして、アメリカのジャパンファンドでも全体で百億ぐらいの投資信託。それからイギリス、オランダ、スイス、あの辺の投資信託としましても、日本の株式をいままで買っておりましたが、せいぜい二%か三%であったのが今度五%ぐらいにふやそうかという程度のことでありまして、これからむしろ外国人の株というものは多少ふえてくるのではないかという予想をいたしております。ちょうどこれは、一九五八年でございましたか、ドイツの株式にアメリカ人の投資がどっと入っていった。そして一九六一年にマルクの切り上げがありまして、外国人のドイツに対する投資家というものは非常に利潤をおさめたというような感じ、私は日本の経済が円が切り上げになるほど、そこまではよくならぬと思いますけれども、しかし、いまとにかく為替の強調な国では必ず外国の投資が集まってくる。為替の強調はやはり一国の経済の発展を表徴いたしております。かりに投資して、株を売った代金の回収においても為替のリスクというものはないわけでございますから、外人投資はこれからまだ続くのじゃないかと思います。 ただ、最近の外人投資を見て、これはホットマネーじゃないか、これはまた将来日本の株式市場、日本の経済にマイナスを及ぼすのではないかというような心配をする議論をちらほら聞きますけれども、まあこれは根本的に日本の経済が今後どうなっていくかということできまりましょうけれども、いままでの投資傾向、この程度の投資でありましたならば、そこまで取り越し苦労をする必要はないのじゃないか、もっと自信を持っていいのじゃないか。日本の証券市場もこの程度の――先ほど申し上げた、三千万ドルを割って盛んに売りものが出た当時でも、外人投資の売りが特に株価を下げた、非常にじゃまになったという事実を過去においても経験しておりませんし、また、これから売り買いともありましょうけれども、徐々にふえていくのじゃないか。ことに個人投資の場合には、外国の場合にはやはり長期投資、成長を買うという投資が多いわけでありますから、そういまから取り越し苦労の必要はないのじゃないかというぐあいに考えております。
○只松小委員 いまのに関連して、あとで聞こうと思ったのですが、外資は一月から七月までで一・七億ドル入っています。それから八月だけで八千万ドル、いまのままでいくと三億ドル、三億ドルならいいけれども、五億ドルぐらいいきやしないかというような説をなす人もある。とにかく三億ドルをこすだろうということのようですね。たいした心配はないというお話ですが、これは幾ら入ってきても心配ないということですか。一定限度にくれば多少警戒しなければならぬということなんですか。それとも、これはただ単に株価の問題だけで入ってきておるのか、いま乗っ取りまで考えていないだろうけれども、自由化とあわせてそういう傾向は全然ないのか。そういうような点、いかがでしょうか。
○瀬川参考人 乗っ取り、そういうことは、ちょっとわれわれにはよくわかりませんが、御承知のように、まだ日本は完全な資本の自由化をいたしておりませんけれども、制限業種が一五%、その他が二〇%になっておりますので、そうむちゃくちゃに買われるという心配もないだろうと思います。しかし、最近ニューヨーク市場の日本株の店頭取引で二〇%に達した株で、もはや日本から買えない、許可がおりないという株は、アメリカ人同士で盛んに向こうで店頭売買で売り買いされております。そのうち、六銘柄ぐらいのものが日本より五〇%から八〇%高で売り買いされておりました。一番高いのが富士フィルムでありますが、これは日本で二百円台でいるのが、向こうで四百円台で商いされておったということもあります。これなんか、どういう考えで買っておるか、日本人が考えている以上にアメリカ人は日本の株式に対しての買い気が強いのじゃないか。六つか七つぐらいの銘柄が、もはや日本から輸入できないで、向こうで高値で売り買いされておるという事実を知っております。
○只松小委員 それからさっき、時価発行について森永さんは賛成のようなお話であったのですが、瀬川さんはいかがですか。
○瀬川参考人 私は、いま時価発行の問題は、まず証券市場でどういう効果があるか、先ほどからいろいろ証券市場の先行きを御心配になって、めちゃくちゃに高くなって、大衆に迷惑をかけたらどうするかといういろいろ御意見がありましたが、これは株式市場の安定化に非常に役立つ方法じゃないか。私は、何千億という株がどんどん大衆に売れて、個人投資家に入っていった、しかも株が足らぬというような状態は、はなはだ荒っぽい議論ですが、時価で株を買うという慣習が一つの傾向として生まれてきたのじゃないかということを考えるのであります。 時価発行が証券市場にどういう影響があるかと申しますと、まず増資というものが自動的に調節されるというきき目があろうと思うのです。従来の例でございますと、証券市場が高くなったときには金利は安い。そして銀行は金が余っておりますからどんどん貸す。金融が緩慢だというので、高いときには一向それを調節する増資というものは出てこない。安くなりますと、たいてい金融引き締め下でありまして、銀行は金を貸さない。それから社債の発行はむずかしいというので、限界的な資金の需要が証券市場に出てくる。つまり、一番悪いときにむしろ増資がどっと出てきて、いいときには増資が出ないという傾向がありますが、時価発行になりますと、高いとき、株式市場の好調なときには時価発行が出てくる、低いときには引っ込んでしまうということで、おのずから調節される作用を一つ持っておると私は思うのです。それから、額面発行の場合と違いまして、市場というものが長期的に安定化する傾向があると思います。これは長期を考えてやらなければならない制度でありますから、長期的に安定する。さらに証券会社の引き受け責任がはっきりしてきまして、発行会社に対しても、投資家に対しましても、はっきりした責任が確立して、そしてわれわれの引き受け機能というものが確立してくる。こういうふうなきき目があろうか、証券市場に影響があろうかと思うのであります。 しかし、先ほど森永さんからもお話がございましたように、長年にわたって額面割り当ての慣習がございますので、いろいろな配慮をしなければ市場の秩序をこわす。こういう慣行に反して急激な時価発行というものに移行しますと、これは株主の期待権、五十円割り当ての期待権を奪いますから、投資採算に混乱を来たし、証券市場が混乱することになりかねないと思います。したがいまして、投資家の利益をそこなわないように産業界、金融界、あるいは関係方面と十分意見の交換をはかりまして、慎重な配慮のもとに順序を踏んで時価発行に移っていく必要があろうということは、先ほどもお話があったとおりであります。 証券界といたしましては、時価発行に移行するにあたりまして、株価への圧迫を非常に危惧いたしますために、発行会社が時価発行する場合には、あらかじめ事前に株主に通知せしめるという効果、事前にアナウンスをして世間が知ってくれる効果ある手段を選んで、アナウンスするということがまず大事だろうと思います。時価発行に移行する場合には、現実の問題として無償交付するかあるいは配当をふやすか、とにかくいままでの株主に対する期待権というものに報いて、それから時価発行に移っていく。五十円払い込みの期待権を補って、その上で時価発行に移っていく必要があろうかと思うのであります。それから当分の間、株主に優先保有の機会を与える。それから各企業が時価発行によって取得したプレミアムというものはできるだけ早い機会に株主に還元するということを経営者が約束する。そういう措置をとるべきだということで、統一見解を出しておるのであります。ただ、この点につきましては、産業界、金融界、銀行界、保険界というような、非常に関係の深いところの意見がそれぞれ提出されておりまして、その点において多少のニュアンスの違いがございますので、経団連の場でも調整をしていただいて、そうしてそう一ぺんにこんなものが出ることはありませんし、また、時価発行ができるような実力を持つ会社というものはそう多くないと思います。これを徐々に一つ一つ積み重ねをやって、そうしてなるほど時価発行というものはいいもんだということを示さなければ、この制度というものはふえんしていかない、そういうふうに考えておるのであります。
○広沢(賢)小委員 増資の問題で時価発行のことはわかったんですが、税金の問題で、利子の関係と公平にと言うのですが、この間も税制小委員会で問題になったんだけれども、公平に主眼があるとすれば、両方とも取ってしまえば公平になるのではないか、こういう荒っぽい議論があったんですが、一番主眼点はやはり銀行との関係で公平にというところに主眼があるのですね。これは森永さんにお聞きしたいと思います。
○森永参考人 株式配当も預金利子もいずれも資本の報酬でございまして、確定利付か不確定利付か、あるいはキャピタルゲインが伴うか伴わないか、いろいろの性格上の違いはございますが、実現した配当なり利子についての課税は、現行は預金利子と配当とでそんなに違えるべきものではないのではないかというのが私の考えでございます。もちろん、これには沿革とかいろいろな問題もございまして、なかなか理想どおりにはいきかねるということは承知いたしておりますが、理念の問題としては、現状のような不公平はできるだけ早く是正していただきたいというのが、私の偽らざる心境でございます。
○村山小委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 両参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席いただきまして、まことにありがとうございました。小委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時四十七分散会