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59回国会衆議院1968/11/06

大蔵委員会 第5号

発言数
113
登壇者
17
会派数
4
開催日
1968/11/06

会議録

金子一平自由民主党

○金子(一)委員長代理 これより会議を開きます。  都合により委員長が不在でありますので、私が委員長の職務を行ないます。  国の会計、税制、金融、国有財産及び専売事業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。只松祐治君。

只松祐治日本社会党

○只松委員 まず、建設省の関係の方にこの前から私がお聞きをしております河川敷の問題についてお尋ねをいたします。  これは本年度にも、春ごろだったかと思いますが、私が一ぺんお聞きをいたしました。それからずっと前に体育振興特別委員会が設置されたときに、委員会では非常に熱心に取り上げた問題であります。その当時、河川敷を開放する、こういうことでまず多摩川、多摩川がある程度緒についたならば続いて荒川、こういうことで、当時の新聞の切り抜き記事までありますけれども、ちゃんと開放計画が立てられて、当時の瀬戸山建設大臣の談話さえも、開放計画を具体的に進める、こういうことで発表されることになったわけです。その後の具体的な進捗状況をひとつお知らせいただきたい。

高橋弘篤建設省河川局次長

○高橋説明員 河川敷の開放につきましては、先生すでに御承知のとおりに、昭和四十一年ごろに国会でもいろいろ論議されまして、特に国民の体力づくりの問題、体力振興の問題、そういう問題がございまして、また同時に、最近の都市化現象によりまして、大都市周辺におきましてそういう公園緑地というものが非常に不足している現状にかんがみまして、次代をにないます青少年のレクリエーションなり、また、一般国民のいこいの場所としてこれを開放するという計画をきめまして、四十一年にその基本方針を定め、まず多摩川、荒川、江戸川の三河川につきましての第一次の開放計画を定めたわけでございます。  これにつきましての計画内容とその後の開放の状況を数字で申し上げます。  まず、多摩川につきましては日野橋から河口まで大体四十キロのところ、その区域につきまして第一次の開放計画をきめたわけでございます。多摩川につきましてはすでに占用者がございまして、その既占用のところも運動場でないところはこれを開放して運動場にするという計画で開放計画を立てております。大体全部で多摩川につくりました開放計画が百五十七ヘクタールでございまして、その中で五十三ヘクタールはすでに学校等が運動場として使用しておるものでございまして、これはいわゆる準開放と称しまして、学校がいろいろ運動場に使用しているということは、これはもちろんそれとして意義がございますが、一般の国民にもこれを利用させるという意味で、準開放と申して、一週間に二回ばかり、たとえば土曜日、日曜日などにこれを開放して、だれにでも利用できるというふうにしたのがございます。  それから、残りの百四ヘクタールにつきましては、四十一年度にすでに二十四ヘクタール、四十二年度に三十八・六ヘクタール、合計六十二ヘクタールをすでに開放済みでございまして、残りの四十二ヘクタールは四十三年度、つまり本年度の十二月末までにこれを開放することになっておるわけでございます。順調に十二月末、本年末までにはこれが開放されると考えておる次第でございます。  ついでに申し上げますと、多摩川につきましては、この計画以前からすでに開放しておるものが五十二ヘクタールばかりございます。これは運動場その他の公園、緑地に利用いたしておるわけでございます。それからいろいろな河道整備をいたしまして、新しくそういう公園、緑地、運動場をつくるという事業もやっておりますので、そういうものを合わせますと相当数になりまして、大体、全部の利用の七割ぐらいが利用されるということになるわけでございます。先ほど申し上げました、いままでの開放済みのもの、四十三年度を除きますと、大体率で申しますと七割が開放済みでございまして、本年十二月末になると、これが全部開放されますと、この計画の一〇〇%が開放になるということでございます。  次に、荒川でございます。荒川につきましては、いまの多摩川と同じような考え方で、準開放というものも約二十ヘクタールばかりございまして、これは四十一年にすでに学校その他の運動場を週二回、土曜、日曜には一般の人だれにでも使えるようにするという開放をいたしております。その他につきましては四十三年度の十二月末、本年末にこれは全面開放ということでございまして、これが二十ヘクタールばかりございます。したがって、現在のところ、率でいいますと大体半分が開放になっておるということでございますけれども、十二月末になりますと一〇〇%でございます。  それから、これもついでに申し上げますと、荒川はすでにこの計画以前に計画して開放して、運動場とか公園、緑地にしたものが百二十九ヘクタールばかりございます。それから、今後さらに未利用地を利用しようというものが二十四ヘクタールばかりございます。  したがって、この荒川につきましては、先ほど申し忘れましたが、笹目橋から河口に至る約三十キロについての計画でございますが、この計画によりますと、運動場等に大体五二%開放される計画でございます。  次に、江戸川についてでございますけれども、江戸川につきましては、これはまだ相当未利用地がございますので、この開放につきましては、学校等が経営しておりました運動場を、やはりほかの河川と同じように、一般だれにでも利用できるように土曜、日曜を開放するということで、四十一年度にいわゆる準開放にいたしております。すでにその計画以前に公園、緑地、運動場にしたものが、既開放と称しているものが六十ヘクタールでございます。それから、さらに今後、未利用地を利用しようというものが百八ヘクタールでございます。大体、この江戸川につきましては、流山橋から河口に至る約二十二キロについての開放の計画というように考えておりますので、これが全部開放されますと五三%を公園、運動場等に利用できるという計画でございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いまの話を聞くと、えらい開放になっているし、また、本年じゅうになる、こういうような話のようですが、実際上、多摩川のほうはあまり見ておりませんが、荒川のほうを見ていると、ゴルフ場、自動車練習場はほとんどそのままになっておって、開放されたように見受けない。さらに、いま笹目橋という話がありましたが、秋ケ瀬から下、こういうのがわれわれが当初説明を受けたときの話であります。たとえば東京都にとりましては、笹目橋から下というのは相当ウエートを持つわけですが、埼玉県にとっては、秋ケ瀬橋でないと、笹目から上の秋ケ瀬のほうがよほど関連があるわけですね。いまの計画でいくと、東京都を中心とした計画のように聞きますけれども、当初私たちが受けた説明では秋ケ瀬、私たちも秋ケ瀬までを要望しておったのですが、どういうところからそういうふうに違ってきましたか。  それから開放というのは、現在個人的に使用しているのはそのままにしての、未利用地か何かの開放ですか。それとも、個人的に営利に――たとえば、われわれが言っているのは、いわゆる国有地であるし、一年ごとの更改契約であるから、いろいろゴルフ場に手入れしたり何したり、費用がかかったり、継続的な事業になっておるけれども、契約そのものは一年更改だと思うのです。権利金も取っておらないし、使用料も非常に安い。したがって、双方の話し合いさえつけばわりあい簡単にこれは解約できるわけです。国民の体育向上のためやレクリエーションのためにそういう何千坪、何万坪というものを都市近郊に求めることは困難だ、そういう観点から、大都市近郊の多摩川、荒川だけではなくて、大阪や名古屋周辺などの大きな河川の敷地を開放しろ、こういうことでわれわれは要望してきたし、それに努力するということであった。趣旨はそういうことですし、いま話だけ、数字だけを聞くと開放されたように聞こえますけれども、戸田橋周辺やら笹目橋やら、その辺はほとんどそのままに残っておりますけれども、これはどういうことですか。

高橋弘篤建設省河川局次長

○高橋説明員 まず第一点の荒川につきましての、笹目橋から約三十キロの地点までをこの開放計画の第一次開放計画にとっておりますけれども、この点につきましては、私たちは場所はつまびらかにいたしておりませんで、この区域をきめるにあたりましては、まず第一に、市街地化の著しい地域、人家連檐地域というものを考え、また、それに伴っての公園だとか緑地であるとか、運動場などの不足の著しい地域、さらにまた、そういうところを開放して公園、運動場にいたしまして、それを一般の人が十分利用できる地域というようなことを考えながら定めたのであろうかと思います。そういうことで、第一次の開放計画につきましては笹目橋までをとったというように聞いておるわけでございます。  それから第二点の、現在まだ自動車練習場だとかゴルフ場などにいろいろ使用しているじゃないかというお話はごもっともでございます。先ほど申し上げましたように、荒川につきましては、この全面開放というものが四十三年の十二月末、つまり本年末までにこれを開放するということになっておるわけでございます。自動車練習場につきましては、これは全部開放になりますけれども、ゴルフ場につきましては、これは従来のいろいろな投下いたしました資本も相当ございますし、第一次計画におきましては、全部ではございませんで、その一部、たとえば橋梁の付近で一般の人がこれを非常に利用しやすい場所だとか、そういうところを中心に開放を第一次計画でいたしておるわけでございます。したがいまして、十二月末までには全部そういうものをやめまして、あとは公園、運動場ということに整備をいたしていくわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、この開放計画は、もちろん民間のすでに占用いたしておるところを開放するという意味でございますが、同時に、まだ荒川につきましては、未利用地も相当ございますので、そういう点を予算をもちまして公園、緑地化していくというふうに考えておる次第でございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 いま第一点の笹目橋というのはあなたのほうでおきめになったわけで、当初体育振興委員会に報告された話は秋ケ瀬橋からということでございました。東京都だけの計画じゃないわけで全国的な問題ですから、埼玉県にとっては秋ケ瀬橋から上のほうが関係が深いわけです。ひとつその計画も練り直していただきたいと思います。  それから、この使用について、たとえば江戸川区だったかどこかで一応借り受けておきながら、それをまた貸しして会員制のゴルフ場にしておるのがございますね。下流のほうにありますよ。だから、都とか区に開放して貸し付けましても、やはりその内容というものをよく吟味しないことには、名義人は区長になっておるけれども、実際上使われておるのは株式会社組織のゴルフ場に使われておる、こういうところもあるわけです。だから、ぼくらが行ったときに案内するだけではなくて、その後の使用状況その他もよく調査してかからないことには、帳面づらだけ見て、これは区に貸しておるから開放だあるいは準開放だ、こういうことではぼくはこの問題は解決しないと思う。  それから、今後の使用についても、都や区にだけ使わないかというような形にするのか。どういうふうにして募集されておるかわかりませんけれども、やはり公共のものですからもっと公にこれが使用できるような、いわば公募方法といいますか、そういうものを考えられないと、中には河川敷を貸すのだろうか、貸すなら借りたいのだけれどもというような会社なり学校が一ぱいあると思うのですよ。ところが、なかなかそういう方法があるかどうかも、こうやって私が国会で取り上げると、なるほどそういう問題もあるのかということになるのかもしれませんけれども、一般では河川敷をそういうふうに体育施設や何かに貸すのだろうかどうだろうか、これは区や何かでもなかなかおわかりにくいと思います。そういう募集の方法その他についても、せっかく開放するのですから、今後の使用について十分ひとつ留意を払っていただきたい。

高橋弘篤建設省河川局次長

○高橋説明員 まず第一点の、荒川の区域をさらに新しい計画をつくって延ばすという点でございますけれども、先ほどから申し上げましたように、この計画、四十一年にきめました三カ年計画は第一次の計画でございます。一応その計画の完了を待って公園、緑地化また運動場をつくるという、その結果を見て、利用状況その他を勘案いたしまして、さらに次のことを考えたいと思っておるわけでございます。先生の御趣旨は十分また今後そういう際に検討させていただきたいと思います。  第二点の、いろいろ占用許可をいたしまして、公園だとか運動場だとかいうことをいっても、区がまた貸ししてほかのものに使っておるじゃないかというふうにお聞きしたのでございますけれども、その点につきましては、そういうようなことが絶対にないように私ども河川管理者を督励いたしまして、どういうふうに実際に使用しているか使用状況を十分検査しまして、適正な管理をはかりたいと考えておる次第でございます。    〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕  それから最後の、開放しましたあとの利用についてでございますけれども、原則といたしまして公的な利用を考えておるわけでございます。つまり、地方公共団体、都だとか県だとか市というものが公園なり運動場をつくるという計画にいたしておるわけでございます。したがいまして、一般の民間がこれを使用することは考えていないわけでございます。と申しますのは、この趣旨は一般国民のだれでもが安くこれを利用できるというところに主眼があるわけでございますので、やはり公的な管理をしたほうがいいのではないかと考えておる次第でございます。同時に、民間がこれを経営しますとやはり維持費その他で相当お金が要りまして、勢い使用料なんかが高くなるということで一般の使用者が規制を受けるということになりがちでございますので、原則としてこれは今後とも地方公共団体が経営するという考え方でいきたいと思っておる次第でございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 時間がありませんからこれで質問をやめますけれども、私はこまかいことを言っているのじゃないですが、こまかいことをいえば、埼玉では大和町からすでに河川敷の払い下げについて陳情書や請願書が出ておるわけですね。あなたのところまで来ているか埼玉県でとどまっているかは知りませんけれども、笹目橋から上の問題についてもすでにいろいろそういう要望が出てきておるわけですから、私は具体的にこまかく聞いているわけじゃないが、とにかく少なくとも秋ケ瀬くらいまでは開放すべきだ。それから多少上のほうにゴルフ場や何かをつくるのはいいですけれども、そういう点のお考えをお伺いしたわけです。これでけっこうです。  次に、これも前から私たちが言っております、日本の現在の社会問題としてのいわゆる過密過疎に対する一つの問題でございますが、埼玉、千葉、神奈川という人口過密地帯、こういうところは、特に団地なんか何千戸とぼんと建てられますと人口だけふえる。したがって、学校教育からし尿、じんかい等々に至るまで、出費だけはかさむわけですけれども、収入というものがそれに伴わないわけです。しかも団地あたりは非常に教育熱心でありますから、教育施設等が少しでも悪いと非常なおしかりを受ける、こういう事態が続出をしておるわけです。そういうことで、二、三日前に、財政難の人口急増市町村に対して交付税をふやすというようなことが新聞に出ておりましたけれども、私たちがいろいろ論議する場合、新聞に出ておるからと言うと、いや私のほうは存じませんということが大蔵省あたり年がら年じゅうあるわけですが、自治省はこういうことを公式に発表されたのですか。どういう形でおきめになったのですか。

横手正自治省財政局交付税課長

○横手説明員 ただいまのお話でございますが、私どもの財政局におきまして、現在過密問題についての基礎資料的なものがあまりございません。全国で人口増加率一五%以上の市町村が約二百三十ございます。このうちの約二割、四十数市町村の実態調査を行なったわけでございます。その調査結果がまとまりましたところで、いろいろこうした問題があるというような点について新聞記者に対しますレクチュアを行なったことがございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 そうすると、これは調査結果だけの発表で、明年度から交付税率をふやすとかなんとか、そこまでの具体的なところまではきてないのですか。

横手正自治省財政局交付税課長

○横手説明員 新聞記者にレクチュアを行ないました際に、対策はどうするのだ、こういう話が出たようでございます。実は私、その場に居合わせなかったので、正確な話をお伝えできかねるわけでございますが、そうした質問がございまして、その対策といたしましては、従来とも地方交付税あるいは地方債を通じていろいろの措置を行なってきてはおりますが、今後ともそうした面で善処してまいりたい、こういうような考え方を話しておるようでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 あなた、課長さんですから、そこまでの政策立案はどうかと思いますが、局長さんもお願いしたのですけれども、どこか出張されて来られない。もう少し確たる答弁をいただきたいのだが、こういう問題はそう年がら年じゅう質問するわけじゃありませんから、あなたたちが調査をし、あるいはこういうものを要望しても、今度は大蔵省側が金を出すほうはなかなか渋ってくる、ある程度の話程度ではなかなか大蔵省側は出すわけはないと思う。そういう意味で、あなたたちの局長さんと大臣でも来たら、大臣のほうにでも確約をとっておこうかと思って私は質問しているわけです。大臣が来てこの関係を――大蔵省の人、だれか来ていますか。  いまお聞きのように、局長さんじゃないので、論議したようだというふうな程度のようでございますが、して、当然にこれは自治省から要求あるいは要望書が出てくると私は思います。大蔵省側はどういうふうに考えられますか。

相沢英之大蔵省主計局次長

○相沢説明員 過密都市、特にその人口急増市町村に対しまして、その財政需要をまかなうために何らかの対策を講じなければならないということで、地方交付税の配分の上におきましてもいろいろと配慮をしてきております。四十三年度におきましても人口急増補正、これは都市計画費とか小中学校費についての補正でありますが、この人口急増補正を約百七十八億円増額をし、また、新たに消防費、都市計画費、清掃費その他の経費につきまして、都市、県の補正というものを行ない、七十一億円これに充当をいたしておりますというようなことで、四十三年度におきましてもそういう人口急増市町村等を中心としまして過密団体に対する対策を行なっておりますが、このような対策は今後もなお必要であろうというふうに思っております。  地方交付税の配分の問題でございますから、あまりそういうような市町村に傾斜をつけますと、今度は一般の市町村あるいは府県に対する交付税の配分が薄くなるということもございますので、その辺のところはいろいろと勘案しなければならない問題があろうかと思いますが、自治省からそういうような交付税の配分につきまして要望がございます際には、もちろん私どもとしても十分これを検討する用意はございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 大臣がお見えになりましたからいまの問題を中断する形になりましたが、ぜひひとつ自治省側も努力していただくとともに、大蔵省側もその点については十分な御努力をお願いしたい、これを要望いたしましてこの質問は一応終わりたいと思います。  大臣、病気上がりのようでございますからとお話がありましたが、おすわりになってお答えいただいてけっこうでございますから若干質問したいと思います。  ベトナム戦争が北爆停止とともに終結に向かいつつあるわけでございます。これは私どもとしてもたいへんに喜ばしいことだと思います。この結果、いろんな問題が今後発生することが予想されるわけですが、特に経済的な諸問題を控えて日本ではどういう影響が出てくるだろうか、各方面でいろいろ論議されております。たいしたことはないと言うような人もありますし、いや相当大きな影響が出てくるだろう、こういうこともありますが、大臣としてはこのベトナム戦争の終結から出てくる影響、わが国の経済にどういう影響があるとお考えですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 ベトナムの和平が実現したら日本経済にどういう影響を与えるかということは早くから関心事でございまして、政府においても民間においてもいろいろこの問題の検討をしておりましたが、いまのところ、大体各方面で一致している意見は、そう急激な変化はないであろう、大きい変化はないであろうということにいまなっております。  まず、ベトナム戦争が終われば特需が若干減るということは当然でしょうし、また、ベトナムを中心とした周辺の国への輸出が減るであろうというようなことがいわれておりましたが、しかし、もし和平となればベトナムの復興事業も興ってくるでしょうし、また、ベトナム戦争の間に周辺諸国は非常に外貨事情もよくなっているというふうな事情もございますので、日本からの輸入が急に減るというような事態は避けられるだろうというようなことで、プラス、マイナスの面がやはり考えられる。同時に、アメリカ本国の経済にどういう影響があるだろうかということについてもいろいろ議論がございますが、長期的に見てこの和平というものは非常に大きいプラスになる。アメリカのいわゆるドル防衛という問題を起こした根源が解決されることでございますし、国際通貨の安定というようなことから、これが世界経済に悪影響を及ぼすということではございませんので、一時的にいろいろなことがあったにしても、長期的には日本経済にとっても大きいプラスであるというのが大体の結論でございまして、結局会談が成立しましても、アメリカの兵隊が撤兵するとかいうようなことには、まだ半年、一年というような日がかかるでしょうし、なしくずしにこういうことが行なわれる以上、経済に大きい急激な変化はないというのが私どもの大体の見通しでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 一番少ないのは通産省の三億五千万ドルですか、一番大きいのは東海銀行やなんかの十七億ドルくらいのベトナム特需によるいろいろな影響があるだろう、こういう見方がされております。資本主義経済、計画経済ではございませんから、ベトナム戦争から出てくる確たる影響というものはなかなかつかみにくい、こういうところが本音だろう。そういう場合に、いま大臣がお話しになりましたような、あまり大きい影響は出てこないということが一番当たりさわりがない、そういうことになるだろうと思いますが、しかし、これは見方によってはそうでない面も出てくるだろう。  短い時間でございますから、そういうもの全般をここで論ずるわけにまいりませんけれども、一つは、どういう事態になりましても、やはりそういう人々があまり困らないように、日本経済にそのことによって混乱をもたらさないように、今日から配慮をしておく必要があるだろうということです。  それからいま一つは、主としてこれは軍需関係の特需というものが相当つくられておるわけですけれども、ベトナム戦争が終わったからといって朝鮮戦線に刺激を求めたり、あるいは日本国内の自衛隊の軍備の増強、こういういわゆるいままでの形の軍需製品を中心にこういう関連産業が維持されていく、こういうことがあると、これはベトナム戦争はせっかく終わったけれども、日本を取り巻く戦争のにおいというものは決して消え去るわけではない、依然として残っておる、こういうことになるだろう。したがって、ベトナム戦争が終わればそういう関連産業というものが、アメリカでもいろいろ苦慮しておりますように、平和産業にできるだけ早く切りかわって平和産業物資をつくっていく、ひとつこういう形になるように、たとえば予算でもそういう形で自衛隊関係予算をふやして、そっちのほうに向けて救済していくというようなことを――万が一にもそういうことはないだろうと思いますが、そういうようなことでなくて、やはり平和産業へ転換させていく、こういうことを通産省やその他と協力してやらるべきだと思います。ひとつぜひそういうふうに努力をお願いしたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私どももそのように思います。アメリカが朝鮮動乱のときに見られたように域外調達というものをやる方針でございましたら、今度のベトナム戦争を中心にして日本の特需というものは非常にふえているということになったと思いますが、ドル防衛の関係から自国製品で間に合わすという政策をとりましたために、ベトナム戦争によって特需が大きくふえて、日本の軍需産業がそれによってどうこうされているということはございませんので、これが終息したからといってそういう方面への連関というようなものは特にございませんし、また、われわれもそうならぬような方向で今後の運営をやっていきたいというふうに考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 ことしも設備投資が八兆億をこすだろうというようなことをいわれております。幸いにしていま貿易が伸びておりますけれども、これだけ設備が拡大されてきて膨大なる生産設備を持っているときに、国民生活の引き上げ、あるいはこの主たるものを平和産業に持っていかないと、国際環境が現状のまま推移するならば、自衛隊の増強あるいは第二のベトナム戦争的なものをどこかに戦線を指向していく、こういうことは私は決してなきにしもあらずだと思うのです。だから、これだけの膨大な生産力を持つに至った日本の経済の方向を見出して、位置づけをしていくということはなかなかたいへんなことでございますから、ひとつこの際あくまでも平和に徹して、再び朝鮮特需あるいはベトナム特需によって日本経済を発展させていくことを期待しないように、大蔵大臣も今度の内閣改造でどういう立場をとられるかわかりませんが、そういう点、ぜひ名大蔵大臣であったという立場を貫いていただきたいと思います。  御病気でしばらくお見えになっておりませんでしたが、その間にいろいろな問題が起こってきております。そういう問題を二、三聞きたいと思いますが、時間がありませんのでポイントだけをお聞きします。簡単にお答えをいただきたい。  その一つは、この前から私もお尋ねをいたしております税率緩和の問題です。きのうも何か自民党の会議にお出になってそういうお話をなさったようでございますけれども、私たちはこの異常な物価上昇の面、あるいはいまの日本の家族構成は大体四人になってきておりますが、五人で百万円ということは、四人に引き直せば七十数万円にしかならないわけでございます。これも私が前から、大蔵省等の試算による課税最低限百万円というのは架空の理論であって、実際上は五人家族ではなくて四人家族であるから、ひとつ四人家族に引き直した数字を発表すべきである、まあこういうことを言ってきました。単に名目だけの百万円という数字ではなくて、こういう数字の計算の仕直しその他をやれば所得税というものはきわめて高いものだ、これを四人家族に引き直してごらんなさい、昔の五人家族と違ってまだ相当高度な税率となってまいります。  きょうはそういうこまかいことは申しませんけれども、いろいろなそういうことをお考えいただいて、この際やはりサラリーマン減税というもの、所得税減税というものはぜひとも行なうべきだと考える。いよいよ予算の作業等にかかってきて――きょうは税調の方にもおいでいただいて、税調のほうにこの問題はどういう作業が進められておるかお聞きする予定であったのですが、税調の方がお見えになりませんので、重ねて大臣質問のような形になりますけれども、ひとつ御所見を承っておきたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 経済の伸び、税収の伸びというものを見ますと、特に所得税の構造からして、経済の伸びよりも税の伸びのほうが非常に多いということになっておりますので、したがって、今後経済が成長するにつれて、この弾性値は非常に大きいという現状を、これは是正をする必要がございますので、したがって、いわゆるサラリーマン減税は私どもはいまできるだけ大幅にやりたいという考えで、税制調査会でも長期の税制のあり方についての答申はございましたが、来年度どうするかというような問題にいま取りかかっておるところでございます。こういう答申等もにらみ合わせ、また、いま今年度の自然増収がどれくらいあるかもまだはっきりとつかめないときでございますので、したがって、来年の経済見通しをしてその上に立った来年の税収の見通しということはまだいまの段階ではできない、十二月にならないと、これは例年同じことですが、できないという実情でございます。  こういう税収、経済の見通し、歳入、こういうものの全貌が出てまいりますと、それとの見合いによって予算規模をどうするかということを政策としてきめなければなりませんので、それをきめる過程においていわゆる国債の減額がどれくらいできるか、減税の幅をどれくらいにできるかということは総合的にきめられる問題でございますので、いま幅とかいうようなものはまだ申し上げられる時期ではございませんが、所得税の減税だけは思い切ってやりたいという方針はずっと一貫していまのところ変わりございません。

只松祐治日本社会党

○只松委員 所得税減税は必ずやるということでございますから、ひとつぜひ実施をしていただきたい。  ついでながら、財政硬直化ということで予算面の硬直化だけが取り上げられておりますが、私たちがたびたび言っておりますように、いわゆる収入面、税収面の硬直化ということもあるわけでございますから、ひとつ所得税だけにあまりウエートを置かないで、来年度は租税特別措置その他も大幅に期限切れが来ます。私が言っておるように、交際費課税その他まだ税収面にいろいろ操作すべき点があると思いますから、そういう面もあわせてお考えの上、ひとつぜひ所得税の減税は重点的にやっていただきたい、このことをお願い申し上げたいと思います。  次に、その予算案と関連いたしまして、今朝来の新聞等に人事院の給与勧告を明年度から完全実施する、こういうことで閣僚の意見が一致した、こういうふうに出ておりますが、そういたしますと、当然に経済閣僚の中心である水田さんも御存じだと思いますし、あるいはそういう御意見を述べられたかと思います。参考までにお聞かせをいただきたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 きのう関係閣僚で給与の問題について協議いたしましたが、やはり人事院の勧告を完全実施するという方向で何とか来年の予算編成のしかたを合理化したい、改善したいということで論議をいたしました。いままでずっと事務当局間でも幾つかの案が検討されておりましたが、それをさらにまた少数にしぼって、この案はどうかあの案はどうかという検討をいまやっている最中でございまして、この次は十二日にまた関係閣僚の懇談会が開かれるということになっておりますが、何とかして来年度の予算編成に間に合うようにくふうをこらしてみたいと考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 これは時間もありませんからあれですが、公務員がスト権を奪われまして、人事院勧告というものが行なわれておるわけですが、これが完全実施されておらない、こういうことはたいへんなことです。それが完全実施ということになれば、これは非常に大きな意義が出てくるわけでございます。長年の労働者の要望であり、あるいは自民党政府としてもこれは労使関係の近代化への大前進だと私は思うのですけれども、水田大臣にひとつ格段の御努力をいただいて、完全実施の予算案というものを今度ぜひ組み上げていただきたい。ひとつそういうことで御努力いただきます。  それから、これも平林委員が前にいろいろ御質問をした、そのときもまだ作業中ということでお答えをいただかなかったのですが、これも私はもう作業が進んでいるだろうからと思って税調に聞く予定でございましたが、きょう税調が出席不可能だということと、税調のほうでもまだ内容がそこまで来ておらないということでございます。あとは大臣の腹に大体かかっているんだというような事務当局の内々の話でございます。いわゆるたばこ消費税をどうするか、どういうふうに消費税に移行するかどうかという問題でございますけれども、これが行なわれますと、専売公社としては画期的なことになります。それをめぐって労使関係やその他の問題にもいろいろな影響を生じてくるわけでございます。ひとつ基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 この問題は、昭和四十一年ごろから税調においてもいろいろ検討しておりますし、また、財政制度審議会、専売事業審議会においても取り上げて検討している問題でございますが、大体各調査会、審議会の意見もまとまってきているようでございますし、これからさらに税制調査会にこの問題の検討を願って、結論が出れば私どもはこの消費税の移行ということを来年度からやってもいいという気持ちを持っておりますが、まだ実施についてのこまかい検討がいまのところできていないという段階でございます。もしこまかいお話でございましたら、監理官から最近の実情を答えさせます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 そうすると、大蔵省としては諸条件が整えば明年度から消費税に移行する、こういうお考えでございますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私はそう考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 そういたしますと、すでに予算編成期に国だけでなく地方もそれぞれ入るわけでございますが、そう大幅な変更はないものと思いますが、この実施、特にこれを国税を何%にし、地方税を何%にするか、配分その他いろいろ問題が生じてくるわけでございますが、事務当局において、税調としてはなんでございますけれども、専売公社その他そういう腹案というものをすでにお持ちでございますか、いかがでございますか。

平井廸郎日本専売公社監理官

○平井説明員 税制調査会におきまして、大臣申し上げましたように具体的検討を開始いたしておりますが、そういった率の問題を決定いたします前に、現在の地方たばこ消費税制度との調整をどうするかという、制度上の問題がございます。そういった問題とのかね合いにおいて、率の問題も検討されることになろうかと思いますので、現在の段階では具体的にはその率をどうするかということはきまっておりません。

只松祐治日本社会党

○只松委員 率だけではなくて、移行に伴ういろいろな問題が出てきますね。そういう問題についての作業というか、腹案といいますか何といいますか、そういうことができているのですか。

平井廸郎日本専売公社監理官

○平井説明員 たとえば財政制度審議会の御答申の中に、現在の地方たばこ消費税制度を譲与税制度に切りかえる等、制度改正について考えてみてはどうかというような御意見もございまして、いろいろな考え方があろうかと思いますが、これはあくまでも税制調査会におきまして、もっと具体的に、どういう制度が妥当かという観点から御検討いただいて、決定いただきたいと考えておるわけでございます。

只松祐治日本社会党

○只松委員 どういう形で消費税制度へ移行するか、それに伴ってこの勧告にも合理化の問題とか一ぱい出てきておりますね。そういう問題は当然皆さん方の内部で問題になるし、労働組合内部で問題になります。時間がありませんからきょうは大臣のお考えだけを聞くつもりで、この前平林君が詳しく聞いておりますから、そこで今後の問題に立ち入ろうと思っているわけではないのです。そういう問題に伴ういろいろな案というものができておりますかおりませんかということだけを、きょうは聞いておけばいいから聞いておるわけです。

平井廸郎日本専売公社監理官

○平井説明員 もちろん、こういう問題を考えます場合に、専売公社なり私どもなりにおきまして、いろいろな具体的な問題、たとえば今後の消費税制度のもとにおける公社の収支の見込みであるとか、あるいはどの程度の税率の設定をすればどういう公社の健全なる経営が確保されるであろうかというようなことなども、いろいろ検討はいたしておりますが、これはあくまでもいろいろな仮定に立っての試案でございまして、税制その他がある程度具体化いたしませんと、そういった点もはっきりした形では出てまいりませんので、あくまで各種の素案があるというような形と御理解いただきたいと思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 それでは腹案ができておるということに了解をいたしまして、この話は一応終わりたいと思います。  最後に、これもこの前お聞きしまして、大臣からもう少し慎重にというお話があった酒造米の自由販売の問題です。ところがまた、農林省の側からは酒造米を自由販売にする、こういう発表等がその後なされておるわけでございます。時間がありませんから大臣と農林省のほうから、これは自由米にするのかしないのか、その点だけひとつお聞かせをいただきたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 まだ政府部内で全然意見がきまっているわけではございませんので、したがって、成案もございませんし、もし酒造米の自由販売ということをやろうとしますと、醸造者への影響ということも大きゅうございますので、かりにこういうことを実施するとすれば、そういう対策というものとあわせて考えられなければならない問題でございますし、これはまだいまのところ全然きまっていない問題でございます。

田中勉食糧庁次長

○田中説明員 先ほど、農林省から外部に発表したというようなお話でございましたけれども、農林省の中におきましてそういうものを発表いたしたことはございません。御承知のように、農林省といたしましては、食糧管理の運営の改善の問題につきましては、大臣の御指示にもよりまして、総合農政の一環として、目下省内で検討いたしておるわけでございます。また、運営の中におきまして、酒米の取り扱いということは、個々の具体的な問題になるわけでありますが、まだ検討段階でございまして、外部にそのようなことを発表した覚えはございません。また、本年度の酒米の売却方針につきましても、これは従来同様で進めてまいる、こういうふうに考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 発表したことはないということでございますが、新聞には、何か農林省としてはそういうことをほぼきめたかのような書き方の新聞でございます。まあそれはある程度の信憑性があるのではないかと思うのですが、これは前からもいわれておったことですが、大蔵委員会ではたびたびそういうことを論議しておるわけで、皆さん方は初めてかと思いますが、この酒屋のうち約七割くらいは、いわゆるおけ売りをしている中小零細企業です。これが自由米になりますと、一挙に大酒造家が自由に米を買える、酒をつくれるということになると、これはたいへんな問題を引き起こす、こういう事態が生ずる。そこらを税務当局はいろいろ言っているわけです。この税金問題の前にいろいろ社会問題や何かが出てくるわけです。この基盤をなしているのは、この前から言っておりますように、保守党、自民党の方々で、私たちはそういう面ではあまり関係があるわけではないのですが、しかし、これは社会問題としていろいろな問題が派生しますので、ぜひ慎重にしていただきたいことを大蔵当局に言っておるし、食糧庁側でも十分御配慮願いたい、そのことをお願いしまして、質問を終わります。

田村元自由民主党

○田村委員長 佐藤觀次郎君。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 大蔵大臣病気中でいろいろ問題があると思うのですが、私は最近、いままで大蔵省がアメリカの中期債は受けないといわれておりましたが、今度、例の輸銀債を一億ドル買われることになりました。その間の事情がどうも不何解な点もあるし、われわれ理解できないのですが、どういう理由であるか。まあ新聞などには書いてありますが、大臣の口からどういう意味かということをひとつお知らせ願いたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 ドル防衛に協力して国際通貨の安定に貢献するという私どもの方針は、たびたびこの国会を通じても申し述べたところでございますが、しかし、協力するといっても、いままでは日本の国際収支それ自身が非常に悪化しておりましたので、直接的な協力はできなかった。金融の市場を欧州に転換して、間接的に米国の負担を軽くするというようないろいろな協力はいたしましたが、直接の協力はできませんでした。各国はこの協力の方法として、いわゆる中期債の購入というようなことをやったようでございますが、この中期債は御承知のように、四、五年の間、外貨準備を凍結するということでございますので、外貨の少ない日本としてはなかなかこういうことはできないということで、昨年以来中期債を買うとかいうようなことはやっておりませんでしたが、最近の国際収支の現状から見まして、非常な好転で、この調子でいけば年末には実質の意味においても史上一番いい状態になるのではないかというようなことも見通されますので、ここでそういう外貨の運用という上からも日本に有利であり、また、それが基軸通貨国である米国に対して協力になるような形というものが考えられるのならということで、私どもはいろいろ研究しておりましたが、今回のように輸銀債を購入するということは流動性を全然そこなわないということにもなりまするし、また外貨に若干の余裕が出たときに将来の外貨負担を軽くしておくという措置も、これは外貨の運用政策としてはいいことであろうし、日米両国にとってきわめて好ましい措置であるということを考えたので、この輸銀債を購入するという措置を私どもはとったということでございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 日本の外貨準備がやはり低過ぎるということは一般の定説になっております。そこで、少なくとも三十億ドルの外貨を持たなければ――これはこの前も国際金融局の奥村次長等にも、ここでいろいろ意見を聞いたのですが、日本のドル三十億ドルというのが私は基本的なあれではないかと思うのですが、現在は二十三、四億ドルになっておると思います。ただ、これは多少上がったといっても、世界の通貨の関係からすれば、私は低過ぎると思うのです。金が三億三千万ドルというのも低過ぎると思うのですが、この点は、大臣はどういうふうなウエートを持って、どこら辺のところで、日本の円の立場として、この線で堅持すべきであるというような根拠があるのかどうか。それを聞かないと、いま一億ドルの中期債のかわりに輸銀債を買われるということは、どうも根拠が薄いと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 外貨準備を幾ら持たなければならぬかという科学的な根拠というか、そういうものは別にございません。ただ、諸外国の例から見て、輸入金額のどれくらいがあれば一般の国の水準かというようなことぐらいで、私どもはせめて三十億ドルくらい外貨準備を持ちたいということを言っておりましたが、必ず三十億ドルなければならぬというものではなかろうと思います。  それがはっきりしないからといって、今度の輸銀債を買った根拠がどうのこうのと言われたのですが、これはもう別でございまして、さっき申しましたように、外貨準備が凍結されるということでしたら、この外貨準備の水準の低い日本としては、いろいろ考える問題があると思いますが、そうではなくて、御承知のように、これは予告期間の短い期限がありまして、それによってすぐにこれは現金化するということでございますから、流動性が全然そこなわれないという問題でございますので、そういう運用がわが国にとっても有利かどうかという点になりますと、利回りの平均五・八%、六%近い金利ということになりますと、外貨運用としては決して不利な運用ではないということになりますのでこういう措置をとったのですが、これによって流動性が害されるということでしたら、佐藤さんのおっしゃられるような問題があるかと存じますが、そうではございません。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 これはわれわれと見解が違うのでこれ以上申しませんが、もう一つ問題になるのは、池田さんが大蔵大臣をやっていた、それから総理になられて、その当時から日本の貿易外収支の赤字という問題があって、それが今日非常に問題になっているわけです。この問題は、せっかく貿易で黒字をかせいでも、貿易外収支の赤字が解消できないということになれば、結局日本の貿易というもののアンバランスがずっと続いていくことになるのですが、そういうことについてどういう処置をとられておるのか、また、とっていかれようと思っておられるのか、これは大臣にひとつぜひ、前から伺いたいと思っておりましたので、伺いたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 昨年の上半期の貿易外収支の赤字は五億七千九百万ドル、五億八千万ドル前後でございましたが、今年度の上半期の赤字は六億三千万ドルをこえているというふうに年々貿易外赤字は増加してきておりますので、その対策としてはいろいろございますが、やはり外航船舶の増強というようなことが対策としては一番適切であろうということで、船舶の増強というようなことをやってまいりましたが、しかし、これは各国によっていろいろ事情が違うことでございまして、原材料を輸入して製品を輸出するという貿易構造のわが国にあっては、ある程度貿易外の赤字が出るということはやむを得ない。これは、これ以上輸出がふえていくということとのにらみ合わせで考えなければならぬ問題だと思います。しかし、できるだけこの赤字を減らすために、今後船腹の増強ということは計画的にやっていきたいと思っております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 これはきょうの日経にも出ておりましたが、せっかく貿易で黒字にしても貿易外収支で赤字になればプラスマイナス・ゼロという形になるので、これはひとつ何とか、十年くらい前からの話でありますので、ぜひひとつ考えていただきたいというのが一つであります。  それから、現在問題になっております物価の値上がり、これは一ぺん宮澤さんに会って聞いてみたいと思いますが、大臣と宮澤さんの間には意見の相違があると思うのです。何といっても公共料金の値上げというものが物価の値上がりに非常に影響してくると思うのですが、この点は大蔵大臣と宮澤さんの立場は違いますけれども、そこの根拠をもう少しはっきりする必要があるのではないか。同じ閣内においても物価の政策については、どうも政府が私は無関心のように感ずる。その中で公共料金の値上げということが諸物価の高騰に影響があると思っておりますが、その点は大臣、どういうようにお考えになっておりますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 公共料金の値上げというものが物価に影響することは確かでございますので、できるだけこれは抑制しなければならぬと考えておりますが、しかし、物価対策としては、まず全般的に総需要を財政面からどう抑制していくかというような基本的な問題が一番大事ですし、それと個々の物価について、はっきり物価を上げているいろいろな要因に対する合理化措置というものもしなければなりません。  そこで、この公共料金はできるだけ押えるにこしたことはございませんが、やはりコスト主義で、受益者が負担すべき性質のものを特に押えて、これを財政措置に仰ぐというようなことをして物価問題が解決するかといいますと、それは解決にはならぬ。それは資源の再配分にひずみが出てきてサービスがおくれる。そして最後には、これはやはり一つの企業でございますので、この赤字を財政措置だけに仰ごうとすることはできませんので、一、二年たったら今度は逆に早く措置しておけばこれだけのあれにならなかったのを、一年、二年おくれたために国民に大きい負担を今度はかけるというようなことになるのが従来の例でございますので、これはやはり受益者負担という原則を無視した物価対策というものは、その場をつくろう一つの方法であって、根本的に物価問題を解決するものではないと考えます。これは全部を受益者負担にしろというわけではございませんで、財政の助くべきところは助けるということは必要だと思いますが、この受益者負担の原則というものをもう無視していく方向というものは、財政政策としての間違いだというふうに私は考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 最後になりますが、この数年間大体物価がずっと上がってきている。しかし、それと同時に、やはり公共料金がそれに追随しているのか先であるのかわかりませんが、イタチごっこになっている。昨年宮澤長官から一年間の物価のストップ令を出したらどうかという話があって、だいぶ議論がありましたが、どこの点で一体物価が安定するかという問題は、これは国民生活と非常に関係があるし、同時に、いま問題になっている、只松君からもお話がありましたように、国債を少なくするかどうかという問題も、先ほど大蔵大臣はまだきまっておらぬとおっしゃいましたが、そういう問題とからまって、やはり物価が日本の国民生活に非常に不安定の要素を持たしているという点で、公共料金というのは政府が何とかすれば押えられるものであるから、まっ先に率先垂範すべきじゃないか、そういう考えを持っている。だから、そういう点で受益者負担という問題は、これは理屈ではありますけれども、しかし、当然の理屈であって、政府がこういうことをやらなければ物価が押えられぬという立場になれば、そのほうに強くウエートを置くべきではないかと思いますが、大臣はどういうふうに思っておられますか、それを最後に伺います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 それはそう思います。公共料金はできるだけ押える努力はしますが、しかし、それには限度があるということでございまして、何が何でも受益者負担ということから公共料金は上げられるだけ上げていいという考えは持っておりません。

田村元自由民主党

○田村委員長 阿部助哉君。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 本日は、租税特別措置に関していろいろと質疑を行なうつもりでおったのでありますが、何といっても時間が限られておりまして、二十分ということでありますので、詳細な質疑はまた別の機会に譲りまして、ほんとうに原則的な問題だけを大臣にお伺いしたいと思います。  新聞の伝えますところによりますと、大蔵省は租税特別措置に関して実態調査を行ない、検討を進めているということでありますが、大臣そのとおりでありますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 昭和四十四年度、つまり来年度中に期限が来る特別措置は、いまのところ三十八ございます。この一つ一つについては、大蔵省主税局においていま検討している最中でございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 期限切れのものだけ検討しておられる、全体の問題はしておられないということでございますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 むろん、全体の問題も検討しておりますが、特に期限切れの問題は、次の通常国会において国会の御承認を願わなければならぬ問題でございますから、いま、これを優先的に検討しておる最中でございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 私は、新聞等で拝見するところでは、特別措置全体を検討しておるというふうで、たいへんけっこうなことだというふうに感じておったわけでありますが、いまお話を聞きますと、今度期限切れになる問題だけということに限られますと、それでは非常に不満なわけであります。  いままでの税調答申を読んでみましても、特別措置は負担の公平の原則を阻害するとか、あるいは租税の中立性をそこなう等の欠陥を伴うので、従来からこれを整理縮減する方向で臨むべきだというような指摘をしております。また「個々の政策目的の合理性の判定を厳格に行なうことはもちろん、特にその効果について不断に検討を加えることにより、制度の流動的改廃を行なうこととし、特別措置の既得権化や慢性化を排除する方針を堅持することが必要である」こう述べておりますが、実際いうと、慢性化というか既得権化というものは将来の問題ではなしに、現在すでに慢性化、既得権化しておるのではないか、こう感ずるわけであります。  それで私は、大蔵当局が調査検討を行なって、そしてやられるということに対して実は敬意を表しておったわけであります。何といっても公平の原則、これは繰り返し繰り返し私は申し上げたいのでありますが、当局はこれを軽く見てはいかぬのじゃないか。この課税公平の原則は近代国家成立に欠くことのできない条件だと私は思う。市民の血を流して確立した原則でありますし、しかも政府がこれを軽視したり無視したりするようなことになってしまいますと、これはほんとうに無法時代のようなもので、われわれとの論議の共通の広場をなくするのではないか。特別措置の問題を考える前にこれは大前提だ、私はこう思う。そういう点でごく簡単に、ほんとうに簡単でけっこうですから、大臣の所見をちょっとお伺いしたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いまおっしゃられたような方針で、政策目的の達成度合いによって、改正するものは改正する、廃止するものは廃止する、存続を必要とするものは存続するという方針で、いま全部の特別措置を洗い直してみているということでございますが、そういう方針のもとに検討を進めたいと思っております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 これと同時に、中立の原則も同様であります。昨年も、輸出振興関係の特別措置を出されたとき、通産省から資料をもらいました。ところが、紙きれ一枚で役に立たない。それでよく説明を聞くと、実はこの効果というものは測定困難でございます、こういうお話でありましたが、実際いうと、これは困難なのではなしに、その効果を測定することは大体不可能なんです。こういう形の中で既得権化、慢性化というものにいまなっておるわけであります。そういう点で、税調も毎回同じような答申をしておるのも少しおかしいのではないか、毎回同じようなものを出すのではなしに、毎回出して言うことを聞かなければ、もう少しぴりっとしたものを出したらよかろうと考えるのでありますが、同時に、それを毎回無視しておる大蔵省のほうの責任も重大なんで、この際、ほんとうに真剣に皆さんの調査と検討をひとつお願いしたいというふうに考えるわけであります。  何といってもきょうは時間がありませんので、一つ二つ、特に資料をお願いしたいのでありますが、第一には、九月十七日の日経新聞によりますと、大蔵省は、配当控除を受ける人の範囲は小さい、大金持ち、大株主優遇の色彩が濃いように受け取られがちである等の理由から配当控除の特別措置を廃止する意向である、こう伝えておるのでありますが、実は私たち大蔵委員会の出張で参りましたとき、皆さんの出先機関の長からも、これは税金を取りに行く場合にいろいろと不公平だというおしかりを受けて徴税も非常にやりにくいから、これはぜひやめるようにしてもらいたいといって、皆さんの直属の部下からも私たちは陳情を受けてまいったわけであります。そういう点も考え合わせれば、なおさらこれくらいはもうやめるべきである、こう思うのでありますが、その御意向をお伺いしたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 主税局長から答弁いたさせます。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國説明員 新聞にそういうような記事が載っておりましたが、これは前々から私が申し上げておりますように、配当控除という問題は、単に配当だけの問題ではなくて、法人課税全体を通じた構造的な問題でございますから、さきの長期税制の答申を出す場合にも、非常に問題になったものでございます。したがいまして、この問題は、法人の課税構造と同時に解決すべく、新しい税制調査会では腰を据えて検討していただくことになっております。配当控除だけをただ一つ単独に取り扱うということは、税制全体の仕組みからは適当でないと思います。いずれこの問題は法人課税全体とあわせて解決すべき問題だと思っておりますけれども、(「いずれというのはいつごろまでにやるのか」と呼ぶ者あり)まず一つの時期といたしましては、配当利子に対する特別措置が切れる時期がございます。それを一つの時期と考えるべきだと私は思っております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 非常になまぬるい答弁でありますが、皆さんの直属の出先機関からすらそういう陳情を受けておる。私たちは前から、早くこの問題をやめるべきである、これこそ公平の原則から見てもどこから見ても合点がいかぬじゃないかということで、皆さんも、局長も、答弁をしながら良心がうずくのだろうと私は察するわけでありますが、これはやはり早急に廃止の方向で検討する。時期が来たらなんということは許されないのではないか、こう思うのであります。  第二番目には、最近外資の株式取得が多くなったり、自由化の進展に伴って外資企業も日本にどんどん入ってくるという段階であります。そうすると、外資企業にまでこの特別措置が全部適用されるわけでありますが、これが一体どの程度――きょうは論議をする時間がありませんから、その企業の利用状況というものはどの程度なのか、きょういますぐでなくてもけっこうでありますから、これはひとつ資料の提出をお願いしたいのであります。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國説明員 ちょっと私、いま御要求の資料の趣旨がわかりかねたのでございますが、配当控除の問題は、御承知のように非居住者は配当控除を受けられないのだということになっておりますから、これは問題はないと思いますが、外資の入った企業が特別措置を適用しているかどうかという問題でございましょうか。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 利子配当だけじゃなしに、全般の特別措置について……。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國説明員 外資が入っておりましても、日本の商法に基づく法人でございますと、これは差別がないわけでございます。これは一般の企業と同じであるということになるので、特別に外資法人だけについてそういう資料をとっておりませんので、サンプル調査か何かで推定いたしますが、若干時間がかかりますので、その点御了承願いたいと思います。完全な数字をとるのは、個別に一つ一つ当たらなければなりませんので、あるいは推定資料をやや時間をちょうだいすればお出しできるかと思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 いますぐと言いませんが、日本の企業のいろいろな問題で、特別措置をやられるようなことは説明をよく聞いてきたわけでありますが、今度外資が入ってくれば、その外資も同じように適用されてくるわけであります。私たちは、特別措置が一つ一つにはいろいろと差があるにしても、全般的にこれは大企業の優遇だ、もっと露骨にいうならば、労働者は労働で搾取され、そして税金の場合にまた企業だけがまけてもらう、補助金をもらっておるような形になるということに不満があるわけでして、しかもそれが外資までがそういう形をやられるのには問題があるのじゃないかという点で、少し時間がかかってもようございますから、これをひとつできるだけの資料を提出願いたい。委員長にもよろしくお願いしたいのです。  もう一つは、いま大臣がおっしゃったように、特別措置に対していろいろと皆さん調査検討しておられる。ところが、そういうものが私たちに渡らない。実際は法案が提案されると、十分な論議が尽くされないまま結局成立してしまうわけであります。そういう点で皆さんがせっかく調査検討した資料をひとつ私たちに、できれば次の国会の前には、まあ全然終了しなくとも、検討しておる過程でもやむを得ないから資料を出して、そして委員会の論議がもっと実りのあるというか、内容のある論議ができるようにひとつ調査検討の資料を出してもらいたいということでありますが、よろしゅうございますか。

吉國二郎大蔵省主税局長

○吉國説明員 御承知のように、税務の資料は個別的な企業なり個人の所得に関するものでございますので、個別的な資料は提出を差し控えさしていただきたいと思いますし、推定を加えてわれわれとして一つの決心をつけるというものもございます。明確な客観的な資料はできるだけお出ししたいと思いますが、そういう制約があることをひとつ御了承願いたいと思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 それでは、私はそれを要求いたしまして、時間がないようでありますから、またあとで大臣帰ってからの御質問に譲りたいと思います。

田村元自由民主党

○田村委員長 岡澤完治君。

岡澤完治民主社会党

○岡澤委員 私は、与えられました時間が十分でございますので、ノーベル賞課税問題を中心にして、もし時間があれば他の質問を続けていたします。  川端康成先生のノーベル文学賞受賞に関連して課税の問題が論議されたことは、お互いに承知いたしておるところでございますが、結論的には、去る十月二十二日の国税庁長官の見解で課税されないということになったわけでございます。私はその結論に必ずしも異議があるわけではございませんけれども、所得税法の九条十八項を見てまいりますと、「学術に関する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして国、地方公共団体、外国、国際機関、国際団体又は大蔵大臣の指定する団体若しくは基金から交付される金品で大蔵大臣の指定するもの」という大前提がございます。この大前提をすなおに読みました場合、法文解釈としてはどう考えましても、文学、いわゆる今度受賞の対象になりました川端康成先生の文学を含めまして、学術という結論は出てこないような感じがいたします。現に学術会議の会長で、ノーベル賞の受賞の先任者であります朝永振一郎博士自身が、文学は学術の中に入らないと思うという意味の見解を明らかにしておられます。同じく学術会議の副会長の桑原武夫京大名誉教授も同じ趣旨の結論を述べておられます。  私は、専門が弁護士で法律が専攻でございますが、この前の八海事件で無罪の判決が出ました。この最高裁の判決にけちをつけるわけではございませんけれども、大きく国民世論に訴えれば問題が掘り下げられて、その結果かもしれませんが、結局、国民的な世論を喚起しなければ、おそらく有罪が確定したであろう事件が、問題化したがために結論が変わるというようなかりに印象があるとすれば、裁判に対する不信でございますけれども、同じような問題がここにある。この税金という問題も国民すべての重大な関心事でございます。国民感情として、ノーベル賞受賞者に課税をするということは、私も好ましいとは思いませんけれども、しかし、税法上の解釈として非課税ということが出れば、それは文句はございませんけれども、通常の解釈からすれば、当然課税されるべきものである。国民感情がその逆だから結論を先に出して、それに合うように非課税の結論を出すということになりますと、やはり国民一般としては、川端先生に対する感情は別として、法律の解釈、適用に納得できないものがあるのじゃないか。もちろん、法のもと平等であるべきでございますし、ことに同じ文学賞に当たると思うのでございますけれども、野間文学賞とか新潮文学賞、吉川英治文学賞、その他すべて課税をされておりますし、文部省の青少年映画賞に対してすら課税がされておる。そういう点を考えますと、御説明不足かもしれませんが、ある意味ではどうも国民として、一方で納得しながら、一方であき足らないものを持っておる。この辺について大臣の御見解を承りたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 これは税法解釈の問題でございますので、主税局から……。

細見卓大蔵大臣官房審議官

○細見説明員 お答え申し上げます。  このノーベル賞を、所得税法九条に基づきまする非課税賞金として指定いたしましたときには、御承知のように、湯川博士が初めてノーベル賞をおとりになったときで、この立法の当時、立法に伴います告示を出しました。当時はすべてノーベル賞というのは世界的な権威というところにむしろ重点を置きまして、もちろんそのころ平和賞、文学賞のあることも存じてはおったのですが、日本人がノーベル賞をとられるときには学術であろうということで、ここに掲示いたしておりますのは、ノーベル賞はそのものずばりで書いております。ごらん願いますように、その告示で、あとのほうにいろいろ朝日新聞の朝日学術奨励金及び朝日文化賞というようなもの、また、毎日学術奨励賞並びに毎日出版文化賞というものが特に学術ということをかぶせておりますので、立法者の意図といたしましては、当時はノーベル賞はおよそ学術ということであろうと思いますし、今日解釈いたします場合に、川端さんの活動というような、特定の文学作品ということでなくて、多数の文学作品を通ずる文化活動というような面で、かりにこういう点の広い文化活動という意味で、学術ということもいえないこともないかと思いますが、おっしゃるように紛議もございますので、機会を見て、むしろこれは法律ないし告示なりを訂正願うというのが筋だろう、かように考えております。

岡澤完治民主社会党

○岡澤委員 いまの御答弁、しさいに聞かしていただきますとわかるような気もします。しかし、結論からいきますと、やはり学術という大前提があるわけなんで、なるほどノーベル基金からノーベル賞として授与される金品、別に学術に限るという意味のただし書きはございませんけれども、しかし、それじゃノーベル平和賞がストレートにこの規定によって非課税になると解釈されるのでございますか。

細見卓大蔵大臣官房審議官

○細見説明員 その辺については問題がございますので、もう一度法案を整理いたしまして御審議を願いたい、かように考えております。

岡澤完治民主社会党

○岡澤委員 いまの御答弁は、ノーベル平和賞なんかの場合は法改正の必要があるとお考えになると聞いてよろしゅうございますか。

細見卓大蔵大臣官房審議官

○細見説明員 法文の「学術に関する」というものから直接読めるかどうか、内部でなお検討いたさなければなりませんが、少なくとも疑義を生じやすい解釈になろうかと思いますので、はっきりする必要があろうかと考えております。含む、含まないは、そのときに国民の皆さんの御意向を考えて、入れるべきであるかないかということで考えるべきだ、かように考えております。

岡澤完治民主社会党

○岡澤委員 いまの御答弁ですと、国民の感情を計算に入れて解釈を変えるというようなことになると、私が質問をした一番の趣旨をむしろ逆の結果として当局はお考えになっておるというふうになるわけなんで、こういう問題はやはりすぐれて法律的な解釈ということが大事なわけで、この場合は課税しなければいかぬから無理にこじつけて考えて、どろぼうにも三分の理屈ということがありますが、課税をする、この場合は国民感情が課税に反対だから何とか合理的な理屈らしきものをつけて非課税にする。これは国民的に見ました場合、この問題を離れまして、税に対する信頼感、あるいは税の執行官に対する不信といいますか、公平の原則からいっても、国民の納得からいっても、逆の結果が出てくるんじゃないかという感じが非常にするわけです。むしろ改正を要するなら率直にすなおに改正されるというほうが賢明ではないかという気がいたします。  ついでにお聞きしておきますけれども、ノーベル賞以外の賞を受けた文学は学術ではないという解釈でございますか。

細見卓大蔵大臣官房審議官

○細見説明員 学術である、ないという問題につきましては、ノーベル賞をここに入れましたことがほかの学術以外の文化賞あるいは平和賞というような問題を議論として呼んでおりますので、非常にむずかしいことでありますが、この九条の趣旨は学術ということであります。その意味では、学術に限って解釈いたさなければならないと思います。ただ、立法論といたしまして、もっと広く、文化活動あるいは社会のために御活躍になった方の特別の賞金のようなものは非課税にしていいんじゃないかという立法論がございますれば別でございます、そういう意味でございます。

岡澤完治民主社会党

○岡澤委員 時間があと三分ということでありますので、この問題、残念でございますがこの辺でとめまして、昨日、大蔵大臣は自民党の基本政策懇談会に御出席になりまして、四十四年度の予算編成の基本的な考え方を明らかにされたときょうの新聞は報じております。その中で、先ほどの佐藤委員の質問にも関連いたしますけれども、公共料金の値上げが結果的には必要だという御見解を明らかにされた。きょうの御答弁にもその趣旨がございました。公共企業体の赤字は受益者負担の原則で対処するのだという答えは、すなわち、公共料金の値上げが必要だという結論と解していいと思います。そういたしますと、具体的には大蔵大臣はどういう公共料金、たとえばお米あるいは国鉄運賃等、具体的に何が値上げが必要だというふうにお考えになっているのか、この際、明らかにしていただきたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 きのう私は与党へ出てお話ししましたことは、予算編成についてですが、来年度の予算編成をするためには、いまいろいろ懸案となり問題となっている幾つかのものを解決しないと予算編成ができないというものを各省で持っておる。食管制度の改善という問題も、これが今後どういうふうなやり方をするかということがきまらなければ予算編成できないし、国鉄の再建問題、大きい問題がございますので、これにどういう対策を講ずるか、あるいは公営企業の再建の問題とかあるいは医療保険の抜本的解決を本年度はして、来年度の予算に間に合わせるということにこの問題もなっておりますので、これをどうするかという幾つかの問題をたくさんかかえておりますので、いま政府は関係省でこの問題のあらごなしに取り組んで、予算編成前に一応の結論を得たいと作業している最中である。したがって、いまのところ公共料金を、鉄道料金をどうするかとか、何をどうするというような具体的な問題はまだ出ていない。計数がきまらないのですから、具体的問題が出ていないから、これはいまのところ申し上げられない。しかし、来年度の予算編成にあたって原則的な問題、基本的な考え方としては、こういうことがいえるということを申したわけでございまして、まだ具体的に何をどうするということは、いまのところ政府できまっておりませんので、したがって、汽車賃をどうするとかあるいは米の消費者価格をどうするとかというような問題については言ってないわけで、考え方としてはこうだといって、この受益者負担の原則というものはやはり考え方として貫く方向でいろいろの問題の解決に当たるべきだということを述べたまででございまして、現実にこの公共料金をどうするかということはこれからの問題だと思っております。

岡澤完治民主社会党

○岡澤委員 最後にいたしますけれども、同じくきのうの御説明の中で、国債の減額というのは予算編成上の大原則だということばをお使いになり、一方で減税は来年の税収あるいは歳出規模によって決定する、非常に微妙な御発言をなさっておられました。国債減額は絶対やるのだというふうにお聞きしてもいいと思いますし、減税につきましては幅を持たせておられる。きょう只松委員の御質問にもお答えになりましたけれども、私はやはり、最近一番政治的な課題であります学生運動一つを見ましても、政治に対する不信というのが大きく原因していると思いますし、また、学生層の家庭を考えました場合、中堅サラリーマン層の家庭が一番多いと思うのです。そういうことを考えてまいりますと、政治への信頼を取り戻してもらうということ――なるほど短期的に見た財政の体質とかあるいは経済原則ということも大切ではございますけれども、やはりこの際は政治への信頼を取り戻すということが第一の課題ではないか。その政治への信頼ということを考えました場合、物価の安定あるいは税の不公平をなくする。ことにいわゆる税の取り過ぎ、特に中堅サラリーマン層に対する課税の不公平についてはここで指摘するまでもないと思いますけれども、これを是正するということも私は大きな政治的な決断ではないかというふうに考えるわけでございます。  そういたしますと、国債減額ももちろん私は反対をいたしませんけれども、それをより優先して、いわゆる減税よりも高く扱うということについては疑問を持つわけであります。やはり自民党の選挙における、あるいは国会における御公約からいたしましても、やはりこの際、減税の実現ということについて大蔵大臣の御勇断をお願いしたいのですが、これに対する御見解を重ねて表明していただきたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私は、国債の減額絶対で減税はできたら、というふうには考えていません。来年度の経済を見ますと、相当国内経済は基調が強うございますので、こういうときにフィスカルポリシーというところから見たら、国債の減額はどうすべきか、減税についてどう考えるかという、一般論としてはいろんな意見が出てくると思いますが、これは一般論では片づけられない問題でございまして、たとえばみんな前提を置いて検討しなければいけない問題だ。たとえば国債の発行をしましても、これが国民みんなの個人によって消化されているということでしたら、国債を減額するということと税金を減らす減税ということは景気に対する効果というものは大体同じということがいえましょうし、そうでなくて、いまのように個人の消化じゃなくて、金融機関がまず消化するというような国債の出し方である場合には、国債減額というものが景気にどういう影響を及ぼすかということになると、この国債減額ということは、来年どうしても警戒型の予算を組もうとする限りは、これは取り上げなければならぬということがいえましょうし、今度は一方、減税のほうからいいましても、経済が成長する伸び率と税収の伸び率が、外国のように日本も所得税の伸び率が同じだというような状態であったら、この減税に対してどう考えるかというのはまた別になるでしょうが、現実にはサラリーマンを中心とした所得税というものは、ほうっておけば増税になっていくという実情にありますから、そういう意味において、この所得税の調整ということはやはり一緒にやらなければならぬ。それで、全体としての国民負担をどうするかというようなものは、これはまたフィスカルポリシーとして考えてもいい問題ですが、これを混同して所得税の減税を来年やっちゃいかぬという議論は成り立たないので、これは現状から見てやるべきだ。  ただし、この国債の減額の幅をどうするか、減税の幅をどうするかというような問題は、結局、来年度の経済見通しの上に立った歳入の見積もりと、それからいま言ったような基礎的ないろいろな問題がある。この解決をどうするかによって財政需要というものが実際にきまってきますので、こういう問題とからみ合わせて、最後には減税の幅、国債減額の幅というようなものは予算規模等を決定するときに総合的にきまるだろうということを言ったわけでございまして、こっちはもう絶対優先、こっちはできたらというふうな考えはいま持っていません。両方やりたいと思っております。

岡澤完治民主社会党

○岡澤委員 終わりますけれども、ではいまのお答えを確認いたしますと、減税の問題でございますけれども、課税最低限は当然として、税率改正についても必ずやる、その内容、幅とかは別としてという大蔵大臣の見解であると解してよろしゅうございますか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 現大蔵大臣の見解でございます。

田村元自由民主党

○田村委員長 広沢直樹君。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 大蔵大臣に時間の制限があるそうですから、お伺いしたいと思います。  まず私は、いま減税の問題や国債減額の問題はありますが、問題になっております児童手当法案の問題について、これはもちろん社会労働委員会あるいは予算委員会、そういうほうに重点を置くべきであろうと思いますが、大蔵大臣に非常に関係も深いし、また、この問題については大蔵大臣にもいろいろ意見を伺っておりますので、この問題についてお伺いしたいと思います。  国民の中から児童手当法案の創設に対する問題について非常に大きな期待が寄せられているわけでありますが、この点について、大臣はどうお考えになっているか、まず所感から伺いたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 この問題につきましては、もう国会で再三私どもの考えは述べておるので御承知だと思いますが、そう簡単な問題ではございませんので、したがって、担当主務官庁である厚生省でこの問題についての懇談会をつくっていろいろ検討するということで、いまそこへこの問題は政府として預けてあるということでございますが、最近この懇談会の議論というものは私はそう進捗してないように思いますので、それだけやはり懇談会もこの問題の困難性を認識しているからではないかというふうに私は思っております。  私は、この問題は非常にむずかしい問題で、それは全国で見たら、子供に現実に月々手当が出てくれるのならけっこうだというふうに思うでございましょうが、しかし、よその国で発達してきた児童手当のいきさつから見ましても、これを日本の中へすぐに移しかえるということについてのむずかしさはもうたびたび申し上げたとおりでございまして、日本ではやはり生活力の弱い層を助けるという考え方からの社会保障制度が積み重ねられてきております。したがって、児童の手当につきましても、母子福祉年金から児童手当、また特別手当とかいうようなものが順々に積み重ねられてきておりますし、今度は雇用主のほうから見ますと、賃金制度において外国では家族手当とかそういうようなものがないから、やはり児童手当というようなものが企業主の負担において発達してきたといういきさつがありますが、日本はそうじゃなくて、賃金の形態も違いますし、家族については扶養手当を出すという形で日本の賃金制度が発達しているということから考えましても、すぐに現金給与の児童手当というものをここへ入れ込むということになると、いまの賃金形態というものも変えていかなければ、これは雇用主としてどうにもならぬ問題でしょうし、また国も、税制においても扶養控除ということをやって、子供があればそれだけ税において優遇するというようなことをやって、児童があるためにそれを中心としたあらゆる制度が組み立てられておるのですから、そこへ突如として児童手当というものを持ち込むということにしたら、いまのそういうものを全部一応整理して仕組みを変えなければ、これは円満に移し植えられないという性質のものでございますので、かりにやるとしても、大きい変革でございますから準備も要りますし、そう簡単ではないということと同時に、これはかりに一人三千円ということにしましたら、ざっと計算しても義務教育だけでも九千億、いまの社会保障全部の金額よりも大きいものが要るようだというようなことでございますので、私は、いまこれは諸外国にあって日本にない唯一のものになっておりますが、それだけ日本にこれが採用されなかった理由というものは十分あると思いますので、今後もう少しこれは検討を要する問題だと思っております。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 端的にお伺いしますが、児童手当のこの問題については実施すべきであると思うか、どうですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私は、最初から児童手当にあまり賛成しないので、ここでだいぶ皆さん方からきょうまでたたかれてまいりましたが、私はあまりこの制度には賛成しません。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 この問題については、わが国においても、昭和二十二年ですか、社会保険制度審議会が、これは早く実現しなければならないという御答申もしておりますし、あるいは中央児童福祉審議会も早急な実現を建議している。かれこれ二十数年になっているわけです。昨年の三月の予算委員会で佐藤総理は、四十三年度には実現したいとこれははっきり言明しておるわけです。また、今年の七月ですか、この問題について、児童手当制度の実現をはかるために、わが党においてもこの予算を四十四年度で確保することを強く要望し、要望書も手渡してあるわけですが、厚生省としてもそれは検討し、一応その試案もある程度新聞にも発表になっておったこともありますが、やる気は十分であるけれどもやはり財源というか、大蔵省の色よい返事がない、ざっくばらんにいうとそういう話もあったわけです。また大蔵大臣、あなたにもその趣旨をお話しし、そのことを要望したわけでありますが、そのときのお話にも、経済成長から見て財源捻出は可能だというような回答をしておられるわけですね。その点についてどうですか。総理にしても、それは実現したいと言っているし、あるいは所管庁である厚生省にしても、具体的なその検討を考えているし、児童手当懇談会ですか、その後においてもいま検討中である。これもおそきに失したという感じがわれわれいま強いわけでありますが、その点についてどうでしょう。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いま言いましたように、やろうと思えばやれないことはないと思いますが、これをやるためには、いまの日本の積み上げられてきた社会保障のやり方をやはり根本的に仕組みを変えていくという仕事をやらなかったら、これはそのままいまの制度の中へ入り込んでくるということはむずかしいと思います。同時に、これだけの財源を捻出しろといった、その財源の捻出する方法はあるでしょうか。そうしたら、まず子供がおるからというために免除している税の控除というものも直していって、そちらからはもらうけれども子供に対してあらためて月々こういう給与をするとかいうふうに、税制自身からも直してこなければいけないでしょうし、いまの民間の賃金制度もこの扶養手当というような、やはりそれを意識してできたこの手当というようなものも何らかの調整を加えなければ、これは民間の負担が重過ぎるというようないろいろな問題がありますので、やるな、やっちゃいかぬというのじゃなくて、やるためにはそれだけの準備をしてかからなければいけないんだ。そういうものの検討なしにこれは来年からやりますとかなんとか言ったって、事実上やれる問題じゃないということを私どもは主張しているわけです。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 この問題については、地方自治団体では実際に乏しい財源の中で制度を創設してやっているところもあるわけです。また、各地方議会においても、こういった問題が大きく取り上げられてきております。やはりその観点の問題は、児童福祉という面から考えてみましても、福祉法の第一条には、うだうだ読んでいるひまもありませんが、どうしても児童に対しては国あるいは地方公共団体は責任がきめられているわけですね。もちろん、いまの制度上の問題もあるかもしれませんけれども、やはり総理自身もそれは実現すると言っているし、所管庁においてもそうであるといっているし、やればやれないことはないけれどもというようなあいまいな考え方は、やはりここに問題を残しているんじゃないか。二十数年にわたって今日までこれが建議されながら、あるいは答申されながら、そのまま放置されてきたということには、基本的にはそういった考えがあるからじゃないか。まして、それは公約として総理自身から予算委員会においてはっきり言っているわけですから、その方向に向いて、実現するという方向に向いて、これはやっていかなきゃいけないと思うのです。いま私はあんまりやりたくないという、私見でありましょうけれども、しかし、その問題がいま公約として実現させざるを得ない状況にまで来ているということ、あるいは児童福祉のことから考えてみましても、当然これはやるべきである。諸外国ではいろいろな、形態は違うにしても、すでに六十二カ国においてはやっておりますし、日本よりも経済力の低い国においてもこれは実現しておるわけです。ましてや、その内容から考えてみましても、厚生省がこの間調べたところによれば、全国二百六十四地域の世帯について児童が三人いる世帯で月平均現金支出は五万八千五百四十九円、その児童の養育費を見ると、第一子は九千五百四円ですか、第二子、ずっとそういうように合計が二万二千七百十六円となっている。その児童の養育費の家計に占める割合というのは三八・七%という高い率を示しております。そこで、これらの家庭では勢い食生活にまでそれが影響しているという厚生省は一つの調査データを発表しているわけです。  ですから、いろいろの制度があって、児童に対してはそういう恩典を考えているとは、いまの日本の形態ではいっていると言うけれども、やはり抜本的に児童福祉という観点に立ってそれを行なっていくためには、やはり児童福祉法案、児童手当を新設して、家計と児童の教育というものに対してはもっと抜本的な対策を立てていくべきであるという見地からも、やはり児童手当法案というものは必要になってくるのである、こういうわけですからね。その見解はどうですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 この児童手当というものは金持ちの子供へも支給いたしますし、そうでない生活力の乏しい家庭のお子さんにも支給するということでございますが、いままで日本の社会制度というものはそういう考え方でなくて、生活力の高いところには社会保障というものはやらないのだ、生活力の非常に弱い人に対する保障であるという考え方からずっと発達して今日まで来て、いろいろな制度が組み立てられております。これを整備統合して一つの制度をうまく植えつけるようにするということはなかなかたいへんな仕事であって、これが簡単にできるのなら、私どもは児童手当というものは場合によっては非常にいいと思うのですが、いままでの政治の経験から見ますと、一ぺんできた制度というものを、これを取って整備統合するなんて、日本の国会の仕事としては非常にむずかしいことは御承知だと思うのです。いまある児童手当、母子福祉、こういうものを、こういうものができるから整理するのだというような仕事がこれから簡単にできるかどうかという見通しも立てなければなりませんし、私はこういうことを言っても理論倒れであって、実際にやれるかというと、よほどの決心をして準備をしないとやれないのじゃないかという気がいたします。と同時に、いままでの考えどおり、とにかく生活力の弱い人を助けるというふうなことでいくのか、貧富にかかわらず子供があったら子供に、金持ちの子供にも国民の税金をもって手当を出していくというような考え方、また、そういう金の使い方がはたして効率的な使い方かどうか、この問題を検討するともう問題があり過ぎて、どうもなかなか簡単にいく仕事じゃないと思います。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 大蔵大臣はなかなか出し渋っておりますけれども、やはり政治的な発言かどうか知りませんが、とにかく総理においても実現したいということは言っているわけでありますし、厚生省においても、あるいは社会保障制度審議会においても、非常におくれている現代の社会保障福祉の中で、これは何とか実現していきたいという方向をとっているわけでありますから、大蔵大臣もひとつ前向きでこれを実現できるように検討していく、こういうふうにお答えいただけませんか、どうですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 むろん検討はいたしますが、しかし、これを主張するなら主張するほうでも、いまの日本の制度の中へうまく植えつけるようにという青写真の全貌をひとつ研究して示していただいたら、われわれいつでもまじめに御相談に乗ります。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 それは、基本案は提出してあるのですが、それを全部というわけには財源等いろいろな問題があることはよく承知しております。したがって、いまのお話にありましたように、非常に収入の低い生活をしている方だとか、あるいはからだのぐあいの非常に悪い家庭の方だとか、第一案としてはいろいろな段階においてこれは実現の方向へは持っていけると思うのです。そういう面からでも検討して前向きにはかっていくということは、現在のおくれている社会保障制度、あるいはこういう児童福祉に対して非常におくれをとっているわが国においては、最も前向きに取り組んでいくべき問題ではないか、こう思うわけですが、どうですか。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 それはいま主管官庁がいずれにしろ厚生省でございますので、そこで御研究をしてもらっておりますので、いずれ何らかの結論を出してくると思っております。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 時間が八分経過したという警告でございます。長々と大臣の所見を聞いているうちに時間がなくなってしまったのですが、要するに、もう一点お伺いしておきたいことは、先ほどからいろいろ議論のありました予算編成に関する問題であります。俗にイザナギ景気とかあるいは宇宙景気というような非常に大型景気の中で、やはり自然増収というものは相当見込まれる、こういう段階にあるわけでありますが、昨今の新聞を見ましても、大蔵大臣の基本的な考え方と経済企画庁長官の、即経済企画庁の考え方だと思うのですが、そういう考え方が基本的に大きな――物価問題にしても減税問題にしても、一つの大きな狂いがあるわけですが、この点について基本的な考えをちょっと承っておきたいと思います。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 私は、基本的な考え方の相違はないと思っております。物価対策としては、やはり何といっても来年度の日本経済の動向を見ますというと、これは景気を刺激するような予算を組むということをやったら、来年の物価というものをとめられない事態がこないとも限らない。ですから、総需要をある程度押えてかかる警戒型の予算を組むべきだということは、大蔵省も経済企画庁も、大体考え方としては一致しておる問題でございますし、減税も一般論と実情に即した実施論との違いだけであって、一般論としましたら、好況のときには国債を切って大きい減税をやることは控えるべきだというのが、これは一般論としていえることだろうと思いますが、しかし、さっき言いましたように、この問題は一般論ではいかない、実際の税制のあり方という現状を見たら、所得税の減税はやらなければならぬというようなことも企画庁は否定しているわけではございませんで、ただ大きい減税、減税のしっぱなしというようなことは、来年の景気との問題とからんでどうかという問題を出しています。これは、国民負担のあり方がどうなるのかといういろいろなものとも関連いたしまして、この減税の幅をどうするかということは、これはまた別個な総合政策の問題でございますので、そういう点においても考え方は私は食い違ってはいないのじゃないかというふうに思っております。

田村元自由民主党

○田村委員長 広沢君、時間がもうすでに二十三分経過しておりますから、簡略に結論を出してください。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 要するに、大蔵大臣のいろいろな会合でお話しになっている国債減額とそれから減税の両方をやっていくのだというような基本姿勢には私も賛成でありますが、しかし、税収見込みがそれぞれいまはっきり出ていないので、いろいろな計算のしかたがあると思うのですが、その増収見込みがいま一兆円だとか一兆二千億だとか、こういう声がありますが、まずその見通しがどうかということが一点と、もしもその増収見込みがそこまでいかなかった場合において、大蔵大臣としては国債減額か――どっちも必要だと思いますが、あるいは減税を重点にしていくのか、あるいは課税最低限の引き上げだけで終わるのか。中堅層のサラリーマンの税率改正まで、前に大蔵大臣がどうしてもそこまでやっていくんだということを再三公約されているわけですが、その点はどうなっているのか、これを最後にお伺いしておきたい。

水田三喜男自由民主党大蔵大臣

○水田国務大臣 いまざっと計算いたしますと、経費の当然増――われわれの手を加える余地がなくて、これだけは来年経費が増加するといわれているいわゆる当然増経費が七千億から八千億という、数字のとり方によって相当幅があるのですが、それだけの当然増というものがある。これはいまのところその数字の中には、食管とかそのほか、特に財政にしわ寄せされてきそうないろんな問題がございますが、そういうものがないと見ての計算でございますので、実際に最後にいって食管の赤字がどれくらいで済まされるか、いろんな財政の負担というもの、たとえば公共料金等のからみもあるでしょう。そういうものの財政へのしわ寄せがどのくらいあるかということいかんによっては、これは国債の減額、減税というものは相当むずかしい問題でございますので、そうなったら既定経費といえども相当思い切ったことをやって捻出をやらないといかぬということで、私どもはそういう意味から来年度の予算編成は非常に安易にいま考えておりません。

広沢直樹公明党

○広沢(直)委員 時間がないので、この続きはまた次の機会にいたします。

田村元自由民主党

○田村委員長 どうぞ大臣お引き取りください。御苦労さまでございました。  阿部助哉君。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 昨年、四十二年の十二月二十六日に、国税庁長官から災害地の課税について通達を出してありますが、これは全国の税務署等にいっていないのですか。

川村博太郎国税庁直税部長

○川村説明員 御質問の十二月二十六日の通達は、西日本の干害に関しまして国税局長あてに出した通達でございます。各国税局におきましては、各署にこれを通達という形で流したケースもございますし、会議をやりまして、会議の席上で各署にこれを知らせたというケースもあるようでございます。いろんなケースで各署までは何らかの形でこれを知らせておると思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 それは追及はしませんけれども、実はこの通達の中にも「羽越水害等これに類する災害もあるので、」こう出ておるのですが、新潟県の加治川の周辺は御承知のように七・一七、八・二八という二年連続の災害があったが、そこの税務署に書類がいっていないのです。そこでずいぶんさがして回ったけれどもないので、私、この一部を置いてきて検討はしてもらった。それはそれでよろしゅうございますが、問題は、二年続きの災害の場合、これは干害、冷害よりまた少しひどいわけであります。家屋の被害等も甚大であります。ところが、二年災害でありますその農民は、税金なんというものを当然考えていませんから、確定申告等もほとんどしていないわけです。    〔委員長退席、只松委員長代理着席〕 そうしますと、ことし例年にない豊作だとなると、確定申告をしていないのですが、それはどういう形でこの通達の適用をされるか、これは署長権限でやむを得ない事情ということでさせるわけですか、それを聞きたい。

川村博太郎国税庁直税部長

○川村説明員 御承知のように、災害によりまして被害を受けたその損失を所得税法上どうするかというのは、大まかにいって二つございます。一つは、事業用資産に損失を受けた場合、もう一つは、事業用資産ではない家具、家財に損失を受けた場合とあるわけでございますが、事業用資産に損失を受けた場合には、これを三年間繰り越して控除ができる。それから通常の家具、家財でございますと、雑損失といたしまして、その年の総所得金額の一〇%をこえた部分が損失として控除される。これも三年間の繰り越し控除が認められております。先生御指摘のように、いずれの場合にも、損失を受けた年に損失申告書を出していなければなりませんし、それからその後、毎年確定申告書を出さないと繰り越しが受けられないということに相なっております。  しかしながら、御質問のような場合で、二年続きで損失を受けられた、あるいは初めの年には損失を受けられたが、その次の年にはほとんど所得がなくて、基礎控除であるとか扶養控除であるとかはほとんど失格してしまうというような場合に、農家の実情からいいまして、確定申告を出していない場合がかなりあると思います。問題は、なぜ確定申告書をお出しいただくことを要件にいたしましたかというと、これは損失額がはっきりとわかっていなければならない。    〔只松委員長代理退席、委員長着席〕 事業用の資材、資産の損失につきましても、あるいは雑損控除にいたしましても、これは青色申告者でなくて、白色の申告者にも認められることになっているわけでございます。そういう意味で、確定申告書を出していただきませんと、白色申告者の場合にはおおむね記帳がございませんので、あとから言われても、その事実を究明することができないということがございまして、これを要件にしているわけでございますが、農協等でその損失額がはっきりと確認できる、あるいは市町村長の証明で家具、家財に関しまする損失額が税務署でわかっておるというようなことでございますれば、その実情に沿いまして繰り越しの控除の恩典を適用してまいりたいと考えております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 わかりました。市町村長や農協等の証明といいますか、そういうのがあればこれは繰り越しを認めると、こういうことで了解をいたします。  それで、実は所得税の場合にこの通達が出ておるわけですが、地方税の場合は一体どうなるのですか。

岡田純夫自治大臣官房参事官

○岡田説明員 地方税の場合でありますと、住民税にいたしましても固定資産税にいたしましても普通徴収でございますので、市町村のほうから令書が参ります。市町村のほうで実態を調査いたしまして、減免すべきものは減免するということになると思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 そうすると、地方税の場合には、こういう通達を出さなくとも前の年の欠損というものは繰り越しを認めるわけですね。

岡田純夫自治大臣官房参事官

○岡田説明員 その点は、国税と同じ取り扱いで、それに乗って市町村のほうで調査いたしまして、落とすべきものは落とす、その結果を通知してまいる、こういうことになると思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 これで終わりますが、何かちょっとあいまいでよくわからないのですが、問題は、国税に準じて、そういうあれがなくとも前の年、またその前の年の三年間のあれは、市町村長あるいは農協の証明があれば認める、損害額を差し引くということが可能だ、こういうことでございますね。

岡田純夫自治大臣官房参事官

○岡田説明員 そのように解していただいてけっこうでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 それでけっこうでありますが、私のところの税務署でもはっきりしていないで、白色はだめだなんという話が出るくらいですから、できればこういうのは親切に、やはり市町村に通達くらいは出しておくべきだ。国税庁で出しておるんだから、それくらいはやはり出すべきだと思いますが、できたらひとつそれは出してもらいたいと思うのです。市町村の税務署は、これから農民が押しかけると混乱をするだろうと思いますので、何とかそういう混乱のないように指導しておいていただきたいと思います。  終わります。      ――――◇―――――

田村元自由民主党

○田村委員長 この際、おはかりいたします。  本委員会におきましては、先般各地に委員を派遣し、税制及び金融等の実情を調査いたしたのでありますが、その報告書が各派遣委員より提出されております。  これを本日の会議録に参照として掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村元自由民主党

○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

田村元自由民主党

○田村委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十七分散会      ――――◇―――――

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