社会労働委員会 第3号
- 発言数
- 91 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1968/09/09
会議録
○八田委員長 これより会議を開きます。 厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。
○後藤委員 まず最初に、国鉄のほうへお尋ねいたしたいと思います。 新聞の報道なり、その他の情報によりますと、十二日の零時から十二時間のストライキが行なわれる。しかも、全国全地域にわたって、動労、国労同一歩調というような形で行なわれるやに聞いております。 特に五月、六月でございますか、その当時には、国鉄といたしましても、いろいろな多くの事故がございました。国鉄の職員はたるんでおるんではないか、あるいは施設なり機器等の問題につきましても、かなり新聞等でもきびしく批判をいたしておったのは、御承知のとおりだと思います。 そこで、国鉄輸送は安全が第一だと思います。安全に、しかも敏速に、しかも正確に、これはもう国鉄始まって以来の中心であろうと考えておる次第でございますが、いま申し上げましたこの十二日からの闘争については、五万人合理化の反対の闘争である。特に十月のダイヤ改正に伴って、その中でも中心課題になっておりますのは機関助士の廃止、さらに電修場の廃止、その他かなり問題、要求はあろうと思いますが、それらが中心に行なわれるように私聞いておりますが、国鉄労働組合なり、動力車労働組合としまして、いままで二時間なり四時間、こういうようなストライキは過去にもあったと思います。しかしながら、今回計画されておる内容について検討いたしてみますると、十二時間、半日にわたります。これは私非常に重大なる問題であろうと思いますし、しかも両組合が、いかに重大なる決意のもとに、これほど高い、いわば重い闘争を仕組んでおるかというような点につきましても、たいへんなことだと考えておるような次第でございます。 そこで、まず第一番にお尋ねいたしたいのは、国鉄労働組合なり、動力車労働組合、両組合とも組合員の生活と権利を守るということは、これはもう当然のことでございますが、それと並行する以上に、まず安全輸送が大事だ、安全を守らなければいけない、これが第一番になっておると思います。 さらに、国鉄当局、管理者のほうといたしましても、国鉄輸送はまず第一番には安全だ、最近起こったいろいろな事故から考えてみましても、安全輸送が第一番だ、動労、国労、管理者ともに安全が第一番である、こういうことを叫んでおるにもかかわらず、十二日の零時からこういうふうな大きな闘争が行なわれる。行なわなければいけないというような情勢をかもし出すところの原因は、一体どこにあるのだろうか。こういうふうな情勢になってきた原因は、一体どこにあるのだろうか。組合も安全だ、管理者も安全、ともに安全を願いながら、おそらく数限りないほど団体交渉が行なわれておると私は考えておる次第でございますけれども、それにもかかわらず、いまだかつてないほど重い、しかも広範囲であり、しかも、これが決行されるとするならば、国鉄のほとんどのダイヤが全部麻痺してしまう、しかも半日間にわたる、こういうふうな情勢をかもし出す原因は、一体いずこにあるのだろうか。この点につきまして、その内容あるいは現在の情勢等も、詳しく国鉄当局としては御承知であろうと思いますので、いま申し上げました点について、ひとつ御説明をいただきたいと思う次第でございます。
○井上説明員 ただいま先生御説のとおり、国鉄当局といたしましても、国鉄の輸送の安全ということは、まず第一義的に考えておるところでございます。サービス以前の問題である、あるいは根本的なサービスの問題であるというふうに考えておる次第でありまして、いかなる場合にも、この安全ということをないがしろにするということは考えておりません。 現在、いわゆる近代化、合理化計画のもとに、昨年の三月以来、組合と団体交渉を重ねております。経過を申し上げますと、昨年の三月、私のほうから提案いたしました項目は、概括いたしまして申し上げれば、十五項目ございます。十五項目のうちに、去年の暮れ、ことしの三月の段階を経まして、十四項目は本社、本部間では話がつきました。残る一項目だけが、いわゆる電気機関車、ディーゼル機関車の一人乗務の問題でございます。その問題と、新たにこの春提案いたしました近代化の数項目、四項目か五項目ございますが、その項目を加えました問題についてただいま団体交渉をやっておるという段階でございます。 問題の中心は、先生もお述べになりましたように、やはり電気機関車、ディーゼル機関車の一人乗務の問題でございます。この問題が一番輸送の安全にかかわる問題であるということで、組合側もこの安全の点で非常に議論をしてまいりました。私どものほうでも、一人乗務の問題は、少なくとも現在以上に安全度を脅かすものではないということで団体交渉をやってまいりました。組合側は、二人乗っておる者を一人にすればあぶない、こういう主張をするのでございますけれども、私どものほうの実際の統計の数字を見ましても、いままでに二人乗務と一人乗務とは、実際に電車、ディーゼルカーについては実施いたしておるのでございます。電車、ディーゼルカーについては、全体の約八割が一人乗務になっております、二割が二人乗務になっております。で、二人乗務の場合と一人乗務の場合の事故の発生率を見ますと、ごくわずかではありますけれども、一人乗務のほうが事故の発生率は少ないのでございます。こういうところから申しましても、私どもは、一人乗務のほうが安全だとは言いません、二人よりも安全だとは言いません、しかしながら、二人と一人の問題では、問題は安全度に関する限りは関係はない問題である、少なくとも安全度に関する限りは同じであるということを主張いたしておるのでありますが、国鉄が現在置かれておる状態からいたしますれば、近代化、合理化というものは当然やっていかなければならない。その場合に、安全度において同じであるならば、二人乗っておることは無意味である、これは一人にすべきである、こういう主張を重ねてまいりましたが、まだまだ組合側の十分な納得を得るに至らず今日に至っておるわけであります。 先生お述べになりましたとおりに、来たる十二日にかなり大規模の闘争を計画いたしておるのでございますけれども、これはまだまだ時間もございますので、十分団体交渉を重ね、また組合を説得いたしまして、できるだけ国民の皆さまに御迷惑のかからないようにということは、われわれとしても心がけてまいりたいと思っておるところでございます。 ただ、しかしながら組合の闘争を実際にやめさせるということになりますと、二つの方法しかないわけでございます。 一つは実力をもって組合の闘争を当局が阻止するというのが一つの道、これは実際問題といたしまして、管理者の数は全体の一割しかございませんので、全体の一割の管理者の数をもって、実力をもって組合がやろうとする争議行為を阻止するということは実際上できません。 もう一つは、それでは当局の提案を撤回すれば、組合は争議行為はやらないと思いますけれども、当局の提案を撤回するということは——現在置かれておる国鉄の現状からして、合理化、近代化計画、これを進めねばならぬというのは第一義的に考えておるところでございますけれども、その近代化、合理化を撤回するということは、われわれとしてもできないことでございます。あと残る道は十分組合側を説得して、争議行為にならないようにわれわれも努力する。ただ努力するということしか現段階では申し上げられない、かような状態でございます。
○後藤委員 そうしますと、いま井上常務の言われたことにつきましては、二人乗務を一人乗務にしても安全度には関係なし。さらに、国鉄の置かれておる現状からこういうことをやるのもやむを得ないのだというようなことを言われたわけでございますが、きょうは別に私、安全度の具体的内容がどうこうということには触れようとは思いません。けれども、いま言われました機関助士を廃止をしてしまう、EL、DLですか。さらに電修揚の廃止その他数項目あるわけでございますが、直接現場で働いておる労働者の皆さんは、特に運転に関係のある職員の皆さんは、機関助士をはずされてしまう。いままで二人乗っておったのが一人になってしまう。こういうことではもう安全に対する責任が持てないというところまで言い切っておるわけなんです。 さらに電修揚等の問題にいたしましても、御承知のように特に重大なる信号の検査なり、修繕なり、まことに大事な仕事を持っておるところであることは言うまでもございませんが、これらも廃止をしてしまって民間委託にしてしまう。 その他申し上げれば切りがございませんが、具体的内容にはあまり触れませんけれども、国鉄の管理者としては、お前たちそう言うけれども、安全は絶対だいじょうぶだ、二人乗務を一人乗務にしても安全度に対しては関係がないのだ、こういうふうに井上常務ははっきり割り切られるわけでございますけれども、そういうことを言われるいま一歩奥を突っ込んでみると、なぜ一体そこまで激しい合理化をやらなければいけないのだろうか、そこへ問題が入らなければいけないと私は思う次第でございます。 先ほど言われました国鉄の現状から考えて、いま出ましたような問題はもうやらぬわけにはいかない、こういうふうに言われたのですが、国鉄が置かれておる現状というのは一体どういうことをさしておられるのか、ひとつその点の御説明をいただきたいと思います。
○井上説明員 国鉄の現状と簡単に申しましたけれども、端的に申し上げれば国鉄財政の危機と申し上げたほうがいいかと思います。国鉄財政の危機につきましてはいろいろの原因があると思います。あると思いますけれども、その根本におきましては、収入の伸び率と支出の伸び率とがあまりにもかけ離れておる、アンバランスであるというところに、私は根本の問題があると思います。 収入の伸び率は、現在、国鉄の体質上、運賃値上げをやった年は別でございますけれども、年大体六%から七%くらい、このくらい収入が伸びていくというのが国鉄の体質上の伸び率でございます。一方、経費のほう、支出のほうはどのくらいの伸びでいっておるかといいますと、大体年一一%から一二%近く伸びておる、こういうことがいえます。これが現在の国鉄の体質的な傾向でございます。そうしますと、ある時点では収入が支出よりもかなり上回っておったといたしましても、収入の伸び率と支出の伸び率と急角度に違うわけでございますから、急速度にその両方の曲線が交わる。交わったあとは支出のほうが伸びて赤字がふえる、こういう状態にあるわけでございます。問題はやはりこの収入と支出の伸び率をできるだけ一致させていくというところに問題の根本があろうと思います。 そのためには一方において収入の方面でできるだけ企業努力もいたしますて場合によってはいろいろ政府のお力も借りなければならぬ。国民世論に訴えて収入の伸びる道を考えなければならぬという面もございましょうし、一方においては経費の伸び率をできるだけ押えていくということも考えていかなければならぬ。結局はそこにくるわけでございます。 経費の伸び率を押えるためには、現在、経費が一一%から一二%も伸びておる、その根本は何かといいますと、やはり問題は人件費であります。人件費が大体一〇%以上の割合で昨今のところ伸びております。で、国鉄職員の給与というものは人件費が多いから押えていいかといいますと、私はこれは押えるべきではないと思います。やはり日鉄法の二十八条にもはっきり書いてありますとおり、民間賃金の相場も考え、あるいは生計費の点も考え、あるいは公務員の賃金も考え、あらゆるものと均衡をとって国鉄職員の賃金の問題は考えろというふうに書いてございます。そういう点からいたしましても、国鉄職員の賃金というものはやはり仲裁裁定が出ますれば仲裁裁定に絶対に服従していく、それを実施していくという態度を私どもとしては堅持してまいりたい、かように思います。そういたしますと、ここ数年来の仲裁裁定の傾向から見ましても大体七%以上のベースアップを毎年認めるというかっこうになっております。そのほかに定期昇給の分として三・何%、三%以上のものが加わりますと、人件費はどうしても一一%近くになるわけであります。この人件費の伸びというものは、何としても一人当たりのベースアップの伸びは私どもとしては実施してまいりたい。しかし、総体の人件費はやはり押えていかなければならぬということになりますと、やはり人員の問題ということに問題がくると思います。現在の国鉄の経営を改善していくという根本においてはやはり機械化、近代化をやりましてほうっておけばふえる人員を押えていくという点にわれわれとしては主力を注がなければならぬという問題があると思います。そのほかにも経費の伸びる、支出の伸びる原因がいろいろございますけれども、その他の点についてはまたいろいろ政府にもお願いする、あるいは国民の皆さんにも訴えて改善の措置を講じてまいるといたしましても根本においてはやはり人件費の問題であろうかと私どもは考えておる次第でございます。
○後藤委員 そうしますと、いま人件費その他の説明があったわけでございますけれども、先ほどから井上常務の言われましたことは、たとえば国鉄が発足以来二人乗務をやっておったんですが、これらも廃止してしまう、さらにその他の問題についてもできるだけ民間委託にしてしまう、これはもう国鉄の財政上からやらざるを得ぬのだ。たとえば人件費の問題、あるいは公共性と独立採算制のこの矛盾性の問題、あるいは新線建設その他については利息のつく借り入れ金等で建設をしていく。これは井上常務も御承知かもわかりませんが、文芸春秋の四十二年の九月号でございますが、磯崎副総裁が、第三次の計画で、この周辺の通勤列車を五千八百億円からのお金を借りてやった場合には、大体四十六年までにふえるであろうと思われる輸送人員の一人に対して四十万円の金を使うことになる。これらの利息を計算すると一年間に二万八千円になる。ところが、運賃を計算すると一万四千円にしかならない。こんなことなら政府から五千八百億円金を出してもらって、ただで輸送したほうが国鉄としては得なんだ。これは四十二年の九月の文芸春秋に磯崎副総裁として論文を出しておられます。言わんとするところは私らもよくわかるわけでございますが、いま申し上げましたように、国鉄の財政上やむを得ずこういうふうなかっこうに、いわば無理であってもやらぬことには国鉄の財政がもう何とも破綻の一途に追い込まれてしまう。だからやるんだとは言われませんけれども、中身としてはそういうことであると解釈しても私は間違いないと思うわけです。 そこで、私、一つの問題だけ取り上げてお尋ね いたしたいと思うわけでございますが、まず第一番には機関助士の廃止の問題です。これはもう井上常務も十分御承知だろうと思いますが、諸外国の情勢といたしましては、現在一人乗務になっておるところもありますし、いろいろ。パーセントで出されております。フランスにおきましては約三〇%が一人乗務になっておる。アメリカにおいても約三〇%。日本とよく似ておるイタリアにおきましては、全部が二人乗務になっておるというようなかっこうに、諸外国の鉄道の事情を調べてみましてもそういうふうなことになっております。 ところが、特にアメリカにおきましては、二人乗務を一人にした、それ以来運転事故が非常に多い。だから、今日、一人乗務にしたけれども、もう一ぺん二人乗務に復活すべきであるという声が非常に高まってきておるわけなんです。しかも、機関助士廃止、二人乗務を一人乗務にする問題については、これはもう三代にわたる大統領がありせん役をつとめまして、六年間にわたってこの問題を論議されました。アイゼンハワー大統領、ケネディ大統領、ジョンソン大統領、これはアメリカにおける二人乗務を一人乗務にするために、鉄道で働いておる全部の者が、これではもう安全が守れない、これはもう断固として反対すべきであるというのでストライキを何回となく行なっておる。その間が約六年間あるわけなんです。しかも三人の大統領がその中に入って、何とかというようなことであっせん役までつとめて、ようやく今日に落ちついておる。よもや井上常務も、こういう情勢についてはお知りにならぬとは思いませんし、知っておられると思います。 ところが、いま問題になろうとしておる日本の国鉄におきましては、機関助士廃止については、おそらく提案されたのは昨年の暮れじゃないかと思います。一年になるかならぬかだと思います。そういうような点を考えていきますと、言えることは、先ほど井上常務が説明になりましたように、国鉄の財政の危機、これはもちろん自民党佐藤内閣の交通政策の原因もあろうと思います。さらに、運輸大臣もおられますけれども、国鉄のあり方につきましては、これはいろいろ問題があろうと思いますが、現状においては、石田総裁じゃないけれども、袋小路に追い込まれたような形になっておるのが国鉄の財政の現状だと思います。これらを打開するために、いま言いましたように、諸外国では五年も六年もかかって、いやが上にも慎重に慎重を重ねてやったことを、昨年の十月に提案して、一年足らずでここでひとつ決行しよう、組合が何と言おうと、ダイヤ改正の要因、そういうような関係で、今度こそは機関助士の廃止なり、電修場の問題なり、その他の問題については決着をつけたい、こういう強硬なる態度そのものが十二日の闘争、そういう情勢をかもし出した大きな原因ではないかと私は考えておるわけでございますが、いま申し上げましたことにつきまして、諸外国の関係なりその他の関連から考えて、いまやられようとしておることが無理ではないと思っておられるのでしょうか。国鉄四十数万の皆さんが、これだけ国鉄に事故が多いときに何でこんなに無理してこんなことをするのだろうか、お金がないものだから無理して、無理して、無理な合理化を行なおうとしておる、こんなことをやったらえらいことになるのだと心配するがための闘争が、私は十二日の闘争であろうと思っておるわけでございますけれども、このことについて、国鉄当局としてはどういうふうにお考えになっておられるか、それをお尋ねいたしたいと思います。
○井上説明員 先ほど申し上げましたことに若干補足いたしますが、現在の国鉄の財政の危機を打開する方策といたしまして、人件費の問題が非常に大きな問題であるということを申しましたけれども、それのみが解決策であるとは申し上げていないのでございます。いろいろ政府のお力もお借りし、また、国民の世論に訴えてもいろいろな国鉄にとってお助けの道をお願いするということはあるということを先ほど申し上げました。ただ、いろいろお助けを請うには国鉄自体がやはり合理化、近代化を徹底いたしまして、これ以上の合理化はできないというところまでの実を示さなければ、これはよそさまのお力を借りる場合に、ただ力を貸してくれということでは話が通らぬと思います。したがいまして、まずみずからできるだけの合理化をやっていく、その上でお力を借りれるところは借きていきたい、こういう基本的な態度でございますので、人件費の問題だけであらゆる問題を解決しようといたしておるのではないということだけを補足いたしておきます。 それから、先ほどお述べになりました諸外国の例、私も先生ほどの知識はございませんけれども、若干承知はいたしております。確かに数年の年月を要しております。ただ、アメリカの場合、あるいはアメリカといわず外国の場合、この一人乗務を実現する場合には、解雇の問題が加わっておるのであります。一人乗務にする場合に、くびにいたしておるのであります。たとえばアメリカの場合には、向こうでは火夫といっておりますが、火夫の約四割に相当する人間が解雇されておる。その解雇手当の問題その他の給与の問題で、非常にごたごたをして数年の年月を要しておる。これは事実でございます。私どものほうでいまやろうといたしておりますことは、機関助士を廃止するということは申しておりますけれども、解雇ということは一言も言っていない。一人にいたしますと、機関助士は要らなくなる。要らなくなった機関助士は機関士にすると言っておる。したがって、国鉄のいまやっております合理化の中で、まあおためごかしな言い方をするわけじゃございませんけれども、今度の合理化で一番日の当たるといいますか、有利なものは動力車乗務員であろうと私は思う。職場がなくなるわけではないのでございまして、むしろ昇格するのであります。機関助士ではなくて機関士になる。もちろんこれはいろいろな性能試験なんかをやりますから、肉体的、心理的に不適格者がおればこれは機関士にはできません。適格者である限りは機関士にする。したがいまして、私どものほうで考えておるのは、決して無理な合理化をいまやろうとしておるのではないのであります。安全度の問題につきましては、先ほど申しましたとおりで繰り返しません。あとは実際にその合理化の波をかぶるといいますか、しわ寄せをこうむる労働者の配置転換の問題であろうと思いますけれども、その配置転換の問題にいたしましても、動力車乗務につきましては、むしろ昇格して機関士になっていくということでございます。決して私どもは、無理な合理化をこの際ゴリ押しでやろうとしているのではないということを申し上げておきます。
○後藤委員 いま井上常務が、この合理化によって一番いい目を見るのは運転関係の者だ、機関助士はどんどん機関士になれるじゃないか、まことにありがたいやり方をしておるのだ。ありがたいというのはあなたのほうの話でありますけれども、そういうことは当たらないと私は思うのです。しかもアメリカにおいては、機関助士を廃止したから機関助士は全部首切りにしたのだ、そうなるからよけい問題になったのだ、こういうことを言われるわけでございますけれども、それなら私はここに統計を持っておるわけでございますが、アメリカにおいて二人乗務を一人乗務にしたことによって、列車事故から、衝突事故から、死傷者の事故がふえておるわけです。一人乗務になってから事故の率がふえておるわけです。しかもアメリカの一機関士は、私は助士が必要だ、私に機関助士を返してくれ、事故をやった機関士がそのことを腹の底から叫んでおる。 〔委員長退席、田川委員長代理着席〕 これが実態でございます。 それで私は、井上常務の言わんとするところは、アメリカなりフランスなりイタリアなりで国内の情勢なり鉄道の情勢なり周囲の情勢なりは幾分違うと思いますけれども、一番よく似ているのはイタリアではないかと思います。このイタリアでさえもほとんど全部が二人乗務をやっておるわけです。しかもアメリカにおきましても、財政的には非常に窮迫したというので、機関助士を廃止する、しかもこの問題を決着をつけるのに、六年間もかかっておるわけです。日本でいうと、池田総理大臣も出てきた、佐藤総理大臣も出てきた、その前の総理大臣も出てきた、三代の総理大臣がこの問題の仲裁に入って、ようやく解決したという。アメリカとしてはそれくらい慎重に扱ったのだ。それはなぜかといえば、安全を守らなければいけないからそこまで行なわれたのだと私は考えておるわけです。にもかかわらず、先ほど言われましたように、ほんとうに要らぬからはずすのではなしに、さいふの中が苦しいからはずさざるを得ないのだ。どの面から考えてみても、国鉄の財政は全く袋小路に追い込まれておる。ただ、井上常務が先ほど政府のほうにもお助けを、お助けをということを言われますけれども、大体政府のやり方に問題があるからこういうことになると私は思うのです。自民党内閣の交通政策が、この合理化を強硬に行なおうとしておる根源であると私は考えておるわけですけれども、さらに、いま徹底的に合理化をやっても、これ以上労働者は何ともしぼれませんから、政府の皆さんお助けくださいというかっこうに持っていくべきだと言われました。それは私は本末転倒もはなはだしいと思います。先ほどあなたが言われましたように、国鉄の財政の中身は、申し上げるまでもなく現在一日に二十数億円の収入がある。元利合計五億か七億でございますか、利息だけでも一日に二億円の返済、しかも三兆円からの固定資産がありながら利息のつかぬ政府の出資はわずかに八十九億円じゃないですか。こういうふうなやり方が、今回のようなむちゃくちゃな、いわば強引な合理化を行なわせておる根源であるといっても間違いないと私は考えておるわけでございます。しかしながら、このことよりかは輸送の安全を守るということが私は第一番だと思います。この輸送を守るための管理者としての考え方なり、やられようとしておる筋だけはわかるわけなんです。けれども、はいそうでございますか、それじゃやりましょうということにはならぬと思います。それをやることが国民に対して非常な不安を与えることになろうと思います。具体的内容については私は触れませんけれども、いままで二人乗っておったのが一人になった、あるいは大切な問題は全部業務委託で外部に委託してしまう。少なくとも三十数年間訓練され、やってこられた現場の仕事が、一挙にして民間委託になってしまう、これは私たいへんなことだと思うわけでございますけれども、諸外国においてもあなたが言われましたように数年間かかった問題を一年足らずで解決してしまおう、おまえら、うんと言わぬなら強引にやるぞ、こういうふうな態度を示すところに私は根本的に考え方が間違っておると思うわけです。 というようなわけでございまして、私のほうで言わんとするところはわかっていただいたと思うわけでございます。特にこの問題につきましては、先ほど言いましたように、自民党内閣の交通政策の問題なり、国鉄に対する政府の扱いの問題等にも、かなり大きな原因があろうと思いますので、十二日の大闘争を前にしまして、運輸大臣としていま申し上げました問題についてどうお考えになっておるだろうか。これは労使の問題だからまかしておけ、やるだけやったら弾圧すればいいんだわいというようなことではなかろうと思います。いままでいろいろ申し上げましたところに、私は十二日の闘争をやらなければいけないような情勢をかもし出す根本原因があると考えておりますので、それについて運輸大臣の考え方をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 いままで国鉄の労使間におきましていろいろ交渉し、協議してまいりまして、十四項目のうちあと一点を残すまで話し合いがついたのでございますから、同じような精神をもちまして最後の詰めをやっていただいて、円満に妥結するようにしていただきたいと思っております。ただ運輸省としては、国民の交通及び安全を確保するという見地から、公共企業体である国鉄は、公共奉仕は労使の紛争に優先する、そういう精神をもって国鉄の労使が協調してもらわなければならぬ、そういうふうに思っております。
○後藤委員 いま大臣は、十四項目のうち一項目残ったと言われましたね。それは井上常務間違いないのですか。
○井上説明員 私の発音が不正確であったためだと思いますが、十五項目でございます。そのうち一項目、EL、DL問題一つを残して本社本部間の話し合いはつき、現在地方において具体的に配置転換その他団体交渉をやっておりますが、本社、本部間の話し合いはついた、これは冒頭に申し上げたとおりでございます。
○後藤委員 そうしますと大臣にお尋ねするわけですが、国鉄というのは公共性があるから、とにかく労使間で公共性を侵さないように十分慎重にやってもらいたい、一口に言えばこういうことだと思います。 そこで、先ほどからいろいろ申し上げておりますように、ここまで一体国鉄の財政を、石田総裁じゃございませんけれども、袋小路に追い込んだ、たとえば来年汽車の運賃値上げをやってみてももう追っつかぬのじゃないかというようなことを、これも去年の九月ごろの雑誌でございますか、石田総裁が書いておったと思うわけでございます。さらに、いま国鉄問題に対しまして、この追い込まれた、窮迫した状態を一体どう打開していくかというようなことも、それぞれ委員会において相談をしておられるように私思うわけでございますけれども、ただ私、言わんとするところは、ばく大なる借金をかかえて、これの利息と元金の返済にきゅうきゅう、一生懸命だ。何ぼ国鉄の四十六万ががんばってみても、ますます苦しくなってくるような財政になっておるのが今日の国鉄のふところの中ではないかと私思います。 いま大臣が言われましたような問題につきましても、たとえば公共性と独立採算制の関係です。赤字線区がどれだけあり、これはどれだけめくれというような話も出ておりますけれども、これはいわゆる公共性と独立採算制の矛盾だと思います。さらに公共負担の問題につきましても、私は言わんとすればたくさんあるわけでございますけれども、こういうことが長い間積もり積もって今日の非常に困った事態に追い込んでしまっておる。だけれども、国鉄当局としましては、とにかく徹底的に合理化をやるだけやらぬことには政府のお助けが得られぬのだ。大蔵省だって、徹底的に合理化をやりなさい、こういうふうな強い圧力なり、強いにらみのもとに、国鉄の管理者といたしましては、機関助士をはずすわ、いや何をやるわというようなことで、無理なことを行なう。鉄道で働いておる皆さんが、安全を阻害するぞ、安全を確保する自信がもうなくなってしまうというところまで追い込まれんといたしておるのが今日の合理化の問題でございますが、しかもこれに対して、十二日の零時から十二時間の大ストライキ、これは私は政府にも大きな責任があると思います。自民党の交通政策にも私は大きな責任があると思うのです。この点に対して、十二日の問題に対処するためには、運輸省なり、さらには労働省——労働大臣きょうおられませんけれども、運輸省、労働省としても、労使の関係で公共性を阻害せぬようにしっかりやってくださいよというような第三者的立場ではなしに、もっと私は真剣にこの問題と取り組むべきではないかと思いますけれども、もう少し運輸大臣としての腹と申しまするか、いま目前に控える大闘争を前にして、運輸関係の総責任者として、あなたの自信のあるお考え方をもう少し具体的に述べていただきたいと思うのです。
○中曽根国務大臣 国鉄の財政につきましては、いろいろ歴史的な因縁もございまして、現在の状態におきましては非常に構造的な欠陥があるように思います。その点につきましては、西欧諸国間の国鉄が次第に衰微してきたのと同じ轍を踏んでおりますが、日本はそこまではいっておりませんけれども、その入り口にきているように思います。したがいまして、国がある程度めんどうを見てやらなければ国鉄自体は立っていけないということはもう明らかであります。しかし、一面において、国鉄自体も自分で合理化し、経営を切り詰めて、そしてその上に立って国民あるいは国の援助を求めるというのが正しいやり方であると私は思う。そういう意味において、国鉄が労使で話し合いをして合理化を行なっているということはりっぱな態度であるだろうと私は思います。ただ、公共の福祉とか安全を害するということではいけません。そういう場合には運輸省は監督権を発動することになると思いますけれども、現在の時点においてはこれは経営権の内部における問題でありまして、運輸省自体が乗り出すべき問題ではない、そのように思います。 しかし、国鉄財政自体は、別個の問題としてわれわれは真剣に取り上げなければならぬ段階にきておるのでありまして、いま国鉄財政確立推進のための特別の会議をつくりまして、各般の意見の取りまとめをやっておるところです。おそらく、方向としては国鉄も努力をする、それから国としても大きく援助の手を差し伸べる、そういうような形で、両者相まって行なわなければならぬものではないかと思いますが、委員会のお考えにもよりますけれども、私自体の考えとしましては、来年度の予算というものが、やはり国鉄の財政の質、構造というものを変えていく非常に大事な年になるだろう。しかし、五十四億円の国家的援助を直接出資という形で国がやりましたけれども、ああいう方向にもっと大きく乗り出すべき転回点に来た、そういうように私は考えております。 なお、ストライキの問題は、公共企業体は実力行使によってストライキをやることは禁止されておりますので、その点については、組合においてもぜひ自重していただきたいと要望いたしたいと思います。
○後藤委員 労働省のほう……。
○松永説明員 ただいままでいろいろ御指摘ございましたように、合理化問題をめぐりまして、労使の間で何回にもわたって団体交渉が行なわれておる実情でございますが、ただいま井上常務理事から御報告がございましたように、相当数のものが妥結を見ておるということでございます。 EL、DLの一人乗務、二人乗務の問題は、確かに非常に難航をいたしておりますけれども、やはりこの問題は合理化に伴う労働条件の問題でありますので、国鉄の経営者と国労、動労等、関係組合との間でさらに精力的に交渉を進められまして解決をはかられるということが根本的な解決の大筋であるというふうに私ども考えております。もちろん公共企業体等労働委員会、いわゆる公労委等がございますが、どうしても労使で解決できないという場合に、このような公正な第三者機関を、労使の発意によりまして御利用になるという道もあるわけでございますが、先ほど常務理事のお話を伺いますと、十二日前に、まだ時間もあるので、精力的に交渉を煮詰めたいと言っておられますので、それに強く期待をいたしますとともに、また私どものほうで、労政関係で何かお手伝いができることがございますれば、労使双方の御希望によりまして、できることは最大限いたしたいというふうに考えております。
○後藤委員 申し上げるといろいろな問題が出てくるわけでございますけれども、ただいま運輸大臣も言われまして、両者相まってやっていかぬことにはいかぬというようなことでもございますし、さらには来年度予算につきましては——ことしは五十四億の利子補給でございますか、さらに大きく国鉄財政問題については、運輸大臣も先頭に立ってひとつがんばってみたい、こういうふうな決意のほども聞いたわけでございます。 さらに、労働省といたしましても、残っておるEL、DLの二人乗務を一人乗務にする問題については、まことに大事な問題であるから、労使間で十分話をして円満に解決をしてもらいたい、こういうふうな御意向であったと私聞いておるわけでございます。特に私、運輸大臣なり、労働省なり、井上常務理事にも申し上げたいのは、いままでわずかな時間でございましたがいろいろ申し上げました。ただ私は、いま国鉄四十何万のその人方が、あえて好きこのんで闘争をやっておるわけじゃございません。好きこのんで機関助士の廃止をやっておるわけじゃございません。中には三十五年から四十年間勤務して、事、その職場における問題は、もうありとあらゆることを全部知り尽くした人がこのように叫んでおるんだ、これだけはひとつ大臣をはじめ皆さんも、十分理解をしていただきたいと思います。さらに十二日の大闘争を前にいたしておる今日でございますので、運輸大臣なり、あるいは労働大臣なり、国鉄当局としても、ぜひひとつ十二日の午前零時からこれが突入するということのないように、第三者のような立場でものを言わんならぬ場合もあろうけれども、この問題解決のために全力をひとつ尽くしていただくように、これはお願いをいたしたいと思います。皆さんの誠意いかんによって、この問題は解決すると思います。 冒頭からいろいろ申し上げましたように、これが万一解決せずに、十二日午前零時から十二時間のストライキに入る、こういうようなことになったといたしますならば、これは政府の責任であり、しかも労働省の責任であり、国鉄の責任であると申し上げてもいいくらい重大な問題であろうと私考えております。 重ねて申し上げるわけでございますが、国鉄労組なり、動力車労組が、二時間以上やったことのない実力行使を、十二時間、半日問にわたって決意を示しておる、いわば悲壮な決意のもとに安全を守るんだという気持ちをあらわしておることは、これは間違いないのでございますから、責任をもってひとつ円満に解決する方向へ全力を尽くしていただく、万一突入するというようなことになれば、かかってこれは全部皆さんの責任であるんだと言っても間違いないと思いますので、そのことを十分最後に申し上げまして終わりたいと思います。
○田川委員長代理 田畑金光君。
○田畑委員 大臣並びに援護局長に、北鮮帰還問題について二、三お尋ねしたいと思います。 実は北鮮に帰還したい、すみやかに帰還できるように日本政府の配慮を講じてもらいたい、こういうような朝鮮人の方が、私たちが上京するたびごとにたずねていらっしゃるわけであります。この問題については、過般の臨時国会において佐藤総理も、北鮮の帰還、これは人道上の問題でありますから、政府といたしましても日赤の意向を十分に尊重し、今後とも解決のためにつとめるものであると答えておるわけであります。北鮮帰還問題は政治問題でなく人道問題であると、佐藤総理も、そしてまた三木外務大臣も述べておるわけでありますが、今日に至るまで何らの前進を見ていない。世論も強く人道主義、あるいは赤一十字精神に基づいて、この問題が一日も早く具体的に処理されるように希望し、期待しておると見ておるわけでありますが、にもかかわらず、最近事態の進展を見ないのはどういうわけなのか、この際厚生大臣からひとつお答えを願いたいと思います。
○園田国務大臣 北鮮帰還問題は、ただいま御発言のとおりでありまして、その方向で努力いたしております。いままでの経緯につきまして、事務当局から答弁いたさせます。
○田畑委員 局長、経過について大体わかっておりますから、簡単に要点だけ……。
○実本説明員 いま大臣からお答え申し上げましたように、帰還問題につきましては、人道上の見地から、政府といたしましては日赤の意向を十分に尊重して解決の道を求めつつあるわけでございます。日赤といたしましては、コロンボ会談で提案説明しました線で、今後もこの問題を取り進めてまいるということで努力しておるわけでございます。政府といたしましてもこの線を了承いたしまして処理いたしていく、こういう現状でございます。
○田畑委員 そのコロンボ会議の内容についてでございますが、すなわち協定期間中の帰国希望者一万七千名については、一定期間中に帰国せしめるとの暫定措置が事実上合意に達した、その後の帰還希望者についての処理、これを一般措置と呼んでおるわけでありますが、朝赤側、朝鮮赤十字会のほうが、日本政府への法的拘束力を持たせるように主張したのに対し、日赤は、この措置は日本政府が自主的に行なうものだということで応じなかったのが原因で最後に決裂を見た、こういわれております。法的拘束力の有無と自主的な措置ということは、実態的に見ますとどのように違うのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思う。
○実本説明員 コロンボ会議の最終場面におきまして、いま先生のお話しのように、協定有効期間中に帰国の登録申請をされたいわゆる帰還未了者については、協定時代と同じような方法で帰還を行なうということ、これは先生のお示しのように、両当事者の問で完全に合意ができていた、その協定時代の帰還未了者以外に、以後申請される方についての措置というものにつきましては、法的拘束力を持つような取りきめによって、いわゆる形式的に協定のようなかっこうでその措置を保障してもらいたいというふうな意向があったわけでございますが、このいわゆる一般措置につきましては、これは政府が法的にきめます施策の内容でございますので、これをそういった赤十字社同士の協定によりまして法的拘束力を持たせるということは、形式的には不可能な問題でございますので、その点赤十字としては、それ以外の方法、たとえば会談要録といったような、ちょうど国会の議事録のかっこうのようなものを両方で取りかわして、事後措置についての取りきめと申しますか、形式的な固めをしたらどうかというふうなところまでいったわけでございますが、やはり北鮮側のほうで、従来の協定と同じような法的拘束力を持つものでないと不満であるということで、会談が不成功に終わったということでございます。先生お示しのそういう実態につきましては、事後措置におきましても、大体の方向で一致いたしておったわけでございますが、そういう形式の問題で事がうまく運ばなかった、こういう始末でございます。
○田畑委員 ジュネーブの赤十字国際委員会は、ことしの四月、日赤に対し、少なくとも協定期間中の帰還申請者一万七千名については早急に善処するように要望してきておるわけでありますが、これに対しまして日赤としては、ジュネーブ赤十字国際委員会に対しどのような回答を与えたのか。その回答に基づいて、今日まで具体的にどのような処理がなされてきたのか。
○実本説明員 国際赤十字委員会は、本年の二月八日の理事会におきまして、コロンボ会談の打ち切りによって帰還未了者の帰還の道が閉ざされるということを人道上の見地から憂慮されまして、先生お話しのように、日朝両赤十字会に対しまして、会談再開の可能性を検討することを希望する旨を表明してまいりました。これに対しまして、わがほうといたしましては、同委員会に対しまして日本側の考え方を十分説明いたしました。ジュネーブが心配しておられるような帰還未了者につきましては、まさしく人道上の問題といたしまして、従来どおりの方法でお返しするつもりでいるんだということをよく説明いたしました。その旨のことを本年の四月二日付で、そういうジュネーブの心配するような帰還未了者につきましての措置は、いまでもコロンボ会談のときに提案したような方法をいつでも講ずる用意があるという意見を表明いたしまして、国際赤十字の呼びかけに答えを出しておるところでございます。
○田畑委員 五月十八日、朝鮮赤十字会が、新潟への帰還船を配することと、新潟において両赤十字会談を提案したのにかかわらず、日本赤十字は六月二十四日これを拒否する回答をなしておるわけです。いま局長の御答弁のとおりであるとすれば、国際赤十字委員会に対しては人道問題として処理すると答えておるにかかわらず、朝鮮赤十字会からの申し入れについてはこれを断わっておる。この断った内容等についても私は承知の上で聞いておるわけでありますから、人道問題として処理するという国際赤十字に対する答えであるならば、この北鮮の赤十字会の提案がどうして受け入れられなかったのか、この辺はどういう事情であるか、はっきりお示し願いたい。
○実本説明員 五月二十八日の朝鮮赤十字会からの提案によりますと、その暫定措置の問題ということでなくて、とにかく六月の末に帰国船を入れたい、それを了承してもらいたい。その船が入りますときに、それ以降の問題についてもいろいろ話をしたい、こういうふうな申し入れであったわけでございまして、わがほうといたしましては、ただ何となしに船を入れるというのではなく、コロンボ会談のときに微に入り細をうがって御説明し説得いたしましたように、帰還未了者である一万五千人の人たちについては、ジュネーブもその人たちをいままでどおり返せということなんだから、その人たちの暫定措置を一体どうするのか。まずそれを前提にして、それから、それは合意に達しておるのだから、それをのんだその上で船を入れてくれという態度であるならわかるが、そういうこちらからの提案に対する根本的な点についての態度を示さずに、ただ船を入れるということでは問題の根本的な解決にならぬのではないかということで、こちらのほうといたしましては、ただお断わりしたわけでなくて、そういうふうな、この問題についてのコロンボ会談で、赤十字が、日本側が最終的に提案した提案に対して根本的にどう考えるか、その根本的態度を承ることがこの問題を根本的に解決するキーであるから、そこをはっきりしてもらいたい、こういうふうに申し上げて、一応この問題について全然断わってしまったわけでなし、国際赤十字の憂慮しておられる線でもって問題を処理していこうという根本的態度を示して、その返事をお待ちしておるという現状でございます。
○田畑委員 私は大臣にお答え願いたいのでございますが、局長の答えは大臣お聞きのとおりでありまして、率直に申しますならば、ジュネーブでお互い話し合うて一応一つの結論を得たわけだが、それをのまなければ、配船にも、あるいはまた新潟での話し合いにも応じない。これが北鮮側にも——日本政府の側から見るならば、言うべきことも多々あると考えるわけでありますけれども、国際赤十字に対する先ほどの日赤の回答などを考えてみるならば、もっと弾力的な立場で対処すべき問題ではないか、このように私は感ずるわけです。特に大臣御承知のように、世界人権宣言を見まするならば、その第十三条第二項において、「何人も、自国を含むいずれの国をも去り及び自国に帰る権利を有する」 このように明確にうたわれておるわけです。また日本赤十字社法の第一条の目的を見ましても、第二条の国際性を見ましても、たとえば第二条を見ますと、「日本赤十字社は、赤十字に関する国際機関及び各国赤十字社と協調を保ち、国際赤十字事業の発展に協力し、世界の平和と人類の福祉に貢献するように努めなければならない」 私は、この赤十字の精神から振り返ってみたとき、日本政府にも、先ほど申し上げたようにいろいろ事情もあろうし、言い分もあろうが、この際佐藤総理や三木外務大臣が、これを真に政治問題としてでなくして人道問題として処理するというのであるならば、具体的に日本政府としても、この際この問題の打開に何らかの方途が講じられてしかるべきであると考えるわけでありまするが、この点について大臣はいかようにお考えでありましょうか。ことに、先ほど局長の答弁がありましたように、法的拘束力を持たせるかどうかというような問題が一つの隘路になったということです。しかし、これに対して日本赤十字社としては、それは日本政府の自主性の問題として処理するのだというならば、実態においては別段変わってないように私は見受けるわけであります。にもかかわらず、形式的な対立でもって問題が混乱して、今日このようになってきておるということはまことに遺憾なことだ、こう見ておるわけです。 ことに、先般私は新聞で拝見しますと、北鮮をたずねられた日本共産党の宮本書記長が、帰られてから過般官房長官にお会いいたしまして、この問題については北鮮側にも話し合いの態度が十分あるやに——あるいはまた仲介の労をとられたのかどうかしりませんが、北鮮側も、この問題については弾力的に対処する態度が出てきておるような新聞報道もなされておりまするが、こういう新しい時点に立って、政府、特に赤十字社の指導監督の任にある厚生大臣といたしまして、この問題についてはどのような対処の方法を今後講じていかれようとするのか、この際明らかにしていただきたいと私は考えるわけです。
○園田国務大臣 ただいまの問題は、御指摘のように、総理大臣も私も、人道上の問題であるから、日本の赤十字と朝鮮の赤十字の人道上の立場からやることにさせたい、こういうことで今日までまいりましたが、おくれました事由は、御承知のとおりいろいろございます。日本の赤十字も、何回もまぎわまで待っておれませんので、慎重である点もございますしいろいろございましょうが、その後私どもといたしましては、日本の赤十字社を督励し、また私どものほうでも、これが解決する方向にいろいろ御相談をし処置をやってまいりました。 御承知のとおりに、この前のコロンボ会談がまとまらなかったのも、大きな対立でまとまらなかったのではなくて、手続上の問題であるとか、ごくわずかの問題で、いわば紙一重の差でまとまらなかったわけでありますから、そこで、両方がそれをそのまま主張しておってはまとまらない。やはり北朝鮮のほうも弾力性がなければならぬし、また日本の赤十字社のほうもこの前とは若干変わってこなければ、まとまるはずはございません。幸い各方面の方々が、北朝鮮のほうのことも、私的ではございますが御打診願っておりますし、私のほうもそれぞれ処置をし、あるいはジュネーブのほうにも人を派して早急に解決すべく手を講じておりますが、大体北朝鮮の御意向も判断がつきまするし、諸般の情勢もそうであるし、それから国内における一万七千名の方々の立場ももう最後の状態に来たと思いますので、早急にこれが解決するようにしたい、こう考えております。
○田畑委員 非常にデリケートな問題でありますので、いまの厚生大臣のお答えは、いろいろなルートを通じ接触を深めながら問題の解決に急いでおるということで私は了承するものでありまするが、しかしこの問題は、この委員会においてもしばしば論議されてきておりまするし、この委員会だけでなく、先般の衆議院の本会議においても、あるいはまた外務委員会においても、国会のたびごとにこの問題が論議されておるわけであります。人道主義で処理する、国際赤十字精神で問題を進めていくとお話しになっておられまするが、とはいうものの私は、政府の態度の中に、やはり政治的な面というものが強く背後に底流としてあるやに感ずるわけです。特にわが国の外務省などにおいては、私はそのような感じを強く受けるわけであります。 と申しますことは、言うまでもなく、ついこの間、先月の二十七日、二十八日でありましたが、第二回の日韓定期閣僚会議がございました。この席上においては幸いこの問題は取り上げられなかったように、新聞記事で見る限り私は見受けたわけであります。しかしながら、昨年八月の第一回の日韓定期閣僚会議におきましては、日韓基本条約で韓国を朝鮮半島の唯一の合法政権と認めておる以上、在日朝鮮人はすべて韓国民だと主張する韓国側から強力な主張がなされたということが、当時の報道としてあったわけであります。この第一回の日韓定期閣僚会議の共同コミュニケには、韓国の強い要求で、北鮮に対する帰還問題については韓国側はこれに強く反対する立場を明らかにし、即時打ち切りを要求し、これに対し日本側は、六七年十一月をもって終了することになっておるいわゆるカルカッタ協定を再延長する考えのないことを明らかにしたとの一項目がわざわざ挿入されておる。こういういわく因縁のある問題であるわけです。 幸い、一年後の過般の日韓定期閣僚会議において、この問題が議題にのったのかのらなかったのか私は存じませんが、とにかく共同コミュニケに見る限り、この問題には触れていないように私は記憶いたしておりまするが、この問題については、政治的ないろいろ顧慮すべきこと、あるいは配慮すべきことがあるかもしれませんが、あくまでもこれは人道主義の問題、国際赤十字の精神でもって処理するという大臣のいまの御答弁を、すみやかに具体化することが大切なことじゃなかろうか。これは、外務省にも厚生省にも日本赤十字社にも——もうすでに配船があるものだという予定で家財道具を売り払って、そうして帰国を待っておる気の毒な人が多々ある。私のところにも、しばしばそういう人がたずねてくるわけであります。やはりこの問題については、制度や、あるいは思想的にどうあれ、人道問題として処理するということを考えなければならぬ。ことに在日朝鮮人の多くが、かつて旧植民地時代の人であるということを考えてみまするならば、やはりそういう歴史的な経緯であるとか、日本とのいわく因縁の問題なども十分念頭に置かれて、この問題の処理を急ぐことが大事なことだ、このように考えておるわけであります。大臣の先ほどの御答弁は、まあそれで尽きるといえば尽きるわけでありまするが、一体いつごろをめどにこの問題の解決を進めていこうとするのか、いま少し具体的に今後の政府の方針なり——いずれ日本赤十字と申しましても、日本政府の意向あるいはは政治的な配慮その他によって支配、左右されることは明らかでありまするから、日本政府の確たる方針がなければ、日本赤十字社も動こうに動けないというふうに考えておるわけです。おそらく、赤十字精神を持つ日本赤十字社であるならば、私は、政治的な考慮を抜きにしてこの問題に当たりたいというのが日本赤十字社関係者の意向ではなかったか。これは推測でありまするが……。その意味におきまして、日本政府の態度なり方針というものがこの問題の解決の一番大きなキーポイントであるという立場において、いま少しひとつ大臣の具体的な今後の方針を承っておきたいと考えるわけです。
○園田国務大臣 御質問の趣旨は十分拝承いたしております。この問題は新たに起こっていまからどうするかという問題ではなくて、すでに人道上の問題として一万七千名の方の御希望に沿って帰ってもらう。それからあとのことは、もうどうということはさまっておる。手続上の問題でいままで食い違ってきたわけであります。 そこで、幸いそれぞれ意向もだんだんわかってまいりました。共産党の宮本書記長から向こう側の御意向も承りましたし、あるいは社会党のほうからも行っておるようですし、私たちのほうも手を尽くしておりますから、そういうのが近々大体見通せる情報が集まってまいります。向こうの情報もわかってまいりまするし、国際赤十字社の意向もわかってまいりまするし、前向きで前進するという意味ではなくて、すでにそういう方向で努力してきたが、具体的に処置をすべき時期が近々にきた、こういうふうに判断しておりますから、御質問の趣旨は十分了承して、御期待に沿うべく自信を持ってやっていきたいと思います。
○田邊委員 一問だけ関連質問いたします。 私は、当委員会で、たびたび北朝鮮の帰還問題を取り上げて所信をただしてまいったわけでありますが、いまの田畑委員の質問にありますとおり、コロンボ会談以来これが暗礁に乗り上げているという事態は、何としても打開しなければならないと思うのであります。そのためには私は、一つは、日本の立場なりあるいは日本政府なり日赤の真意というものが、相手に伝わっておらなければいかぬと思うわけであります。六月二十四日の日本赤十字から朝鮮赤十字にあてた電報の内容というものは、あまりにも形式主義であり、いままでのいきさつにとらわれて、いわば政府なり日赤の目ざす真意というものが相手に正しく伝わっておらないのじゃないかと私は思うのであります。したがって、これに対しては、やはり何らかの中間的な機関なりいろいろな人を通じて、相手方に——われわれはあくまでも、大臣の言われたとおり、人道的な立場でこの問題を解決しなければならぬし、総理もしばしば言明しているとおりでありますから、そういった立場というものはやはり相手に伝えることが、私はやはり必要ではないかと思う。これに対して、あるいは具体的な答弁は無理かもしれませんけれども、そういった手だてを講じておるかどうか、大臣のお考え方を承りたいと思うのです。 なお、いまお話しになりましたとおり、いろいろとこの問題に対しては各方面からの努力もあるようであります。政府も積極的な姿勢を示しておられ、その中でも厚生大臣がその先頭に立たなければならぬと私は思っておりますし、その努力をされていると思うのでありますけれども、日赤側は、いままでの一万七千人について合意をしなければ会談に応じない、朝鮮赤十字会のほうは、事後の問題も含めてやはり前提条件をつけたのではこれは会談にならない、こういうふうに言っておると思うのであります。私は、これらの点を総合してみますと、朝鮮のほうも、最近の情報では、柔軟な態度をとりつつある、こういう形になりますならば、私は、日赤もただ単に形式にとらわれて、前提条件をいわば向こうがのまなければ会談に応じないという一点張りでは、この問題の解決にはならぬじゃないかと思うわけです。したがって、どういう方法をとるかについては、当委員会においては大臣は明確な態度をお示し願えないかもしれませんけれども、しかしそういう事態が来ますならば、やはり日赤側に対しても政府の真意を伝え、日赤はこれに対して柔軟な態度をとられるような、そういう打ち合わせなり具体的な指導をされるべきじゃないか、こういうふうに私は思っておるわけでありますけれども、この二つの点に対して、ひとつ大臣の考え方をただしておきたいと思うのであります。いかがでございますか。
○園田国務大臣 第一点の御質問については、御指摘のとおりに、それぞれ配慮をして処置をいたしております。その結果が近々出てくると思います。 それから、第二点の問題は御指摘のとおりで、この前まとまらなかったのは、実質的には両方とも話が合って、形式的な問題でまとまらなかったわけでありますから、今度も、いよいよ具体的に進めるについては、形式よりも実質的に、お互いが保証できればよろしいという点からいきたいと考えております。
○田畑委員 私は、大臣の時間の都合もあるようですから、最後に希望だけ申し上げて質問を終わることにいたしますが、大臣の人柄をよく承知しておりますので、いまのお答えは、大臣が真剣にこの問題と取り組んでいこうという誠意のある答弁であると私は承っておきたいと考えるわけです。ことに私は、いま大臣のお答えにもありましたように、また私たちが指摘してまいりましたように、実体的にはお互い一致しておるが、形式的なところで対立して今日に来ておるということは、まことにゆゆしいことだと考えておるわけであります。 〔田川委員長代理退席、橋本(龍)委員長代理着席〕 その意味におきまして、先ほど共産党の宮本書記長の申し入れを引例いたしましたが、一番北鮮と仲のいい日本共産党の最高幹部が向こうに行かれて、そうして向こうの意向打診が日本政府に伝えられておるというようなことなどをかれこれ考えてみたとき、この問題の解決はタイミングに差しかかってきた、このように判断するわけでありますから、どうぞひとつ日本政府も政治的な立場を離れて、日本赤十字社があくまでもその赤十字精神に基づいてこの問題に対処し、解決に大きく前進できるようにひとつ御配慮賜わるよう、強く私は要望しておきます。 以上をもって私の質問を終わります。
○橋本(龍)委員長代理 関連質問の通告があります。これを許します。谷口善太郎君。
○谷口委員 私もほとんどないのですけれども、ただ一点だけ大臣に伺っておきたい。 先ほど大臣は田邊さんの質問に対して、新しい事態で相当進んでおるから、具体的にこれを解決するために全力を尽くしたい——たいへんけっこうであります。その中でこういうことをおっしゃったのです。日本赤十字社のほうもある点では若干従来の態度を変更した、朝鮮のほうも意向はよくわかったというようなことをおっしゃったのですが、この日本赤十字社のほうの態度変更という点、若干の違った形になっているという点について、お聞かせいただいたら非常に助かると思います。
○園田国務大臣 いま申し上げましたのは、形式上の手違いで一致しないわけでありますから、北朝鮮のほうの御意向もやや弾力を持たせてもらわなければならぬし、また日赤のほうもあのままで突っぱっておることはできないわけでありますから、弾力性をもって両方が一致できる方向に進めている。こういうことについては、北朝鮮の意向はだんだんわかってきたから、私どものほうもこれに応じて十分検討していきたい、こういうことであります。
○橋本(龍)委員長代理 谷口君に申し上げます。厚生大臣は四十分にはここをスタートさせなければならないので、簡単にお願いいたします。
○谷口委員 その内容の問題ですけれども、コロンボ会談では、いまおっしゃったとおりに、実質的には理論的に意見が一致してきている。ところが、日本政府の保証がなければならぬという向こうの主張があり、日赤の側でも、後段の新しく今後どうするかという問題については、これは日本政府の方針の説明をしたのだから、したがって、保証するとかなんとかいうことは要らぬということがあったのだが、それは、方針の説明をしたなんというかたくななことを言わないで、お互いにそれを合意するということがあってもいいのではないかというようなことの意味で、若干の前進が日赤の側にもあった、こういうふうに私は理解しているのですが、この点いかがでしょう。
○園田国務大臣 どの程度に話をまとめていくかということは、ごくささいなことでありますから、ここで答弁はできませんが、よく考えてまいりたいと思います。
○谷口委員 ありがとうございました。
○橋本(龍)委員長代理 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私はこの前の委員会のときに、愛知用水公団の東京事務所から豊川事務所に転勤を命ぜられた小林幸雄さんのことについていろいろとお尋ねしたわけでございますが、その後状況は調べてもらったですか。
○村上説明員 この前のお話がございましてから、豊橋の労働基準監督署を通じまして、豊川出張所のほうに対しまして、休職にするのかどうするのかという処置につきまして、具体的な判断をするようにいろいろ連絡はとってありましたが、御本人から診断書を再提出するという様子もなく、連絡がないようでございまして、休職扱いにするかどうするかということについては、出張所のほうでもそういう資料がないものですから、きめかねておるという状態だそうです。しかしながら、理由を示さずに賃金も払わないというのは適当でありませんので、豊川出張所のほうから御本人に対しましてその理由を示すといったような方法を講じて、その関係を明らかにするほうが適当ではないだろうかという示唆をいたしておる次第でございます。 ただ、一番基本になりますのは、休職にするということであれば、休職の原因を明らかにする診断書等がなければならない。そういった関係が、御本人と豊川出張所との間に話し合いがまだ行なわれておらないようでございます。先般も御答弁申し上げましたように、いずれにしても、事実に立脚しまして法律関係をはっきりさせなくてはいけませんので、御本人と豊川出張所のほうで話し合いが行なわれますように、私ども望んでおるようなわけでございます。
○大橋(敏)委員 もう一つお尋ねいたしますが、これは休職にするかしないかという問題は、診断ないし診断書の内容によって判断するのだというお話でございますけれども、四十二条の中に「休職の事由及び期間」という項がございます。そこを見ますと、「職員が負傷し、又は疾病にかかり、長期にわたって休養を要する場合には、次の各号に掲げる区分に応じ、期間を定めて休職を命ずることができる。」 その中を見ますと、いわゆる結核疾患は「三箇年以内」となっておるのですね。小林さんはまだ三カ年になってないわけですから、そういう休職にするかしないかという検討の時期ではないと思うのですよ。それ以前の問題ですから。
○村上説明員 これは愛知用水公団の労働協約でございますが、いま御指摘の点は、休職の期間を場合によりまして二カ年とか三カ年とか、こうしているわけでございますが、その休職になる以前の療養中の賃金が全額払われる期間が一年間あるわけです。そこでいまの段階は、一年間が経過したという段階でございます。一年たちましたので、今度は「次の各号の一に該当する場合には、休職させることができる」という規定が三十五条にあるわけでありますが、「休職させることができる」という規定でございますので、当然に休職とはならぬわけであります。そこに裁量の余地があるのですから、その休職するかどうかをきめます場合に「傷病のため長期の療養を要し、次の療養期間をこえるとき」、こうなっておりまして、結核性疾患については一カ年、こうなっているわけですから、その一年が到来した。そこで休職発令するとすれば、その休職が認められる期間は三カ年、こういうことになるものと、この規定から私どもは読んでいるわけであります。 そこで、休職発令するについて、その結核性疾患で長期の療養を要するかどうか、こういう判断があろうかと思うわけであります。これは私どもが判断するよりも、「休職させることができる。」こうなっておりますので、公団側がどういうふうな意思決定をするかということにかかっておるわけでございます。現段階では、休職させるべきだとか、させるのが適当でないといったような判断を、この規定から労働基準監督署が行なうというのは適当でございませんので、そこでまず、長期の療養を要するかいなか、これは要するに診断書問題になってまいりますから、そこから問題をはっきりさせなければ、この労働協約の適用につきましても考え方が明確にならないのじゃないか、こういうふうに申し上げておるわけであります。
○橋本(龍)委員長代理 農林省井元参事官が参りました。
○大橋(敏)委員 問題は、ことしの六月以降全然給与が本人の手元に届いていないわけですね。何の予告もなく給与が停止された。これは本人が公団の職員であるという身分を剥奪されたという、何かのはっきりした根拠でもあれば当然のことだろうと思いますけれども、これは私はないと思うのですね。職員たる身分を有する者に対して、もしも公団が給料を支払わなかった、その義務を履行しなかったということになれば、これは私は法律違反ではないか、こういうふうに思うのです。
○村上説明員 実はその点につきまして、法違反があるかどうか、これは私どもの職務でございますので、いろいろ検討いたしたわけであります。ところが、休職の発令はしてないことは明らかでございますが、労働をしていないということも明らかなわけであります。そこで、休職の発令もなくてただ欠勤している、こういう状態でございますので、これは労働の提供がございまして、あるいは提供がない場合であっても給与規程で特別な処置が施されておりますれば、規程違反ということで支払いを命ずることができるわけでありますが、その関係が、休職の発令にならない、病気欠勤かいなかという判断も明確でない。しかし労務の提供がなされていないというのは事実なんであります。 そこで、賃金を払えというについては、労務提供がないわけでして、しかもその場合どう扱うかという規定もないわけであります。判断の基準となるべき規定も非常に明確でありませんし、そういう事実関係が存在するわけでございます。しかも、それが不払いの意思表示なのか、払うべきものを遅延しているのか、そういった判断の根拠となるような手がかりがないものですから、その関係を明らかにしてもらいたい。休職なら休職の発令をすべきだし、そうでなくて、本人の自己の都合で欠勤ということならそうすべきでありましょうし、そこら辺の事実関係の明確化が前提でございます。私どもそういうふうに考えておりますので、御了承いただきたいと存じます。
○橋本(龍)委員長代理 答弁はできるだけ簡潔にお願いいたします。
○大橋(敏)委員 愛知用水の問題ですから、農林省の方、来られましたね。 お尋ねしますが、いま給料が事実停止されているわけですけれども、一体これはだれの指示で停止されておるのか、お尋ねします。
○井元説明員 それは愛知用水公団事理長の命で休職になっておるわけであります。
○大橋(敏)委員 いま労働基準監督署のほうも判断に迷うほどの内容の問題を、理事長の権限で給料を差しとめたりなんかするということは、これはできる仕事なんでしょうか。
○井元説明員 ごもっともでございまして、もちろんその間にいろんないきさつでトラブル等がありますれば、当然農林省にもその話があるはずでございます。現に農林省のほうでも、その様子は一部連絡を受けております。残念ながらいきさつの非常に詳しい者がいま出張しておりますので、この席でいままでのいきさつを申し上げるだけの連絡が実は十分とれなかったわけであります。
○大橋(敏)委員 法務省の方に聞きますけれども、この事件の内容は、この前の委員会のとき大体お話しして、御承知と思いますが、本人は事実いまも病気中なんです。療養中なんです。そして診断書も確かに出しておる。不備な点は幾らかあったかとは思いますけれども、このような、現実に給料を差しとめられていて療養費にも事欠くというような苦しい生活に追いやられているわけですが、こういう面は人権侵害ではないかというふうに考えるのですがね。その点はどう思いますか。
○田邊説明員 実は所管の人権擁護局からはきょう参っておりませんので、私からお答えしかねるのでございますが……。
○大橋(敏)委員 この問題は、次の委員会にまた譲ることにします。 それでは、東京事務所長の身分と職務権限について、さらにお尋ねいたします。 前回の委員会において、島崎説明員がこう言ったのです。愛知用水公団の嘱託の職務については、職務の内容に限定がないので、上司の判断によってその職務内容を与え得ると解釈している、こう答えたわけですが、はたして職務の内容に限定がないのか。つまり公団管理職の中のトップクラスの職務にもつかせ得るという解釈であるかどうかという問題ですね。これはどうですか。
○井元説明員 公団の規定事項にあるということを聞いておりますが……。
○橋本(龍)委員長代理 いま会計検査院第五局長が見えました。
○大橋(敏)委員 昭和三十一年八月十日付の愛公達の第二七号「職員に対する事務の委任について」、これによれば、公団事務の委任ができるのは職員に対してのみであって、嘱託に対する事務委任、すなわち専決処理は禁止されている、私はこう見るのですが、その当時の嘱託前田正義さんですか、これは東京事務所の事務の一部を専決処理している。これは私は明らかに違反ではないかと思うのです。どうですか。
○井元説明員 いまの御質疑のとおりでございまして、嘱託は権限の中に入っているわけでございます。それから職員も一部その権限の中に入っておるというふうに解しております。
○大橋(敏)委員 愛知用水公団職員服務規程によれば、「職員とは公団に継続して雇用され、常時公団の業務に従事する者」とあります。同じく嘱託服務規程によれば、「一定期間継続して公団に雇用され、常時公団の業務に従事する者」とあるわけです。つまり嘱託というものは期間雇用者ではないか、私はそう見ているわけです。これで明らかであります。しかも規程によれば、一年以内しか雇用できないとなっているのですね。こういう期間雇用者に対して管理監督的な職務を与えられるのかどうか。私は、常識からいってこれはできないのじゃないか、こう思うのですが、その点どうですか。
○井元説明員 一般的には嘱託は一年雇用で書きかえを行なっておるのがたくさんありますけれども、自動継続になるのが多いのでございます。それで自動契約になる場合も、特に一般職員並みに考えることが一般的に多い。その例としてあるわけでございます。
○大橋(敏)委員 さらにお尋ねしますが、嘱託服務規程の第五条によれば、嘱託は手当のみが支給され、その内容は、基本手当、通勤手当、特殊勤務手当、時間外手当、夜勤手当、期末手当、寒冷地手当、これのみですね。そこで、公団職員給与規程によれば、役付職員には職務手当を支給することになっておりますが、嘱託には職務手当はないはずでございますね。ところがこの嘱託の前田さんは、正規の勤務時間をこえて勤務している事実がありますが、そういうときに、時間外手当を支給しているのか、いないのかという問題が一つです。もしもしていないとなれば、労働基準法違反ではないかと思うのです。これは農林省、労働省の見解を聞きたい。
○井元説明員 農林省といたしましては、そういう手当は支給していないと思います。
○村上説明員 労働基準法上では、嘱託とか職員とかそういう区別がございませんで、労働省でございます。それが超過勤務をした場合に割り増し賃金を払わなくちゃいけないというのは、法の定めるところでございます。しかしながら、労働基準法の四十一条の第一号では、管理監督の地位にある者については、労働時間に関する規定の適用を除外いたしております。ですから、いまの前田さんという人が管理職でございますと、労働時間に関する規定の適用は排除されますから、割り増し賃金支払いの問題は生じない、こういうことになろうかと存じます。
○大橋(敏)委員 次にお尋ねしますが、愛知用水には常用労務者という身分の区分があり、それは「公団に継続して雇用され、常時公団の業務に従事する者」と規定されてあるはずです。給与も職員給与規程を準用するということになっておるはずです。そこで、嘱託は常用労務者よりももっと公団に対する結びつきが少ない、こういうふうに私は見ていいのじゃないかと思うのですね。これは規程の上からそのように私は読めると思うのです。このようなものとして定められている嘱託に、東京の事務所長のような重い責任ある仕事、職を与えているということ自体が、私は問題ではないかと思うのです。その点はどういうふうにお考えになりますか。両方でお答えください。
○井元説明員 いつからそういうふうになったか、ちょっと記憶にないのですけれども、愛知用水ももう先が見えておるものですから、そういう条件も考えあわせて、相当農林行政に精通しておるものですから、暫定的に所長にしたというふうに考えられます。
○村上説明員 私からお答えいたしますのは適当かどうかわかりませんが、ある企業において何人を監督的地位につけるかは、その企業の判断でございまして、格別労働基準法上の問題はないと思います。 ただ、先ほど四十一条一号と申し上げましたのは二号の誤りでございますので、訂正させていただきます。
○大橋(敏)委員 近くこの公団は合併するので、そういう事情からずるずるになっているのじゃないかというような印象を受ける答弁ですけれども、そういうことでいいのでしょうかね。
○井元説明員 そういうふうに御推察される向きもないではございませんけれども、実は御本人は三月まで正規の職にございました。それで、定年等がございまして、本人からは退職したいという話がありましたけれども、もうわずかな期間であるということで嘱託で所長を延ばしております。嘱託になったのはことしの三月であるということが現在わかりました。
○大橋(敏)委員 公団組織規程第五十二条に「必要に応じて嘱託を置くことがある。」 こうあるわけですね。私は、前田さんの嘱託についてどのような必要を生じて置いたのかと聞いたら、島崎さんの説明では、要するに東京事務所長の事務を取り扱わせるために必要だった、こういうわけです。よろしいですか。その嘱託というのは、あくまでも、従来の仕事を職員でもって十分やりこなせない、したがってそれをカバーするために臨時的に嘱託を置くのだ、こういうのが嘱託の任務だと規定されておるわけです。ところが、この前の島崎さんの説明では、はっきり東京事務所長としての事務取扱、それに嘱託したのだ、こう言ったのですけれども、こういうことは嘱託制度のたてまえからいって誤りではないか、私はこう思うのですよ。どうなんでしょうか。
○井元説明員 どうも誤りという——責任上のそしりはないわけではございませんけれども、いまの事務という考え方に、その職務、人事の権限までを与えておるかどうかということが問題になるだろうと思いますが、一般的には、権限まで与えられなくても、所長としてどういう考えだということを参考的にいろいろ聞きまして、あるいは公団の監理官のほうで、それならばこうしたらいいだろう、ああしたらいいだろうという指導をいろいろ与えたうらみもあるかもわかりません。
○橋本(龍)委員長代理 大橋委員に申し上げますが、時間がだいぶ詰まっておりますので、会計検査院に御質問がありましたら、そのほうに……。
○大橋(敏)委員 同じ五十二条に「嘱託は上司の命を受けてそれぞれ命ぜられた職務を行なう」とあるのです。一切を包括して与えられているのではないでしょう。それぞれ特命規定じゃないですか。それを一切まかせるというのはおかしいのではないか、あくまでも嘱託なんだから。その点はどうなんです。
○井元説明員 どうもおっしゃるとおりかもしれませんけれども、先ほども申し上げましたとおり、いろいろ参考的な意見を聞いて、本部のほうの指示があったのではないかと推察しておる次第でございます。
○大橋(敏)委員 これは明らかに組織規程違反ですね。そうでしょう。
○井元説明員 どうも研究が十分ではありませんので、その点はよく存じません。
○大橋(敏)委員 東京事務所長というのは、分任契約担当役、分任物品管理役、分任出納命令役などの会計機関だと思います。ところが、昭和三十一年の愛知公団訓令第三号、「会計機関の設置及び任命について」第二条によれば、契約担当役は、「契約その他収入又は支出の原因となる行為のうち、理事長が他の役員又は職員にその処理を委任したものにつき、公団を代表し又は理事長の代理をすることができる、こうあるのです。これによれば、分任契約担当役等の分任会計機関は、職員でなければならない、職員の身分を有する者でなければ任命することができないとあるのですが、これは認めますか。
○井元説明員 嘱託の職員に限っては、いま説明されたようなことについては権限があると思います。
○大橋(敏)委員 いま言ったように、もう一回読み返すと時間がかかるので、よく帰ってから読んでもらいたいのです。その条文の中からは、嘱託をそうした会計機関に任命するわけにいかないということになっているのです。いいですね。 それでは会計検査院にお尋ねいたしますが、前回も質問したのですけれども、東京事務所で振り出している小切手の名義人が、東京事務所長前田正義、こうなっているわけです。前田正義は、東京事務所長事務取扱、嘱託前田正義であれば、これは私は問題はないと思うのですけれども、前のままの身分で小切手などに使用されている。これは問題です。それは嘱託前田正義であるのが現実の身分なんですよ。にもかかわらず、東京事務所長という立場でやはりいまも小切手が動いているわけです。これをどう見られますか。
○小熊会計検査院説明員 お答えいたします。 本件につきましては、実はつい先刻事案の内容についてお伺いしたばかりでございまして、ただいま御質問のございました小切手の名義の問題でございますが、これも全部公団の嘱託の扱い方その他全体に関係する問題ではない、こう考える次第でございますが、どうもいま直ちに判断いたしかねますので、ちょっと御猶予をお願いしたいと思います。
○大橋(敏)委員 かりにたとえばの話でけっこうですが、きのうまでは所長の身分であった、きょうはもうすでに嘱託の身分になった、そうしたときに、きょう以後も前の名義のままで取引をやる場合、それを使用していいのかどうかということです。それは違法にはならぬのですか。
○小熊会計検査院説明員 非常にむずかしい問題でございまして、われわれは法律の専門家でもございませんが、正当に権限を委任されている者が小切手を振り出す、そしてそれが転々流通する、真実味において欠けてない、しかも小切手記載事項というものが法定の要件に合しておれば、それは有効である。特に小切手あるいは手形のようなものは公信性の非常に強いものでございますから、記載事項について誤りがなければ、それをそのまま信用して受け取って、そして支払いの請求をして受領できるということになっておれば、そうさしたる問題はないのではないかと思いますが、先ほど来先生のおっしゃっておりますことは、むしろそういう内部的な関係において正当かどうかというようなお話であろうかと承っておるわけでございますが、この点につきましては、まだ十分われわれ検討いたしておりませんので、しばらく御猶予をお願いいたします。
○大橋(敏)委員 時間がないようですので……。 昭和三十五年四月六日付、愛公達第一二四号ですけれども、その第五十二条二項によれば、「現金出納役は取引銀行等に資金を預け入れ、又は有価証券を預託しようとするときは、その氏名及び印鑑を届け出なければならない。」と、こうはっきりしているわけですね。ところがいまのお話は、三月三日付までは従来どおりでこれは問題ないのですけれども、四日以降については、これらの取引銀行に対して嘱託前田正義及び前田正義個人の判を届け出なければならないはずであると思うのです。それをなされたのかどうかというのが一つ。なされてなかったならばこれは違反ではないかということですが、その点農林省から。
○井元説明員 冒頭にも申し上げましたとおり、一番よく知っている係があしたまで出張なものですから、現在その調べがついておりません。まことに申しわけありません。
○橋本(龍)委員長代理 大橋委員、そろそろ時間が参っておりますから簡単にお願いします。
○大橋(敏)委員 では結論から言います。 この次の委員会でもう一回私はこの問題をお尋ねしますので、わかる人に来ていただきたいと思います。 それから、東京事務所から振り出された小切手のうち、本年三月四日以降の分の券面記載の氏名というものは不実記載ではないのかという疑問があるので、これもあわせて関係者は調査して報告を願いたいと思います。 きょうはこれで終わります。 ────◇─────
○橋本(龍)委員長代理 先般、社会保障制度、医療、公衆衛生及び社会福祉事業並びに労使関係、労働基準及び雇用・失業対策等の実情調査のため香川県及び徳島県に委員を派遣しましたが、その報告書を本日の会議録に参照として掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橋本(龍)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。 —————————— 〔報告書は本号末尾に掲載〕 ——————————
○橋本(龍)委員長代理 次回は来たる十七日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時三十四分散会