産業公害対策特別委員会 第5号
- 発言数
- 263 件
- 登壇者
- 30 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1968/11/07
会議録
○山崎委員長 これより会議を開きます。 産業公害対策に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。 産業公害対策に関する件について、本日、参考人として公害防止事業団理事長原文兵衛君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ――――◇―――――
○山崎委員長 この際、鍋島科学技術庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。鍋島科学技術庁長官。
○鍋島国務大臣 阿賀野川の水銀中旬事件につきまして、去る九月二十六日、科学技術庁として見解を発表いたしましたので、それにつきまして、経過及びその結論を御報告いたします。 科学技術庁は、阿賀野川の水銀中毒事件につきまして、昭和四十年度、厚生省及び農林省に対しまして特別研究促進調整費を配分して、原因究明のための研究を進めるようにいたしてまいりました。これにつきまして、すでに皆さま御承知のとおり、昨年の国会におきましては、各省それぞれ意見の異なる点もいろいろございましたので、科学技術庁に対し、政府としての統一見解をできるだけ早く出すようにという国会の御意見と、政府もそれに基づいて、科学技術庁に統一見解を出すようにという命令があったわけでございます。 各省の統一見解がようやく出そろいましたのは、昨年暮れから本年当初、正月にかけてでございまして、厚生省は、食品衛生調査会の結論をもって厚生省の意見とする、あるいは農林省あるいは通産省及び経済企画庁等からも意見が出そろいました。したがいまして、これに伴って、でき得る限り科学的統一見解を出すべく努力をいたし、また私も国会等におきまして、本年四月前後までにはこの統一見解をぜひ出したいということを申し上げた次第でございましたが、意見調整に非常に手間どったわけでございます。この点はまことに申しわけございません。 なおまた、一応科学技術庁としての意見をとりまとめましても、それを各省に納得をしていただいて、政府の統一見解としてこれを発表する、いわゆる各省の了解を得るというようなことに相当の時日を経まして、そうして各省の御意見をもとに、科学技術庁としての科学的統一見解というものを九月二十六日に発表いたした次第でございます。 本見解の要旨は次のとおりでございます。 この中毒事件は、阿賀野川がメチル水銀化合物で汚染されまして、それが川魚の体内に蓄積をいたし、これを多く食べた人々の体内に移行した結果起きたものと考える。 次に、どのような状態の汚染が中毒を招いたかということにつきましては、第一番に長期継続汚染によって発生したということと、さらに第二番目に、長期継続汚染に比較的短期間の、いわゆる短期汚染あるいは短期濃厚汚染が加わって発生したという二通りの可能性があると考える。しかしながら、そのいずれかに断定するだけの資料は、各省からいただいた資料の中に、どうしても発見できなかったのであります。しかし、いずれにいたしましても、阿賀野川の長期汚染というものが、本中毒発生に十分関係がある。文書は「関与しており、」と書いておりますが、その程度は明らかでないにしても、本中毒発生の基盤をなしたものであると考える、こういうことでございます。次に、長期汚染源として考えられるものは、主として昭和電工鹿瀬工場の排水である、こういうことでございます。四番目に、それでは短期濃厚汚染源として考えられるものは何かと申しますと、新潟地震によります埠頭倉庫の保管農薬の流出ということ、あるいは昭和電工鹿瀬工場の操業停止前後の汚染の急増――これは管理の問題でございましょうが、操業停止前後の汚染の急増の問題などが一応考えられる。またあげられておりますが、これを事実として立証することはできなかった、こういう見解でございます。 政府の統一見解はもっと長いものでございますが、科学技術庁として要点を申し上げれば、以上のようなことになっておる次第でございます。 以上御報告を申し上げます。
○山崎委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。橋本龍太郎君。
○橋本(龍)委員 ただいま科学技術庁長官から、新潟水銀中毒に関する特別研究についての政府としての御説明がありました。私どもは、この特別研究に関しましても、昭電鹿瀬工場のスラッジの中からの有機水銀の検出の有無等、なお納得のいかない点はございますが、この見解自体については、政府のなさった調査でありますから、十分権威のあるものとして、これを了承させていただきたいと思います。 ただその点について、科学技術庁長官及び厚生大臣、両大臣からお答えを願いたい点でありますけれども、先般この見解が発表されました後に、関係の企業の反応というものはいろいろな形態がございました。中には、政府見解とまっこうから対立するかのごとき印象を与えるような見解も、新聞等を通じて発表せられたところもあるわけであります。ところが、十分政府としては自信をお持ちになってお出しになったであろうその見解に対して、まっこうから反論がなされておるにかかわらず、それに対しての政府の再見解といいますか、反応というようなものは、今日まで私どもは耳にいたしておりません。いやしくも、政府がこうした問題に対して見解を出されて、それに対してまっこうから相反するかのごとき印象を与える反論がなされた場合、それに対しての態度が政府から表明されないということは、私どもとしては納得のいきかねることであります。今後なお、この問題は継続して議論をなされていくべき性格のものでありますが、一体、政府見解というものはそんなに権威のないものなのか、一民間企業からまっこうから反対するかのごとき言辞を弄された場合、何らそれに対して再度反論することのできない、ただ出しっぱなしだけのものなのか、一体、政府見解というものの拘束力といいますか、権能というものはどこまであるのか、私どもとしては非常に疑問にたえない点であります。本日御報告を受けました機会に、公害行政の中心であるべき厚生大臣、またこの調査報告をお出しになりました中心である科学技術庁の長官、両大臣から、この点についての御意見をまず伺いたいと思います。
○園田国務大臣 ただいま科学技術庁長官から、技術的な統一見解が報告をされましたが、私のほうでは、科学技術庁のほうで出された技術的見解を基礎にして、その他の状況を判断をして、この中毒事件に対する、公害である、しかもその主犯は昭和電工である、という意味の最終の結論を出したわけであります。若干食い違いがあるようでありますが、これは食い違いがあるのではなくて、私のほうでは、科学技術庁の見解に反論をしたわけではなくて、それを基礎にして、経緯その他を加味して、厚生省の立場から、政府の最終的な中毒事件の見解を発表いたしました。その発表をいたしました際に、他の方々からの御意見は正式に承っておりませんが、昭和電工のほうでは、まだ詳しく聞いていないからということで、最初は声明とかあるいは反論を出されるという話を聞いておりましたが、正式な具体的な技術的な反論はなされないで、ただ信念に変わりはない、これだけの発表であったようでございます。しかし、御指摘のとおりに、政府の公害認定を納得するという意思の表明もございません。そこで、そういう表明があるのを待っておるわけでありますが、私のほうでは、技術的なあるいはその他の反論がございませんから、以前にはございましたが、この政府の最終決定は断固変更されるべきものではない、こう考えております。
○鍋島国務大臣 科学技術庁は事業官庁でございませんので、この見解に基づいて、それぞれ各省におかれまして、その後の援護あるいは公害未然防止の措置をとっていただきますように、実はその発表後、長官談話を発表いたしておるわけであります。いま厚生大臣からお話がございましたように、私のほうにも昭和電工から正式に文書なりあるいは口頭をもって、この反論といいますか、反証をあげたものは全然来ておりません。しかし、問題はそれよりも、その見解に基づいてとらるべきその後の措置が必要であろうと思いますが、これは私も、逃げるわけではございませんが、事業官庁ではございませんので、厚生省にお願いし、厚生省の御指示――政府として御指示を申し上げて、進みたいと考えておるわけであります。
○橋本(龍)委員 いま両大臣から、それぞれのお立場での御意見が発表されたわけでありますが、私どもは、政府の見解というものに対して、その技術的な裏づけに関しましても、なお幾つかの点で疑問を有しておることは先ほど申したとおりであります。しかし一たん政府が見解を出されました以上、この内容について、こまかい点はまた同僚委員の各位から御質疑等もございましょうし、私はこれ以上触れてまいる意思はございませんが、ただ、政府の見解がいやしくも世間からああいう反論がなされているにかかわらず、どうしてその後の意思表示がなされないのかというような疑問を持たれるようなことがあっては、これはたいへんなことであります。また、技術的に見て、今回の調査の中で、あるいは疫学的な面、あるいは先ほど簡単に申し上げましたが、スラッジからの有機水銀の検出の有無に関する件、いろいろな点で、なおわれわれが疑問を持つような点があるわけでありまして、今後なお十分な御検討を願いたいということを、この際につけ加えて申し上げておきたいと思います。 しかし、考えてみまして、私ども当委員会で何回かの会議を繰り返してまいります間に、ずいぶん多くの具体的な案件について、同僚各位から、政府に対して強い御指摘あるいは御質疑等がなされました。また世間には、現在公害紛争中のものがずいぶん多くございまして、幾つかは訴訟の過程にあるものもあります。ただいま両大臣の御発言の中にもありました昭和電工の事件にしましても、現在これは裁判進行中のものでございます。私どもは、裁判進行中の事件に対して、これ以上容喙する意思を持ちません。しかし考えてみまして、私どもは一つ大きな問題点を感ぜざるを得ないのであります。それは、こうした公害の発生に対して、国の負うべき責任は一体どこまであるか、そうした点についてであります。先般当委員会から各地へ国政調査のために出ました際に、あるいは一部すでに公害が発生し、その原因が究明されましたような地域において、そうした工場の設置を許し、そうした工場の技術的な認可を下した国の責任はというような問題も、一部から意見として出されました。私どもは、こうした新しい企業を認可していきます際に、従来、ややもするとその技術水準、生産に関するもののみに視点が行き、派生する問題に対しての検討が不十分であったのではないかというような感じがするのであります。今日以降新たに立地するであろう企業に対して、そのような失敗を繰り返さないように、これは政府として十分御検討を願わなければなりません。ところが、もう一つの問題点は、今日各地で起こっておりますいわゆる公害紛争の中に必ずしも原因あるいはその責任主体が明らかでないままに、非常に多くの被害者が出ており、被害者の方々とすれば、現在わが国にあるいは被害者救済制度がない、あるいは紛争処理の制度がない、そのために、最も可能性のありそうな企業を相手どって直ちに訴訟に入る、そうした傾向が目立っております。私どもは、現在起こっております各地の公害紛争の中で、被害者救済制度が確立され、あるいは紛争処理の制度が確立されておった場合、まず被害者の救済を行ないながらその原因を究明し、そしてその責任主体を明らかにするための紛争処理の制度が十分に活用されていくなら、裁判ざたにまでしなければならないような問題のしこりを残さずに済むケースが往々にしてあるのではないか、そのように感じております。 本日朝刊に、「公害救済「被害者基金」を新設」という見出しで、「通産省案きまる」という記事が掲載せられました。従来私どもが新聞紙上等において聞き及んでおりました範囲内では、当初厚生省としては、産業界の出資比率をある程度多くし、企業の責任において被害者の救済を主として行なっていきたい、それについては八分の五産業界から負担を願い、国が残りを負担するというようなことが伝えられておったのであります。本日新聞に掲載されております被害者基金新設という記事の内容からまいりますと、公害防止事業団の中に救済基金を設け、「基金へのきょ出は産業界が五〇パーセント、あとの五〇パーセントは国と地方公共団体が負担する。」あるいは「公害責任者が確定した場合には事業団の支出分を責任企業に請求する。」、種々の問題が出ております。 厚生大臣にお尋ねをいたしたいことでありますが、厚生大臣もまた、産業界の支出は五〇%ということで御納得をされたのでありますか。世上伝えられておるところによれば、厚生省は、産業界には八分の五の負担を願いたいということを強く要請しておられたようであります。本日新聞に発表されましたものは、通産省案とは書かれておりますが、どこの省が出すものであれ、政府が被害者救済基金をつくろうとしておる現在、こうした数字が出されたことについて、私どもは、伝えられる何が一体正しい数字なのか、今後一体、私どもはどういう方向で、政府から出されてくる法律案を審議していかなければならないのか、そうした点に疑問を持つものであります。この被害者救済基金の内容について、通産省の事務当局からも、その内容を簡単に、いま考えておられるものを伺いたいと同時に、厚生大臣からは、通産省の案として新聞に掲載されておるものが、厚生省としても納得をされたものなのかどうか、この点についてお答えをいただきたい。
○園田国務大臣 基金の出し分で、昨年私のほうで折衝しましたのは、御指摘の数字でございます。ことしはまだ通産省の意見としてまとまったわけではなくて、当初は、国のほうでは、企業の責任を明確にせよ――国といっても財政当局であります。企業のほうでは、そういうことでは話に乗れないということで、折衝の段階に入らなかった。いまようやく企業家の側で、五〇%という意見が出てきまして、私どものほうでは、それでは納得できませんので、いまそれを詰めておる段階でございます。
○矢島説明員 ただいま先生の御指摘になりました新聞記事は、私もけさ見ましたけれども、通産省で別に正式に発表したわけでもないのでございますが、実際問題としては、現在通産省で、この被害者救済基金制度について、通産省としての案を省内でまとめる段階にありまして、ほぼまとまったところでございますが、それがどこからか漏れて、新聞に出たものだろうと思います。内容につきましては、繰り返す必要もないと思うのでありまして、大体そこに書いてあるようなのが通産省の案でございます。それで、実際問題といたしましては、その案でもって、非公式に、関係各省とはポイントについて話しております。たとえば、見出しに出ておりますが、五〇%の点につきましても、御意見を関係各省に非公式に打診している段階でございます。なお、その五〇%の問題につきましては、いろいろ御批判があるかと思いますけれども、いまの段階で五〇%と出ておりますが、当初におきましては、産業界としてはいわば相当うしろ向きでございまして、とても五〇%などは出すような機運ではなかった。すでに当委員会においても、おそらく一年近く前から御質問があったと思いますが、通産省としては、産業界は社会的責任にかんがみて、ぜひともできるだけの協力をしなければならないということを、一年近く前からやっておりまして、初めは、半分はとても出さぬ、三分の一も出さぬというような状況だったのを、ようやくここまで持ってきたのが、この五〇%というわけでございまして、あるいは五〇%そのものが、厚生省の去年の案の八分の五に比べますと、少ないという御批判は十分にあると思いますけれども、経緯にかんがみまして、ようやくここまで持ってきたという点を御理解願いたいと思います。以上でございます。
○橋本(龍)委員 大体この新聞に伝えられておるものが通産省の案であるとすれば、今日まで当委員会で議論をされてまいりました内容に比して、相当程度なお不十分な点が残されておるように私どもは感じます。今後なお立法されるまでの間に、問題の焦点を煮詰めていただきまして、被害者の方々に対して、より十分な救済ができるような措置をお考えを願いたい、これは要望を申し上げておきます。 私の持ち時間は非常に限られておりますので、これ以上長い質問はいたしません。ただ、最後にお尋ねをいたしたいことは、被害者救済制度、同時に紛争処理制度について、厚生省当局は、来国会、明年の通常国会に、それを提出される意思はおありなのか、その見通しは、大体いつごろ提出をされる予定なのか、これについてお話しを願いたいと思います。 また、通産省のほうにお尋ねをしたいのは、昨年からペンディングになっております工業立地適正化法は、明年の国会に御提出の意思がおありなのかどうか、この点についてお答えを願いたいと思います。今日、大企業といわれるような企業は、ずいぶん公害防除のためにも努力をいたすように変わってまいりつつあります。なお、今日一番大きく考えなければいけないのは、いわゆる中小の企業における、自己資金によって公害の防除ができかねるような弱小の企業が起こしておる公害であります。それこそ、こうした小さい企業が住宅区域内に点在しておるのを一カ所にまとめていく、あるいはその他の措置を講じていくことによって、これから先、生活環境はずいぶん変わっていくでありましょう。そのためにも、私どもは工業立地適正化法というものが国会に提出されることを、先国会も心から願っておりました。遺憾ながら、先国会に提出されなかったわけであります。私どもとしては、何とかして次の国会に、政府としてこれを御提出願いたいと考えております。先国会の末にも、そのような意味の御表明が、通産当局からあったわけであります。はたして出せるのか、出せるとすればいつごろ出せる御予定なのか、この点お尋ねしたい。 最後に、厚生大臣に一点お尋ねをいたしたいと思います。ちょうど先般、水俣病に関しての見解が出されました直後に、新聞の伝えるところによりますれば、厚生大臣は水俣病の患者の救済について、厚生大臣として企業との間に調停あっせんをしようというような御趣旨の発言をされたように聞いております。私どもは、これから先の公害問題についての被害者の救済にせよ、あるいは紛争の処理にせよ、こうしたものを示していくのは、あるいは公取委、中労委といったような第三者機関によるものを念頭に置いておったのであります。先般の大臣の御発言によれば、政府自体、厚生大臣自体が企業と被害者の間の調停あっせんをするかのごとき御発言のように、私ども拝見をいたしております。もしそうであるとするならば、はたして厚生大臣の権限だけでそうした調停あっせんができるものかどうか、私どもは疑います。むしろ本来ならば、第三者機関によって行なわれるべきものであると考えるのでありますが、大臣の御発言によれば、厚生大臣自身が企業と被害者の間の調停あっせんをなさるように聞こえておりますが、その点の御意思はどうなのか、もしそのとおりであるとすれば、今後つくられるであろうこうした機構の中には、厚生大臣がその長としての責任をおとりになることになる、その点明確にしていただきたい。最後に、その点をお尋ねをいたします。
○園田国務大臣 まず最初の救済と紛争処理の法律案でございますが、救済のほうは、法律案をお願いする場合は、主管は私のほうになると思います。それから紛争処理のほうは、各省相談の上でなると思いますが、いずれにいたしましても、私のほうがおもな中心になって相談をしておるわけでありますが、すでに審議会からも、十月の十八日にその大綱が出されておりますから、いま各省と折衝中でございまして、御指摘の基金の問題の比率だけが大体問題になっていると思います。通常国会に提案したいと考えております。 それから、熊本県の水俣市における公害で、私があっせんに立つと言ったのは、地元からの御意見で、もし要求があれば調停の役をするか、こういうお話でございましたから、関係者から要求があればその労をいとうものではない、ただし、そのことには順序があるから、やはり地元の市町村なり知事さんにまず中に入ってもらって、話し合いを進めていただきたい。これはもちろん関係者が裁判によらないで話し合いにするということであります。そこで、そういう発言をしたわけでありますが、きのうまた来られまして、どうも自分たち当事者では話が進まないから、そこでリードをとってくれ、こういう話がありましたから、それでは知事さんのほうにお願いをして、第三の機関をつくられて、一つの機関が中にあって、両関係者が話し合いを進めていって結論を出す。その場合にも、私のほうで話を出す必要があれば、決して労はいといません、こういった意味でございまして、将来紛争処理その他をつくる場合には、当然これはその機関でやるべきであって、行政府である政府がこれに関与すべきでないことは、御指摘のとおりに私も考えております。
○矢島説明員 先生御指摘の工業立地適正化法につきましては、前国会は残念ながら時間切れということで提案を見送った次第でございますが、通産省といたしましては、工業立地適正化のために、立地規制――立地規制だけでなくて、分散促進、工業用地の確保等、前向きの諸施策を含めた総合的な立地政策の必要性については、依然として考えが変わっておりませんで、なおまた、先生をはじめとして、当委員会の御支持もあることと思いますので、次期国会には提案をいたすつもりで準備を進めております。すでに一番問題となる省との関係につきましては、折衝を始めておるわけでありまして、必ず次期通常国会に提案できるように努力したいと思います。
○山崎委員長 石田宥全君。
○石田(宥)委員 先ほど科学技術庁長官から、阿賀野川の水銀中毒事件についての御報告がございましたが、この点について二、三お尋ねをいたしたいと思います。 第一の点は、昨年の九月二日に厚生省案の送付をお受けになりまして、本年の九月二十六日まで、これの見解を出すことができなかったという理由でありますが、政界、財界からの有形無形の圧力というものは、これは明らかでありますから、お尋ねをしようとは思いませんが、技術的に見て、はたしてどういうところに困難な問題があって、一年以上も遅延をするに至ったのか、この点をまず最初にお伺いをいたしたいと思います。
○鍋島国務大臣 一年間おくれました点につきましては、私も残念でございます。ただ、九月二日に厚生省の見解が出まして以降、各省から各省としての責任ある見解をいただくことになっておりまして、一番最後に通産省が出てまいりましたのが、年末ぎりぎりの十二月二十八日か九日であったと思います。したがいまして、各省の見解が一応出そろったというのが昨年末でございます。先ほど申し上げましたように、一月、二月、三月下旬ないし四月には、どうしても見解を明らかにしたいということで最善の努力を払ってまいったわけでございますが、その間につきまして、率直に申し上げまして、事務的段階においての折衝が難航をいたしました。それは、それぞれ各省、中には経済企画庁のごとく、科学技術庁の見解に一任するというものもございましたけれども、見解それ自体がやはり違っておりまして、それを調整するということがなかなか困難でございました。後半の数カ月は、科学技術庁の見解においてまとめ上げたものを各省にもう一ぺん戻して――政府統一見解でございますから、各省にこれを了承していただかなくてはならない。しこうして政府の統一見解として出さなくてはならぬ。各省に御納得といいますか、各省を説得するといいますか、そういうことに時間を費やしたというのが事実でございます。それが九月中旬に至りまして大体まとまって、諸般の手続をとりまして、二十六日に発表した、こういうことでございます。
○石田(宥)委員 そこで、各省の間に意見の食い違いがあって、調整に手間どったとおっしゃるのでありますが、一体どういう問題と、どういう問題があったのか、また技術的にどういう問題があったのか、これを明らかにしてもらいたい。 それからもう一つは、これは早く出すというと、昭電側に刑事責任が問われるということになる。その刑事責任を免れしめんがためにこれを引き伸ばしたのではないかという見方もある。しかもそういう点が多分にあったのではないか、こう考えるのでありますが、これらの点についてお答えを願いたいと思います。
○鍋島国務大臣 技術的な細部にわたりましては、審議官よりお答えを申し上げたいと思います。私、しろうとでございますから、石田先生ほど詳しくございませんので……。 第二の、刑事責任ということのために延ばしたのではないかということは、全然ございません。これは三月には出せということを、私、命令をしておりまして、それからつど、ほとんど十日に一回、一週間に一問、状況を聞きながら内容を詰めてまいりました。最終的には通産大臣、厚生大臣と直接会ってというところまで押して、ようやくまとめたというのが事実でございまして、この点は全然、刑事責任等のことを考慮して発表をおくらしたとかどうとかということはございません。これは明確にいたしておきます。
○高橋説明員 お答え申し上げます。 他省庁間におきます意見につきまして、技術的にどのような点についての食い違いなり討論が行なわれたかということでございますが、非常にこまかい点がございますけれども、かいつまんで幾つか申し上げたいと思います。 まず、全般的な基盤になっておりますのは、お気づきのとおり、今回の事件の様相というものはきわめて複雑であったということ。特に熊本におきますところの水俣病の発生の場合と異なりまして、今回は地震というような一つの例もございますけれども、そのようないろいろな現象がかみ合ったということ。これは一応疫学一般につきましての説明がございまして、先生すでに御承知のことと思いますけれども、こういうことを再現するということが不可能であった。この二つが技術的な見解を解明いたします際の基盤になりました非常に大きな障壁であったと思います。 それから第二番目は、多少観点が違いますけれども、私どもが今回検討いたしました際に用いました資料は、これは再三国会でも、当時の長官もしくは私からも申し上げておりますけれども、できるだけ結果を早く出しますために、特に新しい研究というようなことは行なわなかった。検討の材料になっておりますのは、中心になりますのは、御承知のとおり、食品衛生調査会の答申なり、さらに厚生省の三班の研究班の研究結果と、それから国会等におきましての質疑の際の幾つかの問題点、あるいはこれに関連いたしまして関係省庁から国会に提出されましたところの資料、こういうようなものの範囲の中で、私ども判断いたしたわけでございます。そういうようなことがございまして、新たに研究を私ども自身の手で行なうということでございませんので、なかなかそういう点につきまして、一般的に問題があったということがまず第一点でございます。 具体的に、各省間の関係でどういうような点があったかと申しますと、本事件が、阿賀野川がメチル水銀化合物によりまして汚染されました結果、メチル水銀化合物が阿賀野川の川魚に直接的、あるいは食餌を介しまして、蓄積いたしまして、このような川魚で特に底棲性のニゴイのようなものだと思いますけれども、こういうようなものを食習慣として常に多食しておるために発生したものである。このことにつきまして、各省庁の意見というものは相違はございません。問題は、そのような阿賀野川の汚染というものが、一体どういうようなことが原因になって起こったかという点につきまして、各省間の意見の相違がございます。食品衛生調査会の意見というものは、かいつまんで申しますると、その原因といたしましては、昭和電工からの排水による長期における汚染というのがその基盤になっておる。しかし、今回の患者の発生につきましては、一のほかに――このほかにという字句が非常に不明確でございますけれども、論議の結果、加うるにということになりましたので、これは要するに長期に短期が加わって発生したということでございます。こういう見解に対しまして、通産省のほうは、そのような原因を究明いたす際には、まず一般的究明ということばを使っておられますけれども、水銀化合物の物性、吸着性の問題でございますとか、あるいは水溶性の問題でございますとか、あるいは生物の体内におきますところの蓄積、代謝その他の開映、そういうような一般的な究明というものがまず十分にまだ行なわれていない段階であろうということ。それからもう一つは、特殊的究明ということばを使っておられますけれども、今回の阿賀野川の中根事件そのものにつきましての、たとえば鹿瀬工場からメチル水銀が阿賀野川に排出されたということにつきましては、これは認められるけれども、たとえば患者が工場から四十キロでございますか、離れた、下流の地域のみに集中的に発生しておる、そういうようなものにつきまして、従来の研究班の報告書につきましての消去に用いましたところの資料が不十分である。それから逆に短期の汚染の原因としてあげられております、新潟埠頭の倉庫の農薬の流出問題につきましては、これをやはり消去をいたしますところの資料が不十分である。それから他の省庁、農林省、経済企画庁につきましては、経済企画庁は厚生省の食品衛生調査会の意見と同じである。農林省も当初は同じような御意見でありましたけれども、その後の折衝の経緯におきまして問題になりましたのは、阿賀野川の流域におきましての一般の農薬散布の問題――時間がございませんので簡単に申し上げますと、その点につきまして一般散布農薬の価値観と申しますか、この点につきまして意見の相違が、これは私どものほうの原案と農林省で、ございます。あと短期汚染の問題について、厚生省側は、倉庫からの農薬の流出につきまして、これを裏づける資料もないと同じように、これを否定し得る資料があるとおっしゃっておりますが、私どもの見解におきましては、否定し得る資料はございません。その他いろいろこまかい点がございますけれども、またその他の字句の問題、ことに基盤という意味のとり方、この点などもございますけれども、多少抜けたところがございますと思いますが、私がいま覚えております範囲は、そのような点が検討の際大きくクローズアップされた問題であります。
○石田(宥)委員 時間の関係がございますから、あと一問だけにしたいと思います。 阿賀野川の中毒事件をなぜ水俣病と呼ばなかったか。御承知のように、阿賀野川に患者が発生して以来、また厚生省三研究班の結論が出て以来、第二の水俣病という呼び方は国民の共通の呼び名になっておるわけです。しかも熊本における水俣病も、阿賀野川の場合も、その発生機序、プロセスといいますか、これは同様なんです。同時に水俣病というものは、すでに国際的に大きな問題になっておりまして、病理学的に一つの学名になっておる。疫学班は、阿賀野川事件を第二の水俣病と言うべきであると、ちゃんと書いておる。こういうものをなぜ水俣病と呼ばなかったのか。 それからもう一つは、今回の統一見解は、厚生省の案よりは若干前向きであって、あいまいさがなくなって、むしろすっきりしたという見方がある。私も、ある意味においてはそういうことが言えるのではないかと考えるのでありますが、この二点について、長官の御答弁を願いたいと思います。
○鍋島国務大臣 第一につきましては、ちょっと専門的な学名になっておるかどうかという点、審議官からお答えを申し上げたいと思います。 第二点は、私は、統一見解を出す以上は、できるだけ各省これを納得していただくという前提のもとに、はっきりした態度をとりたいということを前掛にいたしまして、一応原案をつくって、各省との折衝に入ったわけであります。したがって、われわれとしてはやはり意見の食い違いがございますので、これを調整して統一見解を出すという限界はございますけれども、科学技術庁としては、でき得る限り科学技術陣を担当し、しかも限られた材料のもとにおけるその見解というものを、あまりあいまいさを残さないというふうにいたしたつもりでございます。その点はひとつ御了承いただきたい。
○高橋説明員 私から補足して御説明を申し上げますが、まず最初に、なぜ水俣病という名称を使わなかったか。これにつきましては、私自身が適当な定義づけをすることはできませんが、従来の文献によりまして、水俣病とはいかなるものをいうかという定義づけにつきまして検討いたしたわけでございます。私どもが目を通しましたのは、しばしば先生のお使いになっております「水俣病」――四十一年の三月の、熊本大学の研究班でまとめたものでございますが、この中におきまして、私が見ました範囲では七つほどの記載がございますけれども、すべて違っております。最初は、これは原因不明で水俣地区に発生したものを水俣病と仮称する、これが最初の定義なんです。その後にいろいろな形が出ましたが、私もこまかくページまで書いてございますが、これは省きますけれども、要は、ここに書いてございますのは、発生するところの地域を限定しておる。要するに、熊本県の水俣地区に起こった有機水銀によるところの慢性の中枢神経糸の疾患をいうということでございます。要するに地域を限定しておる。特殊な地理的な条件のもとに発生したものであるというのが、この本の全体の最終の結論でございます。したがいまして、これは水俣地区に発生したもののみを水俣病というのがこの本の趣旨でございます。 時期的に申しましてこの次に出てまいりましたのが四十二年の二月の、先生のおっしゃっておいでになりますのは、喜田村教授の日本医師会雑誌に御発表になったものと思いますが、これが違いますのは、水俣病というのは単なる水俣地区のものだけではない――非常に簡単に申し上げますと、要するに有機水銀中毒によるところの神経系の疾患である。したがいまして、新潟地区もそうである。新潟におきますものも水俣病だと書いてある。さらに私どもが一番時期的にもとらなければならぬ――この中でも、先ほど先生のおっしゃいました研究班の報告の四百三十二ページの、水俣病とはという解釈ですが、これと喜田村教授と違いますのは、これには地域の特殊性はうたっておりませんけれども、喜田村教授のおっしゃっておるのは、汚染源が工場排水によるものであるという一つの条件づけが入っておるわけでございます。これに対しまして、研究班の報告は、工場排水によるという条件は付してございません。そのようにいたしまして、私どもが学術的な論文を全部調べますると、水俣病という定義づけはどれが一番正しいのか、これが時期的に申しますと、研究班と同じだと思いますけれども、したがいまして、川が汚染されまして、それが魚に蓄積し、それを多食したために起こるところの慢性の水銀中毒である、そういうような定義づけをいたしますれば、今回も水俣病と思いますけれども、いま申しました定義が非常に明らかでございませんので、私どもは、この段階では、水俣病ということばを使うということを避けたわけでございます。以上でございます。
○石田(宥)委員 これで終わりますが、あと長官がお忙しいそうでありますから、あとは厚生省並びに高橋審議官にもっと詳しくお聞きいたしたいと思いまして、中断させていただきます。
○山崎委員長 島本虎三君。
○島本委員 技術庁長官それから厚生大臣、長官の場合は時間的な限定があって、この問題は石田先輩がやったほうが一番適確だからやってもらったが、私はどうしてもいま厚生大臣とあなたにお聞きしておきたいことがある。また決意を伺っておきたいことがあるのです。それは水俣病、阿賀野川、この調査報告に対しての政府見解、最終決定、こういうものに対しては、今回の場合は、政府内で、補足説明か補完的な意味か厚生省は出しましたけれども、しかしやはり意見の食い違いがあったのではないかという疑惑だけが残念ながら残った。両方で政府見解として出される、こういうようなことがあってはまずい。それで、これは科学技術庁長官に、特に私から意見を伺っておきたい。 同じ熊本の水俣病の場合には経済企画庁が担当だった。これはやはり窓口は厚生省が妥当であり、厚生省にこれを一任し、厚生大臣がそれをはっきりして出したので、この問題に対してはまことにすっきりした。しかし今回の場合は、あなたの場合は、これは厚生省の指示を受けると言いましたから、それはよろしいと思う。同時に、実施官庁でないから困難性がある。これはわからないわけではない。そうであるならば、経済企画庁のように、政府部内ですから、この問題は厚生省に一任するというふうにしてなぜおやりにならなかったのか。そうして厚生省も大臣も進んで、前の熊本の水俣病の例もあるのであるから、そうするのが妥当だ。厚生大臣、なぜあなたはそれをはっきり言わなかったのか。一方はそれをやってもらって、一方は別々にやって、あとから厚生大臣がまた補完的に政府見解というものを出した、こういうようなことをする。こういうものは部内でも統制を欠く。両方ともこれに対してざんげの答弁をしてもらいたい。
○鍋島国務大臣 この点は、私は特殊なるケースだと考えております。先ほどお答え申し上げましたように、四十年に、科学技術庁が持っております研究調査費を、農林省及び厚生省にお願いをしてこれの究明に当たり、つまり両省にまたがったものであったわけでございます。それが通産省、農林省あるいは厚生省等の意見が、これは私の長官のときでなく、二階堂長官のときでございますが、国会で論議せられ、政府の答弁もここに多少の違いがあり、意見がございまして、それぞれのいきさつによって、結論的に、金を出した科学技術庁でひとつ政府統一見解を出すというふうに、国会でお約束をしたというのがいきさつであろうと思います。したがいまして、それに基づいて、科学技術庁は各省からまず意見を徴し、その意見に基づいて、いわば調停案といいますか調整案をつくって、各省を今度調整案によって納得せしめたという特別なことがございます。科学技術庁は、みずから科学技術庁としての研究スタッフをつくって研究をして独自の見解を出すということは、事実上やっておりませんし、できなかった次第でございます。私は、こういうことは、いま御指摘のとおり、どうかと思います。こんなことは今後やはりやるべきではないと思います。科学技術庁に一切まかせられるならば、やはりわれわれは最高のスタッフをつくって、独自の見解をもってやっていくべきであって、どうもこういう調整的統一見解を出すということは、やはり今後私は科学技術庁としてはやるべきではないというふうに考えますけれども、いきさつは以上のとおりでございまして、これをやったわけでございます。したがって、今後におきましては、厚生省でおそらくこういった所管をおやりになるべきであり、研究調整費は、われわれのほうから、もし必要とあればお出しするという方向をとっていくのが妥当であるというふうに考えます。
○園田国務大臣 いま科学技術庁長官から言われたとおりに、それまで公害というものに対する主管官庁や系統ができていなかった関係上、研究調査をいろいろやっておったわけでございます。お金を出した関係上、私どもにまかせてもらいたいと思いましたが、そうはいかなかった。今度の米ぬか油では、特別研究費を回してもらうことに相談しておりますが、結論を出す必要がある場合には、厚生省が出しますからというふうにお断わりをしてやっておりますわけで、今後はこういうことはいけない。ただし、厚生省が科学技術庁の見解を補完されたとおっしゃいましたが、これは、ちょっとはっきりしておきたいのは、補完したわけではなくて、私の見解は科学技術庁長官列席の閣議で、政府の見解として言ったもので、科学技術庁から出されたのは技術的見解、私のほうは中再事件に関する最終的な政府の統一見解でありまして、それはどういうことかというと、簡単に申し上げますと、いま科学技術庁長官が説明された中にも、この中毒事件は、可能性は二つある。長期のものと短期のものとある。そこで長期のものは、文句の書き方が非常にむずかしいのですが、中ではっきりとわかることは、阿賀野川に汚染を及ぼす水銀取り扱い工場からの排水を考えることができて、その工場としては昭和電工鹿瀬工場があるということで、昭和電工鹿瀬工場が長期にわたって汚染したということは、これははっきり科学技術庁は認めているわけなんです。その点は一つ摘出をした。それからその次に可能性としては短期のものが考えられる。ところが、短期のものは農薬の散布は無視し得るということですから、これは抹消されているわけです。それからもう二つある。その短期の中の一つは、鹿瀬工場の操業停止前後にやったのじゃないか、それは可能性があるにしてもないにしても、鹿瀬工場に変わりはありませんから、これは問題にならぬと思う。そこで、もう一つ残っているのは、地震の際の農薬の流出であります。この農薬の流出については、事実を裏づける資料がないわけで、私どものほうでは事実がないと思うけれども、裏づける資料がないから、私はこれを否定しているわけであります。ですから、そういう意味から、私のほうでは、こういう点が否定をされるから、この犯人のおもなるものは鹿瀬工場であるというふうに政府の統一見解を出したわけで、補完をしたわけではございません。
○島本委員 全部それは了解しているのです。了解した上で言っているのです。あなたに言いたかったのは、そういうような閣議までやって、厚生大臣としての姿勢をはっきりさせた。また厚生省の見解も明確にした、もしこれが別々に出され、科学技術庁からだけのものだった場合には、これはまだまだ疑義があるし、このために混乱を免れなかった。厚生省がやってようやく、これが、聞いたらそのとおりかというような段階に達した。補完じゃないですか。そういうようなことだから、あなたのほうで先に、これは私のほうで出しますからお譲りください――金を出したところでやらなければならないなんということはないでしょう。まして向こうは金も出さなかったでしょう。それだったら、なおさらでしょう。あなたは進んでそれをやるべきです。あまりこういうようなことでめんどうくさいこねくり回しだとか、国民に疑義を与えるようなことはしないほうが望ましい。科学技術庁長官はああまで言っておりましたからいいです。まだまだあなたの残存期間は長いですから、大いにこういうような問題の解決のために、進んで他の領分まで自分の良心をもって食い入ってもよろしいと思う。そういうような決意で臨んでもらいたいわけです。補完、補完でない、ということはいいのですけれども、私は補完だと思っている。答弁ありますか。
○園田国務大臣 いや、ありません。
○島本委員 じゃ進めていきます。 これは前の委員会で、私がちょうど委員長席に着いておったときのことで、これは厚生省としてもこの問題に対してはっきりしてもらって質問を展開してまいりたい、こういうふうに思いますゆえに、聞いてまいりたいと思います。 これは委員長と厚生省の両方の見解であります。十月十一日の委員会で、愛媛県の新居浜の住友軽金属の弗素に関する質問が、山崎委員長からこの委員席でなされたわけです。そのときに厚生省では、人体に影響があるのかないのかという質問に対して、諸外国の文献によっても人体に影響ないというような答弁があったように、私は聞いておりました。そして他のほうでは――他のほうというのは農林省ですが、たとえば魚介類、家畜、農作物については、それぞれ弗素による影響があるという答弁があったように思いました。厚生省のほうから、人体に対しては影響がないという答弁があったと思います。これは委員長自身聞いたことですけれども、私のいま言ったことに間違いございませんか。
○山崎委員長 間違いありません。そういう答弁でした。
○島本委員 厚生大臣、これは福島県立医大ですか、角田文男さんという助教授の人が、人体に影響ありというふうなことを言っておるようであります。それから名古屋の名城大学の農学部の教授、これは数年前に、弗素が胃ガンに関係あると発表して、学界の定説になっていないまでも、関係ある点を発表された。岡山大学の小林純教授、この人はイタイイタイ病のカドミウムの権威者であって、厚生省にも関係ある方なんですが、弗素は人体に影響があると言っておられる。そして弗素と胃ガンとの関係についての著書ももうすでに出されている、こういうことを聞いておるのですが、厚生省の、人体に影響ないということと正反対なんです。まして文献にもないということになったら、厚生省の権威にもかかわりますので、大臣、これはいかがですか。
○園田国務大臣 これは公害課長から……。
○橋本説明員 前回のときに、そういう御答弁を申し上げたことは事実でございます。いま先生のお話は、弗素が人体に影響があるか、こう聞かれますと、人体に影響のある場合があると申し上げなければならないと思います。大気汚染の事例として、弗素で人間に影響の起こったケースが学会発表として明白に認められているものがあるかと聞かれたら、これは現在までございません。おっしゃいました例の福島の角田先生でございますが、角田先生の最終のところ、これはつい最近の学会に行っても聞いておりますが、いろいろの調査研究を長年にわたってやっておられますが、有意の差は見出せないということでございます。問題は、米の中に弗素が少し入っておる、それがどういう影響があるかわからないという論議はされております。その点につきましては、私どもは、できれば来年度でも弗素についてのいろいろな調査研究をしたいと思っておりますが、現在の段階で、一般の環境大気の中で、弗素による被害として人体に証明された影響があるかといわれると、ないという以外にはございません。ただ、いろいろ苦情調査の中で、弗素の煙の出てくるところでは、においがするというような感覚的なものはございます。しかしながら、弗素を多量に含有している水を飲んだ場合に斑状歯になるとか、あるいは弗素が出る工場で働いている場合に気管支系統、皮膚系統の病気が起こる、これは労働衛生の問題としてはございます。そういう意味で、私の申し上げましたのは、大気汚染の事例として、弗素による被害というのは現在までは出されておらない、こういうことでございます。
○島本委員 橋本課長は前回もそういうような答弁をされております。私のほうではこれは聞いておりまして、人体に影響のあるなしということは、これは大気の問題であろうと何の問題であろうと、農作物に影響があり、家畜に影響があり、魚介類に影響があるとすると、それを食べるのは人間ですから、直接これは影響があるじゃないか、こういうようなことは必然的に考えられる。まして胃ガンとの関係なんか、本にまでなっているということですから、今後これを研究するということに対しては、よろしゅうございます、十分やっておいてもらいたい。しかし、少なくともこれは、ないということにはならないのじゃないか、この問題をはっきり厚生省のほうで研究課題にして、これは臨むべきだ、こういうように思って、皆さんを激励するために、この質問をしているのです。前は、ないから研究しないというような御答弁であった。今度は、ないかもしれない、しかしながら魚介類や農作物や家畜類ははっきり影響がある、それを人間は食うのであるから、それは当然ある、こういうようなことになるでしょう。ないといわないで、進んでこれはやらないとだめです。前の答弁は不十分でした、今後は十分研究します、と言いなさい。
○橋本説明員 そういう論文があるので今後研究せよという点につきまして、私どもも来年度からこの点十分、少し時間をかけて研究していきたい、そういうように思っております。前の答弁で、非常にばく然としたものの言い方をした点は、以後気をつけたいと思います。
○島本委員 では、私の場合は、いろいろ都市公害にからんでまいります。当然産業公害対策基本法の問題にもからんでまいるわけでございます。そういうようなことで、順次、産業公害から都市公害のほうへ入ってまいりますから、その関係において、大臣も関係者も十分お聞き願いたいと思うわけです。 まずこれは、最近私の手元へ、経済団体連合会会長から「硫黄酸化物に関する環境基準の設定についての意見」、こういうようなのが送付されてきておるわけであります。これも内容を見まして、私どもも、今後の公害対策に重大な問題をはらむものじゃないか、こういうふうに思いますので、経団連が厚生省に対して意見を出したというこの文書は、これは国会並びに政府・与党の各方面に全部送付したとなっておりますから、これはもうすでに皆さんもご存じだと思うのです。この見解は、いままでの厚生省の見解と、はなはだしく違った立場で出されておりますが、厚生省はこの見解に対してどう思いますか。
○園田国務大臣 厚生省は、生活環境審議会の答申の線に沿ってやっております。その詳細については、部長から答弁させます。
○武藤説明員 十月三十日付で、私の手元にも、「硫黄酸化物に関する環境基準の設定についての意見」というものが、経団連から届いております。これについて厚生省としてはどういう感じを持っておるかという点について、簡単に御説明いたします。 第一には、環境基準というものが「「望ましい目標」とはいっても、事実上は規制や許可の基準として作用」して、混乱するのではないかというような御意見が第一に書いてあります。この点については、私どもは、あくまでもこれは公害対策基本法の問題でございまして、直接許可の基準でありますとかあるいは排出規制をするというような問題とは考えておりませんし、関係者は十分この点も知っているわけでございまして、この点については、経団連は、はなはだ理解が足らない、かように考えておるわけでございます。 それから第二につきましては、一つの重化学工業コンビナートを想定されまして、いろいろ試算をしましたけれども、その結果から見ると実現が困難である、というふうに結論を出されておるようでございます。これはあくまで一つの机上での想定でございまして、私どもとしてはやはり、環境基準は健康を守る一つの最低基準であるというふうに考えておりますので、もしもそういうふうなコンビナートを設置する場合に、そういう環境基準をこえるようなことが考えられる、あるいは実際にやってみて、こえるようなことが生ずるおそれが出てくれば、そのときにいろいろ総合的な対策を考えるべきであって、こえるかもしれないから基準をゆるめるとか、そういうことは話が逆である、かように考えております。 それから第三番目に、外国の環境基準と比べてきびしいではないかという御意見があるようでございますが、この点につきましては、外国では、ドイツにおきます許容限度の問題、あるいはアメリカにおきます行政管理基準ないしは警報基準、そういったものとの比較で、この数値そのものを比較するのは不適当である、かように考えておりまして、現在こういうふうな点につきまして、関係業界及び通産当局にいろいろ御説明をして、御理解を願っている次第でございます。
○島本委員 いま言ったことに対して、通産省ではどういうような受け取り方をしておりますか。
○藤井説明員 通産省の立場は、御承知のごとく、公害を発生する源の企業の行政担当省として、企業側の意見もいろいろ身近に聞くわけでありますけれども、このたび、いま御意見に出ております環境基準問題をめぐっての産業界の意見の批判的であるということも聞いております。しかし、われわれは企業側の立場と密着はしておるけれども、決してそれに左右されない自主的な立場で総合的に判断をして、実現可能な基準をつくって、ひとつ公害が防止されるように最善の措置を講じたい、このように考えておるわけでございます。
○島本委員 一つだけ気になるのは、実現可能に固執してやると、こっちのほうでは、実現可能なものにしてもらいたいと仰せになる。しかし、いまの御意見を聞いていると、決して向こうの言うとおりにならないが、実現可能なものにしてやりたいとおっしゃる。経団連のほうでは、実現可能なものにしてくれと言う。あなたのほうでは、向こうの経団連の、産業界の意見にはそのまま乗っていきませんけれども、実現可能なものにしてやるということなら、私のような単純な者は、そのまま受け取ったら、同じになっちゃう。これはどういうことですか。
○藤井説明員 ちょっと私のことばが足らなくて、十分意をお伝えできなかったことと思いますが、私が申します実現可能というのは、環境基準というものが行政上の目標であるという立場から、技術的その他の面ないしは低硫黄原油の供給計画、こういったものとの関連において実現可能な線を出さなければいけないという、そういう意味の総合的判断という意味でありまして、決して現状を前提にして、やりたくないから、そこら辺で適当にお茶を濁せという、こういう線に沿うた意味ではさらさらない。この点をひとつよく御理解いただきたいと思うのであります。
○島本委員 通産省のほうでは、私は厚生省よりもりっぱな結論を出したことがあると思っておるのです、この問題では。昭和四十一年の十月ごろと思うのですが、ちょっと記憶にもし間違いがあったら、あとから訂正させてもらいますが、産業構造審議会の産業公害部会のほうで、今後の亜硫酸ガスの防止の目標に対して、何か中間答申が出ている。この答申の中では――厚生省のほうでは、わりあいにこの問題に対しては、今後緊急時、この〇・二PPMが三時間続く、こういうことがあるかもしれないからという余裕も見ておる。ところが、こういうようなことは絶対させないぞというのが通産省だ。この点は、これは通産省のほうが厚生省よりも進んでいますよ。ですから、こういうような態度でき然としてやったら、おそらくあなたが何を言おうと、私は、これはそのままとれるのです。したがって、この点では、緊急時の措置は絶対起こらないんだ、起こさないんだというのが通産省で、そんなのはあるかもしれないぞというのが厚生省ですから、その意味では、やはりあなたがき然として、いままできまったとおりに、これは緊急時においても、事前調査でいままで経験した一番悪い条件、こういうようなものに対しても、これは厚生省は、あるかもしれないというこの余裕さえも全然ない、こんなことは起こさないと、あなたのほうは昭和四十一年十月に出していますから、この線に沿うてやるのが、私は正しい、いまあなたの答弁とそっくりだ、こう思いますが、そうだった場合は筋が通ります。そうですね。
○藤井説明員 いまの御指摘の点は、産業構造審議会の結論を引用されての御指摘だと思います。その審議会の結論はそのとおりであります。で、私が申しましたのは、その結論に沿うて環境基準を行政の目標指針として、これが実現可能なものを前提に置いて、総合的に、いよいよ最後の結論、基準としての結論は出すべきである、このようにお答えをいたしたわけでございます。
○島本委員 その点もまた、答弁としてこれは少しおかしいんだな。じゃあまず、厚生省のほうでは、この緊急時の措置は絶対起こさないと通産省では考えておるようですけれども、あなたのほうでは、まあ起こる、年間三百六十五日のうち三%くらいはあるだろうというような見解を発表されている。あなたのほう、通産省よりもっとりっぱじゃないです。起こさない、起こらない、これのほうが――まず三%は起きるかもしれないという弱い態度は、厚生省、そうだとすると、どうも私はわからぬのだけれども、これはやはり絶対起こらないというふうに思いますか、思いませんか、厚生省。
○橋本説明員 いまの御質問の点でございますが、私どもは専門委員会のほうから閾濃度という数字を示されまして、一時間が〇・一〇PPM、二十四時間平均で〇・〇五PPMということを年間できるだけ多く実現するようにということを、専門委員会から受けたわけでございます。そこで公害対策基本法九条にいう行政の目標としての基準は、当然行政上可能なものでなければならないということ、厚生省としても重々これを考えておるところでございまして、その点におきましては、厚生省でも通産省でも一体の政府でございますから、通産省が従来どういうことを具体的な目標として世の中に公表し、世の中に約束してきたかという資料につきまして、綿密、詳細に点検をいたしました。そうしてみますと、一つございますのは、いま先生御指摘の産構審の中間答申の中に、非常に工業が密集しておって、現在汚染のはなはだしいところでは、数年以内に緊急時に該当するような措置はほとんど要らないようにしよう――きわめて積極的な施策が出ております。そこで、私どもの審議会の中で、経済界の先生も、法律の先生も、公衆衛生の先生も全部含めながら、一体、通産省のいわれるほとんど起こらないというのはどのくらいに考えたらよいのだろうということを慎重に討議したわけでございます。そのときの産業界の方の御意見は、自分たちの工場の中では、品質の管理の上でほとんど起こらないというのは、〇・何%というきびしさで、それで企業の信用が成り立っておる。しかしながら緊急時の措置というようなことについては、そういうことでは非常に困るので、やはり品質管理上二、三%ではなかろうか、こうおっしゃったわけであります。そこで三%という数字を限度として引き出したということ。それからもう一つは、通産省が本年三月及び五月に千葉で、それからもう一つは岡山におきまして、従来やられました事前調査をさらに詳細に、厚生省の警告もあって検討されました結果、特に異常な悪い気象でない限りにおいては、従来経験したような最悪の条件では緊急時の措置はできない、こういうぐあいなことで、反対をしている人たちに対して、私どももそれと同調して説得に当たったわけでございます。そういうことでございますと、特に異常な気象でない限りにはという前段がついておりまして、いままで経験したことでは起こらないということでございますが、行政の目標としては、やはり品質管理の問題でございますから、三%ぐらいということを手がたく踏んで、これを目標とすることは当然ではないかということで、厚生省は、緊急時の措置が年間三百六十五日のうち三%以上出ないということならば、産業界の人も通産省の人もこれに反論するわけはなかろうということで、審議会の答申としての最終数字がきまったわけでございます。
○島本委員 通産省のほうでは、そういうようなことは今後起こらないという見解に対してはどうなんですか。
○矢島説明員 先ほどから、四十一年の産構審の公害部会の答申が出ております。確かに先生御指摘のように、緊急時の措置が起こらないようにしましょうというような答申になっておりますが、それは要するに、通産省の行政目標というもので一応出していただいたわけでございます。通産省としては省内にいろいろむずかしい問題がありまして、たとえばローサルファー計画、あるいは関係業界の公害防止計画、いろいろあるのですが、そういうものを引っぱっていくためには、やっぱりそういうような答申の線を出してやっていかなければならないわけです。確かにそういう事実はあるわけですね。さりとてそれを逆手にとられまして、あれがあったから、あれは金科玉条のものであって、当然それを前提にしてやらなければならぬといわれましても、やっぱり困るわけで、環境基準と相なりますと、これは通産省がいうだけではなくて、公害対策基本法九条にいう政府全体の環境基準ということに相なりまして、なお一そう慎重に検討していかなければならぬと思うのであります。
○島本委員 まあ言わんとすることはほぼわかった。ただ公害基本法九条、これはわれわれも、行政上の単なる目標ではだめだぞ、これを実施可能なものにして、これを完全に実施させるというところに意義があるのだぞということは、公害基本法をやったときに口をすっぱくして言っている。当時の坊厚生大臣も、その点についてはわれわれと同感という意思を示した。そういうようにしてやってみますと、いまあなたがおっしゃったようにしてやっていくと、厚生省と通産省の間で見解のずれはないということになってしまう。私はそれは望ましい。いま聞いていても、ありそうにない。これは今後出される基準に対しては、規制措置等についても、両者についての意見はつめのあかほどもわだかまりがない、こういうように私は思って、次に進みたいと思いますが、この点、政務次官どうですか。
○藤井説明員 政府見解として結論が出ます以上、その過程においてのいろいろ議論はありましょうけれども、両省の間において意見の相違があるべきはずは断じてない、このように考えます。
○島本委員 この基準をきめるのは、やはり厚生省が主なんです。その厚生省のほうでまごまごしていると、先ほど言ったような状態になって、これまた真意を逆にとられるおそれもありますから、厚生省は、いままでの話では、いろいろ現実的なものということばは出ましたけれども、今後この問題等については、意見の相違があまりないように、これは人命保全のためにも、それから生命と健康を守るためにも、基本法の第九条にのっとって、これは重大な一つの基準です。また規制です。こういうようなことに対しては、やはり健康優先、人命優先という立場から、厚生大臣、今度こそは、第二の水俣病だとか、イタイイタイ病だとかいろいろありましたけれども、先に先に手を打って、再び被害者から異議をもって訴えられるようなことのないように、完全に措置しなければならぬ。その一歩はこの環境基準にはっきりした態度をとることであり、規制に対しては厳然たる態度で臨むことだ、こういうように私は思うのですが、大臣、はっきりとこの際意見を表明しておいていただきたいと思います。
○園田国務大臣 私も全く御意見のとおりに考えております。
○島本委員 ただ、これは前に亜硫酸ガスの問題に対して、四十一年ごろから、四日市の対策で、脱硫研究が現在うまく進んでいるようであります。そしてこの結果、四十三年度でこれが終わって、四十四年度から順次これは実施に移していくという通産省の意思表明が以前からあったと思います。経団連のほうで、五年たっても採用すると言っていないというようなことですけれども、これでは少しまた具体的な問題としておかしくなってくる。これはやはりきまったとおりやらないといけませんよ、またやるように指導しないといけませんよ、いいでしょうか。
○矢島説明員 脱硫問題につきましては、先般来、当委員会の御決議があった点は十分承知しておりますし、その点に沿いまして、通産省としては十分な予算をとるように努力して、これの研究を進めておるわけでございます。研究ができましたら、できるだけ早い機会においてこれを実用化に移さなければならぬと思っております。現在、いますぐでないわけですけれども、たとえば排煙脱硫であれば四十四年度には大体済みますから、そのあと逐次実用化に移すように努力してまいりたいと思っております。
○島本委員 四十四年度で終わるから逐次実施に移すということは、四十四年度からそれはもうやっていくというように私はとっていたのです。あなたの答弁もおそらくそうでしょう。いま、四十四年度で終わるから、それから逐次となったら、もうすでに一年ずれるのです。そういうことじゃないのだ。四十三年ですか。
○矢島説明員 もっと具体的に申し上げますと、排煙脱硫と重油脱硫とありますが、排煙脱硫は二つ方法がありまして、両方が大体研究が完成しますのは、一応予算ベースといたしましては、四十四年度の後半に相なります。それから重油の直接脱硫につきましては、研究スケジュールが四十六年度ぐらいになろうと思います。大体研究のスケジュールはそういうことでございまして、それでさらに実用化にはいろいろな問題があるので、そういう点を詰めた上で、本格的な実用化を進めたいと思います。
○島本委員 重油の場合は四十六年度というけれども、四十四年度までにこの研究が終わるのじゃありませんか。そうしたら順次ならもうすく――なぜ四十六年度になるのですか。
○矢島説明員 私の申し上げたのは、二つあるうちのあとのほうは、スケジュールは四十六年度、これは予算折衝の関係でそういうことになっておりまして、あとのほうの重油から脱硫するほうは四十六年度、それから排煙脱硫のほうは四十四年度に一応スケジュールとしては終わるということになっております。そういうのを両方かみ合わせまして、できるだけ早くやっていって、そしてとにかく環境基準の問題についてはやはりローサルファー、硫黄分の少ない重油の供給計画をがっちり固めなければならない。この実用化をてこにして、そういう計画を確定、促進してまいりたいと思います。
○島本委員 この年次の問題については、できるだけ早いことやるにこしたことはない。研究を終わったならすぐその年から始めてもいいけれども、一年ぐらいおいて四十四年度から逐次やっていく、こういうようなことでいいと思います。重油のほうは四十六年度からというのは、私は率直にいって知りませんでした。私、四十四年度からと思っておりました。私の不勉強であって、この点はやむを得ません。もう少し、四十四年度からだとなおいいのですけれども、これは四十六年度というと納得しませんから、この問題はあとから研究してもう一回やる。できるなら、これは急いでやってほしい。この問題だけをお願いしておきたいと思います。ことに生活環境を守るための基準設定に対しては、あくまでもきびしく設定して、その発生源と思われる設備、こういうようなものに対しては、改善命令と操業停止を含むきびしい行政措置を講ずる、こういうようなことが皆さんの態度でなければ、いかに日本の経済が発展したとか工業生産力が世界の第三位だとかいっても、これは国民の犠牲の上に企業だけが伸びたという結果にしかなりません。そういうようなことのないようにするのがいまの政府の態度でなければならないはずです。これはもう国民を犠牲にして工業だけ生きるような指導のしかたは、通産省はしていないはずですから、いまの場合は特にその基準はきびしく設定して、発生設備の改善命令と操業停止、こういうようなものを含むきびしい行政措置を制定するようにやってもらいたいと思います。これでちょうどいいのです。これでもなおかつ越えてやりましょう。どこかまた人間的な見解があるから、こういうような考えでもまだ弱くなるおそれさえ私は感ずる。しかしこれは当然やってほしいと思います。これはいいですね。
○藤井説明員 御指摘の点、そのとおりだと思います。その趣旨に沿うて努力をいたします。
○島本委員 それじゃこの問題はこの程度にしておきたいと思いまするけれども、やはり万国博のテーマなんかも「人類の進歩と調和」ですから、この調和ということが公害問題の解決ということにつながるのですから、そうでないと、これはあくまでも世界の人を日本の政府が欺くことになってしまってまずいですから、あくまでも人類の進歩と調和という以上、この調和の具体的な結果は公害の排除だ、こういうようなことにつながる、これは十分考えておいてほしいと思います。第一番のこの問題についてだけは、これで私は終わります。 次に、先ほどの橋本委員の質問で、公害患者いわゆる被害者の治療と生活を保障するための救済法を確立すべきだ、こういうようなことをいろいろ言われました。その点は私も同感なのであります。そのうちで、政府のほうで、厚生省の原案に八分の五持ってもらいたい、都道府県が八分の一、市町村が八分の一、それから国が八分の一、こういうようにして、企業者が八分の五、こういうようなことだったようですが、そのうちに、二分の一ならばよろしいが八分の五じゃだめだ、こういうような意見も出たようです。二分の一と八分の五はどれだけ違うんですか。二分の一と八分の五では八分の一しか違わない。これを二分の一ならいいが八分の五ではだめだ、こういうような考え方は私はわからぬのですが、これはどういうようなことで、二分の一ならよくて八分の五では応じきれないのでしょうか。これはひとつ両大臣、私これがわかりませんから、よく聞かしてもらいたい。案外これがきめ手になりますよ。
○矢島説明員 先生もすでに御存じだと思いますが、中央公害対策審議会は、本件につきまして一カ月くらい前に答申を出したわけでございますが、その答申におきましては、公害問題は、因果関係の究明とか、あるいは責任の寄与度その他いろいろむずかしい問題もあるので、その点を追及していくとなかなかうまくいかないので、ひとつ民事責任の問題とは切り離して、行政上の救済といたしてやっていくのが現実的な問題だという基本的な考え方を明らかにしまして、そのために負担は産業界、国、地方公共団体がそれぞれの社会的責任に応じてやっていくのが妥当である、こういうような基本的な考え方を示しているわけでございます。そういうわけでございまして、今回のその答申の線に沿った被害者救済制度というものは、この民事責任とは関係なしに、民事責任は裁判のほうでやってもらうけれども、別途緊急を要する被害者の救済のために、その三者が社会的責任においてやるというようなことを書いてあるので、そういうところをすなおに読みますと、産業界の負担というものは二分の一が限度であるというふうに読めるわけでございまして、二分の一以上出すということになりますと――その金額はたいしたことはないかもわかりません。私も正確な金額は承知しておりませんけれども、考え方といたしまして、いまの答申の線をすなおに読みますと、二分の一ということがいえるのではなかろうかと思います。そういう意味で、先生の御指摘の二分の一と八分の五はどれだけ違うか、一二・五%違うということになると思いますけれども、そういう問題ではなくて、考え方の問題といたしまして、二分の一が限度ではないだろうかと私は考えておりまして、これはさきに橋本先生の御質問にもお答えいたしましたように、いわば産業界をようやくそこまで持っていったわけでございます。
○島本委員 ようやくそこまでいった。それは悪いとはいわない。そうしたら八分の一だけでしょう。そうしたならば全部うまくいく。すぐ発足できるじゃありませんか。できないですか。二分の一ならいいというけれども、八分の五を頼む、八分の一は都道府県、八分の一は国、八分の一は市町村、こういうふうにしていったならいいじゃないか。そうしたらもうそれでいいじゃありませんか。二分の一というのは八分の四だ。八分の五と八分の四で八分の一、これはもう考え方の違いじゃないでしょう。ちょっとやればできるのですよ。それくらいだったら円満にまとまる問題じゃありませんか。天と地ほどの違いじゃない。これはやはり考え方に固執してこういうようなことの制度をおくらせちゃいけない。これはやはりもう一ふんばり努力を傾注して、大臣、あなたが通産省として指導性をこの際発揮して、早くこの救済基金制度をつくるために、画竜点睛を欠くところがないようにすべきだ、こういうように思うわけなんです。これくらいなら、もう八分の一の違いだから、できない問題じゃないんだ。固執していたらまたおくれるんだ。早くやるためには、八分の一くらい何かかんか――皆さんのような優秀な人がそろっているじゃありませんか。厚生大臣は八分の五ですからいいです。あなたのほうは二分の一ですから、八分の一ぐらいどうしてもこの際納得させてやります、というところまでいきませんか。
○藤井説明員 産業公害による被害者救済制度を一日も早く実施しなければならぬということは、私自身も数回御質問に答えたわけでございまして、その当時私は、特殊法人によって、ある程度給付金といいますか、そういったことで免税措置によって、できるだけひとつ、とりあえず拙速でやったらどうか、こういったことを、いろいろ内部的にも研究してもらったわけでございますが、そういったちびたことでなくて、せっかく中央公害対策審議会に答申を仰いでおるから、その線が出てからひとつすっきりした形でやろうじゃないかということになりまして、その答申が、先ほど公害部長から答弁をいたしましたように、この民事責任とは切り離して、産業界においても、産業界全体がやはり公害発生の源をなしておるという意味において一枚加わり、国も加わる、地方公共団体も加わる、こういう精神の答申が出たわけですから、したがって、企業側も場合によっては三分の一でもいいではないかというふうな意見も私は出たのではないかとも思う。これは事実を確認しておりませんけれども、そこで、この半分ぐらいが精一ぱいだということで、いろいろ担当部長が業界のほうにも説明をして、そこまでいったということでありますから、もしどうしてもすっきりした線で、御指摘のようなお考えで竿頭もう一歩を進めるということになれば、これまた政府のほうで一ぺん検討をすべき問題でもあるというふうな感じがいたします。しかし現在もうすでに予算要求をしておるわけでございまして、いまの、産業界は二分の一の負担、あとは国と地方公共団体で持つ、こういうことで、一応四十四年度予算要求の線に案として出しておる、こういう状態であります。 ちょっと私、訂正いたしますが、これはちょっと行き過ぎまして、厚生省のほうが窓口であります。通産省のほうは、そういう希望を内部的に私として述べておったことを、つい先走った発言をいたしました。後半は訂正いたします。
○島本委員 これはいまのような民事責任云々というのではなくて、公害そのものは、産業行為、企業行為によって発生することは世界の定説ですから、そのためにも、被害者の救済ということは何ものにも先んじて行なわれなければならない問題なんですから、それがまたその基金の問題でごちゃごちゃしている、それがまた民事責任云々だ、こういうようなことに至っては、もう私どもとしてはほんとうにどこに誠意があるのか疑いたくなるほどです。これはやはり救済のほうが先です。ここで、その制度をはっきりさせたり議論する前に、二分の一と八分の五の違いなんだから、その辺は政治的に行政的に手を打てるのじゃないか。これをやって、何とはなしに早くでかして救済したということにしておいても、これはないよりいいんだ、こういうことなんです。もうすでに二分の一で要求したということになれば、これはとんでもないことだ、こう思っていましたが、厚生大臣、その辺はどうなんですか。
○園田国務大臣 私のほうでは、二分の一ではあれだから、もう少しということで、相談をしておる最中でありまして、予算の要求は、まだ二分の一ではいたしておりません。
○島本委員 八分の一くらいのものですから――くらいといったって、これはなんですけれども、両省で十分話をつけてもらいたいと思うのです。これは両省で話をつけて、そうして万遺憾なきを期してもらいたい。そうして進んで企業側の説得に立たなければならない場合には、通産省で、大臣を先頭にして十分その責めを果たしてもらいたいと思うのです。両省で、具体的に八分の五、この線まで上げ、予算措置を講ずるように、仲よくしてやるべきだ、こう思いますが、この点は緊急な問題ですので、お互いに、なわ張り争いとは申しませんが、考え方の違いもあるでしょう。しかしながら被害者の救済のほうが先ですから、この問題等については、八分の五にするように、最大の努力を両省ともにしてもらいたいと思います。可能性はあると思いますが、両大臣、可能性の問題について、一言だけOKと言ってもらいたい。
○園田国務大臣 全力をあげて御相談します。
○藤井説明員 答申の趣旨に沿いまして、救済制度が一日も早く理想の姿で実現すべく、最大の努力をいたしたい、このように考えます。
○島本委員 では次に、厚生大臣、公害基本法ができましたあと、坊厚生大臣だったころから、公害基本法の中で産業公害を主にしても、都市公害の問題は完全にこの中に含んで解決するということを、口をすっぱくして言っていた。大臣はその当時まだ大臣ではございませんでしたから、十分御存じないかもしれませんが、いまこの問題に対しては十分知っておられるとおりです。それでいわば産業公害から発生する都市公害が最近高くなってきている。その問題の中で、最近特に肺ガンの発生率が、昭和二十二年は、これはパーセンテージで十万人単位ですが、男一・三、女〇・六、それに対して昭和四十一年は男九・一、女四、こういうように上がってきておる。それから、ガン対策のほかのほうの部門では、おそらく全部下がるか、おそらくは対策が十分できて、そのまま横ばいになっておりますが、肺ガンだけはひとりぐうっと上がってきておる。これは外国との比較においても、日本はいままではさほどのこともないのですが、経済の成長に伴ったのかどうか知りませんけれども、もうすでに肺ガンの死亡率の上昇傾向は諸外国並みになってしまっている。これは経済の発展とともに度外視できない問題だ、こういうふうに思っていますが、肺ガンについてだけは西欧並みに発生、死亡率を示しているということは、これは名誉なことではないと思います。 それで、胃ガンや、乳ガンや、子宮ガンは減少傾向または横ばいの状態にあるわけです。これはどうしてこういうふうになっておるのか、原因と対策は今後大きい問題だと思います。これに対して、調査の結果等ありましたら、ひとつ報告を願いたい。
○金光説明員 この肺ガンの原因と対策の問題でございますが、肺ガンが年々ふえてきておるということにつきましては、先ほど御指摘、御説明がありましたとおりでございまして、昭和四十一年におきましても約十万九千人のガンの死亡者がございますが、そのうち肺ガンが約八千三百人というような状況でございます。ただ、先ほどの御説明の中で、外国並みになったというお話がございましたが、肺ガンはふえてはまいっております。ガン全般の中で、肺ガンは特にふえておりますが、米国や英国に比べますとまだ非常に少くて、冑ガンが多いという実情でございます。それで、肺ガンの原因でございますが、厳密にいいますと、これはなかなかむずかしい問題でございまして、ガンの発生機序そのものがまだはっきりしていないという現段階におきましては、なかなかむずかしい問題でございます。しかしながら、御承知のように、米国あるいは英国におきましても、この肺ガンとたばこの関係というものがいろいろと疫学的に調査されておりまして、非常に関係があるというように報告されておるわけでございます。日本におきましても、学者の間におきましていろいろと研究が行なわれておりますが、先般、新聞紙上にも発表されましたように、ガンセンターの疫学部長が、このたばこと肺ガンの関係をいろいろと検討いたしております。この調査は昭和四十年から始めまして、昭和四十一年と四十二年の調査結果をまとめたものでございますが、対象人員は約二十六万五千人というものを対象といたしまして、四十歳以上のものにつきまして調べた結果でございますが、それによりますと、やはりたばこをたくさん吸っておるものには非常に肺ガンが多い。一日五十本以上では、たばこを吸ってないものに比べまして二十八倍も高い、十本以下のものはあまり差がなかったというような結果が出ております。これは外国の文献等にも同じでございまして、たばこを吸う量によりまして、非常にガンの発生と関係があるという結果が出ておるわけでございます。 かようなことでございますが、それだけで、それでは即肺ガンが発生するかということにつきましては、これは今後の研究にまたなければならぬわけでございます。そういうことでございまして、その他肺ガンに関しましては、大気汚染等の問題も今後の研究課題として研究していかなければならぬということでございますが、現在の時点におきましては、特に大気汚染によって肺ガンが発生しておるという研究成績はないのでございます。しかしながら、これは決して軽視はできない問題でございまして、今後も考えていかなければならない問題であると思います。対策につきましては、もちろん医療関係の面におきまして、現時点におきましては、やはり早期診断、早期治療ということでございまして、早期診断の普及と、それから治療面におきます医療機関の整備等が特に必要であるわけでございます。その他、肺ガンが発生すると思われますたばこの問題につきましては、やはりたばこが肺ガンにも一部の原因をなしておるということにつきまして、一般に普及して、これの自覚を促していく、かような考えで対策を進めておる次第でございます。 以上であります。
○園田国務大臣 大気汚染とガンとの関係は、外国でもまだあまり詳細にきわめていないし、対策等もまだあまりやっていないようであります。そこで、御指摘のとおりに、肺ガンは二十二年から四十一年までの増加率があまりに多過ぎる。もちろん、たばこの害も言われるとおりでありますが、たばこだけならばこう急激にふえるはずはないではないかとしろうと判断もいたしますので、そういう発ガンの環境因子についての基礎問題等についても十分研究して、開発をしていきたいと考えております。
○島本委員 これは、都市別にいろいろ調べているデータを、私のほうで厚生省からちょうだいしてあるのですが、いまおっしゃったように、タバコの影響はあっても、大気汚染のやつはまだよくわからないというデータが出ているのです。都市別に見て、北海道の室蘭では、男八・二、女は四・三、これは工業都市ですよ。それから新興工業都市として、苫小牧では、男七・九、女五・四。美唄、これは炭鉱都市ですが、男五・四、女七・〇。札幌、これは首都的性格を持っている都市ですが、男七・八、女三・四。それから新興商業都市では旭川、これが男七・四、女四・〇、こういうようにそれぞれデータが出ているのですが、この中で、はっきりと死亡率を見ても、都市別にこれを見ます場合には、ばい煙、ことに北海道のようなところでは、冬になるとみな石炭をたく。石炭をたく場合には、タール性ばい煙によるところの影響が大きいと研究上はっきり出ているじゃありませんか。こんなことを調べてないなんて、厚生省は何をやっているのか。あなたのほうの資料に載っているのです。これは訂正しないといけません。もっとはっきり言ったならば、年次別にもはっきり出ております。そして、これは重大な問題として、この要因となる問題は、やはり大気の汚染と喫煙によるものである、こういうふうに定義づけされているようです。それに対してはっきりと今後、重点的なものは――他の都市もございまするけれども、これはことに東京などに多い。福岡も多い。神奈川県も多い。しかしながら、五万以上の小都市であっても、北海道の場合はべらぼうに多いわけです。なぜ北海道は多いのか。雪が降ったら変な粉じんなどないはずだ。その雪の中で多いということは、タール性ばい煙のせいが十分あるのじゃないか、こういうようなことが考えられるし、学者あたりも研究されており、そうだというデータも出ておる。これに対してはっきり対処しなければ、他のガンに対する対処があっても、肺ガンに対する対処がおくれる。これは都市公害に対しての一つの落とし穴になってしまうのではないか、こう思いますので、これははっきり対策をしてもらいたい。この意味の質問なんです。これは十分調べてないなんて不見識です。あなたのほうで十分資料を調べて、国立公衆衛生院のほうも来ているのですから、聞いてみてもらいたい。これはどうですか。
○鈴木説明員 いまの北海道の調査は、数年前の調査なんですが、北大の公衆衛生学教室でやられまして、そういう肺ガンがふえるのはなぜかといういろいろの影響します要因を分析されておるわけであります。そしていろいろの要因が、みんな肺ガンがふえるのに関係がございます。都市というものに従いますいろいろの性質は、北海道の肺ガンの発生率と非常によく一致しております。その中の一つとしての大気汚染、ことに大気汚染の中の発ガン性物質は、ベンツパイレン類というものと関係があるということは、いま御指摘の報告書の中にも書いてございます。ただ、それだけで肺ガンがふえたということはいまのところとても言えないということは、やはりその論文の中に書いてございます。いろいろな都市化というものの中で、北海道の肺ガンの増加ということと関係がある、というように書いてあるはずでございます。
○島本委員 時間がだいぶ経過しておりますから、この問題については保留しておいて、あとで大臣が帰ってきたらこの続きをやらしてもらうことにして、ぜひ大臣に質問があるという岡本委員もおりますから、私は全部終ってから、この席でおそくなりましても、この問題に対して質問を展開さしてもらいたいと思います。ただ、いま話した結論として、産業の発展した都市に高率だというような具体的な事実は出ておるわけです。そしてその中で、肺ガンは喫煙だけじゃなくて、いわゆる石炭の煙、タール性ばい煙によるところが多い、こういうようなことになっておるわけです。ただの粉じん、ばいじん、こういった場合には、内地の都道府県なんかにもこれがあるでしょう。ただ、それ以上に空気がきれいな、雪が降って粉じんがないはずの冬の間の北海道にも起きておる。これはやはりタール性ばい煙によるところの一つの結果じゃないか。これは十分対処しなければならない。これが都市公害に対する対処なんです。それに対して集中暖房の問題もあるでしょう。いろいろある。この対処の方法もまだ不完全ですから、これは大臣が来てから、もう一回この質問の続きをやらしてもらいたい。私は、いまの段階ではこれで留保して終わります。
○山崎委員長 岡本富夫君。
○岡本(富)委員 大臣が用事があるらしいですから、先に大臣に質問しますけれども、五日付の各紙の報ずるところによると、諏訪湖の公害汚染、すなわち魚介類にカドミウムが相当入っている、こういうことが岡山の小林教授から発表されて、各紙が取り上げております。この問題について、詳しくはあとで関係の政府委員から聞きたいが、先に大臣に、公害対策会議の会長は総理である、これは御承知でありますが、そしてその窓口が厚生省になっておる。そこでこの公害対策会議でこの問題は一応検討していただきたい。一つは現地の新聞あるいはまた住民が非常に不案になっておる。ワカサギを食べてはいけない、こういうわけで、そこの住民は非常にショックを受けておる。いま魚が売れない、そういうために、漁連の人たちが、大体千世帯約五千人ですか、また旅館は観光客ががた減りになっておる、こういうわけで、現地の、わが党の長野県連の滝沢さんから申し入れが来ているわけですけれども、住民の不安を解消してもらいたい。この一つの方法としては、小林教授のデータがありますけれども、公的なデータを出して、食べてもだいじょうぶだ、あるいはまたこうなんだという結論を早く出してもらいたい、それが一点。次は各工場の排水処理の問題でありますけれども、これは非常におくれておる、また何もやっていない。しかし、小さな工場においては、金の問題なんかですぐできない、したがってその方面の助成をしてもらいたい。三つ目は、漁民の人たち、あるいはまた観光旅館、こういう人たちが被害を受けて、越冬資金がない、そういうわけで、越冬資金あるいは運転資金を何とかしてもらいたい。四つ目は主幹下水道が非常に完備されていない、したがってこの下水道の完備を早急にやってもらいたい。五つ目は、諏訪湖の水質保全、この水域指定を実現し、また公害公益指定の実用をしてもらいたい、こういうような要求が来ているわけですが、これに対して、大臣から答弁をいただきたいと思います。
○園田国務大臣 いまの諏訪湖の問題は、二、三日前、私も長野に参りまして、県当局並びに現地の方からも御要望なり御意見を承ってまいりました。御意見のとおりに、新聞報道によって、地元住民はもとより、観光客などに不安の念を与えていることでございますが、いまの発表によるカドミウムの汚染は、いまのところは人体には影響がないように思われます。そこで、経済企画庁では、これに対し、専門家を派遣して調査に行って、終わっております。近く結論を出すはずであります。なお、私どものほうからも二、三日前に魚介類等の調査のために係官を派遣いたしております。そこで、その結論を待って、なるべく早く発表して、住民の方及び観光客等に対する不安を除去するようにしたいと考えておりますが、問題は、内水面のこういう問題はここが初めてでございまして、いろいろな汚物なりあるいは工場排水が長年の間に蓄積されて、諏訪湖がだんだん濁ってきているということでありますから、これについては、企画庁のほうでも、この地域の水域調査の結果を待って指定をする目標で、検討をやっておりますし、建設省でもまた、下水その他については検討しております。それから、私のほうが主となり、県ともよく連絡をとりまして、県のほうでこの諏訪湖の浄水といいますか、浄化のためのいろいろな細部の計画をつくってもらって、私のほうが窓口になって、これを各省に取り次いでいきたい、こう考えております。 その他細部については、それぞれ事務当局からお答えいたさせます。
○岡本(富)委員 いま大臣が、人体には無害である、こういうふうにはっきり言明されましたけれども、ところがこういうように新聞に発表され、また何でもないのにこういうことになったのではない。したがって魚が売れなくなった、漁民の人たちの越冬資金といいますか、この五千の人たちの生活権が非常にかかっている。事実、いまもう全然魚をとりに行かない、とりに行っても売れない。また、観光客は諏訪湖の魚を食べに来るわけですが、これは諏訪湖の魚を使うのかというわけで、どんどん契約をやめている。こういうことで、年末を控えて非常にたいへんではないか、こう思うわけでありますので、厚生大臣のほうで、ひとつその点も、先ほど申し入れした分についていま答弁がなかったので、関係各省あるいはまた県にも言って強力にやってもらいたい、こう思うのですが、どうですか。
○園田国務大臣 仰せのとおりでありますから、調査をして、なるべく早く結論を出して、不安を一掃するなり、これに対する対策は県とも連絡をして、各省とも連絡をして、努力したいと考えております。
○岡本(富)委員 では、この問題はこれくらいにしまして、この前の当委員会におきまして、カドミウムによるところの被害が相当出ておる、私がこの前提唱したのは、汚染地区の総点検を要求したわけでありますが、水銀によるところの環境汚染防止の暫定対策ですか、これはすでに厚生省のほうで出しておりますけれども、これを見ますと、カドミウムによるところの暫定対策というものはない。したがって、まだ隠れたこうした公害、カドミウムによるところの公害があるのではないか。あっちこっちには隠されておりまして、それはその町の、あるいはその村の、その地域の奇病だ、こういうような状態にいまなっておるので、一日も早くこのカドミウムの環境汚染防止の暫定対策を立ててもらいたい、こう思うのですが、これについてどうでしょうか。
○武藤説明員 カドミウムによります被害があちこちに出たような趣旨の御質問でございますが、現在カドミウムによります被害がはっきり出ておりますのは、先生御承知の、富山のイタイイタイ病の問題でございまして、あとは対馬の問題等が心配されております。そのほかは、いわゆるカドミウムが工場の近くに出たとか、あるいは亜鉛鉱山の付近でカドミウムが検出されたということで、被害が出たということではございません。その点、新聞紙上あたかも被害がどんどん出るような印象を社会が受け取るのは非常に遺憾でございまして、その点は十分正確なる指導をしたい、かように考えております。 それから、先生の御指摘の、何か環境対策をすべきではないかということにつきましては、水銀同様、現在各地で対象物をとりまして、大体明年の春までにはそういう分析が終わる予定でございますので、その結果を待ちまして、できますれば、水銀のように暫定対策要領等をも定めたい、かように考えております。 なお水につきましては、現在アメリカあるいはWHO等の基準も参酌しまして、いま専門家に検討を依頼して、なるべく早くカドミウムの人体におきます許容量等もきめたい、かように考えております。
○岡本(富)委員 いま現地あるいはあちらこちら調査しますと、神戸では、新明和ですか、あそこから申し出があって調べたところによりますと、メッキ工場から相当出ておる。それから、このカドミウムメッキというのは、御承知だと思いますが、鉄の防蝕のために、航空機なんかにはカドミウムメッキをしなければいけないという規定になっているわけですね。したがって、相当あちらこちらにあるのではないか。そこで、私が淡路島の洲本の工場へ参りますと、工場長あるいはまた技術者のいわく、許容量を何%にしたらよいのか、あるいはまたカドミウムの流出を防ぐためにはどういうようにすればよいのか、こうしたところのはっきりした指示がないというわけですね。したがって、淡路島におきましては、あれが相当量出ておりまして、現在あの工場ができて四年――大体、富山県のイタイイタイ病をよく見ますと、経産婦が十年ぐらい飲むとああいうような病気にかかっておる。こういう面から見ますと、これは対策を何ぼ立てても、おそきに失すれば何にもならない。また、各企業のほうの人たちの話を聞きましても、こうした暫定対策がなければ、どういうようにしたらよいのか、あるいは許容量はどうなんだ、こうした明確なものを示してもらいたい、こういう意見なんです。したがって、いま武藤さんから答弁があったけれども、人体に影響があったのは富山県のイタイイタイ病の問題と、それから長崎県の厳原ですか、ここだけであって、あとはまだ出ていないから、人体への影響、要するに、病人あるいはまた死者が出ていないから、まあいいじゃないか、こういうようにとれたわけですが、これではいつもこういうふうになって、後手後手になる。したがってもう一つ二つこうして出れば――その病気にかかった人のことを考えてごらんなさい。少なかったらいいというが、そのうちの一人になったらどうなるのか。これを考えると、もっと早く水銀同様に暫定対策を立てなければならぬのじゃないか、こういうように思うのですが、大臣どうですか。
○園田国務大臣 カドミウムにつきましても、御指摘のとおりでございますから、いま各省で調査しておるその資料を集めまして、その結果によりまして、なるべく早くするようにしたいと考えております。
○岡本(富)委員 時間がありませんから、あとでもう一ぺん詳しくあれしたいと思うのですが、カドミウムの出ておるところの各事業所あるいはまたその場所を、一つ一つ厚生省のほうで点検もし、あるいは検査もしたのかどうか。現地の報告だけを聞いて、対策を立てようとしておるのか。富山県のように昭和二十一年からもうわかっていて、そのままほってあった。これは私は、先々国会でしたか、厚生省に聞いたところが、栄養失調によるのだというような簡単な答えだった。したがって早急にやってもらいたい。いま何であっちこっちの検査をしてから、あるいはまた報告を集めてから、暫定対策を立てようとするのか。では、そういう暫定対策をいま先に立てて、そうして点検していく、こういうようになぜならないのか、こういうことを一ぺんお聞きしたいのですが、どうですか。
○橋本説明員 実はカドミウムの環境汚染によって公害を生じたという事例は、世界に全然ございません。日本で初めてぶつかった問題でございます。何十年の長期にわたって、問題がじわじわ起こってくるということでございまして、急性の伝染病あるいは急性の中毒症とは非常に異なっております。そういうぐあいで、どういうようにこれを押えるかという点につきましては、ほんとうにわれわれいろいろなデータを集めて判断をしていかなければならないということであって、重金属は、実はいま日本が非常に苦心しながらやり出したというのがいまの実情でございます。先生方からごらんになれば、全くおそいことだとおしかりを受けることも、私どももっともだと思いますが、そういう点で、分析の手法につきましても、幾つかの専門家のクロスチェックをやって判断しておるということでありまして、データが全然なしに暫定対策を組むということはできません。水銀につきましては、四十年から三年度積み重ねまして、初めて暫定対策というものができたのですが、そういう点で、カドミウムは時間的には少し無理がありますが、何とか今年度末には出そうと考えております。では、その間何の尺度もなしにやっておるのかということにつきましては、カドミウムの体重当たりの中毒量というものがございますから、それに安全率をぶっかけまして、出てきた数字を逆算してみて、だいじょうぶかどうかということを判断をしながら、これはあぶないとか、あるいは注意をしようとか、あるいはどうもないということを申しておるわけでございまして、全然根拠なしに申しておるわけではございません。ただ公式の分析としては、暫定対策として言うには、やはり相当多くの学識経験者が寄って、いままでのデータを集めてからでなければできないというのが、私どもの現在の立場でございます。
○岡本(富)委員 カドミウムの許容量というものはまだわからないわけですか。
○橋本説明員 労働衛生の場合と、それから一日何ミリグラム食べれば中毒が起こるかという程度のことは、実験では、ございます。そういうことで、その辺の数字というのはあるということでございますが、ただ、いまございますのは、労働衛生のほうに暴露されるわけでもございませんし、一日いろいろなところからカドミウムが入ってまいります。もしもカドミウムが心配だということならば、東京の空気も吸えないというようなことでございます。カドミウムというのは一般の土の中にも、水の中にも、空気の中にもあるわけでございます。そういう点で、どの程度に水準を引いていくかということにつきましては、水質基準というものにつきましては、先ほど武藤部長が申し上げましたアメリカのパブリック・ヘルス・サービスの基準とWHOとございますが、そのほかの点につきましては、中毒量に対して一種の安全率をかげながら、あぶないかどうかということについて、そのケース、ケースの判断をしておるというのが実態でございます。
○岡本(富)委員 あなたはいまカドミウムをおそれたら空気も吸えないというけれども、それは理屈ですよ。そんなばかげた答弁がありますか。そうでしょう。何という答弁をするのですか。すでに一九四〇年にフランスにおいて、そういうカドミウムの電池工場において被害者が出ている。それを発表されている。あるいはまたイタイイタイ病の問題でも、早くから婦中町の萩野博士やあるいはまた岡山大学の小林教授もずいぶん発表されておる。したがって、大体許容量というものは何%か、アメリカにおいてはちゃんと出ておるでしょう。だからいまあなたが言う、カドミウムをおそれたら水も飲めないあるいはまた空気も吸えない、そんなばかな答弁がありますか。そんなことをあなたは国民に言うのですか。事実この現地においてカドミウムが出たというだけで、このイタイイタイ病にかかったらもうなおらぬというので、非常に不安がっている。この話をちょっとしてみなさい。悲惨だ――ものすごくみんな不安な感情を持っている。したがって、そういういいかげんな――あなたは厚生省じゃないですか。人命尊重の上からものごとを見ていかなければならぬ、そう考えませんかどうですか。
○橋本説明員 いまの私の言い方は、少し慎重を欠いておったと思います。私の申し上げたのは、カドミウムというのは、一般の自然界の土の中とか水の中とか空気の中にあるということでございまして、カドミウムが検出されたならすべてあぶないというような過敏な反応というものに対しては、これは学問的に正しく受けとめなければならないということを申しましたわけでございます。 許容量につきましては、水につきましては〇・〇一PPMということを一応の基準としております。労働衛生におきましては、一立方メートル当たり〇・一ミリグラムというのがございます。それから中毒量としましては、一日当たり三ミリグラムぐらい食べれば中毒を起こすぎりぎりの限度である、そういうことがございますから、それらを大体頭に置きまして、水からどのくらい入るか、食物からどのくらい入るか、空気からどのくらい入るかということを検討しながら、最終的な基準を設けていこうということをしております。ただ発生源につきましては、従来カドミウムはどの程度に処理できるのかという幾つかの事例がございます。一応の基準がございます。また神岡につきましても、一応の調査はいたしております。ベストではここまで押えられるということがございますから、いまの段階では、こういう事例がございますので、ここまで押えれば一番いいのではないかという言い方をしております。初めの言い方につきましては訂正をいたします。
○岡本(富)委員 いまあなたの言うたように、最初にそう言えばよかった。何という――それはいいとして、厚生大臣が一時十分に退席ですか――では大臣、行ってください。 〔「休憩したらどうです」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時十五分休憩 ――――◇――――― 午後二時四分開議
○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。岡本富夫君。
○岡本(富)委員 最近起こっておりますカドミウムの問題につきまして、厚生省の意見は午前中に聞きましたから、今度は通産省の意見を聞きたいと思いますが、時間があまりありませんので、簡単に質問し、またそれを適切に答えてもらいたいと思いますが、まず、全国でどことどことがカドミウム問題で被害を受け、あるいはまたカドミウムが出ている全国の個所を、通産省からお聞きしたいと思います。 この問題は、まず一つは鉱山問題、亜鉛鉱山ですね、それからもう一つは電池なんかをつくっている洲本、もう一つはメッキ工場、こういうふうに分けてひとつお聞きしたいと思います。
○矢島説明員 ただいま先生がおっしゃいましたように、カドミウムを使っておったり、あるいは排出する可能性のある事業場は、三つのグループに分かれるわけでございますが、第一のグループは鉱山保安局のほうで従来から扱っておりますし、鉱山保安局長のほうが非常に詳しいので、鉱山保安局長のほうから返事してもらうことにいたしまして、あとの第二、第三のグループについて簡単にお答えいたしますと、第二のグループは、現に先生も御承知のように、淡路島の洲本において、三洋電機がニッケルカドミウム電池をつくるに際して、カドミウムが排出されたという問題が起こっているわけでございます。通産省としては、この事件が起こると同時に、この淡路島の洲本工場そのものに対策を考えることが第一でございますが、同時に類似の工場についてどういう問題があるか、実情調査及び警告、これを直ちにやらなければならぬと思って、さように処置いたしたわけでございます。洲本工場そのものに対する処置については、要すればまた別途御説明いたしますが、いま先生の御質問は全体の問題でございますので、全体的問題をお話しいたしますと、直ちに考えましたのは、通産省として考えられる工場は十四工場ある。要するに蓄電池関係の工場が十四ありますが、それが蓄電池関係でカドミウムを使う最大限度で、直ちにこの十四工場に対して指示をいたしまして、どういう設備の状況になっておるか、どういう排水処理施設をやっているかということについて調査いたしました結果、カドミウムを使っているのは、十四社のうち、問題の淡路島の三洋電機を含めまして、結局七社ということになりまして、それについて、使っている状況、排水の状況を調査いたしました。さらに、これは書面調査でございますので、このチェックをしなければならないので、各地の通産局と工技院の試験研究所に命じまして、その実態とカドミウムの含有量を調査いたしました。以上が第二グループに対する対策でございます。 第三グループにつきましては、先生はメッキの合金という御指摘でございますが、考えてみますと、メッキの合金だけではなくて、理論的に考えますと、顔料、塩ビ安定剤あるいは電子機器等もある。これは非常な数にわたるわけでございまして、こういうものについていま調査を進めておるわけでございますが、これは数が非常に多いので、結果は残念ながら申し上げられないのでありますが、なお合金の関係で、私どもも、具体例としては、新明和の甲南工場からカドミウムが排出されたという点は聞いておるわけでございます。これに対しても、県を通じて実情を調査中でございますが、この結果は、本日御説明はできません。 以上、第二グループ、第三グループについて、簡単に御説明いたしました。
○岡本(富)委員 鉱山保安局は来ていますか――ではあとで……。 通産省としては、この排水処理についてすでに指示をし、また各府県を通じてその対策を立てておるということで、いま話がありましたけれども、事実、現地に行ってみますと、排水の処理が非常に粗雑である、または何もやっていない、こういうところが非常に多い。それで、もう少し立ち入って、人命尊重の上から、一つ一つ立ち入り検査をしたところの状況を全部握っていかなければならないと思うのです。なぜかならば、水俣病が起こった時点におきまして、通産省のほうから、この処理をしなさい、するように、というような指示が全国二百工場に対して当時あった。ところがあとの処理したかどうしたかということについて、そのポイントを押えていない。そのために起こったのが、あの阿賀野川の問題である。これは五十五国会だったと思うのですが、そのときの通産大臣の菅野さんは、まことに遺憾であったという答弁をしております。したがって、私は、その轍を踏まないように、もっと強力にやってもらいたいと思うのです。それに対する決意をひとつお聞きしたいと思います。これは藤井さんから……。
○藤井説明員 通産省として、公害防止に関しましては、すでに基本法も出ておることですし、それに基づいて指示いたしましたことについては、これが実効を確保するという意味において、御指摘の趣旨は十分今後体して、御指摘の趣旨に沿うて善処したい、このように考えます。
○岡本(富)委員 それで、通産省として考えておるところのカドミウムの許容量は、厚生省と同じであるか。あるいはこの面についての見解をお聞きしたいと思いますが、どうですか。
○矢島説明員 私どものほうは、健康保護関係については非常な関心がありますが、われわれの人体に対する影響の程度というものにつきましては、必ずしも専門家でないので、そのめどと申しますか、規制なりあるいは指導のものさしというものは、あげて厚生省の考えに従おうと思っておるわけでございますが、午前中も御指摘がありましたように、厚生省でもカドミウム問題につきましてはいろいろ研究しておりまして、最終的なものさしというものがまだきまっていないわけですが、私どもは、そのきまった結果に基づいて、新たな対策を立てていきたいと思っております。しかしながら、その間においても放てきするわけにはまいらないわけでございますので、午前中にお話しのありました水道の基準、〇・〇一PPMというのがありましたが、利水地点において〇・〇一PPMが守られなければならぬと、とりあえず私どもは考えておるわけであります。その線に沿って、このカドミウムの工場排水をチェックしてまいりたいと思っております。
○岡本(富)委員 わかりました。じゃ、そういうことで早急に手を打って、住民の不安を除いていただきたい。また、国民の健康を管理してもらいたい。これを要求いたします。 次に、時間があまりありませんから、話が変わりまして、最近、建築ブームということから、生コンの工場が非常に進出してきておる。これは一例でありますけれども、西宮市内における生コン工場の建設について、隣が食料品の工場であった。そのために、粉じんといいますか、生コン工場の影響で、その食料品業者が仕事ができなくなった。あるいはまた、川西というところにおきましては、住宅の近所に三つも来るようになった。こういうわけで、非常に反対運動や、あるいはまたトラブルが起こっておる。こういうことでありますので、一日も早くこの生コン工場に対して手を打たなければならぬ、こういうふうに思うのですが、通産省としてはどういうような見解を持っておるか。あるいはまた、何らかの法的規制を設けるのかどうか、これについてひとつお聞きしたいと思うのです。これは全国的にこういうものがたくさんあると思うのですが、どうですか。
○矢島説明員 御指摘のように、最近における土木建築の活況に伴って、生コンが非常にふえておりまして、四十年に約七百工場であったものが、本年には千三百工場というふうに飛躍的にふえておるわけですが、これについてはいろいろの問題もあると思うのですが、まず第一番に騒音の点でございます。この点につきましては、各県において、従来条例によって規制しておったわけですが、先般国会において騒音規制法ができまして、これが十二月一日から施行されるわけであります。 先生の問題とされました兵庫県における例について見ますと、騒音規制法が施行される前から、兵庫県においては、条例でもってこの生コンの施設は一応やっておるわけですが、さらに十二月一日以降は国法による規制が行なわれ、地域が指定されると同時に、生コンの機械も騒音の発生施設ということで指定されるわけで、この騒音規制法の線で、さらに一そうの規制をやっていくほかはないと思うのです。 次に、先生の御質問の許可制の問題でございますが、これはなかなかむずかしい問題でありまして、もちろん現時点におきましては、これを事前に許可制にするとか、あるいにその立地を規制するとかいうようなものはないわけでございますが、騒音規制法の線におきましても、設置する場合には、届け出まして、その間、必要があれば勧告することもできる。それから勧告したあと、言うことを聞かなければ、改善命令というような法的措置もあるわけでございますので、現在の騒音規制法の線においても、相当程度規制することができるだろうと思います。しかし、これを事前許可ということにいたすことは、当面の問題としては困難と思います。この点については、なお県当局の指導方針あるいは県当局の処理方針というものが大事でございまして、兵庫県と十分打ち合わせいたしまして、何らかの解決策を考えていきたいと思っております。 それから粉じんにつきましては、現在兵庫県条例で規制されておるわけでございまして、今回の事例についても、これで対処できるのではなかろうかと思います。実際問題といたしまして、生コンの工場については、工場外に粉じんが飛散するということは、一般的には少ないのではないかと考えられます。
○岡本(富)委員 いまあなたは、粉じんの問題では、実際にはない、こういうお話でありましたけれども、事実現地を視察しますと、たとえば一つの例といたしましては、西宮なんかは、ヤクルトの工場がずっとあった。ちょうどその横に生コン工場ができまして、そこから出てくるところのセメントの粉が酵母菌やあるいは乳酸菌の細菌とくっついて、そして生産ができなくなる。またこの付近には有名な灘の酒屋があるわけですが、そういうような微妙なことになると思いますけれども、そういうことで、いままでの産業が要するに仕事ができなくなる。一、二の例でありますけれども、こういう面を考えますと、やはりそこに許可規定といいますか、そういうものを将来通産省で考えなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうでございますか。
○矢島説明員 私は、一般的にはないんじゃなかろうかと申し上げたわけでございますけれども、具体的には、あるいは先生の御指摘のような場合、問題があることは事実でございましょうが、それにつきましては、やはり現在の大気汚染防止法では、燃焼に伴って出るすす、粉じん以外は規制できないわけでございまして、生コン工場は、燃焼に伴って出る粉じんではございませんので、何といいますか、国法による規制は、現状においては困難かと思われますが、しかし、先ほど申し上げましたように、兵庫県条例で一応取り締まれるようになっておるのでございます。あるいは御指摘の例の場合、条例による規制が十分行なわれていないのではないかと思いますので、兵庫県とも十分打ち合わせをいたしまして、遺憾なきを期したいと思います。
○岡本(富)委員 こういう生コン工場というような問題は、新しく出てきた公害であります。したがいまして、今後やはり産業が発展していくと同時に、ますます起こってくる。いままで見ておりますと、そういう公害が起こってから、何とかかんとか、その対策を立てなければならぬとか、あるいは追いかけているような状態であります。したがって、一つか二つ、あるいはあちらこちらに出てきた場合に、それをよく調査して、そして国のほうでも先に手を打つ。工場ができてからこれを動かすということは、企業側としても非常に困るわけです。ですから、省令あるいはまた何らかの法的規制をやはり国で考えて、そして企業がそこに進出してからあとで問題を起こすということのないような、調査あるいは研究あるいはまたそれに対する法的処置、これをひとつ考えてもらいたいと思うのですが、藤井政務次官、どうですか。
○藤井説明員 具体的な例を引用されての御指摘でございますが、先ほども公害部長がお答えいたしましたように、特に生コン工場は、時代の要請とともに急激に工場がふえまして、しかも仕事の性質上、公害を伴いやすいことも、事実を指摘されたお話から十分考え得ると思いますので、公害を未然に防ぐ、こういった観点から、ひとつ具体的に生コンの状態そのほか考え得る公害について、未然防止の観点から調査を進めて、先手を打つべく措置をいたさなければならぬ、このように思います。
○岡本(富)委員 最後に、通産省に、午前中にお話ししました諏訪湖の工場廃液、これの対策を早急に立てていただきたい、これをひとつ要求し、またお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
○山崎委員長 石田宥全君。
○石田(宥)委員 午前中に引き続きまして、主として厚生省にお伺いをしたいと思うのでありますが、午前中に科学技術庁長官が述べられたように、今回明らかにされました統一見解は、厚生省案よりはあいまいさがなくなってすっきりしておる、こういうふうに私も受け取っておるのであります。なぜ厚生省があのようなあいまいなものを科学技術庁に送付したか、私は厚生省の責任はきわめて重大だと思うのです。 そこで、一番最初に明らかにしておきたいことは、大臣に伺いたいのでありますが、行政府においては、前任者の行為に対して、その当時その職になく関知しなかったといって、責任を免れることはできないと思うのでありますが、この点をまず確認をしておきたいと思います。
○園田国務大臣 それは、前任者のあとを引き継ぐのが当然だと考えております。
○石田(宥)委員 先ほど私は、厚生大臣の本問題に対する見解と、今後の対策をただしたいと思ったのでありますけれども、同僚議員の質問の中で明らかになりましたから、この点には触れません。 そこで、次に伺いたいのでありますが、大臣は閣議決定のあとで記者会見をされまして、ここでこういうことを述べておられるのです。「阿賀野川事件については企業責任と断定していないことについて新聞などから疑問が出ている。しかしこれは水俣病の汚染源が単一なのに対して、阿賀野川事件は汚染源が昭電と農薬の複合であることから企業責任と断定出来ないのである。」、こう言っておられます。しかしながら、厚生省の三研究班並びに食品衛生調査会の記録によれば、きわめて明瞭でございまして、農薬というものは全然認められておらないということが、厚生省から出た出版物の中にも明らかにされておる。「農薬を否定した資料もあるとの論拠」として、「アルキル系水銀農薬はエチル水銀のみを含む農薬とメチル水銀の合剤の二種類しか市販されていない。一方、従来の動物実験の結果からは動物体内でフェニル水銀がメチル水銀に、エチル水銀がメチル水銀に変化することは考えられないし、また最近の国立衛生試験所のラッチによる水銀化合物の飼育実験からもこれを認めるデータが得られている。もし、農薬が本中毒事件に関与しているものとすれば、」こう書いておりまして、さらにもう一つの点では、これは食品衛生調査会の記録でありますが、その記録の中では、何人かの人がやはりこの問題を取り上げておる。ところが結論としては、もし農薬の被害というものがあったとすれば、エチル水銀、フェニル水銀というものが検体の中からあらわれるはずであるのに、全然これは認められておらない、こういうことが食品衛生調査会の記録に明らかなんです。その記録に明らかであるのに、厚生省はその点を明らかにしておらないわけですね。その三研究班の結論と、さらに食品衛生調査会の記録の中で明らかであるし、また科学技術特別委員会において、食品衛生調査会の小林会長に対して私が質問をしたのに対しても、明瞭に小林会長は答弁をしておる。それを厚生省案の中にあいまいにしてあったのは、一体どういう理由なのか。
○園田国務大臣 この農薬の問題で二つございます。散布された農薬の問題と、それから地震によって短期間に流出したという説と、二つあるわけであります。散布された問題は、これは各省一致した意見で、無視することができるということですから、これは問題になりません。そこで、私が新聞に発表いたしました文言は、私の言った意味は、昭和電工の鹿瀬工場と、それからもう一つは短期間に地震で流れ出た農薬の説の二つの可能性があるが、その中の農薬が地震のときに流出したという説は、農薬があって流出したという事実を裏づける資料がない、こういうことを言っておるので、私は農薬が犯人であるとは言っておらぬわけであります。鹿瀬工場が主犯であって、その流れ出た農薬も確認をしているのだという説があるが、それを事実だと裏づける資料はない、こう言っておるわけです。ですから結論を言うと、鹿瀬工場のやつははっきりしているが、農薬のやつは、否定する説もあるが、それが流れ出たという事実もないということを言っておるわけでありまして、二つに犯人をきめているわけじゃありません。
○石田(宥)委員 いまの御説明であると、やや明らかになるのですけれども、これは単一でなくて――水俣の場合は単一であるけれども、阿賀野川の場合は複合であるからという表現のしかたは、いまの説明とは違ったニュアンスで受け取られるのです。これは今後民事事件などの場合にやはり問題になる点であろうと思いますし、私はその出所も確認してあります。閣議後の記者会見で、これは共同通信の記事なんです。ですからそこの点をはっきりしておきませんと、今後困る問題が起こるのではないか、誤解を招く、こう思うのです。
○園田国務大臣 いまのやつは、当時刷りものにしておりますので、それを読みますと明瞭になると思います。念のために読んでみます。第一は、鹿瀬工場の問題が書いてあります。二番目に、地震時の流出農薬説があるが、これを裏づける資料はない、こういうふうに言っております。
○石田(宥)委員 どうも歯切れが悪いですね。何か奥歯にものがはさまったような感じを受けるのです。そこで、科学技術庁の高橋審議官、まだ見えませんか。
○山崎委員長 まだ見えません。
○石田(宥)委員 それから次に伺いたいのでありますが、水俣病のように、新潟では最近さらに二名の患者を認定をいたしておるのでありますけれども、こういう人命に関する問題を扱ったところの食品衛生調査会、特に特別部会の記録がなければならないと思うし、私はあるはずだと考えておるのでありますが、その記録はぜひ本委員会に提出していただきたい。これは前に熊本における水俣事件の際に、経済企画庁は、昭和三十五年三月から三十六年三月までの四回の記録、四回目の記録は紛失しました、ありませんと、こう言っておった。ところがあとで、ありましたと言って、提出しておるのです。そういう事例もありますから、いまどうもないようなことを言っておるけれども、事人命に関する問題の原因の究明をやろうという特別部会の記録が全然ないということは、常識では考えられないのです。これはひとつぜひ御提出を願いたい。
○金光説明員 食品衛生調査会の特別部会の審議経過に関します議事録でございますが、これは詳細な内容につきましては記載はされてないのでございますが、一応の内容につきましては、メモとして残しておるわけでございます。それがこの報告にございます、大体その主体になっておるわけでございまして、要点として、メモとして残して、この報告書をつくったというような経過でございます。
○石田(宥)委員 私もそれはもらっておりますけれども、これではきわめて不十分でございますし、特別部会の記録は全然載っておらないですね。しかも、それが食品衛生調査会の結論となったものです。そうして食品衛生調査会の答申となり、それが厚生省案になったのです。その厚生省案のもとをつくったところの特別部会の記録が全然ないということは納得できない。どこかにあるはずなんです。だれかが持っているはずなんです。
○金光説明員 先ほど申しましたように、メモとして残しておりまして、メモを集約しまして、この報告書になっておるわけでございます。
○石田(宥)委員 どうも、そういうことになると、厚生省の考え方というものがいかに人命を軽視しておるかといわなければならないと思うのです。大臣、しばしばこういうことがあっては困る。五人も死んで、二十何人か患者が出て、最近になってまた二名患者の認定が行なわれておる、まだ出るかもしれない。こういう問題の一番重要な記録をとっておかないということはあり得ないと思うのです。大臣はそのことをどうお考えになりますか。
○野津説明員 特別部会の議事につきましては、当時出席しておりました担当が、自分のメモとして内容を残しておりまして、それを主体といたしまして書きましたのが、先ほど先生から御指摘いただきました文章になっているわけでございます。
○石田(宥)委員 大臣、いまのような答弁で、これしかないと、こう言うのです。これしかないでは済まされる問題じゃないのですね。三研究班の概要、それと最終的な食品衛生調査会の答申だけで、その間にどういう審議が行なわれたかということはかいもくわからない、こういうことがあってはならないと思うのですが、本気にないのだとすれば、これは許さるべきことでないと思うのですが、大臣はどうお考えになりますか。
○園田国務大臣 当時の模様を聞きますと、専門家が集まって学問的な討論をやった、その討論の要旨を係がメモしておって、それに基づいて要約をして、この要約したものは、さらにその当時の専門委員会がそれぞれ協議をしてこれにまとめた、こういうことでありまして、若干の資料はこのほかにあるようでございますが、一言一句の速記録はないようでございます。今後は、こういうことは十分よく注意をしてやりたいと思います。
○石田(宥)委員 まだこれはしばらくかかる問題でありますから、あるだけの資料は御提出を願いたい。これはひとつ要請しておきます。 それから、先ほど高橋審議官が答弁になりました問題点の中で、熊本大学でまとめた「水俣病」という論文集、これには必ずしも見解が一致しておらないという御指摘であり、同時に最も新しい時点のものとしては研究班の記録であろう、こうおっしゃったわけです。前の分はよけいものだと私は思うのです。三研究班、なかんずく疫学班の結論がはっきりしておるわけですね。それはなぜかというと、熊大の論文集をまとめた時点の後に、たとえば分析技術の問題とか、あるいは発生機序の問題であるとかいうようなものが、かなり明瞭になってきておるわけです。したがって私は、熊大のまとめた論文集について、高橋審議官がかれこれ言われるのは蛇足であって、やはり三研究班のうちの疫学班がまとめたこの資料を尊重すべきものであると考える。その点、ちょっと明確を欠いておりますから、答弁をしていただきたい。
○高橋説明員 私の説明が非常に不十分だったと思いますので、補足させていただきます。 先ほど申し上げました、先生御指摘の問題でございますが、一応読み上げさせていただきますと、「いわゆる水俣病とは、微量のメチル水銀化合物の連続汚染をうけた魚介類が、これをその体内に蓄積し、このようにして汚染された魚介類を反覆して多量に摂食することにより、人または動物の体内にこれが移行蓄積して、その結果、脳神経系の特有な症状をもって発生するメチル水銀中毒症である。」、これが研究班の記載されております定義づけでございます。実際には、これは、この研究班の最終報告が出ます前の、中間報告の時代からの定義でございますが、そのあとで、これから約二カ月前の喜田村教授の日本医師会雑誌にございます定義づけは、大意はこのとおりでございますが、このほかに、工場排水によるということが入っておるわけでございます。その点が異なりますけれども、これがまた非常に問題だと思いますけれども、そのような点を除きますれば、私どもの考え方と申しますのは、この研究班の報告書にございます記載どおりでございます。したがいまして、いわゆる起因というもの、汚染源というものには触れてないけれども、要するに、微量のメチル水銀化合物の連続汚染を受けた魚介類を多量に食することによって起こった中毒だ、こういう点につきましては、この研究班の定義と申しますか、それをもって水俣病というふうに置きかえますれば、私は別に異存はございませんけれども、ただそういうように少しずつ先生方の見解が違っておりましたので、慎重を期しまして、水俣病という字句は、私どもの統一見解では、入れませんでしたけれども、特に他意のあったことではございません。正確を期したつもりで、私はおります。
○石田(宥)委員 そこで厚生大臣に伺いますが、これは大臣よくおわかりにならないかもしれませんが、三研究班が膨大な資料と結論を出しましたね。ところがその研究班の結論を、さらに食品衛生調査会にかけておるわけです。食品衛生調査会にかけるにあたって、いままで十何年間苦心惨たんをして、あらゆる角度から研究が行なわれて、熊本大学で一応の取りまとめを行ない、さらにもっと進歩した学術的な研究の結果が結論となって出ておる。それを今度、食品衛生調査会にかけるにあたって、熊本の水俣病を取り扱った学識経験者を一人も入れていないようであるが、おわかりですか。
○金光説明員 先生の御指摘のとおりでございまして、熊本の水俣病の研究者は入っておりません。
○石田(宥)委員 水俣病のように高度の学術的な問題を審議するのに、いままで十数年間苦心惨たんしてこられた学者を除き、そして食品衛生調査会は一度も現地調査もやっておらない。そして三研究班の結論をあいまいにしておる。この点は厚生省の許すべからざる失態だと思うのです。大臣、どうお考えになります。
○金光説明員 先ほどの食品衛生調査会には、熊本の水俣病を研究されました大学の専門家の先生は入っていないわけでございますが、この新潟県の水俣病につきましては、この疫学研究班の中に、熊本大学の入鹿山先生、神戸大学の喜田村先生が、専門家として入っておられます。
○石田(宥)委員 そんなことを聞いておるのじゃないのですよ。研究班の中には当然入っておりますよ。だから、研究班の結論は尊重すべきだと私は言っておるのです。ところが、疫学班の結論というものをあいまいにするために、経験者を入れない、そういう食品衛生調査会の中の特別部会というものをつくっておる。おかしいじゃないか。結論をあいまいにするために、そういう作為的な意図があったのではないかということを、私は指摘をしておるのです。
○金光説明員 食品衛生調査会の中には、先ほどの熊本関係の専門家は入っておりませんけれども、食品衛生調査会は、現地を調査されました研究班の意見を十分聞きながら審議したわけでございまして、そういう意味で、特にこの中には入っていないわけでございますが、それは一つには、やはりまた別の角度から全般的に判断をする、公正を期するという意味にも幾ぶん意味があろうかと思いますが、そういう意味で、食品衛生調査会という立場で、現地の調査班の意見を聞きながら結論を出す、こういう形で審議を進めた、こういう過程であります。
○石田(宥)委員 だから、そこの点を私はついておるのですよ。特別研究班の結論をあいまいにするために、特別部会には特に入れないのじゃないか。特別部会は厚生省案を取りまとめたのですよ。これは問題だと思うのです。特別部会でまとめたものを直ちに食品衛生調査会の結論とし、食品衛生調査会の結論を手を加えないで厚生省案としたという手続上の問題がある。もっと具体的に言うと、その中の、疫学班の中の二人の先生が、本委員会でも問題になり、科学技術特別委員会でも問題にいたしましたが、具体的に言えば、神戸大学の喜田村教授、横浜国立大学の北川徹三教授、これがもうまっこうから相対立して今日に及んでおるわけです。私は、実は北川教授の証言というものに対して、今日なお詐欺罪で告訴しなかったことを後悔しているのです。なぜかというと、国会のこの本委員会においてまことにいかがわしい写真、この写真ですが、呈示して、かくのごとき農薬が日本海に流れ出て、そうして阿賀野川をこのくさび状で遡上しておるのだ、こういう証言を国会の委員会においてやったのです。私はそのときすぐこれを詐欺罪で告訴すればよかったと、あとで後悔をしておるのですけれども、今日なおその説を捨てていない。しかしこれは出所が明らかです、私がとったという人がおるのですから。そうしてそういうふうないわゆる昭和電工のひもつきであり、私は、厚生省のひもつきではないかとすら疑っておるのでありますが、そういう者を二人並べて参考人に呼んで、特別部会は審議をしておる、食品衛生調査会は審議をしておる。そういう経過から見て、不純であり、きわめて遺憾な問題をそこに持っておるのではないかということを言っておるのです。みんな知っておるのです、それは。こういう点がだんだんとぽかされてきて、あいまいになっていって、そうして科学技術庁長官が言われたように、厚生省の案よりは科学技術庁は幾らかはっきりした。高橋審議官が苦労されたと思うのですが、そういう点を、私ははっきりしなければならないと思う。そういうことがあっていいかどうか、大臣はどうお考えになりますか。
○園田国務大臣 私は、先ほど話があったように、前任者の責任は持ちますけれども、その事実は詳細わかりません。少なくとも経緯から見て、何か相反する意見がある場合には、やはり委員会の参考人などは、賛成の者と反対の者とすべての意見を聞くのが当然であって、決してそれは、厚生省がぽかすためにやったとは考えません。またそういうことを厚生省が考えるはずはございません。
○石田(宥)委員 大臣、それでいいですか。実は、私はここでひとつ厚生省の今日まで行なってきたいろいろの問題を指摘したいと思うのです。 それは第一、当時担当の舘林環境衛生局長は、疫学班に対して、数回にわたって、昭電に逃げ道を残してくれと発言をしているのです。二、疫学班の結論は、断定するというふうに書いてあったのを、診断すると修正させております。三、私が四十一年十一月、科学技術特別委員会に、水俣病に対して十数年間取り組んでこられた神戸大学の喜田村教授を参考人に呼ぶと、舘林局長は、喜田村教授に対して、答弁をあいまいにしてくれと依頼をした、これを断わられると、昭電の御用学者の横浜国立大学の北川徹三教授を参考人としてここに出してきて、まっこうから意見の対立をさせておる。こういう事実はみんな関係者は知っておる。それから四、研究班に対して学術的研究の結果を学会などに発表するなと言っておる。五、舘林局長は、また食品衛生調査会において、問題の基盤とあるのを、状態にあったとしたいという発言をし、厚生省案をもっとあいまいなものにしようとしております。これは記録にあります。それから六、四十一年十二月二十五日、三研究班の結論がそろっておるにかかわらず、四十二年四月、私が予算委員会で追及するまで握りつぶして、昭電側の反論に時間を与えておる。こういう事実が積み重なって、厚生省案というものがきわめてあいまいなものになってきたということが言えるのであります。もしいま指摘した事実の中で、これは大臣おわかりにならないでしょうからおわかりの方があれば、承っておきたい。
○金光説明員 私も当時いなかったのでございますが、いままでのところ、私どもとしましては、先生が先ほど述べられましたような、いかにもこの研究結果、調査結果を若干あいまいにするというような態度を、舘林元局長がとられたという事実については、承知いたしておりません。またあの舘林局長において、さような考えで行なわれるというようなことは、私としてはまずないと、かように確信いたしております。
○石田(宥)委員 これは大臣に伺いますが、こういう事実を、私は証拠を示すことができる、証人として呼ぶか参考人として呼ぶか、これを確認することができる、各方面の調書もある、雑誌にも載っておる、そういう事実が確認された場合に、厚生省はいかなる措置をとられますか、その責任を負わなければならないと思うが、どうです。
○園田国務大臣 いまの事実は初めて聞くことで、私わかりませんが、すでに舘林という局長は役所をやめております。したがって、私としては、その事実があっても、行政処分するわけにはまいりません。なお今後そういうことがないように十分注意をし、その経緯については、さらに検討したいと考えます。ただその経緯についてはいま初めて承りましたが、最後の結論については、私は決してそういうことでやったわけではなくて、出てきた事実の上に、私が認定したわけでありますから、最後の結論については、私は十分確信を持っております。
○石田(宥)委員 いまやめておりましても、そのことが厚生省に引き継がれておるわけだ。園田国務大臣が引き継いでおるわけですよ。引き継いだものの中に重大な誤りがあったということが明らかになったなら、これは再検討をしなければならないじゃないですか、それを聞いておるのです。
○園田国務大臣 その事実がわかった場合にはよく検討をしますが、しかし、結論については、私は何ら変更する必要はないと考えております。
○石田(宥)委員 厚生省案を作成する段階において重大なあやまちをおかしておったことが明らかになっても、見解は改める必要はない、ということはどういうわけですか。
○園田国務大臣 私は、この新潟の阿賀野川の問題は、その原因者は昭和電工の鹿瀬工場である、ただ農薬が流れ出たという説があるが、その事実を裏づけする資料がないから、これは断定できないだけであって、その農薬を流したという事実があれば変わるか、あるいは流れないという事実がわかれば変わるかしますけれども、そのほかは、その経緯によって変わることはないと考えております。
○石田(宥)委員 農薬の問題は、さっきから私が繰り返しておりますように、学術的に否定されておるのですよ。それを政府の統一見解の中でまた持ち出してきて、それをまた隠すようなことを何でやっておるのですか。そんなものを持ち出す必要はないじゃないですか。研究班も、食品衛生調査会も、特別部会も、ちゃんとそれは消しておるのです。あり得ない。小林食品衛生調査会会長は、私の質問に対して、はっきりそういうことを言っておるのです。それをまたここで、政府の統一見解の中へ出してきたのはいかなる理由なのか、それでもやはり修正ができないというのは納得できない、こういうことです。
○園田国務大臣 農薬説が否定されておるということは、散布農薬の問題でありまして、水銀性農薬が倉庫に集積してあったのが流れ出たという説があるわけでありまして、私のほうでは、そういう事実は確認することはできない。そこで、私はわざわざ統一見解を出して、政府の見解で、主犯は昭和電工であるということを断定したわけであります。
○石田(宥)委員 私は納得がいきませんが、これはいずれもっと掘り下げて、いろいろな資料をそろえて、場合によっては、ひとつ委員長から理事会にはかっていただいて、私がきょう述べたことは、推定などでものを言っているのではない。ちゃんと人証もあるし、文書もあるし、すべて理由があって立証することのできる事実を私は申し上げておる。そういう事実の上に立ってでき上がった厚生省案というものを固執しなければならない理由はないじゃないですか。なぜ固執されるのです。
○園田国務大臣 倉庫に積んであった水銀性農薬が流出したという事実がないということがわかるか、あるいは水銀性農薬が流出してもそれは害がないという学問的な理由がわかれば、私の見解は取り消しますが、そうでない限りは、昭和電工の鹿瀬工場がその主犯であって、ただそのほかに、地震の場合流れたという農薬説もあるが、それは事実を裏づけする資料がないというので、こちらのほうには、私は比重を置いておりません。ですから、これさえわかれば、もう昭和電工であると私は断定いたしますが、それ以外は、変更する必要はないと考えております。
○石田(宥)委員 時間の関係で何ですけれども、私は記録を持ってきております。食品衛生調査会の小林会長は、私の質問に対して、その点ははっきりしておる。もし農薬が関与しておるとすれば、もっと別の結論が出ておるはずですよ。あなたのほうでまとめたこれにも、ちゃんと書いてある。散布農薬などというものは問題にならないのです。あなたは農業にしろうとだからおわかりにならないのは無理はないけれども、こんなのは種子消毒その他で、ほんの特殊のものですから、それは昭電の廃液などとは比較にならないもので、お話になりませんよ。 そこで大臣、あなたはあるところで、新聞記者会見で、鹿瀬電工の廃液というものと農薬というものを並べて、農薬というものは一応否定しておるけれども、どの程度鹿瀬電工に責任があるかというような一つのパーセンテージなどを示して、話をされたこともあるようですが、いまはどうですか。
○園田国務大臣 そういう事実はございません。私はあくまで、記者会見の場合には、そのときの方々もおられますが、自分で言ったことを覚えておりますけれども、科学技術庁の見解は技術的見解であって、なかなかわかりにくい。そこでそれから総合して、こうこうこういう理由をあげて、その場合に二つ並べて、並べたやつを逐次否定していって、そして最後にはっきりわかるのは昭和電工だけだ、こういうふうに言っているわけで、決して、並べてこっちのほうが何%、あっちのほうが何%ということは言っておりません。それは違います。
○石田(宥)委員 御趣旨はわかるのですが、今日この問題をむし返すのはいささかどうかという気がしないわけではありませんけれども、重要なポイントですから、これをやはり明らかにしておきたいと思うのです。大臣の意見もよくわかりますよ。わかるけれども、なおこれをはっきりしなければならない。 それから、法務省の刑事局長、朝からお待たせしてたいへん恐縮でしたが、実は前からしばしば刑事局長に伺っておったわけでありますが、この間、政府の統一見解が発表された直後に、新潟県警本部長は、阿賀野川水銀事件は刑事事件として取り扱わないと、特別発表をしております。あとでも明らかにするような事情もございます。私は刑事局長並びに新潟地検に対して、すみやかに立件すべきことを要請してまいりましたが、立件しなかった。その理由はどういうことか。たとえば企業責任を断定していないというようなことなのか、その間の事情を正確に聞きたいと思います。 また熊本県水俣事件に対し、当時熊本地検はこれを立件いたしましたが、処置猶予としております。政府見解が出された今日の時点で、いかなる取り扱いをなさるか、政府見解が明らかとなったとき初めて時効というものは論ぜられるべきではないかと考えるのでありますが、局長の御答弁をわずらわしたいと思います。
○川井説明員 水俣事件のほうから先に申し上げますが、水俣の事件は、当時熊本の検察庁と熊本の警察が調査をいたしております。調査は始めましたけれども、当時科学的な究明が必ずしも十分ではありませんで、検察庁としまして、刑事事件として立件して捜査に着手するという段階には至りませんでした。したがいまして、ただいまお話がありました処置猶予としたというのは、検察庁のほうの調べではありませんで、法務省の人権擁護局の関係の出先の法務局が、人権問題として取り調べをしたわけでございます。その人権問題として取り調べをした結末といたしまして、これもその後における両者の示談、和解というようなことの成立もありましたので、人権問題としてはこれ以上特別の追及はしないということで、人権事件として処置猶予の措置をした、こういうことでございます。要するに、刑事事件としては立件捜査に着手をいたしておりません。立件するかどうかということをきめるための事前の調査はいたしておりますけれども、立件する段階には至らなかった、こういうことでございます。ただいま御指摘の処置猶予というのは、繰り返すようでございますけれども、人権擁護局の関係の処分の結末である、こういうふうに御了解を得たいと思います。 それから、新潟県のほうは、たびたび御質問もございましたし、それ以前に検察、警察当局におきましても、水俣の事例もありますので、公害問題とし、具体的には刑法の過失致死傷に当たるのではないか、こういうふうな疑いがありましたので、かなりな事前の調査を進めておりました。進めておりましたけれども、新潟の場合におきましても、権威のある政府の見解が分かれておりまして、必ずしも明確な科学的な結論がなかなか出なかったような事情でございます。そこで警察、検察といたしましては、立件するかどうかということで調査をいたしましたけれども、立件するだけの確信が持てないということで、熊本と同じように、新潟地検の場合におきましても、事件は立件いたしておりません。調査にとどまっておりました。そこで、科学的な権威のある見解が出た場合におきましては、その資料を根拠にいたしまして、刑事事件として立件するかどうかということをその段階において慎重に検討するということで、事態を今日まで見守ってきた、こういうのがこの新潟の場合でございます。 その両者につきまして、九月二十六日だったと思いますけれども、政府としての有権的な見解が一応発表になりました。そこで、新潟の場合はかなり明確な断定がなされておりますので、この問題につきましては、検察当局におきましても十分調査、捜査に着手する有力な資料になると思います。ただ、ただいま最後にもお触れになりましたように、刑事事件の場合には、公訴時効の制限がございますので、何十年かかっても、事件が明らかになった段階において捜査ができるというものではございませんで、それぞれのきめがございます。業務上過失致死傷につきましては、先般の法律改正で刑が五年に上がりましたので、今日では公訴時効五年でございますけれども、この事件が発生した段階におきましては、法定刑は三年でございましたので、これはこまかいことでございますが、公訴時効は三年ということに相なっております。 そこで、問題は、ただいまも御指摘がありましたように、事件が発生したときを起点として三年という期間の計算が行なわれるのか。そうではなくて、今日、犯人はこの人だ、こういうふうな断定があったのだから、犯人がわかったときから三年という期間を計算したらどうだ、こういうふうな御意見でございます。これは刑法、民法を通じまして、法律全体といたしまして時効制度を考えまして、行為のときを基準とするかあるいは犯人がわかったときを基準とするかということにつきましては、いろいろ事情がございます。ですから、犯人がわかったときを起点として時効を考えるという説も、十分理由がある納得できる説でございます。ただ今日、日本の現行法のたてまえといたしましては、刑事の公訴時効につきましては、犯罪行為が行なわれたときを起点とするというのが法律の規定であり、またこの規定に関する最高裁のとっておる従来の判例の態度でございますので、本件を刑事事件として処理するというふうに考えますならば、これは事件が終わったとき、行なわれたとき、行為のときを起点として公訴時効を考えざるを得ない、こういうことになります。 それから民事の関係におきましては、よけいなことでございますけれども、不法行為に基づく損害賠償の請求ということが問題になると思います。この問題につきましては、御存じのように不法行為の終わったときから二十年、それから加害者を知ったときから三年、こういうふうな特別な規定がございますので、民事の関係におきましては加害者がわかったときから三年というとりきめがございますので、民事関係におきましては、時効の問題は、今日まだこの問題について起こっておりませんけれども、刑事の問題におきましては、先ほど御説明したような事情におきまして、現行法といたしましては、行為が終わったときから三年、こういうことになっておりますので、いろいろ研究いたしてみましたけれども、阿賀野川の場合におきましても、水俣の場合におきましても、刑事事件として過失致死傷罪で処理するとするならば、いずれも三年の公訴時効はすでに経過してしまっている、こういう段階に相なりますので、警察、検察当局といたしましては、時効が完成しておりますと、証明が十分でも起訴ができませんので、今日あらためてこの問題については新しい捜査を開始するということは、遺憾ながらできない、こういうふうな事情になっておりますので、民事その他の手続にまかせるよりしかたがない事案ではなかろうか、かように考えております。
○石田(宥)委員 終わりますが、この厚生省案で、一番最後のほうで「入手し得る資料の範囲においてその有無を推定することは現時点では困難である。」、こう結んであるわけです。 そこで、私が実は警察並びに検察庁に期待をいたしましたのは、食品衛生調査会には昭電の作業日誌が提出されておった。私は国会に要求したけれども、出してこないのです。これは不届き千万だ。しかし食品衛生調査会の記録の中では、作業日誌によって、操業停止の時点でたくさん流れたのではないかというふうに、この記録があるわけです。そこで、もう一つのきめ手となるべきものとして、私は一昨年、昭電の鹿瀬工場に働いておった技術者、その人たちを集めて、国会から私ほか二名、国会議員が三名、それから朝日ジャーナルの西岡君、東大の宇井君、新潟日報の小川君等二十人ぐらいで座談会を開いたときに、実は私どもそれほど期待していなかったのでありますけれども、私どもはかようかような作業の過程の中に働いておりましたと、図面を書いて説明をした。そのときの新聞記事がここにあるから、実はこれをはっきりしてもらいたかったのです。それは、この技術者の諸君の言うところによれば、操業停止の時点では、かなり大量の粗製アセトアルデヒドが流れほうだいであった。停電になると流れほうだいであった。規模を拡張するごとに、かなり大量のものが流れたということを証言しておるわけです。厚生省案には、それには全然手を触れていないですね。だから、私はそこに警察なり検察庁に大きな期待を持っておったわけです。ですけれども、ついにそこには手が及んでおらない。今日なおそうです。 そこで、これだけは指摘をいたしまして、あとはもう終わりますが、ただ、先ほどから申しますように、かなり高度の学術的な問題を結論をつけるにあたって、現地調査もしない、それから熊本大学の研究班の中に入っておった学者も一人も参加させない、そういうところでこの厚生省案はつくられたというところに問題がある。そして、それは私は、厚生省の一貫した態度であり、方針であったと受け取らざるを得ないのです。それは、統一見解が出された後における大臣の談話に見ても明らかであるし、特に特別部会の会長となった豊川行平氏のごときはやはり同じことを言っておる。時間がないから読みませんけれども、とにかく原因の究明というものを極力やろうとしないのです。あと、どう対策を立てるかというところに逃げて、ほんとうの原因の究明というものをおろそかにしておる。これは、厚生省もあるいは食品衛生調査会も、特別部会も、特別部会長もみんな同一なものであるということを、私は指摘をしておきたい。 まだ、これはいろいろな事実に基づいて追及をしなければならないと思いますが、どうも時間がちょっと長引いたようでありますから、本日のところはこの程度にいたしますが、厚生大臣、御意見がございましたならば、お伺いをいたしたい。
○園田国務大臣 特別研究班、それから食品衛生調査会、こういうものの経緯については、いま事実を承りましたので、そういう事実がどうか、これは検討してみたいと思いますが、私が統一見解を出したあとの談話等で、昭和電工の責任をごまかすがごとき言辞はいささかもないはずだと、私は確信しております。これはあとでまたゆっくり御意見を伺います。
○山崎委員長 ただいま原参考人がお見えになっております。本日は、御多忙中のところ御出席をいただき、ありがとうございます。 なお、参考人の御意見は、委員からの質疑に対する応答の形でお述べいただきますので、さよう御了承をいただきたいと存じます。 引き続き質疑を行ないます。原茂君。
○原(茂)委員 実は私自身にあまり時間がありませんので、諏訪湖の汚染の問題を中心に、厚生大臣並びに経企庁あるいは通産省の皆さんの見解を求めまして、なおさらに、対策の具体的なものもお示しをいただきたいという念願で、わずかな時間だけ質問をしたいと思いますので、恐縮ですが、答弁をいただきますのも、要点だけ簡潔にお答えをいただくように、委員長からも御配慮をいただきたい、かように思います。 まず冒頭に、つい三、四日前、厚生大臣が長野においでになりまして、諏訪湖の問題にもお触れになったその発言について、長野県民、特に諏訪の郡市民がたいへん感謝をいたしておりますので、私も県民の一人として、厚くお礼を申し上げたいと思うわけです。 なお、一昨日、委員長に御足労をいただきまして、特に厚生省、通産省からも御同道をいただきまして、現地の調査をいただいたわけでありまして、この点も、現地で非常に心強く感謝をしております。厚くお礼を申し上げたいと思うわけであります。 第一にお伺いしたいと思いますのは、もう新聞等でごらんになったと思いますが、諏訪湖の一番主要な魚でありますワカサギを食べるな、こういったことが大きな活字で全国紙にまで宣伝をされました。これはたいへんショッキングなことでありまして、その前日には、厚生大臣の心配はないという御発言があって、ほっとしている翌日のできごとでございましたので、たいへん戸惑っておりますうちに、実はきのう、きょうにかけまして、漁民の約千名以上の諸君、それから湖の魚を専門に売っております商店が五十軒余あるのですが、全部休業状態になりまして、いわゆる生活権の問題も、現実の問題として生じてまいったわけであります。まず、この件に関しまして、厚生大臣の長野における御発言とも関連し、いわゆる食べてはだめだ、こうずばり言われましたことに関するお考えを最初にお伺いをしたい、これが第一点であります。 次いで二つ目に、時間がありませんからお伺いをしたいと思うのでありますが、何といいましても、現在の魚が食える食えないということよりは、一日も早く諏訪湖の浄化をして、食べてもだいじょうぶな魚にしなければいけないわけです。そのためには、諏訪湖に対するいろいろな手当てが必要になりますが、そういう手当てに関しまして、厚生大臣が少しく言及もされたようですので、こういう点をこうしたいというようなこともあわせて二点、先にお伺いをしたいと思います。
○園田国務大臣 私も現地に参りまして、まず言いましたことは、カドミウム、水銀の問題は、各所に出ておるが、地域に住んでおる人々もこれに無関心であっては絶対いけない、ただしあまりヒステリーになってもらっても困る、こういう前置きをしてお話ししたことでございますが、ただいま起こっておるイタイイタイ病、水俣病、これも、三十年来の長期にわたって大量摂取した場合に出た病気でございます。そこで厚生省では、このような不幸なことがあってはいけないというので、未然にこれを防止する、再び第一、第二の病気を繰り返してはならぬ、こういう点から、通産省とも連絡をとりまして、各工場をチェックをし、あるいは各河川の調査をやっておるわけであります。 そこで、諏訪湖の問題でございますが、第一に誤解がございますのは、小林先生がおっしゃったことは、魚を食べてはいけないとおっしゃったのではなくて、いまのところ心配はないが、このままほうっておくと心配だ、というような意味のことを発言されたわけでございまして、諏訪湖浄化対策協議会の研究報告も出されておりますが、この報告書を見ましても、いまのところは危険はないが、ということでございまして、私のほうでも、いま御指摘のとおりに、専門家を調査に派遣し、経済企画庁からも派遣をして、その調査が終わっておりますから、これは不安を一掃する意味においても、早急に結論を出したいと考えます。 なお、特に魚介、こういうものについても、私のほうからも係官を派遣し、現地の方々の御意見調査等もやっておりますから、これは早急にやって、そしていま魚を食べても身体に異常はないということだけは早く発表したい、こう考えております。 ただ、いま言われましたとおりに、あるいは内水面で、各所に水が流れ込んでおりますから、これから何十年このまま放置しますと、これは水銀、カドミウムばかりでなくて、いろいろなごみとかあるいは腐ったものとか、そういうものがどんどんたまりまして、諏訪湖というものがきたなくなり、その水そのものは水質が保全されぬことになりますから、企画庁では、これは指定水域にするという目標をもって調査をいたしておりますので、これは私のほうから申し上げるわけにまいりませんが、たぶん指定水域になることと考えます。私のほうでは、公害でございますから、諏訪湖の浄化については、上下の水道それから工場排水と、いろいろな問題がいっぱいからんでおりますので、各省に関係いたしますが、非常に不安を与えておりますから、私のほうが窓口になって、各省とも連絡をして、県当局とも連絡をとって、細部の諏訪湖の浄水のための計画を策定して、それに基づいて各方面の仕事を進めていきたい、こう考えておるわけでございます。
○原(茂)委員 これは申し上げるまでもないのですが、いまちょっと申し上げたように、漁民あるいはこれを売る商店というものに影響がある。ある意味では、それ以上に観光業者にもたいへんな影響がありまして、大臣は特に地元でも相当力をお入れになるほど、観光面というのは日本にとって非常に大事なもので、この地域でも非常に重要な事業の一つなんですが、やはり諏訪湖に行っても魚が食えない、だいぶきたないそうだというと、観光の面でもだいぶ出足がとまってくる。あそこは観光で相当立っている町ですから、そういう意味では、諏訪湖の浄化というものはこれにも寄与するわけであります。至急にやらなければいけないわけであります。 そのほかに、あそこの湖水を汚すといいますか、よごします原因としては、機械金属工業、特にメッキ工場などが十数軒あるわけです。大会社でメッキを扱っている会社も、実は四つ、五つあります。そのほかには、みそをつくっております工場がたいへんあります。特にみそに至りましては、日本全体でみそがつくられますのが約四十八万トンですけれども、長野県が大体十六・五万トンくらい、その長野県の十六・五万トンの約半分の七・五万トンを諏訪で作っているという、諏訪にとってはみそ工業はたいへんな産業であるわけです。このいずれも、諏訪湖の汚染というものに大きく影響をいたしてまいりまして、事業をしております者も、このままでは事業ができない。何とか市民の納得のいくような浄化設備をつくらざるを得ない。これはみそにとってはたいへん大きな金がかかるようです。みそをつくるために豆を煮る煮汁といいますか、これが湖水に入って、たいへん湖水をよごしている。あるいはカドミウムその他のいわゆる重金属を、メッキ工場その他が流している。これはいずれも、地形上からいって、全部流れていくようになっている。いま大臣がおっしゃったように、掃きだめのように、すべてのものがこの湖水へ入るわけです。したがいまして、入ってくるもののいわゆる浄化、入る前にきれいにする下水道、これも何本かの幹線を指定して、急速に入る前に浄化をすることが必要だと思うのですが、幸いに厚生大臣のいまのお話で、厚生省中心で、各省にまたがるいろいろな問題を取りまとめて、諏訪湖の浄化というものも考えていただけるような御答弁があったわけです。 そこで、具体的に三つ、四つお伺いしたいのですが、一昨年ですか、予備調査がすでに経企庁でも終わったと思うのですが、おそらく本調査というのが、ことしか来年か知りませんが、来年に行なわれるのでしょうか、とにかく一年か二年前に予備調査が終わり、本調査の段階にやがて入る時期を迎えているらしいのですが、この調査が済みますと、そこで初めて水質保全法による水域の指定の措置が行なわれるということになると、私はよく存じませんが、一体期限的にいつころ――水域の指定というものが、何年度あるいは何年何月ごろに行なわれるというふうにお考えになっているかが一点です。 それから、いま言ったみそ工業なりあるいはメッキ工場その他の会社が浄化をしたいというために、共同で浄化をする方法もありますが、地域が離れていますので、個々の企業がやらざるを得ない。そういう場合に、一つ一つの企業がやるという場合、これもいずれも金の問題になるわけですが、相当の費用がかかりますので、その融資に関しては、原さんおいでになっておりますので、いわゆる公団等の融資は、やはりこれも指定を受けないと融資ができないのかどうか、その点が一つと、あるいは指定を受けましても、どのくらいの期限でどのくらいの金額までというような、もしませがあるならそのませを第二にお伺いをしたい。 それから第三に、この水域全体を浄化をするためには、やはり直接湖水に対して手当てをする必要があるわけです。その一番手っとり早いのが、しゅんせつといいますか、とにかく深さが、平均するともう四メートルないくらい、一番深いところが六・五メートルだそうですが、昔はずいぶん深かったわけですが、非常に埋まってしまっています。やはりこれをしゅんせつする必要がある。そのしゅんせつに関して、国としてどういう方法でこのしゅんせつがされるものなのか、これを地元だけでやれといわれても、実は何十億あるいは百億かかるなどといわれていますし、とてもできるわけはありませんので、きょう関係の大臣を中心に、そのしゅんせつに直接手をつけようとするときの費用というものは、一体どこでめんどうが見られるのか、地元だけではできませんので――この三点を先にお伺いしたいと思います。
○園田国務大臣 水域の指定については、企画庁から来ておられますから、そちらから報告してもらいますが、もう一ぺん繰り返しておきたいのは、私のほうと企画庁で水域指定のための調査をいまやっておりますが、検討中ではございますが、地域住民の方及び地元の各政党の方々も心配しておられますから、私のほうでは、その資料に基づいて、現在では食ってもよろしいという結論はなるべく早く出したい、こう思います。 それからなお、公害防止事業団の対象のワクを、幸い先般拡大いたしましたので、事業団の理事長も来ておりますので、お答えすると思いますが、この対象に考えてみたい。それからしゅんせつその他は、県当局にもなるべく早くいろんな策定計画をつくってもらいたい、あるいは排水というものを規制をするか、あるいは排水をどこか一カ所にまとめてそこで浄化装置をつくるか、こういう策定計画もひとつ来年中に早くやってもらいたい、そうすれば私のほうでもこれについて協力するから、こういうお答えをしておきました。
○原参考人 公害防止事業団からの融資のことについてお答えいたします。 実は、昨年までは、ばい煙規制法なり水質保全法の指定地域以外は、私どものほうでは個別の融資はできなかったのでありますが、本年度から事業の対象のワクを拡大していただきましたので、ことしからは、いますでに実施しておりますが、水域の指定がなくても、その調査をしておるというだけでも、融資ができるようになりましたので、したがって、諏訪地域も、個別の企業に対する融資はできます。 融資をする場合にどのくらいのワクかということですが、これは、私どものほうの事業団では、最低何百万とか最高何千万あるいは何億というワクはございません。公害防止施設に必要な額の全額ではございませんけれども、中小企業八〇%ですか、大企業五〇%ということで、施設が何百万円でできるものもあるし、億の単位がかかるものもありますから、それに応じて融資はいたします。ただし全体の予算がございますので、本年度は、公害防止事業も、また個々の企業も、防止施設をつくるというものの申し込みが非常に多いものですから、そういう全体の予算でもって押えられて、今年度の予算はもう全部予定ができてしまいまして、足りなくなるような状況でございますので、そういう面では押えられますが、個々について、一番上が幾らという、そういうあれはございません。 ただ、ついでに申し上げますが、私どものほうの融資をする場合には、現在は事業団がいわゆる直貸し、直接に融資するのでなくて、銀行を代理店にしております、いわゆる金融機関を代理店にしております。金融機関で、公害上これこれの施設が必要であるかどうかという十分な調査をしてもらいます。それから府県の証明も要ります。私のほうでまたさらに調査をして貸す、こういうことになっておりますが、諏訪地域もわれわれのほうの融資の対象地域である、結論はそこでございますが、一応御説明申し上げておきます。
○八塚説明員 四十一年度に水域調査を行ないましたのは御承知だと思いますが、その調査の結果は、上川河口で一・四、諏訪市沖の五百メートル地点で四・二、湖心で三・二というような微量点になっております。その後、私ども本調査にかかろうといたしたわけでございますが、県と連絡が少しうまくございませんで、四十三年度ではできなかったわけでございます。したがいまして、通常の水質基準の設定をやるという場合の段取りで考えますと、四十四年度に本調査をし、四十五年度に基準を立てるということに相なると思います。ただ便法と申しますか、都市河川方式と申しますか、そういう形で、従来の調査を多少頭に置きまして水質基準を設定するということも可能であろう。これは今後どのくらい時間がかかりますか、とにかく通常のやり方よりは早くできるというふうに考えております。
○原(茂)委員 もう少しこまかくお聞きしたいことが出てくるわけですが、実は時間がありませんので……。 いまの原理事長の御答弁を聞きますと、来年度でないとちょっと金は出ませんよ、結論的にいいますと、こういうことになりますね。
○原参考人 私どものほうのお貸しする金は、実は財投の金を借りてきてお貸しするわけです。それはそのワクが押えられております。本年度のものは、もう申し込んできたものだけではみ出て、一ぱいになっておりますので、無理だろうと思います。
○原(茂)委員 なるべく早く申し込みをしなければいけないのですが、申し込みの手続は、何か規定があって書いてあるわけですね。
○原参考人 都市銀行はもちろん、たとえば長野県の八十二銀行とか地方銀行も私どものほうの代理店になっておりますので、そこへ行けば全部わかるようになっております。
○原(茂)委員 現在の状況を見ますと、たいへん生活そのものを脅かされてしまっている業者がいるわけですが、こういうものに対して何か――当分生活ができないわけですが、何かの方法があるでしょう。たとえばいま前段に申し上げたような漁民が千二百人くらい、それから川魚専門の業者が五十四軒ばかり、これがきのう、きょうにかけて休店になってしまったわけです。これが今日わずかな生業にしているわけですから、こういう人に対して何とか手当てをしてあげませんといけないのですが、私にはとてもどうしていいのかわかりませんが、むしろ大臣を中心に、ひとつこうしたらどうだろうという案がありましたら、ここで聞かせていただきたい。
○園田国務大臣 私のほうでは、ただいまのところでは、これに手当てをする方法はないわけでございます。ただ、非常にお困りの方は、生活保護法を適用するように、行政指導でやるよりほかしかたがありません。ただ、農林省のほうで、天災とかその他の場合に、これに対する方法が何かあるような気もいたしますので、さっそく農林省のほうにも相談をして、話してみます。 それからもう一つは、分析量の分析データが出ましたならば、私のほうでは、専門家に相談をして、そしてこれに対して検討を加えて、正式な発表をやるわけでありますが、しかし、地元の方の不安が早く一掃される意味において、事務当局を督励をして、ある程度中間のぜひ早い機会に、これらに対する不安を一掃したい。 それからまた、これの防止対策も、しゅんせつその他大がかりな事業で――しかもその分析のデータの結果、何もそういますぐということはない、何十年もたまってくるとたいへんらしい、それから、これは重金属ばかりではなくて、大腸菌等も相当ふえておるわけでありますから、そういう点も考慮をして、年次計画等をつくってやれるものはやるし、それから何としても急がなければ地元の不安が消えないとか、あるいは魚がとれないという場合には、またそういう特別に急ぐものは、これは特殊な場合でありますから、特に考えて、地元とも相談をして検討したいと考えます。
○原(茂)委員 残念ですけれども、時間がありませんから、最後に一つだけ。 いまも石田委員が、いろいろ水俣病なりあるいはイタイイタイ病の御質疑をしておられたのですが、この諏訪湖の重金属も、カドミウムを中心に、とにかくどちらの病気になるかというと、イタイイタイ病になるだろうということが常識になっておるわけですが、今日まで、私なんかも、魚といえば湖水の魚を食ってきたわけです。大体何年食ってきたかといえば、子供の時分からこの年になるまで食わされてきたわけですから、相当腎臓にカドミウムがたまっておるかどうか知りませんが、とにかくその測定というものができない現状ですから、いつごろになると、あと何年食うと危険だということもわからないわけですから、大臣がさっきおっしゃったように、十分に早期に調査をしていただきまして、とにかくいまはだいじょうぶなのか、もういまからいけないのか、これはやはりはっきりしていただかないと、いまの業者が基本的には助からないということになりますから、その調査をいつごろやってもらえるか、あるいはいつごろそういう結論を出していただけるのかだけは、関係する地元民に、はっきりここで大臣から御答弁いただきたい。これが一つ。 それからもう一つは、少なくともいままでの事件というのは、みんな病気になってから対策を立てておるわけです。今日カドミウム中心の七種類の重金属が出ていることは間違いない。われわれはそれを食べているわけですから、やがて何らかの病気になるだろうということが想定される。この事例は非常に大事だと私は思うのです。人命尊重あるいはその他の点からいいましても、病気が起きてから追いかけるのではなくて、やはりもうすでにその原因というものがびしっと固定してある以上、それにかかって病気になる前に、こういう事件を十分にひとつ真剣に取り上げて、これから起きるであろう公害の非常にいい前例にもしていただかなければいけませんし、基本的に考えて、あとを追いかけるのではなくて、わかった以上は、事前に一人も病人を出さないということに重点を置くことのほうが、当然政治として正しい方向だと思うのですが、そういう点では、ぜひひとついま大臣から何回かにわたって答弁をいただきましたようないろいろなことをやっていただきますが、特に急ぐことが大事なわけです。たとえば、いま建設省からおいでになっているらしいのですが、下水道というようなものも、これは水域指定がないと手がつかないのかどうか知りませんが、下水道に関する幹線の指定を行なって、ここでとにかく悪いものが入らないような措置を講ずるというふうなことも大至急にする必要があるでしょうし、いずれにしても、水質保全法なら水質保全法という法律が適用する水域でないと何もできないのだというのではなくて、やはり急ぐ必要がありますから、人によっては、従来食っただけでも、もうあと二、三カ月でイタイイタイ病になるかもしれませんし、わかりませんが、とにかくわかった以上、事前に手を打つという点では、従来ありますような慣例なり法律上の、何かという条件を一々満たさなければ下水道も何もできないということのないような――とにかく問題の所在が明確なんですから、一切の法律あるいはそういうものの期限なり条件というものを大臣の力で飛び越えまして、急速に諸般の手当てを行なうということをやっていただきませんと、不安と同時に、観光からいっても、各種の事業からいっても、いま言った個々の小さな業者にしても、生活権、生存権の問題もあるわけですし、まわりに住んでいる食べる側のほうからいっても、あるいは観光業をやる人々の側からいっても、実際大きな不安に取り巻かれているので、急ぐことが大事なのであります。 いろいろこまかくはお伺いできませんが、とにかく急速に、これに何らか国のほうで手当てを発動する。下水道に関しても、あるいは公団の予算がないかもしれませんけれども、ないから順番で再来年になるというのでは話になりませんし、そういう点を急いで、特別にあれもこれも手当てをする、そのやるという意思を決定する基本になる問題は、病気が起きてからではなくて、起きるであろうという前提がすでにつかみ得たわけでありますから、起きないうちに、一人も病気にならないうちに手当てをするという前例を、ここでつくっていただきたいと思います。大臣のいままでの明快な御所見を聞きますと、やっていただけるように思いますが、この点は長野県民あるいは地域住民にも安心をもたらす意味で、ぜひ明快な御答弁をいただきたい。
○園田国務大臣 調査は、県のほうではすでに完了いたしまして、国のほうも大部分は完了しておりますが、これを金沢大学に委託をして、あとは分析をしつつ調査をするわけでありますから、最後の結論が出るのは来年の一月ごろだと思います。しかしその間において、なるべく早くデータをつかんで、現地における観光客なり漁業者に対する安心だけは与えるように、各関係省と連絡をしつつ進めたい。 それから、この対策についても、いま御指摘のとおりに、私も考えておりますから、県当局とも密接な連絡をして、さらに各省と連絡をして、できれば各省の協議会等を開きまして、急ぐものは急ぐように、また万やむを得ざるものは何らか特別な予算措置を講じてでも、御指摘のとおりにやりたい、こう考えております。 なお下水道等についても、建設省では検討しておられるようでありますから、建設省当局から一応……。
○久保説明員 下水道の問題でありますが、この問題につきましては、昭和四十一年度、二年度の経済企画庁、厚生省並びに県当局の水質の調査報告を、逐次私どものほうでフォローいたしておりまして、これが本日の議題でありますところの重金属以外に、それ以外の汚染源が諏訪市以下三市一町のほうにございますので、これらを包括的に下水道で始末をすることが適当であろうということで、現在県当局とも相談をいたしまして、その準備をしておるところでございます。したがいまして、そういう三市一町にまたがる広域的な下水道につきましては、ただいま先生の申し述べられました、経済企画庁の水質保全の指定水域になりましたならば、広域的な下水道ができる、こういう仕組みになっておりますので、企画庁のほうの準備作業と並行いたしまして対策を進めていきたい、かように考えております。
○園田国務大臣 なおまた一言言っておきますが、いまの段階では、人体に危険はないことを重ねて申し上げておきます。 それから、いまの企画庁の水域の指定でございますが、大体企画庁は指定する方向で進んでおられますから、ほかの関係各省も、こういう事態でありますから、その方向で、指定になってからできないということがないように、急ぐものはそういう点を考慮しながらやりますが、この上とも、地元の方の御協力をお願いしたいと思います。
○原(茂)委員 どうもありがとうございました。時間がありませんので、これで終わります。ただ、私と同じに、あそこをふるさとにしておりますのが小川労働大臣です。いま時間があれば、おそらく厚生大臣に陳情したいくらいな気持ちだろうと思うのですが、いまお答えのありましたように、ぜひ急速に、臨時に協議をしていただきまして、やっていただきたいと思います。宮澤経済企画庁長官も、第二のふるさとのはずです。あそこの関係者は、その土地をみんな魂にしているわけですから、ふるさとにしていますから、どうか大臣ひとつ御健闘をいただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○山崎委員長 渡辺芳男君。
○渡辺(芳)委員 私は、静岡県の富士地区の産業公害対策についてお尋ねをいたします。 初めに、現地の実情をごく簡単に申し上げます。 紙パルプ工業の盛んな土地でありますが、最近亜硫酸ガス、硫黄酸化物なりあるいは塩素ガス、芒硝、こういう大気汚染と、工場の騒音なり河川の汚濁、水資源の枯渇、地下水の塩水化など、全く産業公害が激しくなってまいりまして、新聞紙上にも再三報じられておりますが、市民生活が、極端なことを言えば、場所により脅威を感じておるところがあります。これらの産業公害というものが特に激しくなりましたのは、七、八年ぐらい前です。公害の発生源を大ざっぱに申し上げますと、現在富士地区で重油をたいている工場が、製紙工場を主として、化学工場なりあるいは機械工場も若干ありまして、大小合わせて三百七十カ所、それに工場の自家用火力発電、これが十一カ所加わっておりまして、平均三%といわれております硫黄分含有のC重油ですか、これを二千トン以上毎日燃やしておるわけであります。しかもこの煙突の高さが、低いのになると十メートル、大体三十メートル前後でありまして、高いのが一五%ぐらいありますが、七十メートルぐらいのものもあります。これらの工場が、市を中心にして四キロメートルぐらいの半径に密集をしておるのでありますから、公害が非常に大きい、こういうことになるわけであります。 最近、新聞紙上に、この一年の間、何べんとなく取り上げられているのですが、たとえば、新聞などの表現をかりて言いますと、逃げ場のない公害に悩む市民、あるいは汚泥と悪臭の田子浦港、子供は気管支炎にかかって悩んでいる、トタンはぼろぼろ、工場排水でほとんどが死の川、こういうふうなぐあいで表現されています。私もこの富士地区に住んでおりますから、実情はよく知っておりますし、経験もしております。この五、六年前に市民の間でよく話題になったことがありますが、たとえばこういうことがいわれました。最近の子供はうまいものを食っているけれども、どうもからだが弱くて困る、かぜを引きやすい。うちの庭にあった梅の木は、花が咲かなくなって実がならなくなったと思ったら、枯れてしまった。あの地区は竹林が非常に多かったのですが、竹は非常に亜硫酸ガスに弱くて、ほとんどの竹林が姿を消してしまった。枯れてしまったのです。お茶もだいぶつくっておりましたが、赤茶けて売りものにならない、こういうふうになってまいりました。これが最近特に市民の中から大きな問題として取り上げられたのは、一つには、東電の火力発電所を建設しようという会社から市への申し入れが大きくクローズアップされました。こういうことの公害関係は、市民はほとんど常識として知っておりますから、最近市民運動にもなっております。公害対策が非常におくれておりますから、不満が非常に多いわけです。 そういう事情でありますので、ひとつ順次質問をいたしますが、まず、昨年の八月から十二月末までの五カ月間に、厚生省の依頼で、富士地区の大気汚染の調査をやったようであります。静岡県がやりましたが、そのデータが最近発表されました。それによりますと、亜硫酸ガスでは〇・二PPMが元吉原中学というところで二十七回、富士の保健所で十三回、富士高校で十回。〇・一PPMというのは、この三カ所合計でこの五カ月間に四百五回検出をした。これでは東京の城東地区や、あるいは千葉県の問題になっております市原地区と何も変わらないじゃないか、こういうことがいわれておりますが、まあ亜硫酸ガスばかりでなくて、その他塩素ガスなど、硫黄分以外のものもあるのですね。そういうわけで、この地区はたいへん大気汚染地区である、こういうふうにいわれておりますが、環境基準の指定地域になりますか、その点はひとつ大臣からお答えをいただきたいと思うのです。
○園田国務大臣 ただいま言われたとおりの実情でございますので、昨年ばい煙規制法に基づく指定地域にするための基礎調査を実施いたしました。そこで、本年の十二月中旬をめどに指定する考えでおります。
○渡辺(芳)委員 私は、実はこの調査は、率直に申し上げまして、県でやったにしてもきわめて不完全なものだと思っているのです。臨海工業地帯と違っておりまして、町の中に、地下水を利用したり表流水を利用したりして発展した製紙工業地帯でありますから、住宅と工場が同居しているような状態にあるわけですね。先ほど申し上げましたように、煙突が非常に低い。使用している重油はきわめて粗悪なものが多い。中小企業が多い関係もありますが、そういうところで三カ所で測定したのですけれども、実は測定個所と工場との間の部落といいますか、そういうところが非常に問題になっているのです。選定場所は必ずしも悪くない。たとえば富士の保健所の手前の工場との中間に藤間地区というのがありますが、ここなんかは五、六年前から非常に強く訴えている場所です。あるいは今井地区などもそうですが、やはり工場と測定地との中間にあって、問題になっているのです。私は、ほんとうにあそこの大気汚染の実態をもう少し綿密に、測定網も拡充をして、しかも聞くところによると、測定器が〇・一五以上は測定できないのじゃないかといわれるようなきわめて性能の悪いやつを使っておるのですね。富士の保健所はいいようでありますが。だから、場所、それから測定器も、私に言わしむれば、十カ所ぐらい数をふやして、そしてあの地域のほんとうの大気汚染の状況というものをもう一度再調査をしていただけたらと思うのです。そうするとよくわかると思うのですが、この点はいかがですか。
○園田国務大臣 十二月の中旬に指定するつもりで準備を進めております。指定すれば、現段階では自動測定などを行なうはずでありますが、さらに県の測定などとも相まって、必要ならばさらに綿密な環境大気汚染の調査をやることを考えております。
○渡辺(芳)委員 四日市ぜんそくが非常に問題になっておりますが、富士地区でも、最近富士ぜんそくなどというようになりまして、被害者が相当あると思いますけれども、しかしこの調査はやっていませんから、はっきりわかっておるわけではありません。私は、最近この問題に関心を持ちまして、多少回って歩きました。その実情をちょっと申し上げますと、たとえば小学校三年ぐらいまでの子供が非常に抵抗力が弱いせいか、ぜんそくにかかるようでありますが、伊東市の川奈に臨海学園というのがあります。これは県立です。ここに富士市の伝法町地区というところから、四人の子供が家庭を離れて、なおるまで、大体一年ぐらい転校入学をいましているわけであります。あるいは先ほど申し上げました藤間地区では、二十三人の幼児がいるけれども、十七人が、通院といいますか、町のお医者さんにかかっている。これを非常に問題にしまして、最近千葉大の吉田教授の協力を得て、市の医師会とともに、先月の十日ごろから四日間でしたか、三カ所の学校を選んで、小学校三年の子供を中心に健康診断をしたようです。これはあとでおそらくデータが出ますからわかると思いますが、そういう実情から、だいぶ綿密に調査をすると出てくるのではないかと思うのです。お医者さんに聞きますと、軽度のものは方方にありますよというふうに言っております。こういうふうな状態でありますから、大騒ぎになってまいりましたが、六月の中旬でしたか、県が富士地区の重油の大口消費者四十社でしたかを集めて、これ以上富士地区の大気汚染は楽観するわけにはいかないから、この際真剣にひとつ防止対策を考えてくれ、こういうふうな要望をしているのです。しかし、率直に申し上げまして、そういう口頭要望でありますから、成果というものが期待をされていないわけですね。この改善策というものについてどうお考えですか。
○橋本説明員 まず初めに、子供のぜんそくの問題でございますが、この点につきましては、県がこの汚染地域と非汚染地域について一度調べてみたら、有意の差が出たことがあるということを私は聞いております。ただ、例の子供に影響があるかどうかという判断は、実は非常にやっかいな調査でございまして、この点について、厚生省は、昭和四十年から五カ年計画で、大阪と四日市と千葉で、汚染地域と非汚染地域に分けて、気象から汚染から医学調査の全部を集中しながら、専門家のチームで調査をしております。来年度完結いたしますが、そういうことをやって、一部の事項について、汚染と非汚染の差があらわれるかという判断が出ています。現在のところでは、欠席率は汚染地区で少し高い、そういうところでございますが、肺機能ではごく一部しか出ません。あるいはぜんそくの問題についても、私どものほうでは、四日市の場合については、アレルゲンのテストを全部しながら、これは大気汚染によるものかどうかということを鑑別するということもしておるわけです。そういう点で、静岡の調査は面接調査で聞いておるわけでありまして、面接調査では、かなり曲がった答えが出るということは、実は大阪でいろいろ答えの出方のチェックをしたことがございます。そういうことでありまして、私どもは、静岡でそういう調査がされたということを聞いておりますが、これから直ちに大気汚染の影響だということを言い切るには、なかなかむずかしい問題があろうと思います。そういう点について、専門家を含めてもっと長く検討しなければ、なかなか言い切れるものではないというように、厚生省のほうでは思っておるわけであります。 現在の汚染の状況でございますが、先ほど先生のおっしゃいました数字は、去年厚生省で調べました数字よりも相当長い期間、県が調べたデータであると思います。去年四カ月間、夏から冬場にかけまして、汚染の高まるときに調べました結果、そのデータによりますならば、現在の環境基準の案として出しております数字に比べてみますと、それだけの間では一年間の判断はむずかしいのでございますが、大気汚染にとって最も不利なシーズンであることは間違いないと思います。その不利なシーズンの期間で出てきた割合から見ますと、環境基準から上回ってはずれて、それ以上に汚染が高いということは、私どもの判断では、出ないと思っております。この点につきましては、やはり測定体制が不十分であるということでありまして、大体十カ所くらい測定網を置こうということを県が計画しております。そしてばい煙規制法の基礎調査をいたしましたが、その結果、中等度によごれておるというように判断をしております。大気のほうでは中等度によごれておりますので、これにつきましては、常時監視測定網を整えて、テレメーター網をがっちりしくということは、来年度実は予算上程のときに数千万は準備しなければいけないから、どういうぐあいに組むかということについて、厚生省へ相談に参っておる最中でございます。そういうことでございまして、来年度からは、今年十二月に指定地域にしますと、今度は指定地域としての行政対策が始まりまして、発生源に対しましても、法律上の立ち入りや命令問題が出てまいりますし、また排出基準等につきましても、従来のばい煙規制法よりも今度はさらにきびしくなってまいります。それによりまして、いままでのように、ただ三%あるいはそれよりもひょっとしたら悪いかもしれないという油を安易に使っておるということは、企業側が今度はできなくなってまいります。そういう点におきまして、現在までの汚染は、規制法にかわる新しい大気汚染防止法のやり方をしますれば、少し改善の方向は、私どもはとれるというぐあいに考えておるわけであります。
○渡辺(芳)委員 確かに医学上からの問題になりますと、いろいろいわれますが、実情としては、いろいろなことを個人の場合はやっておりますね。この地域は特に大気汚染が激しい、ここに住んでおったのではどうも君の子供はだめだよと医者に言われると、しようがないから親戚に預ける、それからひとつ転校してやろう、こういうふうなことは随時行なわれております。それが特別虚弱体質であるかどうかという話までくるとたいへん問題なんですけれども、厳密な意味で解釈されることもけっこうですけれども、端的に言えば、樹木でもそうです。亜硫酸ガスに弱いやつはだめなんで、花が咲かなくなるわけですから、ひとつきびしくやってもらうようにしていただきたいと考えます。特に、大臣、良質な重油を使ってくれとか、あるいは煙突を高くしたらどうだ、排煙脱硫の装置をするのには金がかかるからだめだろうとか、いろいろなことがいわれておりますが、いずれにしても、発生源たる企業がそういう責任を感じないと、あすこの場合は中小企業の多いせいもありますが、非常にむずかしくなってくると思いますね。ただ取り締まりといいますか、規制するというだけでは、なかなかうまくいかないと思う。ですから、現状から少しでも改善措置ができるということは、もう今日市民の願いなんですね。でありますから、具体的に手っ取り早くできる対策というものが必要だと思うのです。この点はどういうふうにお考えですか。
○園田国務大臣 まず最初のぜんそくの問題でございますが、四日市でもそれが問題になっておりまして、ぜんそくに直接影響がないという説とそうではないという説と、これはいずれにいたしましても、空気の悪いところへ行くと、酸素の吸入が少なくなるだけでも、子供には発育上非常に影響を与えるわけで、それに汚染なりばい煙が加わってくると、健康全般に影響することが非常に多い。ただ、医学的にどういうふうになって、どうぜんそくが来たかという経路を見つけることは、なかなかむずかしいと思います。そこで、四日市等では、対策協議会の中にPTAの役員や父兄の方も入ってもらって、こういう問題を処置したいと考えておりますが、御指摘のとおりに、単に専門家の症状とのつながりだけではなくて、やはりぜんそくや虚弱児の問題については、大気汚染に対する対策を将来考えていかなければならないことは、御指摘のとおりに考えております。 それからなお、いまの富士地区のような、中小企業、特に零細企業の多い、しかも単一工場じゃなくて、たくさん工場が集まっているというところでは、公害対策は非常に困難でございまして、そこで、四日市等の例から見ますると、どうしてもこういうところでは、企業家と住民とそれから地方自治団体との三者の協議会をつくって、そしてその協議会によって、逐次一つ一つ解決していかなければならぬし、また、単に企業の責任だけ追及するだけでは解決しない点もございます。また、しておっても、零細企業で能力がない、こうなってくると、事業団なり、あるいはその他通産省のほうにもお願いをして、共同施設をしてやるとか、いろいろなことも考えなければなりませんので、特に都市公害とか、集中された公害というのは、一地区に一律の規制でいくことは非常に困難でございますから、地区を指定すると同時に、そういう方面から地元とも連絡をとって、私どもと一緒になって、細部の策定計画を立ててやっていきたい、こう考えております。
○渡辺(芳)委員 いま御答弁がありましたが、聞くところによりますと、静岡県でも、実は公害防止対策として、自治体と企業とそれから市民の代表が対策委員会をつくっておるのが、清水市と島田市と二カ所ございます。その他はまだそれに対してあまり関心を持っておりません。簡単にいえば、議会でそういう特別委員会などを持って、趣旨が違うような形の活動をしておるのですね。ですから、先ほどお話がありましたような、それぞれの階層の代表といいますか、そういう人たちの構成する公害防止の対策委員会というものを、全国的につくるような御指導は願えませんか。この点はどうでしょう。
○園田国務大臣 公害は各種各様でございますから、やはり県なり市が中心になって、そういうものをつくるのが一番いいのでございますが、どうも自治団体はそれをあまり進めない。四日市などは、県や市が非常に熱心でありますので、逐次成果をあげておりまして、そしていままでは、いろいろわあわあ悪いところを摘発するだけで、対策がいつもできておりませんので、その点についてみんなが気持ちをそろえようということになってきております。将来は、いま御指摘のとおりに、各地域に属する災害防止計画を、知事が主体になってつくってもらうように行政指導をしておりまするし、法令の体系もそういうふうになっておりますから、できるだけそういうふうな方向で指導していきたいと考えております。
○渡辺(芳)委員 それはひとつお願いをしておきます。 特に最近、非常にひどくなったというのを調べてみますと、岳南地区の製紙工業が急速に大型化をしたり、あるいは新しい工場が新設をされたり、こういうことで、三十五年を基準にしますと大体六割ぐらい工場数がふえております。しかし生産額でいきますと、価格の問題ですから、必ずしもそれは当たりませんけれども、大体二十倍ぐらいに伸びておるのですね。ですから、戦前は非常に零細な企業といいますか、三十人前後のちり紙工場が非常に多かったのですが、最近大型化してきているわけです。そういう関係もあって、これに付随して大気汚染などもひどくなったと思うのですね。実は聞くところによりますと、厚生省では、ボイラーのうち、大気汚染防止法の規制の対象として考えているのは、三十平方メートル以上のものを規制しようとしている。この根拠はどこに置いて考えられておりますか。たとえば富士地区では、いまボイラーの関係の施設の工場が約二百あります。この基準でいきますと、百十七の工場が規制の対象になって、あとは規制の対象にならぬわけですね。つまり六〇%が規制の対象になっているわけです。これでは煙突は低いということから、先ほど来何回も言っておるのですが、あまり大気汚染の防止について、期待したほどの効果は出ないのではないか。こういう地域はまた特別考えてやったらどうであろうかというふうに考えておりますが、この点どうでしょうか。
○園田国務大臣 御指摘のとおりでございますから、本年十二月一日に施行の予定であります大気汚染防止法については、いまの伝熱面積の三十平方メートルを十平方メートルに下げたい。なおそのほかの施設その他についても、御同様のことがございますから、大体三分の一程度に下げていきたい。そのために、政令その他を改正したいと考えております。
○渡辺(芳)委員 若干大型化をしておりますが、統計によりますと、ここ五、六年の間、毎年十カ所以上がボイラーを大型化しています。工場が拡張しているわけですね。そういうことになりますと、重油の燃焼量も多くなるわけで、大気汚染もふえてくるわけですけれども、ああいうところが環境基準の指定地域になりますと、新たにボイラーを大型化するということについても、相当考えていかなければならないと思うのですね。それから紙の質によっては、通産省で規制をしていますね。この点の関連もあると思いますが、これ以上大気汚染の被害を大きくしないという立場から、どういうふうに考えていますか。
○矢島説明員 先生が先ほどから御指摘のように、富士地区につきましては、大工場もありますし、中小工場もあるということで、この対策はいろいろの面からやらなければならないと考えておるわけでございますが、ただいま先生のお話しになりました、製紙工場の設備調整というようなことに関連して申し上げますと、設備の新増設は、パルプ、紙、ものによりましていろいろやり方も違いますし、全部やっておるわけではございませんが、通産省が中心となって、設備調整というものをやっておるわけであります。この設備調整そのものは、需給状況その他を判断してやるわけでございますが、それに関連いたしまして、この設備調整で新増設を認める際におきまして、同時に、公害防止施設に対する配慮をいたすことにしております。現に富士地区におきましても、ある会社について、一ぺんそういうことをやったことはあるのでございますが、今後におきましても、その設備調整に関連いたしまして、新増設の際に、公害防止施設までも十分チェックいたしまして――これは主として大企業の問題でございますが、少なくともそういう大企業の面からだけでも公害のチェックをやって、幾らかでも公害による被害を少なくしたい、かように考えております。
○渡辺(芳)委員 水の問題についてちょっと伺いますが、現在岳南地区で紙パルプ工場が使用している水が、大体一日百七十万トンといわれています。これは川の水なりあるいは地下水にたよっているわけですが、最近工業用水が不足してまいりまして、各工場が手っとり早いところで井戸を深く掘る、深掘り競争といいますか、こういうことを盛んにやってまいりました。絶対量が不足していますから、地下水が枯渇するといいますか、富士山の伏流水に恵まれていますけれども、足らないわけですね。駿河湾が非常に深いので――千メートル以上の深さを持っていますから、逆に塩水化の傾向があって、平地の製紙工場というのは、これに悩んでいるわけです。富士川の工業用水なりあるいは東駿河湾の工業用水道なども、それぞれ工事をやっておりますが、これはひとつ早くやらないと、いろいろ問題になっていますね。業界でもたいへん要望しておるところでしょう。その点はひとつ促進ができないものだろうかどうか。それから、地下水がこういうふうに枯渇してまいりますと、くみ上げた水が塩水化していますから、これがたんぼなどに流れると特に被害がありまして、問題が起きてしようがない。農民との摩擦があるわけです。当然のこととして、田植えどきの水の不足などが出ております。これは長い間、戦後になって、この問題が出ております。地下水のくみ上げの規制というものはできないものでしょうか。この二つについて、ひとつお答え願いたい。
○矢島説明員 話の順序からいたしまして、地下水の塩水化の問題、それに対するくみ上げ規制の問題をまずお話ししまして、続いて、抜本的な対策としての、工業用水道の拡充強化ということに触れたいと思います。 先生御指摘のように、富士地区周辺については、五、六年前から、地下水の塩水化問題というのがありまして、通産省としてもこれに非常に関心を示して、何らかの対策を講じなければならぬと思ってきたわけでございます。そういう地区がほかにも幾つかあるわけでございますが、昭和四十年度から、通産省は、毎年三、四カ所について、地下水利用適正化調査というのを始めておりますが、その第一号として、富士地区について実施したわけでございまして、安全揚水量、要するにこれだけの水をくむ限りにおいては、これ以上塩水化が進行しない、これだけはいい、あるいは井戸一本当たりどのくらいくんだらいいだろうというような究明を行なうとともに、地下水の実態について全面的な調査をやりましたが、その調査結果に基づきまして、たとえば安全揚水量五十万トンというようなものも出まして、昭和四十二年の二月から、地元の地下水を利用している工場百九を中心といたしまして、通産省、県、市あるいは商工団体によって構成されます、岳南地域地下水利用対策協議会というものが設立されておるわけであります。これは官民協調による自主規制の団体といわれまして、法的な規制ではございませんけれども、官民協調の自主規制であるために、かえって非常に効果を発揮しております。白米この協議会が中心となって、自主規制を行なっておるわけであります。そういうことで、ある程度は地下水の塩水化をとめているわけですが、第二の問題といたしまして、抜本的には、何と申しましても、工業用水道の大幅な増加増大をしなければならないわけでございまして、すでに昭和四十一年度から、国庫補助事業として、東駿河湾の工業用水道事業が、一日五十九万トンベースで建設が進められているわけですが、最近における地下水塩水化の状況と、さらにその他の工場の需要増その他を考えまして、これを倍以上の百三十二万トンということにして、計画変更を大きくやりまして、来年度の予算を要求しておるわけでございます。来年度は方々で工業用水道の予算が非常に多いわけですが、その中でも相当大きい部分を占めているわけで、ぜひともこれを獲得いたしまして、抜本的対策といたしたいと思っております。
○渡辺(芳)委員 ひとつその関係については促進を願いたいと思っておりますから、よろしく願います。 汚水対策についてお尋ねしますが、田子の浦港は、御承知のように人造の港ですけれども、この港に流れ込む沼川あるいは和田川などが、製紙のかすや廃液で、ちょうど港自身が沈でん池のような形にいまなっちゃっているわけですね。あそこで硫化水素などが発散をして、卵が腐ったような悪いにおいがしているのです。鉄はさびる、悪臭ふんぷんで、あまり自慢にならないような港です。一番困るのは、この港が沈でん池のような役割りをになっておりますから、港が埋まっていくわけですね。これを、どぶさらいのようなことをやっておるのですが、間に合わなくて、ことしの八月でしたが、一万トンの船が――あそこの港は最も深いところが九メートルしかありませんから、せいぜいそのくらいの船しか来ませんが、接岸できなくて、清水の港に回っていって荷物をおろした、こんなふうなばかげたことをやっておるのです。いずれにしても、工場の排水計画が、岳南工場用水の排水路というものがつくられて、いま工事中でありますが、この排水路が、港へとこの水を流さないようにして、港の入り口までずっと管を埋めまして、それから海へ直接流そうじゃないかということになっています。私はこれは海へ流すのが一番けっこうだと思いますが、相当奥地まで管を埋めてやらないと、海水の流れなどによって、ずっと東のほう、つまり沼津のほうに影響をしますね。こういうことは、ひとつ第三次計画でこれから考えるという程度になっておりますが、第二期工事の、港、海岸まで、海岸から流すというのが四十七年度に完成しますが、これはひとつそのほうまで積極的に進めて取り組んでいただきたいと思います。 それから、工場の汚水の排水の関係はもう少し規制をしないと、大臣が用事がありましたから退席をされましたけれども、たとえばこういうばかげた現象があるのです。川のところに、橋のたもとに、「この川にはごみを捨てないでください市役所」なんという立て札があるんですね。その川はごみどころじゃないのですよ。全く製紙かすによる汚泥とそれから悪臭、黒ずんだ色をしている川ですね。私はそういう現実、ちぐはぐな現実を、やはり政治の力で解決しなければいけないと思っているのです。こういうことについてどういう施策をもって臨むか、ひとつお伺いいたします。 〔委員長退席、島本委員長代理着席〕
○矢島説明員 工場排水の問題は、富士地区につきましては、歴史が非常に古い工場がある、また中小企業が非常に多いという問題がございまして、なかなか即効をあげる対策というものはすぐには考えられないわけなのでございます。また、その対策につきましても、私はまあ通産省としてお答えしているわけですが、通産省の力だけではできない部分もたくさんあるので、これは各省がそれぞれの施策を寄せ集めて、協力してやらなければならぬと思いますが、やはり根本的には、どうしても特別都市下水道の効果的な運営ということによる以外はやはりあそこの立地事情からやむを得ないんじゃないか、中小企業が多いという事情からいって、やむを得ない。やはり排出規制を直ちにやるというわけにはまいらないのではないかと思います。そういう意味で、現在都市下水道が逐次運開されておりまして、ある程度の効果がありますが、やはり先生が御指摘のように、それを田子の浦港に流すことを早くやめて、四十六年度か四十七年度か知りませんけれども、直接海へ流すという方法を講じなければならぬと思います。ただその場合に、海に流す場合におきましても、これは海流の事情その他がありまして、どのくらいの地点でどういうふうに出すかということが大問題でございまして、その点につきましては、通産省では、いま鹿島地区について、そういう点を考えていろいろ調査した経験があるわけですが、そういう経験もございますので、場合によりましては、水質汚濁による公害を防止するための総合事前調査というものをやりまして、その一端として、直接港外に排出する場合に、どの地点で、どのあたりでもって出したなれば、最も効率的であって、新しい被害もないだろうかというようなことを研究してみたいと思っておるわけでございます。 なお、これも、直接私どもの施策ではないわけですが、当面の問題として、しゅんせつをやっているわけですが、しゅんせつをやる場合に、その悪臭を防止するためには風向きを考慮してやる――南風が問題になるわけでございますから、風向きも考慮してしゅんせつをやるというようなこまかい配慮も必要ではないかと思っておる次第でございます。
○渡辺(芳)委員 水の問題はまた後日に譲りますが、まあ富士地区の大気汚染がこういうふうに進んでまいっているときに、ことしの三月、東京電力で、敷地二十万坪、それから出力百五万キロワット、使用重油の硫黄分が一・五%、一日四千トンを燃焼して、煙突の高さは二百メートルにするので、公害はほとんどないという火力発電所をつくりたいという申し入れを、富士市にしたわけです。市では市会議員がいろいろあちこち視察をしたりして、検討中のようですが、この問題が出ますとすぐ、周辺の市町が反対の決議をして申し入れております。富士宮市なり、川一つ向こうの、富士川の右岸といいますか、富士川町なり由比町、蒲原町、こういうところは、これ以上、日本軽金属の弗素ガスの公害などもあってたまらないというて、非常に反対をいたしております。市内でも、市民運動として出てくるものもあれば、あるいは農協で反対しておったり、特に企業のほうは、いいじゃないかというふうに促進運動を最近やっておったりして、ごたごたして問題が大きくなりつつあるところです。東電がいろいろな団体、各層の人たちを集めて、ことしの春から初夏にかけて、約一千名といわれておりますが、きわめて丁重な招待見学を、千葉県の姉崎の火力発電所に連れていきまして、このとおり公害はありませんよというふうな事前運動をやっております。私は、こういうことは――あまりその内容に立ち入りませんが、やること自身はいいけれども、その内容はきわめて遺憾のようなことをやっています。いずれにしても、これは昭和三十九年でしたか、三島・沼津地区に石油コンビナートを建設したい、東駿河湾工特地域の中心としてやりたいというふうに富士石油が申し入れて、あれがあの地区の反対にあいましてつぶれました。おそらくそのときに、沼津に火力発電所を今日のような規模でつくりたいといっておりましたから、できないので、富士川河口の左岸に持ってくる、こういうように私どもは解釈をしています。簡単に言えば、いままで申し上げたように、非常に大気汚染が激しくなっておる状況ですから、いまの、既存の公害をともかく改善しないで、なお一そう、将来一日四千トンも一・五%の重油を燃焼するということはたいへんなことだ、これが一つは反対をする人たちの意見でありますが、もう一つ、あの田子の浦港は人造の港ですから、一万トンの接岸をするのが二バース、以下は五千トン、三千トンというふうなところで、重要港湾にしてはあまりたいしたことはない、そういう港ですから、この港で五千トンくらいの油船を毎日二隻くらい接岸してまかなうというふうにいっていますが、これは常識としてなかなかたいへんでしょう。いずれにしても、火力発電所ができることによって、あの辺に一連して工場街、工場群が建設されると思うのですね。そういうことが何らいま明らかになっておりません。通産省の関係当局で、特に将来の展望について、これは公害防止対策の立場からお伺いするのですが、どういう企業を進出させていこうか、こういうふうなことを想定されていると思うのですが、この点はいかがです。
○矢島説明員 まず最初に簡単に一般論に触れますと、通産省では、工業開発の構想と申しまして、昭和五十年度、昭和六十年度を展望する全国的な工場の適正配置といいますか、あるいは適正なる工場配置のビジョンというようなものをつくっておりますが、これは全国問題ですが、その考え方は、やはり過密の防止ということ公害の防止ということで、公害が現に激しくなっておったり、あるいはそのおそれのあるような地域には、そういうことは考えないで、工業の地域開発をもう少し非常に奥地のほうに持っていくというような考え方でやっておるわけでございますが、それは一般論といたしまして、御指摘のこの富士地区につきましては、現在の工業開発構想においては、特別に大きい工場を持っていくという計画はありません。それから、それは通産省のいわば構想、計画の線ですが、それ以外に、各企業からもいろいろ話を聞きましても、特別に富士地区に行こうという大きい企業は、いまのところ見当たらないのでありまして、行くとすれば、いまの話の東電の富士川火力だけではないかと思う次第でございますが、簡単に、通産省の現在の工場配置の考え方はどうかという御質問に対しては、以上をもってお答えいたします。
○渡辺(芳)委員 あまり明確でないけれども、この点はいいです。 東電の説明によると、毎秒三十メートルの速度で、二百メートルの高さの煙突から排気ガスを吹き上げる、だから富士市周辺はあまり関係がない、高空に吹き上げて希釈、拡散をするから、公害は皆さんに迷惑をかけることはないと思います、というふうな言い方をしています。御存じのように、北は富士山ですから、そしてまた東北が愛鷹山、これは千八百メートルくらいの高さですね。それから西側は赤石山脈の東端の山がずっと走っておるわけです。そういうところで、南側が駿河湾、三方が山々に囲まれて、気象条件があまりあすこはいいところではありません。平地と違って、そういうところでありますから、私は、たとえば東京電力でいうような亜硫酸ガスの吹き上げといいますか、こういうことが必ずしも――サットン式といっておりますが、信用できるとは思っておりません。厚生省が昨年の十一月の七日でしたか、大阪の亜硫酸ガスの調査について、関連して発表しているのによりますと、二十キロ遠方に亜硫酸ガスが飛ぶというけれども、実際は十キロくらいしか飛んでいない。私はこういう発表を新聞で見ましたが、空気との比重から考えても、私はこの発表はほんとうにそうだと思います。してみると、富士地区の場合は、年間の半数以上が駿河湾方面から、つまり南風が吹いておりますから、結局は大気汚染というものが一そう市内にばらまかれる、こういうふうに立地条件としてなるのではないか。だからこういう工場は建設してくれるなという、反対の人たちの意見なのです。私もこの点は危惧をいたしております。また端的に言えば、そういう立地条件の中では、もっといい場所というとおかしいけれども、相当検討していかなければいけないのではないか、こういうふうに考えますが、関係当局として、こういう問題は、将来新産都市あるいは工特地域の各地に問題が起こると思うのですが、どういうふうにお考えですか、ひとつお答えを願いたいと思います。 〔島本委員長代理退席、委員長着席〕
○本田説明員 電力の関係でございますので、電力の観点から申し上げますと、御承知のように、東京電力の営業は、最近は富士川以東ということになっておりまして、ただいま御指摘の地域は静岡県の東部で、富士川以東の静岡県の部分という地域に当たるわけであります。この地域の電力事情は、最近で五十万キロワットの需要があるわけでございますが、地元電源といたしましては、小さい水力の系統で二万キロワット弱、約四%弱の地元電源しかなくて、あとは佐久間のほう、あるいは京浜地区の電力を受電しておるというような状況になっているわけであります。従来の電力需要の増加趨勢からまいりますと、かなりのテンポで増加しておりまして、昭和五十年ごろには、現在の倍以上になるのではなかろうかというふうに考えられております。 そこで、静岡県の東部の電力の需要に安定した供給体制でいくとしますと、送受電設備の強化かあるいは地元電源の強化かによらざるを得ないという状況でございますが、送受電強化につきましても、やはり送電線の用地難その他でなかなか進んでおらないという事情が一方にございます。しかも地元にある程度の電源を持つということは、電力の安定供給という面から申しますと、必要な事情にあるわけでございます。そういう意味で、やはりこの静岡県の東部地区においても電源確保が、今後の電力供給を確保していく意味から必要だという事情が一面あるわけでございます。御指摘のように、大気汚染の状況が非常に進行している地域でございますから、この点については十分配慮すべき必要があると思います。ただその際、この地域以外に適当な地域はないのか、そういう点の検討が必要ではなかろうかという点があるのでございますが、最近の火力発電の設備はかなり大容量化しておりまして、そのために地盤が非常にかたいということが必要ですし、相当まとまった面積が要る。また原料の荷揚げの関係で、港湾の施設の利用が可能だというような条件がございますので、こういう地域になりますと、現在の候補地点はきわめて優秀な条件を備えているということになるわけであります。 先ほど御指摘のありましたように、さきに富士石油が東京電力とコンビナートを組んで火力設備を設置するという計画がございまして、これが前につぶれている、こういう点との関連はどうかという御指摘がございましたが、実はコンビナート等で石油精製と組んでやる場合には、貯油設備あるいは荷役設備等が、精製工場から直接パイプで送られるというような事情がございまして、非常に面積が節約されるという事情がございます。したがいまして、単独でこの地点を活用し得るかどうかということになると、技術的に非常に困難な事情ができるというような事情がございます。かような意味で、広く電源をさがすべきではないかという点は、ごもっともな点もございますが、こういうふうな電力の特殊な事情になってまいりますと、地元電源の確保という事情も考慮し、また大気汚染に対する配慮も十分行なう必要があると思うわけでございます。 先ほどお話のございましたように、二百メートルの高煙突の拡散でまいりますと、現在の実験あるいはその他の試験方法でいきますと、かなりの拡散効果がある。拡散効果としては、相当の評価をされ得るような諸元になっておるようでございますが、ただ現在、御指摘のように、地元との間でなお調整を進めておるようでございますので、これらの調整を見たいというふうに、私のほうでは考えている次第でございます。
○渡辺(芳)委員 いまのところ、ほかに工場が建設される計画はないという先ほどのお話や、立地条件がいいのではないかというような言い方は、多少矛盾しておりますが、あげ足をとるつもりはありませんから、それはやめますけれども、確かに京浜の火力発電なり、あるいは佐久間の水力発電なりというものから持ってきていることは事実です。しかし、一般的に言われることですが、たとえば、現在富士地区で使っている電力量というのは二十万キロですよ。そのうち工場以外で使っているのは五%でしょう。一万キロワットですよ。あと十九万キロというのは工場で使っているのですよ。電力量が足りなくなると、うちの電気は消えるんじゃないかというふうに、しろうとは心配をするのですよ。こういうみそがあるのですね。私は、こういう言い方はあまり正直ではないと思っています。工場をあまりつくる計画がなければ、あまり必要はないんじゃないかというような、そういう意地悪な質問はしませんけれども、いずれにしても、現状の公害対策というものが、極端なことをいえば、やられておらないような状況にあるわけです。これは最近問題になってきましたから、県や市も真剣に取り組まなければならぬという姿勢になりつつあることも事実です。陣容も逐次整えようじゃないか、予算もきわめてお粗末な状態で、出張旅費に毛のはえたような予算を組んでおるところが、これはひとつ大幅にやろうじゃないか、こういうふうになってきてはいます。いずれにしても、この富士地区の火力発電に関連して、いま市と東電との間で話し合っているけれども、何らの音さたがない。一つのことについてふしぎに思っているのは、東大井の火力発電所の建設に伴って、東京都知事と東電の社長との間に結んだ協定が今日公表されております。これは富士市では、たいへんなビッグニュースとして、われわれのところもそういうことになるんじゃないかというふうなことが言われたけれども、ミナス石油というのはそんなにない、確保もできない、だから、一・五%の石油なんというのは最高である、こういうふうにしか言われていないわけです。私は、特に東大井の火力発電所の建設をめぐって、最高の重油を使う、そして、いままでの公害は、今後五カ年間に亜硫酸ガスの発生量は五〇%削減をするとか、あるいは煙突のところに測定器をつけて、皆さん監視をしてくださいというふうにまで譲歩したといいますか、話し合われた東電の姿勢については敬意を表しますが、ほかの地域については、おれの言ったとおりだというふうな話では進まぬわけです。いや、東京は格別な大気汚染地域だから、ほかのほうは少しがまんしろというふうな言い方は、これは私は全く、日本で有数な会社としてとるべき態度じゃないと思います。口を開けば、公益事業であるし、皆さんに御迷惑はかからないようにします、こういうふうなことを言います。私も、姉崎の火力発電所は、自分で行って見学をさしてもらいました。九百メートル吹き上げるという話は、確かに実験の結果ではあるかもしれませんけれども、約五十名と一緒に見学したときには、薄い煙が横になびいているのです。別に風が吹いているわけじゃない。私は、言うこととやることというものが、少なくとも中小企業で、ほんの零細企業のような場合は、あるいは特に間違いで、あるかもしれませんが、あれだけの大企業になったらば、やはりぴっちりやってもらうようにしなければいけないと思うのですね。しかも、先ほど申しおくれましたけれども、富士山ろくで、いまの火力発電所をつくるという建設の予定地から富士市を見た場合に、十キロ行けば十七万四千人の人口のうちの九〇%がそれに包含されてしまうわけです。しかも十キロ先は、海抜――大体一番低いところで二百メートルくらい、高いところでは三百メートル以上のところもあります。そういうふうに高くなっておる。富士市の北は御存じのとおり、八万五千人の富士宮市です。富士宮市は、おれのところへ来るのだろうからとても賛成できない、こう言っておるわけです。私は、いろいろなことを、いま時間の関係もありますから申し上げました。ひとつここできっちり通産省として、この問題との取り組みといいますか、取り組まれる場合に、どうか東京都と東京電力株式会社との間におけるあの協定の線に沿ったような精神と態度をもって東京電力が臨まない限り、こういうものは将来どこでも問題が起きますから、そういう指導をすべきだと思うのですね。きょうは大臣がいないからなにですが、責任ある答弁をお願いしたいと思うのです。厚生大臣が、先ほど所用でどうしてもと言いますから、私も了解をしました。で、厚生省として、公害防止の立場から、私は、少なくとも東京電力の火力発電所があそこにできれば、まあこれは昭和五十年に、最終的に四千トンの重油を毎日燃やすといっておるのですから、そこまでいくと、現状から見れば、大気汚染というものは倍になるわけです。三%平均の硫黄分を含んだ粗悪重油を燃やしておるのですからね。ですから、そういうことを考えて、ほんとうに先行き心配なのです。これは地域住民の健康を守る立場から、厚生省も、そういう関係で、どういうふうにお考えですか。ひとつそれぞれお答えを願いたいと思います。
○本田説明員 先に一言お答えをいたしたいと思います。 御指摘のように、東京電力が大井の火力と同じような考え方で、今後の新火力設備の建設にあたって配慮すべきだ、私もそうであるべきであると思いますが、ただ大井の火力の場合には、特殊な事情があることだけは御了解を賜わりたいと思いますのは、航空法の制限で、あれは煙突の高さが百メートルに制限されておりまして、高煙突による拡散装置が非常に制約されておるということが一つございます。もう一点は、その点は考えるべきでないというような御指摘もございますが、ともかくも大気汚染の地域といたしましては、やはり東京都の場合と静岡東部の場合とでは地域の差がございまして、したがいまして、拡散効果の評価といいますか、その点については異なる点が生ずるという点があろうと思います。まあこういう事情も配慮して、大井の場合には、大気汚染防止効果を十分にあげるというための考え方として、ああいうのが出ておると思うのですが、現実の問題としては、できる限り、やはり大気汚染を防止するという観点で、東京電力としても参るべきであると思いますし、私らとしても、そういう指導をいたしたいというふうに考えておる次第であります。
○橋本説明員 厚生省としてどういうぐあいに考えておるかという御質問でございますが、まず法律の上で、現在、火力発電所をつくりますときに、電源開発審議会のときに、その地元のほうの同意が得られなければできないということでございますから、地元がいやだと言えば、どうしてもこの発電ができないという形になっておりますが、法的に困るのはそれだけでございまして、そのほかに、法的に見て、あそこはよごれておるからいけないということで、火力発電所をとめることができるかといえば、建設をとめるという手段は、ほかにはございません。そういうことでございまして、私ども法律の立場から見まして、あそこに火力発電所をつくることを、厚生省は法律上ノーと言えるかと言われれば、これはノーとは言えない、ということしかお答えできないのでございます。これは率直に申し上げたわけでございます。ただその場合に、あの地域は、それじゃ東電の言っていることは全部そのまままるのみにして、だいじょうぶだと思っておるのかという問題でございますが、東電がやろうと言っていることは、程度としてはかなり高度のことをやろうとしていることは事実でございます。あそこの条件で、そのようなプラントをつくってみて実際動かした場合に、実験どおりに全部ぴったりはまるかということになりますと、これは拡散とか風洞実験とかいうものは、まだいろいろ学問的に練られてきております。先ほど先生がおっしゃいました堺市のケースは、煙突の高さが百五十メートルと百八十メートルのケースでございまして、今度の東電の二百メートル集合の場合とは、かなり条件は違ってまいります。東電の二百メートルの三管集合の煙突になりますと、上に上げる効果は、相当大阪の場合とは違うだろうというふうに私ども思っておりまして、その点につきましては、実際の一応の予測はある、つまり有効煙突高がずいぶん上がるとか、あるいは逆転層を越えるということは、予測の上では、それを否定することは理論的にはなかなかむずかしかろうと思います。そういう点におきまして、どういうぐあいに、そのケースに対して、公害防止上できるだけのことを一体やらせるべきかということの問題が、この法律の立場から、技術の立場からは非常に大事なことじゃないだろうか、その場合に、やはり季節的に非常に有利な季節と非常に不利な季節があるわけでございまして、どのような不利な季節にはどういう条件で動かすかということを、はっきりと規定をしていくということ、あるいは先ほどのお話にもございましたが、東京の場合には、電力会社が自分でモニターをつけるということもございますが、これはだれが行ってもちゃんと見られるように、その煙突の中の濃度が全部自動的に記録でわかるような仕組みは、いま容易にできるわけでございますし、あるいはここが最大濃度地点になるという場所に、モニターを電力もみずから置き、役所のほうもモニターを置いて、全部をチェックするというような方式によって確認していく。現に姉崎の場合にも、二百メートルに対してはそういうことをやっております。そういうことによって、煙突効果の確認をどんどんいたしておるわけでございます。そういう点もございまして、私どもはやはりできるだけの努力をさせます。そこで環境基準の問題があらわれてくるわけでございます。一体どの程度よりも悪くしないのか、あるいはどの程度以上悪いところは、そこまでどれくらいの間に引き下げてやっていくのかということの一つの具体的な尺度がないわけでございます。それを、私どもはこの公害対策基本法第九条に基づく環境基準をできるだけ早くきめて、それによって論議するならば、お互いに共通の尺度があって、かなり客観的なことができるのではなかろうか、そういうふうに思っております。そういう形でございますので、東電のケースにつきまして、地元の了解がちゃんと得られるということが必要でございますが、やはり反対という立場もありましょうが、法律の立場から見ますと、私ども行政機関としては、反対としての立場はとり得ませんし、また私どもは、実は京浜の沿岸に火力ができるときに、ある意味で非常に強く反対を言っております。こんな集中しているところには、どんどんつくってもらっては困るということを言っておりまして、そういう点からも、先ほど通産省の言われた分散ということは、これは必至のことじゃないか、あの地域が工業整備特別地域ということで指定をされておるわけでございますから、それに見合った環境基準を尺度として、それを守るような形で排出基準をやっていくということでやれば、あの地域においてはやれるのではないか、そういうことをもう少し確かめろということになりますと、現在ある地域では、一基をつくってみて、それを厚生省がテストをして、それによって運転条件をきめるというようなことをやっている地域もございます。そのようなことによってできるのではないか、行政の立場からは、そのような考え方で臨んでおります。
○渡辺(芳)委員 時間もだいぶ経過しましたからこれで終わりますが、逆転層の問題なり、いろいろ立地条件、地域などについても、なお私も了解できかねるところもあります。専門家でありませんから、ああでもない、こうでもないと言うわけにもまいりませんが、いずれにいたしましても、私はきょういろんなことをお尋ねしましたが、中心的な問題といいますか、課題は、やはり地域住民の健康を守るということを、まず第一義的に企業が考えなければいけない。既存の公害についても、積極的に改善策をしなければいけない。東京電力もそういうふうな計画があるならば、もっと真剣に考えていかなければいけない。こういうようなことを中心的にお尋ねしたわけです。またいずれ事態の進展を見て、お伺いをいたしたいと存じます。 最後に、委員長にお願いしておきますが、たいへんお忙しいところ恐縮ですけれども、でき得ればひとつ――この数年間に急速に、大気汚染をはじめ騒音、それから水質汚濁なりあるいは悪臭なり、ああいう製紙工場が中心でありますから、各種の公害が全部あるわけです。一度、産業公害対策特別委員会として、なるべく早い時期に富士地区の公害の実情を御視察願えたら幸いだと思いますが、どうかひとつよろしくお願いします。 終わります。
○山崎委員長 井上泉君。
○井上(泉)委員 たいへんおそくなって恐縮ですが、簡単に質問を終わりたいと思いますので、答弁も簡明にお願いしたいと思います。 私は、大気汚染とは逆に、海上汚染の問題についてお尋ねしたいと思います。最近、石油の需要が急激に膨張すると同時に、海上交通もふくそうして、海上における汚染度というものはたいへんひどくなったわけですが、昨年海水汚濁防止法が制定されたのですが、海水汚濁の実態はどういう状態になっておるのか、この点について、まず運輸省のほうから御答弁いただきたいと思います。
○内村説明員 ただいまの御質問でございますけれども、油がどれくらい海上に流れているかという実態については、必ずしも明確でございません。ただ、港湾に出入いたします船舶の数量から想定しまして、大体この程度になるのではないかという数字は持っております。そこで、これは昭和三十九年の船の出入実績から推定したものでございますけれども、結論だけ申し上げますと、四十四年度におきまして、バラスト水であるとか、あるいはタンククリーニング水であるとか、あるいはビルジ、こういった油性混合物の総量が、全国で大体四千五百万トンくらいではなかろうか。その中で特に瀬戸内海だけをとってみますと、八百万トンくらいの油性混合物があるのではないか。これは事故による油の流出というものは除いて考えております。いまのは油性混合物でございますが、その中で純粋の油だけということになりますと、これもほぼ目見当でございますが、瀬戸内海におきましては、大体四、五万トン程度ではないかというふうに考えております。
○井上(泉)委員 それで、海水の汚濁によって、魚類の繁殖が非常に阻害をされておると思いますが、これの影響について、水産庁はどういうふうに把握しておられるのか。
○竹原説明員 船舶からの油によりますところの漁業に対する被害の状況でございますが、これは全国的に見ますと、昭和四十一年の数字でございますけれども、各県からの報告を集計いたしますと、発生件数といたしまして九十八件、金額といたしまして約十三億円ございます。その中で瀬戸内海の関係県で発生しておりますのが、四十一年の数字で見ますと、件数からいいますと五一%に当たっております。それから金額の面から申しますと約四五%の被害を受けておる状況でございます。
○井上(泉)委員 それで、そういうふうに海水が汚濁することによって、直接受けた被害はそうですが、見えざる被害、つまり魚介類の繁殖というものについては影響ないのですか、こういうふうに海面がよごれることによって。
○竹原説明員 これは、油が長年流れて――船舶なりあるいは陸上の工場からのものも含んでおると思うのですが、そういうことで油が海中に転落したり、あるいは海底のどろにまじったりいたしまして、そのために主として魚介類が油くさくなる。そういうようなことで、非常に商品価値が低下する。そういったような長年の累積によりますところの被害といいますか、これは、一般的にいいまして約四十億ないし五十億円というふうに報告を受けております。
○井上(泉)委員 それで、そういうふうな非常によごれたもので栄養物をとって生育してくる魚介類を長期にわたって食べることによって、人体には別段これについて被害はないかどうか。厚生省のほうで御答弁いただきたい。
○金光説明員 油でよごれました異臭魚でございますが、まずは、これはにおいのために食べられないというのが第一の問題だと思うのでございますが、ただいま御説明のございましたように、非常に微量で、食べられる範囲で微量についたものを慢性的に摂取した場合にどうかといったような研究につきましては、私どものほうでもまだ実施いたしておりませんし、また、私自身としては、そういった結果を聞いていないわけでございまして、まずは普通の場合、食べられない、かように考えておるわけでございます。しかし、こういった問題は、最近、微量重金属等で慢性の問題もございますので、今後の問題としては注目していかなければならぬか、かように考えております。
○井上(泉)委員 かすかなにおいというようなものが残る。たとえば阿賀野川の水銀中毒事件のようなものが、長期にわたって食べたことによって起こってきたわけですから、その辺について、ひとつ厚生省のほうも十分調査を進めていただきたいと思うのですが、それについて、厚生省の御答弁をいただきたいと思います。
○橋本説明員 異臭魚の問題のほかに、何か影響があるかという点につきましては、私ども、残念ながら、まだ調査をしておりません。これから、コンビナートのまわりの食品がどのようによごれるかということで、私どもだんだん調査をしていくことにしておりますので、来年すぐ油の問題に入れるかどうかは疑問でございますが、コンビナートの周辺で、魚が食品衛生上どんな問題を起こすかということについては、調査をしてみたいと思います。
○井上(泉)委員 海水が油で汚濁されることによって、魚族の繁殖も阻害され、さらにまた食べられないような魚介類をつくることによって、漁民の生活というものは非常に追い詰められてくるわけですが、平常の場合にもそういうふうな状態が起こっておるところへ持ってきて、最近タンカーの事故というものがときどき起こるわけです。例をあげますと、高知県幡多郡の柏島のところで、第二幸豊丸という船が事故を起こして、それによってたいへんな被害をもたらしたわけですが、これがわずか百八十トンの船だったから、不幸中の幸いといえるわけですけれども、これが五万トン、十万トンという今日の大型タンカーで、こうした事故が発生した場合におけるはかり知れない災害というか、公害というものについて、海上保安庁は、こういう激増するタンカーの状態について十分な対策が考えられておるかどうか、この点、保安庁のほうから御答弁願いたいと思います。
○長野説明員 大型タンカーの事故につきましては、京浜運河における宗像丸事件、あるいは室蘭港におけるヘイムバード号事件、最近では、昨年の三月英国近海に起きましたトリー・キャニヨン号の多量の油流出事件というような教訓にかんがみまして、この大型タンカー事故対策について検討してまいったのでございますが、まずこのような大きな事故が起きました場合には、海上保安庁のみをもってしては対処することはできませんので、警察あるいは消防庁、自衛隊、地方公共団体あるいは関係団体と一致協力しまして、災害対策に当たることにいたしております。そのためには、地方防災会議を活用いたしましたり、あるいは石油基地におきまして、官民一体となった事故対策連絡協議会といったような組織を設置させておりますが、そういった事故対策連絡協議会が、現在二十七の基地に設置されております。この設置についてなお促進中でございますが、こういった機関を利用いたしまして、官民一体となりまして、そういった大事故に対処する方針を固めております。
○井上(泉)委員 タンカーが大型タンカー化すると同時に、大型船から移しかえてやる小型タンカーというものが相当数激増しておるわけですが、時間の節約で、私は数がどうとかいうことは質問をいたしませんが、この大型タンカーと小型タンカーの間における関係等から、具体的な事例として、過般事故を起こした第二幸豊丸というタンカーは、付近の関係漁場に対して甚大な被害を与えたわけですが、これに対する責任の所在というものは一体どこにあるのか。こういうふうな公害、被害を与えたものに対する責任の所在はどこにあるのか。この点、運輸省にあるのか、あるいは通産省にあるのか、どちらかわかりませんけれども、御答弁願いたいと思います。
○内村説明員 過失によって船舶が事故を起こして、その結果油を流したということになりますれば、その被害に対する責任は、その船主が持つということになると思います。
○井上(泉)委員 その場合に船主が持つということになるわけですが、そうなると、この第二幸豊丸がそういうふうな大きな被害を与えたことによってもたらされた被害については、これは当然幸豊丸が見るべきであると思うわけですが、これに支払い能力があるかどうかということも問題ですが、こういう面についての救済措置は、現在法的にとられておるのかどうか、その点をお伺いします。
○内村説明員 確かに、責任の所在がわかりましても、その責任者に損害賠償能力があるかどうかということは非常に大きな問題でございます。現在、法的に強制保険とかそういうふうな制度はございませんのが現状でございます。 ただ、申し上げますと、日本船主責任相互保険組合というものがございまして、そこに各船主が加盟いたしまして、それによって、第三者に対する損害賠償も保険化しておるという現状でございます。ただし、これは強制ではございませんので、加入しておるものもあり、加入していないものもありということで、必ずしもそれによって万全に担保されておるわけではないというのが現状でございます。
○井上(泉)委員 激増する陸上交通の事故、いわゆる交通災害、公害と称せられるもの、こういう問題について、自動車損害賠償法というような強制保険の制度もあるわけですが、現実に海上で、瀬戸内海であれくらい船舶がふくそうしておる、そしてタンカーが無数に行き来しておる、そういう中で、こういう被害を与えた場合には、人命だけではなしに、産業の面にも大きな影響を与えるわけですが、そういう場合における補償の能力がないということによって、それで被災者が泣き寝入りをせねばならぬというようなことになると、これは非常に矛盾した現象ではないかと思いますが、これについて、格段それはもう補償能力がないからしようがない、こういうふうに、いわゆる政府としては突っ放す気持ちでおれるものかどうか、ひとつその点についての御見解を承りたいと思います。
○内村説明員 これは当然突っ放すつもりではおれないのがあたりまえでございまして、私どももかねがねそういっった問題について、何か補償する措置はないかということは検討いたしておるわけでございます。 そこで問題がございますのは、今回の事件のように、今度は責任能力があるかどうかは別といたしまして、加害者はわかったけれども、それに賠償能力がないという場合、こういう事例が一つございます。それからさらに、海水汚濁による事例を申し上げますと、いわゆるたれ流しと申しますか、人が知らないうちに油を捨てていくというふうなことで、加害者がわからないという場合があるというのが、また海水汚濁の一つの特殊な事情でございます。それから、もう一つの考慮に入れなければならない問題は、本件につきましては、先般トリー・キャニヨン号事件というのが欧州にございまして、大量の油を流しまして非常に問題になりました。そういうところから、世界的にも非常にこの問題が取り上げられております。そこでIMCOという政府間の関係会議がございますけれども、そこでもこの問題が取り上げられまして、そういった場合の賠償責任はどうするか、賠償責任についての要件はどうするのか、あるいは賠償能力をどうやって担保するかというふうな問題がいろいろ議題にのぼっております。そういったところでは、あるいは強制保険にしたらどうかというふうな説も出ております。まだこれは最終的にはきまっておりません。したがって、そういうふうなことも考えながら、いろいろ進めていかなければならないと思っております。それで、基本的には、公害審議会というものもございますので、そこでそういった問題についての制度等についても十分御審議いただきまして、しかるべき制度をつくっていくのがいいのではないか。その際、外国の事情、条約関係等を兼ね合わせて考えていくというのが、今後進むべき道ではないかというふうに考えます。
○井上(泉)委員 石油業者というものは、大体大きな資本家であるわけですが、当然賠償能力もある企業形態を持っておるわけですけれども、それが次第次第に下へ来て、賠償責任のないようなものが、無数にそういう石油資本の中に付随しておるわけなんですから、さっき質問する前に、たとえば第二幸豊丸はそういう保険にも加入しておるのかどうか、それからまた賠償能力があるような経営者であるのかどうか、そして日本石油、あるいは関西運輸との関係等はどういうふうなものであるかということを、できれば調査をしておいてもらいたい、こうお願いしたのですが、その調査ができておれば、ここで説明を願いたいと思います。
○内村説明員 先ほどわかりました限りにおいて申し上げますと、これは組合保険には、結論として、入っていないそうでございます。なお保険会社等に聞きますと、これから入ろうかというふうなことを言っていたときに、こういうふうな事件が起きたということを申しておりました。ただし、結論としては、入っておりません。そういうふうな状況でございます。
○井上(泉)委員 それでは、支払い能力がある会社であるかどうかということもわかってないのですか。
○内村説明員 その辺、まだつまびらかになっておりません。
○井上(泉)委員 大体百八十トンや二百トンの小型タンカーでやっておるものは、ほとんど、陸上でいえば一匹オオカミに相当するダンプカーといわれるような状態じゃないですか。そこで、これは大臣がおらぬのですが、政務次官がおいでですが、そういうふうな場合に、賠償能力がない者によって被害を与えられた、そしてこの場合なんかになりますと、根つぎ漁業というものは、かなり長期にわたってタンカーの事故による被害を受けるような状態になるわけですが、これはやはり当然、こういうふうな漁民にいたしましても、みずから招いた害ではない、やはり公の海で、そして法の不備なために、こういう被害を惹起されても、まことに言うていく先がない、こういうふうなことになっておるということは、これは政治における非常な悲劇だと思うのですが、こういうふうな被害に対して十分支払い補償のできるような立法措置、あるいは船舶全体にそういうことができなくとも、こういうタンカーというような非常に危険なものを運搬する船舶については、強制的な保険を設けるとかというような制度を立てるべきだと思うわけですが、その点についての政府の御見解を承りたいと思います。
○金子説明員 ごもっともな御意見でございまして、大いに検討すべきだと思います。
○井上(泉)委員 これはまことにけっこうななにですが、もうちょっと誠意のある――ことばは短いですけれども、中身は誠意があるかもしれませんけれども、それじゃまた質問をもとへ戻しますが、千トン未満のいわゆる小型タンカーというものは、一体何隻日本の国にありますか。
○内村説明員 大体、昭和四十二年九月の資料によりますと、千九百ぱい程度というふうに見ております。(「もっとある」と呼ぶ者あり)いや、千トン未満の小型タンカーだけでございます。
○井上(泉)委員 それじゃ、全体のタンカー、油送船というものはどのくらいありますか。
○内村説明員 日本における全体の油送船は、二千七十二隻という数字になっております。
○井上(泉)委員 わずか二百トンくらいのタンカーの重油が拡散しても、もうたいへんな被害を及ぼしますし、これにもし火でもつくと、これははかり知れないなにが起こるわけで、内海なんかで事故が起こればたいへんなことになるわけですが、これを慎重に検討するとかいうようなことでは――これは私は、公害対策で別段予算が大幅に要るとかいうような問題でもないし、これは公害対策上海水の汚濁を防止する面からも、あるいはこれに併って起こる公害を防止するためにも、航行する船舶にかなり責任を持たすということで、強制保険なり何なりなすべきじゃないかと思うのですが、これについて、もう少し前向きな見解というものを承りたいと思います。
○金子説明員 私は誠意をもって、一つ取り残されておる部門ですから、大いにひとつこういうものをこれから検討して、そして何かの対策を講ずるべきだ、かように申し上げておるのでございます。
○井上(泉)委員 それじゃ私、いま質問を、時間もないので終わりますが、こういうふうに被害の賠償能力が、この小型船そのものについては賠償能力がないかもしれませんけれども、これを親会社であるか、あるいはどういう関係にあるのか、これはわかりませんけれども、日本石油なりあるいは関西運輸なりが、やはりこれは共同で責任を負うべきだと思うわけですが、この点については、役所のほう、つまり政府のほうにおいても、これとの交渉の中で協力をしてもらわぬと、この船だけでは、話にはなかなかなりにくいと思うのです。そういう点で、運輸省のほうでかなり積極的な協力をしていただかなければならないということについての見解と、それからさらにもう一点、これはローカルで恐縮ですけれども、地元の宿毛地域では、通産省が、もう瀬戸内海等は一ぱいだというようなことで、新しい石油基地として、宿毛湾とかあるいは須崎湾とかを考えておられて、調査を進められておるとか、あるいは研究中であるとかいうことを聞くわけでございますので、その点についての通産省のほうの見解をあわせて承って、私の質問を終わりたいと思うのです。運輸省のほうも、補償についての協力をするかせぬかということを……。
○内村説明員 ただいまの問題でございますけれども、これは法律的にはどうこうということは言えませんけれども、御趣旨に従いまして、なるべく円満に解決のできるように協力をいたします。
○半沢説明員 CTSについてのお尋ねと思いますが、CTSと申しますのは、大型の原油輸入基地でございまして、私どもは日本のおもな港湾につきまして、CTSの設置の可能性があるかどうか、その背景となります諸データ等について調査をいたした事実はございます。宿毛湾につきましては、実は机上の審査、調査によりまして、やや無理があるということがございまして、実態調査には至っておりません。あの地区におきましては、他に徳島県の橘湾につきまして調査を行なっておるのでございます。この調査の目的は、あくまで、将来原油輸入基地が設けられます場合における関係のデーターを整備収集するというところに主たる目的がございまして、国としてそこを指定して輸入基地をつくる、そういう趣旨ではございません。
○山崎委員長 島本虎三君。
○島本委員 簡単に済ましたいと思いますから、要領よく願いたいと思います。 先ほど大臣がいる間に、具体的ではございませんが、基本的な考え方だけ伺った。その中で、環境衛生局長、あなたの考え方と私の質問と、また大臣の考え方と別々になった点が一カ所ありました。それは、公害基本法によるいわゆる産業公害のみではなく、都市公害についての考え方であります。その都市公害の中で、ことに基本法の最も大事な健康の保全、これを第一義にしているはずなのに、産業公害のみならず、都市公害にもこれが全面的に同じ立場で考えられるはずなのに、健康の保全の中でも、肺ガンの発生について、最近十年間、発生の率も死亡の率もとにかく著しく高くなってきている。他のガンの中には低くなってきているのもある。横すべりの状態がまず多い。この中で、肺ガンのみが死亡と発生の率が著しく高くなっている。こういうような原因については、局長のほうでは、これはたばこによるもので、大気汚染によることはあまり考えられないという先ほどの答弁だった。大臣は、そうじゃない、これは大気汚染も重大な影響がある、こういうふうなことを言っておられましたから、あなたは大臣のもとに働く局長ですから、その点はまず、いいだろうと思いますが、先ほどの答弁で反省すべき点がありますか。
○金光説明員 先ほどの私の説明で、少し舌足らずのところがあったかと思います。 ガンの発生の原因は、現在のところでははっきりしないわけでございますが、しかしガンの発生に関しまして、少なくとも誘因となるような事項と考えられるものとしましては、外国におきましてもたばこが研究の結果出ておりますし、日本においてもそういう成績が出ております。これはあちらこちらと申しますか、資料がかなりたくさんあるということで、特にたばこのことを強調したわけでございますが、もちろんたばこだけによりまして肺ガンが非常にふえたということは、必ずしも言えないことでございます。たばこは昔から吸っておるものでございますので、そういった点はなお今後の研究の課題だと思うのでございますが、大気汚染につきましては、大気汚染によりまして肺ガンが特にふえるというような研究成績もございますけれども、たばこの問題ほど広く多くの研究成績がないということで、私は少し軽視したような言い方をしたかもしれませんが、私が先ほど説明した中でも、大気汚染も決して軽視することはできない、かように言ったわけでございまして、そういう点、大臣におかれましても、大気汚染と都市公害というものが非常に関係があることが予想される、これについては十分力を入れて研究もしていかなければならぬということを、先ほども大臣もおっしゃっておりましたので、私もそういう考えで進みたい、かように考えております。
○島本委員 肺ガンの都道府県別の死亡率はすでにデータがあるから、あなたのほうでは調べて知っておられる。男では全国の死亡率が人口十万について四・四二、最高が東京で死亡率が六・六二、全国平均の一・五倍になっておる。その次が北海道で六・〇五、これはもう全国平均の一・四倍になっている。その次は福岡五・五五、それから神奈川五・四六、こういうように続いているわけです。それから女性のほうもありますけれども、ほぼそのとおり。そして男女を通じて、東東、北海道、神奈川、福岡、宮城、兵庫、こういうようなところが都道府県別の高率を示している地域になっているわけです。ですからこれを分析していってみても、その点はっきり出ている。北海道の中央部における肺ガンの死亡率の年次推移を見ましても、男女の死亡率は全国の平均を上回って増加している。この実態があらわれているわけです。人口五万以上の都市には、労が一・七倍、女は一・九倍、都市別に見ると、男は苫小牧の場合は二・七倍、室蘭の場合は二・〇倍、札幌の場合は一・八倍、女性の場合は室蘭は三・八倍、美唄が二・八倍、苫小牧が二・二倍。そうして全国平均の死亡率をずっと都市別に見ると、第二次産業を中心とする都市にまず多い。苫小牧、室蘭、美唄、これに次いで人口稠密な札幌、旭川、北海道ではこう続いているわけです。それだけでも十分わかるわけなんですが、大体において、北海道はもう冬の間ここみたいに雪がないなんということはあり得ない。もうそろそろ降るのです。そして冬期五カ月は石炭暖房を使用しているのがほとんどです。そうなりますと、タール性ばい煙の被害というものがものすごく出てきている。それとの関係で、降下ばいじん量と肺ガン死亡率が相関関係にあるということを、北海道大学の調査の結果発表されている。さらに都市化指数の諸因子とそれから肺ガン死亡率との間からも、肺ガン発生と大気汚染との間に密接なる関係が推定される、こういうように結んであるわけです。 そういうようにしてみます場合に、これはやはり一つの特殊性――タール性ばい煙というものはどこにもあるのではないか、あにたばこのみならんや、こういうようなことなんです。これが相当高率を示しているという点で、もう生命、ことに健康にも重大な影響があるという点では、厚生省はもっと環境衛生局あたりでも、これはみこしをあげなければならない新しい問題ですから、これと十分取っ組んで研究しておいてもらいたい。これに対処する具体的な方法というものは、何か考えがありますか。
○金光説明員 北海道では、地域暖房を全国で最初に先がけてやっておいでになると思いますが、こういったことが、地域的の立場から考えますと、一つのいい方向だということで、さようなことを推し進めていくことが必要であると思います。ただ全般的な問題としましては、国立の公衆衛生院等におきましてもすでに研究はいたしておるわけでございますが、さらに先ほどの先生の御指摘にありましたような資料等もあわせまして研究を進めまして、これに対する対策は十分考慮してまいりたい、かように考えております。
○島本委員 くれぐれもこの点は、若くてやる気十分だと思いますが、来てからまだ浅いですから、十分検討して、そつないようにやっていってもらいたい、これは強く要請しておきます。 まず、地域暖房が一つのやり方だということを承りました。地域暖房は、現在法律的にもまたいろいろな補助、それから低率の融資、それから出資、こういうようなものがきまっておる。もうやっておる。いまこの組織がどうなっているか、説明できましょうか。通産省、厚生省、いずれでもよいのです。きめてやったんだけれども、その後、運営、機構、その他どうなっているか。
○武藤説明員 本年度の予算で、公害防止事業団の融資対象に集中暖房制度を取り入れるということがきまりまして、それの事務的な手続その他は完了して、近く会社が発足するというふうにきまっております。計画どおり進行中でございます。
○島本委員 組織、機構はできましたか。
○武藤説明員 会社が近く発足する、こういうふうに聞いております。
○島本委員 まだできていないのですか。
○武藤説明員 近く発足するように聞いております。
○島本委員 近くというのは、一年後の近くですか。近くというと、あすも近くです。もう予算もちゃんとできてあるし、ちゃんとやってもいいようになっているのですが、まだできてないのです。これをあなたたちもう少し指導してやらぬと――やっていい問題です。まして冬季オリンピックを控えていますから、まごまごしないで早くやれ。通産省だってやっていいですよ。厚生省ばかりにまかせないで、立地公害部長でも、そっちのほうで腕を発揮してもいいはずなんです。せっかくのことですから、これはいいことです。両方とも、よく指導してやっていただきたいと思います。
○矢島説明員 先生の御指摘を待つまでもなく、通産省としても、札幌の都市公害に非常な関心を持っておりまして、わがほうでも、課長級をときどき派遣いたしまして、その際においては、進行状況を絶えず心している次第でございます。今後さらに関心をもって、できるだけの援助をいたしたいと思っております。
○島本委員 それは本題からはずれますから、これ以上追及しない。まだキャップも何もできてないでしょう。やってもらいたい人を委嘱してあるだろうか、まだそこまでいってないですよ。ですから言っているのです。ことばだけではきれいに言えるけれども、そういうような実態では、仏つくって魂入れないようなものですね。だめだ。あしたでもすぐやって、推進してください。委員長まで、わざわざ現地まで行って、そういうような点を調査してきて、公害防止事業団法の一部改正法案として通してあって、その附帯決議もりっぱにできているはずなんです。これは早く機構をつくってやって、発足させないとだめです。まだできていません。
○武藤説明員 札幌市を、先生の御趣旨に沿いまして、十分指導、援助をはかりたいと考えております。
○島本委員 衆議院の産業公害対策特別委員会の審議要録、これによって、五月の十日だと思いましたが、公害関係の二法が通りました。騒音規制に関する法律も通りました。その際に附帯決議が付されました。「政府は、本法施行にあたり、次の事項について措置を講ずべきである。一、飛行場騒音については、早急に対策の強化を計ること。一、交通機関等の騒音対策について特に意を用い、国においても充分考慮すること。」この「交通機関等」はもめたのでございます。具体的には新幹線及び高速道路、こういうようなことになっていたやつを、具体的にやられると困るから、交通機関にまとめてくれないか、これはやはり委員長のあたたかい意もあって、じゃこれを具体的にしないで、それでまとめましょうということでまとまったのが、いわゆる「交通機関等」の文字なのであります。私はこれでいま聞いておきたいのは、この附帯決議がついた場合には、それぞれの立場で十分これを尊重して実施いたします、こういうような答弁もあったわけです。その場合の運輸大臣のほうもあったわけですけれども、いませっかく政務次官が出ていますから、飛行場及びそういうような方面に対しては、十分国としての配慮をしておりますか。
○金子説明員 飛行場の騒音について申し上げますと、昭和四十二年八月一日航空機騒音防止法の制定されて以来、四十二年度は予算三億円、四十三年度は五億三千万円をもって、東京、大阪両国際空港周辺における小中学校の防音工事の補助及び共同利用施設の補助、助成を行なっております。また四十四年度は、そのための予算として十億九千万円を要求しております。 次に、本年八月に航空機騒音防止法に基づく対策を補完する目的で、財団法人航空公害防止協会を発足させ、これに東京、大阪両国際空港周辺の一定範囲について、テレビ受信障害対策を実施させるとともに、これらの空港周辺における防音林の設置、防音モデルハウスの建設、各種航空公害の研究調査等を行なわしめ、空港周辺の騒音対策の充実をはかることといたしております。さらに東京国際空港については、本年十一月からB滑走路を二千五百メートルに延長する工事に着手しましたが、四十五年七月にこれが完成すれば、東京に発着する大半の航空機は、海から着陸し、海に向かって離陸することができるようになり、当空港周辺の騒音は大幅に軽減されることになります。 交通機関関係の騒音対策について申し上げますと、新幹線騒音につきましては、従来からの防音壁の設置等の騒音防止対策を一そう促進いたしておりますが、さらに国鉄におきましては、騒音の発生自体を抑制するための研究開発、車両及び施設改良を強力に推進いたしております。一方騒音の性質、与える影響等の問題については、その科学的解明を待って、新幹線の持つ高い公共性をも考慮しつつ、生活環境の保全のための基準を設定すべく、鋭意検討中でございます。
○島本委員 新幹線関係で裁判になっている問題、あったと聞いておりますが、そういうような問題、現在ございませんか。
○内村説明員 いまのところ、裁判の話は聞いておりません。
○島本委員 これはほんとうに対処してもらわないといけない。これは運輸省関係のやつは、別に項を改めて、いままでのあれはほんとうかどうか、もう少しやっていかなければなりません。きょうは急ぎますから、この次まで預けます。いままで言ったのを、私はそのまま議事録にとどめて、そのとおりやっているかどうか、十分この次に検討することにいたします。 それから、建設省関係では、やはり高速道路の関係で一つこの中に入っているわけですけれども、こういうようなトラブルはありませんか。
○蓑輪説明員 高速道路関係につきまして、高速道路の上を走ります車から出る騒音対策について今後どうするかということにつきましては、現在いろいろ日本道路公団で、現在できております高速道路について、その周辺の騒音の測定その他をやっております。また遮音壁、こういうものによってどのくらい周辺の騒音が防げるか、こういうようなこともいろいろ研究しております。また、既存の高速道路以外に、現在全国で千八百キロばかり高速道路の建設をやっておるわけでございます。これにつきましては、高速道路のルートの通りますところに住宅地もございまして、いろいろ騒音その他の問題の交渉はございます。私、こういうものにつきましては、できるだけ誠意をもって、遮音壁、そういうようなもので、なるべく騒音が住民に影響をしないような配慮をもって、地元との折衝をしておる次第でございます。
○島本委員 したがって、「特に意を用い、国においても充分考慮すること。」これは今後もやはりしてもらわないといけないわけです。それでわかりました。 現在私の手元には、高速自動車道路で、北海道の札樽バイパスの手稲富丘地区の道路変更決定――変更してくれ、これを促進してくれ、こういうような要請書が届いているわけです。それによると、やはり騒音に悩まされる、それからその付近が全然使えなくなる、それから、場所はあるんだから変更してもらいたい、これによっても別に道路計画に支障ないはずだ、走行騒音、交通公害、それから盛り土、それから除排雪による雪害、それから無形の生活環境の破壊、こういうような問題に対しても最小限度にとどめるべきである。これからつくるのです。それと同時に今度は住宅、既成の住宅や宅地、こういうようなものの犠牲を最小限度に食いとめていく、こういうようなものは私はもっともだと思う、国において対処するんだから。こういうものは、あわせて話し合いの上でりっぱにやればいいと思う。ところが、何か私の見たテレビによりますと、地域でこの問題がこじれて、そして住民の朝の話題にまでなってしまっている。これは一体どういうことなんですか、富丘地区のやつは。あなたの話題までも載っている。この話題の中には、勲一等をもらっておりますけれども、西村前建設大臣、それから蓑輪道路局長、日本道路公団の内田理事、こういう人は、要望を無視して工事を行なうことはしないというように発言した、こういうようなことまでいわれておるわけです。もしそうだとすると、このトラブルが起きておること、それから公害上の問題が問題になっておる点――それは強行しないということも皆さん口をそろえて言っている。それだのに、なぜ現地でトラブルが起きておるのか。これはちょっと了解しかねることなんです。蓑輪局長、これははっきり報告してもらいたい。
○蓑輪説明員 札幌-小樽のバイパス、これも先生御承知だと思いますが、小樽から札幌間の約二十四キロばかりのバイパスでございまして、現在の計画は、四車線の用地を買いまして、とりあえず二車線つくろうという計画でございます。これは現在、一般有料道路として、日本道路公団で建設に着手しております。私聞きますと、やはり日本道路公団で、いろいろ現地とルートについて折衝を重ねておりまして、おおむね了承を得ておると聞いておりますが、その中の札幌市の手稲富丘地区については、騒音その他の問題で、まだまだ了解点に達していないというふうに聞いております。こういうような高速道路に類する道路をつくります場合、私たちは交通の騒音、こういうものが地元に与える影響ということも慎重に考えておるわけでございます。どうもその地形上――あそこの場所でもそうでございますが、山が出ておりまして、その山と山との間に開けた平地がございまして、住宅地になっておるというようなところもございます。これを全部山に通すということも非常に費用がかかりますので、騒音その他について、地元がその周辺の土地をどう利用できるか、この辺につきましては、現在道路公団が地元との折衝をしておるわけでございます。いま先生のお話に出ました、地元の了解を得ないうちはやらないということ、実は私あまりそういう記憶がございませんが、やはり地元とのそういうトラブルがあることについては、よく話し合いをすることがまず先決だ、もうこれできめたからこれ以外にはだめだというようなことではなくて、きめたルートについてはこういう理由で、これ以外にないのだというようなことで、地元と誠意をもって話すことがまず第一だということで、お話し申し上げたことはございます。騒音その他土地の利用の問題につきましては、やはり地元と十分話しまして、騒音の問題については、先ほど盲いました遮音壁とかそういうものもございますので、できるだけ話し合いによって円満に解決していきたいというふうに考えております。
○島本委員 これについても、当時の北海道開発庁の堂垣内事務次官が、いまは退官しておりますが、これは道路公団に移管されたので直接はやれないけれども、当事者とよく話して、無理なことはしない、こういうふうに言ったということをはっきりいっているわけです。ですけれども、いまのトラブルでは、道路公団は強引にそれを実施しようとしてやっている。いままでやっていることは、あなたを含めて、大臣や堂垣内前開発庁事務次官が言ったことをさっぱりやらないで、反対のことばかり、道路公団が押しつけてやってくるというふうな不信感も発生してきている。これはやはり望ましくない。まして国のほうでは、公害騒音関係の法律を通した際にも、これについては「国においても充分考慮すること。」こういうふうにはっきりなっておるわけです。ましてその現在あるものに対しては、国が意を用いなければならない、やります――これからつくるものに対して、こういうふうなことを考慮しないで強行するということは望ましくはない。これは十分話し合いをすれば、皆さんだってわかるのだし、便利になることは望ましいのですから。話し合いをしないで強行しようという意図が見えているから、何かしら不信を買うのではないか、こう思われます。よく話し合いをして、早目にこれを妥結してやるのが一番いい。ある場合には、路線変更だって考えたらいいじゃありませんか。だれでもきめたとおりやりたいのはあたりまえかもしらぬが、ほかにいい場所がないのか。あったならば、若干経費がかかっても、最高の知力をもってやったならば、そのくらいカバーできまずから、そうやってやる。それが附帯決議に沿うゆえんだ。いわゆる強行するばかりが能ではない。まして、あなたのように優秀な人がいるのですから、この点を十分道路公団にいって、話し合いを十分さすべきだ、こう思います。北海道開発庁関係のほうでは、この問題について、どうなんですか。
○馬場説明員 開発庁といたしまして、お答えいたします。 昨年の八月時点で、現地の、いまおっしゃった札樽ルートに対する現地民の反対陳情というものを長官は受けておりまして、その書類も残っておりまして、よく承知しております。やはり先生のおっしゃるように、札樽バイパスは来たる冬季オリンピックの時点を目標にいたしまして、開発庁としてもぜひ実現をしたいという線でございまして、そのために施工を急いでいるわけでございますが、ただ無理押しに、地元民の意見を聞かずにやるということは、開発庁としても望ましくないと考えております。いま地元の道路公団、それから建設省にいろいろお世話を願っておりますが、十分地元民の理解を得て、ルートをきめて施工したい、かような方向に、開発庁としても努力したいと思います。
○島本委員 それは十分地元民の理解を得て、そして押しつけるだけではなしに、変更すべき点があったならば変更もして、円満にこれをやるのが正しいのです。妥当なんです。そういうふうにしてやってもらいたい。ましてこれからつくるのですから。いままであるものに対しては、十分意を用いなければならない。これからつくるのには、二十分に意を用いてやって差しつかえないと思うのです。そういうふうにして解決をはかってもらいたい、こういうふうに私は要望しておきたいと思うのですが、この要望に対して、蓑輪局長どうですか。
○蓑輪説明員 私も御趣旨に沿って、やはり強行するというようなことではなく、地元と十分とにかく話し合いをする、こうならざるを得なかった道のほうの計画なり、また地元がこうしてもらいたいというようなことを、お互いにもう少し腹を割って了解点に達するということが第一かと思います。そういう点で、地元に対して、誠意のある交渉を今後も続けていきたいというように考えております。
○島本委員 終わります。 ――――◇―――――
○山崎委員長 先般、産業公害対策状況等の調査のため、各地に委員を派遣いたしましたが、その報告書を、本日の会議録に参照として掲載いたしたいと存じます。これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ――――◇――――― 〔報告書は本号末尾に掲載〕 ――――◇―――――
○山崎委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後六時二分散会 ――――◇―――――