交通安全対策特別委員会 第4号
- 発言数
- 133 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1968/11/07
会議録
○門司委員長 これより会議を開きます。 交通安全対策に関する件について調査を進めます。 先般、地方における交通事情及び交通安全施設等の整備状況調査のため、福岡県及び熊本県に委員を派遣いたしました。 この際、派遣委員から報告を求めます。大竹太郎君。
○大竹委員 御報告申し上げます。 地方における交通事情及び交通安全施設等の整備状況調査のため、議長の承認を得まして、去る十月二日から七日までの六日間、福岡県及び熊本県に派遣されました派遣委員を代表いたしまして、その調査の概要を御報告申し上げます。 派遣委員は、田中榮一君、井上泉君、板川正吾君、太田一夫君、門司亮君と私であります。そのほか熊本県に大久保武雄君の現地参加を得まして、国道三号線を中心に両県下の交通事情及び交通安全施設等の整備状況を調査いたしてまいりました。 また、特に今回両県において、歩行者の安全対策、被害者の救済対策に取り組んでおられる関係団体の代表の方々のお集まりを願い懇談する機会を設け、交通安全に関しての体験を通じての御意見を聞いてまいったのであります。 福岡県下の交通事情の概要について申し上げます。 本県は、わが国四大工業地帯の一つであります北九州地区を有し、また、本州と九州とを結ぶ九州の表玄関となっており、国道三号線の交通量は近年の自動車台数の伸びに伴い、北九州市-福岡市間においては、一日に四万五千台をこえ、その他主要道における交通量も今後さらに増大するものと推測されるのであります。 本県における昨年の交通事故は、事故件数二万四千七百六十一件、死者五百六人、負傷者三万六百十人で、本年九月末現在、事故件数二万一千三十九件、死者三百六十三人、負傷者二万六千六百七十四人となっており、昨年同期に比し、事故件数は三千五百十九件の増、死者は七人の減、負傷者は五千百十三人の増となっております。ただ死者は、昭和四十年より連続三年間減少しているのは全国で本県のみでありまして、さらにこの記録が続くことを望むものであります。 今後経済の発展、自動車台数の増加等、増大する交通量に対処するためには、九州縦貫自動車道、関門自動車道の新設、北九州バイパス等の早期完成により道路交通網の整備促進が望まれるところであります。 十月三日、福岡市内の日本生命ビルにおいて、福岡県下の交通事情等につきまして、県当局、福岡市、北九州市並びに建設省九州地方建設局、福岡陸運局、日本道路公団福岡支社及び国鉄九州支社当局からそれぞれ説明を聴取し、県当局及び関係市当局より特に交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の期限延長、北九州バイパス、国道二百一号線、二百二号線におけるバイパス建設計画の早期完成等について、要望を受けたのであります。 次いで、派遣委員と関係団体の代表者との懇談に入りました。出席懇談を願った代表者は、福岡県郡市婦人会連合会会長内野梅子君、福岡県交通安全協会会長楠根宗生君、福岡県弁護士会会員桑野四郎君、福岡県小学校長会会員松尾敏夫君及び交通事故被害者の会会員八尋熊藏君、以上五名の方々で、それぞれの立場から交通安全対策に関して忌憚のない鷲見を聴取し、委員と懇談いたしたのであります。 その意見のおもな事項を申し上げます。 一、踏切道における事故多発の現況にかんが み、これが整備促進をはかること。 一、飲酒運転の禁止の徹底、特にドライブイン 等における酒類販売の禁止措置をはかるこ と。 一、交差点等における車、歩行者の一時停止の 観念を社会教育等により徹底すること。 一、運転者の責任観念の確立を期するため自動 車教習所の教育課程及び免許試験の充実強化 をはかること。 一、歩道、歩道橋、立体交差、道路防災工並び にバイ。ハスの整備をはかること。 一、飲酒運転、駐車禁止等道路交通法違反の取 り締りの強化並びに交通事故処理の迅速化を はかること。 一、自賠責保険金額を引き上げるとともに、被 害者の損害賠償額を確保するため、賠償責任 体制を強化すること。 また任意保険における保険金支払いの迅速 化等について検討すること。 一、学童の登下校時の交通指導に当たるPTA の人々及び学校教職員に対してそれぞれ交通 災害補償及び超過勤務手当の支給について検 討すること。 一、交通災害による被害者に対する国の年金制 度の創設を検討すること。等でありました。 また、飲酒運転と幇助の関係、交通事故における保険金と損害賠償との関係、任意保険の支払い状況、地方公共団体の行なう交通災害共済制度等について委員と質疑応答が行なわれました。 次に、当日の福岡市内の調査個所の概要について順次御報告いたします。 まず、千鳥橋付近舗装工事でありますが、本工事は国道三号線のつけかえ工事でありまして、中央分離帯、歩道を設置した六車線で、本年度供用開始の予定となっております。この地点の交通量は十二時間当たり四万七千台に及ぶ渋滞地点で、供用開始による交通緩和が見込まれております。 次いで、同じ国道三号線における千早及び香椎の横断歩道橋を調査いたしました。 千早横断歩道橋は昨年三月設置いたしたもので、設置地点はゆるやかなカーブを形成している上、交通量も十二時間当たり二万四千五百台の多くを数え、バス停があるため横断歩行者が多く、このために横断歩道での追突事故及び横断歩行者との衝突事故が多発する地点でありましたが、歩道橋設置後、横断歩行者に関係ある事故が激減し、その前後百メートルの区間におきましては事故の発生はなく、その効果大なるものがあります。 香椎横断歩道橋は本年三月設置されたものであり、この地点は車道幅員二十メートル以上あり、香椎宮に至る道路と交差しており、車両交通量も前述の千早地点と同様多く、かつ高速運転地区であるため、横断歩行者は常に危険にさらされ、交通事故も横断歩行中の衝突、追突事故の多発地点でありましたが、歩道橋設置後は同橋の利用度が高く、事故が激減いたしており、車両の渋滞度の緩和にも効果を示しております。 次いで、福岡女子大前の北九州バイパス香椎地区と三号線取りつけ工事地点を調査いたしました。 北九州バイパスは、福岡市と北九州市を結び延長四十九・八キロ、総事業費二百五十九億円で、現道拡幅部分は当初より四車線で建設し、バイパス部分は二車線の暫定断面で建設が計画されており、その暫定断面の事業費は二百六億円となっております。本バイパスは、市街地区を貫通する国道三号線の通過交通量の分散等をはかり、また、現在の三号線の交通事情にかんがみ市街地区の交通安全についても寄与するところ大なるものがあると推定され、これが早期完成が痛感されたのであります。 次に、鹿児島本線吉塚-博多間、妙見一号踏切道地点を調査いたしました。この踏切道は、国道二百一号線と平面交差し、列車回数一日二百五十回、道路交通量は一日当たり軽車両を含めて二万六百台余に及ぶ福岡市内における交通の隘路となっており、昨年踏切道改良促進法の指定を受け、踏切道の拡幅及び鉄道の高架化による立体交差の計画が本年度より三カ年にわたり実施されることになっております。一日も早き完成が望まれるのであります。 次いで、広路Ⅱ渡辺通り線の都市計画街路事業について現地調査をいたしました。 本線は、当初戦災復興事業として計画され、新川より渡辺通り一丁目交差点までの延長五百五十メートルの区間は、現道幅員十六メートル、一日交通量三万九千台で、四車線道路としてはすでに飽和状態となっており、交通渋滞の著しいところであります。これが対策として、街路幅員を五十メートルに拡幅し、加えて渡辺通り一丁目の交差点の立体交差化等が計画されているのであります。 本計画は、用地買収費等、ばく大な事業費を必要とする等の問題がありますが、しかし幹線街路として整備の必要性を痛感いたしたのであります。 次に、野間地区の西鉄大牟田線連続高架化事業について申し上げます。 本事業は、野間大橋地区の交通渋滞の解消と踏切事故の防止をはかるとともに、高架化の効果的利用及び幹線街路を含む二十二本の県市道の立体交差化を完成することを目的とし、本年度より五カ年計画で、総事業費三十二億五千七百万円が予定されております。 次に、主要地方道福岡-二日市線における警固小学校前の横断歩道橋及び警固交差点の交通事情を調査いたしました。 警固横断歩道橋は、学校前付近で道路がカーブし見通しが悪く、横断中の学童の事故が多かったのでありますが、これが対策として、昨年四月通学路交通安全施設として設置されたものであります。利用度はきわめて高く、交通安全対策上の効果が著しい横断歩道橋の一つであります。 また、次の警固交差点は、主要道路が交差し、交通量がきわめて多く、交通渋滞の著しい、また事故多発の交差点であります。このために、西側交差点への迂回車両が多くなり、同交差点も事故多発交差点となっていたのであります。これが対策として昨年西側交差点に信号機を新設し、警固交差点の信号機と系統化し、また既設信号機を地点感応機に改良し、交通の円滑化と事故の減少をはかっております。 七月四日、福岡県及び熊本県を調査いたしました。 福岡県での調査個所を順次御報告申し上げます。 まず、関屋交差点付近の交通事情を調査し、次に二日市の市街部の車道拡幅工事について調査いたしたのであります。二日市は、国道三号線が当地区の市街部を貫通し、通過交通量が多く、しかも道路幅員が狭く、かつ交差点が多いため、ラッシュ時には三キロから四キロに及ぶ渋滞の著しい事故多発地区となっておるのであります。応急対策として、現歩道を一メートル、カットして車両容量を増す拡幅工事が行なわれているのでありますが、抜本的対策としては、福岡南バイパス及び福岡-二日市線の一日も早き供用開始が切望されるのであります。 次に、原田町における国道二百号線との交差点改良工事を調査いたし、久留米立体交差化の工事現場を調査いたしたのであります。 この地点は、国道三号線が久留米市街地を南北に縦貫し、その中途で国道二百九号線と二百十号線の分岐交差点があり、その交差点を西鉄大牟田線が通過する等、地形的悪条件に加え、三分に一回の割合で西鉄踏切が遮断され、交通量の増加と相まって極度の交通麻痺状態をもたらしているのでありますが、これが解消をはかるため、昭和四十年度から総工費十五億二千万円で全長一・四キロの西鉄軌道を高架化し、軌道と交差する道路をすべて立体交差化する工事が進められて、明年三月開通の予定であります。さきに調査した野間地区の連続高架化事業とともに、本県の鉄道の高架化の方向を示すものとして大いに期待しているのであります。 これにて福岡県の調査を終え、熊本県下の交通事情等を調査いたしました。 まず、熊本県下の交通事情の概要について申し上げます。 本県は九州中部に位置し、農産物資源、地下資源及び観光資源を有しておりますが、その産業形態は有明海湾臨海地帯、水俣地区等、西部の海岸地域は臨海工業が発達しており、内陸部及び天草地域は第一次産業を基幹とし、将来の開発が待たれるところであります。これら産業経済の発展基盤となる道路網の整備状況は、全般的に九州各県及び全国に比し低く、交通事情の悪化が著しいのであります。 本県における昨年の交通事故は、事故件数七千百八十四件、死者二百八人、負傷者八千八百四十三人で、本年九月末現在の事故件数は六千五百七十三件、死者百五十二人、負傷者八千二百六十八人となっており、昨年同期に比し、事故件数は千三百九十二件の増、死者は十二人の増、負傷者は千八百七十四人の増となっており、幹線道路の整備、九州縦貫自動車道建設等、総合的な道路整備が望まれるところであります。 次に、調査個所の概要について順次御報告申し上げます。 鹿本郡鹿北町の栗瀬橋及び山鹿市の三岳地区付近の交通事情等について説明を受け、同市の山鹿大橋付近の国道三号線の交通事情等を調査いたしたのであります。この地点から県道玉名-山鹿線が分岐し、今後交通量の一層の増大が見込まれ、特に橋梁部における歩行者の安全措置として、総工費三千四百万円で側道橋の設置が予定されており、これが早期実現を望むものであります。 次に、調査団は県道大牟田-山鹿線及び荒尾-南関線を調査し、荒尾市に入ったのであります。荒尾市の調査個所は、原万田三井引き込み線架橋及び万田国鉄踏切道であります。 まず、原万田三井引き込み線架橋の調査をいたしました。 本架橋は、国道二百八号線上を三井三池鉄道が立体交差して昭和三十七年に架設されたもので、二径間の構造で道路の中央に厚さ六十五センチメートルの橋脚が建っているため、有効車道幅員は狭められ、特にこの国道二百八号線は同市の主要幹線道路であり、近年の急激な交通量の増加により、この橋脚に衝突する自動車事故が過去四年間に四件、死者一名、負傷者四名を出しているのであります。これが抜本的対策としては、この架橋を一径間の構造にする等橋脚を撤去し、早急に交通の安全を確保されるよう関係者に強く望むものであります。 次に、万田国鉄踏切道について申し上げます。 この踏切道は、県道荒尾 南関線と鹿児島本線が平面交差し、市街地の中心部で、かつ荒尾駅構内に位置する第一種踏切道であります。 当該踏切道の交通状況は、列車通過回数は一日二百三十回、遮断時間は八時間半にわたり、道路交通量は一日三千百台で、その上学童、生徒の通学路に当たり、通過人員が急増し、交通渋滞を来たしているのであり、市当局は都市計画事業として立体交差化の計画を持っておりますが、これが実現については国鉄当局と十分協議の上、すみやかに措置が講ぜられる必要があると考えられます。 また、古閑荒尾市長より、ただいま申し上げました調査個所の交通事故防止対策について強い要望を受けたのであります。 次に、国道二百八号線を南下し、玉名市の高瀬大橋、鹿本郡植木町の国道三号線との三差路付近の交通事情を調査し、熊本市に入ったのであります。 まず、新熊本バイパスが国道五十七号線と交差する浄行寺交差点を調査いたしました。 昨年度事業費三千二百万円をもって交差点改良のすみ切り工事を施行し、さらに音響遮断式信号機に改良し、交通緩和と事故防止をはかっております。 次に、子飼橋交差点の交通渋滞状況を調査いたしたのであります。 国道五十七号線の大分県方面からの通過交通量の著しい増加が渋滞の原因となっており、信号機の改良、幅員拡張等、これが緩和をはかっておるのであります。 次に、八王子国鉄踏切道を調査いたしたのであります。 本踏切道は南熊本駅構内に位置し、主要な市道が駅附近に集中し豊肥本線と平面交差しており、水前寺方面に向かう車両台数だけでも一日一万台、三千人の歩行者を数えるのであり、立体交差化の必要を痛感いたしました。 次いで、段山国鉄踏切道を調査いたしたのであります。 当該踏切道は、鹿児島本線と市道段山-島崎線が平面交差しており、交通遮断量は時間当たり一万八百三十二台で、さらに現市道は幅員狭小のため、非常な渋滞を来たしております。これが対策として、市道のつけかえ及び跨線橋による立体交差化が本年度より五カ年計画で総経費約八億円で着工いたしておりますが、工期中において、現在以上の交通渋滞や踏切道保安の問題等も懸念されますので、すみやかに工期短縮等の措置が望まれるのであります。 十月五日、熊本県庁において、県下の交通事情等につきまして県当局及び関係機関からそれぞれ説明を聴取した後、県当局より、特に交通安全施設等整備に要する予算の増額、国鉄踏切道の立体交差化の促進、交通安全教育を学校教育の正科とすること、交通警察官の増強、交通行政の一元化等について要望を受けたのであります。 次いで、福岡県と同様、派遣委員と関係団体の代表者との懇談会に入りました。出席懇談を願った代表者は、熊本県交通安全協会代表井上雅雄君、熊本県交通事故被害者の会会長沢村大二君、熊本県婦人会連絡協議会会長波多野ガク君、熊本県小学校長会会長本山政澄君及び熊本県弁護士会代表森岡光義君、以上五名の方々で、その意見のおもな事項を申し上げます。 一、交通安全教育を学校教育の正科とし、さら に社会教育による交通安全思想の普及徹底を はかること。 一、交通安全施設等整備に要する予算の増額を はかること。 一、自賠責保険の限度額を一千万円に引き上げ るとともに、任意保険金支払いに関する手続 を簡素化する等保険約款の改訂をはかるこ と。 一、交通裁判の迅速化並びに交通事故の公害的 性格にかんがみ、国の損害補償金立てかえ払 い制度及び交通被害者の遺族年金、傷疾年金 制度の制定などを検討すること。 一、交通事故相談所など既設の機関、制度の活 用を積極的にはかること。 一、救急医療施設及び救急者の整備を促進する こと。 一、運転者の注意義務の確立及び雇用者の運転 労務管理の法的措置等をはかること。等でありました。 次に、熊本県下の有料道路の概要について申し上げます。 本県の有料道路は、日本道路公団による阿蘇登山道路、別府阿蘇道路、天草五橋、熊本県による阿蘇山観光有料道路、一の宮町による仙酔峡道路及び阿蘇町による阿蘇町営有料道路などであり、地域開発並びに観光資源の開発に重要な役割りを果たしておりますが、さらに道路輸送の拡大等に伴い道路体系の整備が要請されるところであります。 まず、天草五橋の交通事情等を調査いたしました。 天草五橋は、宇土半島から大矢野島を経て天草上島を五つの橋で結ぶ連絡道路で、総事業費三十一億七千万円をもって昭和三十七年着工し、有料道路部分と公共事業部分とによる延長十七・四キロの区間が同四十一年に完成し、同年九月より供用開始されているものであります。交通量は一日平均約四千台で、供用開始後本年八月末までの事故件数は五件で、死者はなく、負傷者一名となっております。 次に、阿蘇登山道路の交通事情を調査いたしたのであります。本道路の一日平均交通量は千九百台で、前年に比し二五%増となっております。昭和三十九年より本年八月末までにおける事故件数は七件、死者二人、負傷者十一人であります。 十月六日、調査団は別府阿蘇道路の交通事情を調査いたしました。 本道路における交通量は一日平均二千九百台となっており、前年比一三%の増であります。昭和三十九年より本年八月末現在における事故件数は五十九件で、死者九人、負傷者八十七人となっており、事故の態様としては、接触及び転倒事故が多くなっているのであります。これら有料道路における交通量は、今後道路輸送の増大等によりさらに増加すると予想されますので、側道、ガードレール等の設置、道路標識の整備、落石の防止をはかる等、安全施設等の整備をさらに促進する必要があると感じられました。 以上が両県における調査の概要でありますが、今回の調査の結果、次のような措置をとる必要があると痛感した次第であります。 一、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置 法に基づく交通安全施設等整備事業三カ年計 画を継続して実施するため、同法並びに通学 路に係る交通安全施設等の整備及び踏切道の 構造改良等に関する緊急措置法の期限の延長 をはかること。 二、交通安全行政の一元化について検討すると ともに、いわゆる交通安全基本法の成立をは かること 三、幹線道路網の整備をはかるとともに、統一 したバイパス建設を促進すること。また地方 道の新設改良等の整備の促進をはかること。 四、交通事故による被害者の救済をはかるため (1)自賠責保険金額の限度額を引き上げるこ と。 (2)任意保険の支払いの迅速化等について検 討すること。 (3)交通事故相談所等の拡充強化をはかるこ と。 (4)被害者の損害賠償補償額確保の制度につ いて、検討を加えること。 五、踏切道の立体交差化及び構造改良等の整備 促進をはかること。 六、交通安全施設特に歩道、橋梁添架歩道、横 断歩道橋の整備促進をはかるとともに、地下 横断歩道についても検討を加えること。以上であります。 交通事故の現況は、全国で九月末現在事故発生件数四十五万五千八百十九件、死者数一万三十五人、負傷者五十九万千三百三十三人の多きを数え、昨年同期に比し、発生件数において八万五千六百四十三件、死者数において百八十八人、負傷者数において十二万九千九百三十七人と昨年を上回るペースで発生している状況であります。 去る十月二十日をもって終了した秋の全国交通安全運動期間中の交通事故発生状況は、件数、死傷者数いずれも過去の安全運動期間中の最高記録となり、期間中の一日平均の死者四十・九人は、期間以前の三十七・一人をも上回るまことに憂慮すべき結果になっているのであります。 このような全国的な交通事故激増の趨勢の中にあって、地方における関係者の交通安全対策についての御努力はなみなみならぬものがあると痛感するのであります。政府においても、一そう交通安全対策の推進をはかるとともに、両県の要望事項等について、必要な財政措置等、十分な配慮を行なうことを強く要望するものであります。 以上で御報告を終りますが、報告を終わるにあたりまして、関係の各県知事、市長及び関係者並びに懇談会に御出席くださった方々の御協力を心から感謝するものであります。 以上、報告を終わります。
○門司委員長 これにて派遣委員からの報告は終わりました。派遣委員の各位にはまことに御苦労さまでございます。 ────◇─────
○門司委員長 この際申し上げますが、昭和四十四年度交通安全対策関係予算概算要求調べ及び最近の国鉄事故については、お手元に配付いたしております資料によって御承知おきを願いたいと存ずるのでございます。 ─────────────
○門司委員長 次に、質疑の通告がございますので、順次これを許します。大竹太郎君。
○大竹委員 ただいまの報告の末尾のほうに希望事項としても申し上げておいたのでありますが、地方の交通事情等の調査並びに日ごろ交通安全に関し努力されている方々と懇談する機会におきまして、交通事故を防止するためには交通安全教育の徹底等をはかることはもちろん必要でありますが、国、地方公共団体を通じて交通安全行政の一体化をはかり、施策を総合的に推進する、いわゆる交通安全基本法の制定、及びより一そうの交通安全施設等の整備促進がはからるべきであると痛感いたす次第であります。 それで、第一にお尋ねをいたしたいのは、いわゆる交通安全基本法についてでありますが、これは先国会において、本特別委員会に自民、社会、民社、公明の四党案がそれぞれ提案され、また、政府においてもこれがすみやかな国会提出について委員会決議を行なったところであります。さらに、さきに田中総務長官から、次の通常国会に提出すべく鋭意作業中との答弁を得ておるのであります。やがて通常国会の開会も近くにあるわけでありますが、その後の作業の進捗状況はどうであるか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
○八木説明員 御指摘のとおり、長官からも、次の通常国会には必ず間に合わすように準備をいたしたいと申し上げておるわけでございますが、その線に従って、いま、総理府におきましては、関係省庁との緊密な連絡のもとに、必ず実現いたしたいということで作業を進めておるところでございます。 総理府において準備しておる法案の原案は、陸上交通、海上交通及び航空交通の安全に関する国及び地方公共団体の責務の明確化、交通安全行政を推進する組織の整備、交通安全に関する基本計画の策定等を骨子とするものでありますが、大筋においては関係省庁の同意を得ておりまして、いま細部について詰めをやっておるところでございます。現在の進捗状況から申しまして、通常国会の召集までには間に合わしたい、もしそれが間に合わない場合でも、再開国会の冒頭には出せるように成案を得られる、こう確信をいたしまして鋭意作業を進めておるところですので、いましばらく御猶予をいただきたいと思います。
○大竹委員 第二は、交通安全施設等の整備促進についてでありますが、交通安全施設等の整備は、昭和四十一年に成立いたしました交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法、さらに、昨年本特別委員会において、自民、社会、民社、公明四党共同提案により立法いたしました通学路に係る交通安全施設等の整備及び踏切道の構造改良等に関する緊急措置法に基づき、その整備促進がはかられておりますが、しかし、この二法律は、いずれも明年三月で期限が切れることになっております。しかるに、交通事故の現況は年々増加の一途をたどり、死者は、本年九月末日現在一万人をこえ、十年間連続して一万人をこえる記録となり、まことに憂慮にたえない状況であります。交通安全施設等の整備は、今後とも総合的かつ強力に推進されなければならないと存ずるのであります。私は、この二法律の期限の延長を強く望むのでございますが、この際、政府のこれに関する見解をお尋ねいたしておきたいと思います。
○八木説明員 御指摘のとおり、両促進法とも期限が来るわけでございますけれども、しかし、交通事故の一そうの増加、道路交通の現況から考えまして、交通安全の確保をはかるためには、交通安全施設の整備を四十四年度以降においても強力に促進していくことは絶対に必要でございます。したがいまして、政府におきましては、目下、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の改正等により、四十四年度から新三カ年計画を策定して、従来どおり、危険な個所についての交通安全施設の緊急整備を継続する方向で、いま鋭意検討中でございます。 ただ、通学路のほうに関する特別措置法のことでございますが、いまのところ、考え方といたしましては、通学路のほうは、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の中に包含して、そこでひとつやるというような方向はいかがなものであろうか。どちらにいたしましても、通学、通園路に関する交通安全施設の整備については特段の配慮を必要とするわけでございますから、十分考えてまいりたいと思います。 また、その踏切道のほうの構造改良に関する緊急措置につきましては、四十四年度以降に、踏切道改良促進法の母法にのっとりまして、踏切道の整備のための事業をいままでどおり同様に実施するということで検討いたしたいというところでございますが、いろいろ当委員会の御趣旨もあることだと思いますので、十分協議をいたしまして、どちらにいたしましても完成を期するように努力いたしてまいりたい、こう考えております。
○大竹委員 いまの御答弁によりますと、いずれも、今後ともいままで以上の完ぺきを期していきたいということでございますので、ひとつ御答弁のとおり実現されるように希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○門司委員長 太田君。
○太田委員 私は、この際、飛騨川バスの事故に関するその後の対策並びに交通安全運動をめぐる当局の交通安全対策に関する考え方、こういう点についてお尋ねをいたしたいと思います。 最初に飛騨川のバス転落事故につきましてお尋ねをいたしますが、運輸省の非常な御苦心のあとの見られる自賠法適用という、いわば記録的な処置をなさいまして事態がしごく八方円満におさまりつつあることは、これは私は一つの卓見として喜ばしいことだと考えております。しかし、自賠法を適用するとか、あるいは刑事上の責任について判定を下して異例の書類送検をいたしたとかいうことは、その事故に対するところの処理でありまして、いわばまあうしろ向きのことであります。私は、うしろ向きのことをいまお尋ねするつもりはありません。問題は、この教訓をいかに生かされたかという点にあるのでありまして、今後こういう事故の再発を防ぐ意味からも、人知の限りを尽くして、全力をあげて前向きの施策を講じていただく必要があろうと思う。そういう点について、この教訓をいかに生かされたかという点を各省にお尋ねいたしたいと思うのです。 最初にお尋ねしたいのは気象庁です。 警察の報告書を拝見いたしますと、気象庁はこれに対して適当な所定の定員を配置して観測業務を行なったとかなんとか、これをしさいに分析してみると現行職制上何ら怠慢の点はなかった、こういうことでいわば無罪、そういうような結論が取り調べ当局において出されておりますけれども、私どもはいまなお心にひっかかるものがある。それは、問題は集中豪雨が降ったから山くずれが起きて、そうしてそれが自動車を人間もろとも川の中に押し落としてしまった。集中豪雨があそこに降らなかったらあのような事故は起きなかった、こういたしますと全くその雷雲なるものを恨まざるを得ない。しかし、そのような狂暴性を発揮する雷雲というのは、有史以来初めて発生したものではなかろう。とにかくしばしばそういう雨が各地において降ったんではなかろうか。そういう大型の雷雲が降らすところの雨というのは、いわば人間の想像を絶するような、滝のような雨だ。これは局地的に降っても相当被害が大きいのだということは、諸データ等によっても明らかであろうと思うのです。 その雷雲に気がついたのは富士山頂のレーダーである。富士山頂のレーダーが気がついて、名古屋の気象台に報告をした。そこで、名古屋の気象台は運転を休止していたレーダーを再開をして、もう一回運転してはじめて自分のそばに大きなものがあることに気づいて、解除された警報を再発令をしたと、こういうことでありますが、そこで、この前のときにお尋ねをいたしました――これは災害対策のほうでお尋ねをしたのでありますが、気象庁は、おそらく予算が不足し、人員が不足し、機械が老朽化し、二十四時間フル稼働にたえられないようなレーダーがあちらこちらに置いてあるのではないか。しかもその半径の短い、そんなような気がしてしようがないのでありますが、気象庁としてはこの教訓をどのように生かすつもりでいまいらっしゃるのか、具体的な対策ができておりましたら、この際お答えをいただきたいと思います。
○坂本説明員 正直申しまして、現在レーダーの運用時間というのは、二十四時間フル運用の対象になっておりません。一日四回観測というのを原則にいたしております。午前三時、九時、午後三時、九時と、この四回の観測を原則にいたしまして、その他異常気象の現象があります場合は、それに応じてレーダーを随時運用していく、こういうたてまえになっております。 なお、私、実は技術のほうはあまり詳しくありませんので、詳しくはまた予報部長からこれを説明いたしますけれども、一般的に、レーダーの運用だけでは雨の態様その他が、レーダーだけで完全にキャッチできるというものではございません。相関的な一般的な、よく新聞に載っております天気図の態様等の相関関連とか、各地の雨量ロボット計その他現地から寄せられる雨量の状況、その他全般を勘案いたしましていろいろ判断をしていく。その一つの材料としてレーダーが活用されるわけでございますけれども、非常に端的に申しまして、たとえばきょうのような非常にいい天気の場合には、レーダーをそのまま毎日毎日回すというのは、実はあまり正直申し上げましてその限りにおいては意味がないわけでございます。したがいまして、通常は一日四回観測、そのかわり異常観測のときにはフルに回転するということで、大体ピーク時も見込んで一応の人員の配置をしておるのでございます。いまのレーダーの運用については、大体そういうことになっております。
○太田委員 ぼくは、あなたにそういうことを聞こうと思っていない。天気のよいときにレーダーの必要がなかったら、あのときも、警報を解除してしまったあと富士山頂のレーダーが二十四時間観測しておったと思うのだが、富士山頂のレーダーもむだなことじゃありませんか。いかなる不測の事態にも備え得るところの気象の観測をあなたのほうはやっていらっしゃるのではないのですか。いま晴れているが、すぐそのあとに何が来るかわからない。まして雷雲は局地的な発生でございましょう。天気のいい日にはレーダーを動かす必要はないというのなら、富士山のレーダーはいま遊んでいるのですか。日本のレーダーは、秋晴れの日には動いているところはない、そういうことですか。
○北岡説明員 お答えいたします。 この問題は、先ほど次長の申されたとおり、レーダーの運用だけで済む問題ではございませんので、全般的な対策、集中豪雨対策を気象庁としては検討しておりまして、逐次充実していきたいと思っておりますが、その問題についてはあとで申し上げたいと思います。 ただいまのレーダーの問題につきましては、全国のレーダーは、先ほど次長から申されましたように、天気がよくても一日四回は一応は回すことになっておりまして、ただそのときに雨雲がなければ、レーダーに映るエコーがなければいたずらに回すのもぐあいが悪いので、そのときは中止する。エコーがありますと、どこのレーダーでもその状況によりまして連続運転するという体制にございまして、富士山のレーダーも一日四回は経常的に、雨雲があろうがなかろうが一応回すことにしているのでございます。 あとでまた全体的な、総合的なことについては申し上げます。
○太田委員 私は、あってもなくても四回観測するということについては、いま何かそういう制度でございましょうから、制度があればやる、制度がなければやらぬということだと思う。あのときは、常時二十四時間名古屋が動いていたら、もっと早く対策が講じられたはずだ。警報の活動が早かったら、今回の事故は少なくとも防止できたと私は思うのです。だからあなたのほうは、人が足らぬからそういうことをやっているのだ、予算が足りないから機械をフルに回せないのだ、今度はあの教訓を生かしてこういう体制でやりたいと思いますという、新たな施策の面があっていいと思う。何か済んでしまったからいいじゃないか、まさにそんなことでございますが、そんなふてくされた態度でいいのでごさいますか。――運輸大臣はおらぬのか。そんな答弁だったらだめだよ。
○坂本説明員 一番端的に申し上げまして、前々から申し上げていると思いますが、非常に遺憾ではありますけれども、気象庁としては、まだ特にその局地的な集中豪雨の気候の解明というものを、本来的には十分に探り当てるまでに至っていない段階でございます。これはまことに遺憾でございます。私どもの観測所でも、その他統計的な予報の詰めをさらに精緻にしていくとか、そういうようなことで集中豪雨の気候の解明には全力を尽くしているわけでございますが、レーダーにつきましては、極端に申し上げますれば、ちょっと技術めいたことになりますが、たとえば北方のシベリア地方から上空のほうに、三百ミリバールの北方の寒気が入り込んできたというような場合には、一般的にあちらこちらで雷雲が発生し、場合によっては局地的な非常な豪雨をもたらす可能性があるというような全体的な、相関的な天気現象との関係はわかっております。そういうのは、たとえばレーダーの分野ではこれを一つの異常現象としてとらえまして、このときにはいつ、どこで雨雲が発生するかわかりませんので、いわば先ほど申し上げましたように、一種の異常気象としてレーダーをフル回転いたします。ただ、一般の天気図の相関関係の上で、レーダーを完全にフル回転しなくてもいいと考えられる場合がございます。それでも一日全然やらないというわけにもいきませんが、一日四回各地のレーダーを回しておれば一応事足りるということでございます。 なお、その局地気象の集中豪雨のメカニズムの解明等につきましては、実はレーダーの運用だけでは片づかない、より基本的な物理的現象のメカニズムを完全に明らかにしませんと、私どもは、実は正直に言うとはっきりつかまえられませんような現状でありますので、その辺に最重点を注いで、その機構の改善に努力するということが第一点だと考えておるわけでございます。
○太田委員 だいぶいい話が出てきました。そこのところを、あなたたちはもっと掘り下げなければいかぬじゃないですか。さらに予報官の練度と申しますか、その力、素質、力量というものを可能な限り高めていって、日本の予報官はたいしたものだ、あそこにがかったらどんな雨も人間の意表をついて降るようなことはないというくらいに、科学に対する取り組みがなされておる気象庁となることを私は望むわけです。 そこで、予報官の人手不足ということがしばしば言われておる。だから、四十四年度予算には、人手不足を解消する――人員不足というなら人員充実、研究費が不足するなら研究費充実、物が不足するなら設備費の増額というようなことを要求されるべきであろう、そういうことを思うわけです。気象庁の次長さん、あなたが、私は要求します、実現しますと言うわけにはなかなかいかぬでしょう。ほんとうは自分のことだから、いままで何か手抜かりをやっていたというようなことになると困りますが、これは総理府の八木副長官、あなたはどうですか。安全対策の予算の中には、気象庁の予算はあまり入っておらぬじゃないですか。あなたは別紙をごらんくださいと言われたが、別紙を見たけれども、一向にレーダーがどうだとか予報官がどうだとか出ておらぬじゃないですか。どうですか、何かあるのですか。
○八木説明員 専門家ならざる私が答えることが必ずしも適当かどうかわかりませんが、実はあれが発生いたしました直後に、閣議の席上で運輸大臣がいろいろ申されましたことを私も耳にしておりますので、運輸大臣から当然お答えする課題だと思いますが、私のそのときの感じを申し上げて、心組みだけを申し上げておきたいと思います。 実は、あの不幸な事件が起こりましたときに、一つの問題として予報体制の中に欠陥はなかったか、国民すべてがそういう一つの疑念を持たれたわけでございます。そのことについて運輸大臣のほうは、一つは、やはり拠点である観測所の施設整備あるいは人員問題、予算問題、そういったようなことについて再検討を加えておきたい、同時に、その観測所の現況がこのままでよろしいかどうか、いわゆる設置個所がこのままでよろしいかどうか、それからまた局地的なこういう集中豪雨について、そういう観測所だけの整備では片づけられない、もっとほかのきめのこまかい配慮をする必要があるのではないか、あるいは民間の協力体制というものを何か軌道化するといったようなことも考えなければいかぬじゃないか、何にいたしましてもこの種の事件にかんがみて、予報体制の再点検と申しますか、そういうものを行なって、思い切った予算措置をするように示してもらいたい、こういう御発言がございました。当然その線に従って問題究明というものを技術的に行なった上で、解明されたところから順次予算要求というものがなされることと思いますし、総理府といたしましては、安全を確保するという意味において、それらのことについてはできるだけ協力を申し上げて実現するようにいたしたい、こういうように考えるわけでございます。
○太田委員 そういう方向で大いに強化してほしいと思いますし、交通安全省なんというものはないのですから、やはり総理府が中心になって交通安全に対する諸般の施策には目を光らせてもらいたいと思う。気象庁自身としては、言いたいことはほんとうは山ほどあるだろうと思います。いま坂本次長は、ここに来て、人が足らぬでいやになった、幾ら頼んでも聞いてくれぬ、おれらこんなにばかにされているんなら、あまり正確な予報はしないで、たまには大きな事故でもあったほうがよろしいなんというようなことは、本人は言うわけにいかぬだろうと思います。だから、気象庁の言うことをよく聞き取っていただいて、きょうは大蔵省もいらっしゃるだろうと思いますから、十分努力していただきたい。特に総理府においては、副長官は大臣によくおっしゃっていただきたい。どうも気象庁に対しては金を出さないからいかぬですよ。私は気象庁にかわってそう言っておきます。そのように御努力をいただきたい。 ついでに、気象庁に関係することですが、気象庁が警報を発令した、その発令したものが、今度は末端の自家用車、バス、汽車、電車等の交通機関並びにそのドライバー等に届く方法というのが不十分であるが、これについては何か改善対策が講じられたでしょうか。
○坂本説明員 気象庁自身でも、なおまだ伝達方式に十分だと言えない分野もあろうかと思いますが、その辺は、予警報一斉伝達装置と申しますが、一つの電話でかければあちこちの電話が一斉に鳴り出して、NHKから民放から建設局から一斉にその情報を伝えるという予警報一斉伝達装置というものを一昨年から私ども予算要求をいたしまして、これを逐次実行に移しております。明年度も十七カ所ばかり地方の府県気象観測所にそういうものを設置いたしまして、なお情報の伝達の迅速化、的確化をはかっていきたいと思っております。 ちなみに、岐阜地方の予警報伝達装置も明年度の予算の中に繰り入れて予算要求中でございます。 それから、さっき先生お尋ねのいわゆる末端の、たとえば山間を走っておりますバスとかそういうとこまでの情報伝達というのは、それを直ちにすぐ気象庁でということにはならないと思いますけれども一、私どもも一いろいろ御意見を申し上げまして、目下運輸省、建設省その他のいろいろな御意見を総理府で取りまとめ中だと聞いております。そういう状況になっております。
○杉浦説明員 お答えいたします。 特に集中豪雨に伴う災害に対する安全対策といたしまして、飛騨川事故直後に総理府に連絡会議を持ちまして、この席で、今後こういうことがないように各省庁と連絡を密にしまして対策をまとめようということで現在まだ検討を続けております。特に、ただいま先生御指摘の末端におきます情報連絡機構につきましては、非常に欠けている面もございますので、現在気象庁と道路管理者の面の建設省、警察あるいはバス業者等に対する運輸省、これらの各省におきまして、末端機構まで迅速に、かつ漏れのないように情報が伝達できるように現在も検討中でございまして、それぞれの個所で自後も伝達等によりまして手を打ってございますが、それらの総合的な措置につきましては、現在も各省庁間で検討中でございます。
○太田委員 そういうことなので非常にむずかしいことですから、どこどこがきめたから、さあっというわけにいかぬでしょう。たとえば今度の事故でも、山間部に入りますと大体がテレビは映らない。ラジオ等の波長の関係も思わしくいかないから入らない。音がガアガアするだけだ。雑音が非常に多い。そこへもってきて雷が鳴ったんだから異常電波が発生いたしまして、いわゆるカーラジオというものは全然だめになっちゃうという際に、一斉伝達方式というようなものは一体どういうふうにやるか。ある程度の中間段階まではいくが、その末端には届きがたい。この場合でもどうして届かすことができるか。これに対して何かあるんでしょう、何か考えられているものが。私は、相当予算も要るし、努力も要ると思いますが、末端のドライバーに教えることが必要だ。これは特に、五十人も六十人も乗せておるそういう道路運送法上のバスへ伝達することが、私は非常に大事だと思います。何で伝達いたしますか。飛脚でも出しますか。だれか答えてください。何かどこかでもう少し具体的に考えておるのでしょう。
○黒住説明員 この気象関係の伝達につきましては、気象情報を流すのは気象庁関係でございます。その流す情報をなるべく的確に流していただくということにつきましては、気象庁から先ほどお話があったとおりかと思いますが、これを受けますバスの側といたしましては、出発時のことと、それから運行中に非常に天候が悪くなること、二つあると思うのです。 出発時の場合につきましては、これは事故発生後に通達等もいたしておりますが、気象官署、気象協会等に連絡いたしまして気象情報を入手する、あるいは気象通知電報を活用するというふうな方法で、的確に情報を把握しろということでございます。 それから運行中に気候の急変あるいは道路障害等が発生する場合でございますが、バス会社といたしましても必要な場所を、連絡場所であるとかあるいは連絡時刻であるとか待避場所等につきまして当該旅行の通路に用意しまして、具体的に乗務員に指示していくということが必要であると思います。それから、乗務員といたしましては、車内ラジオ等によります気象情報の聴取、あるいはドライブインあるいはガソリンスタンド等を指定いたしまして、そこから情報を入手する。そしてまた、運行中につきましては、警察であるとか道路管理者等々と具体的に連絡をとりまして情報を受けるというような点につきまして、本省からも当時通達いたしましたし、また具体的に各陸運局から、いま申しましたような趣旨の指導を行なっております。それを受けましてブロックあるいは県単位のバスの協会等におきまして、具体的に対策を現在練りつつあるのが現状でございます。
○太田委員 黒住自動車局長さん、それはあれですか、ガソリンスタンドとかドライブイン、モーテル、駐在所、国鉄の駅、役場、建設省の何か道路維持事務所とかいうようなものの関係する官公署、並びにサービス機関、そういうところからとれということは、車をとめて入っていって、こんにちは、雨が降ってきそうな模様がありますかと聞くんですか、走っていてわかるようにするつもりですか。それはどうですか。
○黒住説明員 走っている間におきましては、車内のラジオがありまして、これが聴取可能な場合におきましては、一定の天気予報が放送されますので、それを聴取する。それから運行中にまた悪天候となりました場合におきましては、電話その他の方法をもちまして、いま先生が御指摘のような個所に対して乗務員が聞きまして情報を入手するように努力しなさいということでございます。
○太田委員 運輸省としては一つのアイデアと思いますけれども、最も効果的な方法というのは、いまたいして雨はないけれども雷が向こうで鳴っているというときに、たまたま通りかかったガソリンスタンドのところに、はっきりわかるように何時何分雷雨警報発令というようなものが出ることが、ほんとうはいいのじゃないですか。のこのこ降りていって聞くなんということは、効果ないですよ。これはまだ十分御推敲なさっていらっしゃるようでありますから、さらに一そう御検討いただいて、末端のドライバーに伝達できる方法、これをひとつくれぐれも十分すき間のないように立案、御検討をいただきたいと思います。要望しておきます。 時間がありません、あと建設省のほうにお尋ねをいたしますが、建設省の局長さんどうなんですか、砂防の問題とか道路構造の問題とか、あるいは災害時における道路パトロールの問題等があるわけですね。まず災害の起きない道をつくるということについて全知全能を傾ける。そのために道路構造令の改正の必要があるなら改正するのですが、いまのところなさそうだということなら、現地に至りましてよく実情を見て、これは少々金がかかるけれどもここにはりっぱな橋をかけましょう、大きな直径の、大きな暗渠にいたしましょうとか、予算というものと防災という関係を十分配慮して、予算がないから、ことによるとだれか運の悪いやつがここで押し流されるかもしれぬなんと腹の中で思いながら、つくるような道はつくらぬことだ、こういうことであると思うのでありますが、建設省としては、あの事故の教訓はどのように生かされる御所存でありますか。
○蓑輪説明員 道路をつくります場合、やはりそういうような事故のないように、こういうように路線をきめ、構造もそういう観点で重点的に十分な検討を加えてやるべきだということでございます。何ぶんいままでできておる道路が相当ございます。このたびの飛騨川のバスの転落事故にかんがみまして、まず私たちとりましたのは、こういうような危険個所の総点検を命じました。実はこれにつきましてはいま各地建でまだまだ検討しなければいかぬ個所もございますが、一応早急にやるべきものをランクをつけまして、ABと分けていろいろ集計をいまとっておりますが、大体の大きな数字を言いますと、早急にやったほうがいいという個所が、この十月の終わりの地建からの報告を総合いたしますと約五百五十カ所くらいございます。これに対してどのくらい事業費が要るかでございますが、内地だけでございますが、五百五十カ所くらいで約三十六億くらいの事業費が要るだろうというふうに検討しております。この事業費といいますのは、やはり維持でやります場合、修繕でやります分、また改築でやります分、またなだれその他の雪寒事業でやります分、全部合わせてでございます。このくらいのものについては、私たち、四十四年には必ず手当てをしたいというように考えております。 さらに、もう一つの教訓となりましたものは、やはり道路については道路の情報の連絡をもっと強化しなければいかぬということでございます。これについては、沿道のガソリンスタンドなりモーテル、レストハウス、こういうものにたよります以外に、いわゆるモニター制を実施したいと思います。もうすでに一部の地建ではやっておりますが、これを各地建全部に及ぼしまして、できるだけ道路についての情報を民間の人から連絡してもらうということを考えております。それにつけまして各地方建設局に道路情報センターというものを設けまして、 いろいろ長距離の旅行あたりの道路情報についての相談に応ずるというような体制をつくっていきたいと思っております。 また、今度の飛騨川事故のように、非常に集中豪雨その他の異常の気象の際に起こります考えてない問題といたしまして、やはりそういう現状の道路では、交通規制もあるいは必要かと思います。これについては現在警察庁、各県の県勢、一本部と協議いたしまして、各地区ごとの、どの程度の雨量に対してどの程度の交通規制をするかというようなことを現在協議しております。これも近いうちにきめたいというふうに考えております。また都道府県についても、私いま言いましたような考え、こういうものを逐次主要な道路について実施していくように指導をしてまいりたいというふうに考えております。
○太田委員 非常に熱心に対策を講じていただいていらっしゃるように思いましてありがたいと思いますが、砂防ですね、砂防の配慮というのは、この間の飛騨川の事故の場合、あの四十一号線というものの道の肩から上へほんのわずかしかあの道路を建設省として砂防工事をなされたところはなかったように聞いたんですが、それから上は農林省である、それから上は民有地であるというようなことになっていたんですが、道路として建設省が道路の安全をはかるために工事を行なうべき、配慮すべき、手当てすべき範囲というのは別に変わらないでしょうか。
○蓑輪説明員 道路の沿道をどの辺までやるべきかということは非常に問題があろうかと思います。たとえば山を切りますと、そこにいろいろ土砂の崩落しないようなモルタルの吹きつけとか擁壁とかするわけでございます。その辺については当然道路敷に入っておりまする部分でございまして、これについては道路のほうが完全にやらなければならぬと思います。それから先にどのくらいやるかということになりますと、やはり地形地形に応じまして、もう五、六メートル、この辺までが危険だということになれば、やはりそれもあわせて道路敷として買収して道路の事業としてやりたいというように考えております。ただやはりどの辺までをやるかということになりますと、これはやはり砂防の事業、治山の事業におまかせするというようなところも多いかと思います。その辺は今度の教訓に基づきまして、各地建でもいまの道路の沿道を道路敷以外にどの程度砂防のほうでお願いしなければならないのか、この辺を現在調査中でございます。
○太田委員 そこのところが農林省と建設省と入りまじるところで、入りまじったところが今度の飛騨川では不幸な事件のもとになった。何か吹きつけるやつがありますね。道路のこちらに草が出て、水が出ないように……。この間あなたのところで一日内閣があって、自民党の方はおいでになったかどうか知りませんが、一日内閣があって、佐藤総理以下岐阜においでになった際に、御視察なさるときにはなるだけ草や何か見苦しいところを見せまいとして何か吹きつけが行なわれた。これはあなた方を別に皮肉るわけではありませんけれども、現地を通るドライバーが、今度総理がいらっしゃるから、にわかに吹きつけていろいろのところを隠しちゃったな、こんなものは早くやるならもっと徹底的にやればいいし、どうもあまり感心せぬなということを言っている。無責任な話か知りませんが、言っておりましたが、あれも、水が出るなら出る、ありのままを見せたほうがいいような気がする。お化粧させるということはあまりよくないじゃないですかね。徹底的な砂防なら砂防、それから擁壁なら擁壁、そう思うのですが、できるだけ農林省と十分連絡の上道の安全はひとつ確保してほしい。方針としては非常によくわかると思うのです。 農林省どうですか。治山対策については何か改善点発見されておりますか。
○片山説明員 お答え申し上げます。 農林省は森林の保安上残念ながら現在荒廃地というものがまだ相当ございます。したがいまして、その荒廃地の復旧ということを重点にいたしますほか、人家であるとか公共施設であるとかという集落地帯の安全をはかるために予防治山ということもあわせて実はやっておるわけであります。ただ今回のこういう道路沿いの保安、これにつきましては今後道路管理者等と十分連絡しまして、いわゆる予防治山なるものを主要な道路あるいは非常に交通の激しい道路等を重点といたしましてやってまいろうということで考えております。
○太田委員 林野庁の長官、警察のほうのあれを見ますと、警察のほうは、しばらく雨が降ったことはないのだから、かつてそのような大きな山くずれ、土砂崩壊が起きたことがないところであるから、予見できなかった災害であるとして、あなたのほうの責任もないというようなふうに書いてありますが、それは予見というものができるかできないかということは、人間の能力の問題でもあるし、それから常時その山に接しておる者から見ると、何か起きそうだという虫の知らせがあると思うのです、予感というものが。というのは、一番上の比有地が荒廃してくる、それから明治何年かに指定された保安林であるあなたのほうの管轄の地帯もどうもだんだんと荒廃してきておるし、それから雨のたびに水の流れる水路が変わっておるとか、何か現象があらわれておった。このことをキャッチしておらなかっただけである。私はあなたのほうが殺人者の責任をつくったというわけではありませんけれども、一番上の民有地がどうなっておるかということは無縁のものではないという点から、ひとつ道路沿いの、下に、低いところに道がある、高い、そこに山はだが迫っておるというところなどについては、下の石が固いとかやわらかいということもさることながら、十分科学的な判断を持って予防措置を講じていただきたいと思うのです。建設省と連絡してやってみるとおっしゃったのだからいいと思いますが、今後荒廃地帯とか集落地帯の予防措置以外にもそういう道路の、特に基幹道路の安全についてはさらに一そう努力してほしいと思いますが、別にあまり軽く見ていらっしゃるということではございませんでしょうね。
○片山説明員 決して軽く見ておるわけではございませんが、現地の実情は、先生御承知だと思いますけれども、あそこは全部民有地でございます。そこでその民有地の中で国土保安上非常に重要だと思う個所を大体道路面から二百メートルくらいを保安林として指定しておるわけであります。その上が傾斜が比較的ゆるいということから、実は保安林の指定をしておらないわけでございますが、ただ明治四十一年に保安林に指定して以来、あそこは崩壊というものは、いままでいろいろな雨量もございましたが起きておらなかった。かつ岩石が石英斑岩という、われわれとしまして一応じょうぶな岩石であるということを想定いたしておりました関係上、徹底した治山ということは行なっておらなかった。決して軽視しているということではございません。今後注意いたします。
○太田委員 ひとつ大いにこの教訓を生かしてほしいということを私はお訴えしたいのでありまして、その萌芽があるようでありますから、その芽を大きくして伸ばしていただきたい、お願いいたします。 それから最後に交通安全運動、交通安全対策についてちょっとお尋ねしておきたいのでありますが、これは総理府のほうでお答えいただきたい。交通安全運動は終わりました。三十分に一人ずつ死にました。それは先ほどお話のありましたとおりでありまして、まことにどうも残念な結果になりましたが、繰り返し、繰り返す交通安全運動というものは意味があるのでありますか、総理府のほうからお答え願います。
○八木説明員 確かに御指摘のとおりせっかくの安全運動旬間に期待した実効は十分あがらなかった、そういう意味においてそういう御意見は当然出てくると思うのでありますが、しかしあの行事を進めることによって、国民に安全思想の周知徹底がはかられる、また正しい交通ルールの実践を習慣づける、そういう習慣はやはり前進できるのではないか。要は交通事情というものが年とともに一そう複雑化といいますか、そういう事情になっておりますから、すべての施策が全部的を射なければほんとうの実効はあがりませんけれども、あの運動自体が無意味だとは思いません。やはり引き続き国民運動として盛り上げていくためにもやる必要があるんじゃないか、かように思っております。
○太田委員 せっかくおやりになることですね。やらぬよりいいだろうということもありますが、やるために交通警察官などは妙なところに引っぱり出されてしまったり、あるいは交通安全協会の連中が一日ひまをつぶして、デモンストレーションじゃないでしょうけれども、何かお祭り騒ぎをやっていたりというようなことになってくると、交通事故が一向に減らないということからいっても、そんなところに原因があるんじゃないか。交通安全思想の普及、徹底などと言って、八木さんどうなんですか。交通安全思想がいま普及したり普及しなかったり徹底しなかったりしておるのですか。自動車に乗っておれば、みんな何とかして安全に目的地に達したいものだな、運転者も事故を起こしたくないと思っている。歩行者も同じことを考えている。ところが事故が起きるんでしょう。今日のこの近代化した交通の渦巻きの中で、どうして人命を守っていくかという一番大事な問題について取り組んでいただかないと、スローガン運動なんというのは意味をなさぬと思うのですよ。今度安全調査室でお出しになった「昭和四十四年度陸上交通安全対策関係予算概算要求調書」というのがありますけれども、これを見てみますと、「道路交通環境の整備」という中の交通安全施設の整備予算というのは三十三億も減ってしまっておる。どういうことですか。私はとにかく全体をふやさなければいかぬということを思いますと同時に、交通安全運動をやったら安全施設か何かできていなければなりませんね。これは看板屋がもうけただけでしょう。それと布きれを売った繊維製品屋さんがもうけた以外にだれがもうけたか。ペイント屋さんですか。私はおざなりにやっていらっしゃるとは思いませんけれども、あれをやれば何か大事なところに――住民がここはあぶなくてしょうがないからこうしてほしいんだということがさつとできたとか――施設費の予算をもっておやりになったらどうですか。大きな施設費の予算、百億なら百億の予算で安全運動を展開する。それはどこどこと割りふってもよろしい。それでみんながこれをつくってほしいんだ、たとえば反射鏡がほしいと言っている部落があるかもしれません。よろしゅうございます。この予算百億の中から反射鏡をつけましょうかというような、何か足跡があとに残ればいい。残されたのは、いたずらにもうどこかの倉庫の中に入ってしまった立て看板と横幕だけじゃありませんか。御感想を承りたいと思います。
○宮崎説明員 交通安全運動期間中に、そういう最も効果のある交通安全施設の整備をやったらどうかという先生の御意見も前から私たちも十分承知しておりまして、一つの御見解だと思っておるわけでございますが、政府といたしましては、繰り返し申し上げておりますように、安全施設の整備につきましては特にある期間に重点的にやるということは現在のところあまり考えておりませんで、常時予算化されましたものを重点的にやっていく、こういうたてまえをとっております。 実は率直に申しまして、数年前に交通安全運動期間中にそういう企てをやってみたことがございますが、しかしながらやり方がまずかったせいもあるかと思われますが、どうもあまり効果もなかったような感じを持っておりましたものですから、その後またやめてしまったわけでございますが、一つの御意見だと思いますので、次の機会ににはひとつ検討をさせていただきたいと思います。 なお先ほど御指摘の交通安全施設整備の昭和四十四年度概算要求におきまして約三十三億減少しているじゃないかという御質問でございますが、実はこれは国の直轄事業あるいは補助事業としての予算は、御指摘のとおり若干減少いたしておりますが、反面交通安全対策特別交付金、これが昭和四十四年度から平年度になりまして、四十五億ふえているわけでございます。したがいまして、たいへんこまかいことになって恐縮でございますが、差し引きますと交通安全施設に対します来年度の投資額は十数億ふえておるというかっこうに一応なっております。
○太田委員 だから初めから心配した反則金で、自前でやるようなことになるのじゃなかろうかとこういったときに、そんなことはないという話だった。これだけのものは強化されるのだ。それだったら結果的に差し引きされてしまう。そういう思想が、どこか安上がりの安全対策ということになっておりますので、当交通安全対策特別委員会は、かかる方針ならこれは審議する必要はないと私は思う。存在の価値を失いました。それで交通安全運動というのは惰性化した。惰性化した運動では意味をなさぬということを申しておるのですが、これはいささか言い過ぎかもしれませんが、これはよほど気をつけませんと世の非難を受けますよ。 これはたとえば蓑輪さん、あなた建設省の道路局長さんとして、申しわけありませんが、人間が幹線道路を渡る安全施設は何かといえば、地下道か陸橋かということであります。ところが現在のところは陸橋のほうが安いというので、いわば跨道橋方式を全部とって、そして今度は建設位置をめぐって、福岡へ参りましたときに、先ほど報告のあった福岡の安全施設などは跨道橋というようなものはほとんどない。これは基部に属するところの、基礎をつくるもとの関係住民、市民が非常に反対する。商売の妨げ、地価が下がる。地下道にしてみればまことにいいというのですが、一方地下道はいかぬいかぬというので、地下道方式にどうも賛成がないようですけれども、何かこの際交通安全運動という中で、市民の声、国民の声を聞いていただければ、そういう問題が出てきておると思う。跨道橋じゃいけませんけれども、地下道ならよろしいというなら地下道をつくってやる。どんどんつくる。跨道橋じゃ福岡あたりでも大阪あたりでもできぬじゃないですか。反対があって意見がまとまらないからできない。しかたがない、しかたがないというてとうとう一年寝て暮してしまったということは私は残念だ。どうですか、その辺はどういうことに今後なさいますか。やはり跨道橋の予算ばかりですか。
○蓑輪説明員 立体横断施設といたしましては、いま先生の御指摘のように、陸橋と地下横断歩道と両方あるのでございます。これは何ぶんにも地下横断歩道というのは、地下埋設物もございまして、その下を掘るということになります。また地下でありますと、やはり維持、管理、照明その他も必要になります。やはり地下だとかなり幅員をとりませんと、いまの横断歩道橋、幅の狭いところは一メートル五十くらいの横断歩道橋がかかっておりますが、地下では夜の交通なんかも考えますと、少し幅を余裕をとらないと、非常に環境の悪いところを通るような形になりますので、そういうこともございまして、維持、管理、建設費についても、陸橋よりは金がかかるということで、現在のところできるだけ数多く横断施設をつくりたいということでやっておったわけでございます。ただやはり駅前とかそういうような横断歩行者が非常に多いところ、これは陸橋にいたしましても相当広い幅をつくらなければなりません。そういうところについては、今後駅前のバスのターミナルとか地下街とかこういうようなことにもなろうかという地区につきましては、やはり地下の横断歩道、こういうものがいいのじゃないかというふうに考えております。先生御指摘のように、場所によっては陸橋よりは地下のほうがいいということもございますが、いまのところなるべくたくさんつくりたいということで、そういう特定なところ以外はやはり陸橋にしているわけでございます。将来は道路の事業の全体の道路投資の増ということもございませんと、いまの陸上の交通の混雑から見まして、道路を広げるという工事も相当やっていかなければなりませんので、そういうことも考えまして、いま言いました陸橋もある程度はやむを得ないのではないかというように考えております。
○太田委員 わからぬわけじゃないですよ。陸橋は非常に効果を発揮しているところもありますし、せっかくつくった陸橋が、関係者の意見の食い違いから、あちらに押しやられこちらに押しやられ、そのあげくのはてがたいして便利でないところにできて、形だけはできたがどうも利用しにくいといって、雨風のさらしものになっているところも多々あるわけです。特に大阪、福岡等において跨道橋が非常に少ないという点を指摘しておかなければならない。あれだけの交通量のあるところにどうしてあんな橋がないのですか。全部平面交差、交差点方式です。これはやはり地下道にすれば解決するのだ。 それからもう一つは、跨道橋の設計も、何かもうちょっとうまくできませんか。何かはしごを立てかけたようなもので、ちょっとまずいじゃありませんか。雨が降れば、上から下から、どこからでも降ってくるような感じですし、青壮年部は利用できても幼年と老年部はともにちょっと利用できないですね。病人などはもってのほか、これは利用できない。何かエスカレーターでもやりますかね。エスカレーターにするとか屋根をつけるとか、何かあればどうか知りませんが、そうなるとやはり風紀問題が起きる。さっきの地下道のことは風紀問題ですよ。それは警察庁もいらっしゃるが、警察庁のほうにまかしておいて、地下道でとやかくのことをするやつは、普通の刑法の罪の倍にするとか何割増しにするとか――法務省もいらっしゃると思います。そういうことにして取り締まってはいかがですか。私は地下道方式をほんとうに考えるときだと思う。 まあこれは私の意見ですが、時間がありませんので、ひとつ安全施設については大いに力を入れていただきたいということを要望して終わります。
○門司委員長 板川正吾君。
○板川委員 私も飛騨川事故の処理について、事務的な問題から若干質疑をいたしたいと思います。 まず警察庁に伺いますが、警察庁の配付された資料である「飛騨川における観光バス転落事件の捜査について」、この資料を拝見しておるのでありますが、警察庁としてそうした捜査をした結果、どこにも刑事責任は認めることができない、すなわち刑事責任なしとの結論を出されましたが、その根拠、理由等について一応説明をしていただきたい。
○内海説明員 私どものほうで岐阜県警察が飛騨川の事故につきまして刑事責任の有無を捜査いたしました。お手元に差し上げてあります文書は、いわば本来こういうふうなものは、捜査内容にわたるものでございますから、地検送致までは公にする筋のものではないのでございますが、飛騨川の事故という非常に特殊な性格を持った事故である、行政各部門との関係も非常に深いものでございますから、そういう点で私どもの捜査した結果を運輸省、建設省等の各行政省庁に一応御参考にお知らせするという形でつくりましたもので、したがいまして送致いたします書類と比較しますれば、内容はもちろん異なるところはないとしましても、用語なりあるいはいわゆるその精度というふうなものはかなり違っておるわけでございます。そういう意味合いで、まずこの文書自体の性質を御理解おき願いたいと思います。 そこで、私どものほうの岐阜県警察が飛騨川の事故について捜査いたしました結果についてはその文書に詳しいのでございますが、ごく概要を私からかいつまんで御説明を申し上げたいと思います。 事故は八月の十七日に起こりました観光バスが転落した事件であります。岐阜県警察では業務上過失致死傷事件ということで、その刑事責任があるかないかということを明らかにするといういわゆる刑事事件としての観点から、四十日間余にわたりまして約百名の捜査専従員を充てて、次のような点について、あるいは次のようなものについて捜査をいたしました。旅行主催者及びバス運転者の関係、それから岡崎観光自動車株式会社の運行管理に関する関係、それから道路管理に関する関係、砂防及び治山に関する関係、気象関係、さらに警察の交通規制に関する関係、こういうふうなものについて取り調べを行ない、関係者約五百名から事情を聴取しますとともに、現場の見分は実に二十回にわたって行なっております。またこういう特殊な事故でございますので、治山治水等の学識経験者に対しまして専門的な見解を照会するというふうなことで非常に慎重に捜査を行ないました。 まず総合的に結論を申し上げますと、この関係者につきましては、業務上過失致死傷罪ということについての刑事責任を認めるということは困難であるという見解に、岐阜県警察は到達いたしました。 そこでごく簡単に先ほど申しました関係者についての調べを申し上げてみますと、旅行主催者及びバス道転者につきましては、まず出発に至るまで、それから犬山市を出発するとき、それから出発直後雷雨がたいへん激しくなったとき、それからモーテル飛騨で旅行中止を決定したとき、帰路国鉄白川口駅前を通過したとき、それから国鉄白川口駅の南方一・五キロの土砂くずれのありました地点を通過したとき、最後に事故発生場所に到達した後、こういう各段階について検討を加えましたが、結果発生の予見性の状況、関係者のとった具体的な措置等の状況から見て、これらについて刑事責任を問うべき過失等があったと認めることは困難であると判断いたしております。 第二点は、岡崎観光自動車株式会社のいわゆる運行管理者としての運行管理関係について見ましたが、これは出発時における指示、指導の状況、出発後の気象状況の変化に対応する措置などについて検討を加えました。これらのものが、この結果の発生を認識、予見するということは困難であった、そういう意味から刑事責任を認めることは困難である、こういうふうに考えました。 次に、道路管理者について検討いたしました。道路の設計、施工及び維持管理、道路パトロール及び道路管理者による交通規制というような面について捜査を行ないましたが、これらにつきましても特に過失があったと認められるような状況はございません。関係者に刑事責任を認めるということはできないと考えております。 第四に、砂防及び治山関係につきましては、保安林の指定、砂防地指定という問題を中心に検討を加えました。土石の流出いたしました現場の沢付近の過去数十年にわたる実情等から見て、関係者に刑事責任を問うべき過失があるとは認められません。この点については特に専門家等の意見も照会をいたしました。 気象関係については、気象通報の発表の時期、内容、警報伝達の適否、こういうものについて検討を行ないましたが、特に過失を認められるという状況はないということであります。 最後に、警察が行ないました交通規制というものについての問題も検討を加えました。警察みずから警察の問題を調べることでございますから、きわめて厳正にその点の検討も加えましたが、過失として取り上げられるものは認められませんでした。 以上が岐阜県警察におきます当該転落事件に対する捜査結果のきわめて簡単な概要でございます。以上の捜査結果の記録は、十一月四日整理を終わりまして、岐阜地方検察庁のほうに送致をいたしました。 以上でございます。
○板川委員 それでは運輸省、建設省その他の政府、この事件に関係する農林省等に伺いますが、この事件の事実認識については、ただいまの警察庁の調査資料、これに異論はないのじゃないかと思うのでありますが、特に運輸省、建設省関係ではいかがですか、念のために伺っておきましょう。
○黒住説明員 ただいま警察庁からお話がありましたように、非常に詳細に事実を調査されました次第でございまして、その調査を基礎といたしまして、われわれといたしましても判断をいたした次第でございます。
○蓑輪説明員 岐阜県警のこの捜査につきましての報告を見ますと、私ども特にこれに事実と違うというようなことはありません。異論ないものでございます。
○片山説明員 警察庁のお調べのとおりとわれわれは聞いております。
○板川委員 警察庁ですかの都合もあるようですから、警察庁に伺いますが、この資料の一五ページの上から四行目に、「出張所」といいますのは美濃加茂出張所でしょう。「出張所においては、午後八時の「雷雨注意報」午後十壁二十分の「大雨警報、洪水注意報」に対処した特別の措置はとられていない。」こういっておるのでありますが、その五行ばかり下で「また、「雷雨注意報」に対処する特別の措置がとられていなかった点については、この時点では現実には注意報のような現象はなく、この地域が今回のような局地的な集中豪雨となり、大規模な道路障害の発生を予見することができない状況であった。」したがって、「責任を認めることは困難である」こういう趣旨になっておりますね。このあとのほうを読み上げた点で、ここでは八時の雷雨注意報だけを取り上げておるのですね。十時三十分の大雨警報、洪水注意報についての見解というのがうたわれていない。八時の雷雨注意報はそれほど問題はないでしょう。しかし午後十時三十分の大雨警報、洪水注意報については、私はこの出張所のとられた措置は問題があると思うのですが、この重要な十時三十分のほうの問題について触れないで、責任追及をするわけにはいかぬというのはどういうわけでしょうか。
○内海説明員 そこにも実は文章が明確になっておりませんので、あるいはお見落としと思うのですけれども「午後八時の「雷雨注意報」午後十時三十分の「大雨警報、洪水注意報」に対処した特別の措置はとられていない。」しかし、その十時三十分の大雨警報、洪水注意報については、この出張所がこれを受けた時間が午後十一時二十五分、これは出ているのは十時半に出ているようでございますけれども、事務所がこれを受けたのは午後十一時二十五分ごろでありまして、すでにそのときには、出張所はその直前、警察からの連絡もありまして、下由井地内の土砂くずれに対処するための具体的な措置もとっておるところであります。ここに特に書いておりませんが、一応所要の措置はとっておるところであります。微細に問題を論すればともかくといたしまして、私どもが刑事責任というものを追及するその限りにおいては、ここにもいっておりますように、刑事責任を追及するようなものは見当たらない、こういうことであります。この点は、もし私どものほうの文章が非常に御理解を妨げておるのでございますればおわびいたしますが、先ほどお断わり申しましたように、実際の送致いたしております捜査書類には、こういう点はきわめて厳密に記載をされてあるのであります。
○板川委員 これは、十時半にはもう国鉄はとまっているのです。そうして、十一時半ごろには国鉄の線路が、下が流されてぶら下がっちゃっている状況ですね。この土木出張所というのは道路管理の一番末端、最前線ですね。ですから、八時の雷雨注意報は別として、大雨警報、洪水注意報というものが出たときには、もう当然戦時体制に入っていなくちゃならぬ。しかし実際に動き出したのは十一時三十分でしょう、前にありますように。こういうところに、実は道路管理の末端において、日常の体制というのが十分じゃなかった点があるのじゃないか。もちろんこれは、十時半に大雨警報、洪水注意報が伝達をされて、一生懸命やっても事故が起こったかもしれません。起こったかもしれませんが、この末端の出張所が十一時半でなければ、そうしてもう九時、十時ごろにはその地方に経験のないほど大雨が降っているときに、全然この体制がとれてないというところに、道路管理者としての積極的なものがなかったのじゃないか。それを、ここでは十時半のほうを除外して、八時のほうだけ、雷雨注意報だけ結論を結びつけておるものですから、どうも警察庁の取り調べがそういう点ではやや片手落ちのような、甘いような感じがするものですから、その点質問したのであります。急ぎのようですから警察庁これで終わります。 それでは、時間がないようですから運輸省に承っていきましょう。運輸省が本件について自賠法の適用に踏み切った、これは国民の要望でもありますし、遺族を何とか救ってやりたいという国民の願いが実現したことでありまして、その点については運輸省の英断でもあるし、われわれも賛意を表するわけであります。しかし、今回の措置は自賠法の運用という面から見ますと新しいケースでもあると私は思うので、念のために自賠法の運用と関連して伺っておきたいと思います。 これは、運輸大臣はしばしば自賠法適用については法律に反したようなことは考えてないというようなことを盛んに言っておったようでありますが、運輸省が自賠法適用について踏み切った見解、根拠を一応説明していただきたいと思います。
○黒住説明員 御承知のように自賠法第三条に運行供用者の責任について規定をいたしております。それと責任保険の付保を自動車側に強制をいたしておるわけでございます。それでその保険金を支払うかどうかということが適用するかどうかという問題であるかと思います。その保険金を支払いますためには、第三条によりますところの運行供用者、自動車側の責任があるかどうかということでございます。今回の場合におきましては毎時平均五十ミリ前後の豪雨でありました。白川口以南七宗橋に至る山間道路としての地理的条件等から見まして、事故発生地域付近は山くずれであるとかあるいは落石であるとかというふうな危険が山側から迫っているというふうに考えられるわけでございます。結果的に見ますと、この付近の十二キロの間におきまして約十カ所の土砂くずれが発生をいたしております。このバスはそのような状況下におきまして豪雨下において運行したのでありますが、下油井地区に土砂くずれがございまして、モーテル飛騨から引き返したわけでございますが、帰りの道におきまして白川口南方の一・五キロの山間道路入り口付近で再度の土砂くずれに逢着しております。これを土砂くずれを取りのきましてさらに南進を続けて事故現場に至ったものであります。しかも引き返し点及び帰路におきまして気象情報の収集、関係者の意見の聴取、本社への連絡、その他につきまして積極的な安全確認措置をとろうとする意向がうかがわれないのでございます。これらの異常気象時におきます措置につきましては、平素から十分の指導監督をいたすように会社につきましては指導しておるところでございますが、それらの点が不十分であった点も影響しているかとも思う次第であります。 これらを総合いたしますと、安全に対して十分な注意を払っておれば異常気象時における運行の危険性を予測することができたのではないか。言いかえますと、その運行に関しまして事故の発生を未然に防止すべき注意義務に欠けていなかったということを断定することはできないと判断いたしまして、この運行管理者または運転手が注意を怠らなかったということを立証いたしまして免責理由とするということは援用できないのではないかというふうに考えまして、自賠法の適用に踏み切った次第でございます。
○板川委員 まあ自賠法適用に踏み切ったのは、当該貸し切りバスの運行計画を考察するところ、その運行に関し事故の発生を未然に防止すべき注意義務に欠けるところがなかったと断定することはできないという趣旨であります。その注意義務に欠けるところがなかったという点については、帰路白川口から一・五キロの土砂くずれをおかして南進したということ、異常気象時に対する安全措置というのが十分じゃない、こういうことがその適用に踏み切る一つのポイントであったように伺っております。それはそれでまたあとで伺います。 法務省に伺います。新聞報道によりますと、運輸省では自賠法適用について法務省の見解を聞いた、そうしたところが法務省では賛否五分五分で結論が出ない、そうしてその決定を運輸省におまかせをするという見解になったとか新聞に報道されております。法務省でこの相談を受けて検討したときに、自賠法適用に賛否両論あったと言われておるのでありますが、賛否両論の代表的な見解をひとつ説明してもらいたいと思います。
○新谷説明員 自賠法の適用問題につきまして運輸省から御相談がございました。私どものほうは刑事責任の問題は関係ございませんので、一応それを離れまして、民事責任の観点からどうかということをいろいろ検討いたしたわけでございます。法務省といたしましては、この民事問題につきまして警察あるいは検察庁と違いまして事実関係を探求して確定する立場にございません。これは紛争が起きますならば裁判所が訴訟によって解決すべき筋合いでございますので、どうもその辺が私どもといたしましては若干不十分な点もあったわけでございますが、岐阜県警察本部のあの資料だけに基づいて、それ以上に出ることはできませんでしたが、その範囲内でいろいろと検討をいたしてみたわけでございます。 御承知のように自賠法三条の規定は、原則的には運行によって生じた損害を賠償するということになっておりまして、ただし書によって自動車の保有者あるいは運転者の無過失、さらに第三者に故意または過失のあること、または自動車の構造、性能に欠陥とか障害がなかったこと、この三つの点を証明されますれば運行者の責任は免除されることになっておりますが、その証明のない限りは第三条の本文の規定が適用になるわけであります。そこで私どもとしましては、そのただし書きの三つの点が証明されたということが言われておりません段階においてただし書きの問題を取り上げるわけにはまいらないわけであります。したがいまして、問題点はこの本文に集中したわけでございます。そこで問題になりましたのは、運行により生じた事故であるかどうかという点でございます。自賠法の適用について賛否両論に分かれた、こう新聞にも報道されたようでございますけれども、その自賠法そのものの適用を問題にしたというよりは、むしろ三条の適用問題についての見解でございます。そこで、これにつきましてはいろいろ考え方が成り立つわけでございまして、非常に広く解釈いたしますれば、もしもあの際、自動車があの沢のところを通過しなかったであろうならばあの事故は起きなかったであろうというふうに広く考えますと、これは運行によりというふうに言えるという考えも一つ成り立つわけでございます。ところがそういう考え方は現在の民法上の損害賠償の因果関係の問題といたしましては広くとられておる見解ではございません。御承知と思いますけれども、損害賠償の範囲を妥当な範囲にとどめようという配慮から、相当因果関係説というのが現在の通説になっております。裁判所もそういう見解で裁判いたしております。そこでこれを相当因果関係があるかどうかという観点からながめてみますと、あの事故の場合は――現実にはあの事故が起きたのでございますけれども、通常一般の場合にあの事故が起きるかということが問題でございます。そういたしますと土砂くずれは確かにございましたけれども、あの沢で土石流が上からやってきた、これによって生じた、こういう事故の場合に、通常一般の場合にああいう結果が起きるかということを考えますと、そこに非常にむずかしい問題が出てくるわけでございます。ただ、あれだけの集中豪雨があり、随所に道路にがけくずれがあったという場合に、普通一般の場合に土石流が生ずるかどうかということについて、これは専門的にさらに検討いたしませんと何とも申し上げられないと思うのでありまして、常識的にそれを判断するということも、非常にむずかしい問題でございます。紛争が起きまして裁判になりますれば、裁判所としましては、いろいろ専門の方面の関係も求められましょうし、その結果によって、通常あの結果が生ずるという判断が出るか出ないかということになろうかと思うのであります。したがいまして、その辺につきましては、ちょっと私どもといたしましても断定的にこうだということを申し上げられるだけの自信がございません。 さらに、これが相当因果関係の範疇からはずれる問題としまして、あれが特別の事情なりやいなやということを考えますと、先ほどちょっと御意見が出ましたように、当時の状況下でそのことが予見し得たかどうかということが問題になるわけであります。これもやはり民事の訴訟の段階で当然問題にされる問題であって、あれだけの資料で私どものほうでこうだという断定はいたしがたいということでございます。 さらに、これは天災だというふうな意見も出るわけでございます。いずれ紛争になりますれば、いろいろの主張がなされると思うのでございますけれども、いままで私どもの検討いたしましたところでは、そのような意見が出てまいるのでありまして、運輸省のほうでいろいろお考えになる参考として、将来訴訟にでもなればこういった問題が提起されるであろうという意味で私どもの考えを申し上げたわけであります。自賠法そのものの適用がいいとか悪いとかいうことを申し上げたわけではございません。
○板川委員 法務省にもう一回、これはわかっていることですが、一応伺っておきます。 刑事責任がないという警察庁、検察側の見解ですから、これは刑事責任を追及されることはない、しかし民事的な責任は残る。で、自賠法によって三百万なら三百万支払うということになると思います。しかし被害者側からいうと、またそれでは不十分であるから国家賠償法によって救済を求める、もちろんこれは裁判の判定を待ってということになるでしょうが、そういう請求は当然できるわけだと思いますが、いかがですか。
○新谷説明員 国家賠償法に該当するような場合でございますれば、もちろん国家賠償の請求もできますし、また国家賠償のみならず、民法の一般原則に従いまして損害賠償の請求も、場合によれば可能であろうと考えます。
○板川委員 運輸省に伺いますが、本事故が起こりますと、政府筋では自賠法を拡大解釈して適用すべしという説が流されて、何回か新聞等に出ました。自賠法の拡張解釈ということのほうが出て、国家賠償法を適用せよというわれわれの感じ方からいうと、何か意識的に自賠法適用のほうへ持っていったような感じがするのです。しかし、運輸大臣は、自賠法の適用は困難だということを岐阜県警の報告を受けた後閣議に報告していると新聞は伝えております、事実かどうか知りませんが。本件の自賠法適用にあたって拡張解釈があったのかどうか、こういう点を実は質問したいのであります。ところが運輸省の関係者は、拡張解釈があったわけではない、こういうことを言っておるのであります。私の感じとして、自賠法で無理な拡張解釈をするならばいさぎよく自賠法の改正をして、無理なく今後この種の被害者を救済できるようにしたらいいじゃないか、こういう気持ちで、自賠法の適用がいかぬという意味じゃないのです。拡張解釈をして無理に適用したというならば、これを機会に自賠法を改正をして、そして無過失賠償の分野を広げて、この種の被害者を十分救済できるような法改正をされたらどうか、こういう趣旨で伺うのでありますが、自賠法適用についての拡大解釈がなされたかどうか、その点について伺っておきます。
○黒住説明員 本件のような事件は初めてのことでございまして、これは従来例を見ないような事件でございます。したがいまして、自賠法の適用につきましても慎重を期してこれを検討しなければならぬということでございまして、当省といたしましては警察の事実関係の御報告を得ましたので、この事実関係を基礎にいたしまして慎重に検討をしたい。そして自賠法は適用し得るかどうかにつきましては、法律の許す範囲内においてこれを決定するのが当然でございますから、そういう観点から慎重に検討したわけでございます。その間におきまして、ただいま法務省からもお話がありましたように、いろいろの問題点もございます。ところが、本件のような被害者を救済しなければならないという観点から、一方におきまして一つの立法をしたらどうかということも並行的に研究をした次第でございます。九月二十六日に警察からの報告が発表されまして、一週間ないし二週間なるべくすみやかな間に結論を出さなければならないということでございまして、多数の被害者を救済するという考え方から自賠法の適用あるいはこれが困難な場合におきましては特別の立法を考えるということで、至急かつ慎重に検討いたしました結果、先ほど申し上げましたような見解のもとにおきまして自賠法を適用するのが正当であろうという結論に達した次第でございます。したがいまして、今回のこの種の事故につきましては、現行自賠法の適用をもちまして対処できるというふうに考えております。 そしてまた、それ以外の事故等につきまして特別立法をするかどうかという問題につきましては、交通関係、他の交通機関の責任の問題あるいはわが国の全体の賠償責任関係の法体系等の関係もありますので、今後におきましてそれらは慎重に検討をしなければならない事項であると考えております。
○板川委員 裁判の判例等からいいましても、無過失責任の分野がだんだん広がってきて、自賠法適用の三つの要件を満たすということはなかなか困難になってきておるのですね。ですから、この際拡張解釈をするようなことなく適用できるようにこの法改正をしたほうがいいじゃないか、私はこう思うわけです。 それで、拡張解釈をしたという私が感じを持つのは、いま自賠法適用にあたって、白川口駅からの、土砂くずれを処理して南進した異常気象時における処置が十分じゃないということが自賠法を適用するのにひっかかった事例だというのでありますが、この警察庁の調べによってもわかりますように、「帰路国鉄白川口駅前を停車せずに通過したことについて」こういっておるですね。要約しますと「バス数台が駐停車していたが、同所は、平素においても、休憩等のため、バスが駐停車する場所であり、」「そのうえ北上してくる車もあり、その他特に危険を感じさせるような状況がなかったので、そのまま通過したものであり、この点について刑事責任を問う、べき過失があったとは認められない。」といっておるのでありまして、こういう状況下において南進をした。 それから、問題の「白川口駅南方一・五キロの地点の土砂くずれを除去して南下したことについて」と、こういっておるのですね。この調書では「一号車-七号車が同地点に到着したのは午前〇時二〇分ころと認められるが、同所の土砂くずれは、比較的小規模であったため、運転者数名がこれを取り除き、約一五分後に通過した。一行が同所に到着した際には、北進してきた、バス、トラック、乗用車等計八台位が停車していて、このことは南下に支障がないと推測せしめるものであった。」こういうふうにいっておりますね。ですから、白川口にとまらないで南下したということを、まあ刑事責任は問わないにしても、この自賠法適用にひっかけるというのはさてどうかなと――ひっかけて悪いというのではないのです。拡大解釈をそこに求めたのはいいとしても、これはやや無理があるのじゃないかと思います。 それから「事故発生場所における措置について」は、やはりこの調査によると「この時点の問題としては、第一点は相次いで発生する土砂くずれを予見して早期に国鉄白川口駅前等まで後退すべきではなかったかということ、第二点は、五、六号車の駐車場所の選定に過失はなかったかということ、第三点は、乗客をバスから降車させて誘導する等の避難手段を講ずべきではなかったかということであると考えられる。」とあるが、しかし「第一点については、現場付近においては道路の幅員からしてバスのuターンは不可能である」、第二点については「夜間降雨の中で、沢の存在を発見することは極めて困難な状況にあった」、第三点については「夜間降雨中であること、乗客の大半が女、子供であること、付近の地理的条件に暗いこと等の状況からバスの中に居ることが安全と判断したものであり、」したがって、刑事責任を問うことはできない、こういっておるのであって、白川口を南下したことが一つの運転手の状況判断が誤った、過失なしとしない、そこにひっかける点については問題があるのじゃないか、異論がある、こういう感じがするわけです。 それから、岡崎観光の連行管理関係についてでこういっておりますね。要するに異常気象時における万全な対策というのでありますが、この報告書によりますと、岡崎観光株式会社の「平素における事業者(連行管理者)の運転者に対する異常気象時の措置についての指導監督は(2)として、「運行管理者に、出発後の気象状況の変化をは握せず、従ってそれに対応する措置はとられていない。」こういうことを一、二点問題点としてあげております。異常気象時に十分な対策がとられていなかった、こういわれておりますから、自賠法三条を適用することに踏み切った一つのポイントはおそらくここにあると思うのです。 これは警察庁の調べでありますが、運輸省はこの見解を支持していると思うのであります。一体こういう場合に、それでは異常気象時に対する十分な対策というのは運輸省はどういうふうなことを想定されておるのですか。異常気象時に運行管理者がこういう事故に遭遇しないような、安全に対する注意義務を怠ったと言われないためには、観光バスなんかの場合は一体どういうふうに対処したらいいのか、ひとつ参考までに承っておきたいのです。 それから「連行管理者は、出発後の気象状況の変化をは握せず、従ってそれに対応する措置はとられていない。」というのでありますが、運行管理者が出発後気象状況の変化を把握して対応する措置をとるとしたら、一体どういうことをやればいいと思うのですか。まして異常気象時とは一体何をもって異常気象時という認定を下すのか、こういう点を運輸省としてはどう指導されようとするのか具体的に伺っておきたい。結局はこういう点にポイントを求めれば、異常気象時には車を動かさないでそのままとまっていろということになるのですね。とにかく運輸省の見解を伺っておきましょう。
○黒住説明員 異常気象時におきます措置につきましては、道路運送法を受けまして、自動車運送事業等運輸規則という省令がございますが、その一、十条に異常気象時における措置ということで、事業者に対しまして「天災その他の理由により輸送の安全の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、事業用自動車の乗務員に対する必要な指示その他輸送の安全のための措置を講じなければならない。」と規定しております。それで具体的には会社では乗務員の安全服務規律等を規定いたしておりまして、具体的に指示をしたり、またこれを携行さす等の方法によりまして、乗務員が常にそれを守るというふうな指導をしておる次第でございますが、それらの点におきまして本件の場合には十分でなかったということが言い得ると思います。 その内容といたしましては、出発する場合においては、これは運行管理者がございますから、連行管理者が気象情報等に常に注意をいたしまして的確な情報を把握しておく。それから連行を開始した後におきまして、気象状況等が悪い場合におきましては、会社のほうに前途の運行につきましての指示をいただく。それからまた関係の道路管理者であるとか警察であるとかいうふうなところに連絡いたしまして、それらの指示あるいは情報を把握するというとと。それから現地におきましては道路崩壊等の危険性があるかどうかというふうなことを、情報を受けると同時にこれを調査するということでございまして、連行管理に関する規則からこれを安全服務規律にも取り上げまして具体的に指示を一するのが通常でございます。 で、異常気象時におきます場合においては、たとえば風速何メートル以上というふうに規定する場合、それから降雪なり濃霧の場合におきまして視界が悪いというふうな場合あるいは積雪の場合におきましては、たとえば積雪量につきまして規定するとか、結氷の場合を考える、そういうふうに具体的に乗務員に指示いたしまして、そういう異常気象下における措置をとらすというふうになっているのでございます。これらの措置につきまして、ふだんから十分に教育して徹底をしておきなさいということを指導しておりますし、また従来から通達等によりまして、さらにこれらをふえんをして指導をしてきておりますので、それらの点につきまして、適切であったかどうかという点が問われるわけでございます。
○板川委員 それらの点について、適切でなかったという。それは刑事責任を追求するまでに至らなかったが、適切でなかった、こう言われるわけでありましょう。しかし適切であった場合に、一体どうしたらいいかということを、私は質問したのです。これは運輸規則の二十条は、 「旅客自動車運送事業者は、天災その他の理由により輸送の安全の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、事業用自動車の乗務員に対する必要な指示その他輸送の安全のための措置を講じなければならない。」天災、異常気象等によって「安全の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、」ということで事前に気象庁に聞いてだいじょうぶだろうということで、出かけていった。しかし、この規則にありまするように、途中二カ所を指定して、そこで気象状況を聞こう、それは金山町のドライブインとか、あるいはもう一つのドライブインですね、二カ所で気象状況を聞こうということになっておった。そういう計画であったが、そこまで行く途中において事故を起こしたですね。これは二十条の規定は、安全の確保に支障が生ずるおそれがあるときに、天災その他でそのときは気をつけていけよ、こういうようにやっていけよということなんです。やっていったけれども、実際事故になってしまったですね。そういう点で、私はこれを自賠法の適用のポイントにしたという点についても、従来――いや拡張解釈をして、今度はこういうことを入れたんだということならいいんですよ。それを拡張解釈はしてないんだ、従来の方針で当然入ったんだというから、私はこの問題で、それではちょっとおかしいじゃないか、こういう議論を私はふっかけておるわけなんです。 時間がないからあとにしますが、そこでこれは運輸省か建設省かに当たるんですが、この飛騨川事故に関連した事故がありますね。一番共通している点は、昭和三十七年十月における北海道函館バスの土砂崩壊によって海の中へ車、人とも放り出されて十四人が死に、八人が行くえ不明、こういう大事故がありました。これは今度の飛騨川事故が自賠法適用になるというならば、私はこれも事によったら自賠法が適用になりてもいいんじゃないかというふうに考えておるわけです。ところが、これはもう三十七年から三年をたって四十年ですか、時効になってしまったから、自賠法で損害賠償を請求するというわけにいきません。ただこれは、国家賠償法によっていま争われておると思うのでありますが、たとえば死んだ子のよわいを数えるようでありますが、この函館バスの事故、これは自賠法適用に、いまこの種の事故が起こったら適用になりますかどうか。飛騨川と非常に共通した事故です。どうですか。
○黒住説明員 本件は、いま先生が御指摘のとおりに三十七年のことでございますから、当時から見ますというと、時効関係で、現在は自賠法を適用することはできないわけでございます。当時といたしましては、会社側も被害者側も、自賠責の保険の金額の支払い請求をしなかったのでございまして、被害者側のほうにおきましては、バス会社に賠償請求をしないで、国を相手に現在訴訟中であることは御承知のとおりであります。このときの事故は晴天続きでございまして、今回の飛騨川の場合とは若干異にするわけでございます。しかし、ただこういう事故があれば自賠法を適用するかどうかというような検討につきましては、いませっかく訴訟係属中でございますから、見解を申し述べまするのはどうかと思います。われわれのほうにおきましては、請求もなかったので、自賠法適用という問題は起きなかったというわけでございます。
○板川委員 この件について運輸省は晴天続きだというのですが、十日間も晴天が続いておって、青天のへきれきのごとく土砂くずれがあった、こういっておるのです。だから天災であって、自賠法の適用に当然ならないと言いたいのでしょうか、この新聞――私も実際に調査したわけではございませんが、新聞によると、「一カ月も前からこの地方の人たちがいう「ジリ雨」が続いていた。護岸にヒビがはいり、地割れもみられるという報告は、朝のうちに江差の土木出張所にはいった。所長以下四人はすでに現場へかけつけ、所長は補修の資財の確保のため戻ったが、三人は見張りで道路に立っていた。それなのに交通どめはされなかった。異常を認めながら、手はなにも打たれなかった。職員のうちの一人は「どうもおかしい」と山へ登り、山といっしょに海まで運ばれたまま帰らなかった。「当然車をとめるべきではなかったか」」こういっておるのですが、この新聞は一カ月も前から「ジリ雨」が降っておって、すでに地すべりの予見できる状態であったといわれておるのですね。しかし、運輸省の調べは、この間聞くところによると、十日も晴天で全く予見できないといっておるのですが、その点は、事実はどうなんですか。新聞のほうがほんとうですか、運輸省のほうがほんとうですか。
○黒住説明員 本件につきましては、道路の土砂くずれがありまして、バスが海に転落した。飛騨川の場合におきましては、土砂流によりましてバスが川に転落したというようなことで、相似たようなかっこうの事故でございますので、調査をいたした次第でございまして、ただ自賠法の適用云々ということを、この函館の事故につきまして、いま考えるために調査したわけではございませんので、調査の点等につきましては、やや正確を欠くかと思いますが、一応の調査をいたしましたところでは、当時は晴天続きであったというふうに聞いておる次第でございます。
○板川委員 一カ月前から雨が降っておって、その土地の地質の条件からいうと、地すべりが起こりそうな状態であった。そういうところでバスを運転したんだ、そのバス会社も安全について十分な措置がとられていない。だから自賠法適用だ、こういう論理も成り立たないわけではないのじゃないか、こう思うのです。この自賠法適用について、私はこの適用したことに異論を唱えるのじゃなくて、いまの法律からいうとやや無理があるのじゃないか。だから、これは神戸大学の西原教授も言っておりますように、こうしたバス事故については、刑事、民事の責任と切り離して被害者に賠償するという制度をつくったらどうか、刑事責任があるか、民事責任があるかということは別にして、被害者の救済のための賠償制度というものをつくったらどうか、こういう法的な制度をつくったほうがいいじゃないか、こういう見解です。自賠法の適用については、先ほども言いましたように、最近の判例はほとんど適用という傾向になってきているんですね。三条件を満たしたから不適用というわけではない。だんだん拡張されて、無過失賠償という分野が広がってきていると思うのです。こうした国民の世論というものを考えて、自賠法の改正等についてぜひひとつ検討をわずらわしてもらいたいと思います。要望だけ申し上げておきましょう。 次に建設省にお伺いしますが、警察庁の資料に基づいて質問をいたします。 飛騨川事故が起こった場所、ここは三十八年から四十年にかけて道路の改良工事が行なわれました。そして直径百二十センチメートルの管渠工が埋設されたわけでありますが、この工事施行に際しては、事前に実地踏査が行なわれ、その際、現場の沢を含む道路に沿った一帯の地質の強度等について、学識経験者による学術的な調査も行なわれ、その結果、地質が固く安定しており、土砂くずれの危険がないものと認められた、こう警察庁の報告もいわれておるのであります。私が疑問に思うのは、この工事に関して学識経験者で学術的な調査が行なわれた、それで危険がないと認定された、しかし結果としてがけくずれ、土砂くずれがあった、どうも学識経験者の調査というのが不十分であったのじゃないか、道路の安全というものに対しての調査というのが、いわばおざなりの調査であって、道路の安全というものに対する十分な調査が行なわれなかったのじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
○蓑輪説明員 一般に道路をつくります場合、平地だとそういうことはございませんが、山になりますと、やはりいろいろな地質がございまして、その辺に道路をつくりますと、山を切ったり掘ったりする必要が出てまいります。道路をつくります場合に、土を盛るときは、どんな土を使ってどのくらいの盛り土の盛りぐあいにしたらいいかというような土質的な試験をやっております。また山を切るときに何度くらいの勾配に切ったらいいか、これはゆるく切ったほうが大体いいのですが、地質によってはゆるく切るということがかえって悪いような場合もございます。そういうことで、やはり地質につきましては、地質の専門家なり砂防の専門家、そういう方に現地を見てもらいまして、この辺はどういう地質であるか、これを検討して道路を設計するのが通常かと思います。 ただ、いま先生のおっしゃいましたように、非常にくずれやすいところだと、一見してわかります。また地質的に非常に複雑な地質である場合に、こういうところについては、土を切ったり山を切ったりするということを注意しなければならぬだろうということはいえますが、今回の場合、かなり上から出てきておる土砂流ということになりますと、あるいはそこまで十分な調査はいかなかったのかと思います。私たち、いま道路をつくります場合は、そういう地質の問題につきましては、いろいろ専門家の意見を聞いてやっている次第でございます。
○板川委員 その次のページにこういう記事があります。「今回事故車両等が南進をはばまれた事故現場南方約一〇〇メートルの地点の土砂くずれは本年三月にも車両の通行不能となる程度の土砂くずれを生じ、その修復工事が施された箇所で再び発生したものである」こういうんですね。その周辺は、地質が固くて土砂くずれの心配がないというなら、その南進をはばまれた百メートル先の土砂くずれがことしの三月もあり、また今度もあったということ、二回も続けて一年間にある、こういうことはないんじゃないですか。もし調査が完全であって、やはりその辺は土砂くずれしやすい場所だということであれば、この修復工事だってもっときちんとした工事ができたのではないですか。その点ひとつ説明してください。
○蓑輪説明員 ここに書いてございます事故現場から南方約百メートル先の個所でございますが、実はこれは私も現地で見てまいりました。非常にいい地質の上に表土が乗っているような状況でございます。 先ほどの、調査の中でどういうことをしたかということになりますが、やはり道路をつくります際の大きな調査といたしましては、地すべり個所があるのかないのか、山を切ることによって非常に大きな地すべりを誘発しはせぬか、そういうことがまず第一だと思います。それで山を切りますと、山には上には表土が乗っております。その下に一般に岩がございまして、一番問題になりますのは、岩盤の上の表土をどういうように処理するか、これはまず岩盤と表土の間には水も流れることでございますので、その辺がいつも土砂の崩落の原因になろうかと思います。この百メートル地点の場合は、やはり三月にございましたが、これは規模が、あの沢から見ると、表土が落ちる程度で、交通にそう大きな支障になるような崩落の地点ではないということで、三月のときも上に網を張って――ばらばら落ちるような石、そのほうがかえって危険があるということで、そのようなばらばら落ちることをまず第一に防ぐために網を張った次第でございます。今回の結果から見ますと、あの沢の表土が全部下に落ちているような状態でございます。
○板川委員 この沢の下のパイプの場合には、百二十センチメートルの直径のパイプを埋設した。そしてそれは、その近所においては過去に一時間の雨量が最高五十ミリ程度であるから、その三倍くらいの許容量といいますか、安全度を見て三倍くらいの容量でパイプを布設したというんですね。ここでは、その周辺が岩盤で、固い石で安全だというところに土砂くずれが三月にあった。私はここをもっと安全度を高めて修復工事をしておったならは――資料にもありますよ。ここで土砂くずれがなかったら、その問題の車は支障なく南下して安全地帯に行ったろう、この百メートル先のがけくずれがあったために、この事故が起こったと言えるだろう、こう言っているんですね。こう見ますと、この修復工事が十分でなかったんじゃないか。それがその地形、地質状況等から判断して安全を確保する上において十分でなかった、こういうふうに感じますが、 いかがでしょうか。
○蓑輪説明員 確かに先生おっしゃいますように、結果からいいますと、三月のときの崩落、そのときにもっと今度の豪雨でも落ちないようにしておけばよかったといえると思います。ただ、あの当時はやはり先ほど言いましたように、全体の沢の下になっております岩盤もいいし、表土もそう大きな表土でございませんので、その上のぱらぱら落ちるものをまず防ぐ。これもばらばら落ちるものが車に当たることも相当被害を出しますので、そういうものを防ぐために網をかけたわけでございまして、確かにいま先生のおっしゃいましたように、もしこういうことがなければまた別の様相であったということは私も承知しております。
○板川委員 林野庁、建設省に伺いますが、この事故一帯の地域でいまの百メートル先の二回にわたる土砂くずれのあった地域を含めて、これは明治四十一年土砂流出防備保安林に指定されておったのか。また四十三年に砂防指定地域となっておったのかどうか、これを伺っておきましょう。
○片山説明員 先ほどちょっと申し上げましたが、道路沿いから約二百メートル急傾斜地でございますが、その地帯を保安林として明治四十一年指定しております。保安林の管理も適正に行なっております。その上部が急傾斜でないために保安林に指定しておりません。こういうことでございます。
○木村説明員 砂防指定も四十三年にあの付近一帯十ヘクタールばかり指定してございます。これは砂防法にもございますように、通常砂防のための行為制限の指定地でございます。飛騨川の治水上という観点から当時指定したものと解釈しております。
○板川委員 保安林に指定されたり砂防に指定されたりするのは、その地域がどうも道路の安全上危険性もあるから、前もって指定しておったんじゃないかと私は思うのです。そういう趣旨からいうと、そういう危険な地域ならば私はこの修復工事等をもっときちんとやっておくべきじゃなかったかと思います。 では次に、建設省ですが、先ほど警察庁の際に申し上げましたように、この調書で美濃加茂の出張所が動き始めたのは十一時二十五分に連絡があったというのですから、十一時半ごろからこの土砂くずれの連絡を受けて、出張所では所員二名が現場確認のため自動車でパトロールに出発したが、午前零時十五分ごろ、事故現場南方百メートルの地点の土砂くずれによって前進をはばまれて、同所にバリケート及び警戒灯を設置して引き返してきた、こう言っておる。道路管理の末端は出張所ですね。この出張所が雷雨注意報は別として、十時三十分の大雨警報、洪水注意報、こういう重大な危険性を持つ警報に対処できないといった管理の日常の体制というものは、問題はどこにあるのです。
○蓑輪説明員 この警察の報告にもございますように、大雨警報、洪水注意報が出まして、事務所がこれを受けた時間は十一時二十五分くらいということになっております。実はこういうような報告というのは、警察庁関係から中部地建の本局にまいりまして、中部地建の本局から各工事事務所にまいるというように私考えております。この場合もどういうことで十時半の大雨警報を事務所が受けたときに十一時二十五分になっておるのか、いま私の考えでは、道路の情報の連絡の問題、その辺がまだまだ不備じゃないか。この辺をもっと的確に早くするというような連絡情報を、今後さらに強化していきたいというふうに考えております。
○板川委員 これは直接の原因じゃないですよ。ここにあります状況からいって、十時半に指定して行動を起こしたら事故は防止できたという、直接の原因じゃなさそうです。しかし道路の末端の管理、パトロールをやる末端の組織が大雨警報が出ても、洪水注意報が出ても、キャッチして動いていないという体制、ここに私は道路管理上の不十分な体制というものがあると思います。簡単にこの資料から指摘したのでありますが、道路の管理者としても刑事責任は言われるとおりない。しかし、道路の管理上欠陥なしとしないという感じがしますが、いかがですか。
○蓑輪説明員 私、この事件をいろいろ聞いて、あのときああやったらよかった、こうやったらよかったというようなことがたくさんございます。ただいま先生も御指摘のように、こういう気象情報の連絡技術一つとってみても、もっと迅速にやるべきではなかったか。またそれに伴って、ここにもございます下油井地区の土砂くずれということになれば、それを早く今度は利用者に知らせるというような体制が必要だと思います。私、管理について全然完ぺきだということは言えないと思います。さらに道路の管理というものは人の問題、また予算の問題、その他あろうかと思います。やはり道路の管理というものは、交通量も今後非常にふえてまいりますので、ますます充実をさしていかなければならないというように考えております。
○板川委員 もう一点だけ国税庁に伺います。飛騨川事件と直接関係はございません。ただ事故の賠償金が次の場合に損金として計上できるのかどうか、こういう点をひとつ伺っておきたいと思います。 これは国民として、非常に交通災害が多い、まず事故防止のために全力を尽くすべきでありますが、やむを得ず起こった場合には、被害者に万全の救済措置をとるというのが、私は国にもわれわれにも与えられた使命だと思うのであります。そこでこの場合、国税庁の取り扱いはどうかということを伺っておきたいのですが、まず事実を申し上げます。 ことしの十月五日夜の十一時五十ごろ、東京でよっぱらい運転をして引き逃げをして、一人の歩行者を死亡させました。運転手は千三百メートルほど光へ行って逮捕されました。その運転手は、有限会社で資本金わずか五十万、従業員十人程度の燃料店の従業員。運転免許を持っております。業務終了後、会社で禁じられておった車を無断で持ち出して、もう一人の同僚と二人で飲み歩いて事故を起こした。運転手は目下仮釈放となりましたが、会社にも出勤してこない、会社も出勤を要請しないから、したがって現在雇用関係は断絶しておる。被害者側は、会社に対して千三百万の賠償要求を起こしておる。会社側としては千三百万のうち自賠保険で三百万、あと一千万を何とかまけてもらえば毎年二百万円程度ずつ三年間くらいで賠償を支払ってもいいという気持ちがある。しかし、計理士から国税庁の扱いとして、その運転手の行為は業務外の行為による事故であるから、会社には責任はない。だから、それを会社が賠償金を支払うということであれば、その金額は、営業費損金として落とせない、計上できない、国税庁の方針である。会社としては損金として落としてもらえるならば、三年間年賦程度で何とか賠償責任を果たしていきたい、こう言っておるのでありますが、損金として落とせないということになると、とても賠償する能力はない、こういう状況でありますが、この場合に、やはり業務外だから、したがって、損金として落とせないという扱いになりますかどうか。われわれいままで国税庁に聞いた範囲では、損金扱いはできないと言っておるんですが、どうなんですか。
○長村説明員 自動車事故の態様がいろいろあるものですから、それに対する税務の取り扱いについて、国税庁ですべてのものに当てはまるような一般的な方針というものがまだ確立されるに至っておりません。 ただ一般論といたしまして、たとえばいまのお話とだいぶ違う態様の事故になりますが、業務に関連をして従業員が事故を起こした。その従業員には重大な過失はなかった。そういう状態のもとで会社が損害賠償金を負担したときに税務の関係はどうなるかという照会が前に庁にございまして、われわれのほうで回答をし通達をいたしました例があります。
○板川委員 私の質問に等えてください。こういう場合だめかどうか、ほかの例じゃなくて。間違うから……。
○長村説明員 考え方としてお話いたしたので、御了解願いたいのですが、その場合に、会社の損金になる、個人の所得には影響させないという結論を出しました。 そこで、その次に問題になりましたことは、同じく業務に関連はしているけれども、従業員に重大な過失がなかった場合にはどうかということを想定したわけですが、この場合にわれわれいま考えておりますのは、その場合にも会社が負担した損害賠償金は、従業員に重大な過失があってもなくても、会社の損金として見るべきであり、また、個人の段階での課税には影響させないということが妥当ではないか。 そこでさらに問題か発展いたしまして、いま先生の御指摘の業務に関連していない場合にどうなるかということで、業務に関連をしていなくても、会社がその立場上損害賠償金を負担せざるを得なかった事情のもとにおいて、やむを得ないときにはそれを損金として認めていいのではないだろうかというふうに思います。ただ問題は、先ほど例に引きました業務に関連している場合と違って、業務に関連せずに、いわば従業員が会社に無断で自動車を持ち出して、しかも重大な過失により事故を起こしたというときには、会社と被害者との関係は損害賠償金の支払いをするということで解決できるかもしれませんが、会社と加害者、運転手との関係というのはなお残っているのではないか。そこにおいて会社というのはその加害者たる運転手から当然求償権といいますか、そういうものを行使して、会社にそういう負担をかけたんだからおまえの責任において自分の損を償えということが言えるのではないだろうか。その辺が業務に関連して事故が起こった場合とかなり違うところではないだろうかと思います。そのことは要するに会社としては従業員から金をとるつもりはないということで求償権を放棄したとしますと、会社が金を出すということが間違いない事実としてあれば、その限りにおいて損金に落とすことは認められてしかるべきではないかと思います。 ただその場合に残る問題は、個人に対する所得課税の問題かどうなるかということでございます。この点実は現在庁においていろいろ議論をしながら、なお通達というような形ではっきり方針が出されておりませんのは、その点についていろいろ考えなければならない事情があるからでございます。会社に対して持つ責任を免れたそういう利益というものを、何と考えるのであろうか。会社からそういうものの贈与を受けたと考えるのか、あるいは給与を受けたと考えるのか、あるいはそのことが原因で首を切られた、そういう状態での解雇ですからもちろん退職金は出ない。そうするとそういういまの損害賠償金の会社に対する免責、そういう意味での退職金をもらった、そういうふうに観念として考えるか。そういうような議論がいろいろあり得ると思うのです。そこのところがいずれにしても何かぴったりとこない。しかしなおかつ個人に対する所得税というものを何も考えないでいいのかとなると、バランス上問題になりますのは、たとえば事業主が、個人で事業を営んでいる人が、自動車の事故を起こした。まことにその責任はかかってその人にくるわけであります。その人の負担した損害賠償金というのは所得税の計算上経費にはなりません。また、たとえばサラリーマンが事故を起こした。先ほどの例ですと非常にその人にとって幸運だったことに、会社がめんどうを見てくれるわけですが、会社がめんどうを見てくれない。自分の負担において、非常につらいけれども賠償をしなければいけない。その場合のその人の負担した損害賠償金というものは、所得の計算上は経費にはなりません。そういう人たちとのバランスからいって、会社が負担をしてくれたそういう従業員の場合に、全く所得の課税というものは問題にならなくていいものかどうか。その辺の断定がなかなかむずかしい。 そうかといいましてどういうふうに課税するかというときに、先ほど贈与とか給与とか退職金とかいろいろなことを申し上げましたが、なるほどこれだというほどのきめ手がすぐにはなかなか出てこない。そういうような問題が現在いろいろございまして、しかしそれにしても、いろいろな態様の事故が多発している現在、国税庁におきましては取り扱いを統一したいということで、目下鋭意検討しているところでございます。個々の事案については、それぞれの実態に応じてさらに調査をして、最も現実的な、実情に合った処遇をしたいというふうに考えております。
○板川委員 どうも言うことが一般的で、私の質問にぴたっと答弁しない。こういう場合にはどうなるのですか。現地の計理士は、これは国税庁に聞いたらば損金にならないと言っておる。ならないというから、これはとてもその会社は支払い能力がないからだめだ、こう会社の者は思っておる。いま言うように、この問題のポイントは業務上か業務上でないかということが一つの分かれ道でしょう。国税庁のほうでは業務上じゃないと頭からかかっているわけです。しかし最近の判例は、従業員が――どろぼう運転なら別ですよ。車を盗まれてやったのなら別だけれども、その会社の従業員が運転をしておった場合には、業務上か業務上でないか一般の人には外形的にはわからない。だから、この場合にはもう業務上であると見るほかはないというのが、最近の判例の自賠法適用の解釈になってきているでしょう。 ではこういう場合は一これは裁判所にはっきりした判例があるから聞くのですが、この場合には支出はどういうことになりますか。損金として落とせるかどうかということなんですね。ある農業協同組合の運転手が、事故の前日に、終業に際して自動車を車庫におさめかぎを当直員に返納したが、たまたま同日その運転手は相撲大会に参加するためにある隣の町に汽車で行く予定になっていたところが、その汽車に乗るバスに乗りおくれたために乗車時間におくれそうになったので、一たん返納したかぎを無断で持ち出して自動車を運転し乗車駅に至り、自動車を人に預け、翌日その駅から自動車を持って運転して帰る途中に、歩行者Cに衝突して頭蓋骨骨折等の傷害により死亡せしめたという事件があるのですが、これは全くかってに持ち出して業務外ですね。この場合の雇い主の農協は、車が四台ほどある小さい農協だそうですが、賠償責任があると思いますか。もしこの場合に払ったらそれは損金として落とされませんか。これは判例にあるんだから、農協は判例に従って払ったんだ。払ったけれども、あなたの言う解釈じゃこれは損金で落とせないはずだ。それならこれはどういうことになりますか。
○長村説明員 いまのお話は、判決で農協に賠償責任があるということで、農協が損害賠償を支出したということであれば、当然損金として見るべきものと考えます。
○板川委員 内容は私がさっき言った例と非常に似ているのです。そして、どうして判決で農協に責任があるのかというと――読み上げてもいいのだけれども、あなたは読むとわかるでしょうが、一般の人にはそれが業務外であるかないかわからぬ。だからそれを業務内とみなす、こういうことになっている。さっきの事件というのも、一般の人には燃料会社の従業員であって、業務上であるかないかわかりませんよ。そういう事故ですよ。最近の判例はこうして使用者の責任、自動車の保有者の責任というのをきびしくしてきて、被害者の賠償というものをなるべくすみやかに行なっていこう、こういう裁判の判例なりになってきているのに、どうして大蔵省が四の五の言って、その場合には損金に落とせない、退職金で払えばいい、あるいは源泉徴収で払えばいい、大事故を起こしていっちゃった者に退職金を払うなんて、どこの会社でもおそらくそんな規定はないでしょう。重大な過失だったということで退職金を払うことはない。公務員の場合を考えてごらんなさい。公務員の場合だって、そんなことやったら退職金払うことはないし、給与も払うことはないでしょう。片方は一年か二年どうせ懲役を食うんじゃないですか。だからそれを本人の責任だとするのでは、実際被害者救済という制度に、国民的な要望に沿わないのじゃないですか。そういう場合には損金で落とせるような措置をとられるのが、大蔵省なり国税庁なりの常識じゃないですか。それがすっきりしないというのはどういうんです。
○長村説明員 給与と考えるにしろ、退職金と考えるにしろ、その会社の損金に落ちることは異論はございません。(板川委員「税金を取られるよ、所得税が」と呼ぶ)問題は、先ほど申し上げましたように、その加害者たる個人の所得税をどう考えるか、そこを全く所得に関係なしにするか、それとも事案の内容によって、個人の責任というものが非常に多いケースについて問題があるのではないか、そこを申したのであります。
○板川委員 事故があったときに退職金で払うとか給与で払うとか、そういうようなことは社会常識からいってできませんよ。退職金で払えば源泉徴収、会社は税金払わなくちゃならないでしょう。源泉徴収払えば損金で落ちるという意味でしょう。それは損金で落ちるかしれないけれども、源泉徴収分払うのじゃないですか。だけれども、そういう何か実態に合わない取り扱いがあるじゃないかということではなくて、そういう事故の賠償でやった場合にはいさぎよく損金で落ちるような扱い方をしたっていいのじゃないですか。聞くところによると、別に法律で禁止しているわけじゃない。規則で定めがあるわけじゃない。扱い方だという。扱い方だというなら、国税庁でそういう被害者の立場に立って、片方は場合によっては払ってもいいと言っているのにそれから税金を取るというのじゃなくて、まあ払わせるような措置をきめられたらどうなのですか。退職金やまた給与を払えばいいという、それで損金で落ちますよというようなことは、どうも被害者救済という、いま非常に交通事故の多い中で、そういう点からいっておかしいのじゃないですか。私はそういうことであればやむを得ないから、その会社のほうから、どうせこれは所有者の責任という裁判の判定を受けるかもしれない、だから相手に、被害者側に裁判を起こしてもらって、裁判でこの会社側に責任ありということになるから、そのときは払いましょう、こういうふうに言って、向こうの裁判をするように、こう言わざるを得なかったのです。そう指導したのです。あなたが言うように、裁判でやればしょうがないというから。だけれども、一々そういう事故を裁判によって被害者が救済されなくてはならぬ、それが場合によれば、争いがあれば二年も三年もかかりますよ、裁判の手続を経なければ損金で落ちないという、その扱い方がおかしいんじゃないですか。これはいずれひとつ、扱えないという論旨をあとで文書で出してもらいたい、言っただけじゃどうもわからぬから。そしてまた機会があったらひとつ国税庁長官を呼んで議論しましょう。 質問を終わります。
○門司委員長 松本忠助君。
○松本(忠)委員 だいぶ時間もたちましたので、要点のみを質問申し上げまして終わりたいと思います。 質疑に入るに先立ちまして、公明党を代表いたしまして、飛騨川の事故による被災者の方々の御冥福を祈るとともに、遺家族の方々に対し心からお見舞いを申し上げるものであります。 第一にお伺いしたいことは、自賠法を今事故について適用することについては、いろいろと各方面に御意見があったようでありますが、被災者に対する救済が何らかの形で行なわれることにつきましては当然のことであり、賛意を表するものであります。それが政治的な配慮で出たものであろうとなかろうと、被害を受けた方々に対しまして、当然救済の手が差し伸べられることは賛成でございます。 そこで、黒住局長にまず伺いたいことは、運輸省は自賠法を適用して救済をはかることをきめたというふうにすでに新聞発表がございましたが、これは運輸大臣から閣議で了承を求め、正式決定を見たものであるかどうか、確認の意味においてお伺いしておきます。
○黒住説明員 本件につきましては、十月十一日に運輸大臣から閣議に報告いたしまして、閣議の御了承を得たものでございます。
○松本(忠)委員 本日配付を受けました警察庁の報告を見ますと、すでにございますとおりに、「本件関係者について、業務上過失致死傷罪の刑事責任を認めることは困難であるとの見解に達した。」このように警察庁の解釈は出たわけでございます。自賠法の第三条によりますと、刑事責任のない者に対しては賠償の責任はないわけでございますが、なぜ政府が自賠法で補償に踏み切ったのか、この点について、先ほど板川委員の質問で大体了解はいたしましたが、時間もございませんので重ねてお伺いはしませんが、これですべてが解決したとは言い切れないと思うわけであります。第一に、今後天災的要素の強い類似の事故が起きた場合に、同じようにこの自賠法を適用するのかどうか、この点について伺っておきたい。
○黒住説明員 本件は運行によって起きた事故と解釈いたしているものであります。運行によらずして、天災地変というもののみによりまして起きた事故につきましては、現在の自賠法では救済ができないわけでございます。天災地変によりまして、全然自動車側に責任がない場合におきます賠償の関係につきましては、これは先ほども申し上げましたように、ほかの交通機関あるいはわが国の賠償制度全体との問題がございますので、今後これは運輸省のみの問題ではなくして、総合的に検討すべき問題ではなかろうかと思っております。
○松本(忠)委員 いろいろ問題がございましたにもかかわらず、運輸省がこの自賠法の適用に非常に急であったように思うわけであります。なぜそのように急いで自賠法を適用して、これを払うように進めたのか、その辺の理由をお聞かせ願いたい。
○黒住説明員 本件は御承知のように八月十八日に起きた事故でございまして、百四名という非常に多数の人が犠牲になられたわけでございます。これの事実関係等につきまして、警察庁におきまして慎重に検討が行なわれまして、九月二十六日にその事実関係の調査の結果が発表せられたわけでございますが、この事故によりますところの救済措置がどうなるかということを遺族といたしましては非常に心配せられておる次第でございましたので、われわれといたしましては、事故が起きました後におきまして、事実関係等の探求が終われば、なるべくすみやかに結論を出しまして、被害者の救済ということをはかりたいという考え方から、慎重を期しつつすみやかに結論を出したいということで努力をいたしました結果、先ほどお話し申し上げましたように、十月十一日に運輸大臣から閣議に報告いたしたような次第でございます。
○松本(忠)委員 先ほど板川委員からも質問がございました、昭和三十七年十月十七日に起きた函館バスの事件であります。このときは十四名の人が死んでおります。このときは十四名でございまして、どうもこれがはっきりした解釈がなく、とうとう天災というようなことになって、遺族は承知しない、そこで建設省を相手どっていま係争中であることは御承知と思います。 そこでお伺いしたいことは、今回の事故は多数の人が死んだ、だからこれを急がなければならなかったのだ、それではわずかの人しか事故にあわなかった、こういう場合はどうでもいいのかというふうにも考えられるわけであります。それからまた、本年の八月十一日に西多摩郡の羽村町で起きました事故もございます。今後こういう事故がまた頻発することも考えられるわけでありますが、今回の飛騨川の事件については何かしら政治的の意図があってその補償を急いだとしか考えられないわけです。決して私どもは補償することについて反対ではございません。当然のことでございますけれども、何かここに、数十人死んだ場合と百四人の人間がなくなられた場合と法の解釈が違うとするならば、大いに問題があろうと思う。この点について局長はどのようにお考えになるか。
○黒住説明員 通常起きます事故の場合におきましては、解釈問題等は起きないわけでございまして、保険会社が保険金を払う、これに対しまして国は再保険金を払うということを自動的に行なっております。そこでその事務の処理を一日も早く行なうように、保険会社とも連絡いたしましてその努力をしておるわけでございます。今回の場合におきましては、自動的に保険金を支払えるかどうかという問題の場合におきまして、やはり法律解釈ということが相当重要な要素でございましたので、その法律解釈を早くしたいということで、先ほど申し上げましたように検討を進めたわけでございます。今後起きましても、これは被害者が多数であるとか少数であるとかということに関係なくして、自動的に払えるものは事務処理を早くして払う。また法律解釈におきまして問題がありますものにつきましては、被害者の数によらずして、いずれにいたしましても被害者の救済、すなわち遺族の人を安心さすということは一刻も早く結論を出すべき性格でございますから、今後もそのつもりで努力をしていきたいと思っております。
○松本(忠)委員 それではお伺いいたしますが、今回の事故に対しまして、被災者に対しまして当局は救償の手続その他指導をしてきたかどうか、具体的な事例をもってお示しを願いたい。
○黒住説明員 先ほど申し上げましたように、十月十一日に閣議でもって報告をしたわけでございまして、その後において一刻も早く処理をいたしたいということでございます。直ちに保険会社と協議をいたしまして、そして十月十九日に、名古屋の保険関係の査定事務所、それから東京海上、日新火災という関係各会社が保険金の支払いについての手続につきまして遺族の方に説明をした次第でございます。その際、原則といたしましては一人一人の人たちでやりますよりも遺族団としてまとめたほうが事務処理が早いということでございまして、十一月二日までに遺族団として手続をまとめてしていただくというふうに相なったわけでございます。その結果、十一月四日に七十九名の方につきまして請求が出されております。あとの方々につきましても逐次出されるものと思っておりますが、この請求が出されましたので、われわれといたしましても保険会社と十分連絡をとりまして、今月の中ごろ過ぎには支払いができますように目下努力をしておる次第でございます。
○松本(忠)委員 十一月中ごろに支払いはなされるというわけですね。そうすると、それは七十九名についてのみでありますか。その点はどうですか。
○黒住説明員 いま申し上げましたのを努力の目標といたしましてこの事務処理をしつつあるわけでございます。ただし、この請求がございませんとそういうこともできませんので、現在請求がありました人に対しましては、これは御承知のとおり遺族の関係等を、請求者を確定するというふうな作業がございますので、これらを大わらわに行ないまして、なるべく早く支払いたい。今後請求がきますと、それらにつきましても同様に早く支払うようにいたしたい、こういうふうに思っております。
○松本(忠)委員 請求が死亡の方々に全部出そろわなければ、これは認定をしました場合に片手落ちになるような考えもありますが、七十九名についてそれぞれ具体的な金額も相当出ていると思います。そこで、まだこれら未提出の方、今後提出される方等のいろいろの考えもあるでありましょうし、全部出そろってからやらないと、先に出した人が得をしたとか損をしたとかということが起きてはまずいと思う。この点については全部出そろうまで待つのか、それとも逐次やっていくのか、この点について……。
○黒住説明員 これは全部待つといたしますと、遺族の関係等が確認する、すなわち確定する、だれが請求してくるかというふうなことを待ちますと相当時間がかかりますから、遺族団としてまとめていただく段階におきましては七十九名の方はまとまったわけでございますから、それにつきまして査定をしていきたい。この場合に一番問題になりますのは、請求者という、被害者と請求者の関係というものを十分検討をする必要があるかと思う次第でございまして、それらを終了して支払うということでございます。全部の方たちがまとまらなければ支払いをしないというものではなくして、なるべくこの遺族団を通じてやっていただくほうが事務が早いと申し上げた次第でございまして、今後個々に来られましてもこの事務はもちろん行なうわけでございますし、全部そろうまで待つということになりますと相当の時間を要しますので、そうではなくして、いま七十九名の方について事務を進めておるわけでございますので、事務の終了次第支払いたいというふうに考えております。 それから、先に支払う、あとに支払うというようなことで損得ということはございませんので、これは御承知のように死者に対しましては保険金額は三百万円になっております。被害者の損害につきましては、いわゆるホフマン式等の方式で算定し、また慰謝料あるいは葬祭料というようなことで従来から査定基準というものができておりますので、それに照らしまして査定をしていくということでございますから、前後によります不公平は絶対にないものと思っております。
○松本(忠)委員 その当日の事故の点について少し聞いておきたい点がございます。一点だけでございますが……。 問題のバスから、車外に出ていた者があったかどうか。その事故の起きましたときに、車に乗っていなかった者、これがあったかどうかをお伺いしたい。
○黒住説明員 それらの点につきましては一瞬のことでございますから確たるものは持っておりませんが、一応この被害を受けられました百四名の方たちは五号車、六号車に乗っておられたものというふうに考えております。
○松本(忠)委員 そのときに、私の確認したことによりますと、バスの後退をさせるために車外に出て誘導していた人がある、そういう事実を私は聞いたわけでございますが、この点はどうでしょう。
○黒住説明員 その点につきましては警察の調書にも明確になっておりません。われわれといたしましては、その人が、自動車が二両、五号車と六号車が川に転落いたしまして、それによりまして百四名の方が犠牲になられた、一瞬のできごとでございますから、百四名の方全部が自動車の運行によるこの際の事故であるというふうに考えておる次第でございます。
○松本(忠)委員 それではかりにそのとき一名でも車外に出ていた、そしておそらく流されるのはとっさに流されたのでしょう、自動車の中にいたか車外にいたか。そこで車外にいた人に対しては補償がないというような話を聞きましたけれども、それはそういうことになるのですか。
○黒住説明員 本件の事故の場合におきます被害者は合計百四名ということでございます。車外におられたか車内におられたかということがかりに不明確でありましても、百四名のお方は氏名その他明白になっておりますので、この人たちは一ただし運転手等いろいろ法律関係がある者は別といたしまして、百四名の犠牲者に対しましてこれをどうするか、いや救済するということでございます。
○松本(忠)委員 いろいろと聞きたいこともございますけれども、時間もございませんので、結論だけ急いでおきますが、この事故に対しまして私どもも自賠法を適用してはいけないというような考えは少しも持っておりません。一刻も早く何らかの形でその補償がなされることを急ぐわけでございます。いろいろ現地の模様を聞いておりましても、なかなか補償がされないということで、不満の声も出ておりますが、ただいま局長の答弁で一応七十九名の線に関しましては請求が出た、これに対しては十一月十五日までにある程度の見通しが立つということで了解したわけでございますが、残りの方々に対しましても請求が出次第に至急この問題の解決をはかっていただきたいと思います。 大体自賠法がいつも問題になりますのは、支払いがおそいという点、こういう特殊の事故でございますから、特に急がれていただくことはけっこうでございますけれども、従来のあらゆる事故に関して自賠法の請求をしてもなかなか金がおりないというような問題もございますので、今後もこういう支払いについて一そう尽力をしていただきたい。この問題ばかりでなく、あらゆる事故に対して自賠法の適用を受けた場合には即刻これが支払われるようにひとつお願いをいたしたい、希望しておきます。 そこで今回のこの事件につきましても、自賠法の適用がこの三条の内容からして非常にむずかしいというふうな解釈を持っておりますが、ここで自賠法の改正を行なって、すっきりした形で補償をする、こういうお考えは当局にあるかないか。すでに本問題については自賠法を適用しておりますけれども、今後もこういう事故が起きないとはいえないと思うわけです。そこでこの際、自賠法の改正を行なう意思があるかないか、この点について局長に伺っておきたい。
○黒住説明員 自賠法の改正の問題点というものは非常に広範な問題でございますが、一応この三条関係の責任のことに限定して申し上げますと、すでにこの三条というものは、民法の七百九条の特則に相なっておりまして、わが国一般の損害賠償に対する規定よりも非常に前進をしたものでございます。さらにこれを無過失賠償まで前進さすかどうかということにつきましては、いろいろ意見が存するところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、他の交通機関の賠償の関係、そしてわが国全体の賠償責任の法体系の問題等ございますので、これは運輸省のみできめ得る問題でもございませんから、将来の問題といたしまして総合的に検討いたしたいと思います。
○松本(忠)委員 この点につきまして大蔵省ではどのように考えておられるか。
○新保説明員 先ほどの保険金の支払いにつきましては、大蔵省からも保険会社をして督促いたさせます。 なお自賠法の改正の問題につきましては、これは自動車局長がただいまお答え申し上げましたように、他の交通機関の責任問題あるいは民法の賠償の責任問題等々との関係がございますので、大蔵省だけで結論を出すというわけにまいりませんが、運輸省とも相談して検討してまいりたいと考えております。なお大蔵省の立場におきましては、自賠責のほかにいろいろ任意の自動車保険の問題もございますので、それについてのより一そうの普及、それから最近新聞等で御承知いただいておると思うのでございますけれども、銀行定期預金の利息を自動振替にすることによります交通事故傷害保険、そういう簡易な保険の普及のしかたにつきましても、努力いたしていきたいと思います。
○松本(忠)委員 運輸、大蔵両省の見解を伺ったわけでございますが、総務副長官が退席されましたので宮崎さんにその点についての意見を伺いたい。
○宮崎説明員 自賠法の改正自体の問題は、第一義的には運輸、大蔵両省の責任でございますので、私のほうで直接これをどうこうするという考えは持っておりません。御指摘の無過失賠償の問題につきましては、大きな問題でございますので、今後も関係省庁と協議しながら慎重に検討さしていただきたいと思います。
○松本(忠)委員 それから先ほどもちょっと触れましたけれども、自賠責の支払いが非常におそい。こういう点がございます。そこで関連した問題でございますが、十月二十五日の新聞によりますと、キャピタル保険会社の日本支社が七千数百万円の未払いのためにこの関係の被保険者が非常に泣いておるというような記事が出ておりますが、これは監督の官庁であるところの大蔵省並びに運輸省の責任であると私は思います。この点についてまず大蔵省の側からお話を伺っていきたい。
○新保説明員 キャピタル保険会社につきまして保険金の支払いがおくれておることは御指摘のとおり事実でございます。私どもとしましては、まあごく最近のことを申し上げますと、フィリピン政府と連絡をとりまして、最終的にこれは法による強制的な処置をとらなければならない。そういうことによって被保険者の御迷惑をできるだけ少なくする。また、保険金の削減というようなことの生じないようにする。保険金の支払いも非常に時日がおくれておりますけれども、あさってでございますが公開聴聞をやりまして、そして日本の有力な、しっかりした保険会社に管理人を命じまして、そこで事務を管理するということになりますので、これから急速に改善されるものと考えます。
○松本(忠)委員 なお重ねてお伺いしますが、そうしますと日本の有力な会社に管理させるということですが、この新聞に出て以降は営業はやはり継続していたわけでございましょうか。
○新保説明員 これは新聞が出ますとお客さんのほうが自発的に御注意をなさるという点もございますけれども、しかし、これ以上問題がある会社が契約をとって新たに被害者をふやすということは、これは避けなければならないので、直ちに代理店に、会社をして保険会社の窓口は代理店でございますので、新規の契約をとらないように、しかし、これは法律ではまだできないわけでございまして、法律的に申しますと、公開聴聞をやりまして管理人に命ずる。管理命令を出しますと、その時点において事業の停止になりますから、これは法律的に絶対できない、そういう状態になるわけでございます。
○松本(忠)委員 管理命令を出すのはいつですか。
○新保説明員 これは公開聴聞が九日にございまして、その際フィリピンから社長なりなんなりが来るとか来ないとかいううわさがございますので、その結果によることでございますけれども、公開聴聞が済みましたら翌々日くらいにはその処置をとりたいと考えております。
○松本(忠)委員 そうすると、今月中にそれは実施されますか。
○新保説明員 いや今月と申しますよりも来週、月曜日になります。一応内定でございます。
○松本(忠)委員 それではいまの件について運輸省としても一半の責任はあると思いますが、この点についてはどうでしょう。
○黒住説明員 この保険金の支払いは、第一義的には保険会社でございまして、その支払いのほうを早くするという点につきましては、ただいま大蔵省からお話がありましたように、保険会社を指導いたしまして迅速を期する。運輸省のほうは御承知のように六割の再保険をしておる。六割の再保険金の支払いにつきましては、これは保険会社のほうから運輸省に向かって保険金の支払い後に請求があるわけでございます。この事務の促進につきましても同様、今後努力をいたしていきたい、さように考えております。
○松本(忠)委員 最後に関連した問題で伺っておきたいのでありますが、自賠責の限度額の問題であります。公明党はしばしばこの限度額の引き上げを提唱しております。今年の党大会におきましても七百万円に引き上げるべきであるというふうに提唱しております。これは諸外国の情勢あるいは裁判所の判決、物価の上昇等から考えまして当然であると思うわけでありますが、この引き上げについて大蔵省としてはどのようにお考えであるか、この点を伺っておきたい。
○新保説明員 これは先般も交通安全国民会議がございまして、またそれ以前からしばしば国会等で御質問、御指摘がございました。私どもとしましては、交通安全国民会議等における御要望に沿いましてこれを五百万円程度に引き上げる、その方向で目下作業をいたしておるわけでございます。
○松本(忠)委員 中曽根運輸大臣もしばしばこの問題については限度額を引き上げる必要があるというふうに言明されたのを私も聞いております。たいへんけっこうなことであろうと思いますが、それでは運輸省局としてはどの程度まで上げるべきであるか、またその実施の時期はいつごろにしたらいいかということについての具体的なことをお聞かせ願いたい。
○黒住説明員 本件につきましての保険限度額の引き上げにつきましては、ただいま大蔵省からお話がありましたように、それを目標に引き上げたいということでございますけれども、またこれは御承知のように保険料に反映するわけでございます。それで保険料の負担ということも考えなければならない次第でございます。そしてまた死者の場合以外の重傷、軽傷、けがの場合の保険金額の問題あるいは後遺症問題等もございますから、それをすみやかに総合的に検討をする。なおこれは保険審議会の制度がありまして、大蔵省に設置されているわけでございます。そこに案を提案する必要もございます。これらをすみやかに検討いたしまして、大臣の御指示等を得まして来年度のできるだけ早い機会におきまして実施するような方向で目下検討しているような次第でございます。
○松本(忠)委員 重ねて伺いますが、われわれは七百万円をぜひとも実施していただきたい。こういうふうに考えておるわけでありますが、大体五百万円ぐらいはさっそくにもやらなければならない金額だと思いますが、この点について局長はどう思いますか。
○黒住説明員 やるといたしました場合におきましては、現在が三百万円でございますからやはり五百万円にどうしても引き上げる必要がある。やる以上はその程度のものに保険全額として引き上げる必要があるのではないかということで検討している次第でございます。
○松本(忠)委員 大体五百万円程度まで引き上げたい、こういう意向であると伺いました。また実施時期も来年ということでありますが、これは来年早々でございましょうか、それとも春とか夏とかその辺の時期のことについてはどうでしょう。
○黒住説明員 これはただいま申し上げましたように、保険でございますからいろいろ保険数理上の計算を要します。それから死者の保険金額のみならずほかの関係につきましての保険金額の問題もございますし、保険料の算定の問題もございますから、これらの算定は保険会社の算定会等において算定されるわけでございますが、大蔵省、運輸省におきましてもいろいろその計算につきまして検討をする必要がございますし、所定の手続等を要しますので、それらの手続につきまして、いま現在で何日までという見通しを持っておりませんけれども、なるべく早い時期に実現をするように努力を続けていきたいというふうに考えている次第でございます。
○松本(忠)委員 なるべく早い時期にと言われることでございますから、できる限り来年早々にこれを実施していただきたい、重ねて希望しておきまして、質問を終わります。
○門司委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後二時十分散会