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59回国会衆議院1968/11/12

社会労働委員会 第7号

発言数
285
登壇者
25
会派数
2
開催日
1968/11/12

会議録

八田貞義自由民主党

○八田委員長 これより会議を開きます。  厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 前回の委員会に引き続いてでございますが、その後、北九州におきまするライスオイルの中毒事件というものが、だんだん進展を見せてまいりました。  御承知のように、一つには、十一月四日、九大の油症研究班が、あるいはまた一方におきましては国立衛生試験所におきまして、油症患者が使用いたしましたカネミ倉庫のライスオイルから四千ないし六千PPMの有機塩素が混入しておったことを正式に確認したと発表いたしてまいりました。いま一つは、この油を使用いたしました油症患者の肉体から有機塩素というものを検出しようということで急いでおったわけですが、これまた、九大の油症研究班の分析部会が九日に、油症患者の皮膚、特に毛根部ですが、汗、つめ、皮下脂肪、こういうところがら塩化ジフェニール、製品としてはカネクロールでございますが、のパターンによく似たピークが見られた、とういう発表をいたしておるわけでございます。そこで、この検体、油と中毒患者との因果関係というものが、このように明らかになってまいったわけですから、そういう意味では、この油症患者の原因追及というものもだんだん大詰めの段階に立ち至っておるのではなかろうか、こういうことを私ども考えておるわけでございます。そういう意味で、まずこういった情勢に対しまする政府の見解というものを承りたい、こういうように思います。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光説明員 米ぬか油の中毒事件につきましては、その後の経過におきまして、先生からただいま御説明がありましたように、当初砒素というものも考えておりましたが、その後塩素というものが問題に提起されたということにつきまして前回の委員会で御説明申し上げたわけでございますが、その後、先ほど御説明ございましたように、塩化ジフェニールに似ました物質が、患者の家庭から取り寄せました油の中から発見されております。これは地元の油症研究班においても発見しておりますし、それから国立衛生試験所におきましてもそれを発見しているわけでございます。また大阪等の研究所におきましても、さような同じ見解が出ております。また岡山大学の公衆衛生学教室におきましても同じように発見されておるというのが、現在までの経過でございます。  それで、現在におきましては、地元の油症研究班におきましても、また国立の衛生試験所におきましても、その他の製品につきまして検査をいたしております。たとえば製造日の違った製品等につきまして、現在系統的に検査を進めておる段階でございます。また、患者から同じような物質を発見したということでございますが、これにつきましては、まだ正式にはこちらとしては報告を受けていないのでございまして、なおこれは詳細にまた報告があることと思うのでございますが、まだそういった段階でございます。  さようなことでございまして、塩化ジフェニールに似た物質が現在発見されておるということでございますが、これにつきましてはなお精密な検査を進めております。またその他の製品につきましても調べておるという現段階でございます。そういう状態でございますので、これが即原因になったという、これが患者と結びついておる、この塩化ジフェニールが患者発生の原因物質であるという確定は現在まだしていないわけでございます。おおむねそういった疑いが非常に大きいという段階でございます。  それから、製造工程の調査等におきましても現在進めておりまして、十一月六日には、北九州市が大学関係の専門家の協力を得まして、たとえば工学部とか農学部等の専門家の協力を得まして、製造工程の調査をしておるということでございます。そういうことでございまして、製造工程におきましては、塩化ジフェニールを脱臭の製造工程で使用しておるという関係上、それとの関係を調べておる、こういう現在の状況でございます。  以上でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 いま局長の御答弁を聞きますと、全く対岸の火事のような、この事態に対する取り組みというものが非常に弱い。たとえば、時間があればいろいろ私は追及してまいりたいと思うけれども、政府としてまだ正式な回答というものを受けておらぬのだ。私どもは、党として八日の日に現地に調査団を派遣をして、いろいろこの状況の聴取をいたしておるわけです。その際、九大の研究班長は、人体から――先ほど申し上げましたように、皮膚であるとか、あるいはつめであるとか、そういうところから塩化ジフェニール、カネクロールのパターンと似たピークというものを発見した、こういうことを明白に発表されておるわけです。それならば、厚生省がさらに精密な検査をするんだとおっしゃるが、それはどこでどういう検査をやっておられるのか、その辺を明らかにしてもらいたいと思うのです。そうすれば私は納得いたします。九大ではすでにその見解を発表いたしておるわけですね。このことは、検体である油から出てまいりました、それを使った患者からも塩化ジフェニール、カネクロールのパターンに近いものが見られた、こう言っておるわけですから、それ以上に厚生省がやっておるとするならば、それ以上のものを示していただきたい。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光説明員 先ほどの、現地で患者から塩化ジフェニールに類似したものを発見したということにつきましては、私ども承知をいたしておりますが、ただいま申し上げましたのは、それがどの程度の内容でこれを確認したということにつきまして承知してなかったということで、実は先ほど申し上げたわけでございます。問題は、これを確認ということになりますと、大体塩化ジフェニールに似た――ガスクロを使いまして、御承知のようにそれによって推定しているわけで、同じ種類の物質だ、かように判断しているわけでございます。さらにこれを定量分析をやり、また動物試験も国立衛試では進めております。それからもう一つは、先ほど申しましたように、もう少し製品の製造日の違った検体もあわせて調べて、そういうことによりまして全般的に確定したいということで、そういった面につきましては早急に結論を出すように非常に急いでおるわけでございます。現地においても同じようなことをやっておる、かようなことでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 九大の油症研究班の研究というものが今度の問題解決の中心でしょう。これはお認めになりますね。その研究班がすでに見解を発表いたしておりますね。しかもそれの内容の詳細について知らないということはどういうことですか。私どもでも知っておるのです。ちゃんと承っておるのです。それをあなた知らないで、さらに精密な検査をいたしておると言う。精密な検査と言うが、いま厚生省は、どういう方法で患者の肉体から検出しようとする方法をとっておられますか。そういうことはやっておられぬでしょう。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光説明員 私が精密検査と申し上げましたのは、塩化ジフェニールをこの患者の発生の原因物質として断定することにつきましての精密な検査をしておる、こういうように総括的に言ったわけでございまして、患者から塩化ジフェニールが、原因物質と同じものが発見されるということにつきましての研究は、当然、先生のおっしゃるように、地元の九大で研究していただいているわけでございます。これは国のほうにつきましては、その点につきましては直接はやってないのでございますので、現地の結果にまって決定をしたい、かように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 すでに研究の中心である九大では最終結論に近いものを出しておるわけですよ。にもかかわらず、あなた方その内容について十分でない、さらに厚生省は厚生省独自の立場でやるとおっしゃるから、しからば厚生省としてはどういう独自な方法でやっておられるのでしょうか。やっておられぬのでしょう。全く不見識だと思うのです。  なぜ私はこの点を追及するかと申しますと、十月十五日、食品衛生法第四条に基づきまして一カ月間の営業停止を命じておりますことは、御承知のとおりです。それが十四日にはもう期限が切れるのです。あと二日ですよ。したがって、私がいま申し上げましたように、九大では、油、検体からも塩化ジフェニール、カネクロールが出てきた。また、その油を使用した油症患者からも、皮膚、つめその他から検出をされた。そこで油と中毒患者との因果関係というものが大体解明されたわけです。そうすれば、この段階で厚生省としては最終的な結論を急ぐべきでないか、私は、その点を指摘しておるわけです。九大の稲神教授のほうも、九〇%は確信があると言っているのです。それならば今後さらに厚生省は、どういう資料が集まれば最終結論ということになるのか。ところが、いま私お尋ねしますと、厚生省としてはたいしたことをやっておられぬでしょう。そういう能力も厚生省としてはないじゃないですか。ですけれども、今度の研究の中心である九大の油症研究班が大体最終結論を出したわけです。しかも食品衛生法四条を発動して営業停止を命じた。期限は十四日、あと二日で切れるわけですから、厚生省としても、その後一体どうするのだという態度を明確にしなければならぬ時期に追い込まれておると思うわけです。そうすると、九大油症班が九〇%間違いないといって定義をいたしておる結論に基づいて、厚生省の腹づもりをきめる段階が来ておるのじゃないか、こういうように私は指摘をいたしておるわけです。一月も営業停止を命じておって、いまさら原因が明らかでありませんということでは、国民感情を納得せしめられるかどうか、私は非常に大きな疑問を持たざるを得ない。そういう点、局長の答弁はもうけっこうですから、大臣からひとつ明確な御答弁を願いたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおりに、研究班の分析によってほぼ最終結論は出てきたようでございますから、正確な結論を待って、経路等も逐次判明してまいりますから、必要な期間営業停止を延長して、その間に早急に結論を出し、その結論に基づいて厚生省としてやるべき医療その他の準備をするように内々に検討させております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 営業停止期間を延長するというお答えであったわけですけれども、国民感情としては、なぜこの営業停止期間を延長しなければならぬかという明確な根拠がほしいと思うのです。うやむやのまま営業停止期間の延長ということでは、国民の不安をさらに助長する危険性があると私は思うのです。ですから、一〇〇%の結論に到達することが困難であるならば、厚生省としては、大体この辺までの結論は取り結ぶことができる、したがって、食品衛生法四条の発動については、いわゆる営業停止についてはさらに延長をしていきたい、こういう説明がないと、何が何かわからぬで、ずるずるべったりで営業停止の期間が延長されるということについては、国民の感情というものがすっきりしないと思うのです。そういう意味で、いまさらに営業停止の期間を延長するということでございましたけれども、さらにつけ加えていまの点についてひとつお答えを願いたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ほぼ結論が出ておりますが、その結論が近く正式に出ると思います。それからさらに、分析された毒物が混入した経路もほぼ見当がついてまいりましたし、その焦点も明らかにされてまいりましたから、その経路も明確にわかってくると思いますので、そのために期間を延長するわけであります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 時間の制約がございますから、そこをぐるぐる堂々めぐりするわけにまいりませんので、さらに進めてまいりたいと思うのでございますが、私が前回の委員会で申し上げたように、このライスオイル中毒事件に際して、当局側の行政能力が非常に欠除しておる、あるいは能力が非常に低い。国民の側から申し上げますと、行政不在じゃないかというきびしい批判もございます。そこで、私どもその後調査をいたしてまいりまして、感じてまいりました具体的な点がございますので、さらにあらためて二、三の問題点について御指摘を申し上げ、政府の反省を求めてまいりたい、こういうように考えるわけでございます。  その一つは、今度のライスオイル中毒事件の犯人が一体どこの油か、どの時期の油、どの段階の油かというのが一つの争点でございます。ところが、この二月五、六、七、この時期の油が大体犯人であろう、そこに問題があるであろうというような憶測が行なわれて、だんだんそれが固まりつつあるわけでございます。ところが検体の油がほとんどなくなった。こういうことで、さらに確認を深めていこうと思うけれども、実はその当時の油が少ない、あるいはないというようなことで、こういう点もやはりこのきめ手を急ぐ一つの障害になっておると思うのです。  そこで、この十月の十五日に営業停止という行政処分が行なわれた。製造、販売、移動というものが禁止をされておるわけでございます。移動もしてはならぬ、販売もしてはならぬという行政処分が行なわれておるわけですけれども、実際、この問題の油がどういう形で確保されておるのか、この点について非常に疑問がございます。私、仄聞するところによりますと、北九州の市立病院で使われた油のごときはカネミに返品をされたというような意味でお答えになったということも仄聞しておりますけれども、いずれにしても、当然確保されておらなければならぬ油がどういう形で確保されておるのか、その点について非常に疑問等がございますが、そういう油の保管といいますか、監視といいますか、確保といいますか、それがどういう状況であるというふうに御認識をいただいておるのか、この点についてひとつ当局のお答えをいただきたい。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光説明員 ただいま御説明がありましたように、当初患者が発生いたしました当時におきまして、二月の初旬の油が問題ではないかということは指摘されておったところでございます。さようなことでございまして、第一番には、そういう二月初旬の油につきまして、検査材料の確保ということにつきまして、関係者におきまして努力したわけでございます。そして、必要な資料につきまして、逐次現地の研究班あるいは国の国立衛生試験所に送付をお願いしたわけでございます。  なお、一般的な製品につきましては、製造年月日別に製造量を調査いたしまして、それがどういう系統に配付されておるかということの調査をいたしまして、各関係県にもお願いをいたして、その実態と申しますか、その患者等の系統等につきまして調査も行ない、またその移動禁止等も行ない、また各県におきましても必要な材料を収集しておる、かような状況でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そこで、時間を急ぐ関係から端的に具体的に指摘をいたします。  私ども十一月八日に、再度の現地調査なんですけれども、実施をいたしました。そして、一般の商店は別ですけれども、いやしくもこの事件が起こって以来、北九州市の衛生局当局がこの問題の最も大きな責任を持っておられます局ですから、そこで、北九州市の市立病院で使っておったカネミの油、これが一体どうなっておるのか。私は同僚の参議院の小野議員から承りますと、参議院の社労委員会においては、この北九州市立病院の油はカネミに返品されたというふうなお答えがあったというふうに仄聞いたしております。そこで、一般の販売店の問題は私どもが手をつけるわけにはまいりませんが、少なくとも北九州市立病院で使われて残っておった油、残油の行くえは一体どうなっておるのだ。国会の委員会ではカネミに返品されたという話もあり、一体どうなっておるのだ。ところが、たまたまその問題を取り上げてみたら、その油は一体どこへ行ったか行くえがわからぬ、こういう実態というものがあるわけです。このことは、いま検体が足りぬ、検体が足りぬといって厚生省も当局も騒いでおる。ところが、当然病院で確保される油がどこへ行ったかわからぬというのが今日の実態です。こういうことで、あなた方がほんとうにこのライスオイル事件と真剣に取り組んでおる、こういうことになりますか。そういうことですから、行政不在だ、あるいはどうもカネミライスオイル会社と当局側というものが不純な関係にあるのではないかというふうな意味での取り上げも、今日行なわれております。この点について、油の保管、確保について、これは法律で移動も禁止されておるわけですから、その保管の実態については当然当局が捕捉しておかなければならぬ。ところが、どこへ行ったかわからぬ、こういう実態があるわけですが、これらについてどういうふうにお考えになっておりますか。

野津聖厚生省環境衛生局食品衛生課長

○野津説明員 お答えいたします。  北九州市の病院で使用されておりました油につきまして、第一松寿園、第二松寿園、門司、戸畑の病院で残っておりました白絞油の未使用分七かん、それから使用中のもの二かん、サラダオイルの未使用分十一かん、現在使用中のもの二かんにつきましては、北九州給食株式会社の場所が狭いということで、北九州給食株式会社の社員であります田川市の東区螢ケ丘にございます名島晃子という者の車庫に現在保管してございます。この確認につきましては、北九州市病院局の者二名が確認しております。いま申し上げましたのが、北九州市の市立病院で使われておりました油の保管状況でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そんな答弁がよくやすやすと国会でできますね。法律で移動その他が禁止されているわけでしょう。十一月八日に私どもが現地に行って、販売店その他は私どもが手をつけるわけにはいかぬけれども、一体北九州市の市立病院の油の行くえというものはどうですかと質問したところが、実はどこへ行ったかわからぬ。後ほど報告してもらいたいという要求をいたしましたが、今日まで報告はございません。新聞記者の諸君の情報によりますと、その後――私どもは十一月八日ですよ。ところが行政処分は十月十五日です。にもかかわらず、十一月八日に私どもが質問したならば、どこへ行ったか返答することができない。そうしていま聞くと、田川の、しかも個人の家でしょう。少なくとも市立病院で使っておった油ですよ。それが個人の家の車庫にありましたなんて言ったって、だれがそんなことを信用しますか。よくあなたはそういうことを国会で答弁しますね。そういうことで行政指導がうまくいっていると思いますか。移動は法律で禁止されているわけですよ。大臣、その点どうですか。個人の家の車庫にあるなんて……。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおり、今回のような社会的重大事件にあっては、病院がこれを聞いて使用禁止をし、それから各所にカネミの油が危険であるということを通知して停止したというのはけっこうでございますが、その残品は、当然これは将来の研究のために病院に――それはお医者さんですから、確保するか、あるいは特別の場所に置くという配慮があってしかるべきである。その配慮がなしに、移動禁止の前であるとはいいながら、田川市の倉庫に持っていったことは、そういう点について配慮が欠けておるし、また移動禁止のあと、これに封印をするなり、あるいは研究のために何らかの手を打たれるのが当然でありまして、今後十分注意をしなければならないことだと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 その北九州給食株式会社の倉庫なら倉庫で確保をして厳重保管をしておるというなら、それは一つの理屈です。それが一個人の、倉庫でなく車庫の中に確保されておりますというような答弁で、それで国会が納得するものかどうかですね。しかも、その油がほんとうに北九州の市立病院で使っておった油かどうかということは、実は私どもが十一月八日指摘してわからなかった。その後、いろいろ確認されたところが、門司、小倉の病院にあったやつが田川に行っておったというのでしょう。しかもそれが個人の車庫にあるというのでしょう。そういうことではたして食品衛生法四条で行政処分を受けてきたその問題が解決できるのかどうか。また私どもは正直いって、ほんとうに市が責任を感じておれば、もう十一月八日、私どもがその油は一体どこへいったのですかと言ったときには、これこれここへ厳重に法律どおりに保管をいたしております、こういうお答えがなければならぬわけですよ。それは北九州の門司か小倉というなら話がわかるけれども、門司にあったやつが田川に行っておるわけでしょう。しかも個人の家に行っておるわけでしょう。車庫でしょう。倉庫じゃありませんよ。そういう報告を受けて、それを得々として厚生省の一課長が国会で答弁するごときは、全く不見識きわまりないです。これはあなたは、私どもは行政能力がないと言ったけれども、あなたは課長としての能力はないですよ。そういうことを得々と報告するようでは、あなたの良心を疑いますよ。  そこで、そういう御答弁であれば、私はここでもう一つ指摘をしたいと思います。それは、厚生省から出された御承知の病院経営管理指導要領、昭和四十二年十一月のものですね。厚生省の医務局から出している。これでは、病院給食の場合は次のようにしなければならぬと、その要領を厚生省の医務局が示しておる。「材料の購入、検収、食餌の調整の監督をこれらの職員が行なう体制でなければならない」。市の職員がそういうことをやらなければならぬということですから、そういう法律で規制をされた油がどこへ行っておるかわからぬということは、この管理要領によると、当然北九州市当局の責任になるわけですね。これは間違いないですね。

北川力夫厚生省医務局次長

○北川説明員 ただいま河野委員の御指摘のとおり、現行の病院経営管理指導要領におきましては、確かに給食の業務を委託いたします場合に、材料の購入でございますとか、あるいはまた検収でございますとか、そういったふうな監督を当該病院の職員が行なう体制でなければならないということになっております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 いま大臣お聞き取りのように、この油が一体どこへ行ったかわからぬ、あるいは不見識にも個人の家に入っておった。しかも、それは北九州ではなくて、北九州の門司とか小倉に行ったんなら話がわかるけれども、田川に行っておったというような説明では、やはりこの責任が北九州市当局にあるということは、いまの答弁でも明らかです。これはひとつ北九州市当局の責任を徹底的に追及してもらいたいというふうに申し上げます。  そこで、時間の都合等もありますから、いろいろ申し上げられないことは残念で、非常にはしょっておるわけですが、いまの問題に関連をしてもう一つ取り上げてまいってみたいと思いますのは、この製造、販売禁止になったのは、先ほど申し上げますように、十月十五日のことでございます。ところが、カネミは、そのカネミの寮において、十月二十一日まで寮生に売って食べさせておるわけです。これはもう食品衛生法で十月十五日から売っても移動させてもいかぬといっているわけですね。ところがカネミは、自分のところの寮に対しましては、二十一日までこれを売って食べさせておった。これは私が言うのではなくて、北九州市から資料の提出を願ったわけですが、この資料の中にこう書いてあるのです。「カネミの寮に対し再度使用禁止処分を行なう」。ですから、すでにもう使用してはいかぬという処分をしたけれども、カネミでは、その後一週間もこの油を売って、寮生に対しては――自分のところではということですね、食べさせておるわけです。そしてこれを、これは名前をあげてもいいですが、某方面から北九州市に、おかしいじゃないかと通告があった。そこであわてて法律を発動して、一週間後に再度使ってはいかぬという厳重な処分を行なっておるわけです。ですから、もうこれは食品衛生法違反にしんにゅうをかけておるわけです。こういうような実態が少なくともあるわけですが、一体厚生省はこの問題に対して真剣に取り組んでおるのかどうかと、私どもは冒頭に疑問を投げかけたわけですが、こういう事実が次から次に出てくるわけです。ですから、どうも当局とカネミとの間に不純な関係があるのではないかというような言い方もされておる。それは私は後ほど具体的な問題は提起をいたします。そういう事実があるが、これらについては、法を守らせる監督者である厚生省としてはどういうふうにお考えであるのか。

金光克己厚生省環境衛生局長

○金光説明員 ただいま御指摘がありましたように、営業停止あるいは製品の移動禁止を命じてから一週間も従業員に食べさせたということにつきましては、まことに申しわけございませんが、私まだ詳細を承知いたしておりませんが、さような事実が事実といたしますと、まことに遺憾に考える次第でございます。したがいまして、これに対しましては、また十分調査いたしまして善処したいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 私どもが北九州市の役所から正式にいただいた資料ですよ。それを当面の責任者である厚生省が、そういう実態は知らぬ、いまから調査するとは何事ですか。そういう点の答弁はこの前の警察庁と同じです。どうも中央の新聞にあまりこれが出ない。大阪以西がおもですから。しかし関西以西では毎日毎日広いスペースを使って新聞その他では報道しているわけです。そういうことかどうか知らぬけれども、どうもあなたらはこの問題に対する認識が非常に欠けておるような印象を受ける。それが世間では何かあるのじゃないかといっているのですよ。あるいは政治的な圧力が加わっているのじゃないかといっているのです。処分をしてさらに一週間も――人道上の問題でしょう。法律上有害なものがまざった場合には製造、販売、移動の禁止をするということ、それをカネミが一週間も売って食べさせておった。こういうことでは全く法律は不在じゃないですか、それをいまさら調査して云々なんて。これは私どもが言っているのじゃないのですよ。北九州市から出ている書類ですよ。これにちゃんと書いてある。政府の姿勢というものは世間でいろいろ風聞されておりますけれども、どうも納得するわけにまいりません。  そこでもう一つ、先般の委員会で、カネミがいろいろ宣伝をしておるわけですが、その宣伝しておる内容が栄養改善法第十二条に該当するんじゃないかという指摘をいたしました。大臣はそのとおりだという意味の答弁がございました。私どもは栄養改善法十二条が発動されるというふうに認識しておったが、その後厚生省の見解が若干変わったようでございます。その後の報告によりますと、不正競争防止法第五条の一で処置をしたいという話でございます。そこで、八日の時点で県当局を呼んで、この不正競争防止法についての措置がどのように運ばれておるのか質問をしたら、県の衛生部の次長は、承っておりませんと、私ども社会党の調査団に対して、はっきりそういう答えをいたしておるわけです。一体厚生省の威令が行なわれておるのかどうか、私どもは厚生省の姿勢に対して非常に疑問を持たざるを得なかった。この点についてどういうふうに反省をされておるのか、ひとつ率直な意見を聞かせていただきたい。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 ただいまの御指摘の不正競争防止法の関連について国と県との連絡の点でございますが、十一月の一日に本省の栄養課長から県の栄養課長あてに電話をいたしまして、課長が不在のために食品衛生係に事情を伝えまして、至急使われておる広告の中の数値の出典を調べるようにというふうな電話をいたしました。翌二日に県のほうから重ねて栄養課長に連絡がありまして、その連絡によりまして、一応カネミの宣伝文書の中に使用されました図表の出典について県の見解がわかったわけでありますが、この報告につきましては、部長、課長補佐、係長了解の上で国のほうに報告があった、こんなふうに理解をいたしております。先ほど御指摘のように、八日の日の会合で次長が知らないという意味の発言があった点につきましても、さっそく問い合わせをしたわけでございますが、何かその間に意思の疎通を欠いていたきらいがありまして、この点私自身も、今後の連絡方法については十分注意をしたい、遺憾なことだと考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 両局長がそれぞれかわるがわる答弁されるわけですが、先ほど環境衛生局長は、このカネミの、売ってもいかぬ、移動さしてもいかぬという非常に危険な油を、寮生に法を発動して一週間後まで食べさせておった事実が明らかであるにかかわらず、これまた積極的なお答えがない。それからいま公衆衛生局長も、いろいろ行き違いはあったとおっしゃるけれども、あなたは間接でしょうが、私どもは社会党調査団として、正式に衛生部の次長からいまの回答を得ておるわけですね。知らないという回答を得ておる。ですから、あなたのような答弁があると、私どもが何かここでうそを言っていることになります。私ども断じてうそは言いませんよ。先ほどあなたは、政府の栄養課長から県の栄養課長とおっしゃったけれども、県には栄養課長はおりません。そういう認識不足の答弁は困るのです。県には栄養課長なんかおりはしません。あなたは全くうそを言っているじゃありませんか。いまの両局長の答弁を聞いておると、国民として全く憤慨にたえないですよ。厚生省の趣旨が行き届いておれば、当然そういうところについては、これこれこういうぐあいだという作業の進捗ぐあいが報告されたはずだ。それがない。しかもいま局長は、厚生省の栄養課長が県の栄養課長に連絡したとおっしゃったけれども、県には栄養課長はおりません。  そこで、私どもは不正競争防止法に該当するということについては確信を持っておるわけです。たとえば今度出てまいっておりますサラダオイルのカネミの宣伝文に対しててんぷら油の資料を添付していることは、間違いない事実ですね。そうすれば、これはもう不正競争防止法五条一号に該当するということは明々白々ですよ。この事実を、なぜほおかぶりしているのですか。それとも、私がいま指摘するような他の資料をカネミのサラダオイルに利用しておるという事実がないとおっしゃるのですか。あるなら、なぜ不正競争防止法で厳重な処置をしないのですか。その点をひとつ明確にお答え願いたい。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 先般、衆議院の社労委員会で河野委員から御指摘がありまして、私どもも栄養改善法違反じゃないかという問題について一応検討をいたしました。なお引き続き、添付資料、使用した広告を調べていくうちに、ただいま御指摘のあったような、中に使われているライスオイルの分析表と思われる図表が出てまいりまして、この図表の出典を明らかにしろというふうなことで、県のほうに先ほど申し上げましたような連絡をいたしました。しかし、最初に県から回答がありました原典と思われるものは、全国米ぬか油工業協同組合でまとめて発行している小冊子から転載されたという報告がありました。この協同組合は昭和三十八年の暮れに廃止になっております。結局、原典がわからないために、その後できました日本米油工業会に対して照会をいたしました。この資料と比較いたしましたが、やはりはっきりいたしません。その後の調査で、カネミで使用いたしました宣伝用のパンフレットの中に出典を明記しました同じ図表が出てまいりました。この図表と、「栄養と食糧」という雑誌の内容と比較いたしましたところ、相違の事実を見た。そこで関係省とただいま協議をいたしまして、早急にこれの結論を出したい、こういう段階になっております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 早急に結論を出したいとおっしゃるけれども、てんぷら油の資料をサラダオイルの資料として国民を欺いたということが、不正競争防止法五条の一に該当するということにはならぬのですか。なぜそれを相談しなければならぬのですか。ですから、いま御指摘の「栄養と食糧」十四巻四号の資料、こういう資料が、いま申し上げました不正競争防止法第五条の一項に該当するとお考えになっておるのか、しないとお考えになっておるのか、イエスかノーか、それだけ答えてください。

村中俊明厚生省公衆衛生局長

○村中説明員 私の判断では該当すると思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 該当するわけですから、それならばどういう処置をするかということを早急におきめになるべきだと思う。私は告発すべきだと思うのですよ。不正競争防止法の五条一項に該当しているわけでしょう。しておらぬという反証はないでしょう。いま御指摘のように、違った資料をカネミのサラダオイルに利用しているわけですから、そういうことをしちゃいかぬと五条一項に書いてあるわけですから、明らかな違反ですよ。しかも、あなたが違反という認識に立っておるのなら、ば、当然告発するとかいうような処置をおやりになるべきじゃないですか。その点大臣いかがですか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 その事実は違反に該当すると思いますので、これに対する処置を検討いたします。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そこでさらに、こういう事実がたくさんあるわけですけれども、先般農林省にもお尋ねをしておるので、この際重ねてお尋ねをしておきたいと思うわけですが、それは何といっても、ダーク油の事件が起こった、関西における鶏の大量死事件が起こった、この段階で徹底的に原因追及が行なわれておったならば、あるいはもっと早くこの原因というものが究明されたのではなかろうか、確認されたのではなかろうか。これが前委員会における主たる議論であったわけです。  そこで、私どもが指摘をいたしたいと思うわけでございますが、たとえば昨日九大農学部の山田芳雄という助教授は、カネミのダーク油から大量の有機塩素を検出した。     〔委員長退席、田川委員長代理着席〕 したがって、米ぬか油と西日本地域に発生したこの春の鶏の大量死事件との関係というものも大体明らかであろう、こういう発表が九大農学部からなされておりますね。ところが、農林省は今日に至るまで、確かにカネミでつくったダーク油の飼料を使うと鶏は死んだ、こういうようにおっしゃった。ところがその原因はわからぬのですとおっしゃったけれども、今時九大ではこういう発表がなされておるわけですね。こういう点についてはどうですか。

平松甲子雄農林省畜産局参事官

○平松説明員 ただいま御指摘の点につきましては、八月以降家畜衛生試験場なり食糧研究所なり、東海区水産研究所なりというもので、その原因究明のための調査をいたしておったわけでございますけれども、まだ残念ながら、その毒物が何であったかということの析出に至らないうちに、九大の先生の析出があったということでございます。米ぬか油からカネクロールが析出されたということがわかりましてから、カネクロールが原因ではなかろうかというような意味においての調査を、家畜衛生試験場に重点的にやるようにということで目下やらせておりますけれども、まだ残念ながらカネクロールが原因であったということの析出の断定をくだすまでに至ってないということであります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 世間でこれだけ騒いで、そして十月の四日にこの問題が提起をされて、十月の十一日からそれぞれ関係当局が動き出したわけですね。そしてもうすでにライスオイルからは大量の有機塩素が出てきた。また一方においては、その油を使用した患者、油症患者からは、皮膚、つめ、汗その他から塩化ジフェニールのパターンらしいものが検出されて、そこで油と中毒患者との因果関係というものが大体明らかになってきた。こういうふうに、十月の十一日から取り組まれた人体問題についても、こういう結論が出てきたわけですね。農林省は少なくとも四月からですよ。今日まで、なおこの問題に対する結論というものが、原因というものが解明されない。私は正直いって、農林省は何かあるのじゃないか、こういう指摘を受けてもやむを得ぬと思うのです。こういう点についてあなたのほうはどういう反省をしておりますか。

平松甲子雄農林省畜産局参事官

○平松説明員 ただいま御指摘のとおり、確かに二月、三月に事件が起こりまして、それから今日に至るまで毒物の検出が行なわれていないということにつきましては、はなはだおそ過ぎるという点は、非常に反省をいたしておるところでございます。ただ私のほうは、最初でございましたために、まずそのカネミのダーク油であるということがわかりますまでに、六月くらいまでの時間がかかりまして、それからどういうような形でその解明をするかということについて研究の体制をつくりまして、先ほど申し上げましたような形で研究をしておったわけでございますけれども、研究の進捗状況が意にまかせなかったと申しましょうか、今日までその結論が出てきてないということについては非常に遺憾に思っております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今日これほどライスオイルの中毒事件というものが世間を騒がせた。それについて最大の責任者は私どもは農林省にある、正直いって。その四月段階でそういうことを厚生省に連絡する、あるいはそこで徹底的な原因追及が行なわれていたならば、もうとっくの昔に原因というものが解明されておらなければならぬ。ところが、厚生省にも連絡しない、関係各省にも連絡しないというようなことで、うやむやにほおかぶりしてきたから、今日こういうふうに問題が大きく発展したのじゃないか。そういう意味では単なる反省では許されないと私は思う。だから世間では、農林省とカネミとの間に何かくされ縁があるのじゃないか、不純な関係があるのじゃないか、こういうことが言われておる。そういうことは絶対にありませんね。

平松甲子雄農林省畜産局参事官

○平松説明員 私どもとの間にそういうような関係は絶対にございません。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そこで私は提議をいたします。カネミの会社の専務取締役梅田新蔵という方ですが、この方は元農林省のお役人ですね。これはどうですか。

平松甲子雄農林省畜産局参事官

○平松説明員 私ども畜産局でございますので、私どものほうからは……。     〔田川委員長代理退席、委員長着席〕

八田貞義自由民主党

○八田委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕

八田貞義自由民主党

○八田委員長 速記を始めて。

馬場二葉食糧庁業務部長

○馬場説明員 ただいまの御質問の専務については、農林省か食糧庁の出身か、私、存じておりませんので、すぐに調査いたしたいと存じます。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕

八田貞義自由民主党

○八田委員長 速記を始めて。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 いまいろいろ指摘をしたわけですが、どうも今日までのライスオイル中毒事件の経過を見てまいりますと、農林省とカネミ油会社との間が非常に不明朗じゃないかという風聞も非常に強いものがあります。そこで、そういう事実はないかと言ったら、ないとおっしゃるから、それならば、専務取締役の梅田新蔵という人は農林省の役人出身ではないのかというお尋ねをしたわけですが、これについてひとつお答えを願いたい。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 御指摘の会社の役員の梅田という方が農林省の出身であるかどうか、私、早急にお答えできませんので、至急調査をし、御答弁をいたしたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 私どもは部外者ですけれども、この方が兵庫県の食糧事務所に在職された農林技官であったことを承知しておるわけです。それがカネミの専務理事です。そういう問題があるから、どうもダーク油事件というものが起こったが、それがうやむやのまま済まされたんじゃないか。これは疑問を投げかけられる一つの条件になりますね。この点はどうですか。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 梅田専務が農林省の職員でありましたかどうかということは、至急調査の上お答えいたしますけれども、梅田という人の出身のいかんによって、私どもとして、重大な問題について手心を加えたりあるいは加えなかったりすることはございません。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 それではもう一つ指摘しますが、小倉のカネミの食糧センターの作業所長山口善蔵、この人も農林省の役人ですね。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 梅田専務と同様、至急調査の上お答えいたします。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 私が指摘したこの人も長崎県の食糧事務所の業務部長という前職の人で、これが小倉の作業所長です。こういうような事実がもし明らかとすれば、そのことがやはり世間でいろいろいわれる一つの条件になる。この点はどうですか。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 先ほど申し上げましたように、私どもは、農林省の出身者がある会社に行っているということでありましても、それによりまして、国民生活に非常に重大な影響をこうむるような事態につきまして、容赦をいたすということはございません。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 世間ではこのダーク油事件について非常に疑問を持っておる。それならあなた言いますよ。四月段階で鶏数十万羽が死んだが、なぜこれをそのまま放任しておきましたか。あなたが人事問題でそういう逃げ方をするなら、これについてあなたの明確な答弁をここでしてください。あなたの答弁を要求します。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 ダーク油に関する処置につきましては、農林省の畜産局から先ほどおそらく答弁いたしたと思いますが、そのとおりであります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そのとおりなら、そのとおりのことをここで言いなさい。聞いてもいないで何でそのとおりと言えますか。聞いてもいないでそのとおりと言うのは不見識じゃないか。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 私が畜産局からお答えをいたしましたとおりと申し上げましたのは、この問題につきましては、かなり前から畜産局から話を聞いておりまして、本件についての取り扱いを相談いたしておるわけでございます。この春でございますか、ダーク油につきまして問題が起きましたときに、畜産局としては工場長その他に十分注意をいたしまして、その問題について重大な関心を喚起いたしたということを承知いたしておるわけであります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 これほど重大な問題が起こっておるのに注意で済むことですか。これほどの重大な問題が起こったならば、その原因は一体どこにあるのかということの究明をするのが役所の任務ではございませんか。それを、注意を喚起したからそれで事足りるというようなことを言ったから、今日の大きな問題に発展したんじゃないですか。その点どうですか。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 ダーク油についての事件がございましたときに、工場につきまして注意を喚起いたしましたほか、たしか八月ごろでございますか、ダーク油の毒物につきまして、畜産局あるいは農林省関係で、技術関係で農林水産技術会議というものがございますが、家畜衛生試験場あるいは食糧研究所等々の関係者からなります飼料用油脂研究会を発足させまして、そこで十分検討をいたさせたわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 検討の結果、どういう結果が出ましたか。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 八月にこの研究会を出発させて、鋭意検討をいたさせておるわけでございますけれども、問題が複雑で、いまのところまだ原因等について不明であるわけでございます。なお今後とも関係機関を督励いたしまして、鋭意調査を進め早急に結論を出すということで現在進めておるわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 それならばお尋ねしますが、九大では農学部で昨日発表いたしましたね。この発表をどういうふうに見ておられますか。人事問題として逃げられるから聞いているんだ、官房長。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 私、昨日の九大の発表につきましては、十分承知いたしておりませんので、畜産局からお聞き取りいただきたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そういう認識のないまま、この問題について、人事問題については全く白とおっしゃるから、私はそういう聞き方をするわけですよ。ですから、あなたが確信を持って、そういう疑いはないとおっしゃるならば、徹底的に私はまだ質問いたしますから。私はあなたと対決いたします。ですから、九大について知っておらないということはどういうことですか。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 私が先ほど申し上げておりますることは、御指摘の二名の人物が農林省の職員であるかどうか、私承知いたしておりませんけれども、至急調査の上、事実を御報告申し上げますと申し上、げたわけでございます。  それから、その次に、それによって農林省がいわば法を曲げるといいますか、不明朗な行政をしておるのではないかというふうにお尋ねでございますから、農林省といたしましては、そういうふうにやっておらないつもりでございますと申し上げたわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 あなたがやっておらないとおっしゃるならば、今日までのダーク油事件その他の経過について十分承知ですかということで話が発展したわけですから、あなたも十分その点は踏まえて、確信を持ってお答えになっておると思う。そこで、油脂研究班をつくってやったが不明だ。ところが九大では、昨日この問題についての見解を発表しておりますね。そういうことも踏まえてお答え願わぬといかぬですね。ですから、九大の発表について、どういうふうに御見解を持っておられますか。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 昨日の九大の報告について、私、十分承知いたしておりませんので、ひとつ畜産局からお聞き取りいただきたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そういう経過も実態も知らぬでおいて、なぜ確信持って、農林省はそういう方針をとった覚えはないなどと大みえを切って答弁をしますか。あなたが大みえを切って答弁されるから、それなら、こういう実態というものなり経過を十分踏まえておられるかということで、いろいろ質問を重ねておるのです。私も時間が遷延しておるから残念ですけれども、あなたが責任を回避されるならば、私はとことんまで責任を追及しなければならぬ。私どもは調査しておるのです。専務理事の梅田新蔵君が農林省の役人の出身であり、それから小倉の作業所長の山口善蔵君が農林省の役人であることを調査しておるわけですから。ですから、部外者でもわかるのに農林省がわからぬということもおかしいし、委員会をのがれる工作として、後ほど十分調査をしようというふうにも私ども理解されるし、またそのことが今日いろいろ農林省の立場について疑惑をもたらしておるわけです。こういうことがあるからそういう疑惑というものが出ておるのですから、あなたがそうでないとおっしゃるなら、やはり今日までの経過というものを十分ここで明らかにしてもらわなければいかぬ。あなたが明らかにできなかったら、あっさりここであなたは、あなた方の見解を発表すべきですよ。あなたが、絶対にそういうことはない、白だとおっしゃるならば、とことんまでダーク油事件についてお互いにここで論議を深めていかなければならぬ。そういう自信があなたにありますか。ないでしょう。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 私は先ほどから申し上げておりますように、この二人が農林省出身でありますかどうかということを十分きわめまして、それからいまの先生が提出されました問題につきまして、私どもの答えを申し上げたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 この人事問題というものは、世間からいろいろ疑惑を受ける一つの材料になっておるわけですね。それはわかるでしょう。わかりませんか――になっておるわけでしょう。だから、それについてあなたが絶対の確信があるとおっしゃるならば、やはり今日まで私どもがダーク油事件からいろいろ疑惑を持っているのですから、そういう経過についても十分認識の上で答えてもらわなければならぬ、こういうことで論議が発展しておったわけで、非常に残念に思います。あなたがそういう姿勢なら、ここで大臣の招致を求めたいと思います。さっそく求めたいと思います。委員長、お取り計らいを願いたい。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 繰り返しお答えして恐縮でございますけれども……。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 答弁要らぬです。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 私が申し上げておりますのは……。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 答弁要らぬです。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 ちょっと待ってください。大和田官防長。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 私が申し上げておりますことは、御指摘になりました二人の者が農林省出身であるかどうかということ、事実の確認がまず第一でございます。それから、農林省の出身であるから、直ちに農林省とこの工場との関係が不明朗であるということでは、私はないと思います。したがいまして、いままでのこの工場に対する農林省の現場の処置について、もう一度つまびらかに検討いたしまして、その上でお答えをいたしたい、そういうことでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕

八田貞義自由民主党

○八田委員長 速記を始めて。  大和田官房長。

大和田啓気農林大臣官房長

○大和田説明員 いま御指摘の梅田外一名の人がかつて農林省の職員でありましたことは事実でございまして、私ども、この二人がかつて農林省の職員でありましたことによって農林行政がゆがめられるということは、万ないと思いますけれども、御指摘のような疑惑がもしあるといたしますと、これはたいへん重大な問題でございますから、農林省としても、詳細調査の上、御報告をいたしたいと思います。そうして、もしも御指摘のような、私どもにとって不幸な事態がございましたならば、善処をいたしたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 時間が非常におくれてまいりまして恐縮ですが、いろいろ政府側の答弁によって遷延をしたのでございますから、ひとつお許しをいただきたいと思います。  そこで、大臣がちょっと中座しておりますから警察庁にお尋ねをしたいと思うのでありますが、先般カネミがチラシその他に表示いたしました「食糧庁指定モデル工場」、この問題が軽犯罪法第一条三十四号に該当するということで捜査を命ぜられたということでございますが、今日世間では警察当局に対しまする風当たりが非常に強いわけです。もっと積極的に県警当局もこの問題の解決に努力すべきじゃないかという問題点もございますから、そういう意味で、いま指摘をいたしました軽犯罪第一条三十四号に対します処置がどのように進んできたか、ひとつ御報告を願いたい。

小野島嗣男警察庁刑事局保安課長

○小野島説明員 ただいま、警察の姿勢が非常に積極的でないというような質問がございましたが、警察といたしましては、やはり国民の生命身体を保護するという立場から、今回の事態に対しましては大きな関心を持ち、積極的なかまえで臨んでいる次第でございます。したがいまして、この問題全般を通じまして、主管官庁である厚生省を中心とする県の機関等がいろいろな調査活動あるいは行政的に措置をやっておられるわけでありますが、それに対しまして、緊密な連絡を保ちながらその調査の結果を、特に原因の点ではっきりいたしまして、もし違反があるとするならば、これに対しましては積極的に調査していかなければならないというように考えております。  前回先生から、「食糧庁指定モデル工場」と記載した広告を頒布したことについて、軽犯罪法違反容疑があるのではないかというような御質問がありましたのですが、これにつきましては、即日福岡県警に連絡をいたしまして、この連絡をもとにいたしまして、現在、福岡県警では捜査中でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そこで、私どもは非常に疑問を持つわけですが、私どもが指摘をすれば、捜査中だ。それならば、ここで私は重ねて指摘いたしますが、カネミの工場に明らかにしるされておりまする「食糧庁指定モデル工場」という、この表示の問題についてはどのようにお考えになっておりますか。

小野島嗣男警察庁刑事局保安課長

○小野島説明員 いま御指摘になりました、カネミに農林省指定モデル工場という看板というようなお話でございましたが、「指定モデル工場」と書いた看板があるということは私ども存じておりません。ただ、農林省指定証券発行と書かれた看板は掲示されておるというように聞いております。これにつきましては、食糧庁のほうに照会いたしましたところ、倉庫証券を発行できる資格を有する食糧庁指定倉庫として指定されておるというようなことで、現在もその指定が有効であるというように聞いております。したがいまして、軽犯罪法に触れるという点はないのではないかと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 これは、私どもが幾ら指摘しても捜査中、捜査中ということになれば、そのまま過ぐることですから、何をかいわんやです。しかしそういう事実があることは、これは事実ですね。そういうところに、いまの警察の態度について、これまたいろんな疑惑がある。公安委員会から圧力がかかっているのじゃないか、あるいは某政党から圧力がかかっているのじゃないか、いろいろな疑惑があるところです。もうすでに今日、油、検体からも大量の――四千ないし六千PPMというものは非常に大量の塩素量なんですね。人体にとっては非常に重大な影響を及ぼす塩素含有量ですね。しかもその油を使用した患者からもすでに塩素化合物というものが検出された。ですからもう私は、大体このカネミのライスオイル事件の原因については、断定を下すべき段階に来ておると思う。そうすれば、その原因についてどう証拠を固めていくかという問題もありましょう。そういう意味で、先ほどから申し上げますように、厚生省としても断定を下すべき段階に来た。その事実に基づいて、先ほど大臣から御指摘のあった営業停止の延長をやるならやる。ただ漫然とやるべきでないという私どもは見解を持っておるわけでございます。大臣の時間もあるようでございますから、ひとつこの点は国民の納得するように明快にお答えを願わぬと、不正競争防止法もどこへ行ったかわからぬ。事実があるといいながら、今日まで措置していない。いまの警察庁の話じゃないけれども、時間があれば私はもっと追及したいのです。時間がありませんから追及できないことは残念でございますけれども、警察庁の答弁についても実は非常に不満です。ですからこの際、最高責任者である大臣として、大詰めの段階――九大の稲神教授のごときは、もう九〇%は断定してよろしいと、こう言っているわけですね。大学の教授でも。ですからこの際、大臣として大体こうだという一つの方針というものが示さるべきだ、私はそう思いますが、その点についてひとつ御見解を承りたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 私どもでは、延長いたしたいのは、解明するいろいろな問題が残っているからではなくて、各種の検査やあるいは調査がほぼ結論に近づきつつありますから、もうしばらくすれば最後の最終方針を出す段階でございますから、そういういろいろなこれに対する処置を検討するために延長したい、こういうことで、河野委員と同じ趣旨で延期するわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そこで、不正競争防止法五条の一項には明らかに違反しているというのは、厚生省から見解を述べられたことですね。こういう違反事項は一体どうなっているのか。それから、先ほど指摘いたしました食品衛生法四条ですでに行政処分が行なわれておる。それにもかかわらず、さらにその後一週間も自分の寮生に売って食べさせておった。こういう食品衛生法上違反の上にさらに違反を重ねたような事実もある。そういうものについて一体どういうようにお考えになっておるのか。この最終結論がもう出るから、その際十ぱ一からげに一切告訴するなり告発するなり、あるいは措置をしたい、こういうことであるのか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 不正表示その他の問題も明瞭になっておることでございますから、これに対する処置を検討しておるところでありますが、一ぺんにやるか、逐次準備ができ次第にやるか、これは関連性があることでありますから、十分検討したいと考えます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そこで、時間もございませんから最後にお尋ねしておきたいと思いますのは、行政処分をやって後に、たとえば油を寮生に売って食べさせたというような問題。それから、原因は塩素化合物が入っておったということですから、有害な物質が入っておったということですから、これはむしろ食品衛生法というよりも、業務上過失傷害という方向のほうが非常に強いと思うのですね。その点についてどういうことであるのか。  それからまたもう一つは、そういうことになりますと、私は、ある程度警察力の協力なくしては――実は私ども現地に調査に行ってそういう感じを持ったわけですが、ある程度協力がなければなかなかこれは固めにくいと思うのです。そういう点については、閣議で自治体に対して協力を求められたという話もございますが、そういう意味で、警察当局との協力関係の問題、それからむしろ業務上過失傷害というような面からの処置も当然必要ではなかろうかと思うわけですが、その点について最後にひとつ御見解を承りたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 そういう点も含めて検討すべき問題でございまして、今度の事件では、早目に警察とも連絡をしている、緊密に調査をやっておる次第であります。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 きょうは時間がございませんので、大臣に一つの事実の問題についてだけお伺いをいたすのであります。  それは、労働省の当局が賃金政策、今後の労働政策に関連をして、きわめて重大な発言をした事実がございます。われわれはこの問題に対して徹底的に究明をしなければならぬと思うのでありますが、その根本に触れることは後日に譲りまして、端的にお伺いいたすつもりでございます。  その前に、日本の賃金問題を論ずる際に、常にこれが生産性の問題と関連をして論じられておるのであります。賃金の引き上げが生産性を上回って、そしてそのことによって物価の上昇を来たす、こういったことがよくいわれるのでありますが、これはきわめて単純な言い方でもって事を処すべきではないと私は思うのであります。相互の関連性に対してわれわれは徹底的に究明すると同時に、日本の歴史的な賃金体系、あるいは現在までに至る戦後の経済事情ないしは最近におけるところの労働力の問題、これらの問題として、実は相互関連の上に立ってわれわれは考えるべきであると思うわけでございますけれども、この賃金と生産性、そして現在の物価の問題、これらのからみ合いというのを基本的に一体どのようにお考えであるか、まずお伺いしたいと思います。

小川平二自由民主党労働大臣

○小川国務大臣 経済が急速に成長いたしてまいります場合に、需要の増大あるいは労働力の需給逼迫ということを背景にいたしまして、ある程度の物価の上昇が出てくる、これは各国で見られる問題でございます。そこで、経済成長と物価の安定をどのようにして調和をさせるか、この二つの要請を両立させるかということが、各国の当面しております非常に困難な課題であろうと思います。  そこで日本の状況でございますが、日本におきましても、労働力の不足という事態が生じておりますことは、ごらんのとおりでございます。この結果、低賃金の状態にありました中小企業の分野で大幅な賃金上昇が起こってきておる。このことは一面において規模別の格差を縮めるという結果になっておりますが、その反面において、賃金の上昇が生産性の上昇を上回る結果、この分野で価格の上昇が起こっておる、こういう現象が出ております。それから、農家というような家族経営の多い分野におきましては、需要の増大に供給が追いつかない、同時にまた、価格の決定に際して自由な競争が排除されておる事情が多い、いわば非競争的な要素が多い、かような事情からして、ここにおいてもまた生産性を上回る所得の上昇ということが起こっておると存じます。大企業においては生産性を上回る賃金上昇という事実が長い期間にわたって存在しておるという事実は、これはないのでございます。この分野では比較的物価が安定をしておると存じます。  そこで、わが国の物価上昇の問題は、労働力不足による低賃金の解消あるいは生産性向上率が産業や規模によって異なっておるという事実、あるいは賃金所得が平準化していくという事実、また、ただいま申し上げましたように、自由な競争が制約されておるというような、いろいろな複雑な要素に基づいておると存じます。これに対処いたしますためには、財政金融政策を適切に運営をしていくことが大事でございます。労働省といたしましては、労働力の流動化あるいは労働力の質の向上ということに今後もひとつ努力を払っていかなくてはならない、このように考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 したがって、基本的には国の財政政策、税制政策、金融政策、これらをどのようにしていくかということが非常に重要な要素であることは、いま大臣の言われたとおりでありまして、軽々にある期間を区切りある業種を区切って、賃金が生産性を上回ったから、それすなわち物価の上昇になる、こういう単純な議論をすることはきわめて危険であると私は思うわけでございまして、これに対してはひとつまた時をあらためてさらに所信をただしたいと思うのであります。  ところが、つい最近、この賃金問題に関連をして、いわゆる生産性を上回る賃金を抑制しなければならぬ、そのために所得政策なるものをとらなければならぬ、こういうことがいわれておるのであります。私は、諸外国におけるところの所得政策の持つ意味というものを、いま喧伝されておる所得政策というものが非常に誤って伝えられておることも、また疑いのない事実だと思いますが、しかし、いま申し上げたような経緯からくる日本の多様的な賃金の様相、経済の様相、そういった点から見て、軽々にこの所得政策を論ずることは避けなければならぬ、こういうふうに思っておるわけでございますけれども、大臣いかがでございましょうか。

小川平二自由民主党労働大臣

○小川国務大臣 最初に御指摘になりました、前次官三治君の発言といわれるところのものが新聞に報道されたわけでございますが、私が御本人に問いただしてみましたところ、御本人の申しましたことは、経済成長、賃金あるいは物価などの関連性について、広く客観的な研究や議論が行なわれて、国民各層の認識が深まることは望ましい、このたびの熊谷報告がかような機運を醸成することに役立つことを期待したい、こういうことを申したと、これは御本人が申しております。ただ、御本人に問いただすまでもないことでございまして、伝えられるような発言をいやしくも労働次官たる者がするはずはないと私は考えておるわけでございます。  所得政策につきましては、先般、熊谷報告なるものが出されまして、いろいろな論議を生んでおります。私はしろうとでございまするし、この報告書を一読いたしましたけれども、わからない点も実はたくさんございまするが、ここに書いておりますことは、第一には、所得政策というのは、賃金にあらざるその他の所得、非賃金所得と切り離して、賃金だけを端的にくぎづけをする、直接的な公的な統制によって賃金を押えるというようなやり方は所得政策というものではない、こういうことを冒頭に申しておりまするし、さらに、所得政策というものは、本来的な、正統的なもろもろの政策――自由な競争を導入いたしまするとか、あるいは総需要を調整いたしまするとか、あるいはまた積極的な労働政策をとりまするとか、そういう政策を補完するものであるというふうに位置づけておるわけで、それらの政策をもってしてもなお対処できないような事態が出てきたときに初めて導入されるべきもの、これを実行に移すときの前提条件としては、賃金なり価格を決定する当事者が相当程度の市場支配力を持つに至っておるという事実が前提として必要だ、こう申しておるわけでございます。  そこで、日本にそういう前提条件があるかどうかということでございますが、非常に学問的に掘り下げて議論をいたしますと、あるいは非常にむずかしい問題であるかも存じませんけれども、今日の日本においては、たとえば産業別の非常に強力な労働組合があって賃金水準を押し上げる、労働力の需要供給ということで自然にきまるであろう賃金水準よりは、はるかに高い水準を労働組合が力づくで押し上げておるというような事実はまずないのではないか。企業の側においても、産業の寡占、独占の体制が相当進んで、広範にそういう仕組みが存在をしておって、賃上げが行なわれた場合に、容易にこれを価格に転嫁できるというような仕組みもまた存在をしておらないのじゃなかろうか。さらにまた、賃金の上昇率が生産性の上昇率を絶えず上回っておるというふうな事実も、これはないと存じます。やや長期的に見ます限り、賃金の上昇率と生産性の上昇率はわが国においては見合っておると存じまするし、あるいはまた、物価上昇の結果、企業の国際競争力がだんだん低下してきておるというような事実もまたない、かようなふうに考えておりますから、私どもは、この際、所得政策なるものをわが国において直ちに導入すべしという議論がもしあるといたしますれば、これには賛成いたしかねるのでございます。ただ、経済成長と物価の安定をいかにして両立させるかということは非常に大事な問題でございますから、この報告もそれを希望しておりますように、私どももちろんでございますが、国民の各層がこの問題について真剣に研究していただくということは、たいへん望ましいことだと存じております。従来からわれわれはかような考えを持っておりまするので、伝えられましたところは、私どもの真意と著しく異なっております。そのように御了承いただきたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 したがって、重要なこの種の問題に対して、軽々に労働省の責任ある者が外部的に発表すべきものでない、こういうふうに私は思うのでありまして、逐次われわれはこの問題に対して政府の真意をただしてみたい、このように考えておるわけでございます。ひとつ十分な配慮のもとにその言動を慎まれるよう強く要望しておきたいと思います。  あらためてまた質問いたしたいと思いますので、きょうはこの程度にとどめます。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 加藤万吉君。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 官房副長官が時間の都合があるそうですからできる限り副長官に最初に質問の重点をしぼっていきますので、時間との関係で簡潔に御答弁願いたいと思います。  いま、政府関係機関並びに特殊法人のそれぞれの事業団体で、賃金問題をめぐって交渉が行なわれております。副長官は本問題のまとめ役的な立場にあるというふうに私どもは理解をしているわけですが、賃金交渉の現況と、副長官の各主務大臣間の事務局長的な役割りの位置といいましょうか、あるいは役割りといいましょうか、この辺をまず御解明願いたいと思います。

亀岡高夫自由民主党内閣官房副長官

○亀岡説明員 私、副長官に就任いたしましてから、この政府関係機関の給与の問題について前の副長官の木村さんから引き継ぎをいたしまして、非常に各個ばらばらに各省間にわたっておりますこの政府関係機関、それぞれの法律に基づいて給与の決定がなされておるわけでありますが、窓口を一本にして政府関係内部の連絡を緊密にして、そうしてできるだけ早く労使間の話し合いがきめていけるようにすべきであるという考えのもとに、実は官房副長官の私のところを窓口にして、いろいろ連絡の役をつとめさしていただいてきたというのが現況でございます。  そこで、ことしは御承知のように総合予算主義で、国家公務員の給与関係の分も予備費に一応確保してあるという現況、補正予算を組まないという現状のもとに、八月十六日に人事院勧告がなされまして、八月三十日に八月実施という閣議決定がありましたが、できるだけ早く、例年行なっております各関係機関に、労使折衝をすべき財源の見通しをつけさせるために、大蔵省としての基準も示すべきだということを私から大蔵当局に強く申しまして、と同時に、各関係省の給与担当の者に対して、ともかく例年よりも少なくとも一カ月以上早くできるはずであるということで、作業を迅速に進めるように連絡をいたした次第でございます。幸い本年度は大蔵省当局も非常に真剣に取り組みまして、たしか十月八日だったと思いますが、いつもたしか十一月の末かに内示をいたしておりましたものを、一カ月半近く早く内示をさせることができた、こういうふうに考えておるわけであります。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 大蔵省が内示した賃金の認可アップ率といいましょうか、内示アップ率といいましょうか、これは何%でしょう。

亀岡高夫自由民主党内閣官房副長官

○亀岡説明員 私、詳しいことを記憶しておりませんが、七・九五%かと記憶しております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 いま私は前段に、副長官がそういう窓口で各主務大臣との調整あるいは事務局長的な役割りをされておるということを確認いたしましたのは、実は大蔵省が内示を早めたということは、確かに副長官たいへんな御努力だったと思う。問題は、内示とこれから行なわれる自主交渉との関係、あるいは労働組合側が要求しておるものと大蔵省が内示した金額との関係、これをどうされるかという役割りまで実は官房副長官はお持ちではないか。政府関係の各機関の窓口を一本にするための御努力をされておるという前段でありますから、当然そういう役割りを私は持っておられると思うのですが、いかがでしょうか。

亀岡高夫自由民主党内閣官房副長官

○亀岡説明員 そういう役割りを法律的に持たされておれば、もっと私なりに強力に仕事を進めることができるわけでありますけれども、加藤先生百も御承知のように、官房副長官の職責の中には、法律的には何ら権限がないわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたとおり、それぞれの法的な措置によって、たとえば農林漁業金融公庫でありますとか、道路公団でありますとか、それぞれの法の定めるところによって、その機関の理事者と組合との間において自主交渉をするというふうに定められておりますので、大蔵省としては財源の積算の基礎というものを示して、人事院勧告に伴う、御承知のように国家公務員に準ずるという法のたてまえをとっておるわけでございますので、その財源の積算の基礎等をすみやかに各機関に示しまして、そしてその中で自主交渉をしていただくというたてまえをとっております。したがいまして、私としては、できるだけそういう話し合いが円滑に迅速に行なえるように、法に定められた政府としての職責を十分に早く果たすようにということを各省に実は言うてきておる次第でございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 私は、前段にも言いましたように、官房副長官が法律上の責任者的位置にあるというふうに、実は言っておるのじゃないのです。政府関係機関の職員の賃金に関する各主務大臣の窓口の一本化をする役割りを、行政機能上お持ちでしょう。あるいはそういう役割りを、内閣から委嘱をされていらっしゃるでしょう。そうであるとするならば、その位置というものは、法律的な問題ではなくして、いま起きている労使間の問題、あるいは大蔵省の内示の問題等を調整をし、それをさらに各主務大臣の中に一本化をしてまとめていく、そういう役割りをお持ちではないか、こういうふうに実はお尋ねしているのですが、いかがでしょう。

亀岡高夫自由民主党内閣官房副長官

○亀岡説明員 気持ちとしては、加藤先生いま仰せのとおりの気持ちで実はやってきておるわけでございます。その点ひとつ御了承いただきたいと思います。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 そういたしますと、いま大蔵省の内示は人勧どおり、人勧と比例をさして七・九五%のアップですね。それが各主務大臣を通して事業団体に、給与の内示として提示をされているわけです。御承知のように、政府関係機関の組合は、労働組合法上の適用団体であります。したがって私は、人事院勧告を基礎にして大蔵省が給与基準の内示を一応各省に与えることはそれなりにわかりますけれども、同時に、その内示即それぞれの事業団体の職員が持つ要求の解決ではないと思う。内示と要求との間に、当然労働組合法上の自主交渉なり、あるいは協議がととのって、それが政府関係機関の職員の給与として決定をされる、こういうプロセスがごく当然であろうかと思うのですが、いかがでしょうか。

亀岡高夫自由民主党内閣官房副長官

○亀岡説明員 現行法のもとにおきましては、加藤先生も御承知のように、これら政府関係機関は、その業務の公共性あるいは特殊性等にかんがみまして、政府の出資によって設立をされておりまするし、業務の運営についても財政投融資資金等、あるいは政府の交付金でありますとか、補助金でありますとかが出されておりまして、国の財政運営と密接不可分の関係にあることは申し上げるまでもないところでございます。したがって、その業務運営、役職員の給与等の決定については、主務大臣の承認を要することとなっております。この点も御承知と思います。したがいまして、加藤先生仰せのとおり、確かに労働三法によって労働者としての権利を保有をしておりながら、一面政府関係機関という特殊性にかんがみて、ある制限を受けておるという現行法のもとにおいては、ただいまやっている方法が私どもとしては最善の方法である、こういうふうに考えておる次第でございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 確かに政府関係の財政投融資が多いわけですから、そういう制限、ある意味の制約があることを否定を実はしないわけです。ただし、事、労使関係に関する限りは、あるいは労使問題に関する限りは、労働組合法上の適用団体ですから、したがって、その内包的制約というものは、きわめて縮小されて適用されていく。いわゆる国家公務員のように、たとえば政治活動をしてはいけないとかいうような制限、あるいは制約というものはないわけですね。あるいはストライキ権について、公労法上のストライキ権を否認するというようなことはないわけです。そういう論理を合わしていきますと、単に政府機関の内包的制約、政府の財政投融資による内包的制約ということだけではなくて、それはごく限られた部分的なものであって、全体的にいえば、やはり一般労働法によって適用されるべきである。したがって、そこには自主交渉なり自主的な解決という道は、いわゆる大蔵省の内示によるもの即解決ではなくして、当然内示を踏まえた上で労使間で解決をすべき条件というものがある、こういうように理解をしたいと思うのですが、いかがでしょう。

亀岡高夫自由民主党内閣官房副長官

○亀岡説明員 もちろん仰せのとおりであります。したがって、各機関において、それぞれ理事者と組合のほうと、現在においても自主的な話し合いをつけて改善をはかっておることは、御承知のとおりでございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 そうしますと、いわゆる自主交渉によって解決をされたものは、たとえば大蔵省の給与基準の内示を交渉の結果として、はみ出しても、それがそれぞれの事業団体における、たとえば損金全体の中で流用できるとするならば、それは容認されてしかるべきだ、こういうように理解してよろしゅうございますか。

亀岡高夫自由民主党内閣官房副長官

○亀岡説明員 その点につきましては、私はそこまでは無理であろうと考える次第でございます。と申しますのは、やはり大蔵省の内示をいたしました問題についての範囲内で自主的に話をつけていただくというふうになるものである、こう考えております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 そうしますと、先ほどの答弁とは違うわけですよ。いわゆる自主交渉があり得て、そしてその自主交渉で得た結論をそれぞれの主務大臣が許可をするならば、その条件は労使関係に適用されていい。もちろん政府の財政投融資があるわけですから、一般的制約があるということは私も理解をしますけれども、官房副長官の言を言えば、自主交渉によって解決できる道が、内示をある意味ではこえて存在をするというように、全体の答弁ではどうしても理解できるのですよ。問題は、それじゃ一体大蔵省の七・九五%という給与の内示というものは絶対不可欠なものかどうか、これはいかがでしょう。

亀岡高夫自由民主党内閣官房副長官

○亀岡説明員 私は、現在の法制度のもとにおいては、やむを得ないというふうに考えております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 法制度は、御承知のように労使関係については、一般労働法として適用されておるのです。  法制局にお聞きしますが、政府関係機関の労働者ないしは労働組合、これは賃金問題に対して自主的に交渉が成り立つならば、大蔵省の内示というものに対しては、いま官房副長官は絶対不可欠だと言いましたけれども、不可欠なものとして政府関係機関の労働者は労働法上拘束されておるのですか、いかがでしょう。

真田秀夫内閣法制局第一部長

○真田説明員 お答え申し上げます。  政府関係機関と一口に呼ばれるものの中に、いろいろたくさんのものがございますけれども、労働関係法制上は、御指摘のとおり労働組合法の適用を受けます。受けますが、ただそういう政府関係機関の職員に対する賃金、あるいは退職手当の基準を定める場合には、主務大臣の認可あるいは承認を受けなければならないという規定がございます。その限度においては、賃金についても制約があるというふうに言わざるを得ないと考える次第でございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 ですから私の言うのは、各主務大臣が了解すれば、あるいは承認をすれば、大蔵省が給与の基準として内示をするそのものは絶対不可欠のものではなくして、法律のたてまえからいけばそれは主務大臣の許可、認可によっては拡大でき得るものだ、法律上はそう理解すべきではないか、こう言っているのですが、いかがでしょう。

真田秀夫内閣法制局第一部長

○真田説明員 申し落としましたが、各関係法の規定の上では、主務大臣が政府関係機関の職員の給与の基準を定め、または変更する場合には、主務大臣の認可を受けなければならない、あるいは承認を受けなければならないという規定がございまして、またそれを受けまして各主務大臣は、当該認可あるいは承認をするに際しては、大蔵大臣の承認を受けるとか、協議しなければならないという規定が準備してございますので、先ほど来お取り上げになっております内示というのは、そういう法律上の権限としての大蔵大臣の承認あるいは合議に応ずるという規定を踏んまえての内示であろうと思いますので、全然法律上無意味とは考えておらない次第でございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 私は、内示はあくまでも内示だと思う。事前に、いわゆる自主交渉以前に内示があり、それが各関係主務大臣の承認の上に成り立っているということになりますと、労働組合法上の適用団体である職員団体の交渉権、これが事実上否定をされることになりはしませんか。これはどうでしょう。官房副長官から御見解を聞きましょう。

亀岡高夫自由民主党内閣官房副長官

○亀岡説明員 そういう見方もあるかと思いますけれども、現行法では制限事項も設けてあるというところに、今後の問題としてあるいは問題があるとすればあろうかと思います。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 いわゆる大蔵省の内示というのは、労働者が何にも参与しないできまる内示ですね。いわゆる政府側が、たとえば人事院勧告があったにせよ、あるいは公労協があったにせよ、民間賃金が上がったにせよ、当該職員が一切介入をせずに出される大蔵省の内示であります。客観的条件は幾つかありますよ。国家公務員をとりますと、国家公務員の場合には御承知のように人事院がありますね。そして労働者側の意思反映をする機能というものがあるわけです。公労協の場合には、公共企業体関係の労働組合については、仲裁という処置が講ぜられる。それが労働者側の要求を全面的に受け入れるか受け入れないかは別としまして、労働者の意思の反映はそこでできるわけです。あるいは職員団体の意思の反映ができるわけです。もし副長官が言われるように、大蔵省の内示というものが、絶対不可欠のものであるとするならば、そこに働く労働者、職員の要求、意思反映というものは、どの道を通してなされるのですか。

亀岡高夫自由民主党内閣官房副長官

○亀岡説明員 先ほども加藤先生申されておりましたとおり、労働三法によって、政府関係機関の職員は労働権が確保されておるわけでございます。ただし、先ほども申し上げましたとおり、その特殊性、公共性にかんがみて、賃金、給与面については制限をされるという現行法のたてまえになっておるわけでございますので、大蔵省としてもおそらくその面だけに、制限は最小限にとどめたいという気持ちを反映して、この給与面の内示等もできるだけ労働権に抵触しないようなたてまえで内示をしてきておるはずだと思うわけでございますけれども、先ほど来法制局からも説明がありましたとおり、現行法に、主務大臣の承認並びに大蔵大臣との協議という条項がございますので、この面でやむを得ざる措置として現在実行をいたしておるということでございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 私の質問はそうじゃないのです。それを言っているのじゃない。それはもうお聞きしましたからいいです。それぞれの職員団体の職員が持つ要求の反映をする道筋というものは、政府関係機関職員の場合には、どこを通してその意見の開陳のできる場所があるのでしょうかということなんです。いいですか。自主交渉はやりますよ。しかし官房副長官は、大蔵省の内示というものは絶対不可欠なものだと私に答弁した。そうしますと、自主交渉の中の位置というものは大蔵省がきめる。アップ率は何ら労働者の意見は――客観的には存在しますよ。しかし、その職員の意思の反映というものが、直接的には一つもないわけでしょう。公労協は公労委がありますよ。あるいは国家公務員については人事院がありますよ。その道筋は一体どこで発揮されるかということを私は聞いているわけです。政府関係や、特殊法人なり、公団、事業団の職員のそれぞれの要求というものは、どこで国家機能の中に、あるいは労働三法で擁護されている権利は、どこで反映されていくのでしょうか。このことを聞いているのですよ。

亀岡高夫自由民主党内閣官房副長官

○亀岡説明員 その点については当該機関の相手、理事者側がございますわけですから、そこに十分労働者としての要求は反映してくるものと考えておるわけであります。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 だから私はさっきから聞いているのですよ。当該機関に、事業団にやられる大蔵省の給与基準の内示というものは、副長官は絶対不可欠なものだと言ったでしょう。絶対変えることができない、こう言ったでしょう。労働者の意思はここで反映されます。しかし壁はここにあるわけでしょう。大蔵省の内示というものは絶対不可欠なものですといえば、そこには労働者の意見を反映して、事業団体側ないしは主務大臣が反映する道筋というのは何らないじゃないですか。いまそれぞれの事業団体にありますよというけれども、実際上はないじゃないですか、片一方が不可欠なものなら。私は、そうでないと思う。片一方の、大蔵省の内示というものは、あくまでも内示であって、いわば政府の財政投融資を含めてそれぞれの事業団体が運営されているのだから、したがって、大蔵省としてはこの辺の給与が、今日の国の財政状態からいって適当なものではないか、しかし、それを基準にして各事業団体が交渉をし、ときにはへこむところもあるでしょうし、ときに出っぱるところもあるでしょうが、そういうものはそれぞれに許されてしかるべきではないか、いわゆる絶対不可欠なものではなくして、それにはアローアンスがあっての内示なんだ、そういうことにならなければ実際の職員団体の職員の持つ要求というものは、機能的な反映はできないのじゃないかということを私は言っているのですが、どうでしょうか。

亀岡高夫自由民主党内閣官房副長官

○亀岡説明員 政府で今日までやってきておりますことは、先ほど来申し上げておりますとおり、人事院勧告に準ずるという法の規定に従いまして、その条項を正しく内示という積算の上に反映してございますので、その範囲内で労働者の諸君の要求を反映させることができる、かように考えておるわけでございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 副長官、時間がありませんからもう副長官にはお尋ねしませんが、いまの問題はきわめて重要だと思う。私は、この政府関係機関の予算総則を見て、たとえば国鉄の場合なんかは、御承知のように仲裁裁定があった場合の事後処理は予算総則にちゃんと書いてあるわけです。もし仲裁裁定が行なわれた場合には、その仲裁裁定に見合う財源は補完してもよろしいということが予算総則に書いてありますね。同じ政府機関ですよ。同じ政府機関の中でたとえば片方については、給与については人事院勧告が絶対不可欠なものです、そしてそれは予算編成上も、たとえば総合予算主義のたてまえからいえば、科目の中の流用、損金の中の流用すらも不可能だということになれば、この項は書きかえていかなくちゃいけない。本来、労使関係できまったものは、いわゆる賃金については事後承認的性格を国鉄の場合にはとっているわけですし、電電公社あるいは専売公社についてもとっているわけですから、必然的にそれは他の一般政府関係機関に対しても、同等の取り扱いとして予算総則に処置をされていく、このことが正しい運営のあり方じゃないでしょうか。これはひとつ労働大臣にいまの観点をまずお聞きしましょうか。副長官は時間の関係があるそうですから、どうぞけっこうです。

小川平二自由民主党労働大臣

○小川国務大臣 先ほど来官房副長官並びに法制局から答弁を申し上げましたように、政府関係機関におきましては、その公共性、特殊性ないし政府との特殊なつながりという点からいたしまして、たてまえとしては労働三法の適用を受けておるのでございまして、自主的な団体交渉で労働条件がきめられるたてまえになっておるわけでございますけれども、事実上は当事者能力に制約を受けざるを得ない、かように考えておる次第でございます。  そこで、先ほど来御指摘のあります公務員についての人事院勧告、あるいは三公五現についての公労委のような、同じ意味において労働者の希望を反映する仕組みというものは、ただいまこれは存在をしておらない、そのように申し上げざるを得ません。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 それでは大臣聞きますが、労働組合法上には、御承知のように中央労働委員会というのがあるわけです。いわゆる当事者が、そういう意味で大蔵省の内示以上のものが出ない。労働者側はそれでは満足しないということになれば、一般労働法の適用上からいけば、たとえば調停機能を求めたとするならば、必然的にそれは中央労働委員会になりましょう。中央労働委員会があるいは調停をし、その過程でこれらの政府機関についてはこれくらいの賃上げが必要だ、こういうような状況が起きた場合には、大臣どのように処置されますか。

小川平二自由民主党労働大臣

○小川国務大臣 これは労組法が適用されておるのでございますから、中労委の調停にかからしめるということはあり得ることでございます。実際にも、さような事例があったと存じております。さような場合に中労委が、その事業の性格、あるいは職員の現行の給与水準とか、賃金に関係のあるいろいろな事柄を調査して断を下すことになると存じますが、そこに至る手順、方法ということは、中労委のいわば調整技術の問題でございますから、この点については政府がとやかく申すべきことは存じません。たださような場合はあり得ることでございますし、また事実上あるとも聞いております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 どうもはっきりしないのですが……。  大臣、それでは、この事業団を持って、主務大臣としてあられるわけですから二、三聞きますが、今度の七・九五ですね。それから大学の初任給が二千四百円、高校率の初任給が千六百円ですか。それから、上限は監事、役員の給与を上回ってはならないという大蔵省の内示ですね。これに基づいて、もし大臣の主管する、たとえば雇用促進事業団で、最高の号俸と昨年度の号俸が事実上一緒になってしまった。これはある政府機関においてあるのですけれども、たとえば初任級の賃金はこれでやりなさい。アップは七・九五%、しかも人事院勧告の給与水準に基づいて適用する、いろいろ大蔵省のあれでいくと、五等級の四十九号俸と四等級の初号が同一になってしまった。おかしいですね。初任給賃金が一年間据え置きですよ。もしかりにそういう条件が起きたときに、七・九五%の原資しかありませんから、昨年度の人も、ことし入ってきた人も、賃金は同じですというわけにはまいらないと思うのです。大臣だったら、かりに雇用促進事業団にそういう条件が起きて、大臣、この点についてはプラスアルファの資金をもらわなければ賃金の是正ができません。有効な労働の活用ができませんと言われた場合に、大臣はそれを許可されますか。承認されますか。

小川平二自由民主党労働大臣

○小川国務大臣 御指摘のような事実があるかどうか、これはただいま初めて承ったことでありますが、もしさような事実がありますれば、取り調べて何らか善処する道がないかどうか、研究しなければならないと存じます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 善処する場合、総体的な賃金のワクがありますね。七・九五%という賃金総原資があります。そのワクでやる場合、七・九五%についても、たとえば人事院が国家公務員に示した初任給ないしは賃金格差、分布、あるいは階層別資格、おおむねそれに基づいてやりなさいという、たとえば賃金の体系にまでも大蔵省がサゼスチョンした場合には、各事業団体は先ほどの七・九五%の論議でありませんけれども、それを金科玉条のようにして、それ以上のことはできないわけです。必然的にそれをやろうとするならば、何らか別の原資を持ってこなければできない。  これまたほかの事業団に例があるわけですけれども、ことしの大学卒の初任給は二千四百円。昨年は二千六百円ですね。それで賃金格差をつけていきましたら、ある階層で格差が六十円しかなかった。これではあまりにも中だるみになるので、この面を是正しようとしましたけれども、原資の関係あるはいまいった賃金の分布について、大蔵省のサゼスチョンがあるものですから、動かすことができない。その矛盾をかかえたまま労使交渉が行き詰まっている。こういう事実があるわけですね。これは善処するという内容が、単に賃金の体系を直すという善処ではなくて、全体に対してプラスアルファの原資を求めなければ善処ができないという条件、その場合に大臣は一体どうされますか。

小川平二自由民主党労働大臣

○小川国務大臣 これは一つの特殊問題であると存じますが、善処する道がないかどうかを研究しなければならないと存じます。それは現行制度の基本に触れる問題であるかもしれませんけれども、もしそういうことであるならば、根本的に研究をしなければならない。かりに公制審等で取り上げられます場合には、政府としても真剣に検討いたしたいと存じます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 政府側で主務大臣が取り上げれば、必然的にそれは大蔵省との交渉にならざるを得ないわけです。結果的にはそうなってくると私は思う。したがって、今回の政労協、政府関係機関の労使関係に関する限りは、そのワクは七・九五という限界がかりにあるにしても、それはあくまで一つの基準であって、広い意味でいうならば、それを基準にして各事業所間の自主交渉、その上に本問題の解決への道を見出していく、こういう道筋が正しいと思う。労働大臣は一つの事業団体を主務大臣として労働省に持っているわけですから、その関係から起きた場合にも、ぜひそういう配慮をしてもらいたいと思う。  それから結果的に、いまの事業団体と事業団体組合との間の交渉は、ボールの投げ合いなんです。こっちからボーを投げて、向こうからボールを投げて、同じボールがいったりきたりしているだけなんです。しかもそのボールが、交渉が解決しないために、八日には第一次ストライキに入る。この次には第二次のストライキが巻き起こされようとしておると私は聞いておる。率直にいって国民生活の上ではきわめて迷惑な話である。問題は、それを解決する能力を、一体だれが持っているのだろうか。自主交渉をやっておりますけれども、自主交渉がボールの投げ合いで、一つも前に進まないとするならば、一体その紛争の解決はだれが最高責任者で、どこに交渉の場があるのだろうかということを悩んでおるわけです。模索をしていると言ったほうがいいかもしれません。私はいまやりとりを聞きまして、結局主務大臣が各事業団体の交渉をまず吸い上げて、そして、主務団体間の調整の役割りを、先ほど亀岡官房副長官がやりますと言われているのですからそこに持ち寄って、その事業団体が、ある程度、これはいい、悪いというものがあるでしょうから、それを持ち寄って、そこでいま一ぺん大蔵省の窓口と、たとえばそれぞれ事業団体側の持つ予算処置の中でプラスアルファが出ればその流用ができないか、あるいは給与の体系がおかしくて、その場合に若干の補正が必要である、したがって、それには財源融資額がこれぐらい必要であろう、そういう問題が話されていってしかるべきだ。そうでなければ、先ほど中労委に問題が出た、こう言いましたけれども、かりに中労委問題が出ても、問題を解決する窓口のプロセスが開かれていかないのですね。私は、そういう形で本問題の解決にこれから当たられるべきではないかというように思いますが、大臣の見解をひとつお聞きしたいと思います。

小川平二自由民主党労働大臣

○小川国務大臣 御発言の御趣旨は非常によく理解できるのでございますが、正直に申しまして、この場できわめて歯切れのよい御答弁ができかねる性質の問題でございます。     〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 ただし、御趣旨は十分理解いたしました。確かに一つの問題点であると存じますから、鋭意根本的に考えてみたいと思います。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 実は、副長官がいらっしゃれば、副長官にここでお願いしたいところだったのですが、いま私が申し上げました道筋がなければ、これは労使間の交渉は行き詰まりです。しかも、大臣も御経験のとおり、本問題においては、長年のやりとり、しかも常にそれがストライキという形に発展をしておるわけですね。したがって私は、大臣にぜひ次の閣議で本問題について発言を願い、各主務大臣あるいは各事業団体側の交渉を、一ぺん閣議に吸い上げていただいて、関係主務大臣間の会議といいましょうか、あるいはその調整のプールといいましょうか、それを副長官を中心にしながら設定をする、そういう発言を行ない、閣議でお話を取りまとめていただきたい、こういうように思うのですが、いかがでしょうか。

小川平二自由民主党労働大臣

○小川国務大臣 閣議が発言をいたします適当な場であるかどうかということも研究を要するでございましょうし、いずれにいたしましても、御指摘のあった問題について十分研究をいたしまして、方向が見出せました場合にはしかるべき機会に意思を表示したいと思います。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 実は、きょうは時間が非常に限られましたので、残念ですが深い論議はできません。いまの私の趣旨、あるいは本問題が円満に解決する道筋というものを、ぜひつくってもらいたいのです。そしてその壁が大蔵省にあるならば、大蔵省のその壁を――各事業団体側で取りきめた協議事項、いわゆる労働組合法に基づく自主交渉なり、あるいはまとまっていけるであろう道筋を見出すように、大臣の奮起をこの際要望しておきたいと思います。  それでは、同じ政府関係機関の中の原子力研究所の問題について、二、三お尋ねをいたします。法制局、ちょっと残っていただきたいと思います。  私は質問時間を短縮する意味で申し上げますが、原子力局長は、原子力研究所に起きている署名運動をめぐる紛争について御承知ですか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波説明員 承知いたしております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 これは法制局に申し上げておきますが、実はこの事件内容は、大づかみに言いますとこういうことです。  例の原子力研究所の隣の動力炉・核燃料開発事業団、この中に核燃料の再処理工場を設置しようという動きがありました。これに対して茨城県議会、勝田市議会、日立の市議会は、反対の実は決議をいたしたわけであります。ところが、当該の東海村では、本再処理工場の設置についてはまだ態度をきめていないという段階なんです。そこで、地元の人並びに平和委員会が中心となって、この工場設置反対の署名運動を実は展開したわけです。たまたまその署名運動の中に、いわゆる原子力研究所に勤務をする者が何人か署名をいたしました。この署名がけしからぬということで、原子力研究所の当局側は、署名をしたそれぞれを職制の機能の中に呼び出しをし、あるいは家庭を訪問をして、その真意を確かめ、調査をするという問題が起きたわけです。かいつまんで言うとそういうことです。  ここで非常に重要なことは、これは法制局に私はお聞きをいたしますが、日本原子力研究所の職員というものは、一般的にいって各議会に対する請願権、請願というものは、もしそれに署名をすることによって、いま言いました事実調査を受けなければならないような、そういう職責上の地位にあるのでしょうか、あるいはそういう制約を受けなければならない何らかの法的根拠があるのでしょうか、これをまず一つお聞きしたいと思います。

真田秀夫内閣法制局第一部長

○真田説明員 その原子力研究所の御指摘の問題というのは、ただいま聞いたばかりのような次第でございまして、事の詳しい事情は一向に存じないわけでございますが、お聞きいたしました限りにおきまして御返事申し上げたいと思います。  請願する権利があるかどうかということでございますが、これはもちろん原子力研究所の職員であっても請願の権利はございます。適法にかつ静穏にいたす請願は憲法上保障されているわけでございまして、その請願をしたということよりして不利益な取り扱いを受けないということも憲法が保障していることでございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 確かにそうですね。憲法上の請願権、あるいは請願法に基づくすべての行為、この行為は、国家公務員は政治活動を禁止されていますね。しかし国家公務員についても、政治活動が禁止されておりますけれども、憲法上の請願権、あるいは請願法上に基づく請願、これは保障されていますね、国家公務員について。これは法制局にお聞きします。

真田秀夫内閣法制局第一部長

○真田説明員 御承知のとおり、国家公務員法には政治活動の禁止がございますので、それにわたる行為をいたすことはもちろんできないわけでございますが、それにわたらない形といいますか、内容といいますか、方法といいますか、そういう態様における請願は、国家公務員にも認められておるというふうに考えます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 それでは、局長に御質問いたします。  局長は、事件の内容を御承知ですから私はあらためて申し上げませんが、この再処理工場をつくることについて署名運動が行なわれ、その署名運動を行なったことを理由にして、たとえば家族の訪問をしてその事実の有無を確かめるということは、いま法制局がおっしゃいました、請願をすることによっていかなる人間も差別待遇を受けない、この条項に私は抵触すると思いますが、いかがでしょう。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波説明員 ただいま先生御質問の問題は、私、原子力研究所のほうから聴取をいたしたところによりますと、こういうことでございます。  先生御承知のように、動・燃事業団におきましては、かねてから東海村の地域内に再処理工場を建設する計画がございまして、最近に至りましてその施設の安全審査申請につきましても、政府にその書類を提出するに至っておる段階であるわけでございますが、これに関連をいたしまして、八月下旬から九月の上旬にかけまして、この施設の設置に反対する署名運動が行なわれまして、東海村にあります原子力研究所の住宅団地におきましても、署名を求めて戸別訪問が行なわれたということでございます。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 局長、答弁はできるだけ簡単に願います。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波説明員 この内容は、六項目にわたります理由をあげまして反対の署名をいたしまして、東海村村議会に連名で出されておるようでございます。先生お話しのように、この署名者の中には三百名にも及ぶ原子力研究所の職員が入っておるということを原子力研究所が知りまして、研究所といたしましては、原子力の国家的研究開発機関として、自分みずからも再処理の研究をやっておるわけでございますし、また隣の動・燃事業団の事業には全面的に協力しなければならない立場にある研究所であるという立場から、その事実に対しまして無関心でおるわけにはまいらない。ついてはその実情を把握する必要があると認めましてその調査を行なった、こういうことでございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 実情を把握するのに、どうして家庭の奥さんまで調べなければいかぬのですか。かりに地方公務員があるところに住居をしておって、そこにし尿処理工場がつくられた。奥さんが、これはくさくてかなわぬから、このし尿処理工場について反対しよう。たまたまその地域で反対の請願運動が起きた。その地方公務員の奥さんが、それに反対の署名をした。このことを地方公共団体、地方自治体、これがやはり調査をしなければならぬのでしょうか。これは一つの例ですよ。私はやはり原子力研究所の理事者側の調査をされる目的が、請願者を調査すること自身問題がありますけれども、調査をすることに別の目的があったのではないかというふうにどうも思われてならないのですが、調査をするということについて、局長はひとつも不可解に思いませんか。あたりまえだと思いますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波説明員 もちろん原子力研究所の理事者も、憲法に認められております請願権が、原子力研究所という特殊法人であるゆえをもってその制約を受けなければならないというようなことは、毛頭考えていないと存じます。しかし、先ほど申し上げましたような原子力研究所の使命、立場から申しまして、職員の中からさような多数の署名者があるということにつきましては、むしろ意外に受け取って、至急その経緯等を調査することが、将来の原子力研究所を円滑に運営していくために必要で遜ると判断したものと聞いております。この調査のやり方につきましては、私ども聞いておりますのは、その職員を通じましてその経緯を聴取したと聞いておるわけでございます。あ仰るいは間接に、家庭のほうまで行ったのかもしりませんが、そこまでは聞いておりません。と申しますのは、この多数の中には、職員が不在の間に職員以外の者によって行なわれたという可能性もある。真に個人の自由な意思によってなされたものかどうかということについても、参考に調査する必要があると考えたものと思われます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 これはたいへんな発言ですよ。いわゆる請願権というものは、一般国民の権利として認められている。たまたま特殊法人、あるいは政府関係団体の機関の職員がそれに署名したから調査をしなければならない、したがって、調査をしました、調査をするだけなら、私はまだ問題がないと思います。まあ、問題があるにしても、多少緩和される面があると思う。その署名に対して所長が声明を出していますね。「かかる軽挙妄動は慎んでほしい。」こう言っているのですよ。これは一体何と説明されるのですか。請願をしてはいけないということを言っておるのですよ。原子力研究所の所長に、請願権を差しとめる法律的な根拠がどこにありますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波説明員 私のほうで調べたところによりますと、請願をしてはいけない、こういう請願権の制約をしておる事実はないものと判断しております。先ほど来申し上げておりますように、原研は、原子力開発に関する研究を総合的に推進している機関でございます。もちろん原子力研究所自身も再処理の研究もやっておる状況でございます。特にそのような研究所でございますので、その職員の行動は社会的に原子力問題につきましては非常に権威ある研究所の職員であるということから、非常に重要な意味を持つわけでございますので、従業員の監督の責任を持っております理事者としては、特に原子力開発の円滑な推進を果たすために、特に職員の慎重な態度が要請されると考えたことから、いまお話しになりましたような職員全般に対します訓示を所報に掲載をいたしたということを聞いております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 局長も一ぺん読んでほしいと思うのですが、「所の方針に反する行動をとった者があることはまことに遺憾である。」と言っておるのですよ。初め、あなたは、調査する必要があるから調査をしたと言いましたね。所長は、軽挙妄動をしてはならない、こう言いましたね。その次には遺憾であると言っておるのですよ。いわゆる請願権を行使して署名したことはまことに遺憾であるという、こういうことですよ。これは請願権の制約ということになりませんか。そういう告示を所長がしたのですが、法制局どうですか。まず局長から意見を聞いて、法制局の見解を聞きましょう。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波説明員 ただいま申し上げておりますように、原研の職員でありますから、原子力につきましては最も知識が深いと世間一般に考え、そういうように受け取られるのは当然であろうと思います。したがいまして、そういう職員は、特に原子力の問題に関係をいたしますもろもろのことにつきまして、所の方針なりに反するような行動のないように、こういう一般的な訓示であるとわれわれ考えておりまして、今回の請願をやった者につきまして、特にどういう処分をするというようなことを言っておるものでは全然ないとわれわれ解釈しております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 ぼくがここでわざわざ読んでいるのは、「このような行動をとったことはまことに遺憾である。」――「このような行動」とは何を指しておるか。あなたが言うような研究の云々とかいうような問題じゃないでしょう。いわゆる請願に署名したこと自身がその行動ですよ。これはまことに遺憾である、こう言っているのですよ。お読みになったでしょう。請願法の「何人も、請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」という第六条に、本問題は抵触しませんか。

真田秀夫内閣法制局第一部長

○真田説明員 憲法上認められております国民の請願権を制約するというようなことは、これはたいへんなことでございまして、原子力研究所でいかなることが行なわれましたのか私具体的に存じませんのみならず、そういう具体的なケースについて、私のほうでそれは憲法違反であるとか、法律違反であるとかいうようなことを申し上げるような立場じゃございませんので、ただいまの御質問に対するお答えは御容赦願いたいと存じます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 原子力局長、この問題は実は時間があればたいへんな憲法論議――あるいは自治体あるいは特殊法人の職員のいわゆる請願、政治活動ではなく請願権に対する基本的権利の問題ですよ。したがって、大論争をしなければ問題の決着がつかない。きょうは時間がありませんからそこまで私は申し上げません。  そこで私は、局長もいま御答弁の中で、少し行き過ぎたなと思っておられると思うのです。この問題に対する調査、請願権に対する所長の処置のしかた、もしこれが原子力研究所で理事会できまったということになれば、これは他の科学技術特別委員会でもあるいは法務委員会でも私は問題にしなければならぬ。どうですか、いま一ぺん事実をお調べになって、非は非として、たとえば所長の告示のようなものは直ちに撤回をされる、あるいはもしも今日までまだ調査が続いていらっしゃるとするならば、そういうことは直ちにおやめになる、このことが必要だろうと思う。そういう意思がありますか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波説明員 この所長の訓示につきましては、職員を監督する立場にあります理事者にまかされた権限の範囲内の問題と解釈いたしておる次第でございます。  なお、調査につきましては現在すでに行なっておらないと聞いております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 所長の権限内のものであるとこれを認められますか。そう言われていいのですか。所長の出されたこの告示は、所長の権限内のものであるというふうにあなたはお認めになるのですか。事実を調べて、再調査される必要があるのじゃないですか。もしもいまの答弁であるとすれば、これは各委員会でわがほうは問題にしなければなりませんよ。どうですか。私は何回も言いますように、この行動はきわめて遺憾であるということは、請願権の侵害の疑いがある。したがって、私どもから見れば、当然に請願権の侵害と思いますけれども、国会の場ですからそういう侵害の疑いがある、したがって、それはそういう観点からの理事者側と原子力局長の間で調査をされて、適当な処置をとられるのが至当ではないかというふうに私は言っているのです。どうですか、そういう方法をとられませんか。

藤波恒雄科学技術庁原子力局長

○藤波説明員 先ほど申し上げました調査の打ち切りは、原研が職員に対する調査を今回の調査についてはすでに終わっておるということを申し上げたわけでございますが、われわれといたしまして、今後こういう問題はもちろん無関心でおるわけでございませんで、いやしくも誤解を招かないように、十分配慮し続けていきたいと考えております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 本問題については、相当重要な内容を持っておりますから、これからの本問題に対する取り扱いは、私としても保留をさしていただきたいと思います。  質問を終わります。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 八木和夫君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣に御質問を申し上げる前に、委員長に御質問と要望を申し上げたいと思います。  本日の議事の運営について、野党の委員はもちろんですが、与党の方も質問の意思はお持ちだったと思います。社会党以外の他の野党の方も、質問の強い意思がおありになったように伺っております。しかし、このような時間になったということを考えると、これは委員会の開会の日数がひんぱんの度が少ない。また開会した日にちや時間数が少ないということに帰着すると思うわけであります。そういう点で、ぜひひんぱんに開いて、十二分に開くように、国会の役員としての八田委員長に要請をするつもりでございましたが、委員長不在でございますので、委員長代理からぜひそういうふうに強い要望をお伝えいただきたいと思います。  それと同時に、各委員の質問、要望がその日に出てきて整理に困られることがあると思う。でございますから、各委員の質問についての通告を、理事を通じてやられるのもけっこうでありますが、事務局が直接に当該委員全部に連絡をして、どれだけ要望がある、したがって、一日ではできない、三日間開かなければならないというような判断を委員長からせられまして、理事会においても委員長が指導的に、これだけの時間が必要であると思ったら三日間開こうというような指導をしていただきたい。  それはなぜかと申しますと、いまの国会はほんとうにマンネリ化して、抜けがらみたいな状態になっている。予算案について、あるいは各法律案について、与党の議員の方々は、与党のほうの決定によって、それを委員として自由に直すような審議は制約されている状態であります。これは第一党である自由民主党が反省をしていただかなければならぬ問題であります。国会全体の問題でありますが、当委員会として、国会がそのようなから回りをして、実際国会議員が国民を代表する論議が政治に直結をしない、すぐにそれが実現しないということを直すためには、たとえば予算の編成前に、法律の下準備の前に、国民を代表する国会議員の意見を十分に開陳する機会がつくられ、厚生大臣なりその他の大臣が、それを参考にしてそのような立案をされなければならない。そのために休会中の審査というものは非常に重大であると思う。休会中の審査については、その当面起こった具体的な急速なことについて審議をすることが大事であることは私は認めます。しかし、それのみで終わっては、国会の任務炉半分果たされないことになる。したがって、当面の緊急な問題を論議すると同時に、基本的な問題を論議する時間を、十二分に委員長が指導的につくるということをやっていただかなければならぬと思う。その点について、八田委員長がおられないのではなはだ残念ですが、委員長代理から強い要請としてお伝えをいただき、次回の委員会のときには八田委員長からこの点についての決意を私に述べていただくように要請をいたしたいと思います。委員長代理のおことばをいただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 八木委員の御質問に対して、委員長不在のために私からかわりましてお答えをいたします。  いまお話にありましたとおり私も同感でございますので、委員長にそのとおり連絡を申します。  ただ、一点申し述べますが、質疑の通告は必ずしも理事の方を通じませんでも、今日までも各委員それぞれに委員部に対して通告をしてこられました。そうして、その日その日の委員会の開会前の理事会で、その日通告のありました方々の発言全部をその日の時間に割り振れるように理事会も今日まで運営をしてまいったと思うのです。ですからそうした点については、今後もなお委員部のほうとして御努力を願うように、私どもも委員部のほうにお願いを申し上げますと同時に、閉会中の開会の日数あるいは時間等につきましては、各党それぞれの立場から相談をいたしまして、いままでも運営をしてまいりました。これ以上に回数をふやす必要があると各委員の意思が定まりましたら、そのように運営をさせていただきたいと私どもも考えております。事実先般も緊急の御要請がありまして、三十日に一日委員会を追加して開催いたしました。今後も必要とあらば何日でも委員会を開いていくと思います。私どもとして申し上げられる点もそのとおり御報告をし、委員長に御発言の御趣旨をそのままに伝えたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 いまの委員長代理の御答弁で大体満足いたしましたが、それが実現されるようにしていただきたいと思います。  本日の問題でございますが、そういう状態の中で質問の時間が制約をされております。しかしながら、これはやはり予算の編成前に申し上げておかなければならないことでございますから、厚生大臣も御予定があるかと存じますけれども、ひとつまげてその予定については差し繰りをして、私の質問の終わるまでは、また、次の委員がなさるのであれば、それが終わるまでは、ここに御在席をいただきますように委員長から要請していただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本(龍)委員長代理 厚生大臣、できるだけ審議に御協力を願います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 それでは本題に入りたいと思います。  厚生大臣は、憲法第二十五条第二項についてどのようにお考えでございましょうか。第二項は「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいま言われた個条について、全力をもってこれの実現をはかるのがわれわれの責務であると考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 憲法の条章を通読いたしますと、具体的な政策について、国の努力義務を書いた法律はほかにはないと思います。国民全体が平和の問題について、基本的人権の問題について、民主主義の問題について、それを完全に実施する努力をしなければならないという条文は憲法全体について方々に見受けられるわけでございますが、具体的な政策について、国がそれを推進しなければならないことを明記した条文は、ほかにはないのではないかと思います。権利がある、そういうような書き方はあります。だけれども、政策面でそれをどんどんと向上及び増進につとめなければならないという書き方は、他の条文にはないと私は思いますが、厚生大臣、お答えをいただきたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおり解釈します。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 大蔵省の辻君に、その点を確認をしておきたいと思います。  大蔵省は財政のいろいろな点について、原案をつくるときにいろいろな大蔵省の観点から各省の要求を削減したり、意見をつけられる。しかし、その中に日本国憲法の条章をもって確認をされている問題と、そうでない問題の間については、おのずから比重の差があるということを大蔵省全般が、大臣からすべての公務員まで認識をしてやらなければ、憲法第九十九条の精神に大蔵省の職員が違反をするということになる。そのことについて辻君はどうお考えですか。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○辻説明員 私どもといたしましては、もとより憲法のたてまえに従いまして、従来から社会保障の充実あるいは国民福祉の向上に努力してまいったところでございます。今後とも、そういう考え方で対処してまいりたいというように考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 これはまた大蔵大臣や何かいるときにやりますけれども、厚生大臣もその点についてはりっぱな政治家ですからお考えだったと思いますけれども、ちょっとお忘れじゃないかと思ったのです。具体的なものについて憲法に明記してあるのは、これだけであります。したがって、貿易を振興するために何をする必要がある、農業の振興のために何の必要がある、いろいろなことを各省が要求をする。そのときに、いろいろな要求があるから少しずつ減らしてもらわなければならないというようなことを大蔵省が言う。その中で、日本国憲法の条章に従ったものについては最優先でなければならない、削減をしてはならない、調整をするのはほかのものでするのだという立場で、この問題について、予算なり予算の裏づけのある法律なりについて対処しなければならないと思う。そのことについて厚生大臣は――閣僚がこれを全部知っているとは思えない。したがって、その点について、憲法九十九条を守る特に責任を持っている内閣総理大臣以下各閣僚、特に大蔵大臣に対して、この憲法の条章を完全に実施するために、いままで十数年間行なわれたような、社会保障を無視したようなそういう論議は、一切発言を許さない。それを押えるような発言は憲法違反だ。国務大臣も国会議員もやめなければならないというような、強い態度でこの問題について厚生大臣は対処されるかどうか、この点について御意見を伺いたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 その決意で対処いたします。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 次に、今度の閣議で、各省の予算の第一次要求を二五%にとどめたという事実があると伺っておりますが、閣議でそういうような決定をいたしましたどうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 その際私のほうは、わが厚生省の予算はそれではできないということをはっきり言ってあります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 そう申してあって、それについて内閣総理大臣なり大蔵大臣はどのように言われましたか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 これに対する反論はございませんでした。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 それなら非常にけっこうであります。  大体大蔵省が各省の第一次要求を二五%にとどめてくれということは、大蔵省、特に主計局の任務放棄であります。ストライキ、サボタージュであります。大蔵大臣がそういうことを指示するのだったら、断じてその点を追及していただきたいと思います。各省の第一次要求は、すべて各省が必要と思われるものを出されてしかるべきである。それを予算の原案のワクの中におさめる努力は主計局がしなければならない。第一次要求で二五%増というようなワクをはめれば、大蔵省の作業は楽でありましょう。しかし国政のアクセント、予算のアクセントがそこで第一次的についえ去ってしまう。特に厚生省は、二五%増でその問題がまかなえるわけはありません。医療保険の問題についても、年金の問題についても、特に児童手当の問題は、非常に巨額の国費を要する。二五%のワクに押えられたならば、これから発展しなければならない社会保障はとまることはあたりまえであります。そういれなのに、この数年間五〇%増し、三〇%増し、二五%増しとだんだんに減ってくる、そんなことがまかり通るようなことが閣議で行なわれているが、これは総理大臣以下大蔵大臣の大間違いですよ。そういう点についてぜひ閣議で、そういうことは誤りである、大蔵省のサボタージュであると全部出して、予算のワクにおさめる努力は主計局が努力したらいい。そういうことを園田さんは閣議で強力に主張され、総理大臣にその当然の理由を理解させて、大蔵大臣が何と言おうとも、今後そういうような予算編成方針はとらないということをやっていただけるかどうか。また今年度の問題として、二五%増のワクを受けておらないようでありますから、五〇になろうと八〇になろうと二〇〇になろうと、さっきの憲法第二十五条第二項の条項に従って、断じて厚生省が必要という予算は通す、その予算を組みかえる。大蔵省が承知しないであろうというような態度でなしに、国民に必要なものは断じて取る、またそれを取るための強い決意を持っていられるかどうか、園田厚生大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおり、強い決意をもって臨んでおります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 大蔵省も、いま私の言った意見はわかっているはずだと思う。その点について、辻君から船後君にも鳩山君にも、また大蔵大臣にも、全部伝えて、憲法第二十五条第二項の精神に、大蔵省がいままで非常に違反をしていた事実がある、疑いがあるが、これから一切そのような疑いがないような行動をとる、社会保障に対する要求についてなたをふるうようなことはしないという態度で大蔵省がいくように、これをあなた方の任務として至急に完全に全職員に伝えるようにしていただきたいと思う。それについての答弁をいただきたい。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○辻説明員 全体としての財源の制約もございまして、事実上予算規模の増加には限度がございます。そこで、従来から各省庁が要求の段階におきまして財政支出の優先度を判断して、できるだけ要求内容を重点的に整理していただきたいという趣旨で、先ほど御指摘のありましたようなやり方をとっているわけでございます。また、このようなやり方が予算編成の作業の合理化、あるいはまた円滑化をもたらすのではないかと考えておるわけであります。     〔橋本(龍)委員長代理退席、委員長着席〕  なお、そうだからといいまして、当然財政当局のやるべき仕事を放棄しているということには相ならないわけでございまして、私どもといたしましても、予算編成の段階でさらに重点的に予算編成を行なっているわけでございます。したがいまして、ものによりましては各省の要求どおり認めるものもございますし、査定をいたすものもございます。したがいまして、また経費の対前年度の伸び率でごらんいただきましても、非常に違いがあるわけでございます。その点は、御指摘のように十分重点的に考えているつもりでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 すらすらと答弁されましたけれども、その中で、社会保障の要求がとめられた事実は数限りなくある。当然しなければならない要求も、あなた方が削減をされたことは数限りなくある。それをほんとうに反省してもらわなければ困る。これは水田君に、これが終わったら直ちに何ものも差しおいてこの論議を伝えてもらいたい。ありとあらゆる点であなた方は削減していますから。憲法第二十五条第二項違反を大蔵省の全員がやっていますから、やらないというこれからの態度が見えなければ、大蔵省全員を憲法第九十九条違反で訴えなければならないことになる。自衛隊の拡充計画とか、貿易の振興計画などということは、憲法には一つも書いていない。そんなものと一緒に考えたら大間違いです。この点については確認をしてよく伝えてください。したがって、今度憲法を無視しないという態度が見えなければ、厚生省の社会保障に対する予算についてびた一文も削減は許されない、それだけの反省の実が上がらないということになります。厚生省もいままでの大蔵省の圧力に屈したようなへっぴり腰の態度ではなしに、国民のために必要なものは堂々と、どんな率になろうと要求をする、そういう要求に必要な法律も堂々とつくる、そういう決心をしていただきたいと思う。園田さんの強い決意を伺っておきたいと思う。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおりに考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 では、社会保障全般について申し上げたいわけでございます。  実は、委員長さっき不在の間に、委員長に対しての要望を申し上げた。委員長代理からよくお聞き取りをいただきたいと思いますが、きょうに関係のあることは、その関係で私の時間の制約をしないようにしていただきたいということであります。その点でひとつ運営をぜひお願いをいたします。  それから社会保障の全般で申し上げたいわけでございますが、残念ながら、時間を延ばしていただいてもおのずから制約がございます。したがって、医療保険や、児童手当や、あるいはいろいろな問題について、ガンの問題や何かについて質問をいたしたかったわけでございますけれども、残念でございますが、年金の問題にしぼって御質問を申し上げたいと思います。  ただし、医療保険の問題について総括的に申し上げておきますけれども、昨年出た厚生省の試案、それから鈴木調査会というところでいまいろいろ練っておられる問題、いろいろと医療保険の抜本的改定について方々で検討しておられるようであります。しかし、憲法第二十五条第二項の精神は、社会保障について向上と増進を規定しているわけでございます。逆行というものは一切許されない状態にあることをぜひ御確認をして、そういう問題に御対処を願いたい。  たとえば給付の平均化ということで現在国民に施行されている給付を減らそうとしたり、負担の公平ということばにかりて大幅に費用の負担をふやそうとしたり、そういうことは、その一つ一つの点において憲法違反だ。ほかの問題のような、財政のやりくりの問題とは違います。大蔵省や大蔵省の財政制度審議会というようなよけいなものが、財政だけでなしに社会保障に介入するような意見を発表するようなときに、そのような憲法違反が起こらないように、不十分な点をよくすることはいいですけれども、いまのものを逆行させるようなものが一点もないような案をつくらなければ大問題になる。そういうことにならないように、前進になるように、医療保険の問題についてもお考え御推進をいただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。  次に、年金の問題に移りたいと思います。年金制度の問題については来年度厚生年金の再計算期だと伺っております。それについて飛躍的な改善をはかられようと御準備中だと伺っております。これは非常にけっこうだと思いますが、これについて意欲的に熱心に対処されるお気持ちであろうと思いますが、園田さんの御意思を伺いたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 先般出された国民年金審議会の意見にもありますように、国民年金の次期再計算期は四十六年になっております。しかしながら、近年における経済成長、国民生活の向上等、飛躍的なものがありますから、これと見合って厚生年金と同時に、明年度改善をはかるつもりでございまして、その準備をいたしております。給付につきましても大幅の改善を考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 次の質問予定のところまでお答えいただいてありがとうございました。厚生年金はもちろん改定期である。それに対応して国民年金も繰り上げて来年改定をなさるということを御答弁いただいて、けっこうであります。  ところで、厚生年金の改定について社会保険審議会の厚生年金部会でいろいろ意見が出ております。そこでは、現在の二十年、二万五千円について、二万円程度の金額にすべきだという意見が出ておるようであります。また、その中の大きな意見として、二万円だったら実質二万円にはすぐならない。この前一万円年金のときに、その当時支給された平均は七千円である。だからほんとうの二万円になるようにしなければならないし、そのためにはいまの定額部分五千円を倍にして一万円にしたのでは足りない。それについては一万二千円にしなければ、実質二万円にならない。また所得比例制もさらに加味していかなければそうならないという御意見がついているようであります。こういうような重要な問題について、多くの国民大衆の意見がほんとうに実現するように、いまのそのまま二倍ということであれば実質二万円になりませんから、実質二万円にするというのが国民の多くの人の要望である。私どもの考え方では、二万円ではまだ少ない。少なくとも、いまの二十年、二万五千円のベースで考えて、三万円以上に即時来年度からしなければならないと思います。働いた人が老後の生活をほんとうの意味で健康で文化的に楽しめることになる状態には、それでも遠うございますけれども、それに極力早く近くなるように、そのような大幅な引き上げについて、ひとつ積極的に御対処を願いたいと思います。厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいまの御意見のような方針で明年度の予算を準備し、折衝するつもりでおります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 お聞きしたいことがたくさんありますから、残念ながらはしょりますが、厚生年金の問題については、それを引き上げる場合に保険料との関係がございます。この問題については、いまの厚生年金法の積み立て金方式と賦課方式の併合方式をとっているようでございます。それからまた、支給時に国庫負担二割ということをいたしておるわけでございますが、そういう点についてさらに国庫負担をふやすなり、あるいは賦課方式の味をよけいにするなりして、保険料負担の増大を実際に来たさない方法でその年金額を引き上げるということを御推進いただきたいと思います。諸物価の値上がりのために労働者の生活も非常に苦しゅうございますから、そういう点について十分な御配慮の上、十二分の年金支給になるように御配慮をいただきたいと思いますが、厚生大臣の御見解を伺いたいと思います。

伊部英男厚生省年金局長

○伊部説明員 ただいま御指摘の本年十月十七日、社会保険審議会の厚生年金部会におきまして厚生年金保険制度の改正に関する意見書が提出されたのでありますが、この意見書に基づいて、ただいま厚生省において具体的なその作業を行なっておる段階でございます。  審議会の御意見といたしましては、先ほど先生からも御指摘がございましたように、年金給付の大幅な増額が必要であるということと、必要となる保険料引き上げにつきましては、一挙に料率の大幅な引き上げを行なうことは困難な面もあるので、現行方式のように既裁定年金の引き上げなどで生ずる整理資源については、後代にその負担を繰り延べる等々の措置によりまして、労使の負担の急激な増加を避けつつ、段階的な引き上げをはかるべきであるという御意見がございますので、こういった点も念頭に置きつつ適当な、適切な案をまとめてまいりたい、かような考え方でおる次第でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 いま申し上げましたように、社会保険審議会厚生年金部会というのは、ぼくはそこの意見の中で、要望が一番熱心な要望であってもまだ少ないと思うのです。というのは、先ほどの最初の論議にもありましたように、社会保障を政府が無視しているという点で、厚生省が要求しても大蔵省から予算をぶった切られる、あるいはまた賦課方式をとることもいろいろ文句がつくというようなことで、具体的にはむずかしかろうということで遠慮した要望になっておる。各団体のその要望もそれではいけないのであって、それ以上に指導的に年金制度という大事な問題に取り組むという覚悟がなければならないと思う。でございますから、それは最低中の最低であって、どんなに少なくとも、四万円、五万円にしていただいてもちろんけっこうでありますが、二十年、二万五千円で、少なくとも三万円くらいに今時点においては踏み切るというような点でひとつ前向きに御検討願いたいと思います。それについて厚生大臣の前向きの御答弁をいただきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 審議会から示されました方針を基準にしながら、最善の方法をできるだけやるように検討したいと考えております。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕

八田貞義自由民主党

○八田委員長 速記を始めて。  質問を続けてください。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 審議会の意見を尊重されるのはよろしゅうございますが、衆議院の社会労働委員会で、それについてのいろんな意見が前に出ているわけです。ただし、この問題についてはやや抽象的であります。社会労働委員会の意見は、審議会の意見よりも私の認識するところでは与野党込めてもっと熱意がある。審議会は最低中の最低として、それを厚生省としてはさらにりっぱなものにした案を出していただきたいと思います。その例が前にあるのであります。社会保障制度審議会には私は敬意を払っておりますが、社会保障制度審議会の答申、勧告の中で、最も拙劣な勧告が昔あります。それは年金に対する勧告であります。その年金に対する勧告で、国民年金の勧告の中で、老齢の問題だけを取り上げて障害及び母子を排除した。排除というのは、忘れた。そのような点数の五十点くらいの勧告を社会保障制度審議会がやったことがあります。社会保障制度審議会は、国民年金審議会よりももっと熱心な審議会でありますが、それでもそういうことがあるわけであります。ですから審議会が全部オールマイティではありません。また審議会の委員の中には、政府関係者や近い人がおられまして、大蔵省が承知まかりならぬだろうというようなことで、憶病でへっぴり腰の委員がずいぶんいます。そういう委員でも委員の一人でありますから、ほんとうの意味の答申じゃない、指導的な答申でないことが往々にしてあります。したがって、審議会の答申よりもはるかに上回る指導的なものを出すという決意をひとつしていただきたいと思う。この点についての厚生大臣の決意を伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 事柄の本質から、なるべく審議会よりも上の線にいくように努力をいたします。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 次に、厚生年金の問題でいろいろ問題がありますが、時間を節約しますから端的に申し上げます。  五人未満の事業所の厚生年金の適用、日雇い労働者の厚生年金の適用、その問題について具体的に何か検討していられたら、局長でけっこうでありますから簡単にお答えを願いたい。

伊部英男厚生省年金局長

○伊部説明員 五人未満の問題につきましてはかねてからの問題でございますが、先般の厚生年金部会におきましては、行政事務費等の問題を考慮しつつ、厚生年金の継続適用対象とすべきであるという御意見があるわけでございます。厚生省といたしまして、この問題は健康保険の抜本対策との関連もございますし、あるいはまた社会保険の中央機構の問題とも関連があるわけでございますので、これらの問題を考慮しつつ、御報告の御趣旨に沿って努力をしたいと考えておる次第でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣、いまお聞きになって、審議会がいかにへっぴり腰かおわかりだと思います。事務費の節約の関係を考慮しつつというようなことは、本質と小さな手段とを本末転倒しているわけです。そんな筋の通らないようなことをまとめて答申するような委員ですから、本腰の決意がないのです。だからそういうものについてはもう叱咜激励をして、五人未満の問題について、そのような審議会でなぜ意見が出てこないのか、そのくらいのことを厚生省自体がハッパをかけるような態度でなければいけない。事務費の問題を考慮して本質の給付の問題を忘れている。給付はこれだけしなければならない、対象者をふやさなければならない、そうしたならば、それに対して事務的にどういう対処をしなければならない、そういう答申が出なければならないはずです。これはしろうとが考えてもそうであります。ところが、そっちの関連とともに考えるなんという、へっぴり腰の、腰抜けの答申であろうということがこれでおわかりだと思う。五人未満の事業所の適用――五人未満だけをいま伊部君はお答えになった。日雇い労働者についてなぜそういう意見が出なかったか。厚生省自体としての御意見が出ない。おそらくは日雇いだからめんどくさい、保険料の徴収に困難があるというようなくだらぬことを考えているんだろうと思う。五人未満の事業所の労働者や日雇い形態の労働者こそ、蓄積が少なくて、そうして労働は過重でありますから早く老衰をする。退職老齢年金の必要度はほかの労働者よりも多いんだ。それを事務的になまけておるから、そういう一番必要な人が厚生年金から排除される。政府の非常な怠慢だ。これは年金局もずっと怠慢。審議会も怠慢。厚生大臣はこういう全部を統括しておられますから、年金問題について御協議をする時間がないと思いますけれども、しかし、いま申し上げても、伊部君だって一言もないはずです。伊部君の前の山本君だって、小山君だといっても、みんな歴代がそうだ。どこの審議会もそうです。なまけた審議会で、それがみんな一番高度の意見だと思っているのです。そういうような間違ったことは、憲法第二十五条第二項の精神をその人たちだって忘れているわけです。大蔵省もまたいつも圧力をかけるから、それにへっぴり腰になる。そういうようなつまらぬ壁を断固として打ち破る。五人未満の事業所や日雇い労働者に厚生年金を適用する。健康保険と関連があったら、健康保険も一緒にやったらいい。失業保険と関係があったら、失業保険と一緒にやったらいい。そういうことを断じて踏み切る決意で前向きの検討をされる、推進をされる、そういう御決意をひとつ伺っておきたいと思う。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御意見を承って十分検討したいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 時間の節約上、通算の問題は残念ながら省きます。通算の問題を省いて積み立て金の運用の問題でありますが、厚生年金の積み立て金は約三兆近くになっております。それはけっこうです。そこで、いま厚生年金及び国民年金の新しい積み立て金の四分の一が還元融資に使われているようであります。ところが、この厚生年金の積み立て金というものは、労働者が保険料を納める、使用主が保険料を納める。そしてこれはあとで出しますが、国庫負担は最初積み立て金の中にはありません。国民年金のほうは被保険者が納める積み立て金でありますから、保険料の五割だけ最初から入るという積み立て金になる。新しく入る四分の一だけが還元融資に使われることになっている。国民年金は比較的最近発足しましたから、その率は実は高くなっていると思いますけれども、厚生年金は前にずっと積み立て金のあったときに資金運用部がどんどん回していた。還元融資になったのはごく最近であります。数年前であります。したがって、前に資金を活用したものも、返ってきたものも全部活用しなければいけないと思う。また、四分の一という率はあまりにも少ないと思う。元来その積み立て金というのはだれのものか。法律的じゃなしに、本質的にだれのものかということについて、厚生大臣はどういうお考えを持っておられるか、伺っておきたい。これは大臣でおわかりにならなければけっこうです。伊部君もおわかりにならなければそれでよろしい。これは自分で言います。積み立て金というものは保険料を納める使用主の保険料も入る。国民年金だったら国庫負担も先に入る。これが、その人が老齢とか、退職とか、障害、あるいはその人がなくなったときの遺族の給付に当たるべき原資を積み立てているわけです。したがって、給付の時期が達成するまでには本人に渡すわけにいかないとしても、これはほかに持っていけない金であります。全部被保険者のものとなる。あるいは厚生年金なら労働者のものだ。国が出したからといって、国がそれを取り返すわけにいかぬのです。使用主が出したからといって、使用主が取り返すわけにはいかぬ。出たら最後、被保険者のものになるべき性質のものであります。したがって、被保険者のものになるものを、膨大な金でありますから、そういうことに練達の人が一時管理をしているにすぎない。したがって、本質的に労働者、被保険者のものであるなら、その金の運用は国民年金では被保険者、厚生年金では労働者のために運用するのが当然であります。被保険者、労働者のために運用することがあってしかるべきだ。ところが、残念ながらいまこの管理は大蔵省がやっている。そして、厚生省の要求でやっと新しい積み立て金の四分の一だけが還元融資というようなことになります。本質的に間違っているのである。それならばこれは厚生年金なり国民年金の所管をしておられる厚生省に、管理の移管をしなければならない問題だ。しかも率は大半のものを還元融資をしなければならないし、国家の財政の金融上の差し繰りから、大蔵省から頭を下げてこれを使わしていただきたいというときに、この重要性に応じて幾ぶんは協力するというものであってしかるべきであります。大蔵省が握っておって、当然の要求に対して、ちびって四分の一だけといって大きな顔をする性質のものではない。厚生省の管理にするよう取り戻すべきだ。四分の一というようなつまらぬことではなくて、少なくとも来年から二分の一ぐらいは、それも新しい積み立てじゃなくて、いままでの全部の積み立て金についてそういうふうにするということを当然決意をされなければならない。閣議で水田君と大げんかになってもいいから、当然の節を通してそれを獲得されるかどうか、伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいまの問題は、国会における附帯決議やそれから審議会においてもこの還元融資の御意見が出ております。私も、本質上この還元融資の運用権は当然厚生省が持って、そうして主としてこれを積み立てた方々の福祉のために使うべきであると考えておりますので、そういう面で折衝していく決意でおりますが、最悪の場合といえどもワクをうんと拡大するということは必須のことだと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 次に、急いだものですから一つ忘れた問題がありますが、さっきの厚生年金の財政の問題で労使の負担区分が五対五となっている。これはきまりきったみたいにされておりますけれども、いろいろなやりくりで、国庫負担をふやす。しかも厚生省が考えたのは、二万円ではなしにわれわれの最低要求のように三万円にする、もっと積極的に四万円にすることになれば保険料を上げなければならないということを大蔵省がいうだろう。そういうような点についても、それで保険料負担を幾ぶんでも上げなければならないときに、労働者の負担がふえないように、五対五ではなしに、使用者には七持たせ、労働者は三でいい、使用者には八持たせ、労働者は二でいいというようなことについて、前向きに実現するような御検討をいただかなければならないと思うが、どうですか。

伊部英男厚生省年金局長

○伊部説明員 労使の負担関係につきましてはいまいろいろ御議論もあるところでございますが、従来から労使折半負担というようなことになっておりますし、この点は早急にかえることは非常にむずかしいのではないかという感じを持つわけであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 園田さんに伺いたいのですが、いまの局長の御答弁を聞かれて納得をされないと思う。従来からやっていたということだけで、五対五でなければならないという理由は一つもない。ですから、これはいま一分か二分で片づく問題ではありませんけれども、いま言ったような理由で、聡明な厚生大臣ならおわかりだと思う。これは厚生年金だけではなしに、ほかの社会保険にも関係いたしますけれども、踏み切っていただかなければ社会保障を前進させることはできない。しかも、いまの低賃金で物価高で実質賃金が下げられているという状態の中でそれをやらなければならぬので、国庫負担をぽんとつぎ込むことが第一で、その次に、それができないときには保険料負担が必要であるが、しかし、労働階級がその保険料負担にたえられない状態にあるときには、使用者に負担をさせるということが当然考えられなければならないわけであります。厚生省もばかの一つ覚えみたいに五対五、五対五といっておって、それが現状に合っているかどうかということを一つも検討しない。ただ五対五であればいいという、そんなものでは政治の発展は一つもない。昔なかったものに五対五というものができたならば、それがもっと大きくなってもちっとも差しつかえない。それが給付の内容をよくして社会保障の内容をよくするものであれば、ほんとうに必要なことを踏み切ってやるのは何も差しつかえないはずだ。それなのに厚生省はこびりついた考え方で全部考えておるが、そういうものを打破するのは政治の責任だろうと思います。聡明な勇気のある政治家の園田さんに果たしていただく役割りであろうと思う。その点について、前向きにひとつ強力に御検討願いたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 この問題は他の問題とも関連する問題でありますが、御指摘のとおり固執することはないと思います。したがって、十分検討したいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 それでは具体的な通算の問題について一点だけ要望しておきますが、たとえば通算の問題について労働者だけのときには二十年を単位としており、国民年金のほうには二十五年という単位であります。こんなものを厚生省もいいかげんな事務的な便宜さのためにやっておるから、国民にとっては非常にわかりにくい。これではいけないのです。こういう問題についても二十年に合わせるようにしていただきたいと思うのですが、答弁はけっこうです。  次に、拠出制の国民年金に移ります。拠出制国民年金については厚生年金とあわせて拡大充実をはかられるということで非常にけっこうであります。私の申し上げたように、たとえば厚生年金が三倍ベースになるならば国民年金も拠出制を三倍ベースで、二倍ベースになるなら二倍ベースということで当然お考えになってしかるべきだと思うし、そのようにお考えになっておられると思います。具体的にいえば、厚生省のいままでのやり方でいけば、厚年が二万円になれば、国年は夫婦で二万円ということで、一人では一万円年金ということになる方向でお考えになっておられると思います。また、それでも不十分ですから、少なくともそういうお考えで、お考え以上でなければならぬというふうに考えるわけでございますが、それについての厚生大臣の前向きの答弁を願います。

伊部英男厚生省年金局長

○伊部説明員 国民年金のレベルにつきましても、国民年金審議会におきましては御指摘のように厚生年金のレベルを目途として国民年金の改善をはかるべきであるという御意見をいただいておりますので、これらの点を念頭に置いて今後の改善案を検討してまいりたい、かように考えている次第でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣も同じお考えですね。  そこで、それでまだ不十分な点があるわけです。まだ国民年金が少ないからもっと上げろという意見を申し上げてもいいのですが、これはひとまずおいでおいで、国民年金は二十五年払い込んで夫婦一万円年金。厚生年金は二十年間払い込んで本人一万円年金。二十五年と二十年では、ほんとうの実質的な差が大きくあるわけです。これはさっきの通算の問題ともからみますけれども、少なくとも二十年で厚年が二万円ベースになれば、国年は夫婦二万円ベースということにならなければいけないと思う。それについて、園田厚生大臣の御意見を伺いたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 それを目途としてただいま検討いたしております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 さらに申し上げておきます。それがなくてもまだ不公平があります。厚生年金は六十歳開始、国民年金は六十五歳開始、これまた七割くらいに換算をしなければならない問題であります。ぜひそういう点もひとつお考えになって、少なくともそういう論点があるので、大蔵省もよく聞いておいていただいて。ですから厚生省のこれからの年金の要求については、一文も削減をしないという態度で、大蔵省も、まだ六十五歳の不公平があったら、もっと多くしたらどうですかというような態度で大蔵省が予算の折衝にあたる。減らすばかりが能ではない、必要なものについては、大蔵省は、もっと増額したらどうですかというようなさような態度で対処しなければいかぬと思う。これについてもう一回、ひとつ厚生大臣、大蔵省の辻君、お答えをいただきたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまお示しの精神で努力をいたします。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○辻説明員 国民年金の改善につきましては、厚生省からまだ具体的な案を伺っておりません。具体的な要求が出てまいりましたら、他の制度とのバランス等も考えながら十分慎重に検討してまいりたいと思います。ただ、先ほど御指摘の受給開始年齢の差異につきましては、被用者とそうでない者との間にはいろいろ退職年次でございますとか、生活の条件に相違がございますので、これを一律にするかどうかについては、さらに問題があろうというふうに考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 老齢になって老齢保障が必要なことは、それは特に石炭労働者が早く老衰をするということで、厚生年金に石炭労働者の方の特例がございますが、そういうような特別な例を除いては、国民ほとんど同じ状態であります。したがって、同じ年限から年金が発動する、年金額もバランスがとれるということが当然であります。そういうことについて辻君、厚生大臣の前向きな答弁について、何らか幾分でもブレーキを入れたいというような考え方の答弁、そこにあなた方の間違いがあります。憲法第二十五条第二項を百べんも読んでください。九十九条も。あなたも苦しいと思います。そういっても、鳩山君、船後君が、うんとは言わないかもしれない、水田君がうんとは言わない。それを言わせなければならぬ。国民の代表の国会議員の国会を通じての問題でありますから、次長が言おうが、局長が言おうが、大臣が言おうが、そうしなければならないということは、あなたは大蔵省を代表して来ているんだから、言わなければいけない。そこを、前もって何とかブレーキをかける発言をしようというような態度は、ほんとうにあなたには反省がない。そういうことはやめて、前向きに取っ組もう、そういう御答弁をしていただきたい。

辻敬一大蔵省主計局主計官

○辻説明員 先ほどお答え申し上げましたとおり、厚生省のほうからまだ具体的な内容の要求を伺っておりません段階でございますので、具体的なお話がございましたら慎重に検討いたしたいと考えます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 慎重にというより、前向きにということばが適当であります。大蔵省は、いつもそんな値切ることばかり考えていたらだめですよ。大事なものについてはふやせ、各省ぼやぼやするなというようなことくらいしなければ、主計局は生きていないですよ。主計局は予算の中を操作する任務がありますよ。削減が任務じゃありませんよ。大蔵省の考え方を根本的に変えなければならない。自分らが考えて要求が乏しいならふやせ、何をまごまごしているということを言わなければ、大蔵省はほんとうにものをやったということにならない。非常に有能な公務員がたくさんいながら、十年一日のごとく削減ばかりを能としている。そんなことでは、あなた方は大切な公務員としての任務を放棄している、そういうことをよくかみしめて考えてください。  次に、国民年金の拠出制年金でいま免除を受けた人が、三分の一しか年金の給付が保証されていないわけであります。免除を受けるような保険料の支払い能力のない人は、蓄積が一番少ないし、このような年金の必要度ははるかに多いわけであります。その人が年金が少ないということは、社会保障のさか立ちであります。これは厚生省がばかみたいなものを、保険論理みたいなくだらぬ論理を、憲法二十五条の精神を国民年金法にうたいながら、どこにも書いてない民間保険原理みたいなめちゃくちゃなものを入れるから、こんなばかみたいなことになる。そういうことについて、昭和三十七年に国会の追及と国民運動によって、国庫負担が保険料を払える者については保険料の五割出ている。払えない者については国庫負担が出ないという誤りが幾ぶん正された。保険料の五割だけの原資が免除者についても積み立てられるようになって、その計算によって三分の一の年金が保証されていることになるけれども、それでとどまってはならないわけです。二、三年の間に三分の一まで回復した。そのベースでいけば、十割を回復していなければならない。本質的に見れば、十割以上の年金がそういう人たちには保証されなければならない。それを十年一日のごとく停とんして、三分の一のままで終わっておる。今度の年金法の改正のときには、少なくとも免除を受けた人の年金が十割になるように、あるいはそれに近くなるように、そのようなものをくんだ年金法の提出をしていただかなければならぬ。国民年金法、それについての厚生大臣のお約束を願いたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 年金額の三分の一を支給しておりますことは、他の公的年金に比しては特別な取り扱いになっているわけであります。しかしながら、この優遇措置をさらに引き上げることは、保険料拠出者との均衡上、及び財源措置との関連から、いろいろ困難な問題はありますが、しかし、事柄の本質上十分努力したいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 その御答弁は用意しておられたと思うのですが、伊部君、そんなたよりない答弁を用意しないものですよ。厚生大臣の権威にかかわる。ぼくはそんな答弁しにくいような質問をしていないのですよ。だから、そんな局長の用意したような答弁をお読みにならないほうがいい。ほかのものに比して特例だというのですけれども、ほかは被用者ですよ。厚生年金は被用者だから、月給を取っているのですよ、共済組合員のように……。だから保険料負担能力がある。国民年金はそうでないから、その中に免除者が出てくるわけです。特例でも何でもない。ほんとうにそうあるべきなんです。そういう不安定な状態の人があるのだから、免除というものが当然必要な者が国民年金の特殊性として出てくるわけですね。特に国民年金だけ優遇したのじゃなしに、そういうような保険料の負担能力のない人の年金というものを国民年金は受けて立たなければならないから、そこにそういうものがあるわけだ。それをほかと比してこの点だけ特に優遇したような、人をだまかすような答弁は書くものじゃないですよ。もっとわかりやすく、あなた方の大切な厚生大臣にそんな権威のない答弁をさせないような、そういう説明をしなければいかぬ。  それから保険料拠出者との均衡というのがありますけれども、これが一番の間違いですよ。保険料を払える人はたくさん年金をもらえるということであれば、これは年金の意味が少ないのです。民間の生命保険の年金支払い条項に入っても大差ない。そうじゃなくて、社会保障で老齢、退職の、また遺族、障害のときのものを保障するためにやっているのだから、保険料を払えない人こそが年金の必要度が多い。ぼくは一〇〇と言って遠慮しましたけれども、そう人たちには二〇〇の年金を支給しなければ社会保障の理念に反する。それが三分の一です。二倍くらいにしなければいかぬ。私は遠慮をして一〇〇を言っている、その答弁で、保険料支払い者とのバランスがある、社会保障をじゅうりんした社会保険理念を年金局が持っている、原局がそんなものを持っていたら、そんなものは直りっこない。大蔵省がいってもこれはけしからぬ。原局の社会保障の担当者の、老齢保障の担当者の年金局長が、そんな答弁を書くとは何だ。憲法九十九条を読み直しなさい。二十五条二項を読み直しなさい。今後そんな答弁を書いたら、あなたは憲法違反の公務員になる。大蔵省にも何もそんなことは言えない。社会保険の理念などは、国民年金法で一切出したことはありません。そういうことで、厚生大臣は前向きに取り組んでいただく御決意でけっこうです。ただ読まれた答弁はけしからぬ。それを踏んまえて、いまの御答弁より以上に熱心に取り組まれるということにしていただきたい。伊部君に言っておいたでしょう。変な知恵づけをするなって。厚生大臣の権威にかかわる。  その次に、今度は具体的な問題で一番本質的に大切な問題を申し上げます。  障害者の問題で、国民年金の拠出制年金で障害年金という制度がございます。これについては被保険者になるのは残念ながら二十であります。被保険者になってから一年間保険料を納めた後の障害についてはこれは一級、二級と等級に応じての障害給付がございます。それは拠出制国民年金でありますから所得制限がございません。金額も障害福祉年金よりもはるかに有利であります。はるかに有利なもので所得制限がないという非常にいい条件のものが――気の毒な障害者でございますが、それに対処するものとしては、乏しいですが、比較的にいいといっただけですが、そういうものが支給されている。ところが十九歳で障害になる、例を視覚障害にとりますと、二十一歳で全盲になった人は一級障害年金を所得制限なしにもらえる。十九歳で全盲になった人は、どんなに努力しても、熱望しても、障害福祉年金しかもらえないということになっておる。生まれつき目の見えない人もそうであります。三歳の人もそうであります。これをそのままほっておくようなことであってはたいへんなことになる。このことについては衆参両院の社会労働委員会で、障害発生の時期、あるいは障害の原因になる発病の時期のいかんを問わず障害年金の適用をさせるべきであるということを、はっきりと満場一致で可決をしているわけであります。自民党も、社会党も、民社党も、公明党も、共産党の委員の方がおられたときもありますが、満場一致で可決をしておるわけでありますから、全国民の意思であります。これを四年間連続出して、それが実現をされておらない。厚生省のほんとうのへっぴり腰の推進であります。大蔵省がそれをなたをふるうのはほんとうにけしからぬ。断じて今度の国民年金法にはこれを解決して、障害の発生の時期あるいは障害の原因の発病の時期のいかんを問わず、拠出制の障害年金が適用される、適用するということを、次の改正案のときにぜひとも出していただきたい。そうでなければ、こういう気毒な人に対する対処が非常におくれている、不公平だということになろうと思う。どうか社会保障のために、日本の国のために、小さくいって佐藤内閣のためといってもいいです。とにかく政府がほんとうに取り組むというために、これを踏み切っていただきたいと思います。水田君がどんなに予算がないといっても、どんなことがあっても――法律にもはっきり書いてある。これをやっていただきたい。それについての前向きなきっぱりとした御答弁をぜひいただきたい。

伊部英男厚生省年金局長

○伊部説明員 ただいま御指摘の問題は、かねて八木先生から御指摘を受けている問題でございまして、障害者の福祉を増進するために、いろいろ八木先生から御提案をいただいておるわけでございますが、今後改正法案を作成します過程におきまして、つとめて障害年金に結びつくようなくふうをしてまいりたいと考えておるのでございます。一方また広く社会保障全般の問題、たとえば児童手当制度との関連、そういった問題もございまして、社会保障全体の問題としても検討してまいりたい、かように考えておる次第であります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 七割、八割前向きみたいなことなんでありますが、これは、ほかの問題との関連とか、法律的に結びつくとか、そういう問題でブレーキをかけられてはならない問題であります。もし法律的に書きたいというなら、私に持っていらっしゃい。条文を書いてあげます。それについて因縁をつける学者がいたら、国会に参考人として呼び出しますよ。どんな理由でも、二十一歳の全盲にはこれだけ大きなものを所得制限なしに上げる、十八歳の全盲に上げないというようなものは通りません。それを社会保険主義で書いた国民年金の条文と字句的に書きにくいからといったり、ほかの社会保険、児童手当の何とかの関連というようなことは逃げことばです。やったらいい。児童手当をつくるときに、調整が必要なら調整したらいい。即時にやるということでなければ承知ができません。即時にやっていけない理由が、大蔵省が金を出さないという理由以外に一つでもあるなら言ってください。厚生大臣いいですか。伊部君の答弁は要らぬ。これはどんな観点からしてもやらなければならない問題です。伊部君、黙っていらっしゃい。ただ、それをやらないのは厚生省の怠慢であります。こういうことを考えないで、社会保険主義であんな法律条文をつくって、被保険者なんということばを書いただけです。そんな書き方は幾らでもある。たとえば労働省のほうの失業保険法で、失業保険の本来から見れば、農漁民の失業保険というものは、社会保険的に見たら異質のものであります。しかし、農漁民の人たちの失業の状態に対して対処が必要だから、ああいうことをやっている。これは善政だと思いますが、法律的にどうかということがある。その問題といま比較してみても、国民年金法の二十一歳未満の人の障害の事故の発生あるいはその発生の時期のいかんを問わずこれを適用すると書くことは、法律的に一つも抵触しない。観念的に矛盾するような法律は日本国じゅう一ぱいあります。それよりもはるかに、観念的な矛盾の点でもほとんど問題にならない。その問題で少しでも時間をかける、検討したい、バランスということはやらないということです。四年間も国会で審議してやらないというのは国会無視であります。どんな観点からしてもやらなければならない問題について、いまきっぱりとそれをやるということを言われないのは憲法の無視であります。ぜひ園田さん、年金局長が何と言おうと、大蔵省が何と言おうと、これは一〇〇%理屈が貫き通っている問題であります。それに対する反論は一切ありません。あるべきじゃありません。ただ、金を出したくない、国会なんか無視しろ、いままでの間違いをそのまま続けたいというような、反社会的な、反国家的な考え方以外にはこれにブレーキをかける理屈は一つもない。ぜひ、断固として厚生大臣の責任で、これを次の国会に提案をする、その予算を獲得するということを明確にひとつお答えを願いたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまの御意見は、国会の決議もありますし、それから先般の年金審議会の答申の中にも、これに関連した御意見が示されております。何にしてもこの穴を埋めなければこの矛盾が実在いたしておるわけでありますから、何とか方法を講じてこれを埋めるように検討したいと考えます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 ぜひ次の国会の国民年金法案にそれを実現していただきたい。ぜひそれをひとつ御約束いただきたいと思います。これは園田さん、野党の議員があれこれ言っているのじゃないのです。各党がそれを要望しておられるし、国民が要望しておられる。あらゆる層がそれを言っております。これをやっていただかなければ、厚生省自体のほんとうの筋が曲がることになります。政府の筋が曲がることになります。伊部君、――厚生大臣、ちょっと聞いてください。一生懸命話しているのですから……。答弁の前に読まぬでもいいです。それから政治の筋もはずれることになる。いままでおくれただけでもけしからぬと思うのです。厚生大臣は決断をなさるりっぱな政治家であるということを私どもは信頼をしたいと思う。ここで厚生大臣が決断をしていただくべき時期だと思うし、私は、園田さんは総理大臣になられても、衆議院議長になられても、りっぱにやり抜かれる方だと思うし、当然留任をしていただけるものだと思いますけれども、そうじゃなければ――しかし、内閣の変てこりんなやり方は、一年ごとに大臣をすげかえるというばかみたいなやり方をして、国政を渋滞させております。そうなれば次の厚生大臣は、局長のいまのイージーゴーイングな考え方を知らないから、局長の言うことだけでとまってしまう。ほんとうに賢明な勇気のある厚生大臣として、ここで断固としてやるという言明をされて、厚生大臣はぜひ留任をしていただいて実現をしていただきたいし、あなたが総理大臣になられてほかの厚生大臣を任命されるときに、その厚生大臣が、ここで園田さんじゃなしに、厚生大臣として約束されたことは断じてやらなければならないということになるように、ここで明確に、次の国民年金法の提出の際には断じてその問題を入れる、そういう御答弁をぜひいただきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいまの御意見を十分尊重して、これを基本にして手を打つ覚悟であります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 次に、老齢福祉年金の問題の重要な問題についてひとつ申し上げます。  老齢福祉年金は、あと三年目、昭和四十六年から、十年間の保険料を払った人の拠出制の老齢年金の支給が始まります。十年間のあれは、二十五年を単位としたら、全部フルだったら四十年間の保険料支払い期間ですけれども、発足後経過措置で十年間保険料を払った人、あるいはそれにかわるべき免除規定の適用を受けた人は、昭和四十六年から第一回の国民年金の老齢年金を支給されることになるわけです。したがって、六十五歳から所得制限のない老齢年金を受ける年寄りが出てくるわけです。これは喜ばしきことであります。ところが、いまの老齢福祉年金は七十歳開始であります。したがって、それの改定を早くしないと、そのとき六十五歳の人が支給を受けるのに、六十六歳の老人は年金の支給がないということになる。しかもその人は、年金について協力的でなかったわけではないのです。保険料を納めたいという気を持っても納めさせてくれなかった、年金をどんなに熱望しても、その年度の人は政府はほったらかしにしておいた。そういう人たちに六十五歳から老齢福祉年金を支給しなければ非常な断層が生まれる。これを直していかなければ、ほんとうに公平な政治じゃなしに、全国民に社会保障が渡る政治ではないわけです。それで、私は前から言っていたのですけれども、歴代の厚生省がなまけておる。厚生大臣はうんうん言っても、一年ごとにかわられてほったらかして、年金局長、年金局はなまけておるということで発展がない。五年前に申し上げたときにすぐやれば、一年ごとに、七十歳、六十九、六十八、六十七、六十六と階段的にスムーズに対処できた。ほったらかしておいたから、あと二、三年の間にしなければならない。来年から六十八開始、再来年六十六開始、それで四十六年から六十五開始というふうに階段を追わなければならない。一刻も早くしなければ、ぽかっと五年階段をしなければならぬ。ですから即時やっていただかなければならない。そこで、辻君によく聞いておいていただきたいのですが、それについては、老齢福祉年金の年齢を下げれば非常に支出金額がふえるということでいままで抵抗をされるわけです。これはまた憲法九十九条、二十五条二項の違反をいつもやっているからでありますが、それをいまの気持ちを変えられればそういうことはないと思いますけれども、やはりわからず屋の人がその中にいて、ほかではないけれども、この問題についてはわからず屋の人が、何とかかんとかへ理屈をつけて、ブレーキをかける人が大蔵省の中にいる可能性もあります。そこで、この問題は五年間、あるいは任意加入の問題を入れますと十年間、それだけの期間の問題であります。それだけ済めば、国民年金の拠出制は強制適用でありますから、老齢福祉年金は大体なしに、老齢年金でずっと発動するわけです。永久にこの支給がふえるわけではないのです。五年間ないし十年間だけ臨時的に要る金額であります。そのことをひとつぜひ深く理解をしていただいて、大蔵大臣に――この五年間ないし十年間その金額を出すことは、永久的に、彼らの言う財政硬直になるわけではない。またそれをしなければほんとうの社会保障にならない。公平な政治にならない。それはほっておけば、お年寄りですから泣き寝入りのままになって、十五年か二十年たてばその人はみんな死に絶えてしまいますから文句は出ないでしょう。厚生省も、大蔵省も、内閣も、文句は出ないでしょうけれども、文句が出ないからといって非常に不公平な目にあっている人たちの希望をじゅうりんするということは、政治としては許されないと思う。だから断固としてこれもことしから、今度からこの七十歳開始を、年限を若くから支給するという階段を始められないと、非常にたいへんなことになろうと思う。ぜひその点について、今度の国民年金法改正案でそれを改定していただくようにお願いをしたいと思います。この予算を断じて全額フルに獲得をしていただきたい。それについて厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 早急に改善するように努力をいたします。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 時間がだいぶたちましたので、大事な具体的な問題、二つ申し上げましたので、同僚委員もおられますから、もう一、二分で、これで残念ながら終わりたいと思います。短縮はしましたけれども、私は短縮して、質問でねじってねじって、そしてぎゅうというような、そういう戦術は使いません。自分の考えで一生懸命考え抜いたことを、国民の気持ちになってまともに申し上げて、まともに要請をしているわけです。ですから申し上げたことについては、ぴたっと受けていただいて、それを実行していただきたいと思います。  いま最初から大きな声で申しました。大蔵省の辻さん非常につらかったと思いますけれども、しかし憲法の条章で、具体的な政策について憲法が書いているのは社会保障、社会福祉、公衆衛生しかないわけです。ほんとうに憲法を尊重するお考えであれば、ほかのものと競合するから、ほかのものの予算をへずらなければならないからこれは入れられないという性質のものではないということを大蔵省は確認をしていただいて、厚生省は自信を持ってこの年金の問題について予算の要求と法律案の提出をしていただきたいと思います。  それとともに、年金だけしか言わなかったが、医療保険の問題でも、児童手当の問題でも、あるいはガン対策その他、公で負担しなければならない問題、公害の問題でも、ありとあらゆる面でほんとうに国民のために遠慮なしに、十二分の予算なりそれを裏づけする法律案を出していただきたいと思います。先ほど申し上げましたが、厚生大臣はぜひ留任をしていただきたいと私は思います。大臣が一年ごとにかわるということは非常に悪例であります。これは吉田茂先輩が、ほかの点は功績があったかもしれませんけれども、日本の政治について非常な汚点を残したことはこの点であります。大臣乱造のために、一年ごとにかわる。そのために大臣が一年間で覚えたときにはかわらなければならない。そのために局長の指導下で行政が行なわれる。局長も一生懸命努力しておられるかもしれないけれども、上にそういうものがなければ、やはりどんな人間でもマンネリズムになる、イージーゴーイングになるというようなことで、憲法の条章がじゅうりんされたり、社会保障が進まない点があるわけです。その点で厚生大臣は、佐藤内閣総理大臣が続かれるか、ほかの総裁になるかしりませんけれども、わしが厚生省を預かっているんだから、断じて留任をするのだと要求をしていただきたい。あんなもの一々かわられたら、こっちはたまったものじゃない。断じてやるべき仕事はやり抜かなければならないから、だれが何といっても留任するのだ、派閥の割り振りで何とかかんとかということはやめろということで留任をしていただきたいし、問題が急速に転回をして、内閣総理大臣になられるのならそれでけっこう、それ以外は断じて留任をする。辞表を出さない、そういう態度でやっていただきたいと思います。それでなければほんとうの政治が進みません。そういう態度でやっていただくのを、頑迷な人が多いからそれができないこともあろうと思いますが、留任をしたらそれでやる、留任をしなかったら、その次の大臣に是が非でもいま言ったことを絶対やらせる。やらなかったらぶんなぐってでもやらせるくらいの気でやらせるというような決意で対処していただきたいと思います。その点についてひとつ全般的に、年金法の問題を中心に全部の問題について強い決意をもって、勇気をもって進められるという決意を、はっきりと示していただきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御激励は感謝をいたします。退任の場合は、重要な問題は全部申し送ります。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 だいぶ時間もたっておりますから、あまり長広舌にわたらないよう原稿によって質問いたしますから、答弁のほうも簡明率直に願いたいと思います。  私は、きょうは母子対策に重点を置いて質問申し上げたいと思います。と申しますのは、これから生まれる赤ん坊は三十二年後には二十一世紀を迎えることになります。そして社会の中堅として活動する人になるわけでありまして、われわれの世代では、じょうぶですこやかな子供にすることが当然の義務であります。したがって、これは母親のみにまかせるような問題ではなくて、国民全体の責任においてこれを解決してやる必要が当然あろうかと思います。したがって、身体の不自由児や、精神の薄弱児や、その他恵まれない子供のために十分手を尽くしてやることは、これは現時点においては重要なことです。しかしながら、そのような子供が生まれないように妊娠や分べん、そういうような場合には、生まれてくる子供のために十分措置をしてやるということが、それよりもっと重要な仕事にもなることをいまにしてもう意識しなければならない時点だと思います。大臣も、この点は十分知っておられて、その他の委員会でいろいろ答弁され、あるいはまた街頭において、こういうような問題に対しても触れておられます。欧米諸国では、徹底した母子対策を実施しております。したがって、母子の死亡率が激減して、出生率は上昇している。日本では、もうすでに御存じのように、経済の発展は著しい。工業生産では世界第三位である。医学の進歩もまた著しい。しかし、母子保健対策はどうしているのか。軽視されているわけじゃないと思いますけれども、妊婦の死亡率、死産、早期新生児の死亡、こういうのが異常に高いという実態は、どうも残念だと思います。このままに放置すれば、将来の日本の発展のためにも暗影を投げかけて――現在の厚生行政が、これから生まれる子供のためにこの点を十分重視をしなければ、日本の将来に暗影を投げかける、こう言っても差しつかえないと思います。こういうような時点で、いまの母子対策を厚生省として、大臣はどのように考えておられますか、まず御所見を承って、それから逐次質問に入らせてもらいます。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 ただいまの御意見のとおりに全く私も考えておりまして、人口対策からいっても、あるいは不幸な子供さんを減らす意味においても、あるいは二十一世紀に対する準備からいっても、お産を中心にして、おかあさんと子供の健康保健の管理と、これに対する保障の対策を講ずるというのが急務だと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうなってまいりますと、よく大臣の考えておることはわかりますから、これを実行に移すことが必要になってまいります。当然妊婦と出産、育児、こういうようなものは国の責任でやるという方針を明確にしなければならぬ時期だと思います。したがって、国の姿勢や方針が明確でないから、いままでの母子保健対策は不備であり、予算面でも不十分である。残念ながら選挙のときだけアドバルーンを上げる。そうして、上げてしまってあとからはさっぱりこれを実施しない。それがいままでの厚生省の一つの実態ではありませんか。こういうようなことが、二十一世紀に向かうところの子供たちに、われわれがいま認識を新たにしなければならぬような結果をここに形成してしまった。今後やはり、いま私が申しましたように、国の責任であるというような方針を明確にする時期じゃないか、こういうように思うわけであります。大臣もこの点では、ことしの四月の参議院の予算委員会で出産費について発言して、お産の費用は健保でただにしたい、こう言っておるようでございましたが、これは熱意として国民は拍手かっさいをいたしました。しかし、その後大蔵省との折衝で、何か後退したかのような印象が与えられまして、健康保険の給付を大幅に引き上げる案を検討しているという模様であります。そしてまた五月に開かれた参議院の社会労働委員会で、藤原道子委員の質問に答えて、はっきりと出産費や身体障害者の費用は国が負うべきだと考える、こう断言しているわけです。この気持ち、いまのこの断言は大臣ですから政府見解です。これはまさにこれを実行に付さなければなりません。どういうような準備をされ、どういうようにいまの発言の裏づけをなさいますか、それを聞かしてもらいたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 お産を中心にして妊婦の健康管理をし、そのお産の障害になるような重要な病気は国家が治療し、その費用は全額国が負担するのが、ただいまでも私が断じてやらなければならぬことだと考えております。しかしながら、正直に言って、その後いろいろ検討いたしまして、これを直ちに保険に入れるとなりますと、助産婦の報酬の問題、それから産婦人科の診療報酬の問題、それから保険の改正にまつわる問題等で、早期にこれをやることが困難でございますから、まず明年度の予算においてこれを大前提に置いて分べん費の大幅引き上げをはかったわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、これは出産費や身体障害者の費用は国が負う、この前提で予算を要求し、これを肉づけし、これを実現するのである、こういうふうに私は考えておきたいと思いますが、それで間違いございませんか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 そのつもりでおります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 私ははっきり言って、園田厚生大臣はどのような状態でありましてもこのままやってもらいたい。総理大臣になることはございませんでしょうけれども、しかし、これはおそらく私の口を通して、国民の声がそのように響いておるのじゃないか、こういうふうにさえ私は思い、なおかつあなたを勇気づけたいと思っておるのです。しかし、どういうようなことがありましても、あなたはやめる人であっては困る。しかし、もしものことがありましても、いまの断言だけは断じてこれを引き継いで、そしてそのものが大臣がかわったとたんにほごにされるということがないようにすべきである、こういうふうに私は考えております。これは引き継ぎその他――政府見解として出されたのが、大臣がかわればその場においてすぐ変わってしまう、こういうようなことがあっていい問題ではございません。私は、あなたはそういうようなことはない、断じてそんなことはない、こう思いますが、引き継ぎその他においても、おそらくそんなことは杞憂であると思いますが、この点は責任をはっきり持っておってもらいたい、こういうように思います。私、島本虎三はたいしたものではございませんが、国民全体がそれを考えておる、こういうようにいたしますれば、これは重大な地球より重い発言になります。大臣もそこを考えてひとつはっきり答弁をしておいてもらいたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 私も島本委員と同じでございまして、特にこのお産を中心にする母子健康管理と、老人医療と、身体障害者の問題は、事務当局にも後任者にも念に念を入れてお願いをし、さらにその後も責任をもって推進していきたいと思い詰めております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これもはっきり出産費の国庫負担の点はわかりました。  それで、今度身体障害者の費用についても国が負うべきと考える、このことも私は当然であります。身体障害者と申しますと、私もこの点についてはなかなか覚えにくうございました。と申しますのは、重症心身障害者、これはもうすでに法が制定されておりまして、精神も手足もだめな人でございますから、その施設等もございますし、これはもうわれわれは十分理解しておるところです。それと重度の身体障害者についても法が制定されて、いまその施設もあります。車いすに乗って歩くというような人たちの施設ですから、これも当然であります。しかし、同じいま大臣がおっしゃった中で、重症身体障害者、この問題については法がないのであります。これは精神はしっかりしておるけれども身体はだめである、寝たまま、手も動かない、足も動かない、頭はしっかりしている、こういうような人たちに対しての措置がない。法律もないのです。こういうような人の養護施設さえもまだないのです。これはやはり、重症心身障害者にあり、重度の身体障害者にもある、しかし重症身体障害者にはないということは、何かの手落ちじゃなかろうかと思うのです。これはやはりやるべきです。大臣が言ったそのことばの中で、身体障害者の費用を国が負うべきだということは、この法制化も考え、その養護施設その他についても、この前に言ったような状態と同じにこれは今後考えていくのである、当然これも含んでおるものであることを私はここではっきり断言し確認しておきたい、こう思います。大臣、その点了解でしょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおり、私もいまの点が一番抜けておりまして、これに対する法律の整備、それから施設の整備を急がなければならぬ。個々の身体障害者の対策でいまの点だけ、一番大事なところが残念ながら抜けていると私も思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 では先へ進ましてもらいます。  出産費は、大臣は初めいろいろとおっしゃった中で、健保の線でお産の費用はただにしたいという意見であったようです。それがまた出産費や身体障害者の費用は国が負うべきだと考えると、こういうように変わってきているようです。この変わってきたことについて何か理由があるのでしょうか。この内容の変更はないのでしょうか。この点も私は子を持つ父親として十分聞いておきたいと思うのです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 最初私は、健康保険を考えたわけでありますが、健康保険はいま抜本改正をやっておりまして、この健康保険に入れるとなると、先ほど申し上げあげましたいろいろ問題がからんでまいります。  それからもう一つは、日本の医療において、赤ん坊をお産をしたおかあさんは、正常分べんの場合には病人とされていない。これは病人ではありませんが、病人以上に大事なものであるという点が抜けております。そういう点からいろいろな問題が派生してまいりますので、保険に入れたがいいか、あるいは現物給付にしたがいいか、これはもう一ぺん検討しなければならぬと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これは大臣がそういうようにおっしゃっておりますが、現在厚生省のほうではこれについて、分べん対策を中心とする総合的母子対策を考えておられるようであります。しかし、これは大臣の考えをそのまま盛ってこういう対策を考えられておるものである、こういうように私ども考えますが、そのとおりでございますか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 諸般の情勢から、そういう理想のもとの第一歩を踏み出したということで、前提は全部厚生省全体がそういう考え方のもとに具体的に検討を続けております。ただ、老人の問題でも、いまのお産の問題でも、ややもすると財源の関係上、所得制限ということで、困った人に対する対策だけになるおそれがありますから、私はそうではなくて、お産と老人の医療だけは、やはり全国民を対象にするように持っていかなければ意味がない。これだけはぜひ何とかして財政当局とも相談をして、将来はその理想のもとに一歩一歩進めていきたい、こう考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大蔵省の人はおりますか。――そうすると、その分べん費の改正の具体案について、局長のほうから説明を願いたいと思います。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 それでは、健康保険法におきまする分べん費の対策につきまして御説明いたしますが、分べん費におきます現行の制度は、もう御承知だと思いますけれども、健康保険におきましては、被用者本人は現行の制度におきまして標準報酬の二分の一の現金給付になっております。それでその現金給付を差し上げる場合に、最低額といたしまして現行六千円ということになりまして、標準報酬の半分の金額が六千円に満たない方は六千円まで差し上げるという形になっておりますが、今回の改正におきましては、これを二万円に引き上げようというものでございます。  それから被用者保険の被扶養者、すなわち配偶者につきましては、現在定額の三千円という形になっておりますのを、一万円に引き上げる。それから国民健康保険につきましては現在二千円という、これは法定の給付でなくて任意的な給付になっておりますが、これを一万円に引き上げるというのが改正の骨子でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大臣にはあとからまた聞きますが、それは本人の場合は健康保険で標準報酬の二分の一、こういうようなことになっておりますが、このとおりですか。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 現在、先ほど御説明いたしましたように、現行制度は標準報酬の二分の一、それで最低額が六千円になっておりますのを、現行制度二分の一のままにしまして、最低額六千円を二万円に引き上げるということであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 すると本人の場合は、一律に二万円なのですか。本人の標準報酬の二分の一で、最低が二万円だという意味なのですか。この点、私どうも十分わからぬのですけれども、六万円もらっておる人の二分の一は三万円だと思うのです。これによるとその三万円の場合には三万円やるけれども、二万円もらっておる人は一万円だ。しかしそれではやれないから二万円にする、こういうふうな意味なのか。いま言ったように、ちょっと私はいままでの説明で本人の場合一律に二万円か、それとも最低が二万円か、それをはっきり御答弁願いたい。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 二万円は最低でございます。それから例をあげますと、現在の標準報酬の最高額は十万四千円でございますから、そういう女性がございましたら、十万四千円の半分の五万二千円が現金給付になります。  それから標準報酬一万円の方でございますと、その半分ですから五千円になりますが、その方は、最低額はいままでの制度では六千円を差し上げておったわけですが、これを二万円に引き上げるということですから、最低額は二万円ということでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 わかりました。分べん費の改正についての健康保険並びに国民健康保険、こういうようなものの考え方はわかったわけであります。これは保険料の値上げを含んでおりますか。含んでおりませんでしたならばこれは最上の案だといえますが、含んでおるとすれば最上の案とはいえないのですが、この点はいかがですか。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 国民健康保険につきましては三分の一の国庫負担によりまして二十億程度の国庫負担をいたします。ただし被用者保険におきましては、現在の被用者保険のたてまえからいたしまして、給付改善をいたしました場合には一応保険料の引き上げを伴うという考え方でおりまして、現在のところこの給付改善によりまして千分の一程度の保険料に影響がございます。現在の案は、これによりまして一応財政法に基づきまして八月末に財政当局の概算要求を出した段階でございますので、この点はあと社会保険審議会その他の御意見を聞きながら財政当局と交渉してまいりたいというふうに考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、保険料の値上げは千分の幾らかに上げるわけですね。それは結局この問題は、保険制度の抜本改正の問題とからんで行なおうとするわけですか。率を上げてこれをやるということになったならば、いま大臣言ったのと全然違うじゃありませんか。保険というのは自分でかける金だ。かけて自分でもらうのだ。国のほうでめんどう見るというのは、それと意味が違うんだ。いつの間にかそれをすり違えてしまっている。大臣がいま言ったのをあなた聞いていたでしょう。そういうようなことをやって、それが肉づけになりますか。大臣が言ったのを聞いていてそういう答弁をするのは、大臣を無視した局長じゃありませんか。許されません、そんなことは。まして料率まで上げる、こういうようなことを考えたら、大臣がみんな国民に涙をこぼさせるような、うれしがらせるようなことを言っておるのに、結局、苛斂誅求、悪代官の見本みたいなことをやって、それで、よけいあげますからこれでがまんせい、これでは少しおかしいじゃありませんか。表をよくして裏のほうはがっくり、また苛斂誅求といいますか、搾取を自由にするということは、ことばは悪いけれども、そういうようなことにつながったら、これは良策だと私は思えない。  次に、今度大臣ですが、それとあわせて、現行の保険制度の中では――これは大臣は、もう保険制度じゃない、国のほうの負担でやるというのを確認してありますからなにですけれども、保険制度の中では出産に関する給付がきわめて貧弱なんです。しかも、より低所得者層の加入している日雇健保――国民健保の場合でもそうですけれども、支給率は低い。この日雇健保の場合には、より低所得者層が加入している保険です。こっちのほうでは当然見ていると思いますが、ここを見ておりますか。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 見ておりますかとおっしゃったのは、日雇保険の分べんのことだと思いますけれども、この点につきましては、御承知のように日雇健康保険は、相当前の社会保険審議会におきまして、抜本的改正のときに全部いろいろの問題をやるべきであるということで、健康保険法の特例を前国会にお願いいたしましたとき、二回ございましたけれども、その際におきましても、そういう社会保険審議会の御答申がございましたので、ここ数年間は日雇健康保険につきましては現在の法律のまま経過いたしております。  それで、この経理状況につきましては、四十二年度の決算におきまして百二十三億の単年度赤字を出しておりまして、四十二年度末の累積赤字が四百五十九億というふうな形になっております。このままで推移いたしますと、四十三年度見込みにおきまして、累積赤字が六百億をこすというふうな予想になっておるわけでございます。この点、この経理状況から見まして、しかも抜本的な改正のときにいろいろ審議すべきであるという審議会の御答申もございますので、従来から給付の改善につきましてこの関係者からも非常に強い意見がございます。それで、やるべき給付改善につきまして相当前からの問題がございまして、その辺の中におきまして、今回の分べんというものがどのくらいの優先順位になるかというようなことで、団体のほうの意見を聞かしていただきたいというふうなことも申し上げておるわけでございます。やはりこれをやります場合には、現在のこの累積赤字がこういう状況になっております、保険料収入が医療費の二〇%を割っておるというような状況で、当然保険料――その分べんに関するものというよりも、全体の保険料の問題が非常な問題にも関連をしてまいりますので、この辺は現在のところ慎重に検討しておる段階でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 だめだよ、そんなことでは。人間は生まれながらに平等でしょう。差をつけないというのは、憲法と児童憲章でいわれておることを知っておるでしょう。それでいて、生まれてくる場合給付のしかたで差別される、大臣これはちょっとおかしいじゃありませんか。ことに被用者の場合はいまわかりました。これはちゃんと皆さんのほうで、本人の場合には最低二万円、配偶者の場合は一万円、国民健保の場合は二千円を一万円にする、これはわかりました。しかしながら、被用者の本人の妻であっても、本人であっても、日雇保険の適用者であっても、生む人には変わりないのです。変わりないのですよ。憲法でも児童憲章でも、ちゃんと人間は生まれながらにして平等なんです。これははっきりうたわれておるじゃありませんか。ところが、生むその人の立場になってみると、このようにあまたの差をつけられる。こういうのがいい行政でしょうか。いい政治でしょうか。大臣のほうではっきりさっき言ったのを了解されたのは、出産費の国庫負担、これもやるという決意を表明されたからわれわれは了承してきた。しかしながら、それもなおかつ現在、保険にしてみるとこのようにはっきり差をつけられる。どうしてこう貧しい人が苦しまなければならないような制度にしておくのですか。その人こそ手厚くやって安心して生めるようにしてやったらいいじゃありませんか。制度というものは、そういうところにいいところがあるのですよ。こういうことをそのままにしておいて、何もこれは改正になっておりません、日雇健康保険のやつは。そのままでしょう。あの人たちが一番困っているのですよ。何ですか。そういうようなことでやっていけると思いますか、これ。だめですよ。仏つくっても全然魂のタも入っていませんよ。大臣が言ったことに対して、行政当局は全然これの裏づけをしておりません。だめですよ、これは。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 ただいま申し上げましたのは、別にこれでやらないということを申し上げているわけじゃございませんで、やはり社会保険審議会のほうの答申もございまして、過去二回の特例法をお願いいたしたときにも、この日雇関係はそういうことを抜本のときにやるべきであるということで、現在抜本改正の問題の中でこれを検討をいたしておるわけでございます。その点、いま少し余分なことを申し上げたかと思いますが、日雇保険の経理の状況から見まして、なかなかそのほかのほうの問題ともからみましてむずかしい問題でございますので、社会保険審議会と十分に相談をいたしておりますというふうに申し上げたわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 やるのでしょう。やるのでしょう。

梅本純正厚生省保険局長

○梅本説明員 対策が打ち出されておりますから、やることはもちろんでございますけれども、先ほど再三申し上げておりますように、一つのわれわれのほうの線としまして、日雇保険は抜本的な改正を一緒にやるべきだという線がございますので、その辺を含めまして、これだけの問題でなしに非常に大問題になりますので、その辺をあらゆるものを関連いたしましてやっておるということでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 関連。日雇労働者健康保険法について、社会保険審議会と社会保障制度審議会の例をいま局長があげられた。社会保障制度審議会で日雇労働者健康保険について意見を出したのは私であります。ほかの委員は一言も発言をしていない。その内容は私がよく知っております。  あのときに、日雇労働者健康保険法の厚生省の用意した改正案を出すことは適当でない、いけないという答申でありました。抜本的改正というようなことには積極的に触れておりません。あの案を出すのはいけないというのが答申の本旨であります。あの案のほうは、薬代の一部負担、それから保険料の値上げ、特に労働者及び使用主の保険料の値上げを考えられまして、使用主の中には、擬制適用者で、建設労働者で一人親方といって、労働者でありながら使用主分の負担をしなければならぬ人については、使用主分の保険料値上げを非常に高率にやられましたので、一人について六倍くらいの保険料値上げの内容を包蔵している案だ、そういう案はけしからぬということで、出すべきではないということになった。そこで、分べん費、出産費自体の問題については論議をされておりません。傷病手当金、出産手当金の問題については論議がされておる。いま問題になった分べん自体、出産自体の出費については、社会保障制度審議会では論議をされておりませんし、社会保険審議会の答申について社会保障制度審議会に報告があったときにも、その論議がありません。したがって、出産費を国で出すことについての日雇い労働者の問題については、一言も触れていないわけであります。そういう時点の政治的課題では残念ながらなかった。その問題があったならば、その問題については、日雇い労働者に特に国で出産費の支出が必要であるということの意見が当然出たわけであります。島本委員の言われたように、一番そういうことが必要な人たちでございますから、制度審議会も保険審議会も、答申の文言だけを読んで、その内容や経過を厚生省は全部知っておるはずでございますから、それをつまらぬ解釈をしないように。出産費について日雇い労働者に国庫負担をする、これは厚生大臣が公費医療でやられると言っておられまするから、局長もそれを確認しておられるから。問題がいまそうないようなお話でありまするけれども、日雇い労働者及びその配偶者の出産費については論議をされておらなかったので、抜本的改正という解釈が成り立つようなあいまいな文言になった。提起をされておれば、これはすぐやれという問題になる。その経過を私は一番よく知っておる。ですから、そういうふうに文言どおりに、間違った解釈をしないように。経過は制度審議会に全部あります。また関係者に聞けばありますが、そういう積極的な面については否定をしていないわけです。あのような改悪案があったからこそ、これを出してはならない、改悪をしてはならないというのが答申の本旨である。改善をすることにブレーキをかけるのが答申の本旨ではないのです。  それからもう一つ、赤字の累積を言われました。これは当然あのような貧困な労働者を対象としている保険を独立させている以上、赤字があるのはあたりまえだ。この前、数年前の厚生省の小山君が、日雇労働者健康保険に六割五分国庫負担をすべきであるという主張をしたことがあります。そのときにやっておれば、赤字の累積は減っておるでありましょう。特に貧困の人たちの医療保障、あのような医療給付を、二年間傷病手当金も出産手当金も制約されておる形において赤字が累積しておる。これは国庫負担がいかに少ないかということです。率が高いとおっしゃるかもしれませんが、貧困の人を集めて、病気の重くなる人を集めるならば、あのぐらいの三割ちょっとの国庫負担では赤字が出るのはあたりまえです。九割九分の国庫負担をしてもかまいません。そういうような態度でひとつ対処していただきたいと思います。厚生大臣、よく聞いておいていただきたいと思います。赤字累積といえばいかにも悪いように言いますけれども、ほんとうに国民の健康、医療を守るためには、赤字を国庫負担で埋めなければけしからぬですよ。しかし、自己負担あるいは保険料負担をふやさないでも、それに対処していくのが善政であります。赤といえば悪いように解釈をする悪い認識が世の中にありますけれども、国が国庫負担という正式な対処をした中で赤のままで残しておくということは、会計上の問題として不十分であるという問題だけであって、自己負担、保険料負担を増徴しないで医療保障をやることが善政であります。したがって、この赤というものは……。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 意見を述べないで、質問をしてください。簡潔にしてください。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 簡潔にします。  そういうことですから、そういうことについて厚生大臣も局長もよく理解をして、この問題に当たっていただきたいと思います。そういうことについて十二分な研究をして――そんなに十二分じゃないと思いますが、よく研究をされて、いい意味で改善の対処をする、赤字累積というようなことで改悪などということは一切考えないという考え方を、ひとつ披歴していただきたいと思います。厚生大臣にこの点の御意見を伺いたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 保険の抜本改正も、お産の問題も、いま御指摘のような方針でいくのが当然のことであると考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そういうようにして、日雇健保の適用者には、赤字累積の由をもって――大臣がいませっかく、出産費や身体障害者の費用は国が負うべきだと考えると断言された。これさえも、いま局長の意見によれば、めんどうを見ていない、将来の問題だといってお逃げになっておる。これじゃ困るのです。言ったならば、すぐこれを行政化して、そうしてその気持ちをすぐ国民に反映させる、これが行政当局の一つのやり方じゃありませんか。八木委員に追及されて、それでまたいろいろこう言ったり何かするのは見苦しいです。今後こういうような点は十分注意して進めるべきだと思います。大臣はそこを言っているのですから……。  日雇いの場合はいま困っている人がある。これをやらないという。大臣、これは何か考えないといけませんよ。いまの局長の答弁は、残念ながら的がはずれているということが八木委員の説明でわかった。日雇いのほうが残されておる。赤字だから残す、これはちょっと困る。大臣、この点はひとつ活を入れましょう。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまの局長の答弁も、やらないという意味ではなくて、その時期等を検討しているということで、なおまた他の問題とからみ合いのある問題でありますから、御指摘のとおりでありますから、十分事務当局等も検討して研究いたします。

島本虎三日本社会党

○島本委員 研究して善処するというのはいいことばなんですね。大臣はしょっちゅうこれを使っておられるようだけれども、私はあなたの実行力に期待しているんですよ。だからこれも他の保険並みに改正しますということで私は了解して進めたいのですが、よろしゅうございますか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘の方針のように検討することにいたします。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それから国の母子保健の将来計画というか、総合対策というようなものがあるのかないのか。文書にしたものは見たことがありますけれども、それからさらに進んでいるようなことを、残念ながら私は覚えておらない。これは大臣、大事なことなのですが、基礎的な対策から順次これを実施していかなければならない、そういうような段階ですが、母子保健の将来計画、総合的対策、これがはっきりあるのですか、ないのですか。これをもう一つお聞かせ願いたいと思うのです。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 抜本改正の案をつくりまするに先立ちまして、本年四月厚生行政の全般の長期計画を各事務当局連携しつつ案を立てておりまして、これが非常におくれておりまするが、大体その線に沿って薬事行政からその他の行政、逐次一つの方向に向かって計画をつくっております。母子保健につきましても、総合的な長期のものが、文章としてありませんが、大体案ができまして、その方向に従ってそれぞれ明年の予算折衝の具体案を立てておりますので、この長期計画等も遠からずできるわけであります。詳細については局長のほうからお答えさせます。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美説明員 母子保健対策に関する重要な問題は、先生も御承知のように、妊産婦分べん費、それから新生児、乳幼児期というふうな一貫した対策を打ち出す、こういうことがねらいでございます。  第二のねらいといたしましては、そういうふうな問題の事項につきまして、早期発見、早期治療というふうな基本方針を持たなければならないということになると思います。  それから第三点といたしましては、そのような母子保健対策を実行するにおきましては、やはり母子保健対策の性格上地域に密着した活動を行なう。つまり市町村を単位といたしましての母子保健の組織活動を盛り上げて、そうして国民的な運動まで盛り上げていく、こういうふうな基本的な構想をもとにして具体策を立てるという考え方でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 この具体策を進める場合に、これまた大臣にどうしても聞いてもらわなければならないのですが、これは厚生省だけではなく、各省の対策も当然ありますけれども、これはもう縦割り行政ですから、横の連絡がまことによくないのです。文部省では、幼稚園から学校保健から保健教育まで含めて全面的に持っておられるでしょう。農林省では農村母子対策、これをやっておられるようです。労働省でも勤労婦人の対策を十分やっておられるようです。しかしながら、これは全面的にやっておられても、それぞれやるのが縦割りですから、どうも一貫したような成果をあげ得ないというのがいまの一つの欠陥じゃないかと思うのです。これはやはり今後是正すべきだと思うんです。この是正策は当然厚生省が中心になって考えなければならないと思います。大臣、この私の考え、間違いでしょうか。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおりだと思います。そこで、文部省その他と具体的な問題で連絡をしておりますけれども、今後は、やはり長期的なもので協議会等をつくって、ぜひ関係各省が一本の線に従ってやるようにしたいと考えます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ちょうどそのおりもおりですが、聞くところによると、労働省のほうでは婦人少年局を廃止するという動きがあるかのように聞いておりますが、これは事実無根ですか。

高橋展子労働省婦人少年局長

○高橋説明員 婦人少年局の廃止ということは考えられておらないと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 当然これは考えちゃいけないという前提で聞いたのです。だからそういうような動きが大臣を中心にして行なわれているという実態もありませんね。あなたに聞いても、あなたわからないんだからしょうがない。厚生大臣、労働省のほうで婦人少年局の廃止を考えているというようなことが、あるデータによって私の手元のほうへ来ておるのですが、いま聞いてみたら、そういうようなことは事実無根だと、これは局長がそうおっしゃっておられるのです。大臣をきょう呼んであるのですが、どうしても来られないというのでやったら、やはりはっきりしない。こういうようなものを廃止させようというようなことは行政じゃないと思う。もしそういうことがあったら、絶対に廃止させないようにあなたががんばらなくてはだめだと思いますが、この点ひとつ私に確約してもらいたい。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 よく労働大臣にお伝えいたしまして、意のとおりにいたしたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 廃止しないのですね。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 はい。

島本虎三日本社会党

○島本委員 私の手元にいろいろデータがございますけれども、この中で妊産婦の無料医療の点、この点等については厚生省のほうではっきりした対策をお持ちですか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美説明員 御承知のように、現在妊産婦の健康診査につきましては、保健所で行なっているものにつきましては無料でございます。ところが、現実の姿におきましては、一般の医療機関で健康診査を受けられる方が非常に多いわけでございます。一般の医療機関で妊産婦の健康診査をするパーセンテージは、約八〇%というふうに私どもの調査でなっておるわけでございますが、こういう一般の医療機関において行なう健康診査につきましても、妊産婦の異常状態を把握する、先ほど申し上げましたような早期発見、早期治療という立場からいえば、非常に重要なことでございますので、こういったものに対しましても公費負担で行なうように検討いたしたい、かように思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 乳幼児の無料診査、こういうような点も最もこれから重要だと思いますが、考えておられますか。

渥美節夫厚生省児童家庭局長

○渥美説明員 新生児、乳幼児につきましても、保健所で行なう健康診査については無料でございますが、今後は一般の検査以外に精密検査につきましても、特に零歳児につきましては、公費負担の方向で検討し実現するように努力しなければいけない、かように思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 時間が過ぎているので結論を出してくれというのですが、いま結論を出しているのです。  労働省のほうで、産前産後の休暇、こういうようなものに対して十分意を払って、企業別に労働基準違反をやっているようなところのないように十分取り締まっていますか。

高橋展子労働省婦人少年局長

○高橋説明員 働く婦人の産前産後の保護につきましては、労働基準法により諸般の規定で母性保護のための措置がとられておりますが、労働省といたしましては、それらの規定の定めます最低基準の確保ということはもとよりでございまして、さらにそれを上回るような各般の措置が行なわれますことを指導、啓発いたしております。また、実際に近年におきましては、各企業におかれましても、この働く婦人の妊娠、出産等につきましてかなり関心が高まってまいっておるようでございまして、基準法の定める最低基準を上回るところのいろいろな保護措置が行なわれておるように見受けられます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 働く婦人の中には、相当の技能を持った人もおりますし、社会的に地位の高いあなたのような人も多いわけです。ところが諸外国では、こういうような分娩関係、出産関係の費用は、円にして十万円ほど見ておる国のほうが多いようであります。しかしながら、日本でも平均して二万円以上かかっておるようでありますけれども、厚生省はいままだ二万円くらいで押えたい。勤労婦人の立場から考えて、厚生省で考えている二万円くらいのもので、これはだいじょうぶだと思いますか。あなた、大臣がいるからといって遠慮しないで、もっと上げてもらわなければいけないならいけないと、婦人の立場で言えるのはあなたですから、はっきり言ってごらんなさい。それを質問いたします。

高橋展子労働省婦人少年局長

○高橋説明員 具体的な金額等につきましてはお答えできかねます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いろいろの費用で十万円以上みんなかかっておるのですよ。特に働く婦人の場合なんかよけいかかっておるのです。だけれどもこれは二万円で、それでもまあいいほうですけれども、十万円から見れば少ないです。少なくともこれでまずいい、あなたが満足だというならば何をか言わんや、これは労働省の婦人対策なんてあってないようなものだという悪口にもなるわけだけれども、きょうはあなたの努力をよみして、あまりそこまで言いません。  しかしながら、やはりこういうような問題に対しては、大臣、二万円というのはいま出ておりましても、まだ少ないです。諸外国の例からしても、これは十分だと言えないです。データがありますけれども、イギリスでは国民健康保険で全部無料でしょう。それからスウェーデンでも国費で、これも全部無料でしょう。西ドイツでも全額健保でやっているでしょう。それからフランスでも、これは社会基金ですか、ここでやっておるでしょう。ソ連ではもちろん無料でやっておりますよ。全部それでやっておるのですよ。日本は世界で三番目の工業生産国であり、造船では第一番ですよ。鉄鋼なんかでは第三番目だ。総生産は西ドイツをこえているのだ、こういわれながらも、二万円でこれが改善だといわざるを得ないのはまだ行政の貧困です。大きい顔はできない。私はこういうような点で、その努力はわかりますけれども、まだまだこれは実っておりませんし、額は不足です。この点等につきましては、今後十分対処し、考えてみていただかなければなりません。二万円で安心しないで、この二万円が四万円でもいまの場合多いとは思わない。こういうような点を今後十分考えておいてほしいと思うのです。  最後に大臣、あなたの時間もおしまいになりましたから、行く前に私はもう一つ聞いておきます。それは児童手当について、あなた自身、四十四年度からの制度として発足させるというような約束があったはずですけれども、来年度はこれを見送るというようなことになっておるようです。これはすでにいま私が言ったように、世界第三位の生産力を持つ日本に児童手当の制度もなくて、妊婦や乳児の死亡率はセイロンに次いで高率だというこの現状は、まさに政治的なゆがみであって貧困だ、こういわざるを得ないと思います。これはあくまでも母性の擁護と子供の人権尊重、こういうような問題を中心にして、大きい政治課題なんだ、こう思います。児童手当の問題で、大臣もこの問題に対しては意欲を示しておられたようですから、最後に意見を伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 先ほどのお産の費用は、私も事務当局も二万円でいいとは決して考えておりません。世界各国でも一番僅少ではあるが、一歩でも踏み出したいという熱意のあらわれだと思っていただければいいと思います。  それから児童手当の問題でありますが、これは前国会からの問題であって、前国会でも、総理も私も意見を開陳をいたしております。しかしながら、これに対する見通し、環境は必ずしも楽ではございません。いろいろ問題ではございますが、私としては、この手当の金額の問題は別として、制度だけは何とかして明年から発足させたい、こういうことで事務当局と必死になって努力いたしております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 終わります。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 八木君に三分以内で許可します。八木君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 先ほどの質問の中で、時間を急いで抜かした点がありますので、簡単に申し上げます。  実は、老齢福祉年金、障害福祉年金、母子福祉年金の金額の増額をしなければならぬじゃないか。老齢福祉年金については、これだけ申し上げますが、現在月千七百円のベースに本年十月からなっております。しかし岸内閣でできたときが月  一千円でありますから、物価等を考えますと、内容は一つも前進していることにならない。国民年金がこの前夫婦一万円年金、一人五千円年金になりましたのは、二十五年でそういうふうになったわけですが、開始当時の国民年金は、四十年では月三千五百円、二十五年ではたしか月二千円ベースで計算されています。二十五年が五千円になったのは二倍半のベースに拠出制年金ではなっているわけです。福祉年金は千円から二倍半になると、二千五百円にならないとバランスを失するということになります。さらに拠出制年金が今度改定されることになって、たとえば単独一万円年金になるとすれば、その率でいけば、老齢福祉年金もまた母子福祉年金も障害福祉年金も、五千円にならないとバランスを失することになるわけです。その点について先ほど申し上げるのを忘れましたけれども、ぜひ伊部局長にも指令されて、それを大幅な引き上げを実現されるように、また問題になっております本人及び世帯の所得制限を大幅に緩和されますように。母子福祉年金、障害福祉年金についても同様の金額でございます。それを、ぜひ申し上げておきたいと思ったわけでございます。総務課長がおられますので、伊部君なり、それから大蔵省の辻君に、これを抜かしていると、野党はこれだけ重点をはずしていると思われるとまたいけませんので、その点すぐ御連絡をいただきたいと思います。ぜひ前向きの御決意を承っておきたいと思います。

園田直自由民主党厚生大臣

○園田国務大臣 いまの御指摘の問題、それから所得の大幅な制限緩和の問題その他、ただいまの御意見のように考えまして、それに伴って予算折衝をしている段階であります。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後六時四分散会

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